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        支援者・援助者の困りをサポート
        2024/02/18
         障害福祉、介護福祉、医療、教育などの現場で、そしてご家族や知人・友人に対して、いろんな形で「支援」「援助」「相談に乗る」立場で関わっておられる人のストレスは、大きなものがあります。

         こうした「支援者」などを「支援」する必用性が求められています。

         相談室カンナは、代表が認定精神保健福祉士として、「支援者支援」を、いろいろな経験・実践と学びから、スーパーバイズや具体的なアドバイス、メンタルサポートをさせていただいています。

         ・完全個別のプライベートサポートとなります。
         ・サポート料も、個別にご相談ください。
         ・事業所などで「メンタルケア」のシステムが使える場合はご相談を。
        つながろうみんなで子育て 小谷裕実先生 教育講演会
        2024/02/12
        おすすめの講演会です!

        小谷裕実先生 教育講演会

        「発達でこぼこの子どもたちの居場所や教育を考える〜小児科医の視点から〜」

        日時:2024年3月8日(金) 10:00-11:30

        場所:来迎寺 本堂 (向日市寺戸町中垣内27)

        参加費:1,000円 先着30名

        主催:(一社)かむはぴ つながろCAFE 学校に行きづらい子どもの親の会

        電話:075-921-0343
        あなたとあなたのご家族にシックリのプライベートサポート
        2024/02/12
         <相談室カンナの基本スタンス> 
        あなたとあなたのご家族にシックリのプライベートサポート

          ①ジックリと「お困り」を聴かせてもらう。

         ②シッカリとサポートをさせてもらう。

         ③シックリと伴走して困り可決をめざす。

         認定精神保健福祉士として、責任をもって伴走 させてもらうために、有料のプライベートサポート となります。
         
         ※各種メニューがあります。
         ・基本 専門相談・カウンセリング:60分6,000円
         ・中高生本人相談・カウンセリング:60分3,000円
         ・困り相談:30分3,000円
         ・向日市「生きる」ネット相談支援:対象者は無料・低額
         ・初級アコギ教室:体験30分無料、60分3,000円
         ・成年後見制度利用相談:30分3,000円

        詳しくはWEB「相談室について」をご覧下さい。
        <困りごと相談>30分:3,000円〜を始めました。
        2023/12/22
        <困りごと相談>
        子育て、人間関係、障害福祉、高齢介護、メンタルヘルスなど、どのようなご相談もお受けします。
        カウンセリング・専門相談というほどではないけど、どこに相談すれば良いかわからない、誰かに聴いて欲しい、そんな時にお気軽に、ご予約の上でお越し下さい。

        料金:概ね30分:3,000円

        ※向日市内在住・在勤の方で、生活保護受給や住民税非課税の方は、向日市「生きる」ネットの「無料・低額相談支援」をご利用いただけます。
        https://mukoikiru.information.jp/soudansien_muryoteigaku/

        不登校 その時に子どもたちは何を思ったのか~追跡調査から見えたもの Child Issue Seminar by 3keys
        2024/01/23
        不登校 その時に子どもたちは何を思ったのか~追跡調査から見えたもの【アーカイブ配信あり】
        開催概要

        プログラム
        基調講演:原田直樹(福岡県立大学看護学部准教授/社会福祉士・精神保健福祉士)
        活動紹介:森山誉恵(認定NPO法人3keys代表理事)
        トークイベント:原田直樹 × 森山誉恵
        日 時:2024年2月21日(水) 14:30-17:00(開場14:00)
        会 場:株式会社セールスフォース・ジャパン 22階「Ohana floor」(東京都千代田区丸の内1丁目1-3)
        参加費(会場参加費は無料です!)
        1)会場参加 無料
        2)アーカイブ配信 1,000円
        ※アーカイブ配信は、開催日より約2週間後に配信予定です(3月末まで視聴可)。後日、視聴用のURLをメールでお送りいたします。
        3)任意寄付(1,000円、3,000円、5,000円、10,000円)

        ※会場参加とアーカイブ配信はセットではありません。アーカイブ配信もご覧になる場合は、どちらもお申し込みください。
        ※1名ずつでのお申し込みをお願いいたします。
        ※1)2)のチケットに合わせ、任意寄付を受け付けます。当団体は支援者の皆さまのご寄付、助成金等で運営しております。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。3keysに寄付をされた場合、寄付の税制優遇を受けることができます。2025年1月に領収書をお送りしますので、お申し込みフォームにご住所をご記載ください。

        *****

        <基調講演・講師>
        原田 直樹(はらだ なおき)
        福岡県立大学看護学部准教授、社会福祉士・精神保健福祉士
        福岡県生まれ。福岡県立大学看護学部准教授。社会福祉士・精神保健福祉士として、障がい児者支援や不登校支援の現場を経て現職。同大学社会貢献・ボランティア支援センター長、不登校・ひきこもりサポートセンター教員スタッフを務める。専門は、学校保健福祉、不登校、子育て支援など。

        <活動紹介>
        森山 誉恵(もりやま たかえ)
        認定NPO法人3keys 代表理事
        全国子どもの貧困・教育支援団体協議会理事。慶應義塾大学法学部卒。在学中、大学生を中心とした学生団体3keysを設立。2011年5月にNPO法人化し、代表理事に就任。現在は現場の支援に加え、現場から見える格差や貧困の現状の発信にも力を入れている。

        チケットの申込み、詳細は↓のリンクからご覧下さい。

        不登校 その時に子どもたちは何を思ったのか~追跡調査から見えたもの【アーカイブ配信あり】

        千代田区丸の内1丁目1−3 日本生命丸の内ガーデンタワー | By 認定NPO法人 3keys(スリーキーズ)

        主催者

        認定NPO法人 3keys(スリーキーズ)

         
        能登半島地震についてブログを書きました。
        2024/01/12
        能登半島地震発生12日目、被災地支援について思う
        2024/01/12 
          ブログを書くのは半年ぶり(前回は2023年6月12日)となる(今回は、「で、ある」調である)。書く気になったのは、1月1日の地震発生以降、ザワザワ感が続いているからだと思う。
         結婚以降(40年近く前から)、年越しは私の実家である岡山県倉敷市で過ごすことにしてきたが、7年前に父が、そして一昨年に母が亡くなり、家は残してあるもののお墓も昨年12月に京都に改葬したこともあって、正月に戻る意味がなくなったため、昨年から京都で過ごしている。退屈すぎるので、3日か4日には事務所に出ているのだが。
         配偶者(妻)の実家は、今回の地震の震源、石川県珠洲市。どう地図を見ても、震源の上に家が建っている(いた)ため、見事に倒壊。珠洲市の被害の実情はまだ陸路が通じていないなどの理由から不明のままだが、珠洲市のある区長が取材に応じた際に「おそらく建っている家はないんじゃないか?」という主旨の言葉を発した。その通りなのだろう。行けない、つながらないから「わからない」ままのようである。配偶者の兄が一人家に住んでいたが、固定電話も携帯電話もつながらず、3日目に同じ避難所に身を寄せている人が違う通信事業者で、携帯電話を短時間お借りして親族に「避難所にいる、家は潰れた」旨を伝えて来たので、家の倒壊と安否の確認ができた。
         本州の中でも奥能登と東北などは、一度大規模な自然災害が生じるとたちまちに、道路、電気、電波、水道などのライフライン難民が多数生じることを証明してしまった。私たちは、知ってしまったのだ。
         同じ能登半島でも、朝市で有名な地域が火災で壊滅した輪島は、陸路も通じていたため、消防、自衛隊、行政、報道などが現地に入ることができ、リアルタイムでメディアで報じられてきた。火災はもちろんだが、家屋倒壊、道路などの地割れ、土砂崩れ、海岸の隆起も日々報じられ、今回の地震の凄まじさをディスプレイ画面から目にした。
         輪島、七尾あたりまでは陸路が応急復旧され、メディアが日々最新の情報を流している。しかし、それ以北の地域は、自衛隊車両のみ通行化、もしくは自衛隊員が荷物を担いで歩いて被災地域に向かう姿が報じられた。一昨日あたりから珠洲市の東側(市役所のある側)に報道が入り、一部電気が復旧し、その惨状が画面で見られるように、被災者の声が聴こえるようになったばかりだが、市街地および近隣の避難所や学校に限られている。北西に、北東には、まだ連絡の取れない人々がおられると思われる。携帯電話基地局も発電機で電気を補っているため電波は弱く、燃料切れすれば電波が途絶える。
         話しは戻る。結婚当時は旧国鉄から分割され、第三セクターとして存続していた「のと鉄道」(恋路駅などで有名)がまだ走っていて、終点の蛸島の二つ手前の珠洲まで鉄路で、駅からはご近所の方の車で小一時間かけて大谷峠を越え、大谷町に運んでもらっていた。2〜3年に一度は戻っていただろうか。バイクでツーリング気分で行ったこともある。義父が金沢大学病院で白内障手術を受けた時(当時は2週間以上の入院が必要で、アンティークな、だからこそ静けさと冷たさ漂う広い廊下の奥に、広い病室があった)もバイクで向かった。車を保有してから、その頃には今の「のと里山海道」が有料道路として開通していたので、車で戻っていたが、その遠さ(500km以上)に辟易しながら、奥能登の西海岸を走った。北ノ端である禄剛崎灯台にも、東海岸を南下して見附島(今回自身で一部が崩れた「軍艦島」)、恋路ヶ浜から和倉温泉へ…。近くの漁港で釣りもした。こどもたちを従姉妹たちと、岩の多い海へ連れて行って、足を傷だらけにした。あの海が、あの海岸線が、もう元に戻れない。
         奥能登の地形、自然、そして人間の生活にとっての「限界」も体感してきた。この地震は、その「限界」を現実として突きつけた。
         人間は、眼で見たもの、耳で聴いたもの、の順に脳が認識するとされる(最期まで残るのは聴覚らしい)。さらに別回路で「臭い」情報は記憶に焼き付くとされる。それらは本当のことのようだ。痛みは一定時間は脳神経が麻痺し、傷はある程度は治るが、記憶は消せない。
         1995年1月17日、阪神淡路大震災の起きた。私がいた職場からは労働組合の分会として、1月28日に神戸市東灘区のある公園に炊き出しに入った。現地のボランティア拠点から、「まだ支援が入れていない避難所があり、そこへ向かって欲しい」と言われて。その通りだった。近隣の避難所から聞こえてくるボランティア救援を待っておられた。電気もガスも電話も水道も使えない。当時はまだ携帯電話はなく、関西セルラーを一部の人が持っていただけだった(恐ろしく重い無線機)。水は数キロ先の避難所である小学校へ汲みに行き、暖を取るための火は周囲の倒壊した家々から柱などの木材を取ってきて釘を抜き、適当な長さに切って薪にして燃やしていた。山﨑パンがいち早くパン、サンドウィッチ、後に弁当を届けてくれるようになったが、電気が通じるまで(電線が引かれるまで)電子レンジで温めることはできなかった。「主食はあるが、温かい汁物が欲しい」と言われ、その後汁物を作りに毎週末通った(4月末まで)。自衛隊が入り、一家に一つのテントを建て、大量のご飯を炊き、順にお風呂に入れるようになった。この公園に避難した人たちは、テントが建ち並んだ公園を「〇〇公園テント村」と呼び、自治会を作って様々な自主的な避難所生活を築いた。
         私たちはこのテント村に、鉄道が通じていたので、JR芦屋駅から歩いて入れていた。当初、しばらくの間はガス管が破損していて、そのガス臭さが鼻に付いた。今も倒壊家屋などの記憶と共に思い出せる。
         神戸は、山側に東西に走る山手幹線の南北で、揺れの大きさが明らかに違っていた。南=瀬戸内海側は倒壊家屋が多いが、北=山側は倒壊家屋はほとんどなかった(と記憶している)。被災エリアが広くなかったためだろうが、鉄路も、道路も、人や物資を運んだ。焼け、倒れた家々。消防など救急車両が通れる太い道路の整備の必用性がわかり、行政が再整備計画を作り、住民説明会が3月末頃から地域毎に開催されて行った。この公園でも開催され、中には入れないものの、大きなテント内で行われていたため、大声でのやり取りも聞こえた。狭い道路に面した土地を所有していた人は、土地の一部を拠出することになるわけだから、「はい、どうぞ」と言う人はいない。ふり返れば、しっかりとした計画方針と図面があり、丁寧で納得の行く説明があり、同意する住民が増えつつ、再建が進んで行ったのである。「いつまでもボランティアに頼っているのではなく、自分たちで再建していかなければ…という意見が多い」と、テント村は解散の方向となり、私たちの支援ボランティアは終結して行った。
         2011年3月11日に発生した東日本大震災の後も、救援・支援に加わることは物理的に無理だったが、自身の眼で見、記憶に残したいとずっと思いつつ、チャンスがなく、今回の能登半島地震になってしまった。大川小学校だけには何としても行きたいと思っているが。
         話しを戻そう。
         このブログを書く気になったもう一つの理由がある。
         れいわ新選組の山本太郎氏が、足のケガを押して能登半島に入り、炊き出しのカレーを食べたことでSNS上での非難が多数見受けられることへの違和感だ。彼は国会議員として、現地を見、被災者の話を聴き、1月末に開かれる国会で質問するために向かったのだろう。何もおかしくない。
         「自衛隊や医療などの救援車両しか通らないように言われているのに…」という声がある。繰り返しになるが、彼は現職の参議院議員である。民間人ではない。国が今回の能登半島地震に対して何をどう対処するかを決める国会を構成する人だ。情報が少ない中、自治体・県から伝わってくる情報は、独特のフィルターを通っていることを、私たちは十分に知ってしまっている。さらに今回は、少ない情報すら、まだ「わからない」ことだらけの、1000年に一度と言われる大災害であり、文字通り急を要する。彼が現地に入ることに、何も問題を感じない。
         「炊き出しのカレーは被災者が食べるために作られたものだから、それを食べるのはおかしい」という声が多数ある。一見もっともらしく聞こえるかもしれない。阪神淡路大震災の時にも同様の報道がされていた(当時はSNSなどはもちろんなかったが)。専門家やボランティア団体の一部の人が、「そもそもボランティアというのは…」と原則論のような持論を展開されていた。大規模な避難所においては、そうした原則論が正しいこともあるだろう。食料・水・トイレはないから自分で持っていくしかないし、食料などは被災者優先であることは当然である。しかし、規模の小さい避難所などでは、事情が違う。先に書いたテント村などでは、その場にいる時間は、食料・水・トイレは共有してくれ、と言われた。配られる弁当が余っていて処分するのは勿体ないからと、到着するとすぐに「温めて食べてくれ」と言われた。剰余食料の廃棄を減らすことも「支援」だった。支援する側もされる側も、同じ人間なのだから。そして、炊き出しなど、一緒に作ったものは、一緒に食べながら話し過ごす時間を共にしたい。新しいコミュニティがそこに作られていくのだから、そのコミュニティが大切にしたいものを共に見つけ創って行くことも重要な支援であるはず。「自衛隊はテントに隠れて缶詰を食べている」云々と、カレーを食べたことを非難する人たちには、自衛隊が派遣される目的・役割と、被災者の自主的支援との違いをわかって欲しい。もちろん自衛隊の身を挺した救援行動には感謝しかない。
         空からヘリコプターで現地入りした医療NGOのピースウインズ・ジャパン”ARROWS"の医師が取材に応じ、「地域の人たちが、その名前(フルネーム)で認識し合っている」ことに驚くと共に、人命救助に役立つものだと話していた。都市部から失われている「人のつながり」が、高齢化率が高いとはいえ奥能登にはある。
         今後さらにメディアが入り、被災の実態が明らかになるだろう。地形的にもライフライン難民が多数生じる地域で生じる災害に、何を準備し対応すべきか、どれだけの検証、議論、対応・事前準備策が創られるか、政治任せにしたくない。いや、できる状態にないことは明らかである。とりわけ今は、強くそう思う。
         大切にしてきた生活、地域、育ち暮らしてきた自然や風景、そして大切な人の命。たくさんのものが消える。臭いと共に。そして、ありのままが記憶に残される。直接被災していないが、その臭いを感じたい。
         能登半島支援のために今、個人的にできることは、被災者・被災地に思いを寄せること、現地で救援に当たってくれている方々への感謝、寄付・カンパと、陸路が復旧したあとにできることの準備…。
         個人的には、石川県にではなく、現地の自治体に直接、財源として早く自由に使えるお金を届け、現地に入って活動してくれている団体を支援したい。

         ちなみに珠洲市能登半島地震災害義援金、振込口座が開設されている。

        北國銀行 珠洲支店 普通 28457 スズシノトハントウジジンサイガイギエンキン

        「國」を間違えないように。

         通学路の朝立ち(交差点横断の安全見守り)を9日から始めたのも、こうした想いからのようだ。
        相談室カンナを1分動画でご紹介します。
        2023/11/21
        <ご案内/1分動画>※YouTubeチャンネルへリンクしています。
         
        各々1分の動画で、相談室カンナをご紹介しています。


        相談室カンナのご案内

        不登校へのご支援

        神経発達症・障害へのご支援

        初級アコギ教室のご案内  
        2024年も相談室カンナをよろしくお願いします。
        2024/01/01
        2023年は、とてもザワザワした1年になりました。平和の大切さを考えさせられ、物価高騰など経済生活にかつてないほどの厳しさを体感し、政局をはじめとして極めて不安定な日本があることを実感した年でした。
        2024年。それらは、また違う形で、違うレベルで、私たちの生活やメンタルに影響を与え続けそうです。
        どうぞ無理をしないで下さい。「シンドイ」「ツラい」と言えるように、それを聴き、受け入れる社会になって行って欲しいと切に願います。
        相談室カンナは、どのような困りごとからも、こどもの育ちのお悩みから、学校・職場の人間関係、障害や介護のサービスの利用の仕方など、安心して相談いただける場でありたいと思います。
        本年もよろしくお願い申し上げます。
        アコギ教室講師hidemikのインスタライブをYouTubeで公開
        2023/12/24
        『2023の〆に歌っておきたい曲』と題して公開したオリジナル曲弾き語りインスタライブ20231220 in 向日市寺戸大牧自治会館(全曲 作詞・作曲・音源:hidemik)のYouTubeチャンネル動画です。

        https://www.youtube.com/watch?v=tUB_i57B9TA

        収録曲:(開始前練習)蝶のように好きな花に、(開始前練習)Spread—ヤマツツジ、ミディアムボブ、星座、夜空、プチな言葉、B&Y for Peace、ある晴れた日の午後、トライアドー未来、へ。、未来(あした)への旅、くもり空から、18ー木霊の声、還暦の歌、願いごと ひとつ、いたいの飛んでゆけ、約束—遺されし者たち
        「初級アコギ教室」のページをご覧下さい。 
        不登校は29万人超え。個別のていねいな対応が必要です。
        2023/10/14
        2022年度、小中学校の不登校は、文部科学省の発表で29万人を超えました。
        学校、担任との関係などを原因とする不登校の数も多く発表されています。
        学校以外の学びの場の増加、コロナ禍による不安増大なども要因となっています。
        しかし、不登校に至る原因・要因、経過、望ましい対応や支援のあり方は、人それぞれ。個別性、その子の特性や、環境や関わる人との関係性を、丁寧に見直す必要があります。
        「クラスに何人もいるから…」「通信制高校に行けば…」と、不登校問題は一見様変わりをしていますが、その子、その家族にとっての不登校は、人生レベルに影響を及ぼす課題であることは避けて通れません。
        相談室カンナは、2005年から不登校をはじめとしてさまざまな人間関係の問題や課題に、専門職として関わり続けて来ています。「伴走型」の支援として、サポートさせていただきますので、お気軽にアクセスしてください。
        『大地』12月定例会のご案内 乙訓不登校を考える親の会『大地』
        2023/12/04
        乙訓不登校を考える親の会『大地』2023年12月定例会のご案内



        12月定例会は以下のようになっています☘
        12月17日(日)午前10時〜12時 ※9:45〜受付しています。

        向日市寺戸公民館 1階和室

        ・参加費:300円《会員は無料》

        ・マスク着用、スリッパ持参

        ・事前申込みが必要です。
        ☘新規参加申し込みは、氏名、連絡先、お子さんの年齢・学年を記入の上、otokunifutoukoudaichi@yahoo.co.jpまで。

        ・リピーターの方で欠席の場合、よければ近況をお聞かせ願えればと思います❤️
        ・参加の場合はできれば13日(水)までにお知らせ下さい。また、スリッパをご持参下さい。

        ※大地の定例会は、事務局体制の都合で、12月開催でお休みに入らせて頂きます。
        ↓以下事務局からです。
        12月に入りました、今年も残すところ1カ月です。
        みなさんにとってこの1年はいかがでしたか?
        大地の定例会も今月でもってお休みに入らせて頂きます🙇‍♀️
        7年間の活動の中で、多くの親子と出会い、それぞれの変化を感じさせて頂きました。不登校の児童数は増えている社会の中で、その対策であったり支援のあり方も変わってきたように思います。
        すべての子どもたちが生き生き(活き活き)と輝ける社会になることを願っています。

        『大地』5周年記念誌 「そのままでええねん」pdf
        乙訓不登校を考える親の会『大地』
        5年の歩み、だけじゃない!
        不登校支援に関する情報が満載です。


        代表カウンセラーは乙訓不登校を考える親の会『大地』のアドバイザーを、設立当初より務めさせていただいています。
        不登校や発達障がい(神経発達症・障害)、人間関係の悩みなど、京都府向日市・長岡京市を中心に相談・カウンセリング対応をしている「相談室カンナ」へ、お気軽にお問い合わせ下さい。 

        向日市「生きる」ネット 生活相談支援活動(無料・低額)のお知らせ、「みらい生きる資金」援助(カンパ)へのご協力のお願い
        2023/10/01
        向日市「生きる」ネット 無料・低額の生活相談支援活動
        <実施要綱>
        ・内容

         精神保健福祉、社会福祉の専門職として対応できる福祉・医療・介護・くらし・生きづらさ・人権などの多様で幅広い相談、行政サービスや専門機関への紹介などを行います(2023年8月22日より実施)。

        ・対象

         向日市に居住している方、およびお仕事に来られている方など、向日市での生活などに困りや悩みをお持ちの方を対象とします。

        ・相談料など

         ご相談者の生活状況に応じて、本資金援助(カンパ)を活用しつつ、無料・定額での対応とさせていただきます。生活保護受給中の方および収入が年金のみや無収入の方などは基本的に無料、それ以外の方は500円〜2,000円のご負担とさせていただきます。事前のお問合せやお申込時、初回相談時にご相談下さい。

        ・実施日時、場所、相談時間など

         毎週火曜日、午後 13:00〜、14:00〜、15:00〜 <お一人45分までとさせていただきます>

         完全予約制とさせていただきます。同席されるのはスペースの関係で3名までとさせていただきます。

         相談会場は「教育と人間関係の相談室カンナ」事務所内の相談室

         (向日市寺戸町渋川22 三恵マンション203号室)

        ・お申込、お問合せ メールフォーム(ページの一番下)、メール、お電話:075-925-7960(教育と人間関係の相談室カンナ、向日市「生きる」ネット事務局)

         メール(info@mukoikiru.informathion.jp)

        ・お名前 ・ご住所 ・連絡先 ・相談内容(主な要件) ・お問合せ内容など を送信して下さい。メールで相談日時の調整をさせていただきます。

         お電話でも受け付けますが、「相談室カンナ」の面談中および外出中は電話対応ができません。留守電にお名前・ご用件・連絡先を録音をしていただければ、折り返しお電話させていただきます。

        生活相談支援活動などを継続するために「みらい生きる資金」援助(カンパ)へのご協力をお願いします
        <ご協力の方法>
         銀行振り込みでお願いします。(送金手数料はご負担ください)

        ・銀行名 京都銀行 東向日町支店(店番317)

        ・預金種別 普通預金 4184119

        ・口座名義 向日市くらし支え合いネットワーク「生きる」代表 木下秀美

        ・お問合せは メールフォーム(ページの一番下)にお寄せ下さい。

        ※定期的、継続的なご援助が有り難いです。

        ※領収書の発行、控除証明書の発行などはできませんのでご了解ください。

        向日市が「生活何でも相談(仮称)」の窓口を設置すること、既存の担当窓口が専門職を常勤配置して専門相談対応を行うことを求めていきます
        向日市「生きる」ネットが行う生活相談支援活動は、本来行政がしっかりと行うべき事です。とりわけ「健康福祉部局」が市民のくらしの状況、具体的な困りや悩みに寄り添っていれば、率先して独自財源で、独自の市町村事業として行うはずの「サービス」です。手続きだけの「窓口」だけ「ではなく、市民のいのちとくらしを支えきる向日市を創っていけるよう、市に対する要望をしつつ、市民団体としてできることを着実に行って行きたいと思います。

        ※向日市「生きる」ネット 生活相談支援活動(無料・低額)、「みらい生きる資金」援助(カンパ)は
        向日市「生きる」ネットでは、旧WEBサイト時より「支援金・カンパ」のお願いをしてきました。

        これまで頂戴してきた支援金・カンパ(2023年8月2日現在、5万7,000円)を、今後有効に活用していく方策をこの間検討してきました。

        わたしたちは、「こども、子育て、くらし、にぎわいの向日市を創りたい」をスローガンに、市民団体として活動を展開しています(現在はWEBでの情報発信が中心)が、さまざまな困りや悩みを「話せる場」、「問題解決につながる場」、「必用なつながりをつくる場」であることが、今後の活動の基本であると考えるにいたりました。

        それらが、「向日市にはない」からです。「だれも困らない」、「困っています」と言える向日市に変えて行く必用を強く思いつつ、「ないものは創って行く」が社会福祉の大切な役割の一つです。

        とはいえ、行政サービスとして機能してない相談活動を、民間の市民団体が無償・低額でご提供するのは難しいのが現実です。「事業」として行ったとしても一定の利用料のご負担をいただかなければ「事業」として成り立ちません。どこかから助成を受けて行うことも現実的ではありません(健康保険や福祉サービスなどのような公的な報酬制度はありません)し、(民間の財団などの基金に申請する場合には)助成の条件や報告義務などから相談内容についても束縛されることになるため、特定の相談内容にしか対応できないことが多いことも事実です。また、ボランティアで継続するには自ずと限界があります。

        「相談したい」「話しを聴いてほしい」、でも「費用を支払うのは難しい」。現にお困りの少なくない方々が、こうした状況にあります。

        こうしたことから、持続的・継続的に活動が展開できること、ご利用される方も活動する側も経済的負担が少なく実施できること、どこに対しても中立・公平であること、守秘義務厳守の相談であること、などが担保された「生活相談支援」を実施するために、有志の方々から支援金・カンパをお願いし、代表である木下秀美(教育と人間関係の相談室カンナ代表・精神保健福祉士・自閉症スペクトラム支援士(STANDARD))が、同事務所(向日市「生きる」ネットの事務所を兼ねる)において、無料・低額の生活相談支援活動を、以下の内容で実施するための資金に当てることといたしました。

        みなさまのご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
        向日市「生きる」ネット 情報館
        2023/06/12
        向日市「生きる」ネット 情報館として新たにWEBサイトを構築しています。 こども、子育て、くらし、にぎわいの向日市を創りたい。 ぜひご覧下さい。
        「向日市あちこちあるある」ギャラリーなど、みなさんからのご投稿をお待ちしております。
        https://mukoikiru.information.jp/
        アコギ教室講師hidemikの弾き語りライブをYouTubeで公開
        2023/08/04
        初級アコギ教室講師のhidemikが、2023年7月23日に、JR長岡京駅前バンビオ広場において
        オリジナル曲のアコギ弾き語りライブをしたものを編集してYouTubeチャンネルにアップしています。 
        オリジナル曲弾き語り(全13曲)
        作詞・作曲・音源:hidemik

        詳細は初級アコギ教室のページでご覧下さい。

        https://mhswkanna.com/page04.aspx 
        向日市長選挙を振り返って(研究ノート 41)
        2023/05/06
        2023向日市長選挙を振り返って
        「研究ノート41」を更新しました。


        2023年5月1日
        向日市「生きる」ネット代表 木下秀美


        ●全体を通して(総論として)

         早いようで、とても短い選挙期間だったという実感です。まずは、このようなチャンスをいただき、貴重な体験をさせていただきながら、皆様のご期待にお応えできなかったことを心よりお詫び申し上げます。

        (続きは▼「研究ノート41」をお読み下さい)

        ※相談・カウンセリング・初級アコギ教室など、再開しています。

        #こども子育ての向日市に再び #生きるネット #向日市ウォッチャー #アコギ弾き語り #hidemik #相談室カンナ

        <オフィシャルサイト>教育と人間関係の相談室カンナ
        mhswkanna.com
        mhswkanna.jp
        kinopyg@gmail.com

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        YouTubeチャンネル:@hidemikinoshita1961
        YouTube DTMチャンネル:@hidemik3466
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        tunecoreアーティスト情報:hidemik
        2023向日市長選挙に無所属で立候補します。
        2023/03/06
        ▼研究ノート 40を更新しました。
        今年4月16日告示、23日投票の向日市長選挙に無所属で立候補をすることになりました。
        4月5日にメディア記者発表した際の配付資料をご紹介します。
        なぜ私が立候補に至ったのか、何を思ってなのか、どんな選挙にしたいのかなど、お読みいただき、ご理解いただきますようお願い致します。
        薬を飲む前に、薬物治療についてご一緒に
        2023/02/12
        精神薬はちょっと…、精神科・心療内科に受診が必用?と思われている方に。
        薬を飲む前に、薬物治療についてご一緒に考えます。
        薬物治療の必用性や副作用やリスクなど、事前に、服薬中に、お気軽にご相談下さい。

        症状が出るのには必ず原因があります。

        症状だけでなく、その背景や置かれている環境との関係からご一緒に考えます。
        眠れない、涙が止まらない、ネガティブなことを繰り返し考えてしまう、将来に希望が持てない、つらい体験がずっと忘れられない、パワハラなど理不尽な扱いに耐えられない、どうしたら良いかわからない問題を抱えている、知り合いからはクリニック受診をすすけられるけど…。
        心療内科(実際は精神科)の敷居は低くなっています。同時に精神科医療に救いを求めたい人が増えています。保険適応医療としての精神科では、向精神薬・抗精神病薬など薬物治療が基本となるため、短時間の診察で診断・処方となり、薬物を服薬する人が増える一方でその副作用や改善効果が見られないなどの困りも増えているのが実際です。
        相談室カンナでは、
        ・その症状が精神科治療(薬物療法)の対象であるかどうか。
        ・その症状が出現するに至る経過や背景にある環境(人間関係)にその理由がないか。
        ・精神科治療(薬物療法)の副作用やリスクとしてどんなものがあるか。
        ・精神科治療(薬物療法)以外の方法で問題解決できないか。
        ・具体的な問題解決には何が必用か。
        などをご一緒に考え、改善に向けて伴走させていただきます。

        続きは↓こちらから。
        https://mhswkanna.jp/consultation1/20230210101703/
        「お客様の声」を追加しました。
        2022/11/05
        「相談室について」のページに「お客様の声」を追加しました。
        https://mhswkanna.com/page03.aspx

        参考にしていただければ幸いです。
        『ミディアムボブ』DTM版を動画アップしました。
        2023/02/21
        作詞・作曲・音源:hidemik(2022/12/26作品)



        昨年9月に、黄斑円孔という目の病気となり、手術を受け、かなり回復してきています。
        その眼科クリニックへの感謝を込めた曲です(^0^)。

        弾き語りで仕上げた後に、DTMでも仕上げました。
        フォローしてもらえると有り難いです。

        https://www.youtube.com/@hidemikinoshita1961

        インスタライブでの弾き語りは↓こちらから。
        <YouTube>

        https://capture.dropbox.com/xwV1P9eRgUPih2GC

        <Instagram>
        https://www.instagram.com/hidemi.kinoshita/


        #hidemik #アコギ弾き語り #オリジナル #初級アコギ教室 #向日市 #長岡京市 #京都 #平和 #花 #京都
        #相談室カンナ #Japanese #Singersongwriter #Gibson #Martin #Furch #DTM #LogicPro
        研究ノートを更新しました。
        2023/01/08
        研究ノート39をアップしました。

        2011年に「少年問題ネットワーク」という会のメルマガに投稿したもの(掲載されたかどうかは不明)を紹介します。

        https://mhswkanna.com/page02.aspx
        2/19乙訓不登校講演会のご案内
        2023/02/12
        62名のご参加をいただき、盛会の内に終了しました。

        乙訓不登校講演会(
        乙訓不登校を考える親の会『大地』特別定例会
        『不登校は怖くない! 子どもがなりたい自分に向かえるために』


        2023 年 2 月 19 日(日)14:00~16:30 (受付 13:30~)
        会場
        :長岡京市立産業文化会館 1 階 大会議室
        (阪急長岡天神駅より、徒歩約 3 分、駐車場はありますが台数が限られていますので、公共の交通機関をご利用下さい)

        《プログラム

        14:00~14:30 第1部 『大地』5周年を振り返って ~子どもたちにとっての居場所~
        14:30~16:30 第2部 講演会『不登校は怖くない、子どもがなりたい自分に向かえるために』
        講師: NPO法人D.Live 田中洋輔氏
        参加費:一般 500 円 高校生・会員 300 円 中学生以下無料
        定 員:100名(先着順、事前予約制)
        *下記の申込先の電話もしくはメールにて受付ます。メールの件名は『講演会参加』とし、氏名・連絡先(電話番号)をご記入の上、お申込みくだ さい。受付完了の返信メールもしくはお電話を致しますので、返信がない場合は再度ご連絡ください。電話がつながらない場合は、留守番電話に 伝言をよろしくお願いします。折り返しご連絡致します。 
        【田中洋輔氏のプロフィール】NPO 法人 D.Live 代表理事。
        1984 年 大阪生まれ/立命館大学文学部卒。
        プロ野球選手を目指すも、強豪の高校へ入り挫折し不登校に。
        自身の経験から、自分に自信が持てず苦しんでいる子がいる現状を変
        えたいと思い、大学生のときに今の団体を立ち上げる。
        自尊感情(自己肯定感)についてまとめた『子どもの自信白書』の
        発行。子どもの居場所や自信を育む教室などを運営。
        主な活動場所は、滋賀県草津市。

        [申込み先・問合せ先]
        乙訓不登校を考える親の会『大地』
        TEL:080-6189-1761(代表:三浦) Mail:otokunifutoukoudaichi@yahoo.co.jp
        インスタライブ 動画アップしてます。
        2023/01/04
        初級アコギ教室の講師:hidemikがインスタライブを始めました!

        毎月第3水曜日夜7時頃から約60分。


        初回ライブの数曲を紹介します。


        インスタライブ20221221


        『ごめんね』
        作詞・作曲・音源:hidemik (2021/5/21作品)

        https://youtu.be/u0wI42_RgHY



        『星座』
        作詞・作曲・音源:hidemik(2020/6/1作品)

        https://youtu.be/6BarPEOPnBo

        DTMはこちらから👇

        YouTube


        https://youtu.be/Sa80lEtRP54
        サブスク



        https://linkco.re/qXyVcYuy?lang=ja

        『もみじ』
        作詞:佐藤秀明・hidemik 作曲・hidemik (2020/6/1作品) 2022/2/7改詞 音源:hidemik

        https://youtu.be/3WB_sva9YCA



        『ちいちゃん』
        作詞・作曲・音源:hidemik(2021/4/21作品)

        https://youtu.be/cP2z-RxdgP8

        DTMはこちらから👇

        YouTube

        https://youtu.be/ddFWUNWs5gU

        サブスク

        https://linkco.re/7UbN3cDV?lang=ja

        Instagramでフォロー願います。
        https://www.instagram.com/hidemi.kinoshita/ 
        インスタお試しライブをを動画配信しました。
        2022/12/14
        初級アコギ教室講師が2022年12月7日にお試しインスタライブをしたものを編集して動画配信しています。
        <収録曲> 作詞・作曲・音源:hidemik
        夜空 FUWARI いたいの飛んでゆけ 大切な人 ごめんね もう一度 星座 僕は僕(『大地』のうた) ちいちゃん 禁じられた恋 SPREADーヤマツツジ コントラスト B&Y for Peace

        これからアコースティックギターを始めたい、久しぶりに再開したい、弾き語りをしたい、オリジナル曲を作りたい…、そんな方々と一緒にアコギを楽しみたいと思います。
        お気軽にお問合せ下さい。

        hidemi kinoshita チャンネル
        https://www.youtube.com/channel/UCoHq51Hrsh3Z8P3zKGEeI3A

        hidemikチャンネル(主にDTM)
        https://www.youtube.com/@hidemik3466
        弾き語りライブ『夜空』を動画配信しました。
        2022/11/27
        『夜空』20221126弾き語りライブにて。
        アコギ1本(アルペジオ基本の指弾き)での弾き語り。
        毎月第4土曜日午後2時からライブをさせてもらっている、長岡京市の中央公民館前ひろば前で、11月26日に収録したものです。
        DTM版(アルペジオ部分をシンセキーボードでアレンジ)を先にアップしていて、弾き語りライブでの公開は初めてです。

        DTM版はこちら↓
        https://www.youtube.com/watch?v=17PcYqmLSjc
        ブログ更新してます。「私が我慢すれば良い…」で解決する問題か?
        2022/07/19
         日本は「私さえ我慢していれば…」と考える人が多い国でしょう。歴史的にも、宗教文化的にも、経済的にも、ジェンダー感などからも、マイノリティ(少数派あるいは個人)が組織(あるいは社会)全体も問題や課題を抱え込むことで、表面上は見えなくしておくことが求められてきたことによると思われます。


        「▼ブログ」ページをご覧下さい。 
        新曲「夜空」 DTM仕上げをアップしました。
        2022/09/26
        アコギ弾き語り用に作った曲ですが、DTM仕上げをしました。
        作詞・作曲・音源:hidemik(20220/9/6作品)

        「初級アコギ教室」のページの「hidemikのオリジナル曲紹介」で、これまでに作って来た曲を紹介しています。

        tunecoreアーティスト情報


        hidemi kinoshita チャンネルもヨロシク!

        https://www.youtube.com/channel/UCoHq51Hrsh3Z8P3zKGEeI3A

        DTM仕上げした曲を中心としたhidemikチャンネル
        https://www.youtube.com/channel/UC4ZnG4sI8zaVlYJ3oZ3mUVQ

        オフィシャルサイト
        https://mhswkanna.com/
        https://mhswkanna.jp/

        #hidemik #アコギ弾き語り #オリジナル #ソングライター #初級アコギ教室 #向日市 #長岡京市 #京都 #平和 #花
        #相談室カンナ #hidemiktok #Japanese #Singersongwriter #Gibson #Furch #DTM #LogicPro

        ▼ブログ更新 雑草はすすんで抜こう!
        2022/09/20
         先週、眼科を受診。
         疲れ目が酷くなり、一部歪んで見えたりもしていたので受診を決意。
         お酒を飲むこと以外はさっさと済またい質であるため、我先にと受付開始15分前から玄関に並んでいると、スタッフらしい若い女性が、おもむろに玄関周りの雑草を抜き始めた。掃き掃除だけでなく、雑草を気にしていた院長が指示したんだろうなぁ、大変やねぇ、としばらくは様子を見ていたが、お世辞にも手慣れてはいなくて、茎が太く育っている草は葉っぱだけを取った状態で次々に残されていく。駐車場はアスファルトで固められ、玄関前はタイルが敷かれているが、その隙間や脇から雑草は逞しく生えてくる。玄関前だけでも5メートルくらいあるので、時間もかなりかかりそうに思えた。朝早いとは言え、汗ばむほどの暑さの中、太陽を浴びながら、クリニックの医療スタッフがやる仕事ではないだろう。

        ※続きは「▼ブログ」で。 
        乙訓不登校講演会 中止のお知らせ2022/9/19
        2022/09/18

        2022年9月19日(祝)に開催を予定していた乙訓不登校講演会
        『不登校は怖くない、子どもがなりたい自分に向かえるために』
        は、台風の影響によるJR運休が発表されたこともあり、中止とさせていただきます。延期しての開催の方向を模索することになっておりますので、決定次第ご案内します。
        よろしくご了解願います。

        <↓中止を決定した講演会の案内>
        開催を乙訓不登校講演会
        『不登校は怖くない、子どもがなりたい自分に向かえるために』
        ●日時 2022年9月19日(祝)14:00-16:30 (受付13:30-)
        ●会場 長岡京市立産業文化会館1階 大会議室 (阪急長岡天神駅、JR長岡京駅より徒歩)

        <第1部>14:00-14:30 『大地』5周年を振り返って 〜子どもたちにとっての居場所から
        <第2部>14:30-16:30 講演会『不登校は怖くない、子どもがなりたい自分に向かえるために』
                     講師:NPO法人D.Live 代表理事 田中洋輔氏

        参加費:一般500円 高校生・会員300円 中学生以下無料
        定 員:100名(先着順、事前予約制)
        ※下記の申込先のメールもしくは電話で受け付けています。メールの件名は『講演会参加』として、氏名・連絡先(電話番号)を入力の上お申し込みください。受付完了の返信メールもしくはお電話を致しますので、返信がない場合は再度ご連絡ください。留守番電話になっている場合は要件を録音してください。折り返しご連絡致します。

        【申込先・お問合せ先】乙訓不登校を考える親の会『大地』
        E-Mail:otokunifutoukoudaichi@yahoo.co.jp
        TEL:080-6189-1761(代表:三浦)

        <台風の接近に関して>
        当日、午前11時の地点で長岡京市に特別警報・暴風警報が発令されている場合、緊急事態宣言などで会場の使用が中止となった場合はフォーラムを中止とさせて頂きます。
        その際のお問い合わせには応じませんのでご了承ください。 

         
        研究ノート 38 成年後見制度利用支援事業の拡充が必要
        2022/08/18
        研究ノートを更新しました。
        38 成年後見制度利用支援事業の拡充が必要

        「▼研究ノート」ページをご覧下さい。
        ブログ更新 曲紹介『僕は僕(『大地』のうた)』
        2022/08/01
        オリジナル曲『僕は僕(『大地』のうた)』
        作詞・作曲・音源:hidemik(2019/7/7作品)

        「▼ブログ」ページをご覧下さい。
        「乙訓不登校を考える会親の『大地』」のテーマソングです。 
        ブログ更新 曲紹介『星座』
        2022/07/28
        オリジナル曲『星座』
        作詞・作曲・音源:hidemik(2020/6/1作品)

        「▼ブログ」ページをご覧下さい。 
        ブログ更新してます。アンガーセラピー、人それぞれの「物差し」…
        2022/06/17
        最新の更新は、


        2022/6/16 アンガーセラピーで怒り感情をコントロールできるようになりませんか?
         「短気は損気」レベルで収まっていればともかく、「瞬間湯沸かし器」と見られれば厄介者。「怒り」にとらわれてしまって怒鳴ったり、叱り飛ばしたり、殴ったり、蹴ったり。虐待やDV、パワハラ、侮辱、名誉毀損、傷害致傷・致死、放火など、「怒りをコントロール」できないで瞬時に行動に移してしまう問題行動や暴力行為です。


         2022/6/17 人それぞれの「物差し」(価値観)を大切にできてますか?

          出先で、あるいは職場で、一息つきたい時、珈琲(とか紅茶)を飲みたくなったら(飲まれることを前提に書きますが…)、ストレート?、砂糖を入れる?、ミルクを入れる? 豆(茶葉)は?…。
         5人いたとして、意向を聞けば、「みんな一緒」ということはまず無いと思います。

        お知らせ>ブログ からお読みいただければ幸いです。 

        世界の人と結ぶ青と黄色 connects with the people of the world for peace,"Blue" and "yellow"
        2022/03/14
        B&Y for Peace
        文字通り、平和のための「青」と「黄色」。
        突然始まった「軍事作戦」だか「特殊作戦」だか…。
        誰がどう見ても、領土拡大目的の軍事的侵略行為でしかありません。
        一日も早く殺戮や破壊行為がなくなり、安全な中で復興を取り組めるようになって欲しいという思いを込めて作った曲です。(以下、歌詞全部を掲載します)
        よろしければ聴いてやって下さい。
        (向日市寺戸大牧自治会館にてアコギ一本弾き語り録音したものです)

        作詞・作曲:hidemik 2022/3/14 ♩120

        1.冷たい冬を生き抜いて
        ライラック香る春が来てるのに
        あなたが暮らす遠い国から
        悲しみ満ちた声が聞こえる
        河に恵まれ 鉄路拡げて
        歴史あふれる 彩りの都市(まち)
        青い空を誰もが見上げてる
        あなたの命 穏やかであるように
        世界の人と 今ともに祈ってる
        世界の人と 今ともに祈ってる

        2.踏み荒らされて 壊されても
        向日葵はそこにずっと咲くはず
        あなたとあなたの大切な人が
        離ればなれになってるらしい
        人の 子どもの 命を奪う
        愚かな者を 決して許さない
        黄金色の大地に 小麦たわわに
        あなたの未来(あした) 迎えられるように
        世界の人と 今ともに平和を
        世界の人と 今ともに平和を

        あなたの心 凍えてしまわぬように
        世界の人と 結ぶ青と黄色
        世界の人と 結ぶ青と黄色
        connects with the people of the world for peace,"Blue" and "yellow"
        ブログ更新:生活保護受給の要介護の精神障害者がアパートを借りて住む?
        2022/06/09
        ブログを更新しました。
        220609生活保護受給の要介護の精神障害者がアパートを借りて住む?

        精神科長期入院などから一人生活をされることをサポートさせていただいた加工事例を紹介しています。


        https://mhswkanna.com/page02.aspx

        お知らせ>▼ブログ、とお進み下さい。 
        悩み・困りは、相談から「解決」が始まります。
        2022/06/05
         悩み・困りには、そのきっかけや原因があるはずなのに、「誰でも悩んでいるはず…」、「こんなことくらいで…」、「自分のがんばりが足りない…」と思っておられませんか?
         お一人で抱え込まれて悩んでいる間に、環境が変わって解決していることもありますが、膠着したり、さらに深まったり、余計にこじれたりしてしまうことが少なくありません。
         相談室カンナは、ただ相談に乗って共感するだけ、既存の制度やサービスを紹介するだけの相談室ではありません。

        ・悩みや困りの本音を安心してお話しいただける「場」をご提供します。完全予約制なので、順番待ちはありませんし、住宅街の「隠れ家」的な事務所です(賃料の安い古いマンションの二階)。
        ・精神保健福祉士(精神保健分野の国家資格専門職)として守秘義務がありますので、他に口外されるご心配は無用です。
        ・じっくりとお話しを聴かせていただき、「今、ここ」を大切にしつつ積極的な関心をもって関わらせていただきます(基本的な態度・方法としてのACT:アクセプタンス&コミットメントセラピー)。
        悩みや困りのきっかけや原因をご一緒に、そして客観的に見直して行きます。違う角度や視点から見ると、同じ物でも違う像として見えて来るものです。
        ・誤解や認識の違いがある場合は、ご一緒に修正できるようにして行きます。物事のとらえ方や考え方には、人それぞれに生きて来られた中で「クセ」ができるもので、無駄な時間をロスしないために必用です。また、妥当な考え方ができるようになれば、ストレスとなることにダメージを受けることを減らせるようになります(認知行動療法、マインドフルネス認知療法など)。
        ・悩みや困りの本質が見えて来たら、その解決に向けて利用できる支援(行政や医療、福祉の制度やサービスなど)を探し、理解者・協力者をご一緒に作って行きます。必ず見つかりますし、共に人生を支え合う関係を築くことができます。生活を支える公的な制度やサービスは、意外と知られていませんが、時代と共に充実して来ていますので利用しない手はありません。
        ・過去の傷つき体験(トラウマ)やその重なり(複雑性PTSD)が影響している場合には、カウンセリングの中でその低減に向けた心理療法(トラウマフォーカスト認知行動療法)を行っていきます。
        ・服薬治療や診断が必用である場合には、信頼できる医療機関・専門医をご紹介します。長期的にも心強い、連携する理解者・協力者となります。
        ・簡単に解決できない悩みや困りは、対人関係という環境によるものがほとんどです。関係性を変える、調整すること抜きには解決は図れないと言っても過言ではありません。精神保健福祉士は「環境調整」を行うこともその役割としています。

         相談・カウンセリングを上手く使って、一日も早くご自身の生活を再建し、自分らしい人生を歩まれませんか? その一歩を、相談室カンナから。ぜひご一緒させてください。


         相談室カンナは、京都府向日市・長岡京市を拠点として、不登校、発達障がい(神経発達症・障害)、メンタルヘルス、人間関係の悩みなど、相談・カウンセリング対応をしています。お気軽にお問い合わせ下さい。
        TikTok始めました。
        2022/04/13
        代表カウンセラーが、 TikTokに投稿を始めました。折々のオモシロ、ナルホド、エエヤンをアップしていきます。
        webページトップのSNSロゴマークから飛びます。
        Youtubeチャンネル
        Instagramと合わせて登録、フォローいただければ幸いです。
        https://www.youtube.com/channel/UCoHq51Hrsh3Z8P3zKGEeI3A/featured
        https://www.instagram.com/hidemi.kinoshita/

        https://www.tiktok.com/@hidemiktok
        向日市の「福祉タクシー事業」について
        2022/06/04
        知っておきたい「福祉タクシー」事業
        向日市の「福祉タクシー事業」の実施要綱が「改正」されたことに伴って、下の画像の障害者手帳をお持ちの身体障害のある人が突然「非該当」とされました。
        この問題について、市の障がい者支援課と懇談の場を持つことができました。
        (web検索で見る限り)全国の多くの市町村で、「福祉タクシーチケット」、「障害者交通費支援事業」などの名称で、タクシーチケットの一定額分の支給やガソリン代の補助が行われています。

        詳しくは 「研究ノート」note37 向日市タクシーチケット事業要綱「改正」に伴うトラブルなど
        をご覧下さい。

        これを機会に、地元の各種の支援制度などを調べておかれては?と思います。

        精神保健福祉士として活動する代表は、カウンセラーとしてだけでなく、ソーシャルワーカーとして様々な困りに対応いたします。
        メンタルヘルスの不調、人間関係(学校・職場・友人・パートナーなど)のトラブル、不登校や発達障がい(ASD、ADHDなど神経発達症・障害)への対応など、京都府向日市、長岡京市を中心に相談対応をしています。
        お気軽にお問い合わせ下さい。 
        中・高生本人は半額!料金、対応時間を改定しています。
        2022/06/02
        18歳以下のご本人が相談・カウンセリングを利用しやすいように、料金を大幅に値下げします。中高生のみなさんの相談、さらに利用しやすくなります。

        学校や家族・友人との人間関係、学校に行きたくない、発達障害などが気になる、自分に自信がない、将来が不安、他人に話せない悩みがある…。そんな中高生のみなさん、親・ご家族の方、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

        <2022年5月1日からの新料金体系>

        概ね60分:6,000円(18歳以下のご本人は3.000円)
        概ね90分:8,000円(18歳以下のご本人は4.000円)

        ※火曜日が定休日となります。

        ■詳しくは↓こちらからも。
        https://mhswkanna.jp/consultation1/20220406145824/
        『大地』5周年記念誌が完成しました。
        2021/12/28
        「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の5周年記念誌のご案内



         向日市を拠点に活動している「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の発足時よりアドバイザーをさせていただき5年を迎えました。年度当初より実行委員会を中心に取り組みを進め、12月に5周年記念誌が出来上がりました。

         本会の設立まで乙訓地域には不登校の親の会はなく、2人から始めた活動は、毎月の定例会を基本として、イベントを含めて延べ800名に参加いただけるものとなりました。
         不登校の体験談(親・子)だけでなく、支援者・関係者、月例定例会・特別例会(イベント)、居場所活動、自主的な取り組み、通信制高校情報、親・子それぞれから集約したアンケートに基づいた集計・分析などなど、5年間の活動で会員(こどもたちも含めて)みんなが力にしてきたことがまとめられています。

         「こくみん共済 coop 地域貢献助成事業」を受けての印刷で、700部限定の冊子ですが、配付して終わりではもったいないと、PDFでダウンロードしてご覧いただけるようにしました。
         私からの「謹呈文」と合わせてお読みいただければ幸いです。

         引き続き、ご支援・ご指導をよろしくお願いします。



        「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の5周年記念誌pdf1-17p


        「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の5周年記念誌pdf17-41

        「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の5周年記念誌pdf42_62

        謹呈文


        『大地』テーマソング:僕は僕(『大地』のうた)
        (Youtube)

        ↓こちらのLPからもPDFをご覧いただけます。
         
        1/22弾き語りライブ動画をアップしました。
        2022/01/24
        2022年1月22日(土)、長岡京市中央公民館前ひろばライブ(令和3年度長岡京市中央公民館賑わい創出事業)で収録した弾き語りライブ動画(オリジナル8曲)をYoutubeにアップしました。
        https://www.youtube.com/playlist?list=PLjDpUPXpOg8iCjQXgTOXCNZYKsJ5kEBL5
        『もみじ(改詞ver.)』オリジナル曲をアップしました。
        2022/03/18
        『時空の旅』オリジナル曲をアップしました。
        2022/03/14
        京都新聞で『大地』と5周年記念誌が紹介されました。
        2022/02/01
        2月1日付け京都新聞:洛西版で、乙訓不登校を考える親の会『大地』の定例会と、5周年記念誌『そのままでええねん』の取材記事が掲載されました。
        hidemik 公民館前ひろばライブ&公開練習のお知らせ。
        2022/01/05
        2022年1月-3月の第4土曜日、寒さにめげず、意地でやるようです(^-^*)。

        hidemik アコギ弾き語り
        公民館ひろばライブ 2-4st(?)
        in長岡京市中央公民館正面右側ひろば

        1月22日・2月26日・3月26日(土) (第4土曜日)
        午後2:00〜3:00
        ※雨天時は当日判断(寒さ対策は各自でお願いします)

        オリジナル曲を中心に…
        (こだわり+衝動性)×承認欲求=「還暦の歌」。

        お気軽にお立ち寄り下さい。

        #hidemik #アコギ弾き語り #オリジナル #ソングライター #初級アコギ教室 #向日市 #相談室カンナ

        第1・3水曜日の夜6時30分からは自治会館での公開練習やってます。
        (向日市寺戸大牧自治会館)



        Youtubeチャンネル
        弾き語りライブやります!
        2021/12/15
        “hidemik”アコギ弾き語り
        公民館ひろばライブ―/1st
        in長岡京市中央公民館正面右側ひろば
        12月25日(土)午後2時〜3時 ※雨天時は当日判断
        (寒さ対策は各自でお願いします)
        オリジナル曲を中心に…
        (こだわり+衝動性)×承認欲求=「還暦の歌」。
        ■お気軽にお越し下さい!
        「初級アコギ教室」の紹介用の動画を作成しました。
        2021/10/22
        「僕は僕(『大地』のうた)」弾き語りver.を動画配信しました。
        2021/11/29
        少し前に弾き語り公開練習で収録した「僕は僕(『大地』のうた)」を動画投稿しました。


        『僕は僕(『大地のうた』)』弾き語りver.2(in 向日市寺戸大牧自治会館)

        作詞・作曲:hidemik 2019/7/7
        https://www.youtube.com/watch?v=vF_2tFNytvg



        Youtubeチャンネル:hidemi kinoshita
        https://www.youtube.com/channel/UCoHq51Hrsh3Z8P3zKGEeI3A



        再生リスト:再録(オリジナル曲:弾き語り)

        https://www.youtube.com/watch?v=wTNfQtav0xk&list=PLjDpUPXpOg8hsTQxZGiktLYqjPFQ2Orrt
        「ちいちゃん」アコギ弾き語りver.を動画配信しました。
        2021/11/27
        最近に弾き語り公開練習で収録した「ちいちゃん」動画投稿しました。



        Youtubeチャンネル:hidemi kinoshita
        https://www.youtube.com/channel/UCoHq51Hrsh3Z8P3zKGEeI3A




        再生リスト:再録(オリジナル曲:弾き語り)


        ちいちゃん 弾き語りver.

        https://www.youtube.com/watch?v=vN61-JnS9Kw
        「星座」「くもり空から」アコギ弾き語りver.2曲の動画をアップしました。
        2021/11/24
        アーティスト名:HIDEMIKとして活動しています。
        オリジナル曲をYoutube等で動画配信しています。
        最近に弾き語り公開練習で収録したものを2曲、動画投稿しました。



        Youtubeチャンネル:hidemi kinoshita

        https://www.youtube.com/playlist?list=PLjDpUPXpOg8hsTQxZGiktLYqjPFQ2Orrt


        再生リスト:再録(オリジナル曲:弾き語り)


        星座 弾き語りver.

        https://www.youtube.com/watch?v=g3RL2cGw4G4&list=PLjDpUPXpOg8hsTQxZGiktLYqjPFQ2Orrt&index=5



        くもり空から 弾き語りver.

        https://www.youtube.com/watch?v=z9340kYrUvs&list=PLjDpUPXpOg8hsTQxZGiktLYqjPFQ2Orrt&index=6
        R2年度の不登校、いじめ、文科省の発表から
        2021/11/17
        令和3年10月13日(水)、文部科学省初等中等教育局児童生徒課から「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」の発表がありました。

        コロナ禍の影響で、緊急事態宣言が発出され、学校の一斉休校が行われた結果が反映されたものです。
        リアル登校が減った分、いじめは減少していますが全年水準であり、増加傾向。不登校は一斉休校などがありつつも数を伸ばし、増加傾向が続いています。
        いじめ重大事態は一斉休校により減ったものの500件を超え、自殺は400件を超えて増加傾向が止まりません。
        先進国において、10代・20代の死因として「自殺」がトップの国は他にはありません。緊急事態を宣言しても良いレベルですが、こども・若者の声を聴き、関わりやサポートを増やす方向には動きが見られないのが現実です。

        高校生、大学生、20代の方々との相談・カウンセリングで、不登校や退学、人間関係(学校・職場や家庭、友人関係、SNS関係など)、進路、ご自身への自信のなさ・生きづらさ、コロナの影響による失業や転職・再就職、将来の見通し不安など、多くの困り・悩みにご一緒させてもらっていますが、文科省の調査結果を裏付けるものばかりです。

        これらのグラフ、よく見ると気づくことがあります。減少傾向にあった時期から下げ止まり、上昇に転じるのが2014(平成26)年と読み取れます。この年前後、それ以降の政治・経済の背景を読み解く必用があると思います。

        こども・若者の様々な問題・困り、支え関わる親・大人…。一人で、家庭で抱え込まずに、一度立ち止まってしご一緒に考えていただければと思います。
        相談室カンナにお気軽にご連絡下さい。
        乙訓不登校を考える親の会『大地』定例会のご案内
        2021/11/03

        乙訓不登校を考える親の会『大地』11月定例会のご案内

        ・11月21日(日)午前10時〜12時 ※9:30〜受付しています。

        ・向日市寺戸公民館 1階和室

        ・参加費:300円《会員は無料》

        ・マスク着用、スリッパ持参

        ・事前申込みが必要です。

        otokunifutoukoudaichi@yahoo.co.jp

        (新規参加申し込みの方は、氏名、連絡先、お子さんの年齢・学年を記入して下さい。)

        hidemikのオリジナル曲紹介に『蝶のように好きな花に』を追加。
        2021/10/27
        hidemikのオリジナル曲紹介に『蝶のように好きな花に』を追加しました。
        トップ>音楽療法>hidemikのオリジナル曲紹介

        『蝶のように好きな花に』
        「つぶやき」を追加しました。2014年に書いた書評、『 登校拒否を生きる─「脱落」から「脱出」へ』。
        2021/10/25
        懐かしい投稿をFBが教えてくれました。もう7年前になります。
        「京都民報」という地元の週間新聞に依頼されて書かせてもらった書評です。一段落が超長文過ぎますね(^-^*)。でも、言いたいことは今も同じ。不登校・登校拒否をめぐる状況は何も変わっていないどころか、ますます悪化の一途です。

        『 登校拒否を生きる─「脱落」から「脱出」へ』
        著・高垣忠一郎 新日本出版 1600円+税

         「自己責任」「自立自助」を「ねばならない」と受容させられる心理社会的潮流の中で、登校拒否の子どもや家族の苦境は深刻な社会的課題であるのに、「個人の問題」として扱われ続けるさもしい日本社会。貧困・格差、病気や障害、高齢者介護なども同様のテーマである。
         私の長男が「不登校」状態となった頃、学校に行かずとも学習に遅れが出ないようにと願う一方で、長男は「親に(経済的な)迷惑をかけたくない」と思い塾や家庭教師を拒み続けた。お金を気にせずに学ぶ機会が学校外にあればと、長男の死後にも考えていたこともある。さもしい「大人」であった。
        「研究ノート」成年後見制度、成年後見制度利用支援事業をご存じですか?
        2021/10/24
        「研究ノート」を追加しました。

        ■成年後見制度についてお気軽にご相談を!
         相談室カンナでは、代表が専門職後見人として後見・保佐・補助の各類型の法定後見人として活動しています。
         制度の入口から、具体的な疑問について、丁寧にご相談対応いたします。
        ・成年後見制度とは?
        ・制度を利用するには?
        ・成年後見制度利用支援事業とは?
        アコギ弾き語り公開練習のお知らせ
        2021/10/21
        相談室カンナの「初級アコギ教室」の実地講習を兼ねて開催しています。

        日時:毎月第1・3 水曜日の夜6 時30 分~8 時00 分
        場所:向日市寺戸大牧自治会館2F
        参加費:無料

        <どなたでもご参加いただけます>

        ・これからアコースティックギターを始めたい。
        ・好きなあの歌をギターを弾きながら歌えるようになりたい。
        ・昔やっていたけど、再開したい。
        ・ストローク、アルペジオ、3フィンガーピッキングなど、上達したい。
        ・アコギについて基礎から学びたい。
        ・自分でオリジナル曲を作ってみたい。


        まったく初めての方も歓迎です。アコースティックギター一本での弾き語りを体感していただければ幸いです。


        <オリジナル曲を中心に>

        相談室カンナ代表のアーチスト名「hidemik」オリジナルの曲を弾き語っています。

        ・蝶のように好きな花に
        ・くもり空から
        ・願いごと ひとつ
        ・ちいちゃん
        ・還暦の歌
        ・ごめんね
        ・Spread―ヤマツツジ
        ・もみじ
        ・約束̶ー遺されし者たち
        ・星座
        ・もう一度
        ・FUWARI
        ・僕は僕(『大地』のうた)
        ・はじける笑顔


        大牧自治会館のMAP↓
        https://www.google.com/maps/place/%E5%A4%A7%E7%89%A7%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BC%9A%E9%A4%A8/@34.9494514,135.6923015,17z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x6001041f93a3401f:0xa086129c4a864b3d!8m2!3d34.9494403!4d135.6944762?hl=ja
        研究ノートを更新しました。note32 不登校の(だった)こどもたちに概ね共通する学校に行けない(行かなくなった)理由」
        2021/10/19
        note32 不登校の(だった)こどもたちに概ね共通する学校に行けない(行かなくなった)理由

        「研究ノート」の10月19日付けをご覧下さい。

        … 数多くの当事者から、行かなくなった当時のことを聴くと、「なぜだかよくわからないけど、急に行きたくなくなった」という答えが返ってきます。
         さらに、時間をかけて、時間を経て教えてくれる「ふり返って考えれば…」の「不登校の理由」は、概ね次の3点に共通しているようです。
        人に話せないこと、愚痴や弱音、吐き出しませんか?
        2021/10/18
        ■人に話せないこと、愚痴や弱音、吐き出しませんか?

        家族やパートナー、職場や友だちにも、聴いて欲しいけど話せないこと、ありますよね。
        ひとりで抱え込んで、しんどい。でも、もし話したら嫌われたり引かれたりしてしまうんじゃないか?
        溜めておいてどうにかなる、何かの役に立つものではないし、むしろ生活や健康状態、大切な対人関係を崩してしまいかねません。
        どこかで毒吐き、弱音や本音を吐き出さないと…、人間はそれほど強い生きものではありません。
        相談室カンナでは、他では人に話せないこと、愚痴や弱音など、安心して吐き出してもらえる場所でありたいと作った場です。
        精神保健福祉の専門職である代表カウンセラーが、どんな内容でもしっかりとお聴きします。

        ■大切にしていることは、↓こんなことです。

        ・頭(心)の中で抱え込んできた(いる)悩みや困り事を言葉にして出す。
        ・安心して聴いてもらえることで、ホッとできる(守秘義務は厳守)。
        ・悩みや困り事の原因や理由を一緒に探し、いろんな課題を整理して気持ちにゆとりを持つ。
        ・解消・解決できる課題は具体的な方法を見つけてご一緒に取り組む。
        ・出口が見えない課題も、考え方を柔軟に、違う角度から改善が図れないか、新たな「気づき」に出会えるようにご一緒する。
        ・あきらめることなく、これまで、今、これからのご自身の生き方を大切に、将来を創って行く。

        一度立ち止まって、じっくりとご自身と向き合う時間を。
        ご一緒させてください。
        新曲『蝶のように好きな花に』弾き語りver.動画をアップしてます。
        2021/10/16
        作詞・作曲:hidemik


        『蝶のように好きな花に』弾き語り練習(in 向日市寺戸大牧自治会館)。

        ひとまずできたてなので、ストロークで。
        聴いてやってください。



        …この町で 一番に 輝いている
        あなたが微笑んだ 明け方の夢
        目を覚まし ありふれた 一日が始まる
        今日はどれだけ歩こう 少しだけ前に



        #弾き語り #オリジナル #シンガーソングライター #hidemik #教育と人間関係の相談室カンナ #初級アコギ教室

        #ギター弾き語り
        #オリジナル
        #Japanese #Singersongwriter #Gibson #Furch #Takamine #YAMAHA #DTM
         

        hidemi kinoshita チャンネル
        メンテナンス中、webサイトの動きが悪い時があります。
        2021/10/12
        webサイトの更新(作り込み)、メンテナンスを随時行っていて、特に「お知らせ」のページが重くて開かないエラーが生じています。改善に向けて工事中ですのでご容赦ください。
        <これまでの新着情報>
        2021/09/24
        9/25日 放送大学大学院文化科学研究科人間発達科学プログラム 修士論文(2011年12月)を掲載します。
        9/24日 Instagram、Facebookは、毎日投稿しています。

        9/18日 京都新聞の取材記事がweb版に。「もっと向き合えば」後悔の父 不登校の長男、高校入試の朝に命絶つ
        9/18日 乙訓不登校を考える親の会「大地」のご紹介
        9/18日 子どもと親のそだちを語る会「そだちカフェ」のご紹介
        9/18日 「そだちカフェ」オンラインミーティング学習会 「もしかしてパートナーが、私も?—大人の発達特性について—」

        8/25日 New!ホームページをリニューアルしました。
        放送大学大学院 文化科学研究科 人間発達科学プログラム 修士論文(2011年12月)を掲載します。
        2021/09/25
        「相談室について」からお入り下さい。
        相談室について>代表プロフィール>放送大学大学院 文化科学研究科 人間発達科学プログラム 修士論文

        自閉症スペクトラム(ASD)特性のある成人への
        スキル獲得レディネスの発達の視点による、
        段階・状態別のサポート事例に見る有効な支援と課題
        2021/09/24 Instagram、Facebookは、毎日投稿しています。
        2021/09/24
        Indstagramでは、日々見つけた花や風景などの写真、アコギ弾き語りの生撮りなどを投稿しています。
        Facebookでは、日々気になったメディア情報や事務所などでの雑感、Indstagramに連動したものを投稿しています。
        時折で良いので、覗いてやって下さい。
        2021/09/18 京都新聞の取材記事がweb版に載っています。
        2021/09/18
        「もっと向き合えば」後悔の父 不登校の長男、高校入試の朝に命絶つ



        https://nordot.app/811772145356423168?c=780772229244174336 

         雪がちらついていた。2000年2月、病院の霊安室で中学3年の長男と対面した京都府向日市の木下秀美さん(60)は言葉が出なかった。「なぜ学校に行けず、死を選ばなければならなかったのか」。それは今も重い問いとなっている。 長男は中学2年から学校に行けなくなった。当時、校内は荒れ、授業が成立しない状況だった。長男は真面目な性格で、騒がしさで教員の声が聞こえず勉強も遅れがちになり、徐々に登校できなくなった。 








         長男を自殺で亡くした木下さん。子どもたちに「ネットでも誰でもいいから気持ちを話して」と呼び掛ける(京都府向日市)

         雪がちらついていた。2000年2月、病院の霊安室で中学3年の長男と対面した京都府向日市の木下秀美さん(60)は言葉が出なかった。「なぜ学校に行けず、死を選ばなければならなかったのか」。それは今も重い問いとなっている。


         長男は中学2年から学校に行けなくなった。当時、校内は荒れ、授業が成立しない状況だった。長男は真面目な性格で、騒がしさで教員の声が聞こえず勉強も遅れがちになり、徐々に登校できなくなった。


         ただ自宅ではいつも笑顔だった。居間に来る時は「天才登場!」と言っては場を和ませた。木下さんは「今、思えば無理して笑顔を作っていたんだろう」と振り返る。そして、高校入試の当日朝、自宅で首をつって自ら命を絶った。遺書には「自分に自信がなくこのままだと、ろくな大人になれないと思いました。これ以上家族や先生にはめいわくがかけられないと思った」と書かれていた。


         木下さんは「仕事が忙しかったが、子どもの都合に合わせ、もっと向き合って話を聞けばよかった。学校とも関わり、情報を共有して、一緒に問題を解決すればよかった」と悔やむ。 
         現在、精神保健福祉士の資格を取得し、「乙訓不登校を考える親の会『大地』」のアドバイザーを務める。今も学校に行くのがつらい子どもたちにはこう呼び掛ける。「しんどい思いをひとりで抱え込まず誰かに話してほしい。それはネットの世界でもいい。誰かがわかってくれると信じて。まず生きててほしい」


        2021/09/18 乙訓不登校を考える親の会「大地」
        2021/09/18
        代表の木下秀美がアドバイザーをつとめる「乙訓不登校を考える親の会『大地』」を紹介します。

        本会は、以下の4つの場となることを目的として、活動しています。

        子供が不登校・ひきこもりになったという同じ境遇の保護者や家族がお互いを尊重し、安心して悩みを相談・交流し合う居場所とする。
        子どもも家族もひとりの人間として、「自分らしい生き方」を見つけ、支え合う場とする。
        不登校の背景となっている社会状況を学び理解し、様々な情報を共有し、地域に向けて発信する。
        不登校に関する乙訓地域での専門職・支援者・関連機関等とのネットワーク作りや親の会としての子どもの居場所について考える場とする。

         「学校に行くことがあたりまえ」「せめて高校は卒業しないと社会で生きていけない」…このようなことが『普通』のこととして思われている現代。そうした中でわが子が学校に行かなくなってしまった…。行かなくなった、行けなくなった我が子もそして家族も、先の見えない将来に焦りと不安とでいっぱいになります。「行けないものは行けないのだから休ませるしかない」、そうは思えても、目の前に家にずっといる我が子を見ると余計なことを言ってしまったり、学校との関係をどのようにとっていけばいいのかわからなくなったりと悩みはいっぱい。「そんな思いを安心して話せる居場所があったらいいね」というところから、この会をスタートさせました。設立して4年目を迎えますが、定例会では20名近くの参加者があり、いっしょに子どもや家族のこと、学校のこと、自分自身のことを話し、不登校(ひきこもり)という状態についていっしょに考えています。
        また、当会には認定精神保健福祉士・自閉症スペクトラム支援士(STANDARD)の木下秀美さん(教育と人間関係の相談室カンナ主宰)にアドバイザーとして会に参加して頂いています。

        詳細は、以下の長岡京市、向日市のwebサイトでご確認下さい。

        https://www.city.nagaokakyo.lg.jp/0000007447.html
        https://www.city.muko.kyoto.jp/kurashi/siminkyodo/dantai/0/1538468715106.html
        2021/09/18 子どもと親のそだちを語る会「そだちカフェ」
        2021/09/18
        代表の木下秀美がアドバイザーをつとめる「子どもと親のそだちを語る会『そだちカフェ』」をご紹介します。

        発達の専門家のアドバイスやプチ勉強会もしながら、月1回、親同士、じっくりそして明るくおしゃべりしています。

        http://bambio.jp/nijit/201804141344016515

        緊急事態宣言の出ている時はオンラインで開催しています。

        2021/09/18 「そだちカフェ」オンラインミーティング学習会 「もしかしてパートナーが、私も?—大人の発達特性について—」
        2021/09/18
        「そだちカフェ」で2020/05/16日に開催したオンラインミーティング学習会 「もしかしてパートナーが、私も?—大人の発達特性について—」を、Youtubeにアップしています。
        大人の神経発達障害やその特性、関わり方など、参考にしていただければ幸いです。
        2021/09/18 New!ホームページをリニューアルしました。
        2021/08/25
        この度、“教育と人間関係の相談室カンナ”はホームページをリニューアル致しました。
        今後はこちらから様々な情報を配信してまいりますのでぜひご覧ください。

        当相談室は長岡京市・向日市を拠点としてカウンセリングを行っております。
        子どもの不登校、発達障害を抱えている方やそのご家族、人間関係に悩まれたり、生きづらさを感じて困っている方々に寄り添い、問題の解決・解消に向けてご一緒に取り組みたいと思います。
        「こんなこと…」と思うお悩みでも構いません。お気軽にご相談ください。

        ※しばらくの間は旧来のwebサイトと併用しています。
         http://croomkanna.com/
        能登半島地震発生12日目、被災地支援について思う
        2024/01/12
         ブログを書くのは半年ぶり(前回は2023年6月12日)となる(今回は、「で、ある」調である)。書く気になったのは、1月1日の地震発生以降、ザワザワ感が続いているからだと思う。
         結婚以降(40年近く前から)、年越しは私の実家である岡山県倉敷市で過ごすことにしてきたが、7年前に父が、そして一昨年に母が亡くなり、家は残してあるもののお墓も昨年12月に京都に改葬したこともあって、正月に戻る意味がなくなったため、昨年から京都で過ごしている。退屈すぎるので、3日か4日には事務所に出ているのだが。
         配偶者(妻)の実家は、今回の地震の震源、石川県珠洲市。どう地図を見ても、震源の上に家が建っている(いた)ため、見事に倒壊。珠洲市の被害の実情はまだ陸路が通じていないなどの理由から不明のままだが、珠洲市のある区長が取材に応じた際に「おそらく建っている家はないんじゃないか?」という主旨の言葉を発した。その通りなのだろう。行けない、つながらないから「わからない」ままのようである。配偶者の兄が一人家に住んでいたが、固定電話も携帯電話もつながらず、3日目に同じ避難所に身を寄せている人が違う通信事業者で、携帯電話を短時間お借りして親族に「避難所にいる、家は潰れた」旨を伝えて来たので、家の倒壊と安否の確認ができた。
         本州の中でも奥能登と東北などは、一度大規模な自然災害が生じるとたちまちに、道路、電気、電波、水道などのライフライン難民が多数生じることを証明してしまった。私たちは、知ってしまったのだ。
         同じ能登半島でも、朝市で有名な地域が火災で壊滅した輪島は、陸路も通じていたため、消防、自衛隊、行政、報道などが現地に入ることができ、リアルタイムでメディアで報じられてきた。火災はもちろんだが、家屋倒壊、道路などの地割れ、土砂崩れ、海岸の隆起も日々報じられ、今回の地震の凄まじさをディスプレイ画面から目にした。
         輪島、七尾あたりまでは陸路が応急復旧され、メディアが日々最新の情報を流している。しかし、それ以北の地域は、自衛隊車両のみ通行化、もしくは自衛隊員が荷物を担いで歩いて被災地域に向かう姿が報じられた。一昨日あたりから珠洲市の東側(市役所のある側)に報道が入り、一部電気が復旧し、その惨状が画面で見られるように、被災者の声が聴こえるようになったばかりだが、市街地および近隣の避難所や学校に限られている。北西に、北東には、まだ連絡の取れない人々がおられると思われる。携帯電話基地局も発電機で電気を補っているため電波は弱く、燃料切れすれば電波が途絶える。
         話しは戻る。結婚当時は旧国鉄から分割され、第三セクターとして存続していた「のと鉄道」(恋路駅などで有名)がまだ走っていて、終点の蛸島の二つ手前の珠洲まで鉄路で、駅からはご近所の方の車で小一時間かけて大谷峠を越え、大谷町に運んでもらっていた。2〜3年に一度は戻っていただろうか。バイクでツーリング気分で行ったこともある。義父が金沢大学病院で白内障手術を受けた時(当時は2週間以上の入院が必要で、アンティークな、だからこそ静けさと冷たさ漂う広い廊下の奥に、広い病室があった)もバイクで向かった。車を保有してから、その頃には今の「のと里山海道」が有料道路として開通していたので、車で戻っていたが、その遠さ(500km以上)に辟易しながら、奥能登の西海岸を走った。北ノ端である禄剛崎灯台にも、東海岸を南下して見附島(今回自身で一部が崩れた「軍艦島」)、恋路ヶ浜から和倉温泉へ…。近くの漁港で釣りもした。こどもたちを従姉妹たちと、岩の多い海へ連れて行って、足を傷だらけにした。あの海が、あの海岸線が、もう元に戻れない。
         奥能登の地形、自然、そして人間の生活にとっての「限界」も体感してきた。この地震は、その「限界」を現実として突きつけた。
         人間は、眼で見たもの、耳で聴いたもの、の順に脳が認識するとされる(最期まで残るのは聴覚らしい)。さらに別回路で「臭い」情報は記憶に焼き付くとされる。それらは本当のことのようだ。痛みは一定時間は脳神経が麻痺し、傷はある程度は治るが、記憶は消せない。
         1995年1月17日、阪神淡路大震災の起きた。私がいた職場からは労働組合の分会として、1月28日に神戸市東灘区のある公園に炊き出しに入った。現地のボランティア拠点から、「まだ支援が入れていない避難所があり、そこへ向かって欲しい」と言われて。その通りだった。近隣の避難所から聞こえてくるボランティア救援を待っておられた。電気もガスも電話も水道も使えない。当時はまだ携帯電話はなく、関西セルラーを一部の人が持っていただけだった(恐ろしく重い無線機)。水は数キロ先の避難所である小学校へ汲みに行き、暖を取るための火は周囲の倒壊した家々から柱などの木材を取ってきて釘を抜き、適当な長さに切って薪にして燃やしていた。山﨑パンがいち早くパン、サンドウィッチ、後に弁当を届けてくれるようになったが、電気が通じるまで(電線が引かれるまで)電子レンジで温めることはできなかった。「主食はあるが、温かい汁物が欲しい」と言われ、その後汁物を作りに毎週末通った(4月末まで)。自衛隊が入り、一家に一つのテントを建て、大量のご飯を炊き、順にお風呂に入れるようになった。この公園に避難した人たちは、テントが建ち並んだ公園を「〇〇公園テント村」と呼び、自治会を作って様々な自主的な避難所生活を築いた。
         私たちはこのテント村に、鉄道が通じていたので、JR芦屋駅から歩いて入れていた。当初、しばらくの間はガス管が破損していて、そのガス臭さが鼻に付いた。今も倒壊家屋などの記憶と共に思い出せる。
         神戸は、山側に東西に走る山手幹線の南北で、揺れの大きさが明らかに違っていた。南=瀬戸内海側は倒壊家屋が多いが、北=山側は倒壊家屋はほとんどなかった(と記憶している)。被災エリアが広くなかったためだろうが、鉄路も、道路も、人や物資を運んだ。焼け、倒れた家々。消防など救急車両が通れる太い道路の整備の必用性がわかり、行政が再整備計画を作り、住民説明会が3月末頃から地域毎に開催されて行った。この公園でも開催され、中には入れないものの、大きなテント内で行われていたため、大声でのやり取りも聞こえた。狭い道路に面した土地を所有していた人は、土地の一部を拠出することになるわけだから、「はい、どうぞ」と言う人はいない。ふり返れば、しっかりとした計画方針と図面があり、丁寧で納得の行く説明があり、同意する住民が増えつつ、再建が進んで行ったのである。「いつまでもボランティアに頼っているのではなく、自分たちで再建していかなければ…という意見が多い」と、テント村は解散の方向となり、私たちの支援ボランティアは終結して行った。
         2011年3月11日に発生した東日本大震災の後も、救援・支援に加わることは物理的に無理だったが、自身の眼で見、記憶に残したいとずっと思いつつ、チャンスがなく、今回の能登半島地震になってしまった。大川小学校だけには何としても行きたいと思っているが。
         話しを戻そう。
         このブログを書く気になったもう一つの理由がある。
         れいわ新選組の山本太郎氏が、足のケガを押して能登半島に入り、炊き出しのカレーを食べたことでSNS上での非難が多数見受けられることへの違和感だ。彼は国会議員として、現地を見、被災者の話を聴き、1月末に開かれる国会で質問するために向かったのだろう。何もおかしくない。
         「自衛隊や医療などの救援車両しか通らないように言われているのに…」という声がある。繰り返しになるが、彼は現職の参議院議員である。民間人ではない。国が今回の能登半島地震に対して何をどう対処するかを決める国会を構成する人だ。情報が少ない中、自治体・県から伝わってくる情報は、独特のフィルターを通っていることを、私たちは十分に知ってしまっている。さらに今回は、少ない情報すら、まだ「わからない」ことだらけの、1000年に一度と言われる大災害であり、文字通り急を要する。彼が現地に入ることに、何も問題を感じない。
         「炊き出しのカレーは被災者が食べるために作られたものだから、それを食べるのはおかしい」という声が多数ある。一見もっともらしく聞こえるかもしれない。阪神淡路大震災の時にも同様の報道がされていた(当時はSNSなどはもちろんなかったが)。専門家やボランティア団体の一部の人が、「そもそもボランティアというのは…」と原則論のような持論を展開されていた。大規模な避難所においては、そうした原則論が正しいこともあるだろう。食料・水・トイレはないから自分で持っていくしかないし、食料などは被災者優先であることは当然である。しかし、規模の小さい避難所などでは、事情が違う。先に書いたテント村などでは、その場にいる時間は、食料・水・トイレは共有してくれ、と言われた。配られる弁当が余っていて処分するのは勿体ないからと、到着するとすぐに「温めて食べてくれ」と言われた。剰余食料の廃棄を減らすことも「支援」だった。支援する側もされる側も、同じ人間なのだから。そして、炊き出しなど、一緒に作ったものは、一緒に食べながら話し過ごす時間を共にしたい。新しいコミュニティがそこに作られていくのだから、そのコミュニティが大切にしたいものを共に見つけ創って行くことも重要な支援であるはず。「自衛隊はテントに隠れて缶詰を食べている」云々と、カレーを食べたことを非難する人たちには、自衛隊が派遣される目的・役割と、被災者の自主的支援との違いをわかって欲しい。もちろん自衛隊の身を挺した救援行動には感謝しかない。
         空からヘリコプターで現地入りした医療NGOのピースウインズ・ジャパン”ARROWS"の医師が取材に応じ、「地域の人たちが、その名前(フルネーム)で認識し合っている」ことに驚くと共に、人命救助に役立つものだと話していた。都市部から失われている「人のつながり」が、高齢化率が高いとはいえ奥能登にはある。
         今後さらにメディアが入り、被災の実態が明らかになるだろう。地形的にもライフライン難民が多数生じる地域で生じる災害に、何を準備し対応すべきか、どれだけの検証、議論、対応・事前準備策が創られるか、政治任せにしたくない。いや、できる状態にないことは明らかである。とりわけ今は、強くそう思う。
         大切にしてきた生活、地域、育ち暮らしてきた自然や風景、そして大切な人の命。たくさんのものが消える。臭いと共に。そして、ありのままが記憶に残される。直接被災していないが、その臭いを感じたい。
         能登半島支援のために今、個人的にできることは、被災者・被災地に思いを寄せること、現地で救援に当たってくれている方々への感謝、寄付・カンパと、陸路が復旧したあとにできることの準備…。
         個人的には、石川県にではなく、現地の自治体に直接、財源として早く自由に使えるお金を届け、現地に入って活動してくれている団体を支援したい。

        ちなみに珠洲市能登半島地震災害義援金、振込口座が開設されている。

        北國銀行 珠洲支店 普通 28457 スズシノトハントウジジンサイガイギエンキン

        「國」を間違えないように。

         通学路の朝立ち(交差点横断の安全見守り)を9日から始めたのも、こうした想いからのようだ。
        向日市「生きる」ネット 新WEBサイトのご紹介
        2023/06/12
        向日市「生きる」ネット 情報館として新たにWEBサイトを構築しています。
        こども、子育て、くらし、にぎわいの向日市を創りたい。
        これからも、こども・子育ての向日市であるためには?
        賛否が分かれる市民会館の名称、どう思いますか?
        ご存じですか? 「ふるさと向日市創生計画」
        阪急東向日駅周辺「中心にぎわいゾーン」は今?

         向日市の今、これからを、こども目線で考えて行けるように、いろんな情報を提供、つながりの拠点でありたいと思います。
        みなさんからのご投稿をお待ちしております。 
        https://mukoikiru.information.jp/
        雑草はすすんで抜こう!
        2022/09/20
         先週、眼科を受診。
         疲れ目が酷くなり、一部歪んで見えたりもしていたので受診を決意。
         お酒を飲むこと以外はさっさと済またい質であるため、我先にと受付開始15分前から玄関に並んでいると、スタッフらしい若い女性が、おもむろに玄関周りの雑草を抜き始めた。掃き掃除だけでなく、雑草を気にしていた院長が指示したんだろうなぁ、大変やねぇ、としばらくは様子を見ていたが、お世辞にも手慣れてはいなくて、茎が太く育っている草は葉っぱだけを取った状態で次々に残されていく。駐車場はアスファルトで固められ、玄関前はタイルが敷かれているが、その隙間や脇から雑草は逞しく生えてくる。玄関前だけでも5メートルくらいあるので、時間もかなりかかりそうに思えた。朝早いとは言え、汗ばむほどの暑さの中、太陽を浴びながら、クリニックの医療スタッフがやる仕事ではないだろう。
         3人くらいおばちゃんたちが受付開始を待って並んでいただろうか。私は3番目。
         こういう場合、ただ傍観できない質でもあるようだ。ふっと決心して、カバンを置き(順番を確保し)、女性の傍へ向かう(表現が怪しすぎるなぁ)。
         茎の太い草から抜こうとしてみるが、なかなかの強敵。さらに力を入れて、左右に揺さぶりをかけながらどうにか引き抜く。
         スタッフの女性は気を使い、「大丈夫ですよ、手も汚れますし…」と言ってくれるが、ここで引き下がっては意味がないよなぁ。
         すでに手は汚れているし、受付開始でドアが開くまで5分くらいはある。その5メートルだけでも片を付けたい欲動にかられて、「こうした作業はオッサンの仕事ですよ(^-^*)」と、黙々と協働作業を終えた。玄関前の向こうにはまだ雑草は残っていたが、切りがないので断念した。女性は「ありがとうございました」と院内に戻っていく。
         受付が始まる。それほど顔をジロジロと見ることも不自然だし、しっかり見なければマスク美人は個を記憶しづらい。院内は女性スタッフばかりで、髪の色やメイクにも制約があるだろうから尚更である。
         受付は3番目ながら初診なので、問診票などで時間が過ぎる。
         ようやく検査室に案内され、着席すると、「さっきはありがとうございました」とその人。検査スタッフだったとは…。
         たぶん、いつもよりしっかりめに検査してくれたと思いたい(^-^*)。
         そして台風一過の今日9月20日、(10月5日予定の「黄斑円孔」手術の)術前検査。前回同様の検査をすませ、そのマスク美人だったとは思うが確認できないまま診察に。
         担当は院長で、一通りの説明をされ、質問に答えられ、留意点を確認され、診察が終わろうとした時、看護師らしいスタッフがメモ書きを院長に見せると、「先週は雑草を抜いていただいたそうで、ありがとうございます」と言った。いつもよりしっかりめに手術を、保険適用内の良いレンズを入れてくれると思いたい(^-^*)。

         公的な場所の雑草は、すすんで抜くものである、というお話しでした笑笑。
        曲紹介『僕は僕(『大地』のうた)』
        2022/08/01
        オリジナル曲『僕は僕(『大地』のうた)』
        作詞・作曲・音源:hidemik(2019/7/7作品)

        代表・ギター講師:hidemikのオリジナル曲
        乙訓不登校を考える親の会『大地』のテーマソングです。

        学校に行けない・行かない状態になった子と親が対話したら、こんなんなるんやろうなぁと想定した問答詞。
        親の会の会員さんから、概ねOKをいただいてます(^-^*)。




        僕は僕を生きて行く 君は君を生きてやれ
        1.空に輝く星たちは 自分の位置を知っている
        海を渡る鳥たちは 地図もないのに進んでく
        いろんな期待もわかるけど 動けなかったんだ
        なぜだかわからないけれど 考えることが苦しかった
        ただわかってほしい(あなたに)
        ただ愛してほしい(ずっと)
        それだけ それだけなんだよ


        曲紹介『星座』
        2022/07/28
        オリジナル曲『星座』
        作詞・作曲・音源:hidemik(2020/6/1作品)

        コロナ禍で失業し、不安の中で次の人生に向けてスタートしようとする20代女子に関わる中で舞い降りて来た曲です。


        (8月7日、無事に希望する採用試験に合格されたと連絡をいただいています)

        星空は君のマインドマップ
        時間とともにその数を増す
        さあ今夜はどこから始めよう
        赤い星 それとも青い星


        Spotifyに"hidemik Radio"というプレイリストがあります。
        https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1E4wUztECWu90Z
        「私が我慢すれば良い…」で解決する問題か?
        2022/07/19
         日本は「私さえ我慢していれば…」と考える人が多い国でしょう。歴史的にも、宗教文化的にも、経済的にも、ジェンダー感などからも、マイノリティ(少数派あるいは個人)が組織(あるいは社会)全体も問題や課題を抱え込むことで、表面上は見えなくしておくことが求められてきたことによると思われます。
         問題や課題に対して、「公」(国)は知らないことに、「共」(家族や親族、身近な地域コミュニティ)は触れないことにするので、「自」(我)が一人背負うことになってしまいます。
         「自」「個」で解決できるレベルの問題・課題であればそれも良いでしょうけど、「我慢」するのは「誰かのために」が頭につくからで、そもそもは「誰かの」、あるいは家族・親族、地域や社会の問題・課題である場合には、「自」「個」が背負う・担うことで、解決を遠ざける結果になってしまうことが少なくありません。
         生まれてこの方、冒頭のような先入観や潜在的な価値観に支配されて生活してきたので、そう簡単には発想の転換を図ることはできないかも知れませんが、客観性、合理性、将来を見通して妥当な考え方や判断、行動ができるようになって行くこと、その転換が必要な時代ではないかと思います。
         相談室カンナはカウンセラー、ソーシャルワーカーとして、個人の内面の問題として扱うだけでなく、客観的・俯瞰的に解決に向けて事態の本質を共に探り、関係する人や行政や民間が提供する支援施策の活用もしながら、問題・課題の解消をご一緒に取り組みます。
         「私さえ我慢していれば…」には限界があります。「私」は我慢できても、「私」は永遠の存在ではありませんから、「次の人」がそれを我慢することになってしまうことを、今立ち止まって考える時間を相談室カンナで持ってみませんか?
         どんな困り・悩みにも対応いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。
        人それぞれの「物差し」(価値観)を大切にできてますか?
        2022/06/17
         出先で、あるいは職場で、一息つきたい時、珈琲(とか紅茶)を飲みたくなったら(飲まれることを前提に書きますが…)、ストレート?、砂糖を入れる?、ミルクを入れる? 豆(茶葉)は?…。
         5人いたとして、意向を聞けば、「みんな一緒」ということはまず無いと思います。
         「好み」の違いです。「注文がバラバラだと時間がかかるから…」と強引に1つの種類を強引に押し付ける(たとえば「ブレンドコーヒーをホットで5つ、砂糖、ミルクを付けて」)行為をしたがる人もいれば、それぞれのオーダーを尊重するべき、と考える人もいます。
         あなたはどんなタイプでしょうか?
         子どもの成績が、ある教科で思っていたよりも悪かった時などにもいろんな重いや選択肢があります。担任と相談すべき、他の大人に相談すべき…。「親がちゃんと対応してないんじゃない?」と思われると困るからと人には話さずに(頼らずに)塾に行かせるべき、叱り飛ばしてもっと勉強させるべき、とりあえず〇〇点をめざせと言うべき、クラスで〇位以内に入れというべき…。いやいや、そもそも自分の遺伝子なんだから「そんなもん、仕方ない」と割り切る(諦める)べき…。いろんな親の考えが想像できます。
         まず本人の思いを聴く、を選択する人はどれくらいいるでしょうか?
         病気、経済的な問題、介護、人間関係のトラブルなど、さまざまな局面でいろんな思いや選択肢に葛藤します。
         自分は努力や苦労をしてきて、自立した生活を、人生を送れている(はず)と思っている(思いたい)人は、どうしても自分の考えが正しい、自分の判断通りにやれば正しい選択になる、と考えがちで、違う思いや判断をする人を受け入れることができないことが多いものです。一概に否定できるものではありませんが、その「物差し」が絶対的に正しく、誰にでも当てはまるという思い込みが強すぎて、決めつけや押し付け、相手が「うん」と言わなければ怒り感情が沸いてしまい、声を荒げて説得しようとしたり…。
         こうした「自分は勝ち組」と思っている人(思いたい人)は、いつから「自分の考えることは正しい」という信念ができたのでしょうか? 「勝ち組」に入る過程で、どれだけの人たちを「負け組」にしてのし上がって来たのかを考えたことはあるのでしょうか?(ずいぶんと失礼な良い方と思われたら申し訳ありませんが)
         強い・弱い、良い・悪い、正しい・間違っているなど、どこで誰がその線引きをするのか? 法的にどうなのかは(一応)裁判所で判断されますが、一般社会の生活や仕事などの場面でそれらをジャッジすることは、時に決済が必要なこともたくさんありますが、できれば慎みたいことではないでしょうか。
         「誰かが決めなければ、何も前へ進めないじゃないか!」というお叱りが聞こえてきます。でも、その場にいる、その組織に属している人それぞれの思いや考えを聴いた上で、客観的に考えて妥当な判断をそのリーダーが下しているということは、滅多に耳にしません。実際には、誰かが、あるいは一部の人たちの合意したことを、「下」に命じる形になってしまいがちです。会社で、学校で、地方行政で…。特定の人の「利益」を優先する決定がなされていること、そして「利益」どころか「権利」や人としての「尊厳」が奪われてしまっていることは、政治や社会の報道で日々聞こえてきます。
         一人ひとり、違う物差しを持っています。綺麗事のように聞こえるかも知れませんが、それを大切にして欲しいのです。先ほど述べた「勝ち組」の人たちも、いつも「トップ」で居られるわけではないので、「自分の意見が通らない」時の悔しさや悲しさ、怒りは共感いただけると思います。
         法律に定められていない(法律自体にも問題があるものが少なくありませんが)各種の規則や暗黙のルールは、「力」の強い人たちに有利なように作られてしまいがちです。でも、「力」の強い人たちは、少数派なのです。多様に共生できる社会をめざす方向性に人類は向かおうとしています。地球レベルでも…。
         そこに自分でない誰かが居る時、その相手の思いや価値観=「物差し」を尊重する態度を取れるように、心がけたいものです。

        ■「自分はダメな人間だ」、「いつも自分は大切にされていない」などとお思いの方、そのままにしないで下さい。どうしてそう考えるようになったのか、ご一緒に考えて行きましょう。

        ■「正しいと思う主張が通らないのは、相手が悪いから」、「すぐカッとなって強い言葉になってしまって、後で後悔するってわかっているのに」とお困りの方、その考えの成り立ちや修正の方法をご一緒に探して行きましょう。


         「教育と人間関係の相談室カンナ」は個別のご生育の経過や、トラブルとなっている理由や関係性などをしっかりとお聴きして、オリジナルの対処法を見つけて、解決に向けてご一緒に取り組んで行きます。

         カウンセリングの詳細、ご予約の方法、料金などは「相談室について」をご覧下さい。
        https://mhswkanna.com/page03.aspx
        アンガーセラピーで怒り感情をコントロールできるようになりませんか?
        2022/06/16
         「アンガーマネジメントをご一緒にとりくみませんか?」というご提案です。
         「短気は損気」レベルで収まっていればともかく、「瞬間湯沸かし器」と見られれば厄介者。「怒り」にとらわれてしまって怒鳴ったり、叱り飛ばしたり、殴ったり、蹴ったり。虐待やDV、パワハラ、侮辱、名誉毀損、傷害致傷・致死、放火など、「怒りをコントロール」できないで瞬時に行動に移してしまう問題行動や暴力行為です。
         時間が経ってふり返れば、反省・後悔・自責感情を生じる人もいれば、「自分は正しい」という信念を持っている人は「加害者」であることも認識できません。
         暴言・暴力を被って辛い、恐い、強く嫌な思いなど、心身に被害を受けた人にとっては、耐えがたく、でも逃れられない恐怖体験であり、トラウマとなってしまいます。それらが断続的に続けば恐怖感がさらに強まるだけでなく、複雑性PTSDとして脳に深い傷を付けていってしまうことになります。
         「教育と人間関係の相談室カンナ」は開設以来、DV、パワハラ、モラハラ、虐待・ネグレクトなどのマルトリートメント、いじめ、教師からの不適切な指導(体罰を含む)などの被害を受けた方へのメンタルケアを取り組んできました。
         そして、「怒り」にまかせて怒鳴る、叱る、脅す、暴力をふるうなどの加害行為を行う側へのケアが必用であることが、最近強調されるようになってきました。相談室カンナでも、加害側の方への認知行動的サポートを続けて来ています。生まれ持って「気が短い」人がいることは否定できませんが、育ちの環境、その中の人間関係などで体験してきたことが、「怒り」を不適切な「行動」として他者にぶつけるというクセを作ってしまうことが少なくありません。
         「あの人は仕方ない」、「自分が我慢して(耐えて)いるしかない」と思わないで欲しいのです。そんな形でやり過ごそうとして、悲しい事件になってしまった報道をしばしば目にされていると思います。「我慢」しているのは誰かの(例えば子どもの)ために、ではありませんか? でも、その誰かは、あなたが(自分のために)「我慢して(耐えて)いる」ことを知っていますし、その行動を止められなかった自分を責めてしまうことに、考えを及ぼして欲しいのです。

        ■「怒り」による暴言などをを頻繁に受けていて、辛い、耐えられない状態の方は、ためらわずにご相談にお越し下さい。

        ■「怒り」による暴言などを、止めたいのに止められないと思われている方は、早めにご相談にお越し下さい。


         「教育と人間関係の相談室カンナ」は個別のご生育の経過や、トラブルとなっている理由や関係性などをしっかりとお聴きして、オリジナルのアンガーマネジメント対処法を見つけて、解決に向けてご一緒に取り組んで行きます。

         カウンセリングの詳細、ご予約の方法、料金などは「相談室について」をご覧下さい。
        https://mhswkanna.com/page03.aspx
        220609 生活保護受給の要介護の精神障害者がアパートを借りて住む?
        2022/06/09
         「高校を卒業後に就職。でも数ヶ月で不安と緊張から仕事に行けなくなる。仕事を変わるけど、やはり不安と緊張で退職を繰り返す。不安と緊張は、夜の静寂の中でもっとも増強されてさらに大きくなり、助けを求める…。夜中の騒ぎになるので、辿り着く先は精神科。診断名は『精神分裂病』(当時)…」


         アセスメントをすすめると、幼少期のマルトリートメント(虐待、ネグレクトなど)や神経発達症・障害(ASD、ADHD)特性、社会的スキルの獲得の少なさ、思春期課題達成の不十分さによる自己および対人関係への問題、それによる不安障害、自己肯定感情の低さ、なども、入院に至る精神症状の要因であることがわかってきます。
         このような当事者との関わりが何件かあります。中には「入院生活30年!」などの強者も。個人情報保護のために、複数の事例を加工した上での事例紹介となりますが、いずれも経過がとても類似していて驚いてしまいます。
         当時(も今も)、幻覚や妄想、支離滅裂で理解不能な言動があり、それが激しいために「自傷・他害の恐れあり」と精神科医が判断すれば強制的な入院となることが少なくありません(精神保健福祉法などの改正で、その種類や基準は変わっていますが)。
         長期の入院生活は、精神症状の改善が見られないか重篤化したことを意味します。中には、引き取る(受け入れる)家族がいないために、あるいはご自身が退院しての生活が不安であるとの主訴から超長期入院になることも…。
         日本の精神科の病床(ベッド)数は文字通り世界一多く、「全世界の精神科病床の約2割が日本にある」とも言われています。他の先進国は、人権問題として、そもそも精神科治療のあり方として問い、入院患者を減らす施策を取り組んできましたが、日本は減少傾向に転じているとは言えない状況です(約35.8万床が33.8万床になったにすぎない」(『第1回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会(厚生労働省)』より))。民間の精神科病院が多いこと、一般病床よりも診療報酬が低いために90%台の病床利用率を確保しないと経営が困難とも言われています(病院経営関係者から聞きました)。さらに認知症高齢者を入院で受け入れるという方向も…。
         「精神障害者の退院促進支援事業」(2003年〜)、「精神障害者地域移行・地域定着支援事業」(2010年〜)などが政府・厚生労働省で取り組まれてきました。2004年には「入院医療中心から地域生活中心へ」との理念を示し、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」で「受入条件が整えば退院可能な者約7万人について、10年後の解消を図る」としました。が、先に記した通り成果があったとは言えません。

         合成事例に戻ります。〇十年を超える入院生活で病状が安定し(?)「退院促進」の対象となれば、地域の精神障害者を対象とするグループホーム(共同生活援助事業の利用)などで生活をすることになります。
         病院とは違い、昼間の就労や地域活動などへの参加と、自立した生活をめざす(障害福祉サービスである共同生活援助は「訓練等給付」事業とされます)「訓練」の生活に(基本的には)チャレンジすることになりますが、「ゼロからの出発」となってしまいます。
         お金がないので、生活保護の受給申請、住民票の変更、障害者手帳や自立支援医療・障害福祉サービスの受給者証の更新や住所変更、障害年金の住所・送付先変更、預貯金口座の開設や住所変更などなどの諸手続きは、最初に立ちはだかる難関です。計画相談(相談支援専門員)、グループホーム(生活支援員)、生活保護のワーカーなどの支援を受けながら乗り越えます。
         朝・夕の食事はグループホームで提供されますが、昼食は「活動先」でとなるため、「行かない日」は自分でどうにかしなければなりません。掃除・洗濯・衛生保持も支援員や訪問看護の支援を受けつつですが、限界がありますし、自立をめざすために「自分で」できるようにならなければなりません。長期の入院生活によって、こうした日常生活を送る機能やスキルが低下した状態(障害状態と言える)になっているため、高いハードルです。
         そして問題なのが、退院した時の年齢です。25歳で「発症」、入院となり、30年入院すれば55歳。還暦を過ぎて退院できた人もいます。その年齢から「自立への訓練」と言われても…です。
         そして、障害者グループホームも、要介護には対応していません。10年も暮らせば、生活習慣病はもとより、加齢に伴う機能低下が生じるため要支援・要介護になり、次の生活の場を探すことになります。
         認知症の診断が下れば、認知症対応のグループホームが数は少ないものの(地域差が大きい)無くは無いのですが、ほとんどが「空き待ち」状態。認知症が無かったり、軽度認知機能障害のレベルでは対象外となるため、考えられるのは高齢者住宅やケアホーム。こちらも「空き待ち」状態であったり、生活保護受給者が入居できたとしても小遣い(散髪、通院交通費など)はほとんど残らないため、元気な方にとっては現実的な選択肢となりません。
         Aさんは、そんな状態でした。さてどうする? で関係者の支援会議を開いても、名案は浮かびません。
         そんな状態で、本人に、さらに大きなチャレンジをしてもらって、新しい生活を始めることができる場合もあります。アパートを借りての「一人生活」です。支援会議で提案した時には、支援関係者誰もが「??」になっていましたが、本人に入ってもらって提案するとまんざらでもない様子で、一同驚き。
         とは言え、今の日本では簡単な話ではありません。生活保護受給の精神障害者に部屋を貸してくれる家主さんは滅多におられません。賃貸物件を紹介する管理会社数社にお願いして探し、見学はできたものの書類審査で、「家主さんが…」で契約できず、が続きます。諦めずに待っていると、ふっと「空きがでたんですけど…」と連絡が。
         生活困難者に部屋を貸していた実績のある家主さんで、親族の保証人と後見人等(この場合は私)付きで保障会社の審査を通り、住宅扶助費内の物件の契約成立。
         グループホーム生活が長かったことから、新生活を始めるためのお金を貯めることができていて、家具・家電品なども購入でき、人生初めての「一人地域生活」を70歳くらいで始められました。
         介護サービス(ケアプラン作成、通所デイサービス利用、訪問介護、訪問看護、通院介助)に慣れ、一人生活の様々な不安が減り、生活費(1月に1回手渡し)のやり繰りの目処が立つまでは、私を含めてあちこちの支援事業所に頻回な電話が続きました。
         同じような境遇を経たBさんは、下肢の機能低下が顕著なことから、高齢者住宅に入居して施設内で利用できるサービス以外にも(Aさんのサービスに加えて内科・精神科・歯科の訪問診療)訪問系のサービスを利用しながら生活されています。預貯金管理や諸手続きは後見人等である私が行っています。
         精神障害がなくても、加齢に伴い身体障害状態(特定疾患や身体障害者手帳所持)となったり、認知症が進行したりで、要介護となっても、在宅で生活を続けられている方もたくさんおられます。家族・親族が行えない場合には、資産管理や諸手続きの支援を後見人等として代理で行わせてもらっています。このAさん、Bさんとして紹介した事例は実際には「奇跡的」と思えますが、それで良いのでしょうか? 上野千鶴子さんが「おひとりさまの…」シリーズで書かれているように、在宅で、自分の部屋で老後を、そして最期を迎えることは、支援・サービスの工夫しだいで何とかなるものです。理解者、支援者、まわりの人は不可欠ですが。

         日本弁護士連合会は2021年10月、「全ての人の尊厳は守られなければならない。」と冒頭に書かれた「精神障害のある人の尊厳の確立を求める決議」を発表しました。
        https://www.nichibenren.or.jp/document/civil_liberties/year/2021/2021.html

         精神障害の有無に関わらず、ご家族・お知り合いのために、そしてご自身のためにも、一度読んでおいて欲しいと思います。
         このようにして、カウンセラーとして、ソーシャルワーカーとして、成年後見人等として、関わらせてもらう中で、どのような困難な中でも生きていける方策を見つけることができることを学ばせてもらっています。 
        2014年に書いた書評、『 登校拒否を生きる─「脱落」から「脱出」へ』。
        2021/10/25
        懐かしい投稿をFBが教えてくれました。もう7年前になります。
        「京都民報」という地元の週間新聞に依頼されて書かせてもらった書評です。一段落が超長文過ぎますね(^-^*)。でも、言いたいことは今も同じ。不登校・登校拒否をめぐる状況は何も変わっていないどころか、ますます悪化の一途です。

        『 登校拒否を生きる─「脱落」から「脱出」へ』
        著・高垣忠一郎 新日本出版 1600円+税

         「自己責任」「自立自助」を「ねばならない」と受容させられる心理社会的潮流の中で、登校拒否の子どもや家族の苦境は深刻な社会的課題であるのに、「個人の問題」として扱われ続けるさもしい日本社会。貧困・格差、病気や障害、高齢者介護なども同様のテーマである。
         私の長男が「不登校」状態となった頃、学校に行かずとも学習に遅れが出ないようにと願う一方で、長男は「親に(経済的な)迷惑をかけたくない」と思い塾や家庭教師を拒み続けた。お金を気にせずに学ぶ機会が学校外にあればと、長男の死後にも考えていたこともある。さもしい「大人」であった。
         2000年2月、中学3年だった長男は将来を悲嘆、無力、絶望感から自ら命を絶った。子どもの自死、登校拒否、学校教育の意味を問い、思春期・青年期の心性や関わり方を(遅ればせながら)学び、自身が対人援助者となるにあたって理解しやすい導きをいただき続けているのが高垣氏である。
         人の育ち、その存在の意味において不可欠なものと高垣氏が提唱する「自己肯定感」。それを削ぐ「仕組み」としての競争と管理の「能力主義教育」の中で、「人の価値をテストの成績・点数で測る人間」が育てられ、結果が出なければ見捨てられるという「脅しによって駆り立てられる」行動習性を身につけてしまう社会と対峙しつつ、子どもや親たちの苦悩に、カウンセリングや家族会づくりなどを通して寄り添ってきた心理臨床家としての警告と自戒を求める「叫び」の書であるとともに、氏の「対人援助論」である。
         人の価値を部分的に切り取って評価・区別し切り捨てる「競争社会」からその人丸ごとを理解し支え合う「共同社会」へと、一度「競争」に負けてレールを踏み外せば「脱落」する社会から一人ひとりがあるがままに承認され相互に構造的に協力を生む社会へと「脱却」するための主体性や態度が、大人、支援者、そして日本社会を構成する一人ひとりに求められている.。
        (木下秀美・教育と人間関係の相談室カンナ代表・精神保健福祉士)

        2014年10月26日付「京都民報」
        緊急事態宣言に思う。
        2020/04/07
        5年ぶりの「つぶやき」になります。

        不謹慎を承知で。
        新型コロナウイルス感染拡大防止のためにと緊急事態宣言が出されましたが、対象地域とそうでない地域、同じ地域でも場所によって、状況や対応はさまざまでしょう。
        今生きている人が経験したことのない事態への対処が、地域ごと、一人ひとりに委ねられようとしています。
        この宣言は、法的拘束力はなく、要請,指示されるものなので、一人ひとりの考え方や判断に、結果が左右されます。
        一人ひとりが良く考え、より確かな情報をもとに周りの人に問いかけ、逡巡しながら一緒に決断することが求められます。
        中国、ヨーロッパ、アメリカの一部地域などで蔓延している人命に関わる対処不能な事態に、不安や恐怖を抱くことは自然なことでしょう。
        明日から、もしかしたらすでに今日から、食料をはじめとするさまざまな物資の確保に躍起になる人もおられるでしょう。
        自身や身内が、当面・数日の物資調達で得られるものはなんでしょうか?
        それらを非難・否定するつもりはありません。が、今少し、冷静に考えて欲しいと思うだけです。
        予想することもなく、突然に大切な我が子や親、兄弟・姉妹、友人・知人を自死や事故、病気や自然災害で亡くされたり、重篤な後遺症を残された体験を生きる人たちの多くは、この「非常事態」をどう受け止めておられるのでしょうか?
        子どもを自死で失った私は、その喪失があまりにも突然で、もう20年が過ぎますが、その不条理から受容することかなわず、自身のアイデンティティを維持することすら困難な状態が続いています。失うものが何もないと思える体験をした人間だから感じることかもしれません。
        今一番伝えたいことは、守れる命は、何はさておき守る努力を惜しむことなくすべきと言うことです。
        思いつきの政策・判断や、財政出費軽減は、人の命を守るためには、何一つ有効でないばかりか、その愚作は後に必ず検証されることになるでしょう。
        非常事態に何を優先して考え、何をなすべきか。賢明な判断ができる国政組織が必要であること、今、最も学び、よりましな政府や地方公共団体を作り機能させることの大切さを教えてくれていると思います。
        今を体験しながら生きるこどもたちに、史実として学んで欲しい、そんな授業を、して欲しいと願います。そして、一人ひとりが聡明に。
        人の「エネルギー」について。
        2015/05/15
        かつて、ひきこもり状態の人などに「エネルギーが切れた状態だから、十分に充電できるまで待ちましょう」という態度が大切とされてきました。一方で、何かに関心をもって動き出すきっかけと出会うことが大切と、社会と関わる仕組みづくりが大切ともされています。
         関わる人たちにはどちらの視点も大切で、経過や状態、「充電」度合いは人それぞれ、実際に動き出されるには、運とタイミングのマッチングによるところが大きい、きっかけと出会うためには、具体的な社会参加だけでなく、マスコミやネット情報へのアクセスも重要な接点となる、といろんな方々の「動き出し」を関わる中で思うようになりました。
         そして、「動き出し」を支えるエネルギーについて、この度、このエネルギーはハイブリッドタイプなんだろうなぁという仮説に至ったわけです。
         従来の「充電されるまで待ちましょう」レベルは表面的で、充電池によってモーターで回している、みたいなもの。興味・関心、意欲、評価、役割付与、自己肯定…などの認知機能を社会適応的に動かせるもの。但し、戦後の競争(管理)教育の中で育った人たちが、それを程良く維持し続けることはとても難しい社会。一度意欲低下が生じると、個人や家族で支えきれない、脆い力だろうと。
         不登校やひきこもり状態の中で、表面的な充電池が何によってどう「充電」されるのか、得心のいく解釈ができません。
         それでも、何かのきっかけで再び「動き出す」ので、その際に活躍するエネルギーがあるはず。それが車で言えば内燃機関を動かす化石燃料、人で言えば脳機能や身体機能そのものじゃないだろうか。こちらは、一見何も動かず考えずにいるように見えて、実は内面で様々な情報や思いが蓄積されていっているわけで、食事・睡眠・適度な運動をとっていれば機能を維持しつつ蓄積できるものだろうと。なので、否定や非難的な突っ込みは邪魔をしているようなものとなる。
         とはいえ、自問自答や要らぬ突っ込みダメージなどを受ける中でこの化石燃料も尽きていくこともあるが、その状態を維持する非常用電源がもう一つある。それは、筋肉や肝臓など、生命体としての人を極限で支える最終エネルギー。このレベルになると医療の臨床のお世話になるのですが。
         しんどくて、動けない状態にあっても、表面的には見えないところで、「動き出す」ためのエネルギーは蓄え整えられるもので、そのために不可欠なものは、安心・安全、周囲からの理解、それらのつながり、そして必用で適度な情報の行き来なんじゃなかろうか、としみじみ思うところです。
         要は、化石燃料によって動く部分をしっかりと機能させつつ、再びの蓄電→駆動につなぐきっかけを社会の仕組みとして作れるか否か。蓄電→駆動が始まれば、少々の困難は化石燃料による内燃機関が「底力」で支えてくれる。
         不登校・ひきこもり状態に限らず、落ち込み、挫折、喪失体験、精神症状や老化などによる諸機能低下に向き合う際に、「中から温める」という視点が大切、という話しとして。
        「計画相談」は大事だけど、何でまだまだなの。
        2015/02/22
        先日、さる人のお宅で、そのお向かいのおばちゃんと、上の住人(マンション1階に住む家主さんなので)のおばちゃんと、たまたま居場所にしていた青年と、4時間あまり、さる人の半生振り返り&リカバリー作戦会議予備会議をやっておりました。
         さっくり要点をまとめると、祖母による家全体へのコントロール(自覚はないものの、受ける側は無力・絶望・トラウマ化、暴力、そして心理的・経済的虐待)、その影響によって両親からのコントロール(自覚はないものの、受ける側は無力・絶望・トラウマ化、暴力、そして心理的・経済的虐待)、洗脳的な認知状態での高圧的な対人関係によって逆にイジメの対象化(同級生、教師などによる継続的なもの)、対処に困った他の家族が収容先に島流し(欧州のある国の「中学校」を名乗るところへの「留学」、精神科病棟…)、抗精神病薬長期投与による過沈静と副作用、自覚的な断薬による離脱症状、愛着形成・自我同一性の獲得課題の強度不全、…。
         そりゃ、統合失調症とかの診断をもらってしまうでしょうし、場面場面を切り取れば素行障害や行動障害、適応障害、強迫性障害、不安障害、コミュニケーション障害、学習障害、などなど、いくらでも診断名がついてしまう状態になるでしょう、という半生を、さる人を生まれる前から知っているおばちゃんたちと、泣き笑いながらふり返る場に臨場しました。
         現在の診断名はアスペルガー症候群で、服薬無し。手帳、障害年金に加えて、障害福祉サービス等の地域支援を受け始め、生活と健康を整えようとしている真っ最中の、ライブ・アセスメント面接ですね。
         昭和の戦後を「拝金主義」で生きてきた家庭に育ち、求められる姿・期待に応えられなかった子どもがどう排除されていくのか…を如実に体現する一人の生き証人です。
         これ、社会福祉や地域社会で支えられるか支えられないのか、精神科病棟・医療からの地域移行・定着支援のあり方が問われる極みのようなケースですが、京都市ではまだまだ「計画相談」が進んでいないので、この方もこれから…。保健センターの担当者にはお願いしてありますが、相談支援事業所が超少なくて対応しきれないのが現状のようです。
         しかし、それは「障害者総合支援法」の運用がきちんとできていない状態であって、市側の不作為。
        先日のような聴き取りこそ、「計画相談」のアセスメントには不可欠だと思いますが、対応できていないことが残念でなりません。
         私は勝手に、独自の計画相談、個別支援計画、ASD特性のある人向けの精神的アプローチアセスメントシートを作っていて、先だっての「支援会議」的な予備会議に提出。昨日も本人に個別支援計画、ASD特性のある人向けの精神的アプローチアセスメントシートを提案してこれからの関わりに活かしていくことを確認してきました。
         本人抜きに、仕組みで整えようとしてはいけません。
        (これまで続けて来ていた「最近の気になる記事」は、↓Facebookに移動させていただいております)
        https://www.facebook.com/hidemi.kinoshita.9 

        Twitterと距離をおいている話。
        2014/12/07
        またまた随分と更新できずにおりました。
         特に理由はなく、なんやかんやと毎日がざわざわと過ぎていき、それを眺め、WEB関連の毎日「やること」だったことを「やらなくても」大丈夫と気づいたあたりから、「今日はこのへんで…」ができるようになったためかと思います。
         さておき、予約のキャンセルが生じて時間ができたので、今回のお題を書いてみようと思い立ったわけです。このお題、実は今年春頃には確信的なレベルに達していたのですが、もう少し眺めていようと棚上げしていたものです。あれから○ヶ月…。
         違和感というか嫌悪感が強まった、という感じです。もう一つ「依存」しているSNSのFacebookは、ほどよい付き合いができるというか、大丈夫な人としかつながらないようにしているというか。
         なので、「最近の気になる記事」は、FBのタイムラインで流しています。
         https://www.facebook.com/hidemi.kinoshita.9
         Twitterの何に違和感・嫌悪感を感じるのか、少しまとめます。
        1.思いをつぶやけるだけならいいけど
         140字以内で、その時思いついたことや思い出したことなど、何でも気軽に公開してしまえる(不特定の他者と繋がれる)便利なツールであることは確かで、その楽しみも結構長い間享受してきたわけですが、コメント付きの非公式RT(リツィート)が知らない人から質問形・疑問形で飛んできたりすると「すぐに返信しなきゃ」と過敏に反応したり、でも140字以内の活字化では(小分けしても良いけど)主旨が伝わらなかったり、結果不完全燃焼感が残るという残念な体験が多い。
        2.監視されている感じ
         あちこちで「SNSとのつきあい方」等のタイトルのコメントで見られますが、日常会話や人との関係性の中にTwitter上の「つぶやき」が堂々と入り込んでいて、それを前提に日常会話や人との関係性が続いてしまっていたり。露骨にTwitter上の「つぶやき」に対して「あれはどういう意味?」とか「削除しなさい」とか威圧されたこともしばしば。何かをつぶやいても、それを監視している「他者」がいることを明らかに感じてしまうことが多い。
        3.「つぶやき」が抗議や蔑み、暴き、鬱憤晴らし、憎しみや怒り等の負の感情丸出しに
         最近は少しましになっているようですが、一時は、不平不満、文句、抗議、言いがかり、売り言葉に買い言葉、(自身のつぶやきも含めて)読むに堪えない辛いネガティブな語りなどなど。気持ちを言葉にして吐き出すことでストレスの軽減を図りたいのに、そこに入るだけで余計なストレスに曝される体験が多い。
         要するに、そうした関係性に柔軟に対応できる気力・体力が今の自分に不十分だということに気づいたので、距離を取っているわけです。時々のぞきながら、いずれ再開しようと思っていますので、アカウントは残しています。「嫌」と思う対象から(可能なやり方で)「距離を取る」ことは大切ですね。

         それでは、最近の気になる記事です。(ページリンクのみにしました)

        小6、校舎から転落し重傷 「いじめを受けた」 山口

        小6、校舎から転落し重傷 「いじめを受けた」 山口
        寺尾佳恵2014年11月29日20時27分
        http://www.asahi.com/articles/ASGCY56TJGCYTZNB005.html

        山形)天童・中1女子自殺、第三者委が初会合
        井上潜2014年12月1日03時00分
        http://www.asahi.com/articles/ASGCZ4HW5GCZUZHB005.html

        教員採用:性的指向や宗教質問 心理テスト、4自治体使用
        毎日新聞 2014年11月16日 09時00分(最終更新 11月17日 18時35分)
        http://mainichi.jp/select/news/20141116k0000m040114000c.html

        ひきこもり問題は「当事者2.0」の時代に
        田中 俊英 | 一般社団法人officeドーナツトーク代表
        http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakatoshihide/20141202-00041158/

        フリースクールに財政支援へ=有識者会議で具体策検討―文科省
        時事通信 12月3日(水)16時4分配信
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141203-00000084-jij-pol

        騒がれる35人学級の行く末 現場の声は?
        浅谷治希 | 株式会社LOUPE 代表取締役
        2014年12月5日 13時0分
        http://bylines.news.yahoo.co.jp/asataniharuki/20141205-00041130/
        成年後見制度を通して見えてくる制度や仕組みのモンダイ・矛盾・谷間・隙間。
        2014/09/22
         死亡届→口座凍結。悪徳な輩が多いために、必然的な処置なんでしょうが、真面目に成年後見人等としての事後処理をしようとすると、とっても面倒なことになります。
         夏前のことですが、被補助人さんが亡くなられた後の相続をはじめとした手続きとして、原戸籍を入手するために出生地の役所へ、ねんきん事務所で最後の振込をご主人口座に代える手続きなどのために慌ただしく動きまわり、でも市の障がい福祉課から携帯に、還付金が振り込めない旨の連絡があり…、。
         それらを含めて、口座変更等の諸手続を行政、銀行支店、介護サービス事業所等に、出向き、FAXを送り…を、法律上は死亡によって後見人等でなくなった後にやることになります。。
         凍結された本人さん通帳にも、ご主人の通帳にも残高は数万円しかなく、次の年金振込までやり過ごせるか?の状況で凍結されてしまいました。
         こられの手続きは、相続権のあるご家族しかできないのですが、ご主人の後見人をしているので、代理行為で行いました。
         そのために、本人さんたちの戸籍謄本、住民票の除票などを入手するのに一苦労二苦労。預金の相続や最後の年金を受け取るためには、本人さんの戸籍はその出自まで証明する=相続権者を明らかにする原戸籍が必用で、達筆な手書きの漢字ばっかりの、それはレトロな原戸籍原本を入手しました。
         これらが完了後、「後見等事務終了報告書」、報酬請求申立(市の成年後見制度利用支援事業の利用が前提)、残る請求分の手作業支払い、などとなります。5月末に亡くなられたのですが、まだ還付の入金などがあります。
         さらに、市の成年後見制度利用支援事業の申請をしたのですが、「要項を整備しているので…」と未だに棚上げ状態です。障がい者総合支援法の市町村必須事業がきちょんと行われずに滞っている状態が続いていますので、先週も担当窓口に様子をうかがいに行ってきたところです(「冬になるまでには…」とのことでした)。
         どこかでワンストップサービスにできないのか、後見人制度の不完全さ(および違法性)はどうなっていくのか…?
         「合理的配慮」の全くの無さ、に呆れてしまっています。
         成年後見人をしていると、いろんなことを勉強・体験できますが、同時に制度や仕組みのモンダイや矛盾、制度の谷間や隙間もよく見えてきますね。

         それでは、最近の気になる記事です。1ヶ月分(以上)をまとめて…。

        「指導死」の存在認めない文科省――「先生のいじめ」と大臣

         生徒指導をきっかけ、原因として子どもが自死に追い込まれる指導死。その多くは教師のパワハラによる――昨年11月、下村博文文部科学大臣は筆者の単独取材の中で、前述の見解を容認する発言を行なった。『サンデー毎日』に掲載される予定だったが、編集部と文科省の間で「取材はなかったこと」になり、記事化されなかった。文科省が指導死を公的に認めていないためだろうか。
         下村大臣は取材でこう語った。
         「教師の暴言や憎しみの言葉があったかもしれませんが、一方で、なぜ、あれ位のことで自殺してしまったのかと周りが不思議に感じるケースがあるかもしれません。教師が責められるかどうかはケース・バイ・ケースで、一つ一つを調査して分析しないといけません」
         文科省は調査を実施しておらず、再発防止策もとっていない。
         下村大臣は、「指導死というのは先生のいじめです。いじめ防止対策推進法は、教師によるいじめは含まないという前提はありますけども、波及効果は相当あると思います。学校空間で起こるいじめの全てを撲滅したいと考えますので、指導死も国が基本方針を作って地方自治体に徹底します」と話した。
         「指導死」親の会代表の大貫隆志さんは、「文科省が指導死を放置し続けるなか、大臣の発言には勇気づけられた」と言う。
         8月1日の定例会見でも下村大臣は、「指導により子どもが自殺することがあってはならない」とした。教育行政はこの発言を無視せず、「指導」の名のもとになされる暴行や精神的暴力により、悩み、苦しんでいる子を救う責務がある。
         名古屋大学大学院(教育発達科学研究科)の内田良准教授は、「文科大臣が教師のパワハラに言及したことに意義がある。児童・生徒への体罰は法律で禁じられているが、精神的暴力については法整備されていない。今回の大臣発言を法制化に向けるべき」と指摘する。
        (桜木和美・ライター、8月29日号)
        http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=4678
        「週間金曜日ニュース」2014年9月17日

        ●滝沢の中2自殺、第三者委委員決定 岩手
         5月末に滝沢市内の中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、市教育委員会は17日、臨時会議を開き、生徒へのいじめの有無などを調べる第三者調査委員会の委員5人を決めた。委員は、三上邦彦県立大社会福祉学部教授(学識経験者)▽太田秀栄(しゅうえい)岩手弁護士会理事▽智田(ちだ)文徳盛岡市医師会理事(精神科医)▽細江達郎岩手大・県立大名誉教授(臨床心理士)▽坂口繁治(しげはる)県社会福祉士会副会長。第三者調査委員会は、いじめの有無や自殺の背景を調べ、同様の事態が再発しないよう提言をまとめる。この問題で、学校側は6月、生徒や保護者にアンケートを実施し、7月に「いじめと疑われても仕方ない事案があった」との結果を報告したが、自殺との因果関係に言及しなかったため、男子生徒の家族が第三者委員会の設置を求めていた。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140918/iwt14091807090001-n1.htm
        「産経新聞」2014.9.18

        ●長崎)第三者委は6人で合意 新上五島のいじめ自殺問題
         新上五島町で1月、いじめを受けていた中学3年の松竹景虎君(当時15)が自殺した問題で1日、町と遺族側は学校などの対応を検証する第三者委員会の委員を6人とし、半数を互いに推薦することで合意した。人選は今後、検討する。
         町によると、この日、町議会の全員協議会で、第三者委の委員を遺族側の提案通り6人にすることを決定。江上悦生町長が電話で遺族に伝えたという。
         遺族の支援者によると、遺族は江上町長の電話を受け、3人の委員を推薦することで合意したという。
         町は来週から始まる町議会に第三者委設置の条例案を提案する予定。その後、遺族側と相談しながら、委員の選定などを進めるという。
        http://digital.asahi.com/articles/ASG9163QSG91TOLB00L.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG9163QSG91TOLB00L
        「朝日新聞デジタル」2014年9月2日

        ●Listening:長崎・佐世保の同級生殺害 どう報じるか 現場に宿る真相へのカギ
         長崎県佐世保市で、高校1年の女子生徒が同級生に殺害された事件が発生して1カ月が過ぎた。不可解でやりきれない事件をどう取材し、どう報じるべきなのか。10年前に同じ佐世保で起きた小学6年女児の同級生殺害事件を取材してきた記者と、事件の本質を考えながら週刊誌に記事を書いた記者とともに考えたい。
         ◇予定調和を超えて−−小6同級生殺害事件を取材 東京社会部・川名壮志
         残酷なニュースには慣れているつもりだが、今回は一報を聞いて特別にうろたえた。2004年にも同じ佐世保で「小6同級生殺害事件」が発生し、駆け出し記者として取材したからだ。被害女児は上司である御手洗恭二・佐世保支局長(当時)の長女だった。私は事件を10年にわたり追い続けた。
         たった一度の特殊な事件と思っていただけに「なぜ佐世保でまた」の思いがぬぐえず、発生から1週間たった現場に駆けつけた。「佐世保」「少女」「同級生」の構図こそ酷似しているが、特徴は異なっていると感じた。10年前は加害者が小学6年生で、女の子同士の濃密な人間関係のもつれによって起きた事件だった。今回は思春期を迎えた高校生で、被害者との関係も少し希薄に映った。やはり少年事件は個別に見るのが大切だと改めて実感した。
         佐世保に行ってみると、情報が整理されておらず、生々しく感じた。少年事件では捜査当局からメディアが得られる情報は極めて少ない上、当局には大人とは違う子供の心の内まで掘り下げる役割は課せられていない。そのため、メディアは識者や専門家に「答え」を求めがちだ。だが現場を知らずに語られる言葉は、洗練され、整っていて一見分かりやすいが、本質を見誤る危うさもはらんでいる。
         例えば、10年前には加害少女の文章やイラストが何度も引用され、少女の異常性を裏付けようとする機運があった。識者を巻き込んだ分析は、いわく「イラストは少女の攻撃性を示している」「大人びた巧みな文章は『子ども』の事件ではないことを示唆する」。
         取材すると、イラストは友達同士のまねごとで、少女の巧妙な文章も精神科医の鑑定で「ネタ本を基にしたパクリ」であることが分かった。加害少女は特に大人びた子供ではなかった。予定調和のような取材をしても、事件の本質に迫れないと思い知らされた。
         今回の少女がなぜ事件を起こしたのか。捜査や少年審判などの司法手続きでは、きっと合理的な答えが導き出されるだろう。だがそもそも子供は、未熟で、いつも合理的な行動を取るとは限らない。
         実は、現場にあふれる理屈では説明のつかない「ノイズ」(雑音)のような情報の中に、事件の真相に迫る要素が含まれていると感じている。そして、どの細部にニュースの本質が宿るのかは、現場を歩いた人にしか分からない。丁寧な取材から絞り出した情報をどう生かすか。それが今、メディアに問われているのだと思う。
         ◇父親悪者論に違和感−−週刊誌に執筆 サンデー毎日編集部・大場弘行
         加害少女の実家を見上げて、思わずうなった。
         佐世保市を見下ろす高台にある豪邸。裏手に回ると近隣住民に開放した庭園があった。趣味も多彩で、ウインタースポーツに没頭し、少女にも特訓していた。個性的な父親を献身的に支え、家族をうまく調和させてきたという母親が昨秋急逝すると、父親は半年余りで20歳年下の女性と再婚した。少女は再婚が決まる前後に父親の寝込みを金属バットで襲い、1人暮らしを始める。事件はその4カ月後に起きた。
         父親の知人ですら「娘さんは一番多感なころ。なんで初盆まで待てなかったのか」と眉をひそめた。週刊誌や女性誌はこんな見出しの記事を出し始める。「母の喪中に父婚活を憎んで」「殺しは、父親への仕返し」「少女Aと父の愛憎16年」「『少女A』を街に放った父」−−。父親の行動が少女の凶行を誘発したというストーリー。が、何かおかしい。少女はネコの解剖を繰り返し、警察の調べに「人を殺して解剖してみたくなった」と供述。殺された少女は仲のよい友人だ。再婚など家庭環境の激変にさらされる子は他にもいる。なぜ少女がこれほど猟奇的な行為に及んだのかの説明がつかない。
         サンデー毎日(8月17日・24日合併号)では「『名士』の家で”壊れていた”加害少女」などの見出しをつけ、少女と父親の関係や精神発達の遅れを指摘する専門家の声を紹介した。動機に踏み込む代わりに、父と娘の”ナマ”のやりとりを証言と資料などを基に詳細に再現した。事件の半年前、中学3年のお別れ会。少女は、同級生を「同窓会に呼んでください」「サバンナでシマウマに乗っているかもしれないけど」と笑わせ、教室の隅にいる父親に向き直る。「こんな僕ですけど、今まで育ててくれてありがとう」と涙声で言うと、声を詰まらせてしまう。
         少女の仕草や感情の発露、言葉遣いから、父への憎しみも、異常性も感じられなかった。だが、この少し前に金属バットで父の頭を殴る事件を起こしていた。父親に落ち度はないとは言い切れないだろうが、父親を悪者にするストーリーに引きずられると、本質を見誤るような気がしてならない。
         ◇少年事件専門家、慎重な調査要望
         7月26日に発生した事件で、長崎地検佐世保支部は、殺人容疑で逮捕された少女(16)について、11月までの予定で専門医による精神鑑定を実施している。鑑定結果が出ると、地検は少女を家裁に送致。それを受けて、家裁が審判を開く。家裁は(1)少年院に送る(2)地検に逆送する−−などの選択をする。(2)の場合、逆送を受けた地検は成年同様の裁判員裁判にかけ、実刑判決が出れば少年刑務所に送られる。
         少年事件の専門家グループは8月、審判手続きに関して「安易に逆送して裁判員裁判にかけないよう」求める要望書を最高裁に提出した。
         要望をしたのは、家裁裁判官を主人公にした漫画「家栽の人」の原作者で佐世保市出身の毛利甚八さん(56)、神戸連続児童殺傷事件を担当した元裁判官の井垣康弘弁護士(74)ら「少年問題ネットワーク」の19人。
         8月14日付の要望書で毛利さんらは「司法に求められているのは、どのような事実関係のなかで事件が起こったかを徹底的に解明すること」だと指摘し、家裁の調査官が十分な時間をかけて調査し、解析するよう求めた。そのうえで、逆送して成人同様の裁判員による刑事裁判にかけられれば「少年が非行事実を振り返り、被害者に対する贖罪(しょくざい)の気持ちを育てるために必要な、内省する機会を奪う」と述べた。さらに、少年院と、成年と一緒になる少年刑務所との教育効果の違いを知ったうえで、立ち直りを促すための処遇を慎重に決めるよう訴えた。【青島顕】
        http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140901org00m040003000c.html
        「毎日新聞」2014年09月01日

        ●佐世保同級生殺害:故郷で何が…記者が現場周辺を歩く
         しん、と静まり返っていた。さっきまで聞こえていたアブラゼミの鳴き声も国道を走る車の音も届かない。長崎県佐世保市の高1同級生殺害事件の現場マンション。「人を殺して体の中を見たかった」。逮捕された16歳の少女は、県警の調べにそう話したという。生まれ故郷で起きた事件が気になり、私は現場周辺を歩き続けた。【滝野隆浩】
         現場マンションの同じフロアには、高校時代の同級生が住んでいた。一緒にオートロックの玄関を抜けてエレベーターで昇る。4部屋のうち、出てすぐ左が現場、右の奥が彼の部屋だ。JR佐世保駅と市役所の中間にあるマンションは市の中心地なのに、静かだ。「ここか?」「ここばい……」。会話が途切れればまた静寂。少女はこんな場所に一人でいた。
         事件の発生は、7月26日午後8~10時とされる。同級生は休日出勤して午後8時20分ごろ帰宅したが何の物音もしなかった、という。天井の高い10畳の洋間。現場も同じ間取りだ。独り者の彼は言う。「僕は仕事と寝るだけやから快適。ばってん、高1でここで一人って……僕が高校生やったら、静かすぎてとてもできん」
         少女はいま、精神鑑定を受けている。私は以前取材した事件を思い出す。1988~89年、首都圏で4人の幼女が次々と誘拐され遺体で見つかった。容疑者の逮捕も暑い夏だった。裁判では三つの異なる見解の精神鑑定書が提出された。悲惨で不可解な事件が起こると、「心の闇」と言われるようになったのはあの頃からだ。心の奥底に潜む怪物のイメージ。しかし今回、私は違う印象を持った。これは「手の届く」事件だった。
         加害少女は小6のとき、友達の給食に漂白剤などを入れた。継続的なカウンセリングを勧められた父親は、「子供のいたずらだから」と拒んだ。昨年10月、実母が急死すると少女は無表情になっていく。知人によると、実母は亡くなる前、病室で少女の名前を何度も呼びながら添い寝をしてくれていたという。
         今年3月、少女は寝室の父親を金属バットで殴打し、一人でマンションで暮らすようになる。担当教諭は「好ましくない」と父に伝え、下宿などを勧めたが、そのさなかの5月に父は再婚する。父の20年来の知り合いは「せめて8月の精霊(しょうろう)流しまで待たんと娘が可哀そう、と話したが」と明かした。
        http://mainichi.jp/select/news/20140826k0000m040173000c.html
        「毎日新聞」2014年08月26日

        ●小中学生の不登校2314人 前年度より85人増 京都
         平成25年度の府内の不登校の小中学生は2314人で、前年度より85人増加していることが、府と府教委が公表した26年度学校基本調査(速報値)の結果でわかった。
         30日以上欠席した長期欠席者は小学生で1080人(前年度比68人増)、中学生で2535人(同120人増)。このうち病気や経済的理由などを除いた不登校は、小学生で前年度より5人増の410人、中学生で80人増の1904人だった。
         在学者に占める不登校の割合は小学校は0・31%で、全国平均の0・36%を0・05ポイント下回った。中学校は2・62%で、全国平均の2・70%を0・08ポイント下回った。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140826/kyt14082602150001-n1.htm
        「産経新聞」2014.8.26

        ●新聞読む子、正答率高く 全国学力テスト
         全国学力テストに合わせて実施しているアンケート調査によると、新聞を「ほぼ毎日読む」または「週1~3回読む」と答えた児童生徒の割合は小学6年で前年度比4.5ポイント減の27.3%、中学3年で同4.1ポイント減の21.5%となり、いずれも減少した。一方、よく読むと答えた児童生徒ほど学力テストの平均正答率が高い傾向があった。
         小6の算数Bでは、「ほぼ毎日読む」と答えた児童の平均正答率は66.2%で、「ほとんど、または全く読まない」という児童より11.6ポイント高かった。
        http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG25H12_V20C14A8CR8000/
        「日本経済新聞」2014/8/25

        ●奨学金の無利子枠3万人増
         文部科学省は27日、低所得世帯の子どもに対する経済的支援を拡充する方針を固めた。大学生や専門学校生への奨学金の無利子枠を3万人分増やし、国私立大の授業料減免枠も6千人分拡大して、家庭の教育費負担の軽減を図る。来年度予算の概算要求に必要経費を計上する。
         経済的に苦しい家庭の小中学生には給食費などを補助する就学援助があり、高校には無償化制度が導入されたが、大学などの高等教育は学費も高く、経済的支援も手薄。学ぶ意欲があっても経済的理由で進学を断念することがないように環境整備を進めるのが狙い。(共同通信)
        http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20140827000007
        「京都新聞」2014年08月27日

        ●発達障害の子ども、ITが学習支援 問題文読み上げソフト/キーボードで解答入力
         IT機器の発達で、発達障害の子どもの学習機会が広がっている。
         この夏も東京都内で、全国の発達障害などの小中高校生を集めた学習指導が行われた。こうした子がテストでIT機器を使うと、成績が上がるという検証結果も出ており、入試での使用をどこまで配慮すべきかが、議論になりそうだ。
         今月6日、東京都目黒区の東京大学先端科学技術研究センター。読み書きに困難を伴う小中学生9人がパソコンなどを使い、国語のテストに取り組んでいた。
         問題文を選択すると、音声ソフトが読み上げてくれたり、解答を手書きで記入する代わりにキーボードで入力できたり。「こうしたテクノロジーは、読み書き障害(ディスレクシア)の子どもにとって大きな助けとなり、学ぶ機会の保障にもつながる」と、同センター学術支援専門職員の新谷清香さんが説明する。
         ◇「配慮あり」で得点2倍に
         東大は日本マイクロソフト(東京都)などと協力し、障害のある子の進学を支援する「DO―IT Japan」プログラムに2007年から取り組んでいる。入試でも活用しやすいよう、今年は指定した学年の漢字しか変換できないソフトなどが準備された。この日、IT機器を使った「配慮ありテスト」を受けた児童たちはその直前、紙と鉛筆の「配慮なしテスト」も受けていた。難易度は同じだが、「配慮あり」の得点が「なし」の2倍だった子もいた。
         人間関係を築くのが困難な広汎性発達障害の男子(中学1年)は、鉛筆で書くのが遅く、漢字も苦手だ。学校の定期試験では時間延長の配慮を受けているが、パソコン使用は認められていない。「キーボードを使うと、たくさんの文章をすばやく書き込むことができた」と感想を語った。
         アスペルガー症候群で読み書きに困難がある女子(小学4年)は「読み上げソフトがあると助かる。学校のテストでも使えればいいのに」と話した。
         ◇「公平性」理由に許可されない例も
         このプログラムにかかわる近藤武夫・東大准教授によると、発達障害の生徒の場合、学校の試験や高校、大学入試で配慮を認められないケースが多いという。「授業を録音したり、黒板を撮影したりするだけでも違う。それなのに、他の生徒との公平性などの理由で許可されないケースが多い」と指摘する。
         政府は今年、国連障害者権利条約を批准した。16年春からは障害者差別解消法が施行され、教育場面での合理的配慮の提供が義務づけられる。大学入試センター試験では11年から、発達障害の生徒も受験での特別措置を申請できるようになった。審査に通れば、試験時間を1・3倍に延長する措置などが認められる。
         近藤准教授によると、来春のセンター試験では、プログラムに参加した読み書き障害のある高校3年の男子が、問題文を代読してもらう配慮を申請する予定。これまで認められた受験生はいないが、「この生徒は、高校の定期試験でも代読の配慮を受けている。大学入試センターの判断が注目される」と近藤准教授は話している。(保井隆之)
        http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/campus/cfront/20140825-OYT8T50056.html
        「読売新聞」2014年09月01日

        ●安倍首相:フリースクール視察 公的支援検討の考え
         安倍晋三首相は10日、不登校の児童生徒が通うフリースクール「東京シューレ」(東京都北区)を視察し、運営費の補助など公的支援を検討する考えを示した。首相は「学習面、経済面でどのような支援ができるか、検討を指示する」と表明。近く文部科学省に有識者会議を設置し、来年度中に結論を出す。
         文科省によると、不登校の児童生徒に学習支援や体験活動を行うフリースクールは全国に約400施設ある。学校教育法上の「学校」ではないため、校長の同意がなければ「出席」扱いにならず、保護者の経済的負担が大きいことも問題となっている。
         首相は10日、東京シューレのスタッフや生徒と懇談。記者団に「子どもがいじめなどで学校に行けない状況に目を背けてはならない。さまざまな生き方、学び方があることを受け止めることが大切だ」と述べた。【小田中大】
        http://mainichi.jp/select/news/20140911k0000m010105000c.html
        「毎日新聞」2014年09月10日
        今年も公文書開示請求をしました。
        2014/08/12
        毎年この時期には、地元の市役所の情報管理の窓口に出向きます。「学校基本調査」にアップしたであろう地元の学校の状況や付随する情報を知るためです。
         今年、開示請求したのは以下の6点についてです。

        1.平成25年度学校基本調査にもとづく向日市内各公立小中学校における不登校を始めとする「問題事象」等の状態を知ることができる資料。
        2.同、「特別支援教育」の状態を知ることができる資料。
        3.同、学びや生活等の面で支援を必要とする子どもや家庭に対して行われるスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の活用の状態を知ることができる資料。
        4.市内公立小中学校における児童相談所通告等の件数、内容および対応、その後の経過等がわかるここ数年分の資料。
        5.市内公立小中学校教職員における、精神疾患状態等を理由とする休・退職等の状況、その原因、対応、その後の復職状況などがわかるここ数年分の資料。

         1.は、2001年からなので、13回目になりますか。
         教育委員会事務方、当該校の管理職の皆さんには、暑い中お仕事を増やしてしまいますが、開示される「情報」が毎年「残念」なため、開示請求を続けざるを得ないわけです。

         ついでながら、5月31日(土)~ 6月1日(日)に開催された第64回「全国学校事故・事件を語る会」大集会で、時間があったら発言したかったことの概要を残しておきたいと思います。

         中学2年時、学校の荒れから不登校を選択し、高校入試当日朝に自死した長男。あれから14年が過ぎました。
         当時の学校・教委は、他のケース同様に沈静化、家族問題化(学校にモンダイはない)、拡散防止、箝口令などなど、質問しようが懇談しようが、黙して語らずを貫き、人権救済の執行にも完全無反応を通しましたので、遺族としては何の解決にも至っておらず、もがき苦しみつつ、この後も遺族・被害家族・当事者さんたちへのケアや再発防止の取り組みに参加しながら、でも「ずっと背負い続けるテーマ」とずっと向き合って行かなければなりません。
         そんな中、当時の学校長が某市の教育長というポストで退職されたらしいという情報を耳にし、なかなか反応できなかった(これもPTSD症状)ものの、ようやく認識ができるようになり、思ったことは、以下のようなことでした。
        ・ポスト(肩書き)から解かれた後なら、(本当のところの)当時の思い、そして今の思いを語れるのではないか? 語れるか否か、人としての誠実さが問われる。
        ・とはいえ、なかなか語れない圧力はあるわけで、それを緩める環境整備も必要だが、そのために何ができるか?
        ・改めて、この方は、生きている間に、誠実に語っておかれた方が良いだろうし、学校・教委・教育行政の歪んだシステムを浄化していくために、こうしたOBの「証言」は大きな役割を果たしてくれるだろう。

         今年の大集会のテーマは「…過去・現在・未来」。過去、現在を取り組む方々、そのアイテムは着実に拡がってきています。自身の過去~現在までの取り組みに上限が見えて来た今、少しだけ未来に向かって、14年を過ごした者だからできることを課題としたい(しないと自身が保てない)、そんな思いの一端です。
         ま、特に急ぐこともないので、じっくりと、あまり自身を追い込まずにやっていくことにしたいと思います。

        ↓長男の事件の顛末です。ご参考になればと思い…。
         熱帯雨林地域では3,944円から18,991円(確かに希少本ですが)。地域の図書館において頂いている所も少なくないようです。なければ置いてもらえるよう要望すれば、わざわざ購入される必用はなくなるかと思います。

        http://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/4876996717/ref=dp_olp_0?ie=UTF8&condition=al

         それでは、最近の気になる記事です。

        学校基本調査:不登校小中6年ぶり増 前年度比7000人

         2013年度に全国で不登校(年間30日以上欠席)だった小中学生は約12万人で、前年度より約7000人増えたことが、文部科学省が7日公表した「学校基本調査(速報値)」で分かった。12年度まで5年連続で減少していたが6年ぶりに増加に転じ、10年度の水準に戻った。
         学校基本調査は、全国の学校の生徒数など実態を把握するため、文科省が毎年5月に幼稚園から大学まで国公私立の全学校を対象に実施している。
         不登校の小学生は2万4175人で前年度より2932人増えた。全児童に占める割合(不登校比率)も0.36%と、0.05ポイント増で過去最高水準。276人に1人の割合だ。中学生は9万5181人で前年度比3932人増。不登校比率は2.69%で0.12ポイント増だった。37人に1人の割合だ。小中学生を合わせると11万9617人(不登校比率1.17%、中等教育学校含む)で、前年度より6928人増加した。
         不登校児童生徒数のピークは01年度の13万8733人で、不登校比率は1.23%。特に中学校では中学1年で急に不登校が増える「中1ギャップ」などもあり不登校比率が高く、1991年度は1.04%だったのが毎年増え続け、01年度は2.81%。ピークは07年度(2.91%)だったが、それ以降は減少傾向だった。
         不登校を巡っては、06年度に不登校だった中学3年生の5年後の追跡調査の結果、前回調査(93年度に不登校だった中3生対象)に比べ、高校進学率が20ポイント増の85%、高校中退率は24ポイント減の14%になるなど不登校後の進路状況に改善がみられた。文科省は、不登校生を対象にした高校の整備など「受け皿」の多様化が進んだ結果と分析していた。
         今回、不登校の児童生徒が増えたことについて同省は「今回の調査は理由を聞いていない。秋に公表予定の問題行動調査では理由を調べているので、その結果を分析しないと分からない」としている。【三木陽介】
        http://mainichi.jp/select/news/20140808k0000m040039000c.html
        「毎日新聞」2014年08月07日

        ●学校基本調査:「苦しいなら行くな」保護者の意識変化
         文部科学省が7日公表した「学校基本調査」では、減少傾向が続いていた不登校の児童生徒数が増加に転じた。不登校の子供を支援する専門家は「いじめ自殺が社会問題になり『それほど苦しいなら学校に行かなくてもいい』と考える保護者が増えた」「競争が激化し、より疎外感を持つ子が増えているのでは」などと、増加の理由を分析している。
         2011年、大津市で中学2年の男子生徒がいじめを受けて自殺する事件が起き、いじめ問題に対する社会の関心が高まった。フリースクール「東京シューレ」(東京都北区)の奥地圭子代表は「いじめで極限状況に追い込まれるくらいなら学校には行かなくていい。そう考える保護者が増えたのが理由ではないか」と話す。フリースクール「近畿自由学院」(大阪市城東区)の田中佑弥代表も「学校に戻らずとも、ゆっくり進路を考えればいいとする保護者が最近増えている」と、親の意識変化に注目する。
         一方、元小学校教員の増田修治・白梅学園大教授は「子供が常に競争にさらされ、圧力を感じている証拠」と警鐘を鳴らす。「全国学力テストに象徴されるように学校間や自治体間で成績を競う動きが出始め、勉強が苦手な児童生徒は疎外感を感じている。弱者を切り捨てようという社会の縮図が学校にも表れているからではないか」と分析している。【坂口雄亮、三木陽介】
         ◇所在不明小中学生397人 12年度から3年連続減
         今年5月現在、1年以上所在が分からない小中学生(7~14歳)は前年度より308人少ない397人で、2012年度から3年連続で減少したことが「学校基本調査」で分かった。各自治体の教育委員会と福祉部局、警察が連携を強化し居場所の把握を進めたのが要因とみられるが、同省は「400人近い居所不明者がいるのは問題。政府全体で対策を検討し減らす努力をしたい」と話している。
         各学校の在学者数は少子化の影響で小学校660万人(前年度比7万7000人減)、中学校350万4000人(同3万2000人減)でいずれも過去最低。一方、特別支援学校は13万6000人と前年度比3000人増で過去最高を更新した。高校も前年度を上回った。
         幼稚園から大学までの女性管理職(校長、副校長、教頭、学長など)は全体の23.3%にあたる2万1827人で過去最高だった。
        http://mainichi.jp/select/news/20140808k0000m040092000c.html
        「毎日新聞」2014年08月07日

        ●教員統計調査:うつ病など精神疾患で退職教員969人に
         2012年度にうつ病などの精神疾患が理由で退職した教員は、国公私立学校(幼稚園から大学まで)で前回調査(09年度)より18人多い969人に上ることが4日、文部科学省の調査で分かった。このうち中学校は前回より30人増えた。公立小中高校などの精神疾患による休職教員は11年度が5274人、12年度は4960人と年間5000人前後の高水準が続いており、専門家は「世界一多忙」とされる教員の環境改善の必要性を指摘している。
         3年ごとに実施される「学校教員統計調査(中間報告)」で分かった。精神疾患による退職者数を調べたのは前回から。今回は、幼稚園218人▽小学校356人▽中学校227人▽高校124人▽大学38人▽短大6人。中学以外は前回調査と比べ増減はあまりなかったが、中学で前回より30人増えた。全退職者の理由のうち、精神疾患の割合も中学が約2・4%で最も高かった。
         油布佐和子・早稲田大教授(教育社会学)は「中学校は仕事の領域が広い。教科指導の他に特別活動、部活動指導などで、手いっぱいの状況だ。中学1年で不登校が一気に増える『中1ギャップ』に顕著なように生徒指導の課題も多い。教員評価の導入によって、失敗できないプレッシャーもある。人手が足りない状況を解消すべきだ」と話している。
         一方、公立小中高校の退職者数は、公立小1万8007人(定年退職67%、定年外33%)▽公立中8684人(定年退職57%、定年外43%)▽公立高6302人(定年退職70%、定年外30%)でいずれも前回を上回った。【三木陽介】
        http://mainichi.jp/select/news/20140805k0000m040082000c.html
        「毎日新聞」2014年08月04日

        ●長崎の教諭、児童に「負けたら窓から飛び降りて」 謝罪
         長崎県雲仙市の小学校で6月下旬、40代の男性教諭が休み時間中、担任する6年生の男子児童に「ゲームで負けたら窓から飛び降りて」と発言し、市教委から文書訓告の処分を受けていたことがわかった。
         市教委によると、教諭は道徳の授業参観が始まる直前、校舎3階の教室で児童らと数字を言い合うゲームをした。男子児童が「先生に勝てます」と言った際、負けたら飛び降りてもらうという趣旨の発言をした。
         当時、男子児童の保護者も含め10人ほどの保護者が教室に集まっていた。教諭は授業後、男子児童の保護者に謝罪。保護者も受け入れたという。
         訓告は7月31日付。教諭は「今後このようなことがないよう言葉に十分気をつけながら、子どもたちと接していきたい」と反省しているという。
         教諭は、2004年に小学校6年生の女児が同級生を殺害した事件が起きた同県佐世保市の小学校で2人の担任を務めていた。
        http://www.asahi.com/articles/ASG8D3FC4G8DTOLB006.html
        「朝日新聞デジタル」2014年8月12日

        ●西東京虐待自殺:2度のSOS伝わらず…会話3時間後の死
         西東京市で中学2年の男子生徒(14)が母親の再婚相手である父親の虐待を受けて自殺した事件は、学校が2度にわたるSOSのサインを見逃し、最悪の事態を招いた。生徒は先月29日、傷害容疑で逮捕された無職、村山彰容疑者(41)から「24時間以内に首でもつって死んでくれ」と言われ、翌日に命を絶っていた。警視庁は自殺教唆の疑いでも調べる方針だが、追い詰められていた生徒を救う手立てはなかったのか。
         ◇兆し
         市教委によると、生徒は明るい性格でテニス部に所属。同級生の母親は「(母の再婚で2歳の)弟ができたことを喜んでいた。家事を手伝ったりとお母さん思いだった」と振り返る。
         最初のサインは昨年11月中旬。右目が腫れていることに担任教諭が気付いた。「父親にたたかれた」と話したため村山容疑者に事情を聴いたところ、暴力を認めた。しかし生徒が「父親のように強くなりたい」などと話したことから児童相談所に通報しなかった。
         担任は今年の4月にも顔にあざを見つけたが、生徒は「父親に殴られたが、いつもじゃないので大丈夫」と答えたといい、学校は両親への聞き取りをしなかった。6月13日から「体調不良」などを理由に欠席するようになり、担任は家庭訪問を申し入れたが、村山容疑者は「親戚宅にいる」などと拒み、そのままになった。
         ◇自殺
         自殺当日の7月30日午前6時ごろ。母親は、自宅アパートの自室ベッドの上でぼんやりしている生徒を見た。「大丈夫?」と声をかけると「大丈夫だよ」と返した生徒は約3時間後、同じ場所で首をつっているのが見つかった。遺書はなかった。
         村山容疑者はこの日逮捕された。容疑は前日の29日午後、生徒の顔などを数回殴るなどしてけがをさせたというもので、「首でもつって死ね」との発言はこの暴行直後に出たとみられる。
         村山容疑者はボクシング経験者で、調べに対し「子供を強くするため、以前からボクシンググローブをはめて殴っていた」などと供述したという。虐待は3~4年前に生徒の母親と同居した直後から始まったとみられ、母親は「今年6月中旬から激しくなった」と説明している。
         ◇防止策
         元児童相談所長で花園大の津崎哲郎特任教授(児童福祉論)は「連れ子の場合、母親は夫に気兼ねして虐待を止められず子供が孤立しがち。地域で連れ子再婚家庭同士が意見交換したり、助言を受けたりするような態勢が必要」と話す。児童虐待防止を目指すNPO「Think Kids(シンクキッズ)」代表理事の後藤啓二弁護士も「暴力傾向の強い親には、児相や警察を巻き込んで頻繁に家庭訪問し子供の安全を守る必要がある」と訴える。【神保圭作、松本惇】
        http://mainichi.jp/select/news/20140809k0000m040135000c.html
        「毎日新聞」2014年08月09日
        当時は「自閉症スペクトラム」概念はまだなかったわけで。
        2014/07/13
        気がつけば、1ヶ月以上が経過していました。あいかわらずドタバタしていたわけです。
         ↓少し古い本ですが、わかりやすいものです。教育、福祉、医療など(ご家族も含めて)、関わる方には知っておいて欲しいことがたくさん記載されています。
        『自閉症スペクトラムの発達と理解』、別府哲・奥住秀之・小渕隆司
        http://www.nginet.or.jp/shuppan/2005/spectrum.html
         ↓ついでながら、まとまったものです。
        『完全図解 アスペルガー症候群』、佐々木正美 (監修), 梅永雄二 (監修)
        http://www.amazon.co.jp/完全図解-アスペルガー症候群-健康ライブラリー-佐々木-正美/dp/4062596717/ref=sr_1_48?s=books&ie=UTF8&qid=1405234097&sr=1-48&keywords=アスペルガー症候群

         少し前のある日の夜、ご近所の方からヘルプの電話をいただきました。
         地元の小学校区の「気になる(支援が必要+既に受けている)子ども」と関わる祖母・母の集まりに助言者?として参加した折に、(ご近所ながら)改めて深い話を聴かせていただいた方です。
         この集まりに来られた方々が関わる対象は、知的障害、ダウン症、アスペルガー障害+ADHD、「発達障害」という診断、支援学校在籍・高等部卒業後「作業所」にほぼ毎日通所されているなどなど。ご近所なんですが、これほどの「対象」がおられること、その比率の高さに驚いたところでした。
         その夜のヘルプは、(半年に1回くらいのようですが)ちょっとした嫌なことでパニックとなりちゃぶ台返し、親への暴言・暴力(突き飛ばし)、親が避難(家を出る)後に頻繁な電話とメール(すぐ帰ってこい、家を燃やすぞ!)…。
         強い依存と確認行為と思われましたが、破壊や着火などが絶対ないとは言えず、一晩避難(距離取り)してクールダウンしてもらい、私は電話直後と本人さんが寝る時間(決まっている)に家の前まで観察に。
         近所の市会議員(の奥さん)さんも(顔なじみなので)訪問してくれたそうです。
         予想通り、1回目はテレビを見ておられ、2回目は既に寝ておられ…。
         翌朝も犬の散歩コースを拡げて見に行きましたが、これが毎朝なんだろうなと思える生活音を確認しました。
         療育手帳Bで支援を受けて来られましたが、18歳を過ぎて「障害福祉サービス」による支援だけとなり、それでも自閉症スペクトラム特性は見過ごされて来られたようです。
         その後、その前夜から翌朝にかけての、双方の情報をご家族と共有しましたが、見事に自閉症スペクトラムの特性が確認でき、定期的な相談をさせてもらうことになりました。その夜は妹さんが深夜に家に戻り(電話でのやり取りで本人さんが注文されたおにぎりを買って)、問題なく一晩過ごされたとのこと。(おにぎりは、毎日の昼食で、母親が居ないために注文されたようです)
         相談の方向性は、特性の理解(当面の関わり方を含む)と、5年後・10年後を見据えた自立した地域生活を組み立てていくこと(家族の関わりの短期目標と長期目標となるものです)。
         家庭や地域での生育・生活状況を知ることなしに、病院や施設等での直接支援だけでは、本人さんの「困り」や自立への課題は見えて来ません。
         家庭、学校、医療、施設で抱え込んでいては、自立への課題は取り組めないと、改めて考えさせられた12時間でした。(ほとんど寝ていたのですが(+_;))。

         それでは、最近の気になる記事です。(今回も自殺事案を含むいじめ関連が満載です)

        児童虐待が過去最悪ペース 1~5月、前年を21件上回る75件 茨城

         ◆10年で倍以上に
         茨城県警が今年1~5月に認知した児童虐待の件数が75件で、過去最多だった前年を上回るペースで増加していることが分かった。虐待を含め、子供が被害者となる痛ましい事件が全国で相次ぐなか、県内では今月19日、小学生の長女、長男への傷害容疑で日立市の両親が逮捕された。子供に危害が及ぶ可能性が高く、速やかな保護が求められるケースも増え、県警は対応の迅速化や積極的な事件化を進めている。
         県警少年課によると、児童虐待の認知件数はここ数年、増加傾向にある。昨年1年間は160件と過去最多となり、統計を取り始めた平成16年の73件から倍以上に増えた。今年1~5月は75件で、前年同期を21件上回るペースだ。
         25年のまとめによると、内訳は身体的虐待60%、心理的虐待19%、育児放棄16%、性的虐待3%で、加害者の約8割は実の父母だった。被害児童の年齢は小学生が42%と最多で、前年から約1・3倍に増えた。
         関係者の通報、職務質問などで虐待を認知した場合は「最寄りの警察官がまず訪問して児童の安否確認を行うのが原則」(少年課)で、必要に応じて児童の保護、児童相談所への通告などを行う。日常的な虐待など危険性が高いと判断すれば、傷害や暴行などの容疑で加害者を摘発するが、こうしたケースは今年に入り、日立市の事件で4件目。半年で昨年1年間の摘発数と並んでいる。
         県警は26年度、生活安全総務課内に人身安全対策室を設け、関係部署間の速やかな情報共有で児童虐待の対応強化を図っている。同室の小森正彦室長は「個々のケースの状況を適切に判断し、必要な場合は事件化も積極的に進める」としている。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140627/ibr14062702030001-n1.htm
        「産経新聞」2014.6.27

        ●自殺児童生徒:500人調査 背景に貧困5%いじめ2%
         文部科学省は19日、2011年以降に自殺した国公私立の小中高校、特別支援学校の児童生徒約500人について実態調査結果を初めて公表した。背景に進路問題を挙げたケースが多かったが、経済的困難で将来を悲観した自殺が5%と、いじめ(2%)より多く、分析した専門家は「貧困問題も影を落としている」と、予防対策の必要性を強調した。
         調査は、学校、家庭、個人の各背景に関連する項目を設定し、学校が複数選択で回答。文科省が調査実施を通知した11年6月から13年12月までに回答があった約500件を専門家が分析した。
         学校的背景では、受験失敗などの「進路問題」が最多で12%。不登校10%▽友人関係8%▽学業不振7%と続き、体罰など「教職員の指導」は3%、「いじめ」は2%だった。
         家庭的背景は、保護者との不和10%▽保護者の離婚7%▽経済的困難5%など。個人的背景では、精神科治療歴があったケースが14%で最多だった。分析を担当した高橋祥友・筑波大教授(災害精神支援学)は「子供の自殺はいじめに焦点が当てられるが、回答をみると貧困など家庭的背景も少なくなく、自殺予防対策に生かしたい」と話している。【三木陽介】
        http://mainichi.jp/select/news/20140620k0000m040060000c.html
        「毎日新聞」2014年06月19日

        ●長崎・中3自殺:「いじめ記載」隠し報告 両親に町教育長
         長崎県新上五島町でいじめを受けていた町立奈良尾中3年、松竹景虎(まつたけ・かげとら)君(当時15歳)が自殺した問題で、道津(どうつ)利明・町教育長が松竹君の自殺から16日後に両親に調査報告書を読み上げた際、いじめを示唆する部分を意図的に読み飛ばしていたことが分かった。両親は「教育長の勝手な判断で重要な情報が隠された」と不信感を強めている。
         両親によると、松竹君は1月8日に自殺し、学校側は翌日に全校生徒45人にアンケート。16~20日には同級生20人に聞き取り調査をした。
         両親によると、道津教育長は1月24日、A4用紙1枚の調査報告書を両親に読み上げた。報告書には「生徒からの情報」としてアンケートや聞き取り結果から「(通信アプリの)『LINE(ライン)』のやり取りから自死をほのめかす言動があった」「下校時のバス内で(松竹君から)友人に『何だか疲れた』『自分は嫌われているんだろう?』という問いかけがあった」「(松竹君がラインで自殺の)用意ができていると友人に伝え、ビニールひもの写真を見せている」などの記載があった。
         しかし、道津教育長は「生徒からの情報」を読まず、教職員からの情報として記載された「事故に直接結びつく言動は見られなかった」や「自身の資料、交友関係、学校生活から、いじめがあり苦にしていたとはとらえにくい」などとした「総括」を読み上げた。
         報告書は両親には渡されなかった。町教委は松竹君の自殺から1カ月以上後に、この報告書を両親に開示。「生徒からの情報」の記載が記憶になかった両親が問い合わせたところ、町教委が今月13日に読み飛ばしたことを明らかにしたという。
         道津教育長は浜崎健也・学校教育課長を通して読み飛ばしを認めたうえで「ご遺族の心情に配慮した」とコメントを出した。
         松竹君の父裕之さん(50)は「読み飛ばしがなければ親としては『いじめがあったのでは』と早く気づくことができた。教育長は『遺族に配慮した』と言いながら、全く逆のことをし、遺族を傷つけている」と語った。【樋口岳大】
         ◇包み隠さずに伝えるべきだ
         子供の人権問題に詳しい住友剛・京都精華大教授(教育学)の話 「遺族感情に配慮する」と言うのであれば、まず遺族が何を望んでいるのかを聞き、遺族が「事実を知りたい」と言うのであれば、包み隠さずに伝えるべきだ。遺族の意向を確認せずにこういうことをすると、教育委員会が出したくないことを隠したと思われても仕方ないのではないか。
        http://mainichi.jp/select/news/20140617k0000m040157000c.html
        「毎日新聞」2014年06月17日

        ●長崎・中3自殺:いじめ原因か 自殺直前「死ぬ準備」「さようなら」 ライン、SOS届かず
         長崎県新上五島町で今年1月に自殺した同町立奈良尾中3年の松竹景虎(まつたけかげとら)君(15)が、同級生からいじめを受けていたことが遺族などへの取材で分かった。松竹君は2学期から無料通話アプリ「LINE」(ライン)を使って複数の同級生に自殺意図を伝え、一部の同級生の保護者も知っていたが、誰も両親や学校に伝えなかった。両親は「なぜ教えてくれなかったのか」と話し、真相究明を求めている。【樋口岳大】
         父裕之さん(50)、母稚代香さん(54)らによると、松竹君は3学期初日の1月8日午前7時20分ごろ、自宅を出た。学校から登校していないとの連絡を受けた両親が捜し同9時10分ごろ、自宅近くの町営グラウンドのトイレ付近で、自作のロープで首をつっているのを発見。死亡が確認され、死因は窒息死だった。
         学校は翌9日から複数回、同級生20人へのアンケートや聞き取り調査などを実施。1月下旬、町教委が両親に「いじめは見つからなかった」と報告した。
         しかし3月下旬、一部の同級生が両親に「景虎君はいじめを受けていた」と証言。クラス内で「うざい」「嫌い」などの悪口を日常的に言われ、「自分はみんなに嫌われている」と悩んでいたという。
         両親が町教委や同級生などから聞いた話でも、松竹君は昨年11月からラインで「死ぬ前にやることが3つ」などと記述し、自殺前日には「死ぬ準備はできている」、当日には同級生に「さようなら」などと送っていた。
         松竹君は携帯音楽端末でラインを利用。複数の同級生が自殺をやめるようメッセージを送っていたが、松竹君の両親や学校には知らせていなかった。
         一部の同級生は保護者のスマートフォンでラインを利用しており、自殺を巡るやり取りを見ていた保護者もいたが、やはり松竹君の両親や学校に知らせなかった。町教委は今月7日、両親に「いじめと思われる言動は見られるが、自殺につながっていると断定できない」と報告した。
         父裕之さんは「景虎が自殺しようとしていることを知っていたのに、死ぬまで誰も教えてくれなかった。それこそが、最大のいじめではないか」と語った。
         ◇見ていた保護者、周囲に伝えず
         今年1月に長崎県新上五島町の中学3年の男子生徒が自ら命を絶ったのは、3学期の始業式がある朝だった。年末年始の冬休み、生徒はいつになく両親のそばを離れなかった。悩んだ末に自殺をほのめかす言葉をラインに並べた生徒。書き込みを知る周囲からも情報は寄せられず、生徒の声は届かなかった。
         町教委から1月下旬に「いじめは見つからなかった」と伝えられた時、父裕之さんと母稚代香さんは疑いもせず、「受験前の時期に申し訳ない」と頭を下げた。だが、小さな集落にはすぐに「いじめがあったらしい」とのうわさが広まった。
         卒業式が終わった3月下旬、同級生2人が松竹家を訪れ、いじめがあったことを両親に告白。数人の生徒を中心としたグループがあり、従わないと自分がいじめられるとの恐怖心から、他の生徒たちも同調していたことを明かした。
         「みんなに嫌われている」と悩んだ松竹君は、昨年11月ごろからラインで自殺をほのめかし始めた。一部の同級生は保護者のスマートフォンを使っており、ある保護者は松竹君の死後、「『死ぬ、死ぬ』という松竹君と、『死ぬな』という同級生のやり取りを1時間にわたって見ていたことがある。伝えられず申し訳ない」と両親に謝りに来た。
         両親が受けた学校の説明や同級生の証言などから、自殺当日の朝の様子も明らかになってきた。松竹君が通学バスに乗って来なかったため、ラインの書き込みを知っていた同級生たちが「やばいんじゃないか」と騒ぎ始めた。生徒たちが学校に着くと、教室でも「自殺したんじゃないか」と騒ぎになった。しかし、教室に来た担任には誰も伝えなかった。
         松竹君は、中学で野球部の副主将を務め、プロ野球・阪神タイガースの大ファンだった。【樋口岳大】
         ◇防止法成立1年、学校側対策せず
         いじめ自殺問題を巡っては、2011年の大津市立中2男子生徒の自殺事件で、市教委の隠蔽(いんぺい)体質などが問題視され、再発防止を図るため昨年6月、いじめ対策では初となる「いじめ防止対策推進法」が成立。9月に施行された。
         同法は、いじめによる自殺の疑いがある重大事態が発生した場合、学校や教委が速やかに調査組織を設置して事実関係を調べ、結果を遺族側に適切に提供することを規定。調査組織は平時から設置し、第三者が参加し公平性・中立性の確保に努めるとしている。
         また、学校に対して、いじめの早期発見と迅速な対応のため、教職員や福祉などの専門家によるいじめ防止対策組織の常設を求めており、重大事態にはこの組織が母体となり、必要に応じて適切な専門家を加えて調査するとされている。
         今回の事案が起きた長崎県新上五島町立中は、こうした防止対策組織を設置していなかったという。同法が定める重大事態への対応やいじめ防止の取り組みは自治体や学校で差があるとみられ、文部科学省は法の実効性を把握するための全国調査を始めたばかりだった。【三木陽介】
        http://mainichi.jp/shimen/news/m20140527ddm012040096000c.html
        「毎日新聞」2014年05月27日

        ●中3自殺:松竹景虎君が残した夏休みの作文 いじめテーマ
         長崎県新上五島町で1月に自殺した町立奈良尾中3年の松竹景虎(まつたけ・かげとら)君(当時15歳)が、昨年の夏休みに学校の宿題でいじめをテーマにした作文を書いていたことが分かった。当時、松竹君は日常的に同級生からいじめを受けて悩んでいた。作文では自分がいじめられていることには触れず、いじめが起きる仕組みなどについて書いていた。記述内容は松竹君が学校内で置かれていた状況と重なり、学校や同級生への訴えと言えそうだ。
         作文は、人権を主題にして宿題として出されていた。松竹君は「空気」のタイトルで、なぜいじめが起こるかや、なくすためにはどうすればいいかなどを約2000字でつづっていた。松竹君の死後、学校から両親に返還された。
         両親が同級生から聞いた証言などによると、いじめは昨年の夏休み前の1学期から始まっていた。数人のグループを中心に他の生徒も同調し「陰口を本人に聞こえるように言うなど精神的に追い込んでいくいじめだった」という。松竹君は「自分は嫌われている」と悩み、2学期から無料通話アプリ「LINE」(ライン)で複数の同級生に自殺する考えを伝えるようになっていた。
         松竹君は作文に「いじめの原因は何かを伝えよう。それは『空気』だ。目に見えないものだから恐ろしい。いじめをしなければ自分がやられてしまうという空気……」と書いている。
         また「『あの人嫌い。あなたもそうでしょ?』と言われたら『いいえ』と答える勇気があるだろうか」と問いかけ「もし、少しでも友達が嫌いな子に優しくすれば、そのことを責められ、今度は自分がいじめの対象になるのではないかという不安と恐怖にかられる。それの連鎖がおこるから、周りの人に合わせるといじめがおこる可能性がある」と記した。
         松竹君は成績が良く、学校行事でもリーダー的な存在だった。ある同級生は「目立つことをよく思わない生徒がいて、悪口を言われたと思う」と語る。1、2年時には別の生徒がいじめられ、3年になって松竹君が対象になったという。作文にも「対象者は移り変わってもいじめは続く。人間というのは、自分より下の人間がいなければ不満をもつものだ」と書かれていた。
         作文の後半部分で、いじめの解決方法として「みんなが親友になることだ」と記し「偏見やおくそくだけでその人の性格を決めつけるのはよくない。笑顔で話さなければ相手の性格はわからない。笑顔の大切さだけは忘れないでください」と結んでいた。
         父裕之さん(50)によると、松竹君は作文があまり好きではなく、普段は両親に見せてアドバイスを求めていたが、この作文は見せていなかった。学校から返還されて初めて作文の存在を知った。裕之さんは「息子が自らのことを書いている。遺書のように感じる」と受け止めている。
         一方、町教委は5月28日の記者会見で「悪口など一つ一つの事案はいじめと認められるが、自殺の原因とは断定できない」とし、町は第三者委で検証する方針を示している。【樋口岳大】
         ◇松竹君が書いた作文(一部抜粋)
         空気
         情報社会である現在、毎日膨大な情報が流れてくるが、必ずといっていいほど目にする記事がある。それがいじめ問題だ。「中学の男子生徒がいじめにより自殺しました」などという事件が起こるのが最近はあたりまえと思う人が増えていると思う。
         いじめの加害者の気持ちを想像してみた。主な理由は二つほど考えられる。一つ目は、いじめという行為が楽しい。「相手の反応がおもしろい」などがよく補足としてつけ足される。このての加害者は恐らく、自分がその苦痛を知ることでしかやめないだろう。
         二つ目は、周りの友達に合わせているからだと考えられる。そう、ほとんどの人が自分が嫌われないように生活しているのだ。もし、少しでも友達が嫌いな子に優しくすれば、そのことを責められ、今度は自分がいじめの対象になるのではないかという不安と恐怖にかられる。それの連鎖がおこるから、周りの人に合わせるといじめがおこる可能性があると思う。
         もっともたちが悪いのは後者の方だ。なぜなら、いじめが完全に終わることがほとんどないからだ。対象者は移り変わってもいじめは続く。
         では、いじめの原因は何かを伝えよう。それは「空気」だ。これが目に見えないものだから恐ろしい。いじめをしなければ自分がやられてしまうという空気、いじめに参加しないといけない空気。いじめの加害者、主犯でさえも空気によって動かされているのだ。
         この問題を解決する方法はただ一つ……。みんなが親友になることだ。そう、実はすごく簡単なはずなのだ。人の笑顔は人を笑顔にし、その笑顔がまた別の人を笑顔にすると思う。僕の好きな歌にこういう歌詞がある。「空気なんてよまずに笑っとけ、笑顔笑顔、笑うかどには福来たる」。暗い顔をしていてもいいことは起こらない。学校で習う数学の公式や英単語を忘れても、笑顔の大切さだけは忘れないでください。
        http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-226589-storytopic-1.html
        「琉球新報」2014年6月6日

        ●教委改革法案が成立 首長の権限強化、教育行政に民意反映も
         教育委員会制度を見直す改正地方教育行政法が13日の参院本会議で可決、成立した。自治体首長の権限強化と、教育行政の責任明確化が柱で、自治体ごとに教育方針の大綱などを定める「総合教育会議」の設置を盛り込んだ。改正法は来年4月1日に施行される。
         改正法は、(1)教育長と教育委員長を統合した新「教育長」を置き、首長が議会の同意を得て直接任命・罷免する(2)首長と教育委員会で構成する総合教育会議を自治体に新設し、教育行政の指針となる大綱を策定する(3)いじめ自殺の防止など緊急の必要があれば、文部科学相が教育委員会に是正を指示できる-という内容。
         首長の権限が大幅に強化されたことで、教育行政に民意が反映され、責任の明確化や透明化が図られるようになる。一方、国会での審議では、形骸化が指摘されていた教育委員会の廃止を求める意見も出たが、教育の「政治的中立性」を求める声に配慮し、教育行政の最終権限は教育委員会に残すことにした。
         教育委員会制度の改革をめぐっては、政府の教育再生実行会議の提言を受け、中央教育審議会が昨年末、教育行政の最終権限を教育委員会から首長に移行する案などを答申。しかし公明党が難色を示したため与党協議で修正され、4月に改正案が閣議決定された。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/140613/edc14061313270001-n1.htm
        「産経新聞」2014.6.13

        ●粘着テープ:多動傾向の児童に 京都・市立小の教諭
         京都市山科区の市立小で今年4月、大声を上げるなどした1年生男児(6)に対し、担任の女性教諭が静かにさせようと粘着テープの切れ端を示し、男児がそのテープを口などに張っていたことが分かった。男児には多動傾向があり、家族が「差別的な扱いだ。担任自身が粘着テープを張ったのではないか」と抗議し、学校が全児童に聞き取り調査を実施。担任が張ったかは確認できなかったが、市教育委員会は「粘着テープを示したこと自体が不適切」とし、学校側は謝罪したという。
         市教委によると、男児は入学前から多動の傾向があり、家族が特別なケアを求めていた。クラス(22人)にはほかにもケアが必要な児童が複数おり、学校は支援員を重点配置していた。
         4月18日の健康診断の際、児童に落ち着きがなかったため、担任が粘着テープを切って「これが必要かな」と言いながら机に張った。その後、児童がテープを口や額に張った。さらに同月25日の授業中にも、同様のことがあったという。
         文部科学省の2012年の抽出調査によると、普通学級に通う公立小中学生の6.5%が、注意欠陥多動性障害(ADHD)▽学習障害(LD)▽高機能(知的発達の遅れのない)自閉症−−の発達障害の可能性があり、「読む・書く」が苦手、授業に集中できないなどの課題を抱えているとされる。【榊原雅晴、藤田文亮】
         発達障害の子供に詳しい浜松医科大の杉山登志郎特任教授(児童青年期精神医学)の話 学校が一人一人の教育環境を保障できていないことによって起こった現象といえる。授業が正常にできなければ、発達障害の子にとっても他の子にとっても、大事な学校が台無しになる。支援方法を知る教員を増やす▽特別支援学級も選択しやすくする−−など、学校現場全体での対応が求められている。個々の教員を責めて解決する問題ではない。
        http://mainichi.jp/select/news/20140605k0000e040212000c.html
        「毎日新聞」2014年06月05日

        「ストレス」や「疲れ」を、きちんと感じられること。
        2014/05/25
         長いこと更新できていませんでした。何やらバタバタと忙しく、「疲れ」感も相当あって、稼働時間が減っていることも理由でしょう。睡眠も、時間はそれなりにですが、質が悪いようです。翌朝の爽快感など全くといって良いほど無く…。
         「ストレス」や「疲れ」を、きちんと感じられることが、今の私の課題です。
         性格的にはたぶん、いわゆる「タイプA」。それなりのレベルでやらないと気が済まない、気になってしまうと放置できない、などなど。睡眠の質の悪さやトラウマも影響して、昼間の脳は過覚醒で結構グルグルと回っているのでしょう(ただ回っているだけですが…)。
         肉体的な疲労は感じやすい(とはいえ、2~3日後に筋肉痛が始まる年齢)のですが、ストレスが脳に与えるダメージは気づきにくいものです。そして、適切な回復作業がなされないと、蓄積され複雑化していきます。
         私なりの対処は現在、次のようなものです。
        ・スケジュール管理は、iCal(Macのカレンダー、クラウドでパソコンと携帯端末などを同期できるもの)に統一。
        ・備忘メモやその日の記録メモは机上の手書きノート。
        ・とにかく睡眠確保。10:00-6:00、お年寄り的な生活。
        ・3食(野菜多めで)きちんと食べ、間食は基本的にしない(付き合い食べは必用)。夜は炭水化物を摂らない。
        ・2W/1回のカウンセリング&受診(中心テーマはトラウマ処理と睡眠)、鍼灸。
        ・仕事や活動を家での生活に持ち込まない(できるだけ)。
        ・「疲れた~」を口にする(一人の時限定)←自己覚知を高めるため。
        ・プチ逃避行動(車で3時間程度出かけたり、年に1回程度は1泊の車旅)。
        ・衝動買い(本当に必用か、2~3日から1W程度考えて)→概ねAmazonで、本や小物類。ストレスとの関係を把握する。
        ・事務所は整理整頓、キレイに保つ。
        ・会計処理はその日の内に済ませる←これは絶対にいい加減にできないものと決めている。
        ・「やる気モード」にスイッチが入るのを感じる→動く(午後からのようです)。
        ・気圧変化(低下)やPM2.5測定値と身体症状(だるさ、肩の痛み、鼻腔周辺の違和感など)との関連を確認する←かなり重要。
        ・ニュース(新聞、ネット)、メールや通信(郵便物など)の情報は、毎朝と時間が空いた時に時間を決めて収拾し、対応する→個人宛の情報は放置しない。

         などなど、です。結構、いっぱいあって、「整理」しているようで実際は「やる事」を増やしているような…。
         ドコモポイントでGETしたリストバンド型活動量計「ムーヴバンド™」にて、睡眠時間(夜にじっとしている時間)を計測していて(あくまで参考程度)、睡眠の浅さが明らかになっています。
         ただ、「ストレス」や「疲れ」は、自覚しようと意識していても、なかなか自覚できないのも実情です。「そこそこの年齢なんだから、疲れて当たり前」と言い聞かせつつも、脳が過覚醒・亢進状態のため、正確に疲れ度合いをキャッチできるようになるためには、まだまだ修業が必用です。

         それでは、最近の気になる記事です。(今回も自殺事案を含むいじめ関連が満載です)

        いじめ対策:全国調査 文科省、実態把握へ 法成立1年

         文部科学省は、昨年6月に成立した「いじめ防止対策推進法」が定める「いじめ防止組織」の設置など対策の推進状況について、全国調査を実施する方針を決めた。昨年9月の法施行後も、いじめ自殺の調査を巡って遺族と教委が対立したり、自治体や学校間でいじめ防止対策の実施状況に格差があったりすると見られることから実態把握を目指す。同省は、6月にも設置する有識者会議で対策強化の検討を開始する。
         国は同法に基づき、昨年10月にいじめ防止基本方針を策定。自治体に対し、国の基本方針を参考に地域の基本方針を策定することや、いじめ自殺など重大事案が発生した場合に調査する付属機関の設置を求めている。学校は、教職員や福祉の専門家らで構成する防止対策組織を設け、基本方針を策定する−−などとされている。
         法成立から1年になることから、約1800の全都道府県・市区町村教育委員会と国公私立の全小中高校など約3万9000校を対象に、これらの整備状況を調査する。教委にはいじめ防止のための基本方針の策定や重大事案の調査をする機関の設置の有無など、学校には防止対策組織の設置の有無などを聞く。防止対策組織は、児童生徒へのアンケート実施や面談など、重大事案に至らないようにいじめの早期発見と迅速な対応を想定している。
         文科省は6月にも、有識者らで構成する「いじめ防止対策協議会」(仮称)を設置する予定で、同協議会では調査結果などを基に実効性のある具体的な対策を検討する。調査は今後毎年継続する方針。
         同法は、2011年10月に大津市立中2年の男子生徒がいじめを受け自殺した事件を受けて制定。大津市教委の隠蔽(いんぺい)体質や不適切な学校の対応が問題視されたため、初めて法制化することで、国がいじめへの抜本対策に乗り出した。
         法では、重大事案が起きた場合、学校や教委が調査組織を設置して迅速に調査し、その結果を被害者側へ適切に提供することを義務付けた。しかし、山形県天童市で中1女子が自殺した問題(今年1月)や奈良県橿原市の中1女子自殺問題(昨年3月)では、いずれも市教委が設置した調査委員会の人選を巡って遺族が「公正ではない」と反発するなど各地でトラブルが続いている。大津市事件の遺族は「いじめ防止対策推進法や国の基本方針が本当に機能しているのかチェックする必要がある」と訴えている。【三木陽介】
        http://mainichi.jp/select/news/20140524k0000m040133000c.html
        「毎日新聞」2014年05月24日

        ●大阪市立校:「問題行動に即罰則」検討 暴力急増背景に
         子どもの問題行動に厳格な罰則を定める「ゼロ・トレランス方式」(ゼロトレ=寛容度ゼロ指導)と呼ばれる指導方針を、大阪市教委が市立学校に導入する検討を始めた。橋下徹市長が提案し、来年度にも予算化してモデル校に導入する方針だ。ただ、暴力行為や服装違反などに対して出席停止や退学処分も辞さない教育手法には慎重論も根強く、議論を呼びそうだ。
         先月下旬に市役所で開かれた教育委員との協議会。橋下市長が「昔のように教員の権威で学校は仕切れない。ルールを逸脱した場合はしっかり対応する時代になった」と導入を提案した。大森不二雄・教育委員長も「学校が治外法権ではいけない。社会で当たり前の秩序を持ってくる」と応じた。
         背景には、生徒間や教員への暴力行為の増加がある。文部科学省によると、2012年度に大阪府内で小中高生が起こした暴力行為は全国ワーストの9058件で、10年前の倍以上に急増した。このうち、生徒や教員ら暴力を受けた側が病院で治療を受けたケースは1462件に上った。
         市教委は導入する学校を具体的に決めていないが、問題行動を繰り返す生徒を集めた特別校の新設や出席停止などの措置の厳格化を検討しており、非行の多い教育困難校などで試験的に導入する方針だ。市教委幹部は「今までのやり方では問題行動がなくならない。大阪版ゼロトレの形を考えたい」と話す。
         一方、慎重論も強い。市立中の男性校長は「問題が多い子どもも含めて集団生活で指導するのが公教育だ。隔離や厳罰化では何も変わらない」と懸念する。
         文科省は06年6月に「ゼロトレも参考に、一貫した指導方法の確立に努めること」とする通知を出したが、本格導入への議論や調査には至らなかった。文科省は「国としてゼロトレを推奨したわけではない。教育を受ける権利を制限しかねず、導入には課題が多い」と指摘する。【茶谷亮、寺岡俊】
         ◇成果の一方、定着少なく
         ゼロ・トレランス方式は、各地の学校で導入され、学校によっては生徒の問題行動が減るなど一定の成果が上がっている。しかし、定着した学校は限られている。
         福岡市立福岡女子高校(同市西区)は2007年度に導入。髪を染めた生徒は学校に入れない▽校則違反には草むしりや反省文を課す▽携帯音楽プレーヤーやピアスを持ち込むと卒業まで没収−−などの指導を徹底し、問題行動は激減したという。生徒指導主事の和田敏文教諭(34)は「ルールを徹底させるだけで、特別厳しい指導ではない」と話す。
         新潟県立正徳館高校(同県長岡市)は05年度の開校時から実践し、服装や頭髪の違反をすると「生徒指導カード」を渡し、20枚たまると保護者を呼んで指導している。
         一方、02年度に導入した西日本のある私立高校には全国から視察が相次いだが、実際に取り入れた学校はほとんどなかったという。この私立高関係者は「保護者らの異論が強く根付かなかったようだ」と話す。
         文部科学省は、ゼロトレを導入した学校数を把握していないとしている。【茶谷亮、寺岡俊】
        【ことば】ゼロ・トレランス方式
         児童・生徒の問題行動への罰則を基準化し、違反した場合に厳格に運用することで、校内の規律を維持する生徒指導方法。クリントン米大統領(当時)が1997年、学校での銃乱射事件などを背景に導入を呼びかけ、全米に広まった。本来は「不良品を許さない」という品質管理の考え方を指す。日本では、東京都板橋区で高校1年の男子生徒が寮の管理人夫婦を殺害した事件など、中高生による暴力事件が頻発した2005年前後、全国で導入が議論された。
        http://mainichi.jp/select/news/20140518k0000m040105000c.html
        「毎日新聞」2014年05月18日

        ●教育委員会改革  本来の機能取り戻そう(社説 京都新聞)
         教育委員会制度の改革を盛り込んだ地方教育行政法改正案が衆院本会議で可決された。
         諮問機関への格下げや廃止論も出た教委だが、教育行政の重要方針を決める執行機関として存続する。首長と教育長の権限が強まる改正法案では、教育の中立性の確保が難しくなる懸念もある。教委が民意を反映し、議論を主導していくことが求められる。
         改正法案は、教育長と教育委員長の権限をあわせ持つ実務トップの新「教育長」を置く。3年前に起きた大津市のいじめ自殺問題への反省から、権限の一本化で責任の所在を明確化するのが狙いだ。
         しかし、いじめ問題で露呈した組織の不備は、教委よりも、実務を担う事務局にはびこる事なかれ主義や陰蔽(いんぺい)体質にあった。
         教育長は、教員や事務局職員が昇格する例が多い。これが身内に甘くなりがちな弊害につながるのなら、慣例を見直し、事務局の透明性を高め、足腰の強い実務集団へと改革を断行できる人材を厳選することが必要だ。首長がトップダウン化を図るため、意のままに動く教育長を置くようでは、改革は初手でつまずいてしまう。
         改正法案は、自治体に首長が招集する「総合教育会議」の設置を求める。首長と教委が協議して施策の「大綱」を策定するという。
         首長が教委と意見交換することに異論はない。しかし、教委が決めるべき重要事項がこの会議で決まるようになれば、首長主導が強まり、教委は形骸化する。
         首長への適切なブレーキ役を果たすためにも、役割は厳格に分けるべきだ。中でも、教科書採択や教育課程の編成など、根幹部分は教委が担うことが本筋だ。
         教育委員の役割は極めて重い。現状のように名誉職に等しく、事務局案を追認するだけでは執行機関の意味がない。施策に対し、高い見識と民間からの目線でチェックする。時間をかけ、地域や学校の独自性を尊重し、子どもを豊かに育む内容へと高めていく。それが本来の教委の任務であるはずだ。
         非常勤の委員がどうすれば仕事に専念できるのか。選出方法や職務の在り方、事務局の支援体制について反省を踏まえて再点検し、機能強化のための改善を図ることが急務といえる。
         改正法案は、子どもの命に関わる緊急事態に国が教委に是正指示をすると定める。いじめ事例などを想定しているようだが、過度な関与は地方分権の理念と相いれないことを国は肝に銘じてほしい。
        http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140521_3.html
        「京都新聞」2014年05月21日

        ●天童・中1死亡、遺族要望に2週間未回答 第三者委要綱で市教委
         学校でのいじめに悩んでいた天童市の中学1年の女子生徒=当時(12)=が自殺したとみられる問題で、遺族が見直しを求めている第三者による調査委員会の設置要綱について、要望を受けた天童市教育委員会が2週間が経過しても回答を示していないことが22日、分かった。遺族の代理人弁護士は「時間がかかり過ぎている」と対応の遅さを指摘し、早急な対応を求めている。
         第三者委の設置要綱について、遺族は今月8日、市教育委員5人と会い、見直しを訴えた。その後市教委に対し、教育委員による協議内容や要綱の修正案の提示を求めてきた。取材に対し、市教委は「要望に基づき修正を進めているが、遅いといわれれば申し訳ない。できるだけ早く回答する」と述べた。
         時間を要している要因について市教委は、第三者委の事務局を市教委以外の部署に置くとする遺族の求めに関し、「法令に従った場合、市教委以外に置くことが可能なのか慎重に整理している」とした。
         女子生徒が今年1月7日に死亡して4カ月以上が経過。設置要綱をまとめた後は、委員選任の作業が控えている。
        http://yamagata-np.jp/news/201405/23/kj_2014052300454.php
        「山形新聞」2014年05月23日

        ●いじめ:放置され転校と下関市を提訴 女子中学生
         同級生からのいじめを学校が放置し、転校を余儀なくされたとして山口県下関市の中学に通学していた女子生徒(14)が同市に332万円の損害賠償を求めて山口地裁下関支部に提訴したことが分かった。
         訴状によると、女子生徒は2012年4月の中学入学直後から、無視する▽聞こえるように悪口を言う▽席替えで女子生徒が座っていた席に座ることを嫌がる−−など集団でのいじめを同級生から受けたとしている。女子生徒は発熱や腹痛、頭痛を訴えて欠席がちになり、医師から心身症などと診断され13年に転校した。
         女子生徒は担任の女性教諭に相談しようとしたが「忙しいからごめん」などと言われ応じてもらえなかったという。女子生徒は「学校が動いてくれずショックだった。同じように苦しむ人が出ないようになってほしい」と話した。
         下関市教委の担当者は「いじめた生徒に担任が直接指導したり、道徳の授業で思いやりのある言動をとるよう教えたり、学校としてはやるべきことをやったと考えている」と話した。【平川昌範】
        http://mainichi.jp/select/news/20140513k0000m040156000c.html
        「毎日新聞」2014年05月13日

        ●いじめ「解消率」上昇 浜松市教委報告
         浜松市教委は21日の定例会で、2013年度の小中学校のいじめと問題行動、不登校の実態について報告した。いじめの認知件数は小学校が微増し、中学校は大幅に減少した。被害者の被害感情がなくなり一定の解決に至ったと判断できる「解消率」は小学校83・2%、中学校88・5%で、ともに74%台だった前年度に比べて大きく上昇した。
         いじめの認知件数は小学校が前年度比10件増の518件、中学校が同252件減の566件。冷やかしやからかい、仲間はずれにするなどの行為が多いという。
         解消率の上昇は、市教委が昨年度、いじめ問題に対応するため第三者専門家チームを常設し、各学校がそれぞれの案件に沿った助言を受けることができた点が効果的に働いたためとみられる。指導課の担当者は「背景が複雑なケースや、関係機関との連携に役立った」と話す。
         問題行動の発生件数は、小学校が159件(前年度比23件増)、中学校が272件(同3件増)。小学校は窃盗、中学校は粗暴が最も多かった。小学校高学年と中学生ではインターネット上で悪口を言ったり、勝手に写真を撮影して第三者に送信したりするネットトラブルが増えた。
         不登校の児童生徒数は小学校が259人(前年度比10人増)、中学校は674人(同10人減)だった。
        http://www.at-s.com/news/detail/1049459021.html
        「静岡新聞NEWS」2014/5/22

        ●体罰教員122人 前年から減少、小学校は増加 都教委
         東京都内の公立学校で昨年度、教職員122人が児童・生徒に体罰を加えていたことが22日、都教育委員会の調査で分かった。前年度より60人減ったが、小学校では増えていた。
         都教委は2184校の校長に調査し、児童・生徒の聞き取りも実施。体罰を与えた教職員は高校17人(前年度40人)、中学校60人(同110人)、小学校42人(同31人)、特別支援学校3人(同1人)だった。
         体罰を加えたのは授業中などが91人、部活動中は31人だった。複数の体罰が報告されたのは25人、過去に体罰で処分を受けたのは12人だった。けがをした児童・生徒は計24人。あざ・内出血11人、切り傷4人、ねんざ3人などだった。
         具体的には「部活動で竹刀で突発性難聴を負わせた」「児童を指導した際、4日間、中腰やひざ立ちの状態で授業を受けさせた」「遅刻で指導した際、胸周辺を手で押し、むち打ちを負わせた」などの事例があった。都教委は「教職員が自己の感情を制御できない事案が多い」とみて、再発防止を図る。
        http://www.asahi.com/articles/ASG5Q654TG5QUTIL04R.html?iref=com_alist_6_05
        「朝日新聞」2014年5月23日

        ●悩みや相談 受け止め10年 「チャイルドラインはこだて」活動終了
         電話で子供たちの悩みを聞く「チャイルドラインはこだて」の活動が3月で終了した。2004年に開設してから、受話器越しに子供たちの声を聞き続けてきた。代表を務めた小林恵美子さん(59)は「子供が解決に向かうための手助けが少しはできたと思う」と10年間を振り返った。
         チャイルドラインは18歳以下の子供を対象に、悩みや相談を匿名で受け止める電話で、全国で開設されている。函館でも、公立中学校の養護教諭をしていた小林さんら有志によって2004年に始まった。
         活動が終わったのは、電話の受け手が減少したことが一番の要因。受け手は教師や会社員、主婦などで、無償のボランティアが支えてきた。だが、最大で20人ほどいた受け手は、不景気の影響などで減ったという。毎年、受け手を養成する講座を開いてきたが、昨年の参加者は一人もいなかった。
         電話内容は、親や友人などとの人間関係の悩み、性の悩み、いじめられてつらいといった深刻なものから、その日あった出来事などの雑談までさまざまな話。小林さんは「『死にたい』とか『これから自殺する』などの言葉を聞くのは精神的にきつい」という。
         これまでの活動で、電話番号を書いたカードを小中学校に配布したり、ポスターを貼ったり、イベントを開いて周知するなどして認知度を高めていった。その結果、11年度以降は年間700件以上の電話を受けた。また、子供たちの現状を知ってもらうため、PTAや女性保護の会などの講演会で話もしてきた。
         このほど作成した昨年度の報告書には、1年間の活動報告のほか、10年間の実績やスタッフの声などを載せた。小林さんはこれまで関わってきた人たちに感謝しつつ「今後も何らかの形で子供たちのそばにいられる活動をしたい」と話した。
         チャイルドラインはこだての活動は終了したが、全国共通の専用電話(月~土曜、午後4~9時、(電)0120・99・7777)では引き続き子供たちの声を聞く。(西村翔)
        http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki2/536137.html
        「北海道新聞」2014.4.28

        「ストレス」や「疲れ」を、きちんと感じられること。
        2014/05/25
         長いこと更新できていませんでした。何やらバタバタと忙しく、「疲れ」感も相当あって、稼働時間が減っていることも理由でしょう。睡眠も、時間はそれなりにですが、質が悪いようです。翌朝の爽快感など全くといって良いほど無く…。
         「ストレス」や「疲れ」を、きちんと感じられることが、今の私の課題です。
         性格的にはたぶん、いわゆる「タイプA」。それなりのレベルでやらないと気が済まない、気になってしまうと放置できない、などなど。睡眠の質の悪さやトラウマも影響して、昼間の脳は過覚醒で結構グルグルと回っているのでしょう(ただ回っているだけですが…)。
         肉体的な疲労は感じやすい(とはいえ、2~3日後に筋肉痛が始まる年齢)のですが、ストレスが脳に与えるダメージは気づきにくいものです。そして、適切な回復作業がなされないと、蓄積され複雑化していきます。
         私なりの対処は現在、次のようなものです。
        ・スケジュール管理は、iCal(Macのカレンダー、クラウドでパソコンと携帯端末などを同期できるもの)に統一。
        ・備忘メモやその日の記録メモは机上の手書きノート。
        ・とにかく睡眠確保。10:00-6:00、お年寄り的な生活。
        ・3食(野菜多めで)きちんと食べ、間食は基本的にしない(付き合い食べは必用)。夜は炭水化物を摂らない。
        ・2W/1回のカウンセリング&受診(中心テーマはトラウマ処理と睡眠)、鍼灸。
        ・仕事や活動を家での生活に持ち込まない(できるだけ)。
        ・「疲れた~」を口にする(一人の時限定)←自己覚知を高めるため。
        ・プチ逃避行動(車で3時間程度出かけたり、年に1回程度は1泊の車旅)。
        ・衝動買い(本当に必用か、2~3日から1W程度考えて)→概ねAmazonで、本や小物類。ストレスとの関係を把握する。
        ・事務所は整理整頓、キレイに保つ。
        ・会計処理はその日の内に済ませる←これは絶対にいい加減にできないものと決めている。
        ・「やる気モード」にスイッチが入るのを感じる→動く(午後からのようです)。
        ・気圧変化(低下)やPM2.5測定値と身体症状(だるさ、肩の痛み、鼻腔周辺の違和感など)との関連を確認する←かなり重要。
        ・ニュース(新聞、ネット)、メールや通信(郵便物など)の情報は、毎朝と時間が空いた時に時間を決めて収拾し、対応する→個人宛の情報は放置しない。

         などなど、です。結構、いっぱいあって、「整理」しているようで実際は「やる事」を増やしているような…。
         ドコモポイントでGETしたリストバンド型活動量計「ムーヴバンド™」にて、睡眠時間(夜にじっとしている時間)を計測していて(あくまで参考程度)、睡眠の浅さが明らかになっています。
         ただ、「ストレス」や「疲れ」は、自覚しようと意識していても、なかなか自覚できないのも実情です。「そこそこの年齢なんだから、疲れて当たり前」と言い聞かせつつも、脳が過覚醒・亢進状態のため、正確に疲れ度合いをキャッチできるようになるためには、まだまだ修業が必用です。

         それでは、最近の気になる記事です。(今回も自殺事案を含むいじめ関連が満載です)

        いじめ対策:全国調査 文科省、実態把握へ 法成立1年

         文部科学省は、昨年6月に成立した「いじめ防止対策推進法」が定める「いじめ防止組織」の設置など対策の推進状況について、全国調査を実施する方針を決めた。昨年9月の法施行後も、いじめ自殺の調査を巡って遺族と教委が対立したり、自治体や学校間でいじめ防止対策の実施状況に格差があったりすると見られることから実態把握を目指す。同省は、6月にも設置する有識者会議で対策強化の検討を開始する。
         国は同法に基づき、昨年10月にいじめ防止基本方針を策定。自治体に対し、国の基本方針を参考に地域の基本方針を策定することや、いじめ自殺など重大事案が発生した場合に調査する付属機関の設置を求めている。学校は、教職員や福祉の専門家らで構成する防止対策組織を設け、基本方針を策定する−−などとされている。
         法成立から1年になることから、約1800の全都道府県・市区町村教育委員会と国公私立の全小中高校など約3万9000校を対象に、これらの整備状況を調査する。教委にはいじめ防止のための基本方針の策定や重大事案の調査をする機関の設置の有無など、学校には防止対策組織の設置の有無などを聞く。防止対策組織は、児童生徒へのアンケート実施や面談など、重大事案に至らないようにいじめの早期発見と迅速な対応を想定している。
         文科省は6月にも、有識者らで構成する「いじめ防止対策協議会」(仮称)を設置する予定で、同協議会では調査結果などを基に実効性のある具体的な対策を検討する。調査は今後毎年継続する方針。
         同法は、2011年10月に大津市立中2年の男子生徒がいじめを受け自殺した事件を受けて制定。大津市教委の隠蔽(いんぺい)体質や不適切な学校の対応が問題視されたため、初めて法制化することで、国がいじめへの抜本対策に乗り出した。
         法では、重大事案が起きた場合、学校や教委が調査組織を設置して迅速に調査し、その結果を被害者側へ適切に提供することを義務付けた。しかし、山形県天童市で中1女子が自殺した問題(今年1月)や奈良県橿原市の中1女子自殺問題(昨年3月)では、いずれも市教委が設置した調査委員会の人選を巡って遺族が「公正ではない」と反発するなど各地でトラブルが続いている。大津市事件の遺族は「いじめ防止対策推進法や国の基本方針が本当に機能しているのかチェックする必要がある」と訴えている。【三木陽介】
        http://mainichi.jp/select/news/20140524k0000m040133000c.html
        「毎日新聞」2014年05月24日

        ●大阪市立校:「問題行動に即罰則」検討 暴力急増背景に
         子どもの問題行動に厳格な罰則を定める「ゼロ・トレランス方式」(ゼロトレ=寛容度ゼロ指導)と呼ばれる指導方針を、大阪市教委が市立学校に導入する検討を始めた。橋下徹市長が提案し、来年度にも予算化してモデル校に導入する方針だ。ただ、暴力行為や服装違反などに対して出席停止や退学処分も辞さない教育手法には慎重論も根強く、議論を呼びそうだ。
         先月下旬に市役所で開かれた教育委員との協議会。橋下市長が「昔のように教員の権威で学校は仕切れない。ルールを逸脱した場合はしっかり対応する時代になった」と導入を提案した。大森不二雄・教育委員長も「学校が治外法権ではいけない。社会で当たり前の秩序を持ってくる」と応じた。
         背景には、生徒間や教員への暴力行為の増加がある。文部科学省によると、2012年度に大阪府内で小中高生が起こした暴力行為は全国ワーストの9058件で、10年前の倍以上に急増した。このうち、生徒や教員ら暴力を受けた側が病院で治療を受けたケースは1462件に上った。
         市教委は導入する学校を具体的に決めていないが、問題行動を繰り返す生徒を集めた特別校の新設や出席停止などの措置の厳格化を検討しており、非行の多い教育困難校などで試験的に導入する方針だ。市教委幹部は「今までのやり方では問題行動がなくならない。大阪版ゼロトレの形を考えたい」と話す。
         一方、慎重論も強い。市立中の男性校長は「問題が多い子どもも含めて集団生活で指導するのが公教育だ。隔離や厳罰化では何も変わらない」と懸念する。
         文科省は06年6月に「ゼロトレも参考に、一貫した指導方法の確立に努めること」とする通知を出したが、本格導入への議論や調査には至らなかった。文科省は「国としてゼロトレを推奨したわけではない。教育を受ける権利を制限しかねず、導入には課題が多い」と指摘する。【茶谷亮、寺岡俊】
         ◇成果の一方、定着少なく
         ゼロ・トレランス方式は、各地の学校で導入され、学校によっては生徒の問題行動が減るなど一定の成果が上がっている。しかし、定着した学校は限られている。
         福岡市立福岡女子高校(同市西区)は2007年度に導入。髪を染めた生徒は学校に入れない▽校則違反には草むしりや反省文を課す▽携帯音楽プレーヤーやピアスを持ち込むと卒業まで没収−−などの指導を徹底し、問題行動は激減したという。生徒指導主事の和田敏文教諭(34)は「ルールを徹底させるだけで、特別厳しい指導ではない」と話す。
         新潟県立正徳館高校(同県長岡市)は05年度の開校時から実践し、服装や頭髪の違反をすると「生徒指導カード」を渡し、20枚たまると保護者を呼んで指導している。
         一方、02年度に導入した西日本のある私立高校には全国から視察が相次いだが、実際に取り入れた学校はほとんどなかったという。この私立高関係者は「保護者らの異論が強く根付かなかったようだ」と話す。
         文部科学省は、ゼロトレを導入した学校数を把握していないとしている。【茶谷亮、寺岡俊】
        【ことば】ゼロ・トレランス方式
         児童・生徒の問題行動への罰則を基準化し、違反した場合に厳格に運用することで、校内の規律を維持する生徒指導方法。クリントン米大統領(当時)が1997年、学校での銃乱射事件などを背景に導入を呼びかけ、全米に広まった。本来は「不良品を許さない」という品質管理の考え方を指す。日本では、東京都板橋区で高校1年の男子生徒が寮の管理人夫婦を殺害した事件など、中高生による暴力事件が頻発した2005年前後、全国で導入が議論された。
        http://mainichi.jp/select/news/20140518k0000m040105000c.html
        「毎日新聞」2014年05月18日

        ●教育委員会改革  本来の機能取り戻そう(社説 京都新聞)
         教育委員会制度の改革を盛り込んだ地方教育行政法改正案が衆院本会議で可決された。
         諮問機関への格下げや廃止論も出た教委だが、教育行政の重要方針を決める執行機関として存続する。首長と教育長の権限が強まる改正法案では、教育の中立性の確保が難しくなる懸念もある。教委が民意を反映し、議論を主導していくことが求められる。
         改正法案は、教育長と教育委員長の権限をあわせ持つ実務トップの新「教育長」を置く。3年前に起きた大津市のいじめ自殺問題への反省から、権限の一本化で責任の所在を明確化するのが狙いだ。
         しかし、いじめ問題で露呈した組織の不備は、教委よりも、実務を担う事務局にはびこる事なかれ主義や陰蔽(いんぺい)体質にあった。
         教育長は、教員や事務局職員が昇格する例が多い。これが身内に甘くなりがちな弊害につながるのなら、慣例を見直し、事務局の透明性を高め、足腰の強い実務集団へと改革を断行できる人材を厳選することが必要だ。首長がトップダウン化を図るため、意のままに動く教育長を置くようでは、改革は初手でつまずいてしまう。
         改正法案は、自治体に首長が招集する「総合教育会議」の設置を求める。首長と教委が協議して施策の「大綱」を策定するという。
         首長が教委と意見交換することに異論はない。しかし、教委が決めるべき重要事項がこの会議で決まるようになれば、首長主導が強まり、教委は形骸化する。
         首長への適切なブレーキ役を果たすためにも、役割は厳格に分けるべきだ。中でも、教科書採択や教育課程の編成など、根幹部分は教委が担うことが本筋だ。
         教育委員の役割は極めて重い。現状のように名誉職に等しく、事務局案を追認するだけでは執行機関の意味がない。施策に対し、高い見識と民間からの目線でチェックする。時間をかけ、地域や学校の独自性を尊重し、子どもを豊かに育む内容へと高めていく。それが本来の教委の任務であるはずだ。
         非常勤の委員がどうすれば仕事に専念できるのか。選出方法や職務の在り方、事務局の支援体制について反省を踏まえて再点検し、機能強化のための改善を図ることが急務といえる。
         改正法案は、子どもの命に関わる緊急事態に国が教委に是正指示をすると定める。いじめ事例などを想定しているようだが、過度な関与は地方分権の理念と相いれないことを国は肝に銘じてほしい。
        http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140521_3.html
        「京都新聞」2014年05月21日

        ●天童・中1死亡、遺族要望に2週間未回答 第三者委要綱で市教委
         学校でのいじめに悩んでいた天童市の中学1年の女子生徒=当時(12)=が自殺したとみられる問題で、遺族が見直しを求めている第三者による調査委員会の設置要綱について、要望を受けた天童市教育委員会が2週間が経過しても回答を示していないことが22日、分かった。遺族の代理人弁護士は「時間がかかり過ぎている」と対応の遅さを指摘し、早急な対応を求めている。
         第三者委の設置要綱について、遺族は今月8日、市教育委員5人と会い、見直しを訴えた。その後市教委に対し、教育委員による協議内容や要綱の修正案の提示を求めてきた。取材に対し、市教委は「要望に基づき修正を進めているが、遅いといわれれば申し訳ない。できるだけ早く回答する」と述べた。
         時間を要している要因について市教委は、第三者委の事務局を市教委以外の部署に置くとする遺族の求めに関し、「法令に従った場合、市教委以外に置くことが可能なのか慎重に整理している」とした。
         女子生徒が今年1月7日に死亡して4カ月以上が経過。設置要綱をまとめた後は、委員選任の作業が控えている。
        http://yamagata-np.jp/news/201405/23/kj_2014052300454.php
        「山形新聞」2014年05月23日

        ●いじめ:放置され転校と下関市を提訴 女子中学生
         同級生からのいじめを学校が放置し、転校を余儀なくされたとして山口県下関市の中学に通学していた女子生徒(14)が同市に332万円の損害賠償を求めて山口地裁下関支部に提訴したことが分かった。
         訴状によると、女子生徒は2012年4月の中学入学直後から、無視する▽聞こえるように悪口を言う▽席替えで女子生徒が座っていた席に座ることを嫌がる−−など集団でのいじめを同級生から受けたとしている。女子生徒は発熱や腹痛、頭痛を訴えて欠席がちになり、医師から心身症などと診断され13年に転校した。
         女子生徒は担任の女性教諭に相談しようとしたが「忙しいからごめん」などと言われ応じてもらえなかったという。女子生徒は「学校が動いてくれずショックだった。同じように苦しむ人が出ないようになってほしい」と話した。
         下関市教委の担当者は「いじめた生徒に担任が直接指導したり、道徳の授業で思いやりのある言動をとるよう教えたり、学校としてはやるべきことをやったと考えている」と話した。【平川昌範】
        http://mainichi.jp/select/news/20140513k0000m040156000c.html
        「毎日新聞」2014年05月13日

        ●いじめ「解消率」上昇 浜松市教委報告
         浜松市教委は21日の定例会で、2013年度の小中学校のいじめと問題行動、不登校の実態について報告した。いじめの認知件数は小学校が微増し、中学校は大幅に減少した。被害者の被害感情がなくなり一定の解決に至ったと判断できる「解消率」は小学校83・2%、中学校88・5%で、ともに74%台だった前年度に比べて大きく上昇した。
         いじめの認知件数は小学校が前年度比10件増の518件、中学校が同252件減の566件。冷やかしやからかい、仲間はずれにするなどの行為が多いという。
         解消率の上昇は、市教委が昨年度、いじめ問題に対応するため第三者専門家チームを常設し、各学校がそれぞれの案件に沿った助言を受けることができた点が効果的に働いたためとみられる。指導課の担当者は「背景が複雑なケースや、関係機関との連携に役立った」と話す。
         問題行動の発生件数は、小学校が159件(前年度比23件増)、中学校が272件(同3件増)。小学校は窃盗、中学校は粗暴が最も多かった。小学校高学年と中学生ではインターネット上で悪口を言ったり、勝手に写真を撮影して第三者に送信したりするネットトラブルが増えた。
         不登校の児童生徒数は小学校が259人(前年度比10人増)、中学校は674人(同10人減)だった。
        http://www.at-s.com/news/detail/1049459021.html
        「静岡新聞NEWS」2014/5/22

        ●体罰教員122人 前年から減少、小学校は増加 都教委
         東京都内の公立学校で昨年度、教職員122人が児童・生徒に体罰を加えていたことが22日、都教育委員会の調査で分かった。前年度より60人減ったが、小学校では増えていた。
         都教委は2184校の校長に調査し、児童・生徒の聞き取りも実施。体罰を与えた教職員は高校17人(前年度40人)、中学校60人(同110人)、小学校42人(同31人)、特別支援学校3人(同1人)だった。
         体罰を加えたのは授業中などが91人、部活動中は31人だった。複数の体罰が報告されたのは25人、過去に体罰で処分を受けたのは12人だった。けがをした児童・生徒は計24人。あざ・内出血11人、切り傷4人、ねんざ3人などだった。
         具体的には「部活動で竹刀で突発性難聴を負わせた」「児童を指導した際、4日間、中腰やひざ立ちの状態で授業を受けさせた」「遅刻で指導した際、胸周辺を手で押し、むち打ちを負わせた」などの事例があった。都教委は「教職員が自己の感情を制御できない事案が多い」とみて、再発防止を図る。
        http://www.asahi.com/articles/ASG5Q654TG5QUTIL04R.html?iref=com_alist_6_05
        「朝日新聞」2014年5月23日

        ●悩みや相談 受け止め10年 「チャイルドラインはこだて」活動終了
         電話で子供たちの悩みを聞く「チャイルドラインはこだて」の活動が3月で終了した。2004年に開設してから、受話器越しに子供たちの声を聞き続けてきた。代表を務めた小林恵美子さん(59)は「子供が解決に向かうための手助けが少しはできたと思う」と10年間を振り返った。
         チャイルドラインは18歳以下の子供を対象に、悩みや相談を匿名で受け止める電話で、全国で開設されている。函館でも、公立中学校の養護教諭をしていた小林さんら有志によって2004年に始まった。
         活動が終わったのは、電話の受け手が減少したことが一番の要因。受け手は教師や会社員、主婦などで、無償のボランティアが支えてきた。だが、最大で20人ほどいた受け手は、不景気の影響などで減ったという。毎年、受け手を養成する講座を開いてきたが、昨年の参加者は一人もいなかった。
         電話内容は、親や友人などとの人間関係の悩み、性の悩み、いじめられてつらいといった深刻なものから、その日あった出来事などの雑談までさまざまな話。小林さんは「『死にたい』とか『これから自殺する』などの言葉を聞くのは精神的にきつい」という。
         これまでの活動で、電話番号を書いたカードを小中学校に配布したり、ポスターを貼ったり、イベントを開いて周知するなどして認知度を高めていった。その結果、11年度以降は年間700件以上の電話を受けた。また、子供たちの現状を知ってもらうため、PTAや女性保護の会などの講演会で話もしてきた。
         このほど作成した昨年度の報告書には、1年間の活動報告のほか、10年間の実績やスタッフの声などを載せた。小林さんはこれまで関わってきた人たちに感謝しつつ「今後も何らかの形で子供たちのそばにいられる活動をしたい」と話した。
         チャイルドラインはこだての活動は終了したが、全国共通の専用電話(月~土曜、午後4~9時、(電)0120・99・7777)では引き続き子供たちの声を聞く。(西村翔)
        http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki2/536137.html
        「北海道新聞」2014.4.28

        教育←→福祉行政←→医療の不連携状態を憂
        2014/04/26
        学校教育でモンダイとされる発達上の課題のある子どもたちへの対応やケアの不十分さについて。
         よく目にするのが、「その子のモンダイ」、「家庭での養育のモンダイ」、「診断を受けて下さい(ADHDには良い薬がありますよ)」といった対応です。
         乳幼児検診で「障害といえる状態とは判断しかねるので、もう少し様子をみましょう」あるいは「気になるので(なるなら)診察を受けて下さい」という対応をされる方もたくさんおられます。
         保健センターなどで検診を受けるように通知があり、行けば(発達上の課題が見られる場合に)上記の対応。紹介をされるわけでもなく、後は家庭(多くが母親)任せとなります。保育所や幼稚園に通っていても、それらと検診やその後の情報が共有されることを、あまり耳にしません。
         小学生になると、発達支援センターや学習支援センターなどの公的支援機関の利用がすすめられる自治体も増えてきていますが、これまたそこでの情報が学校や福祉行政と共有されたり、連携したケアに繋がるということを、あまり耳にしません。それらが取り組まれている地域に住んでいることは「ラッキー」な状態と言えるでしょう。
         なぜ、こうした分断した状態が続いているのでしょうか。
         教育は文部科学省、医療や福祉は厚生労働省の管轄という縦割り行政の問題に加えて、医療-福祉間の連携も大きな課題ですし、それらの「橋渡し」を行うサービスが公的に存在しないという大問題もあります。
         見方を変えれば、目線が公的機関などに関わる大人の側にあって作られた制度やシステムで、子ども目線にないことにこそ問題の理由があることが見えてきます。
         子ども一人ひとりの課題を起点に、その発達を支援・トリートメントするために何が必用かをまず考えれば、教育も福祉行政も医療も他の公的および民間のサポートも…と受けられるサービスが増えて行くはずです。
         もう少し問題を具体的にするなら、これら公的支援についての予算や報酬の体系が、連携を阻む大きな壁となっています。医療や障害福祉サービスでは、このあたりに限界設定されてしまっています。
         「せめて情報の共有を…」と思っても、「個人情報に関わるので…」とまた別の障壁が…。
         フォーマルな体制やシステムでは対応できないとしても、インフォーマルな関係性を許容する柔軟さが少しあれば、地域でのさまざまな支援の連携が進むはずです。
         最近、相談室カンナは、こうしたインフォーマルなワンストップサービスを、アウトローとして収支をさておいて、こだわってやっているなぁ、と思いながらの毎日です(+_;)。
         でも、具体的なケースで、インフォーマルな実績を積み上げて、それをフォーマルな支援の体制やシステムにしていく、そんな取り組みによって、不十分ながらも現行の体制やシステムが作られてきた歴史があることを忘れないように…。

         それでは、最近の気になる記事です。(今回も自殺事案を含むいじめ関連が満載です)

        学校内の事故防止策議論 京都精華大 遺族ら府内で初開催

         学校内で児童や生徒が死亡する事故を防ぐためにはどうすればいいかについて、遺族や有識者が語る会が19日、京都市の京都精華大で行われた。

         会は大分県竹田市の県立竹田高で平成21年、剣道部の練習中に熱中症で倒れて死亡した工藤剣太さん=当時(17)=の両親らでつくる「剣太の会」が主催し、今回で22回目。府内では初の開催となる。
         この日の会では剣太さんの両親が剣太さんが亡くなった当日の様子や、当時の顧問らの過失責任を認めた民事訴訟の状況などを説明。剣太さんの母親は「子供たちの命を守れるのは大人しかいない」と話した。
         会には京都市立小学校1年時に同校プールで亡くなった浅田羽菜(はな)ちゃん=当時(6)=の両親も参加。父親は「娘の死は私たちの人生も変えてしまった。剣太くんや娘に起きたことは起こってはならないことだ」と苦しい胸の内を明かした。
         また、精華大人文学部の住友剛教授が「学校事故・事件の事例から見えてくること」と題して講演。「学内での事件事故にまともに向き合えない教員を養成する大学側にも課題はあるのでは」と指摘した。(池田進一)
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140420/kyt14042002010002-n1.htm
        「産経ニュース」2014.4.20

        ●所在不明の子ども、実態把握へ 厚労省が調査要請
         乳幼児健診を受けないなどの理由で、所在や安否を行政が確認できていない子どもについて、国が人数などの全国調査に乗り出す。厚生労働省が15日、市町村に調査を要請したことを明らかにした。児童虐待の恐れもあるため、実態を把握したうえで対策を検討する考え。夏ごろに結果を公表する予定だ。
         調べるのは、住民基本台帳に登録されているのに乳幼児健診を受けていなかったり、幼稚園や保育所、学校などに途中から来なくなったりして、5月1日時点で保護者と連絡が取れない18歳未満の子どもの数。厚労省は対応方法についても、各市町村に報告を求めている。
         子どもや親と連絡が取れない場合、自治体は、児童手当の受給状況などを調べる、児童相談所や学校と連携して自宅を訪問する、といった対応をとるのが一般的。だが横浜市で小学校に通っていなかった女児が母親の元同居相手の男から暴行を受けて亡くなった一昨年の事件では、転居を繰り返していた母子の状況を自治体がつかめず、虐待を防げなかった。
         所在不明の子どもについての対応は各自治体任せなのが実情。田村憲久厚労相は15日の記者会見で「自治体に注意喚起をし、情報を共有したい」と述べた。(畑山敦子)
        http://digital.asahi.com/articles/ASG4H4CJ3G4HUTFL007.html?_requesturl=articles%2FASG4H4CJ3G4HUTFL007.htmlamp;iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG4H4CJ3G4HUTFL007
        「朝日新聞DIGITAL」2014年4月16日08時51分

        ●品川中1自殺、両親が加害生徒らを提訴 「いじめ原因」
         東京都品川区の区立小中一貫校で2012年9月、いじめを受けていた7年生の男子生徒(中学1年、当時12)が自殺した問題で、生徒の両親が14日までに、区や当時の担任、暴力をふるうなどした生徒と保護者らを相手取り、約1億円の損害賠償を求めて東京地裁に訴えを起こした。
         男子生徒は同年9月26日夜、自宅で首をつり、死亡した。別の区立小学校を卒業後の4月、同校に入学したが、入学間もなくから持ち物を壊されるなどのいじめが始まり、すれ違いざまに殴られるなどの暴力行為も受けていた。ほかにも「ばい菌」扱いされるなど同級生の大半がいじめにかかわっていたとされる。区教委の調査対策委員会はいじめが自殺の「誘因」とする報告書をまとめている。
         今回被告としたのは区や都、当時の担任のほか、当時の校長、生徒14人とその保護者ら。訴状などで両親は、継続的な暴力や言葉によるいじめが自殺の原因だったと因果関係を主張。当時の担任らもいじめを認識し、いじめに関するアンケートをしたり、母親からも相談を受けたりしていたにもかかわらず放置するなど安全への配慮を怠った、と訴えている。
         生徒の父親(42)は「いじめという行為による結果の重さを認識してほしい、同じ犠牲を繰り返さないでほしい、との思いから提訴を決断した」と話した。(高橋淳)
        http://www.asahi.com/articles/ASG4G77P3G4GUTIL050.html
        「朝日新聞DIGITAL」2014年4月15日

        ●PTA:役員決めは罰ゲーム? やらない人はトイレ掃除も
         ◇一人一役/全員くじ引き/参加強制は「違憲」/「やって良かった」の声も/祖父母巻き込もう
         入学式や進級で喜びいっぱいの春なのに、花粉症ならぬ「PTAの役員決め」で気が沈むという方もいるのでは。「一人一役」「ポイント制」「問答無用の全員くじ引き」「必ず1回は役員を」。新手の選出法が出れば出るほどプレッシャーは大きく……なんでこうなるの。【小国綾子】
         誰も挙手しない。口も開かない。それが30分以上。4月中旬、横浜市立小の役員決めの一場面だ。「ああ、早く帰りたい」。皆がイライラし始めた時、ある母親が言い放った。「過去に何の役員もやっていない人から選ぶのが平等じゃないかしら」。次の瞬間、役員経験者らしい母親たちから大きな拍手!
         「怖い」。うつ病を抱える母親(42)は身がすくんだという。事前に病名を教師に打ち明け、役員を免除してもらうつもりだったが機を逸した。「拍手を聞いて『逃げられない』とパニックになってしまった」。気づけば手を挙げていた。「やります」。それほどのプレッシャーなのだ。
         6年間、役員にならなかった方には学校のトイレ掃除をしていただきます−−。首都圏の公立小の役員選出アンケートにそうあるのを見て、ある40代の保護者は仰天した。「罰ゲームじゃあるまいし」。しかし働く母親の中には「1度の掃除で済むなら」とあえて選ぶ人もいるという。
         「平等に全員参加を」は今どきの役員決めで必ずと言ってよいほど飛び出す言葉だ。
         かつては互選や立候補が多かった。「子供が学校から茶封筒を持ち帰ったら、それはPTAからの”召集令状”。互選だと名簿の一番上や下の人に票が集まりやすい。名字が『よ』で始まるので何度も役員をやりました」(山口県、42歳)。このように負担が集中するのを避け、より平等に、と編み出されたのが役目を増やして全員で分担する「一人一役」制や、本部役員、その他の役員など役職に応じて点数を付与し、次回の役員決めの参考にする「ポイント制」だ。
         引き受けられない理由を全員の前で開示し、皆に認めてもらえない限り問答無用の「全員くじ引き」やじゃんけんをするというのも、今やあちこちの学校で最終手段となっている。
        http://mainichi.jp/select/news/20140422k0000m040031000c.html
        毎日新聞 2014年04月21日

        ●災害精神医療:原発避難の2児PTSD「早いケアあれば」
         東日本大震災発生から3年が経過した今も、被災者の心には大きな傷が残る。福島県から東京都内に自主避難する女性(44)は、子ども2人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、月1回の通院が続く。国は大震災後、災害時の心のケア支援を強化しようと、災害派遣精神医療チーム(DPAT)の設置を進めるが、「うちも、もっと早くケアやアドバイスを受けたかった」と、女性は我が子を思い、ため息をついた。【渡辺諒】
         女性は東京電力福島第1原発事故の発生から2日後、福島県内で働く夫を残して子どもとともに避難した。県内外の5カ所を転々とし、2011年7月に現在の避難先にたどり着いた。
         長女(11)と長男(10)は近くの小学校に通い始めたが、すぐ異変が起きた。長男は知っているはずの漢字を書けなくなり、長女は「私は将来お母さんになれる?」と不安を口にするようになった。学校では同級生らから「放射能きったない」「5年もすれば死ぬ」など、理不尽な言葉を浴びせられたという。
         2学期になると、長女は無気力で勉強が手に着かず、長男は逆に落ち着きがなくなった。女性は「震災前と別人のよう。だが、心に問題があると考えたくなかった」と振り返る。
         11年12月に小児科を受診したところ、2人ともPTSDと診断された。震災後、初めて受けた精神的なケアだった。女性は「子どもの体を守ろうとして、心を守ってあげられなかった」と悔やむ。長女は今も、学校での出来事をほとんど話さない。「母子3人、知らない土地で生活することで精いっぱいになり、精神状況まで気が回らなかった。早い時期にケアを受けられたら、こんなに長引かなかったのではないか」
         東日本大震災の発生直後に活動した「災害派遣医療チーム(DMAT)」の多くには、精神医療の専門家が入っていなかったうえ、精神医療の専門家が応援に入った後も活動地域は限られた。特に、原発事故で福島県を離れ、転々とした人たちには支援がほとんど届かなかった。DPATが整備されても、原発事故のような災害の場合、支援から漏れてしまう避難者が多くなる恐れがある。
         笠井清登・東京大教授(精神医学)は「大きな災害では手厚い精神医療が必ず求められるため、DPATの設置は評価できる。一方、発生直後に限らない長期的な支援体制を整える必要があるほか、福島県のように県外へ多数が避難しなければならない場合を想定し、DPAT以外の支援策を検討しておくべきだ」と指摘する。
        http://mainichi.jp/select/news/20140407k0000m040096000c.html
        毎日新聞 2014年04月07日

        ●湯河原いじめ自殺1年 「子どもと同じ景色見て」、小林正稔・第三者委員長
         湯河原町立中学校でいじめを受けていた男子生徒=当時(13)=が自殺した問題は、教育現場や社会に何を問い掛け、何を教訓として残したのか-。「自殺はいじめの結果と推認できる」と結論付けた第三者委員会の小林正稔委員長(県立保健福祉大教授)は、「大人が注意深く接していれば状況は違った」と訴える。中学2年の進級直後に自ら命を絶った悲劇から、10日で丸1年。「その死を決して無駄にしない」ため、調査の過程で浮かび上がった課題と再発防止策を探る。
         「いじめによる自殺は県内でずっと続いている。もうやめたい、起きてほしくない。何としても、彼の死を無駄にしたくない」
         県内の児童福祉分野に長く関わり、1万人近い子どもたちに接してきた小林委員長。数多くのいじめ問題にも向き合ってきたからこそ、その思いは強い。
         町や町教育委員会に対し第三者委がまとめた報告書の公開を求めたのは、「悲劇を二度と繰り返さないため」。大人として子どもに何を伝えるべきかと、「良心の問題」として調査を重ねた。常に根底にあったのは「彼の死をどう理解するかが、子どもたちを育む基本になる」との思いだ。
         男子生徒が抱いていた思いをどう受け止めるか。ほかの多くのケースと異なり、湯河原の男子生徒は生前、いじめられた相手などへの恨みや憎しみを一切口外しなかった。だからこそ、自殺に至るまで内に秘めてきた苦悩を理解する重要性が増す。
         自殺した当日の学級委員への立候補、親に心配をかけたくない、いじめを受けていた同級生ともうまくやりたい-との思い。「男子生徒が同級生と離れようとすればできたはずだ」と指摘し、こう分析する。「彼は最後まで努力している。努力してきたが、魔が差してしまった。あえて言えば、燃え尽きてしまった」
         男子生徒が入学直後から1年間にわたり受け続けたいじめ。自殺直後のアンケートで約2割の生徒がいじめの実態を指摘したにもかかわらず、学校現場はその事実に気づくことができなかった。小林委員長は「彼がされていたようなことが、日常の中で珍しくなく起こっていたのだろう」と推測し、「後になってから、その行為がいじめだったと認識することの方が多い」と強調する。
         それは、ほかのケースを含め、いじめた側の生徒にも言えることだ。「『相手が嫌だと言わなかったからいいと思っていた』という言葉は重い」。当時、ちょっとやり過ぎたと思っていても、その行為がいじめとは認識していなかった。そこに深刻な悲劇性を見る。

         小林委員長が繰り返すのは、大人の在り方や子どもとの関係性だ。「大人が子どもを見ていない。見ていれば、もうちょっと違った展開があったのでは」。教師をはじめとする大人たちは自分のことに一生懸命で、周囲が見えていない。「大人の怠慢、日常的にやるべきことを怠った結果、若い命を失ってしまった。社会全体の責任だ」
         不安を抱えながらも自立に向かう思春期の子どもたちが、大人に頼ってはいけないとの風潮は強い。大人は度々「思春期の子どもは分からない」と口にする。しかし、「子ども自身が自分のことを分かっていないときに、頼るべき大人にそう言われると、余計に混乱する」。子どもとの距離を埋めながら健全な情緒の発達を考えないと、根本的解決には到達しない。
         そもそも教育とは、時間や手間がかかるもの。「生きていく上で逸脱してはいけない範囲や、正しいやり方を示すのが本来の教育であるはず」と説く。だが、今は「悪いことをすると、それをただして訓練する」という指導が目に付く。何か問題が生じて、子どもの責任だけを問うのは「大人の無責任」だ。
         「これを越えてはいけない」ではなく、「はみ出たものは排除する」という発想。湯河原のケースに限らず、訴えがなければ対応しなくていい、という意識は変えなければならない。
         では、子どもたちと接する際に、大人は何を心掛けるべきか。
         小林委員長は「子どもの顔をちゃんと見て、同時に子どもと同じ景色を見る姿勢を持ってほしい」と呼び掛ける。心理カウンセラーが相談者に45度の角度で向き合うのは、相手の顔と相手が見ている景色を同時に見られるから。目に映る景色と、相手の感じ方を共有することで、互いに共感を深められる手法という。
         しかし、「今の大人は『子どもの顔を見て』と言うと顔だけを見てしまう」。家庭・地域・学校が補い合うという理念の広がりを期待するとともに、こう願う。「ちょっと工夫をしてほしいだけ。少しだけ子どもと同じ景色を見られれば、世の中は変わる」
         ◆湯河原中の男子生徒自殺問題 男子生徒は昨年4月10日午後、自宅で「誰も僕の心をわかってくれない」などと記したメモを残し、首をつって自殺した。町教委による生徒らへの聞き取りやアンケートの結果、頭や頬を手でたたくといった暴力行為や、物を隠すなどの嫌がらせがあったことが判明。第三者委は3月、暴力行為などのいじめが約1年間続いていたと指摘した上で、「自殺はいじめの結果によるものと推認でき、両者には関連性が認められる」と結論付けた調査報告書を公表。教員らがいじめに気付くチャンスはあったとし、「日常の教育活動が手抜きになっていた」などと学校側の対応を非難した。
         【第三者委員会がまとめた 答申書の概要・提言】
        ・男子生徒の自殺はいじめの結果によるものと推認でき、いじめと自殺の間には関連性が認められる
        ・支援対策本部がまとめた調査報告書の事実経過はおおむね適切だった
        ・自殺後に学校が直ちに事実調査に着手したことは適切だったが、加害者とされる生徒を絞ることが性急に過ぎたきらいがある
        ・男子生徒が自殺した4月を町の「いじめ防止・人権月間」のように位置付け、小中学校で講演会などに取り組むこと
        ・町がどんな子どもを育みたいと考えているかについて、宣言や条例の制定をすること
        ・町教委はいじめ防止対策の実践について毎年検証を行い、町議会に報告すること
        ・支援対策本部と第三者委の調査報告書をできうる限り公開し、教訓を関係者で共有すること
         こばやし・まさとし 1956年長野県生まれ。愛知学院大文学部心理学科卒。県立保健福祉大保健福祉学部教授、臨床心理士。県内児童養護施設のスーパーバイザーも務める。昨年4月、湯河原町立湯河原中学校2年の男子生徒が自殺した問題では、いじめと自殺の因果関係などを調べる第三者委員会「湯河原町いじめに関する調査委員会」の委員長を務めた。鎌倉市在住。58歳。
        http://www.kanaloco.jp/article/69391/cms_id/74596
        【神奈川新聞】2014.04.10 11:03:00
        犬の帰巣本能に驚かされ…。
        2014/04/06
        14年飼っていたマルチーズが亡くなって1年が過ぎようとしています。犬は、一度飼ってみると、居なければ淋しい存在で、でも亡くなるととても悲しい…。でも、すぐにということではなく、その内に(しかも無料で)と、昨年7月あたりに、動物愛護センター(京都府・京都市が運営母体)に申し込んでいました。
         3月の私の誕生日に、センターから1本の電話が…。とりあえず、閉所時間ギリギリに見に行き、写真を撮り、帰って配偶者に見せて相談。「飼っても、いいかな…」と合意。府と市からの誕生日プレゼント、と受け取ることにしました。
         翌日、これまた閉所時間ギリギリに引き取り手続きに。
         事件はすぐに始まりました。
         よくしつけされた、9歳のメス/雑種中型犬ですが、思っていたより力が強い。
         センターの人からは、「前の飼い主が迎えに来るんじゃないかと、待っているようです」言われていました。そりゃそうでしょう。飼えなくなる事情があってセンターに預けられたそうで、大切に飼われていたことは、犬の態度などを見れば明らかですし、元の家に戻りたいと思って当然です。
         その日の夜、一度は解放したゲージで寝る体勢に入りましたが、午前1時頃には吠え始めたため、散歩に行き、気分を変えてもらって寝てくれることを祈りましたが、またすぐに吠え始め、抱きかかえながら一緒に寝ることにしました。
         翌朝、共稼ぎなので家は彼女一人になってしまいます。さてどうするか。玄関先(陽の当たらない陰に段ボールの寝場所を用意)につないでおいて、近所の人に慣れてもらいつつ淋しさを紛らせてもらおうと思ったのが間違いといえば間違いだったのです。
         夕方4時頃までは、ご近所の方々が存在を確認しておられますが、私が5時半頃に帰ると、消えていました。ハーネスを過信していたのです。どうやら、必死にもがいて、後ずさりした際に前足の肘の部分が抜け…。見事、逃亡を果たしたわけです。
         金曜日だったので、動物愛護センターも保健所も業務終了時間を過ぎていたため休み明けの月曜日にしか連絡できません。FBとTwitterで拡散を依頼しました。翌日土曜日に警察に写真を添えて届け出。待つしかありません。
         センターでは、首にICチップを埋め込まれていたので、保健所に保護されれば、連絡が来ることにはなっていました。
         4日目の火曜日朝に、京都府宇治警察署から携帯に連絡が入りました。「よく似た犬を保護してくれている方がいます」。相手さんの連絡先を教えて頂き、とにかく会いに行くことにしました。
         宇治市内の女子高生(?)が深夜にコンビニで放浪中の犬を見つけ警察に相談、「このまま飼い主が見つからないと保健所行きになって、その後は…」と可愛そうに思ってくれ、Twitterで拡散。その友人が自宅で預かってくれる(引き取り手が見つからなければ自宅で飼うつもりにもなってくれていたようです)ことになり、警察に連絡…という経緯です。
         夕方、自宅と事務所のある京都府向日市から車でそのお宅へと向かいました。待っていたのは、そっくりの犬。一晩の付き合いしかないので確証はありませんでしたが、預かってくれていた奥さんから、しつけの状態や散歩時の行動などを聞くと、確信が持てました。お礼を言って、引き取って戻りました。
         向日市から宇治市まで、最短コースで15~16㎞はあります。夕方から深夜にかけて、彼女はこの距離を移動したわけです。おそらくは、その近辺か方角に、元の家があるのでしょう。犬の帰巣本能のすごさを目の当たりにしました。
         で、その帰巣本能は今も続いていて、散歩では三叉路や四つ角で、宇治市の方角(東)へ行こうとします。玄関(引き戸)から出ようとして内側の網戸は食いちぎられました。隙あらば逃走、の構えです。
         そんな衝動や不安と旺盛な食欲からでしょうが、立ち上がって届く範囲(食卓やイス、ゲージの上など)の食物の匂いのするものは何でも食い散らかすなどかなりのやんちゃ行動。新たな環境に慣れて落ち着くまで、配偶者は家に帰るとまず大掃除、が続きそうです。
         一昨日あたりから、夜は自分のゲージで寝るようになり、散歩(途中でのトイレ)や食事のルールも、飼い主側が理解できるようになった感じです。
         適度な緊張感のある生活。家族が増え、いろいろあっても、やっぱり癒やされますね。
         捜索や一時保護などに協力して下さった方々に、深くお礼申し上げます

         それでは、最近の気になる記事です。(今回も自殺事案を含むいじめ関連が満載です)

        自殺の中3、第三者委員「いじめが一因の可能性」 熊本

         熊本県和水(なごみ)町立中学校の3年生の男子生徒(当時14)が2012年に自殺した問題で、自殺の原因を調べていた町の第三者調査委員会(委員長=吉田道雄・熊本大シニア教授)は4日、生徒へのいじめ行為11件を認定し、自殺の一因になった可能性があるとする報告書を町に提出した。
         生徒は12年7月、自宅で死亡しているのが発見された。その後、当時の町教育長や中学校長は町議会や取材に対し、からかいなどの「いじめ的な行為」はあったと認める一方、「自殺の要因になるものはなかった」などと述べていた。第三者委は明確にいじめがあったと認定し、自殺につながった可能性を指摘しており、当時の教育長らの見解と異なっている。
         第三者委は遺族の要望で設置され、昨年6月に初めて会合を開いた。同級生や教員らからの聞き取り調査などの結果、所持品に落書きしたり、生徒が1歳年上の女性とインターネットを通じて交流していたことを授業中や部活動中にはやし立てたり、女性の名前を班の名前にしようとしたりしたことなど、11件をいじめと認定した。
         自殺との因果関係については、「(いじめで)心が揺らされ、疲れるきっかけになったと推定される」(吉田委員長)として、要因の一つになった可能性を指摘。一方で、生徒の性格などを総合的に分析した結果、自殺の直接の原因は特定できなかったとした。
         町教委と学校の対応も問題視した。町教委が自殺直後の12年夏に「いじめ(的な行為)は自殺の原因ではなかったというのが教委の総意」などとする見解をまとめたことに対し、吉田委員長は「よく調べていない」と指摘。報告書では「早期に結論を出し、その後の対応にも問題を残した」と批判した。遺族への説明などの対応も十分にできていなかったとした。
         昨年9月に就任した小出正泰教育長は「指摘は十分反省し、遺族におわびしなければならない。前任者(前教育長)は当時の調査をもとに『いじめはなかった』としたが、見解を変える必要がある。早急に臨時教育委員会を開きたい」と話した。
         一方、自殺した男子生徒の父親は「しっかり調査してもらえたことに感謝する。当初から学校や教育委員会が納得できるような対応をしてくれれば憤りを感じることはなかった」と語った。(坂本康浩、森田岳穂)
        「朝日新聞DIGITAL」2014年4月5日

        ●長崎女児自殺「片付けないと」 教育長発言、遺族が抗議
         長崎市立小6年の女児(当時11)が昨年自殺した問題で、馬場豊子・市教育長が19日に同校であった卒業式の直前、「片付けていかないといけない」と周囲に発言していたことがわかった。馬場教育長は23日、取材に対して発言を認め、「遺族を傷つけたとしたら申し訳ない」と話した。女児の遺族は市教委に抗議している。
         馬場教育長は田上富久市長の代理で卒業式に出席した。教育長本人によると、式の前に校長室で、卒業式に招かれていた来賓の1人から「早く(問題が)落ち着けばいいですね」と言われ、「そうですね。片付けていかないといけないですね」と応じた。別の来賓から「そういう言い方はあんまりだ」と指摘され、「確かによくないですね」とその場で陳謝したという。
         発言を知った遺族は翌日、代理人を通じて市教委に抗議文を提出。今後このような発言をせずに、いじめの真相解明にしっかり取り組むよう求めた。女児の母親は「(発言を知って)衝撃が強すぎて血の気が引いた。教育長にとって厄介事かもしれないが、来賓を前にそう言えるぐらいの気持ちなのか。憤りを感じる。命と向き合ってほしい」と語った。
         馬場教育長は取材に「丁寧に対応しなければいけないとの意味で答えたつもりだったが、言葉が不用意だった。遺族の気持ちを考えて責任を持って対応したい」と述べた。
        http://www.asahi.com/articles/ASG3R61VKG3RTOLB00M.html
        「朝日新聞DIGITAL」2014年3月23日

        ●190万円恐喝で中学生10人ら提訴/弘前
         弘前市内の同じ市立中学校に通う生徒10人から1年間以上にわたって少なくとも約190万円の現金の支払いを強いられ、適応障害を発症、通学できなくなったとして、同校2年の生徒と両親が、10人とその保護者に慰謝料など計約4150万円を求める民事訴訟を、青森地裁弘前支部に起こしていたことが24日までに分かった。提訴は7日付。これを受け、弘前市教委の佐藤紘昭教育長らは24日午後に会見。被害生徒1人に対し、生徒約20人が関係するいじめ事案として対応してきたが、被害生徒の不登校が続き、保護者間で和解できていない状態など、学校側の対応に不備があったことを謝罪した。
        http://www.mutusinpou.co.jp/news/2014/03/30666.html
        「陸奥新報」2014年3月25日

        ●奨学金返済苦深刻に 就職難背景、延滞金「消費者金融並み」
         就職難を背景に奨学金の返済に苦しむ若者が増えており、全国各地で弁護士や市民団体が支援活動に乗り出している。兵庫県でも昨年、「奨学金問題と学費を考える兵庫の会」が発足。深刻な相談が相次ぎ、数年の滞納で約100万円の利息・延滞金が請求された例もあった。(中部 剛)
         奨学金を扱う日本学生支援機構によると、無利子・有利子を合わせ奨学金を貸与しているのは2012年度で134万人、過去10年で約1・5倍。特に有利子の増加が著しい。
         これに伴い、未返済が増え、同機構の11年度調査では延滞している人のうち、39%が年収100万円未満、19%が無職・失業中など。不安定な雇用の影響がうかがえる。
         兵庫の会は昨年から活動を始め、これまでに神戸・阪神地域などから16件の深刻な相談が寄せられている。
         その一人、30歳代の男性は計約600万円の奨学金を借りた。専門学校を卒業したが、就職が決まらず、返済が滞った。昨秋、同機構に元金と延滞金などを合わせ、約300万円の支払いを求められ、うち100万円が延滞金と利息だった。
         現在、男性の収入は月約20万円。約300万円を一括返済し、今後も月額2万7千円ずつ返済するが、「雇用不安が続く中、10%の延滞金はあまりにも高い」と困惑する。
         兵庫の会は「奨学金が消費者金融並みになっている」と指摘。30日午後2時から神戸市中央区雲井通5の市勤労会館で、返済実態と問題点を考える集いを開く。奨学金問題対策全国会議事務局長の岩重佳治弁護士が講演する。参加費500円。
         兵庫の会では随時、相談を受け付けている。事務局TEL078・362・1166、メールhy‐shougakukin@mbr.nifty.com
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140329-00000005-kobenext-soci
        「神戸新聞NEXT」3月29日

        ●慢性疲労症候群:患者脳内に炎症 理研チーム確認
         原因不明の疲労が続く「慢性疲労症候群」の患者は脳内で広い範囲の炎症を起こしていると、大阪市立大や理化学研究所などの研究チームが4日、発表した。PET(陽電子放射断層撮影)で確認したという。慢性疲労症候群は従来の検査では異常を見つけられず、新たな診断法や治療法の開発に役立つ可能性がある。先月24日付で米科学誌「ジャーナル・オブ・ニュークリア・メディスン」電子版に掲載された。
         チームによると、慢性疲労症候群は原因不明の極度の疲労が長期間続き、正常な生活が送れなくなる。患者は国内に約30万人いるとみられるが、治療法は確立していない。客観的な指標がないため疲労感、集中力低下など患者の訴えを基に診断し、病気が見過ごされることも少なくない。
         大阪市立大疲労クリニカルセンターの中富康仁医師らは、炎症を起こすと増えるたんぱく質を目印に、脳内の炎症部分をPETで観察することに成功した。患者9人(平均38.4歳)と健康な人10人(同39.1歳)を調べると、患者は健康な人に比べ、痛みに関係する脳の部分の炎症の程度が重かった。認知機能低下や抑うつと関係する脳の各部位に炎症があると、その症状が重い傾向であることも分かった。
         チームは今後、PETを使った診断法や治療法の開発を進める。中富医師は「患者は『怠けているだけ』などの偏見に悩むことが多い。今回、健康な人との違いがあると客観的に示せた。病気への理解が広がってほしい」と話している。【斎藤広子】
        http://mainichi.jp/select/news/20140405k0000m040142000c.html
        「毎日新聞」2014年04月05日

        ●フリースクールに通えない子を支援 米沢の「With優」が基金創設
         不登校や引きこもりに悩む若者の自立支援としてフリースクールを運営するNPO法人「With優」(米沢市、白石祥和代表)は、教育支援基金を創設した。企業や個人に広く寄付を呼び掛け、経済的な理由からフリースクールに通えない子どもたちに無利子で資金を貸し付け、学びの機会を提供する。
         With優は2007年の発足から、公教育になじめない小中学生・高校生世代を対象に学習支援を行うフリースクールを運営。これまで利用した延べ50人ほどが中学や高校進学の際に復学したり、高校卒業程度認定試験(旧大検)を経て大学や専門学校に進学したりしている。
         一方で生徒は一般的な奨学金や融資制度を利用できないという現状がある。With優のフリースクールに週5日通う場合、月謝は4万8千円だが、経済的な理由で週1、2回の通学を選択する子どももいるという。
         基金は学習意欲がありながら、満足に機会を得られない子どもを支援するために創設。趣旨に賛同した企業や個人から募る寄付金を原資とし、With優の理事や寄付者らでつくる運営委員会が管理、運用する。希望者を面接するなどし、貸し付けの可否を判断。対象者は就職後に返済する。
         白石代表は「基金を通じて受け皿をつくり、一人でも多くの子どもたちが学びの機会を得られるようにしたい」とする。賛同者の一人で、米沢市内の塗装会社カトペンの加藤精一社長は「子どもは失敗しても必ず立ち直れる。地域の中で、目の前で悩む子どもたちを育てていきたい」と語る。問い合わせはWith優0238(33)9137。
        http://yamagata-np.jp/news/201403/23/kj_2014032300475.php
        「山形新聞」2014年03月23日

        ●大人に悩み語る場が完成披露 亀岡「知誠館」
         若者と社会人が語り合うスペース「小さな森の出会い場」が完成した京都府亀岡市南つつじケ丘のフリースクール「アウラ学びの森 知誠館」で、このほど披露会が開かれた。同スクールの生徒や森を設計した造園家、教育関係者らがさっそく円卓を囲んで歓談した。
         不登校やひきこもりの若者と、仕事にこだわりを持つ職人や技術者が気軽に会話できる場として整備した。社会人との触れ合いを通して、若者たちに進路選択の参考にしてもらうのが狙い。
         教育や福祉関係者らによる実行委員会が発案し、昨年9月から約150平方メートルに雑木を植えていった。
         披露会には約20人が出席し、ドングリの苗を植えた。実行委の北村真也委員長(52)は「多くの人に活用してもらうことで、森を育てていきたい」と話した。
        http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20140401000072
        「京都新聞」2014年04月01日

        進学や就職をめぐるストレスと葛藤。
        2014/03/18
        冬から春へ。年度替わり。今を生きる日本人、特に思春期・青年期段階にある人たちにとってこの季節は、季節の移り変わりを味わう「ゆとり」どころではなく、進級・進学・就職などにまつわるストレスと葛藤の季節です。この間、こうした課題での何件かの相談をお受けしてきています。(解決したもの、見通しのついたもの、目下格闘中のもの、様々です)
         進級は、クラス替え、担任の異動、学年が変わることによる学校内の力関係や自身の立ち位置、キャラの適応性など、気を使うことばかり。
         進学は、5教科中心の評価にさらされながら、希望する学校やコースとの解離、親や親族の期待との解離、新たな立ち位置とキャラづくり、経済的問題や生活面での具体的な不安などなど。
         就職は、決まらないことによる自己評価の低下や無価値化、先行きの見えない不安や無力・絶望感、親や親族の期待との狭間での葛藤と苦悶…。決まったとしても、ブラックではないか?、企業などの先行き不安、求められるスキルなどへの対応・適応不安、新たな対人関係性づくりなど…、これまたストレスと葛藤にあふれています。
         「そんなのは当たり前。乗り越えてこそ一人前…」と親世代の方は言われるかも知れませんが、親世代が青年期を生きた時代と現在とでは、比較できないほどの違いがあることは、改めて説明を加える必用はないと思います。社会(教育評価、就活、企業経営、国家財政など)の仕組みも価値観も、子どもが成人するまでに体験し身につけるもののレベルも内容も、自己に対する評価の有り様(およびその根拠)も、「自信を持って苦難に立ち向かう」ことができる態勢を維持している人は稀少と言える状況ではないでしょうか。
         なかでも、自己に対する自己評価や他者による評価への過敏なまでの脆弱さは、個人の問題ではなく、生きてきた環境の中で作られてきたものであることの理解が不可欠です。
         親は、子どもの将来を思うあまり、無難で安定した職業や資格取得などを期待し、時に要請します。悪気がないことは明らかでも、少し考慮に不足するところがあるのではないでしょうか。
         具体的には以下の3つの視点です。
         1.今、これからの時代に安定を保証してくれる企業や職業・職種はあるのか。あるとして、それに加わることのできる人はどれくらいいるのか。その人は、自己の要求や能力、価値観とマッチした選択ができているのか。
         2.その人の得意・不得意や能力、意欲、価値観などにマッチした職業選択となっているか。
         3.その人の、その時の心身の状態に応じた活動(勉強や就活)になっているか(後にダメージを与える無理強いになっていないか)。
         人にはそれぞれの個性・特性があり、体験してきた様々な環境によって多様な認知や価値観が作られ、また多様な能力・スキルごとに獲得の段階・レベル・スピードが違います。それらを一律に、○○になったからと、他の同級生は○○しているのにと、他者と比較しながら要請・強要することは、せっかくの「親心」がストレスを与え、度を過ぎるとアイデンティティの拡散・崩壊状態を生じさせてしまう結果となりかねません。
         大切なのは、多様な情報やスキル、価値観を学び獲得していける環境を提供しつつ、将来への身の振り方を自己選択・自己決定してもらうこと。親・親族が出して良いのは「口」ではなく、お金だけ、とは少し言い過ぎでしょうか。

         それでは、最近の気になる記事です。(今回も自殺事案を含むいじめ関連が満載です)

        「誰もわかってくれない さよなら」”学校の現実”克明に、湯河原いじめ調査報告/神奈川

         「誰も僕の心をわかってくれない さよなら」。昨年4月に自殺した湯河原町立湯河原中学校2年の男子生徒=当時(13)=は、自宅に残したメモにこう記していた。いじめを受け続けることによる苦痛と、周囲に迷惑を掛けたくないという自立心とのはざまで揺れる「思春期の少年」の苦悩-。第三者委員会が4日に公表した調査結果は、男子生徒が向き合っていた”学校の現実”を克明に浮かび上がらせた。
         報告書によると、いじめは2012年4月の入学直後に始まった。所属していた運動系の部活動で、尻をたたかれたり、シューズのひもをほどいて練習の邪魔をされたりするなど、当初は「ちょっかいが日常的に行われていた」という。
         だが、行為は次第にエスカレート。同年10月以降は暴力が目立つようになり、10回以上連続して柔道技で投げ倒されたことも。その後も暴力は繰り返され、「もう、痛いからやめて」という男子生徒の悲痛な訴えは届かなかった。翌年1月ごろからは「死ね」という無慈悲な言葉を浴びせられ、ますます追い込まれていった-。調査委はこう分析している。
         3人兄弟の長男だった男子生徒。頭が良くて生真面で大人っぽく、責任感が強くて我慢強い性格の「いいやつ」。教諭や同級生には、こう映っていた。家族や、毎朝一緒に登校していた友人が心配して学校生活について尋ねても、いじめを受けていることは口にしなかった。
         しかし同時期、周囲は異変に気付いていたはずだった。自殺翌日の4月11日、学校が同学年を対象に実施したアンケートでは、2割の生徒がいじめ行為を目撃していたことが判明。部活の試合後に男子生徒が泣いているのに気付いた顧問が、「大丈夫か」と声を掛けたこともあったという。
         そんな日々を送りながらも、男子生徒はメッセージを送っていた。「たまには僕たちの悩みを聞いてください」。2年に進級した直後の13年4月、生徒が担任教諭に提出した「自己紹介カード」に記したという。しかし、学校側がすぐに対応することはなかった。
         そして、翌日-。
         自宅に残したメモに、いじめへの怒りや憤りを表す記述はなかった。調査報告書では「いじめの苦痛や不安のみが問題になったのではなく、解決できないふがいなさや、いら立ちが自分に向かっていた可能性がある」と指摘している。
         調査委の小林正稔委員長は会見で、こう訴えた。「誰かに気付いてほしいというかすかな思いに、大人が気付けなかった。『中学生だから』と、自立を強制するのではなく、信頼関係を築いて支えていける学校であってほしい」
         ◇生徒が読める機会を
         玉川大学教職大学院・田原俊司教授(教育心理学専攻) 限られた時間の中で、いじめの事実関係を丹念に追っている。委員会からの提言も具体的で、関係者は真剣に受け止めて実行してほしい。特に調査報告書の公開は、同じ過ちが繰り返されないようにするためにも必要。部分的で良いので、生徒たちが報告書を読む機会も設けるべきだ。
         いじめに気付けなかった学校側は、いじめがあるのが当たり前という「感覚のまひ」があったのではないか。生徒に目を配り「おまえ、最近変だぞ」「言いづらければスクールカウンセラーが話を聞くよ」と声を掛けるのが重要。教職員が忙しければ外部の手を借り、生徒が声を上げられる態勢をつくってほしい。
         ◇学校の責任問うべき
         NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」・小森美登里理事 事案発生前の資料が、保管の責任があるのに破棄され、本人からの「悩みを聞いてほしい」という訴えに担任は対応していない。意識の低さ、指導力不足がうかがえる。報告書は「学校はいじめに気付けなかった」としているが、いじめの隠蔽(いんぺい)の可能性も含め、学校側の責任を問うべきだった。
         提言はもっと具体策を示すべきだ。例えば重大事案発生後に行うアンケートの質問項目も学校側に任せるのではなく、「こういう質問を盛り込む」と明記するなどだ。事実に向き合うためのプロセスを示し、学校がそのプロセスに添って動くようにしなければ意識は変わらない。
        http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1403040043/
        「カナロコ」2014年3月5日

        ●小6自殺「いじめ原因」 前橋地裁、群馬県・桐生市に賠償命令
         群馬県桐生市で2010年、小学6年、上村明子さん(当時12)が自殺したのは学校でのいじめと校長らの不適切な対応が原因として、両親が市と県に3200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁は14日、市と県に450万円の支払いを命じた。自殺といじめとの因果関係を認めた。
         原道子裁判長は判決理由で、「臭い」「きもい」など継続的な悪口や仲間はずれなどのいじめを受けていたのに、学校側が適切な指導をしなかったため絶望的な状況に追い込まれたと指摘。「自殺の原因は校長と担任教諭にある」と認定した。
         原告側は「担任教諭はいじめを分かっていながら放置した。適切な対応を取っていれば自殺に至らなかった」と主張。市と県は、原告側が主張するいじめの一部を認めた上で「非常に軽微で自殺の原因とはならない」と反論していた。
         上村さんは小4だった08年に桐生市立新里東小に転校し、10年10月に自宅で自殺した。訴状では、同級生に「臭い」などの悪口を言われたなどとしていた。
         市の第三者委員会は11年3月、「いじめが唯一の原因で自殺したとは判断できない」との報告書をまとめた。〔共同〕
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1401Y_U4A310C1CC0000/
        「日本経済新聞」2014/3/14

        ●プール事故:小1女児死亡、京都市に賠償命令
         京都市左京区の市立養徳小学校のプールで2012年7月、同小1年の浅田羽菜(はな)さん(当時6歳)が死亡した事故で、羽菜さんの両親が京都市などを相手取り、約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、京都地裁であり、橋詰均裁判長は現場にいた教諭3人の過失を認め、市側に約3000万円の賠償を命じた。
         訴状によると、羽菜さんは夏休み中の7月30日、課外のプール学習中に溺れ、翌日、死亡した。プールは通常、低学年向けに最も深い場所で水深90センチにしていたが、事故前にあった高学年の練習に合わせ110センチにしていた。羽菜さんの身長は113.5センチだった。
         両親側は、指導を担当した3人の教諭が普段より水位が高いことを知らず、深い場所に行かないようロープを張るなどの安全対策を怠ったと主張。市側は「安全管理に課題はあるが、違法とまでは言えない」などと争う姿勢を示していた。
         京都市教委は、弁護士らによる第三者委員会を設置し、事故原因を調査している。【松井豊】
        http://mainichi.jp/select/news/20140311k0000e040184000c.html
        「毎日新聞」2014年03月11日

        ●自殺:2013年は2万7000人 4年連続減も高止まり
         警察庁と内閣府は13日、2013年の自殺者数を前年比2.1%(575人)減の2万7283人(確定値)と発表した。4年連続の減少で、2年続けて3万人を下回ったものの、政府が目標とする「2万4000人台」は達成できておらず、高止まりが続く。動機別では、多重債務や事業不振などの「経済・生活問題」の減少が583人と最も大きく、内閣府は「景気回復が大きな要因ではないか」と分析する。一方、東日本大震災関連とみられる自殺は38人と前年より14人増えた。【川辺康広】
         国は09年度、自殺対策を支援する基金を都道府県に創設。12年度までに118億4000万円が市町村や民間団体などの活動に充てられた。内閣府の担当者は「一定の効果が出ている」としている。
         全体の68.9%が男性。職業は「無職者」(学生や児童生徒は除く)が6割を占めた。年代別では60代が17.3%で最多で、次いで40代16.8%▽50代16.4%▽70代13.9%−−など。12年はすべての年代で減少したが、13年は70代以上が増加に転じた。
         遺書などから原因や動機を特定できた2万256人について分析(最大で3項目まで計上)したところ、最多は「健康問題」の1万3680人(前年比0.4%増)。次いで「経済・生活問題」4636人(11.2%減)▽「家庭問題」3930人(3.9%減)▽職場の人間関係などの「勤務問題」2323人(6%減)▽「男女問題」912人(11.9%減)▽学業不振やいじめなどの「学校問題」375人(10.1%減)−−など。
         最多だった健康問題の内訳では、「統合失調症の悩み・影響」の増え方が最も大きく10%(115人)増。経済・生活問題では、「多重債務」の減り幅が最も大きく、17%(151人)減。なかでも40代と60代の減少ぶりが目立った。「就職失敗」は20代に顕著で30%(45人)減だった。
         一方、警察が東日本大震災関連の自殺と判断したのは前年比14人増の38人。前年は11年(6月以降のみ)の55人から半減したが増加に転じた。原因は健康問題の22人が最多。自治体別では、福島県が23人で前年より10人増えた。
         NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表の話 4年連続の減少は自殺対策の成果とみられるが、減少幅は前年の9.1%から2.1%に縮んだ。依然として1日平均75人が自殺しており、自殺率は米国の2倍、英国の3倍だ。政府は16年までに2万4000人台に減らす目標を掲げており、「自殺総合対策大綱」に列記された項目を確実に実行することが求められる。震災関連の自殺が福島県で増加したことも注視すべきで、戦略的に対策を講じる必要がある。
         ◇自殺の主な原因・動機
         <家庭問題>
        ・夫婦関係の不和  1002人
        ・家族の将来悲観   587人
         <健康問題>
        ・うつ病      5832人
        ・身体の病気    4463人
         <経済・生活問題>
        ・生活苦      1277人
        ・多重債務      688人
         <勤務問題>
        ・仕事疲れ      649人
        ・職場の人間関係   539人
         <男女問題>
        ・失恋        293人
        ・不倫の悩み     165人
         <学校問題>
        ・学業不振      135人
         <その他>
        ・孤独感       532人
        ※現場の警察官が最大3項目選択
        http://mainichi.jp/select/news/20140313k0000e040145000c.html
        毎日新聞 2014年03月13日 10時41分

        ●大学生の7割以上が「ぼっち」実感
         高校時代とはガラリと環境が変わる大学生活。学内に友達ができず「ぼっち」になってしまったらどうしよう? そんな心配を抱えている人も多いハズ。編集部が大学生の男女200人に「友達作り」についてアンケート調査をしたところ「ぼっちだと思うことはある?」の質問に対して「一度もない」と答えたのは26%のみ。「よくある」(21%)、「たまにある」(53%)を合わせると、7割以上の人が「ぼっち」を実感することがあるようだ。具体的に「ぼっちで困るのはどんな時?」と聞いてみると以下の通り。
        1位 大学でランチを一緒に食べる人がいない時(40%)
        2位 欠席した授業のノートを借りる人がいない時(37%)
        3位 特に困ることはない(21%)
        4位 授業の代返を頼める人がいない時(20%)
        5位 休日に一緒に過ごす友達がいない時(16%)。
         「特に困ることはない」という回答は、男女別では男子18%に対して女子は24%と、意外にも女子の方がタフという結果に。しかし、「ぼっち」は寂しいだけでなく、学業面で問題になる場合もあるようだ。
         では「ぼっち」を回避できた先輩たちは、どうやって友達を作ったの?「最初に友達ができたタイミング」として多くあげられたのは「入学式から1週間くらい」(30%)、続いて「入学式」(28%)と、入学早々という人が多数。出会って間もない人と会話を弾ませるのはハードルが高いように思えるが、芸能界屈指の人脈を持つお笑い芸人・カラテカ入江さんは次のように語る。
         「イタいと思われるのを恐れず積極的に絡みましょう。単位やサークルなど、共通の話題を会話のきっかけに」
         入学したら勇気を出して、とにかく周りの人に話しかけよう!
        (有栖川匠)
        (R25編集部)
        http://news.so-net.ne.jp/article/detail/938099/
        (提供元:web R25)2014年 03月16日

        「発達障害」—その子に適したサポートを就学前に。とりわけ言語聴覚面を。
        2014/03/05
        行政の子どもの検診の「仕組み」に応じて受けた「発達検査」で、「言語理解」の「遅れ」が3歳ほどあると指摘された小学生(中学年)。いじめも常態化。思春期に入ろうとしている段階でも。この検査結果も所見も学校には届いてなく、特別支援教育どころか、できないところをできるようにと宿題を増やしているらしい。校長は「この子は大丈夫」と根拠もなく親に話したとか…。こんな学校、ここだけ?
         知り合いのCP(臨床心理士)さんとこの件で話していたら、「WISKとか、検査する方もされる方(子ども)も大変なんですよ(労力も時間も…)。いったい何のためにやっているのやら…? 療育などの支援が必用な子どもは、ちゃんとつないでもらわないと意味がないし、支援なく大人になっていくと考えると…」と、二人で怒りモードに(`ヘ´)。
         子ども(主体)と、家庭(生活環境)と、学校(教育・育ちの環境)と、支援者と、子ども一人ひとりの特性や個性などの寸断が、今なお続いているのは、特定の地域だけなんでしょうか?
         レポートをまとめて、国連・子どもの権利委員会に提出したくなるようなケースです。
         自閉症スペクトラムなど「発達障害」の特性のあると思われる子ども(診断済みおよび未診断)で、できるだけ早期より言語聴覚面のサポートを受けることでコミュニケーションおよび社会的なスキルが向上し(獲得され)、小学校入学後の「困り」が減ると聞いています。
         「話してもわかってくれない」から話さない、「他人に自分の気持ちを話す理由がわからない」、「自分は人と違う、でもみんなと同じようにできるようになりたい」けど無理みたい…などと成人後に話してくれる自閉症スペクトラムの特性のある人たちから、言語理解や会話スキルのサポートの必要性を教えてもらってきているので、就学前~小学校段階での言葉をはじめとした個別に適切なサポートの大切さを、これまで以上に折ある事に働きかけて行きたいと思っています。

         それでは、最近の気になる記事です。(自殺事案を含むいじめ関連が満載です)

        所在不明の18歳未満、直接対面確認へ…初調査

         全国で所在を確認できない乳幼児が約4000人に上ることが読売新聞の調査で判明したことを受け、厚生労働省は、所在の分からない子どもについて、初めての全国調査を行うことを決めた。
         18歳未満を対象に、3月末以降、保健師らが直接会って所在を確認するよう自治体に求める。所在不明児の虐待死事件が相次いでおり、安否確認を徹底して虐待防止につなげる考えだ。
         調査は自治体を通じて2段階で行う。今年1月1日時点で住民票があるのに、乳幼児健診を受けていないなど所在を確認できない子どもがいれば、その人数を年齢別に集計させて5月末までに報告させる。自治体職員らが家族に会えても、子どもに会えない場合は不明人数に加える。
         その上で、所在不明の子どもの追跡調査を行い、10月末までに再度、結果を報告させる。所在を確認できない理由や課題も挙げてもらい、所在を突き止められる態勢を整える。
         厚労省は自治体担当者を集めた26日の会議で、調査目的や方法を説明する。
         厚労省は2012年11月、「所在不明の子どもの家庭は虐待発生のリスクが高い」として、子どもの所在確認を徹底するよう各自治体に通知したが、所在不明の子どもが全国にどれだけいるかは調査していなかった。
         読売新聞が昨年11月、全1742市区町村を対象にアンケート調査を行ったところ、12年度の乳幼児健診を受けず、所在が確認できない乳幼児が37都道府県で計4176人に上ることが判明。健診受診を促す電話や手紙で所在確認を済ませている自治体もあり、把握が不十分なことも分かった。
         厚労省は、自治体間で所在確認の方法にばらつきがある点を問題視。文部科学省にも協力を求め、「保健師や教職員、民生委員など第三者が直接会う」方法に統一して調査することを決めた。虐待死事件では、乳幼児だけでなく、小中学生が犠牲になるケースもあることから、児童福祉法の対象である18歳未満に拡大した。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140225-OYT1T01663.htm
        「読売新聞」2014年2月26日

        ●神奈川・湯河原の中2男子いじめ自殺 第三者委が報告書 いじめとの関連認める
         神奈川県湯河原町で昨年4月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、第三者委員会は4日、「いじめと自殺との間には関連性が認められる」と認定する調査報告書を公表した。報告書では、「正義感があり、優しかった」という生徒が自殺に至った心理状況を分析したほか、町教委や学校側の問題点についても言及した。5日には保護者向け説明会も開催する。
         ◇徐々にエスカレート
         報告書によると、生徒へのいじめは中学入学当初から始まった。生徒は部活動や学校生活全般で複数の同級生から暴力や嫌がらせを受け、自殺までの約1年間続いた。
         特に7月からは「紙を丸めた棒でたたかれる」「『きもい(気持ち悪い)』と言われる」など徐々にエスカレートし、冬休み前後からは毎日のように繰り返された。第三者委は「心身に与えた苦痛は相当なものだった」と指摘し、自殺との関連性を認めた。
         遺族からの聞き取りも行い、生徒が自殺に至った心理状況も分析。自殺時に見つかったメモには「誰も僕の心をわかってくれない さよなら」と書かれていたが、加害者への怒りや憤りは記載されていなかった。
         生徒持ち前の「正義感や生真面目さ」も考慮し、メモの意味を「単にいじめへの苦悩や不安のみでなく、自分の力で解決できないことに苦しんでいることすらも伝えずにいる自分を暗に大人たちに理解してほしかった」と推察した。
         ◇なぜ気付かず
         いじめが長期にわたっていたにもかかわらず、なぜ学校はいじめを見過ごしてしまったのか。
         自殺発生後の校内アンケートでは、いじめの事実が多数明らかになったが、教員や生徒は誰も通報や指摘をしていなかった。第三者委は「中学校としていじめに対する明確な共通認識がなく、理解不足だった」と批判した。
         生徒は担任に提出する自己紹介カードの裏面に「たまには悩みを聞いてください」と書いていたほか、部活動からの帰宅が遅れ保護者から学校に電話が入るなど、学校側がいじめに気付く機会はあった。こうした点から第三者委は「学校側が丁寧に対応していれば、未然に防げた可能性もあった」と指摘した。
         また、学校が定期的に実施していたいじめに関するアンケートを1年間の保管期間を守らず、破棄していたことも判明。学校のいじめに対する取り組み姿勢にも疑問を投げかけた。
         ◇学校に主体性なし
         自殺発生後、同校はアンケートを実施し、すぐに調査を始めた。しかし、第三者委は、その内容が加害生徒への調査に終始してしまったことを問題視。アンケートで約2割の生徒がいじめを指摘したにもかかわらず、なぜ生徒が目撃した時点で教員に伝えなかったのかについての検証が十分ではなく、再発防止につなげられていないと指摘した。
         また、学校側が町教委などで組織する支援対策本部に対応を実質的に委ねたことで、学校の主体性が失われ、在校生への指導も不十分なままだとしている。今後の取り組みについて「個々が主体的に考え判断する力を身につける教育を行うこと」などを提言した。
         第三者委は臨床心理士や弁護士らで構成。委員長を務めた県立保健福祉大学の小林正稔教授は会見で、「間違っていることを指摘して正すことだけが教育という誤った認識が学校にはびこっていたのではないか。本当に大事なのは日常的に子供と話をして、大人と子供が関係をつくっていくことだ」と述べた。
         このいじめをめぐっては、県警が昨年6月、生徒をたたいたとして、同級生の少年3人を暴行の非行事実で児童相談所に送致。3人はその後、横浜家裁小田原支部での審判を経て、最終的に児相所長送致が決定している。横浜家裁によると、児相所長送致となった少年は、訓戒や誓約書の提出、児童福祉司による指導といった措置を受けるという。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140304/kng14030422280007-n1.htm
        「産経ニュース」2014.3.4 22:26

        ●「教育活動に手抜き」 いじめとの関連認定、湯河原町中2自殺/神奈川
         湯河原町立湯河原中学校2年の男子生徒=当時(13)=が昨年4月に自殺した問題で、いじめとの因果関係を調査していた第三者委員会の小林正稔委員長は4日、同町教育センターで会見し「自殺はいじめの結果によるものと推認でき、両者には関連性が認められる」などと結論付けた調査報告書を公表した。学校の対応について、小林委員長は「日常の教育活動が手抜きになってしまっていたことが要因」と指摘した。
         ◇町教育委員会は5日夜に保護者説明会を開き、調査結果を報告する。
         一部が黒塗りの状態で公表された報告書(全32ページ)では、男子生徒が入学時から約1年間にわたり受けていたいじめの内容などを列挙。自殺時に「誰も僕の心をわかってくれない さよなら」と書かれたメモを残していることを明かし、「先行きへの出口の見えない不安から自殺に至ることは十分に推測し得る」と関連を認定した。
         学校側の対応に関しては、男子生徒が自殺の前日、担任に「たまには悩みを聞いて下さい」とメモを寄せていた点などを踏まえ、「教員らがいじめに気付くチャンスはあった。学校全体がいじめなどに対してまひしていた」と指摘。定期的に実施していたアンケートが破棄されていたことには「あまりにずさん」と非難した。
         会見で小林委員長は「男子生徒はSOSを出していたが、先生はそれを受け止められていなかった」などと分析。加害生徒については「恐らくいじめの認識がなかった」とし、そのことがいじめによる自殺が繰り返される一因との見方を示した。調査結果を伝えた遺族の受け止めに関しては「全て納得いく内容ではないだろうが、一応の理解はいただいている」とした。
         報告書では町教委や学校に対し、▽教育活動や生徒指導の見直し▽教員研修の充実▽いじめ防止対策の検証を毎年町議会に報告-といった改善策の実践を提言。篠原通夫教育長は「委員会からの答申を真摯(しんし)に受け止め、このような悲しい出来事が二度と起きないよう町全体で全力で取り組む決意だ」と述べた。
         ◆湯河原中の男子生徒自殺問題 男子生徒は昨年4月10日午後、自宅で首をつって自殺した。町教委による生徒らへの聞き取りやアンケートの結果、頭や頬を手でたたくといった暴力行為や、物を隠すなどの嫌がらせがあったことが判明。町教委は「日常的ないじめが自殺に関係した可能性がある」との見解を示しており、第三者委は昨年8月から、同校の視察や関係者への聞き取り調査などを進めていた。
        http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1403040041/
        「カナロコ」2014年3月5日

        ●「キモイ」「消えろ」…13歳自殺をいじめ認定
         神奈川県湯河原町立湯河原中学校2年の男子生徒(当時13歳)が昨年4月に自殺した問題で、同町教委は4日、「生徒の自死はいじめの結果によるものと推認できる」とする第三者委員会の調査報告書を公表した。
         報告書によると、男子生徒は2012年4月頃から約1年間、同じ部活動の男子生徒3人から〈1〉運動着のズボンをおろされる〈2〉柔道技をかけられる〈3〉「キモイ」「消えろ」と言われる――などの嫌がらせを受け、自殺した際は「誰も僕の心をわかってくれない さよなら」と書いたメモを残していた。
         第三者委はこれらの嫌がらせを「いじめ」と認定、「出口の見えない先行きの不安から自死に至ることは十分に推測し得る」として自殺との関連性を認めた。さらに、生徒が自殺した前日、クラス担任に提出する自己紹介カードの裏面に、「たまには僕たちの悩みを聞いてください」と書いていたことなどを挙げ、「教員が丁寧に対応していれば、(自殺は)未然に防げたのではないか」と指摘した。
         生徒は昨年4月10日、自宅で首をつって自殺。町教委は昨年8月、弁護士や医師ら5人で構成される第三者委員会を設置し、生徒や教員らから聞き取り調査を行ってきた。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140304-OYT1T01102.htm
        「読売新聞」2014年3月4日

        ●いじめ防止へ条例化、専門委設置し問題解決/横須賀
         横須賀市は今夏、いじめや不登校などの未然防止、早期解決を図るための条例化を目指す。児童・生徒同士のいじめだけに限定せず、教員と生徒、教員と保護者の間などで生じる問題の解決にも取り組むのが特色だ。市が2014年度当初予算案の重点施策に位置づける子育て・教育環境の充実の一環。
         条例案では、市は弁護士、臨床心理士ら専門家で構成する第三者組織「いじめ等課題解決専門委員会(仮称)」を設置する。生徒がいじめを苦にした自殺や長期欠席など重大事態に直面した際は、同委員会が学校、市教育委員会と一緒に調査、問題解決に当たる。さらに、市内の各小中学校などに「学校いじめ防止対策委員会」を新設し、スクールカウンセラーや地域の人たちを交えて日常的にいじめ問題などに対応する。
         12年に発覚した大津市の中2男子の自殺をめぐり、学校側が適切な対応を取っていなかったことなどを踏まえ、国は13年9月、主に子ども同士のいじめを対象にした「いじめ防止対策推進法」を施行した。横須賀市は同法の基本方針を前提にした上で、教員の体罰や、いわゆる「モンスターペアレンツ」問題などにも踏み込み、子どもを取り巻く多様なケースに対応していく方針だ。
         吉田雄人市長は「これまでは(問題対応に)子どもから家庭、学校、教育委員会へと1本のラインしかなかったものを、地域の力、専門家の力を借りられるような組織にしたい。いじめの発生をゼロにすることは難しいが、解消率を100%にすることは必ずできると思っている」と述べた。14年度予算案に条例化の関連予算として約220万円を盛り込んだ。
         条例案は市議会第2回定例会で提案され、可決されれば7月1日に施行される予定。
        http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1402150002/
        「カナロコ」2014年2月15日

        ●いじめ対応へ専任教諭 14年度から市内小学校に配置/相模原市
         相模原市は2014年度から、市立小学校にいじめや不登校などに対応する「児童支援専任教諭」を配置する。小学校段階から問題を把握、丁寧にフォローすることで、深刻化を防ぐ狙い。校内の問題解決に当たる中核的存在としての役割も担う。14年度は10校だが、市教育委員会は19年度までに、全72校への配置を目指す。
         ◇14年度当初予算案に非常勤講師の採用など関連経費2千万円を計上した。
         市教委によると、児童支援専任教諭はいじめや不登校のほか、発達障害や学校生活上のトラブルを抱える児童に寄り添い、潜在化した問題の掘り起こしやフォローなどを行う。
         また担任以外の教員とも連携し、課題解決に当たる複数の教員チームのまとめ役も担うほか、各校に定期的に派遣されるスクールカウンセラーなどとの連絡・調整も担当する。
         また市教委が4月1日施行を目指す「いじめ防止基本方針」でも、現場の担い手役を想定しており、教員対象の校内研修会の企画などにも当たる。
         市立中学校では既に専任教諭が配置されている。だが中学校では一昨年から、深刻ないじめ問題が相次いだこともあり、「小学校段階からフォローを続けることで、問題の深刻化を未然に防ぎたい」と、小学校ではこれまで兼任だった児童支援教諭を専任化することを決めた。
         14年度は市内3区の均衡などを踏まえ、10校に配置し、16年度までに72校中36校に専任を置く方針。市教委は「効果を検証しながら、19年度までに全校に配置を目指す」としている。
        http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1402170023/
        「カナロコ」2014年2月18日

        ●教諭のいじめで不登校 女児と母親がさいたま市など提訴
         さいたま市の小学校で女子児童が女性教諭から暴行や暴言を繰り返され不登校になったとして、女児と母親が教諭と校長、市などを相手取り謝罪と慰謝料など計約543万円を求める訴えをさいたま地裁に起こしていることが13日分かった。提訴は昨年11月21日付。
         訴状によると、教諭は2010年4~10月、当時担当していた2年生のクラスの女児に授業中、腕をつねったり、頭をたたいたりしたほか、他の児童の前で女児だけに「ばか」と言ったり、問題が解けないと「くるくるパー」のしぐさをしたとされる。
         女児は10月中旬からほとんど学校に行けなくなり、家族は教諭による暴行、暴言が原因で心的外傷を負ったとされる診断書を学校に提出したが、適切な対応は取られなかったという。
         女児側は「健全で安定した学校生活を送ることができるよう配慮する義務を教諭は怠り、校長や市は教諭を指揮監督する立場にありながら、担任の行為を見逃した」と主張している。女児は現在、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、弁護士によると、これまで学校側と協議を続けてきたが、歩み寄りがなかったため提訴に至ったという。
         さいたま市教委は「詳細についてはコメントできない」としている。教諭は既に退職しているという。
        http://www.saitama-np.co.jp/news/2014/02/14/12.html
        「埼玉新聞」2014年2月14日(金)

        ●名古屋市教委:「子ども応援委」設置 臨床心理士ら常勤
         名古屋市教育委員会は4月、小中学生のいじめや不登校などの問題に対応するため、常勤のスクールカウンセラーらで構成する「子ども応援委員会」を市内11カ所に設置する。12日発表の2014年度一般会計当初予算案に3億1800万円を計上した。市教委によると、全国的にも例のない取り組みという。
         市教委によると、市内11エリアごとに拠点となる事務室を中学校1校に開設。スクールカウンセラーら常勤職員3人と警察出身者を充てる非常勤の「スクールポリス」1人の計4人ずつを配置する。
         臨床心理士などの資格を持つ常勤職員が子供たちの問題の兆候を探し、関係機関との調整に当たるなどの業務に特化することで、教員の負担軽減も図る。スクールポリスは警察との連携強化などを担う。常勤職員の公募を12日に始めた。
         河村たかし市長が、昨夏に視察した米ロサンゼルス市で常勤スクールカウンセラーの職責が高く位置づけられているのを知り、制度導入を主導した。【井上直樹】
        http://mainichi.jp/select/news/20140212k0000e040212000c.html
        「毎日新聞」2014年02月12日

        ●高3飛び降り:いじめ自殺か 携帯端末に「絶対許さない」
         福岡県内の私立高校3年生の男子生徒(当時18歳)が昨年11月、マンションから飛び降り自殺し、携帯端末に同級生からのいじめをうかがわせる書き込みをしていたことが分かった。学校は近く第三者による調査委員会を設置する。県警も同級生らから任意で事情を聴いている。
         学校などによると、男子生徒は昨年11月11、12日に学校を無断で欠席し14日未明、自宅から7キロ離れた同県春日市のマンションから飛び降りた。現場に残された携帯端末には、同級生の名前を挙げ「絶対に許さない」などと書かれていた。
         自殺を受けて、学校は同級生87人にアンケートを実施。「事件に関して思い当たることはあるか」との質問に36人が「ある」と答えた。聞き取り調査では、生徒が同級生から▽教室の手すりに粘着テープで縛られていた▽硬いパンをあごにたたきつけられていた▽調理実習で辛くしたマーボー豆腐を無理に食べさせられていた−−といった証言もあった。
         学校側は単発的な暴力行為があったとして、行為に加わった同級生の男子生徒9人を昨年12月、停学処分(5日~無期)にした。遺族は学校から報告を受けたが今月、再調査を要請。県警にも被害届を出した。学校は「重大ないじめがあったかどうかは、まだ判断できない」としており、調査委で確認する方針。
         生徒の父親(60)は「学校が把握している暴力行為と、私が把握しているものとは違いがある。委員会で真相を徹底的に究明してほしい」と話している。
         昨年9月施行のいじめ防止対策推進法は、いじめ被害の疑いがある場合、学校が事実関係を明確にし、保護者に情報を提供することを義務付けている。【尾垣和幸、野呂賢治】
        http://mainichi.jp/select/news/20140216k0000m040068000c.html
        「毎日新聞」2014年02月16日
        困った状態は個人の問題に切り分けられない。
        2014/02/11
        2015年に介護保険制度が「改定」されようとしています。学習会などに参加してその内容を聞けば、要支援1・2判定の方はデイケアやホームヘルパーを利用できなくなる(さらに市町村の裁量に移行する)、デイサービスは機能訓練だけになり会話やレクリエーションなどが中心のデイは経営できなくなる、住民ボランティアでの代替えを拡大しとにかく安上がりにしようとしている、特別養護老人ホームは要介護3以上でないと入れなくなる、サービス利用料が現行1割から2割負担になる、等々。保険料が上がり続け、サービスがどんどん縮小・低下していく目論見が本格的に進行しています。
         なぜ介護保険の問題にふれるか? ちゃんとした理由があります。
         不登校やひきこもり、精神症状などの相談で来られる親御さんたちに、子どもの問題に集中できない状態が増えているからです。
         まず、母子家庭が増えていて、経済問題、就労をめぐる問題、ご自身の人生設計などの悩みや不安が深刻さを増しています。
         そして、「実は、親のこともいろいろあって…」と、聴けば明らかに要介護の状態にありながら介護保険制度につながっていない、どこに相談に行けばわからない、親が「必要ない」と行っているなど、地域包括支援センターの存在も介護認定調査の存在も知らないまま、でも放ってはおけないし…と抱え込まれているケースが増えています。
         子どもの不登校やひきこもり、二次症状としての精神症状などと、こうした家族の課題は、おそらくほとんどの場合に関係があります。関わり合う近親者ですから、当然のことですし、良くも悪くも影響を受けながら、子どもたちは育ちの中で体験し、記憶し、認知スタイルを形成していくからです。
         経済の問題、介護の問題、学校教育の問題…。行政にはそれなりに切り分けられた相談先(担当窓口)がありますが、家族の問題としてトータルにサポートしてくれる体制になっているとは言えません。
         障害福祉および介護の相談支援においては、対象となる個人へ提供できるサービスは何かを探して提供することに集約される一方で、家族で支えることを基本軸に考えています。
         一般的に言うところのカウンセリングにおいても、子どもには子どもの、親には別のカウンセラーがつくのが当たり前のようにされていて、家族・親族・近親者間での精神力動や環境としての枠組み、その中での体験や認知などを尊重しながらのサポートにならない構造を持ってしまっています。(各々のセラピストや関係者が支援検討会議などで情報共有をするなどの体制がとれていれば良いのでしょうが…)
         困っているのは、困った状態を運命共同体のように抱え込み続けている家族の個々人であって、その支援は家族全体の状態・関係性を把握し、課題を具体化し、多様なサービスや社会資源につないで行く視点が不可欠となります。
         医療モデル、福祉モデルから、社会モデルとでも言うべき「家族を地域で支える」支援のあり方へと変わっていって欲しいと願いつつ、支援連携の拡大を模索しているところです。
         繰り返しになりますが、困りを個人の問題にしていては改善・解決に向かうことはありません。ぜひご相談下さい。

         それでは、最近の気になる記事です。

        「体罰を見聞き、自殺の一因」 愛知の高2、部活動悩み

         愛知県立刈谷工業高校2年の山田恭平さん(当時16)が2011年6月、練炭を使って自殺した。遺書などはなく、県の第三者調査委員会が13年から自殺の経緯などを調べ、4日、最終報告書をまとめた。「山田さんが所属する野球部内で体罰を見聞きしたことなどでうつ病を発症し、自殺の一因となった」と結論づけた。
         報告書によると、山田さんが自殺する約20日前、校内でトランプをしていた野球部員5人に、副部長が平手打ちをしたり、蹴ったりするのを目撃していた。
         山田さんは直接的な体罰は受けなかったが、第三者委は「周辺で体罰を見聞きしたことで心を痛めたことを自殺に至る経過の中では重視するべきだ」と指摘した。野球部をやめたくてもやめられないという二律背反に悩み、うつ病を発症。解消するには自殺するしかないというところまで追い詰められていた。
        (つづきはログインが必用)
        http://www.asahi.com/articles/ASG1Y66M4G1YOIPE03H.html
        「朝日新聞DIGITAL」2014年2月5日

        ●いじめ、自殺前に母に告白 長崎の小6女児
         長崎市立小学校6年生の女児(当時11)が昨年自殺した問題で、女児が生前、母親に「虫を食べさせられた」などのいじめ被害を伝えていたことがわかった。母親が、市教育委員会が設けた第三者委員会の調査に対し、明らかにした。
         遺族の代理人弁護士によると、母親が第三者委に伝えた内容は、5年生の3学期に女児が「虫を食べさせられた」「『何でも言うことを聞きます』との誓約書を書かされた」「シャープペンシルで腕を刺された」といういじめ被害を母親に告白したというもの。
         いずれも市教委の児童への聞き取り調査などで、複数の児童が知っていた情報だが、市教委は「伝聞情報なので事実確認はできていない」としていた。この確認のため、学校は改めて今月から、児童への聞き取り調査を始めた。
         市教委は、女児が5年生の3学期に靴を隠されたことと、自殺直前の昨年7月に修学旅行の班決めで仲間外れにされそうになったことの2件について、事実と確認し、いじめだったと判断している。(岡田将平)
        http://www.asahi.com/articles/ASG275GJTG27TOLB00R.html
        「朝日新聞DIGITAL」2014年2月8日

        ●滋賀県、いじめ問題の第三者機関を2段構えで
         大津市立中学で2011年に起きた男子生徒のいじめ自殺問題を踏まえ、滋賀県は4月から、県立学校などで重大ないじめ問題が起きた際に専門家が調査する常設の第三者機関を県教育委員会、知事部局の双方に置く方針を決めた。
         教委レベルでの調査が不十分であれば知事部局側が再調査する。こうした「2段構え」の取り組みは珍しいという。
         昨年9月に施行されたいじめ防止対策推進法は、教委や自治体の首長が調査のための付属機関を設けることができると規定している。第三者機関は教委での設置が一般的だが、調査結果が「学校寄り」だとして被害者側が不満を抱くケースも多いという。
         滋賀県によると、第三者機関の委員はいずれも弁護士や臨床心理士など5人を想定し、兼任しない構成。知事部局の「県いじめ再調査委員会」は、知事が教委側の調査を「不十分」と判断した場合に再調査するほか、教委の管轄外の私立学校も対象とする。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140210-OYT1T01082.htm
        「読売新聞」2014年2月10日

        ●いじめ防止条例制定へ 田辺市の中学生自殺未遂問題
         和歌山県田辺市の中学2年生男子生徒(14)が2012年12月に自殺を図り、寝たきりになっている問題で、真砂充敏市長は6日、市教育委員会に市長部局と連携して「いじめ防止条例」の制定に取り組むよう要請した。中村久仁生教育長は「しっかり受け止め、再発防止に全力で取り組む」と述べた。
         1月19日に市の第三者調査委員会が市長に提出した最終報告書は、自殺未遂の原因を「いじめを含む周囲との人間関係や学習面の問題など、学校生活におけるさまざまな因子が複合的に結びついた」と結論付け、再発防止の取り組みを提言している。
         要請書は、今回の事案を教訓にいじめ防止のための基本的な事項を定める条例の制定をはじめ、教委で本年度中に策定する「いじめ防止基本方針」に報告書の内容を十分配慮すること、早急な自殺防止対策を求めている。
         報告書は、学校の対応の問題点を指摘しており、要請書でも、生徒指導や保護者との連携についての検証や教育相談体制の改善、いじめや自殺を予防する授業の実施。問題が発生した場合に第三者の専門家を交えた会議、子どもの権利を扱う常設の第三者機関設置の検討を求めている。
         市長室で要請書を受け取った中村教育長は「条例制定は市長部局と十分に協議して進める。いじめ防止基本方針は早急に作成し、関係する委員会を14年度中に立ち上げたい。教委として全力で対応する」と答えた。
         真砂市長は「市長部局も報告書を熟読し、教委と連携して適切に対応したい」と話している。
        http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=267971
        「紀伊民報」2014年02月06日

        移転~新事務所もようやく落ち着き…。
        2014/01/28
        事務所の引っ越しは、やはり随分なエネルギーを必要とし、時間を要するものでした。
         (サイト更新を久しくできなかった理由でもあります)
         1ヶ月以上前から、少しずつ準備を始めていたのですが、1部屋+αのスペースから2DK(ガラス戸は取っ払ったので2部屋風)に容積が増えたことによるレイアウト上の工夫(?)など、結構手間暇かけてしまいました。
         光熱費や通信費もいかに安く済ませるか、ともかくも「ぱっと見」が小綺麗で解放感があるように、それでいて機能性重視…。落ち着けることが一番かも知れません。
         成年後見活動などをしているので、ALSOKホームセキュリティ(必要最小限)、今後の法人化を見越しての事務所機能の準備(机+イス、電話の増設、資料などの収納…)も整えました。
         まもなく1月末。諸経費の請求や自動引き落としがオソロシイ…。

         それでは、最近の気になる記事です。

        市長が遺族に謝罪「学校や教育委員会が隠すことは許されない」

         大津市立中2年の男子生徒の自殺を受けて学校が実施したアンケート結果の開示をめぐる訴訟で、市の過失を認め賠償を命じた判決を受け、越直美市長は22日、市役所で遺族と面会し、「子供の亡くなった理由を遺族が知りたいと考えるのは当然で、学校や教育委員会が隠すことは許されない」と改めて謝罪した。
         市教委は、アンケート結果の開示範囲などについて基準づくりを進める考えを遺族に伝えた。富田真教育長は、「原則開示を前提とし、開示できる範囲の基準づくりを進める。教職員に情報公開制度などの周知も図る」と述べた。
         父親は「改善結果を全国に発信し、いじめ対策の先駆者となってほしい」と求めた。問題が起こった当時の教育長については「辞職で責任がなくなるわけではない。開示方法が違法とされた判決をどう受け止めたか聞きたい」と語った。
         これに対し、越市長は「責任の所在は教育委員会で検討する」と答えた。
        http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140122/waf14012221130021-n1.htm
        「産経ニュース」2014.1.22

        ●大津中2自殺の遺族、意見陳述へ 家裁少年審判印刷用画面を開く
         大津市で2011年10月、いじめを受けていた中学2年の男子生徒が自殺した問題で、男子生徒の父親(48)が30日、大津家裁(丸山徹裁判長)で開かれる少年審判で、現在の心情やいじめたとされる同級生3人への処遇について意見陳述することが23日、関係者への取材で分かった。
         関係者によると、審判は非公開で、昨年12月から少なくとも5回開かれているという。同家裁はこれまでの審判で、非行事実などの確認のため、同級生3人とその保護者、いじめを目撃していたとされる同級生の意見を聞いたという。
         滋賀県警は12年12月、男子生徒をいじめていたとされる3人のうち2人を男子生徒に対する暴行と器物損壊、窃盗の疑いで書類送検し、刑事責任が問われない当時13歳だった1人を児童相談所に送致した。大津地検と児相は昨年5月までに同家裁に送致し、同年10月、3人の審判開始が決定された。
        http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20140124000020
        「京都新聞」2014年01月24日

        ●第三者委の報告書公開 中学生の自殺未遂問題
         和歌山県田辺市の男子中学生の自殺未遂問題で、市は実態解明に当たった第三者調査委員会の報告書を公開している。市役所総務課で閲覧できる。

         田辺市の第三者委は2013年6月に設置。同じ中学校の生徒や教職員、男子生徒の家族ら81人(延べ89人)から聞き取りを行い、「いじめを含む周囲との人間関係や学習面の問題など、学校生活におけるさまざまな因子が複合的に結びつき自殺を決意した」と結論づけた報告書を19日、市に提出した。
         報告書は全59ページ。「第三者調査委員会の概要」「事実関係」「検討」「再発防止に向けての提言」の4部構成。第2部では男子生徒の家庭環境から学校生活、事件後の経過などを記述。第3部はいじめ行為や学校の対応についてまとめている。生徒の個人情報に関係する部分などは黒塗りしている。
         市によると、ホームページ(HP)での公開も議論したが、第三者委の委員から「興味本位の閲覧による誹謗(ひぼう)中傷などが心配」の声もあり、市役所での閲覧のみとした。大津市の第三者委の報告書は同市のHPで一部公開している。
         閲覧は無料だが、コピーは実費が必要。問い合わせは市総務課(0739・26・9916)へ。
        http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=267315
        「紀伊民報」

        ●天童・中1死亡、学校の不備認める 市教委、本人への聞き取りに甘さ
         「もっと生徒に寄り添う必要があった」と陳謝する水戸部知之教育長(右)=天童市議会棟
         天童市南小畑5丁目のJR奥羽本線で7日、市内の中学1年の女子生徒(12)が山形新幹線つばさにはねられ死亡した事故を受け、市議会総務教育常任委員会が20日開かれ、この問題を集中審査した。市教育委員会は友人関係の不安を訴えていた女子生徒をめぐる学校の対応に不備があったことを認め、水戸部知之教育長が「命を救えなかったのは悔しく、申し訳ない」と陳謝した。市教委は女子生徒が所属する運動部内で孤立していることを心配し、母親が学校に相談を寄せていたことを明らかにした。
         ◇母親「部活動で孤立」相談
         委員からは「なぜ未然に(事故を)防げなかったのか」「本気で生徒と向き合っていれば、いじめ(の兆候)はつかめたはずだ」などと、学校の対応を問題視する指摘が相次いだ。
         委員会で水戸部教育長は「何らかのサインを感じ取って、生徒の声に寄り添う必要があったと自責の念にかられている」と述べ、常任委に宛てた校長のおわびの言葉を「指導力のなさに責任を重く感じており、生徒に対してとても申し訳なかった」と代読した。
         元木満学校教育課長は経緯説明の中で、昨年6月に母親が「部活動で独りになっていないか」と学校に相談を寄せ、担任が本人に確認すると「大丈夫」と答えた点に言及し、「この時点での学校の対応、聞き取り状況に甘さがあった」との認識を示した。
         母親が翌7月にも担任に「部活動での様子を見ていてほしい」と要望し、9月には校内の調査で本人が友人関係の不安を訴えていた経緯を踏まえ、「学校全体で真剣に考えようとしたのか、対応に不備があったと言わざるを得ない」と強調した。
         全校生徒を対象にしたアンケートでは「いじめと思われることを知っている」とした生徒が13人、「うわさを聞いたりインターネットで知った」とする生徒が百数十人いた一方、教職員へのアンケートでは具体的ないじめに関する記述はなく、「独りになっていた」など、心配な様子が見られたとする回答が複数あったという。
         第三者委員会の設置については、教育関係者の除外や人権擁護委員の選出といった構成メンバーに関する遺族の要望を踏まえ、引き続き人選を進める方針。
         ◇SOSへの対応で知事、学校側の検証必要
         天童市南小畑5丁目のJR奥羽本線で、市内の中学1年の女子生徒(12)が山形新幹線にはねられ死亡した事故に関し、吉村美栄子知事は20日、生徒が学校の調査で友人関係について不安を訴えていたことを挙げ、学校側がSOSのサインにどう対応したのか検証が必要だとの考えを示した。
         定例記者会見で報道陣の質問に答えた。吉村知事は「実態把握は難しいとされるが、学校現場で状況をしっかりと認識し、もっと子どもに寄り添って対応していくことが求められる」と述べた。1学期に母親が学校に相談を寄せていたことについても「親が学校に子どものことを話すのは、よくよくのことがあるから。重く受け止めることが大事だ」と話し、より踏み込んだ対応が必要だったとの見解を示した。
         今後の対策について、生徒のサインに対し、担任の教諭だけでなく学校全体で情報を共有するといった体制が必要だとし「いじめがあったという前提の下、生徒、遺族の思いを重く受け止め、しっかり対処する」と強調した。
        http://yamagata-np.jp/news/201401/21/kj_2014012100451.php
        「山形新聞」2014.01.21

        ●いじめ認識 中1女子死亡 天童市教委アンケートで判明 山形
         ◇全校生徒の25%
         天童市で7日、市立中学1年の女子生徒(12)が山形新幹線にはねられ自殺とみられる死を遂げた問題で、市教育委員会は20日、全校生徒554人へのアンケートで、4分の1にあたる約140人が、女子生徒へのいじめを直接か伝聞で知っていたと回答したことを明らかにした。
         県警によると、女子生徒の自宅からは「生きるのがつらい」などと書かれたノートが見つかっている。
         市教委は市議会の総務教育常任委員会で概要を報告。アンケートには532人が回答、うち13人が女子生徒へのいじめを直接知っており、約130人はうわさやインターネット経由の伝聞で知っているとした。回答の具体的な内容は明らかにしていないが、いじめは暴行などけがをさせるようなものではなかったという。教職員約40人への調査では女子生徒へのいじめを認識していたとの回答はなかった。
         また、市教委は昨年6月、女子生徒の母親が担任に「(ソフトボールの)部活動で一人になっていないか」と電話で相談したことを明かした上で、「対応の甘さがみられた」と、学校側の対応が不十分であったことを認めた。水戸部知之教育長は「かけがえのない命を失ったのは痛恨の極み。教育委員会も学校以上に重い責任があると痛感している」などと述べた。
         市教委によると、女子生徒は昨年9月、勉強や生活など6項目での不安を5段階で自己評価する月1回の調査「心の点検表」で、「友達」の項目を、2番目に高いレベル4(やや不安)とした。しかし面談で「大丈夫」と答えたことや、10月以降、不安のレベルが下がったことから、学校は継続して対応していなかった。同様のアンケートは同市内の中学校で実施されている。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140121/ymg14012102190000-n1.htm
        「産経ニュース」2014.1.21

        ●公文書の「自殺」を「自死」へ 宮城県方針、遺族に配慮
         宮城県は、公文書などで自殺という言葉を使うことを原則としてやめ、「自死」に言い換える方針を決めた。自殺の表現に苦痛を感じる遺族の声に配慮した。表現の変更を決めた都道府県は島根、鳥取に続き3県目。
         県によると、対象は県と県教委が作る文書。職員は庁内外の会議や県民への応対などで、自死を使うよう努めることとした。既存の文書の表現は据え置き、自殺対策基本法など法律名や統計用語などは使用を認める。県警や市町村に働き掛けることも検討する。
         表記の変更をめぐっては、過労で命を絶つケースなどの根絶を目指す遺族らの団体「東北希望の会」(仙台市)の前川珠子代表らが昨年12月25日、村井嘉浩知事に対し、「やむにやまれぬ状況で死に至ったのに、殺すという字を使われると遺族の悲しみが何倍にもなる」と要望していた。
         村井知事は20日にあった県庁の幹部会議で、自死に統一するよう指示した。
         自らも夫を亡くした前川代表は、県の方針を受け「とてもうれしい。東北の他県にも転換を促していきたい」と話した。
         島根県は昨年3月、鳥取県は昨年7月、自死に切り替えると決定した。公文書やホームページの記載を見直している。
         行政主導の表現の制限には批判的な見方もある。岡部敦県保健福祉部長は「一般的な言葉を行政が誘導することは難しいが、職員一人一人が意識して言葉を使い、県民に広く認識されるようにしたい」と説明した。
        http://www.kahoku.co.jp/news/2014/01/20140123t11005.htm
        「河北新報」2014年01月23日

        ●第三者機関、二つ常設 滋賀県いじめ防止基本方針素案
         滋賀県教育委員会は20日、県の今後のいじめ防止施策の指針となる「県いじめ防止基本方針」の素案を公表した。常設の第三者機関を県教委と知事部局にそれぞれ設置し、自殺など重大な事態が起きた際の調査を徹底することや、保護者への情報提供の在り方などを盛り込んでいる。
         基本方針は、昨年9月に施行された国のいじめ防止対策推進法や、同11月に有識者による「いじめ対策研究チーム会議」がまとめた最終報告を受けて策定する。
         「子ども目線」に立っていじめ防止対策を推進することの重要性を強調。常設の第三者機関として、いじめ防止対策の実施や重大事態の調査を行う県教委の付属機関、再調査などを行う知事の付属機関を、専門家の参加によりそれぞれ新設する。学校や警察、法務局などで構成する「いじめ問題対策連絡協議会」も設けるとした。
         施策の内容では、いじめ早期発見のための措置や教員の資質向上などを挙げた。特に「第三者的立場からの支援」として、県が昨年5月から配置している「いじめ問題対応専門員」などの取り組みの推進をうたうなど、法律を超えて施策の充実を図るとしている。
         重大事態への対処としては、事実関係を速やかに調査するとし、調査を学校と県教委のどちらが行うかの基準を示した。被害児童生徒や保護者への情報提供については「個人情報保護を盾に説明を怠ることのないように」と強調している。
         議会審議を経て、「できるだけ早く策定したい」(県教委)といい、県立学校全校でも学校基本方針を本年度中に策定する予定。また県内の19市町にも地域基本方針の策定を呼び掛ける。
        http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20140120000133
        「京都新聞」2014年01月20日 22時50分

        ●東日本大震災:被災園児25%問題行動 引きこもり、暴力 長期ケア必要−−厚労省調査
         岩手、宮城、福島3県で東日本大震災当時に保育園児だった子どもへの調査で、暴力や引きこもりなどの問題行動があり、精神的問題に関する医療的なケアが必要な子が4人に1人に達することが、厚生労働省研究班(研究代表者=呉繁夫・東北大教授)の調査で分かった。友人の死や親子の分離、被災地での生活体験が原因と考えられる。サポートが行き届いていない子も多いとみられ、専門家は早期の対応を求めている。
         調査には、国立成育医療研究センター、福島県立医大、宮城県子ども総合センター、岩手医大などが参加し、藤原武男・国立成育医療研究センター研究所部長が26日、仙台市で開かれたシンポジウムで発表した。
         対象は、大震災が起きた2011年3月11日に、3県内の保育園の3~5歳児クラスに在籍し、調査への協力に同意した子178人と保護者。アンケートと面接を、震災後1年半以降となる12年9月~昨年6月にかけて実施した。保育園の所在地は▽岩手=宮古市、陸前高田市、大槌町▽宮城=気仙沼市▽福島=福島市、いわき市、南相馬市、富岡町。比較する非被災地域として三重県で同様の調査を実施した。
         アンケートは、子どもの精神的問題によって起きる問題行動を数値化して比較できる「子どもの行動チェックリスト」(CBCL)を使った。CBCLは、世界的に信頼性が高く、国内の行政や学校、医療機関でも利用される。
         面接は、児童精神科を受け持つ医師や臨床心理士が、ケアをしながら心理状態の調査を実施。CBCLで問題行動を抱える可能性がある子について、医師のアドバイスに基づくケアの必要性を判断した。
         それらを集計した結果、被災3県で25・9%の子が医療的ケアが必要な状況と分かった。原因として、▽友人を亡くした▽家の部分崩壊▽津波の目撃▽親子分離−−などが挙げられた。三重では同様の状態の子は全体の8・5%にとどまり、被災地はその約3倍に達した。被災地の子たちには、めまいや吐き気、頭痛、ののしり、押し黙りなどの症状があり、このままケアを受けずにいると、学習や発育に障害が出て、将来の進学や就職などにも影響する可能性があるという。
         過去の災害と子どもの精神的問題に関する調査は、比較的年齢が高く、幼児期の被災影響に関する調査は珍しい。調査に参加した奥山眞紀子・国立成育医療研究センターこころの診療部長は「非常に多くの子どもが精神的にケアを必要としている実態が、初めて客観的データで明らかになった。震災直後はケアが必要な子どもが増えることは知られるが、調査は震災から1年半以上経過しており、気に掛かる。専門医を核に地域で子どもをサポートする仕組み作りが必要だ」と話す。チームは今後約10年、同じ子への調査を続け、毎年状態を把握していく計画だ。【渡辺諒、下桐実雅子】
        ==============
         ■ことば
         ◇子どもの行動チェックリスト(CBCL)
         現在または過去6カ月以内の子どもの状態について、身近にいる保護者らがアンケートに答える。「よく泣く」「大人にまとわりつく、頼りにし過ぎている」「爪をかむ」「トイレ以外で大便をする」など、113項目について▽当てはまらない(0点)▽時々当てはまる(1点)▽よく当てはまる(2点)のいずれかを選び、点数が高いほど問題行動があると判断され、ケアが必要とみなされる。このリストを使った研究報告は50カ国、4500以上になる。
        http://mainichi.jp/shimen/news/20140127ddm001040207000c.html
        「毎日新聞」2014年01月27日 東京朝刊

        ●短歌:「生きづらさ」うたう 虐待・不登校経験
         不登校やひきこもりの若者らを対象に、短歌を作ることで、日々の生きづらさを乗り越えようという歌会が25日、大阪市中央区で開かれる。主宰するのは、自らも母親の自殺を機に不登校になった大阪市旭区の歌人の20代女性。「つらい体験も、作品に変えることで癒やされる場合がある」と、参加を呼びかけている。
         女性は「鳥居」というペンネームで創作活動をしている。両親が2歳で離婚。小学5年の時、母は自ら命を絶った。預けられた親類から虐待を受け、家族らからの暴力被害者らを保護するDVシェルターや養護施設を転々としたが、精神的に追い込まれ、不登校になった。
         学ぶ機会に恵まれなかったが、数年前、歌人・穂村弘さんの歌集を手にした。
         「体温計 くわえて窓に額つけ 『ゆひら』(ゆきだ)とさわぐ雪のことかよ」
         雪の日に、熱を出した子どもが窓の外を見て歓声を上げている情景が浮かび、「三十一文字に映画一本分のドラマが詰まっている」と、心が震えた。見よう見まねで短歌を始め、2012年、現代歌人協会主催の第41回全国短歌大会に応募、佳作に選ばれた。現在は文芸雑誌などに作品を発表し、生計を立てている。
         「慰めに 『勉強など』と人は言ふ その勉強がしたかつたのです」「空しかない 校舎の屋上ただよひて 私の生きる意味はわからず」
         鳥居さんの作品は、自分のつらい体験を基にしたものが大半。「頑張って生きようと思った」「鳥居さんの文章は暖かい。人を生かす力、愛がある」など、いじめなどを経験した同年代から反響が寄せられている。
         鳥居さんは「短歌は自分の内面をさらけ出す。作品が評価されることで、自信を持つきっかけになる。短歌を通して誰かの力になりたい」と話す。歌会は「生きづら短歌会」と題して25日午後1時から大阪市中央区船越町1のフリースクール「フォロ」で。参加無料。問い合わせは今回の歌会の専用電話(090・3922・8481)。【山田尚弘】
        http://mainichi.jp/select/news/20140122k0000e040234000c.html
        「毎日新聞」2014年01月22日

        ●いじめ、ネット犯罪から 子供たち守れ 合同で初の定例会議開く 和歌山
         ◇県教委、県警、県公安委スクラム
         いじめによる自殺などが全国的に問題になるなか、青少年の非行防止や健全育成などを目的に、県警と県教委、県公安委員会が初めて合同で定例会議を開くなど、対策に力を入れている。インターネット上でのトラブルなど犯罪が複雑化するなか、3者によるスクラムによって、子供たちを守るための連携が期待される。(兵頭茜)
                           ◇
         3者による初めての定例会議が行われたのは、今月16日。県庁の教育委員会室に、県公安委員長や県警本部長、県教委幹部らが顔をそろえた。
         山本哲教育委員長が「いじめが深刻な社会問題となっている。県教委では早期発見・解決に向けて子供たちの実態を把握するために各学校でのアンケートや、相談窓口として『教育長ポスト』を用意し、子供や保護者からの相談を受け付けている」と説明した。
         同会議は昨年度まで、「警察本部と教育委員会との定例会議」「公安委員と教育委員による少年非行・被害防止対策懇話会」が別々に開かれていたが、今年度から一本化。山本委員長は、いじめ問題などの解決に向けて各組織の連携の必要性を強調した。

         文部科学省の調べでは、県内の公・私立の小中高校、特別支援学校の平成24年度のいじめ認知件数は、前年度の98件に比べて約24倍の2379件に急増した。県学校指導課は「『いじめの定義』が人や学校によって違うので単純に比較できない」としながらも、「きめ細かいアンケートや聞き取り調査によって、認知件数が増加したと思われる」と話す。さらに、このうち解消したいじめ問題は、前年度比約20ポイント増の95・8%にまで増加したという。
         昨年9月に制定された、いじめ防止対策推進法に基づき、県はいじめ防止対策基本方針を策定。同課は「これからもいじめが起こらないよう取り組んでいく」とする。
         ただし、「トラブルが把握しづらい」として、近年増えているのが、インターネット上でのいじめなどの問題。ネットトラブルは犯罪に発展する可能性もあるためだ。
         県警少年課によると、県内の窃盗などの少年犯罪は、平成16年をピークに減少する一方、ネットを介した青少年を取り巻く買春などの犯罪検挙数は、平成24年にこの15年間で最多の69件となるなど増加の一途をたどっている。
         県警は、少年少女らがネット上に不適切な書き込みをした際、警察官が本人に接触して直接指導する「サイバー補導」なども実施し、「青少年の安全のために抑止活動に努めている」と警戒を強めている。
         片山博臣公安委員長は「教育委員会、警察、公安委員会の連携を深めて協力し合うことが重要だ」と述べた。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140124/wky14012402290001-n1.htm
        「産経ニュース」2014.1.24

        年末にドタバタと事務所引越準備中。
        2013/12/22
         11月12日の更新でも書いていますが、改めまして…。
         年明け、1月12日に業者にお願いしての物理的引越、14日から活動開始の予定です。
         場所は、向日市。阪急電車「東向日駅」とJR「向日町駅」、それぞれから徒歩約5分。阪急電車の駅周辺にはコインパーキングが点在しています。
         建物は、築36年の鉄筋3階建て(2年前に大幅改装とされています)、2DKの部屋です。管理会社の物件なので事務所借りOKとなり、道路側に看板を出すことを許されています(現在、自作中)。
         事務所移転の理由、今後の進化の課題は以下の4点と考えてます。
        ○相談機能の特化
         精神保健福祉専門相談として、家族支援、心理教育、社会福祉制度およびサービス(精神障害、介護、年金、生活保護、成年後見など)の利用支援、メンタルヘルスコンサルテーション、講演、各種委託相談など、支援サービスの明確化および特化。
        ○カウンセリングの特化
         教育、子育て、自閉症スペクトラムを中心とした神経発達「障害」と二次症状への対応、家族・職場の人間関係の困難さなどを中心に、認知行動療法、支持的精神療法、トラウマ処理などさらなるレベルアップおよび特化。
        ○後見人活動の充実
         成年後見人(後見・保佐・補助)としての活動をさらに充実。
        ○暮らしサポート乙訓(仮称)設立準備
         成年後見など権利擁護や社会保障・社会福祉などの支援・サービスに「つなぐ」支援、法人後見を取り組むNPO法人設立に向けた「準備会」としての活動の具体的継続的展開。
         ともかく、今日は移転案内を兼ねた年賀状作成、明日は移転先の光回線開通とリサイクル家具搬入、年内残りは荷物(ほとんどが本・雑誌類)の段ボール詰め…。どこまでできるでしょうか?

         それでは、最近の気になる記事です。

        「しばけば解決するのか」 桜宮高自殺生徒の手紙全文

         (桜宮高暴力事件1年:上)息子の叫び、向き合う
         僕は今、キャプテンとして部活に取り組んでいます。先生が練習や試合で、自分ばかりに攻めてくるのに僕は不満を持っています。たしかに、自分は先生に言われたことができないし、ルーズボールもしなかったです。でも、それをしていないのは僕だけですか?僕はそうではないと思います。一年の●●や、●●が一回ミスしただけでは言わないのに、僕が一回ミスしたら必ず怒られます。昨日の話を聞いていても、こういうことをする人がキャプテンになる人と言っていましたが、どこのどんなチームでも、そんな完璧な人いないと思います。僕は先生に言われたことをしようとは思っています。考えようと努力もしています。でも、なかなかできないです。リーダーの本も読んだのですが、それがすべてできるとも思っていないです。先生は僕に完璧な人間になれと言っているようにしか僕は聞こえないです。僕は、先生がキャプテンが必要とすると言っている、多くのことができていないです。やろうとはしています。僕は僕なりに、その場の出来事をどうやったらいいだろう。と考えています。先生は僕に、何も考えていないと言いますが、僕は考えています。いつもその場で答えることができませんが、じゃあ逆に、それを完璧に答える人はいるのですか?たまにはいると思いますがたいていの高校生にはいないと思います。●●さんが講習会をしてくれた日に僕は●●さんが言っていることを自分なりに理解して一生懸命やりました。なのに、なぜ、翌日に僕だけがあんなにシバき回されなければならないのですか?一生懸命やったのに納得いかないです。理不尽だと思います。僕は、今正直、何やっても無駄だと思います。キャプテンをしばけば何とかなると思っているのですか?毎日のように言われ続けて、僕は本当に訳が分からないとしか思っていません。先生は僕に、専攻の授業前に、ポケットに手を突っ込む奴がいるから止めろと言いました。でも、次週の朝礼の帰りに、先生はポケットに手を突っ込んでいました。それは、言っている人は言ったことを守るべきではないですか?と僕は思います。僕は問題起こしましたか。キャプテンしばけば解決すると思っているのですか。もう僕はこの学校に行きたくないです。それが僕の意志です。
        http://www.asahi.com/articles/ASF0OSK201312210111.html
        「asahi.com」2013年12月22日

        ●養護施設退所者に返還不要の奨学金、市が全国初の進学支援/横浜
         児童養護施設を退所し、大学などへ進学する子どもに返還不要の奨学金を支給する取り組みを横浜市が始める。高校卒業と同時に施設を出て、自力で生活しなければならない子どもたちの経済的な負担が進学や学業継続の大きな壁となっている現状がある。施設を退所した子どもへの公的な奨学金支援は全国で初めてという。
         奨学金は月額3万円の生活資金のほか、学費や書籍代、就職活動に必要な品の購入費などに充てられる30万円の一時金。就職に必要な資格の取得、その受験資格を得ることが条件で、資格を取得するまでの期間支払われる。
         奨学金の原資には、市民からの寄付による市社会福祉基金が充てられる。
         市こども青少年局によると、施設を退所した子どもたちの高卒後の進学率は約20%で、全体の約70%(全国平均)を大きく下回る。家族からの支援がないため、学費や生活費を自分で賄わなければならず、経済的な負担が進学への壁となっている。
         学業とアルバイトの両立も難しく、進学しても中退してしまう割合が全体の約3倍に当たる約30%という厳しい現状がある。
         奨学金は、市内に10施設ある児童養護施設の子どものほか、自立援助ホームの子どもなども申し込める。
         募集人数は6人ほどで、書類審査、面接で奨学生を決める。内定した人はオリエンテーション、合宿研修、スピーチコンテストなどのプログラムに参加する。
         また、市の委託を受け、児童養護施設などを退所した子どもへの相談活動などを行っているNPO法人「ブリッジフォースマイル」が西区に設けている「よこはまPort For」に毎月1回以上、来所する必要がある。ここでスタッフから資格取得に向けたサポートを受けることができる。
         問い合わせは、同NPO法電話045(548)8011。
           ◇
         同NPO法人は21日午後1時から4時まで、桜木町駅前で街頭募金を行う。募金は来年7月ごろに予定するスピーチコンテストの運営資金に充てるという。
        http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1312190006/
        「カナロコ」2013年12月20日

        ●小学生の暴力10年前の6倍に
         昨年度、学校が把握した小学生の暴力行為はおよそ8300件と、10年前の6倍に増えていることが分かりました。
         文部科学省は、感情を言葉で伝える力の低下などが背景にあるとみています。
         文部科学省が昨年度、全国の学校が把握した児童生徒の暴力行為の件数を調べたところ、小学校が8296件、中学校が3万8218件、高校が9323件の合わせておよそ5万6000件でした。
         中学校と高校はここ数年、減少傾向ですが、小学校では前の年度に比べて1100件余り増加し、10年前に比べると6倍に増えています。
         小学生の暴力行為の内容として最も多かったのが、「児童どうしの暴力」で5371件、次いで「器物損壊」が1725件、「教師に対する暴力」が1330件などとなっています。
         これによって児童がけがをして医療機関で治療を受けたケースは826件、教師が治療を受けたケースは160件あったということです。
         文部科学省は感情や考えをことばで伝える能力が低下したり、感情をコントロール出来ず暴力に頼ったりする傾向が背景にあると見ていて、自分の考えをことばで適切に伝えるトレーニングや怒りに対処する方法を学ぶ取り組みを進めていきたいとしています。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131218/k10013914691000.html
        「NHK NEWSweb」12月18日

        ●学校のいじめ過去最多20万件 児童にストレス、被災3県急増
         昨年度の学校のいじめ件数が過去最高に。大津の中2自殺により調査を徹底し、件数が増えたとみられる。被災3県ではストレスの影響がうかがえた。
         平成24年度に全国の小・中・高校と特別支援学校で認知されたいじめの件数は19万8108件で、前年度の2・8倍に上り過去最高だったことが、10日発表された文部科学省の問題行動調査で分かった。とくに、東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島の被災3県では前年の4~6倍になり、児童生徒のストレスが依然として高い実態がうかがえた。
         調査結果によると、24年度のいじめ認知件数は小学校で11万7383件(前年度3万3124人)▽中学校6万3634人(同3万749人)▽高校1万6274人(同6020件)-で、小学校では4倍近くも増加した。
         平成23年10月に起きた大津市の中2男子自殺事件により、学校や保護者の問題意識が高まったことから、潜在的ないじめが掘り起こされたとみられる。一方、「これまでの認知に不十分な点があった」(文科省児童生徒課)ことも否めず、文科省では各教育委員会に対し、早期発見に一層努めるよう求めている。
         具体的な内容では、複数回答で「冷やかしやからかい」が6割以上、「無視や仲間はずれ」が2割前後を占める一方、「金品を盗んだりする」「恥ずかしいことや危険なことをさせられる」など重い事例もそれぞれ1割前後あった。
         被災3県では岩手のいじめ認知件数が前年度の6・9倍、宮城が6・2倍、福島が4・3倍といずれも全国平均(2・8倍)より高く、文科省では「震災と直接の因果関係があるかは不明だが、児童生徒のストレスが高いのは事実」としている。
         いじめの認知件数をめぐっては、いじめ自殺が社会問題化するたびに急増し、その後減少していく傾向が繰り返されており、継続的な取り組みが求められる。
        http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/131210/lif13121021240027-n1.html
        「産経デジタル」2013.12.10

        ●尼崎監禁女、行き場ない少年少女らを暴力で支配
         ◇携帯に送るヘルプ
         兵庫県尼崎市のマンションの一室で、中学3年の男子生徒(15)が監禁され、性的虐待を受けたとされる事件で、この部屋に住む沖野玉枝容疑者(43)とともに強制わいせつ容疑などで逮捕された少年少女らが、集団での生活について「家に帰っても面白いことがなく、いるしかなかった」などと調べに供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。
         逮捕された6人(14~18歳)と児童相談所(児相)に通告された男子中学生(12)には家出中や不登校の者が多く、県警は、沖野容疑者宅が「たまり場」になっていたとみている。
         捜査関係者によると、少年らの多くは、沖野容疑者の中学2年の長女(14)(児相通告)の友人。出入りを始めたのは今年2月頃で、沖野容疑者は当初、少年らの食事などの面倒をみていたが、次第に暴力を振るい、逮捕容疑の性的虐待をさせるなど服従させていった。こうした状況について少年らは「逃げると何をされるかわからず怖かったが、自宅に帰ってもいいことがなく、仕方なしにいた」と説明しているという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131211-OYT1T00206.htm?from=ylist
        「読売新聞」2013年12月11日
        「学校事件・事故被害者全国弁護団」が17日、発足。
        2013/11/18
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131117/crm13111717570009-n1.htm
        http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000016262.html
         学校において、いじめや体罰、教師の行きすぎた指導などによって子どもが自死したり、自死に至らないまでも生涯背負うほどの精神的ダメージを受けた場合に、訴訟、人権救済の申立、第三者委員会などの公平な立場の調査委員会の設置、学校や教育委員会への質問状や要望書提出など、生じた事実を明らかにし、厳しく適切な検証・評価をし、再発防止につなぐために、遺族や被害者・家族などは、できる限りの取り組みを行ってきています。
         その過程では、多くの壁にぶつかります。
         安心して話せる人(話しを聴いてくれる人)がいない(少ない)、理解してくれる人がいない(少ない)、相談先がわからない(ない)、学校や教育委員会にアプローチしても納得のいく答えが返ってこない(無視される)、訴訟を受けてくれる弁護士がいない、訴訟になっても勝てる見込みがない(勝訴判例は極めて少ない)、体罰などを行った教師の行為が原因と特定されても国家賠償法によって教師個人が罰せられることはない、などなどです。
         さらに言えば、子どもの自殺への歪んだイメージ(家庭に問題があった、学校の評判が下がる、親が騒いでいるだけ、など)によって親・家族が学校や地域から二次的に傷つけられる(地域で生活すらできなくなる)、学校や教育委員会が(多くがその保身のために)「学校の対応に問題はなかった」「気づくことができなかった」「家庭にも問題があった」などとウソも含めて言論統制まがいの策略をめぐらす(そのつもりがないとしても)などの大きな社会心理的な壁も造られます。
         これらを突き破り、乗り越えて、事実と向き合っていくために、公平な立場の第三者委員会(調査委員会)を設置し調査・検証・報告をまとめてもらえるように、これまでのやり方やマニュアルや仕組みにとらわれることなく子どもの権利と尊厳を守るために司法的支援を受けられるように、という意味でも、今回の弁護団結成は歴史的な意味があると思います。
        学校事件・事故被害者全国弁護団の窓口弁護士・事務所は、下記のサイトで紹介されています。
         http://schoolbengodan.hatenablog.com/entry/2013/11/17/220352

         それでは、最近の気になる記事です。

        LINEトラブル深刻 いじめや暴力の契機に

         中高生の間で、スマートフォン(多機能携帯電話)向けの無料通信アプリ「LINE(ライン)」をめぐるいじめやトラブルが深刻化している。3月に自殺した奈良県の女子中学生(13)は、LINE上で仲間外れにされるなどのいじめを受けていたとみられている。福岡や佐賀、鹿児島各市教委でも本年度、1~4件の誹謗(ひぼう)中傷やけんかなどが初めて報告されている。
         「すっげー便利。でも一度トラブったらきついっすよ」。スマホの画面に並んだやりとりを見せながら少年がつぶやいた。九州北部の中規模市に暮らす17歳。親しい後輩の中学3年男子生徒(15)が昨夏、LINE上のトラブルをきっかけにいじめを受けたという。
         発端は、後輩が共通の知人のことを「あいつちょっとうざくね」と書き込んだことだ。陰口にたちまち他のメンバーが反応した。
         「おまえがうざい」「そうそう。ちゃくいったい(横着だ)」。もともとグループ内で弱い立場だった後輩に次々と中傷の書き込みが始まった。「スタンプ」と呼ばれるキャラクターのイラストを悪用し、深夜まで複数人が延々と送り続ける「スタンプ連打」という嫌がらせも受けた。耐えかねて着信を遮断すると「逃げた」と学校で殴られた。
         半年後、不登校寸前に追い込まれた後輩から相談を受けた少年が仲裁に入り問題は収まった。「LINEから逃げてもリアル(現実)でやられる。陰湿さはハンパない」と少年は言う。
         ネットいじめの相談を受ける全国webカウンセリング協議会(東京)によるとLINEのトラブル相談は昨年の月2~3件から、今年は月平均40件に急増。原因の一つは「既読無視」だ。LINEでは受け手が投稿を読むと、送り手の画面に「既読」と表示される。読んだのに返信していないことが分かり「無視した」という反感が生まれやすい。
         それでものめり込む理由として、知人を介して仲間を容易に増やせる魅力がある。九州北部の女子中学生(14)は400人を「友だち」に登録。顔を知らない他校生と深夜まで会話するのも「当たり前」という。
         だが、一度関係がこじれると影響も広範囲だ。女子生徒はこんな噂(うわさ)を聞いた。ある女子中学生が交際相手に裸の画像を送り、別れた後に暴露された-。画像を見たわけではない。「でもありうる話」と生徒は思う。
        http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/52231
        「西日本新聞」2013年11月14日

        ●広島・中3自殺「いじめが誘因」…調査委報告書
         広島県廿日市市立中3年の女子生徒(当時14歳)が5月に自殺した問題で、市教委が設置した調査委員会は16日、「いじめが自殺に至る精神的苦痛の誘因となった」とする報告書を公表した。報告書は、生徒から「悪口を言われている」と打ち明けられた部活動の顧問教諭と、担任教諭が、いじめがあるという問題意識を持たなかった点を指摘。組織としていじめを発見、対処する体制作りを求めた。
         生徒は5月7日、自宅で首をつっているのが発見され、病院に運ばれたが翌日亡くなった。
         市教委は同月、奥典道教育長を委員長に教育心理学や精神看護学などの専門家も交えた7人で調査委員会を設置。教員や生徒、家族から聞き取りなどを行った。
         その結果、生徒は2年の1学期頃から、部活動内で複数の生徒から悪口や無視、仲間はずれなどのいじめを受けていたことが判明。報告書は、「仲良しグループを失うなど、自分の心を保つために必要な対象を喪失した。周囲の大人の力も足りなかった」とし、「いじめが自殺に至る精神的苦痛を招いた大きな誘因であることは間違いないが、原因のすべてをいじめに求めることはできない」と結論づけた。
         生徒は今年2月、部員2人の名前を挙げ、「自分の悪口を言っている」などと顧問に相談。顧問は2人を呼んで生徒に謝罪させた。このことについて、生徒は周囲に、「先生には状況を伝えたいだけだったのに余計に暗闇になった」と話し、その後、学校を休みがちになった。
         顧問と、報告を受けた担任は「問題は解決した」と判断。その後も担任に対し、「学校の帰りに独りぼっちにされる」と伝えるなどしていたが、不登校の原因がいじめだと認識されることはなかった。その背景には、校内で昨年度中5回行った「いじめアンケート」結果があった。生徒はいじめを受けていることを記さず、他の生徒からも指摘がなかったことから、教諭らがいじめを疑うことはなかったという。
         報告書は、アンケートを学校で記入させていたことなどを問題視。「アンケートは形式的で、生徒の心の動きに迫ることが出来ていなかった」と指摘した。
         また、相談を受けた際の教諭らの対応について、「思いをしっかり聞いておらず、十分な分析が出来ていなかったと思われる」とし、問題が他の教員らと共有されなかったことから、「一丸となって問題の早期解決を図る体制が不十分だった」と批判した。
         市教委に対しては、学校レベルの組織的な対応の研修や、いじめ問題の専門家を学校に派遣して担任教諭らが相談できるような仕組み作りを提言。報告書を受け取った大西利武・市教育委員長は「今後の教育行政に生かしたい」と話した。
         ◇安心できる学校、娘の願い…遺族
         女子生徒の両親はこの日、廿日市市役所で記者会見した。父親は、いじめと自殺の因果関係を認めた報告書の内容に「感謝したい」と評価した。「いじめを見抜けなかった私たち夫婦も責任を感じている」としたうえで、「(いじめを相談した)娘のサインに気づかなかった学校側の対応が娘を追い込んだのだと思う」と話した。
         母親によると、生徒は、自分がいじめを受ける前の1年の時、いじめ被害に遭っていた友人の相談によく応じており、「いつでも相談OKでーす」などとした内容の手紙を送っていた。
         生徒の自殺後、自宅で見つかったノートの中には「遺書」と記し、「私は人気者になりたかったわけではない。ただみんなと同じあつかいをされたかっただけ」とつづっていた。
         母親は「娘が亡くなる直前にも『他にもいじめられている子がいる。助けたい』と話していた。娘の願いをかなえるためにも安心して通える学校作りをしてほしい」と訴えた。
        http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20131117-OYO1T00237.htm?from=top
        「読売新聞」2013年11月17日

        ●成績公表に8割否定的 全国学力テスト、京滋43教委調査
         小学6年と中学3年対象の全国学力テストで、文部科学省が現行の学校の判断ではなく、市町村教育委員会による学校別成績の公表を検討していることについて、京都府と滋賀県の43市町・広域連合教委のうち8割余りの36教委が、序列化につながるとして、公表に懸念を持っていることが京都新聞社のアンケートで17日分かった。「文科省が容認すれば公表する」と考えているのは、1教委にとどまった。
         10月下旬に文科省が学校別成績の公表について都道府県の知事と教委に調査した結果を公表。京都新聞社は成績公表などについて各教委の考えを知るため、京都の24市町・広域連合(与謝野町宮津市中学校組合除く)と滋賀の19市町の教委にアンケートした。
         「文科省が容認しても公表しない」と答えた理由について、36教委の大半が「過度の序列化を招く」とした。また、「単に正答率が重要なのではなく、結果を分析し指導法の改善に生かす」(宇治市教委)、「小規模校があり、個人が特定されかねない」(高島市教委)との意見があった。
         与謝野町教委は「文科省の方針に従う」と公表の考えを示した。6教委は回答せず、このうち大津市、伊根町両教委は「文科省の方針が出てから検討する」とした。
         公表をするかとは別に、現在は学校の自主的な判断にとどめている結果の公表を市町村教委もできるよう変更を望んだのは、京都市、南丹市、竜王町の3教委だけで、大半が現状維持だった。京都市教委は「教育委員会が責任を持って方針を示したい」と答えた。公表の現状については、正答率や順位などを第三者に見える形で行っている学校はなかった。
         学力テストの全員参加方式を38教委が必要だとした。ただ、野洲市など4教委は昨年までの抽出方式で十分と答え、「毎年の経費を結果の改善策に回してほしい」などの意見があった。豊郷町教委は学力テストが教育力向上や学校運営に役立たないと答え、「学力の経年変化が把握できないため」とした。
        <全国学力テスト>2007年度から小6と中3全員を対象に国語と算数・数学の2教科で実施。基礎知識を問うA問題と知識の活用力をみるB問題があり、文科省は都道府県の平均正答率を公表する。「過度な競争や序列化を招く」との懸念から、都道府県による市町村別成績、市町村による学校別成績の公表を禁じている。民主党政権が10年度に約3割の学校を抽出する方式に変え、数年に1度は全員が受けることにし、13年度は全員参加になった。自民党が政権に復帰し、14年度以降も全員参加を継続する方針になっている。
        http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20131118000014
        「京都新聞」2013年11月18日

        ●遺族らの不満数多く…”いじめ”全国弁護団設立
         学校でのいじめや体罰などが原因で子どもが自殺したり被害に遭った際、遺族らの立場で活動する弁護士の全国的なネットワークが初めて設立されました。
         弁護団代表・津田玄児弁護士:「実は、表に出てこないでうずもれてしまう事件もかなりたくさんある。(私たち弁護士も)それに対応して、きちんと取り組んでいく体制が必ずしも十分整っていない」
         弁護団は、大津市の中学生自殺事件を担当した弁護士ら60人から成り、被害に遭った子どもの権利の回復と真相究明を目指します。遺族らから「ノウハウがない」などと弁護士に対する不満が多く、弁護団は、情報交換や遺族団体との連携を通じて知識を増やすとともに、全国20カ所余りに相談窓口を設けて改善を図ります。
        http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000016262.html
        「テレビ朝日系(ANN)」11月18日
        相談室カンナは来年1月に事務所を移転します。
        2013/11/12
         2005年4月に「教育と人間関係の相談室カンナ」を京都市内のマンションの1室に開設して8年半が過ぎました。
         その後、京都市内、現在の長岡京市内で「間借り」のような小さな事務所で、さまざまな領域の活動を付加しながら、活動してきました。
         神経発達の違い(「発達障害」とされる状態や特性)による困難さと周囲の理解の弱さから生じる課題、社会福祉制度・サービスへのつながりの弱さ、「学校」における増え続ける問題、成年後見制度の認知や利用の少なさ等々…。一人の「困った状態」を緩和・解決するためには、周囲の関わりや組織・社会のあり方をダイナミックに変えて行く必要性があること、でもそれはコツコツと理解と支援の輪を拡げていくしかないことを教えられた貴重な時間であり、環境であったと思います。
         特に、現在の長岡京市の事務所において、これから相談室カンナがどんな相談室に進化していくべきかをじっくりと考えることができたと思います。
         今後の進化の課題は以下の4点と考えてます。
        ○相談機能の特化
         精神保健福祉士専門相談として、家族支援、心理教育、社会福祉制度およびサービス(精神障害、介護、年金、生活保護、成年後見など)の利用支援、メンタルヘルスコンサルテーション、講演、委託相談など、支援サービスの明確化および特化。
        ○カウンセリングの特化
         教育、子育て、自閉症スペクトラムを中心とした神経発達「障害」と二次症状への対応、家族・職場の人間関係などを中心に、認知行動療法、支持的精神療法、トラウマ処理などさらなるレベルアップおよび特化。
        ○後見人活動の充実
         後見人等として選任されている方への後見活動をさらに充実。
        ○暮らしサポート乙訓(仮称)設立準備
         「準備会」としての活動の具体的継続的展開。
         これらを取り組むにあたり、最寄り駅に(できるだけ)近く利用しやすい立地、(収支バランスが許す限り→かなり無理したチャレンジとなるのですが)4課題に対応した間取り、行政や社会資源との連携しやすい機動性をもった位置関係などを重視し、移転先の契約をすすめています。
         とはいえ、2DKの古いマンションなんですが…(;_;)。年明けには公表する予定です。

         あれやこれやで、「つぶやき」更新がずいぶんと久しぶりになっています。

         それでは、最近の気になる記事です。

        障害者に虐待、防止法半年で1391件 家族らから 厚労省初調査

         障害者虐待防止法が施行された昨年10月から今年3月末までに、全国の自治体に障害者への虐待に関する相談・通報が4199件あり、うち1391件が虐待だったことが11日、厚生労働省の調査で分かった。虐待の9割超は家族ら身近な人が加害者。通報などを受ける専門スタッフの確保などで自治体側の対応の遅れも目立つ。通報は「氷山の一角ではないか」といった指摘もある。
         防止法は虐待を受けた本人のほか、疑いがある事例を見つけた家族や関係者、近所の人などに通報を義務付けており、全ての都道府県と市区町村は窓口を設置している。
         今回は両親や兄弟ら「養護者」と福祉施設の職員らの虐待に関する初の全国調査で、今年6月に公表した職場の雇用主・上司による虐待の結果と合わせると、相談・通報は4502件、虐待と判断した事例は1524件に上る。
         相談窓口に寄せられた通報のうち約8割の3260件は養護者によるもので、うち1311件を虐待と認定。1329人が虐待を受け、被害者が死亡したケースも2件あった。加害者は1527人で、父母と兄弟姉妹が全体の6割超を占めた。
         一方、939件の通報があった福祉施設関連では80件が虐待と判断されたが、通報に占める認定数の割合は養護者の2割にとどまる。厚労省は「施設のサービスに不満を持つ人が『虐待ではないか』と通報するケースが多いが、事実確認の段階で関係者の協力を得られず、虐待かどうか判断できなかった例もあるのではないか」(障害福祉課)としている。
         虐待の種類(複数回答)は身体的虐待が836件と最も多く、怒鳴るといった心理的虐待(498件)、金銭を取り上げるなどの経済的虐待(363件)と続く。養護者、福祉施設ともに虐待を受けた人の約半数は知的障害者で、意思表示が難しい障害者が被害を受けやすい実態が浮かぶ。
         調査では障害者への虐待を防ぐための対応状況などについても尋ねた。防止法は社会福祉の知識や経験を持つ職員の確保を求めているが、市区町村で「実施済み」としたのは全体の28%、都道府県も55%にとどまった。虐待対応マニュアルの作成や警察との連携も遅れがちで、今後の体制強化が課題になりそうだ。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG10003_R11C13A1CC0000/
        「日本経済新聞」2013/11/11

        ●月収3千円「何度も自殺考えた」 生活保護めぐる訴訟
         【後藤泰良】若くて健康。真摯(しんし)に求職活動すれば仕事に就けるはず。その論で生活保護費の支給を認めなかった大阪府岸和田市の判断は誤りだと司法が断じた。31日の大阪地裁判決。市の保護申請の却下処分取り消しを求め勝訴した原告の男性(40)は、求職に奔走しつつパンの耳をかじり命をつないだ日々を「地獄でした」と振り返った。
         □生活保護の支給基準、地裁が言及
         閉廷後、法廷を出た男性は目に涙を浮かべ、岸和田市の非を認めた判決に「ほっとしました」と語った。
         中学を卒業してすぐ働いた。レストランの調理場やリフォーム会社の営業、テレビや携帯電話を組み立てる工場の派遣社員。「健康でやる気もある。仕事がないとは考えもしなかった」。だが2008年2月、大阪都心部に近い街から夫婦で義母の住む岸和田市に転居してから状況が変わった。
         「面接までたどり着いても、僕より若く学歴のある人が採用される」。転居後、生活保護を受ける1年余りで「400件以上電話し、40~50回の面接を受けた」。仕事は選ばず当たりまくった。
         右肩下がりの時代を迎えた21世紀、日本の失業率は跳ね上がった。国勢調査によると、00年の4・7%から10年には6・4%へ。特に最終学歴が中学卒業者の労働環境は厳しく、失業中の男性と同じ働き盛りの30代後半(35~39歳)も8・0%から13・3%に悪化。同年代の高卒7・2%、大卒3・5%に比べ中卒の高失業率が際だつ。
         男性がようやく見つけた仕事は、釣り具の部品を作る内職だった。収入は月3千円ほど。妻(48)も仕事を探したが、ひざが悪くなかなか見つからない。生活保護の受給申請は却下され続け、10円のパンの耳と100円ショップで買った小麦粉、安売りのキャベツを焼いて食べる日々が続いた。
         本やCDなど売れる物はすべて売った。一張羅のスーツも売り、就職面接は普段着で行った。散髪も行けず、風呂も入れず、履歴書を買う金も履歴書の写真を撮る金もなく、1通を使い回した。
         09年7月、6回目の保護申請でようやく保護費の支給が認められた。今は生活保護を受けながら、夫婦で新聞配達をして生計を立てている。
         「何度も自殺を考えた。生きるか死ぬかの生活に陥った人が救われる世の中になってほしい」
        続きを読む(会員の方)残り:1102文字/本文:2032文字
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        http://www.asahi.com/articles/OSK201311010001.html
        「朝日新聞デジタル」2013年11月1日

        ●川崎の小6男児転落 男性担任、2回注意 市教委調査
         川崎市立南河原小学校(幸区)で小学6年の男児(11)が校舎4階から転落した事故を受け、川崎市教委は7日、男児と男性担任(28)とのやり取りを明らかにした。
         市教委によると、男児は6日午後1時10分過ぎ、宿題を忘れたために男性担任から「中学校に行くともっと大変だよ。中学校をなめているの?」などといわれたが、男児は涙を流したまま無言だったという。
         男児から回答が得られなかったため、男性担任は帰りの会が終わった1時半過ぎに再度、「別の子は手に書いてもってくると聞いたけど、あなたはできそう?」などと問いかけたところ、男児は走って教室を飛び出した。
         一方、男児の同級生によると、男性担任は10月末ごろ、前期の宿題が未提出の児童を呼び出し、「中学に入るから提出物をちゃんと出しなさい」「宿題をなめるな」などと注意。提出物に関しては特に厳しくなったという。
         同校では、13、14日に栃木・日光への修学旅行を予定しており、男児は楽しみにしていたという。同級生の女児(11)は「(事故当日は)修学旅行のしおりが配られ(男児は)ワクワクしていた」と振り返り、「『大丈夫?』と声を掛けてあげたい」と話した。
         男児は頭の骨などを折る大けがをしたが、意識は戻り、看護師の問いかけにもうなずいているという。
         一方、同小では7日、6年生を対象に学年集会を開いたほか、1~5年生にはクラスごとに担任から説明した。保護者会は男児の回復を待って行う予定。同日からスクールカウンセラーも児童のケアに当たっている。市教委の島田秀雄指導課長は「お子さんがこれまで通り元気に学校に通えるよう、学校における支援体制を整えたい」と話した。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/131108/kng13110801000007-n1.htm
        「産経ニュース」2013.11.8

        ●語らん場:子どもの権利を守る長崎の会・安達和美代表 子供尊重し、体罰なくせ/長崎
         文部科学省の調査で昨年度の県内の公立小中高教職員の体罰は452件で全国最多だった。長崎市は体罰やいじめ、虐待などから子供を守るための条例制定を検討している。2004年に教師からの指導中に中学2年の次男が飛び降り自殺した「子どもの権利を守る長崎の会」代表の安達和美さん(52)に、条例制定で考慮すべき点などについて聞いた。【樋口岳大】
         −−条例制定に必要な視点は?
         「子供の最善の利益」などが盛り込まれた「子どもの権利条約」(日本は1994年に批准)の理念を基本とすべきだ。条約では子供の「生きる権利」や意見表明権などをうたっている。子供の立場に立ち、子供が声を上げられるような環境を整えることが重要だ。
         −−長崎市は、問題が発生した時に調査・検証を行う第三者委の設置を条例に盛り込む方針だ。
         兵庫県川西市の「子どもの人権オンブズパーソン条例」が参考になる。オンブズパーソンは、人権侵害を受けた子供を救済するために弁護士や学者らが市長から委嘱され、独立して調査や勧告する権限を持っている。教育委員会や学校などには、オンブズパーソンへの協力を義務付けている。これにより問題になっている「学校が調査に協力しない」ということが防げる。
         −−問題が発生した時、教育委員会による調査ではだめなのか。
         自分自身の経験を通じ、学校や教育委員会は、何か起こった時に子供や保護者の側に立って調査するのではなく、隠蔽(いんぺい)し責任逃れをするものだと感じている。これは長崎だけではなく全国どこででも起きていることで、何十年も同じことが繰り返されている。
         息子が自殺した時、学校が教育委員会に提出する事故報告書の存在を他の遺族に教えてもらい、情報開示請求で内容を知って驚いた。調査は不十分で、事実が報告されていなかった。自殺ではなく「事故死」、原因も「不明」とされていた。学校や市教委は「指導で死んだりするはずがない」の一点張りだった。
         −−長崎県は、学校での体罰が全国最多だった。
         「子どもの権利を守る長崎の会」で8月、長崎市の浜町アーケードで484人の子供に体罰に関するアンケートをしたところ、21%が「学校で体罰を受けたことがある」、68%が「嫌だ。やめてほしい」と回答した。
         体罰をなくすためには、数が多かったことに行政が真剣に向き合い、どう対策を取るかが重要だが、今のところ具体的なものが見えない。
        http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20131010ddlk42040523000c.html
        「毎日新聞」2013年10月10日 地方版

        ●中学生の朝練、授業に悪影響? 長野県が廃止方針案
         【軽部理人】中学生の運動部の朝練習は原則やめるべきだとの方針案が長野県でまとまった。睡眠不足になるうえ、朝食を取りづらくなって授業にも悪影響を与えるというのがその理由。同県の調査では県内の95%以上の中学校が朝練に取り組んでいるといい、今後議論を呼びそうだ。
         同県によると、中学校で運動部に参加する生徒の比率は全国の66%に比べて同県は59%にとどまる。県教委は、スポーツ医療関係者や体育教師らで「適切で参加しやすい運動部」を目指す検討委員会を設け、昨秋から各中学校に示す基準案を検討してきた。
         21日の会合で示された基準案には「食事と睡眠、生活リズムを考慮し、原則として、朝練習は行わない」と明記。「完全休養日を週2日以上」「勝利至上主義に偏らず、生徒のニーズを生かす」なども盛り込んだ。
        http://www.asahi.com/articles/TKY201310210583.html
        「朝日新聞デジタル」2013年10月22日

        ●自立援助ホーム:退所者の1割が失踪、不明
         家庭での生活が困難な15~19歳の未成年に生活の場を提供する「自立援助ホーム」の入所者のうち、1年間で少なくとも30人以上が無断で施設を抜け出し、その後行方不明になっていることが17日、毎日新聞の調べで分かった。退所者は年間約260人に上り、このうちの1割以上が失踪状態だった。こうした退所者はその後、犯罪に巻き込まれるケースも少なくなく、行き場を失った10代の「最後の砦(とりで)」とされる自立援助ホームの運営の難しさが改めて浮き彫りとなった。
         全国の自立援助ホーム99施設のうち、所在地が明らかで連絡が取れた84施設に対し、入所者の生活状況などについて今年8月、9項目のアンケート調査を実施。66施設から回答を得た。
         「年間で退所する少年少女は何人(延べ数)ですか」との質問への回答は計約260人。退所後の行き先を聞いたところ、「他の施設に移った」「自宅に戻った」「就職などで自立」などの他、「無断退所などのため不明」もあった。この不明のケースにあてはまる人数を聞いたところ、「数件」などの答えもあり、少なくとも合計で30件以上に達した。
         施設関係者によると、共同生活になじめず、夜中に施設を抜け出したまま戻らないケースが多いという。いったんは自宅などに帰った後に家出するケースもあり、ホームでの生活を経た後、失踪状態になっている退所者はさらに多いとみられる。また、退所者のうち45人が、生活保護を受給して生活していることも分かった。
         自立援助ホームを巡っては、広島県呉市の山中に女子生徒(16)の遺体が遺棄された事件に関与したとされるグループの1人が、ホームの生活になじめず無断で退所していたことが判明。この少女はその後、生活保護を受給しながら他のメンバーと共同生活するなど、過酷な生活実態にあったことが毎日新聞の報道で明らかになっている。【中里顕、黄在龍、石川裕士】
         ◇自立援助ホーム
         親の育児放棄や虐待により家庭で生活することができない15~19歳が共同生活する施設。児童福祉法に規定され、虐待などから逃れるために一時的に避難する「子どもシェルター」も含まれる。厚生労働省によると、昨年10月現在、全国に99施設あり、政府が2010年1月に閣議決定した「子ども・子育てビジョン」では来年度までに160カ所に増やす目標を掲げている。児童養護施設が原則、18歳までの就学者を対象としているのに対し、自立援助ホームは働く未成年を受け入れ、就労と自立を支えているのが特徴。しかし、入所者の成育環境などから退所後の離職率は高く、アフターケアが課題とされる。
        http://mainichi.jp/select/news/20130918k0000m040147000c.html
        「毎日新聞」2013年09月18日

        ●生徒の足首縛り川落とし、火であぶる…4人逮捕
         通信制高校に通う男子生徒(19)(広島県山県郡)の両足を縛り、川に突き落とすなどして殺害しようとしたとして、広島県警は3日、友人の少年4人(16~17歳)を殺人未遂容疑で逮捕した。
         4人のうち1人が、スマートフォンの無料通話アプリ「LINE(ライン)」での呼びかけを被害者の男子生徒に無視されたことがきっかけだったという。
         発表では、4人は、同じ高校に通う男子生徒(17)(広島県山県郡)、別の高校の男子生徒(16)(広島市)、アルバイト作業員(16)(山県郡)、無職少年(16)(同)。
         4人は共謀して9月9日未明、同郡北広島町壬生を流れる江の川の河川敷で、男子生徒に殴る蹴るの暴行を加えた後、河川敷のフェンスに元々結ばれていたロープの端で男子生徒の両足首を縛り、フェンスからつるす形で護岸から約5メートル下の川(水深約2メートル)に突き落とすなどして殺害しようとした疑い。
         男子生徒が川からはい上がってきた後、足首をライターの火であぶってやけどを負わせたともされ、男子生徒は全身に打撲痕があるほか、やけどは皮膚移植が必要なほどの重傷で、現在も入院している。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131003-OYT1T01163.htm
        「読売新聞」2013年10月4日

        ●学童保育施設、最多の2万1400カ所 5月時点
         共働き家庭などの小学生を放課後に児童館や学校の空き教室などで預かる学童保育(放課後児童クラブ)の受け入れ施設数が今年5月1日時点で2万1482カ所になったことが4日、厚生労働省のまとめで分かった。前年同期から397カ所増え過去最多だったが、希望しても利用できない「待機児童」も1168人増えて8689人に上った。
         厚労省は「今年度は小学1年生の数が前年度と比べ約3万人多く、需要の伸びに施設整備が追いついていない。施設の一段の拡充を自治体に促したい」と話している。
         利用登録している児童は全国で88万9205人。前年同期と比べて3万7256人増えて過去最多となった。
         待機児童の数は、都道府県別では東京が1753人で最も多く、埼玉(977人)、千葉(863人)と続いた。
         利用時間は、平日の午後6時以降も開所するクラブが1万3405カ所と全体の62.4%を占め、初めて6割を超えた。厚労省は平日午後6時以降に開所するクラブに補助金を支給するなどして開所時間の延長を促しており、今後も保護者が働きやすい環境づくりに力を入れる考えだ。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG04053_U3A001C1CR8000/
        「日本経済新聞」2013/10/4

        僕はなぜ止められなかったのか?~いじめ自殺・元同級生の告白。
        2013-09-17
         また、久々の更新となります。子どもの命そのものを奪い、育ちを阻害する事件・事故の報道が後を絶ちません。

         最近、youtube.comで流されている動画の2つを紹介し、少し一緒に考えてみたいと思います。
         1つ目は、「僕はなぜ止められなかったのか?~いじめ自殺・元同級生の告白」、NHKによるものです。
        http://www.youtube.com/watch?list=FLDQvFXyYAZ4Q4j09FjSR_BQ&v=8W_HdSXIwpo&index=15&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3D8W_HdSXIwpo%26list%3DFLDQvFXyYAZ4Q4j09FjSR_BQ%26index%3D15&app=desktop
         2つ目は、「浜松日体高校男子バレー部の体罰の様子です。」個人の投稿です。
        http://www.youtube.com/watch?v=WlpNLR_IbdQ

         1つ目は、いじめの放置が自死に至る、被害者の親の本音、「傍観者」だった同学年の生徒が「なぜ止められなかったのか?」という自責を生涯背負うことになるなど、再現ドラマで経過を展開しながらの構成です。学校関係の方、保護者など、子どもたちの「学校」での生活に関わる人たちにぜひ見て欲しいと思います。
         2つ目は、部活における「指導」としての体罰=暴力の隠し撮り映像です。「キャプテンしばいてチームが強くなると思っているんですか?」という桜宮中学での体罰=暴行後の自死事件の現場を彷彿とさせます。こんな暴力を受け、それを目の前で体験した生徒が、何を思い記憶に焼き付けるのでしょうか?
         いじめや間違った「指導」、あるいはちょっとした一言による傷つきなどから不登校になった子どもたちへのサポートの拙さを、今年の夏休みも幾ケースかで実感しています。(私と学校外の支援機関などの連携で、2学期から登校再開できたケースもあります)
         以前にも書いたかと思いますが、小中学校の教師の皆さん、特に管理職の皆さんは、児童期・思春期・青年期の心理的発達や「発達障害」とされる神経発達上の違いによるそれぞれの子どもたちのタイプや個性・特性などを、しっかりと学び、理解していく自己努力を強めて欲しいと切に願います。学校で生じている事故・事件、その原因や対応のあり方などについて、教員養成課程では十分な学びとなっていない中では、独学、実践、交流、協働しかありませんから…。

         それでは、最近の気になる記事です。

        広島・廿日市中3女子自殺:いじめ証言 学校が「口止め」

         広島県廿日市市立中学校3年の女子生徒(14)が自殺した問題で、同じ運動部の2年生が女子生徒の自殺直後に、部活動内でいじめがあったことを顧問に伝えたが、学校と市教委が保護者に「うわさを広げないで」と口止めととられかねない電話をしていたことが9日、市教委などへの取材で分かった。市教委は「情報が独り歩きしないようにするためだった」と説明。ただ、その後、市教委が設置した調査委員会はいじめがあったことを認めている。
         女子生徒は5月8日に死亡した。直後の13日に2年生12人が放課後、顧問ら教諭2人に「女子生徒の同級生が無視したり、きつい言葉を言っていた」「女子生徒が同級生とけんかした際、他の同級生が相手の味方につき、女子生徒を孤立させた」などと訴えたという。
         学校は同日夜、市教委と作成した文案を基に2年生の保護者に対し「うわさが広がると、うわさと事実が混乱し、生徒のアンケートや聞き取り結果が正しく出ないことも想定される」「調査委員会の結果が出るまではあちこちに広げないようにしてほしいと(生徒に)話してほしい」などと電話したという。
         ある保護者は「口止めだと思った。子供たちはことを荒立てようとしたわけではなく、勇気を振り絞って証言したことを分かってほしかった」と話した。市教委は「誤解を与えたのであれば検証したい」としている。【高橋咲子】
        http://mainichi.jp/select/news/20130910k0000m040161000c.html
        「毎日新聞」2013年09月10日

        ●遺族の声聞き事後対応指針を いじめ防止法で国に要望
         学校での事故や事件で子どもを亡くした遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」のメンバーが30日、文部科学省を訪れ、6月に成立したいじめ防止対策推進法の施行に当たり、いじめ自殺など子どもに重大な被害が起きた際に、遺族や被害者の意見を取り入れた事後対応の基本指針を策定するよう求めた。
         同会代表世話人の内海千春さん(54)=兵庫県たつの市=と宮脇勝哉さん(55)=宝塚市=らが、文科省の池田宏生徒指導室長に要望書を手渡した。
         要望では、過去のいじめ自殺などに対する検証を行い、基本指針に反映させる▽基本指針はいじめ以外の体罰や事故などで発生した被害事案にも適用する‐ことなどを求めている。
         小学生だった長男が担任から体罰を受けた直後に自殺した内海さんは、大津市の中2男子自殺で事後対応の問題があらわになったとして「何をするべきかという基本的な考え方がないことが学校現場の混乱を生んでいる」と指摘。「指針の策定に向け、遺族と対立ではなく対話する関係を築いてほしい」と述べた。(山本哲志)
        http://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/201308/0006295690.shtml
        「神戸新聞」2013/8/30

        ●いじめ調査結果に疑問続出
         長崎市立小6年の女子児童=当時(11)=がいじめなどを理由に自殺したとされる問題で、児童が通っていた学校は16日夜、同級生らへの聞き取り調査の結果に関する保護者説明会を開いた。いじめ2件を確認したとする市教委の報告に対し保護者からは「ほかにもあったのではないか」と疑問の声が続出。説明会は約4時間に及んだ。
         児童は7月に自宅で自殺を図り、その後に亡くなった。市教委は8月末までに同級生や教諭ら合わせて約50人に事情を聴き、靴を隠されたことと、修学旅行の班決めでのトラブルをいじめと判断。友人関係や課外クラブの運営も心の負担になったとみている。
         説明会は非公開。市教委や出席者によると、全員で黙とうした後、市教委と学校の担当者が調査結果を説明した。これに対し複数の保護者が具体事例を挙げて2件以外のいじめの存在をただしたが、市教委は「確認できたことしか答えられない。(調査結果をさらに検証する)第三者委員会に報告する」と繰り返したという。
         終了後、保護者は一様に疲れた表情で会場を後にした。6年生の母親は「聞き取り調査が不十分」と納得いかない様子で語り、5年生の父親は「2件のいじめだけで自ら命を絶つのだろうか」と首をかしげた。
        http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2013/09/17090227011485.shtml
        「長崎新聞」2013年9月17日

        ●大学3、4年生「正社員なれぬ 自己責任」 京のNPO、就職調査印刷用画面を開く
         雇用環境の変化など社会の実情を学んでいない大学3、4年生の多くが「正社員の職が見つからないのは甘えや努力不足が原因」と考えていることが、若者への労働法教育に取り組むNPO法人「あったかサポート」(京都市下京区)の調査で分かった。専門家は「就職難が自己責任論に終始しないよう、問題意識や自尊心を持って就職に向き合えるような教育が必要」と指摘する。
         キャリア支援の課題を探るため、京都などの5大学430人を対象に今年4~7月、学校で学んだ内容や就職への意識を調査した。
         このうち、3、4年生(約170人)は、約6割が大学で「自己分析」や「適性検査」の講座を受けていたが、「雇用環境の変化」や「労働者の権利」など働き続ける上で必要な労働教育を受けた人は、それぞれ約2割にとどまった。雇用環境の変化について学んでいない人の半数が、正社員になれないことを「自己責任」と考えていた。
         一方、アルバイト経験のある学生の3分の1が「バイト先の正社員の働き方や労働条件には問題がある」と回答。「問題がある」と答えた人は、「ない」と答えた人よりも「中高年や老後の生活に不安を感じる」割合が高く、アルバイト経験が労働観に与える影響が大きいことも見えた。
         調査を分析した法政大の筒井美紀准教授(教育社会学)は「大学の支援は、目先の就職を考えたキャリア教育に偏っている。アルバイト経験を学びにつなげるなど、雇用の現実や労使間で守るべきルールを知って働き続けるための教育も考えるべき」と指摘する。
         14日午後2時から同志社大(上京区)で開くシンポジウム「半身就活でいこう」で、筒井教授らが調査結果を報告する。500円(学生無料)。問い合わせは同NPO法人TEL075(352)2640。
        http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20130912000163
        「京都新聞」2013年09月12日

        ●小学校教師の約8割が「授業や学級作りに時間がとれない」
         小学校教師の77%が「授業や学級作りに時間がとれない」と感じており、教師歴に関係なく、教師全体に多忙感があることが、日本標準教育研究所が8月に公表した調査報告書「小学校教師の現状と課題」より明らかになった。
         同調査は、全国の小学校の先生を対象に、2012年4月と8月、12月の計3回「小学校教師の意識についてのアンケート」を実施。第1回「教師の仕事」、第2回「勤務状況と子どもの現状」、第3回「授業と教材」をテーマに調査した。アンケート回答数は、第1回が325人、第2回が373人、第3回が388人。
         指導案作りや授業の準備に参考にしているものは、「教科書の赤刷りや教科書指導書」87%、「教科書」74%と、約8割が教科書を参考にしている。また、「書店販売の図書」56%に対して、「学校直販の教材教具」19%となり、書店販売の図書の方が多く参考にされている。自由記述には、「ネットに載っている事例」「TOSS、インターネット」「インターネットで閲覧できる各都道府県教育センターの資料」などインターネット上の情報を参考にしているという回答が多数みられた。
         授業の準備について、「十分とはいえないが、前日には準備を終えるようにしている」が37%ともっとも多く、次いで「必要な単元については、しっかり準備している」30%。「毎時間、しっかりと事前に準備している」はわずか6%であった。
         また、準備時間は、「31~60分」が51.4%ともっとも多く、次いで「30分以下」22.5%、「61~120分」16.6%。準備をする場所は、「学校」が51.4%ともっとも多く、次いで「自宅」27.4%であった。
         授業の際、教科書以外に使用する教材は、「自作の必要があるもの以外は、市販教材を使っている」が44%ともっとも多く、それ以外の回答を含めて市販教材を使っている割合は9割以上であった。自由記述には、「デジタル教科書を利用して作った自作プリント」「インターネットから無料ダウンロードプリント」などの回答があった。
         「授業や学級作りに時間がとれない」と感じている教師は、「とてもそう思う」40%と「まあそう思う」37%の合計77%が忙しいと感じている。教師歴10年ごとの集計では、10年以下から順に44%、42%、35%、44%と大きな変化はなく、教師歴に関係なく忙しいようだ。
         同研究所のホームページには、小学校教師の現状と課題について、128ページにわたる報告書が掲載されている。
        《工藤 めぐみ》
        http://resemom.jp/article/2013/09/03/15046.html
        「ReseMom」2013年9月3日

        ●自殺未遂「再発」防止事業…39自治体に拡大
         救急搬送された自殺未遂者を病院と行政で連携して支援する自殺防止事業が全国の都道府県・政令市の約半数の39自治体(検討中を含む)に広がっていることが大阪府の調査でわかった。
         未遂者は繰り返し、自殺を図る傾向があるため、再び自殺に走るのを防ぐ支援を行政が提供し、自殺を減らす取り組みだ。
         調査によると、支援事業は、24都府県と12政令市で行われ、京都府と2政令市が検討中だ。救命救急と精神医療の連携を図る研修(宮城県)や、臨床心理士による自殺未遂者の支援(奈良県)など、心理や医療の専門家が関与する事業が多い。
         全国に先駆けて2010年1月から事業を始めた大阪府では、現在、六つの救急病院に精神保健福祉士ら専門家計6人を配置。未遂者のカルテや面談を通じて背景を探ったうえで、精神科医や福祉行政、保健所などに引き継ぎ、必要な支援を行っている。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130828-OYT1T00616.htm?from=tw
        「読売新聞」2013年8月28日

        ●不登校専門紙が部数倍増 求められる「寄り添った」支援
         昨夏、休刊の危機にあった、不登校・引きこもりの専門紙「Fonte(フォンテ)」の部数が倍増した。昨年4月は約800部だったが、今年8月で約1600部に。不登校や引きこもりの体験談を掲載するなど当事者の立場に立った数少ないメディアとして注目を集めている。(油原聡子)
                           ◇
         □共感の機会に
         同紙は平成10年5月、創刊。不登校や引きこもりの子供や親の体験談を掲載するなど当事者に寄り添う紙面作りを行ってきた。創刊当時は約6千部の発行だったが、昨年4月には約800部まで減少し、休刊の危機に直面した。
         しかし、国内に数少ない、引きこもりや不登校の専門メディア。昨夏、大津のいじめ自殺事件が報道されたことを一つのきっかけに再び注目を集め、部数が増加した。同紙の石井志昂(しこう)編集長は「当事者の声のニーズの高さを実感した。子供も親も不登校や引きこもりの苦しさに共感してもらえる機会が少ないのではないか」と振り返る。
         □脱しきれない
         一時期、部数は低迷したが、ホームページの訪問者は増加傾向にあった。昨年1年間は約15万人だったが、今年は8月末で既に約24万人。インターネット上で情報を求める人が多いことから、8月下旬からは有料のウェブサイト「不登校新聞」もスタートさせた。同紙の過去2年半分の記事から子供や若者の記事150本超、親や祖父母の記事約50本がそれぞれ掲載されている。今後はウェブでのオリジナル記事も掲載していく予定だという。
         ウェブ版で人気を集めているのが、不登校のその後を扱った記事だ。不登校を経験後、支援する側に回った30歳の男性の話は反響が大きかった。
         不登校の男性が16歳の頃、不安と焦りからアルバイトを探したが見つからず、父親に「18歳まで猶予をください」と訴えた。すると、父親が「18歳だとか猶予だとかにこだわらなくていい」「俺の子供である以上、この家に住むために何かをする必要はない」と答えたエピソードが掲載された。これを見た子供側からは「救われた」、親側からは「子供はこう言ってほしかったのか」という声が寄せられた。
         不登校経験者の女性が25歳になった今も引きこもりがちという記事もよく読まれている。不登校を脱した記事だけではなく、苦しみ悩むありのままの姿をつづった記事が人気を集めていることに、石井編集長は「不登校から脱しきれず、同じような状況の人が多いからではないか」と指摘。不登校でついた傷や、そのときの親子関係の問題を時間がたっても引きずっている人は多いという。
         石井編集長は「当事者は不登校や引きこもりになった後のコミュニティーがなく、孤立してつらい思いをしている。逃げた先のつながりをつくり、支援につなげられたら」と話している。
                           ◇
         □生きた情報が心のよりどころに
         教育評論家、尾木直樹さんの話「不登校や引きこもりの子供や親は『自分たちの悩みを分かってほしい』という思いがあり、生きた情報を求めている。しかし、当事者に寄り添った情報はなかなかない。Fonteで当事者や経験者の記事を読むことで『不登校だからって人生が終わるわけではない』という頑張りや安心感につながるのではないか。部数が伸びたのは大津のいじめ自殺事件の報道で注目されただけではなく、当事者の人々にとって生きた情報が心のよりどころになっていたということだろう」
        【用語解説】Fonte
         NPO法人「全国不登校新聞社」(東京都北区)が平成10年5月に創刊。東京、大阪、名古屋に編集拠点があり、月2回、不登校や引きこもりの当事者や保護者の体験談を中心に、子供に関する事件や裁判、文部科学省の動きなど教育に関する話題を掲載している。購読料は1カ月800円、6カ月4800円、12カ月9600円。ウェブ版の「不登校新聞」は1カ月800円。申し込み・問い合わせは、Fonte東京編集局(電)03・5963・5526。
        「産経新聞」2013.9.6
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/130906/edc13090608310000-n1.htm

        この10年余り、私が何を考え生きてきたかを「東京新聞」が記事に…。
        2013/08/24
         http://croomkanna.com/kanna/tokyonp20130808.html
         大切に思っている人が突然に自ら命を絶つ。理由や防ぐ手立て、その自死には自分も関係がある…など、遺された者は絶望と無力感に打ちひしがれます。
         「親としてできることは全部やりたい」と、ドタバタと思いつくことをやり続けて10年余りが経過しました。しかし、何かがやれたわけでもなく、理由がわかったわけでもなく、防ぐ手立てが作れたわけでもなく、自責感情が減ったわけでもなく、あいかわずの絶望と無力感に打ちひしがれながら、日々のドタバタをやりこなす毎日です。
         今回の「東京新聞」の取材は、そんな今、とてもタイムリーなものだったと思います。
         「やりたい」と思ったことは、まだまだですがおぼろげながら形になりつつあり、10年余り続けて来たことが自分にとって間違いではなかった、と思えているからです。
         「焼け石に水」を自覚しつつ、それでも、一人でも、一つのケースでも最悪の事態を回避したい。人間の自己治癒力や可塑性、助け合い支え合う人間の素直な気持ちを信じて、その触媒としてささやかに役立てるように…。
         
        <やはり気になる自殺報道>
        WHO・世界保健機関が定めた報道のガイドラインに違反…。
        藤圭子さんの自殺 テレビのニュース報道は、国際的な「ルール違反」だらけ
        http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20130823-00027482/ 

         それでは、最近の気になる記事です。

        障害年金「制度知らない」多数…厚労省調査

         厚生労働省は、障害年金について、制度が知られていないため、申請せずに未受給のままの障害者が相当数いるとみて、広報の強化を図る。
         厚労省が行った調査で、未受給者の多くが制度や手続き方法を知らなかったと答えたためで、障害者団体を通じてPRするとともに、新たに障害者手帳に障害年金の申請方法を記載する。
         厚労省の調査は2011年11月~12年2月に身体障害者を対象に行った。自治体を通じて選んだ障害者手帳を持つ20歳以上の身体障害者6679人のうち、障害年金の未受給者で、障害年金の対象となる65歳未満の335人を抽出してアンケート形式で実施した。調査に対しては、295人が回答した。
         この調査をきっかけに、少なくとも27人が基準を満たしているのに申請していないことが判明し、障害年金を新たに受給した。このうち7人は、最も障害が重く支給額も多い「1級」と認定された。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130823-OYT1T00583.htm?from=tw
        「読売新聞」2013年8月23日

        ●「1日1食に切り詰め」 生活保護の減額 受給者切実
         生活保護費の減額が今月から始まり、受給者の生活に影響が出始めている。県内の弁護士らが開設したホットラインには「1日2食を1食に切り詰めている」「携帯代が払えない」など多くの相談が寄せられた。全国の支援団体と連携し、集団訴訟も視野に、自治体へ不服を申し立てる「審査請求」を準備する動きが、県内でも出ている。 (白名正和)
         「心臓病を患っているが、食事の質を落として光熱費も節約を余儀なくされている」「携帯代が払えなくなった」-。千葉市中央区の県弁護士会館の一室で六日、ホットラインとして設けた四台の電話が次々と鳴っていた。
         「ガス代を節約するため毎日風呂に入れない」「今後、保護費が一万円も下がると聞いた」と、受給者らの声は切実なものばかり。「国はほかの無駄遣いをたくさんしているのに」「視覚障害があるのにどうすればいいのか」など、弱い立場を狙った引き下げを批判する声もあった。
         ホットラインには六日だけで三十八人から相談が寄せられた。電話相談にあたった常岡久寿雄弁護士は減額について「ただでさえギリギリの生活をしている受給者を、さらに困窮に追い込むことになる」と指摘した。
         保護費の減額は、デフレによる物価の下落に実態を合わせる名目で行われた。今後は三年かけて段階的に、国全体で6・5%にあたる六百七十億円が削減される。
         これに伴い、特に大きな影響を受けるのは子育て世帯だ。厚生労働省の試算によると、都市部に住む四十代の夫婦と小中学生の子ども二人の世帯の場合、二〇一五年四月までに月額で二万円、三十代の母親と四歳の子どもの母子世帯の場合でも約九千円減額となる。
         これに対し、「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」は、千葉など各地の弁護士らと連携して、全国一斉のホットラインを実施し、受給者一万人規模の審査請求を目標に掲げている。千葉県のホットラインへの相談者も、多くが審査請求の提出に賛同したという。
         審査請求は行政不服審査法に基づく手続きで、今回は各受給者の引き下げを決めた県内の福祉事務所の決定に対し、不服を申し立てることになる。県内では九月中旬ごろにまとめて申し立て、退けられれば集団訴訟へと発展させる考えだ。
         常岡弁護士は「一人で声を上げても制度はなかなか変わらない。できるだけ多くの受給者とともに行動し、引き下げの撤回を実現させたい」と意義を強調した。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20130811/CK2013081102000131.html
        「東京新聞」2013年8月11日

        ●広島・中3自殺:いじめの可能性…廿日市市教委調査
         広島県廿日市市で5月、同市立中3年の女子生徒(14)が自殺した。この問題で女子生徒が昨夏からいじめに遭っていた可能性があり、学校に相談しても解決されず苦しんでいたことが4日、両親への取材で分かった。
         生徒の証言や女子生徒の遺書から追い込まれた状況が浮き彫りになったといい、両親は「学校は真相を解明してほしい」と訴えている。
         市教委が設置した調査委員会もいじめの可能性があるとみて調べている。【高橋咲子】
        http://mainichi.jp/select/news/20130805k0000m040086000c.html
        「毎日新聞」2013年08月05日

        ●小中学生、被害も・加害も「いじめ経験」87%
         文部科学省の研究部門、国立教育政策研究所は5日、教師など学校関係者に向けた、いじめ防止のための資料「いじめと向き合う」を公表した。
         いじめの実態を追跡調査した結果、暴力を伴わないいじめを経験した被害者と加害者は共に9割近くに上り、「どの子も被害者、加害者になりうる」とする一方で、暴力を伴ういじめについては、「ある程度限定された加害者が繰り返し行う傾向がある」と分析。暴力を伴う場合は学校側の早期対応を呼び掛けている。
         追跡調査は2004年度から、特定の地方都市の小中学校に通う小学4年~中学3年の全児童生徒(1学年800人前後)を対象に毎年実施。いじめの発生状況を3年ごとにまとめている。今回は大津市で起きた中学生のいじめ自殺問題を受け、いじめを初めて暴力を伴うものと伴わないものとに分類した。
         調査結果によると、2007年度に小4だった児童が中3になるまでの6年間で、暴力を伴わない「仲間はずれ、無視、陰口」といったいじめの被害、加害を経験した割合はいずれも87%で、「被害者も加害者も大きく入れ替わりながらいじめが進行している」と分析。こうしたいじめは教師が気付くのが難しく、「全児童生徒を対象とした未然防止が最も有効」とした上で、学校を子どもの「安全安心な居場所」にすることなどを求めている。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130806-OYT1T00224.htm?from=tw
        「読売新聞」2013年8月6日

        ●全国で体罰6700件、被害1万4千人…昨年度
         文部科学省は9日、2012年度に全国で確認された体罰の実態調査の最終報告をまとめた。
         全国の国公私立小中高校などの1割を超える4152校で計6721件の体罰が確認され、被害にあった児童生徒は1万4208人。うち公立分は3603校の5415件で、中間報告の6倍を超えた。大阪市立桜宮高校の体罰自殺問題を受け、各教委で全生徒対象のアンケートを取るなど実態把握が進められた。
         体罰の件数は、中学校が2805件で最も多く、高校が2272件、小学校が1559件。今回は初めて私立校が調査対象になり、1259件が確認された。国立は20件だった。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130809-OYT1T01413.htm?from=ylist
        「読売新聞」2013年8月10日

        ●埼玉の乳児放置、「1人で産んだ」中3女子逮捕
         「埼玉の乳児放置、「1人で産んだ」中3女子逮捕」の記事をお探しですか?最新関連記事が 10+ 件 あります。
         埼玉県新座市で生後間もない男児が放置されていた事件で、新座署は10日夜、同市に住む中学3年の女子生徒(15)を保護責任者遺棄容疑で逮捕した。
         発表によると、女子生徒は同日未明、自宅で男児を出産し、同市のマンション脇に置き去りにして放置した疑い。男児は近所の住民に発見され、命に別条はなかった。調べに対し、女子生徒は「1人で産んだ」と話しているという。女子生徒は6月から学校を休んでいた。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130811-OYT1T00030.htm
        「読売新聞」2013年8月11日

        ●自殺実態調査分析を終えて
        崎坂 香屋子/中央大学全学連携教育機構特任准教授
        (専門分野 社会疫学・国際保健・公衆衛生・国際協力)
         2013年6月18日、政府は「平成25年版自殺対策白書」を公表し[1]、2012年度の年間自殺者数が15年ぶりに3万人を下回ったことを報告した。しかし依然としてこの数値は先進国中ではトップであり[2]、交通事故死者の7倍、1日平均70名が自殺で亡くなる規模である事に変わりはない。世界全体では高齢者になるにつれ自殺者数が増加する傾向があるが、日本はピークが40-60歳代の男性グループにあり特異な傾向のある国である。実際には自殺者数の約10倍もの自殺未遂者の存在があり、1名の自殺者で平均6名以上の遺族が生みだされることが知られている[3]が、日本ではその実態報告及び支援の為の介入は非常に限定的である。自死遺族は偏見、羞恥、孤独感に苛まれる[4]。筆者が学んだ米国公衆衛生大学院には学術専門科目としてSuicide Prevention and Controlの授業があった[5]。世界各国の取り組みや最新情報を分析、自死遺族やとりわけ残された子どもたちへの心のケアなども紹介され、大変興味深いものであった。我が国では現在約300万人の自死遺族がいるとの積算があるが[6]遺族に対する介入は小規模であり、遺族の声が大きく取り上げられることはない。
         筆者は2007年7月から2012年10月まで5年3ヶ月にわたる「『声なき声』に耳を傾ける自殺実態調査(523名の自殺者の遺族からの聞き取り調査)」[7]の量的データ部分の一部解析を担当した[8]。結果概要は2013年3月に「自殺実態調査2013(第1版)」として公表された。
         自死遺族からの聞き取り、という調査のために条件に合致する人はいわばhard-to-reach populations(隠れた集団、アクセス困難な対象者)であり、参加者の主体的協力によるRespondent Driven Sampling(RDS)にならざるを得なかった。
         結果的には500名を超える回答者となったため質的分析と量的分析の双方からのアプローチが試みられた。筆者は、データから対策を打つための、つまりは介入のための時間がどの位あるか、誰の緊急度がどの程度なのかを量的に明らかすることを一つの重要課題とした。職業や年齢もさまざまであったが、データを分析していくと自営業者や企業の管理職、女性、学生等それぞれに異なる特徴が見られた[9]。

        内閣府ホームページ
        http://www.health.harvard.edu/newsletters/Harvard_Womens_Health_Watch/2009/July/Left-behind-after-suicide
        http://www.health.harvard.edu/newsletters/Harvard_Womens_Health_Watch/2009/July/Left-behind-after-suicide
        http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20111031.htm
        http://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/research/dp/2008/2008cj207ab.html
        http://www.lifelink.or.jp/hp/research.html
         ◇崎坂香屋子「自殺実態調査の最終報告に寄せて」NPO法人ライフリンク「自殺実態白書2013(第1版)」pp.29-31.2013年3月。
        前掲書、pp.19「最初の要因を抱えてから自殺で亡くなるまでの年月」(性別・職業・年代別)
        自殺実態調査が提示するもの
         自営業でも創業者は負債や連帯保証を伴う負債が生じてからその半数(50%)が亡くなる中央値が2年と特に短い。企業等の被雇用者の中央値は4.5年である。要因発現から介入できる時間は実は極めて限られるといわざるを得ない。自営業者は、周囲に相談する率も低く、負債を抱え、追い詰められながらも周囲にそれを悟られないようにする特徴がみられた。自殺のサインがあったと思うか?については「あったと思う」、が全体の約6割(58.2%)いたが、その時はそれが自殺のサインと思わなかった、が実は9割に上る。「サイン」が周囲に発せられたとしても、それに気付くことは実は困難なことがわかる。
         現在、もっとも急務と思われるのが増加する若年層の自殺対策である。20歳未満の年齢層では要因発現から半数が亡くなる本データでの中央値は3.2年。要因発現からきわめて短期間で亡くなる例も多い。現在の日本では20歳未満も自殺のハイリスクグループとして扱うべきであると筆者は考える。
         ◇自死遺族の直面する問題
         我が国ではまとまった自死遺族に関する情報がほとんど公開されていない。遺族も自殺は隠すべき死、として口を閉ざす。本調査では自殺された方の遺族から亡くなった本人、そして自死遺族が直面した更に大きな問題についても明らかにした。
         死亡場所からの賠償請求、一家の稼ぎ手の突然の喪失による家計の逼迫、故人の死因に触れられたくない為に家族に関する話題を避ける努力、周囲からの心無い言葉、時間がたっても変わらない悔恨と自責の念。「なぜ傍に居て気付かなかったのか」は残された家族にとって極めて厳しい言葉として挙げられていた。また死亡直後と現在の遺族の自責の念の感情の変化については実はほとんど変化がない。約半数の遺族は数年という時間がたった今も「故人の死は自分のせいだと思う」と回答する[10]。直後の「自分も死にたい」感情(32.5%)だけは数年後の聞き取りの時点ではやや減るが(17.6%)、絶望感や先が見えない抑うつ感に今も半数近く(45.6%)は苦しんでいると訴える。他方、周囲からの「普通で良いんだよ」「あなたは何も悪い事はしていない」「仲良しの友人が見守ってくれて、毎日のようにメールをくれた」、「(故人である)あいつに周囲は支えられていた」等の言葉やメッセージが遺族にとって生きる支えとなったことも明らかになった。

         ◇前掲書、「自殺実態白書2013(第1版)」第3章。NPO法人ライフリンク。2013年3月
        東日本大震災3年目に寄せて
         今年は2011年の東日本大震災から丸2年が過ぎ、3年目に入る。本Chuo Online欄でも現況、取り組むべき課題について複数指摘されている[11]。我々が日本で経験した最近の震災では、発災直後の1-2年目は災害発生以前に比して自殺者数は大きく減ずることが報告されている[12]。しかし3年目からは一転、自殺者が増加する。中越地震はこれらの現象を忠実に提示した[13]。阪神大震災後では孤独死も増加した。世界的には自殺の関連要因として性別(男性>女性)、年齢、健康状態(疾病)、日照時間、低所得、職業、地域の希薄な人間関係、家族の死亡、さらには傾斜地居住、等が明らかにされているが、災害後はこれらの要因のいくつかが短期間で顕著に変化、表出する。
         筆者は7月上旬に岩手県の被災地で地元の医療者を訪問し、聞き取りを行った。「20分間で、と相談時間を区切るけど空きがでることはないです。『津波の中で、助けて。と私に向かって叫んだおばあちゃんとお孫さん。その時、私その顔を見たのに、助けられなかった。またこの夢を見ました』という相談者がいました。実は夜眠れない人は今もとても多いです」。仮設住宅での長期居住の精神的、身体的負担は実際極限に近くなっている。
         阪神大震災では仮設住宅が元のコミュニティや人間関係を分断した形で作られたことが指摘され、孤独死の増加を招いた教訓がある。東日本大震災でも震災前のコミュニティがまとまって仮設住宅に住んでいる地区とそうでない地区で地区での団結や住民が感じる暮らしやすさに差がでてきている。実際仮設住宅での自殺も皆無ではない。今年は自殺のリスクが高まるとされる3年目である。
         筆者は担当するゼミ学生に東日本大震災で被災した学生が何人かいたこともあり、震災直後から被災地に何回か出向いた。仮設住宅での居住が長引き、先の見えない地域の人々に対し継続的に、また小規模でもよいので大学や学生が貢献できることは少なからずある。
         この8月にも岩手県の被災地で仮設住宅調査を行うが、調査結果だけではなく寄り添う、遠く離れていても忘れていないというメッセージを伝えることも大学人としての責務と考えている[14]。その目的もあり一定数の学生を現地調査に協力してもらうこととしている。
         自殺リスクの高くなった環境と人々への「緩やかな介入」、は難しい課題だが不可能なことではない。阪神大震災、中越地震といった世界規模の災害から学んだ日本の知見がさらに試される年である。
        たとえば中澤秀雄 http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20130708.htm
        谷下雅義 http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20120416.htm
        YOMIURI ONLINE
        新潟県精神保健福祉協会こころのケアセンター「新潟県中越大震災被災地における自殺の概況報告書」2010
        2012年夏、陸前高田打越仮設住宅の住人から「私たちのことを伝えてほしい。仮設住宅に住んで最初に咲いた、私たちを励ましたひまわり」と種を託された。2013年夏、無事中央大学多摩キャンパスで大輪の花を咲かせた(写真)。撮影:佐藤信行副学長。
        http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20130805.htm
        取材で、トラウマの核心を突っ込まれる?
        2013/08/04
         またまた久々の更新となりました(1ヶ月以上過ぎていますね(^_^;)。暑さや疲労や抑うつなど、理由はたくさんありますが、日々のあきれる、怒りのこみ上げるメディア報道に気が休まるヒマがなかった、というのが最も大きな理由かと思います。(ということにしておいて…)
         一昨日夕方から、ある新聞社の取材を3時間余りに渡って事務所で受けました。
         10年以上前に書いた『不登校自殺』を読まれて、「その後の私」をテーマにした取材を、ということでした。
         具体的には、
        ・これまで、長男とどう向き合い、どんな「対話」をしてきたのか?
        ・「彼は市をもって、後に残り生きていくわたしたちに『人が人として大切に育てられ、自分らしく生きられる社会に変えてくれ』と訴えているように思えてなりません」と記した気持ちは?
        ・学校側の責任だけでなく、家族の責任についても言及していて、なぜそのように冷静に受け止められるのか?
        ・子どもの自殺が後を絶たないがその現状をどう感じるか?
        ・相談室カンナの活動を通して感じることは何か?
        という5点ほどを事前に「聞きたいこと」として送っていただきました。
         さてさて、私のトラウマの本丸というか核心部分を語ることを求められることになります。
         一方で、5点それぞれが独立したテーマではなく、入り乱れて巨大なテーマとなっているので、取材は想定通り、大風呂敷を広げながらのものとなりました。
         カメラマン付きで、写真もたくさん撮ってもらいましたが、この雑駁な話しを、どのようにまとめれらるのか? 報道されましたら、ご紹介します。

         ↓配信期間限定のおすすめものを見つけましたので、ご紹介します。

        <宮崎駿さんー「改憲もってのほか」ー緊急PDF配信のお知らせ>
        ジブリ小冊子『熱風』7月号特集が過去最大の反響。(2013年7月18日)

        『熱風』7月号の特集は「憲法改正」です。
        この問題に対する意識の高さを反映したためか、7月号は多くのメディアで紹介され、編集部には「読んでみたい」というたくさんの問い合わせがありました。
        しかし取扱書店では品切れのところが多く、入手は難しいようです。今回編集部では、このような状況を鑑みて、インターネットで、特集の原稿4本を全文緊急配信することに決定しました。
        ダウンロードは無料、配信期間は8月20日18時までです。
        http://www.ghibli.jp/10info/009354.html

         それでは、最近の気になる記事です。

        広島・呉の少女遺棄:逮捕の1少女、虐待受け生活保護 1Kで共同生活

         広島県呉市の灰ケ峰(はいがみね)の山中に若い女性の遺体が遺棄された事件で、死体遺棄容疑で逮捕された7人のうち、広島市中区の少女(16)が生活保護費を受給していたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。親のネグレクト(育児放棄)が原因とみられるため、単身世帯として直接、受け取っていた。逮捕された未成年者6人の中には、少女以外にも児童虐待を受けていた者がいるとみられ、県警捜査本部は過酷な生活環境が事件の遠因になった可能性があるとみて調べている。【黄在龍、石川裕士、吉村周平、中里顕】
         ◇車から血液反応
         また、7人が被害者を山中に運んだ車の床から大量の血液反応が出たことも判明。捜査本部は、車内での暴行を裏付けるものとみている。
         生活保護の受給基準は年齢制限がなく、未成年者の単身世帯でも要件を満たせば生活保護費を受給できる。
         福祉や捜査の関係者によると、少女は今年に入り、月額約10万円の生活保護費を受給。周囲に「親からネグレクトされていた」と打ち明けていたという。
         少女は一時、鳥取県内の施設に保護されたこともあったが、その後は友人宅を転々として、今年4月中旬、広島市中区の6階建てマンションに入居した。部屋は6畳の洋室とキッチンなどがついた1Kタイプ。家賃は生活保護の中の住宅扶助費上限である月額4万2000円(広島市の場合)だった。
         マンションには交際相手の少年(16)=鳥取県米子市=ら今回の事件で逮捕された者が複数、出入りしていた。事実上、未成年者だけで共同生活を送っていたという。
         関係者によると、逮捕グループの中には、同様に、育児放棄のような児童虐待を受けるなど、家族との間で深刻な問題を抱えている者が複数いるという。
         少女は、14日に逮捕された広島市東区の少女(16)に誘われ、被害者とみられる高等専修学校の女子生徒(16)と一緒に接客業をしていた。その収入と生活保護費で生計を立てていたとみられる。
         捜査本部はこうした少女らの生活環境が事件に及ぼした影響についても調べる方針。
         ◇未成年者受給、全国で1473世帯
         厚生労働省によると2011年7月末現在、全国の生活保護受給世帯(約202万世帯)のうち、未成年者は1473世帯(人)に上る。年齢別では▽5歳以下=39人▽6~11歳=38人▽12~14歳=50人▽15~17歳=295人▽18~19歳=1051人。
        http://mainichi.jp/area/news/20130720ddn041040013000c.html
        「毎日新聞」2013年07月20日

        ●アンケに「いじめと書くな」と指導した女性教諭
         栃木県栃木市の市立小学校で、いじめに関するアンケートを実施した際、3年生を担当する30歳代の女性教諭が、いじめの申告件数が多くならないように児童を指導したうえで、回答させていたことが分かった。
         アンケートは、市がいじめの実態を把握するために市内の全小中学生を対象に無記名で行った。同小では今月4日に実施された。
         同小によると、女性教諭は、アンケート記入に先だって、担当のクラス全員に「いじめは一方的なもの。みんながしているからかいなどはケンカ。いじめと書くと多くなるので書かないように」と指導したという。
         また、女子児童の一人が、今年4月に同級生に鉛筆で腕を刺されたとして、「いじめあり」の欄に丸印をつけていたが、女性教諭はアンケート回収後に女子児童を呼び出し、いじめにあたらないなどと説明。ペンで「いじめではない」に丸印をつけ、本人が納得済みである旨も加筆したという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130710-OYT1T00201.htm
        「読売新聞」2013年7月10日

        ●体罰、全国の小中高で6千件…被害1・2万人
         2012年度に全国の国公私立の小中高校などで確認された体罰が6000件以上に上ることがわかった。
         大阪市立桜宮高校の体罰問題を受け、文部科学省が都道府県や政令市の教育委員会を通じて実態調査を進めており、読売新聞社が各教委に取材、集計した。負傷を伴わないケースが大半とみられるが、被害を受けた児童生徒は1万2000人を超えており、学校現場での体罰の広がりが浮かび上がった。
         体罰を巡っては、文科省が全国の公立小中高校などを対象にした緊急調査を実施し、昨年4月~今年1月末分の計840件(752校)を中間報告として発表。さらに、各教委などに児童生徒や保護者へのアンケートなどを踏まえた調査を求め、国私立校を含めた最終報告(昨年4月~今年3月末)の取りまとめを行っている。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130627-OYT1T01625.htm?from=ylist
        「読売新聞」2013年6月28日

        ●生活保護:集団提訴へ…1000人規模「減額不当」
         8月に始まる生活保護費の切り下げは不当だとして、全国各地の受給者が連携し、各自治体に切り下げの取り消しを求める行政訴訟を1000人規模で起こす見通しになった。関係者によると、生活保護関連では過去最大規模の訴訟となる。日常生活費にあたる「生活扶助」を3年で最大10%減額する切り下げの当否が、司法の場で争われる。
         政府は生活扶助を3年で平均6.5%、最大10%削減する方針を打ち出している。2003年度の0.9%を大きく上回り、1950年の制度創設以来、最も大きな切り下げになる。
         これに対し、受給者を支援する複数の団体が30日、京都市で会合を開き、新団体を設立して対応する方針を確認した。新団体は1万人を目標に受給者を募り、切り下げ開始後に自治体に不服を申し立てる「審査請求」を行う。裁決は50日以内に出るが、退けられる公算が大きく、1割程度が訴訟に移行し、年内にも各地で提訴する方向という。
         支援団体側は審査請求や訴訟を通じて▽物価下落を主な要因とした最大10%の切り下げは行政の裁量権を逸脱する▽切り下げは生存権を保障した憲法25条に違反する▽受給者は物価下落のメリットを享受しづらく、それを理由とした切り下げは不当−−などと主張する方針だ。
         30日の会合では、北海道、東京、新潟、大阪、京都、広島の6都道府県で既に受給者を募る動きが具体化し、審査請求する人が1000人単位に上る地域が複数になるとの見通しが報告された。
         会合を呼び掛けた生活保護問題対策全国会議の代表幹事、尾藤広喜弁護士は「前例のない減額には、前例のない反撃をする必要がある。受給者の実情を広く知ってもらいたい」と話している。
         生活保護関連では、老齢加算や母子加算の廃止取り消しを求める訴訟が05~10年に全国10地裁で起こされ、計約120人が参加した例がある。
         13年度予算の生活保護費は国と地方で計3.7兆円。政府は切り下げに加え、生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案により制度を抜本的に見直そうとしていたが、2法案は6月26日に閉会した国会で廃案になり、切り下げだけが先行実施される。【遠藤拓】
        http://mainichi.jp/select/news/20130701k0000m040084000c.html
        「毎日新聞」2013年07月01日)

        ●生活保護費引き下げ 府に審査請求相次ぐ 京都
         8月から生活保護費の基準額が引き下げられたことを不服とし、府に審査請求を申し立てる動きが相次いでいる。
         7月中に1件の申し立てがあり、引き下げが始まった1日には、府内の生活保護受給者と支援者でつくる「生活保護改悪に反対する人々の会」(小松満雄代表)のメンバーで、30~60代の身体障害者ら10人が申し立てを行った。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/130803/kyt13080302030001-n1.htm
        「産経新聞」2013.8.3

        ●虐待児、親に戻すか…苦悩の児相、案件も山積
         児童虐待は増加の一途をたどり、全国の児童相談所(児相)が対応した件数が、ついに年間6万件を突破した。
         児相で保護した子どもが家庭に戻り、再び虐待を受けるケースも目立つ。児相と家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)らが連携し、虐待で崩れた親子関係の修復を図ろうとしているが、虐待を根絶することは難しく、手探りの状態が続いている。
         ◇関係修復手探り
         今年3月、関西地方にある乳児院。よちよち歩きの1歳児の横で、一回り体の大きい男児(2)が、寝返りを繰り返して移動していた。生後間もない時期に親から虐待を受けて後遺症が残り、2歳になっても、はいはいすることも、言葉を発することもできない。それでも、身をそらして棚の上のテレビを見上げ、時折、楽しそうに手足をばたつかせた。
         乳児院に保護されたのは2年前。当初、両親は男児を返してほしいとしきりに訴えた。家庭復帰に向け、乳児院にも定期的に足を運び、身の回りの世話を熱心にこなしていた。
         だが、今年に入り、乳児院を訪れる回数がめっきり減った。家庭に戻してと訴えるどころか、男児との一時的な外出や外泊を求めることさえなくなった。
         家庭支援専門相談員の女性は、「虐待を受けた子どもを家庭に戻すには、親の愛情と地域の見守りがそろっていることが必要不可欠。両親の気持ちに寄り添いながら、子どもへの愛情を深めてもらい、児相と連携して親子関係の再構築を図っていきたい」と話す。
         ◇職員1人で100件
         児童虐待をした親のもとに、子どもを戻すべきか――。厚生労働省は、児相などを対象に作成した「子ども虐待対応の手引き」で、虐待をした親と子が再び一緒に生活できることが最も望ましいと明記し、支援の目標と位置づけている。
         虐待が深刻な場合は施設入所後の家庭復帰は慎重に進めるよう注意を促しているが、虐待を受けて保護された子どもが家庭に戻り、再び被害に遭うケースは後を絶たない。広島県では昨年10月、小学5年女児が施設から家に帰った後、母親に暴行され死亡する事件が発生。2011年には大阪市でも同様の事態が起きている。
         虐待の対応件数は、この10年で2・5倍にも増えているのに、児童福祉司の増員は1・5倍にとどまっている。職員が1人で100件の案件を抱えている児相もあり、関東地方の職員は「通報に対応するのが精いっぱい」と明かす。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130725-OYT1T00856.htm
        「読売新聞」2013年7月25日

        ●「児童養護施設」集団生活から8人規模へ 苦しい人繰り…実現するか
         虐待などで親元で暮らせない子供たちが住む「児童養護施設」。「家庭的な環境と安定した人間関係が必要」とされ、国は一昨年、「小規模ケアへの移行」を原則化した。今年度は人員の最低基準を30年ぶりに引き上げ、小規模化を進める。だが、新基準でも施設の職員配置は綱渡り。「社会的養護の充実」は、消費税引き上げ時の課題に挙がるが、実現するか注視されている。(佐藤好美)
         どしゃぶりと晴れ間が交互にのぞく土曜日の昼下がり。福井県越前市の児童養護施設「一陽」のリビングルームで、小学2年生の男の子が日記を書いていた。マス目には丁寧な字が並んでいる。傍らの昆虫ケースには、大きなカタツムリと小さなカタツムリ。
         「今日、捕まえたんだよ。ニンジンの皮を食べると、赤いウンチが出てね、レタスを食べると緑のウンチが出るんだ。ほらね」
         男の子は生まれてすぐ、母親の手で乳児院に預けられ、その後、児童養護施設で育った。母親は時折会いに来るが、直前キャンセルもある。ある年の大みそか、男の子は来るはずの母親を夜半まで玄関で待ち続けた。
         「一陽」は平成23年にできた小規模の児童養護施設だ。定員は40人だが、建物はマンション風に5ユニットに分かれ、各ユニットに独立した玄関やリビング・キッチン、個室、浴室・トイレなどがある。各ユニットに6~8人の子供が住み、スタッフはユニット専属だ。小ぶりの集団、変わらぬ顔ぶれは、子供たちが安定的な人間関係を築けるように、との配慮だ。橋本達昌(たつまさ)統括所長は「お父さんやお母さんは普通、変わりませんから」と言う。
         建て替え前は、40人が集団処遇を受ける施設だった。喧噪(けんそう)の中、食事は40人が一緒に食堂で食べ、入浴も6、7人が一緒。体育館はあっても、1人になれる場所はない。いわば「毎日が修学旅行」(橋本所長)だった。
         「生活」は遠かった。施設の厨房(ちゅうぼう)は給食施設と同じ扱いだから、子供は立ち入りができない。ジャガイモの皮をむいたこともなければ、カップ麺すら作ったことがない。「人間に一番近い『食』が、一番遠かった」と橋本所長は言う。
         施設の継続問題が浮上した16年、一念発起した職員らが運営主体だった旧武生(たけふ)市に改革案を提出。社会福祉法人の設立と、小規模ケアへの移行を目指して募金活動を開始した。目標額を1カ月余りで達成。社会福祉法人を設立して、23年に「一陽」が完成した。国が「小規模ケアへの移行」を原則化するより一足早かった。以来、見学者が絶えない。
         変えたかったのは、施設での子供の環境だけではない。別々に暮らしていた親子が再び一緒に暮らす「練習」ができるよう、宿泊室も作った。小さなキッチンをつけたのは、一緒にできる「何か」がないと、親子になりきれない母子は、それぞれゲームで遊んでいたりするからだ。
         わが家を感じられるようになったのか、子供たちは友達に「ウチに遊びにおいでよ」と言うようになった。心なしか成績も上がった気がする。
         橋本所長は「以前は子供たちは寝るまでパジャマで体育館で遊び、静かに考える時間も場所もなかった。スタッフは問題を抱える子にかかりきりで、大きい子はほったらかしだった。今は問題がないと思っていた子の悩みに気づけるようになった」と話す。
         一陽来復-。施設名に込めた願いの通り、子供たちに暖かい春が来ることを祈っている。
         ◇苦しい人繰り
         児童養護施設に住む子供は平成24年3月末時点で約3万人。虐待を受けた子供が半数超になり、障害のある子供も23.4%と増えている。
         以前よりも人手を必要とする子供が増えているのに、国が定める職員の最低配置基準は30年以上変わらなかった。小学生以上の子供6人に、ケアスタッフ1人を配置する「6対1」。
         厚生労働省は今年度、30年ぶりにその数を0.5人引き上げ、最低基準を「5.5対1」にした。だが、児童養護施設は24時間態勢。宿直や休日も考慮すると、「5.5対1」では、小規模ケアが本来想定する「子供6人」に常時1人のケアスタッフを置くことができない。
         厚労省は、小規模ケアにさらに1人分の運営費加算をつけるが、それでも困難なのが現状。単純比較はできないが、高齢者が暮らす「特別養護老人ホーム」や「グループホーム」では、ケアスタッフの最低基準が「3対1」だ。
         小規模ケアは安定した人間関係をつくるが、スタッフの人繰りは難しくなる。職員の過重労働や燃え尽き症候群を招く恐れが、大規模施設の小規模化を遅らせているともいわれる。
         厚労省は一昨年、「社会的養護の課題と将来像の実現に向けて」をまとめ、児童養護施設の人員配置の目標値に「4対1」を挙げた。問題は予算だ。
         児童養護施設などの充実は、消費税引き上げで解決する課題を盛り込んだ「社会保障と税の一体改革」にも挙がる。しかし、増税の行方も配分も不透明な雲行きだ。
         橋本所長は「社会的な養護を受けた子供たちは、自立してからも失敗してしまうケースが少なくない。そこには、育つのに必須の『人とのかかわり』を、十分に持つことができなかった悪循環がきっとあったと思う。それは、子供の責任ではない。家庭的な環境を提供できるように、充実を急ぐべきだ」と話している。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130802-00000510-san-soci
        「産経新聞」8月2日(金)

        ●文科省:来年度から「先生の塾」全国展開 地方でも質向上
         文部科学省は来年度、未採用の教員免許所持者ら公立小中学校の教員希望者を対象に「できる先生養成プログラム」を全国で実施する方針を固めた。同種のプログラムは、講師を確保しやすい都市部の一部自治体が導入しているが、同省は、態勢が取りにくい地方でも実施できるよう来年度予算の概算要求に必要経費を盛り込む方針。「教師の質の向上」「即戦力養成」を全国展開し、学校教育のレベルアップを加速させる狙いだ。
         これまで新任教員は、着任先の学校で先輩教員から授業法、学級運営、行事、保護者対応など一連のノウハウを学んできた。しかし、最近はこうしたタテの関係が校内で希薄になり、教科書会社が発行する指導解説書頼みで授業をしている若手教員も多いという。その結果「教師の質の低下」が問題化し、保護者の目も年々厳しくなっているのが現状だ。
         同種のプログラムは2006年度に東京都杉並区で始まり(10年度で終了)、現在は東京都、大阪府、横浜市などの各教育委員会が実施。期間は基本的に半年から1年程度で、週1回、週末に開講する。現役教員や大学の研究者らの講義、模範授業の見学、グループ討論、合宿を通し、授業法や学級運営の方法を実践的に学んで習得。自治体によっては修了者が各公立校の採用試験で1次試験を免除されるなどの特別選考制度があり、採用されたい受講者と優秀な教師を確保したい教委側の双方にメリットがある。
         だが、プログラムの実施には、大学などの講師の確保先が複数必要で、さらに規模の大きな教委でないと運営が難しいことから、実施できるのは都市部の自治体に偏っている。文科省はこのプログラムを全国規模で展開し、質の高い優れた教員を各地で養成する方針だ。地方でも実施できる環境作りに向け、補助対象の選定を進めており、遠方から講師を呼ぶ際の人件費、交通費などの必要経費を補助する方向で検討している。【福田隆】
        http://mainichi.jp/select/news/20130803k0000e010151000c.html
        「毎日新聞」2013年08月03日

        子どもが自殺に追い込まれる、命を落とす学校社会を変えて行かないと…。
        2013-06-26
        しばらくぶりの更新です。急性の胃腸炎などの体調不良もありますが、何かしらバタバタとしていて、抑うつ気分が強まっていたことが大きな理由かと思います。バタバタとはしていました…。
         さて、何度繰り返し取り上げても、さらにどんどん深みにはまって出口がまったく見えて来ないモンダイが、学校における事故・事件ですが、今国会で「いじめ防止対策推進法」が、選挙前のかけこみ状態で成立しました。
         法案作成~成立への経緯はわかりやすいかと思いますが、その意図や内容は、いろんな角度からじっくりと見続けていかなければならないもののようです。
         京都新聞は、大津市のいじめ自殺事件を、地元紙として追いかけてきていると思っています。
         6月23日の社説(後掲)では、いじめ防止法についての苦言が掲載されていました。
         「対策の中身は計画や会議の追加と、関係機関との連携強化ばかり。裏付けとなる予算措置もあいまいで、実効性は不透明」
         「しかし、こうした対策は教員の事務的負担を増やし、肝心の生徒指導に割く時間と労力をかえって奪いかねない。対策を『絵に描いた餅』にしないために現場のマンパワーこそ重要だ」
         「対策の効果を見極め、現場の声を聞きつつ、実態に即した方の手直しをためらうべきではない」
         予算措置が伴わないものは、実効性が薄い場合が多い(必須とならない、具体的な内容を示す実施要綱が作られないなど)、そして教師の負担を増やす本末転倒になりかねません。
         選挙前かけこみ成立の理念法とはいえ、もっと早くから法定の明文が必要だったものなので、実効性あるものへと、被害者、遺族、家族、子どもたち、加害者、教育現場、支援者などの現実の声を聞きながら、追加修正を積み上げて欲しいと思います。

        <参考/おすすめ>

        「指導死」大貫 隆志 (著, 編集), 武田 さち子 (著), 住友 剛 (著)
        いじめとも、家庭の悩みとも無関係な子どもが、学校での「指導」の後に自殺する事件・「指導死」。
        体罰だけでなく、「言葉の暴力」でも追い詰められ、自尊感情をずたずたにされ死を選んだ子どもは、年に何人にも上っている。
        「指導死」遺族の手記を元に、その背景と防止策を教育学者が解説。学校での懲戒、叱り方、指導の仕方を考える。
        http://www.amazon.co.jp/「指導死」-大貫-隆志/dp/4874985130

        「柔道事故」内田 良 (著)
        29年間で118名の中高生が学校柔道で死亡。なぜこの暴力的文化が放置されてきたのか。事故データの検証、全柔連・被害者家族らへの取材を通じ、「リスク回避」への道を探る。
        http://www.amazon.co.jp/柔道事故-内田-良/dp/4309246230/ref=pd_sim_b_2

        ニュース・コメンタリー (2013年06月22日)
        いじめ防止対策推進法は「いじめ隠ぺい促進法」だ
        http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002831.php

        SAVING 10,000 – 自殺者1万人を救う戦い
        自殺との戦いにおいて、「敵」はいったい誰なのか。

        それでは、最近の気になる記事です。

        いじめ防止法/学校の閉鎖性打ち破れ

         2年前、大津市の中2男子生徒が自殺したことを受け、与野党6党が共同提出した「いじめ防止対策推進法」が成立した。
         「息子が命がけで作った」という父親の叫びが胸を打つ。法的に初めて「いじめ」を定義し、「行ってはならない」と禁止した意義は小さくない。国と自治体、学校・教員、保護者の責任も明記した。
         ただ、対策の中身は計画や会議の追加と、関係機関との連携強化ばかり。裏付けとなる予算措置もあいまいで、実効性は不透明だ。
         いじめは学校という現場で起きている。深刻化するいじめの根絶には、教育現場が閉鎖的な体質を改め、大津の教訓を日々の指導に生かしていく必要がある。法制定が転換点となってほしい。
         いじめ防止法の大きな特徴は、重大ないじめ被害を把握した際の学校の対応を細かく定めた点だ。
         心身への被害が重く、長期欠席を余儀なくされている場合、学校に自治体への報告を義務づけた。生命、身体、財産などが脅かされる恐れがある際には警察に通報して援助を求めるよう定めた。
         要するに「学校だけで抱え込むな」という当たり前のことなのだが、法文化せざるを得なかったところに問題の根深さがある。
         学校現場では、いじめを「あってはならないこと」とタブー視する風潮が強い。このため学校や教員が問題を内部で抱え込み、有効な手を打てないまま事態を悪化させてしまう例が少なくない。
         報告や通報を避けるため、教育現場で「いじめ隠し」が横行しては本末転倒だ。いじめの認知件数は年7万件を超え、中学校では特に多く、過半数の学校でいじめがある。カウンセラーや警察などと協力しつつ、オープンな姿勢でいじめに対処しようという学校の姿勢こそが最も重要になる。
         普段のいじめ対策として、防止法は各学校に基本方針の作成を義務づけるとともに、教職員と心理・福祉の専門家による組織を常設するとしている。
         しかし、こうした対策は教員の事務的負担を増やし、肝心の生徒指導に割く時間と労力をかえって奪いかねない。対策を「絵に描いた餅」にしないために現場のマンパワーこそ重要だ。国や自治体は十分な予算措置を講じてもらいたい。
         防止法自体にも問題がある。道徳教育の充実をいじめ対策として挙げるが、効果はあるのか。インターネット上でのいじめ防止策は具体性を欠くうえ、監視強化は通信の秘密を冒す危険も伴う。
         対策の効果を見極め、現場の声を聞きつつ、実態に即した法の手直しをためらうべきではない。
        http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20130623_4.html
        「京都新聞」2013/6/23

        ●社説[いじめ防止法成立]教育現場の意識改革を(沖縄タイムス)
         遅きに失したとはいえ、国によるいじめ防止宣言だ。
         「いじめ防止対策推進法」が成立した。大津市で2011年に起きた中2男子いじめ自殺事件など、深刻化する小中高校でのいじめに歯止めをかけるのが狙いで、法制化は初めてだ。
         「いじめ」は、同じ学校に在籍するなど一定の人間関係にある児童や生徒による心理的・物理的な影響を与える行為で対象者が心身の苦痛を感じている状態、と定義した。陰湿化するインターネットの書き込みなども含む。
         心身に重い被害を受けたり、長期欠席を余儀なくされたりする「重大事態」の場合は、教育委員会や学校の下に調査組織を設置する。文部科学省に報告し、被害者側にも情報提供する。付帯決議では第三者をこの組織に参加させ、公平性・中立性の確保を求めている。犯罪行為があれば警察とも連携する。
         加害者を教室以外で学習させたり、出席停止を命じたりすることも明記している。加害者に対する厳罰化だが、排除していじめがなくなるのか疑問である。加害者側にも適切な指導が必要だ。
         気になるのは、法律がいじめの構造を加害者-被害者の二者の関係でとらえているのではないか、という点だ。
         よく知られるようにいじめは4層構造を成している。被害者と加害者の外側にいじめをはやし立てたり、面白がったりする「聴衆」、さらにその外側には見て見ぬふりをする「傍観者」がいる。
         いじめ防止は4層構造を構成する児童・生徒の意識をどう改革するのかも課題だ。
            ■    ■
         いじめ対策の組織を学校に常設することに注目したい。
         対策組織は、複数の教職員に加え、心理、福祉の外部専門家らで構成される。いじめの相談窓口となるとともに、調査する重要な役割を担う。
         対策組織が機能するには、相談しやすい雰囲気づくりと、相談者を守ることが大前提だ。報復を恐れ、二の足を踏む児童・生徒がいることを忘れてはならない。
         いじめの早期発見のため学校による定期的な調査を盛り込んでいる。教師は常にアンテナを高く張って子どもたちの動向に気を配らなければならないが、教職員の意識がばらばらでは限界がある。
         大津市のいじめ自殺事件を調査した第三者委員会が指摘するように、数人の教師はいじめの可能性を考えたが、担任や学年主任は「ケンカ」と処理し、最悪の事態を招いた。情報を共有できていなかったことが原因だった。
            ■    ■
         法律が国会で成立した日、自殺した大津市の中2男子の父親が文科省で記者会見。「生きている子どもたちを助けるために、息子が命がけで作った法律だと思っている」と声を詰まらせた。
         法律ができたからといって、すぐにいじめがなくなるということはないだろう。
         法律を実効性あらしめるためには、教育現場での具体的な運用が鍵を握る。法律は地方自治体にも相談窓口を整備するよう求めている。いじめのない学校を後押しする社会の在り方も問われている。
        http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-06-25_50896
        「沖縄タイムス」2013年6月25日

        ●大津市が黒塗り資料の大半開示 中2いじめ自殺訴訟印刷用画面を開く
         大津市で2011年10月、いじめを受けていた中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺し、遺族が市や同級生らに計約7700万円の損害賠償を求めている訴訟の第7回口頭弁論が25日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。市側は、市の第三者調査委員会の報告書や学校のアンケート結果などについて、個人情報を理由に黒塗りにしていた部分の大半を開示し、資料として提出した。同級生の1人が、第三者委の報告書は信用できないと主張した。
         市側は生徒の名前や住所、出席番号などは「今後、同種のアンケートへの協力を得られなくなる」とし、一部で黒塗りを残した。全面開示を主張していた同級生側は「ほとんど黒塗りは消えたと考える」「閲覧して判断したい」とし、市側に証拠として提出するよう求めた。
         同級生の1人は、市の第三者委の報告書について「原告との和解を目指す大津市の意向を受け、恣意(しい)的に作られたもので全く信用性がない」とする書面を提出した。
         遺族側と市側は次回までに反論する方針。遺族側は今後、いじめと自殺の因果関係について、専門家の意見書を提出するとした。次回期日は8月13日。
        http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20130625000066
        「京都新聞」2013年06月25日

        ●大津いじめ訴訟 第7回口頭弁論、同級生ら反論 滋賀
         ◇調査委報告「信用性ない」
         大津市で平成23年10月、市立中2年の男子生徒=当時(13)=が自殺したのはいじめが原因だったとして遺族が同級生3人と保護者、市に約7720万円の損害賠償を求めた訴訟の第7回口頭弁論が25日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。同級生の1人は、市が設置した第三者調査委員会の報告書について「恣意(しい)的で信用性がない」と主張した。
         報告書は、市が証拠として提出していた。同級生の1人は「調査委は市が世論に耐えかね、和解を考えるようになってからつくられたもの」と指摘した上で、「報告書は原告との和解を目指す大津市の意向を踏まえ恣意的にまとめられたもので、信用性はない」と主張した。
         これに対し、遺族側と市側は「反論したい」と発言。次回期日までに反論の書面を提出する。また、遺族側はいじめと自殺の因果関係について専門家の意見を付け、主張の補充をする予定。
         一方、同級生側は、これまでに市が提出した証拠資料の黒塗り部分の開示を請求。市は、当事者以外の生徒の特定につながる情報を除く大半を開示した証拠を改めて地裁に提出した。市側の代理人は法廷で「勇気を出してアンケートや聞き取りに応じてくれた生徒の保護を最優先した」と話した。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/130626/shg13062602110004-n1.htm
        「産経ニュース」2013.6.26

        ●第三者委員会 30日に初開催 和歌山・田辺の中2自殺未遂
         田辺市は25日、市立中学校2年の男子生徒(14)が昨年12月に自殺を図り寝たきりの状態となっている問題で、いじめと自殺未遂との因果関係や再発防止策などを話し合う第三者調査委員会の第1回委員会を、30日午後1時半から開くと発表した。
         市は3月、中立公正に調査する必要があるとして第三者委の設置を決定。大学教授や弁護士、臨床心理士ら専門家5人を選任した。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/130626/wky13062602080001-n1.htm
        「産経ニュース」2013.6.26

        ●浜名湖ボート転覆:中1死亡 3年の記録、冊子に 二度と起こさないで 愛知の遺族・西野さん、県教委などに寄贈/静岡
         ◇「先生読んで、現場に生かして」
         浜松市北区三ケ日町の浜名湖で2010年6月、野外実習中の手こぎボートが転覆し、愛知県豊橋市立章南中1年、西野花菜(かな)さん(当時12歳)が水死した事故で、花菜さんの父友章さん(54)らが事故から3年間の記録をまとめた冊子を作成した。25日に静岡県庁を訪れ、県教委や、実習を指導した県立三ケ日青年の家の指定管理者「小学館集英社プロダクション」に冊子を寄贈した友章さんは「教育現場で起きる事故の再発防止に役立て、二度とこのような事故を起こさないでほしい」と話した。【平塚雄太】
         冊子の題名は「学校が守るべきいのち」でA4判、116ページ。再発と風化防止のため、今年初めから友章さんや支援者が編集し、事故後3年を迎える今月18日までに1000冊を刷り上げた。
         全5章で、冒頭に国土交通省運輸安全委員会の報告書をもとに事故の概要を説明。真相究明を求めた署名活動や海難審判など、事故発生後の出来事を時系列に並べ、静岡県や豊橋市の対応を報道した新聞記事も交え紹介した。花菜さんに宛てた母の手記や、静岡県や同市などに起こした損害賠償請求訴訟の訴状なども載せている。
         友章さんが「現場に生かすために、特に学校の先生に一番読んでほしい」と訴えたのは第5章「安全な教育システム構築に向けて」で、事故後の豊橋市の対応や弁護士の指摘などを載せた。今年2月、静岡県警が当時の同中学校の校長ら計6人を業務上過失致死容疑で書類送検したことにもふれ、「管理責任を問う警察の姿勢は、全国の多くの関係者に、危機管理のあり方などに対して大きな方向性を示した」と記した。
         冊子を受け取った県教委の高橋尚子委員長は「身を引き締めてしっかりと現場に伝え、思いを引き継いでいきたい」、小学館集英社プロダクションの小出元一執行役員は「安全確保向上に地道に取り組んでいきたい」とそれぞれ話し、再発防止を約束した。
         冊子は1冊1000円(送料込み)で販売する。問い合わせは、電子メール(tomoaki-nishino@hotmail.co.jp)へ。
        http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20130626ddlk22040210000c.html
        「毎日jp」2013年06月26日

        ●京都・小学校プール事故:「再発防止は検証から」第三者委に期待 住友准教授講演/京都
         京都市立養徳小学校で昨年7月、夏休みの水泳指導中に同校1年の浅田羽菜さん(当時6歳)がプールでおぼれて死亡した事故で、両親の友人有志でつくる「浅田羽菜さんの家族とともに歩む会」は7日夜、こどもみらい館(京都市中京区)で、「”事実を知りたい”という遺族の願いに寄り添って」と題する講演会を開いた。講師の京都精華大学人文学部の住友剛准教授は「事実経過の検証ができてはじめて、実効性のある再発防止策が検討できる」と語った。
         講演会には約130人が参加。住友准教授は子どもの人権論が専門。いじめ自殺や学校死亡事故が起こった際、第三者的立場から真相の究明をする兵庫県川西市の「子どもの人権オンブズパーソン」調査相談専門員を務め、同市立中で1999年に発生したラグビー部員の熱中症死亡事故の調査を担当した。
         住友准教授は「自分の子どもがなぜ、どのように死んだのかが分からないと遺族は突然の死を受け止められない」と事故の状況を明らかにする重要性を指摘。「これまで、学校事故の検証作業は十分に行われておらず、養徳小の第三者委が今後のモデルケースになるかもしれない」と話した。
         京都市教委は6日、養徳小プール事故の事故原因を調査する第三者委を設置する方針を示している。
         講演会の最後に羽菜さんの両親が壇上に立ち、父親が「どのような状況で事故に巻き込まれたか明らかにすることが、水の中で必死に助けを求めた娘の最期の声を聴いてあげることにつながる」と訴えた。【松井豊】
        http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20130609ddlk26040319000c.html
        「毎日新聞」2013年06月09日

        ●京都・養徳小プール 女児死亡 遺族要望で市教委が第三者委
         京都市左京区の養徳小学校のプールで昨年7月、1年生の浅田羽菜(はな)ちゃん=当時(6)=が死亡した事故を受け、京都市教委は6日、事故の原因を追究するための第三者委員会の設置を決めた。今後人選作業などを急ぐとしている。
         両親は同日、市教委の生田義久教育長を訪れ、事故原因の究明のほか、判明した事実の公開、遺族が委員の半数を選ぶことなどを求める要望書を提出した。
         死亡事故は、昨年7月30日午後、夏休みの水泳指導教室中に発生、市教委は、事故の直接の原因は不明だが、プールの水位▽ビート板の使用方法▽監視態勢-の3点が複合的に合わさって発生したと認定。両親は市教委の調査結果を不服として、原因究明を求め京都地裁に提訴している。教育現場での事故などについて研究している京都精華大の住友剛准教授(教育学)は「学校内の死亡事故で第三者委員会が設置されるケースは少ない。文科省は、設置の義務づけなど法整備も含め対応策を検討すべきだ」としている。
         ◇両親「実効的な調査を」
         要望書提出後、取材に応じた羽菜ちゃんの両親は第三者委員会の設立について「画期的なこと。事実に近づけるのではと期待している」と話した。
         長年望んでやっと授かった一人娘。「羽菜のために働き、羽菜のために生活のすべてを組み立て、羽菜のために生きていたといってもいい。だからこそ事故後は人生がかわってしまった」と母親(52)は話す。小学校のプールというあってはならない場所で起きた事故。せめてどのような最期を迎えたのかを知るのが親の務めと考えた。
         市教委の協力には感謝しつつも対応に満足していたわけではないという。「私たちが要望する前に、事故直後に第三者調査委員会を立ち上げようという動きがあってもよかったのではないか」と母親は話す。父親(39)も「市教委ともっと話をする時間がほしかった」と振り返った。
         「何をしても娘はかえってこない。私にとって今日はうれしい日ではない」と母親は涙を流したが、それでも「実効的な調査をして、すべてのプール事故、学校事故の解明や、その後の安全対策につなげてほしい」と話した。(池田進一)
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/130607/kyt13060702050000-n1.htm
        「産経ニュース」2013.6.7

        ●複数児童に「死ね」「ごみ」…44歳小学校教諭
         ◇停職3か月 4年前にも不適切な言動
         児童への不適切な言動があったとして、栃木県教委は5日、下野市立小学校の男性教諭(44)を停職3か月、学校長も戒告の懲戒処分にしたと発表した。また、女子バレーボール部での現金を利用した練習などが不適切とされた宇都宮市立中学校の男性教諭(52)を減給1か月(10分の1)とし、ほかに県東部の中学校の男性教諭(50)を戒告にした。
         発表によると、下野市の男性教諭は2012年4月から今年4月にかけて、複数の児童に対し、授業中に「死ね」「ごみ」などの暴言をはき、また、児童が嫌がるあだ名で呼んだ。このほか、▽児童に輪ゴムを撃つ▽ごみ置き場に閉じこめる▽プールに落とす▽教室に掲示されている児童の作品を殴るまねをする ――など、不適切な言動や体罰を繰り返した。
         男性教諭は、07年にも児童の嫌がるあだ名で呼ぶなど不適切な言動があったとして、懲戒処分にはあたらない文書訓告を受けている。今回の処分対象となった期間中、保護者の訴えで校長が指導したがその後もやめなかった。4月25日から自宅謹慎していた。男性教諭は県教委の調査に対し、「軽い気持ちで、冗談のつもりで授業を盛り上げるためにやった」と話しているといい、県教委は子供の人権に対する意識が極めて低いことを重くみて、不適切な言動に対する処分としては重い停職処分とした。監督責任があったとして学校長も戒告とし、市教育委は古口紀夫市教育長を厳重注意とした。
         県東部の中学校の男性教諭は、10年から12年6月にかけて、顧問をしていた野球部で部員計8人の頬を平手でたたいたとされる。
        http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130606-OYT8T00495.htm?from=tw
        「読売新聞」2013年6月6日

        ●吹奏楽部女性顧問、部員に「消えろ」「邪魔」 山形の県立高校
         山形県南部の県立高校で、吹奏楽部顧問の30代女性教諭が、部活指導中に部員に「消えろ」「邪魔」などと暴言を繰り返し、学校側から指導を受けていたことが9日、県教育委員会への取材で分かった。
         学校側は教諭を吹奏楽部顧問から外し、保護者会で謝罪した。県教委は教諭の処分について「学校の報告書を受けてから検討したい」としている。
         県教委によると、ことし5月上旬、暴言を受けた部員が校長らに相談した。教諭は平成22年にこの学校に赴任、吹奏楽部の顧問となったが、23年ごろから部員が学校側に同様の訴えをし、校長らはその都度指導していたという。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/130609/edc13060912350000-n1.htm
        「産経ニュース」2013.6.9

        ●大阪市の公募校長、3か月で退職「理由言えぬ」
         大阪市立小中学校で今年度から導入された校長の全国公募に応募し、4月に民間人校長として就任した市立南港緑小(住之江区)の千葉貴樹校長(38)が、就任からわずか3か月足らずの25日付で退職することがわかった。
         ◇校長公募は橋下徹市長の肝いりで導入され、今春に11人が就任したが、退職は初めて。
         千葉氏は外資系証券会社出身。退職理由は「一身上の都合」だが、関係者によると「公募校長としてやりたいことと、市教委が求める校長像の間に大きなズレが生じていた」と悩んでいたという。読売新聞の取材に対し、千葉氏は「現段階で理由は言えない」と明言を避けた。市教委幹部は「慰留したが、本人の考えとの隔たりは埋められなかった」としている。後任については、内部の人材を充てる方針。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130624-OYT1T01700.htm?from=ylist
        「読売新聞」2013年6月25日

        ●ASD、自分と似た性格共感? 京大准教授ら物語活用で解明
         自閉症スペクトラム障害(ASD)がある人は、自分と似た性格の主人公の物語をよく記憶していることが、京都大の米田英嗣准教授(認知心理学)らの研究で分かった。「ASDの当事者同士だから理解しやすいと考えられる。ASD当事者こそが援助者にふさわしいかもしれない」という。英科学誌モレキュラー・オーティズムで24日発表した。
         ◇「当事者同士援助も」
         ASDは、高機能自閉症やアスペルガー症候群などを一体にとらえた障害で、対人交流が苦手で想像力の障害や反復的な行動などが特徴。
         米田准教授らは、ASDと診断できる人と、そうでない人それぞれを主人公にした短編の物語を各24編作った。ASDの短編には例えば、細部に集中し、全体を見ない特徴について「目の前の岩が気になって、夢中で写真を撮っていた」と表現されており、ASDの18人と一般の17人に読んでもらい、内容について質問した。
         正答率に差はなかったが、ASDの人は、ASDの特徴が分かりやすく表現されている文章を思い出す時間が早かった。
         ASDの人は他者理解が困難とする報告もあるが、米田准教授は「自分と性格が似ていない人について共感が難しいのかもしれない」と話している。
        http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20130624000142
        「京都新聞」2013年6月25日
        競争・選別から、子どもの命と育ちを保障する学校へ。
        2013/06/05
        6月1日・2日、神戸市内で開催された「全国学校事故・事件を語る会 大集会」に参加してきました。
         北は北海道、南は鹿児島から。メディアや当日参加を加えると130名以上の参加。
         1日は交流会。2日はシンポジウム。シンポのテーマは「第三者委員会のあるべき姿を問う」。
         学校における事故・事件に限らず、遺族が求めるのは事実の解明と検証、再発防止への具体的な取り組みです。大津市で起こったイジメ自殺事件で、その本来的な役割のモデルが示された「第三者委員会報告書」。第三者委員会という、公平な立場で、事実を解明・検証し、事後対応の問題点・課題の指摘、教委をはじめ子どもに関わる機関・組織・専門職などのあり方を提言し、再発防止へのチェック機能も果たす組織に期待が高まっています。
         しかし、この第三者委員会の設置のされ方、委員の構成、調査方法、報告書等の公表のされ方などに、大きな違いがあることがわかってきました。
         どの立場に立った、何を目的としたものか。その報告は誰に対して、何を伝えたいのか、何に応えたいのか。これらによって、その内容も価値も違ってきます。
         モンダイなのは、教育委員会が「第三者委員会」を設置し、教育委員会にとって都合の良い報告書をまとめることを目的としているケースが多すぎることでしょう。
         中には、教育委員会内の調査委員会として、遺族が求める「問いかけ」に誠実に応えるものもあります。この大集会で集められた全国の情報では1件だけでしたが…。
         2日間の集会で改めて考えたのが、子どもを育て、その能力を伸ばす「教育」における「評価」のあり方です。
         戦後の日本では、5教科の点数や偏差値による評価と、部活動などの「成績」による評価の2つの面だけが重視され、子どもたちの、それぞれのさまざまな能力を見つけ伸ばす、自立し社会生活を営む上で大切な職業スキルや社会性スキルの獲得を支えるという視点での教育や「評価」が欠落してしまっているのではないでしょうか。
         5教科「学力」や部活動などの「成績」による評価においても、数字による表象でありながら、その実、競争を煽り「できる子」と「できない子」を選別することが目的となっていて、本来的な役割を果たせていません。絶対評価を装った相対評価。とりわけ中高時代という心身の急進的な成長期に競争と選別を強いること、「その後の人生が決まる」という固定観念の定着は、子どもたちへの過度なストレスを超えて虐待的なものになっていると思います。
         相対的な評価では、苦手なことや得意なことが極端に表象され、根拠無くあいまいなままに自己評価を下げやすくなります。サポートするにも褒めるにも、具体的説明が伴わないために、やみくもに「頑張れ」「やればできる」「みんな頑張ってるじゃないか」の根性論が展開され、親や教師の期待に少しでも「応えられない」状況が生じた時に、「もう無理!」と自己否定に向かいやすくなり、子どもたちをめぐる(自死にも至る)モンダイとなっているのではないでしょうか。
         悲しい学校事故・事件が生じた時、誠実な事後対応や公平な立場での事実解明・検証、その内容や評価の公表がきちんと行われるか否かは、学校が、子どもの育ちや命が尊重される教育の場となっているか否かを見定めるものとなると思います。

        <本の紹介>
         これは読んで欲しい!という一冊が出版されました。
        『指導死』
        http://www.amazon.co.jp/「指導死」-大貫-隆志/dp/4874985130/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1370423010&sr=8-2&keywords=住友+剛
         ◇出版社からのコメント
         いじめとも、家庭の悩みとも無関係な子どもが、学校での「指導」の後に自殺する事件・「指導死」。
         体罰だけでなく、「言葉の暴力」でも追い詰められ、自尊感情をずたずたにされ死を選んだ子どもは、年に何人にも上っている。
         「指導死」遺族の手記を元に、その背景と防止策を教育学者が解説。学校での懲戒、叱り方、指導の仕方を考える。

         それでは、最近の気になる記事です。

        自殺調査、第三者委の実態に不満 神戸で遺族らシンポ

         【宮武努】学校でのいじめや体罰の影響が疑われる子どもの自殺が起きた場合、自治体の教育委員会がしばしば設ける第三者による調査委員会。そのあり方を考えるシンポジウムが2日、兵庫県神戸市で開かれた。出席した各地の遺族から、「名ばかりの第三者委が事態の沈静化に利用されている」という不満の声が相次いだ。
         ◇「ガイドライン必要」
         シンポは、自殺や部活動中の事故で子どもを失った遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」が主催。遺族や支援者、弁護士ら約120人が参加した。
         19年前に、教師の体罰を苦にした自殺で小学6年の長男を失った代表世話人の内海千春さん(54)=兵庫県たつの市=が、第三者委について、「事実解明が真の目的ではなく、いじめと自殺の因果関係を認めたくない教育委員会が、学者の権威を使って世間や遺族を納得させようとしているケースが多い」と問題提起をした。
         そうした場合の特徴として、第三者委と言いながら学校側が作成した調査資料を判断材料にしている▽いじめと自殺の因果関係は不明とするだけで、「では何が原因と思われるか」に踏み込んでない――などを挙げ、第三者委のガイドラインが必要だと訴えた。
        http://www.asahi.com/edu/articles/OSK201306030041.html?fb_action_ids=301212160015121&fb_action_types=og.recommends&fb_source=timeline_og&action_object_map=%7B%22301212160015121%22%3A315715418561485%7D&action_type_map=%7B%22301212160015121%22%3A%22og.recommends%22%7D&action_ref_map=%5B%5D
        「朝日新聞DIGITAL」2013年6月3日

        ●第三者委の権限明記、国に要望へ=自殺生徒の遺族らがシンポ-神戸
         学校でのいじめや体罰が原因で亡くなった子どもの遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」が2日、神戸市でシンポジウムを開いた。大津市で起きたいじめ自殺の報告書などを例に、第三者委員会のあり方を議論。「事態沈静化のための手段にしてはならない」などと意見が出され、第三者委の設置基準や権限明記について、国へ要望活動を行っていく方針を決めた。
         シンポには北海道や鹿児島県など、全国から約100人が参加。いじめや体罰、部活中のしごきなどが原因で死亡した子どもの遺族5人が、学校や第三者委の対応を報告、ほかの遺族や弁護士、専門家らと意見交換を行った。
         同会世話人で、体罰を苦にした自殺で19年前に小学6年の息子=当時(11)=を亡くした内海千春さん(54)は、「教育委員会への信頼の低下から第三者委が設置されているが、事態の沈静化に使われてはならない。亡くなった子どもの目線で原因を合理的に解明するため、独立性を担保してほしい」と訴えた。
        http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013060200158
        「時事ドットコム」2013/06/02

        ●小6女児自殺:110万円の支払い命令 北海道遠軽
         北海道遠軽町で2008年4月、町立小6年の今野彩花さん(当時11歳)が自殺したのは担任教諭の行き過ぎた指導が原因だとして、両親が町と道に対して約7800万円の損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁(千葉和則裁判長)は3日、町と道に連帯して110万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
         訴状などによると、彩花さんは小学5年のとき、担任の教諭から夏休みの宿題のやり直しや楽器の居残り練習を繰り返しさせられ、精神的苦痛を受けた。春休みには両親に「担任が嫌だ」と何度も訴え、6年に進級して間もなく自宅トイレで首をつって死亡した。
         両親は、学校側が不適切な指導を黙認し、教諭の行き過ぎた指導に絶望して自殺したと主張。道と町は「指導は適切だった」として全面的に争っていた。
         千葉裁判長は判決で、指導と自殺の因果関係は認めなかったが、その後の対応で両親に精神的苦痛を与えたとした。【山下智恵】
        http://mainichi.jp/select/news/20130603k0000e040182000c.html
        毎日新聞 2013年06月03日 15時01分

        ●いじめで不登校…元同級生3人に200万円賠償命令
         いじめで不登校になったとして、福島県伊達市の少年(18)が、中学時代の元同級生3人とそれぞれの両親に計約970万円の賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁(潮見直之裁判官)は5日、元同級生3人に計約200万円の支払いを命じた。
         判決理由で潮見裁判官は「元同級生による暴行は多数回に上り、少年の自尊心を大きく傷つけた。悪ふざけの限度を明らかに超えており、人格権や身体に対する違法な侵害行為だ」と述べた。
         一方で、両親への請求は「いじめを予見するのは難しく、監督義務違反は成立しない」として棄却した。
         判決によると、少年は中学2年だった2008年7~11月、同級生3人に言動をからかわれたり、暴行を受けたりし、精神的なショックで卒業までほとんど学校に通えなかった。
        http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/06/05/kiji/K20130605005951350.html
        「スポニチ」2013年6月5日

        ●頼れる大人になって「いじめSOS!」シンポ開催/横浜
         子どもや子育てに関わる人を支援するNPOに資金を助成しているNPO法人「神奈川子ども未来ファンド」(青木和雄理事長)の設立10周年を記念したシンポジウム「いじめSOS!」が25日、横浜市中区桜木町の市社会福祉センターホールで開かれ、いじめ問題に対して保護者や教諭らがとるべき対応などについて議論が交わされた。
         朝日新聞社編集委員の氏岡真弓さん、NPO法人ジェントルハートプロジェクト理事の小森美登里さん、篠原宏明さんがパネリストとして登壇。
         高校生の一人娘をいじめによる自殺で失った小森さんは、「子どもは大人に相談しても解決すると思っていない。大人サイドの問題にわれわれが気付き、頼れる大人になることが大切だ」と指摘。同じく中学生の次男を亡くした篠原さんは「次男は苦しんでいる姿を見せず、私は何でも話せる環境をつくっていると高をくくっていた。楽観的な考えではだめ。本気で向き合わないと子どもを救えない」と訴えた。
         いじめ問題の取材に長年取り組んできた氏岡さんは「先生がいじめに加担しているという子どもの声を聞く。先生は学級を統率するため強い子どもの側に立たないとうまくいかない現状がある」と問題提起。
         小森さんは「先生が『とりあえず様子を見ましょう』というのは一番危険。いじめが大人の耳に届いた時には深刻化している」とした上で「いじめは被害者の問題ではなく加害者の置かれている環境の問題。大人が傍観者にならずに向き合えるような社会をつくっていきたい」と訴えた。
         同ファンドは2003年設立で、企業や個人などからの寄付を原資に子どもや若者、子育てに関わる人を支援するNPOに資金を助成。13年度は11団体に計329万円を助成する。
        http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1305250008/
        「カナロコ」2013年5月26日

        ●12年の労災は9600件、10年間で倍増-医療介護分野で厚労省調査
         ◇保健衛生業の労働災害発生状況
         厚生労働省の「2012年における労働災害発生状況」確定版によると、医療・福祉分野を含む「保健衛生業」で発生した労働災害は、前年比6.8%増の9635件で、このうち約7割が老人福祉施設や有料老人ホームなどが分類される社会福祉施設での事故だった。事故件数の推移をみると、特に社会福祉施設で大幅に増加しており、02年からの10年間で2.7倍となった。
         【保健衛生業の労働災害発生状況詳細】
         この調査では、死亡災害か、休業4日以上の死傷災害を集計。10年前と件数を比べると、保健衛生業全体では、02年の4911件から約2倍になった。社会福祉施設に限れば、02年の2411件から12年には6480件へと2.7倍に増えている。この間の「医療・福祉」分野における就業者数の増加は1.5倍にとどまっており、社会福祉施設の増加傾向は著しい。
         社会福祉施設は、今年度を初年度とする第12次労働災害防止計画でも、特に災害の多い産業として重点分野に挙げられている。社会福祉施設での発生状況では、「動作の反動・無理な動作」34%が最多で、「転倒」30%、「交通事故」6%、「墜落・転落」6%と続いた。社会福祉施設以外の病院、診療所などでは「転倒」が36%で最も多く、「動作の反動・無理な動作」28%、「墜落・転落」9%となった。労災防止計画では、社会福祉施設で発生する腰痛を防ぐため、介護従事者への研修の充実や、事業所への介護機器の導入などを盛り込んでいる。【大島迪子】
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130528-00000003-cbn-soci
        http://www.cabrain.net/news/article/newsId/39994.html
        「医療介護CBニュース」5月28日

        日本の「教育」はガラパゴス化してないか?
        2013/05/26
        最近、至極納得しながら読める本と出会いました。
         精神科医の岡田尊司氏の『子どもが自立できる教育』(小学館文庫) です。
         http://www.amazon.co.jp/子どもが自立できる教育-小学館文庫-岡田-尊司/dp/4094088075
         氏は、統合失調症、うつと気分障害、パーソナリティ障害、発達障害などの精神疾患などに関する執筆も豊富ですが、その臨床の中から、今の日本を生きる子どもたちをとりまくモンダイに関しても、鋭く深い提起・喚起を取り組んでおられます。
         日本で行われている教育や医療、社会福祉などを、日々の生活の中で「普通」「当たり前」のものと受け入れ、あるいは諦めている人には、現実の困難さから狭窄した視野を少し広げるためにも、日本の実情や他国で取り組まれていることを知ることは、大切なことかと思います。
         この『子どもが自立できる教育』では、文字通り学校教育のあり方を問うておられます。
         日本で半世紀以上生きてきた私の記憶においても、5教科の「成績」評価と出席日数などが記された通知表(生徒指導要録というその元となるものがあります、が開示されることは稀で、内容はその詳細?を記してあるだけ)、結果数値としての偏差値、どこの大学に進んだか、どこに就職できたか、などだけが、親の期待として子どもに課せられる(子どもはその期待に応えようと限界まで頑張る)仕組みとなっていると言っても過言ではないでしょう。
         それらの(評価の)数値を上げるために、学習塾などがこれほど数多く存在している国は珍しいのです。そこには、当然、経済格差によって満たされる人と満たされない人の格差も生じ、「落ちこぼれ」が放置される仕組みまで「当たり前」となっています。
         「一部のエリートが国を救う」という妄想のような人材戦略を根幹に置いた日本の政治・経済のシステムが、本当に「国を救う」のか否か。その答えを、殆どの人が、日々実感されているのではないでしょうか。
         この「教育」システムのモンダイは何か? 日本の実情の真逆を想像すると見えて来ます。
         本の小見出しを少し拾うと…。
         ・自立プロセスのつまづきとしてのひきこもり
         ・ペーパーテスト中心の教育の悲劇
         ・凋落し続ける日本の学力レベル
         ・上意下達の日本社会と画一化した教育
         ・自立という観点が乏しい日本の教育
         ・五教科主義は、優等生たちの自立を助けているか
         ・受験戦争と点数主義が生み出したもの
         現在のフィンランドの教育では、社会に出た時に何ができるかが重視されるそうです。隣国ロシアとの長期の危ういどん底の歴史から這い上がったフィンランドが選んだのは、子どもが自立できる教育、育った子どもたちが社会を支える仕組みづくり=未来のための教育改革を優先することでした。決して経済的に恵まれた国ではないにも関わらず、2000年から始まったPISA(OECD生徒の学習到達度調査)では2003年に学力世界一位(その後も上位)、世界経済フォーラムによる国際競争力ランキングで、2012年は世界第三位の評価を得るまでとなりますが、実質労働時間はオランダと並んで先進国最短。残業はないのが当たり前。犯罪や非行も少ないと言います。学力アップの要因は、成績下位層の学力アップ=落ちこぼれる子どもたちが激減したことだそうです。特性やニーズを尊重し、苦手をみんなで支え合う異年齢の小集団学習も、それらの成果を支えています。
         たとえば、発達心理学の分野で「発達の最近節領域」などの学習・発達理論研究に影響を与えたロシアのレフ・ヴィゴツキー、認知機能発達の分野で影響を与えたスイスのジャン・ピアジェ。「教育」に係る領域で学ばれた方は、もれなくこの二人の理論を学んだと思います。子ども期の学びは、認知機能の発達や社会性の獲得、その子の特性やニーズに沿って、発見や自発的な集団的取り組みを尊重することが大切であると…。その子の情報処理のタイプ、学習のレディネスや社会的スキル獲得の状態などを、個別に丁寧に見て、少しの導きや手段の提供で達成感や自己効力感を体験してもらえるような関わりが、今かなりのレベルで見落とされているように思えて仕方ありません。
         画一的な講義型授業、成績に優劣をつける、競争下に置く、偏った進路別・習熟度別コース分けなど、間違っているというつもりはありませんが、日本で取り組まれてきたことがどんな状態を生じさせているのか、他国の取り組みや実情とも比較しながら考えるべきではないでしょうか。
         落ちこぼれ、ひきこもり、負け組、高学歴ワーキングプア、ホームレス、住民票から抹消された居所不明の子ども、貧困格差、虐待、体罰・「指導」死、自死、触法行為…。日本が選択してきた「教育」システムが生み出し続けているものです。このままでは、日本は「教育ガラパゴス島」として危惧される国になってしまいます。

         それでは、最近の気になる記事です。

        知的障害の生徒にいじめ 長崎・佐世保の中学校

         長崎県佐世保市の市立中学校で、複数の3年の男子生徒が、知的障害のある3年の男子生徒のズボンや下着を、繰り返し脱がせていたことが分かった。市教委は「人権意識を欠いた重大ないじめ事案」として、再発防止に努めるという。
         市教委によると、いじめを受けていた生徒は特別支援学級に在籍。今月8日、3年生の教室で昼食を一緒に食べて交流した後、生徒9人がこの生徒を仰向けにして手足を押さえつけ、ズボンの上から下半身を触ったり、下着を脱がそうとしたりした。
         被害を受けた生徒が泣いたため、教室にいた女子生徒が担任に訴え発覚した。
        http://www.asahi.com/national/update/0526/SEB201305250072.html?tr=pc
        「朝日新聞DIGITAL」2013年5月26日0時18分

        ●体罰見聞きした女子中高生、半数が体罰教師に”恐怖心”–3割弱は”憎しみ”も
         ふみコミュニケーションズはこのほど、同社が運営する女子中高生を中心としたコミュニケーションサイト「フミコミュ!」にて実施した「学校での体罰を含む生徒指導についてのアンケート」の結果を発表した。同調査は、2013年2月28日~3月30日の期間にインターネット上で行われ、「フミコミュ!」ユーザー370名(中学生65.0%、高校生21.0%)から有効回答を得た。
         まず、今までに学校で体罰を経験したことがあるかと尋ねたところ、4.3%が「自分がされたことがある」と回答。このほか、「クラス/部活の友人が体罰を受けたことがある」は18.4%、「学校の生徒が体罰を受けたと聞いたことがある」は11.1%となり、合わせて33.8%が体罰を受けたり、見聞きしたりしていたことがわかった。それに対して、「自分自身も周りでも体罰に関わることは全くなかった」は66.2%だった。
         ◇今までに学校で体罰を経験したことがありますか?
         次に、体罰を見聞きしたことがあると答えた人を対象に、友人・知人が体罰を受けたと聞いてどのように感じたかと問うと、「体罰を行った教師を怖く感じるようになった」が最も多く48.6%、次に「体罰を行った教師を憎むようになった」が28.4%と続き、教師の体罰が女子中高生に恐怖心や憎しみを与えている状況が浮き彫りになった。
         教師が生徒指導のために体罰を行うことをどう思うかと聞いたところ、約7割の69.2%が「体罰は暴力的なのでなくしてほしい」と回答。一方、「指導が難しい生徒には体罰は必要だと思う」と答えた割合も28.6%あった。
         もし、あなたの学校で必要以上に体罰を受けている生徒がいたらあなたはどうするかとの質問に対して、「信頼のできる教師に相談する」と答えた割合は35.9%。以下、「自分の保護者に相談する」が22.7%、「その生徒に声をかけ支えてあげる」が16.5%、「友人に相談する」が13.0%と続いた。
         自由回答方式で、体罰はなぜ起こると思うかと尋ねたところ、教師のストレスやイライラを理由に挙げる回答が多数寄せられた。具体的には、「熱血教師が指導を頑張りすぎたり、教師のストレスが原因だと思う」(東京都:中学3年生女子)、「体罰は教育だの、成長するのに必要だの言ってる人がいますが、体罰とは言葉を換えてるだけでただの暴力でしかないのです。教師のストレス発散、と思っています」(奈良県:中学2年生女子)といった内容が見られた。
         また、「先生が子どもの時に体罰を受けていたからだと思います」(大阪府:中学1年生女子)など、教師が受けた教育に原因があるため、生徒達にも同じように接してしまう、という意見も挙げられた。御木本千春
        http://news.mynavi.jp/news/2013/05/13/128/index.html
        「マイナビニュース」2013/05/13

        ●生活保護法改正案 議論なく申請厳格化
         政府が自民党に十日に提示した生活保護法改正案に、保護の申請を厳格化する項目が盛り込まれていたことが十三日分かった。これまでの政府や与党内の議論ではほとんど取り上げられていない内容で、関係者や専門家、受給者の支援団体などから「本当に生活保護を必要とする人が利用できなくなる」「制度の根幹に関わる見直しをこっそり隠すやり方は問題だ」と批判が出ている。政府は十七日にも閣議決定して国会に提出する方針だが、野党が反発するのは必至だ。 (上坂修子)
         改正案は申請時、本人の資産や収入、扶養義務者の扶養状況を記した申請書を提出し、必要な書類を添付しなければならないと新たな規定を設けた。現行は施行規則で住所、氏名、保護が必要な理由を書いた書面を提出すればよく、資産や収入までは入っていない。判例で、口頭での申請も認められている。申請の意思を明確に示すことが難しい人もいるからだ。
         保護の開始時、扶養義務者に書面で「省令で定める事項」を通知することも盛り込まれた。
         生活保護受給者と過去に受けていた人の扶養義務者の収入や資産の状況について官庁や銀行、勤務先、日本年金機構などに報告を求め、調査することができるとの項目も入った。
         制度見直しを議論してきた厚生労働相の諮問機関・社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の宮本太郎部会長(中央大教授)は「部会では議論されなかった。(部会がまとめた)最終報告にも入っていない。保護が必要な人への心理的な脅威になることは避けるべきだ」と指摘した。
         生活保護問題対策全国会議の事務局長を務める小久保哲郎弁護士は「これまで違法とされてきた(自治体が窓口で申請を受け付けない)水際作戦を法制化するもので、多くの保護が必要な人を窓口で追い返す効果がある」と批判した。
         厚労省社会・援護局保護課は取材に「政府としては与党に法案審査をしていただいている段階なので、現時点での個別の条文についてのコメントは差し控える」と答えた。
        http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013051490070137.html
        「東京新聞」2013年5月14日 07時01分

        ●米国の子ども最大5人に1人に精神疾患、CDC報告
         米疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は16日、米国の児童や10代の若者のうち最大で5分の1が不安やうつといった精神疾患を患っており、その数は増加傾向にあるという報告書を発表した。
         CDCの「週刊疾病率死亡率報告(Morbidity and Mortality Weekly Report、MMWR)」によると、1年間に精神疾患を経験する子どもの割合は13~20%に上る。報告書は、若者の精神疾患は「その流行の度合い、早期に発症すること、子どもや家族、コミュニティーへの影響が大きいことといった点から米国における重大な公共衛生問題であり、年間で推定2470億ドル(約25兆5000億円)の損失を生んでいる」としている。
         報告書は2005~11年のデータに基づいたもの。それによると、若年層に最も多い精神疾患は注意欠陥多動性障害(ADHD)で全米の児童・若者の6.8%が患っていた。次に多かったのは行動問題(3.5%)で、不安(3.0%)、うつ(2.1%)、自閉症スペクトラム障害(1.1%)、トゥレット症候群(0.2%)が続いた。
         報告書は医療関係者に、「精神疾患の影響をよりよく理解し、治療と介入戦略の必要性を伝えて、子どもたちの精神衛生を促進する」ための「早期の診断と適切な治療」を行うよう呼び掛けている。(c)AFP=時事/AFPBB News
        http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2944706/10761027
        2013年5月18日 13:29 (AFPBB News)
        100点満点の「採点」がストレスにならないように…。
        2013/05/12
        さまざまな経緯や理由、きっかけで、追い詰められ、出口が見えずに困った状態になられた方の多くで、○か×か、100か0かで物事を評価してしまう傾向が強まります。
         ミュージックプレーヤーの音量は0からMAXまで、アナログつまみならいったい何段階あるやら…。イコライザーなんて、周波数閾毎に…。車のアクセルもブレーキも、AT車のミッションもアソビは多い…。弦楽器は余韻が良い…。
        「こうでなきゃ」って決めつけてしまっている、それによって選択肢や余裕を狭めて息苦しくなっている自分に気付けることが大切です。
         人生はゆるやかであれ、ストレス少なくあれ、と願いつつ、100点満点の評価について、こんな見方も妥当ではないかと提案したいと思います。

        100点:出題者は取れないように問題を作っている。
        90点:スゴイ!
        80点:上出来!
        70点:エライ!
        60点:ガンバッタじゃん!
        50点:ドスコイ!
        40点以下:事情があるのよ!

         こんな抽象的な表現では、自己評価が随分と低い方や、自閉症スペクトラムの方には納得してもらえないのでは? と思われるでしょうけど、大切なのは他者から(肯定的に)「評価される」こと、「他人はそう思うんだ」と思えること、「否定の上塗り」でないこと、だと思います。
         両極ではなく中間の段階、現実的で妥当的な判断ができる状態であることが、安定した生活を営むためには不可欠です。

         さて、DSMの改訂が話題になっています。大阪大学の井出先生がASの扱われ方などについてわかりやすく解説くれていますので、紹介します。

        「アスペルガー」カテゴリー削除と診断範囲の現象の関係
        井出草平 | 社会学者。博士(人間科学)。
        2013年5月1日
        http://bylines.news.yahoo.co.jp/idesohei/20130501-00024646/

        アスペルガー症候群の苦悩
        井出草平 | 社会学者。博士(人間科学)。
        2013年5月2日
        http://bylines.news.yahoo.co.jp/idesohei/20130502-00024674/

         それでは、最近の気になる記事です。

        いじめ対策のソーシャルワーカー増員 紀南5市町に新設 県教委

         いじめや不登校対策の強化などを目的に、和歌山県教委は本年度からスクールソーシャルワーカー(SSW)を増員した。田辺市以南では5市町に新たに設置した。
         SSWは教育の現場に福祉の視点を取り入れる専門職。関係機関と連携し、問題を抱えた子どもを取り巻く学校や家庭の環境の改善を図る。
         県教委は2008年度からSSWの派遣を始めた。活用校からは「問題行動の解消率が高まった」などの声があるという。
         本年度は前年度より6市町多い、16市町と県立高校1校に17人を派遣。紀南地方では田辺市と那智勝浦町に継続して配置したほか、新たに白浜町、上富田町、すさみ町、古座川町、新宮市に配置した。
         本年度から白浜町とすさみ町を担当する亀井孝太郎さん(31)は「精神科ソーシャルワーカーとして病院で勤務してきたが、学校の問題には以前から関心があった。子どもの成長を支援できるよう全力を尽くす」と意気込む。
         昨年度に続き田辺市を担当する山本隼太さん(30)は「活動を通じ、SSWを知ってもらえるようになった。子どもたちの環境を少しでも良くしていきたい」と話す。
         注目度が高まるSSWだが、課題もある。学校での認知度がまだ低く、経験の浅いSSWも多い。
         また、社会福祉士か精神保健福祉士の国家資格所有者が望ましいが、17人のうち、有資格者は7人。県教委の非常勤職員で、報酬は時給制。勤務時間は週20時間が上限で、専業にするのは難しい。そういった勤務形態がSSWが増えない一因との声もある。
         県教委SSW事業スーパーバイザー(監督者)の弁護士、峯本耕治さん(53)=大阪市=は「まずはSSWが個別のケースに丁寧に取り組める体制づくりが重要。待遇も改善しないと良い人材を確保できなくなる」と話している。
        「紀伊民報」2013年04月30日
        http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=251712

        ●桐生の小6女児自殺:いじめ訴訟 証人尋問実施へ、地裁が方針示す /群馬
         桐生市立新里東小6年の上村明子さん(当時12歳)が2010年10月に自殺したのは、学校側がいじめに適切に対応しなかったためだとして、両親が市と県を相手取り計3200万円の損害賠償を求めた民事訴訟の弁論準備手続きが10日、前橋地裁(原道子裁判長)で非公開で行われた。
         原告側関係者によると、地裁は証人尋問を実施する方針を原告側と被告側双方に示したという。期日は8月になる見通し。これまでの準備手続きでは、原告側が当時の担任教諭や学校カウンセラーらの尋問を求めていた一方、被告側は「必要性がない」と主張していた。【塩田彩】
        http://mainichi.jp/area/gunma/news/20130511ddlk10040149000c.html
        「毎日新聞」2013年05月11日

        ●出水の中2新幹線飛び込み:学校アンケ、不開示妥当 市情報公開審査会、答申 /鹿児島
         2011年9月に起きた出水市立中学2年の少女(当時13歳)の自殺を巡って、学校がいじめの有無を調べた生徒アンケートの調査結果や事故調査委員会などの議事録について、市情報公開審査会は10日、市教委の不開示の決定は妥当とする答申を公表した。答申は9日付。
         アンケートなどについては、少女の遺族が開示を請求したが、市教委が不開示とし、遺族が異議を申し立てていた。
         答申によると、アンケートについて「回答者名、回答者名が記入されてなくても記載情報は個人情報」などを理由に、不開示は妥当とした。また、事故調査委員会などの議事録については「会議で率直な意見交換などができなくなる可能性が高い」などとした市教委の主張を認めた。
         少女の祖父、中村幹年さんは「非常に残念。自殺の真相を知るにはアンケートの開示が不可欠。今後も、開示させるため署名運動などを続ける」と話した。【宝満志郎】
        http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20130511ddlk46040608000c.html
        「毎日新聞」2013年05月11日

        ●息子の自殺「学校の指導に疑念」 新潟県立高生の父会見
         【大野晴香】新潟県上越地方の県立高校に通っていた男子生徒(当時17)が昨年7月、教諭から指導を受けた後に自殺した問題で、生徒の父親(50)が2日、新潟市で記者会見した。指導に問題があった可能性を指摘し、県教育委員会に外部有識者による調査委員会を置いて真相を究明するよう改めて求めた。
         父親は、生徒が自殺する前後に学校から説明を受けたり、自殺後に友人から事情を聴いたりした。会見での父親の説明によると、生徒は昨年7月、所属していた運動部の部員への不満をインターネットの交流サイト(SNS)に書き込んだ。その部員が退部したことから、顧問の教諭に「お前らの教え方が悪い」などと叱られ、その生徒に謝罪したが、数日後の7月31日、顧問から再び、2人きりで指導を受け、その日深夜に自殺したという。
         残っていた遺書には「悪いのはいつもオレだ 誰が正しくて誰が間違っていても関係ない」などと書かれていた。父親は情報公開を求め、学校側が県教委に「トラブルによる自責の念で自殺した」と報告したことを知ったという。
         会見に同席した代理人の弁護士は「遺書は学校の指導のあり方への抗議だ」と指摘。父親は「真相を明らかにし、息子の名誉回復を図りたい」と語った。
         県教委は調査委の設置を急ぐ方針だ。
        http://digital.asahi.com/articles/TKY201305030090.html?
        「朝日新聞DIGITAL」2013年05月03日

        ●障害者の求人が急増 法定雇用率引き上げで
         障害者向けの求人が急増している。企業に義務付けられている障害者の法定雇用率が4月から0・2ポイント引き上げられ、全従業員の2・0%となったことを受け、企業が他社より早く優秀な人材を確保しようと動いているためだ。特に精神障害者の求人が増えているのが特徴だ。
         人材サービスのインテリジェンス(東京)に寄せられた障害者向け求人数は、厚生労働省が昨年5月に法定雇用率の引き上げ方針を示した後に急増。昨年9月以降、前年同月比で1・5倍以上となり、今年3月は約1・8倍に増えた。
        「共同通信」2013/05/03

        ●<不登校小5>句集「春の虫 踏むなせっかく 生きてきた」
         大阪府岸和田市の小学6年生、小林凜(りん=本名・西村凜太郎)君(11)が、壮絶ないじめを受けて不登校になった日々をつづった句集「ランドセル俳人の五・七・五」(ブックマン社)を出版した。一つ一つの句に、いじめを乗り越えた凜君の成長の軌跡がうかがえる。
         2001年5月、予定日より3カ月早く生まれた凜君は、944グラムの小さな赤ちゃんだった。検査や感染症で何年間も入院を繰り返した。
         発育が遅かった凜君は、小学校で激しいいじめを受けた。階段で突き飛ばされたり、首を絞められたりして、命の危険を感じた。だが学校は「いじめではない」と取り合ってくれない。5年生の6月に不登校を決めた。
         そんな凜君の心の支えが俳句だった。幼稚園の頃、母史(ふみ)さん(49)が読み聞かせる絵本に登場する俳句に興味を持った凜君は、突然、こんなことを口にした。
          「おかあさん はなればなれは だいきらい」
         やがて本格的な句作を始めた凜君は、家族と過ごす穏やかな時間、四季の移ろい、そしていじめに耐える心を、300句を超える俳句に詠んだ。俳号の「小林凜」は、何度も励まされてきた「やせがえる 負けるな一茶 これにあり」を詠んだ小林一茶にちなんだ。
         「俳句は僕の心を伝えるメッセージ」と語る凜君。いじめに苦しんでいた小学3年生の夜、祖母に「生まれてきて幸せ?」と聞かれ、こんな句を詠んだ。
          生まれしを 幸かと聞かれ 春の宵
         8歳の時には、こんな句も詠んでいる。
          春の虫 踏むなせっかく 生きてきた
         「俳句と家族が支えだった。不登校は無駄じゃなかった」
         趣味は生き物観察。夢はロボットを造ること。素顔は無邪気な小学生だ。4月から通級教室に通う。「今は学校に行くのが楽しみ」と笑顔を見せる。
         最近、こんな句を詠んだ。小3の時に祖母に詠んだ「生まれしを」の句の対句だ。
          葉桜や 祖母の幸とは 我のこと
          母もまた 我を幸とす かすみ草
        【中村かさね】
        http://mainichi.jp/select/news/m20130508k0000e040213000c.html
        「毎日新聞」5月8日(水)

        「シンポジウム『いじめ』『体罰』のない学校と社会を」(2013.4.29)でパネラー発言をしました。
        2013/05/01
        日本共産党京都府委員会と京都府同党後援会が4月29日、シンポジウム「『いじめ』『体罰』のない学校と社会を」を京都市中京区の京都アスニーで開催。行政関係者や青年、保護者、教育関係者など約170人が参加。私もパネラーとして発言しました。当日配布したものから抜粋して紹介します(当日の発言内容はこれを補足したものです)。
        <配付資料からの抜粋>
        ○我が子が、病気や事故でなく、自死という形で予兆も無く命を落とし、その亡骸と対面した時に、親はどんな感情を抱くでしょうか?
        ・大切な人を喪失したことへの混乱、これはウソだという否定、自分にも責任があるという自責
        ・何があったのか、なぜ死ななくてはならないのかという疑問・疑念と、それがわからない無念さ・無力さ
        ・学校に起因した問題なのに、学校が何も語らない、説明を拒否することへの怒り、何ができるかという焦り、…
         こうした段階をそれぞれに経過しますが、子どもを失った親が求めるものは、2つです。
         何があったのかの事実解明と、再発防止のための検証と具体的な対応です。
         学校でのいじめや体罰などの問題解決を考える上で、その視点の中心に置いてほしいものが3つあると思います。
         1つは、「子どもの権利」という視点です。
        2つ目は、「障害者の権利、差別禁止」という視点です。
        3つ目は、被害者の体験は「ハラスメント」として認知され、持続的・不可避的なものは絶望と無力感を生むという視点です。
        ○子どもが意見・思いを表明する、その内容やタイミング、方法などを保障できる環境を大人は提供すべきあり、その取り組みが悲しい学校事故・事件の再発防止へとつながります。その子、その人のツマヅキや困難さに、回りが気づくこと、安心して相談できること、そして環境調整すること。この視点で、私たちは目の前で起こっている人の命に関わるモンダイときちんと向き合い、改善への取り組みをすすめなければならないと思います。
        <発言全文pdf>はこちらから

        信頼できる大人がいっぱいいる! 共産党主催”いじめシンポ”に170人
        「京都民報Web」

        信頼できる大人がいっぱいいる! 共産党主催“いじめシンポ”に170人



         それでは、最近の気になる記事です。

        消えるアスペルガー症候群 米診断手引19年ぶり改訂で

         日本でも広く使われている米精神医学会の診断の手引(DSM)が5月に改訂され、発達障害の一種「アスペルガー症候群(AS)」の分類が消える見通しだ。「適切な支援が受けられなくなる人が出る」などの不安が米国で出ており、日本の臨床現場への影響も出そうだ。
         ASは、言語発達の遅れや知的障害はないが、対人関係を築くのが苦手なのが特徴で、「アスペルガー障害」とも呼ばれる。「軽い自閉症」と見なされることもあり、19年ぶりに改訂されるDSM第5版では、重い自閉症からASまでを連続的に捉える「自閉症スペクトラム(連続体)障害」に一本化される。
         診断に使う項目も改訂版では、「社会コミュニケーションの障害」「限定した興味や反復行動」に絞る。改訂に関わったグループは「第4版の基準は医師によって診断名が違ってくる」などとし、「より正確な診断が可能になる」としている。
         だが、米エール大の研究グループが、第4版でASと診断される人のデータを第5版で診断し直したところ、4分の3の人が、自閉症スペクトラム障害に該当しなくなった。
         そのため、今後は同じような障害を抱えていても診断で除外され、コミュニケーション技術の支援教育などが受けられない可能性があるという。さらに、現在、ASと診断されている人の間でも、診断名がなくなることへの不安の声が出ている。
        (続きは「無料会員」に申し込んでお読み下さい)
        http://www.asahi.com/tech_science/update/0429/TKY201304290158.html
        「朝日新聞DIGITAL」2013年4月30日

        ●体罰・暴言:被害5000人、生徒・児童の3% 教員申告の6倍−−大阪市教委アンケ
         大阪市教委は26日、市立学校459校の生徒・児童計18万2280人を対象にした体罰や暴力行為に関するアンケート結果を発表した。2012年度の1年間で、教師から暴力や暴言を受けたと回答したのは、全体の約3%にあたる5123人に上った。一方、市教委が、教員の申告などに基づき集計した調査では、延べ798人の生徒・児童が教員による暴力を受けたと回答しており、約6倍の開きがあった。体罰や暴力を巡り、生徒・児童と教員の意識に大きな隔たりがあることが明らかになった。
         アンケートは、市立桜宮高校のバスケットボール部の男子生徒(当時17歳)が、顧問の体罰を受けた翌日に自殺した問題を受けて実施。市の外部監察チームが調査中の市立高2校を除き、全ての市立小・中・高校と特別支援学校を対象にした。
         暴力を受けたと答えた割合が最も多かったのは高校生で、4・7%(387人)。約半数の188人が授業中、73人が部活動中に暴力や暴言を受けた。
         中学生は、4・2%(2346人)が暴力を受け、部活動中との回答が約4割(1111人)で最多だった。小学生は、約2%(2373人)が暴力を受け、半数が授業中で、担任の教諭からの暴力が7割に上った。
         一方、文部科学省の要請に基づく市教委の調査では、12年度に市立学校で325人の教員が暴力や暴言をしたと報告。延べ798人が被害を受け、このうち43人が骨折や打撲などのけがをした。
         市教委は、体罰や暴力行為を巡る生徒・児童と教員の認識の差について、「教師側が軽くたたいたつもりでも、生徒・児童はそう受け止めていないケースも多く、なぜ隔たりがあるのか調べる必要がある」と話している。【林由紀子、茶谷亮】
        http://mainichi.jp/area/news/20130426ddf001040003000c.html
        「毎日新聞」2013年04月26日

        ●体罰教員、過去最多の840人 社会問題化で把握進む
         平成24年度に全国の公立小中高校で体罰を行った教員は、今年1月末段階で840人に上り、23年度(404人)に比べ2倍を超え過去最多となったことが26日、文部科学省の調査で分かった。大阪市立桜宮高校の男子生徒が自殺した問題を受けて緊急実施。体罰への社会的関心の高まりを受けて学校現場での把握が進んだとみられ、これまで多くの体罰が見過ごされてきた実態が浮かび上がった。
         今年1月までに各教育委員会が把握した処分済みと処分検討中の教員を集計。文科省は子供や保護者にアンケートして24年度全体の把握件数を再調査するよう求めており、今後大幅に増える可能性が高い。国公私立全校の結果とともに6月に公表する見通し。
         体罰の内訳は中学校が416人で最も多く、高校が220人、小学校が189人、特別支援学校が15人だった。1人の教員が体罰を複数人に行ったケースもあるため、被害児童・生徒は1890人に上った。
         体罰を行ったのは、小学校では授業中が51%で最も多かったが、中学、高校では部活動中が最多で、それぞれ32%、42%だった。
         「打撲」を負わせた教員は99人で、「外傷」が64人、「鼓膜損傷」が30人、「骨折・捻挫など」が23人。3分の2のケースでけがはなかった。
         体罰の内容は「素手で殴る」が479人と処分対象者の6割近くを占めた。「つねる」「頭突きする」「給食を食べさせない」「トイレに行かせない」といったケースもあった。
         体罰把握のきっかけは、最多が「教員の申告」(39%)で、「保護者の訴え」(36%)、「第三者の通報」(20%)が続いた。
         都道府県別では大阪の96人が最多で、福岡77人、岐阜64人と続いた。一方、岩手はゼロで、ばらつきがみられた。文科省は、調査前から自主的に把握に努めるなどした県は件数が多くなったとみている。
         文科省は「これまでは『これくらいなら許される』という考えもあったと考えられる。今後も体罰禁止の取り組みを徹底させたい」としている。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/130426/edc13042621560002-n1.htm
        「産経ニュース」2013.4.26

        ●いじめの事実、具体的に主張 大津中2自殺、黒塗り訴訟で遺族側
         大津市立中の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、中学校側が実施したアンケートを「黒塗り」状態で公開したのは違法で精神的苦痛を受けたなどとして、生徒の父親(47)が市に100万円の損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが24日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。
         原告側は、父親が明らかにしようとしたいじめの内容や市の第三者調査委員会が認定したいじめの事実などを、具体的に挙げる主張を行った。
         次回(6月5日)の弁論準備手続きでは、市側が今回の原告の主張に対する認否を行う見通し。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/130425/shg13042502110002-n1.htm
        「産経ニュース」2013.4.25

        ●成年後見の知的障害者らに選挙権付与へ 与党方針
         自民、公明両党は25日、成年後見制度で後見人が付いた知的障害者らに選挙権を与えないとする公職選挙法の規定を削除して、選挙権を付与する方針を固めた。両党は野党にも協議を呼びかけ、今国会中に公選法改正案を提出する。
         この規定をめぐっては、東京地裁が3月、憲法違反とする判決を出していた。安倍内閣は、制度見直しまでの間に違憲判決が確定すれば、選挙事務に混乱が起こるとして控訴。訴訟と並行して、両党が見直しに向けた協議をしていた。
         公選法11条は、後見人が付いた人に「選挙権及び被選挙権を有しない」と定めているが、与党の改正案では、この規定を削除する。知的障害や認知症などで後見人が付いている人は、昨年末時点で約13万6千人。
         公明党は当初から早期の法改正に積極的だったが、自民党内では、施設職員や付添人など第三者が特定の候補者に投票するよう誘導する不正投票などを懸念する声が出ていた。
         自民党はこの日、党本部でこの問題に関する合同会議を開き、制度見直しについて協議。不正対策を講じることを条件に、一律付与を求める意見が大勢を占めた。同党の逢沢一郎選挙制度調査会長は、記者団に「野党にも協議を呼びかける。不正が行われないよう環境整備したい」と語った。
        http://www.asahi.com/politics/update/0425/TKY201304250063.html?tr=pc
        「朝日新聞DIGITAL」2013年4月25日

        ●公的研究費の管理、3億6100万円の不正経理
         文部科学省は26日、全国1179の大学や短大、研究機関などを対象とした公的研究費の管理に関する調査で、北海道大や日本大など46法人で総額約3億6100万円の不正経理が見つかったと発表した。
         このうち、約1億7200万円は、同省が研究費の適正管理の徹底を求めた2008年度以降に行われていた。不正経理の手口は、実態のない架空発注で支払った物品代金を出入り業者に管理させ、あとで引き出す「預け金」などだった。
         不正経理の金額が大きかったのは、札幌国税局の指摘がきっかけで判明した北海道大の約1億7000万円、日本大の約4700万円、武蔵野大の約1900万円など。このほか、上智大や大阪大など6法人では、計約900万円の私的流用もあり、家族の旅費や自宅の家電製品購入などにあてられていた。同省は研究費の返還を指示するとともに、新規の研究費申請を一定期間、受けつけない罰則を適用する。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130426-OYT1T01244.htm
        「読売新聞」2013年4月26日

        「シンポジウム『いじめ』『体罰』のない学校と社会を」(2013.4.29)でパネラー発言をしました。
        2013/05/01
        日本共産党京都府委員会と京都府同党後援会が4月29日、シンポジウム「『いじめ』『体罰』のない学校と社会を」を京都市中京区の京都アスニーで開催。行政関係者や青年、保護者、教育関係者など約170人が参加。私もパネラーとして発言しました。当日配布したものから抜粋して紹介します(当日の発言内容はこれを補足したものです)。
        <配付資料からの抜粋>
        ○我が子が、病気や事故でなく、自死という形で予兆も無く命を落とし、その亡骸と対面した時に、親はどんな感情を抱くでしょうか?
        ・大切な人を喪失したことへの混乱、これはウソだという否定、自分にも責任があるという自責
        ・何があったのか、なぜ死ななくてはならないのかという疑問・疑念と、それがわからない無念さ・無力さ
        ・学校に起因した問題なのに、学校が何も語らない、説明を拒否することへの怒り、何ができるかという焦り、…
         こうした段階をそれぞれに経過しますが、子どもを失った親が求めるものは、2つです。
         何があったのかの事実解明と、再発防止のための検証と具体的な対応です。
         学校でのいじめや体罰などの問題解決を考える上で、その視点の中心に置いてほしいものが3つあると思います。
         1つは、「子どもの権利」という視点です。
        2つ目は、「障害者の権利、差別禁止」という視点です。
        3つ目は、被害者の体験は「ハラスメント」として認知され、持続的・不可避的なものは絶望と無力感を生むという視点です。
        ○子どもが意見・思いを表明する、その内容やタイミング、方法などを保障できる環境を大人は提供すべきあり、その取り組みが悲しい学校事故・事件の再発防止へとつながります。その子、その人のツマヅキや困難さに、回りが気づくこと、安心して相談できること、そして環境調整すること。この視点で、私たちは目の前で起こっている人の命に関わるモンダイときちんと向き合い、改善への取り組みをすすめなければならないと思います。
        <発言全文pdf>はこちらから

        信頼できる大人がいっぱいいる! 共産党主催”いじめシンポ”に170人
        「京都民報Web」

        信頼できる大人がいっぱいいる! 共産党主催“いじめシンポ”に170人



         それでは、最近の気になる記事です。

        消えるアスペルガー症候群 米診断手引19年ぶり改訂で

         日本でも広く使われている米精神医学会の診断の手引(DSM)が5月に改訂され、発達障害の一種「アスペルガー症候群(AS)」の分類が消える見通しだ。「適切な支援が受けられなくなる人が出る」などの不安が米国で出ており、日本の臨床現場への影響も出そうだ。
         ASは、言語発達の遅れや知的障害はないが、対人関係を築くのが苦手なのが特徴で、「アスペルガー障害」とも呼ばれる。「軽い自閉症」と見なされることもあり、19年ぶりに改訂されるDSM第5版では、重い自閉症からASまでを連続的に捉える「自閉症スペクトラム(連続体)障害」に一本化される。
         診断に使う項目も改訂版では、「社会コミュニケーションの障害」「限定した興味や反復行動」に絞る。改訂に関わったグループは「第4版の基準は医師によって診断名が違ってくる」などとし、「より正確な診断が可能になる」としている。
         だが、米エール大の研究グループが、第4版でASと診断される人のデータを第5版で診断し直したところ、4分の3の人が、自閉症スペクトラム障害に該当しなくなった。
         そのため、今後は同じような障害を抱えていても診断で除外され、コミュニケーション技術の支援教育などが受けられない可能性があるという。さらに、現在、ASと診断されている人の間でも、診断名がなくなることへの不安の声が出ている。
        (続きは「無料会員」に申し込んでお読み下さい)
        http://www.asahi.com/tech_science/update/0429/TKY201304290158.html
        「朝日新聞DIGITAL」2013年4月30日

        ●体罰・暴言:被害5000人、生徒・児童の3% 教員申告の6倍−−大阪市教委アンケ
         大阪市教委は26日、市立学校459校の生徒・児童計18万2280人を対象にした体罰や暴力行為に関するアンケート結果を発表した。2012年度の1年間で、教師から暴力や暴言を受けたと回答したのは、全体の約3%にあたる5123人に上った。一方、市教委が、教員の申告などに基づき集計した調査では、延べ798人の生徒・児童が教員による暴力を受けたと回答しており、約6倍の開きがあった。体罰や暴力を巡り、生徒・児童と教員の意識に大きな隔たりがあることが明らかになった。
         アンケートは、市立桜宮高校のバスケットボール部の男子生徒(当時17歳)が、顧問の体罰を受けた翌日に自殺した問題を受けて実施。市の外部監察チームが調査中の市立高2校を除き、全ての市立小・中・高校と特別支援学校を対象にした。
         暴力を受けたと答えた割合が最も多かったのは高校生で、4・7%(387人)。約半数の188人が授業中、73人が部活動中に暴力や暴言を受けた。
         中学生は、4・2%(2346人)が暴力を受け、部活動中との回答が約4割(1111人)で最多だった。小学生は、約2%(2373人)が暴力を受け、半数が授業中で、担任の教諭からの暴力が7割に上った。
         一方、文部科学省の要請に基づく市教委の調査では、12年度に市立学校で325人の教員が暴力や暴言をしたと報告。延べ798人が被害を受け、このうち43人が骨折や打撲などのけがをした。
         市教委は、体罰や暴力行為を巡る生徒・児童と教員の認識の差について、「教師側が軽くたたいたつもりでも、生徒・児童はそう受け止めていないケースも多く、なぜ隔たりがあるのか調べる必要がある」と話している。【林由紀子、茶谷亮】
        http://mainichi.jp/area/news/20130426ddf001040003000c.html
        「毎日新聞」2013年04月26日

        ●体罰教員、過去最多の840人 社会問題化で把握進む
         平成24年度に全国の公立小中高校で体罰を行った教員は、今年1月末段階で840人に上り、23年度(404人)に比べ2倍を超え過去最多となったことが26日、文部科学省の調査で分かった。大阪市立桜宮高校の男子生徒が自殺した問題を受けて緊急実施。体罰への社会的関心の高まりを受けて学校現場での把握が進んだとみられ、これまで多くの体罰が見過ごされてきた実態が浮かび上がった。
         今年1月までに各教育委員会が把握した処分済みと処分検討中の教員を集計。文科省は子供や保護者にアンケートして24年度全体の把握件数を再調査するよう求めており、今後大幅に増える可能性が高い。国公私立全校の結果とともに6月に公表する見通し。
         体罰の内訳は中学校が416人で最も多く、高校が220人、小学校が189人、特別支援学校が15人だった。1人の教員が体罰を複数人に行ったケースもあるため、被害児童・生徒は1890人に上った。
         体罰を行ったのは、小学校では授業中が51%で最も多かったが、中学、高校では部活動中が最多で、それぞれ32%、42%だった。
         「打撲」を負わせた教員は99人で、「外傷」が64人、「鼓膜損傷」が30人、「骨折・捻挫など」が23人。3分の2のケースでけがはなかった。
         体罰の内容は「素手で殴る」が479人と処分対象者の6割近くを占めた。「つねる」「頭突きする」「給食を食べさせない」「トイレに行かせない」といったケースもあった。
         体罰把握のきっかけは、最多が「教員の申告」(39%)で、「保護者の訴え」(36%)、「第三者の通報」(20%)が続いた。
         都道府県別では大阪の96人が最多で、福岡77人、岐阜64人と続いた。一方、岩手はゼロで、ばらつきがみられた。文科省は、調査前から自主的に把握に努めるなどした県は件数が多くなったとみている。
         文科省は「これまでは『これくらいなら許される』という考えもあったと考えられる。今後も体罰禁止の取り組みを徹底させたい」としている。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/130426/edc13042621560002-n1.htm
        「産経ニュース」2013.4.26

        ●いじめの事実、具体的に主張 大津中2自殺、黒塗り訴訟で遺族側
         大津市立中の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、中学校側が実施したアンケートを「黒塗り」状態で公開したのは違法で精神的苦痛を受けたなどとして、生徒の父親(47)が市に100万円の損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが24日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。
         原告側は、父親が明らかにしようとしたいじめの内容や市の第三者調査委員会が認定したいじめの事実などを、具体的に挙げる主張を行った。
         次回(6月5日)の弁論準備手続きでは、市側が今回の原告の主張に対する認否を行う見通し。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/130425/shg13042502110002-n1.htm
        「産経ニュース」2013.4.25

        ●成年後見の知的障害者らに選挙権付与へ 与党方針
         自民、公明両党は25日、成年後見制度で後見人が付いた知的障害者らに選挙権を与えないとする公職選挙法の規定を削除して、選挙権を付与する方針を固めた。両党は野党にも協議を呼びかけ、今国会中に公選法改正案を提出する。
         この規定をめぐっては、東京地裁が3月、憲法違反とする判決を出していた。安倍内閣は、制度見直しまでの間に違憲判決が確定すれば、選挙事務に混乱が起こるとして控訴。訴訟と並行して、両党が見直しに向けた協議をしていた。
         公選法11条は、後見人が付いた人に「選挙権及び被選挙権を有しない」と定めているが、与党の改正案では、この規定を削除する。知的障害や認知症などで後見人が付いている人は、昨年末時点で約13万6千人。
         公明党は当初から早期の法改正に積極的だったが、自民党内では、施設職員や付添人など第三者が特定の候補者に投票するよう誘導する不正投票などを懸念する声が出ていた。
         自民党はこの日、党本部でこの問題に関する合同会議を開き、制度見直しについて協議。不正対策を講じることを条件に、一律付与を求める意見が大勢を占めた。同党の逢沢一郎選挙制度調査会長は、記者団に「野党にも協議を呼びかける。不正が行われないよう環境整備したい」と語った。
        http://www.asahi.com/politics/update/0425/TKY201304250063.html?tr=pc
        「朝日新聞DIGITAL」2013年4月25日

        ●公的研究費の管理、3億6100万円の不正経理
         文部科学省は26日、全国1179の大学や短大、研究機関などを対象とした公的研究費の管理に関する調査で、北海道大や日本大など46法人で総額約3億6100万円の不正経理が見つかったと発表した。
         このうち、約1億7200万円は、同省が研究費の適正管理の徹底を求めた2008年度以降に行われていた。不正経理の手口は、実態のない架空発注で支払った物品代金を出入り業者に管理させ、あとで引き出す「預け金」などだった。
         不正経理の金額が大きかったのは、札幌国税局の指摘がきっかけで判明した北海道大の約1億7000万円、日本大の約4700万円、武蔵野大の約1900万円など。このほか、上智大や大阪大など6法人では、計約900万円の私的流用もあり、家族の旅費や自宅の家電製品購入などにあてられていた。同省は研究費の返還を指示するとともに、新規の研究費申請を一定期間、受けつけない罰則を適用する。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130426-OYT1T01244.htm
        「読売新聞」2013年4月26日

        不登校、いじめ、体罰、行きすぎた「指導」、それらによる自死。。
        2013/04/14
        極端な言い方をすれば、「学校」でその耐えがたく理不尽で、とりわけ精神的に苦痛を感じる、決して忘れられない体験などをしなければ、これらの学校における事件・事故・状態などが生じることはありません。
         これらをひとかたまりとして短文で扱うために、乱暴なものになってしまうことは思遣願います。
         これらに直面した時の子どもたちに共通する「感情」は、不安、自己否定、自責、絶望、無力などです。初発の「感情」は不安でしょう。
         そして、不安な時に自動的に生じる意識や行動は、敵か味方かの判断、自分を守るための防衛、仲間を守りたいなどです。
         これらのモンダイが生じる学校という閉鎖的な社会においては、対立構図としては教師集団VS生徒集団、いじめる集団VSいじめられる個人&周囲(こちらはその入れ替わりがさらに不安原因となり、他の問題の起因となる)、となります。しかし、生徒間暴力も、対教師暴力も、器物破損も、悪ふざけの騒ぎも、教師による対生徒暴力も日常風景ではないため、過敏で優しい気持ちを持つ子どもや、体験値の低い子どもは、耐えがたいが逃れられない、無力感と恐怖などに満ちた心的外傷体験となります。
         殴る、蹴るなどの暴力行動を伴わない場合も、相手集団との力関係・立場の明確化や威圧的な言葉や態度、取り囲まれて「指導」される姿や強く大きな言葉によるやりとりが耐えがたい場合など、暴力や攻撃・被害と受け止め、心的外傷体験として銘記されます。
         「敵か味方かの判断」が強まったり、「自分を守るための防衛」、「仲間を守りたい」意識が高まれば行動化されますが、学校側は「指導」として沈静化をはかり、子ども側は大抵「敗北」します。
         事態を何とか自分の力で解決したい、仲間を守りたいと考え、時に行動しますが、残念なことにそれが実現できることは極めて希です。そして、できない、できなかった自分を責める→抑圧する、自己評価を下げる、「なかったことにする」逃避、トラウマとして背負う…。

         結果、「不平等」、「不公平」、「不納得」などの認知がさらに強固となり、状況が改善されなければ、それらは発展して「怒り」、「恨み」、「憎しみ」、「諦め」、「自己否定」、「絶望」、「無力」などの感情へ、「仕返し」、「他の誰かに標的を移す」、「他の何かに不満をぶつける」などの行動化や、抑うつ、強迫性、解離、自我の拡散などの精神症状の出現、不登校、ひきこもり、生活リズムの崩れ、拒食・過食、万引きや買い物依存、薬物依存、対人関係のこじれや問題化、家庭内暴力、反社会的行動などの状態となり、いずれも後々に成人としての自立した社会生活を営むことができなくなることが少なくありません。
         早期発見・早期対応が基本ですが、相談してもちゃんと聴いてくれない、相談することを「恥ずかしい」と思っている、目に見えて明らかな問題行動であっても放置されたり取りあえずの対応で済まされる、仕返しや自分がいじめられる側になることを恐れる、などの状況の中で、早期の適切な対応につながることは極めて少ないのが現状です。
         不登校、いじめ、体罰、行きすぎた「指導」、それらによる自死。
         これらは、その当事者である子どもに何か問題があるのでしょうか?
         その子の家庭に問題があるのでしょうか?
         対応した教師に問題があるのでしょうか?
         その学校に問題があるのでしょうか?
         これらの問いのいずれもに、「無い」とは答えられません。
         逆に抜け落ちているものは何でしょう?
         「社会の支え」ではないでしょうか。
         子どもも、家庭も、教師も、学校も、人との関係、社会との関わりによって存在し築かれるものです。
         問題の原因を何かに求めても、犯人捜しと処罰意識が高じるだけです。社会全体の問題、子どもたちの育ちをサポートする大人が一人ひとりの課題として、きちんと日々向き合って行くことが大切だと思います。
         それでは、最近の気になる記事です。

        いじめの実態、アンケートではつかめず「実効性ある対策を」/神奈川

         湯河原町立湯河原中学校2年の男子生徒(13)が自殺した問題で、生徒が受けていたとされるいじめは、学校が繰り返し実施してきたアンケートではつかめていなかった。大津市の中2自殺問題が発覚後、県内の各教育委員会はアンケートを工夫するなどして実態把握に努めているが、いじめによる自殺で子どもを失った遺族らは「教師と子どもの信頼関係こそ重要」と、手法以上に意識の改革を求めている。
         昨年11月に結果が公表された県教委のいじめ緊急調査で、4~9月に県内の公立小中高校などで把握されたいじめは4797件。2011年度1年間の1・12倍で、このうち「生命や身体の安全が脅かされる重大な事案」は10件だった。
         「回答しやすいよう無記名に」(横浜市)、「並行して面談も行う」(川崎市)、「いじめ以外の質問も設ける」(相模原市)など、各教委は子どもに負担をかけない方法も模索しながら実態を把握できるよう腐心している。
         湯河原中は無記名のアンケートを「2カ月に3回程度」実施。何らかの情報が書き込まれていれば、記名式のアンケートを再度行っていた。学校関係者は「過去にはいじめを把握し、対応したケースもある」としているが、今回は生徒が自ら死を選ぶまで、いじめが明らかにならなかった。
         アンケートの限界を浮き彫りにする結果に、わが子がいじめの被害に遭った経験のある親は「児童や生徒との信頼関係があってこそ」と訴える。
         「真実を書けなかった原因は何なのか。それを調べなければ対策は講じられない」。いじめによる自殺で3年前に次男=当時(14)=を失った川崎市の男性(48)は指摘する。
         「弱さを見せたくない」といういじめ被害者、実態を見ても「次は自分が標的にされるかも」とおびえる同級生…。「『何かあれば言え』というような上から目線のアンケートでは、子どもの複雑な思いを拾い上げることはできない」。篠原さんは教師に「子どもと同じ目線」に立った対応を求める。
         相模原市立中3年だった昨年、複数の同級生から暴力などのいじめを受けた男子生徒(15)は、学校でアンケートに記入しているところを加害生徒に見とがめられ、SOSの機会を奪われた。被害生徒の母親が望むのは、アンケートは帰宅後に記入させ第三者機関に送付するなど「メッセージを発信しやすい仕組み」だ。
         「アンケートだけにとらわれずに、いろいろな面から子どもの状況を把握していく必要がある」と指摘する横浜国大教育人間科学部の高木展郎教授は「学校と家庭が協力し、いじめをなくす努力を続けるしかない」と強調する。
         次男を失った男性は訴える。「子どもたちは今、崖っぷちにいる。一刻の猶予もない。実効性のある対策を」
        http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1304140002/
        「カナロコ」2013年4月14日

        ●神奈川の中2男子自殺 同級生がいじめ示唆
         神奈川県湯河原町教育委員会は12日、町立湯河原中学校で2年生の男子生徒(13)が10日に自宅で自殺したと明らかにした。同級生ら約190人へのアンケートで、いじめを示唆する回答が複数あり、同校などが関連を調べている。
         町教委によると10日午後、自宅自室で生徒が首をつっているのを母親が見つけ119番通報。病院に運んだが、死亡が確認された。同日午前中まで授業に出席していたが、変わった様子はなかったという。
         アンケートは11日に実施。数十人が「たたかれていた」「かばんを持たされていた」などと回答、生徒が同じ部活動の同級生らからいじめを受けていた、と指摘した。同級生の実名を書いた回答もあり、名前を挙げられた一部の同級生はいじめていたことを大筋で認めているという。
         会見で松野司校長は「学校として、いじめを把握していなかった」と述べた。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130413/crm13041301330001-n1.htm
        「産経ニュース」2013.4.13

        ●中2男子が自殺か、町教委「いじめ受けていた」
         神奈川県西部の町立中学2年の男子生徒(13)が今月10日、自宅で首をつって死亡し、町教育委員会は12日、男子生徒が複数の生徒にたたかれるなどのいじめを受けていたと発表した。
         町教委によると、男子生徒は10日午後、自室で首をつった状態で見つかり、家族が119番した。遺書とみられる走り書きのメモが室内に残されており、自殺とみられる。
         同校は11日午前、全校集会を開いて、男子生徒が亡くなったことを報告。その後、2年生全員にアンケートを行ったところ、「男子生徒が複数の生徒にたたかれていた」「人のかばんを持たされていた」などの記述があったという。
         町教委は12日、記者会見を開き、教育長が「若い貴重な命が失われ、大変遺憾に思っている」と話した。いじめとの因果関係については、「わからない」とした。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130412-OYT1T01136.htm
        「読売新聞」2013年4月12日

        ●いじめ:男子中学生、作文で被害示唆 担任気付かず
         佐賀県鳥栖市の市立中学校の男子生徒(13)が同級生らから暴行を受けたり、現金約70万円を脅し取られるなどしていたいじめ問題で、男子生徒が被害をほのめかす内容の作文を担任教諭に提出していたことが分かった。学校側がいじめの事実を把握する約1カ月前で、この間、首を絞められるなどの被害をを受けていた。保護者によると、生徒は「学校に向けた精いっぱいのSOSだった」としているが、担任は気付かなかったという。
         作文は原稿用紙(400字詰め)4枚。昨年の夏休みの宿題で、担任の女性教諭が「人権」をテーマに出題していた。生徒は「いじめをなくしたい」のタイトルで日ごろ受けているいじめについてつづり、昨年9月の新学期に提出した。
         冒頭「いじめというひどいものをなくしたい」と明記。続いて▽「集団で1人をたたいたりけったり、悪口を言ったり」▽「手紙に悪い内容の事をかいて机の中や、くつばこにおいていたり」▽「自殺までいったら責任がとれるのか」▽「見て見ぬふりをする人が一番ダメ」−−などと書いていた。自分が被害者であることには触れず、ほのめかす内容にとどめていた。
         いじめは約1カ月後の昨年10月、別の同級生が学校側に訴え発覚。鳥栖市教委は先月、記者会見し、生徒が昨年4~10月に同級生ら13人からいじめを受けていたと発表した。発覚直後から生徒は心的外傷後ストレス障害(PTSD)で欠席。担任が生徒の自宅を訪ね、作文などを両親に返却した際「いじめに気付かなかった」と謝罪したという。
         校長によると、作文は担任が保管しており、いじめ発覚後も報告はなかったという。学校の調べに担任は「提出時の生徒の様子に異変はなかった。他の生徒の作文にもいじめをテーマにしたものがあった」と話したが、事実関係の確認などはしていなかった。校長は「もっと早く気付くべきだった」と釈明した。
         また、同校では毎月、いじめに関するアンケートを行っているが、生徒の母親によると、生徒は同級生に仕返しされるのが怖くて書けなかったという。母親は「先生にいじめに気付いてほしいと思いながら作文を書いたようだ」と話した。
         男子生徒が提出した作文の内容は次の通り。=一部抜粋
         ぼくは、いじめというひどいものをなくしたいと思っています。例えば、集団で1人をたたいたりけったり、悪口をいったり、先生がいるときだけ仲がいいふりをしたり、手紙に悪い内容の事をかいて机の中や、くつばこにおいていたりされたら、その人は傷ついて学校に行きたくなくなったり、または自殺という行為にまでいったら責任がとれるのかということがわかります。
         そして、人を傷つけておきながらこの人がやれっていったからとか、ぼくはたたいただけとか、悪口をいっただけなどと、言いわけを言いだす人がいますが、そんな言いわけをいうぐらいなら、最初からしなかったらいいと思います。
         そして、人がこうやって傷つけられている人を、また見て見ぬふりをする人が一番ダメだと思います。勇気を出して、やめるように止めてあげたり、大丈夫などと優しく声をかけてあげれば、とってもいいと思います。それでもまだ傷つけられてしまった場合にはちゃんと担任の先生や近くにいる先生を呼んで止めてもらえばいいと思います。
         でも、やっぱり傷つく人の一番いやな傷つけられかたは「あだ名」だと思います。自分がつけられてうれしいあだ名ならいいけど、バカとかちょっといやな自分がもしその呼ばれ方で呼ばれたらいやなのを人にそうやって呼ぶというのはとってもいけない。
         そして「おまえ、先生にすぐちくる(報告する)」と、ひやかす人がいますが、それは全くちくりということではないと思っています。
        http://mainichi.jp/select/news/20130411mog00m040006000c.html
        「毎日jp」2013年04月11日

        ●記者の目:いじめ対策法整備=千葉紀和(大津支局)
         いじめ対策を巡る法整備の動きが進んでいる。政府の教育再生実行会議や各党の案では、警察への通報の義務化や加害生徒の出席停止の促進などが打ち出された。私は論議の契機となった大津市の中2男子自殺問題を昨年7月から取材してきたが、そうした一見明快な対策は実行が難しく、むしろ危険だと感じる。いじめ対策に特効薬はなく、地道な取り組みの積み重ねこそが「大津の教訓」ではないか。
         この問題は、いじめを受けていた生徒の自殺(2011年10月)から9カ月も過ぎて注目を集めた。「自殺の練習をさせられた」との情報を公表しなかった学校、チェック機能を果たさなかった教育委員会、遺族の再三の訴えに動かなかった警察と不手際が次々露呈した。この結果、焦点は肝心のいじめを防ぐ議論より事後対応に傾いていった。
         その中で、子どもの自殺など重大事案では当事者以外の調査が不可欠という点は明確になった。批判を受けて市が昨年8月に設けた第三者委員会は、市教委がうやむやにしてきたいじめと自殺との関連について、5カ月間の調査で「いじめが自殺の直接的要因」と報告書で明記し、学校側が自殺の要因を家庭環境に誘導したと踏み込んだ。遺族が願う真相究明に応え、教育現場の責任回避に警鐘を鳴らした意義は大きい。再生会議が提言で「第三者組織での解決」を挙げたのは当然だ。
         ◇公平性と透明性
        第三者委が機能 大津の第三者委が機能したのには理由がある。まず公平性と透明性の確保だ。委員6人の半数に遺族推薦の識者を加え、調査過程も説明した。次に事実確認を重視し、生徒や教師らのべ56人から直接聞き取った。更に最も重要な点は、多くの内部資料を調べることができたことだ。学校への捜索で滋賀県警が押収した教師のメモ類のコピーが市から提供され、個人情報保護を名目に非公開だった生徒アンケートや市教委資料の黒塗り部分も市長が開示させた。
         裏を返せば、自治体側のさじ加減で「真相」が闇に葬られるという証左でもある。同時期に起きた愛知県刈谷市や鹿児島県出水市の生徒自殺では、第三者委員の氏名さえ非公開だった。第三者による調査の原則化と併せ、国として調査方法と情報開示の基準の確立も進めてほしい。
         一方で「なぜ自殺の要因とされた程のいじめを多くの教師が防げなかったのか」は、結局よく分からないままだ。この疑問は第三者委も重視し、いじめがひどくなった自殺直前の1カ月を時系列に調べて、教員の多忙など12の問題点を列挙した。多くは一般論で、いじめが「短期間に過激になった」と指摘しながら、周囲が気付かなかった理由として「日常化、透明化」を挙げるなど矛盾もあった。
        http://mainichi.jp/opinion/news/20130409k0000m070125000c.html
        「毎日jp」毎日新聞 2013年04月09日

        ●舞鶴市のいじめ不登校問題 最終報告に外部評価検討 京都
         ◇舞鶴市教委 中間報告で責任認める
         舞鶴市の15歳の少年が小学6年生の時のいじめが原因で、中学卒業時まで不登校となった問題で、舞鶴市の臨時教育委員会が11日開かれ、市教委が学校や市教委の責任を認め、いじめ防止策を講じることなどを内容とした中間報告を提出した。委員の一部から「最終報告までに外部の評価を受けるべきだ」との意見があり、佐藤裕之教育長は外部の意見を聞く方法を検討することを明らかにした。
         佐藤教育長は「何も具体的なことは決まっていない」とした上で、「広い視野で評価してもらう必要がある」として、外部の学識経験者や弁護士などに、市教委のいじめに対する取り組みを評価してもらう方法の検討に入るとした。
         報告書では今回のいじめについて、いじめが始まった平成21年9月から22年3月に保護者の訴えにより発覚するまで、担任はもとより全教職員がいじめの事実を把握できなかったと、学校の責任を明確化。また市教委についても、学校への具体的な指示、指導ができなかったと責任を認めた。
         そのうえで、今年度から学校に(1)「いじめ・不登校対策会議」を1カ月に1回程度開催する(2)「いじめ・不登校対策」の教師を1人置くことを指示(3)1学期中に「いじめ対策強化月間」を市内一斉に設定(4)市教育支援センターにいじめ相談員を2人配置(5)いじめホットラインを開設-などの取り組みを講じるとしている。また、被害にあった少年に対しても、社会復帰に向けた支援を継続的に進めるという。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/130412/kyt13041202020000-n1.htm
        「産経ニュース」2013.4.12

        ●体罰:「教諭が体罰、不登校に」 高校生と両親、神戸市を提訴
         神戸市立六甲アイランド高校(同市東灘区)野球部の元監督の男性教諭に体罰を受けて不登校になったとして、部員の男子生徒と両親が同市を相手取り、慰謝料など約1000万円の損害賠償を求め、神戸地裁尼崎支部に提訴していたことが分かった。
         提訴は3月25日付。訴状によると、2011年11月、当時1年生だった男子生徒が他の部員とトラブルになり、教諭と個別に面談。「お前は信じられへん」「なめとんか」などと言われて床に押し倒され、馬乗りになられて襟を絞め付けられたという。男子生徒は不登校になり、ストレス関連障害と診断されて復学できていない。
         男子生徒側は「一方的に暴行され、恐怖心から登校できなくなった。学校も適切な調整をしなかった」と主張。神戸市は「訴状の内容を精査し、適切に対処したい」とコメントした。【藤顕一郎】
        http://mainichi.jp/area/news/20130412ddn041040012000c.html
        「毎日新聞」2013年04月12日 大阪朝刊

        ●精神保健福祉法:改正へ 「保護者の義務」廃止−−政府
         政府は、精神障害者家族に過度な負担を強いているとして批判のあった、精神保健福祉法の「保護者の義務」条項を廃止する同法改正案を今国会に提出する方針を決めた。11日、自民党厚生労働部会に法案を提示し了承を得た。2014年度からの施行を目指す。【野倉恵】
         精神保健福祉法では、保護者に「治療を受けさせる」「医師の指示に従う」「患者の引き取り」などの義務があると明示されている。
         1900(明治33)年の旧法施行以来の流れをくむ明文規定だが、高齢の親がずっと責任を負い、家族間のあつれきも生むとして廃止の要望が出ていた。
         保護者の同意で行う「医療保護入院」について、厚労省の検討会は昨年、本人の意向を代弁する仕組みの導入を提案した。だが、具体化困難として見送られ、後見人などを含めた「家族等の同意」で行うとした。現行制度と類似しており、同省の担当者は「見直しは今後の課題」としている。
         今回の法改正では、病院側に対しても、推定入院期間の明示や退院後の生活支援などを求めていく。
        http://mainichi.jp/select/news/20130412ddm012010047000c.html
        「毎日jp」2013年04月12日 東京朝刊

        「成年後見制度利用支援事業」が拡充されました<向日市>。
        2013/04/06
        高齢や障害状態などのために「判断能力」などが低下し、資産・財産の管理やさまざまな契約行為などが適切に行えない方の代理・同意行為などを行う成年後見人を立てる「成年後見制度」。その利用には、申し立て費用や後見人報酬が必要となります。
         生活保護受給の方や、経済的に生活困難な状態な方の申し立て費用や後見人報酬を、その不足分を市町村が補填するのが「成年後見制度利用支援事業」で、「障害者自立支援法」では昨年4月から「必須」の市町村事業に格上げされていました。
         他の自治体もまだまだの状態ですが、京都府向日市も2003年の「実施要綱」のままでした。
        http://www.city.muko.kyoto.jp/reiki_int/reiki_honbun/k110RG00000533.html
         今年1月25日、その実質的な実施と拡充を求めた「公開質問書」を提出し改善を求めました。
        http://croomkanna.com/studynote/studynote6.html
         3月定例議会では、趣旨を理解していただいた市議が本会議質問をされ、当時の担当部長が「本年度中に拡充の方向で検討していきたい」と答弁していました。
         4月3日、さる方から、「4月から拡充されたみたいです」と連絡をいただきました。まだ市のホームページなどでは公開されていませんが、以下のような文書が関連部局などの中で配布され、高齢と障害の部局で「対応」できるとされているようです。
        http://croomkanna.com/studynote/mukocity koken kakujyu 2013.jpeg
         市議会での本会議質問と部長答弁は3月11日に行われたものですから、わずか20日で「実施要綱」が「拡充」改訂されたことになります。その内容は、24年4月に京都市が拡充した内容と同等のようですが、詳細はまだ不明です。
         「拡充」は、ニーズにもとづいてまさに求めていたものですから有り難いことですが、20日でできるものを10年もそのままに…という疑問は残ります。
         厚生労働省の社会・援護局障害保健福祉部が4月5日に発表した「障害者相談支援事業の実施状況等の調査結果について)http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/toukei/h24-syogaisoudansien.html)の中で、同利用支援事業の被災3県を除く全国市町村の実施状況は23年4月が46%、24年4月は71%となっています。しかし、利用の対象者は「市町村長申立てのみ」が68%、「市町村長申立て以外も含む」(生活保護は受給していないが生活困難な状態の方を含む)が32%。23年度の利用者数は全国で642人と、まだまだ少ない、「知られていない(知らされていない)」状況です。
         全ての人が、地域で安心して生活していくために、成年後見制度、成年後見制度利用支援事業は、不可欠なセーフティ・ネットです。すべての市町村で同事業が「必須」事業として、地域のニーズに応じて実施されるよう、取り組みが必要です。
         それでは、最近の気になる記事です。

        自殺を防ぐ やり直せる社会作ろう

         昨年の自殺者は十五年ぶりに三万人を切った。とはいえ、二万七千八百五十八人は交通事故死者の六倍に余る多さだ。生きる支えを手厚くし、もっと希望を見いだせる社会に変えていかねば。
         名誉を守る。責任を取る。借金を返す…。その究極の手段として自殺は自ら進んで選ぶ道と思われてきた。そうではなく、社会的に追い込まれ、強いられる悲劇だ。
         自殺の多くは社会のひずみが生み出す。だから適切な援助があればきっと防ぐことができる。二〇〇六年に自殺対策基本法ができ、そんな意識が広く根づいてきたのは大きな成果だ。
         だが、楽観論は戒めたい。一日に平均七十人余が自殺する現実はやはり厳しい。日本の自殺率は米国の二倍を、英国やイタリアの三倍を上回り、主要国でトップだ。
         自殺対策支援のNPO法人ライフリンクが公表した自殺実態白書には、貴重な教訓が収められている。遺族五百二十三人への聞き取り調査が土台となっている。
         自殺の背景には七十近い要因が潜んでいた。うつ病、失業や負債、過労、職場の人間関係、家族の不和、いじめ…。自殺者は平均四つの要因に苦しんでいた。
         意外なのは、七割の人は命を絶つ前にどこかの専門機関に相談していたことだ。なのに、なぜ自殺を食い止められなかったのか。
         役所の縦割り構造に似て、異分野の専門家が連携していない問題が浮かんだ。例えば、精神科医は患者が抱えている職場や家庭、金銭などの悩みに気づきながら労働や福祉、法律といった専門家に橋渡しするという発想に乏しい。
         東京都足立区は多分野の専門機関のネットワークを充実させている。相談に訪れた人の情報をカルテ式の「『つなぐ』シート」に記録し、区役所と専門機関で共有する仕組みは参考にしたい。
         心配なのは二十代だ。国の統計では自殺者が初めて三万人を突破した一九九八年に比べ、自殺率は二割も高い。就職失敗による自殺は五年前の二・五倍に及んだ。
         ライフリンクが最近実施した就職活動中の学生百二十一人の調査で浮かんだのは、日本の社会に対する不信感だ。
         いざという時に何もしてくれない。やり直しが利かない。正直者がバカを見る。あまり希望を持てない。六割前後の人がそんな冷たい社会像を抱いていた。
         新卒一括採用のような一発勝負の社会はやめて、いつでも学び直し、働き直せる社会にしたい。
        http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2013040102000096.html
        「中日新聞」2013年4月1日

        ●中2転落死で校長ら処分 浜松、いじめ判断受け
         浜松市立中2年の男子生徒が昨年6月、自宅マンションから転落死した問題で、市の第三者調査委員会が「いじめを背景にした自殺」と判断したことを受け、市教育委員会が生徒の通っていた中学校の石川和男校長ら5人を文書訓告などの処分としていたことが4日、分かった。
         いずれも地方公務員法上の懲戒処分でなく、市教委は「早期発見する努力が足りず生徒の自殺を防げなかった責任はあるが、故意に見過ごしたわけではない」としている。対象外として公表していなかった。
         市教委によると、処分は3月29日付。石川校長を文書訓告、当時の教頭2人(1人は異動)を口頭訓告、当時の学級担任と部活動顧問の教諭を口頭厳重注意とした。生徒の死後、学校や塾でいじめがあったとの情報を受け、市が第三者委員会を設置。三者委は昨年12月「死亡前の約4カ月間、塾や学校で悪口を言われるなどのいじめを受けていた」と認定する報告書を公表した。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130404/crm13040412160004-n1.htm
        「産経ニュース」2013.4.4

        ●高3女子自殺:両親、人権救済申し立て 「いじめの事実認めて」 癒やされぬ思い、学校に訴え/新潟
         県内の県立高校3年の女子生徒(当時17歳)が自殺し、両親が「学校でいじめがあった」として、県弁護士会に人権救済申し立てをした問題で、女子生徒の両親が31日までに毎日新聞の取材に応じた。両親は娘の悩みに気づいてやれなかったという自責の念にさいなまれながら、「教育現場がいじめの事実を認め、現場の体制を変えないと同じ悲劇が繰り返される」と学校や県教委に対し、癒やされることのない心情を訴えた。
         同会などによると、女子生徒は高校1年の時から体臭に関する陰口を言われたり、あだ名で呼ばれたりしていた。女子生徒は10年6月7日、自室で首をつって死亡。後日、自室からいじめをほのめかす遺書が見つかった。両親は翌年夏に同会に人権救済を申し立てた。同会は今月25日に「いじめがあったと評価できる」として学校に再発防止を求める勧告書を提出した。
         母親(55)が女子生徒の異変を感じたのは、命を絶つ前日の日曜夜だった。友人との買い物から帰ってきた女子生徒に「楽しかった?」と聞くと、「それなりに」とどこか元気のない返事が返ってきた。「いつもは『楽しかった』と明るく答えるのに」。母親が不安を感じた直後の翌日未明、女子生徒は帰らぬ人となった。
         女子生徒の通夜後、両親は仲の良かった同級生から「女子生徒はいじめられていた」と打ち明けられた。遺品の整理をしていると、ゴミ箱からピンク色の蛍光ペンで書き殴られたA4サイズのメモ1枚が見つかった。
         「なぜ私はくさいのですか。なぜ私はみんなと違うのですか。どうして私は嫌われるのですか。私は来週死にます」。父親(54)は「一緒に食事や旅行に行くなど、同年代の娘を持つ家族としては仲が良かった。娘の気持ちに気づいてやれなかったのが悔しい」と、今も続く苦しい胸の内を明かす。
         両親は自力で女子生徒の友人らに聞き取りをし、娘が体臭やあだ名で悩んでいたことを突き止めた。しかし、学校側は11年1月、「(女子生徒が)あだ名で呼ばれていた可能性を否定できない」としながらも、「いじめの事実は認められない」とする調査報告をまとめた。
        http://mainichi.jp/area/niigata/news/20130401ddlk15040034000c.html
        「毎日新聞」2013年04月01日

        ●高3女子自殺:県が第三者委設置へ 学校の調査検証/新潟
         県内の県立高校3年の女子生徒(当時17歳)が自殺し、県弁護士会が「学校でいじめがあった」として、学校側に再発防止などを求める勧告書を提出した問題で、県は学校側の調査結果を検証するための第三者委員会を設置することを決めた。県が県立高生徒の自殺について第三者委を設置するのは初めて。
         泉田裕彦知事は3日の定例会見で「ご両親には学校側に対する不信感がある。第三者機関として事実関係をしっかりと把握したい」と語った。
         第三者委は、県法務文書課に設置。同課によると、今後は教育専門家や弁護士、医療関係者などから5人程度の委員を選出し、遺族や校長から聞き取り調査などを行う。検証結果は知事を通じて遺族や県教委に報告される。
         泉田知事は第三者委を県教委でなく同課に設置した理由について「県教委で議論された形跡が少し無いのかなと思う。弁護士会から勧告が出ている点を県という組織で受け止めたい」と語った。
         自殺した女子生徒の父親(54)は「公正な検証をお願いしたい。学校や県教委の当時の調査が適正だったかという点に踏み込んでほしい」と語った。
        http://mainichi.jp/area/niigata/news/20130404ddlk15040041000c.html
        「毎日新聞」2013年04月04日

        ●4年男児2人、同級生3人から35万円受け取る
         兵庫県西宮市教委は5日、市立小4年だった男児2人(現5年)が、同級生だった男児3人(同)に現金を要求し、計35万円を受け取っていたと発表した。
         大半をゲーム用カードの購入に使っていたという。3人のうち1人は25万円を渡していた。3人は学校に「一緒に遊べなくなるのが嫌で断れなかった」と話している。
         市教委などによると、2人は昨年10月~今年2月、十数回にわたり、3人に「金を持ってこい」と要求。5人は普段からおもちゃの銃で遊んでおり、2人は「持ってこないと撃つぞ」と迫ったり、「次は1・5倍や」と言ったりし、学校のトイレや公園などで現金を受け取っていたという。
         3人は親の財布から抜き取るなどし、それぞれ25万円、8万円、2万円を渡していた。うち1人の親が「現金を持ち出しているようだ」と学校に相談して発覚。これ以前に、5人の様子に異変を感じた担任教諭が事情を聞いたが、現金のやり取りは聞き出せなかった。
         学校によると、2人の親が3月上旬までに全額を弁済し、謝罪したため警察には相談していないという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130406-OYT1T00027.htm?from=ylist
        「読売新聞」2013年4月6日

        ◇大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会
        調査報告書の全編の掲載について <大津市サイト>
         大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会の調査報告書につきまして、この度、ホームページに全編を掲載いたします。 
         本件について、広く市民の皆様に調査報告書の内容をお知らせし、今後の子ども達への教育や青少年の健全育成の観点でご活用いただくことで、二度とこのようなことが起こらないことを願います。このため、本市においてぱ、大津市議会で「大津市子どものいじめの防止に関する条例」を議決いただき、市長部局には「いじめ対策推進室」及び常設の第三者機関として「大津の子どもをいじめから守る委員会」を、教育委員会には「学校安全推進室」を設置するなど必要な体制整備を行い、いじめ対策の推進に努めてまいります。
         上記のような調査報告書の掲載の目的に鑑み、調査報告書の中の子ども達について、誹謗中傷などの行為を行われない様、併せてお願いします。
         なお、調査報告書の黒塗りの部分は、大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会規則第9条第4項の規定に基づき、プライバシー保護等のため、関係法令の趣旨に照らして、必要な配慮をしたものですので、ご理解をお願い申し上げます。
        http://www.city.otsu.shiga.jp/www/contents/1359682792674/index.html

        「体罰による自殺」と認めるのに19年?
        2013/03/26
        1994年、兵庫県たつの市の内海平(当時小学6年生/11歳)、学校で担任教師から「指導」として暴言・暴力を受けた後、自宅裏山で自死した事件。
         市教委は「事故による死亡(管理外)」「原因不明」として処理してきました。事実解明を求めたご両親は、市に対して損害賠償を求めて提訴。神戸地裁は2000年1月、担任教師の暴行と自死の因果関係を認め、市に賠償金支払いを命じました。市は控訴を断念したものの、「事故」を「体罰による自殺」と訂正する「必要ない」と放置。
         しかし、大阪市立桜宮高校バスケットボール部の体罰自殺事件発覚後、平君の事件報道の機会が増えたことなどから、「再検証」することとなり、「訂正」を認めざるを得なくなった結果のようです。
         大津市でのいじめ自殺事件に引き続き大阪市立桜宮高校バスケットボール部の体罰自殺事件と、戦後教育の歴史の中で塀の内に守られ続けてきた学校の隠蔽体質とその犯罪性や人権侵害性などが次々と明らかになってきています。
         また、不登校状態の女子生徒を訪問して、「指導」が聞き入れなかったと拳で左目下の頬を殴り骨折させるという、目を疑うような事件報道も今もってあります。
         無理矢理に訪問、家から引きづり出すなどの「暴行」は何の「指導」的効果もなく、かえって状態を悪化させるという認識に、10年以上前になっていたはずなのに、事態は悪化しているようです。
         子どもたちには、反省すべきを反省し、改めるべきを改め、ガラス張りにされた状態で外部から評価を受けるように体質改善、レベルアップしていく教師や指導者の姿を、見て育っていって欲しいと思います。
         学校まかせではダメ、ということも私たちは学んできています
         それでは、最近の気になる記事です。

        体罰自殺、19年後認める…たつの市教委が訂正

         兵庫県たつの市で1994年9月、放課後に首をつって自殺した小学6年の男児について「事故死」として処理し、直前の教師の暴行との因果関係を否定していた市教委が、今月になって「体罰による自殺」と認めて両親に謝罪、文部科学省に訂正を報告したことがわかった。市教委は、因果関係が認定された民事訴訟判決の確定後も見解を変えていなかったが、大津市のいじめ自殺問題などで教育現場の隠蔽体質に批判が強まる中、訂正せざるを得ないと判断したとみられる。両親は「やっと息子の死と向き合ってくれた」としている。
         市教委が新たに「自殺」として同省に報告したのは、龍野(現・たつの)市立揖西(いっさい)西小の内海平君(当時11歳)。教室で運動会のポスターの作り方を質問した際、担任の男性教諭から「何回同じことを言わすねん」などと言われ頭や頬を殴打されたことにショックを受け、その日の夕方、自宅の裏山で首をつって死亡した。
         警察は自殺と判断したが、学校は「事故による死亡(管理外)」「原因不明」と報告書に記載し、責任を否定。市教委も旧文部省から求められた小中学生の自殺報告から、平君のケースを除外していた。
         こうした対応に不信感を募らせた両親は、市に損害賠償を求めて提訴。2000年1月、神戸地裁姫路支部は判決で、自殺と暴行との因果関係を認めた上で、市に3792万円の支払いを命じた。
         市は控訴を断念。それでも13年間、訂正は「必要ない」との立場を変えなかったが、今月19日、市教委の苅尾昌典教育長が両親宅を訪れて謝罪、訂正を伝えた。文科省が小中学生の自殺統計で「166人」としてきた94年度の数字は今後、「167人」に訂正される。
         市教委担当者は、読売新聞の取材に「昨年以降、子供の自殺に対する学校側の姿勢が問題視されるようになり、再検証した結果」と説明。大阪市立桜宮高校バスケットボール部を巡る体罰自殺問題の発覚後、平君のケースが報道される機会が増えたことも影響したという。
         中学教師でもある父親の千春さん(54)は「事実を隠蔽しようとした対応について謝罪を受けた。長い時間がかかったが、学校現場が責任回避ではなく、子供の死と真摯に向き合うきっかけになってほしい」と話した。
        http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20130321-OYO1T00196.htm
        「読売新聞」2013年3月21日

        ●兵庫・たつのの小6自殺:「体罰原因」 市教委、認めて謝罪
         兵庫県たつの市立揖西(いっさい)西小学校の6年生だった内海平(たいら)君(当時11歳)が1994年9月、男性教師から暴行を受けた当日に自殺したことについて、暴行と自殺との因果関係を否定して「事故死」として処理してきた同市教委が今月19日、「体罰による自殺」と認めて両親に謝罪し、文部科学省に訂正を報告していたことが分かった。市教委は、因果関係を認めた民事訴訟の確定後も見解を変えていなかったが、「当時の判断を修正できると分かった」として19年たって初めて認めた。
         内海君は教室で運動会のポスター制作について質問した際、担任の男性教師に「何回同じことを言わすねん」と怒鳴られ、頭と頬を殴打された。内海君は帰宅後、自宅の裏山で首つり自殺した。
         教諭は95年3月、暴行罪で略式起訴されて罰金10万円を支払った。しかし学校側は体罰との因果関係を認めなかったため、内海君の両親は96年9月、当時の龍野市を相手取り慰謝料など総額約7000万円の損害賠償を求めて神戸地裁姫路支部に提訴した。00年1月、市に3790万円の支払いが命じられ、教育現場での体罰と子どもの自殺との因果関係を認めた全国初の判決となった。しかし、市はその後も因果関係を否定し続けていた。
         市教委は今月15日付で、事故死を自殺と改める訂正届を文科省に提出。19日に苅尾昌典教育長が内海君の両親宅で謝罪した。
         市教委は見解を変えたことについて「当時『管理外の事故死』として処理したが、修正できると最近になって知った」「大津市のいじめ自殺問題など、社会情勢を考慮した」とし、「民事訴訟の敗訴判決に対して控訴しなかったことで、市教委が体罰による自殺を認めたと理解してもらえると思っていた」と説明。今になって見解を変えた理由は明確にしなかった。
         内海君の父、千春さん(54)は「19年は長かったが、やっと変えさせることができた」と評価する一方、「市教委側の隠蔽(いんぺい)は明らか。被害者と教育行政が真剣に対話し、新たな事後対応のシステムを作らなくてはならない」と再発防止を訴えた。
         ◇文科省と警察庁、統計に隔たり
         文部科学省がまとめた11年度「問題行動調査」によると、11年4月~12年3月に自殺した小中高生は202人。一方、警察庁の統計では11年1~12月に353人で、期間が一部異なることを考慮しても大きくかけ離れている。
         文科省児童生徒課は「学校には捜査する権限はなく、保護者らからの聞き取りをもとに数字をまとめている。学校側が報告を終えた後に、いじめなどとの因果関係が判明するケースもある」と釈明する。
         これに対し、京都精華大の住友剛准教授(教育学・子どもの人権論)は「たつの市の例だけでなく、一般的に学校側は自殺と学校内の問題との因果関係を認めたがらない。今回の謝罪の背景には、大津市のいじめ自殺や大阪市立桜宮高校の体罰自殺などで、教育行政に対する世論の批判が高まってきたことがあるのではないか」と指摘する。
         また、たつの市の対応について「少なくとも判決で自殺と体罰との因果関係が認められた00年には謝罪できたはず。同様のことを繰り返さないために、学校側がなぜ責任を認めて謝罪できないのか、その背景や要因を調べて改善する必要がある」と話した。
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         ■たつの市の男児自殺を巡る経緯■
        1994年9月 9日 内海君が担任教諭から暴行を受け、夜に自殺
          95年3月    龍野区検が担任教諭を暴行罪で略式起訴。罰金10万円の略式命令
          96年9月 9日 両親が龍野市に慰謝料など損害賠償を求め神戸地裁姫路支部に提訴
        2000年1月31日 地裁姫路支部は「教師の暴行が自殺の原因」と認め、市に3790万円の支払いを命じる
          13年3月    市教委が両親に謝罪
        http://mainichi.jp/area/news/20130321ddg041040010000c.html
        「毎日新聞」2013年03月21日

        ●元顧問「指導 まちがっていた」 厳重処分意見、悩んだ捜査幹部
         最後まで決まらなかった意見は「厳重処分」だった。大阪市立桜宮高バスケット部主将の男子生徒=当時(17)=が自殺した問題で22日、顧問だった元教諭(47)が傷害と暴行容疑で書類送検された。大阪府警が捜査に費やした時間は2カ月半。後悔と反省をにじませる元教諭、懲戒免職という社会的制裁、先生をかばう多くの生徒…。教育現場への影響も含め、ぎりぎりの判断を迫られた捜査幹部が最後に重視したのは、けがを負わせるほど繰り返し行われた体罰という「事実」だった。
         「警察沙汰にはしないでほしい」。昨年12月23日に生徒が自殺した直後、遺族はこんな意向を示したという。だが、生徒への体罰の実態が徐々に明らかになり、1月8日に大阪市教委が一連の事実を公表してから事態は一変する。
         当初は遺族の意向に沿って粛々と事実確認を続けていた府警は、捜査1課の捜査員を同校がある都島署に派遣、捜査に乗り出した。ただ、「この時点では立件を前提にしていなかった」(捜査幹部)。
         しかし、元教諭への処罰感情を高めた遺族は1月23日に告訴状を提出。これを受け、府警は関係者からの事情聴取を本格化させ、部員からは練習試合での体罰のほか、過去の状況も詳細に聞き取った。体罰の存在を認めつつ、「先生だけが悪くない」と元教諭をかばう生徒も多かったという。
         府警が捜査で力点を置いたのは、暴行の「事実」の確認と元教諭からの事情聴取だった。2月13日に元教諭の暴力を自殺の一因とする報告書を公表した市の外部監察チームが元教諭から聞き取りをしたのはわずか2回だけだった。
         「元教諭には『言いたいことを全部言ってほしい』と伝え、かなりの時間をかけて事情を聴いた」
         捜査幹部が話すように、元教諭の聴取は1日5~6時間、十数日かけて行い、計約100時間に上った。「体罰なのか暴行なのか」「生徒への悪意はなかったのか」。体罰をふるったときの状況だけでなく、指導理念なども詳しく聴くためだった。
         「当時は指導だと思っていたが間違っていた」。元教諭は事情聴取にうなだれた様子でこう話したという。捜査幹部は長時間の聴取から、「体罰は指導の一つという考えが一貫してあった」と感じた。
         結局、捜査で積み上げた事実は、「指導」と看過できるものではなかった。それでも、捜査幹部を最後まで悩ませたのは処分意見だった。起訴を求める「厳重処分」なのか、刑事責任を問う余地はあるとする「相当処分」なのか。
         議論はぎりぎりまで続き、処分意見が正式に決まったのは書類送検の3日前の19日だった。捜査幹部はいう。「処分ありきの捜査ではなかったが、事実だけを冷静に見つめた結果だ。元教諭は『教育者』として優れた面を持っていた。いい加減で適当な先生ではなく、本当に熱血先生だった。ただ、熱血の方法が間違っていたのだろう」。http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130322/waf13032222330032-n1.htm
        「産経ニュース」2013.3.22

        ●田辺の中1自殺未遂:いじめ究明へ第三者委設置、条例案を市議会可決 市長「早急に人選」/和歌山
         田辺市の市立中学1年のバスケットボール部の男子生徒(13)が昨年12月に自殺を図って寝たきり状態になっている問題で、同市は22日、いじめに関する第三者調査委員会の設置条例案を定例市議会最終日に提出し、可決された。真砂充敏市長は「早急に人選に入りたい」と語った。
         同委員会は大学教授や弁護士ら有識者5人以内で構成。真相究明に向けた調査を行い、再発防止策の提言を行う。
         同問題は先月26日、同市教委が記者会見し、男子生徒がクラブ練習中にボールを当てられたり、あだ名を言われたりして、いじめを継続的に受けていたと発表した。その上で、自殺未遂に直接つながる原因は不明として、第三者委設置の必要性を表明。一方、同日会見した生徒の父親は「学校で何があったか事実を知りたい」と訴え、同委員会設置を求めていた。
        http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20130323ddlk30040520000c.html
        「毎日新聞」2013年03月23日

        ●「おねがい たすけて」虐待被害8歳、友達に手紙
         「おねがい ガッツ(義父の愛称)から たすけて」。堺市堺区の自宅で、内縁の妻の小6長女(12)に暴行し、大けがを負わせた義父(32)が傷害容疑で逮捕された事件で、ともに虐待されていた小2次女(8)は事件直前、こんな内容の手紙を友達に託していた。友達の保護者が朝日新聞に証言した。
         複数の保護者が昨夏には異変に気付き、小学校や警察、児童相談所(児相)に計20回ほど連絡したと話すが、事件を防げなかった。
         事件は1月23日に起きた。義父の無職松田和幸容疑者は1時間半にわたって長女を暴行。ヘアアイロンなどで殴り、タンスにたたきつけるなどし、両目に重傷を負わせたとされる。この時、次女も殴られたが、大きなけがはなかった。
        http://www.asahi.com/national/update/0317/OSK201303160143.html?tr=pc
        「朝日新聞デジタル」2013年3月17日

        ●顔殴られ女子中学生骨折 男性教諭が体罰
         奈良県大和高田市の市立中学校の男性教諭(30)が、1年の女子生徒(13)の顔を殴る体罰を加え、目の下を骨折するけがを負わせたと、市教委が25日、発表した。奈良県教委は処分を検討している。
         市教委によると、男性教諭は3月18日午前11時ごろ、担任するクラスの女子生徒が登校しなかったため自宅を訪問。指導したが聞かなかったため、玄関で生徒の顔を平手で4回たたいたほか、拳で左目下の頬を殴り、全治1週間のけがを負わせた。
         教諭が学校に報告。「女子生徒の遅刻が多く、生活指導で学校に連れ戻そうとした。行き過ぎたことをした」と反省し、19日から自宅謹慎しているという。
         土谷尚敬教育長は「同様の行為が起こらないよう厳しく指導する」としている。
        http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130325/waf13032512060010-n1.htm
        「産経ニュース」2013.3.25

        ●全介助の女性が関大聴講生を卒業
         重度の重複障害で全介助の北村佳那子さん(24)=大阪市平野区=が、聴講生として5年間通った関西大(吹田市)を”卒業”する。ゼミ仲間は、北村さんとの歩みを記録したDVDを卒業制作し、17日、上映会を開いた。
         北村さんは、脳性まひなどで手足を動かせず、胃ろうで栄養摂取し、全介助の車いす生活を送っている。両親の方針で小中高と、健常児と同じ地域の学校に通った。大学入試センター試験に挑戦するもかなわず、2008年、関西大社会学部・加納恵子教授の地域福祉論の聴講生となった。
         言葉を発することができず、450人の大教室でなかなか友人ができなかったが、加納教授のゼミに入って変わった。ゼミ生たちは、そばに近づき、大きな声で語りかけ、表情の変化、目や首の動きなどから、思いや感情をくみ取ろうとした。カラオケ、合宿、飲み会、女子会――。ゼミ生16人が、「皆が楽しい時間」づくりに努めた。ソフトボール大会では、男子が車いすを囲むように打席に立った。彦根城の階段は、女子6人で車いすをかついで上がった。
         日当沙貴さん(22)は、「『できない』ことは多いけど、どうしたら『できる』かを考えた」と話す。「かなこアワー」と題した発表会では、ゼミ生が、北村さんとの関わりあいで学んだことを発表した。
         教授の勧めなどで、DVDを卒業制作したのは森賀紀行さん(22)。「作ろうかなと伝えたら、満面の笑顔で背中を押してくれ、動くきっかけを作ってくれた」。授業や合宿などでの北村さんと仲間の表情を25分の映像にまとめ、「伝える。」との題をつけた。「彼女の存在を伝えたいのと、彼女とかかわった僕らが学んだことを伝えていく、という意味です」
         一番の仲良しだった岡田勇平さん(22)は、レジャー施設など各地に北村さんと行き、バリアフリーについて卒論にまとめた。「スロープがあって段差がないのがバリアフリーだと思っていた。でも、あればいいというのではなく、作る側の人間の心のバリアーを取り除かないと、本当のバリアフリーにならない」
         17日、ゼミの卒業生や支援者たち計60人が参加し、卒業を祝った。加納教授は、「言葉に頼っている私たちに、彼女はコミュニケーションの原点を教えてくれた。障害の有無で分けず、出会い、協働で何かをすることで、学べることは大きい」と話す。
         母恵子さん(61)は、「重い障害があっても自分らしく生きていくことを社会に示していくんだ、という意志を大学で身につけた。親が教えてあげられないことです」と目を細めた。
        http://digital.asahi.com/area/osaka/articles/MTW1303182800002.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_MTW1303182800002
        「朝日新聞デジタル」2013年3月18日

        ●自殺12人 原発関連死 福島県内
         東京電力福島第一原発事故に関連して、福島県内で少なくとも十二人が自殺した可能性のあることが、原発事故関連訴訟の弁護団や市町村、地元農業団体への取材で分かった。このうち震災関連死と認定されたと確認できたのは二人で、五人は申請していない。遺族が自治体に相談して断念した事例もあった。原発による死は、行政が定める関連死の枠外にも存在する。 
         本紙の集計では、福島県内で震災関連死と認定された千三百三十七人のうち、少なくとも約六割にあたる七百八十九人は原発事故の避難などに伴う「原発関連死」だったことが判明している。本紙で把握した自殺者十二人のうち、少なくとも五人の遺族は関連死の申請をしておらず、この「原発関連死」の人数には含まれていないことになる。
         うち須賀川市の野菜農家の男性(64)は、福島産野菜の一部に国の出荷停止指示が出された翌日の二〇一一年三月二十四日に自殺した。遺族によると、男性は原発事故後「福島の百姓は終わりだ」と話していたという。
         川俣町の女性(58)は夫婦で養鶏場に勤めていたが、原発事故で失職。計画的避難区域にある自宅に一時帰宅中の一一年七月一日、焼身自殺した。
         市町村への取材で、南相馬、浪江、富岡の三市町で自殺を関連死認定したことを確認できたが、人数は明かしていない。須賀川、二本松両市には遺族から、どういう場合に関連死に認定されるのかといった相談があったが、申請には至らなかったという。
         原発事故との因果関係の立証の難しさや、自殺を表沙汰にしたくない心理が申請を躊躇(ちゅうちょ)させる要因と指摘する専門家もいる。
         一方、遺族への取材によると、飯舘村で一一年四月十二日に自殺した百二歳の男性は関連死と認定された。村が全村避難を検討している段階だった。
         厚生労働省が震災後、自治体に例示した関連死認定の基準は、自殺について「発作的なものでなく、震災を契機としたストレスによる精神的疾患に基づくもの」を認定対象にしている。震災関連死に詳しい津久井進弁護士は「福島の場合、インフラや住宅の整備で復興への道筋が見えた過去の震災とは、将来に対する絶望感がまったく違う」と指摘。「医学的な要因だけでなく、社会的背景が原因の場合も認められるべきだ」と指摘する。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013031302000105.html
        「東京新聞」2013年3月13日
        自閉症スペクトラム—「3つ組み課題」に加えて…。
        2013/03/16
        あっという間に3月も後半に入っていました。久々の更新です。
         NHKクロ現などで、「ASD(自閉症スペクトラム)」という表現が使われ始めています。ここ数年、「高機能の広汎性発達障害(HF-PDD)」などと、「知的に問題がない」とされるアスペルガー障害、広汎性発達障害、特定不能の広汎性発達障害などの診断名が概念的に表現されてきていました。アメリカ精神医学会(www.apa.org)の「精神疾患の分類と診断の手引」DSMが、今年5月に改訂され「DSM-5」となる予定で、「autism spectrum disorders (ASD)」というカテゴリーに統合されるようです。
         自閉症、高機能自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害…、という診断名がついてきた「症名」を、それぞれははっきりした線引きができるものではなく、「連続的な虹色の模様」の様に緩やかな表現形でとらえるべき、との考えからスペクトル/スペクトラムという概念が採用され、日本における名称を(私も一応会員の)日本児童青年精神医学会などが「自閉症スペクトラム」として行くことになっていて、NHKがそれを報道レベルで使い始めた、ということになります。
         ただ、「自閉症スペクトラム」に位置しない人を「定型発達」という概念で表現していくことになるのですが、その2つにも線引きはできないことは、大切なことです。「自閉症スペクトラム」の「特性」とされる様々な状態、強みや弱さなどは、おそらく「定型発達」とされる方にもいくつも在り、また、「自閉症スペクトラム」とされる方にもばらつき=「違い」があることを知っておいてほしいと思います。
         さて、自閉症の理解において、従来から「3つ組み課題」が重視されてきました。社会性・コミュニケーション・こだわりなどとされ、それぞれが関連しながら「定型者社会」での生きづらい状態を形成しています。しかし、これらの3つの「特性」からの「理解」では、「生きづらさ」を理解することは不十分だろうと思っています。
         私がこの「3つ組み課題」を前提に、さらに深く理解をすすめたいと思うのは次の2点です。
        1.情報処理機能の「違い」
        2.実行機能の「違い」
         先天的な脳機能の「違い」としてくくられてきた多くの「機能」を整理するとこの2点に集約できるのでは?と思います。
         情報処理機能は、実は多くの機能の総称です。(視・聴・嗅・味・触の)5感(第6感を含む)覚、記憶/感覚記憶・短期記憶・作動記憶・長期記憶自伝的記憶・回想的記憶・展望的記憶や記憶の過程(記銘・保持・想起・検索・忘却)、それらの情報の認知と行動化などです。これらの「違い」は、検査や短時間の問診での聴き取りなどからは充分に理解できにくく、学校や家庭などの日常生活場面における対人関係や自己感覚から気づいていけるものでしょう。
         実行機能は、「脳科学辞典/http://bsd.neuroinf.jp/wiki/実行機能」では「複雑な課題の遂行に際し、課題ルールの維持やスイッチング、情報の更新などを行うことで、思考や行動を制御する認知システム」とされている、何かの課題を企画し、計画を作り、(課題によっては役割分担をし)、集中し、やり遂げるという一連の動きとその力を意味しているものです。
         「3つ組み課題」の特性が見られたら、さらにこの2点に着目して生活上の、特に対人関係における課題や問題を本人さんや関係する方から聴き取らせていただくことで、生きづらさの本質部分のテーマがいくつも見えて来ます。
         『成人アスペルガー症候群の認知行動療法』(ヴァレリー・L・ガウス/著、星和書店/刊)との出会いから、私なりの「情報処理機能アセスメントシート」(本人さんに感覚的に度合いを記入してもらう)を作り、実施すると、クライエントの過去から現在に至る、トラウマや体験により形成されてきた自動思考やスキーマなどの同定に役立ち、個別サポートの課題と支援計画がより具体的なものになっています。
         この2つの視点による本人さんからの聴き取りから、多くの発見・気づきが(お互いに)あり、個別サポートのテーマが見えて来ます。
         それでは、最近の気になる記事です。

        大津市の遺族が提言 いじめ検証標準化求める

         大津市の中2自殺で、亡くなった男子生徒の父親(47)が11日、文部科学省を訪れ「大津市ではいじめ自殺の真相究明ができたが、うまくいかないことも多い。このケースを全国で標準化するべきだ」と要望し、いじめ対策に関する提言書を出した。
         提言書では、大津市がいじめ検証のために設置した第三者委員会が「真相究明の中心的な役割を果たした」と評価。自治体が遺族の求めに応じて第三者委を設置することを法律で義務付けるべきだとした。
         学校や教育委員会による児童生徒へのアンケートを義務化することや、いじめについての調査研究の充実、遺族への情報開示の徹底も求めた。
         父親は、文科省の担当者と面会後、「当事者として気付いたことを伝えていく必要がある。教育現場の改善につなげたい」と話した。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130311/crm13031113120004-n1.htm
        「産経ニュース」2013.3.11

        ●体罰:報告書に教師名も公開、府審査会が答申 「公務過程で発生」 /京都
         府内の小中学校で起きた体罰の報告書について府情報公開審査会(会長、山本克己・京都大教授)はこのほど「学校名や教師名も含めて公開すべきだ」と答申した。これを受けて、府教委は今月中にも公開する。
         NPO法人・行政監視機構(城陽市)理事長の半田忠雄さん(72)が11年9月、府情報公開条例に基づき、08年4月から11年8月末までの「体罰に係る事象問題の報告書」を公開請求。府教委は8件の文書を公開したが、学校名や教諭名などは非公開とした。これに対し半田さんが同年11月、行政不服審査法に基づき異議を申し立てていた。
         審査会で府教委は「プライバシー保護のため、個人が特定できないよう、どの部分を非公開とするかについては、実施機関の選択裁量の問題」と主張。これに対し、審査会は先月27日付答申で「体罰は公務員の公務遂行の過程で発生しているものであり、非公開の対象にならない」と判断、児童生徒が特定されるおそれがあるものを除く7件を公開対象とした。また答申は「情報公開は国民・府民の権利の問題であり、実施機関に裁量の余地はない」と指摘した。
         体罰の報告書を巡っては兵庫県教委の非公開を不服とした馬場健一・神戸大教授(法社会学)が裁判で争い、昨年6月、最高裁が教師名も公開すべきとの判断を示した。府内では昨年9月、宇治市が教師名も含め公開した。馬場教授は「最高裁の決定があった後も教師名の公開には及び腰の教育委員会が多い。今回の答申は高く評価できる」としている。
         半田さんは「体罰を起こせば名前が公開されるなら、一定の抑制効果がある」と話している。
        http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20130308ddlk26040373000c.html
        「毎日新聞」2013年03月08日 地方版

        ●児童虐待/母への暴力の影響も深刻 児童虐待の増加が止まらない。
         検挙件数は前年から23%増の472件と過去最多を更新した。7割以上は身体的虐待で、性的虐待も2割を超えた。こうした事件で32人の子どもが命を落としている。痛ましい限りだ。
         先月末には、行方不明になっていた大阪市内の6歳の女児が、尼崎市のアパートで遺体となって見つかった。出生直後に母親が首を絞めて殺害した疑いが持たれている。児童手当を受け取るために死亡を隠していた疑いもある。
         親の虐待から子を守るため、一時的に親権を停止する改正民法が昨春に施行された。こうした対策が機能しているのか、さまざまな角度から検証し、悲しい事件をなくさねばならない。
         虐待があったとして、昨年1年間に警察が児童相談所へ通告した子どもの人数は1万6387人に上った。虐待への関心が高まった結果とみられるが、8年間で17倍という急増ぶりだ。通告内容は暴言などの心理的虐待が半数を超えた。
         気掛かりなのは、子どもの前で母親らが夫などから暴力を受ける「面前DV」が、7割近くを占めていることだ。
         2004年の改正児童虐待防止法で、面前DVも児童虐待と位置付けられたことから、全体の数字を押し上げたようだ。ただ、被害の立証が難しく、警察庁によると検挙に至った例はない。
         とはいえ、子どもに与える影響は身体的虐待と同様に深刻だ。
         母親などへのDVを目撃している子どもは、発達の遅れや自尊心の低下などが目立ち、他の子どもへの暴力や暴言など攻撃的な行動を取りやすいとされる。母親へのDVは「自分のせい」と自らを責める子もいる。成長してからも、そうした心の傷に苦しみ続けるケースは多い。見えない被害を放置してはならない。
         子どもを虐待から守るためには、暴力にさらされず安心できる生活環境が欠かせない。児童相談所の役割は重いが、ケースワーカーの不足も指摘されている。子どもの危険をいち早くとらえ、対応できる体制整備を地域の中で考えたい。
         夫婦間のDVが続く家庭では、子どもも親などの暴力にさらされている場合が少なくない。兵庫県内で9カ所に設置されている配偶者暴力相談支援センターと児童相談所などの関係機関が連携を強めることで、家庭内の暴力に対処していく必要がある。
         子どもや配偶者を暴力で支配することは許されない。まずは、その意識を浸透させることだ。
        http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201303/0005807452.shtml
        「神戸新聞」2013/03/12社説

        ●少女連続刺傷 家裁送致決定 「医療少年院が最良」
        少年に言い渡されたのは、刑事処分ではなく、家裁送致だった。三郷市や千葉県松戸市で少女二人を刺したとして、殺人未遂などの罪に問われた少年(18)のさいたま地裁での裁判員裁判。十二日の公判で、田村真裁判長は事件をさいたま家裁に移送する決定を言い渡し、医療少年院での治療が「最良の手段」と、その理由を説明した。少年は再び家庭裁判所の審判を受けることになる。
         「罰を受けずに済んだわけではありません。君は変わる必要があります。変わらなければなりません」
         田村裁判長は決定理由を読み上げた後、分かりやすい言葉を選び、少年に語りかけた。「分かりましたか」。田村裁判長が声をかけると、少年は前かがみに座ったまま小さくうなずいた。裁判員たちは、じっと少年の表情に見入っていた。
         これまでの公判で、少年は少女二人を殺害しようとした動機について「興奮するから」と供述した。殺害後に首を切って持ち帰る計画だったなどと説明し、検察側は懲役五年以上十年以下の不定期刑を求めていた。
         この日の決定理由で田村裁判長は、悪質な動機は、少年の広汎性発達障害や家庭環境と直結しているとして、刑事処分の根拠とすべきでないと指摘。「治療のためには少年刑務所より医療少年院が有効であることは明らかで、保護処分は再犯を防ぐ社会の要請にもかなう」と述べた。
         弁護側の柴野和善弁護士は決定を受け「少年には裁判長の言葉をしっかりと受け止めてほしい。裁判員の方は難しい決断だったと思うが、少年の将来を真剣に考えてくれたと思う」と評価した。
         検察側は「障害がある少年という特異な審理に取り組み、熟慮を重ねた末の判断であると受け止めている」とコメントした。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20130313/CK2013031302000150.html
        「東京新聞」2013年3月13日

        ●自殺:10~20代の女性自殺者、67%に未遂歴 支援早める対策急務−−NPO「実態調査」
         10~20代の女性自殺者の67%に自殺未遂歴があることが、NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」(東京都)が28日に公表した「自殺実態白書」でわかった。悩みを抱えてから自殺までの期間は雇用形態などで違いがあり、ライフリンクは「未遂歴を有効に生かし、事案によって支援を早めるきめ細かな対策が急務」と話している。
         ライフリンクは07年から5年間、自殺者の遺族が集まる会合の出席者ら523人に、生前の状況を聞き取り調査した。男女全体で未遂歴があったのは33%。各年代とも女性は男性より高率で、特に若年女性の未遂が際立った。
         女性は薬物使用や自傷による自殺未遂が以前から多いが、自治体の対策は自殺者の7割を占める男性が中心になりがちだ。ライフリンクによると、治療後の精神的ケアなどで未遂者を支援しているのは東京都荒川区や秋田市、大阪府警などに限られる。
         調査では、自分で自営業を始めた人の場合は経営難など最初の悩みを抱えてから2年、主婦は育児疲れやDV(ドメスティックバイオレンス)被害などで苦しんでから8年余りで、それぞれ半数が自殺する傾向も判明した。白書では、09~12年の警察庁の自殺者数データも独自集計。雇用形態、年代、同居人の有無などの観点から地域性を探り、「主婦が多い」「自営業者が多い」などの特徴を市区町村ごとに分析した。白書はライフリンクのホームページ(http://www.lifelink.or.jp)で公開される。
        http://mainichi.jp/select/news/20130301ddm041040158000c.html
        「毎日新聞」2013年03月01日

        ●自殺の10~20代女性、67%未遂歴=いじめ、虐待も遠因-NPO調査
         自殺した10~20代の女性の67%に自殺未遂歴があったことが、自殺問題に取り組むNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」(東京)がまとめた「自殺実態白書2013」で分かった。
         白書では07~12年までに自殺した人のうち523人について遺族らから聞き取り調査を実施。自殺未遂歴に関しては、全体では33%で未遂歴があり、女性は48%と男性(26%)の2倍近くに上った。
         自殺に至る主な要因として「事業不振」「職場環境の変化」「失業・就職失敗」「生活苦」「負債」「家族間の不和」「うつ病」などが挙げられた。
         過去に虐待やいじめなどを受けた経験が「自殺の遠因」になっていた可能性がある人は女性では19%と男性(12%)より高かった。
        http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013030100594&g=soc
        「時事ドットコム」2013/03/01

        ●京都府が「自殺対策条例」検討 「ゼロ」目指し対策印刷用画面を開く
         京都府内で2012年の年間自殺者数が15年ぶりに500人を切ったことを受け、府は自殺者ゼロを目指し、対策に力を入れる。地域ごとの特性に応じた市町村の施策への支援や各種団体間の連携を強化し、都道府県では全国初となる自殺対策条例(仮称)の制定も検討する。
         府内の自殺者数は1997年の467人から急増し、2000年の696人をピークに近年600人前後で推移していた。12年は464人となり、人口10万人当たりの自殺者数も17・6人と全国最低になったとはいえ、府は「依然として高水準」としている。
         府は、高齢者や中高年など地域の自殺者の傾向を踏まえて対策を行う市町村に対し、資金や講師派遣の面から支援する。悩みを抱える人への対応法などを学ぶ「ゲートキーパー」の養成にも力を入れる。研修受講者を現在の4500人から、14年度末までに1万人に増やすことを目指す。
         電話相談などを行う「府自殺ストップセンター」に精神保健福祉士らを増員するほか、自殺願望者を支援する相談機関のネットワークを強化し、受けた相談を適切に引き継ぐ仕組みもつくる。
         重症うつ病対策として、脳への磁気刺激でうつ症状の改善を目指す医療機器を府立洛南病院(宇治市)に導入する。自殺未遂者など「ハイリスク者」とされる人に絞った対策の実施も検討していく。
         13年度中に自殺対策条例を制定する方針で、学識者や相談機関の関係者らによる協議会を立ち上げ、内容を検討する。
        http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20130304000013
        「京都新聞」2013年03月04日

        ●成年後見制度:選挙権喪失は違憲 東京地裁判決
         成年後見人が付くと選挙権を失う公職選挙法の規定は法の下の平等などを保障した憲法に反するとして、ダウン症で知的障害がある茨城県牛久市の名児耶匠(なごや・たくみ)さん(50)が国に選挙権があることの確認を求めた訴訟で、東京地裁は14日、この規定を憲法に違反すると判断し、訴えを認める判決を言い渡した。同様の訴訟はさいたま、京都、札幌の各地裁で起こされており、今回が初の司法判断。
         定塚(じょうづか)誠裁判長は「選挙権を制限するやむを得ない理由があるとは認められない」と述べ、名児耶さんに対し「どうぞ選挙権を行使して社会に参加してください」などと語り掛けた。
         判決が確定すれば名児耶さんは投票できるようになる。違憲を解消するには公選法の改正が求められることから、昨年末の時点で成年後見人が付いている成年被後見人約13万6000人(最高裁調べ)の選挙権にも影響を与える可能性がある。
         判決は、在外邦人の投票を制限する公選法の規定を違憲とした最高裁大法廷判決(05年9月)を引用。今回問題となった規定が「公正を確保しつつ投票を認めることが事実上不能か著しく困難で、選挙権の制限がやむを得ない場合」に当たるかどうかを判断した。
         投票には「物事の道理を理解する能力が必要」としたが、「成年後見人を付ける際に審判で判断される財産の管理能力と、投票能力は明らかに異なる」と指摘。「成年後見人が付いても投票能力のある人は少なからずいる」とした。
         国側は「投票能力を個別審査する制度の創設は不可能で、成年後見制度を借用せざるを得ない」と主張したが、判決は「運用に困難が伴うからといって、一律に選挙権を奪うことが『やむを得ない』とはいえない」と批判した。
         さらに、障害者の自己決定を尊重し、通常の生活をする社会を作る「ノーマライゼーション」という成年後見制度の理念を重視。同様の理念に基づいて欧米で法改正が進んでいることに触れ「選挙権を奪うことは制度の趣旨に反し、国際的な潮流にも反する」と述べた。
        http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20130314k0000e040186000c
        「毎日新聞」2013年03月14日

        学校や社会福祉行政と管理・監視の支配関係。
        2013/03/01
        ある、いじめ・体罰をテーマにした、一般の方々を対象とした集会で発言を求められています。まだ先のことですが、ぼちぼちと発言内容をまとめています。5-6時間はしゃべれるなぁと思いつつ、スペシャルダイエットしなければなりません。13年分のおさらいができるので、今必要な振り返りと、問題意識の整理になります。基本は子どもの権利。追って、「研究ノート」で全文を公開したいと思っています。
         今日は、その発言のソースをいくつか、最近のTweetからひろってみます。
         子どもの権利条約の「意見表明権」。「思いを伝える権利」と言い換えたい。言語表現が困難な子どもたちがいるから。そして、思いを伝えられる(聴く)環境整備も不可欠です。当たり前の権利が侵害されている所(学校、家庭、病院、施設など)で、悲しい事件が起こることが、最近メディアで明らかに。
         学校事故・事件で子どもを自死などで亡くされた親御さんで、担任などへの怒りを持ち続けている方にお会いしたことがないように思います(直後は、私も含めて様々ありますけど)。怒りや無力感は、学校や教育委員会、教育行政の無責任さや隠蔽工作などに対して高まります。折り合えることはありません。
         遺族が望むのは、極論すれば2点です。事実の解明・検証と、再発防止への課題の明確化とその取り組みです。数多の犠牲を積み上げても、遺族が気を休められる、具体的な改善への取り組みがなされないことに、また怒りと無力感を高めます。大津市の第三者委員会報告書が骨抜きにされていかないように…。
         行政の担当者レベルは、同様に困っている人。当事者・家族・支援者と実現したい課題は同じで、役割が違う。と、考えることが大切です。共にソーシャルアクション! 予算や体制・仕組みがないと動きようがありません。権限を持つ首長や上層部の理解度・意識がモンダイ。議員さんたちの理解も重要です。
         管理、監視などの仕組みを作るのは、上下関係で上に立っていたい人が、その立場を維持するため、が理由のほとんどかと。それらが教育や社会福祉を「支える」ことはではないでしょう。どこからの圧力かわかりませんが、「視野狭窄」や「思考停止」から、信頼関係があれば不要なもの、と考えられない…。
         信頼関係のない上下の関係が破綻することは、学校事故・事件がその縮図として明らかにしてくれていると思います。スポーツ界でも職場でも…。直接関わる人との信頼関係を得る努力やその時間よりも、他の(おそらくは物的に)優先するナニカが大切にされる環境が、人を成長させることはないと思います。
         ここまでにまとめると3分くらいでしゃべれますが、わかりにくいですよね…。
         それでは、最近の気になる記事です。

        自殺実態白書2013/ライフリンク (サイト紹介)

         これまで5年間の歳月をかけ、多くの自死遺族の方たちと一緒になって進めてきた、「自殺実態1000人調査」 の最終報告と、2009年~2012年の4年間分の「地域の自殺の基礎資料」(内閣府がHPで公表している自殺者統計)の分析、そして、自死遺族の方々への聞きとり調査。今後の具体的な対策へとつなげるために、あらゆる角度から日本の自殺実態の解明に取り組んだプロジェクトの最終報告書です
        2013/02/28  『自殺実態白書2013』【第一版】  第1章:自殺の危機経路  第二章:自殺の地域診断  第三章:自死遺族の実状
        2013/03/01  全市区町村の「地域の自殺の基礎資料」をアップしました。
        http://www.lifelink.or.jp/hp/whitepaper.html
        2013/02/28

        http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html

        ●自殺至る期間に職業で差 遺族を調査
         自殺の実態を明らかにしようと、NPOや専門家が500人を超える遺族に聞き取り調査を行って分析した「自殺実態白書」がまとまりました。職業によって、自殺に至るまでの期間に大きな差があることが分かり、NPOは実践的な自殺対策に生かしてほしいとしています。
         この白書は、NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」が、精神科医や弁護士などとまとめたもので、NPOの代表や遺族が、28日、自殺防止対策を担当している森少子化担当大臣に、白書を手渡しました。
         白書では、平成19年から5年間かけて、家族を自殺で亡くした523人の遺族に聞き取り調査を行い、詳しく分析しています。
         それによりますと、自殺の要因が発生してから自殺に至るまでの期間について、職業別にグループの真ん中の値、中央値で比較すると、「みずから起業した自営業者」は2年、親などから「事業を継いだ自営業者」は4年7か月、正規の雇用者は4年、非正規の雇用者は6年11か月、主婦は8年3か月などとなり、特にみずから起業した自営業者の期間が、短いことが分かりました。
         また、遺族の58%は「自殺のサインがあったと思う」と回答しましたが、このうちの83%は、当時はそれが自殺の兆候だとは気付いていませんでした。
        NPOでは、5年前に最初の白書を公表したあと、さらにさまざまな角度から自殺の実態を詳しく分析したということで、代表の清水康之さんは「職業ごとに事情が異なるという傾向が新たに分かったので、国や自治体の実践的な自殺対策に生かしてほしい」と話しています。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130228/t10015862111000.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
        「NHK NEWSWEB」2月28日

        ●いじめ防止、条例化へ 5月にも提案 横浜市議会が意見募集
         いじめ問題が深刻化する中で、横浜市議会は、子どものいじめ防止に関する条例制定を目指し、一日から市民に意見募集を行う。締め切りは三十一日。議会は、条例案に市民意見を反映させた上で、五月開会の定例会への提出を検討している。成立すれば政令市で初の条例化となる。
         大津市の中学生の自殺のほか、横浜市でも昨年七月、金沢区の小学校で障害児への集団暴行が発覚し、議会内でいじめ対策の機運が高まっていた。一月以降、議会常任委員会の「こども青少年・教育委員会」が、条例化に向けた協議を進めている。
         常任委で検討している条例案では、行政、学校、保護者、地域住民、子どもたちの役割や責任を明記し、いじめを許さない子ども社会の実現を目指す。
         具体的には、社会全体でいじめ防止に取り組もうと、中学校学区ごとに学校、地域、保護者などからなる「いじめ防止会議」の設置をうたっている。このほか、解決が難しいケースには第三者機関の協力を仰ぐことも検討している。
         常任委の大桑正貴委員長は「条例化することで、社会に向け、いじめを絶対に許さないというメッセージを発信したい」と話す。
         市も二〇一三年度、子どもたち自身が主体的にいじめについて考える場として「子ども会議」の開催や、学校に派遣するカウンセラーの充実を図る。
         意見募集にあたり、議会は、子どもたち自身の意見も条例案に取り入れようと、全市立小中高などに意見募集のチラシを配布し、協力を呼び掛けている。
         意見募集のチラシは各区役所や地区センターなどでも配布するほか、議会のホームページ(HP)にも掲載している。意見は、議会のHPやファクスなどで受け付ける。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130301/CK2013030102000125.html
        「東京新聞」2013年3月1日

        ●中学3年間いじめに遭った男子生徒、京都市と同級生ら提訴 4480万円の損害賠償求める
         京都市立中学校に在籍中の約3年間、同学年の男子生徒ら5人から殴られたり蹴られたりするいじめに遭い、肉体的、精神的に苦痛を受けたとして、市立高校1年の男子生徒(16)=同市伏見区=が28日、市と5人らに慰謝料など約4480万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした。男子生徒はアスペルガー症候群で、原告側は学校側の同症候群への認識不足を指摘している。
         訴状などによると、男子生徒は平成21年に市立中に入学。同学年の男子生徒や下級生4人から日常的に全身を殴打されるなどの暴行を受け続けた。23年6月には集団暴行を受け、首や腰にけがを負ったほか、医師に難聴の疑いがあると診断された。24年2月には別の男子生徒1人から首を絞めるなどの暴行を受けたという。
         23年6月の集団暴行と24年2月の暴行について、男子生徒側は京都府警伏見署に被害届を提出。暴行した計5人のうち、同学年の2人が暴行の非行事実で家裁送致され、保護観察処分となった。
         男子生徒の父、平山智弘さん(42)は集団暴行後に学校側へ説明を求めたが、当時担任だった女性教諭から「これくらいのことは皆さん我慢している」と言われたという。
         原告側は学校側のアスペルガー症候群に対する認識不足を指摘。「いじめの対象となることは予想できたが、学校はいじめを防ぐ義務を怠り、落ち度は大きい」などと訴えている。
         一方、市教委は「加害生徒への指導など適切に対応している。訴状の内容を十分検討し、対応したい」としている。
        http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130228/waf13022820400038-n1.htm
        「産経新聞」2013.2.28

        ●小5自殺で両親手記「学校統廃合、再検討して」
         大阪府大東市の小学5年の男児(11)が学校の統廃合の中止を求めるメモを残して自殺した問題で、男児の両親が17日、読売新聞などに現在の心境を記した手記を寄せた。
         両親は「心の叫びをキャッチできず、本当にごめんなさい」と悔やみ、子どもが物事を変えるために死を選ばないよう訴えているほか、男児が通っていた小学校の統廃合については再検討を求めている。
         男児は14日夕、「一つのちいさな命とひきかえに、とうはいごうを中止してください」というメモを残し、JR片町線野崎駅で電車に飛び込み、自殺した。
         両親は手記で、男児から最近「統廃合について、子どもの意見を聞いてくれるところはないの?」などと尋ねられ、閉校式の練習があった12日夜には男児が「みんな気持ちが違うんやから団結せー言われてもできへんやんなー」と憤慨していたことを明かした。
         両親は「閉校式の練習などを頑張れば頑張るほど、統廃合という自分の思いとは逆の方向に進んでいってしまうことに心の矛盾を抱え、自分自身を追い込んでしまったのでしょう」とし、「傷ついた羽を休めてあげることが出来なかった。後悔しても後悔しきれません」とつづった。
         そのうえで「物事を変えるために子どもができることが死だとは決して思わないでほしい。生きて働きかけ、世の中を変えてほしい」と強調した。
         学校の統廃合には「子どもたちがどう感じているか意見を話し合う場を十分に持つことなく進められたことに一番の問題がある」と指摘。「子どもたちの納得と理解を得られるかたちで、時間をかけて是非から再検討してほしい」とした。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130217-OYT1T01125.htm?from=tw
        「読売新聞」2013年2月18日

        ●世田谷の中1女子 自殺 いじめきっかけ 学校、対応ミス認める
         東京都世田谷区の私立中学一年の女子生徒=当時(13)=が昨年十二月、自殺した問題で、同校校長が二十三日記者会見し、調査結果を発表した。昨年七月から友達にからかわれ「自殺当日、学校での昼食中に言葉によるいじめを受けたことが(自殺へと)背中を押すきっかけになった」として、いじめが自殺の原因の一つであると認めた。 (小形佳奈)
         学校が生徒や教員から聞き取った調査結果によると、女子生徒が昨年七月ごろ、友達に自分の秘密を言い触らされ、そのことで複数の級友からからかわれるようになったという。スカートめくりや「うざい」「きもい」などの言葉を受けたり、十月下旬ごろからはツイッターにも同様の言葉が書きこまれるようになった。生徒の携帯電話の中身を見たり勝手にメール。女子生徒がジュース代などとして貸した数百円から三千円が返ってこないこともあったという。
         女子生徒の父親から昨年十一月中旬、「娘がいじめを受けている」と相談があったが、担任が女子生徒との面談から「友人関係の悩み」と判断、いじめとは断定していなかった。
         校長は「自殺の原因は複数あるが、昨年七月ごろから友達にからかわれるようになり、それがエスカレートしていじめにつながった」と話し、女子生徒の悩みの深さに気付かなかった対応のまずさを認めた。
         女子生徒は昨年十二月八日に小田急線座間駅で電車にはねられ死亡。座間署によると、生徒のノートに「いろいろされたけど何があったかはいわない」と記された上で、複数の生徒の名前が記されていた。
         学校は二十三日午後、保護者会でカウンセラー体制の充実や「いじめ解決のための生活アンケート」を学期ごとに行うなど再発防止策について説明した。
         ◇終始あいまいな説明
         「わかりません」「説明できません」。女子生徒が通った私立中学校の記者会見で、校長は「いじめが自殺の一つの原因と言うなら、ほかの要因は」との質問に、あいまいな説明に終始した。
         校長はプライバシーを理由に詳しい説明を拒んだ上、「遺書にはそう(いじめが原因と)あったが、生徒への聞き取りやツイッターへの書き込み内容などから、思春期特有の悩みもあったと判断した」とも述べ、いじめ以外の理由を示唆した。
         遺族は自殺直後、「とにかく原因が知りたい」と、学校側に徹底的な原因調査を求めたという。
         学校は自殺翌日に校長、担任や外部の危機管理コンサルタントら十一人からなる調査委員会を立ち上げた。学校は女子生徒の保護者と自殺後、四回面会し、聞き取り内容は全て文書で手渡している。
         ただ、生徒への聞き取りは第三者によるものではなく、校内の教員だけで行ったという。私立学校は、市区町村の教育委員会の管轄外で、都内の私立学校を管轄する都私学部も調査手法や内容に踏み込むことはない。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013022402000111.html
        「東京新聞」2013年2月24日

        ●中2自殺、大津市長が県に要望 「守秘義務確立を」
         大津市の中2男子自殺で越直美市長は4日、滋賀県の嘉田由紀子知事らに、先月31日に自殺に関する第三者委員会から提出を受けた報告書を手渡し、スクールカウンセラー(SC)の守秘義務を確立することを訴え、倫理研修の実施などを要望した。
         越市長は、報告書で「自殺後、SCが、確たる証拠がないのに(男子生徒の)家庭に問題があったとした学校の考えを補強したと疑われる」との指摘があったことを紹介。SCが教員や生徒から得た情報を学校に全て伝えている現状について「どういう場合に学校と情報共有するか、事前に子どもに伝える必要がある」と倫理研修の必要性を訴えた。
        http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-202206-storytopic-1.html
        「琉球新聞」2013年2月4日

        ●いじめ対応の指導力を、教員に1年間の長期研修
         大津市で平成23年10月、市立中2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題を受け、市教委は、いじめ問題に適切な対応が取れるよう教員に指導力を身につけさせるための長期研修を来年度から実施することを決めた。教員から公募し、1年間にわたり社会福祉施設などで働いてもらう。
         男子生徒が平成23年10月に自殺した際、教員の指導力不足が指摘されたことを受けた措置。5年以上の教職経験を持つ45歳未満の中学校教員3人程度を公募し、社会福祉施設や社会教育施設に1年間派遣する。
         こうした研修の設定は全国的に珍しいといい、市教委は「施設で1年間、施設職員と一緒に働く中で、感性や資質を高めてほしい」と期待している。
         また、いじめ問題に適切に対応するため、教職6年目を迎える教員を対象にした5日間の夏季研修を実施することも決めた。
         このほか、いじめを発見しやすいとされる養護教員の拡充や、地域の関係者で学校運営を支える「学校・地域コーディネート本部」を一部の小・中学校に設け、いじめ防止の「目」を光らせることなども決めた。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/130222/edc13022214280001-n1.htm
        「産経ニュース」2013.2.22

        ●教育再生実行会議:道徳の教科化も 「いじめ対策」効果どこまで
         政府の「教育再生実行会議」(本部長・安倍晋三首相)が26日、第1次提言の「いじめと体罰対策」を取りまとめた。いじめについて、学校が警察と連携することや解決を図る第三者組織の設置、道徳の教科化、体罰対策としては子供への懲戒と体罰の明確な区別、国が部活動指導の指針を作ることなどを求めている。だが、道徳の教科化などには有識者から懐疑的な意見も。体罰の対策についても、教員から「懲戒と体罰の線引きができるのか」と疑問の声が上がっている。
         いじめ問題に詳しい千葉大の藤川大祐教授(教育方法学)は、道徳の教科化について「制度を変えることで何がよくなるか分からない」と指摘する。いじめが深刻化するリスクを減らすために、背景にある教師の多忙や孤立への対応が必要として「今回の提言がリスクの減少につながるとは考えられない」と批判する。
         大津市の中学2年の男子生徒が自殺した問題で、市の第三者調査委員会委員も務めた教育評論家の尾木直樹氏も「道徳心は日常の先生とのやり取りで育つ。道徳の教科化でどこまで形成されるか」と効果に懐疑的だ。また、いじめの解決に当たる第三者組織については自らの経験から、元校長など地元の利害関係者が入ることの弊害を指摘。「専門弁護士を養成して活用してはどうか」と提案。一方で、体罰禁止のために部活動指導のガイドライン策定が盛り込まれたことについては「大阪市で高校生が自殺した問題から2カ月あまり。短期間で提案できたのは評価できる」と話す。
         東京都内の中学校長は、いじめ防止目的の道徳教科化について「目の前のことに追われ、教員同士で教育の議論をする余裕がない中で、心の問題にどう迫るのか難しい」と教師の心情を代弁。「教科化の具体的な内容が分からないだけにどうなるか不安だ」と話す。
         体罰対策についても「生徒が体罰だと感じれば体罰になる。ここまでは懲戒、ここから体罰と分けられればいいが、線を引けるか疑問だ」と話した。【苅田伸宏】
         ◇大津市教委「厳粛に受け止める」
         今回、いじめや体罰問題の発端となった現場は提言をどう受け止めているのか。
         中学2年の男子生徒が自殺した問題で、いじめへの対応が批判された大津市教委。松田哲男教育部長は「厳粛に受け止めている。道徳の教科化について評価する立場ではないが、どう魂を入れて運用するかが重要。新年度からのいじめ防止対策の更なる拡充も検討したい」。また、今月19日に就任した富田真市教育長は「出された方向性に従い、教育行政にしっかり反映させたい」と話した。
        http://mainichi.jp/feature/news/20130227ddm012010072000c.html
        「毎日新聞」2013年02月27日

        ●心のノート全面改訂へ 文科相方針 14年度から使用
         下村博文文部科学相は二十六日の閣議後の記者会見で、道徳用の副教材「心のノート」を二〇一四年度から間に合うよう全面改訂する方針を明らかにした。政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早大総長)が、いじめ対策の一環で提言した「道徳の教科化」を受けた措置。近く有識者会議を立ち上げ、改訂のあり方や道徳の教科化の方向性を示す。
         心のノートは二〇〇二年度から文科省が配布。小学校の低、中、高学年用と中学生用の四種類ある。民主党政権時の事業仕分けで予算が削減され、一〇年度から配布せず、文科省ホームページからダウンロードして使う方式に変わった。自民党の政権復帰で予算が復活した。七月にも小中学校の全児童・生徒に配布される予定だ。
         下村文科相は「有識者会議で、心のノートのあり方や道徳教育を担当する教員の研修について議論してもらい、道徳の教科化の方向性を決めたい」と述べた。他の教科のように成績評価の対象とするかについては「なじまない」と明言し、「国が教材をつくり、子どもたちに規範意識、社会で生きるルールをきちんと教えることが必要だ」と述べた。
         こうした動きに対し、東京都内の男性非常勤教諭(65)は「子どもの多様性や自己肯定感をいかに持ってもらうかが大切なときに、国が教科書をつくるのは、画一的な人間像を押しつけることにつながる」と話していた。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013022702000125.html
        「東京新聞」2013年2月27日

        ●奨学金返済 40%超が生活苦訴え
         日弁連=日本弁護士連合会が、全国で奨学金の返済に関する電話相談を行った結果、「生活が苦しく返済できない」という相談が全体の40%以上に上っていることが分かりました。
        来月、弁護士らが全国組織を作って救済に向けた取り組みを進めることになりました。
         大学生などを対象にした奨学金は、年間120万人余りが利用する日本学生支援機構の制度や自治体が設けたものなどがありますが、多くは「貸し付け」で返済が滞るケースも出ているため、日弁連は先月から今月にかけて東京や大阪など全国44の弁護士会を通じて電話相談を行いました。
         その結果、全国で453件の相談が寄せられましたが、「生活が苦しく返済できない」という内容が全体の42%と圧倒的に多くなったことが分かりました。
        この中には「650万円を借りたが就職先が見つからない」とか、「生活保護を受けていて自己破産を考えている」といった深刻な内容も多く、親からも「子どもが病気になったが、自分は年金で生活しているため支払いが難しい」などの相談が寄せられたということです。
        担当した弁護士らは来月、「奨学金問題対策全国会議」を発足させ、利用者を救済する取り組みや、返済を猶予する制度の拡充などを求める活動を進めることにしています。
         ◇奨学金返済が足かせ
         電話相談を担当した「日弁連貧困問題対策本部」の岩重佳治弁護士は、「電話相談では生活に追われ疲れ切った声で問い合わせる人が多かった。卒業後に奨学金が足かせとなって苦しい生活から抜け出せない、いわば「負の連鎖」が起きていることが問題で、返済を猶予する制度の拡充や、奨学金を給付制にするなど制度の改革を求めたい」と話していました。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130223/k10015732381000.html
        「NHK NEWSWEB」2月23日

        ●発達障害で懲役20年判決破棄、高裁は14年に
         自宅を訪ねてきた姉(当時46歳)を刺殺したとして殺人罪に問われ、1審・大阪地裁の裁判員裁判で広汎性発達障害の「アスペルガー症候群」を理由に求刑を4年上回る懲役20年を言い渡された無職大東一広被告(42)(大阪市平野区)の控訴審判決が26日、大阪高裁であり、松尾昭一裁判長は1審判決を破棄し、懲役14年を言い渡した。
         松尾裁判長は犯行に至る経緯や動機には障害が大きく影響したと指摘し、「刑事責任は低減される。更生への意欲も認められる」と述べた。
         判決によると、大東被告は小学5年の頃から自宅に引きこもり、自立を促す姉に恨みを募らせて犯行を計画。2011年7月、腹などを刺して殺害した。
         昨年7月の1審判決は、障害に対応する受け皿が社会になく、再犯の恐れが強く心配されるとし、「許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序維持につながる」とした。
         これに対して松尾裁判長は、犯行には意思疎通が困難なことなど同症候群に特有の障害が影響したとし、「被告のみを責めることはできず、量刑判断にあたって相当程度、考慮されるべき事情だ」と判断。
         さらに、元受刑者の社会復帰を支援する「地域生活定着支援センター」などを挙げて、「公的機関による対応がなされている。被告も更生への意欲を示している」と結論付けた。
         ◆アスペルガー症候群◆ 生まれつきの脳機能障害のため、対人関係の構築や意思疎通、感情のコントロールなどが苦手とされるが、犯罪などの反社会的行動とは直接結びつかないとされる。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130226-OYT1T00857.htm?from=rss&ref=rssad
        「読売新聞」2013年2月26日

        【日弁連】発達障害のある被告人による実姉刺殺事件の大阪地裁判決に関する会長談話
        http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120810_3.html

        ●生活保護世帯の小中生支援 福岡市、無料学習の場提供
         学力向上で貧困の連鎖を断つ-。福岡市は新年度、生活保護世帯の小中学生向けに、無料の学習指導事業を本格導入する。子どもたちの進学や就職の可能性を広げ、自立を促して貧困の連鎖を断つ狙い。初期のつまずきを防ぐため、小学1年生から対象とする。
         厚生労働省によると、本年度の全国の高校進学率は98%だが保護世帯に限ると9ポイント低い89%。家に机が無いなど学習環境に恵まれずに低学歴となり、成人しても十分な収入が得られなくて保護を受ける悪循環に陥りがちだという。国は保護世帯の無料学習支援に取り組む自治体に、2009年度から助成を開始。12年度は94自治体が行っているが、主な対象は受験期の中学生となっている。
         福岡市の学習支援は、市内4中学校区に教室を設け、NPO法人3団体に運営を委託。研修を経た大学生が週1回、放課後から午後7時ごろまで、基礎から個別指導する。昨年12月から試行したところ約25人が参加。新年度予算には事業費2260万円を盛り込み、約80人の参加を見込む。
         教室の運営を担当するNPO法人「子どもNPOセンター福岡」の吉田まりえ常務理事は「個別指導を通じて『大人に大切にされている』と実感し、生活態度が良くなる子どもが増えてきた」と語る。市保護課は「いずれは、卒業生が教える側になって戻るような場所にしたい」としている。
        http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/350326
        「西日本新聞」2013/02/28
        学校事故・事件に関するカウンセラーなどの役割について考える。
        2013/02/22
        前回に続き、大津市自殺事件での第三者委員会報告書に関する話しです。
         同報告書では、スクールカウンセラーの役割、運用の在り方について以下のような記述が見られます。
         「カウンセリング情報がそのまま学校管理者である市教育委員会の下に提供されたのではないかと考えられる」
         「スクールカウンセラーといった専門家が…深く関与していているのではないかということが窺われ、また、その黄務遂行においてプライバシーの厳守の原則が揺らいでいるのではないかと疑われる局面が見られた。これらは、スクールカウンセラーの専門性、独立性、中立性を骨かす重大な問題である」
         「当該県の「平成24年度スクールカウンセラー等の活用事業について」によれば、「スクールカウンセラ-の職務等」として、校長の指揮監督の下に、①児童生徒へのカウンセリング、②カウンセリング等に関する教職員に対する助言・授助、③児童生徒のカウンセリング等に関する情報収集・提供、④その他児童生徒のカウンセリング等に関し、各学校において適当と認められるもの、となっている。これを根拠にスクールカウンセラーは、校長の指揮監督下で、児童生徒のカウンセリング等に関する情報収集・提供をさせられる危険性がある。先に問題点としてあげたカウンセリングメモこ関する問題は、この規定に由来すると考えられる。か<て、スクールカウンセラーの業務そのものが、学校の生徒指導体制下に組み込まれ、教員の仕事を援助ないしは補完するためのカウンセラーとなり、完全に教員の「下的け機関化」しているかのような様相がある。このような現況は極めて不正常であり、臨床心理士の職質にも関わるために、緊急に改めることが求められる」  ある意味、これが臨床心理士のスクールカウンセラーとしての学校配置の目的であり、実態であり、報告書が指摘するように改められなければなりません。しかし、こうした実態は、心理士個人レベルの問題ではなく、学校管理職や教育行政による「勝手な解釈」によるご都合主義的な「活用」であることこそが問題ではないでしょうか。  「臨床心理学」が、「スクールカウンセラーの配置」という枠組みによって誤用されている問題は、学校事故・事件の事実解明を目的に設置される「第三者委員会」や、裁判での学校による「調査」の開示においても散見されます。  ある事案では、当初「学校が調査した事実部分のみの開示(個人を特定出来る部分は非開示とし)との決定」が裁判所で下された後、「原告は情報公開請求をしておりそこで開示された(実際は全部黒塗りで何も読めない)内容が既に"公定力"を有しており、裁判所としてもそれを超える決定は出来ない」という理由(?)で学校側は即時抗告、裁判所は「カウンセリング目的なので開示出来ない」として逆転非開示となっています。  在校生から事実解明を目的として収集した「アンケート」自体の問題もありますが、集めたものを公開しないことは、子どもたちが知っている事実を隠蔽する行為であり、それを「カウンセリング目的」を理由として、裁判所もそれを容認するという異常な事態です。  「カウンセリング目的のアンケート」というものがそもそも存在するのでしょうか。これは誤用を超えて、悪用と言うほかありません。臨床心理面接も行う「カウンセラー」の端くれとして、このテーマは追いかけて行きたいと思います。  それでは、最近の気になる記事です。 「不登校自殺」 悔い続ける遺族 苦しみに寄り添えず…(上)  育ち盛りの愛するわが子が、親より先に自ら死を選ぶ。これほどつらい経験があるだろうか。  ◇「楽になれたか…」  今から13年前の平成12年2月4日。小雪がちらつく京都府内の病院の霊安室で、出張先の東京から駆け付けた木下秀美さん(51)は中学3年の長男、学さん=当時(15)=に嗚(お)咽(えつ)しながら語りかけた。表情は穏やかで、まだ赤みもある。だが首に巻かれた包帯の下からのぞくロープの傷痕を見て、かすかな望みも許されないと悟った。  その日は私立高校を受験する日だった。学さんは午前4時ごろ、自宅で首をつって命を絶った。遺書にはこう書かれていた。  「自分に自信がなく、このままだと、ろくな大人になれないと思いました。これ以上、家族や先生に迷惑をかけられないと思った」  学さんは中2の2学期から学校を休みがちになり、中3の秋からは完全に不登校になった。理由を尋ねると「授業が分からない。ついていけないのに、どんどん進んでいく」と答えた。  自殺前日、学さんに変わった様子はまったくなかったという。夕食を終え、入試に持参する弁当のおかずをリクエストし、お気に入りのテレビ番組を見た後、いつも通り自室に入った。ただ唯一違ったのは目覚まし時計が4時にセットされていたことだけ…。  印刷会社で役員を務め、働き盛りだった38歳の父親が直面したわが子の死。木下さんは今も、その理由を問い続けている。  ◇生きる意欲そがれ  わが国で深刻な社会問題となっている自殺。警察庁の統計によると、10年に初めて3万人を超えたことを機に国が対策に乗り出し、18年に自殺対策基本法が制定された。22年から減少に転じ、昨年は2万7771人(暫定値)で、15年ぶりに3万人を切った。  一方で、若者の自殺は増加傾向にある。23年の「学生・生徒」は前年より101人(11%)増の1029人で、調査を開始した昭和53年以来、初めて1千人を超えた。学業や進路の悩みを苦にしたケースが多い。  小中高生でみると、平成23年は前年より66人増加し353人。平成以降は200~300人前後で推移しており、350人以上の高水準となるのは、昭和61年以来25年ぶりだ。  精神科医の町沢静夫さん(67)はこうした傾向を「学校、社会、家庭での苦しさの反映」とみる。「少子化の中、過保護に育てられるので対人過敏の傾向が強い。嫌われたり、叱られたりすることに反応が高く、衝動的に死を選ぶ」  NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」代表の清水康之さん(41)は「いじめ、虐待、就職難など子供の生きる意欲が社会でそがれている」と指摘する。「周りの評価におびえ、自己を押し殺して作り笑いをしながら生きる子供は少なくない。そんな中で壁にぶつかると、壁を乗り越えてまで生きようと思わなくなる」  ◇「社会変えてくれ」  「不登校自殺」。木下さんは学さんの死をこう表現する。当時、学さんの中学は"荒れ"が激しかったという。校内でたばこ、教師への暴言、授業中にゲーム…。不登校率は5%を超え、府内で突出していた。  木下さんは学習の機会を奪われ、自己を見失ったことも自殺の一因と考え、京都弁護士会に人権救済を申し立てた。同弁護士会は学習権の侵害を認め、府教委や学校に改善を求めた。  一定の「成果」を勝ち取ったものの、木下さんは「息子を直接追いつめた一人」として今も悔やみ続けている。「世間並みに高校は出ておかないと」。そんな親の願いを一方的に押し付け、叱(しっ)咤(た)激励という形で登校や進学を促したこと。日々の仕事に追われ、息子の苦悩に寄り添うことができなかったこと…。  学さんの死後、仕事をやめた木下さんは大学院で臨床心理などを学び、精神保健福祉士の資格を取得。府内にカウンセリングルームを開き、不登校や引きこもりなどの相談に応じている。木下さんは、学さんが死をもって、こう訴えているように感じている。  「人が人として大切に育てられ、自分らしく生きられる社会に変えてくれ」      ◇  昨年はいじめを受けた大津市の中2男子、今年は体罰を受けた大阪市の市立高の高2男子の自殺が社会に波紋を広げた。今月14日には大阪府の小5男児が電車に飛び込むなど、子供たちの自殺はその後も止まらない。なぜ死を選ぶのか。防ぐには何が必要なのかを考えたい。 http://sankei.jp.msn.com/life/news/130218/edc13021811130001-n1.htm 自殺率、G8ワースト2 子供への対策に遅れ(中)  「いじめや体罰などを受けた子供の自殺は社会やマスコミの関心が高く、第三者委員会などで調査されるケースも増えているが、原因が分かりにくい自殺についても同様に詳しい調査が必要だ」  平成12年9月に埼玉県新座市の中学2年だった次男、陵平さん=当時(13)=を亡くした大貫隆志さん(56)は訴える。  陵平さんは、学校であめを食べたことを教員から注意された翌日、飛び降り自殺した。大貫さんは学校側に原因究明を求めたが、担任と面会できたのは約1カ月後。学校側はほとんど調査せず、話し合いも3回で打ち切られたという。  文部科学省の「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」の主査を務める筑波大の高橋祥友(よしとも)教授(59)は「子供の自殺が起きると、いじめがあったかなかったかだけに傾注するのは日本独特の風潮」と指摘。「学校や社会は死からしか学べないことは何かという姿勢で、すべてのケースの原因を究明した上で自殺予防の教育を普及させていくことが不可欠だ」と強調する。  ◇国挙げ取り組み  高橋教授によると、欧米では自殺予防教育が盛んに行われており、国を挙げた取り組みの結果、自殺率が大幅に減少する成果を出している国もあるという。  人口10万人当たりの自殺者数(自殺率)が30前後と世界的に高かったフィンランドでは世界保健機関(WHO)から提言を受けたことなどを機に、1980年代から本格的な自殺対策をスタートさせた。自殺が起きると、専門家チームを派遣し、遺族の同意を得て自殺直前の行動を詳しく聞き取った。調査には遺族の96%が協力したという。  詳しく分析した結果、自殺者の80%が鬱病かアルコール依存症を発症していたことなどが判明。このデータを基に対策を取った。  具体的には「メディカルモデル」と「コミュニティモデル」といわれる2つの考え方。前者は自殺の背景には精神疾患が隠されているケースが多いとして、早期に発見して治療につなげるというもの。後者は健康な人へのアプローチで、悩みを抱えたときに助けを求められないことが多いため、適切な援助を呼びかけるという考え。2つのモデルの組み合わせにより、同国では15年間で自殺率を30%減少させることに成功したという。  ただ同国でも、若者に関しては、いまだに高水準が続いている。WHOのデータによると、15~24歳の自殺率は17・8(2009年)。日本は15・2(同)で、主要8カ国(G8)ではロシアの25・8(06年)に次いで高い。  ◇相談相手は仲間  若者の自殺率が日本より30%程度低い米国では、児童・生徒向けの自殺予防教育が多くの州の学校で行われている。その背景には「子供が自殺を考えるほど追いつめられたときに相談する相手は、圧倒的に同世代の仲間が多いことから、相談された際にどう対応すべきかを教育するという考え方」(高橋教授)がある。  対処方法として強調するのは「早期の問題認識」と「適切な援助希求」の2点。具体的には(1)問題に早く気づく(2)誠実な態度で相手に関わる(3)秘密にしないで信頼できる大人に相談する-の3点という。  多くの州では、こうした自殺予防教育を担当する教員らへの訓練プログラムが整備されているほか、学校での自殺予防教育の内容について、保護者や地域の精神科医療機関などにも周知徹底するよう配慮されている州もあるという。  欧米に比べ、日本では、子供の自殺対策への取り組みは進んでいない。 http://sankei.jp.msn.com/life/news/130219/edc13021908350001-n1.htm 「寝た子」はいない 適切な予防教育急務(下)  自殺を防ぐためには誰が「ゲートキーパー」になるかが重要とされる。ゲートキーパーとは悩んでいる人に気づき、話を聞いて、必要な支援につなげる人だ。  学校の担任が自殺願望の強い母子を寸前で救ったケースがある。その一家は父母と高校生の長男、小4の次男の4人家族。長男は成績優秀で両親の期待を一身に背負っていたが、ある日の早朝、オートバイで事故死した。タクシーを使うよう注意した母親は「もっと強く止めておけば…」と自らを責め、自殺未遂。次男も画鋲(がびょう)を口に入れるなどの奇行を繰り返した。  担任が尋ねたところ、次男は「お母さんが飲まなかったお酒を飲んで『一緒に死のう』と言う。お兄ちゃんではなく僕が死ねばよかったんだ」と打ち明けた。  自殺の危機を察知した担任は、次男、母親とも精神科の治療につなげたという。  文部科学省の「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」の主査を務める筑波大の高橋祥友(よしとも)教授(59)は「子供の自殺は家庭の問題が深いケースもある。親も問題を抱えると、子供のサインに気づけないため、最初のゲートキーパーとして教員の役割は重要」と指摘する。  同会議は平成21年に教員向けの自殺予防教育の冊子を作成。次に導入を検討しているのが、直接子供を対象とした教育だ。  ◇「共感系」が大勢  「死にたいと打ち明けられたら、どうしますか」  昨年9月、長崎県大村市の医療法人カメリアが主催した子供の自殺予防のワークショップで、自殺予防教育を10年以上研究してきた四天王寺学園小学校(大阪府)の阪中順子教諭(60)が、全国から集まった自殺関連団体や行政関係者ら約50人に語りかけた。  参加者は2人一組のロールプレー(役割演技)に取り組み、相手役は(1)説教系「命は大切。そんなこと言ったらだめ」(2)励まし系「元気出して頑張って」(3)共感系「そんなにつらかったんだ。よかったら話して」-の3パターンで応じた。  これは阪中教諭が平成10年以降に3度、ある中学校で実践した授業の再現。参加者からは「共感系だけが悩みを話す気になった」との感想が大勢を占めた。  阪中教諭は「友達に死にたいと相談されたときに大事なのは『よい話し手』になるのではなく『よい聞き手』になること。その上で信頼できる大人につなげることが予防の基本」と話す。  ◇理解に温度差も  わが国の教育現場では、子供への自殺予防教育について消極的な風潮が強い。その背景には、健康な子供にも自殺願望が芽生えるのではないかという「寝た子を起こす」論がある。  自殺予防の講演を行うNPO法人「自死遺族支援ネットワークRe」代表の山口和浩さん(32)が昨年、自殺率の高かった九州の自治体の全中学校を回った際、露骨に嫌な顔をする校長がいたという。「校長によって理解に温度差がかなりある。漠然とした大人の不安感があまりにも大きすぎるのではないか」  阪中教諭は自殺予防教育実践の有無と自殺願望の変化を調査。男子では顕著な差が出なかったが、女子では明確に出た。  実践無しのうち「死にたいと思ったことがある」との質問に「どちらかと言えばその通り」(グレーゾーン)と答えた生徒の率は中1から中3にかけ9ポイント上昇したのに対し、実践有りでは1ポイント減少。「その通り」(ハイリスク)は実践の有無でほとんど差はなかった。阪中教諭は「グレーゾーンの生徒には教育効果があることがうかがえる半面、ハイリスクの生徒には効果が低く、個別のケアが必要」と分析する。  高橋教授は強調する。「子供はもはや寝ておらず、ネットなどから誤った情報を得る可能性もあり、適切な自殺予防教育が急務。その際、教員や保護者など関係者の合意形成とハイリスクな子供へのフォローアップが欠かせない」 http://sankei.jp.msn.com/life/news/130220/edc13022008410005-n1.htm 「産経ニュース」2013.2.18-20 ●宝塚市:いじめ、体罰から子ども守る 人権擁護委員設置へ /兵庫  宝塚市は19日、学校でのいじめや体罰から子どもを守るため、第三者組織「いじめ及び体罰に係る子どもの人権擁護委員」を今年5月、市長部局に設置することを明らかにした。弁護士や臨床心理士ら専門家2人を非常勤特別職として委嘱。相談や調査のうえ、市長に是正などを要請する。報酬など必要経費356万円を13年度一般会計当初予算案に盛り込んだ。  市によると、市内に在住・通学する高校生までの子どもへのいじめや体罰を対象とし、相談は市民以外からも受け付ける。委員は親や子どもに助言や支援をし、市長に対しては是正を要請する。市長は市の機関には命令、市教委には是正勧告、私立学校などには是正を要請する。事務局は市子ども政策課。平日の午後1~6時に電話などで相談を受ける。  川西市の第三者機関「川西市子どもの人権オンブズパーソン」などを参考に制度設計。公平性を保つため、市教委ではなく、市長部局に置くことにした。当面は宝塚市の要綱で設置し、いじめや体罰にテーマを特化する。将来は条例化し、他の人権侵害への対応も検討する。 http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20130220ddlk28010405000c.html 毎日新聞 2013年02月20日 地方版 ●シンポジウム:自殺と精神疾患、議論 40人参加−−遺族弁護団 /東京  自殺者の遺族を法的に手助けする「自死遺族支援弁護団」が17日、精神疾患を抱えた自殺者をテーマに都内でシンポジウムを開き、約40人が参加した。鉄道や賃貸住宅での自殺で損害が生じ、遺族が多額の賠償請求をされる例や、自殺の場合は生命保険会社に保険金支払いを一定期間免責する仕組みを巡り、弁護士や精神科医、遺族が議論した。  精神疾患のため自分の意思で自殺したと言えない場合、賠償責任などが否定される例外はあるが、法曹界でも依然、自殺を「自ら選んだ死」とする考え方が根強いという。自殺者の多くは精神疾患を抱えているとされ、シンポではこの考え方が現実に合っているかを問題提起した。  精神科医の天笠(あまがさ)崇さんは、自殺に至るまでの精神状態を解説。「自分の意思というより、病的に、健康なときとかけ離れた精神状態で自死される方がほとんどでは」と述べた。  弁護団事務局長の生越(おごし)照幸弁護士は、労災認定を受けたのに生命保険金が当初支払われなかった事例を紹介した。和泉貴士弁護士は「保険金目当てではないことが明らかでも、例外を簡単に認めない運用が問題では」と話した。  弁護団の相談電話は050・3786・1980(水曜正午~午後3時)。対応時間外でも着信があれば掛け直す。 http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20130218ddlk13040101000c.html 「毎日新聞」2013年02月18日 ●成年後見人:NPO、60代受刑者の出所後支援 名古屋  寝たきりで知的障害の疑いもある60代の男性受刑者の成年後見人に、NPO法人「名古屋成年後見センター」(名古屋市緑区)がなり、出所後の生活支援を行うことになった。引き取り手が見つからない男性を支援することで、犯罪を繰り返す「累犯者」に陥ることを防ぐ。専門家によると、服役中からNPO法人が成年後見人になるのは全国でも異例。  センターは、出所後の行き場がない同じ境遇の高齢者や障害者が罪を重ねることがないよう、成年後見人になるケースを増やしたい考え。専門家は「期待できる試み」と評価している。  センターによると、男性は09年の脳梗塞(こうそく)をきっかけに右半身がまひし、言葉も思うように出なくなって医療施設を転々とした。11年4月、タクシーに無賃乗車して詐欺罪で執行猶予付き判決を受けた。その10日後には無施錠の車から現金を盗んで検挙され、同7月に実刑判決を受けた。名古屋刑務所(愛知県みよし市)で服役している。  今月20日に出所予定だが、独身で両親とは死別。所持金も170円しかなく、生活のめどが立っていない。このため、刑務所や愛知県の施設「地域生活定着支援センター」の働きかけで昨年12月、名古屋成年後見センターが成年後見人となった。  同センターは有料老人ホームへの入所手続きなどを行い、生活保護費を管理して入居料を納めるなど、男性の生活を支援する。  法務省の統計では、11年に刑務所に入った受刑者のうち65歳以上の高齢者は8%、知的障害が疑われる人は22%を占める。  高齢者のうち服役2回以上は58%に上るなど、犯罪抑止や福祉面から累犯者対策がクローズアップされ、司法と福祉の連携強化が課題となっている。国は09年から、出所者の福祉支援を担う地域生活定着支援センターの設置を全国で進めている。  名古屋成年後見センターの石川徹理事長は「もっと早く男性に福祉の手が届いていれば、犯罪を重ねることもなかったと思う。今回の支援を成年後見制度の普及と活用につなげたい」と話す。  累犯問題に詳しい浜井浩一・龍谷大法科大学院教授(犯罪学)は「従来の刑務所には無かった発想だ。高齢者や知的障害者の受刑者に対する社会の関心が高まり、各地に地域生活定着支援センターができたからこそ生まれた成果で、累犯防止に向け期待できる試みだ」と評価している。  【ことば】成年後見人  認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が十分ではない人に代わり、財産管理や契約行為、法定手続きなどを行う援助者。本人や配偶者、親族、検察官、市町村長などの申し立てにより、家庭裁判所が選ぶ。親族ら個人のほか、NPOなどの法人もなれる。本人の同意がない不利益な契約を後から取り消すこともでき、行った職務内容は家裁に報告する。 http://mainichi.jp/select/news/20130220k0000m040157000c.html 「毎日新聞」2013年02月20日 ●障害者支援4億円消えた 景気優先で冷遇  文部科学省が、障害者の大学教育支援のために要望していた予算四億四千万円が、二○一三年度予算案から削除された。この予算は民主党政権時の昨年九月、同省が概算要求。政権交代後のことし一月にやりなおした概算要求でも同額を求めていたが、財務省に認められなかった。安倍政権は景気対策を最重視、一二年度補正予算案と一三年度予算で計約七兆七千億円を公共事業に充てているが、経済浮揚にあまり結びつかない障害者施策には熱心さが足りないことが浮き彫りになった。 (城島建治)  認められなかった予算は「障害学生修学支援拠点形成事業」。身体障害や発達障害などのある学生が大学受験しやすいように配慮、入学後は授業を受けやすい環境を整備して就職支援も手厚くするという新規事業だった。  初年度は十大学程度を拠点校に指定。周辺大学に施設整備や教材開発について助言させるため、財政支援を強化する方針だった。だが同省学生・留学生課によると、予算編成の段階で「十分な予算がない」などの理由で財務省から認められなかった。同課は「ほかの事業費をやりくりして、修学支援を行うが、いくら確保できるか、現時点で見通しは付いていない」としている。  十八歳未満の全人口に占める障害者の割合は約2%だが、日本学生支援機構によると、障害がある学生の数は一一年度で約一万人で、全学生の0・3%にとどまっている。国の支援の必要性が指摘されてきた。  障害のある学生を支援する民間の「全国障害学生支援センター」の殿岡翼代表は「事業費削除は残念だ。大学改革を掲げる安倍政権には、障害のある学生の修学を含めた、特色ある大学づくりを進めてほしい」と話す。 ◆我慢強いるの論外  障害者政策に詳しい慶応大の岡原正幸教授(社会学)の話 安倍政権が公共事業に膨大な予算をつぎ込むのは、経済浮揚を最優先しているから。経済効率性ばかり考え、障害者へさらに我慢を強いるのは論外だ。 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013022102000143.html 「東京新聞」2013年2月21日
        子どもの悲しい自死、大人は「子どもの権利」と向き合おう。
        2013/02/17
        子どもたちの「自殺」という悲しい出来事が続いています。先週14日にも、大阪府大東市で小学5年生(11歳)が、学校の統廃合への「抗議」として自決しました(あえて「自決」という表現を使います)。子どもの自殺の多くが、最近報道される事案のほとんどが、学校での教師との関係性に起因することは、深刻かつしっかりとした対応、その仕組みの立て直しが火急な課題であることを意味します。学校は、子どもたちが毎日学び、育つ場であるからです。
         子どもの自死に関わることなって、まず「これや!」と考え方の基軸にして来たのが国連「児童の権利に関する条約」、同委員会から日本政府への「勧告」です。子どもの最善の利益や意見表明権など日本の学校で生じている事故・事件への対応を考える上で大切にしたい視点が盛り込まれています。http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig_all.html http://www.itoh.org/io/kenri/kankoku.htm。
         そして、これまでその隠蔽体質から水面下に隠され続けようとしてきた学校に起因する子どもの死亡事案について、中立的公正・公平な立場からの検証を初めて行った大津市自殺事件の第三者委員会報告書は、第三者委員会のあり方を考える上でも、我が国初めての「教典」的存在となると思います。現在のところ、報告書は以下のサイトからのみ入手できるようです。
        日本共産党滋賀県委員会のサイト http://www3.ocn.ne.jp/~jcpshiga/sinbun.htm
         大津市自殺事件での第三者委員会報告書は、事実経過、事実の考察、問題点、学校・市教委の対応の事実経過、同問題点、マスコミやスクールカウンセラーの役割などの問題点、教員への提言、学校への提言、教育委員会への提言、スクールカウンセラーの運用の在り方、危機対応、招待に向けての課題という章立てで、詳細に検証・報告された230ページ余りのものです。委員・調査員名簿も、もちろん含まれます。
         とても印象的なのは、末尾に添えられた「保護者の皆さんへ」「生徒の皆さんへ」、その直前の「若手記者の皆さんへ」というメッセージです。報道記者岡村昭彦氏の名前を挙げ、「組織に埋没するな、フリーランスとして生きろ、肩書きで仕事をするな、…」と言いたい、と期待が込められています。
         被害を受けた子ども、被害を与えた子ども、遺族、保護者へのそれぞれのケアの必要性、学校や教育委員会、スクールカウンセラーや弁護士など未然防止や事案の検証などに関わる者の役割、第三者委員会の在り方など、貴重な視点を明確に提示してくれています。その中心には、「子どもの権利」を守る視点が貫かれています。
         保身や体勢維持のための隠蔽や誤魔化し、人気取りにあけくれる学校、教育委員会、首長や行政への批判も必要ですが、大人一人ひとりが、「子どもの権利」を守ることとしっかりと向き合い考え行動することが今最も大切なことではないでしょうか。子どもたちは、そんな大人をモデルとして学び、考え、育って行きます。

        ※生活保護基準の引き下げ問題について、正しく理解して欲しいと思い、わかりやすいサイトを紹介させていただきます。
        NHK:くらし☆解説 「生活保護基準引き下げへ 影響は?」
        2013年01月25日 (金)後藤 千恵 解説委員
        生活に困って暮らせなくなった時の最後のセーフティネットと言われる生活保護。その基準を引き下げる方向で今、検討が進められています。引き下げによってどんな影響があるのでしょうか。
        http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/145143.html

         それでは、最近の気になる記事です。

        「キャプテンしばけば何とかなると思っているのですか?」生徒の手紙、苦悩生々しく

         大阪市立桜宮高校のバスケットボール部主将の男子生徒=当時(17)=が顧問の男性教員(47)=13日付で懲戒免職=の体罰後に自殺した問題で、市教委は同日の記者会見で、生徒が顧問あてに用意していた手紙の一部内容を明らかにした。手紙は自殺4日前の昨年12月19日に書かれたが、生徒は他の部員に制止されて顧問に渡せなかった。
         内容は次の通り(原文のまま)。
         「先生が練習や試合で、自分ばかりに攻めてくるのに僕は不満を持っています」
         「昨日の話を聞いていても、こういうことをする人がキャプテンになる人と言っていましたが、どこのどんなチームでも、そんな完璧な人いないと思います」
         「先生は僕に、何も考えていないと言いますが、僕は考えています。いつもその場で答えることができませんが、じゃあ逆に、それを完璧に答える人はいるのですか?」
         「○○さん(バスケの外部指導者)が講習会をしてくれた日、僕は○○さんが言っていることを自分なりに理解して一生懸命やりました。なのに、なぜ、翌日に僕だけが、あんなにシバき回されなければならないのですか?」
         「キャプテンしばけば何とかなると思っているのですか? 毎日のように言われ続けて、僕は本当に訳が分からないとしか思っていません」
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130213/crm13021321220023-n1.htm
        [産経ニュース」2013.2.13

        ●「暴力、自殺の一因」 外部監察で認定 桜宮高問題
         大阪市立桜宮(さくらのみや)高校のバスケットボール部主将の男子生徒が昨年12月に自殺した問題で、事実関係を調べていた市の外部監察チームが、同部顧問の男性教諭による男子生徒らへの「暴力行為」が常態化していたと指摘する報告書をまとめたことがわかった。特に自殺直前の練習試合での暴力が生徒を自殺に追い込む一因になったとも認定。市教委は顧問教諭の懲戒免職も含め厳しい処分を検討する。
         弁護士による外部監察チームは市教委からの要請を受け、顧問本人から事情を聴取。他の教員やバスケ部員らにも聞き取り調査をし、確認した事実関係をまとめた報告書を市教委に提出した。
         報告書では、顧問の暴力が、非行行為に対する生活指導などとは異なり、男子生徒が昨年9月に主将になってから練習や試合中に平手打ちなどを繰り返していた点を重視。「体罰」との表現は使わずに「暴力行為」だったと結論づけた。
        http://www.asahi.com/national/update/0211/OSK201302100116.html?tr=pc
        「朝日新聞」2013年2月11日

        ●自殺か:小5駅で飛び込み 学校統廃合中止求めるメモ残す
         14日午後4時25分ごろ、大阪府大東市野崎1のJR片町線野崎駅構内で、線路内に立ち入った男児が同志社前発宝塚行き下り快速電車(7両編成)にはねられ即死した。府警四條畷署によると、同市内に住む市立小学校5年生の男児(11)で、自殺とみられる。現場近くには、男児が通う学校の統廃合中止を求める遺書らしきメモが残されており、同署や市教委で詳しい動機などを調べる。
         同署やJR西日本によると、男児がホームから飛び込むのを運転士が目撃。非常ブレーキをかけたが間に合わなかった。ホームには男児のものとみられるリュックサックが残され、中に塾の教材が入っていたという。遺書らしきメモはリュックのそばに置かれていた。
         市教委によると、市立小学校統合実施計画に基づき、同校は今年4月、近くの学校に統合され、2月17日に閉校式の予定だった。遺族によると、遺書らしきメモには「どうか一つのちいさな命とひきかえに、とうはいごうを中止してください」と記されていた。
         また、男児は13日、「閉校式を止めることができないか」「学校がつぶされるのに僕たちの気持ちを誰も聞いてくれない」と話していたという。
         母親(47)の携帯電話には自殺直前、「今までありがとう。みんな大好きだよ」とメールがあったといい、「息子の思いに気付いてやれなかったのが悔しい。自殺というやり方で世の中が変わると他の子が思わないでほしい」と話した。
         この事故で、JR片町線は上下32本が運休するなど約1万4000人に影響した。
        http://mainichi.jp/select/news/20130215k0000e040176000c.html
        「毎日新聞」2013年02月15日

        ●自殺の小5、統廃合への賛否を同級生に尋ねる?
         大阪府大東市の小学5年の男児(11)が電車に飛び込んで自殺した問題で、男児が、遺書とみられるメモに「25人全員が『とうはいごうがなくなってほしい』に賛成しました」と記していたことがわかった。
         クラスメートの人数と同じで、男児が学校統廃合への賛否を同級生に尋ねた結果とみられる。
         男児の家族によると、メモの片面に統廃合への賛否の数が「正」の字で記載。裏面には25人への調査結果を書き、「ぼくは、とうはいごうが『なくなってほしい』『なんでもする』に賛成です」と記していた。
         一方、男児が通う小学校の校長は15日夕、記者会見し、「思い悩んでいたことを十分把握できず、非常に申し訳ない」と謝罪した。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130215-OYT1T01232.htm
        「読売新聞」2013年2月15日

        ●「とうはいごうを中止して」小5抗議の自殺
         大阪府大東市のJR片町線野崎駅で、14日午後4時25分ごろ、同志社前発宝塚行き快速電車に、大東市に住む小学5年生の男児(11)がはねられ死亡した。四條畷署は自殺とみている。市教育委員会は15日、記者会見。男児が通っている小学校が廃校になることに悩み、抗議する遺書のようなメモを現場近くに残していたことを明らかにした。
         「どうか一つのちいさな命とひきかえに、とうはいごう(統廃合)を中止してください」
         ホームに残された男児のリュックサックの上に置かれていたメモ。手帳より、やや大きいサイズの真っ白な紙の表には、消え去る母校への熱い思いが記されていた。
         市教委によると、少子化に伴う児童の減少に対応するため、男児の通う市立深野(ふこの)北小学校は3月で廃校になり4月以降、全校児童は別の2校に分かれて通学することが決まっている。
         紙の裏側には「とうはいごうがあってほしい」「なくなってほしい」という設問が記され、「なくなってほしい」の下には「正」の字が5つ。
         また「がっこうがなくならないためなら」という記述に続き「なんでもする」「あるていどする」「なにもしない」の選択肢が設けられ、「なんでもする」の下には正の字の2画目まで、「あるていどする」の下に正の字が4つと3画目までが記され「なにもしない」の下は空白だった。市教委は「男児が、クラス内の自分以外の児童25人に対し聞き取り調査を行ったと思われる」とした。
         メモには「ちなみにぼくは、”なくなってほしい””なんでもする”に賛成です」と、統廃合中止への強い決意をにじませる記述があった。
         市教委によると男児は繊細で優しい、物静かな性格だったといい、14日も、通常通り登校していた。関係者によると、男児は約1年前から「学校をつぶさないで」と訴える作文を書くなど、普段から廃校に関して気にしているようだった。
         また、12日にあった閉校式の予行演習に出席した男児は、家族に「つらい、いやだ」という趣旨のことを話したという。
         17日に予定されていた閉校式は延期されることになった。両親は「自分が死ぬことで事態を変えていこうとすることは正しくない」と話しており、市教委は「統合方針に変更はない」としている。
         校長は「深く悩んでいたことを学校でつかめていなかった」と謝罪。両親は「ここまでの気持ちを察してあげられなかったのが悔やまれる。亡くなった理由が不明ということにはしてほしくない」と話しているという。
        http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/02/16/kiji/K20130216005207060.html
        「スポニチ」2013年2月16日

        ●いじめ・体罰で子供自殺 遺族が意見交換会(動画あり)
         神戸市で16日午後、いじめや体罰などを理由に自殺した子供を持つ遺族ら約30人が集まり、それぞれの事件における教育委員会や第三者調査委員会の対応について問題点などを話し合った。
         顧問による体罰が原因で生徒が自殺した大阪市立桜宮高校の問題への対応については、「事態を沈静化しているだけで、本質的な解決には至っていない」などの指摘の声が上がった。
         体罰で長男が自殺した内海千春さん「顧問の先生が厳しく処分されたが、それを黙認してきた教育委員会については全く触れられていない。関係者を処分するというだけでこの問題がなくなるとは、到底思えない」
         遺族らは、今後もこうした意見交換を続けていきたいとしている。
        http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20130217-00000002-nnn-soci
        日本テレビ系(NNN) 2月17日

        ●児童虐待防止条例:名古屋市議会で議員提案へ
         名古屋市議会の自民、公明、民主各市議団の議員7人が「児童を虐待から守る条例」案を21日開会の2月定例議会に議員提案することが10日分かった。市内の児童相談所2カ所と16区役所が情報共有する仕組みを盛り込んだ。
         条例案は、地域に相談支援拠点を指定できるほか、児童虐待の取り組み状況を議会に報告し、公表を義務付ける。米ロサンゼルス市では、日本の児相に相当する機関や警察に児童虐待の情報が寄せられた場合、速やかに情報共有するシステムがあり、参考にした。
         市内では11年10月、中学2年の男子生徒が母親の交際相手に虐待を受け死亡する事件が起き、区役所と児相の連携不備などが指摘されていた。市によると、児童虐待防止条例は、ほかに全国の政令指定都市3市で制定されている。
        http://mainichi.jp/select/news/20130211k0000m040089000c.html
        「毎日新聞」2013年02月11日

        ●憂楽帳:発達障害と投薬
         いつもぼーっとしたような感じで、視線が合わない。小3の息子が向精神薬を飲み始めて3カ月。「気分が落ち着くからと処方されたけど、やめました。生まれつきの障害を薬でどうにかするのも変だと思って……」。自閉症の子をもつある母親は話した。
         発達障害の子供に向精神薬を処方する流れが強まっている。多動だと「衝動が抑えられる」、不登校だと「生活をただすため」などと、統合失調症の薬や睡眠薬が出る。親は「お医者さんが言うなら」と受け入れがちだ。
         昨秋、不幸な事故が起きた。日本脳炎のワクチンを接種された10歳男児が心肺停止で亡くなり、調べると、発達障害で3剤の向精神薬を処方されていた。うち2剤は、心臓に悪影響を及ぼす恐れから併用禁止になっていた。調査した厚生科学審議会は死因を特定しなかったものの、2剤の相互作用による心停止を疑う声も出た。
         向精神薬は中枢神経に作用するが、成長期にある子供の脳に及ぼす影響は検証されていない。発達障害の子供たちを取材した経験から、発達障害を診る児童精神科医は常に、慎重な診察を心がけてほしいと思う。
        http://mainichi.jp/opinion/news/20130213ddg041070011000c.html
        「毎日新聞」2013年02月13日

        ●生活保護:埼玉県、受給世帯対象に高校生の無料学習教室
         埼玉県が生活保護費受給家庭の高校生の就学状況を追跡調査したところ、中退率が全体の2倍以上になっていることが分かった。県は中退を防止するため、来年度から受給世帯の高校1年生200人を対象に無料の学習教室を開く方針。受給世帯の高校生を対象にした本格的な学習支援は全国初という。
         県社会福祉課によると、11年度に県内の高校に入学した受給世帯の742人のうち、同年度末で中退したのは51人、6.9%で、全体の中退率(3.1%)の2倍以上だった。51人の約6割が無職と答え、高校中退が「貧困の連鎖」につながる可能性が浮かび上がった。
         県は10年度から受給世帯の中学生を対象に無料学習教室を開き、参加者の高校進学率(同年度)は97.5%と受給していない世帯とほぼ並んだ。しかし、教室参加で高校中退した人の22.2%が「学業不振」を理由に挙げ、県は進学後の学習支援も必要と判断。来年度当初予算案に学習支援教室開設費など1億1445万円を盛り込んだ。
         同課の大山典宏主査は「保護世帯は親らによる中退への歯止めが弱い。福祉事務所と家庭の情報を共有しながら、中退防止を支援したい」と話している。
        http://mainichi.jp/select/news/20130215k0000m040048000c.html
        「毎日新聞」2013年02月14日

        ●児童養護施設退所者 「孤独・孤立感」44%
         児童養護施設などで過ごした人たちは施設を出た後、正規雇用に就く割合が低く、孤独感や孤立感にさいなまれている-。昨年、県が施設退所者を対象に初めて行った実態調査で、こんな傾向が明らかになった。県は調査結果を今後の支援につなげ、入所者の自立に向けた取り組みに生かしたい考えだ。(前田朋子)
         県の調査は昨年四月中旬から半年かけて実施された。県所管の児童養護施設など計二十四カ所(さいたま市を除く)を過去十年間に退所し、施設が連絡先を把握している六百十二人にアンケートを行った。回答者数は百四十八人(24・2%)。回答者の年齢は十八~二十八歳の範囲内という。
         県によると、児童養護施設の場合、入所できるのは三~十八歳(特例で二十歳まで延長可能)で、中学卒業時点で就職した場合は退所しなければならない。学生などを除き、現在働いている人は九十八人で、うち正規雇用(正社員)は55・1%(男性65%、女性48・3%)だった。
         国の労働力調査(十五~二十四歳)では正規職員の割合が67・7%(男性72・2%、女性63・5%)であるのに比べると、低い数字が出た。働いている九十八人の収入状況(月収)を尋ねたところ「十万~十五万円未満」が46・9%と最多の割合。二十万円未満で全体の九割を占めた。退所後に就いた仕事の期間では「一~三年未満」が38・5%と最も多く、回答者の三分の一が一年未満と回答。転職回数が十回以上だった人も3・8%いた。
         退所直後に困ったことについて聞いた設問では「孤独感、孤立感」と答えた人が44・1%にのぼった。「相談相手や相談窓口が身近になかった」も25・5%で、職探しや住居の確保で身元保証人が得られず、困っている様子がうかがえる。困ったときの相談相手としては施設の職員を挙げた人が最も多く、77%だった。
         県の担当者は「施設で育っても両親のいる子どもたちと遜色なく、という願いがあるが、孤独感などへの精神的支援や、離職者への支援が必要だとわかった。今まで欠けていたアフターケアについて力を入れていきたい」と話している。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20130117/CK2013011702000119.html
        「東京新聞」2013年1月17日

        長男が自決して13年。
        2013/02/10
        最近ある方に@Twしたものを補記してまとめてみます。
         長男が(2000年、中学3年で)自決して13年になりました。イジメや体罰ではなく、「荒れ」た状態やその中での対教師・生徒間暴力や器物破損などの「問題行動」、不登校状態の異常な常態化を、「学校秩序の維持」とかで「生徒指導」強化で凌ごうと隠蔽し続けた果て、無念の不登校から高校進学への絶望や無力感などから、一人で抱え込んでの自殺でした。
         大津市の事件でSCが学校管理枠内に位置していることの問題(学校側の人であり、「相談」する気にならないなど)が明らかにされていますが、1998年当時から同じです。学校内の教師や管理職にとっての「問題」な状態はSCへ…と自動的にリファーされ、守秘義務などありませんでした。結果、SCという仕組みがあっただけ(SC本来の役割は果たせません)。学校と保護者・地域は分断されて…。
         学校の中で生じている現実を、保護者が知ることすらできませんでした。荒れと不登校の関係から生じる子どもの自死ケースは少ないとは思います。疑問に残るのは、保護者の多くが学校まかせで、わからないから関わらない、学校がちゃんとやるはずという思い込みに流されていたこと…。当時のPTA役員の方々は、最近の事件報道などからは到底考えられないほど、精力的に「我がこと」として、隠蔽体質などについても取り組んでくれましたが…。
         一人の不登校だった生徒が自死した。最初は「家庭の問題があった」ともされました。保護者も学校も、どう扱ったら良いのかわからなかったと思います。ただ、同学年の子どもたちが背負った傷は、生涯癒えることはないと思います。不作為による荒れの常態化も、同級生の自殺も…。
         目の前の混乱に翻弄される子どもたちを支えていくためにも、関わる大人が現実ときちんと向き合い、改善に取り組む姿勢を持たなければならないと思います。でもそんな意識というか責任感を感じているのは遺族だけ、という悲しい現実があります。共に考える、遺族と支援者・関係者などのネットワークの強化が必要です。(詳細は、当サイトの「不登校自殺」でご覧下さい)
         それでは、最近の気になる記事です。

        いじめ報告書 教訓を社会で共有したい

         「息子は学校に見殺しにされた」という父親の悲痛な叫びを、教育現場は真正面から受け止める必要があろう。
         2011年10月に大津市であった中2男子生徒の自殺をめぐり、市の第三者委員会が最終報告書を市長に提出した。報告書は「いじめが自死の直接的な要因になった」と因果関係を明確に認めた。それだけではない。学校や市教委がいじめに適切に対処しなかったことなど、その無責任ぶりを厳しく指弾したのだ。
         自殺から1年4カ月が過ぎ、第三者委が5カ月をかけてたどり着いた結論に、男子生徒の父親の無念が重なる。
         報告書によると、何人もの生徒がいじめがあることを教員に訴えた。担任はいじめを認識できる状況にあり、複数の教員はいじめの可能性があると判断していた。なのに、教員はいま一歩踏み込もうとせず、学校全体で情報を共有しないまま、最悪の事態を招いたという。
         学校や市教委のずさんな事後対応も、やり玉に挙がった。自殺の原因調査を途中で打ち切ったほか、遺族との訴訟を重視し、いじめと自殺との因果関係を認めない方向で対応したと認定している。被害者を無視し、組織防衛に走るのは教育界の体質なのか。あまりに醜い。
         では、いじめに真摯(しんし)に向き合い、悲劇を繰り返さぬためにはどうすべきか。
         報告書は、教員の役割を「思春期の複雑な葛藤や矛盾に寄り添い、支援できること」と明記した。つまり、生徒一人一人の胸の内、心の変化まで見詰める任務を教員は担っているというのである。
         困難な作業だ。だからこそ、報告書は担任任せにするなと提言している。担任の孤立化を防ぎ、皆で考え解決する職場づくりが大切なのは論をまたない。共同担任制の導入や学年会議の月2回定例化など、具体的提案にも耳を傾けたい。
         教員の多忙化も指摘し、教員が子どもと接するゆとりを確保するために、地域住民が学校運営に参画する「開かれた学校づくり」の重要性に触れている。
         さらに、いじめへの対処を教員や学校だけに求めるのは限界があることも、今回の事態は露呈したといっていい。
         報告書は、いじめを人権侵害と捉え、子ども側が自ら救済を求めることができるオンブズマンなど第三者機関を創設する必要性を強調した。条例に基づく救済機関は、既に札幌市や川崎市、兵庫県川西市などにあり、活動している。
         行政や教委から独立していることが肝要で、学校や教委の対応をチェックする機能を果たすことも期待される。
         大津市の事例が決して特殊なものでないことは、誰もが分かっているだろう。
         「いじめとは常に死につながる危険な行為であり、犯罪であることを認識してほしい」-。父親はこう訴え、子どもはもちろん、学校や教委、教員ら関係者に警鐘を鳴らした。いじめを防ぐには何が必要か。報告書は示唆に富む。教訓を社会全体で共有しなければならない。
        http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/346931
        「西日本新聞」2013年2月6日

        ●教委制度の改革要望へ 大津市長、6日文科省に提出
         大津市で2011年10月、中学2年の男子生徒が自殺した問題で、大津市の越直美市長は6日、文部科学省を訪問し、第三者調査委員会の報告書を下村博文文科相に提出する。調査の経過を報告し、提言を受けて教育委員会制度の改革などを要望する。
         報告書では、学校や市教委の不十分な対応を踏まえ、教委制度の課題として「文科省や県教委への数値報告が求められ、成果主義に陥っている」と指摘。越市長は報告書の概要を説明し、いじめ対策の充実など国としての対応を求めるとみられる。
         また市側は、5日に大津地裁であった、男子生徒の遺族が市や同級生らに計約7700万円の損害賠償を求めた訴訟の第5回口頭弁論で、「いじめと自殺の因果関係と、過失はいずれも存在する」と正式に表明。損害賠償責任を負うことも認め、和解協議をあらためて申し入れた。遺族側は「和解に応じるか応じないかを含めて検討する」とした。
        http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20130205000133
        「京都新聞」2013年02月05日

        ●91歳妻を殺害容疑、96歳夫を逮捕 奈良・大和郡山
         9日午前9時40分ごろ、奈良県大和郡山市冠山町、無職美濃田ハギノさん(91)が自宅のベッドで仰向けに横たわっているのを、訪問した女性介護士(66)が見つけ、医師を通じて110番通報した。ハギノさんはすでに死亡しており、郡山署はベッド脇にいた夫の無職美濃田作次容疑者(96)が殺害を認めたため、殺人容疑で逮捕した。
         同署によると、作次容疑者は8日午後11時から9日未明の間に、自宅で寝ていたハギノさんの首を両手などで絞めた後、包丁(刃渡り約16センチ)で首を切りつけるなどして殺害した疑いがある。作次容疑者の首にも自分で切ったとみられる傷があったが、軽傷という。
         作次容疑者はハギノさんと2人暮らしで「高齢の自分が先に死ねば妻が困るので、妻を殺して自殺しようと思った。介護にも疲れた」と話しているという。
         近所の70代女性は「(作次容疑者は)『妻のおむつを替えるのが大変』と話していた。(作次容疑者も)目や耳が悪く、足腰も弱っており、介護は大変そうだった」と話した。
        http://www.asahi.com/national/update/0210/OSK201302090139.html?tr=pc
        「朝日新聞」2013年2月10日

        ●京を掘る:精神障害で職場転々 20年の体験を出版 48歳男性、支援施設の厨房で再起 /京都
         京都市山科区の精神障害者の就労支援施設「からしだね館」の厨房(ちゅうぼう)で働く糸原太朗さん(48)=右京区=が、自身の体験をもとにした短編小説「フライパンをペンに持ちかえて」を出版した。大学卒業後に統合失調症を発症して以来、人間関係に悩み転職を繰り返してきた。「毎日が無味乾燥だった」と振り返る糸原さんが再び働くことへの意欲を呼び起こしたのは、同館で食べたオムライスの味だった。
         糸原さんは京都市出身。学生時代は友人とロックバンドを組み、活動していた。だが公務員試験に失敗したことをきっかけに23歳の時、統合失調症を発症。人と会うのが怖くなり、病気が進行するにつれ、親しかった友人も離れていった。孤独に悩み、自殺未遂を図ったこともあった。
         その後、通院治療を重ねたことや、知人の紹介によって自然に恵まれた新潟県のペンションで働いたことで、症状は一時的に治まった。大阪の広告代理店にコピーライターとして就職したものの、人間関係の悩みから、再び精神科病院に入院した。
         その後、約20年近く、給食の調理や農機具メーカーなど、仕事を転々とした。病名を明かして就職活動しても、面接ではじかれてしまう。しかし、病気を隠して就職してみても、人間関係がうまく築けず、長続きしなかった。
         転機は4年前。通院していた精神科クリニックのスタッフの勧めで、からしだね館が運営するカフェ・トライアングルに見学に訪れた。カフェの運営や調理には精神障害者が関わっていると聞いた。注文したのは、オムライス。「障害者が作ったものなんて、どうせおいしくないだろう」。そう思ってスプーンを口に運んだところ、バターの味がきいたケチャップライスのおいしさに驚いた。「この味を自分で作ってみたい」と同館で働き始めた。
         今は週5回、カフェの厨房でフライパンを振る。オムライスの調理はもちろん配食や味付けを任されており、その働きぶりにからしだね館のスタッフも「次々と新しいメニューや味付けを考え出す」と驚く。
         カフェで働き出してから病状は落ち着いている。今春には調理師試験に挑むつもりだ。その前に15年間にわたり、書きためてきた短編小説を一冊の本にまとめた。カフェのオムライスのレシピをストーリー仕立てで紹介したほか、病気に悩まされてきた自身の歩みも記した。糸原さんは「精神疾患は出口の見えない病気と言われるが、何かのきっかけで必ず病気と向き合える時が来るはず」と力を込めた。
            ◇
         本は1部700円。問い合わせはからしだね館(075・574・4455)。
         ◇就職率は38%−−11年度
         厚生労働省によると、精神障害者の就職に関する正確な統計はないものの、ハローワークを通じて仕事を探す精神障害者の数は、年々増加している。
         ハローワークを通じ新たに求職申し込みをした件数は、02年度は6289件だったが、その後、増加で推移し、11年度は約8倍の4万8777件になっている。
         一方、このうち就職できた件数は11年度で1万8845件。就職率も02年度の30%から11年度には38%と上昇傾向にあるが、依然として厳しい状況が続いている。
        http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20130202ddlk26040502000c.html
        「毎日jp」2013年02月02日

        ●児童相談所の措置解除 県第三者機関で判断基準策定へ
         府中町で昨年10月、小学5年の女児が母親に暴行されて死亡したとされる事件を受け、県は来年度、児童相談所(児相)などが、虐待を受けて施設に入所した子どもを家庭復帰させる際や、その後の支援を終了する際の統一的な判断基準を策定する第三者機関を設置する方針を決めた。学識者らでつくる検証委員会の報告書を受けたもので、全国初の試みという。
         国の指針は、虐待を受け、児童養護施設などに入所する子どもの入所措置を解除する際は、児相は援助方針会議を開いて適否を判断するとしており、その後は、児相や、市町が設置する要保護児童対策地域協議会(要対協)が家庭を支援するとしている。
         一方で、検証委員会は、1日に県に提出した報告書の中で、国の指針でも児相の措置解除や、児相・要対協の支援終結の判断基準が示されておらず、これらの判断基準を明確化することを求めていた。
         第三者機関では、児童虐待や児童心理を専門にする県内外の大学教授10人前後のメンバーを想定。県内を中心に他県のケースも含めて過去の虐待事例を分析し、今春から統一的な基準を策定。運用後は、児相や要対協の対応が基準に基づいたものかどうか点検する。
         県は「今回の悲劇を教訓に、最後まで確実に子どもを見届けるための基準と体制をつくり、他県に例のない取り組みを進めたい」としている。
        http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20130205-OYT8T01655.htm?from=tw
        「読売新聞」2013年2月6日

        大津市イジメ自殺事件ー市の第三者調査委員会報告に思う。
        2013/02/03
        2013年01月31日。大津市の第三者調査委員会が、私立中学校でのイジメ自殺事件について調査報告書を市長に提出しました。
         まだ要旨しか読めていませんが、今回の第三者委員会設置とその報告について、思いつくことを、不十分ながらまとめてみたいと思います。
         ○多くの前進点、先駆的モデルとなる検証・報告になったと思います。
        ・学校、教育行政から独立した第三者による調査・検証が客観的に、現行法制度に基づいて行われたこと。
        ・第三者委員会の委員が実名で発表され、委員会開催毎にその内容や到達点、課題を記者発表してきたこと。
        ・委員は、被害者家族推薦の委員が1/2含まれていること。
        ・学校における「イジメ」の定義、学校の対応の不備や誤り、被害者の自殺との因果関係などが明らかにされたこと。
        ・調査にあたって、隠蔽されていた事実や資料を指摘・問題視し、公表できるものを拡大し、検証根拠とした。
        ・学校、教育行政による隠蔽体質とその問題、体質変容の必要性を明らかにした。
        ・イジメ加害生徒、在校生徒、教職員、イジメ遺族などから、直接に公平な立場で可能な限りの聴き取りを行い、事実検証を重ねた。
        ・当初3名とされた加害生徒のうち1名は、調査に基づきその対象としないこととした。
        ・市教委が言う「家庭の要因」を否定、「虐待家庭というフィクションが、いじめと自死の関係の解明に重大な障壁となった」とした。
        等々…。
         ○一方で、まだ踏み込み切れなかった部分もあるかと思います。
        ・イジメ加害生徒が、イジメ行為を行うに至った心理社会的要因にまでは調査が及ばず(少なくとも報告には含まれない)、加害事実の認定にとどまっている。
        ・イジメ常態化の環境において、子どもたちがどのような被虐的な心理状態におかれていたのかを知る術がない。それらを「被害状態」と指摘されていない。
        ・学校、教育行政の問題点を明らかに指摘した上で、本来行うべき対応などの指摘までは触れられていない。
         これらは「調査・報告」の枠の外かも知れません。この報告をもとに、何をなすべきだったのか、繰り返さないために、学校が子どもたちにとってイジメなどで「見殺し」にされることのない、安全に育ち学ぶ場所であるためにどうあるべきかなど、大人に課せられた課題がたくさんあると思います。きちんと向き合ってこそ「大人の責任」を果たすことになると思います。

         余談ですが、このサイトはMac上でDreamwesverCS5を使って作成・更新修正しているので、1番アクセスログの多いMSIEご利用の方には、私にとっては不本意な画面になっているようです。時間と能力不足のため、細かなてこ入れができないことをお詫びしておきたいと思います。
         それでは、最近の気になる記事です。

        大津・中2自殺:いじめが直接的要因…第三者委が報告書

         大津市で11年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市の第三者調査委員会(委員長・横山巌弁護士)は31日、調査報告書を越直美市長に提出した。生徒の自殺原因について「重篤ないじめ行為は、自死につながる直接的要因になった」と明記。滋賀県警が暴行容疑で書類送検するなどした同級生3人のうち、1人は関与が少なく「いじめとは認定しない」と判断した。また、学校・教育委員会の対応や報道のあり方について問題点を指摘し、再発防止策を提言した。
         報告書は230ページで、一部を黒塗りした上で越市長が公表した。男子生徒に対し、11年9月初旬から10月上旬にかけて19件のいじめがあったと認定。男子生徒が「死にたい」と塾で友人に漏らしていたことなども挙げ、「いじめが屈辱感、絶望感と無力感をもたらし、死を望む気持ちを抱かせた」とした。
         また、生徒の自殺前に複数の教師が「いじめを認識できる状況にあった」と指摘。しかし、情報の共有化不足など複合的な原因により、いじめの発見を見逃し、自殺を防げなかったとした。
         市教委が言及していた「家庭の要因」については、親子の信頼関係は崩れておらず「要因とは認められなかった」と否定。「虐待家庭というフィクションが、いじめと自死の関係の解明に重大な障壁となった」と強調した。
         更に自殺の3日後、学校と市教委は弁護士に相談したが、その記録が後日削除されていたとして、「自死の原因を家庭問題へ逃げた。組織防衛に走った」と批判した。
         委員は教育評論家の尾木直樹氏ら大学教授、弁護士、臨床心理士ら6人。昨年8月末から12回の会合を開き、生徒、教師、市教委幹部ら延べ56人に聞き取りをし、学校や市教委の内部資料も調査した。市役所で記者会見した横山委員長は「今回の提言が少しでも子供たちの命がなくなることの予防策に生かされれば」と述べた。
         越市長は「学校と市教委に自殺原因を責任転嫁するような行為があったことを深くおわびする」と謝罪。遺族が市や同級生らに損害賠償を求めた訴訟で、和解を目指す考えを改めて示した。
        http://mainichi.jp/select/news/20130201k0000m040050000c.html
        「毎日新聞」2013年01月31日

        ●「いじめが自殺の直接的要因」…大津・第三者委
         大津市で2011年10月、いじめを受けた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市の第三者調査委員会(委員長=横山巌弁護士、6人)は31日、「いじめが自殺につながる直接的要因になった」とする調査報告書を越直美市長に提出した。
         加害者と認定したのは中3の少年2人で、主な行為として19項目を列挙。学校と市教委の対応も厳しく批判した。
         第三者委は生徒ら延べ56人から聞き取り、12回の会合を経て、231ページの報告書を作成。11年10月11日の自殺まで約1か月の状況を調査した結果、体育祭で顔、手足に粘着テープを巻き付けられた、何度もズボンを脱がされたなど、19の行為をいじめと認定した。
         いじめた人物は、関与の度合いから「2人」とし、滋賀県警が暴行容疑などで書類送検した別の1人については「頻度が少ない」などとして除外した。また、県警が確認できなかった「自殺の練習」は、「自殺の練習をしろと言われたことが認められる」とした。
         報告書では「重篤ないじめが生徒に屈辱感、絶望感と無力感をもたらした」とし、生徒が9月下旬に2回、周囲に「暗くて静かな山に行って死にたい」などとほのめかしたことを明記。自殺当日、生徒は小学校時代の写真を自室の机に置いて自宅マンションの14階に向かったといい、「飛び降りることで、『暗いいじめのトンネル』を抜けようとした」と結論づけた。
         一方、学校側の対応については教諭のメモなどから10月5日時点でいじめを認識できる状況だったが、情報を共有せず適切な対応をとらなかったと指摘した。
         また学校は10月末に「因果関係は不明」とした上で「家庭の問題」の可能性にも言及していたが、報告書は「家庭で虐待などはなく、学校はいじめと自殺との関係を絶ちたいとの潜在的な意向から『家庭問題』という虚構に乗ったと推測される」とした。
         市教委の対応も「当初から調査を行う考えがなく、危機管理の不十分さが目立った」としている。
         越市長は「学校や市教委で隠蔽と非難される行為や、自殺の原因について責任転嫁するような行為があったことを深くおわびする。大変厳しい指摘をいただいた。真摯に受け止め、徹底した対策を講じていく」とした。
                  ◇
         調査報告書の中で、第三者委は、読売新聞が昨年12月23日付朝刊で「いじめと自殺 因果関係明示へ」と報じた記事について「虚偽報道」と記載した。報道で、(加害)生徒の保護者が「委員会との信頼関係が壊れた」としてこの生徒の3回目の聞き取りを拒否したため、調査活動に重大な支障を受けたと言及した。
         この記事について、読売新聞大阪本社は、同月26日に「事実ではない」との抗議を第三者委から受け、「当該記事は、調査委の会合後に複数の委員らに取材した内容と独自取材に基づくもの」と回答している。
         大阪本社広報宣伝部の話「報告書はいじめが自殺の『直接的要因』と明記し、因果関係を認めています。本紙の記事は、社会的関心に応えるものであり、委員会には、報道機関の責務についてご理解いただきたいと思います」
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130131-OYT1T00837.htm?from=ylist
        「読売新聞」2013年2月1日

        ●父親、隠蔽を厳しく指弾 大津自殺第三者委報告
         いじめと自殺。認定が困難とされる因果関係について、大津市の第三者調査委員会は31日、当時13歳だった中学2年の男子生徒が自ら死を選んだのは、いじめが直接的要因だったと結論付けた。同時に、市教育委員会と学校が重ねた失態や、隠蔽(いんぺい)体質を厳しく指弾。委員6人は再発防止を提言に託した。いじめが見過ごされたことによる代償は大きく、再調査を委ねた越直美市長はあらためて謝罪し、学校現場の改革を誓った。「やはり学校に見殺しにされた」。最愛の息子を失った父親(47)の目からは涙があふれた。
         「息子は天国からありがとうと言っていると思う」。大津市役所で会見に臨んだ男子生徒の父親は声を詰まらせた。第三者調査委員会の報告書完成につながったアンケートには、多くの情報が寄せられており、父親はあらためて生徒たちに感謝した。
         長い道のりだった。学校や市教委のずさんな調査が明らかになり、越市長が再調査を表明したのは長男の自殺から9カ月後だった。「また事実が隠されるのでは」。不信感は消えず、第三者委の人選や調査内容に遺族側の意向を反映するよう求め続けた。
         自殺の要因として家庭内の問題に言及した市教委にも苦しめられた。「家庭状況を隠すつもりはない」。第三者委の初会合直前の昨年8月、委員に手紙を寄せて自らも調査に応じる姿勢を示した。それほど第三者委にかける思いは強かった。
         昨秋には文部科学省を訪れ、アンケート結果の開示など、「親の知る権利」の確立を求める要望書を提出。同じように、娘の自殺の真相を求めて奔走する鹿児島県出水市の遺族と、学校や市教委の隠蔽(いんぺい)体質の改善を訴えた。
         そして31日午後3時。市役所の特別応接室でようやく報告書を受け取った。市長と向き合い、謝罪と説明を聞いた。長男の思い出を話すと涙がこぼれた。
         父親は「対応が常に後手後手で自らを律するといった姿勢は全く感じられなかった」と市教委と学校に反省と今後の対策を求めた。そして、最後に学校に呼び掛けた。「子どもと一緒になって、いじめがない、世界中で一番安全で安心できる場所にしてください」
        http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20130131000162
        「京都新聞」2013年01月31日

        ●障害を理由に重罰化は「誤り」…控訴審で弁護側
         2011年7月、自宅を訪ねてきた姉(当時46歳)を刺殺したとして殺人罪に問われ、1審・大阪地裁の裁判員裁判で広汎性発達障害の「アスペルガー症候群」を理由に求刑を4年上回る懲役20年を言い渡された無職大東一広被告(42)(大阪市平野区)の控訴審初公判が29日、大阪高裁であった。
         弁護側は「障害を重罰化の理由としたのは偏見による誤り」などとして1審判決の破棄を求め、即日結審した。判決は2月26日。
         昨年7月の1審判決は、約30年間引きこもり状態だった大東被告が自立を促す姉を恨んで犯行に至ったと認定。障害に対応する受け皿が社会に用意されていない現状では、再犯の恐れが強く心配されると判断した。
         同症候群は、生まれつきの脳機能障害のため、感情のコントロールなどが苦手とされるが、犯罪などの反社会的行動とは直接結びつかないとされる。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130130-OYT1T00258.htm?from=ylist
        「読売新聞」2013年1月30日

        ●同級生十数人から陰口 橿原の中2女子生徒不登校に 奈良
         橿原市の市立中学2年の女子生徒(14)が、同級生十数人から「きもい」「うっとうしい」など陰口をいわれるいじめが原因で、昨年11月から不登校になっていることが2日、分かった。
         市教委と学校によると、女子生徒は昨年6月から9月にかけて、クラスの同級生十数人に無視されたり、陰口を言われるなどしたという。
         こうしたいじめが原因で女子生徒は急性ストレス反応と診断され、11月から不登校になっている。
         女子生徒の保護者が学校に相談。校長らが学年集会で生徒らを指導したほか、10月には教師を交えて被害者の保護者と、加害者側の生徒と保護者との面談も行い、生徒11人がいじめの行為を認め謝罪したという。
         女子生徒の保護者は11月に橿原署に被害届を出し、同署が同級生十数人から事情を聴いているという。
         校長は「保護者との連携を強めて、今後も被害生徒のケアに全力を尽くしたい」と話している。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/130203/nar13020302090002-n1.htm
        「産経ニュース」2013.2.3

        ●「いじめる側100%悪い」 次男死亡 麻生の篠原さん夫妻
         いじめが原因の自殺で子どもを亡くした川崎市麻生区の篠原宏明さん(48)、真紀さん(46)夫妻が二十九日、中原区の市教育会館で開かれた市の校長研修で講演した。小中学校の校長ら約二百人を前に、夫妻は、体験を基に教員らが誤りがちないじめへの対応を語った。
         夫妻の次男真矢さん=当時(14)=は、多摩区の市立中学三年だった二〇一〇年六月七日に自宅で自殺した。
         真紀さんは、真矢さんが二年の秋、担任から「いじられキャラだ」と連絡を受けた。「担任は『大丈夫か』と尋ねたというが、周囲に事実確認や加害生徒への適切な指導はなかった。これで良かったのでしょうか」と、いじめに対する感度が低かったと指摘した。
         真矢さんが亡くなった後、同校で外部講師が「生きたくても生きられない命もあるから、命を大切にしよう」と講演したという。
         宏明さんはその際、真矢さんの友人が「命を粗末にした真矢が悪いことになってしまう。加害者こそ悪いのに」と涙ながらに訴えたことを紹介した。
         「被害者にも責任がある」とする見方が根強いことに、宏明さんは「人と違った点があってもいじめてよい理由にならない。いじめる側が百パーセント悪い」。その上で「人の心、体を攻撃すると死に追い詰めることがある、と子どもたち自身に考えさせることが重要だ」と訴えた。
         篠原さん夫妻は、NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎区)に参加して全国の集会で講演してきたが、今回は市教育委員会の働き掛けで、初めて現職校長らの前で語った。熱心にメモを取り、うなずきながら聞く姿に「気持ちを伝えられて良かった」と述べた。
         向丘小(宮前区)の江間薫校長(58)は「担任のちょっとした言葉が後悔につながると知った。職員にしっかり伝える」と話した。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130130/CK2013013002000095.html
        「東京新聞」2013年1月30日

        ●野外授業中死亡の中学生、卒業アルバムに載せず
         2010年に浜松市の浜名湖で起きたボート事故で死亡した西野花菜さん(当時12歳)が通っていた愛知県豊橋市立章南中学校(合川嘉信校長)が、西野さんの同級生の3年生(93人)の卒業アルバムに、事故の記録を掲載しない方針を決めたことが29日わかった。
         西野さんの顔写真も掲載されないという。西野さんの両親は、学校の野外授業中に起きた事故の内容などについて掲載を求めていて、市教委が仲介に入った。
         現在の3年生が1年生だった10年6月、生徒ら20人が乗ったカッターボートが強い風雨の中で操船できなくなり、モーターボートでえい航中に転覆し、西野さんが死亡した。この事故で、両親が市などを相手に損害賠償訴訟を起こし、すでに和解が成立している。
         市教委によると、卒業アルバムは、学校と保護者でつくる委員会が編集にあたっている。西野さんの両親は、事故の事実と和解の内容を掲載するよう求めたが、生々しい現場写真を載せると、生徒にショックを与えるという保護者の意見があり、事故に触れないことが決まった。
         西野さんの父親、友章さん(53)は「事故の事実をきちんと載せてほしいと求めているのであって、生々しい現場写真の掲載を要求したことはない」と話している。アルバムの編集を終える期限は、今週いっぱいという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130130-OYT1T00322.htm
        「読売新聞」2013年1月30日

        ●「追い出し部屋」パナなど5社を実態調査 厚労省
         大手企業で社員から「追い出し部屋」などと呼ばれる部署の設置が相次いでいる問題で、厚生労働省が企業への実態調査を始めた。まずはパナソニックなど5社への聞き取り調査を先行して行った。まともな仕事を与えられていない「社内失業者」を集め、「退職の強要」などの違法行為があれば、改善を促す方針だ。
         厚労省はこれまで、電機大手のパナソニックのほか、業績悪化などで人減らしを進めているシャープやソニー、NEC、生命保険大手の朝日生命保険の計5社を調べた。いずれも各社に「追い出し部屋」と呼ばれる部署があることなどを朝日新聞が昨年末に報じていた。
         5社への「先行調査」の結果の一部は、29日にも社名を出さずに公表する。大企業にこうした部署の設置が広がっていることを明らかにし、ほかの社に注意を促すねらいがある。今後さらに調査を広げて、民法の「不法行為」にあたる退職の強要などがないか、厳しく監視する。
         これまで調査を受けた5社はいずれも、厚労省に対して「該当の部署に問題があるとは考えていない」と答えたとみられる。厚労省も今のところ、違法行為があったとはみていない。だが、こうした部署への配置が長くなると、退職の強要や、まともな仕事を与えないまま放置するなどの違法行為につながるおそれがあるため、5社にそれぞれ注意を呼びかける方針だ。
         厚労省は今後も調査を続け、違法行為がないか重点的に調べる。日本では、経営難を理由にした解雇はきびしく制限されており、経営再建にとりくむ企業は社員に自主的な退職を促すことが多い。だが、しつこく退職を迫れば、違法になる。「追い出し部屋」などと呼ばれる部署でまともな仕事を与えない状態を長く続けていても、違法とされる可能性がある。
        http://www.asahi.com/national/update/0129/TKY201301280496.html
        「朝日新聞」2013年01月29日

        ●高松で説明会 働きやすさPR懸命
         福祉関係の事業所の合同就職説明会「福祉のしごとサポートフェア」(県福祉人材センターなど主催)が24日、高松市内で開かれた。
         高齢化が進むなか、介護分野の人手不足は深刻で、就職難の社会情勢とは対照的に売り手市場が続く。事業者側は職場環境の良さなどをPRし、人材の確保に躍起だ。
         説明会には老人ホームなどを運営する75事業者が参加。計約1060人を求めたが、会場を訪れた求職者は約110人にとどまった。
         各事業所は、託児所があることや休暇が取りやすいことなどのPRに努めたが、訪れる求職者がほとんどいない事業者のブースも。まんのう町の医療法人の人事担当者(66)は「優秀な人を選びたいが、選べるほど求職者がいない」とこぼした。
         介護需要の拡大を受け、2011年度に県福祉人材センターに寄せられた求人数は1732人で、09年度から7割も増えた。一方、求職者数は11年度が563人で09年度から1割程度の増加にとどまり、ギャップは拡大する傾向にある。「夜勤があり、家事との両立が難しい」「低賃金で重労働」などの理由で敬遠されがちな現状があるという。
         一方、再就職を目指して訪れた高松市内の男性(50)は「就職難のご時世に、これだけの選択肢があるのはありがたい」と話す。昨年、勤めていた繊維関係の会社の事業縮小を受け、退職。介護の資格取得を目指している。「待遇などの話を聞いて、できるだけ早く仕事に就きたい」と話した。
         事業所側には「人材確保には、国の介護報酬改定による待遇改善が急務」との声が根強いが、一朝一夕には進まない。同センターは「こうした説明会や職場体験プログラムを通じ、少しでもギャップを埋めていきたい」としている。
        http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=71705
        「読売新聞」2013年1月25日
        大阪市立桜宮高での体罰-自殺事件、体育系入試中止に思うこと。
        2013/01/26
        桜宮高校で生じた(生じてきた)体罰問題をめぐっては、さまざまな議論が展開されています。
         体罰がダメなことと、体罰などを苦に自殺に至った生徒とご遺族の無念さを基本において、思うことを書いてみます。
         客観的な(教育行政以外の公的第三者機関の調査などによる)、事実(実態)の解明、加害教師や教育行政の具体的な責任(過失や不作為を含む)の明確化と処罰などを適切な今後の対応、ご遺族サポート、それらに関して保護者や地域の理解・合意を広く形成できるようにすることなどが、まず考えられます。
         各論としてすぐさま過熱状態になっているのが、同校の当面の対処として、市長が体育系2科の募集中止を求め(応じない場合はお金を出さないという脅しも含めて)、教育委員会がそれに応じて新年度の体育系の入試の中止を決定・発表したことです。
         尾木直樹氏をはじめ複数の「教育の専門家」が市長の判断を「是」とする一方で、夜回り先生の水谷修氏はブログで「お願いです。もう少し冷静になって下さい。募集停止で苦しむ子どもたちのことを考えてあげて下さい。あなたのしたことは、この子どもたちに対する、許すことのできない体罰です。何も罪も犯していない、何も問題行動も起こしていない子どもたちへの虐待です」と「否」とするコメントを発表しています。
         <参考>夜回り先生は、今!(水谷修ブログ) 大阪市の橋下市長に一言言わせていただきます http://www.mizutaniosamu.com/blog/010diary01/post_81.html
         在校生、保護者、今年の入試を予定していた多くの皆さんも「否」の立場ではないかと推察します。
         当初、体罰を容認する態度を示していた市長は、遺族との面会後に「認識に誤解があった」と体罰は許されないとする態度に一転。同校管理職や部活顧問教師の総入れ替えなど、「市長の立場」で教育委員会批判などを含めて持論を展開されています。
         多くの識者から、「市長の責任」に言及しない態度は問題であり、これまでの氏の論理展開と同じであるとの指摘がなされているように、教育委員長をはじめ教育行政職の任命責任は市長にあり、自己の責任についてふれない態度はいかがかと思います。
         ただ、「体罰は許されない」と断言、自殺を巡る事実関係を徹底的に調査することを明らかにした態度は、氏ならではの毅然たるものかと思います。
         ただ(再び)、氏が共同代表を務める政治団体「維新の会」は(もう一人の代表を中心に)体罰を「指導」に必要とする「戸塚ヨットスクールを支援する会」と深い関わりがあり(もう一人の代表はその会長を務めている)、氏の「体罰否定」の真意を現段階で信じることは危険かと思います。
         体罰などによって生徒が自殺に追い込まれ、体罰などの被害が他の生徒にも他の部活動でもおこなわれていたことに対する事件の解明と加害者の処罰を厳粛に行うこと、体罰に依存した「指導」が常態化していた学校の体質を抜本的に変えていくことは緊急の課題です。
         ただ(再び)、それらは学校に関わる大人の課題=責任であり、その対処に生徒たちが巻き込まれ、さらなる被害が重なる状態となることは避けなければなりません。運動部主将を勤めた3年生8人が記者会見して入試中止反対を訴えた件について、「誰がこんなことやらせたんだ」と「学校側や一部保護者の入れ知恵」でやらされていたのでは?と尾木氏が指摘しているように、部活動での「良い成績」を残したいとする学校や保護者の一部が子どもたちを巻き込んで代弁させているとすれば(そうした思いから現体制存続を希望し、子どもたちに心理的誘導をしているとすれば)、この問題は、加害教師や管理責任のある学校や教育行政、市長だけの問題ではなく、大人たちみんなが我がこととして見つめ直すべき課題であるときちんと認識しなければなりません。
         それでは、最近の気になる記事です。

        「体罰ではなく暴行」 生徒の父親、顧問を刑事告訴

         大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の2年の男子生徒=当時(17)=が顧問の教諭(47)から体罰を受けた後に自殺した問題で、生徒の父親が23日、顧問を暴行罪で刑事告訴し、大阪府警に受理された。府警捜査1課はすでに部員や学校関係者、遺族らから事情を聴取。部活動で行われた体罰の実態解明を進め、立件の可否を判断する。
         告訴では、昨年12月22日の練習試合で顧問から受けた体罰が暴行にあたるとしている。生徒は翌23日に自宅で自殺しているのが見つかった。顧問宛ての手紙には「なぜ僕だけがしばき回されなくてはならないのですか」と、指導への強い不満が記されていたという。
         顧問は市教委の聞き取りに「練習試合で頬を平手で4、5回たたいた後、頭を4、5回殴った」と述べ、府警が自殺直後に事情聴取を行った際も「キャプテンなので厳しく指導した。発奮させるためだった」と体罰を認めている。
         一方で生徒は自殺前日、母親に「今日も30~40発殴られた」と打ち明け、体罰の回数などをめぐって顧問の言い分と食い違いを見せており、府警は練習試合に参加した部員らから当時の状況を聞き取り、具体的な体罰の内容を調べる。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130123/crm13012316100019-n1.htm
        「産経ニュース」2013.1.23

        ●なぜ僕だけしばかれると自殺生徒 苦悩にじむ、顧問宛て手紙判明
         大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の男子生徒=当時(17)=が、顧問の教諭(47)から体罰を受けた後に自殺した問題で、生徒が生前、顧問宛てに書いた手紙の詳細が22日、複数の関係者への取材で判明した。手紙には「なぜ僕だけがしばき回されなくてはならないのですか」「キャプテンをしばけば何とかなると思っているのですか」と、苦しむ生徒の心情が率直につづられていた。
         大阪市教育委員会によると、手紙は自殺4日前の昨年12月19日、兄の助言をきっかけに、生徒がルーズリーフ1枚に書いた。しかし内容を見た他の部員からの忠告を受け、顧問には渡さなかった。
        http://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201301/0005688710.shtml
        「神戸新聞NEXT」2013/1/23

        ●自殺:「気づく」を行政課題に 自治体など独自の対策
         昨年は15年ぶりに3万人を下回ることが警察庁の速報値で分かった年間自殺者数。自殺の危険性が高い中高年層の対策に取り組んで成果を上げた自治体、若者の相談を受ける団体、警察の新たな試みを探った。
         ■職員が「門番」
         「相手の感情に注意し不安な表情は見せないで」。東京都足立区庁舎ホールで8日開かれた「ゲートキーパー中級研修会」。区職員が相談者・相談員の2役に分かれ、悩みに気づき自殺を予防するゲートキーパー(門番)の講習を受けた。職員の9割以上の約3300人が初級コースを受講するなど全庁で対策に当たる自治体として知られる。
         06年の自殺者数が都内ワーストの161人だった同区は「10年続けば町会一つの消滅に匹敵する」と対策を本格化させた。
         40~50代男性らを「ハイリスク層」と位置づけ、自殺前に7割以上が債務等の相談で公的機関を訪れていたため「兆候に気づく」を最大の行政課題とした。11年から役所のあらゆる相談窓口を訪れた人の情報を一元管理する全国初の体制を構築。自殺者は11年に前年比23人減の149人となった。同区の担当者は「今後は女性の自殺などの対策を考えたい」と話す。
         ■若者を救え
         若者の自殺者が増加傾向にある背景として、就職難やいじめ問題が指摘されている。若者の労働相談に応じているNPO法人「POSSE」(東京都)には、長時間労働やパワーハラスメントが横行する「ブラック企業」で働いた20~30代の相談が相次ぐ。正社員でも定期昇給がないなど不安定さが目立ち、事務局長の川村遼平さん(26)は「労働時間規制や社会保障拡充で低賃金でも生きていける状況が必要」と訴える。
         全国展開の18歳以下向け電話相談事業を取りまとめる「チャイルドライン支援センター」(同)では、いじめで自信を失った孤独な高校生の相談が目立ち、代表理事の太田久美さんは「自己肯定感を持てない子が多い。学校や家庭で、まずは大人が教育力や人間力を取り戻さないと」と話す。
         ■警察と支援機関連携
         大阪府警は今月、自殺未遂者の個人情報を本人や家族の同意を得て、保健所など府内約40の支援機関に提供する取り組みを始めた。支援機関は医師などの専門家と連携し、未遂者と一緒に問題解決を目指す。自殺者の3~4割が過去に未遂歴があるとされており、早期の支援によって自殺を再び試みるのを防ぐ狙いがある。
         本人が情報提供を拒否するケースも多い。このため府警は、家族にも積極的に協力を求めて情報提供に同意してもらうよう各警察署に指示した。府警幹部は「情報提供への理解を浸透させ、一人でも多くの命を救いたい」と話している。
        http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20130117k0000e040223000c
        「毎日新聞」2013年01月17日

        ●自殺者15年ぶり3万人下回る 「経済・生活を苦に」減る 警察庁まとめ
         2012年の全国の自殺者数は、前年より2885人(9.4%)少ない2万7766人(速報値)となり、1997年以来、15年ぶりに3万人を下回ったことが17日、警察庁のまとめで分かった。3年連続の減少。11月分までの内閣府のまとめによると、動機別では「経済・生活問題」が前年同期比で20%以上減少しており、全体を引き下げたとみられる。
         内閣府は「経済環境が底打ちした影響もあるのではないか」(自殺対策推進室)とみている。
         11月分までの内閣府のまとめでは、動機(複数計上)は「健康問題」が延べ1万2090人で最も多く、年代別では60代の割合が17.8%で最も多かった。
         男女別では、男性が同8.3%減の1万9216人、女性が同11.8%減の8550人。
         発見場所の都道府県別では、東京2760人、大阪1720人の順に多かった。最も少なかったのは鳥取の130人。
         一方、東日本大震災に関連した自殺者は11月までに21人。統計のある前年6~12月の55人に比べ半分以下の水準。
         年間の自殺者は97年まで2万~2万5千人の範囲で推移したが、不況が深刻化した98年に急増。前年比約8千人増で約3万3千人に達し、03年には3万4427人と過去最悪を記録した。
         人口10万人当たりの自殺死亡率では日本の24.4(09年)は主要8カ国(G8)ではロシアの30.1(06年)に次いで高い。G8では以下、フランス16.3(07年)、ドイツ11.9(06年)、カナダ11.3(04年)、米国11.0(05年)、英国6.9(09年)、イタリア6.3(07年)の順。
         00年以降のデータがある中では、リトアニアの34.1(09年)が世界最高で、韓国の31.0(09年)が2番目に高い。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG16083_X10C13A1MM0000/
        「日本経済新聞」2013/1/17

        ●「不登校怒られ」祖父母を殺害容疑 広島県警、高2逮捕
         16日午前0時ごろ、広島県警安佐北署に高校2年の少年(17)が「祖父母を殺した」と出頭した。警察官が広島市安佐北区の少年の自宅に駆けつけたところ、少年の父方の祖父(74)と祖母(73)が死亡しており、同署は少年を殺人容疑で緊急逮捕した。
         同署によると、少年は「祖母に不登校であることについて怒られ、腹が立った。(15日)午後10時ごろに殺した」などと供述。2階にある少年の自室で祖母の後頭部を2キロのダンベルで殴ったうえ、台所にあった包丁で腹部と背中を刺し、その後1階の仏間で寝ていた祖父の腹部と背中も刺したという。自宅から、凶器とみられるダンベルと包丁が見つかったという。
        http://www.asahi.com/national/update/0116/OSK201301160001.html
        「朝日新聞デジタル」2013年1月16日

        ●長期体罰の子、脳が萎縮 熊本大准教授が共同研究
         子どものころ長期にわたり強い体罰を受けた人は、受けていない人より脳の前頭葉の一部が最大で約19%縮んでいるという研究結果を、熊本大大学院医学薬学研究部の友田明美准教授(小児発達社会学)が米ハーバード大医学部との共同研究でまとめた。体罰と脳の萎縮(いしゅく)の因果関係を実証した研究として、体罰のあり方に一石を投じることになりそうだ。
         友田准教授は筑波大(茨城県つくば市)で開かれている「都市化社会と脳の健全育成」を主題としたシンポジウムで25日、研究結果を発表する。11月に米ワシントンでも学会発表の予定。
         研究は米国で、4~15歳のころに平手打ちされたり、むちで尻をたたかれたりするなどの体罰を年12回以上、3年以上にわたって受けた米国人の男女23人を対象に実施。磁気共鳴断層撮影装置(MRI)で脳の断面図を解析したところ、体罰を受けず育った同年代の22人に比べ、感情や意欲の動きにかかわる前頭前野内側部が平均19.1%、集中力や注意力にかかわる前帯状回が16.9%、認知機能にかかわる前頭前野背外側部が14.5%小さかった。
         小児期に過度の体罰を受けると行為障害や抑うつなどの精神症状を引き起こすことは知られているが、脳への影響は解明されていなかった。今回の研究で脳の萎縮がみられた人については、体罰でストレス下に置かれた脳が、前頭葉の発達を止めたと考えられるという。
         友田准教授は「研究結果は虐待の早期発見に生かせるのではないか」と話している。
         ■虐待発見に役立つ
         子どもの虐待に詳しい才村純・関西学院大学人間福祉学部教授(児童福祉・母子保健)の話 虐待が子どもに与える影響を客観的な証拠で示した画期的な研究だ。子どもが虐待の事実を言い出せず、親も隠したり認識がなかったりして見落とされる事例は多い。脳との因果関係を裏付けることができるなら、隠れた虐待の発見に役立つだろう。研究成果が今後、教育や福祉の分野で普遍化されていくことを期待する。
        http://www.asahi.com/edu/kosodate/news/SEB200810230015.html
        「asahi.com」2008年10月24日

        ●特別支援学校生徒の修学旅行での死亡事故――態度”豹変”の新潟県教委
         新潟県立はまぐみ特別支援学校高等部三年の修学旅行で、体調を崩した女子生徒Aさん(当時一七歳)が死亡した事故で、当初責任を認めていた新潟県教育委員会の”豹変”が問題となっている。
         旅行は二〇一一年六月一日、教頭を含む教員、校医の計一〇人が生徒五人を引率し出発。バス移動中、脳性マヒ障がいで車イスのAさんは吐き気が数回あったが、学校側は十分に休憩させなかった。
         群馬県の宿泊先に到着後、発熱し食事もほとんど摂れないAさんに学校側は十分な水分補給をせず、翌二日未明から嘔吐。当初、教員だけで対応したが、午前四時に胆汁も吐き体調が悪化。養護教諭が対応したが、校医に連絡せず、診察は同五時半頃に。
         水分摂取量を養護教諭は記録せず、校医は「水分補給の点滴は不要。救急車で近隣の病院に運ぶと環境ストレスになる。保護者に迎えに来させ、主治医のいる新潟の病院で受診を」と診断し、養護教諭が七時、教頭が七時半になって、保護者に迎えに来るよう連絡した。
         車で二時間以上かかる高速を往復した保護者は午後二時前、病院に娘を搬送したが、すでに「点滴する血管が確保困難」の重症。翌朝、「脱水性ショック」で死亡した。
         県教委の佐藤昇誠・義務教育課室長は同年一二月一二日の検証作業会議で「責任は教委にある」と謝罪したが、補償問題の出た一二年三月頃から態度が変化。一〇月二日には中島秀晴・新室長が保護者らに「県費の補償なし。日本スポーツ振興センターの見舞金のみ支給」と告げた。一二月二六・二七両日、筆者の電話取材に中島氏は、(1)補償なしは新潟大の専門医らの意見聴取で「教員や校医の対応は死亡と直接的因果関係なし」との見解が出たから(2)だが教員らは十分に対応しておらず、降格した教頭を含む四人は懈怠と判断し訓告措置にした(3)道義的責任は大、管理責任もあるが、賠償責任はノーコメント――などと答えた。
         保護者らは一二月一八日、上京し「いじめ自殺以外の学校管理下での死亡事故等発生時も、第三者委員会を設置し、公平公正な検証を行うよう教委に働きかけを」と文科省に要望。林剛史・初等中等教育企画課係長らは検討する考えを示した。保護者らは近く新潟地裁への提訴を検討中だ。
        http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=2873
        「週間金曜日ニュース」2013年1月25日

        ●記憶を思い出す様子を測定=サルの脳神経細胞で―東大-
         ある手掛かりをきっかけに記憶を思い出す際、脳神経細胞の間で信号が伝わり、増幅される様子をサルで測定することに成功したと、東京大大学院医学系研究科の宮下保司教授や平林敏行助教らが米科学誌ニューロン電子版に発表した。
         宮下教授は「健常な人が記憶を思い出せない度忘れの場合は、この想起信号がうまく伝わらないと考えられる。今後どのような条件で起きるか調べ、原因を追究したい」と話している。研究が進めば記憶障害のメカニズム解明に役立つと期待される。
        http://news.infoseek.co.jp/article/130112jijiX159
        「時事通信」2013年1月12日

        ●心中図り娘殺害、裁判長が被告の横にしゃがみ…
         心中を図ろうと知的障害のある次女(当時39歳)を絞殺したとして、承諾殺人罪に問われた東京都世田谷区若林、無職松村宏子被告(69)に対し、東京地裁は21日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役4年)の判決を言い渡した。
         佐藤弘規裁判長は判決言い渡し後、法壇を降りて被告に歩み寄り、「一歩一歩前へ進んで、困った時は周囲に相談して」と説諭した。
         判決によると、夫、次女と3人暮らしだった松村被告は、夫が病気で余命わずかと知って将来を悲観。2011年10月、自宅で次女に心中を持ちかけた際、次女が「先に逝きたい」と電気コードで首を絞めたため、「楽にしてあげたい」と殺害した。被告も自殺を図ったが、夫に発見されて一命をとりとめた。夫はその後、亡くなった。
         佐藤裁判長は「追い詰められた心情には同情の余地も大きい」と量刑の理由を述べた後、被告席に座って泣き続ける松村被告の横にしゃがみ込んだ。「夫がつなぎ留めてくれた命。困った時は長女や保護司に相談すると、約束してくれますか」と語りかけると、被告は「はい」と答えた。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130122-OYT1T00404.htm
        「読売新聞」2013年1月22日

        ●診断書なくても障害認定 年金請求めぐり名古屋地裁判決
         2001年に胃がんで死亡した男性(当時40)の妻(51)=名古屋市=が、男性の生存期間中の障害年金を支給するよう求めた請求について、診断書がないことを理由に国が却下したのは不当と訴えた訴訟で、名古屋地裁は17日、男性の障害を認め、障害厚生年金の却下処分を取り消した。
         判決理由で福井章代裁判長は「請求に対する判断の資料を診断書に限るとした規定は見当たらず、男性の日記や妻の証言などで病状の推移は認定できる」と指摘。「初診から1年半後の認定の起算日となる時期には、男性は障害等級3級の状態にあった」とした。
         妻の代理人弁護士は「診断書がなくても障害があったと認め、全国的にあまり例がない判決」と話した。
         判決によると、男性は1993年10月に胃がんで余命6カ月から1年と診断されたが、医療機関での診療を拒否し、漢方などでの治療を続けたため診断書がなかった。01年2月に死亡した。
         妻は07年9月、男性の生存中の障害年金を国に請求したが、旧社会保険庁は却下。再審査請求も却下されたため提訴した。
         厚生労働省年金局事業管理課は「国の主張が認められず、大変厳しい判決だ。関係省庁と協議し適切に対処したい」としている。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASFD1701M_X10C13A1CN8000/
        「日本経済新聞」2013/1/18

        ●発達障害児向け塾登場 保護者ら関心高まる (東京多摩)
         読み書きや計算が難しい学習障害(LD)など、発達の遅れが気になる子供を対象にした学習塾や通信教育が、多摩地区でも登場してきた。一人一人の特性に応じたきめ細かい指導を提供しており、学校だけでは子供に合った教育を受けさせられないと考える保護者の関心が高まっている。
         多摩地区に住む女性会社員(45)は小学1年の次男を、発達の遅れが気になる子供向けの「学習塾Leafプログレス町田校」(町田市)に通わせている。小学校の普通学級で学んでいるが、授業についていくのが難しく、昨年11月に開設された同塾も利用することにした。
         個別指導の授業を月2回受け、苦手だった文章題のコツをつかみ、解けるようになったという。女性は「友達が多くできるよう、特別支援学級ではなく、普通学級に通わせ続けたい。何とか授業についていければ」と話す。
         同塾は開設以来、塾生が増え、現在は幼稚園・保育園から中学までの約65人が通う。運営会社「ウイングル」(港区)の手塚志穂さんは「普通学級では難しくて授業についていけないケースのほか、特別支援学級では内容が物足りないという場合もある」と話す。
         こうした一人一人の発達障害の状況や要望に合わせて、同塾では教材を独自に作製し、使っている。
         「りんごが6こなっています。あたらしいりんごが4こなると、あわせていくつでしょう」。こうした文章題を理解できない子供向けには、字を絵に置き換えた教材を開発。アスペルガー症候群など、対人関係に問題を抱えた子供には、コミュニケーション能力を高める教材も用意する。
         通信教育でもプログラムが用意され、利用が増えている。大手予備校「四谷学院」を運営するブレーンバンク(新宿区)は、国語や算数、コミュニケーションなどについて学ぶ通信教育プログラムを提供中。自閉症児教育で有名な武蔵野東学園(武蔵野市)の監修で、対象は3~10歳程度。開講した2008年には100人未満だった申込数が、12年には1000人を超えた。うち約200人が都内在住者だ。同社は「学習内容を細分化し、苦手分野を克服しやすくしているため、関心を持ってもらえているようだ」とする。
         ただ、民間の学習塾などを利用すれば、家庭にとっては経済的な負担が増すことになる。東京学芸大の高橋智教授(特別ニーズ教育学)は「本来は行政が、発達障害を抱えるすべての子供に総合的な支援を保障すべきだ」と話している。
        http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/02/20130121-OYT1T00516.htm?from=tw
        「読売新聞」2013年1月22日

        ●統合失調症の重症度・社会性の低下は、海馬体積の減少と関連
         統合失調症において海馬体積の減少は高い頻度で報告されているが、疾患への影響(とくに臨床面、心理社会面にどれほど影響するのか)については依然として十分に明らかとなっていなかった。イタリア・ウーディネ大学のP. Brambilla氏らは、統合失調症患者における症状重症度と社会性の低下は、海馬体積の減少と関連している可能性があることを、三次元マッピング研究の結果より、報告した。British Journal of Psychiatry誌2013年1月号の掲載報告。
         研究グループは海馬の神経解剖学的差異を、3次元(3D)コンピュータ画像解析を用いて調べることを目的とした。高解像度MRIと表面モデリングによる3Dマッピングにて、成人の統合失調症患者群と健常者対照群の海馬プロファイルの違いを調べた。海馬の3Dパラメトリック・メッシュモデルを手動トレースにて作成し、回帰モデルにてラジアル距離にみる診断尺度を、また色分布図を作成し関連プロファイルを評価した。
         主な結果は以下のとおり。
        ・被験者は、統合失調症群67例、健常者対照群72例であった。
        ・海馬のラジアル距離について、両群間の差異は検出できなかった。
        ・しかし統合失調症群において、両側性にみられた体積減少が症状重症度(期間、陽性または陰性の症状について)の増大、および社会性の低下(教育レベル、QOL、健康状態)と関連していることが示された(Bonferroni補正後)。
        ・以上の結果から、統合失調症における症状重症度および社会性の低下が、海馬体積の減少と関連している可能性が認められた。
        ・画像診断尺度はアウトカム不良の構造的サインとして、サブグループ(海馬体積の減少を食い止める特異的治療を要する可能性がある患者)を特定するのに役立つ可能性がある。
        http://www.carenet.com/news/general/carenet/33147
        「ケアネット」2013/01/22
        学校で子どもたちに起こる「問題」が公開され始めた。
        2013/01/11
        昨年はイジメ=暴行などの犯罪行為で自殺に至った大津市の中学校での事件、今年は年明け早々に部活動顧問の「体罰」=暴行などの犯罪行為で自殺に至った大阪市の高等学校での事件。新聞の1面で、これらの事件が報道されるようになっています。
         これらの事件は、最近目立って起きているわけではありません。ようやく「公開」されるようになったと解するのが正しいと思います。
         イジメでも、体罰でも、過「指導」でも、事故でも、これまで学校という「守られた」聖域で生じた、学校にとって都合の悪い(責任を問われるような)事件は、教育委員会の「指導」のもとに徹底して隠蔽されてきました。
         1994年11月27日に愛知県西尾市の市立東部中学校2年の大河内清輝君がイジメを苦に自殺した事件をご存知の方は多いと思います。イジメの経緯を生々しく綴った「遺書」から「事件性」が明らかとなり、同校の教師5人は処分、校長は翌年度異動、関わった男子生徒11人のうち4人は恐喝容疑で書類送検(3人を初等少年院(内2人は長期、1人は短期)、1人を教護院に送致)という行政処分と刑事罰に至ったことから、「公開」の端緒となりました。
         <参考>愛知・大河内清輝くんいじめ自殺事件 http://yabusaka.moo.jp/okouchi.htm
         その後も(もちろんその前にも)、数多の学校において子どもたちが命を失ったり、後遺障害や心的外傷を生涯背負うことになる事故・事件が発生してきましたが、教育行政はこれらにきちんと向き合うことを避け、責任逃れの方略にその都度全力を注いできました。まともな調査も総括や謝罪もされないままに…。
         「全国学校事故・事件を語る会」(http://homepage3.nifty.com/Hyogo-GGG-Izokunokai/)でも、これら多くの事案で被害に遭われたご家族・当事者・関係者が、被害者・遺族の支援とエンパワメント、再発防止に向けて取り組みを進めてきていますが、訴訟を起こして勝訴するケースは稀、「事故」「事件」としてすら扱われないケースが全国にあふれていることは、学校という聖域の隠蔽体質がまったく変わって来なかったことを明らかにしています。
         大津市、大阪市での事件は、「公開」が不可避なものであったためにメディアがこぞって取り上げ、その隠蔽体質と可視化の必要性が広く認知されるようになる機会となると思います。一過性の報道で終わらせてはなりません。
         学校が、子どもたちが安心して学び育つ事ができる場となることは、そこに働く教職員が生き生きと教育実践をし、保護者が安心して働き子育てできる環境づくりとなります。学校で起こる「問題」ですが、「学校の問題」だけではありません。
         それでは、最近の気になる記事です。

        バスケ部顧問「他の部員にも体罰」 大阪・高2自殺

          大阪市立桜宮(さくらのみや)高校(大阪市都島区)のバスケットボール部主将の2年生の男子生徒(17)が、顧問の男性教諭(47)の体罰を受けた翌日に自殺した問題で、顧問の教諭は市教委の聞き取りに対し「(試合で)発奮させるため、他の部員にも体罰を加えた」と認めていることがわかった。
         男子生徒が昨年12月23日に自殺してから5日後の28日、市教委が顧問の教諭から直接聞き取りをした。
         顧問は「実力があるのに試合で力が発揮できない選手を発奮させたかった」としたうえで、自殺した男子生徒以外の他の部員への体罰も認めたという。
         顧問は現在謹慎中だが、市教委は今後も聞き取りを継続し、体罰の時期や範囲を特定する考え。市教委の担当者は、顧問による体罰被害を受けた生徒は「かなりの人数にのぼると思う」と述べた。
         学校が男子生徒の自殺後の同27日、男女のバスケットボール部員50人(男子20人、女子30人)に実施したアンケートでは、48人が「他の生徒が体罰を受けるのを見た」と回答。具体的には「ビンタ」「たたく」「蹴る」などを挙げていた。また4割以上の21人が自ら体罰を受けたと答え、部内で体罰が常態化していた可能性がある。
         市教委が自殺を公表した8日の記者会見で、桜宮高校の佐藤芳弘校長は「職員には常々、体罰はいけないと言っていた。(体罰があったと知り)まさかという思いが強かった」と述べ、常態化した体罰を全く知らなかったとしている。
        http://digital.asahi.com/articles/OSK201301100001.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_OSK201301100001
        「朝日新聞デジタル」2013年01月10日

        ●大阪・高2自殺:体罰当日に遺書 数日前顧問に手紙「なぜ僕だけ」
         大阪市立桜宮高校(同市都島区)2年の男子生徒(17)が昨年12月に自殺した問題で、生徒が家族宛ての遺書を書いたのは、所属するバスケットボール部顧問の男性教諭(47)から体罰を受けた当日だったことが、捜査関係者への取材で分かった。亡くなったのは翌日だった。同部の主将を務める生徒は数日前、「僕も頑張っているのに、なぜ僕だけ言われるのか」などと顧問宛てに手紙を書いたが、渡せなかった。府警は、追い詰められていた生徒が、体罰を引き金に死を決意した可能性が高いとみている。
         捜査関係者によると、遺書は昨年12月22日付。「長い間バスケットボールをさせてくれてありがとう。迷惑をかけることは分かっていますが、死ぬことに決めました」などと記載し、両親と兄にそれぞれ感謝する内容だという。この日、生徒は桜宮高体育館で石川県の高校と練習試合をした。この際、顧問から平手でほおを数回たたかれたという。直後に遺書を書いたとみられ、翌23日に自室で自殺しているのが見つかった。
         また、顧問への手紙には「他の部員もできないのに、なぜ僕だけ言われるのか」「僕も一生懸命頑張っている」などと書かれていた。体罰や主将としての悩みを顧問に訴えられない生徒に対し、家族が「字にしてみたら」と促したという。
         また、生徒は自殺5日前の12月18日の練習試合中にも、顧問から体罰を受けていたことが市教委への取材で分かった。教諭が市教委に、生徒の顔を平手で数発たたいたことを明らかにした。
         家族は自殺の約1週間ほど前から、表情の変化など生徒の異変に気付いていたという。顧問への手紙を書いたのもこの時期だった。
         同校の男子バスケットボール部は全国高校総体に過去5年間で3回出場する強豪。顧問は94年に就任し、指導者として高い評価を受けていたという。
         ◇11年の通報も再調査の方針−−市教委に監察チーム
         高2男子生徒の自殺問題で、市教委は、顧問の体罰を指摘した11年の外部通報に関し、外部監察チームで再調査する方針を決めた。同校は当時、生徒への聞き取りをせずに「体罰はなかった」と結論付け、12年に現校長が就任した際にも情報が引き継がれなかった。市や学校の対応の甘さが今回の事態につながった可能性がある。
        http://mainichi.jp/feature/news/20130109dde041040030000c.html
        「毎日新聞」2013年01月09日

        ●減らぬ教師の体罰、部活絡みの処分は3割
         大阪市立桜宮(さくらのみや)高校で男子バスケットボール部主将の男子生徒=当時(17)=が顧問の男性教諭(47)から体罰を受けた翌日に自殺した問題。体罰を理由に処分を受けた全国の教職員は最近10年間で年間400人前後で推移していることが9日、文部科学省への取材で分かった。
         文科省によると、平成23年度は404人で、中学校が最も多く180人、高校139人、小学校81人、特別支援学校4人。このうち、約3割に当たる110人が部活動に絡むものだった。
         教育現場の指導の中で、どこまでを体罰ととらえるのかは難しい問題だ。文科省は19年、いじめや校内暴力などの問題に対応するため、体罰基準の見直しを実施。殴る、蹴るなど身体への侵害や、長時間の起立など肉体的苦痛を与える行為を明示する一方、体罰に当たらない行為も具体的に例示した。
         それまでの国の基準は、居残り指導や騒いだ子供を教室の外に出すことなども体罰と定義しており、学校現場から「教師が萎縮して児童生徒を指導できない」との声が噴出。
         このため、居残り指導のほか、授業中に起立させたり、児童生徒を叱って席につかせたりすることなどは、肉体的苦痛を与えるものでない限り、体罰には当たらないとしている。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/130110/edc13011008060001-n1.htm
        「産経ニュース」2013.1.10

        ●自殺:体罰受けた高2、自宅で バスケ部主将「顧問から」と手紙−−大阪
         大阪市教委は8日、同市都島区の市立桜宮高校(佐藤芳弘校長)の2年生の男子生徒(17)が先月23日、自宅で自殺したと発表した。市教委によると、男子生徒は、主将を務めていたバスケットボール部の顧問の男性教諭(47)から体罰を受けていた、と記した手紙を残していた。男子生徒は顧問から顔面を平手打ちされるなど複数回の体罰を受けていたという。市教委は自殺前日にも顧問の体罰を確認しており、自殺との因果関係を調査している。
         大阪府警は自殺当日、顧問からも事情を聴いた。
         佐藤校長と永井哲郎・市教委教育長らが市役所で記者会見した。市教委によると、男子生徒は、23日早朝に自分の部屋で、制服のネクタイを使って首をつっているのを母親が発見した。遺書のほか、顧問に宛てた手紙も残していたという。
         手紙などには、顧問の厳しい指導や体罰があったことや、主将としての責任に苦しんでいた、との記載があった。市教委の調査に顧問は体罰を認め、他の部員へのアンケートでも裏付けられたという。他の部員に体罰をしていたという情報もある。
         自殺前日には練習試合があり、試合でミスがあると、顧問が男子生徒の頬をたたいたという。市教委の調査に顧問は「体罰は1~2回」と話しているが、他の部員への調査では「かなりの頻度で体罰があった」との回答があった。
         市教委には、11年9月ごろにもこの顧問の体罰に関する情報があったが、同校から「体罰はなかった」との報告を受けていた。市教委は先月28日に弁護士らでつくる外部監査チームを設置し、協力して昨年度の体罰についても調査する。
         同校バスケットボール部は、1~2年生の男女47人。全国高校総体には過去5年間で3回出場している。顧問は94年から同校で勤務し、バスケットボールの指導が評価されていた。
         ◇真面目で責任感強く
         「因果関係は断定ができないが、重く受け止めている。体罰があったことは許し難い」
         永井哲郎教育長は記者会見でそう話し唇をかんだ。会見では、冒頭、長谷川恵一・教育委員長が「亡くなられた生徒のご冥福を祈り、遺族に心からお悔やみ申し上げます」と述べ、同席した佐藤芳弘校長らとそろって頭を下げた。
         男子生徒は、バスケットボール部への入部を希望し、同校の体育科を受験。昨年9月ごろから主将を務めていたという。校長によると、性格は真面目で、成績も上位で、責任感が強い生徒だったという。男子生徒が家族に宛てた遺書には、感謝の気持ちがつづられていたという。
        http://mainichi.jp/feature/news/20130108dde041040007000c.html
        「毎日新聞」2013年01月08日

        高2自殺で体罰の顧問、府警が立件の可否判断へ
         大阪市立桜宮高校(大阪市都島区)の2年男子生徒(17)が、所属するバスケットボール部の顧問の男性教諭(47)から体罰を受けた翌日に自宅で自殺した問題で、大阪府警は顧問の体罰行為について顧問や他の部員らの事情聴取を進め、立件の可否を判断する。
         府警や同市教委などによると、男子生徒はバスケ部のキャプテンで、昨年12月23日早朝、自室で首をつっているのが見つかり、病院で死亡が確認された。同22日の練習試合中にミスがあったとして顧問から両手で頬を複数回たたかれる体罰を受けていた。
         府警は自殺当日に顧問から事情を聞いた。顧問は「キャプテンなので厳しい指導をした」と話したという。
         聴取は自殺の動機を調べるのが目的だったが、市教委の調査などから、顧問の体罰が日常的に行われていた疑いが浮上し、府警は体罰行為そのものを詳しく調べる必要があると判断した。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130109-OYT1T00142.htm?from=ylist
        「読売新聞」2013年1月9日

        ●ケースワーカー:制度見直し 増員などは置き去りに不安
         生活保護制度の見直しが大詰めを迎えた社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の特別部会の議論の行方に、福祉の最前線で働く自治体のケースワーカーたちが不安を募らせている。民間との連携が重視され、以前からの課題だった人員増や専門性の向上が置き去りにされそうな気配だからだ。「住民の生存にかかわる仕事が民間任せでいいのか」との声も上がる。
         特別部会は民主党政権下で議論を始め、16日に報告書の素案を公表する。人手不足の解消策として、委員の多くはNPOや社会福祉法人など「民」との連携を歓迎し、ケースワーカー自体の質的・量的拡充を望む声は一部にとどまった。素案はこうした議論を踏まえたものとなる見通し。
         自民党が衆院選で出した総合政策集はケースワーカーのマンパワー拡充策として「民間委託の推進」を掲げており、特別部会と方向性は一致しているとみられる。田村憲久厚労相は8日の記者会見で「(特別部会と)考え方が一緒ならば何の問題もない」と述べた。
         だが、現場では「民」との連携を重視し過ぎることへの反発が少なくない。東京都内の50代ケースワーカーは「この仕事は忙しく難しい上、大半が就職したての若者たち。民間の手を借りるにしても、ケースワーカーの人員を増やし、専門職採用にするなど、仕事にやりがいを持てるようにしないと支援の質は高まらない」と言い切る。横浜市のケースワーカーは「生活保護行政は公務員が取り組むことに意義がある。アウトソーシング(外注)で、地域住民の生存権に責任を持てるのか」と憤る。
         特別部会はこのほか、受給者に健康や家計の管理を義務づけるなど厚労省の提案についても議論した。与党の意向も踏まえた最終的な結論はまだ不明だが、実施されればケースワーカーの業務は更に増えることになる。
         都内の40代のケースワーカーは「健康管理にせよ家計管理にせよ、どう指導すればいいのか迷うことが増えるだろう。どれだけ持ちこたえられるだろうか」と途方に暮れる。
        http://mainichi.jp/select/news/20130110k0000m040081000c.html
        「毎日新聞」2013年01月09日

        障害者総合支援法:「難病」の対象範囲を限定
         今年4月に施行される障害者総合支援法で、ホームヘルプや補装具支給など障害福祉サービスの対象者に「難病」が加わる。公的支援のない難病患者は多く、期待は大きかったが、厚生労働省は先月、対象範囲を暫定的にパーキンソン病など国の調査研究助成対象の130疾患と関節リウマチとする方針を示した。国内に患者がいる希少疾患は数千あるとされる。対象外となる患者団体は「病名で区切らず、生活実態から判断すべき」として国への働きかけを検討している。
         ◇病名だけで決めないで…患者らが訴え
         同法に基づくサービス対象者は、市町村が医師の診断書などを元に判断するが、その基準となる厚労省方針は昨年12月に示された。

         激しい疲労が続き、筋肉痛や睡眠障害を伴うことも多い筋痛性脳脊髄(せきずい)炎は対象とならなかった。慢性疲労症候群とも呼ばれるこの病気の患者会のNPO法人理事長、篠原三恵子さん(54)=東京都東久留米市=は、ほぼ寝たきりで、食事も外出も介助者が必要だ。
         難病患者は、症状が変わったり診断が難しいなどの理由で身体障害者手帳を取得できない人も多い。このため現行の障害者自立支援法の対象にならず、福祉サービスについて全額自費負担したり、控えざるを得ないケースも多かった。篠原さんによると、同症候群の患者も例外ではない。
         茨城県つくば市の女性(43)もその1人だ。都心で会社勤めをしていた31歳の秋、微熱が続き、突然、鉛のように体が重くなった。半年欠勤後に退職して帰郷。多くの病院を回り、診断を得られたのは2年前だ。
         年末年始は自宅で過ごした。ほぼ唯一の外出は年明けの2日、自宅脇の公園に出掛けた母との散歩だった。「今の希望は、わずかでも仕事をして社会とつながっていると感じること。そのためにホームヘルプや就労支援の福祉サービスが受けられれば」と語る。
         薬を服用しないと脱水症の危険に陥る「下垂体(かすいたい)機能低下症」を抱える弁護士の青木志帆さん(31)=大阪市=は「この病気は対象になったが、谷間に陥る人を無くすため、病名でなく支援が必要な状況かどうかでみてほしい」と指摘する。
         厚労省は「財源は税金。サービスを行なう市町村が混乱しないよう病名で対象を明確にすべきだ」と説明。今後、対象範囲の見直しも進めていくとしている。篠原さんや青木さんらは、実態に合わせた対応を求めるため、患者の日常生活に関するアンケートなども検討するという。
        http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20130111k0000m040077000c&inb=sns
        「毎日新聞」2013年01月10日

        「わかった」、でも実行しない。同じ不安を繰り返す…。
        2013/01/08
         明けましておめでとうございます。年末に準備し、年明けにサイトをリニューアル公開したところです。また、時間を作って修正して行きたいと思います。
         さて、2013年最初の【この頃思うこと】です。
         説明し、望ましいと思える提案をしつつ話し合い、「わかりました」と了解されても数ヶ月経っても実行されていない。そして数年前と同じ様な不安を繰り返し訴える…。地元の保健センターや行政の障害福祉の窓口、地域包括支援センター、通院先の病院など、民間支援者としてできる限りの情報提供や支援要請をし、それぞれにつながってはいるものの、ご自身からある一定以上の介入を拒むなどで、支援が先に進まない。行政機関などの「申請主義」や不作為にも呆れるものがありますが、なぜ途中で「もう良いです」と行動を止めてしまうのか? ずっとこんな逡巡を繰り返していたケースで新たな進展がありました。
         昨年末に、親族から不可避的な精神的及び具体的な侵襲を断続的に受けて限界に至り、それまで手前まで何度かたどり着きながら断ってきた「入院」に自ら踏み切られました。「精神科入院がベストな選択とは言えないけど、今はしばらくゆっくりして、心身共に良い状態に戻しましょう」と、1ヶ月程度の「静養」をすすめました。しかし、2週間あまりで退院されてしまいました。「食事がおいしくない」「退屈だ」と…。
         それは事実でしょうが、精神的ダメージは少し回復できたかと思えるレベルで、家に戻ればまたすぐに元の侵襲的な状態に戻ってしまいますし、現にその親族の方は、入院中にも数度電話連絡をしてきたとか…。
         「不幸中の幸い…」だったのは、入院中に(時間もあり)判断のエビデンスが必要だったためかウェクスラー式成人知能検査(WAIS)を受けたこと(ご自身は検査名や目的はわかっておられない)。結果、数字や図形の処理は問題ないが、意味理解など言語性知能に苦手さがあり「軽度の知的障害」の疑いがあるとの説明がされたようです。検査所見やディスクレパシーを含む結果プロフィールのコピーももらったそうです。
         「わかった」、でも実行しない。同じ不安を繰り返す…。この理解のためのヒントが、WAIS検査から示され、医師から伝えられたことで、ご本人もすんなりと受け入れられたようです。「単語を重ねて、つながった文章で話されると理解できなかった…」など、ふり返って自己理解を始められています。
         大学も卒業されておられ、就労された時期もあり、日常会話に困難さは見られませんでした。でも、実際は困っておられたのです。
         大切なのはこれから。入院した病院から、通院先の病院へ医療情報として検査結果や入院治療の内容などは伝えてもらえるようです。福祉行政、地域福祉が医療と連携した支援を取り組んでくれるか否か…。これまで各々の「入り口」で止まっていましたので…。
         それでは、最近の気になる記事です。

        就活生:「失敗で自殺」4年で増加 NPOが悩み分析へ

          大学生の就職が厳しい状況が続く中、就活生を支援しようと、NPO法人・自殺対策支援センター「ライフリンク」が、就活中の学生に聞き取り調査を実施する。就活失敗が原因とされる自殺の防止も視野に、就活の悩みや不安を分析しケアするのが目的だ。職業観や人生観も聞き、さらに他国と比較もして、日本の若者が感じる「生きづらさ」や価値観を浮き彫りにした上で、支援の一助にするという。
         文部科学・厚生労働両省の調べでは、昨春卒業した大学生の就職率は93.6%(前年度比2.6ポイント増)。また、今春卒業予定の大学生の昨年10月時点の就職内定率は63.1%(同3.2ポイント増)で、回復傾向は見られるが、依然厳しい状況が続いている。
         警察庁によると、11年の10~20代の自殺者は3926人で前年より134人増えた。「就職失敗」が原因とされたのは、07年の60人から11年の150人と2.5倍に。大学生など学生は同16人から同52人と増えている。
         調査は1~2月、大学生と大学院生の計100人程度を対象に実施し、3月末予定のシンポジウムで結果を発表。内定を得る学生が増える夏に追跡調査もして対応を検討するという。心理学などを研究する学生らも調査に参加する。
         60項目程度の質問を予定し、「就活の不安」や「親からの重圧」について実感を探る。このほか、キャリアプラン、働くことや社会へのイメージ、大学生活の満足度も聞く。「死にたい」と考えた経験の有無や受診歴、頼れる人の存在など、深刻なストレスに関連した質問も用意。また、韓国や自殺率が日本より大幅に低いトルコでも同じ調査をして比較することも検討中だ。
         調査に参加する一橋大4年、松井沙斗美(さとみ)さん(23)は商社から内定を得た。企業の採用基準が不明確な場合が多く、真面目な人ほど内定を得られなかったときに自己否定につながる可能性が高いと感じたといい、「調査で就活生の実情を社会にもっと認識してもらえたら」と話す。
         ライフリンクの清水康之代表は「社会を意識する敏感な時期の学生に話を聞くことで、就活生だけではなく若者世代の生きづらさや価値観を浮き彫りにしたい」と話している。
        http://mainichi.jp/select/news/20130107k0000e040136000c.html
        「毎日新聞」2013年01月07日

        ●いじめ被害「親には言えない」…法務局への手紙相談増加 専門家が秘密厳守で返信
         大津市の中2男子が自殺した事件で同級生が暴行容疑などで書類送検されるなど、いじめの深刻な実態が浮き彫りになる中、各地の法務局に手紙で相談を持ちかける小中学生が増加している。校内でいじめを受けているケースが多く、内容は多岐にわたる。法務局関係者は「学校や親に相談できない子供の連絡が多く、問題の早期認知にもつながる」と指摘している。
         《いじめにあってます。菌(黴菌(ばいきん))扱いです。両親には、勇気が出ず何も言えません》《陰口を言われたり、無視されたりします。「ちくった」と言われるので学校には言わないで》…。昨年10月以降の約2カ月間で、東京都内の小中学生から東京法務局(千代田区)に届いた悲痛な叫びは750通以上に及んだ。
         法務省は悩みを周囲に打ち明けられない子供の「声なき声」を掘り起こそうと、平成18年度から、いじめや虐待の相談を手紙で受け付け、アドバイスする「子どもの人権SOSミニレター」事業を実施。毎年10~11月、切手不要の専用紙を全国の小中学校を通じて配布している。児童生徒は年間を通じて、悩み事を書いて投函(とうかん)すれば、法務局の担当者に届く。同省によると、20年度に5567件だったいじめ相談の手紙は年々増加し、23年度は8916件に。《「震災で死ねばよかったのに」「この町から消えうせろ」と言われる》。東日本大震災に伴う転校先での嫌がらせを打ち明ける訴えも昨年は目立ったという。
         子供への返信は、元教師など各地域で民間から選抜され、法務大臣が委嘱した人権擁護委員が主に担当。秘密の厳守を約束した上で、複数の選択肢を提示し解決を図る。東京法務局で委員を務める江藤佳子さん(61)は「一人で解決できるのか、大人の手が必要なのか。1通に1~2時間かかっても、状況に応じた返事ができるよう最善を尽くしている」と話す。
         法務省調査救済課は「窓口や電話では大人にうまく悩みを説明できないことも多い。一人で抱え込まず、思いを自由につづってほしい」と呼びかけている。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/130105/trd13010522300013-n1.htm
        「産経ニュース」2013.1.5

        ●大津いじめ自殺:同級生2人を書類送検へ 1人は児相に
         大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、滋賀県警は男子生徒をいじめたとされる同級生3人について、暴行などの容疑で近く立件する方針を固めた。うち当時14歳だった2人については大津地検に書類送検し、刑事罰に問われない当時13歳だった少年については、男子生徒への暴行などの非行内容で児童相談所に送致する見通し。
         捜査関係者によると、当時14歳だった少年の1人は、昨年、校内で男子生徒を殴るなどした疑いや、男子生徒の成績カードを破った器物損壊の疑いがある。もう1人の当時14歳の少年については、校内での男子生徒への加害行為のほか、今年5月に女性教諭にけがをさせた傷害の疑いが持たれているという。
         また、男子生徒が窓から落ちる練習をさせられていたとされる「自殺の練習」については、他の生徒らからの聞き取りの結果、詳しい内容などは確認できず、度胸試しの一環だったと判断し、強要容疑での立件は見送る方針だという。
         一方、今年7月の学校などへの捜索容疑になった、昨年9月の体育祭で男子生徒の手足を鉢巻きで縛るなどしたとする暴行容疑については、「体育祭での行為は、遊びで同様の行為をしていた生徒が多く、犯罪との区別が難しい」として、立件の可否を慎重に検討している。
         これらの同級生3人を巡っては、体育祭での暴行容疑で県警が7月11日に学校と市教委を家宅捜索。その後、男子生徒の父親が3人を暴行、恐喝、強要、窃盗、脅迫、器物損壊の6容疑で大津署に告訴していた。
        http://mainichi.jp/select/news/20121223k0000m040065000c.html
        「毎日新聞」2012年12月22日

        ●性犯罪:再犯防止効果を実証
         法務省は、性犯罪の受刑者や保護観察対象者に実施している「認知行動療法」を用いた再犯防止処遇プログラムの効果が国内で初めて実証されたと発表した。受講者組が非受講者組に比べ、再犯率が低かったという。
         刑務所では06年5月からプログラムを実施。検証は、07~11年に出所した性犯罪受刑者(受講者1198人、非受講者949人)で3年以内で再犯(全犯罪)に至った人の割合を調べた。その結果、受講者は21・9%で非受講者の29・6%より、約8ポイント低かった。
         保護観察所も06年9月から保護観察対象者にプログラムを開始。導入前の非受講者410人と導入後の受講者3838人について、07年9月~11年12月の間に再犯(同)した人の割合を調べた。このうち、保護観察付きの執行猶予判決が確定した人では、受講者が非受講者を13・6ポイント下回った。刑務所から仮釈放されて保護観察を受けた人でも受講者が非受講者に比べ7・4ポイント低かった。
        http://mainichi.jp/select/news/20121223ddm041040109000c.html
        「毎日新聞」2012年12月23日

        ●いじめ自殺:控訴審で学校法人の賠償減額…名古屋高裁
         中学1年の時に受けたいじめが原因で高校2年の高橋美桜子(みおこ)さん(当時16歳)が自殺したとして、母典子さん(54)=愛知県刈谷市=が学校法人市邨(いちむら)学園(名古屋市瑞穂区)などを相手取り、慰謝料など約4250万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が25日、名古屋高裁(林道春裁判長)であった。林裁判長は、いじめと自殺の因果関係を認めて学園側に約1491万円の支払いを命じた1審の名古屋地裁判決を変更、約619万円に減額した。
         1審判決は「学校側は、いじめを放置すれば自殺を招く恐れがあることを予見できた」としたが、林裁判長は美桜子さんが中学1年修了時に転校し、3年5カ月後に自殺していることから、「その間にさまざまな出来事や人間関係があった。高校の同級生とのトラブルや教諭との人間関係、進級問題による精神的ストレスが、自殺の原因と推認される」と判断した。
         美桜子さんは解離性障害などと診断されており、林裁判長は1審同様、いじめと障害の因果関係は認定。そのうえで、自殺当時の症状について「中学で受けたいじめと似た状況になった時に、過剰に反応する程度に過ぎなかった」として、障害が自殺の原因とはならないと指摘した。
         美桜子さんは02年4月、同学園が運営する名古屋経済大市邨中に入学。同級生から靴に画びょうを入れられたり、暴言を浴びせられたりするなどのいじめを受け、03年3月に転校した。06年8月、住んでいたマンションから飛び降りて死亡した。
         市邨学園は「判決を重く受け止め、真摯(しんし)に対応する。生徒間のトラブル発見、防止に努める」とのコメントを出した。
         ◇母「1審判決から後退し残念」
         高裁の判決後に高橋さんは記者会見し、「1審判決から後退したという気持ちで、残念」と、目を潤ませながら話した。
         高橋さんは、判決が学校側がいじめを放置した責任に言及したことは評価しながらも「いじめがなければ娘が亡くなることはなかった。娘の声が高裁に届かなかった」と悔しさをにじませた。
         現在は国や愛知県に対し、美桜子さんへのいじめの実態を解明する第三者調査委員会の設置を求めているという。高橋さんは、私立学校への行政側の指導が不足していることが問題と指摘し、「私立でも公立でも、子どもに救いの手がさしのべられる仕組みを作ってほしい」と訴えた。
        http://mainichi.jp/select/news/20121226k0000m040105000c.html
        「毎日新聞」2012年12月25日

        ●「教諭の死、公務で過労が原因」…鳥取地裁
         小学校教諭の男性が脳出血で死亡したのは公務での過労が原因だったとして、男性の妻が地方公務員災害補償基金(東京都)を相手取り、公務と認めなかった処分の取り消しを求めた訴訟の判決が鳥取地裁であった。
         和久田斉裁判長は「発症は公務から受けた肉体的、精神的負荷に起因する」と公務との因果関係を認め、処分取り消しを言い渡した。21日付。
         判決などによると、男性(当時47歳)は鳥取市立岩倉小で2年生の担任などを担当。2003年3月に体調を崩しながらも出勤し、19日にも39度を超える熱があったが出勤。早退後に自宅で脳出血で死亡した。
         和久田裁判長は「職員の自主的な取り組みは公務にはあたらない」とする同基金側の主張を退け、死亡の約1か月前から行っていた文集作成などが公務にあたると指摘。「日常外の公務も行わなければならず免疫力を低下させた」とし、妻の訴えを認めた。
         妻は同基金県支部に公務災害認定を請求したが認められず、支部や同基金への再審査も棄却されていた。同基金訟務課は「判決内容を精査し、対応を検討したい」としている。
        http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20121226-OYT8T00371.htm?from=tw
        「読売新聞」2012年12月26日

        ●ボート転覆:現場や競技に詳しい関係者からは疑問の声
         千葉県東庄(とうのしょう)町の利根川支流の黒部川で26日、高校生が乗ったボートが強風で転覆した事故で、転覆したのは1人乗りボート18隻に達したことが分かった。乗っていた生徒18人のうち6人(男子1人、女子5人)が病院に搬送され、うち4人が低体温症と診断されたが、いずれも命に別条はなかった。一部の船が転覆し、急きょ練習を中止したものの転覆が相次いだといい、県警は学校関係者らから当時の状況などについて事情を聴く方針。
         県警や県教委、県から練習の委託を受けた県ボート協会によると練習には千葉、茨城、群馬、山梨、神奈川の5県9高校の生徒34人が参加。26日午前9時から練習を始め、6000メートルのタイム測定などをしていた。同10時15分ごろ、天候が悪化し波が高くなり、2隻が転覆。現場責任者の教諭が練習中止を決めたが、他のボートが相次いであおむけになった。拡声機はなく、メガホンで避難を呼び掛け生徒らは自力で陸に上がったり、消防隊員らに救助されたりし、全員無事が確認されたのは約2時間後だった。
         千葉県教委と同県ボート協会が同日夕に行った記者会見での説明によると、練習開始は複数のスタッフで決めたが、気象条件について判断する具体的なマニュアルはなく、風速は測っていなかった。会見で担当者らは「中止を決めたタイミングなど判断は適切だった」とする一方、「街中と違い、川の上では風速や風向きの変化はよくあり、予測しにくかった」と説明。同協会の魚地利明ヘッドコーチは「感覚に頼ってしまった部分はある」と反省点も示した。
         また、ほとんどの生徒は救命胴衣を装着していなかった。日本ボート協会によると、着用判断は現場の責任者に委ねられ、義務化はされていないが、11年に定めた安全マニュアルでは、転覆したのと同じシングルスカルと呼ばれるタイプの船は、風速が4~5メートルを超えると安全な操船が難しくなるため、現場責任者に安全に配慮するよう求めている。
         銚子地方気象台によると現場に近い千葉県香取市のアメダスで午前9時54分に最大瞬間風速13・4メートルを観測した。強風注意報は出ていなかった。気圧配置からみて、竜巻のような現象は考えにくいが、突風が吹いた可能性はあるという。国土交通省の運輸安全委員会は、船舶事故として調査官3人を現地に派遣した。
         ◇「漁師なら絶対船を出さない」
         この日の練習実施は適切だったのか。現場や競技に詳しい関係者からは疑問の声も上がった。
         地元の漁業組合幹部、滑川幸男さん(60)は「朝から風が強かった。漁師なら絶対船を出さない」と指摘。一方、合宿に参加した千葉県立銚子商ボート部顧問の島崎安弘さん(54)は艇庫にいたが、風が気になって様子を見に行ったところ、ボートが転覆していたといい「風と波が強ければ、通常は船を出さないが、船を出した後に風が強まった。反省しています」と唇をかんだ。
         参加した高校関係者の一人は「強風なら陸上トレーニングに切り替わるが、複数の学校の合同合宿で日程も限られ、多少の風でも出てしまったのだろうか」と語った。
         ボート部の2生徒が一時不明となった県立小見川高校では、現場の上流約2キロでカヌー部らが練習していたが、風が強くなり、顧問の判断で練習を中止していた。同校の早川昌二教頭は「下流の事故の知らせを受けたのはカヌーを引き揚げた直後でした」と複雑な表情を浮かべた。
        http://mainichi.jp/select/news/20121227k0000m040143000c.html
        「毎日新聞」2012年12月27日

        ●いじめ後遺症「人が怖い」 24歳、消えぬ心の傷
        〈仕事を辞めてもよいと思い始めてます。もう取材には応じられない〉
         マサト(仮名)から電子メールが届いたのは、12月20日の朝だった。前日に都内で2度目の面会をして、年末までに写真を撮る約束をしたばかりだった。
         あわてて彼のツイッターをスマートフォンで確認する。ふだんは好きなアイドルグループの話題ばかり投稿しているのに、出勤前にこうつぶやいていた。
        私は自分勝手なのか
         弱気なメールを受け取るのは2度目だ。1週間前に初めて会った際も笑顔を見せていたのに、翌日は、24歳にして初めてのアルバイトが「続くか分からない」。日々、揺れていた。
         出会いのきっかけは私が投稿したツイッターの呼びかけだった。
        〈「いじめ後遺症」って知ってますか?〉
         自殺事件になると注目されるいじめ。でも実際は、死に至らなくても心に傷を残し、大人になって対人恐怖に苦しむ。私も、子ども時代、プロレス技をかけられて、つらくても笑ってごまかした記憶にさいなまれてきた。そんなことを打ち明けながら、声を募った。
         2日後、マサトからの最初のメールが届いた。
        〈私はいじめに遭い、人生が変わりました〉
         スマホで親指入力した全1288文字には、「人間関係に自信がない」「半引きこもり状態」といった言葉が並んでいた。
         JR山手線の駅近くにある喫茶店で話を聞いた。
         小学生の時に「ばい菌」扱いされ不登校になったこと。中高時代、休憩時間は1人で自席に座っていたこと。一緒に弁当を食べる相手もいなくて、「昼になると図書館に逃げ込み、家に帰って食べてた」。
         今も苦しんでいる、そのこと自体に負い目を感じる。「仲間はずれだけで、暴力もなかった。いつまでも吹っ切れないのは、自分が弱いだけなんすよ……」
         大学の夜間部に通い、就活が迫った2年前、臨床心理士がいる学内の相談室に通い始めた。人間関係のレッスンも受けた。「でも、面接が怖くて」。昨春、進路未定のまま卒業した。
         現在のつけ麺屋のバイトを見つけたのは12月になって。私にメールを送ったのは、「自分に区切りを付けたかったから」。でも、最初の取材から別れた後、こうも、つぶやいていた。
        〈はたして良かったのだろうか〉
         私はつぶやき返した。
        〈大丈夫ですよ。つけ麺、おいしかったです〉
         やっとの就職を、マサトは母校の臨床心理士に報告していた。心理士は「行ったり来たり少しずつ、できなかったことが、できるようになってる」と見守る。マサトのように「後遺症」に悩む学生は多いという。
         取材を断ってきたメールの4日後、マサトに再び会えた。この日は一転、少し得意げに、店長から「頑張ってるな」とほめられたこと、1月からフルタイムで働かないかと提案されたことを報告してくれた。
         その後、弱気なツイートやメールは届いていない。
         ■夢に、泣きながら帰る息子 まだ言えない、心の傷
         いじめを受けても、人はなかなか打ち明けようとはしない。10年前、20年前の「後遺症」となるとなおさらだろう。周りに「いまさらなにを」と一笑されかねない。言い出せずにきた声を聞きたい。匿名のままで、個人とつながるツイッターで呼びかけた理由だ。
         12月21日、私をフォローしてくれた人に会うため、大津市を訪ねた。
         少年のイラストを使ったアイコン画像から、男性だと思っていたら、30歳の静かに笑う女性だった。
         「いじめ自殺」が問題となっている市立中学の卒業生。警備員が立ち、緊張した雰囲気の母校の周りを一緒に歩いて話した。
         「私、スクールカーストが下の方だったから」
         いじめられた理由は学級内の「序列」の低さだったという。「きしょい」「ブス」。仲間はずれにされた。「いっそ暴力なら相手に反発できたのに。自分が悪いと思わされてた……」
         うつ状態となり、進学した高校を中退。いまは自宅で療養している。同世代は働き、結婚し、子どもを持つ年頃だ。時が経過するほど焦りは増し、傷は深まる。静かに涙を流した。
         苦しんでいるのは親もだった。「一家まるごと(の後遺症)もある」。50代の母親から届いたメールだ。
         20歳の息子は高校で不登校となり、自宅で暴れた。母親も心のバランスを崩し、治療を受けた。
         日差しに輝く花をアイコンにした母親は当初、取材に前向きだった。2日後、断りのメールが届いた。考えていると、なかなか寝付けず、「泣きながら帰ってくる子どもの夢でうなされる有り様で、まだ開けちゃいけない箱でした」。
         届いたつぶやきやメールは延べ100通を超す。いじめが注目され始めた1980年代以降に学齢期を迎えた20~40代が目立った。
         精神科医の斎藤環さん(51)は、いじめは「現代日本で最も多くのPTSD(心的外傷後ストレス障害)をもたらす温床」と指摘する。患者に「治る」と最初に伝える斎藤さんは、自らの治療法を「人薬(ひとぐすり)」と呼ぶ。人の中で傷ついた病を信頼できる人のつながりの中で癒やすのだという。
         ネットで手軽につながる時代。私たちは本当の声を届け合っているだろうか。
         12月29日、愛知県西尾市の大河内祥晴さん(66)を訪ねた。18年前にいじめを理由に中学校2年で自殺した清輝さんの父親だ。
         あの時、いじめに悩む多くの子どもたちから手紙が届いた。大人になった送り主たちと、いまも連絡を取り合う。
         「苦しいです。どうしたらいいか分かりません」。療養中の35歳の女性から、12月19日、携帯電話にメールが届いていた。2時間半かけて返事を打ち返した。
        〈清輝がいなくなって、私もどうしたらいいのか、わからなくなりました。車に乗ったまま、ハンドルを握って動けなくなり、夜空の星を見上げ続ける自分がいました〉
         いつも、ただ、自分の経験を記す。連絡ありがとう。それだけで、自分も支えられてきたから。
         ■「ネットで胸を見せた」告白した少女は
         【カナダ西部ポートコキットラム=藤えりか】昨年秋、カナダを舞台にソーシャルメディアを使った陰湿ないじめが発覚し、世界に衝撃を与えた。
         顔を下半分だけ見せたロングヘアの女の子。モノクロの画面に、手書きの紙を黙って次々と示す。
         「中1の時、ウェブカメラで、見知らぬ男に請われるまま胸を見せてしまいました」「1年後、男から脅されました」「(フェイスブックの)友達みんなにその写真を送られました」
         動画サイト「ユーチューブ」に9月7日に投稿された約9分の動画は、世界中で再生された。投稿したのは、カナダ西部ポートコキットラムに住む15歳の高校1年生、アマンダ・トッドさん。応援する声が殺到したが、10月10日、アマンダさんは自ら命を絶った。
         母親のキャロル・トッドさん(50)を自宅に訪ねた。ITも教える学校教師だ。「ネットでの振る舞いには気をつけるよう言ってきたけど、10代の子はなかなか聞こうとしない」
         アマンダさんが「ネットいじめ」の渦に巻き込まれたのは12歳の時。ネット経由でおしゃべりしていて、相手から「かわいいね」と言われ、求められるままウェブカメラに胸を見せた。その瞬間の画像を、記録されてしまった。相手は同じ10代かと思っていたが、成人男性だったらしく、写真はポルノサイトにも載せられた。
         アマンダさんのフェイスブック上の「友達」は500~600人。ネットだけでつながる「友達」にも写真は転送され、学校でも知れ渡り、クラスで孤立。自殺を図って一命を取り留めた時には、それをからかう書き込みがフェイスブックに投稿された。
         アマンダさんは2度転校したが、「状況は変わらなかった。『友達』はあちこちにいたし、写真を撮ったらしい男が、ネット上で転校先の学校も割り出した」とキャロルさん。
         ソーシャルメディアを使った、逃げ場所を許さないいじめ。皮肉なことにアマンダさんがそれを告白したのも、不特定多数が見られる投稿サイトだった。「動画を遺書だと思う人は多いけれど、違う。いじめた人たちがごまかせないよう、自分の身に起きたことを人々に伝えたかった」とキャロルさんは考えている。
         フェイスブック上にはアマンダさんを悼むページが多くできた。だが、悪意が追いかけてくる。カナダ・カルガリーに住む女性たちは、アマンダさんをネット上で中傷した一人がトロントの小売店勤務の男だと突き止めた。雇用主に通報し、男は解雇された。
         ところが最近、彼女らのページが消えてしまった。「やり過ぎだ」との批判の嵐に遭ったのだ。女性の一人は携帯電話も通じなくなった。メールを出したが、届かずに戻ってきた。
        http://digital.asahi.com/articles/TKY201301040355.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201301040355
        「朝日新聞デジタル」2013年1月5日

        ●専門家意見受け起訴判断=障害・高齢容疑者で4地検-再犯防止で福祉と連携
         知的障害などの可能性がある容疑者について、福祉の専門家の意見を反映して起訴や求刑を判断する取り組みを、一部の検察庁が試行している。長崎地検は実施済みで、東京地検では高齢の容疑者も対象に年明けから開始する。更生の可能性がある容疑者を刑事手続きに付さなかったり、執行猶予を求めたりすることで、早い段階で自立支援を受けさせ、再犯を防止する狙い。
         検察が刑事処分などの判断に第三者の意見を取り入れるのは異例で、最高検は来年の検証結果を受けて試行の拡大を検討する。
         試行を始めるのは他に仙台、大津両地検。医師や心理学の専門家らによる審査委員会を各県に設置。障害の可能性のある容疑者について、地検や弁護人から助言要請があった場合に審査し、障害の程度や更生に生かせる福祉サポートなどを提言する。
         長崎では6月から実施しており、福祉施設に受け入れが決まった事案など3件を不起訴処分にした。仙台と大津では12月に委員会が発足し、審査は年明けから行われる見通し。
         東京では障害者に加え、身寄りや住居がないなど生活困難な事情のある高齢者も対象とする。地検が社会福祉士を雇い、事件ごとに意見を求めて刑事処分を判断する仕組みを検討している。
        http://www.jiji.com/jc/zc?k=201211/2012112300177&g=soc
        「時事ドットコム」2012/11/23

        最近の「発達障害」に関する報道による誤解の上書き。
        2012/12/22
        2012-12-22
         米国コネチカット州ニュータウンの小学校で今月14日に発生した、児童20人を含む26人が犠牲になった銃乱射事件で、容疑者の20歳の男性(現場で自殺)について、米国の複数のメディアがアスペルガー症候群であると報道され、それに対して自閉症セルフアドボカシー・ネットワーク(ASAN)やアメリカ自閉症協会(ASA)などがすぐに「自閉症と計画的暴力行為との間のつながりを示唆するエビデンスはまったくない」などの「声明」を出しています。
         <参照サイト>「ベムのメモ帳V3」http://bem21st.blogspot.jp/2012/12/blog-post_16.html
         こうしたマスメディアによる事件報道は、極めてインプットしやすい情報であり、「発達障害=危険」などのステレオタイプ的な反応が上書き強化され、その誤解が広まってしまうのが実情です。
         日本においても、今月5日、文部科学省の「調査」で、普通学級に通う公立小中学生の6・5%に発達障害の可能性があること報道されています(後掲)。2003年の「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」では、「知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す」児童生徒の割合は6.3%とされていました。文部科学省は、2003年には「軽度」発達障害という表現をしていて、「軽度」を「軽い」とする誤解を避けるために、「軽度発達障害」という用語は用いないとしました。この数年で「増減」はみられないとも読み取れますが…。
         いずれにしても、これらを「エビデンス」としての特別支援教育や早期発見・早期療育誘導型の医療受診=診断が、「しくみ」として教育現場をはじめとして取り組まれてきています。
         しかし、この「調査」は「教師の印象」による評価で、つまり印象的「困り度合い」を数値化したものであって、あくまで「可能性」の1つの目安。医学や発達支援における実「診断」割合ではないことは留意する必要があります。
         また、そもそも「発達障害」とカテゴライズする、ラベリングすることが、何故社会的に必要なのでしょうか。知的障害や自閉性障害などでは、適切な見たてに基づいた個別のサポートが必要な場合がほとんどで、医療、療育、社会福祉的支援制度・サービス利用が不可欠です。
         今、この「軽度」とされるタイプの、神経発達上の「違い」や「偏り」があって社会生活上も自身の生き方そのもの(自尊感情なども含む)においても困難な状態になってしまう方への過剰な「診断」や「治療」、ラベリングなどが、一般社会の側からの視点で、性善説的に行われていることに危惧を感じ警鐘を鳴らす支援者(医療・福祉・教育などの分野で)が増えています。
         今読み進めている『成人アスペルガー症候群の認知行動療法』ヴァレリー・L・ガウス (著), 伊藤 絵美 (監修, 翻訳), 吉村 由未 (翻訳), 荒井 まゆみ (翻訳),星和書店 (2012/11/20)では、「アスペルガー障害」などとカテゴライズされるタイプの方を、自閉症スペクトラムに位置しその特性のいくつかを持ちつつも、「一般的」でない領域に位置するタイプの方として考え、抑うつや不安神経症状などの精神症状や、社会関係・対人関係における「問題」などについての個別のさまざまな(医療、心理、教育、就労、社会生活、日常生活などにおける)支援が必要な方として関わる必要性があるとしています。アスペルガー障害などのタイプの成人には、認知行動療法による心理的支援が、その構造的枠組みによって受け入られやすく効果的であることを、実証研究的に論述されています。
         診断や既成の支援の枠組みにとらわれず、生活史や生きている環境(将来見通しを含む)、対人関係性において「困った」状態を同定し、改善のための環境調整や心理的支援が個別に必要であることを、多くのケースの中で実感しています。
         実際には、「発達障害」が増えたとか、学校や職場にも○%いるとか、「まず診断を受けることから…」とか、「発達障害の人は○○の特性があるから…」とかの誤解や風潮が広まってしまっていますが、その「増加」の数値的及びその要因の研究・検証、薬物の有効性研究や遺伝及び脳科学的研究は始まったばかりで、「仮説」の域を超えてはいません。
         「親のしつけ次第で…」などという「治療(?)論」は論外ですが、ことさらに「問題化」している今の社会そのものが「問題」なのではないでしょうか。
         人の社会では、昔(一般的に)から「一般的でない」と思われるタイプの方はおられましたし、子どもだけの「障害」などではなく当然成人・老齢期の方にもそのタイプの方は一定割合でおられます。そして、こんな時代だから、社会環境的要因で「困った」状態になってしまっている方の中に占めるこれらのタイプの方の割合が多くなり、目立ってしまっていると思われます。個人の問題でも、家族の問題でもなく、社会の有り様の問題に巻き込まれ(追いやられ)ている「問題」ではないでしょうか。
         私たち支援者(職業的立場の人、及び家族や知人など)は、こうしたタイプで困った状態にある(あるいはそうなると予想される)方への支援的な関わりのあり方を、個別にさまざまなステージで模索し、有効なアプローチを積み上げて行かなければなりません。
         それでは、最近の気になる記事です。

        過労死防止基本法の制定を 京都・亀岡市議会

          ■府内初、全会一致で意見書採択
         過労死をなくすために国や自治体、事業主の責務を明確にする「過労死防止基本法」の制定を求める意見書が21日、亀岡市議会で全会一致で可決された。過労死問題に取り組む遺族や弁護士によると、府内の地方議会で採択されたのは初めてで、全国では5例目。
                           ◇
         過労死防止基本法は、過労自殺を含む広義の過労死を「あってはならないこと」と国が宣言し、調査や総合対策を行うなどの内容。遺族や弁護士でつくる全国実行委員会(実行委員長・森岡孝二関西大教授)が立法化を目指して署名活動を進めており、すでに全国で約36万人分を集めた。
         意見書は、衆参両院の議長と首相、厚生労働相あて。「働き盛りの労働者が過労死・過労自殺で命を落とすことは、わが国にとって大きな損失」と指摘した上で、雇用や経済情勢をみると「個人や家族、個別企業の努力だけでは限界がある」としている。
         全国実行委によると、ほかに同様の意見書を採択したのは神戸、大阪府高槻、八尾、吹田の各市議会。
         亀岡市議会では、京都市立小学校の教諭だった妻=当時(53)=を過労死で亡くした同市古世町のマッサージ業、大西修さん(56)が、19日に開かれた産業建設委員会で意見陳述し、代理人の古川拓弁護士(京都弁護士会)とともに採択をはたらきかけていた。
         全会一致での採択を受け、同市役所で記者会見した大西さんは「妻の死を境に、法律によって、いきすぎた超過勤務を監視してほしいと思うようになった。事業主が1人に過重な労働を負わせないことにつながれば」と期待。
         全国過労死を考える家族の会代表、寺西笑子さん(63)は「基本法の制定によって、大切な家族を亡くす異常な働き方が20年以上放置されてきた流れを、なんとか変えたい」と話した。
                           ◇
         過労死防止基本法制定京都実行委員会は22日午後2時半から、阪急西院駅(京都市右京区)で街頭署名を行う。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/121222/kyt12122202030002-n1.htm
        「産経ニュース」2012.12.22

        ●発達障害:小中生61万人 4割支援受けず 普通学級、平均2~3人−−文科省調査・推計
         普通学級に通う公立小中学生の6・5%に発達障害の可能性があることが5日、文部科学省の調査で分かった。40人学級で1クラスに2~3人が「読む・書く」が苦手、授業に集中できないなどの課題を抱えていることになる。調査対象地域の44都道府県(岩手、宮城、福島の3県を除く)を基に推計すると約61万4000人になる。このうち約4割は特に支援を受けておらず、専門家は「教員の増員などの手当てが必要」と指摘している。
         調査は今年2~3月、学習障害(LD)▽注意欠陥多動性障害(ADHD)▽高機能(知的発達の遅れのない)自閉症−−の発達障害の主な3要素について、44都道府県の普通学級に通う計5万3882人を抽出し、担任教諭が回答した。
         「文章の要点を読み取れない」「簡単な計算ができない」などLDがあり、学習面で著しい困難がある小中学生は4・5%。「教室で離席する」などのADHDが3・1%。「周りの人が困惑することを配慮せず言う」などの高機能自閉症は1・1%。一部はこれらが重複していた。
         発達障害とみられる児童生徒を学年別に見ると、小学1年が最多で9・8%。成長に伴い障害が改善され、小学4年7・8%▽中学1年4・8%▽中学3年3・2%だった。
         また、38・6%は「個別指導」などの支援は受けておらず、学校内で支援が必要と判断された児童生徒(18・4%)でも6%が無支援だった。
         調査に協力した大南英明・全国特別支援教育推進連盟理事長は「医師らで構成される専門家チームの設置や教員の増員などの対策が必要だ」と訴えた。
         同様の調査は02年にも5県から約4万人を抽出して実施。発達障害の可能性がある子供は今回より0・2ポイント低い6・3%だった。
         ◇全教員の研修、不可欠
         文部科学省調査の結果に、杏林大医学部の岡明教授(小児神経専門)は「実感としてその数字は理解できる。潜在的に困難を感じる子供はさらにいるのではないか」と話す。小学校長の経験もある愛知県の中学校長(58)は、学校では他生徒との間でトラブルが起きないよう注意を払っている。「生徒や担任、保護者が理解を深めれば子供も周囲に適応しやすくなる」という。
         中には、授業が理解できなかったり叱られたりして不登校になったり、いじめや学級崩壊など問題行動を起こしたりする子供も。知的障害がない場合は普通学級に通うが、岡教授は「大人がそばで対応する必要がある」と指摘する。
         文科省は教員の増員を進めているが、公立小中学校の教員で発達障害の研修を受けたのは4分の3(04~11年度の実数)。どのクラスにも平均2~3人がいるのなら全教員の研修は不可欠だ。
        http://mainichi.jp/feature/news/20121206ddm041100137000c.html
        「毎日新聞」2012年12月06日

        ●大津いじめ、生徒2人書類送検へ…暴行容疑など
         大津市で昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、滋賀県警は、当時、同じ中学校に通い、加害者とされる3年の少年2人(いずれも15歳)を、生徒を殴打したとする暴行容疑などで、近く書類送検する方針を固めた。
         一緒にいじめに加わっていたとされる同学年の少年も、暴行の非行事実で児童相談所に送致する方針。
         3人は県警の調べに対し、「遊びだった」などと否認しているという。
         捜査関係者によると、送検予定の2人のうち1人は昨年10月5日、校内のトイレで生徒を殴るなどした疑いが持たれている。この少年には同9月、生徒のプリントを破った器物損壊などの容疑もあるという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121222-OYT1T00256.htm
        「読売新聞」2012年12月22日

        ●<いじめ防止条例>「子の役割」表現緩和の修正案合意…大津
         大津市立中学2年の男子生徒が昨年10月に自殺した問題を受け、いじめ防止条例の制定を目指している大津市議会は20日、各会派代表による会議を開き、「子どもの役割」規定は残し、条文の表現を緩和する修正案に合意した。
         条例案は子どもを小・中学生と高校生と定義。いじめを受けたり発見したりした場合は、家族や学校などに「相談するものとする」としていたが、「子どもにいじめ相談を義務付けるものだ」との批判を受けていた。修正案では「子どもの役割」との項目は残し、条文は「相談できる」に改める。
         条例案に対する公募意見は約8割が役割規定に批判的で、越直美市長も「子どもに義務を課すべきでない」と反対を表明していた。市議らは「趣旨が誤解されている」とし、来年2月議会での条例化を目指している。
        http://mainichi.jp/select/news/20121221k0000e040171000c.html
        「毎日新聞」12月21日

        ●不登校原因と認める 3年前のいじめ 舞鶴市教委
         舞鶴市の中学3年男子生徒(15)が小学6年の時にいじめを受けたあと不登校が現在まで続き、市教育委員会が今年10月、当時の同級生らから聞き取り調査をしていたことが18日までに分かった。市教委はいじめが不登校の原因と認め、11月に佐藤裕之教育長が謝罪したが、母親(50)は「対応が遅すぎて、内容も不十分。自殺でなければ真剣に取り組まれないのか」と疑問を投げ掛けている。
         市教委によると、男子生徒は2010年2月、大縄跳び大会の練習で失敗したことから同じクラスの男子7人からいじめを受け始めた。教室や廊下などでたたかれたり蹴られたりしたほか、トイレ掃除用ブラシを顔に押し付けられたり、服や所持品を隠された。3月中旬に異変に気付いた母親が学校に連絡し、発覚したという。
         学校側はいじめに関係した子どもたちに話を聞き、担任や校長が家庭訪問して謝罪したが、男子生徒はそれ以降、不登校となり、卒業式も欠席した。
         中学入学後も男子生徒は不登校が続き、当初「責任を持って対応する」と話していた6年時の担任教師や校長からの連絡も途絶えたため母親が昨年4月、市教委に相談。市教委は今年10月に6年当時の学級保護者会を開いていじめの経緯や男子生徒の状況を初めて説明、同級生24人に聞き取りも行った。「給食に消しゴムかすを入れられた」など新たないじめの事実や「いじめに気付かなかった」とした担任の話との食い違いが判明し、保護者からは「なぜ今まで説明がなかったのか」と批判が出たという。
         校長は「対応のまずさで不信を招いてしまい反省している」と話し、市教委学校教育課は「当初、男子生徒の保護者がいじめを公表しないよう望んでいると学校側から聞いた」として対応の遅さを認めているが、調査結果の検証や報告書作成の予定はないという。
         母親は「(学校は)放っておくとそのうち解決するとでも思っていたのか。過ちを繰り返さないためにも、調査結果を公表して他の学校でも生かしてほしい」と話している。
         ■桶谷守・京都教育大教育支援センター教授の話 いじめの問題は、迅速に調査して事実を詳細に把握することが被害者の心の傷を治す上でも大切だ。矮小(わいしょう)化せず、早い段階で組織的に取り組んでいれば、こういった事態を防げたのではないか。被害者側が望むなら、一連の経緯や学校の対応の検証を広く生かすべきで、自殺という最悪の結果を防ぐためにも、あらゆるいじめに真剣に取り組む姿勢が必要だ。
        http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20121219000015
        「京都新聞」12月19日

        ●「1年の1学期から…」「いじめ」認めて謝罪 相模原市教委
         相模原市立中学3年の男子生徒(15)に鼻骨骨折のけがを負わせたなどとして、同級生3人が逮捕された事件で、同市教育委員会は19日、「1年の1学期からいじめがあった」と継続的ないじめがあったことを認めた上で謝罪した。2年の時には担任教諭がいじめを疑ったが、学校は「個別のトラブル」と判断していたという。
         市教委によると、男子生徒は入学直後から、同級生に廊下で殴られるなどの暴行を受け、進級とともにいじめ行為はエスカレート。男子生徒の上履きがなくなることもあった。男子生徒の保護者からは「今日、ある生徒に蹴られたと聞いて心配になった」などと、1年の5月ごろから複数回相談があった。
         2年の時に担任教諭がいじめを疑った際、学校は男子生徒について「気になる生徒」という認識にとどまった。この時には担任教諭らが、関係した少年を呼び出して謝罪させるなどの対応を取ったものの、市教委に報告書を提出するなどの措置はとらなかった。
         今年10月17日、男子生徒が膝蹴りをされ鼻骨骨折の重傷を負った際、学校は鼻血が出ていたことから保健室に連れて行ったが、「本人が痛がっていなかった」ため、その後教室で授業を受けさせたという。
         市教委は問題点として「学校内で問題が共有されていなかったこと、また、問題が市教委にきちんと報告されていなかったこと」などを挙げた上で、「被害に遭われた生徒、そして保護者の方に深くおわび申し上げます」と謝罪した。
         さらに、会見では学校がいじめへの対応としてとってきた対策の問題点も浮き彫りになった。学校では年に2回、いじめに関するアンケートを実施。教室で配布された用紙に生徒が記入する方式だが、男子生徒は「アンケートに記入すると『何か書いているぞ』と声が上がる」ことを恐れて記入を避けたという。市教委は、アンケートの工夫などを今後の改善点とした。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/121219/kng12121922330011-n1.htm
        「産経ニュース」2012.12.19

        ●浜松の中2転落死は「自殺」 第三者委、いじめ認定
         浜松市で6月、市立中学2年の男子生徒が自宅マンションから転落死した問題で、市教育委員会が設置した第三者による調査委員会は20日までに、「死亡前の約4カ月間、塾や学校で悪口を言われるなどのいじめを受けていた」と認定する報告書を公表した。
         三者委は死亡時の状況から、生徒は自殺したと判断した上で「背景にいじめがあったと言わざるを得ない」としたが、遺書がないため、直接の原因だったかどうかは分からないと結論付けた。
         男子生徒が通っていた中学の校長は報告を受けて記者会見し「教職員が心中を事前に察知して救うことができなかったことをおわびしたい」と謝罪。「いじめが生徒を孤立させ、追い詰めたと思う」と述べた。
         報告書によると、いじめは2月以降、塾や学級、部活動であった。同級生らが「きもい」「死ね」といった悪口を言ったりしたほか、ゲームやプロレスのまねをして首を絞めたり、げんこつで腹をたたいたりした。塾帰りに生徒に向けてエアガンを1、2回撃ったこともあったという。
         報告を受けた生徒の父親は「真実が出てくるか心配だったが、ちゃんとしたものが出てきて安心した」と語った。
         市教委によると、生徒の死亡後、遺族の関係者から「いじめがあった」と情報提供があり、学校が調査。生徒が塾帰りに同級生に自転車を蹴られたりしていたことを確認したため、遺族の要望で市教委が7月に三者委を設置し、アンケートや生徒らへの聞き取り調査をしていた。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2000Y_Q2A221C1CC0000/
        「日本経済新聞」2012/12/20

        ●学費不返還条項は無効、名古屋 入学辞退「損害ない」
         入学しなかった合格者が納めた学費について、入学辞退の時期を考慮せず一律に返還しないと定めた条項は無効として、名古屋市の消費者団体が、専門学校「名古屋医専」(名古屋市)を運営する学校法人「モード学園」(大阪市)に条項の使用差し止めを求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は21日、原告の請求を認めた。
         原告のNPO法人「あいち消費者被害防止ネットワーク」によると、学費の不返還を定めた条項自体の差し止めを命じた判決は初めて。
         片田信宏裁判長は判決理由で「辞退者の代わりの入学者は2次募集などで確保することができるため、学校側に損害はない」と指摘。
        http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/428926.html
        「北海道新聞」2012/12/21

        ●高校授業料無償化、所得制限導入を軸に見直しへ
         自民、公明両党は、高校授業料を無償化する制度を見直す方向で本格的な検討に入る。
         新政権が26日に発足した後、新首相が文部科学、財務両省に指示する。無償にする対象を「世帯年収が700万円以下」とする案を軸に調整する見通しだ。2013年度からの実施を目指すが、各世帯の所得を正確に把握するのに一定の時間がかかるため、14年度にずれ込む可能性が高い。
         高校授業料の無償化は、公立高校の生徒から授業料を徴収しない制度で、民主党政権の看板政策として10年度から導入された。私立や高等専門学校の生徒には授業料に相当する金額(原則として年11万8800円)を実質的に支給している。国の負担は年間約3900億円にのぼる。
        http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121221-OYT1T00258.htm?from=ylist
        「読売新聞」2012年12月21日

        ●「学力保障条例」を可決した市、そのきっかけは
         北海道釧路市議会は14日、小中学生の基礎学力向上を目指す「学力保障条例」を賛成多数で可決した。
         文部科学省によると、学力向上を目指す条例は全国でも珍しいという。
         同条例に罰則規定はないが、市教委に対し、基礎学力習得の具体策や、進行状況を毎年公表することなどを求めている。市や小中学校、保護者、地域の責務も明記し、市全体で学力アップの体制作りを目指す。
         同市では、2010年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率が、都道府県別で下位に低迷する北海道の平均正答率を下回った。このため超党派の市議でつくる「基礎学力問題研究議員連盟」が今月5日に市議会に提案し、審議していた。
         市議会本会議の討論では、「教育内容に踏み込むならば議論に時間をかけるべきだ」との反対意見も出たが、賛成16、反対10の賛成多数(棄権1)で可決された。
         同市は、条例とは別に、13年度から5年間で小中学生の全国学力テストの全道平均を上回る数値目標を掲げた「釧路市教育推進基本計画」を今年度中にまとめる方針で、学力アップに向けた取り組みを本格化させている。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121214-00001245-yom-soci
        「読売新聞」12月16日

        ●国民年金の未納、455万人 加入者の26%は過去最多
         国民年金の保険料を2年間、全く納めていない未納者が2011年3月末現在で455万1千人にのぼることが17日、厚生労働省の実態調査でわかった。国民年金の加入者数(1737万1千人)に占める割合は26.2%と、05年の調査の25%を上回り過去最高になった。
         調査は1987年から3年に1回実施。未納者は、09、10年度に一度も保険料を払っていない人(保険料を全額免除されている期間が一部ある人も含む)。所得が低いなどの理由で保険料支払いを免除されたり、猶予されたりしている人も、438万5千人(25.2%)で過去最高だった。
         未納者の世帯の総所得は平均295万円。保険料を納付している世帯より低所得世帯の割合が高く、100万円未満は全体の25.4%、100万円以上200万円未満は21.7%。一方、世帯所得が1千万円以上で未納の人も3%いた。
        http://www.asahi.com/national/update/1217/TKY201212170693.html
        「朝日新聞デジタル」12月18日
        生活福祉資金貸付制度が機能していない。
        2012/12/09
        「生活福祉資金貸付制度」は、低所得者世帯:必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)、障害者世帯:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者等の属する世帯、高齢者世帯:65歳以上の高齢者の属する世帯を対象に、都道府県社会福祉協議会を実施主体とする国の制度です。
        ○厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html
        ○全国社会福祉協議会:http://www.shakyo.or.jp/seido/seikatu.html
         原則として、連帯保証人を立てることが必要ですが、連帯保証人を立てない場合も借入申込をすることができます。が、貸付利子の利率は、連帯保証人を立てる場合は無利子、連帯保証人を立てない場合は年1.5%となります。
         種類は、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金となります。詳細は上記サイトから…。
         生活保護申請の手前で、急場の生活困難を支える制度として、利用を必要としている方は多いと思います。
         しかし、これらの説明での謳い文句は美辞麗句。実際に相談・申請をすると、生活保護申請並に水際での攻防がねちっこく行われるのが実態です。
         社協の言い分としては、他の貸付制度同様に、償還率が低い(借りたお金を返すことができずにいる人の割合が高い)ために、審査がきびしくなっている、とか。
         こんな例があります。老健施設から自宅に戻るにあたって、放置してきた自宅の掃除・片付け、生活再開ができる状態にするためのメンテナンスなどが必要、施設利用費が後払い状態で、退所後2ヶ月後の年金が入るまで無収入、この収入空白期間の穴埋めをしない限り施設退所ができない、そのためのつなぎ資金として「生活福祉資金」借り入れが必要に…。
         実際は、相談から「申請書」を「連帯保証人」が受け取るまで約2ヶ月、申請から決定まで約2ヶ月、入金まで約1ヶ月。この間、同「資金」入金を前提にして施設退所を進めていて、決定・入金が遅れたために「緊急小口資金」も追加、転居のための経費は連帯保証人が自腹で立て替え…。それでも半月ほどの空白が追加されたために、その分が新たな焦げ付きとなっています。
         これでは、生活保護申請をしていた方が、早く、確実に生活の立て直しができていたかも知れません。
         償還ができない状態になっている方が多いのは、その人のせいでしょうか? 適切なケースワークや福祉的支援などにつながることができなかったために、「つなぎ資金」を消費してしまい、その後の生活設計も手つかずで、償還どころではない状態の継続…というケースが多いということでしょう。生活困窮に至ってしまった方がどうこうできるご時世ではありませんよね。
         社会福祉協議会は、国から補助金を受けながらこの制度を運用実施しているわけですから、必要な方がちゃんと利用できるように、そして償還していけるように生活支援をしていくとろこまで本人さんと話し合いながら必要な支援をしていく必要があると思います。償還率が低いという結果だけから、支給条件をきびしくするという対応では、制度そのものが先細りするだけでなく、制度の理念そのものが崩れてしまいます。実際本件でも、貸し付け(入金)後のフォローは何もありません(償還が始まり、遅れれば「督促」するだけなのでしょう)。
         生活支援のケースワーク、ソーシャルワーク(アクション)のレベルアップ、そのための人材育成や仕組みの有機的な立て直しへの取り組みが求められます。
         まず制度を、その実態を知ることから…。
         それでは、最近の気になる記事です。

        発達障害:小中学生61万4000人 文科省調査・推計

         普通学級に通う公立小中学生の6.5%に発達障害の可能性があることが5日、文部科学省の調査で分かった。40人学級で1クラスに2~3人が「読む・書く」が苦手、授業に集中できないなどの課題を抱えていることになる。調査対象地域の44都道府県(岩手、宮城、福島の3県を除く)を基に推計すると約61万4000人になる。このうち約4割は特に支援を受けておらず、専門家は「教員の増員などの手当てが必要」と指摘している。
         調査は今年2~3月、学習障害(LD)▽注意欠陥多動性障害(ADHD)▽高機能(知的発達の遅れのない)自閉症−−の発達障害の主な3要素について、44都道府県の普通学級に通う計5万3882人を抽出し、担任教諭が回答した。
         「文章の要点を読み取れない」「簡単な計算ができない」などLDがあり、学習面で著しい困難がある小中学生は4・5%。「教室で離席する」などのADHDが3.1%。「周りの人が困惑することを配慮せず言う」などの高機能自閉症は1.1%。一部はこれらが重複していた。
         発達障害とみられる児童生徒を学年別に見ると、小学1年が最多で9.8%。成長に伴い障害が改善され、小学4年7.8%▽中学1年4.8%▽中学3年3.2%だった。
         また、38.6%は「個別指導」などの支援は受けておらず、学校内で支援が必要と判断された児童生徒(18.4%)でも6%が無支援だった。
         調査に協力した大南英明・全国特別支援教育推進連盟理事長は「医師らで構成される専門家チームの設置や教員の増員などの対策が必要だ」と訴えた。
         同様の調査は02年にも5県から約4万人を抽出して実施。発達障害の可能性がある子供は今回より0.2ポイント低い6.3%だった。
        http://mainichi.jp/select/news/20121206k0000m040080000c.html
        「毎日新聞」2012年12月05日

        ●東電幹部を任意聴取=政府関係者も広範囲に-原発事故捜査・検察当局
         東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷容疑などの刑事告発を受理した検察当局が、東電幹部ら告発対象者を含む関係者を広範囲に任意で事情聴取していることが8日、分かった。地震や津波の予測や、事故を防ぐ対策が可能だったかについて、認識を確認するなどしたとみられる。
         検察当局はこれまで、東電や政府の関係者、国会議員ら100人を超える主要な事情聴取対象者をリストアップし、うち約50人について既に聴取した。早ければ来年春にも刑事処分する方向で捜査を本格化させている。
         東京、福島両地検は8月、東電幹部らが地震や津波への対策を怠り、周辺住民に傷害を負わせたなどとする告発を受理し、捜査を開始した。
         関係者によると、検察当局は約20人の専従体制を敷き、東電や旧原子力安全委員会、旧原子力安全・保安院、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を所管する文部科学省の担当者らの聴取を進めてきた。
         検察当局は、事故を誘発する地震・津波の発生が予測できたかを捜査の焦点と捉えている。東電は大地震時に発生する津波を最大15メートル超と試算していたが、5.7メートルまでの対策しか取っておらず、こうした試算の位置付けや、試算を受けた津波対策などについて、当時の幹部らから事情を聴いたとみられる。
         検察当局は既に、原発敷地内に立ち入って事故現場も確認。事故と被害との因果関係を探るため、被災者からも説明を受けたもようだ。
         業過致死傷容疑などの捜査では、予見可能性に加え、被ばくを傷害と認められるかどうかなど課題が多く、立証には困難が予想される。
        http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012120800268
        「時事ドットコム」2012/12/09

        ●奨学金制度のブラックリスト 厳しい取り立ても〈AERA〉
         学生生活を支えるはずの奨学金に苦しんでいる人たちが増えている。大学卒業後も正規雇用に簡単に就けない中、厳しい回収が始まる。
         この不況下、卒業しても奨学金を簡単に返済できない人もいる。大卒でも非正規雇用が珍しくないという状況。11年度だと、滞納者は約33万人、滞納額は876億円。数字の上では、滞納者は全体の11%弱に過ぎないが、無理して返済している人も少なからずいるだろう。
         もちろん、救済策は用意されている。例えば、最長5年までの返還猶予。昨年からは、返還年数を最大で30年まで延ばし、回当たりの返済額を減らす「減額返還制度」も始まった。12度以降の利用者には、1種に限り、年収によって返還を猶予される「所得連動返還」制度も新設された。障害などによる就労不能者には返還免除も用意されている。
         問題なのは、それが機能しているとは言い難いことだ。奨学金ホットラインを設けた首都圏なかまユニオン相談員の伴幸生(ばん さちお)さんは説明する。
         「例えば、返還猶予制度は当初、機構のホームページにも載っていなかった。細かい字がぎっしりの内規の文書に載っていたのを07年に私たちが見つけて仲間とともに機構に訴え、やっとネットで周知されるようになったのです」
         猶予にも問題はある。5年を超えての適用がされないことだ。それを補うために、機構は昨年、減額返還制度を設立したが、延滞金のある人は利用できないのである。
         もう一つの問題点は、厳しい回収制度にある。
        「特に、10年度から始まったブラックリスト登録はひどい」
         こう訴えるのは、支援機構労働組合の岡村稔・書記次長だ。
        「まず3カ月連続の滞納で、返還者は民間金融機関などが多重債務者対策などに用いる個人信用情報機関に登録されます。これでクレジットカードが持ちにくくなる。滞納3カ月から8カ月目までは回収業務が民間サービサーに委託され、滞納が9カ月続くと、機構が一括払いを求める『支払督促』を送付し、それでも応じない場合は給与の差し押さえや提訴が実施されます」(岡村さん)
        http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121207-00000000-sasahi-soci
        「AERA 2012年12月10日号」12月7日

        ●いじめ対応、医師・弁護士らチームで
         いじめが全国で社会問題になっていることを受け、県教育庁は3日までに、弁護士や医師、県教育委員会職員らでつくる「学校問題解決支援チーム」で、子どものいじめ、暴力などの問題行動の対応について協議する、年2回の定例会議を開くことを決めた。法律や医療的観点も含めて検証し、多角的な解決策を県教委や学校に示す。現場で対応に悩む教師の新たな支援策となりそうだ。本年度内にスタートする。(新垣晃視)
         チームが協議するのは、いじめの加害者・被害者が入れ替わって複雑化し、保護者間の確執にまで発展したり、けがをさせた場合の医療費に絡むトラブルなど学校内での収束が難しいケース。学校が必要とする場合は、緊急の開催も可能。解決策のマニュアル作成も検討する。
         同チームは2007年、多様化する保護者からの苦情に対し、学校の適切な対応を考える目的で発足。弁護士や警察、精神科医、大学教授、県教委職員など10人でつくり、保護者の苦情対応マニュアルを策定した。
         その後、学校から要望があった場合に会議を開く予定だったが、要望が上がらず、09年度以降は予算化されず、会議も開かれなかった。今回、定例化することにより、「学校現場が相談しやすくなる」(県教委)。
         文部科学省は9月に発表したいじめ問題の対応強化策で、「外部専門家の活用」を盛り込み、各都道府県教育委員会にも同様の取り組みを指示。これを受け、同庁は本年度から同チームの定例会議開催を決め、新たに予算を確保した。
        http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-12-04_42359
        「沖縄タイムス」2012年12月4日

        ●野球部いじめ:元生徒が賠償求め、鎮西高など提訴
         熊本市の私立鎮西高校の元野球部員で発達障害のある元男子生徒(16)が部員らにいじめられて精神的苦痛を受けたとして、元生徒と両親が30日、同校と当時の野球部副部長、教頭を相手取り計約880万円の損害賠償を求める訴えを熊本地裁に起こした。
         訴状によると、元生徒は小学時代、野球を通して友人関係、言語関係もうまくいくようになった。今年4月、同校に入学。同15日、野球部の合宿中、部員3人から「くさい」「障害児で生まれてきたらいかんだろう」などと言われ、6月には別の部員から殴るなどの暴行を受けて首などを負傷。医師から「外野やピッチャーはできない」と診断された。元生徒は「死にたい」と言うようになり、学校側に訴えたが放置されたという。暴行した生徒とは示談したという。
         両親によると、自宅で見つかった手紙(7月20日付)には「トラックや車にひかれようとしたり、飛び降り自殺の練習を階段でした」とあったという。
         同校は10月末、学費滞納を理由に元生徒を除籍処分とした。
         学校側によると、元生徒からの訴えを受け、部員に面談するなど調査したが、いじめは確認できなかったという。同校は「訴状を読ませていただいた後、しっかりと対応する」としている。
        http://mainichi.jp/select/news/20121201k0000e040155000c.html
        「毎日新聞」2012年12月01日

        ●福島原発:下請け作業員の半数、偽装請負の疑い 東電調査
         東京電力は3日、福島第1原発の下請け作業員のうち、約半数が実際の雇用主とは異なる会社の指示で働く「偽装請負」の疑いがあるとするアンケート結果を発表した。自分の労働条件を書面で明示されていない作業員も約3分の1いた。偽装請負は職業安定法で禁止されているほか、労働基準法では、労働条件を書面で明示するよう義務付けている。第1原発の廃炉作業を管理する経済産業省資源エネルギー庁は同日、東電に口頭で改善を指示した。
         アンケートは、第1原発の元請け企業27社の下請け企業に勤務する作業員3974人を対象に、9月20日~10月18日まで実施。3186人が回答した(回答率80.2%)。
         作業の管理員を除く2423人に、現場で作業を指示する会社と給料を支払う会社が同じか聞いたところ、「同じ」と答えたのは1173人(48.4%)だったのに対し、「違う」は1160人(47.9%)で、半数が偽装請負の可能性があった。
         また、雇用主から強要・指示された内容について複数回答で聞いたところ、「現場では別会社の指示通りに働け」と言われたのは158人。「東電や元請けへの提出書類に、別会社の名前を書け」と指示された人も125人いた。
         仕事内容や場所、賃金などの労働条件について、雇用主から書面で明示されなかったのは全回答者のうち1146人(36%)。198人(6.2%)は、口頭説明もなかった。
         時給は、837円以上(71.8%)▽658円以上837円未満(2.8%)▽645円以上658円未満(1%)▽645円未満(1.1%)−−だった。
         東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は3日の記者会見で「現時点で、偽装請負などの法令違反に当たるかは判断できないが、改善すべき状況は現実に存在すると認識している。元請け企業と協力して改善する」と述べた。
        http://mainichi.jp/select/news/20121204k0000m040051000c.html
        「毎日新聞」2012年12月03日

        支援には「連携」が大切と言われて久しいが…。
        2012/11/27
        教育、医療、福祉などの分野での支援には「連携」した取り組みが大切と言われてかなりの時間が経緯しています。医療モデルから福祉モデル、社会モデルへという流れもその一つです。
         現実には、まだまだ「縦割り」の利益誘導的な囲い込み的な狭窄型の「支援」が続けられているのではないでしょうか。
         ゴミ屋敷の片付けや、生活保護申請の同行、手帳・年金・福祉サービス受給者証・他の様々な制度利用の申請援助などで、その方の家に入り、ご家族と話せる関係になり、ようやく「必要な支援」が少し見えてきます。
         医療受診だけ、窓口での相談だけ、で留まっている人があまりにも多いことを痛感します。どうしてそこで留まるのでしょうか?
         医療は医療の枠組みでできること(診療報酬請求のできる行為)から視野がなかなか広がりません。行政の担当窓口も、そもそも縦割りですし、担当者も異動で経験や専門知識・情報が少なすぎます。いったい、どこが「連携」を進めることができるのでしょうか。
         こんなことがありました。行政がある方に、国民健康保険の保険者証を郵送したところ受取人が不在で返送され、担当課で引き出し保管されたまま…。
         健康保険証って、本人にとっては無くてはならないものですよね。それに、受取人不在に「?」とならない感覚…。そして引き出しへ…。同じフロアのすぐ隣には障害福祉や高齢福祉の窓口が、上のフロアには福祉事務所があるにも関わらず放置されたままでした。
         電気、ガス、水道、電話などの公共料金に「督促状」を送付する段階で、「何か変」と気づき、行政と「連携」がされていれば、早期に支援が必要か否かがわかると思うのですが…。
         結果、本人さんやご家族は「自己責任」や「恥意識」などで周囲に助けを求められず、行政も後手後手で「お手上げ」状態からの「支援」となります。こうなると、「支援」にかかる費用もさらに高額になり、それらは概ね税金から拠出されることになります。早期に気づき、対応を始めることで、社会保障費などの支出削減になりますので、それを怠る行政の行為は税金のムダ使いでもありますし、責務放棄でしかありません。
         そんな状態で、生活保護制度利用を減らそうと躍起になっているのは本末転倒という他ありません。
         保健師が減らされて、地域保健福祉を支える仕組みは解体状態。民生委員さんなども対象家庭が拡がりすぎるなどで見守りきれていません。小学校での子どもの様子や支援内容やその状態・課題などについて、中学校に申し送りが充分にできているとは言えず、「中1ギャップ」と表現されるなど子どもの気持ちや課題に寄り添わない生徒「指導」の中で問題事象が減ることがありません。一括りに「生活困窮」といっても、その状態や経緯、必要な支援はそれぞれです。
         支援側の事情で、相変わらずの縦割りの仕組みのままで、「連携」した支援が取り組まれることなく「最困難ケース」が増え続けていることに胸が痛みます。
         決して「豊か」ではないこの国は今、人が生きるため支え合う仕組みや意識が、個人にも、所属する組織(学校、職場、地域など)にも、支援機関(医療や福祉など)にも、そして何よりも国民から集めたお金でさまざまな保障制度を運用する国や行政に必要な時代です。
         それでは、最近の気になる記事です。

        「私学のいじめも対応を」 高2娘が自殺した母親、文科省に要望

         高校2年の娘が自殺したのは私立中学時代のいじめが原因と訴えている愛知県刈谷市の高橋典子さん(54)が26日、文部科学省で村井宗明政務官と会い、私立校のいじめ問題にも積極的に対応するよう要望した。
         高橋さんは「私学には自主性があるとして、被害を受けた子供や保護者に国や県の支援が差し伸べられていない。この現状を打破してほしい」と訴えた。
         村井政務官は「行政のルールは違うが、私学でも公立校でもいじめられている子供を守らなければならないのは同じ」と述べた。
         高橋さんの娘美桜子さん=当時(16)=は2006年に自殺。名古屋地裁は11年5月、私立中でのいじめと自殺の因果関係を認め、学校側に損害賠償を命じた。学校側は控訴している。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/121126/edc12112617430000-n1.htm
        「産経ニュース」2012.11.26

        ●生活保護の申請者に不適切な誓約書 宇治市、職員8人を処分 京都
         宇治市の職員が生活保護の申請に訪れた市民に独自に作成した不適切な内容の誓約書を提出させていた問題で市は26日、同日付で30歳代の男性職員を減給1カ月、別の20歳代と30歳代の男性職員2人を文書厳重注意処分にすると発表した。市は上司にあたる部長級の職員ら5人についても文書厳重注意処分などとした。
         問題は今年3月に発覚。誓約書には「異性と生活することを禁止し、約束を守らない場合は保護取り消しを一任する」といった内容が書かれていた。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/121127/kyt12112702110003-n1.htm
        「産経ニュース」2012.11.27

        ●福島原発事故:「健康調査に不備」国連の専門家指摘
         東京電力福島第1原発事故被災者の健康を巡る問題を来日調査していた国連の専門家「健康を享受する権利に関する特別報告者」アナンド・グローバー氏が26日、東京都内で記者会見し「福島県の健康管理調査は(対象地域や項目の)範囲が狭い。子どもの甲状腺検査の診断書を受け取れない親もいる」などと問題点を指摘した。日本政府の反論も踏まえ来年6月、国連人権理事会に報告書を出す。
         会見では同調査のうち、県民の外部被ばく量を推定する調査の回答率が「わずか23%」と批判。一方、内部被ばくについて研究者間でも評価が異なるとして「政府は用心深い姿勢に立ち、長期間の調査を行うべきだ」と注文を付けた。同調査検討委員会が秘密裏に開いていた準備会(秘密会)を巡っては「専門家だけではなく地域社会も関わらなければいけない」とプロセスの透明化を求めた。
         また、日本政府に対し、避難か帰宅か避難者が選べるような経済的支援や、高線量地域の除染計画の明確化などを要請するとした。
         インド出身弁護士のグローバー氏は15日来日。同県や、自主避難者が多い山形県などで被災者らに聞き取りをした。福島県郡山市の男性(54)は同氏に、市が進める除染作業で▽住民の被ばく対策が不十分▽汚染土類の保管場所がない−−と安全管理の不備を訴えた。取材に男性は「権利が侵害されている状態を第三者の立場から判断してほしい」と報告書への期待を語った。
         特別報告者は国連人権理事会に選ばれた独立専門家で、中立の立場で問題状況を調査・報告する。
        http://mainichi.jp/select/news/20121127k0000m040119000c.html
        「毎日新聞」2012年11月27日

        ●生活保護制度:厚労省の見直し案、特別部会の部会長が異論
         宮本太郎北海道大大学院教授は12日、国会内で開かれた民主党の会合で、生活保護制度の見直しに関する厚生労働省素案が受給申請者の親族に扶養できない理由の説明を義務づけていることについて「官僚制の管理機能強化が本当に必要か。効果があるのか」と述べ、異論を唱えた。宮本氏は見直し案を議論し、年内に成案をまとめる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)特別部会の部会長を務めている。
         宮本氏は、同省素案が生活保護受給者に健康管理の徹底を義務づけている点にも「生活への介入で、あえて書き込む必要があるのか」と疑問を示した。さらに財務省を、生活保護見直しを財政削減の観点から進めているとして批判した。生活保護を巡る管理強化については、受給者の支援団体も「申請をためらわせ、結果的に必要な人が受給できなくなる恐れがある」と懸念している。
        http://mainichi.jp/select/news/20121113k0000m010056000c.html
        「毎日新聞」2012年11月12日

        ●精神障害者 雇用義務化を急ぎたい
         厚生労働省の労働政策審議会は、企業にそううつ病や統合失調症など精神障害者の雇用を義務付ける方向で検討に入った。
         仕事を求めたり、実際に職に就いたりする精神障害者が年々、増えているためだ。障害者への差別禁止や合理的な配慮を求めた国連障害者権利条約批准のための環境整備の一環でもある。
         年内に結論を出し、来年の通常国会にも関連法案を提出する。
         障害の有無にかかわらず、働く意欲や能力のある人に就労の場が与えられるのは当然である。
         政府は身体、知的障害者の就労を促すため、1997年までに企業に採用を義務付け、従業員数の一定割合を雇う法定雇用率を定めた。
         精神障害者への適用が他の障害者に比べ、これほど遅れたことは理解に苦しむ。義務化に向け、雇用率や対象業種など具体的な制度設計を急ぐべきだ。
         ハローワークの統計では、昨年度の精神障害者の就職件数は前年度比約30%増、道内でも約35%増で身体、知的障害者に比べ大きく伸びた。
         企業側の理解が進んでいるうえ、ハローワークへの精神保健福祉士など専門家の配置や、雇用奨励金などの施策が功を奏したようだ。
         問題は、雇用を義務付ける精神障害者の範囲である。
         審議会は、都道府県の審査が義務付けられている精神障害者保健福祉手帳の交付者に限る方針という。障害の程度が把握しやすく、公正さを保ちやすいためだとしている。
         しかし、精神疾患患者約323万人(2008年度)のうち手帳を持っているのは7分の1にすぎない。
         これでは多くの人が就職の機会から漏れてしまう可能性がある。対象は幅広く設定するのが筋だ。
         スムーズに職に就くには、政府や自治体の後押しも欠かせない。
         政府の障害者就労促進策には自立訓練や就労移行支援事業などがあるが、利用するには自己負担が求められるケースが多い。負担を軽減するなど参加しやすい形にすべきだ。
         偏見や誤解を解くために、障害の特徴などを周知し、社会の理解を広げる必要もあるだろう。
         職場には治療を続けながら働けるよう、勤務時間を柔軟にするなどの配慮も求められる。
         仕事上のさまざまな悩みにこたえるため、ハローワークの精神保健福祉士などが企業を回り、相談に応じる態勢も整えてほしい。
         近年、長時間労働や仕事の過密化などでうつ病になる人が増えている。精神障害者の積極的な雇用が、職場環境の改善にもつながることにあらためて思いを致したい。
        http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/418606.html
        「北海道新聞」2012.11.11

        ●自閉症:脳内で免疫細胞活発化 抑制で治療に道
         自閉症の人の脳では、そうでない人と比べてある種の免疫細胞の数が増え、その活動も活発になる傾向があることを、浜松医大と中京大などのグループが臨床研究で確かめたと発表した。この細胞の働きを抑えることができれば、自閉症の治療や予防法の開発につながるという。米国の精神医学専門誌(電子版)に27日、論文が掲載される。
         研究グループは自閉症の人たちのNPO法人「アスペ・エルデの会」(名古屋市)の協力を得て、18~30歳の自閉症男性20人の脳の様子を、浜松ホトニクスが開発した特殊なPET(陽電子放射断層撮影)装置で観察し、自閉症でない男性20人と比べた。すると、自閉症の人では脳内の損傷修復を担う免疫細胞の「ミクログリア」が各部位で一様に多く、活発になっていた。
         ミクログリアは胎児期に脳に定着すると考えられている。研究グループは、自閉症の人は複数種類の神経で情報伝達がうまくいかないことを確かめており、これにミクログリアの異常が関わっているとみている。浜松医大の森則夫教授(精神神経医学)は「症状との関係が分かれば、働きを抑える治療が可能になると思う」と話す。
         自閉症は発達障害の一種。
        http://mainichi.jp/select/news/20121127k0000m040116000c.html
        「毎日新聞」2012年11月27日

        「夢」とタイムスリップ、幻覚…。
        2012/11/11
        「夢」の話しの前に、本サイトの新しいページの紹介です。
         「カンナの研究ノート」を新設しました(トップページから入れます)。対人援助に関する様々な研究のまとめを順次掲載していきます。皆様の実践にお役に立てればと思います。現在アップしているのは、以下の2つのnoteです。ご意見・ご感想など、お待ちしております。
         ・note1 高機能の自閉症スペクトラム特性のある方への支援 —「困難」時のふりかえり事項 20121109
         ・note2 成人のASD特性のある人への個別支援の多様な「器」 20121110
         さて、「夢」の話し。最近Twitterでつぶやいたものをまとめてみます。
         昨夜(少し前の夜です)も妖しい夢を見た。小高い所にある病院のような施設に車で到着し、駐車場を探す。その風景は、以前にも夢で見た。今回は待合室に。20~30人程が立ったり座ったり。幾人かは見覚えがあるようだが、他は記憶にない。だが顔も表情も衣装も振る舞いも、実にリアルで五感で感じた。
         この場所、この人たちは、本当に夢の中で創り上げられたものだろうか?確かにいろんな断片的な記憶が交錯しながら全体のストーリーは作られているようだが、ここまでリアルに描けるとすると、それはもしかして、見た(体験した)ことがあっても意識に上る記憶にないだけかも知れない。
         想起できないレベルの断片的な体験があったとして、それが睡眠中など脳の多くの機能が抑制された状態で、脱抑制される機能が(無意識に)働き想起され、ランダムに交錯しながらストーリー化しているとすれば、記憶情報などの整理や中枢機能のリフレッシュだったりするのかも知れない。
         不思議なストーリーや風景、登場人物…。人にはそんな、無からリアルを生み出す想像力があるのか?幻覚や妄想と思える夢。想起できない記憶の想起だとしたら、「自閉脳」と言われる高解像度&ハイスペックの記憶能力のある方のタイムスリップや、「統失」とされる方の「空笑」等も了解可能?
         いずれにしても、人の「想像力」は不思議だ。不安から生じる被害妄想的なもの、耐えがたい心的状況からの「解離」、他罰的な防衛機制…。その時々において、自らを守るために無意識に行っている本能的な脳の活動なんだろうが…。しばらく、夢を追いかけたいと思います。

         これは、note3にするかも知れません。
         それでは、最近の気になる記事です。イジメ、自死、学校事故の報道が続きます。

        品川中1自殺:「学校の対応に不備」 区教委報告書

         東京都品川区で9月、区立中1年の男子生徒(12)が自殺した問題で、学校がいじめを把握する際の対応に不備があったと指摘する報告書を、区教育委員会の調査対策委員会がまとめたことが分かった。担任が7月にいじめアンケートで男子生徒のトラブルを把握したものの、「解決しそうだ」と判断したのに対して同僚らのチェックが利かず、校長も区教委から求められたアンケート結果の確認をしていなかったという。
         学校関係者によると、報告書では男子生徒がクラスの大半から「きもい」など言葉によるいじめを受け、同級生6人の暴力行為もあったと指摘。いじめが入学後から半年間続いたことが自殺につながったと判断した。
         学校は7月に全校生徒にアンケートを実施。男子生徒はシャープペンシルが壊されたことを申告したが、「解決しそう」に丸印をつけていたことから担任が問題ないと判断。トラブル自体が上司に伝わらず、校長は求められたアンケート結果の確認をせずに現場に任せていたという。
         調査委は遺族1人と学識経験者4人、都教委1人の計6人で構成している。
        http://mainichi.jp/select/news/20121102k0000m040150000c.html
        「毎日新聞」2012年11月02日

        ●中1自殺、いじめ「密接に関係」 品川区教委
         東京都品川区で9月、いじめを受けた区立中1年の男子生徒(当時12)が自殺した問題で、区教育委員会は5日、いじめと自殺に「密接な関係があった」とする調査結果を区議会文教委員会に報告した。
         調査結果では、いじめは4月の入学直後から始まり、悪質な行為にかかわった加害生徒は32人と認定。暴力行為の中心になったと6人が認めたという。別のクラスの生徒も加担しており、いじめが「広範囲に長く続いた」とした。
         担任らはいじめ行為を見聞きしても深刻にとらえず、学校や教育委員会として適切に対応できなかったと不備を認めた。
         具体的ないじめは、文房具を壊されるなどのいやがらせや、「きもい」「うざい」といった悪口、わざとぶつかるなどの暴力。自殺当日の9月26日も、休み時間に数人から囲まれ殴られていた。
         男子生徒の親は7月10日の三者面談で、同級生から「殺す」と脅されたことなどを挙げて「いじめの標的になっているのではないか」と担任に訴えたが、学校側は対処しなかったという。
         調査結果は、学識経験者や都教育委員会職員のほか、遺族も加わった調査対策委員会が生徒や教職員らに面談、アンケートを実施してまとめた。
         区立中は5日夜、保護者会を開き、調査結果を説明した。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG05056_V01C12A1CC1000/
        「日本経済新聞」2012/11/6

        ●大津いじめ自殺、市教委資料に多数の「黒塗り」
         大津市でいじめを受けた中学2年男子生徒が自殺した問題の原因を究明している市の第三者調査委員会(委員長=横山巌弁護士、委員6人)で、委員が調査のために市教委から取り寄せた関係書類に多数の「黒塗り」があることがわかった。
         市教委が委員に渡す前に不都合な部分を隠した可能性があり、委員の間では「真相究明を妨げようとする隠蔽行為だ」という批判の声が上がっている。
         同委では、市教委側に自殺問題に関する生徒指導関係書類などの資料提出を随時求めているが、渡された書面には個人名だけでなく文章の一部にも多くの黒塗りがあり、事実を確認できない部分があるという。
         委員の一人、尾木直樹・法政大教授は28日夜の第7回会合の後、報道陣に対し「いじめに関する教諭らの踏み込んだ発言の記録があっても、黒塗りになっていると、追跡調査もできない。何の権限があって隠すのか」と市教委側を批判。また、一部の学校関係者が同委の聞き取り調査に応じないケースもあるといい、同委は市教委などに対応を見直すよう求める考えだ。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121029-OYT1T00237.htm?from=ylist
        「読売新聞」10月29日

        ●「いじめアンケート公表を」=大津の自殺生徒の父が会見
         いじめを受け自殺した大津市立中学2年の男子生徒=当時(13)=の父親(47)が30日、東京都内で記者会見し、「市から開示された生徒へのアンケート結果の実名部分などが黒く塗りつぶされ、真相究明ができなかった」と訴えた。
         父親は「見て見ぬふりしただけでなく、真実を隠蔽(いんぺい)した学校と教育委員会には二重の意味で裏切られた」と声を詰まらせ、「真相を解明し、いじめを根絶する上でアンケート結果の公表は必要不可欠な第一歩だ」と強調した。
         また、学校からアンケート結果を受け取る代わりに、「部外秘を確約する」との確約書に署名させられた経緯なども語った。 
        http://jp.wsj.com/Japan/node_538931
        「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」2012年10月31日

        ●奈良市・中2男子裸撮影 市教委「深刻ないじめ」 早期発見できず謝罪
         奈良市の市立中学2年の男子生徒(13)に裸になるよう命じ、携帯電話で撮影したとして同級生ら4人が逮捕された事件。30日会見した市教委の担当者は「深刻ないじめ」と認め、事前に何度も学校現場でいじめ把握のアンケートを実施しながら、把握できなかった対応の不手際を認め、「早期発見できなかった。誠に申し訳ない」と謝罪した。
         ◇
         市教委によると、同級生らから男子生徒に対するいじめは今年4月ごろから始まり、暴行や小銭を奪うなど次第にエスカレート。場所も学校から、同級生の自宅や公園などに拡大していった。担任の教諭は「仲の良い友人同士に見えていた」と報告しており、いじめの把握が遅れたという。
         この学校では独自に毎年6月、学校生活全般について全校生徒対象のアンケートを実施しており、7月には担任教諭による面談もしていた。
         さらに大津市の中2男子が自殺した問題を受け、9月には県教委によるいじめ把握のアンケートも実施したが、いずれも今回いじめを受けていた男子生徒は、いじめをうかがわせる回答をしていなかった。
         男子生徒は今回の問題発覚後、ようやくいじめに遭っていることを打ち明けた。加害者側の同級生らもいじめを認め、謝罪したという。
         いじめの把握が遅れたことについて、市教委の担当者は「早期発見ができなかったことは問題だ。アンケートには限界がある」と認め、「学校単位や学級単位、部活単位などで、重ねて網をかけていくしかない」としている。
         市教委は今後、生徒からいじめの相談を受ける非常勤カウンセラーの勤務日を増やしたり、学校外で相談できる場所を確保するなどの対策を検討していく。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/121031/nar12103102200000-n1.htm
        「産経ニュース」2012.10.31

        ●浜名湖ボート転覆:豊橋市が責任認め謝罪へ 和解が成立
         浜松市の浜名湖で10年6月、訓練中の手こぎボートが転覆し愛知県豊橋市立章南中学1年の西野花菜さん(当時12歳)が死亡した事故で、両親が約6800万円の損害賠償を求めた訴訟は24日、名古屋地裁豊橋支部(田近年則裁判長)で和解が成立した。豊橋市は責任を認めて両親に謝罪し、和解金の負担はない。静岡県と、訓練を実施した県施設の指定管理者の小学館集英社プロダクションが和解金を支払う。額は明らかにしていない。
         原告側代理人によると、24日は市、同社との間で和解が成立し、静岡県は県議会での手続きを経て正式に和解する。
         市との和解内容は、▽校外学習の安全マニュアルなど危機管理体制が構築されていなかった▽事前に訓練内容の安全性を点検しなかった▽荒天だったのに学校が天候や実施判断を施設に依拠した−−など、事故に対する市の責任を認めた。佐原光一市長が両親に会って謝罪し、再発防止のための検証やマニュアル改訂、教員の研修実施なども盛り込んだ。
         父友章さん(53)は和解成立後の記者会見で「ほっとした。おおむね主張が認められ、納得している」と話した。墓を設けておらず、花菜さんには「心の中で報告かな」と述べた。
         事故を巡っては、市が一貫して責任を認めず、今年5月に両親が提訴した後も全面的に争う姿勢を示していた。同支部が8月下旬に和解勧告すると市は一転し和解に応じる方針を示し、友章さんは「市長から謝罪を受ける際、なぜ思い直したのか聞きたい」と市への不信感を口にした。
         和解成立について佐原市長は「法廷で争うことは本意でなく、裁判所の和解案をそのまま受け入れた」とコメントを出した。25日に記者会見し、謝罪する。
         両親が今年5月に提訴し、市だけが全面的に争う姿勢を示していた。
        http://mainichi.jp/select/news/20121025k0000m040094000c.html
        「毎日新聞」2012年10月25日

        ●「いじめでPTSD」賠償命令、市と加害者親に
         石川県加賀市の小学校低学年の女児が同級生からいじめを受けて精神的な障害を負ったとして、女児と両親が同級生9人の親と同市を相手取り、約4830万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、金沢地裁小松支部であった。
         小野瀬昭裁判官は、いじめの存在と当時の担任教諭の責任を認め、市と同級生3人の親に約703万円の支払いを命じた。
         判決によると、2007年の2学期から08年5月頃まで、女児は同級生3人に階段から突き落とされたり、「きもい」などと言われたりするいじめを受けた。担任は08年5月に女児の母から相談を受けていじめを把握していたが、女児が欠席するまで一部の同級生の親にしか連絡しなかった。小野瀬裁判官は、「家庭と協力して真相を解明するなど、いじめ防止の措置を講じるべきだった」と担任の責任を認めた上で、いじめによる外傷性ストレス障害(PTSD)の発症を認定した。
         裁判で同級生の親側は「いじめの事実はない」とし、市側は「担任がいじめを予見することは不可能で、相当な措置も取っており、過失はない」と主張していた。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121109-OYT1T00710.htm?from=ylist
        「読売新聞」2012年11月9日

        ●若者の3年以内離職、塾や飲食業で半数 医療も4割に
         厚生労働省は31日、若者が入社してから3年以内に辞める離職率を、業種別や規模別に初めて公表した。2009年3月に大学を卒業して就職した43万人のうち、28.8%にあたる12万人が3年以内に辞めていた。
         業種別では、学習塾など教育・学習支援や宿泊・飲食サービスで、半数近くが辞めていた。政府が雇用の受け皿として力を入れている医療・福祉も離職率が4割に迫った。いずれも、長時間労働や賃金が低いといった理由があるとみられる。一方、電気・ガス・水道や製造では離職率が平均を大きく下回った。
         詳細は同省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/12.html)で。
        http://www.asahi.com/business/update/1031/TKY201210310478.html
        「朝日新聞」2012年10月31日

        ●精神科医の8割以上が抗精神病薬の血糖値上昇リスクに不安 ”治療への構え” を調査
         統合失調症の患者は一般人口に比べ平均余命が短く,心血管疾患による死亡率やメタボリックシンドロームへの罹患率が高いことも報告されている。その一因として,代謝系などに影響を与える抗精神病薬の関与が推定されている。第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会(10月18~20日,宇都宮市)のシンポジウム「精神科薬物治療の身体リスクを考える -統合失調症患者さんの命と健康を守るために-日本精神科病院協会との合同プロジェクト」〔司会=新潟大学大学院精神医学分野・染矢俊幸教授,日本精神科病院協会・森隆夫常務理事(愛精会あいせい紀年病院理事長)〕で弘前大学大学院神経精神医学講座の菅原典夫氏は,診療に当たる精神科医の抗精神病薬を用いた治療への構え(attitudes)に関するわが国初の調査結果について報告。血糖値上昇リスクがある薬剤の処方に対しての精神科医の8割以上が不安と回答したという。
        http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1210/1210068.html
        「MT Pro」2012年10月23日

        ●就労障害者:公的支援含めても年収200万円以下99%
         福祉作業所など就労支援を中心とした福祉サービスを利用している障害者の約99%が、障害手当などの公的支援を含めても年収200万円以下の「ワーキングプア」と呼ばれる生活水準にとどまっていることが、全国の障害者福祉施設でつくる団体「きょうされん」(東京都)の全国調査で分かった。なかでも年収100万円以下が半数以上を占める状況で、障害者の自立を取り巻く厳しい環境がデータで裏付けられた形だ。
         同団体は11年11月~12年2月、加盟施設などを通じ、身体、知的、精神などの障害者で、通所施設などで働く本人やその家族らにアンケート。約1万人(平均40.4歳)の回答を得て、同10月、報告書をまとめた。
         報告書によると、障害年金や生活保護、障害手当、給与、工賃などを合わせた月収は「4万2000円以上8万3000円未満」が最多の41.1%。続いて「8万3000円以上10万5000円未満」が28.5%だった。年収では「100万円以下」が56.1%、「200万円以下」は98.9%に上った。
         国税庁の民間給与実態統計調査(10年)によると、「200万円以下」は22.9%で、障害者の収入が低水準である実態が明らかになった。
         また、生活状況(複数回答)では、「親と同居」56.7%、「きょうだいと同居」18.3%に対し、「1人暮らし」は7.7%、「配偶者と同居」は4.3%だった。
         同団体は「障害者の多くが十分な収入を得られず、家族に依存して生活している」と指摘。障害者の収入保障制度や、障害者を雇用した企業への公的支援の充実などを求めている。
        http://mainichi.jp/select/news/20121104k0000m040054000c.html
        「毎日新聞」2012年11月03日
        精神状態の判断には、心因だけでなく状況因や生育歴、器質因の把握が不可欠。
        2012/10/27
        睡眠時無呼吸症候群の治療はキチンとCPAP(ポンプで空気が送られるマスクを装着する装置)で行っているため、昼間の眠気はほとんどありませんが、夜の睡眠の乱れは相変わらずです。
         先日も深夜の断眠の中、リアルな夢が2つ記憶に残りました。時間軸が乱れ、関係性があり得なく結ばれ、見たことのない風景の中でストーリーが展開されます。それは、覚醒状態であれば幻覚であり、幻視であり、幻聴であり、混迷極まる了解不能な「現実体験」となるでしょう。
         twilight(朝・夕に、太陽と月の2つの明かりが見えることが語源とされていますが、薄暗いはっきりとしない状態を表すようになっています)、夢と現実が交錯する刹那、意識レベルが低ければその区別を失うと思われます。夢と現実が交錯する刹那は、目覚め時だけとは限らず、過ストレス等による意識障害やせん妄状態、タイムスリップが生じた時等に起こると解釈することは乱暴でしょうか。解釈可能かと思っています。
         精神状態の診断は、精神科の世界的な操作的診断基準によって、(診察室での)その場の状態や本人の語りなどから行われるのが一般的です。短い診察時間では、コンパクトに聴き取って、診断基準と照らして診断し、処方する…というシステムが作り上げられてきています。インテーク(受理面接)だけは30分~60分程度の時間をとって、心理士さんなどがしっかりと聴き取ってくれるクリニックなどもありますが、数は少ないようです。
         精神状態が正常域を超えて、不安や混乱、自傷・他害、暴言・暴力などの問題行動化、強い抑うつや非現実的体験の表現などが生じた場合に、とりあえず「受診」、「病院に連れて行く」では、状況因や生育歴、器質因の把握がされないままに「診断」、処方がされてしまうことになりかねません。
         問題と思われる精神症状が生じるには、かならず因子(きっかけ)が、その以前にあります。生得的なもの(器質、性格、脳機能の違いなど)、生育環境、その中の人間関係性、虐待などの被害的体験(身体的および心理的)、喪失体験、他の身体疾患等々、想定できる因子を把握し、消去法で精神症状が残れば、そこからが精神科(心理)領域での「治療」が必要となる、という考え方が大切ではないかと思うこの頃です。
         それでは、最近の気になる記事です。

        加害者たち 罪悪感なく「面白い」

         ■いじめが止まらない。今も昔も、程度の差こそあれ、なくならない。
         ◇「お道具箱の中に油みたいなものが入ってる…」
         近畿地方の公立小学校に通っていた会社員の男性(37)は小学5年の時、同級生の男児が先生に泣きついたこの言葉を今もはっきり覚えている。
         男性は前日の放課後、教室に忍び込み、仲間数人と一緒に男児の机の中にあった道具箱に小便を入れた。
         男児は当時、男性の指示でクラスのほぼ全員から無視されていた。男性はいじめのニュースに触れるたび、このときの絶望した男児の表情を思い出す。その場面は無声映画のモノクロフィルムのように繰り返されるという。
         「下手したら自殺したかもしれない」。自身の息子が小学校に通う今、強い悔恨の情にかられるが、当時は男児の言動を仲間と笑いものにしていた。
         関東地方の公立小学校に通っていたフリーターの男性(31)は小学4年の時から同級生へのいじめや暴力事件を何度も起こした。男女問わず、相手が泣くまで悪口を言ったり、蹴ったりした。そのたびに校長室に呼び出された。
         なぜ、そんなことをしたのか。理由は明確だった。「鬱憤晴らし」だった。男性は小学3年から塾に通わされ、成績が悪いと父親から殴られた。「ご飯を食べないとか、些細(ささい)なことで怒鳴られ、殴られ、虐待のようだった。いじめはそのストレス発散だった」
         ■善悪教えない教育
         ◇「お前たちがやったことをすべて話しなさい」
         今から18年前の平成6年12月。愛知県西尾市の大河内祥晴(おおこうち・よしはる)さん(66)の自宅に、中2の次男、清輝(きよてる)君=当時(13)=が通う中学の校長が4人の男子生徒を連れてやってきて、生徒らにこう命じた。
         5日前、清輝君は自宅裏で首をつり、短い生涯を終えた。4人はいじめの加害者だった。遺書には万単位でお金を脅し取られていたことなどがつづられていた。《もっと生きたかった…》という言葉もあった。
         祥晴さんは怒りを押し殺して4人に語りかけた。「清輝に、いつ、どこで、誰と、何をやったのか、手紙に書いて毎週土曜に持ってきてくれ」
         4人は言われた通り、毎週、手紙を書いてやってきた。祥晴さんはその内容を見て驚愕(きょうがく)した。遺書に書かれた内容以上の壮絶ないじめの数々が記されていた。「何でこんなにひどいことが、すらすらと書けるのか…」
         祥晴さんの親戚が4人のうちの1人に、「清輝と仲が良かったお前が、なんでこんなことをやったんだ」と尋ねると、思わぬ返事が返ってきた。
         ◇「面白かったから」「楽しかったから」…。
         祥晴さんは手紙のやり取りを通じ、「あの子たちに罪悪感は絶対なかった」と確信している。「だからこそ、あんなにひどいいじめができた。そういう物事の善悪を教えてやれない学校教育とは何なのか」。時がたつにつれ、その思いは一層強まる。
         ◇「かわいそうな子」
         横浜市に住む小森美登里(みどり)さん(55)も平成10年、高1の長女、香澄(かすみ)さん=当時(15)=を自殺で失った。香澄さんは同級生から言葉や態度によるいじめを受けていた。学校には10回以上足を運び、メンタルクリニックにも通わせていた。
         ある夜、美登里さんは引きこもっていた香澄さんを散歩に連れ出した。美登里さんは励まそうと、加害者側の女子生徒のことを口汚くののしった。
         すると、香澄さんは冷静につぶやいた。「お母さん、優しい心が一番大切だよ。その心を持っていない、あの子たちがかわいそうなんだよ」。香澄さんはその4日後、自宅で首をつった。
         まな娘の言葉「優しい心」にちなんで「ジェントルハートプロジェクト」を立ち上げ、10年以上、いじめ防止のNPO活動を続けてきた美登里さんは「いじめは加害者の心の問題なんです」と言い切る。
         「加害者がやめない限り解決しないから」。この瞬間も、絶望のふちに立たされている子供たちがたくさんいる。
            ◇
         いじめを受けていた大津市の中学2年の男子生徒の自殺で、学校や教育委員会の不手際が指摘されてから3カ月余り。いじめがまた社会問題化している。自殺に追い込まれる児童・生徒は各地で後を絶たない。悲劇を防ぐためには何が必要なのかを考えてみたい。
            ◇
        【用語解説】大河内清輝君事件
         平成6年11月27日、愛知県西尾市の中学2年、大河内清輝君=当時(13)=が同級生4人から川に沈められたり、計100万円以上を取られたりするいじめを苦に自殺。遺書には「どんどんいじめがハードになり(略)もう、たまりません」などと記されていた。4人は恐喝容疑で書類送検され、うち3人は初等少年院、1人は教護院に送致された。その後4人は反省を深め、うち3人は今も清輝君の命日に焼香に訪れる。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/121021/edc12102110000000-n1.htm
        「産経ニュース」2012.10.21

        ●いじめ調査、自宅でアンケート記入 府教委が統一基準
         京都府教育委員会はいじめの有無を調べるアンケートについて、学校ではなく自宅で記入させるなどの府内統一基準を設けることを25日までに決めた。同級生の視線が気にならない自宅の記入で被害情報を得やすくするなど、実効性を高める狙いで、年内にも新基準でアンケートを実施する方針。
         アンケートの実施方法は国も府も明確な基準がなかった。府教委は文部科学省が行った9月の緊急調査では「府内ではほぼ学級内で行われた」とみる。ただ、大津市で自殺した中学2年の男子生徒に関するアンケートでは「学級内で誰が答えたか分かってしまうため詳細に書けなかった」と同級生が証言している。
         府教委は自宅記入を明記した新基準の原案を各教育局に同日提示した。京都市以外の公立小中高が対象で、質問用紙は「小学校低学年用」などと、学年に応じて複数の種類を用意する。
         新基準のアンケートを年末にも実施、文科省の緊急調査と比較する。田原博明教育長は「学校現場にさまざまな手法が混在しており、基準を示したいと考えた」と話した。
         原案では、追跡調査が容易な記名式とした。記名か匿名かについては、京都市や向日市が実名とする一方、福知山市は匿名と判断が分かれ、学校により異なる市もある。田原教育長は「記名か匿名かは意見が分かれると思うので、市町村の意見をよく聞きたい」としている。
        http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20121026000018
        「京都新聞」2012年10月26日

        ●<館山・中2自殺>いじめ再アンケート 小、中同級生らに
         千葉県館山市で08年に自殺した中学2年の男子生徒の父親が「いじめが原因」として再調査を求めている問題で、同市教育委員会が、同級生ら対象のアンケートを再実施すると父親に伝えたことが分かった。アンケートは自殺直後に行われたが、保管義務に反して学校側が廃棄していたことが今月明らかになった。いじめ問題でアンケートの再実施は極めて異例だ。【中島章隆、田中裕之】
         再アンケートするのは、当時の中学校在校生全員約560人。新たに、男子生徒が小学校6年生だった当時の同級生も対象に加え計約670人に上る。当時の中学在校生へのアンケートは自殺直後に行われたが、昨年3月に中学校長が廃棄を指示。市の文書管理規則では5年間の保管義務があり、市教委は今年1月に校長を厳重注意処分としていたことを今月10日に公表した。
         県教委は「遺族の心情への配慮からアンケートの再現が必要と判断した。全国的にも前例がないと思う」と話している。詳細については、26日の市教委臨時委員会で検討する。
         市教委や県教委などによると、同級生は現在大半が高校3年だが、上級生だった08年当時の中学3年生はほとんど卒業しており、用紙の配布先の確認なども課題となる。アンケート原案によると、質問は(1)亡くなった生徒にいじめと思われる行為をしたことがあるか(2)この件に関し、いじめと思われる行為を見たり、聞いたことがあるか(3)本件に関し、知っていることや意見があるか--の3項目で記名式。11月下旬までに集計結果をまとめ、遺族らに文書で報告する方向で調整している。
         県教委指導課によると、破棄問題を踏まえて公平性、中立性を保つため、回答の送付先は県教委とする予定。その上で市教委が分析と評価を担当する。
         この問題では、事件直後のアンケート結果から中学校と市教委は「からかいなどのいじめにつながる事実はあったが、死と結びつくと思われる要因は分からなかった」と結論づけた。父親は「母が外国人で小学時代からいじめを受け、別の学区の中学に進んでもいじめは続いた」と訴えており、再アンケートについては「とにかく知っていることを書いてほしい」と話している。
        http://mainichi.jp/select/news/20121026k0000e040226000c.html
        「毎日新聞」10月26日

        ●定時制高校で増える不登校 時代の変化に教員追いつけず
         働きながら高校卒業を目指す定時制高校に近年、変化が起きている。小中学校で不登校だった生徒など、一般の学校に馴染めない生徒が落ち着く場へと変わりつつあり、よりその重要性が増している側面も。だが同時に、中途退学者は増加傾向を示している。教育関係者からは学校側が時代の変化に対応しきれていないとの指摘も聞こえてくる。(市岡豊大)
         ◇「定時制は必要」
         「集団行動が苦手でクラスになじめなかった」。さいたま文学館(埼玉県桶川市若宮)で14日に開かれた「定時制通信制生徒生活体験発表会」。埼玉県立朝霞高校定時制4年、小松耀さん(19)は、こう話した。定時制で、同じ悩みを持つ同級生と心を通わすことができたという。「人を信じられるようになれた。定時制はそういう人たちのために必要な場所」と語った。
         発表会では、挫折を乗り越えた経験談が多く、定時制高校で不登校から立ち直った生徒も。県立羽生高校定時制2年の杉町麻由子さん(17)は小学校で受けたいじめを発端に中学校はほぼ欠席。高校で、いじめられていたクラスメートに声をかけたことをきっかけに友達ができ、学校が楽しくなったという。
         杉町さんは「定時制の生徒はいろんな事情があって個性を持っている。全日制より楽しいんじゃないかな」と笑顔をみせる。
         ◇増える不登校
         県教育委員会が公立学校を対象として行った児童生徒の問題行動調査(平成23年度)によると、定時制高校の長期欠席者数は21年度以降、1291人▽1306人▽1679人と年々増加。その中心は不登校で19年度は413人だったが、4年後の23年度には倍以上の976人に達した。
         また、中途退学者数は全日制も合わせた高校全体で減少しているにもかかわらず、定時制は19年度の686人から23年度は888人と逆に増加した。
         かつて定時制は社会人として働きながら通う高校だった。しかし、県教委の担当者は「何らかの問題を抱えて全日制に進めない生徒が通う学校になった。この数年間は特に変化が激しい」と話す。
         ◇変化に追いつけず
         学校はこうした変化に対応できているのだろうか。県立上尾高校定時制の岡部競(きそう)教頭は「生徒の内面に立ち入ることも求められるが、教員のスキルが追いついていない」と話す。県教委は今年度、モデル校に指定した定時制高校2校にスクールカウンセラーを配置。教員の補助として生徒支援に乗り出している。
         社会人からの需要がない以上、そもそも”夜間学校”であることの必要性についても議論がある。東京都は平成12年度から昼間定時制「チャレンジスクール」を開校。県教委も現在、昼間定時制高校について検討中という。
         昼間にすることで教員力強化にもつながりそうだ。ある県教委幹部は「夜間に出勤する定時制への異動は敬遠されがち。優秀な教員が育ちにくい環境になっている」と指摘する。
         通常クラスに適応できなかった子供たちの受け皿として重要性が増す定時制高校。その強化が今、急務となっている。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/121024/stm12102411560001-n1.htm
        「産経新聞」10月24日

        ●不登校:受け入れ、15高校が説明--倉敷であす/岡山
         不登校問題に取り組む「長期欠席支援ネットワーク・倉敷」など3市民団体は27日、倉敷市福田町古新田のライフパーク倉敷大ホールで「進路について考える会」を開く。小・中学校の不登校経験者、高校の中途退学者や保護者が対象。不登校経験者を受け入れている高校や通信制高校など15校が学校の特色を説明し、個別相談に応じる。午後1時半~4時半。参加無料。問い合わせは同ネットワークの水野さん(090・1010・4920)。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121026-00000198-mailo-l33
        「毎日新聞」10月26日

        ●生活保護受給前に就労支援へ 厚労省、申請者にも働く場
         厚生労働省は26日、生活保護受給前の申請者や相談者に、2013年度から本格的な就労支援を実施する方針を固めた。申請が多い自治体の福祉事務所に求人事情に詳しい専門相談員を常駐させ、働く場の提供に乗り出す。
         就労支援はこれまで保護受給者に実施していたが対象を拡大し、増えている若者の受給の抑制を目指す。生活困窮者の自立支援策を柱とする「生活支援戦略」の一環で、来年度予算の概算要求に関連経費100億円を盛り込んだ。
         生活保護受給者には現在、自治体職員がハローワークに同行して職探しを後押ししたり、履歴書の書き方を助言したりする支援事業があり、受給前の人にも行う。
        http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012102601001897.html
        「東京新聞」2012年10月27日

        ●「朝起きられない」疾患 起立性調節障害 思春期 軽症含め100万人
         朝起きられず、日中もだらだらと過ごすけれど、夜には元気になる−。子どものこんな症状には要注意。思春期特有の疾患「起立性調節障害」の可能性がある。認知度が低く「ただの怠け」と間違われやすいが、その数は軽症者も含め推定100万人。不登校の隠れた原因ともいわれ、周囲の無理解によって子どもを深刻な状況に追い詰めかねない。
         「この子の将来はどうなってしまうの、と不安でいっぱいでした」。フリーライターの武香織さん=川崎市=は、6年前に長男の大耀(たいよう)さん(18)が起立性調節障害を発症した当時を振り返る。
         2006年9月のある朝、中学1年だった大耀さんはベッドから起き上がることができず、学校を休んだ。青白い顔で頭痛を訴えたが、熱もなく、夜にはすっかり元気に。テレビ番組に笑い声を上げさえした。
         そんな日が続き、香織さんは「不登校?」といぶかりつつも、医者に連れて行くと、起立性調節障害と診断された。
         この疾病は10~16歳ごろに発症しやすい自律神経機能不全のひとつ。起立時などに脳の血流が下がり、立ちくらみや頭痛、疲労感を伴うほか、思考力や判断力も低下する。体を横にすると全身への血流が回復するため、寝転がるなどの楽な姿勢を取ることが多い。
         日本小児心身医学会などによると、小学生の5%、中・高校生の5~10%がかかり、中高校に登校ができないなどの重症例は全国で推定7万人。また不登校の児童・生徒の3~4割が起立性調節障害とみられるという。
         同会は06年、「診断・治療ガイドライン2005」を作成。臥位(がい)や立位などで血圧を測る「新起立試験」による診断基準を提示した。治療には▽できる限り生活リズムを整える▽起立動作はゆっくり行う▽水分、塩分を多く取る▽薬物療法(昇圧剤)−などの方法がある。症状は精神的ストレスによって悪化するため、心のケアも重要だ。
         ◇成長期終息で 症状和らぐ
         通常は身体の成長期の終息に伴って症状が消えたり、日常生活に支障がなくなったりする。とはいえ、すぐに治る病気ではなく、大耀さんも苦しい日々を過ごした。体がだるい、指先に力が入らない、勉強に集中できない−。テストの際には頭が動かず、問題文さえまともに読めなかった。
         学校は事情を理解してくれたものの、思うように登校できず、友人関係の悩みも体調の悪化に拍車を掛けた。「何度も死にたいと思った。夜、布団の中で誰にも迷惑を掛けない死に方を考えていた」と大耀さんは話す。
         香織さんは大耀さんと衝突もしたが「登校できたかどうか、に一喜一憂することが、息子へのプレッシャーになっていたのでは」と反省し、ありのままを受け入れようと決意した。「今は治すことだけを考えよう」と呼び掛けて治療に専念した。症状は徐々に好転し、中学を卒業した。
         大耀さんは音楽のドラムに興味を持ち、音楽系高校に進んだものの、中退。通信制高校に入り直し、早朝時間帯のアルバイトも始めた。仲間とバンドを組み、地域の音楽祭やライブハウスのイベントにも参加。「将来はプロのドラマーに」との目標を胸に、生きる自信を取り戻している。
         ◇「親の理解が 最も大切」
         大耀さんは、同じような疾病に苦しんでいる人たちに対し「学校生活がすべてだった中学時代と違い、社会は広かった。つらいときは誰の言葉も聞きたくなくなるけれど、ずっと苦しいわけじゃない。いつかきっと”兆し”が見えてくると信じて」とエールを送る。
         香織さんは9月、「起立性調節障害を広く社会に知ってもらえれば」と、自分たちの体験をつづった著書「朝起きられない子の意外な病気」(中公新書ラクレ)を出版した。「親の理解こそが最も大切と実感している。子どもが自分から動き出せるまで、温かく見守ってあげてほしい」と力を込めた。
         ◇教育現場ではどのように対応しているのか。
         東京都の区立小学校養護教諭、船越夏可さん(32)は「起立性調節障害を理解している教員はまだまだ少なく、『怠けているだけ』としか見ない人もいる。現状では各学校ごとに対応が委ねられている」と指摘する。
         船越さんは3年前、発症した児童に初めて接し、その対応の難しさを認識。昨年から大学院に入学し、疾患の子どもや保護者への聞き取り調査を続けている。
         子どもにとって、ただでさえ学校生活を送れないことはショックなのに、教員や級友の無理解に傷つけられれば自信を失う。適切な治療をせずに症状を悪化させ、長期の不登校で親子関係が悪くなったり、引きこもりやニートになってしまうケースも懸念される。
         船越さんは「症状の重さは人によりさまざま。学校側は個々の程度に合わせて柔軟に対応することが大切だ。疾患の疑いのある子を発見して医療機関につなぐ仕組みや、学校が保護者をサポートするシステムも研究したい」と話した。
         ◇自律神経の バランス崩れ 
         そもそも、起立性調節障害は新しい病気と思われがちだが、国内で初めて報告されたのは1958年のことだ。なぜ、あまり認知度が高まっていないのか。
        <田中英高・大阪医科大准教授>
         前述のガイドラインを作成した日本小児心身医学会理事長の田中英高・大阪医科大准教授は「当時の診断基準では正確に判定できず、心因性の不登校などと区別しにくかった。近年、ようやく医療現場で混乱がなくなってきた」と解説する。
         ちなみに朝寝坊などとはどう違うのか。朝寝坊の子どもは血圧を測る起立試験の結果に午前、午後とも異常がみられないのに対し、起立性調節障害は午前の方が午後より検査結果が圧倒的に悪い。また、うつ病の子どもは夜になって元気が回復することはない。
         発症する原因ははっきりしていないが、田中氏は「もともとの遺伝的な体質に加え、思春期のホルモンの乱れやストレスが重なり、自律神経のバランスが崩れたと考えられる」とみる。
         ◇心配りできる、きまじめな子注意
         ただ、発症しやすい子どもには一定の傾向もみられる。多くの保護者が「幼いころから手を煩わさなかった」というように、周囲に心配りができ、「ノー」と言えないきまじめな子どもだ。「慢性的なストレスを無意識に抱えているケースが多い」(田中氏)
         当事者にとって最も悩ましいのは、高校や大学などの進路のことだ。
         田中氏は「随時入学や高校卒業認定テストなど選択肢は多い。心と体を十分に休ませることで、数年後に急速に回復することも珍しくない」とした上で、こう助言する。
         「『人生は1冊の問題集』です。どんな難問も必ず解ける、危機は乗り越えられると信じて、明るく前向きに毎日を過ごしてほしい」
        <デスクメモ>
         武さんの体験本を読んだ。息子の異変に気付き、家庭問題などを追う取材力で早めに症状を知る。だがその後の道のりは戸惑いと挫折、希望に向けての日々だ。友人との付き合い方やその親に理解を求める訴え…。疾病の潜在者は少なくないという。家族だけで悩まず、専門の医師に相談してほしい。
        http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20121024133044720
        「北陸中日新聞」2012年10月22日

        ●消灯後の携帯使用、心に悪影響か 中高生1万8千人調査
         中高生約1万8千人を対象にした大規模調査で、夜間、消灯後にメールや通話のため携帯電話を使う頻度が高いほど、心の健康状態が悪い傾向がみられるとの結果を、東京都医学総合研究所の西田淳志主任研究員(精神保健学)らのグループがまとめ、27日までに英国の専門誌に発表した。
         西田主任研究員によると、中学生の場合、携帯電話を消灯後に使う生徒は使わない生徒より睡眠時間が短くなっており、睡眠不足が心の健康度低下につながっている可能性が浮かんだ。子どもの「ケータイ依存」が問題となる中、メンタルヘルスの観点から警鐘を鳴らすデータとして注目される。
        http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012102701001119.html
        「共同通信」2012/10/27

        生命保険が「経済的に追い込まれた人が自殺する原因の1つ」?
        2012/10/21
         関西111の市長でつくる近畿市長会が10月19日に開いた総会で、自殺対策のための財源の確保を国に求める一方で、「自殺でも保険金が支払われる生命保険の仕組みが自殺の原因の一つになっているとして国に仕組みの見直しなどの対策を求めていくことを決議」したという報道を、下に転載しました。
         はてさて…?
         かつては、自殺では生命保険は出なかったと記憶しています。自死遺族の経済的困窮や自殺者の増加などにより、自殺でも生命保険が出るようになっていきました。それが、また時代を逆流させられようとしているのでしょうか?
         経営困難、倒産、リストラ、雇用悪化、うつ病等の増加…。収入が減り、仕事がなくなり、負債を抱え、経済困窮状態となり、せめて「生命保険で清算したい…」と自死を選択されるという悲しい事態が増えているのは事実です。身をもって、遺る家族の生活は保障したいという無念の選択です。それが実行されれば、遺族はそれなりに経済的問題からは解消されるでしょう。
         その仕組みがあるから自殺が減らないという考えは、本末転倒でしょう。経済的に追い込まれなければ、自殺を選択することはないでしょうし、生活保護などのセーフティネットがきちんと機能していれば、命は守れる社会であるはずです。
         自殺数削減の手段として、生命保険の対象からはずす、減額するなどというのは、およそ「自殺」の現実と向き合っていない、他人事としての発想でしかないと思います。
         自治体は、自殺対策基本法(平成18年6月21日法律第85号、http://law.e-gov.go.jp/announce/H18HO085.html)に基づいて、「第四条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、自殺対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」とする地方公共団体の責務に真摯に取り組むべきで、このようなすり替えの議論をしている場合ではありません。
         また同法は、「国民は、自殺対策の重要性に対する関心と理解を深めるよう努めるものとする。」と国民の責務も明記しています。「自殺対策の実施に当たっては、自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければならない。」と名誉及び生活の平穏への配慮も示しています。
         第二章では、調査研究、体制整備、教育・広報活動、自殺発生回避のための体制の整備、自殺未遂者に対する支援、自殺者の親族等に対する支援、民間団体の活動に対する支援などの基本的施策を明らかにしています。
         あらためて基本法を読むと、今回の市長会の決議がいかに無理解で乱暴なものであるかがわかります。自殺対策は、みんなが支え合う課題です。
         それでは、最近の気になる記事です。

        生活保護見直し 本当に必要な人見極めよ

         受給者が最多211万人(6月時点)を超えた「生活保護」の見直しが本格化する。新年度予算案の圧縮策の一つに盛り込まれ、支給基準の引き下げは必至の情勢とされるが、「初めに結論ありき」の議論は避けなければならない。
         憲法25条が保障する生存権に基づく生活保護制度は「どうあるべきかと軽々しく話せない難しい問題」(城島光力財務相)である。最近、不正受給に話題が集まるあまり、受給者への偏見が助長される懸念がある。不正は少数であり、審査の甘さなど運用方法の問題は指摘されるが、生活保護の制度自体は必要だ。公平で効率的な仕組みへの改善が求められる。限度を超えた締め付けはやるべきでない。
         ■就労支援は政府全体で■
         厚生労働省の社会保障給付費の推移をみると2000年からの12年間で、国民所得が22兆円以上もダウンしている中で社会保障給付費は31兆円以上も増えている。多くは医療費と年金。生活保護も本年度の給付見通しは3兆7千億円と少なくない。
         社会保障審議会は見直しの柱を支給額改定と就労支援による自立促進に置く。長引く景気低迷で仕事のない現役世代の受給が増えている点を考慮。就労支援は自治体、ハローワークの連携で集中的に行うとした。
         現行制度は労働収入があるとその分、保護費が削られる。そのため働いても働かなくても総収入は変わらず、労働意欲を失いかねない仕組みが問題視されている。見直しでは働いた収入の一部を積み立て保護の必要がなくなったときにそれを受け取るようにする。いわば貯金である。就労意欲を高め生活保護から抜け出るきっかけにする狙いだ。
         だが、雇用情勢は依然として深刻でこうした就労支援が直ちに実を結ぶかどうかは大いに疑わしい。景気浮揚対策と密接に絡むので政府全体で取り組むべきとの認識が必要だ。
         ■低すぎる年金、最低賃金■
         生活保護費は地方と都市部で差があるが現在、生活扶助費が65歳単身で月6万2千円台から8万円ほど。住宅扶助(家賃)が加算されると10万円を超える。医療、介護などの費用も給付の対象だ。
         一方、本年度の国民年金は満額で月約6万5500円。最低賃金で働く賃金も地域により生活保護費を下回っている。保護費が高すぎると批判が噴き出すのも無理はない。
         こうした逆転現象に、厚労省は役割の違いを強調する。生活保護は最低生活を保障するもの。年金は生活の一部であり、ほかの資産や収入、車などの所有もできるから、比較の対象にならないというわけだ。
         保護費の水準に改善余地があるとしても、そもそも年金や最低賃金が低すぎるのだろう。保護費の水準までには年金保険料を倍以上にしないと届かない。25条に準じる最低賃金も、保護費が下がれば引き下げられる可能性が高い。保護費の支給水準については今月始まった審議会部会の慎重な議論を待ちたい。
         ■不信感あおる不正、逆転■
         13年度生活保護費の概算要求は2兆9千億円。自治体分を含めると総額3兆9千億に膨らみ、4兆円の大台目前。もはや政府と与野党を交えて国会で議論すべき課題である。審議会の専門家の意見を隠れ蓑(みの)にするような逃げの手法は許されない。
         かつて生活保護の母子加算が段階的に廃止されたとき、厚労省は審議会委の報告を踏まえて廃止に踏み切ったと説明した。委員からは「報告の一部をつまみ食いされた」と異論が上がった経緯がある。
         不正受給や逆転現象は確かに生活保護制度への不信感をあおるものだが、「最後のセーフティーネット」と呼ばれる制度からさえも漏れている人たちがたくさんいる現実の方が重大だ。受給者は減ることはない。労働意欲を失わない保護給付のあり方を抜本改革し、本当に必要としている人たちを見極めてこそ政治主導であろう。
        http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/37575.html
        「福井新聞」2012年10月21日

        ●自殺対策で生命保険見直し要望
         関西111の市長でつくる近畿市長会は19日に開かれた総会で、自殺でも保険金が支払われる生命保険の仕組みが自殺の原因の一つになっているとして国に仕組みの見直しなどの対策を求めていくことを決議しました。
         奈良県橿原市で開かれた「近畿市長会」の総会には関西2府4県の111の市の市長らが参加し、年間3万人を超える自殺者を減らす対策を強めるよう国に求めていくことを決議しました。
         このなかには、加入して3年程度の免責期間が過ぎれば自殺でも保険金が支払われる仕組みが、経済的に追い込まれた人が自殺する原因の1つになっているとして仕組みの見直しを求める、自治体レベルでは全国でも珍しい要望が盛り込まれています。
         また、自殺に至る前の支援など、いわゆるセーフティネットや、全国の自治体が自殺対策を十分行える財源の確保など総合的な自殺対策を国に求めています。
         近畿市長会の会長で大阪府交野市の中田仁交 市長は「自殺者がこれだけ多いというのは深刻な事態で社会全体でしっかりとした自殺対策に取り組むために全国の市長会でも要望の決議を提案していきたい」と話していました。
        http://www.nhk.or.jp/lnews/kyoto/2015632711.html
        「NHK ONLINE」10月19日

        ●生活保護の自殺者1187人=11年調査、前年比140人増―厚労省
         2011年中に自殺した生活保護受給者の数が、前年比140人増の1187人だったことが17日、厚生労働省の調査で分かった。同日開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の特別部会に報告した。
         調査は、自殺、または自殺と推定される受給者について、全国の自治体からの報告を基に厚労省が集計した。自殺者の正確な集計を始めた09年は1045人、10年は1047人だった。 
        http://jp.wsj.com/Japan/node_531326
        「ウォール・ストリート・ジャーナル」2012年10月18日

        ●父親殺害 引きこもり男に懲役12年
         10年以上にわたり自宅の自分の部屋に引きこもり父親を殺害した男に対し神戸地裁は19日、懲役12年の判決を言い渡した。今年3月、兵庫県宝塚市で38歳の森川正被告が65歳だった父親を殺したとして殺人の罪に問われた裁判で、森川被告が10年以上自室に引きこもり2人暮らしの父親から毎月7万円の小遣いをもらい、近くで弁当などを買って生活していた事実などが明らかになった。弁護側は森川被告が日ごろから父親に生活態度を叱られるばかりで話を聞いてもらえなかったと背景を説明。犯行当時は脅して話を聞いてもらおうとナイフを持ち出し怒られたので刺したと追い込まれての犯行だったと主張した。判決で裁判所は悪質な犯行だが動機や経緯は同情できるとし、検察側の懲役16年の求刑に対して12年の判決を言い渡した。
        http://www.ytv.co.jp/press/kansai/D2340.html
        「ytv」10/19

        ●生活保護:厚労省の見直し案、支援団体が批判
         厚生労働相の諮問機関、社会保障審議会の特別部会は17日、先月末に公表された生活保護制度の見直しを柱とする厚労省の「生活支援戦略」素案について本格的に議論を始めた。保護の申請に訪れた人を自治体が体よく追い返す「水際作戦」を巡り、受給者らの支援団体代表は「厚労省案が助長する」と指摘したのに対し、自治体代表は真っ向から反論した。同部会は年内に最終案をまとめる意向だが、意見の集約は難航しそうだ。
         厚労省案のうち、やり玉に挙がったのは、働く意欲のない人について「3回目の申請から就労意欲を厳格に確認する」案や、扶養を断る親族に説明責任を課す案など。支援団体側は「ケースワーカーの恣意(しい)的判断の余地が大きくなる」と受け止め、水際作戦が広がりかねないとみている。
         保護費抑制を目指す自治体の一部では水際作戦が横行しているとされる。07年には北九州市で52歳の男性が保護を受けられず、日記に「おにぎりが食べたい」と書き残して餓死した。08年のリーマン・ショック以降は厚労省が速やかな保護決定を求める通知を出したものの、支援団体への相談は後を絶たない。今年1月には札幌市で40歳代の姉妹が孤立死しているのが見つかった。市の窓口を3回訪れても保護を受けられず、「水際作戦だ」との批判も出ている。
         17日の部会では、3回目から審査を厳しくする案に対し、NPO法人「ほっとプラス」の代表理事、藤田孝典氏が「何をもって就労の意思がないと判断するか」と疑問を示し、親族の扶養義務を強化する案についても申請をためらう困窮者が増えると強調した。
         これに対し、お膝元で孤立死が見つかった上田文雄・指定都市市長会副会長(札幌市長)は「疑念がわかない運用を明示していく努力をしなければならない」とやや歯切れが悪かったものの、自治体側の厚労省案への評価は高く、岡崎誠也・全国市長会相談役(高知市長)は「恣意的に水際で排除することはしていない」と反論した。
         最後まで意見は対立し、部会長の宮本太郎・北海道大大学院教授は「自治体の真摯(しんし)な取り組みを支援するところにポイントがある」と議論を引き取ろうとした。しかし、藤田氏は「水際作戦は厳然としてある」と引かなかった。
        http://mainichi.jp/select/news/20121018k0000m010100000c.html
        「毎日新聞」2012年10月17日

        ●飛び降り自殺:金沢・星稜高校で1年男子 同級生の前で
         18日午後3時5分ごろ、金沢市小坂町の星稜高校(干場久男校長)で、1年の男子生徒(15)が校舎7階の教室に隣接したベランダから転落し、病院に搬送されたが死亡した。石川県警金沢東署は飛び降り自殺したとみて調べている。
         同校の記者会見での説明によると、生徒は6時間目の授業中、携帯電話を触っていたとして授業終了直後、教師から廊下で注意を受けた。教師は指導のため職員室に2人で向かおうとしたが、生徒は7階の教室に戻り、同級生らの目の前で飛び降りたという。教室に残されたノートに成績への悩みや自殺をほのめかすような記述があったという。干場校長は「いじめの問題はなかったと考えている」と話し、県警も死亡した生徒や教師らとの間にいじめやトラブルはなかったとみている。
         同校はサッカーや野球の強豪校として知られ、卒業生にはサッカー日本代表の本田圭佑選手や、野球の松井秀喜選手らがいる。
        http://mainichi.jp/select/news/20121019k0000m040136000c.html
        「毎日新聞」2012年10月19日

        ●医師大半、退職へ 札幌市児童心療センター
         ■医師大半、年度末退職へ
         ■病棟一時閉鎖も
         札幌市児童心療センター(同市豊平区)の常勤の医師5人のうち、4人が来年3月末に退職する意向を示していることがわかった。同センターは子どもの精神医療で入院できる道内で数少ない施設。代わりの医師を確保できないと来年度から入院患者を受け入れられなくなり、患者や家族らに影響が出る恐れがある。
         同センターによると、センターでは発達障害や神経症などを抱える子どもを受け入れている。ベッド数は60で、5日現在、46人が入院している。市立札幌病院静療院が前身で、今年4月に成人部門が分離して市立札幌病院に入り、小児部門のみで開院した。
         常勤医は静療院のときの10人近くから5人に減少。このうち4人が、開業や他の医療機関に勤務するためとして退職を考えていることが8月にわかったという。入院病棟があるため毎晩1人が当直に入る必要があり、市幹部は「大学などからの応援が思うように得られず、医師への負担は重かったと思う」と、負担増が背景にあるとみている。
         医療法施行規則では、現行の60床を維持する場合は3人の医師が必要で、市は北大を中心に後任医師の派遣を要請中だ。幹部は「月内にはめどをつけたい」と話すが、後任が確保できなれけば病棟を一時閉鎖する可能性もあるという。
         道障がい者保健福祉課によると、道内で児童精神科または小児精神科を標榜する入院可能な医療施設はほかに3カ所。センターが一時閉鎖された場合、入院中の子どもらの転院先探しは難航する恐れがある。
         市は2014年度をめどにセンターと肢体不自由児らの医療機関との統合を計画、その時点で常勤医の数が増えるという。知的障害児の通園施設、知的障害者の相談所なども併せた複合施設の整備も目指している。
        http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001210090020
        「朝日新聞デジタル」2012年10月06日

        教育行政への情報開示請求。
        2012/10/13
        久々の更新となりました。
         今回は、向日市への情報開示請求についてです。今年2回目、1回目も「公文書公開等決定機関延長通知書」が届き2週間でしたか、延期されました。通常は「2週間以内」が原則です。
         今回、9月10日付けで請求した事案は以下のものです。
        ・平成23年度の向日市内小・中学校における不登校、問題事象などを学校別に示す資料。
        ・同、特別支援教育対象児童・生徒数及び障害区別数、特別支援教育に係る支援体制や支援内容などを学校別に具体的に示す資料。
        ・同、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の学校外援助者・機関の活用・活動の状態・内容を学校別に具体的に示す資料。
         で、今回も「期間延長通知書」が届き、「期間内に公開の可否が決定できません」として「10月24日まで」延長という異例の長さです。
         大津のいじめ自殺事件の影響のあるのでしょう。昨年も同様の内容でしましたが、2週間の延長で開示されたと思います。今回は1ヶ月の延長…。
         毎年8月頃に、文科省が、「学校基本調査」を発表します。開示請求した資料は、この調査の基になるものでもあるのですが、「特別支援教育に係る支援体制や支援内容」やSC,SSWの「活用・活動の状態・内容」は対象外なのでしょう。
         しかし、これらの方針や報告、年度総括などの資料が無い(すぐに出せない)のはオカシイと思います。1ヶ月以上を要する理由を考えてしまいます。
         開示を求めたのは、平たく言えば、いじめや不登校、問題事象など、学校における日常的な生徒「指導」の内容がわかる資料、特別支援教育がどのように行われているのかがわかる資料、SC,SSWが学校でどんな活動をしているのかがわかる資料です。やはり時間がかかり過ぎですし、公開の可否が決定できないとは?
         教育行政の側からはウザイ存在だと思いますが、こうした市民サイドでのチェックが法に基づいて定期的に行われないと、資料を紛失したり、忙しさを理由におざなりにされたりしてしまい、不作為の結果として問題行動が解消されないまま、自殺者を出してしまう、子どもたちに一生消せない心的ダメージを遺す、学校・教育行政は責任を負いたくないために抱え込んだり隠蔽しようとしたり…。ろくなことはありません。
         地域に対して透明な教育行政であることの重要性・課題が、いじめ自殺問題でも明らかになっています。個別申し入れや要請行動などを行う際にも、根拠となるデータとして校内・行政内文書は不可欠となりますので、各市町村で公文書の開示請求を取り組んで欲しいと思います。決して追及や対決を求めるものではなく、子どもたちの育ちと学びを、地域まるごとで見守り支えるためのものですから…。
         それでは、最近の気になる記事です(呆れるものばかりですが…)。

        生活保護受給者、行き場なく入院

         担当医らが入院の必要はないと診断しているのに、退院後に身を寄せる場がなく、社会的入院を余儀なくされている生活保護受給者が3月末時点で少なくとも埼玉県内に42人いたことが県などへの取材でわかった。
         精神疾患の患者や高齢者が多く、親族が引き取りに難色を示すケースが多いとみられる。背景には、こうした患者を受け入れる施設の不足がある。
         県社会福祉課などによると、県内の生活保護受給者のうち、昨年度、180日以上の長期入院が確認された患者は2176人。うち145人は、主治医らが入院の必要がないと判断したが、3月末までに42人が入院を継続していた。
         川口市では昨年度、入院が180日を超える生活保護受給者22人が主治医らに「入院の必要がない」と判断された。しかし、3月末までに退院して自宅に戻るなどした患者はゼロ。市生活福祉2課によると、入院者は生活費を含めて1人あたり月に平均約48万5000円かかったという。
         70歳代のある男性は2004年、脳出血で同市内の病院に入院。10年2月には退院可能な状態まで回復し、「(出身地の)沖縄に帰りたい」と希望した。ところが、親類は、「面倒をみられない」と受け入れを拒否したため、男性は現在も入院を続けているという。同課の担当者は、「親族が受け入れを拒むケースは少なくない」と話す。
         県高齢介護課によると、簡単な介護などが受けられる特別養護老人ホームの入居希望者は多く、多くが空き待ちの状態。また、県内にはこうした患者を受け入れる救護施設や低所得者向けの無料低額宿泊所もあるが、定員を満たしていたり、患者自身が希望しなかったりして、受け入れが進んでいない。
         一方、患者の退院に前向きな病院もある。2割以上の入院患者が生活保護受給者という南埼玉病院(越谷市)の瀬戸睿(さとし)院長は、「患者はできるだけ、普通の生活を送りながら治療してもらう方がいい」と話す。
         この病院には、生活保護受給者で10年以上入院している統合失調症の高齢女性もいる。女性は現在、症状が回復しているが、親族は、「近所とトラブルを起こす」と受け入れを拒んでいるという。瀬戸院長は、「公的な受け皿が少なく、退院後に行き場を失ってしまう方は多い。身寄りのない方を民間施設などに受け入れてもらえるような仕組みが必要では」と指摘する。
        http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=66005
        「読売新聞」2012年10月5日

        ●いじめ:「調査不十分」 神戸市教委、少年に8年越し謝罪
         生き地獄だった。学校がきちんと調査していれば−−。神戸市立小5年の時いじめに遭った少年(17)=県立高3年=が24日、両親とともに同市教委を訪れ、当時の学校の不十分な調査について謝罪を求めた。市教委の担当者は、いじめがあったと断定できないと繰り返す一方、「学校への支援が足りなかった」と少年に初めて直接謝罪した。「納得はできないが、僕は生きていたから謝罪の言葉が聞けた。二度といじめが起こってほしくない」。少年はそう訴える。【亀田早苗】
         少年は05年度、同級生7人から約50万円の恐喝・たかり行為などを受けた。少年が、うち3人の保護者たちを相手取った損害賠償訴訟でもいじめが認定され、確定した。しかし市教委は08年2月、1審・神戸地裁に「いじめ・恐喝の事実があったか断定できない」と文書で回答。市教委が文書で「被害者の保護者の要望で本人に直接事実確認ができなかった」などとした部分は虚偽で、いじめを隠蔽(いんぺい)しようとしているとして、少年の支援者が市議会に市教委への指導を求め陳情している。
        http://mainichi.jp/area/news/20120925ddn041040031000c.html
        「毎日新聞」2012年09月25日

        ●学童保育の待機児童5年ぶり増、利用は過去最高
         放課後に小学生を預かる学童保育(放課後児童クラブ)での待機児童数が5年ぶりに増え、前年比113人増の7521人となったことが、今年5月1日現在の厚生労働省のまとめでわかった。
         一方、利用する児童数は1万8911人増えて過去最高の85万1949人。同省の指針の上限を超える71人以上の児童がいる過密な施設は1269か所に上った。
         待機児童数は、ピークの2007年からほぼ半減しているが、今回の増加の要因について同省は「受け入れ対象学年の拡大など、自治体の取り組みが進み、需要が掘り起こされたことなどが影響した」としており、今後さらに増える可能性もある。都道府県別で待機児童数が最も多かったのは東京都の1404人だった。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120926-OYT1T01176.htm
        「読売新聞」2012年9月27日

        ●就職難でも人気薄 福祉介護面接中止
         景気低迷を受けて厳しい就職難が続く中、県が今月、和歌山市などで開催を予定していた福祉・介護分野の合同就職面接会が、参加者不足で相次いで中止に追い込まれた。一方で、老人ホームなどを運営する事業所側は、慢性的な人材不足に頭を悩ませており、県は来月からPRのため「はじめよう!福祉の仕事」と題した大型キャンペーンに乗り出す。
         中止したのは、7日に和歌山市内、19日に紀の川市内で行う予定だった「福祉・介護の仕事 合同面接会」。和歌山会場は社会福祉法人など48団体が相談ブースを設け、100人以上の求人を予定していたが、申し込みがあったのは7人のみ。8団体が予定していた紀の川会場も1人だった。
         県によると、面接会は2010年度から毎年開いているが中止は初めて。昨年も田辺、新宮両市で開いたが、計18団体・61人分の求人に対して来場者は合計30人にとどまり、求人数を大幅に下回る状態が続いていた。
         老人ホームで働く介護士を3人程度、募集予定だった社会福祉法人「寿敬会」(和歌山市)の採用担当者は「業界内での引き抜きが激しい。志高く、仕事を続けてくれる人材を常に求めているが、慢性的に人手不足で、良い人材を求められる場がもっとほしい」と行政の働きかけに期待する。
         そうした現状を受け、県の担当者も「仕事がきついというイメージから若者は敬遠している」と分析。今後、面接会の募集方法などの見直しを検討する一方、キャンペーンを行うことで、業界のイメージアップにも力を入れることにした。
         現在、福祉の現場で働く人の笑顔の写真とメッセージを募集しており、テレビCMやイベントで紹介する予定。10月から和歌山市内を走る路線バス3台の車体に広告を載せるほか、11月からは、福祉施設の送迎用車両など約3000台にもPRシールを貼ってもらうなどする予定だ。
         資格が必要ない仕事もあり、県の担当者は「本格的なキャンペーンは初めてで効果は未知数だが、まずは業界に前向きな興味を持ってほしい。就職難と人手不足のミスマッチを解消したい」と意気込んでいる。
        http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/wakayama/news/20120924-OYT8T01335.htm
        「読売新聞」2012年9月25日

        ●精神障害者施設虐待:「日常的に暴力」 県の調査に職員
         千葉県南房総市の精神障害者施設「ふるさとホーム白浜」で入所者が虐待されていると通報があった問題で、千葉県が3日行った立ち入り調査に対し、複数の職員が、運営法人理事長による日常的な暴力があったと証言したことが、施設関係者への取材で分かった。調査への隠蔽(いんぺい)も求められたとの証言もあったという。
         この問題は、障害者虐待防止法が施行された1日、元職員から同法に基づく通報が同市にあった。施設を運営する社会福祉法人「愛と光の会」の山下洋子理事長(70)が入所者を虐待しているとの内容で、立ち入り調査で同県障害福祉課の担当者は、山下理事長と職員から聞き取りを行った。
         施設関係者によると、聴取に対し、複数の職員が、平手や時には拳で入所者の顔などをたたくなど、理事長による暴力があったと証言。「節約のため、夏の間、水風呂に入浴させていた」「就労支援にもなるという趣旨で、深夜に足のマッサージをさせ、うまくいかないとたたいていた」という指摘もあった。
         「死ね」「海に飛び込め」「生活保護費を切る」などの入所者への暴言があったとの指摘も出たという。
        http://mainichi.jp/select/news/20121004k0000m040118000c.html
        「毎日新聞」2012年10月04日

        ●中3男子飛び降り重傷=ノートにいじめ示す記述-鳥取
         鳥取県境港市教育委員会は11日、市立中学3年の男子生徒(15)が10日午後、生徒用玄関のひさし(高さ約5メートル)から飛び降り、腰椎や右手首を骨折する重傷を負ったと発表した。ノートにいじめ被害にあったことを示す記述があったことなどから、市教委と学校は原因とみている。
         市教委によると、男子生徒は10日の昼休み中、校舎2階の教室でノートに「髪の毛を引っ張られたり、たたかれたりした」などと記入していた。目撃した同級生に「遺書だ」と冷やかされ、午後1時半ごろ、教室の窓からひさしに出て、そのまま飛び降りたという。
         学校側が他の生徒に対し聞き取り調査をしたところ、同級生8人が男子生徒に日常的に暴言を浴びせるなどしていたことが判明。学校側はそれまで、いじめを把握していなかった。
        http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012101100929
        「jiji.com」2012/10/11

        ●館山中の2年男子自殺 昨年3月に後任の校長がアンケート破棄
         千葉県館山市の自宅で平成20年9月に自殺した市立中学校2年の男子生徒=当時(13)=の遺族が、市教育委員会に自殺といじめの関係の再調査を求めていた問題で、自殺直後に全校生徒を対象に実施したアンケート用紙を、後任の校長が昨年3月に破棄していたことが11日、市教委への取材で分かった。同日、県教育委員会が市教委に対し、聞き取り調査を実施した。
         市教委によると、今回のアンケート用紙は重要文書として5年間の保管が義務づけられていたという。しかし、後任の校長は男子生徒の自殺当時の在籍生徒がすべて卒業したことや、アンケートに具体的な書き込みがあまりなかったと判断したことから、昨年3月に用紙を破棄した。
         市教委は今年1月に破棄の事実を把握し、校長を厳重注意としたが、遺族には伝えられていなかった。
         再調査をめぐっては、市教委が9月に「当時以上の情報を得ることはできない」として再調査は困難と回答している。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/121011/chb12101118490004-n1.htm
        「産経ニュース」2012.10.11 18:48

        関係性を築きにくい高齢者とうまく関わるヒント。
        2012/09/21
         高齢者に限ったことではありませんが、会話が通じにくい、約束したことを守ってくれない、良かれとプランを説明しても自分のルールを変えようとしない等々、関係を作りにくい人と多かれ少なかれ出あっておられると思います。本人さんも、関わろうとする人に対して同様の気持ちを抱いておられるはずです。
         一見して「普通」、むしろ高学歴だったり、定年まで立派に勤めあげておられたり、社会的立場を持っておられたり…。だけど、話が通らない、「一般的」な規範からは理解できない、等々。結果、お手上げ状態になってしまっている場合が少なくありません。
         アプローチを変えるにしても、何をどうすれば、どこから着手したら良いのか見えてこない時に、「視点」として持つことでヒントが見えてくるのが「自閉症スペクトラム」という記号です。
         「自閉症や発達障害って最近よく耳にするけど、子どもの病気でしょ」と思われていたら、そこにヒントが潜んでいます。発達障害は、本当に「子どもの病気」でしょうか?
         発達障害とされる障害概念は、日本ではまだ歴史が浅く、また概念自体、国際的な診断基準(DSMなど)の運用のあり方も年単位でと言って良いほど揺れ動いています。ただ、基本点は大きくは変わりません。
         自閉症など「発達障害」は、生まれ持って脳中枢などに機能の「違い」「偏り」があることから生じ、育つ環境、特に対人関係性によって独特な認知(考え方や捉え方)が生涯にわたって形成されて行きます。最近になって発生し(発見され)たり、急増したものでもありませんから、「子どもの病気」ではなく「定型発達」とされる多くの人とは少し違う「特性」をそれぞれにお持ちの人の表現形であり、高齢者にも当然に、この「特性」を濃く、薄くお持ちの方が一定割合でおられます。精神科の診断においては、現在のDSM-Ⅳでは広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害など)、学習障害、注意欠如多動性障害などに分類されます。
         これらは併存することが多く、基盤に広汎性発達障害=自閉症スペクトラム障害があることが多いとされています。
         自閉症スペクトラムには「三つ組課題」(3主徴)があります。社会性(対人関係性)、コミュニケーション(会話)、限定的な興味・関心(こだわり、想像力の弱さや独特さなど)の3つが、(定型発達者を「普通」とする)社会生活において困難さを生じる要因とされます。持って生まれた脳の機能と育ちの関係性などによって、人それぞれに濃く、薄く「違い」があります。
         今、関わりにくいと思われている人の「特性」や「違い」を考えてみましょう。友だちがいなかったり少なかったり、会話に不自然さを感じたり、こだわりが強かったり、それらによって関わり方が難しかったり上手くいってなかったとしたら、そこには自閉症スペクトラムという記号が潜んでいるかも知れません。
         そして、その「特性」ゆえに、「社会生活」や対人関係性で困難が生じ、目の前の課題となってしまっていると理解して、関わり方を個別に考えて行く必要があるのです。言語・文化の違いと捉えることは少しオーバーですが、考え方・価値観の「違い」と捉えて「共通言語」を一緒に見つけて行く、とイメージしてみて欲しいと思います。自閉症スペクトラムの「特性」がなければ、改めて「定型発達者」としての関わり方を工夫して行くことになります。
         支援者が困っている、でも本当に困っているのは支援を必要としている本人さんやそのご家族です。その支援を、ニーズに応じて、さらにより快適な生活に向けて受け入れてもらえるサービスとして個別の具体的なメニュー作りをできるか否かは、本人さんとご一緒に作って行ける関係性を築けるか否か、「工夫しだい、支援しだい」なのです。まずは、発達障害の「特性」を学ぶことから始めてみませんか?
        <参考図書>
        『大人のアスペルガー症候群』,佐々木正美・梅永雄二:監修,講談社,2008
        『発達障害 工夫しだい 支援しだい』,しーた:著,学研,2011
        『やさしい発達障害論』,高岡健:著,批評社,2007

         それでは、最近の気になる記事です。

        遺族「教師が暴行目撃」 大津中2自殺・口頭弁論

         大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒が自殺した問題で、男子生徒の両親が市や同級生らに計約7700万円の損害賠償を求めている訴訟の第3回口頭弁論が18日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。市側は、男子生徒へのいじめに関連する資料22点を提出した。
         一方、遺族側の代理人は弁論後の記者会見で、この資料の中に、男子生徒の自殺前に、学校側がいじめとの認識を持っていた可能性を示す記述が存在することを明かした。
         市側が提出した資料は▽教師が生徒に聞き取り調査した70人分のメモ▽男子生徒がいじめで負傷した際の保健室の記録▽教師の業務日誌▽職員会議録▽学校側の市教委への報告書-など。
         弁論で市側は、男子生徒が受けていたいじめの内容や自殺との因果関係、自殺の予見可能性などを示す資料について、今後、市側の有利不利を問わず積極的に開示していく方針を示した。
         遺族側は、教師らがいじめを放置していたとする書面を提出。担任教師は昨年9月下旬に男子生徒が同級生からトイレで暴行を受けているのを目撃しながら、詳細を調べず立ち去ったと主張した。
         被告の3人の同級生側は、遺族が主張する男子生徒への恐喝や金品の要求、万引の強要などのいじめ行為について、全面的に否認する書面を出した。
         次回の第4回口頭弁論は11月27日に開かれる。
         父親は代理人を通じて「なぜいじめに関する情報が教師の間で共有されず、対策を講じなかったのか」とのコメントを出した。
        http://kyoto-np.co.jp/politics/article/20120918000141
        「京都新聞」2012年09月18日

        ●いじめ、警察に無断通報しないで…一貫校の校長
         東京都内の私立中高一貫校で、中学時代に同級生からいじめを受けたとして、警視庁に被害届を出した高校1年の男子生徒(15)が、進級面接で学校側から相談なく警察に通報しないよう求められたことが18日、分かった。
         男子生徒は進級の条件として口止めされたと理解し口外しなかった。だが、高校に進級後もいじめが続き、改善は不可能だと判断し、8月に警視庁に暴行容疑で被害届を出した。
         男子生徒の母親によると、母親と男子生徒は1月下旬に行われた進級面接で、校長から「(学則を守るなど)誓約書に書かれている事項をふまえて、具体的に守ってもらいたいことがある」と告げられたという。
         その際、校長から「生徒にボイスレコーダーを持たせ、校内の人の発言を録音しない」「学校で解決されるべき問題について、学校に相談することなく、警察などへ通報しない」など4項目について守るよう求められた。その後、学校側は、校長が求めた4項目を文書にし、男子生徒側に郵送した。
         男子生徒は、中学1年生の頃から、同級生らに更衣室やトイレで暴行を受けるなどのいじめに遭っており、その都度、学校側に相談していたが、解決することはなかった。
         いじめを訴え続けたことで昨年9月頃から、学校側が「そういう態度だと進級できない」などと進路への影響を言及していた。そのため、進級面接の際、学校側が求めた4項目について、男子生徒の母親は「進級を条件に『口止め』を要求されたと理解した」と話す。
         だが、進級後もいじめが続き、被害届を提出。受理されたのは、中学3年生だった昨年10月、体育祭で同級生から首を絞められたり、腕を殴られたりするいじめに遭ったとする内容。
         校長は、読売新聞の取材に対し「確かに学校との協力関係を崩すようなことはしないでほしいという内容の文書は送ったが、進級の条件ではない。『警察に言うな』というのではなく『事前に学校に相談してほしい』という意味だった」と説明した。
         この中高一貫校では、中学2年生の男子生徒(13)が同級生からのいじめに遭ったとして、8月から9月にかけ、4件の被害届を警視庁に提出している。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120919-OYT1T00101.htm
        「読売新聞」2012年9月19日

        ●問題行動調査:小中高校生、自殺3割増 昨年度200人、いじめ認知7万件−−文科省
         昨年度、小中高校生の自殺が前年度比44人(28%)増の200人だったことが11日、文部科学省が発表した11年度の「問題行動調査5件」で分かった。200人以上となったのは1986年(268人)以来で、6割近くが「原因不明」とされている。一方、いじめは前年度から7399件(9・5%)減の7万231件を認知。このうち、2935件(4・2%)が解消できていない。同省は「早期発見と対応の徹底が必要」としている。
         全国の国公私立小中高校、特別支援学校を対象に、各都道府県教委からの報告を集計した。自殺は小学6年生4人のほか、中学生39人、高校生157人の計200人。背景にいじめがあったとされたのは4人だけで、全体の58%に当たる115人が「原因不明」とされた。警察庁は、11年1~12月に小中高生の353人が自殺したと発表。前年は287人で66人増えているが、文科省5件の統計と乖離(かいり)がある。文科省5件は学校から教委への報告をまとめており、学校が遺族の意向などから報告していないケースも多いとみられる。
         一方、いじめは、全学校数の38%にあたる1万4894校で認知。学年別では、中学1年の1万5260件が最多で、中2の1万652件、小学5年の6813件と続く。
         いじめの内容(複数回答)は▽悪口や脅し文句を言われる(4万6257件)▽遊ぶふりでたたかれたり蹴られる(1万5646件)▽集団による無視(1万3855件)など。
         認知後の対応は、9割のケースで教員がいじめた児童生徒に状況を聞き、5割で保護者に報告。4割で謝罪を指導した。5万6305件でいじめが解消したが双方の転・退学も671件あった。
        http://mainichi.jp/feature/news/20120912ddm001100017000c.html
        「毎日jp」2012年09月12日

        ●小学生の暴力は過去最多7155件 ネットいじめも増加 文科省調査
         文部科学省が11日に発表した問題行動調査で、小学生の暴力行為は前年度比83件増の7175件で過去最多となった。現在の方法で調査を始めた平成18年度は3803件で、5年間で1・8倍に。専門家からは「子供の成長が早くなり、小さい時期から問題行動が見られるようになったのではないか」との指摘も出ている。
         内訳は子供同士の暴力が4498件、器物損壊1381件、教員への暴力が1132件など。大半は学校内で起きた。加害児童数は前年度比168人増の6799人。うち、警察による補導や児童自立支援施設への入所などの措置を受けたのは159人だった。
         学校側の対応は、被害者に謝罪するよう指導する、ルールを守るよう教えるといったケースが多かった。中学生の暴力行為は前年度比3705件減の3万9282件。高校生は784件減の9442件だった。
         一方、大津市の中2男子自殺を受け、今回の調査で注目されたいじめ。把握した学校は38・0%で、3・3ポイント減。小学校が3万3124件、中学3万749件、高校6020件、特別支援学校338件だった。
         内容(複数回答)は「冷やかしや悪口」の65・9%、「軽くぶつかる、たたかれる」22・3%、「仲間外れ、無視」19・7%が多かった。
         「パソコンや携帯電話で誹(ひ)謗(ぼう)中傷や嫌なことをされる」といういわゆるネットいじめは2992件で59件減少したが、認知件数全体に占める割合は4・3%で0・4ポイント増加した。
         相談相手は、学級担任が69・5%で最も多く、保護者や家族(31・4%)、担任以外の教職員(14・7、%)友人(9・7%)と続いた。「誰にも相談していない」も8・8%いた。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/120911/edc12091122110002-n1.htm
        「産経ニュース」2012.9.11

        ●中2男子、いじめで暴行され8か月意識不明
         埼玉県川越市で1月、当時、同市立中学2年の男子生徒(15)が、同級生の少年3人から暴行を受けて意識不明の重体となった事件があり、生徒が入学当初から3人らからいじめを受けていたことが12日、わかった。
         学校は、生徒と少年らとの間で度々、トラブルがあったことを把握していたが、常習的ないじめとは認識していなかったという。生徒の意識は今も回復していない。
         捜査関係者らによると、生徒と3人は同じ運動部に所属。事件が起きた1月5日は冬休み中で、午前の部活動終了後、3人が生徒を同市の公園に呼び出し、全身を何度も殴ったり蹴ったりしたとされる。生徒が動かなくなったため、1人が119番。3人は同日、県警に傷害容疑で逮捕され、その後、少年院に収容された。
         少年らは逮捕当初、調べに対し「生徒の態度が気にくわなかったから殴った。タイマン(1対1のけんか)だった」などと供述。しかし、その後の調べで、実際には3人で生徒を取り囲むようにして順番に暴行していた疑いが強まった。
         市教委によると、学校は昨年4~12月の計8回、生徒が少年らにからかわれたことに怒り、授業中にけんかするなどのトラブルがあったことを把握していた。
         だが、教諭は、生徒が一方的にいじめられているとは思わず、双方に口頭注意するだけで済ませていた。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120913-OYT1T00227.htm
        「読売新聞」2012年9月13日

        ●文科省:子供の自殺件数の統計「実態反映せず」中止
         文部科学省は13日、全国の小中高校を対象に毎年実施する「問題行動調査」で、子供の自殺件数の統計を来年の調査から中止することを決めた。遺族の意向などで学校が教育委員会に報告しないケースがあり、実態が反映されていないと判断した。今後は各校が実施する実態調査をもとに、医師や弁護士で構成する省内の有識者会議で予防策を検討する。
         文科省が11日に公表した調査結果では自殺した人数を200人(11年度)としたが、警察庁の統計では353人(11年1~12月)となっており、乖離(かいり)が指摘されていた。
         文科省は昨年6月、自殺した児童生徒の置かれていた状況について、約1カ月後をめどに実態調査をするよう各教委に求めていた。
        http://mainichi.jp/select/news/20120914k0000m040059000c.html
        「毎日新聞」2012年09月13日

        ●大津市議会:いじめ防止に「子どもの役割」条例案
         大津市立中学校2年の男子生徒が自殺した問題を受けて、同市議会の主要会派は、いじめを発見した子どもに学校などへの相談を求めた「子どものいじめ防止条例」案をまとめた。12月議会に提案し、成立する見通しだ。市議会関係者によると、制定されれば、いじめ防止に関して「子どもの役割」を明記した初めての条例となる。
         条例案は「子どもの役割」として、「いじめを発見した場合(疑いも含む)及び友達から相談を受けた場合は家族、学校に相談する」とした。子どもは小学生から高校生までと定義している。
         また、学校の責務として「いじめを把握した場合には、その解決に向け速やかに、組織的対応を講じなければならない」と定めた。保護者にも、いじめに気付いた時点で「速やかに市、学校、関係機関等に相談または通報しなければならない」としている。いずれも罰則規定などはない。
         同市議会は自殺問題を受け、いじめ防止条例案を全会派でまとめることを決めていた。しかし、共産党市議団は「子どもの役割」の規定について、「子どもの行動を条例で押しつければ逆に追い詰めかねない。大津市の条例は全国への影響も大きい」と反対している。
        http://mainichi.jp/select/news/20120914k0000m040155000c.html
        「毎日新聞」2012年09月14日

        ●打ち切り恐れ退院、死亡か 生活保護受給の身障者  
         生活保護を受給しながら入院生活を送っていた盛岡市の30代の男性身障者が、市のケースワーカーから「入院が6カ月を超えると住宅費を支給できない場合がある」との説明を受けて退院し、約10日後に死亡していたことが、10日の市議会一般質問で明らかになった。退院と死亡との関連は不明だが、ケースワーカーは生活保護支給の延長規定を説明しておらず、男性が支給打ち切りを恐れて退院を早めた可能性があり、市は「(説明方法を)見直すべき点がある」としている。
         男性は3月初旬にアパートで死亡しているのを友人が発見。死因は急性心臓死とみられ、退院との因果関係は不明だ。
         生活保護実施要領によると、6カ月を超えて入院しても、その後3カ月以内に確実に退院できる見込みがあれば、住宅費の支給を3カ月延長できるが、ケースワーカーはその点について男性に説明していなかった。男性の入院期間がどの程度になるか、病状を見た上で説明しようと考えていたという。 
        http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20120911_2
        「岩手日報」2012/09/11

        ●<初公判>「自宅があるから引きこもる」と自宅に放火 無職被告、起訴内容認める 金沢
         自宅に放火し、全焼させたとして現住建造物等放火罪に問われた、金沢市泉本町1、無職、徳丸雄大被告(22)の裁判員裁判の初公判が10日、金沢地裁(手崎政人裁判長)であり、被告は起訴内容を認めた。一方、検察、弁護側ともに犯行時の被告が心神耗弱状態であったとした。
         冒頭陳述で検察側は、「引きこもり生活をしていた被告が『自宅があるから引きこもりが続く』として犯行に及び、動機に酌量の余地はない」と指摘。一方、弁護側は「自分の気持ちを制御できない状態だった」などと訴えた。起訴状によると、今年2月6日午前10時45分ごろ、自宅1階廊下に灯油をまき、さらに、ガスコンロで火をつけた新聞紙を置いて火をつけ、木造2階建て住宅約70平方メートルを全焼させたとされる。
        http://mainichi.jp/select/news/20120912mog00m040001000c.html
        「毎日新聞」9月12日

        ●子どもの自殺 約6割が原因不明
         文部科学省の調査で、昨年度、全国の学校から報告された自殺した子ども200人のうち、およそ6割は原因が「不明」とされていることが分かり、専門家は、学校だけでなく警察や保健所などとともに原因を解明する態勢を作る必要があると指摘しています。
         文部科学省が行った調査で、昨年度、全国の学校から報告された自殺した子どもの数は、小学校が4人、中学校が39人、高校が157人の合わせて200人で、前の年度に比べて44人、率にして28%増えました。
         原因を複数回答で見ますと、「親などのしっ責」が24人で12%、「進路問題」が20人で10%、「いじめの問題」が4人で2%などとなっていて、全体の57.5%にあたる115人は「不明」となっています。
         文部科学省は「不明が多いままでは効果的な対策が取れない。専門家にも分析してもらうなど、自殺に至る前に未然防止に向けた手だてを打ちたい」と話しています。
        一方、いじめの問題に詳しい明治大学の内藤朝雄准教授は、学校だけでは限界があるとして「警察や保健所などが主導的に調査に行い、原因を解明する体制が必要だ」と指摘しています。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120912/k10014957431000.html
        「NHK NEWSweb」9月12日

        ●休止状態の色覚検査復活へ 西宮の小中、希望者に 
         西宮市教育委員会は、色を識別しにくい「色覚異常」かどうかを知るための検査を、市内全小中学校で小学4年以上の希望者を対象に行うことを決めた。学校での色覚検査は「差別につながる」などとして2003年から任意制になり、兵庫県教委によると、学校で実施している自治体はほとんどないという。同市教委は「職業選択や事故防止などの観点から知っておくのは重要」とし、2学期中に検査を行う。
         色覚検査は学校の定期健診で義務付けられていたが、色覚異常があっても大半は日常生活に支障はないことや、誤解から差別につながるといったことを理由に、03年に文部科学省が必須項目から削除。県教委によると、ほとんどの自治体が検査を行わなくなった。
         しかし、学校で特定の色の黒板の字が読みにくかったり、描いた絵の色使いがおかしかったりするケースがあるという。また、電車の運転士やパイロットなど選択できない職種もあり、知らずに試験を受けて初めて色覚異常を知る人もいる。
         こうした実態を色覚異常のある同市議が議会で指摘。検査復活の要望を受け、市教委が今春から同市医師会眼科医会などと議論を重ねてきた。
         色覚異常そのものを知らない保護者も増えているといい、保護者に説明文を渡した上で、希望者を募って検査と相談を実施する。市教委は「正しい知識の啓発と併せて、適切な支援をしていきたい」としている。
        【色覚異常】
         色を感じ取る視細胞には、赤、緑、青それぞれに敏感なタイプがあり、3種類のうちどれかが足りなかったり、十分機能しないために起こる。先天性は遺伝的要因で、日本人男性の5%、女性の0・2%の頻度で起きているとされる。程度は人によって異なり、多くのケースでは日常生活に困ることはないという。
        http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005369361.shtml
        「神戸新聞」2012/09/11

        ●東電:避難での障害悪化、賠償増額せず
         福島県楢葉町に住んでいたダウン症の男性(49)が、東京電力福島第1原発事故で避難した後、身の回りのことを自分でできなくなり、診断書に基づいて賠償の増額を東電に求めたものの認められていない。支援する弁護士らは、避難により障害者の状態が悪化しても救済されにくく、震災弱者がますます弱い立場に追い込まれていると訴える。
         男性は原発事故の前まで、平日は楢葉町内の障害者グループホームで生活。日中は福祉作業所に通い、週末は父親(78)の家で過ごしてきた。着替えなど身の回りのことは自分でこなし、洗濯物を干すなどの家事もしていた。原発事故後の昨年3月12日、父親といわき市内の体育館に避難。トイレが思うように使えず、4日後、母親(75)が住む千葉県市川市の実家に移った。
        http://mainichi.jp/select/news/20120914k0000m040153000c.html
        「毎日新聞」2012年09月14日
        悩んでいる、困っている、でも誰かに相談できない社会。
        2012/09/09
        日本がバブル経済の影響を受ける以前まではまだ、家庭、学校、職場、地域などで人と人との関係性=つながりが、「めんどくさい」「ウザイ」レベルで存在していたと思います。不登校・ひきこもりや貧困、自死、生活習慣病など、なかったわけではありませんが、社会問題になるほどではありませんでした。実質は、「恥」意識や偏見、政治や行政側の都合でそれらの数値が公表されなかったためにつかみようがありませんが、少なくとも政治レベルの問題にはされてきませんでした。
         バブル経済が泡の「豊かさ」を幻想体験として残し、その崩壊後に危機が押し寄せます。
         公立小中学校の不登校が10万人を超えて13万人前後、自殺者も年間3万人、三大疾患とされるがん・急性心筋梗塞・脳卒中に加えて「うつ病」、企業倒産やリストラ、それらの結果としての貧困…。改善の見通しがない状態です。
         政府や行政が生活習慣病対策でよくスローガンとして使ってきたのが、「早期発見」「早期治療」「サインを見落とさない」などです。「健康日本21」をはじめとしていろんなプランや施策が施されてきましたが、効果はいかばかりか…。これらの問題点と裏側を「見落とし」てはなりません。
         「早期発見」をするのは誰を想定しているか? おそらくは近親者でしょう。メタボなど身体症状は見てわかるので注意喚起はできるでしょうが、メタボ化した背景までは見えません。抑うつなども、気づいても「病院に行った方が…」と声をかけるのがせいぜいで、ご本人が相談や受診につながるまではハードルが高いものです。医療に繋がられたとしても、精神薬だけで改善できるものではありませんし、副作用の心配もしなければなりません。貧困・孤立問題などは、そもそも「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めた憲法第25条に基づく公的扶助、社会保障の諸制度が把握し、支援にあたるべきもので、「申請がないから」と見落としたり、申請があっても「水際」で拒んだりすることは本末転倒です。
         「早期治療」は基本的に必要なものです。身体・器質的な疾患などは言うまでもなく、精神症状においても適切な治療は不可欠です。ただ、とりあえずの「うつ」、適応障害、社会不安障害、心身症・心気症(身体障害性障害:器質的な以上は見られず、不安などが腹痛や発熱など身体症状として出る状態)などの診断で、抗うつ剤や抗不安剤などが簡単に処方されてしまう精神科医療(心療内科も同様)では、表面の症状をとりあえず抑える対症療法としての薬物投与が基本となりますので、副作用も生じますし、何より本質にある問題の解決にはなりません。
         そして、「申請主義」では「サインを見落とさない」仕組みがそもそもありませんし、悩んでいる・困っている人は近しい人にほどその「弱音」を見せまいとしますので、「気づく」ことは困難です。一定の知識や経験、判断力がある人が身近にいる、なんてことも偶然性でしかないでしょう。
         結果、サインは出されず、公的支援の仕組みを利用できず、医療に繋がっても診断が誤っていれば改善どころか副作用などによって二次的・三次的に苦しみを増すことにもなりかねません。
         今求められているのは、かつての「ウザイ」関係性=人のつながりの回復ではないでしょうか。誰かとつながっていること、誰かが気にかけてくれていること、誰かに話せること、誰かに繋いでくれること…。それらの中で、安心感や自身を評価できる気持ちを維持し、あるいは回復し、支え合い生きていけるという基本的信頼感を構築していけるのではないでしょうか。「孤立」「無縁」社会から「つながり」社会へ、点と点から線を結び、少なくとも生きる希望を失わない社会へ、人のつながりを紡ぎ直して行くことが、現代の社会問題の解決への糸口となると思います。
         話せる人から専門的な相談支援へ、適切な医療や社会保障諸制度の活用・諸制度のニーズに応じた充実へと、豊かな地域社会づくりへ、一人ひとりがそれぞれの立場や役割で力を出し合いませんか。さまざまな状況で、環境整備・調整が求められています。
         それでは、最近の気になる記事です。

        児童虐待事件が過去最多 今年上期248件に

         児童が虐待される事件が増えている。全国の警察が今年上半期(1~6月)に摘発した事件は昨年同期より95件多い248件、摘発人数は92人増の255人だったことが6日、警察庁のまとめで判明。いずれも統計を取り始めた2000年以降で最多となった。警察庁は「社会の関心が高まり、近隣住民など幅広い関係先から情報が寄せられたことが摘発増につながった」とみている。
         被害児童は前年同期より90人多い252人で過去最多。虐待の内容は身体的虐待が175件で最も多く、ほかに性的虐待が68件、養育放棄(ネグレクト)などの怠慢・拒否が5件。死亡した児童は12人で、うち10人は身体的虐待、残る2人は怠慢・拒否が原因だった。
         摘発された加害者は実父が94人で、全体の36.9%を占めた。実母は50人(19.6%)で、加害者の半数以上は実の親だった。
         罪種別では傷害が118件(傷害致死1件を含む)で最多。以下は、暴行37件、強姦26件などだった。
         警察が児童虐待防止法に基づき、児童相談所に通告した被害児童数は昨年同期比37.7%増の7271人。このうち「産まなければ良かった」と児童に暴言を吐いたり、児童の目の前で配偶者に暴力を振るったりする心理的虐待が3634人で約半数を占めた。警察庁は「家庭でのドメスティックバイオレンス(DV)が増えていることが背景にある」としている。
         心理的虐待は児童が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症すれば傷害罪などに当たる可能性もあるが、ほとんどの場合は犯罪として立件するのが難しく、過去の摘発は1件しかない。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG05054_W2A900C1CC0000/
        「日本経済新聞Web刊」2012/9/6

        ●生活保護:申請で不適切対応、新たに20件 舞鶴市、府に報告/京都
         生活保護の申請を巡る問題で、府から改善と相談記録の点検を求められていた舞鶴市は3日、申請意思の確認の徹底などを盛り込んだ改善策と過去1年分の相談記録の点検結果を8月31日付で府に報告したと発表した。点検では、府の特別監査で指摘された10件のほか、新たに20件で申請意思の確認などで不適切な対応が見つかった。市は再度、意思確認をしたという。
         生活保護申請を申し出た複数の市民に対し、同市が申請用紙の交付に難色を示したり、申請意思の確認をせず就労を勧めていたケースがあり、問題となっていた。
         改善策では62項目に及ぶチェックシート付きのマニュアルを作成。申請意思の有無や電気・水道などライフラインが止められているなど急迫状況にあるかどうかなどを盛り込んだ。申請用紙については市役所本庁舎と西支所の窓口に配備し、明らかに保護に該当しない場合でも申請意思を示した場合は交付する、とした。
         また府から指摘のあった点以外にも、報告には肝炎などの病気についての理解を深めるための職員研修を月1回程度実施▽面接相談への第3者同席の許可−−などを盛り込んだ。
        http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20120904ddlk26040483000c.html
        「毎日新聞」2012年09月04日

        ●自殺総合対策大綱を閣議決定、いじめ自殺に重点
         政府は28日の閣議で、自殺対策の指針となる新たな「自殺総合対策大綱」を決定した。増加傾向にある若年層の自殺対策を強化する。特に大津市の中学生いじめ自殺などを受け、児童や生徒の自殺の原因にいじめの可能性がある場合、第三者が調査する方針を盛り込んだ。人口10万人当たりの自殺者数を2016年までに、05年比で20%減らす目標も掲げる。
         政府が大綱を見直すのは5年ぶり。閣議前に開いた政府の自殺総合対策会議(会長・藤村修官房長官)で、藤村長官は「実情を踏まえた取り組みを期待する」と述べた。
         大綱は「若年層では自殺死亡率が高まり、学生・生徒の自殺者数が増加傾向にある」としたうえで、生徒らの自殺の背景に「いじめの問題がある」と強調。「(いじめは)どの子ども、どの学校でも起こり得るもの」として、各学校でのいじめの早期発見と解決に向け、国が中長期的に取り組むとした。
         具体策としては、児童・生徒の自殺について「遺族が学校または教育委員会が主体となる調査を望まない場合など、必要に応じて第三者による実態把握を進める」と明記。24時間体制の無料電話相談や、インターネットを活用した支援策なども拡充する。
         また自殺を「誰にでも起こり得る危機」と位置付け、再び自殺を図る可能性が高い自殺未遂者への継続した支援体制の整備や、小規模事業所を中心とした職場でのメンタルヘルス対策の強化なども求めた。東日本大震災の被災者については、ストレス軽減など行政や民間団体を支援する方針を盛り込んだ。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2800P_Y2A820C1MM0000/?dg=1
        「日本経済新聞」2012/8/28

        ●富山3人遺体、うち2人は餓死の可能性
         富山県滑川市北野の住宅で3日に見つかった男女3人の遺体は、うち2人が餓死した可能性があることが4日、滑川署の司法解剖などでわかった。
         同署は、3人はこの家に住む無職大崎正一さん(78)と長女(45)、長男(40)の可能性が高いとみている。
         司法解剖の結果、男性2人は死後約1か月、女性は死後1~2週間が経過。遺体は腐敗が進み、死因は判明しなかったが、中年の男女の胃と腸の中はほぼ空の状態だった。
         同署によると、長男には重度の知的障害があり、長女も自力では生活ができなかったとみられる。同署は7月下旬~8月上旬、大崎さんが病気などの理由で死亡後、長男、長女と相次いで餓死したとみて調べている。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120905-OYT1T00109.htm
        「読売新聞」2012年9月5日

        ●千葉中2自殺:息子いじめ「再調査を」、死後4年機に父
         千葉県館山市で08年9月に自宅で自殺した中学2年の男子生徒(当時)の父親が、「自殺はいじめが原因」として市教育委員会に再調査を求めることが分かった。当時、学校は生徒へのアンケートを実施し、報告を受けた市教委は「からかいなどいじめにつながる事実はあったが、死に直接結びつく要因は分からなかった」と結論付けていた。父親はアンケート結果の開示や関係者への聴取などの再調査を求める。
         男子生徒は08年9月10日、自宅2階で首をつって亡くなった。「もうこの世の中につかれました。どこにいくかわかりませんが、さがさないでください」との遺書を残していた。父親らによると、男子生徒は小学校時代からいじめを受けていた。本人の希望で中学は隣の学区を選んだが、所属していた部活動などでいじめを受けていたという。自殺後に、学校は1、2年生を対象にアンケートや聞き取りを実施したが、父親らには結論しか伝えていなかった。父親は「他の家族への影響を考えて黙っていたが、大津市の事例もあり、息子の死を無駄にしたくない」として4回目の命日を前に再調査を求めることにした。
        http://mainichi.jp/select/news/20120905k0000m040120000c.html
        「毎日新聞」2012年09月05日

        ●食品の風味に気分安定効果
         特定の食品の成分が気分安定薬に化学的に酷似していることが明らかになり、憂うつな気分のときに食べればセルフメディケーションになるという概念が注目を集めつつある。米フィラデルフィアで開かれた米国化学会(ACS)全国会議でメキシコ国立自治大学化学研究所のKarina Martinez-Mayorga氏らが研究の成果を発表した。チョコレートや紅茶、ブルーベリーなどの食べ物については気分を高揚させる効果が報告されており、今回の研究は多数のエビデンス(科学的根拠)に基づく。
         Martinez-Mayorga氏らは、風味化合物などを製造しているRobertet Flavors社などの資金提供を受け、米トーリパインズ分子学研究所(TPIMS、サンディエゴ)で”化学情報学”を用いた研究を開始した。コンピュータを使って承認済みの抗うつ薬、市販薬、抗うつ効果を持つ物質との類似性について1,700を超える食品の風味成分の化学構造を調べた。
         研究途中のため、特定の成分や風味については明らかにされていないが、一部は処方薬のバルプロ酸と化学的に類似していた。バルプロ酸は痙攣治療にも使用され、双極性障害に関連する躁症状の安定化に有用であり、製品も販売されている。
         Martinez-Mayorga氏は、「今後の研究によって、将来的には良い気分になる食事の推奨や栄養補給につながる可能性がある」という。この研究は学会発表されたものであるため、ピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまでは、そのデータおよび結論は予備的なものとみなす必要がある。
        http://www.carenet.com/news/general/hdn/30853
        「carenet」2012/08/30

        ●不登校専門の新聞 休刊の危機 「ニーズある」存続へ努力
         不登校・引きこもりの専門紙「Fonte(フォンテ)」が創刊14年目で、休刊の危機を迎えている。当事者の体験談などを掲載してきたが、発行部数は創刊当時の6分の1の1千部までに減少。9月までに1200部まで回復できなければ、来年3月で休刊することになるという。編集部では「当事者の立場に立ったメディアは少ない」と存続に向けた努力を続けている。
         ◇HP閲覧は増加
         Fonteは、NPO法人「全国不登校新聞社」(東京都北区)が平成10年5月に創刊。東京、大阪、名古屋に編集拠点があり、月2回、不登校や引きこもりの当事者や保護者の体験談を中心に、子供に関する事件や裁判、文部科学省の動きなど教育に関する話題を掲載している。
         創刊当時は6千部を発行していたが、その後、減少を続け、今年7月時点で1千部と低迷。編集部は「不登校の問題より、発達障害や鬱(うつ)病という新しい問題が注目されるようになったことが影響しているのではないか」と分析する。
         だが、苦しんでいる子供の状況は変わっていない。文科省の調査では、22年度の小中学校の不登校の児童・生徒数は11万9891人に上る。一方で、国内には、不登校や引きこもりの専門メディアはほとんどないという。
         部数が減少する中、過去の記事を掲載したホームページ(http://www.futoko.org/)の閲覧者数は増加している。20年度は約2万人だったが、23年度は約14万人と約7倍だ。
         石井志昂(しこう)編集長(30)は「不登校や引きこもりの当事者は孤立しがちで、悩みはなかなか明かせない。当事者の立場に立ったメディアのニーズは変わらずにある」と訴える。
         不登校の経験者や当事者でつくる同紙の「子ども若者編集部」のメンバーで、高校2年生の女子生徒(16)は「人を信用できないときもあった。でも、不登校の人の体験談を読んだら、みんな悩んでいた。苦しんでいるのが私だけじゃないって分かった」。
         ◇体験談に共感
         同紙は、保護者の大きな支えにもなってきた。創刊時からの読者、千葉県柏市の主婦、関川ゆう子さん(57)は長男(28)が不登校だったとき、同紙に出合った。「長男の気持ちが分からず悩んでいたとき、記事から気づかされることは多かった。長男が何も語らなくても、不登校の当事者の記事を読むことで、長男の気持ちを推測できた」と話す。長男は成人したが、「人間関係の原点に気づける」との思いから購読を続けている。
         購読の申し込みは、Fonte東京編集局(電)03・5963・5526。購読料は、1カ月800円、6カ月4800円、12カ月9600円。
        http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/120822/ent12082207460002-n1.htm
        「産経ニュース」2012.8.22

        ●尾木ママが「教育委員会は日本教育の『がん』」と怒る
         次々に明らかになる、各地のいじめ問題に対する不適切な対応。これには失望するばかりだが、教育の現場を知る専門家たちも日本教育のあり方に疑問を抱いている。なかでも教育評論家の「尾木ママ」こと、尾木直樹氏は教育委員会を教育における「がん」だと言う。
        *  *  *
         大津市の中学2年生がいじめにより自殺した問題で、市の第三者調査委員会に入ることになりました。これまでの経緯からもわかるとおり、教育委員会は日本の教育における「がん」になっています。全校生徒アンケートで「少年が自殺の練習をさせられていた」などと回答があったのに公表しないなんて、心ある教育関係者のすることではないと思います。
         少し前になりますが、2008年に49区市町村の教員に向けて「教育委員会に関するアンケート調査」を実施しました(有効回答644件)。「現在の教育委員会に満足していますか」との質問に、「とても満足している」と答えた人はたったの1.6%でした。「まあ満足している」が12.4%、「あまり満足していない」は47.4%。「全く満足していない」は28.5%にのぼりました。
         不満を感じる点で最も多かったのは、「現場の願いや実態を把握していない」(78.3%)。以下、「現場に調査や報告を要求しすぎ」(64.3%)、「指示・命令的文書や態度が目立つ」(56.8%)と続き、教委の権威主義的な対応ぶりが伝わってきました。ある教員の自由回答にはこうありました。
        〈教育委員会にも管理職にも全く主体性がなく、文部科学省の完全な下請け機関に成り下がっており、上意下達を徹底することが職務であると錯覚して平然としていることが恐ろしい〉
         教育委員会は人事権を握っているので、先生も腰が低くなっていました。教委が学校を視察に来るときの空気は異常ですよ。学校中をピカピカに掃除し、会議室の上座に事務方の誰が座るかを事前に綿密に話し合います。教委の中にも序列がありますからね。靴箱には書道の上手な教員が毛筆で「○○指導主事先生」などと示し、失礼にあたらないようにします。教委の人間も、それが当然という態度です。おかしいと思いませんか?
        http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120830-00000001-sasahi-soci
        「週刊朝日」8月30日 ※週刊朝日 2012年9月7日号 

        ●<障害児>普通学校通いやすく…従来の施策転換 文科省
         文部科学省は、現在障害を持つ子供の通学先が「原則として特別支援学校」と定められている法令を改正し、普通の小中学校に通学しやすくする方針を固めた。これまでの障害児教育の施策を転換し、重い障害があっても本人や保護者の意向を尊重して小中学校に通うことで、子供に達成感や充実感を感じてもらうのが狙い。学習支援にあたる教職員の増員や学校のバリアフリー工事費を来年度予算の概算要求に計上する。
         学校教育法施行令は、一定程度以上の視覚や聴覚、知的障害を持つ子供は原則、特別支援学校に就学すると決めており、教育委員会が認めた場合に限り例外として通常の小中学校に通うことを認めている。文科省は今年度、同施行令の改正を目指し、教委が本人や専門家の意見も聞きながら就学先を柔軟に決める仕組みにする。
         文科省によると、昨年度、特別支援学校の対象になる障害を持つ児童生徒は約8万5000人(全国の約0.8%)。このうち実際に特別支援学校に在籍しているのは約6万5000人で、例外的に小中学校に設けられた「特別支援学級」に約1万7000人▽通常の学級に在籍し週1~8時間の特別な指導を受ける「通級指導」に約3000人--がいる。
         法令を見直すことで今後、障害があっても小中学生と一緒に過ごすケースはさらに増えると想定される。文科省は、学校生活や学習をサポートする教職員を増やすなど環境を整備することで、小中学校で共に学べる体制づくりを進める。また、特別支援学校と小中学校間の転入学もしやすくする。
         平野博文文科相は「障害者は学校を卒業すれば社会に出る。学校にいるうちから友人らと一緒に学んで共感できるような仕組みづくりを進めたい」と話している。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120905-00000054-mai-soci
        「毎日新聞」9月5日

        ●母子家庭14%が生活保護 5年前の1.5倍に
         母子家庭の14%、父子家庭の8%が生活保護――。一人親世帯の厳しい暮らしが厚生労働省が7日に公表した「全国母子世帯等調査」で浮き彫りになった。雇用情勢の悪化や非正規雇用の増加などが打撃になっているようだ。
         調査はほぼ5年に1度で、今回は昨年11月。東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県を除いた都道府県の母子家庭1648世帯、父子家庭561世帯が郵送で回答した。
         生活保護の受給率は、2006年の前回調査(9.6%)と比べて、母子家庭は1.5倍になった。父子家庭は前回が初調査で対象者数が少ないため、単純比較は難しいという。
        http://www.asahi.com/national/update/0908/TKY201209070759.html
        「朝日新聞デジタル」2012年9月8日

        生活保護は恥じゃない。申請を阻止する福祉事務所の違法行為こそが恥。
        2012/08/28
         またまた久しぶりの更新となってしまいました。
         毎日新聞の8月28日付けで、「生きられる社会へ:生活保護の今 最低生活費知り相談を 病気、リストラ……所持金ゼロになる前に」という記事を紹介したいと思います。
        全文はこちらから↓
        http://mainichi.jp/feature/news/20120828ddm013100022000c.html
         国が定める「最低生活費」を知っている人はどれぐらいいるだろうか。収入が最低生活費を下回る場合は生活保護を受給できる。さいたま市で生活困窮者の支援をするNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事に、最近目立つ相談事例と、最低生活費の計算例を聞いた。
         から始まって具体的なケース、生活保護の8種類の扶助も紹介されています。
         以下、生活保護制度に関する基本点を引用します。
        ◇最低生活費
         憲法25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を営むのに必要な費用。生活保護はこれを下回る収入の世帯に支給される。生活保護法で定める8種類の扶助を組み合わせて計算する。
        ◇要件満たせば、原因問わず
         「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定する憲法25条の理念に基づき、要件さえ満たせば、すべての国民は無差別平等に保護を受けることができる。困窮の原因は問われない。
         生活保護法24条は「申請があったときは保護の要否、種類、程度と方法を決め、申請者に書面で通知する」と定めているので申請を受理しないのは「保護申請権」の侵害とみなされる。

         生活保護費は、「健康で文化的な最低限度の生活」を営むのに必要な費用で、これを下回る収入の世帯に支給され、困窮に至った原因は問われません。
         しかし、以下に紹介する記事にもありますが、申請窓口で、勝手な基準を作ったりして「水際」で阻止するという違法行為が役所において行われていたり、バッシング等によって日本人の「恥意識」に乗じて申請を恥ずかしいものとしてあきらめる意識が煽られたりで、本当に必要としている人が利用できなかったり、利用していても孤独死するなど、生活保護法本来の理念や運用が著しく歪められています。
         役所の担当窓口の職員も、生活保護法や制度について正しく理解していない人や、勝手な解釈であきらめさせることに情熱を燃やしている(?)人が居たりしますので、要件に該当すれば、正しい知識を持ち、あきらめることなく申請し、必要と思われれば遠慮無く理解ある支援者に同行してもらいましょう。
         「水際」で阻止することを任務とされている、あるいは勘違いされている申請窓口の方。あなたの行っている行為に、法に反するものはありませんか? 立脚するのは、憲法25条です。
         いろんな立場で社会福祉に関わる支援者は、「生活保護申請マニュアル 2012年度版」(生活保護問題対策全国会議:編著、全国クレジット・サラ金問題対策協議会:発行)を片手に、申請のサポートをして欲しいと思います。

         それでは、最近の気になる記事です。

        生活保護で虚偽説明 大津市、不適切認め謝罪へ

         大津市役所に生活保護の申請に訪れた男性(47)に対し、同市生活福祉課の男性副参事が「最低でも10日間は野宿しないと生活保護申請は認められない」などと説明し、受給の可否が野宿の日数によって決まると思わせる虚偽の説明をしていたことが27日、分かった。市は不適切な発言であることを認め、関係者に謝罪するとした。
         関係者によると、男性は8月22日未明、大阪府門真市の勤務先の寮を出て大津市に到着。同市生活福祉課を訪れ生活保護申請をしたが、居住地である門真市で申請するように勧められた。23日に再訪すると、勤務先の退職証明書などを持参するように指示された。その際に同課の男性副参事は「ホームレスの実績がない。最低でも10日間は野宿しないと生活保護は認められない」と発言し、さらに「市の内規に書いてある」と根拠のない受給条件の説明を繰り返したという。
         24日に退職証明書などを持参したところ申請は受理された。生活福祉課の皆川宏司課長は「住所のない大津で男性が生活保護を受けるには、本当にホームレスであることの確認が必要だった。それを説明するときに、不適切な表現があった」と話している。
        http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120828000019
        「京都新聞」2012年08月28日

        ●生活保護者の孤独死43人 札幌市「異変察知は困難」 4~6月
         札幌市内で誰にも知られず自宅で亡くなった一人暮らしの生活保護受給者が、今年4月から6月の3カ月で43人いたことが27日、同市のまとめで分かった。
         生活保護の支給を「死去」のために廃止した人のうち、親族などからの速やかな通報で手続きした人を除いたケースを初めてまとめた。遺体発見までの時間や性別、年齢層の分析はしていない。
         同市によると、43人のうち37人は家賃滞納などで自宅に様子を見に行った大家や管理会社が遺体を発見。残り6人は、近隣住民から「最近見かけない」などの連絡を受けたケースワーカーが住宅に立ち入って発見した。
         過去のデータがないため年間の孤独死者数は正確には分からないとしながらも、同市保健福祉局は「今回の調査から、少なくとも年間100人以上は孤独死していると考えられる」と推測。「生活保護受給者で行政の関与はあるのだが、一人暮らしのため、異変に即座に気づくのは難しい」としている。
        http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/399582.html
        「北海道新聞」2012/08/28

        ●生活保護断られ飛び降り騒ぎ 浪速区役所7階
         27日午後3時20分頃、大阪市浪速区の区役所職員から「男が庁舎から飛び降りようとしている」と110番があった。
         大阪府警浪速署員が駆けつけたところ、男が「死んでやる」などと言いながら、区役所7階のベランダの柵(高さ約1・5メートル)を乗り越えて身を乗り出しており、署員らが説得。約1時間半後に取り押さえ、建造物侵入容疑で現行犯逮捕した。
         浪速署の調べでは、男は同区塩草、タクシー運転手藤井忠幸容疑者(58)。生活保護の受給を求めて5階の保健福祉課を訪れていたが、「要件を満たさない」と断られ、面談途中で退席。直後に会議室が並ぶ7階に立ち入ったらしい。この騒ぎで区役所は正面玄関を閉鎖、驚いた市民数十人が庁舎を取り囲むなど一時、騒然となった。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120827-OYT1T01003.htm
        「読売新聞」2012年8月28日

        ●障害者総合支援法成立:サービス利用料無料化見送り
         政府が現行の障害者自立支援法に代わり、今国会に提出していた障害者総合支援法案は20日、参院本会議で民主、自民、公明などの賛成多数で可決、成立した。重度訪問介護サービスの対象拡大など新たな施策を盛り込んだが、内閣府の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が出した骨格提言はことごとく採用されず、障害福祉サービス利用料の原則無料化も見送られた。
         サービス利用料を原則1割負担(応益負担)とした自立支援法を巡っては各地で違憲訴訟が起こされ、民主党が同法廃止を約束して原告団と和解。だが廃止は実現せず、自己負担も残った。元原告団らは20日夜の記者会見で「骨格提言が全く反映されていない。万感の怒りを持って抗議する」と非難し「政府の法的責任を徹底的に追及する」と再提訴も辞さない姿勢を示した。
         一方、知的障害者の親らでつくる「全日本手をつなぐ育成会」の田中正博常務理事は「障害者福祉は社会保障でも出遅れており、一歩でも前に進むことが重要」と評価。新法が難病患者を障害福祉サービスの対象としたことに「日本難病・疾病団体協議会」の伊藤たてお代表理事は「歓迎したい」と述べた。
        http://mainichi.jp/select/news/20120621k0000m010078000c.html
        毎日新聞 2012年06月20日

        ●新卒「ニート」3万人 働き手減少に拍車  教育・就職 橋渡し欠く
         大学を今春卒業した約56万人のうち6%にあたる約3万3千人が、進学も就職の準備もしていないことが27日、文部科学省の調査で分かった。大半が「ニート」とみられ、学校から職場へのスムーズな移行が難しいという若年層の課題が浮き彫りになった。ニートへの対応が遅れれば質と量の両面で日本の労働力の劣化を招き、生活保護受給者の増大なども懸念される。抜本的な対策が急務だ。
         文科省の学校基本調査速報によると、今春の大卒者は昨年比1.2%増の55万9千人で、このうち35万7千人が就職した。就職率は63.9%で2.3ポイント増え、2年連続で改善した。同省は大企業志向が強かった学生が中小企業に目を向けた影響が大きいと見ている。
         ただ就職も進学もしなかった約8万6千人の現状を初めて調べたところ、就職や進学の準備をしている人は約5万3千人にとどまった。残り約3万3千人はどちらの活動もしていない。男性が約1万8千人、女性が約1万5千人で、家事手伝いやボランティア従事者なども含まれるが、いわゆるニートが大半を占めるとみられる。
         全国に約60万人といわれるニートは高卒者や学校中退者が多いとみられていた。大学の新卒者でも数万人規模に上ることが分かり、問題の深刻さが鮮明になった。
         三菱UFJリサーチ&コンサルティングの横山重宏主任研究員は「就業しないまま年を重ねると、職探しがより難しくなる」と指摘する。都内の30歳男性は大学卒業後に勤めた会社をやめて7~8年がたつ。収入はなく親と同居。「働きたい気持ちはあるが、仕事を長く離れ、他人との会話が不安」と打ち明ける。
         企業などで職業訓練を受けないニートが増えると、日本の労働力全体の質が下がる懸念がある。就職した同世代との経済格差が拡大し、いずれ生活保護受給者になりかねない。結婚や子育てが困難な人が増え、少子化が一段と深刻になる可能性も指摘されている。
         政府は専門の相談員がニートなどの若者の自立を支援する「地域若者サポートステーション」の拡充を急いでいる。2011年度は全国110拠点に約37万6千人が来所したものの、就職などの進路が決まった人は約9700人にとどまった。
         横山氏は「研修の場の提供など民間企業を巻き込んだ支援を進めるべきだ。成長産業の育成などで雇用を生み出すことも重要」と言う。
         調査では約2万2千人が契約社員や派遣などの非正規雇用になっていることも分かった。正社員を希望したものの内定を得られず、契約社員などを選んだ人も多い。アルバイトなど一時的な仕事に就いた人も含めると、新卒者のほぼ4人に1人の12万8千人が安定した仕事に就けていない。
         新卒者の進路を学部系統別にみると、文系で無職やアルバイトの割合が多かった。人文科学は25.2%、社会科学は21.8%だった。理学と工学は4割前後が大学院に進学しており、無職や非正規雇用の割合は10%台で比較的低かった。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2702C_X20C12A8000000/
        「nikkei.com」2012/8/27 20:50

        ●大津市教育長襲撃:暴力では何の解決にも至らない 中2自殺・遺族の思い、初のコメント
         大津市の沢村憲次教育長(65)が男子大学生(19)=殺人未遂容疑で逮捕=にハンマーで殴られ負傷した事件について、昨年10月に自殺した大津市立中2年の男子生徒の父親が21日、「大変悲しく思っております。暴力に訴えても何の解決にも至らない。息子の本望ではない」とするメッセージを公表した。
         遺族の代理人の弁護士事務所(吉原稔法律事務所)が開設する支援ホームページに掲載された。遺族が教育長襲撃事件で公にコメントするのは初めて。
         父親は「息子に対する『いじめの暴力』の存在を知った時、確かに相手を殴ってやりたい衝動に駆られました。しかし、息子は喜ぶのだろうかと必死に考えました」と思いをつづった。そのうえで、「暴力に訴えることだけは決して行わないでください」と求めた。
         滋賀県警によると、男子大学生は事件の動機について、男子生徒の自殺問題での市教委側の対応への不満を挙げている。
        http://mainichi.jp/area/news/20120822ddn041040014000c.html
        「毎日新聞」2012年08月22日

        ●「少年たちの居場所がない」 京都の少年犯罪 全国ワースト1なぜ?
         ◇高い再犯率 警察や地域一体で「どう防ぐ」カギ
         府内の少年犯罪が深刻化している。府警によると、昨年、刑法犯で摘発された少年が人口比で全国ワースト1位を記録。犯行を繰り返す少年は全体の約4割を占め、再犯率の高さもワースト3位だった。犯罪から抜け出せない少年が後を絶たない現状に、専門家らは「家庭や地域に少年たちの居場所がなくなっていることが原因」として、警察や地域が一体となって少年非行を考える必要があると訴える。
                           ◇
         7月、山科区内の駐車場で、同区の中学1、2年の女子生徒2人と小学6年の女子児童が、伏見区の中学2年の女子生徒に「言葉遣いが生意気」と因縁をつけ、殴る蹴るの暴行を加える事件が起きた。
         捜査関係者によると、加害者の3人は学校に行かず日常的に夜遊びを繰り返しており、女子児童も小学校2年生の時から学校にいかず、自転車盗などの非行を繰り返していたという。
         山科署は、中学2年の女子生徒を家裁送致に、中学1年の女子生徒と小学6年の女子児童を児童相談所に通告した。
         府警によると、昨年、刑法犯で摘発された府内の少年は、同世代の人口千人あたり15・5人で全国ワースト1位。再犯率も約4割に上り、全国でも沖縄県、高知県に続いてワースト3位とかなり高い。
         捜査関係者は「万引など罪の意識が低い犯罪を繰り返すことで、より罪の重い犯罪へのハードルも低くなっていく」と指摘。「再犯をいかに防げるかが、少年非行を減らす鍵だ」と話す。
         再犯率の高さについては、少年院などの更生施設を出ても、居場所を求めて結局不良グループに戻ってしまい、再び犯罪に走る-という「負のスパイラル」があると指摘される。
         「家庭や地域の愛情に飢えている子が居場所を求めて繰り返し犯罪に走ってしまう」と話すのは、府更生保護女性連盟副会長の斉藤靖子さん(70)。
         「しかし、放火などの重大な罪を犯しても、話をじっくり聞いてあげることで更生し、就職して結婚し、自分の子供を連れてきてくれた子もたくさんいる」とも話す。「家庭はもちろん、学校や地域でイベントを開くなどして、積極的に子供たちに声をかけてほしい」と訴えた。
         こうした状況を踏まえ、府警も、地元のボランティアらと連携し、地域一体となった非行防止策に取り組んでいる。小学校や中学校で非行防止教室を開くだけでなく、7月下旬には、警察官とボランティアら約60人が京都市でパレードを行い非行撲滅を呼びかけた。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/120814/kyt12081402020001-n1.htm
        「産経ニュース」2012.8.14

        ●発達障害めぐる判決、被告側が控訴 支援団体は連携検討
         大阪市平野区の自宅で昨年7月、姉(当時46)を刺殺したとして殺人罪に問われた無職大東一広(おおひがし・かずひろ)被告(42)の弁護人が、発達障害を理由に検察側の求刑(懲役16年)を上回る懲役20年とした大阪地裁の裁判員裁判の判決を不服として控訴した。11日付。
         先月30日の判決は「被告の障害に対応できる受け皿がなく、再犯の恐れが強い。許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持につながる」と指摘した。これに対し、日本弁護士連合会や日本自閉症協会などから「障害への無理解と偏見がある」などと批判が相次いでいる。
             ◇
         先月大阪地裁で求刑を上回る懲役20年の判決を受けた発達障害の男性被告の控訴を受け、障害者の支援団体「日本発達障害ネットワーク」は13日、「(発達障害の一種の)アスペルガー症候群の特性を正しく理解した裁判が行われることを期待する」との声明を出した。
         都内で記者会見した市川宏伸理事長は「正しい判断に基づいた裁判が行われる可能性が出たことを歓迎する」とした上で、「今回の判決は、自分の気持ちをうまく表現できないアスペルガー症候群の特性を正しく理解していない」と指摘。「控訴審では、弁護士と連携して支援を行うことも検討したい」と述べた。
        http://www.asahi.com/health/news/OSK201208130248.html?ref=rss&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
        「朝日新聞デジタル」2012年8月13日

        ●使用済み核燃料の地中廃棄を研究 来年度予算で経産省検討
         原発から出る使用済み核燃料をごみとして地下に埋めて処分する「地中廃棄」の研究費を、経済産業省が来年度予算の概算要求に初めて盛り込む方向で検討していることが14日、分かった。
         日本は現在、使用済み燃料を全て再処理しプルトニウムやウランを取り出して再利用する「全量再処理」を採用している。青森県六ケ所村にある再処理工場は、本格稼働が大幅に遅れている上、国内の原発から出る使用済み燃料を全て処理できる能力がなく、全量再処理は事実上破綻。原発への依存度を下げた場合、地中廃棄の必要性も高まるため、全量再処理路線の見直しが不可避となっている。
        http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012081401002324.html
        「共同通信」2012/08/14

        ●自殺対策、財源確保を=総務省
         総務省は17日、2013年度予算概算要求に向けた改善事項を各府省に申し入れた。厚生労働省や内閣府には、都道府県が行う自殺対策に対する財政支援のため設けた基金が12年度末までの時限措置となっているため、引き続き対策に必要な財源を確保するよう要請した。
         自殺対策をめぐっては、東日本大震災や景気低迷を受け、自治体も取り組みを強化している。総務省は「地方でも自殺対策のさらなる推進が必要だ」として、電話相談など基金を活用して実施している事業への財政支援の継続を求めた。
        http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2012081700247
        「時事ドットコム」2012/08/17
        地域自殺対策緊急強化基金検証・評価チーム(第1回)配布資料2 地域自殺対策緊急強化基金の概要
        http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/kikin/k_1/pdf/s2.pdf

        ●自主退学要請を撤回=いじめ、一部認める-仙台私立高
         仙台市の私立高校で同級生からたばこの火を押し付けられるなどのいじめを受けていたと訴えた男子生徒(16)が、学校側から自主退学を求められていた問題で、学校側は17日、この生徒の両親に対し、いじめの一部事実を認め、自主退学の要請を撤回した。同日、生徒の母親(42)が記者団の取材に応じ、明らかにした。
         生徒は6日、「根性焼き」と称してたばこの火でやけどをさせられたなどとして、宮城県警仙台東署に被害届を提出。同署が傷害容疑などで捜査している。
         母親によると、学校側は殴る蹴るの暴行をいじめと認めたが、「根性焼き」については「警察の捜査を見て判断する」として態度を保留した。いじめについての謝罪はなかったといい、母親は「すべてを認め、謝罪してほしい。いじめと傷害事件は延長線上にある」と訴えた。
        http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012081700689
        「時事ドットコム」2012/08/17

        ●脳血流量少なく アスペルガー患者、表情認識時印刷用画面を開く
         発達障害の一つであるアスペルガー症候群などの患者と健常者では、人間の表情が変化する動画を見たときの脳の活動に明確な違いがあることを、京都大の佐藤弥白眉センター准教授(脳科学)、十一元三医学研究科教授たちのグループが突き止めた。発達障害の客観的な診断法の開発や治療につながる成果といい、17日までに英医学誌に発表した。
         発達障害の診断は、主に患者の行動などを分析して行われている。脳の機能障害とされているが、表情の静止画を見せたときの脳血流の変化をfMRI(機能的磁気共鳴画像装置)で調べる研究では、健常者との明確な違いは分かっていなかった。
         グループは、無表情が笑顔やこわばった顔に変わる動画を20~30代の患者12人と健常者13人に見せ、脳血流の変化をfMRIで調べた。その結果、患者は、他者と自分の運動を結びつける前頭葉の「下前頭回(かぜんとうかい)」や、他者の表情を認識する側頭葉の「上側頭溝(じょうそくとうこう)」など五つの領域で血流量が少なかった。下前頭回と上側頭溝を結ぶ神経回路が機能せず、表情がうまく読み取れていないらしい。
         佐藤准教授は「診断への応用には、うつ病などを併発している患者での調査も進め、脳反応と実際の行動との関連を詳しく調べる必要がある」と話している。
        http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120817000143
        「京都新聞」2012年08月17日

        ●栃木中3労災死:校長が就労許可「違反認識なく」
         群馬県桐生市の工事現場で栃木県足利市立西中学校3年の男子生徒が死亡した事故をめぐり、足利市教委は20日記者会見し、同校の岩下利宏校長が男子生徒に「職場体験」と称して働くことを許可し、報告を受けた市教委も追認していたことを明らかにした。岩田昭教育長は「労働基準法と就学の義務について認識が甘かった」と釈明した。
         市教委によると、事故を受け岩下校長は「本人と保護者の希望があり、学校長の裁量で許可した。労働基準法違反にあたるという認識はなかった」と説明しているという。市教委は「校長が熟慮した結果」として岩下校長の判断を追認した。
         一方、市教委が市内の中学校に聞き取り調査したところ、02年以降、男子生徒と同じ建設会社で働いていた可能性のある生徒が16人いることが明らかになった。
        http://mainichi.jp/select/news/20120821k0000m040092000c.html
        「毎日新聞」2012年08月21日

        ●発達障害やてんかんの治療法開発へ-慶大、神経細胞制御の仕組み解明
         慶大医学部の研究グループは、発達障害やてんかんの病態解明、治療法開発につながる、大脳皮質の形成時期に見られる神経細胞の特徴的な動きの制御メカニズムを明らかにした。この研究成果は22日発行の米神経科学雑誌The Journal of Neuroscienceに掲載される。
         同研究は、同大解剖学教室の仲嶋一範教授、田畑秀典専任講師、吉永怜史医師らのグループによるもの。
         発達過程では、脳の内部にあり、脳脊髄液で満たされている「脳室」と呼ばれる空間に面した部位で誕生した神経細胞は、大脳皮質のそれぞれの目的地に正確に移動して配置されることで機能する。この過程の異常が、滑脳症などの大脳皮質の形成障害、自閉症や統合失調症、てんかんなどの精神・神経疾患に関与する可能性が指摘されている。
         神経細胞が移動する際には、一時的に多くの神経突起を伸ばしたり、縮めたりする特徴的な動きをする。研究グループは、このような突起伸縮運動をコントロールする分子機構の一端を解明した。今回の研究は、細胞内の仕組みを明らかにしたもので、今後は、どのような細胞外のシグナルにより、この細胞内の仕組みが制御されているかを明らかにする必要があるという。将来的には、発達障害やてんかんの病態解明、治療法の開発につなげていきたい考えだ。
        http://www.carenet.com/news/general/cabrain/30711
        「医療介護CBニュース」2012/08/24

        ●教職大学院、半数で定員割れ…メリット少なく
         学力向上からいじめまで、教育現場が抱える様々な問題に対処できる高い専門性を持つ教員育成を目指す教職大学院の2012年度の入学状況は、全国25校のうち13校で定員を下回っていることがわかった。
         制度発足から5年連続で、4割超の大学院で定員割れが続いている。中央教育審議会は28日、教員の養成期間を6年に引き上げる答申をまとめるが、受け皿となる大学院の中には、定員削減に踏み切る動きも出ている。
         読売新聞が教職大学院25校について今年度の「定員充足状況」を調べたところ、13校で入学者数が定員に対し60~95%で、定員割れの状態だった。25校全体の総定員815人に対し、入学者数は782人だった。
         教職大学院は、学力向上、いじめ、不登校など、学校が抱える様々な問題に対処するため、生徒の指導方法や学校経営などについて実践的な手法を学ばせる場としてスタートした。
         しかし、大学院を修了してもメリットが少ないことが課題。教員採用試験では、修了者に対する優遇措置がほとんどなく、現役教員が修了しても待遇などは不変で、こうしたことが不人気の背景にあるとみられる。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120826-OYT1T01072.htm
        「読売新聞」8月27日

        ●何もしない「外こもり」 日本の閉塞感から逃れられぬ若者 (1/2ページ)
         「引きこもるなら海外で」--いわゆる「引きこもり」が自宅に閉じこもるのに対し、物価の安いアジアなどに行き、引きこもり同様、何もせずに暮らすことを「外こもり」と呼ぶ。
         「移住」とも異なり、日本国内で人材派遣などの仕事を3カ月程度の短期間で一気に稼ぎ、それを元手に物価の安い国で「引きこもる」というライフスタイルだ。現地でPCを使って投資するような人もいるようだが、基本的には留学や現地で働くのとは違い、「海外で特に何もしない」のが特徴である。
         「外こもり」は2000年代後半から若者を中心に広がった。日本人はタイなどの東南アジア諸国、ヨーロッパの若者はエジプトで暮らすことが多いようだ。物価の安さに加え、観光ビザで長期滞在できる国を選ぶというわけである。
         海外で引きこもる人々にあるのは、国内の引きこもり以上の悲壮感だ。旅行作家の下川裕治氏は、「日本で希望が見つからない、正規社員になれない、など基本的に失望があり、日本で頑張るより、アジアで仕事せずに暮らせるならそうしようという発想」と話す。
         だが、昨今そんな「外こもり」もできなくなる事態が訪れている。「(外こもりをする人の数は)明らかに減っている。日本経済の悪化で、派遣で働くことも難しくなっているからだ」(下川氏)。
         他方、同世代の若者の中には、海外で就職したり投資したりすることで、悠々自適な生活を送っている人々が徐々に増えている。国外に脱出しても、格差はつきまとう。どこにいても、日本の閉塞感からは逃げられそうにない。
        http://www.sankeibiz.jp/econome/news/120826/ecc1208261101001-n1.htm
        「SankeiBiz」2012.8.26

        ●「やむ得ぬ理由」厚生年金基金脱退、認める判決
         長野県内の建設会社が求めていた厚生年金基金からの脱退を認めた24日の長野地裁判決で、山本剛史裁判長は「『やむを得ない理由』がある場合には、任意脱退を制限することは許されない」などと判決の理由を示した。
         建設会社が加盟する「長野県建設業厚生年金基金」(長野市)では、2010年に23億円余の使途不明金が発覚、財務状況も悪化していたことから、建設会社が昨年1月に脱退を申請した。これに対し、基金の代議員会は不承認と議決し、建設会社が訴訟を起こした。

         訴訟では、基金側が加盟企業の脱退が相次ぐと存続できなくなるなどとして、脱退には代議員会の議決が必要だと主張したが、判決は、基金との信頼関係を損なうような「やむを得ない理由」がある場合、議決は不要との判断を示した。
        「読売新聞」2012年8月25日
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120824-OYT1T00724.htm?from=main1
        障害があるからと刑期が延び、受け皿がないからと…。
        2012/08/12
        実姉を刺殺、殺人罪に問われた男性に対して、大阪地裁は、1.アスペルガー症候群の影響が犯行の背景にあった、2.受け皿が社会になく今後もその見通しがない、3.長期間刑務所に収容することが社会秩序の維持に資する、などとして、検察の求刑を超える懲役20年を言い渡しました。裁判員裁判でした。
         ここまで理解・認識されていないのか? が一報を聞いての思いでした。そして、これらの判決理由が、あまりにも幼稚で現実と解離したものであると、怒りが沸いてきました。すぐに当事者団体や支援団体、精神医療関係団体などが抗議声明などを出し始め、問題点が浮き彫りになってきています。
         そうした中で、8月10日付けで出された日弁連の「会長談話」が、問題点をわかりやすくまとめられたものかと思いますので、概要を紹介します。
        1.精神障害ゆえに再犯可能性があることを理由に重い刑罰を科すことは、行為者に対する責任非難を刑罰の根拠とする責任主義の大原則に反し、社会防衛のために許される限り長期間刑務所に収容すべきだという考え方は、現行法上容認されない保安処分を刑罰に導入することにほかならない
        2.発達障害に対する無理解と偏見の存在を指摘せざるを得ない。受け皿についても、発達障害のある受刑者の社会復帰のための支援策が取られつつある。本判決はこうした現状を看過しており、極めて遺憾である。
        3.刑事施設における発達障害に対する治療・改善体制や矯正プログラムの不十分な実態からすれば、長期収容によって発達障害が改善されることは期待できない。
         談話の全文は、下のURLからご覧下さい。裁判員裁判であるため、精神障害や発達障害に対しての誤解や偏見が影響することは十分に考えられるため、裁判長による事前の裁判員に対する量刑判断に必要な医学的・社会福祉的情報の提供などが必要であったことも指摘されています。
         「受け皿がない」ことは、実態を示しているとも言えますが、発達障害者支援法などをはじめ、わずかずつではありますが整備が進んでいるのも事実です。その遅れをこそ、問題とすべきですし、この判決文に書かれた偏見と誤解こそ改められて行かなければなりません。
        「発達障害のある被告人による実姉刺殺事件の大阪地裁判決に関する会長談話」 
        2012年8月10日 日本弁護士連合会 会長 山岸 憲司
        http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120810_3.html
        京都弁護士会の会長声明(2012年8月9日)
        http://www.kyotoben.or.jp/siritai/menu/pages_kobetu.cfm?id=644
        ↓大阪地裁の判決要旨が見られます
        http://www.jngmdp.org/wp-content/uploads/20120730.pdf
         それでは、最近の気になる記事です。

        発達障害で求刑超え懲役20年判決 「社会秩序の維持に」

         大阪市平野区の自宅で昨年7月、姉=当時(46)=を刺殺したとして、殺人罪に問われた無職、大東一広被告(42)に対する裁判員裁判の判決が30日、大阪地裁であった。河原俊也裁判長は、犯行の背景に広汎性発達障害の一種、アスペルガー症候群の影響があったと認定した上で「家族が同居を望んでいないため障害に対応できる受け皿が社会になく、再犯の恐れが強く心配される。許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持に資する」として、検察側の懲役16年の求刑を上回る同20年を言い渡した。
         河原裁判長は判決理由で「計画的で執(しつ)拗(よう)かつ残酷な犯行。アスペルガー症候群の影響は量刑上、大きく考慮すべきではない」と指摘。その上で「十分な反省がないまま社会に復帰すれば、同様の犯行に及ぶ心配がある。刑務所で内省を深めさせる必要がある」と述べ、殺人罪の有期刑上限が相当とした。
         判決によると、大東被告は小学5年のころから約30年間引きこもり状態で、生活の面倒をみていた姉に逆恨みを募らせ殺害を決意。昨年7月25日、市営住宅の自室を訪れた姉の腹などを包丁で何度も刺し、死亡させた。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120730/trl12073020360006-n1.htm
        「産経ニュース」2012.7.30

        ●発達障害で求刑超えた判決 「国民感覚に沿った判決」「すぐに再犯に走るわけではない」評価分かれる
         アスペルガー症候群の被告に求刑を超える懲役20年を言い渡した大阪地裁判決は、量刑理由で「再犯の恐れ」や「社会秩序の維持」に強く言及した。有識者は「裁判員裁判らしく、一般の国民感覚に沿った妥当な判決だ」と評価したが、臨床心理の専門家からは疑問の声もあがった。
         弁護側は公判で「被告が殺意を抱いたのは障害のためであり、どうすることもできなかった」として、保護観察付き執行猶予を求めた。しかし、判決は「犯行の残虐性や結果の重大性から、執行猶予にする事案ではない」と退けた。
         元最高検検事の土本武司筑波大名誉教授(刑事法)は「責任能力に問題がない以上、刑罰を決めるにあたって最も重要な点は社会秩序の維持だ」と強調。「検察側の求刑が軽すぎた。裁判員の判断の方が常識にかなっている。裁判員裁判を導入した成果といえるだろう」と述べた。
         一方、発達障害に詳しい六甲カウンセリング研究所の井上敏明所長(臨床心理学)は「アスペルガー症候群だからといって、すぐに再犯に走るわけではない。発達障害には家族など周囲の理解が必要だ。単に刑務所に長期収容するだけでは何の解決にもならない」と批判した。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120730/trl12073023330007-n1.htm
        「産経ニュース」2012.7.30

        ●尾木氏ら遺族推薦3人起用へ 大津中2自殺で第三者委印刷用画面を開く
         大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、市は1日、再調査のために近く設置する第三者委員会の委員に、遺族側が推薦する3人を起用する意向を明らかにした。市が各種団体に推薦を求めている委員を含め計6人での調査を想定している。
         市によると、委員に守秘義務の順守などを約束する承諾書の提出を求める。名前は事前に公表し、会議は月2回、計8回で年内の終了を予定。家庭内や個人の背景調査は行わず、学校であった事実の解明といじめが自殺に与えた影響を明らかにする。市の過失責任を法的に判断するのは難しいとした。
         遺族側は、教育評論家で法政大の尾木直樹教授(臨床教育学)と、和歌山大の松浦善満教授(臨床教育社会学)、兵庫県弁護士会の渡部吉泰弁護士を推薦している。
         越直美市長は「専門性をもって、中立な観点から解明に当たっていただけると判断した」と述べた。
        http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20120801000138
        「京都新聞」2012年08月01日

        ●たばこの火、腕に23カ所=いじめ被害少年が届け出-傷害容疑で宮城県警捜査
         仙台市内の私立高校2年の男子生徒(16)が今年5月、同級生から「根性焼き」と称して腕に23カ所たばこの火を押し付けられ、やけどをさせられるなどのいじめを受けたとして6日、宮城県警仙台東署に被害届を出した。同署は受理し、傷害や暴行容疑で捜査を始めた。
         この男子生徒の母親(42)によると、生徒は昨年11月ごろから、同級生のグループから学校内外で全身に殴る蹴るの暴行を受けるようになった。5月には腕を押さえてたばこの火を押し付けられたという。
         男子生徒によると、生徒指導担当の教諭に「やけどの痕が尋常でなく、生徒を動揺させる」として自主退学を求められたという。学校側は6日、取材に対して「現在状況を精査している」として回答を避けた。
        http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012080601017
        「時事ドットコム」2012/08/06

        ●累犯窃盗:障害考慮し刑減軽 福岡地裁判決
         スーパーで万引きしたとして常習累犯窃盗罪に問われた福岡県久山町の30代男性に対する判決が7日、福岡地裁であった。男性は知的障害があり、盗みを繰り返す「累犯障害者」。吉戒(よしかい)純一裁判官は「安易に犯行に及んだ背景には障害の影響があった可能性がある」として、同罪の法定刑の下限(懲役3年)から減軽し、懲役2年2月(求刑・懲役3年)を言い渡した。
         判決によると、男性は2月に福岡県志免(しめ)町のスーパーで缶ビール6缶入りパック(販売価格1548円)を盗んだ。02年以降、盗みの罪で計4回有罪判決を受けて服役。昨年6月に仮釈放されていた。
         知的障害者に交付される療育手帳によると、男性の障害は軽度で、精神年齢は9歳4カ月。
         事件当時、男性は現金約4000円を持っていた。公判で「仕事のこととか、いろいろ考えているうちにかばんの中に入れてしまった」と供述。弁護側は責任能力がなかったとして精神鑑定を求めたが、地裁は却下した。
         判決で吉戒裁判官は「善悪の判断能力が著しく減退していたとは言えない」と責任能力を認めつつ「健常者と同程度とも言えない」と指摘。「取り調べや公判の過程で犯行による被害や影響を理解し、反省している」として情状酌量した。
         累犯障害者を巡っては、どのようにして効果的な更生を図り、再犯を防ぐかが課題となっている。裁判では障害者の更生支援に取り組む民間の福祉施設への入所を前提に、刑の執行を猶予する判決も出ているが、今回の男性は前の刑の執行終了から5年以内の再犯で、執行猶予が付かないケースだった。弁護人の三山直之弁護士は「男性が出所後の再犯を防ぐためには、家族だけでなく、福祉の支援が必要だ」と話した。
        http://mainichi.jp/select/news/20120808k0000m040174000c.html
        「毎日新聞」2012年08月08日

        ●いじめ:埼玉の中2、被害届提出へ 東村山署は数回拒否
         東京都多摩地域の私立中学校の同級生から暴行されるなどいじめを受けたとして、埼玉県在住の中学2年の男子生徒(13)と両親が8日、警視庁東村山署に被害届を提出することが分かった。両親はこれまで4、5回、同署に被害届を出そうとしたが、いずれも拒否されたという。
         母親によると、男子生徒が中1だった昨年4月ごろからいじめが始まった。ハンドソープで髪の毛を洗われたり衣服を脱がされたりしたといい、担任も把握していたという。
         今年1月には校内で同級生の男子生徒から頭をコンクリートの廊下に打ち付けられるなどして意識を失い、救急搬送された。肋骨(ろっこつ)を折り、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されたという。通学できなくなり、今年3月末に転校した。
         両親は被害届を提出しようと東村山署を訪れたが、「早く忘れてください」「相手が12歳では受理しても宙に浮く」などと断られたという。8日に受理されなければ、いじめた生徒らを刑事告訴したい意向。
         同署の市原昌樹副署長は「今の段階ではコメントできない」としている。男子生徒が通学していた中学校長は取材に「暴行した生徒には退学を勧告し今年1月末に退学した。いじめに相当するという認識で対応し、6月ごろには署から呼ばれ、事情を説明している」と話した。母親は「きちんと警察に調べてもらいたい」と話している。
        http://mainichi.jp/select/news/20120808k0000m040170000c.html
        「毎日新聞」2012年08月08日

        ●高齢者の苦悩を救えるか? 生活相談が過去最多3万5011件
         都のまとめによると、11年度に都や区市町村の消費生活相談窓口に60歳以上の高齢者から寄せられた相談件数が、過去最多の3万5011件に上ったことが分かった。都消費生活総合センターによると、高齢者の相談は年々増加。3年連続で過去最多を更新した。
         全相談に占める高齢者の割合は28.3%。特に80歳以上は前年より179件増えて7030件に達した。
         中でも、契約に関する相談が目立ち、契約額も他の世代より突出して高いという。公社債や未公開株など預貯金・証券関連(2258件)は全世代を通した相談の8割以上が60歳以上からの訴えだったという。
         中には投資先の会社自体存在しなかったなどの悪質なケースも。
         同センターは「だまされていることに気付かない高齢者も多く、周囲が守ることが大切」と、家族や周囲の人への注意を呼び掛けている。
        http://www.minnanokaigo.com/news_detail/?b=B20120806211735
        「みんなの介護ニュース」2012/08/06

        ●49歳娘、80歳母孤立死か 多摩の都営団地 胃ろうの母を介護
         七日午後二時半ごろ、東京都多摩市諏訪四、都営諏訪団地の一室で、この部屋に住む母娘とみられる女性二人の遺体が見つかった。警視庁多摩中央署は身元確認を急ぐとともに、二人に目立った外傷がないことから病死か衰弱死とみて死因を調べている。
         署によると、この部屋の住人は母親(80)と娘(49)で、寝たきりの母を娘が介護していた。娘には精神疾患があった。母親はパーキンソン病を患いほぼ寝たきりで、胃に管で栄養を送る胃ろうを使っていた。娘が先に亡くなり、栄養を取れなくなって母親が亡くなった孤立死の可能性もある。母親は定期的に訪問診療を受けており、一日に看護師が訪れた際は二人に異常はなかったという。新聞受けには三日付の新聞からたまっていた。
         この日は入浴サービスに訪れた介護業者が、室内から応答がなく、新聞がたまっていることを不審に思い、上司に連絡。通報で駆けつけた消防隊員が、窓をこじ開けて室内に入り、倒れている二人を見つけた。母親とみられる女性は六畳間のベッド上で横向き、娘とみられる女性は四畳半間の布団の上であおむけだった。
         隣の部屋に住む主婦(73)によると、二人は十年ほど前に入居。母親が寝たきりになる前は散歩で一緒になることが多く「しゃべりやすくて品のよさそうな方だった」という。娘とはあいさつを交わす程度だったが「母親を自宅で一生懸命介護していた。えらいと思っていた」と話した。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012080802000102.html
        「東京新聞」2012年8月8日

        ●生活保護:受給世帯の学習支援、追跡調査へ 埼玉県、高校中退を防止
         埼玉県は、県の学習支援を受けた生活保護受給世帯の中学生が高校進学後も通学を続けられているか、追跡調査に乗り出す。勉強についていけない子が大人になって生活保護を受ける「貧困の連鎖」が指摘される中、高校中退を減らすのが狙いだ。県によると、こうした調査は前例がなく、厚生労働省との共同実施も検討している。
         厚労省や文部科学省の調査では、全国の生活保護受給世帯の高校進学率(11年3月卒)は89・5%で、受給していない世帯の98・2%に比べ8・7ポイント低い。家庭環境が不安定で学習習慣が身につかないと、高校に進んでも中退し、就職が難しくなる傾向がある。
         悪循環を断ち切ろうと、埼玉県は10年度、受給世帯の中学生に大学生のボランティアが無償で勉強を教える学習教室を開始。今年度は7月末現在、17カ所で399人が学ぶ。10、11年度は計742人(うち中学3年生は465人)が参加し、452人が高校に進学。10年度の参加者の進学率は97・5%に高まり、受給していない世帯とほぼ肩を並べた。
         だが高校進学後の状況を把握していないため、追跡調査が必要と判断。今も高校に通えているか▽退学を考えていればどんな支援を望むか▽相談相手はいるか−−などの質問を、ケースワーカーらが直接生徒から聞き取る方式を検討している。今年度中に結果をまとめ、最初に受講した高校生が就職活動を始める13年度の支援策につなげることを目指す。
        http://mainichi.jp/feature/news/20120807dde041100053000c.html
        「毎日新聞」2012年08月07日

        ●精神障害者雇用、支えが大切 先進企業の取り組みルポ
         ◇仕事の適性焦らず確認 配属部署の理解を促す
         企業などに義務付けられている障害者の雇用は、これまで身体・知的障害が中心だったが、厚生労働省の有識者の研究会は、雇用義務に精神障害を加えることを求める報告書をまとめた。雇用する経営者や同僚となる従業員たちは、どんな意識を持てばいいのか。熱心に取り組んできた製薬会社・日本イーライリリー(神戸市)の実践を紹介する。
         本社ビルの地下。さまざまな文具が並んだ「リサイクル室」で、20~30代の男性3人が整理作業に励んでいた。
         いずれも精神障害や発達障害があり、契約社員として働く。統合失調症の製薬企業である同社は、精神障害者の社会復帰に協力するため、2006年に雇用を開始。職務の1つとして「文具リサイクル」を始めた。
         社員たちが机の中に眠っている文具、不要になったファイルなどを部署ごとにまとめておくと、彼らがコピー機のメンテナンスのついでに集め、リサイクル室で分類。文具は社員が自由に持ち出していい。この取り組みで、文具費を前年度比72万円節約したという。
         同社は法定雇用率を上回る37人の障害者を雇用し、うち13人が統合失調症、うつ病、アスペルガーなど精神障害・発達障害の人たち。製薬工場でも清掃や計器の測定などに従事している。
         能力、特性は人それぞれだ。工場内では清潔保持のため、キャップ着用を義務づけられるが、感覚過敏の症状がある30代の男性は「あごひもの感触が苦痛でキャップは嫌」と訴えた。工場の担当者は考えた末、フード付きの制服を探してきた。今では丁寧な測定作業が信頼を得ている。別の30代男性は、熱心に在庫管理の仕事をしていたが、通常と違う項目が入る日は失敗を重ねた。周囲が支え続け、1年半かかってマスターした。
         同社の障害者雇用の推進役・畠岡裕幸さん(41)は「本人に合わない仕事か、周囲が協力すればできるのか、焦らず見極めることが大事」と話す。入社時に本人の適性や能力、意欲をよく確かめ、配属部署に説明して理解を求める。1日6時間の制限勤務から始め、多くは1年以内にフルタイムになる。通院日には休んでもらう。病状悪化で契約を打ち切らざるをえなかったケースもあるが、仕事ぶりを信頼され、長く働く人が多いという。
         畠岡さん自身も、大学時代の交通事故で車いすの身。担当になって3年間で障害者雇用が急速に増えた。「障害者が大変な日常の中で働こうとする理由は、自分の可能性を広げる、社会に出たい、家族を支えたい、などさまざま。そうした本人の思いに応えることで、企業の側にもメリットがある」と力を込めた。
         ◇義務付けへ来年にも法改正
         精神障害者の就労支援はここ数年、急速に進んだ。ハローワークには精神保健福祉士などの資格者が配置され、段階的に就業時間を延長する雇用奨励金などが打ち出された。各地の障害者就業・生活支援センターの精神障害者の登録者数も、2006年の約4600人から、11年は約2万5千人と増えた。
         この状況を受け、有識者でつくる研究会は、精神障害も法定雇用の対象にするよう求める報告書を7月24日にまとめた。
         従来は民間企業(従業員56人以上)の場合、全従業員の1.8%(来年4月以降は50人以上で2.0%)以上の障害者雇用が義務付けられていた。精神障害者は対象外で、雇用した場合は「身体・知的障害者」とみなした。新たに対象となるのは統合失調症、うつ病、双極性障害、てんかんなどで、精神障害者保健福祉手帳を持つ人。
         厚生労働省は障害者雇用促進法の改正案を、早ければ来年の通常国会に提出する。
        http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120810145303753
        「中日新聞」2012年8月10日
        10年前の人権救済「要望書」のその後について情報開示請求しました。
        2012/07/30
        7月26日、私が12年前に京都弁護士会に人権救済を申し立て、受理・調査後、2002年3月に「要望書」として執行された事案について、執行対象である向日市教育委員会委員長、向日市立勝山中学校校長が、それぞれの組織においてどう対応し、その後「要望書」が求めた内容をどう取り組んできたのか否かについて、情報開示を請求してきました。「情報開示の内容」は以下の通りです。

        ▼2002年(平成14)年3月29日、京都弁護士会会長、同人権擁護委員会委員長より、向日市教育委員会委員長、向日市立勝山中学校校長宛に執行された「要望書」(申立人木下秀美から人権救済申立された事案)に対し、教育委員会及び中学校においてなされた対応がわかる資料(会議議事録、会議資料、指導等に係る方針・計画・報告資料等)、本「要望書」に対しその後取り組まれたこと及びその取り組みの前後での変化がわかる資料。
        ※本「要望書」執行が、その後学校の荒れや不登校等問題事象等の緩和・軽減等に寄与したか否か、具体的な資料等で検証することが目的である。

         折しも、大津市の中学校における自殺事案が文科省をはじめ政府もコメントを出す事態になっている最中なので、市も教育委員会を通じてできるだけの資料を開示するとは思われますが、どう議論され、何が取り組まれたのか、そのお粗末さはあらかた推測できますので、さぞ「またこいつか!この暑い中、面倒くさいヤツだ」と思われているに違いありませんね。
         それでも、こんな地味な取り組みがないと、上からの通達やマニュアル通りに必要最小限のことをやり、問題があれば隠蔽し、問題解決に向けて新たな取り組みを意欲的に始めることがない管理教育組織ですから、市民・保護者の監視と参加は不可欠です。そういえば、今朝の新聞で、京都・滋賀で「いじめ対応マニュアル」が未作成の自治体(少数派)に向日市は名を連ねていました。

        ◎必要な方は活用して下さい↓
        日本自閉症協会 平成24年3月作成 「防災・支援ハンドブック」
        防災・支援ハンドブックを開発、公開。プリンタで印刷して活用。本人・家族用、支援者用、「助けてカード」 http://www.autism.or.jp/bousai/index.htm

         それでは、最近の気になる記事です。

        いじめの証拠、開示はまれ 満足な証拠得られず裁判で不利に

         大津市の中学2年の男子生徒が自殺した問題は、両親が市や同級生らを相手取って起こした民事訴訟を契機に、いじめの実態や学校側のずさんな対応が明るみに出た。ただ、こうしたケースはごく一部にすぎず、満足な証拠を得られないまま、訴えが退けられることも少なくない。司法関係者は「証拠を集めやすくする仕組み作りが必要だ」と指摘する。
         大津市のケースは今年2月、両親が大津地裁に提訴。市教委はいじめの存在を認めながらも、自殺といじめの因果関係を否定したが、裁判を通じ「いじめ」の実態に関する全校生徒へのアンケート結果の全容など、詳細な証拠が次々と明らかになった。
         学校の対応に批判が集中すると、市は態度を軟化。市長は非を認めて和解の意向を示し、市議会では一般傍聴人に異例のアンケート公表も行われた。
         ただ、こうしたケースはまれだ。埼玉県北本市の中学1年の女子生徒の自殺をめぐり両親が市などに損害賠償を求めた訴訟では今月9日、「自殺原因がいじめとは特定できない」として、東京地裁で訴えが退けられた。
         女子生徒は「死んだのはクラスの一部に勉強にテストのせいかも」と記した遺書を残していた。「きもい」と悪口を言われ「靴隠し」などの嫌がらせにもあっていた。だが、市側は「犯人捜しのようなことをすると、人権保護団体からクレームが来る」として詳細な調査を行っておらず、裁判でも最後まで決定的な証拠は得られなかった。
         弁護団は判決後、「原因が知りたくて調査を求めたのに」と怒りをあらわにし、女子生徒の父親は「学校に文書の開示を請求しても『シュレッダー処分した』と言われるだけだった」と唇をかんだ。
         文部科学省の全国調査によると、学校でのいじめの認知件数は平成22年度で、前年度比6.7%増の7万7630件に及ぶ。「真相」を求めて訴訟に踏み切る保護者も少なくないが、被告の立場に置かれた学校側から、自ら不利となるいじめの証拠が積極的に開示される例はまれだ。
         「いじめ自殺」裁判に詳しい市川須美子独協大教授(教育法)は「遺族が求めるのは何よりも真相解明。第三者委員会による調査の定着が一番だが、教師や同級生の証人出廷を実施するなど、裁判所の対応次第で改善できる部分もあるのではないか」と指摘する。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120715/crm12071521150015-n1.htm
        「産経ニュース」2012.7.15 21:14

        ●大津・中2自殺:アンケート結果公開…市教委、市議会で
         大津市で市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、大津市教委は13日、自殺の背景調査のために実施した2回分の全校アンケート結果の公開を始めた。これまで報道陣の開示要求に「確証のない情報がある」として応じず、遺族に渡す際も、口外しないよう求める確約書に署名させていたが、同日の市議会常任委で委員10人に回答の一覧表を配布したほか、一般傍聴者15人にも同じものを配った。いじめの内容を記した内部資料が一般公開されるのは異例で、市教委によると、情報公開請求があった場合に公開すべき範囲の内容だという。
         一般公開に踏み切った理由について、沢村憲次教育長はこの日の記者会見で「保護者に渡すと当然外に出て行くし、一般市民にも伝える必要がある」と説明。同中学の在校生約880人の保護者に対し「希望があれば学校で手渡す」という内容のメールを送り、生徒にも案内書を配った。希望する保護者に市議会で配布したのと同じ資料を配る。
         公開された資料は、在校生が書いた回答を教員がパソコンで一覧表に整理したもの。昨年10、11月に実施した2回分で、加害者とされる同級生の名前などは白く消されている。
        http://mainichi.jp/select/news/20120714k0000m040096000c.html
        「毎日新聞」2012年07月14日

        ●「死んでくれてうれしい」加害少年発言か
         ◇大津市教委「いじめも一因」 学校に大量の教員メモ
         大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、全校生徒を対象にした自殺直後の最初のアンケートに、男子をいじめていたとみられる生徒が「死んでくれてうれしい」と死亡をからかうようなことを話していたとの記述が複数あることが12日、関係者への取材で分かった。滋賀県警は実態把握を急ぐ。
         アンケートは859人が対象。その中には「(男子は)完全にいじめを受けていた」との記述のほか、「(男子が)亡くなっているのにそれを笑いに変えていた」「死んだって聞いて笑った」と記しているものがあった。この生徒の言動に対し、「人を自殺まで追い込んで、死んでくれてうれしいとかおかしい。(男子の)両親に土下座して欲しい。同じ学校に通いたくない」「顔も見たくない」と記述する生徒もいた。
         教員に対しては、「生徒がいじめの相談して助けを求めてるのに何故助けてあげない!」との憤りの記述もあった。
               ◇
         大津市の中2男子自殺で、学校側がいじめの有無を生徒から聞き取った膨大なメモがあることが12日、関係者への取材で分かった。市教委幹部はこの日、「いじめも要因の一つ」と因果関係を初めて認めたものの、新たな事実が次々と発覚するなど問題は広がるばかり。文部科学省も事態を重視、異例の職員派遣に乗り出す。
         ◇10人「暴行見た」
         学校側は、在校生に実施した1回目のアンケートで回答した生徒らに、いじめの有無を聞き取った。メモはその内容を担任らがノートに記載し、学校に残していたという。
         県警は11日、同級生の3人が昨年9月の体育大会で男子生徒の口に粘着テープを貼ったなどとする暴行容疑で学校などを家宅捜索し、いじめの調査ファイルなど関係資料約130点を押収したが、このメモも含まれているとみられる。
         この暴行をめぐって、1回目のアンケートで少なくとも10人が直接見たと記述していたことも判明した。
         沢村憲次教育長は12日、記者会見し、自殺といじめの因果関係について「自殺にはいろいろな要因が考えられる。いじめだけが原因という判断ができない。いじめも一つの要因に入ると思う」と述べた。
         市教委が因果関係を認めたのは初めてだが、沢村教育長は「これまでの主張と変わらない」としている。
         ◇文科省が職員派遣
         一方、中学校が1回目のアンケート結果を父親(47)に渡す際、「部外秘」とする確約書にサインさせるなど、隠蔽(いんぺい)とも取れる対応を取っていた。市教委も県警に対し、生徒へのアンケートが2回実施されていたことを伝えていなかった。
         12日夜には学校で保護者説明会が開催されたが、校長らは謝罪せずに警察から強制捜査を受けた経緯などを説明。出席者から「言い訳ばかり」と不満の声が聞かれた。
         男子の父親も出席し、「真相を明らかにするためご協力をお願いしたい。お騒がせして申し訳ありません」と述べた。
         混乱する状況を踏まえ、文科省は職員を市役所に派遣し学校の実態把握を進め、改善支援に乗り出す。同省幹部は「学校や教委は当事者能力が欠けている。混乱をとどめる必要がある」と語った。
         ◇14歳なら刑罰適用
         暴行したとされる同級生3人は、捜索容疑の昨年9月時点で誕生日を迎えていれば14歳、その前であれば13歳。一般的には、その年齢差で司法手続きは大きく異なる。
         刑罰を適用できる年齢は14歳以上。殺人など重大事件を犯した場合は、成人と同様に裁判所で裁かれることもある。
         「触法少年」と呼ばれる14歳未満の少年は、刑事責任を問われず、逮捕されることもない。ただ重大な罪を犯したと思われる場合は、「おおむね12歳以上」なら少年院送致の保護処分になることもある。
         県警幹部は「アンケートには多くの生徒が登場しており、事情を聴くのも時間がかかる」と捜査の課題を指摘するが、いじめが事件化されるケースは多い。
         警察庁によると、いじめが発端となって刑事事件となったのは、平成22年は133件に上った。逮捕、補導された児童生徒は281人で、うち中学生が228人で8割以上を占めた。
         13年以降の統計では、いじめが発端となった事件は16年から増加傾向で18年に233件とピークとなったが、その後は200件を割り込み減少傾向となっている。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120713/crm12071307090003-n1.htm
        「MSN産経ニュース」2012.7.13

        ●横浜の小学校で発達障害児がいじめ被害、学校の対応遅れ転校/神奈川
         横浜市金沢区に住んでいた市立小学校6年の発達障害の男子児童(11)が、同級生から暴行など継続的ないじめを受けていたことが12日、分かった。保護者は4月から数回、学校側にいじめ被害を訴えていたが、学校側が認めたのは5月末。被害児は6月に1週間のけがを負い、転校した。学校側は「認識が浅く、いじめに気付くのが遅れた」と釈明している。
         被害児の保護者や同校によると、普通学級に通学していた高機能自閉症の被害児は4月以降、同じクラスの男児3人から、学校内や下校途中に障害児を意味する「ガイジ」というあだ名で呼ばれたり、蹴るなどの暴力を振るわれたりするいじめを継続的に受けた。
         泥まみれで血を流して帰宅したこともあったという。
         被害児はいじめを隠したが、自宅で壁に頭をぶつけたり、「死にたい」とカッターを手首に当てたりとたびたびパニックを起こした。知人から「いじめに遭っているのでは」と聞いたこともあり、母親が4月下旬、学校側に相談。担任教諭らは男児3人に事情を聴いた。その上で担任らは「仲良しグループで暴言は互いに言い合った」「一方的な暴力はあったが(加害児を)指導した」などと保護者に説明し、いじめを否定したという。だが、その後もいじめは続いたという。
         6月1日の下校途中には、被害児は両膝や肩などに1週間のけがを負った。保護者によると、この3人のうち2人に路上で押し倒され、蹴られるなどしたという。保護者は「安心して通えない」と同4日、市教育委員会に転校を申し出た。手続きが素早く進まなかったため、自ら住民票を区外に移し、同8日に転校した。被害児は今もパニックに陥るなど不安定という。
         校長は「4月の担任による指導で解決したと考えていた」と、5月末になっていじめと認識したと釈明。「発達障害への理解も不十分だった」と説明する。一方で6月の暴行については、男児2人は「やっていない」と話しているという。
         校長らは6月末、保護者らに謝罪。今後、実態把握を進めるとともに、6年生の保護者向け説明会を開く予定で、再発防止に努めるという。
        http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1207130004/?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitte
        「カナロコ」2012年7月13日

        ●いじめ自殺 裁判負けたら公金支出
         17日、大津地裁で、自殺した男子の遺族が市や加害者とされる生徒らに計約7700万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が開かれた。市の代理人が「自殺の因果関係を認める可能性は高い。市は和解協議をさせていただく意思がある」と陳述したのに対し、沢村憲次教育長は従来の主張をいまだに繰り返していた。
         沢村教育長は「一因である可能性がある」としながらも「自殺の背景には家庭内の出来事などもあると聞いている」と発言。警察や調査委員会が、家庭背景なども明らかにすべきとの認識を示した。
         この発言を分析したのは、民主党の長島一由衆院議員(45)だ。長島氏は逗子市長時代に、教育委員会など直接やり取りした経験があるだけに〝事情〟に詳しい。
        「(裁判に)負けたら公金の支出になる。事務方は持ち出しを気にしている。しかし、ここまでクローズアップされては、まずいと思ったのでしょう」と指摘した。
         さらに、この中学は文部科学省から2009年、10年と「道徳教育実践研究事業推進校」に指定されていた。当然、国から特別に予算まで組まれていたという。
         おめおめ裁判に負けて公金を支出するわけにはいかず、一方で〝道徳教育推進校〟時代に予算が組まれていたことが蒸し返され非難されるのも避けたい――こんな事情から意味不明の対応になっているとしたら、学校を指導するどころではないだろう。
        http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/23902/
        「東スポWeb」2012年07月21日

        ●自殺防止で警察庁に協議要請 文科省、いじめ情報共有
         大津市の中2自殺を受け、文部科学省が、子どものいじめ自殺防止に向けて警察庁と連携を強めようと、実務者同士で定期的に協議し、情報交換する場を設けるよう求めたことが17日、文科省関係者への取材で分かった。
         平野博文文科相が同日夕、警察庁で松原仁国家公安委員長と会い要請。松原委員長も「大事なことだ」と受け入れる考えを示したという。
         いじめ問題を担当する文科省児童生徒課と警察庁少年課が協議する見通し。連絡体制を見直し、子どもの命に関わる事態があれば、文科省から警察庁に情報を提供して悪化を防ぐことも想定している。
        http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012071701002576.html
        「共同通信」2012/07/17

        ●大津いじめ、全教諭調査結果を遺族に伝えず
         大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)がいじめを苦に自殺したとされる問題で、自殺直後、学校側が全教諭に対し、男子生徒へのいじめの有無を調査していたにもかかわらず、その結果を遺族に伝えていなかったことが、市教委への取材でわかった。
         文部科学省は指針で、自殺があった場合、1週間以内に調査し、遺族に説明するように求めているが、学校側は調査したことさえも知らせていなかったという。学校によるずさんな対応がまた浮かび上がった。
         市教委によると、調査は自殺直後の昨年10月中旬、教諭約60人にいじめを見聞きしたかどうかをアンケートで質問。男子生徒の担任や2年生の担当教諭ら約10人については、校長らが直接聞き取り、記録していたという。文科省が昨年3月、自殺の再発防止に向けて策定した「子どもの自殺が起きたときの調査の指針」では、学校側の対応として「自殺から3日以内に全教師、数日以内に亡くなった生徒と関係の深い生徒から聞き取りを行い、1週間以内に遺族に説明する」との原則を示している。
         しかし、市教委が調べたところ、学校側は遺族に対し、全校生徒対象のアンケート結果を伝えただけで、全教諭を調査したことや結果を説明していなかったという。市も近く設置する外部委員会で、説明しなかった理由や経緯を調べる。
         市教委も、学校の遺族対応の不手際について把握はしていなかった。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120724-OYT1T00284.htm
        「読売新聞」2012年7月24日08時05分

        ●京滋34教委「適否言えず」 大津中2自殺、対応めぐり
         大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、京都新聞社は29日までに、自殺との関連が指摘されるいじめの対策について、大津市以外の京滋の各教育委員会にアンケートを行った。大津の対応について京都は府教委など7教委、滋賀は県教委など2教委の計9教委が「不適切」とし、「適切」とした回答はゼロだった。
         アンケートは今月下旬、京都の25教委と滋賀の19教委に実施。「回答できない」とした甲賀市を除く計43教委の回答を集計した。
         大津市の対応の適否を尋ねたところ「適切」は0で、「不適切」が9教委、「分からない」が34教委だった。
         「不適切」とした9教委のうち、府教委は「状況把握や学校への指導の不十分さ、また十分な調査を行わず、調査結果も一部しか公表しなかったなど、いずれをとっても極めて不適切」と批判。県教委も「もっと積極的、主体的に対応すべきだった」とした。宇治田原町は「中学校のアンケート結果をうのみにした」と指摘した。
         また福知山市、綾部市、長岡京市、相楽東部広域連合(笠置町、和束町、南山城村)、伊根町は、「報道などで知る限り」と前置きした上で「迅速かつ誠実な対応とは言えない」(福知山)と言及。彦根市は「滋賀県の教育に混乱を招いた責任は重い」とした。
         滋賀はそのほかの16教委が「判断する情報を持ち合わせていない」(高島市)といった理由で、適切か不適切かの判断を避けた。京都は京都市、宇治市など18教委が「分からない」と答えた。
         また、いじめ対策のマニュアルを作成している京都の7教委、滋賀の7教委が、今回の事件を受けてマニュアルが不十分と判断、見直しや対策の再検証に乗り出すと答えた。
        http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120730000045
        「京都新聞」2012年07月30日
        大人を見て育つ子どもは社会の「鏡」。
        2012/07/12
        大津市立皇子山中学2年の男子生徒が昨年10月に自宅マンションから飛び降りて(?)亡くなった事件は、日々新たな展開を見せています。
         ネット上では、実名・写真入りで詳細な実に様々な情報が溢れるほど流れています。
         SNSの書き込みをまとめたサイト「togetter」で、この事件を「大津・皇子山中学いじめ事件まとめ」として公開されていますので、参考まで…。
        http://togetter.com/li/334245
         中学2年の夏休みを境に、加害者・被害者の関係性が激変したとされます。人生で最も多感で繊細な成長段階である思春期は、不登校や暴力・いじめなどの反社会的行為が最も多いこと、中学2年がそのピークであることは、少なくとも20年以上前からわかっています。それらの解消に向けて、スクールカウンセラー導入、特別支援教育などが取り組まれてきましたが、いわゆる「問題事象」が減ったとはとても言えず、むしろ今回のいじめ行為に見られるように、その残虐性が増しています。
         そして、さらに問題視しなければならないのは、教育委員会、学校管理者、教師、警察、行政などの体質が全く変わっていないことと、PTAが本来の機能を果たしていない所が増えていることです。地域の大人たちの関係性も希薄になり、家が孤立化し、子どもはさらに個化していっています。
         いじめを受けていることを打ち明ける対象である大人が、その子の周りに存在しているか? 苦しさや惨めさや辛さ、救いを求める子どもの小さなサインをちゃんと気づいて、しっかりとその子を守る体制を築く大人たちが存在しているか? 「教育者」の立場にある大人が、子どもの気持ちよりも、自分の立場を守ることや責任回避を優先して、隠蔽したり、ウソをついて誤魔化したりしていないか? 自分たちの行為を、子どもたちは見て 育つという自覚があるか?
         今回の事件に直接関わる大人も、マスコミ報道などを通して知る大人も、こうした点を自問することが、被害者の死を悼む大前提の行いではないでしょうか。
         それでは、最近の気になる記事です。

        大津いじめ自殺 市教委の対応は看過できない

         いじめに苦しんで失われた命の重みを、どう受け止めたのか。教育現場は組織防衛に腐心したとしかみえない。
         大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒が飛び降り自殺した。その対応を巡り、市教育委員会が、いじめの一端を把握しただけで調査を打ち切っていたことがわかった。
         自殺直後、遺族の求めで市教委が全校生徒に実施した2回のアンケートには、男子生徒が「自殺の練習をさせられていた」「恐喝されていた」といった回答があった。教師が「見て見ぬふりをしていた」との回答も含まれていた。
         いずれも自殺の背景を想起させる内容だ。市教委が真偽を十分確かめることなく、3週間の調査で「事実の確証を得られなかった」と結論づけたのは問題である。
         2回目のアンケート結果に至っては、大半が確認作業さえなされていない。「葬式ごっこ」との言葉もあったが、遺族にも説明していなかった。市教委は「見落とした」と釈明している。
         一連の市教委の対応は、ずさん極まりないと言うほかない。いじめに向き合う責任感が欠如していると言えよう。
         今月になって大津市の越直美市長は調査の欠陥を認め、再調査の実施を決めた。当然だろう。
         再調査は、有識者による第三者委員会が担う。なぜ自殺を防げなかったのか。市教委や学校にとって都合の悪い情報を隠そうとしたのではないか。問題点を徹底的に洗い出してもらいたい。
         男子生徒の両親は、市などを相手取り損害賠償請求訴訟を起こしている。市は、いじめと自殺の因果関係を否定し、係争中だが、市長は和解の意向も示している。当面は訴訟の中断か延期を申し入れるという。
         訴訟の当事者も、再調査に全面的に協力すべきである。
         ◇警察の対応にも疑問が残る。
         生徒の死後、父親が3回、被害届を出そうとしたが、滋賀県警は「犯罪事実が特定できない」と受理しなかった。真相解明に及び腰だったとみられても仕方がない。11日にようやく捜査班を設置し、市教委や中学校を捜索した。
         文部科学省が把握している学校でのいじめの件数は、2010年度に7万7630件を数え、4年ぶりに増加に転じた。表面化していないケースもあるだろう。
         どの学校でも、いじめは起こり得る。予兆を見逃さないためには個々の事例を検証し、教訓を教育現場で共有することが大切だ。
        http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120711-OYT1T01501.htm
        「読売新聞・社説」2012年7月12日

        ●<大津の中2自殺>生前に自殺練習強要
         大津市で昨年10月、同級生からいじめを受けていた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自宅マンションから飛び降り自殺した問題で、学校が全校生徒に実施したアンケートに対し、15人の生徒が「自殺の練習をさせられていた」と回答していたことが3日、関係者への取材で分かった。市教委は昨年11月の記者会見でこの事実を明らかにしていなかった。
        【15人の生徒が回答】「死んだスズメを口の中に入れろと言われていた」「昼休みに毎日自殺の練習をさせられていた」
         男子生徒の両親が今年2月、大津市や加害生徒3人と保護者を相手取り、約7720万円の損害賠償を求めて大津地裁に提訴。5月の第1回口頭弁論で市はいじめがあったと認めたが、「いじめを苦にしての自殺と断じることはできない」と主張していた。両親の代理人はアンケートの回答について、17日に開かれる第2回口頭弁論に提出する準備書面で主張する。
         アンケートは男子生徒の自殺後にいじめについて実施し、約320人が回答した。15人の生徒は「自殺の練習とか、トイレで殴られていたとか、死んだスズメを口の中に入れろと言われていた」「何回も自殺の練習をさせられていた。先生に相談したけど何もしてくれなかった」などと回答。「昼休みに毎日自殺の練習をさせられていた」「がんの友達に自分の命をあげるなどと言っていたらしい」との回答もあった。
         また、13人が「友達なのにお金を恐喝されていた」「脅して銀行の番号を聞き出し、その銀行からとったお金を使っていた」と回答、15人が「万引きを強要されていた」と書いた。
         男子生徒は昨年10月11日朝、自宅マンション敷地内で倒れているのが発見され、滋賀県警大津署が自殺と断定した。学校側は当初「いじめは把握していない」としていたが、全校生徒へのアンケートでいじめの事実が判明した。
         これまでに明らかになったのは、ヘッドロックをかける▽トレーニングと称して押さえ込む▽毎日のようにズボンをずらす▽蜂の死骸を食べさせようとする--などで、担任が目撃していたが、軽い注意にとどまっていた。
         市立中の教頭は「アンケートをしたのは事実。訴訟中であり、コメントは差し控えたい」と話した。
        http://mainichi.jp/select/news/20120704k0000m040112000c.html
        「毎日新聞」7月4日(水)

        ●滋賀・大津市男子中2生自殺 警察、被害届の受理を3回拒否
         滋賀・大津市で、いじめを受けていた中学2年生の男子生徒が飛び降り自殺した問題で、男子生徒の両親が警察から被害届の受理を3回にわたって拒否されていたことがわかった。
         この問題は2011年10月、大津市で中学2年生の男子生徒が自宅のマンションから飛び降り自殺したもので、大津市の教育委員会が全校生徒を対象に行ったアンケート調査では、男子生徒が複数の生徒からいじめを受けていたことが明らかになっている。
         両親は、男子生徒が自殺したあと、「暴行の事実がある」と警察に対し3回にわたって被害届を提出しようとしたが、大津警察署から受理を拒否されていたことがわかった。
         一方、教育委員会のアンケート調査では、「先生も見て見ぬふり」、「先生は一緒になって笑っていた」などと、教師がいじめを放置していたことを示す回答が、少なくとも14人分あったことがわかった。
         アンケート調査では、男子生徒が「自殺の練習をさせられていた」という回答があったこともわかっているが、教育委員会は当初、アンケート結果の一部しか公表していなかった。
         男子生徒の父親は「事実をはっきりさせて、何が原因だったのか、究明したい」と話している。
        http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00226786.html(動画有)
        「関西テレビ」07/05

        ●教諭見て見ぬふり…いじめ自殺、生徒回答15件
         大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が飛び降り自殺した問題で、自殺直後の全校生徒アンケートで「教諭らが見て見ぬふりをしていた」などとする回答が計15件あったことがわかった。
         いじめを学校側が放置していた可能性を示すこうした回答についても市教育委員会は公表しておらず、市教委は読売新聞の取材に「具体的な記述がなく、事実確認できなかったため」と説明している。
         15件はいずれも伝聞による内容。記名が7件で、「(先生も)怖くて言えなかったらしい」「担任の先生もいじめのことを知っていたのに一度しか注意しなかった」などと書かれていた。無記名は8件で、「一度、先生は注意したが、その後は一緒に笑っていた」「何回も自殺の練習をさせられていた。先生に相談したけど何もしてくれなかった」「(男子生徒は)泣きながら電話で言ったそうですが、あまり対応してくれなかった」などとしていた。
         一方、男子生徒が同級生から暴行などのいじめを受けたことについて、父親(46)が自殺直後から昨年末にかけて計3回、大津署に被害届を提出しようとしたが、いずれも受理されなかったことがわかった。
         父親は「毎日殴られていた」「体育大会の時、複数から殴られた」などとするアンケートの回答に加え、自ら複数の同級生から聞き取った話を基に、同署に相談。その際、応対した署員は「暴行の被害者が(死亡していて)不在で、捜査しても刑事事件としての事実認定は難しい」「加害者の生徒を家庭裁判所に送っても処分がどうなるか、わからない」などとして受理を断ったという。
         父親は「亡くなった息子に代わって被害届を出そうと思った。親にできることは限られており、受理してほしかった」と話している。同署は読売新聞の取材に「事実関係を確認中で現時点ではコメントできない」としている。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120705-OYT1T00598.htm
        「読売新聞」7月5日(木)

        ●いじめた側にも人権…「自殺練習」真偽確認せず
         大津市の市立中学2年男子生徒が自殺したことを巡って行われた全校アンケートで「(男子生徒が)自殺の練習をさせられていた」との回答を市教委が公表しなかった問題で、市教委が加害者とされる同級生らに対して直接、真偽を確認していなかったことがわかった。
         市教委はこれまで、非公表にした理由を「事実を確認できなかったため」と説明していた。
         市教委によると、「自殺の練習」は、生徒16人が回答に記していた。うち実名で回答した4人には聞き取りをしたが、事実は確認できず、それ以上の調査もしなかったという。加害者とされる同級生らにも聞き取りを行う機会はあったが、「練習」については一切尋ねなかったとしている。
         その理由について、市教委は読売新聞に対し、「事実確認は可能な範囲でしたつもりだが、いじめた側にも人権があり、教育的配慮が必要と考えた。『自殺の練習』を問いただせば、当事者の生徒や保護者に『いじめを疑っているのか』と不信感を抱かれるかもしれない、との判断もあった」と説明。結局、事実がつかめなかったとして、非公表にしたという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120705-OYT1T01621.htm
        「読売新聞」7月6日(金)

        ●大津中2自殺、本人が担任に「いじめ受けてる」
         大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が飛び降り自殺した問題で、担任の男性教諭が、男子生徒からいじめを受けていると電話で数回、相談を持ちかけられていたとの複数の証言があることが分かった。
         市教委の全校生徒アンケートでも「教師が見て見ぬふりをしていた」と複数の回答があった。
         読売新聞の取材に対し、市教委は「担任教諭が、生徒から相談されていたとは聞いていない。そんなことはあり得ない」としており、大津市は6日、有識者らによる外部委員会を設置することを決め、経緯について調査に乗り出した。滋賀県は同日、緊急対策チームの発足を決定、文部科学省も事実関係や市教委の対応が適切だったかどうかを調査する方針を決めた。
         生徒は昨年10月11日朝、自宅マンション(14階建て)の最上階の通路から飛び降り死亡した。複数の関係者によると、この直後、学校で担任教諭が生徒数人に対し、「死亡した生徒から、いじめを受けていると電話で相談があった」などと話していたという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120707-OYT1T00007.htm
        「読売新聞」2012年7月7日

        ●「もう死ぬわ」に「死ねばいい」返信
         大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、学校側が直後に全校生徒に実施したアンケートに、「(男子生徒が)『もうおれ死ぬわ』とメールをして、(いじめていたとされる同級生の一人が)『死ねばいいや』と送り返していた」との回答が含まれていたことが6日、関係者への取材で分かった。市教委は男子生徒の両親にメールの履歴などの確認をしていなかった。越直美市長は同日、外部の有識者による調査委員会の設置を決め、文部科学省も調査を実施する方針を固めた。
         メールについての回答は7人分あったが、いずれも伝聞で、記名は3人。「亡くなる前日にいじめていた3人に『明日死にます』のメールを送った」と書いた生徒もいた。また、「がんの友達に自分の命をあげると言っていたらしい」など、いじめと自殺の関連を示唆する回答もあった。
         男子生徒の父親(46)は「短期間でストレスを受け続け、生きていくのがいやになったのかもしれない。学校の対応が早ければ、自殺を防げたと思う」と話している。
         一方、「男子生徒が自殺の練習をさせられていた」との回答について、市教委がいじめ行為をしていたとされる複数の同級生に、そのことを確認していなかったことも判明。越市長は6日の会見で涙ぐみながら「自殺の練習は真実なら、痛ましい話。もっと早く調査に取り組むべきだった」と話した。
        http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120707/crm12070701450004-n1.htm
        「産経ニュース」2012.7.7

        ●福島原発事故、自然災害でなく「人災」=国会事故調報告書
         東京電力福島第1原発事故を検証してきた国会の事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、「事故は自然災害ではなく明らかに人災」とする報告書を衆参両院議長に提出した。
         震災前に地震や津波に対する十分な安全対策が取られなかったほか、監視・監督機能が崩壊していたことが根源的原因と結論付け、東電の過酷事故に対する準備不足や政府・規制当局の危機管理体制の不備も批判した。そのうえで国会が電力会社や原子力規制当局を監視することなどを提言した。
         報告書はまず、福島第1原発は震災時点で「地震にも津波にも耐えられる保証がない脆弱な状態であったと推定される」とし、必要な対策が先送りされていなければ事故を防げた可能性があると指摘した。また「歴代の規制当局と東電との関係において、規制する立場とされる立場の逆転関係が起き、規制当局は電気事業者の虜となっていた。その結果、原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していた」とし、政府、規制当局、東電を批判した。
         事故の直接的な理由については「1号機の安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない」との見解を示した。
         現場の運転上の問題としては、東電が過酷事故に対する十分な準備、知識、訓練などを実施しておらず、「組織的な問題」があったと指摘。事故後の対応では、官邸や規制当局の危機管理体制が機能しなかったほか、東電と政府の責任の境界が曖昧だったことを問題視し、住民への避難指示が的確に伝わらなかったことも被害の拡大を招いたと説明した。
         官邸による発電所現場への直接的な介入に関しては、現場対応の重要な時間を無駄にしたほか、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった、と批判。一方で、事故後の東電の情報開示が不十分だったほか、現場の技術者の意向より官邸の意向を優先し、曖昧な態度に終始したことにも問題があると指摘した。東電については、規制された以上の安全対策を行わず、より高い安全を目指す姿勢に欠けていたとし「緊急時に発電所の事故対応の支援ができない現場軽視の経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者としての資格があるのか」との疑問を呈した。
         一方、東電が政府に伝えたとされる全面撤退方針については、東電本店で退避基準の検討は進められていたが、全面退避が決定された形跡はなく、「総理によって東電の全員撤退が阻止されたと理解することはできない」との判断を示した。東電と官邸の間で認識ギャップがあり、その根源には「東電の清水社長(当時)が官邸の意向を探るかのような曖昧な連絡に終始した点があった」と指摘した。
        <7つの提言>
         報告書には、問題解決に向けた7つの提言も盛り込んだ。原子力規制当局を監視するため、国会に原子力問題に関する常設委員会を設置することや、電力会社が規制当局に不当な圧力をかけないよう国会が厳しく監視することを提案。このほか、政府の危機管理体制の見直し、被災住民に対する政府の早期対応、規制組織の抜本的な転換、原子力法規制の見直し、民間中心の専門家からなる独立調査委員会の活用を呼び掛けた。
        http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE86400R20120705
        「ロイター-JST」2012年 07月 5日

        ●精神科への入院、原則1年以内に…厚労省が方針
         厚生労働省は28日、精神科への入院を原則1年以内とする方針を決めた。
         入院治療の必要性がない患者を早期に退院させ、地域で暮らせるようにするのが狙い。退院支援に携わる精神保健福祉士らを配置するなどの取り組みを、早ければ来年度から始める。
         同日開かれた有識者検討会のとりまとめを受けた。
         国内の精神疾患による入院患者は約33万人(2008年)で、約22万人が1年以上の長期入院だ。10年以上の入院も7万人を超える。統合失調症が多いが、近年は認知症も増えている。
         入院期間を短縮させるため、発症間際で症状が激しい患者に対応する医師の配置基準を、現在の3倍と一般病院並みに増やす。精神保健福祉士や作業療法士など、退院支援に当たる専門職も置くようにする。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120628-OYT1T01247.htm?from=tw
        「読売新聞」2012年6月29日07時38分

        ●寝不足の脳は不快なものに反応、抑制利きにくい
         寝不足で不安になったりイライラしたりするのは、脳が不快なものに反応しやすくなる一方、抑制が利きにくくなるのが原因であることを国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長らが突き止めた。
         28日から横浜市で開かれる日本睡眠学会で発表する。
         研究チームは、20~31歳の男性14人に、1日4時間と8時間の睡眠を5日間続けてもらい、それぞれの最終日に脳の活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で調べた。
         恐怖の表情の画像を見せると、4時間睡眠で寝不足の時は、不安や緊張などに反応する脳の扁桃体
        へんとうたい
        という部分の活動が8時間睡眠時に比べて活発になった。幸せな表情の画像を見せた場合には違いはなかった。
         また、寝不足時には扁桃体の働きを調節する大脳の皮質の活動が扁桃体と同調せず、抑制が利きにくいことがわかった。抑制が利きにくくなる人ほど、心理テストで不安・緊張や混乱の度合いが高かった。
        http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120627-OYT1T00845.htm?from=tw
        「読売新聞」2012年6月28日07時18分

        ●積極請求に京滋自治体困惑 親族への生活保護費返還
         ◇扶養義務(3親等内)の範囲
         生活保護受給者の親族に扶養能力がある場合、保護費の返還を積極的に求める意向を厚生労働省が示したことに対し、京滋の自治体から戸惑いの声が上がっている。芸能人の親族が受給していたことを受けての措置だが、自治体担当者は権限や人員の問題から効果を疑問視する。支援団体は「受給抑制につながる」と警戒を隠さない。
         保護費返還は生活保護法に定められ、親子など直系血族、兄弟姉妹、3親等内の親族に対し、自治体が全額や一部を請求できる。厚労省は近く請求手続きを促進するマニュアルを自治体に示す。仕送りを断る親族に対し、扶養が困難な理由を証明する義務を課す法改正も検討している。
         生活保護事務の現場では、実際に親族に請求するケースは少ないとみられる。京都新聞社が生活保護事務の権限を持つ京都府と府内15市に聞いたところ、少なくとも過去5年間で1件も請求はなかった。
         理由の一つは権限の問題だ。自治体は親族に資産や支援の可否を尋ね、同意が得られれば仕送りしてもらっている。だが京都市地域福祉課の高見雄担当課長は「強制的に資産を調べる権限はなく、『余裕がない』と回答されれば信じるしかないのが現状」という。
         マンパワーも不足している。国基準ではケースワーカーは1人で80世帯を担当する。大津市生活福祉課の皆川宏司課長は「すべての対象者を調査できるわけではない。今強化しても見せしめ的な処分になって、公平性が保てない」と慎重姿勢だ。
         生活保護受給者を支援する「全京都生活と健康を守る会連合会」(下京区)の大本義雄事務局長によると、親族に自分の困窮を知られるのが嫌で、申請を控える人もいる。大本事務局長は「家族からの取り立ては、(窓口で受給申請を拒否する)『水際作戦』になりかねない。世間のバッシングを口実に、国は受給削減を強行しようとしている」と批判する。
         ◇冷静な議論必要
         里見賢治・佛教大教授(社会保障論)の話 「扶養は生活保護より優先して行われる」と法律で定められており、親族に余裕がある場合、請求するのは当然だ。だが、3親等内という扶養義務は古い家族観に基づくもの。ほとんど付き合いのない親戚の保護費を強制的に取り立てることになり、大混乱になる。時代に合った範囲を国民合意の下で見直す必要があり、冷静な議論が必要だ。
        http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120628000023
        「京都新聞」2012年06月28日

        ●生きられる社会へ:生活保護の今 「扶養義務」虐待、音信不通の親にも? 一律に押し付けおかしい
         人気お笑い芸人の母親が生活保護を受けていたとして批判されたのを機に、政府は親族による扶養義務の強化を検討し始めた。だが、生活保護制度は命を守る「最後のとりで」として、家族の支援が得られないさまざまな事情も考慮して運用されてきた面もある。家族への「責任回帰」は、現代の家族関係にどんな影響を及ぼすのだろう。【稲田佳代】
         ◇家族への「責任回帰」に心理的圧迫
         「母や兄にはお金のことで振り回されっぱなし。もう嫌です」。東京都内に住む女性(24)はため息をついた。
         生後2カ月で、兄とともに児童養護施設へ預けられて育った。父親は知らない。
         21歳の時、一度は会っておかないと一生後悔する気がして、母親と連絡を取った。「私のことを心配していてくれるかも」という淡い期待は、すぐに裏切られた。連絡先を交換すると、携帯電話に何度もメールが来た。「今いくら稼いでいるの」「家賃の督促状が来た。追い出されちゃう。お金貸して」
         捨てられて憎いのに、心のどこかで母親とつながっていたい気持ちが消せない。だから、苦しい。嫌悪感と「自分が何とかしなきゃ」という気持ちの板挟みになった。施設で育った仲間に相談し、母親を着信拒否にしたが、しばらくうつ状態に陥った。
         母だけではなく、ともに施設で育った兄にも悩まされている。他人の財布を盗んで逮捕され、被害者へ返すお金を女性が立て替えたこともあった。家族のお金の問題は、結婚を考えている男性の親との関係にも影を落としている。
         「縁を切りたいけど、『家族だから養うべきだ』と言われたら、すごく悩む」
         小学4年から児童養護施設で育った別の女性(28)も「一律に『養うべきだ』と押し付けるのはおかしい」と訴える。
         運転手だった父親はいつも酒を飲み、子どもがいる前で母親に性交を強いることもあった。女性が小学6年の時に父親が亡くなり、母親は遺族年金で暮らすようになったが、親らしいことをしてもらった覚えはない。18歳で施設を出る時、母親は女性の成長を喜ぶより、年金の加算が減ることを惜しんでいた。
         親に巻き込まれず、自分を大切にしようと生きてきた。生活保護制度をめぐり、恵まれた家庭に育った政治家が家族の責任を強調する姿をテレビで見ると、嫌気がさす。
         「親の扶養が重荷になって貧困の連鎖を断ち切れない人もいる。家庭環境に格差があっても、努力すればみんながフェアなスタートを切れる。そんな方向にこそ社会を進めてほしいのに」
           ◇
         児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の相談件数が増え、離婚も珍しくなくなった。家族を巡る社会状況が大きく変わっている中で、家族による扶養義務を強化する動きは、逆に加速している。
         お笑い芸人の母親の騒動を受け、小宮山洋子厚生労働相は5月、生活保護を申請した人の親族が「扶養できない」と回答した場合、その理由を証明するよう義務付ける考えを明らかにした。大阪市は今月から、全受給者に改めて親族の職業や年収を申告させている。親族に十分な資力があるとみなせば、改めて扶養を求めるためだ。
         さらに厚労省は、今月5日の国家戦略会議に提出した「生活支援戦略」の中間まとめで、受給者を扶養できる親族に対し、必要に応じて保護費の返還を求めることなどを促す仕組みを検討する考えを明記した。
         いずれも財政難のなか「給付の適正化」を目的とした対策だが、受給者とその家族への心理的な圧迫感を強めている。
         生活困窮者を支援する弁護士やNPO関係者でつくる「生活保護問題対策全国会議」が6月初旬に行った緊急電話相談には、虐待した親や、両親が離婚して音信がない片親に複雑な感情を抱く人、自身も生活が厳しい人から「援助しなければならないのか」「援助を求められたら、と思うだけで不安だ」といった相談が相次いだ。
         そもそも、扶養する能力があるかどうかは、他人はもちろん本人自身さえ判断は難しい。世帯構成や家庭の事情、ライフプランは人それぞれで、子どもの教育費や家族の急病に備えた貯金も必要になる。家族に言えない秘密の借金がある人もいる。
         2年前まで都内の自治体で30年以上ケースワーカーを務めた男性(54)は、扶養照会について「事務作業にかかる人件費と比べ、実りがない」と言う。男性はかつて、1人で100世帯ほどを担当していたが、扶養照会によって経済的支援を申し出る人は1~2人、それもせいぜい月5000~1万円程度という現状を、目の当たりにしてきたからだ。男性は言う。
         「生活保護の相談に来る人は、いろいろなことがあって、既に誰にも頼ることができなくなっている状態の人が多い。介護保険制度の導入で、これまで家族が抱えていた親の介護を『社会化』することができたように、困窮者の生活支援も今や、家族に頼る時代ではなくなっているのではないでしょうか」
        http://mainichi.jp/select/news/20120710mog00m040002000c.html
        「毎日新聞」2012年07月10日

        ●「発達障害、子育てで防げる」 議員勉強会に抗議・批判
         超党派の国会議員66人でつくる「親学推進議員連盟」が、「伝統的な子育てで発達障害を予防できる」という趣旨の勉強会を開いたとして、発達障害者の支援団体が28日、議連会長の安倍晋三元首相あてに、勉強会で使われた資料の破棄などを求める要望書を送った。資料には、脳の先天的機能障害である発達障害について「予防は簡単、治療は大変」などと記されているといい、「科学的根拠を欠く」と抗議している。
         要望書を送ったのは、発達障害の当事者や研究者らでつくる日本発達障害ネットワークと、NPO法人アスペ・エルデの会。勉強会は5月下旬にあり、民間教育団体の所長と、大学教授が「発達障害を予防する伝統的子育て」をテーマに話した。配られた資料には、伝統的子育ての方法として「言葉かけが多い」「あやす」などの記載があったという。
         同ネット理事長の市川宏伸・東京都立小児総合医療センター顧問は「育て方で後天的に生じる発達障害はない。こうした考え方は、親への偏見を助長する」と批判する。
         議連は今春、親への適切な育児情報を提供する「家庭教育支援法」の制定を目指し発足。事務局長の下村博文衆院議員が、勉強会の内容をブログで紹介すると抗議が相次いだ。議員は今月2日、ブログ上で「誤ったメッセージになった。深くおわびする」と謝罪したが、要望書については「講演内容への要望なので、講演者が対応すべきだ」と話した。
        http://www.asahi.com/national/update/0629/TKY201206280789.html
        「朝日新聞デジタル」2012年6月29日

        ●発達障害児支援:7割「子どもに変化」 担当教諭ら、特性に応じ支援効果−−県追跡調査/埼玉
         発達障害のある子どもと接している保育士や幼稚園教諭らを対象に県が11年度に実施した研修で、受講者の3分の2以上が障害の特性に応じた支援を通じて子どもの行動に変化を感じていたことが、県の追跡調査で分かった。県は今年度も研修の内容と規模を拡充し、発達障害のある子どもへの支援の浸透を図る。
         県は11年度から福祉政策課に発達障害対策担当として専従職員7人を配置し、支援態勢を強化してきた。研修も3回に渡って行われ、県内の幼稚園など1116施設から1580人が受講。発達障害の基本知識、具体例を踏まえた子どもの支援方法などを学んだ。
         研修後の現場での実践を踏まえたアンケートには838人が回答(一部のみ回答も含む)。7割近くが「障害の特性に応じた支援を行った結果、子どもの行動に変化があった」と答えた。
         また、県はさいたま市以外の全市町村で担当職員を「発達支援マネジャー」として育成したものの、アンケート回答者の7割以上が市町村との関係にについて「特に変化を感じない」と回答。このため県は、市町村と現場の連携を強化するよう働きかけていく方針だ。
        http://mainichi.jp/area/saitama/news/20120626ddlk11100170000c.html
        毎日新聞 2012年06月26日

        ●東大、「自閉症スペクトラム障害」における脳の特定領域の活動不全を発見
         東京大学 医学部付属病院、「自閉症スペクトラム障害」の当事者では、他者が自分に対して友好的か敵対的かを判断する際に、顔や声の表情よりも言葉の内容を重視する傾向があること、また、その際には「内側前頭前野」と呼ばれる脳の場所の活動が有意に弱いことを示したと発表した。
         成果は、東大大学院 医学系研究科 精神医学分野の山末英典准教授、同統合生理学分野の渡部喬光大学院生らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間6月23日付けで米オンライン科学誌「PLoS ONE」に掲載された。
         自閉症スペクトラム障害は、相手や場の状況に合わせた振る舞いができないといった対人コミュニケーションの障害を主徴とする代表的な発達障害だ。この障害の原因や治療法は未確立で、高い知能を有する人でも社会生活に困難をきたしやすい現状にある。
         自閉症スペクトラム障害の当事者は、その高い知能や高い言語の理解能力にもかかわらず他者の意図を直感的に汲み取ることが苦手なため、しばしば社会生活に困難を感じている。
         特に、冗談や皮肉のような、顔や声の表情と言葉の内容が食い違う表現に接した場合この障害が顕著になることが知られていた。しかし、この経験的によく知られた現象を実証した研究はこれまで乏しく、どのような脳の仕組みがこの障害に関与しているのかも明らかではなかった。
         研究グループはこの障害を実験的に実証し、その背後にある脳の仕組みを解明するために、自閉症スペクトラム障害の当事者と精神障害のない定型発達者との間の行動・脳活動における違いに関する研究を実施した形だ。
         今回の研究には、知的障害がなく向精神薬の服薬も行なっていない、自閉症スペクトラム障害と診断された15名の成年男性当事者と、比較の対照として、この当事者と知的能力や年齢や生育した経済的環境に差がなく精神障害のない17名の成年男性が参加した。
         参加者には短いビデオを見てもらい、そこに登場する俳優が発する言葉の内容と言葉を発する際の顔や声の表情から、その俳優が参加者にとって友好的に感じられるか敵対的に感じられるかを判断してもらった形だ。
         その間、参加者の脳活動の変化を「fMRI(機能的磁気共鳴画像)」で測定した。俳優には、「きたないね」「ひどいね」といったネガティブな言葉と「すごいね」「すばらしいね」などのポジティブな言葉を、嫌悪感を示す表情・声色もしくは笑顔を示す表情・声色と組み合わせて発するというものである(画像1)。
         そして、嫌悪感を示す表情・声色でポジティブな言葉を発した俳優を「敵対的」と判断した場合を「非言語情報を重視した他者判断」と定義し、笑顔でネガティブな言葉を発した俳優を「敵対的」と判断した場合を「言語情報を重視した他者判断」と定義した。
         精神障害のない対照の群では、非言語情報を重視して他者判断する機会が多いことが判明。また、その際には内側前頭前野などの、他者の意図や感情の理解、曖昧なものの判断に関わることが知られていた脳の場所が強く活動しているのが確認された。
         一方で、自閉症スペクトラム障害と診断された当事者の群では、非言語情報を重視して他者判断する機会が減るのがわかった。また、不安や恐怖といった脅威的な刺激に対して反応する扁桃体の活動は増強されるものの、精神障害のない対照の群で強く活動していた内側前頭前野などの活動は減弱していることがわかったのである(画像2)。
         さらに、この内側前頭前野などの活動が弱い人ほど、日常的に観察された対人コミュニケーション障害の重症度が重いことも判明した(画像3)。
         今回の研究は、皮肉や冗談の意図を直感的に汲み取りづらいという自閉症スペクトラム障害の重要な症状を定量的に実証し、さらにその障害の背後にある脳の仕組みを明らかにした。今後はこの研究成果をもとに、これまで乏しかった対人コミュニケーション障害の客観的評価方法の開発や、自閉症スペクトラム障害当事者との相互理解の促進、さらには今回の研究から得られた脳画像所見を効果判定指標とした対人コミュニケーション障害の治療法の開発、といった展開が期待される。
        ※東京大学のPRESS RELEASEは→http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20120623.pdf
        http://news.mynavi.jp/news/2012/06/25/104/index.html
        「マイナビニュース」2012/06/25

        ●全世帯の61.5% 生活「苦しい」
         厚生労働省の国民生活基礎調査で平成22年の1世帯あたりの平均所得金額は高齢者世帯で307万2000円、児童のいる世帯で658万1000円、全世帯平均で538万円と、いずれも前年に比べ0.2%、5.6%、2.1%減少したことが分かった。(統計では岩手、福島、宮城の3県が除かれている)。
         また平均所得金額は538万円になったが、61.1%は平均所得以下だった。特に100万円以下が6.5%、100万円以上200万円以下が13.1%、200万円以上300万円以下が13.3%、300万円以上400万円以下が13.6%と400万円以下の世帯が46.5%を占めていた。逆に2000万以上は1%に過ぎなかった。
         また、生活が大変苦しいとした世帯は29.1%、やや苦しいは32.4%で全世帯の61.5%は苦しいと回答。大変ゆとりがあるとしたのは0.5%の世帯だった。
        http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0706&f=national_0706_003.shtml
        「サーチナ」【社会ニュース】 2012/07/06(金)

        大変な時代を生きている。社会的弱者と言われる人たちは夢も語れない…。
        2012/06/26
        「差し違えとか、痛み分けとか、肉を切らせて骨を…とか、何か1つでも納得できる、改善される内容があるなら、是非、択一などの判断もせざるを得ない局面があるだろうが、今国会で政局の具として採択に向かっている法案は、総じて「否」。国民とつながっていない国会議員クラウドは、憲政の汚点」、「生活保護はごまかしと脅しで申請数減らし。本来利用できる諸制度・サービス等は当該サイトで何回もクリックしないと見れない奥深くにコッソリと…、困っている人に提供する意思がまるでない福祉関係の行政窓口。諸事情で困窮している人・家族を支える地域をどうしたら構築できるか、誰が考えるべき?」、「介護サービス受給者で(制約付きだが)障害状態が認定されていれば自立支援サービスが併用利用できる、障害福祉サービスの訓練等給付受給申請に本来は診断書は要らない、成年後見制度利用支援事業というのが行われている自治体が少ないながらある…。「申請主義」の「隠し」行政で知らないことだらけ」。
         最近というか、今日のTwitterでの私のつぶやきです。ゆっくり休養したくても、テレビをつけると、「どうしようもない国会」「国民にそっぽむいた内閣/政党/議員」のニュースか、悲しい事件の報道ばかりがクローズアップされていて、過覚醒状態の私は、易怒性、衝動性を高めるばかりで、結果ストレス過となり、睡眠にも影響しています。
         先週、抗アレルギー薬を1錠減らしたら、覿面に全身がアレルギー反応を生じ、皮膚科に行けば「なぜその薬を減らしたの?」「少し良くなっていたからです」「今、私が処方するとしたらその薬しかない。ストックはある?」「はい」「じゃあ、飲んで下さい」で、その夜服薬を復活させたら、翌朝には見事に治まっていました。中枢神経に作用している薬物なので、少しの変化が全身反応になったケースですね。台風が近づいての気圧の変化や易怒性、衝動性のせいかと思っていたのですが…。
         話がそれていますが、今国会でごり押し成立させられようとしている諸法改悪法案や施策に付随する法案は、何らかのハンディーを持っている人や家族に、今の生活の大変さを助長させ、質を変えて苦しさを増すものばかりです。生存権を保障した公的扶助セーフティーネットの基盤である生活保護法すら、特定の人の勝手な解釈でその制度「申請をあきらめざるを得ない」人を増やす方向に動いてしまっています。あれだけの被害を出し、その復旧の目処も立っていない、もはや「放置プレイ」の域に入っている原発事故は「過去の出来事」であるかのように、大飯原発を再稼働してしまう政府や議員さんたちですから、目線は持てる人たち=富裕層、困窮している庶民の暮らしは「見ない」ことにしているのでしょう。マスコミも国内向けには視聴率の上がる報道姿勢を貫いているので、事の真実が正しく伝わりません。首相官邸を取り巻く毎金曜日夕方からのデモは先週は4万人を超えている規模でありながら、映像で取り上げたのは「報道ステーション」だけだったとか。1行の記事にもしないマスメディアがほとんどです。
         黙って見守っていても、より大変な事態に向かって行くだけです。小さくても良いから、声を上げて行きませんか? 生きて、小さくても夢を語り続けられるように。
         それでは、最近の気になる記事です。

        社会保障制度:推進法案は改悪、日弁連など反対声明

         民主、自民、公明の3党が今国会での成立に合意した社会保障制度改革推進法案は制度の根本的改悪に当たるなどとして、日本弁護士連合会と生活保護問題対策全国会議は25日、法案に反対する声明をそれぞれ発表した。
         法案は「国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援していく」などとしている。これについて、日弁連は山岸憲司会長名で「生存権保障及び社会保障制度の理念そのものを否定するに等しく、憲法25条に抵触するおそれがある」と警告。生活保護問題対策全国会議は生活保護制度の見直しに「社会構造に目を向けないまま利用者に対する厳格な対応のみが目立つ」と疑問を呈した。
        http://mainichi.jp/select/news/20120626k0000m010060000c.html
        「毎日新聞」2012年06月25日

        ●老親扶養義務は時代遅れ?
         お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんが、母親の生活保護受給をめぐって謝罪に追い込まれた。成人した子は年老いた親を扶養する義務がある、という民法の規定が批判の前提にある。義務の強化を求める声もあるが、前提自体を再考する余地はないだろうか。
         ◇個人より社会で支える流れ 先進諸国は公的扶助
         ネット上で1本の声明文が静かな話題を呼んでいる。生活保護問題対策全国会議の「扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために」だ。
         民法は、直系血族(親子など)と兄弟姉妹には互いに扶養する義務があり、夫婦は互いに扶助せねばならない、と記している。今回話題になっているのは直系血族、中でも「成人した子の老親に対する扶養義務」の問題である。
         声明文は先進諸国との比較を通して、「老親を扶養すること」まで定める日本の扶養義務範囲の”広さ”を訴えた。厚生労働省の資料をもとに、英国やスウェーデンなどでは原則、親が子(未成年)を扶養する義務や配偶者間の扶養義務はあるが、成人した子の老親に対する扶養義務はない、としている。
         同会議の代表幹事である尾藤広喜弁護士は、「家族による私的扶養から、社会による公的扶助へ。それが先進諸国での近代化の流れだ」と語る。「日本の制度もその方向へ向かってきた。老親扶養の義務が民法に書かれているのは、戦後の改正時にイエ制度から完全に脱却しきれなかった結果だ」
         民法や法社会学に詳しい利谷信義東京大名誉教授は、「国際的に見れば、家族の扶養義務を『夫婦間』と『未成年の子と親』に限定する方向へと進んできた」と語っている。
         ◇小家族化・減りゆく家業継承 身内頼れぬ現代事情
         戦前日本の決まり文句は「人民相互の情誼(じょうぎ)」だったと、社会保障に詳しい小川政亮日本社会事業大名誉教授は話す。「貧困は親族と近隣で助け合え、国は関知しない、との発想だ」
         利谷名誉教授によれば、明治時代の旧民法の制定過程では、民法から扶養規定自体を外せとの声もあった。「家族の扶養は道徳によるべきもので法律で定めるべきではない、との考えが根にあった」
         その後にできた明治民法では、家族内で扶養を受ける権利の順序をこう定めていた。(1)直系尊属(父母や祖父母)(2)直系卑属(子や孫)(3)配偶者……。「妻や子より親を養え、という規定だ。国民感情や生活実態に合わないとの批判も出たが、儒教道徳には沿っていた」。かつて「父母」は、扶養されるべき立場の筆頭に置かれていたのだ。
         戦後、新憲法のもとで民法改正作業が進んだ。「新しい憲法の原則を踏まえつつイエ制度も守る立場」も「イエ制度を完全に廃止して家族関係を近代化する立場」も主張された。様々な勢力の意見を取り入れる形で1947年、新しい民法はその形を整えた。
         「当時はまだ、現行の生活保護法も出来ていなかった。高齢者には『誰にも援助してもらえなくなってしまう』との不安が強かったと思う」。家族による扶養を求めた心情の一端を、利谷名誉教授はそう推察する。
         2012年現在の家族の状況をどう見ればいいか。社会福祉学が専門の岩田正美日本女子大教授は、「小家族化」への注目を促す。「兄弟が減り、子のいない夫婦も増えた。子どもが家族を扶養できる時代ではなくなってきている」
         家業を子が継承することが珍しくなかった時代には、家産を継承する者が老親を扶養することが自然だと見られるような「実態」があった。だが、雇用されて働く人の割合が増え、その実態も変わりつつある、と岩田教授は言う。
         自民党は「社会保障に関する基本的考え方」の中で、「家族による『自助』」を大事にする方向を打ち出した。「貧困に社会で対応すべきか、個人で対応させるべきか、その哲学がいま問われている」と、尾藤弁護士は訴えている。
        http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201206140206.html
        「朝日新聞デジタル」2012年6月15日

        ●生活保護:33歳女性の申請拒否、指導で受理 京都・舞鶴
         京都府舞鶴市が今月、子供3人を抱えて生活が困窮している同市の女性(33)からの生活保護申請を窓口で拒否したことが19日、分かった。市民団体から通報を受けた府が「申請権の侵害」と同市を指導した結果、受理された。同市は「対応に問題はなかった」としている。
         労働・貧困問題に取り組む市民団体「京都POSSE」が記者会見し、明らかにした。
         同団体によると、女性は昨年離婚し、5~11歳の子供3人と暮らす。別の男性との間の子供を妊娠中だが、その男性とは連絡が取れないという。今年2月に失業し、収入は児童扶養手当など月額約8万円。家賃や光熱費を滞納し、冷蔵庫も洗濯機もないという。
         所持金が600円になった今月11日、生活保護申請のため同市役所西支所を訪れたが、取り合ってもらえなかったという。女性は同団体に相談し、翌12日午前、再び同支所で申請書類の交付を求めた。しかし、担当職員は「胎児の父親の連絡先が必要」などと拒否。この際、人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんの母親の生活保護問題に言及し「最近、結構(市民の目が)厳しい」などと話したという。
        http://mainichi.jp/select/news/20120620k0000m040073000c.html?inb=tw
        「毎日新聞」2012年06月19日

        ●生活保護相談窓口:警官OB、資格なし 人手不足で8自治体が配置
         毎日新聞が今年2~6月、74自治体にアンケートしたところ、生活保護のトラブル対策のため、計135人の警察官OBを雇用していた。このうち、8自治体が警察官OB計10人に、CWや面接相談員の業務をさせていた。
         8自治体は▽青森県八戸市▽茨城県古河市▽京都府八幡市▽奈良県大和高田市▽松江市▽徳島市▽高知市▽大分市。大和高田市を除く7市では、保護申請などの相談に訪れた人と面談室で1対1で向き合い、制度の説明や資産状況の聞き取りなどをさせていた。大和高田市ではCWとして、約50の保護世帯を定期的に訪問させていた。
         無資格の警察官OBを配置した理由については、「人手が足りない」(大和高田市)「CWの負担軽減のため」(古河市)などと、多くの自治体が人手不足を挙げた。また、8自治体以外にも岐阜県大垣市は「警察官OBによる1対1の面談は避けているが、窓口の混雑時にはやってもらう」と回答した。
         厚生労働省社会・援護局保護課は「警察官OBの不適正な活用をやめるよう周知したい」としている。
        http://mainichi.jp/select/news/20120626mog00m040006000c2.html
        「毎日jp」2012年06月26日

        ●橋下市長の生活保護者受診制限、反発強く修正へ
         大阪市西成区は、区内の生活保護受給者を対象に8月から実施予定だった「医療機関等登録制度」について、受診先の制限を緩める修正案を決めた。
         医療機関を1診療科につき原則1か所に限るとしていた従来の案を「医学的必要性に応じて複数の選択も可能とする」とし、名称も「医療機関等確認制度」に変える。
         登録制度は、橋下徹市長が2月に打ち出した全国でも例のない受診制限。自己負担のない生活保護による医療で過剰診療や重複受診、重複処方が一部で目立つことから、その適正化を目的に、生活保護率が特に高い西成区で試行を計画した。
         〈1〉病院・診療所は診療科ごとに1か所、調剤薬局は受給者ごとに1か所を登録し、利用を限定する〈2〉専門医を受診したい時は医師の紹介状を前提に福祉事務所で判断する――という内容で、すでに各受給者に登録リストを発送。6月に入って「登録先以外は(受診に必要な)医療券を原則、発行しない」として、実質的に運用を始めていた。
         修正案では、保護受給者に「医療機関等確認証」を渡し、薬局も複数利用を認める。一方、過剰処方を防ぐため、診療や薬の内容を記録する区薬剤師会の「お薬手帳」を持ってもらう。
         当初の案に対し、医師会や薬剤師会、生活困窮者支援団体などから「患者が受診先を選ぶ権利を侵害する」と強い反発が出たため、修正を余儀なくされた。
        http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120621-OYT1T00714.htm
        「読売新聞」2012年6月22日

        ●”生活保護”そのイビツな実態に迫る!★本当は[厳しい冷たい]日本の生活保護制度
         芸人親族の生活保護「不正受給」疑惑でワイドショーが賑わった。まるで不正受給の横行で自治体財政が逼迫しているかのようなイメージが植えつけられているが、その総額は全体の0.38%。その一方で、「受給資格があるのにもらえない」という大きな問題があった!!(続きあり)
        http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20120621/zsp1206211359006-n1.htm
        「SPA!」より 2012.06.21

        ●61歳と57歳の夫婦が孤立死 横浜、妻の病死後に夫餓死
         横浜市戸塚区の県営団地に住む下舞利生さん(61)と妻ちゑみさん(57)が遺体で見つかっていたことが22日、神奈川県警への取材で分かった。外傷はなく、周囲が気付かないまま孤立死したとみられる。
         県警によると、司法解剖の結果、ちゑみさんが5月上旬に病死、利生さんは6月上旬に餓死していた。県警はちゑみさんの死後、利生さんが何らかの事情で自活できなくなった可能性があるとみている。
         洗濯物が数週間干したままになっており不審に思った団地の管理担当者(31)が18日、110番。警官が部屋を確認したところ2人の遺体を発見した。
        http://www.47news.jp/CN/201206/CN2012062201002267.html
        「共同通信」2012/06/22

        ●生活保護緊急相談ダイヤル事例報告で紹介された”片山さんが怖い”との声
         かなり古い話だが、反貧困ネットワークが11日に開いた「バッシングを利用した生活保護制度の改悪を許さない声明」で、9日に実施された「生活保護”緊急”相談ダイヤル」(主催・生活保護”緊急”相談ダイヤル実行委員会)での聞き取り内容の一部が紹介された。「財政再建は待ったなし」と言ったのは野田佳彦首相だが、お笑い芸人の家族の受給問題に端を発した生活保護不正受給への批判キャンペーンによる貧困層の不安拡大も「待ったなし」の状態で、受ける権利があるのに受給がいけないかのような風潮が広まると「餓死者や自殺者が出るのが心配」と相談を受けた担当者は明かす。以下は主な声。
         「年金収入は5万円しかない。半年前に生活保護の相談に行ったところ、20年以上前に別れた妻のところに置いてきた娘(別れたときは2歳くらい)の「承諾書」を取ってくるように言われた。遠方まで会いに行ったが、「承諾書」は取れなかった。仮に生活保護を受けられるとしても、毎年のように娘のところに照会が行くとしたら、迷惑だろうから申請をするかどうか、悩む」(宮城県)
         「今は受けていない、以前受けていた。子どもについてその父親が認知したが、お金を持ってゆくような人で、いいことはなかった。現在は私も再婚して、子の父とは表面上縁が切れたが、扶養義務が強化されたら、5歳の子に将来塁が及ぶのでは?向こうが『扶養義務』を果たしていないのに。すごく怖い! 自分が保護を受けたのは親の虐待だった。また親から連絡があったと思うと…」(東京)
         「父72歳。10歳のときに父母が離婚、母に引き取られ、父とは30年間会っていない。最近福祉事務所から扶養照会があった。扶養義務はあるのか」(東京)
         「受給中。TVを薄型(3万円)に替えた。贅沢と言われないか。今8万円ほど預金があるが貯蓄してはダメなのか」(東京)
         「離婚し成人した子供が2人いる。10年以上交流がない。生保を受けたいが扶養照会が行くのは困る」(東京)
         ――といった具合で、多くの人が受給申請により、すでにつきあいのなくなっていた親族に収入調査などの”迷惑”が及ぶことを恐れている。そして「生きていちゃいけないのか、死にたい、苦しい」(東京)「お金のない人は死ぬしかないのか」(静岡)「ぱっと死ぬ方法がないのか考えている」(静岡)「死んでしまいたい」(大阪)「死ねと言われているように感じる」(北九州)「次長課長の報道以来声が出なくなり、夜も眠れない」(大阪)「橋下市長、河本さんの騒ぎで生きた心地がしない」などと、生命の危機を伝える訴えが相次いだ。
         政界でこの問題を追及した一人である片山さつき参院議員については、恐怖感があるようだ。「片山さつきはおかしい」(静岡)「片山さつき議員の言葉がきつい」(静岡)「受給者から片山さつき議員に対する不満」(静岡)「片山さつきの目が怖い」(北九州)など、100件近く公表された相談内容のうち、5件で片山氏の名前が出ている。
         前出の相談担当者によると、受話器を上げると、ひと言目から「死んでしまいたい」との言葉が飛び込んでくるという。反貧困ネットの宇都宮健児代表(前日弁連会長)は「生活保護バッシングと扶養義務強化で、受けたくても受けられない人が続出する」と警鐘を鳴らした。(カッコ内の地名は電話相談を受け付けた場所)
        http://www.tokyo-sports.co.jp/blogwriter-watanabe/1001/
        「東スポWeb」2012年06月23日

        ●厚労省も新制度義務化:精神疾患患者「社会復帰」へ
         「統合失調症」へ呼称変更されてから10年が経過した。この間を振り返り、「統合失調症呼称変更で何が変わったか?」との演題で、国立精神神経医療研究センター 高橋清久氏がヤンセンファーマメディアセミナーにて講演した(2012年6月14日)。
        社会復帰を目指した「統合失調症」への呼称変更
         2002年、世界精神医学会(WPA)横浜大会と同時開催された日本精神神経学会総会において「精神分裂病」から「統合失調症」へ呼称が変更された。変更の背景には、精神分裂病という病名が「精神そのものの分裂」と誤解されることによる患者や家族の苦痛が、予後や社会復帰への悪影響につながっていることがあった。そのため、病名が患者や家族に不利益をもたらさないよう考慮し、さまざまな新病名案の中から「統合失調症」が選ばれ、これに改めることとした。
         ◇さらなる「統合失調症」への理解を求める
         本セミナーでは20代~60代の一般人男女500名を対象に、統合失調症に対する理解度やイメージに関する全国web調査の結果も報告された。精神疾患の病名に対する認知状況では、「うつ病」が92.4%と最も高い一方で、「統合失調症」は55.6%と約半数程度であった。さらに「精神分裂病」に対する認知度は64.6%と統合失調症よりも依然として高い結果であった。また、「統合失調症」の認知状況は、「あまり知らない」「全く知らない」と回答した割合が61%、「非常によく知っている」「よく知っている」と回答した割合が14%と大きな開きがあり、病名および疾患全般に関する理解が十分でないことを示す結果となった。
         ◇統合失調症患者との触れ合いがポイント
         統合失調症のイメージに関する調査では、多くの方が「実際よりも重い病状の病気である」との認識を持っている。そして、以前の調査よりは減少してはいるものの、「なるべく関わりたくない」と不安を抱いている割合が高かった。また、「統合失調症」に対する認知が高い(非常によく知っている/よく知っていると回答)人ほど統合失調症患者は差別されているというイメージを持っていることもわかった。
         高橋氏は「統合失調症に対する誤ったイメージを是正する手段として、患者との触れ合いを体験することが重要である」と語る。看護学生を対象に、統合失調症患者への実習体験前後のイメージ調査の報告を紹介し、実習前は統合失調症に対し「怖い」「暗い」「コミュニケーションが取れない」と感じていたが、実習後は「怖くない」「やさしい」「普通」とイメージが変化することから、より多くの方々に触れ合い体験する機会を持ってほしいと述べた。
         ◇統合失調症の治療ゴールは「社会復帰」
         社会復帰を目指す上で、治療薬や治療ターゲットも変化している。入院主体の医療から外来移行、社会復帰を目指し、第二世代抗精神病薬を主体とした単剤治療や再発防止をターゲットとした治療が求められるようになってきた。最近では第二世代抗精神病薬の剤型も豊富になっており、「液剤」や「口腔内崩壊錠」「徐放錠」「持続性注射剤」など患者の希望や生活スタイルに合わせた剤型選択が可能となり、服薬アドヒアランスの向上および再発予防に寄与するものと考えられる。高橋氏は「持続性注射剤の使用は社会復帰やQOL向上などメリットが大きい」ということを具体的な事例を交えて強調した。
         ◇統合失調症患者の「社会復帰」へ厚労省も動き出す
         厚生労働省は、新たに精神障害者の採用を企業に義務づける方針を固めた。障害者雇用促進法は、企業などに、全従業員に占める障害者の割合を国が定める障害者雇用率以上にするよう義務づけている。これまで、障害者の範囲は「身体障害者」「知的障害者」に限られていたが、「統合失調症」や「うつ病」などの精神疾患患者を新たに加える。これにより、統合失調症患者の社会復帰がさらに進み、より多くの方々の統合失調症に対する認知向上と偏見の是正がもたらされることが期待される。
        http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=28740
        「CareNet.com」2012/06/25 No.M025898

        ●精神障害者の雇用義務化へ 厚労省方針、社会進出促す
        障害者のハローワークでの新規求職申込件数
         厚生労働省は、新たに精神障害者の採用を企業に義務づける方針を固めた。身体障害者に加え、知的障害者の雇用を義務化した1997年以来の対象拡大になる。障害者の社会進出をさらに促す狙いだ。企業に達成が義務づけられている障害者雇用率は、上がることになりそうだ。
         専門家による研究会で、近く報告書をまとめる。今秋から労働政策審議会で議論し、来年にも障害者雇用促進法の改正案を通常国会に提出する。企業だけでなく、国や地方公共団体などにも義務づける。
         障害者雇用促進法は企業などに、全従業員にしめる障害者の割合を国が定める障害者雇用率以上にするよう義務づけている。障害者の範囲は身体、知的に限られていたが、そううつ病や統合失調症などの精神障害者を加える。
         障害者雇用率は、働いたり、働く意思があったりする障害者の全労働者にしめる割合と同程度になるよう計算して定められている。現在、1.8%で、来年4月から2.0%になることがすでに決まっている。対象拡大で、この計算にも新たに精神障害者が加わるため、率は上がりそうだ。
         働いたり、働く意思があったりする精神障害者の人数の正確な統計は今のところない。ただ、統計がある「ハローワークを通じて仕事を探す精神障害者」の推移をみると年々増えており、2011年度は約4万8千人。この数字で単純計算すると、雇用率は少なくとも2.2%になる。
         精神障害者の定義は、精神障害者保健福祉手帳を持つ人とする案が有力だ。手帳は10年度は59万人に交付されている。
         精神障害者の雇用義務づけは、働く障害者の増加にともない、障害者団体からの要望も強まっていた。
             ◇
        〈障害者雇用率〉 義務づけの対象は従業員56人以上の企業(来年4月からは50人以上)。達成できないと、従業員201人以上の企業の場合は、不足する1人につき月5万円を国に納付しなければならない。昨年6月時点では、対象の約7万5千社のうち、達成企業は45.3%。率は法律で少なくとも5年に1回、見直すことになっている。
        http://www.asahi.com/business/update/0614/TKY201206130859.html
        「朝日新聞デジタル」2012年6月14日

        ●認知症に早期在宅ケア、厚労省が来年度から
         急増する認知症に対応するため、厚生労働省は来年度から新たな認知症対策に乗り出す。
         専門職による訪問チームが発症初期から関わることで、自宅で長く暮らせるようにするのが狙い。症状が悪化して、精神科病院へ長期入院することも防ぐ。5か年の整備計画を策定し、自治体が作る医療・介護計画にも反映させる。
         新対策の柱の一つが、看護師や保健師、作業療法士など、認知症を学んだ専門職による「初期集中支援チーム」の創設だ。チームは、全国に約4000か所ある自治体の介護相談窓口などに設置する。
         認知症が疑われる高齢者宅を訪問し、本人や家族の生活状況を聞き取り、医療機関を紹介する。本人の理解力が残る初期のうちに、症状の進行の見通しを説明し、財産管理や介護サービスのアドバイスを行う。火災予防のため、ガスコンロを電化式に変えるなど、生活環境も整える。家族への心理的なケアも行う。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120616-OYT1T01277.htm
        読売新聞 6月17日

        ●改正自立支援法「基本合意に違反」 違憲訴訟の元原告ら
         改正障害者自立支援法が20日に成立したことを受け、同法を違憲と訴えた集団訴訟の元原告らが同日、厚生労働省で記者会見し、2010年に政府と元原告が和解に向けて調印した基本合意を挙げ「新法をつくる約束を踏みにじった」と批判。政府の部会が昨年8月にまとめた、福祉サービスの原則無料化などの提言も反映されていないと主張した。
         改正法は、法律の名称を「障害者総合支援法」に改め、難病患者も対象に加えることなどが柱。一部を除き13年度から施行する。
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2004J_Q2A620C1CR8000/
        「日本経済新聞」2012/6/20

        ●<大飯再稼働>撤回求め官邸前でデモ 列は700メートルに
         東京・永田町の首相官邸前で22日、関西電力大飯原発の再稼働撤回を政府に求める抗議行動があった。主催者によると約4万5000人、警視庁によると約1万1000人が参加。周辺の歩道を埋め尽くした人が「再稼働反対」と、約2時間にわたって声を上げた。
         有志の市民ネットワーク「首都圏反原発連合」の呼びかけ。3月に始めた当初は300人程度だったが、回数を重ねるごとに参加者が増えたという。この日集まった人の列は約700メートルにも達した。
         茨城県土浦市から来たという会社員、東原裕樹さん(32)は「フェイスブックで今日の活動を知った。核廃棄物の処理方法も決まっていないのに再稼働するなんてあきれてしまう。黙っていてはいけないと思った」と参加理由を話した。
        http://mainichi.jp/select/news/20120623k0000m040067000c.html
        「毎日新聞」6月22日

        ●東京電力:独環境団体が表彰 ブラックプラネット賞
         世界で最も環境破壊を行った企業に毎年「ブラックプラネット賞」を贈っているドイツの環境団体「エテコン」が25日、福島市で記者会見し、福島第1原発事故を理由に東京電力に昨年の賞を贈ると発表した。27日の株主総会で、黒く汚れた地球儀をトロフィーとして手渡す考えだ。
         アクセル・ケーラー・シュヌラ会長は会見で「東電は利益優先のため、原発に欠陥があるのを知りながら対策をしてこなかった。人災を起こした経営者、大株主、原子力ムラの人々みなに贈りたい」と選考理由を説明。会長らメンバー4人は東電株の保有者だが、東電側は「株主名簿に載っていない」と総会出席を拒んでいるという。
         エテコンの同賞はこれまでに、メキシコ湾で原油流出事故を起こした英石油会社BPなどが「受賞」している。
        http://mainichi.jp/select/news/20120626k0000m040090000c.html
        「毎日jp」2012年06月25日
        日本という「貧困」国に生きるということ。
        2012/06/15
         しばらくぶり、数年ぶりにこのサイトの「リンク」を模様替えしました(大幅更新)。
         さて、生活保護制度をめぐって、大騒ぎになっています。というか、「何で騒ぐことになったか?」。あまりに不勉強・非常識な一人の政治家の発言から始まり、いろんな立場の人が本音をむき出しにして、制度の利用をめぐる実態が赤裸々になり、その酷さに呆れてしまっています。
         現行の生活保護法に基づいて「生活保護制度」を運用していれば、こんな騒ぎになるはずがありません。行政やその窓口での勝手な解釈や、旧態依然とした一般的な観念論による対応で申請を水際で阻止したり、制度やその概念を正しく理解する環境を作ってこなかった、あるいはねじまげてきた人や組織・メディアなどによって、生活保護を申請・受給することが「恥ずかしいこと」、「家族・親族がいたらもらえない」などの誤った認識が広まってしまっていて、今回の騒ぎは、それをさらに助長させようという狙いが見え隠れしていることこそを問題とし、制度を正しく、必要な人が利用できるようにしていけるきっかけとなることを願います。
         国の政治や行政の大勢は、生活保護受給者や支給総額をいかに減らすかに躍起になっているようにしか思えませんが、そもそもこんなにも多数の「貧困」が生じたのは何故かを、しっかりと考える必要があります。新自由主義経済や競争原理の導入、バブル崩壊にリーマンショック、人口の都市集中と過疎化、企業倒産とリストラ、就職難、格差社会の拡大…。その影響は子どもたちの育ちに直結し、不登校・ひきこもり、ワーキングプア、結婚率低下や離婚率の増加、少子化、虐待増…、将来への希望を持てない中で、「問題」を起こさない偏差値の高い、スポーツもできる子どもが求められ、何らかの「課題」のあれば疎外され、適切なサポートも受けられないまま育ちを阻害されてきています。
         こんなさまざまな「貧困」を抱えた国に生きていくこと自体を、「なぜ?」と問えないことは、「悔しい」限りです。
         それでは、最近の気になる記事です。

        昨年の学生・生徒自殺1000人突破 「就職失敗」理由急増

         平成23年の自殺者は3万651人と、10年以来初めて3万1千人を下回ったが、一方で就職活動の失敗を苦に10~20代の若者が自殺するケースが目立っていることが8日、政府が公表した24年版「自殺対策白書」で明らかになった。
         白書によると、23年の大学生などの自殺は、前年比101人増の1029人で、調査を開始した昭和53年以来初めて千人を突破した。内閣府は「雇用情勢の悪化」を一因に挙げている。警察庁の統計では、「就職失敗」による10~20代の自殺者数は平成19年の60人から23年は150人にまで増加している。
         大学新卒者の就職率(4月1日現在)は過去最低だった23年の91・0%から24年は93・6%と4年ぶりに上昇したが「改善とまではいえない。実際に80社以上申し込んでも内定が得られないという学生もいる」(大学関係者)。
         全国自死遺族総合支援センターの杉本脩子代表は「何度も落ちることで次第に追い込まれ、『自分には価値がないのではないか』と孤立感を深めていくのでは」と分析する。
         このため心のケアに力を入れる大学も増えている。
         千葉県内の私立大の就職課は、リクルートスーツ姿の学生が目立ち始める1~4月、学生らの「表情」を気にし始めるという。「学生が企業と接触し始めるのがこの時期。厳しい質問に面食らい、ふさぎこむ学生も多いので積極的に声をかけて励ましている」(担当者)。都内の中堅大学では昨年から就職部のスタッフらが4年生全員と面談を実施。「マイナス思考になりがちな学生には、違った見方もあることを伝え、気持ちが前向きになるよう丁寧にアドバイスをしていく」という。
         厚生労働省も全国57カ所の「新卒応援ハローワーク」で、内定のないまま卒業した学生のケアを行っている。同省は「顔を見せなくなれば、電話やメールで就職活動再開を促している。学生に寄り添う型の支援がますます重要になってくる」としている。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/120608/bdy12060823330006-n1.htm
        <内閣府–自殺対策白書>
        http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html
        「産経ニュース」2012.6.8

        ●子どもの貧困率、日本ワースト9位 先進35カ国中で 各国の子どもの貧困率
         日本の子ども(18歳未満)の貧困率は14.9%で、先進35カ国のうち悪い方から9番目の27位――。国連児童基金(ユニセフ)がこんな報告書をまとめた。今年発表の国際比較でも悪化傾向に歯止めがかからず、深刻な状況が改めて示された。
         日本のデータは、2009年の所得を基にしている。これまでユニセフが同様の分析をした報告書によると、日本の子どもの貧困率は00年12.2%、05年と07年がいずれも14.3%。今回は15%に迫り、年を追うごとに上昇している。順位も23カ国中12位(00年)、26カ国中17位(05年)、24カ国中16位(07年)と、低迷が続いている。
         今回、子どもの貧困率が最も高かったのはルーマニア(25.5%)で、米国(23.1%)が続く。金融不安に揺れるギリシャ(16.0%)はワースト6位、イタリア(15.9%)は同7位で、15.4%のリトアニアをはさんで日本が続く。貧困率が低いのはアイスランド(4.7%)、フィンランド(5.3%)など北欧諸国が目立つ。
         日本の子ども(18歳未満)の貧困率は14.9%で、先進35カ国のうち悪い方から9番目の27位――。国連児童基金(ユニセフ)がこんな報告書をまとめた。今年発表の国際比較でも悪化傾向に歯止めがかからず、深刻な状況が改めて示された。
         日本のデータは、2009年の所得を基にしている。これまでユニセフが同様の分析をした報告書によると、日本の子どもの貧困率は00年12.2%、05年と07年がいずれも14.3%。今回は15%に迫り、年を追うごとに上昇している。順位も23カ国中12位(00年)、26カ国中17位(05年)、24カ国中16位(07年)と、低迷が続いている。
         今回、子どもの貧困率が最も高かったのはルーマニア(25.5%)で、米国(23.1%)が続く。金融不安に揺れるギリシャ(16.0%)はワースト6位、イタリア(15.9%)は同7位で、15.4%のリトアニアをはさんで日本が続く。貧困率が低いのはアイスランド(4.7%)、フィンランド(5.3%)など北欧諸国が目立つ。
         報告書は、各国の子育て政策や福祉も比較。日本は子どものための施策に対する公的支出が対国内総生産(GDP)比1.3%で、35カ国中で下から7番目に低かった。
         日本の統計に関して協力した国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんは、今後の見通しについて「(10年に支給が始まった)子ども手当はプラス要素だが、経済状況の悪化や震災の影響もあり、数字にどう出るかは不透明だ」と話している。
         貧困率とは、その国の国民一人ひとりの可処分所得を計算し、その真ん中の所得の半分に届かない人の割合。相対的貧困率とも言う。
        http://www.asahi.com/national/update/0609/TKY201206090128.html
        「朝日新聞デジタル」2012年6月10日

        ●親学議連:「発達障害、予防は可能」…抗議殺到し陳謝
         超党派の国会議員でつくる「親学推進議員連盟」が5月末「発達障害を予防する伝統的子育て」をテーマに勉強会を開いたことが分かった。配布資料には発達障害児の育児環境を「(子どもへの)声かけが少ない」とした表や「発達障害児は笑わない」「予防は可能」などの記述もあった。発達障害は子育ての問題だと受け取られかねない内容に、関係者の抗議が殺到、議連側は最終的に陳謝した。
         ◇勉強会内容をブログで報告
         発達障害を巡っては、大阪市の「大阪維新の会」市議団が5月に市議会への提案を目指した家庭教育支援条例案に「伝統的子育てで発達障害は予防できる」などの文言が盛り込まれ、批判を受け白紙撤回したばかり。政治の理解不足が改めて浮き彫りになった。
         親学推進議連は4月、民主、自民など衆参両院の81議員で発足した。安倍晋三元首相(自民)を会長、鳩山由紀夫元首相(民主)を顧問とし、町村信孝元文部科学相(自民)らいわゆる「文教族」議員が多く名を連ねる。
         勉強会は5月25日、衆院第2議員会館で開かれ、出席者によると、民間団体「さいたま市教育相談センター」の金子保所長と高橋史朗・明星大教授が資料をもとに講演した。
        http://mainichi.jp/select/news/20120612k0000m040096000c.html?inb=tw
        「毎日新聞」2012年06月12日

        ●障害者就職率、福井が全国1位 2年連続で最多更新
         2011年度に県内ハローワークを通じて就職した障害者が603人となり、調査開始以降、過去最多となったことが福井労働局のまとめで分かった。前年度比25・9%増で2年連続で最多を更新した。就職率は66・9%で全国1位だった。(宇野和宏)
         同労働局は「県内ハローワークのスピーディーな職業相談や職業紹介、企業とのマッチング体制に加え、県内企業に社会的責任の考えが浸透していることが要因」と分析している。
         調査結果によると、新規求職申込者数は前年度比23・3%増の901人。就職者数を求職者数で割った就職率は前年度比1・4ポイント増となり、3年連続で上昇した。就職率の全国平均は40・0%、全国2位は富山県の59・8%で本県の就職率は群を抜く水準。昨年は全国2位だった。
         就職者の内訳は、身体障害者が277人で最多。精神障害者208人、知的障害者90人。精神障害者は前年度比69・1%増と大きく伸びた。「06年度の改正障害者雇用促進法の施行で、精神障害者を実雇用率に算入できるようになり、企業側の理解が進んだ」(同労働局)とみられる。
         産業別の就職者は「医療・福祉」が全体の24・2%を占め、「製造業」18・1%、「卸売業・小売業」14・3%。職種別では「生産・労務の職業」が59・2%を占め、「事務的職業」15・3%、「サービスの職業」7・5%と続いた。解雇者は10人(前年度比6人減)と過去10年で最少だった。
        http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/35048.html
        「福井新聞」2012年6月4日

        ●親亡き後の障害者支援 宇部に法律・福祉専門家グループ
         障害者の財産管理などを支援する「うべ 障害者支援士業ネットワーク」が今月下旬で結成1年となる。障害者の家族らに、専門家が相続などについて助言して不安を解消する新しい取り組みで、他県からも相談が寄せられている。同ネットは「多くの人に知ってもらうために活動の幅を広げたい」としている。
         同ネットは、宇部市内の弁護士や司法書士、社会保険労務士、精神保健福祉士、税理士ら専門家9人と障害者の保護者ら計11人が「親が亡くなった障害者を支えるきめ細かい支援態勢が不十分」として、昨年6月29日に結成した。
         同市内の2か所の障害者福祉施設に設置した電話窓口で、相談内容によって専門家を紹介。障害のある子どもの将来を心配する親や親族らの悩みや不安の解消に努めている。
         「(子どもの収入源となる)障害年金の認定基準が厳しい」
         「成年後見制度について知りたい」
         「新潟市内の特別支援学校の保護者らに説明したい」
         今年の相談件数は5日現在で計13件。宇部、下関、山口市などのほか、取り組みを知った新潟市障がい福祉課からの電話もあった。
         家庭裁判所が選ぶ成年後見人が判断能力が不十分な精神、知的障害者らの財産や金銭を管理する成年後見制度などについての問い合わせが多いという。
         電話は平日(年末年始を除く)に受け付けている。相談料は原則無料だが、専門的な調査や手続きは有料となる。
         同ネットは電話相談のほか、毎月第4火曜日に例会を開いて行政への政策提言を協議。障害者の税制優遇措置や成年後見制度などを分かりやすく紹介するガイドブックも作成中だ。
         メンバーの1人で、自閉症の子どもがいる有田信二郎さん(62)は「障害者の親は自分が元気なうちに、準備しておきたいと思っている。子どもの権利が保障される仕組みが確立できれば安心する」と話す。
         自らも障害がある社会保険労務士の藤井悌一代表(77)は「親亡き後の住居の問題など課題は多い。障害者団体との連携も深め、今後は出前講座や相談会なども企画したい」と話している。
         問い合わせはNPO法人ときわ(0836・32・8923)、社会福祉法人光栄会(0836・58・2202)へ。
        http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamaguchi/news/20120605-OYT8T01625.htm?from=tw
        「読売新聞」2012年6月6日

        ●医療機関等登録制度:生活保護受給者の受診限定、撤回を 大阪市に弁護士ら要望書/大阪
         大阪市が、西成区に住む生活保護受給者の受診する医療機関を1カ所に限定する「医療機関等登録制度」について、弁護士や司法書士で作る「生活保護問題対策全国会議」(事務局・同市北区)など27団体は4日、制度の導入撤回を求める要望書を市に提出した。
         制度は、悪質な過剰診療や、処方された薬品の転売を防ぐため、市が8月に導入する予定。医療機関を診療科目ごとに原則1カ所に指定、調剤薬局も限定する。緊急時以外に登録していない医療機関で受診した場合は、自己負担を求める。
         要望書は「西成区に限り不合理な障壁を設けることは、適切な医療を受ける権利の侵害」と批判。同会議事務局長の小久保哲郎弁護士は「病気によって通う病院を分ける場合もある。悪質な医療機関を排除する方に力を注ぐべきだ」と指摘している。
         市福祉局は「事情がある場合は複数の機関での受診を認めるなど、柔軟に対応したい」としている。
        http://mainichi.jp/area/osaka/news/20120605ddlk27010399000c.html
        「毎日新聞」2012年06月05日

        ●「餓死・孤立死が増」指摘 生活保護改悪やめよ 全国会議
         全国で餓死・孤立死が相次ぐ一方、生活保護たたきの報道が過熱する中、生活保護問題対策全国会議(尾藤廣喜代表幹事)は7日、厚生労働省内で記者会見を開き、「貧困の実態に合わせた生活保護の制度設計こそが必要だ」と訴えました。
         作家の雨宮処凛さんは自民党の給付水準10%引き下げの提起にふれ、「貧困のまん延は、自民党が与党時代の政策の結果。その責任を取るべきなのに、たたき落とした人を見捨てようとする動きに憤りを感じる」と強調しました。
         弁護士の尾藤代表幹事は、生活保護たたきの報道とそれに便乗して、小宮山洋子厚生労働相が生活保護基準の引き下げや扶養義務を強化する方向での法「改正」を示唆したことにふれました。「これでは餓死・孤立死を増やすことになる」と指摘。「いまの貧困の実態や、生活保護を必要とする人の実態に合わせた制度設計こそが必要だ」と述べました。
         東京都世田谷区でケースワーカーを長年してきた東京自治労連の田川英信副中央執行委員長は「扶養義務の強化は、生活保護の申請をさせない根拠になる。絶対認めてはいけない」と批判しました。
         花園大学の吉永純教授は、1990年前後のデータで生活保護利用者のうち親族が扶養している割合はわずか2%程度にとどまるとして、「生活困窮者はすでに親族に頼っている。これ以上は無理だから最後に生活保護へたどりつく」と話しました。
         生活保護を利用する39歳の男性は車いすを利用しています。「障害があって低収入でも、生活保護で親から独立して自分らしい生活をしたい」と訴えました。
        http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-06-08/2012060801_04_1.html
        「しんぶん赤旗」2012年6月8日(金)

        ●アトピー慢性化の仕組み解明=たんぱく質沈着が原因―佐賀大など
         アトピー性皮膚炎がダニなどの原因物質を身の回りから取り除いた後もすぐに治らず、慢性化する仕組みを出原賢治佐賀大教授らの研究チームが解明し、米医学誌に11日発表した。
         研究チームは、患者の皮膚を分析。アレルギーの原因物質が体内に侵入すると、免疫細胞が働いてかゆみが生じると同時に、たんぱく質「ペリオスチン」が大量に生成されることを突き止めた。
         ペリオスチンが皮膚組織に沈着すると、免疫細胞がさらに刺激され、かゆみが生まれる悪循環が起きることも分かった。原因物質を取り除いてもペリオスチンの沈着が続き、症状が慢性化するという。
         現在の治療法はステロイドの服用などで免疫を抑制しており、感染症にかかりやすくなる副作用がある。今回の発見で、ペリオスチンを狙い撃ちする副作用の少ない薬の開発が期待できるという。 
        http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012061200028
        「時事通信」6月12日

        ●アトピー性皮膚炎慢性化 原因を解明
         アトピー性皮膚炎の症状を慢性化させる原因物質とメカニズムを解明したと、佐賀大学などの研究グループが発表しました。
         新たな治療薬の開発につながると期待されています。
         これは佐賀大学医学部の出原賢治教授などの研究グループが発表しました。
         アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴ったアレルギー性の皮膚疾患で、アレルギーの基になるダニや花粉などに接触しないようにしても、炎症が慢性的に続くことが知られています。
         研究グループは、アレルギー物質による刺激とは別に、体内で炎症が継続するメカニズムがあると考えて研究を進めていました。
         その結果、アレルギー物質が体内に入ったときに作られる「ペリオスチン」というタンパク質が別のタンパク質と結合した際に炎症を引き起こす物質ができるため、炎症が慢性的に続くことが分かりました。
         マウスを使った実験で2つのタンパク質の結合を阻害する抗体を投与したところ、アトピー性皮膚炎が起きなくなったということです。研究に当たった出原教授は「アトピー性皮膚炎の治療にはステロイド剤や免疫抑制剤が主に使われているが、今回の研究を基に新薬が開発されれば、副作用を心配せずに治療ができる」と話しています。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120612/k10015762871000.html
        「NHK NEWS WEB」6月12日 4時25分

        ●<大飯原発>再稼働停止を求め、住民130人が国を提訴
         福井県おおい町の関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題を巡り、福井県や滋賀県などの住民約130人が12日、国を相手取り、関電に運転停止を命じるよう求める訴訟を大阪地裁に起こした。
         訴状によると、3、4号機の海側の活断層2本、陸側の活断層1本が連動すると、原子炉の核分裂反応を止める制御棒の挿入が遅れる▽原発直下にある「破砕帯」は活断層の可能性がある--などとしている。
        http://mainichi.jp/select/news/20120613k0000m040125000c.html
        「毎日新聞」6月13日

        ●精神障害者の雇用義務化へ 厚労省方針、社会進出促す
         障害者のハローワークでの新規求職申込件数
         厚生労働省は、新たに精神障害者の採用を企業に義務づける方針を固めた。身体障害者に加え、知的障害者の雇用を義務化した1997年以来の対象拡大になる。障害者の社会進出をさらに促す狙いだ。企業に達成が義務づけられている障害者雇用率は、上がることになりそうだ。
         専門家による研究会で、近く報告書をまとめる。今秋から労働政策審議会で議論し、来年にも障害者雇用促進法の改正案を通常国会に提出する。企業だけでなく、国や地方公共団体などにも義務づける。
         障害者雇用促進法は企業などに、全従業員にしめる障害者の割合を国が定める障害者雇用率以上にするよう義務づけている。障害者の範囲は身体、知的に限られていたが、そううつ病や統合失調症などの精神障害者を加える。
         障害者雇用率は、働いたり、働く意思があったりする障害者の全労働者にしめる割合と同程度になるよう計算して定められている。現在、1.8%で、来年4月から2.0%になることがすでに決まっている。対象拡大で、この計算にも新たに精神障害者が加わるため、率は上がりそうだ。
         働いたり、働く意思があったりする精神障害者の人数の正確な統計は今のところない。ただ、統計がある「ハローワークを通じて仕事を探す精神障害者」の推移をみると年々増えており、2011年度は約4万8千人。この数字で単純計算すると、雇用率は少なくとも2.2%になる。
         精神障害者の定義は、精神障害者保健福祉手帳を持つ人とする案が有力だ。手帳は10年度は59万人に交付されている。
         精神障害者の雇用義務づけは、働く障害者の増加にともない、障害者団体からの要望も強まっていた。      
          ◇
        〈障害者雇用率〉 義務づけの対象は従業員56人以上の企業(来年4月からは50人以上)。達成できないと、従業員201人以上の企業の場合は、不足する1人につき月5万円を国に納付しなければならない。昨年6月時点では、対象の約7万5千社のうち、達成企業は45.3%。率は法律で少なくとも5年に1回、見直すことになっている。
        http://www.asahi.com/business/update/0614/TKY201206130859.html
        「朝日新聞デジタル」2012年6月14日
        ドクターストップ! 「自宅療養」。
        2012/06/04
        だれが? 私です。
         年度替わりの雑務に忙殺されたことも大きな誘因だと思いますが、この12年間をふり返ると、20年ほど勤めた会社を辞し、まったくの異分野・領域に仕事(活動?)を替えるための学び直し(大学編入学−専門学校−国家資格取得−大学院修士課程)、職場作りと現場実践、膨らむ事務仕事…。
         そもそも12年前のPTSDに始まるさまざまな感情障害の症状を心理療法(2年程?)と薬物療法(自立支援医療で継続中)で凌いできたわけで、増えるストレスによって許容できる閾値を突然に越えてしまった、という感じです。
         そして、「自宅療養」に入り、1つの仕事を辞す方向を考えているわけですが、意欲低下した現実の自己や将来への経済的な不安などから、「いらだち」や「焦燥感」が強まり、基本症状である睡眠の障害「入眠困難」「中途覚醒」「早朝覚醒」はなかなか改善せず、ストレスが減った分、これまで蓄積してきた疲労を、体が感じるようになっています。
         事務的実務に追われ、真面目にやり切ろうと追い詰められるだけ自分を追い詰めてきて、その疲労の蓄積に気づけなかっただけなのでしょう。小さなトリガーで、緊張の糸が切れて、完全と言えるほど、それまでの仕事への意欲を消失し、疲労感と闘いつつ、今後を思い悩む日々を送っております。
         それに拍車をかけるように、大阪維新の会大阪市議団が成立を目指した「家庭教育支援条例案」(反対・抗議運動により提出を断念)、生活保護制度についての無理解な政治報道…。これでは「療養」になりませんね。
         それでは、最近の気になる記事です(今回は古い情報が多いm(__)m)。

        シンポジウム:学校スポーツ事故を考える 柔道指導、あり方探る 被害者家族ら、再発防止や安全対策--神戸/兵庫

         今年度から中学校で必修化された柔道の指導のあり方などについて考えるシンポジウム「学校スポーツ事故を考える」が3日、神戸市中央区中山手通4のラッセホールで開かれた。学校の授業や部活動中に発生した事件や事故の被害者家族ら約80人が参加、スポーツ事故の再発防止や安全対策について話し合った。
         市民団体「全国学校事故3件・事件を語る会」が主催した全国集会の一環。「全国柔道事故被害者の会」事務局の小林恵子さん(62)が事故の事例や再発防止へ向けた取り組みを紹介し、名古屋大の内田良准教授(教育社会学)が柔道事故の特徴や実態を報告した。
         小林さんの三男は横浜市立中3年だった04年、柔道部の練習で顧問の教諭に投げ技や絞め技を連続してかけられ、脳挫傷を負った。今年1月には、横浜市と神奈川県に約8900万円の支払いを命じる横浜地裁の判決が確定。判決は、頭を打たなくても回転力がかかることで脳と硬膜をつなぐ血管が切れ、死亡や重い障害につながる「加速損傷」を認定した。
        http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20120604ddlk28040211000c.html
        「毎日新聞」2012年06月04日

        ●発達障害者の積極雇用に道 金沢で誕生の農業法人
         高い集中力 事業に生かす
         対人関係が苦手な発達障害の人の就労を目指し、金沢市に先月、農業法人が誕生した。受け入れ先として、この障害に特化した会社組織は全国でも珍しく、北陸では初めてとみられる。すぐに雇用できる状況ではないが、軌道に乗れば発達障害者を積極活用するビジネス・雇用のモデルとして注目されそうだ。
         農業法人は、金沢市の薬品販売会社経営前田泰一さん(61)が設立した。勤勉で集中力があり、斬新な発想もできるといったこの障害独特の個性を生かすことを目指す。福祉や支援の対象ではなく、能力を発揮できる環境や制度を整えればビジネスとして事業展開できると株式会社にした。
         前田さんは、国立大に通う長男(18)が小学校低学年の時に発達障害のアスペルガー症候群と診断され、家族や本人が参加するNPO法人「アスペの会石川」(金沢市)の副理事長も務める。発達障害者の厳しい就労環境を何とかしようと起業に至った。
         農業にしたのは、自然相手で、人とのコミュニケーションが少なくて済む作業が多いため。農場として金沢市郊外に約660平方メートルの土地を借りた。ブルーベリーの観光農園や自然農法でのトマト栽培を考えており、健常者と障害者がワークシェアリングで数時間ずつ無理なく働ける環境を目標にしている。
         発達障害者の就労では、国や自治体も支援を始めたばかり。各都道府県に支援センターが置かれ、ハローワークなどと連携して雇用につなげる。職場に出向いて本人の個性に応じた環境調整、企業への助言をする「ジョブコーチ」制度や、会社と障害者双方が適性を見極めるために試用期間を設ける「トライアル雇用」もあるが、利用はまだ少ない。
         前田さんは「障害者本人や家族だけが頑張っても、支えてくれる人がいないと事業は成り立たない。利益を出し職場として成立させるため、長いスパンで地道に取り組んでいきたい」と話している。
         ◇画期的な挑戦だ
         コミュニケーション障害が専門の大井学金沢大教授の話 障害のある人の持ち味を生かせる環境をどうつくるのか。彼らに合った方法で生産性を上げることができれば、画期的だ。増える発達障害者の能力を社会で生かすための一つの挑戦といえる。
         ◇特徴幅広く  理解に壁
         発達障害は脳の機能障害が原因との説が有力で、自閉症が有名。近年は、知能は高いが他人とうまく関係が築けないなどの特徴があるアスペルガー症候群や高機能自閉症、行動に落ち着きのない注意欠陥多動性障害(ADHD)が知られるようになった。特徴が人それぞれで、幅広いため理解されにくい。
         コミュニケーションが重視される社会では、この障害の人が周囲になじめなかったりトラブルを起こしたりする例が目立ち、家庭や学校、企業で対応が問題になっている。
         障害の診断を受ける人は、日本など先進国で増加。米国の最新調査では自閉症の子どもが10年間で78%増え、88人に1人の割合になった。国内では、10年前に文部科学省が疑いがある子も含めた児童生徒が6%に上ると推計。クラスに1~2人はいるとされる。
         幼少期から親子で意思疎通ができない、こだわりが強いなどの特徴が出て、子育てに不安を持つ親も多い。学校では、落ち着きがない言動で授業の進行が妨げられるという例も聞かれる。対応の失敗がいじめや不登校、虐待の要因になると指摘する専門家もいる。
         知的な遅れがないため、大人になり就職してから障害と分かるケースも少なくない。職場では上司の指示が正しく伝わらずミスを繰り返したり、人間関係に悩んだりして辞めてしまう人も。鬱(うつ)など心の病や自殺に追い込まれる深刻な例もある。
         厚生労働省は昨年、全国に約70万人いるとされるひきこもりの3割弱になんらかの発達障害があると推計。早期の対応や環境で状況が改善することから、社会の理解が求められている。
        http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120517163453563
        「北陸中日新聞」2012年5月17日

        ●障害者支援 人手足りず…福島市のNPO
         県外避難でヘルパー減 新規応募は5人だけ
         障害者の自立を支援する福島市のNPO法人「ILセンター福島」(角野正人代表)が、東京電力福島第一原発事故の影響でヘルパーが避難し、人手不足に悩んでいる。
         12日に障害者を介助するボランティアの募集説明会を開いたが、参加したのはわずか5人で、危機感を募らせている。
         ◇夜間早朝が深刻
         同センターは、施設に入所せずに地域で自立した生活を送るため、障害者が呼びかけて1996年に発足。福島市など福島県の北部で、スタッフが毎月100人前後の利用者の自宅などを訪れ、1日平均2時間程度、延べ月約6500時間の介助サービスを提供してきた。
         だが、原発事故後、県外への避難などで約100人いたヘルパーは約80人に減少。体調を崩した利用者を病院に送迎するといった急な依頼に対応できない状態という。早朝や夜間は特に人手が足りず、起床時の介助を利用者の希望より1時間遅らせてもらうこともある。スタッフからは「必要なときにサービスを受けられるのが本当の介助。このまま続けていけるのか不安だ」との声も出る。現在は新規利用者の受け付けを停止している。
         ◇「最低あと10人」
         事故後1年間、資格を持つ職業ヘルパーを募集してきたが、人が集まらず、ボランティアの手を借りることにし、12日に初めて説明会を開いた。
         しかし、参加したのは、福島市などに住む男女5人。うち2人がボランティアに登録したが、ボランティア受け入れ担当スタッフの中手聖一さん(51)は「最低でもあと10人程度は必要だ」と頭を悩ませる。
         介助の内容は、料理や掃除、洗濯から車での送迎、ペットの世話など様々だ。資格や経験、年齢、性別も問わず、間口を広げて募集している。
         中手さんは「日常生活のあらゆる場面で介助のニーズがある。難しく考えず、自分のできること、得意なことを生かして手伝ってほしい」と呼びかけている。
         問い合わせは同センター(024・573・2095)へ。
        http://www.yomiuri.co.jp/feature/eq2011/information/20120513-OYT8T00316.htm?from=tw
        「読売新聞」2012年5月13日

        ●社会全体でサポート 発達障害、正しく理解を 親たちを追いつめないで
         今月上旬、大阪維新の会大阪市議団が成立を目指した「家庭教育支援条例案」の原案に「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害などの要因」といった内容が盛り込まれ、抗議が殺到、白紙撤回された。発達障害は先天性の認知機能障害ということが、1970年代頃から医学的に定説となっている。しかし、今も発達障害の子供たちを育てる親たちは心ない言葉や偏見に苦しんでいる。現場を取材した。
         ◇情報交換や相談
         「感情表現がうまくできない子供が夜中に大声で泣いたら、虐待を疑われて通報された」「子育ての相談窓口の人でさえ、正しい知識を持っていないことがあるよね」
         発達障害児を持つ親の会「チャイルズ」(大阪市港区)。条例案のニュースを聞いた親たちが、口々に悩みを語った。
         チャイルズには現在、大阪市内に住む約80人が在籍。定期的に勉強会や相談会を開きながら、情報交換したり、互いの悩みを相談したりしている。
         「私たちは勉強会などを通して知識もある。仲間もいる。でも今、子供が発達障害と診断され、動揺しているお母さんが『発達障害は親の愛情不足が原因』といった言葉を聞いて、どれほどショックを受けたか心配です」と、代表の是沢ゆかりさん(45)。是沢さんは次男(14)が重度の発達障害だが、「小さい頃、だっこしようとしても嫌がってかみついた。その様子を見た人に『もっと愛情を注いであげて』と言われ、まだ私の愛情は足りないのかと自分を責めた」と振り返る。
         「母親は自分を責めてしまい、子供の障害を周囲に打ち明けられずに孤立してしまう。そんなことになれば、虐待にもつながり、悪循環を生むことにつながりかねない」
         ◇傷つく家族
         発達障害とは、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)といった総称。乳幼児期から学童期にかけて症状が明らかになる。自閉症の場合、視線が合わなかったり他者とのコミュニケーションにおいて困難をきたしたりすることなどから、周囲が気づくことが多い。
         発達障害に詳しい神戸大学大学院保健学研究科の高田哲教授(小児神経学)は「50年ほど前には、発達障害を親の育て方と関連付ける考えもあった。しかし、70年代頃から先天性の認知機能障害であると定義されている。現在では、脳の器質的・機能的な障害であることは医学的にもはっきりしている」と話す。その原因についてはまだ解明されていない部分も多いという。
         ただ、原因が目に見えないため、親は自分の育て方や子供への接し方に問題があったと自分を責めてしまう。そのため、高田教授は発達障害の診断を親に告げる際、脳の機能障害によるものだと伝えている。「育て方が原因ではないのを知ってほっとした」という親も少なくないという。
         高田教授は「誤ったメッセージに家族は深く傷つく。早期からの適切な療育や支援で障害から来る生きにくさを軽減し、成長や発達を促すことはできる。発達障害をきちんと理解して社会で温かく見守ってほしい」と訴える。
         子育て支援に詳しい恵泉女学園大の大日向雅美教授(発達心理学)は「発達障害の問題に限らず、子育てをめぐる問題を全て親の責任としてしまう風潮がある」と指摘。そのうえで、「親だけに『がんばれ』と言って追いつめないで。親が安心して子育てできるように社会全体でサポートしてほしい」と話している。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/120518/edc12051807500000-n1.htm
        「産経ニュース」2012.5.18
        「家庭教育支援条例(案)」
        http://osakanet.web.fc2.com/kateikyoiku.html

        ●<神戸児童殺傷>土師君事件から15年 父守さんが手記
         神戸市須磨区で97年に起きた小学生連続殺傷事件で、小学6年だった土師(はせ)淳君(当時11歳)が殺害されて丸15年となる24日を前に、父守さん(56)が報道各社に手記を寄せた。「今でも子供の可愛い笑顔を、つい昨日のことのように思い出します」と心境をつづり、事件の真相を求め続ける親の思いを吐露した。
         手記では、少年法について「08年の改正で被害者の審判傍聴が認められるなど大きく改善されたが、まだまだ不十分」と訴え、加害少年の顔が見える場所からの陳述や、重大事件の事実認定における検察官関与の原則化、被害者からの質問権などの実現を課題として挙げた。
         犯罪被害者への対応については「拙さが目立つ事例が見受けられます」と指摘。「多くの法律や制度ができても、運用する人たちに十分な認識がなければ実効が伴いません」と苦言を呈し、関係者に理念の理解を浸透させるよう求めた。
         守さんによると、今年も加害者の元少年(29)からの手紙を今月18日に代理人弁護士を通じて受け取った。「自分自身に向かい合い始めたのではないかと思われる内容だった」という。守さんは取材に「事件について、なぜ、どうしてという真実を、彼自身がきちんと分析した上で、彼自身の言葉で説明してほしい」と話した。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120523-00000008-mai-soci
        <神戸児童殺傷>犠牲の土師淳君 父守さんの手記全文
        http://mainichi.jp/select/news/20120523k0000m040137000c.html?inb=yt
        「毎日新聞」5月23日(水)

        ●障害者弁護、派遣33件…新制度導入8か月で
         逮捕した容疑者に知的障害がある場合、裁判所や捜査機関から連絡を受け、専門の「障害者刑事弁護人」を派遣する大阪弁護士会の新制度が順調な滑り出しだ。全国初の導入から8か月間で派遣は33件。従来、福祉関係者や家族が個別に障害に理解のある弁護士を探すしかなかったのが実情といい、弁護士会側は「予想を上回る派遣件数だ。実績を重ね、『当番弁護士制度』のように全国の弁護士会に広がっていけば」と、定着を期待している。
         知的障害を持つ容疑者の捜査では〈1〉取調官に迎合して虚偽の自白をする恐れ〈2〉「黙秘権」など捜査に関する言葉の意味が理解できない可能性――などが指摘されている。2010年には大阪地検堺支部が、知的障害のある男性被告について「妄想を交えて話す傾向があった」として放火事件での起訴を取り消している。
         同弁護士会は09年から、知的障害者の特徴を理解した専門弁護士養成のため、返答を誘導しないような会話の進め方などを学ぶ研修を実施。社会福祉士らの講義のほか、障害者の協力を得て「模擬接見」も行い、主語を明確にして質問することや、「はい」「いいえ」だけの答えにつながる尋ね方を避けるコツなどを習得している。
         こうした取り組みを踏まえ、同弁護士会は研修を終えた弁護士らを「障害者刑事弁護人」として名簿に登録(4月末で約150人)。昨年9月、大阪地裁、大阪地検、大阪府警に〈1〉知的障害者に交付される「療育手帳」を所持している〈2〉特別支援学校の通学歴がある――などを把握した場合、弁護士派遣の依頼時に伝えるよう文書で要請した。
         同弁護士会の高齢者・障害者総合支援センター運営委員会によると、最初の連絡は同11月下旬。通院先の精神科クリニックのドアを壊したとして建造物損壊容疑などで逮捕された容疑者について、地裁から「療育手帳を持っている」との連絡が入った。
         派遣された専門弁護士はその日のうちに接見し、その後も担当検事に取り調べでの配慮を求めたり、主治医から容疑者の様子を聞き取ることを要望したりした。容疑者は不起訴、措置入院(行政による強制入院)になったという。
         以降も地裁から月4~8件連絡があり、先月上旬には府警からも「窃盗事件の容疑者が療育手帳を所持している」と初めての連絡が逮捕翌日に入ったという。
         知的障害者の取り調べでは、すでに各地検が全面的な録音・録画(可視化)を試行。警察でも今月から、できる限り幅広い場面で可視化を試みる方針が警察庁から示されている。
        http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120524-OYO1T00711.htm?from=main1
        「読売新聞」2012年5月24日

        ●10年間で29人が社会へ NPOのひきこもり青年支援
         ひきこもり青年の居場所づくりや社会参加を支援するNPOハートツリー(田辺市下屋敷町)から、10年間で通所者29人が社会に巣立った。相談のみの対応も含めると、さらに多くの社会参加を支援している。
         前身のハートツリーハウスは、ひきこもり者を支援する会「ハッピー」のメンバーや不登校の親の会、南紀高校教員らが2002年4月に運営委員会を発足。同市末広町に一軒家を借りて、同5月に開所した。06年にNPO法人化して現在の名称に変更した。
         通所者の過ごし方は、個人の自由。本を読んだり、テレビを見たり、職員と話したりして過ごす。レクリエーション、お菓子作りや事業所での仕事体験などの活動もある。
         02年5月から12年3月末までに、通所から就職や進学でハートツリーを「卒業」したのは男性17人、女性12人。うち7人が一般事業所に、11人が障害福祉サービス事務所に就職した。ほかにも家業を手伝ったり、大学に進学したりしている。現在の利用者は通所6人、家庭訪問などを受ける登録6人。
         通所期間は1、2年から長い人で6年。通所4年目の男性(25)は、高校時代から常に死について考えるようになった。人前で食事すると緊張で苦しくなり、過呼吸にもなった。大学に進学したものの1年でひきこもりになった。
         通所当初は行事への参加を避けた。人間関係を築くのが苦手で、初対面で「死についてどう思うか」と聞いて、驚かれることもあったという。
         通所3年目でようやく行事が楽しくなり、いまでは「社会参加のため、いろんな経験をしたい」と前向きに考えられるようになった。今年3月からパートも始めた。
         NPO理事長の酒井滋子さん(81)は「ひきこもりには長期的な支援が必要。支援機関は増えており、連携を強化したい。本当は支援機関のない社会が一番。若者の生きにくい社会の方を変えないといけない」と話している。
        http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=232293
        「紀伊民報」2012年05月26日

        ●<支援放置>自閉症小6評価せず、通知表に斜線
         高機能自閉症を抱える関東地方の当時小学6年の男児(12)が3月、ほぼ全教科の成績を斜線(評価なし)とする3学期の通知表を渡されていたことが分かった。男児はクラスの授業に出られなくなっていたが、ほぼ毎日登校。発達障害児らを支援する「通級指導教室」(通級)は週3時間しかなく、保健室や図書室で過ごしていた。専門家は「学習支援が不十分で、通知表の評価が全くできないほど放置していたのは問題」と批判している。
         母親(41)によると、男児は集団行動や字を書くのが苦手な一方、知能指数は高く、年500冊以上の本を読む。通級では算数や図工、集団行動などを学んだ。通知表は所見欄に「毎日少しでも教室で過ごそうと取り組んだ3学期でした」などと記されたが、国語以外の学科評価は斜線だった。母親は「存在を否定されたようでショックだった」と話す。
         校長は「国語だけ評価材料がそろった」と説明。毎日新聞に対し、校長は「取材は受けられない」としたが、地元教委には「成績をつけない場合は事前に保護者に説明する方針だが、対応が不十分だったなら申し訳ない」と述べたという。
         通級は国の規定で週8時間まで通えるが、男児は週3時間に設定され卒業まで変わらなかった。口頭ならテストを受けられたが、対応はなかったという。文部科学省特別支援教育課は「一般的に保健室での学習や通級による指導も参考に、評価はできる。子どもの状態に応じた支援を検討してほしい」と話す。
         東京都自閉症協会の尾崎ミオ副理事長は「同様の例は他にも聞いたことがある。学ぶ権利を奪っている」。特別支援教育に詳しい東京学芸大の高橋智教授は「教育の放棄だ。子どもは最大限の多様な支援を受ける権利があり、これを保障するのが特別支援教育。理念が学校に浸透していない典型例だ」と語った。
         ◇特別支援教育
         障害のある子どもの個別の教育的ニーズを把握し、指導・支援することを掲げ、06年に学校教育法に位置づけられた。肢体不自由、知的障害などのほか、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症の子らが対象。障害がある通常学級の小中学生を支援する「通級指導教室」はLDやADHDを対象に含めたことで利用が急増し、11年度で6万5360人に上る。
        http://mainichi.jp/select/news/20120528k0000e040202000c.html
        「毎日新聞」5月28日(月)

        ●青年期以後の広汎性発達障害,発達歴含む縦断的評価で診断を
         第108回日本精神神経学会で奈良県立医大・太田豊作氏が発表
         自閉症やアスペルガー障害などの広汎性発達障害(PDD)は,青年期以後ではほかの精神症状を主訴とすることが多く,的確な診断や治療が受けられないこともあるという。第108回日本精神神経学会学術総会(JSPN 2012;5月24~26日,札幌市)のシンポジウム「青年期以後の広汎性発達障害の診断と対応」で発表した奈良県立医科大学精神医学講座の太田豊作氏は「青年期以後に初めて受診する場合には,ほかの精神症状を主訴とすることが多く,横断的な評価に重点が置かれがちである」として,「発達歴を含む縦断的な評価も十分に行い,総合的に診断することが重要」と訴えた。
        http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1205/1205079.html
        「MT Pro」2012年5月30日
        本人さんを尊重し、その持てる自己回復力を信じte.
        2012/05/02
        年度替わりのドタバタがまだ続いていて、更新が1ヶ月ぶりとなってしまいました(みんな行政諸機関のせいです(-_^:))。
         さておき、そんな中でも、嬉しいエポックがありました。
         大学4年の就職活動で二次面接に連敗し、自己評価を最低レベル(?)に下げてしまいひきこもり状態となってしまった青年のご両親が、相談に来られたのは4年前。超氷河期と言われる就職戦線に、彼の自尊心はズタズタにされてしまいました。親としてどう関わったら良いか…。
         賢明なご両親は、本人さんを尊重し、その持てる自己回復力を信じ、「どうすれば良いか?」を慎重に考えられました。布団に、フード付き上着のフードを被ったまま潜り込んで動かない本人。精神科やカウンセリング、諸機関の相談先に行ける状態にもなく…。
         月1回の継続相談とし、生育歴や今の事態の心理社会的要因の把握から始めました。認知面での「偏り」(こだわりなど)も薄くありましたが、発達障害として関わるべきレベルとは思えず、自己肯定感情を維持し、引き上げる長期戦に入りました。
         本人さんも、布団の中で考え続けられていたようです。
         大学卒業に必要な単位が少なかったことから、「卒業をする」に両親の援助を集中した時期、次にめざすものを自ら見つけるために見守る時期、新たな目標が持てたらしいと察知できてから「安心してそれに取り組んで良い」と以心伝心で支える時期…。そして彼は動き始めました。大学院入学に向けて、塾に通い始め、無事に合格。修士課程の2年間は、大学、学びに関係する現場での体験を兼ねたアルバイトもし、そして修了。資格取得に向けて次のステップへ、と思っていた矢先、翌年にその資格取得を前提に、急転直下、公的職場に正規就労が決まりました。職場の寮で生活することになり急遽の引っ越し、資格取得に向けて、通信教育の開始…。ご両親はさぞ驚かれたことでしょう。
         本ケースで肝心なのは、私が本人さんに一度も会っていないこと(他にも本人さんに会わない、会えないケースはあります)。ご両親の不安や焦りをお聴きし、本人さんの状態をできるだけ正確に把握し、時々の関わり方や必要な情報提供などを、ご両親とのセッションで継続したわけです。精神科受診も、服薬も、本人の了解の無い訪問も無く、ご両親を通しての間接的支援で、終結を向かえたことになります。
         思春期・青年期の人間発達上の大きな課題である「アイデンティティの確立」が、心理社会的要因で阻害され、抑うつ的になりつつしっかりと考えるためにひきこもる、その状態を、人として、家族としてご両親が支えていくために、私のような第三者の支援者が関わる、本人さんの自己回復力を信じての環境調整に徹する、その継続でした。特別な治療や療法は必要ありませんでした。自己評価の維持と向上をキーワードに、肯定的な関わりに徹しただけ、といっても過言ではありません。
         ただ、4年前のひきこもり状態から「会話」が途絶え、今でも継続中。就職が決まったことも、メールで簡潔に、でした。何年か後、きっと、この間の思いを語ってくれる日が来るはずです。
         進学や就労につながられると、やはり支援者としても嬉しいものです。苦しんだ時間が、生きていくエネルギーになると信じて…。
         カンナですが、5月は、積ん読になっている本を読むなど、学習強化月間とするため(少し疲れを取りたいのもありますが…)、新たな相談の受付をお断りしています。勝手を言いますが、宜しくご理解願います。
         それでは、最近の気になる記事です。

        「自殺考えた」23%に増加…20代女性3割超

         内閣府は1日、自殺対策に関する意識調査の結果を発表した。
         これによると、自殺を考えた経験がある人は全体で23・4%となり、2008年2月の前回調査より4・3ポイント増えた。年代別では20歳代の28・4%が最も多く、特に20歳代女性は33・6%と、前回調査(21・8%)から大幅に増えている。
         調査は今年1月、全国の20歳以上の男女3000人を対象に実施し、有効回収率は67・2%だった。
         年代別では、40歳代の27・3%、50歳代の25・7%、30歳代の25・0%と続いた。すべての年代で女性が男性を上回っている。
         また、自殺を考えたことがある人のうち、「最近1年以内」に考えたと答えた人も、20歳代の36・2%が最多だった。20歳代女性に限定すると44・4%に上った。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120501-OYT1T01517.htm
        「読売新聞」2012年5月2日

        ●自殺率 10万人あたり28.4人の韓国が急上昇して世界一
         日本は世界一の自殺大国だといわれて久しい。自殺者は14年連続で3万人を超え、今や最大の社会問題のひとつだ。
         ところが、どうやらこの不名誉な世界一が抜かれたようだ。近年の自殺率急上昇で、韓国がトップに立ったというのである。
         直近データでは、韓国の人口10万人あたりの自殺者数(2009年)は28.4人。これは、OECD(経済協力開発機構)加盟国で最も高い。対して日本は25.8人となっている。
         両国が、世界で最も高い自殺率を記録しているのは、共通した理由があると見られている。
         自殺予防総合対策センターの竹島正・所長がいう。
         「両国共通の要因に挙げられるのが貧富の格差拡大と競争の激化です。急激な経済成長は国民生活に反映され、勝ち負けが評価の対象となりやすい。日韓ともに学生時代から大人になるまで、常に過酷な競争にさらされているストレスの影響は計り知れない」
        http://www.news-postseven.com/archives/20120408_99886.html
        「週刊ポスト」2012年4月13日号 2012.04.08

        ●通学の交通費が払えない 変わらない「高校中退と貧困」の構図
         2009年10月、『ドキュメント高校中退――いま、貧困が生まれる場所』(筑摩書房)を出版し、毎年生まれる十万人近い高校中退者たちの実情をルポした。彼らを中退に追い込む原因の多くは「貧困」であり、彼らもまた、仕事にありつけず、社会の底辺で生きていくことになる。こうして「再生産」された貧困が今や日本社会に大きな影響を与えている。「貧困連鎖社会」の現状とは――。
         2008年4月に都立高校に入学した生徒の1割が中退(転学、留年含めた数)していたという報道があった。(朝日新聞2012年2月9日付)2008年に入学した生徒4万66人のうち、3年生で卒業した数は3万6424人で90%だった。大阪のある公立高校の状況を紹介しながら、貧困と格差の拡大が、高校教育を一層厳しいものにしている事態を報告したい。
         ◇今春の高校入試は終わったが…
         2012年度の高校入試が終わった。多くの自治体で高校間の格差が、定員割れなど入試結果に大きな影響を与えていることが一層明らかになった。
         今年度の大阪府立高校の入試(前後期の2回入試)では、公立高校全日制普通科の定員割れは107高校中17校(前年度41校)だった。昨年度は、私立高校の授業料補助(授業料支援補助金制度)が始まったため、私立高校への進学者は前年度比で3000人増えた。一方、大阪府下の公立高校では異常な定員割れが起きた。今年度は昨年度ほどではないが、それでも16%の公立高校が定員割れしている。
         定員割れした公立高校は2次(欠員)募集をするが、中には、A高校(103名)、B高校(97名)、C高校(40名)、D高校(27名)、E高校(21名)という大幅な2次募集が必要となった高校があった。 
         もうひとつの特徴は、定員割れを起こした公立高校は、ほぼすべてが偏差値40以下(予備校など教育産業が作成した偏差値を使用)のいわゆる「底辺校」だった。
         中でも、A高校は、昨年度春も定員240人の5割程度しか生徒は集まらず、しかも昨年度の入学者の半数程度しか進級できないという深刻な「教育危機」に襲われていた。
         ◇中退者の多い「底辺校」
         全国的に共通する現象だが、行き場を失った生徒たちが、「底辺校」に集まっている。いわゆる地域の「底辺校」と呼ばれる高校は、地域で評価が低く、入学時から生徒が集まらず、定員割れを起こすことも多い。入学した生徒も、貧しい家庭環境の中、規則正しい生活習慣や学習習慣が身についておらず、成績不振や出席日数不足で進級できない。こうして卒業後の目標を持てないまま、次々に中退していく。
         このような現象だけを見ていくと、橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会が主導してつくった『府立学校条例』の「3年連続定員割れを起こした高校は改善(※事実上の廃校)」、という主張に「当然だ」と思われる読者も少なくないだろう。
         ◇通学の交通費を払えない
         ここ数年間、定員割れとなっている大阪の公立A高校の現状から本当に「廃校は当然」なのか、読者の皆さんにも判断を委ねたいと思う。
        http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/wedge-20120425-1825/1.htm
        「WEDGE」2012年04月25日掲載 2012年4月25日(水)配信

        ●ネットいじめ、現状・対策は シンポジウムに80人 大津
         インターネットの掲示板やブログに他人を中傷する内容などを書き込む「ネットいじめ」についてのシンポジウム「ネットいじめを考える インターネットに潜む影」が21日、大津市におの浜のピアザ淡海で開かれた。教育関係者や法曹関係者ら約80人が参加し、専門家の講演やパネルディスカッションに熱心に耳を傾けていた。
         5月3日の憲法記念日を前に、人権や表現の自由などについて考えてもらおうと、滋賀弁護士会が毎年テーマを変えて企画している。パソコンや携帯電話など情報機器が普及して子供がインターネットに関わりやすくなっていることから、今年はネットにおけるいじめを取り上げた。
         シンポジウムでは、原清治・佛教大教授(51)がネットいじめの現状について講演。原教授は「(学校などで)仲のよさそうに見えるグループでも、インターネットの世界での付き合いがきっかけでいじめが始まったり、悪口を言われていたりすることがある」と指摘。「ネットいじめは外部から認識しづらい」と強調した。
         ネットいじめへの対応策などをテーマにしたパネルディスカッションもあり、彦根市立東中学校の加藤三男教頭(48)が「学校現場では子供の生の人間関係を育てることが必要。ネットのサービスに制限を加えるなど社会全体の努力も大切だ」と提案した。
         また、京都弁護士会の小川顕彰弁護士(35)は「匿名の書き込みでも、捜査や法的処置をとれば特定可能だということを知らせることが予防に効果的」と語り、原教授は「子供の法教育を徹底し、悪いことをしたらどのような結果になるかをきちんと教える必要がある」と述べた。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/120422/shg12042202040002-n1.htm
        「産経新聞」2012.4.22

        ●未払い残業代求めたら…会社解散、全員解雇 
         高齢者介護施設などで職員と事業者の間で賃金や休暇など労働条件をめぐるトラブルが絶えない。尼崎市の訪問介護施設では未払いの残業代を職員が求めたところ、事業者が「経営が成り立たない」と赤字を理由に5月末での閉鎖を決めた。全職員を解雇するといい、この職員は「正当な賃金を要求したら会社がつぶれてしまうのか」と困惑している。(中部 剛)
         施設は同市稲葉元町、クローバー訪問介護センター。高齢者専用賃貸住宅「ハート・ピア尼崎」内にあり、主にこの住宅内の高齢者を訪問介護している。昨年、夜間勤務の職員2人が、残業代や割増賃金に未払いがあり、休憩も十分に取れていないと訴え、同センターの運営会社「バックオフィス」(大阪府豊中市)と労使交渉を始めた。
         同社は、尼崎労働基準監督署から改善を指導されたが、労働条件はその後も変わらなかった。2人は労働基準法に反しているとし、昨年12月、同労基署に告訴した。
         労使交渉でバックオフィスは一定の責任を認めたが、未払い分の額について2人と折り合わず、労働審判に持ち込まれた。神戸地裁で調停があり、今年3月、同社が2009?11年の未払い分計約300万円を2人に支払うことでまとまった。
         その後、同社は2人に賃金カットを提案。2人が拒否すると、3月末、債務超過を理由に「自社の解散手続きに入る」と連絡してきた。
         センターには正規、非正規の介護職員、ケアマネジャーら18人がいるが、会社解散に伴っていずれも解雇。同社は訪問介護を引き継ぐ事業者を探しており、「次の事業者に雇用してもらえるよう働き掛ける」と職員に説明し、高齢者専用賃貸住宅の利用者や家族にも通知した。
         バックオフィスの男性部長は「このまま続けても赤字が広がる。引き継ぐ事業者のめどもついた。スムーズに引き継ぎたい」と話すが、未払いの残業代を求めた職員は「私たちのせいで会社をつぶすといっている。求めたのは正当な賃金だ。あまりにも乱暴な話で納得できない」と憤っている。
        http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004985652.shtml
        「神戸新聞」2012/04/19

        ●「脱引きこもり」を国や精神科医だけに頼らない半数以上の家族に変化をもたらす3つの作戦
        「家族が変わると、子どもも外に出てきて動き出す」
         こう常々語っているのは、「全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)」の池田佳世代表。実は、約25年前からカウンセラーを務める臨床心理士だ。
        「親が子どもに対して、ゆっくりさせてあげよう。何も言わないようにしようと思っていれば、子どもは退屈になって外に出てくるのです」
         池田代表によると、そんな学習会を続けている東京、千葉、静岡でアンケートを行ったところ、110家族のうち、半数を超える約51%が「子どもへの対応がよくなった」と回答。約24%が「子どもも楽になり、 家族関係が治療関係に変化した」と答えるなど、多くの家族に変化が生まれていたことがわかった。ここでいう「子ども」とは、30~40代の大人も含む。
         2011年以降、このような家族が勉強するための学習会は、香川、宮崎、福岡、広島、岡山、名古屋、新潟などの地方支部でも、池田代表を招いて開催され始めている。
        「家族が変わる」とは、具体的にはどのようなことなのか。今年2月11日、同会支部で山形県米沢市のNPO法人「から・ころセンター」が開く学習会で講演した池田代表に同行した。
        ◇国、精神科医だけに任せない 我が子を救うのが「親」の責任
         この日、銀色に染まった米沢の街に、風花(かざはな)が舞っていた。
        「私にできることは、全国の40支部が仲良くしていくことや、いろんな人たちと多くの関係を持っていくこと。会を1つにまとめ、『引きこもり』を法律の中に入れて頂けるよう、国に話をしています。70万人のデータ以上に数多くいるであろう引きこもりの人たちを、元気に回復させていきたい」
         外の寒さをよそに、こう熱く切り出した池田代表は、約100人の家族らを前に、長期間、引きこもってしまった人たちが数多くいる現実を説明。3年で担当者が異動になるような国の役人だけに頼らず、家族会が本人を回復させる。自らの子どもへの対応の経験も踏まえながら、「親の対応(を変えるに)は、家族の学習会がいちばん」として、こう力強くアドバイスする。
        「我が子の回復を1人に任せない。精神科医やカウンセラーに任せない。我が子の責任は、親にある。親は、この未知の分野で他人の手を借りて勉強し、子どもを回復させてください」
         国も、精神科医も、大学教授も、どんな専門家でさえも、どうやって回復させていけばいいのか、いまもわからずにいる。だから、他人には任せない。未知の分野には、そんな意味が込められる。
        「精神科に行って、薬を飲み続けるうちに、本当に精神疾患になってしまった人たちがたくさんいる。引きこもりの人は薬が売れないから診ません、と言っている医師もいます。親のほうが自分の子どものことをよくわかっている。でも、回復した子どものことはわかっていないから、学習会に来て勉強したり、話し合ったりして、回復の道をつかんでいってほしいと思うのです」
        ◇3段階ある引きこもりのタイプ 外に出るために重要な”居場所”の存在
         約25年の経験から、こうやれば回復するのではないかというのはわかる。ただ、そのやり方が合致するかどうかは、誰にもわからない。
         第1段階は、家からまったく出ないタイプ。ただ、会場に該当者は1人もいなかった。
         第2段階は、夜、外出したり、店に買い物に行ったりできる。ただ、外には出られても会話のできないタイプだ。
         第3段階は、居場所に行ける。しかし、ここまでたどり着くのが、なかなか難しいという。
        「親がここまで来られるのなら、学習会をしてほしい。親が子どもの対応を学んで、親同士で話ができると、ちょっと楽になれる。家族会に来てみたら、1人じゃないことがわかって通い続けるうちに、そこでは話ができるようになるんです」
         親戚からも孤立している家族は少なくない。しかし、家族会では、子どものこと以外の話題もできるようになって、楽になれる。親が楽になると、子どもも楽になって出てくるというのだ。
        「親は”仕事もしないで、これからどうするつもりなのか”をいちばん聞きたがるんですね。しかし、そこだけは聞いてほしくないのが、子どもの気持ち。”どうなるのか、わからない”と子どもたちは言う。学習会を続けていると、そのうち子どもが動き出して、居場所に来るんですね」
         とはいえ、「居場所があるから行ってみたら?」と言われても、「俺は引きこもりじゃない!」と反発する人もいる。
        「お母さんが居場所のボランティアをやってみたり、出入りしたりして黙っていると、ポンと出てきたりするんです。”居場所を訴えてやる”と怒って出てくる場合もあります。いずれにしても家ですることがなくなると、出てきます」
         ◇いつの間にか子どもが元気になる!? 家族に実践してほしい「3つの作戦」とは
         引きこもるタイミングも理由も人によって様々で、一筋縄ではいかない。
         しかし、第1段階から第3段階まで至るには、それぞれ3ヵ月から3年かかる。その間、家族には勉強し続けてほしいという。
         たとえば、池田代表が提案する「作戦」は、次のようなものだ。
         1、引きこもったときから、人を家に入れよう
         他人が家に入ってしまえば、空気が変わることが多く報告されている。
         もちろん、部屋から出てこない当事者もいる。「誰も入れるな!」と言われても、他人が「来ちゃった」という感じで訪ねれば、当事者が出てきて丁寧に挨拶されたケースもある。
         いろいろな人に会わせていけば、対人恐怖も少しずつなくなっていく。それも、保健所や地域自立センター、精神科医など、できるかぎり無料で依頼できる人にお願いする。
         2、親の無条件な肯定的関心
         条件付き肯定的関心は、「仕事をすれば…」「家で手伝いできれば…」などを条件に、「いいね」と肯定する。それに対し、無条件肯定は、生きているだけで「いいね」と肯定するもの。
        「大好きだよ」「宝物だよ」という魔法の言葉をかけてあげてほしいという。
         関心とは、そう思えるときに近づいて、ほめてあげること。思えないときは、子どもには近寄らず、外で遊んでいればいいらしい。
         3、自己表現をさせる
         両親が「そう」と言って、同じトーンで、よく話を聞くようになると、子どもが元気になる。具体的な会話のやり取りの事例は、池田代表の著書『新「困った子」ほどすばらしい』に記されている。
         池田代表は、こう指摘する。
        「神経を立てていると、子どもは病気になる。最初は、子どもにゆっくりさせること。親が一生懸命な気持ちにならないといけません。心からそう思わないと、親子なので、黙っていても(心音は)通じてしまうのです」
         冒頭のアンケートでは、学習会の効果について、「いつ自分が変わり始めたか、 その後の様子は?」という質問に、自由記述でも答えてもらっている。それによると、 こんな回答が寄せられた。
        「学習会で親子ゲンカをしないと言うお母さんたちに会って、反省した。そしたら、子どもの暴言が減ってきた」
        「対応の仕方を教わったり、 仲間の存在により少しずつ自分も気持ちが楽になったことによって、子どもも少しずつ親に顔を見せるようになった」
         池田代表は、こうした学習会を普及していくため、いまは交通費などが出なくても地方へ講演に出かけているという。
        http://diamond.jp/articles/-/16959
        「DIAMOND online」「引きこもり」するオトナたち 2012年4月5日

        ●発達障害に理解深めて 県がサポートブック発行
         県は、保育士や乳幼児を持つ親向けに発達障害児の特徴、接し方などをまとめた「いわてこども発達支援サポートブック」を発行した。発達障害児の成長には家庭や教育機関だけでなく、地域など周囲の理解と協力が不可欠。サポートブックは計3種類で県は市町村を通じて保育園や保護者に冊子を配布し、理解と対応に役立てる。
         保育士ら指導者向けの冊子はA4判カラー47ページ、全7章で構成。医師ら専門家や実際に発達障害児に関わっている保育士が編集し、写真、イラストを用いて実例などを説明しているのが特徴だ。
         例えば1日の流れを伝える時には分かりやすく絵を使って説明することや、集中力が低い子どものために間仕切りを作るなどの対応方法を解説。相談が可能な各専門機関なども紹介している。保護者向けには、冊子とリーフレットを作った。
         発達障害は、他人と関わるのが苦手な自閉症、じっとしていられず衝動的な行動が多い注意欠陥多動性障害(ADHD)、特定能力に習得の困難さがある学習障害(LD)などの総称で、子どもの頃から症状が現れる。
         盛岡市手代森の県立療育センター内の「発達障がい者支援センター」への相談は2005年の設置から毎年数百件単位で増え、11年度は計1800件。医療機関からの紹介が増えたことや同じ人が繰り返し相談することが増加の要因で、「子どもや孫との関わり方が分からない」「学校でうまく友人をつくれないようだ」などの相談が寄せられている。
         サポートブックは計約3万6500部作成。県のホームページから見ることもできる。
         県は保育士や専門相談員ら支援者向け研修会で紹介し、具体的な活用方法を周知。相談員が保護者向けに行う勉強会でも教材として使用する予定だ。
        http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20120410_10
        「岩手日報」(2012/04/10)

        ●発達障害データベース化 阪大など5大学、療育法提供へ
         大阪大や浜松医科大など5大学は今年度、自閉症や学習障害といった子どもの発達障害に関する医学データを集約し、適切な治療教育の方法を導き出すデータベースの整備を始めた。根拠に基づく療育法を関係施設や学校に提供するのが狙いで、秋頃には運用を始める予定。将来は、家庭のパソコンなどで保護者も利用できる簡易型データベースも作り、障害の早期発見・対処のための情報を盛り込んでいく。(水谷工)
         ほかに金沢大、福井大、千葉大が参加。いずれも発達障害の研究や療育方法の開発などで実績がある。各大学には「子どものこころの発達研究センター」が設置され、連携しながら研究や教育を行っている。
         集約されるデータは、▽遺伝子▽脳画像、脳機能検査▽心理・行動テスト▽臨床診断▽療育方法と効果――などで、約1万4000人分、5万件以上に上る。
         データは現在、各大学ごとに管理されており、他大学のデータとの関連はほとんど調べられていない。このため、データベース化では、「ある脳画像のパターンと、ある療育方法の効果に高い関連がある」などと、データ間の関連性を相互に結び付けていく。そうすることで、障害の種類や程度、年齢ごとに有効な療育方法や教育プログラムのパターンを蓄積できるという。
         施設などで、子どもの脳画像の特徴や臨床診断などのデータを入力すると、その子に最適な療育方法などを呼び出せるようにする。個人情報を含むデータは全て匿名化する。
         データベースは、障害の原因解明に向けた研究にも活用する。今後は他の医療機関や自治体などにもデータ集約への参加を呼びかける。大阪大の片山泰一教授(神経化学)は「過去の経験や事例だけに頼ると、誤った療育で症状を悪化させる可能性がある。一人ひとりの子どもに合った療育を実現したい」と話している。
        ◇小中学生の6%
         発達障害は、先天的な脳機能障害が原因とされる。対人関係を築くのが苦手な自閉症やアスペルガー症候群、読み書きや計算の習得が難しい学習障害、衝動的に行動しがちな注意欠陥・多動性障害などがある。
         早期に適切な療育を行えば、生活能力や学力を伸ばせる。文部科学省の2002年の調査では、特別な配慮が必要な発達障害と思われる小中学生は6%と推計されている。
        http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/kansai1335157732988_02/news/20120501-OYT8T00682.htm?from=tw
        「読売新聞」2012年4月30日

        ●アンケートで精神的苦痛…職員組合が大阪市を提訴
         橋下徹大阪市長が職員に回答を義務付けた組合活動に関するアンケートで精神的苦痛を受けたとして、市労働組合連合会(市労連)など職員組合5団体と組合員28人が24日、市とアンケートを実施した元市特別顧問の野村修也弁護士に慰謝料など計約1340万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
         訴えによると、政治家の応援活動への参加歴などを尋ねたアンケートの強制は「踏み絵」を迫ったもので、職員の思想良心の自由を侵害した。また組合活動への参加歴などの質問は組合への支配介入に当たり、団結権や政治活動の自由の侵害だとしている。
         アンケートは橋下市長が野村氏に一任して2月に実施。記名式で、正確に回答しない場合は処分対象になるとして橋下市長が業務命令で回答を求めた。市労連の救済申し立てを受け大阪府労働委員会は同月、調査の続行を差し控えるよう市に勧告。野村氏は今月6日に未開封のまま廃棄した。
         会見した原告の組合幹部は「実名による回答ということに一番驚いた。憤りと不安で職場は凍り付くような緊迫感だった」と振り返った。
         市は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
        http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/04/24/kiji/K20120424003114040.html
        「スポニチ」2012年4月24日
        発達障害-生涯にわたる支援へ。
        2012/04/07
        年度替わりのドタバタで、無休憩の日々、少し時間ができたので、ようやく更新ができます。 
         行政の方とやり取りしていると、「この人、今の部署の前はどこにいたんだろう?」と思うことが少なくありません。こと保健福祉関係の部署の担当者で、会話が通じなかったり、とにかくマニュアルや法令、通知などに厳格過ぎる上に独自の解釈を加えて、結果、受益者やサービス提供者にとって、ムダで不本意で不利益となるような「指導」「指摘」「通知」「要請」「決定」などが平然と行われて、あきれてしまうことがあります。
         1年や2年で、ころころと異動になるのが当たり前の行政職員のようですが、適材適所な人事考課、一定の経験やスキルの保有、せめて前任者からの十分な引き継ぎなどはお願いしたいところです。
         「指導」「指摘」「通知」「要請」などにおいても、上から目線というか、上下関係というか、「みんなの税金を使うのだから」という金言を盾に、高圧的な態度で接してこられる方が(少なくなく)おられるので、こちらが対応に困ってしまうのが実情です。介護、障害福祉、生活保護など、保健福祉や公的扶助の法制度的な本来の視点や考え方をきちんと理解された上で、制度に基づいた「指導」などをされるのであれば、あのような態度で接することもないと思います。
         そんなことをあれこれ考えている時に、一冊の本に出会いました。
         『地域保健活動のための発達障害の知識と対応−ライフサイクルを通じた支援に向けて』(平岩幹男:著,医学書院,2008)
        http://www.amazon.co.jp/地域保健活動のための発達障害の知識と対応―ライフサイクルを通じた支援に向けて-平岩-幹男/dp/4260007394/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1333766864&sr=8-2
         地域で活動される保健師さんなどを対象に書かれたものですが、発達障害の理解を前提に、幼児期から成人期までの具体的な対応、発達障害に関する保健行政も紹介されています。高齢期への言及がないのが残念ですが、かなりまとまった物だと思います。
         それでは、最近の気になる記事です。

        自殺防止へ「ワンストップ相談会」 京都市6月から

         雇用や育児などの悩みに一元的に応じる相談会の新設を決めた市自殺総合対策連絡協議会(京都市上京区のホテル)
         京都市は年間300人を超す自殺者の抑制に向け、経済問題や雇用、育児、就学などの相談に一元的に応じる「ワンストップ相談会」を6月から始める。2011年の自殺者数は10月時点で259人と市が目標に掲げる240人以下を超えており、相談体制を充実させる。
         自殺防止では、すでに行政や市民団体などが労働や医療、教育など個別分野の相談窓口を設けているが、育児不安の背景に雇用や介護問題があるなど複合的な悩みとなっている例が多い。相談者の心の不安を早期に取り除くため、一元的な相談窓口の開設が課題となっていた。
         新設する相談会には弁護士や精神保健福祉士、自死遺族、労働問題の専門家ら5人程度が常駐する。専門的な見地から助言し、必要に応じて病院や福祉窓口、労働相談所などとともに課題解決に当たる。
         6月から月に1回程度相談会を開催する予定で、自殺者が比較的多い年末などには地域を巡回して相談に応じる場を設ける。
         自殺防止に取り組む関係団体が参加する市自殺総合対策連絡協議会が26日開かれ、市内の年間自殺者数は07年以降300人を超え、11年も10月時点で259人に達していることや、特に東日本大震災後の5~7月に前年同時期の1・3倍の97人に上ったことが報告された。
         市は16年度までに自殺者数を240人以下に抑える目標を掲げており、市障害保健福祉課は「専門家間の連携を深め、悩みを抱える市民に寄り添う体制を強化したい」としている。
        http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20120326000155
        「京都新聞」3月26日(月)

        ●ニュースUP:追跡 いじめ問題、認めぬ学校側 隠蔽という2次被害 <おおさか発・プラスアルファ>
         神戸市内の小学校で05年度、同級生からいじめを受けた小学5年生の男児(現在17歳)が損害賠償を求めた訴訟で、裁判所がいじめを認定した後も被害者の父親(48)らが神戸市教委に働きかけを続けている。市教委が「いじめと断定できない」と裁判所に提出した調査の回答書が「虚偽で、納得できない」という。改めて現場から報告する。
         ◇審査打ち切り
         「一枚の書類になぜここまでこだわるか、親の思いをどうか考えていただきたい」
         神戸市議会の文教経済委員会に先月、回答書を虚偽だと認めさせるよう3回目の陳情をした市民団体「全国学校事故・事件を語る会」の西尾裕美さん(54)が訴えた。「虚偽文書を作成・提出し、いじめ・恐喝行為を隠蔽(いんぺい)しようとした事実を認めさせ」るよう、市教委に指導を求めるなどしてきた。会のメンバーでもある父親は傍聴席で見守った。だが、審査は打ち切りとなった。
         大阪高裁が09年12月に出した判決では、加害者3人の保護者計5人に慰謝料など計110万円余りの支払いを命じた。05年4月~06年2月、日常的な暴力、金銭の恐喝・たかり行為などを認めた。恐喝・たかり行為には、和解などが成立した児童を含め計7人が加担したとされ、被害金額は計約50万円に上った。
         回答書は、1審の最中だった08年2月、神戸地裁に出され「いじめ・恐喝の事実があったか断定できない」とした。被害者の保護者の要望で本人に直接事実確認ができなかった▽被害者が恐喝事件として警察に届け出、取り調べが始まった▽被害者が転校--などから調査続行が困難になったとしている。
         ◇「校長の涙」どこへ
         父親は裁判中、この内容を知って驚いた。学校側はいったん、被害者である少年と父親にいじめを認めたからだ。当時の校長が市教委に、文書で報告している。学校側はいじめ発覚翌日から関係者の家を回って事実確認をした。学年集会を開き、5年生全員に見聞きしたことを書かせた。校長はその結果を被害者と両親に報告し、「かわいそうに」と涙を流し、いじめを認めた。
         父親は、本人に直接話を聞かないように要望したことはなく、転校後も学校に出向き面談したことがあったことなどを挙げ、「文書は虚偽」と強く訴える。一方、市教委側は、委員会などで「被害者側の主張と学校側が調査できたことに食い違いがあり、それを埋めるだけの調査ができなかった」と繰り返す。校長が06年3月に市教委に提出した文書には、いじめや恐喝の加害児童の人数も書かれている。判断を覆した理由については「記録がないので分からない」「既に退職した外部の人なので問い合わせるつもりもない」と、木で鼻をくくったような回答だ。
         私は何回か、いじめによる自殺を取材した。どのケースも学校が「2次被害」を起こしていた。発生当初だけは謝罪することがあるが、「なぜ命を落とさなければならなかったか」と調査を求める遺族に言を翻して事実を隠したり、沈静化を図る過程で孤立させたりする。今回は被害者が自殺に至るような事態は避けられたが、構図は同じだ。
         被害少年はいじめ発覚直後、担任と生活指導の男性教諭2人と面談したが、「なぜ早く言わなかったか」と何度も問い詰められ、「いじめられる方にも責任がある」などと言われた。加害者側の陳述書によると、学校側は加害者の親に、脅したのではなく「お金をもらった珍しいケース」などと説明し、いじめたことには触れなかった。被害者の保護者を中傷する発言まであったという。被害者家族はいじめ問題から、転校を余儀なくされた。父親が採った面談の音声記録によると、校長は書類を取りに行った父親に、「いじめという理由を書き換えなければ(転校に必要な)校長印を押せない」という趣旨のことを言ったという。校長に取材したが、「守秘義務があるので応じられない」と話した。
         ◇苦しむ人の助けに
         全国学校事故・事件を語る会の代表世話人で、中学校教諭の内海千春さんは「被害・加害双方に異なる説明をするのは生徒指導上、一番まずい対応だ」と話す。「必要なのは、いつ、どこで、だれが、何をしたという具体的事実。それが揺らいではいけない。調査には親や行政機関の圧力に負けない専門性と力が必要だ。その上で学校がどう考えるという判断を保護者に伝えなければ」と指摘する。「学校は、少数派である被害者側を黙らせようとすることが多い。このケースは象徴的だ」と話す。
         被害少年は裁判所に提出した陳述書で、いじめられた体験を「自分が本当にどうしようもなく、世の中にいてもいなくてもいい存在に思えてくるのだ」と記した。死を何度も考えたが、今はいじめで苦しんでいる子どもたちに対し「絶対に自殺をしないこと」とアドバイスする。「学校や加害者はすべて被害者を悪者にする。生きている僕にさえ、学校や教育委員会は、ありもしないことを、公の場で平気で言うのだから」という。
         父親は市教委に訴え続ける理由を「学校の対応のひどさを明らかにしたい思いがある」と話す。いじめ問題で裁判に発展するケースでは、被害者が自殺して当事者から話が聞けないケースも多い。それでも裁判で闘う決意をする親たちに参考になれば、という思いもあるという。
         文科省は学校に10年11月、アンケートなどでいじめの早期発見に努めるよう求め、昨年6月には、いじめ自殺が起きた場合、学校・教委が適切な背景調査をするよう通知した。原因を分析し、再発防止を図る狙いだという。しかし現状では、学校側の調査・指導能力に疑問を感じざるを得ない。
         「いじめ体験を思い出すと精神的に不安定になることがある」という少年から、直接話は聞けなかったが、将来、学校の先生を志望しているという。父親は「学校を変え、いじめられる子どもの力になりたいという思いがあるようだ」と話す。
        http://mainichi.jp/select/opinion/newsup/news/20120328ddn013100073000c.html
        「毎日新聞」2012年3月28日

        ●学級崩壊まねく「小1プロブレム」に保護者は… 子供の「できる」を認める
         小学校の新入学児童が、授業中に立ち歩く、教師の話を聞かない、自分勝手な行動をする…。そんな「小1プロブレム」が発生すると、学級崩壊の状況が生まれてしまう。東京都教育委員会が行った平成22年度の調査では、都内の小学校の校長の18・2%が「発生した」と回答、決して特異なことではないことが明らかになっている。保護者はどう対処すればいいのか。
         ◇適応できない
         東京都教委の調査によると、小1プロブレムが発生した時期は4月が71・8%で最も多かった。発生した学校では、調査時点(平成22年11月)でも56・7%が「収まっていない」と回答。容易に解決できない問題であることが浮き彫りになった。
         なぜ、小1で問題化するのか。東京学芸大学の大伴潔教授は「幼稚園や保育園は緩やかな集団。これに対し、小学校は席が決まっていたり、授業時間中は着席していることが求められたりと、生活のルールが大きく変わり、子供がそれに適応できないから」と説明する。
         小1プロブレムの背景にあるものとして、自分の感情や行動をコントロールしにくい子供の増加▽子供の生活の夜型化に伴う日中のイライラ感▽保護者の生活困窮▽地域社会の崩壊でマナーやルールを学ぶ機会の減少-などが挙げられる。
         大伴教授は「小学校に入学する際に乗り越えるべき段差は昔からあった。今、小1プロブレムが起きているのは、子供だけ、学校だけ、保護者だけが原因ではない。社会全体の価値観の変化がもたらした現象で、多くの要素が絡み合っている」と説明する。
         ◇親も覚悟を
         要素の一つとして、保護者の高学歴化や価値観の多様化に伴う保護者と教師との関係の変化がある。相対的に教師の権威は低下しており、保護者が家庭で学校を軽視する発言をすると、子供の意識に悪影響を与えることがあるという。
         自分の子供が授業中に立ち歩いたりしないようにするにはどう育てればいいのか。大伴教授は「子供の精神面の安定を保障したり、生活を夜型から朝型にしたりすることも重要。そのためには、親の生活スタイルを変えるという覚悟が必要だ」と指摘する。
         勉強への意欲を高めさせるのも有効だ。しかし、単純に褒めても効果は期待できない。子供のできない点を言いつのるのは逆効果で、「子供ができるところを認めることが大切。きょうだいや同級生と比較され、やる気になる子供はいないということを忘れないでほしい」とアドバイスしている。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120406-00000517-san-soci
        「産経新聞」4月6日(金)

        ●「生徒の暴言で教諭自殺」…公務災害と逆転認定
         2009年に自殺した大分県立高校の男性教諭(当時30歳代)の遺族が請求した公務災害の認定を認めなかった地方公務員災害補償基金県支部の決定について、同支部審査会が決定を覆したうえで、公務災害と認定する裁決をしたことがわかった。3月27日付。
         裁決は、生徒からの暴言などによる精神的ストレスが極めて大きかったとして、自殺との因果関係を認めた。同支部は近く認定手続きを行う見通し。同県高校教職員組合は「支部決定が覆るのは珍しい」としている。
         組合によると、教諭は08年4月、校内でも荒れているとされるクラスの担任になった。生徒から暴言を浴びせられるなどして約1か月後にはうつ病などと診断され、09年3月に自殺した。
         遺族から公務災害の認定請求を受けた県支部は10年12月、生徒からの暴言を認める一方、「それが重なって精神疾患を発症したとまでは認められない」とし、公務災害と認めなかった。
         しかし、遺族の審査請求を受け、審査会は「教諭は最も荒れた学級の担任を命じられた被害者。問題を起こす生徒との関わり方を模索し、日々苦悩していた」と判断、支部決定を覆した。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120401-OYT1T00250.htm
        「読売新聞」4月1日(日)

        ●放射性セシウム:事故前の100倍に 福島沖ブランクトン
         事故を起こした東京電力福島第1原発の沖合300キロの海中に生息する動物プランクトンに、最大で事故前の約100倍に当たる放射性セシウムが含まれていたことが、東京大大気海洋研究所(千葉県柏市)の西川淳助教(海洋生物学)らの調査で分かった。セシウムは原発事故由来とみられ、流出した放射性物質が海洋に広範囲に拡散していることを示す。西川助教は「低濃度だが、食物連鎖を通して魚類に蓄積する生物濃縮の可能性もあり、継続的な調査が必要だ」としている。
         ◇調査結果は3日付の米国科学アカデミー紀要に掲載された。
         調査は原発事故後の昨年6月、米ウッズホール海洋研究所などのチームと合同で実施。同原発の30~600キロ沖合の約60地点で海水と動物プランクトンを採取し、放射性セシウムの濃度を調べた。
         その結果、放射性セシウムは全地点で検出された。動物プランクトンの最大値(セシウム134と137の合計)は、沖合300キロ地点で採取したもので乾燥重量1キロ当たり約102ベクレル。事故前の平均値(セシウム137のみ、同0.1~1ベクレル未満)の最大100倍に当たる。最小値は600キロ沖合で同0.3ベクレルだった。
         海水中の放射性セシウムの最大値は、沖合100キロ地点で1立方メートル当たり7733ベクレルだった。福島沖の南には黒潮が流れ、房総半島沖で東へ蛇行しているが、今回の調査で黒潮の南側では放射性セシウムがほとんど検出されなかったことから、調査時には黒潮が放射性物質の南側への拡散を防いでいたらしい。
         西川助教は「動物プランクトンを餌にする海洋生物は種類ごとに、時間を追って変化を注視する必要がある」と話している。【神保圭作】
        http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120403k0000e040139000c.html
        「毎日新聞」2012年4月3日

        ●格納容器内7万2900ミリシーベルト 福島2号機 6分で人死ぬ量
         東京電力は二十七日、福島第一原発2号機の格納容器内で、最大で毎時七万二九〇〇ミリシーベルトの極めて高い放射線量が計測されたと発表した。この値の場所に六分ほどいるだけで人間は100%死亡する。炉心溶融(メルトダウン)した核燃料が原子炉を壊し格納容器にまで溶け落ちていることが、高線量の原因。これほどの値だと、ロボットでも長時間の作業は難しい。政府や東電は三十~四十年後に廃炉を実現する計画だが、大きな狂いが生じる可能性もある。
         格納容器に開けた穴から線量計を入れて計測した。底部からは四~七メートルの高さで、内壁から五十センチと一メートル離れた位置の上下計八カ所で測ったところ、三万一一〇〇~七万二九〇〇ミリシーベルトを計測した。
         通常、原子炉が停止した状態では、格納容器内の線量は〇・一ミリシーベルト程度で、いかに異常な状態かが分かる。
         二十六日に内視鏡で撮影された映像を見ると、上にある原子炉から大量の水が降り注いでおり、炉に穴が開いている状況がうかがえる。水は格納容器の損傷部から高濃度汚染水となって建屋地下に流れ込んでいる。
         格納容器の壁面では塗装がはがれたり、浮き上がっている場所も多く、事故当初の過熱や腐食の影響とみられる。カメラが水をかぶっている間は映像はクリアだが、水がなくなると画面いっぱいにノイズが広がる。高い放射線によるものだ。
         問題は、この高い線量が廃炉に与える悪影響だ。東電は格納容器内の作業にはロボットを多用する計画だが、ロボットも本体は耐えられても、作動を制御する電子回路などが放射線で壊れる。今回の計測に使った内視鏡も十四時間程度しか耐えられない。
         東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「高線量に耐えられる機器を開発する必要がある」と語った。
         政府は昨年暮れ、原発内では事故が収束したと宣言したが、実情は厳しい。
        http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012032890071141.html
        「東京新聞」2012年3月28日 07時11分

        ●障がい者雇用、17都道県教委に勧告
         障がい者の法定雇用率を満たしていない東京都など17都道県の教育委員会に対し、厚生労働省は採用計画を立てて2年後までに達成するよう勧告しました。
         全国47都道府県の教育委員会は、2008年の調査で43都道県が障がい者の法定雇用率2%を満たしていなかったことから、厚労省が3年計画で採用するよう指示していました。
         しかし、東京都や北海道など17都道県の教育委員会は、3年後の去年12月末現在も達成できませんでした。このため厚生労働省は、今後2年間で達成するよう改めて勧告を行いました。
         障がい者雇用の不足人数が最も多いのは東京都の180人、次いで北海道138.5人、茨城県97人となっています。
        http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20120331-00000017-jnn-soci
        「BS系(JNN)」3月31日(土)

        ●<大阪府>教員採用辞退率が急増、教育条例が影響か
         大阪府の12年度公立学校教員採用選考の合格者のうち、辞退者の割合は最終的に13.4%となる見通しであることが府教委のまとめで分かった。記録が残る過去5年で最高で、府議会で3月に「教育行政基本条例」と「府立学校条例」が成立したことも影響したとみられる。
         府教委によると、合格者2292人のうち、辞退したのは308人。理由は「他府県の教員に採用」が53%で最も多かった。過去では08~11年度の辞退率は9~10%で推移しており、12年度は今年2月3日の段階で12.4%(284人)だったが、その後さらに辞退者が増加した。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120330-00000011-mai-soci
        「毎日新聞」3月30日(金)

        ●ダウン症:高3、大学合格 一般のAO入試で 親子で奮闘、学校は普通学級「将来は歴史の塾を」
         ダウン症の少年が大学に現役合格し、4月から地域文化を専攻して大好きな歴史を学ぶ。他の受験生と同じ条件の入試でつかんだ春。「将来は歴史塾を開いて、日本史の面白さを伝えたい」と夢は膨らむ。
         少年は山口市に住むクラーク記念国際高校3年、安光皓生(こうせい)さん(18)。英語、国語、社会は5段階評価の5。梅光学院大文学部(山口県下関市)に、面接30分と小論文のAO入試で合格した。
         ダウン症と診断されたとき、父義文さん(56)と母和代さん(56)は「この子の自立のためには何でもやろう」と決めた。生後1カ月ではり、2カ月で音楽セラピーを試し、民間療育機関で発達指導を受けた。1歳半から始めた読み聞かせでは、寝る前に絵本を20冊読みたがり、30冊になると和代さんの声がかれたという。
         両親は療育法を探すうち、米国発の脳障害児の訓練プログラム「ドーマン法」を知る。競馬の福永祐一騎手の父で、落馬した福永洋一元騎手が実践した。視覚、聴覚、触覚に刺激を与えて乳児の発達過程を追体験させ、脳の機能を引き出すものだ。
         3歳で始めた訓練では腹ばい、雲梯(うんてい)、水泳など厳しいメニューが課される。四つんばいではいはいする訓練を嫌がり、課題の1日1600メートルを400メートルこなすのがやっとだった。言葉や知識をカードで教えるプログラムははかどった。
         順調な発達が認められ6歳の時に、米国のドーマン法の研究所内にある学校に招かれた。母子で渡米し9カ月間、英語で英文学や数学などを学び、自転車とランニングのバイアスロンに取り組んだ。障害児だからと特別視されることはなく、スタッフは「偏見のない社会で暮らして自信になったのでは」と見る。7歳で訓練は終了した。
         北九州市の私立小を経て、小学3年から公立小の普通学級で過ごした。算数は苦手だったが、好きな歴史分野は大人の本を無数に読んだ。
         のびのび勉強していたが公立中1年の時、孤立した。和代さんが「自分のことは自分でやらせたい」と申し出たところ、担任が級友の手助けまで制止したためだ。見かねた級友女子数人が「皓生くんが笑わなくなった」と卒業した小学校に訴え出た。小学校長と6年時の担任がかけ合い、中2でおおらかな担任に変わって落ち着いた。
         「クラスの子に嫌われてない、とすごくうれしかった。あの子たちの行動がなかったら今はなかった」と和代さんは振り返る。
         徳川家康や武田信玄が好きという皓生さんは歴史研究家を志している。「私たちは歴史の子孫。先祖がどう考えたか伝え、多くの人に日本史を好きになってほしい」と話す。
        http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20120325ddm013040017000c.html
        「毎日新聞」2012年3月25日

        ●AIJ事件で発覚 全サラリーマン犠牲 厚生年金で穴埋め憤激プラン 基金の代行割れ7400億円!<怠慢行政のツケは役人の「共済年金」で払え>
         23日、ようやくAIJ投資顧問に証券監視委の強制調査が入ったが、消失した年金資産1458億円が戻ってくる見込みはない。88万人の被害者たちに同情しつつ、「うちはAIJと無関係でよかった」と胸をなで下ろしたサラリーマンもいるかもしれない。しかし、ここにきて、他人事ではいられない事態になってきた。全サラリーマンが加入する厚生年金を使って、”消えた年金基金”を穴埋めするプランが政権内で浮上しているのだ。
         「AIJ事件をきっかけに、改めて全国の厚生年金基金を調査したところ、とんでもない実態が明らかになったのです。全595基金のうち、企業年金が底をつき、さらに公的年金の代行部分も積み立て不足に陥る『代行割れ』を起こしていた基金が234基金もあった。全体の4割、金額にして7400億円です。これだけの穴を加入企業だけで補填するのは不可能だから、すべてのサラリーマンで痛みを分かち合おうというのです」(霞が関事情通)
         ハァ? ではないか。そもそもこの問題は、政治と行政の怠慢が元凶だ。乱立する投資顧問会社をロクにチェックもせず、基金に天下りしたド素人の社保庁OBらによるムチャクチャな運用を野放しにしてきた。天下り役人が投資顧問会社から接待漬けになっていた構図も浮き彫りになっている。その結果が、このテイタラクなのである。
         どうして無関係なサラリーマンが巻き込まれ、虎の子の老後資金を吐き出さなければならないのか。しかも、公務員の”共済年金”に負担させるつもりは毛頭ないらしい。厚生年金と共済年金が統一する前に、厚生年金に穴埋めさせようという魂胆だろうが、「フザケルナ!」だ。ジャーナリストの若林亜紀氏が言う。
         「被害がここまで拡大したのは、監督官庁である金融庁と厚労省の役人の責任でしょう。ならば、一般のサラリーマンの厚生年金ではなく、公務員の共済年金で穴埋めするのが当たり前じゃないですか。金融庁長官や厚労大臣の給与返上は言うまでもなく、職員たちの給料もカットして、穴埋めに回すべき問題ですよ。それに旧自民党政権にも、責任を取ってもらう必要があります。『100年安心プラン』などと甘いことを言い、長年5%超という無理な予定利率を掲げていたのも一因なのです」
         サラリーマンが泣きを見る一方で、当のAIJは、預かった年金資産から9年間で45億円ものベラボーな報酬を得ていた。浅川和彦社長(59)が受け取っていた報酬はなんと、平均10億円だ。海外にプールしているというから、取り返せない可能性が高い。それでも金融庁は自らの責任を追及されないよう、AIJをハレモノ扱いにし、天下り役人らはほおかむりを決め込んでいる。
         この国の”役人天国”は常軌を逸している。
        http://gendai.net/articles/view/syakai/135794
        「日刊ゲンダイ」2012年3月24日

        ●2ちゃんねる、警察の削除要請1000件放置
         インターネット掲示板「2ちゃんねる」が、警察当局からの書き込み削除要請を過去に1000件以上放置していたことが、警察関係者への取材で分かった。
         8割は薬物関連で、同掲示板を舞台とした麻薬特例法違反事件を捜査している警視庁では、ずさんな掲示板管理が違法行為を助長したとの見方を強めている。一方、書き込み削除を担う通称「削除人」経験者らは読売新聞の取材に、「書き込みの自由を尊重するあまり、削除を避ける傾向にある」と内部の実態を証言した。
         警察当局によると、違法行為に関わる書き込みで、運営者に通報しても削除されなかったケースは2010年上半期だけで約2000件。そのうち1001件が2ちゃんねるだった。
         2ちゃんねるでは、「削除ガイドライン」を公表し、誹謗(ひぼう)中傷や他人の投稿への妨害など、削除する対象を細かく規定。該当するかどうかは「削除人」と呼ばれる担当者が判断し、対応している。明確な犯罪行為に関する書き込みについては「証拠保全」を理由に、管理人が判断したケース以外は削除しないと主張しているが、警察幹部は「要請の段階で証拠は押さえている。薬物の蔓延(まんえん)を防ぐために即刻削除に応じてほしい」と訴える。
         これに対し、2ちゃんねるの運営に携わる東京都内の20歳代の男性は、「もし違法薬物の取引などにガイドラインを超えて対応しようとしたら、今の態勢では無理」と話す。
         男性によると、削除人を含め、運営の中心はネット上で募ったボランティアによって担われ、その人数は1999年の開設時から数えても300人程度という。約100人いるとされる削除人のほか、削除依頼の方法を利用者にアドバイスする「案内人」、掲示板運営を妨害する投稿を規制する「焼部隊(やきぶたい)」などで構成される。
         「削除人」は、「下級」「中級」「上級」とランク分けされ、削除できる権限が異なるという。単純な書き込みだけを消去できる「下級削除人」として「修業」を積んだ後、認められると「昇進」していく。
         削除人同士の横の連携はあまりなく、別の現役の削除人は、「一部の主要メンバーを除くと、多くの削除人は互いを知らず、今回のように問題が起きても管理人からの連絡がなく、対応できない」と困惑する。
         削除要請が放置されている現状について、「伝統的に削除を嫌う風潮が影響している」と見るのは、創成期に削除人を務めていた男性だ。「削除人の間では、削除しすぎると強い批判を受けるため、削除に慎重な雰囲気が育っていった」と振り返り、「そうした空気は、削除人を解任する権限をもつ管理人らの意向に左右されていたのでは」とみる。
         「書き込む側の権利を尊重し過ぎ、削除を避ける傾向があったが、その被害を省みるべきだった」と、男性は2ちゃんねるの仕組みを批判した。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120328-OYT1T01126.htm?from=y10
        「読売新聞」3月29日(木)

        ●配達員「届けられず」と郵便隠し、支店長ら隠蔽
         郵便事業株式会社東海支社は28日、同支社三島支店韮山集配センター(静岡県伊豆の国市)の30代の元配達員が昨年5~11月、100~200通の郵便物を隠し、当時の支店長ら7人が、その一部をシュレッダーで廃棄する隠蔽工作をしていたと発表した。
         同支社は郵便法違反の疑いもあるとして、静岡県警三島署に相談、同署が捜査している。
         期間雇用社員だった元配達員は問題発覚後に退職、支店長ら3人は今月12日付で懲戒解雇、残り4人は同日付で6日~1年の停職処分を受けた。
         発表によると、元配達員は、届け先を見つけられない場合や担当地域外の郵便物が混じっていた場合などに、担当地域内にあるアパートの使用されていないポストに郵便物を隠していたという。
         昨年11月、同センターへ連絡が寄せられて発覚。元支店長らはこのうちの約半数は配達したが、ダイレクトメールなどは苦情が来ない可能性が高いと判断、シュレッダーで廃棄した。
         内部調査に対し、元配達員は「配達先がわからなかった」、元支店長らは「年末の繁忙期に、警察の捜査が入って業務に支障が出たら困る」などと話したという。
         今年2月に郵便事業株式会社の本社に告発文書が届き、同支社が調べた。
         記者会見した西原由哲・同支社長は「管理職が問題を隠蔽するという前代未聞の不祥事。指導を徹底し、再発防止に全力で取り組む」などと述べて謝罪した。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120328-OYT1T01024.htm
        「読売新聞」2012年3月28日

        ●老人ホームで孤独死…87歳女性、1週間後発見
         茨城県つくば市の有料老人ホーム「サンシャイン・ヴィラつくば倶楽夢(くらぶ)」で、入居者の女性(87)が、死後約1週間たってから発見されたことがわかった。
         女性は要介護者ではなく、専用居室で一人暮らしをしており、職員らも気付かなかった。
         運営する医療法人社団「みなみつくば会」(今川民子理事長)によると、24日午後7時頃、女性の親類から「電話に出ない」と連絡があり、職員が合鍵で入室、浴室に裸で倒れている女性を見つけた。つくば中央署は、急性心不全による病死とみている。
         室内には新聞が17日朝刊からたまっていたが、外からは見えない構造になっていた。女性は15日に胸の痛みを訴え、職員に送迎されて市内の総合病院を受診している。16日頃、入浴しようとして容体が急変したとみられる。居室や浴室にナースコールのボタンがあったが、呼び出しはなかった。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120330-OYT1T01224.htm
        読売新聞 3月31日(土)6時29分配信

        ●橋下市長、市音楽団員の配転認めず「分限免職」
         大阪市の橋下徹市長は5日、市が同日発表した施策・事業の見直し試案で「2013年度に廃止」とされた市音楽団の音楽士36人の処遇について「単純に事務職に配置転換するのは、これからの時代、通用しない。仕事がないなら、分限(免職)だ」と述べた。
         市改革プロジェクトチームの試案では、音楽団を「行政としては不要」としつつ、市が正職員として採用してきたことから、「配置転換先を検討」としていたが、橋下市長は「分限(免職)になる前に自分たちでお客さんを探し、メシを食っていけばいい」と述べ、配置転換を認めない意向を示した。
         市音楽団は1923年に発足。国内唯一の自治体直営の吹奏楽団で、市公式行事での演奏や有料公演などを行っている。市は公演収入などを差し引いた運営経費や人件費として年約4億3000万円(2010年度)を負担している。
        http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120405-OYT1T01403.htm
        「読売新聞」2012年4月6日

        ●神経障害性疼痛:原因たんぱく質を特定、治療に光 九州大
         神経の損傷で起こる慢性的な激しい痛み「神経障害性疼痛(とうつう)」の原因たんぱく質を九州大薬学研究院の津田誠准教授(神経薬理学)のグループが特定した。慢性痛治療薬の開発につながると期待され、5日付の米科学誌「セル・リポーツ」電子版に掲載された。
         神経障害性疼痛は、がん、帯状疱疹(ほうしん)などで神経が傷付けられると発症し、服が触れるだけでも激しい痛みを感じるといい、モルヒネなど鎮痛剤も効かない。世界に約2000万人の患者がいるという。この痛みは、脳や脊髄(せきずい)の免疫細胞「ミクログリア」の異常な活性化で起こることが分かっていたが、その仕組みは不明だった。
         グループは、さまざまなたんぱく質の発現を調節する「IRF8」というたんぱく質が、神経損傷マウスの脊髄のミクログリアだけで増えることを発見。IRF8を持たないように遺伝子操作したマウスでは、激しい痛みが起こりにくいことが分かった。
        http://mainichi.jp/select/news/20120406k0000m040133000c.html
        「毎日新聞」2012年04月06日

        年度末の儀式と季節変わり。
        2012/03/25
        昨日はNHKホールで、放送大学の学位授与式に参加してきました。終了後はチャーターバス20台でホテルニューオータニに移動して祝賀会…。
         修士課程・人間発達科学プログラム終了で、「学術修士」という学位らしい。
         1年目は、大学院専科履修で、授業科目を9科目18単位取得、院試を受け合格し入学、M1dで3科目6単位、M2で1科目4単位と修士論文8単位を取得して、3年かけて無事修了できました。 履修した科目は、臨床心理、人間発達、精神医学などで、極めて偏っています。修論タイトルは「自閉症スペクトラム(ASD)特性のある成人へのスキル獲得レディネスの視点による…」という、自分でも覚えられないようなもので、事例研究による支援と課題などをまとめたものです。終わってみれば、特に感慨もないのですが、よくもまあ、コツコツと放送授業プラスアルファの自学でやってきたもんだな、とも少し思います。学位授与式での、Twitter事件で一躍有名になった岡部学長の祝辞は、それを一定意識されたもので、感銘深い祝辞でした。文部科学大臣、総務大臣(代理)も、祝辞を述べられました。文部科学大臣が学位授与式に参列する大学というのも、めずらしいでしょう。
         同じゼミには大学、高校、小中学校等の教職にあられる方がほとんど。で、昨日の祝賀会で、(少ない料理でビールを飲みながら)お知り合いになったのがなんと、経済産業省の現役官僚(まだ30代?)。元々は他の官庁なのですが、1年だけの出向で経済産業省へ(また4月から元の官庁へ)。上級国家公務員試験を受けて霞ヶ関におられる方が、結構、(半ば業務として)放送大学で修士を、さらに意欲のある方は他大学で博士課程を取られているそうです。IQの高い方は、面強の仕方がやはり違う…(∩.∩)。
         同級生の某大学の幼児音楽教育専門の准教授の方とも長く話したり、指導を受けた国立○○研究所所属の先生ともあれやこれやと…。
         そして、今朝は朝8時に運転免許試験場で運転免許更新に。8時から受け付けというので8時に行ったのですが、すでに駐車場はほぼいっぱい。受付は長蛇の列。30分の講習も含めて、9時20分には終了しましたが…。見事なまでの効率的なワークフローでした。
         そして、もう一つの儀式が春うつと花粉症の苦しみです。春の抑うつはまあ慣れたものですが、花粉はあきまへん! 昨日朝から急激に症状が始まり、1日中泣いてました(笑い)。学位授与式どころではなかったのです。祝賀会でビールが入ると、なぜか止まりましたが…。
         アレルギー性鼻炎なので、1年中、漢方薬と西洋薬を各1種類服薬しているため、花粉症用の症状を止める薬が併行服薬できないたけ、目薬だけで対処していますが、えげつない状態です。免許更新から帰って事務所で加湿器とプラズマクラスターをつけているので、ようやく沈静化してきましたが。外に出るのが怖い…(v_v)。これも嫌な儀式ですね。
         それでは、最近の気になる記事です。

        精神障害の労災に新基準…うつ病など審査簡略化

         仕事上のストレスが、うつ病などの精神障害や自殺の原因となったと認められた場合には、けがと同じく、労災補償が受けられる。これまでは詳細な個別審査が必要だったが、厚生労働省は昨年12月、具体例を交えた新たな認定基準を策定し、審査の簡略化や期間の短縮化を図っている。
         大阪府内の男性(32)は3年前、職場でのいじめが原因でうつ病を患ったとして労災申請を行った。審査に要した期間は約8か月。精神障害による労災認定では平均的だが、「治療費や生活費の負担が気掛かりで、待つのがつらかった。体調もすぐれず、もっと迅速にできないのかと思った」と振り返る。
         精神障害による労災申請は2000年度、全国で212件だったが、10年度は1181件に増加。認定率は過去5年間で約3割にとどまる。
         「そもそも、精神障害が労災の対象になると知らない人も少なくない」と大阪労働局・労災補償課長の菊池宏二さん。同課や大阪府内の各労働基準監督署では先月から、新たな認定基準の手引を備えている。
         新基準では、〈1〉ストレスの要因となった業務上の出来事について、労基署が申請者や家族、同僚、主治医らから聞き取る〈2〉その内容を、36項目の評価表に照らし合わせ、「強」となりうる具体例=表=があり、しかも「家族の死」など業務外での大きなストレスが見当たらないケースなどを労災と認定する――というのが基本的な流れとなる。
         従来の審査では、労基署の聞き取り結果を基に、精神科医3人が全ケースを協議して判断しており、平均で8・6か月かかっていた。今回の基準変更で、各労基署の担当者レベルで審査できるようになり、治療歴のない自殺事案など、判断が難しいケースを除き、精神科医による協議が省略される。
         判断の基準を明確にするため、各項目に具体例などが挙げられたのも特徴。例えば、「極度の長時間労働」については、「発病直前の1か月に160時間以上」「3週間で120時間以上」と、時間外労働の目安を具体的に示した。さらに旧基準では発症前の半年間が審査の対象だったが、セクハラやいじめがもっと早い時期から続いていれば、始まった頃の状況からストレスの度合いを検討するように運用が改められた。
         菊池さんは「本人がストレスに感じたことを時系列にまとめたメモや勤務状況、出退勤時間がわかる手帳や日記、メールの送受信履歴なども出してもらえれば、よりスムーズに審査できる」と話す。
         申請はパートなど雇用形態を問わず、全ての労働者が行える。治療費などが受けられる労災保険の各給付請求書を、主に職場の所在地を管轄している労基署に提出する。成年後見人や遺族、弁護士、社会保険労務士も代わりに提出することができ、事業主の協力が得られない状況でも受理される。
         新基準の内容をまとめた手引「精神障害の労災認定」は厚労省のホームページ上で公表されている。
         ◇強いストレスとみなされる具体例
        ・倒産を招きかねないミスをし、事後対応にもあたった
        ・仕事量が倍増し、時間外労働も月100時間以上となり、休日の確保も難しくなった
        ・配置転換としては異例なもの(左遷)で、職場内で孤立した
        ・転勤先が初めて赴任する国で、現地職員との会話ができないなど業務遂行に著しい困難を伴った
        ・同僚らが結託して、人格や人間性を否定する言動が執拗
        しつように行われた
        http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=56320
        「読売新聞」2012年3月22日

        ●「異性との生活禁止」 宇治市職員、生活保護申請者に誓約書 京都
         宇治市の30代の男性職員が、生活保護を申請した母子世帯の女性に対し、異性と生活することを禁止し、約束を守らない場合は保護取り消しを一任することなどを記した誓約書を勝手に作り、署名させていたことが13日、分かった。市は不適切だったとして、関係者に謝罪した。
         誓約書はA4判の紙3枚分。法律順守や節度ある生活を求める言葉もあるが、中には「母子世帯の基準からはずれてしまうため、異性の友人や知人などと生活をともにしないことを誓います」「連絡義務を果たさない・書類の不備が複数回発生した場合は保護の廃止を踏まえた処分については貴職に一任します」などと書かれていた。
         生活保護申請では通常、このような誓約書に署名させることはない。職員は社会福祉主事の資格を持ち、生活保護を担当して約2年。市は「仕事への思い入れが強すぎた結果だと思うが、残念なこと。今後、人権を尊重した制度の説明を徹底するようにしていきたい」としている。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120314-00000017-san-l26
        産経新聞 3月14日(水)

        ●障害者支援法廃止見送りに「納得出来ぬ」訴訟団
         政府は13日午前の閣議で、難病患者を福祉サービスの対象にすることなどを柱とする障害者自立支援法改正案を決定した。
         同法の廃止は見送り、抜本改正で対応。法律名を「障害者総合支援法」に変える。今国会に提出し、2013年4月の施行を目指す。同法を巡っては、障害者による違憲訴訟を受け、長妻昭厚生労働相(当時)が廃止を約束し、和解の基本合意文書にも明記された経緯があり、関係者からは批判の声も上がった。
         改正案には、長時間の訪問介護サービスの対象を、重度の肢体不自由の障害者に加えて、知的、精神障害者などにも拡大することや、サービスを適切に受けることが出来るようにするため現状の障害の程度区分を3年をめどに見直すことなども盛り込まれた。
         一方、和解条項にある同法の廃止について、「サービス事業者を指定し直す必要があり自治体や事業者の負担が増す」として見送り、障害者側が求めていた自己負担の原則無料化も実現しなかった。
         障害者自立支援法違憲訴訟団の藤岡毅弁護士は「同法の『廃止』が議論の前提だったはずで、到底納得出来ない。今後の国会審議で発言する場を与えてほしい」と批判した。日本障害者協議会の藤井克徳常務理事は「障害者側から提案したことがほとんど見送られたことは残念。障害区分の見直しなどについては、長期的な目標として明確に位置づけ、実現を担保するべき」と話した。
        http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120313-OYT1T00465.htm?from=tw
        「読売新聞」2012年3月13日

        ●前橋30人学級実現へ 発達障害児の介助増
         ◇市長「教員負担を軽減」
         前橋市の山本龍市長は13日の記者会見で、公約に掲げた市内全小学校の30人学級実現に向けた教員の負担軽減のため、発達障害のある児童の介助者や支援員を増やす考えを明らかにした。
         山本市長は「現場の教員にとって、教室に発達障害のある児童が混在していることが大きな多忙感につながっている」と指摘。「今後、ケアできるバックアップシステムを構築したい」と述べた。
         また、東日本大震災で発生したがれきの受け入れについては、「国がどのように地方自治体に受け入れを要請するのか、明確に見えていない。国の明示を踏まえた上で判断する」と慎重な姿勢を見せた。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/120314/gnm12031402050002-n1.htm
        「産経ニュース」2012.3.14

        ●<東電>原発事故後も天下り招請 東京都元局長を雇用
         東京電力が、福島第1原発事故後の昨年9月、天下りを受け入れていたことが関係者の話で分かった。東電が3回にわたり要請した末に東京都元環境局長(65)を雇用したもので、元局長は都のエネルギー政策に関する非公式情報を都職員から収集し、東電に提供していた。巨額の公的資金を受けることから社内に慎重論があったが、総務部が推し進め西沢俊夫社長が最終決定しており、電気料金値上げの前提となる合理化に反した経営姿勢に厳しい批判が起こりそうだ。
        【東電天下り】関係改善の切り札 固辞する元局長を説得
         天下りしたのは環境問題やエネルギー政策などを担当する都環境局長を06年6月に退職した大橋久夫氏。発電所の二酸化炭素(CO2)対策、大型変圧器に含まれる有害物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)の処分などを担当する東電環境部の「アドバイザー」として再就職したが、毎日新聞が取材を開始したことを知り2月20日、退職した。
         東電関係者らによると、工場などに6~8%のCO2排出削減を義務づける都の制度(10年4月開始)への対応に苦慮していた東電環境部は、震災前から都OBを採用する意向があった。
         総務部や東電OBらが人選し、10年夏、元局長に「(11年夏)アドバイザーに迎えたい」と打診すると前向きだったが、昨年3月東日本大震災が発生したため、元局長は「状況が変わった」といったん断った。
         東電は同5月にも打診したが拒否された。同8月「がれき処理など震災後の対応で困っている。自治体の考え方を教えてほしい」と要請し、元局長は「経験が生かせるし人のためにもなる」と考え了承した。元局長は「無償でいい」と申し出たが人事部が難色を示し、年収五百数十万円の契約になった。
         放射性物質に汚染されたがれき処理について、震災後の特別措置法は東電に国や自治体への協力義務を定めている。
         東電環境部には「表面化すれば批判を浴びる」と懸念する声があったが総務部が押し切った。理由について関係者は「がれき処理もあったが(3度も誘った)最大の理由は政策の方向性を知りたかったから」と説明した。
         元局長は電力不足対策として都の進める液化天然ガス(LNG)発電所建設計画について、職員から情報収集し会議で報告していた。関係者は「今後(元局長の得意な)環境政策に関する情報も期待していた」と語る。
         元局長は都庁退職後、地方自治体などが出資する企業の取締役を経て、昨年7月まで約1年間、都の外郭団体理事長を務めた。【川辺康広、松谷譲二、田中龍士】
         西沢俊夫社長の話 会社にプラスになるということで採用した。批判があれば受け止める。
        http://mainichi.jp/select/biz/news/m20120315k0000m020146000c.html
        毎日新聞 3月15日(木)2時35分配信

        ●10年納付で年金受給資格…「15年実施」明記
         政府が社会保障・税一体改革大綱に基づき、消費税率引き上げ関連法案と同時に国会提出を目指している社会保障改革関連法案のうち、低年金・無年金対策を柱とした国民年金法改正案の概要が14日、明らかになった。
         年金の受給資格期間短縮など最低保障機能強化策は、消費税率が10%に引き上げられる2015年10月から実施すると明記した。
         国民年金法改正案の正式名称は「公的年金制度の財政基盤・最低保障機能の強化のための国民年金法等改正案」。
         最低保障機能強化策では、〈1〉年金を受け取るために必要な保険料納付期間(受給資格期間)を現行の25年から10年に短縮〈2〉低所得者の基礎年金を加算し高所得者の基礎年金を最大半減する仕組み――などを盛り込み、15年10月から実施する。
        http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120314-OYT1T01192.htm
        読売新聞 3月15日(木)7時54分配信

        ●大阪「君が代の口元監視」街の声は「やり過ぎ」83%、「当然だ」17%
        学校行事での君が代斉唱時に、教職員の起立斉唱を条例で義務づけている大阪府で5日(2012年3月)にある府立高校の卒業式があった。同校では校長が教頭らに事前に指示して、教職員60人の口元を監視させ、君が代を歌ってるどうかをチェック。口の動いていなかった3人を校長が問いただし、うち一人の条例違反、職務命令違反を府教委にご注進に及んだという。
        「東京都内の100人に聞きました」というのではなんだかなあ…
        大阪のいわゆる「君が代起立条例」は、当時の橋下府知事とその一派のご意向で成立した。この校長は橋下の友人の民間人校長だそうで、橋下は「校長は職務命令を忠実に守ったということ。当たり前といえば当たり前だが、よくそこまでやってくれた」と友人を讃えた。
        この歌声チェックが「やりすぎ」か「当然か」――ということで、番組が街の人(東京都内の100人)に聞いたところでは、「やりすぎだ」が83人、「当然だ」が17人で、「やりすぎ」が大半。ただ大阪の自治を東京で聞くというのも、若干の隔靴掻痒感が否めない。
        ちなみに賛成意見には「ルール(条例)を徹底するのは当然だ」「学校はルールを教えるところであり、教員はお手本になるべきだ」などがあり、反対には「チェックをはじめたらキリがない」「卒業式を教職員のチェックの場所にしないでほしい」などの意見があったという。
        http://www.j-cast.com/tv/2012/03/14125344.html
        「j-cast.com」2012/3/14

        ●<横浜母子孤立死>息子が障害者施設に通所せず 昨夏から
         横浜市旭区の住宅で昨年12月、病死した2人暮らしの母子が見つかった問題で、区内の障害者福祉施設に通っていた息子(44)が昨夏の父親の死後、通所しなくなっていたことが旭区への取材で分かった。区側は通所を続けるよう勧めたが、母親(77)は応じず、地域からの孤立を深めていったとみられる。区の担当者は「職員がもっと頻繁に訪問できていればよかった」と話している。
         旭区役所によると、重度の知的障害がある息子は週4回、送迎車で施設に通っていたが、昨年7月中旬に父親が死んでから回数が減り、9月には通うのをやめた。施設から相談を受けた区の担当者は11月中旬までに計2回、自宅訪問や区役所での面会で、「生活リズムを保つため、行った方がいい」と説得したが、母親は「本人が行きたがらない」などと応じなかったという。
         また、母親は年金、息子は障害年金を受給し、公共料金の滞納はなかった。神奈川県警旭署によると、病死した2人が見つかった際、冷蔵庫に食物はあり、困窮した様子はなかったという。
        http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120318k0000m040057000c.html
        「毎日新聞」3月17日(土)

        ●都会の公園「無名」の死 スズメ餌付け ホームレス男性
         東京都北区のJR王子駅前のビル街にある「王子駅前公園」の一角で二月十九日早朝、ホームレスの男性が倒れていた。病院に救急搬送されたが、死亡。当日の二十三区の最低気温は氷点下二・六度。凍死だった。一カ月がたとうとしているが身元はまだ確認されていない。「珍しいことではない」ともいわれる。それでも確かにその男性だけの、その人だけの人生があった。 (岡村淳司)
         「面白い人がいる」と聞いて、記者としてこの男性を訪ねたのは二〇〇九年九月。トイレとベンチしかない公園で、砕いたピーナツを使ってスズメを餌付けし、手に乗せるほど懐かせていた。
         話しかけると、不況で仕事をリストラされたことや、生活苦で妻子に逃げられたことを、とつとつと話してくれた。苦労話ばかりなのに「今の暮らしに満足している」と穏やかに笑い、プレゼントしたたばこをうまそうにくゆらせた。
         男性は塩原博志と名乗った。当時六十七歳。専門家に尋ねると「スズメは警戒心が強い」と、餌付けの難しさを指摘した。本人の了解を得て、「スズメを懐かせたホームレス」という記事にした。掲載された九月二十七日の朝刊を後日、手渡した。それ以来、仕事に追われ、塩原さんの存在は記憶から遠ざかっていった。
         警視庁王子署によると、身元が分かるような所持品はなかった。ただ、アルバムに入れて持っていた本紙記事中の名前から、新潟県に本籍がある男性の可能性が高いと判明。署から記者にも問い合わせがあった。署がその男性の親族を捜しだし、遺体の確認や引き受けを頼んだが、「ずっと交流がなかったので」と断られたという。
         警察はDNA型鑑定や親族の確認がないと、本人とは特定できない。だから塩原さんは今も書類上、氏名不詳のまま。火葬後、一年間引き受け手が現れなければ文京区の寺で無縁仏として弔われる。遺体を預かる渋谷区の葬祭業者は「珍しいケースではありません」と語った。
         塩原さんの痕跡をたどると、「あの公園のホームレスに生活保護を促したことがある。その時の男性かもしれない」と話す北区の職員がいた。生活保護を勧めたが、その男性は住居や生活が制限されるのを嫌い、拒んだという。職員は「駅前公園は樹木がなく、暑さや風をしのぎにくい場所で、ホームレスは珍しい。一人が好きで、あえて選んだのではないか」と話す。
         北区内には、住所不定でも簡易宿泊所などに泊まり、生活保護を受ける人が約五百人いるという。しかし、公園や地下道で寝起きする人は、行政の網にかからない。塩原さんも、最後に運ばれた病院の費用と、引き受け手が見つからなかった場合の火葬代は、生活保護から支払われる。
         久しぶりに王子駅前公園を訪ねた。行き交う人々はせわしげで、吹き付ける風はひんやりしていた。周囲を見渡しても、スズメの姿は見つけられなかった。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012031802000030.html
        「東京新聞」2012年3月18日

        ●「脱原発」支持8割 必要分だけ再開54%
         原発への依存度を段階的に下げ、将来は原発をなくす「脱原発」という考え方に「賛成」(44%)、「どちらかといえば賛成」(36%)を合わせて80%に上ることが、本社加盟の日本世論調査会が十、十一の両日に実施した東日本大震災一年の全国面接世論調査で分かった。
         現在五十二基が停止中の原発については「電力需給に応じ必要分だけ再稼働を認める」が54%で、短期的には現実的な対応もやむを得ないとする姿が浮かんだ。また国の被災者支援策は「評価しない」(24%)「どちらかといえば評価しない」(39%)が計63%で、政府への厳しい姿勢がうかがえる。
         東京電力福島第一原発事故の影響で、全国で電気料金値上げの可能性が浮上しているが、回答では「受け入れられる」「どちらかといえば受け入れられる」が計48%、「受け入れられない」「どちらかといえば受け入れられない」が計51%と拮抗(きっこう)した。
         そのほかでは、現在の福島第一原発に「不安」「ある程度不安」が計92%に達し、昨年末の政府の事故収束宣言が国民に安心感を与えていないことが分かる。
         政府が震災前に示していた二〇三〇年までに原発十四基の新設、増設方針に対しては「方針通り進める」は6%で、「新、増設はしない」が66%と最も高かった。
        http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012031890071242.html
        「東京新聞」2012年3月18日

        ●ワープア、ブラック企業、鬱で自殺…悪循環
         昨2011年世界規模で起きた、ある重大ニュースの発信源は米ニューヨークだった。「ウォール街を占拠せよ」。格差社会に疑問を持つ若者たちによって9月に自然発生したデモが、フェイスブックやツイッターといった新しいメディアを通じ、わずか1カ月間で東京を含む1400以上の都市に波及したのだ。
         ◇非正規20代の2割、月10万円みたぬ収入
         デモは、先導者がおらず統一した要求もないという異例づくしだったが、だれかが必ずこんなプラカードを掲げていた。「We are the 99%」(私たちが99%だ)。1%の富裕層が招いた金融危機を99%の貧困層が尻拭いしているという批判を込めた言葉だ。これが、日本の若者たちの間でも共感を呼び続けているという。
         貧困問題に詳しい作家の雨宮処凛(36)は「デモの広がりは、非正規労働者と正社員が対立するという構図が、嘘であることを気づかせてくれた」と説明し、過労死問題について重要な指摘をしている。「非正規労働者の貧困と正社員の過労死は、表裏一体の社会問題なのだ」と。
         派遣社員やパート、アルバイトといった非正規労働者の待遇が悪くなれば、正社員は明日はわが身と感じて会社にしがみつく。正社員は過労死のリスクを抱え、非正規労働者は仕事を奪われてますます貧困に陥る-。そんな悪循環が、日本の労働現場に起きつつあるというのだ。
         兆候は、若い世代にほど顕著に表れている。一昨年の厚生労働省調査によると、20代前半の働く男性のうち、非正規労働者の割合は46%。うち44%が月収10万円にも満たない。
         大阪過労死問題連絡会会長で関西大教授の森岡孝二(67)は言う。
         「ワーキングプアと過労死は、特に”ブラック企業”の中で併存している」
         ブラック企業-。低賃金での長時間労働やサービス残業を強いたり、暴言などのパワーハラスメントが当たり前だったりする会社を意味する言葉だ。
         この呼び方は、ネット掲示板への書き込みを書籍化した黒井勇人の「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」(新潮社)で知られるようになった。
         出版された平成20(2008)年は、ちょうどリーマン・ショックと「年越し派遣村」で、非正規労働者の貧困問題が注目された年だ。
         年越し派遣村の出現を境に、若者に迫る過労死の危機が表面化したと考えるのが、NPO法人「POSSE(ポッセ)」事務局長、川村遼平(25)だ。川村は、POSSEが受ける年間約350件の労働相談に、ある変化を感じている。派遣切りに続いて、入社1~2年目の正社員が不当に解雇されはじめ、それがなおも続いているというのだ。
         「相談者の大半が、自分でも気づかないうちに過労死寸前まで働き、心を病んだ末に退職を強要されている」。川村はそう明かす。
         ◇パソコン相手、孤独な労働
         厚労省によると、働き過ぎや職場でのストレスから鬱病などの精神疾患を発症したとする労災申請は22年度、過去最多の1181件にのぼった。年代別では、30代の390件(33%)が最も多かったが、20代も約2割を占めていた。
         「karoshi」が英語として使われだした約20年前は、40代の働き盛りが急死する例が目立っていた。
         それが今は、精神疾患を悪化させて正常な判断力を失い、自ら命を絶つ「過労自殺」として、若者に蔓延(まんえん)している。これこそが、過労死問題に取り組む弁護士や学者、遺族たちに共通する、現状への危機感だ。
         甲南大名誉教授の熊沢誠(73)は「今の若い労働者はコンピューターに向かう孤独な作業が多く、上司の圧力にも1人で対峙(たいじ)しなければならない」と指摘し、こう持論を述べる。
         「若者は昔に比べて弱くなった、という精神論は必ず指摘されるが、それは本質的な問題ではない。ワーキングプアの若者が過労自殺の危機に直面しているいまだからこそ、社会は過労死問題と真剣に向き合わなければならないのだ」
        http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120317/wec12031718010009-n1.htm
        「産経ニュース」2012.3.17

        ●高齢者に「死ね」、平手打ち・土下座も…2職員
         北海道函館市にある認知症高齢者グループホームで、40歳代の女性職員2人が半年間にわたり、入所者の高齢者男女5人の頭を平手打ちするなどの虐待行為を繰り返し、同市が昨年10月に施設に改善勧告を通知していたことがわかった。
         職員2人は同11月に解雇された。
         同市によると、虐待は土下座をさせたり、後頭部を平手打ちしたり、「死ね」と言ったりした行為。施設は60~90歳代の18人が入居しており、同市は、今年2月に実地指導で、改善を確認できたという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120322-OYT1T00721.htm
        「読売新聞」3月23日(金)

        ●滞納の年金保険料、強制徴収へ…国税庁が請け負い
         国税庁が22日、日本年金機構から年金保険料の滞納者に対する強制徴収の委任を受けたことがわかった。
         実施されれば、2010年1月の制度導入以来、初のケースとなる。同庁によると、滞納者は東京国税局管内の企業で、滞納額は1億円以上に上るという。
         政府は10年に社会保険庁を解体して同機構を発足させた際、悪質滞納者対策として強制徴収のノウハウを持つ国税庁の活用を決定。〈1〉保険料の滞納が2年以上〈2〉国民年金は滞納者の所得額が1000万円以上、厚生年金は滞納額1億円以上――などの要件に該当すれば同機構が厚生労働相を通じ、財産差し押さえなどの強制徴収を国税庁に委任できるよう法改正していた。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120322-OYT1T00658.htm?from=top
        「読売新聞」2012年3月22日

        ●大学出たが就職できず専門学校で学び直すケースが増加中
         大学全入時代、中堅レベル以下の大学ならば専門学校に行ったほうが就職は有利というのが教育界の定説になりつつある。最近では、大学を中退したり、卒業した後に専門学校に入り直す学生も多いようだ。資格取得やIT関連への就職、公務員試験などに強い大手・学校法人立志舎グループの千葉一郎副理事長がいう。
        「一番多いのは、大学を出たけれども就職できず、専門学校で学び直したいというケース。もともと大学は、学校教育法で研究機関であると規定されている。一方、専門学校は職業教育機関。今は情報処理などいろいろな専門分野がある中で、知識がないと社会の中で実際に動けない。職業教育が非常に重要になっているということです」
         立志舎の2010年度就職内定率は実に98.04%。うち上場企業が37.79%を占める。
         資格取得に関しては、2011年度の公認会計士試験に現役だけで31人合格。最年少は2年生の19歳だった。
         司法試験関連では、グループ系列の東京法律専門学校が、1994年に初めて在学生の旧司法試験合格者を出し、その後、着実に合格実績を伸ばしてきた。現在では、大学を経ずに同校から法科大学院に合格する学生が増えている。
        「なかには大学を中退して本校に入学し、法科大学院から弁護士を目指す学生もいます。国立大学や有名大学から来て学び直し、就職を勝ちとるケースもあり、大阪大、中央大の出身者もいました」(前出・千葉氏)
        http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120322-00000020-pseven-soci
        「NEWS ポストセブン」3月22日(木)

        ●大卒=エリート「今は昔」…基礎学力向上、就職後ケアが必要
         大卒がエリートだった昔に比べ、大学数は半世紀で3倍に増え、進学率も50%を超える。しかし、伝統や実績のない大学の学生たちは職にあぶれたり、劣悪な労働環境の企業に就職したりするなど、”ノンエリート”としての職業人生を送らざるをえないケースもある。大学では今、就職支援はもちろん、学生の基礎学力向上や就職後のケアが重要な課題になっている。
         ◇内定は得られるが…
         因数分解、2次方程式、グラフ、図形…。大学1年の授業で、就職試験に出る一般常識問題集に取り組む大学がある。数学、国語、理科、社会、英語は、いずれも中学卒業程度の内容だ。
         「基本的な学習に思えるかもしれませんが、1年のスタート時に基礎学力の見直しを図ることで、専門教育に生き、就職試験にも有効。一定ラインの得点を得ていたら就職試験で門前払いされずに済み、就職活動を少しでも有利に進めることができる」。神戸国際大学(神戸市東灘区)経済学部の居神浩教授(社会政策)は話す。
         居神教授は『日本労働研究雑誌』(平成22年)に論文「ノンエリート大学生に伝えるべきこと」を発表。「大学の増加で高等教育は大衆化し、学生の質は多様化した」とする。こうしたことから、学生の就職戦線にもちょっとした異変が起きているという。
         厳しい就職戦線の中、伝統や実績がない大学の学生は、安易に内定を得られるが劣悪な労働環境の”ブラック企業”に就職してしまう場合があるという。ある卒業生は、商品を売るために社員数人で高齢者を取り囲んで高額ローンを組ませる会社に就職し、数年で退社。何回かの転職の末、しっかりとした会社に就職した。悪徳商法まがいの会社はその後、破産したという。
         ◇職業人生把握を
         文部科学省の学校基本調査によると、昭和30年度に7・9%だった大学進学率は平成21年、5割を超えた。背景には、1990年代以降の規制緩和で、大学や学部の新増設が進んだことがある。昭和37年度に260校だった大学が、平成2年度は507校、23年度には780校と、50年間で3倍に増えた。
         高校からの推薦入試、書類や面接だけで合否を判定するAO入試など、いわゆる”無試験”で入学できるシステムも拡大。受験の選抜機能が失われ、平均以下のレベルにある学生を分厚い層として取り込む形で、進学率は上昇を続けているという。
         神戸国際大では先月、2、3年生を対象に、就職後の労働問題を学ぶ講座を開催。求人票や雇用契約書などの確認の仕方、パワハラを受けた際の対応、不利益を被ったときの団体交渉、異議申し立てなどをロールプレーイング形式で学んだ。
         居神教授は「仕事のスキルが身に付かず使い捨てにされるブラック企業に、根性論でしがみついていては若者の未来が望めない。大学が大衆化した昨今、大学の知名度にかかわらず、全ての学生たちが”ノンエリート”としての職業を選択してしまう可能性がある」と指摘。そのうえで、「大学は、学生の基礎学力アップなどの就職支援はもとより、就職後の職業人生まで把握しケアすることが必要だ」と話している。
        【用語解説】ブラック企業…低賃金での長時間労働やサービス残業、休日や休憩なしの勤務、暴言などのパワーハラスメントが当たり前で、違法性の強い劣悪な労働環境を強いる会社。事前の準備がいらず、1回の面接で即内定がもらえるなど”楽勝就職”できるため、学生が就職先として安易に選んでしまうケースもある。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/120322/edc12032207380001-n1.htm
        「産経新聞」3月22日(木)

        「眠れないんです」相談から統合失調症診断・長期「服薬治療」に?
        2012/03/11
        東日本大震災から1年。被災された皆様に京都より、心より「がんばろう」とお伝えしたいと思います。

         もう高齢の女性。おそらく30代に、様々な不安事から睡眠障害の状態になられ、何とか寝られるように、と精神科を受診された。通院を続けるうちに、気がつけば統合失調症と診断され、その後、長期の通院・服薬治療が続いています。
         多剤・大量処方で、お会いしてお話ししていて、抗精神病薬の効果も、長期服薬による脳機能へのダメージも、幸いにして少ないように思われました。
         むしろ、発話は活発で、内職仕事も「職人技」の域で継続されていて、外出も活発に行われています。通院も電車を使って、片道30分以上はかかるクリニックにかかさずされていたのですから…。
         印象的には、ADHD傾向の強い自閉症スペクトラムの特性のある方です。何せ、過去の記憶がすごい。結婚されて以降の出来事など、年月日を正確にしながら、延々と話し続けられます。考え方はポジティブで、元気にご主人の介護もされています。
         知人のケアマネが(介護の対象ではないのでボランティア的に)相談に乗っていて、まず勧めたのが転院。30分もかけて行くクリニックに行くことが困難になってきていることもありますが、歩いて行ける所でセカンド診断を受ける、処方を変える意味の方が大きいでしょう。
         統合失調症。あるサイトで「周囲からみてわかる症状」として、話の筋が乱れたり支離滅裂、表情の硬さ、冷たさ、ひとりごとやそら笑い、周囲にそぐわない感情の反応、周囲への無関心、ときにみられる緊張病性興奮、奇妙な症状(たとえばなんでも拒否する拒否症状)、緘黙症、拒食症、拒薬症、おうむ返し、常同症、わざとらしくて奇妙な衒奇症、とらされた姿態をとり続けるカタレプシー、造語症、命令自動症やる気のない(無為)状態…、とありました。この高齢女性には、1つも当てはまりません。
         また、これらが一切見られず、気分や体調の不全な波があるものの、好きなアーチストの曲をギターで弾きたいと勉強し、毎日1時間昼間に散歩しているある30代男性は、10年以上この「診断」で「服薬治療」を受けています。長期のひきこもり状態や妄想様症状が見られたといういことですが、ASD特性からも解釈できる範囲かと…。さすがに今は抗精神病薬はすべて無くなり、気分安定薬と眠剤処方のみとなっていることからも、統合失調症診断が続いていることに疑問を感じざるを得ません。
         大切なのは、生育歴、その環境、症状の起因子、治療や症状の経過、そして何よりも現在の状態への的確な診断です。漫然と薬物処方を続ける通院や、社会的入院として問題とされている長期入院(病院の「固定資産」と関係者は表現しているとか…)です。
         精神疾患として治療され続け、高齢になれば介護保険が優先される仕組みとなっていますので、社会的入院も、精神科入院から高齢介護病棟などへの入院となり、その間に人間関係も薄れ、何十年という人生を精神科病棟で過ごし、終の棲家となってしまう方が多数おられることを、国やマスコミは、もっと問題視し、改善への具体的な施策を作って行かなければならないと思います。
         それでは、最近の気になる記事です。

        福島 避難区域で餓死の疑い

         東京電力福島第一原子力発電所の事故で設定された福島県の避難区域内で、自宅などに取り残されて餓死した疑いの強い人が少なくとも5人いることがNHKの取材で分かりました。
        警察や遺体の状況を調べた医師は、自力での避難や助けを求めることができず、取り残された可能性があると指摘しています。
         ◇やせ細った状態で
         東日本大震災で、福島県内では津波による「溺死」やがれきに巻き込まれて1605人が亡くなっています。
         NHKが、福島県内の自治体や警察などに取材したところ、こうした人たち以外にも、原発周辺の避難区域内の自宅やその周辺で、自力では逃げることができず、食事や水をとれないまま餓死した疑いの強い人が少なくとも5人いることが分かりました。
         このうち原発からおよそ5キロの住宅では、去年3月下旬、70代の男性が2階部分で遺体で見つかりました。
         関係者によりますと、住宅は1階が津波の被害を受けていたということです。
         また、原発からおよそ6キロ離れた住宅でも、4月に60代の女性が部屋のこたつの中で遺体で見つかりました。
         女性は1人暮らしで、住宅に大きな被害はなかったものの、足に持病を抱えていたということです。
        5人の遺体は、いずれもやせ細った状態だったということです。
         当時、この区域では、政府が出した避難指示を受けて、大勢の住民の避難誘導が行われていましたが、警察や遺体の状況を調べた医師は、5人は自力で避難できなかったり助けを求めることができなかったりして取り残された可能性があると指摘しています。
         また、津波の現場で見つかった遺体を調べた複数の医師は、NHKの取材に対し、目立った不審な点がなければ、詳しい死因を調べる解剖などを行わず、「溺死」としたと説明しています。
        そのうえで医師らは、「溺死」とされた人の中にも、津波のあと、しばらくは生存し、その後、衰弱するなどして別の死因で亡くなった人も含まれている可能性があると指摘しています。
         ◇医師”餓死の疑い強い”
         福島県相馬市の標葉隆三郎医師は、震災発生後、避難区域で見つかった遺体について餓死の疑いが強いと判断しました。
         標葉医師は、遺体はひどくやせ細り、ほとんど食べ物を食べず、水も飲んでいないことがうかがえ、震災後、しばらく生存したうえで衰弱していったとみています。
         今回の事態について、標葉医師は「避難区域で取り残されて、亡くなっていったと考えられる。こうした方々の死を決して忘れてはいけない。連絡手段がないなかで避難していない人を、行政がどのようにケアしていくのかについて、今後、対策を考える必要がある」と話しています。
         震災発生後に、福島県内の津波被害の現場で見つかった遺体の死因を調べた日本法医学会に所属する千葉大学大学院の岩瀬博太郎教授は、「正確に死因が究明できているかというと、当然、問題は残っている。災害時、遺体を調べる際にどのような検査をするのかや、どのような状態だったら解剖まですべきなのかということを含めて、法医学会として今後、死因の究明の在り方を検討していきたい」と話しています。
         ◇消防団員”救える命があった”
         震災直後に避難区域で救助活動に当たっていた複数の消防団員は、避難指示が出て救助活動が中断されるまでの間に助けを求める声を聞いたと証言しています。
         このうち津波で125人が死亡した福島県浪江町の請戸地区で救助活動に当たっていた浪江町消防団員の高野仁久さんは、震災当日の夜、がれきの中から助けを求める声や、物をたたいて居場所を知らせようとする音を聞いていたということです。
         高野さんは、応援を求めにいったん役場の詰め所に戻りますが、機材も人員も足りず、大津波警報が引き続き出されていたため、町の判断で救助活動は翌朝に持ち越されたということです。
         しかし、翌日の朝、原発から10キロ圏内に避難指示が出されたため、救助活動に向かうことができず、住民の避難誘導を優先せざるをえなかったということです。
         これについて高野さんは、「あのとき、『あす助けにくるから待ってろよ』と声をかけてきたのに、結局、救助に行けなかったことを今でも後悔している。原発事故がなければ何人もの命を救うことができたのではないかと無念に思う」と話しています。
         ◇遺族”せめて死をむだにしないで”
         自宅やその周辺に取り残されて食事や水を取れないまま餓死した疑いが強い5人のうち、原発からおよそ6キロ離れた自宅のこたつの中で遺体で見つかった女性の親族の男性は、「おそらく周りで何が起きているのかも分からないまま、1人で何日間も耐え忍んでいたかと思うと、どんなに心細かったか、ことばになりません。今でも、なぜ家族が死ななくてはならなかったのか考えると、月日がたつにつれて原発事故さえなかったらという思いを強くしています。残された遺族としては、せめて家族の死をむだにしないでほしいと願っています」と話しています。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120305/k10013494741000.html
        「NHK NEWSweb」3月5日

        ●福島第一原発事故で拡散、プルトニウム初検出
         東京電力福島第一原子力発電所事故で拡散したとみられるプルトニウム241を、放射線医学総合研究所などが福島県内で初めて検出した。
         文部科学省による昨年9月の調査結果では、同位体のプルトニウム238、239、240を検出していたが、241は調査対象外だった。英国の科学電子雑誌に8日、発表した。
         研究チームは浪江町、飯舘村のほか、広野と楢葉の両町にまたがるJヴィレッジの3か所から採取した土壌や落ち葉から、241(1キロ・グラムあたり4・52~34・8ベクレル)を検出した。241は国内ではほとんど検出されないため、原発事故で拡散したと結論づけた。
         最大濃度の落ち葉が採取された場所の今後50年間の被曝(ひばく)線量は0・44ミリ・シーベルトと試算され、健康影響はほとんどないと研究チームはみている。ただ、241が崩壊して生じる放射性物質のアメリシウムは植物へ移行しやすいという研究もあり、「継続調査が必要だ」としている。文科省は241を調査から外した理由について、「検査に時間がかかるため、同じベータ核種のストロンチウムを優先した」と説明している。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120308-00001249-yom-sci
        「読売新聞」3月9日(金)

        ●5.5兆円賠償求め東電歴代経営陣を提訴 株主42人
         東京電力福島第一原発の事故をめぐり、同社の個人株主42人が5日、勝俣恒久会長や西沢俊夫社長ら現旧の取締役27人を相手取り、総額約5兆5千億円の支払いを求める株主代表訴訟を東京地裁に起こした。「津波対策を怠り、会社に巨額の賠償責任を負わせた」などと主張している。東電によると、福島原発事故をめぐる株主代表訴訟は初めてという。
         訴えたのは、長年にわたり株主総会で東電に「脱原発」を訴えてきた株主ら。多くは東京都内在住だが、3人は福島県内に住んでいる。損害額は、昨年10月に政府の「東電に関する経営・財務調査委員会」が試算した東電の賠償総額(4兆5402億円)に廃炉費用(9643億円)を加えて算出した。株主側は、勝訴した場合、会社が回収した金を被害者への賠償にあてるよう求めている。
         訴状によると、文部科学省の地震調査研究推進本部は2002年、三陸沖から房総沖でマグニチュード8クラスの大地震が起きる可能性を指摘した。このため、株主側は02年以降の会長や社長、原発担当の取締役らを被告とした。
        http://www.asahi.com/national/update/0305/TKY201203050542.html
        「asahi.com」3月5日

        ●行き場を失った被災地のガレキ。保管所では自然発火で火災も発生
         石巻市の仮置き場に積み上げられた震災ガレキの山。受け入れ先も広がらないまま、連日ダンプカー400台分がここに運ばれてくる
         3・11から1年を迎えるにも関わらず、宮城県、福島県、岩手県などの被災地で発生した震災ガレキと除染ゴミの処理は進んでいない。環境省・廃棄物対策課の播磨哲平氏は、こう説明する。
        「津波によって発生した災害廃棄物の量は岩手県で通常の約11年分、宮城県で通常の19年分。既存の施設に加え、仮設焼却炉を設置して日夜、処理に取り組んでいますが、現時点では一部しか処理できていません。そこで災害廃棄物の広域処理(県外処理)が不可欠になっているのですが、これが一向に進まないのです」
         宮城県のガレキ総量の約4割、岩手県分の1.3倍もの膨大なガレキを抱える石巻市の場合、市内に23ヶ所ある一次仮置き場のうち、「満量により閉鎖済み」が2ヶ所、「閉鎖予定」が2ヶ所、仮置き場の許容量100パーセント超えがすでに5ヶ所(2月8日時点)となっている。だが、仮置き場を新設する土地はもう無い。石巻市川口町一次仮置き場を管理する現場監督がこう話す。
         「連日、2トン、4トン、10トンダンプカー約400台分のガレキが運ばれてくる。場内に積み上がったガレキの高さは20メートルに達しています。保管スペースはあとわずか。近々ここも閉鎖になるでしょう」
         5月には日に1500トンを燃やす仮設焼却プラントが動き出す予定なのだが、前出の石巻市職員は不安をこう口にする。
         「焼却プラントが稼働するまで2ヶ月。それまでもつかどうか……。実は被災家屋など、まだ解体できていない建物が約5000棟も残っていまして現時点で地権者から解体申請があったのは約1万棟で、このうち解体済みは約5000棟。つまり今、一次仮置き場に山積みになっているガレキと同じ量のガレキが、これから搬入されてくるということ。このままでは仮置き場がパンクしてしまう」
         行き場の無いガレキは、保管スペース以外にも新たな懸念を生んでいる。それが”火災”だ。
         「ガレキは分別しないまま高く積み上げると、内部が高温になったり木材などは腐敗してガスが発生したりして、自然発火による火災の危険性が高まる。昨年、市内の仮置き場で起きた火災は4件。うち1件は鎮火まで2週間かかる大規模なものだった。現在、内部の熱を逃す管をガレキの山に差し込むなどの対策は講じているが、ガレキ内部がかなり高温に達している仮置き場も少なくない。発火点に達すれば、この巨大なガレキの山は火の海になりかねない」(前出・現場監督)
         いまだ多くの自治体で受け入れ拒否されている震災ガレキ。この問題が解決されない限り、真の復興とはいえない。
        http://wpb.shueisha.co.jp/2012/03/05/10116/
        「週プレニュース」2012年03月05日

        ●SPEEDI予測「公表できない」 文科省文書に記載
         東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成されていたことが2日、同省関係者への取材で分かった。
         文科省は「事務方が作ったメモだが不正確。公表の具体的な判断はしなかった」と内容を一部否定している。
         事故直後のSPEEDIの試算公表をめぐる文科省の議事録などは公表されていなかった。
        http://www.chibanippo.co.jp/c/newspack/20120303/71388
        「ちばとぴ」2012年03月03日

        ●自殺者数は14年連続の3万人超え
         2011年の自殺者数は3万651人で、14年連続で3万人を超えたことが9日、内閣府と警察庁のまとめで明らかになった。前年からは1039人(3.3%)減少し、14年ぶりに3万1000人を下回った。
         男女別に見ると、男性が2万955人(68.4%)で、前年から1328人の減。一方、女性は9696人(31.6%)で、289人増加した。
         自殺の原因・動機(複数計上)では、「健康問題」が1万4621人で最も多く、以下は「経済・生活問題」6406人、「家庭問題」4547人などの順だった。
         このうち、「健康問題」の内訳は、「うつ病」の6513人が最多で、「身体の病気」4659人、「統合失調症」1313人、「その他の精神疾患」1207人などと続いた。また、「家庭問題」では、「介護・看病疲れ」による自殺者が326人いた。
         月別にみると、例年は3月にピークを迎えるが、11年は5月が最も多く、前年同月に比べて21.3%増えていた。この点について内閣府の担当者は、「東日本大震災の影響や、経済環境の悪化が背景として考えられる。今後分析を進めたい」としている。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120309-00000001-cbn-soci
        「医療介護CBニュース」3月9日(金)

        ●昨年の人権侵犯、いじめ最多に 京都地方法務局まとめ
         京都地方法務局が昨年1年間に、被害者からの申告に基づき調査した人権侵犯のうち、小中学校や高校など学校でのいじめが127件(前年比17・6%増)で、比較可能な統計が残る平成17年以降で最多となったことが2日、分かった。
         法務局によると、23年に人権救済手続きで調査を始めた人権侵犯は661件で前年比1・3%の微増。このうちいじめについて、法務局職員や各自治体の人権擁護委員が学校側に連絡するなどの措置をとり、ほぼすべての事案が改善されたという。
         法務局は「相談窓口が周知し、潜在的にあったいじめが表面化するようになった。必ずしも増えたわけではない」としながらも、今後も学校で児童・生徒に申告用紙を配布し、”SOS”をくみ取る。
         いじめに関する相談は「子どもの人権110番」(フリーダイアル0120・007・110)へ。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120303-00000042-san-l26
        「産経新聞」3月3日(土)

        ●今国会提出の障害者自立支援法改正案 元原告ら抗議 京都
         ◇「約束が違う」
         今国会に提出される障害者自立支援法改正案について、同法の違憲訴訟を起こした元原告らが5日、京都市内で記者会見し、「改正案は元原告との基本合意に違反する」と抗議の声を上げた。
         同法が「障害者の生存権を無視しており、憲法に違反する」として、平成20~21年に障害者らが全国14地裁で一斉に集団提訴。22年、国と原告団の間で、同法の廃止を盛り込んだ基本合意がなされ、和解している。
         会見には、京都原告団の元原告4人と原告の母親らが出席。今国会に同法の改正案が提出されることを受け、「約束が違う」と訴えた。元原告の井上吉郎さん(66)=亀岡市=は「国は廃止を約束したのに、延命法として改正案が上程されようとしている。憤りを感じる」と語気を強めた。
         元原告らの代理人弁護士は「改正案の内容に明らかな合意違反があった場合、再提訴も視野に入れて考える」としている。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/120306/kyt12030602060001-n1.htm
        「産経新聞」3月6日(火)

        ●[成年後見制悪用]チェック体制を見直せ
         この国で何を信じ、何に頼ればいいのだろうか。暗い気持ちにさせる違法行為が明らかになった。
         知的障がいや認知症などで判断能力が不十分な成人の財産などを管理する「成年後見人」の立場を悪用し、現金1千万円を横領したとして、県司法書士会元会長(71)が業務上横領の疑いで那覇署に逮捕された。元会長は「未公開株に投資した」と容疑を認めているという。
         県警は、元会長が後見人を務めた別の3人の財産も流用し、合計額が計1億3千万円に上ることを把握しているという。何をか言わんやだ。
         法律の専門家が、その知識を悪用して判断力が十分でない人の現金を横領するなど信じられない違法行為で、実に嘆かわしい。
         県司法書士会の崎間敏会長は「はなはだ遺憾で許し難い。再発防止策にしっかり取り組む」と述べているが、会の信頼回復のためにも、あらためて倫理の周知徹底など早急に対応してもらいたい。
         一方、成年後見制度のチェック体制についても見直しが必要だろう。
         2000年に始まった同制度をめぐっては、全国的に後見人による財産などの流用事件が後を絶たないからだ。最高裁の調査では10年6月から10カ月間で成年後見人らによる着服が184件、被害額は18億円以上になっている。
         同種事件の未然防止に向け、後見人を選任する家庭裁判所の体制強化や新たな法律の制定も含め、抜本的な制度改革の論議を始める時期に来ている。 
         成年後見制度は、認知症や障がいなどで判断力が不十分になった人を支援する。本人や親族、市町村長などの申し立てを受け、家庭裁判所から選任された後見人(保佐、補助)が財産管理のほか、契約などで被後見人が損害を受けないよう支援している。
         家庭裁判所は、後見人が提出した本人の財産目録や事務報告を厳正にチェックするなどしているが、流用事件が相次ぐ現状では十分機能しているとはいえない。
         そもそも後見人に頼らざるを得ない人は、契約や財産管理などで不利益を受けたとしても、警察や裁判所などへ訴える判断力が十分でないケースがほとんどだ。
         制度制定から10年が経過し後見人の選任の在り方やチェック機能なども含め、さまざまな検証が必要だろう。社会的に弱い立場にある人々を支援するには制度の充実が不可欠である。
         成年後見制度は、高齢化の進行とともにニーズや重要性が高まっている。一方で、身内が高齢者などの理由で後見人が見つからなかったり、低所得者は第三者に頼む場合、報酬の問題などで使いにくいなど課題も多い
         使い勝手のいい制度にするには財産管理や契約に限らず、介護、福祉などの観点からアプローチすることも必要だろう。
         法人が後見人となってさまざまなケースに対応する「法人後見」や報酬の補助制度の在り方など、幅広い議論が求められる。
        http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-03-02_30515/
        「沖縄タイムス」2012年3月2日

        ●無実の罪で27年服役、米フロリダ州が補償金1億円支払いへ
         米フロリダ州議会は1日、冤罪(えんざい)で27年間服役した男性に対し、計135万ドル(約1億1000万円)の補償金を支払うことを決定した。
         ウィリアム・ディロンさん(52)は1981年、同州ブレバード郡で発生した殺人事件の容疑者として逮捕され、刑務所に収監された。
         その後、冤罪が疑われる受刑者を支援する団体「イノセント・プロジェクト・オブ・フロリダ」が尽力し、DNA鑑定が決め手となってディロンさんの無実が証明された。ディロンさんは2008年に釈放された。
         ディロンさんは記者団に対し、「非常に嬉しく思う」とコメント。「私を信じて助けてくれる人がいた」と感謝の言葉を述べた。
         州議会がディロンさんに支払う135万ドルは、1年当たり5万ドルの計算で、収監されていた27年分を合わせた額。
        http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE82103Y20120302
        「ロイター」2012年3月2日

        ●左右の脳が抑制し合う神経回路メカニズムを解明
        -最新の研究手法で半世紀の謎がついに明らかに-
         右手でボールを触ったのに、左手で触ったと感じては困ります。このような困ったことにならないために左右の脳が抑制し合う「半球間抑制」という神経現象があります。これは、1962年に日本の生理学者らが世界に先駆けて発見したものでした。しかし、秒進分歩といわれる科学の世界でも、それを確認する手法が確立されず、高精度な測定装置もなく、詳細なメカニズムは解明されないままでした。
         私たちの体では、右半身の感覚情報は左大脳半球の新皮質に、左半身の感覚情報は右大脳半球の新皮質に伝えられます。左右の大脳新皮質は脳梁とよばれる情報の道でつながり、情報のやり取りをしながら巧みに混乱を防いでいます。もし、両方の大脳が同じように手や足の感覚を受け取ってしまったら、とてもスムーズに動けません。つまり、左右どちらかの大脳が遠慮して「どうぞ」と道を譲るわけです。よくできていますね。
         脳科学総合研究センターの若手研究者がこの謎解きに挑戦しました。より自然な神経活動を観察するためラットを生きたままの状態にして独自の実験装置や手法も駆使し多角的に検証しました。その結果、一方の大脳新皮質に情報が届くと、興奮性の情報が脳梁を通ってもう一方の大脳新皮質に伝わり、その表層に存在する抑制性の神経細胞を活性化して抑制性神経伝達物質(GABA)を放出します。GABAは大脳新皮質の5層錐体細胞の樹状突起に作用して神経活動が抑制される-という一連の流れを神経細胞レベルで解き明かしました。
         今回の研究成果は、左右の脳の情報のやり取りの仕組み解明に道筋をつけたもので、脳の障害による運動や感覚のまひ、言語障害などのリハビリテーション医学分野へ基礎的な知見を示せると期待できます。また、独自に開発した研究手法は、これまでできなかった複雑な神経細胞の活動の観察を可能にするもので、単一神経細胞レベル、あるいはネットワークレベルでの観察ができるようになります。
        しかし、どうして左手の情報が右の大脳半球へ行くのでしょうか?不思議です。
        http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2012/120224/index.html
        [発表者]
        脳科学総合研究センター 行動神経生理学研究チーム 村山正宜チームリーダー
        「理化学研究所プレリリース」2012年2月24日

        ●東大、脳の発達障害の原因タンパク質がシナプスを動かしていることを確認
         東京大学(東大)大学院医学系研究科神経細胞生物学分野の岡部繁男 教授らの研究チームは、細胞骨格の一種で微小管をレールとしてその上を動く分子モーター「ダイニン」と結合し、その機能を制御することが知られている遺伝子「Lis1」が、脳の中で神経細胞の間のシナプスと呼ばれる”つなぎめ”にも存在し、Lis1によって制御されたモーター分子によりシナプスが微小管に沿って移動し、最終的に正しい場所にシナプスが配置されるということを明らかにした。同成果の詳細は「Nature Communications」(オンライン版)に2012年3月6日に掲載された。
         脳の発達障害の原因となる遺伝子には様々なものがある。Lis1遺伝子の異常により引き起こされる滑脳症は、脳の発達早期に幼弱な神経細胞が正しい場所に移動できず、結果的に脳の表面のしわがなくなってしまい、知的発達障害や、脳興奮が抑制できないためのてんかん性発作などの症状が起こることが知られている。これまでLis1遺伝子の機能として、神経細胞の移動をコントロールすることは知られていたが、より発達した脳でどのような役割を持っているのかについてはわかっていなかった。
         また脳の過剰興奮で生じるてんかん性発作などの解明には興奮性の神経細胞と抑制性の神経細胞の間のバランスを制御する仕組みを調べる必要があるが、興奮性神経細胞は数が多く、細胞間のつながりであるシナプスがどのようにできてくるのかについても調べやすいのに対し、抑制性神経細胞については数も少なく、これまでシナプスが出来て細胞がつながっていく過程について研究がほとんど行われてこなかった。
         今回の研究では、神経細胞の間のシナプスと呼ばれる”つなぎめ”に着目し、マウス由来の神経細胞の培養系を利用して、抑制性の神経細胞におけるシナプスのふるまいを生きた細胞で長時間観察したところ、興奮性の神経細胞では起こらない、シナプスが細胞の上を動いていく様子が観察できたという。このようなシナプスの動きは方向が一定で、しかも神経細胞から伸び出てくる細い突起の上で起こっていた。シナプスが動くことによって最終的にシナプスは突起の根本にたどり着き、その部分で安定に存在するようになるほか、このようなシナプスが神経伝達の機能を持っていることも細胞の中に流れ込むカルシウムイオンを可視化することで確認したという。
         また、このシナプスの動きがどのようなメカニズムによって起こるのかを知るために、神経細胞の中の細胞内に存在するタンパク質が重合して形成される線維状の構造である「細胞骨格」を薬理学的に壊す実験を行ったところ、細胞骨格の一種で分子モーター「キネシン」および「ダイニン」のレールである微小管と呼ばれる細胞骨格が壊れるとシナプスの動きが止まることが判明した。
         これまでの研究で微小管の上を突起の根本に向かって物質を運ぶモーター分子としてはダイニンが知られており、研究チームでは脳の発達障害の原因遺伝子であるLis1も、ダイニンに結合する分子であることに着目、Lis1がダイニンを介してシナプスの動きを調節しているという仮説を立てた。実際、Lis1の遺伝子を破壊したマウスの神経細胞では、シナプスの移動がうまく起こらず、本来規則正しく配列されるシナプスの配置が乱れてしまうことを確認しており、これらの結果から、Lis1はダイニンというモーター分子を介して抑制性の神経細胞の上に形成されるシナプスの移動・配置を調節しており、この制御がうまくいかないと脳の中で興奮を抑制する機能が弱くなるとの考えに至ったという。
         なお、研究チームでは、今回の結果は脳における神経細胞同士のつながり方についての新しいモデルを提供するものとなるほか、この成果により発達障害などの脳疾患で過剰な興奮がどうして起こるのか、そのメカニズムの解明が進むことが期待されるとしている。
        http://news.mynavi.jp/news/2012/03/09/109/index.html
        「マイナビニュース」2012/03/09

        ●「柔道授業」安全徹底を 文科省が教員向け手引き書
         4月から中学校の体育で必修化される「武道」の柔道について保護者らから安全面への不安の声が出ていることを受け、文部科学省は9日、全国の教育委員会に対し、授業での安全が徹底されるよう指導者や指導計画の見直しを要請するとともに、教員向けに安全管理の手引書を作成、全国の中学校に配布した。
         平野博文文部科学相は閣議後の会見で「安全性が一番大事で、万が一事故が起こったときの医学に対する知識も指導者には持ってもらう。しっかり準備態勢を整えた上で実施してもらいたい」と述べた。
         文科省は通知の中で、指導者や指導計画、畳などの施設設備、事故が発生した場合の対応について点検、見直しを行うよう求め、問題があった場合、改善されるまでは、授業の開始を遅らせることも要請した。
         安全管理の手引きでは、多くの生徒が初心者であることを踏まえた段階的な指導を求めた上で、「頭を打たない、打たせない」ための受け身の練習の徹底を強調。学習指導要領に例示された投げ技と安全指導のポイントを写真を明示しながら解説した。万一の場合に備え、骨折や脱臼のほか、首や頭部への負傷の対象法についても説明した。
         手引書は保護者にも見てもらえるよう文科省のホームページにも掲載する。
         柔道の指導方法をめぐっては、部活動などで子供を亡くした保護者らでつくるる「全国柔道事故被害者の会」(小林泰彦会長)が文科省に事故防止の徹底を求める要望書を提出している。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120309-00000527-san-soci
        「産経新聞」3月9日(金)
        保健師や警察官、民生委員、町内会のいろんな役員などの見守り。
        2012-02-28
        自殺、放置、生活苦、衰弱死、過労死…。こうしたニュースが無い1週間というのは、最近ではまったく無いように思います。
         労働、生活のあり方が変わり、地域の関係性や生活スタイルなどの価値観、国や行政の財政悪化による保健福祉行政予算などの削減などによって、1人の人や家族に対する関わりが薄くなってしまってきました。
         例えば、かつて各戸を回って生活状況や健康面を観察していた保健師が減らされ、広大な地域を1人で受け持つ。交番の巡査も、かつてのように地域の住民を把握できない状況になっている。民生委員も行政の協力が無ければ動ける範囲が狭くなってしまう。町内会も機能が低下したり、無くなった地域もある。等々です。
         子ども虐待では、児童相談所がやり玉に上げられますが、あれだけ体制を削られれば全部の案件に十分な対応は無理でしょう。
         保健福祉行政も、削りに削られた部署です。市区町村によって、担当部局の長や担当者個人の意識レベルも大きく影響して、温度差は歴然としてありますが、あまりにも無残な体制となっているとしか言えません。
         「申請主義」そのものの害悪も、今の最大の問題と言えるでしょう。一方で、制度やサービスなどについての広報がきちんとできた上での「申請主義」ならまだしも、「助け」を必要とする人の多くが、諸法が定める公的な支援制度やサービスなどについて、「誰からも教えられていない」状況に、日々愕然とします。
         行政の担当者の職務怠慢や不・無勉強も中にはありますが、人事異動でころころと所属課が変わる今の行政組織では、担当者個人の問題や責任にしてしまうわけにもいきません。
         問題・課題を多く残しつつ、不十分ながらも厚生労働省が管轄する福祉施策や福祉サービス、介護サービスなどは、諸法に基づいて、必要な人は利用できるわけですから、それらときちんと「繋ぐ」サポートが不可欠となります。
         しかし、行政レベルでは広報を強化する予算も仕組みも期待できません。医療領域と福祉領域との連携はまだまだ不十分です。そしてどちらも民間に依存しています。「儲からない」サポートなどに、力を入れる余力は、今の民間にはありません。
         詰まるところ、年間3万人を超える自殺者が10年以上続いていても、衰弱死して白骨化するまで放置されていても、精神的に追い詰められて犯罪に至っても、個人責任化され、家族で抱え込まなくてはならない枠組みが続いてしまいます。
         保健福祉などの予算をどう組むのか、財源をどうするのか、国民が納得のいく応分かつ応能な負担についての根拠のある提示ができるのか、制度やサービスなどの内容と合わせた国民的な議論が必要な時代にあると思いますが、国会では相変わらず政党間の利害優先の駆け引きやなれあい、責任のなすりあいが続いています。政治家任せ、官僚任せで、今のさもしい国家になってしまったという反省も必要ですから、一人ひとりが声を上げて行くことも国民の義務と思うようになるしかないのではないでしょうか。かつての保健師や警察官、民生委員、町内会のいろんな役員などの見守りが地域に再現できるように…。

        それでは、最近の気になる記事です。

        <民間事故調>原発安全神話を指弾 検査形骸化と縦割り弊害

         「決められたことをチェックするだけ」「木を見て森を見ず」--。民間事故調が27日にまとめた報告書から浮かぶのは、形骸化した原発の検査体制と縦割り行政の弊害だった。また、国が原子力政策を決定し、事業者が運営する「国策民営」方式で、安全規制へのモラルハザード(倫理観の欠如)が生まれ、責任の所在が不明確になったと断定。「原子力ムラ」が生んだ原発の安全神話が事故原因になったと指摘した。
         民間事故調は、縦割り行政の象徴として、放射性物質の拡散状況を予測するSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)の公表遅れを取り上げ、400ページに及ぶ報告書のうちの16ページを割いた。この中で、「文部科学省が放射線モニタリングをまとめ、内閣府原子力安全委員会がそれを評価する」との役割分担が昨年3月16日に決まったのを機に、公表責任の所在があいまいになったと言及。
         文科省は公表の役割について、安全委員会が受け入れたと主張しているが、班目春樹・原子力安全委員長らは聴取に「文科省が勝手に決め、安全委に(公表の役割を)押しつけた」と証言した。事故調は「文科省が安全委に一方的に役割を『移管』した」と推定。「文科省の対応は、責任回避を念頭に置いた組織防衛的な兆候が散見され、公表遅れを招く一因になった可能性は否定できない」とした。
         上空から放射線を測る「航空機モニタリング」では、実施主体となる文科省所管の財団法人「原子力安全技術センター」と、ヘリを運航する自衛隊との連絡がうまくいかず、3月25日まで測定できなかったことを明らかにした。
         一方、原発の安全審査について、経済産業省原子力安全・保安院と、その傘下の原子力安全基盤機構(JNES)、文科省とその傘下の日本原子力研究開発機構(JAEA)による「二元審査」にあったと指摘。両者について「横の連携が取りにくいちぐはぐな関係にあった。それぞれの機関が定められた行動だけを取り効果的な事故対応ができなかった」と指弾した。
         報告書は、電力会社任せになっている原発の安全審査の実態も言及。「電力会社が作成した資料を丸写しして、決められた手順通りに行われているかチェックするだけ」(元JNES検査員)▽「検査はどんどん細部に入り、『木を見て森を見ず』になっている」(JNES幹部)--などの発言を紹介した。
        「毎日新聞」2月28日(火)

        ●SPEEDI”存在も知らず”
         去年3月の原発事故で、放射性物質の広がりを予測するシステム「SPEEDI」が住民の避難にいかされなかったことについて、菅前総理大臣ら、事故の対応を中心となって行った政治家たちが「所管する文部科学省などから説明を受けず、事故から数日たってもその存在すら知らなかった」と民間の事故調査委員会に対して証言していることが分かりました。
         原子力事故が起きた際に放射性物質の拡散を予測するシステム「SPEEDI」は、開発・運用に120億円の費用が投じられながら、去年3月の原発事故で住民の避難に生かされず、政府の対応に批判が出ています。
         これについて、28日に公表される民間事故調の報告書の中で、事故対応を中心になって行った菅前総理大臣ら5人の政治家が「所管する文部科学省などから説明がなく、事故から数日たってもその存在すら知らなかった」と証言していることが分かりました。
         調査の対象となった5人のうち、当時の枝野官房長官と福山官房副長官は、2号機から大量の放射性物質が放出された去年3月15日ごろ、マスコミからの指摘で初めてSPEEDIの存在を知ったと話しているほか、当時の海江田経済産業大臣は「存在すら知らなかったので、データを早く持ってこいと言うことができなかった。本当にじくじたる思いだ」と述べたということです。
         SPEEDIの説明がなかったことについて枝野前官房長官は「予測の計算に必要な放射性物質の放出に関する数値が得られなかったためデータの信頼性が低く、説明の必要はないと判断した」と文部科学省から報告を受けたと話しています。
         これについて民間事故調は、28日公表する報告書で「SPEEDIは原発を立地する際、住民の安心を買うための『見せ玉』にすぎなかった」と厳しく批判したうえで「住民の被ばくの可能性を低減するため、最大限活用する姿勢が必要だった」と指摘しています。
         また、災害時の情報発信に詳しい東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授は「原子力災害が起きている最中に指揮官である官邸の政治家が存在さえ知らないというのは通常は考えられない。SPEEDIの存在を政治家に報告しなかった官僚も問題だが、官邸にも危機管理能力がなかったと言わざるをえない」と話しています。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120228/k10013333181000.html
        「NHK NEWSweb」2月28日

        ●「この原発は終わった」作業員は顔面蒼白
         「防護服姿の作業員はみな、顔面蒼白(そうはく)だった」。報告書は3月11日、福島第1原発の対策本部にいた作業員1人の緊迫感に満ちた証言を紹介した。
         証言によると、地震発生時、作業員は5、6号機近くの屋外にいた。向かった免震重要棟には700人が避難していた。
         「これとこれを教えろ!」。マイクで吉田昌郎所長の怒号が響く。夕方、「原子炉の水位が把握できない」「午後10時には燃料棒の露出が始まる」との報告が届いたが、所長は「了解」としか答えなかった。
         「あれは生(なま)蒸気です!」。午後7時すぎ、1もしくは2号機から連絡が入った。作業員は原子炉の蒸気をタービン建屋に送る配管が壊れたと考え、「この原発は終わった。東電は終わりだ」と思った。中央制御室の外側で放射線が検出され、東電社員らは「まさか爆発しないよな」と口にし始めた。
         「ベントしろ」「注水しろ」。東電本店からの指示に、所長は「何でもいいから液体を持ってきてくれ」と応じていた。重要棟1階では手動ベントに向け、東電社員や関連会社の人々がおよそ20人1隊で5列に並んだ。防護服に身を包み、全員が震えていた。「言葉にはできないほど怖がっていた」
        http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E0E5E2E6978DE0E5E2E0E0E2E3E09191E3E2E2E2
        「日本経済新聞」2012/2/27

        ●自殺防止イベント:休学生の自殺防止へ 学生団体主催「本音で語る場を」--千代田で19日/東京
         大学生や専門学校生の自殺防止を目的としたイベント「いま、休学生が危ない 言えない+行けない=孤立」が19日午後2時~5時半、千代田区神田駿河台3の総評会館で開かれる。中高生の不登校に比べると、学校に行けない大学生らの問題は見過ごされがちだ。休学をきっかけに孤立してしまった若者が本音で語れる場を作りたいと、同世代の大学生が企画した。
         主催するのは、都内の大学生が休学者支援のために昨秋発足させた学生団体「Youth LINK」。
         当日は、休学経験があるメンバーの体験談のほか、作家の星野智幸さん、不登校の当事者や親を支援する「ヒッキーネット」事務局の林恭子さん、自殺対策のNPO法人「ライフリンク」代表の清水康之さんらが登壇するパネルディスカッションがある。その後、来場者も交えて自由に本音を語り合う時間もある。
         「Youth LINK」の老久保勇太さん(早稲田大学生)は「僕らも生きづらさを感じる当事者。来場者と一緒になって考える場にしたい」と話している。3月以降も休学者の語り合いの場を定期的に設ける予定。
         イベントは入場無料。申し込みは名前、電話番号、メールアドレスを書いてメール(youthlink.vs@gmail.com)へ。
        「毎日新聞」2月17日(金)

        ●成年後見制度”信頼揺るがす事態”
         認知症のお年寄りなどに代わって第三者が財産を管理する「成年後見制度」で、財産が使い込まれる被害が、最近の16か月間におよそ37億円に上ることが最高裁判所の調査で分かりました。
        最高裁は、制度への信頼を揺るがす深刻な事態だとして、対策の検討を急いでいます。
         「成年後見」は、認知症で判断力の衰えたお年寄りなどに代わって、親族のほか、弁護士や司法書士などが後見人となって財産を管理する制度です。
         高齢化に伴い利用者が増える一方で、財産が使い込まれる被害が相次ぎ、最高裁判所は被害の実態を全国の家庭裁判所を通じて調査しました。
         その結果、おととし6月から去年9月までの16か月間に被害の報告が314件あり、被害総額はおよそ36億9800万円に上ることが分かりました。
        このうち306件は、親族が財産を管理していたケースで、1件の被害額が2億円に上るものもありました。
         被害は特に去年に入ってから急増し、月平均の被害額はおよそ3億円に達しているということです。
         最高裁は対策の1つとして、信託銀行などと連携した資産管理の仕組みを新たに設け、今月から運用を始めていますが、「後見制度の信頼性を揺るがすような深刻な被害が相次いでいる。後見人の指導の在り方も含めて効果的な対策を考えていきたい」と話しています。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120226/t10013289481000.html
        2月26日

        ●4歳障害児 衰弱死 母病死 1人で食事できず
         東京都立川市の中心部にあるマンションで今月中旬、死後約二カ月が過ぎた成人女性と男児の遺体が見つかった。警視庁立川署によると、遺体は二人暮らしの無職の母親(45)と知的障害のある息子(4つ)とみられ、母親がくも膜下出血で死亡した後、息子が何も食べられず、助けも呼べず、衰弱死した可能性が高い。
         さいたま市のアパートで親子三人が餓死とみられる状態で見つかるなど、都会で誰にも知られずに亡くなる「孤立死」が相次いでいる。
         現場のマンションがあるのは立川市羽衣町一で、JR立川駅南口の東約一キロ。立川署によると、署員が母子を発見したのは今月十三日。母子の部屋のガスがしばらく使われていないと、ガス会社が契約者である母親の親族に連絡したことが発端だった。親族の通報を受けた署員が部屋に入ると、母親はリビングの床の上に倒れ、息子は近くのソファの上で横たわっていた。
         司法解剖の結果、ともに死後約二カ月が過ぎ、母親の死因は、くも膜下出血だったことが判明。息子の死因は特定されていないが、胃の中が空っぽで脱水症状を起こしていた。体重は四歳六カ月の男児の平均約一七キロを下回る九キロだった。
         母親の親族は「息子は話ができず、一人で食事もできなかった」と説明しているという。室内の机の上には未開封の弁当があり、冷蔵庫にも食べ物や飲み物が残されていた。
         マンションが一昨年春に新築された際、母子も入居した。立川署などによると、間取りは1LDKで、家賃は十万円弱。
        http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012022390070809.html
        「東京新聞」2012年2月23日 07時32分

        ●<大阪市>職員メール調査「150人分で終了」市顧問弁護士
         大阪市が職員の内部メールの調査を始めた問題で、調査リーダーで市特別顧問の野村修也弁護士は22日、取材に応じ、既にデータを入手している約150人分のみで調査を終了すると表明した。職員の地方公務員法(職務専念義務)違反の解明が調査目的と主張するが、メールを提供した市側は「労使関係の問題」、橋下徹市長は「組合・政治活動の解明」と食い違っている。十分な意思疎通もないまま、内部メールを開示した市の情報管理の在り方が問われそうだ。
         野村氏によると、メール調査は内部告発に基づくもので、特定の幹部職員の職務専念義務違反や、禁止されている私的なメールの利用を調べるためとしている。
        「毎日新聞」2月23日(木)

        ●政治活動アンケート、実施せず=委員多数の反対で―大阪市教委
         大阪市教育委員会は21日、橋下徹市長の意向に基づき教職員を対象に予定していた政治活動や組合活動の実態を調べるアンケートの実施を見送ることを決めた。同日の教育委員会会議で、多数の委員が「課題の多い内容だ」などとアンケート実施に反対したことを受けた。
         アンケート調査は、消防局を除く市の全職員が対象で、教委以外は実施済み。教委では、市立の高校や幼稚園の教職員など約3900人が対象になっていた。アンケートは実施しないが、不適正な組合活動などの実態調査の方法に関しては、今後も検討を続ける。 
        「時事通信」2月21日(火)12時45分配信

        ●某有名大教授が、放送大学学長の一喝で退散
         某有名大学教授と名乗る矢吹樹氏がツイッター上で、「正式な大学ではない」などと放送大学の批判を展開したところ、学長の岡部洋一氏が「学長です」と一喝し、無言で退散するという論争があった。
         まず、矢吹氏が「最近、無名大学だけでなく有名大学でも放送大学を卒業して教授になっている人がいるけど、これってありですか? 本当の大学を卒業していないのですから、大学というもの自体を理解していないと思うのですが…。こんな教授に教わる学生がかわいそう」と口火を切った。
         岡部学長が「本当の大学の定義ってなんですか? 放送大学は正式の大学ですが…」と聞き返した。
         すると、矢吹氏は「それが分からないということは、貴方は放送大学出身ですか?そういう質問をすること自体が、放送大学なんですよ。違いがわからない人間が大学の教授にはなってはいけないということです」と、火に油を注ぐ。
         キレた岡部氏は「わたしは学長です」と一喝。矢吹氏はそれ以上、紡ぐ言葉が見つからなくなったようで、会話はここで終了となった。
         ちなみに同大学は、放送学園法に基づき、生涯学習を推進していく大学として1983年に設立された。正式な大学であることに違いない。
         「某有名大学教授」と権威を示す矢吹氏。批判した大学ながらも、発言者がまさか「学長」という権威者だとは思わなかったのだろう。
        http://news.livedoor.com/article/detail/6294668/
        2012年02月20日 提供:ゆかしメディア

        ●放送大学論争で矢吹樹氏を特定か?
         ツイッター上で放送大学長に無謀にも戦いを挑んで一喝され、祭り騒ぎとなった自称有名大学教授の矢吹樹氏だが、特定作業がインターネット上で行われ、関東地方の国立大学の教授ではないか、とネット上で話題になっている。
         過去に俳優活動を少し行ったこと、腕時計などの所持品、また、ドイツへの渡航歴などから割り出したようだ。
         21日現在、矢吹氏のアカウントは非公開設定となっている。
         論争は、矢吹氏が、放送大学が正式な大学ではないとの意見を述べ、それに対して放送大学の岡部洋一学長が反論。しかし、矢吹氏は「貴方は放送大学出身ですか?そういう質問をすること自体が、放送大学なんですよ。違いがわからない人間が大学の教授にはなってはいけないということです」との言動を繰り広げた。
         その返答として岡部学長が「わたしは学長です」と一喝し、終わった。その後つぶやきもなく、非公開設定となった。
        http://media.yucasee.jp/posts/index/10497?oa=ymr6025
        RSSはてブ 最終更新:2012年02月21日

        ●「京都ジョブパーク」来年度から雇用保険業務も実施
         ■カウンセリングから職業紹介 一体的に
         府と京都労働局は21日、厚生労働省所管の公共職業安定所(ハローワーク)だけで行っていた雇用保険業務などを、来年度から府の就業支援拠点「京都ジョブパーク」(京都市南区)でも実施すると発表した。カウンセリングから職業紹介、定着支援まで一体的に行い、求職者の利便性を高めるのが狙い。
         京都労働局は現在、ジョブパーク内にハローワークコーナーを設け、障害者を除いた求職者への職業紹介のみを実施している。
         4月からは府内8カ所のハローワークでしか行っていない求職者に対する雇用保険の審査や給付、職業訓練の受講指示、求人企業に対する雇用奨励金申請といった業務も扱い、ジョブパークの機能を強化する。
         平成19年4月に開設された京都ジョブパークでは、府が求職者へのカウンセリングや研修などを実施。22年度の利用者が延べ約6万3600人に達しており、府は求職者が雇用保険関係の手続きのために住所地のハローワークへ行く手間を解消しようと、厚労省に事業計画を提案していた。
         また、府は平成18年以来行っていない職業紹介を同パークで再開する。ハローワークとは別に、求職と求人のミスマッチを避けるため、中小企業側の採用コストやほしい人材などの事情を踏まえたきめ細やかな職業紹介を行う。
        「産経新聞」2月22日(水)

        ●弁護士「いじめ苦 明らか」 大津署、自殺と断定 両親損賠提訴
         大津市のマンションで昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が転落死し、その後、男子生徒が同級生からいじめを受けていたと市教委が発表した問題で、県警大津署は24日までに、男子生徒が自殺したと断定した。また、同日、男子生徒の両親が大津地裁に起こした損害賠償訴訟の提訴を受け、両親側の弁護士が滋賀弁護士会館(大津市梅林)で会見し、改めて「いじめを苦にして自殺したことは明らか」と強調した。
         男子生徒は昨年10月11日朝、自宅のあるマンション1階の広場で、倒れているのが見つかり、その後死亡が確認された。マンション14階の手すりに乗り越えた跡があったことなどから大津署は自殺と断定した。
         この日、両親が訴えたのは市教委がいじめを認定した加害男子生徒3人とその保護者、さらに中学校の設置者である大津市。会見では担当弁護士が、男子生徒が昨年夏ごろから受けていたいじめの内容について説明するとともに、男子生徒の父親(46)のコメントを発表した。
         一方、被告となった大津市の澤村憲次教育長は「現時点では訴状が届いておらず、この件についての内容を把握しておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。今後、内容を踏まえて適正に対処して参りたいと考えております」とのコメントを出した。
        「産経新聞」2月25日(土)

        ●ワタミ従業員自殺、労災認定――渡辺代表の発言に波紋
         食品産業のワタミグループの中の居酒屋を運営する「ワタミフードサービス」従業員であった森美菜さん(当時26歳)が08年に自殺した事件について、神奈川労働者災害補償保険審査官が長時間労働によるストレスが原因として労災認定していたことが21日、分かった。
         森さんは08年4月に入社し神奈川県横須賀市内の店舗に配属されたが、同年6月に同市内の自宅近くのマンションから飛び降り自殺した。
         深夜の調理担当の森さんは、抑うつ状態となる5月中旬まで1カ月の時間外労働が約140時間に上り、過労で自殺したと認めた。
         遺族は横須賀労働基準監督署に労災申請したが棄却され、同審査官に不服を申し立てていた。
         ワタミグループ広報は「報道されている勤務状況について当社の認識と異なっておりますので、今回の決定は遺憾であります」と表明。
         同社代表の渡辺美樹氏がツイッター上で「労災認定の件、大変残念です。四年前のこと 昨日のことのように覚えています。彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理できていなかったとの認識は、ありません。ただ、彼女の死に対しては、限りなく残念に思っています。会社の存在目的の第一は、社員の幸せだからです。」(原文)とした。
         ネット上ではワタミと渡辺代表の対応について、「責任を感じているのか」という批判が広がっている。
        「オルタナ」2月24日(金)

        ●「夫の死、無駄にならなかった」京都市立中教諭の過労自殺を認定 大阪高裁で遺族側が逆転勝訴
         平成10年に京都市立下鴨中学校の教諭だった角隆行さん=当時(46)=が鬱病となり自殺したのは過労が原因だとして、妻の奈弥子(なやこ)さん(56)が公務災害の認定を求めた訴訟の控訴審判決が23日、大阪高裁であった。紙浦健二裁判長は原告側敗訴とした1審京都地裁判決を取り消し、公務外災害とした認定を取り消した上で、地方公務員災害補償基金に公務災害認定を義務づける逆転判決を言い渡した。
         原告代理人によると、過労死をめぐる訴訟で、改正行政事件訴訟法に基づく義務づけの訴えが認められたのは初めてという。
         紙浦裁判長は判決理由で、角さんの10年4~10月の時間外勤務は計528時間に上っていたとした上で、心理的負担が過重で鬱病を発症したと指摘。「公務と自殺には因果関係があり、公務災害と認定すべき」と判断した。
         判決によると、角さんは10年10月に鬱病と診断され、休職中の同12月に自殺。奈弥子さんの請求に対し、同基金京都支部は17年12月、公務外災害と認定した。
         判決後に会見した奈弥子さんは「夫の死が無駄にならなくてよかった」と話した。同基金京都支部は「判決をよく読んで今後の対応を検討したい」としている。
        「産経新聞」2月23日(木)

        ●ビスタと7のサポート延長、日本マイクロソフトが正式表明
         米マイクロソフトは、個人ユーザー(コンシューマー)向けWindows Vista/7にも延長サポートを適用すると方針転換した
         日本マイクロソフトは2012年2月20日、個人ユーザー向けの「Windows Vista(ビスタ)」および「Windows 7」に「延長サポート」を提供すると表明した。日経パソコン誌が2月18日に報じた内容を認めた形だ。同社のWebサイトには、「サポートライフサイクルポリシー」を変更した旨が記載されている。
         従来のサポート方針では、個人ユーザー向け製品には発売から5年間の「メインストリームサポート」のみを提供し、企業向け製品に対してだけ追加で5年間の「延長サポート」を提供することになっていた。
         今回の方針転換により、2012年4月10日にサポートを終了する予定だった「Windows Vista Home Premium」「同 Home Basic」「同 Ultimate」は、2017年4月11日まで「セキュリティ更新プログラム」が提供される。
         同様に、2015年1月13日にメインストリームサポートを終了する予定だった個人向けの「Windows 7 Home Premium」「同 Starter」「同 Ultimate」についても、2020年1月14日までセキュリティ更新プログラムが提供される。
        「PC Online」2012年2月20日

        ●中2男子、ゲームソフト取り上げられ母を刺す
         愛知県警一宮署は19日、同県一宮市の中学2年の男子生徒(14)を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。
         同署の発表によると、男子生徒は同日午後5時35分頃、自宅で母親(50)の背中を刺し身包丁で1回刺して、殺害しようとした疑い。母親は重傷だが、命に別条はないという。刺された直後に母親が110番。駆けつけた署員が、家にいた男子生徒を取り押さえた。
         男子生徒は「ゲームソフトを勝手に購入して怒られ、さらに取り上げられたので腹が立った」と話し、容疑を認めているという。
        「読売新聞」2月19日(日)

        ●「正直者は損」裏付け=脳内物質セロトニンが影響―精神疾患治療に応用期待・放医研
         正直で他人を信頼しやすく、普段は温厚な人ほど、不公平に憤って結果的に損をしやすいことが、放射線医学総合研究所の高橋英彦客員研究員(京都大准教授)らが27日までに行った実験で確認された。正直な性格傾向が強い人ほど、脳の中脳と呼ばれる部分で情動や記憶などの機能調節を担う神経伝達物質「セロトニン」が消えにくいとみられることも初めて分かった。
         研究成果は米科学アカデミー紀要電子版に発表される。経済的な意思決定の個人差の解明や、意思決定に障害がある精神・神経疾患の診断や治療に役立つという。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120228-00000014-jij-soci
        「時事通信」2月28日(火)
        Twitterにもスパムが入り込んできた。
        2012-02-19
        あれやこれやで忙しくしていて、久々の更新です。
         昨日のことですが、私のTwitterアカウントからダイレクトメッセージが勝手にフォロワーに送信されるという事件が発生しました。
          i cant believe this but there are some real nasty things being said about you here http://nmx.kr/s
         という英文のダイレクトメッセージで、要は最後のURLに誘導するというスパムメールで、フィッシング詐欺などに使われているようです。迷惑な話ですが、私のアカウントを介してこうしたメッセージが送られ、なにげにURLを開いてしわまれたら、Twitterアカウントなどを入力するように誘導され、アカウントが盗まれ、さらに被害に遭われてしまうことになるので、無防備であったことと、早期に気づいてメッセージを削除するなどの対応が遅れてしまったことなど、フォロワーの皆さんにはお詫びを申し上げるしがありませんでした。
         TwitterのDMは、パソコンメールでもありますので、こうしたスパムが介入してくることはあり得ます。Macユーザーは、Mac(PCも、端末機器も)がブロックしてくれて、URLが開かなかったという報告を頂いています(私もiPadから軽はずみに開こうとしましたが、開いた後に次に進めませんでした)。Windows、Andloid系では、開いてしまったかも知れません。知っている人からでも、英文のメールが届いた時は要注意です!
         便利なツールではあるけれど、知っておいて準備しておかなければならない事もあることを、改めて痛感したところです。
         フィッシングサイトでパスワード盗み出し
        ↓twitter公式からの紹介
        http://twitterspam.info/753

        ↓読売新聞の関連記事
        http://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20111007-OYT8T00845.htmhttp://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20111007-OYT8T00845.htm

        ↓Twitterで感染広がるスパム、パスワード変更でログイン不能の恐れ – デジタル・トゥデイ(Digital Today)
        http://dt.business.nifty.com/articles/12550.html

        ↓Twitterフィッシングサイトにパスワードを入力した時の対処方法
        http://twitterspam.info/twitter-fishing-hijacking

        ↓安全にアカウントをご利用いただくために
        https://support.twitter.com/groups/33-report-a-violation/topics/166-safety-center/articles/249052-

        それでは、最近の気になる記事です。

        子どもからSOS、2万通超…法務局に1年で

         小・中学生が各地の法務局に手紙を送り、悩みを伝える法務省の「子どもの人権SOSミニレター」の利用が増えている。
         いじめや虐待の相談が上位を占め、昨年度は取り組みを始めた2006年度の2倍超となる約2万3000通が届き、今年度も昨年末時点で2万通を超えた。「ごはんをたべさせてくれないの」。ミニレターをきっかけに親の育児放棄(ネグレクト)が発覚し、児童の保護につながったケースもあった。
         ミニレターは毎年秋に全国すべての小・中学校を通じて児童、生徒に配布。切手は不要で、ポストに投函
        とうかん
        すれば法務局に届く仕組み。法務局職員やボランティアの人権擁護委員が目を通し、学校など子ども自身が指定した宛先に返信する。内容は本人の同意がなければ、誰にも伝えないという。
         同省によると、昨年度に各法務局に届いたミニレターは2万3039通で、内訳は〈1〉いじめ8783通〈2〉虐待425通〈3〉体罰234通――など。7割が小学生からという。中にはすぐに処置が必要な深刻な内容もある。
         09年秋、小学校低学年の児童から大阪法務局に届いたミニレターには、鉛筆書きで「おとうさん、おかあさんにいじめられています」とあった。担当者が「どんなふうにいじめられているの?」と、返信先に指定していた学校宛てに返事を出したところ、数日後に「ごはんをたべさせてくれません」と記した2通目のミニレターが来た。
         同法務局はこの児童が在籍する小学校に連絡。学校側はネグレクトの疑いが強いとして児童相談所に通報し、児童相談所が児童を一時保護したという。
        「読売新聞」2012年2月6日

        ●学校のいじめ:昨年度6.7%増の7万7630件
         全国の国公私立の小中高校などが2010年度に把握したいじめは、7万7630件で、前年度より6.7%増えたことが6日、文部科学省の問題行動調査(確定値)で分かった。一方、不登校の小中学生は減少した。
         いじめの把握件数は、3.5%増としていた昨年8月公表の速報値に、東日本大震災で集計できなかった岩手、宮城、福島の3県のデータなどを反映した。現在の調査方式を始めた06年度以降、増加は初めて。文科省は「現場での実態把握が進んだためではないか」とみている。
         児童生徒1000人当たりのいじめは0.4件増の5.5件。
        「毎日新聞」2012年2月6日

        ●自殺対策「GKB47」 首相撤回表明 「違和感覚える」
         内閣府自殺対策推進室が1月23日に自殺対策強化月間(3月)の標語として採用した「あなたもGKB47宣言!」をめぐり、民主党から異論が噴出。野田佳彦首相は6日、参院予算委員会で「私も違和感を覚える。過ちを改めるにははばかることなかれ。批判を受け止め、対応を研究したい」と撤回を表明した。
         GKB47は、「ゲートキーパー(GK)」「ベーシック(B)」の頭文字と47都道府県から命名したというが、人気アイドルグループ「AKB48」をもじったのは明白。政府や民主党に抗議電話が殺到していた。
         これを受け、民主党の松浦大悟氏は6日の参院予算委員会で「遺族らは政府が命を弄んでいると憤りを感じている」と強い口調で撤回を要求。藤村修官房長官も「違和感を覚えた」と答弁した。
         ところが、自殺対策を所管する岡田克也副総理は「ポスターも張られ、動き出している。さまざまな意見があっても直ちに撤回しない」と頑として撤回を拒否。険悪な空気が流れる中、石井一予算委員長まで「過去の経緯はどうであれ、委員長として検討を要請したい」と割って入り、最終的に首相が対応を引き取った。
        「産経新聞」2月7日(火)

        ●岡田副総理、自殺対策「GKB47」一夜で撤回
         人気アイドルグループ・AKB48をもじった3月の自殺対策強化月間のキャッチフレーズ「あなたもGKB47宣言!」が7日、お蔵入りとなることが決まった。内閣府自殺対策推進室が採用したこの標語に、不謹慎との指摘が政府内外から寄せられたのを受けて、自殺対策担当閣僚の岡田克也副総理(58)が記者会見で撤回を明言。既に印刷されたポスター25万枚は回収され、作成費約300万円はパーとなった。
         6日の参院予算委では「AKB48もどき」のキャッチフレーズに理解を求めた岡田副総理だが、一夜明けると、撤回することを明らかにした。「どうしても(この標語は)困るという方の声にも耳を傾けなくてはならない」と強調した。
         さらに自身の判断に関しては約2週間前に初めて聞いた、とした上で「かなりとがった表現だと思ったが、既に決まっていたこともあって了承した」と説明した。
         内閣府によると、標語は医師、弁護士、NPO法人代表者ら有識者で構成される自殺対策推進会議が考案。悩みを抱えている人に声をかけることで自殺を思いとどまらせる医師や支援者を指す「ゲート・キーパー」にベーシックを加えた頭文字に、取り組みを全国に広げる意味合いから都道府県数の47を組みあわせ、3月の強化月間に使用する予定だった。内閣府関係者によれば、実際にAKB48とタイアップしてPRしていく構想もあったという。
         標語をめぐっては6日の参院予算委で、民主党の松浦大悟氏(42)が「若い人の間でGKBはゴキブリを意味する。あまりにも不適切」などと撤回を要求。72の民間支援団体も共同声明で反対の意思を表明した。野田佳彦首相(54)も「私も違和感を抱いた」などと見直しを検討する考えを示していた。
         藤村修官房長官(62)は7日の会見で「一件落着した気持ちだ。いろいろ喚起されたという面では国会で議論があって良かった」と述べた。しかし、ポスター約25万枚には印刷代などで約300万円かかっており、無駄な出費となった。新たな標語は「あなたもゲートキーパー宣言!」という無難なもの。内閣府によれば、3月に間に合わせるため早急に準備するという。
        「スポーツ報知」2月8日(水)

        ●「廃炉と除染で今後何十年も食える」原発関係者が漏らす本音
         福島第一原発事故の発生以降、原発を巡ってはさまざまな対策を講じる必要が出てきた。廃炉、除染でも、そして再稼働でも儲ける――原発ビジネスはすでに”逆回転”が始まっている。その実情をジャーナリストの伊藤博敏氏が報告する。
        * * *
         原子力ビジネスの担い手たちは、既に、「逆回転」への準備を進めている。関連企業に天下った東電OBが明かす。
         「最終処分場探しは、30年近くを費やしても、これまでできなかった。政府も東電も、最終的には福島しかないと思っている。原発周辺地を買い上げ、そこに処分場をつくる。最適なのは第二原発だ。第一原発同様、廃炉にするしかないし、岩盤が浅くて工事が容易で、地元の理解が得やすい」
         福島第二原発は、双葉郡の富岡町と楢葉町にまたがる。ここは、旧動燃が行なった候補地選定作業で、全国88か所の「適正地区」に選ばれた経緯があるし、09年には草野孝楢葉町長が「処分場受け入れ」を表明、その後、撤回したものの意欲はある。
         原発は「逆回転」を始めた。”夢”を諦め、現実に立ち返り、廃炉や除染といった後ろ向きの事業に注力しなければならない。一見、原子力ビジネスに将来はない、と思わせる。だが、そうではない。「逆回転」が新たなビジネスチャンスを生み、原発で儲けた連中が、廃炉、除染、最終処分場などでも儲けている。例えば、今、原発で何が起きているか。東電関係者が話す。
         「再稼働へ向けて、”完璧な原発”にすべく準備を進めています。それはストレステストで求められる以上の厳しさで、『想定外』という言葉を使わなくて済むように、橋が破壊、道路が分断、全電源が落ちても、非常用電源を確保するなどして原子炉を損傷なく止められる体制を確立しようとしています。
        そのために費用を惜しまない。原子炉内の圧力が高くて、注水できないトラブルがありましたが、どんな圧力にも負けない給水ポンプを数百億円かけて開発、配置するつもりです」
         にわかには信じ難い感覚だが(東電広報部は「あらゆる事故を想定、対応するつもりです」と回答)それで潤うのは原発メーカーである。事実、東芝、日立製作所、三菱重工業の原発3社は、事故後、「フクシマを体験した」ということで海外受注が堅調。しかも、前述のような各種安全対策も受注できる。
         ゼネコン各社もそうだ。全国の原子炉建屋は、鹿島(24基)、大林組(11基)、大成建設(10基)の順に受注しているが、この3社は、内閣府から福島県内12市町村の除染モデル事業を委託された日本原子力研究開発機構から再委託を受けた。
         同機構は旧動燃の流れをくみ、カネ食い虫となった「もんじゅ」を運営する。つまり、原発推進の”仲間”が、「放射能に習熟」していることを理由に事業を受注しているのだ。しかも今回はモデル事業で119億円だが、今後、数兆円に達する除染作業の中核を担うことになり、最終的には原発建設で潤った双葉郡内の末端の企業に、再度、仕事を分け与える。
         「廃炉と除染で、今後、何十年も食える」
         こう本音を漏らす原発関係者が少なくないのは、その具体的な流れが見え始めたからだ。 制御できない原発は、推進の時も撤退の時も、そのリスクゆえに関わった地域、企業、人に多大な富をもたらす。だが、国民には電力の不安定、電力価格の高騰、放射能汚染といった”負の遺産”を残すだけなのである。
        SAPIO2012年2月1・8日号

        「廃炉と除染で今後何十年も食える」原発関係者が漏らす本音


        2012.02.03 07:00

        ●汚染水貯蔵タンクで水漏れ、高線量検出
         東京電力は、福島第一原発の汚染水をためておくタンクから高濃度の汚染水が漏れているのが見つかったと発表しました。漏れた量は1リットル以下とみられていて、海への流出はないということです。
         東京電力によりますと、3日昼過ぎ、汚染水をためておくタンクの継ぎ目から水がにじんでいるのが見つかりました。漏れた汚染水の量は1リットル以下で、タンクのボルトを締め直し、水漏れは止まったということです。
         タンクの汚染水は放射性セシウムなどは除去されていますが、ストロンチウムなどは取り除かれていないことから、水がにじんだ箇所の一部で毎時2000ミリシーベルトという高い放射線量が検出されました。タンクからの汚染水の漏えいは先月10日に続き2度目です。
         福島第一原発では、これまで凍結が原因とみられる水漏れが30件近く相次いでいることもあり、原子力安全・保安院は東京電力に対し、再発防止策を作り報告するよう指示しました。今回、汚染水が漏れたタンクと同じ形のものは敷地内におよそ100個ありますが、東京電力ではボルトのしまり具合を点検するなどの対策をとるとしています。
        http://www.mbs.jp/news/jnn_4944034_zen.shtml
        2012年02月04日(土)

        ●小児病院に虐待専門員、早期発見目指す…厚労省
         年間5万件以上の相談や通報が寄せられる児童虐待対策として、厚生労働省は来年度、中核的な小児救急病院に、虐待専門の職員配置を促す新制度を設ける。
         病院側が虐待を疑いながら、通告を見送ってしまった大阪市住之江区の男児虐待死事件などを教訓にした。医師らへの助言を通じて、虐待を見逃さない医療機関づくりを目指す。
         新制度では、都道府県が地域の中核的な小児救急病院に虐待防止の専門職員を配置した場合、同省が人件費の半分を補助するほか、事業経費も一部負担する。専門職員には、患者や家族の相談に乗る医療ソーシャルワーカーや、社会福祉士を充てることを想定。新年度の補助対象は1~2か所だが、将来は全都道府県に配置を広げたい意向だ。
        「読売新聞」2月6日(月)

        ●暴力ゲームと若者の破壊衝動は無関係…テキサスA&M大学の研究チームが報告
         国内外のトップゲームメーカーが所属するエンターテインメントソフトウェア協会(Entertainment Software Association、通称ESA)が、”破壊衝動とビデオゲームの関係性”、および”現実の暴力”に関する2つの研究結果を米国とスウェーデンにて昨年末報告しています。
         研究を直接行ったのはゲームと暴力に関する研究を以前から行なっているChristopher Ferguson教授と、調査・研究の実績が高く評価されているテキサスA&M大学の研究チーム。実験では10才から14才の若者を対象に3種類のテストが行われ、期間は3年間、研究対象は165人。測定には暴力ゲームとの接触に関する評価に加え、反社会的な性格特性、家族と同世代の非行少年少女との関係、家庭内暴力、落ち込みと精神的健康、年代別の暴力事例が利用されたそうです。
         研究者はこの実験を通じ、暴力ゲームに接触することと若者の破壊衝動には関連が無いと断言。むしろ実際には精神状態の落ち込みや反社会的な性格特性、家庭内暴力、同世代の人間との関係などの方が破壊衝動と関連していると主張しました。
         また同チームは過去11年間の国際的なジャーナルで発表されている100以上の学術的記事をチェックし分析。これらの殆どが一時的なビデオゲームプレイと実験参加者の攻撃的な振る舞いを評価しているだけであり、また参加者たちの身体的行動では無く考えや態度、感情だけで攻撃性が計測されている欠点を指摘。暴力ゲームと破壊衝動の関連性を証明する明確な証拠は無く、多くが漠然としたレポートであるとも報告しています。
        (ソース: Electronictheatre.co.uk)
        http://gs.inside-games.jp/news/316/31676.html
        2012年01月31日 12:54:14 / by ishigen

        ●脳内金属の研究、アルツハイマー病などの解明の手がかりに
         鉄、銅、亜鉛などの脳内金属の研究が、アルツハイマー病やパーキンソン病といった変性疾患の謎を解き明かす一助となるかもしれない。
         こうした病気の患者の脳には、正常なレベルを上回る鉄分と銅が蓄積されているようだ。先月29日に公表されたオーストラリアの新たな研究では、脳内の過剰な鉄分を減らすことで、アルツハイマー病のような症状を緩和できる――少なくとも実験用ラットについて――ことが示された。
         鉄分調節に関する遺伝子の突然変異は、筋萎縮性側索硬化症(ALS、別名ルー・ゲーリック病)と関連がある。一方、亜鉛は、量のレベルが過少だったり、ひどい外傷で本来亜鉛が存在しない脳の領域に入ったりした場合、記憶を減退させるらしい。
         アルツハイマー病やパーキンソン病の患者の脳で起こるタンパク質の損傷や凝集はより目に見えやすく、金属が脳の病気に果たす複雑で隠れた役割についての研究は、それらの研究よりも遅れている。しかし、脳内の金属の役割をより理解することで、さまざまな病状が明らかになり、治療の開発に新たな道が開ける可能性がある、と科学者らは指摘する。
         米アルツハイマー協会の医科学諮問評議会の委員長であり、ニューヨーク大学のシルバースタイン・アルツハイマーズ・インスティテュートのディレクター、ラルフ・ニクソン氏は、「アルツハイマー病が複数の要因によって引き起こされるという考え方に立ち戻りつつある」とし、金属調節の阻害がその一因かもしれないと述べた。
         小さな金属イオン――元素の荷電粒子――は、エネルギー生成のための化学反応を促進したり、タンパク構造を維持したり、身体の基本的機能を幾つか担っている。健康体なら、厳しいチェックとバランスが働き、金属レベルを狭い範囲に収める。
         しかし、病気や加齢に伴う生物学上の変化は、食品やサプリメント、金属鍋といった外部からの吸収と異なり、脳内のこうした金属のレベルを狂わせることが可能だ。
         たとえば鉄は「両刃の剣」だ。鉄は、酸素と結びつき身体がエネルギーを生み出すのを助けるが、細胞にダメージを与える活性分子フリーラジカル(遊離基)も発生させる、とペンシルベニア州立大学の神経外科教授、ジェームズ・コナー氏は指摘する。
         貧血のように、体内の鉄分が不足すると、重要な機能を維持するために十分なエネルギーを生み出せない。しかし、脳の鉄分の過剰な蓄積は有害だ。メルボルン大学の病理学教授、アシュレー・ブッシュ氏によると、パーキンソン病とアルツハイマー病患者の脳には、同年代の健常者を大きく上回る金属の蓄積が認められた。
         ブッシュ教授と同僚により行われ、医学誌「ネイチャー・メディシン」に発表されたこの新たな研究は、ニューロン(神経細胞)構造の安定化に役立つタウタンパク質の生成ができないように飼育されたラットの脳の鉄分量を調べた。タウタンパク質の障害は、アルツハイマー病とパーキンソン病と関連がある。
         マウスは歳を取るに従い、短期の記憶障害など、2つの病気に似た症状を示し、脳内に鉄分の蓄積が認められた。研究者が過剰な鉄分を取り除く薬を与えると、症状は改善した。つまり、脳内鉄分の除去には正常なタウの機能が必要である、とブッシュ教授は指摘する。鉄分の削減が新たな治療法に道を開く可能性は従来の研究で示されていたが、ブッシュ教授の研究はそれを裏付けるものとなった。
         「アルツハイマー病であれ、パーキンソン病であれ、あるいはタウ異常に関連するいかなる症状であれ、ニューロン内の鉄分の蓄積は、神経変性の末期に起きることだと思われる」とブッシュ教授は言う。
         アルツハイマー病で影響を受ける他のタンパク質も、金属を調整する役割を果たしている。2010年に学術誌「セル(Cell)」で発表された論文によると、アミロイド前駆体タンパク質は、脳から鉄を運び出す際に重要だ。また、金属の摂取を助けるタンパク質「プレセニリン」も脳の病気で乱される。(2011年の「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」の論文)
         銅の蓄積と脳疾患の関係については、同様の研究結果が報告されているが、鉄に関する研究ほど多く行われていないという。
         また、ミシガン大学の名誉教授ジョージ・ブルーワー氏とニューヨーク州立大学オルバニー校のエドワード・フィッツジェラルド氏が昨年、「アメリカン・ジャーナル・オブ・アルツハイマーズ・ディディーズ・アンド・アザー・ディメンシアズ」に発表した論文によると、鉄分の増加に加え、正常値を下回る亜鉛のレベルが、アルツハイマー病とパーキンソン病の患者で認められた。ブルーワー氏は今、亜鉛をベースとしたアルツハイマー病の治療法を開発している医薬品会社Adeona Pharmaceuticals(ミシガン州)のコンサルタントを務めている。
         Adeona以外にも、複数のバイオ関連企業がアルツハイマー病とパーキンソン病向け治験薬を試しているところだ。しかし、脳の特定の場所にある金属を標的とすることは難しく、こうした治療薬の開発は一筋縄ではいかない。体内の金属量を増減させるだけでは効果は期待できないだろう、と研究者らは言う。
         金属が、他の脳の状況で重要な役割を果たしている可能性がある。
         マサチューセッツ工科大学(MIT)、デューク大学、トロント大学で化学の教鞭を取るスティーブン・リッパード教授は、学習と記憶に関わる脳の領域である海馬で、亜鉛がニューロンの伝達を助けていることを発見した。この伝達が妨げられたり、亜鉛が本来存在しないところに導かれたりすると、記憶形成に影響を及ぼしたり、てんかん発作を起こしたりする可能性があるという。リッパード教授は、生物学や神経科学などにおける金属イオンの役割について研究している。彼らの研究は昨年9月、米科学雑誌「ニューロン」に発表された。
         リッパード教授は、「学界が金属イオンと神経疾患の関連性に注目し続けることが大事だ」と話す。
         コナー教授とペンシルベニア州立大学の彼のチームは、ALS患者について、鉄分吸収を調節する遺伝子であるHFE遺伝子の変異率が高いことを示した。この遺伝子変異のキャリアは、脳内の鉄分レベルが高く、ALSに罹るリスクは4倍高まるという。(2004年の「Journal of Neurological Sciences」に掲載された研究論文)
         また、コナー教授らは、多発性硬化症の患者が、なぜ、軸索(電気的刺激を伝える神経細胞の一部)を囲むミエリンと呼ばれる保護膜を失うのか、解明しようとしている。コナー教授は、ミエリン生成に関わる細胞が高濃度の鉄を持つことが、細胞によりダメージを与えやすいと指摘する。
         <金属のメリット、デメリット>
        幾つかの金属は人体で不可欠な役割を果たしているが、病気になることでそのバランスが崩れ、害を及ぼす。
         鉄
        正常な機能: 酸素の運搬に関わる。細胞のエネルギー生成に必要。
        脳内での影響: 鉄分過多は、アルツハイマー病とパーキンソン病に関連。タンパク質と鉄分の供給や吸収に絡む変異は、ルー・ゲーリック病と多発性硬化症に関連があるとみられる。
         銅
        正常な機能: 酸素の運搬を助ける。しばしば鉄とともに作用。
        脳内での影響:ウィルソン病は、銅の体外排出ができなくなり、言語障害や震え、筋肉のこわばりを生じる。銅の調節の乱れはメンケス病を引き起こし、銅のレベルは異常に低くなる。
         亜鉛
        正常な機能:DNAとRNAの生成を助ける。細胞死を調節する。短期の記憶と学習の役割を果たす。
        脳内での影響: 亜鉛のレベルが低かったり、通常みられない部分に亜鉛が存在したりすると、記憶障害を引き起こすと考えられている。
        http://jp.wsj.com/Life-Style/node_385435
        「JST」2012年2月2日

        ●脱原発 7月に10万人集会
         脱原発を訴え、昨年九月に東京・明治公園で「さようなら原発五万人集会」を開いた作家の大江健三郎さんらが八日、都内で記者会見し、七月十六日にも東京・代々木公園で十万人規模の「さようなら原発集会」を開催すると発表した。また、既存の原発の計画的廃止などを求める要請文を、立地自治体の首長らに近く届ける。
         呼び掛け人は他に、ルポライターの鎌田慧さんや作家の落合恵子さんら。要請文では「福島原発事故から明白になったことは、『安全な原子力発電』などないという厳然たる事実。核と人類は共存できない」「決して再稼働を認めることなく、代替エネルギーの道をともに考え、原発のない社会へ向かいましょう」と訴えている。
         現在、全国の原発のうち五十一基が停止中。鎌田さんは「原発がなくても困らない現実があるのに、政府はなんとかして再稼働させようとしている」と指摘。大江さんは「事故はまた起きると思う。明日の子どもたちに倫理的な責任を取ろうと思うなら、原発を今廃止するという決意しかない」と述べた。
         昨年九月の集会には約六万人(主催者発表)が参加。メンバーは脱原発を求める一千万人分の署名も呼び掛けており、既に約五百万人分が集まった。今月十一日にも代々木公園で署名活動を行う。
        http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012020902000028.html
        「東京新聞」2012年2月9日

        ●計器不安 炉内把握できず 「完全安定」程遠く
         福島第1原発2号機の原子炉圧力容器下部の異常な温度上昇の原因は、温度計の故障であることがほぼ確実になった。だが、信頼性に不安が残る計器が頼りで、原子炉内の様子を把握し切れていないことが露呈。「完全安定」には程遠い状況が改めて浮かび上がった。(原子力取材班)
         2号機原子炉には、下部に水をためやすい給水系、中心部にかける炉心スプレー系と呼ばれる2系統の配管で注水されている。
         配管関係の工事のため、1月下旬から2系統の流量バランスの変更を重ねたところ、圧力容器下部に3つある温度計のうちの1つが温度上昇を示し始めた。
         東電は流量変更が原因とみて注水量を増加したところ、いったんは低下傾向をみせたものの再び上昇。さらなる注水増などの対応に追われたが、結局、東電が「流量変更とはまったく因果関係がなかった。総合的に分析する仕組みが必要」と釈明するに至った。
         今回の事故で、政府と東電が決めた冷温停止状態の条件の1つは、圧力容器下部の温度が100度以下。東電は、温度計に20度前後の誤差があるとみており、80度以下に保つことが必要とされてきた。
         東電と原子力安全・保安院は「故障」が判明する前から、「原子炉全体は冷やされ、冷温停止状態は維持できている」と繰り返してきたが、誤った原因推定に基づく対応を取っていただけに、そうした説明には不信感も生まれかねない。
        http://sankei.jp.msn.com/science/news/120214/scn12021401090001-n1.htm
        「産経ニュース」2012.2.14 01:08

        ●介護保険商品券で”返還” 府、サービス未利用の高齢者対象 京都
         90歳までに介護保険サービスを利用していない高齢者を対象に、府は平成24年度から、地元商店街で利用できる、3万円分に最低10%のプレミアムを加えた商品券を交付する。都道府県の介護保険料の払い戻し事業は全国でも珍しい。
         地元商店街で買い物をしてもらうことで地域活性化につなげる狙いもあり、府は2月定例府議会に上程した新年度当初予算案に3億3千万円を計上。商店街に10%以上のプレミアムを上乗せするよう要請、上乗せ額の3分の1を補助する。
         対象は、府内の90歳で直近の10年間に介護保険サービスの利用実績がない人。来年度のみ90歳以上も対象とする。
         府内では、90歳以上の約3万1千人のうち約9500人がサービスを利用していないという。
         府が本人に通知し、申請書を出すと敬老の日(9月17日)までに届く。
        「産経新聞」2月15日(水)

        ●障害者預金530万円着服 横領容疑 元副理事長を逮捕
         知的障害者のグループホームで入居者の預金を着服したとして、神奈川県警は18日、業務上横領容疑で、NPO法人「障害者フルライフサポート・ユーリカ」元副理事長、矢ケ部恵美容疑者(60)=横浜市戸塚区原宿=を逮捕した。県警によると、「金を引き出したことは間違いない」と供述しているという。
         逮捕容疑は、平成17年4~5月、同法人が運営するグループホームに入居していた横浜市内の60代男性の口座から4回にわたり計約530万円を引き出し、着服したとしている。
         県警によると、男性には重度の知的障害があり、金銭の管理ができず、矢ケ部容疑者が通帳を預かっていた。矢ケ部容疑者は他のグループホームの入居者約20人の通帳も預かっていたが、計約1億円が口座から引き出されて使途不明になっており、県警は同様の犯行を繰り返していた疑いがあるとみて調べている。
         同法人は17年4月から活動を始め、横浜市内で知的障害者のグループホーム5施設を運営していた。21年6月、県の調査で複数の入居者の預金約2千万円が不明になっていることが判明。障害者自立支援法に基づく事業者指定の取り消し処分を受け、活動を停止した。
        「産経新聞」2月19日(日)

        ●米MSが個人向けVistaのサポート打ち切りを撤回、2017年まで延長
        残り2カ月という土壇場で方針転換、2017年4月11日まで延長サポートを提供
        (2月18日の3時50分時点)
        (執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
         米マイクロソフトは、個人ユーザー向けの「Windows Vista Home Premium」「同 Home Basic」「同 Ultimate」のサポート期間を2017年4月11日まで約5年間延長したもようだ。個人向けVistaは、これまで約2カ月先の2012年4月10日にサポートを終了する予定だったが、土壇場で撤回した形になる。同社から正式な広報発表はまだないが、同社のWebページには、方針転換後のサポート終了日が記載されている。
         同社の従来のサポート方針では、個人ユーザー向け製品には発売から5年間の「メインストリームサポート」のみを提供し、企業向け製品に対してだけ追加で5年間の「延長サポート」を提供することになっていた。Windows XPに限っては、個人ユーザー向け製品(Home Edition)に対しても例外的に延長サポートを提供しているが、Vistaの個人向け製品については、「Windows XPと同様の延長サポートを提供する計画はない」としていた。
         一方、今回Webサイトに掲載された情報によると、VistaやWindows 7に関しても個人向け製品の延長サポートを提供する方針に転換したとみられる。2015年1月13日にサポートを終了する予定だった個人向けの「Windows 7 Home Premium」「同 Starter」「同 Ultimate」についても、2020年1月14日まで延長サポートを提供すると記載されている。
         この変更は急きょ決まったようだ。日本マイクロソフトのWebサイトには、個人向けVistaのサポートが2012年4月10日に終了するとの”旧情報”が掲載されたままになっているページもある。
        http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20120218/1041442/
        「産経新聞」2月19日(日)

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        [2012.2.2]

        【この頃思うこと】「あなたもGKB47宣言!」ってわかりますか?

         内閣府の自殺対策推進会議で、今年の自殺対策強化月間のキャッチフレーズが「あなたもGKB47宣言!」に決まったそうです。
         GKBは、「ゲートキーパーベーシック」の頭文字で、47都道府県、「全員参加」がテーマとか…。
         誰が見ても、「AKB48」がまず思い浮かぶでしょう。この段階で、取り組みの意義が薄まると思うのは私だけでしょうか。
         批判が続出したため、関係当局は説明に躍起ですが、了解できる説明とは思えません。
         14年連続して自殺者が3万人を超える国。アメリカの交通事故死亡者数よりも多い、異常事態が続いています。「受け狙い」でキャッチフレーズを考えている場合ではありませんし、自殺防止や自死遺族支援への思いが全く感じられません。自死遺族の一人として、キッパリと断言します。
         月間を取り組むこと自体に異論をはさむつもりはありませんが、通年の、全国自治体あげてのゲートキーパー作りや、自死遺族支援の本格的な取り組みこそが求められています。  それでは、最近の気になる記事です。

        自殺対策キャッチフレーズ 「GKB47」に疑問の声

         自殺者数が14年連続3万人を超えるなか、政府が毎年3月に行う自殺対策強化月間の今年度のキャッチフレーズが、「あなたもGKB47宣言!」に決まった。人気アイドルグループ「AKB48」をもじったフレーズが23日に開かれた内閣府の自殺対策推進会議で報告され、委員から「自殺対策としては違和感がある」と疑問の声が上がった。
         強化月間の今年度のテーマは「全員参加」。GKBは、「ゲートキーパーベーシック」の頭文字。「ゲートキーパー」とは、悩んでいる人に気づいて声をかけ、必要な支援につなげる存在で、「47」には取り組みが47都道府県に広がることを狙う意味がある。
         これに対し、委員の一人は「ブームにあやかろうという意図はわからなくもないが、自殺対策は継続的に、地道に取り組むもの。キャッチフレーズは地味でも普遍性や本質を示すのが大事」と批判。別の委員は「もっとあたたかな、現状を反映した言葉のほうが良いのではないか」と話す。
         今後、ポスターや広告などで使われる予定。内閣府の担当者は「全員参加というテーマにあわせ、広く国民に親身に訴えることができるということで決まった」と説明している。
        「産経新聞」1月24日(火)

        ●政府が自殺対策強化で「GKB47宣言!」 「ゴキブリ?」「馬鹿にするな!」とネットで非難
         内閣府の自殺対策推進会議で、自殺対策強化月間のキャッチフレーズが「あなたもGKB47宣言!」に決まった、と報道された。
         ネットでは「ゴキブリって読めるよね?」という声も。重いテーマなのにふざけている感じがあり、アイドルグループ名をもじった言葉だとし、「日本国民をバカにしているのか」などといった批判が噴出している。
         ■蓮舫・元大臣と相談してキャッチフレーズを決めた
         このキャッチフレーズは2012年1月23日に開催された「第15回自殺対策推進会議」で発表された。会議に出席した委員から芸能界のブームに乗ろうという気持ちはわかるが、共感を得るのは極めて難しい、などとキャッチフレーズ撤回を求める意見もあったという。
         ネットでも「GKB47宣言」について、
         「どうみてもゴキブリ47です」
         「だいたい、キャッチフレーズに、『GKB47』なんぞ、説明受けなきゃ意味の分からん単語を使うこと自体がおかしいだろ!」
         「ふざけすぎ。自殺まで追いつめられてる人を馬鹿にしてるとしか思えない」
        などと批判ばかりが目立っている。
         内閣府自殺対策推進室に話を聞いてみると、このキャッチフレーズは11年11月時点で同推進室が考え決定したものであり、決定に当たっては当時の蓮舫・行政刷新担当大臣と相談した。また、日本医師会や日本弁護士連合会といった約70の協賛団体から了承を受けていて、異論は出なかったそうだ。23日の会議では文書で疑問を投げかけた委員もいたが、混乱は全くなかった、としている。
         ■「話題になったので大きなPR効果」と自殺対策推進室
         ちなみに「GKB」とは「ゲートキーパー・ベーシック」の頭文字で、ゲートキーパーとは自殺しそうなサインに気付いて食い止める専門家を指し、ベーシックは一部の専門家だけでなく国民全体で見守っていこうという願いが込められた。47は都道府県の数だという。
         自殺対策強化月間は2年前に毎年3月と制定されたが、キャッチフレーズが付いたのは今回が初めて。前回の11年のテーマは「気付き」で、大切な人の異変や悩みに気付いてほしいと訴えた。10年は「睡眠」で、2週間以上眠りたくても眠れない人が身近にいないか問いかけた。今年のテーマは「全員参加」となり、広く訴えかけるためにインパクトのある文言を狙った。
         「アイドルグループを意識しなかった、というと嘘になりますが、今回これだけ話題になり、メディアで取り上げていただいたことは、自殺者をなくすための大きなPRになったのではないか、と考えています」
        と自殺対策推進室では話している。
         「あなたもGKB47宣言!」のキャッチフレーズが入ったポスターは現在製作中で、3月には全国に張り出されることになるそうだ。
        「J-CASTニュース」1月24日(火)

        ●自閉症の定義変更にあたり専門家らが慎重に対応
         自閉症の新しい定義が今年(2012年)後半にメンタルヘルス専門家に採用されれば、自閉症と診断される人数が減少する可能性が高まる。医師らはこの変更の意義を確信しているわけではないが、自閉症患者の生活や治療にあたる専門家に影響することで意見が一致しており、医療や教育、社会福祉を受ける人数に影響が及ぶ可能性があるという。
         新しい定義では、現在用いられているアスペルガー症候群、自閉症スペクトラム障害、広汎性発達障害(PDD-NOS)という3つのサブタイプに代わり、1つの診断カテゴリー、つまり「自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)」が採用される。この定義は、米国精神医学会(APA)が指名した専門家委員会が草案を作成中で、今年末までに最終的な形にまとめられる予定の「精神疾患の分類と診断の手引(DSM)」第5版の一部になるとみられる。
         米国における自閉症の推定率は1980年代以降急増しており、近年の数値では小児110人あたり1人にみられる。症例数が実際に増加しているという専門家がいる一方で、明確な診断ガイドラインがないためであると指摘する専門家もいる。自閉症は複雑な神経発達障害であり、典型的な症状には他人との意志疎通が困難、社会的関係形成不能、反復運動、自虐行為などがあるが、原因は依然として不明である。
         新しい定義では、一般に高機能自閉症とされるアスペルガー症候群とPDD-NOSは削除される。米ニューヨーク・タイムズ紙によれば、最近(1月20日)アイスランド医師会の会議で発表された研究では、1993年の論文で自閉症と診断された小児および成人372人の半数弱(45%)が新しい基準に適合すると推定している。
         米オーティズム・スピークスAutism Speaks最高科学責任者であり、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校精神医学教授のGeraldine Dawson氏は、「これは学際的な課題(academic exercise)ではない。この診断基準の変更は人々の生活に実際に影響を及ぼすことになる。新基準の実施は非常に慎重に開始し、サービスを受けられる人に対する影響を監視しなければならない。科学的な観点から、診断基準の変更は理にかなっている。サブカテゴリーは病因の点から意味を持たず、推奨される治療を区別する必要もない」と述べている。別の専門家は「偉大な試みだが、近年の自閉症の有病率の推定が正しいかどうか確証はなく、専門家の意見は分かれている。今回の診断基準変更の影響は時間が経過してみないと分からない」としている。
        「HealthDay News」1月20日
        http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&view=article&id=3523:2012130&catid=49&Itemid=98

        ●<40代姉妹死亡>「生活苦しい」区役所に3回相談 札幌
         札幌市白石区のマンションで知的障害のある妹(40)と姉(42)とみられる遺体が見つかった問題で、この姉は約1年半前から3回にわたり区役所に生活相談に訪れ、生活保護申請の意向をみせていたことが、市役所への取材で分かった。姉は自身の仕事や妹の世話をしてくれる施設も探していたようで、その最中に急死し、連鎖的に悲劇が起きたとみられる。
         札幌市保護指導課によると、姉は10年6月、11年4月、同6月の計3回、区役所を訪れ「生活が苦しい」と訴えた。2人の収入は中程度の知的障害がある妹の障害年金だけだったとみられる。昨年6月、姉は「今度、生活保護の関係書類を持ってくる」と言って必要な書類を聞いて帰ったが、その後は相談がなかった。
         北海道警の調べでは、姉妹の部屋に求職に関するメモがあった。姉とみられる遺体の死因は脳内血腫。姉は3年前に脳外科を受診した記録があり、体調不良を自覚しつつ職探しをしていた可能性がある。区内の民間障害者施設によると、姉は約1年前に妹の通所の相談に来たが、決まらないまま連絡が途絶えたという。
         一方、妹とみられる遺体の死因は凍死で、死後5日~2週間。料金滞納のためガスは11月末に止められており、室内は冷え込んでいたとみられる。
         姉妹に近所付き合いはなく、地元町内会長の本田鉄男さん(66)は「マンションが町内会に加盟していれば回覧板で変化に気づけたが、非常に残念。せめて市役所から知的障害者がいるとの情報があれば対応できたのだが」と話す。
         ただ市保健福祉局の担当者は「障害を知られたくない人もおり、情報を一元的に出すのは難しい」と話す。民生委員の巡回は高齢者宅に限られ、災害時の要援護者のリストアップも、希望者だけを登録する仕組みだ。
         札幌白石署によると、昨年12月15日に家賃滞納分の振り込みがあり、それから数日内に姉が急死したとみられる。同20日に「111」など複数の発信記録が姉の携帯電話にあった。残された妹が110番など何らかのSOSを出そうとしたのかもしれない。
        「毎日新聞」1月24日(火)

        ●「サポート・チーム」創設へ 発達障害者支援
         県が設置した「発達障害者支援のあり方検討会」(福岡寿座長)は26日、現場の保育士や教師らを後方支援する「サポート・コア・チーム」の創設などを柱にする支援策を阿部守一知事に報告した。知事は「発達障害のサポート態勢はまだ十分ではないと思っている。報告を契機に県として全面的に取り組んでいく」と述べ、新年度から事業展開する方針を明らかにした。
         サポート・コア・チームは、広い知識や経験を持つ「サポート・マネージャー」を中心に福祉や教育など多分野の専門家で編成し、今後2、3年をめどに県内10カ所に設置する。保育所や学校に赴いて個々の課題を整理し、継続的に助言しながら県内支援の底上げを図る。
         本格運用に向けては、支援手法の統一化やサポート・マネージャーの養成、障害者の周囲の人々が障害の情報を共有できる仕組みづくりなどが課題で、福岡座長は「関係者の理解が不十分だと、父母らは自分のせいだと思ってしまう。保護者の支援も大事だ」と指摘した。
         阿部知事との懇談では「県内には人材が育ってきており、数年たてば全国トップクラスになる」と訴え、県として多角的な支援策を展開するよう求めた。
         県健康福祉部は、新年度当初予算編成でサポート・コア・チーム事業などの関連事業費2900万円を要求している。
         検討会は昨年6月に設置され、自閉症やアスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害者らの支援に向け、年代を問わず、教育や医療、労働などの垣根を越えた支援策を論議していた。
        「中日新聞」2012年1月27日

        ●新病棟2月11日から運用 浜松・天竜病院‎ 静岡
         国立病院機構の天竜病院(浜松市浜北区於呂)は病院敷地内に建設中の新病棟を今月中に完成させ、2月11日から運用を始める。総病床数338床の大型病棟で、一般病床のほか、発達障害など児童の精神疾患を専門に治療する児童精神科病床50床を新設するのが目玉。早川啓史院長は「これまで一般病床で受け入れることができなかった重度の児童患者の受け皿になる」としている。
        「静岡新聞社」2012年1月29日日曜日
         
        ●児童の放課後支援所開設 送迎や個別指導も 兵庫
         発達障害や知的障害がある子どもが、放課後や夏休みなどを過ごす「児童デイサービス施設」として、兵庫県明石市魚住町清水に今月中旬、「発達障害児療育センター 第2アスペ」がオープンした。対象はおおむね小学生から高校生で、特別支援学校や自宅への送迎もある。専門家による個別指導も実施し、担当者は「発達障害児の居場所を作りたい」と意気込む。平日は学校終了から午後6時まで、長期休暇中は午前10時半から午後6時まで対応する。対象は「いなみ野特別支援学校」(稲美町)の在籍か、明石や稲美町に住む発達障害などの子どもで、週1回以上の定期利用が条件。有料で、1日定員は平均13人という。
        「神戸新聞」2012年1月29日日曜日

        ●南相馬 児童ら対象無料教室
         仮設住宅など避難先の環境になじめない発達障害の小学生らを対象に、NPO法人「トイボックス」(白井智子代表理事)と、東日本大震災復興支援財団が28日、南相馬市原町区で、無料学習支援を行う「ふみだす未来の教室in南相馬」をプレオープンした。本格的なオープンは4月。
         この日、約10人の小学生らが職員に本を読んでもらったり、卓球で遊んだりしていた。4月以降は、発達障害の小学生らを平日の放課後に預かり、学習支援を行う一方、卓球やバドミントンができる遊び場も提供する。プレオープン期間中は毎週土曜のみ開催する。
         発達障害を持つ子供が避難先で強い不安感やストレスを抱いている現状を聞き、準備を進めてきたという白井代表理事。「発達障害の子供に限らず、学習支援が必要な子供も受け入れたい」と話している。
        「読売新聞」2012年1月29日

        ●東電、1兆円出資受け入れへ…支援機構と詰め
         東京電力が、政府の原子力損害賠償支援機構による1兆円の出資案を受け入れる方向になった。
         福島第一原子力発電所の事故で廃炉などの費用がかさむため、増資で財務の悪化に歯止めをかける考えだ。議決権比率など詳細の詰めを急ぎ、今年3月にまとめる総合特別事業計画に盛り込む。
         東電の支援は、支援機構が東電の1兆円の増資を引き受け、銀行団が1兆円を融資することが柱だ。関係者によると、東電は、原発事故の賠償を円滑に進め、電力を安定的に供給するためには1兆円規模の増資が必要との判断を固めており、検討の焦点は出資方法に移っている。
         支援機構は、株主総会で合併など重要な経営戦略を単独で決められる3分の2以上の議決権の取得を目指している。これに対して東電は、経営の自主性を保つために優先株や普通株を組み合わせ、機構の議決権比率を2分の1未満に抑えたい考えだ。実際の増資は6月の株主総会で株式を発行できる枠を広げた後に実施される見込みだ。
        「読売新聞」1月26日(木)

        ●障害者に得意な仕事を
         働きたい障害者と企業をつなぐ懸け橋になりたい-。金沢市の中山肇さん(54)は、その思いを形にしようと、発達障害がある人らの就労支援に取り組むNPO法人「クロスジョブ金沢」を今月立ち上げる。四月の事業スタートを目指し、事務所や社員の獲得などに奔走している。
         原点にあるのは、個人の特性を生かす仕事を選択するという「適材適所」の意識。特別支援学校や医療機関、民間企業に勤め、さまざまな職場を経験する中で培った。福祉施設で働いていた約六年前、施設で働く障害者らを見て、さらに強く思った。
         能力は人によってさまざまだ。規則的な作業が正確にできる人がいれば、計算に秀でた人もいる。「与えられた仕事を皆が同じようにやるのでなく、それぞれがやりたい得意な仕事をする機会があれば、もっと社会参加できる」。一足先に大阪で同じ活動を行う知人からの後押しを受け、決意を固めた。
         最低限の仲間を集め、支援イメージは固まった。面談でやりたい仕事を聞き、パソコン技術やビジネスマナーなど必要なスキルの訓練を行う。ハローワークの協力を得て、企業からの求人を募ってマッチングを図る。
         最初からうまくいくとは思っていない。石川県では前例のない取り組みといい「定着するだろうか」。そのためには何より実績が必要。福祉施設を回り、就労意欲のある障害者に活動を紹介してもらうようお願いする。
         「障害のあるなしにかかわらず、同じように働ける社会を-なんて言っても夢物語ですかね」。冗談めかして笑うが、目は真剣だ。一本でも多く橋を架けることが、夢につながると信じている。 (小西亮)
         身の回りで起きたこと、毎日の暮らしの中で幸せに感じたり、ほっとするような物語をお寄せください。連絡先を明記の上で、〒920 8573 中日新聞北陸本社「昴」係へ。ファクスは076(265)7490、Eメールはsubaru@chunichi.co.jpまで。
        「中日新聞」2012年1月23日

        ●「トラウマになるような出来事」目撃したらすぐに寝てはダメ、米研究
         交通事故の目撃など、トラウマ(心的外傷)になるような衝撃的な出来事に遭遇した直後に睡眠をとると、そのときの感情や悪い記憶が定着する危険性があるとの研究が、米専門誌「神経科学ジャーナル(Journal of Neuroscience)」に掲載された。
         研究を行ったのは米マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)の研究チーム。健康な男女106人を対象に実験を行った。
         まず男女に複数枚の画像を順に見せ、それぞれに対する感情的な反応を評価させた。画像の中には「不安な」光景を描写するものも含まれていた。
         その後、休憩中に被験者の半数に睡眠をとらせ、もう半数には睡眠をとらないようにさせた。12時間後、被験者たちは再び画像の評価を行った。
         「睡眠は記憶だけでなく感情反応も保持していた」と、神経科学者で論文の共同執筆者のレベッカ・スペンサー(Rebecca Spencer)氏は研究結果を語った。
         ■睡眠は基本的に良い効果、PTSDには逆効果か
         英紙ガーディアン(Guardian)は、従来の研究では「睡眠によって否定的な感情が緩和され、より合理的な観点から起きたことを観察できるようになる」とされており、今回の研究結果がそれらと矛盾していることを指摘している。
         スペンサー氏は米ABCニュースに対し、「確かに『一晩寝かせて考える』のが普通は良いことだというのは事実」と述べ、睡眠によって記憶力だけでなく他の認知機能も高まることを指摘。
         「ただ、本当にトラウマになるような出来事やただならぬ出来事が起きたときは、起きていた方が良いでしょう」と語り、衝撃的な出来事の後になかなか寝付くことができないという体の生理的な反応は案外健康的なことなのかもしれないと付け加えた。
         スペンサー氏は大変な出来事を乗り切る際には睡眠に頼るのではなく、起き続けていることを検討してもよいだろうと提言する一方で、今回の研究結果が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する示唆になる可能性はあるものの、日常生活における精神的ダメージに対しては睡眠不足を推奨しないと語った。
         「ある日がひどい日だったからといって、その日はずっと起きているべきということにはならない。私たちは回避すべきことを知るために、ある程度の記憶や感情的な状況を保持しておくべきだ。私たちはそこから学んでいるのだから」
        (c)Relaxnews/AFPBB News
        2012年01月25日 13:10 発信地:米国

        ●<ドコモ通信障害>スマホ急増でパンク 対応後手に
         NTTドコモの携帯電話で相次いだ大規模な通信障害は、スマートフォン(スマホ)の本格普及で通信量が急増し、携帯電話会社のインフラ整備が追いついていない実態を浮き彫りにした。動画やゲームのやりとりなどスマホの多機能化が進み、こうしたデータ通信量は国内で今後数年で10倍以上に膨らむとの見方もある。事業者の対応が伴わないとトラブルもやまず、通信インフラに対する信頼も損なわれかねない。
         「見極めに甘さがあった」。26日記者会見したNTTドコモの岩崎文夫取締役常務執行役員は、25日の通信障害について、通信量が想定を上回ったために発生したと釈明した。
         ドコモは、データ通信を仲介する「パケット交換機」11台を25日未明までに新型3台に切り替えた。スマホの利用者は、通信をつないだままにするケースが多いため、新型は同時に接続できる利用者数を旧型の約2倍に増やした。だが、「同時接続数の増強に目を奪われ」(岩崎取締役)、新型3台が処理できる通信量は旧型11台の合計の半分しかなかった。25日朝は1時間当たりの通信量が想定の1.3倍に膨らみ、新型の許容量をオーバーしたという。
         ドコモは11年11月、スマホの低料金プランを導入し、11年4~12月のスマホ販売は553万台と10年度の倍以上に増えた。だが「従来の携帯電話で利用されてきた『iモード』とスマホのデータ通信を同じ通信設備で処理してきたため、システムが複雑化し、処理能力が低下している」との指摘がある。ドコモはパケット交換機の一斉点検などの対策を発表したが、アップルの「iPhone(アイフォーン)」などスマホの販売競争が過熱する中、「通信量の急増に抜本的な対策を講じない限り、通信トラブルはなくならない」(アナリスト)との見方が強い。
         東京都内の男子大学生(22)は「スマホに買い替え、動画投稿サイトなどインターネットを使う時間が増えた」と話し、若者を中心にパソコン代わりに使う場面が増えている。しかもスマホの利用者の多くは、どれだけ通信しても料金が一定の「定額制サービス」に加入しており、スマホの通信量は「(従来の携帯電話に比べて)10倍はある」(通信業界関係者)という。
         調査会社、MM総研の推計によると、11年度の携帯電話出荷台数は4160万台。このうち56%をスマホが占める見通しで、初めて従来型の携帯電話を出荷数で逆転する。スマホは契約数(既契約者も含む)でも15年3月末に従来型の携帯電話を上回る見通し。同社の横田英明取締役研究部長は「今後数年で通信量は10~20倍に達する可能性がある」と指摘。「携帯電話会社は増加ペースを甘く見積もった結果、インフラ整備などが後手にまわった」と分析する。
         携帯電話各社は、電話回線とは別に、無線でネットに無料接続する「Wi-Fi(ワイファイ)」の接続ポイントを増やすことで、電話回線の通信量を減らす計画を進めている。だが、「Wi-Fi」に接続できる場所はまだ限られる。KDDIの田中孝司社長は26日の記者会見で「(通信)ネットワークの中をこれだけ多量のトラフィック(情報量)が流れて、耐えられるのか」と不安を漏らした。
         ◇行政は事業者任せ
         総務省は「通信設備は、サービス内容や利用者数に応じ、事業者自らが決めるもの」(総合通信基盤局)とし、一義的には事業者の責任との立場だ。しかし、通信は企業活動や生活に欠かせないインフラとなっており、通信の質を確保するための対策を求められる。
         通信混雑対策として、総務省は「プラチナバンド」と呼ばれる700メガヘルツ帯と900メガヘルツ帯の周波数を利用する方針だ。プラチナバンドは、電波が建物などの障害物を避けて通りやすく、通信状態の改善につながる。総務省は地上アナログ放送などに使われ、現在は空きスペースとなった周波数帯を、15年までに計3社に割り当てる。第1弾として1社に900メガヘルツ帯を割り当てる計画で、27日に公募を締め切る。
         ただ、新たな周波数割り当ては、データの「通り道」を確保する手段に過ぎない。増大する通信量をさばく「交通整理」には、設備の処理能力を高める必要があるが、そのための投資は事業者任せとなっている。総務省は26日、ドコモに通信設備の増強を求めたが、通信の質向上にどこまで行政が関わるかも課題となりそうだ。
        「毎日新聞」1月27日(金)

        ●増える大人の発達障害 仕事に支障、ひきこもりも
         注意欠陥多動性障害(ADHD)やアスペルガー症候群(AS)などの発達障害に苦しむ大人が増えている。障害のために仕事に支障をきたし、ひきこもってしまう人も少なくない。発達障害者支援法の成立から7年。行政の取り組みは遅れがちだが、障害を持つ人たちが自助努力で立ち向かう動きも出てきた。
         ■ミス重なり辞職
         「イージーミスが多すぎる。君に営業はできない」。都内に住む20代の男性は昨年夏、上司にこう指摘され、しばらくして会社を辞めた。
         旅行会社の営業マン。まじめで人当たりもいいが、段取りや整理が下手。細かい連絡を忘れてしまう。添乗員として随行した先で、用意する弁当の数が変更になったのに業者への連絡を忘れてしまい、トラブルになったこともあった。
         まだ、きちんとした診断は出ていない。再就職への意欲もあるが、「サービス業はもう無理だと思う」という。
         発達障害は従来、子供のものとされてきた。だが近年、ひきこもりや鬱病、子供への虐待などの2次障害が表れ、初めて受診する大人の患者が多い。
         計31万部のベストセラー『発達障害に気づかない大人たち』シリーズ(祥伝社新書)の著者、心療内科医で福島学院大の星野仁彦(よしひこ)教授は「私のクリニックに来る患者さんは2次障害が深刻な状態。復帰するのは容易ではない」と話す。
         星野教授の調査では、外来を受診した成人のADHDとASの患者130人のうち、2次障害がない人はわずか13人。専門医が少ないため、発達障害を見抜けず、2次障害だけの治療を受けた結果、再発、長期化する傾向にある。
         冒頭の男性のようなケースでも、「まずは自分で発達障害を認識し、診断を受ける。そのうえで長所と短所を把握し、サポートしてくれる人を見つけることが大切」と星野教授は言う。
         ■できることから
         発達障害者同士の自助グループも生まれている。自らもADHDとASの混合型という冠地情(かんち・じょう)さん(39)が主宰する「イイトコサガシ」は、22都道府県で160回以上のワークショップを行った。
         6~8人のグループで、2人が5分間、テーマに沿った会話をし、残りの人はその会話の良かった点だけを指摘する。時間を区切って相手の話に集中するので、しぐさや口調の変化にも気づきやすく、独りよがりな会話を避けられる。聞く側は良い点だけを探すため、思いやりや共感を伴ったコミュニケーションの力を磨ける。冠地さんは「発達障害の人は自己肯定感に乏しい。批判や助言はそれに追い打ちをかけ、トラブルになることもある」と話す。
         相手の長所を探し、自分の良い所に気づくのはコミュニケーションの基本だ。冠地さんは「発達障害はもはや社会現象。でもできることから始めてほしい」と話している。
         ■行政の支援、手探り段階
         成人の発達障害に対する行政の取り組みは緒(しょ)に就いたばかりだ。厚生労働省によると、全都道府県とほぼ全ての政令市に発達障害者支援センターが設置され、ハローワークなどと連携した就労支援などが行われているが、「症状や障害の程度は千差万別で、具体的にどんなサポートをしたらいいか開発を行っている段階」という。
         また、ADHDに対して欧米で効果を上げている中枢神経刺激薬、メチルフェニデートによる薬物療法も昨年11月、18歳未満で投与を受けていた人のみ継続使用が可能になったが、大人への初回投与は認められていない。
        「産経新聞」1月10日(火)

        ●学習支援:足立区、中学生も 塾通えない100人に、新年度から /東京
         家庭の経済状況などで塾に通えない成績上位の中学生に学習支援をしようと、足立区は4月から、定期講座「足立はばたき塾」を開講する。講座を委託する民間業者の公募を25日に始めた。これまで区は、小学生の基礎学力の向上に力を入れていたが、中学生に対する支援を要望する声が寄せられたため、試験的に実施する。
         足立区によると、対象は中学3年生100人で、講義は区立千寿本町小と島根小で実施。申し込み後に学力診断テストを実施し、都立の進学指導重点校を目指す学力に達しているかを判断する。期間は4月から都立高校の一般入試がある翌年の2月までで、毎週土曜に数学と英語の2教科を教えるほか、夏休みと冬休みには5~10日程度の集中講座を開講する。区が実施してきた学習支援は、小学生を対象に、四則計算や漢字の書き取りをする基礎学習教室を開くなどの「落ちこぼれ防止」対策だった。支援が手薄だった中学生に対しても成績上位層を引き上げる事業の要望があり、実施を決めた。
        「毎日新聞」1月26日(木)

        ●家電業界を襲う”リストラ地獄”!NEC、東芝、ソニー
         日の丸家電はこのまま壊滅してしまうのか。NECが1万人の人員削減を打ち出したが、ほかにも大手家電メーカーが続々と人員削減や工場閉鎖を打ち出している。背景にあるのが超円高やタイ洪水、そしてスマートフォン隆盛のあおりを受けた携帯電話の不振だ。
         「苦渋の決断をした」。NECの遠藤信博社長は厳しい表情で語った。2012年度前半に国内外のグループ社員約11万人のうち約5000人の人員を削減。国内工場で働く協力会社の従業員などを含めると削減規模は約1万人に達する見込み。
         厳しいのはNECだけではない。パナソニックは昨年9月末時点で約36万700人だったグループ従業員を今年3月末を目標に35万人以下への削減を進める。
         東芝も半導体を生産する北九州工場など3拠点を12年度上半期で閉鎖。計約1200人(昨年11月末時点)の従業員は原則配置転換で対応するが、異動できない従業員も出てきそうだ。
         ソニーも子会社のリチウムイオン電池の組み立て工程を、中国とシンガポールの工場へ移すのに伴い、栃木事業所を設計・開発拠点に衣替えし、製造に携わる約500人の従業員の配置転換と希望退職募集を検討している。
         家電メーカーは薄型テレビ市場が国内市場で地デジ特需がなくなって縮小。海外でも歴史的な円高もあってサムスンなど韓国勢に押されている。さらにタイの洪水で生産拠点が打撃を受けた。
         そして急成長しているスマホ市場でもアップルのiPhone(アイフォーン)が圧倒的で、サムスンが追う展開。「国内メーカーはスマホに乗り遅れて国内市場でさえ失地回復できていない」(家電担当アナリスト)。NECのリストラも携帯電話事業の不振が響いたもので、ソニー・エリクソンの携帯電話事業も赤字に陥った。新たな稼ぎ頭がみつからなければ、今後もリストラ地獄が続きそうだ。
        「zakzak.co.jp」2012.01.27

        ●最悪シナリオ閲覧「数人」に限定 「混乱恐れて」と細野氏 
         細野原発事故担当相は29日までに、共同通信のインタビューに応じ、最近まで公開しなかった東京電力福島第1原発事故の「最悪シナリオ」に関し、情報漏えいによる国内の混乱を恐れて、当時の菅直人首相はじめ閲覧を「数人」に限った経緯を明らかにした。
         その上で「シナリオの内容は現実にあり得ないもの。当時公開していたら、東京から人がいなくなった可能性があった。そうなれば、事故対応は危うかった」と言明。事故対応を優先した結果、菅氏ら政権中枢のごく一部の政治家でしか情報共有を図らなかったと説明した。
        「共同」2012年1月29日

        ●「東京電力が和解案拒否」双葉町長、抗議の声明
         東京電力福島第一原発事故の賠償を巡り、福島県双葉町の井戸川克隆町長は29日、東電が、政府の原子力損害賠償紛争解決センターが示した和解案通りの支払いを拒否しているとして、抗議する声明を発表した。
         同町住民が避難し、役場機能がある埼玉県加須市で記者会見した。井戸川町長が抗議したのは、福島県大熊町から東京都内に避難する男性(72)が家屋損害に約2600万円の支払いを求めた案件。同センターが昨年12月、不動産として初めて、約1300万円の支払いを盛り込んだ和解案を示した。
         東電は家屋の賠償を受け入れる方針を示したが、追加請求には一切応じないとの条件を付けるなどした。
         井戸川町長は「東電が、双葉町民にも同じ行為に出ることが予測される。いろいろな条件をつけられて、(賠償請求を)やっていくことはできない」と述べた。
        「読売新聞」1月30日(月)

        ●引きこもり次男「働け」に逆上 長男と三男刺し首つり
         東京都杉並区宮前の住宅で30日、長男と三男を包丁で刺した次男(45)が、首をつって自殺する事件があった。警視庁高井戸署によると、首を刺された長男(45)は意識不明の重体で、腹などを刺された三男(42)は重傷だが意識はあるという。2人を刺して自殺を図ったとみられる次男は病院に運ばれたが、約1時間後に死亡が確認された。同署によると会社員の長男に「働け」と言われた無職の次男がカッとなって暴挙に出たという。
         事件があったのは、京王井の頭線久我山駅の北約500メートルの閑静な高級住宅街。100坪以上の敷地に駐車場と庭のある一戸建て住宅だ。高井戸署によると、70代の両親とともに40代の息子3人が暮らす5人家族。30日朝、2階で次男に対して長男が「仕事をしろ」と叱ったことをきっかけに言い争いになった。2人は双子だという。
         次男は長男の首を包丁で刺した。長男は「刺された」と言いながら1階に逃避。おびただしい出血があったという。続いて次男は、様子を見に1階から2階へ上がって来た三男の胸と腹を刺した。驚いた母親が「息子2人が次男に刺された」と119番。その間に次男は風呂場に行き、乾燥用のポールにロープをかけて首をつったという。
         署員が駆けつけたとき、次男は、すでに意識がなかった。長男は当初意識があったが、病院搬送後、意識がなくなったという。2階の室内には血のついた包丁が落ちていた。事件当時、75歳の父親は介護治療を受けるため、病院に行っており、不在だった。
         近所の住民によると一家は地主で、アパートを数軒所有、家賃収入で生活していたという。兄弟は3人とも独身。会社勤めをしていたのは長男だけで、次男は精神的に不安定で引きこもり状態が続いており、仕事をしていなかったという。近所の40代の女性は「息子さんたちが何をしているのかはよく知りませんでした。お庭もよく手入れされていて、裕福なご家庭にしか見えなかったのに…」と絶句していた。
        「スポーツ報知」1月31日(火)
        情報を取捨選択するスキルが必要な時代に。
        2012/01/22
        私が小学校、中学校、高校、大学(1回目)の頃、メディアと言えばテレビ、ラジオ、新聞、雑誌くらいありませんでした(回覧板もメディアか?)。
         大学時代(1回目)はテレビも絶っていたので、新聞とラジオだけだったが、特に不自由はしませんでした。
         今はどんな生活をしているかというと、朝テレビの情報番組を見ながら朝食、地元紙に目を通し、事務所に来てからYAHOOニュース、2チャンネルニュース、Twitterの見出しと気になるコンテンツに目を通し、メールをチェックし…、昼休みなど時間のとれる時はTwitterを中間チェックし、夕方にTwitterとメールの中間チェックをし、帰宅後ニュース番組を優先的に見ながら第三のビールを飲み、寝る準備の前に再びメールとTwitterに目を通す…。ラジオがなくなり、ネットとメール、ソーシャルネットワーク漬けになってしまっています。情報として必要と思われるものを入手しておこうと、半ば強迫的に追いかけている感もします。そのせいか、読書量が激減…(読みたい本は溜まる一方ですが)。
         これでも、「自分に必要な情報」に絞り込んでいるつもりです。その判断には、結構思い切りと経験が必要です。
         この話のオチは、子どもたちに、今の多様な情報量から、「自分に必要な情報」を選べるか否かです。介入しなければ、多くの子どもたちが情報やゲームなどに溺れるでしょうし、制限することが良いとも言い切れません。放置はしてはいけないけど、受像・受信ツール使用のルールづくりと、必要か否かの取捨選択をしていけるスキルを話し合いながら獲得していってもらうサポートが、今を、そして今からを生きる子どもたちには必要だと思います。
         人それぞれですから、一様なルールやマニュアルができるはずはありません。個別に、丹念にサポートしていかなければならないのですが…。
         それでは、最近の気になる記事です。

        携帯買える?「貧困の指標」見直しへ

         生活保護受給者の急増やワーキングプア問題などに対応するために、厚生労働省は貧困を測る新たな指標を定めることを決めた。
         国際的な指標は実態を反映しにくく、分かりにくいとされるため、日本独自の指標を作り、健康状態や衣食住の状況も含めた貧困の実態を明らかにする。同省では来年度中に策定し、継続的に貧困率を測って政策に反映させる方針で、貧困かどうかを決める目印を何にするかで注目を集めそうだ。
         貧困を把握する代表的な物差しには、経済協力開発機構(OECD)の調査などで使われる「相対的貧困率」がある。2010年調査(09年時点)で日本の「相対的貧困率」は16・0%で、おおよそ6人に1人が貧困とされた。07年調査より約0・3ポイント悪化し、過去最悪。OECDによる00年代後半の調査の国際比較では、日本は加盟34か国中下から6番目だった。
         ただしこの指標の算定基準は収入だけで、資産や医療や介護のサービス受益などは考慮されない。貯金や持ち家があっても所得がなければ「貧困」と判断されてしまうこともあり、「実態を見るには不適当」との指摘が上がっていた。また国際的にも別の指標を加える動きが広がっており、欧州連合(EU)では、貧困の継続状況や、寿命など14項目からなる指標を独自に導入。イギリスも複数の指標を取り入れた。
         こうした動向も踏まえて厚労省では専門家による検討会を発足させ、来年度中に成案をまとめることにした。新しい指標には失業率や医療をどのくらい受けているかなどの項目に加え、「食事に困っていないか」「携帯電話などの必需品が買えるか」など、生活に密着した項目を入れることも検討する。指標は、生活保護の基準や年金制度の見直しなどの政策立案に役立てていくという。
        http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120118-OYT1T00003.htm
        「読売新聞」1月18日(水)

        ●米国で横行するアジア系いじめ、うつや自殺も突出
         米軍に入隊したアジア系の若い兵士がいじめを苦に自殺したことをきっかけに、米国で横行するアジア系へのいじめの問題が浮き彫りになっている。コラムニストのジェフ・ヤン氏がCNNへの寄稿で指摘した。
         ニューヨーク市出身のダニー・チェンさんとカリフォルニア州出身のハリー・リュウさんは家族の反対を押し切って米軍に入隊し、アフガニスタンに派遣された。しかし同僚の執拗ないじめに遭い、昨年、それを苦に自殺したと報じられている。ヤン氏によれば、チェンさんは白人の同僚から仲間外れにされ、アジア系に対する差別用語を浴びせられていたという。
         軍に限らず、米国でアジア系に対するいじめが深刻化している現実は最近の調査にも示されているとヤン氏は言う。
         米司法省などが昨年実施した調査によれば、10代のアジア系米国人のうち、半数以上が学校でいじめられた経験があると回答。これに対して黒人やヒスパニック、白人では3分の1程度にとどまった。
         フィラデルフィアの学校では2009年にアジア系の生徒に対する集団暴行事件が発生、被害者は1日で26人に上り、うち13人が重傷を負って集中治療室で手当てを受けた。
         同校ではアジア系の生徒に対して差別用語を浴びせたり、移民を中傷したり、発音をからかったりするいじめが続いたことから、ついに生徒がストライキを組織。アジア系の生徒80人が、身の安全が保証されるまで登校しないと宣言する事態に発展したという。
         数日前にはシカゴでアジア系の10代の少年が覆面をした集団に暴行を受ける映像がユーチューブに投稿されて問題になった。
         こうした現実の中、うつ状態に陥るアジア系米国人は過去10年で急増している。特にアジア系の女性は、うつ状態と診断される割合がほかのどの人種よりも多いという。さらに、アジア系米国人の死因の5位に自殺が浮上。これは米国人全体の9位に比べると突出して高いとヤン氏は伝えている。
        「CNN」2012.01.18

        ●東大など、数十年来の脳の謎を解明 – 脳回路が精密な配線であることを発見
         科学技術振興機構(JST)と東京大学は1月20日、脳の神経回路が、回路を形成する神経細胞「ニューロン」より小さく、「シナプス」の単位で正確に編まれることで機能を発揮することを明らかにしたと発表した。東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二准教授らの研究グループによる発見で、成果は米科学誌「Science」に米国東部時間1月20日に掲載された。
         脳はニューロンと呼ばれる神経細胞からなり、各々のニューロンが、少しずつ情報を処理している。その処理結果は、ニューロン間の特殊な結合であるシナプスを介して、次のニューロンに伝えられる。
         ニューロンには多くの樹状突起と呼ばれる枝分かれした線維があり、ここにあるシナプスは、樹状突起の先端部分「スパイン」と呼ばれる突出構造を介してほかのニューロンからの情報を受け取る仕組みだ。樹状突起は複雑に分岐するだけでなく、種々の「イオンチャネル」(細胞膜や内膜など、細胞の生体膜にある膜貫通タンパク質の一種で、受動的にイオンを透過させるタンパク質の総称)や「受容体」(生物の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと)を持つため、「どのスパインが、いつ、どんな入力を受けたのか」が、ニューロンの情報処理に大きく影響する。
         ニューロンは主として樹状突起からの入力を受けるが、樹状突起上のシナプス配置のパターンについては、現在、2つの仮説が提唱されている。1つは、同期した入力(ほぼ同時刻に来る入力)は樹状突起上のある特定の箇所に集中するという「クラスター入力モデル」(仮説1)で、もう1つは、同期した入力が樹状突起全体に散在している「分散入力モデル」(仮説2)だ。
         仮説1はニューロンの一部を強く活動させるためには有利とされているが、仮説2は情報のロスが少ないという利点がある。いずれのモデルが正しいのかについては、数十年来の議論の的となっているものの、これを検証するための実験技術がなかったため、これまでに明確な回答は得られていなかったというわけだ。
         活動している神経細胞を観測するために現在広く利用されている手法は、「カルシウムイメージング法」と呼ばれるものだ。活動している神経細胞を検出するため、活動時に細胞内で遊離されるカルシウムイオンの存在により蛍光を発する色素(カルシウム蛍光指示薬)を用いる仕組みである。
         しかし、この蛍光は微弱なため、従来の手法では強いレーザー光を当てることによって観察中に細胞が死んでしまうのを回避することができないという欠点があった。そこで今回、池谷准教授らは、抗酸化剤を用いることで死滅する細胞を減らし、また光透過性の高い光学レンズと高感度なデジタルカメラを用いるなど、多くの改良を行い、「大規模スパインイメージング法」を開発。その結果、多数のシナプスから一斉にカルシウム活動を計測することができるようになったという次第だ。
         この手法をもとに、まずステップ1として海馬のスライス培養標本のニューロン内にカルシウム蛍光指示薬を注入し(画像3)、多くのスパインからの蛍光変化を高感度CCDカメラにより同時に記録することで、「どのスパインが、いつ、どんな入力を受けたのか」を調べた。
         従来は数個のスパインを観察するのが限界だったが、「大規模スパインイメージング法」により、同時に数百個ものスパインからシナプス活動を計測することができるようになった。これは過去の記録を2桁更新するもので、これにより、広い範囲のシナプス活動を、時間を追って観察することができるようになったという。
         シナプス活動を観察したところ、近傍のスパインがしばしば同時に活動していることが判明。統計解析を行った結果、8μm以内の近接スパインが有意に同期活動しやすいことが見出された。この現象は、世界で初めて確認されたものであるという。
         この空間的に集まった同期活動を「クラスター入力」と呼ぶが、同入力は、海馬スライス培養標本のみならず、生体内の大脳皮質でも確認できたことから、海馬だけの特殊な現象ではなく、脳部位を超えて広く観察される現象であるという考えである。
         なお、クラスター入力を生むためには、神経回路はシナプスレベルで正確に編まれている必要がある。観察の結果、クラスター入力を受けるスパインは、そうでないスパインに比べて大きいことが確認された。
         スパインの大きさは、LTP(シナプス可塑性の一種で記憶の素過程と考えられている)を経験したかどうかに関連するほか、シナプス結合の強さとも相関していることが確認され、このことからクラスター入力はLTPの結果として生じていることが示唆された次第である。
         実際、海馬シナプス培養標本を「NMDA受容体」(LTP形成に関与する分子)の阻害薬で処置して培養したところ、クラスター入力は観察されなかったとのことで、これらの結果から、クラスター入力は、NMDA受容体を介したシナプス回路の編成の結果、生じることがわかってきたのである。
         そこで、LTPが樹状突起でどのような空間パターンで生じるかを、遺伝子改変動物を用いて解析したという。「AMPA受容体」はグルタミン酸受容体の一種で、グルタミン酸を用いるシナプスでは最も主要な受容体で、この受容体の数がシナプス結合の強さを決定し、学習によって増減する。また、LTPに伴ってスパインに運ばれることも知られている。
         さらに、AMPA受容体とGFPが結合した遺伝子に、任意のタイミングで発現させることができる工夫を加えた遺伝子をマウスに導入して実験を行った。同マウスを、先の遺伝子を発現させないまま育て、ある時、育った環境と異なる新しい環境へ置き、500秒間自由に探索させる。すると新しい環境下において、マウスはさまざまな学習をする必要があるため脳内でLTPが発生。この実験の直前に先の遺伝子を発現させておくことで、この学習の結果起こったLTPだけを観察することが可能となる仕組みで、その実験結果(画像4)を解析したところ、互いに近いところにあるスパイン群でLTPが生じていたことが判明したという。
         これはLTPが隣接したシナプスで生じやすいことを世界で初めて示したものだとのことで、今回の実験結果を、これまでの回路発達に関する知見も踏まえて考察すると、クラスター入力は3つのステップによって成立していると推定されるとの結論に至ったという(画像5)。すなわち、(1)まずはランダムに回路が作られる、(2)シナプスの要・不要が判定される、(3)不要なシナプスが削り取られるという順次過程だ。
         今回発見された局所的なLTPは、ステップ2に貢献すると考えられている。その後、ステップ3の淘汰過程を経ることで、クラスター入力を生み出す回路が選択的に残るものと考えられる結論となった。
         今回の研究で、同期した神経入力が互いに近傍にあるシナプスに収束することが示されたことから、脳内の情報の流れが驚くほど正確に制御されていることを示すことが判明。図2の仮説1が正しいことが支持され、数十年に及んだ神経科学界の重要な議論に1つのめどがついたといえる。
         クラスター入力は、樹状突起上での非線形的な加算を促すため、「個々のニューロンが持つ演算能力を高める」ことに役立つと考えられるという。この演算能力が可塑性によって生じることから、クラスター入力は記憶・学習能に関わる基本的な生理メカニズムであると思われる。池谷准教授は、今後、認知症や統合失調症、うつ病など、記憶の変調を伴う疾患において、クラスター入力がどう変化しているかを観察していくという新たなアプローチが、精神神経疾患の病態に有益な解釈をもたらすと期待されるとコメントしている。
        http://news.mynavi.jp/news/2012/01/20/105/
        「マイナビニュース」1月20日(金)

        ●秋入学、36国立大が検討…本紙全国調査
         秋入学への移行を学部で検討するかどうか、読売新聞が全国の国立大学に緊急アンケートを実施したところ、回答した73校のうち、49%の36校が検討しているか今後検討すると回答した。
         東京大が呼び掛けた協議会に参加する大学は、すべて検討するとしている。
         一方、秋入学を検討する予定はないとしたのは30校(41%)。7校(10%)は未定と回答した。
         東北大、名古屋大などは一部の学部で、留学生や帰国生向けに秋入学をすでに導入していると回答した。
         秋入学に慎重な大学は、地方の大学や教育大、医科大に多かった。理由は、「日本の社会の仕組みにマッチしていない」「教員養成課程は幼稚園から高校までの入学時期に合わせる必要がある」などが挙げられた。
        「読売新聞」1月21日(土)

        ●秋入学移行、悩む各校 家計負担の増大が心配 国立大学長アンケート
         ■「桜の季節」捨てがたい
         東京大学が目指す秋入学移行について産経新聞が実施した国立大学長アンケートでは、学生の就職活動への影響を懸念する意見のほかに、「入学式の桜は捨てがたい」といった声も聞かれた。
                           ◇
         入学や卒業後のギャップターム(隙間期間)が生じることで、家計への影響を懸念するのは埼玉大の上井喜彦学長だ。「グローバル化への対応として早晩必要になる」として、秋入学について賛成の立場を示した上で、「過度に家計負担が増大することがないよう、低所得者家庭に対する奨学金を充実させることなども必要だ」と指摘した。
         4月から始まる大学の会計年度とのズレによる影響を懸念する声もあった。お茶の水女子大の羽入佐和子学長は「財政面や学務日程などの検討を開始した」と、大学の予算執行への影響に言及する。
         企業の春採用とのギャップを心配する多くの声の中で、「サクラサク」の合格電報に代表される桜の季節の入学式を重んじる声も。
         鳴門教育大の田中雄三学長は「桜の満開のころに新入生を迎えることは、日本の文化、伝統になっており、捨てがたい」との理由から、秋入学の導入に慎重な見解を示した。
         一方、首都大学東京を運営する東京都の石原慎太郎知事は20日、秋入学への移行について「なかなかむずかしい。就職の問題もあるし、秋までの時間をどうやってつなぐかという問題もある。学生たちはちょっと混乱すると思う」との認識を示し、「(プロ野球の)ジャイアンツにいきそびれて、1年間遊んでいるどこかのピッチャーみたいにはいかないんじゃないかな、なかなか」と述べた。
        「産経新聞」1月21日(土)

        ●橋下市長、市幹部に「国旗への礼」指示
         大阪市の橋下徹市長は、市議会本会議場で壇上に並ぶ局長級の幹部らに対し、議場での着席時や答弁に立つ際に、国旗への礼を徹底するよう指示した。
         2月議会には市立施設への国旗の常時掲揚や、市立校の教職員に国歌斉唱時の起立などを義務づける「国歌起立条例案」を提案する予定で、まずは幹部に範を示させる狙いがあるとみられる。
         橋下市長は今月、「議場における国旗への礼」というタイトルで幹部らにメールを送信。「議場の席に着く時には国旗に礼をしてください」「答弁に立つときだけではなく、席につくときに1段あがるときにも」「休憩後も」などと、細かく指示を出した。
         橋下市長は同条例案で、教職員に対し学校行事での国歌斉唱時の起立を義務づけるほか、市の施設では執務時間中、利用者に見やすい場所に国旗を掲げることも明記する意向を示している。大阪府議会では、橋下市長が知事時代の昨年6月に同様の条例が成立している。
        「読売新聞」1月22日(日)

        ●桐生の小6女児自殺:いじめ訴訟 両親、校長らの証人尋問申請 市、県側「不要」主張/群馬
         桐生市立新里東小6年の上村明子さん(当時12歳)が10年10月に自殺したのは学校側がいじめを放置したためだとして、両親が市と県を相手取り3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第5回口頭弁論が20日、前橋地裁(西口元裁判長)で開かれた。両親側は、同小の校長、当時の担任教諭など計8人の証人尋問を申請した。
         両親側は、学級崩壊状態に陥っていたクラスへの指導や担任教諭からの報告の内容について、校長への尋問が必要、また明子さんのクラスでの様子などについて担任教諭に尋問すべきだ、と主張した。市、県側は「証人尋問は不要」とした。
        「毎日新聞」1月21日(土)

        自分探し~アイデンティティの確立が難しい時代。
        2012/01/15
         先週末は放送大学大学院の修士論文の口頭試問で幕張に行ってました。終了後に飲み会があり「乾杯!」したということは、終わった、ということなのでしょう。さておき…。
         スティーブ・ジョブズの伝記を読んでいて(まだ前巻のの途中)、あれ程の偉業を成し遂げていったスティーブ・ジョブズが、愛着やアイデンティティ確立の課題と取り組みながら、「自分が何者で、何をなすべきか?」を問い続けて生きてきたことが読み取れます。早くからエレクトロニクスへの興味関心を強く持ち、技術と美学を追究した商品開発を続ける一方で、自分探しの旅を続けました。まだお読みになられていない人にねたばらしになってはいけないので、この辺で…。
         思春期・青年期は、一人の子どもが、大人として生きていく、「社会」で自立していく過渡期で、そこで獲得し、また乗り越えて行く課題の多い発達段階です。
         昨日の講演会で、思春期・青年期の心性や課題、発達障害特性のある人の思春期・青年期の課題やサポートのあり方 医学モデルを中心に学び直しをさせていただきました。10年前の対応では、今のさまざまな状態や問題に対応できないことに、親や学校、支援者が気づくことがまず必要だと…。
         ASD特性がある場合で二次的な精神症状を生じてしまった場合の、一般的な対応についても、親御さん向けにわかりやすく説明されていて、支援者の端くれとしては、さらに重篤なケース対応にも触れて欲しい、とも思いますが、それは講演会の主旨ではないので仕方ありません。
         愛着、思春期・青年期のアイデンティティ獲得の課題を十分に乗り越えられないまま成人になられた、特にASD特性のある方が、今本当に生きづらい時代にあると改めて思います。対人相互関係性の困難さなどから、何かをきっかけとして「社会」から離れざるを得なくなった場合(とても多い)、多くの傷付きやトラウマとして抱えますし、ひきこもりなどで対人関係が限局または無い状態が続く中で、自己評価は下がるばかりですし、他者からの「社会」参入の働きかけは否定・非難的にしか受け止められなくなります。
         「普通は…」、「みんなは…」、「やればできるのに…」などなど、こうした多くの「一般的」な言葉かけは、本人さんを追い詰めてしまいます(言われなくても、一番よくわかっているからです)。
         困っている、悩んでいることを話してもらえる関係づくり、その気持ちを受容的にしっかり聴く、解決できることから解決していく、努力していることを認め褒める…。時間をかけて、自己評価を上げてもらえる関わりを、家族以外の第三者(一人でも複数でもOK)とあきらめずに続けること、ご家族も関わり方や特性理解、メンタルケアのサポート(必要な場合)を受けることが不可欠でしょう。
         今の日本社会は、複数のハンディを持つ方が生きていくことは、半端なく困難な時代です。サポートを受けられる対象とつながることを遠慮しないで欲しいと思います。社会保障はそのためにあるのですから…。
          それでは、最近の気になる記事です。

        自殺者14年連続3万人超=昨年は3万513人―被災3県は減少・警察庁

         昨年1年間の自殺者数(速報値)は、前年比3.7%減の3万513人と、14年連続で3万人を超えたことが10日、警察庁のまとめで分かった。東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県ではいずれも減少した。
         同庁によると、男女別では男性が2万867人、女性が9646人。月別では、5月が3367人と最多で、次いで6月が3029人。それ以外の月は2000人台だった。
         都道府県別では、東京と滋賀を除く、東北、関東・甲信越、関西、中国各地方の全府県で減少したが、愛知、愛媛、福岡、宮崎、沖縄など12都県で増加した。
         減少幅が大きかったのは大阪(171人減の1899人)や北海道(95人減の1438人)など。増加した中では、愛知(59人増の1630人)、福岡(51人増の1310人)、愛媛(28人増の369人)が目立った。
        「時事通信」1月10日

        ●東電、1200億供託へ…福島第一の無保険回避
         東京電力福島第一原子力発電所の保険契約問題で、東電は保険金額と同額となる1200億円を法務局に供託する方針を固めた。
         東電は海外保険大手と新たな損害保険契約を結ぶ方向で交渉していたが、条件面などで交渉が難航し、現在の保険が満期となる15日までに契約できるメドが立たなくなったためだ。
         原子力損害賠償法(原賠法)は無保険状態での原発の運転や廃炉作業を禁じている。福島第一原発については、損保各社で作った「日本原子力保険プール」が保険を引き受けていたが損保各社が契約更新を拒否したため、東電は新たな保険の引受先を探していた。
        「読売新聞」 1月10日

        ●君が代起立斉唱、大阪府教育長が職務命令へ 今春卒業式
         大阪府教育委員会は、君が代の起立斉唱を義務づける府条例を踏まえ、府立学校の教職員約1万人を対象に教育長名で起立斉唱を求める職務命令を今月内に出す方針を決めた。職務命令は毎年数人程度に出していたが、今回は式典会場に入るすべての教職員を対象とする。近年の府立学校の卒業式では毎回60~80人程度が起立しないため、命令違反に基づく処分者が急増する可能性もある。
         府の君が代条例は、橋下徹前府知事が率いる大阪維新の会が府議会に提出し、昨年6月に成立。小中高校などの学校行事で演奏される君が代について「教職員は起立により斉唱を行うものとする」と定めている。
         君が代斉唱をめぐる職務命令はこれまで、各校長が事前に不起立を表明していた教職員のみを対象に出していた。しかし、府教委は条例成立後で初の卒業式シーズンを前に、条例順守を求める姿勢を示すため、教育長が一律的に命令を出すことにした。職務命令に反して起立を拒めば、地方公務員法に基づき懲戒や訓告などの処分対象となる。
        「asahi.com」2012年1月13日

        ●福島の子ども 傷つく心 転園・転校余儀なく ケア態勢急務
        「家族や周囲の大人に見守られているという安心感を与えたい」。仮設住宅を回り、避難者の子どもに声を掛ける高田さん=7日、福島県三春町
         福島第1原発事故で避難を余儀なくされた福島県の児童、生徒の心的ストレスが深刻化している。生活環境の変化が重圧になり、不登校になる子どもも少なくない。専門家は「行政、教育、福祉機関が連携して心のケアを図る態勢を築くべきだ」と指摘している。
         ある小学校の男子児童は原発事故後、不登校になった。双葉郡内に住み地元の学校に通っていたが、原発事故で避難し、住まいを転々とした。最終的に県中地方の仮設住宅に家族と移り、現地の学校に転入した。
         転入先の学校になじめず、仮設住宅にこもりがちになった。学校に「外に出るのが怖い」「母と離れたくない」と心境を明かしたという。
         郡山市のスクールソーシャルワーカーの高田宣実さん(69)が派遣され、児童と話し合いを重ねた。原発事故で職を失って家にいる母親と一緒にいたい気持ちが影響していることが分かり、就労機会をあっせんする公的制度を紹介した。母親は仕事を見つけて働き始め、それに合わせるように児童も学校へ通うようになった。
         原発事故で地元を離れ、他地域に転園、転校した県内の幼稚園児と小中学生、高校生は昨年9月現在、計1万8368人に上る。うち1万1918人は県外に行き先を求めた。全校生徒300人の3分の2が、避難に伴って県内外の学校に転出した中学校もあるという。
         転居、転校による生活環境の変化が子どもに重圧となってのしかかり、心的負担を増大させる。
         福島大人間発達文化学類の鈴木庸裕教授(学校福祉学)によると、小学校低学年の児童の中には原発事故後のストレスで親に甘える「幼児返り」がみられる子どもがいる。高学年も放射能対策で外遊びが制限されるなどしてストレスをため込む傾向がある。
         スクールソーシャルワーカーは学校と連携して子どもの心のケアに取り組む。原発事故後、福島県はワーカーを8人から18人に増やした。行政や福祉機関の協力も得て、生活環境の変化に翻弄(ほんろう)される子どもを支援している。
         鈴木教授は「子どもを見守ってきた地域の人間関係や家庭が原発事故で分断された。大人が連携していかなければ、子どもの問題に対応しきれない」と話している。
        「河北新報社」2012年01月10日

        ●職安法違反:原発に不正派遣 工藤会系組長の妻らを逮捕
         福岡、福井両県警は12日、福井県おおい町の関西電力大飯原発改修工事に労働者を「偽装請負」で不正派遣したとして、福井県敦賀市、太平電業福井地区営業所長(当時大飯事業所長)、一瀬秀夫(58)▽京都府舞鶴市、高田機工社長、富田好(59)▽北九州市若松区、ドリーム(当時総進工業)役員、池上加奈枝(36)の3容疑者を職業安定法違反容疑で逮捕した。
         両県警は、労働者の派遣元となった総進工業の役員だった池上容疑者が指定暴力団工藤会(北九州市)系組長の妻と確認しており、原発への労働者派遣が工藤会の資金源になったとみている。原発関連工事への労働者派遣を巡って暴力団の関与を視野に入れ強制捜査するのは極めて異例。全国の原発労働のあり方に影響を与える可能性もある。
         逮捕容疑は10年3月上旬~9月下旬、請負契約を装って総進工業社員の男性を大飯原発の改修工事に従事する労働者として派遣し、男性を太平電業の指揮下において改修工事に従事させたとしている。3人とも容疑を認めているという。
         福岡県警などによると、総進工業と高田機工、高田機工と太平電業の2段階で請負契約を装っていた。請負契約を結んだ業者は、発注者の太平電業から独立して業務を行わなければならないが、派遣された男性は太平電業社員の指揮下で配管の取り換え工事などに従事しており、両県警は実態は現場に送り込まれただけの派遣労働とみている。同様に不正派遣された労働者が複数いるとみられ、「偽装請負」が常態化していた可能性があるという。
         原発労働を巡っては、複数の派遣会社の介在による給料の中間搾取が問題視されており、労働者の派遣元として暴力団の関与も指摘されている。福島第1原発の事故処理についても、発注者である東京電力は警察庁から暴力団との関係遮断を指導されており、昨年7月には元請け業者22社と暴力団排除協議会を設置している。太平電業は1947年設立で資本金約40億円の東証1部上場企業。全国各地で原発の建設や補修を行い、福島第1原発の事故処理にも当たっている。11年3月期決算の売り上げは約618億円。
        「毎日新聞」2012年1月13日

        ●訪問リハビリの単独開業を容認=被災地の医師不足を考慮―厚労省
         厚生労働省は14日、心身が衰えた高齢者向けの介護保険サービスの「訪問リハビリテーション」について、東日本大震災の被災地に限り、事業所の開業基準を緩和することを決めた。現行は病院や診療所への併設でなければ開業できないが、被災地では医師不足で診療所の閉鎖が相次いでいることから、特例で単独開業を認める。これにより、被災地の高齢者がリハビリを受けられずに要介護度が重くなるのを防ぐ。
         訪問リハビリの単独開業の対象は、昨年12月に成立した復興特別区域(特区)法が適用される11道県の計222市町村。単独開業は省令改正により、申請のあった地域ごとに今月以降順次認める。
        「時事通信」1月15日(日)

        ●30年後でも…加藤登紀子「原発が止まるのを見届けたい」
         東京電力福島第1原発事故をきっかけに「原発のない未来」を話し合う「脱原発世界会議」が14日、横浜市のパシフィコ横浜で開催された。以前から脱原発を呼び掛けてきた歌手の加藤登紀子(68)やロックバンド「LUNA SEA」のギタリストSUGIZO(42)がライブを実施。加藤は「私が生きているうちに原発の運転停止を見届けたい」と切実に訴えた。
         ライブ会場となった会議室には200人以上が詰めかけ熱気に包まれた。加藤は72年に第1子となる長女を出産した直後に作った「この世に生まれてきたら」と「おまえの人生」をギターで弾き語り。命の尊さなどを歌った楽曲で、くしくも前年の71年には福島第1原発が運転を開始。「原発は今(運転を)止めても廃炉までに30年はかかる。できれば私が生きているうちに、原発が止まるのを見届けたい」と切々と語ると、拍手が湧き起こった。
         40分間のライブを締めくくった6曲目は、東日本大震災発生直後の昨年3月16日に作った「今どこにいますか」。ステージ上の大型モニターには被災地を訪問した際の写真などが映し出され、会場のあちこちでハンカチで涙をぬぐう姿が見られた。加藤も声を詰まらせ「とても大事なことを教えられたのが3月11日だった。みんなが一生懸命、自分を大切にして生きれば、世界は変わります」と呼び掛けた。
         40年以上前から反核、反原発を訴え、昨年11月に設立された「脱原発をめざす女たちの会」にも参加。今回の出演オファーも「昨年もいろんな形で一生懸命やったけど、時代はなかなか思うようには動かない。年が変わってきょうという日は重要な日と思い、何か協力したいと思いました」と快諾した。
         昨年は福島県飯舘村での集会に参加し被災者を激励するなど精力的に活動。「沈没していくタイタニック号の上で演奏し続けた音楽家のことをふと考えるんです。どんな事態でも居合わせた人たちに対して何ができるのかということと、自分が生きる中で最大限頑張ろうということ」
         脱原発世界会議には約30カ国から原子力の専門家らが参加し、5000人以上が来場。「抱えきれない不安もみんなで共有すれば希望に変わる。原発はタイタニックとは違い、沈没せずに止めることができるんです」と力強く話した。同会議は15日も開催される。
        「スポニチ」2012年1月15日

        ●発達障害将来を悲観…長男殺害初公判被告、犯行前に心中図る
         昨年1月、自宅で発達障害のある長男(当時4歳)を殺害し、長女(同6歳)も首を絞めて殺そうとしたとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた清瀬市、無職の女性被告(36)の裁判員裁判の初公判が11日、地裁立川支部(毛利晴光裁判長)であり、被告は、「間違いありません」と起訴事実を認めた。
         公判は、被害者である長女への影響を配慮した裁判所の判断で、被告の実名は伏せて進められた。
         冒頭陳述で、検察側はまず犯行の約1年前に、長男に軽度知的障害と広汎性発達障害があると知ってから、その将来を悲観して思い悩むようになった経緯を明らかにした。犯行の約3週間前には、長男や長女を道連れに自殺しようと家出し、自殺を思いとどまった後、被告の夫や双方の両親が心配して気にかけるようになったが、「自分が思い悩んでいる状況を相談することはなかった」と述べた。
         また、犯行後、被告と被告の夫、双方の両親で話し合い、被告の夫が翌日事故死を装って110番通報することを決め、実行したことも明かした。
         一方、弁護側は、「思い悩んだ末の犯行で、深く後悔している」と述べた。さらに、長女や夫が、再び被告と共に生活することを望んでいることを挙げ、「長女の健全な育成を考えれば、家族の元に返すのが最もふさわしい」として、社会生活を続けながら更生できるよう、執行猶予付きの判決を求めた。
        「読売新聞」2012年1月12日

        ●67歳、仮設から大学へ 精神保健福祉士めざし合格
         宮城県気仙沼市の仮設住宅で暮らす67歳の太田初子さんが、東京福祉大学(群馬県伊勢崎市)の推薦入試に合格した。震災では津波にのみ込まれながらも一命を取り留めた。「精神保健福祉士になり、震災で傷ついた人たちを支えたい」と勉学に励んでいる。

         気仙沼中学校の校庭にある仮設住宅。太田さんは、間取り1Kの部屋で小さなコタツに教科書を並べ、毎日、英語の勉強をしたり新聞を読んだりしている。

         気仙沼市出身で、家の経済的な理由から中学を卒業して群馬県の家電メーカーに就職した。転機は20歳で結婚した夫の順啓さんをがんで亡くした2007年。入院中の父の世話で気仙沼に帰った時に気仙沼高校定時制の生徒募集を新聞広告で知り、移り住んだ。
        「asahi.com」2012年1月14日
        「子どもの権利条約」の柱の一つ:意見表明権を阻む「不安」。
        2012/01/03
        新年あけましておめでとうございます。
         今年最初の更新となります。週末の7日に、修士論文の口頭試問があるため、そのプレゼンデータ作成を昨夜から再開していて、15分の発表に64頁ものスライドを用意してどうするんだ?状態になっています。
         さて、今回の本題です。
         修論の中でも、ASD特性のある方で「定型」と言われている社会に「適応」(?)困難な状態になっている方の原因の大きなものとして「言い知れぬ不安」を何度か指摘しました。基本的信頼感が獲得できない状態を生きる上で、様々な言動にブレーキを自らかけるのはこの「不安」だと思うからです。ASD特性のある方に限らず、何らかの「不安」を一定レベルで抱えていると、ポジティブに行動することはできないのではないでしょうか。
         ドイツ強制収容所における自らの体験を記述したV.E.フランクルの『夜と霧』(1961)では、人としての究極の不安、失望、劣等感、無力感、「絶望との闘い」がリアルすぎるほどに描かれている。その追い詰められていく「内面的生活の崩壊の究極的な理由」を「もはや内面的な拠り所を持たなくなった人間のみが崩壊せしめられた」、その「内面的な拠り所とはどこに存するべきであり、どこに存し得るのであろうか? これいまやわれわれの問題なのである」…。捕虜として命の保証もない、期限のない拘束状態の中で、人は物(意見)言わぬ状態になってしまう。
         子どもの意見表明権がなぜ大切か、(子どもだけではなく大人においてもその大切さは同じだが、そのすべを子どもより多く持っている人が多いだけだが)意見を表明しないのではなく、表現できない環境に置かれていることに着目すれば、その解はわかりやすくなると思います。
         紛争地域、貧困、政治体制や軍部などによる管理・統制(学校社会も含まれますね)、身分や地位などによって、「不安」は常態化し、精神は無力化し、物言わぬ子どもとならざるを得ません。国連が日本政府に対して3回の勧告で指摘してきた内容は、この意見表明権を阻害する要因につながっている、と読み取ることができます。
         生後すぐに始まる「主たる養育者」との愛着、そこから形成されていく(人に対する)基本的信頼感、「安全基地」を持ちながらのアウェイでのトライ、他者のマネをしながら「自分も(で)やりたい」という意欲、できた時の小さな達成感の積み重ねや他者からの評価…。そして思春期・青年期におけるアイデンティティーの確立を乗り越えて、自己を肯定的に評価しつつ、他者を思いやれる人格形成を進める上で欠かせないのは、やはり「安心感」です。
         「安心感」のない環境では、人は意見を言わなくなっていきます。欧米では「自分の意見を言える」ことが尊重されるのに比べ、日本では「周囲との協調性、コミュニケーション力(?)」(=長いものには巻かれろ)が依然大切にされ、個性的であることや自由に意見を言うことは「反社会的」でもあるかのような扱いをされる状態が続いています(これでは民主主義社会とは言えません)。子どもの意見表明権が保障されているか否かは、「個人」尊重のバロメーターであるという視点が大切だと思います。

         以下、子どもの権利条約と意見表明権について参考までに簡単に解説しておきます。
         児童の権利に関する条約は、1959年に採択された「児童の権利に関する宣言」(総会決議1386(XIV))の30周年に合わせ、1989年11月20日に国連総会で採択された国際条約である。1990年9月に発効し、日本は1994年4月に批准し同5月に効力が発生しました(世界158番目)。

        (日本語訳)第12条
        1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

        2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

        <日本政府に対する最終所見>
         2008年4月22日、予定から約2年遅れで、外務省は第3回政府報告書を国連に提出。 2010年5月27.28日、第3回の政府報告審査会が行われる。同年6月20日、国連子どもの権利委員会は、日本政府に対し最終所見を提出(政府訳http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/pdfs/1006_kj03_kenkai.pdf)。
        第3回最終所見では、 「50. 日本社会における家族の価値が恒久的な重要性を有していることを認識しているが,委員 会は,親子関係の悪化に伴って,児童の情緒的及び心理的な幸福に否定的な影響を及ぼし,その結果,児童の施設収容という事態まで生じているとの報告に懸念を有する。委員会は,これらの問題が,高齢者介護と若者との間に生じる緊張状態,学校における競争,仕事と家庭を両立できない状態,特に,ひとり親家庭に与える貧困の影響といった要因に起因している可能性がある問題であることに留意する。 51. 委員会は,締約国が,子育ての責任を果たす家族の能力を確保できるように男女双方にとっての仕事と家庭の間の適切な調和を促進すること,親子の関係を強化すること,及び,児童の権利に関する意識を啓発することなどにより,家族を支援し強化するための措置を導入することを勧告する。 60. 委員会は,著しい数の児童が情緒面での健康状態が低いとの報告をしていること,また両 親や教師との関係の貧しさがその決定要因となっている可能性があることを示すデータに留意 する。 66. 委員会は,財政経済政策(労働の規制緩和や民営化戦略等)が,賃金削減,女性と男性の賃金格差及び児童の養護・教育支出の増加により,親,特にシングルマザーに影響を与えていることを懸念する。」 と指摘されています。
        ※条約の日本語訳2種類(政府訳と国際教育法研究会訳)は
        「子どもの人権連」
        http://www.jinken-kodomo.net/zyoyaku.html
        「子どもの権利のための国連NGO DCI日本支部」(私も京都支部に関わっています)
        http://www.dci-jp.com/crc.html
        などのサイトから。

         2006年12月13日、国連で障害者権利条約が採択されました。今後この条約の日本「批准」へ向けて、どういう取り組みをすべきか。物言う(代弁者がきちんと代弁する)障害のある人が人として輝く社会を築いて行けるかどうかが問われています。子ども、高齢の人、障害のある人、病気の人にとって「優しい社会」は、すべての人に「優しい社会」ですから…。

         それでは、最近の気になる記事です。

        保安検査官逃げ回り・東電は子会社任せ…事故調

         原発の監視を担う原子力安全・保安院の原子力保安検査官や、事故対応の責任を担う東電が、役割を十分に果たせなかった実態も、中間報告で明らかにされた。
         報告書によると、東電の事故対応を指導監督する立場の検査官は3月12日早朝、4人全員が現場を立ち去り、約5キロ離れた対策拠点のオフサイトセンターに戻っていた。放射線量の上昇により、屋外の防災車の搭載電話が使えなくなったのが理由とするが、中間報告は「東電の回線など他の手段で状況報告は可能だった」とみている。
         13日朝には、海江田経済産業相から炉心への注水状況を監視するよう指示を受け、検査官4人が原発に入った。だが、対策本部のある免震重要棟の一室に閉じこもり、東電社員から資料を受け取るだけだった。14日午前11時過ぎには、3号機が水素爆発を起こしたため、身の危険を感じ、同日午後5時頃、上司の明確な了解がないまま同センターに引き揚げた。
         菅首相が東電本店に乗り込み、東電社員に「逃げてみたって逃げ切れないぞ」とまくしたてたのは翌15日早朝。その前に検査官らは退避を終えていた。事故調関係者は「検査官は職責を果たさず逃げ回っていたも同然だ」と批判する。
         一方、原子炉の冷却で重要な役割を果たしたのが東電の子会社だったことも分かった。
         吉田昌郎所長(56)は3月11日夕、全電源喪失の事態を受け、1、2号機への消防車による炉内注水を検討するよう指示した。だが、消防車の活用はマニュアルになく、同原発の「発電班」「技術班」などはどこも自分の担当と考えなかった。
         同日深夜、1号機の危機的状況が分かり、12日未明、消防車による注水を準備した。しかし、消防車を操作できる東電社員はおらず、下請けの子会社に頼らざるを得なかった。東電社員の「自衛消防隊」もあったが、ホースの敷設なども当初は子会社社員だけで行った。
        「読売新聞」12月27日(火)8時14分配信

        ●原発事故 人災で拡大 運転員、非常冷却経験なし
         福島第一原発事故をめぐり、国の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)は二十六日、多角的に事故原因を検証する中間報告を公表した。非常用ディーゼル発電機のほか配電盤も地下にあったため津波で水没し、全交流電源喪失を招いたと指摘。吉田昌郎(まさお)所長(当時)ら東京電力側が、原子炉に注水して冷やす非常用装置が稼働していると誤認して代わりの冷却手段の準備が遅れ、被害が拡大した可能性があると述べた。 
         東電や首相官邸内の情報伝達の混乱や津波への備えの甘さ、避難指示の遅れなど、「人災」の側面にも言及。原子炉の重要設備が地震で壊れた跡は確認できないとして、地震が直接事故につながったとの見方は否定した。今後、菅直人前首相ら当時の閣僚らから聴取し、来年夏に最終報告をまとめる。
         中間報告によると、1~2号機は三月十一日、非常用発電機や配電盤が浸水し、交流と直流の全電源を喪失。3~4号機も配電盤が水をかぶるなどして全交流電源を失った。
         このため、最初に水素爆発を起こした1号機では、電気を使わずに、原子炉の水蒸気を冷やして水に戻し再び原子炉に入れる非常用冷却装置(IC)で冷却しようとした。
         ICに蒸気を送る配管の弁は、電源が失われると自動で閉まる仕組み。この時も弁は自動で閉まったが、ICを作動させた経験のある運転員はおらず、こうした仕組みを十分理解していなかった可能性が高い。弁は開いたままで、冷却が続いていると誤認、代わりの注水の準備が遅れた。
         その間に圧力容器内の圧力は上昇。代替手段での注水も難航し、ICが機能不全に陥ってから、継続的に注水できるようになるまでに十四時間を要した。その結果、空だきとなった1号機は同日夕に炉心溶融(メルトダウン)し、翌日には建屋が水素爆発した。中間報告は「原子力事業者として極めて不適切であった」と東電の対応を厳しく批判した。
         3号機は十三日未明までは冷却が続いていたが、原子炉の蒸気の力でポンプを動かして炉に冷却水を送る装置(HPCI)を、運転員が手動で停止した。蒸気が弱くなり、過熱した設備が壊れると恐れたためだった。
         運転員は炉の圧力を減らす弁を遠隔操作で開けた上で、消火用のディーゼルポンプによる注水に切り替えようとしたが、弁は開かない。このため水が入らず、注水が七時間近く途絶えた。発電所幹部らはHPCIの手動停止を知らなかった。
         中間報告は、1、3号機とも誤った認識により注水が長時間止まり、危機的な状況を招いたことを重視。「より早く別の手段で注水すれば、炉心損傷の進みを遅らせ、放出された放射性物質の量を減らせた可能性がある」と指摘した。
         政府の対応が後手に回ったことも問題視。放射能の拡大範囲を予測するシステム(SPEEDI)を住民の避難指示に生かせなかった点や、現地の対策拠点となるオフサイトセンターが機能しなかったことを批判した。
        「東京新聞」2011年12月27日

        ●「核廃絶宣言」を可決 「非核平和宣言」存在する石垣市
         石垣市議会(伊良皆高信議長)は27日、「原発に頼らない社会を実現する」などとする「石垣市核廃絶平和都市宣言」を与党の賛成多数で可決した。既に「非核平和都市宣言」が存在していることや、市教育委員会が採択した育鵬社版公民教科書が原発推進の論調であることと整合性が取れないとして、野党9人は賛成しなかった。
         育鵬社版公民教科書との整合性について、中山義隆市長は核廃絶平和都市宣言が可決されたことを同社に伝え、福島第1原発事故後の情勢を反映するよう求める考えを示した。玉津博克教育長は「文言の訂正があることも考えられる。4月以降検討したい」と述べた。
         核廃絶平和都市宣言は「人類の存在を脅かす核兵器の開発につながる一切の核実験の禁止を切望」と求めると同時に、原発に頼らない社会の実現を目指すことを訴えた。
         1984年3月に制定された非核平和都市宣言は、憲法の精神に基づく非核三原則の完全実施を求めている。それに対し、核廃絶平和都市宣言は石垣市民を主語として平易な文章となっているが、非核三原則や憲法順守に関する記述はない。
         宣言案に賛成した与党側は「今回の宣言は石垣市民が主体性を持って受け止められることができ、一切の核実験の禁止を盛り込んだのは一歩踏み込んだと理解できる」としている。
        「琉球新報」2011年12月28日

        ●給与カット前に…大阪市バス121人が退職希望
         大阪市交通局で市バスの運行業務に携わる職員のうち、来年3月での早期勧奨退職希望者が、前年同期比15倍の121人に急増していることがわかった。
         橋下徹市長は、運転手の給与を民間並みに抑える意向を表明しており、給与カット前に退職を早めた職員が多いとみられる。
         うち市バスの運転手は80人に上り、交通局は「運転手の急減で勤務が回らない」として、勤務を続ける運転手に月1、2回の休日出勤を求めることを決めた。
         市は早期退職を促すため、勤続25年以上か50歳以上であれば、3月末と9月末の年2回に限り、退職金を加算する制度を2007年度に導入。交通局ではさらに、今年度と来年度に限り早期退職の対象年齢を45歳以上に拡大。退職金の加算率も、通常の20%から30%(50歳で退職した場合)に増やすなどの特典を設けた。3月末退職の場合、申請期限は前年の12月末。
        「読売新聞」2011年12月27日

        ●女性教諭、過労死と認定 地方公務員災害補償基金 京都
         ■時間外勤務、月90時間超す
         亀岡市の自宅で平成21年11月、仕事中に脳幹出血で死亡した京都市立御所南小学校(中京区)の教諭、大西春美さん=当時(53)=について、地方公務員災害補償基金京都府支部(支部長、山田啓二知事)が過労死と認定していたことが27日、分かった。認定は12日付。
                           ◇
         同基金によると、12~21年度の10年間で、府内の義務教育学校の教員が脳や心臓の疾患により死亡し、公務災害と認定された例は3件しかないという。
         公務災害認定通知書などによると、同小は18年度から京都市小中一貫教育特区の認定を受けており、大西さんは2年の学年主任のほか、学習指導要領などの研究主任を務めていた。
         休日の21年11月1日、朝から自宅で研究発表の資料作りを行っていたが、翌2日午前1時50分ごろに倒れ、同日朝、搬送先の病院で死亡した。同基金は、死亡までの過去2カ月間の時間外勤務時間が1カ月あたり90時間を超えていたことなどから、公務と死亡との間に因果関係があると判断した。
         大西さんの夫、修さん(55)は「妻が身を犠牲にして教育に取り組んでいたことが認められた」としながらも、「他の小学校よりも業務負担の大きい認定校だからこそ、教員を支える十分な体制を整えてもらえなかったことは残念」と話した。
         市教委は「認定を重く受け止め、教職員の健康の保持、増進に努めたい」とコメントした。
        「産経新聞」12月28日(水)7時55分配信

        ●死んだハチ食べさせられそうに…大津の中学 また起きた陰惨いじめ
         大津市のマンションで今年10月、住人で市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が転落死した。滋賀県警大津署は自殺の可能性が高いとみている。学校側は当初、「いじめは把握していない」としていたが、その後、生徒から聞き取り調査をした市教委は、男子生徒が死亡の約1カ月前から同級生に殴られたり、死んだハチを食べさせられそうになったりするいじめを受けていたことを明かした。陰惨ないじめはなぜ起き、学校側はなぜ見過ごしていたのか。
         ■「いじめられるタイプでない」
         男子生徒が転落したのは大津市内の14階建てのマンションで、男子生徒が通っていた中学校までは約100メートルしか離れていない。10月11日早朝、滑り台やブランコなどがある敷地内の広場であおむけで倒れているのが見つかり、間もなく死亡が確認された。
         遺書は見つかっていないが、大津署は、男子生徒は最上階から飛び降り自殺した可能性が高いとみて捜査。この時点ではいじめの事実は確認されていなかった。
         第1発見者となったマンションの管理人の男性は「ほかの住民から『バーンという大きな音がした』と聞いて、急いで広場に出てみたら男子生徒があおむけで倒れていた」と振り返った。すぐに119番通報し、心臓マッサージを試みたが、すでに意識はなかったという。男子生徒は道などで会うとあいさつしてきたといい、男性は「亡くなったのは本当に残念」と言葉を詰まらせた。
         マンション周辺の住民にも衝撃は広がった。近くに住む無職の女性(80)は「この近辺で転落死なんて聞いたことがない。何があったのか」と驚いた。近くの40代の女性も「男子生徒は真面目そうな感じだった。友人2、3人と、コンビニで買い物をし、遊びに行くところをよく見かけていた。友人がいないということはなかったと思う」と話した。
         男子生徒が通っていた中学校の校長(58)によると、男子生徒は卓球部に所属し、部活動には精力的に取り組んでいた。同じクラスの数人と特に仲がよく、友人宅に泊まりに行ったりふざけたりして、ごく普通の学校生活を送っていたという。
         校長は、市教委がいじめの事実を公表する前、男子生徒について「(死亡したことは)非常に残念で言葉が出ない」としたが、「孤立している様子はなく、いじめられそうなタイプには見えなかった」と述べていた。
         ■いじめの噂はあった
         男子生徒の死亡原因がわからないまま約3週間が経過した11月2日。大津市教委は、市役所で緊急記者会見を開き、男子生徒が死亡する前、校内でいじめを受けていた事実を明らかにした。
         市教委は10月17~19日に全校生徒859人を対象に文書でアンケート。約8割の生徒が回答し、この中に転落死した男子生徒に対していじめが行われていたとの記述があったため、生徒たちに直接聞き取りを始めた。
         その結果、男子生徒が死亡の約1カ月前から、同級生数人に殴られたり、ズボンをずらされたりするいじめを受けていたことが明らかになった。ほかにも、死んだハチを食べさせられそうになる▽腕で首を絞められる▽昼食のパンを食べられる-などの行為があったことがわかった。
         こうしたいじめを行っていた数人の同級生は、聞き取りに「ふざけていただけで、いじめていたわけではない」と話したという。
         死亡した男子生徒の担任の男性教諭は9月以降、「男子生徒がいじめられている」との噂を別の生徒から聞いており、10月1日と5日に実際に、男子生徒が同級生とけんかしているような光景を目撃。死亡した男子生徒に直接「いじめられているのではないか」と問うと「大丈夫。同級生と仲よくしたい」と答えたため、それ以上は調査しなかったという。
         また、学校側も9月に、父親から男子生徒の金遣いについて2回にわたり相談を受けたが、父親が「息子には言わないでほしい」と話したことから調査をしなかった。
         記者会見した市教委の葛野一美・教育部次長は「担任の教諭はいじめの兆候に気付きながら、男子生徒の『大丈夫』との発言をうのみにしてしまった。市教委としても責任を感じている」としながらも、「転落死との因果関係は分からない」とした。
         一方で、「学校側の調査には限界がある」とし、いじめについてこれ以上調査しないとした。
         ■本当に限界?
         男子生徒の死が自殺と断定されたわけではない。いじめが原因で死亡したのかも不明だ。転落死したマンション周辺では、子供たちがボール遊びをするなど、日常の風景が戻っている。
         しかし、男子生徒の衝撃的な死と、陰惨ないじめを受けていたという事実は、関係者だけでなく、住民にも癒えない傷を残した。
         マンション近くを通りかかった主婦(55)は「自分の子供もいじめで不登校になったことがある。いじめられている子は自分から相談しにくい。保護者や学校が事前にきちんと理解して支えてあげるべきだったのではないか」と話す。
         大津市教委はいじめの事実を発表した後、再発防止策として、市立小中学校の臨時校長会で児童、生徒の少しの変化も見逃さないよう求め、学校と家庭の連携強化に努めることを決めた。
         だが、その発表からちょうど2週間後の11月16日、大津市と隣接する滋賀県高島市の市立中学校で逮捕者が出る「いじめ事件」が起きている。男子生徒を全裸にさせ、携帯電話で撮影したうえ、排泄(はいせつ)物を持たせたなどとして、県警が、強要と暴力行為処罰法違反の疑いで、同級生の3年の男子生徒3人を逮捕したのだ。
         大津地検は強要と暴力行為処罰法違反の非行事実で3人を家裁送致。大津家裁はうち2人については別の傷害の非行事実も含めて審理し初等少年院送致と決定、もう1人を保護観察処分にしている。
         この事件でも校長が、今年6月に加害生徒3人のうち2人が被害生徒をたたくなどしていたことを把握しながら、「いじめと認識していなかった」としている。
         大津市教委がいじめ調査を打ち切ったことに、転落死があったマンション近くに住む主婦(50)は「保護者や生徒がよくわからないままではよくない。市教委はもっとしっかりと調査すべきだ」と訴える。市教委がいうように本当に「学校の調査には限界がある」のだろうか…。
        「産経新聞」2011年12月29日(木)
        自治体の障害福祉の窓口はあたたかく理解あれ。
        2011/12/24
        どうにかこうにか修士論文を提出できました。HF-ASD特性のある青年・成人への支援のあり方がテーマです。果たして、通るか?? 次は、年始早々に口頭試問、そのプレゼンデータ作成を始めています。さて、本題に…。
         障害者自立支援法にもとづく障害福祉サービスの受給や更新の手続きなどについて、その解釈や対応が自治体によってまちまちです。
         発達障害が障害福祉サービスの対象であると、主幹課長会議で通知されてから数年経っても「対象ではない」と明言したり、生活訓練等の期限付きサービスについて自治体の判断で再支給決定ができる(私も最近ネットで見つけたばかりですが…)ことなどを知らない所や担当者がわんさかおられます。厚労省も今年2月に再通知していますが、少なくとも最近連絡をとった京都府内、大阪府内、滋賀県内、奈良県内の自治体では、福祉サービスの新体系に係る基本条文の内容(それすら知らない所もありましたが…)でしか対応しようとされませんでした。みなさん、「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)しか見ていないようですね。
         ASD(自閉症スペクトラム)の特性があるがために、就学や就労、日常生活に困難さをかかえておられる成人の方への支援サービスとして、いきなりの「就労支援」は嫌な体験を重ねることになりかねませんので、とりわけ対人関係のトレーニング(人慣れ、場慣れ、場の空気を読む…)を積みながら自尊感情を高めていただく自立訓練(生活訓練)が現行制度では適切だと思われますが、基本最長3年のサービスであり、その後は就労継続支援B型への移行、そして段階をゆっくりと経て「就労」につながる支援へとサポートして行きたいところですが、この生活訓練から就労継続支援B型への移行も来年3月末までで「移行(猶予)期間」が修了予定です。厚労省は、全国からの期間延長などの要請を考慮し、現在も「検討中」として、来年2月の主幹課長会議で通知するとしています。
         こうした障害者自立支援法上の制度の仕組みや動きについて、各自治体の窓口によってその理解や対応がまちまちであることは、利用される方、その予定者、対象者及びそのご家族、さらに福祉サービス事業者にとって、極めて迷惑で不利益な状態であることを認識してもらいたいと思います。
         上記の現行の通達内容などを以下ご紹介します。

        障害保健福祉関係主管課長会議資料(平成23年2月22日(火))
        http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20110630-01-04-1.pdf

        8 障害福祉サービス事業所等における適正な運営等について
        (6)自立訓練と就労移行支援に係る訓練等給付費の支給決定の取扱い
         一部市町村において、自立訓練や就労移行支援の利用について、「生涯一 度だけの利用が原則であり、再度の利用はできない」との誤った運用がなされている実態があると聞いているところである。
         自立訓練及び就労移行支援の利用については、生涯一度だけの利用を原則 とするものではなく、例えば、障害者が自立訓練の利用を経て地域生活に移行した後、生活環境や障害の状況の変化等により、再度、自立訓練の利用を希望し、その利用が必要と認められる場合においては、再度の支給決定が可能な仕組みとしている。
         各都道府県におかれては、管内市町村及び関係機関に対し、自立訓練及び就労移行支援に係る訓練等給付費の支給決定が適切になされるよう周知徹底をお願いする。

        厚生労働省HP/障害福祉サービスの内容
        http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/naiyou.html
        17 就労継続支援B型(非雇用型)
         通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、通常の事業所に雇用されていた障害者であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行います。
        【対象者】
         就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者。具体的には次のような例が挙げられます。
        (1) 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
        (2) 就労移行支援事業を利用(暫定支給決定での利用を含む)した結果、B型の利用が適当と判断された者
        (3) 上記に該当しない者であって、50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
        (4) 上記に該当しない者であって、地域に一般就労の場やA型の事業所による雇用の場が乏しく雇用されること又は就労移行支援事業者が少なく利用することが困難と区市町村が判断した者(平成23年までの経過措置)

         それでは、最近の気になる記事です。

        生活保護の急増は本当に”不正受給”が原因か? 蔓延する「受給者悪玉論」の死角と真に論ずべき課題

         厚生労働省の発表によれば、今年7月時点での全国の生活保護受給者は、205万495人と過去最多になったという。この報道とセットで語られるのが、「不正受給」の問題だ。「不正受給が増えているから、生活保護費が膨れ上がり、国や自治体の財政を圧迫しているのだ」という論調が、世間に広まっている。しかし、生活保護受給者の増加は、本当に「不正受給」や受給者の怠慢ばかりが原因なのだろうか。報道の裏に隠された受給者の実態を探ると、これまで定説のように語られていた「受給者悪玉論」が、一面的なものの見方に過ぎないことがわかってきた。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)
         ◇「戦後最大」「過去最多」の生活保護 不正受給報道の裏に隠れた興味深い議論
        「生活保護受給者、戦後最大の205万495人に」
         厚生労働省の発表によれば、今年7月時点での全国の生活保護受給者は、205万495人に達し、過去最多となった。「戦後最大」の4文字に、眉をひそめた人も多いだろう。
         追い打ちをかけるように、今月6日には、8月時点での受給者がさらに9376人増え、2ヵ月連続で過去最多を更新したことも発表された。それに関連して、とりわけ問題視されているのが、各自治体が発表する「不正受給」の件数が増えていることだ。
        「不正受給が増えているから、生活保護費が膨れ上がり、国や自治体の財政を圧迫しているのだ」という論調が、世間に広まっている。
         この論調を裏付けるかのように 12月1日には「生活保護を受けているのに高級車に乗っている人がいる」と通報を受けたことから、ある受給者が生活保護費を搾取していたことが発覚し、逮捕に至った事件が報道された。
         これらの報道に関する街の声を聞くと、生活保護受給者へ向けられる視線は、日に日に厳しくなっていることがわかる。
        「真面目に働いている人が損をして、生活保護を受給する人が得をするような仕組みはおかしい」(20代男性)
        「役所は、受給するべき人なのかどうか、しっかり見極めて欲しい。現状では見極めが不十分なのではないかと感じる」(30代男性)
         不況が続き、上がらない給料に頭を抱える納税者らにとって、「働かずに保護を受けている」ように見える生活保護受給者は、疎ましい存在かもしれない。また、「不正受給」がこれだけ報道されれば、「行政の管理がずさんなのではないか」という疑いも生まれる。
         しかし、こうした「不正受給」は本当に増えているのだろうか。また、これほどまでに大きく取り沙汰されるべきものなのか。
         一連の報道の陰で、「不正受給」に焦点を当てずに、生活保護問題を扱う報道もある。11月24日付けの読売新聞「急増『生活保護』緊急座談会」では、「本当に困っている人たちが受給できるようになった」という発言があり、急増の背後にあるのは、医療、雇用、介護、年金などの社会保障制度のほころびと指摘された。
         また、「生活保護「受給者最多」のカラクリ――本当に問題なのは貧困の放置」(オルタナ・オンライン)と題されたネット記事では、全人口に占める生活保護受給者数の割合である「保護率」は、これまで受給者数が過去最多だった1951年の2.4%に比べ、今年7月時点で約1.6%と、むしろ少なくなっていることを指摘している。
         ◇高級車に乗るような受給者はごくわずか 実は国際的に見ても低い日本の「捕捉率」
        「日本の捕捉率は国際的に見て非常に低い」と指摘するのは、『絶対にあきらめない生活保護受給マニュアル』(同文館出版)の著者で、社会福祉士の田村宏氏。捕捉率とは、生活保護を受けるほど生活が困窮している人の中で、実際に生活保護を受けている人の割合のことで、日本は20%程度と言われる。
         生活保護受給者の増加で、誰も彼もが生活保護を申請しているかのような印象を受けるが、実際のところ、保護を受けるべき環境で暮らしていても申請しなかったり、申請しても役所の窓口における「水際作戦」で受け付けられなかったりするケースは多いという。
        「家族がいる場合、子どもが学校の給食費を免除されたり、区役所の職員が定期的に訪れることなどがあり、近所に生活保護を受けていることが知られやすい。『恥ずかしい』と感じ、申請しない人は多いと考えられる」(田村氏)。
         本当の問題は、生活保護受給者の増加ではなく、むしろ「まだ受給しなければならない層がいること」と田村氏は指摘する。
         しかし、生活保護受給者の増加により、「財政の圧迫」を叫ぶ声は多い。震災や雇用状況の悪化により、受給者がさらに増えることが予想される今後、財政再建のためには何が必要なのか。
        「現在の問題点は、生活保護が、年金や雇用保険、児童扶養手当、障害者年金などの社会保障でカバーし切れていない人のセーフティネットになってしまっていること。本来ならば、他の社会保障制度で助けなければいけない人が、制度の不備によって、生活保護を受けるしかないところまで追い込まれているのが実態だ」(田村氏)
         これは、前出の読売新聞の座談会記事と重なる内容だ。
         ◇働いても収入が同じでは頑張れない! 国会議員も指摘する生活保護の問題点
         それでは、不正受給の実態についてはどうだろう。
         各自治体の不正受給の件数を報じる記事は、地方新聞で多く読むことができる。11月20日の茨城新聞で報じられた内容によれば、2010年度の生活保護の不正受給は前年比37%増、1億922万円に上ったという。
         信じられないような額だが、記事をよく読むと、「極めて悪質なケースは少ないが、年金の遡及(そきゅう)があった場合や、高校生の子どものアルバイト収入などを申告しないままにしているケースが目立つ」という、県福祉指導課のコメントがあることがわかる。
         収入を申告しないで生活保護費を受け取る「不正受給」の実態については、「受給者の問題とばかりは言えないところもある」と話すのは、民主党生活保護ワーキングチーム事務局長でもある、初鹿明博・衆議院議員。
        「たとえば、生活扶助で10万円もらっている受給者が、月給5万円のアルバイト収入を得た場合、控除はあるがほぼ同額が減らされる。働いても働かなくても、得られるのは10万円ちょっと。頑張って働いてももらえる金額はほぼ同じなわけで、これでは就労する意欲がなくなってしまう。これが生活保護の一番の問題点だ」(初鹿議員)
         事務局では現在、受給者が働いた分を少しずつでも貯金できる仕組みができないかを、検討しているという。
         冒頭で紹介したような「生活保護をもらっていながら高級車を乗り回す」といった例は、実際はごくわずか。制度の不備が、不正受給の増加を招いている一面もあるのではないか。
         ◇受給者のお金を管理する第三者の不在 生活保護の扶助に「後見扶助」を加えるべき
         また、前出の田村氏は「生活保護の使途」についても指摘する。現在の生活保護制度は、申請がなかなか受け付けられないという現実がある一方で、いったん受給が決まると、その使途を管理されることは少ない。
        「20年ほど前までは、アルコールなどで金銭管理に問題のある人は、役所の窓口に毎日来てもらい、1日2000円ずつ渡す……などというようなこともあった。今は申請が多いので、そんなことはやっていられないだろう。受給者のお金を管理する第三者の存在が必要だ」(田村氏)
         田村氏の提案は、生活保護として認められる扶助(現在は、生活扶助・住宅扶助・教育扶助など8つ)に「後見扶助」を加えることだという。
        「後見扶助をつけ、受給者のお金を管理する成年後見人などを付ける。保佐や補助人も含め、後見人などを付けることで、生活保護が貧困ビジネスなどに渡ってしまうことを防ぐことができるし、後見扶助は後見人などに渡ることになるので、そこに小さな雇用が生まれることになる
         生活保護の介護扶助は介護保険を、医療扶助は医療制度を支える。「後見扶助」は、受給者の金銭管理の手助けになると共に、雇用のかたちにつなげることで、所得の再分配につながるというのだ。
         ◇背景には社会保障制度そのものの不備も 自己責任を問うより受給者の生の声を聞け
         厚生労働省の発表によれば、生活保護者受給世帯のうち、最も多かったのは「高齢者世帯」(42%)だが、目立つのは10年前に比べて4倍に増えた「その他の世帯」(17%)だ。「その他の世帯」は、「高齢者世帯」「母子世帯」「傷病・障害者世帯」以外の受給世帯で、働ける年齢層を含む。
         この「その他の世帯」の受給については、「怠けているのではないか」「困窮は自己責任ではないか」という批判がある。これについて、田村氏と初鹿議員の双方が口にしたのが、「生活保護受給者の問題を自己責任と考えるのであれば、一度、実際に生活保護受給者に会った方がよい」という意味合いの言葉だった。
        「周囲に馴染めなかったり、いじめられたり――。社会がずっと排除してきた人たちが今、雇用の場をなくしている。健康状態が良いからと言って、仕事に就くことができるわけではない」(初鹿氏)
         大卒でも就職が厳しいと言われる現況がある。指摘しづらい問題ではあるが、受給者の中には、これまで社会に上手く適応できなかった人も多い。「その気になれば働けるはずだ」と言うのは酷ではないのか。
         IT化による単純労働の減少や、核家族化により就労能力のない層を身内がカバーしなくなったことも、社会への適応能力が低い層が生活保護に走る遠因となっている。「自己責任」と決めつけることは簡単だが、高齢化が進む中、就労人口を少しでも減らさないためには、貧困層への教育制度を考え直す必要があるのではないだろうか。
         これまで述べてきたことは、生活保護に否定的な読者からすれば、「甘すぎる」のかもしれない。しかし、「生活保護は怠け者が受けるもの」「不正受給が横行している」といった一面的な見方では、生活保護制度の本来の意味での不備や、その背景にある社会保障制度の未整備を見落とす恐れがある。
         客観的な視点は忘れてはならないものの、生活保護受給者に理解を寄せることは、生活保護につながる社会問題に改めて向き合うことにつながるはずだ。
        「DIAMOND ONLINE」2011年12月9日

        ●65歳まで再雇用義務化 希望者対象に厚労省方針
         年金の支給開始年齢引き上げに合わせて60歳以上の雇用を確保するため、厚生労働省は、65歳まで希望者全員を再雇用するよう企業に義務づける方針を固めた。2013年度から実施する考えだ。一方、不安定な雇用が問題となっている、契約社員、期間従業員などの有期雇用については期間に上限を設け、契約満了の時期を決めない無期雇用への転換を促す。いずれも14日の労働政策審議会に提案し、労使の同意を得て、来年の通常国会での法改正を目指す。
         現在の高年齢者雇用安定法(高齢法)には、定年後の再雇用について、労使協定で基準を決めれば対象者を限定できる規定がある。このため、希望しても再雇用されない人がいる。
         一方、会社員が入る厚生年金は支給開始年齢が段階的に引き上げられている。男性の支給開始が61歳となる13年度には、多くの企業が定年とする60歳以降も働けるようにしないと、無収入の人が出かねない。
        「asahi.com」2011.12.13

        ●授産製品販売増へ支援 宇治のNPO2年かけ”大作戦”
         障害のある人たちが福祉施設で作っている授産製品の販売を支援しようと、宇治市木幡のNPO法人「まちづくりねっと・うじ」が、「売り上げ倍増大作戦」に乗り出した。カタログを作って市内の企業や団体に製品を売り込む計画で、イベントへの出店や、商品の質の向上を図る取り組みも始める。
         授産製品は、福祉施設を利用する障害者が日常的に手がけている。しかし、同法人によると、販売の機会が少ないことなどが課題になっているという。
         「製品が売れない」との悩みを聞いた同法人のメンバーが支援策を提案。市障害者施設連絡協議会や府、立命館大などと話し合い、府の事業として本年度から2カ年でサポート活動に取り組む。
         今後は市内の企業300社を訪問し、営業活動を行う予定。現在は市内10施設の製品を掲載したカタログを制作しており、企業の粗品に使ってもらったり、社の一角に販売コーナーを設けることなどを提案していく。
         このほか、商品を顧客のニーズに合わせるため、希望する施設に専門家を派遣してパッケージデザインを提案するほか、新商品の開発なども支援する。ホームページを作成し、インターネットでの販売も検討している。今秋には市内のイベントに出店して製品の販売も行っており、来年以降の催しにも参加する。
         同法人理事の安江徹さん(69)は「ひと工夫を加えるだけで商品価値が変わる。企業や市民の協力を得て、少しでも販路が広がれば」と期待している。
        「京都新聞」12月22日(木)9時19分配信

        ●被ばくの不安、京の避難者へ医療支援 震災9ヵ月
         福島第1原発事故で京都へ避難した人たちは、被ばくによる健康への懸念と向き合っている。消えない不安に応えるため、甲状腺の検査など医療支援の動きがでてきた。東日本大震災の発生から11日で9カ月を迎える。
         福島県郡山市から避難している本田直美さん(22)は8月、京都で出産した。その次男は、肝機能の数値が正常値より高かった。頻繁に体調を崩す気がする。長男(1)は自宅のある福島へ一時帰宅すると胸や腹にじんましんが出た。「放射能の影響かも」。本田さんの心配は尽きない。
         京都市伏見区の公務員宿舎へ5月半ばに避難するまで、被ばくを避けようと外出を控えていた。「考えすぎないようにしたいけど、子どものこととなるとそうもいかない。細かく検査したい」
         宿舎の避難者を対象に、原爆症認定訴訟の原告団支援で被ばく医療の実績がある京都民主医療機関連合会(右京区)は4日、伏見区内で健康診断をした。27人が医師の問診のほか、被ばくの影響が出やすいとされる甲状腺の機能を調べる項目を追加した血液検査に臨んだ。
         「ひとまず安心材料がほしい」。検査を終えた石井明子さん(38)がつぶやいた。郡山市で夫(41)と営んでいた飲食店を閉め、10月に京都へ自主的に避難した。10カ月の長女の被ばくを案じ、決断した。夏の終わり、知人を介してようやく入手した線量計で室内を測ると、長女のベッド付近が最も数値が高かったからだ。
         福島県では避難区域外の住民に対し、被ばくに関する検査はなかった。県が始めた全県民対象の健康管理調査の問診票は、京都に来てから届いた。石井さんは「もっと早く健診の機会がほしかった。被ばくの影響を減らすため、できることは全てしたいが、何をしていいのか」と語る。
         京都民医連は、子どもの健診も計画している。被ばくの程度によっては長期的に生じる「晩発性障害」の恐れがあり、継続した健康観察が必要だ。血液検査の値は今後の変化を見る基準になる。
         「先々、どんな影響が出るのか」「専門家の見解がまちまち。どうすべきか」。宿舎の避難者でつくるグループのアンケートに、放射能への疑問や詳細な被ばく検査を望む声が相次いだ。
         京都民医連の岸本啓介事務局長(49)は「何十年も向き合わなければいけない問題」と語る。免疫力を高める食事指導をしたほか、放射能への疑問を解消するため、福井県の原発労働者を診療している内科医を招いた勉強会を催す。
        ・京都府医療安全相談コーナーTEL075(451)9292
        ・滋賀県健康推進課TEL077(528)3619
        「京都新聞」12月11日(日)18時19分配信

        ●<大阪府立大>学生開発の人工衛星、H2Aで宇宙へ
         大阪府立大(堺市中区)の学生たちが設計から製造、運用までを担う小型人工衛星「OPUSAT(オプサット)」が2013年夏、H2Aロケットに乗って宇宙に飛び立つことが決まった。宇宙航空研究開発機構が14日、明らかにした。宇宙でも蓄電装置が正常に機能するかを調べる。実物大の模型を手に、学生たちは「宇宙を目指すのが夢だったのでうれしい」と意気込んでいた。
         ◇香川大など他の6大学の衛星も行く。
         OPUSATの名前は、大学名と衛星の英訳「SATELLITE(サテライト)」を掛け合わせた。同機構がロケットに相乗りさせる小型衛星を募集しているのを知り、航空宇宙工学や宇宙環境学専攻の学生約20人が今年1月から設計・開発に着手した。
         設計によると、OPUSATはアルミ製で、重さは約1キロ、10センチ大の立方体。宇宙に出た後にロケットから離脱し、最長で1年間、地球の周囲を回り続ける。大阪の上空を通過する際、府立大に設けた管制室で衛星からの信号をキャッチし、遠隔操作する。
         OPUSATは内部に蓄電装置を搭載し、太陽光をエネルギーに変え蓄電放電を繰り返すことができる。打ち上げの衝撃に耐え、放射線量が高い宇宙空間でも蓄電装置が繰り返し機能するか調べるのが目的。
         基本設計は終わり、現在は信号などの機能を試験中の段階。13年3月までに完成させる。リーダーの別所昂(たかし)さん(23)=大学院工学研究科1年=は「国のロケットに載せてもらうので失敗はできない。重圧に負けず、立派に作り上げたい」と話した。府立大は、東大阪市の中小企業が製造した小型人工衛星「まいど1号」の開発に参加している。
        「毎日新聞」12月15日(木)

        ●保安院 海への汚染水 ゼロ扱い 
         福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
         原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
         しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
         これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。
         試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
         今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。
         さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
         保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
         「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。
         今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。
        「東京新聞」2011年12月16日 07時06分

        ●「トラウマを消す薬」を米軍が研究
         兵士たちのPTSD(心的外傷後ストレス障害)問題を抱える米国防総省が、「恐怖の消去」に役立つとされる、D-サイクロセリン(DCS)を使った曝露療法の研究に支援を開始した。
         PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ兵士は少なくとも250,000人にのぼるが、これまでのところ、国防総省が試してきた治療法はどれもうまくいっていない。抗鬱薬や行動療法といった従来型のアプローチは、大失敗に終わっている。
         国防総省の助成金によりハーバード大学で大々的に行われたプロプラノロールに関する一連の研究(日本語版記事)をはじめとする、「恐怖を除去する」とされる薬をテストするこれまでの調査も、すべてが期待に反する結果に終わっている。
         こうしたなか、米国防総省は12月13日(米国時間)、軍が実施するPTSD研究に関して、長期にわたって中核となる3つの研究機関に対する合計1,100万ドルの補助金を発表した。ニューヨーク長老派教会病院ワイル・コーネル・メディカル・センター、南カリフォルニア大学、およびエモリー大学において、D-サイクロセリン(DCS)の有効性に関する研究を専門家が行うことになる。
         DCSは、恐怖記憶の消去を促進するとされている薬だ。たいてい、曝露療法(疑似体験療法)の直前に、このDCSを服用する。
         曝露療法とは、心的外傷(トラウマ)による恐怖の連想を無効化するために、安全な環境でトラウマ的体験を再び体験するものだ。心は、過去の出来事を思い出すたびに、その記憶を「上書きする」。曝露療法によって、患者が心的外傷の記憶をより恐ろしくないものに書き直す方向に持っていくことで、悪夢やフラッシュバックなどの症状を著しく改善できることが複数の研究で示唆されている。
         曝露療法の際に用いられるDCSは、恐怖反応の統制に関与している脳の経路に働きかけ、書き直しを促進すると考えられている。DCSにより、脳が学習するプロセスが強化されるようだ。DCSはまた、恐怖反応を司る脳の領域である小脳扁桃にあるレセプターと結合する。そのため、患者がトラウマ体験を再体験している「あいだに」恐怖反応をブロックすることで、DCSは恐怖を出どころから、文字どおり「消去」できると専門家は考えている。
         DCS自体は1960年代から存在しており、最初は結核の治療に使われた[抗生物質の一種]。しかし現在は、抑鬱症、統合失調症、強迫性障害、そしてPTSDなどの症状を緩和して、錠剤の常用をせずにすませられるという可能性のほうに、研究者は関心を向けている。
         エモリー大学の研究チームは、PTSD、高所恐怖症、および強迫性障害の患者に、DCSとバーチャル・リアリティーの利用をすでに試みている。バーバラ・ロスバウムらの同大学の研究チームは2006年以降、患者にDCS、ザナックス[抗不安薬]、また偽薬を用いて、曝露療法の比較実験を行っている。
         一方で、DCSに関する人体研究には、望みが持てない結果が出ているものもある。2010年には、国際トラウマティック・ストレス学会(ISTSS)の大会で、DCSを使った期待はずれの試験が数件、発表されている。
        TEXT BY Katie Drummond
        TRANSLATION BY ガリレオ
        WIRED NEWS 原文(English){この翻訳は抄訳です}2011年12月21日

        ●東京電力、政府に追加支援6000億円要請へ
         東京電力が政府に対し、福島第一原子力発電所事故の賠償金支払いのために6000億円規模の追加支援を年内に要請する方向で調整に入った。
         東電は11月に約1兆円の支援を受けることが決まっている。だが、新たに約150万人の自主避難者らへの賠償金を支払うことになり、将来的に資金が不足するためだ。
         東電は28日にも、政府が賠償支援のために設立した原子力損害賠償支援機構に追加の資金支援を要請する方向だ。政府は26日、警戒区域を来年4月をメドに解除した後、新たに設ける三つの避難区域の詳細を示す方針だ。自宅に戻るまでの期間なども示される見通しで、追加資金の要請額が膨らむ可能性もある。
         東電は11月に政府が認定した緊急特別事業計画で、原子力損害賠償法に基づく国の補償金1200億円と支援機構を通じた約8900億円の計約1兆円の資金援助が認められた。当初はこの資金で年度内の賠償支払いは賄えるとみていた。
        「読売新聞」2011年12月23日03時02分

        ●青森山田の野球部員死亡 上級生からたたかれた後
         青森市の私立青森山田高校の野球部寮で18日深夜、1年生の男子野球部員(16)の容体が急変して意識不明となり、救急搬送された市内の病院で19日未明に死亡が確認された。学校側への取材で分かった。
         同校の説明によると、18日夜、この部員が他の1年生部員3人と寮内で禁止されている焼き肉をしていたところを2年生部員が見つけ、注意したという。その際、部員の背中を2年生部員がこぶしでたたいたところ、直後に容体が急変。連絡を受けた男性コーチが午後11時すぎに119番通報した。部員は市内の病院に運ばれたが間もなく亡くなった。部員は大阪府出身という。
         青森県警は現場にいた他の部員やコーチから当時の様子を聴くとともに、亡くなった部員の遺体を司法解剖して死因を調べている。同校の渡辺俊治事務長は「子どもたちの心のケアを第一に考え、原因究明に当たりたい」と話している。
        「asahi.com」20111219

        ●被災学生に奨学金=返済不要、最長6年―東北大
         東北大学は21日、東日本大震災で被災した学生を対象とする奨学金制度を新設したと発表した。市民や企業から寄せられた寄付金約4億7000万円のうち半分の2億3000万円を充て、返済は不要とする。
         奨学金は被災の程度に応じて3段階に区分。学費を負担していた親などが死亡または行方不明の場合、医学部と歯学部は6年、他の学部は4年間にわたり月10万円を給付する。制度は2016年度までの6年間とし、今年度は自宅の被害が半壊以上の241人に支給する。
        「時事通信」12月21日(水)18時26分配信

        ●<奨学金>新制度創設 低所得学生対象に「出世払い」で返還
         中川正春文部科学相は19日、来年度予算案について安住淳財務相らと会談し、年収300万円以下の低所得世帯の学生が、卒業後に一定の収入を得るまで返済期限を猶予する無利子の貸与奨学金制度を新設することで合意した。中川文科相は「出世払いの奨学金」と銘打ち、来年度の新規利用者約10万人のうち約3万人が対象になると見込む。
         現行の独立行政法人「日本学生支援機構」の貸与奨学金は無利子と有利子の二本立てで、本人の卒業後の年収が300万円以下の場合などについては返済を最大5年間猶予する制度もある。文科省は概算要求に返済不要な給付型奨学金の創設を盛り込んだが、将来の定収入を条件とした猶予制度を設けることで財務省側と折り合った。また、無利子奨学金の新規貸与者の増加分を1万5000人とし、このうち6500人を東日本大震災の被災者枠とする。
        「毎日新聞」12月19日(月)19時59分配信

        ●自殺の悩み、和尚さん頼って 臨済宗妙心寺派がパンフ作成
         臨済宗妙心寺派(大本山・妙心寺、京都市右京区)は、宗派の全寺院で自殺に関する相談を受けようと、パンフレットを作成して全国3400カ寺に置いた。自殺をテーマに研修も始めており、「まずは、和尚さんに相談してください」と呼び掛けている。
         パンフレットはA4判で、自殺予防に重きを置いた内容と、身近な人を自殺で失った人の心身をケアする内容の2種類。「身辺整理を始める」など自殺へのサインとなる言動を記しているほか、「あのとき声をかければと自分を責める」といった遺族の心身の状態を記している。公的な相談機関の紹介も添えた。
         各5万部を作成。各寺院は来訪者が自由に手に取れる場所にパンフレットを置き、求めに応じて話を聞く。相談を聞く場合に注意する言動も全寺院に文書で伝えた。
         妙心寺派は社会問題に関する取り組みを強化するため、2年前から自殺をテーマに研修を進めている。今後は遺族が語り合う場や追悼法要の実施を検討している。栗原正雄教学部長は「寺が自殺問題への意識を高め、身近で相談できる存在を目指したい」としている。
        「京都新聞」12月22日(木)8時49分配信

        ●「戸塚ヨットスクール」で訓練生の30歳男性が重傷で見つかる 「自分で飛び降りた」
         スパルタ教育で知られる、愛知・美浜町の海沿いにある「戸塚ヨットスクール」の敷地内で20日、30歳の男性が倒れているのが見つかった。
         顔や足の骨を折るなどの重傷を負った男性は、戸塚ヨットスクールの訓練生だった。
         男性は、警察に「自分で飛び降りた」と説明している。
         戸塚ヨットスクールは戸塚 宏校長が1976年に開校し、全盛期は100人近い訓練生が在籍していた。
         しかし、訓練生の死亡などが相次ぎ、行き過ぎた体罰が原因として事件化した。
         2009年10月には、戸塚ヨットスクールの3階建ての寮の屋上から、10代の女性の訓練生が飛び降り、自殺した。
         当時、戸塚校長は「(管理態勢に問題はなかった?)だからー、止められると思う? 突発的な行動なんだから」と話していた。
         コーチなどと布団を干していた女性は、突然、高さ1.5メートルのコンクリートの柵を乗り越え飛び降りた。
         両親によると、女性は周囲に「死にたい」とほのめかしていたという。
         また、戸塚校長は当時、「昔は何と言ったんだ? 監禁するから、そういうことが起こると言ったんだよ。今度は監禁しなかったから悪いって言うの?」と話していた。
         2011年、FNNの取材を受けた戸塚校長は、スクールでの体罰について、「人格ができていないから、体罰してつくってやるんですよ。あくまでも体罰は善である。わがままはまずいんだ、言うことを聞かんのはまずいんだと。そいつを直していったらいいんですよ」と話していた。
         スクール側によると、20日、重傷を負って倒れていた男性は、搬送先の病院で「合宿生活に疲れた」と、父親に話しているという。
         スクールによると、男性は16年間ひきこもり状態で、家庭内暴力などもあったため、2010年11月に入校したという。
        これまでに、男性と別の生徒の間で、食事をめぐるトラブルが何度かあり、いじめがあったかもしれないとしている。
         スクール側は、男性に対する体罰はなかったとしたうえで、「男性はいい方に変わってきており、両親もありがたいと話していた中、こういう事態になり残念です」とコメントしている。
        「フジテレビ系(FNN)」12月21日(水)17時48分配信
        感覚の過敏な人たちにとってのストレス
        2011/12/11
         修士論文の追い込みなどで、更新が途絶えていました。
         今年の秋は、超アレルギー性鼻炎に苦しみました。当初、何に反応してるのかわからず(今もって不明)、耳鼻科、眼科、内科まで受診しました。涙、鼻水、くしゃみ、さらに右まぶたの震え(ピクピクとだるーく閉じる感じ)で、ストレスや過労によるものだろうと判断するしかありませんでした。
         アレルギー性鼻炎を抑える西洋薬、漢方薬、点眼薬(これでピクピクは解消へ向かう)で、症状は治まっています。
         ストレス、過労はいつものことなので、今年だけ、顕著な反応が生じたのか? 周囲の人を見ていても、抑うつ気分、風邪などで体調を崩される方が例年以上に多い…。季節性の変調を疑い始めました。
         気分障害でも、季節性(春、秋、冬など)に生じる人が多いですし、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患でも夏場の汗や冬場の乾燥肌などで症状が悪化されます。
         今年は特に、夏暑く、省電力のために空調を控える、そして寒暖の変化の激しい日々が続き、一気に冬に移行しました。気温、気圧、湿度など、対外環境の変化に、身体感覚機能の順応が対応できない→様々な身体症状→気分変調(抑うつ気分など)で、よくわからないまま「しんどい」と感じてしまう毎日が続くと、だれしも参ってしまいます。
         こうした対外環境の変化への順応には個体差があり、それは脳機能面やその速度、感じ方(これも脳機能)の違いですから、人それぞれです。現に、何ともない人もおられます。
         脳機能の、特に感覚機能に過敏さや過鈍さ、反応性やその速度の違いがある方(自閉症スペクトラムの特性のある方に多いようです)は、このような季節・季候によるちょっとした変化で、見てわかる身体症状が出る方、ぱっと見ではわからない気分の落ち込みなど感情面のダメージとして影響します。
         寒いならサムイで安定すれば、適度に寒さ対策をその人なりのやり方で行えば、順応して行けると思います。同じ家族の中でも、寒さの感じ方などが違いますので要注意! 無理したり、気配りが不足していたりで、不要な風邪や胃腸など消化器系疾患、皮膚や眼の疾患などに苦しまなくて済むように、室温や湿度、着衣などに十分に配慮して欲しいと思います。
         それでは、最近の気になる記事です。

        母子家庭6割「教育費不足」=手取り月12万円―あしなが育英会

         父親を亡くし奨学金を借りて高校に通う子を持つ母子家庭の手取り収入は月平均約12万5000円で、6割以上の家庭が教育費の不足を訴えていることが10日、あしなが育英会(東京都千代田区)の調査で分かった。
         調査結果に、筑波大大学院の樽川典子准教授(社会学)は「母子家庭の6割以上が教育費不足を訴えていることは重要な問題だ。貧困がより深刻化し、学習や進路を自由に決める機会が奪われ、貧困が再生産される恐れがある」と指摘している。 
        「時事通信」12月10日(土)

        ●原発賠償:1人8万円、子供・妊婦は40万円…原賠審指針
         ◇避難指示区域外23市町村が対象
         文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久・学習院大教授)は6日、東京電力福島第1原発事故後に政府が避難指示を出した区域以外の福島県内の被災者に対し、対象地域23市町村から避難した人(自主避難者)と自宅にとどまった人(滞在者)に一律8万円の賠償を認めるとする指針をまとめた。放射線の影響が大きいとされる子供(18歳以下)と妊婦は、年末までの精神的苦痛を考慮し、賠償額を40万円とした。来年1月以降の賠償は必要に応じてさらに検討する。
         賠償対象となる対象地域の人口は、県人口の4分の3に当たる約150万人。このうち妊婦と子供は約30万人で、賠償規模は約2160億円に上る。
         対象地域の選定は、放射線量のほか、原発からの距離、実際に避難した人の数などを参考に決めた。能見会長は「低放射線量でも長期間浴びるとそれなりに健康被害が生じる可能性があるという意味での不安がある地域」と説明した。一方、県南地域の白河市や、会津地域の会津若松市など26市町村は対象外となった。対象地域外からの3月15日時点の自主避難者は1164人。
         8万円という賠償金額については、3月15日~4月22日に政府が屋内退避指示を出した、原発から20~30キロ圏内の住民への賠償額を、8月にまとめた中間指針で「1人10万円」としたことを踏まえた。妊婦と子供の40万円は、過去の損害賠償請求の慰謝料に関する判例を参考に「20万~50万円」の間で検討した。どの時点で妊婦だった人が対象かなど具体的な定義について文科省は「指針を基に東電が決める賠償基準の中で考慮される」としている。
         「警戒区域」「計画的避難区域」などに家があり、今回決めた対象地域内に避難した妊婦や子供については、半額の20万円を目安としつつ、滞在期間に応じた金額とすることにした。
         自主避難者と滞在者の賠償金額について指針は、引っ越しなど避難にかかった実費は賠償すべき損害になるとしながらも、避難しなかったことで感じた放射線被ばくへの恐怖や不安を考慮し「精神的損害と生活費の増加費用等を一括して一定額を算定する」として同額にした。実費を認めた場合、費用の計算や自主避難の開始時期を特定するのに時間がかかり、賠償の支払いが滞るのを避ける狙いもある。能見会長は会合後「恐らくもっと(費用が)かかっている方はおられ、不満があるのは当然と思うが、共通して賠償を認めても問題なさそうな金額として算定した」と説明した。「毎日新聞」2011年12月6日

        ●発達障害 県が研究機関 来春  スウェーデンの教授協力
         自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など発達障害の子どもの診療体制を充実させるため、県や県立療育福祉センター(高知市若草町)、高知大などは来年4月、同センターに研究機関を設置する。発達障害研究の先駆者、スウェーデン・ヨーテボリ大のクリストファー・ギルバーグ教授(児童青年精神医学)が協力し、県内の精神科医や小児科医が定期的に集まり、臨床研究などを通じて専門医としての力をつける。

         センターの名称は「高知ギルバーグ発達神経精神医学センター」。18日に県庁で、ギルバーグ教授が同センターを指導・助言する協定を尾崎知事と結んだ。県によると、自治体と大学が連携して同様の研究機関を設けるのは全国でも珍しいという。
         県教委が2009年に行った調査によると、県内の公立小中学生で発達障害の可能性がある児童、生徒は5・1%。同年の県立療育福祉センターの発達障害の受診者数は5574人に上り、10年前と比べ3倍に急増している。県は「発達障害の早期発見、支援体制が必要」として、高知大と姉妹校提携を結ぶヨーテボリ大のギルバーグ教授に協力を求めていた。
         計画では、10人の医師が週1回、同センターで研究会を開催するほか、ヨーテボリ大に医師を派遣して専門医を養成し、研究成果を県の障害者施策に反映させる。ギルバーグ教授も年に1回、同センターで講演会などを開く。
         調印式でギルバーグ教授は「取り組みを通じて発達障害の子どもや親のサポート策を考えていきたい」と話し、尾崎知事は「発達障害研究の最先端を担う機関になれば」と期待を込めた。
        「読売新聞」2011年11月19日

        ●生活保護見直しへ…資産調査・求職支援の厳格化
         生活保護制度の見直し作業を進めている厚生労働省は9日、保護申請者の資産調査の強化や、求職者支援制度の運用の厳格化などを柱とする見直し案を固めた。
         地方との協議で大筋合意しており、12日に公表される中間とりまとめ案に盛り込まれる。見直し案では、申請者の資産調査で、銀行などの金融機関本店に一括して預貯金残額などを照会できるよう制度の整備を進め、不正の芽を摘む。これまでは、本人申告などに基づき各福祉事務所が地域の銀行支店などに問い合わせていたが、調査の限界が指摘されていた。
         今年10月に本格スタートした「求職者支援制度」は、月10万円の給付金を受けながら、パソコンなどの職業訓練を受講する仕組みで、生活保護との併用も可能。見直し案では、受給者が理由なく訓練を中止し、福祉事務所の指導でも復帰しない場合は、保護の停止や廃止を可能にする。これまでは明確な規定がなかった。
        「読売新聞」12月10日(土)3時6分配信

        ●<生活保護>職業訓練中断で停止も…厚労省が検討へ
         厚生労働省は、求職者支援制度に基づく職業訓練を受ける生活保護受給者が理由なく訓練を中断した場合、生活保護を打ち切ることを検討する方針を固めた。同省は「本人が訓練を希望し、ハローワークも就労の可能性が高まると認めたのに合理的な理由なく欠席を続けた場合などを想定している」と説明するが、就労支援強化の名目で安易な打ち切りが乱発される懸念もある。
         7月時点で生活保護受給者は205万人を突破し、過去最多を更新。保護費も今年度予算で3.4兆円に達している。厚労省は東京都や大阪市などと協議を続け、今回の方針は12月のとりまとめに盛り込まれる見通し。
         求職者支援制度は失業者らが無料で職業訓練を受けられ、10月から法に基づく制度として恒久化された。低収入の場合は月10万円が支給され、生活保護との併用も可能だ。
         厚労省保護課は「稼働能力があるのに保護に頼るのは望ましくない。しかし訓練を無理やり受けさせるという趣旨ではない」としており、訓練を中断した受給者が福祉事務所による指導でも改めない場合、保護の停止や廃止を検討するという。
         このほか、改革案としては102億円(09年度)に上る保護費の不正受給対策として、告発を増やすための基準の策定も警察庁と協議のうえ検討する。また、保護費の半分を占める医療扶助を抑えるため、医療機関側の過剰診療を防ぐマニュアルの導入なども提案する。
        「毎日新聞」11月26日(土)2時32分配信

        ●松本死刑囚除き死刑執行回避を訴え 被害団体証言求める
         オウム真理教の裁判の終結により13人の元幹部に死刑が確定する見通しになったことを受け、被害対策弁護団など3団体が21日、東京都内で記者会見し、教団元代表の松本智津夫死刑囚(56)以外の元幹部12人については死刑を執行しないよう求める声明を出した。「事件の再発防止につながる証言をさせるべきだ」と訴えている。
         教団によって殺害された坂本堤弁護士(当時33)の友人で、自らも教団に襲われて被害者となった被害対策弁護団の滝本太郎弁護士(54)は「起訴された元幹部は誰一人として許せないが、12人を執行してほくそ笑むのは首謀者の松本死刑囚だけだ」と語った。
         「日本脱カルト協会」代表理事の西田公昭・立正大教授(51)は「元幹部を社会から抹殺するのでなく、なぜ事件が起きたのか、私たちは元幹部の話から深く学ばないといけない」と述べた。脱会者を支援してきた「オウム真理教家族の会」会長の永岡弘行さん(73)は「教団に家族を奪われたと悩む人は今もいる。全員を取り戻すまで、会の活動は続けていきたい」と話した。
         一方、日本弁護士連合会(宇都宮健児会長)も同日、「教団がテロ行為に及んだ経緯など解明されなかった部分も多く、再発防止のためにも、引き続き真相解明の努力が必要だ。死刑判決も出ているが、社会復帰の道を完全に閉ざす死刑制度の廃止について議論を始め、その間は死刑の執行を停止することを求める」とのコメントを出した。
        「asahi.com」2011.11.21

        ●臨床工学技士が自殺 母親が労災申請 「仕事量変化で心理負担」 京都
         京都市内の病院に勤務していた臨床工学技士の男性=当時(22)=が、就職してから約1年8カ月後に自殺したのは、仕事量の急激な変化で心理的負担が増大したことが原因として、大阪府に住む男性の母親が25日、労働災害を京都下労働基準監督署に申請した。
         母親の代理人弁護士の意見書などによると、男性は平成20年3月から病院で透析治療を担当。21年に先輩3人が退職したため業務を一手に引き受けることになり、強度の心理的負担で精神障害を発症し、21年11月に自殺したという。
         母親は「優しい子だったので『つらい』と私にも言い出せなかったのだろう。弱い人間だから死を選んだのではなく、仕事が原因だったということをはっきりさせたい」と話した。
        「産経新聞」11月26日(土)7時55分配信

        ●「職場で無視 19歳自殺」 東電勤務 究明求め遺族、署名提出
         東京電力山梨支店に勤務していた笛吹市春日居町鎮目、芦沢拓磨さん(当時19歳)が今年6月、自ら命を絶った。「職場で無視されるのがつらい」という遺書が残されていたが、東電は「無視という実態はなかった」との社内調査結果をまとめた。遺族は「職場でのモラルハラスメントが自殺の原因」として、労災認定を申請。28日には、真相究明を求める7370人分の署名を同支店に提出した。
         遺族の関係者によると、拓磨さんは昨年4月、同支店に入社。水力発電所や変電所の保守、点検業務を担当していた。今年2月頃から拓磨さんのブログに、公私ともに面倒を見てくれていた直属上司から無視され始め、現場にも連れて行ってもらえず、事務所に取り残されることが多くなったなどと、仕事の悩みがつづられるようになった。
         拓磨さんは6月16日、笛吹市の山林で首をつった状態で発見された。自宅にあった拓磨さんのパソコンには「無視されてから本当につらい日々を送ってきました。いくら頑張っても取り戻せない状況を作ったのは、すべて私の責任です。本当に申し訳ありませんでした」とする遺書が残されていた。
         遺族側は、拓磨さんに対して職場で繰り返される精神的ないじめや嫌がらせ「モラルハラスメント」があったのではないか、と東電側へ訴えた。東電側は9月1日、社内調査の報告書で「300時間かけて調査したが無視という実態はなかった」と回答。納得できない遺族は11月4日付で、甲府労働基準監督署に労災認定の申請をした。
         署名は、遺族が知人らを頼って集めたところ、県外からも賛同する人が出た。28日、署名を提出した拓磨さんの母ひとみさん(49)は「どうして死を選ぶほど苦悩したのか、その真相をつまびらかにしてほしいだけ」と言葉を詰まらせた。
         東電山梨支店は「ブログに書かれていたような死に至るほどの事実は確認できなかった。今後は遺族の方に誠意を持って対応したい」としている。
        「読売新聞」2011年11月29日

        ●厚労省サーバー感染、PC1万台ネット接続不能
         労災などの業務管理を行う厚生労働省の情報システムのサーバーが、ウイルス対策ソフトを装ったコンピューターウイルスに感染し、同システムにつながる全国約1万台のパソコンが点検のため、今月25日からインターネットに接続できなくなっていることが、わかった。
         情報流出は確認されていない。ウイルスは無差別に感染するタイプとみられ、同省が復旧を急いでいる。
         同省によると、感染したのは、労災の申請や認定、支給などの処理を行う情報システム。今月25日、福岡労働局の職員が、業務中に企業のホームページを閲覧中、パソコンが勝手にウイルス検索を始めるなどしたため、不審に思った職員が申し出て感染が判明した。
         ウイルス対策会社によると、このウイルスはネット上で仕込まれたページを開いただけで感染するタイプで、ウイルス対策ソフトを装ってクレジットカード情報などを要求。2年ほど前から国内でも感染が増加しているという。
        「読売新聞」2011年11月30日

        ●閲覧履歴やID、公衆無線LAN会社が無断傍受
         有名飲食店や商業施設などでインターネットを利用できる公衆無線LANサービスを提供している「コネクトフリー」(東京都品川区)が、利用者に無断で簡易投稿サイト「ツイッター」のIDなどを傍受していたことが分かった。
         通信の秘密の侵害を禁じる電気通信事業法に抵触する恐れもある。同社は6日、読売新聞の取材に「個人の情報を無断で集めていたのは事実で利用者におわびしたい」としたが、「情報は記録していただけで、第三者への提供など利用はしていない」と釈明した。
         無断で集めていたのはこのほか、会員制交流サイト「フェイスブック」のIDや、端末の識別情報、サイトの閲覧履歴など。
         同社ホームページによると、同サービスは昨冬から開始、複合施設「赤坂サカス」(港区)や繁華街、有名飲食店など約40か所に接続ポイントが置かれている。ノートパソコンやスマートフォンなどで無料でネットに接続すると、自動的に情報が同社のサーバーに送信される仕組みだった。
        「読売新聞」12月7日(水)7時47分配信

        ●単身女性、3人に1人が貧困 母子世帯は57%
         勤労世代(20~64歳)の単身で暮らす女性の3人に1人が「貧困」であることが、国立社会保障・人口問題研究所の分析でわかった。2030年には生涯未婚で過ごす女性が5人に1人になると見込まれ、貧困女性の増加に対応した安全網の整備が急がれる。
         07年の国民生活基礎調査を基に、同研究所社会保障応用分析研究部の阿部彩部長が相対的貧困率を分析した。一人暮らしの女性世帯の貧困率は、勤労世代で32%、65歳以上では52%と過半数に及んだ。また、19歳以下の子どもがいる母子世帯では57%で、女性が家計を支える世帯に貧困が集中している。
         貧困者全体の57%が女性で、95年の集計より男女格差が広がっていた。非正規雇用などの不安定な働き方が増え、高齢化が進むなか、貧困が女性に偏る現象が確認された形だ。
        「asahi.com」2011.12.08
        障害者総合福祉法(仮称)の骨格提言を読もう。
        2011/11/20
        障害者自立支援法は、数年で新法である障害者総合福祉法(仮称)に変わっていきます。その中身を、研究者、支援者、当事者家族団体などを含めて検討してきているのが障がい者制度改革推進会議総合福祉部会です。今年の8月30日に、この部会が「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」 ー新法の制定を目指してーを発表しました。現在、それをもとにした検討や追加意見の集約が行われています。
         現行障害者自立支援法の問題点を改善しつつ、実態に合った利用しやすいサービス体系への移行を基本としていて、相談支援の充実、全国共通の仕組みで提供される支援、支援のはざまの解消、障害福祉財源の充実による支援体制(人材や事業所の安定的充実)などが特徴と言えるでしょう。
         高機能の自閉症スペクトラムの特性のある方への支援をさらに新法において充実させるために、この骨格提言に対しての意見を、先日理事を務めるNPOよりJDD-NET(日本発達障害ネットワーク)へ提出させていただきました。JDD-NETからも障がい者制度改革推進会議総合福祉部会に委員が出ているためです。
         提出した意見の要点は以下のものです。
        ・支援センターの圏域毎の設置が提案されているが、圏域に1カ所以上などにとどまらず、要件を満たす事業所や有資格者個人の事業所なども「積極的にアウトリーチ」する対象とし、相談支援の仕組みや人材の充実・確保へ。
        ・福祉サービス事業所における利用時間内で「相談したい」ニーズが生じた時に、可能な限りその場その時に「相談支援面接」等が行えるよう、その仕組み・体制の保障を。
        ・「…ピアサポートや家族自身による相談支援を充実する(エンパワーメント支援事業)」の具体化に向けて、障害特性や関わり方などをご家族等が理解することが支援に不可欠な枠組みであり、家族会や家族教室、当事者会等の開催・運営を相談支援センターで行うだけでなく、現在通所中のサービス事業所において積極的に行えるよう保障を。
        ・生活訓練から就労継続支援B型への移行は、現在(平成24年3月末まで)過渡的な移行期間として可能であるが、この期間終了後は法に定める通り、就労移行支援を経た後に就労できない場合に就労継続支援B型への移行ができるという体系となるため、生活訓練受給期間終了後に新たに2年間の就労移行支援事業所利用が必要となるが、生活訓練から就労移行支援サービスへの移行は発達障害特性のある方にはハードルが高すぎる方が多く、要らぬ「失敗体験」をしてしまうことにもなるため、提案されている「デイアクティビティーセンター」は現行の生活訓練と就労継続支援B型等を柔らかく包むサービスとして同じ受給者証(それが残るとしたら)で利用できるものにするとともに、「障害者就労センター」への移行も安全にゆるやかに行える体系に。
         意見は意見として、データで残るようにすべき、と以前、霞ヶ関の方に教えられましたので…。
         骨格提言はそんなに長いものではありませんので、ぜひ読んでみてほしいと思います。
        ○障害者制度改革推進会議 総合福祉部会 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/
        ○「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」  http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/dl/110905.pdf
         それでは、この2週間の気になる記事です。

        <過労死>労災認定企業名の開示を命令 大阪地裁

         従業員が過労死などで労災認定された企業名を不開示とした大阪労働局の決定は違法として、「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(62)が決定の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁(田中健治裁判長)は10日、不開示の取り消しを命じる判決を言い渡した。弁護団によると、労災認定を巡って企業名の開示を命じた判決は初めて。
         原告側は09年、大阪労働局に02~08年度の労災補償給付の支給決定年月日と企業名の開示を求めた。労働局は決定年月日を開示したほか、職種や疾患名などの一部の情報を任意開示したが、企業名は個人情報の特定につながるとして、不開示としていた。
         判決は企業名を公表したとしても「一般人が他の情報と照合しても、企業名から特定の個人を識別するのは不可能」として、情報公開法の不開示情報に当たらないと指摘。不開示は違法と判断した。
         国側は「企業名が開示されれば社会的評価が低下する」と主張したが、判決は「取引先の信用を失ったり、就職を敬遠されたりする恐れは可能性に過ぎない」と退けた。
         判決は、労働局の資料に企業名の記載欄がなかった04年度以外を開示対象とした。
         大阪労働局は「今後の対応については、判決内容を検討し、関係機関とも協議して判断したい」としている。
         ◇49歳で自殺…飲食店店長、ノルマに追われ
         寺西さんの夫は96年、49歳で自殺した。夫は飲食店店長で、人手不足の中で厳しいノルマに追われた末の過労死だった。寺西さんは夫の死後に労災申請し、01年に認定を受けた。夫の勤務先に損害賠償を求めた1審で勝訴し、控訴審で和解。社長が寺西さんに謝罪した。
         寺西さんは過労死で家族を亡くした人の支援を始め、一つの企業で複数の過労死が起きている実態を聞いたという。寺西さんは判決後の会見で「企業名の公表で、企業が本気で過労死などの防止策を考える流れを作りたい。こうした企業の実態を知らずに就職する人が多く、企業名は公表されるべきだ」と指摘した。
        「毎日新聞」11月11日(金)3時6分配信

        ●自閉症児の脳は過度に発達、出生前に起因か 米研究
         自閉症の少年7人の遺体解剖の結果、彼らの脳が自閉症ではない少年のものより重く、ニューロン(神経細胞)の数も多かったとする研究結果が8日、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)に発表された。少人数ながら、自閉症児の脳の過成長が子宮内で起こっている可能性を示すものだと指摘している。
         米国の研究者らは、2歳から16歳までの自閉症の少年7人の遺体の脳を調べた。死因は大半が溺死だが、8歳児1人は筋肉のがんで死亡し、16歳少年1人の死因は不明だ。
         事故で死亡した自閉症ではない少年6人(対照群)の脳と同じ年齢で比較してみると、自閉症の少年の脳は前頭前皮質にあるニューロンの数が対照群の脳より67%多く、脳の重さも各年代の平均より18%近く重かった。
         皮質ニューロンは出生後に生じることはないため、自閉症児におけるニューロンの病的な多さは出生前に起因していたことになる。研究者らは、「出生前の細胞誕生や細胞維持が不完全だったことが、自閉症の発症に関係している可能性がある」と指摘した。
         前頭前皮質は、言語や意思伝達のほか、気分や注意力、社会的能力を司っている。自閉症児は通常、これらの点が得意ではない。
         米ユタ大(University of Utah)のジャネット・ラインハート(Janet Lainhart)氏らは解説記事で、「(自閉症の人では)脳を作り上げるなんらかの要因が阻害されているようだ」と記した。
         ただし今後は、こうした関連性の検証や、脳の相違が自閉症の程度にも関連しているのかなどを調べる研究が必要とされている。
         今回の論文によると、脳や頭部に異常な成長が見られる生後9~18か月の時期に自閉症の兆候が現れる傾向があることが、これまでの研究で示されているという。(c)AFP
        「AFP」2011年11月11日 17:37 発信地:ワシントンD.C./米国

        ●再犯者率最悪42.7%=少年院出所者を初調査―犯罪白書
         平岡秀夫法相は11日の閣議に2011年度版犯罪白書を報告した。10年の刑法犯認知件数は227万1309件で、02年をピークに8年連続で減少したが、再犯者率は42.7%と、1989年に統計を取り始めて以降、過去最悪を更新した。法務省は、再犯防止には若年者の犯罪対策が不可欠とみて、少年院出所者の追跡調査を初めて実施するなど実態把握に努めている。
         法廷での審理を伴わない道路交通法違反などを除く10年の一般刑法犯の検挙人数は約32万3000人。このうち、犯罪で再び検挙された再犯者は13万7614人で、再犯者の割合を示す再犯者率は前年比0.5ポイント増の42.7%となり、97年から一貫して上昇し続けている。
         受刑者のうち、刑務所に再入所する人数も04年から増え続け、10年は前年比1.3ポイント増で全入所者の56.2%(1万5205人)を占めた。
         20歳未満の少年の再犯者の割合を示す再非行少年率は31.5%で、98年から増加の一途をたどり、75年の調査開始以降で最悪の水準。特に、強盗で検挙された少年のうち61.9%、恐喝では60.8%が再び非行に走った。
         こうした現状を受け、法務省は04年1~3月に少年院を出所した当時18~19歳の男女644人の追跡調査を初めて実施。25歳までに39%(248人)が再犯で刑事処分を受けていた。一方、女子の再犯は5%(2人)にとどまった。再犯の時期は20~21歳に集中していた。 
        「時事通信」11月11日(金)8時13分配信

        ●HP作成1億4千万円!3次補正で過大計上指摘
         自民党の茂木政調会長は8日の衆院予算委員会で、2011年度第3次補正予算案に盛り込まれた事業の一部に「過大な予算計上」があると指摘した。
         取り上げられたのは、環境省の外局として12年度に新設される原子力安全庁のホームページ(HP)作成費1億4000万円、法務省の衛星携帯電話購入費(1274台分)4億7600万円の2件。衛星携帯電話は平岡法相が、電池パック込みで1台34万6500円、通信1回線約5000円で計上したと説明した。
         茂木氏は「ホームページは数十万円程度で開設できる」「携帯電話はスマートフォンの最新機種でも4万6000円」などと主張し、予算額が「高すぎる」と批判した。ただ、党の賛成方針を踏まえて予算案の修正は求めず、「全額使わなければよい」と注文した。
        「読売新聞」2011年11月9日03時05分

        ●生活保護、7月は205万人超 通年で過去最多の可能性
         厚生労働省が9日に公表した今年7月の生活保護受給者数は、前月より8903人多い205万495人で、通年の平均で過去最多だった1951年度の204万6646人を上回った。受給者数が毎月1万人前後のペースで増える傾向にあり、今年度は通年でも最多になる可能性がある。政府は貧困対策の強化を求められそうだ。
         生活保護を受けている世帯数も、前月より6730世帯多い148万6341世帯で、過去最多を更新した。世帯の種類別で最も多いのは「高齢者」。63万527世帯と、全世帯の42%を占める。働ける現役世代を含む「その他」は25万1176世帯。リーマン・ショック前の3年前の同月(11万7005世帯)に比べて2倍以上に増えた。仕事が見つからず、生活保護を受けざるを得ない世帯が増えているとみられる。生活保護費の支給総額は、10年度で3兆2289億円にのぼる。
         市区町村別でみると、大阪市が15万1097人で最多だった。
        「asahi.com」2011.1109

        ●生活保護:中年層急増、自立意欲にハードル
         生活保護の受給者数が過去最多になった。背景には働く能力のある中年層の急増があるが、失業してひとたび保護を受けると、意欲があっても再就職のハードルは高い。東京23区で最多の約2万5000人が受給する足立区で、現状を追った。【石川隆宣】
         10月末。中高年の受給者を対象にした区の就職面接会が開かれた。専門家による面接研修などをセットにした全国初の取り組みで、8月に続き2回目。32歳から63歳までの36人が参加し、14社が面接を行った。警備や清掃、タクシー、建設関係の職が多い。
         「自分は中間層だと思っていた。生活保護という制度があるのも知らなかった」。エントリーシートの書き方を真剣に聞いていた男性(49)は受給して2年が過ぎた。大学の工学部を卒業し、外資系企業でシステムエンジニアとして働いた。一時は年収が800万円あったが、会社は国内から撤退。派遣で働き始め、08年秋のリーマン・ショックを機に収入が途絶えた。車いす生活の父親もおり、賃貸住宅の立ち退きを迫られた時、生活保護を知って申請した。
         これまで70社に応募し、すべて不採用。短期のアルバイトでつなぎながら職種を広げて探すが、保証人がいないことや年齢がネックになっている。面接で「生活保護を受けている」と告げると、相手の態度が変わることもあるという。今回の研修には、すがるような気持ちで臨んだが、すぐには決まらず、パート職の2次面接を待つ段階だ。
         元コンビニ店員の30代男性は「いくらバイトしても自立できる収入にはならない。その上、収入分が保護費から引かれるので、意欲が薄れそうになる」と言う。交通事故で足にけがをして店を辞めた。この日の面接会では事務職に申し込んだが「未経験の人を育てる余裕はない」とやんわり断られた。
         会場にブースを設けたタクシー会社は「予想以上に良い人材がそろっていた」と驚いた。しかし、参加企業はなかなか集まらない。「生活保護受給者というだけで敬遠されるのだろうか」と区の担当者は嘆く。
         福岡県出身の男性(52)は塗装業を営み5人の従業員を雇っていたが、不況で受注が減り廃業。ホームレスも経験した。「生活保護のおかげでどん底から抜け出せた。同時に後ろめたい気持ちもある。仕事を見つけて自立したいのに」
         8月の研修には59人が参加したが、本採用は1人。今回は当日中に就職が決まった人はゼロだった。足立区の高橋秀幸・自立支援課長は「就労にはきめ細かな支援が必要だが、保護の新規申請手続きに追われ、現場は手いっぱい」と話す。
         面接訓練などの就労支援は各地で行われている。厚生労働省によると、昨年度支援を受けた受給者は全国で8万8631人いるが、このうち職を得られたのは35%、生活保護から抜け出せた人は6%にとどまる。
         埼玉県で生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典・代表理事は「雇用がなく格差と貧困が広がる現状で、自立できる収入を得られない人が多いのは当然。行政は仕事おこしや専門家によるマンツーマン支援の体制づくりを急ぐとともに、生活保護を受給しながら働く道をもっと積極的に認めていくべきだ」と訴える。
        「毎日新聞」2011年11月9日

        ●西日本山岳、北海道も=低濃度で沈着可能性―福島原発のセシウム・国際チーム
         東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質のうち、半減期が約30年と長いセシウム137が、3月20日からの1カ月間に中部や中国、四国地方の山岳地帯や北海道の土壌に沈着した可能性があることが分かった。米大学宇宙研究協会(USRA)や名古屋大、東京大などの国際チームが14日までに行ったシミュレーションの結果で、米科学アカデミー紀要電子版に発表される。
         これらの地域の大半は人体に影響を及ぼしたり、除染が必要だったりする汚染濃度ではないと推定される。ただ、局所的に濃度が高いホットスポットが存在する可能性があり、詳細な調査が必要という。
         USRAの安成哲平客員研究員や名大の安成哲三教授、東大の早野龍五教授らは、ノルウェーで開発された地球全体の大気輸送モデル(20キロ四方単位)とヨーロッパ中期予報センターの気象データ、文部科学省の降下物観測データを組み合わせシミュレーションした。
         その結果、日本列島へのセシウム137沈着量は1カ月間で1000ペタ(ペタは1兆)ベクレル以上と推定された。福島県を中心に東北、関東の太平洋側の沈着量が多いのは文科省の航空機モニタリング結果などと一致したが、中部、中国、四国の山岳地帯や北海道でも、低気圧が通過した際に同原発からセシウム137の微粒子を含む風が流入し、雨で沈着した可能性が示された。 
        「時事通信」11月15日(火)5時8分配信

        ●「植物状態」でも意識あり、脳波で意思伝達可能に カナダ研究
         脳波を検査すれば、実際には意識があるのに永続的な植物状態にあると誤診するケースを防げるとする論文が、10日の英医学誌「ランセット(Lancet)」に発表された。携帯可能で安価な診断手法や、意識のある患者と意思疎通を可能にする技術の開発に期待がかかる。
        「昏睡状態」が意識がなく覚醒してもいない状態を指すのに対し、「持続的あるいは永続的な植物状態」は「自己や環境についての意識はないが覚醒した状態」と定義されている。この「持続的な植物状態」は、脳死と異なり法律上は人の死と認められていない。
         カナダ・ウエスタンオンタリオ大学(University of Western Ontario)の研究チームは、脳を損傷して植物状態になった患者16人と、健康な対照群12人の頭皮に脳波を測定するセンサーを装着し、脳活動に起因する電気信号を記録した。
         自分の右手と左右のつま先を動かす場面を想像してみてくださいと告げたところ、患者16人のうち3人に、正確かつ持続的にはっきりとした脳波が検出された。実際には動かすことはできなかったものの、体の部位を動かすよう指示された時の頭頂部の電気信号は、制御信号と完全に一致していた。
         論文は、この実験だけでこれら3人の患者の「内面世界」に関する結論を導き出すことはできないとしながらも、指示を理解し脳内で処理する作業は持続的な注意力を要し、正しい答えを選択し言語を理解するなど、複雑だと付記した。
         ◇患者とのコミュニケーションも可能に
         この脳波検査に基づく診断手法は、脳内の血流を監視し植物状態の患者の意識を探る実験にも用いられてきた機能的磁気共鳴画像法(fMRI)ほど高感度ではないと考えられている。だが、fMRIスキャナーは極めて高価なうえ、交通事故で脳を激しく損傷した場合など体内に金属が入った患者には使用できない。
         ウエスタンオンタリオ大の研究者らは脳波診断について、安価で携帯可能なため広く活用でき、客観的な結果が示される手法だと話している。診断の精度を向上させ、全身が麻痺していても意識のある患者と意思疎通を図ることも可能になるかもしれないという。
         心的イメージの差異をリアルタイムで分類できるよう改良が進めば、単にイエスかノーかの回答にとどまらず、表現豊かな双方向のコミュニケーションが可能になるだろうと、論文は締めくくっている。(c)AFP
        「 AFP」2011年11月10日 18:19 発信地:パリ/フランス

        ●精神疾患の医療計画、うつ病と認知症に重点- 厚労省検討会で方針
         厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)は16日、現行の「4疾病5事業」から「5疾病5事業」として新たに追加する精神疾患に関し、次の計画で盛り込む医療体制の指針について議論した。厚労省は、急増するうつ病と認知症に重点を置いた指針を作成する方針を示した。
         厚労省は、精神疾患の医療計画で目指すべき方向として、その特性を踏まえ、福祉との連携を強調。「住み慣れた身近な地域で、福祉や介護、就労支援など、さまざまなサービスとも協働しながら、必要な医療が受けられる体制」とし、患者の病期や状態に応じて求められる医療のイメージを描いた。その上で、医療計画の作成に当たっては、二次医療圏とほぼ重なる「障害保健福祉圏域」や「老人福祉圏域」などとの連携を考慮するとの案を示した。
         また、精神疾患の患者数は、全体で320万人(2008年)を超え、特に、入院では認知症患者、外来ではうつ病など気分障害の患者が、それぞれ増加しているのが目立つと指摘。このため、うつ病と認知症についての記載は、より分かりやすくなるように指針を工夫することを提案した。
         委員の反対はなく、うつ病と認知症対策の重要性を強調する声が相次いだ。一方で、地域生活への移行の難しさなどを指摘する意見も多く、「家族が受け入れを拒否することもある。精神疾患に対する偏見や差別を払しょくしてこそ、いろんな施策があり得る」「精神疾患に関するケアマネジャーらの教育がないと、地域で実際的な対応はできないのではないか」など、受け入れ体制の充実が求められた。
        「CBnews」2011.11.17

        ●無理して嫌な仕事する人は失業者よりストレス高く短命の調査
         白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によると、命を縮めるストレスは、失業者が一番大きいとは限らないという。以下、白澤氏の解説だ。
           * * *
         今年9月の日本の失業率は4.1%、リーマンショック以来高い失業率が続いている。病院の外来では、失業中の「ストレス食い」が原因で体重のコントロールができなくなったメタボ患者が増えた。
        実際、再就職できないと、なかなかメタボを脱却できないのが現状だ。しかし、最近の研究によると、無理して満足度の低い仕事を選ぶと、かえってストレスが増え、短命に終わる可能性が指摘されている。
         オーストラリア国立大学のピーター・バターウォース博士らは、同国で2001年から行なわれた全国的な家計収入・労働状況に関する調査をもとに、7155人の回答者を追跡し、仕事の就業状況とメンタルヘルスを調査した。
         メンタルヘルスの尺度として、世界で広く使われているSF-36という質問表が用いられた。
        SF-36は36の質問によって身体機能や体の痛み、全体的健康感、活力、心の健康など8宇つの事項を測定するもの。0~100点満点で、得点が高いほどメンタルヘルス状態がいいと評価される。
         調査の結果、仕事がある人の平均スコアが75.1、失業中の人が68.5、失業しているが仕事を探していない人は69.1だった。興味深いことに、性別、年齢、経済的な困難の状況などを考慮して分析すると「最も割の悪い仕事についている人は、失業している人よりも、スコアが5.6ポイント低く、かえってストレスが強くなっている」ことが判明した。
         逆に仕事の質が高いグループは、スコアが平均3.3ポイント高かった。
        「週刊ポスト」2011年11月25日号

        不登校対応など、教育行政は形骸化そのもの。
        2011/11/16
        先週あたりにTwitterでつぶやいた教育行政に関する話題をまとめてみます。
         8月13日に公文書公開請求を行い、9月末に公開された向日市の小中学校の平成22年度の問題事象や特別支援教育に係る公文書をざっと見ての感想です。
         22年度のスクールカウンセラーの活動状況について。6つある小学校でSC配置は1校。そのSCが扱った相談は年間延べ446件で、その内、「教師との関係」が241件とされていました。そして、相談者は「教師」が204件。SC配置の目的が、本来の目的から逸れながら、教師の相談対応になっていて、それ自体はそれでいいのでしょうが、子どもたち177人、保護者41人、教師204人の相談者の中で、SCに相談した内容で半数を超えるのが「教師との関係」。ということは、子ども・保護者の相談の大半が「教師との関係」についてSCに相談している、ということになるのでしょうか? だとすると、学校そのものが機能不全化していて、その問題解決をSC頼みにしているということになります。
         22年度のスクールカウンセラーの3つの中学校での活動状況について。生徒数、SC配置数、延べ相談件数は以下の通りでした。
        A:628、2、159
        B:385、1、225
        C:304、1、208
         相談者の内訳、生徒、保護者、教師、合計は以下の通り。
        合計 A:112、46、1、159
           B:87、49、87、225
           C:109:21、78、208
         A校では教師の相談が年間1名しかいない?? 生徒数が多いことからでしょうが、実働はともかく他校に比べて1名多い2名体制。こんな学校はめずらしいのではないでしょうか。にも関わらず、教師は1名しか相談していない…。「SCには相談するな」という管理職からの圧力があるとしか思えない結果です。
         B、C校では校内の教職員の相談やコンサルテーション機能が働いているようですが、A校では抑制がかかっているために、生徒もSCへの相談に躊躇し、教師は問題や課題を抱え込んでいるとしか思えない結果も出ています。A校の不登校での生徒の相談件数は他校と大差はありませんが、「性格・行動」などの相談が異常に少ない(A:16、B:58、C:98)。
         そして不登校の出現率は3.97%、人数では市内全体の60%と高い状況です。
         不登校出現率は、B校1.55%、C校2.79%、3校合計の平均は2.96%だからA校が俄然引き上げています。
         SC活用は抑制されているとしたら、SC活用を学校管理者が阻害しているという問題になると思われます。A校の出現率は、11年前は4.39%、10年前は5.14%。当時の校長は、学校管理目標は「校則遵守」「学校秩序維持」と言って憚りませんでした。
         校長が替わったり、職員が替わったりという変化はこの10年であるでしょうが、市内の「モデル校」的存在であることは変わっていません。この「モデル」的存在というのが問題改善を阻害しているとしか思えないのです。SC活用も無視して、管理統制が今でも行われているのでしょうか? 教職員も相談相手を持てない学校…。
         もう一つの向日市の22年度の特別支援学級実態調査。対象となる児童生徒数は小学校56人、中学校27人(?)。中学校の通級(自校および他校)は13人とのこと。1,317人の生徒だから0.987%。発達障害特性のある児童生徒がみんな特別支援学校に通っているとは思えないので、数字だけを見ていても疑問だらけです。
         要するに特別な配慮や支援が必要と思われる児童・生徒に気づいていない、理解しようという意識がないということなんでしょうか? 小中各校で「特別支援教育全体計画」などが作られていて、45枚もの資料が公開されました。でも、どれも似たような「年間方針」だけで、「会議録」や「総括」などは1枚もありませんでした。「特別」にしない教育実践が行われているのなら問題はないのですが…。
         10年余りの追跡調査(?)になっていますが、A中学校の生徒指導を「管理統制」で何とかしよう、という姿勢はどうやら変わっていないという残念な結果が見えてきました。迷惑を被るのは、子どもたち、ご家族、そして地域社会です。教育委員会は、「問題事象」とSC活用の関連性、「特別支援教育」のあり方、といった視点から、各学校現場での子どもたちの人権(学習権をはじめとして…)が守られているかどうかを、そろそろ検討してもらいたいと思うこの頃です。
         それでは、今週の気になる記事です。

        <「健康格差」対策>収入・職業・学歴など要因 日本は「後進国」

         収入や職業、学歴などの社会的要因による健康状態の格差を減らす対策を話し合う世界保健機関(WHO)の国際会議が19~21日、ブラジルで開かれる。欧米や韓国などでは政府が数値目標を掲げて「健康格差」対策を進めるなど関心が高く、参加予定80カ国の過半数は大臣級の代表が出席する。一方、日本でこうした観点の対策はなく、会議にも省庁の担当者レベルの参加を検討するにとどまり、専門家からは積極的な取り組みを求める声が出ている。
         健康格差問題に詳しい日本福祉大の近藤克則教授によると、80年代以降、欧州を中心に研究が進み、健康は遺伝や生活習慣だけでなく、社会的要因によっても左右されることが明らかになった。英国では、ブレア政権が国としての数値目標を設定して対策を推進。WHO総会では09年、加盟国に健康格差是正へ向けた取り組みの推進を勧告する決議が採択された。
         対策の対象は医療だけでなく、都市計画や労働、交通、税制など政策全般に及ぶ。WHOは政策や事業の実施にあたって、事前に健康への影響を評価する「健康影響予測評価」の実施を勧告。欧米では政策に取り入れる国も増えてきている。道路建設に際して評価した結果、地域コミュニティー分断や交通事故などによる健康への影響を考慮してルートが変更された例もあるという。
         今回の会議では、各国の対策の成功例や失敗例を共有し、今後の進め方を検討する。先月末時点で80カ国が参加を表明し、うち49カ国は大臣級が出席する予定だ。一方、日本は「厚生労働省か外務省の担当者レベルの出席を検討しているが、具体的な人選は決まっていない」(厚労省国際課)という状況で、具体的な対策を進める体制もない。
         国内でも近年、社会的要因による健康格差を示す研究成果が報告されている。愛知県の高齢者約1万5000人を対象にした調査では、所得水準が低いほど精神疾患や脳卒中、肥満などの割合が高いとの結果が出た。学歴が低いほどがんや外傷による死亡率が高いことや、収入が低い人ほど運動をしていない割合や喫煙率が高いとの研究もある。
         経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の貧困率は14・9%(03年)で加盟30カ国中4番目に高い。非正規雇用労働者の増加などで、所得格差の指標となる労働所得の「ジニ係数」も87年以降一貫して上昇。日本学術会議は先月、健康格差の実態調査や対策の推進を国に提言した。
         近藤教授は「米国で経済格差の拡大に抗議する若者たちの抗議行動が起きているが、日本でも非正規雇用の若者が増えるなど似たような状況になっている。将来、国民の健康問題に発展する恐れがある。今回の会議を機に、日本も積極的に対応すべきだ」と話している。
        「毎日新聞」10月12日

        ●いじめ後遺症 文科省、支援へ調査 敵対心・憎悪…癒えぬ心の傷
         ◇「いじめ→不登校→ひきこもり」負の連鎖断ち切れず
         文部科学省が不登校生徒の追跡調査に乗り出すのは、子供時代のいじめの「後遺症」が、その後の「ひきこもり」につながっているとの指摘があるからだ。
         いじめによる心の傷は簡単に癒やされず、「いじめ→不登校→ひきこもり」の負の連鎖を断ち切ることは難しい。支援団体には、社会生活に支障が出ているケースも報告されており、専門家は長期的な支援作りの必要性を訴えている。
         文科省によると、全国の小中学校の不登校児童・生徒数は平成9年度に初めて10万人を突破した。近年は減少傾向にあるが、「高止まりの状態」(文科省)に変わりはない。22年度は11万4971人で、2・3%の約2600人が「いじめが原因」と回答し、17・1%に当たる約2万人が「友人関係や教職員との関係」を理由に挙げている。
         「思春期に激しいいじめを受けた人の中には、人間に対する敵対心や憎悪の気持ちが生まれ、一生外に出られない人もいる」。東京都内でひきこもりの人たちの社会復帰を支援しているNPO(特定非営利活動)法人「不登校情報センター」(東京都葛飾区)の松田武己理事長はこう訴える。
         松田理事長は相談に訪れた先で、いじめ被害によって、中学卒業から何年も経過した後でも憎悪の気持ちが消えない人を目にしてきた。「いじめは被害者の人生を棒に振らせることもある」と指摘する。
         ひきこもりの人の社会参加を後押しするNPO法人「リーラ」(東京都豊島区)では週に3回、「居場所」と称してひきこもりの30歳前後の人たちと対話の機会を持つ。
         「居場所」のスタッフは、かつていじめを受けて不登校になった被害者や、その保護者たち。相談に乗るうちに、ひきこもりの人たちが「学校でいじめられていたため、学校を出た後も対人恐怖がある」「人と関わると、いじめられていたことがフラッシュバックする」などと悩みを打ち明けられるという。
         いじめが原因で家族以外と親密な関係を築くのが難しいという人たちに対し、市川乙允理事長は「ここが、あなたにとっての『居場所』です。信じてもらえる仲間がいます」と根気強くサポートしていくことで、社会参加を促している。
         法政大の尾木直樹教授(臨床教育学)は「学校を卒業したからといって、いじめの苦しみから解放されるわけではない。ネット依存になる人たちも含めれば、いじめ被害の後遺症に苦しむ人は多い。被害者の生の声を拾う実態把握を急いだ上で、社会全体でその後のケアに取り組むための長期的な支援作りが必要だ」と訴える。
        「産経新聞」10月5日

        ●普通学級で多くの経験を 名古屋・瑞穂区の難病少女 父親が訴え 北区で通学へ体制考える学習会
         人工呼吸器を着けた子どもが普通学級に通える体制づくりを考える学習会が、名古屋市北区の市総合社会福祉会館であった。来年4月に小学校入学を控える瑞穂区の林京香ちゃん(6つ)と父親の智宏さん(36)が、「地域の学校でいろいろな経験をし、健常者の子と学び合って育ってほしい」と訴えた。 (日下部弘太)
         京香ちゃんは生後8カ月で脊髄性筋萎縮症と診断された。人工呼吸器を着け、胃ろうで栄養を取っている。目や指を動かして意思を伝えている。
         智宏さんらは一般の小学校で学べるよう、市に対してたんの吸引をする看護師の配置を求め、市教委が検討している。大阪や三重、千葉などすでに配置されている例は多い。
         智宏さんは「好奇心旺盛で、ブドウやイクラ、アイドルグループの『嵐』が大好き」と京香ちゃんの人となりを紹介。菓子作りや花火、プール、リンゴ狩りなどに挑戦してきたという。
         今は市の療育センターに通い、月2回は地元の保育園にも通園。「最初は物を取られて泣いたりもしていたが、自然に溶け込み、楽しんで行っている」と紹介。「京ちゃんはいろんな友だちをつくりたい、話したいという希望がある。障害児だから守られて、ではなく、できることは挑戦したい」と述べた。
         京香ちゃんと同じ病気を抱えながら小学校から高校まで普通学級で過ごした大阪府池田市の折田涼さん(22)も講演し、ドッジボールや海での水泳の思い出を披露。「友だちや先生がクラスの一人として接してくれ、多くの経験ができた」と振り返った。
         会は障害のある子を持つ親らでつくる「名古屋『障害児・者』生活と教育を考える会」が開き、130人が耳を傾けた。
        (中日新聞)2011年10月12日)

        ●職場や家にかかってくる勧誘電話の撃退法は?
         マンション販売や教材販売、株取引など、会社や自宅には様々な商品・サービスの勧誘電話がかかってくる。断っても長時間ねばったり、頻繁に電話してくる業者も少なくない。しつこい勧誘電話をうまく断るにはどうすればいいのか? ヒューマンディスカバリー・インターナショナル代表で、『イラッとされないビジネスマナー社会常識の正解』(サンクチュアリ出版)などの著書がある尾形圭子さんに聞いてみた。
         「同じ勧誘電話でも、会社にかかってくるものと、自宅にかかってくるものでは、電話する業者側の姿勢が少し異なります。会社の場合、業者はまず上司や代表者など決裁権のある人に取り次いでもらおうとします。自宅の場合は、電話を受けた当人が買う・買わないを決めるので、その人自身に買わせようと説得してきます」
         となると、会社と自宅で対応も変わってくる。具体的にどうすれば?
         「会社での場合は上司や代表者に取り次がないことが重要。用件を聞き、『○○から(あるいは弊社では)そのようなお話は取り次がないよう言われております』と伝えましょう。取り次いでもらえないとわかれば、たいていの業者は引き下がるはずです。その後、『申し訳ありませんが、今後、二度とお電話しないでください』などと続けると、再び電話がかかってくることも防げます」
         ◇自宅への電話は、相手に質問するのが効果的だ。
         「自宅の電話番号をどうやって知ったのか尋ねたり、相手の会社名や電話番号、本社所在地、代表者名などを質問してみましょう。業者側は自分のことを探られるのを嫌いますから、ほとんどの場合は相手から電話を切り上げるでしょう。『今ネットで会社名を調べてみます』などと伝えるのもいいですね」
         ちなみに特定商取引法では、勧誘電話をする側は会社名やその目的を明かすことが義務付けられている。会社名や用件を言わない業者には「それは違反では?」と聞いてみるのも効果的だろう。また今年10月から宅地建物取引業法の一部が改正され、マンション販売に関して、一度勧誘を断った相手をしつこく勧誘し続けるような行為は禁止された。迷惑だと思ったら、はっきりと「迷惑です」「二度と電話しないで」と対応すればよいということ。
         なお、「怒鳴り返したりすると、業者側が言葉尻を捉えて逆ギレする可能性もゼロとは言い切れません」(尾形さん)とのこと。冷静かつきっぱりと対応し、しつこい勧誘電話をスマートに撃退するべし!
        「gooニュース」2011年10月8日(土)

        ●7カ月…「いつまで居られる」 京滋公営住宅の避難者
         東日本大震災で京都府と滋賀県の公営住宅に避難した被災者から、入居期限の延長を求める声が高まっている。府、京都市ともに現状では1年としているが、福島第1原発事故の影響で帰郷のめどが立たない人が多い。11日で震災から7カ月。被災者は「いつまで居られるのか」と先行きへの不安が消えない。
         「少なくても2年は京都で暮らしたい」。福島県郡山市から京都市山科区の市営住宅に避難してきた辻本繭子さん(37)は入居期限の延長を訴える。
         放射能の懸念から、夫(41)を残して3人の子どもとともに逃れてきた。一向に進まない事故処理。余震の恐怖もある。「当面は戻れない」
         6年前に建てた一戸建てのローンを抱えながらの二重生活で、経済的負担は大きい。家賃が免除される市営住宅はありがたい存在だ。入居契約は6月27日付で、1年の期限では小学5年の長女絹花さん(11)が6年生の途中で転校せざるを得なくなる。「できるだけ勉強に支障がない形にしてあげたい」と気に掛ける。
         同じ市営住宅に福島県いわき市から4月下旬に移った江尻アイさん(84)は地震で家が傾いた。倒壊の危険性もあるが、費用の問題もあり修繕や建て替えに踏み切れずにいる。一人暮らし。「入居期限が過ぎたら、どこに行けばいいのか」。家財道具も少なく広々とした部屋でつぶやいた。
         7日現在、府内の公営住宅に入居している避難者は232世帯664人、滋賀県内では35世帯105人に及ぶ。このうち京都市営住宅に入居する76世帯は、福島県からが75%を占め、来年3月から順次入居期限を迎える。
         今月5日、山科区の市営住宅に避難する主婦らが市役所を訪ね、期限延長を求める要望書を提出した。同住宅では55世帯のうち少なくとも45世帯が期限延長を求めているという。「帰りたくても帰れない」「住む場所があっての安心。何とか理解を」。主婦らは住宅提供への感謝を述べながら、帰郷が見通せない不安を市担当者に訴えた。
         これに先立つ8月下旬には、府営住宅に住む避難者も同様の要望書を府に提出している。
         要望を受け、府は期限を2年とすることについて検討を始めた。被災地の応急仮設住宅の入居期限に準じた期間という。市住宅政策課は「避難者の実情を踏まえながら前向きに検討している」、滋賀県も「ほかの自治体の対応を参考にしたい」とし、いずれも柔軟な姿勢を見せている。
        「京都新聞」10月10日(月)8時59分配信

        ●生活保護 職業訓練を”要件に” 厚労省検討 欠席者は受給廃止も
         雇用保険を受けられない失業者に月10万円を給付し職業訓練を行う「求職者支援制度」が10月から法制化されたことを理由に、同制度を生活保護受給の事実上の要件とすることを厚生労働省が検討していることがわかりました。職業訓練を欠席した場合、保護を停・廃止することも打ち出しています。生活保護法の改定に向けて非公開で行っている国と地方の協議のなかで、厚労省が示したものです。
         厚労省は協議の中で、生活保護の適用の前に、他の法律による扶助を優先して適用するという生活保護法の規定を引き、求職者支援制度の法制化により、同制度が優先すべき扶助の「対象になる」との見解を示しています。
         そのうえで厚労省は、生活保護受給者が同訓練を「合理的理由なく利用しない場合や訓練を欠席する場合には、指導指示など所定の手続きの上で保護の停・廃止ができることとするのが適当ではないか」と述べ、求職者支援制度を活用しない場合、保護を廃止することを打ち出しました。
         協議に参加している自治体側からは「現状の雇用情勢を総合的に判断すれば、保護の停・廃止は難しい」との声が上がりました。
        <解説>生活保護の要件に求職者支援制度 実態見ない厚労省
         厚労省はこの間、生活保護受給者の急増、なかでも働ける年齢層の増加を問題にし、その層を生活保護から追い出すための制度改悪を検討しています。求職者支援制度を生活保護の事実上の要件にしようとするのもその一環です。求職者支援制度を関門にして受給者をせばめ、訓練を欠席したことを理由に保護を打ち切る狙いです。
         同省は、「職業訓練の活用によって就職実現が期待できるにもかかわらず、合理的な理由もなく利用せずに漫然と保護を受給することは国民感情としても認められないのではないか」と述べています。しかしこれは、あまりに実態にあわない議論です。
         求職者支援制度は10月から法制化されましたが、訓練の内容は地域によってばらつきや偏りがあり、希望する訓練が受けられるとは限りません。受講したら必ず就職できる保証もありません。
         自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛代表理事は「そうした訓練を生活保護の要件にするのは、職業選択の自由を奪うものだ」と批判します。訓練を提供する事業者には、就職率を一定程度あげることが求められているため、「就職の見込みが低い人が受講をはねられるおそれがある」とも指摘します。
         生活保護の改善を求める生活保護問題対策全国会議は、▽求職者支援制度の給付金は生活保護法にいう「他の法律に定める扶助」に当たらない▽他の法律による扶助を「優先」することと「要件」とすることは異なる―などをあげ、厚労省が同制度活用を受給の要件にすることは違法だと指摘しています。
         生活保護制度の見直しを議論する国と地方の協議では、自治体側から慎重論が出ています。しかし、政令指定都市長の集まりである指定都市市長会は、7月の厚労省への緊急要請で求職者支援制度を生活保護に「優先する制度として定めること」を要望しています。今後の議論の成り行きは予断を許しません。
         働ける年齢層の生活保護が増えているのは、リストラ、非正規化などの雇用破壊と中小業者の経営悪化などで働きたくても職がないからです。
         生活保護受給者が、「漫然と保護を受給」しているかのようにいう厚労省の主張は、現実を見ないものです。
        「しんぶん赤旗」2011年10月9日(日)

        ●年金支給開始年齢 引き上げ検討へ
         厚生労働省は、年金の支給開始年齢について、急速に進む少子高齢化に対応するには、将来的に68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、今週から本格的な議論を始める方針です。
        年金の支給開始年齢を巡っては、厚生年金について、男性は2025年度、女性は2030年度までに段階的に65歳まで引き上げ、基礎年金と合わせることがすでに決まっています。これについて、厚生労働省は、急速に進む少子高齢化に対応するには、さらに68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、今週から社会保障審議会の部会で本格的な議論を始める方針です。具体的には、引き上げるスケジュールを3年に1歳ずつから2年に1歳ずつに早めて、65歳への引き上げ時期を前倒ししたうえで、基礎年金とともに、68歳から70歳程度へ引き上げる案などを示し、定年制の見直しなど高齢者の雇用対策も含めて慎重に議論を進めることにしています。一方、60歳から64歳で、年金と給料の合計が月額28万円を超えると年金が減額される、「在職老齢年金制度」の現在の仕組みについて、働く意欲を阻害しているという指摘があることから、厚生労働省は、減額の対象となる限度額を、65歳以上と同じ46万円や、平均的な給与水準に合わせた33万円に緩和する案などを示し、検討していくことにしています。
        「NHK NEWSweb」10月9日

        ●全国民必読 まやかしの再雇用 いつわりの年金 「仕事はない、年金は大幅減額」 60過ぎたら、この世は地獄
         ハッピーリタイアメント、定年後は悠々自適など、夢のまた夢。地獄が待っていた。当てにしていた年金は先延ばしにされたうえ、大幅減額。代わりに用意したという職場では邪魔者扱い。この国はおかしい。
         ◇平均年収200万円
        「入社以来、事務部門に勤務していました。退職前は課長職になり、部下も十数人従え、年収は1200万円あった。定年後、再雇用を希望すると、『幸い、北海道の営業所で販売課長の職が残っていますよ』と言われたので、年収は300万円台に下がるけれど、2~3年は働けるだろうとホッとしていたのですが・・・・・・。
         いざ赴任して与えられた仕事は、カバン片手に中小零細企業を回って、新規顧客を開拓する営業職。部下はひとりもいない代わりに、販売課長という肩書を持った再雇用者がすでに4人いて、誰もが毎日必死に走り回っている。営業経験がなかった私は、まったく契約が取れぬまま精神的に参ってしまい、3ヵ月で辞めて東京に戻りました」(大手事務機器メーカー・61歳)
         国民年金はすでに支給開始年齢が順次上がっているが、2013年度から厚生年金の報酬比例部分も現行の60歳から3年ごとに1歳ずつ上げられ(男性の場合)、最終的に65歳が年金支給開始年齢となる。
         だが、大多数の企業の定年は60歳。企業年金が整備されていない会社も多く、無収入・無年金生活が現実のものとして迫ってきた。
         こうした事態を避けるため、65歳までの雇用を確保しようという趣旨で生まれたのが「継続雇用制度」のひとつである「再雇用制度」。政府が’04年に高年齢者雇用安定法を改正してつくった制度で、定年退職者を企業が一度退職させて再び雇用するというものだ。
        「政府は、定年の引き上げか定年の廃止、あるいは継続雇用制度の導入のいずれかの措置をとることを企業に求めました。この中から企業はどれを選択したか。’10年6月1日現在、社員30人以上の規模の会社で、定年を廃止したのは2.8%、定年を引き上げたのは13.9%、対していわゆる再雇用制度を導入した会社は83.3%と、圧倒的に多かったんです」(『よくわかる継続雇用制度導入の実務と手引き』の著書がある、特定社会保険労務士の川端重夫氏)
         現在の日本では、60歳を過ぎて新たな再就職先を探そうにも、高齢がネックになってやりたい仕事はなかなか見つからない。ましてコンビニでレジ打ちをするよりは、それまでお世話になった会社に残ったほうが、働きやすいはず。だから、企業の再雇用制度導入には大賛成と思う人は多いかもしれない。
         しかし、冒頭の告白にもあるように、再雇用制度は多くの〝不幸〟を孕んでいる。
         まず第一に、給与が大幅に下がることを覚悟しなければならない。
         一般に、企業は再雇用者の賃金を定年前の給与の3分の1程度に抑えている。平均的な再雇用者の年収は200万円台で、300万円台だったり、賞与が払われるなら恵まれているほうだ。中にはアルバイト同然の時給制になっている企業もある。
        (続きは http://gendai.ismedia.jp/articles/-/22319 で)
        「週刊現代」/経済の死角2011年10月11日
        これってDV? 発達障害かも?
        2011/11/06
        配偶者が、自分の意見が正しいと一切曲げようとしない、説明しようと話を続けると怒り出してキレる、話を聞こうとしない、給与明細を見せない、自分の行動の全てを監視しようとする、ささいな事で一日中怒っている、でも後で素直に謝る、思い通りにならないとパニックになる…。
         こうした配偶者の言動が日々続くと、パートナーは恐れや怯えを感じる状態になることが少なくありません。一般的には「DV」(暴力、暴言、心理的、性的…)と扱われても仕方ない状態に見えますが、自閉症スペクトラムの特性としてのパニックが生じている場合があることを知っておいて欲しいと思います。
         行為そのものはDVと言えるでしょうが、原因や関係性などが違います。心理的に耐えられない状態になる、と言う点も共通していますが…。
         認知(ものの考え方や捉え方)の違いや、独特のルールに当てはめようとする、理解してもらうために説明する言葉が理解できなかったり一つの単語にこだわって否定的に受け止めて怒りが増す、配偶者や子どもに対して理屈的に支配的である、等々。脳機能の違いやそれによる特性として理解・解釈すると、いわゆるのDVでないことがわかってきます。
         こうした言動の原点に、不安や怯えが本人さんにあるということを知っておいて欲しいと思います。大切な配偶者がどこかへ出かけるとしたら、どこへ行くのか、誰と会うのか、いつ帰るのか、などがわからないという不安から、確認したい。子どもが将来いじめられたりせずに成功して欲しいという不安や怯え、強い期待から、完全な子育てをしたい。などの、ある意味とても狭い考え方で自身の行動を決め、必死に正当化しようとしてしまうことが少なくありません。
         される側にしてみれば、迷惑この上ない言動に思えるでしょうが、本人にしてみれば愛情そのものの表現であり素朴な思いでしかない場合がほとんどで、残念な「行き違い」が生じこじれて行ってしまうわけです。
         一般的な暴力的あるいは支配的言動と「ちょっと違う」と感じる部分があれば、自閉症スペクトラムの特性を考えて頂き、その視点からの相談ができる所につながって欲しいと思いますが、そんな相談先は数少ない現状です。相談支援やカウンセリングに関わる人には是非、自閉症スペクトラムの特性について、ご一緒に学びを深めていって欲しいと思います。

        東電は歴代経営陣に賠償請求を…株主が要請へ

         東京電力福島第一原発事故で東電に巨額の損失が生じたのは、経営陣が地震や津波の安全対策を怠ってきたためだとして、株主らが東電に対し、歴代の経営陣に損害賠償請求訴訟を起こすよう求める書面を提出する方針を固めたことが分かった。
         請求額や対象者を検討した上で、今月中にも提出したいとしている。提出後、60日以内に東電が提訴しない場合、株主代表訴訟を東京地裁に起こすという。
         株主の一人は「このままでは、過去の経営陣の責任追及があいまいになってしまう。裁判で責任の所在をはっきりさせるべきだ」と話した。一方、東電は「内容を把握していないので、コメントは差し控える」としている。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111103-00000869-yom-soci
        「読売新聞」11月4日(金)7時26分配信

        ●児童虐待死、大阪が全国最多…3年半集計
         2008年~11年6月の3年半に、大阪府は、児童虐待による死者数が15人と全国最多だったことが読売新聞の集計でわかった。
         東京10人、神奈川、埼玉各9人、愛知8人など大都市圏が続く。人口規模も大きい地域だが、専門家は「都市部は地域のつながりが薄く親子が孤立し、虐待が起きやすい」と指摘、積極的な介入支援を求める。
         11月は児童虐待防止推進月間で、啓発行事や相談の呼びかけなどが全国で行われる。
         警察庁や都道府県警の統計を分析した。この3年半に虐待死した子供(18歳未満)は全国で120人にのぼり、70~90%が0~5歳に集中していた。都市部の犠牲者が多いのと反対に、鳥取、島根など12県で死者がゼロだった。
         けが人などを含めた被害者の総数は全国で1190人で、これも大阪が91人で最も多く、埼玉79人、神奈川77人が続いた。
         大阪は、100万人あたりの死者数は1・7人で、宮城(2・14人)、京都(1・9人)に次ぐ。被害者数も、08年17人(うち死者3人)、09年31人(同3人)、10年31人(同7人)、今年上半期12人(同2人)と常に全国上位だ。
        「読売新聞」11月2日(水)7時43分配信

        ●韓国で中学生が自殺、遺書に「iPodと一緒に埋葬してください」
         韓国紙「京郷新聞」は30日、10月下旬に釜山に住む中学2年生の男子学生が、建物の20階ベランダから飛び降り、自殺したと伝えた。成績不振により両親から叱られたことが原因と見られている。
         記事によると、男子学生は携帯音楽プレーヤー「iPod」を欲しがっており、両親は中間試験の成績が良ければ買ってあげると約束していた。しかし、成績は振るわず、男性学生はiPodを買ってもらえないだけでなく、成績について叱られた。
         学生は遺書に、「今回の試験は本当に頑張ったけど思い通りにならなかった。成績で非人間的な扱いをするこの世界から離れることにした」と成績が原因で死を選んだことを説明。「成績で人間を評価するこの世界から離れたい。韓国がなぜ自殺率1位なのか分かってほしい」と述べ、「iPodと一緒に埋葬してほしい」と最後の願いを記した。
         この事件について、記事は「音楽プレーヤーやスマートフォンは、子どもたちにとって寂しさから逃れるために無くてはならない存在のようだ」と子どもとIT機器の関係について指摘している。
         成績不振などで親から叱られて傷ついた時、自身を癒してくれるのは音楽プレーヤーやスマートフォンしかないのだという。「インターネットには自殺で悩む子どもたちで溢れている。みな、親から裏切られた子どもたちだ。『お前さえいなければよかった』という母親の言葉に傷ついた子どもなどがいる」とし、男子学生が最後までiPodを望んだのは、単純に物欲を満たすためではなく、心の欠落した部分を埋めるためだったのではないかと考察している。
        「livedoor > ニュース > 韓国 > 提供:韓フルタイム」2011年10月31日23時40分

        ●2号機原子炉にホウ酸水注入=核分裂の可能性で―福島第1
         東京電力福島第1原発事故で、同社は2日未明、2号機の原子炉格納容器から1日に採取したガスを分析したところ、半減期が短いキセノン133、同135が検出された可能性があると発表した。溶融燃料の核分裂反応を否定できないとして、2日午前2時50分ごろから原子炉への冷却水注入ラインを使い、ホウ酸水の注入を開始した。
         2号機の原子炉の温度や圧力、周囲のモニタリングポストの放射線量に異常な変動はないため、念のための措置としている。 
        「時事通信」11月2日(水)4時50分配信

        ●生活保護受給、過去最多に=7月、不況で205万人超―厚労省
         今年7月に生活保護を受けた人が、1951年度の204万6646人(月平均)を超え、過去最多を更新したことが5日、明らかになった。受給者数は前月(204万1592人)よりも1万人程度増加し、205万人を突破したもよう。厚生労働省が9日にも、関連の集計値などを盛り込んだ福祉行政報告例を公表する。
         景気や雇用情勢が好転しない中、多くの人が経済的に困窮していることを改めて示した形で、就労支援の強化や生活保護に陥る前のセーフティーネットの重層化など、国はさらなる貧困対策を求められそうだ。
         受給者数がこれまで最も多かったのは、戦後間もない51年度の204万6646人。経済成長とともに徐々に減少していき、95年度には88万2229人と底を打った。その後、不況などにより受給者数は増加に転じ、2008年のリーマン・ショックを引き金に急増した。
        「時事通信」11月6日(日)2時34分配信

        ●アマゾン電子書籍契約は妥当か無茶か 大手は反発、中小は興味示す?
         ネット通販最大手の米アマゾンが各出版社に電子書籍の契約書を送ったと報じられ、その内容が妥当か無茶かどうかを巡って論議になっている。
         日経が2011年10月20日付朝刊1面トップでアマゾンが日本で年内にも電子書籍事業に参入とスクープしたのに続き、今度は一部メディアがその「契約書内容」を報じた。
         ◇売り上げの55%をアマゾンになど
         それは、ライブドアのサイト「BLOGOS」が29日に配信した「『こんなの論外だ!』アマゾンの契約書に激怒する出版社員」だ。
         記事によると、アマゾンは、10月上旬に日本の出版社約130社を集めた説明会を都内で開き、出版社には、それから数日後に「KINDLE電子書籍配信契約」が送られてきた。
         そこでは、すべての新刊を電子化してアマゾンに提供し、出版社がそうしないときはアマゾンが電子化すること、アマゾンの推奨フォーマットでは、売り上げの55%をアマゾンのものとすること、書籍より価格を低くすること、そして、出版社が著作権を保有すること、などの条項が挙げられていた。アマゾンへの回答期限は、10月31日までになっている。
         記事では、説明会に参加したある中堅出版社の怒りの声を紹介した。その書籍編集者は、いずれも出版社側には不利となる内容で、特に、出版社が著作権を保有するのを1か月以内に決めろというのは無理難題だと反発している。欧米流の著作権管理だが、著者から了解を取るなど難しい手続きが必要だからだ。
         こうした契約書内容は、本当なのか。
         日経が「詰めの交渉」中と報じた小学館や集英社では、それぞれ「交渉は進展しておらず、内容も守秘義務があるのでお答えできません」「(日経で)報道されている事実はありません」とだけコメント。交渉中という講談社でも、「契約状況はまったく明かせません」とした。一方、日経がアマゾンと合意したと報じたPHP研究所(京都市)は、その報道を否定。検討中ではあるものの、まだ合意していないとし、内容については、「守秘義務がありますので、一切話せません」と言っている。
         ◇大手は「無茶」多く、中小の一部は理解示す
         アマゾン・ジャパンに取材すると、広報部は外出中だったため、契約書内容の事実関係は確認できなかった。
         もし内容が本当だとすると、出版社には受け入れられるものなのか。
         ある大手出版社の担当者は、アマゾンの契約書について、「あんな無茶な要求は、飲むわけがありません」と明言した。特に、出版社が著作権を保有するという条項については、著作物の複写などを認める著作隣接権を出版社が求めても著者らが拒否しているような状況で、実現させるのは難しいと指摘した。
         また、この出版社はアマゾンと交渉中だが、飲めない条項ではそもそも交渉しない。こうしたことから、担当者は、「同一の契約書を配っているとは思えませんね」として、アマゾンが中堅出版社などとの二刀流を使っている可能性を示唆した。
         アマゾンと交渉している別の大手出版社では、出版社が著作権を保有という条項の話はないといい、「そんな厳しいことは無理では」と漏らした。売り上げの55%をアマゾンのものとすること、すべての新刊を電子化してアマゾンに提供することなどの提示もなかったという。
         一方、中小の出版社からは、アマゾンの条項は必ずしも法外とは言えないとの声も出ている。ある出版社は、契約書は来ていないとしながらもこう話す。
         「55%は法外かもしれませんが、出版社に入る利益は、紙と大差ないんですよ。電子書籍なら、取り次ぎへの支払いや印刷などのコストがかからないからです。著作権の保有についても、アップルがiTunesを手がけたときに無理とぼろくそに言われながら成功していますし、ケースバイケースでしょう。大手の営業の力が強くて本をなかなか書店に卸せない中小の出版社にとっては、逆にチャンスかもしれないですね」
         ネット上でも、アマゾンの契約書について、賛意を示す書き込みも多い。「半分以上とかボリ過ぎだろ」といった指摘もあるが、「消費者は望んでいます」「動揺してたら作家と直接取引し出すぞ」との声が出ている。
        「J-CASTニュース」11月1日(火)19時52分配信

        ●スマホ上げ潮、人材争奪 DeNAなど、高報酬で囲い込み
         スマートフォン(高機能携帯電話)の隆盛を受け、ネット各社の間で交流サイト(SNS)やゲームのアプリ(専用ソフト)開発に携わるエンジニアの人材争奪戦が過熱している。エンジニアへの報酬も高騰しており、ディー・エヌ・エー(DeNA)などは中途採用者に200万円程度の入社一時金を支払うなど人材確保策を強化。海外に技術者を求める動きも出ており、限られたエンジニア争奪戦は今後も続きそうだ。
         「(ソフトなどの)作り手が完全に不足している」
         サイバーエージェントの藤田晋社長は会見でこう話し、1年間で中途・新規合わせて計300人を採用する方針を表明した。ネット広告代理店としてスタートした同社は近年、ブログ「アメーバ」を中心としたネットサービスへのシフトを強めており、アプリ開発のエンジニア確保が不可欠となっている。
         2009年9月期に従業員の10.8%だったエンジニアの割合は、11年9月期に36.6%に急上昇。「中長期の競争力の源泉は技術者」(中山豪常務)といい、採用強化にも余念がない。
         昨秋から無料講座「エンジニアアカデミー」を3回開催した。関連技術などを教え、最終課題をパスした受講者に内定を出して人材を確保する狙いで、前回は10人中5人が入社した。新たに12月に2講座を各10回にわたって開講する計画だ。
         ◇エンジニアの教育も重要
         金融業から同講座を経てサイバーエージェントに入社したエンジニアの丸山隆司さん(32)は「大きな仕事に取り組めると思い入社した。(エンジニア需要が急増しているのは)個人的には歓迎したい」と話す。
         そもそもサイバーエージェントがこの講座を開始したのは、競合他社が昨年夏に中途採用のエンジニアに入社一時金を支払い、人材を確保する制度を打ち出したことに対抗するためだ。昨年8月、DeNAやグリー、動画サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴなどは、基準を満たしたエンジニアに200万円以上の入社準備金を支給する制度を発表した。それが今年は500万円を用意する会社も登場している。
         各社とも自社でアプリを開発する内製化の動きを加速させており、エンジニアの絶対数の確保が不可欠。同じ会社でも他職種より高い給与を提示し、入社後の昇給基準も異なるという。
         ヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパンの篠原光太郎取締役は「従来のウェブと比べ、スマホ関連のエンジニアの賃金は4、5割増。トップクラスでは年収数千万円を支払うケースもある」という。
         海外に人材を求める動きも出始めた。グリーは欧米やアジア、南米にも拠点を立ち上げており、「日本でもすでに10%弱が外国人。日本や海外といった限定を設けず採用していく」(中西一統・ヒューマンリソース本部長)方針だ。今年3月に402人だった同社の社員数は6月末に約1.5倍の600人に増加。早期に1000人とし、4割近くをエンジニアにする予定という。DeNAも全社員数は1604人だが、スマホ向けの開発体制を国内外で年度内に1000人とする計画だ。
         サーチファームの篠原氏は「エンジニアの報酬は米シリコンバレーに比べるとまだ低く、人材争奪の動きは今後も加速する」と指摘した上で、「日本で最も元気があり、世界で戦える数少ない産業の一つだけに、今後はエンジニアの教育も大事になってくるだろう」と提言している。
        「フジサンケイ ビジネスアイ」11月3日(木)8時15分配信

        発達障害のある方の「訓練」について考える。
        2011/10/30
        2週間ぶりの更新です。
         最近のTwitter上で、「他に言葉ないんだからしょうがないんだけど、発達障害者の「訓練」っていう言い方、すごい差別的で失礼だと思うんだけど!」、「子どもに対してはぎりぎり「訓練」という言葉を使ってもいいが、苦労して大人になった成人発達障害者にその言い方はないだろう!」、「「訓練」というと、何か使えないものを使えるようにする、みたいな感じがしますね…。」、「「お前らは歪んでるから矯正してやる」みたいなものを感じるよね。「わざわざやってやるんだ」的なニュアンスも見え隠れする。」、「訓練じゃなくて支援でしょう。」…など、発達障害特性があるために「社会適応(参加)」や就労困難な状態にある方々に対して行われる様々な取り組みに「○○訓練」などと「訓練」という名称が付けられていることへの違和感が、当事者の方々からつぶやかれています。
         就労(技能)、生活、対人関係、社会適応、などに「訓練」や「スキル」という単語がくっついて、障害者自立支援法にもとづく障害福祉サービスをはじめとして、公的制度においても、民間の施設や支援団体などでも、こうした表現が一般化しているのが実態です。
         「訓練」や「スキルトレーニング」などの名称は、上記コメントをつぶやかれた当事者さんたちが違和感や差別感などを感じてしまうのも、もっともなことだと思います。
         何かの能力や技術などが不足、欠落、未獲得、不十分な状態を補完して、社会適応できるようにすることを、定型社会では「訓練」などの言葉で脈々と表現してきているのですから。発達障害は様々な能力に関する脳機能の偏りや、それがあるがゆえにその後の成長において「失敗や苦手=無理やできない」という認知形成が進んでしまったことで、不得意なことが「見えやすい」ことが多く、そのために定型発達者(と言われるマジョリティー?)が形成した様々な「社会」において、「不適応」な状態になってしまうことが少なくありません。
         私的には、「スキルトレーニング」はギリセーフで、「訓練」はやはり「上から目線」の用語に思えますが、福祉サービス等の行政用語が、発達障害を対象とする以前に作られていて、その体系が継続されていることや、支援者間の共通言語として一般化している現状で、名称を変えることは、時間のかかる作業だとも思えます(もちろん必要で努力しなければなりませんが…)。
         昨日、Amazonで届いた『発達障害 工夫しだい 支援しだい』(しーた:著、梅永雄二:監修、Gakken)の中で、しーたさんは、「「発達障害」とは「普通の型」にはまらない例外」「無限のバリエーションがあります」「(このバリエーション)すべてに共通するマニュアルなんて、作れるわけがありません!(きっぱり)」「発達障害の人が上手に生きるためのマニュアルは、きちんと発達障害の当事者と正面から向き合って、それぞれの当事者にオリジナルのマニュアルを丁寧に作りこんでいかなくてはならないものなんです」と書かれています。また同書で、監修の梅永氏は佐々木正美氏の次の話を紹介しています。
         「自閉症スペクトラムの人に社会性を求めるトレーニングをすることが、どれだけ自閉症スペクトラムの方を苦しめていることでしょうか。自閉症スペクトラムの人が社会性のトレーニングをするのではなく、回りにいる私たち、親や教師などの支援者が、トレーニングして彼らとの接し方を学ぶべきです。ソーシャル・スキル・トレーニングは、回りの人たちにこそ必要なのだと言ってもいいくらいです」
         1章のタイトルは「苦手なことは工夫でカバーする」、4章のタイトルは「自己肯定感を土台にする」です。私が相談支援面接を本人さんやご家族としている時に頻繁に使っている言葉です。これに「特性を理解する、本人さん自身の個性を理解する」を加えつつ、個別の支援(相談支援や集団的支援などの)計画を本人さんと一緒に見つけて行くことこそが大切なんです。「支援計画」は作れば良い、提出すれば良い、というものでは決してないことを付け加えておきます。
         それでは、今週の気になる記事です。

        <原発>再稼働「賛成」自治体ゼロ

         ◇半数、協定の意向「ある」
         国の原子力安全委員会が原発事故時の避難検討範囲を原発から半径30キロ圏内に広げる防災指針案を固めたことについて、毎日新聞は20日、新たに避難対象になるとみられる20道府県84市町村に緊急アンケートを実施した。回答した自治体の5割近くが電力事業者と原子力安全協定を結ぶ意向が「ある」としており、再稼働や増設へのハードルが高まる可能性がある。
         「脱原発」を明確にした福島県を除く全国15カ所の原発周辺84市町村に尋ね、79市町村から回答を得た。協定を結ぶと新設・増設時に首長や議会の了解が必要となるが、結ぶ意向が「ある」自治体が36、「未定」が41、「ない」は2だった。原発の再稼働への賛否では「どちらともいえない」が51自治体と最も多く、安全対策などの充実を前提とした「条件付き賛成」が17、「反対」2、「賛成」はゼロ(無回答9)だった。
        「毎日新聞」10月21日(金)7時30分配信

        ●小中学生の体内から少量のセシウム 福島・南相馬で検出
         福島県南相馬市の市立総合病院は、9月下旬から検査した市内の小中学生の半数から少量の放射性セシウム137が検出されたことを明らかにした。事故直後に呼吸で取り込んだものか、事故後に飲食物を通じて取り続けたものか不明のため、病院の責任者は「定期的に調べて健康管理につなげたい」と話している。
         小中学生527人を最新の内部被曝(ひばく)測定装置で調べたところ、199人から体重1キロあたり10ベクレル未満、65人から同10~20ベクレル未満、3人から同20~30ベクレル未満、1人から同30~35ベクレル未満のセシウム137を検出した。
         セシウム137が半分になるまでは約30年かかるが、体からは便などとともに排出されるため、大人で100日程度、新陳代謝が高い小学校低学年生で30日程度で半分が出ていく。
        「asahi.com」2011.10.24

        ●<福島第1原発>1~4号機の廃炉まで30年以上
         ◇原子力委員会がまとめた第1原発の廃炉工程
         東京電力福島第1原発1~4号機の廃炉措置について、内閣府原子力委員会がまとめた報告書案が26日、分かった。使用済み核燃料プール内の燃料は2015年以降、原子炉内の溶融燃料は22年以降、取り出し作業を始め、廃炉終了には「30年以上を要する」との長期見通しを初めて盛り込んだ。報告書案は、28日に開かれる原子力委の中長期措置検討専門部会で了承される見通し。
         ◇【すべてはここから】津波に襲われる福島第1原発を多数の写真で
         第1原発では、炉心溶融した1~3号機の原子炉内に計1496本、1~4号機の使用済み核燃料プール内には3108本の燃料集合体が残っている。廃炉実現のためにはこれらを回収し、長期間にわたって安定的に冷却・保管する必要がある。
         報告書案によると、廃炉措置は原子炉の「冷温停止状態」を年内に達成したうえで、早ければ来年からスタートする。原子炉内の溶融燃料回収のため、原子炉建屋内をロボットなどで除染したうえで、格納容器の損傷部分を修復。さらに、放射線を遮蔽(しゃへい)するために格納容器全体を水で満たす「冠水(水棺)」作業を実施し、22年以降から燃料回収を始める。
         一方、プール内の燃料は比較的損傷が少ないが、2号機を除いて水素爆発で原子炉建屋が大きく壊れ、取り出すための既設のクレーンが使用できない。このため、新たにクレーンを設置し、4号機近くにある一時貯蔵施設「共用プール」を整備したうえで、15年以降の回収を目指している。
         報告書案では、すべての燃料回収までに約20年かかった米国のスリーマイル島原発事故(79年)の経緯を踏まえたうえで、「廃炉措置が終了するまでには少なくとも30年以上の期間を要する」と推定。早期の廃炉実現のためには、(1)海外専門家の助言を積極的に得る(2)計画が不調な場合は臨機応変に対応する(3)実際の現場作業に必要な研究や開発を優先する(4)国内の技術者の育成につなげる--の四つの基本方針を示した。福島原発では4基の廃炉措置を同時並列で進める必要があり、スリーマイル事故や旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)と比較しても、きわめて困難な作業となることが予想される。このため、報告書案は「官民挙げたオールジャパン体制で進める必要がある」と強調。そのうえで、来春に発足する「原子力安全庁」とともに、廃炉の進捗(しんちょく)状況をチェックする第三者機関の設置の必要性も初めて盛り込んだ。
        「毎日新聞」10月27日(木)2時30分配信

        ●柏市の高濃度放射性物質 雨水から土壌蓄積か
         千葉県柏市根戸の市有地で採取した土壌から高濃度の放射性セシウムが検出された問題で、調査に当たった文部科学省放射線規制室の中矢隆夫室長は23日、「福島第1原発事故によるセシウムを含んだ雨水が濃縮され、土壌に蓄積した可能性が高い」との見方を示した。
         文科省はこの日、現場付近の状況を確認し、放射線量を測定。近くの破損したコンクリートの側溝から雨水が土壌にしみ出し、高い線量が蓄積したとみられる。中矢室長は「雨水がたまりやすい所は線量が高くなるが、これほど高くなったのは周りの状況ではないか」と指摘し「結果を持ち帰り、できるだけ早く除染を始めたい」と話した。
         現場は福島第1原発の南西約195キロメートル。毎時57・5マイクロシーベルトの線量が測定されたため、柏市が22日に土壌を調査。地表から30センチの深さで1キログラム辺り27万6000ベクレル、地表面でも同15万5300ベクレルのセシウムが検出された。現地調査は当初24日に予定されていたが、市が22日の検査結果の重大性や天候を考慮して早めるよう要請、文科省が応じた。
         この市有地には戦時中、旧日本陸軍の軍事施設があったが、関連性は薄いとみられる。
        「スポーツ報知」10月24日(月)8時3分配信

        ●東電、国に1兆円支援申請へ…今年度賠償分 福島原発
         東京電力は、福島第一原子力発電所の事故の賠償金支払いのために最大1兆円規模の財政支援を国に申請する方針を固めた。
         11月上旬に国と東電が策定する緊急特別事業計画に盛り込む。2年間で4・5兆円と試算されている賠償総額のうち、2011年度分の賠償額に絞って支援を求める。支援の前提として、電気料金の本格値上げを見送る一方、来年度中に柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働を実現させる方向で調整している。
         緊急計画は、東電の経営を調査する「経営・財務調査委員会」が10月3日に発表した報告書をもとに国の原子力損害賠償支援機構と東電が策定し、枝野経済産業相が11月上旬に認可する。
         賠償支払額は年内に限れば7000億~8000億円、年度内まで見通せば1兆円規模になる見通しで、支援機構と東電が申請額の詰めの調整に入っている。
        「読売新聞」2011年10月18日03時04分

        ●政府、復興債の償還期間延長へ…15~20年
         政府・与党は18日、「10年間を基本」としていた東日本大震災の復興債の償還期間を延長する方針を決めた。
         復興財源確保法案などの2011年度第3次補正予算案の関連法案の早期成立のため、償還期間の延長を求める野党の公明党などに配慮した。具体的には償還期間を「15~20年」とする方向で検討している。
         民主党の前原政調会長は18日、国会内で、自民党の茂木、公明党の石井啓一両政調会長と個別に会談した。石井氏は「公明党内には15~20年が望ましいとの意見がある」と伝え、前原氏は「意向に沿えると思う」と前向きに検討する考えを示した。
         一方、前原氏は茂木氏に対し、償還期間について20年間程度にする考えを伝えたが、茂木氏は応じなかった。自民党は建設国債に準じ、償還期間を60年程度とするよう求めている。
        「読売新聞」10月19日(水)3時16分配信

        ●<自転車>歩道走行禁止、厳格運用…警視庁が安全対策策定へ
         警視庁は、自転車の車道左側走行の原則を順守させ、これまで積極的に摘発していなかった歩道走行の取り締まりを徹底する方針を固めた。そのうえで自転車のルール順守や走行環境の整備なども盛り込み、全国の警察本部で初となる包括的な自転車安全対策の策定作業に入った。東日本大震災以降、通勤・通学に自転車を利用する人が増え、交通事故全体に占める自転車事故の割合も増加。警視庁は「マナーを守れば防げる事故は多い」と意識向上による事故減を目指す。    
         ◇震災後に事故急増
         警視庁は自転車ブームが高まった数年前から摘発強化に乗り出している。昨年の取り締まり件数は信号無視が300件(前年比189件増)、ブレーキのない競技用自転車「ピスト」など制動装置不良が661件(同659件増)に上り、今年はさらに昨年を上回るペースだという。
         一方、歩道での高速走行や一時停止違反の摘発はほとんどなく、警視庁幹部は「黙認と受け取られても仕方がない側面もあった」と話す。
         今後は道路交通法の規定通り、子供や高齢者らを除き車道の左側を走るよう促し、走行可能な歩道を走る場合も安全徹底を求める方針とみられる。
         東京都内で昨年起きた歩行者と自転車の事故は1039件で全国の約4割に上り、今年8月までの事故全体に占める自転車関連事故の割合は37.8%で過去最高を更新する勢いだ。
         今年3月の震災以降の半年間の通勤・通学中の事故も、前年同期より5%(96件)増えている。警視庁は「このままではさらに事故が増える可能性が高い」とみている。
         研究者によると、自転車事故の7割は交差点で起き、歩道走行が主要因。昨年2月には渋谷区で歩行中の女性(当時69歳)がピストにはねられて死亡する事故も起きている。
         60年に制定された道交法は自転車の歩道走行を禁じたが、車道事故が増え、70年には標識のある歩道に限って走れるよう改正。歩行者との接触事故が目立つようになると78年の再改正で、走行可能な歩道での徐行や歩行者の前での一時停止を義務付けた。
         警視庁幹部は「道交法の基本に立ち返って歩行者との事故を減らし、車道でのルールを守った走行を訴えたい」と、安全対策の効果に期待する。
         また、警視庁は都と連携し、車道の左側を線で区切る自転車レーンのほか、路面を色分けして自転車と歩行者の通行部分を明示した歩道の整備を進める。現在は自転車レーンが13カ所9キロ、カラー舗装歩道が40カ所37キロにとどまるが、3年以内に計10カ所31キロを新設する方針を決めている。
        「毎日新聞」10月19日(水)2時37分配信

        ●20代アニメーターの平均年収は110万円 あなたの知らない業界事情
         これまでさまざまなタブーに切り込んできた、ニコニコ生放送の「トークセッション」。2011年10月14日の放送は「テレビじゃできない!?業界最新事情むき出しSP」と題し、東洋経済新報社が発行する『業界地図』とコラボして、各業界の過激な話が暴露された。
         この放送は、スポンサー企業がいないニコ生だからこそ実現したと言っても過言ではない。いろいろな業界の儲けの仕組みや平均年収、年齢、今後の動向まで、業界担当の記者さんが、包み隠さず解説。司会役のジャーナリスト、井上トシユキ氏は、「おもしろい、時間が足らない」というほど、各業界の話は内容の濃いものとなった。
         なかでも衝撃的だったのは「映画・アニメ」業界。オタク文化を世界に発信している日本でも、その現場で働く人たちの環境はけっして楽ではないようだ。例えば、アニメを支えるアニメーターは現在、40代が中心。この業界を担当する『週刊東洋経済』編集部の桑桑原幸作記者によれば
        「あるデータでは、20代のアニメーターの平均年収が110万円。それだと生活できないので、若い人がこの業界に入らない。それで、高齢化が進んでいるとも言われています」
        と発言。コメント欄にも「ひでえ」「無理だ」などの声が寄せられた。
         JASDAQに上場しているアニメ業界大手のIGポートの社員の平均年収は423万円。あまり高いとは言いがたいが、実は本当に高いのは年齢。ここの社員の平均年齢が54.3歳。この数字について桑原記者は「今回『業界地図』で取り上げている128業界のなかでも最高齢ですね」と言うと、会場内は苦い笑いに包まれた。華やかに見える世界も、その内実はいろいろと大変なようである。
        「news-postseven.com」2011.10.16 17:41

        ●全国いじめ被害者の会:放置すれば深刻 代表の大沢さん、県教委に対策要望/山形
         中学3年の息子をいじめ自殺でなくしたNPO法人「全国いじめ被害者の会」(大分県佐伯市内町)代表の大沢秀明さん(67)と妻園子さん(67)が26日、県教委を訪れ、いじめ被害者の不登校や自殺への対策を求める要望書を提出した。大沢さんは「『いじめられている』と教師に訴えても調べてくれないという相談者が多い。いじめは放置しておくと深刻になる。加害生徒を教室でしかり、謝罪させる教育を徹底してほしい」と訴えた。
         要望書では▽生徒がいじめを訴えてきた時や教師が気がついた時は調べてほしい▽加害生徒をしかれば被害者に限らず生徒たちは安心して訴え、報告するという信頼関係ができる▽教師の『知らなかった』は言い訳で、生徒から信頼されていないから報告や訴えがないのが真実だ--などとしている。
         大沢さんは96年1月、当時中学3年の四男(15)をいじめ自殺でなくした。同級生が教師に「いま、たたかれているから止めに入ってほしい」などと訴えても動いてもらえなかったという。大沢さん夫妻は96年、福岡県などを相手に「教師がいじめをいじめととらえなかったため、いじめが深刻になった」として、安全配慮義務違反の民事訴訟を起こし、勝訴している。
        「毎日新聞」10月27日(木)11時36分配信

        ●<雑記帳>あしなが育英会、奨学金給付苦慮で募金呼びかけ
         東日本大震災の遺児支援を続ける「あしなが育英会」が、本来の目的である病気や自殺で親を亡くした学生の奨学金給付に苦慮している。29日、奨学生らが全国約200カ所で協力の募金を呼び掛けた。
         同会は今春実施した募金の全額を、震災で親を亡くした子供1821人への一時金に充てた。そのため他の遺児への奨学金は募金額が目標に届いておらず、今後不足する懸念があるという。
         JR札幌駅前では約50人の学生らが参加。「前に募金した」と断られる場面もあったが、北翔大1年の近藤あおいさん(19)は「子供が夢をあきらめないよう支援を」と訴えた。
        「毎日新聞」10月30日(日)2時1分配信

        ●被災地派遣の幹部自衛官、相次ぎ自殺 「丁寧なメンタルケアが必要」の声
         新潟県上越市の自衛隊宿舎で、陸上自衛隊の連隊長を務める52歳の1等陸佐が自殺しているのが2011年10月19日発見された。理由は不明だが、この1等陸佐は福島県の被災地で、人命救助や行方不明者の捜索の指揮を取っていた。18日にも、やはり被災地に派遣されていた青森県青森市の3等陸佐が自殺している。いずれも幹部自衛官だ。
         今回の震災では最大10万人の自衛官が、被災地で過酷な救助、捜索の任務に当たった。以前にはイラクに派遣された自衛官に自殺者が急増して問題となったが、今回の震災では大丈夫なのか。
        福島、岩手にそれぞれ派遣
         そもそも自衛隊の自殺率の高さは以前から指摘されている。自衛隊には陸海空合わせおよそ25万人の隊員がいるが、自殺者は毎年80~100人。特に2004年からのイラク派遣では、参加した自衛隊員のべ2万人弱のうち16人が在職中に自らの命を絶った。日本全体の自殺率は10万人あたり24.9人(2009年)だから、3倍以上の高い割合だ。
         今回自殺した1等陸佐は3月11日の東日本大震災発生直後からおよそ3か月にわたり、福島県の被災地に派遣されていた。前日までは普段どおり出勤していたが、19日の朝連絡が取れず部下が自宅を訪れたところ、首を吊って自殺していた。
         青森市の亡くなった3等陸佐については、詳しいことは明らかではない。陸幕広報室によればこの自衛官も岩手県などの被災地に派遣されていたという。
         2人の死が震災派遣に関係しているのかどうかは、今のところ不明だ。同室によると、被災地での公務中に急な病気などで自衛官は3人が亡くなっているというが、被災地から戻ってから死亡したケースについては「因果関係もわからないので、そうした統計は取っていない」。
         自衛隊では、被災地に赴いた自衛官の心のケアについてはカウンセリングやメンタルヘルス教育の充実により対応しているという。
        「救助で疲れきっているのに、訓練は普段どおり」
         『自衛隊という密室』『日本を滅ぼす電力腐敗』などの著書があるジャーナリスト、三宅勝久さんは個々の原因はさまざまだとしつつ、自衛隊の「体質」の問題を指摘する。
        「自衛隊では旧日本軍と同じで、『隊員はいくらでも代わりがいる』と思っているところがある。たとえば今回の震災で捜索に当たった隊員は、多くの遺体などを目にして相当なショックを受けたはず。十分な休息が必要なのに、帰還した隊員たちは普段通りの厳しい訓練を続けている。すでに訓練のための予算が出ているからです。一方で上層部は震災救助の実績などをもとに、さらなる予算を取ることしか考えていない」
         さらに「男社会」の自衛隊では「弱音を吐けない」「できないとは言えない」雰囲気が強く、酷いいじめに遭ったり理不尽な仕事を押し付けられたりしても、そのまま抱え込んでしまい自殺にいたるケースが後を断たないという。「外部委託のはずのカウンセリングも実際には自衛隊OBが運営しているなど、外からのチェックが機能していない」
         三宅さんは「震災による精神的な影響は、これから必ず出てくる」として、今回の自殺と被災地での任務との関係については、あらゆる可能性を検証する必要があると強調する。
        「過労などが原因となれば責任問題に発展するから、もちろん自衛隊はやりたくない。しかしさらなる被害者を出すわけにはいけない。問題は自衛隊の閉鎖性。機密以外の情報は開示して、隊外の専門家が分析できる体制が必要です。これは国民全体の問題です」
        「J-CASTニュースニュース社会」2011/10/22 10:00

        ●Twitterのユーザー名とパスワードを狙った攻撃が相次ぐ、Sophosが注意喚起
         英Sophosは23日、Twitterのアカウントとパスワードを盗もうとする攻撃が相次いでいるとして、手口の一例を紹介し、ユーザーに注意を呼びかけた。
         最近確認された手口は、「面白い写真を見つけた」「あなたに関する悪いブログを見つけた」といったメッセージとともにリンクが貼られているツイートで、このリンク先がフィッシングサイトとなっているもの。リンク先は偽のTwitterサイトとなっており、「セッションがタイムアウトした」と勘違いしたユーザーがユーザー名とパスワードを入力してしまうことを狙っている。
         Sophosでは、こうしたサイトにユーザー名とパスワードを入力してしまった場合、攻撃者がTwitterアカウントにアクセスできるようになるだけでなく、同じユーザー名とパスワードを使用している他のサービスにもアクセスされる潜在的な危険があると警告。また、こうしたメッセージを友人から受信した場合には、その友人のアカウントは侵害されており、パスワードを早急に変更する必要があると友人に伝えてほしいとしている。
        「Impress Watch」10月24日(月)14時0分配信

        ●「社会への同調」で生まれる「ニセの記憶」
         われわれは世界を「物語」として認識するが、それは「事実」を歪めてしまうことも多い。同時テロのような社会的大事件についての記憶も含め、個人の記憶は、社会に同調する形で容易に変化しうることが実験で示されている。
         人は物語を作る。われわれは世界を受動的に認識するのではない。われわれは世界についての物語を語り、ランダムに起こるイベントを整理して、ひとつの筋の通った物語にする。
         この習慣は役に立つことも多い。しかし、深刻な副作用もある。筋が通っていない事実については、それを歪めたり無視したりする傾向があるからだ。エピソードのほうを重視するあまり、真実が遠ざけられ、何度も語っているうちに純粋な創作になることもある。例えば筆者は先日、自分の子どものころの大事な思い出(トイレに行っている間に、食べていた中華料理に兄が芥子を入れたという思い出)は、実際には妹に起こったことだったということを知った。私は妹のトラウマを自分のものだと思っていたのだ。
         われわれは自分の物語を調整して、よりよい物語に変える。われわれは事実を曲げて、もっと集団にアピールするようにする。われわれは社会的動物であるから、過去の記憶も、社会的圧力に即する形で絶え間なく修正されているのだ。
         この現象について研究した論文が『Science』誌に掲載されている。神経科学者チームは、個人の記憶が、さほど時間が経たないうちから、他者の意見によって変化しうることに着目した。
         実験では、数十人の被験者が、5人ずつのグループに分けられ、警察の逮捕の様子を追った現場レポート風の短いドキュメンタリー映像を見せられた。3日後、被験者たちは、ドキュメンタリー映像についての記憶テストを受けた。さらにその4日後、被験者たちはもう一度呼び出され、今度は脳スキャナーにかけられた状態で、映像についてのさまざまな質問を受けた。
         被験者たちは、同じグループで映像を視聴した他の人々の回答を見せられた。ところが、「ライフライン」として提示された回答は、実はどれも間違いであり、しかもその質問は、前回、彼らが自信を持って正しく回答したものだった。驚くべきことに、この偽のフィードバックは被験者の回答を変化させた。ほかの人の意見に従って、事実と異なる回答を行った確率は70%近くにものぼった。
         問題は、彼らの記憶が実際に変化していたかどうかだ(過去の研究において、人は社会に同調するために、間違っているとわかっている回答も行うことが確認されている)。このことを調べるために、研究チームは、被験者をさらにもう一度呼び出し、再び記憶テストを受けさせた。その際に被験者には、前回見せた回答は、実は同じグループで映像を見た人のものではなく、コンピューターでランダムに生成したものだったと告げた。すると、最初のテストと同じ回答に戻るケースも見られた一方、40%あまりの回答は依然として間違ったままだった。これは、前回植えつけられた虚偽の記憶が、被験者の中ではすでに事実となっていたことを示している。
         虚偽の記憶が永続したケースと、「社会への同調」によって一時的に誤った回答をしたケースとで、脳の活動を比較した結果、研究チームは、記憶間違いの神経的要因を突き止めることに成功した。主要な引き金になっているとみられるのは、2つの脳の領域、海馬と扁桃体が同時に激しく活性化することだ。
         海馬は長期記憶の形成に関わっていることで知られる領域、扁桃体は脳の感情中枢だ。この2つの領域が同時に活性化すると、正しい記憶と虚偽の記憶は、虚偽の記憶のほうが社会的要素を帯びていた場合、入れ替わってしまうことがある、と研究チームは述べている。このことは、他者によるフィードバックは、われわれの記憶する体験を形づくる強い影響力を持っていることを示している。
         なぜこの現象が起こるかについて、研究者たちは次のように述べている。
         偽りのプロパガンダなどがもたらす社会的影響は、政治キャンペーンや商業広告における個人の記憶に有害な影響を及ぼしたり、目撃者の証言を変化させて裁判の妨げになったりするおそれがある。しかし一方で、記憶の同調は、適応的役割を果たす可能性も考えられる。社会的学習は、個人的学習よりも効率的で正確であることが多いためだ。このような理由から、人間は、本来の個人的意見と食い違っているときでさえ、集団の判断を信頼する傾向をもっているのかもしれない。
         この研究は、社会的に共有された物語が、個人の記憶をまったく信頼できないものにしうることも説明している。例えば、2001年9月11日の「鮮明な」記憶に関して調査が行われている。悲劇的なテロ事件があってから数日後に、ウイリアム・ハーストらによって率いられた心理学者たちが、人々の体験についてインタヴューを行い、その後も個々の記憶について追跡調査を行ったのだ。その結果、1年後には、事件の詳細の37%が、最初の叙述から変化していた。2004年には、その数字が50%近くに達した。研究者たちは現在、10年目の調査結果をまとめているが、おそらく記憶のほとんどがフィクションに近いものになっているだろう。
         われわれの物語は、よりよいものになる。よりエンターテインメント的で、ドラマチックで、恐ろしさをより強調したものになったりする。しかし、その「改良」は事実を犠牲にすることで行われている。物語は意味を生じさせるが、人生はふつう、そうではないからだ。
        TEXT BY Jonah Lehrer
        TRANSLATION BY ガリレオ
        「WIRED NEWS」原文(English)2011年10月27日
        ジョブズに安らかな眠りを。
        2011/10/08
        前職が印刷会社のGデザイン関係だったので、DTPの黎明期からCTP、オンデマンド印刷が実用化される時代まで、主としてデザイン・ツールとして関わってきました。しかし、実際は、インターネット、メール、データ・サーバー、企画提案書、データベース、経営にまつわる事務書類、そして何と言っても情報のやりとりのツールとしても、欠かせない存在になっていったのも事実です。Gデザイン関連からは仕事としては遠ざかったものの、今の仕事で、Windows版ながらAdobeのイラレ、フォトショなんか使ってチラシやパンフレットなどを作っていたりします。Macintoshがなかったら、2D、3D及び映像(静止画及び動画)の制作・編集などは今日のような進歩はなかったので、様々なクリエーター作品、印刷、映画、音楽配信などWEBの利便性は、存在してないのでしょう。「感謝」の一言に尽きます。
         Apple社製品の自費購入はMacintoshデスクトップ5台(ⅡciからiMacまで)、ラップトップ1台、iPod3台(3つの世代)、そしてiPad1。この20年あまり、朝から夜まで、Apple製品とずっと一緒だった気がします。
         NPOではWindowsでLan Serverを中核としたLANを構築して数えるのも嫌な位のパソコンがぶら下がっていて、唯一のデスクトップを使っていますが、個人事務所(相談室カンナ)と個人・自宅・自家用車内では完全にMacを使っています。会計・申告、データベース、Office(Word、Excel、Powerpoint)、宛名印刷、ホームページ作成、などの事務用アプリはもとより、あれやこれやのアプリと情報にまみれた生活は、まるで机の上と同じです(^0^;)。
         携帯電話は、最初の購入がDocomoだったため、今のスマホもAndloid。使いにくさや不具合を調査・研究中です。iPhone4sにさっさと買い換えれればストレスも減るのかも知れませんが、今更メルアド変更も、個人レベルだけでなくいろんな登録先の変更手続きも面倒だし、家族全員がDocomoで通話無料であるために手放せないわけなのです。
         それでは、今週の気になる記事です。

        「脱原発」が98% 原子力委への国民意見

         国の原子力委員会(近藤駿介委員長)は27日、東京電力福島第1原発事故で中断していた「原子力政策大綱」の見直しを議論する策定会議を半年ぶりに開き、東京電力福島第1原発事故後、同委に国民から寄せられた意見のうち98%が「脱原発」に賛成する意見だったことを明らかにした。
         寄せられた原発に関する意見は、約4500件。うち「直ちに廃止すべきだ」が67%、「段階的に廃止すべきだ」が31%で、計98%に達した。理由としては、「環境への影響が大きい」「放射性廃棄物の問題が解決していない」などがあった。
         近藤委員長は会議の冒頭で、「原子力政策を決めることが使命。悩んだが、再開を決意した」と述べたその後、東電や政府が事故の概要や住民避難の状況などについて説明した。
         現行の大綱は、2005年に策定され、同委では昨年12月に改定に着手。事故前までに5回の会議を開いた。今後1年をめどに、新大綱をとりまとめる。
        「産経ニュース」2011.9.27

        「ハングリーであれ、愚かであれ」アップル創業者・ジョブズ氏死去
         米電子機器大手アップルは5日、共同創業者のスティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)が同日死去したと発表した。56歳だった。携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」、多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」、多機能端末「iPad(アイパッド)」など、革新的な大ヒット商品を世に送り出し、経営不振だったアップルを世界最大のIT企業に導いたカリスマ経営者だった。
         20世紀から21世紀にかけ、人類の日常生活に革命を起こしたカリスマ経営者がこの世を去った。
         波乱万丈の人生だった。米サンフランシスコに生まれ、すぐ養子に出された。大学中退後の1976年、自宅のガレージで友人のスティーブ・ウォズニアックとアップルコンピュータ(現アップル)を創設。マウスを使った家庭用パソコン「マッキントッシュ」がヒットし一躍、若手起業家の仲間入りを果たすも、経営対立から85年に会社を追われた。
         ジョブズ氏自身が「ひどく苦い薬だった」と振り返る経験を経て、映画会社「ピクサー・アニメーション・スタジオ」を設立した。CGを使った「トイ・ストーリー」(95年)がヒット。97年、12年ぶりに古巣のトップに復帰した。
         復帰後、デザインと機能性にこだわった一連の商品を発売。iPodは音楽業界の形態に革命を起こした。iPhoneも世界的な社会現象となり、iPadと合わせ「10年間で3度の革命を起こした」とITアナリストに評された。
         04年にすい臓がんを治療。09年に肝臓移植のため半年間休職した。11年1月に再び体調を崩し休職。08年にCEOを辞任していた。最近では今年3月に療養中ながら新製品発表会に登場。「技術が教養や人間性と結び付いてこそ、人の心を動かすことができる」と持論をアピールしていた。
         テクノロジーの世界のカリスマだったが、ジョブズ氏は豊かな言葉を持つ人物としても知られた。05年にスタンフォード大の卒業式でのスピーチは、名演説として今も語り草になっている。「17歳の時から33年間、毎朝鏡を見て自問自答している。『今日が人生最後の日だとしたら、私は今日する予定のことをしたいと思うだろうか』。そして、答えがノーであることが何日も続けば、何かを変えるべきなんだ」。強いメッセージを送った後に「ハングリーであれ、愚かであれ」と締めくくった言葉は、多くの著書などで引用されている。
        スポーツ報知 10月7日(金)8時2分配信

        ●ジョブズ氏の訃報を悪用した詐欺行為が横行
         米電子機器大手アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズ氏(前最高経営責任者=CEO)が亡くなったことを受け、ネットのセキュリティー会社は6日までに「同氏の名前を使った詐欺まがいの行為が横行している」とネット利用者に注意を呼びかけた。
         「アップル社は、ジョブズ氏の死を悼み、iPad(アイパッド)を1000個配布することを決めました」―。
         ジョブズ氏の訃報から数時間後には、会員制交流サイトの「フェイスブック」には、こんな文言が出現した。クリックすると、「あなたの地域では無効です。こちらをクリックして下さい」と広告に変わり、精力剤やブランド品のショッピングサイトに誘導される。作成者にはクリック数に応じて、手数料が支払われるとみられるが、今のところウイルス感染などの被害は出ていないという。
         ネットセキュリティー会社によると、有名人の訃報やゴシップのたびに、偽の広告を作り、手数料を稼ぐ、ウイルスに感染させ、銀行口座を抜き取るなどの手口があるという。
        「スポーツ報知」10月8日(土)

        ●「NHK平均給与1041万円」 民主・桜井氏、出身閣僚前に優遇批判
         「こんなに恵まれている。これを直すのが民主党だ」。28日の参院予算委員会で、民主党の桜井充氏がNHK出身の小宮山洋子厚生労働相、安住淳財務相の両閣僚を前に、高い給与など同社の手厚い処遇への批判を展開した。国家公務員共済などに比べて低い保険料率、保険料の事業主負担が62%と高い一方、個人負担は38%…など同社の優遇ぶりを列挙した。
         年間の平均給与についてもただし、小宮山氏が「(NHK社員の)平均給与は1041万円、国家公務員の保険料の基礎となる平均給与は658万円」と明かした。これを聞いた野田佳彦首相は「随分と開きがある。不公平感がある」と述べ、驚きを隠せなかった。
        「産経新聞」9月29日(木)

        ●NHK職員平均年収1041万円で受信料値上げ希望
         NHK(日本放送協会)の職員の平均給与は1041万円ということが28日の参院予算委員会で、NHK元職員の小宮山洋子厚労相の答弁でわかった。
         同委員会で、民主党の桜井充氏が保険料率を同じにすべきではと提言し、「不公平があるにも関わらずマスコミは書きません。なぜなら、マスコミは恵まれているからです」としてNHKのケースを質問した。
         年間の平均給与について小宮山大臣は「平均給与は1041万円、国家公務員の保険料の基礎となる平均給与は658万円です」と答弁した。平均年収と保険料率は次のとおり。
                平均年収  保険料率
        NHK職員   1041万円 5.35% 
        国家公務員   658万円  6.71%
        中小企業社員  371万円  9.34%
         桜井氏は「しかもNHKの保険の負担は事業主負担62、本人38です。こんなに恵まれているのに、受信料を上げようなんて」と指摘。野田首相は「不公平感があるなと思う」とした。
         また、公務員宿舎問題ででは「私もNHK時代には、給与では生活できず社宅に住んだ」と述べた安住淳財務相は「NHKのことも勉強になった」とこたえていた。
        「ゆかしメディア」2011年09月29日

        ●電気料金原価、6千億円高く見積もり 東電、10年間で
         東京電力の電気料金算定のもとになる見積もり(燃料費などを除く)が、実際にかかった費用よりも、過去10年間で計約6千億円高いことが、政府の「東京電力に関する経営・財務調査委員会」の調査でわかった。電気代が必要以上に高く設定されていた可能性があり、調査委は近くまとめる報告書に盛り込む。
         自由化されていない家庭用の電気料金は、電力会社が今後1年間にかかる人件費や燃料費、修繕費などの原価を見積もり、一定の利益を上乗せして決める。
         報告書案によると、過去10年で計6186億円分、見積もりが実績を上回っていた。大きな原因として修繕費を挙げ、1割ほど過大とした。報告書案は「経営効率化によるものというよりも、そもそも届け出時の原価が適正ではなかったと推察される」と指摘した。
        「asahi.com」2011年9月29日

        ●東電の当面の賠償額4兆5400億円に
         福島第一原子力発電所で事故が起きた東京電力の経営状況を調べている政府の第三者委員会の報告書最終案の全文が29日、明らかになった。
         東電が当面負担する賠償金総額は4兆5402億円と見積もった。また、東電が提出したリストラ策が不十分と指摘し、今後10年間で東電が想定した約2倍にあたる2兆4120億円の経費節減が可能とした。また、電気料金を決める際の算定根拠となる原価が実際より高く見積もられ、料金高止まりの一因になっているとの見方を示した。
         報告書は政府の「経営・財務調査委員会」(下河辺和彦委員長)がまとめ、10月3日にも野田首相に提出後、発表する予定だ。
         最終案によると原発事故の賠償金を〈1〉政府の避難指示による損害〈2〉風評被害〈3〉間接被害――の三つに分けて試算。事故後2年間に15万人余の避難者全員の被害が継続することを前提にしている。
        「読売新聞」9月30日(金)

        ●いじめ後遺症支援へ調査 文科省、20歳前後対象
         文部科学省が今年度から来年度にかけ、中学時代にいじめなどが原因で不登校になった20歳前後の若者を対象に、現在の生活実態を追跡調査することが4日、分かった。特にいじめによる不登校生徒は、その後も「いじめ後遺症」に苦しみ、ひきこもりになるケースがある。文科省は実態を解明し、長期的な支援策の検討に役立てる方針だ。
         調査は、文科省が大学教授らを委員として立ち上げた「不登校生徒に関する追跡調査研究会」が行う。平成18年度に中学を卒業した不登校の生徒4万人を対象にする。不登校生徒らが在籍していた中学に問い合わせて、本人と電話で連絡を取るなどして、現在の状況を聞き取る。
         質問項目は、(1)中学3年時に学校以外の方法があれば、勉強を続けたいと思ったか(2)中学卒業時、希望通りの進路に進むことができたか(3)自分の望み通りの仕事に出会ったか-など約30項目に上る。
         文科省は不登校やいじめの実態把握は行ってきたが、不登校生徒の卒業後の進路や就職先の追跡調査は、これまで10~11年度に一度調査しただけだった。
         今年5月には、高校2年で自殺した当時16歳の女子高生の遺族が、中学時代のいじめが原因だとして学校法人や当時の担任らに損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁が4年前のいじめと自殺の因果関係を認定。学校側の責任を一部認める判決を言い渡した(学校、遺族側双方が控訴)。
         このように、いじめが原因で対人関係がうまく構築できなくなったり、心身に変調をきたすなど、卒業してもいじめの「後遺症」に苦しむ生徒は多いとされ、長期的な心のケアの必要性が指摘されていた。
         文科省の担当者は追跡調査について、「不登校生徒が学校を離れた後、どのような生活を送っているのかを把握し、その後の支援に役立てていきたい」としている。
        「産経ニュース」2011.11.05

        ●1998年以降抗うつ薬の売り上げ増加と自殺者激増が一致
         自殺者が一向に減らない。問題として取り上げられると、その都度、「不景気」や「ストレスの多い社会」がその原因とされてきた。そして早い段階で医師に診察してもらうことが自殺を未然に防ぐことにつながると言われている。だが、今、そこに大きな疑問符がついている。むしろ、真面目に医者に通えば通うほど、死へ近づいていくのではないかと疑念を抱かせる状況があるのだ。医療ジャーナリストの伊藤隼也氏が追及する。
         * * *
         自殺予防のための内閣府による早期受診キャンペーンを目にしたことはないだろうか。
         ◇「お父さん、眠れてる? 眠れないときは、お医者さんにご相談を」
         人口にこそ膾炙(かいしゃ)しているが、その成果は見る影もない。今年も9月10日から自殺予防週間が始まったが、日本の自殺者は一向に減っていないからだ。1998年以降、自殺者は常に3万人を超えており、先進国のなかで最悪の道を突っ走っている。
         相次ぐ自殺に国は2000年に初めて自殺予防対策を施策として取り上げ、2002年に自殺予防に向けて提言を行なった。その軸となったのが「精神科の早期受診」キャンペーンである。その根幹には、「多くの自殺者は精神疾患がありながら精神科や心療内科を受診していなかった。生前に医師が診察していたら自殺は防げたはずだ」という考えがあった。
         しかし、その論理は現在、根底から覆っている。
         自殺者の家族などが集まる全国自死遺族連絡会が2006年7月から2010年3月に自殺で亡くなった方1016人の遺族に聞き取り調査したところ、約7割にあたる701人が精神科の治療を継続中だった。
         また、東京都福祉保健局が自殺遺族から聞き取り調査をして2008年に発表した自殺実態調査報告書でも、自殺者のうち54%が「精神科・心療内科の医療機関」に相談していたことがわかっている。
         実は国の調査でも自殺事例43事例のうち、20事例(46.5%)において死亡前1年以内に精神科受診歴が認められていた。平成21年度版の自殺対策白書はその事実を記し、こう指摘する。
        <これは、従来から指摘されている、「自殺既遂者の9割以上がその直前には何らかの精神障害に罹患した状態にありながら、精神科治療につながっているのは少数である」という知見と、矛盾する結果である>
         つまり、こうしたデータは、精神科・心療内科の受診が自殺防止につながっていないことを意味する。むしろ後述するように、受診が自殺を後押ししている可能性があるのだ。
         そもそも1997年まで年間自殺者は約2万~2万5000人で推移していた。しかし、97年に2万4391人だった自殺者は翌98年に、3万2863人まで一気に跳ね上がり、現在まで毎年3万人超が続いている。
         なぜ、自殺は減らないのだろうか。これまで自殺が多発する理由は「不景気」「ストレス社会」などにあるといわれた。しかし、ここには見落とされている観点がある。同じく98年頃から抗うつ薬の売り上げが急伸しているという事実だ。実際、98年に173億円だった抗うつ薬の売り上げは翌年以降増え続け、06年には875億円に達している。
         同時期にうつ病患者も急増した。厚生労働省の調査ではうつ病が大半を占める気分障害患者数は1999年に44万1000人だったが02年には71万1000人、2005年に92万4000人に達し、08年には100万人を突破した。
         98年頃を境に自殺者数、抗うつ薬の売り上げ、うつ病患者数が増加する。これは何を意味するのだろうか。
         ◇精神医療の現場における「薬」の役割が相関を解くカギになる。
         全国自死遺族連絡会会長の田中幸子さんの長男・健一さんは警察官だった。仕事ぶりは真面目で責任感が強かった。05年5月、勤務していた交通課管内で高校生3人が死亡する大きな事故が発生し、不眠不休で処理にあたった。
         やがて健一さんは心労と過労が募って吐き気を催すようになり、めまいや耳鳴りがひどく勤務できない日もたびたび生じた。耳鼻科や眼科では治らず田中さんの勧めもあり、休職して近所の心療内科を受診した。すぐにうつ病と診断され、薬を処方された。田中さんはこう証言する。
        「息子は薬を手放せなくなっているようでした。私は病院を受診して、お医者さんの言うとおりに薬を飲めばうつは治ると思っていたのですが……」
         しかし、初診からわずか1か月後、05年11月に健一さんは妻と娘と住む官舎で突然首を吊った。遺書はなかった。田中さんは続ける。
        「携帯電話を見ると、妻から”なぜ働かないのか”といった類のメールが何十通もきていました。息子の置かれている状況がよく理解してもらえず、サボっているように見えたのかもしれません」
         本来、休息が必要なはずだが、休むよりもむしろ働かなくてはという想いもあったのかもしれない。
         息子の死後、担当医に電話すると「診察に来ないと話は聞けない」と言われた。死の報告をするためだけに初診料を払って「受診」した。不誠実さに腹が立つと同時に、それまで信用していた医師に対して不信感を抱くようになった。田中さんは言う。
        「その後遺族の会を作って、多くの人が息子と同じように精神科を受診し、投薬を受けた上で亡くなっていることを知り衝撃を受けました」
         前出の同会の調査では、1016人中、自宅マンションから飛び降り自殺した人は72名。その全員が精神科の診療を受け、抗うつ薬などを1日3回、5~7錠服用する薬漬けの状態だったことも判明した。ここからは、飛び降りという衝動的な行為を処方薬が引き起こした可能性さえ疑われる。
        「SAPIO」2011年10月5日号

        ●やる気ある人ほどリハビリ効果大 脳データからも裏付け
         やる気がある人ほどリハビリテーションの効果が上がることが、自然科学研究機構 生理学研究所などの研究グループによる脳の直接観察データからも裏付けられた。前向きにリハビリに励む脊髄損傷や脳梗塞の患者ほど回復が早いことは経験的に知られていたが、実際に脳の活動状態を調べた研究結果でも確認されたことになる。
         自然科学研究機構生理学研究所の西村幸男准教授、伊佐正教授と、理化学研究所分子イメージング科学研究センターの尾上浩隆チームリーダー、浜松ホトニクス中央研究所の塚田秀夫PETセンター長らは、脊髄損傷を起こしてリハビリ中のサルの脳をポジトロン断層法(PET)を用いて調べた。この結果、やる気、意欲にかかわる大脳辺縁系の活動と、運動機能を司る大脳皮質運動野の活動に強い関連があることが分かった。前頭葉の眼窩(がんか)前頭皮質といった情動と関連する脳の部分との関連性も、運動機能回復によって高まっていくことが明らかになった。
         こうした結果から、研究チームの西村幸男准教授は「実際のリハビリテーションでは、神経損傷後のうつ症状が運動機能回復の妨げになっていた。運動機能に着目するだけでなく、精神神経科医師を加えた心のケアや支援が重要だ」と言っている。
         この成果は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)の「脳情報の解読と制御」研究領域(研究総括:川人光男・国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所所長)の一環として得られた。
        「サイエンスポータル編集ニュース」2011年9月30日

        ●夢が撮られちゃう?! 米研究員ら、脳活動から映像復元 人の心に映るものを再現するシステム
         夢で見ていたことが、映像として再現できるかも――。そんなSF映画みたいな技術を米カリフォルニア大学バークリー校の西本伸志研究員らのチームが開発し、米専門誌カレント・バイオロジーに発表した。
         西本さんらは機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)を使い、人が動画を見ている時の血流の変化などの脳活動を記録。血流の状態と映像との関係をモデル化し、1800万秒(5千時間)の動画を組み合わせて復元するプログラムをつくった。
         3人の協力者が映画の予告編を見ているときの脳活動の記録を入力したところ、その予告編によく似た動画ができた。ややぼんやりしているが、人物が映ったときは人物らしきものが現れた。ほかにも砂漠でゾウが歩いているシーンでは、黒い固まりが移動する光景が見えた。再構成された画像は、http://newscenter.berkeley.edu/2011/09/22/brain-movies/で見ることができる。
        「asahi.com」2011年10月2日

        ●カラスは数が分かります 人と同じ思考の可能性 宇都宮大グループ解明
         カラスの生態に関する研究を続けている宇都宮大農学部の杉田昭栄教授(動物形態学)らのグループが、餌を使った実験でカラスが数を認識できることを解明したことが3日、分かった。同日までに動物行動学の国際誌に掲載された。
         杉田教授によると、カラスの数の認識力を解明したのは世界初で、「数について人間と同じような思考を持っている可能性がある」と指摘している。
         実験はハシブトガラス8羽で実施。縦2.5メートル、横2.5メートル、高さ1.9メートルのケージ内に同じ容器を2つ用意し、ふたに同じ模様のマーク2個と5個を描いた。5個の方だけに餌を入れてふたを破って食べられるようにし、餌の取得率が70%を超えるまで訓練した。この条件でマークについて(1)場所を一定にしない(2)異なる図形にする(3)総面積を均等にする-の3種類で20パターンずつ実験。マークの形、面積、位置などで判断していないことを裏付けた。
        「産経ニュース」2011.10.3

        非正規労働者の4人に3人が、年収200万円以下。
        2011/09/25
        かく言う私も、10年ほど前に今の分野の仕事に変わるために退職後、大学編入学、専門学校(通信制)入学、精神保健福祉士国家資格試験受験…、このあたりまではほぼ無収入に近く、個人事業やNPO法人が動き出してワーキングプアの仲間に入れてもらって、3-4年前から200万円越えをやっとできた状態なので、本当によく生き延びて来られたなと思います。前職時代の退職金や預貯金、厚生年金基金の基金分の解約、生命保険や医療保険などの解約などの個人資産取り崩しなどで凌いできたわけです。
         生活保護が受給できたとして、多い人で住宅扶助を加えて年間170万円余りになると思いますので、「年収200万円以下」は生活保護レベルでかつ生活保護が「仕事ができる」として受給できない生活状態で、そうした方が74%という実態に驚愕するばかりです。
         高学歴の方も多いと言われています。かつての偏差重視の学歴主義や学校信仰などが、ただの妄信でしかなかった、と言える事態です。
         今回の調査は、パートや契約社員など期間を定めて働く非正規労働者の労働条件調査を目的に厚生労働省が今年7月に5400人余りを対象に行ったもの。年収100万円以下の人が41%に上ったほか、100万円から200万円までの方が33%となっており、合わせると非正規労働者の4人に3人に当たる74%の方が年収200万円以下の厳しい条件で働いていることが判明したものです。
         お金がない、明日、来月、来年の「生活していける見通し」がない状態で、安定した精神状態を保てるはずがありません。不安と焦燥感、自己評価は下がり、事態に原因を自責的に考えたり、外的環境に他罰的に考えたりしてしまうことを、「自己責任」と切り捨てることはできませんよね。
         それでは、今週の気になる記事です。

        「脱原発」集会に6万人!山本太郎「命懸かっている」

         「脱原発」を目指してノーベル賞作家の大江健三郎さん(76)らが呼び掛けた「さようなら原発5万人集会」が19日、東京・明治公園で行われ、約6万人(主催者発表)が参加した。東京電力福島第1原発事故後の集会では、最大規模となった。集会には、大江さん、作家の落合恵子さん(66)、ルポライターの鎌田慧さん(73)らとともに、俳優の山本太郎(36)も参加。「原発を一斉停止するしかない。命が懸かっている」と訴えた。
         会場となった明治公園周辺は、主催者発表で約6万人(警視庁によると約3万人)で埋め尽くされ、身動きがとれないほどだった。福島第1原発事故後の集会では最大規模。壇上に立った文化人らは口々に「脱原発」を訴えた。
         大江さんは、仏文学者の故・渡辺一夫さんの文章を引用しながら「原発の電気エネルギーなしでは偉大な事業は成し遂げられないと言う人もいるが、それはウソ。原子力によるエネルギーは、必ず荒廃と犠牲を伴う」と指摘した。自民党の石原伸晃幹事長(54)がイタリアの国民投票で「原発再開に反対」が9割を占めたことについて、「反原発が集団ヒステリー状態になるのは心情として分かる」などと述べたことについても批判。「(原発に)抵抗する意志を持っているということを想像力を持たない政党幹部や、経団連の実力者たちに思い知らせる必要がある」と主張した。
         所属事務所を5月に辞め、脱原発の活動を続けてきた山本太郎も、会場を埋め尽くした”同志”の数に「すごい人ですね。命を守りたいという日本人の気持ちが集まっていますね」。原発事故以降、自主避難を呼び掛け子供たちを守る活動をしており、原発の是非を問う国民投票を呼び掛けたり、北海道や佐賀県など原発を抱える地域を訪問している。だが、その言動を巡ってドラマを降板し、事務所も辞めた。「世界中の人たちが生きていないと意味がない。原発を一斉停止するしかない。命が懸かってますから」と大きな拍手を浴びた。
         山本はこれまでに、自民党の河野太郎衆院議員(48)とも意見交換したという。その際、「政治家にとってはデモや署名を集めても痛くない話だ。有権者が政治家の事務所に行ってプレッシャーをかけるべきだ」とアドバイスされた。自身の政界転身については「勉強が足りない。出るなら、勉強しないと…」と消極的だが、「早く決着をつけないといけない。利権の構造を断ち切らないと」と決意を明かした。
         集会後、参加者は3コースに分かれ、都内をデモ行進した。1000万人の署名を集め、野田佳彦首相に提出するという。
        「スポーツ報知」9月20日

        ●原発抗議で俳優山本太郎さん告発 佐賀県庁侵入容疑 山本太郎さん
         佐賀県の玄海原発2、3号機の再稼働をめぐり、佐賀県庁に侵入し抗議活動したとして建造物侵入などの疑いで、俳優の山本太郎さん(36)ら数人を京都市の行政書士の男性(27)が告発、佐賀地検が受理したことが21日、地検などへの取材で分かった。
         山本さんらは7月11日午後、反原発団体のメンバーら約150人と佐賀県庁を訪れ、「人の命を犠牲にする電力なら使いたくない」と再稼働への抗議活動を展開。県庁内に入って古川康知事との面会を求めたが、会えないまま職員に請願書を手渡し立ち去った。
         告発状では「バリケードを乗り越えるなどして県庁に入っている」などと指摘。
        「共同通信」2011/09/21

        ●紛争審2委員、電力系研究所から報酬 原発事故賠償
         東京電力の原発事故に伴う損害賠償の目安をつくる政府の「原子力損害賠償紛争審査会」の一部委員が、電力業界とつながりの深い研究機関から、毎月20万円ほどの報酬を得ていることが分かった。審査会は、円滑に賠償を進めるため、東電と被害者の間に立って紛争を解決する役割を担っているが、中立性に疑問が生じる恐れがある。
         審査会は4月11日、文部科学省に設置された。現在の委員は9人で、学習院大教授の野村豊弘氏(68)と早大大学院教授の大塚直氏(52)が、「日本エネルギー法研究所」(東京都港区)から報酬を得ていた。
         野村氏は4月にエネ法研の理事・所長に就任して以来、毎月20万円程度の固定給を受け取っている。大塚氏は委員就任前から研究部長の職にあり、毎月20万円の固定給を得ていた。ただ、周囲からの助言で、6月末に研究部長を辞め、4~6月の報酬を返納した。
        「asahi.co.」2011年9月22日

        2011年9月22日(木)「しんぶん赤旗」

        ●石原知事、原発に固執 脱原発を非難 都議会定例会
         東京都議会第3回定例会が21日開会し、石原慎太郎知事は所信表明で、原発事故をふまえ国民の多数が原発からの撤退を求めているにもかかわらず、「脱原発」の声を「戦後の悪しき習い性の典型」と非難し、原発に固執する姿勢を示しました。
         知事は、戦後の平和で国民が「物欲・金銭欲が第一となって」いるなど「『平和の毒』と呼ぶべきものにむしばまれている」と非難。東日本大震災を受けた課題について「行政による公助の限界」をあげた上で、東京の防災対策について「まず自らの身を守り隣近所で助け合う」など都民に「自助・共助」を求めました。急務である木造住宅密集地域の耐震不燃化についても、都民の啓発を強調する一方、「防災」の名目で大型幹線道路を推進することを表明しました。
         知事はまた、都民の福祉・暮らしにはふれず、「東京に外資を積極的に呼び込む」「国に(規制緩和や企業税制優遇など)特区を認めさせる」と強調。2020年五輪招致を「是が非でも実現しなければならない」と述べました。
        「しんぶん赤旗」2011年09月22日

        ●「コメ、東電が買い上げてほしい」嘆く基準超え農家
         収穫前の予備検査で基準を超す放射性セシウムが検出されたコメを生産した福島県二本松市の農家の男性(56)が24日、取材に応じ「なぜこんな高い数値が出たのか分からない」と話し「東京電力にすべて買い上げてほしい」と訴えた。
         同市の旧小浜町地区にある男性の田で採取したひとめぼれから、県による予備検査で基準(1キロあたり200ベクレル)を上回る500ベクレルが検出された。
         男性によると、コメは山あいの棚田で作り、山のわき水を使っていた。棚田は祖父の代から耕作してきた。男性は「放射能が消えるまで何十年もかかる」と嘆いた。専門家からは、土でなく砂が多い田んぼのため高い値が出た可能性がある、と説明されたという。本検査で500ベクレル以下なら出荷ができるが、男性は「消費者は買ってくれるだろうか」と心配する。
         今回の結果を受け、県と二本松市は24日、地元の集荷業者らを集め、緊急会議を開いた。三保恵一市長は「原発事故が原因で大きな憤りを感じる。(本検査で基準値を超えれば)国、県にすべての買い上げを求めていく」と述べた。
        「asahi.com」2011年9月24日

        ●浜岡原発:牧之原市議会が「永久停止」決議を可決へ
         中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の半径10キロ圏にある同県牧之原市議会は21日の全員協議会で「確実な安全・安心が担保されない限り、浜岡原発は永久停止にすべきだ」との決議案を26日の本会議に提案することを決めた。定数17人中12人が賛成しており、地元議会で初めて「永久停止」を求める決議が可決される見通し。津波対策により地元同意を得て運転再開を目指す中電にとって、高いハードルが課されることになりそうだ。
         決議案に関し名波富幸副議長は「市民が不安に思っている以上運転再開は認められないということだ」と説明した。6~7月の市民アンケートで6割が「停止しておくべきだ」と回答しており、こうした地元市民や企業の不安な声を受けた形だ。
         浜岡原発は菅直人前首相の要請で運転停止中。高さ18メートルの防波壁建設などの津波対策を予定している中電は「対策を忠実に実施して安全性向上に努め、安心につながるよう全力で取り組みたい」とコメントした。
        「毎日新聞」2011年9月21日

        ●元作業員が「搾取」指摘 事故後の福島原発で働く
         事故後の東京電力福島第1原発で働いていた元作業員の男性(56)の体験を聞く懇談会が21日、日本労働弁護団が主催し東京都で開かれた。男性は「賃金をピンハネされ過ぎている」と話し、何層にもわたる下請け構造の中で中間搾取されることへの不満を訴えた。
         男性は下請け会社の下、4月に4日間、放射性物質で汚染された水をためる施設で働いた。東電からは1日当たり5万円が支払われているはずなのに、下請け会社からは1万8千円しか出ないと告げられたという。男性は「あまりにも上と下と賃金が違う」と語った。
        (東京新聞)2011年9月21日

        ●府教職員の6割「維新条例案の撤回を」 署名を手渡す
         大阪府の橋下徹知事が率いる大阪維新の会が府議会議長に提出し、9月議会で審議される「教育基本条例案」の撤回を求める書面に府立高校の教職員の約6割にあたる5722人が署名した。署名を集めた大阪府立高等学校教職員組合が22日、維新の会に手渡した。
         書面は、「知事が高校が実現すべき目標を定める」とした条例案は、戦前の軍国主義教育への反省の上に築かれた「教育は不当な支配に服してはならない」との大原則を侵す暴挙だと批判。また、同じ職務命令に3回違反したら免職するなどの規定が「上からの命令に物言わぬ公務員づくりをすすめる」と批判している。署名は3週間で集まったという。
        「asahi.com」2011年9月22日

        ●光速超えるニュートリノ 「タイムマシン可能に」 専門家ら驚き「検証を」
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         名古屋大などの国際研究グループが23日発表した、ニュートリノが光よりも速いという実験結果。光よりも速い物体が存在することになれば、アインシュタインの相対性理論で実現不可能とされた”タイムマシン”も可能になるかもしれない。これまでの物理学の常識を超えた結果に、専門家からは驚きとともに、徹底した検証を求める声があがっている。
         ◇概念変わる?
         「現代の理論物理がよって立つアインシュタインの理論を覆す大変な結果だ。本当ならタイムマシンも可能になる」と東大の村山斉・数物連携宇宙研究機構長は驚きを隠さない。
         アインシュタインの特殊相対性理論によると、質量のある物体の速度が光の速度に近づくと、その物体の時間の進み方は遅くなり、光速に達すると時間は止まってしまう。
         光速で動く物体が時間が止まった状態だとすると、それよりも速いニュートリノは時間をさかのぼっているのかもしれない。すると、過去へのタイムトラベルも現実味を帯び、時間の概念すら変更を余儀なくされる可能性もある。
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         それだけに、村山氏は「結果が正しいかどうか、別の検証実験が不可欠だ。実験は遠く離れた2地点の間でニュートリノを飛ばし、所要時間を計るというシンプルなアイデア。正確さを確保するには双方の時計をきちんと合わせる必要があるが、これはそれほど簡単ではない」と語る。
         ◇新たな一歩に
         スーパーカミオカンデ実験を率いる東大の鈴木洋一郎教授も「別の機関による検証実験で、結果の正しさを確かめることが大事だ」と慎重な姿勢だ。
         鈴木氏は、昭和62年に小柴昌俊氏がニュートリノを検出した実験で、超新星爆発で出た光とニュートリノがほぼ同時に観測されたことを指摘。「両者の速度に今回のような違いがあるとすると、ニュートリノは光よりも1年は早く地球に到達していなければおかしいことになる」と語る。
         実験に参加した名古屋大の小松雅宏准教授は「実験に間違いがないかと検証を繰り返したが、否定できない結果になった。公表することで他の研究者による検証や追試が進み、物理学の新たな一歩につながれば」と話している。
        「産経ニュース」2011.9.24

        ●年収200万円以下1000万人超 給与所得者、5年連続で
         年収200万円以下の給与所得者が5年連続で1000万人を超えていることが、国税庁の民間給与実態統計調査から分かりました。
         同調査によると、2010年の1年を通じて勤務した給与所得者は4552万人。うち年収200万円以下は1045万人で全体の22・9%を占めました。とくに女性は42・7%にのぼりました。
         男女あわせて1000万人を初めて突破したのは06年。小泉自民・公明内閣(01年発足)が推進した「構造改革」のもとで派遣労働者の製造現場への派遣解禁(04年施行)などによって、賃金が安い非正規社員の割合が増加。大企業は正社員の非正規社員への置き換えを進め、人件費抑制によって収益の改善・増加をはかりました。働いても貧困から抜け出せない「ワーキングプア」の増大が社会問題となりました。
         08年秋、米証券大手が破綻したリーマンショック後、大企業のリストラ・人件費抑制は強まり、年収200万円以下の給与所得者は09年に1100万人に迫りました。政権が交代し、09年秋に民主党政権が誕生した後も、賃金を抑える傾向は変わっていません。
        「しんぶん赤旗」2011年9月20日

        ●年収200万円以下が74%
         パートや契約社員など非正規労働者の4人に3人が、年収200万円以下という厳しい条件で働いていることが、厚生労働省の調査で分かりました。
         この調査は、パートや契約社員など期間を定めて働く非正規労働者の労働条件を調べようと、厚生労働省がことし7月に5400人余りを対象に行ったものです。それによりますと、年収100万円以下の人が41%に上ったほか、100万円から200万円までの人が33%となっており、合わせると非正規労働者の4人に3人に当たる74%の人が年収200万円以下の厳しい条件で働いていることが分かりました。また、仕事に満足しているかどうかを尋ねたところ、半数近い45%が「不満だ」と答えました。その理由は複数回答で、「頑張ってもステップアップが見込めない」が45%と最も多く、次いで「賃金水準が低い」が42%、「いつ解雇されるか分からない」が33%など、不安定な働き方が仕事の満足が得られない大きな要因になっていることが浮き彫りになりました。厚生労働省は「突然の雇い止めを行わないなど、不安定な働き方を改善するためのルールを整備するなど労働条件の改善を進めたい」と話しています。
        「NHK NEWSweb」9月24日 11時42分

        ASDとトラウマ、記憶・情報処理機能の問題を考える。
        2011/09/18
        2013年には、現行の「精神疾患の分類と診断の手引き/DSM-Ⅳ-TR」が「DSM-Ⅴ」に改訂され(ICDもそれに伴って改訂予定とされる)、広汎性発達障害(下位分類としての自閉症、高機能自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害などを含めて)は「自閉症スペクトラム障害=Autism Spectrum Disorders」に名称変更・統一されると言われています。
         自閉症スペクトラムの基本特性やスペクトラムとしての概念は、診断上了解できるところですが、それぞれの特性(3主徴だけでなく感覚過敏などの身体障害性特性などを含む)の状態や、IQ、対人関係性や生活スキルなど、個別の生育歴や状態把握、支援の方向性を考える上で、下位分類的な「共通言語」としての一定の区分「名称」は必要なのかも知れません。個別支援対応が行われていくのであれば、その必要はないわけですが…。
         さて、ASD特性のある方の多くが、生きてこられた対人関係性の中で、多くの傷つき体験をされ(定型発達とされる方でも同じですが)、心的外傷としてその辛さや悲しみ、怒りや悔しさ、反撃志向などの情動を含めて記憶(記憶したものを忘れられない、というのもASDの生きづらさの基本特性)されます。さらにその記憶情報の処理機能の困難さから、トラウマがヘドロのように混ざり積み重なり、自責・他罰感情や抑うつ、強迫性、対人不安などの神経症状を重篤化されていかれるケースも少なくありません。
         精神医学的にはEMDRなどの治療法が臨床で実践され始めているようです(発達障害とトラウマに関しては、『発達障害のいま』杉山登志郎:著、講談社現代新書、に最新情報が記載されています)。
         この、記憶が得意、でも忘れられない、記憶情報の処理が苦手、自分の思いや感情をうまく言語化して他者に伝えられない、過去・現在・未来という継次的な時間概念がわかりづらい、などの特性に加えて、受けた心的外傷体験の重篤さ、日々蓄積される新たな情報記憶の処理や関連づけなど、認知と情報処理機能の問題から、不安や混乱、その発展型としての精神症状などが生じてしまいます。
         成人期に入った頃から、言語化能力の高い方では、誰かに聴いて欲しい、わかって欲しいという欲求から、安心できる第三者との「語り」が始められることが多いようです。この「語り」は、トラウマそのものである場合も多く、他者に語りながら整理し吐き出す、セラピストが「語り」の「言い換え」による確認などを行う中で、過去の出来事への認知に広がりや違う考え方に気づき、(大抵は)嫌悪記憶をゆっくりと一つずつ整理したり、緩めたり、過去のできごととして受容したり、といったトラウマ処理を取り組むことで自己評価を高め、「これまで」へのこだわりから、「これから」の人生に向けての意識が広げられる、そんなサポートが個別的に必要だと思います。
         心理業法的アプローチになるため、医療保険などの適用がなく、また現行の障害者自立支援法の福祉サービスにおいてもこうした相談支援面接やカウンセリングはなく、自己負担によるものとなってしまうという大問題が未解決のままです。また、さまざまな民間の心理士資格があり、多くのカウンセラー、セラピストがおられますが、ASDの基本特性の理解や、ASD特性ゆえのトラウマ処理に対応できる人材は希有なのが実情です。
         ASD特性のある方のサポートに関わる医療・福祉・心理・教育などの分野の人材育成、社会資源づくりが、この国に強く求められていると思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        福島第一、無保険の恐れ 損保各社が打ち切り検討

         東京電力福島第一原子力発電所に対し、損害保険各社が損害賠償保険の契約打ち切りを検討していることがわかった。損保による民間保険は災害以外の原因による事故の賠償のために支払われる。契約が打ち切られれば、国内で初めて、これらの事故に対して「無保険」の原発となり、万一の時に賠償に支障をきたすおそれがある。
         民間保険は、損保23社でつくる「日本原子力保険プール」(日本プール)が引き受けている。1年契約で、福島第一は来年1月に期限が来るため、年内に更新するかどうかを決める。
         しかし、3月の東日本大震災で福島第一が事故を起こしたため、損保各社は更新に慎重になっている。原発が正常な状態ではなく、通常よりシステムの不具合やミスなどで再び事故が起きるおそれが高いからだ。
         東電は1~3号機の原子炉を来年1月半ばまでに「冷温停止」の状態にして安定化する方針。だが、大手損保幹部は「保険は、原子炉が正常に運転され、放射性物質が漏れていない原発が対象。このままでは継続は難しい」としている。
        「asahi.com」2011年9月16日

        ●「放射能発言」報道を検証=オフレコ漏れを問題視か-民主
         藤村修官房長官は11日午後の記者会見で、鉢呂吉雄前経済産業相の「放射能を付けたぞ」という趣旨の発言が報道されたことについて、民主党幹部が経緯を検証し、今後のメディア対応も検討する意向を示していることを明らかにした。オフレコの非公式懇談での発言などが報道されたことを問題視しているとみられる。
         藤村長官は、鉢呂氏と記者団のやりとりに関し「今後の報道との付き合いにおいても、少し検証しないといけないと(党側から)聞いている」と説明。また、「報道されている件は非公式懇談で(出たもので)、報道と本人の言っていることが違うようだ」と指摘した上で、「ちょっとこの問題は重要なので、輿石東幹事長の方で少し動くかもしれない」と語った。
        「時事ドットコム」2011/09/11

        ●Robert Half Technology、5年以内に E メールは時代遅れに
         米国人材派遣会社 Robert Half Technilogy は2011年8月25日、企業における E メール使用状況に関する調査結果を公表した。調査は、従業員100名以上の米国企業の最高情報責任者(CIO)1,400人に対して行われ、調査対象となった CIO の54%が現在企業内で使用されている E メールサービスは今後時代遅れとなり、5年以内にインスタントメッセージや、SharePoint 、Chatter、Yammer などの企業向け SNS ツールに置き換わっていくと予測している。
         米国企業では、担当者レベルでも1日400通以上、管理職では1,000通を超えるE メールを受け取る社員が多い。これは、文書共有、ディスカッション、スケジュール調整など、本来は別のシステムで管理すべきものをすべて E メールで管理していることによる弊害とされる。受信数が多すぎるためにメールの読み落としも多く、これが引き起こすミスコミュニケーションが問題となっていた。
         同調査では、インスタントメッセージや企業向け SNS ツールへの移行はこういった問題の多くを解決し、職場に次のような利益を生み出すとしている。
        ・スピード:インスタントメッセージは、Eメールのように送受信の度にメールボックスを開いたり、相手からの返事を待ったりしなくてもよいので、時間を節約できる。また、プロジェクトメンバーが複数の勤務地に点在していても、リアルタイムでのコミュニケーションを実現できる
        ・利便性:企業 SNS ツールの多くはフォーラム機能を提供しており、チームでのアイディア共有が可能。プロジェクトで問題が発生した場合の問題解決にも利用でき、会議の回数も減らせる。また、文書管理の機能を提供しているツールを利用すれば、仕様書などチーム全体で共有する文書のバージョン管理も容易になる
        ・ソーシャル機能:企業 SNS ツールでは、社員、チーム、ファイルなどの最新情報を自動収集して表示するため、社内で起こっていることをリアルタイムに把握できる
         また、従業員100名に満たないスタートアップ企業などでは、社内で無料の Skype サービスを導入している企業も多いという。社員が Skype にログイン/ログオフした時間で出退勤管理をし、社員間のコミュニケーションは Skype のインスタントメッセージに限定。E メールの使用は社内の重要文書や社外とのやりとりなどに限定する。これにより、Eメールのメリットを活かしつつ、デメリットを減らせるという。
        japan.internet.com 編集部海外発
        「時事ドットコム」2011/09/11

        ●<出所者>生活保護「申請地」で 「刑務所所在地」から改正
         刑務所などの出所者に対して生活保護を実施する自治体について「刑務所の所在地」と定めた通知を、厚生労働省が約50年ぶりに改正し、出所者が申請した自治体が責任を負う方針に転換したことが分かった。国が障害や高齢のため自立困難な出所者への福祉的支援を始める中、刑務所のある自治体から負担増を懸念する声が上がったり、刑務所の周辺自治体で出所者の申請が断られたりするトラブルも相次いでいた。
         厚労省は今年4月1日付で通知の「刑務所の所在地」の規定を削除した。生活保護法では「居住地がないか明らかでない要保護者は現在地(所在する場所)を所管する福祉事務所が実施責任を負う」と定めている。1963年4月の旧厚生省社会局長通知では刑務所または少年院から釈放・仮釈放された者について「帰住地がないか、または明らかでない場合は、当該刑務所または少年院の所在地を現在地とみなす」と規定、帰る先のない出所者は刑務所所在地の自治体が生活保護を実施すると解釈されていた。
         厚労省と法務省は09年度から障害や高齢の出所者の受け入れ先を調整し、福祉サービスにつなぐ地域生活定着支援事業を開始。これを機に生活保護の実施責任について自治体からの照会が増えた。出所から半年たって刑務所所在地に保護を申請するケースなどに対し、所在地自治体から苦情もあったという。
         また、国内最大規模の府中刑務所がある東京都府中市などが09年11月、実施責任や費用負担が所在地自治体に集中しないよう求める要望書を、国に提出するなどの動きもあった。
        「毎日新聞」9月15日(木)2時35分配信

        ●東電の賞与回復「認められない」 調査委
         東京電力が来年度から3年間の電気料金の値上げ終了後に、半減中の一般社員の賞与水準を元に戻そうとしている問題で、政府の第三者機関「東電に関する経営・財務調査委員会」は14日の非公式会合で、「15年度に賞与水準を回復することは認められない」との考えで一致した。
         15%という電気料金の値上げ幅についても、委員から批判的な声があった。ただ、値上げの理由としている火力発電所の燃料費の増加が、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の行方に左右されるなど見通しが不透明なため、是非の判断は先送りした。
         東電は賠償や事故対応の費用を捻出するリストラの一環として、7月から一般社員の賃金の5%、賞与の5割を削減中。賃金カットは賠償が終わるまで続ける方針だ。ただ、原発事故の収束や電力供給にあたる社員の士気を保つため、さらなる給与水準のリストラについては否定的な声もある。
        「asahi.com」2011年9月15日

        ●被告の面会、手話認めず筆談強いる…大阪拘置所
         大阪拘置所(大阪市都島区)が、聴覚障害がある男性被告(59)と面会人との間で手話を認めなかったのは不適切な対応だったとして、大阪矯正管区が改善指導したことがわかった。
         手話面会を禁じる規定はないのに、面会人の女性は40回近く筆談での面会を強いられたという。指導を受け、同拘置所は女性に謝罪した。
         被告は5月に殺人罪などで起訴され、女性は被告の知り合い。障害者の支援活動に携わる女性の知人によると、女性は同月末、同拘置所に面会に訪れ、被告と手話で対話しようとしたところ、立ち会った職員から「手話はだめ。筆談で」と指示された。その後も40回近く面会に訪れたが、いずれも筆談を使った。
         8月下旬、女性が初めて手話通訳を伴って面会に行くと、手話が認められたが、面会後に拘置所幹部から「次からは不可。これは全国同じ」と言われた。このため、女性の知人が「他の拘置所では認められている」と抗議した。
        「読売新聞」9月17日(土)9時16分配信

        ●<35人学級>小2にも拡大 来年度から、文科省が方針
         文部科学省は、今年度から小学1年生に導入した35人学級について、来年度から小学2年生にも拡大する方針を固めた。少人数学級の実施状況を検証してきたが、学力向上や不登校などの課題に対応する教育効果を得られると判断。教職員定数の見直しを図り、来年度予算案の概算要求に必要となる人件費を計上する。
         文科省は昨年8月、公立小中校の1学級の編成基準の上限40人を35人とし、小学1、2年生は段階的に30人に引き下げる教職員定数改善の8カ年計画を策定。今年度予算案の概算要求では、小学1、2年生での実施に必要な経費を盛り込んだが、財務省との折衝の結果、初年度は小学1年生から導入することになった。学級編成基準は80年度以来の見直しだった。
         来年度以降の少人数学級実施に関しては、今年6月に有識者会議が設置され、推進を求める意見が大勢を占めた。
        「毎日新聞」9月17日(土)2時37分配信
        平成22年度の不登校など問題事象と特別支援教育の状況についての向日市への情報公開。
        2011/09/14
        すごい台風でした。京都市南部では強風に続いて大雨警報が出ましたが、被害は少なかったようですが、紀伊半島や私の実家の岡山など中国・四国地方などでは大きな被害が出ています。
         今日は、午前の予約の方が都合で、次週の最終枠に変更になったので、HPの更新と、修士論文の仕上げに向けた作業にかかる予定です。
         お盆明け初の更新です。Twitterではつぶやいてきましたが、8月13日に向日市情報公開条例にもとづいて、3つの公文書公開を請求していました。
        ○文科省「平成22年度『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』の向日市内小・中学校における基礎となるデータ、特に不登校・暴力に係るもの、及び、それらに関する各校内及び教委における指導上hの方針、総括等を含む会議資料一式」。
        ○向日市内の小・中学校における平成22年度の「生徒指導上の諸問題」に係る、SC、SSW等と校内体制による指導的関わりがわかる資料一式。
        ○平成22年度における、向日市内小・中学校の特別支援教育の対象児童・生徒数、各校毎の支援体制、取り組み等、学校毎、及び向日市全体としての実態がわかる資料一式。
         確かに膨大な資料となるでしょうし、閲覧でなく複写公開としているのでコピー代(請求者負担)もかなりの額になること、規定の2週間以内では資料がそろわないことなどを前提としての請求です。もう10年ほど、不登校等問題事象については毎年の夏の恒例行事化しています。
         向日市情報公開条例では、以下のような規定があります。
        第2条 この条例において次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
        (1) 実施機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び議会をいう。
        (2) 公文書 実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であつて、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。
        (公文書の公開の請求に対する決定等)
        第12条 実施機関は、前条に規定する請求書を受理したときは、当該請求書を受理した日の翌日から起算して14日以内に、当該請求に係る公文書の公開をするか又はしないかの決定(第10条の規定による公開の請求を拒否する決定及び公開の請求に係る公文書を保有していないことによる公開をしない決定を含む。)をしなければならない。
        4 実施機関は、やむを得ない理由により第1項の期間内に同項の決定をすることができないときは、当該期間をその満了する日の翌日から起算して30日を限度として延長することができる。この場合において、実施機関は、請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。
        第7条 実施機関は、非公開情報が記録されている公文書であつても、期間の経過により、当該公文書に記録されている情報が非公開情報に該当しなくなる場合において、当該期間の経過後に、公文書の公開の請求があつたときは、これに応じなければならない。
         遅延はいつものこと。過去には、当該資料を「処分したため公開できない」というあきれた「非公開通知」もありました。学校では、生徒が卒業したら、すぐにとは言わないまでも数年以内に処分することになっているようですが、それを良しとする規定がどこかにあるのか、時間のある時に調べたいと思っています。
         今回も、8月30日付けで、向日市教育委員会委員長名で「公文書公開等決定期間延長通知書」が3通、情報公開制度を担当する市民参画課から自宅に届きました(数日前に電話も頂きました)。ただ、「通知」という行政用語に引っかかります。以下に示す通り、時間が足りなくて間に合わないのは行政機関側の問題であり、「時間がかかっていてすんません」という内容が「通知」または同封文にあれば、納得できるのでしょうが…。
         「延長の理由」は次のようなものです。3つの請求について、同文でした。
         「公開請求のあった公文書には、各学校の文書も含まれており、該当する文書の特定に時間を要するため」
         文科省へ報告を上げるためにまとめた資料は問題ないでしょう。各学校での不登校などの問題事象に関するもの、SCやSSWとの連携した取り組みなども生徒指導部の毎月のまとめがあってしかるべきものかと。特別支援教育に関しても、そのあり方についてはしっかりとした枠組みがあるはずですから、「今、どうですか?」ではなく、「昨年度はどうでした?」なので、まとめがないはずはありませんし、なかったとしたら問題です。いずれにしても、お得意の「管理」がちゃんとできていれば、「これとこれ…」という感じで学校からの資料収集もできるはずです。しかも毎年のように請求している人間がいるのですから…。
         心配なのは、こうしたチェックを市民がしている、ということが、「管理・統制」の強化につながらないか、ということです。少なくとも、「数が多いから問題だ」と問題視するつもりはまったくなくて、そうした状態に、学校を構成するすべての人たちがどう現実に即して柔軟な対応をできる環境に学校があるのか、そうでないとしたら何をどう変容すべきかを検討し提起できるものは提起していきたい、という思いからの私的な行動です。
         ご意見・ご批判などお寄せいただければ幸いです。
         それでは、今週の気になる記事です。

        <いじめ>昨年度、認知件数が初めて増加 複雑・潜在化進む

         ◇調査実施率向上が影響/「氷山の一角」の声も
         文部科学省が今月4日発表した10年度問題行動調査で、いじめの認知件数が増加した。現行の調査方法となった06年度以降初めてで、同省はアンケート調査の実施率向上を主な要因と見る。だが、いじめは潜在化しており、学校からは「判明したのは氷山の一角」との声が上がる。
         ■自殺の衝撃
         今回の問題行動調査では、国公私立小中高校などでいじめアンケート実施率が65・9%から90・4%に大幅に上昇した。昨年全国で相次いだ子供の自殺が実施率を押し上げた。
         群馬県桐生市では10月、小6の上村明子さん(当時12歳)が自殺した。学校側は当初、いじめを否定していたが、再調査でいじめの事実を認めた。県はこの問題を重く受け止め、事件後、県立、市町村立の全593校でアンケートを毎月実施。この結果、国公私立の県全体の実施率は09年度の78・9%から95・8%に上がった。また、上村さんのシグナルに気付けなかった背景に、学級崩壊状態があったことも判明した。県教委は教諭を対象に学級崩壊に関するアンケートも実施。現場の実態が少しずつ共有されつつある。
         ■アンケート効果
         一方、1000人あたりの認知件数が27・6件と、3年連続で全国最多だった熊本県。文科省の指示よりも前の06年度から、アンケートによる実態把握に取り組んできた。きっかけは、同年に県内の消印のある「いじめ自殺予告はがき」が文科省に届いた”事件”だった。件数の多さは事態の深刻さを想像させるが、いじめの解消率も全国トップの97・2%だった。県教委は「担任教諭が気づかない子供のSOSを浮かび上がらせることができている」と、敏感な対応姿勢を自負している。
         むろんアンケート調査にも課題はある。熊本市立小学校に勤務する50代の女性教諭は「無記名といっても、いじめ相手に『告げ口した』と思われるのを気にして言い出せない子供もいる。教師と子供の信頼関係が大切だ」と話す。
         ■実態は潜在化
         さらにアンケート調査だけでは把握しきれないほど、いじめの実態の複雑化と潜在化は進んでいる。
         アンケート実施率が公立小36・7%、同中55・3%からともに100%となった大阪府。認知件数は小中ともに06年度から減少し続け、10年度は前年度比168件減の1744件で、06年度(3559件)からはほぼ半減した。府教委は「スクールソーシャルワーカーの配置など組織的な取り組みの成果が出てきた」と手応えを示すが、府内のある市教委幹部は「人員の配置は対症療法で、今の成果は『水もの』と見るべきだ。実態は見えにくくなっている」と警鐘を鳴らす。
         問題を複雑化させる要因は、家庭の不安定さ。大阪は生活保護受給率が全国一高く、ある市立小の男性教頭(50)は「貧困など生活環境が不安定な『しんどい家庭』の子は、いじめの被害者にも加害者にもなりやすい」と指摘し、子供だけでなく保護者にも目を向けるようにしているという。
         さらに、携帯電話の普及が子供たちに新たないじめの場を提供した。「学校裏サイト」など携帯電話で利用できるネット世界で、特定の子供の嫌がる写真を投稿したり、書き込みで集中的に攻撃しながら、学校生活ではそぶりも見せない。
         また、今回は東日本大震災で大きな被害を受けた3県(岩手、宮城、福島)のデータは含まれていない。文科省の調査では、この3県から転校などをした児童生徒や幼稚園児は5月1日時点で約2万人に上るが、避難先で誰にも相談できないまま耐えているケースがあると危惧されている。
         ■意識改革も必要
         いじめ発見のため、学校側の意識改革を求める意見もある。NPO法人「全国いじめ被害者の会」(大分県佐伯市)代表の大沢秀明さん(67)は96年、当時中学3年だった四男秀猛(ひでたけ)さんをいじめを苦にする自殺で亡くした。加害者の同級生2人は恐喝罪で書類送検されたが、学校側を相手取った民事裁判では、自殺を予測する学校側の予見可能性は認められなかった。大沢さんは、教師はいじめがあってもけんかやトラブルとして扱い「仲良くしなさい」となだめているのが現実だと言い、「『悪いことは悪い』としかるのが真の教育。いじめた子には厳しく措置して更生に導かないと、被害者も加害者も救えない」と訴える。
        「毎日新聞」8月29日(月)7時22分配信

        ●中2自殺受け調査委
         ■札幌市教委 弁護士らも
         札幌市手稲区の市立前田北中学校2年の男子生徒(13)が自宅近くのマンションから飛び降り自殺したことを受け、市教育委員会は1日、調査委員会を2日に設置すると発表した。
         委員は、同校の校長、市教委幹部をはじめ、弁護士や精神科医師、教育学者ら5~10人程度になる予定。
         同校の全生徒に対し、教員やスクールカウンセラーが面談し、心のケアをする中で事実の究明に努める方針だ。調査結果は報告書にまとめ、数カ月後をめどに公表できる部分は何らかの形で発表するという。
         一方、2日夜には同校で、保護者説明会を開き、事実経過と今後の対応などについて説明する予定だ。
        「asahi.com」2011年09月02日

        ●非正規社員、過去最高の38・7% 「賃金の節約のため」4割超 厚労省調査
         厚生労働省が29日発表した「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(2010年10月時点)によると、パートタイムや契約社員、派遣労働者など全労働者に占める非正規社員の割合は38・7%となり、前回調査(07年)の37・8%を上回り、過去最高を更新した。非正規社員を活用する理由(複数回答)は「賃金の節約のため」が43・8%となり、前回調査と同様にトップとなった。
         非正規労働者の割合は、パートタイムが22・9%(前回調査は22・5%)でトップ。契約社員が3・5%(同2・8%)で続いた。派遣労働者は3・0%で、前回調査(4・7%)から減少した。
         一方、非正規社員に現在の就業形態を選んだ理由を聞いたところ(複数回答)、「自分の都合のよい時間に働けるから」が38・8%(前回調査は42・0%)でトップ。以下、「家計の補助、学費等を得たいから」が33・2%(同34・8%)、「通勤時間が短いから」が25・2%(同23・2%)で続いた。
         「正社員として働ける会社がなかったから」は22・5%で第5位だったが、前回調査からは3・6ポイント上昇。派遣労働者だけをみると、44・9%を占めトップ、契約社員でも34・4%で「専門的な資格・技能を活かせるから」の41・0%に次ぐ2番目の理由だっだ。
         調査は従業員5人以上の1万6886事業所と、その従業員5万1152人を対象に実施。有効回答率は事業所が61・7%、従業員が64・7%だった。
        「SankeiBiz」2011.8.29 19:05

        ●原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ
         政府は20日、東京電力福島第一原子力発電所事故で高濃度の放射性物質に汚染された周辺の一部地域について、長期間にわたって居住が困難になると判断し、警戒区域を解除せず、立ち入り禁止措置を継続する方針を固めた。
         数十年続くとの見方も出ている。菅首相が地元自治体に直接説明し、避難の長期化を陳謝する方向で検討している。具体的な地域は、福島県双葉、大熊両町の原発3キロ・メートル圏内などを念頭に精査する。
         政府は4月、原発20キロ圏内を原則として立ち入りを禁じる警戒区域に設定。来年1月中旬までに原子炉が安定的に停止する「冷温停止状態」を達成し、警戒区域を解除する方針を示してきた。
         しかし、文部科学省が原発20キロ圏内の警戒区域内で事故発生後の1年間で浴びる放射線の積算量を推計したところ、大熊、双葉両町を中心とする35地点で、計画的避難区域などの指定の目安となる年間20ミリ・シーベルトを大きく超えた。原発から西南西に3キロ離れた大熊町小入野では508・1ミリ・シーベルト、同町夫沢でも393・7ミリ・シーベルトと、高い推計値を示した。
        「読売新聞」8月21日(日)3時1分配信

        ●<福島第1原発>東電、水素爆発予測せず ベント手順書なし
         東京電力福島第1原発事故で、3月12日に起きた1号機の水素爆発について、政府の「事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)の聴取に対し、東電側が爆発前に予測できていなかったと証言していることが分かった。長時間の全電源喪失時に格納容器を守るため実施するベント(排気)のマニュアル(手順書)がなかったことも判明。このため、作業に手間取るなど、初期対応で混乱した様子が浮かび上がった。
         関係者によると、政府事故調はこれまでに、同原発の吉田昌郎所長ら東電社員や政府関係者らから聴取を続けている。
         1号機の水素爆発は、東日本大震災の翌日の3月12日午後3時36分に発生。建屋の上部が吹き飛んだ。水素は、燃料棒に使用されるジルコニウムが高温になって水と反応し発生したとみられている。
         関係者によると、事故調に対し、東電側は原子炉や格納容器の状態に気を取られ、水素が原子炉建屋内に充満して爆発する危険性を考えなかったという趣旨の発言をし、「爆発前に予測できた人はいなかった」などと説明しているという。
         また、ベントについては、マニュアルがなかったため設計図などを参考にして作業手順などを検討。全電源が喪失していたため作業に必要なバッテリーなどの機材を調達し始めたが、型式などの連絡が不十分だったこともあり、多種多様な機材が運び込まれて、必要なものを選別する手間が生じた。
         さらに作業に追われる中、機材が約10キロ南の福島第2原発や作業員らが宿泊する約20キロ南のJヴィレッジに誤って配送され、取りに行かざるをえない状況になった。ある社員は「東電本店のサポートが不十分だった」と話しているという。
         一方、1号機の炉心を冷却するための非常用復水器(IC)が一時運転を中断していたものの、吉田所長ら幹部がそのことを把握せず、ICが稼働しているという前提で対策が検討されていたことも判明。事故調の聴取に吉田所長は「重要な情報を把握できず大きな失敗だった」などと話しているという。
         事故調は、東電側からの聴取内容と一連の事故に関するデータなどを精査した上で事故原因を解明していく方針だ。
         ◇震災翌日の首相視察「目的分からぬ」
         「目的が全く分からない」--。菅直人首相が東日本大震災翌日の3月12日、東京電力福島第1原発を視察したことについて、現場のスタッフが政府の「事故調査・検証委員会」の調べに、懐疑的な感想を述べていることが明らかになった。
         菅首相からの「なぜこんなことになるのか」との質問には、「自由な発言が許され、十分な説明をできる状況ではなかった」と振り返る説明があった。また、海江田万里経済産業相が12日午前6時50分、1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるベントの実施命令を出したことに、現場は「違和感が強く、意図的にぐずぐずしていると思われたら心外」と受け止めたという。
         陸上自衛隊のヘリコプターによる使用済み核燃料プールへの放水には、「ありがたかったが、作業効率が極めて低いと感じた。プールに入っていないと思われるケースが多かった」との感想があったという。
         ◇原発事故調査委・ヒアリング経過メモ(要旨)
         事故調査・検証委員会が、福島第1原発の吉田昌郎所長やスタッフ、関連企業の社員ら、学識経験者にヒアリングした経過を8月にまとめたメモの要旨は次の通り。
         <ベント>
        ・11日深夜から12日未明にかけ、炉心損傷を認識した吉田昌郎・福島第1原発所長がベント準備を指示
        ・マニュアルがなく、現場で設計図などを参照しながら必要な措置を検討し、弁操作に必要なバッテリー調達などから始めた。ストックを把握していなかったため、構内を探したり本店に調達要請したりと手間取った
        ・最終的にベントが成功したかは確認できていない。「成功した」とされているのは、格納容器の圧力低下や放射線量増加などの状況証拠からの推測。現在も確証を得られない
        ・ベントや注水に必要な資材が福島第2原発などに誤搬送され、第1原発から取りに行く人員を割かれるなど、本店のサポート体制は不十分
        ・海江田万里経済産業相のベント実施命令には違和感が強く、意図的にグズグズしていると思われたとしたら心外
         <水素爆発>
        ・1号機の水素爆発を予測できた者はいない。爆発後数時間以内に、炉心損傷で発生した水素が建屋に充満して爆発した可能性が高いと結論付けた
         <甘い認識>
        ・炉心の熱を海に逃がすための海水ポンプが津波で故障した場合、非常用復水器(IC)などで炉心冷却しながら復旧すればよいという程度の認識だった
         <4号機の損傷>
        ・3号機から排気ラインを通じて逆流した水素がたまって爆発した可能性が考えられるが、逆流させるだけの空気圧が発生していたか疑問はある
         <菅首相の福島原発視察>
        ・12日早朝の首相来訪は目的・趣旨がまったくわからない
         <海水注入>
        ・防火水槽の淡水貯水量には限界があり、いずれ海水注入が必須になるとの認識はあった
        ・12日夕に官邸、東電本店から海水注入中断の指示があったが、注水を続けないと大変なことになるので、従ったふりをして継続
         <1号機の非常用復水器停止把握せず>
        ・担当作業員がICを11日午後6時半から約3時間、停止させたが、吉田所長らは把握せず、動いていることを前提に対策を講じた
         <ヘリ、放水車などによる放・注水>
        ・電源復旧作業の中断を余儀なくされた
        ・散発的な放水は作業効率が低く、使用済み核燃料プールに入っていないと思われるケースが多かった
         <想定地震超える>
        ・福島第1原発2、3、5号機の東西方向で、想定していた揺れである基準地震動を超えたが、東電によると原子炉の安全上重要な設備に大きな損壊は確認されず
         <想定津波を再計算>
        ・09年2月、海底地形と平均潮位を見直して想定津波を再計算。その結果、想定津波の高さが上昇した5、6号機については、非常用海水ポンプの電動機の架台の浸水対策をした
        「毎日新聞」8月17日(水)2時31分配信

        ●自殺報道考 「ガイドライン作り必要」「メディア自身で議論を」
        2011.8.16 07:40 (1/3ページ)
        WHOの「自殺報道ガイドライン」
         年間自殺者数が13年連続で3万人を超えている日本。この異常事態を改善させるための取り組みが政府や関係機関によって行われる中で、メディアの「自殺報道」自体が自殺者を増加させているという指摘がある。有名人の自殺報道、硫化水素自殺のような「手段」の報道…。自殺報道はどうあるべきかを考える。  
        報道が誘発?
         7月4日、内閣府の自殺対策検討部会で、清水康之・内閣府参与(39)=NPO自殺対策支援センター・ライフリンク代表=は、今年5月の自殺者急増と、同月12日に自殺したタレント、上原美優(みゆ)さん=当時(24)=をめぐる報道が関連している可能性を指摘した。
         内閣府は、今年に入って減少傾向にあった自殺者数が、5月に前年比17・4%増の3191人と跳ね上がったため調査を実施。その結果、同月13日以降に自殺者が急増し、1月以降1日平均82人だった自殺者数が、13日からの1週間では1・5倍の平均124人に達していた。
         「増加分が13日からの10日間に集中しており、20、30代の若い女性が多い。報道によって自殺が誘発された可能性がある」と清水氏は指摘し、政府に対し、報道各社に自殺報道のガイドラインの作成を呼びかけるよう求めた。

        2011.8.16 07:40 (2/3ページ)
        ウェルテル効果
         ただ、報道と自殺との因果関係の立証は難しい。上原さんの自殺を報じた一般紙やスポーツ各紙などの報道を見ると、自殺の手段については書かれているものの、記事の扱いや量からは「過熱報道」とまでの印象は受けない。それでも清水氏は「自殺予防に携わるものとして、自殺者数を押し上げている可能性のあるものに対しては対応を求めていきたい」と話す。
         『群発自殺』などの著書がある高橋祥友・防衛医科大教授(行動科学研究部門)は「メディアの自殺報道は以前より抑制気味で、5月の自殺者数増加と報道とを結びつけるのはやや疑問」としつつ、「一社一社の報道は抑制されていても、さざ波が集まって情報の洪水となってしまうこともある」と語り、平成20年に起きた硫化水素自殺の流行を例に挙げる。
         海外では、メディアによる自殺の誘発は「ウェルテル効果」と呼ばれている。ゲーテの『若きウェルテルの悩み』(1774年)を読み、主人公と同じ方法で自殺する若者が相次いだからだ。WHO(世界保健機関)は2000年、「センセーショナルに扱わない」「過剰に、繰り返し報道しない」「手段を詳しく伝えない」などの項目を挙げた通称「自殺報道のガイドライン」を発表した。
         清水氏は「精神的に不安定で自殺を考えている人は、自殺報道を食い入るように見る。具体的な自殺方法をあまりに詳細に報じると、自殺の仕方を”指南”することになる」とし、「大事なのは『自殺予防』の観点。各社でWHOのようなガイドラインを作成し、毎回の報道内容を意識的に判断するよう求めたい」と主張している。

        2011.8.16 07:40 (3/3ページ)
        取材の足かせ?
         一方、ガイドライン作成には慎重論も根強い。
         ある週刊誌のライターは「細かい事実を積み上げて検証するのが雑誌ジャーナリズムであり、ガイドラインは取材の足かせになる。自殺者の事情を詳しく報道することで、自殺志願者に『自分とは違う』と認識させ、安易な同一化を防ぐ効果もあるはず」と話す。
         また、上智大の田島泰彦教授(情報メディア法)は2つの問題を指摘する。
         「まず、ガイドライン作成は問題提起として意義があるが、政府が報道機関に作成を要請する図式は危険だ。もう一つは、ガイドラインがあるとメディアが”事なかれ主義”に流れ、思考停止状態を招きかねない。発生時だけでなく、長期にわたって自殺者や遺族の問題を取り上げ、自殺報道のあり方についてメディア自身が議論していく姿勢も大事なのではないか」
             ◇
         ライフリンクは、自殺についての相談窓口を検索できるウェブサイト「いのちと暮らしの相談ナビ」(lifelink-db.org)を開設している。
        「産経ニュース」

        ●<大阪維新の会>教育条例に「愛国心」明記 9月提案
         大阪府の橋下徹知事が率いる首長政党「大阪維新の会」が9月定例府議会に提案する教育基本条例案に、「愛国心」を明記することが16日分かった。「基本理念」を示した条項で、06年に成立した改正教育基本法より踏み込んだ表現になっている。同法の審議で激論になった経緯があり、論議を呼びそうだ。
         第2条で目指すべき六つの理念を明示。その一つに「我が国及び郷土の伝統と文化を深く理解し、愛国心及び郷土を愛する心にあふれるとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する人材を育てる」とした。
         府議会は維新が過半数を占めており、この条例案が提案されれば成立する可能性が高い。
        「毎日新聞」8月17日(水)2時30分配信

        ●<調査>看護学生の6割が、患者からの暴力を経験
         看護学生が実習中に患者から受けた暴力の実態を、筑波大の江守陽子教授(看護科学)らの研究チームが調査した。学生の6割が暴力を受け、うち性的暴力が精神的暴力と並んで4割を超えていた。日本看護協会の調査では看護職員への暴力は約3割とされ、学生は2倍もあった。看護学生への暴力の実例に基づいた本格的な調査と分析は初めてという。
         関東地方の看護専門学校、短大、大学計15校の看護学生712人を対象に07年に調査した。593人(83.3%)が有効回答をした。
         暴力を受けたと答えた学生は352人(59.4%)で、総件数は1498件。種類別では▽精神的暴力44.7%▽性的暴力43.1%▽身体的暴力12.2%。性的暴力では「胸を触られた」「手を握られ、お尻を触らせてと言われた」「後ろから抱きつかれ、頬にキスをされた」「声をかけられ、ずっと追いかけられたり、わいせつな発言があった」などの被害があった。
         最も困った事例について具体的に記述した95人のうち20.0%は、暴力を受けた際、誰にも相談しなかった。「怒り」「嫌悪感」を覚え、「辱めを受けた」「人格を否定された」と感じたという。
         研究チームは、担当看護職員に向けられた不満やストレスのはけ口として経験が浅い学生が攻撃対象となったと分析。三木明子准教授は「暴力は弱い立場の者に向く。患者との距離感の取り方など暴力防止の実技講習を行い、まず予防が大切。防犯ブザーを持たせるなど暴力を受けない環境作りも必要だ」と話している。
        「毎日新聞」8月22日(月)2時30分配信

        ●うつ患者に特有タンパク質パターン=診断客観指標に応用期待―広島大
         うつ病患者に特有の血中タンパク質の構造パターンを発見したと、広島大学大学院医歯薬学総合研究科の森信繁准教授らのグループが31日発表し、米科学誌「プロス・ワン」電子版に掲載した。
         従来うつ病の診断は、意欲低下などの症状を基にした主観的なものだったが、森信准教授は、今回の発見が、構造パターンを客観指標とした診断法や治療に役立つ可能性があるとしている。
         森信准教授らは、神経細胞の栄養成分となる脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質の一種に着目。BDNFの遺伝子にメチル基と呼ばれる分子が結合する「メチル化」のパターンについて、未治療のうつ病患者20人と、健康な人18人の血液を採取し解析、比較した。その結果、遺伝子の特定の部位で、うつ病患者と健康な人で全く違うメチル化のパターンがあることが分かったという。 
        (時事通信)8月31日(水)6時4分配信
        高機能の発達障害のある方への支援が進まない負の要因について考える。
        2011/09/11
        1943年のレオ・カナーの論文、1944年のハンス・アスペルガーの論文。ローナ・ウィングは1981年のAsperger’s Syndrome: a Clinical Account(アスペルガー症候群:臨床報告)でハンス・アスペルガーの研究成果を広く普及させるきっかけとなった論文を発表し、カナータイプとアスペルガータイプの二群があるとしつつも「連続した一続きのもの」としてスペクトラム概念を提唱、この際に有名な<自閉症の3つ組み>も、その後の診断基準などに使われていく主徴も記述しています。
         1988年には、有名な『レインマン』が制作されていて、高機能群の自閉症の特性が映画として全世界に紹介されています。
         米国ノース・カロライナ州では1972年にTEACCHプログラムが自閉症療育の公式プログラムに指定されて以来,全州規模で実施,展開されており,日本でも佐々木正美らによって紹介され、視覚的構造化概念を中心として広がりをみせています。
         TEACCHプログラムは,「自閉症児・者が施設で生活するのではなく,それぞれの地域社会の中で自立した生活を営むことができるようにする」を基本理念とし,不適応行動が起こりにくい構造を作るという、社会的活動ととらえたいと思います。実際、ノース・カロライナ州では、不登校や非行行為などがない、と報告されています。
         さて、日本ですが、小中学校の授業崩壊が問題視された頃から、LDやAD/HDの診断を受ける子どもたちが増え始め、文科省が通常学級での指導に困難を感じる子どもたちを教師の感覚的判断によるアンケート調査で、「軽度発達障害」(今はこの名称は使っていない)に属する子どもたちが6.3%いると発表したのが1993年でしたか…。この中には広汎性発達障害が含まれています。
         学校教育以外からも要請を受けた厚労省が、発達障害の診断をできる医師を増やそうと研修を盛んに行いました。精神科医はもちろん、小児科医、内科医なども対象としていたと思います。で、国際的診断基準にもとづいた「診断」ができる医師は徐々に増えていっているのは確かです。
         ここで、精神医療的に考えられる問題点を整理します。
        ○発達障害は脳機能の先天的な障害や偏りであり、薬物や従来の医療行為で「治療」できるものではない。
        ○発達障害による発達の偏り・アンバランス・凸凹、対人関係性の特異さなどがあることから、抑うつや強迫性障害、依存症、睡眠障害などの二次障害を生じている方が多く、薬物各々への反応が過敏な人や逆に鈍感な人なども多いことから、二次障害を軽減させるための薬物処方が難しいこと。処方を誤れば、誤薬や多剤大量処方になりやすく、三次障害となるケースも多い。その場合の「治療」は(入院も含めて、状態に応じて緩やかに減薬していくしかないのだろうが)、状態がどんどん悪化していく場合が多いために説明を求められても答えられないケースが多い。
        ○診察室で本人が見せる断片的な症状などが、統合失調症の症状のいくつかに似ていることが多く、統合失調症として診断され、統合失調症として治療され続けていく人が多い。
        ○二次障害が幸いにも生じていない、あるいは治療が必要なレベルではない人もいることから、診断のみの医療受診で終わる人も多く、医療機関として収益的魅力がない。
        ○医療と福祉の連携が、言われているほど進んでいないのが実情。
        などなど、医療機関経営に携わる人にとって、「儲かる」対象(患者)でない、というのが医学的な支援が進まない最大の負の要因だろうと、最近考えてしまいます。
         医療だけでなく、福祉の領域においても、発達障害への対応を保障する法制度や報酬体系、支援者養成システムなどはヨチヨチ歩きの段階ですから、いろんな意味で「受け入れ先がない」状態が続いています。
         AD/HDについては、治療薬の開発の認可が進み、米国では「罹患率」は20%を越えるとも言われています(実際にはAD/HD単独の脳機能障害の方は少なく、自閉症スペクトラムと併存されている方の方が多いようです)。これも、薬が治療に使え、報酬が入るシステムだからです。
         日本でも、自閉症スペクトラム障害(およびその特性を有する人)への医療保険や障害年金の改善、発達障害者手帳の新設などに向けて、次の「障害者総合福祉法」を検討する厚労省の「障がい舎制度改革推進会議 総合福祉部会」では議論が進んでいるようですが…。
         それでも、手帳にしても医療費補助にしても障害年金にしても、医師による「診断書」や「意見書」が必要となるため、身近に受診でき、発達障害による学習や生活、就労面などでの困難さを理解できる医師の増が不可欠となります。
         診療報酬の高低にこだわって、受診体制が整わない、なんてのは、国としての発達障害への理解の低さと責任逃れによる、後進状態と言わざるを得ないと思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        「将来に希望ない」64% ワーキングプア急増

         1日7時間、週5日働いているのに生活が苦しく、64%は将来に希望が持てない-。連合が年収200万円以下の千人を対象にアンケートをしたところ、こんな結果が出た。連合は「正社員並みに働いているのに賃金に反映されていない」として、賃金底上げの必要性を訴えている。
         調査は6~7月、携帯電話のサイトを通じて行い、20~59歳の千人が回答。それによると勤務は平均して週4・8日、1日7・0時間。現在の生活実感について聞くと、複数回答で「格差社会の中にいる」が80%、「収入アップは無理」が79%、「世の中の厳しさや薄情さを感じる」が74%、「将来に希望が持てない」が64%などとなった。
         食費は1日平均768円。最低賃金の全国平均である時給730円を低いと思っている人は73%。連合は「ワーキングプア(働く貧困層)が急増している。最低賃金を少なくとも800円以上に引き上げなければ」としている。
        「産経ニュース」2011.9.9 08:34

        ●経産相”放射性物質うつった”発言
         鉢呂経済産業大臣は、野田総理大臣とともに福島県の被災地などを視察したあと、8日の夜、都内の議員宿舎に戻った際、記者の体に触れるようなしぐさをしながら、「放射性物質がうつった」などという趣旨の発言をしていたことが明らかになりました。鉢呂大臣は、周辺に対し「厳しい原発の現状などを記者団と共有したいという思いだった」と釈明しています。
         鉢呂経済産業大臣は、8日、野田総理大臣とともに、福島県の被災地や福島第一原発の状況などを視察しました。そのあと鉢呂大臣は、都内の議員宿舎に戻った際、記者団に対し、原発の状況や作業員の仕事ぶりについて説明する中で、記者の体に触れるようなしぐさをしながら、「放射性物質がうつった」などという趣旨の発言をしていたことが明らかになりました。これについて鉢呂大臣は、周辺に対し「厳しい福島原発の現状と作業員の懸命な努力の様子を、記者団と共有したいという思いだった。誤解を与えたのであれば、自分の本意ではない」と釈明しています。鉢呂大臣は、9日の記者会見で「東京電力福島第一原子力発電所の周辺の町村の市街地は、人っ子一人いない、まさに『死のまち』という形だった」と発言し、その後、改めて記者会見して、「被災者の皆さんに誤解を与える表現だった」と述べ、発言を撤回したうえで陳謝しました。
        「NHK NEWS WEB」9月9日 23時59分

        ●「謝罪決着」困難…首相、経産相に自ら引導?
         野田内閣が発足早々に直面した鉢呂吉雄経済産業相の不適切発言問題は、鉢呂氏の辞任でひとまず決着した。
         高支持率でスタートした野田内閣だけに、世論の反発への機敏な対処を重視せざるを得なかったものだ。13日召集の臨時国会を前に、野党との対立を長引かせるのは、今後の与野党協議に大きなマイナスになるとの判断もあったようだ。
         問題行動が明るみに出てから、わずか1日での辞任劇だった。
         「内閣が発足した直後に大変ご迷惑をおかけする」
         鉢呂氏は10日夜の首相との会談で、こう謝罪の言葉を述べた。
         鉢呂氏が記者会見で、福島第一原発周辺の自治体の印象を「死のまち」と表現したのは9日午前。首相は素早く発言の撤回と謝罪を指示し、首相官邸はこれで幕引きできると信じていた。
         だが、9日深夜、鉢呂氏に新たな問題行動が発覚すると、首相官邸側の空気は微妙に変化した。防災服の袖を記者にこすりつけるしぐさをして、「ほら、放射能」と発言したことは、閣僚とは思えない軽率な振る舞いで、進退問題への発展を憂慮する声が出始めた。
         政府・与党内では、民主党の輿石幹事長らを中心に「辞めるよう求めている幹部はいない」(党幹部)とし、首相の厳重注意で決着を図ろうとする動きもあった。重要閣僚の辞任による政権への打撃を懸念したためだが、首相の判断は違った。
         首相は政権発足以来、原発事故の収束を政権の最優先課題と位置づけてきた。8日に福島県庁を訪れた際、「福島の再生なくして、元気な日本の再生はないという気持ちを知事と共有したい」と述べ、佐藤雄平知事に鉢呂氏らを紹介した。その閣僚から飛び出した問題発言を看過すれば、被災地はもとより、世論にも政権の姿勢に強い疑念を抱かれるのは避けられないからだ。
         10日昼、首相が視察先の宮城県気仙沼市で、「(鉢呂氏の)真意を確かめたい」と発言したのは、すでに謝罪などで決着させるのは難しいと判断していたからだとみられる。
         野党の強硬姿勢も、首相の判断に影響したのは確実だ。自民党の石破政調会長は10日午前、野党が多数を占める参院で、鉢呂氏に対する問責決議案の提出を辞さない構えをみせた。公明党幹部も「辞任しないと収まらない」と強調していた。
         鉢呂氏の進退をめぐり、臨時国会の冒頭から自民、公明両党と全面対決すれば、菅前首相の退陣で障害が取り除かれた与野党協調への道は閉ざされる。首相が目指す、東日本大震災の復興対策、復興財源確保などでの税制改正、経済対策の3テーマによる実務者協議の構想も頓挫する。
         「ねじれ国会」の下、鉢呂氏を続投させれば、与野党の激しい対立で政策実行の基盤を欠いた「菅内閣の二の舞いになる」(民主党参院議員)のは必至だ。輿石氏らの判断とは別に、党内には「続投すればするだけ、ダメージが続く。早くやめてもらった方がいい」(政務三役の1人)などとの声が広がっていた。
         辞任は鉢呂氏からの申し出によるものだったとされる。ただ、党内では、10日午後まで続投に意欲を見せていた鉢呂氏が「変心」したのは、首相が事実上、引導を渡したのではないか、との見方も出ている。
        「読売新聞」9月11日(日)10時30分配信

        ●アルツハイマー発症の仕組み、iPS細胞で確認 慶応大
         慶応大の研究チームがiPS細胞(人工多能性幹細胞)技術を使い、アルツハイマー病が発症する仕組みの確認に成功した。生きたヒトの細胞による薬の効果の確認につながり、新薬開発に役立ちそうだ。論文が7日付英医学誌ヒューマン・モレキュラー・ジェネティクス(電子版)に掲載された。
         アルツハイマー病は、ベータアミロイドという毒性の高いたんぱく質が脳にたまり、神経細胞を傷つけて起きるとする「アミロイド仮説」が提唱されている。チームは、遺伝性アルツハイマー病の患者2人の皮膚の細胞からiPS細胞を作って、さらに神経細胞に変化させた。すると、いずれの患者由来の神経細胞でもベータアミロイドが通常の約2倍作られており、病気の一部を再現できた。
         またベータアミロイドができるのに必要な酵素の働きを止める新薬の候補を使ったところ、ベータアミロイドのできる量が抑えられるのも確認した。
        「asahi.com」2011年9月9日16

        ●脳を透明化する試薬、ヒトへの応用も
         新開発の化学薬品によって、近い将来、頭の中を科学者に見透かされてしまう時代が来るかもしれない。この薬品は、脳組織を完全に透明化できるからだ。
         「Scale」というこの化学薬品は、生体組織を透明化して光を奥深くまで通すことにより、細胞その他の構造に標識としてつけられた蛍光を直接観察できるようにするものだ。開発者たちによると、この発明は、医用画像の新たな領域を拓く可能性を秘めているという。
         日本の理化学研究所脳科学総合研究センターの宮脇敦史氏は、プレスリリースの中で次のように述べている。「今回の研究では、主にマウスの脳を材料にしたが、Scale技術はマウスや脳以外にも適用可能だ。心臓や筋肉、腎臓といった他の器官や、霊長類およびヒトから採取した生検組織試料への適用も目指している」。
         カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部の神経学者ポール・トンプソン氏は、Scaleで透明化されたマウスの器官や胎児の写真に驚いたと話す。「脳画像を研究して20年になるが、これを見て本当にあっと驚いた」。トンプソン氏は今回の研究には参加していない。
         ◆透明化で薬の効き目が見える?
         Scaleは、比較的シンプルな材料からできている。尿の主成分である尿素、グリセロール、それに「TRITON X」の名で知られる界面活性剤だ。
         マウスの脳、さらには胎児を丸ごとScale溶液に2週間漬けたところ、いずれも透明に変化した。
         これまでにも、医用画像向けに細胞を透けて見えるようにする薬品は開発されているが、Scaleが従来の薬品と違うのは、観察したい蛍光タンパク質のシグナルまで一緒に消し去ってしまわない点だ。蛍光タンパク質は、ニューロンや血管などの小さな身体構造に標識をつけるのに用いられている。
         この蛍光イメージング技術は現在、脳の細胞構造のマッピングなどに用いられているが、理化学研究所によると、Scaleはこの種の研究にかつてない成果をもたらすことが期待できるという。
         UCLAのトンプソン氏によると、Scaleはそのほか、CTスキャンやMRI(核磁気共鳴画像法)といった、より複雑で高価な技術に頼る前に、撮像対象を詳しく観察する上で役立つ可能性があるという。
         「治療の効果が、脳や器官の治療したい部分に本当に到達しているかどうか、視覚的に確認できるようになるかもしれない。例えば、アルツハイマー病の治療において、脳に蓄積する班を除去したい場合、薬剤が本当に班を除去しているかどうか見られるようになれば、これは大きな進歩になりうる」とトンプソン氏は述べている。
         ◆「透明人間」の実現はまだ先
         とはいえ、実験動物が「透明人間」のようになることは当分ないだろう。Scaleは生きたままの動物に使用するには毒性が強すぎるためだ。しかし宮脇氏は、いずれこの問題は解決すると考えている。
         「われわれは目下、別のもっと毒性の弱い試薬候補の研究を進めている。開発に成功すれば、生きたままの組織を、透明度はやや落ちるが同じやり方で調べられるようになる。その結果、以前はまったく不可能だった研究にも可能性の扉が開くだろう」と宮脇氏は述べている。
         今回の研究は、「Nature Neuroscience」誌オンライン版に8月30日付で発表された。
        「ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト」9月5日(月)15時11分配信

        ●原発賠償原資、4兆円規模…交付国債の枠拡大へ
         政府は8日、東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償を支援するため、東電による賠償の原資となる交付国債の発行枠を、現在の2兆円から拡大する方向で調整に入った。
         2011年度第3次補正予算案で、2兆円程度の発行枠を新たに設定し、4兆円規模にする見通しだ。
         政府は、第2次補正予算で2兆円の発行枠を設定していたが、賠償支払いなどが予想以上に進む見通しとなったためだ。
         交付国債は、国が現金を支払う代わりに、あらかじめ国の機関などに発行する特殊な無利子の国債だ。9月中に発足する原子力損害賠償支援機構は、政府に対し、必要に応じて交付国債を現金化するよう求めることができる。
        「読売新聞」9月9日(金)6時47分配信

        ●NHK受信解約の申し出が9万件 地デジ移行が影響
         NHKの松本正之会長は8日の定例記者会見で、7月24日の地上デジタル放送への完全移行にともなう放送受信契約の解約の申し出が、8月末までに約9万件あったことを明らかにした。経済的事情や嗜好の多様化などにより、テレビを見ないことを決めた人が多いとみられる。
         NHKは本年度の事業計画で、40万件の契約者数増加を見込んでいる。松本会長は解約申し出が今後10万件を超えるとの見通しを示した上で、「(事業計画の)4分の1に当たるかなり大きな数字、影響だと思っている」と話した。
        「共同通信」2011/09/08 19:59

        ●後見人制度悪用、着服の男に猶予判決 京都地裁
         成年後見人の立場を悪用し、姉の口座の現金を着服したとして、業務上横領罪に問われた京都市左京区の古物販売業、岸本誠三被告(67)の判決公判が9日、京都地裁で開かれた。島本吉規裁判官は「後見人制度の信頼を損ねる悪質な犯行だが、反省している」として懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。
         判決によると、岸本被告は平成20年9月~昨年2月、成年後見人として姉(82)名義の口座を管理していた立場を悪用し、計37回にわたり、京都市内の金融機関で現金約560万円を払い戻して横領した。
         この事件は京都地検特別刑事部が今年5月に立件。同地検で初めて取り調べの録音・録画(可視化)を試行した。
        「産経新聞」9月10日(土)7時56分配信

        ●「学校に義務違反ない」 いじめ裁判 桐生市、主張崩さず 群馬
         学校でのいじめや担任教諭らの対応が自殺の原因として、桐生市の小学6年、上村明子さん=当時(12)=の両親が、市と県を相手取り3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が9日、前橋地裁(西口元裁判長)で開かれた。市側は、担任や学校側に、いじめ防止の安全配慮義務違反はなかったとして、この日も全面的に争う姿勢を見せた。
         口頭弁論で、原告側は上村さんが給食を一人で食べていた点などから、「担任がいじめを認識していたことは明らかだった」と指摘。その後、担任や学校側は、いじめに加わった児童を指導せず、アンケートでいじめの事実関係を調べなかったとして、「明子さんに対するいじめ防止義務を怠り、自殺に駆り立てた」と論じた。
         これに対し、市側は、悪口や給食時の孤立は、暴力などの強いいじめではなく「悪質とはいいがたい」として、「学校側が自殺を予見できたとはいえず、いじめ防止義務違反もない」と主張した。
         弁論を終え、明子さんの父、竜二さんは「再発防止は、事実を明らかにすることから始まるはずだ。(市側は)いじめを認め、本当のことを説明してほしい」と訴えた。
        「産経新聞」9月10日(土)7時55分配信

        ●リストバンドで自殺予防訴え 京都市
         10日から始まる自殺予防週間を前に、京都市こころの健康増進センター(中京区)は、自殺予防を訴えるシリコン製のリストバンドを作った。
         2011年の国の自殺対策白書によると、20~39歳の死因のトップは自殺で、20~24歳は49・8%と約半分を占める。若い世代に自殺予防を働きかけようと、1万2千個製作した。
         バンドは直径が6・5センチ。白地に緑色で「きょうを生きよう」のメッセージと英訳文を記した。多くの人に身につけてもらって自殺予防をアピールしようと、研修や市民向けの催しなどで配布する予定。
        「京都新聞」9月6日(火)13時29分配信

        ●南宇治中で弁当提供へ 宇治市教委、10月から
         宇治市教育委員会は10月から、南宇治中で、昼食提供事業を試験的に始めると発表した。市教委の管理栄養士が献立を作り、民間業者が製造する弁当を安価で提供する。5日の市議会文教福祉常任委員会で報告した。
         宇治市ではアンケート調査で、85%の生徒が毎日、家庭から弁当を持参しているものの、市販の弁当やパンを購入している生徒や、欠食する生徒もいることが分かった。昨年度、市教委が設置した中学校昼食検討委員会で議論し、中学校では給食を導入せず、民間業者の弁当か、従来どおりの家庭からの弁当かを選択できる方式を提案した。
         アンケートで300円台前半を希望する保護者が39%と最も多かったことから、価格は1食350円。献立は、空揚げやエビフライなど中学生の好物とともに、昔ながらの煮物なども取り入れ、栄養バランスや食育に配慮する。城陽市の弁当業者が製造する。1食当たりのエネルギー量は800キロカロリー。
         同中の空き教室を改装、冷蔵庫やクーラーなどのある配ぜん室を整備した。システム委託料は265万円。
         保護者がパソコンや携帯電話から当日の午前8時まで注文、キャンセルできる。同教委の栄養士が業者が配達した弁当を管理、生徒に渡す。
         10月3日からスタートし、11~12月にアンケートを実施し今後の方針に生かす。市教委は来年度、同中を含む2~3校に試験実施を広げ、2013年度に全校で実施する。
        「京都新聞」9月6日(火)10時29分配信
        うつと気分障害、多様なタイプを見落とさないこと
        2011/08/13
        一昨日、歩いていて左側から車に突っ込まれて頸椎ね捻挫、左腓骨骨折、左上肢打撲擦過傷、左頭部打撲などの診断で、4週間の加療必要と。意識はずっと鮮明で、今はあちこちの打撲や筋肉痛で少し痛い目をしています。自宅にいても暑いだけなので、事務所でくつろぎながら勉強でもしようかと出てきています。
         さて、今日の本題。
         不登校やひきこもり、最近では教員をはじめとして長期の欠勤の原因として、また自殺リスクの最大要因として「うつ」概念が、広義に取り扱われています。「心の風邪」、誰でも起こるもの、治療には薬物療法、休養、はげまさない、などが一般的に拡がっています。しかし、うつには様々なタイプがあり、治療や周囲の関わり方に違いがあることは、意外と知られていません。
         うつは、脳の領域全体が異常な反応を示すもので、苦痛や痛み、不安などは、「死ぬほど耐えがたいもの」である場合が少なくないことを理解してほしいと思います。以下、岡田尊司先生の『うつと気分障害』(冬幻覚舎,2010)を参考に、少し書いてみます。
         DSM-Ⅳでは診断カテゴリー6の「気分障害」とされます。単極性、双極性、季節性感情障害と大区分されます。さらに、単極性・双極性ともに大うつと小うつに。さらに単極性大うつはメランコリー型うつ病、精神病性うつ病、非定型うつ病、季節性うつ病に、単極性小うつは気分変調性、適応障害(気分障害には入らない)に。双極性大うつは双極性Ⅰ型障害と双極性Ⅱ型障害に、小うつは気分変調性障害へと区分されます。
         うつの基本症状は、ネガティブな感情が増えてポジティブな感情が減る、行動機能障害、睡眠・食欲・便通異常・身体のだるさや痛みなどの身体的症状。大うつではこの3つがすべて強く見られるますが、小うつ(軽うつ)では行動機能障害や身体的症状が軽度となります。
         診断基準によるさらに詳しい症状は以下の9項目です。1.抑うつ気分、2.無感情・無関心、3.睡眠障害、4.疲れや気力・活力低下、5.実行機能障害、6.精神運動障害、7.体重や食欲の異常、8.自殺念慮、9.罪悪感や無価値感。
         体や頭の動きが鈍く空回りする、良いことにも反応しなくなる、よく喋るあるいは口数が減る、記憶力・判断力の低下、慢性的な身体の痛みが続く、ひきこもりの背景にも多い。
         一方で双極性で生じる躁状態と症状について。
         早朝に目覚めて(睡眠不足状態で)もスッキリしている、口数が増え声も話も大きくなる、疲れを知らないかのような行動、暴走から混乱に至る。躁とうつが入り交じった「混合状態」もしばしば見られる。「軽躁状態」は「性格」と見分けにくい。
         日々の出来事や気分に影響を与える物質(アルコールや薬物など)でうつや躁状態になることもあります。
         「うつ」は、人前で症状を呈するので気づきやすいのですが、人前では出さない「躁病エピソード」があれば「隠れ躁うつ病」となり、50%が躁であるという報告もあるほど。単極性のうつではなく、双極性であれば、治療法が違いますし、うつとして抗うつ剤中心の処方がされていた場合に、「躁転」などの有害な事態を招いたり、躁うつの波を強めてしまうため危険です。本人さんは気づきにくく、診察室でも自覚がないため症状を医師に伝えてなければ、躁状態に気づくことは困難です。家族や周囲の方が、生活場面をよく観察することが大切です。
         「隠れ躁うつ病」(特に双極性Ⅱ型)に気づくポイントのいくつかをあげます。
         躁病エピソード(急に明るく、活動的になる、浪費、思いつきで意外な行動をする、など)の存在、嬉しいことに普通の反応をする、家族歴がある、産後発症、抗うつ剤が効きにくい。また、子どもの気分障害は実は多いことがわかってきていて、中でも自殺の危険性が高いが、とても気づきにくい。ADHDやHF-ASD(アスペルガー障害など)に併発することが多い。
         とりあえず「うつでしょう」と受診して医師に言われたり、抑うつ状態が見られたら、こうした様々なタイプがあることを思い出して、精神科受診をしつつ、日々の生活の観察(とくに躁病エピソードの有無)を十分に行い(見られた場合は医師に具体的に伝えましょう)、適切な対応ができることが、命を救い、長期化や再発、薬害などを避ける方法だと思います。そして、一人で悩まないこと…!
         それでは、今週の気になる記事です。

        原賠機構法が成立へ=東電賠償の枠組み整う

         東京電力福島第1原発の事故で、東電の損害賠償を国が支援する枠組みを定めた原子力損害賠償支援機構法が3日の参院本会議で可決、成立する。政府は10日をめどに同法を施行し、8月中の機構設立を目指す。東電は今後、これまで遅れていた賠償金支払いを速やかに行うことが求められる。
        「時事通信」8月3日(水)6時48分配信

        ●電力5社、経営陣が動員関与…会社ぐるみ常態化
         原子力発電所に関するシンポジウムや住民説明会に、電力会社が社内や関連会社などの関係者を動員した問題で、四国電力以外にも東北、中部、中国、九州の4電力会社で、当時の副社長や社長が動員を指示したり、了承したりしていたことがわかった。
         社員らの動員は、これまで四国電力など6社で判明しているが、このうち5社で経営陣の関与が認められたことになる。
         副社長が関与していたのは、2006~10年に開かれた東北電力女川(宮城県)、中部電力浜岡(静岡県)、中国電力島根(島根県)、四国電力伊方(愛媛県)の各原発についてのプルサーマル計画に関するシンポジウムなど。
         東北電力では09年12月、火力原子力本部長の副社長が幹部との打ち合わせで「出席できる人は出てください」と述べ、出席した部長らが部下に伝え、管理職や関連会社への参加要請が行われた。中国電力では、08年12月に電源事業本部長の副社長や島根原子力本部長の常務らが集まった会議で、社員らに参加を要請することが了承された。中部電力では07年8月に開かれたシンポジウムについて、同社広報部は「副社長が報告を受けて了承した」としている。
         九州電力では、昨年5月の川内原発3号機増設に関する「第1次公開ヒアリング」で、社長が動員要請を事前に把握していた。
        「読売新聞」8月3日(水)3時7分配信

        ●高校の不登校5万3000人=調査開始以来、初の増加―文科省
         2010年度に30日以上学校を欠席した不登校の高校生は、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)を除き、5万3084人だったことが4日、文部科学省の問題行動調査で分かった。全都道府県をまとめた09年度と比べ2.6%増で、調査を始めた05年度以来初めて増加。生徒数は約14万人減った一方、不登校は約1300人増えた。
         不登校のきっかけ(複数回答)は、「無気力」(24.1%)のほか、「不安など情緒的混乱」(16.3%)、「遊び・非行」(11.0%)が上位を占めた。同省は「人間関係をうまく構築できなかったり、無気力な生徒が増えたりしたのが原因」と分析している。
        「時事通信」8月4日(木)17時9分配信

        <参考サイトの紹介>
        「平成22年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について(通知)
        http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1309331.htm
        平成22年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について (PDF:759KB)
        http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/__icsFiles/afieldfile/2011/08/04/1309304_01.pdf

        ●不謹慎テロップに民放連会長「社会意識の欠如に問題の根源」
         東海テレビ放送(名古屋市)が4日に放映した情報番組「ぴーかんテレビ」で岩手県産米の当選者について「怪しいお米セシウムさん」などと記したテロップが流れた問題で、日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日顧問)は5日、「原発事故によって多くの方々が被害にあっておられるなか、放射能の風評被害について、放送事業者はもっとも敏感であるべき」などとするコメントを発表した。
         広瀬会長は「問題のテロップはあまりにも常識を欠いた表現」と指摘。「本件では(1)こうした内容のテロップを作成するという社会意識の欠如に問題の根源があるうえに(2)それをチェックできなかったこと(3)操作ミスで画面に出したものを即座に取り消せなかったことにも重要な問題がある」と述べた。
         また、民放連の会員各社に対して、倫理観の再確認や防止策への注力を求めたことを明らかにした。
        「産経新聞」8月5日(金)23時4分配信

        ●東海テレビ不適切テロップ、3日間で抗議1万件
         東海テレビ放送(名古屋市)が4日に放送した情報番組「ぴーかんテレビ」で、岩手県産米のプレゼント当選者について不適切なテロップを誤って流した問題で、同社に6日夜までに寄せられた抗議の電話やメールが1万件を超えた。
         同社によると、6日は電話が午後6時までで約260件、メールが同9時までで約1600通に上った。放送日からの3日間では、電話約1300件、メール約9000通に達した。多くが岩手県など東北地方からで、抗議や関係者の厳正な処分を求める内容がほとんどという。
         同社は5日夕の特別番組で、問題の経緯を公表し、謝罪したが、愛知、岐阜、三重県の放送エリアだけだったため、6日夜、特別番組の概要と、岩手県庁などを役員が訪問して謝罪したことを同社のホームページに掲載した。
        「読売新聞」8月6日(土)23時33分配信

        ●日本IBM、国会図書館の全文テキスト化システムのプロトタイプを開発
         日本IBMは1日、国立国会図書館が蔵書の大規模デジタル化作業の一環として実施した全文テキスト化システムプロトタイプ構築事業において、プロトタイプを開発したと発表した。
         欧米では、文化財保存を目的とした書籍のデジタル化が活発に展開されている。一方で日本では、ひらがな・カタカナに加え、多数の漢字(常用漢字2136文字、旧字・異体字など含めて約1万文字)を用いて表記されるほか、ルビや縦横書きの混在など、表現の多様性が全文テキスト化の実現を困難なものとしている。
         今回のプロトタイプは、このような日本語特有の問題を解消し、明治以降の各年代における日本語書籍の全文テキスト化の効率化、印刷物の読書が困難な状況にある人に配慮したアクセシビリティの実現、ならびに効果的な全文テキストデータ検索・表示の実現を目指して開発された。
         機能面では「共同校正機能」や「共同構造化機能」を備える。共同校正機能は、Webブラウザ経由で多数の文字校正者が同時に作業できる環境と、光学式文字認識(OCR)の精度向上を実現する。インターフェイスには、OCRで認識された文字群を一覧表示され、作業者が一括して校正できる。共同仕上げ校正の際には、紙の原本やスキャン画像と文字を見比べながら1つずつレビューするというアプローチではなく、共同文字校正であらかじめ校正された結果を原本の画像上に表示・対比させることで、一目で確認・修正できるという。作業結果をOCRの再学習に用いることで少しずつ精度を上げていく仕組みも備える。
         一方の共同構造化機能では、視覚障がい者などが読み上げソフトを使って書籍を読む際に重要な「構造化」を行うため、「構造情報付加機能」と「読み上げ順序修正機能」の2つを提供。IBM東京基礎研究所で開発された、読み上げ順序を一筆書きで表現しドラッグ&ドロップのみで修正できる技術を採用するとともに、全文テキスト化された書籍の構造の種類に応じた最適な構造化インターフェイスを用意することで、HTMLやXMLなどの記述言語の知識がなくとも構造化できるという。また、読み上げ順序、見出し、目次、図、表、注釈、ページ番号といった構造情報を自動推論し、構造化担当者にガイドを提示する機能なども提供する。
         同プロトタイプには、2008年にIBM東京基礎研究所が開発した、Webページのアクセシビリティを向上させる「Social Accessibility」のコンセプトが応用され、多数かつ多様な作業者がWebブラウザで同時に協働作業できるよう工夫された。また、IBMハイファ研究所がEUと進めている歴史的資料のデジタル化プロジェクト「IMPACT(IMProving ACess to Text)」の一環として開発された、シンプルな操作を繰り返して行う協調型文字校正技術も採用。OCRエンジンが文字認識エラーの校正を自動で学習し、少しずつ精度を向上していく機能も含まれており、作業の効率化に貢献するという。
        「cloud.watch」2011/8/1 13:45
        知的障害と発達障害、概念の変遷、そして今。
        2011/08/13
        発達障害は、英語では「developmental disability」と表現しますが、当初は主として知的障害者、あるいはそれに類する障害を「発達障害」と位置づけ、支援をしようという概念でした。すなわち発達障害の根幹は知的障害とされていました。それが、発達障害者支援法などでは、ASD(PDD、AS、HFA)、LD、ADHDなどの一群(その他これに類する脳機能障害)という定義がされてきています。  日本においては、法令上、一般的な知的障害の定義は存在しませんが、個々の法令においては客観的な基準を示さず、支援の必要性の有無・程度をもって知的障害者が定義されることもあります。かつての精神遅滞が「知的障害」と名称変更されたのは2000年のこと。知的障害があると認定されると療育手帳が交付され、各種料金の免除などの特典が与えられますし、障害年金や特別障害者手当などの制度も利用できます。  国際的な精神疾患・疾病の分類と診断基準として使われている「ICD-10」(世界保健機関)では、知的障害は「F7 精神遅滞」、広汎性発達障害などは「F8 心理的発達の障害」とカテゴリー分けがされている一方で、米国精神医学会の「DSM-Ⅳ-TR」ではどちらも「1 通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害」に含まれています。厚労省や行政が「ICD-10」を基本として使っていることから、手帳や障害福祉サービス受給者証の受給手続きなどで診断書が必要となる際の「診断名」は「ICD-10」によるもの、とされています。つまり、知的障害と発達障害が別のカテゴリーとされ、手帳で言えば、前者は療育手帳、後者は精神保健福祉手帳となりますし、医学的診断も、乳幼児・小児期の場合は小児科でもしてくれますが、年齢が上がるにつれて児童相談所や知的更生相談所にリエゾンされることが多いようです。 これらは医学的診断を前提に福祉的対応・処遇を決定するところですから、「治療」(?)よりも「療育」重視となります。  よく、「高機能群」とされるASD(アスペルガー障害などの高機能の自閉症スペクトラム障害)などは「知的に問題がない…」と前置きされることがありますが、アスペルガー障害と軽度精神遅滞の療法の診断、手帳は療育手帳というケースもありますので、「高機能群」=「知的に問題が無い」わけではなく、自閉症特性を有することとIQ値は、それぞれに違う、また重なった困難さをお持ちである、と理解しサポートしていくことが大切です。  発達障害が、手帳や障害年金の対象となることが法令で定められましたので、必要な方は申請手続きを進めて欲しいところですが、(特に成人の発達障害や知的障害を)診断できる医師が少ないことが、新たな障壁になっています。「必要なものは要請していく」精神で、環境を開拓していくしかありません。
        http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_06notebook.html(厚生労働省)
         それでは、今週の気になる記事です。

        送り火中止「騒ぎになって欲しくない」 陸前高田市長

         「これ以上、騒ぎになって欲しくない。遺憾だ」。京都市の中止会見を受けて、岩手県陸前高田市の戸羽太市長が12日夕、プレハブの仮庁舎前で、怒りをあらわにした。
         「京都の独自の判断で中止するというのは風評被害をさらに拡大する」と、明確な基準を示さないまま中止を判断した京都市の対応を強く批判。京都市の門川大作市長側からは電話で謝罪訪問したいとの申し出があったが、断ったという。
         さらに、「京都市には陸前高田を心配してくれる人もたくさんいる。京都市は被災者をどう考えているのか。京都市民にも迷惑がかかる話」とも語った。
         当初の計画は、大分市の美術家から協力を求められた京都の「大文字保存会」が進めた。「もう勝手にしてくれという気分。現場に足を運ばずに判断しているのは許せない」。薪にそれぞれの思いを書いて京都に送る当初の計画を呼びかけた陸前高田市の鈴木繁治さん(66)は怒った。
         当初の薪に鎮魂の祈りを込めて「絆」と書いた佐々木倉雄さん(67)は「お盆の時期にことを荒立ててもらいたくない」と話した。
        「asahi.com」2011年8月13日4時26分

        ●酷暑 増える「ペットボトル症候群」 がぶ飲み注意
         8月に入り、30度を超える厳しい暑さが続く石川県内。節電対策で室内の冷房も弱い となれば、ついつい手が伸びるのは冷たい清涼飲料水だ。ただ、しょっちゅう口にすると 、急激に血糖値が上がる「ペットボトル症候群」に陥る危険性がある。県内でも若年層を 中心に発症が増えており、内科医は「暑いからといって、がぶ飲みは危険」と注意を呼び 掛けている。
         金沢有松病院の前川正知院長によると、ペットボトル症候群は医学的には「清涼飲料水 ケトーシス」と呼ばれる。糖分の多い清涼飲料水を継続して大量に飲み続けていると、血 糖値が上昇し、糖分の代謝を促すインスリンの働きが一時的に低下してしまう。
         インスリンが欠乏すると、糖分をエネルギーとして使えなくなり、体は糖分の代わりに 脂肪を分解する。その際に「ケトン体」と呼ばれる酸性物質が体内に蓄積し、吐き気や意 識障害などを引き起こす仕組みだ。
         患者の多くは10~30代の男性。県内でも発症が増えており、同病院では以前、ペッ トボトル入りのジュースを毎日3リットル近く飲み続けた男子学生(18)が、意識もう ろうとなって運ばれたケースがあったという。
         前川院長によると、一般的な清涼飲料水には糖分が容量の10%含まれ、1リットルの 清涼飲料水をがぶ飲みすると、5グラムの角砂糖を20個かじっているのと同じ計算にな る。しかし、ジュースなどを飲んで血糖値が上がると、それを薄めようとさらに水分を欲 してのどが渇き、甘い飲み物をまた飲むという悪循環が起こりやすい。前川院長は「ジュ ースやスポーツドリンクが悪いわけではない。大切なのは飲む量」と指摘し、誤った水分 補給を警告している。
        「富山新聞」2011年8月11日15時35分

        ●桐生の小6女児自殺:いじめ自殺裁判を支援する会結成 /群馬
         桐生市立新里東小6年の上村明子さん(当時12歳)が10年10月に自殺したのは学校がいじめを放置したためとして、市と県を相手取り損害賠償を求めて提訴した両親を支援する「桐生市いじめ自殺裁判を支援する会」が6日、結成された。
         同市内にある両親側の弁護士事務所で結成総会が開かれ、同市民を中心に約50人が参加した。代表世話人に同市広沢町の元高校教諭、佐藤貞雄さん(79)ら3人が選出された。参加した明子さんの父竜二さん(51)は報道陣に「応援してくれる方が一人でもいれば心強いし、裁判を頑張ることができる」と話した。
        「毎日新聞」8月7日(日)11時42分配信

        ●新教育の森:ほっかいどう 行き場ない若者と生活共に--自立援助ホーム/北海道
         ◇昼働き定時制高で学ぶ子支え 経営基盤強化が課題--自立援助ホーム「たんぽぽ苑」(札幌)
         親から虐待を受けたり、不登校や高校を中退した若者の社会への巣立ちを支える施設の一つに「自立援助ホーム」がある。義務教育を終えた子供の受け皿として、厚生労働省の児童自立生活援助事業の公的助成を受けて運営される民間施設だ。一昨年に対象年齢が20歳未満まで引き上げられ、受け入れられる子供たちが増えたことに伴い、施設数も全国的に増えている。札幌市中央区の「たんぽぽ苑」では職員らがともに集団生活しながら、昼は仕事、夜は定時制高校で学ぶ子どもたちを支えている。
         □■身一つでも
         「たんぽぽ苑」は藻岩山のふもとにあり、社員寮を改装した鉄筋コンクリート造り3階建て。社会的弱者の就職相談や住居探しなどを行うNPO「札幌市福祉生活支援センター」(松本秀秋代表理事)が昨年4月に開設した。別に生活困窮者向けの共同生活ハウスも運営し、1階が食堂や風呂場など共用スペースで、2階が共同生活ハウス、3階が自立援助ホーム。広さ約6畳の個室には備え付けのベッドやタンスのほか、タオルや歯ブラシなどの生活用品も備えられ、身一つで入居できる。
         定員は6人だが、現在入居するのは16歳と17歳の男子生徒。2人は日中、スーパーなどで働き、夕方から定時制高校に通う。入所する子供は親からの虐待や養育放棄などに遭い、児童養護施設から移り住むケースが多い。苑長の今渕治徳さんは「子供たちは小さい時に心に傷を負い、大人に対する不信感が強い。大人とうまく付き合える関係を少しずつ修復してもらい、意欲を持った社会人になってほしい」と心をくだく。
         □■道内4カ所
         厚労省によると、保護者の養育放棄などに遭い、社会的養護が必要な子供は約4万7000人(10年3月末現在)。うち約3万人は高校生までを対象にした公的な児童養護施設で生活し、残る子は民間の自立援助ホームや母子生活支援施設などで生活する。
         自立援助ホームは、国の若者らに対する就労や自立支援策の一環として、09年4月の児童福祉法改正で対象者が15~18歳未満から20歳未満に拡大された。昨年、全国で40カ所が新設され、73カ所に増えた。道内では05年10月から「ふくろうの家」(函館市)が運営されているが、新たに「たんぽぽ苑」のほか、「シーズ南平岸」(札幌市)、「新冠こたにがわ学園」(新冠町)が加わった。
         □■頼れる『実家』に
         いかにして子供たちに自立を促していくか。課題は多いが、一番は施設の経営基盤。運営は、入所者からの月額3万~5万円の利用料と1人当たり約20万円の国からの措置費が支えだ。措置費はこれまで実際に入居する人数分が支給されていたが、今春から定員で支給する方式に見直された。しかし、来年度から実態に合わせて減額されることも検討されているといい、札幌市福祉生活支援センターの米倉美津穂・総務理事は「措置費は施設経営の基盤。引き下げは、自立を目指して日々頑張っている子供たちの生活基盤を揺るがしかねない」と危惧する。
         児童福祉政策が専門の北海道大の松本伊知朗教授は「つらい体験をし、行き場のない若者たちにとって、頼れる実家のような存在。対象を20歳で区切るのではなく、退所後の相談機能も充実させるなど、さらに拡充していくべきだ」と話している。
        「毎日新聞」8月12日(金)10時40分配信

        ●スマホ、バッテリーの減り早い 利用者アンケート
         急速に普及しているスマートフォン(多機能携帯電話)について、いざ使い始めると「バッテリーの減りが早い」「地域によってつながりにくい」などの不満が強いことが9日、株式会社共同通信調査センターの利用者アンケートで分かった。
         調査は東京、大阪、仙台など全国七大都市の20~50代のスマホ利用者約1200人を対象に、7月末にネットで実施。
         「不満な点は何か」を尋ねたところ、多様なアプリの利用が可能となった影響か、1位は「バッテリーの機能」。次いで「通話エリア・電波の悪さ」「通信速度が遅い」の順で、急速な普及にネットワークの整備が追いつかない現状が浮き彫りになった。
        「共同通信」2011/08/09 17:03

        ●朝の情報番組 ネタの95%は新聞・雑誌発情報と番組関係者
         総視聴率の低下なども影響し、テレビ局の経営が苦しくなる中で報道・ワイドショー番組の増加が顕著である。
         2011年8月1日(月)と2001年8月6日(月)の番組表を対比して調べたところ、日本テレビなら同ジャンルの放映時間は約10時間から13時間に、フジテレビなら約6時間20分から10時間40分に増えた。
         といっても局が報道分野に力を入れているわけではない。日テレ関係者が語る。
         「報道志望の子を採用しなくなっています。昨年はゼロでしたから。人もカネも食う報道番組に対して、局側は将来性を感じていないのでは」
         放映時間は増加しても番組予算は減っている。つまり”質”が低下しているということだ。10年前の約9時間半から10時間40分へと1時間10分も放映時間が増えているテレ朝。同局の情報番組関係者が語った。
         「朝の情報番組の場合、独自取材はゼロといってもいい。今朝の企画会議のラインアップの95%が新聞・週刊誌から頂いた情報です。スタジオさえあればニュース素材の編集で番組が作れるから安く済む。出張取材などほとんどありません」
         確かにそれならカネもかからないわけだ。
        ※週刊ポスト2011年8月19・26日号
        「NEWSポストセブン」2011.08.13 07:00

        発達障害と精神保健福祉手帳。
        2011/08/11
        今何を優先してすべきかという判断、近未来の課題達成にむけて段取りを考える推論、それを取り組んで行く実行処理、同時にまた継時的に複数のタスクを処理していく同時処理及び継時処理、視覚や聴覚などの感覚から取得した情報を記憶情報と比較検討し理解・判断するなどの情報処理といった各種の機能や能力には、当然個人差があります。そして、なんといっても記憶情報処理の処理能力やその方法は、さらに個人差があります。
        自閉症の3主徴と言われる、社会性、コミュニケーション、想像力の困難さや違い、偏りは、これらの高度な脳の情報処理機能の違いなどから生じるものなので、操作的診断基準に当てはめるだけでは、その人の特性を単純に判断できるものではありません。
        一方で、生活の保障としての障害福祉手帳や障害年金、障害者自立支援法にもとづく障害福祉サービスなどでも、その申請には医師の診断書が必要とされているため、操作的診断基準をないがしろにするわけにいきません。
        少し前まで(所によっては悲しいことに今でも)、発達障害単独診断では、精神障害者福祉手帳は、申請すら受け付けてもらえませんでした。厚労省はICD-10に基づいて、早期より発達障害を精神保健福祉手帳の対象として周知してきたが、申請を受け付ける市区町村の窓口の理解が徹底されていないために、門前払いをされてきました。逃げ道(?)として、IQがボーダーあるいはそれ以下の場合の療育手帳申請がありました。
        この秋、改めて、発達障害を精神保健福祉手帳の対象とすることの周知が行われるようで、さらに突っ込んで医師の診断書の記入例なども公開されていっています。
        発達障害によって、就労や社会生活が困難である人に対する認識が広がる環境が、本当に徐々にですが整って行っていると思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        <保安院>「やらせ」で批判受け陳謝…寺坂院長が会見

         「やらせ」問題を受け、原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は29日午後9時半から緊急会見し、「(やらせが)指摘されたこと自体、中立、公正な判断を旨とする保安院にとって深刻な事態。事実なら国民の皆さまに大変申し訳ないと思う」と陳謝した。進退や責任問題については「第三者委員会の調査結果を踏まえて判断する」と述べ、明言を避けた。
        【保安院のやらせとは】中部電に「やらせ質問」要請 プルサーマルシンポ
         保安院は当初、海江田万里経産相が第三者委員会設置を説明したのを踏まえ、「それ以上の話はない」として、寺坂院長の会見を拒んだ。しかし、中部電力が「やらせ」を要請した保安院職員を特定しているため、報道陣から寺坂院長の説明を求める要望が相次いだ。一転して会見した理由を、寺坂院長は「批判を受け、改めて検討した」と釈明した。
         一方、「第三者委員会の調査には全面的に協力する」とし、内部調査の実施については「第三者委員会で一元的に調査するのが望ましい」として否定。「いま一度、原点に立ち返り使命感を持って職務に精励することが大切だ」と述べた。指摘された中部電力と四国電力の両原発でのやらせについて、「記憶を呼び起こしているが、そのようなことが行われたという認識はない」と強調した。
        「毎日新聞」7月29日(金)22時20分配信

        <浜岡07年シンポ>「参加者半数、関係者」…中部電幹部
         原子力安全・保安院による「やらせ依頼」が明るみに出た07年8月の中部電力浜岡原発のプルサーマルシンポジウムは、参加者524人の約半数が同社社員や協力会社関係者で占められていた。同社幹部が毎日新聞の取材に明らかにした。会場の静岡県御前崎市周辺は、同社と取引のある下請け会社も多く、「住民」を難なく動員できる実態がある。 中部電の水野明久社長は29日の会見で「いろいろな人に出てもらいたいという意識は保安院も我々も共通」と述べ、関係者の動員自体は問題ないとの認識を示した。
         浜岡原発で働く同社関係者は社員と下請け会社を含めて約2800人。「市内のほとんどの会社は浜岡原発と多少なりとも取引がある」(御前崎市商工会)ほど影響力は強い。
         中部電子会社の下請けで原発内に事務所を置く会社の幹部は問題のシンポに関し「案内は来たが中部電からの参加要請はなかった。しかし、自分たちの仕事を確認する意味でもいつも協力しており、当日も数人が参加した」と話した。
         同社は保安院が求めた「やらせ質問」は拒否したという。水野社長は会見で「02年にコンプライアンス(法令順守)推進会議を設置したことが機能した」と胸を張った。
         だが、問題のシンポの1年前の06年9月には「やらせ」問題もあった。プルサーマル計画への住民理解を求める全戸訪問の際、報道各社に同社OBを「住民代表の自治会長」と紹介したことが批判を浴びた。
         同社幹部は「この一件があり、今回も質問者を仕込むのは良くないという話になった」と証言。同社の元幹部は「現場と保安院はいわば『一心同体』。人集めくらいは頼むだろう」と述べ、やらせが実行されなかったことに胸をなで下ろした。
        「毎日新聞」7月30日(土)2時8分配信

        ●<原発作業員>被ばくでがん 労災10人
         ◇9人は100ミリシーベルト以下
         東京電力福島第1原発事故で収束作業にあたる作業員が緊急時の上限250ミリシーベルトを超えて被ばくするケースが相次いだが、過去にがんを発症して労災認定された原発作業員10人のうち9人は累積被ばく線量が100ミリシーベルト以下だった。遺族からは福島第1原発の作業員を案じる声が上がる。 
         厚生労働省によると、10人は作業中に浴びた放射線を原因として労災認定された。内訳は白血病6人、多発性骨髄腫2人、悪性リンパ腫2人。累積被ばく線量が最も高かった人は129.8ミリシーベルト、残り9人は100ミリシーベルト以下で、最も少ない人は約5ミリシーベルトだった。
         ◇50ミリの息子白血病死 母の怒り
         中部電力浜岡原発の作業員だった嶋橋伸之さんは91年に白血病で亡くなった。29歳だった。神奈川県横須賀市に住む母美智子さん(74)は、体重80キロだった嶋橋さんが50キロにやせ衰え、歯茎からの出血に苦しんでいた姿が忘れられない。
         嶋橋さんは下請け会社で原子炉内計測器の保守点検をしており、累積被ばく線量は8年10カ月間で50.63ミリシーベルトだった。
         死亡の半年後に戻ってきた放射線管理手帳は、赤字や印鑑で30カ所以上も被ばく線量などが訂正されていた。白血病と診断された後も被ばくの可能性のある作業に従事可能なことを示す印が押され、入院中に安全教育を受けたことになっていた。安全管理のずさんさに怒りがわいた。
         「福島の作業員は命を惜しまずやっているのでしょう。でも、国や電力会社は家族の心も考えてほしい。『危ない』と聞いていれば伸之を原発になど行かせなかった」と美智子さん。「何の落ち度もない労働者が亡くなるようなことはあってはならない。上限値はすぐに下げるべきだ」と訴える。
         そもそも原発での被ばく労災が表面化することはまれだ。市民団体「福島県双葉地区原発反対同盟」の石丸小四郎代表(68)は震災前、福島第1原発の作業員6人の被ばくによる労災申請を支援し4人が認定されたが、実名を公表したのは2人だけ。「原発の恩恵を受けているとの思いがあり、狭い地域社会の中で補償支給を知られたくない人が多い」と指摘する。
         がん以外の場合には認定自体に高いハードルがある。福岡市の元溶接工、梅田隆亮(りゅうすけ)さん(76)は79年2~6月に中国電力島根原発(松江市)と日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)で働いた。その後、突然鼻血が出るなどの症状が表れ、慢性的な倦怠(けんたい)感が続いた後、00年に心筋梗塞(こうそく)で倒れた。被ばくが原因ではないかと疑念を深め、08年に労災申請したが、認められなかった。累積被ばく線量は8.6ミリシーベルト。再審査を請求している梅田さんは「原発労働者が事業者の都合にいいように扱われている。このままでは自分のようなケースがどんどん生まれてしまう」と懸念する。
         被ばくによる労災認定に明確な基準があるのはがんでは白血病のみ。「年平均5ミリシーベルト以上の被ばく」と「被ばく後1年以上たってから発症」の2点。他のがんは厚労省の検討会が判断する。
        「毎日新聞」7月26日(火)2時31分配信

        ●本当に風が変わってきたのか…ついに企業でもWindowsではなくMacを選ぶ会社が急増中!
         日本国内はまだまだWindows強しでしょうけどね…
         海外では急速にMacの普及が進んでいることを如実に示すデータとして、Global Equities Researchの調査アナリストが、このほど衝撃の発表を行なったみたいですよ。もしや本当にWindows危うしということになってるんでしょうか?
         同調査によれば、Fortune 500に選出されている有名企業の35%が、社内で利用するパソコンの選択肢としてMacを選べるようにしており、実際には多くの社員がMacの購入を進めていると判明。とうとうビジネスでもMacの本格利用が一般的になり始めたのではって見方も示されているようです。
         また、米国内では新学年がスタートする9月を前に「Back to School」キャンペーンとして、アップルが学生向けに恒例のセールを実施しているのですが、同じくGlobal Equities Researchが実施した調査では、なんと学生の8割が、新しく購入するパソコンはMacだと答えた模様ですね。Windowsパソコンを購入したいと答えた学生は20%以下だったというのは、これまた驚きでしょうか~
         iPadやiPhoneのみならず、Macの売上まで好調ときたら、なんだかこの先数年間はアップルにとってホクホクの決算が続くことになりそうですよね。
        「gizmodo.jp」2011.07.13 10:00

        ●解雇予告なし容疑で会社と社長書類送検 京都下労基署
         京都市南区のイオンモールKYOTOのグッズショップが閉店し、障害者を含む従業員が解雇された問題で、京都下労働基準監督署は22日、労働基準法(解雇の予告)違反の疑いで、運営会社「ジャパン・プランニング・サービス」(東京都中央区)と男性社長(63)を書類送検した。
         送検容疑は、昨年11月24日、当時の従業員9人を即時解雇したが、30日前に予告をしなかった上、予告なしの場合に必要な手当計約230万円を支払わなかった疑い。
         労基署によると、同社は昨年11月、東京地裁から破産開始決定を受けた。解雇や契約が切れるなどした元従業員85人に未払い賃金を含め計約2200万円を支払っていない。このうち障害者42人には元役員の男性(48)が今年3~6月、自費で573万円を支払っているという。
        「京都新聞」7月22日(金)22時59分配信

        ●いわきの露天商15人、東電に9200万円請求
         福島第1原発事故の影響で営業できなくなったとして、いわき市内の露天商でつくる「いわきブロック祭店連絡協議会」加盟の15人が21日までに、東京電力に計約9200万円の損害賠償を請求した。
         請求額は3月12日~7月11日までの4カ月の損害分。過去3年の年間売り上げの4カ月分を計算し、その9割を損害と算出した。20日、東電本社に賠償を求める通知書を郵送した。
         協議会の石川次夫会長(46)によると、会員の露天商は茨城県北部から宮城県南部の祭りやイベントに出店していたが、事故後の4カ月間は花見や大型連休の行事などが行われず、売り上げが大幅に減ったという。
         石川会長は「立ち入り禁止の警戒区域内ばかりか、30キロ以上離れたいわき市などでも仕事の場を奪われた。損害を補償するとともに、祭りができる環境に戻してほしい」と話している。
        「河北新報」2011年07月22日金曜日

        ●自殺者4年連続300人超 京都市、相談体制充実急ぐ
         2010年の京都市内の自殺者数が前年より14人多い329人となり、4年連続で300人を超えたことが市のまとめで分かった。市は16年までに自殺者数を240人以下にする目標を掲げており、保健医療機関や自殺防止に取り組む市民団体などと連携して相談体制の充実を急ぐ。
         市によると、市内の自殺者は1997年までは200人台で推移していたが、98年に346人に急増した。ピークの2000年には369人に達した。04年と06年には300人を下回ったが、07年は305人、08年316人、09年315人、10年329人と近年は増加傾向にある。
         市は、保健医療機関や学校、警察、弁護士、市民団体などを交えた「市自殺総合対策連絡協議会」を設置し、昨年3月に自殺者数の抑制目標を掲げた。悩みを抱える人がより相談しやすい環境づくりを目指し、身近な相談相手の養成のほか、健康問題や家族間の課題など悩みの種類別に支援や相談の窓口を充実させる態勢の整備を進めている。
         全国的には、身体の病気、生活苦、統合失調症が自殺原因の上位を占めている。市障害保健福祉課は「住民の社会的な孤立をなくす地域づくりが重要になっている。市内での自殺原因も考察し、行政と専門ノウハウを持つ機関、団体が連携して支援のネットワークを広げたい」としている。
        「京都新聞」2011年07月22日 18時01分

        ●2自民個人献金、72%が電力業界 09年、役員の90%超
         電力会社役員の個人献金が記載された「国民政治協会」の政治資金収支報告書
         自民党の政治資金団体「国民政治協会」本部の2009年分政治資金収支報告書で、個人献金額の72・5%が東京電力など電力9社の当時の役員・OBらによることが22日、共同通信の調べで分かった。当時の役員の92・2%が献金していた実態も判明した。電力業界は1974年に政財界癒着の批判を受け、企業献金の廃止を表明。役員個人の献金は政治資金規正法上、問題ないが、個人献金として会社ぐるみの「組織献金」との指摘が出ている。福島第1原発事故を受け、原子力政策を推進してきた独占の公益企業と政治の関係が厳しく問われそうだ。
        「共同通信)」2011年07月23日 02時10分

        ●「自殺報道、指針策定を」 清水内閣府参与に聞く
         今年5月の自殺者急増を受けて、菅政権の作業部会が自殺の時期や自殺者の年代などを分析した。メンバーの清水康之内閣府参与はある女性タレントの自殺報道との関連性を指摘。自殺対策に取り組むNPO法人ライフリンクの代表でもある清水氏に、自殺報道のあり方について聞いた。
         ――分析の結果は。
         「自殺直後の日別自殺者数が今年平均の1.5倍に増え、通常は少ない若年女性の自殺が多かった。女性タレントの自殺を情報バラエティー番組の多くがトップで報じるなどしており、過去の事例を踏まえると、報道が要因になっている可能性がある。政府としてメディア各社に対して、自殺報道ガイドライン(指針)の策定を呼びかけるべきだと発言した」
         ――どう作用しますか。
         「過剰な自殺報道は、表面張力のようにしてやっとのことで生きることにとどまっている人たちに対して、自殺という選択肢を強く植え付けてしまうことがある。もともと精神的に不安定な状態にある人たちにとっての最後の引き金になりかねないということだ。実際に今回のことで、そうやって娘さんを自殺で亡くされたという遺族の方からの相談も複数受けている」
         ――どういう報道が問題なのですか。
         「世界保健機関(WHO)が2000年、自殺報道に関する勧告を出している。避けるべきこととして、センセーショナルに報道しないこと、自殺の写真や遺書を公表しないこと、方法を詳細に報道しないことなどを挙げている。日本でも、1986年に自殺したアイドル歌手の報道を受けた後追い自殺、最近ではいわゆるいじめ自殺、硫化水素自殺など、自殺報道の影響は繰り返し指摘されてきた」
         ――報道機関はどうするべきだとお考えですか。
         「自殺は社会構造的な問題だという理解が、報道関係者に乏しい。自殺は、毎年3万人以上が死に追い込まれている社会的な問題。その対策においてメディアが担うべき責務を自覚することが重要だ。しかし、知る権利にこたえることと、注目されるようにニュースを扱う商業ベースの感覚、自殺予防に資することという3要素の中で、自殺予防が置き去りにされがちだ」
         「熱心な取材が過剰な自殺報道を引き起こし、それが自殺の増加を招くといった悪循環を避けるためにもメディア各社がガイドラインを策定して、それに基づいた報道をすべきである」
         ――参考になる事例があれば教えてください。
         「オーストリアの事例だ。地下鉄の飛び込みが増えていたが、悩み相談の窓口情報を併記したり、写真を掲載しないようにしたりすることで、件数が減った。単に報道しないというのではなく、生きる支援という角度から報道することが大切だ」
           ◇    ◇   
         ライフリンクは、自殺に関する相談先の検索サイト「いのちと暮らしの相談ナビ」(http://lifelink‐db.org/)を開設している。
         ■誘発しない報道目指す
         朝日新聞では、自殺報道の指針を更新する作業を進めている。改訂を予定している事件報道の記者用手引に盛り込む予定だ。
         これまでの指針でも自殺報道については「連鎖反応が起きないように書き方や扱いには十分注意する」と記者に喚起してきた。しかし、いじめ自殺や硫化水素自殺などの新たな社会事象が起きる中で、報道のあり方についても吟味しなければならない。
         新聞は読者に情報を伝える責務を担っており、自殺についても社会的関心の高いケースはある。ただし、報道で自殺者が増えることがあってはいけない。
         そのためにも、(1)自殺の詳しい方法は報道しない(2)原因を決めつけず、背景を含めて報道する(3)自殺した人を美化しない――などに注意してきた。連鎖自殺を引き起こしやすい青少年やタレントの自殺の報道については、より注意が必要だろう。自殺を誘発しない報道を目指したい。
        「asahi.com」2011年7月28日

        自分勝手でけちくさい本当に無責任な東京電力にうんざり。
        2011/07/17
         幼稚園への「仮払い」を「対象外」とする一方で、元社長の退職金は5億円が支払われるとか。それも庶民が支払う「電気代」から。普通に考えて、「没収!!」ではないかと思うのですが、みなさんはいかがでしょうか?
         九州電力の「やらせメール」問題で、電力会社やその利権に群がるみなさんの本音がじわじわとまた暴露されていますが、基本的に、自分たちの「利得」にしか関心がない、自己中+無責任の人たちの集まりなんでしょうね。
         福島原発事故によって、どれだけの重層的で歴史的・社会的被害が現在進行形でどんどんとその広がりが明らかになっていっているのに、社会的賠償責任についての自覚というものがまったく感じられません。一般企業ならとっくに倒産、会社更生法によって一時的に公的支援を受けながら自主再建をめざす、被害については真っ先にその補償を行う、となるところです。ところが、真っ先に取り組んだのが、東電だけでは補償に耐えられないので国で補償して欲しい、だっと思います。
         こんな状況で、企業の責任者であった社長に、退職金が規定通り(?)支払われるなんて、普通はあり得ません。
         基幹エネルギー産業、金融、政治、関連企業…、「金」でつながる太い脈路を、徹底的に暴き、リストラクチャーすることなしに、原発のあり方をめぐるあらためての議論はできないでしょう。
         それでは、今週の気になる記事です。

        <福島第1原発>東電が仮払い拒否 幼稚園など「対象外」

         東京電力福島第1原発事故で被害を受けている事業者に対する損害賠償を巡り、東電が幼稚園や老人ホーム、診療所への仮払金の支払いを拒否していることが、毎日新聞の入手した文書などで分かった。支払い対象の事業者を中小企業に限定し「学校法人や社会福祉法人、医療法人は法律上、中小企業に該当しないため」と説明。将来の賠償も「分からない」としており、全被害者への賠償責任を定めた原子力損害賠償法に反した姿勢に厳しい批判が出ている。
         東電広報部は毎日新聞の取材に対し「学校法人などにも仮払いする必要性が高いことは十分認識しており、対象範囲の見直しを進めている」と回答した。
         原発から約9キロの福島県浪江町で私立浪江幼稚園を経営する学校法人「大谷(おおや)学園」が、中小企業に1社当たり最高250万円の仮払いが始まったことを知り、6月14日、仮払いを請求した。
         その後、東電・福島補償相談センター(福島市)が同22日付でこの文書を出した。文書には「学校法人は(法律上)財団法人で、中小企業ではないので対象外。(今後の補償も)分からない」と記載されている。
         原賠法は文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」が損害の範囲を判定する指針を策定すると規定。審査会は4月の1次指針で、救済対象の事業者を「営業被害などを受けた多数の事業者ら」と幅広く定めており、中小企業に限る法的根拠はない。
         毎日新聞の取材では、他に南相馬市の幼稚園を経営する学校法人▽同市で特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人▽富岡町で診療所を経営する医療法人--が仮払いを拒否された。福島県によると、福島第1原発から半径30キロ以内には▽6学校法人▽22医療法人▽15社会福祉法人--がある。
         浪江幼稚園の大谷清子(せいこ)園長は「園児約160人が皆いなくなり収入はゼロなのに人件費などで月100万円の支出がある。仮払金がもらえず、将来も賠償されないのではと思うと不安で眠れない」と訴えている。
        「毎日新聞」7月16日(土)2時35分配信

        ●山本太郎「ツイート後は涙が止まらなかった」
         俳優・山本太郎は、”脱原発ツイート騒動”後、「俳優仲間に迷惑をかける」と所属事務所を退社。フリーの身となった今だから話せるあのときの思いを、120分間語り尽くしてくれた。
         このインタビューは、ツイッターでの反原発発言後、初のメディア登場となる。
        ━━所属事務所を辞めて、現在「フリー」になったわけですが、生活は変わりましたか?
        山本 事務所を辞めてしばらくして、ツイッターを通じてナレーションの仕事を一本いただきました。もちろん、俳優は続けていきたい。
         今はマネジャーもいないし大変だけど、13年間お世話になった事務所を出て、初めて大人になった気がしてます。
        (中略)
        ━━振り返れば、原発問題について太郎さんが初めて公に声をあげたのは、4月10日、高円寺で1万5000人を動員した反原発デモの前日のツイートでしたね。
        山本 その数日前にソフトバンクの孫さんが、ツイッターで原発の賛否を問うアンケートをしてて……正直それを見て、ずっと寝つけずにいました。
         声をあげたいけど一歩を踏み出せずにいる……そんな自分に気づいたんです。やっぱり16歳からやってきた俳優という仕事が好きだし、夢もあるしね。
         でも、今の状況では、そんなちっぽけな葛藤なんてつまらないことだって思ったんです。
         福島の人たちが国に見殺しにされているというのに、間違いに対して間違いと言えないのは人として終わってる。プライベートでは反原発の話をしても、役者としては発言しない……これじゃ僕も原発に賛成しているのと一緒。
         あのツイートは、本当に言いたいことを言えない苛立ちが爆発したんです。
         つぶやいた後、格好悪いけど大泣きしました……。何かを失う怖さからじゃなく、自分自身が解放された喜びで涙が止まらなかった。やっと人間に戻れた、って。
         事務所にいづらくなるのも想像できたけど、人としての優先順位を考えれば、口をつぐんで仕事を続けるという選択肢は僕にはなかった。
        (後略)
         山本氏はこのほかに、原発のこと、芸能界のタブーのこと、母親のこと、環境問題のことetc. を赤裸々に語っている。
        ⇒ 続きは、週刊SPA!7/5・12号(6/28発売)「俳優・山本太郎が事務所を辞めてまで伝えたかったこと」にて。(電子雑誌版も発売中)
        提供:「日刊SPA!」2011年07月16日21時08分

        ●やらせメール、文例6パターン用意し投稿依頼
         九州電力が14日公表した「やらせメール」の調査報告書は、賛成投稿の文例が作成されていたことなど、巧妙な裏工作の実態を明らかにした。
         問題の発端となった上層部の謀議も「あうん」の呼吸で決まっており、原子力発電所を巡る世論操作の常態化がうかがえる。
         原子力担当の段上(だんがみ)守・副社長、諸岡雅俊・原子力発電本部長、大坪潔晴(きよはる)・佐賀支店長(いずれも当時)が顔をそろえたのは、県民説明会が開かれる5日前の6月21日。段上、諸岡両氏は退任のあいさつ回りのため、佐賀市を訪れ、大坪氏と合流した。
         段上氏によると、説明会が話題になったのは、市内のそば店で昼食をともにした時だった。
         「近々(説明会が)あるんですよ」
         大坪氏がこう切り出すと、段上氏らは「(説明会があることを)知らせる必要があるね」「じゃあ、お願いね」と話した。
         佐賀支店長経験者によると、支店にとって玄海原発の安定運用は最重要課題で、支店長の業務の8割は原発関係だという。福島第一原発の事故で原発への不安感が高まっている状況から、3人の幹部には焦りがあったとみられる。
         指示を受けた大坪氏は翌22日、支店の総務部長ら3人の部長に、具体的な方法の検討を指示した。総務部長らは、賛成投票をより確実に実行させるため、電気が止まると困る取引先をピックアップ。用意した6パターンの文例を持参するなどし、自動車関連会社の取引先や大口顧客など計31社に投稿を依頼した。
        「読売新聞」7月15日(金)3時1分配信

        ●国民年金:未納率40.7%…最悪を更新
         厚生労働省は13日、10年度の国民年金保険料の未納率が40.7%(09年度40.02%)となり、過去最悪を更新したと発表した。2年連続で4割を超え、5年連続の悪化となった。要因として、比較的未納率が低い55~59歳の加入者割合の減少や、所得が低く、保険料(10年度1万5100円)負担が難しい非正規雇用労働者の増加などを挙げている。
         未納率を年代別にみると、25~29歳が53.4%で最も高く、20~24歳も50.8%と5割を超えた。30歳以上は年代が上がるにつれて低くなり、55~59歳は27.4%。ただし、各年齢層ともほぼ毎年悪化している。
         保険料を徴収する日本年金機構は、未納率悪化の要因について、近年は「年金記録問題への対応に人手が割かれたこと」を挙げていたが、10年度に関しては「大きな影響はない」と説明。それでも、10年度の悪質未納者に対する財産差し押さえ件数は3379件(前年度比287件増)にとどまり、07年度の1万1387件に及ばなかった。11年度は納付率の低い全国の29年金事務所を指定し、収納対策を強めるとしている。
         国民年金保険料の未納率は92年度の14.3%を底に年々上昇し、02年度に当時過去最悪の37.2%となった。一時は回復に向かったものの、06年度から再び悪化が続いている。
        「毎日新聞」2011年7月14日

        ●<貧困率>最悪16.0% 子供24年間で4.8ポイント増 相対的貧困率の推移
         厚生労働省が12日公表した10年の国民生活基礎調査によると、全国民のうち、低所得の人の割合を示す「相対的貧困率」(09年)が16.0%となり、前回調査の数値(06年)より0.3ポイント悪化した。データがある85年以降最悪で、国際的にも高い日本の貧困率は改善に向かっていない。子供(17歳以下)は1.5ポイント増の15.7%で、低所得の家庭で育てられている子供が増えていることを裏付けた。また、高齢者世帯数の推移を見ると、65歳以上のみの世帯が1018万8000世帯(全世帯の20.9%)に達し、初めて1000万世帯を突破した。
         今回厚労省は、同調査を始めた85年までさかのぼって貧困率を算出した。同年の12.0%に比べると、09年はこの24年間で4ポイント悪化し、同居する大人の所得で計算する子供の貧困率も4.8ポイント増えた。同省は所得の低い非正規雇用労働者や年金暮らしの高齢者らの増加が要因とみている。
         一方、「子供がいる現役の世帯」でみると、母子家庭など「一人親世帯」の貧困率は50.8%。3年前より3.5ポイント減っており、97年に最悪の63.1%に達した後は減少傾向にある。母子世帯の年間所得は200万円台で大きく変わっていないのに対し、非正規雇用の増加などで全体の平均所得が下がっているため、母子世帯の貧困率は減っている。
         経済協力開発機構(OECD)の00年代半ばの調査では、日本の貧困率(03年、14.9%)は加盟30カ国中4番目に悪く、一人親世帯は最も悪かった。OECD平均は10.6%で、仏7.1%、英国8.3%、独11.0%、米国17.1%などとなっている。
         このほか、お年寄りがお年寄りを介護する「老老介護」も増えている。75歳以上を介護している人のうち、本人も75歳以上の人は25.5%で、3年前より0.6ポイント増えて過去最高となった。
         調査は10年6~7月に実施した。世帯構成は約29万世帯のうち約23万世帯から、所得に関しては約3万6000世帯のうち約2万6000世帯から有効回答を得た。
         【ことば】相対的貧困率
         全国民の年間の可処分所得を少ない方から並べ、中央の金額(09年は224万円)の半分の水準(貧困線、09年は112万円)に満たない人の割合。主に国民の間の経済格差を示すが、資産は含まない。これとは別に、所得が定められた最低水準額に満たない人の割合を示す「絶対的貧困率」もある。
        「毎日新聞」7月12日(火)20時46分配信

        ●NHK受信料「ネット視聴者も支払いを」 諮問機関提言
         NHK会長の諮問機関「NHK受信料制度等専門調査会」(座長・安藤英義専修大教授)は12日、放送がインターネットでも同時送信される時代になることを前提に、ネット経由の視聴者からも受信料を徴収する新たな仕組みを提言した。
         調査会は、松本正之会長に答申した「今後の受信料制度と運用に関する報告書」で、多メディア時代に公共放送の役割を十分に果たすためには、無線と有線の区別なく、受信料を財源としたサービスを供給する必要があると指摘。ネット視聴が可能なパソコンなどの所有者も受信料体系に組み入れる案を示した。
         ただ、提言に示されたサービスの実施には、放送法の改正が必要となる。
        「asahi.com」2011年7月12日22時37分

        ●原発推進学者が次々懺悔 「国民に深く陳謝する」
         東京電力の福島第1原子力発電所の深刻な事故を受け、政府の原子力安全委員会の歴代委員長を含む原発推進派学者の重鎮たちが原発の「安全神話」崩壊に懺悔を繰り返している。特に元原子力安全委員長の松浦祥次郎氏や前原子力委員会委員長代理の田中俊一氏ら原発推進の学者16人がこのほど、異例の緊急提言を行った。
         「原子力の平和利用を先頭だって進めてきた者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝する」との謝罪を前面に掲げた提言の内容は政府や東電の発表よりも今回の事故を深刻に受け止めており、緊迫感が伝わってくる。
         大量の放射能を閉じ込めるのは極めて困難、と認める。
         「私たちは事故の推移を固唾を飲んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、事故を終息させる見通しが得られていない」「膨大な放射性物質は圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている」「特に懸念されることは溶融炉心が圧力容器を溶かし、格納容器に移り、大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである」
         提言は、水素爆発などで格納容器が破壊され、放射性物質が長期にわたり国土を汚染する可能性を指摘している。日本を代表する学者たちが、チェルノブイリ原発事故級の最悪の事態を想定していることがわかる。
         16人は東京大学名誉教授、京都大学名誉教授、東京工業大学名誉教授など錚々たるメンバーで、原子力安全委員会や原子力委員会の歴代委員長や委員を務めるなどした日本を代表する原子力の専門家たちだけに、発言には重みがある。
         特に気になるのは、「当面なすべきことは原子炉及び使用済み核燃料プール内の燃料の冷却を安定させ、大量の放射能を閉じ込めること。これを達成することは極めて困難であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない」と述べた点で、有効な解決策を見いだすのが難しいことを自ら認めているとも受け取れる発言だ。
         2011年4月1日、会見した田中俊一氏は「原子力の平和利用を進めて、まさかこういう事態、これほど国民に迷惑をかけるような事態は予測していなかった。結果的にこういうことになっていることについて、原子力を進めてきた人間として、国民に謝らなくてはならないという気持ちは、みんな持っていると思う」と心境を明かした。
         田中氏は提言をまとめた理由について「(我々は)余計なことを言わなくてもいい年齢だけれども、黙っていられないと。とにかく早くこの状況を抜け出して頂きたいという思いでまとめた」と述べた。学会で地位も名誉もある学者たちが、自分たちのこれまでの仕事を全否定するような今回の提言や会見が、事故の深刻さを物語っている。
         ◇原子力安全委員会では、歴代OB、現役首脳も自己批判
         提言は、最後に事態打開策について「当面の難局を乗り切るためには、関係省庁に加え、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的な取り組みが必須である」と指摘する。
         提言に加わっていない原子力安全委員会前委員長の鈴木篤之氏(日本原子力研究開発機構理事長)も4月6日、衆議院経済産業委員会に招致され、「国民にたいへん申し訳ない。私にとって痛恨の極みだ。この事故を反省し、よく考えていかないといけない」などと反省の弁を述べている。
         原子力安全委員会では、歴代OBに限らず、現役首脳も自己批判に追い込まれている。班目春樹委員長は、やはり6日の衆議院経済産業委員会で、「今回の事故を深く反省し、二度とこのようなことが起こらないよう指導していきたい」などと弁明に懸命だった。
        「JCASTニュース」2011/4/16 13:17

        ●「若者の高学歴化、就職にはつながらず」労働経済白書  2011年版 教育内容の再検討訴え
         細川律夫厚生労働相は8日の閣議に2011年版「労働経済の分析(労働経済白書)」を提出した。大学進学率が1990年以降20年で急速に上昇する一方、教える内容が社会のニーズに合っていないと分析し、若者の高学歴化が必ずしも就職につながっていないと指摘した。卒業しても仕事がない若者を減らすには、大学の就職支援や、学生に教える内容の再検討が必要だと強調した。
         11年春卒業した大学生の就職率は91.1%となり、前年に比べ0.7ポイント悪化した。中学卒や高校卒は前年に比べ改善したが、大卒者の就職は依然として厳しい状況にある。足元で景気は持ち直しの途上にあり、企業の採用意欲も改善するはずだが、実際は就職率の伸びにつながっていないと白書は指摘する。
         「大学を卒業して就職も進学もしない人」の割合は10年は24.2%になった。00年に32.4%と過去最高になった後は景気回復で就職する人が増え、就職・進学ともにしない人は減っていたが、09年以降は増加に転じ、10年は大きく増えた。
         大学の学科別に入学者を見ると、90年代は特に人文科学、社会科学が増え、学生増をけん引した。現在でも学生の約半数は文系の学部にいる。卒業後「就職も進学もしない人」を学部別に分析すると、理学、工学、農学は少ない一方、人文科学、社会科学、芸術など文系では多い。白書は「大学定員は拡大してきたが、その際の学科構成は社会のニーズに合わせて拡大してきたとは言い難い」と厳しく評価した。
        「日本経済新聞」2011/7/8 9:54

        ●20代前半の男性の非正規雇用比率は20年で4倍に増加
         参考:http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/11/
         90年代後半から上昇してきた非正規雇用の比率は、2010年には過去最高の34.4%に達した。これは1985年の倍以上の水準であり、働く人の三分の一以上が非正規雇用ということになる。
         内訳をみると、2000年代に入って20代前半の男性の非正規雇用比率が急激に上昇していることが目につく。(女性の場合は、40代以上でのパート比率が高く、この特徴はあまり顕著には見られなくなる。)
         グラフの赤線で示されている15~24歳の男性の非正規雇用比率は、急激に上昇している。
         気になるのは、15~24歳のときの同比率は、その後年齢を重ねた後の比率と関係するように見えること。例えば、80年代後半の同比率は7%前後。2010年に35~44歳になったこの人たちの同比率は約8%。90年代後半には15~24歳の非正規雇用比率は10%台前半に上昇しているが、2010年に25~34歳なったこの人たちの同比率は14%だ。
         これまでも新卒時に正社員になれないと、そのまま非正規雇用という雇用形態が続くといわれてきたが、それが統計でも裏付けられている。
         2000年代に入って急激に上昇した20代前半の男性の非正規雇用比率は、今後の社会に影響をもたらすのではないだろうか。正社員になるのが幸せとは限らないのだが、現状では、正社員と非正規雇用では待遇に大きな違いがある。
         非正規雇用者の賃金水準は正規雇用者と比較して水準が低く、年齢とともに賃金が上昇しない。非正規雇用にはさまざまな職業が含まれるため、一概にはいえないが、同書では、「こうした賃金構造の違いの背景には、非正規労働者では、労働組合などを通じた賃金交渉力が弱いことの他に、技能形成を進める仕組みが乏しく、その結果、賃金が上昇しにくい状況にあることが考えられる。」としている。
         同書では、今後の課題のひとつとして、非正規雇用者を正規雇用へと転換を促していくため、職業能力開発のための社会的な支援を充実が必要としている。
        私としては、これまで度々書いてきたように、若者へのしわ寄せを生んだ強い解雇規制を見直し、雇用形態にかかわらず同じ仕事をする人は同じ賃金を得る「同一賃金同一制度」をとっていくことが望ましいと考えている。
        http://news.livedoor.com/article/detail/5697667/
        「livedoor.com」2011年07月10日02時30分

        ●<自衛官いじめ自殺訴訟>国に8015万円賠償命じる
         05年に自殺した航空自衛隊浜松基地(浜松市)所属の男性3等空曹(当時29歳)の遺族が「先輩隊員のいじめが自殺の原因」として、国と当時の先輩隊員に約1億1100万円の賠償を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部は11日、国に約8015万円の支払いを命じた。中野琢郎裁判長は判決理由で「先輩隊員の言動と自殺には因果関係がある」と述べた。
         自殺原因を巡り国は「私生活の問題で精神的負担があった」と争ったが、判決は「精神疾患につながるような問題ではない」と退け、先輩隊員の違法ないじめが原因と判断。公務員が職務で損害を与えた場合に関する国家賠償法に基づき、国のみに賠償を命じた。先輩隊員への請求は同法により棄却した。遺族側は上司らが安全配慮義務を怠ったとも主張したが、判決は「精神疾患発症や自殺は予見できなかった」と退けた。
         判決によると、先輩隊員は3等空曹に暴行や暴言を伴う指導を繰り返し、身分証明書を半強制的に取り上げるなどした。3等空曹は05年秋ごろまでに適応障害を起こし、同年11月に自殺した。遺族側の弁護団は「金額的には100%と言っていい勝利。控訴は慎重に考えたい」と語った。岩崎茂・航空幕僚長は「判決内容を検討し、適切に対処したい」とコメントを出した。
         自衛官の自殺を巡る同種訴訟での国側敗訴は▽350万円の賠償を命じた08年8月の福岡高裁判決(確定)▽いじめへの責任に限定して440万円の支払いを命じた今年1月の横浜地裁判決(遺族側が控訴)に次いで3例目。
        「毎日新聞」7月12日(火)2時52分配信

        ●恐怖の記憶つくる仕組み解明 「心の傷」薬の糸口にも
         ある場所で怖い体験をすると、その場所を再び訪れた時にそのことが思い出される―。そんな恐怖体験の記憶がラットの脳にある海馬という部分でつくられる仕組みを、横浜市立大の高橋琢哉教授らのチームが明らかにし、11日付の米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
         こうした記憶が刻まれた「心の傷」に対する薬を開発する糸口になると期待される。
         高橋教授らは、明るい部屋と暗い部屋に分かれ、暗い部屋に入ると電気ショックが与えられる装置にラットを入れた。
         ラットは電気ショックを嫌って暗い部屋に行かなくなるが、この時、脳の神経細胞同士の情報のやりとりをするシナプスを調べた。
        「共同通信」2011/07/12 04:02

        ●検察改革:福祉専門家「知的障害学ぶべきだ」
         南高愛隣会の田島良昭理事長
         郵便不正事件に絡む証拠改ざん事件などで大きく傷ついた検察の信頼回復に向け、最高検が設置した「検察運営全般に関する参与会」のメンバーに、社会福祉法人「南高愛隣(なんこうあいりん)会」(長崎県雲仙市)の田島良昭理事長(66)の参加が決まった。誤誘導される恐れが高いとされる知的障害者について、取り調べでの録音録画だけでなく、本人をよく知る福祉施設職員らの立ち会いなども提言していく意向だ。「検察が本気で改革に取り組めば大きな効果がある」と期待を語る。
         田島さんは、軽微な罪で刑務所への入所を繰り返す「累犯」の障害者や高齢者を福祉に橋渡しする厚生労働省の研究などを主導してきた。こうした取り組みに注目した最高検に委嘱され、六つの「専門委員会」のうち「知的障がい専門委員会」の参与(外部専門家)として検察内部の議論をサポート。検察のあり方全体に対しても、各専門委の参与で構成する「参与会」で提言していくという。
         「知的・精神障害などハンディキャップがある人が受刑者の7割に上る可能性がある」とみる田島さん。「今の司法は累犯者を垂れ流してつくってしまっている。検察も力を入れているのは、公判で実刑を取るための『勝ち負け』だけ。再犯を防ぐことで、国民の幸せを作る最も大切な役割が仕事になっていない」と手厳しい。
         検察官は捜査と公判を担い、起訴・不起訴の判断など大きな裁量がある。田島さんは、検察官が研修などを通してハンディキャップを実践的に学ぶべきだという。「障害が分かれば、福祉につなぎ立ち直りの道筋をつけられる。検察は交通整理すればよく、忙殺されている今の仕事量も変わる」と指摘する。
         捜査当局の取り調べを巡っては、全過程の録音録画(可視化)の導入を日本弁護士連合会などが要望している。ただ、田島さんは「可視化だけでは不十分。知的障害者が取り調べで本当のことを話せるように、信頼できる施設職員や学校の先生、家族らがそばにいて『通訳』の役割を果たすことも必要」と話す。
         ◇田島良昭氏
         77年に長崎県雲仙市で社会福祉法人「南高愛隣会」を設立し、刑務所からの出所者を含む障害者を支援する先駆的な取り組みで知られる。厚生労働省出身の浅野史郎氏が宮城県知事だった際、同県福祉事業団理事長などを務めたほか、元同省局長の村木厚子さんが大阪地検特捜部に逮捕された際は「支援する会」をつくり無罪を訴えた。
        「毎日新聞」2011年7月9日 12時43分

        利権がらみは「やらせ」で動かされてきた。
        2011/07/10
        メディアの取材などでのやらせは、ある意味「想定内」だし、メディア報道を全面的に信用する人は、そのせいもあって減少しています。NHKさんも政府や皇室がからむものでは特に、否定・批判的な報道は無いに等しい。
         思い出したのが、京都市の「タウン・ミーティング訴訟」。「タウンミーティング」は、閣僚が内閣の重要課題について国民から広く意見を聞き、内閣と国民の対話を促進する目的で小泉内閣時の2001年6月に始まり、06年9月までに全国各地で174回実施された。同年末に参加者への発言依頼などが発覚、内閣府の調査委員会の報告によると、発言内容まで依頼した「やらせ質問」が15回あったほか、一部の質問に謝礼が支払われていたとされます。
         以下、2009年09月18日の京都新聞記事から…。
        ーーーーーー
         タウン・ミーティング訴訟 原告逆転勝訴 京都市に賠償命令 大阪高裁判決
        ★ 内閣府と京都市が2005年に開いたタウンミーティング(TM)で、意図的に落選させられたとして、市民4人が国と市に計800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、大阪高裁であり、成田喜達裁判長(亀田広美裁判長代読)は抽選の不正を認めて「公正な抽選 への信頼と期待を裏切り、精神的苦痛を与えた」として、請求棄却の一審京都地裁判決を変更、国と市が連帯して3人に計15万円を支払うよう命じた。
        ★ 判決によると、京都市教委が原告4人のうち2人について「抗議活動などのトラブルを起こす可能性がある」として内閣府に落選するよう求め、内閣府が2人の応募番号の下1けたを落選番号に決めた。
        ★成田裁判長は「国と市は、作為的に落選させた上に、『抽選で落選した』と虚偽の通知をした。国家賠償法上の違法行為に当たる」と認めた。巻き添えで落選となった1人を含む3人の損害を認め、下1けたの番号が3人とは異なる1人は「抽選で落選した」として控訴を棄却した。4人は「思想信条を理由に意図的に参加を拒まれ、憲法が保障する表現の自由を侵害された」と訴えたが、判決は憲法判断に触れなかった。
        ★一審判決は、事実経過について高裁とほぼ同様に認定しながら「法的保護に値する権利や利益はない」と請求を棄却していた。
        ★京都市教委の稲田新吾総務課長は「国の対応も踏まえ、対応を検討したい」とコメントした。
        ーーーーーー
         2011年3月、最高裁第二小法廷(竹内行夫裁判長)は、市民側と市側それぞれの上告を退ける決定をし、不正を認める判決が確定しました。都合の悪い人は参加させない、都合の良い発言する人を動員する。都合の良いように体裁を整えることしか考えていない人たちのやることは、こんなもんなのかな…?
         タウンミーティングで人が死ぬことは想定し難いが、原発問題は何十万、いや何百万人の生命、生活に関わる、将来にわたる国民的な議論と選択、政策作りが必要な課題だから、こんな小手先の子どもでもウソとわかる茶番は、いい加減にやめて欲しいと思います。が、他の問題でも、こんな茶番が一般的に行われているということなので、国民がもっと学んで、賢くなって行くしかないのでしょうね。目先の利益にとらわれて間違った選択をしないように…
         それでは、今週の気になる記事です。

        九電説明会、賛成メールの2割「やらせ」

         玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働を巡る九州電力の「やらせメール」問題で、九電本社から指示メールを受けた社員や子会社のうち、国主催の佐賀県民向け説明会に賛成意見を投稿した社員らは約50人だったことが9日、九電の内部調査でわかった。
         説明会を放映した番組に寄せられた賛成メールの約2割が「やらせ」だったことになる。
         九電幹部によると、九電からの指示メールの内容を閲覧したのは、少なくとも子会社4社の約2300人と3事業所(玄海原発、川内原発、川内原子力総合事務所)の社員ら。このうち約50人が実際に賛成意見を送ったという。大半がメールによる投稿とみられる。
         経済産業省によると、説明会にはメール473件(賛成226件、反対119件など)、ファクス116件(賛成60件、反対44件など)が寄せられた。番組で社員らのメールが紹介されたかどうかは、わかっていないという。
        「読売新聞」7月10日(日)3時2分配信

        ●<九電やらせメール>玄海、川内原発トップ黙認 事前に把握
         九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る「やらせメール」問題で、同原発と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)のそれぞれのトップが、メールの内容を事前に把握していながら黙認していたことが9日、九電関係者の話で分かった。九電では従来、住民説明会で社員を動員するなど「やらせ」的な手法が常態化しており、原子力部門の閉鎖性もあってチェックが利きにくくなっていた。九電はこうした社内体質がメール問題の背景にあることを認め、週明けにも経済産業省に伝える報告書に盛り込むことにしている。
         関係者によると、6月26日の県民向け説明番組の前に、当時の原子力担当副社長ら役員2人が原子力発電本部の部長(執行役員)に説明会への対応を指示。これを受けて、部長の部下の課長級社員が、原子力本部出身で子会社4社の幹部に対し、原発再稼働に賛成する投稿を呼びかけるメールを送信。課長級社員は同様の趣旨のメールを玄海原発と川内原子力総合事務所の社員にも送った。両所長も内容を把握していたが、止めなかったという。
         一方、複数の九電関係者によると、国内で初めて09年11月に玄海3号機で始まったプルサーマル発電や、川内原発3号機増設計画などに向けた地元説明会には、同社や関連会社の社員の出席を呼びかけることが常態化していた。呼びかけにはメールを利用するのが一般的だったという。
         今回のやらせメールを含め、世論を誘導する一連の手法は九電内でも原子力部門だけで完結。今月6日の国会でこの問題が取り上げられる前にインターネットなどで疑惑が指摘されていたため、社内の広報部門が原子力発電本部に問い合わせたが、同本部は否定していた。ある幹部が「特殊な集団」と呼ぶ閉鎖性を指摘する声は社内にもある。
         九電は背景も含めたメール問題を調査中で、週明けに眞部利應(まなべとしお)社長が上京して経産省に報告、公表する予定。報告書で会社としてのチェック態勢の不備を認め、再発防止策を盛り込むことにしている。
        「毎日新聞」7月10日(日)0時46分配信

        ●九電:「原発賛成」やらせメール 関連会社に依頼
         九州電力の眞部利應(まなべとしお)社長は6日夜、同社内で会見し、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開の是非を問うため経済産業省が6月26日にケーブルテレビで放送した県民向け説明番組に絡み、九電原子力発電本部の課長級社員が子会社に、再開を支持する電子メールを投稿するよう依頼していたと発表した。東京電力福島第1原発事故で原発の安全性に不安が広がる中、電力会社自らが「やらせメール」で番組の公平性を阻害したことで、原発再稼働の是非だけでなく、国の原子力政策への信頼を揺るがしかねない事態となった。
         眞部社長は企業トップとしての責任を認めたが、進退については「(言及を)控えたい」と明言を避けた。
         この九電社員は番組放送4日前の6月22日に▽西日本プラント工業▽九電産業▽西日本技術開発▽ニシム電子工業--の4子会社の社員4人にメールを送信。「発電再開容認の一国民の立場から、県民の共感を得るような意見や質問を発信してほしい」と依頼した。
         九電社内でも▽玄海原発▽川内原発(鹿児島県薩摩川内市)▽川内原子力総合事務所(同)--の3部署の中堅社員3人に同様のメールを送信した。番組にメールする際は九電関係者と分からないよう、自宅などのパソコンからアクセスするよう指示していた。
         子会社側から番組に何通届き、紹介されたかは把握していないという。子会社の社員は約2300人。番組中にメールが473件、ファクスが116件寄せられ、このうち11通が読み上げられた。再開容認の意見は4通含まれていた。
         眞部社長は事実関係を認めた上で、自らの関与は否定。「心からおわび申し上げる。責任は最終的に私が取る」と陳謝した。しかし、自らの進退を問われると「進退まで問われる事かどうか。国とも話し合いたい」とかわした。メールを流した社員への聞き取り調査は7日にも実施するという。
         この問題は、6日の衆議院予算委員会で笠井亮(あきら)衆院議員(共産)が取り上げた。海江田万里経産相が「九電がやっているなら非常にけしからん。しかるべき措置をする」と九電を批判し、同社の処分を検討する考えを示した。
        「毎日新聞」2011年7月6日 20時59分

        ●東日本大震災:お墓にひなんします 南相馬の93歳自殺
         「私はお墓にひなんします ごめんなさい」。福島県南相馬市の緊急時避難準備区域に住む93歳の女性が6月下旬、こう書き残し、自宅で自ら命を絶った。東京電力福島第1原発事故のために一時は家族や故郷と離れて暮らすことになり、原発事故の収束を悲観したすえのことだった。遺書には「老人は(避難の)あしでまといになる」ともあった。
         女性は同市原町区の静かな水田地帯で代々続く田畑を守り、震災時は長男(72)と妻(71)、孫2人の5人で暮らしていた。長男によると、以前から足が弱って手押し車を押していたが、家事は何でもこなし、日記もつけていた。
         第1原発の2度の爆発後、近隣住民は次々と避難を始めた。一家も3月17日、原発から約22キロの自宅を離れ、相馬市の次女の嫁ぎ先へ身を寄せた。翌日、さらに遠くへ逃げるよう南相馬市が大型バスを用意し、長男夫婦と孫は群馬県片品村の民宿へ。長距離の移動や避難生活を考え、長男は「ばあちゃんは無理だ」と思った。女性だけが次女の嫁ぎ先に残ることになった。
         4月後半、女性は体調を崩して2週間入院。退院後も「家に帰りたい」と繰り返し、5月3日、南相馬の自宅に戻った。群馬に避難している長男にたびたび電話しては「早く帰ってこお(来い)」と寂しさを訴えていたという。
         長男たちが自宅に戻ったのは6月6日。到着は深夜だったが、起きていて玄関先でうれしそうに出迎えた。だが緊急時避難準備区域は、原発事故が再び深刻化すればすぐ逃げなければならない。長男夫婦が「また避難するかもしれない。今度は一緒に行こう」と言うと、女性は言葉少なだった。「今振り返れば、思い詰めていたのかもしれない」と長男は話す。
         住み慣れた家で、一家そろっての生活に戻った約2週間後の22日。女性が庭で首をつっているのを妻が見つけ、長男が助け起こしたが手遅れだった。
         自宅から4通の遺書が見つかった。家族、先祖、近所の親しい人に宛て、市販の便箋にボールペンで書かれていた。家族には「毎日原発のことばかりでいきたここちしません」。先立った両親には「こんなことをして子供達や孫達、しんるいのはじさらしとおもいますが いまの世の中でわ(は)しかたない」とわびていた。
         奥の間に置かれた女性の遺影は穏やかに笑っている。近所の人たちが毎日のように訪ねてきて手を合わせる。「長寿をお祝いされるようなおばあちゃんが、なぜこんな目に遭わなければならないのですか……」。遺書の宛名に名前のあった知人が声を詰まらせた。葬儀で読経した曹洞宗岩屋(がんおく)寺前住職、星見全英さん(74)は「避難先で朝目覚め、天井が違うだけで落ち込む人もいる。高齢者にとって避難がどれほどつらいか」と心中を察する。
         取材の最後、長男夫婦が記者に言った。「おばあちゃんが自ら命を絶った意味を、しっかりと伝えてください」
         ◇女性が家族に宛てた遺書の全文
        (原文のまま。人名は伏せています)
         このたび3月11日のじしんとつなみでたいへんなのに 原発事故でちかくの人達がひなんめいれいで 3月18日家のかぞくも群馬の方につれてゆかれました 私は相馬市の娘○○(名前)いるので3月17日にひなんさせられました たいちょうくずし入院させられてけんこうになり2ケ月位せわになり 5月3日家に帰った ひとりで一ケ月位いた 毎日テレビで原発のニュースみてるといつよくなるかわからないやうだ またひなんするやうになったら老人はあしでまといになるから 家の家ぞくは6月6日に帰ってきましたので私も安心しました 毎日原発のことばかりでいきたここちしません こうするよりしかたありません さようなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい
        「毎日新聞」2011年7月9日

        ●<東日本大震災>福島県内 自殺者2割増 4~6月
         警察庁の統計(速報値)によると、4~6月の福島県内での自殺者は160人。昨年同期と比べ岩手県(105人)、宮城県(130人)が減ったのに対し、福島は約2割増えている。飯舘村では4月12日に家族と避難の話し合いをしていた102歳の男性が自殺。今月1日には川俣町の計画的避難区域で一時帰宅中の58歳女性が焼身自殺したとみられるなど、避難にかかわる例が目立つ。
         高齢者の生活相談に応じている福島県社会福祉協議会の担当者は「今後は自殺や孤独死の防止が最大の課題。相談もせず亡くなってしまう人が多いが、少しでも話せば楽になる時もある。どんなことでもいいので電話してみてほしい」と呼びかける。相談は高齢者総合相談センター(024・524・2225)へ。
        「毎日新聞」7月9日(土)2時33分配信

        ●年間自殺者が13年連続で3万人超。精神科医が説く「死ぬくらいならトンズラせよ」
         6月10日、菅内閣は2011年版『自殺対策白書』を閣議決定した。昨年の自殺者は3万1690人で前年より減少したものの、13年連続で3万人を突破。人口10万人あたりの自殺者数は、20~24歳が1998年の16人から22人までと増加。25~29歳も19人から24人に増えた。50代と60代が1998年以降は減少傾向にあるのと対照的だという。若者世代の雇用形態が不安定なため、若い自殺者が増加傾向にあることが背景にあると白書では指摘されている。
         若者世代の自殺に関して、ジャーナリストの渋井哲也氏は「常に”逃げずに向かってしまう”タイプの人は、もともと逃げるという行為をバカにしているケースが多い」として、こう語る。
         「つまり、彼らは逃げるなんて正義じゃないと考えているわけです。でもね、長年、若者の自殺問題を取材してきて感じるのは、逃げるという行為を嫌悪する人ほど、いざ自分に何かあったとき、性急に死を選んでしまいがちという事実。実は、いきなり自殺を考える人はまれで、その手前に『消えてしまいたい』とか、漠然とした死への関心が訪れるものなのです。ところが、彼らのようなタイプは、今まで自分がバカにしていた分、逃げる=恥だととらえてしまっているから、その価値観にがんじがらめになり真っすぐに自殺を選ぶ。どうか、逃げるのもアリという選択肢を持ってください」
         精神科医の蟻塚亮二氏は、「もう死ぬしかない」と思っている患者に”トンズラのススメ”を語っている。
        「社会の倫理からは外れていると思われようが、それでも生きていければいい。生きているだけで十分だと話すわけです。
         自殺の問題とは関係ありませんが、原発事故に伴い、それまで菅総理を支えてきた小佐古敏荘東大教授が涙ながらに辞任会見を行ないましたよね。重責を担う立場にありながら、政府の方針を受け入れられないと。彼のとった行動は、首相からすれば紛れもなく逃亡です。でも、僕は見事なトンズラだと思った。
         人は無理だと感じたら逃げていい。泣いて助けを求めていい。政府の方針と小佐古氏の行動のどちらが正しかったのかは今後の歴史が証明するでしょうが、少なくとも僕はあのトンズラは正しかったと感じています」
         実は蟻塚氏自身も、うつ病を患った時期があり、沖縄に”トンズラ”した経験があるという。若者が死を選ぶ理由は様々だが、苦しいときはいっそのこと全てから「逃げる」のも手だ。
        「週プレNEWS」7月8日(金)16時23分配信

        ●首相 原発争点の解散は考えず
         菅総理大臣は衆議院本会議で、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、今の政権だけでなく、これまで与党だった自民・公明両党にも責任があるという考えを示す一方で、原発問題を争点にした、衆議院の解散・総選挙は「一切考えていない」と述べました。
         8日の衆議院本会議では、福島第一原子力発電所の事故に伴う東京電力の賠償金の支払いを政府が支援するため、枠組みを定める法案の趣旨説明と質疑が行われました。この中で、菅総理大臣は「今国会中に法案が成立しなければ、東京電力による損害賠償の支払いが滞る可能性が生じる。早期に被害者の手元に、適切な賠償金が届くようにしたい」と述べ、早期の法案成立に協力を求めました。そのうえで菅総理大臣は今回の原発事故について、今の民主党中心の政権だけでなく、長年、与党として原子力政策を進めてきた自民党や公明党にも責任があるとしたうえで、「他人にすべての失政を押しつけて、責任を逃れようとすることこそ、『恥の文化』に反する行動だ」と述べ、自民・公明両党をけん制しました。一方で、菅総理大臣は、原発問題を争点にした衆議院の解散・総選挙に踏み切る可能性について、「将来のエネルギー政策のあり方が、国民の意思に基づいて決められるのが好ましいが、このことで私が信を問うとか、問わないとかということは、一切考えていない」と述べました。また、海江田経済産業大臣は、原発事故を巡る一連の対応を終えたのちに辞任する考えを示唆したことについて、「いま解決しなければいけない問題に、真摯(しんし)に全力を傾注して頑張っていく。出処進退の時期は私1人で決めさせていただく」と述べました。
        「NHK NEWS WEB」7月8日 18時4分

        ●スマートフォン人気で回線大混雑 パケット定額制の継続は「悩ましい」?
         ■スマートフォンやタブレットPC人気は衰えず
         スマートフォンの急速な普及で、トラフィック(データ通信量)も急激に増大している。携帯電話の回線が混雑し、負荷の高まりも深刻化してきた。
         携帯通信各社はスマートフォンの利用に、上限金額を設けてデータ通信を「使い放題」にできる「パケット定額制」を提供する。トラフィックが増える一方で料金は抑えられる形になり、各社にとっては悩ましいところだろう。
         ■従来型携帯電話の24倍のトラフィック生む
         調査会社のコムスコア・ジャパンは2011年6月30日、国内のスマートフォン利用者が11年3月時点で976万人に達したとの調査結果を発表した。従来からのトレンドを加味すると、現時点では1000万人を超えているとしている。
         総務省では、モバイル機器によるトラフィックの爆発的な増加を懸念する。同省移動通信課が5月27日、都内で開かれた無線通信事業のイベント「ワイヤレスジャパン2011」で公表した資料によると、2010年9月時点で、移動通信によるトラフィックは四半期で13.2%増となり、年率換算で64%アップとなった。今後トラフィックを引っ張るのはネットブックやスマートフォンで、スマートフォンは従来型携帯電話の24倍のトラフィックを生みだすと指摘した。
         国内で米アップルの「アイフォーン(iPhone)」を契約する場合、ソフトバンクモバイルは定額制を採用している。ひとつはパケット数にかかわらず月額4410円、もうひとつは1029円からスタートしてパケット数に応じて課金され、上限4410円で頭打ちになる料金体系だ。これ以上は支払いが発生しないのだから、利用者はアイフォーンによるインターネットの接続や、動画のダウンロードなどで巨額の請求が来るという心配は必要ない。
         しかし事業者にとっては、スマートフォン人気が続けば回線への負荷も増えるのだから頭が痛い。対策を施さないと通信が滞ったり、ネットの利用に支障をきたしたりする恐れがある。だが定額制を維持する以上、トラフィックの増大と比例して事業者の収入が増えるわけではない。そのためか、米通信事業会社のAT&Tは2010年6月、パケット定額制を廃止して、一定水準を超えたデータ通信には従量課金制を取り入れた。この決定についてツイッター上で質問されたソフトバンクの孫正義社長は当時、「悩ましい問題。世界中の携帯事業会社の経営者の悩みです」と苦しい胸の内を吐露していた。
         ■「無線LANスポット」増設で負荷減らす
         増大する回線への負荷を減らそうと通信各社が力を入れているのが、「無線LAN」サービスの拡充だ。外出先でも無線LANに接続できれば、利用者は3G(第3世代)回線よりも速い環境でネットに接続でき、事業者にとっては携帯電話回線の混雑解消につなげられる。
         KDDIは6月30日から、鉄道の駅や電車内、空港、地下街などで無線LANに接続できるサービスを開始した。スマートフォンに専用のアプリケーションを入れて起動させると、無線LANの電波が届いている場所にいれば自動的に3G接続から切り替わる。2012年3月末までに、全国10万スポットの開設を目指す。ソフトバンクモバイルも、5月1日から都営地下鉄全線の駅構内でのサービスをスタート。コーヒーチェーン「スターバックス」でも、無線LAN接続に対応する店舗を全国で増やしている。
         NTTドコモは無線LANスポットの増設に加えて、2010年12月に商用サービスをスタートした「LTE」と呼ばれる次世代高速通信の普及をにらむ。最速の状態では「光回線並み」になるという速度で、3Gより速いことから「3.9世代」と位置付けられている。現段階でカバーしている領域は首都圏をはじめ主要都市の中心部に限られており、対象機種もデータ通信用カードなどにとどまっているが、今後はLTE対応のスマートフォンも開発されるものとみられる。
         各社とも対応策を講じているものの、スマートフォンが圧倒的なスピードで広まりつつあるだけに息が抜けない状態だ。
        「J-CASTニュース」7月5日(火)

        ●【20代男1000人アンケート】あなたの貯金額は? 3人にひとりが10万円未満
         なかなか人には聞けない貯金額。アンケートで分かった驚くべき実態とは?
        6月27日、新生フィナンシャルが発表した「サラリーマンお小遣い調査 2011年版」によると、毎月の小遣いの平均額は3万6500円。昨年の4万600円から4100円減となり、4年連続の減少となった。4万円を切ったのは2004年以来7年ぶりで、バブル崩壊後の最低額を更新した。
         こうした背景には、経済的な不安定のなかで強まる貯蓄性向があるとされる。しかし、収入がちっとも上がる気配がないなか、小遣いを切り詰めてどれだけ貯蓄ができるというのか。その実態をつかむべく、取材班は20代男子1000人を対象として貯金にまつわるアンケートを実施した。
         すると、約1割にあたる11.6%が「貯金ナシ」と回答。さらに「10万円未満」という回答も19.5%。20代男子のほぼ3人にひとりが、貯金10万円未満という悲惨な結果となった。
         ところが、反対に貯金額を「100万円以上」と回答した人も約3割にのぼった。さらに「500万円以上」のお金持ちが12.7%も。総務省が発表した全国消費実態調査(平成21年)によると、30歳未満の単身者一世帯当たりの貯金額は「約151万円」とされていることから、20代の貯金に関しては、たくさん貯金できているか、まったくできていないかという「二極分化」が起こっていると推測される。
         一方、「貯金の使い道は?」という質問には、約半数となる51.8%が「いざというとき」と回答。つまり、目的がないために貯金もしていない、という若者が多いのかもしれない。
        「週プレNEWS」2011年07月05日

        ●容量無限のハードディスクへ道 九工大など新現象発見
         九州工業大学の岸根順一郎准教授は、ハードディスクドライブ(HDD)など磁気記録媒体の情報量を無限大に増やせる可能性がある新しい物理現象を発見した。現在の記録媒体は「1」「0」という2種類の信号(ビット)で情報を蓄えるが、複数種類の信号で記録できるようになる。早期の実用化を目指す。
         ロシアのウラル州立大学との共同成果。米国物理学会の専門誌フィジカル・レビュー・レターズ(電子版)に掲載した。
         発見したのは、電子の回転でできる微小な磁石(スピン)が変化する現象。外部から磁力を与えると電気抵抗が無限大になる。多重の信号で記憶でき、「無限ビット」の記録媒体が実現できる可能性がある。
        「日本経済新聞」2011/7/3
        成人の発達障害の方に関わる法律や制度を考える。
        2011/07/03
         現在、少々訳あって、関連法や制度などを洗い直しているところです。
         わかりやすい順に挙げると、「発達障害者支援法」、「障害者自立支援法」、「国民年金法」となるでしょう。「介護保険法」なども本当は言及したいところですが…。
         まず「発達障害者支援法」。平成16年12月成立、同17年4月施行。「発達障害」者の定義と社会福祉法制における位置づけを明らかにし、啓発や発達障害者支援センターの全都道府県・政令市への設置、障害にわたっての支援と自立・社会参加への国及び自治体の責務を明らかにしている「理念法」と言われています。センター設置は具体的に進みましたが、そのほとんどが社会福祉法人などへの外部委託で、少数精鋭(?)。3~4人体勢で切り盛りしているところが多く、十分に機能しているとは言えないと、全国の多くの当事者家族から聞きます。せめて、体勢充実によって、ニーズのある方の拠り所となって欲しいものです。
         次が「障害者自立支援法」。平成17年10月成立、同18年4月施行。身体・知的・精神の3障害種別を一元化し、障害者の地域生活、就労、自立をすすめる立場から、手続きやサービス体系なども整理・統合されましたが、「応益負担」として原則1割の利用費が課せられました。後に緩和されていきますが、障害が重いほど利用料が高くなるという、憲法で定めた「生存権の侵害」として多くの訴訟が続いています。発達障害は、全国担当課長会議で同法の対象として対応するよう通達されましたが、十分に浸透されていませんでした。昨年末のどたばた国会で、「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策の整備に関する法律」(通称、障害者自立支援法改正案)が成立し、発達障害がその対象であることが明記されました。しかし、発達障害と福祉サービス利用とのリンクが困難なのが現実です。診断できる医師不足、市区町村担当課の理解や経験不足、利用を受け入れるサービス事業所の少なさ(精神障害として受け入れてはいるのですが…)などからです。精神保健福祉手帳の申請も面倒で、発達障害が「主たる症状」とするとなぜか申請すら受け付けてくれない、というところが多いのが現状です。ありもしない別の精神疾患の患者になることが強要される結果になる場合も少なくありません。福祉サービスの申請でも同様の問題がありました。
         そして、「年金保険法」。病気や障害によって所得を得ることができなくなった方への補償制度として障害基礎年金、障害厚生年金等がありますが、発達障害での申請が難しい。精神障害の場合は当初から統合失調症やてんかん、知的障害などに限定されてきた歴史があり、その概念が未だに背後霊のように申請窓口につきまとっています。障害年金も障害者手帳も、診断名ではなく、その方の生活の不自由さや能力面を判断しての等級決定となるのが原則ですが、市区町村レベルでは、医師の診断書、診断所見が最優先されるようなので、生活面での様子なども含めてよく相談でき理解して下さっている医師との関係性が、とても重要になります。
         それぞれインターネットで法や制度紹介の公的な広報物を見ることができますので、知識として持っておかれること、精神科のワーカーや市区町村の担当窓口、ねんきん事務所などに相談されることから、道が開かれます。該当しているからといって、(20歳での年金の支払い開始などのように)公的窓口から案内がくることはありません。すべて「申請主義」が基本の国ですから…。
         それでは、今週の気になる記事です。

        発信箱:四つの原罪=倉重篤郎(論説室)

         「菅直人首相さえいなくなれば問題のすべては解決する」。そんなことはありえない、ということを知りながら、永田町は与野党ともに安直な発想に陥っていないか。
         視点を変えるとこう見える。ポスト冷戦政治には、四つの原罪があった。一つは、選挙民の歓心を買うために税収をはるかに超える公共事業、社会保障サービスの大盤振る舞いを続け、いたずらに財政赤字を膨らましてきた罪。二つ目は、米国におんぶに抱っこの安保・外交政策の居心地の良さにかまけて、冷戦崩壊、中国の台頭という新事態に対し自分の頭で考え自ら対応することを怠ってきた罪。
         三つ目に、少子高齢化・人口減への抜本対策をなおざりにしたまま、バブル崩壊後の成長戦略を真剣に模索してこなかった罪。四つ目は3・11で顕在化してしまった。原発安全神話を過剰に演出し、唯一の被爆国であるにもかかわらず原発事故、放射能対策への感度を大甘にし、事故を必要以上に過酷化させただけでなく、本来あるべきエネルギー政策をゆがませた罪だ。
         たまたま、時代の巡り合わせとしてこの自民党政治による4原罪への対応を迫られたのが菅民主党政権だった。原罪1に対しては、消費税増税と社会保障制度の一体改革、原罪3は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加をぶち上げた。原罪4は、原発制御、事故賠償、節電、発電固定価格買い取り制導入で対処しようとしている。原罪2だけはどうにもならなかった。当初の日米対等、普天間県外移設、東アジア共同体という構想が崩れ、その反動からさらに解決が遠のいている。
         これを思いつきで終わった、とけなすか、一定の路線は敷いた、と評価するか。私には、原罪を背負って十字架にかけられる人のようにも見える。
        「毎日新聞」2011年6月30日 0時04分

        ●<君が代条例>大阪・公立校教職員に「強制」、強まる警戒感
         大阪府の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例が13日、施行された。条例案浮上からわずか1カ月で、府議会の過半数を占める首長政党「大阪維新の会」府議団が他会派の反対を押し切り、可決・成立させた。府教委や教育現場は警戒感を強めている。【田中博子、堀文彦】
         ◇思想・良心の自由「子供に教えられない」
         「そこまでやる話じゃないよね」。6月上旬、ある府立高校職員室で、成立したばかりの君が代条例が話題に上った。起立しない教職員はおらず直接の影響はないが、「条例による強制は行き過ぎ」という点ではほぼ全員が一致した。男性教諭(49)は「それでも決まった以上仕方ない。教師が条例に従わなければ生徒にも影響するので、起立しないという選択はあり得なくなるでは」と話す。

             ◇
         「通常の組織なら管理者交代」「起立して歌わない教員は府民への挑戦」「組織のルールに従えないなら、教員を辞めてもらう」。5月7日午前、「大阪維新の会」の代表でもある橋下徹知事は、府幹部に一斉メールを送った。4月の府立高校入学式で不起立の教員は38人。このうち職務命令を受けていた2人が戒告処分になったことを報じる同日付朝刊を読んだ直後だった。維新の会幹部には条例案の議員提案を促した。
         橋下知事は元々、府教委のやり方に不満を抱いていた。99年の国旗・国歌法施行で学習指導要領に日の丸掲揚と君が代斉唱が規定され、府教委は02年、府立学校の入学式や卒業式での日の丸掲揚、教員に対する君が代の起立斉唱を文書で指導。「望ましい形」での実施率は03年度入学式で74・3%、卒業式で81・7%だったが、08年度はいずれも100%になった。
         しかし、実態は不起立の教員がいても校長が実施とみなして報告しており、09年度入学式まで校長は職務命令を出さずに厳重注意でとどめてきたため、職務命令違反による懲戒処分は今回の2人を含め2件6人だけ。思想・良心の自由にかかわる問題のうえ、命令を出すことで職場の人間関係がぎくしゃくするのを避けたかったとみられるが、知事には生ぬるいと映った。
         条例提案を前に知事と府教委幹部が開いた会議で、府教委は一貫して条例化に消極的だった。あくまで信頼関係を重視する中西正人教育長は「教委と校長が力を合わせたマネジメントで徹底したい」と強調。府議会本会議でも「条例は必要ない」と答弁した。
         6月中旬、条例制定を受けて開かれた知事と府教育委員の意見交換会では、百マス計算で知られる陰山英男教育委員が「条例は100%の民意を受けているわけではない」と慎重な対応を求めた。だが、知事は「最後は組織のルールに従うかどうか。府教委が努力しても、起立は徹底していない」と必要性を強調した。
         橋下知事は9月府議会で、職務命令違反を繰り返した公務員の処分条例案も提案する意向も示し、成立すれば学校現場が混乱する可能性もある。
         大阪にはアジアにルーツを持ち、日の丸・君が代の強制に抵抗を感じるとみられる教員も少なくない。橋下知事は「教員は公務員である以上、どんな思いがあったとしても起立斉唱すべきだが、子供や保護者は別」と説明する。だが、小学校の女性教諭(24)は「教師が起立を強制されながら、子供には『いろいろな考えがあっていい』とは教えられない」と話しており、児童・生徒へ影響が及ぶ可能性も出ている。
         ◇懲戒処分減る東京「萎縮しもの言えず」
         東京都教委は03年、君が代の起立斉唱を義務づける通達を出し、学校長による職務命令を徹底してきた。これまでに延べ437人を懲戒処分としたが、処分者数は減少傾向。今年度の入学式では1人だけだった。
         処分された教諭が、教委の対応は「思想・良心の自由」を保障した憲法に反するとして都に処分取り消しなどを求めた訴訟は23件にのぼる。うち3件は5、6月に「起立斉唱命令は合憲」との最高裁判決で、訴えを退けられた。
         八王子市の元中学教諭、根津公子さん(60)は今春の定年退職までに6回処分を受け、そのすべてで都との裁判を争う。大阪府条例には「東京と同様、教員が萎縮してものを言えなくなるのではないか」と危惧し、「自由な意思表示を認められない教員が、どうして子供に自由を教えられるか。心ある教員は沈黙せず、条例の問題点を発信してほしい」と話している。………………………………………………………………………………………………………

         ◆「君が代条例」骨子◆

        目的   府民が伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する意識の高揚に資するとともに、府立学校、府内の市町村立学校における服務規律の厳格化を図る
        国旗掲揚 府の施設で執務時間に国旗を掲げる
        国歌斉唱 学校の行事で行われる国歌斉唱では、教職員は起立により斉唱を行う
        「毎日新聞」6月27日(月)7時35分配信

        ●水を入れるだけで使える「水電池NOPOPO」、8月上旬に発売へ
         水を入れるだけで使える電池「水電池 NOPOPO」が8月上旬に発売される。単三サイズで、軽量であり、災害時や非常用の備蓄に適している。
         一般的な乾電池と違い、水電池NOPOPOは長時間保存しても自然に放電しないため、電気容量が減らない。未開封状態で約20年の保存が可能だという。
         水電池NOPOPOは、付属のスポイトで電池本体に開けられた穴へ水を入れると発電する仕組み。水でなくても、ジュースなど飲料水や唾液など、水分が入れば発電する。
         LEDライトに使用する場合、電池1本で約5時間の利用が可能。また電力が弱まれば、再び注水し、数回繰り返し利用が可能だ。
         一般的な電池と比べて未使用時には軽量だ。また水銀やカドミウムなど有害物質が含まれず、使用後は不燃物として捨てることができるという。
         サイズは単三形で直径14.3mm×50.3mm、重さは15g。3本パックで税込630円、100本パックで同2万790円で発売される。
        「jp.ibtimes.com」2011年6月25日 08時28分

        ●原発「安価」神話のウソ、強弁と楽観で作り上げた虚構、今や経済合理性はゼロ(1)
         ◇「原発の電気は安い」
         国をはじめとする原子力発電推進派の、これが決まり文句だった。
         1キロワット時の電力を作るのに、水力は約12円、石油11円。そこへもってくると、原子力なら半分の約5円で済む――。傑出した経済性は、ウラン燃料が比較的入手しやすい、燃料がリサイクルできる、CO2を排出しない、と並ぶ、「原発の4大美点」だった。
         しかし、安全神話を一瞬で吹き飛ばしたのと同様、福島第一原発事故によって、「安価神話」の信憑性にも、疑惑のまなざしが向けられている。
         ◇過小評価と抜け穴だらけ 「公式試算」のいいかげん
         原子力の発電コストは、三つの要素で成り立つ。
         第1が、燃料費や人件費など、電気を作るうえでかかる「発電費用」。第2が、発電に伴って出る使用済み燃料を再加工したり、廃棄物を処理する費用だ。後工程という意味で「バックエンド費用」と呼ばれる。
         これに、「立地費用」が加わる。原発を誘致した地元自治体に対する補助金や交付金がこれに当たる。
         驚くべきことに、国が言う「原発5円」は、1と2のコストしか含めていない。しかも、不備がある。
         まず、発電費用から、揚水発電のコストが外されている。
         揚水発電とは、夜間電力で水をくみ上げて上部調整池にためておき、需要の多い昼間に落水して発電する。原発はつねに一定の出力で発電するため、夜間は電気が余る。揚水はその有効活用策だ。つまり、揚水発電は原子力のために存在する存在であり、両者は不可分の関係にある。

        ○原発「安価」神話のウソ、強弁と楽観で作り上げた虚構、今や経済合理性はゼロ(2)
         立命館大学国際関係学部の大島堅一教授は、電力各社の有価証券報告書をつぶさに検証し、本来かかったはずの発電コストを試算した。その結果、原子力と揚水を足したコストは2007年度で1キロワット時約9円と、国の試算の約2倍であり、火力の約11円とほぼ同じであることが判明した。
         ちなみに、揚水を除いた一般水力発電のコストが約4円で最も安く、国の言う「水力12円」説の”ウソ”も、併せて明らかになった。
         国の試算がさらに問題なのは、”第2の費用=バックエンド費用”が、極めて過少評価されている点だ。
         04年の政府審議会に提出された政府資料によると、バックエンド費用は総額約18・8兆円となっている。これでも十分巨額だが、今回、大島教授への取材に基づき本誌が試算したころ、実にその4倍、70兆円規模に膨らむ可能性があるとわかった。

        ○原発「安価」神話のウソ、強弁と楽観で作り上げた虚構、今や経済合理性はゼロ(3)
         政府と本誌の試算は、大きく二つの費用で異なる。まずは、使用済み燃料の再処理費用だ。燃やし終わった燃料からウランやプルトニウムを取り出し、新たな燃料(MOX燃料)として使えば、ウラン資源を有効活用できるという考え方は、「核燃料サイクル」として、日本の原子力政策の根幹を成す。
         政府は、青森県六ヶ所村にある再処理工場の費用を11兆円とはじいている。だが、実は、六ヶ所再処理工場では、43年までに発生すると見積もられている使用済み燃料約6・4万トンの半分しか処理する能力を持ち合わせていない。だとすれば、コストも11兆円ではなく、2倍の22兆円と認識するのが自然だろう。もちろん、使用済み燃料にかかわる費用すべても、倍にして考える必要がある。
         ◇あまりに楽観的な「歩留まり100%」前提
         それだけではない。リサイクル燃料であるMOX燃料も燃やし終えれば当然、使用済み燃料が出る。ところが、試算からはこの部分がすっぽりと抜け落ちている。
         六ヶ所はもともとウラン使用済み燃料の半量を再処理するために建設された工場で、MOX燃料を持ち込むことは本来できない。技術的に見ても、組成が異なるウラン燃料とMOX燃料を一緒に処理できないという見方もある。六ヶ所と同規模の専用工場を建てるなら、やはり11兆円以上が必要になる。再処理しないならしないで、MOX使用済み燃料分の処分費用がいるだろう。

        ○原発「安価」神話のウソ、強弁と楽観で作り上げた虚構、今や経済合理性はゼロ(4)
         しかも、11兆円というのは、工場稼働率100%を前提にしているのだから楽観的というほかない。実際は、フランス・アレバのラ・アーグ工場が稼働率56%、英国セラフィールド工場は4%にとどまる(各07年)。歩留まりが下がれば、反比例してコストはかさむ。ひいき目に見て稼働率70%としても、22兆+11兆=33兆円の処理費用は47兆円に膨らむと考えてもおかしくはない。
         高レベル放射性廃棄物の処分に関する費用に至っては、国の見積もりは決定的に「甘い」。高レベル廃棄物というのは、使用済み燃料を再処理する際に出る液体状の廃棄物で、安定した物質であるガラスを混ぜて「固化体」にされる。固化体は、30~50年かけて冷まされた後(中間貯蔵)、地下300メートルより深い地層に最終処分される。政府は、固化体1本のコストを3530万円として、2兆円余りとはじいている。
         ところが、である。高レベル廃棄物は、過去、フランスや英国に固化を委託してきた。固化を終え返還された燃料は、現在は六ヶ所村で中間貯蔵されている。大島教授はこれについても、電気事業連合会の資料から検証した。結果、1本の貯蔵費用は1億2300万円程度と、政府前提の3・5倍にも達することがわかった。
         「地下に埋めて半永久的に人類から隔離する費用が、当座の管理費用より安いとは考えにくい。少なくとも同じと見るべきだろう」と語る。高レベル廃棄物もほかと同様、全量再処理ベースで計算すると、(2・55兆円×2)×3・5=約17・8兆円。これは、国試算ベースの7倍に相当する。”真”のバックエンド費用は約74兆円──。金額の当否はともかく、国の見積もりはあまりに楽観的だ。
         ◇再生可能エネルギーが将来いちばん安くなる
         最後に、第3のコスト。発電所の建設を受け入れた地元自治体には、見返りとして、多額の交付金や補助金が流れる。これも、発電コストにほかならない。
         再び大島教授の試算によると、1キロワット時当たりの開発単価と立地単価の合計は揚水を含む原子力が2・1円、火力と水力が各0・1円(1970~2007年度)だった。これを足した同期間の「総コスト」は、揚水を含む原子力が12・23円、火力9・9円、水力3・98円となった。原子力発電は、最も割高な発電だったことになる。神話は虚構だった。

        ○原発「安価」神話のウソ、強弁と楽観で作り上げた虚構、今や経済合理性はゼロ(5)
         しかも、これまで見てきたように、バックエンド費用は明らかに過小に見積もられている。さらに言えば、事故に関する費用は、まったく含めていない。福島第一原発の事故処理、賠償、そして廃炉にかかる費用――原発の経済合理性について斟酌(しんしゃく)する余地はもはや、どこにもない。
         ちなみに東京電力は、1970年度からの37年間で得た原子力事業からの利益約4兆円を一瞬にしてなくした。東電にとって原発はまったく割に合わない電源だった。
         大島教授は言う。「原発の経済パォーマンスは想像以上によくない。特に、再処理はおろかな政策であり、すぐにやめるべきだ」。
         使用済み燃料を再処理して得られるMOX燃料は金額にして9000億円分に相当する。そのために、再処理に11兆円、MOX燃料加工に1・9兆円(ここでは政府試算どおり)もの費用を投下するのだ。
         「おカネをドブに捨てているようなものだ。それだけの費用があれば、風力発電や太陽光発電を市場でテイクオフさせられる。立地・開発に関する補助金も、利用目的を転換していくことはできるだろう」(同)。
         菅直人首相が、先月の仏ドービル・サミットで「20年代に20%にする」とブチ上げた再生可能エネルギーは、燃料費がかからない。かつ国産である。
         「さらに、原子力との著しい違いは、原子力コストはこれからも上がり続けるのに対して、再生可能エネルギーのコストは下がる一方だということだ」と言う大島教授は、原子力に傾斜してきた日本のエネルギー政策を「再生可能エネルギーの成長を見過ごした産業政策の失敗」だと位置づける。
         あぶり出された原子力のウソ――それは同時に、原発の真実の姿も白日の下にさらしている。そこから目をそらすことは、もうできない。
        「週刊東洋経済」2011年6月11日

        ●「節電しないと今夏、大停電」はウソ、火力・新エネルギーで電力需要は賄える(1)
         原子力発電所の停止で大停電がやってくる――。今夏は原発事故を起こした東京電力だけでなく、九州電力「玄海」のように、定期点検中の原発も再運転が危ぶまれており、全国的に電力不足に陥るという予想が台頭。東電管内などでは、家庭や企業に対して「一律15%」の節電を要請する構えだ。
         が、一部では「夏の停電説は、原発が必要なことをアピールするプロパガンダではないか」との見方が広がっている。
         というのも、電力会社が発表する供給能力が、徐々に、だが確実に拡大しているからだ。東電の場合、今夏のピーク時電力需要予測は5500万キロワットとしたうえで、震災直後に「供給能力は7月末時点で4650万キロワット程度。約1000万キロワットも足りない」と発表。家庭や企業間で恐怖心が広がった。
         ただその後、休止中の火力発電所などを立ち上げることで供給能力が回復。現状では、8月末の供給力予測は5620万キロワットと、すでに想定需要を上回っている。
         事故当初は、被災した発電所をどの程度再開させられるかわからなかったにせよ、「こんなハイペースで引き上げられるのは、もともと能力を隠していたと勘繰られても仕方ない」(業界関係者)。

        ○「節電しないと今夏、大停電」はウソ、火力・新エネルギーで電力需要は賄える(2)
         そもそも、3月に行った計画停電は、原発に加え火力発電所が被災したことによる供給能力の低下の影響も大きかった。「頑張れば停電しなくて済む日もあったはずだ。東電や政府は、その情報を正確に伝えずに、世論を操作したのではないか」と、名古屋大学大学院環境学研究科の高野雅夫准教授は指摘する。
         ◇原発依存が招いた停電
         一方、政府の要請によって浜岡原発の全原子炉を停止した中部電力では、2011年度に占める原子力の電源構成はわずか12%。「原発を止めたとしても水力と火力だけで3000万キロワットの設備容量があり、今年のピーク容量見通しは賄える」(高野准教授)。
         原発停止による電力供給への影響は、各電力管内でも微妙に異なるが、「全国でかなりの原発が止まっても、火力で賄える」と、原子力資料情報室の西尾漠共同代表は言い切る。
         西尾氏によると、昨夏のピーク需要量約1.8億キロワット(原発を持たない沖縄電力を除く9社合計)のうち、原子力が担ったのは計算上、わずか1500万キロワットで、約1.6億キロワットは火力や水力が担った。今夏は需要が昨年を下回ると見られるほか、火力を増強しており、原発による発電量が相当絞られても堪えられる計算になる。冷夏だった09年は、原発をまるで使わずに最大電力が賄えたという。
         夏場のピークといっても、「実際は夏場の数日間、しかも数時間程度。その9割は事業所が使用する。工場の休み時間を1時間ずらすなど、ピークを下げるやり方はいくらでもある」(高野准教授)。一方、近年電力消費量が増えてきた家庭部門でも、「電気湯沸かし器など電力消費量の多いものを使うのをやめればバブル期の水準にまで消費量を落とせる」。

        ○「節電しないと今夏、大停電」はウソ、火力・新エネルギーで電力需要は賄える(3)
         ◇風力で原子力を賄える?
         とはいえ、原子力の代わりに石油を使った火力発電量を増やすことは、二酸化炭素(CO2)の排出量の増加にもつながる。こうした中、新たなエネルギー源を模索する動きも出そうだ。
         風力発電の発電量ポテンシャルは19億キロワット――。4月末、環境省が発表したある調査結果が、関係者の度肝を抜いた。タイトルは「再生可能エネルギーポテンシャル調査」。風力や太陽光など日本における再生可能エネルギーの潜在発電力を試算したところ、風力発電は現状の約760倍という驚愕の結果が出た。
         もっとも、日本風力発電協会によると、潜在力が高い地域は北海道や東北で、可能な設備容量なども加味すると、「50年までに2500万~3000万キロワットというのが妥当な数字」(斉藤哲夫企画局長)。加えて「補助金がなくなってからは風力の採算は厳しい」(電力会社)。ただ、足元では電力の買い取り制度の見直しも進んでおり、今後、利用が伸びる潜在性を秘めている。仮に2500万キロワット発電すれば、100万キロワット程度の出力を持つ原発の25基分に相当する。
         火力発電所や新エネルギーで電力消費が賄えてしまえば、原発の必要性は一段と訴えにくくなる。「反原発」「脱原発」の波が全国的に広がる中、電力政策は今夏、新たな岐路を迎える。
        「週刊東洋経済」2011年6月11日-22日

        ●親のストレス、子に遺伝=DNA変化介さず次世代に-ショウジョウバエで確認・理研
         ストレスによって生じた遺伝子の発現の変化が子どもにも遺伝することを、理化学研究所の研究チームがショウジョウバエを使った実験で確認し、24日付の米科学誌「セル」に発表した。
         突然変異などDNA配列の変化が子孫に伝わる通常の遺伝と異なり、環境の変化など後天的な要素が子どもに遺伝するかどうかは、まだ解明されていない。研究成果はこうしたメカニズム解明の手掛かりになると期待される。
         理研基幹研究所の石井俊輔主任研究員らは、ふ化前のショウジョウバエの卵に熱を加えてストレスを与えると、目が赤くなる変化に着目。通常はATF2と呼ばれる転写因子により、赤い色素を作る遺伝子の発現が抑制されているが、ストレスによってATF2が活性化すると、抑制が解除されることを突き止めた。
         さらに、ストレスを与えて赤目になったショウジョウバエと通常のショウジョウバエを交配させると、子どもの世代にも赤目のハエが生まれることが判明。DNA配列そのものの変化ではなく、ストレスによる後天的影響が遺伝していることを確かめた。
         また、親の世代だけにストレスを与えた場合は、子の世代までしか影響は出ないが、親とその子の2世代にわたりストレスを与えると、さらに2世代以上先まで影響が残ることも分かった。
        「時事ドットコム」2011/06/24-01:14

        ●北の食糧配給、必要カロリーの2割程度に激減
         北朝鮮で人道支援にあたるスイス開発協力庁平壌事務所のカタリナ・ツェルベガー所長が27日、本紙などと会見し、北朝鮮国民の大半が依存する政府の食糧配給がカロリーベースで、1人あたり日量525キロ・カロリーと必要量の約2割程度まで激減したとの現地調査の結果を明らかにした。
         5月から今月初めにかけて北朝鮮全域を調査した同所長によると、トウモロコシなどの配給量は平壌で1人あたり日量約200グラム、平壌以外では最悪の場合、同約150グラム。世界食糧計画(WFP)によると、昨年度の平均配給量は同375グラムで、1年間でほぼ半減した計算となる。
         同所長は「自衛のため雑草の根などを食べる国民が増えた。飢饉と呼ぶには早いが状況は良くない」と支援の必要を強調した。
        「読売新聞」6月29日(水)7時17分配信

        ●メンタルヘルス不調は「本人の性格に問題」3社に2社
        ある調査によると、「メンタルヘルスに問題を抱える社員がいる」と答えた事業所は全体の56.7%にのぼったという。不調者の数は3年前と比べて「増加傾向」から「ほぼ同じ」までを合わせると約8割となり、依然として減少に転じていないようだ。
        この調査は、労働政策研究・研修機構が全国の民間事業者(従業員10人以上)5250件から回答を得たもの。
         ◇「会社に問題」30%台どまり
        メンタル不調者が現れる原因について、事業者に回答を求めたところ、「本人の性格の問題」が最も多く67.7%(複数回答)となった。2位は「職場の人間関係」が58.4%。「家庭の問題」とした回答も29.1%あった。
        一方で、会社や職場が責任を負うべき「仕事量・負荷の増加」は38.2%、「仕事の責任の増大」は31.7%と、ともに30%台にとどまっている。
        この結果について臨床心理士の尾崎健一氏は、メンタル不調を「本人のせい」にする会社には、共通した考え方の誤りがあると指摘する。それは「同じストレスでも平気な人がいるのだから、不調を訴える人が弱すぎる」という考え方だ。
        世の中には仕事が大好きで、体力もあり毎日15時間以上働いても苦にならない人もいる。しかし、こういう人を基準にしてすべての物事を考えると、耐えられずに心身の健康を害する人が増えてしまう。
        そこで、「1日8時間、週40時間」という基準を設定しているのであり、それを大幅に超えた残業をさせながら「本人のせい」にするのはおかしいという。
        「自分がバリバリやってきた達成感の強い人ほど、『これくらいやって当然』という思い入れが強い。労災認定の現場においても、ストレス耐性が人によって異なることが前提となっている。 メンタル不調者が続出する職場では、現実を踏まえて、経営者や管理者が部下に求める基準が高すぎないか再考する必要があるでしょう」
        (j-cast会社ウォッチ)2011/6/27 19:35

        DCI京都セクション設置記念講演会に参加。
        2011/06/25
         6月11日、国連子どもの権利委員会・日本審査最終報告の提出からちょうど一年目の11日、京都市内で開催されされた「DCI京都セクション設置記念講演会」に参加しました。「DCI京都セクション」呼びかけ人は、安保千秋(弁護士)、石塚かおる(つばさ園施設長)、井本伸広(京都教育大学名誉教授)、信ヶ原雅文(だん王子供の家理事長)、鶴丸富子(京都市里親会会長)野田正人(立命館大学教授)、本田久美子(元市教組委員長)など18人。
         子どもの権利条約は、1989年に国連で採択され、1994年に日本も批准しました。締約国は5年ごとの報告義務があります。日本政府はこれまで3回、報告し、国連児童の権利委員会において審査が行われ、昨年6月11日に3回目の報告に対する最終見解が採択されました。私が京都弁護士会に人権救済の申し立てをしたのが2000年ですから、もう11年間の「つきあい」になります。
         今回の最終見解では、「本委員会は、締約国政府第2回報告(CRC/C/104/Add.2)審査に基づいて2004年2月に示された懸念および勧告(CRC/C/15/Add.231)のいくつかに対応するために締約国政府が行った努力を歓迎する。しかし、本委員会は、その大部分が、十全に実施されていないか、まったく取り組まれていないことに遺憾の念を表明する。本委員会は、本最終所見において、これらの懸念および勧告を重ねて表明する」とされるなど、少しの前進点を評価しつつも、全体として全然取り組みが進んでいないことを厳しく指摘しています。
         「家庭及びその代替的監護環境において,体罰が法律上明示的に禁止されておらず,特に民法及び児童虐待防止法が,適切なしつけの行使を許容し,体罰への許容性について不明確であることを懸念する」、「親子関係の悪化に伴って,児童の情緒的及び心理的な幸福に否定的な影響を及ぼし,その結果,児童の施設収容という事態まで生じているとの報告に懸念を有する。委員会は,これらの問題が,高齢者介護と若者との間に生じる緊張状態,学校における競争,仕事と家庭を両立できない状態,特に,ひとり親家庭に与える貧困の影響といった要因に起因している可能性がある問題であることに留意する」、「発達障害者支援センターにおける注意欠陥多動性障害(ADHD)の相談数が増加していることに留意する。委員会は,ADHDの治療に関する研究と医療従事者の研修が開始されたことを歓迎するが,この現象が主に薬物によって治療されるべき生理的障害とみなされ,社会的決定要因が適切に考慮されていないことを懸念する」、「児童,特に青少年の自殺案件に関する,「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」等を通じた締約国の取組に留意するが,委員会は,児童・青少年の自殺,及び自殺・自殺未遂のリスク要因についての調査が欠如していることに,依然として懸念を有する」、「裁判及び行政手続,学校,児童関連施設,家庭において,児童の意見が考慮されているとの締約国からの情報に留意するが,委員会は,公的な規則が高い年齢制限を設定していること,児童相談所を含む児童福祉サービスが児童の意見にほとんど重きを置いていないこと,学校が児童の意見を尊重する分野を制限していること,政策立案過程において児童が有するあらゆる側面及び児童の意見が配慮されることがほとんどないことに対し,引き続き懸念を有する。委員会は,児童を,権利を有する人間として尊重しない伝統的な価値観により,児童の意見の尊重が著しく制限されていることを引き続き懸念する」、…。
         時間のある時に、ゆっくりと読んでみて欲しいと思います。
        ○児童の権利に関する条約 第3回日本政府報告(日本語仮訳)
        http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/pdfs/0804_kj03.pdf
        ○条約第44条に基づき締約国から提出された報告の審査 最終見解:日本
        http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/pdfs/1006_kj03_kenkai.pdf
        ※DCI日本支部
        http://www.dci-jp.com/index2.html
         それでは、今週の気になる記事です。

        原発事故:「1人当たり月額10万円」精神的損賠額検討へ

         福島第1、第2原発事故で、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長、能見善久学習院大教授)は、政府の指示で避難生活を送る住民の精神的損害賠償について、避難開始から6カ月間の基準額を「1人当たり月額10万円」とする方向で検討に入った。避難所で生活するなど特に厳しい状況にある人には、月2万円前後を加算し、半年以降はいずれも減額する。20日に開く第8回会合で決める。
         原案によると、事故発生後の避難期間を(1)最初の6カ月(2)6カ月~1年(3)1年以降~帰宅するまで--の三つに分類。精神的苦痛は時間とともに緩和されるとして、6カ月以降は減額し、(2)は(1)の半額~3分の1程度とする。(3)については改めて検討する。基準額の10万円は、交通事故で入院した場合の慰謝料を参考にした。
         審査会は既に、仮設住宅、知人宅、ホテルや旅館などに避難した人を基準に支払額を決め、避難所や体育館で生活する人には一定額を加算、屋内退避の人たちには基準より低い額とすることを決めている。屋内退避への賠償額は、基準額(10万円)の半額~3分の1程度となりそうだ。
        「毎日新聞」2011年6月17日

        ●相馬の酪農家自殺、「原発なければ」と書き残し
         福島第一原発の事故で、牛を処分して廃業した福島県相馬市の酪農家男性(50歳代)が「原発さえなければ」と書き残して自殺していたことが13日、わかった。
         関係者によると、男性は今月11日、小屋で首をつった状態で見つかった。小屋の壁に白チョークで「仕事する気力をなくしました」「残った酪農家は原発にまけないで」と記していた。
         男性が住む地区は当初、加工前牛乳が出荷停止となり、男性は乳を搾っては捨てていた。今月初旬までに約30頭を処分した。男性は親の代から酪農を続けており、姉は本紙の取材に「(弟の死は)子どもたちのことを思えば話したくない。しかし、原発の件は訴えたい」と語った。
         酪農家仲間だった男性(51)は「避難区域ではないため、補償はないだろうと繰り返していた」といい、農業男性(53)は「連絡をとるたびに『原発ですべてを失った』と悩んでいた」と話した。
        「読売新聞」6月14日(火)3時9分配信

        ●80代夫婦、避難先で無理心中か=4月中旬、遺書も見つかる―宮城
         東日本大震災で宮城県気仙沼市の自宅が浸水した80代の夫婦が、避難先の親類宅で遺体で見つかっていたことが17日、県警気仙沼署などへの取材で分かった。
         同署などによると、夫は4月中旬、避難先の同市の親類宅で首をつって死亡しているところを発見された。妻に目立った外傷はなかったが、首には絞められたような跡があったという。
         外部から侵入した形跡はなく、妻は生前ほぼ寝たきりの状態で、夫が主に介護していたことから、同署は介護疲れや震災のストレスなどで、夫が無理心中を図った可能性が高いとみて調べている。
         室内から見つかった親類あての遺書とみられるものには、「お世話になった」などと書かれていたという。 
        「時事通信」6月17日(金)13時29分配信

        ●東電補償金は「収入」、生活保護打ち切り 福島原発
         東京電力福島第一原子力発電所の事故で、生活保護を受給していた福島県南相馬市といわき市の約150世帯が、同社から受け取った仮払い補償金を「収入」とみなされ、生活保護を打ち切られたことがわかった。
         厚生労働省の指針に基づいて両市が判断した。補償金を受け取ることができる生活保護受給世帯は同県内で約620世帯あるとみられ、補償金の申請は現在も受け付けていることから、今後も同様のケースが出る可能性がある。関係者からは制度の改善が必要との指摘も聞かれる。
         福島県の被災者の場合、日本赤十字社などの義援金のほかに、福島第一原発から30キロ圏内と計画的避難区域の世帯は一律に、東電の仮払い補償金(1世帯あたり100万円、単身世帯は75万円)を受け取ることができる。
         南相馬市の生活保護受給世帯のうち、同圏内にあって補償金を受け取ることができるのは約320世帯。同市は、「自立更生に充てられる額」を計算した書類を提出するよう受給世帯に要請。各世帯が通常の生活を送るのに必要な金額を考慮し、被災状況や家族構成なども加味して審査した結果、補償金を受け取った約150世帯の生活保護を打ち切ることを今月1日に決めた。ほかは審査中。市は「『補償金は見舞金と思っていた。なぜ収入とされるのか』との声もあったが、『手持ち金がなくなれば生活保護を再申請できる』と説明し、納得してもらった」としている。
         いわき市も今月1日、20世帯のうち、審査中を除く2世帯について打ち切りを決め、今月分から支給されなくなった。
        「読売新聞」2011年6月16日03時04分

        ●東日本大震災:被災小中高生9割「まちのため何かしたい」
         東日本大震災で被災した小中高生約1万人の9割が「自分のまちのため何かしたい」--。子供支援の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(SCJ、本部・東京)が13日、こんな調査結果を発表した。
         調査は5月24日~6月4日、宮城県石巻市、東松島市、岩手県陸前高田市、釜石市、山田町の小学4年~高校3年の計約2万1000人に実施、有効回答は52%の1万1008人。SCJは地域復興への子供の参加実現に向け5年間の活動を計画しており、子供たちの意向を確認するため記述式で尋ねた。
         「自分のまちのため何かしたいか」との問いに約9割が「はい」と答えた。その内容は「ごみ拾い・そうじ」が多く、津波に襲われた街を元に戻すため、できることに取り組もうとの思いがにじむ。
         「まちをよくするためにだれと話をしたいか」との質問には約4分の1が「総理大臣」と答え「子供同士」を抑えてトップ。政治のリーダーシップの大切さを感じ取っていた。
         SCJは既に、政府の復興構想会議や岩手、宮城、福島各県知事に子供の意見を尊重するよう要望書を提出。7月には、子供たちが復興について話し合う「子どもまちづくりクラブ」をつくる予定。緊急支援担当の津田知子さんは「子供たちは震災の恐怖を体験しても、古里復興への思いが強い。提言を生かせるよう取り組む」と話している。
        「毎日新聞」2011年6月13日 23時07分

        ●福島原発「メルトスルー」どころじゃない!建屋突き破って地下めり込み
        福島第一原発の核燃料はいま、いったいどういう状態なのか。東電・政府によれば、溶けて圧力容器の底に落ちて、つきぬけて格納容器に落ち(メルトスルーし)ていて、でも「チャイナ・シンドローム」のように、大量の燃料がどんどん落ちた(ている)のではない――という。
        しかし、彼らの炉心についての分析はこれまでも悪い方に外れ続けており、信用がない。番組によれば、「状況はメルトスルーより、さらに悪い」と見る研究者もいる。どちらが正しいのか、では原子炉をのぞいて正解を見てみましょう――とはいかないのが、国民的にじつにもどかしいところだ。
        地下水と接触して汚染水流出懸念
        「東電・政府の(収束)ロードマップなんて言ってる状態ではまったくない」と、番組のインタビューで主張するのは、小出裕章・京都大学原子炉実験所助教。
        小出氏によれば、溶けた燃料は、圧力容器の下の格納容器でもとまらず、炉建屋地下のぶ厚いコンクリートの構造物に、どんどん溶けながらめり込んでいるという。したがって、もはや水をかけようが循環冷却をしようが、「炉心を冷やすことは不可能」だという。
        さらには、燃料がコンクリートをも突き破り、地下水と接触して、(超高濃度の?)汚染水が海に流れ出すことが懸念されるという。
        「j-castテレビウォッチ」2011/6/16 12:37

        ●放射性セシウム:汚泥、9都県で1万トン超
         各地の下水処理場の汚泥などから放射性セシウムが検出された問題で、処分できないまま施設内などに保管されている汚泥などが9都県で少なくとも計1万706トンに上ることが毎日新聞の調査で分かった。政府は16日、処分方法を巡る「当面の考え方」を示したが、自治体からは「埋め立て場所が見つからず、引き取る業者もいない」と実効性を疑問視する声が上がっている。
         ◇処分、濃度別に条件
         調査は全都道府県の担当課などを対象に実施。東北や関東地方を中心に、16都道府県で汚泥や焼却灰などから放射性セシウムが検出されていた。
         このうち、濃度が低い自治体の場合は、セメント業者が引き取ったり、埋め立て処理をしている。だが、9都県では処理できずに保管を余儀なくされている施設があり、群馬県で3510トン、茨城県で1670トンに上る。「楽観的に見積もってもあと1カ月で満杯」(さいたま市)など、多くの自治体が保管場所に苦慮している。
         政府は、埋め立て地の周辺住民の被ばく線量を年10マイクロシーベルト以下に抑えることを念頭に、1キロあたり8000ベクレル以下のものは、跡地を居住などに使用せず、防水対策を講じれば埋め立て処分できると説明。8000ベクレルを超え10万ベクレル以下の場合は、濃度や遮蔽(しゃへい)方法などの安全性を個別に評価したうえで、廃棄物処分場に埋め立て処分することも可能としている。10万ベクレルを超える場合は、可能な限りコンクリート壁や覆土で放射線を遮蔽できる県内の施設で管理することが望ましいとした。
         国の考え方への自治体の反応は厳しい。セメント会社から受け入れを拒否され、15日現在で約30トンの焼却灰を保管する東京都立川市の「錦町下水処理場」。月末にも満杯になる見込みで、服部敏之場長は「セメント会社の受け入れ再開のめどが立たなければ、埋め立て処理も検討しなければならない。だが、処理場が確保できるのか疑問だ」と話す。
         国土交通省は「(各自治体で)埋め立てのできる処分場を探す努力をしてもらうしかない」と話している。
        「毎日新聞」2011年6月16日 21時35分

        ●被災中小企業に全国から機械提供 輸送費負担が課題
         東日本大震災で生産設備が損傷した東北の中小企業に、中古設備を提供する取り組みが本格化している。宮城、岩手両県の経済団体や産業支援組織などが協力を呼び掛け、6月に入って関東や九州の企業から中古工作機械などが届き始めた。操業再開につながると期待されるものの、支援の拡大と継続には輸送費負担などの課題もあり「公的助成などが必要だ」との指摘も出ている。
         損傷した設備の仲介に取り組むのは、東北経済連合会、仙台商工会議所、みやぎ産業振興機構、岩手県など。団体の全国組織や、被害の小さかった県内企業などに協力を呼び掛けている。
         みやぎ産業振興機構の仲介で8日、東松島市の鋼管継ぎ手製造会社、東北パイプターン工業に神奈川県内から製造機械15台が到着。9日には仙台商議所の支援で、仙台市若林区の建築会社、ウッドスタイルに、大分県から木材を切断する機械が届いた。共に無償提供だった。
         東北パイプターンは「メーカーや中古業者を通じて機械を探したが、見つからずにいた」と歓迎。ウッド社も「これで施工関連の再開にこぎ着けたい」と喜んでいる。
         月内には東経連の組織、東経連ビジネスセンターの仲立ちで、石巻市の電子部品組み立て会社に、福島県内の企業からコンプレッサーが提供される。仙台商議所には、名古屋商議所から各種機材が送られる予定。
         課題も浮かび上がっている。東北のある企業は「設備によっては輸送費が数十万円から百万円単位になる」と言い、被災企業の負担軽減策が求められそう。機械の性能や装備は多様で「現場に合わせる調整は簡単ではない」との声もある。
         津波で甚大な被害を受けた地域では、設備導入を考える段階には至っていない中小企業も多いが、復興が進めば必要な設備が増えるのは確実。東経連ビジネスセンターは「支援の申し出の中には『代替生産する』など設備提供以外が多い」と内情を明かす。
         仙台商議所は「仙台市内だけでなく、沿岸部にも設備提供を広げたい。そのために、性能が異なる機械を代替利用できるかどうか判断する専門家を探している」と説明。輸送費などコスト面については「実績を積み重ねた上で、国や県などに対し、助成制度の創設を求めたい」としている。
        「河北新報」6月15日(水)6時13分配信

        ●高濃度のストロンチウム検出 福島第一の地下水や海水
         東京電力は12日、福島第一原発の地下水や周辺の海5カ所から、放射性ストロンチウムを検出したと発表した。海では基準の濃度限度の240倍の地点もあった。ストロンチウム90は半減期が約29年と長いうえ、体内に入ると骨にたまる傾向がある。
         これまで原発敷地内の土壌からは検出されていたが、地下水から見つかるのは初めて。5月18日に採取した1号機付近の地下水からは、ストロンチウム89が1立方センチあたり0.078ベクレル、90が0.022ベクレル検出された。2号機付近の地下水は89が19ベクレル、90が6.3ベクレルだった。原発事故で放出され、雨水などとともに空気中や地表から流れ込んだとみられるという。
         5月16日に採取した1~4号機の取水口近くの海水でも、ストロンチウム89が基準の濃度限度の26倍、90が53倍を検出。2号機取水口付近ではそれぞれ67、117倍、3号機取水口付近では80倍、240倍を検出した。
        「asahi.com」2011年6月12日21時41分

        ●改正NPO法が成立 寄付優遇税制の対象団体拡大めざす
         NPO法人への寄付を税制面で後押しする改正NPO法が15日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。東日本大震災の復旧・復興に取り組むNPOにとっては朗報となる。
         全国約4万3千のNPO法人のうち、寄付優遇税制を受けられる認定NPO法人は1日現在、215しかない。改正法は、認定NPO法人を大幅に増やすため、認定の権限を国税庁から都道府県と政令指定都市に移し、手続きを迅速化する。また「事業収入のうち寄付が5分の1以上」という認定基準を緩和し、「3千円以上の寄付をした人が100人以上」「条例指定」を加える。
         寄付優遇税制の拡大も、民主、自民、公明3党が合意した税制改正修正法案で実現する。修正法案は15日の衆院財務金融委員会で可決され、16日に衆院通過、今国会中に成立する見通し。
        「asahi.com」2011年6月15日

        ゴールばかり目的化していても、幸せにはなれない。
        2011/06/25
        『壁を破る言葉』岡本太郎。「きみはあなた自身を創造していると思いなさい」、「孤独であって、充実している、そういうのが人間なんだ」、「人間は精神が拡がるときと、とじこもるときが必ずある。強烈にとじこもりがちな人ほど逆にひろがるときがくる」。こんな口述筆記の言葉があふれています。
         制約や、命令や、ルールや、マニュアルや、規則や、暗黙のルールなどなど、「諦め」の言い訳になるものが、今の日本社会にはあふれています。
         自分だけが幸せになる、なんてことはありません。お金があっても、名誉があっても、それが幸せを保障してくれる、なんてことはありません。M党のO沢氏やH山氏を見ていて、ちっともうらやましくならない。むしろ、蔑んだまなざしで見てしまっていることがよくあります。彼らにとってめざしたゴールは何なのでしょうか? 特に最近の不信任案騒動なんて、とにかく迷惑でしかないことを平気でやってくれました。目的すらよくわかりません。混乱しただけですから…。
         民営化、規制緩和、行財政改革、事業仕分けの一部…。目的は「安上がり」にすることでしかないことを誰もがわかっています。そのゴールは、格差の拡大と大災害に無力な国家への衰退だったことを誰もが知ることになりました。めざしたゴールとは、違っていたことを祈るばかりです。
         もっとミクロに、人の、自分の幸せを追求してみることから、社会のあり方を考えても良いのかも知れません。見た目や他人の評価ではなく、一人の人間としての生き方を問う、ということです。
         自分を大切にしているか、自分に関わる人を大切に考えているか、自分は誰かの役に立っているか、自分のやっていることに納得できるか、自分がすべきことをちゃんとやれているか、…。ストイックになろうと言っているのではありません。あくまでも、自分の幸せな生き方を、いつもしようとしているかのチェックです。
         なぜこんな人生論もどきの話になっているかというと、保健所の精神保健的介入のいい加減さに腹が立っているからなんです。動けるのに動こうとしない、行けば理解できるのに行こうとしない、困っていて家から出られない状態の人に「来てもらわないと相談に応じられません」なんて、「人」として平気で言えるように、保健所・保健センターはなってしまったんでしょうか。全部がそうなったとは思いません。でも、そんな対応しか「しない」ところが現実にあるんです。
         予算縮減で人減らし、一人で何千人を対応しているとかいう話は、他の支援機関でもよく耳にします。行財政のスリム化が目的で、ゴールは「対応しきれない」安普請の細柱。そこにいた人も、そこを監督していた人も、こうなることは予見できたはずですし、何も言わない、言えない、何かがあったんでしょうね。そして、みんなが不幸せになる仕組みができあがってしまったんです。
         そろそろ、壁を破ることを始めないと、「放っておいたら、(今以上に)大変なことになりますよ」。
         小さな「つぶやき」でした。
         それでは、今週の気になる記事です。

        福島第1原発:欧州委員「やはり人災」と厳しい安全性検査

         欧州連合(EU)で原発を担当するエッティンガー欧州委員(閣僚)が毎日新聞と会見し、福島原発事故は「自然だけでなく人によっても起こされた人災」と強調した。同委員は事故直後に「原発は制御不能」と発言、欧米株式市場の急落を招いて批判を浴びたが、結果的に”正当性”が証明された格好。同委員は「事故の教訓を得ないのは誤り」とし、EUでは厳しい安全性検査を新設の原発にも適用する考えを示した。
         同委員は3月16日、欧州議会で「(福島原発が)大惨事で制御不能に陥っている。最悪の事態が来る可能性も排除できない」と指摘。事故に世界的な不安感が高まるなかでの発言だけに、同日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均の下げ幅が一時299ドル超に。世界同時株安の影響を受けていた欧州市場でも、この発言がさらに下げ幅を高めた。国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長も発言に対し、「『制御不能』などと言うべき時ではない」と苦言を呈していた。
         インタビューに応じた同委員はこの発言について、「惨事の後に危険があった」と改めて強調。「日本は首都圏の3500万人以上をどこかに避難させることはできない」ことも理由に挙げた。
         また、事故後「被害を最小に抑える技術がなかっただけでなく、実施可能な技術も適用されなかった」と批判し、「人災」と断じた。その上で「教訓を学び惨事を最小化する計画を立てないのは誤りだ」と話した。
         教訓の具体例として、EU加盟国の原発143基を対象に1日から始まった厳しい安全検査を挙げた。冷却機能の喪失のほか高温、飛行機の墜落、付近のタンカーの爆発も想定したもので、現存の原発だけでなく新原発にも適用すると述べた。
         同委員は脱原発を決めたドイツの現政権与党出身。ドイツの決定について、EUが20年までに電力「毎日新聞」2011年6月20日

        ●<東日本大震災>福島県、義援金は収入にせず 生活保護問題
         福島県は21日、東日本大震災の被災者が受ける生活保護について、義援金の1次配分40万円分(県の上積み分5万円を含む)を収入と認定せず、保護打ち切りや減額対象にしないと発表した。対象は、県が事務を担当する町村部の住民で、市については各自治体が判断する。義援金や東京電力福島第1原発事故の仮払補償金を収入とみなし約150世帯の保護を打ち切った南相馬市は「対応は変えない」としており、居住地によって扱いが分かれる可能性もある。
         これまで、義援金や東電の仮払補償金(世帯100万円、単身75万円)は、震災前の生活を取り戻すための住宅の補修や家電製品の購入といった用途以外は収入として認定され、保護を打ち切られるケースもあった。
         しかし、「生活再建に必要な経費を被災者が自分で把握するのは難しい」などの声が相次ぎ、義援金の1次配分については収入から除外し、すでに関係書類を提出した受給者についてもさかのぼって適用する。一方、仮払補償金については、従来通りの扱いとなる。
         県内の町村部で、義援金などを収入とみなして6月に保護を停止したケースは4件。県社会福祉課は「被災者の負担軽減のため取り扱いを変えた。各市にも県の考えを伝えたが、屋内退避が多かった南相馬市など地域で実情が違い、県の考えは押し付けられない」としている。
        「毎日新聞」6月21日(火)21時41分配信

        ●「日本は核を持て、徴兵制やれば良い」石原都知事
         「核保有」に「軍事政権」と「徴兵制」。石原東京都知事が持論を展開しました。
         石原東京都知事:「日本は核を持たなきゃだめですよ。もたない限り一人前には絶対扱われない」「世界の国際政治を見てごらんなさい。なんだかんだ言いながら、核を持ってる人間は、マージャンでいえば一翻(イーファン)ついてて上がれるけど、マージャンやっている人は分かっている、一翻がついていない人間は絶対に上がれない」
         さらに、石原知事は「日本が生きていく道は軍事政権をつくること。そうでなければ、日本はどこかの属国になる。徴兵制もやったら良い」と持論を展開。今の政治の現状を憂う石原知事の発言でしたが、反核団体などを始め、各方面から反発を呼びそうです。
        「tv asahi」06/20 16:52

        ●<自殺>急増で震災影響調査 5月、前年比2割増…内閣府
         今年5月の全国の自殺者が3329人(暫定数)で、昨年5月の2782人(確定数)に比べて547人、19.7%増えていたことが警察庁の調べで分かった。昨年12月から今年3月までは4カ月連続で前年を下回った減少傾向から一転したうえ、月別の自殺者数が3月と9、10月にピークを迎えることが多い近年とは傾向が異なる。内閣府は「東日本大震災による生活環境や経済状況の変化が影響している可能性がある」として、震災後の自殺者の性別や年代、出身地など、警察庁の統計を詳しく分析する。
         警察庁は08年から毎月、自殺者数を集計し、暫定的に公表。年間統計の段階で確定数としている。
         警察庁によると、今年の自殺者は▽1月=2276人(昨年2536人)▽2月=2146人(同2445人)▽3月=2445人(同2957人)と、いずれも前年を10~17%ほど下回っていた。ところが4月は2693人(同2585人)と前年より4.2%増え、5月は福島県で約4割増えたのをはじめ、さらに大幅に増加した。昨年12月は2425人で、一昨年12月は2488人だった。
         4、5月の自殺者数がそれぞれ3月の自殺者数を上回ったのは、警察庁が月ごとに自殺者数を発表するようになった08年以降、今年が初めて。また、今年5月の自殺者数は08年以降の月別自殺者数で最多だった。
         厚生労働省の人口動態統計で04~08年の月別自殺者数を平均すると、自殺者数のピークは3月。8月までは減少傾向で、10月に2度目のピークを迎える。いずれも企業の決算期と重なっており、経済的な要因からの自殺が多いためとみられている。
         警察庁の都道府県別自殺者統計は、出身地に関係なく遺体が見つかった都道府県の件数にカウントされる。避難先で自殺した被災者がいる可能性もあることから、内閣府経済社会総合研究所は警察庁から自殺者の出身地についても情報を提供してもらい、分析する。
         内閣府参与で分析に加わるNPO法人「自殺対策支援センター・ライフリンク」の清水康之代表は「5月の自殺者数は異常な数字。防止策のため分析を急ぎたい」と話している。
         被災者向けに「心の相談電話」を開設している日本精神衛生学会(東京都新宿区)によると、3月19日~今月20日に受理した相談は2997件。震災直後は被害の大きさを話す人が多かったが、5月ごろから「生きていても仕方ない」「自分だけ助かって後悔している」など、自殺願望を話す人が目立ち始め、6月も増えているという。
        「毎日新聞」6月21日(火)11時27分配信

        ●なぜ、高学歴でも仕事がデキない人が増えているのか
        「学歴シグナル」が崩壊し、人材へのがっかり感が大きくなっている
         企業が人材を採用する際に、学歴という情報を重視することがある。受験戦争を勝ち抜いて、有名大学を卒業した人は仕事を遂行する能力が高いはずで、採用すべきという判断からだ。「有名大学を卒業した人は仕事もデキるはず」という部分が「学歴シグナル」だ。
         日本は、高い学歴が、高い収入をもたらすという学歴社会であった。しかし、この学歴社会と学歴シグナルは崩壊しつつあるようだ(図参照)。
         高学歴=高収入の時代が終わったことは、過去10年の日本の歩みを見ればわかる。有名大学を卒業した高学歴グループに占める「高い能力」を持つ人の割合も減っている。
         理由はいくつかある。例えば、一般の入学試験によらないAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)で入学する学生が増えている。入試の科目数を減らす大学も多い。また、受験テクニックを重視する塾や予備校も増えている。こうした中で、受験生は勉強にさほど労力と時間をかけなくても有名大学に入学できてしまうのだ。
         高額の教育投資が行える親は、子供を海外留学させて、帰国子女枠で大学に入学させる。あるいは、子供を小さいころから塾に通わせて有名大学に入学させようとする。これは、お金をかけて高学歴を買うのであって、「高い能力」を養っているわけではない。
         これまでは、高学歴は「仕事上の能力の高さ」を示すシグナルだったのが、「親などの教育投資が高額なこと」のシグナルになってしまった。
         こうして高学歴を獲得して社会人になっていくのだが、彼らは、社会人になってからの勉強が苦手だ。例えば、コミュニケーション能力である。社会人になれば、幅広い年齢の人たちとの間でこの能力が求められるが、同世代の間では可能でも、世代間のコミュニケーションはおぼつかない。激しい受験戦争によって、そうした能力を鍛える場所が非常に少なくなっている。
         また、私が社会人になって身近に見てきた例をあげれば、エリートコースに乗る人は、必ず勉強している。一橋大学を卒業している先輩は、土日はいろいろな女の子と遊びに行くような人だった。しかし、仕事でどんなに疲れていても、夜中に必ず勉強していた。睡眠時間を削って勉強していたのだ。
         もう一人は、上智大学を卒業した後輩である。英会話能力の高い人だったが、やはり必ずNHKラジオの英会話放送を録音していた。英語力を落としたくないと、仕事でどんなに遅くなっても録音を聴きながらテキストをめくっていた。
         二人とも、その勉強に関連した仕事をしているかどうかとは別問題で、社会人になった自分が勉強すべきことを学んでいたのだ。
         社会人になれば、受験生のときのように、勉強に集中できる環境が整えられ、勉強だけをしていればいいというわけではない。たとえ肉体的に、そして精神的に大変な状態であったとしても、勉強を続けられるかどうかが重要になってくる。社会に出て体育会系が重宝されることがあるが、これには一理ある。社会人になってから必要な勉強をするには、体力が必要なのだ。
         仕事のできない高学歴者が増えているのは、こうした勉強をしなくなっているからだ。入社がゴールではないことに気づいてほしいものである。
        —————————————————–
        エコノミスト・著述家
        吉本佳生
        1963年、三重県生まれ。名古屋市立大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科満期退学。専門は金融経済論、生活経済学。元銀行員、元大学教員。近著に『マクドナルドはなぜケータイで安売りを始めたのか?』。
        「プレジデント」6月20日(月)10時30分配信

        ●延長国会―さっさと懸案片づけよ
         国会の会期末のごたごたは、何がなんだかわからない。与党の執行部が野党とともに、菅直人首相に辞任の時期を明らかにせよと迫り、首相が拒んだ。
         この騒動は、後世の笑いぐさになる。日本の政治は、ここまで墜(お)ちていたのか、と。
         結局、70日間の会期延長が決まった。8月末までの熱い夏になる。東日本大震災への対応を急ぐのだから、国会に夏休みがないのは当たり前だ。
         だが、これで政治が動くのか。さらなる停滞と混迷へと突き進んでいるようにしか見えないのが実情だ。
         首相は第2次補正予算案に、赤字国債の発行を認める特例公債法案、太陽光や風力などの普及を図る再生可能エネルギー特別措置法案といった懸案の処理に意欲を示している。
         私たちは、どれも早く成立させるべき課題だと考える。しかし、首相がいつごろ辞めると言わない限り、与野党の泥仕合は続きそうだ。党執行部の説得を退けたのだから、首相は党内でも孤立を深めるだろう。
         それでも、内閣不信任案が否決されている以上、首相を引きずりおろすのは容易ではない。
         ここは、すべての国会議員が大胆に発想を変えたらどうか。
         「首相おろし」で与野党が協調できるのならば、首相が意欲を示す政策課題に取り組み、さっさと片づけてしまうのだ。
         慎重を要する審議を早く打ち切れというのではない。進めるべきことをきちんと進める。それだけで、首相がとどまる理由を消していける。
         たとえば、特例公債法案をこのまま放置すれば、国は予算を執行できなくなる。そんな事態は野党も望むまい。成立を引き延ばして首相を追い込む戦術を改め、成立させるのだ。
         「資金繰り破綻(はたん)」の恐れをなくし、首相の外堀も埋められるのだから、野党にとって一石二鳥ではないか。
         そのために、民主党は子ども手当など歳出の見直しを急ぐ必要がある。国会を正常化させるために、与野党が速やかに汗をかくときなのだ。
         震災の日の朝に閣議決定された再生エネ法案が、審議にすら入れないのもおかしい。自然エネルギーの普及には、与野党とも異論はない。だったら、早く合意点を見いだせばいい。
         国会は仕事をしよう。それで局面を変えれば、首相は続投の大義名分を失う。
         参院で問責を決議し、仕事をさぼることで追い込む。こんな作戦を野党が練っているなら、それは愚策中の愚策である。
        「asahi.com」2011年6月23日(木)

        ●「喫煙で死ぬことがあります」…米でキツイ警告
         米食品医薬品局(FDA)は21日、たばこの包装に新たに掲載を義務づける警告文のデザイン9種類を発表した。
         「喫煙で死ぬことがあります」という警告文と胸に大きな手術痕がある遺体の写真、「たばこは脳卒中や心臓病を引き起こします」の警告文と呼吸器をつけてあえぐ男性の写真など、どれも視覚に訴えるきつい内容だ。
         25年ぶりの大きな改定で、来年9月以降、米国内で販売されるたばこは、パッケージの上半分をこの警告に当てなければならなくなる。たばこ業界は、言論の自由などを理由に新規制無効を求める訴訟を起こしている。
         FDAは2009年に成立した「たばこ規制法」に基づき、昨年、36種類の図案を発表。意見を公募して今回の九つに絞り込んだ。セベリウス厚生長官は21日の記者会見で「この警告は確かにひどい。若者に、喫煙はひどいことだと知ってもらいたい」と期待を示した。
        「読売新聞」2011年6月22日14時14分

        ●ADHD患者の脳の働き解明 神戸の理研など
         発達障害の一つ「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の子どもは、健康な子どもが同じゲームをして働く脳の中央付近の部位「視床(ししょう)」と「線条体(せんじょうたい)」がほとんど働かないことを、理化学研究所分子イメージング科学研究センター(神戸市中央区)などの研究グループが突き止めた。これらの部位を観察することで客観的な診断などにつながる可能性があるといい、26日、神戸市で開かれる日本分子イメージング学会総会・学術集会で発表する。
         ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった症状が特徴で、同グループによると、国内では小学生と中学生の5~15%を占めるという。「ドーパミン」など神経伝達物質の不足が一因とされ、情報伝達を促す薬が治療に使われているが、脳のどの部位が関わっているのかについて明確には分かっていなかった。
         同センターの水野敬研究員と熊本大の友田明美准教授らは、同大学医学部付属病院(熊本市)を受診した10~17歳のADHD患者14人と、同年齢の健康な子ども14人を対象に、脳の血流を画像化する「機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)」を使って調査。
         3枚のカードから1枚をめくり、金額が書かれていれば、その額がもらえる‐という設定でゲームを全員にしてもらったところ、ADHD患者の場合、脳内で行動の制御や報酬を喜ぶ感情に関わる視床と線条体が、ほとんど働かなかった。しかし、薬を飲み続けると、3カ月後には健康な子どもと同様の働きに変化した。
         水野研究員は「この調査方法を簡素化できれば、客観的な診断に加え、治療効果を検証することも可能になるのではないか。今回使った治療薬とは別の薬についても、脳のどの部位に働くかなどを調べたい」と話す。
        「神戸新聞」(2011/05/26 10:31)

        ●脳のメモリー拡張技術、ついに実現
         あ~あ、自分もキアヌ・リーブスみたいに脳にメモリーカードをブスッと差し込んで「柔術をマスターした」とか言ってみたいもんだぜ…と夢見るみなさま、あれができる日も遠くないかもしれませんよ?
         南カリフォルニア大学ビタビ工学部のセオドル・バーガー(Theodore Berger)博士率いる研究グループがなんとねずみに一発で物事教えるチップをつくっちゃいましたからね。いや~来る時が来ましたね!
         チームでは短期学習・記憶を可能にするねずみの体内の化学反応を調べた後、電極を使って記憶力を向上・拡張する人工装具のチップを開発しました。
         このチップ。神経信号の保存が可能なんですね。ここが電子メモリーの役割りを果たしてくれるので、ねずみもいきなり学習量がメキッと上がり、学んだことはこのデバイスにきっちりキープしておける、というわけ。
         バーガー博士の解説読むと、ちょっと空恐ろしくさえありますよ。 
         スイッチをONにすると、ラットは記憶が戻る。OFFにすると、忘れる。
         […] こうした実験用モデリングの研究を総合した結果、記憶の神経コーディングの情報さえ十分揃えば、リアルタイムのID特定・エンコード処理の操作が可能な神経人工装具を使って認知記憶処理の保存・改善さえも可能なことが初めて示されたかたちだ。
         ひょえ~。
         チームはこの実験成果を「A Cortical Neural Prosthesis for Restoring and Enhancing Memory」という論文にまとめましたが、これはアルツハイマー病や脳卒中など脳疾患で苦しむ人たちを補助する装置の開発に繋がる実験かもしれませんね。
         チームでは既に次なる目標にとりかかっています。それはずばり猿でこれと同じ結果を再現すること!
         アルツハイマーや他の病気の方、その家族のためにも本当に成功を祈りたいですね。脳にIMDb埋め込めたらどんなにいいだろうと思ってる僕としても本当に成功を祈りたい気持ちでいっぱいです。
        「gizmodo.jp」2011.06.23 18:00
        私のHPは●ahooの「審査」で保留となっているらしい?
        2011/06/11
        5月27日のことだが、●MOソリューションパートナー株式会社の営業マンから事務所に夜、電話がありました。売り込みたい商品は、●ahoo検索でのヒット率を高めるサービスで「日本語キーワードによりダイレクトにお客様のホームページへユーザーを誘導する「●Word」」。特定の単語、例えば私の相談室の場合、「カウンセリング京都」を●ahooで検索した際に、最初のページの右下に赤いフラグ付きで私の相談室名や一行程度の紹介とURLが表示されるというもの。2年間の契約で、キャンセルはできない。費用は一括払いが基本のようだが、クレジットカードなら分割払い可で、1ヶ月あたりの支払いは8,000円弱(支払い手数料含む)。電話帳で小さな箱広告を出すくらいの経費と考えられます。数行の掲載でも2-3,000円必要だし、新聞広告などとんでもない価格なので、許容範囲でもあり、話をじっくりと聞いていきました。
         詳しく聞く中で、おや?っと思ったことがいくつか。
         第一段階として、どういう内容の契約になるかをメールで送付するということになり、なぜか口頭でメルアドの確認を始めたのです。私の相談室のHPを見て「ぜひ活用してほしい」と営業をかけて来ておきながら、HPのわかりやすい位置にメルアドを表記してあるのに、なぜ口頭? さらに「kyoto」を「kyouto」と入れ間違え、通話中に「おかしいですね。エラーで返ってきました」と。再度口頭で確認し、ようやく届きました。???
         そして、「●ahoo側での審査に通るかどうか、先に確認しておきましょう」と言いだし、2日ほどかかると。でも、翌日には「●ahooの審査で『保留』となりました。サイト内で表記されている単語などで審査基準に引っかかっているものがあるようで、何が引っかかっていて、どう変えれば良いか明細を明らかにしてもらいます。2-3日かかりますが、必ずお返事します」と。
         私が「引っかかるとしたら、どんな単語とかになるんですか?」と別の決済担当者に尋ねると、「自閉症とか、○○症とかは該当するかと思います」。「自閉症や○○症などの精神疾患名が引っかかるのなら私のサイトはそもそも無理ですね。全国の精神科クリニックやカウンセリングルームなども対象外となってしまいますよ」と言うと、言葉を濁しました。
         それから何日が経つのでしょう? 今日現在、音信不通です。
         ●ahooさんの株主である大手企業やお金持ちさんたちにとって、都合の悪いものは排除するための「審査基準」となっていると思い、調べましたが、さすがに上手くぼやかして表現されています。
         どんな単語が「審査基準」に引っかかるのか、どう変えれば良いのかを知りたいので、近々その営業マンに連絡を取りたいと思いますが、私のHPでは障害名、疾患名、各種メディア掲載情報とは言えども多くの人に知って欲しい実態暴露記事、「これならギリギリOKかな?」と判断できる表現や問いかけなどにあふれていますので、●ahooさんの審査がちゃんとされているのなら、さぞや明細を作るのに時間がかかっているのでしょう(*^_^*)。
         それでは、今週の気になる記事です。

        自殺者、13年連続で3万人超…政府白書

         政府は10日午前、2011年版「自殺対策白書」を閣議決定した。
         昨年1年間の全国の自殺者が3万1690人(男性2万2283人、女性9407人)と、13年連続で3万人を超えたことから、菅首相が掲げる「自殺者3万人未満」の目標に向け、地域の実情や各世代が抱える問題などに即した効果的な対策が必要だと指摘している。
         白書は、警察庁の統計などを基に「非正規雇用の増大などを背景に、社会で活躍する若年~中堅層の自殺死亡率が上昇傾向にある」と分析。〈1〉職場での心の健康対策の推進〈2〉地域・学校における心の健康作り推進体制の整備〈3〉多重債務、失業者などに対する相談窓口の整備・充実――などに取り組む方針を打ち出した。
        「読売新聞」6月10日(金)9時1分配信

        ●5月の自殺者数、月別で過去最多
         今年5月の自殺者数は3281人(速報値)で、月別で過去最多を更新した。警察庁のまとめによると、月別の自殺者数の公表を始めた2008年1月以降、これまで最多だった09年3月の3103人を178人上回った。
         自殺者数の月別の推移を見ると、09年3月から3か月連続で3000人を超えたものの、それ以降は23か月連続で3000人を下回っていた。
         都道府県別では、東京が325人で最も多く、以下は神奈川(210人)、大阪(206人)と続いた。また、東京、神奈川を含む13都県で、月別での自殺者数としては過去最多となった。
        「医療介護CBニュース」6月8日(水)18時35分配信

        ●避難生活、なお9万人…大震災から3か月
         東日本大震災は11日で、発生から3か月を迎える。
         10日現在の警察庁のまとめでは、死者は1万5405人、行方不明者は8095人となった。死者のうち、13%に当たる約2000人の身元が未判明のまま。9万109人の被災者が避難生活を続け、がれきの撤去も22%にとどまるなど、復興への動きは鈍い。
         国土交通省などによると、被災者向けの仮設住宅は10日現在、岩手、宮城、福島、茨城、千葉、栃木、長野の7県で計2万8280戸が完成した。しかし、立地条件の悪い住宅があることなどから、8日現在の入居戸数は計1万2028戸と4割程度。避難者は1か月前より約2万7000人減ったが、3か月後の避難者が約5万人だった1995年の阪神大震災に比べ多い。
         生活に必要な電気はほとんど復旧したが、厚生労働省によると、岩手、宮城、福島の3県計約5万7900戸で断水が続いている。環境省の推計では3県で発生したがれきは計2392万トンだが、10日現在で仮置き場に撤去したのは22%(計519万トン)。最もがれき量が多い宮城県石巻市では7%しか撤去できていない。
        「読売新聞」 6月11日(土)3時3分配信

        ●京都府、労働相談 最多1622件 10年度 雇用の厳しさ反映
         京都府は、京都中小企業労働相談所(京都市南区)で2010年度に受け付けた労働相談の結果をまとめた。相談件数は前年度に比べて2・2%増の1622件となり、過去最多を更新。特に賃金の相談が増え、景気回復の遅れによる雇用情勢の厳しさを反映した。
         相談件数のうち一般の労働相談は1316件、弁護士による特別相談は59件でともに横ばいだったが、非正規労働者が対象のホットラインは17%増の226件だった。昨年度に新設した産業カウンセラーによるメンタルヘルス相談も21件あった。
         相談内容別にみると、賃金が8・7%増の435件と最多で、解雇・退職勧奨が14%減ながら342件で2番目に多かった。退職や退職金をめぐる相談も28%増の187件だった。
         相談の内容は、「賃金の遅配がある」「売り上げ減少で契約途中の解雇を言い渡された」などのほか、東日本大震災の影響で「派遣先が休業した」との相談も1件あった。
         府労政課は「相談件数の増加は雇用状況が依然厳しいことの表れ。震災の影響は今後本格化するとみられ、非正規労働者の雇い止めが増えないかが懸念材料だ」としている。
        「京都新聞」 6月11日(土)22時39分配信

        ●国歌斉唱起立条例 「集団提訴も視野」 教員・弁護士の団体
         大阪府内公立学校の教職員に対し、式典での国歌斉唱時の起立を義務づける府の条例について、府内の教員や弁護士でつくる「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪は6日、府庁で記者会見し、憲法上、教職員に起立斉唱する義務はないとして、集団提訴も視野に抗議活動を進めると発表した。また、9月に橋下徹知事が提案する予定の教職員らの処分基準を定める条例に反対し、署名活動を行うと「産経関西」2011年6月 7日 07:54

        ●「配当240万円」が6千円に 保険契約者、生保提訴へ
         朝日生命(東京)の養老保険をめぐり、大阪府吹田市の男性(69)が「20年後の満期時に246万円を配当すると言われたのに、実際は7千円弱だった」として、全額支払いを求める訴訟を大阪地裁に近く起こす。同社は書類に「配当は変動する」と書いたと説明。男性は「口頭で説明すべきだった」と主張する。
         2001年に勧誘ルールを厳格化した消費者契約法が施行。規制が緩やかだった90年代以前の保険契約は今後相次いで満期を迎える。消費者問題に詳しい追手門学院大の高森哉子教授(民法)は「同様のトラブルが増える可能性がある」と話す。
         訴状によると、男性は91年、朝日生命の担当者から契約期間20年の養老保険を勧誘され、「満期時は保険金500万円と、会社の決算で生じた剰余金から割り当てられる配当金246万円が受け取れる」との提案書を示されたという。
         男性は契約し、月約1万8千円の保険料をおさめ続けた。満期を4カ月後に控えた今年4月、同社に「配当は6845円」と言われた。同社は「配当率は各年度の決算で変わる」とし、246万円について「契約時の配当率をもとにした予想配当。提案書の注意書きにも変動すると書いた」と説明したという。男性側は、これだけの減額は社会通念上「変動」と言わず、提案書の額を支払う義務があるとしている。
         ◇会社側「配当額の変動可能性は説明してきた」
         朝日生命の広報担当者は朝日新聞の取材に「一般的に配当額の変動可能性は契約前に説明してきた」と話している。
        「asahi.com」2011年6月8日1時1分

        君が代起立斉唱=学校の管理統制が必要な理由は?
        2011/06/05
        大阪府議会で、公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける全国初の「君が代起立斉唱条例」が成立したとか。最高裁でも違憲裁判で合憲の判断が出ましたが、「強制にならないように」と釘を刺していることを忘れてはなりません。この最高裁判断も想定内の動きでしょう。
         さて、教育現場などで、人の気持ちに制約を強制的に加えるのには、何かの理由があるはずです。学校では校則や校長命令、そして今回の行政の条例。自治体では条例、国レベルでは法律となるのでしょう。その組織を束ねる立場の人が、自身の思い通りにその組織がまとまらない時に、よく強権発動として、いろんな「定め」を作ったり、強化したりしてきました。
         大阪府の学校で、管理統制を強めたい理由…。いくつか思い浮かびます。「全国学力テスト」の結果、不登校や校内暴力などの問題事象の数…。2008年9月、橋本知事は「教育非常事態」を宣言し、・学力向上策の徹底・地域や家庭も教育に責任をもつ・ダメ教員を排除する・学校にクレームを付ける保護者に対応するという点を強調しています。「PTAは解体する」とも。教職員組合との対立構図も当然あるでしょう。
         子育て中の府民が求めているのは、よりよい教育が受けられる環境を整備して欲しい、の1点に尽きると言えば言い過ぎでしょうが、教育予算を増やし、ゆとりある教職員の配置、そして、生活保護受給者が日本一多いという家庭の経済的困窮の問題などを脇に置いて、生徒の「成績の向上」がはかられるはずはありません。
         そうした諸問題を君が代問題に収束させてしまった感じがします。かつて、小泉内閣が「郵政民営化」問題だけで国会解散をした時と同じ臭いがします。郵政民営化の結果はさんざんなものでした。迷惑千万!(この間も普通郵便が2週間近く届かなかった、なんてことがありました)
         迷惑なのは子どもたちです。「自分の考えを持つ」ことを課題とする思春期の発達段階において、学校では、理由のよくわからない「強制」が行われていて、管理側と教師との意見対立を折あるごとに見せつけられる、校則なども、おおよそ学校・教委の都合の良いように作られたものを「遵守」することが求められるのですから…。「判断力」が育つはずもなく、「意見表明権」は侵害されるのですから、不満のはけ口としての問題行動が生じるのは自明の理です。
         権力を持つ側の都合で、国民の権利や利益を振り回す。今回の国会の税金と時間の無駄遣いドタバタ劇も、M党O氏やH氏や自民党T氏などの政治的・金権的権力者の私欲に群がる議員たちが右往左往する姿をムダにマスコミを通じて見聞きさせられただけのもの。被災地への復興という直面している政治課題を前進させる議論があったとは思えません。
         何が目的だったのか? 突き詰めて考えることが、一人ひとりに求められているのだと思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        君が代起立斉唱条例:大阪府議会で成立…全国初

         大阪府内の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける全国初の条例が3日、府議会本会議で成立した。橋下徹知事が率いる首長政党「大阪維新の会」府議団が提出。公明、自民、民主、共産は反対したが、過半数を占める維新や、みんなの党などによる賛成多数で可決された。橋下知事は、不起立を繰り返す教職員の懲戒免職を盛り込んだ処分基準を定める条例案を9月府議会に提出する方針を示している。
         ◇教員に義務付け
         条例は「我が国と郷土を愛する意識の高揚」「服務規律の厳格化」などを目的に掲げ、府立と政令市を含む市町村立の小中高校、特別支援学校の教職員を対象としている。
         「学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては起立により斉唱を行うものとする」と明記し、府施設での国旗の常時掲揚も義務付けた。罰則規定はない。
         討論で、維新は「模範となるべき教職員が繰り返し職務命令違反する行為が子供に与える影響は計り知れない」と必要性を強調。これに対し、公明は「条例よりも職務命令など管理監督を徹底すればすむ」、自民、民主も「条例化の必要はない」などと反論した。自民が提出した国旗の常時掲揚だけを義務付ける条例案は否決された。
        「毎日新聞」2011年6月3日 19時46分

        ●「君が代」強制条例に反対 大阪弁護士会が会長声明
         大阪弁護士会は24日、「大阪維新の会」(代表・橋下徹府知事)が大阪府議会へ提出を予定している「君が代」斉唱時の起立強制条例案に反対する中本和洋会長の声明を発表しました。
         声明は、橋下知事が不起立教員に免職など罰則を定める条例案を9月府議会に提出すると表明していることに触れ、「職務命令や条例によって教員に『君が代』斉唱時の起立を義務づけ、義務違反に対して懲戒処分をもって臨むことは、教員の思想及び良心の自由を侵害し、違憲となる疑いが強い」と批判。地方自治体が制定する条例で教員に起立を強要することは、条例制定権を「法律の範囲内」に限定する憲法94条、また教育に対する「不当な支配」の排除を定めた教育基本法16条1項に抵触する恐れがあるとし、「かかる条例を制定することは、教育に対する過度な統制になりかねない」と述べています。
         さらに教員が起立を強制されると、出席している子どもは事実上起立を強制され心理的な圧迫を受けることになり、「多様な思想や考えを学習する環境を保障すべき学校教育の理念に抵触するおそれがある」と断じています。
        「しんぶん赤旗」2011年5月26日(木)

        ●「国際常識を身につけるため、国旗、国歌に敬意を」 国歌斉唱時の起立命令は合憲 最高裁が初判断
         卒業式の国歌斉唱で起立しなかったことを理由に、退職後に嘱託教員として雇用しなかったのは違法として、東京都立高の元教諭が都に損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は30日、起立を命じた校長の職務命令を合憲と判断し、元教諭側の上告を棄却した。都に賠償を命じた1審判決を取り消し、元教諭側の逆転敗訴となった2審判決が確定した。
         最高裁は平成19年2月、国歌伴奏を命じた職務命令を合憲と初判断したが、国歌斉唱の起立命令に対する合憲判断は初めて。
         1、2審判決などによると、元教諭は16年3月の都立高の卒業式で起立せず、東京都教育委員会から戒告処分を受けた。19年3月の退職前に再雇用を求めたが、不合格とされた。
         同小法廷は判決理由で、卒業式などでの国歌斉唱の起立は「慣例上の儀礼的な所作」と定義。起立を命じた職務命令について「個人の歴史観や世界観を否定しない。特定の思想の強制や禁止、告白の強要ともいえず、思想、良心を直ちに制約するものとは認められない」と指摘した。
        「産経ニュース」2011.5.30 17:42 (1/2ページ)

        ●「退陣」ほのめかし、前夜作戦=不信任否決の舞台裏-民主執行部
         内閣不信任決議案否決に大きく響いた菅直人首相の「退陣発言」。その作戦は、採決を翌日に控えた1日夜、民主党の岡田克也幹事長や枝野幸男、仙谷由人正副官房長官ら政府・民主党の幹部10人で練られたものだった。採決前の舞台裏を追った。
         民主党の小沢一郎元代表と小沢氏に近い議員計71人は1日夜、都内のホテルに結集し、「不信任案可決」へ気勢を上げた。会合を終えた小沢氏は記者団に、不信任案賛成を表明。同時に「政党、党派のレベルでうんぬんする問題ではない」と自発的離党を否定した。
         ◇「小沢切り」想定
         衆院の民主党会派はその時点で305人。53人欠けても委員長ポストを独占し、委員数でも野党を下回らない安定多数252人を維持できる。
         「造反が40~50人なら厳しく処分すべきだ」。岡田氏らの会合では強硬論が相次ぎ、結局、賛成者を即日除籍(除名)する「小沢切り」の方針を決定。その一方、造反者が、衆院の過半数を失わない66人までにとどまるよう、ぎりぎりまで努力することを確認した。
         岡田氏らは、そのための作戦を協議。被災地の状況から衆院解散は困難との思いは共有していたが、「けん制のために解散風を吹かせる」として、採決が予定されていた2日の衆院本会議後に臨時閣議をセットすることが決まった。「解散を決める閣議ではないか」と連想させるためのものだった。
         さらに、「造反予備軍」の軟化を誘う手段として、採決前に菅直人首相が「退陣」をほのめかす案が出され、2日昼の党代議士会で首相が発言する内容の調整に入った。内容は最後に首相が筆を入れた上で、同日朝に芝博一首相補佐官から岡田氏らにメール送信された。
         ◇北沢、平野氏が調整
         岡田氏ら10人の会合が開かれていたホテルには、別に、首相が信頼する北沢俊美防衛相と、鳩山由紀夫前首相に近い平野博文元官房長官の姿もあった。鳩山氏が不信任案賛成を表明したことで党分裂への危機感を強めていた平野氏が、北沢氏と打開策を話し合った。北沢、平野両氏は翌2日朝も衆院議員会館で協議して首相と鳩山氏の間で交わす3項目の「確認事項」の文案を固め、北沢氏は茶封筒に入れて首相官邸に向かった。
         同日午前11時すぎ。鳩山氏が平野氏を伴って官邸に現れ、首相は立会人として岡田氏を呼んだ。文書には「退陣」の文言も日付もなかったが、できるだけ意義を強めようと、鳩山氏が「署名をいただけますか」と迫った。これに対し、首相は「2人の信頼関係の中ですから(署名なしでも)全く問題ありません」とかわした。結局、鳩山氏が「信じます」と折れた。
         こうして迎えた2日正午の党代議士会。野党多数の参院の円滑運営のために、首相が身を引くことを期待していた輿石東参院議員会長は、首相と鳩山氏のやりとりをテレビ画面で見詰めていた。首相が最後まで退陣時期を明確にしなかったことを確認すると、電話を取り上げ、怒鳴った。「何てことをしてくれたんだ」。相手は平野氏だった。
        「時事ドットコム」2011/06/03-23:23

        ●児童生徒の自殺、疑い例も含め報告要求…文科省
         文部科学省は1日、児童生徒の自殺について正確に把握するため、新たな調査に乗り出すと発表した。
         これまでの同省調査では警察庁調査と比べて人数がかなり少ないなど、全容が把握できていないとの指摘が出ていたためで、今後は疑い例も含め報告を求める。また、万一起きてしまった場合、学校側は、遺族の意向も踏まえ、全教員に加えて、周辺の児童生徒からも慎重を期した上で聞き取りを行うよう明記した。
         同省はこれまで、「学校が自殺と判断した」との条件で人数を把握していたが、警察庁調査では2009年の小中高生の自殺が306人だったのに対し、同年度の同省調査では165人にとどまっていた。このため調査対象に「自殺の可能性が否定できない」ケースも含めるよう変更。年齢、性別、遺書の有無、いじめや病気などの背景について学校側が記入した調査票そのものを同省が回収する。
        「読売新聞」 6月1日(水)21時35分配信

        ●損賠訴訟:自殺生徒の両親が県提訴 八戸の県立高「いじめが原因」--初公判/青森
         八戸市の県立工業高1年の男子生徒(当時16歳)がラグビー部内のいじめなどが原因で自殺したとして、両親が県を相手取り、約700万円の損害賠償を求めて青森地裁(浦野真美子裁判長)に提訴し、27日に初公判があった。県側は答弁書で棄却を求めた。
         訴状によると、男子生徒は07年4月に入学してラグビー部に入ったが、ミーティングに参加させてもらえなかったり、ボールをぶつけられるなどした。5月に退部届を出したが顧問教諭が繰り返し慰留。教諭から「やめるなら退学しろ」などと言われ、睡眠障害やうつ症状が出て命を絶った。
         父は初公判後に記者会見し、「息子の名誉のため闘ってきた。学校を許せない」と語った。代理人の土井浩之弁護士は「情報公開請求したが、職員会議の議事録が残っていない。真相解明に限界を感じて提訴した」と説明した。
        「毎日新聞 」5月28日(土)12時52分配信

        ●千度以上示す核物質、3月12日に検出していた 福島原発
         東電福島第一原発から約6キロ離れた福島県浪江町で3月12日朝、核燃料が1000度以上の高温になったことを示す放射性物質が検出されていたことが分かった。
         経済産業省原子力安全・保安院が3日、発表した。検出された物質は「テルル132」で、大気中のちりに含まれていた。原発から約38キロ離れた同県川俣町では3月15日、雑草から1キロ・グラム当たり123万ベクレルと高濃度の放射性ヨウ素131も検出されていた。
         事故発生から2か月以上たっての公表で、保安院の西山英彦審議官は「隠す意図はなかったが、国民に示すという発想がなかった。反省したい」と釈明した。
         テルルの検出は、1号機から放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」の実施前だった。
        「読売新聞」2011年6月3日23時09分

        ●被災者の生活保護打ち切り相次ぐ 避難所生活や義援金理由 
         東日本大震災で被害が大きかった宮城、福島両県で、生活保護受給中の被災者に対し、避難所生活で住居費がかからないことや、義援金を受け取ったことを理由にした保護の廃止や停止が相次ぎ、少なくとも7例あることが両県の弁護士会や生活支援団体への取材で4日、分かった。
         東日本大震災を受け、厚生労働省は生活保護に関しては阪神大震災時の措置にならい、義援金などの一時金は収入とみなさないことや、被災者の個別の事情に配慮するよう各市町村に通知。厚労省保護課は「個々の事例を早急に調査したい。打ち切る場合も被災者への丁寧な説明が必要だ」としている。
         弁護士会などが確認したのは宮城県で4件、福島県3件の計7件。生活支援団体「生活と健康を守る会連合会」(東京)によると、最近被災各地で保護打ち切りの相談が増えているといい、同連合会は「実際の廃止・停止件数はもっと多いはず」としている。
         福島県南相馬市の男性は、義援金や東京電力からの賠償金の仮払いが収入とみなされ、5月25日に生活保護を廃止された。宮城県では仙台市、塩釜市、名取市で事例が報告されている。このうち、名取市の避難所で生活する男性(69)は避難所生活で住居費がかからないことを理由に5月1日付で保護を停止された。
         いずれも被災者に通知があったが、自治体による詳しい説明はなかったという。南相馬市では「手続きを踏んで対応している」。名取市も「法的に問題がないと考えている」としている。
         福島県弁護士会は「震災による税収落ち込みで被災自治体が生活保護打ち切りに動いているのかもしれない。大震災の被災者への保護は全額国庫負担にしても維持すべきだ」と指摘している。
        「スポニチ」 2011年6月4日 16:25
        ●仮設住宅 当選の7割入居せず
         津波で大きな被害を受けた宮城県南三陸町で、町内の仮設住宅に当選した世帯のおよそ70%が、実際には入居していないことが町の調査で分かりました。入居すると食料や物資の支給が打ち切られるため、避難所などで生活しているとみられ、町は説明会を開いて、1週間以内に入居しなければ部屋を明け渡してほしいと求めることにしています。
         南三陸町ではおよそ2000世帯が仮設住宅への入居を申し込んでいますが、用地の確保が難しく、着工できたのは50%余りにとどまっています。このため、入居は抽せんで決められていて、これまでに町内に完成した仮設住宅では、およそ300世帯が当選して鍵が渡されました。ところが、3週間以上が過ぎた今も、およそ70%にあたる200世帯ほどが、実際には入居していないことが町の調査で分かりました。中には、荷物を運び入れただけで生活していない住民や、鍵を受け取っただけで住宅に行ってさえいない住民もいるということです。町は、仮設住宅に移ると食料や物資の支給が打ち切られることや、光熱費などを負担しなければならないため、避難所などで生活を続けている住民が多いとみています。こうした事態に、入居できなかった住民から「自分たちに譲ってほしい」という不満の声が上がっていることから、町は5日にも当選者を集めた説明会を開き、1週間以内に入居しなければ部屋を明け渡してほしいと求めることにしています。南三陸町の遠藤健治副町長は「仮設住宅に入居するということは自立するということ。食材等の確保も自分でやらないといけないので、不安になるのだと思う。義援金の配分などで不安を解消していきたい」と話しています。
        「NHKニュース」6月4日 19時36分

        ●受信料支払い命じる判決確定
         NHKが、受信料の支払いに応じない人たちに対して起こした裁判で、受信料の支払いを命じた判決が、最高裁判所で初めて確定しました。NHKが受信料の支払いを求めた裁判で、最高裁で判決が確定したのは初めてです。
         NHKは、受信契約を結んだのに受信料を払っていないとして、札幌市の男性と東京都の男性2人に支払いを求める裁判を起こしました。このうち、札幌市の男性の裁判では1審が「男性の妻が無断で受信契約を結んだ」として、NHKの訴えを退けましたが、2審は「テレビを見ることは夫婦が共同生活を送るうえで必要なものといえ、妻が契約した場合でも、夫は責任を負う」として受信料の支払いを命じました。また、東京の裁判では、受信料支払いの義務づけが憲法違反かどうかが争われ、1審と2審は「放送の中立性を確保するため、支払いの義務づけは合理的だ」と指摘して、支払いを命じていました。この2件の裁判について最高裁判所第3小法廷の田原睦夫裁判長は、1日までに男性側の上告を退ける決定をし、受信料の支払いを命じた判決が確定しました。NHKが受信料の支払いを求めた裁判で、最高裁で判決が確定したのは初めてです。
        「NHKニュース」6月1日 19時27分

        ●抗うつ剤が脅かす五大湖の生態系
         下水道に流れ込んだ抗うつ剤が、生態系に重大な影響を及ぼす可能性が明らかになった。
         アメリカ、ペンシルバニア州北西部のエリー市で、抗うつ剤「プロザック」に含まれる有効成分フルオキセチンが微量検出された。これが五大湖の微生物を大幅に減少させているという。
         プロザックなど抗うつ剤は、微量ながら世界中の飲料水や親水施設で検出されている。専門家によれば、人体に影響を及ぼすほどの量ではないという。しかし、軟体動物の生殖系はダメージを避けられず、魚などの脳に作用する可能性もある。
         一方、細菌に与える影響も専門家は案じている。「細菌なんて一切いなくて構わないと考えるかもしれない。しかし、生態系の一部としての役割を担う場合もある。すべて死滅させて良いわけがない」と、エリー市マーシーハースト・カレッジの微生物学者スティーブ・マウロ氏は語る。同氏の研究チームは、五大湖の一つエリー湖で、岸近くの水から低濃度のフルオキセチンを検出した。
         湖のきれいな水に同濃度のフルオキセチンを加えてみると、大腸菌と腸球菌が死滅した。この2種はいずれも人間に重度の感染症を引き起こす可能性がある。
         エリー湖で検出されたフルオキセチンは、水1リットルあたり1ナノグラムと非常に低い濃度だった。「人間に有害なレベルではないと見られる。無脊椎動物にも影響はないだろう」とマウロ氏は話す。ただし、他の化学物質と混合すると、湖の生態系により大きな効果を及ぼすのではないかと推測している。
         抗うつ剤の侵入経路も解明が待たれている。人体に取り込まれたフルオキセチンは、尿を通じて下水道に入ると考えられている。また、未使用の抗うつ剤がキッチンシンクなどにそのまま捨てられると、事態はさらに厄介になる。通常、下水処理施設ではろ過されないからだ。
         ところが、エリー湖のプレスク・アイル州立公園付近で検出されたフルオキセチンは、「どこから入ってきたのかがわからない。湖岸に汚水が直接流れ込んでくる場所がないのだ」とマウロ氏は述べる。「湖中に拡散している可能性もある」。
         研究成果は5月23日、第111回米国微生物学会総会で発表された。
        Rachel Kaufman
        for National Geographic News May 26, 2011
         
        ●ADHD患者の脳の働き解明 神戸の理研など 水野敬研究員
         発達障害の一つ「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の子どもは、健康な子どもが同じゲームをして働く脳の中央付近の部位「視床(ししょう)」と「線条体(せんじょうたい)」がほとんど働かないことを、理化学研究所分子イメージング科学研究センター(神戸市中央区)などの研究グループが突き止めた。これらの部位を観察することで客観的な診断などにつながる可能性があるといい、26日、神戸市で開かれる日本分子イメージング学会総会・学術集会で発表する。
         ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった症状が特徴で、同グループによると、国内では小学生と中学生の5~15%を占めるという。「ドーパミン」など神経伝達物質の不足が一因とされ、情報伝達を促す薬が治療に使われているが、脳のどの部位が関わっているのかについて明確には分かっていなかった。
         同センターの水野敬研究員と熊本大の友田明美准教授らは、同大学医学部付属病院(熊本市)を受診した10~17歳のADHD患者14人と、同年齢の健康な子ども14人を対象に、脳の血流を画像化する「機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)」を使って調査。
         3枚のカードから1枚をめくり、金額が書かれていれば、その額がもらえる‐という設定でゲームを全員にしてもらったところ、ADHD患者の場合、脳内で行動の制御や報酬を喜ぶ感情に関わる視床と線条体が、ほとんど働かなかった。しかし、薬を飲み続けると、3カ月後には健康な子どもと同様の働きに変化した。
         水野研究員は「この調査方法を簡素化できれば、客観的な診断に加え、治療効果を検証することも可能になるのではないか。今回使った治療薬とは別の薬についても、脳のどの部位に働くかなどを調べたい」と話す。
        「神戸新聞」2011/05/26
        学校現場で、子どもが「死ぬ」決意をする社会をどうする?
        2011/05/22
         大阪府の橋下知事は、「国旗、国歌を否定するなら公務員をやめればいい。もう(個人を)特定している。やらないなら府民への挑戦と捉えてやめてもらう。公務員だからといって守られるわけがない」「起立しない教員は意地でも 辞めさせる。ルールを考える」と、政令市も含め違反すれば処分する考えを示し、ツイッターに「これが民主主義だ」とつぶやき、19日開会の大阪府議会に地域政党「大阪維新の会」から、府内の公立学校の教員に対し、式典での国歌斉唱時の起立を義務づける条例案を提出…。大阪府民の皆さん、よーく考えましょうね。国旗及び国歌に関する法律(平成十一年八月十三日法律第百二十七号)では、「第1条 国旗は、日章旗とする。第2条 国歌は、君が代とする」と言うものでしかなく(原案への賛成は自由民主党、自由党、公明党の与党3党及び民主党の一部による。民主党は原案の採決において党議拘束を外している)、日本弁護士連合会は2003年10月の都教委の通達に基づく処分取り消しと、”教職員に一定の思想を強制するもので憲法違反”としてその都教委の通達廃止を求める「警告」を教育委員会に対し行なっっています。学校で教師の起立をめぐる問題は、式典の国旗掲揚、国歌斉唱を指導すると定めた学習指導要領に基づいているもので、多くの裁判が続いています。橋本氏は、日弁連との喧嘩も継続中でしたっけ?
         横道に大幅にそれていますが、今回の本題は、「時事通信」経由で「読売新聞」「毎日新聞」など全国各紙が5月20日(金)に配信した、4年前の中学時代に受けたいじめを原因として高校2年で自殺した生徒に対して当時の中学校に賠償命令が出されたことについてです。学校側はすぐに控訴し、高裁に上がりますが、イジメやクラスの異常な状態に学校側が不作為であったことを認めた画期的な判決です。中学を転校後も不登校状態になり、「解離性同一性障害」の診断を受けていました。診断名はともかく、人間発達の上で極めて大切な思春期をイジメの中で過ごし、その苦しさを誰にもわかってもらえず、誰も支えてくれなかったとすれば、正常な育ちは阻害され、精神症状を生じても当然ですし、その子の人生を大きく歪ませてしまいます。さらに、その苦しさから逃れる方略として「自死」を選択せざるを得ないというのは、その子の問題では決してなく、イジメなどの心的外傷のきっかけとなった事態・環境に原因があることは明らかで、「学校の安全義務・責任」への不作為がまねいた最悪の結果で、ご本人はもちろん、ご家族が受けた心的被害は甚大です。「式典での国歌斉唱時の起立」を強要して生じるのは、管理教育の強化と教職員の意欲の萎縮、視線が子どもから管理職や教育委員会に移るという、「学校の安全義務・責任」からの乖離をすすめるものでしかないという考えは間違っているでしょうか?「人権教育」を口では叫びつつ、子ども一人ひとりの人権の尊重がないがしろにされる仕組みを、何を目指しているのかわからないままに、独断的に作ろうとする「弁護士」資格をもつ人とは到底思えない、自己都合最優先の人格をお持ちの方としか思えないのですが…。
         茂木健一郎氏が今朝Twitterで、「成田に到着して、一連の風景を見ていて、ああ、この国は老いているんだなと思った。全体から受ける印象のこと。人口ピラミッドだけの問題ではない。精神構造、社会の成り立ちが老いている。」とつぶやかれています。
        <参考>
        「いじめと学校側の責任」http://www.yonago-kids.com/trouble1-ijime3-school.htm
        「いじめと学校側の法的責任」http://law.leh.kagoshima-u.ac.jp/staff/uneme/ijime3.htm
        「国旗及び国歌に関する法律」http://ja.wikipedia.org/wiki/国旗及び国歌に関する法律
         それでは、今週の気になる記事です。

        自殺は4年前のいじめ原因…学校側に賠償命令

         愛知県の高校2年だった高橋美桜子(みおこ)さん(当時16歳)が2006年に自殺したのは、4年前の中学時代に受けたいじめが原因だとして、母親が名古屋経済大学市邨(いちむら)中学校(名古屋市千種区)を運営する学校法人「市邨学園」などを相手取り、計約4640万円の賠償を求めた訴訟の判決が20日、名古屋地裁であった。
         長谷川恭弘裁判長は「学校側がいじめに対して何らの対応も取らず、放置したことで自殺に至ったのは明らかだ」と述べ、市邨学園や理事長、当時の校長や担任に計約1490万円の支払いを命じた。
         原告側代理人によると、いじめから一定期間が経過した後に自殺したケースでは、いじめと自殺との因果関係を立証するのが難しいため、学校側の賠償責任を認めた判決は珍しいという。
         判決によると、美桜子さんは市邨中に在学中の02年夏以降、同級生から靴に画びょうを入れられるなどのいじめを受けた。03年に別の中学校に転校した後も体調不良を訴えて不登校状態となり、解離性同一性障害(多重人格)を発症。高校進学後の06年8月、自宅マンション8階から飛び降り、自殺した。
         学校側は裁判で、「同級生によるいたずらはあったが、いじめではない」などと主張したが、判決は、同級生の行為が耐え難い苦痛を与えたとして「いじめ」を認定。そのうえで、学校側が適切な措置を講じる義務を怠ったと判断した。
         市邨学園の話「詳細な判決文が届いていないのでコメントを差し控えたい」
        「読売新聞」5月20日(金)20時34分配信

        ●愛知いじめ自殺訴訟、学校側が控訴
         愛知県の高校2年だった高橋美桜子(みおこ)さん(当時16歳)が2006年に自殺したのは、中学時代に受けたいじめが原因だとして、母親が名古屋経済大学市邨(いちむら)中学校(名古屋市千種区)を運営する学校法人「市邨学園」などに損害賠償を求めた訴訟で、学園側は20日、1490万円を支払うよう命じた1審・名古屋地裁判決を不服として名古屋高裁に控訴した。
        「読売新聞」5月21日(土)11時46分配信

        ●いじめ相談:県教委、前年比1.5倍 女児自殺が影響か--10年度 /群馬
         県教委は20日、県総合教育センターが運営する「いじめ対策室」に10年度、いじめに関する相談が本人や保護者から239件寄せられ、前年度(153件)の約1・5倍に上ったと発表した。桐生市立新里東小6年の上村明子さん(当時12歳)が昨年10月、いじめを訴えて自殺しており、県教委は「この問題のインパクトは大きく、相談の増加に影響を与えた可能性がある」と分析している。
         県教委によると、相談内容の内訳は「言葉によるいじめ」が81件(前年度比2件減)で最も多く、仲間はずれ・無視49件(同27件増)▽軽い暴力35件(同12件増)▽強い暴力16件(同2件増)--など。学年別では中学1年生の相談が最も多く34件。小1が26件、小5と中2は23件だった。相談したのは母親119件、本人63件、父親27件などとなっている。
         県教委は「いじめ問題の根絶に向けて予防的な啓発活動を行っていきたい」としている。
        「毎日新聞」5月21日(土)12時6分配信

        ●子育て・教育、金かかり過ぎ…ためらう日本
         内閣府は19日、「少子化社会に関する国際意識調査」の結果を発表した。
         それによると、日本では子育て費用や働く環境などへの不安から、すでに子どもを持つ人が2人目以降の子どもを持つことをためらう傾向が強いことがわかった。
         調査は昨年10~12月、日本、米国、韓国、フランス、スウェーデンの5か国で、20~49歳までの男女計1000人ずつを対象に実施された。
         今よりも子どもを増やさないと答えた人の割合は、日本は47・5%で、スウェーデン(7・4%)、米国(13・5%)などを大きく上回った。
         理由は男女とも「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が最多で、男性の44・6%、女性の39・5%に達し、「自分や配偶者が高齢」「働きながら子育てできる職場環境がない」などが続いた。
        「読売新聞」2011年5月20日06時57分

        ●震災翌朝、全燃料落下=1号機メルトダウン、東電解析-ベント「遅いか言えず」
         福島第1原発事故で、東京電力は15日、1号機原子炉で3月11日の東日本大震災発生直後に起きたメルトダウン(全炉心溶融)の暫定解析結果を発表した。同日午後3時半ごろに津波で冷却機能を全部喪失したとみた場合、同7時半ごろ「空だき」状態となって燃料の損傷が始まり、急速に溶融し圧力容器底部に落下。翌12日午前6時50分ごろには、ほぼ全燃料が落下したとみられる。
         消防ポンプで真水を注入し始めた12日午前5時50分ごろには、圧力容器下部が損傷。格納容器への水漏れが起きたが、小規模にとどまった。真水の注入は午後2時50分ごろ止まり、直前の同2時半ごろに格納容器の圧力逃がし弁を開く「ベント」ができたが、同3時36分に水素爆発に至った。
         松本純一原子力・立地本部長代理は記者会見で、当時の水位や温度などのデータ収集と作業員への聞き取り調査が進み、解析できたと説明。ベントや海水注入のタイミングが遅かったか現時点で言うことは難しく、今後検証されると述べた。
         炉心最高温度は「空だき」で急上昇し、11日午後9時ごろ、燃料ペレットが溶融する約2800度に達した。
         約9時間の真水注入後、東電は12日午後8時に廃炉につながる海水注入に踏み切った。注水がもっと遅かった場合、圧力容器の底が壊れ、高温の溶融燃料が格納容器まで落ちた可能性があるという。その場合、水蒸気爆発などで大量の放射性物質が外部に放出される深刻な事態もあり得た。 ●冷却装置、津波前に一時停止…東電詳細データ
         東京電力福島第一原子力発電所1号機で、東日本大震災による津波襲来の前に非常用冷却装置が一時停止していたことが16日、東電が公表した大震災直後のデータでわかった。
         東電は、この冷却装置が津波後に停止したとの前提で、地震発生から16時間後に炉心溶融(メルトダウン)に至ったとする分析結果を15日発表していた。冷却装置が正常に作動すれば、メルトダウンを遅らせることができた可能性もある。
         公表データは、事故原因解明のため、経済産業省原子力安全・保安院が東電に求めたもの。大震災が発生した3月11日午後2時46分から14日頃までの原子炉内の水位、放射線量などの膨大なデータのほか、運転員の当直日誌、操作実績をまとめた。
         データによると、運転中の1号機は地震発生後、原子炉に制御棒が挿入されて緊急停止。1号機では、地震直後の11日午後2時52分、直流電源で動く緊急時冷却装置の「非常用復水器」が自動起動し、原子炉の冷却・減圧が始まった。
         しかし、約10分後の午後3時頃には、復水器は一時停止。作業記録によると、その後、弁の開け閉めが行われ、稼働、停止を繰り返した。原因は不明だが、東電によると、地震直後に原子炉内の圧力が乱高下し、この現象を抑えるため、作業員が手動で停止した可能性もある。
        「読売新聞」5月16日(月)21時58分配信

        ●求人と違い「福島原発で作業」 大阪・西成の労働者
         日雇い労働者が多く集まる大阪市西成区のあいりん地区で、東日本大震災後、宮城県で運転手として働く条件の求人に応募した男性労働者から「福島第1原発で働かされた。話が違う」と財団法人「西成労働福祉センター」に相談が寄せられていたことが8日、関係者への取材で分かった。
         センターは求人を出した業者側の調査に乗り出し、大阪労働局も事実関係の確認を始めた。支援団体は「立場の弱い日雇い労働者をだまして危険な場所に送り込む行為で、許されない」と反発している。
         関係者によると、センターが3月17日ごろ、業者からの依頼をもとに「宮城県女川町、10トンダンプ運転手、日当1万2千円、30日間」との求人情報を掲示。応募して採用された男性は東北に向かった。
         ところが雇用期間中の3月25日ごろ、男性からセンターに「福島第1原発付近で、防護服を身に着けがれきの撤去作業をしている。求人は宮城だったのにどうなっているんだ」と電話があった。
         これを受け、センターが雇用終了後に男性や業者側に聞き取りをしたところ、男性が一定期間、防護服を着て同原発の敷地内での作業に従事していたことが判明した。
         東京電力によると、原発敷地内では同社の社員以外に協力会社の労働者ががれき撤去や電線敷設などの作業をするケースがあるというが、センターは「男性の詳細な作業内容はつかめておらず、さらに聞き取りを進める」としている。
         労働者らを支援するNPO法人釜ケ崎支援機構は「初めから原発と言ったら来ないので、うそをついて連れて行ったともとられかねない。満足な保障もない労働者を使い捨てるようなまねはしないでほしい」と話した。
         あいりん地区は日雇い労働者が仕事を求めて集まる「寄せ場」としては国内最大とされる。同センターは大阪府が官民一体で労働者の職業の確保などを行う団体。
        「東京新聞」2011年5月8日 23時27分

        ●国歌斉唱「不起立の教員やめさせる」 維新の条例案、橋下知事 政令市も検討対象
         大阪府の橋下徹知事が代表を務める「大阪維新の会」府議団は16日、5月議会に提案を予定している府立学校での国歌斉唱時に教職員に起立を義務づける条例案について、対象を「府下の公立学校」に拡大する方針を決めた。罰則規定はないが、府教委は政令指定都市の大阪、堺両市を除く市町村の小中高校教員に対しては任命権、懲戒処分権を持つ。
         一方、橋下知事は報道陣の取材に対し「政令市も含めて(条例の)対象にすべき。府議が議論して決めたルールに府内の教員は従うべきだ」と強調。「起立しない教員は意地でも辞めさせる。ルールを考える」と、政令市も含め違反すれば処分する考えを示した。
         府教委は平成14年以降、府立学校に対し「教育公務員としての責務を自覚し、国歌斉唱にあたっては起立する」と文書で指示しており、今年3月には卒業式での国歌斉唱時に起立しなかった守口市の中学校教諭を戒告処分にした。ただ、政令市の教員については地方教育行政法で政令市に任命・処分権があるため、府教委は「条例の適用対象となり得るかどうか、これから検討する」としている。
         また、橋下知事は今春府立高校での入学式で国歌斉唱時に起立しなかった教員が38人いたとし、「国旗、国歌を否定するなら公務員をやめればいい。もう(個人を)特定している。やらないなら府民への挑戦と捉えてやめてもらう。公務員だからといって守られるわけがない」と述べた。
        「産経ニュース」2011.5.17 00:06

        ●ツイッターに「これが民主主義だ」 橋下知事、国歌起立条例で攻勢へ
         19日開会の大阪府議会。橋下徹知事が率いる地域政党「大阪維新の会」は、府内の公立学校の教員に対し、式典での国歌斉唱時の起立を義務づける条例案を提出する方針だ。過半数を占める維新が提案すれば、可決は確実。
         教職員組合などは「公教育への介入、教職員への思想統制」と反発を強めるが、橋下知事は「公務員が国歌斉唱時に起立するのは当たり前」と、議員提案で一気に可決に持ち込む構えだ。
         ◇政令市含めた戦略
         「これは君が代問題ではない。教員は職務命令を無視できるのか?の問題」。19日午前3時すぎ、橋下知事は自身の簡易ブログ「Twitter(ツイッター)」にこう書き込んだ。この日午前、橋下知事と意見交換した府教委幹部は、府教委から全教職員に、起立を求める職務命令を出す方針を示した。
         国歌斉唱時の起立義務化の対象は、大阪市などの政令市を含む府内全ての公立小中高校など、計1701校の教員計約5万5500人となる見込み。条例では府施設での国旗の常時掲揚も義務付ける。
         橋下知事は、この条例とは別に、職務命令に繰り返し違反した場合、懲戒免職も含めた処分基準を定めた条例を9月府議会に提案する方針で、違反者の実名や所属校の公表も検討する。
        「産経ニュース」2011.5.19 12:58 (1/2ページ)

        ●「天国も死後の世界もない」、英物理学者ホーキング氏が断言
         「車椅子の物理学者」として知られる英国の物理学者スティーブン・ホーキング博士(69)は、天国とは闇を恐れる人のおとぎ話にすぎないとし、死後の世界があるとの考えを否定した。16日付の英紙ガーディアンに掲載されたインタビューで述べた。
         ホーキング博士は「(人間の)脳について、部品が壊れた際に機能を止めるコンピューターと見なしている」とし、「壊れたコンピューターにとって天国も死後の世界もない。それらは闇を恐れる人のおとぎ話だ」と述べた。
         博士は21歳の時に筋萎縮性側索硬化症(ALS)という進行性の神経疾患と診断され、余命数年とされた。「自分は過去49年間にわたって若くして死ぬという可能性と共生してきた。死を恐れてはいないが、死に急いでもいない。まだまだやりたいことがある」と語った。
         また、人々はどのように生きるべきかとの問いに対し「自らの行動の価値を最大化するため努力すべき」と答えた。
         1988年の著書「ホーキング、宇宙を語る」で世界中に広く知らるようになった博士は、2010年の著書「The Grand Design(原題)」では宇宙の創造に神の力は必要ないとの主張を展開し、宗教界から批判を浴びている。
        「ロンドン 16日 ロイター」2011年 05月 17日 11:18

        ●Mac狙ったウイルスソフト、専門家「大量検知は初めて」
         インターネットセキュリティーの専門家によると、米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)「Mac(マック)」を狙った偽のアンチウイルスプログラムが見つかった。これまでウインドウズに比べて安全と思われてきたMacだが、普及に伴ってハッカーの攻撃対象になりつつあるという。
         セキュリティーソフト大手のマカフィーはこの1週間、対策ソフトを装ったウイルスがインターネット上で「絶え間なく」検知されていると明らかにした。
         偽のアンチウイルスプログラムは、人気の検索ワードで表示される検索結果のリンクをクリックした際にダウンロードされる仕組み。また、電子メールやツイッター、フェイスブック内に貼られた悪意のあるサイトへのリンクから広がる可能性もあるという。
         こうしたプログラムは、パソコンがウイルスに感染したというメッセージを表示させて、偽のアンチウイルスソフトの購入を勧め、80─100ドルを支払えば一般的にメッセージは消えるという。
         ネットセキュリティーのソフォスは、こうしたMac向けウイルスについて、「これだけ大量に検知されるのは初めて」と指摘している。
        「ニューヨーク 17日 ロイター」2011年 05月 18日 15:10
        高齢者、要介護者と発達障害。
        2011/05/08
        本題に入る前に、気になるサイト情報を1つ紹介します。
        「被災した引きこもりや支援者たちは今――震災を機に精神疾患の症状が治まった当事者たちの活躍」
        http://diamond.jp/articles/-/11882
         今回の震災直後に私がまず考えたのが、「ひきこもり状態の人はどうなった?」でした。社会からの「孤立」を選択したり、人との関わりを「怖い」と考える人たちが、大地震の揺れをどう体験し、津波情報などをどう入手し、判断、行動できたか、でした。一つの情報として知ることができました。
         さて、本題です。
         訪問介護やガイドヘルプを行っている事業所の方より、「介護が必要な人やそのご家族の中で、支援がうまく入らない、説明しても意図が伝わらずに関係性がこじれるケースが少なくなく、広汎性発達障害の特性を疑わざるを得ないと考えている。実感としては感じるが、どう関われば良いのか、ヘルプに入る人やケアマネさんに発達障害の特性のある人への介護の視点にプラスして関わってもらうためにはどうすればいいのか?」という相談があり、個別に対応していたのではお互いに身が持たないので、学習会として関わる人たちに学び考えてもらう機会を持とう、ということになりました。7月下旬に京都府の長岡京市内で開催予定です。私の講演の仮題は「要介護高齢者に潜在した発達の偏りに気づく ーこだわりや独特な考え方や言動、援助のし難さには「理由」がある」です。
         「介護保険」のサービス提供の視点からは、加齢にともなう身体や認知の機能的な衰えや障害という表面的な問題・課題への支援や環境調整、機能回復といったことが中心に据えられます。しかし、認知症による記憶の障害や認知の変化だけでは説明がつかない事態が現場では生じていて、また高齢者介護支援者で障害者自立支援法やそれにもとづく福祉サービスを理解している人は少ないのも現実問題です。
         支援が入りにくい、言葉での説明や環境調整のための家具の配置や補助具の導入に反発して受け入れてもらえない、こだわりが強い、対人関係で頻繁に問題を起こすなどなど、様々な課題に対応しきれず、どう考えていけばいいのか壁にぶつかっている状態。
         身体的な機能の低下は介護保険サービスを優先させつつ、必要な場合に身体障害に対する障害福祉サービスをうまく提供していくことが大切なのは言うまでもありません。
         一方、認知機能の低下や変化については、加齢によるものか、以前からそうした認知パターンがあったかで、対応の考え方・支援のあり方は変わってきます。対人相互作用(関係性)、社会性、こだわりや独特の考え方や「俺ルール」、正直でウソが言えず、頼まれると「嫌」と言えない、被害妄想的に考えるなどの考え方のクセなどが若い時からあったとすれば、自閉症スペクトラムの特性をお持ちの上に、加齢による認知機能の変化や障害が加わったと捉える必要があるでしょう。
         発達障害が基盤にあってのものか、加齢によるものかの見分けは、生育歴の聴き取り把握と家族性(ご家族・直系親族などに似た傾向の人がいること)の有無の2つがまずは基本かと思います。早期発見・療育の必要性から、乳幼児から学齢期(特別支援教育も含めて)の診断や支援は進んでいますが、成人期が今取り上げれるようになったところで、高齢者となると「別問題」と考えてしまうのが実情でしょう。でも、発達障害は最近急に生じたものではなく、アインシュタインをはじめ偉業をなした歴史的に著名な人たちが多数いることからも、ずっと昔から、人類が人間社会を構築していった過程ではすでに脳の機能的な違いのある人として存在しつづけていると思われますので、「高齢者の中にも○%程度はいて当たり前」としてその人のよりよき残りの人生のサポートができるよう、支援者は学び知恵をしぼって新たな援助方略を見つけていって欲しいと思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        東日本大震災 両親死亡、不明の子供少なくとも132人に

         東日本大震災で両親が亡くなったり行方不明になっている高校生までの子供は、岩手、宮城、福島の被災3県で少なくとも132人に上ることが4日までの毎日新聞の調べで分かった。判明している大半は、親戚などに保護されているが、両親のどちらかを亡くした子供も加えるとその数は大幅に増えるとみられ、就学や進学、経済的な支援も含めた対応が早急に求められている。
        【ぼくも流されて、ママに会いたいなあ。波になりたい】
         被災3県に、両親が死亡または行方不明になっている子供の数を聞いたところ、岩手県では山田町などで18歳未満が少なくとも57人、宮城県も女川町や東松島市などで同じく57人、福島県では相馬市やいわき市などで18人(4~18歳)だった。
         子供たちは、「大半は親族が世話をしているが知人宅にいるケースもある」(岩手)▽「57人中55人は県内外の親戚に保護され、2人は県内の児童養護施設に入所している」(宮城)▽「ほぼ親戚などに保護されている」(福島)となっており、ほとんどが身内の家庭に引き取られている。
         3県とも児童相談所の職員が、避難所などを訪問して子供の様子や今後の養育について聞き取り調査を実施中で、可能な限り親族のもとで養育してもらうよう勧めている。福島県は、東京電力福島第1原発事故の対応などで、実態把握が遅れ気味という。
         宮城県は「3親等以内の親族が育てる『親族里親制度』(生活費などの手当が出る)の活用を勧めている。親族が見つからない場合は児童養護施設に入所してもらった上で、親族以外が育てる『養育里親制度』(同)を利用してもらうか調整する」と話している。
         阪神大震災では、兵庫県内で両親ともあるいは父母のどちらかを亡くし保護者がいなくなった子供が68人報告されている。東日本大震災の死者・行方不明者数は2万5056人(4日現在)で、阪神大震災の6437人を大幅に上回っており、保護者を亡くした子供の数はさらに増えるとみられる。
        「毎日新聞」 5月5日(木)12時44分配信

        ●不況影響?自殺者623人 府警まとめ
         京都府警は、昨年に取り扱った府内の自殺概要をまとめた。総数は623人で、前年に続き600人台を突破した。原因・動機は、「健康問題」と「経済生活問題」で、全体の7割を占めた。
         性別では、男性449人、女性174人。年齢別では、65歳以上が158人と最多で、40~49歳が115人、50~59歳が112人と続いた。20~29歳も76人、19歳以下も12人いた。
         職業別では、無職が331人と半数以上を占めた。学生・生徒は34人。自営業・家族従事は73人で前年比69・8%増となった。
         原因・動機は健康問題が276人で最多。経済生活問題が161人で前年比24・8%増となり、長引く不況の影響をうかがわせた。月別では、12月が64人と最多だった。
         府内の自殺総数は1998年以降、毎年600人前後で推移している。府警生活安全対策課は「一時期目立った硫化水素や集団の自殺は減っている。防止策として、悩みを抱えた人が相談できる環境を充実させるほか、周囲が異変に気付き、それを専門機関につなぐ役割が大事になってくる」としている。
        「京都新聞」5月5日(木)8時49分配信

        ●電話相談開局10周年 三重の自殺率、全国で最少
         ■いのちの電話協会「微力ながら貢献できた」
         特定非営利活動法人「三重いのちの電話協会」(鈴木秀昭理事長)が、13日で電話相談開局10周年を迎える。10年間で受けた電話相談は計6万2788件。平成22年の県の人口10万人あたりの自殺率は19・3人で全国で最も低く、同協会では「微力ながら貢献できた」と自負。10周年を記念して14日午後1時半から、津市の県総合文化センター中ホールで、三重ヴォークスボーナや、韓流歌手・Zeroさんらによる「こころのコンサート」が開かれる。入場無料。
                           ◇
         電話相談((電)059・221・2525)は、平成13年から開始し、午後6時から同11時まで年中無休。開局年を除く9年間の年平均は6976件で、1日平均18件あった。男女内訳は、男性が3万7716件で約60%。女性が2万5072件で約40%。死にたいという気持ちを訴える自殺志向の相談は全体の約10%にあたる6272件で、男性は3090件(4・9%)、女性は3182件(5・1%)。相談自体は男性が多いが、自殺志向相談はわずかに女性が多い。
         年齢別順位では男女とも30歳代、20歳代の順に多く、次いで男性は40歳代、女性は50歳代が続く。
         問題別では保険医療が1万9097件(30・4%)と最も多く、社会生活上のさまざまな要因から、心の不安、神経症的な訴えや、精神の病気で治療中の人が多かった。次いで人生が1万988件(17・5%)で、独り暮らしやかかわってくれる人がいないなど、人生に孤独を感じている人や、生きがいがないなど、将来に不安を感じている人が多かった。
         3番目は対人関係6329件(10・1%)で家族や職場、近隣などでの、いじめや、ハラスメント、不和などで悩んでいる人が多い。4番目は性で5461件(8・7%)で、痴漢、ストーカーなどの性被害のほか、妊娠中絶、近親相姦などの深刻な問題もあった。5番目は家族で4778件(7・6%)で、家族の扶養や介護、家庭内暴力、虐待などの悩みも多い。
         自殺率は今年3月に警察庁が発表。三重は前年の476人より118人少ない358人で、減少率も24・8%減と全国1位だった。
         記念コンサートにはこのほか、津児童合唱団、三重大教育学部付属中音楽部が出場する。
        「産経新聞」5月7日(土)7時55分配信

        ●学習機能:刺激減ると低下 遺伝子へ悪影響…東京大チーム
         外部からの刺激が乏しくなると、学習機能に関わる遺伝子に悪影響が及び、学習機能が落ちることを、東京大の尹喜玲(インジリン)特別研究員と広川信隆特任教授のチームがマウス実験で突き止めた。この遺伝子は人にも存在し、頭を使わないほど知力が衰えることを示す成果として注目されそうだ。28日付の米科学誌ニューロンに発表した。
         チームは00年、神経細胞間で記憶や学習機能に関わるたんぱく質「NMDA」を運ぶ分子「KIF17」を発見。この分子ができないマウスを人工的に作ったところ、NMDAを主に構成する「NR2B」というたんぱく質を作る遺伝子の働きも低下することが分かった。
         また、音が鳴ると足に電気刺激を与え、その後に音だけを聞かせる実験を行った。すると、NR2B遺伝子の働きが落ちたマウスの場合、音に反応して足を縮める行動を取る割合が通常のマウスの半分にとどまることが判明。学習をつかさどる脳内の「海馬」でのNR2Bの量も、通常のマウスの3割しかなかった。広川さんは「認知症の改善には刺激が大切と言われる。この成果を活用し、認知症を改善する薬剤の開発につなげたい」と話す。
        「毎日新聞」2011年4月28日

        ●学習障害に支援本 京都府総合センター 家庭での効果的な学習法などを掲載したガイドブック
         学習障害(LD)や読み書きに困難のある子どもへの指導の手引きとして、京都府総合教育センターが「特別支援教育ガイドブック 読める!書ける!~すべての子どもが楽に読み書きを学ぶために」を作成した。家庭での効果的な学習法も紹介しており、同センターは「すべての教員や保護者に役立ててほしい」としている。
         府内の小学校や特別支援学校と協力し、2年間研究した成果をまとめた。教科書の音読が苦手な子どもに(1)大人がゆっくり音読して聞かせる(2)文節で区切りながら大人が読み、子どもに復唱させる(3)子どもと声を合わせて読む(4)一人で読ませる-と段階的に丁寧に進める学習法を紹介。読み書きが苦手な子どもに大人がゆっくり読み上げた文章を正確に書き取らせる練習なども解説している。
         同センターのホームページ(http://www.kyoto-be.ne.jp/ed-center/)からダウンロードできる。
        「京都新聞」5月6日(金)22時49分配信

        成人の自閉症スペクトラムの特性のある人に必要な4つの支援基盤。
        2011/05/01
        東日本大震災依頼、つぶやく拠点をTwitterに移していました。あそこは140文字という字数制限があること、リアルタイムで情報が入出力できること、いろんな人と共通したテーマで繋がれることなどが魅力で、はまっています。
         一方で、実は、ここでの「つぶやき」が書けなかったのです。うつの1つの症状でもある過覚醒、阪神・淡路大震災の時のボランティア体験のフラッシュバックなどから、ずっと精神がザワザワとした状態で、まとまった文章が書けなかったというのが本当のところです。が、少し落ち着いてきたようなので再開します。
         ザワザワしながらも現場で、自閉症スペクトラムの特性のある方への支援のあり方について、日々あれこれと思考・試行・模索していた中で考えたことです。
         成人の自閉症スペクトラムの特性のある人へのサポートには共通した基盤が必要であるように思えます(修士論文のどこかで使うことになると思いますが…)。
        1.特性の把握、理解、必要な状態での診断とその受容(本人、家族、関わる人)
         2とも共通しますが、何と言っても生育歴、生活史の聴き取り把握と、得意・不得意や興味・関心、生活パターンなどの「その人らしさ」をできるだけ把握し、理解することです。そこで得た情報から、現在の状態との因果関係が見えてくることが多いからです。そして、本人さんが困っている(自分から言い出すことは少ないのですが、その時が支援開始のタイミングでもあります。「困り」はあくまでも本人さんが認知するものであって、家族や周囲の「困り」ではありません)状態が判断されたら、発達障害を診断できる医師に受診すること。診察形態にもよりますが、生育歴の聴き取りをしてくれる医師は滅多にいないので、事前に妊娠後期頃から現在までの本人さんの育ちの歴史を客観的にまとめて事前に医師に届けておくと、短時間の診察でも内容が濃いものとなります。発達障害の診断が下りれば、後は特性(障害自体と本人さん個人)の理解と関わり方の学びをすすめ、本人さんを支える視点で生活や関わりを日々見直しながら試行錯誤しつつ、本人さんとの関係性を豊かにしていくことが不可欠です。医療受診に加えて、発達障害に詳しい相談支援者と関わることや都道府県・政令市の発達障害者支援センター、家族会などとつながることも大切です。一番大切なのは、「家族で抱え込まないこと」です。
        2.本人さんが体験しトラウマとして結晶化しているもの、形成されてきた認知パターンの把握・理解
         脳の機能的な障害とされていますので、平均的(定型発達をしている)とされる人と比較すると、いろんな面で「違い」が目立ちます。その「違い」が、現代の学校社会や職場などでは、KYとかコミュニケーション下手などの対人関係性や、不得意なことが「できない」というレッテルとなって、集団から阻害されたり、イジメの対象となったりしてしまいます。そうした対人関係性を毎日のように何年も積み重ねていると、「他人は怖いもの」という認知形成がされ、黙って人と関わらない、いじめられても笑顔で対処しようとする、バカにされたり理不尽で納得できない決めつけや押しつけを強要されても我慢し続けるなど、否定的な内省をしていく方が多く、自尊感情をどんどん低下させてしまいます。こうした嫌悪体験や、納得できない、受け入れられない体験などが本人さんにどう記憶され認知されているのかを知ることが、心理的支援の鍵となっていきます。本人自ら語る段階になれば、支援は問題解決型アプローチなどでスムーズにすすむこともありますが、強いトラウマ(フラッシュバックとして突然に持続的に連鎖的に想起され続けるきっかけとなる場合が多い)が形成されている場合や、言語化が苦手という特性の上に記憶しすぎるという特性が加わるために情報過多となり、想起された情報が処理機能を越えて溢れ混乱する状態に至っている場合などでは、断片的な1つひとつの体験記憶とそれに対する認知を聴き取り整理しつつ、違う受け止め方や折り合い方などのアドバイスをしつつ、解きほぐしながら整理・処理することで精神の安定枠を広げてもらう相談支援面接が不可欠な場合も少なくありません。長期記憶や認知パターンは、個人の内面で形成されるものではなく、自身を取り巻く関係性とその事象の捉え方の組み合わせで作られていくものであるという視点が必要です。
        3.平均的な人間発達と比して未獲得状態である課題やその背景(特に学童期から思春期)
         高機能の自閉症スペクトラムの特性は気づきにくいものです。知らずに社会生活を過ごして行ければ、「個性」で済むものなのでしょう。しかし、2で触れたように、学校という「平均的であること」「みんなと一緒に」「校則を守る」といった画一的な行動を極度に求める社会は、特性のある方にとっては生きづらい社会でしかありません。脱「個性」を強いる社会では、ユニークさや特殊な能力などは、「困る」存在になってしまっているようです。そうした画一的な社会に馴染めないという状態の中で、特性のある方が学童期・思春期を過ごすと何が生じるか? 対人相互関係の苦手さも下支えとなり、他者や集団から学ぶメタ認知能力の成長抑制を基盤に、自我同一性をはじめ対人関係や社会生活のスキルやさまざまな情動的な人格形成が阻害されるなどで、生きる上で獲得しておくべき課題を獲得できないまま成人年齢に達し、就労や社会生活場面で失敗体験や嫌悪体験を重ねてしまうことになります。獲得できていない課題や、資質として持っている苦手さなどをよく把握して、できることは伸ばし、できないあるいは苦手なことは違うやり方で対処するという方法を身につけてもらう支援が必要となります。特に、思春期をどう過ごしたか(特性のある方は思春期が長い場合が多い)の聴き取り把握と理解は不可欠です。
        4.就学・生活(社会生活)・就労を緩やかに支援する豊かな福祉的サービス
         早期スクリーニング検査などによる早期発見、特別支援教育、就労系の福祉サービスや就労支援、支援センター等の相談機関設置など、発達障害者支援法、障害者自立支援法(2010.12改正)などによって徐々に制度的に充実してきています。しかし、まだまだインフラ整備が始まったばかり、という状態と言えば過言でしょうか? 自閉症スペクトラムの特性が基盤にあって、不登校やひきこもり状態になったり、就労できない、できたとしても職場の人間関係などですぐに辞めてしまわざるをえない、統合失調症をはじめ他の精神疾患を主症状として誤診され不要な過剰薬物投与を続け状態が悪化するなどなど、「平均的」な社会生活・就業生活ができない状態にある方への社会的支援は、市町村事業の「相談支援」(支援計画作成と福祉サービス事業所等の紹介がアウトプット)と「就労支援」系福祉サービス、若者サポートステーション(方向性は就労)などが主たるもので、いずれも「就労」にどう結びつけるかに視点がおかれたものになっています。それ自体は良い事業なのですが、自己否定感情が強く、「動けない」状態にある方を、平均的な「就労」につなごうとするかなり強引な構図です。2、3で述べた特性や特性による非「平均的」であることから人間発達課題が抑制されていたり、自尊感情が低いレベルの方には、未獲得の課題の獲得のし直しや違うやり方の獲得などの特に対人関係上のスキルの向上、他者から「認められ大切と思われる存在」として自己を肯定的に受容しつつ自我同一性を獲得すること、「やってみたい」と思えることを見つけてトライし達成感を体験すること、自身が得意とする分野でできる仕事やそのための資格などスキルを獲得していくことなどの、中間的、段階的、個別的で緩やかな期限を切らない支援が必要です。こうした、個別支援を前提としたアプローチとして、「相談支援面接(カウンセリング)」と「居場所」などのメタ認知形成を核とした集団的スキルアップの場の提供が有効であることがわかってきました。現状の障害福祉サービスでは、訓練等給付の自立支援(生活訓練)がこうした支援に該当すると思いますが、2年という期間限定なので、その期限撤廃と「相談支援面接」の報酬を含むサービス体系化を強く求めているところです。
         それでは、今週の気になる記事です。

        東日本大震災:発達障害児の親孤立 避難所避け届かぬ支援

         はた目には分かりにくい発達障害の子どもたちとその親に、東日本大震災の被災地で行政などの支援が十分届いていない。乳児のような夜泣きなどの症状が周囲の理解を得られず、避難所でつらい思いをするケースも多い。岩手県大船渡市の患者を訪ねた小児科医の根津純子さん(37)=東京都世田谷区=は「ただでさえ困難な避難所生活で、さらにストレスがかかり孤立化している」と指摘する。
         軽度の発達障害がある長女(4)の母親(25)は根津さんに打ち明けた。「いっそ家と一緒に流された方がよかったとさえ考えた」。自宅が津波に流され、近くの公民館で避難生活を送る。夜泣きの苦情を恐れ、車中で夜を明かしたこともあった。「障害が見た目には分からず、娘が騒ぐと『しつけが悪い』と言われる」
         長女は大きなサイズの子ども用おむつを使う。頼みの救援物資は成人用と普通サイズの乳児用が主で、大きなサイズは数少ない。「なんで大きい子が」「また来た」。冷ややかな目線を感じ、いたたまれなくなった。
         かつて同市で勤務し相談に乗っていた根津さんがおむつを持参すると母親は感謝しながらこぼした。「せめて同年代の子どもをひと部屋にまとめてくれたら母親同士で支え合うこともできるのに」
         発達障害の長男(7)がいる同市の野田悦子さん(37)は被災を免れた高台の自宅で暮らす。3月末まで断水が続いていた。「津波で浸水したとしても少しでも使えるスペースがあったら自宅で過ごしていた」。長男は興奮すると、大人が見ていてもテレビを消すなどのいたずらをするので避難所暮らしは考えなかった。だが、仮設風呂設置などの生活情報や食料に事欠いた。
         大船渡市は市内の発達障害児を約30人と見ているが、そのうち、津波で家を失うなどして支援が必要な人数は分かっていない。どこに親子がいて、どんな要望があるのか、ニーズの把握が難しいという。市は、大型連休中にも市内の福祉施設を高齢者や障害者が集まる「福祉避難所」に指定する予定だ。だが、排せつ介助の必要な高齢者や重度の障害児が優先され、発達障害の子どもたちが入所できる見通しは立っていない。
        「毎日新聞」2011年4月27日

        避難生活ストレス、いらだつ子ども 専門家「配慮を」
         殴る、蹴る、暴言を吐く。被災地で、震災や長引く避難生活によって子どもたちが精神的に追い込まれている。子どものストレスのサインにはいろいろあるが、その一つが攻撃的な言動だ。周囲の大人は戸惑うことも多いが、どんなことに気をつければよいのか。
         宮城県南三陸町の住民が暮らす避難所。小学校低学年の女児3人が、ボランティアで訪れた男子高校生(17)の足を蹴り始めた。
         靴を履いたまま、すねを強く蹴り上げる。「痛いよ、やめて」。高校生が言っても止まらない。その後も、首を絞めたり、ズボンを引っ張ったり。高校生は「こんなことは初めて」と戸惑いを見せた。
         被災地で子どもの遊び相手をしている支援団体は、こうした子どもの変化に気付きやすい。
         「最初に会った時は、子どもたちはもう、全身ストレスの塊でしたよ」。3月中旬から岩手県大槌町で子どもの支援活動をしているNPO法人「パレスチナ子どものキャンペーン」の吉田祥平さん(22)は言う。
         サッカーをしようとボールを渡すと、力いっぱい蹴ってパスにならない。「ぶっ殺す!」と叫ぶ。かみつく。新しいボランティアメンバーが来ると「まず蹴られる」状態だった。
         この団体は、町内3カ所の避難所で子どもの遊び相手をしたり勉強をみたりしているが、こうした暴力的な子どもは、そのうち1カ所に偏っていたという。周囲に自然が少なく、遊ぶスペースもない場所だった。
         遊び相手を始めて2週間ほどたった頃から、ぐんと暴力が減ったという。「自分の欲求を抑えきれないということが少なくなった気がします」と吉田さん。自分より小さい子どもの面倒を見る子も出てきた。
         災害時のストレスに詳しい藤森和美・武蔵野大学教授(臨床心理学)は「避難生活で不安が高まった時、その力が内向きに働く人は落ち込み、外向きに働く人は攻撃的になる」と解説する。子どもは大人より自制がきかず言動に出やすい。
         大人の不安やいら立ちを無意識にまねている可能性もあるという。「愛や思いやりは伝染しにくいが、怒りはうつりやすい」。暴力は、もっと構ってほしいというサインでもある。
         大人はどう対応すればよいのか。藤森教授は「まずは暴力はいけないときちんと注意することが必要。子どもは人目を気にするので、一人だけ呼んで『さっき蹴られたの、痛かったよ。イライラしちゃうのかな?』などと声をかけると良い」と助言する。
         生活のリズムが整って秩序ができはじめると、自然と落ち着くこともあるという。
        「asahi.com」2011.4.25

        ●外部電源喪失 地震が原因 吉井議員追及に保安院認める
         日本共産党の吉井英勝議員は27日の衆院経済産業委員会で、地震による受電鉄塔の倒壊で福島第1原発の外部電源が失われ、炉心溶融が引き起こされたと追及しました。経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は、倒壊した受電鉄塔が「津波の及ばない地域にあった」ことを認めました。
         東京電力の清水正孝社長は「事故原因は未曽有の大津波だ」(13日の記者会見)とのべています。吉井氏は、東電が示した資料から、夜の森線の受電鉄塔1基が倒壊して全電源喪失・炉心溶融に至ったことを暴露。「この鉄塔は津波の及んでいない場所にある。この鉄塔が倒壊しなければ、電源を融通しあい全電源喪失に至らなかったはずだ」と指摘しました。
         これに対し原子力安全・保安院の寺坂院長は、倒壊した受電鉄塔が「津波の及ばない地域にあった」ことを認め、全電源喪失の原因が津波にないことを明らかにしました。海江田万里経産相は「外部電力の重要性は改めて指摘するまでもない」と表明しました。
        「しんぶん赤旗」2011年4月30日(土)

        ●少しの睡眠でも大丈夫と思っている人には、ハッと
         少しの睡眠でも大丈夫と思っている人には、ハッとするようなニュースだ。完全に覚醒しているときでも、脳の一部は「居眠り」している可能性のあることが、ラットを使った最新研究によって明らかになった。
         ラットを睡眠不足にして脳の電気的活動を観察したところ、問題解決をつかさどる脳の領域が一種の”局所的睡眠”に陥っていたことが明らかになった。この状態はおそらく、睡眠不足のヒトにも生じていると研究チームは述べている。
         驚くべきことに、脳の一部が睡眠に似た状態に陥っていても、「(ラットの)覚醒状態が通常と異なることは傍目にはわからなかった」と、ウィスコンシン大学マディソン校の神経科学者で今回の研究を共同執筆したジュリオ・トノーニ氏は話す。 局所的睡眠の状態にあるときも、脳の全体的な活動はラットが完全に覚醒していることを示しており、行動にも異常は見られなかった。
         この局所的睡眠という現象は、「意義は不明だが興味深い観察事例というだけでなく、実際に行動に影響を及ぼす。つまり、ミスをするようになるのだ」とトノーニ氏は言う。例えば、前肢を使って砂糖玉を取るという難度の高い課題をラットに与えたところ、睡眠不足のラットは成功率が低かった。
         研究チームは、ラットの頭部に脳波センサーを取り付け、脳の電気的活動を記録した。ラットが覚醒しているときには、予想通りニューロン(脳内で信号を受け取り伝達する神経細胞)が高頻度かつ不規則に発火した。
         一方、睡眠中はニューロンの発火頻度が下がり、脳波は規則的に上下するパターン(徐波)を示した。ノンレム睡眠(急速眼球運動を伴わない睡眠)と呼ばれるこの状態は、ラットやヒトの睡眠全体の約80%を占める。
         トノーニ氏によれば、通常「ラットはしょっちゅう昼寝をする」が、研究ではおもちゃを使ってラットの気をそらし、数時間眠らせないようにした。その結果、過労状態となったラットでは、大脳皮質の2つの領域において、ニューロンが本来なら睡眠時に現れる徐波を示した。
         覚醒している脳の一部が睡眠状態に陥る理由は不明だが、哺乳類が睡眠をとることと無関係ではない可能性がある。哺乳類がなぜ眠るのかは、今なお残る謎だとトノーニ氏は話す。
         有力な説は、ニューロンは常に新しい情報を「記録」しているため、自らをリセットし、また新たな情報を記録できるように、どこかの時点で「スイッチをオフ」にする必要があるというものだ。
        「この説が正しいとすると、(睡眠をとらずにいた場合)どこかの時点でニューロンは飽和し始め、受け取れる情報の量が限界に達することになる」。そのため、ニューロンは「休息してはならないときに休息をとる」ようになり、その代償として「馬鹿げた」ミスをしでかすとトノーニ氏は言う。
         トノーニ氏によると、睡眠不足は危険な事態を招きかねず、しかもこの種のミスは今後、増える可能性があるという。
         理由のひとつは、睡眠時間の短い人が増えていることだ。米国疾病予防管理センター(CDC)の2008年の調査では、一晩の睡眠時間が7時間未満という人が米国の成人の約29%を占め、また慢性的な睡眠障害や覚醒障害に悩む人は5000万~7000万人に上った。米国睡眠財団によると、一般に成人には1日約7~9時間の睡眠が必要だという。
         さらに重大な問題は、たとえ眠気を感じていなくてもミスをする可能性があることだとトノーニ氏は警告する。「自分では元気一杯だと感じていて、問題なくやれているつもりでも、脳の一部領域はそうでない状態の可能性がある。その領域は、判断や決定をつかさどる場所だ」とトノーニ氏は述べた。
         今回の研究成果は、「Nature」誌4月28日号に掲載された。
        「National Geographic News」April 28, 2011

        ●倉敷教育センター:不登校支援の会、児島分室で開催/岡山
         倉敷教育センター(倉敷市)が不登校児童・生徒支援のために開催する「かけはし」が、倉敷市児島地区でも行われることになり、第1回目が23日午後2~4時に同市児島味野4の倉敷ふれあい教室児島分室である。
         保護者と教師、関係職員、カウンセラーが自由に意見交換をする場で、不登校に悩む親にかつて不登校に悩んでいた親が助言するなどお互いにサポートする。03年から始まり、同市福田町福田のライフパーク倉敷を会場に月1回、開催してきたが、参加者数の増加や保護者の相談の多様化などもみられ、一人一人への対応時間を十分にとるため、児島分室でも開くことにした。
         2回目の5月からは原則として第1土曜開催。参加無料で申し込みも不要だが、開催日時が変更になる場合もあるため、事前に同センター(086・454・0400)に問い合わせ。
        「毎日新聞」 4月23日(土)16時8分配信
        原発を推進していた政党は…。
        2011/04/23
        管首相が、他党に協力体制構築を要請しているが、国民新党の亀井静香氏だけが賛同しているとか…。原発推進政策を取ってきた政党の、現在の震災・原発被災対策への関わり方は難しいだろう。しかし、1ヶ月経っても、何もしていないに等しいと思える政党や、「協力要請」を断る理由が党略的としか思えない政党が「野党」として管内閣の「批判」だけをしている姿は見苦しい。さらに、同じ党内(?)にありながら、小沢一郎の動きは理解不能。国家の一大事に、まだ己の損得判断が優先する人なのか? 被災された皆さんが求めているのは、国を挙げての復興と支援だということがわからないのだろう。 結局、民間の知恵と力が動きを作り、後付で政治が動くというお粗末な実情。被災された方などへの補償は国として行うべきことはもちろんだが、東京電力の加害責任を絶対に曖昧にしてはならないと思う。

        齋藤和義の「ずっとウソだった」
        2011/04/15
        YouTubeで視聴できます。原発被害に対して、私たちが言いたいことを、替え歌にまとめてくれていると思います。「茶化している」という批判もあるようですが、原発問題を考える上で、大切なメッセージソングではないでしょうか?
        本日10日、被災された自閉症スペクトラムの特性ある方々、家族、支援者への電話無料相談を実施中です。
        2011/04/10
        【この頃思うこと】本日10日、被災された自閉症スペクトラムの特性ある方々、家族、支援者への電話無料相談を実施中です。

         午前10時~12時、午後1時~5時、電話:075-921-5400

         具体的な対応などについてのご相談に応じています。ご利用下さい。

        ●東日本大震災 自閉症スペクトラム対応メール相談でのご相談に応じています。

         お返事はできるだけ早くお返ししたいと思います。
        4月10日、被災された自閉症スペクトラムの特性ある方々、家族、支援者への電話無料相談をします。
        2011/04/03
        相談室カンナでは、4月10日(日)に、今回の地震で被災されたアスペルガー障害などの広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)の診断を受けられた方、その特性のある方、そのご家族、サポートにあたっておられる方を対象に、無料電話相談を以下の時間帯で行います。
         京都で精神保健福祉士として、成人の高機能の自閉症スペクトラムの特性のある方への相談支援をしている精神保健福祉士としてできることの一つとして、お役に立ちたいと思います。
         電話が1回線しかありませんので、逆にいらいらさせてしまうことにもなりかねませんが、具体的な対応や環境の改善などを中心としながら、一人でも多くの方とつながりたいと思っています。
        <開催日時> 4月10日(日)午前10時~12時、午後1時~5時
               ※今後もまとまった時間がとれる日に行っていきます。
        <電話番号> 075-921-5400
        東日本大震災で被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
        2011/03/25
        この頃思うこと】東日本大震災で被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

         避難されている方の中で自閉症スペクトラムの特性をお持ちの方も多くおられると思います。
        お一人お一人で特性や状態は違いますが、場所が変わる、人が変わるなど環境の変化に
        弱い方が多いこと、感覚面での過敏さや不安を感じやすいなど、個別の配慮が必要な
        方々であることをご理解頂きたいと思います。
        小さなきっかけでパニック状態になられる方もおられます。
        段ボールで仕切って、狭い一人だけの空間を提供するだけで落ち着かれる方もおられます。
        避難所などで支援にあたっておられます各位には、こうした点を含めまして
        ご配慮を頂けますよう、心よりお願い申し上げます。

        より具体的な支援については、以下のサイトよりPDFデータがダウンロードできます。

        発達障害情報センター
        http://www.rehab.go.jp/ddis/

        同センター・災害時の発達障害児・者支援について
        http://www.rehab.go.jp/ddis/

        日本自閉症協会 防災ハンドブック
        http://www.autism.or.jp/bousai/index.htm

        ぜひ、ご活用下さい。
        地震対策-、情報、冷静な判断、的確かつ柔軟な対応を。
        2011/03/13
        東日本巨大地震発生以来、ほとんどのメディアが報道を続けています。被災された皆さんには、心よりお見舞い申し上げます。まだまだ確認できない不明者や連絡のつかない人(市によっては1万人以上との報道あり)、原発事故による被爆の拡大、ライフラインをはじめとして全体の状況が把握できていないなど、事態は予断を許しませんが、一人ひとりが力を合わせ、生き抜いて行きましょう。
         情報を随時入手すること、冷静な判断をすること、避難指示などに従うこと(勝手な判断での行動を控えること)、生命と健康維持を最優先すること、言うまでもありません。
         被災地、被災された方に、何かできないかと思われている方も多いでしょうが、以下に紹介するように、資源の受け入れ体制がはっきりしない状態での物資や人の送り込みは、無駄になったり二次被害が生じる場合もありますので、こちらも冷静に判断願います。
         
        ◇災害ボランティア活動支援プロジェクト会議
        http://www.shien-p-saigai.org/
        宮城、福島への先遣隊の派遣について
        投稿日: 2011.03.13 (日) 1:57 AM 投稿者: 災害ボランティア活動支援プロジェクト会議
        改めまして青森、宮城、福島など被災地のみなさまにはお見舞い申し上げます。
        本日、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議の会議があり、先遣隊の派遣を行うことが決定されました。
        既に今夜宮城行きチームが出発しています。
        また明日、福島行きチームが出発する予定です。
        義捐金の受付窓口については中央共同募金会と日本赤十字社で調整をされています。
        正式なご案内はもう少々お待ちください。
        本プロジェクト会議とは別に、いくつかの緊急救援のNGOが既に現地に向かっているようです。
        またそれに伴い、寄付金なども集めておられることもあります。
        なお、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議からの最新の発信は、以下をご参照ください、
        http://twitter/shienp

        ◇日本災害救援ボランティアネットワーク
        http://www.nvnad.or.jp/top.html
        ■「東北地方太平洋沖地震」被害に対する救援支援金募集の広報のお願い(2011.3.11)
         平素、何かとお世話になりありがとうございます。
         ご承知の通り本日3月11日(金)午後2時46分頃に、三陸沖を震源地とする大規模な地震が発生し、宮城県を中心に東北地方の広範囲にわたって甚大な被害が出ている模様です。
         日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)としては、本日11日(金)18時の時点で支援活動を開始することを決定致しました。
         つきましては、只今から被災者救援への支援金を募り、下記の口座にて募金活動を開始し、受け付けていきたいと存じます。
         これらの支援金の具体的な使途に関しましては、現時点では被災地の状況がまだ把握できないので詳細は決定しておりませんが、今後、国内の災害NPOとも連携をとりながら、被災地域の支援を展開していきたいと思います。(詳細が決まり次第、随時広報させていただきます。)
         なお、物品等の受け付けはしておりません。また、募金全体の15%を上限として、支援のための間接的な経費(現地までの交通費や通信費等)に充てさせていただきます。
         つきましては、このことを広報していただくようお願い申し上げます。
                記
        *銀行口座
        三井住友銀行 西宮支店
        (普)7022161
        名義 NVNAD国内支援口

        *ゆうちょ銀行
        口座番号 00900-5-29560
        名義 NVNAD国内支援口

         今、最優先で手配して欲しいのは、空輸手段(ヘリコプターなど)、各自治体などで備蓄している食料、飲料水、毛布などをすぐに被災地に送れる準備、お湯や汁物を作れる大鍋、灯油ストーブ、着替え用・防寒用の衣類、道路復旧などのための重機…。情報として欲しいのは、被災地・避難所などで必要と思われる物は何か、被災地に提供できる何がどこにどれだけあるか、そしてそれらの情報をとりまとめて有効にマッチングさせるコーディネート機能です。海外からの支援も受けながら、国として最優先して取り組み、一人ひとりが力を合わせましょう。
         それでは、今週の気になる記事です。

        東日本巨大地震、数万人の安否が不明

         東日本巨大地震の津波で壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町の町民約1万人が行方不明になっているほか、岩手県大槌町では、町長を含め1万人の所在が確認されていない。
         また13日朝の段階で、宮城県女川町、岩手県の陸前高田、遠野両市、住田、岩泉両町、九戸村の6市町村の行政機能がマヒし、被害把握ができない状況になっていることが総務省消防庁への取材で分かった。この6市町村の人口総数は約8万6000人で、安否確認が遅れている。岩手県内では人口約1万9000人の山田町で多くの人たちが行方不明。福島県では行方不明者だけで1167人に上っている。気象庁によると、マグニチュード8・8とされていた今回の地震の規模は世界最大級の9・0と分かった。
         13日午前、警察庁に宮城県警から入った情報によると、同県東松島市野蒜(のびる)地区で200体以上の遺体が発見され、県警が収容作業を始めた。同庁のまとめでは、同日午前10時現在、同地震の死者は763人、行方不明者639人、負傷者1419人。ほかに仙台市内で200~300人の遺体が見つかっており、死者、行方不明者は計1800人以上に達した。
         一方、陸上自衛隊によると、宮城県内で亘理町の9000人など計2万人を超える人が孤立して救助を求めている。石巻市、気仙沼市、多賀城市などでも多くの人たちが孤立している。
         消防庁によると、岩手県では計約1260人が救助を待っている。
         気象庁によると、同日午前8時25分頃に、宮城県沖を震源とするマグニチュード(M)6・2の地震が発生、同県登米市で震度5弱を観測するなど、強い余震が依然続いている。11日以降、13日午前7時までに東日本の太平洋側で発生したM5以上の余震は震源が特定できているものだけで168回に上り、同庁は「徐々に減っているが今後もM7クラスの余震が起こる可能性はある」と警戒を呼びかけている。
         三陸海岸周辺で観測された津波の高さが12日夜から13日朝にかけて半減していることから、同庁は同日午前7時半、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県に出していた津波警報を注意報に切り替えた。津波警報が出ている地域はゼロになった。
         一方、被災地の交通網やライフラインは13日午前も回復していない。JR東日本によると、東北新幹線、東北地方の在来線すべてが運休しており復旧のメドは立っていない。高速道路は同日午前5時30分現在、東北道や常磐道、磐越道の大半が、支援物資を運ぶトラックなどを除き一般車両は通行止め。上越、長野新幹線は同日始発から復旧した。
         東北電力によると13日午前8時現在、依然179万9287戸が停電。厚生労働省によると、水道は16県で少なくとも140万世帯で断水が続いている。
        「読売新聞」3月13日(日)12時13分配信

        ●福島原発周辺の入院患者ら15人、放射能に汚染
         総務省消防庁によると、福島原発の半径10キロ圏内の病院に収容されていた入院患者ら15人と救急車が放射能に汚染されていたことがわかり、15人の脱衣と救急車の除染を実施したという。
        「読売新聞」3月13日(日)8時18分配信

        ●福島第一原発3号機、冷却装置が停止 緊急事態報告
         東京電力によると、東日本大震災で自動停止し、原子炉を冷却していた福島第一原発3号機で、13日午前2時44分、冷却水を炉心に入れていた高圧注水系が停止した。別の冷却装置を起動しようとしたが働かなかった。東電は、消火用の配管などを使い外部から強制的に水を入れたり、炉心溶融の可能性がある1号機と同様に海水を使ったりすることも検討している。
         今のところ格納容器内の圧力は適正値だが、圧力が上昇し損傷することを防ぐため、蒸気逃し弁の開放作業を始めた。圧力が高まると、大気中に放射性物質を含む蒸気を放出することになる。
         東京電力は1、2号機に続き、原子力災害特別措置法に基づく緊急事態に当たるとして、国に報告した。
        「asahi.com」2011年3月13日7時15分

        ●160人被曝の可能性 福島原発周辺で
         経済産業省の原子力安全・保安院は13日、東京電力福島第1原発の周辺で約160人が被曝(ひばく)した可能性があることを明らかにした。
         被曝した可能性があるのは、国の避難指示を受け原発から10キロ圏内を出るために双葉厚生病院から移動して、同原発から約3・7キロ離れた県立双葉高校のグラウンドで救助のヘリを待っていた約60人と、原発での爆発後に福島県外にバスで避難した約100人。
         バスで避難していた100人のうち9人の放射線量を測定したところ、3人から通常を上回る数値が検出されたという。今後、160人全員の放射線量も調査するとみられる。
        「産経ニュース」2011.3.13 06:44

        ●NHK、ネット通じた地震映像の配信認めず
         NHKは11日、他の報道機関がインターネットを通じてNHKの東北大地震の放送映像を配信することを受け入れなかった。NHK広報部によると「NHKの放送やウェブサイトで流すために現場に人員を投入しており、NHKの媒体で見てもらうのが筋だ」という。
         NHKは新聞紙面上で放送映像を「NHKの映像」と断ったうえで掲載することを認めているが、他の報道機関がネットに配信するのは認めていない。日本経済新聞社は、今回は未曽有の非常事態で、公共性の高いNHKの重要な映像情報を幅広く提供したい意向を伝えたが、受け入れられなかった。
        「日本経済新聞」2011/3/12 0:32

        ●「幼児に向精神薬処方」が3割 発達障害で専門医
         自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)といった「発達障害」がある小学校入学前の幼い子どもに、精神安定剤や睡眠薬などの「向精神薬」を処方している専門医が3割に上ることが9日、厚生労働省研究班の調査で分かった。
         小学校低学年(1~2年)まで含めると、専門医の半数を超えた。子どもを対象にした向精神薬の処方の実態が明らかになるのは初めて。向精神薬は使い方を誤れば精神に悪影響を及ぼす恐れがあり、慎重な処方が求められている。
         調査した国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)小児神経科の中川栄二医長は「神経伝達物質やホルモンの分泌に直接作用する薬もあるのに、幼いころから飲み続けた場合の精神や身体の成長への影響が検証されていない。知識の乏しい医師が処方する例もある」と懸念。製薬会社などと協力して安全性を早急に調査し、治療の指針を確立する必要があるとしている。
         昨秋、全国の小児神経専門医と日本児童青年精神医学会認定医計1155人を対象にアンケートを実施。回答した618人のうち、小学校入学前の子どもに向精神薬を処方しているのは175人(28%)だった。小学校低学年まで含めると339人(55%)に増え、高校生まで合わせると451人(73%)となった。
         向精神薬による治療の対象としている子どもの症状(複数回答)は「興奮」が88%、「睡眠障害」78%、「衝動性」77%、「多動」73%、「自傷他害」67%。「共同通信」2011年03月10日 02時10分

        ●川崎・中3自殺:「真矢を忘れないで」 自殺中学生の両親、実名公表/神奈川
         ◇一緒に卒業しよう 同級生が式典で呼び掛け
         ◇友人いじめられ「守れなかった」
         「いじめられた友人を守れなかった」と昨年6月に自殺した川崎市の中学3年の男子生徒(当時14歳)が通っていた同市多摩区の市立中学校で9日、卒業式が開かれた。同級生が「一緒に卒業しよう」と涙で呼び掛ける場面もあり、出席した両親は「14歳まで生きた事実を忘れないで」と、生徒の名前を篠原真矢(まさや)さんと公表、報道各社に写真を提供した。
         両親によると、卒業証書は兄(17)が受け取った。121人の卒業生の名前が呼ばれた後、校長(60)から最後に手渡された。真矢さんと一緒に生徒会活動をしていた同級生が答辞の最後、天を仰ぐように「シノ、一緒に卒業しような」と語りかけると、卒業生も泣き出し、両親も号泣した。
         同級生の言葉を聞いた父親(46)は「真矢は本当に幸せだったなと涙が止まらなかった」。兄は「真矢がいて122人全員がそろったら良かったのに……。欠けるのは悲しいと思いながら卒業証書を受け取った」と話した。
         名前の公表は母親(44)が先月、「みんなに真矢のことを忘れてほしくない」と家族内で切り出したのがきっかけだった。両親はこれまで、高校生だった兄に配慮してきたが、今月卒業したことで公表に踏み切った。父親は「何も悪いことをしていないのに実名報道されないのはつらかった。卒業で一区切りです」と振り返った。
         両親は式典後、クラスメートや所属していた野球部の後輩から寄せ書きをもらった。「ずっと忘れないから」「また、どっかで会おう」「部活で頑張っている姿が目標でした」などとつづられていた。
         遺書にいじめていたと実名が書かれていた生徒4人は卒業式を欠席した。校長は式典後、報道各社に「(4人と真矢さんの両親の)両者が話し合いの場を持つなど、接点を作れなかったことが心残り」と述べた。4人の欠席については「全員に卒業証書を渡したかった」とだけ話した。
        「毎日新聞」 3月10日(木)11時49分配信

        ●新生活 一人暮らし家財一式=24万円
         進学や就職で、一人暮らしを始める人が多いこの時期。新生活に必要な家財道具一式を買いそろえるといくらぐらいになるのか、選び方のポイントと合わせて、調べてみた。
         ◇TV、冷蔵庫、ベッド…
         インターネットなどで、一人暮らし向けの生活用品を通信販売している「シングルライフコミュニケーションズ」(本社・新潟市)に、売れ筋の価格帯を調べてもらった。それによると、新生活に必要そうなものを一通りそろえると、合計で24万円程度はかかりそうだ。
         まず家電製品では、冷蔵庫、洗濯機、薄型テレビが挙げられる。冷蔵庫は、冷凍室と冷蔵室が別々になった2ドアタイプが人気。一人暮らしでも、容量に少し余裕がある110リットルクラスを選ぶ人が多いという。また、洗濯機は4・5キロ・グラムクラスの全自動、テレビは19型が売れ筋だ。各家電メーカーはそれぞれに単身者向けの製品を用意しており、部屋の雰囲気に合わせて色を統一してもいい。
         家具は、狭い部屋を有効に使える工夫が凝らされているものがお勧め。ベッドでは下部に引き出し式収納がついたタイプ、本棚では増えていく教科書などに対応できる「連結拡張型」が人気だ。コタツは、食卓テーブルと暖房器具を兼ねられる。パソコン世代には、本体とプリンターなどの周辺機器をうまく配置できる勉強机があると便利だ。
         忘れがちなのが、カーテンとカーペット。カーテンは一人暮らしのプライバシー保護に、カーペットは賃貸住宅の床材保護や階下への騒音軽減に役立つ。
         一人暮らし向けの生活用品は、家電量販店や大学生協などでも扱っている。参考にしてみるといいだろう。
         ◇大学生の平均29万円
         全国大学生活協同組合連合会(東京)が、昨年春に大学に入学した学生の保護者を対象に行った調査によると、下宿生の生活用品購入費用の平均は、前年比3%減の28万7000円だった。うち、「家電」が11万3500円と最も金額が大きく、「衣類や身の回りの小物」(6万400円)、「家具」(4万5100円)などが続いた。
        「読売新聞」2011年3月7日

        ●<自閉症>症状の原因一端を解明…顔認識の神経、働きが低下
         自閉症患者の脳では、人の顔を認識する部位の神経の働きが低下していることを、鈴木勝昭・浜松医科大准教授(精神科)らのチームが突き止めた。患者は人の目を見ない傾向が強く、「相手の気持ちを読めない」などの障害が指摘されている。自閉症の特徴的な症状の原因の一端が明らかになったのは初めてで、症状の悪化防止に道を開く成果という。8日発行の米精神医学誌に発表する。
         チームは、18~33歳の患者20人の脳を、陽電子放射断層撮影(PET)という装置で撮影し、一般の人の脳の画像と比較。患者では、脳下部にある顔の認知にかかわる部位「紡錘(ぼうすい)状回」で、脳の活動を調節する「アセチルコリン神経」の働きが最大4割低下していることを発見した。
         鈴木准教授は「人と視線を合わせないことが、自閉症による脳の機能低下を示している。この症状に早く気付くことで、社会性を養う訓練開始など症状を重くしない対応が可能になる」と話す。
        「毎日新聞」 3月8日(火)6時0分配信

        ●自閉症にアセチルコリンが影響 浜松医科大など研究チーム発表
         自閉症患者は健常者に比べ、相手の表情を認識する脳の部位で、アセチルコリンと呼ばれる物質の働きが弱いことを浜松医科大と中京大、特定非営利活動法人(NPO法人)「アスペ・エルデの会」が共同で明らかにした。症状の悪化を防ぐことにつながるといい、日本時間8日、米医学誌で発表した。
         研究チームは、自閉症患者が相手と視線を合わせない傾向を持つことに注目。脳の下部にあって他人の顔を認識するときに使う「紡錘状回(ぼうすいじょうかい)」で、活動に影響するアセチルコリンの働きを調べた。
        「産経ニュース」2011.3.8 06:00

        ●精神保健支援員を配置 亀岡市が自殺予防対策
         亀岡市議会は9日、3月定例会の本会議を再開し、2日目の一般質問を行った。市は深刻化する自殺の予防に向け、主な原因とされるうつ病などの精神疾患に悩む市民の相談に応じる精神保健福祉支援員を市役所に配置する方針を示した。
         武田学健康福祉部長は、市の精神医療通院制度の利用者のうち、うつ病を含む気分障害を患う人が現在451人に上ると報告。2011年度から、嘱託職員として同支援員1人を市社会福祉課に置き、窓口や電話で相談に応じる。さらに、病院など関係機関と連携して予防対策強化に取り組む。11年度一般会計当初予算案に200万円を盛り込んだ。
         精神保健福祉支援員は、うつ病など心の病を中心に専門的な立場からアドバイスし、社会復帰を促す。
        「京都新聞」3月10日(木)10時29分配信

        ●自殺 1人で悩まず相談を 強化月間で啓発 京都市
         「自殺対策強化月間」の今月、京都市は、さまざまな方法で悩みの相談を呼びかけ、命の大切さを訴えている。同市内の自殺者数は3年連続で300人を超えており、担当者は「何とかして自殺に走ってしまう市民の方を守りたい」としている。
         市の自殺者数は平成10年に初めて300人を超え、その後いったん減ったが、19年から21年まで3年連続で300人台を推移。人口10万人中の自殺者数は21年では21・5人と全国で7位となっており、市は昨年3月に「自殺総合対策推進計画」を策定するなど、対策に乗り出している。
         啓発活動では、コンビニ「ローソン」の市内全約160店舗のレジカウンターの画面に「弱音をはこう 弱音をきこう」と訴える広告を出しているほか、市の専門機関への悩み相談を呼びかけるステッカーやクリアファイルなど数千点を病院や大学で配布。また、地下鉄の駅で街頭啓発を行うなど、精力的に活動する。
         市の担当者は「1人で悩みを抱え込まず、まずは相談してほしい」と話している。
        「産経新聞」3月10日(木)7時57分配信

        ●国歌斉唱せず懲戒…東京高裁ほぼ全員取り消し
         入学式や卒業式で国歌を斉唱しなかったことなどを理由に東京都教育委員会から懲戒処分を受けた都立学校の教職員ら計168人が、都に処分の取り消しと1人当たり55万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、東京高裁であった。
         大橋寛明裁判長は、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、ほぼ全員の処分を取り消した。賠償請求は棄却した。
         都教委は2003年10月、都立学校の各校長に対し、式典での国旗掲揚や国歌斉唱を適正に行い、校長の職務命令に教職員が従わない場合、服務上の責任を問うとする通達を出した。教職員らは同年11月~04年4月の式典で国歌斉唱の際に起立しなかったなどとして、戒告や減給の処分を受けた。教職員側は「通達に基づく職務命令は思想・良心の自由を保障した憲法に違反する」と主張していた。
         また、ピアノ伴奏を拒否し、戒告処分を受けた元小学校教諭ら2人が処分取り消しなどを求めた訴訟でも、同高裁は同日、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、処分を取り消した。
        「読売新聞」3月10日(木)15時29分配信

        ●「癒やし」イメージ、女性が被害=ブーム背景、家族に隠し―神世界事件
         「キツネの霊が取りついている」などと不安をあおりカネを集めたとして、幹部らが逮捕された「神世界」グループの霊感商法詐欺事件。近年「宗教」が絡む事件が相次ぎ、敏感になっていたはずの社会になぜ巧みに浸透していったのか。被害対策弁護団は、被害が拡大した理由について二つの側面を指摘する。
         まず神世界が宗教色を前面に出さず、「ヒーリング」というソフトイメージを強調した点。宗教は怖いが気軽に「癒やし」を求めたい女性をターゲットにしたとされる。勧誘の実行部隊は女性スタッフで、被害者のほとんどは女性だった。
         次に、被害が広がった数年前、霊との交信が実在するかのようなテレビ番組が人気を集め、「スピリチュアルブーム」が起きていたこと。会員になる心理的なハードルを下げる要因の一つになったと、弁護団は指摘する。
         神世界では、悩みの相談者に「太陽神からパワーを授けられた人物だけが伝えられる力」として、3000~1万5000円で「御霊光(手かざしによるパワー)」が送られる。深夜に相談者の体調が悪くなっても、自宅までパワーが届くと説明。10万円ほどで「ライセンス」を取れば自分でパワーが出せると促され支払った人も多い。
         典型的な霊感商法の手口なのに、被害は拡大。家族に秘密でサロンに通っていた人は、被害を届け出ないことが多い。被害額が多いほど入れ込んでおり、神奈川県警の被害者探しは難航した。
         県警は「団体の規模は縮小傾向」とみているが、弁護団は「潜在的被害者が多く、深刻な状況は変わらない。被害者は金銭的、精神的ダメージに今も苦しんでおり、県警には悪質な実態を暴く捜査を期待する」としている。 
        「時事通信」3月11日(金)6時3分配信

        成年後見人制度をもっと知ろう。
        2011/03/06
        昨日、京都司法書士会館で、成年後見センター・リーガルサポート京都支部主催の家族向けの養成講座に参加しました。認知症や知的・身体障害などによって、金銭管理などの認知機能が低下した方に代わって手続き等を行う第三者を地方裁判所の指定を受けて行う制度。必要と思われる対象者は、恐ろしいほど沢山いると思われる。
         今後、発達障害によって長期ひきこもり状態にある方で、親なき後などにも必要に迫られることになるだろう。
         しかし、認知度が低い。公的支援制度はないに等しい。司法書士や弁護士、社会福祉士などの有志が個人的あるいは組織的に取り組み始めているが、家族・親族内の誰かが後見人になる場合が多いが、その申請手続きや事務的処理がかなり面倒なもので、誰でもできる訳ではないようだ。
         そして、問題なのは、家族・親族外の第三者が後見人になる場合の報酬は、支払い能力のある本人の財産から裁判所が認める範囲でもらえるようだが、余り知られていない公益信託成年後見助成基金や厚労省の制度利用支援事業などで補填(?)されるだけ、という障壁があること。
         つまり、かなりのボランティア的な取り組みでしか、現状はこの制度を活用できない実態にあるようです。
         国の制度としての「成年後見制度」ですが、報酬なしに取り組む第三者がそれほどいるとも思えず、介護・福祉関係のサービス事業所などで、今後直面していく課題だが、「手を挙げる」事業所が見込める状況にはないと思われます。自ずと家族が自己犠牲的に行わざるを得ないか、制度そのものを知らずにあいまいになるか、独居の場合など想像するのも怖い…。こういったところにこそ、財政投入すべきではないでしょうか?
         それでは、今週の気になる記事です。

        自殺13年連続3万人超「就職失敗」が急増

         去年、自殺で死亡した人数が3日、発表された。就職の失敗が原因で自殺した人が急増している。
         警察庁によると、去年、自殺で死亡した人は3万1690人だった。自殺者は98年以来、13年連続で3万人台で推移していることになる。動機で一番多かったのは「健康問題」で、「経済・生活問題」「家庭問題」と続く。
         去年の特徴としては、経済・生活問題の中の「就職失敗」による自殺者が424人と、07年の2.4倍に増えた。年代別に見ると、20歳代が153人と一番多く、就職氷河期の影響が出たとみられる。
        「日テレNEWS24」2011年3月3日

        ●13年連続の自殺3万人超、動機多様化 「特効薬なし」も「かすかな光」
         8年ぶりに3万2千人を下回ったものの、13年連続で3万人を超え、危機的な状況が続く自殺。警察庁が3日に公表した平成22年の自殺の概要では、政府などの対策が一定の効果をあげていることがうかがえる一方で、就職失敗や親子・夫婦関係の不和、職場の人間関係など増加している原因・動機も少なくなく、防止対策の難しさが浮き彫りになっている。
         ◇「これといった特効薬はない」
         内閣府の自殺対策推進室は「動機の多様化」に危機感を示したうえで、「昨年から関係省庁で横断型の対策に取り組んでいるが、社会情勢の変化もあり、すぐに効果をあげるのは難しい。地道に取り組むしかない」と話す。
         同室は昨年、原因・動機の具体項目で最多の鬱病(約7千人)に着目し、家族らに鬱病の特徴の不眠に気付いてもらおうと、「お父さん、眠れてる?」キャンペーンを展開。この結果、50代の自殺が大幅に減少したほか、自殺防止強化月間にした3月と9月の翌月は前年同月比で大幅減になるなど、一定の効果が表れたという。
         さらに事業不振(1059人)や失業(960人)、多重債務(1306人)が軒並み約10~20%減少。不況の影響は小さくなりつつある半面、就職失敗(424人)や子育ての悩み(157人)、介護・看病疲れ(317人)といった世相を反映した動機の増加が目立っている。
         NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「まだ切迫した状況だが、対策を強化すれば減るということが分かった。かすかな光が見えた」と話す。
         自殺率がトップだった秋田県で、あらゆる問題に対応した総合相談窓口を設けるなどの対策を強化した結果、確実に減っていることを挙げ、「ここにくればどうにかなる、ということを県民に示せたことが大きい。これからは、こうした受け皿を全国に作り、その存在を知らせる啓発が重要になる」と話している。
        「産経新聞」 3月3日(木)

        ●自殺対策のシンポジウム開かれる 東京
         東京都内で5日、自殺者の遺族ら約500人が出席し、自殺対策を考えるシンポジウムが開かれた。
         3月は例年、自殺者が最も増える月で、シンポジウムでは、息子を自殺で亡くした人の体験談や、住民らの自殺を減らすために職員のトレーニングを行っている足立区の取り組みなどが紹介された。自殺対策も担当する蓮舫行政刷新相も出席し、「縦割り行政の弊害を超えて、国として自殺対策に取り組んでいく」と述べた。
         全国の自殺者は13年連続で3万人を超えており、こうしたシンポジウムは今後、全国で行われる予定。
        日本テレビ系(NNN)3月5日(土)
         
        ●行き過ぎ指導で不登校 敦賀の小4、市教委事実確認 福井
         敦賀市の市立小学校で小学4年の男子児童が30代の男性教諭から「うそつき」などと厳しい叱責や暴力を受けたと訴え、不登校になっていることが、4日明らかになった。敦賀市議会一般質問で議員が指摘した。市教委は「行き過ぎた指導があり、学校側の対応にも至らない点があった」と釈明。家族には謝罪しているが、暴力については否定。市教委は「話が食い違い、判断に苦慮している」とし、今後、詳細に事実確認を進めるとしている。
         市教委によると、昨年12月13日、男児が集団登校時、列から離れて登校したため、男性教諭が男児を教室に呼び出して指導した。このときに、男児は教諭から「うそつき」呼ばわりされて厳しく叱られ、強い力で引き倒されたなどと訴えているという。教諭はこの日のうちに男児を再び呼び出し、登校班から離れたことと、嘘をついたことについて反省文を書くよう指示。男児はおびえて翌日から学校に通えなくなり、転校した今も不登校が続いているという。
        「産経新聞」3月6日(日)

        ●入試問題投稿京大が被害届へ
         大学の入学試験の問題が試験中にインターネットの掲示板に投稿された問題で、京都大学が27日夜に記者会見し、大学の業務が妨害されたとして警察に被害届を出すことを明らかにしました。
         京都大学や同志社大学、それに早稲田大学や立教大学では、入学試験の問題の一部が、試験中にインターネットの「ヤフー知恵袋」という掲示板に投稿され、解答を教えてほしいという書き込みに対して、答えを教える返事が寄せられました。各大学は、携帯電話などを使った不正行為の疑いがあるとして調査を進めています。京都大学は27日夜に記者会見を開き、淡路敏之副学長が「厳正かつ公正に行われるべき入学試験の根幹を揺るがす重大な問題で、大学の業務として行われた入学試験を妨害する犯罪行為だ」と述べて、28日にも警察に被害届を出すことを明らかにしました。また、京都大学は、27日、各学部長を集めた緊急の入学試験委員会を開き、来月10日の合格発表は予定どおりに行うことや、不正を働いた受験生が特定され、この受験生が仮に合格していれば、合格を取り消すことを確認しました。京都大学は、同じような投稿が確認されているほかの大学とも協力して、事実関係の調査を急ぐことにしています。
        「NHKニュース」2月27日

        ●入試投稿の予備校生逮捕 ネット依存、現実を軽視
         京都大などの不正入試事件で、インターネットの質問サイトに投稿を繰り返していたとみられる仙台市内の予備校生(19)。投稿内容には自殺に関する質問や心療内科について尋ねるものもあり、揺れる受験生の複雑な心理状態がうかがえる。一方で現実よりネット社会のルールを優先する姿勢も見え隠れする。
         《睡眠薬で自殺をする人が多いですが、市販の薬でいいんですか?》
         大学入試センター試験が実施された今年1月16日には試験と関係ない質問を投稿。自殺をほのめかしているように映る。同18日には仙台市内の心療内科を尋ねる投稿もあった。
         クリスマスイブには恋愛相談にも応じた。「好きな相手の気持ちが分からない」という質問に、自身の経験を織り交ぜて回答した。《ボクも今同じような状態です》《こういうのは時間だけが解決できるんだと思います》。思春期や受験生特有の精神状態ともとれる。
         東海学院大学(臨床心理学)の長谷川博一教授は「リスクが大きいカンニングに踏み切ったこと自体に『人生がどうなってもいい』という、追いつめられた心理状態を感じる」と分析する。
         質問は英語と数学に集中し2教科は苦手科目とみられるが、ネット環境に精通するだけでなく、依存している様子も浮かぶ。
         京都大の数学の問題では「xの2乗」を「X^2」と表記するなどネット特有の約束に従っていた。ベクトルの表記も本来の数学と異なりネット上で使用される書き方だった。
         それだけではない。英語や数学の投稿の際には「よろしくお願いします」「ありがとうございます」と書き込み、顔文字も付け加えていた。
         律義ともとれるが、試験時間中にお礼をコメントし顔文字まで入れ、「ベストアンサー」にコインを与える行為は律義を通り越し、ネットのルールに束縛されているように映る。
         捜査関係者は「対人関係が薄く他に頼れる人がいないためサイトに質問せざるを得なかったのだろう。試験時間中にカンニング回答のお礼を書き込んだのは、現実社会のルールよりもネット社会のルールを重視していることにほかならない」と話した。
        「産経新聞」3月4日(金)

        ●人の笑顔、犬には分かる 飼い主以外でも 麻布大研究
         犬は飼い主でない見知らぬ人の写真であっても、笑顔かどうかを見分けられることが麻布大の研究でわかった。ただし、飼い主と違う性別では成績が落ちる。犬がどのように進化してきたかを探る手がかりになるという。独動物認知学専門誌電子版で発表される。
         麻布大獣医学部の菊水健史教授らは、スタンダードプードルとラブラドルレトリバー計5頭でまず飼い主の笑顔を見分ける訓練をした。笑顔と無表情の写真1組を並べて、犬に選ばせる。笑顔の写真を選んだらほめることを繰り返した。30回のテストで8割以上の成績を4度続けて出せるようにした。
         次に、飼い主の別な写真10組と、初めて見る男性と女性の各10人の写真の計30組について、笑顔を選べるかどうか試した。その結果、飼い主なら訓練した写真と違っても、笑顔を選ぶ確率は5頭で平均82%。知らない人の写真でも、飼い主と同性であれば78%だった。いずれも統計的に偶然ではない成績という。だが、飼い主と性別が違う場合は62%に下がった。
         表情は人間にとって意思疎通の重要な手段。笑顔が「うれしい」という感情を意味していることまで犬が理解しているかどうかはわからないが、表情を読み取る能力は身につけていると考えられるという。実験を担当した永沢美保特任助教は「口の形などを区別しているのではないか」と話す。
        「asahi.com」2011年2月27日

        ●生活保護受給200万人超へ
         厳しい雇用情勢が続くなか、去年12月に生活保護を受けた世帯は143万世帯余りと、これまでで最も多くなり、受給した人数もおよそ199万人で、来月の取りまとめでは200万人を超える見通しになっていることが、厚生労働省のまとめで分かりました。
         厚生労働省によりますと、去年12月に生活保護を受けた世帯数は、前の月より8496世帯増えて、143万5155世帯と、これまでで最も多くなりました。増えた世帯の内訳は、▽「高齢者」が1249世帯、▽「母子家庭」が991世帯、▽「障害者」が1506世帯などとなっていて、最も多かったのは、▽仕事を失った人を含めた「その他の世帯」で3405世帯となっています。また、生活保護を受けた人は、前の月より1万2424人増えて、198万9577人となりました。受給者の人数は、雇用情勢が悪化した3年前の12月以降、ほぼ毎月、1万人以上増え続けていて、このままのペースで増加すると、来月まとめられる、ことし1月の受給者数は、200万人を超える見通しです。受給者数が200万人を超えると、戦後の混乱が続いていた昭和27年以来、59年ぶりになります。厚生労働省は、生活保護受給者の増加に歯止めをかけようと、失業者の自立支援を強化する対策や不正受給の防止策を検討しており、来年度中に生活保護法の改正を目指すことにしています。
        「NHKニュース」3月3日4時2分

        ●なぜ格差は広がるのか? 
         ◇なぜ格差が広がるのだろうか?
        これはもちろん、日本だけでなく今先進国でかなり広く見られる現象である。日本だけがおかしいわけじゃないし、まして小泉改革が問題だとか言っている人はもっと冷静さを取り戻したほうがいいだろう。
         当然ながらグローバル化というのはひとつの原因として挙げられる。このブログでもいつもそれを理由に挙げてきた。
         しかし、もうちょっと深く考えてみよう。
        まずはこのグラフ(MacroManiaのDespiteEconomy,AmericansDon’tWantFarmWorkより)
        【画像】http://ameblo.jp/englandyy/image-10806592928-11073075525.html
         少なくとも今回のリーマンショックの前からミドルスキルの仕事が大きく減っているのが伺える。一方で、ちょっと意外かもしれないが、高スキルのみならず低スキルの仕事の需要はどんどん増えていることもわかる。そして、その傾向はリーマンショック後の不況で大きく顕在化した。
         ちなみにこの動きは世界中で広がっているという。だから、これはアメリカのグラフだが、おそらく日本でも同様のことが起こっている可能性は高い。
         ◇なぜだろうか?考えてみたい。
         まず、高スキルの仕事の需要が増えているのは言うまでもないだろう。
         高齢化や医療技術の進歩・医療への需要の高まりから医者が不足しているのは日本だけではない。世界経済の一体化によってモノの移動・人の移動がどんどん活発化することによってスーパー経営者・デキるビジネスマンなどへの需要を高まっている。また、エンジニアなどの人材不足も指摘されているところだろう。(この背景は科学技術の進歩かな?)
         また、先進国において低スキルもしくは低賃金の仕事の需要が増えているのもある程度想像できる。
         高齢化・核家族化・都市への人口・全産業に占めるサービス業の割合の上昇から低スキル/低賃金の仕事の需要の上昇は当然と言える。実際、そういった職の多くでは日本でも人が足りてない状態と言われている。
         また、低スキルとはいえない面が強いと思うが、介護士や保育士や看護士などのきつい割には比較的低賃金の職の人手不足などがイメージされる。もしくは、外食産業などもそうだろうか。
         ◇では、ミドルクラスは?
         IT技術の発達などによって事務員や営業マンといった仕事はかなりの部分がIT化されて必要がなくなっている。また、いつも出てくるが工場やバックオフィス機能の新興国への移転も(低スキルの仕事のみならず)ミドルスキルの職の需要を先進国で減退させている原因だろう。
         また、政府の規制(資格なども含む)や労働組合などによって守られてきたミドルクラス層の労働者の既得権益が奪われていることもこの層の没落に拍車をかけているはずだ。
         格差広がりは労働に対する需要の変化が原因といえる。これが世界的な流れである以上は押しとどめることは難しいだろう。今後は格差はますます広がっていくのかもしれない。
         こういった労働市場の変化も大卒の若者が大卒らしい仕事に就けないということの理由のひとつでもありそうだ。
        「LivedoorBLOGOS」wastingtime 2011年02月27日

        ●大麻吸引は精神疾患リスクを増大、欧州研究
        【3月2日AFP】若者が大麻を吸引すると、精神疾患にかかるリスクが増大するとする研究結果が2日、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BritishMedicalJournal、BMJ)」に掲載された。
         ドイツ、オランダ、英ロンドン(London)の精神医学研究所(InstituteofPsychiatry)の専門家で作るチームは、14~24歳の1900人について、大麻の吸引の有無などを8年間にわたって観察した。
         その結果、調査以前から大麻を吸引していたグループ、調査期間中に大麻吸引を始めたグループの双方で、一度も吸引しなかったグループよりも統合失調症などの精神疾患の症状が多く見られた。
         大麻の継続的な吸引は精神疾患にかかるリスクを上げることが、これまでの研究で明らかになっていた。研究者は、今回の結果はさらに、大麻が精神に長期的な影響を及ぼすという説を裏付けるものだとしている。(c)AFP
        AFPBBNews2011年03月02日21:30 発信地:ロンドン/英国
        精神疾患にはもっと環境要因の把握を。
        2011/02/27
        20代半ばで嘔吐感を愁訴に大学病院等を数件受診した後に「精神的問題でしょう」と精神科受診し、すぐに「うつ」との見立てで服薬治療開始(「森田療法」を「売り」にしている精神科病院)。効果が見られずに(その後は家族だけ受診で、本人の愁訴を伝えて変薬が続いていた)、電気けいれん法を6回受けるが、効果なし。うつから「躁転」したらしく担当医と小さなトラブルとなり「うちではこれ以上診られません。入院できる病院を紹介します」と入院に。診療情報提供書には「病名:統合失調症」「また、よろしく…」という意味の言葉が添えられていた。
         入院先の新たな病院では、「統合失調症の要素もあるが、鬱病の要素もある。その中間です」と(???)。入院直後は「家に帰りたい」と訴えていたが、慣れてくると高齢の患者と仲良くなりハイテンションになるが、高齢の方々が退院された後に自身よりもずっと若い人が入院され、「人とどう関わったらいいかわからなくなった」とうつ状態に転じ、ヘビースモーカーだったのに、タバコを吸う元気もなく一日中ベッドに横たわり目だけがギロッとしているとご家族。祖父母までの家族関係やそれまでの対人関係、特性などを聴き取ると、明らかにアスペルガー障害の特性が続々と…。
         3ヶ月で退院予定だったが、「今の状態では退院させる訳にはいかない」「お薬をいろいろ考えてみます」とドクター。ひとまずは解放の個室なので、環境的なストレスは少ないと思えるが、頭の中は「これまでのやり方(対人関係などのが)通じない。この先どうしたらいいのか?」など、不安と混乱で過覚醒状態と想像できる。しっかり睡眠をとって、必要な薬だけに絞り、安定を取り戻して欲しい、60代男性のケース。
         何らかの愁訴で精神科や心療内科を初診した時に、インテーク面接(これがあるだけでもありがたいが…)と医師の診察で30分から90分程度を割いてくれるところが多いようです。が、愁訴を聴くのは当たり前ですが、その病理や症状が生じた要因を考えて行くための問診は少なく、見立てと治療計画づくりに集中した問診になっているところが多いのも実態でしょう(時間的制限から仕方ないのも事実です)。
         しかし、自閉症スペクトラムなどの発達障害が生得的にあって、その二次障害としての精神症状が生じている場合をはじめとして、家族性や生育歴、その間の対人関係性やその人が認知形成をしてきた心理社会的要因や受け止め方、サポートの有無やその内容、受診に至る直截的なきっかけとなった要因などなどを、しっかりと聴き取ることをしないと、その場のその人の状態だけを診ての「診断」を操作的診断基準に当てはめれば、「○○でもあるし○○の要素もある…」ということになってしまっても仕方ないでしょう。
         生育歴や心理社会的要因、精神症状の経過、直截的なきっかけ(発達障害の二次障害の場合は、必ずあります)などの聴き取りの上での診断と、家族への理解を求める説明、それをサポートするソーシャルワーカーによる支援、必要な服薬や入院治療、医療・福祉制度などの適切な活用、関わる家族や親族・会社や地域の方々への理解と協力を求める働きかけなどがうまく機能していくことが、症状回復には不可欠と思えます。家族会や患者会(自助組織)、カウンセリング、デイケアや福祉サービス等の集団的な病状の理解と受け入れ、自尊心向上、回復への意欲づくりの場なども大切な社会資源ですので、ご家族が医療、行政の窓口、社会福祉関係の相談窓口など、ネット情報も含めて情報を収集し、つながっていくことで、疾患や障害の理解と様々な支援を獲得することから、安心感をもって本人さんを、そしてご家族自身を支える土台を作って行って欲しいと思います。医療や行政が、もっと積極的に情報提供などをしてくれるといいのですが…。
         それでは、今週の気になる記事です。

        「中1ギャップ」心理的変化も要因 若手研究者が報告会

         京都ノートルダム女子大(京都市左京区)で22日、同大学の若手研究者による報告会があり、中学進学時に環境の変化などから不登校になるとされる「中1ギャップ」について、心理学からアプローチした研究成果などが紹介された。
         文学や芸術をテーマに4人が発表した。このうち「中1ギャップ」は、心理学部の佐藤睦子専任講師が研究した。一般に、勉強内容や担任制の違いといった環境変化が原因とされることが多いが、佐藤講師は「12、13歳は心理学的に大きな変化がある」として、小6と中1の各約150人に人間関係や悩みについてアンケートした。
         結果を分析すると、児童らはまず小6で心身の変化を意識し、中1ではその変化に影響を受けて家族や友人に対する気持ちの変化が起きて不安に陥る傾向があることが明らかになった。佐藤講師は、2段階目の心理変化が中1ギャップの要因の一つとみて「この年代の児童生徒を理解するのに役立てば」としている。
        「京都新聞」2月23日(水)8時59分配信

        ●週のはじめに考える 彼を死なせていいのか
         再審の扉は、平成の時代になって、なお重いのかもしれません。裁判の権威を損なわぬためともいわれます。裁判員時代だから考えてみたい問題です。
         見出しの「彼を死なせていいのか」の彼とは、たとえば名古屋拘置所に在監中の奥西勝死刑囚(85)です。
         事件を振り返ってみましょう。
        五十年前の昭和三十六年三月二十八日の夜、三重県名張市の公民館で開かれた地区の会合で、男十二人は日本酒、女二十人はぶどう酒で乾杯。直後に女性らが苦しみだし、五人が死亡しました。
         ◇無罪から一転死刑に
         乾杯した男の中の一人が奥西死刑囚で、ぶどう酒を公民館へ運んでいました。女性関係清算のために、ぶどう酒に農薬を入れて殺害したとする殺人容疑で逮捕され起訴。深夜に及ぶ取り調べの中で「自白」していました。
         裁判は驚くほど転々とします。
         一審判決は、鑑定(ぶどう酒びんの王冠に付いた歯形)や証言が薄弱だから自白は信用できないとして無罪。二審は逆に鑑定の一部を採用し、自白を認めて有罪死刑の言い渡し。最高裁で確定。
         無実を訴える彼は再審を請求。六年前、実に七度目の請求に対し名古屋高裁が”凶器”だったはずの農薬が実際に使われた毒物か疑わしいとして再審の開始を決定したのですが、これも検察の異議が認められ逆転。昨年、最高裁が半世紀も前の農薬とぶどう酒の分析実験を再現せよと命じて高裁に差し戻して、今に至っています。
         この経過から分かることが二つあります。
         一つは「自白」の危うさです。裁判所は概して信用する傾向にありますが、そこにしばしば誤りが潜んでいたことは、過去の多くの冤罪(えんざい)事件の教えるところです。
         ◇裁判の権威とは何か
         二つ目は再審の扉の重さです。確定判決を疑うには、やはり新証拠が必要となります。しかし「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則が再審開始にも適用されるようになり、死刑囚の再審無罪が相次いだのは昭和の終わりごろでした。最高裁はあわてて欧米の陪審・参審裁判研究に乗り出しました。
         ところが、平成に入り再審の扉は再び重くなったようなのです。裁判所の内部はなかなかうかがいしれませんが、元裁判官で最高裁調査官も務めた渡部保夫さんは著書でこう述べています。「裁判をやり直して無罪判決を言い渡すことは、裁判の権威を損なう面があります。ですから、一種の反動として、平成年代になりますと再審の扉が再び堅く閉じられ…」(「刑事裁判を見る眼」岩波現代文庫)。一個人の感想のようですが、当時の司法の姿に根本的な疑義を感じていたのでしょう。
         渡部さんはある統計を引いています。最高裁が下級審の有罪判決を破棄した件数で、昭和五十二~五十六年度は年平均三件、六十二~平成三年度の同二・四件に対し、その後〇・六件へと減っていました。その減少の陰でため息を発している多くの冤罪者がいるのではないか、と推察しています。
         裁判の権威とは一体何なのでしょう。法の安定や裁判の信頼性があげられます。治安への影響もあるでしょう。それらはむろん大切です。しかし一人の冤罪者も生まないこと、それこそが真に裁判に求められる信頼、また権威なのではないでしょうか。
         獄死した死刑囚に帝銀事件(昭和二十三年発生、十二人死亡)の平沢貞通画伯がいます。横山大観の弟子で「大〓(たいしょう)」の雅号をもらった日本画家です。
         逮捕から三十九年後、やっと外に運び出された画伯の顔は小さくて、黄疸(おうだん)によりオレンジ色になっていました。青酸カリを大勢に一度に飲ませる手口から、真犯人には旧日本軍細菌部隊の関連が疑われた事件でした。歴代法務大臣はだれ一人として死刑執行命令書に署名しませんでした。
         奥西死刑囚に話を戻せば、彼は耳が遠く、理解が遅くなり、食事はおかずは無理しても食べるが、おかゆは残すのだそうです。再審を求める裁判はもはや時間との闘いです。
         ◇誤判を減らすために
         人が人を裁くことは難しく、誤判は永遠になくならないのかもしれません。しかし減らす努力を続けねばなりませんし、今や裁判員時代です。市民裁判員は悩みつつ死刑判決を出し、考えつつ無罪判決を出しています。誤判を減らす歩みの中です。
         裁判に必要なのは、重々しい権威などではなく、むしろ権威に対する市民的懐疑であり、だれもが理解できる公正なのです。獄中でもし冤罪に苦しむ人がいるなら、彼らは誤った権威による犠牲とも考えられるのです。閉じこめてはおけません。
        ※〓は、日へんに章
        「東京新聞」2011年2月27日

        ●同じハンドルネームで…同志社、立教大入試でも
         同志社大(京都市)では、2月8日に行われた文学、経済両学部の英語の入試問題の正解を求める投稿が、同じ「YAHOO!JAPAN知恵袋」の掲示板に書き込まれ、答えが寄せられていた。
         投稿があったのは試験開始から5分後で、「その言葉が何なのかを理解するのにしばらくかかったよ。ドイツ語起源なんだね!」との和文を英訳する問題。投稿の14分後に回答があった。
         同大は、26日夜に報道からの指摘を受け、調査を始めた。
         また、立教大(東京都豊島区)の文学部入試でも、英語の試験が行われていた11日付で、同じハンドルネームで解答を求める書き込みがあった。書き込みの5分後に回答が寄せられたが、正答と誤答がまじっていた。
        「読売新聞」2011年2月27日01時08分

        ●内藤大助、いじめられっ子に熱いメッセージ
         22日、都内で、「第5回日本ケータイ小説大賞 表彰式」が行われ、プロボクシングWBC元世界フライ級王者の内藤大助と、カリスマギャルブロガーでモデルのてんちむが登場した。
         大賞を受賞した櫻井千姫さんの「天国までの49日間」はいじめがテーマということで、中学時代にいじめられた経験のある内藤が祝福に駆け付けた。
         作品を読んだという内藤は、「すごくリアルなので、いじめっ子かいじめられた経験のどちらかがあるのかなと思った。でも本人に聞いたらどっちもないって言うから、すごい」と感想を述べた。
         また、どのようにいじめを克服をしたのかについて聞かれると、「ジムに行ったら、人とのふれあいがあって話が合う仲間ができた。そしたら自然と克服できた」と語った。
         最後にいじめられている子どもたちに向けて、「いじめは一生続くわけじゃない。とりあえず死ぬのは待て。つらかったら先生や親に相談すればいい。前向きな気持ちで乗り切ってほしい」とメッセージを送った。
        「共同通信」2011年02月22日16時35分

        ●英単語…難しいと右脳、簡単なら左脳
         難しい英単語を聞くと、右脳の活動が高まり、易しい単語の時には左脳が活発に働くことが、首都大学東京の萩原裕子教授らが小学生約500人の脳活動を計測した研究でわかった。
         右脳は音のリズムや強弱の分析にかかわっているとされ、研究結果は、英語を覚えるにつれ、右脳から左脳に活動の中心が移る可能性を示している。外国語の習い始めには音を聞かせる方法が良いのかなど、効果的な学習法の開発につながるかもしれない。米専門誌電子版に25日掲載される。
         萩原教授らは、国内の小学1~5年生が、難度の異なる英単語を復唱している時の脳活動を測定した。abash、nadirなど難しい英単語を復唱する時は、右脳の「縁上回(えんじょうかい)」と呼ばれる場所の活動が活発になり、brother、pictureなど易しい英単語では左脳にある「角回(かくかい)」の活動が高まった。萩原教授によれば、新しい外国語を学ぶ時には、まず右脳で「音」の一種として聞くが、慣れるにつれ、日本語を聞く時のように意味を持つ「言語」として処理するようになるとみられるという。
         単語の意味を理解するなど言語を処理する能力は主に左脳がつかさどると考えられている。だが、子どもが外国語を覚える時の脳活動については、よくわかっていなかった。
        「読売新聞」2月24日(木)1時49分配信

        年度末がやってくる(;。;)その2。
        2011/02/22
        2月が28日までしかないことにさっき気づきました。何をあわてたかというと、給与計算。NPO法人の方の給与計算をはじめ、会計その他事務全般をほぼ一人でやっている上に、日々の通所利用者やご家族への支援は手を抜くことはできません。自ずと、事務仕事は「後回し…」に。厚労省は、福祉サービス事業所などの事務職員の処遇改善の助成制度を形ばかり作っているが、事務職員がいれば助成金が少し出るというもので、事務職員を置けない事業所には、そもそも関係のない話ですよね。
         ま、ぼやいていても仕方ありませんが、障害福祉サービス事業所の事務は、支援活動をやればやるだけ質・量ともに仕事が増えます。しかしながら、事務職員を雇えるだけの「報酬」=国保連への請求額=市町村からの給付費が保障されてはいません。で、「後回し…」とか、「滞る」をやってしまうと、負のスパイラルに突入してしまいます。一般企業の総務・経理・人事・庶務・渉外・受付などなどの、一切合切を「支援者」の中の「誰か」がやらなければならない現状です。
         そして、パソコン、ネットを活用するためのインフラ整備は不可避なので、経理・労務・経営事務はもちろん、IT関連のスキルもなければ、障害福祉サービス事業所の事務は務まらない、というのが実情なので、どこの事業所も困っているようです。「何とかして欲しい…」と、誰に言えば良いのやら???
         それでは、今週の気になる記事です。

        不登校生徒ら17万人以上 訪問専門員制度で改善なるか

         全国で小、中、高校あわせて17万人以上いるとされる不登校の児童・生徒。近年は徐々に減少傾向にあるが、対応方法や解決策が見いだせない家庭も多く、依然として教育現場に横たわる大きな問題となっている。解決策を探って保護者らを支援しようと、引きこもりや不登校の問題を抱えた経験をもつ保護者らでつくる協議会が、「不登校訪問専門員」の資格制度を昨年創設した。専門員は家庭を訪問するなどして問題解決の手助けをする。専門員の活動が不登校で悩む家庭の支えになるか、今後の活動に注目が集まっている。
         ◇減少傾向でも…対応にとまどう保護者
         文部科学省によると、平成21年度の不登校の児童・生徒数は小学生で約2万2千人、中学生で約10万人、高校生で約5万1千人で、いずれも前年より減少している。ただ、21年度の小学生は3年度の不登校児童数よりも約1万人多く、中学生にいたっては3年度の約2倍になっている。
         不登校になったきっかけは、原因がはっきりしないが極度の不安や緊張、無気力になっている「その他本人にかかわる問題」が最も多く計約7万2千人。これに続き、「いじめを除く友人との人間関係」の計約2万7千人、「学業の不振」の約1万9千人と続いている。
         文科省は15年に不登校に関する報告書をまとめ、保護者や関係機関への情報共有を指示するなど、不登校問題の改善に取り組んできた。その成果もあって、不登校の人数自体は減少傾向にあるが、同省担当者は「依然として大きな課題であり、今後も問題改善に取り組みたい」としている。23年度には不登校問題の現状について再度調査することを検討しているという。
         ただ、改善に向けて動き出したようにみえる不登校問題だが、保護者からは学校現場に対して不安や不満の声も上がっている。
         4年前に当時小学6年の長女が不登校になった北海道内に住む40代の会社役員の男性は、「学校の先生も忙しいためか、いじめに気付いていなかった。先生から『いつから学校に来られますか』と聞かれたこともある」と学校の対応に失望した。
         男性は学校の教職員らも不登校の児童に対する対応が十分に分かっていないと指摘した上で、「教師が分からないのだから、まして保護者はどうしていいか全く分からない。情報の共有などは十分とはいえない」と話した。
         ◇経験をもとに専門員…2年以内に3千人目標
         こうした課題の解決に民間レベルでも取り組もうとする動きが現れている。引きこもりの子供らを持つ家族などでつくる一般社団法人「ひきこもり支援相談士認定協議会」(北海道千歳市、奥山雅久会長)が、不登校問題を抱える家庭を支援する「不登校訪問専門員」の資格制度を昨年創設した。この資格制度は問題への対応方法や医学的知識を持つ専門員を育成し、家庭訪問などを通じて支援する取り組みだ。
         専門員の資格取得を目指す受講者は、同会が作成したDVDなどの教材で不登校問題への対応を学習。教材には実際の事例をもとにした対応方法や、不登校とかかわりの深い鬱病、発達性障害などの病気の解説もある。教材で不登校児童・生徒への対応方法などを学んだ受講者はリポートを作成し、それを同会が採点して合否が決まる。同会は昨年11月中旬に募集を開始しており、2年以内に3千人の専門員を誕生させるのが目標だ。
         同協議会によると、現在、資格取得を目指しているのは約280人。受講者の多くは、自分の家族が不登校になった経験を持つ人や、学校の関係者だという。長女が不登校になった経験がある東京都調布市の技術コンサルタント、恒川吉文さん(53)もそのうちの1人だ。
         恒川さんの長女も数年前、中学時代のいじめをきっかけに、高校で出席する日数が減っていった。恒川さんは当時、対応方法が分からず、妻も体調を崩しがちになり、恒川さんは当時務めていた会社を辞めざるを得なくなった。
         長女は現在、同じ悩みを共有する保護者の会などの支えもあり、介護ヘルパーの資格を取得。社会復帰の道を歩んでいるが、恒川さんは当時、「がんばれ」など親としての考えを押しつけ、精神的に追い込んでしまっていたという。
         学校にはスクールカウンセラーなども配置されているが、恒川さんは「いじめが原因だった長女は学校に相談することをあまり望まなかった。第三者の専門員だから相談してもらえるケースもあるはず」と話している。
         恒川さんは先月、リポート試験に合格し、専門員の資格を取得。「専門員としての知識を活用し、不登校に悩む子供たちや保護者らを少しでも多く救いたい」と意欲をみせている。
         すでに恒川さんを含め、約10人の専門員が誕生。今後順次、リポート試験に合格した専門員が誕生し、できるだけ早いうちに問題を抱える家庭への派遣を始めるという。同協議会の木村栄治理事長は「子供の不登校にどう対応していいか分からない保護者は多い。専門員の活動を通じて問題を抱える家庭を救うことができれば」と話している。
         学校でも保護者でもない第三者として不登校問題の解決に取り組む訪問専門員。この活動が広がりをみせ、問題の改善につながるのか。今後の活動に期待が集まっている。
         資格制度や専門員派遣の問い合わせは、ひきこもり支援相談士認定協議会(電)0123・42・0500。

        ●ひきこもり:1471人確認 20、30代が7割超--県初調査/兵庫
         ◇不登校が「予備軍」に
         県は17日、「ひきこもり」に関する初の実態調査の結果を発表した。調査でひきこもりを確認できたのは1471人で、有効回答のうち7割超が7年以上の長期間にわたり、ひきこもりを継続していることが分かった。また、20代と30代で全体の7割超を占め、不登校からひきこもりへと移行するケースが3割超に上ることも明らかになった。都道府県によるひきこもりの調査は、東京都や奈良県に次いで3例目。
         調査は、ひきこもりや不登校などの子どもや若者を支援するネットワーク「ひょうごユースケアネット推進会議」(座長・小林剛県立神出学園長)が、昨年5~9月に実施。県立精神保健福祉センターや民間の支援団体、家族などに、アンケートや訪問調査をした。設問ごとに有効回答数は異なっている。
         調査結果によると、性別では、男性(全体の77%)が女性(同23%)の3倍超だった。将来への期待などプレッシャーをかけられるケースが男性に多いことが要因として考えられるという。年代別では、20代が44%と最も多く、30代が29%と続く。ただ、40~60代以上も18%と少なくなく、職場でのトラウマからひきこもりになったケースとみられる。
         ひきこもりを始めた年代は、10代が65%と最も高い。全体の35%が小中高校で不登校の経験者だったことから、不登校がひきこもりの「予備軍」になっている様子がうかがえる。ひきこもりの期間は7年以上が全体の73%を占め、ひきこもりを12年間続けている男性(41)もいた。
         調査を担当した小林学園長によると、ひきこもりからの回復には▽不安や葛藤から暴力などが出る「撤退期」▽家庭で一見安定した生活をする「安定期」--などの段階を経ると指摘。親や家族が真っ正面から向き合い、各種の情報に関心を持ちながら、専門機関などに支援を求める必要がある。また、不登校の時から十分支援することも大切という。
         内閣府が昨年7月に公表した全国推計に基づくと、県内のひきこもりは1万286人と推定される。小林学園長は、確認された1471人との差を「支援を受けずに家庭で静かにしているケースがあるのでは。専門機関などで十分な支援が得られるので、相談してほしい」と分析している。
        「毎日新聞」2月18日(金)13時6分配信

        ●桐生の小6自殺訴訟、市と県が両親と争う方針
         群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(当時12歳)が昨年10月に自殺したのは、学校でのいじめや学校側の不適切な対応が原因として、両親が市と県に3200万円の損害賠償を求めた訴訟で、市と県は、いじめと自殺の因果関係や自殺の予見可能性を認めず、請求棄却を求める方針を固めた。18日に前橋地裁で開かれる第1回口頭弁論で主張する。
         市関係者らによると、明子さんの6年次の欠席が6日と少ないことや、1人で給食を食べる状態が常時続いたわけではなかったことなどが、自殺の予見可能性などを認めない理由という。
         市教委が昨年11月にまとめた調査報告では、いじめがあったことを認めたが、「(自殺の)直接的な原因となるものは特定できなかった」としている。現在は、市が同12月に設置した第三者調査委員会が因果関係について調べており、3月までに調査結果を出す方向。
         両親側は、明子さんはクラスメートから悪口を言われ、1人で給食を食べるなどして精神的に追い詰められていたのに、担任や校長が放置し、いじめ防止や、自殺を回避する措置を取らなかったと主張。こうした状態が続けば、明子さんが自殺することは予見できたと訴えている。
        「読売新聞」2月17日(木)3時4分配信

        ●桐生の小6女児自殺:損賠訴訟 いじめとの因果関係争点に--第1回口頭弁論/群馬
         ◇法廷にすすり泣き
         桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡る訴訟は18日、前橋地裁で第1回口頭弁論があり、市と県が請求棄却を求めて幕が開いた。昨年10月23日に自宅で首をつってから間もなく4カ月。明子さんの同級生は3月に卒業し、教職員の定期異動も控えている。事実関係がうやむやになるのを恐れる父竜二さん(51)は「事実を知りたい」と訴えた。訴状が読み上げられる間、法廷では時折、両親のすすり泣く声が響き渡った。
         ◇第三者委結論が影響も
         西口元(はじめ)裁判長は冒頭、「文書を取り交わすだけでなく、法廷でしっかり弁論し、事案の解明をしていきたい」と述べた。この日の弁論は、1回目としては異例の約1時間に及んだ。
         市側は答弁書で「いじめが自殺の原因だったとは即断できない」と主張する一方、因果関係については「市の第三者委員会の調査結果を踏まえて市側の主張を述べたい」とし、詳細な反論は後日に行う方針を示した。
         一方、市側が「いつ、誰が、どのようないじめを行ったか、可能な限り明らかにしてほしい」と求めたため、両親側は「アンケートや聞き取り調査の詳細な結果など、市側が大事な部分を出さないことに問題がある」と反論。学校側の内部調査結果などについて、市側に文書提出命令を出すよう前橋地裁に申し立てた。
         西口裁判長は今後の論点について(1)いじめの存在と、学校側のいじめの認識の有無(2)学校側がいじめを放置し安全配慮義務に違反したか(3)いじめと自殺の因果関係--の3点に整理。次回の5月20日以降、双方が主張を述べ合うことを確認した。
         弁論終了後、竜二さんは前橋市内で会見に臨み、「いじめで明子が自殺したことを認めてほしいだけなのに、認めてもらえないままずるずる裁判になってしまった。5月の弁論までが長い」と語り、長期化への焦りをにじませた。
         また「明子の仏壇に向かって『行ってきます。一緒に一生懸命戦おう。応援してね』と声を掛けて家を出た。(訴状の読み上げで)自殺までの経過を聞くうちに、明子との思い出がよみがえってきた。いじめと自殺の因果関係を認めてもらうまでは絶対に納得できない」と訴えた。
         ◇訴訟長期化、遺族に負担
         いじめ自殺を巡り、遺族が自治体の責任を問う損害賠償請求訴訟は、長期間に及ぶケースが多い。
         いじめ問題の解決に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)理事の小森美登里さん(54)によると、いじめと自殺の因果関係を立証するには、いじめの実態を知る児童生徒や教職員など、法廷で証言してくれる協力者探しをしなければならず、多大な労力と時間を要するという。
         小森さん自身、98年に当時高校1年だった一人娘の香澄さん(当時15歳)が自殺し、01年に県などを相手取り、横浜地裁に提訴。東京高裁で県との和解が成立するまで約6年半かかった。
         小森さんは「遺族の精神的、金銭的な負担を考えれば、裁判が短期間で終了するのが望ましいが、ある程度の時間が経過しなければ証言できない人もいる。裁判の長期化に備え、遺族を精神的にサポートする体制が必要になる」と話した。
         他に、自殺から裁判終了まで長期間に及んだ例としては、「このままじゃ『生きジゴク』になっちゃうよ」との遺書を残して86年に自殺した東京都中野区の中2男子生徒の場合、東京高裁で「いじめが自殺の主な原因」との判決が出たのは94年。95年に自殺した新潟県上越市の中1男子生徒の場合、03年に東京高裁で和解が成立した。
        「毎日新聞」2月19日(土)12時43分配信

        ●<過労自殺>遺族が「企業の指導怠る」と国を提訴
         東証1部上場のプラントメンテナンス会社「新興プランテック」(横浜市)に勤務していた男性(当時24歳)の過労自殺を巡り、遺族が22日、同社と国に総額約1億3000万円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。「会社と労働組合の労働協定が極度の長時間労働の要因となった」としたうえで、「協定を受理した国が適切な指導監督を行わなかった」と主張している。
         原告側代理人によると、民間の過労死を巡って国の監督責任を問う訴訟は初めて。
         訴えによると、男性は07年4月に入社。千葉事業所に配属されて現場監督などをしていた。人手不足や工期遅れなどから長時間労働を強いられ、08年3月以降は時間外労働が100時間を超える月もあった。男性は精神障害を発症し、同年11月に自殺。昨年9月に労災認定された。
         会社と労組は、月150時間(納期が切迫している時は月200時間)までの時間外労働を認める協定を結んでいた。遺族側は「協定は労働関係法令に違反している」と会社の責任を問うとともに、協定を受理した千葉労働基準監督署についても「会社や組合に是正を求めることなく受理し、適切な指導監督を行わなかった」と主張している。
         千葉労基署は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。新興プランテック総務部は「訴状が届き次第、内容を検討して対応したい」とコメントした。
        「毎日新聞」2月22日(火)18時51分配信

        ●NHKスペシャル『無縁社会』に出たニコニコ生放送ユーザーが語る”演出への違和感”
         ガジェット通信一芸記者の、みつき@なごやです。私は、2011年2月11日(金)に放送されたNHKスペシャル『無縁社会~新たなつながりを求めて~』に『ニコニコ生放送』利用者として出演しました。この番組に関しては放送直後から「ニコニコ生放送利用者に対する表現が暗すぎるのでは」という声があがっており、さらに翌日の討論番組が放送された後には「番組で紹介されたツイートは、やらせなのでは?」という疑惑もあがりました。この「無縁社会」というドキュメンタリー番組は2010年1月に放送されたものが最初です。孤独死がテーマのこのドキュメンタリーを起点としたNHKのキャンペーンは昨年話題となり、「無縁社会」という言葉は流行語大賞にノミネートされたほどです。今回の放送は「無縁社会」の存在を前提として、それではそれを解消する”絆”をつくるためにはどうしたらいいか、という内容です。しかしそれに関しても上記のような問題点の指摘がなされ、さらには「そもそも無縁社会って悪いものなの?」という議論まで巻き起こっている状況です。
         今回私はNHKさんに取材を受け、「ニコニコ生放送でのネット縁でつながりを持つ人」としてこの番組に出たわけですが、実際にこの番組に出た人間として、この番組に感じた違和感や、事実と違った部分を率直に書きたいと思います。
         ◇「ネット縁」に対して前向きに考えて出演を承諾したのに、「無縁だからネットに逃げ込んでいる」ような演出をされてしまった
         私は昔からオンラインゲーム(ウルティマオンライン)に夢中になったり、ブログや、友人同士でヤフーチャットで楽しみながらタイピングの練習をしたり、スカイプを使用して、距離的に離れた友人とお話したりしていました。こういった点でネットに”縁、つながり”を感じているため、今回の企画の取材を受けました。これはあくまで「ネット縁」を前向きに捉えて企画趣旨に賛同したものです。私には家族もおりますし、友人もいます。結婚したから連絡が取りづらくなった友人はいますが、友達がいないわけではありません。この番組シリーズでいう「無縁」とは違う状況だと思います。あくまでも「遠くにいる友だちとチャットで連絡を取り合える」ことや「見知らぬ人とでもニコニコ生放送を通してコミュニケーションできる」という新しい「ネット縁」がこれまでにない新しい「縁」を生み出しているという点を知ってもらう一助となればということで取材を受けたつもりでした。
         ですが今回の放送を観て、とても違和感を感じました。父の看護で疲れ、友人もおらず、現実逃避のためネット生放送を利用し、ネットの先の見知らぬ人に対して居酒屋や公園でひとりぼっちで話しかける。まるで現実には人と触れ合いの少ない「無縁」な人みたいです。私は接客業をしていますから人との触れ合いもあります。実際にお店で働いているシーンもNHKの方は撮影されていました。しかし、その部分は番組では使われませんでした。
         ◇実年齢を公開される
         いきなり放送で実年齢が公開されたのにもびっくりしました。『ニコニコ生放送』で放送する私の設定は「アラサーで婚活中の女子」というものだったのですが、実年齢は38歳なので本当はアラフォーです。笑い話みたいですが、年齢が公表されてしまうとこの設定が使えません。取材時にNHKさんには「ニコニコ生放送ではアラサーという事にしていますが、本当は38歳なんです。リアル友達にニコニコ生放送やってると言ったら、その年になってなにやってんの!? と言われてから、ニコニコ生放送をやっている事はリアルでは言わない事にして、放送上では年齢的にイタイと言われないようにアラサーという表現をしている」と説明しました。『NHKスペシャル』で画面に自分の年齢が表示されたのには、とてもびっくりしました。
         ◇演出への違和感
         私自身、番組のナレーションのトーンや内容がとてもとても暗い感じであることに、たいへん違和感を覚えました。少なくとも私はそこまで悲壮感を抱いて『ニコニコ生放送』で放送はしていないかな、と思います。
         ただ、客観的に第三者から見たら、配信してる様子ってそう見えるのか……と冷静に考えさせられました。
         「無縁」がこの番組のテーマですので、私が「無縁」な人だという風に見せたかったのかもしれません。なので、現実世界で「無縁」な私が「ネット縁」にすがっている、と見えるような演出をされたような気がします。しかし実際にはそんなことはありません。例えば最初の居酒屋のシーンで「ひとりぼっちの飲み会」というキャプションが入ります。確かに一人でやっているので間違いではないですし、そういうキャラだからいいと言えばいいのですが、それでも「ネット縁でつながった友達と一緒に楽しむ飲み会」という趣旨で取材していただいているのだと思って飲み、食べ、歌もうたったのに、いきなり「ひとりぼっちの飲み会」というキャプションを入れられてしまうと本当に、単に友達がいなくて寂しくて居酒屋にやってきてパソコンに向かって話しかけている人みたいに見えてしまうと思います。『ニコニコ生放送』を知っている人であればまだ状況を理解できると思いますが、そうではない人が見ると、本当に単にイタイ人みたいに見えてしまうのではないでしょうか。
         ◇ナレーションの間違い
         ナレーションにも間違いがありました。
         「結婚を考える余裕もない、今の生活。将来ひとりきりになってしまうのではないか。その不安で、インターネット中継をはじめたと言います」というナレーションが入りましたが、私は企業コミュニティのウェブ担当に「生主にならないか?」とスカウトされたことで『ニコニコ生放送』をはじめました(企業コミュ専属生主)。これは『ニコニコ大百科』というサイトにも掲載されている事実です。ナレーションにあるような「ひとりきりになる不安」で『ニコニコ生放送』を始めたわけではありません。
         ◇ニコニコニュースさんからの取材について
         NHKさんからの取材とは別にニコニコニュースさんからの取材も受けました。30分ほどの電話取材でした。この内容は放送日に記事として公開されました。主にNHKさんからの取材内容についてお話しました。電話取材の途中に「リアルで友人がいるなら無縁ではないのでは?」ということを質問され、職場での縁つながりやネットでのつながり、またはリアルでのつながりというテーマでお話しました。NHKさんの取材にもニコニコニュースさんの取材にも共通して答えた事は「趣味で生放送しているので、趣味仲間ができると嬉しい」「生放送で同じ時間を過ごすのであれば、どうせなら楽しくわきあいあいとした笑顔な時間にしたい」といった内容でした。
         ◇放送日まで、どのように放送されるかまったくわからなかった
         NHKの記者さんからは、「番組テーマ的に凄く明るい内容ではないけれども、悪いようには編集しないので安心して下さい。最後には明るくなるように編集しますから」と言われていました。どの様な取り上げ方や編集の仕方になるのか不安でしたが、信じることにしました。しかし実際に放送された、悲壮感あふれる演出には違和感がありますし、公表して欲しくなかった情報やナレーションの間違いなどがありました。
         以上、NHKスペシャル『無縁社会~新たなつながりを求めて~』に出た人間として感じた違和感や間違っていると思う点などを率直に書かせていただきました。
        2011.02.1521:15:02byガジェ通一芸記者

        ●抗精神病薬の使用は統合失調症患者の脳組織喪失につながる
         統合失調症治療における抗精神病薬の使用は、わずかではあるが無視できない量の脳組織の喪失(braintissueloss)に関連することが、新しい研究によって明らかにされた。
         米アイオワ大学カーバーCarver医学部(アイオワシティ)精神医学のBeng-ChoonHo氏らは、統合失調症患者211例を対象に、7.2年間に平均3回、計674回の脳MRIスキャンを実施した。その後、罹病期間、疾患の重症度、薬物乱用、抗精神病薬投与という4つの因子による脳容積の長期的な変化を検討した。
         研究の結果、より長い罹病期間および抗精神病薬投与はいずれも脳組織の喪失に関連していた。抗精神病薬が高用量になると、脳組織全体の喪失がみられ、灰白質が減少し、白質は徐々に減少した。疾患重症度と薬物乱用は脳組織の変化とほとんど、あるいはまったく関連していなかった。
         同氏らは、「抗精神病薬は脳組織の喪失を引き起こすが、長期投与のベネフィット(便益)はリスクを上回る。ただし、今回の知見は、症状の管理に必要な最低用量(minimalamount)を処方することの重要性を示している」としている。この知見は、双極性障害やうつ病など、統合失調症以外の精神面の健康に問題がある患者に対する抗精神病薬処方にも懸念をもたらす。
         付随論説の著者である別の専門家は「この知見を、統合失調症治療における抗精神病薬の使用中止の理由とすべきではない」と記している。研究結果は、医学誌「ArchivesofGeneralPsychiatry(一般精神医学)」2月号に掲載された。
        (HealthDayNews2月7日)
        年度末がやってくる(;。;)。
        2011/02/11
         最近、ほんと忙しくて、ヘトヘト状態です。風邪がやっと治ったような気がしているのに…。
         施設見学、実習生の受け入れ、福祉サービス「生活訓練」に関する厚労省委託事業としてのアンケートやヒアリング対応、福祉サービス受給者証の期間延長申請に係る諸手続・会議、緊急対応などなど、通常の法人・事業所の業務にイレギュラーが重なり、時期的に年度末に…。
         仕事を探しておられる皆さんには申し訳ない話ですが、猫の手も借りたい心境ながら、人を雇うだけの財政的余裕がない、という矛盾の中での苦悶です。
         それでは、今週の気になる記事です。

        年金切り替え漏れ数十万人=夫が脱サラ、退職の専業主婦—救済策周知へ、年金機構

         サラリーマンの夫が退職や脱サラで厚生年金の対象から外れた場合、専業主婦の妻は市町村に届け出て、国民年金保険料の支払いが必要になるが、日本年金機構は31日、この切り替え手続きをしていない人が「数十万人、場合によっては100万人以上に上る可能性がある」との推計を明らかにした。厚生労働省は、こうした専業主婦を対象にした救済策を今年1月から実施しており、同機構は周知を図る方針だ。
         現行制度では、▽自営業者ら国民年金加入者を1号▽厚生年金や共済年金の加入者を2号▽2号に扶養される配偶者を3号被保険者とし、3号は保険料の支払いが不要。2号の夫が転職などで1号となったり、妻の収入が年収130万円以上になったりした場合、妻は1号として市町村に届け出る必要がある。これを怠ると、受給額が減額されたり、全く受け取れなくなったりする恐れがある。
         しかし、同省は、切り替えの必要性が周知徹底されていなかったとして、今年1月から過去2年分の国民年金保険料を納めれば、それより前の期間は保険料を支払ったとみなすことを決めた。 
        「時事通信」1月31日(月)23時44分配信

        ●死刑囚の精神状態を全国調査 「拘束が原因の異常」数人
         千葉景子元法相が在任中の昨夏、全国の拘置所に収監中の死刑囚約110人の精神状態を調べるよう指示し、広範囲に精神鑑定を実施したことがわかった。鑑定の結果、精神状態に異常をきたす「拘禁反応」が疑われる死刑囚も数人いた。法務省によると、死刑囚の精神状態を死刑執行前に調べる場合はあるが、全国一斉に調査した例はないという。
         法務省は死刑執行の検討過程のほか、死刑囚の精神状態や医療行為についても、個人のプライバシーなどを理由に弁護人にも非公開としている。日本弁護士連合会(日弁連)や人権団体からは「処遇や執行が適切に行われているのか検証できない」という批判がある。今回の精神鑑定についても結果を公表する予定はない。裁判員裁判が定着し、市民が死刑の是非についても判断し始めている中、死刑制度をめぐる情報公開のあり方の面からも議論を呼びそうだ。
         同省関係者らによると、千葉氏は法相だった昨年8月下旬、静岡県で1966年に一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑判決が確定した袴田巌死刑囚(74)の救援をめざす議員連盟の議員と面会。冤罪(えんざい)の可能性と精神状態の悪化を理由に死刑執行の停止を求められた。
         要望を受けた千葉氏は、人権上の観点などから、袴田死刑囚に限らず、全国7カ所の拘置所に収監されている死刑囚約110人全員の精神状態を把握する必要があると判断し、精神的に不安定な死刑囚には精神鑑定を実施するよう同省に指示。広範囲に調査と鑑定を行った結果、拘禁反応が疑われる死刑囚が数人判明した。
         刑事訴訟法では、鑑定で責任能力が問えない「心神喪失」と判断された死刑囚は、法相の命令で死刑執行が停止されるが、今回は心神喪失に該当するケースはなかったとされる。
        「朝日新聞」2011年2月11日3時29分

        ●わいせつメール大量送信処罰へ…改正案今国会に
         政府は9日、わいせつな画像を含む電子メールを大量に送る行為を処罰する規定を設けた刑法改正案を今国会に提出する方針を固めた。
         わいせつ画像を添付した迷惑メールを送りつける業者を新たに取り締まりの対象とすることで、こうした行為に歯止めをかける狙いがある。
         現行法は、写真や雑誌、DVDなどを想定して、「わいせつな文書、図画その他の物を頒布、販売し、公然と陳列」する行為を禁止している。電子メールは「物」にあたらないとの解釈から、直接処罰する規定はなかった。
         法改正では、「わいせつな電磁的記録の電気通信の送信による頒布」の禁止規定を新設することで電子メールも対象とする。違反者は2年以下の懲役か250万円以下の罰金とする。
        「読売新聞」2月10日(木)3時5分配信

        ●脳神経細胞:幹細胞培養液で再生 名古屋大・ラットで成功 「大量生産」「安価」に道
         ◇生きた細胞使わず がん化、拒絶反応のリスク軽減
         名古屋大の研究チームは、臓器などの細胞の基になる幹細胞を培養した液体を使い、脳梗塞(こうそく)を起こしたラットの脳神経細胞を再生させることに成功した。3月1日から東京都内で開かれる日本再生医療学会で発表する。生きた細胞を使わないため、将来、薬のように大量生産し、多くの患者に安価で使える可能性がある。
         同大の上田実教授(顎(がく)顔面外科)らは、ヒトの乳歯から取り出した幹細胞の培養液を濃縮し、その粉末を生理食塩水に溶かして、脳梗塞で歩けなくなったラットの脳に注射した。すると、ラットは6日後に歩けるようになり、脳神経細胞が再生して脳梗塞の範囲が小さくなった。
         さらに、同じ粉末を溶かした生理食塩水を、ラットの鼻から2週間続けて注入したところ、歩けるようになったうえ、脳梗塞の範囲は脳に直接注射した場合の約3分の1まで小さくなった。
         チームは、幹細胞に含まれるたんぱく質が、体内に存在する別の幹細胞を患部へ誘導して細胞を再生させていると推測。培養液にも同じたんぱく質が溶け出し、幹細胞を移植しなくても、同じ効果があったとみている。
         上田教授は「再生医療の常識を変える結果だ。細胞を移植しないので、がん化や拒絶反応の心配が少ない。事前に準備でき、発症直後の治療が必要な脊髄(せきずい)損傷患者への効果が期待できる。作成コストも、幹細胞より大幅に安くすむ」と話す。
        「毎日新聞」2011年2月2日

        ●生活保護世帯最多法改正へ
         厳しい雇用情勢が続くなか、去年11月に生活保護を受けた世帯は、これまでで最も多い142万世帯に上ったことが分かりました。厚生労働省は、受給者の自立を支援して増加に歯止めをかけようと、来年度中に生活保護法の改正を目指すことにしています。
         厚生労働省によりますと、去年11月に生活保護を受けた世帯は、前の月より8839世帯増えて、全国で142万6659世帯とこれまでで最も多くなりました。増えた世帯の内訳は、「高齢者」が2254世帯、「母子家庭」が1106世帯、「障害者」が1246世帯で、最も多かったのは、仕事を失った人を含めた「その他の世帯」で2803世帯となっています。これに伴って、生活保護を受けている人数も、前の月より1万2945人増加して197万7153人と、200万人に迫る勢いで、最も少なかった平成7年と比べると2倍以上に増えています。厚生労働省は、失業を理由に生活保護を受けている人の自立支援を強化するなど、増加に歯止めをかける対策を検討して、来年度中に生活保護法の改正を目指すことにしています。
        「NHKニュース」2月6日5時10分

        ●アルツハイマー原因物質、減少の仕組みを解明
         正常な神経細胞内で、アルツハイマー病を引き起こすたんぱく質が蓄積するのを防止する仕組みを、名古屋大学大学院理学研究科の松本邦弘教授と久本直毅准教授らの研究グループが解明した。
         9日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」で発表する。
         アルツハイマー病の発症については、たんぱく質「β(ベータ)アミロイド」が神経細胞の先端の「軸索」で大量に蓄積し、シミ状の「老人斑」ができることが原因の一つとされている。久本准教授らは、人の神経細胞と共通の仕組みを持つ線虫を使って、アミロイドの動きを解析。「ダイニン」という別のたんぱく質がアミロイドと結合し、軸索からアミロイドを運び出していることを突き止めた。
        「読売新聞」2月9日(水)7時23分配信

        ●「30代引きこもり」6割!年金親と共倒れ
         数年前までは若者の問題とされた引きこもり(ヒッキー)が30~40代に広がっている。去年(2011年)、内閣府が行った調査によると、引きこもりは全国に70万人、その63%が30代だった。
        引きこもりになったきっかけは、就労経験不足や「就職氷河期」と呼ばれる状況の中で、望んでいた仕事に就けなかったというのが多い。こうしたひきこもりの人たちが社会復帰を望んでも、履歴書の空白や社会経験の不足で就職は難しい。
         そして、いよいよ深刻となっているのは、彼らを支える親の高齢化だ。年金暮らしの親は、引きこもりの子供の面倒をもはや見られなくなってきている。
         ◇途方にくれる71歳の母親
         キャスターの国谷裕子は「親の年金を頼りに生活するヒッキーが増えているいま、親が亡くなった後をどう生き残るのか。再び社会復帰ができる手立てはあるのか」と問いかける。
         「クローズアップ現代」は30~40代ヒッキーを持つ親たちの集まりである福岡県の「くすの会」を紹介した。60歳以上で構成されているこの会のメンバーは、「社会人としてきちんとした人間関係が作れるのか。それが大きな気掛かり」と話す。また、40歳の息子が引きこもりとなっている71歳の母親は、「何をしたらいいのかわからない」と途方に暮れる。
         引きこもり問題を長年取材してきた池上正樹(ジャーナリスト)はこう解説する。
         「本人たちは社会に出て行きたいと思っているんです。でも、今の社会や経済情勢を見れば、出て行くのは難しいとあきらめてしまっています」
         国谷が「雇用状況が厳しく、履歴書に空白の年数があれば就職も困難だという現実も分かるが、なんとかできないでしょうか」と聞くと、「同居している家族の問題もあります。自分の家族に引きこもりがいるということを知られたくないと隠すことが多々あるんですね」と池上は話した。
         ◇ヒッキー積極採用企業
         番組ではこうしたヒッキーを積極的に採用している企業を紹介した。一緒に弁当を食べながら話しかけていく先輩社員や1日2時間の仕事からはじめて、8時間できるようになったら正式採用する。
         池上は「行き詰まったら声を上げて欲しい、SOSを出して欲しい」と言うが、それができれば引きこもりにならないんじゃないか。国谷も「引きこもりの予備軍は150万人以上いると言われています。そんな社会が正常な社会というのでしょうか」と疑問を投げかけた。
        年金暮らしの親と中年引きこもりの共倒れという事態が、目の前に迫っている。
        「j-cast.com/tv」2011.2.8

        ●人類の脳、3万年で1割縮小進化か退化か?
         人類の脳の大きさが過去3万年で縮小しているとの研究結果が米科学誌ディスカバー(Discover)に発表された。科学者たちは、これは知能が低下しているのではなく脳がより引き締まり効率的になった「進化」ではないかと主張する一方、戸惑いも見せている。
         欧州、中東、アジアで発掘された頭がい骨を測定した結果、現生人類「ホモ・サピエンス(Homosapiens)」の脳の平均サイズは、3万年前と比べて約10%縮小し、1500立方センチメートルから1359立方センチになっていた。縮小はテニスボール1個分に相当する。
         ◇「生存の危機」なくなったのが縮小の原因か?
         3万年前ごろに原因不明の絶滅をした現生人類の近縁種ネアンデルタール人は、現生人類よりもはるかに大きな脳を持っていた。また、1万7000年ほど前にラスコー洞窟(どうくつ)の壁画を残したホモ・サピエンスに属するクロマニヨン人の脳も、現代の人類の脳よりも大きかった。過酷な環境で生きていくために、大きな脳が必要だった、と米ミズーリ大学(UniversityofMissouri)の心理学者デビッドギアリー(DavidGeary)教授はみている。
         ギアリー教授ら研究チームは、人口密度の増加に従って脳が縮小したことに着目。人口密度が増加すると、人びとが互いに近くで暮らすようになり、集団間・階層間での交流が増えるとの仮定のもと、「人口密度増加は社会の複雑さが高まることを示している」と考えた。
         「複雑な社会が誕生すると、ヒトは生存するために知能を使う必要がなくなったので、脳が縮小したのではないか」と、ギアリー氏はAFPに語っている。
         ◇脳の大きさと知性に関連性はあるか
         一方、人類の脳が小さくなったことは知性の低下を意味しない、と米デューク大学(DukeUniversity)の人類学者、ブライアン・ヘア(BrianHare)准教授は語る。むしろ、別種の、より洗練された知性を身につけたのだという。
         ヘア准教授は、同様の現象が野生動物と飼育動物との間にもみられると指摘。たとえばハスキー犬はオオカミよりも脳が小さいが、ハスキーはまるで人間の子どものように人びとの会話や身振りを理解でき、つまり、より洗練された知性を持っている、とヘア氏は語る。
         「オオカミはイヌよりもはるかに大きな脳を持っているが、イヌの方が(オオカミより)はるかに洗練されていて知性的で柔軟だ。つまり、知性は脳の大きさと関連性があまりないといえる」とヘア氏は指摘した。(c)AFP/Jean-LouisSantini
        「AFP」2011年02月07日14:12 発信地:ワシントンD.C./米国

        なかなか風邪が治らない…。
        2011/01/30
        昨年末に、胃腸の炎症を主症状とする感染症(=ひとまず風邪との診断)で、寝正月を過ごし、少し無理気味に仕事を再開したものの、しばらくして、鼻水、のどの痛みなどの、いわゆるの風邪症状が生じ、今日で1週間近くになります。
         未だに症状の改善はみられませんが、熱が平熱であるため、仕事に大きな支障はありません。常時マスク着用で耳が痛い、鼻水をかんでばかり、という不便さはあります。インフルエンザも、仕事上の必要性から検査を依頼し、1件目の診療所では「発熱のないインフルエンザはないので、検査の必要もない。検査だけの目的で医療保険を使うのは、使い方が間違っている」とご指摘をいただき、2件目の病院では症状と念のための検査を…と説明中にすでに検査キットの綿棒が鼻の前に…。
         どちらが良いのかわかりませんが、過剰な反応は考え物です。ただ、発熱を伴う場合は、感染を最小限に抑えるためにまず検査は必要でしょう。それも、発熱後すぐに…。発熱が治まると、陽性判断ができなくなるようです。
         年始、仕事再開と同時に、正月にやろうと思っていた大学院単位認定試験勉強ができなかったため、夜の時間に300頁を超えるテキストを読むという苦行をしたことなどから無理がたたって、体力低下、風邪ウイルス感染したものと思われます。幸い、試験は、我なりに良くできた方だと思います。(結果はわかりませんが…(^^))
         みなさんも、できるだけ無理せず、よく食べ、よく寝て、暖かくして規則正しい生活を心がけて下さい。私が言っても、説得力はありませんが…。
         それでは、今週の気になる記事です。

        知的障害年金:認定基準を明確化 発達障害は新設 厚労省

         厚生労働省は、知的障害者の受給する障害年金の等級認定基準を見直し、明確化する方針を決めた。「基準があいまい」との指摘を受け、食事の介助の程度や会話能力などを示す。また、これまで知的障害の基準が適用されてきた発達障害の認定基準を新たに設け、コミュニケーション能力などを例示する。専門家の意見を踏まえて、来年度に関連通知などを改正する。
         現行の認定基準は、身体障害は視覚障害の場合、1級は「両眼の視力の合計が0.04以下」などと具体的。しかし、知的障害については、1級(月額8万2508円)が「日常生活への適応が困難で、常時介護を要する」、2級(同6万6008円)は「日常生活における身辺の処理にも援助が必要」とされ、「認定医次第で結果が大きく異なる」と指摘されていた。
         同省の素案では、現行の表現に加え、「食事や身の回りのこと」をするのに1級の場合は「全面的援助」、2級は「一部の援助」を必要とすることが盛り込まれた。会話による意思疎通に関しては、1級で「不可能か著しく困難」、2級は「簡単なものに限られる」との例示を加える。
         また、自閉症やアスペルガー症候群といった発達障害は、対人関係や意思疎通に難があり日常生活が不便とされ、知的障害を伴わない場合も少なくない。これまでは知的障害の基準が適用され、「障害特性を反映できない」との意見があった。
         素案では、1級は「コミュニケーション能力が欠如し、著しい異常行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常に援助が必要」、2級は「コミュニケーション能力が乏しく、異常行動がみられるため、日常生活への適応に援助が必要」とした。さらに、診断書も見直し、日常生活能力について例示を詳細にする。
        「毎日新聞」2011年1月27日

        ●講演会:「発達障害」に理解を 親たちの団体、あす近江八幡で /滋賀
         不登校や発達障害の子どもを持つ親らでつくるグループ「あんどYOU」が30日、翻訳家で高機能自閉症を持つニキ・リンコさんを迎え講演会を開く。代表の山田靖弘さん(47)は「発達障害の『は』の字も関係ない人に理解を深めてほしい」と話している。
         あんどYOUは05年、不登校の息子がいる山田さんら3家族で発足し、現在は約50家族が参加。また、メンバー有志の当事者や家族、地域の歌好きなどで「混声」ならぬ「混成合唱団」をつくり、合唱を練習している。「障害があるからと特別扱いするのではなく、いろんな人が一緒に、同じ器の中で何かやるのがいいんです」と山田さん。今回も講演前に来場者にリラックスしてもらおうと、人気デュオ「ゆず」の「栄光の架橋」を歌う。
         近江八幡市鷹飼町の県立男女共同参画センターで、午後1時20分開場、同1時50分開演(途中入場不可)。入場無料。ニキさんは聴覚過敏で子どもの声に弱いため、入場は中学生以上。2歳以上の未就学児は託児あり(先着20人)。問い合わせは山田さん(090・1897・4614、メールyamadaya@ares.eonet.ne.jp)。あんどYOUのホームページはhttp://andoyou.web.fc2.com/
        「毎日新聞」1月29日(土)14時59分配信

        ●<学力のすすめ>「資格で自己防衛を」 年越し派遣村元村長の湯浅誠さん
         若者が社会に出るまでに身につけるべき「学力」とは何か。7回目は「年越し派遣村」村長を務めるなど、非正規雇用者の支援に取り組む湯浅誠さんに聞いた。
        --湯浅さんにとって「学力」とは。
         狭く言えば点数ですけど、広く言えば「考える力」ではないですか。「考える力」というのは、いろいろな情報からものごとを組み立てていく力だと思います。振り返ってみると、私自身は、そういう意味で「学力」が身についたのは大学院生の時でした。学部生の時はついていなかった。今、本を読む時間がほとんどないのに、本が書けちゃうのは、大学院で訓練したからだと思います。
        --どのような訓練ですか。
         私が東大の大学院に入ったころは、「徒弟制度」のように徹底して学生を育てました。教授から「もう社会人と一緒なんだから、社会人と同じように1日8時間研究しなさい」と言われて、鍛えられた力が相当あります。少人数で議論のための議論をして、最終的には論文を書く。大学院は純粋な議論の場で、いかに相手との違いを見つけるかが重要でしたが、そのノリで(ホームレス支援などの)活動をして失敗しましたね。実社会では、相手と同じところをいかに見つけるかが重要だったんです。
         今は早い時期から、自活能力を求めすぎるので、子供は疲れちゃうんじゃないですか。これまで日本の社会では、学校で点数をとる勉強をしていれば、卒業式が終わると自動的に企業が引き継いでくれて、社会人として一から育ててもらえた。「パイプライン」がつながっていたんですが、そこに「穴」があいてしまった。
        --「穴」から落ちてしまう子がでてきたんですね。
         落ちないためにどうすればいいか、具体的な知恵が必要なのに、学校も企業も「コミュニケーション能力」とか「生きる力」など、抽象的なことしか言えない。子供たちにしてみたら、どうやって身につけていいかわかりませんよ。非常につらいと思いますね。もっと具体的に、高校、大学で、このスキルを身につければ通用すると、明確に示せる社会にしなければなりません。
         しかし、実際には社会がすぐに変わるわけではないので、子供にとって一番わかりやすい方法は資格をとることです。自己防衛としてはやむを得ないでしょう。もう一つ、就職に直結はしませんが、もっと基本的な労働者の権利や、仕事をやめなければならなくなった時に生活するための知恵も必要です。
        --いつ、学ぶべきですか。
         中学校の終わりか、高校の早い時期に一度触れて、もう少し詳しいことを高校の終わりか大学で教えると理想的です。大学3、4年生になると、就職セミナーに大きなエネルギーを割きますね。その1割でいいので、うまくいかなかった場合にどうやって生活すればよいか学ぶ時間をとってもらいたい。アルバイトでも雇用契約書や給与明細書をもらわないとおかしいということも知らずに社会に出て行く子がいるんですから。救急車が走っているのを見ても、119番を知らなければ救急車を呼ぶことはできないですよ。
        --若者自身ができることはありませんか。
         それは難しいな。できるとすれば(非正規労働者になるとか、失業して生活に困るような話に)リアリティーが感じられる場に行ってみることでしょうね。低所得世帯の学習支援をするボランティアも増えていますし、生活相談やホームレスへの夜回りといった取り組みも広がっています。実感のレベルで分からないと、単に調べるだけでは忘れてしまうでしょう。
        --自力で情報にアクセスする力を身につけることは。
         できると思いますが、何か疑問に思った時に、いろいろな方法で調べて、その情報にたどりつく力は、今の日本の教育では大学に行かないと身につかないでしょう。その手前では難しいと思います。多くの人は、友だちや家族に聞くのが精一杯ではないですか。レストランを探すのなら、検索すれば地図つきのサイトがすぐに見つかりますが、労働者の権利や生活保障についてそんなに便利なサイトはありません。
        --若者にお薦めの本を紹介してください。
         本当は先生向けですが、「<働く>ときの完全装備 15歳から学ぶ労働者の権利」(橋口昌治、肥下彰男、伊田広行共著 解放出版社)がいいかな。ワークショップ形式で基本的な知識が身につく本です。先生が授業をする時に、子供たちが楽しんで学べるように工夫されているので、子供自身が読んでも学ぶことがあると思います。【
         ◇略歴
         1969年東京都生まれ。東京大法学部卒。同大大学院(日本政治思想史専攻)で研究者を目指しながら、渋谷で野宿者支援に携わる。在学中の01年、NPO「自立生活サポートセンター・もやい」を設立し事務局長に。03年、活動家として生きることを決め、大学院を退学。NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」事務局長。「反貧困ネットワーク」事務局長。08年末には東京・日比谷公園の「年越し派遣村」村長として、職を失った非正規雇用労働者らの支援にあたった。内閣府参与。著書に「岩盤を穿(うが)つ」(文芸春秋)、「どんとこい、貧困!」(理論社)ほか。
        「毎日新聞」1月26日(水)7時30分配信

        ●抑制遺伝子「REIC」でがん治療=世界初、70代男性に-岡山大病院
         岡山大学病院(岡山市)で25日、県内に住む70代の前立腺がん患者の男性に対し、がん抑制遺伝子「REIC」を投与する治療が行われた。REICは少ない副作用でがん細胞を死滅させる抑制遺伝子として期待されており、病院によると、人体に投与するのは世界で初めてという。
         病院によると、REICは体内のがん細胞を死滅させ、抗がん免疫を高めるたんぱく質を作り出してがんの再発を防止する。2000年に病院の研究チームが発見し、今回の治療には英国の製薬会社に依頼して製剤化したものを使用した。
        「時事ドットコム」2011/01/25

        ●就職難、もがく大学生 自信喪失、かさむ費用
         大学生の就職内定率の低さが深刻さを増す中、今春の卒業予定者を対象とした企業説明会が25日、岐阜市内であり、参加した大学生ら10人に話を聞いた。3年生から活動を始め、数十社の試験を受けても就職先が決まらない学生たち。「採用人数が少なすぎる」「落ち続けて自信がなくなってきた」と悲痛な声が聞こえてきた。
        ◆就活状況
         就職に向けてまじめに取り組んでいるにもかかわらず、内定がもらえない厳しい状況。精神的にも金銭的にもさまざまな苦労を呼んでいる。
         営業職を希望する土岐市の男子(22)は面接で、実際の営業を想定した難題を突きつけられて「こういうこと、できるの?」と繰り返し聞かれた。それが何社も続いて「本当に営業がやりたいのか、自信が持てなくなってきた」と嘆く。
         70社を受けたという大垣市の女子(22)は「東海地区の会社に絞っているが、それでも交通費がかさむ。就活で忙しく、思うようにアルバイトはできない」と、費用の多さに困惑していた。
        ◆大手志向?
         低い内定率の要因として、学生の大企業志向も指摘されている。瑞浪市の男子(22)は「就職した企業には一生、勤めたい。どうしても大手の方が安定したイメージがある」と話した。
         一方、羽島市の男子(21)は「活動の最初は大手を目指したが、もうそんなことも言っていられない」と焦った様子。初めから大手へのこだわりはないという学生もいた。
        ◆決まらなかったら
         最悪の場合、3月までに決まらないこともある。土岐市の女子(22)は「派遣会社に登録しながら探す」、大垣市の女子(22)は「アルバイトしながら資格を取得し、仕事を探す」と話し、卒業した上で就活を続けようと考える学生が多かった。
         ただ、既卒の美濃加茂市の男性(23)は「既卒は門戸が狭い。就活の仲間がいなくなり、相談もできない」と、卒業後にさらに厳しさが増す現状を語った。
           ◇  ◇
         企業説明会は、岐阜公共職業安定所などが岐阜市文化センターで開催。今春卒業予定の大学生や高校生ら250人が参加し、県内に事業所を持つ80社のブースを回って担当者の話を聞いた。
        「中日新聞」2011年1月26日

        ●虐待体験「あり」5%=性行動や自傷に影響も―厚労省研究班
         児童虐待を受けた経験を持つ人が5%に上ることが、厚生労働省研究班の「男女の生活と意識に関する調査」で分かった。虐待経験のある人は、初の性交渉を否定的に捉える傾向が強いなど、成長後への影響もうかがえた。
         調査は昨年9月、無作為に抽出した全国の16~49歳の男女3000人を対象に実施、1540人から回答を得た。
         18歳くらいまでに両親などから虐待を受けたことがあるかとの設問に、5%が「ある」と回答。男性は2.2%、女性は7.1%だった。男性は身体的な虐待、女性は心理的な虐待が最も多かった。
         手首を切るなどの自傷行為は、虐待体験のない人の場合「何回も」「1度だけ」を合わせ5.7%、「思ったことはある」15.9%で、したことも思ったこともない人が大半。しかし、虐待体験のある人では「何回も」20.8%、「1度だけ」も11.7%に上り、「したことも思ったこともない」は37.7%にとどまった。
         初めて性交渉を経験した時の気持ちは、虐待体験のない人は「うれしかった」が半数近く、「期待はずれで落胆」「むなしかった、後悔した」は10.6%。これに対し、虐待体験のある人は「うれしかった」が約3分の1にとどまり、落胆などの否定的な回答が27.9%に上った。 
        「時事通信」1月29日(土)5時32分配信

        迷惑メールへの対策<私論>
        2011/01/23
        昨日夕、放送大学大学院単位認定試験が終わりました。すでに必要単位数はクリアしていましたが、相談支援面接を職としているものとして、臨床心理的な面接のあり方について臨床心理学上の歴史や基本アプローチなどをきちんと学んでおこうと履修した「臨床心理面接特論」(4単位科目:全30章)です。この2週間は、毎晩2~3章ずつテキストを読むという苦行をしてきました。目の下にクマを作りながら…。その甲斐あってか、出来はまあまあ、だと希望的観測。次は、修士論文に向けてのレポートの2回目の提出準備です。「書きたい」という自意識が過剰に内発してきています。
         それで、ひとまずまったく関係のない、迷惑メール対策についてまとめてみようと思い立ってしまったわけです。
         昨年、この「つぶやき」やTwitterでも断続的につぶやいてきましたが、2つの「迷惑」解消の舞台裏を検証します。
         まず、中古車販売です。ネットの楽天系の何かのメルマガで、「車に関するアンケート」依頼らしきものがあり、元々こうした市場調査には協力的な立場を取っていますので答えることにしました。アンケート終了後に、「あなたのくるまのは今いくらで売れるか?」的なページにジャンプするボタンがあり、関心もあったのでそのページに入り質問に答えていきました。そこには、住所、氏名、自宅電話、メルアドなどの記載が求められていて、「?」とは思いましたが、これも(自分にとっての)「調査」と思い答えたのが間違いの元に…。5分後から自宅に電話がかかりはじめ、メールも続々と入り始めました。相手は、ガリバーさんなど、有名な中古車販売業者です。4~5件でしょうか、配偶者が電話を取り、「まだ帰ってません」と言うと、しっかり夜に再度電話がかかってきます。その都度「アンケートに協力しただけで、車を売るつもりはありません」で終わったのですが、ある親切な担当者が、「アンケートに答えたことで入力された個人情報は、業界のデータとして共有されていますので、ご迷惑なら、●●さんのところへ連絡し、直接、リストから削除してもらうよう依頼して下さい。」とアドバイスを頂き、それを実行したところ、すぐに騒動は収まりました。
         次は、みなさんも一度は被害に遭われたと思われる「出会い系」です。パソコンによる一斉大量送信は、メールサーバーのセキュリティーなどでスパムメールなどとして防御してくれますし、サイバー警察も動いていて減ってはいるものの、先日も海外のサーバーを経由しての大量送信者が逮捕されていたように、抜け道はあります。私が被害に遭ったのは、携帯サイトによるものです。「ハイテンション事務局」「2010ゴールド」を名乗る所から、携帯メールがひどいときは深夜から早朝にかけて13回断続的に送られてくるというものでした。独自サーバー、独自ドメインの携帯サイトからパソコンの「出会い系サイト」に引き込む手口で、送られてくるメールのアドレスは、一斉送信のために作られ、送信後削除されるため、後追いができません。試し試し送信されてきて、段々と本丸の「事務局」なりを明らかにしてきます。「ハイテンション事務局」の「サポートセンター」を知らせるメールが来たとき、送信リストからの削除を求めました。最初は、「太郎様」宛で送られていたので、こちらのメールアドレスしか情報を持っていないことがわかっていて、それ以上の情報を伝える気はありませんでしたが、「一定の情報がないと解除できない」。「サイバー警察には送信された内容をすべて送ってあること、日本弁護士会のサイバー犯罪を専門とする弁護士に依頼して法的対処も講じるつもりである」と伝えても、「氏名などの情報がもらえないのなら、勝手にして下さい」と強気な態度でしたが、ここは駆け引き、と氏名等を伝えると、まさにすぐに「リストからの削除処理を行っていますが、それには時間を要し、その間にメールが届く場合がある」と一報が入り、さらに直後に「処理が完了しました」と。
         この2件のケースから考えられるのは、メールアドレスは、どんなルートから流出するかわからない、流出した情報は、それらの業者のネットワークに流れ共有される、拠点となる本丸に直接連絡を取り、毅然と送信リストからの削除を求めると、とりあえずはきちんと削除される、携帯電話会社やサイバー警察ですら「アドレス変更しかないですね…」と対応するが、大量送付先リストから削除してもらうことで、それら業界の中では「(逆の意味で)ブラックリスト」として除外され、被害が止まるということです。
         すべてのケースで通用するとは思いませんが、こんな方策もあると言うことをお伝えしておきます。あー、すっきりした!
         それでは、今週の気になる記事です。

        児童養護施設の指導員ら増員 厚労省、13年度にも

         厚生労働省は17日、漫画「タイガーマスク」の主人公などを名乗る寄付が相次ぐ児童養護施設について、施設で働く児童指導員や保育士などの人数に関する基準を見直し、職員数を増やす方針を固めた。職員の配置基準の見直しは約30年ぶり。2013年度から導入予定の子育て施策「子ども・子育て新システム」に盛り込む。
         児童養護施設では、20年ほど前から肉親から虐待を受けた子どもの入所者が急増。心に傷を負った子どもへのメンタルケアなど、よりきめ細かい対応が求められるようになったため、児童福祉の現場からは職員の増員を求める声が上がっていた。
        「共同通信」2011/01/17

        ●「保護者の苦情で不眠症」教諭提訴 保護者「娘に差別」
         埼玉県の市立小学校に勤務する女性教諭が、再三クレームを受けて不眠症に陥ったとして、担任する学級の女子児童の両親を提訴していたことがわかった。慰謝料500万円を求め、さいたま地裁熊谷支部で係争中だ。文部科学省によると、「保護者が学校を訴える例はあるが、逆のケースは聞いたことがない」という。
         提訴したのは昨年9月。訴状などによると、教諭は1991年に教員になり、昨年4月からこの女児の学級を担任。同年6月、女児と他の女子児童とのいさかいを仲裁した際、母親から電話で「相手が悪いのに娘に謝らせようとした」と非難された。
         これを皮切りに、同月末から7月中旬にかけて、児童の近況を伝える連絡帳に母親から「先生が自分の感情で不公平なことをして子どもを傷つけています」などと8度書き込まれた。
         さらに、父親や母親から文科省や市教育委員会に対し、口頭や文書で批判されたほか、女児の背中に触れただけで警察に暴行容疑で被害を訴えられたという。
         こうした一連の行為により教諭は不眠症に陥り、「教員生活の継続に重大な支障を生じさせられた」と主張している。教諭ら学校側と両親が話し合う場も設定されたが、両親が拒否したという。
         小学校側は提訴の翌月、市教委に対し、「モンスターペアレンツに学校や教師が負けないようにし、教諭が教員を代表して訴訟を行っていると受け止めている」という校長名の文書を提出している。
         両親は訴訟の中で、連絡帳への書き込みについて「娘は繰り返し嫌がらせや差別をされ、ストレスで体調が悪くなっている。このままでは学校に行けなくなってしまうので、抗議した」と説明。市教委に文書を提出した点については「教諭が話し合いを拒否している。娘が安心して学校に通うための正当な行為」と主張し、訴えを退けるように求めている。
         朝日新聞の取材に対しては「娘は担任教諭から、ほかの児童の前で数十分間しかられたり、授業中に手を挙げても無視されたりするなど差別的な扱いを受けた。訴えられるのは心外で、学校側も実態を調べないで自分たちをモンスターペアレンツに仕立て上げた」と話している。
         小学校の教頭は取材に対し、「教諭と保護者のそれぞれの人権を尊重しているため、コメントできない」、市教委は「訴訟中なので、何も答えられない」としている。
        「asahi.com」2011年1月18日

        ●介助看護師派遣 両親の訴え実る 成田市、市立小中校で制度化
         体が不自由な子を持つ両親の訴えで、成田市は医療的ケアが必要な児童・生徒が通う市立小中学校に、看護師を派遣する制度を始めた。訴えたのは、市立西中学校一年の渡辺純君(13)の父光さん(51)と母みささん(48)。純君は、小学校ではみささんの介助を受けてきたが、中学校では家族の付き添いがない新たな学校生活を送っている。 (武田雄介)
         純君は脳性まひのため、生まれた直後から体が不自由で会話もできない。生活のすべてに介助が必要で、普段は家族がつきっきりで世話をしている。
         「障害にかかわらず同じ地域の子どもたちと学んでほしい」という両親の願いで、小学校は普通学級に入学。だが、学校側の介助支援はほとんどなく、四年の三学期までは水を飲む介助も得られなかった。養護補助員の配置など改善もあったが、みささんは六年間、学校で純君に付き添った。
         純君に特に必要な介助は食事面。小学校は誤飲の恐れを理由に家族以外の食事介助を認めなかった。だが、純君が小学校を卒業する直前の昨年三月、みささんが介助疲れでダウン。両親は市などに「親の付き添いなしで安心して教育を受けられるようにしてほしい」と要望した。
         市側は家族の負担が大き過ぎたと認め、純君が中学校に入学した後の昨年五月中旬、給食の介助と看護師の配置方針を決定。昨年九月に「巡回看護師」の派遣制度を始めた。
         巡回看護師は、市が看護師を臨時職員として採用し、医療ケアが必要な児童・生徒が通う学校に派遣する制度。保護者が学校を通じて市に依頼する。利用者は現在、純君だけという。
         純君は現在、学校で看護師から痰(たん)の吸引や食事などの介助を受け、家族と離れてクラスメートと一緒に授業を受けている。みささんは「親がそばにいてはできない友だち付き合いがある。今は学校が楽しそう」と喜ぶ。
         「障害を特別扱いしないで」と願う両親が喜んだのが零点のテスト。「小学校では点数は空欄。特別扱いだった。今は他の生徒と同様に採点してくれる。学校が仲間と認めてくれた気がした。ありがたい零点です」
         みささんは、障害がある子どもの介助を学校に拒否された家族の支援にも力を入れている。「成田でできたことは、他のまちでもできるはずだから」と話している。
        「東京新聞」2011年1月16日

        ●性同一性障害:小6男児に抗ホルモン剤 性徴抑制で国内初
         性同一性障害(GID)のため女子として生活している兵庫県在住の小学6年の男児(12)について、大阪医科大病院(大阪府高槻市)が抗ホルモン剤を投与して思春期の体の変化を抑える治療を始めることが19日、病院関係者への取材で分かった。GID学会顧問の大島俊之九州国際大教授(民法)によると、GID治療での抗ホルモン剤投与は中学生以下では国内初とみられる。
         病院関係者によると、男性としての成長に伴う精神的な苦痛を緩和するには、抗ホルモン剤の投与が有効と判断。2月にも開始する予定で、男性ホルモンと女性ホルモンの分泌を抑える抗ホルモン剤「LHRHアゴニスト」を月1回注射する。健康保険の適用外で、費用は1回につき約3万5000円。
         昨年夏から男児の血液中の男性ホルモン濃度が上がり、体の特徴が顕著になる「第2次性徴」が確認されたため、大阪医科大は治療方針を学内の性同一性障害症例検討会議で審議。倫理委員会でも承認された。
         大島教授によると、国内では岡山大がGID治療で16歳の女子高生に抗ホルモン剤を投与した例がある。重大な副作用の報告例はほとんどないが、医学界には18歳未満への抗ホルモン剤投与に反対する意見もある。
         地元教育委員会は、男児を小学校入学時から女子として対応。今春の中学進学後も、女子の制服やトイレの使用を許可する方針。
        「毎日新聞」2011年1月19日

        ●いじめ調査 公立小中学校の99%実施 教育現場に危機感
         公立小中学校の99%が、いじめの有無を児童生徒に直接聞くアンケートを今年度、既に実施したか3月までに実施する予定であることが20日、文部科学省の緊急調査で分かった。09年度の小学校70%、中学校80%から大幅に拡大。調査が始まった06年度以降で最も高率となった。相次ぐ「いじめ事件」を受けた教育現場の危機感の表れとみられる。一方、いじめ問題を巡り、文科省は教育委員会の情報収集に課題も浮かんだとして、学校と教委の連携強化について近く通知を出す。【井上俊樹】
         アンケートは「いじめの早期発見につながる」として、同省が実施を求めてきた。昨年10月に群馬県桐生市でいじめを受けていた小6女児が自殺したことなどを受け、全国の公立小中高、中等教育学校、特別支援学校に今年度の実施状況について緊急に聞いた。
         アンケート内容は、いじめの被害者や加害者になったことがあるか、クラスでいじめを見たことがあるかなどを記入式で尋ねるのが一般的。09年度調査では、学校がいじめを発見したきっかけの24%をアンケートが占め、「学級担任が発見」(20%)よりも多かった。
         ほぼ100%実施になったものの、取り組みには依然ばらつきもある。同省は今回実施頻度を初めて調べたが、小中とも「年2~3回」が約6割に上った一方で、「年1回」も2~3割前後あった。学期ごとに実施している東京都内の公立中の副校長は「いじめが解消されたのか、継続しているのか正確に把握するには1年に1回では少ない」と指摘する。
         だが、アンケートにも限界がある。昨年11月にいじめをほのめかす遺書を残して自殺した札幌市の中学2年の女子生徒やクラスメートは、直前のアンケートでいじめについて「ない」と答え、学校側も把握していなかった。埼玉県内のある校長は「自分からいじめられていると言う子は少ないし、先生に『チクる』行為は子供たちの間では最も許されない」と話す。
         そうした中、組織的にいじめを早期発見する取り組みも始まった。横浜市教委は、いじめや暴力などの問題に専門的に対応させる、「児童支援専任教諭」と呼ばれるベテラン教諭を今年度市内の70小学校に1人ずつ配置。学級担任制の小学校の場合、「担任だけだといじめに気づかなかったり、長期化するケースもあった」として、5年間で市内の全公立小学校に広げる計画だ。
         ◇教委と学校、連携に課題も
         今回の緊急調査では都道府県と政令指定都市、市区町村の全1816教育委員会のうち、半数にあたる873教委が、学校に求めたいじめ問題に関する点検結果の報告を受けていなかった。文科省は「教委が点検結果の収集、分析を怠っていると指摘されても反論できない」としている。
         都道府県と政令市の計66教委のうち40教委、市区町村の計1750教委のうち833教委が、学校側にいじめ問題の有無などの点検を指示しながら報告を求めていなかった。指示は都道府県教委が学校に直接行う場合と、市区町村教委を通じて行う場合があるが、同省は都道府県と政令市教委に学校の取り組み状況を把握するよう要望している。
         同省児童生徒課は「いじめ問題の解決には、教委と学校が情報を共有することが大切。『教委は指示を出すだけで指導を放置している』と受け取られないよう改善ポイントを通知したい」としている。
        「毎日新聞」1月21日(金)1時0分配信

        ●いじめ、不登校、虐待…「子どもたちのサインを見逃さないで」と題しシンポ開催/横浜
         「子どもたちのサインを見逃さないで」と題したシンポジウムが22日、横浜市中区の市社会福祉センターで開かれた。いじめ、不登校、虐待など、トラブルや悩みを抱えた子どもの発する”SOS”をどうキャッチするのか-。市民ら約180人が耳を傾け、考えた。NPO法人の「子どもセンターてんぽ」と「よこはまチャイルドライン」の主催。
         パネリストは、自身も子どものころに児童養護施設で過ごし、現在は施設などで生活した若者が集うサロンを東京で運営するNPO法人「日向(ひなた)ぼっこ」理事長の渡井さゆりさん、同じく施設生活や父親からの養育放棄を経験したアーティストMASAさん、未成年女性のための自立援助ホームを運営する「てんぽ」理事の東玲子さん、子どもの悩み相談を電話で受ける「チャイルドライン」理事の松橋秀之さんの4人。
         自身の体験からサロンを開設した渡井さんは、活動内容に触れながら「かつて傷ついた人が『人とつながろう』と勇気を振り絞ったとき、それを受け止める人がちゃんとそばにいることが大切」と語った。
         「子どものサインを見逃さないためにできることは」という問いかけに、東さんは「(子どもにとって)この人には頼っていいかも、と思える大人が増えれば」。松橋さんは「人から受けた傷は人が癒やしていかなくてはならない。その一人になれたら」と答えていた。
        「カナロコ」1月23日(日)8時0分配信

        ●低所得者に国保料増 計算方式全国一本化負担1.8倍も
         政府が国民健康保険(国保)の保険料(税)の計算方式を、低所得者に負担が重くなる方式に全国的に一本化するため、地方税法や国保法施行令を改定する方針を固めたことが19日までにわかりました。2013年度からの実施をめざして、地方税法改定案は24日に始まる通常国会に提出し、国保法施行令は今年度中に改定する意向です。(3面に関連記事、解説)
         市町村ごとに運営される国保の保険料の所得割額の計算には、主に「住民税方式」と「旧ただし書き方式」があります。政府は今回、「旧ただし書き方式」に統一することを打ち出しました。
         「住民税方式」と違い「旧ただし書き方式」では扶養控除などの各種控除が適用されないため、控除を受けている低・中所得世帯や障害者、家族人数の多い世帯の負担が重くなります。住民税非課税であっても所得割を課される世帯が出ます。
         東京23区は今年4月に同様の計算方式の変更を予定しています。豊島区では年収250万円の4人家族の場合、現行の「住民税方式」では年12万7680円の保険料が、「旧ただし書き方式」に変更すると22万7996円に、1・8倍に上がります。「経過措置」として一時的に軽減をしても15万2759円(1・2倍)に上がります。扶養家族がさらに多い世帯や障害者を扶養する世帯は負担が数倍にはね上がります。
         さらに政府は、自治体が低所得者向けに独自の保険料軽減措置を実施する場合、その財源を一般会計(税金)でなく国保財政でまかなえるよう、国保法施行令を改定する方針を示しています。国保財政を悪化させ、保険料水準全体をさらに高騰させる道です。
         所得割 国保の保険料(税)は、(1)所得に応じた所得割(2)被保険者全員に均等に課される均等割―の合計。(3)資産に応じた資産割(4)世帯単位で均等に課される世帯割―を加えている自治体もあります。
        「しんぶん赤旗」2011-01-20

        福祉サービスの「生活訓練」のサービス拡充を
        2011/01/16
        昨年末、国会最終日に成立した「障害者自立支援法改正法案」。発達障害を福祉サービスの対象とすると明文化されるなど、部分的な前進面があるものの、福祉サービスの制度・体系としては概ね従前のままとなりました。
         精神疾患や発達障害に起因して二次症状としての精神疾患発症やひきこもり状態にある方に、「生活訓練」というサービスが受給できるということは、あまり知られていません。もっとも、啓発・普及されているとは言えませんので、知らなくて当たり前、というのが実情と言っても過言ではないでしょう。
         「生活訓練」は「通所型」と「訪問型」があり、その併用もできます。詳細はさておき、対人相互関係を苦手とする自閉症スペクトラムをお持ちの方を考えた場合(もちろんそれだけではありませんが)、対人関係のスキルや日常生活・社会(集団)生活のスキル、就労に向けての職場などでの関係性のスキルなどの獲得に加えて、通院や役所などでの諸手続きへの同行支援、生活上の改善課題の相談・改善などなど、いわゆるひきこもり状態にある方から社会生活経験はあるものの何かの事情で撤退を余儀なくされ社会と距離を置いておられる方などが、自己肯定感情を高められたり回復されたりしながら、ステップアップしていく上で、とても重要なサービスであることを日々実感しています。
         しかし、周知されていない、通所系サービスの申請・支給決定には診断書が必要(法的には不要だが、市町村審査会での判断に必要との理由から提出が求められるケースがほとんど)だったり、2年間という期限付き、必要性がある場合に12ヶ月に限っての延長ができるがその手続きが面倒、サービス提供している事業所が少ない、特に「訪問型」は知られていないなどなど、必要な支援でありながら、必要としている方に届かない制度となっています。
         サービス利用が必要な方の立場に立って考えれば、「もっと利用したいサービス」であると思いますし、もっとそう思えるサービス内容・体系に充実させて行く必要があります。該当される方は、ぜひお住まいの市町村の障害福祉の窓口に問い合わせをしていただくなど、必要性をアピールし、「受け皿」を質・量ともに拡充させる下地づくりから始めて行かなければならないかも知れませんが、そこは根気とやる気で取り組んでみる価値ありです。
         それでは、今週の気になる記事です。

        死亡の姉妹、生前に窮状訴え「どうしたらよいか…」 大阪・豊中

         大阪府豊中市のマンションの一室で8日に姉(63)と妹(61)とみられる2遺体が見つかった問題で、姉妹が生前の昨年9月、現場マンションを差し押さえている大阪地裁の執行官に対し「どうしたらよいか分からない」と訴えていたことが9日、分かった。姉妹は執行官から生活保護の申請を進言されたが、拒否したという。豊中市が同日、記者会見して明らかにした。
         市健康福祉部によると、市の担当者は昨年12月27日、姉妹の相談で市役所を訪れた執行官と面会。この際、執行官が姉妹と最後に会えたのは9月で、「どうしたらよいか分からない」と訴えられたことに加え、同月から部屋の電気とガスが止められ、郵便受けから生ごみのような臭いがしたとも伝えられたという。
         執行官は2週間に1回のペースで手紙を郵便受けに入れたが、直接会えないため市に助けを求めた、と説明したという。
         しかし、市は警察官と一緒に訪問するよう助言したものの、担当者がマンションを訪問したり、民生委員らに連絡したりといった措置は取らなかった。姉妹は生活保護や介護保険の利用がなく、国民健康保険料や水道料金を滞納していた。
         この後、執行官は12月27日と今年1月6日に姉妹の部屋を訪れ、「寒い年明けをどのように生活されているか心配しています。早々に親類か市役所に相談されるよう強く勧めます」などと記した文書をドアに貼っていた。
         会見した市の大東幹彦高齢介護課長は「亡くなったのは残念。執行官が手紙を入れているので、本人から相談してくるのを待つことにした。執行官からの相談がもう少し早ければ、対応策を話し合えたかもしれない」と話した。
        「産経ニュース」2011.1.921:17

        ●妹刺殺の17歳少年に保護処分
         2010年11月、倉敷市の自宅で17歳の少年が妹を包丁で刺し殺害した事件で岡山家庭裁判所は、11日、少年を少年院に送る処分を決めました。殺人と死体遺棄の非行事実で処分を受けたのは倉敷市に住む17歳の無職の少年です。少年は2010年11月、倉敷市の自宅で、帰宅した中学3年生の妹を包丁2本で何回も刺して殺害し遺体を脱衣場の床下に遺棄しました。11日開かれた岡山家裁の少年審判は非公開で約1時間半行われました。宮本浩治裁判官は動機について「部屋に引きこもり、妹に悪口を言われていると強いストレスを感じ、殺意を抱くようになり突発的に犯行に及んだ」と述べました。そして「少年が引きこもりから脱したいと望んでいて、少年が抱える問題を改善し、本件の重大性と向き合うことで再非行を防止する」などとして3年程度、中等少年院に送ることを決めました。
        「KSBニュース」01/11 17:52

        ●ひきこもり抜けたくて 「孤族の国」男たち―9
         庭先で、マツが腰をひねり枝を広げる。奥には、どっしりとした瓦ぶきの家屋。その2階に男性の部屋はある。
         「僕がひきこもっているのは、父さんへの復讐(ふくしゅう)だ」。そう家族に訴え、30年間、社会と接点を持たずにきた48歳の男性が、昨秋、中部地方の専門病院に通い始めた。
         結婚して家を出ている姉によると、通院へ背中を押したのは、反発しながらも同居してきた80代になる父の死だった。「病院へ行こう」。1人になった男性に姉が促すと、素直にうなずいたという。
         対人不安から、会話は親類と医師に限られる。記者も、姉に付き添われて歩く姿を離れて見守った。病院へ送り、実家に食品を届ける姉は疲れ果てる。「世間から見ると大人。でも、自立はまだ」
         高校3年、最初は不登校から始まった。母の死、いじめ、進路選択などが重荷となり、思春期の心を閉ざした。
         「母さんが甘やかした」「卒業して就職しろ」。仕事中心で、亡くなった母に子育てを任せてきた父は、叱るほか接し方を知らなかった、と姉は言う。それが息子を逆上させ、時に暴力となった。
         一つの家に冷蔵庫が二つ。父子は別々に食事した。体面から家族で抱え込み、医師にも相談しなかった。「でも、父なりに弟を愛していた」と姉は思う。将来を案じ、年金保険料を代納し、貯金を続けた。スーパーの警備員など定年後も75歳まで働いた。
         ひきこもりの長期化に、当事者と家族が追い詰められている。国の推計で当事者は全国70万人。「親の会」の調査では平均年齢30歳を超す。
         関東地方の36歳の男性。大学になじめず、うつ状態になり自殺を図った。人と会うのが怖い。昨年から介護施設で週1回のバイトを始めたが、気分に波がある。取材後、携帯に電話してもつながらず、数日後に「落ち込んで、出られなくて」。67歳になる元高校教師の父の年金が頼りだ。
         大学院の時に就活に失敗した東北地方の29歳の男性は、30歳を前に自分で入院を決めた。同世代が仕事をこなし、結婚する時期。30代になると就職も難しくなるため、長期化させない治療の節目と言われる。「退院したら教員免許をとりたい」「まだ間に合うだろうか」。焦り、揺れる。
         出てくるのを待たず、専門家の医師が迎えに行こう。そんな試みがある。
         ■「おるかー」医師が迎えに
         「おーい、おるかー」。呼び鈴を押しても反応がない。和歌山大学そばのアパートの2階。玄関口で宮西照夫教授(62)が声を張り上げて20分たったころ、やっと開いた。
         師走の夕暮れ。無精ひげの男子学生(24)は湯船の中で寝ていたという。ベッドの枕元の壁には、「怠けたい自分に打ち克(か)て」と手書きの張り紙が掲げてあった。
         精神科医の宮西教授は、大学の保健管理センターの所長を務める。ひきこもる学生らの自宅を訪問してカウンセリングし、外出を促す独自のプログラムを実践。8割以上を復帰させてきた。
         男子学生は、留年を機に夏まで不登校を続けていた。復学後も1週間以上休むと、教授や友人が自宅を訪ねる。
         この学生の場合、一人暮らしのアパートを初めて教授が訪ねたのは昨年6月。呼び鈴を押しても反応がなく、ポストに手紙を残した。「元気か」「また来るよ」。それをくり返し、4度目の訪問となった7月、ドアが開いた。
         「最初は面倒くさいと居留守した」と男子学生。「でもこのままじゃダメだという思いが募ってくるタイミングがある。その時にノックされるとドアを開けられる」
         一方、両親から外に出るように言われると、心配かけてるな、申し訳ないなと、ますます落ち込むという。当事者や家族が問題を抱え込み、孤立する事例を見てきた宮西教授は、「行き詰まった親子に第三者が介入し、風穴を開けることが大事」と訴える。
         「宮西プログラム」には番外編がある。信頼を築き、部屋を出られると食事に誘うのだ。この日、床に座って1時間近くひざ詰めで語った後、別れ際に玄関口で学生の肩を抱いた。「今度、一緒にラーメン行こな」
        ■親も高齢化 態勢づくりを
         なぜか、ひきこもる人々の6、7割を男性が占める。進学や就職をめぐり、周囲が男性に寄せる期待の高さがストレスになっている、と専門家は見る。さらに、最近の不景気が社会復帰を阻んで長期化を招き、加えて就職難が新たに20、30代になってひきこもる高年齢層も生んでいる。
         親の高齢化も深刻だ。「全国引きこもりKHJ親の会」の奥山雅久代表は66歳。自身も末期がんを患い、長期化する当事者を支える制度実現を訴える。記事の48歳の男性のように、抱えてきた親が亡くなる事態はすでに始まっている。家族に依存しない態勢づくりが急務だ。
        「asahi.com」2011年1月4日21時56分

        ●不況やリストラ 困窮する父子家庭 手薄な支援、意識改革が必要
         長引く不況で、経済的・精神的に苦境に陥る父子家庭が増えている。リストラや所得減に遭う父子家庭が増えているにもかかわらず、就労や貸付金などの行政支援は母子家庭に比べて手薄なまま。職場の余裕が失われ、「育児より仕事を優先せよ」というプレッシャーに苦しむ父親も多い。関係者は「支援策の拡充と企業の意識改革が必要」と指摘する。
         ◆一家心中の例も
         「行政は母子家庭よりも父子家庭の方が経済的に余裕があると考え、支援を十分にしてこなかった。しかし、不況で経済的・精神的に苦しむ父親が多くなっている。そうした相談が増えているし、最悪、一家心中に至った事例もある」
         父子家庭支援を行うNPO法人「全国父子家庭支援連絡会」代表理事の片山知行さん(39)はこう話す。従来は母子家庭にしか支給されていなかった「児童扶養手当」(所得に応じ月額最大4万1720円)を父子家庭にも支給するよう国に訴え、昨年8月からの実施を実現させた一人だ。
         平成17年の国勢調査によると、父親と子供のみで構成される父子家庭は9万2285世帯。前回調査(12年)から約5千世帯増えた。祖父母らと同居している父子家庭を含めると約20万世帯。一方、厚生労働省が実施した18年度全国母子世帯等調査報告によると、平均年収は父子家庭が421万円、母子家庭が213万円だった。
         こうした所得差に基づき、行政は父子家庭よりも母子家庭に手厚い支援を行っている。例えば低金利の「母子寡婦(かふ)福祉資金貸付制度」や職業訓練支援は母子家庭のみが対象だ。
         厚労省は「一般的に父子家庭の方が母子家庭より所得が多い。就労支援についても、既に働いている場合が多い男性に比べ、女性はパートや主婦が多く、女性を優先せざるを得ない」とする。
         この点について、片山さんは「医療費助成を申請する父子家庭が増えている。次回の全国母子世帯等調査では父子家庭の年収は下がるだろう」と推察。父子家庭の経済支援の必要性は高まるとみる。
         ◆「男は仕事」の圧力
         父子家庭の父親特有の精神的負担もあるという。「例えば一人親で子供が急病になった場合、母親に理解を示す職場は多い。しかし、それが父親だと”男は仕事が最優先”と考える企業はいまだに多い」。実際、片山さん自身も17年に妻と離婚し、当時10歳の長男と4歳の長女の一人親となった。当時の職場の上司からは「誰でもいいから1年以内に再婚しろ」などと言われ、不眠症と鬱病を発症したという。
         片山さんは「一人親の父親は残業・出張・早出などが難しく、退職や独立せざるを得なくなる場合が多いのが実情。再就職支援や独立支援を拡充すべきだ。男性は仕事優先と考える企業側の意識改革の必要性も訴えたい」と強調する。
         いつ妻と死別や離別するか分からない以上、父子家庭はどの父親にとっても”明日はわが身”の問題。支援制度改善の余地はまだまだ大きいようだ。
         ■民間で進む取り組み
         父子家庭をめぐり、国や自治体に加え、民間にも支援の輪が広がっている。
         父親支援事業を行うNPO法人「ファザーリングジャパン」は平成21~22年、「フレンチトースト基金」を創設。個人や企業などから寄付金を募り、困窮する父子家庭や支援団体に給付している。
         一方、ITサービス会社「エヌ・ティ・ティ・コム チェオ」は昨年度から、一人親世帯を対象に、同社の在宅電話サポート員となるために必要な資格取得を金銭的に支援する取り組みを実施。昨年度は母子家庭のみの募集だったが、今年度は父子家庭も加えた。テキストや講座を無料にしたり、研修費用の半額を免除したりする。
        「産経新聞」1月12日(水)7時56分配信

        ●辛抱強い人は、頭の中が違う!
         人気レストランに入るため、行列で辛抱強く待つ人の脳ではセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が多く分泌されているのかもしれない――。
         こんな研究結果を、沖縄科学技術研究基盤整備機構の研究チームが動物実験で明らかにした。注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、衝動性を伴う精神疾患の原因解明や治療法の開発につながる可能性がある。12日、米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス電子版に掲載された。
         脳内のセロトニンの働きを抑えると、衝動的な行動を取るようになることがこれまで知られていた。だが、実際に辛抱強く待機しているとき、セロトニンがどう変化するかは分かっていなかった。
         研究チームは、ラットに数秒間の待ち時間後にエサや水を与える実験を行った。その結果、エサや水をじっと待っている間、ラットの脳ではセロトニンを分泌する神経細胞の活動が高まり、実際にセロトニン濃度が上昇した。一方、途中で待つのをあきらめてしまった場合は、この神経細胞の活動が数秒前から弱まることがわかった。
        「読売新聞」1月13日(木)7時45分配信

        ●刑法犯8年連続減、しかし高齢者の殺人急増
         昨年の65歳以上の高齢者による殺人が前年より32件(22%)増の175件に上ったことが、警察庁のまとめでわかった。
         殺人が前年より27件減の1067件と、戦後最少を2年連続で更新する中での増加だった。
         同庁によると、高齢者による殺人の動機の41%は「怒り」で、「介護・看病疲れ」(17%)、「恨み」(16%)と続いた。配偶者や子など親族が被害者となるケースが7割を占めた。
         また、昨年1年間に全国の警察が把握した刑法犯は158万5951件で、前年より11万7093件(6・9%)減少した。8年連続の減少で、23年ぶりに年間160万件を割り込んだ。知能犯が8639件(16・3%)減の4万4363件と著しく減ったのをはじめ、強制わいせつなどの「風俗犯」を除く凶悪犯、粗暴犯など全項目で前年を下回った。
         ひったくりなど街頭犯罪(14罪種)は、一昨年まで10年連続最多の大阪府を東京都が約4500件上回ってワースト1に。これに大阪府、愛知県が続いた。
        「読売新聞」1月14日(金)6時11分配信

        ●タンパク質もストレス解消には「休息」必要 奈良先端科技大チーム
         細胞内のタンパク質合成過程で起こる「小胞体ストレス」と呼ばれる異常タンパク質の蓄積が、一時的に合成を停止させることで効率的に解消されるメカニズムを、奈良先端科学技術大学院大バイオサイエンス研究科の河野憲二教授らが解明し13日、発表した。
         人間の社会生活と同様、タンパク質合成という細胞内の分子レベルでも、ストレス解消には「休息」が必要なことを突き止めたユニークな研究成果で、近く米科学誌「サイエンス」に掲載される。
         タンパク質は、メッセンジャーRNA(リボ核酸)が運ぶ特定の遺伝情報をリボソームが翻訳し、対応するアミノ酸をつなげて合成される。同研究科は、この合成過程の途中にいったん作業が停止されることで、異常なタンパク質の蓄積によって引き起こされるストレスが解消される仕組みを解明した。
         河野教授は「現代社会では滞りないスムーズな作業が求められるが、『休息』が大事なことが体内でも証明された」としている。
        「産経新聞」1月14日(金)7時34分配信

        ●胃がん増殖助長する遺伝子発見、新治療薬期待 東大など
         胃がんの増殖を助ける遺伝子を、東京大や横浜市立大などのグループが見つけた。この遺伝子を働かなくしたマウスは胃がんができにくくなった。胃がんの新しい治療薬の開発に役立つと期待される。
         横浜市立大の前田愼教授らが66人の胃がん患者のがん組織を調べたところ、ASK1という遺伝子が活発に働いていた。この遺伝子はもともと、侵入してきた細菌やウイルスに対抗するために炎症を起こしたり、傷ついた細胞をがん化する前に殺したりする働きがある。しかし、胃がんでは細胞分裂を促して増殖を助けていることがわかった。
         ASK1を働かなくしたマウスに胃がんになる薬を飲ませたところ、正常なマウスに比べて、できた胃がんの数が3分の1ほどに減り、胃がんの大きさも半分以下に抑えられたという。前田教授は「ASK1の働きを抑える薬ができれば、胃がんの新しい治療薬になりそうだ」と話す。成果は米科学アカデミー紀要に掲載された。
        「asahi.com」2011年1月6日0時27分

        今年もよろしくお願いします。
        2011/01/09
        明けましておめでとうございます。
         Twitterでは、実況中継的につぶやいていましたが、年末、NPO法人運営の福祉サービス事業所の最終日、通所されている皆さんが帰られてから、身体に変調を来しました。
         発熱感、胃痛、関節・筋肉の痛み…、立っているのもしんどい状態に突然なりました。前日あたりに、右耳内で「ポコ、ポコ」という音を感じていたのがサインだったのでしょう。
         29日、職員の大掃除+忘年会の日。朝、すべきことだけして、かかりつけの病院に向かいました。インフルエンザ検査も念のために行いました(鼻の奥に綿棒を突っ込む痛い検査)が、結果は陰性。「ノロウイルスかどうかはわかりませんが、ノロだとしても対応は同じなので、胃腸内で何かの細菌が感染したものと思われます。風邪ということで対応します」との判断。栄養点滴の後、整腸剤、下痢止め、鎮痛剤、胃薬を処方されました。下痢止め効果は速効! 逆に便秘気味になり、その薬は止めましたが、腹痛、微熱、関節の痛みなどは続きました。
         31日、倉敷まで家族と帰省。正月1日、2日は文字通り寝正月。ビールも例年の半分量が限界。で、3日に次男を堺市の学生マンションに降ろしてから来洛。4日から業務再開しています。
         昨日あたりから、やっと回復を感じていますが、まだ本調子ではありません。
         今回の身体機能の失調の原因・きっかけは、Twitter上でつぶやいておきました。
         年賀状を頂きながら、お出しできていない皆さん、申し訳ありません。
         それでは、今週の気になる記事です。
        自殺者数、13年連続で3万人超

         昨年の自殺者数は3万1560人で、前年からは1285人減少したものの、13年連続で3万人を超えたことが警察庁のまとめ(速報値)で明らかになった。
         自殺者数は1998年に、前年を8472人上回る大幅な増加で3万2863人と初めて3万人を突破した。昨年の自殺者数は、98年以降では2001年の3万1042人に次いで少なかった。
         男女別に見ると、男性は2万2178人で前年から1294人減少した一方、女性は9382人で9人増加した。
         また、都道府県別では、東京が2938人(前年比51人減)で最多。以下は、大阪2031人(8人減)、神奈川1810人(25人減)と続いた。また、最も少なかったのは徳島の168人(14人減)で、鳥取178人(12人増)、福井201人(10人減)も少なかった。
        「医療介護CBニュース」1月7日(金)21時3分配信

        ●いじめ・不登校未然防止研修会:子どもの生活守ろう--寝屋川市教委/大阪
         寝屋川市教育委員会の「いじめ・不登校未然防止研修会」が6日、同市内で開かれた。教員ら約200人が出席し、携帯電話の有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」設定の取り組みなど、子どもの生活を守る手法について学んだ。
         研修会では、同市立一中の教員が、小学校との連携や、基礎学力の向上や部活動・生徒会活動を通した自己肯定感の育成に力を入れた結果、不登校生徒をゼロにした取り組みを紹介。また、携帯電話やネットによるいじめへの対策に取り組んでいる教員は、市内の小学生の76%(全国平均62%)、中学生の67%(同55%)がフィルタリングを設定したとの成果を報告した。
         また、メディアの子どもへの影響に詳しい藤川大祐・千葉大学教育学部教授が「子どものケータイと情報モラル教育」と題して講演。ネットの便利さだけでなく、匿名社会の危険性を知ることの必要性や、不登校にならないため、日常生活の中で幅広く人間関係を持つことの大切さなどについて話した。
        「毎日新聞」1月7日(金)13時56分配信

        ●堺市が相談窓口開設 ニート対策など支援施設紹介
         堺市は4日、ニートやひきこもり、非行、不登校などの課題を抱える青少年やその家族の相談窓口「堺市ユースサポートセンター」(同市堺区熊野町東、平成ビル6階)を開設した。悩みの原因を聞き取り、適切な専門支援施設を紹介する「ワンストップセンター」としての役割を目指す。
         対象は、同市在住の39歳以下で非行、不登校、ひきこもり、ニートなどの課題を抱える本人や家族。教育、就労、福祉などの公的な専門機関や民間の支援機関と連携し、悩みの内容によって適切な機関を紹介する。
         運営は、大阪市住之江区を拠点に不登校やひきこもりなどの社会問題解決に取り組むNPO法人「み・らいず」に業務委託。臨床発達心理士の野田満由美さん(35)と、社会福祉士の松浦宏樹さん(26)が常駐する。
         野田さんは「不登校といっても、コミュニケーションが苦手だったり、虐待が原因で人間関係が築けないなど原因はさまざま。就労に関しても就職活動する前に、生活リズムを整える必要があるケースもある。解決する糸口を見つけるために一度相談してほしい」と呼びかけている。
         警察OBや教員OBの市の非常勤職員2人も支援にあたる。
         午前9時から午後5時半まで。面談は事前予約が必要。相談は無料。問い合わせは同センター((電)072・229・3900)へ。
        「産経新聞」1月5日(水)7時57分配信

        ●<統合失調症>救えた命では…13病院受け入れられず
         「心の病を抱え、今は苦しまずに逝ったことが幸いだったと思う」。10月下旬、東京都東久留米市で精神疾患を理由に救急搬送できずに死亡した男性(当時44歳)の自宅を訪ねた。「救えた命だったのでは」。私たちの問いかけに父親(77)と母親(71)は当初、報道されるのをためらった。あの日からまもなく2年。表札には長男の名前が残る。20年間、病に悩んだ息子の死をどう受け止めればいいのか。両親の心は揺れ続けてきた。
         09年2月14日夜から15日未明。東久留米市の住宅街で救急車が赤色灯を回しながら立ち往生していた。いつになっても受け入れ先の病院が見つからない。搬送をあきらめ自宅に戻すことになった。「大丈夫よね」。母親には長男が眠っているように見えた。だが救急隊員は「命の保証はできません」と告げた。
         母親が長男の異変に気づいたのは23歳の時だった。アルバイトから帰ってくると突然母親に食ってかかった。「なんで後をつけてくるんだ」。おとなしい性格で、口げんかした記憶もない。心配した両親が精神科病院を受診させると統合失調症と診断された。
         「おれ、早く治さないと」。長男は担当医の勧めで事務の仕事にも就いた。だが薬を飲むと頭がもうろうとし、欠勤が増えた。薬を抜き仕事を続けたが、今度は幻覚や妄想に悩まされた。精神科病院へ入退院を繰り返し、10回以上転職した。30代半ば過ぎから「もう死にたい」と言い出した。
         救急出動から3時間半がすぎた15日午前1時半。救急車から降ろすと長男が一瞬、目を開けた。「お兄ちゃーん」。母親が呼び掛けたが返事はない。こたつの脇に布団を敷いて寝かせ、見守った。小さい頃はリレーの選手。優しくて、自慢するくらい頭もいい子。「経理の資格を目指し一生懸命勉強して、結婚もしたかったろうに」。意識が戻らないまま息を引き取ったのは、その約12時間後だった。
         1回目の命日を過ぎた頃から、両親は気持ちに折り合いをつけようとしてきた。「難しい病気だったから私たちが先に逝って息子が残ってもかわいそうだった。最後に親孝行したのかも」。取材の申し出は、その思いをかき乱すことだったのかもしれない。だが再び訪れた時、母親が言った。「寝る前にお兄ちゃんを思い出さない日はない。お父さんも必ず、仏壇のかねを2回たたいて布団に入る。口には出さないけど悔しいと思う」
         ◇精神科あるのに…「専門外」
         12月中旬、両親は消防の担当者から救急搬送の経緯を聞き驚いた。受け入れ要請したのは有名な大学病院や総合病院ばかりだった。精神科があるのに「精神は専門外」と断った病院もあった。
         「どうして心の病というだけで診てもらえなかったのか。息子の命はそんなに軽かったのでしょうか」
        「毎日新聞」12月26日(日)2時37分配信

        ●<統合失調症>総合・大学病院の精神科病床 撤退相次ぐ
         搬送困難例を解消するため、東京都は昨年8月末、救急隊が受け入れ先の2次救急医療機関を見つけるまで20分以上かかるか、5カ所以上断られた場合を「選定困難事案」とし、地域ごとに指定した病院が患者の受け入れを調整したり、自ら受け入れに努める「東京ルール」を導入した。
         都によると「選定困難」に該当したのは今年10月末までの1年2カ月間で1万4105件に上り、うち精神疾患や薬物中毒(大半は過量服薬による自殺未遂)が理由になったケースは1766件で全体の1割を超えた。
         東京消防庁の担当者は「東京ルールで改善された面もあるが、合併症になった精神障害者の搬送が最も難しい状況は変わっていない」と話す。精神疾患患者の多くは暴れたりせず、救急隊は総合病院や大学病院でも受け入れが可能とみている。
         一方、総合病院と大学病院の精神科病床は一般診療科より診療報酬が低く病院経営を圧迫するため、全国で年々削減されている。02年に2万1732床(272施設)あったのが07年には1万9103床(248施設)と12%減った。
        「毎日新聞」12月26日(日)2時36分配信

        ●公立学校教員:精神疾患での休職 過去最多の5458人
         09年度にうつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員が過去最多の5458人に上ることが文部科学省の調査で分かった。17年連続の増加で、00年度(2262人)の2.4倍。病気休職者に占める割合も63.3%で15年連続の増加。文科省は08年、教員の仕事量についての調査、検討を都道府県教育委員会に通知したが、増加に歯止めがかからず、「長時間労働や保護者からの要望の多様化など、複数の原因が絡み合っていると推測される」と分析した。
         全国の公立小中高や特別支援学校の教員約91万6000人を対象に調査。病気休職は8627人で、うち精神疾患が5458人といずれも過去最多となった。精神疾患の多くはうつ病とみられ、パニック障害や統合失調症も含まれるという。
         精神疾患者の年代別内訳は20代364人(6.7%)、30代1048人(19.2%)、40代1926人(35.3%)、50代以上2120人(38.8%)。全教員の年代の比率は20代9.6%、30代22.4%、40代36%、50代以上32%であることから、50代以上の割合が高かった。
         文科省は「職責が重くなることに加え、体力の低下から自信をなくす例が多かった」と説明した。発症原因は(1)長時間労働(2)多様化する保護者の要望への対応(3)複雑化する児童、生徒指導(4)職場の人間関係--など。
         文科省は増加する精神疾患対策として、08年に教員の事務負担を軽減するための実態調査を行うよう各教委に通知を出したが、今回の調査では市区町村教委の43.2%が調査をしていないことも判明した。
         文科省は「この結果を教委に戻し、調査をするように呼びかける」としている。
         ◇懲戒処分943人で前年度比116人減
         調査では教員の懲戒処分などについてもまとめた。
         何らかの処分を受けた教員は計7981人(監督責任を除く)で、08年度より3961人増。このうち免職、停職、減給、戒告の懲戒処分は943人で、08年度より116人減った。全体の処分者数が大幅に増えたのは、兵庫県で3624人(学力検査の集計、採点ミス)、神奈川県で130人(PTA会費の引き落としミス)の大量処分があったため。
         主な処分理由は、飲酒運転を含む交通事故378人(08年度比44人減)▽体罰150人(同10人増)▽わいせつ行為等138人(同22人減)など。わいせつ行為などで処分を受けた教員(懲戒処分以外も含む)の年代別内訳は、20代26人(17%)、30代38人(24.8%)、40代51人(33.4%)、50代以上38人(24.8%)で、全教員の構成比率に比べると20代の処分者の割合が高かったが、文部科学省は「なぜ高いのかは分析できていない」とした。
        「毎日新聞」2010年12月24日

        ●精神疾患 後を絶たぬ休職、対策には大胆な発想必要
         教職員の精神疾患の大きな原因は、学校現場での業務過多と考えられているという。文部科学省は平成16年度から自治体の教委に通知を出し、これを受けて、都道府県と政令市の約80%が業務軽減策を講じてきた。ところが、学校現場の校長からは「少しぐらい業務軽減しても教員の忙しさは変わらない」といった声が聞かれる。授業の準備や生徒指導だけではなく、「保護者への対応も大きな負担」と”直訴”する教職員もいるという。
         ただ、文科省の調査では負担軽減策が未実施でも、休職が減っている自治体もある。政策研究大学院大学の戸田忠雄客員教授は「忙しいのは民間企業も同じ。教師の本来の仕事は、授業と子供、親への対応のはずだ」と話す。
         自治体では教職員へのカウンセリングなども行っているが、それでも精神疾患が増え続ける現実をみれば、対策の効果は残念ながら、ないのではないか。来年度から小中学校の35人学級を実施し、教員増を図って対策を講じるというが、これも根本的な解決につながるとは到底思えない。対策には、採用する教職員の資質の問題から見直すといった大胆な発想が求められているのではないか。
        「産経新聞」12月25日(土)0時59分配信

        ●公立高中退:最少に 10年度上半期、前年度比47人減/長野
         ◇授業料無償化が影響か
         県教委によると、公立高校の10年度上半期の中途退学は前年度比47人減の152人で、過去の記録がある1983年以降で最も少なかった。中退率は同0・1ポイント減の0・3%。県教委は「高校授業料の無償化で、不登校になった生徒の中退が先送りされた結果ではないか。中退は今後再び増える可能性がある」と分析している。
         全日制の中退は同比43人減の107人、定時制が同4人減の45人だった。理由としては「学校になじめない」「授業に興味がない」など、学校生活・学業への不適応が86人で、半数を超えた。また、家庭の事情による中退は8人、経済的理由は4人だった。
         中退後の進路については、アルバイトを含む就職50人▽求職中48人▽進学の準備をしているのが22人。他の学校に行かず、職にも就かない中退者は17人いた。
        「毎日新聞」12月22日(水)12時52分配信

        ●<偏差値>埼玉県で「復活」 「進路指導でデータ必要」
         埼玉県の公立中学校で昨年度、校長会などによる公的テストを実施した学校が9割に上ったことが、県教委のまとめで分かった。テストは市単位や複数の自治体にまたがり行われ、偏差値や志望校ごとの順位を出す地域もある。90年代の業者テスト追放に合わせて学校現場から消えたはずの偏差値だが、進学指導を学習塾に頼る傾向が強まったことから「復活」した。【鷲頭彰子】
         県教委によると09年度は423校のうち391校で公的テストが実施された。3年生約6万人が受けたとみられる。テストを作るのは中学の教師が中心だが、業者が問題作成、採点、データ作成をする地域もある。
         さいたま市では校長会が主催し、約1万人が9月と11月の2回受け、得点や順位、志望校別の得点分布図などが示された。生徒に渡す資料に偏差値は表示されないが、教師は偏差値を把握し、生徒から聞かれれば答えることもあるという。
         県教委は92年秋「偏差値にとらわれない進路指導を」と、中学校で行っていた業者テストの偏差値を高校側に提示しない方針を全国に先駆けて打ち出した。翌年2月、旧文部省は業者テスト追放の通達を出した。
         公的テストは業者テスト追放以前から行われていたが、県教委は「第2の偏差値を生み出す危険性がある」として公的テストについても自粛するよう各市町村教委に求めていた。しかし、かえって偏差値を基に進路指導をする学習塾に生徒や親が頼る傾向が強まったという。このため県教委は06年11月「進路相談に活用できる資料が十分でなく、中学校に対する生徒・保護者の信頼感が損なわれる懸念がある」と、公的テスト容認に方針転換した。実施校は年々増え、09年度はほぼ県内全域での実施となった。
         県教委義務教育指導課は「小学生から、目標を持って自分の進路を決めるよう丁寧に指導している。詳細は把握していないが偏差値を出していたとしても、以前のように偏差値での(進路先の)振り分けにはならないと考える」としている。
         文部科学省は「公的テストについては把握していない」、東京・神奈川・千葉の各教育委員会は「中間や期末テストなど日々の学習状況を基に進路指導している」と話している。
        <偏差値:埼玉で再び導入 尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)の話>
         ◇個性軽視の恐れも
         偏差値は本人の学力を示すものではなく、他者との比較を見るものに過ぎない。学校が偏差値やそれに代わる志望校別の得点分布図を使い出せば、個性や将来の可能性を軽視する進路指導につながる恐れがある。
        「毎日新聞」2010年12月26日 東京朝刊

        ●自身の幹細胞で心筋再生 岡山大病院、来月から臨床研究
         岡山大病院新医療研究開発センター・再生医療部門の王英正教授(循環器内科学)らの研究グループは、生まれつき心室に異常がある単心室症の子どもを対象にした再生医療の臨床研究を1月から始める。患者自身の心臓組織から取り出した幹細胞を培養して心筋に戻し、心機能強化を図る。心臓幹細胞を活用した小児への治療は世界初の試みという。
         脳死臓器提供の年齢制限を撤廃した改正臓器移植法の全面施行(7月)で、従来は海外での移植に頼らざるを得なかった小児の心臓移植への道は開かれたが、いまだに18歳未満の脳死ドナーは現れていない。今回の再生治療と外科手術の組み合わせで患者の生存率が高まり、根治的な治療である移植を受ける機会が増すことが期待される。
         臨床研究は同病院の佐野俊二心臓血管外科教授、大月審一小児循環器科教授らと共同で、単心室症の乳幼児7人に実施。肺への血流を増やすシャント術時に採取した心臓組織(約100ミリグラム)から、自己複製能力を持つ幹細胞を取り出して培養する。
         術後1カ月で行う心臓カテーテル検査の際、冠動脈中に培養した幹細胞を注入して自家移植し心筋を強化、血液を送り出す機能を高める。さらに3カ月後、カテーテル再検査時に心臓のポンプ機能の増強や安全性などを確認する。
         研究で高い安全性や効果が認められれば、治療の有無で患者を比較する第2期の臨床研究を国に申請する方針。
        「山陽新聞」2010.12.28

        ●脳内の神経細胞、ニコチンで再生 金大・米田教授ら確認
         タバコの葉に含まれる有害物質「ニコチン」に、脳神経細胞の再生を促す効果があることを、金大医薬保健研究域薬学系の米田幸雄教授らの研究グループが23日までに確認した。動物の脳細胞にニコチンを加えると、神経細胞ができる割合が増加した。研究グループによると、人間に適用できれば、アルツハイマー病など、神経細胞の脱落に起因する病気の予防、治療法開発につながる可能性があるという。
         情報処理と情報伝達を担う神経細胞は、神経幹細胞が作り出す細胞が分化してできる。
         米田教授は、喫煙者にアルツハイマー病患者が少ないという過去の調査結果からニコチンに着目。ニコチンによって、神経幹細胞が神経細胞に分化する割合が高まるかどうかを調べた。
         実験では、マウス、ラットの胎児の脳から取り出した神経幹細胞を培養し、ニコチンを加えた。ラットの場合、ニコチンを加えると、神経細胞の割合が25%から40%に増え、マウスでも同程度の結果が得られたため、ニコチンが神経細胞への分化を促進していることが裏付けられた。
         神経細胞が脱落することで発症するとされているのは、アルツハイマー病のほか、脳卒中後遺症やパーキンソン病などがある。脳内にある神経細胞は増殖しないが、新たな神経細胞を生み出すことができれば、脱落した分を補うことができる。
         米田教授によると、喫煙によるニコチン摂取は、デメリットの方がはるかに大きい。病気予防や治療への活用に向けては、ニコチンの有毒性や血管収縮作用など課題も多いが、すでに禁煙用ニコチンパッチなどの使用例があり、ノウハウが生かせるという。
         同グループには寳田剛志助教と大学院生の川越博文さんが参加し、研究成果の特許を申請した。米田教授は「まさに『毒をもって毒を制す』で、有害な物質でもうまく使えば病気予防や治療に役立つ可能性がある。企業と連携して研究を進めたい」と話した。
        「北国新聞」2010年12月24日

        自罰・他罰、被害・加害妄想の基盤にある心的外傷体験
        2010/12/23
         トラウマ、PTSD、…。第二次大戦帰還兵の心的ダメージに起因した持続した様々な精神症状などの臨床研究などから、疾患群として位置づけられてきました。日本では1950年頃から研究が始められたそうですが、停滞期を経て、阪神淡路大震災の後に再び注目されるようになりました。そして、事件、事故、災害などの強い心的外傷体験に加えて、最近では、児童虐待などの人間発達の過程における関係性において生じる被虐体験、性的被害、他のハラスメント体験なども、トラウマの視点からの査定、診断、治療が取り組まれてきています。
        事件、事故、災害、レイプなどの不可避的な体験と、それら以外の関係性に起因する心的外傷体験とは違いがあり、後者は心理社会的な背景要因の把握、解釈のされ方の理解が、支援対応に大きく影響しますし、汎化できない個別の人生の課題としての対応が必要となります。
         さて、自閉症スペクトラムの特性のある方にとって、生きることへの大きな阻害要因として、やはりトラウマへの対応が重要であることが注目されてきています。特性によるところの様々な問題、育てにくさ、風変わりさによるからかいやイジメ、疎外感、わかって欲しいことが満たされない不満や不信、将来への見通しが持てない不安、…。そしてこれらの体験や認知が記憶として固着し忘れられない。ストレス耐性の弱さも加わり、不安や混乱、衝動のコントロールができない。情報処理の苦手さや独特さから、ちょっとしたキッカケからパニックに…。こうした状態が継続すると、それらの問題の原因を自分にあると考えて自責・自罰的思考や行動化がしょうじたり、他に原因の所在を転嫁しようとして他罰的な言動が生じたり、それらが状態によって入れ替わったり。さらに発展すると、また同じことが起こる、次は誰かにされるといった被害妄想や、秋葉原事件のような行動を自分もしてしまうのではという加害妄想が生じます。
         過去の人生において体験したことは忘れられませんが、納得できる解釈ができるように支援して受容・整理していくこと、達成感や満足感、喜び体験などを積むことで自尊感情を高める支援をすること、人生の再構築に向けて前向きな将来展望を持てるように支援していくことなどが、トラウマ処理には不可欠と思います。
         それでは、今週の気になる記事です。
        <周囲気にする子どもたち>1人で昼食「難しい」 「遊び」減り、意思疎通下手に?

         他人の目を気にしすぎる子が増えているようだ。昼食を1人で食べている姿を周囲に見られたくない大学生がトイレで食事しているという話題が報じられたが、「気持ちが分かる」という中高生も多い。なぜなのか。子どもたちと教育・福祉に携わる大人の話から、背景を考えてみた。
         東京都渋谷区の児童総合施設「こどもの城」で今月、子どもたちが身近なテーマについて語り合うイベントがあった。首都圏の中高生約40人が集まり、喫茶店のように数人ごとにテーブルを囲む。
         「まわりの目が気になりますか?~ひとりごはんできる?」をテーマにしたテーブルをのぞくと、学校で昼食時間をどう過ごしているかが話題になっていた。学生食堂で好きな物を食べている私立中3年男子(15)は「食堂ではどこに座るかも自由だけれど、必ず友達と食べる」という。他の子に「1人で食べることはないの?」と聞かれると「やりにくい。だって誰もしてないから」。
         私立高3年の女子(17)も「1人だけで何かをするのは嫌。人にどう見られているかが気になってしまう」と自信なさげだ。その理由を尋ねても「なんとなく……」としか返ってこない。うまく言葉にできない、漠然とした不安があるようだ。
         いじめに遭い10月に自殺した群馬県の桐生市立小6年、上村明子さん(当時12歳)のクラスの話も出た。好きな人同士がグループを作って給食を食べる中、明子さんは独りぼっちで食べていたという。公立中2年の男子(14)は「1人で給食を食べさせるなんてやってはいけない。強制的でもいいから席をくっつけるべきだった」ときっぱり。高3女子は「でも話しづらいかも。そもそも仲良くないんだから」と疑問を投げかけた。
         話題はその後、「クラスで多数決を採る時、自分が少数派になりそうだったらどうするか」になった。私立中1年男子(12)は「自分がまじめな意見だと思ったら、人に合わせなくてもいいんじゃない」と言ったが、私立高3年女子は「9割方決まっている時、(多数派意見を)違うと思っても言い出せない」。中2男子が言葉をつないだ。「それは(少数意見の方が採用されて)失敗したら、責任を人になすりつける人がいるから」
         子どもたちの世界は、周囲を過剰に気にせざるを得ない窮屈さで満ちているようだ。
           *
         人の目を気にして周囲と同じ行動を取ろうとするのは、何歳ごろからなのだろう。
         東京都台東区にある寿児童館の水野かおり館長は「男の子は比較的1人で行動しても平気だが、女の子は小学3年生のころには4、5人の固定した仲間で一緒に動くようになる」と話す。
         ある遊びを始める時、ボス的な女の子が「嫌だ」と言い出したことがあった。その時は他の子も「そうだよね」と同調して遊ばなかったが、ボスがいない時に残りの子たちでその遊びをした。後になってボスにそのことがばれ、残りの子たちは必死にごまかした。
         「人の目を気にする子はこの10年間で増えた感じがする。周囲への合わせ方がうまくなってきた」と水野さん。小学生向けファッション雑誌を見て、同じグループで同じブランドの服を着ている女の子たちもいる。
         背景は何か。「かつて子どもは遊びを通して相手の気持ちを察し、コミュニケーションの土台を培った。そんな『遊びの場』が消え、意思疎通の能力が乏しくなったため、仲間内でない子と関わるのが面倒なのではないか」。確かに、街の公園には「球技禁止」など遊びを規制する立て札が立ち、子どもたちは習いごとや塾で遊ぶ時間もない。
         さらに「今の子は失敗や間違いをすごく怖がる」と指摘する。やったことのないゲームや遊びに手を出さない子も増えたという。
         教育雑誌の編集人を務める名古屋市立桃山小の岡崎勝教諭(58)は「遠足などで弁当を食べるとき、『仲間に入れて』と言いたいのに『断られたらどうしよう』と言い出せず、1人で食べる子が近ごろはクラスに1、2人はいる」と話す。
         岡崎さんは「子どもが携帯電話などの情報ツールを使いこなすようになって以来、クラス内で孤立する子が顕在化した」とみる。給食を1人で食べている子を自分のグループに招き入れた子が、後で他の子たちに「なんで連れてきたの」「ウザイ」とメールで責められた例もあるという。
         「子どもたちは自分も排除されはしないかとおびえ、周囲との関係を必死で保とうとしている。人を排除するのは卑しいことだと、教師がはっきり教えなければ。僕は高学年の子には『1人で結構、1人が一番』と言っている。周りの大人が自立や独立心の大切さを繰り返し伝えることが重要なのです」
        (毎日新聞)12月14日(火)7時54分配信

        ●いじめ賠償訴訟、差し戻し控訴審で増額判決
         広島市立中学校に通っていた当時、同級生からのいじめで不登校になり、統合失調症を発症したとして、元生徒の男性(22)が、元同級生や同市、広島県などに損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が20日、広島高裁であった。
         広田聡裁判長は、賠償額を330万円とした2審・同高裁判決を変更、いじめ被害と統合失調症の慰謝料をそれぞれ算定し、計507万円とする判決を言い渡した。
         1、2審とも発症はいじめが原因であると、学校などの責任を認めたが、2審は賠償額を1審(660万円)の半分にしたため、男性側が上告。最高裁は今年1月、2審の慰謝料算定方法が間違っているとして高裁判決を破棄、差し戻していた。
         判決では、男性は中学在学中の2001年4月から2年余り同級生からいじめを受け、不登校となった。
        (読売新聞)12月20日(月)21時42分配信

        ●35人学級見送りへ、人件費抑制を優先
         政府は13日、2011年度予算に向けて文部科学省が要望していた「小学1、2年の35人学級」の実現を見送る方針を固めた。
         民主党は先の参院選公約で「少人数学級の推進」を掲げたが、教職員人件費の拡大に歯止めをかけることを優先する。
         政府の「評価会議」(議長=玄葉国家戦略相)は11年度予算編成に先立つ「政策コンテスト」で、35人学級について、A~Dの4段階評価で上から2番目のB判定を下していた。しかし、その後の政府内の調整で、35人学級の実現に必要な教職員の定数増(6300人増)をいったん認めれば、将来にわたり人件費が膨らむ要因となり、文教・科学振興費を減らしにくくなるとの見方が強まった。
         35人学級を巡っては、文科省が「きめ細かい教育指導につながる」などの理由で、11年度から8年間で小・中学校を対象に段階的に実施するよう求めている。一方、財務省は「少人数化と学力向上の因果関係は必ずしもない」として40人学級の維持を主張している。
        (読売新聞)12月14日(火)3時4分配信

        ●賃室で自殺に高額請求、被害防止の法律要望へ
         賃貸住宅での自殺を巡り、遺族が家主から高額な損害賠償を請求されるケースが相次いでいるとして、全国自死遺族連絡会(仙台市、田中幸子代表)が22日、一定のルールを定めた法律制定を求める要望書を内閣府に提出する。
         連絡会では、弁護士や大学教授らとともに研究会を設立。法案のたたき台を作るため、被害の実態調査にも着手する。
         自殺のあった物件は、家主にとっては借り手がつかないなどの「被害」が生じることがあり、「心理的瑕疵(かし)物件」として遺族に損害賠償を求めることも多い。しかし、連絡会によると、遺族の混乱につけ込み、過大に請求するケースが相次いでおり、同会に寄せられた約200件の事例の中には「室内全体の改装費などとして約700万円を請求された」「おはらい料も求められた」といったものもあった。
        (読売新聞)12月21日(火)6時41分配信

        ●中3男子、胸刺し自殺=近くに包丁、遺書?も-兵庫県警
         22日午後10時20分ごろ、兵庫県宝塚市千種のマンションに住む女性(44)から「息子が血まみれで倒れている」と119番があった。消防などが駆け付けたところ、マンション裏の傾斜地に女性の長男で公立中学3年の男子生徒(15)が血まみれで倒れており、病院に運ばれたが死亡が確認された。近くに包丁が落ちており、遺書のような手紙が見つかったことから、県警宝塚署は男子生徒が包丁で自分を刺し自殺したとみて調べている。
         同署によると、男子生徒は上半身裸で、左胸に刃物を突き刺したような傷があった。近くにあったかばんの中から「今までありがとう。15年間楽しかった」などと書かれた手紙が見つかった。
        (jijicom)2010/12/23-02:02

        ●「教室に入れない」中学生:卒業後、4割が「無業」--倉敷市教委調査/岡山
         倉敷市教委は13日、登校しても「教室に入れない」中学生(不登校生徒は除く)の進路調査結果を発表した。今年3月末の卒業生が対象で、約4割が進学も就職もしていない無業者(アルバイトを含む)だった。
         この日の市議会文教委員会で明らかにした。市教委は昨年7月末に市立中学校全26校で、登校しても校内でたむろするなど「教室に入れない」生徒に関する聞き取り調査を実施。生徒全体の約1%に当たる141人だった。うち3年生76人の進路状況を調査した。
         37%が高校や各種専門学校に進学し、22%が就職した。進学も就職もしていない無業者41%のうち、アルバイトをしているのが22%▽中学で進路が確認できていない例が19%あった。
         市教委は「進学率が低い傾向がはっきりしたが、同様の調査例が他に見あたらず、他自治体との比較はできない」といい、「教室に入れない生徒への対応をどうするか、検討する際の基礎資料にする」と話している。
        (毎日新聞)12月14日(火)16時48分配信
        【カンナからのコメント】
        私の生まれ故郷にしては、よくやった!とめずらしく褒めてあげたい取り組みです。他に調査例が見あたらない、これが実態で、そして問題の本質なのかも知れません。他に例がなくても、独自の改善に向けた取り組みを保障していって欲しいと思います。

        ●全日制高9割で「いじめ」を認知 群馬
         県教育委員会は22日、県内高校に実施したいじめ実態把握調査の結果を公表した。全日制高校でいじめを認知したのは59校で、調査した68校の86・8%に達した。定時制でも14校中の9校(64・3%)でいじめが認知された。
         いじめの認知件数は計1602件。全日制が1466件、定時制では136件だった。
         具体的ないじめ行為(複数回答)は計2952件で、最も多かった「悪口を言われたり、おどされたりする」は計911件。そのほか、「仲間はずれにされたり、無視されたりする」(571件)、「たたかれたり、けられたりする」(398件)-などが目立った。
         認知したいじめのうち75・8%にあたる1214件は教諭らの指導などで解消されたが、残る388件は継続しているという。
         調査は、桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題を受け、11月に県下の全日制、定時制高校計82校、4万711人を対象に実施した。
        (産経新聞)12月23日(木)7時56分配信
        【カンナからのコメント】
        学校や校長、教員の「評価が下がる」ことを恐れて発表しなかったり数値を低く報告したりという管理教育システムの弊害が進んでいます。事実を事実としてまずきちんと把握し、分析・評価し、改善に向けての多様な方略を学校外の社会資源と連携しながら探り具体的に取り組んで行くことが強く求められます。群馬県教委の独自の取り組みだと思われますが、全国に広がって欲しいと思います。

        ●教諭が「愚か者一覧」を掲示=不適切指導と訓告処分―青森
         青森県内の公立中学校で昨年、2年生の担当教諭が「愚か者一覧」として生徒の実名を書いたリストを校内に掲示していたことが20日、県教育委員会への取材で分かった。学校がある自治体の教育委員会は、不適切な指導だったとして今年1月、教諭を訓告処分とした。
         県教委によると、この教諭は昨年7月~11月、提出物を出さない生徒を「愚か者」として、名前のリストを校内に掲示。このほか、生徒との交換ノートに「ダメ人間」「問題児」などと書き込んでいたことも分かった。教諭は学校から注意を受け、生徒と保護者に謝罪したという。 
        (時事通信)12月20日(月)13時46分配信

        ●発達期にセロトニン減-広島大、自閉症マウスで発見
         広島大学の内匠透教授らは自閉症のマウスを使い、発達期に脳内の神経伝達物質「セロトニン」が少なくなっていることを見つけた。
         遺伝情報を担う染色体のうち、ヒトの自閉症と関わる染色体に対応するマウスの染色体に着目。マウスの染色体を変え、自閉症ヒト型モデルマウスを作ることで、発見につなげた。
         今回の研究成果によりセロトニンに関わる自閉症の治療薬などの開発が期待できる。
         自閉症マウスの脳をすりつぶし成分を分析した。発達期である生後1―3週間の脳の全領域で、自閉症マウスが持つセロトニン量は、通常のマウスが持つセロトニン量の85%程度に減少していることがわかった。一方、生後8週間程度の大人の自閉症マウスでは、小脳や中脳でセロトニン量が少なくなることもわかった。
        (日刊工業新聞)2010年12月17日

        ●<赤ワイン>脳機能改善、マウスで神経細胞増殖 名古屋市大
         赤ワインが、記憶に関わる脳の神経細胞の数を倍増させ、認知能力を高めることが、岡嶋研二・名古屋市立大大学院教授(展開医科学)のチームの動物実験で分かった。白ワインでは効果がなかった。近く米国の栄養生化学雑誌に発表する。
         これまでに赤ワインを1日400ミリリットル(グラス3杯程度)を飲む人は、飲まない人に比べ、認知症の症状が表れにくいことが、フランス・ボルドー大などの疫学調査で分かっていた。チームは、赤ワインに含まれ、心疾患減少に効果のある「レスベラトロール」という成分に注目。マウスにレスベラトロール含有量の多い赤ワイン0.2ミリリットルを毎日、3週間にわたり飲ませた。
         その結果、脳の中で記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部分の神経細胞が、飲まないマウスに比べ2倍に増えていた。迷路でゴールにたどりつく時間も訓練開始から5日目に、飲まないマウスに比べてほぼ半分になった。白ワインを飲んだマウスは、飲まないマウスと同じ結果だった。効果がどこまで継続するかはこれからの課題だが、持続して摂取する必要があるという。
         さらに、胃が受けた刺激を脳に伝達する物質の機能を失わせたマウスでは、レスベラトロールを飲ませても脳機能改善の効果は認められず、レスベラトロールが、伝達物質を通して脳に影響を及ぼしていると確認した。
         レスベラトロール濃度が高いのは、フルボディーや色の濃いタイプの赤ワインという。
         岡嶋教授は「赤ワインの健康効果は欧州の人々の間で言われてきたが、やはり科学的な裏付けがあった。しかし、アルコールの過剰な摂取は肝臓への悪影響もあり、飲み過ぎないでほしい」と話す。
        (毎日新聞)12月19日(日)2時33分配信

        ●脳疾患130種以上の関連遺伝子を特定か、研究
         130種類以上の脳疾患の進行に重要な役割を果たすタンパク質の一群を特定したとの論文が、米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(NatureNeuroscience)」に掲載された。
         これらのタンパク質群は、アルツハイマー病やパーキンソン病など多数の脳疾患との関連性だけでなく、人間行動の発達にも驚くほどの関連性があることが分かったという。
         ■シナプスの中の「PSD」
         人間の脳は無数の神経細胞が入り組んだ迷宮を形成しており、化学物質や電流がシナプスと呼ばれる神経細胞間の部位を流れることで情報を伝達している。
         シナプスの中では、複数のタンパク質が組み合わさって「シナプス後肥厚部(PSD)」と呼ばれる部位が形成されている。
         このPSDが、シナプスの機能を阻害し脳疾患や行動変化をもたらすとされてきた。
         ■多数の脳疾患や認知行動に関連
         英ウェルカムトラスト・サンガー研究所(WellcomeTrustSangerInstitute)のセス・グラント(SethGrant)氏率いる研究チームは、脳手術中の患者のシナプスからPSDを取り出して分析した。
         グラント氏によると、分析の結果、予想をはるかに超える130種類以上の脳疾患がPSDと関連していることを突き止めた。また、神経変性疾患の他にも、てんかんや、小児期に発達する自閉症などとの関連性も明らかになったという。
         グラント氏は「人間のPSDは広範な疾患の中心となっている」と述べた。研究の成果は、診断方法の向上など、新たな治療方法の確立につながることが期待される。
         また、予想外の収穫として、PSDに含まれるタンパク質が、学習や記憶などの認知行動のほか、感情や気分の発達に深く関与し、間接的な役割を果たしていることもわかったという。(c)AFP
        (AFP)2010年12月20日15:27 発信地:パリ/フランス
        高機能の広汎性発達障害とカウンセリング(6)
        2010/12/12
        6.家族、関わる人に「理解者」となってもらうための支援
         高機能の自閉症スペクトラムの特性のある青年・成人の方で、言葉によるコミュニケーションができ、それを求めている方を対象とした「相談面接」「カウンセリング」等の支援的関わりの有効性や特殊性等について不十分ながら言及してつもりですが、忘れてならないのが、家族機能の改善・再構築や集団的な学習機会等の提供・参加です。
         特性をお持ちの本人さんは、得てしてご自身の「問題」とされる言動に気づけないものですから、「相談」や福祉サービス等の利用に向けてまず動かれるのはご両親というケースが多いことは事実です。もちろん、中にはご自身が、ネットや文献などで、「自分に発達の障害があるのでは…?」と自ら相談機関等に連絡をとられるケースも最近は増えてきています。この場合には、対本人さん向けにはすぐに必要なサポートにつながることが可能ですが、ご両親や職場の同僚の方等が「困っている」「もしかしたら…」等と気づかれて、サポートを求められたるケースでは、様々な段階を踏んで頂かなくてはなりません。
         まず、対象となる本人さんに、自閉症スペクトラムの特性があるかないか、ある場合にはどんな特性か、得意・不得意は何か、今何に困っているか、これまで何に困ってきたかなど、生育過程をふり返ってもらいながらの様々なエピソードの聞き取りから、「特性」の判断が必要となります。次に、状態に応じて、医療受診や診断(状態によって服薬治療等)が必要かどうかの判断と紹介、部分的サポートが必要である場合に状態に応じて福祉サービスや「相談」支援の利用などの必要性の有無の判断。そして、何よりも、ご家族や本人さんに関わる人に、本人さんの「特性」を理解してもらうための「学び」の提供、「障害」を「受容」し「支援者」として関わってもらうための「寄り添いながらの支援」、それらを提供する場としての「家族会」等の提供・組織化が必要となります。こうした総合的な支援をしているところは、公的には「発達障害者支援法」にもとづきて設置されている「発達障害者支援センター」を中心に行われるべきところですが、予算の関係で、特に人的資源の不足からまだ部分的に行われているところがある、と言える状況です(2010年末現在)。民間でも、NPO法人などで取り組んでいるところが1カ所のみです(2010年末現在、NPO法人ノンラベル:手前味噌ですみません)。
         「親の会」「家族会」等の名称で学びと交流の場は、全国各地で作られていってますし、本人さんたちの「当事者の会」等も(多くが非公開的に)各地で開催されているようです。
         自閉症スペクトラムの基本「特性」を理解する、個別の本人さんの「特性・個性・希望」を理解する、本人さんが生きやすい環境(家庭や学校、職場、地域等)にするための個別の部分的なサポートや整備・調整を随時取り組んでみる、ということが必要となりますが、これらをご家族や学校・職場等で関わる人に求めるのは無理があります。発達障害を理解するソーシャルワーカー等の第三者の関わりと支援がどうしても不可欠です。
         翻せば、発達障害に限らず、「相談」支援や学校や施設での支援に従事する人には、「特性」を理解した上でのソーシャルワークが求められる、ということになります。ぜひ、ご一緒に学んで行きましょう。
         この小連載は、今回で一応終わらせていただきます。
         それでは、今週の気になる記事です。

        暴言、汚い教室…小6自殺で学級崩壊明らかに

         群馬県桐生市の市立新里東小6年生、上村明子さん(12)が自殺した問題で、自殺といじめの因果関係を調べる第三者調査委員会が来週にも発足する。
         担任への暴言、汚れた教室……。学級崩壊がひどくなり、明子さんが「ひとりぼっちの給食」で孤立を深める状況が、学校の調査報告で明らかになった。
         情報公開請求で県教委が開示した学校の報告によると、明子さんの6年1組で4月、落ち着きなく、姿勢の悪い児童が目立ち始める。7月、担任の席決めに逆らう児童が増え、一部児童が暴言を吐くようになる。
         8月下旬、女子児童に反抗的な態度や担任の揚げ足取りがみられ、クラスのまとまりがなくなる。9月、教室が汚く、乱れる。児童数人が5年の時の担任教諭に「授業にならない」と相談していた。
         明子さんが給食で孤立するのは9月下旬。私語をなくすため座席の配置を替えたが、給食時の指示がなかったため、児童は何となく机を寄せて食べるようになり、明子さんが一人で食べるようになった。
         給食時の乱れが続いたため、10月14日に席替えをするが、改善されなかった。明子さんは10月23日に自殺する2日前、一人での給食を担任以外の教諭に泣きながら訴えている。
         給食時についての児童への聞き取りで、明子さんに児童2人が「かわいそうだな」「明日は一緒に食べようと思っていた」と答えた。「あまり気にしなかった」と答えた児童もいた。
         また、保護者の一人は、「数人の児童が担任の注意を聞かず、収めるのに授業時間すべてを費やすこともあった。明子さんが給食でひとりぼっちになった頃、児童の悪態はピークだった。学校は包み隠さず話し、自殺の原因を明らかにしてほしい」と話した。
         学校では1日、授業参観と保護者懇談会が開かれた。保護者から「学校がどんな状況になっているか知りたい」「頻繁に連絡を」という声が出ていたという。
        「読売新聞」2010年12月4日12時01分

        ●「失業や倒産」でホームレスに 約7割、聞き取り調査
         ホームレス支援団体などでつくる「若者ホームレス支援方策検討委員会」(委員長・宮本みち子放送大教授)が40歳未満のホームレス50人から聞き取り調査した結果、7割以上が失業や倒産など仕事に関することを理由に、ホームレスになったと答えていたことが3日、分かった。
         調査は2008年秋から今年春まで東京と大阪で実施。平均年齢は32・3歳で全員男性。出身別では北海道2人、東北11人、関東17人、中部5人、近畿8人、四国1人、九州6人。公園や駅などで野宿だけをしているのは12人で、34人がネットカフェやファストフード店、サウナなど終夜営業店と野宿を繰り返していた。残る4人は終夜営業店だけで寝泊まりしていた。
         ホームレスになった理由は(会社都合も含めた)退職が15人、派遣切りが9人、解雇・倒産が6人、作業員宿舎からの逃亡が8人など。正社員としての経験は43人があると回答し、33人が派遣社員を経験。27人が5回以上転職していた。
        「共同通信」2010/12/0318:59

        ●「いじめと関係認めて」 小6自殺 両親、県と市に通知書 群馬
         桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺した問題で、明子さんの両親が、「いじめと自殺の因果関係と学校の責任を認めるよう求める」とする通知書を市、市教育委員会、学校に提出したことが8日、分かった。7日に提出された通知書では「自殺の原因は、児童のアンケートや教職員の聞き取り調査から因果関係は明らかだ」と主張。「市教委や市に切望することは、早急に今回の事件を精査し、いじめと自殺の因果関係や学校側の責任を認めること」としている。
         通知書に対し、亀山豊文市長は「内容をよく確認した上で、対応したい」とのコメントを出した。
         また、代理人の弁護士は同日、県に対しても、いじめと自殺の因果関係の存否について回答を求める通知書を提出した。
        「産経新聞」12月9日(木)7時57分配信

        ●市立中学校でいじめ、学校側が保護者会で謝罪/相模原
         相模原市内の市立中学校で、2年生の男子生徒がいじめを受け、学校側が保護者会を開いて謝罪しいていたことが8日までに、分かった。市教育委員会は市立小中学校全109校に対し、いじめの未然防止について対応の強化を進めている。
         市教委によると、今年9月15日の昼ごろ、生徒がトイレで6人の男子生徒からズボンを脱がされるなどのいじめを受けた。同月末に学校側がいじめを把握し、対応を協議。いじめに加わった生徒の中には、今回の行為を悪ふざけと認識していた者もいたことから、担任らが「人としてやってはいけない行為」と注意。被害を受けた生徒に謝罪させたという。
         学校側は今月に入って保護者会を開き、「いじめが起きて大変申し訳ない。再発防止を徹底したい」と謝罪。保護者からは「改善策を進めてほしい」などの要望が出された。
         市教委によると、被害を受けた生徒は現在、普通に学校生活を送っているという。
        「カナロコ」12月8日(水)19時45分配信

        ●くじの期待感、ドーパミンが関与=依存症治療に貢献も―放医研など
         くじの低い当選確率を高く見積もってわくわくしてしまう傾向に、脳内のドーパミンが関与していることを、独立行政法人放射線医学総合研究所、早稲田大などの共同研究グループが初めて明らかにした。ギャンブル依存症などの治療に役立つ可能性があると期待される。論文は8日、米神経科学会誌オンライン版に掲載された。
         ドーパミンは、快感や意欲などの情動に関わる神経伝達物質。研究グループは、健康な男性36人に、さまざまな当選確率と当選金額を組み合わせた宝くじをいくらなら買うか答えてもらうテストを実施。その後、ポジトロン断層撮影(PET)で、脳の線条体という部位でドーパミンを受け取る2種類の「受容体」の量を調べた。
         低い当選確率を高く見積もり、高い当選確率を低く見積もる傾向は、多くの被験者に共通に見られた。実際の金額・確率と期待とのずれの程度を数値化し、ドーパミンとの関連を見たところ、D1という受容体の量が少ない人ほど、低い確率なのに過度に期待したり、確率が高いのにはらはらしたりする傾向が強かった。もう一つのD2では、こうした関連はなかった。 
        「時事通信」12月8日(水)7時7分配信

        ●iPadで先進授業 大阪府教育センター付属高校
         大阪府教委の教員研修施設「府教育センター」(大阪市住吉区)に平成23年度から新設される付属高校のカリキュラムに、多機能端末「iPad」や電子書籍を使った先進的な授業が取り入れられることが8日、分かった。不登校など課題を抱えた生徒の支援にも取り組む。教育センターは全国の都道府県に設置されているが、付属校を開設するのは全国で初という。
         23年度は府内全域から1年生240人を募集。センターに隣接する府立大和川高校(22年度で募集停止、閉校予定)の校舎で授業を行う。
         特徴的な授業は、コミュニケーション能力などを鍛える「探究ナビ」。週2~3時間を予定し、興味のある課題について人前で意見を述べたり提案したりできる力をつける。
         また、iPadなどを使ってデジタル教科書を活用するほか、センター内にある大学の研究室並みの実験室やスタジオなども利用。宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと連携した講座などキャリア教育も充実させ、将来像への意識を高める授業も行う。
         一方、不登校など課題を抱えた生徒への対応も充実させる。専用の教室を整備し、常勤の臨床心理士も配置。他の高校からも生徒を受け入れ、元の学校に復帰するプログラムの確立を目指すという。
         センターには現在、教員や研究員ら約70人の専門スタッフが所属。府内の幼稚園から高校までの教員を対象に、授業内容の研修を行っている。海外の先進事例なども研究しているが、「成果が見えにくい」との指摘もあったといい、付属校ではセンターで蓄積したノウハウをフルに活用。成果が上がった取り組みをほかの府立高校にも広げることで、大阪の教育の底上げにつなげたいとしている。
        「産経新聞」12月9日(木)1時56分配信
        高機能の広汎性発達障害とカウンセリング(5)
        2010/12/05
        5.心的外傷体験の独自の解釈を理解しつつ整理する
         自閉症スペクトラムの特性として、対人相互作用の困難さがよく言われますし、みなさんが共通して有しておられることは間違いないと思います。しかし、余り言及がされていない特性として、「(部分的、あるいは無意識選択的な)記憶力が良すぎて、忘れられることができない」というのも、かなり多くの方にあてはまるようです。
         楽しい記憶、学びの記憶などであれば人生を豊かにしてくれるのでしょうが、嫌な体験となるとそうはいきません。
         ある日突然学校に行かなくなった…、退職した後に家から出ようとしない(=就活をしようとしない)、医療につながらない、などなど、家族が「何で?」と思うような対人関係を拒否する行動が出る場合など、本人さんがその理由を語ってくれる時には、ほとんどと言っていいほど「過去の嫌悪体験」が登場します。もちろん、人によってそれぞれの体験ですし、年齢を重ねるほど増える傾向にあります。いわゆるトラウマの堆積した状態で、それをどう解釈し、処理していったらいいのかわからない、途方に暮れておられるケースがほとんどです。
         論理的思考が好き、あるいは自責観念の後に他罰的思考や原因究明を求める方向に転じていく方の場合、「今こうして困っている、納得できない状態にある自分にしてしまったのは○○のせいだ」と、事実関係に照らして整合性のない論理展開を頭の中で作り上げていかれる方も多いようです。
         また、継時記憶の情報の混乱などから、様々な時空に思考が散逸しつつも、(かなり)強引な事象の「結びつけ」を行い、その空想にふけることに安心感を感じたり(その逆の場合もありますが)、それを(その方にとっての)現実体験と認知してしまったりされます。
         原点に、乳幼児期から児童期、思春期・青年期、そして就労などの社会的関係性の中での心的外傷体験が積み重なっているわけですが、それらが、整理できないままでいることに対して、本能的な防衛規制が生じます。それらが自閉症スペクトラムの特性と相まって、自身の心的了解を求めての「独自の解釈」を、高機能の方ほど行われるようです。
         こうした方とのカウンセリング関係が成立したとき、生育歴、心的外傷体験、抑圧され無意識に閉じ込められた体験や情動、そのヒントとなる夢、家族をはじめとしてその方の人間発達に関わってこられた方々からの情報などをできるだけ多くつかみつつ、語られる言葉を、「独自の解釈」を前提としながらセラピストとして解釈していくことが求められます。
         最初は滅裂に大風呂敷が広げられ始める方もおられますし、「独自の解釈」の講釈を始められる方もおられますが、聴き、言葉の意味を確認しながら整理していく作業をするつもりで、「トラウマ処理」を目標としてのカウンセリングが当面の課題となると思います。
         それでは、最近の気になる記事です。

        <障害者自立支援法>参院で改正案可決・成立

         障害福祉サービスの原則1割を負担する障害者自立支援法の議員立法による改正案が会期末の3日正午過ぎ、参院本会議で民主、自民、公明各党などの賛成多数で可決・成立した。社民、共産両党は反対した。サービス量に応じた負担から支払い能力に応じた負担を掲げ、発達障害を対象に明記する内容で、13年8月までの同法廃止と新法施行までの「つなぎ」との位置づけ。
         発達障害者や知的障害者の団体などから早期成立を求める声が強まる一方、同法違憲訴訟の元原告らは「1割負担の仕組みが残る恐れがある」と強く反発している。
         新法は、ほかに▽グループホームを利用する個人への助成▽障害児向け放課後型デイサービスの制度化▽相談支援体制の強化▽知的障害者らのため成年後見の利用支援を市町村の必須事業にする--などの内容。
        「毎日新聞」12月3日(金)12時35分配信

        ●<裁判>消えた権利~知的障害者と裁判 女性の訴え「門前払い」
         知的障害をもつ女性(30)が強制わいせつの被害を訴えた刑事裁判で、1審の宮崎地裁延岡支部は昨年9月、女性の「告訴能力」を否定し、検察官の起訴を無効とする判決を言い渡した。「女性には裁判所に訴える能力がない」。公訴棄却判決は、いわば「門前払い」の内容だが、女性の周辺にはその判断への疑問の声が相次いでいる。12月21日に予定される控訴審判決を前に事件の周辺を歩き、司法における知的障害者の人権を考えた。
         「携帯で胸を撮られた。みんなに見せるって」。昨年2月24日夕、宮崎県北部の山あいにある福祉作業所。家族や職員ら15人がかたずを飲んで”告白”に聞き入っていた。
         きっかけは数日前、女性が友人に相談したことだった。本当だと思った職員は警察官にも同席を頼んだ。
         「自分で男について行ったの」という問いに「1回か2回断った。でも早よこれ(車)に乗らんねって怒られた」。「何をされたの」「いやらしいことをされた。怖くて声が出んかった。体も動かんかった」。言葉を聞いた職員は「余りにありのままで、聞くに堪えなかった」と振り返る。作業所には、両親のおえつと職員のもらい泣きの声が響いた。
         話し合いは約3時間に及んだ。最後は全員で「この子たちを守ってくれるのは警察しかない」と、警察官に頭を下げた。外は真っ暗になっていた。
         まもなく逮捕・起訴された男(61)は捜査段階で容疑を認めたが、公判では「合意の上だった」と否認に転じた。女性は昨年6月、裁判所に出廷した。
         尋問は、傍聴席や被告の間についたてを立てただけで行われた。関係者によると「相手(被告)を許しますか」と尋ねた検察官に女性は「許しません」とはっきり答えた。だが、聞き手が裁判官に替わり、供述調書と告訴状の意味の違いなどについて聞かれると、黙り込んでしまったという。
         そしてその3カ月後に出た判決は、被害者の「告訴能力のなさ」を書き連ねていた。「問いが難しくなると、応答が迎合的になる」「告訴状と供述調書の違い、記載内容などを自発的に説明できない」。起訴自体が無効という判断は、女性の周囲に衝撃を与えた。
         知的障害者が巻き込まれた事件の情報を集めている「全日本手をつなぐ育成会」(東京)によると、知的障害を理由に告訴能力を問題視されて起訴が無効とされた事件は聞いたことがないという。
         大久保常明常務理事は「知的障害者は被害をうまく説明できなくて泣き寝入りしてしまうことが多い。だが、この判決は告訴能力を否定しており、それ以前の問題だ」と驚く。「一般人でも告訴状と供述調書の違いをきちんと説明できる方がどれだけいるでしょうか。こんな理由で知的障害者を司法から排除するのなら、司法の役割とはいったい何なのでしょうか」
         なぜ、こうした判断に至ったのか--。記者は2度にわたって裁判長に取材を申し込んだが、宮崎地裁から「判決文にあることがすべてで、コメントできない」という電話回答があっただけだった。
         強制わいせつの被害を訴えた宮崎県の女性(30)は09年6月、同県延岡市内で精神科医(77)の鑑定を受けた。県北部の鑑定を一手に引き受けるようになって約四半世紀。医師は、抽象的な質問や難しい言葉は苦手という知的障害者の特性を考え、父親を同席させてゆっくり分かりやすく話すよう気を遣った。
         「学校ではどんな子だったのかな」と尋ねると「いじめられっ子」という答えが返ってきた。好きな科目は「国語」。嫌いな科目は「算数」。好きな漫画は「りぼん」……。
         女性はおとなしく、被害状況を聞けないくらい恥ずかしがっていた。しかし、「事件についてどう思っていますか。どんな感想を持っているのかな」と聞くと「二度とこんなことがないように」と、うつむき加減に、だがはっきりとした言葉が返ってきたという。
         医師は、約2時間の知能テストと面談の末、軽度の知的障害と判定した。「中学生以上の社会的能力を持ち、物事の善悪は判断できる」。そう話す医師は、1審判決について「意志をうまく伝えられない知的障害者はとても弱い存在。でも裁判所は彼女の思いをくみ取ろうとせず、事件をなかったことにして彼女は被害者にもなれなかった」と語る。
          ◇    ◇
         事件当時、女性は自宅近くの福祉作業所に通っていた。「障害があっても地域で暮らしたい」。そう願う障害者の家族や兄弟たちが協力して作った小さな作業所だ。
         両親は女性を都市部で就職させることも考えた。だが「家族と一緒に暮らしたい」という女性の希望もあって、作業所に通わせることにした。育てた野菜を売って月に約5000円を得るだけだが、職員は泥だらけになって楽しそうに畑仕事をする女性の姿をよく覚えている。
         事件後、再び被害に遭うことを恐れた両親は、女性を遠くの入所型グループホームに移した。「兄弟はみな就職して家を出て、最後まで残ったのがあの子だった。いなくなってしまって私たち夫婦の生活がどんなに寂しくなったことか」。父親は声を落とした。
          ◇    ◇
         女性は読み書きもでき、施設の仲間や好きなタレントの生年月日や干支(えと)をすべて覚えていた。事件から約1週間後、舗装された道路もない山奥の現場まで、職員や警察官を正しく案内したという。
         11月中旬、記者は女性を訪ねた。「忘れさせてやりたいから、事件のことは聞かないで」。そう念押しされ、グループホームの片隅で女性を見守った。
         ホームにいる間、女性は入所者と終始おしゃべりをしていて、初対面の記者とはなかなか目を合わせようとしなかった。だが、しばらくすると記者に名前や好きなタレントを聞き、自分の氏名住所と好きなアイドルを書いた紙を渡してくれた。
         「また来てね」。帰り際、ささやいて笑った女性は、童顔で年齢よりも幼くみえた。だが、好き嫌いもしっかりあり、友人と雑談もできる彼女と自分は何がそんなに違うのか。「誰も彼女の証言能力を疑ったことはありません」。作業所職員の言葉は、決して誇張ではないと実感した。
        「毎日新聞」12月2日(木)7時38分配信

        ●心も凍る「就職”超”氷河期」 連敗で鬱…面接会に臨床心理士
         「超氷河期」ともいわれる就職状況の中、来春の新卒予定者らを対象にした就職面接会が30日、大阪市内で開かれ、内定が決まっていない大学生ら約1500人が参加した。今年は”連戦連敗”で鬱状態に陥り、専門家による心のケアを受ける学生が増加。会場には、こうした学生のための相談コーナーも初めて設けられ、厳しい年の瀬を迎える学生たちの就活事情が改めて浮き彫りになった。
         ◇でも大手志向…企業もため息
         面接会は大阪労働局などが主催。例年より約3カ月前倒しで開催され、大阪府内の中小企業など70社が参加し、参加者は前年より約1.5倍増えた。
         大阪市の男子学生(22)は「自分に合った職場を探しているが、どうすればいいか分からない。親からは年内に決めろと言われている」と焦りを隠せない。
         労働局によると、来春の新卒者の就職内定率は、10月1日現在で全国平均が過去最低の57.6%、近畿でも過去2番目に低い60.5%まで落ち込んでいる。
         「若い人は大手に目を向けがちですね…」と話すのは、居酒屋チェーンなどを展開する丸善食品(大阪市東住吉区)販売一課の安藤学課長(34)。住友金属工業子会社の住金精鋼(大阪府堺市)の藤本善弘総務室長(49)も「住金のブランドだけでは優秀な人材は来てくれない」と本音を漏らす。
         この日の面接会でも、座席が埋まり、ブースからあふれるほどの学生が集まった企業もあったが、逆に学生がほとんど寄りつかないブースもあるなど「二極化」が目立った。
         「危険で体力がなければできない仕事と勘違いされている」と綜合警備保障採用部の小西晶課長代理(39)。実際、警察官や消防士を目指す学生らが”滑り止め”として同社を受けるケースも多いという。
         一方、会場には臨床心理士による相談コーナーが初めて設置され、就職難が原因で精神的な不安を抱える学生が集まった。
         大学生らの就活を支援する大阪学生職業センターは「有名企業を何十社も受けて落ちると、自分を無能だと思い込み、敗北感を抱いてしまう。相談にきて、いきなり号泣する人もいる」と話す。
         最近は、抗鬱剤を飲みながら就職活動を続ける学生も少なくないという。
         面接会場を訪れた兵庫県尼崎市の女子学生(22)は「これまで50社に応募したが書類選考で落とされ、面接まで残ったのは2社だけ。自分を否定されているようで自信がなくなった。つらいです」と表情を曇らせた。
         同センターによると、今年度の利用者は9月末現在、前年比約3割増。担当者は「年末から年明けにかけ、さらに増えるのでは」と話している。
        「産経新聞」12月1日(水)9時5分配信

        ●09年の若者の失業率、全年齢平均上回る
         政府は3日午前の閣議で、2010年版「子ども・若者白書」を決定した。
         白書によると、09年の失業率は15~19歳で9・6%(前年比1・6ポイント増)で全年齢計より4・5ポイント高かった。20~24歳は9%(同1・9ポイント増)、25~29歳では7・1%(同1・1ポイント増)だった。
         07年の非正規雇用者(学生を除く)の割合は、15~19歳で40・2%と4割を超え、20~24歳の32・5%、25~29歳の27・5%を上回った。
         一方、07年3月卒業者の就職後3年間の離職率は、中学卒65%、高校卒40・4%、大学卒31・1%だった。中学・高校卒業者は1年目に離職する人の割合が高く、中学卒では約4割になっている。
        「読売新聞」12月3日(金)11時32分配信

        ●性同一性障害の小6男児 中学校も「女子」通学
         心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断され、女児として通学している兵庫県内の小学6年の男児(11)が、来春の中学入学後も「女子」として通学することが1日、地元の教育委員会への取材で分かった。男児は教育委員会の配慮で女子用の制服を着用、トイレも女子用を利用するといい、こうした配慮は異例という。
         教育委員会によると、男児は小学校でも女児として受け入れられており、教育委員会は9月、保護者と男児の主治医、中学校の教諭らを交えて検討。保護者からの要望もふまえて、女子として通学させることを決めたという。
        「産経新聞」12月1日(水)15時48分配信

        ●桐生の小6女児自殺:第三者委、市長部局に 中立性確保へ市外委員/群馬
         桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、同市教育委員会は29日、臨時会を開き、いじめと自殺の因果関係を検証する第三者委員会の設置を市長部局の総務部に委ねることを決めた。市側も同意した。高橋清晴教育長は「中立性を確保するため」と説明している。
         市教委によると、臨時会では第三者委のメンバーとして▽弁護士▽精神科医▽臨床心理士▽人権関係▽PTA役員などの保護者--から各1人を選ぶことが望ましいとの意見で一致した。さらに、客観性を保つため、いずれも市外在住であることを条件にすべきだとしている。
         市側は総務部に第三者委の事務局を設置することで合意。今後、人選を進め、来週中の第三者委発足を目指すという。
         市教委は、いじめと自殺の因果関係について「特定できない」とした学校側の調査結果を受け入れた経緯があり、明子さんの両親から、中立・客観的な検証に疑問の声が出ていた。
         市教委と市の同意を受け、亀山豊文市長は「第三者による委員会については、一刻も早く設置するよう指示している。速やかに委員を選任し、早急に調査結果を出していただけるようお願いする」とのコメントを発表した。
        「毎日新聞」11月30日(火)12時32分配信

        ●新教育の森:ほっかいどう フリースクールの実情と課題/北海道
         ◇費用の負担大きく 「認定校」で公的助成を
         不登校の子供たちの受け皿の一つになっているフリースクール。その運営者と保護者団体で作る「不登校の子どもの育ち・学びを支える札幌連絡会」が11月上旬、認定フリースクール制度の導入などを柱にした提言書を札幌市に出した。学校復帰だけでなく、もう一つの選択肢として、フリースクールの充実を図ることを求めている。その実情と課題を考えた。
         □■運営は「火の車」
         札幌市厚別区厚別北2の5のフリースクール「そら」。マンション一室で、小学生たちが茶道のお点前の練習に励んでいた。やかんで湯を沸かし、茶わんに入った抹茶を茶せんでたてる。2日後に迫った札幌で行われる「フリースクールフェスティバル」のアトラクションに出るためだ。
         このフリースクールは小学生が中心。現在、不登校の8人が通う。月~金曜の週5回、午前中は個別学習し、午後は全員で自由活動を行う。自由活動では外部ボランティアも指導に当たり、絵画や音楽、調理、野外活動と幅広い。遠藤明美代表は「最初、子供は顔を引きつらせ、仲間と離れて一人ポツンと壁の花になっていました。でも、ここが安心できる場所と分かると、表情が明るくなります」と話す。一人一人の良いところも悪いところも丸ごと受け止め、向き合うことが大切だという。
         教師を約25年間務めた遠藤さん。最後は不登校の子供らを担当した。「何とかしてあげたい」と退職し、01年春にそらを設立。「学校復帰がベストとは思いません。学びの場は人それぞれあり、別の選択肢があってもいい。ここで、社会的に自立するうえで何が大切か、その答えを探す手伝いをしています」と話す。
         だが、運営は「火の車」という。利用料は通う回数に応じて月額1万~3万円。親にとっても負担だが、それだけで運営するのは厳しい。教室を借りていたが、退職金が底をつき、自宅マンションに移った。遠藤さんは「年金があるので、まだ何とかなる。でも若い人が働きたいと言っても、給料は出せず、継続できる仕事ではありません」と漏らす。
         □■道内に27施設
         提言書では、不登校の育ち・学びの場の選択肢の一つとして、フリースクールの役割を強調している。保護者、運営者にとって、問題は利用料の負担。そこで、認定制度を創設し、公的な財政支援を提案している。札幌自由が丘学園の亀貝一義理事長は「札幌市は子どもの権利条例を制定している。その理念を実現するためにも、先頭を切って実現してほしい」と話す。
         道教委によると、昨年度の不登校の公立小中学生は約4200人。学校に行けない子はフリースクールや市町教委の適応指導教室に通うが、全体の一部にすぎない。フリースクールなど民間施設は道内に27施設(8月現在)ある。運営はNPO法人や個人などで、通所型や訪問型とさまざまタイプに分かれる。
         親の会「フリースクール等で子どもを育てる親の会」の平山るみ子代表は「息子を3年間通わせた経験があるが、元気になった。学校生活になじめない子がいる中で、学校とのすき間を埋めるフリースクールの役割をもっと認めてほしい」と訴えている。
        高機能の広汎性発達障害とカウンセリング(4)
        2010/11/28
        4.その人の生きづらさー解釈から理解へ
         自閉症スペクトラムの特性をお持ちで、成人になられた方。様々な被虐体験を積まれたり、学習性無力感に苛まれておられたりというトラウマを幾重にも重ねておられる方もおられますし、多少のそうした体験があってもそれを心的外傷と感じずに来られている方や、「何かうまく行かない」感や「どこか他者と違う」感を持たれつつも知的あるいは理性的にカバーして来られた方、でも何かをきっかけに挫折体験をされてシングルフォーカスの特性から頭の中で特定の思考が「ぐるぐる」して動けない状態になられた方など、さまざまな生きづらさを感じて「相談」支援が必要となられる方と多く接してきました。
         自閉症スペクトラムの特性を持って生まれて以降、乳児期の愛着形成や他者との基本的信頼感の獲得、自我同一性の獲得などの様々な発達課題を他者との関係性形成の不得意さから乗り越え損ねて、アンビバレントな対人関係や対人不安・不信・恐怖、自己覚知の不安定さ、自己否定感、現状及び将来不安などなど、成長過程で体験した様々な不安・嫌悪体験や学習の不足や偏りなどから、精神及び行動上の問題が生じるケースが少なくありません。むしろ、今の社会を生きていれば、そうした状態にならずに育つ事の方が不思議なのかも知れません。
         その人の持たれる特性や得意・不得意といった能力や個性、生育歴の中でのエピソードやそこから形成されてきた思考パターン、現状の自己認識、将来への思いなどを、十分にお聴きし、特性を前提として一定の解釈を加えつつ、現実のその方を理解しようとすることから、「必要なサポート」が見えてきます。
         診断が必要な人、そうでない人、(二次障害への)薬物治療が必要な人、そうでない人、状態によってそれぞれですが、生活面での部分的なサポートは必ず必要ですし、そのサポートが入ることで、生きやすさが生まれます。必要かつ部分的なサポート…。ご家族によるもの、知人や職場によるもの、ご近所の方々との関係性によるもの、障害福祉サービスなどによるもの、カウンセリングなど「相談」支援によるものなどなど、個別に多様なサポートが考えられますし、作り上げることができます。
         こうした必要なサポートへつながるために大切なのは、何に生きづらさを感じ、何からそれが生じ、今どうされたいのか、何に困っておられるのかなどを特性から解釈しながら理解し、既存の枠組みにとらわれることなく柔軟・機敏に具体的な対応方をご一緒に見つけていく支援者の視点・姿勢だと思います。 
         それでは、最近の気になる記事です。

        過酷”就活” 大学生、ハローワークに殺到、1カ月3万人

         来春卒業予定の大学生の企業採用が冷え込み、失業者の職探しの場だった全国各地の公共職業安定所「ハローワーク」を訪れた大学生が1カ月で3万人を超えたことが21日、分かった。大学生は企業説明会やOB訪問を通じて採用されるのが一般的だったが、あまりの”就職戦線”の厳しさに国が今年9月にハローワークに大学生向けの相談窓口を設置。窓口では「とにかく仕事を」と、悲痛な声が上がっている。
         厚生労働省によると、全国55カ所のハローワークに設置された大学生向けの窓口「新卒応援ハローワーク」を訪れた人数は、9月下旬~10月下旬までで3万641人に上った。
         窓口では、民間企業で採用活動などの経験がある定年者らが相談に乗り、求人情報などを提供している。
         東京都港区のハローワークでは、スーツ姿の多くの大学生でごった返し、真剣な表情で求人情報が閲覧できるパソコン画面に目を走らせる。都内の私立大4年の男子学生(23)は「昨夏から80社近く受けたが、一つも内定がもらえなかった。何とかしないと思い、来てみた」と話した。
         こうした窓口は、政府の「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」で設置。10月末時点で、利用者2090人の就職内定につながっている。
         現役の大学生だけでなく、卒業後も仕事を見つけられない既卒者向けの支援も行われている。3年以内の既卒者を新卒扱いで採用した企業には、正規雇用から半年後に100万円の奨励金を支給する制度もあり、求人数は11月14日現在で約1万人、うち約160人が正社員として採用されている。
         ただ、就職内定率が過去最低の57・6%(10月1日時点)となっている今年の現状では、それも”焼け石に水”状態で、就職できない学生はあふれている。
         文部科学省も大学の就職支援事業を打ち出すなどしているが、政府の行政刷新会議の事業仕分けで「廃止」と判定された。政府内でも何が有効な対策なのかも定まらないのが実情で、多くの学生が就職を決められずに年越しを迎える事態が予想される。
        「SankeiBiz」2010.11.2208:54

        ●勤務時間減、30年前の水準に=睡眠、読書は減り、ネット増―シチズン調査
         不況で残業が減り、勤務時間は短くなったが、飲みにも行かず、家ではネット―。シチズンホールディングス(東京)が行った生活時間に関するアンケートで、男性ビジネスマンのこんな日常が浮かび上がった。
         同社は1980年以降10年ごとに、男性ビジネスマンを対象に生活上の所要時間をアンケート調査。4回目の今年は20~50歳代の計400人に聞いた。
         平日1日当たりの睡眠時間は、6時間2分と80年(7時間1分)から約1時間減で過去最短。食事時間も1時間9分で、1時間20分台だった過去3回の調査よりも短かった。一方、勤務時間も8時間39分と前回2000年から1時間近く減少。80年(8時間36分)の水準に戻った。
         仕事や睡眠など生活に必要な時間を除いたプライベートな時間では、ネットやメールに費やす時間が週に計7時間59分と最多。テレビは7時間52分で、調査開始以降初めて首位の座を譲り、視聴時間も30年前の13時間2分から大きく減った。本や新聞、雑誌を読む時間も2時間36分で、80年の8時間42分から大きく減り、「活字離れ」が如実に。今回初めて項目に加わった「電子書籍を読む」は2時間9分だったが、実際に読んでいると答えた人は14.5%にとどまった。
        「時事通信」11月27日(土)5時19分配信

        ●【WEB充生活】「過去の自分」が就活の敵に
         インターネットを活用するのは就活生だけではない。企業の採用側も、説明会に参加した学生や面接した学生が、ブログやSNSでどんなことを書いているのかをチェックする。
         就活状況を記していれば、「ああ、この学生はあの会社も受けているんだな」と採用側から認識されてしまうし、日記から社風に合うか合わないかも見られている。
         ドイツでは、採用雇用判断にソーシャルメディアの利用を禁止する動きが出ているようだが、日本では議論も始まっていない。就活では、過去自分が書いた記録が自分の進路を阻むこともある。
         ネットでの発言は自由だが、それが自分の自由を奪うかもしれないことをわきまえておくことが、今後いっそう必要になってくるのだ。
        「産経ニュース」2010.11.2507:55

        ●小6自殺で県緊急アンケート いじめ認知 一気に3倍 群馬
         桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、県教育委員会は25日、小中学校に緊急で実施したアンケート調査の結果を発表した。小学校で認知したいじめは143校で、全小学校(336校)の42・6%に達した。昨年、文部科学省の指示で実施した調査ではわずか46校でいじめを認知しただけで、今回は3倍増となった。県教委は「各校のこれまでの調査が不十分だった」とみて同日、各市町村教委の担当者に定期的ないじめ調査実施を求めた。
         いじめは、10月に県下の公立の全小中学生を対象に実施したアンケートを基に、学校側が追跡調査を実施するなどして認定した。
         その結果、小学生では143校で、いじめを認知。件数も計1522件に上った。
         アンケートで回答のあったいじめ行為(複数回答)で最も多かったのは「悪口を言われたり、脅されたりする」で2368件。
         そのほかには、「たたかれたり、けられたりする」(1345件)、「仲間外れにされたり無視されたりする」(930件)、「持ち物を隠されたり壊されたりする」(469件)が目立った。
         認知したいじめのうち76・3%にあたる1161件は教諭らの指導でなくなったが、残る361件のいじめは継続しているという。
         一方、中学校(全172校)では、いじめの認知が過半数の90校に達し、計750件に上った。うち解消されたのは450件にとどまった。
         こうした膨大ないじめを危惧(きぐ)した県教委は25日、県庁に市町村教委の担当者を集め、いじめを許さない環境づくりや保護者との連携の徹底、毎月1回のアンケート実施を指示した。
         さらに、上村さんのクラスが学級崩壊状態であったことから、校長ら管理職が定期的に教室を巡回し、学級崩壊に向かうような小さな異変を見逃さない体制づくりも求めた。
        「産経新聞」11月26日(金)7時57分配信

        ●札幌中2女子自殺、いじめの経緯も遺書に
         札幌市立中学校の2年生の女子生徒(13)が、同市中央区の自宅マンションから飛び降り自殺した問題で、女子生徒の遺書には、1年生の時に同級生だった生徒の名前を挙げて、クラスで配布物を回す際、「あなたからもらいたくない」と受け取りを嫌がられた経験が記されていたことが、関係者への取材で分かった。
         また、別の2人の生徒の名前を挙げて1年生の時に無視されたり、「きもい」と言われたりした、と書かれていた。遺書には、学校生活以外の悩みも記され、市教委はこれらの記述と女子生徒の自殺との関連を調べる。
        「読売新聞」11月24日(水)3時5分配信

        ●子ども・家庭を支援 市教委、訪問型立ち上げへ
         京都市教育委員会は来年度、子どもの問題行動に悩む保護者やその児童生徒を支援する「子ども・家庭支援チーム」を立ち上げる。元校長と府警OBでつくり、相談機関を敬遠する家庭の要望を受けて、地元の学校や家庭に出向く訪問型の支援が特徴だ。
         25日の市議会本会議の一般質問で高桑三男教育長が明らかにした。
         市教委によると、暴力行為や不登校などの問題行動の相談機関として、市教育相談総合センター(こども相談センターパトナ)や市児童相談所などがあるが、継続的に通うことが負担だったり、機関の利用を嫌う家庭を対象に学校を通じて利用を呼び掛けるという。チームの人数は十数人程度を想定している。
         訪問型家庭教育支援は各地の自治体で広がっているが、元警察官をメンバーにすることは珍しいといい、非行防止にあたった経験を生かしてもらう。
        「京都新聞」11月25日(木)22時9分配信

        ●無期刑、仮釈放まで30年…厳罰化で長引く
         無期懲役刑の受刑者で仮釈放を許可するかどうかの審査を昨年受けた24人のうち、不許可が18人と75%を占め、過去10年間の平均の34・6%を大幅に上回ったことが、法務省のまとめでわかった。
         許可された6人の受刑期間の平均は30年2か月で、10年前の1・4倍に延びており、厳罰化の影響で無期懲役囚の仮釈放は一層難しくなっている。
         法務省のまとめによると、昨年末時点の無期懲役囚は1772人で、このうち受刑期間が30年以上なのは88人。50~60年にわたり服役している受刑者も7人いる。
         2005年以降、刑務所長の申請に基づいて仮釈放審査が行われた件数は年に1~7件と少数にとどまっていたが、審査の透明化を求める声が高まり、昨年4月からは刑期が30年を過ぎた時点で必ず審査する新制度が始まった。これにより、昨年は審査数が24人に急増。ただ、許可されたのは4分の1にとどまり、30年目の審査は仮釈放の拡大にはつながらなかった。
        読売新聞11月22日(月)7時12分配信

        ●マナー守られぬ自転車 歩行者と事故、10年で3.7倍
         歩行者を巻き込む自転車の事故が絶えない。昨年は全国で2934件。10年間で約3.7倍に増えた。自転車は幅広い年齢層が愛用するが、マナーが守られているとは言い難い。「エコブーム」で自転車人気はさらに広がるが、万一に備えた保険の加入率は上がらず、専用レーンなどの整備も進んでいない。
        ■一瞬の油断、命奪う
         「禁固2年執行猶予3年」――。12日、東京地裁が43歳の男性会社員に有罪判決を言い渡した。1月に自転車で走行中、東京都大田区の交差点で75歳の女性とぶつかった。女性は転倒して頭を打ち、5日後に死亡した。
         男性はサイクリングが趣味で、多摩川に向かう途中だった。車道の左側を走っていたが赤信号に気づかず、横断歩道を左から渡ってきた女性とぶつかった。5メートル手前で女性に気づいてブレーキをかけたが間に合わなかった。
         普通の会社員から刑事被告人に。「慎重な性格だったのに」と、昨年結婚したばかりの妻も肩を落とす。夫婦で近くの神社に通い、犠牲者の冥福を祈るしかなかった。
         一方で、遺族の悲しみは癒やされない。「私は被告人に母を殺された」。女性の長男で会社員の東光宏さん(40)は重い処罰を望んだ。
         自転車事故で適用される罪は多くの場合「重過失致死罪」。最高でも5年の懲役か禁固だ。「ならばせめて実刑を」と裁判で訴えたが、受け入れられなかった。判決を聞き、東さんは法廷で「不満です」と声を上げた。
        ■守られぬマナー、検挙急増
         警察庁によると、自転車と歩行者の事故は1999年は801件だったが、翌年に1827件に急増。最近は2千件台の後半で推移している。
         交通事故全体は減る傾向だが、自転車事故は2009年に15万6373件(21.2%)あり、全体に占める割合は増えている。
        「asahi.com」2010年11月22日7時1分

        ●【何が虐待へ向かわせるのか】(3)子育ての「私事化」 地域・社会から切り離され
         かつて「母原病(ぼげんびょう)」という言葉があった。子供の非行や登校拒否などが社会問題化した1970年代、「母親の育て方が原因でこれらの問題が生じた」として唱えられた言葉だ。現在は誤った認識に基づく用語とされ、死語となっている。
         子育ての「私事(しじ)化」。山梨県立大学の西沢哲教授(52)=臨床心理学=は「戦後の高度経済成長期以降、子育てが地域や社会から切り離され、家族、中でも主に母親が担う『私事』とされるようになった」と指摘し、こう続けた。
         「子供が示すさまざまな問題の責任を、社会は母親に求めた。70年代には『スキンシップ』が奨励され、母原病という言葉が母親を追い詰めた。子育ての責務を一身に背負い、社会や夫からの支援を絶たれた母親たちの中に、持って行き場のない『怒り』を子供へと向けるものが現れた」
         ◆特異な協議離婚
         愛知県に住む1児の母親(34)は数年前に夫と別れ母子家庭になった。養育費の支払いはうやむやにされた。母親は「経済的に追い詰められ心身が不安定なときに息子がぐずったりすると、『どうして夫は自由に生きて私だけがこんな思いをしなければならないの』『この子さえいなければ』と何度も子供をほうり出したい気持ちになる」と明かし、こう訴えた。
         「ここで私が息子を殺してしまったり、育児放棄したりすれば私は罰を受けるのに、どうして夫には何のおとがめもないのかと考えてしまい、心がすさんでいくばかりです」
         子供のことは無視した身勝手な考えだが、それだけ追い詰められて、煮詰まった状態ともいえる。
         厚生労働省の推計によると、全国の母子家庭は75万世帯。平均年収は児童扶養手当や元夫からの養育費、親からの仕送りなどすべて含め平成18年度の調査で213万円だった。就労収入のみでは171万円。一方、9万世帯ある父子家庭は平均年収421万円。全世帯では563万円だった。
         同じ調査では、離婚した父親から養育費を「受けたことがない」と答えた母子家庭が59%に上った。
         東北大学の水野紀子教授(55)=民法・家族法=はその一因として、わが国の離婚の9割が届け出だけで成立する協議離婚であることを挙げ、こう述べた。
         「欧米では夫婦に争いがなくても、離婚は原則として裁判所で判決を得る。養育費の支払いや子供の監護には司法の監督が必要とされているためだ。協議離婚は特異な制度といえる」
         フランスでは養育費は元夫の給料から天引きされ、不履行には刑事罰が科されるという。
         ◆児相が肩代わり
         児童相談所出身で目白大学の田中勝博教授(57)は10年前、北陸地方に虐待対応ゼロの児童相談所があると聞き驚いた。
         この児童相談所へ問い合わせると現在はゼロではなかったが、田中教授は「主に農村部を管轄しており、人口が少ないことを考慮しても、地域社会が健在であることと無関係ではなかったと思う。逆に高齢者虐待が多いとも聞いた」。
         農村社会学者で熊本大学の徳野貞雄教授(61)は「虐待する親たち個人の心理だけを見ていては、なぜ4万件まで急増したのか、どうして北陸の農村部で10年前まで虐待対応がなかったのかは理解できない」とし、こう続けた。
         「高度成長期以前にも子供に手を出す親はいたが、家族があり家の中にじじばばがいた。隣近所も親戚(しんせき)もいた。『飯食いにこい』『本当にしんどくなったら逃げてこい』と介入した。都市部で今、こうした役割を担うのは児童相談所という役所くらいになった」
        「産経新聞」11月25日(木)7時56分配信

        ●障害者就労:県教委が支援 企業に登録呼びかけ/岐阜
         県教育委員会は、特別支援学校高等部に在学する障害のある生徒の就労を進める「働きたい!応援団 ぎふ」の登録制度をスタートし、県内の企業にサポーター登録を呼びかけている。
         対象は県内に事業所を置く企業。サポートの内容は▽職場見学▽1、2週間程度の実習をする就業体験▽1、2カ月間継続する企業内作業学習▽校内での技術指導▽雇用を前提とした実習▽雇用。
         特別支援学校は、岐阜盲学校、岐阜聾(ろう)学校、各務原養護学校など16校あり、来年4月には美濃加茂市に加茂特別支援学校が開校する。
         現在は、31事業所が企業内作業学習などで協力しているが、就労支援をさらに進めるため、企業の事情に合わせたサポートを求めることにした。
         これまでに障害者を受け入れた企業からは「職場が明るくなった」「安全性も向上してみんなが働きやすくなった」などの声が寄せられているといい、県教委は「障害者への理解を深めてもらい、地域で働く場を増やしたい」と話している。
        「毎日新聞」11月27日(土)12時18分配信

        ●コミュニケーション障害…市販薬で改善 芦屋大などの研究チーム解析
         アスペルガー症候群や高機能自閉症などの障害を持つ人のコミュニケーション力が、神経細胞を活発化する市販の従来薬の投与で改善されることを、芦屋大発達障害教育研究所(兵庫県芦屋市)と東京農工大大学院生物工学科(東京都府中市)の共同研究チームが突き止め、日本神経精神薬理学会などで発表した。
         コミュニケーション障害の効果的な治療薬はほとんど開発されておらず、芦屋大で研究にあたる油井(ゆい)邦雄医師は「障害に悩む人の治療の選択肢を増やすことができる」としている。
         アスペルガー症候群や高機能自閉症などを総称して自閉症スペクトラム障害といわれる。研究チームによると、一つのことに熱中、反復するなどの行動障害と他人の言葉の意味や気持ちの理解が困難なコミュニケーション障害がある。脳の神経発達不全が原因とされるが、これまでコミュニケーション障害の治療薬はほとんどなかった。
         研究チームは、神経細胞の発達に効果があり、錠剤として市販もされているアラキドン酸に注目。自閉症スペクトラムと診断された7人に1日1回、アラキドン酸約240ミリグラムを含んだ錠剤を、6人に偽薬をそれぞれ投与したところ、4カ月後、アラキドン酸を投与したグループはコミュニケーション障害が軽減した。
         その後の4カ月間にわたり全員にアラキドン酸錠剤を投与すると、この差はなくなり、最終的に13人中10人が目に見えて改善したという。
         顕著な例では、教室から頻繁に出ていく子供が静かに座って授業を受けられるようになったり、孤立状態だった人が積極的に人にかかわるようになったりしたといい、研究チームは今後さらに効果を確かめる。
        「産経ニュース」2010.11.2711:04
        【カンナからのコメント】
         Wikipediaによると、アラキドン酸(-さん、Arachidonicacid)は、不飽和脂肪酸のひとつ。ほとんどの哺乳類にとって必須脂肪酸であると考えられている。4つの二重結合を含む20個の炭素鎖からなるカルボン酸で、ω-6脂肪酸に分類される。細胞膜中のリン脂質(特にホスファチジルエタノールアミン・ホスファチジルクロリン・ホスファチジルイノシトール)として存在し、なかでも脳に多く含まれる。細胞間のシグナル伝達におけるセカンドメッセンジャーとして働く。とされています。これまでも様々な薬品に効果があると、臨床現場で投薬されてきましたが、流行し消えていった物も少なくありません。薬物への反応性や効果は、やはり人それぞれですし、極端な例では、それまでの薬物を全部止めて漢方にしぼって状態が良くなったというケースもあるくらいです。二次障害の状態やAD/HD傾向の状態などとも大きく関係すると思いますので、「これが効く」という単発的な情報に直截的に左右されずに情報として持ちつつ、主治医と服薬状態をよく相談しながら、より効果のある処方を一緒に見つけて行かれることを心がけて欲しいと思います。
        高機能の広汎性発達障害とカウンセリング(3)
        2010/11/21
         3.転移・逆転移は生じるか
         臨床心理面接による心理療法において、転移と逆転移の感情交流を活用するケースは少なくありません。転移から依存的になってしまうクライエントに、お互いを安全な関係に保つために「距離を取りつつ関係性を継続する」ことに、セラピストはしばしば苦労します。
         さて、高機能の広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)の特性のある方の場合、その方の主たる養育者との愛着形成や体験してきた様々な出来事記憶の認知などによって、「誰もわかってくれない」「信じられる人がいない」といった状態から、傾聴・肯定的受容的態度で接するセラピストに対して、「この人は大丈夫。話を聴いてくれる。わかってくれる」と「○」を出した場合、その時から依存対象となりやすいようです。これまで、会話によるコミュニケーションを望みつつも実現できなかったことが実現できそうに思えるのですから、その感情はよく理解できます。
         自閉症スペクトラムの特性のある方の「語り」は、各々の認知特性も影響しつつ、とても独特でユニークで、一般的には理解できない解釈などが盛り込まれています。障害による認知特性を十分に理解しないままに、この「語り」に肯定的に傾聴しようとしても、違和感こそ感じるものの、共感することはおそらくできないでしょう。でも、その「語り」は、そのクライエントの意識・記憶としては「現実」のものなのです。セラピストがこうした障害特性をお持ちの方の「語り」を肯定的に「聴き」、受容できなければ、転移感情が起こるはずもありません。障害特性についての基本的な理解と、その人の体験や認知を、その人の「現実」として受容できるスキルや経験がセラピストに求められることになります。
         そして、その人の「現実」として受容できたとして、逆転移感情が生じるか否か。当然「語り」の内容によるわけですが、経験的には、傾聴・受容しながら、「自己一致」として意識に上るのは、その「現実」が生じた機序の解釈や、その人が今後より楽な生活を送っていただけるようにするための「新たなルールづくり」などの具体的なケースワーク的対応方略です。逆転移を抱きつつ…、というのが正しい表現かも知れませんが、多くの場合、「答えを見つけ出すのはクライエント自身」となりにくく、具体的な問題解決が相談面接の目的となるからです。治療面接的対応が功を奏するケースももちろんありますが、自己覚知を高いレベルで意識的に取り組んできた方に限られると言って良いでしょう。この場合でも、やはり具体的な改善提案が功を奏することになるようです。
         「生きてて良い」こと、「ありのままのあなたで良い」こと、「必要なルール作りやトレーニングが少し必要である」こと、「話せる相手を持つことで気持ちが楽になること」などを継続してお伝えしながら、自己評価や自己肯定感情を高めていただき、家庭・学校・職場など生活環境の調整を関わる人に理解・協力していただきながら進めることが、自閉症スペクトラムの特性のある方への「相談支援」の基本ではないかと思っています。 
         それでは、最近の気になる記事です。

        <石巻3人殺傷>「少年と死刑」に直面 難題に裁判員ため息

         プロの判断も揺れていた「少年と死刑」という難題に市民6人が対峙(たいじ)することになった。少年事件の裁判員裁判で初の死刑が求刑された19日の石巻3人殺傷事件の仙台地裁公判。検察側は「少年であることは意味を持たない」と重大事件を強調、弁護側は「更生可能性がないと安易に判断するのは避けるべきだ」と反論した。更生も重視するため量刑が難しい少年事件。法廷で少年を見つめてきた裁判員らの評議は25日夕の判決直前まで続く。
         【石巻3人殺傷】「更生の可能性は皆無」少年に死刑求刑
         「死刑が相当と考えます」。午後4時20分、地裁102号法廷。午前中の被告人質問で「僕も被害者の立場なら、犯人に極刑を求めたと思う」と述べた元解体作業員の少年(19)は論告にじっと聴き入り、その瞬間も背筋を伸ばしたまま。男性裁判員は手元の資料から目を離し天井を見上げ、これから臨む評議の重さを思ったのか、ため息を漏らした。
         その評議は何がポイントになるのか。
         国学院大の沢登俊雄名誉教授(少年法)は、改悛(かいしゅん)と成育歴を挙げる。深く反省している様子が顕著だったり成育歴が極めて劣悪な場合、極刑回避に傾くという意味だ。「改悛の情が顕著かどうかは、実際に被告を見ている裁判員にしか分からない。裁判員が社会人としての経験からそう思えるかどうかがポイント」という。
         神戸家裁で約6000人の少年審判を担当した元裁判官の井垣康弘弁護士は「非行をした子どもは原則として育て直すという普通の市民的な発想で考えてほしい」と話す。担当した少年たちと少年院で面会し、更生ぶりに驚かされたという。
         一方、全国犯罪被害者の会(あすの会)幹事の高橋正人弁護士は裁判員に「自分が被害者遺族だったらという視点を持って考えてもらいたい」と望む。また死刑選択の基準「永山基準」について「職業裁判官が作った基準。市民の良識で考えるとどうなのか」と疑問を呈した。
         ◇1カ月で死刑求刑4例目
         制度開始から1年以上なかった裁判員裁判での死刑求刑がこの1カ月で相次いだ。4例目の今回の少年を除き、昨夏の起訴から今秋の初公判まで1年以上かかった点が共通する。死刑もあり得る重大事件だけに、争点を絞り込む公判前整理手続きなどで検察・弁護側の「綱引き」が長引いたためと言えそうだ。
         鹿児島地裁で無罪を主張している白浜政広被告(71)は捜査段階から否認を続け、同手続きは今年5~10月に計12回にも及んだ。初の死刑求刑を東京地裁で受けた林貢二受刑者(42)=無期懲役刑が確定=は同手続き中に精神鑑定を実施。判決は「うつ状態」と認め「極刑に値するほど悪質な(殺害)動機とは言えない」と極刑回避の一因となった。
         初の死刑判決(16日、横浜地裁)を受けた池田容之被告(32)の場合、男性2人殺害の強盗殺人など全9罪もの捜査に時間を要した。09年8月にまず覚せい剤密輸事件で起訴されたが、今年3月まで追起訴が続いた。
         今回の少年は2月に逮捕、仙台家裁の逆送決定を受け4月に起訴された。少年審判で争点整理が事実上進んでいたと言え、約半年で初公判を迎えていた。
        「毎日新聞」11月19日(金)22時6分配信

        ●弁論大会:いじめ・不登校乗り越え 倉敷市立精思高・三宅さんが全国大会挑戦 /岡山
         ◇「この学校でみんなに会えた」--あす・東京
         夜間定時制倉敷市立精思高校4年の三宅舞さん(22)が21日に東京都で開かれる定時制・通信制高校の弁論大会「生活体験発表会」全国大会に挑む。10月に開かれた県大会で優勝した。テーマは「苦悩からの飛躍」。中学、高校といじめにあった三宅さんは同高に18歳で入学。再出発し、大学進学を決意するまでの過程を紹介し、「この学校でみんなに会えた」と訴える。【石戸諭】
         三宅さんは中学2年の時、いじめにあった。廊下ですれ違う際、ゴミを投げつけられるなど陰湿ないじめの標的になり、学校をほとんど休んだ。同市内の私立高校に進学するも、またいじめにあった。体育の授業から帰ってくると自分のバックの中に他人の財布が入っていた。身に覚えがないのに関与を疑われ、また不登校になった。「留年してでも卒業を」と決意したが周囲の視線に耐えられず、退学した。挫折を後悔する日々が続いた。
         転機になったのは18歳の時だ。同高に通う友人から「うちに来たらいいよ」と誘われ入学した。
         三宅さんは同高で、再出発の転機をつかむ。友人にも恵まれ生徒会長、卓球部、美術部などを掛け持ち、充実した高校生活を送った。面倒見のいい性格で後輩からも慕われる。いじめにあった経験から「何もできない」という思いを払しょくし、「自分で出来るものは何でもやりたい」と思うようになった。「よりよい社会を作りたい」と法学部進学を目指し、勉強に励む日々を送る。
         全国大会に向けて、連日午後9時過ぎから教員たちの前で練習を重ねる。三宅さんは「ちょっと遠回りだったと思うけど、18歳でこの学校に入学してみんなに会えて良かった。この思いを伝えたい」と話している。
        「毎日新聞」11月20日(土)15時33分配信

        ●自殺:千葉の中2男子が首つり アンケにいじめ受けている
         千葉県市川市の市立中学2年の男子生徒(14)が自宅で14日に首つり自殺をしていたことが分かった。1日に学校が実施したアンケートでいじめを受けていると回答、担任教諭には「いじめる生徒」の名前を伝え、学校側は対応を検討中だった。遺書は見つかっていないが、市教育委員会はいじめを苦に自殺した可能性もあるとみて調査している。
         17日に会見した市教委によると、生徒は14日午後6時40分ごろ、自宅クローゼット内で首をつっているのを父親が発見、搬送先の病院で死亡が確認された。
         男子生徒は1日のアンケートで「暴言や悪口による嫌がらせ」「物を隠される」「自分だけ集中的に何かされる」「訳もなくたたかれたり、殴られたり、けられる」の4項目を選び、いじめが「続いている」と回答。具体的には「ズボン下ろし」と記述していた。
         担任と10日に面談した際には、いじめる側として、同学年で別のクラスの男子生徒1人の名前を挙げた。ただ「クラスは楽しい」とも話し、担任は緊急性を感じなかったという。学校側はこの1人を含む生徒3人に事情を聴く予定だった。
         一方、生徒の母親は9月ごろ「学校に行きたがらないので注意して(様子を)見てほしい」と学校側に伝えていたという。
         市教委の古山弘志・学校教育部長は「結果として自殺に至ったので、学校の対応が万全だったとは言えない。いじめが一つの原因だが、他の要因も考えられるため事実関係を調査したい」と話した。
        「毎日新聞」 11月17日(水)20時59分配信

        ●金銭報酬は「やる気」をくじく 脳科学実験で裏付け
         やりがいがある課題でも、金銭報酬によって自発的な「やる気」が低下してしまうことが、玉川大学脳科学研究所の松元健二准教授やドイツ・ミュンヘン大の村山航研究員らによる脳科学実験で裏付けられた。このようなモチベーションの変化は「アンダーマイニング効果」と呼ばれ、行動実験では知られていたが、脳活動の変化をとらえたのは初めて。米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。
         大学生の男女28人を成績に応じた金銭報酬を提示したグループと、報酬を提示せずに実験後に定額の報酬を払うグループに分け、ストップウオッチをできるだけ5秒近くで止める課題をやってもらった。実験中の脳活動の変化を機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)で測定すると、最初の実験では両グループとも課題に対する意欲や達成感に関係する前頭葉や大脳基底核が働いていた。
         しかし、報酬を支払わないことを告げた2度目は、報酬を約束されていたグループでは脳活動の高まりが消えて「やる気」が低下したのに対し、最初に報酬が提示されなかったグループは、1回目と同様の脳活動を示した。機械的にストップウオッチを止めるだけの「やる気の起きない課題」では、このような脳活動の変化は見られなかった。
         また、休憩時間の行動を観察すると、報酬を提示したグループで課題に取り組んだのは14人中5人だったが、報酬と無関係のグループは14人中12人が積極的に課題を楽しむなど、自発的な「やる気」の差が顕著にあらわれた。
        「産経新聞」11月16日(火)7時7分配信

        ●幻聴、被害妄想…統合失調症 自覚なくトラブル発展も
         脳内の神経伝達物質がバランスを失うことで幻聴・幻視などの幻覚症状が現れる精神疾患だが、原因ははっきり分かっていない。本人は自覚できないので、家族や周囲の人が症状に気づいたら早めに精神神経科を受診させることが重要だ。
         生涯の発症率は100人に1人といわれ、発症年齢は10代後半から30代ごろまでが最も多いとされている。
         特徴的な症状について、日本精神神経学会理事を務める池上クリニック(川崎市)の池上秀明院長は「幻覚(幻聴の場合が多い)、被害妄想、奇異な行動、思考の混乱などが現れる『陽性症状』と、引きこもり、感情の起伏の消失、意欲減退などが現れる『陰性症状』の2つに大きく分けられる」と説明する。
         初期は陽性症状が目立ち、徐々に陰性症状が強まる傾向があるという。
         【放置すると妄想発展】
         また、症状の出方によって3つの病型にも分類される。意欲の低下、自閉傾向が強い「破瓜(はか)型」。急に興奮したり、まったく動かなくなったりする「緊張型」は、「たとえば、道路の真ん中で急に交通整理をはじめる」(池上院長)などの奇行がみられる。
         そして、最も多いのが『妄想(もうそう)型』。たいていは幻聴が強く現れ、被害妄想に取りつかれる。
         池上院長は「他人が自分の悪口をいっている、隣家の物音は自分に対する嫌がらせだ、誰かに見張られている、盗聴されているなどと訴える」と話し、「脳細胞の興奮によって、本当に本人には見えるし、聞こえる」と症状の深刻さを指摘する。
         放置したままだと妄想が発展して、妄想に支配された行動をとるとトラブルを引き起こしたり、自殺をしてしまうケースがあるから要注意だ。
         【いかに受診させるか】
         治療開始が早ければ早いほど治療効果が高く、回復も早い。が、本人が病気を自覚していないので、いかに受診させるかが、この病気の難しいところとなる。
         「多人数で説得しないとなかなか受診してもらえない。家族の負担が大きければ、保健所の精神保健相談窓口に連絡して、保健師さんから説明してもらうなど力を借りた方がいい」
         治療は入院・外来のいずれも抗精神病薬の服用と精神科リハビリテーションが基本。リハビリは地域のデイケア施設や地域生活支援センターなどで行われているさまざまなプログラム(共同作業、レクリエーション活動、料理教室、PC教室など)を通じて人とのコミュニケーションを深めていくことが大切になる。
         「再発も多いが、きちんと薬を服用して通院していれば普通に社会復帰できる」と池上院長。
         家族や地域の人の理解とサポートが最も重要になる疾患だ。
        「産経新聞」2010/11/0119:35
        <カンナからのコメント>
         自閉症スペクトラムの概念は、もともと統合失調症から分かれていった経緯があります。「見分けるのが困難」です。この特性が、統合失調症の諸症状と酷似していることから、抗精神病薬による服薬治療が行われても、「効果がみられない」「副作用だけが生じ、以前より状態が悪い」と思われる場合は、自閉症スペクトラムの視点から生育歴や状態観察をしてみることが必要となります。早期発見が大切です。

        ●海上保安官のコメント全文 
         神戸海上保安部の海上保安官が16日未明、公表したコメントの全文は次の通り。(原文のまま)
         私が今回起こした事件により、国民の皆様、関係各位には、多大なるご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。海上保安庁の皆様、中でもお世話になった方々や今回の件でご苦労されている方々に対しては、申し訳ない気持ちで一杯です。
         今回私が事件を起こしたのは、政治的主張や私利私欲に基づくものではありません。ただ広く一人でも多くの人に遠く離れた日本の海で起こっている出来事を見てもらい、一人ひとりが考え判断し、そして行動して欲しかっただけです。
         私は、今回の行動が正しいと信じておりますが、反面、公務員のルールとしては許されないことであったと反省もしております。
         私の心情をご理解いただければ幸いです。
        「共同通信」2010/11/1601:39

        ●捜査終了待たずに海上保安官を懲戒処分へ
         沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、海上保安庁は16日、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で事情聴取を受け、逮捕が見送られた神戸海上保安部(神戸市)の海上保安官(43)について、刑事処分の結果を待たずに懲戒処分とする方針を固めた。「規律を保つうえでも早期に厳正に対処すべきだ」とする声が内部に多いことが理由だが、免職とするか停職、減給にとどめるかなど処分の詳しい内容については意見が分かれている。
        「産経新聞」11月17日(水)1時41分配信

        ●NHK「ネット同時配信」へ意欲 受信料制度など改革が必須
         NHKが放送番組の「インターネット同時配信」に意欲を見せている。既にNHKオンデマンドで行われている番組単体のネット配信などとは違い、同時配信が行われれば、電波を必要とせずにネット経由でテレビを日常的に見られるようになる。福地茂雄会長は「お客さま(視聴者)に合わせていくのが義務」と説明するが、実現には放送法の改正や受信料制度の見直しなど、公共放送の位置づけそのものを問い直す”大手術”が必要になりそうだ。
         「番組を見る形が変わりつつあるときに、”売り手”は変わらなくていいのか。お客さまに合わせた放送の在り方があるのではないか」
         福地会長は4日の定例会見でこう述べ、テレビ番組の同時配信に乗り出す意向を表明。「今から準備を進めていかないと、(平成24年度からの)次の経営計画は作れない」とも語った。
         NHKが想定しているのは、インターネットに接続されたパソコンや携帯端末への番組配信。新たな業務であるため放送法の改正が必要で、福地会長は総務省に改正を求めていることも明らかにした。
         この「決断」は、NHKを受信できる受像機の設置を受信料徴収の根拠としてきたNHKにとって、大きな意味を持つ。テレビを見られるパソコンや携帯電話は既に普及しているが、これらは電波を受信している点で従来のテレビと違わない。同時配信では、ネット環境があればテレビが映ることになり、当然、受信料徴収の前提も変わることになる。
         NHKは10月下旬、会長の諮問機関として外部有識者らで組織する「受信料制度等専門調査会」を設置。受信料や公共放送の在り方の議論をスタートさせた。福地会長はドイツで検討されている全世帯・事業所から受信料を一律徴収する考え方も「(議論に)当然、入ってくるのではないか」とも表明。調査会が来年6月をめどにまとめる意見は、次期経営計画に反映させるとしている。
         こうした動きについて、砂川浩慶(ひろよし)・立教大准教授(メディア論)は「(ネット同時配信に)本当に視聴者ニーズがあるのか、公共放送としてやらなくてはいけないサービスなのかという点で、データに基づいた議論が不可欠だ」と指摘。民業圧迫につながる可能性も含め、「公共放送・NHKの役割とは何かという根本的なことが改めて問われる」としている。
         一方、民放各社は「どういうことをやろうとしているのか詳しく聞いていない」(早河洋・テレビ朝日社長)、「受信料をベースにした形態になじむものなのかを見させていただきたい」(細川知正・日本テレビ社長)などと静観の姿勢を示しながら、NHKの出方を注視している。
        「産経新聞」11月16日(火)9時35分配信

        ●大卒内定率、最低の57.6%=「就職氷河期」下回る-10月1日時点
         文部科学、厚生労働両省は16日、来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)を発表した。内定率は前年より4.9ポイント低い57.6%で、「就職氷河期」と言われた2003年の60.2%を下回り、調査を開始した1996年以降で最悪の就職戦線となっている。急激な円高で景気の先行きに懸念が強まり、企業が採用を抑制しているためだ。
         中小を中心にこれから採用を進める企業もあり、内定率は例年、年度末に向け上昇する。ただ、企業の経営環境が厳しさを増す中、どこまで伸びるかは不透明だ。
         理系の内定率は前年比10.2ポイント低下の58.3%で、下げ幅は過去最大だった。文系は3.8ポイント低い57.4%。男女別では男子が59.5%、女子は55.3%で、それぞれ前年を3.8ポイント、6.3ポイント下回った。
         学校種別では、国公立が63.2%と8.1ポイントの大幅悪化。私立は3.8ポイント低い55.8%だった。
        「時事ドットコム」2010/11/16-21:08

        ●自殺小6「一人給食」訴え、校長と担任認識
         群馬県桐生市の市立新里(にいさと)東小6年生、上村明子さん(12)が自殺した問題で、明子さんが自殺2日前「一人で給食を食べている」と訴えたことは岸洋一校長と担任に伝えられていたことが、市教委への取材でわかった。
         明子さんは翌日は欠席し、学校側は「連絡はつかなかった」としている。
         学校がいじめを認めた報告では担任以外の教諭が10月21日、明子さんが泣きながら訴えていたことを聞いていた。その後の対応は明らかになっていなかった。
         市教委によると、教諭は明子さんの訴えを校長と担任に伝えた。担任は同22日、授業と同じ席で給食を食べるようにしたことを伝えようと、自宅訪問や電話をしたが、不在で連絡が取れなかったという。明子さんは翌23日に自殺した。
        「読売新聞」11月18日(木)3時3分配信

        ●失業1年以上、最多の128万人=男性の職探し難航-7~9月期
         総務省が16日発表した7~9月期の労働力調査(3カ月平均)によると、完全失業者336万人のうち失業期間1年以上の人は、前年同期比33万人増の128万人だった。比較可能な2002年以降では、IT(情報技術)バブル崩壊後の03年4~6月期の127万人を上回り過去最多。前期(4~6月期)比でも10万人増えた。
         失業1年以上の人の割合は、男性が94万人、女性が34万人。就業者数は女性が多い介護・保育分野などで拡大する一方、男性が多い建設業や製造業では縮小傾向にある。こうした産業構造の変化が男性の職探しを難航させ、長期失業者の増加につながっているとみられる。
        「時事ドットコム」2010/11/16-20:22

        ●「肥満防止薬」実験成功…食事減らさず体重抑制
         食事の量を減らさなくても体重の増加を抑える「肥満防止薬」を合成することに、米ジョンズホプキンス大などのチームが成功した。成果は18日付米サイエンス誌に掲載された。
         チームは、人間や動物の中枢神経に作用して強い食欲を引き起こし、肥満をもたらすホルモン「グレリン」に着目。グレリンは特定の酵素の助けが必要なことから、この酵素を邪魔する物質を合成した。
         この物質を注射したマウスと、しないマウスに高脂肪のエサを与えた体重を比較した。食べる量は変わらないのに、注射したマウスの約1か月後の体重増加は10%以内にとどまったのに対し、投与しないマウスは、20%程度体重が増えた。
         合成した物質は食欲を抑えるのではなく、糖などの代謝能力を高めていた。摂取したエネルギーを消費して、体重増を抑えているらしい。
        「読売新聞」11月19日(金)7時12分配信

        高機能の広汎性発達障害とカウンセリング(2)
        2010/11/14
        2.「自由にして守られた空間」としての枠組み
         HF-PDD特性があり、そのことから様々なトラウマ体験や無力感、自己否定感を抱えて来られ、ひきこもりなど自尊感情低下の状態や他罰的な言動が対人的に問題となられている方に対する相談支援は不可欠なものだと思います。抑うつや社会不安障害、強迫性障害などの神経症状に対する薬物療法が必要な状態の方にはお薬が必要ですが、根底にある不安感や不満足感などを「聴いてほしい」「わかってほしい」という欲求は、「聴く」「理解する(受容する)」対象が必要だからです。
         1.で述べたことと重なりますが、「わかってくれる人と出会いたい」→「この人なら聴いてくれる、話してみよう」と、信頼できる対象と出会えた時の会話は、多くの場合「吐き出し」から始まります。その際の話す場所、所用時間、料金などの枠組みの考え方が難しいのが実際の問題です。
         まず、場所は、言うまでもなく、安心できる(その場所での会話はカウンセラーとクライエント以外には漏れないなど)個室であること。臨床心理面接の基本とされる「自由にして守られた空間」のハードウェアは整えなければならないでしょう。
         所要時間は、45分、50分、1時間…と諸説あるようですが、カウンセリングの進行状態やその時の感情状態を尊重することが大切で、「うまく話せない」ことにずっと悩んできた方に「時間ですから、続きはまた次回にお聴きします」はストレスを持って帰ってもらうことになります。カウンセラー、クライエント双方のストレスや継続したカウンセリングの保障などを考えると、60分から長くても90分がある意味「限界」ではありますが、時に大幅に超過してしまうことが必要な場合もありますので、固定的に枠組みとして押しつけることは避けるべきでしょう。安全で自由で守られた面接を継続する枠組みとして、時間の制約が必要なことをわかりやすく伝えながら、了解してもらえる状態に面接そのものを発展させていくことが課題となります。
         料金、実はこれが1番難しい問題かも知れません。現在の医療制度では、医師が行う「精神療法」と、臨床心理士などが30分以内で医療機関において行う「心理面接」(=精神療法)に対してのみが診療報酬の対象となりますので、30分を超えるもの、医療機関以外で行うものは、個別契約に基づくものとして扱われますので、カウンセリングルーム、相談室などを構えて相談支援を行う事業者(カウンセラー)は、室料など諸経費を考え、「50分:○○円」などの料金設定をせざるを得ません。大学設置の相談室などでは3,000円程の設定にされているところもありますが、個人開業されているところでは、1万円を超える所も少なくありません。とても仕事ができる状態にないHF-PDD特性のある方が多いのに、相談の必要性がありながらこうした料金は障壁でしかありません。ご家族に理解がある場合には、本人さんに料金の提示をすることなく、ご家族に請求させてもらうケースが多いのが実情です。しかし、その経済的余裕がある家庭に限定されてしまいます。もちろん、中には、仕事をされていて一定の収入があり、でも「相談したい」と料金を了解・納得の上でカウンセリングに来られる方もおられます。
         現行の障害者自立支援法の「相談支援」は、障害福祉サービスなどに繋ぐためのアセスメントと「個別支援計画書」作成で1回:5,000円の報酬単価となっていて、利用者はとても公表できないほど少ない状況です。高望みをしないまでも、「人として当たり前のレベルで安心して生活できるようになりたい、そのために誰かに相談したい」と願う方に対しての「相談支援」は、支援計画書づくりではありません。特に発達障害特性のある方の場合には、生育歴=どんな心理社会的環境で育ってきたのか、何を体験しどう記憶=認識しているのか、それらのために今どんな状態にあり、何をどう困り悩んでおられるのか、何を希望されておられるのか、今何を不安に思っておられるのかなど、その方の背負っておられる背景を理解しつつ今の感情(特に不安や焦り、いらだちなど)を傾聴・共感し、問題の解決・改善に向けたアドバイスや他の社会資源の紹介などの具体的なソーシャルワークこそが求められています。しかし、こうした求められる「相談支援」に対しての社会福祉の制度としての援助は、実態としてありません。障害福祉に限らず、介護福祉、医療福祉などにおいても同様です。公的機関が財政事情を理由に相談体制を制約し、外部の法人委託を行っていること自体に問題があると思いますが、相談ニーズに立脚して財源を確保し、相談場所の大幅な増加と支援人材(精神保健福祉士など)の育成・増加に本気で取り組んで行くことで、働けない状態にある多くの人が働く喜び、生きていく意欲を回復しつつ、納税者となっていくことこそが、社会福祉や障害者の就労支援の本筋ではないかと考えます。
         とにもかくにも、障害特性の理解を前提としたカウンセリングは、HF-PDD特性のある方に対して必要かつ有効であることを、日々確信しているところです。
         それでは、最近の気になる記事です。

        「いじめ隠さず対応を」小6自殺で文科省通知

         文部科学省は9日、都道府県教育委員会などに対し、いじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応することや、いじめ問題が生じた場合、隠さずに家庭・地域と連携するよう求める通知を、10日に出すことを決めた。
         群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さん(12)が自殺した問題で、同市教委が「いじめがあった」と認めるまでの間、対応が遅れたことを受けたもので、8日の同市教委の調査結果発表から異例のスピード対応となった。
         通知は、上村さんのケースのほか、今年6月に川崎市の市立中学3年の男子生徒(当時14歳)が自殺し、学校でいじめに遭っていた事実が確認されたことにも言及。「いじめはどの学校でも、どの子にも起こりうる」ことを前提に、すべての学校で児童生徒にいじめの有無を聞くアンケートを実施するなど、いじめの実態把握と早期対応の徹底を求めた。
        「読売新聞」11月10日(水)7時17分配信

        ●群馬小6自殺 文科省の依頼にも学校は調査せず
         群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん=当時(12)=が自殺し、後になって学校側がいじめがあったことを確認した問題で、同小学校が自殺1カ月前に文部科学省から依頼されたいじめ調査を実施していなかったことが10日、分かった。調査を実施していれば、事前に明子さんへのいじめを把握できた可能性もあり、文科省では「自殺を防げたかもしれない」としている。
         桐生市教委によると、同小は調査を実施しなかった理由について「12月初旬の人権週間に合わせ、実施する予定だった。『実施しなかった』という認識はない」と説明したという。
         同小が実施していなかったのは、文科省の「いじめの実態把握のためのアンケート」。いじめ早期発見と対策のために、各校の児童や生徒一人一人にアンケート実施を求めていた。
         文科省によると、今年9月14日に、全国の小中学校と高校などへ教委を通じてアンケートを依頼。明子さんの通っていた新里東小にも、桐生市教委を通じて通知文書が届けられていた。
         しかし、同校ではアンケートは実施されず、10月23日に明子さんが自殺。それにもかかわらず学校側は、記者会見で「いじめの認識はなかった」という見解を示した。
         明子さんの両親がいじめの存在を強く主張したことなどから、学校側は文科省アンケートとは別に全児童を対象に聞き取り調査を実施し、11月8日になって、いじめの事実を認めた。ただ、自殺の原因とは認めなかった。
         一連の経緯に疑問を感じた文科省が、群馬県教委を通じて同小にアンケート結果を確認したところ、未実施であることが判明した。
         同アンケートの実施率は平成21年度で65・9%。3分の1以上の学校が実施していないことなどから、文科省は10日、「いじめに対する学校側の認識が甘い。積極的な把握に努めないと解決は難しい」として、各都道府県教委に対し、いじめなどについて定期的なアンケート実施を徹底するように求める通知を出した。
        「産経新聞」11月11日(木)7時5分配信

        ●桐生の小6女児自殺:「いじめ」調査を継続 市教委が確認 /群馬
         桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、同市教育委員会は12日、定例会後に非公開で打ち合わせを行い、今後も明子さんへのいじめに関する調査を継続し、事実確認を進めていくことを確認した。
         学校側は8日の会見で、明子さんに対するいじめがあったことを認める一方、「(自殺の)直接的な原因はわからない」として、因果関係は認めなかった。
         この調査結果を巡っては、亀山豊文市長がいじめと自殺との関連について「さらなる調査」を求めており、大澤正明知事も「不十分」との見解を示している。
         市教委の鈴木正三委員長は、今後の調査を有識者で作る第三者委員会に委ねる手法について「一つの方向性としてあり得る」と述べた。
        「毎日新聞」11月13日(土)12時53分配信

        ●<日本学生支援機構>奨学金支給ミス相次ぐ 書類審査に不備
         独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)の奨学金が、支給予定日の11日に入金されなかったケースが全国で相次いだ。書類を審査する手続きなどに不備があったため、振り込みが誤って停止されたという。同機構によると、対象は全国約400の国公立・私立大学などに通う約1050人。未支給の総額は少なくとも約5000万円に上る。同機構は22日に改めて入金するよう準備を進めており、担当者は「大変申し訳ない。再発防止を図りたい」としている。
         同機構の説明によると、誤って入金が停止されたのは、今年4月から奨学金を受け始めた学生の一部。機構は今年度から、奨学金の貸与を始める際、連帯保証人や返済方法などを記した「返還誓約書」の提出を学生に義務付け、提出されなかった場合は貸与を停止するようにしたが、この誓約書の審査に不備があった。
         誓約書の提出期限は6月。記載漏れなどがあった場合、8月にいったん学生に送り返し、9月上旬までに再提出するよう求めた。その後、学生が期限内に誓約書を再提出したのに、機構側の審査やデータ処理が間に合わず、奨学金を管理するコンピューターシステムが誤って入金を停止してしまったという。機構の担当者は「制度が変わり、事務量が膨大になった。スケジュールに無理があった」と説明している。
         同機構の奨学金は、全国の大学・大学院生の3分の1以上にあたる約118万人が利用。無利子と有利子(上限3%)の2種類があり、月額3万円から二十数万円の貸与を受けられる。
        「毎日新聞」 11月12日(金)2時32分配信

        ●脳への電気刺激で数学力向上、効果は最長6カ月持続=英研究
         英オックスフォード大の神経科学者のチームは4日、微量の電流で脳に刺激を与えると数学的能力が最長6カ月間にわたって向上するとの研究結果を発表した。
         同研究には15人のボランティアが協力。数学的思考を司るとされる脳の「頭頂葉」に6日間刺激を与え、数学のパズルを解く速さと正確さを測ったところ、効果がみられたという。
         研究を率いたコーエン・カドッシュ氏は、「電気刺激を受けるよう人々に勧めているわけではないが、今回の発見には非常に興奮しており、脳にどのような変化が起きたのかを精査している」と語っている。
         同研究チームは先月、脳の深部に電極からの刺激を与えることで、他の治療法では効果が得られなかった重度の強迫性障害の患者の症状を改善できる可能性があるという研究結果を発表していた。
        [ロンドン 4日 ロイター]2010年11月5日20:01

        ●海上保安大学校の映像データに数十件のアクセス確認…尖閣ビデオ流出
         尖閣諸島付近の中国漁船衝突の映像流出事件で、海上保安大学校(広島県呉市)の担当者が捜査当局の聴取に対し、「海上保安庁(東京)と話し合い、映像データの提供を受けた」と話していることが13日、捜査関係者への取材で分かった。各地の海保の活動に役立てるなどの目的だったとみられる。
         関与を認めた神戸海上保安部の海上保安官(43)の巡視艇のほか、第2管区海上保安本部(宮城県・塩釜市)内の関連施設から映像データへのアクセスがあり、警視庁は海保大の共有フォルダーに計数十件のアクセスを確認している。
         これまで保安官は「自分で大学校の共有フォルダーから入手した」としていたが、聴取に「同僚が巡視艇内の共用パソコンに取り込んだ映像を、後から1人で記憶媒体『USBメモリー』に保存した」と説明を変えた。
         9月中旬から下旬の間に巡視艇うらなみで資料を探していた乗組員が、イントラネット経由で海保大の共有ファイルの映像を見つけ、「これは何だ?」と映像を保存。乗組員2人と映像を見た。その後、保安官は共有パソコンが置いてある操舵(そうだ)室で同僚数人と一緒に映像を閲覧。「業務の参考になる」と話し合ったという。
         一方、馬淵澄夫国交相(50)が映像流出の約2週間前の10月18日に海上保安庁に指示した「情報管理の徹底」が第11管区海上保安本部(那覇)などごく少数の部署の幹部らだけに伝えられたことが判明。流出元とみられる保安大学校、保安官が所属する神戸海上保安部に指示はなく、内部調査でも対象外だった。情報管理と調査のずさんさが今後問題となりそうだ。
        「スポーツ報知」11月14日(日)8時9分配信

        ●カウンセラーが個人情報USBメモリー紛失 滋賀
         不登校の高校生の心のケアをする「心の教育相談センター」(大津市浜大津)の嘱託の女性カウンセラーが、23人の名前、相談日、相談内容など個人情報が入ったUSBメモリーを紛失した。県教委が発表した。県教委学校教育課によると、女性は週3回カウンセリングを担当。今月1日午後1時ごろ、管理しているロッカー内にUSBメモリーがないのに気付いた。USBメモリーを外に持ち出したことはないという。センターでは、高校生宅を訪問して謝罪するという。学校教育課は「改めて管理体制の徹底を計りたい」としている。
        「産経新聞」11月8日(月)7時57分
        高機能の広汎性発達障害とカウンセリング
        2010/11/07
        今回から何度かにわたって、このテーマで、体験的な考察を書いてみようと思います。

        1.「わかってほしい」の傾聴から生まれるもの
         「誰もわかってくれない。僕がこんなに苦しいのに」「本当に医学や福祉を勉強しているのか」「(理解されないことは)発達障害者への虐待だ」…。
         こうした不満や怒り、あきらめ、慟哭を聞き続けてきています。10代の人もいれば、30代の人もいます。40歳代になられると、丸くなるというか人間的成長・成熟から感情の波は穏やかになるものの、環境調整がすすんでいなければ、心的外傷体験は増え続けて行きます。
         「誰かにわかってほしい」「わかってくれる人に出会いたかった。長期にわたってひきこもり状態にあった人、家族と会話を拒否し続けてきた人などからよく聞かれる、第一声です。初めて、ご本人に出会えて、この第一声を発せられるまでに1時間以上の「はい」「はぁ」「うん」「いいえ」、そして沈黙などのやりとりをしながら、本人さんは、関わろうとする支援者が、本気で関わろうとしているか、安心しても、信じても良い相手であるかどうかを見定めようとされます。「○」か「×」を生きる人でもありますから、中間の妥協ができるようになるまでには、「人を信じる気持ち」を一定レベルまで回復してもらわなければなりませんし、それには人それぞれ、関わり方にもよりますが、いずれにしても相当の時間を共有することが不可欠です。
         そして、「この人なら大丈夫」と「○」を出してくれると、それまで独り抱え込んできた苦しさ、悲しさ、寂しさ、無力感、怒りや恨みなどなど、記憶されてきた感情を一気に吐き出されていきます。臨床心理面接の枠組みを尊重するならば、1時間程度に時間を制限し、面接の頻度や料金などの契約を結び…と初回で取り決めていくのでしょうが、HF-PDD特性があり、トラウマに満ち、家族からもひきこもっていた人とのセッションにおいて、一般的な心理面接の枠組みはまったく通用しない、枠組みを当てはめようとすれば「×」を出されて支援的関わりができなくなることを、体験的に学んできたつもりです。ですから、初回で、こうした吐き出しが始まると、クライエントが納得するまで吐き出してもらい、ただただ傾聴し受容し、それらを整理しながら生育歴とともに解釈していくことが必要となり、時間は、そのクライエントの納得のいく吐き出しができ、その後の支援の方向性を提案し了解してもらうまで、となります。自ずと数時間にわたる場合が少なくありません。一般の相談機関や時間刻みの面接対応をしているところでは対処できないことになります。私がご家族などからの依頼で初めてお会いする場合、本人さんが「会っても良い」と了解されていること、数時間を要しても大丈夫な日曜日や夜の時間を、初回面接に当てます。
         親にも話せず、話せる友達もなく、何年も、何十年も抱え込んできたものを、初めて会って「○」を出した支援者に吐き出してくれると、一旦スタートラインに戻ったかのように、新たな人生の模索を一緒に始めるかのように、継続面接へとつながります。やっと「わかってくれる」人に出会えたのですから…。
         でも、2回目からもやはり真剣勝負となることは言うまでもありません。行きつ戻りつ、一進一退を繰り返し、試し試し、ゆっくりと、そして確かに自尊感情を高めていくセッションが続き、ご家族への理解と協力の関係づくりを平行して行っていきます。
         それでは、最近の気になる記事です。

        「自殺起こらない環境づくりを」、県公衆衛生学会で先進事例紹介/神奈川

         「自殺対策」をテーマにした県公衆衛生学会が5日、横浜市中区の県総合医療会館で開かれた。大和市や横須賀市など先進的な自治体の取り組みが紹介され、専門機関が連携しさらに対策を推進していくことを確認し合った。県公衆衛生協会(会長・松沢成文知事)の主催。
         冒頭、救命救急センターで自殺未遂者へのケアに力を入れる横浜市立大学医学部の河西千秋准教授が特別講演。精神科医の立場から「自殺問題は公衆衛生上の最大の問題」とした上で、「自殺が起こらない環境をつくることが重要」と強調、専門家や専門機関が中心となって実践を積み重ねる必要性を説いた。
         続いて行われたシンポジウムでは、横浜、横須賀、大和の3市と県、県司法書士会の担当者がそれぞれの取り組みを報告。横須賀市は市内の病院と連携した自殺未遂者対策を始めているといい、横浜市は遺族専用の電話相談窓口開設の実例などを紹介した。
         2007年度から国のモデル事業として取り組んでいる大和市は「進める中で職員の意識が変わった」と成果を強調。司法書士会は「遺族の法的ケアなどに、長期的に取り組んでいきたい」と話した。
        (カナロコ)11月6日(土)7時0分配信

        ●<群馬・小6自殺>担任「いじめあった」…学校側と食い違い
         群馬県桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺し、遺族が「いじめが原因」と訴えている問題で、担任教諭が県警の聴取に対し「明子さんへのいじめがあった」と認めていることが1日、捜査関係者などへの取材でわかった。学校側はこれまで「いじめという認識はなかった」と説明しており、学校と担任の認識が食い違っている。
         明子さんは10月23日、自宅で自殺した。遺書は見つかっていない。捜査関係者と学校関係者によると、担任への聴取は明子さんの学校での生活や、自殺までの経緯について説明を求めるために行われた。担任はこの中で、同級生が明子さんを無視したり、給食時に明子さんを避けて座るなどのいじめがあったと説明したという。
         同小の岸洋一校長は会見で、「5年生の時に母親から『いじめられた』という訴えがあったことは確認できたが、明子さんの勘違いだった。明子さんからいじめに関する特別な相談はなかった」と説明していた。
        (毎日新聞)11月2日(火)2時32分配信

        ●小6女児自殺、クラス写真の15人の顔に「×」
         群馬県桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が自殺し、家族がいじめが原因だと訴えている問題で、明子さんが5年生の時の林間学校で撮影されたクラス写真の複数の同級生の顔に、「×」印が付けられていたことがわかった。
         写真は昨年5月に撮影された。父、竜二さん(50)が1日夜に自宅居間で見つけた。明子さんを含めクラスの38人が写った集合写真で、うち15人の顔にボールペンで付けたとみられる×印の跡があった。両親によると、15人の中には、明子さんが6年生になってから「いじめっ子」として名前を挙げていた児童も含まれていた。
         明子さんは、5年生になってすぐにいじめられるようになり、その後、いったん収まったが、6年生になって再びいじめられるようになったと両親に訴えていた。
         竜二さんは「優しい明子がこんなことをするなんて。学校で何があったのか本当のことを知りたい」と話していた。
        (読売新聞)2010年11月3日13時39分

        <群馬・小6自殺>願いは「学校消す」 学級崩壊、孤立深め
         群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自宅で首つり自殺をしてから間もなく2週間。「臭い、あっち行け」。一部の同級生からそんな言葉を投げつけられていた彼女は、6年の2学期になると給食も独りで食べるようになっていた。担任がほかの児童に決められた席で食べるよう指導しても状況は変わらなかったという。両親や学校関係者の説明を基に過程を振り返ると「学級崩壊」の中で孤立を深めていった彼女の姿が浮かぶ。
         明子さんの家族は派遣社員の父竜二さん(50)と母(41)、小4の妹(10)。家族によると、父親の仕事の都合で転居を重ね、08年10月に愛知県から新里東小に転校した。4校目の小学校だった。
         ■         ■
         09年4月 5年生に進級。父親によると、フィリピン出身の母が授業参観に訪れてから一部の同級生に容姿の悪口を言われるようになった。
         今年4月 6年生に進級。「臭い」「風呂に入っているのか」などと言われるようになり、両親に「どんなに遠い学校でも歩いて行く」と転校を訴えるようになった。両親は学校側にたびたび相談し、中学進学を機に引っ越すことも考えていた。
         9月18日 運動会。以後、明子さんのクラス(児童数39人)では授業中に児童がふざけたり、私語にふけるようになった。
         同28日 担任(40代の女性教諭)は席の間隔を広げれば私語などがやむと考え、縦8列の席を6列に減らした。しかし児童たちは給食時、給食の班(5人程度)ではなく、席を移動して友達同士で食べるようになり、明子さんは孤立した。
         10月14日 担任は校長らに相談の上、再び席替えを実施。給食の班替えも行った。
         同18日 再び明子さんが給食で孤立するようになった。
         母親によると、勇気を出してクラスメートに「一緒に食べよう」と頼んだことがあったが「また、今度ね」と断られたという。
         同19日 明子さんが学校を欠席。
         同20日 再び欠席。担任が「あすは社会科見学があるから、出てくれるかな」と電話をする。
         同21日 社会科見学に出席した明子さんは一部の同級生から「なんでこういう時だけ来るの」「普段はずる休み?」などと言われ、泣きながら帰宅。
         同22日 再び学校を欠席。学校側はこの日、給食の班を廃止。全員を黒板に向かって食べさせた。夜、担任が上村さん宅に報告に行ったが、共働きの両親は留守で、インターホンの呼び出しに返事はなかった。
         同23日 明子さんは午前9時ごろ起床、朝食を食べた。正午ごろ、母が部屋をのぞくと、母のために編んでいたマフラーをカーテンレールにかけ、首をつっていた。
         ■         ■
         明子さんの遺書は見つかっていない。しかし10月26日の告別式後、自殺直前に描かれたとみられる漫画が自宅で見つかった。タイトルは「やっぱり『友達』っていいな!」。同29日に見つかった愛知の元同級生にあてた手紙には「中学になったら大阪に行くんだ。だから愛知県を通るかもしれない。できたら会いに行くね!」とつづられていた。
         一方、自室に残されていた5年の林間学校時の集合写真には、同級生15人の顔にボールペンの先のようなもので「×」印がつけられていた。「もしもひとつだけ願いがかなうなら?」との質問が書かれた市販のプロフィル帳には「学校を消す」と書かれていた。
         明子さんの小学校は学区内に農村と新興住宅地が混在する。6年生は2クラスだけで、児童の一人は「上村さんをいじめるグループがあった。上村さんは『ちょっとどいて』『あっち行って』と言われ、悲しそうな顔をしていた。注意する人はいなかった」。別の児童はこうも言う。
         「いじめの中心になる子が何人かいて、ほかの子は何をされるか分からないから逆らえない。クラスはバラバラで学級崩壊みたいな感じだった」
        (毎日新聞)11月5日(金)2時32分配信

        ●「いじめ、なかったと言えず」 小6自殺で校長が漏らす 群馬
         桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、同小の岸洋一校長が「(上村さんに対する)いじめがなかったとは言い切れない」と市関係者に漏らしていたことが5日、分かった。岸校長は公の場では一貫して、いじめの存在を否定してきた。市教育委員会は8日に公開で開く臨時会を通じ、いじめの存否を判断するが、岸校長のこうした言動が影響を与えそうだ。
         市関係者は上村さんが自殺した10月23日以降、複数回にわたり岸校長と面談。岸校長に対し、上村さんに対するいじめの存否について質問してきた。岸校長は一貫して、いじめの存在を認めてこなかったが、5日になって、存在をほのめかすような発言に転じたという。
         岸校長から事情を聴いた市関係者によると、上村さんは5年生の時点でクラス内に数人の友人がいた。だが、6年になると友人らとは別のクラスになって孤立。給食時にグループに入れず、独りで食べることが目立つようになった。
         また、給食時に担任教諭がクラスで不在になるケースが多く、上村さんの状況把握が遅れた。さらにクラスは教諭が児童をコントロールできない学級崩壊状態で、市関係者は「(上村さんの)孤立に拍車がかかった」と分析している。
         臨時会では、こうした経緯が報告される見込みだが、予定していた岸校長の出席は5日になって、混乱を避けるため見送られた。
         このため、事前に市教委側が岸校長ら学校側から聞き取りした報告書を臨時会に提出し、協議を進めることになった。市学校教育課は「臨時会で、いじめの存否に一定の見解を出したい」として、臨時会の結論を8日に上村さんの家族に報告し、保護者会を開く方向で調整している。
        (産経新聞)11月6日(土)7時57分配信

        ●桐生の小6女児自殺:8日に市教委臨時会 いじめの有無、調査結果報告へ/群馬
         桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)が自殺し、遺族が「いじめが原因」と訴えている問題で、市教委は5日、臨時の教育委員会を8日に開くと発表した。同小はこの臨時会にいじめの有無についての調査結果を報告する見通しで、報道陣に公開する。市教委は報告に基づき、今後の対応を決める。
         市教委によると、同小は明子さんの自殺を受け、全児童を対象にアンケートを実施したほか、教諭や児童への聞き取り調査を行い、いじめの有無について事実確認を進めてきた。同小はこの日、明子さんの両親、学校の保護者にも調査結果を説明するとみられる。
        (毎日新聞)11月6日(土)11時39分配信
        NPO法人ノンラベル アスペルガー援助者養成講座<第13弾>
        2010/10/30
         私が副理事長をしているノンラベルのアスペルガー援助者養成講座が第13弾を開催します。今回は、「広がれ! 特性や生きづらさのある方へのサポートの輪」と題して、アスペルガー障害など高機能の広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)の特性のある方に関わるご家族や現場の援助者、援助者をめざされる皆さんと、思春期・青年期の暴言・暴力、そして高校生活のサポートをテーマに広く障害の特性や適切な関わり方、障害福祉サービス事業所や高校での具体的なサポートの実践事例を、福祉、生活支援の現場、学校、当事者のご家族の発信から学ぶ、という企画です。詳細はノンラベルのホームページをご覧下さい。
        http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/
         思春期・青年期は、発達障害やその特性がなくても、人間発達にとって激変期であり、「第2の急進的成長期」と言われます。身体・精神両面での成長・変化が急激に進み、その不全感を受容しつつ新たな課題を獲得しつつ乗り越える、大切な時期ですが、本人にとっては、危機的局面となることもあります。
         発達障害やその特性がある場合、その生き辛さに思春期葛藤が加わり、発達障害やその特性があるが故に独特の認知やそれまでに形成された思考パターンによってその苦しさに直面するため、今回講座のテーマとしている暴力・暴言などの他罰的な行動化が生じたり、抑うつ・対人不安や強迫性などの神経症状、不登校・ひきこもり状態などの自責的な症状化・行動化が起こりやすいようです。
         思春期・青年期は「自我同一性の獲得」が大きな課題とされていて、大人化しつつ自身に、他者との関係性に、気づき、折れ合って、その後の人生に向き合う「根拠のない自信」を身につけることになりますが、様々な阻害要因によって、最近ではその「長期化」が問題視されています。発達障害やその特性がある方においては、やはり対人関係の困難さなどから、課題遂行が困難となり「長期化」したり、「自我同一性の拡散」という課題を乗り越えられないままの状態が続くことが少なくありません。30歳前後の方で、「自分はまだ思春期を越えられていない気がする」と話された方とたくさん関わってきました。
         思春期・青年期の課題に直面している子どもたちに、周囲の大人がサポーターとして、受容しつつ聴き、見守り、時に背中押しをする…といった適切関わりをすることが大切です。良い友人・仲間との出会い・関係作りが大切なことも言うまでもありません。
         それでは、最近の気になる記事です。

        ディスレクシア児支援 デジタル教科書の効果に期待

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        iPhoneには読み書き障害を手助けする機能がある。文章をスキャンしてテキストに落とすことで行間や文字を拡大、読み上げソフトに対応させることもできる(写真:産経新聞)
         「読み書き障害」と呼ばれる学習障害(LD)の一つ、ディスレクシア。英語圏に多く、米国では全人口の10~15%に及ぶという報告がある。日本には正確なデータはないが、ここ数年、「LDの中心的な症状」という認識が深まっている。研究者によって学習支援の方法は異なるが、最近、デジタル教科書を通じた支援をめぐり、ホットな議論が展開されている。
         ◆ツールの一つ
         電子書籍元年。紙の本にアクセスしづらかったディスレクシア児に対し、書籍のデジタル化はどんな問題解決ができ、自立を促すのか。文字の拡大、分かち書き、漢字のふりがな、レイアウトの変更、全文読み上げ…。「情報提供の工夫で、学ぶ環境や授業システムが劇的に変化する」と期待する専門家もいる。
         「教育を受ける権利として、デジタル教科書をはじめ選択肢が多くあることが重要だ。障害の有無に関係なく、教科書が『本人の持ち物』として機能することで同じスタートラインに立てる。デジタル教科書はそうしたツールの一つ」
         東京都港区と共同でディスレクシア児を支援するNPO法人「エッジ」の藤堂栄子会長は「感覚に訴える方法」を探ってきた。デジタル教科書を導入する条件として、(1)迅速に手に入る(2)フォントや行間などニーズに合った形に加工しやすい(3)子供の発達障害のレベルやニーズに合っていること-の3つを挙げる。
         ディスレクシア児は他のLD児に比べ、静かで目立たない。読むのに時間がかかるため、「本人の努力が足りない」などと片付けられることが少なくない。欧米に比べて支援が遅れてきたが、ここ数年、学校や市民グループのほか、教育関連の企業が学習支援に乗り出している。
         ◆つらさの理解を
         9月に東大先端科学技術研究センター(東京都目黒区)で行われたシンポジウム「障害のある子どものためのデジタル教科書の在り方を考える」。デジタル教科書のアクセシビリティー(利用しやすさ)によって学習障害が緩和される例が紹介された。
         平成20年に教科書バリアフリー法が成立し、障害のある子供への教科書デジタルデータの提供が明文化された。パネリストの一人、文部科学省特別支援教育課の樋口一宗(かずむね)調査官は「読み書き障害がある子供だけがデジタル教科書を使用する場合、周りの子供たちはうらやましいと思うだろう。デジタル教科書が全員に配布され、その利点が還元されるとよい」と語った。
         一方、「滋賀大キッズカレッジ」代表の窪島務(くぼしま・つとむ)教授は、LD児に対して実践的な支援を続けてきた専門家だ。「ディスレクシア児の支援で一番必要なのは、そのつらさを教師らがどれだけ理解できるかにかかっている。米国では学齢児の5%が学習障害児として特別な教育を受けているが、日本では微々たるもの。子供や保護者の権利として認識がない点でも遅れている」と指摘する。
         デジタル教科書を「IT技術上のサポート」ととらえる窪島教授は「本を見るのもいやという子供もいる中で、デジタルであるかどうかよりも教科書の内容がはるかに重要だ。デジタル教科書によって、LDでない子供まで学習嫌いが増える可能性がある」と話す。
         ディスレクシア児が受けてきた心の闇や痛みは本人にしか分からない。ネット上で自己完結し、視覚に依存する傾向の強いデジタル教科書の「負の部分」について、さらに議論を重ねる必要があるだろう。
         ■非凡な才能の持ち主
         トーマス・エジソン、レオナルド・ダビンチ、アルバート・アインシュタイン…。ディスレクシアだったとされるこうした有名人は医学や芸術などで活躍、言語以外の分野で非凡な才能を発揮してきた。発達心理学のメアリアン・ウルフは著書『プルーストとイカ』(インターシフト)で、彼らの創造力と既成概念にとらわれない考え方に触れ、「どう説明すればよいのだろう」と問題提起する。
        (産経新聞)10月28日(木)11時43分配信

        ●「バカなんじゃないか」小2担任が学級通信で児童を非難
         大阪府箕面市の市立小学校で、2年生の担任の男性教諭(56)が、クラスメートをいじめたとする男児について「バカなんじゃないか」「相当な心の病を抱えているとしか言いようがない」などと、学級通信で非難していたことが25日、学校関係者への取材で分かった。学校側は、学級通信が保護者に渡ってからその内容を把握したといい、校長は「内容は許し難いことで、子供を傷つけ大変申し訳ない」と話している。
         問題になっているのは、男性教諭が今月19日にクラスの子供たちに手渡し、自宅に持って帰らせた学級通信。タイトルは「SHORT HOPE」と付けられ、A4用紙4枚分の分量がある。
         学校関係者によると、教諭の担当するクラスでは、特定の女児について、十数人が「○○菌」などと呼ぶなどのいじめが起きており、問題になっていた。
         男性教諭は、中心になっているのは3人と指摘し、学級通信では「たった3名でクラスが崩壊させられることもある」と”危機感”を表明。今月15日には授業で事実確認を行い、いじめをやめるよう指導したことを紹介した。
         しかし、授業から3日後の掃除の時間、このうち1人が女児が持とうとしたモップについて「このモップ持つと菌がつく」とはやしたてたとして、学級通信で「言葉は悪いがバカなんじゃないかと思う。或(あるい)は相当な心の病を抱えているとしか言いようがない」などと非難した。
         箕面市教委によると、学校外への配布物については、校長が内容を確認してから配布するよう指導しているが、校長は今回の学級通信の内容について配布前には把握していなかった。
         学校によると、男性教諭は「(いじめが)自分としては大変なことだから指導したいと思って書いたが、配布してから、まずい文章だと思った」と反省しているという。男性教諭は現在も担任を続けている。
         学校は28日に、このクラスの保護者を対象に説明会を開き、校長と担任が謝罪する予定。
        (産経新聞)10月26日(火)2時21分配信

        ●中国デモ変質、反日スローガンに政権批判加わる
         【広州(中国広東省)】中国陝西省宝鶏で24日に起きた反日デモでは、「日本製品ボイコット」などの反日スローガンの陰で、官僚の腐敗に反対し、住宅価格の高騰に抗議するなど、政府批判や社会に対する不満を訴える横断幕も掲げられた。
         25日付の香港各紙が伝えた。今月中旬以降、反日デモは、貧富の格差が拡大する内陸部の地方都市を中心に相次いでおり、胡錦濤政権が最も警戒する社会不安の拡大につながりかねない事態となってきた。
         報道によると、宝鶏のデモは、若者ら数百人が参加。市街地を行進したデモ隊は、「日本製品をボイコットせよ」などと叫ぶと同時に、「(官僚の)腐敗反対」「住宅価格高騰に抗議」などの政府批判や「多党制を推進せよ」と共産党の一党独裁を否定する横断幕も掲げていた。中には、「(台湾総統の)馬英九、大陸はあなたを歓迎する」と書かれた横断幕もあったという。
         また、宝鶏のデモの様子を紹介したインターネットの簡易投稿サイト・ツイッターには、「宝鶏の人々は勇ましい。反日行為は反党行為に華麗に変化した」「宝鶏のデモは事態がまさに変わり始めたことを証明した」など、政権批判のデモを礼賛するような書き込みが相次いだ。
         宝鶏など内陸部の地方都市は、沿海部の大都市との間で経済格差が開く一方だ。地方官僚と開発業者が癒着して、住宅価格を不当につり上げているとの見方も広がっている。民衆の不満はやり場のない怒りとなって、そのはけ口を探し求めている。そんな中、「反日」は格好の口実となる。「愛国無罪」といわれ、反日・愛国的なスローガンを叫んでいれば、公安当局も拘束など強硬措置をとりにくいとされる。デモ隊は「これを利用して、本来の目的である政権批判やうっぷん晴らしを断行した」(共産党筋)とみられる。
         ただ、一党独裁否定となると、政権は一気に実力行使に出る。デモの中心人物らが拘束された模様だ。
        (読売新聞)10月26日(火)0時24分配信

        ●小6自殺、母に編んでいたマフラーで首つる
         群馬県桐生市の市立小学校6年の女子児童が自宅で首をつって自殺した問題で、亡くなった上村明子さん(12)の父親の竜二さん(50)が25日、報道陣の取材に「6年生になってから10回以上、いじめがなくなるよう担任に相談したが、具体的な対策は示されなかった」と改めて学校の対応を批判した。
         一方、学校は校長が記者会見し、「いじめの状況は把握できていないが、事実確認を進めたい」と述べた。市教育委員会も調査を始めた。
         竜二さんによると、明子さんは23日、自室でカーテンレールにマフラーをかけて首をつっているのを母親(41)が見つけた。明子さんが母親にプレゼントするため、編んでいたマフラーだった。
         いじめが始まったのは5年生になってから。同級生に「汚い」「近寄るな」などと言われたこともあり、母親が外国人であることについても、からかう言葉を浴びせられていたという。
         5年生の2学期頃、竜二さんが学校に改善を申し入れ、いじめは収まった。ところが、6年生になってクラスが替わり、担任が交代すると再燃。給食時に同級生がグループで食事する中、明子さんは独りぼっちになっていたという。
         校長は会見で「(竜二さんから担任に)相談はあったが、たびたびではなかったと聞いている」とし、「給食の状況を担任は直したいと考えていた」などと述べた。
        (読売新聞)2010年10月26日01時37分

        ●小6自殺、文科省が学校の対応調査へ
         高木文部科学相は26日の閣議後記者会見で、群馬県桐生市の小6女児自殺について「教育委員会を通じて現場の話をしっかりきかなければならない」と述べ、学校の対応が適切だったかチェックする考えを示した。
         2006年に全国でいじめ自殺が相次いだため、文科省は、いじめの定義について、加害行為の有無による認定ではなく、被害者側が苦痛を感じていることと改めた。これに沿って調べたところ、06年度のいじめ認知件数は、前年度比10万件増の約12万5000件に急増。08年度は約8万5000件、09年度は約7万3000件となっていた。ある文科省幹部は「見かけ上の件数は減ってきたが、学校が見逃している可能性が高い」と、認知件数が減る現状に逆に警戒を強める。
        (読売新聞)10月26日(火)14時45分配信

        ●<身寄りない容疑者ら>福祉支援で実刑9割回避
         さいたま市の社会福祉士がつくるNPO法人が検察庁や裁判所に対し、身寄りのない容疑者・被告の施設での引き受けを確約したところ、約9割が起訴猶予や執行猶予付きの判決となり、実刑を回避していたことが分かった。裁判所などが福祉の支援で更生が可能と判断したとみられ、引き受け後の再犯率も低かった。法務省は再犯防止を重要政策に位置づけているが、NPO法人は刑務所出所後の支援だけでなく、刑事手続きの途中で支援する必要性を訴えている。
         路上生活者を支援してきたNPO法人「ほっとポット」(藤田孝典代表)は昨年9月、埼玉弁護士会と連携し、身寄りのない人が一時的に生活するシェルター(一時避難施設)を開設した。一戸建てで定員4人。釈放から1カ月の間に生活保護などの申請を手助けし、将来の自立を支援する。
         弁護士がこうした容疑者らの弁護を引き受けた場合、法人がシェルターでの引き受けを確約、検察や裁判所に支援計画を提出し起訴猶予や執行猶予付きの判決を目指している。
         法人によると、開設から1年間で受け入れを確約した34人のうち実刑判決は3人だけ。残りの31人は起訴猶予や執行猶予、罰金刑となった。シェルター出所後に再犯を起こした人は2人だけで、8割以上の26人がアパートなどで生活している。
         法人のアンケートに答えたシェルター利用者25人のうち、事件を起こした時に路上生活をしていた人は14人。収入がなかった人も20人いた。罪名別では万引きなどの窃盗と無銭飲食などの詐欺が22人で大半を占めた。
         社会に戻っても帰る先がない人の再犯率は高く、高齢者や知的障害者も少なくない。法人の宮澤進副代表は「社会で行き場がないから累犯者になりやすい。自立できる環境を整えれば、刑務所に送らなくても再犯防止につながる」と訴える。
         執行猶予中に再犯を起こした知的障害の男性の引き受けを法人に依頼し、男性を再度の執行猶予判決につなげた坂下裕一弁護士は「受け皿ができたことで更生への道筋を示せた。福祉の支援の有効性を裁判所も意識してくれた」と話している。
         ◇検察も「更生」優先
         法務省が再犯防止のために主に進めているのは刑務所出所者の支援だ。刑務所に送る前に、福祉の支援によって再犯防止につなげる制度は検討されていない。それでも刑事手続きに福祉関係者がかかわることで、検察が懲役刑を求めないケースも出始めている。
         昨年9月、神戸地裁尼崎支部で器物損壊罪などに問われた知的障害の女性(34)の裁判では、社会福祉士が弁護士の依頼で女性の引き受けを決め、支援計画書を提出。検察は「福祉の下で生活設計を図るべきだ」と罰金求刑にとどめた。判決も「社会で生活した方が更生に役立つ」と罰金30万円を言い渡した。
         支援に携わった兵庫県西宮市の障害者相談支援センター「であい」の原田和明所長は「回転ドアを何度も通るように繰り返される再犯を断ち切るには、刑罰だけでなく、早い段階から福祉に結びつける『国選社会福祉士』などの制度が必要だ」と指摘。02年以降に支援した知的障害者ら35人のうち、再犯は3人にとどまるという。
        (毎日新聞)10月27日(水)2時35分配信

        ●介護保険:「要支援」2割負担を検討…生活援助の縮小も
         厚生労働省は12年度の介護保険制度改革で、介護保険利用者のうち、介護の必要度の低い人がサービスを利用した際の自己負担割合を引き上げる検討に入った。現行の1割負担を2割にアップすることを視野に入れている。また、家事など生活援助のサービス縮小も検討項目に含める。同省は28日の厚労相の諮問機関、社会保障審議会介護保険部会にこれらの案を論点として示す。だが、負担増には利用者や野党の反発が予想され、実現のメドは立っていない。
         同省が自己負担割合の引き上げを検討しているのは、介護の必要度が最も低い「要支援」(約129万人)と、「要介護1」(約87万人)の人。認定者全体(約495万人)の44%に相当する。
         また、同省は所得が高い利用者の負担割合増も検討している。今は自己負担のないケアプラン作成も1割負担の対象とすることや、介護施設を利用している低所得者の居住費や食費を補助する「補足給付」対象者についても選定を厳格化する案を提示する。
         このほか40~64歳の保険料について、算定方式を各保険の加入者数で決める「人数割り」から、給与水準に応じて決める「総報酬割り」に変える案も列挙した。給与総額の低い企業の健康保険組合などは負担を減じる半面、高給の健保の保険料は増やし、全体の収入増を図る。
         00年度の制度発足時に3.6兆円だった介護給付費は、10年度予算では7.9兆円に膨らんだ。65歳以上の保険料は現在4160円(09~11年度、月額、全国平均)だが、このままでは5000円を上回るのは避けられない状況だ。(毎日新聞)2010年10月28日 2時32分

        ある夜の私が受けた「サイバー犯罪」全メール公開!
        2010/10/24
         京都府のサイバー警察に送ったメールの後に、長々と届いたメール内容を公開します。ま、参考までに眺めてやって下さい。これを「迷惑」と言わずして、何が「迷惑防止条例」だ!
        ————
        From:木下秀美
        To:kpp-kohoosetsu@mail.pref.kyoto.jp
        Sent:Friday,October01,20108:51AM
        Subject:ハイテク犯罪対策室への相談
        「サイバー犯罪相談」
        昨夜深夜から今朝方にかけて14回、私の携帯メールに着信がありました。
        仕事柄、24時間受信できるようにしておく必要があるため、マナーモードにはできません。
        今朝、ドメイン指定の着信拒否の設定は済ませましたが、昨夜の断眠で、被害甚大です。
        まだ調べてはいませんが、出会い系サイトが出所のようです。
        hi-tnsil.jpという独自ドメインからのもののようです。
        携帯のアドレスは、限られた、信用できる人にしか教えていませんので、どこから入手したのか…。
        mixiでも、「友だち」になろうと、女性になりすましてメッセージを送ってきて、こちらも様子をうかがうために「私のプロフィールなど、何に関心をもたれたたのか、よければ教えて下さい」と返すと、上手くかわしながら返信が何度かあったのちに、出会い系サイトにアクセスするように仕向けるという手口を何度か体験しています。こちらも対策を求めたいと思います。
        メンタルケアを仕事としているため、真剣にそうした相談相手を求めてアクセスしてくる方もおられるので、様子伺いをしながら、となってしまいますが、本当に困っている人にとっては、相談のハードルを高くしていますので、実質的被害とも言えます。
        昨夜から送られたメールを以下貼り付けます。
        もちろん、返信やサイトへのアクセスはしていません。
        今回は被害届を出せるものなら出したいと考えています。
        よろしくご指導願います。
        ————-
        紗枝様より新着メール
        [タイトル]
        『ちょっと寒いけど頑張ってお気に入りのショーパン履いちゃった〓〓似合うかな?〓』
        ☆メール本文閲覧・返信は
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        Authentication-Results:docomo.ne.jpfrom=mail-31@hi-tnsil.jp;sender-id/spf=pass
        Received:frommk1.ryg191.cks588.com([210.254.60.184])
        bymfsmax.docomo.ne.jp(DOCOMOMailServerVer2.0)withSMTPid21dc00fa4ca37d0e04c5
        for<(私の携帯アドヘッダー)>;Thu,30Sep201023:45:14+0900(JST)
        From:mail-31@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-31@hi-tnsil.jp
        To:(私の携帯アドレス)
        Subject:=?SHIFT_JIS?B?gr+C5YLBgsaKpoKigq+Cx4rmkqOCwYLEgqiLQ4LJk/yC6ILMg1aDh4Fbg3CDk5eagqKCv4LhgsGCvfn1+auOl42HgqSCqYLIgUj59w==?=
        X-Client-Route:inmail-31@hi-tnsil.jpoutdocomo;ZXJpbmZvLTI2NDUyNDhAaGktdG5zaWwuanA=
        MIME-Version:1.0
        Content-Type:text/plain;charset=Shift-JIS
        Content-Transfer-Encoding:base64
        Message-Id:<20100930144514.20BA83F0251@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Thu,30Sep201023:45:14+0900(JST)

        芳美様より新着メール
        [タイトル]
        『まずはお食事にでも行ってお話しませんか?メールでは私の事を知ってもらうのは難しいと思いますので、』
        (ほぼ同文にて省略)
        Fri,01Oct201000:03:34+0900(JST)
        From:mail-25@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-25@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930150333.E06623F01E0@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201000:03:33+0900(JST)

        太郎様はじめ男性会員様への優先プロフィール紹介を希望していらっしゃる女性です。
        名前:すみれ
        年齢:29歳
        仕事:下着販売
        目的:性交
        趣味:ランジェリー収集
        自己紹介:私のすべてを撮影しました。。。
        これが私のからだのすべてです。隅々まで、良く手入れしてあるのは伝わるはず。。。中までお見せできないのが残念ですけれど、ソコは会って直接あなたの指で、舌で、、確かめてやってください。
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        support@scene-mail.jp
        (ほぼ同文にて省略)
        Fri,01Oct201000:20:35+0900(JST)
        From:mail-82@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-82@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930152035.067373F0220@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201000:20:35+0900(JST)

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        (ほぼ同文にて省略)
        From:mail-21@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-21@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930154744.2AFFC3F01C0@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201000:47:44+0900(JST)

        紗枝様より新着メール
        [タイトル]
        『あんまり気に入ってくれませんでした〓?じゅあ次は下着の写真送るね〓』
        (ほぼ同文にて省略)
        From:mail-96@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930160415.1807F3F0202@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201001:04:15+0900(JST)

        太郎様を含む優良会員様限定でのご案内となっております
        名前:KoToKo
        年齢:24歳
        仕事:フリーター
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        趣味:あまり無し
        自己紹介:とにかくセックスが好きっていうかぁー気持ちいいことが好きなんです。顔や年齢は全く気にしないので友達になろ(・ω・o)
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        (ほぼ同文にて省略)
        From:mail-71@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-71@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930161844.5ACED3F01D5@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201001:18:44+0900(JST)
        ポンだよぉ様より新着メール

        [タイトル]
        (ほぼ同文にて省略)
        Reply-To:mail-46@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930165923.407CE3F01EB@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201001:59:23+0900(JST)

        紗枝様より新着メール
        [タイトル]
        『彼女候補にしてくれれば嬉しいです〓写真を見てから判断してくれても良いですよ〓』
        (ほぼ同文にて省略)
        From:mail-31@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-31@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930171225.1F3633F01B8@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201002:12:25+0900(JST)

        太郎様を含む優良会員様限定でのご案内となっております
        名前:アリス
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        From:mail-82@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-82@hi-tnsil.jp
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        Date:Fri,1Oct201002:56:04+0900(JST)

        ポンだよぉ様より新着メール
        [タイトル]
        『出会い系初参戦だよぉ~(o゜∀゜)ノここならすぐにエッチできるんじゃないの☆★??』
        (ほぼ同文にて省略)
        From:mail-45@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-45@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930181603.E2FD03F021C@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201003:16:03+0900(JST)

        りーか様より新着メール
        [タイトル]
        『まだ高校生でしょ?って言われるくらい童顔だよ〓』
        (ほぼ同文にて省略)
        From:mail-78@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-78@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930190123.71A893F01ED@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201004:01:23+0900(JST)

        りーか様より新着メール
        [タイトル]
        『JKみたいな童顔処女は嫌かな?〓』
        (ほぼ同文にて省略)
        Reply-To:mail-79@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930201125.D21C63F01F0@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201005:11:25+0900(JST)

        太郎様はじめ男性会員様への優先プロフィール紹介を希望していらっしゃる女性です。
        名前:美咲
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        (ほぼ同文にて省略)
        From:mail-10@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-10@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930201703.8E5943F021F@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201005:17:03+0900(JST)

        堀北真希似のちなつ様より新着メール
        [タイトル]
        『おはようございます。お仕事行ってらっしゃい!!』
        (ほぼ同文にて省略)
        From:mail-91@hi-tnsil.jp
        Reply-To:mail-91@hi-tnsil.jp
        Message-Id:<20100930211624.A12833F0205@xsmtp.cross6eee.cx>
        Date:Fri,1Oct201006:16:24+0900(JST) 
        ——————
         というわけで、23:45:14から翌朝06:16:24まで、延々と続きました。あきれるほかありませんが、これに反応する人がいるので、成り立っているとも言えます。
         地元警察に届け出ましたが、「この程度の内容では迷惑防止条例違反の対象にはならない」と回答を頂きました。
         あー、そうですか。という感じです。
         それでは、最近の気になる記事です。

        発達障害の学生支援(6)~(8)

        (6)親と面談 理解を促す
         「友だちとのかかわりを通して成長した息子を見ると、大学進学はむだではなかったと感じている」
         夕日が差し込む、大手前大学(兵庫県西宮市)の健康相談室。現代社会学部3年、椎名篤さん(20)(仮名)に優しい視線を向けながら、椎名さんの母親(51)が、きっぱりと言いきった。
         椎名さんの母親が、椎名さんの発達障害を大学に伝えたのは、指定校推薦入試に合格し、入学が迫った1月だった。「学習障害のある息子が社会に出る前に、大学で多くの人と交わってほしかった」と振り返る。
         相談を受けた大学側は、椎名さんが入学後、入部を希望した運動系サークルの部員に、「話を理解するまでにちょっと時間がかかるけれども、受け入れてほしい」と働きかけるなどして協力を要請。キャンパスに椎名さんの居場所を作り、学生生活を支援した。
         学習面では、発達障害の早期支援のため、学習支援センターを昨年開設。スクールカウンセラーを常駐させ、履修登録や授業の課題でつまずく学生のフォローを始めた。
         「お菓子を食べる会など、学内で人間関係を築ける場も提供している」と学生課の安井敏裕課長(52)は説明する。
         これらの支援を受け、サークルやゼミでは友達ができ、学習面でも大きな成長を見せている椎名さん。「課題が難しかったり、リポートが書けなかったりして落ち込んでしまっていたが、最近はひとりで心を落ち着かせて解決できるようになった」と笑顔で語った。
         同大は2年前から、学生に発達障害が疑われる場合、積極的に親との面談を持つようにしている。親が子どもの発達障害を受け入れなかったり、理解できなかったりすることで、苦しむ学生が目につくようになったからだ。入学させた以上、大学側はきっちり4年間で卒業させ、就職まで面倒を見て当たり前、と考える保護者もいるという。
         「発達障害を申告してくれれば、教員に授業時の配慮を依頼するなど、スムーズに支援体制を取れる。だが、保護者が我が子の障害を受け入れず、4年間での卒業にこだわり過ぎれば、ゆっくり成長していく発達障害学生の可能性を狭めてしまうかもしれない」と安井課長は話す。
         効果的な支援には、学生のありのままの姿を受け入れることが欠かせない。そのためには、大学と保護者が手を携えることから始めなければならない。
         学習障害 基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力の習得と使用に著しい困難を示す状態。LD(Learning Disabilities)とも言われる。特に読み書きが困難な場合は、ディスレクシア(読み書き障害)と呼ぶ。
        (読売新聞)2010年10月21日

        ●発達障害の学生支援
        (7)体験の場で「支える側」に
         礼拝の始まりを知らせる教会音楽がキャンパスに響くと、ベンチでくつろぐ学生たちが、次々とチャペルへ向かっていった。
         キリスト教の精神を建学の理念に掲げ、一人ひとりの学生を大切にする少人数教育から出発したプール学院大学(堺市)は、2005年から、発達障害の学生への支援活動を続けている。
         学生支援センターを核にした学習支援、ソーシャルスキルトレーニング、キャリア教育の3本柱。担任やカウンセラーらによる支援会議で、個別の教育支援計画を策定し、結果を評価する。発達障害者支援法の成立を受けて始まったこの取り組みは、07年、文部科学省から優れたプログラムに選ばれている。
         「特別支援、準支援、見守りの三つの支援レベルを設けて、効果的なサポートを探っている」と、責任者の森定玲子准教授(48)が説明する。「目指すのは、障害の有無にかかわらず、すべての教職員・学生が互いの個性を認め合い、支え合う学びの場です」
         森定准教授の紹介で、国際文化学部2年の金咲洋輔さん(22)(仮名)に会った。東京の大学に進学したがうまくいかず、医療機関で注意欠陥・多動性障害(ADHD)の疑いがあると言われた。昨年、地元の同大に入った。
         大学は、「何でも体験したい」という学生の考えに応じ、様々な体験の場を提供している。特別な支援を受けていないものの、金咲さんはこれまで、新入生キャンプを手伝い、大学祭にも積極的に参加しており、教職員に意見を言うことも多い。地域貢献の授業では、小学校を訪れ、発達障害の児童を教える教師のアシスタントをしている。
         金咲さんは「こうした体験を通して、発達障害者は支援を受けるだけでなく、逆に支援する側になってもいいと思うようになった」と話す。
         障害というものを意識し過ぎず、相手が「手伝って」と言った時だけ手を差しのべるくらいでちょうどいいこともある。
         「障害に対し過敏な社会では、告白がしづらく、支援が受けにくくなる。ありのままを認めて、もっと普通に接して」と金咲さん。森定准教授は「支援が過剰でも気づかないことがあり、彼の意見が、適正な支援を考える契機となっている」と話す。
         支援する側、される側という心の垣根を取り払った時、誰もが差別されず、包み込まれるように生きられるインクルージョン社会への入り口が見えてくる。
         発達障害者支援法 広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、発達障害の早期発見と支援を、国・地方自治体の責務と定めた法律。2005年に施行された。第8条で「大学及び高等専門学校は、発達障害者の障害の状態に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする」としている。
        (読売新聞)2010年10月22日

        ●発達障害の学生支援
        (8)才能を伸ばす視点必要
        大学入試センター特任教授 上野一彦さんに聞く
         今回の連載では、発達障害の学生支援に力を注ぐ七つの大学の実践を報告した。「大学全入時代」が到来する中、こうした学生を高等教育の場でどのように支援していけばよいか。大学入試センターで、入学者選抜における障害者支援を研究する上野一彦特任教授に話を聞いた。
         ――大学に進学する発達障害の学生は増えているのか。
         「日本学生支援機構が全国の大学などを対象に実施する実態調査によると、2009年5月1日現在で、発達障害の診断書がある458人の学生が、174校に在籍していた。診断書がなくても、発達障害と推察されて教育上の配慮が行われている学生も699人おり、診断書のある学生の約1・5倍いた。両者を合わせると1157人で、前年より500人増えている」
         ――発達障害の学生に対して、センター試験では配慮が行われているのか。
         「特別措置を申請できる障害種別はこれまで、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱の規定しかなく、発達障害で特例を求めるには『その他』で志願するしかなかった。しかし、来年1月に行われる試験からは、障害種別に『発達障害』が加わる。審査に通れば、試験時間の1・3倍延長、拡大文字問題冊子の配布、別室受験などが措置される」
         「申請には診断書に加えて、高校で受けた支援を記す個所もあり、教師が作成した個別の指導計画などの提出も求められる。結果として、保護者から高校へ、特別支援教育の推進を求める声が強まることが予想され、大学入学後の支援体制充実にも大きな影響を及ぼすだろう」
         ――入試の多様化で発達障害学生を受け入れたものの、支援に手をこまねいている大学も多い。
         「教育理念に沿った学生を育てるため、どういった能力を持った受験生を求めるのかという視点が欠けている。発達障害の学生の中には、特定の領域で能力を発揮する者もいる。支援だけでなく、その学生ならではの才能を伸ばすという視点が必要だ。一方、成長がゆっくりな学生には丁寧な指導が求められ、そうした教育はその他の学生の力も引き上げるだろう」
         ――どの大学でも頭を悩ませているのが、就労問題だ。
         「就職を有利にするため、療育手帳を取らせる大学もあると聞くが、知的発達の遅れを伴わない発達障害学生が、知的障害者に交付される療育手帳を持つのはおかしい。大卒は、決して万能なパスポートではない。自立して社会参加していくために何が必要か、大学に入る前にしっかりと考えてほしい」
         うえの・かずひこ 専門は発達臨床心理学。学習障害(LD)研究の草分けとして知られる。東京学芸大教授、副学長を経て、現在は名誉教授。日本LD学会理事長。66歳。
        (読売新聞)2010年10月23日

        ●「職場で使える『虎の巻』発達障がいのある人たちへの八つの支援ポイント」
        「アスペルガー社会人のBlog」より
        http://welladjust.exblog.jp/
        札幌市がつくった、アスペルガーを含む発達障害就労支援の冊子です。
        友人にご紹介いただきました。
        なかなか良く出来ていると思いましたので、リンクしておきます。
        是非皆様の職場でもご活用ください。
        「職場で使える『虎の巻』発達障がいのある人たちへの八つの支援ポイント」
        http://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/tora/

        ●子どものころの経験の多さと、年収の関係
        子どものころに経験したこと(年代別、出典:国立青少年教育振興機構)
         子どものころの経験が豊富な大人ほど、やる気や生きがいを持っている人が多いことが、国立青少年教育振興機構の調査で分かった。
         例えば地域清掃に参加した経験が多い人は「経験したことのないことには何でもチャレンジしてみたい」傾向があったり、ままごとやヒーローごっこをしたことが多い人は「電車やバスに乗ったとき、お年寄りや身体の不自由な人に席をゆずる」傾向がうかがえた。
         子どものころの体験が少ない人で「大学・大学院」を卒業した人は45.4%に対し、経験が多い人は50.4%。また経験が少ない人で「年収750万円以上」という人は11.0%に対し、経験が多い人は16.4%。子どものころの経験の多さと最終学歴・年収に関係があることが分かった。
         さらに子どものころの経験が少ない人で「現在結婚している」のは58.8%に対し、多い人は68.5%。子どもの数を見てみると、経験が少ない人で「2人以上」は37.6%に対し、多い人は46.4%だった。
         ●若い世代ほど、幼少期に家族行事の機会が多い
         子どものころの「友だちとの遊び」や「自然体験」といった経験は、年代によってどのような違いがあるのだろうか。夜空に輝く星をゆっくり見たといった自然体験、友だちとの遊びについては若い世代ほど少なかった。その一方、家族の誕生日を祝ったりする家族行事については若い年代ほど増えていることが明らかに。
         インターネットを使った調査で、20~60代の男女5000人が回答した。調査期間は2009年11月13日から11月16日まで。
        (BusinessMedia誠)10月18日(月)16時29分配信

        ●注意されキレる…横浜市、対教師暴力が過去最悪
         横浜市教委によると、横浜市立中で昨年度起きた教師に対する暴力は過去最悪の393件。
         05年の279件から約4割増加している。同じ生徒が暴力行為を繰り返したり、教師から注意された際に感情が抑えきれず、突然、「キレる」ケースが目立つという。
         市教委幹部は「生徒に年齢相応のコミュニケーション能力が備わっていないことが多い。学校によっては教師が疲弊し、学級運営が滞っている」と話した。
         市教委では、経験豊富な指導主事を問題が頻発する学校に派遣し教師らの相談役にあてたり、スクールカウンセラーの訪問日を必要に応じて増やすなどの対策を進めているという。
        (読売新聞)10月20日(水)6時42分配信

        ●介護職の年収民間を大きく下回る
         介護現場で働く人の給与や労働時間について労働団体が調査したところ、平均年収はおよそ207万円と、民間企業全体の平均を大きく下回っている実態が明らかになりました。
         この調査は、全労連=全国労働組合総連合が、全国の介護施設などで働く人およそ3万人を対象に、ことし3月の時点の給与や労働時間について、アンケート形式で行ったもので、7855人から回答を得ました。それによりますと、介護施設で働く人の平均年収は206万8400円で、国税庁が調査した民間企業全体の去年の平均年収、405万9000円を、200万円近く下回っています。内訳では、▽100万円未満の人が全体のおよそ28%を占めたほか、▽100万円以上200万円未満の人が24%、▽200万円以上300万円未満の人が25%となっています。また、1か月の残業時間は平均9.86時間で、残業をした人のおよそ38%が残業代を支払われなかったことがあると回答しています。全労連の小松民子副議長は「去年4月に介護報酬は引き上げられたが、依然として賃金水準は低く、サービス残業があるなど労働環境は厳しい。介護職員の離職を防ぐには、労働条件の改善が不可欠だ」と話しています。
        (NHKニュース)10月17日11時26分

        ●うつ病発症の原因遺伝子を特定か、米エール大
         うつ病を発症するメカニズムにおいて重要な役割を担っているとみられる遺伝子を突き止めたと、米エール大(YaleUniversity)の研究チームが17日、英医学誌「ネイチャー・メディスン(NatureMedicine)」に発表した。新薬開発につながる可能性に期待が寄せられている。
         研究チームは、うつ病と診断された後に死亡した21人の遺伝子と健康な18人の遺伝子とを比較して、「MKP-1」と呼ばれるこの遺伝子を突き止めた。論文によるとMKP-1は、神経細胞(ニューロン)の生存と機能に不可欠な脳内化学物質「MAPK」のカスケード(連鎖)を遮断する役割を果たしているという。
         研究では、MKP-1を不活性化させたノックアウトマウスを作り、うつ病とMAPKの関連性を調べた。すると、MKP-1ノックアウトマウスはストレスに対する回復力があったが、MKP-1を持つマウスはストレスに対してうつ病に似た症状を引き起こした。このマウスに抗うつ剤を処方したところ、症状は緩和したという。
         論文主筆者のロナルド・ダンマン(RonaldDuman)教授(精神医学・薬学)は、「(MKP-1によるカスケード遮断が)うつ病の原因となる神経伝達異常の主原因か、少なくとも大きな要因である可能性が高い」と結論付けた。
         エール大学は、今回の発見により「MKP-1が、とりわけ治療の効かないうつ病に対する新薬のターゲット候補になったといえる」と声明で述べている。(c)AFP
        (AFP)2010年10月18日

        ●「コレステロール高めが長寿」に日医など猛反発
         日本医師会(日医)と日本医学会、日本動脈硬化学会は20日、東京都内で開かれた日医の定例記者会見で、「コレステロールは高めが長生き」とする日本脂質栄養学会作成の「長寿のためのコレステロールガイドライン(指針)」について、「科学的根拠に乏しい」と批判した。
         日本動脈硬化学会は、LDL(悪玉)コレステロール値が140ミリ・グラム/デシ・リットル以上などを高脂血症(脂質異常症)とする指針を定めている。同学会は14日、日本脂質栄養学会の指針に反論する声明文を公表。会見で、原中勝征・日本医師会会長と高久史麿・日本医学会会長もこれを支持する姿勢を示した。
         高久医学会会長は、「LDLコレステロールが心筋梗塞
        こうそくなどと直接関係があることは世界的に認められており、日本脂質栄養学会の指針は間違っている」と話した。
        (読売新聞)2010年10月20日21時21分

        ●司法修習生の給与打ち切りへ、貸与制に
         今年、司法試験に合格した釜本真奈さん。いま彼女を悩ませている問題があります。ロースクールなどに通うためにかかった400万円にのぼる奨学金の返済です。
         「(奨学金の返済は)1回から216回まで」(釜本真奈さん)
         (216回払い?)
         「そうです」
         日弁連の調査によりますと、奨学金などの借金を抱える司法修習生は全体の53%。平均で318万円、最高1200万円の借金を抱える人もいたといいます。
         こうした中、来月に控えていたのが、司法制度改革の一環ですでに決まっていた司法修習生の「給費制」廃止。司法試験合格後、司法修習生には1年間の実習期間に国からおよそ20万円の手当てが「支給」されていたのですが、これを打ち切り、無利子の「貸与制」にしようというものです。
         これでは「裕福な人しか司法試験を受けられなくなる」などという声を受け、民主党と公明党はこれを見直し、「給費制」を暫定的に維持することでほぼ合意、自民党にも協力を呼びかけていました。しかし、22日朝に行われた自民党の部会では・・・。
         「(政府・民主党幹部から)法務当局も貸与制に行くべきだと考えていると。財務当局もそのように考えていると」(自民党 平沢勝栄法務部会長)
         自民党は、政府・民主党内で意見がまとまっていないなどとして、法改正の呼びかけに応じないことを決めました。結局、各党の足並みは揃わず、来月からは、返還義務のある「貸与制」に移行する見通しとなりました。
        TBS系(JNN)10月22日(金)19時39分配信(22日17:10)

        中国の反日デモとフランスの全国一斉デモ。
        2010/10/14
        現在、大規模な「暴動」が中国とフランスで進行形です。フランスの全国一斉デモについて、マスコミではほとんど報道されないので、まだご存じない方も多いのではないでしょうか。
         中国の反日デモの発端は、尖閣漁船事件。2010年9月7日午前、中国漁船が日本の領海である沖縄県尖閣諸島付近で操業し、その後日本の海上保安庁の巡視船に衝突した事件です。海上保安庁は公務執行妨害と違法操業の疑いがある中国漁船の船長を逮捕。その後、船長は日中外交に配慮した日本政府の判断にて拘留期限を迎えることなく処分保留で釈放されました。この政治判断をめぐって賛否両論、いや緒論が展開されています。法的に日本領土である尖閣諸島付近で違法操業をしていた漁船が、海上保安庁の巡視艦に追突したことは事実のようです。法にもとづいて逮捕・拘留したという出来事から、尖閣諸島周辺の漁業権や資源をめぐる権益、そして領土問題へと発展し、中国国内での反日デモとなっていきました。
         反日デモは政府に踊らされたマスゲーム——。尖閣諸島沖の衝突事件で日中の緊張が高まった先月、中国の若手人気作家、韓寒さん(28)が自身のブログで発表した文章で、民族主義的な反日の動きを冷ややかに切り捨てています。当局によってすぐに削除されたようですが…(これ自体に疑問を感じますが)。 韓寒さんは、中国国内に多くの矛盾を抱える中、政府が外国と対立するたびに庶民が「愛国」を叫ぶことへの疑問と、政治には踊らされないという冷めた視線で意見をブログに。
         反日デモの現地から発信された写真には「沖縄を回収、解放せよ」といった過激な横断幕を掲げる若者たちの姿も写っています。どうして「沖縄を回収…」にまで飛躍するのでしょう。
         一方フランスでは、仏政府が進める年金制度改革への抗議行動が活発化。定年退職年齢を60歳から62歳に引き上げることなどを主眼とする年金制度改革法案に対する抗議行動は、全土の製油所がストライキに入り、パリの空港に石油を供給する送油管の稼働が停止に。さらに年配の労働者たちを支持し、高校生や大学生にも拡大しています。14日には労組発表で1000校以上、政府発表で342校の高校で生徒が校門を封鎖するなど(約400の高校で正門を封鎖したとの報道もあります)の抗議行動を繰り広げ、一部では警官隊と衝突し負傷者や逮捕者が出る騒ぎとなりました。
         パリのデモ(労組発表33万人)に参加した男子高校生(17)は「退職年齢が延長されれば、その分、若年層の職がなくなる。若年層にはただでさえ失業者が多く、政権の改革は支持できない」と話しています。主要労組は16日、年金制度改革法案に反対する全国一斉デモを実施しました。
         あるホームページ(http://www.janjanblog.com/archives/19271)では、「フランスの高校生や大学生はなぜ政治・社会問題に敏感に反応するのか?」との見出しで、フランスで高校生を含む大規模な行動が展開される理由を分析されています。以下、引用してみます。
        1.フランス革命をはじめとする民衆の直接行動によって政権を転覆させた歴史の蓄積があるからです。時の政権が誤った政策を強行する場合、労働組合や市民運動団体が中心となり政策の誤りを指摘して反対行動の具体的な提起を全国にアピールします。このアピールにこたえて広範な民衆がデモに参加するわけですが、その中に反戦や環境保護や人権擁護や移民労働者などの市民組織や個人参加の大人と ともに高校生や大学生がいるのです。彼らは直接行動によって政府に政策を撤回させたり譲歩させたりした「勝利の体験」を「敗北の体験」よりも多く共有しているのです。
        2.フランスでは小学校、中学校、高校の授業の中で一番重要な科目は文化系でも理科系でもフランス語と哲学だそうです。フランス語の勉強は必然的にフランスの文学と歴史を学ぶことになり必然的に民衆の戦いを学ぶことになります。哲学は物事の根本や根源を追求し理解する学問ですので世の中の表層的な出来事と本質的なことを見分ける力が養われるのです。物事の本質をつかみ取り何が問題なのかを認識する能力が養われるのです。全てのフランス人がそうではありませんが多くのフランス人は論理的な議論を好みます。情緒的で議論嫌いな人が多い日本人とはここでも対照的です。
        3.真実を追求し報道するマスコミがまだ健在なことです。
         そして、フランスでの生活のしやすさについて解説が続きます。これも引用します。
         確かにフランスは今平均失業率が9.1%特に若者の失業率が23%と失業が大きな問題となっていますし様々な社会的な困難を抱えています。それでも今の日本と比較すればフランスの暮らしやすさは際立っています。重要なことは、フランスの暮らしやすさを保証する社会生活の基本条件は天から与えられたものではなくフランスの民衆自らが闘いとった成果であるこ とです。
         その成果のいくつか以下に列挙します。
        ①【労働時間】フランスの実質労働時間は週35時間、週休2日が義務化されている。
        ②【最低賃金】2009年7月1日現在フランスの全産業一律スライド制最低賃金(SMIC)は月労働時間151.67時間として月額 1,337.70ユーロ=\152,500/@\114.00(税 引き前)。最低時給(税引き前)は2009年現在8.82ユーロ=\1005.5/@\114.00です。
        ③【年間有給休暇】有名なヴァカンス制度(長期夏季休暇制度)は年5週間の有給休暇を保証。経営者は全労働者にこのヴァカンスを与える義務があります。
        ④【教育無料】保育園から大学院まで教育費は無料。奨学金は返済義務がない。
        ⑤【入学試験なし】大学入学は毎年5月に全国一斉に実施されるバカロレア(高校卒業資格試験)に合格すれば定員内であればどこの学部にも登録できる。したがって中学、高校、大学の入学に試験がないため予備校や塾はフランスンには存在しないのです。
        ⑤【医療費無料】医療費や薬代は民間の相互保険に入っていればほぼ全額還付される。
        ⑥【家族手当】日本の子供手当に相当するのが「家族手当」。2人以上の子ども(20歳未満)を持つ家庭すべてが受給できる。で家族手当には所得制 限がなく高所得家庭でも受給することができる。金額は子どもが2人いると124.54ユーロ(約1万4200円)、3人目以降は1人ごとに 159.57ユーロ(約1万8200 円)。さらに子どもが11歳以上になると35.03ユーロ(約4000円)、16歳以上になると62.27ユーロ(約7000円)が加算される。この加算額は子どもが1人(なし)、2人(1人分だけ)、3人以上(全員分)と子どもの数によって変わります。
        ⑦【少子化対策】1人の子どもがいるだけでは家族手当を受け取ることはできないのです。「2人以上の子どもを奨励する」というフランスの育児支援政策の意義がそこにあります。
        ⑧【年金】昨日350万人(主催者発表)が参加したフランス全土のデモとストライキはサルコジ政権が「年金制度」の根幹をなす法定退職年齢を60 歳から62歳に延長し年金の満額受給年齢を65歳から67歳に引き上げる法案を国会で可決したことに労働者・市民・学生が怒りの抗議行動をしたのです。フランスでの年金生活者の暮らし方は退職前の職種、出身社会層、年金の額によって大きく異なります。年金の平均受給額は月当たり約2000ユー ロ=¥228,000です。
         
         中国で起こっている暴動と、フランスで起こっている反政府抗議行動の違い。みなさんはどう思われますか? 私が気になるのは、マスコミは中国の「暴動」を連日、何度も、ほとんどの局で報道しますが、フランスの抗議行動はほとんど報道されないこと。上記に引用した、フランス国民が獲得してきた「暮らしやすさを保証する社会生活の基本条件」と日本の現状との違いに触れずに報道することはできない、がその理由と思えて仕方ありません。
         それでは、最近の気になる記事です。

        発達障害の学生支援

        (1)対人関係 語り合える場
         秋晴れの日ざしが差し込むカーペット敷きの部屋。昼食を手にした学生たちが、女性カウンセラーを囲んで次々と席に着いていく。
         「グループ討議のリーダーに指名されたのにうまくできなかった……」と、男子学生が落ち込んだ表情で語り始めた。すかさず別の学生が、「リーダーに指名されたのは、できると思われている証しだよ」とフォローする。悩みを打ち明け、励まし合うのは、ほとんどが発達障害の診断、または疑いのある学生たち。福岡大学(福岡市)で週に1回開かれるサポートグループの集まりだ。
         同大で発達障害の学生の相談が目立ってきたのは、約10年前のこと。ちょうどこの頃、当時の学生相談室をヒューマン・ディベロップメント・センターへと改組し、不登校なども含めた心の健康の支援を始めていた。
         サポートグループは、発達障害の学生らを対象に実施された対人関係などの心理教育プログラムの参加者から、「このまま別れるのは寂しい」と声が上がり、9年前に発足した。現在は約10人が参加し、同センターのカウンセラーに助言を受けながら、一緒に卒業や就職を目指している。
         「人とのかかわりが苦手な発達障害の学生が、うつなどの二次障害にならないよう、自由で安心していられる居場所が必要だった。同じ悩みを抱える仲間との交流を通して障害が軽くなることもあり、コミュニケーションを取る練習の場にもなっている」。カウンセラーの屋宮公子さん(55)が説明してくれた。
         法学部4年の山下明さん(24)(仮名)は対人関係につまずき、自宅に3年間引きこもった。アスペルガー症候群と診断されたことを、サポートグループでだけ打ち明けている。「友達ができないのは努力が足りないからではなく、障害のためなんだと気が楽になった。人間関係のストレスがたまらないここは、一番居心地がいい場所です」
         「サポートで学生が変わる瞬間がある。山下君も他人からノートを借りられるようになり、目標だった卒業見込みも取れた」と屋宮さんは話す。
         同じ悩みを抱えた仲間にアドバイスを与える経験が自信につながり、それぞれの成長を促していく。
             ◇
         「大学全入時代」の到来で入学生が多様化し、発達障害の学生が増えている。小・中・高校での特別支援教育を経て進学してくる学生を、大学でどう支えていけばよいか、実践事例を通して考えたい。
         発達障害 知的発達の遅れを伴わない脳機能障害。読み書きなどの習得が困難な学習障害(LD)、衝動的に行動しがちな注意欠陥・多動性障害(ADHD)、対人関係が苦手な高機能自閉症など。日本学生支援機構の調査によると、発達障害と診断された学生は、2008年5月現在で全国の122大学に237人が在籍している。
        (読売新聞)2010年10月13日

        (3)教員と心理職 二人三脚
        ビー玉をはしで別の皿へと移し、微妙な力の入れ方をトレーニングする(12日、大阪産業大で)
         色鮮やかなビー玉やサイコロなどが盛られた皿をはさみ、割りばしを手にした学生が教員と向かい合っている。
         「最初はサイコロ、次は貝殻」。教員の指示で、学生は器用なはしさばきでつまみ上げ、別の皿へと移す。「先生よりうまくなったんじゃないか」。教員が言うと、学生の表情が大きくほころんだ。
         大阪産業大学(大阪府大東市)の学生相談室で10月12日に目にした光景。学生相談室長でカウンセラーの瀬島順一郎教授(63)にマンツーマン指導を受けていたのは、アスペルガー症候群と軽度の学習障害の診断がある工学部4年の渡辺真さん(21)(仮名)だった。
         同大では、発達障害の学生には教員と学生相談室が連携し、学習と生活を支援する体制を整えている。渡辺さんは、苦手な科目の単位がなかなか取れずに悩んだ末、2年生の時、学生相談室を訪れた。
         渡辺さんは力の出し方をコントロールしたり、場面に合わせて声の大きさを変えたりすることができなかった。そこで、上手な会話の仕方など、社会生活や対人関係を営む技能である「ソーシャルスキル」を、学生相談室でトレーニングすることになった。はしの練習も、その一環だ。
         「うまくできたらほめ、ちょっとでもいいところを伸ばす。自分の行動が認められることで、自信が強まっていく」と瀬島教授は話す。
         一方、学習面では、丁寧に補習をするようにした。学生相談室から連絡を受けた当時の工学部長、中村康範教授(62)は「授業後に積極的に質問するなど学習意欲は旺盛だが、相手の気持ちを考えずにしゃべり続けてしまうところがあり、発達障害ではないかとすぐ気づいた。このため、先輩が後輩に勉強を教えるピアサポートのシステムの活用を考えた」と振り返る。
         「学習の支援は教員にしかできないし、学生生活の中で生じる問題は心理職が専門。両者が密接に連携しないと、発達障害学生の支援はうまくいかない」。学生生活支援コーディネーターの松岡信子さん(40)は強調する。
         大学の支援で大きく成長した渡辺さんが今、直面しているのは、就労の問題だ。コミュニケーションが苦手という自身の特性を企業に理解してもらうため、療育手帳を取った。知的障害を伴わない広汎性発達障害者の就労には、学習と同様、周囲の理解と支援が欠かせないが、壁は高い。
         療育手帳 知的障害者に都道府県・政令市から交付され、各種福祉サービスが受けられる。手帳取得により一定割合の障害者雇用を義務づけられた企業に採用されやすくなるというメリットがある。このほかに、精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳があるが、発達障害に特化した手帳を求める声もある。
        (読売新聞)2010年10月15日

        (4)入学前に調査、早期発見
         自己評価を引き出す質問に、「障害者、きもいと言われます」と記されている。書かれている文字も、大学生にしてはあまりにも稚拙で、行からはみ出しそうだ。
         聖学院大学(埼玉県上尾市)が入学前準備講座で行っているアンケート調査。同大総合研究所助教で学生相談室室長補佐の竹渕香織さん(37)は「発達障害の疑いあり」と目を光らせた。
         発達障害の学生には、早期発見と早期支援が欠かせないが、自分自身では障害に気づいていない場合が多い。このため、同大は入学後の学生生活ガイダンスで、全学生を対象に、不安傾向などが分かるUPIテストを実施。さらに、合宿形式の新入生オリエンテーションでも、学生相談室のカウンセラーらが気になる学生をチェックしている。
         入学前準備講座でのアンケート調査は、2006年から導入している。2月から3月にかけて行う準備講座で実施し、より早期の発見を目指そうというもので、学生相談室とラーニングセンターが開発した。
         例えば、自己評価を引き出す設問では、「私はよく人から」という書き出しだけ示し、その後に思いつくことを自由に書かせる。「当てはまるものに丸をつけるUPIテストと違い、友人関係などについて文章を書いてもらうことで、発達障害の発見につながる」と竹渕さんは説明する。
             ◎
         同大を3年前に卒業した小林哲郎さん(26)(仮名)は、オープンキャンパスに訪れた時から、教職員の目にとまっていた。入学後、病院で検査を受けて高機能自閉症と診断され、親も交えて学生生活の送り方を話し合った。この結果、カウンセラーの個人面談、教員による学習面での配慮だけでなく、所属する音楽サークルの部員によるサポートを、支援の3本柱の一つとすることになった。
         相談室から小林さんの障害について知らされた音楽サークルの部員たちは、小林さんがトラブルを起こす度、竹渕さんを訪ね、支援の仕方を相談した。そんな部員の気持ちに応えるように、小林さんも相手と視線を合わせられるようになっていった。
         「音楽を作り上げていく過程で、自分も役割を担っているという達成感が自信となった。教職員やカウンセラーとは違う同級生、先輩・後輩との人間関係が精神的な安定を生み、自分にできないことを受け入れられるようになった」と竹渕さんは振り返る。
         早期に発見することで、仲間とのふれあいが、発達障害学生の成長につながった。早期発見の体制が整った同大では、今度は学生支援グループの組織化を目指している。(保井隆之)
         UPIテスト 1960年代に全国大学保健管理協会の学生相談カウンセラーと精神科医が中心になって作成した学生向けの心理テスト。正式名称は「University Personality Inventory」。60の設問で構成され、特に心身症・神経症の早期発見に効果があるとされている。
        (読売新聞)2010年10月16日

        ●自殺対策で街頭キャンペーン、駅前でリーフレット配り呼び掛け/横須賀
         横須賀市は自殺対策の一環で、2010年度から市内全21駅を回る街頭キャンペーンに取り組んでいる。15日は、午前7時半から1時間、京急線逸見駅前で吉田雄人市長や市職員、ボランティアら9人が参加。駅利用者に相談窓口などを記したリーフレットやポケットティッシュを手渡し、「悩んでいる人は一人で抱え込まないで」と呼び掛けた。
         市は08年度から街頭キャンペーンを展開。昨年度は、横須賀中央駅前など計6カ所で、自殺予防週間の9月と対策強化月間の3月に実施した。
         より多くの市民に自殺問題に目を向けてもらおうと本年度から活動を拡大。9月9日に追浜駅前で実施したのを皮切りに、月3~4回のペースで来年3月まで各駅を回る。
         市保健所によると、今年の市内の自殺者数は8月末現在で約60人。約40人だった前年同期に比べ1・5倍となった。特に6~8月の自殺者数は前年同期の約3倍に上るという。
         市担当者は「今後も活動の幅を広げ、自殺者ゼロを目指したい」と話している。
        (カナロコ)10月15日(金)21時45分配信

        ●生徒指導の講師ら 高松市も緊急加配 香川
         高松市の大西秀人市長は定例会見で、市立小中学校の児童や生徒の暴力行為などの緊急対策として、講師や教育支援員の3人を今月から、3小学校に緊急加配すると発表した。来年度以降もケースに応じて講師増員などを検討するとしている。
         香川県は市内の別の小中学校に講師3人の加配をしているが、加えて市で独自に対策を強化する。大西市長は「長期的には3カ年ぐらいかけて生徒の指導やサポートに取り組みたい」と話した。
         同市学校教育課によると、市内の小中学校ではここ3年、暴力行為が500~700件前後で推移。文部科学省が発表した「問題行動」調査でも、千人あたりの発生件数で香川県がワースト1になっており、市独自の対策が必要と判断した。
        (産経新聞)10月18日(月)7時56分配信

        ●ダウン症の原因遺伝子抑制…京大グループ、カエルで成功
         先天的な形態異常や知的障害を伴うダウン症の発症に関係すると考えられている遺伝子の過剰な働きを化学物質で抑え、体の発達を正常に保つことに、京都大の萩原正敏教授らのグループがカエルを使った実験で成功した。この遺伝子が関係することで生後に進行する症状が見つかれば、薬剤で治療できる可能性が出てくる。5日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表した。
         ダウン症は、人間では21番目の染色体が3本になって起きる。この染色体の中で、遺伝子「Dyrk1A」の働きが強くなり、体の構造や神経の発達に重要な役割を担うたんぱく質の働きを妨げるとされる。
         萩原教授らが、この遺伝子をアフリカツメガエルの卵で過剰に働かせると、オタマジャクシの目ができなかったり頭が小さくなったりした。遺伝子の働きを抑える物質をコンピューターの模擬実験などで探し出し、卵に注入すると、目や頭の形が正常になった。

        (読売新聞)2010年10月6日

        ●暗記物には小テストが有効=連想で記憶が確かに―米大学
         単語などの暗記物は、本番の試験に臨む前に予備の小テストを受けた方が記憶が確かになると、米ケント州立大(オハイオ州)のキャサリン・ローソン准教授らが15日付の米科学誌サイエンスに発表した。学生118人に単語を覚えてもらう実験を行った結果、小テスト中に単語を思い出そうと苦心して、ヒントをつかむと、本番の試験でも思い出しやすくなるという。
         実験では、学生を小テストを行うグループと行わないグループに分けた上で、東アフリカのケニアなどで使われるスワヒリ語の単語48個と対応する英単語を覚えてもらい、試験した。
         例えば、雲を意味するスワヒリ語の「WINGU」を見て、英語の「CLOUD」と回答する場合、小テストで「発音が英語のWING(翼)に似ていた。翼があるのは鳥、鳥は雲の中を飛ぶ」と連想するヒントをつかむと、本番の試験で思い出しやすくなった。小テストを行わないグループに比べると、正解率が最大で2倍程度高かったという。 
        (時事通信)10月15日(金)3時6分配信

        ●出産一時金「42万円」恒久化へ 厚労省、引き下げ困難と判断
         厚生労働省は14日、今年度末で4万円上乗せの暫定措置が切れる「出産育児一時金」について、来年度以降も「原則42万円」を維持し、恒久化する方針を固めた。出産費用が高額化していることなどから、支給水準を再び下げるのは実態にそぐわないと判断した。妊婦が出産費用を立て替え払いしないで済む医療機関への直接支払制度も継続する。次回の社会保障審議会医療保険部会に提示する。
         現在の出産一時金は「原則38万円」だが、政府は少子化対策の一環で昨年10月から来年3月までの特例として4万円上乗せし、42万円を上限に支給している。
         厚労省が来年度以降も給付水準を下げない方針を固めたのは、同省が行った実態調査(8月時点)で、出産費用の全国平均が47万3626円、下位25%の平均でも42万円超かかっていることが明らかになったため。出産一時金は少子化対策としても一定の効果があり、「最低でも現行水準は維持せざるを得ない」(幹部)と判断した。
         だが、4万円上乗せを維持するには、来年度予算で平成22年度予算の182億円と同水準の財源が必要となる。上乗せ分については国民健康保険は半分、健康保険組合と協会けんぽは30~53%が国庫補助となっているが、残りはそれぞれ保険料が充てられている。
         厚労省は各保険運営主体に対し、22年度と同程度の負担を求めていく考え。だが、負担増となる企業側などからは反発も出ており、負担割合をめぐる調整は難航も予想される。
         一方、直接支払制度については、資金繰りなどの対応が難しい小規模の医療機関などがなお存在していることから、23年度の全面実施は見送る方針。事務手続きの簡素化などを通じて普及を図る。
        (産経ニュース)2010.10.1502:00

        ●自然体験豊富な子読書量多い
         幼いころから自然の中で遊んだ体験が豊かな子どもは、本を読む量が多い一方でテレビゲームで遊ぶ頻度は少ないという調査結果がまとまりました。
         この調査は、国立青少年教育振興機構が幼児期の体験と、その後の成長についての関連を調べるため全国の小学5年生から高校2年生までの1万1000人を対象に行いました。このうち小学5年生で幼児期の体験活動が多かった子どもと少なかった子どもとで読書量を比較しました。その結果、「1か月に10冊以上の本を読む」と答えたのは体験活動が多かった子どもでは26.7%だったのに対して、少なかった子どものでは9.0%にとどまり、幼いころ自然の中で遊ぶなど、さまざまな体験をした子どもほど本を多く読む傾向があることがわかりました。また、高校2年生で幼児期の体験活動の多さとゲーム遊びの関連を聞いたところ、体験活動が少なかった生徒の55.5%が「ゲームを毎日・ときどきしている」と答えたのに対して多かった生徒は42.3%と半数未満にとどまりました。調査に当たった千葉大学の明石要一教授は「自然体験などを通じて子どもたちは、さまざまな感情をはぐくみ、人との交流も積極的にするようになる。こうした体験を子どもができるよう、学校や家庭で積極的に進めてもらいたい」と話しています。
        (NHKニュース)10月15日4時23分

        迷惑シリーズ第2弾! 出会い系。
        2010/10/03
        ミニバイクのマフラー改造騒音を第1弾として、その続きです。
         私の携帯メールアドレスは、信頼のおける人や、各種契約(もちろんいかがわしい相手ではありません)など必要最小限でしか公開していません。なのに、どこで入手したのか、9月30日の深夜から10月1日未明まで、13回、トライマックスハイテンション運営事務局xMMENUxを名乗りつつ、「mail-25@hi-tnsil.jp」などを送信元として、延々とメールが入りました。内容は、正味あからさまな出会い系携帯サイトへの招待メールです。「mail-25…」の「25」がいろんな数字に変えられて13回です。
         仕事柄、携帯は夜中もマナーモードなどにすることなく、枕元に置いて寝ますので、この夜はほぼ寝られない夜となりました。
         「xMMENUx」や「hi-tnsil.jp」などでネット検索すると、携帯専用サイトであることや、同様の被害を受けている人がたくさんいること、この組織(?)が様々な顔を持ち手広く同様の出会い系携帯サイトを作り違法行為をしていることなどがわかってきました。
         早速、京都府警のサイバー警察に通報メールを送りましたが、
        「スパムメール等が頻繁に送られてくる場合、あなたの
        メールアドレスが、送信業者の利用しているメールアド
        レスのリストに記載されているものと思われます。当該
        業者が送信を停止しても、同リストは他の業者に拡散し
        ていきますので、メールアドレスを変更するのが最良の
        対策と思われます。
         限られた人にしか通知されていないということですの
        で、通知されている方々の中でPCで受信されている場
        合、そのPCがウイルスに感染しているとメールアドレ
        スが知らない間に流出している可能性も考えられます。
         また、ウイルス感染のリスクもありますので、被害の
        拡大を防止する観点から、心当たりのないメッセージは
        開くことなく削除することをおすすめします。
         業務妨害等に関しましては支障状況等を確認する必要
        がありますので、関係資料を持参のうえ、最寄りの警察
        署に相談し、事件判断をしてもらってください。」
        との返信がありました。
         で、早速居住地の所轄警察署に被害届の相談に昨日行きましたが、
        「今日は当直しかいないので…、平日の時間内に生活防犯課まで来てもらえないか…」という対応。それほど暇ではないので、送信されたメールとサイバー警察からの返信をまとめてプリントしたものを当直さんに預け、連絡をしてもらうようにお願いしてきました。
         数少ないとはいえ、携帯のアドレスを変えるつもりは今のところありません。とりあえずは、ドメイン指定の着信拒否設定で凌いでいます。
         これまでも、架空請求などのメールは沢山入りましたが、即削除を原則に対処してきて、続けて送られることはありませんでした。今回は、正直キレました。警察も、この手の犯罪にはお手上げであることはわかりつつも、事実としてこうした被害があることを把握しておいてもらう必要があるので、警察通報をしたわけです。「仕方ないもの」と諦めていては、奴らの暗躍は増幅する一方ですから…。でも、焼け石に水(;。;)。
         それでは、最近の気になる記事です。

        リカバリー・パレード:「心の病は治る」訴え200人参加

         アルコール依存症やうつ病などを抱えた人たちが回復に向かう姿をアピールする「リカバリー・パレード」が23日、東京都新宿区であった。当事者やその家族ら約200人が雨中の繁華街を1時間にわたって練り歩いた。
         「精神疾患は回復しない」との誤解をなくすため初めて当事者が企画した。うつ病を克服した調布市の勝佳澄(かつかすみ)さん(53)は「心の病は治る。社会の無知と偏見を取り除く責任が回復者にある」と声を張り上げた。
         冷たい雨に打たれ、身を震わせながらも皆、「苦しかったこともあったけれど、リカバって(回復して)幸せ」と笑顔。悪天はいつまでも続かない。
        (毎日新聞)2010年9月23日 22時57分

        ●シンポジウム:自殺防止と遺族支援、社会的対策を訴え−−南区/京都
         年間の自殺者が12年連続で3万人を超える中、自殺防止と遺族の支援を考えるシンポジウムが、京都市南区で開かれた。家族を自殺で亡くした人や支援団体メンバーが社会的対策の必要性を訴え、約340人が静かに耳を傾けた。
         府と京都市、遺族支援団体「こころのカフェきょうと」(石倉紘子代表)の主催。NPO法人「自殺防止支援センター ライフリンク」の代表、清水康之(38)さんは、ハローワークに問題解決の専門家を紹介する相談所を設けるなど、行政側が自殺防止のために悩みを聞き出す場所を作ることを提案した。
         毎日新聞大阪社会部の玉木達也記者ら6人の討論では、大学生の時に母親を亡くした精神科医の藤本佳史さん(30)が「首をつっている母を1番最初に見つけた。自暴自棄になり、うまくいかないと母親のせいにしたこともある」と明かし、「あしなが育英会」で同じ境遇の遺族と語り合うことで立ち直ることができたと自らの体験を話した。患者には家族が自殺した経験を持つ人が多いといい、「患者を社会に戻そうと精神科のベッド数を減らそうとする国の政策は理想に過ぎず、治療が必要な人を受け入れられていない」と問題提起した。
         石倉代表(66)は「遺族は亡くなった人に対する怒り、悲しみ、自責の念などさまざまな気持ちを持っている。つらい体験を周囲の人に話せるよう、自殺に対して偏見を持たない社会が求められている」と話した。
        (毎日新聞)9月26日(日)14時33分配信
        ※私も参加してました!

        ●岐阜いのちの電話協会:メールで自殺予防相談 NPOが来月スタート/岐阜
         NPO法人「岐阜いのちの電話協会」は、メールによる自殺予防相談を10月1日から始める。メールの特長を生かして相談しやすい環境を作ることで、県内で年間500人前後出ている自殺者を一人でも救おうという試み。県の委託事業で、メールによる自殺防止相談は東海3県で初という。
         初回の相談は「岐阜いのちの電話」のホームページ(HP)に相談内容などを入力して申し込む。その後、訓練を受けた「いのちの電話」相談員がチームを組んで対応する。返信は5日以内にされ、やりとりは3回までできる。相談は無料で、24時間受け付ける。匿名も可。HPはhttp://www.ktroad.ne.jp/~inochi/
         「いのちの電話」事務局は「うまく言葉にして話すことができなくても、文字にすると相談しやすいこともあるはず。なんとか役に立ちたい」と話している。
        (毎日新聞)9月30日(木)10時59分配信

        ●うつ、自殺傾向の悩み多数=無職者が3割—働く人の電話相談
         日本産業カウンセラー協会は29日、自殺予防週間(9月10~16日)に合わせて実施した「働く人の電話相談室」に、3日間で1170件の相談が寄せられ、メンタル不調・病気に関するものが2割を超え最多だったと発表した。細かい項目では、うつや死にたい気持ち(希死念慮)に関するものが多かった。
         原康長専務理事は「自殺を考えるのも無理のない深刻な悩みが多かった。深刻さの度合いが増している」と話している。
         電話相談は10~12日に全国13支部で実施、件数は前年の1093件を若干上回った。分野別ではメンタル不調・病気(21.5%)、職場の問題(18.5%)、生き方など自分自身のこと(16.7%)—の順に多かった。
         細分化した相談項目のトップは「生き方」の85人。次いで「うつ」84人、「希死念慮」75人、「求職」63人、「親子関係」61人の順だった。
         電話相談は、厳しい雇用環境を考慮し、現在の仕事の有無を問わず利用を呼び掛けている。今回、差し支えない範囲で雇用形態を尋ねたところ、無職の人が384人と3分の1を占め最多だった。
        (時事通信)9月29日(水)17時48分配信

        ●いよ館:路上生活者を支援 自立準備の拠点、NPOが松山のマンションに開設 /愛媛
         多重債務や貧困などの問題に取り組んでいる被害者の会でNPO法人「松山たちばなの会」(松山市)が、住居を失った人らが生活再建するまでに一時的に暮らすシェルター「いよ館」を松山市内に開設した。27日の開所式で青野貴美子・同会事務局長は「住む場所がなければ、自立に向けた再出発ができない。シェルター開設で支援の可能性を広げていきたい」と期待を込めた。被害者の会がシェルターを開設するのは全国でも珍しいという。
         シェルターは松山市内のマンション一室。6畳の2部屋と台所の2DKタイプ。市民らから寄付されたベッド、机など家具のほか、テレビ、電子レンジなどの家電も備えられ、最大で2人が生活できる。当面は、国の自殺対策の補助金で家賃や光熱費などを賄う。
         同会はこれまで約12年間、多重債務者の無料相談をしてきたが、ここ数年は、帰る家のない路上生活者、自殺未遂者、DV被害者らからの相談が増えていた。生活保護には申請から数週間かかることもあり、シェルターで生活しながら、部屋探しなど自立に向けた準備ができるという。
         路上生活者支援をしている市民団体「オープンハンドまつやま」の愛媛大4年、小野龍太郎さん(22)は「いきなり生活保護を受けることは、路上生活者にとって精神的ハードルが高い。まずは、ゆっくりと眠れる場を紹介できることがうれしい」と話していた。
         自立に向けて多くの人が訪れることの出来るサロンとしても利用され、家計簿の付け方やパソコン講習なども開く。問い合わせは同会(089・926・7500)。
        (毎日新聞)9月28日(火)15時25分配信

        ●入院患者の2割、薬で健康被害 京大講師ら国内3病院調査
         国内の総合病院に入院した患者の約5人に1人の割合で薬による健康被害があったとの調査結果を、京都大医学研究科の森本剛講師(総合内科)と作間未織助教たちのグループがまとめた。大規模な調査は日本初といい、森本講師は「不要な薬を減らしたり、入院期間を短くすることで被害のリスクは減らせる。医療従事者と患者の対話が大切だ」としている。
         米医学誌「ジャーナル・オブ・ジェネラルインターナルメディシン」で28日発表した。
         洛和会音羽病院(京都市山科区)、聖路加国際病院(東京都)、麻生飯塚病院(福岡県飯塚市)の3病院に2004年1~6月にかけて入院していた患者3459人のカルテや検査結果、薬剤の処方歴などを調べた。
         約2割の762人計1010件で、薬による発熱や意識低下などの健康被害があった。86%(869件)は、現在の医学では避けられない薬の副作用の結果だった。残り14%(141件)は医師や看護師などによる薬の組み合わせや投薬量の誤りなど、人為的な「エラー」が原因だったとしている。
         健康被害の約4割で深刻(重症以上)な症状につながっており、死亡の一因となったのは1・6%(16件)だった。
         「エラー」が起こりやすい状況として、他の診療科からの転入▽投与される薬の種類が多い▽担当医師の経験が3年未満と乏しい-ことが分かった。
         森本講師は「処方段階で誤った薬の組み合わせなどを医師に伝えるシステムを導入すれば、人為的な『エラー』は大幅に減らせる」としている。
        ■システム改善に道筋
         長谷川剛・自治医科大医療安全対策部教授の話 救急医療を行う第一線の病院を対象とした日本では前例のない詳細な研究である。発生したエラーの特性について重要な問題を抽出している。薬剤などの情報システムは問題が多く、今後のシステム改善への方向性を示す手掛かりとなるだろう。
        (京都新聞)9月28日(火)23時19分配信

        ●奈良大臨床心理クリニック:不登校などの子供対象に訪問カウンセリング/奈良
         ◇人間関係築くきっかけに
         奈良大が開設する心理相談機関「奈良大臨床心理クリニック」(奈良市西大寺新田町)は、不登校やひきこもりの子供たちを対象に、大学院生による訪問カウンセリングを始めた。外出が困難で、クリニックに足を運べない子供たちを支援するのが狙い。「年齢が近いお兄さんやお姉さんと話すことで、人間関係を築くきっかけになれば」としている。
         同クリニックは07年10月にオープン。09年末までに計133人が相談に訪れた。臨床心理士がカウンセラーを務めるが、学生の実習機関も兼ねており、同大大学院臨床心理学コース所属の学生が対応することもある。
         訪問カウンセリングに取り組むのは、主に大学院の2年生。自宅を訪ねて1時間程度、子供と遊んだり、話し相手になる。所長の前田泰宏教授(57)は「訪問には事前の調整が大切。保護者の方と連携して、適切な時期や方法を考えたい」と話す。
         相談日は月曜~水曜と金曜、土曜の週5日間。原則18歳以下を対象とし、1回1000円の完全予約制とする。予約や問い合わせは同クリニック(0742・52・1120)。
        (毎日新聞)9月30日(木)15時48分配信

        ●ギターサークル:ひきこもりの若者にギターを 行方さん設立、気軽な居場所に/埼玉
         ◇きょう川口で説明会
         高校を中退した若者らに無料で学習指導などを続けている行方(なめかた)正太郎さん(50)=東京都練馬区=が今月、川口市内でひきこもりの若者を対象としたギターサークルをつくる。「社会復帰」という目標をあえて立てず、気軽に出かけられる「社会的居場所」を作るのが目的だ。自身もかつて、ひきこもりを経験した行方さんは「いつか長距離を飛べるよう羽を休める『止まり木』のような集いの場を音楽を通じてつくりたい」と話す。【町田結子】
         行方さんは不登校児の学校復帰を支援する「和光市教育支援センター」で非常勤相談員として勤務している。その一方、15年前から東京や埼玉で中卒や高校中退の若者に勉強を教える塾を経営。2年前からは、月謝が払えない人に無料で教える「蛍雪義塾」を開講し、JR川口駅東口の「キュポ・ラ」で月2回ほど指導している。
         行方さんは、桶川高校卒業後に1浪して宇都宮大教育学部に合格した。しかし、「周囲に溶け込めない」と3年間ひきこもった。そんな自分を支えてくれたのがエレキギターとドラムだった。音楽サークルの仲間に誘われ、学生生活に戻ることができた。
         自身の体験を生かして、蛍雪義塾の3人の受講生にギターを握らせたところ、休みがちだった若者も毎回顔を出すようになった。
         「音楽が好きになれば『今度はスタジオに一緒に行こう』とか、外に誘い出すきっかけになる。無理をせずに人とつながる機会を提供できるはず」。そう考え、ひきこもりの若者を対象にした「蛍雪義塾・ギターサークル」を毎月第2・4土曜夜、キュポ・ラで開くことにした。
         参加無料。2日午後7時からキュポ・ラで説明会を開く。問い合わせは行方さん(電話070・6664・6023)。
        (毎日新聞)10月2日(土)11時56分配信
        不登校・問題事象、現実と教育委員会の解離。
        2010/09/26
        8月17日に毎年恒例の情報公開を請求し本来2週間以内に公開のところを「…決定機関延長通知書」を勝手に作られ、9月24日やっと手にしすることができました。
         同市の21年度中学校における不登校・問題事象の数と、2002年3月末に京都弁護士会から「要望」として執行された不登校への対応の適切な強化についての、市教委と当該中学校におけるその後の取り組みを示す公文書の公開を求めたもので、7年ほど遡っての資料請求となります。
         長男が通っていた中学校。学校が崩壊していました。不登校の出現率は長男が3年生の年は5.14%、問題事象はあり得ないような数字でした。保健室の来室者数が1年で1万人を超えていました。
         そして10年が経過。少し下火になっていきましたが、21年度資料では問題事象も不登校も、市内ダントツ。不登校出現率は4.78%と10年前の状態に回復(!?)。数も、市内の56%にあたります。問題事象は市内136件の内の63件。学校教育というシステムは何も学ぼうとしていない、というのが実感です。生徒指導部の不登校対策は、実態の早期把握とSC(最近はSSWが登場)を活用しながら…SC同行による訪問や校内での情報共有、校外の機関などとの連携など、ほとんど同じ内容の文字が毎年ならんでいます。
         平成19年のある教育委員会の議事録の中では「一昔前は、単なるひきこもりやいじめが原因であることが多かった…」と本人の問題とされていたようですが、最近は「保護者が子どもを引っ張り回して夜遊びしているということも原因」という説明などから家庭の問題が多くなっている、と教育委員会では議論されているようです。「不登校の原因は一人一人違います」としつつも、個人の問題から家庭教育の問題へと、不登校の原因を求めようとしています。本当に何もわかっていない人たちが、会議で議論しあっていても、何も解決しないという見本です。また、平成14年のある同委員会では、弁護士会からの要望について、「保護者と連絡を取り、本人とも話し合いをしてきた」と当時の教育長が発言していますが、私はあなたを知りませんし、長男があなたと話し合ったことなども一切ありません。そして「1番問題なのは、心が閉ざされている心理的な不登校である」ともこの教育長は発言しています。物理的な不登校は、そもそも不登校としてカウントされていないので、不登校の状態にある子どもたちは、「行かない不登校」を除けば、みんな「心が閉ざされている心理的な不登校」であるわけで、1番も2番もありません。なぜ「心を閉ざす」状態になったのか、どうすれば本人さんの気持ちをきちんと把握することができるのか、そういった具体的な議論は一切なく、浅薄な評論の場でしかないことが明確になったと思います。
         ついでながら、不可思議に感じたのは、平成21年度、同市内中学校におけるイジメは0件だと言うのです。あり得ないと思いませんか? これらの報告数値は、いかにして操作的、意図的に作られるのでしょうか?
         さらについでながら、同中学において21年度にSCが行った相談活動の数値(学区内小学校での相談を含むが2件しかない)。実件数(人数)26人の(継続相談などの回数をカウントした)延べ人数は131人(中学は129人)と依然少ないまま。驚くのはその内訳(延べ人数)で、児童・生徒53名、保護者24名、教師49名、その他5名。相談の38%ほどは教師の相談です。本当に悩んで不登校になる子どもは、自らカウンセリングを受けるということは極めて希です。教師や親に説得されてしぶしぶ、というケースがわずかにあるとは思います。SCの大切な役割の一つではありますが、教師が様々な問題の対応に困り、SCにどうしていけばいいのか具体的な提案やヒントを求めている実態が浮かび上がります。でも、校内の教職員の横つながりの相談や協力・支援・役割分担、管理職からの適切な指導・援助などは機能不全状態にあるために、SCに個人的に相談に行っているとしたら、教師が抱える問題もさらに個人責任化していく懸念がぬぐえません。
         それでは、最近の気になる記事です。

        心の病自宅訪問で支援 厚労省

         うつ病など精神疾患を抱えた人の自宅を訪問し支援するため、厚生労働省は二〇一一年度に、精神科医や看護師らでつくる専門家チームを医療機関に設置するモデル事業を、全都道府県で始める。
         受診や相談をためらう間に重症化するのを防ぐのが目的で、自殺防止につなげる狙いもある。患者の家族は「社会とのつながりを回復する第一歩になる」と歓迎している。
         厚労省によると、精神疾患があっても、偏見を気にして病院に行かなかったり、途中で治療をやめたりして症状が悪化する人が少なくない。
         国内の自殺者数は十二年連続で年間三万人を超え、うち約三割は、うつ病などの精神疾患が原因。担当者は「病院で患者を待つ従来の医療では十分に対応できていなかった」と説明する。
         チームは精神科医や看護師、作業療法士、精神保健福祉士など数人で構成。家族らからの依頼を受け自宅を訪れて家族や本人と話し合い、通院治療などにつなげていく。
         チームづくりは各地の医療機関に委託。厚労省は一一年度予算の概算要求の特別枠で十六億円を計上し、当面は各都道府県に一、二チーム程度になる見通しだ。
        (東京新聞)2010年9月26日 朝刊

        ●自殺対策の催し「いきるを支える」、柳田邦男さんの講演も/鎌倉
         全国で毎年3万人を超える自殺に歯止めを掛けようと、自殺対策の催し「いきるを支える」が23日、鎌倉市大船の鎌倉芸術館で開かれた。作家の柳田邦男さんによる基調講演のほか、シンポジウムが行われ、来場者約420人が命の尊さについて思いをはせた。
         県や鎌倉市、逗子市、葉山町などで組織した実行委員会の主催。2市1町の枠組みで毎年、精神保健福祉の啓発事業に取り組んでいるが、ことしは県の地域自殺対策緊急交付金事業として自殺対策にスポットを当て開催した。
         柳田さんは「生きなおす力~その可能性を求めて~」と題して講演。絵本を資料として使いながら、悲惨な経験や悲しい体験が時に、人にとって大きな財産になるとし、周囲の人々の理解やサポートがいかに大切かを訴えた。
         また、シンポジウムでは、「生きるを見つめる」をテーマに討論を実施。柳田さんのほか、薬物依存やリストカット対策の専門医、作家、自死遺族の支援団体関係者らが登壇した。
        (カナロコ) 9月23日(木)22時0分配信

        ●児童・生徒の暴力行為 過去10年で最多292件 21年度 群馬
         平成21年度に確認された公立小中高校の児童・生徒の暴力行為が前年度比62件増の292件となり、過去10年で最多を記録したことが、県教委のまとめで分かった。中でも小学校の件数は約3倍となっており、県教育委員会義務教育課は「規範意識の低下に加え、感情のコントロールが出来ない子供が増えてきているのではないか」と話している。
         県教委の「児童生徒の問題行動など生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、校内での児童・生徒による暴力行為は小学校が44件(前年度比29件増)▽中学校が104件(13件増)▽高校が144件(20件増)。18年度(211件)以降3年連続の増加となり、過去10年で最多だった12年度(291件)を上回った。
         同課では「特定の児童・生徒が件数を重ねている面もある」とするが、小学校では10年度以降1ケタ台だった暴力行為の発生学校数が18年度以降年々増え続け、今回は13校増の22校と急増。低年齢化の定着が深刻になりつつある現状を示している。
         暴力行為の対象では、「対教師」が小中高すべてで前年度を上回り、28件増の51件。「注意された腹いせで物にあたるケースも多い」(同課)といい、「器物損壊」も25件増の84件となった。同課では「暴力行為の背景にある子供の生育環境などについて理解を深めるとともに、各家庭と連携し声かけを続けていく必要がある」と危機感を募らせている。

         一方、同調査によると、いじめの認知件数は計275件で、前年度比65件減。内訳は小学校が77件(54件減)▽中学校が130件(21件減)▽高校が68件(10件増)−となった。高校生の不登校は32人減の692人、中退者は33人減の720人で、ともに前年を下回った。
        (産経新聞) 9月20日(月)7時57分配信

        ●川崎の中3いじめ自殺問題、遺書で名指しの同級生3人を家裁送致/神奈川
         川崎市多摩区の市立中学3年の男子生徒=当時(14)=が6月に遺書を残して自殺し、生徒自身もいじめられていたとされる問題で、横浜地検川崎支部は22日、生徒が遺書で名前を挙げていた当時14歳だった同級生の少年3人を、暴行の疑いで横浜家裁川崎支部に送致した。
         3人は、2月中旬に教室で男子生徒を床に押さえつけてズボンを下ろすなどした。
         家裁は今後、審判を開始するか否かを判断。審判開始の決定をした場合、少年の調査、審判を行い、処分を決める。
         この問題をめぐっては、学校の調査委員会が今月初旬、最終報告署をまとめ、生徒が遺書で実名を挙げた4人による生徒と友人へのいじめを認定していた。4人のうち当時13歳だった少年1人については、同様の疑いで児童相談所に通告されている。
        (カナロコ) 9月22日(水)23時45分配信
        思考のパターンは作られていく。
        2010/09/16
         人にはそれぞれ「考え方のパターン」や「思考展開のクセ」というものがあります。
         もちろん、これらは、生まれ持ってのものではありません。脳機能の、特に情報処理や認知に独特のユニークさなどを持つ特性を有して生まれてくる方もいますが、これらパターンやクセなどは、生後の生育環境、特に対人関係の中で形成されていきます。
         楽しい体験や、達成感、成功体験などが多く積み上げられた人は、自己に対する評価が高く、何か課題にぶつかったとしても、自己肯定感情や自尊心も豊かになりますので、前向きな、ある意味楽観的(何とかなる、していくという自信を基礎にしたもの)な考え方で乗り越えて行こうとしますし、失敗しても、「次は大丈夫」「やり方を変えよう」と諦めることなく意欲レベルを保てます。
         逆に、否定や叱責、無視や仲間はずれ、イジメ、虐待、また発達障害の特性から「友達の作り方がわからない」や、小さな失敗から自信を全否定してしまう「0か100の発想」などの課題のある方などは、達成感や成功体験が乏しい、あるいは全くない場合もあり、他者から評価される体験を持たないまま、自己を肯定的に評価したり「これはできる」といった自信が持てないまま、対人関係を「不安」「恐怖」の中で体験し続けていることが多く、「どうせ無理」「私なんて存在していていいの?」などという否定的で拒否的な認知が形成されていきます。
         自己否定的な感情が強いと、うまくいかない原因を自分以外に求め、まずは親に対して暴言・暴力(親に限らず兄弟など近親者に向かうことも多いようです)という形で犯人捜しや納得できない気持ちを表現されることが少なくありません(この状態がさらに進むと強度行動障害と言われる他罰的な問題行動の継続・強化となる場合もあります)。そうした段階を過ぎると(この段階を経ない場合もあります)、対人不安や不潔恐怖、強迫神経症、抑うつなどの症状を伴いながら著しい自尊心の低下から「ひきこもり」の状態に入るケースがとても多いようです。
         これら2つの(少し極端に表現していますが…)思考パターンの違い、その根底にあるのは、「褒められた体験の有無」「自信を理解してくれる関係性にある他者(家族や友人など)の存在の有無」に集約されるかと思っています。
         もし、後者の思考パターンの方が近くにおられたら、どんなちいさな事でも「褒める」「評価する」そして「否定せずに話を聴く」第三者をつくり(見つけ)、あきらめることなく継続して本人さんの自己評価を高められる環境調整のサポートをしてあげてほしいと思います。早期よりの関わりが大切ですが、30代、40代以降の方でも、褒められることや人から必要とされているという気持ちが形成されはじめると、それまでの思考パターンに変化は生まれます。
         それでは、最近の気になる記事です。

        小6少女、日記に虐待「SOS」…蛍光ペンで印

         栃木県那須塩原市の児童相談所で今月3日、保護された長女を連れ出すため侵入した父親が逮捕される事件があり、県警は父親が長女を虐待していた疑いが強まったとして、近く傷害容疑で再逮捕する方針を決めた。
         長女は父親から強制されて付けていた日記に、暴力を振るわれた日を示す印を蛍光ペンで記していた。県警は長女が残した「SOS」を重要な証拠と判断、虐待の立件にこぎ着けた。
         捜査関係者によると、同県さくら市の無職の男(31)(建造物侵入容疑で逮捕)は8月下旬、自宅で妻の連れ子だった小学6年の長女(12)の顔を殴るなどし、約2週間のけがをさせた疑いが持たれている。
         長女は捜査員に対し、父親から日記を書くよう強制されていたことを明かした。学校の出来事などがつづられているが、「お父さん大好きです」「素直になります」などと書くことを強要され、毎日、内容をチェックされていた。
         長女は6月上旬頃から、父親に顔を殴られたり、足をつかまれ体を引きずられたりする暴行を日常的に受けていた。暴行を受けた日の日記の片隅に、長女は気付かれないよう蛍光ペンで小さく印を付けていたが、その数は週2、3回あった。
         一方、長女が通う学校の教諭は、長女の顔や腕などにアザがあることを不審に思い、真新しいアザなどを見つけた日を手帳に記録。日記の印の日付と大半が一致しているという。
         父親は当初、虐待を否定していたが、「むしゃくしゃして娘を殴った。暴力がばれるとまずいと思った」などと供述しているという。
         ある捜査関係者は「密室で行われる虐待は事実関係の裏付けが難しい。少女のSOSと学校教諭の機転が生かされた」と話す。県警は、虐待に至った経緯について父親を追及する方針。
        (読売新聞)9月20日(月)3時3分配信

        ●「殺人」算数の教師、児童に「殺す夢見た」
         問題があったのは愛知県岡崎市立男川小学校3年のクラスで、今年5月に担任の男性教師が算数の授業で「18人の子供を3人ずつ殺すと何日かかる」という例題を出し、教育委員会から厳重注意を受けました。
         この男性教師は今年7月にも授業中、「このクラスの子を一人一人殺す夢を見た。そんなことにならないようにね」と話していたことが15日に開かれた保護者への説明会でわかりました。男性教師は「うちの人に言わないように」と口止めもしていて、児童の多くが怖くて親に言えなかったということです。
         この件について地元の教育委員会は現在、事実確認を進めています。
        (TBS系(JNN))9月16日(木)23時58分配信

        ●<総合病院>精神科悲鳴 2年半で4割離職、若手ばかりに
         自殺未遂者ケアなど専門的な治療ができる総合病院に06年8月時点で勤務していた精神科医892人についてその後の勤務先を調査したところ、約2年半後には約4割が診療所の開業などを理由に離職したことが分かった。日本精神神経学会で発表された。この間、総合病院の医師は16%減っている。毎日新聞にも国立病院機構横浜医療センターの武川吉和精神科部長(48)が投書を寄せ「ベテランがごっそり開業し、総合病院精神科の滅亡は加速しそうです」と訴えた。精神科医療を担う総合病院が大きく揺らいでいる。
         横浜市戸塚区のベッドタウンにある横浜医療センター。10年ほど前から周辺の市や区に精神科診療所が次々と開業した。地域の診療所が外来を担当し、症状が重い場合は総合病院が診る−−。武川部長は、精神科医療に関する国の検討会がめざす役割分担が進むことを期待していた。
         しかしもくろみは外れた。診療所には患者が押し寄せ、予約は1カ月待ち状態に。センターの外来は開業医からの紹介患者が急増した。入院設備のない診療所にとって、とりわけ自殺未遂を繰り返す患者らの治療は難しく、総合病院を頼るしかない事情はある。
         だが多くの開業医は、総合病院などの勤務医だった40代以上の医師たちだ。一方、センターは武川部長以外のベテラン医師が既に退職し、ほかの3人は30代の若手でキャリアは2~6年。武川部長は「ライフスタイルの変化もあり、時間外勤務のない開業医志向が強まった。診療所の医師が対処に困り回してきた患者を、経験の浅い若手が治さないといけない状況だ」と嘆く。
         センターは救命救急体制を充実したことで、自殺未遂者の搬送が増加した。「救急の比重が高まる中、外来もではパンクする」。やむなく外来を予約制にして患者数を制限した。それでも食事を取る間もなく外来と病棟を行き来する日が続く。
         総合病院への患者の期待は大きい。「退院しても診療所への紹介を嫌がられることがある。紹介しないと受け入れ能力はすぐいっぱいになる。寄らば大樹という思いが開業医にも患者にもある」
         武川部長が自分が退職した時の後任として思い浮かぶのは、経験が10年に満たない若手ばかり。彼らも長くは勤めてはくれないだろう。「私のように総合病院にいるのは留年しているようなもの。救急から療養までの精神科医療のネットワークに医師が適正に配置されないと総合病院の部長をやる人がいなくなってしまう」
         ×   ×
         日本精神神経学会で発表されたデータは、06年8月の専門医認定試験を申し込んだ精神科医6881人の勤務先について2年7カ月後の09年3月時点と比較したもの。このうち総合病院に勤めていた892人中約4割の354人が離職。一方、単科の精神科病院などから移ってきた医師は211人にとどまり、総合病院の医師は16%減った。学会関係者は「少人数で激務をこなす総合病院が敬遠されている」と指摘する。
        (毎日新聞)9月15日(水)20時44分配信

        ●学生の就職深刻 3年目、80社受け内定なしも ”終わり見えない”
         大企業の業績は回復しても、来春卒業予定の学生や卒業後に就職できなかった学卒未就職者の就職活動は、「がんばってもがんばっても前に進まない」(23歳女子学生)状況が続いています。東京都内で開かれた合同企業説明会と就職面接会の会場で聞きました。
         総務省の労働力調査によると、7月における15歳から24歳の完全失業者は50万人。学卒未就職者は17万人にのぼります。
         3月に都内の私立大学を卒業した女性(22)は、家事手伝いをしながら、就職活動中。「新卒者のみ募集」の企業にも申し込んでいます。「ゼミの学生で就職したのは10人中2人です。親のコネで就職した人と教員になった人だけ。フリーターになった人が多くいます。就職活動を続けている人もいますが、就職できたという話は聞きません」
         「終わりが見えない」と話すのは、都内の私立女子大で留年して就職活動を続ける学生(23)=東京都練馬区=です。定員1名や若干名の募集に、多くの学生がつめかけているといいます。3年の夏から活動を始め、3年目の夏が過ぎました。80社受けて内定はありません。
         この学生は「年間100万円の学費を余分に払ってもらっていて、親に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と話しました。
         札幌市から参加した男子学生(21)は、面接に進めた会社は、就職説明会で受けた2社だけ。就職情報サイトから申し込んだ20社以上の会社はすべてエントリーシート(企業が独自に作成した応募用紙)や履歴書で落とされました。「少しでも採用数を増やしてほしい」と訴えました。
         都内の私立大学に通う女子学生(22)は、大企業への就職をめざしています。「短大を卒業して中小企業に就職した友人3人が会社の倒産で仕事を失いました。そのうち2人は就職して1年以内でした。長く勤めたいから大企業に就職したいけど、厳しい」
         学生の就職支援を行っている中央大学キャリアセンターの平井裕二担当課長は「2010年度卒業予定の学生の就職活動も円高とデフレの影響で09年度から改善は見込めません」と指摘。「景気に左右されない安定した採用と卒業して数年間は新卒扱いとするよう望みます」と話します。
         ◇打開へ真剣な取り組みを
         日本共産党の宮本岳志衆院議員の話 卒業して社会人としての第一歩が失業というのはあってはならないことです。国と自治体、企業、経済界などが、この危機打開のために真剣な取り組みを行う時です。日本の雇用のあり方を非正規雇用から正規雇用に転換して、新規採用を増やすべきです。日本共産党は今年4月、新卒者の就職難打開のための提言を出し、文科大臣にも申し入れました。新規採用に積極的に取り組む企業を支援するための「新卒者雇用確保・促進法」の制定など、新卒者の雇用確保のため全力をあげます。
        (「しんぶん赤旗」)2010年9月16日(木)

        ●若者の「たまり場」に 路地裏の町家「Factory Kyoto」 京都
         京都の大学生やフリーターらが「ギャラリー」と「たまり場」の機能を兼ね備えた「Factory Kyoto」(京都市下京区)を6月から、路地裏の町家で運営している。
         運営するメンバーは、代表の松山孝法さん(23)の呼びかけに応じた大学生ら約15人。松山さんが「人と人とのつながりを感じられる場所を」と1年前に構想。築80年近くなる町家を借り、メンバーで改修作業を行った。
         「Factory Kyoto」は2階建てで、手作りの机といすが置かれた1階は人々が語り合う「たまり場」、2階は写真展やイベント向けに使われる「ギャラリー」のスペースがある。
         「たまり場」には、仕事帰りの会社員や学生まで、幅広い職業、年代の人が交流を求めてやってくるという。訪れた人たちとの話はさまざまで、恋の話題や死刑制度などに関する問題まで、熱い議論が交わされる。
         朝まで話が盛り上がることも頻繁だといい、松山さんは「ネット上の関係だけでなく、直接誰かと話したいな、と思ったときに気軽に立ち寄ってほしい」と話している。
         詳しい問い合わせは「Factory Kyoto」((電)075・200・9768)。
        (産経新聞)9月20日(月)7時57分配信

        ●信州・取材前線:司法修習生の給費制廃止(その1) 法曹の卵は借金生活? /長野
         司法試験に合格した人が弁護士や検察官、裁判官になるために受ける「司法修習」中、これまで月に約20万円支給されていた給与が、11月から生活資金を貸し付ける「貸与制」に切り替わる。背景にあるのは国の財政難だ。一方、新司法試験を受けるまでに学生が抱える奨学金などの借金は平均320万円に上るとされ、日弁連は「裕福でない人は法曹になれなくなる」と貸与制への反対を強化。国の方針を揺さぶっている。県内の法律家の「卵」たちの実情を追った。
         ◇社会問題訴訟、敬遠も
         司法試験合格者は例年、11月末ごろから1年間の司法修習を受ける。全国の地裁所在地で検察、弁護士、裁判所(民事・刑事)の各種実務修習(10カ月)と、埼玉県和光市の集合修習(2カ月)を受ける。
         09年末に弁護士登録し、長野市の弁護士事務所で勤務する山崎典久さん(34)は「修習生はフルタイムで拘束され、他の事をする余裕はあまりない」と言う。また、修習生は兼業禁止でアルバイトができないため、「給費がないと生活できなかった」と振り返る。
         貸与制でも5年間返済が猶予されるため、法務省は「余裕を持って返済できる」とするが、山崎さんは「弁護士でも安定した生活が保証されているわけではない」と反論。自身が弁護に参加している県営浅川ダム(長野市)の建設差し止め訴訟を例に、社会的な問題を提起する訴訟は「基本的に実費しかもらえず、手弁当になりがち」という。貸与制で借金がかさめば「住民訴訟などの担当をためらう人も出てくるのでは」と話した。
            ◇
         「今日は保育園で何したの?」「お友達とかくれんぼしたよ」
         信州大法科大学院を3月に卒業し、今年、新司法試験に初挑戦した古賀礼子さん(31)は毎日夕方になると、2歳になる長男・仰(あおぐ)君を大学近くの保育園に迎えに行く。「勉強する時間は少し制約されるけれど、子供といるのは本当に楽しい」
         東京都内の教育系大学3年だったころ、就職活動をするか悩んでいたときに法律を担当する女性教授を見た。「トラブルが絶えない教育現場に、法律の力で役に立てれば」と考えて司法試験を目指し、法科大学院ができた信大に進学した。
         一方で「法律家を目指して年を重ねていると、子どもを産む機会を失うかも」と思い、大学院1年で結婚。翌春に仰君を出産した。
         子育てと司法試験に向けた勉強の両立は、もちろん大変だ。午前9時に仰君を預け、延長保育も利用して午後7時半に迎えに行く。保育料は多い月で約4万5000円。大学院の学費は年約80万円が3年かかる。古賀さんは親や夫の援助のほかに奨学金を利用。成績優秀者として半額返済免除を受けているが、それでもまだ約100万円が未返済だ。「周りを見ても、みんな借金(奨学金)まみれ」だという。
         今年の司法試験は不合格。来年に向けて勉強に励むが、修習生への貸与制導入は気掛かりだ。「新たに300万円くらい借金を抱えると思うと、法律家を目指すのをためらう。子どもを持ったら弁護士は目指せないのか」と不安げに話す。
        ………………………………………………………………………………………………………
         ■ことば
         ◇給費制と貸与制
         現在、最高裁が採用する司法修習生には月20万4200円の給費・手当が支給されており、10年度予算は76億円。一方、貸与制は今年、新司法試験に合格した約2000人から適用される。標準は月23万円で、住居や扶養家族の有無などで18万~28万円に変動する。修習を終えるまでの貸与額は最大336万円。返済は終了から5年間猶予されるが、その後10年間で返済する。基本は無利子だが、返済が滞ると年14・5%の延滞利息が発生する。
        (毎日新聞)9月18日(土)11時34分配信

        障害者自立支援法と介護保険。
        2010/09/12
        先週の土・日は、放送大学大学院のゼミ合宿で、千葉の幕張にある放送大学本部に行っていました。2日間、それぞれの参加者の研究についての中間報告と質疑。いやいや、ハイレベルで面白かったです。
         さて、身体・知的・精神の障害の3区分は、障害者自立支援法でなくなったとされていますが、障害福祉サービス受給者証などには、なくなったはずの区分が明確にされています。発達障害や高次脳機能障害や難病などが福祉サービスの対象となるのかどうかなどを含めて、現在、推進会議で新たな総合的福祉サービスについての法案検討がすすめられています。
         何らかの障害をもち、手帳や受給者証などを取得され、福祉サービスを利用されておられる方が65歳を過ぎた時点から、介護保険によるサービスが優先的に提供されることになることをご存じでしょうか?
         障害福祉サービスは、現在緩和措置がすすみ、ほとんどの人が無料で受けられる(個人資産や前年度所得が一定額以下であれば)制度となっていますが、介護保険によるサービスは一律1割が利用者負担となります。ですから、それまで0円でサービスを受けていた人が、65歳の誕生日から利用するサービス費の1割を負担することになります。当然、支払えない人が出てきます。また、障害福祉サービスの受給対象であったも、要介護認定による要介護度が0という人も多いのも実情です。ADLに問題がなければ、介護の必要性はありませんが、知的障害や精神障害、発達障害などのある人で、社会生活や対人関係で困難な状態にある人はいるわけで、介護保険を必要なしとして、それまで通り自立支援法にいよるサービス提供が求められることになります。
         厚生労働省も。平成19年3月28日付け「障企発第0328002号」通達で、都道府県の担当部局長あてに、「個別ニーズに応じてサービス提供事業者とも連携した上で把握し、適切に支給決定すること」「介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断することは困難であることから、(中略)一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないこととする」「サービス内容や機能から、介護保険サービスにには相当するものがない障害福祉サービス固有のものと認められるもの(行動援護、自律訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)については、当該障害者福祉サービスに係る介護給付費等を支給する」などの内容の適切な運用を求める通達を出しています。
         介護保険によるサービス対象となった方は介護保険が基本優先されますが、個人の状態やニーズ、必要なサービスによって、自立支援法に基づく障害福祉サービスがそれまで通り利用できたり、介護保険によるサービスと併用することができることを、介護や障害者福祉に関わる人は、しっかりと理解しておかないといけませんね。
         それでは、最近の気になる記事です。

        <自殺予防>全国の民間団体がネットワーク設立 連携強化で

         世界保健機関(WHO)の定める世界自殺予防デーの10日、自殺予防活動や自死遺族支援に取り組む全国の民間団体が「自殺対策全国民間ネットワーク」を設立した。連携して共通の課題に取り組むことで、きめ細かな自殺防止対策を全国に広げていく。
         25都道府県の42団体が参加。民間の全国組織ができたのは初めて。この日の設立集会で、主導したNPO法人「ライフリンク」の清水康之代表は「地域によって対策に温度差があり、民間団体の知恵や熱意を結集させ底上げを図っていく必要がある」とあいさつした。今後メールで情報共有しながら、年2回程度の集会を通じて解決策を探っていく。
        (毎日新聞)9月10日(金)20時5分配信

        ●待機児童3年連続で増加、最多は東京
         厚生労働省は6日、認可保育所への入所を申し込みながら満員で入ることができない「待機児童」が今年4月1日現在で、前年同期を891人上回る2万6275人になったと発表した。
         保育所の定員はこの1年間で2万5809人増えたが、入所を求める親が多く、待機児童数は3年連続で増加した。
         都道府県別では、最多が東京の8435人で、次いで神奈川4117人、沖縄1680人など。10県では待機児童が0人だった。
         市区町村別では、最多が横浜市の1552人、次いで川崎市1076人、札幌市840人、東京都世田谷区725人、名古屋市598人、仙台市594人など。中でも、前年同期比で札幌市が438人増、川崎市が363人増、横浜市が262人増と目立った。
        (読売新聞)9月7日(火)3時6分配信

        ●変化に気づいて、寄り添って 京都市役所、自殺予防週間でパネル展
         自殺の予防について考えるきっかけにしてほしいと「自殺予防週間」(10日~16日)にあわせ、京都市役所1階の玄関ホールで「自殺予防週間パネル展~自殺予防と自死遺族支援について考える~」(市主催)が開催されている。17日まで。
         市によると、平成10年以降、市内では毎年300人前後が自殺により命を落としている。全国では、同年以降、約3万人前後が自殺しているという。
         会場では自殺に追い込まれた人の精神状態を解説したパネルや、「あなたの変化に気付いて寄り添ってあげられていれば良かった」などという自殺者の遺族の思いが日記風につづられたパネルなどが展示されている。また、自殺予防にかんする情報などが書かれたパンフレットも置かれている。
         市保健福祉局の三島美智子さんは「『自殺』というキーワード自体が敬遠されがち。ひとりひとりが身近な問題としてとらえ、悩んでいる人と助け合っていこう、という気持ちをもってもらいたい」と話している。
        (産経新聞)9月7日(火)7時57分配信

        ●ビタミンBに脳萎縮の抑制効果、アルツハイマー病予防に期待
        【9月9日AFP】毎日多量のビタミンBを摂取することで、アルツハイマー病(Alzheimer’s)の兆候の1つである脳の萎縮の速度を最大で半分に抑え、発病を遅らせたり予防したりできる可能性があるとの研究結果が9日、米科学誌「PublicLibraryofScienceONE」に掲載された。
         脳の萎縮は老化とともに自然に発生するが、アルツハイマーや認知症の前兆とされる軽度認知障害(MCI)患者では通常より速く進行する。調査は2年間にわたって、MCIと診断された70歳以上のボランティア168人を対象に実施された。
         被験者の半分には高濃度のビタミンB(葉酸、B6、B12)の錠剤を投与し、脳萎縮を調べた。残りの被験者には薬効のないプラシーボ(偽薬)が使用された。
         ビタミンを摂取した被験者の脳萎縮の進行は、平均で30%、最大で53%遅くなったことが確認されたという。
         この論文を発表した英オックスフォード大学(OxfordUniversity)とノルウェーの研究チームは、ビタミンを使った治療が病気の進行を遅らせ、さらには予防も可能になることを期待しているが、それにはさらなる研究が必要であると強調している。
         研究者らは、研究で使ったビタミンBは通常の食事やサプリメントに含まれるより大幅に高濃度だったことを指摘し、長期間摂取した場合の影響が分かっていないため、この研究をうのみにして大量のビタミンBを摂取しないよう呼びかけている。(c)AFP
        2010年09月09日19:36 発信地:ロンドン/英国

        ●スティーブン・ホーキング博士「宇宙は神が設計していない、自己創造するのみ」
         「現代の物理学は、宇宙の創造において神の場所を与えない」
         英国の世界的な物理学者スティーブン・ホーキング博士は、ダーウィンが生物学で創造主の必要性を排除したように、新しい物理学理論が宇宙のための創造主の役割を不必要なものにしたと主張した。
         英紙タイムズが発行する科学月刊誌「エウレカ」は2日、近く出版されるホーキング博士の著書『グランド・デザイン(TheGrandDesign)』の一部を抜粋し、掲載した。創造論者の知的デザイン(IntellectualDesign)を念頭に置いたタイトルの同書で、ホーキング博士は、「宇宙には創造主が必要か」という問いを投げかけ、「ノー」と答えた。
         ホーキング博士によると、ビッグバンは物理学的法則の避けられない結果であり、神の手や偶然によって説明できるものではない。ホーキング博士は、「重力の法則があるため、宇宙は無から自らを創造でき、これからもそうするだろう。このような自発的な創造が、無ではない有、すなわち、宇宙と人間が存在することになった理由だ」と強調した。ホーキング博士は、「紙に火をつけ、宇宙を爆発させる神を呼ぶ必要はない」と付け加えた。
         新刊書の内容は、ホーキング博士が以前、宗教について表明した見解から外れていない。ホーキング博士は、88年のベストセラー『ホーキング、宇宙を語る』という著書で、創造主の神が宇宙に対する科学的な説明と両立できないわけではない、というニュアンスを漂わせた。ホーキング博士は当時、著書で、「人間が完璧な理論を発見できるなら、その理論は人間の理性の最後の勝利になるだろう。その時、人間は神の心を知ることになるだろう」と書いた。
         しかし、ホーキング博士は、米国の物理学者レナード・ムロディナウとの共著で、9日出版の新刊書で、「宇宙は混沌(chaos)から生まれるのではなく、神によって創造されたに違いない」というニュートンの信念を打ち砕く。ホーキング博士は、「最初の一撃は92年、太陽とは違う星を回っている惑星が、観測されたことだ。これにより、地球という惑星が持っている条件の絶妙な一致、つまり一つの太陽、そして、太陽から地球までの距離と太陽の質量の運の良い結合という条件が、地球が人間のためにデザインされたという証拠としては、過去よりも重要ではなくなった」と主張した。さらに「地球のような惑星だけでなく、別の宇宙も存在する可能性がある」と強調した。
         『神は妄想である』という本を書き、無神論を擁護した進化生物学者のリチャード・ドーキンスは、同書の内容を単に自然の中に生きている人間だけでなく、まさにその自然のためのダーウィン主義で描写し、出版を歓迎した。ドーキンスは、「私は、物理学の詳しい内容をよく知らないが、私も(ホーキング博士と)全く同じことを仮定してきた」と話した。
         ホーキング博士は、物理学が全ての理論、自然の全ての特性を完全に説明できる一つの枠組みを構成する時に至っていると見通した。そのような理論は、アインシュタイン以来、すべての物理学者が追求してきた聖杯だったが、これまで原子以下の世界を説明する量子理論と重力理論を和解させることができなかった。ホーキング博士は、「一種のひも理論(stringtheory)であるM理論が、この目標を果たすだろう。M理論は、アインシュタインが発見しようとした統一理論だ」と主張した。
        (東亜日報)SEPTEMBER03,201003:05

        「ゼミ合宿」というものに参加してみます。
        2010/08/29
        数ヶ月前から、あることは知らされていて、2ヶ月ほど前日程が知らされ、詳細はまだ不明です。ちょうど月初めの土・日で、障害福祉サービスの国保連合会への電子請求をする時期と重なっていて、どうしようかと考えあぐねていましたが、このままでは、修士論文に向けた研究(?)が独りよがりのものになってしまうのでは? という気持ちが強まり、昨日やっと決意ができ、さっそくJTBにかけこみ、1泊2日のプランを決めてきました。
         幕張までの往復、宿泊は、結構高くつくので、経済的にも苦しい選択でした。
         成人の高機能の自閉症スペクトラムの人たちへの実践的支援になやみながら取り組んでいるやつらがいる、ということを全国からあつまる教職員をはじめとする現場の社会人学生の皆さんに知ってもらうことにも意味があると思ったことが、ふんぎりをつけられたきっかけだと思います。
         今、遅ればせながら『心理学論文の書き方』という本を読み始めているところです。
         それでは、最近の気になる記事です。

        失業1年以上118万人、過去2番目の多さ

         総務省がまとめた今年4~6月期平均の労働力調査によると、完全失業者(349万人)のうち、失業期間が「1年以上」は118万人(前年同期比21万人増)となり、7四半期連続で前年同期を上回った。
         水準は比較可能な2002年以降で、03年4~6月期(127万人)に次いで2番目に高かった。景気低迷による失業の長期化が顕著になっている。
         調査では、失業期間が長くなるほど、対前年同期比の増加幅が大きくなる傾向があることも分かった。失業期間が「3か月未満」は前年同期比26万人減(114万人)、「3か月以上6か月未満」は同11万人減(51万人)と、いずれも減少している。
         これに対し、「6か月以上1年未満」は同7万人増(52万人)、「1年以上2年未満」は同10万人増(56万人)、「2年以上」は同11万人増(62万人)だった。「1年以上」を男女別に見ると、男性87万人(同18万人増)、女性31万人(同3万人増)。年齢階級別では「25~34歳」が30万人と最多で「35~44歳」26万人、「55~64歳」22万人が続いた。
         また、正社員は3339万人(前年同期比81万人減)、派遣社員やパートなど非正規社員は1743万人(同58万人増)だった。企業が雇用調整のしやすい非正規社員を増やしているためと見られる。
        (読売新聞)2010年8月21日19時20分

        ●生活保護事前審査:静岡市にも1月、厚労省是正指導 /静岡
         伊東市福祉事務所が生活保護の申請に関して事前審査を行っていた問題で、静岡市駿河福祉事務所でも、厚生労働省から今年1月に是正指導を受けていたことが18日、分かった。
         市福祉総務課によると、同福祉事務所では、09年3~7月に、生活保護の申請相談に訪れた市民に対し、扶養義務のある親族に援助を求めるよう指示したり、申請の意思を確認する前に求職活動を指示したケースが計10件あった。同年7月に厚労省が行った監査で発覚した。
         是正指導を受け、同福祉事務所は09年3~12月の相談記録票を再度確認。その結果、新たに8件の不適切なケースが見つかった。
         市は、葵、清水の両福祉事務所にも、是正を促す文書を通知。また、相談の内容を書き取る記録票を改め、再発防止を図った。
        (毎日新聞)8月19日10時32分配信

        ●名市大グループが確認 各地の”わき水”にも可能性
         名古屋市立大の岡嶋研二教授と原田直明准教授らのグループは、磁場の中を流れた水「磁化水」に、健康維持や学習能力向上効果があることを、マウスを使った研究で確認した。東北大で9月に開かれる日本生物物理学会で発表する。
         岡嶋教授によると、グループは磁化水を1カ月間与えたマウスと、通常の水を飲ませたマウス5匹ずつを分析。磁化水を飲んだマウス全身の臓器で、細胞の増殖を促進させるインスリンに似たタンパク質「IGF-Ⅰ」が、通常の水を飲ませたマウスに比べて約2倍に増えていた。
         さらに、学習能力に関係する脳の「海馬」でもIGF-Ⅰが約2倍に増え、脳内にある神経細胞の再生が促されていた。グループでは、磁化水が胃を刺激して脳幹に伝わり、IGF-Ⅰを作りだしたと推測している。
         岡嶋教授らは以前から、IGF-Ⅰが体にもたらす効果の研究を続けてきた。磁化水はこれまで経験的に健康に良いとされてきたが、一方で効果を疑問視する声もあった。各地で「名水」と呼ばれるわき水が、磁化水である可能性も高いという。同教授は「体内を活性化させる効果があり、研究が進めば、生活習慣病やうつ病などの改善につながるかもしれない」と話している。
        (中日新聞)2010年8月19日

        ●<体内時計>簡単に高精度での測定に成功 佐賀大と山口大
         頭髪やあごひげの根元についた細胞から、24時間周期の体のリズムを刻む体内時計を動かす「時計遺伝子」の活動パターンを簡単に精度良く測定することに、佐賀大と山口大などの研究チームが成功した。体内時計の乱れは体調不良や高血圧、糖尿病などの病気の発症にかかわるため、病気の治療や予防、時差ぼけの解消などへの応用が期待される。24日付米科学アカデミー紀要で発表した。
         時計遺伝子は20個ほどあり、体のすべての細胞内に存在する。これまで血液や口の中の粘膜の細胞で測ろうとしてきたが、手法が煩雑で精度も低かった。
         明石真・山口大教授(時間生物学)らは、体毛を引き抜くと根元についてくる毛包細胞に着目。時計遺伝子がたんぱく質を作る過程でできる物質(伝達RNA)の増減を測定すると、三つの遺伝子で24時間周期の明確な変動パターンがあった。量が最も多いピーク時刻は、早起きの人で早いなど個々の生活習慣に対応するほか、生活リズムの変化にも連動し、同じ人が3週間かけて起床を4時間早めると、ピークも約3時間早まった。時計遺伝子の増減が、高血圧や血糖値などの変動に、どのように関連するかは今後調べていく。
         さらに、自動車部品工場で早番と遅番を1週間ごとに繰り返す20~30代の男性6人について調べると、生活リズムは約7時間ずつ前後にずれるのに対し、体内時計は2時間ほどしか変化せず、慢性的な時差ぼけになっていることが分かった。明石教授は「労働環境の改善や、体内時計の乱れが引き起こす病気の予防・診断に役立てたい」と話す。
        (毎日新聞)8月24日4時0分配信

        ●<年金保険料>秋にも強制徴収へ 国税庁に権限を委任
         年金保険料の滞納を巡り、厚生労働省と財務省は、国税庁が行う初の強制徴収手続きの概要を決めた。日本年金機構が該当者を絞り込んでおり、今秋にも実施の見通し。事業所が従業員と折半して納める厚生年金では滞納2年分以上で滞納額1億円以上、個人が納める国民年金も滞納2年分以上、本人か連帯納付義務者の直近の年間所得1000万円以上で、ともに財産を隠匿するなど悪質なケースが対象。国税庁が差し押さえや公売を行う。 厚労省などによると、「悪質性」を判断する要件は▽財産の名義を書き換えたり、事業所や取引先を調べても収入が使途不明など、財産隠匿の恐れがある▽督促状を送付するなど滞納処分に入っても納付計画を示さず、「誠実な意思」が認められない--など。
         国税庁への委任は1月、年金機構発足と共に改正国民年金法や改正厚生年金保険法が施行されたのに基づく措置。民主党は税と保険料を一体で徴収する「歳入庁」構想を掲げているが、年金の強制徴収は「国税庁の事務負担が過大になる」など慎重論もあった。同省は要件の整備で、該当者は数百~数千の個人・事業所に絞られ、対応は可能とみている。
         強制徴収に関し、国税の滞納について猶予中や執行停止中▽破産申し立て中や会社更生法の申請中--のケースなどは除く。具体的には、各地の年金事務所が督促した滞納者のうち悪質な要件該当者について、同省が国税庁に権限を委任する。
         保険料の納付率は、国民年金は09年度、過去最低の60%にとどまり、厚生年金の納付率も07年度の98.7%から、08年度98.4%、09年度98.0%と微減傾向が続く。
         一方、財産差し押さえは国民年金が07年度の1万1387件から09年度は3092件、厚生年金も同1万2879事業所から8250事業所と大きく減った。同省は「経費節減のため電話督促が主になったり、消えた年金などの対応に追われたのが背景」と分析する。
        (毎日新聞)8月24日2時30分配信

        ●「給費制」維持を 京都弁護士会がシンポ
         司法修習生に対し国が給与を支払う「給費制」の維持をアピールしようと、京都弁護士会(京都市中京区)は28日、「龍谷大学アバンティ響都ホール」(南区)で緊急シンポジウムを開催した。
         11月から、司法修習生に毎月支払われている「給費制」が廃止され、国が修習資金を貸し出す「貸与制」に切り替わることから、「給費制」の存続を求め実施。
         シンポジウムでは、日本弁護士連合会の宇都宮健児会長が、「給費制の維持を!!~若い人の夢や志を奪うな!~」と題して講演した。宇都宮会長は、「給費制が無くなると、法律家の夢を断念する人が増えるだけでなく、金もうけだけを考えた弁護士が増える恐れもある」と説明。
         「司法修習生の半数が『借金』を抱えている。私も給費制がなければ、弁護士になっていたか分からない。修習に専念するためにも、給費制は必要不可欠だ」と訴えていた。
        (産経新聞)8月29日7時56分配信

        ●いじめ自殺の生徒遺族に調査委が最終報告、学校側にも問題/川崎
         川崎市多摩区の市立中学3年生の男子生徒=当時(14)=が「いじめられた友人を守れなかった」との遺書を残して自殺した問題で、学校関係者らでつくる調査委員会は28日、遺族に最終的な報告を行った。生徒が遺書で「俺と友人をいじめた4人を許さない」などと実名を挙げた同級生によるいじめがあったことを認定したが、自殺に至った経緯については背景要因の一つとした。一方、報告体制など学校側に問題があったとした。
         関係者によると、2年生だったときに4人は「日常的に教室で男子生徒をからかったり、小突いたりしていた」とした上で、当時はズボンを下ろすなどの行為が校内ではやっていたと指摘。しかし、生徒は無理やり下着まで脱がされていた。
         ことし2月中旬、教室でズボンを無理やり下ろされた様子を目撃した教諭が注意したが、担任や校長に伝えていなかったことなどについて、報告体制に問題があったとしている。
         県警や市教委によると、男子生徒はことし6月、自宅トイレで硫化水素を発生させて自殺した。県警は今月25日、4人のうち3人を暴力行為法違反の疑いで書類送検し、当時13歳だった1人を同様の疑いで児童相談所に通告している。
        (カナロコ)8月28日23時15分配信

        弁護士会の「要望」はどうなったのか。
        2010/08/18
        2002年3月29日、京都弁護士会・人権擁護委員会に申し立てた人権救済について、京都府教育委員会委員長、向日市教育委員会委員長、勝山中学校校長宛に、「要望」として、弁護士会から数名の弁護士がそれぞれを訪れて、手渡しで「要望」を執行しました。詳細は、拙所『不登校自殺』、および当サイトの中で全文をご覧頂けます。
         荒れた学校、成立しない授業、年間1万人を超えて生徒が押し寄せる保健室、増え続けた不登校生徒…。「要望」では、学校の不作為を明らかにし、改善に向け具体的な内容を求めました。以下、要望の趣旨です。
         要望の趣旨
        1 当会は、京都府教育委員会に対し、府下の公立学校の「荒れ」や不登校生徒の増加の兆候を把握したときには、速やかに不登校加配教員等を配置するとともに、市町村教育委員会に適切な指導、助言及び物的援助を行うことを要望する。
        2 当会は、向日市教育委員会に対し、上記兆候を把握したときには、速やかに京都府教育委員会に不登校加配教員等の配置を内申するとともに、勝山中学校が下記取り組みを行うに際して、指導、助言及び必要な物的援助を行うことを要望する。
        3 当会は、勝山中学校に対し、上記兆候を把握したときには、速やかに向日市教育委員会に不登校加配教員等の配置を内申するとともに、学校教育を受けたいのに不登校により受けられない子どもに対しては、個別的な教育指導、ケアを行うことはもとより、保護者や地域社会との連携をはかるなどして、すみやかにそのような状態を解消する方法を講じることを要望する。

         あれから8年。学校基本調査が発表になるこの時期に、向日市に不登校や問題自称の状況について情報公開を求めていますが、今年はこの「要望」に基づいて、その後、教育委員会で、学校の様々な会議などで、どう対応が行われたのかについて、すべての資料の提出を求めました。どんな資料が出てくるか、はたまた何も出てこないか、教委や学校には迷惑な話かも知れませんが、不登校が減らない背景に学校現場で何があったのか、は知っておきたいので、頑張ってください!
         それでは、最近の気になる記事です。

        <睡眠薬処方>再発に不安、減量できず

         過去最大規模のレセプト調査で、4年間で睡眠薬の処方量が3割増え、長期服用者の約7割で薬が減量されていないなど、処方後の対応が立ち遅れている現状が明らかになった。調査を担当した国立精神・神経医療研究センターの三島和夫精神生理研究部長は「精神科診療所などは外来に追われており、時間のかかる減量が後手に回っている可能性がある」と指摘する。
         三島部長らの研究班は、医療機関で向精神薬処方がどの程度減量されているかを詳細に分析するため、約30万人のレセプト調査に加え、秋田大付属病院のうつ病の患者約160人に対する約3年間の処方を調査。発症時と再発前後で抗うつ薬と睡眠薬の平均処方量の変化を比較した。
         調査結果によると、うつ病が治っても、再発予防のためや、患者が不安を訴えたりすることを理由に抗うつ薬と睡眠薬を処方し続け、再発を繰り返すたびにさらに薬が増えるケースが多かった。
         減量が進まない背景には、関連学会や厚生労働省研究班などで作成した診療ガイドラインの不備や多忙な精神科診療所の現状がある。診療ガイドラインは向精神薬の使用期間の目安や長期服用のリスク、減量方法までは記載していない。また多くの患者を抱える診療所などでは1人にかけられる時間は限られ「減量は手間がかかるうえ、減量した場合の診療報酬上の手当てもないため対応が遅れがち」(三島部長)という。
         こうした状況に、三島部長は他科医や薬剤師との連携強化を訴える。高齢化が進み、内科などのかかりつけの医師が向精神薬を処方するケースが増えていることを踏まえ「治りにくい場合はかかりつけ医が患者に精神科医を紹介する仕組みの普及が必要」という。また「薬剤師が患者から薬に関する相談などがあれば、医師に情報提供するシステムを整備すべきだ」と指摘する。
         三島部長は「診察室ですべて診るのは無理がある。孤立無援の医療では患者のデメリットも大きい。チーム医療や減薬に関するガイドラインの策定が急務だ」と話した。
        (毎日新聞)8月13日2時32分配信

        ●万引きも「孤独から」…摘発の25%が高齢者
         高齢者が犯行理由に「孤独」を挙げるケースは、万引きでも目立っている。
         警察庁によると、昨年1年間に万引きで摘発された65歳以上の高齢者は全体の25%にあたる2万7019人で、過去最多となった。
         また、警視庁が今年1~4月に都内で摘発した万引き犯のうち、65歳以上の144人について調べたところ、57・6%にあたる83人が一人暮らしで、92・4%にあたる133人は無職だった。
         警察幹部によると、動機は従来のような「生活苦」を理由とするケースのほか、「寂しかった」「孤独だった」とする供述が目立っているという。
         政府によると、65歳以上の高齢者の中での一人暮らしの割合は増加しており、2030年には男性17・8%、女性20・9%に達すると推計される。警察幹部は「お年寄りが孤立しない社会を作ることも大切」と話している。
        (読売新聞)2010年8月9日07時29分

        ●「障がい」表記で意識向上不十分 京大院生調査印刷用画面を開く
         障害者を「障がい者」と表記したときの受け止め方の変化を、京都大教育学研究科の大学院生、栗田季佳さん(25)が学生にアンケートして調べた。障害者とかかわるボランティアを経験した学生には「頑張っている人」などのイメージが強まったが、経験のない学生には変化がなく、「表記を変えるだけでは不十分」という。
         障害者の「害」の表記はマイナスイメージとして、一部の自治体では「がい」と平仮名表記する動きも進んでいる。
         栗田さんは、身体障害者のイメージを選択肢で選ぶアンケートを、「障害者」「障がい者」のそれぞれで表記した2種類を作成し、関西と中国地方の学生316人に回答してもらった。ボランティア経験のある学生は、平仮名表記のアンケートの方が「立派な」「尊敬できる」「頑張っている」のイメージを選ぶ割合が高くなったが、経験のない学生は両者に差はほとんどなかった。
         栗田さんは「障害者とのかかわりが少ない人には、表記を変えるだけでは意味がない。障害者への誤った理解や偏見をなくす具体的な施策が重要だ」と訴える。
         当事者団体の日本自立生活センター(京都市南区)のピアカウンセラー矢吹文敏さんは「障害者も健常者も同じ人間で対等な関係にあるという概念こそが大切だ。表記だけの議論は意味がない」と話している。
        (京都新聞)2010年08月12日14時15分

        ●教諭、生徒に「死ね」 田辺中人権主任が体罰も
         京都府京田辺市興戸の田辺中で今年春以降、人権教育主任の男性教諭(55)が女子生徒に対し、複数回にわたり「死ね」などと発言し、体罰を加えていたことが、17日分かった。
         田辺中によると、男性教諭はソフトボール部の顧問を務めている。新学期に入ってから6月末までの間、3年生女子部員にクラブ活動中や放課後に複数回にわたり「死ね」などと発言し、握り拳で額をたたいたり足でけるなどした。女子部員は「額がはれた」と訴えているという。
         7月中旬に男性教諭の体罰などへの苦情が学校に寄せられた。校長らが今月、教諭らに聞き取り調査したところ、試合でのミスや態度などについて指導を理由に暴言や体罰をしていたことが判明したという。他の部員に対する体罰の有無について学校側は「調査していない」としている。
         田辺中によると、男性教諭は人権意識の向上や福祉などの指導を担当していた。
         河村豊和校長は「教員として不適切な行為だった。今後はこのようなことがないよう改善していきたい」と話している。
        (京都新聞)8月18日9時29分配信

        ●精神科診療所に通う人々を描いたドキュメンタリー「精神」上映へ、9月2日に川崎/神奈川
         精神科診療所に通う人々やその日常を描いたドキュメンタリー映画「精神」が9月2日、川崎市麻生区の市アートセンターで開かれる「人権について考える市民のつどい」の中で上映される。自殺者数が12年連続で3万人を超える現代社会。主催の市は「心の病は誰にでも起こり得るが、まだ偏見があるのが実情。映画を通して、それぞれが向き合い方を考えるきっかけになれば」と、参加者を募集している。入場無料。
         ◇国際映画祭で数々の賞を受賞したドキュメンタリー映画「精神」
         映画の舞台は、岡山市の診療所「こらーる岡山」。名前には、「病める人の声に、それを支援する人が声を合わせることによって、合唱(コラール)が生まれる」という意味が込められている。
         撮影は、障害者自立支援法案が可決した2005年秋にスタート。患者の日常を淡々と映し出し、「心に負った傷はどうしたら癒やされるのか」と問い掛けた。08年に釜山やドバイの国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞するなど、数々の映画祭で注目された。
         2日は、映画上映後に、診療所職員の山本真也さん、出演者の吉沢毅さんが登場。それぞれの立場から、作品への思いや精神医療などについて講演する。
         問い合わせは、市人権・男女共同参画室電話044(200)2316。
        (カナロコ)8月17日16時0分配信

        弁護士会の「要望」はどうなったのか。
        2010/08/18
        2002年3月29日、京都弁護士会・人権擁護委員会に申し立てた人権救済について、京都府教育委員会委員長、向日市教育委員会委員長、勝山中学校校長宛に、「要望」として、弁護士会から数名の弁護士がそれぞれを訪れて、手渡しで「要望」を執行しました。詳細は、拙所『不登校自殺』、および当サイトの中で全文をご覧頂けます。
         荒れた学校、成立しない授業、年間1万人を超えて生徒が押し寄せる保健室、増え続けた不登校生徒…。「要望」では、学校の不作為を明らかにし、改善に向け具体的な内容を求めました。以下、要望の趣旨です。
         要望の趣旨
        1 当会は、京都府教育委員会に対し、府下の公立学校の「荒れ」や不登校生徒の増加の兆候を把握したときには、速やかに不登校加配教員等を配置するとともに、市町村教育委員会に適切な指導、助言及び物的援助を行うことを要望する。
        2 当会は、向日市教育委員会に対し、上記兆候を把握したときには、速やかに京都府教育委員会に不登校加配教員等の配置を内申するとともに、勝山中学校が下記取り組みを行うに際して、指導、助言及び必要な物的援助を行うことを要望する。
        3 当会は、勝山中学校に対し、上記兆候を把握したときには、速やかに向日市教育委員会に不登校加配教員等の配置を内申するとともに、学校教育を受けたいのに不登校により受けられない子どもに対しては、個別的な教育指導、ケアを行うことはもとより、保護者や地域社会との連携をはかるなどして、すみやかにそのような状態を解消する方法を講じることを要望する。

         あれから8年。学校基本調査が発表になるこの時期に、向日市に不登校や問題自称の状況について情報公開を求めていますが、今年はこの「要望」に基づいて、その後、教育委員会で、学校の様々な会議などで、どう対応が行われたのかについて、すべての資料の提出を求めました。どんな資料が出てくるか、はたまた何も出てこないか、教委や学校には迷惑な話かも知れませんが、不登校が減らない背景に学校現場で何があったのか、は知っておきたいので、頑張ってください!
         それでは、最近の気になる記事です。

        <睡眠薬処方>再発に不安、減量できず

         過去最大規模のレセプト調査で、4年間で睡眠薬の処方量が3割増え、長期服用者の約7割で薬が減量されていないなど、処方後の対応が立ち遅れている現状が明らかになった。調査を担当した国立精神・神経医療研究センターの三島和夫精神生理研究部長は「精神科診療所などは外来に追われており、時間のかかる減量が後手に回っている可能性がある」と指摘する。
         三島部長らの研究班は、医療機関で向精神薬処方がどの程度減量されているかを詳細に分析するため、約30万人のレセプト調査に加え、秋田大付属病院のうつ病の患者約160人に対する約3年間の処方を調査。発症時と再発前後で抗うつ薬と睡眠薬の平均処方量の変化を比較した。
         調査結果によると、うつ病が治っても、再発予防のためや、患者が不安を訴えたりすることを理由に抗うつ薬と睡眠薬を処方し続け、再発を繰り返すたびにさらに薬が増えるケースが多かった。
         減量が進まない背景には、関連学会や厚生労働省研究班などで作成した診療ガイドラインの不備や多忙な精神科診療所の現状がある。診療ガイドラインは向精神薬の使用期間の目安や長期服用のリスク、減量方法までは記載していない。また多くの患者を抱える診療所などでは1人にかけられる時間は限られ「減量は手間がかかるうえ、減量した場合の診療報酬上の手当てもないため対応が遅れがち」(三島部長)という。
         こうした状況に、三島部長は他科医や薬剤師との連携強化を訴える。高齢化が進み、内科などのかかりつけの医師が向精神薬を処方するケースが増えていることを踏まえ「治りにくい場合はかかりつけ医が患者に精神科医を紹介する仕組みの普及が必要」という。また「薬剤師が患者から薬に関する相談などがあれば、医師に情報提供するシステムを整備すべきだ」と指摘する。
         三島部長は「診察室ですべて診るのは無理がある。孤立無援の医療では患者のデメリットも大きい。チーム医療や減薬に関するガイドラインの策定が急務だ」と話した。
        (毎日新聞)8月13日2時32分配信

        ●万引きも「孤独から」…摘発の25%が高齢者
         高齢者が犯行理由に「孤独」を挙げるケースは、万引きでも目立っている。
         警察庁によると、昨年1年間に万引きで摘発された65歳以上の高齢者は全体の25%にあたる2万7019人で、過去最多となった。
         また、警視庁が今年1~4月に都内で摘発した万引き犯のうち、65歳以上の144人について調べたところ、57・6%にあたる83人が一人暮らしで、92・4%にあたる133人は無職だった。
         警察幹部によると、動機は従来のような「生活苦」を理由とするケースのほか、「寂しかった」「孤独だった」とする供述が目立っているという。
         政府によると、65歳以上の高齢者の中での一人暮らしの割合は増加しており、2030年には男性17・8%、女性20・9%に達すると推計される。警察幹部は「お年寄りが孤立しない社会を作ることも大切」と話している。
        (読売新聞)2010年8月9日07時29分

        ●「障がい」表記で意識向上不十分 京大院生調査印刷用画面を開く
         障害者を「障がい者」と表記したときの受け止め方の変化を、京都大教育学研究科の大学院生、栗田季佳さん(25)が学生にアンケートして調べた。障害者とかかわるボランティアを経験した学生には「頑張っている人」などのイメージが強まったが、経験のない学生には変化がなく、「表記を変えるだけでは不十分」という。
         障害者の「害」の表記はマイナスイメージとして、一部の自治体では「がい」と平仮名表記する動きも進んでいる。
         栗田さんは、身体障害者のイメージを選択肢で選ぶアンケートを、「障害者」「障がい者」のそれぞれで表記した2種類を作成し、関西と中国地方の学生316人に回答してもらった。ボランティア経験のある学生は、平仮名表記のアンケートの方が「立派な」「尊敬できる」「頑張っている」のイメージを選ぶ割合が高くなったが、経験のない学生は両者に差はほとんどなかった。
         栗田さんは「障害者とのかかわりが少ない人には、表記を変えるだけでは意味がない。障害者への誤った理解や偏見をなくす具体的な施策が重要だ」と訴える。
         当事者団体の日本自立生活センター(京都市南区)のピアカウンセラー矢吹文敏さんは「障害者も健常者も同じ人間で対等な関係にあるという概念こそが大切だ。表記だけの議論は意味がない」と話している。
        (京都新聞)2010年08月12日14時15分

        ●教諭、生徒に「死ね」 田辺中人権主任が体罰も
         京都府京田辺市興戸の田辺中で今年春以降、人権教育主任の男性教諭(55)が女子生徒に対し、複数回にわたり「死ね」などと発言し、体罰を加えていたことが、17日分かった。
         田辺中によると、男性教諭はソフトボール部の顧問を務めている。新学期に入ってから6月末までの間、3年生女子部員にクラブ活動中や放課後に複数回にわたり「死ね」などと発言し、握り拳で額をたたいたり足でけるなどした。女子部員は「額がはれた」と訴えているという。
         7月中旬に男性教諭の体罰などへの苦情が学校に寄せられた。校長らが今月、教諭らに聞き取り調査したところ、試合でのミスや態度などについて指導を理由に暴言や体罰をしていたことが判明したという。他の部員に対する体罰の有無について学校側は「調査していない」としている。
         田辺中によると、男性教諭は人権意識の向上や福祉などの指導を担当していた。
         河村豊和校長は「教員として不適切な行為だった。今後はこのようなことがないよう改善していきたい」と話している。
        (京都新聞)8月18日9時29分配信

        ●精神科診療所に通う人々を描いたドキュメンタリー「精神」上映へ、9月2日に川崎/神奈川
         精神科診療所に通う人々やその日常を描いたドキュメンタリー映画「精神」が9月2日、川崎市麻生区の市アートセンターで開かれる「人権について考える市民のつどい」の中で上映される。自殺者数が12年連続で3万人を超える現代社会。主催の市は「心の病は誰にでも起こり得るが、まだ偏見があるのが実情。映画を通して、それぞれが向き合い方を考えるきっかけになれば」と、参加者を募集している。入場無料。
         ◇国際映画祭で数々の賞を受賞したドキュメンタリー映画「精神」
         映画の舞台は、岡山市の診療所「こらーる岡山」。名前には、「病める人の声に、それを支援する人が声を合わせることによって、合唱(コラール)が生まれる」という意味が込められている。
         撮影は、障害者自立支援法案が可決した2005年秋にスタート。患者の日常を淡々と映し出し、「心に負った傷はどうしたら癒やされるのか」と問い掛けた。08年に釜山やドバイの国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞するなど、数々の映画祭で注目された。
         2日は、映画上映後に、診療所職員の山本真也さん、出演者の吉沢毅さんが登場。それぞれの立場から、作品への思いや精神医療などについて講演する。
         問い合わせは、市人権・男女共同参画室電話044(200)2316。
        (カナロコ)8月17日16時0分配信

        減っても12万人超えの不登校。
        2010/08/08
        夏が来れば発表される「学校基本調査」。小中学校の不登校の数がどうなっているか、教育委員会や学校管理職は一喜一憂されるところでしょうが、今年の発表では、減ったものの12人は超える「憂慮すべき問題」となっています(ここ10数年、同じような表現が続いていると思いますが…)。文科省は「スクールカウンセラーや学校内の研修や事例研究などの成果と考えられる」(これも同様にここ10数年、同じような表現が続いていると思いますが…)と発表されていますが、はたしてそうでしょうか?
         今年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口。以下同じ。)は、前年に比べ19万人少ない1694万人で、昭和57年から29年連続の減少となり、過去最低(国勢調査)となっています。
         今年度学校基本調査で、不登校は「前年度比で4373人、3.4%減少」。「中学校は4,048人少ない10万105人で、減少が顕著だった」とされる中学校ですが、(不登校の93%余りは中学生)生徒数は355万8千人(前年度より4万2千人減少)で過去最低、約1.17%の減少です。不登校生徒は100,000人、比率は2.8%です。110,000人を超えていた2002年(不登校児童生徒が13万9千人を超えたと騒がれた年)の比率は2.81%で、この時すでに、「過少申告」「過小評価」で実態が不明確、と指摘されています。
         いずれにしても、少子化が続く中で、不登校になる、をする児童・生徒の比率はこの10年変わってない、と言って良いでしょう。裏返せば、スクールカウンセラー配置をはじめとする様々な「不登校減らし」の施策は、効果が出たとは言い難い、という評価をされても仕方ない経緯・状況にあると言うことです。そして、当時12歳~15歳だった子どもたちが10年経った今、22歳~25歳。この後の「気になる記事」で紹介する「未成熟な親、相次ぐ虐待」、「大卒2割、就職も進学もせず…10万人突破」と騒がれている対象者なのです。決して、本人の問題ではありません。心理社会的な環境要因と、不登校やひきこもりが継続する中での精神病理に、問題の要因と改善に向けた課題を探る姿勢が求められます。
         興味ある方は、どうぞ↓
        文部科学省 平成22年度学校基本調査の速報について(平成22年8月5日)
        http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/08/05/1296403_1.pdf
         それでは、最近の気になる記事です。

        未成熟な親、相次ぐ虐待…10~20歳代が半数

         ◇未成熟な若い親による虐待事件が止まらない。
         大阪市西区で幼い姉弟2人の遺体を遺棄したとして逮捕された下村早苗容疑者は23歳。今年相次いだ事件でも20歳代前半の親による犯行が目立つ。若い親に集中する虐待を止める手立てはあるのか。
         下村容疑者は19歳で結婚、20~21歳で2人を産んだ。ブログなどで母としての喜びをつづっていたが、離婚後は育児を放棄するようになり、大阪府警の調べに「遊ぶのが楽しく育児が面倒になった」と供述した。
         厚生労働省が08年4月~09年3月に把握した子供67人の虐待死を調査したところ、死亡時の実父と実母(計97人)の年齢層は「20~24歳」が21人と最も多く、「25~29歳」が20人、「19歳以下」が6人で、10~20歳代がほぼ半数を占めた。
        (読売新聞)8月4日3時4分配信

        ●大卒2割、就職も進学もせず…10万人突破
         大学を今春卒業したが、就職も進学もしていない「進路未定者」が、5人に1人に相当する約10万6000人にのぼることが5日、文部科学省が公表した学校基本調査の速報で分かった。
         昨年度比約3割の増加で、10万人突破は5年ぶり。一方、大学進学率が過去最高を更新するなど、高校から大学、大学から大学院など上位校への進学率は軒並み上昇した。就職を先送りし、進学に切り替える学生が増え、大学卒業後も行き場が見つからないという厳しい現実が浮き彫りになった。
         調査は、毎年5月1日現在でまとめている小・中・高校や大学など教育機関に関する基本統計。それによると、今春の大学卒業者約54万1000人のうち、就職も進学もしていない進路未定者は10万6397人(昨年度比約2万5000人増)だった。
         内訳は、男子5万9116人、女子4万7281人。進路未定者のうち1万9312人はアルバイトや派遣社員など、一時的な仕事に就いていた。8万7085人は卒業後もアルバイトなどをせず、大学院や専修学校、外国の大学などにも進学していなかった。
         国公私立の別では、私立が約9万3000人と全体の9割近くを占めた。また、進路未定者の6割超はいわゆる文系で、「私立文系男子」の苦戦が目立った。
         留年生も進路未定者とほぼ同数の10万6254人おり、うち7万2434人は「1年の留年」。進級時に留年した1~4年生も含まれるが、文科省は、就職浪人や国家資格を目指す5年生も多いとみている。
         一方、高校卒業者の大学・短大への入学志願率は61・8%(前年度比0・6ポイント増)と過去最高。大学院等への進学率も13・4%(同1・2ポイント増)に伸びており、就職を先送りしたケースも多いとみられる。
        (読売新聞)2010年8月6日03時04分

        ●69%が「社会保障整備」要望=景気対策も過去最高―内閣府調査
         内閣府は7日、「国民生活に関する世論調査」を発表した。それによると、政府に対する要望事項について「医療・年金などの社会保障の整備」が69.6%と、2009年6月の前回調査から1.2ポイント減少したものの7年連続でトップとなった。2番目は「景気対策」で前回比6.8ポイント増の69.3%。回答の選択肢に加わった1978年以来、過去最高の割合。政府・日銀は景気が回復基調にあるとしているが、国民の実感は必ずしも伴っていないと言えそうだ。
         調査は6月3日から同20日まで全国の成人男女1万人に個別面接方式で実施。有効回収率は63.6%だった。
         政府要望(複数回答)は景気対策以下、「高齢社会対策」56.5%、「雇用・労働問題への対応」49.4%と続いた。一方、「男女共同参画社会の推進」「市民活動の促進」「規制緩和・新規産業の育成」はいずれも1割以下にとどまった。
         菅政権が重視する「財政健全化の推進」は25.5%。前回調査までの「財政構造改革」から選択肢が変わったため単純比較はできないが、前回の16.9%から伸びた。「税制改革」も微増の31.1%だった。
         一方、「日常生活での悩みや不安を感じている」と答えた人は68.4%(前回68.9%)で、1981年の調査開始以来4番目の高水準。悩みや不安の内容(複数回答)は、「老後の生活設計」52.4%が最も多く、以下、「自分の健康」49.2%、「家族の健康」42.6%の順となった。 
        (時事通信)8月7日17時27分配信

        ●不登校、2年連続減 依然12万人「憂慮すべき問題」 学校基本調査
         全国の小中学校の不登校児童や生徒数が2年連続減少したことが、文部科学省が5日公表した今年度の学校基本調査(速報)で分かった。増加傾向に歯止めがかかった形だが、同省は「依然として12万人を超える人数がおり、憂慮すべき問題」としている。
         ◇[リストで見る]「ひきこもり」70万人 理由「家族に申し訳ない」7割
         調査によると、平成21年4月~22年3月に、病気や経済的理由などを除いて30日以上小中学校を欠席した不登校の児童生徒は、全体の1・15%に当たる12万2432人。前年度比で4373人、3・4%減少した。
         特に中学校は4048人少ない10万105人で、減少が顕著だった。環境の変化で例年不登校が急増する中1は765人減の2万2384人だった。
         不登校の児童生徒はピーク時に13万8722人に達した後、一時的に減少傾向だったが、19、20年度調査では増加に転じ、12万9255人と再び13万人に迫っていた。文科省は「スクールカウンセラーや学校内の研修や事例研究などの成果と考えられる」としている。
         不登校のきっかけを複数回答で学校側に尋ねると、「本人にかかわる問題」との回答が43・2%で最多。次いで「友人関係」17・7%、「親子関係」11・4%、「学業不振」10・3%と続き、「いじめ」は2・6%だった。1千人当たりの不登校の割合はトップが神奈川県の14・0人、栃木県13・9人が続いた。最も少ないのは秋田県の8・5人、岩手県8・8人の順。
        (産経新聞)8月6日7時55分配信

        ●暴力重ねる子増加、意思疎通が苦手な”いきなり暴力型”/神奈川
         県教育委員会の2009年度調査で、県内の小中学校で暴力行為を年間5回以上繰り返した児童・生徒が214人に上ることが明らかになった。この児童・生徒による暴力が小学校で起きた暴力行為全体の36・1%を占め、中学校では20・8%を占めた。県教委は背景に規範意識やコミュニケーション能力の欠如とともに、家庭での養育放棄、虐待の可能性があるとみている。
         横浜市内にある中学校の始業前、「髪の毛を切りすぎたね」とメールで告げられた女子生徒が、相手の女子生徒にいきなり殴りかかった。別の中学校ではちょっかいを出して無視された男子生徒が相手の男子生徒の胸ぐらをつかみ、押し倒した。
         この学校の校長は、話し合う前に手を出す”いきなり暴力型”の生徒が10年ほど前から増えてきたと感じている。「誰かに相談して気持ちを分かってもらうような基本的な能力が欠如した生徒が多い」と分析する。
         言葉による意思の疎通が苦手で、ささいな気持ちの行き違いが積み重なると、突然暴力に訴えたり、他人との接触を嫌って不登校になったりする生徒が増えているという。
         今回の調査では年間180日以上欠席した児童・生徒が1413人に上った。別の中学校の校長は「コミュニケーション能力の欠如が、暴力行為と不登校の一因になっている」とみる。
         県教委は今回から年間5回以上暴力を繰り返す児童・生徒数の把握を調査項目に加えた。小学校では58人が469件の暴力行為を起こし、中学校では156人が1396件の暴力行為を起こしていたことが分かった。
         NPO法人教育研究所(横浜市港南区)の牟田武生理事長は、家庭での虐待や養育放棄が一因で常にストレスを抱える児童・生徒が多いと分析する。「こうした児童・生徒を学校だけで指導するのは難しい。地域住民や行政で、その家庭を支えていかなければならない」と話している。
        (カナロコ)8月6日12時0分配信

        ●問題行動調査:中学生の暴力、過去最多 919件は校内で生徒へ--09年度 /東京
         ◇2149件
         都教育庁は5日、公立学校の子供たちの問題行動に関する09年度の実態調査結果を発表した。中学生による教師や生徒への暴力は、統計の取り方を変えた06年度以降、毎年増加し、過去最多の2149件に達した。
         暴力行為は、06年度から医師の診断書がない軽微なものまで報告させている。中学生は前年度より294件増。2149件のうち校内での生徒への暴力は919件、器物破損は641件だった。
         「いじめ」は、小学校1678件(前年度比170件増)▽中学校1798件(同26件増)▽高校35件(同20件減)▽特別支援学校10件(同9件減)。
         不登校は小学生1871人、中学生7038人。不登校から学校への復帰率は、小学生で33・1%、中学生は27・7%だった。
         都立高の中退者は、全日制2076人(中退率1・8%)、定時制1805人(同12・9%)。全日制の中退率は88年度以降最低、定時制も過去10年間で最低だった。
        (毎日新聞)8月6日10時49分配信

        大学院の「レポート1」は何を書けばいい?
        2010/08/01
        放送大学大学院修士課程1年生の修士論文作成に向けての最初のハードルである「レポート1」。指導教官からは「先行研究をじゃんじゃん当たって下さい」という、ほとんど曖昧な指導を受けていますが、それでどんなレポートを書けばいいのかまでは具体的に教えてもらっていません。おそらく、論文作成の文献上のエビデンスとなるものをしっかりと学ぶことが、今回の課題なんだと思います。ここ数年間、論文のテーマとしている分野に関しては、相当な数の書籍、研究誌、論文集、CDなどをコツコツと収集し、流し読み(部分的に全部読み)をしてきているので、幸いなことに先行研究の拾い出しや文献等の書き出しには苦労はしません。なので、それよりも、論文そのものの構成の検討、そして書ける所から書き出してみることにしました。つまり、部分的に書きためていって、できたところまでを「レポート」として提出するという作戦です。事例研究法による論文作成となるので、事例の調査・まとめ・課題や共通点等の抽出、見いだされる新たな研究課題などをすすめるのに、時間と労力を必要とすると思います。ただ、クライエントさんなどに協力をお願いしていきますので、現在進行形の事例となるため、これまでの聞き取りなどの蓄積が大いに役立つだろうと、自分で自分の気持ちを楽にしようとしているこの頃です。
         それでは、最近の気になる記事です。

        児童虐待 強制立ち入り1件のみ 「伝家の宝刀」運用に躊躇

         ◇人手不足、対応に限界も
         平成21年度の児童虐待相談対応件数が過去最多を更新した。虐待死が後を絶たない中、強制立ち入り調査が実施可能となった20年度(2件)よりもさらに少ない1件にとどまり、「伝家の宝刀」の運用に慎重な現場の姿勢が浮き彫りになった。
         児童虐待に詳しい東海学院大の長谷川博一教授(臨床心理学)は「多数の死亡例が報告される中、強制立ち入り調査が1件しかないというのは少なすぎる。児童相談所の職員が虐待の可能性を疑っても、『もし、間違っていたら人権侵害になる』という躊躇(ちゅうちょ)があるからだろう」と推察する。
         「虐待をする親の多くは周囲からの支援を必要としている。早めの対応が必要だが、児童相談所では児童福祉司が足りず、自治体も支援しきれていない」。こう語るのは児童虐待防止全国ネットワーク理事長で駿河台大法学部の吉田恒雄教授(児童福祉法)だ。
         実際、財団法人「こども未来財団」が20年4月、全国の児童相談所など約200カ所を対象にした調査では、職員や人件費の削減計画によって約4割の自治体が「児童福祉司の増員は困難」と回答。相談件数が増えても、対応に限界がある児童相談所が多いのが現状だ。
         死亡事例の検証専門委員会の座長で14年間、児童福祉司として児童相談所に勤めた経験のある関西学院大学の才村純教授(人間福祉学部)は「強制立ち入り調査は最後の手段になる。数が少ないからといって、児童相談所の取り組みが消極的とはいえない」と分析。
         その上で「自治体によって虐待への対応に差があるのは事実だ。きちんと立ち入り調査ができていない児童相談所があることも考えられる。自治体には体制強化を図ってほしい」と訴えている。
        (産経新聞)7月29日7時59分配信

        ●<傷害容疑>9時間暴行、小4の長男重体 父母逮捕 兵庫
         兵庫県警尼崎北署は26日、小学4年の長男(9)に9時間にわたり暴行したとして、父親の尼崎市塚口町3、会社員、河野義竜容疑者(34)と、母親のパート従業員、寿美枝容疑者(31)を傷害容疑で逮捕した。2人は容疑を認めている。長男は病院に搬送されたが、意識不明の重体。
         容疑は、25日午後3時半ごろ~翌26日午前0時40分ごろまでの間、義竜容疑者の財布から現金数万円がなくなっていることを問いただすため、長男竜也君の顔を殴るなどの暴行を加えたとしている。2人は竜也君が「ゲーム機を買った」と言ったため、「どこにあるのか」と問いただしたという。
         同署によると、容疑者宅は両親と竜也君、長女(6)の4人家族。2人は竜也君がぐったりしていたため、同県伊丹市の病院に車で運ぼうとしたが病院が閉鎖されていたため、寿美枝容疑者が携帯電話で119番通報した。
         2人は調べに「顔を平手で殴り、体もけった」などと供述。同署は2人が代わる代わる竜也君に暴行を加えていたとみており、日常的な虐待がなかったかも追及する。2人はいったん離婚したが、現在は同居中で、内縁関係にある。
         竜也君の同級生によると、竜也君が食べ物を残したり、学校に忘れ物をして帰ってくると、寿美枝容疑者から大声でしかられていたという。竜也君から「お母さんから『妹の食べ残しを食べろ』と言われた」という話や、「お母さんにたたかれたので、金属バットで殴り返した」という話を聞いている。
         近所の話によると、昨年、指に包帯を巻いていた竜也君が「お母さんにたたかれて、(骨に)ひびが入った」と話していた。義竜容疑者が竜也君に「出て行け」と怒鳴る声も聞こえたという。
         尼崎市を管轄する兵庫県西宮こども家庭センターなどによると、竜也君についての虐待の通報や情報は、事前に寄せられていなかった。
        (毎日新聞)7月26日23時51分配信

        ●2千人が残業80時間超 霞が関の公務員調査
         東京・霞が関の中央官庁で働く国家公務員のうち、過労死の危険ラインとされる月平均80時間以上の残業をしている人が推定で2千人を超えることが28日、霞が関国家公務員労働組合共闘会議(霞国公、組合員約1万人)のアンケートで分かった。
         約3千人を対象に実施され、6・3%が残業は80時間以上と回答。霞国公は「霞が関で働く一般職員は約3万4千人おり、単純計算で2千人超に当たる」としている。
         調査によると、月平均の残業時間は32・8時間(昨年調査36・3時間)。80時間以上あったとした職員のうち、約22%が「現在過労死の危険を感じている」、約36%が「過去に危険を感じたことがある」と答えた。
         省庁別では、厚生労働省の労働部門が73・4時間(昨年調査66・3時間)で最長。次いで同省の厚生部門が71・7時間(同71・2時間)、経済産業省が45・9時間(同50・5時間)だった。
        (産経ニュース)2010.7.28 16:50

        ●断て!生活保護の連鎖 埼玉県が教育支援事業 全国初、来月にもスタート
         生活保護受給世帯で育った子供が成人後、再び生活保護を受けるなど「貧困の連鎖」が問題化していることを受け、埼玉県は都道府県として初めて、県内の生活保護世帯の全中学3年生を対象に、教育支援事業を実施する。予算額は約1億1千万円。県議会の議決が得られれば、9月からスタートする。
         埼玉県は県内の生活保護世帯を対象に、中学卒業後の進路調査を実施。その結果によれば、平成22年3月の生活保護世帯の中学卒業生817人のうち、全日制高校に進学したのは67・8%の554人で、県全体の全日制高校進学率93・5%(21年3月)より25・7ポイントも低かった。進路未定も65人(8%)で、県全体の1・1%を大きく上回っていた。
         このため、県は中学卒業後の進路が「貧困の連鎖」の一因になっていると分析。新事業では、教員OBなど約20人の教育支援員を県内市町村の福祉事務所に派遣し、県内の生活保護世帯の中学3年生約800人を対象に教育訪問を行い、養育相談を受け付ける。また、希望者を対象にマンツーマンの学習教室を県内5カ所で開設。各教室には2人の責任者を置くほか、埼玉大や立教大学など5大学の学生を対象に学習支援ボランティアを募り、特別養護老人ホームなどの会議室を借りて運営する予定だ。
         基礎学力の向上と、進学に向けた動機付けのほか、老人施設を使うことで教室に通う中学生たちが社会経験を養うことも狙う。県の担当者は「時間はかかっても貧困の連鎖を断つためには、教育しかないと考えている。地道に取り組んでいきたい」と話している。
         関西国際大の道中隆教授(社会保障論)の話「埼玉県の取り組みは画期的だ。貧困の固定化と世代間連鎖は、わが国が直面する非常に大きな課題だが、まだ十分に注目されていない。格差を生み出すのが教育なら、格差を埋めるのも教育だ。教育への公共財の投入を増やし、高校の義務教育化も考える時期にきている」
        (産経新聞)8月1日7時56分配信

        ●向精神薬 生活保護受給者2700人が重複処方 厚労省調査
         今年1月に複数の医療機関から向精神薬を入手している生活保護受給者が2746人いたことが27日、厚生労働省の調査で分かった。大阪市西成区の生活保護受給者が病気を装って入手した向精神薬が、インターネットで販売されていた問題を受け、厚労省が全国の自治体に対して調査を行っていた。
         厚労省によると、今年1月時点で生活保護を受給していたのは約183万人。このうち、精神科に通院していた4万2197人のレセプト(診療報酬明細書)を調査したところ、2746人が今年1月の1カ月間に複数の医療機関から向精神薬の処方を受けていた。
         自治体別(都道府県は政令指定都市と中核市を除いた人数)では、東京都が最多で781人。次いで大阪市(146人)、徳島県(130人)、北九州市(112人)、大阪府(105人)の順に多かった。
         厚労省は今後、医療機関が処方していた向精神薬の種類などを調査し、8月中にも結果を公表する。必要があれば自治体を通して、患者や医療機関などにも直接、事情を聴く方針。
         調査結果について長妻昭厚労相は「中間的な報告で不適切に購入しているかどうかは判明していないが、過剰に処方されている疑いがあるということで追跡調査し、事情を見極めたい」と話した。
        (産経新聞)2010/07/2713:31更新

        ●向精神薬 薬物依存に占める割合「10年で2倍」
         薬物依存症患者の中で医師の処方する向精神薬によって依存症になった人の割合が、ここ10年余りで2倍になっていることが、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の調べで分かった。依存症患者は自殺リスクが高いとされる。全国でも数少ない薬物依存症の専門治療施設、埼玉県立精神医療センター(同県伊奈町)で現状を取材した。
         ◇「自殺リスク周知を」
         医師「お変わりありませんか」
         患者「高校生の長男が進学か就職かで悩み、私によく当たるんです」
         7月中旬、外来を受診した女性(41)と成瀬暢也(のぶや)副病院長(50)の診察室でのやり取りを、双方の了解を得て取材した。
         女性は向精神薬の依存症と診断され、08年7月から5カ月間、センターの依存症病棟に入院。専門治療を受けて少しずつ回復し、今は3週間に1度の通院を続ける。
         「以前なら悩みがあると薬を飲んで紛らわしていたのに、今は人に相談しながら問題に向き合えるようになった。よく頑張っているね」。成瀬医師がほめると、女性は笑顔でうなずいた。
         女性は夫の暴力や浮気がきっかけで眠れなくなり、27歳のころ精神科病院に通い始めた。
         睡眠薬を処方されたが症状は改善せず、大学病院に転院。「眠れないのでもっと薬を出して」と求めると、副作用が強い睡眠薬など10種類が出されるようになった。
         女性がさらに薬を要求したため、病院は「手に負えない」と別の精神科病院を紹介。転院先の医師は女性の求めに応じ、一日分が約40錠にまで増えていったという。
         女性は薬が増えるにつれて薬が効きにくくなり、すぐに現実のつらさと直面して「死にたい」と思うようになり、処方された薬を一気に飲む自殺未遂を繰り返した。3カ所目の病院でも「薬のコントロールが不能」と判断され、センターを紹介された。
         センターの依存症病棟(40床)では酒や薬物をやめる集団治療が行われ、外来では海外で治療効果が認められている新しい心理療法にも取り組んでいる。09年度は入院患者が213人(アルコール152人、薬物61人)。依存症外来の新規患者は310人で5年前(04年度)より57人増え、薬物依存が外来患者の3分の1を占めている。
         成瀬医師は「患者はもちろん、医師でも依存症について十分な知識を持たない人が多いのではないか。過量服薬による自殺や自殺未遂を防ぐためには、依存症の危険性をもっと周知する必要がある」と指摘する。
         ◇じわじわ上昇…08年は13%に
         国立精神・神経医療研究センターは精神科病床がある全国の全医療施設を対象に、87年からほぼ隔年で9~10月の期間にアルコールを除く薬物依存症で入院か通院をした患者について、どの薬物が原因か調査を実施している。シンナーなどの有機溶剤は91年の40・7%をピークに減少。
         一方、向精神薬(睡眠薬と抗不安薬)は96年に5.6%と最低だったが、じわじわ上昇し08年は13.0%で有機溶剤とほぼ並んだ。最も多い覚せい剤は同年、全体の半分を占めた。
        (毎日新聞)7月28日2時35分配信

        ●「ひきこもり」推定70万人 「家族に申し訳ない」7割
         自宅にこもり、ほとんど外出しない「ひきこもり」が全国で推定約70万人に達することが23日、内閣府が行った「ひきこもりに関する実態調査」で分かった。調査では家庭や学校でうまく関係を築けないまま成長し、社会でも溶け込めず不安を抱えてひきこもる人々の姿が浮き彫りになった。
         調査は2月、全国5千人の15~39歳を対象に行い、3287人から有効回答を得た。統合失調症や身体的な病気、妊娠、家事、育児の理由以外で6カ月以上ほとんど家から出ず、外出は近所のコンビニや趣味の用事の時だけと回答した人を「ひきこもり」と定義したところ、全体の1.79%が該当。人口推計から全国のひきこもりは約69.6万人と推計した。男女別では男性が66.1%と3分の2を占め、年齢別では35~39歳が23.7%、続いて30~34歳(22%)、20~24歳(20.3%)となった。
         ひきこもるきっかけは「職場になじめなかった」「病気(統合失調症以外の精神疾患)」が23.7%で「就職活動がうまくいかなかった」(20.3%)、「不登校」(11.9%)と続いた。小中学校時代の経験では「学校で我慢することが多かった」(55.9%)、「一人で遊んでいる方が楽しかった」(27.1%)、「家族に相談しても役に立たなかった」(18.6%)、「親が過保護だった」(同)などの該当者の割合が一般の人の2倍を超え、幼少時に周囲との関係がうまく築けていなかった実態が見えた。
        (産経新聞)2010/07/2406:55更新

        ●引きこもりの人に聞く、今の状態になったきっかけ
         現在の状態(引きこもり)になったきっかけは? (出典:内閣府)
         全国の15~39歳のうち、自宅に閉じこもってほとんど外出しない、いわゆる”引きこもり”状態の人は推計で69万6000人に達していることが、内閣府の調査で分かった。また現在の状態(引きこもり)になったきっかけを聞いたところ「職場になじめなかった」と「就職活動がうまくいかなかった」(20.3%)を合わせると44.0%となり、仕事や就職活動をきっかけに引きこもった者が多い。一方で「不登校(小学校、中学校、高校)」(11.9%)や「大学になじめなかった」(6.8%)は、合計しても18.7%にとどまった。
         引きこもり状態の人に、不安なことを挙げてもらったところ「家族に申しわけないと思うことが多い」(71.2%)と答えた人が最も多かった。次いで「集団の中に溶け込めない」(52.5%)、「他人が自分をどのように思っているのかとても不安になる」(50.8%)、「生きるのが苦しいと感じることがある」「知り合いに会うことを考えると不安になる」(いずれも47.5%)と続いた。また引きこもりでない人にも、同じ質問をしたところ「あてはまるものはない」(38.2%)と答えた人が最も多かった。
         ◇引きこもりになったのは、何歳のころから?
         引きこもりになったのは、何歳のころからだろうか。引きこもり状態の人に聞いたところ、「14歳以下」(8.5%)と「15~19歳」(25.4%)を合わせると33.9%に達した。また「30~34歳」(18.6%)と「35~39歳」(5.1%)を合わせると、30代で引きこもりを始めた人も23.7%いた。
         普段の生活を聞いてみると、引きこもり状態の人は「身の回りのことは親にしてもらっている」「深夜まで起きていることが多い」といった傾向がうかがえた。
         訪問による調査で、15~39歳までの男女3287人が回答した。調査期間は2月18日から2月28日まで。
        (BusinessMedia誠)7月26日18時58分配信

        ●<川崎・中3自殺>同級生から日常的暴力 中間報告で調査委
         川崎市の市立中学3年の男子生徒(14)が「いじめられた友人を守れなかった」という遺書を残して自宅で硫化水素自殺した問題で、市教育委員会などで作る調査委員会が「男子生徒が2年生の時に、複数の同級生から日常的にからかわれたり、暴力を受けていた」とする中間報告をまとめたことが、関係者への取材で分かった。中間報告は「いじめ」との判断は示しておらず、8月末をめどに、最終報告で結論を出す予定。
         関係者によると、男子生徒の遺書には友人をいじめていたという同級生4人の名前が書かれており、中間報告は4人が少なくとも昨年10月~今年3月、自殺した男子生徒に対し「日常的に教室でからかったり、こづいたりしていた」と認定したという。男子生徒は6月7日に自殺した。
         中間報告の内容について男子生徒の母親(44)は「半年間もの長い間、つらい目に遭っていたのに気が付かなくて、本当にかわいそうなことをした。最終報告では(同級生らの暴力が)いじめかどうか認定し、自殺との因果関係をはっきりさせてほしい」と話した。
         調査委は市教委のメンバーや学識経験者で構成され、3年生全員を対象にアンケートをするなど調査を進めていた。
        (毎日新聞)7月27日0時33分配信

        酷暑の中ですが、学生の皆さん、頑張りましょう!
        2010/07/22
        昨日、一昨日と、放送大学大学院の単位認定試験がありました。それぞれ1科目づつの受験でしたが、1日目の科目は、前期に単位を落として再試験になっていたもので、平日でもあり試験を受けられるかどうかわからなかったので、まったく3ヶ月テキストを放置しておいた状態で試験を受けることになりました。今年、臨床心理士資格認定試験を受ける予定の知人の採点してもらうと、10問中8問は正解のようです。1問は、明らかに引っかけられた感じです。2日目の科目は自己採点では大丈夫なんですが、結果はわかりません。
         もし、2教科とも単位認定されると、教科での必要単位はクリアすることになり、後は修士論文作成のみとなりますが、せっかくですから、1期に1科目は受講しようと思います。
         体力・気力ともに限界寸前の状態ですが、このタイミングを逃すと、大学院修士課程で学ぶチャンスは、もうないかも知れませんので、それなりに必死です。
         第一次レポートの提出期限が迫っていて、焦る気持ちに行動がついていかない毎日に、さらなるストレスを感じている今日この頃です。
         それでは、最近の気になる記事です。

        自死遺族が協議会に参加 遺族のケア充実が急務 栃木

         県の自殺対策連絡協議会(会長・中村好一自治医大教授)が県庁で開かれ、夫を自殺で亡くした鹿沼市の女性(53)が委員に加わった。今年上半期の自殺者は、過去最多だった昨年より1割ほど減ったが、深刻な状況に変わりはない。県などにとって、自殺対策を進めるとともに、家族を失った自死遺族への充実したケアも急務となる。
         20日に開催された協議会で、女性は自死遺族を取り巻く厳しい現状を訴えた。女性の夫は平成18年1月、車に排ガスを引き込んで命を絶った。友人の借金の保証人になり、多重債務に陥ったことが原因だった。51歳だった。
         突然の夫の自殺に加え、その後の状況にも戸惑ったという。
         「生前、夫を責めたり、つれない態度を取った。その責めが大きなトゲとなって今も残る。予期せぬことが起こって、やらなければならないことがたくさんあった…」
         夫の死後、警察署に遺体を引き取りに行くと、7、8万円の死体検案書の代金を支払うよう求められた。自殺した車を「今日のうちに乗って帰ってくれ」とも言われた。夫を失ったショックに、さらに追い打ちをかけられた気がした。
         女性は宇都宮市内の自死遺族の自助グループに参加し、少しずつ立ち直り始めた。「自死遺族の『誰か私を助けて』の声を届けないといけない」と遺族へのケアの重要性を訴えた。
         協議会では、自死遺族へのケアも今後の重点課題として取り組むことが確認された。
         協議会は、自死遺族や自殺を考えている人に、電話で相談するよう呼び掛けている。相談は「栃木いのちの電話」(電)028・643・7830まで。
        (産経新聞)7月23日7時56分配信

        ●<メタボ>腹囲とやはり無関係? 男性も裏づけ…新潟の病院
         メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準となる血圧などの検査値の多くは、日本人男性の場合、腹囲(腹部肥満の有無)に関係なく体重が増えれば悪化する傾向が強いことが、立川メディカルセンター(新潟県長岡市)の調査で分かった。3月には厚生労働省研究班の大規模調査で、女性の腹囲と循環器疾患発症の関連性が低いとの傾向も明らかになり、腹囲を必須とする現在の特定健診のあり方も問われそうだ。今月号の米糖尿病学会誌「ダイアベティス・ケア」に発表した。
         調査は、同センターの人間ドックを08~09年に受診し、風邪などをひいていない男性1271人(平均年齢51.6歳)を対象にした。メタボ診断基準の血圧、血糖値、中性脂肪、HDL(善玉)コレステロールと、体重変化との関係を、国内でメタボの主因と位置づける腹部肥満がある群とない群でそれぞれ分析した。
         その結果、血圧と血糖値は、腹部肥満の有無に関係なく、体重が増加すれば悪化した。また、HDLコレステロールは、腹部肥満がない群だけが体重増加によって悪化し、いずれも腹部肥満との関係は見いだせなかった。一方、中性脂肪は、腹部肥満がある群で体重増加との関係があった。
         世界では、メタボ診断基準作りの中心になってきた国際糖尿病連合などが昨年、腹囲を必須とせず、他の血液検査値などと同列に扱う統一基準を発表した。一方、日本の診断基準は、腹囲が必須条件になっている。
         分析にあたった小田栄司・同センターたちかわ総合健診センター長は「腹部肥満がなくても、体重が増えれば検査値が悪化することが分かった。腹部肥満を必須条件に生活指導を実施する現在の特定健診は合理的とは言えず、早急に見直すべきだ」と話す。
         ◇解説 特定健診の再検討必要
         日本のメタボ診断基準が腹囲を必須とするのは、腹部に蓄積する内臓脂肪が心筋梗塞(こうそく)などの循環器疾患を引き起こす主因との考え方に基づいてきたからだ。ところが、日本人の循環器疾患発症の傾向を調べた解析によると、内臓脂肪の蓄積だけではなく、血糖値など一部の血液検査値の悪化や食生活によっても危険性が高まる。このため、腹囲を必須とする現在の特定健診は、やせていて循環器疾患の危険性のある人を見落とす恐れがあると指摘されてきた。
         男性は40~50歳代の比較的若い世代で腹部肥満が増えており、現在の健診に意味があるとみられていた。だが、今回の研究成果では、50歳前後の男性も腹部肥満の有無と検査値悪化の明確な関係を見いだせなかった。
         これらの調査結果は、内臓脂肪の蓄積が循環器疾患の原因の一つにすぎないことを示しており、それ以外の要因についても等しくチェックする健診体制の検討が求められることになりそうだ。
        (毎日新聞)7月20日2時32分配信

        ●京都のフリースクール元経営者に2審も実刑
         京都府京丹波町の「丹波ナチュラルスクール」で入所者を虐待したとして、逮捕監禁や傷害などの罪に問われた元経営者の朴聖烈被告(62)の控訴審判決公判が21日、大阪高裁であった。森岡安広裁判長は「施設の中心人物で、重い責任を負うべき」などとして懲役3年6月(求刑懲役6年)とした1審京都地裁判決を支持、被告側の控訴を棄却した。
         判決によると、朴被告は、平成17年~20年、10~20代の男女6人に手錠をかけて自宅から施設まで車で連行。施設の部屋に閉じこめるなどして監禁した上、入所者の1人に暴行を加え、けがをさせた。
        (産経新聞)7月21日19時8分配信

        ●生徒自殺したのに…私立中講師が「首つり」の絵
         千葉県八千代市の私立秀明八千代中学校で、複数の外国人講師が英語の授業中、生徒が解答ミスを重ねると「首つり」を連想させる絵を黒板に描いていたことがわかった。
         米国などでは「ハングマン(つるされた男)」と呼ばれ、授業中に遊び感覚で取り入れられているが、同校では2008年11月に3年生の男子生徒(当時15歳)が校庭で首つり自殺しており、「不謹慎」との声も出ている。
         ハングマンは、解答を誤るたびに線や円を一画ずつ描き、不正解が続くと首つり状態になるゲーム。
         学校側の弁護士によると、今年4月に確認したところ、生徒が自殺する以前から英・米国人講師8人全員が英単語を教える際、この絵を描いていた。弁護士は「講師に悪意はなかったが、日本人に理解されない面もある」と学校側に伝え、以後はなくなったという。
        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100723-00000172-yom-soci
        (読売新聞)7月23日7時18分配信

        ●南九州の中2自殺:教育長「再調査も」 報告書、学校の対応は不十分 /鹿児島
         「いじめは確認できなかった」
         南九州市立知覧中の2年生だった男子生徒(当時14歳)が自殺した問題で、市教委が20日、会見し公表した調査報告書。その内容は遺族には、到底受け入れがたいものだった。
         会見は市役所川辺庁舎であり、小野義記教育長や柿野幸広校長ら市教委幹部が出席。男子生徒の冥福を祈って黙とうした後、小野教育長が「調査結果に遺族は納得されておらず、理解は得られていない」と釈明した上で、今後、新たな事実が確認されれば改めて調査する意向を示した。
         15日に遺族へ調査結果を説明した際、両親から、男子生徒が所属する野球部の副顧問からの叱責(しっせき)について、詳しく事実確認するよう求められたという。
         報告書によると、叱責を巡っては1月5日の練習で男子生徒がベースランニングに参加しなかったのに「走った」と申告したため、副顧問が電話で「なんで走らなかった」と大声で指導したという。
         小野教育長は「うそをついたため厳しく指導した」と述べ、指導が適切だったことを強調し、暴言も否定した。また、1年時に手帳をぬらされたり、2年の初めに上履きを隠されたりしたことがあったが「関連は不明。人間関係は特別悪くなかった」と説明した。
         一方、学校の対応について報告書は「継続、組織的な指導が行われず、家庭への連絡が不十分」「生徒の実態把握や生徒指導の改善、充実に向けた取り組みが不十分」などと指摘した。
         柿野校長は「生徒一人一人に寄り添える時間の確保、保護者との連携の重要性を実感している」と話し、改善に向け全力をあげる考えを示した。
        (毎日新聞)7月22日15時58分配信
        気質・性格と対人関係を中心とした生育環境の絡み合い。
        2010/07/19
        気質は、心理学の上では「個人の性格の基礎にある、遺伝的、体質的に規定されたものと考えられている感情的傾向」(大辞林より)とされ、性格は「行動のしかたに現れる、その人に固有の感情・意志の傾向」(同)とされています。つまり、気質は生まれもって身につけている感情面での性質、性格はある気質を持って様々な経験をしながら発達・成長する中で身につけていく感情や行動の傾向やパターンと考えてもいいでしょう。
         かつての心理学では、気質の分類などに力を入れ、その人の性格傾向や行動パターンの分析を進めた時期がありました。後に、その人が育った心理社会的環境要因との関係が、人格形成に強く影響を及ぼすことが社会心理学などの分野の研究から明らかとなり、感情や行動などでいわゆるの問題が生じた場合に、気質などの生得的な要因と、後の人格や性格の形成家庭に影響及ぼした対人関係や社会的関係要因を、関連づけながら読み解くことの必要性が強調されてきています。
         「母親の育て方が悪い(≒母原論)」「この子はどうしようもない子だ」などと、不登校やひきこもり、非行、さらには自閉症スペクトラムなどの発達障害に至るまで、個人や家庭の問題とされた時期が長く続きましたし、今でもそうした考えは深く浸透していると言えますが、それでは何の問題解決にもなりません。
         気質や発達面での偏りや障害といえる脳の機能的な障害の有無やその内容、そして、その人が背負って生きてきた心理社会的な背景を十分に把握し、今の考え方や問題となる行動に至るパターンなどを理解することが、まず大切です。
         子どもは(人によって年齢は幅広いのですが)、自分の不安や辛さ、しんどさなどを他者にうまく伝えることができないものです。また、親などの立場を深読みして、あえて我慢する、ということをします。発達の面での特性が強い場合には、そのことを他者に伝えても良いのか、いつ、どう伝えれば良いのかがわからないまま黙っている場合も少なくありません。
         ただ、アタッチメントと言われる、乳児期に子どもが最も信頼を置きつつ生理的ニーズを求める「重要な他者」(多くの場合母親です)との間での「愛着の形成」体験は、性格形成に基本的な影響を与えることは重要です。子どものニーズを理解し、即応できる関係であれば良いのですが、ニーズが理解できずにニーズに反した対応(例えば、おむつが濡れて交換して欲しいときに、お腹が空いたと思い違いしミルクを飲まそうとするなど)を続けたり、「重要な他者」の気分次第で可愛がったり、逆に泣いていても無視をしたりといったアンビバレントな反応を続けると、「重要な他者」が「信頼できない人」となり、「人」への「基本的信頼」や安心感、ひいては自己肯定感情の育ちを阻害してしまいます。
         人は動物としては、極めて早産で、出産後に急速に肉体的にも精神的にも発達します。そして、精神的発達は、乳児期、幼児期、子ども期、思春期、青年期、成人期、壮年期、老年期…と、それぞれの発達課題を乗り越えつつ行われます。それぞれの時期に、より相応しい心理社会的環境が整えられていることが求められますが、現実は極めて厳しい状況にあると言えます。ただ、こうした視点に立って、一人ひとりの発達・成長を見守り、必要なサポートをする他者との関係性が豊かであることが望ましいと言えます。家族で、個人で抱え込む時代は終わりにしませんか?
         それでは、最近の気になる記事です。

        学校の自殺調査で指針=再発防止と遺族ケアで—不都合な事実も明らかに・文科省

         文部科学省は1日までに、小中高校に通う児童・生徒の自殺が発生したとき、学校や教育委員会がどのように調査すべきかを示す指針を策定する方針を決め た。学校側が自殺の背景をしっかり調査することで、再発防止や遺族の心のケアにつなげたい考えだ。今年度中の策定を目指す。
         児童・生徒の自殺は年間300人前後で、いじめや友人関係の悩みなど学校生活に何らかの原因があるケースも少なくないとみられる。しかし、地方自治体の 教育委員会や学校は原因や背景の調査には消極的で、遺族らによる批判を招いていた。そこで、文科省は調査の指針を作ることで学校の積極的な取り組みを促す ことにした。
         現在、教育関係者や医師、臨床心理士らをメンバーとする有識者会議で策定作業を進めている。これまでに調査をする際の留意点として(1)学校に不都合な 事実も明らかにする(2)発生後何が起きたかを時系列に記録する(3)事実解明を望む遺族の希望に応えることと再発防止を重視する—などを確認した。 
        (時事通信)7月1日17時46分配信

        ●発達障害男性が国賠請求へ=盗撮自白「捜査官の作文」―東京高裁で逆転無罪
         盗撮目的で女性に携帯電話を近づけたとして、一審で有罪となったアスペルガー障害の20代男性=神奈川県=に、東京高裁が無罪を言い渡し、2月に確定したことが27日までに分かった。男性が容疑を認めた供述調書について、高裁は「捜査官が誘導したか、作文した疑いをぬぐえない」と信用性を否定。男性は来月、精神的苦痛を受けたとして、横浜地裁に国家賠償請求訴訟を起こす。
         二審で弁護を担当した野呂芳子弁護士は「自白獲得ばかり重視し、客観証拠を顧みない捜査が行われた」と批判。訴訟では警視庁と東京地検による捜査・起訴の違法性を問う。
         男性が盗撮を疑われたのは2008年6月。都内の地下鉄駅のエスカレーターで、前にいた女性にとがめられた。警察署で任意の取り調べを受け、地検にも出頭。自白調書が作成され、都迷惑防止条例違反(卑わい行為)罪で在宅起訴された。
         男性は裁判で「取り調べで調書の内容が違うと答えたが、取り合ってくれなかった」と無罪主張した。しかし一審東京簡裁は昨年3月、自白調書のほか、男性が驚いたり謝ったりしたとの女性や駅員の証言などを基に罰金30万円を言い渡した。
         これに対し高裁判決は、男性をアスペルガー障害と診断した医師の意見書や証言を重視。通常の人より混乱しやすいとして、女性らの証言は盗撮を裏付けないと判断した。 
        (時事通信)6月28日2時33分配信

        ●しつけ?不足ふざけ? 誤認される発達障害
         父親が発達障害や子育て支援団体について知識を深め、子育てに積極的にかかわってもらおうと、社団法人島尻青年会議所は27日、西原町の琉球大学で「発達支援研究フォーラム」を開催した。鹿児島大学大学院の土岐篤史准教授による基調講演の後、県内で発達障害児や不登校支援などを行っている団体の代表者らが登壇し、県内の支援の現状や課題について話し合った。
         パネルディスカッションには、NPO法人「療育ファミリーサポートほほえみ」(南風原町)の福峯静香理事長、NPO「わくわくふれんど」(南城市)の吉本由美子代表、NPO法人「思春期青年期サポートセンターほのぼのすぺ~す」(西原町)の伊是名聡代表、県議の島袋大氏、与那原町議会議長の仲里司氏が登壇した。
         県南部医療センターこども医療センターこころの診療科に勤務経験のある土岐准教授は「学業に支障のない発達障害の場合、ふざけやしつけ不足と認識されがち」と話し、「子どもは成長するので悲観する必要はないが、支援を先送りしてもいけない」と話し、気になる子を早期発見し、支援体制を整えることの重要性を訴えた。その上で「発達支援は家庭の問題ではなく地域の問題ととらえ、公的な支援が充実されるべき」と訴えた。
         福峯理事長は、南風原町発達支援基盤整備事業を紹介。吉本代表は、発達障害についての啓発や地域支援など団体の活動内容を報告し、伊是名代表は「不登校生徒に対する義務教育終了後の支援が不十分」と指摘した。仲里氏は「2次障害を防ぐためにも保育者や教師への支援が必要」と話し、島袋氏は「早期発見の受け皿としての療育施設を整備するのは県の役目」とした。
        (琉球新報)6月30日10時25分配信

        ●奨学金未納:/上 雇用不安に連動、10年間で4倍に/鳥取
         雇用不安に連動して奨学金の累積未納額が増えている。県が給付している育英奨学金など3奨学金の09年度末の未納額は合わせて3億2714万円。99年 度末は7511万円だったので10年間で4.3倍に膨れ上がった。県教委育英奨学室は、専従職員(正職員1人、非常勤職員2人)を置いて徴収を進めてい る。徴収の現場を取材した。
         「県奨学金係の者ですが……」。県庁第2庁舎の6階から郵送した督促状に応じない未納者に電話をかける。
         「申し訳ありません。すぐに払います」「親が勝手に借りただけでしょう。なんで払わないといけないんだ」「2万円払うから今から取りに来い」
         相手の応答はまちまちだ。電話のやり取りをすぐにメモに起こし、次の未納者に電話をかける。メモはパソコンに入力し、職員が共有できるようになってい る。昨年度の未納者は1940人。職員3人で一人ずつ応対していく。根気勝負の仕事だ。
         「電話に応じてくれる人はまだいい方」と男性非常勤職員(53)は言う。電話に全くでない人や着信拒否する人も少なくない。電話でらちがあかない場合 は、2人1組で戸別訪問する。1人で行くと後で「言った・言ってない」でもめることがあるためという。
         1泊2日で県西部に行くことも。20軒回っても在宅は5~10軒ほど。不在の場合、来たことを伝える紙を郵便受けに入れる。
         この職員は「家の外観、車などを見ると経済状況がわかる。在宅していなくても足を運ぶのは非常に意味がある」と話す。もう一人の非常勤職員(58)は 「中には親子とも無職の人もいる。経済の厳しさを肌で感じる。経済困窮者に返済を強く迫ることは難しい」と話す。
         企業の取り立てと違い、県教委の看板を背負っているため地道な説得を重ねて徴収する。「奨学金は税金です。あなたの返還金が次代の奨学金の財源になりま す」。懇々と説いていく。
         「ないものはない」「アンタたちは公務員だから給料をもらっているでしょう。こっちはないんだ」と感情的な言葉が返ってくることもある。
         こんなこともあった。何度も催促の電話をかけた人から電話がかかってきた。「職が見つかり、何とか来月から払えるようになりました」
         「こういう電話は本当にうれしいですね」。固い表情で電話に向かうことが多いが、この時は笑顔がのぞいた。生活が軌道に乗ってくれたことがうれしいので ある。
        (毎日新聞)7月3日15時39分配信

        普通に育っていると思っていた我が子がある日…。
        2010/07/19
        最近では乳幼児検診のスクリーニングが進化し、早期に発達面の障害や偏りに気づき、療育につながるケースが増えているようですが、乳幼児検診を受けて早15年、20年、ある日、ある出来事から、「何か違う」と気づく高機能の広汎性発達障害やその特性のある子どもさんを持つ親御さんがとても多いことがはっきりしてきたと思います。かつては1,000人に1人とか言われていた自閉症の発症率ですが、高機能群と言われる、一定成長するまで気づけない特性が薄かったりIQの高さで苦手さをカバーできていたりする人たちの割合は10人に1人とも2人とも、それ以上とも言われる昨今です。
         「そういえば保育園でみんなと離れて一人砂いじりばかりしてました」「友達はいたようですが、だんだんと減って、今は誰もいません」「納得すればするんですが、そうでないと頑としてしない」「買い物に行って、2つのうちの1つを選ぶのに1時間以上かかるんです」などなど。広汎性発達障害の特性は、生育歴の中に多く散りばめられているものです。それも個性…、なのですが、社会的な許容値を超えると、「どこか変…」扱いされてしまい、本人さんもうまく行かないことで(言葉や態度に出さないものの)ストレスを溜め、自尊感情をどんどんと低める体験を積み重ねて行っていることに、なかなか気づけないものです。
         思春期という人としてのビッグなハードル。さまざまな課題を乗り越え、自我形成をしていく大切な時期ですが、他者(友達や教師や親や周囲の人たち)との関係性の中で乗り越える課題が多いもので、その他者との関係性を苦手とする人にとって、このビッグなハードルを乗り越えるのに長い長い時間を必要とする人がいることを知っておいてほしいと思います。持って生まれた特性としての凸凹に加えて、生育環境の中で蓄積したストレスやトラウマ、そして主に思春期以降で生じる精神的発達の凸凹などが重なり、不安や焦りを処理することができずにさまざまな「問題」行動化することも少なくありません。
         人の精神にはいわゆる容量というものがあると考えると、容量に余裕がなくなってしまった時(些細な出来事でその時は訪れます)、パニックを起こしたり、「問題」行動化したり、親御さんにしてみれば「何で???」という事態が生じます。
         一時のこと、と「見守る」ことが必要な場合ももちろんあると思いますが、ベースに生得的な発達面の凸凹があるとすれば、見守っていても何の解決にもならないばかりか、嫌悪体験をさらに積み重ねることになりかねません。
         成人の発達障害について、相談したり、診察・検査・診断を受けられる相談機関や医療機関は、極めて少ないのが現状ですが、(いつまで法的効力が続くかわからない)障害者自立支援法や発達障害者支援法によれば、保健所や都道府県・政令市の発達障害者支援センターが公共の相談窓口になってはいます。ただ、予算面や人材面で、親御さんの不安に十分に応える体制やアウトリーチする社会資源を持っていない所もすくなくありません。
         そして、発達障害についての十分な理解のない精神科、心療内科、カウンセリングルームなどへの「とりあえず受診・相談」も、誤診・誤薬、不適切な対応のアドバイスを受け、以前よりも状態が悪くなった、というケースも多いので、「とりあえず」ではなく、「よく調べて」、成人の発達障害とその関わり方などについてしっかりと学ばれ理解のある支援者とつながって欲しいと思います。
         ちなみに、私もその「理解ある支援者」であることを自身に科している一人ですので、お近くの方はぜひ、ご連絡を…<(_ _)>。
         それでは、最近の気になる記事です。

        「国保」「被用者保険」に再編…後期高齢医療

         75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の廃止に向け、厚生労働省が検討している新制度の骨格案が明らかになった。
         自営業者や無職者のための国民健康保険(国保)への加入を基本とするが、サラリーマンやその配偶者らは国保ではなく、被用者保険に入ることが柱だ。
         骨格案は、23日に開かれる長妻厚労相主宰の「高齢者医療制度改革会議」に中間取りまとめ案として提示される。同会議は年末までに最終案をまとめる予定で政府は2013年度から新制度に移行する考えだ。
         75歳以上を一律に別建ての制度に加入させる現行の後期高齢者医療制度は、年齢による区分に「差別だ」という批判が出ていた。これを受け、新制度では、高齢者の加入先を現役世代と同じく国保と被用者保険とする。全員が国保に入ることも検討されたが、サラリーマンのまま国保に入った場合の負担増などを考慮し、加入先を二つに分けた。
         後期高齢者医療制度の前の老人保健制度でも高齢者は国保か被用者保険に加入していたが、高齢者の多額の医療費を高齢者と現役世代がどんな割合で負担しているかは不明確だった。こうした事態を避けるため、新制度では現行制度と同様、高齢者の加入部分は都道府県単位で運営し、現役世代と別会計とする方向だ。患者負担分を除いた医療費「医療給付費」の1割相当を高齢者からの保険料でまかなう仕組みも継続される見通しで、新制度でも高齢者の保険料負担が増えないようにする。
         新制度では、家族と保険証が別になったり、年金から保険料が天引きされたりという、現行制度の不都合が解消される見通しだ。
         ただ、今年度は約12兆円で、5年後には約15兆円に膨らむとされる高齢者の医療給付費をどう分担するかは、詳細には決まっていない。現在は公費5割、現役世代の支援金4割、高齢者の保険料1割となっている。現役世代の支援は続く見通しだが、同会議では公費負担拡充による現役世代の負担軽減を望む声も強い。
         ◆会社員らが加入◆
         ◇被用者保険=会社ごとや職業ごとに設けられた公的医療保険。大企業のサラリーマンとその家族が加入できる健康保険組合、中小企業対象の全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)、公務員らの共済組合などがある。
        (読売新聞)2010年7月18日03時07分

        ●目が覚めたら言葉がイギリス訛りに、ニュージーランド女性
         ある朝、ニュージーランドの女性が目覚めると、自分が話す言葉がイギリスの地方訛(なま)りになっていた――。13日の地元紙サウスランド・タイムズ(SouthlandTimes)が伝えた。
         この女性は、ニュージーランド南部インバーカーギル(Invercargill)に住む多発性硬化症患者のブランウィン・フォックス(BronwynFox)さん。ある朝、目覚めてみると、英国のスコットランドやウェールズ、ロンドン北部各地の訛りが混ざった英語を話していることに気付いた。フォックスさんは祖父母の代からニュージーランドに住んでおり、英国を訪れたことは一度もない。
         病院へ行きMRI(磁気共鳴画像装置)検査を行ったところ、後頭部の脳に損傷の形跡が2か所認められた。医師は、この損傷がフォックスさんの訛りの原因である可能性が高いと診断したが、それ以上はどうすることもできないという。
         フォックスさんが、その後はじめて友人に電話をかけたときには、いたずら電話と思われて切られてしまったという。
        ■「外国語様アクセント症候群」という病気
         また、どこから来たのかと聞かれて出身地の「ウィントン(Winton、ニュージーランドの街)」と答えると、「いや、そうではなくて、元々はどこの国の出身なの?」と言われてしまったという。フォックスさんは、「訛りが脳の損傷のせいだとは誰も思いつきもしないようです」と、やはりイギリス風の発音で同紙のインタビューに答えた。
         だが、フォックスさんの夫のレックス(Rex)さんはさほど気にしていない。「結構、楽しませてもらっているよ。平凡な日常がちょっと明るくなったね」
         フォックスさんを悩ませる「外国語様アクセント症候群(ForeignAccentSyndrome、FAS)」は、脳の言語をつかさどる部分での損傷が原因と考えられている。だが、1907年に最初の症例が記録されて以来、これまでに公式に確認された患者は少ない。
         その少ない症例としては、脳卒中の後にフランス訛りの英語を話すようになったイギリス人女性、頭部に被弾した後にドイツ訛りになったノルウェー人女性などの例があり、今年になってからも、片頭痛の後、英語が中国語訛りになったイギリス人女性の例が報告されている。©(AFP)2010年07月13日15:02 発信地:ウェリントン/ニュージーランド

        ●最低賃金改定 まず時給800円実現を
         今年の最低賃金改定は政府が最賃の目標数値を設定したり企業業績も回復するなど、追い風の中にある。企業側は引き上げに難色を示すが、賃金を底上げして暮らしと景気を確実に回復させたい。
         前三月期決算で一億円以上の報酬を受け取った上場企業の役員は二百人以上−。そんな世界とは懸け離れた苦境に置かれているのが低賃金で働く労働者だ。こちらは一円、十円の賃上げに生活が懸かっている。
         最低賃金は国が賃金の最低水準を決め、使用者はそれ以上の賃金を労働者に支払わなければならない制度である。生活保護、基礎年金とともに国民の暮らしを守る安全網の一つとなっている。
         毎年七月末をめどに中央最低賃金審議会が地域別最低賃金の引き上げ幅の「目安」を答申。その後、地方最低賃金審議会が地域の実情を踏まえた最賃額を決める。効力が発効するのは十月以降だ。
         現在の最賃は全国加重平均で時給七百十三円。東京都が七百九十一円で一番高く愛知県も七百三十二円と高めだ。最低は長崎、佐賀、宮崎、沖縄各県の六百二十九円。地方との格差が目立つ。
         最賃は生活保護の給付水準(時給換算)を下回ってはならないことになっているが今年は千葉、秋田両県が加わり、東京都や埼玉、神奈川、北海道など全国で十二都道府県で逆転現象が起きた。
         こうした状況の中で、今年は政府が最賃の目標を示したことが特徴だ。六月に閣議決定した新成長戦略では最賃について「できる限り早期に全国最低八百円を確保し景気状況に配慮しつつ全国平均千円を目指す」と明記した。「雇用戦略対話」でも確認している。
         ただ、最賃引き上げの鍵を握る中小企業の姿勢は厳しい。景気回復と業績好転は好材料だが、最賃アップはコスト増となり事業縮小や倒産を招きかねない。海外委託にも拍車がかかる−と、地方ほど抵抗感が強い。
         経営者は冷静に考えてほしい。最低水準の賃金を払えない企業に将来はあるのか。時給八百円が実現しても、年間二千時間労働で年収は百六十万円である。
         千葉県野田市のように、自治体が発注する公共事業や委託事業で受注企業に対して最賃以上の賃金支払いを義務付ける「公契約条例」を制定したところもある。
         民間労働者の賃金水準を確保して官製ワーキングプア(働く貧困層)の発生を防ぐ動きだ。国レベルでも検討してもらいたい。
        (東京新聞)2010年7月19日

        ●「ザ・ブルーハーツ」の元ドラマー、フリースクールで若者たちと演奏へ/横浜
         不登校の子どもたちを受け入れている横浜市青葉区のフリースクールが開く和太鼓の演奏イベントに、かつての人気ロックバンド「ザ・ブルーハーツ」の元ドラマー、梶原徹也さん(46)が参加する。自分のエネルギーに気付いて—。心に傷を持っていた若者に、一時期不登校だった高校生時代の自分の姿を重ねながら、18日の本番に向けて練習に汗を流す。
         ブルーハーツは1987年にデビューした4人グループ。「リンダ リンダ」「人にやさしく」「TRAIN—TRAIN」などのヒット曲を生み、95年に解散した。
         強いリズムでバンドを支えた梶原さんだが、高校生時代には半年ほど学校に行けなかった時期がある。「布団をかぶってラジカセを抱えて、ジョン・レノンや(パンクロックバンドの)クラッシュを聴いていた」。ロックに教えられた「そのままの自分でいい」とのメッセージを伝えたい—。解散後は自身のバンドやプロデュース活動の傍ら、フリースクールでの音楽講座に携わってきた。
         知人に紹介されたのは、和太鼓演奏を授業に取り入れているフリースクール「のむぎ」。毎年の夏祭りで卒業生が披露する演奏に、3年前から参加。太鼓の響きに、ドラムのアクセントを添えている。
         かつては心の傷に悩んでいた若者たちが元気にばちを振るう姿が、武道館のコンサート時にドラムセットから見えていた最前列の聴衆に重なって見える。「誰もが持っているエネルギーを解放するための”触媒”になれたらと思います」
         のむぎ「夏まつり」は18日午後2時~8時半、横浜市青葉区桜台「桜台公園」。東急線青葉台駅からバスで「公園前」下車。
        カナロコ(カナロコ)7月15日12時15分配信

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        [2010.7.11]

        【この頃思うこと】発達障害のある人の感覚過敏にもっと理解を。

         聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚、さらには気配や空気の動きなど、シングルフォーカスの傾向の強い発達障害のある人にとって、何らかの過敏さや反対に鈍感さがあるようです。
         先日カウンセリングした青年は、半分以上の時間を自宅周辺の音のうるささについて語ることに使いました。
         相談室に、シャープのプラズマイオンクラスターの一番小さいタイプをつけているのですが、構造はよくわかりませんが、確かに小さな音がしています。その音が我慢できない…と。エアコンもつけていて、そちらの方が音は大きいのですが、それは暑いので我慢するしかない、と納得します。そして、外の車やバイクのエンジン音など。結論的に、彼にとって一番うるさいのは、マフラーを改造して排気音を強調して楽しんでいる若者たちの原付バイクの音であると、決着がつきましたが…。自宅近くの電車の踏切待ちで車やバイクがブレーキをかけて止まったり、エンジン音が車の台数だけ増えていくと、軍隊が襲ってくるような音量で聞こえるそうです。
         それによって、できなくなるのが、集中して考えること。発生するのがイライラ感です。
         他の、臭いや味、皮膚感覚なども、人によっては同様に耐え難いものである場合があります。
         集中できない、落ち着けない、安心できない、などの日々の生活場面の基盤に、生きていける安全な環境が保証されていないわけですから、自分を守ることだけで毎日疲れ果ててしまっている、ということです。
         そんな状態で、同級生や同年齢の人と比較されたり、「普通は…」とできてないことを指摘・非難されたりし続けたとしたら、自尊心など保ちようがありませんよね。
         「我慢しなさい」は通用しません。正常域の聴覚の人が、都会の大きめの踏切近くで、半日仕事でも読書でも詩作でもやり続けてみれば、それらが不可能であることは、すぐにわかります。
         発達障害のある人それぞれの障害特性を、しっかり理解することなしの「支援」は、不十分であるだけでなく、時にはその人の生きづらさを増長させてしまう恐れすらあります。まずしっかりと理解できるよう、何でも聞ける、話せる関係性づくりを大切にしたいと思います。
         それから、余談ですが、Twitterというものを始めてみました。まだよくわかっていませんが、「kinopy1961」という名前でポソポソと書いていますので、暇だったら見てやってください。
         それでは、最近の気になる記事です。

        逃げ場がないネットいじめ、日常生活にも深刻な影響

         コンピューターや携帯電話を使った「ネットいじめ」は逃げ場がなく、子供の日常生活に深刻な影響を及ぼしているとの調査結果をフィンランドの研究者がまとめ、米精神医学誌に発表した。
        調査はフィンランドのトゥルク大学の研究者が、7年生(日本の中学1年生に相当)と9年生(同中学3年生に相当)約2200人を対象に実施、ネットいじめが与える社会的、心理的な影響を分析した。
         その結果、繰り返しネットいじめに遭っている子供の大半が、頭痛や肉体的苦痛、不眠を訴えるなど、日常生活に深刻な支障をきたしていることが分かった。身の危険を感じると答えた子供も4人に1人に上った。
         子供が感じる危機感は従来のいじめよりも、ネットいじめの方が大きいと研究者は述べ、「従来のいじめは学校が舞台であり、少なくとも家に帰れば安全だった。しかしネットいじめの場合、24時間年中無休で携帯電話にメッセージを残したり、電子メールを送信したりすることができてしまう」と分析している。
         一方、いじめる側も情緒的な問題などを抱え、気分が過度に高ぶったり、人と仲良くしたりできないなどの問題を訴えていることが分かった。頻繁に飲酒する傾向も見られたという。
         ネットいじめは子供の心に傷を残す恐れがあり、効果的な対策についての研究にもっと力を入れる必要があると研究者は訴えている。
        (CNN)2010.07.06

        ●参院選ルポ:大阪 授業料無償化 対象外フリースクール「少数の声も聞いて」 /大阪
         4月から始まった高校の授業料無償化。低所得世帯の子どもに学習の機会が保障された一方、不登校の生徒らが通うフリースクールは対象から外れている。参院選(11日投開票)のマニフェストで、この問題に触れた主要政党はない。「最小不幸社会」を掲げる菅直人首相に、多様な学びの場を求める子どもたちの姿はどう映っているのか。
            ◇
         7月初旬、オフィスビル2階にあるフリースクール「フォロ」(大阪市中央区)では、年齢や男女に関係なく、子どもたちが机を囲んで談笑していた。同校は不登校の子を持つ親が01年に設立。さまざまな理由で、学校以外に居場所を必要とする小中高校年齢の子どもたち24人が、府内外から通う。
         教育方針は「いるだけで、いい」。何時に来て帰るか、何をするかは子どもが自由に決める。「道から外れないように」と学校で頑張り続けた結果、自分を見失ったり自信を無くした子どもに安心できる場をとの思いが込められている。1年半前から通う女子生徒(17)は「みんなで一緒に笑ったり話をしたり、もう一つの家みたいな感じ」と笑顔で話す。
         高等部には、高校を中退したり不登校になるなどした8人が在籍する。会費は月2万3100円、入会金は4万2000円と安くはない。経済的理由で辞めていく生徒もおり、代表の花井紀子さん(43)は「安心して通える場としてつくったのに、つらい」と明かす。
         収入の大部分は会費に頼っている。「子どもが一人でも通いやすいように」と都市部の駅近郊に開いた教室(約200平方メートル)の家賃約40万円とパート職員3人分の給与を支払えば、ほとんど余裕はない。
         花井代表は「高校進学率がほぼ100%なので、通いたくても通えない子や通う意欲を持てない子への視点が政策から抜け落ちている」と指摘。「少数の声にも耳を傾け、家以外に安心して人とつながれる居場所を求めている子どもも救ってほしい」と訴える。
        (毎日新聞)7月9日13時6分配信

        ●<自殺者数>上半期、全国で7.4%減少…警察庁まとめ
         今年上半期(1~6月)の全国の自殺者数が前年同期より7.4%減ったことが警察庁のまとめ(速報値)でわかった。月別の自殺者は昨年9月から10カ月連続して前年を下回っている。まとめによると、今年上半期の自殺者は1万5906人で前年同期より1280人減った。月別では▽1月2520人(前年同月比147人減)▽2月2437人(同53人減)▽3月2932人(同171人減)▽4月2555人(同511人減)▽5月2704人(同299人減)▽6月2758人(同99人減)。
        (毎日新聞)7月6日20時15分配信
        軽い追突事故しちゃいました(>…。
        2010/06/26
        疲れてたのでしょう。間違いなく疲れてました。渋滞した国道。ちょっと進んでは止まる。ちょっと進んでは…。前の車が止まっていました。慌ててブレーキを踏み込みました。残ね~ん(×_×)。
        間に合いませんでした。
         相手は8人乗りぐらいのワゴン車で、しかも業務用車。バンパーが頑丈です。少し凹んだのは凹みましたが、バンパーの交換で済むのではないかと思います。こちらはそうはいきません。何せコンパクトカー:マツダDEMIO。指で押せば、ボディーが凹むほど、衝撃吸収力抜群の車です。
         今回は、幸いラジエーターそのものに影響がない程度の凹み方でしたが、ボンネット、特に右前車輪の上部分が見事に衝撃を吸収。運転席のドアは、半分も開かない状態に…。ライト、ウインカーなどは異常なし。警察も、物損事故として処理。現場検証もなし。減点はあるのかないのか、もしかしたらないかも…(∩.∩)。
         問題は修理代ですね。保険料をケチっていたので、車両保険に入っていません。修理に出してきましたが、月収以上の修理費になりそうです(゜ロ)ギョェ。
         スバルが、「追突しない車」を売り出しています。やっぱ、あれかな? 遅ればせながら、ドライブレコーダーを注文しました。
         車検、車の任意保険料、パソコン修理、iMac買い換え、iPad、府・市民税、と払い続け、その上の修理費。自己破産寸前状態の報告でした。
         そうそう、放送大学のラジオ授業を、学生はネットで聴くことができます。それぞれの授業にURLがあり、asx音声ファイルを開くことができます。WindowsMediaPlayerが標準的なアプリになりますが、iPadのWunderRadioという無料アプリをダウンロードして、各授業のURLにアクセスすれば、バッチリ授業が始まります。お陰で、時間のできた時に、遅れを取り戻しているところです。あ、これ公開したらまずかったかな…(^。^)。
         それでは、最近の気になる記事です。

        <障がい者福祉法>たたき台を公表 総合福祉部会

         障害者自立支援法に代わる「障がい者総合福祉法」(仮称)を議論する政府の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会は22日、論点のたたき台を公表した。(1)法の目的、理念(2)障害の範囲(3)サービスや支援の選択と決定のあり方−−など9分野で約80項目。部会で議論したうえで、9月からは分科会でも討議し、12年の通常国会への法案提出を目指す。
         (1)は「すべての障害者が自ら選択した地域で生活する権利」と明記し、その実現のため制度をどうするかなどを議論する。(2)は障害をどう定義するかや、発達障害や難病をどう規定するかが課題。(3)は現行の障害程度区分を廃止後、どう決定するかの問題だ。
         また法案実現のための環境整備については、サービスの地域差拡大が懸念されることから、「国と地方の役割」も論点に加える。
        (毎日新聞)6月22日23時47分配信

        ●障害暫定改正法案:衆院委で可決…発達障害も対象に
         障害者自立支援法の廃止に伴う新法制定(13年8月)までの暫定改正法案が28日、衆院厚生労働委員会で可決された。サービス量に応じた応益負担ではなく支払い能力に応じた応能負担とし、発達障害を対象とすることなどを盛り込んだ。障害者らで構成する政府の障がい者制度改革推進会議で新制度について議論を進めているさなかだけに、障害者団体幹部は「障害者中心に新法を作る流れが中断されてはならない」と語気を強めている。
         改正法案には▽判断能力の不十分な知的障害者らのために成年後見の利用支援を市町村の必須事業にする▽福祉サービス支給決定前に当事者の意向を反映する仕組みの拡充--なども盛り込んだ。国会で成立すれば12年4月に完全施行される。
        (毎日新聞)2010年5月28日 21時16分

        ●向精神薬の処方で注意喚起—厚労省
         厚生労働省は6月24日、向精神薬の適切な処方について、都道府県や日本医師会などにあてて通知を出した。自殺傾向が認められる患者に向精神薬などを処方する場合は、個々の患者の状況を踏まえて投与日数や投与量に注意を払うなど、一層の配慮を行うよう、管下医療機関や会員に周知するよう求めている。
         自殺予防のための介入ポイントなどを明らかにするため、厚労省の「こころの健康科学研究事業」の研究グループが行った調査では、自殺で死亡した事例の特徴などを分析したところ、死亡前1年間に精神科や心療内科の受診歴があった38件のうち、57.8%が自殺時に治療目的で処方された向精神薬を過量摂取していた。
         報告書では、「本来治療薬として医師から処方された向精神薬が、むしろ自殺行動を後押しする道具として用いられた可能性を示唆する」「向精神薬の過量接種そのものは比較的致死性の低い自己破壊的な手段・方法であるが、脱抑制効果のために、致死的な自殺行動を促進することが知られている」と説明している。
         今回の通知は、報告書の内容や、向精神薬の適切な処方について国民の関心が高まっていることなどを受けて出された。
        (医療介護CBニュース)6月25日20時19分配信

        ●<過量服薬>救急出動、10年で2倍 厚労省が実態調査へ
         自殺や自傷目的で向精神薬などの薬物を大量に飲んだとして消防が救急出動した件数が東京都と3政令市で08年までの10年間で約2倍に増えたことが毎日新聞の調べで分かった。向精神薬を主に処方する精神科や心療内科の診療所が同時期に1.5倍に急増し、受診の機会が増えたことが背景にあるとみられる。厚生労働省研究班も向精神薬乱用の実態調査に乗り出した。
         本紙調査は東京都と政令市、県庁所在地の計52自治体の消防局と消防本部に実施。自殺や自傷目的で向精神薬や市販薬を過量服薬したとして救急出動した件数(一部は搬送件数。農薬など毒物もわずかに含む)を尋ね、7割にあたる37都市から回答を得た。うち99~08年の10年間のデータを回答した札幌市、東京都、大阪市、北九州市の4都市について出動件数の推移をまとめた。
         調査結果によると4都市の救急出動総数は05年の96万9517件をピークに減少、08年は05年比で約1割減った。一方、過量服薬による出動は99年は2217件だったが、05年に4000件を超え08年に過去最多の4213件となった。08年の36都市(09年分のみ回答した山口市を除く)の過量服薬による出動は計8424件だった。
        (毎日新聞)6月25日2時34分配信

        ●自殺者12年連続3万人超
         内閣府は6月11日、2010年版「自殺対策白書」を発表した。それによると、昨年の自殺者は3万2845人で、12年連続で3万人を超えた。
         白書では、宮崎県のインターネットを活用した相談事業など、地域の先進事例16件を紹介。また、自殺死亡率を減少させた「自殺対策の先進国」としてフィンランドを紹介している。
         白書は07年から発表しており、今回が4回目。政府は今年2月の自殺総合対策会議で「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を策定し、国および地方による積極的な施策が必要としている。
         政府はこれまで、例えば自殺の原因・動機で最も多い「健康問題」について、「かかりつけ医のうつ病対応力向上研修」などを実施してきた。ただ、現在の自殺をめぐる厳しい状況を踏まえ、緊急プランでは新たに「うつ病の診療技術の向上」「精神科医と救急医の連携強化」などを打ち出している。
         また介護では、地域包括支援センターを中心とした相談体制の確立が必要とし、ケアマネジャーなど介護サービスの従事者の研修などを通じ、高齢者の自殺予防に関する知識の普及を図ってきた。
         今後は緊急プランに基づく各府省の取り組みを強化する一方で、自殺関連のデータの蓄積と分析を進めながら地域ごとの対策を推進。12年に政府の自殺対策の指針である「自殺総合対策大綱」を見直すことを視野に、国の対策の効果についても検証する。
        ( キャリアブレイン ) 2010年06月11日 14:21

        ●中3男子自殺で学校側、いじめがあったことを認める/川崎
         今月7日に川崎市多摩区にある市立中学3年の男子生徒(14)が「友人のいじめを救えなかった」などと記した遺書を残し自殺した問題で、生徒が指摘するようないじめがあったことを学校側が認め、同校校長が全校集会で謝罪していたことが23日、分かった。全校生徒への聞き取り調査などから判明したという。
         学校関係者によると、全校集会は22日に開かれ、校長が「いじめがあったことに気が付けず、大変申し訳なかった」と謝罪。さらに「あってはならないこと。なくなるよう真剣に取り組んでいきたい」と伝えたという。
         同校は、関係者や保護者、有識者らでつくる調査委員会を設置。生徒が亡くなった約1週間後から、全校生徒を対象に聞き取りを行ってきた。神奈川新聞社の取材に対し、校長は「最終的な結論は出ていないが、聞き取りなどから、いじめがあることは間違いないと判断した。子どもたちの方が知っていることもあり、学校側が『知らない』という態度では逆に生徒に不信感を与えると思った」と説明した。
         調査は現在も継続中。「いじめの存在が、亡くなった生徒にどう影響を与えたのかは分からない」と校長は話している。
        (カナロコ)6月24日8時0分配信

        ●<就業支援>ニート、不登校の若者にパソコン教室 自信付け就業のきっかけに
         パソコンが苦手な若者向けのIT講習会が、首都圏5カ所の「若者サポートステーション」で始まっている。不登校や引きこもりでパソコン習得の機会を逃した15~39歳の男女が対象で、仕事で一般的に使うワープロソフトや表計算ソフトを学ぶ入門編から実施。受講希望の問い合わせが予想以上に多く、関心が高いという。7月下旬からデータベースソフト、ホームページ制作の講習を始める。
         講習会は、マイクロソフトがビジネス向けのソフトを提供し、ステーションを運営するNPOと共同で講習用のテキストを開発。NPO職員を講師として養成し、外部講師を招かなくても、NPOが自立的に講習会を開ける。
         ◇パソコン苦手 応募すらできない
         「マウスの右側をクリックしてください」。講師の岩田博次さんがマウスを掲げて説明する。東京都立川市のサポートステーションで5月、開講した「じっくりコース」は、ワープロソフトと表計算ソフト、プレゼンテーションソフトを全7回かけて学ぶ初心者向け講座。初日はキーボードやマウス、ワープロソフトの説明から始まった。講義は1回3時間だが、参加者は疲れもみせず真剣に聞いていた。
         この日の受講者は18~38歳までの男女8人。半数は家にパソコンがあるが、「学校で学んでいない」「ネットを見るくらいしか使っていない」ため、ワープロソフトなどは使えない。「就職の面接で聞かれたが、使えると言えなかった」「必要と書いてあったら、その時点で、その会社に応募することは考えない」と話す受講生も。受講した男性(30)は「大学の途中から自宅に引きこもっていた。まだ仕事探しに踏み出せていない状態だが、(講習会で)扉を開けることができれば」と話した。
         同サポートステーションを運営するNPO法人「育て上げネット」若年支援事業部の井村良英・地域担当部長は「仕事を探している若者につきそってハローワークに行くと、就業条件として、『ワープロソフトや表計算ソフトが必要』と言われることが多く、応募すらできない」と話す。実際に必要なのは簡単な入力作業でも、応募をあきらめてしまう若者が多いという。これまでサポートステーションではテキストや講師のなり手がなく、パソコン講座を開くことは難しかった。
         井村部長は「ウェブサイトを見たり、メールを使ったことはあっても、面接で『ワープロソフトが使える』とは言えない。少しでもソフトに触れた経験が自信になり、就業機会は大幅に増える」と期待する。
         立川では現在、全コースが初心者向けで、じっくりコースのほか、就職活動と並行して通えるように、速習コースなどがある。参加者は20代前半が多く、毎回ほぼ満員という。
         講習会は今年度、立川市のほか東京都三鷹市、同足立区、横浜市、川崎市で実施。コースはステーションによって違う。受講は無料。2011年は全国20カ所を公募し、計25カ所に広げる予定。ステーションでは、就職相談や職場体験の機会も提供する。受講後6カ月の時点で、受講者の3割が就職するか、進路を決めて職業訓練を始めることが目標。2年間で6000人が受講することを目指す。
        (毎日新聞)6月24日21時57分配信

        ●門川市長 証人尋問へ 京都地裁 書籍購入の住民訴訟で

         京都市教育委員会が2008年の市長選前、立候補を予定していた門川大作市長の教育長時代の談話が載った市販本を公費で購入し、市内の小中学校などに配った問題をめぐる住民訴訟で、京都地裁の瀧華聡之裁判長は22日の口頭弁論で、門川市長の証人尋問を決定した。10月19日に行われる予定。
         住民団体は「本の内容は選挙スローガンと同一で、配布は選挙目的」として市長ら当時の市教委幹部3人に約200万円の返還を求めており、「市長は購入を決めた会議にも参加しており、書籍作成や公費支出の経緯について確認する必要がある」と証人尋問を請求していた。
         市教委側は「市教委の広報目的で、市長選とは無関係だ」と争い、「尋問は必要ない」と主張していた。
         市長のほか、市職員や出版社の社長ら3人の証人尋問をする。
        (京都新聞)6月23日8時59分配信
        しばらく悪戦苦闘していました。
        2010/06/13
        前回の更新から1ヶ月経ってしまいました。したくてもできない事態が発生していたのです。
         きっかけになったのはAppleのiPad。事前にStoreに注文しておいたので、5月28に届くことになっていました。だから事前の準備…、これがトラブルの発端です。
         iPadの魅力の1つが、Mobile Meを利用しての、パソコンとの予定表やアドレス帳、メール、ブックマークなどの同期です。どちらかで変更すれば、自動的に同期=同じ情報になるという機能です。ただし、MacのOSが10.5以降にしか対応していないとのことで、10.4で使っていたiMac G5を10.5にアップする必要が生じ、Apple Store、Apple Japanなどに確認すると、スペック的には大丈夫とのことだったので10.5を注文、届くとすぐアップデートを開始。そして、それが途中で「…失敗しました」との表示。以後、まったく起動しなくなりました。
         iPadを諦めるわけにもいかず、iMac G5のjoshin電気さんの5年間保証は3月で切れたところ(ダメ元で電話しましたが、無理とのこと(/_;))。Appleに修理を依頼するだけで5万円近くかかるし、ハードディスクのデータは、初期化されることになる確率が大きいので、ネットで探した近所のパソコン修理屋さんに依頼し、清水の舞台からバンジージャンプをする思いで最新のiMac(一番安いやつ)を注文しました(これもiPadを安定的に使うため)。修理屋さんは頑張りました。2日で見事に完全修復。修理代は高く(と言っても良心的な料金だと思います)つきましたが、会計データやメールの送受信データ、アドレス帳、そしてなんと言っても大切な個人情報(クライエントさんのもので、一応バックアップはありますが)が、復活(?)しました。
         新しいiMacが届いて、旧iMacからの各種データの移行、OSが10.6なので、使えなくなったアプリの買い換え(会計ソフト、HP作成ソフトなど安めのものだけ)、基本設定などなど。そしてiPadの設定とアプリの追加。事務所の建物内の無線LANは無事にひろえましたが、自宅が一苦労でした。
         自宅は、3月にやっと光ネクストに換えたところで、これまたiPadのために古い古いG4にOS10.5を入れ(動くんですね)て一応の開通、そして無線LANルーターの追加接続でつまづきました。
         NTT、ルーターのメーカー、プロバイダーに問い合わせすれど、電波は飛ばず、あげく光ネクストの終末端末機器の初期化、無線LANルーターの初期化までして、毎夜深夜近くまで悪戦苦闘。だんだんとわかってきて、昨夜やっと開通できたところです。NTT西日本、NEC、京都inetのサポート担当のみなさま、おさわがせしました。みなさんの、スポットでのサポートのお陰で、やりたかったことが実現できましたし、たくさんの勉強ができました。ありがとうございました。
         というようなわけで、久しぶりの更新ができることになった次第です。
         それでは、最近の気になる記事です。

        中3男子が自宅で自殺、「いじめ救えなかった」と遺書/川崎

         川崎市多摩区にある市立中学3年の男子生徒(14)が、「友人のいじめを救えなかった」などと記した遺書を残し、麻生区の自宅で自殺していたことが9日、分かった。薬品による中毒死とみられ、麻生署や学校関係者が背景などを慎重に調べている。同市教育委員会が明らかにした。
         同署によると、7日午後4時50分ごろ、帰宅した母親(44)が、生徒が自宅トイレ内であおむけに倒れているのを発見。すでに心肺停止状態で、救急搬送されたが間もなく死亡が確認された。トイレ内には薬品容器2本とバケツが残っており、硫化水素による自殺とみられる。
         トイレ内にはA4判1枚にまとめられた手書きの遺書も残されていた。文中には「友人のいじめを救えなかった」などとする記述があり、特定の生徒の名前も記されていた。同署は、校内の友人がいじめ被害を受けていたことを苦にしていたとみている。遺書には、自身の生い立ちを振り返る内容や、両親への感謝の気持ちなども書かれていた。
         男子生徒は6日まで修学旅行に参加しており、7日は代休だった。同市教委は会見で「亡くなった生徒の冥福を祈るとともに、ご家族の方にお悔やみを申し上げます」とした上で、「悩んでいた様子や修学旅行中のトラブルなども聞いていない。学校内でいじめの事実があったかどうかはこれから調査し、確認していきたい」と話した。
         同校では9日朝に全校集会が開かれ、校長が男子生徒が亡くなったことを報告。声を上げて泣きだす生徒の姿もあったという。市教委は「カウンセラーを派遣して、生徒たちの心のケアに努めたい」としている。
        (カナロコ)6月10日0時30分配信

        ●20年間で発達障害の未就学児10倍 福岡市
         自閉症や学習障害など「発達障害」とされる子供の増加が指摘されるなか、福岡市で、発達障害と診断される未就学児(0~5歳)の数が10年間で約1.5倍、20年間では10倍超になっていることがわかった。専門家は「診断基準を理解できる医師が増えたため」と説明するが、発生要因は学界などでも結論が出ておらず、教育や医療、福祉などの分野を超えた取り組みが急務となっている。
         福岡市によると、発達障害と診断された未就学児は平成元年の33人から、7年には124人に増加。14年からは毎年200人を超え、21年は347人に急増した。
         しかし、市内の未就学児の人口は元年の8万9167人をピークに減少。12年には7万5799人まで落ち込み、その後は微増微減を繰り返しながら、21年も7万9142人にとどまっている。
         発達障害児の増加要因について、障害の診断や相談、子供の療育などを行う同市立心身障がい福祉センターの花井敏男センター長は「診断基準の理解が医師に広がり、発達障害そのものが多くの人に認知されるようになったため」と分析する。
         20年から21年にかけての大幅増加については「診断基準をより厳密にあてはめるようにしたことで、以前なら『精神遅滞』と診断していた子供が『発達障害』に加わった」とし、「実際に障害の発生数が増えているのかは軽々に判断できない」と話す。
         発達障害は、集中力が続かなかったり、落ち着きがなさ過ぎたりする注意欠陥多動性障害や自閉症、学習障害など、乳児期から幼児期にかけて現れやすい心身の障害で、各地で増加傾向が報告されている。ただ、原因については生後の環境的な要因、新生児期の低血糖などさまざまな議論がある。
        (産経新聞)6月10日22時2分配信

        ●学習障害の子どもサポート デイジー教科書、京滋で活用広がる
         読むことが困難な学習障害(LD)の児童・生徒を支援する教材として、画面上の文字と連動した音声が聞ける「デイジー教科書」が少しずつ広まっている。カラオケ画面の歌詞のように、読み上げている部分の文章を目立つようにして目で追いやすくし、文字自体の大きさや色も変えられる。文中の語句や行を抜かしたり、文字がにじんだり、鏡文字で見える子どもの読む負担を軽くし、内容の理解に集中できる効果が期待でき、京都、滋賀でも家庭学習や授業で活用が進んでいる。
         LDは、聞いたり、話したり、推論することなどに困難がある。読み書きに対して特に難しさを示す児童・生徒は、文部科学省が小中学校の教員に尋ねた2002年の調査で、2・5%程度いた。
         デイジー教科書は、パソコンや大型テレビの画面に教科書の文章や写真、絵が映し出され、児童・生徒は録音された文章の音声を聞きながら読み進めていく。その際、音声に対応する文章は光るように色が変わって強調される。音声の速さや、文字自体の大きさと色も調整できる。
         各教科書に対応した音声や画面のデータは、日本障害者リハビリテーション協会(東京都)など10団体が作成し、CDなどの記録媒体の実費や送料だけで提供している。
         受け付け窓口でもある協会によると、昨年度当初は100人程度の利用だったが、本年度は既に300人以上から申請があり、国語や社会、理科など130種類以上の教科書の提供を予定している。京都府では40人近く、滋賀県でも数人が利用しているという。
         京都市伏見区の伏見住吉小は、読むことが苦手な児童の家庭学習や通級指導教室で、音読の練習に活用している。担当の村上泰子教諭は「読むことだけで手いっぱいにならず、読解まで進める。読み間違いがなくなり、耳から朗読の技術も身に付くので、人前で話す自信もついている」と効果を話す。
        (京都新聞)6月8日16時59分配信

        ●いじめ言葉監視→通報…学校裏サイト監視システム
         いじめの温床とされるインターネット上の「学校裏サイト」を監視するため、個人を中傷する言葉を自動検索し、教育委員会などに通報するシステムを、京都府立大生命環境科学研究科の吉冨康成教授らの研究グループが開発した。京都市教委は今年度中に一部の学校で試験導入、来年度にも本格運用する方針。文部科学省によると、こうした監視システムは珍しいという。
         吉冨教授らによると、「うざい」「きもい」など184の「誹謗(ひぼう)中傷語」が一定数を超すと、サイト上に「レッドカード」と表示し、市教委や学校にメールで知らせる仕組みで、これを受けた市教委などは、サイトの管理者に削除を依頼する。
         文科省などによると、学校裏サイトなどの「ネットいじめ」は2008年度に約4520件。
        (読売新聞)6月9日11時13分配信

        ●<中3トイレ監禁>昨秋から登校せず 学校「不登校と判断、虐待見抜けず」
         中学3年だった次男(15)を自宅トイレに11日間にわたり監禁したとして、母親の中島まゆみ(47)と内縁の夫の川崎輝久(34)両容疑者が逮捕された事件で、次男が通っていた東京都練馬区の区立中の校長や区教委の吉村潔教育指導課長らが3日会見し、次男が昨年9月以降、学校に姿を見せなくなっていたことを明らかにした。校長は「家庭訪問をし、母親と連絡を取り続けていたが、本人とはほとんど接触できなかった。不登校と判断し、虐待を見抜けなかった」と釈明した。
         会見での説明によると、次男は昨年8月の修学旅行には来たが、9月1日から登校しなくなった。校長や担任が同5日以降、再三にわたり中島容疑者と面談するなどして登校を促したが、中島容疑者は「次男は川崎(容疑者)のところで働いている」などと答え、学校はその言葉を信じていたという。
         次男は11月16日に卒業写真を撮影するため中島容疑者と登校。担任は表情が暗いと感じたが、顔に傷はなく、虐待を疑うことはなかった。今年2月5日には学校に「修学旅行で5人の友達にいじめられた」との内容のファクスが届いた。次男の筆跡とみられたが、言葉の使い方などから、川崎容疑者が書かせた可能性もあるという。学校が調査したところ、いじめの事実は確認されなかった。
         一方、都児童相談センター(新宿区)の担当者は「事件発覚の2月15日に警察から連絡を受けるまで学校から相談はなかった」とし、「関係機関が連携を密にする必要があったと思う」と話した。
         警視庁光が丘署によると、次男は「昨年8月ごろから、角材や模造刀で殴られたり、ガス銃で(プラスチック製の)BB弾を撃たれたりした。体罰が怖くて逃げられなかった」と話しているという。同署は動機を追及、両容疑者が日常的に虐待していたとみて傷害容疑でも捜査している。
        (毎日新聞)6月4日7時31分配信

        ●教師らに大規模アンケート=資質向上策検討に活用—文科省、4万人超と関係団体に
         文部科学省は教員の資質向上策について、現役教師ら関係者4万3000人と、教員養成課程がある国公私立大学や教育委員会といった約2800団体を対象にした大規模アンケート調査を近く実施する。現在の教員免許更新制度や研修の在り方などについて幅広く関係者の意見を聞く。同省によると、教員関係施策に関し、これだけ大規模なアンケート調査を行うのは初めて。
         調査対象は、公立小中高校などの現役教員2万人、学校長1万人、保護者1万人、教員を目指す学生3000人のほか、教員養成課程を設けている全国の864大学と都道府県・市町村の1935教育委員会。月内に質問用紙を発送する。 
        (時事通信)6月7日2時0分配信

        ●大学生の基礎学力低下、提携の高校で補習へ
         大学生の基礎学力の低下が問題となる中、埼玉県の県立高校が来年度から、提携先の大学生を聴講生として受け入れることになった。
         大学が独自に高校レベルの補習を行うケースは増えているが、高校への”差し戻し”は異例。歓迎ムードの教授たちに対し、学生からは「恥ずかしくて通えない」との声も上がっている。
         提携したのは、県立吹上秋桜高校(鴻巣市)と、県内にある大東文化大(東松山市)、ものつくり大(行田市)。高校生が大学で講義を受けるなどの「高大連携」を3月に締結した際、学力不足の学生の受け入れでも合意したという。
         学生は高校生と一緒に授業を受け、授業料は1科目年間1750円前後を想定。対象となる科目や学生など詳細は今後決める。
         学生の学力不足を補うため、補習授業を実施する大学が増えている。文部科学省によると、1996年度の実施大学は572校中52校(約9%)だったが、2007年度は742校中244校(約33%)に上った。
         大東文化大学務局長の山崎俊次教授は「学力は年々下がっているが、講師や教授が高校教員のように基礎を教えられるわけではない。全科目の補習を行うのも難しい」と高校での補習に期待をかける。
         同高は4月に開校した昼夜開講の単位制学校。「地域社会に開かれた学校」を目指し、在校生以外を対象にした科目履修制度もある。「授業は午後9時まで。制服もなく、大学生でも学びやすいはず」と同高。
         大東文化大2年の男子学生(19)は「高校時代は受験に出やすい英単語や古典ぐらいしか勉強しなかった。興味ある科目を勉強できるなら授業を受けてみたい」と歓迎するが、同大1年の女子学生(18)は「高校に通うのは少し恥ずかしい。友達にも言えない」。学生たちには賛否両論のようだ。
        (読売新聞)5月15日6時19分配信
        アスペルガー援助者養成講座 参加者募集開始!
        2010/05/08
        私が副理事長をしているNPO法人ノンラベルが毎年春・秋に開催しているアスペルガー援助者養成講座の第12弾。早くから日程は決まっていましたが、今発達障害への支援のあり方を考える上でどんな情報を提供すべきか、みなさんと議論を深めたいか、悩み、調整を続けてきて、やっと募集案内ができることになりました。
         ノンラベルのホームページ(http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/)に入って頂き、「イベント情報」のページに詳細を紹介しています。チラシのWord及びPDFデータをダウンロードできるようにしてありますので、申込みだけでなく、回りの方にご紹介いただければ幸いです。
         今回のテーマは「アスペルガー障害・青年期・成人期のサポートを具体的に考える」です。
         発達障害のある人をサポートする高校の教頭先生、朝日新聞記者、30代当事者、保護者、そしてノンラベルでの支援の実際などから、生活や人間発達の視点から具体的なサポートのあり方を考えて行きたいと思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        大学生らの「家庭訪問」事業で、不登校生徒の4割が学校に/横浜

         大学生や大学院生が、自宅にひきこもりがちで不登校になった子どもの話し相手や遊び相手になる、横浜市教委の「ハートフルフレンド家庭訪問事業」が効果を上げている。2009年度には、訪問を受けた子どもの4割が学校に通えるようになった。登校できないまでも外出できるようになったケースも含めると、約8割の子どもに改善が認められたという。
         同市教委は、家にひきこもりがちな市内の小・中学生を対象に、1999年度から同事業を始めた。県内や都内の30以上の大学に在籍する学生や院生が「ハートフルフレンド」として登録。アドバイザーの心理学専攻の大学教授や臨床心理士などの指示を受けながら2週間に1度、子どもの家庭を訪問している。
         学生たちは、トランプやゲームなどで子どもと一緒に遊んだり、話し相手になったりして、少しずつ信頼関係を構築していく。
         ここ数年来、事業の認知度が高まり年間100人以上の学生が登録。放課後だったり保健室ならば通える部分登校の子は毎年4割前後を保ち続けている。
         市教委によると、09年度には72人の子どもの家庭に107人の学生が延べ807回訪問。その結果、29人が部分登校できるようになった。学校に行けないまでも、12人が指導員と週1~3回、創作活動や軽スポーツなどをして過ごす「ハートフルスペース」(同市中区、都筑区)に通えるようになった。学校や同スペース以外に外出できるようになった子どもも13人いた。
         市教委によると、09年度に中3だった男子は当初は心を開かなかったが、学生は部屋のドア越しに自己紹介することから始めた。少しずつ関係を築くことで一緒に外出できるようになった。中1の男子も3回目の訪問まで会うことを拒んだ。その後、会話はなくとも会うことは可能に。次第に打ち解け、一緒に電車でハートフルスペースに通えるようになったという。
         同事業が効果を上げる理由について、市教委の担当者は(1)学生は子どもの状況に応じて心理職の専門家からアドバイスを受け、押しつけではない関係を築いている(2)年齢が近いお兄さんお姉さんが一緒に遊びや会話を楽しむことで、対人関係に臆病(おくびょう)だった子どもが他者に興味を持ち外出する勇気を持つようになる―ことを挙げている。
         ハートフルフレンドを希望する学生の問い合わせは、横浜市教育総合相談センター電話045(671)3384=平日のみ。
        (カナロコ)5月8日10時15分配信

        ●「職場のうつ病」GW明けは自殺者が多い?
         仕事のストレスなどで起きる鬱病(うつびょう)などの精神疾患に対し、国が本格的な対策に乗り出している。長妻昭厚生労働相は労働者の健康診断項目に鬱病を加えることが可能か法改正を含め検討を指示。同省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」も、5月中にもまとめる提案に対策を盛り込み、本格的な論議を始める。
         職場の鬱病は増加の一途をたどっている。厚労省によると、平成20年度に仕事などのストレスが原因で鬱病などにかかり労災認定を受けた人は、過去最多となる269人を記録。これは5年前(15年度)に認定を受けた108人の約2・5倍にのぼる。
         長期休暇明けは特に自殺者が多いとされ、17年はゴールデンウイーク明けの5月9日に132人が自殺した。
         こうしたなか、厚労省は今年1月、「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」を設置。悩む人たちにメッセージを出すことの重要性や、相談・支援ができる態勢作りなどについて話し合っている。
         長妻厚労相が鬱病のチェック機能を健康診断に加えられるか検討するよう指示したのは、ここ10年で専門・技術職や管理職の自殺率が急激に上昇していることも背景にあるようだ。
         労働安全衛生法で企業に実施が義務づけられた健康診断は、実施項目も労働安全衛生規則で規定。鬱病チェックを盛り込むためには今後、法改正を検討する必要がある。
         ただ、健康診断で企業が社員の心の病を把握することに、不安感を訴える声も強いという。同省は「本人には分かりにくい鬱病などを周囲が知ることが不利益に働かないよう、考えていかなければならない」と指摘する。
         また、厚労省のホームページ内に働く人のためのメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(http://kokoro.mhlw.go.jp/)を開設。心の健康度や疲労の蓄積度を診断するセルフチェックリストや、本人や家族のための相談機関の案内などをしている。同省では「心の健康確保に役立ててもらえれば」と話している。
        (産経新聞)5月7日0時39分配信

        日本の精神保健の現状を憂うーうつを中心に
        2010/05/04
         GWのど真ん中。事務所で修士論文の準備をしようと出てきています。しかしすごい高速道路の渋滞ですね。昨日、田舎(倉敷)から車で帰ってきましたが、5時間以上かかりました。もっとも、強烈な睡魔に襲われるので(過去、これほどの疲れは感じなかったのですが、危ない危ない)、サービスエリア毎に休憩していたのも影響していますが…。
         さて本題です。うつの診断が母子共におりている母子家庭で、物事がうまく行かないのはすべて母親のせいだ、とわめき続け大混乱の日々、母親は反論すると状態が悪化するため黙って聞き続けるしかない、大混乱の息子に夜を徹しての相手。でもそれも限界とクライシスコール。
         当該市の精神保健の窓口に電話をして、訪問して状況を把握して欲しいと依頼するよう、母親に伝えました。母親はさっそく電話したものの、これまで何度か電話や面接相談で事情はある程度わかってくれているはずなのに、担当者は「通院している病院に行って下さい」「今は人がいないので訪問することはできません」。
         再びクライシスコール。電話の向こうでは大狂乱、泣きわめく声が続きます。母親への軽い暴力や物を投げつけるなどの行動があったため、私は第三者として警察に通報しました。これが2回目の警察の介入です。
         ところが、家に入って話しを聞いた警官は、「息子さんの言う通りにして下さい」「誰か第三者に入ってもらって解決して下さい」「こんなことで警察を呼ばないで下さい」と、あきれるような対応。あなたが第三者ですから~!!
         保健所も、精神保健の所轄の移行で新たな窓口となったセンターも、警察も、「医者に行け」「相談は来てくれれば受け付けます」「血も流れてないのに警察を呼ぶな」といった対応に徹しています。共依存がすすんだ親子関係,密室化した家の中で何が起こっているかを的確に把握し、この後どんな事が予想されるかを考え、事件の未然防止や病状の悪化を止め治療・改善的な方向にどう介入すればいいかなど、積極的な精神保健的な援助の基本がまるでありません。驚くべき惨状です。
         以下で紹介する抗うつ剤と自殺に関する記事でも新たな動きが見られますが、抗うつ剤の副作用や正しい使い方についてはアメリカで2000年頃より疑問視や問題提起が行われています。日本でも2006年に厚労省が以下の指導を行っています。
        <自殺の試み増える恐れ パキシルで厚労省注意喚起>
         厚生労働省は14日までに、抗うつ剤パキシル(一般名・塩酸パロキセチン水和物)の添付文書に「若年の成人で自殺行動のリスクが高くなる可能性が報告されており、投与する場合は注意深く観察すること」との記述を加えるよう指導、製造販売元のグラクソ・スミスクラインは添付文書を改訂した。  米食品医薬品局(FDA)が5月に、同様の警告を発表したことを受けた措置。
         厚労省によると、患者を対象にした海外での臨床試験で、パキシルを服用した3455人中11人(0・32%)が自殺を試みた。偽薬を飲んだ1978人では1人(0・05%)だった。自殺行動は18-30歳で多かった。
        2006/06/14 10:28 【共同通信】
         パキシルは全世界で年間270億ドルの売上となっているそうです。ルボックスやデプロメールなどとともに有名なSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」)です。ルボックスは、1999年にアメリカのコロンバイン高校銃乱射事件の主犯者服用していましたことから、その服用と銃乱射の因果関係が裁判で争われました。結果、ルボックスの製造会社であるアメリカのソルベイ社は、2002年にルボックスの国内販売を中止。このあたりの経緯は『乱造される心の病』(クリストファー・レーン著:河出消防新社)をご覧下さい。パキシルのわかりやすい問題点として、過度のストレスと通常のストレスを区別するだけの選択的効果がないため、身体がストレスと不安を区別できなくなってしまうというものがあるそうです。発達障害のある人では、このストレスと不安の違いや、自分が受けているダメージの大きさがわからないという問題と重なるので、処方はとても難しいものと推測できます。
         SSRIがダメ、と言っているのではありません。必用な状態の人には投与しなければならないでしょう。ただ、その際に、効能や副作用、減薬にあたっての注意事項などの説明は必用です(実際には、短い精神科の診察時間にそんな説明を医師が事細かにしている時間はないのが現実ですが…)。とすれば、服用する側が知識を正確に持つことが大切になります。私もSNRIと気分安定剤、眠剤などを長年服薬(=人体実験)していて、夜の睡眠の安定的確保を目的としています。いわゆる過覚醒、中途・早朝覚醒という睡眠障害といううつの症状緩和のためです。副作用にもいつも気を配っています。
         うつとの関わり方について、いくつか本を紹介します。関心のある方はお読み下さい。理解と正しい関わりを…。
         そういえば、数年前にSAD(社会不安障害)がTVのCMなどで盛んに宣伝され、そうであれば受診と服薬治療が必用だと言われていましたっけ。DSMの「社会恐怖」の別名で、「内気」とどこが違うのかよくわからない、と議論になりました。このSADの治療薬もパキシルが効果が高いとされてきました。こちらは私の人体実験ができないので何とも言えませんが、製薬会社はさぞ儲けられたのだろうと思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        うつ病自殺7割が精神科を受診 「抗うつ薬」安易な服用に懸念

        安易な抗うつ薬の服用は死を招きかねない
         うつ病で自殺した人の7割が精神科を受診しており、その多くは「抗うつ薬」を服用していた。遺族が行った調査でわかった。最近は製薬会社のテレビCMや政府の「うつキャンペーン」のせいもあって、抗うつ薬に抵抗感のない人が増えている。医療関係者の間でも安易な服用を懸念する声があがっている。
         全国自死遺族連絡会が2010年3月までに行った調査によると、自殺者1016人のうち精神科を受診、治療中だった人は701人で、69.0%を占めた。自殺者のうち飛び降り、飛び込みは197人で、自宅のマンションから飛び降り自殺を図った場合は全員が受診していた。また、自殺した20~50歳代女性も100%が通院していた。
         ◇「1日20~40錠の服用はざらにある」
         調査で、自殺者の多くは抗うつ剤を服用していたこともわかった。1回5~7錠を1日3~4回にわたって服用していた。全国自死遺族連絡会の田中幸子さんは、
          「1日20~40錠はざらです。症状がよくならないと、別の病名がどんどん上乗せされていき、その分、薬の量が増えていきます。うつ病は生まれつきではなくて誰もがなり得る病気で、うつになるには原因があるんです。それを解決しないと、いくら薬を飲んでも治りません。頭痛や不眠といった症状は薬の力で助けてもらって、根本の問題はカウンセリングなどで治していくというのが本来の治療なのです」
        と指摘する。
         日本ではカウンセリングには保険診療点数がつかないので赤字になるという理由で、ほとんどの病院で取り入れず、1~3分程度の問診で薬を投与する例が多いという。そして、
          「私たち遺族は、精神科に子どもや家族を行かせなければ、死ななかったかもしれないという自責の念を抱えています」
        と話している。
         内閣府自殺対策推進室は2010年3月から、「お父さん眠れてる?」というキャッチコピーでうつ病防止キャンペーンを行い、2週間以上眠れない日が続いたり、食欲がなく体重が減ったりしている場合にはうつかもしれないので、医者に相談するよう呼びかけている。こうしたキャンペーンを大々的にすることも、安易な服用につながりかねない、と田中さんは危惧する。
          「抗うつ薬を飲むと滑舌が悪くなり、ぼーっとしてきたりして、会社勤めができなくなります。まじめな人ほど病院にかかって、薬をちゃんと飲んで、そういう人ほど亡くなっています。また、若者の間でも服用が広がり、副作用でだるくなって仕事をする気がなくなり、最終的には寝たきりになる人が増えているんです」
        そして、こうアドバイスする。
          「軽いうつ状態なら誰にもあること。まずは少し休んでみたり、おいしいものを食べてみたり、ストレス発散してみたりして、薬で治るという信仰を捨てないと危険です」
         ◇「抗うつ薬ありきという認識を見直す時期に来た」
         抗うつ薬の安易な服用はよくないという見方は、医療関係者の間にも広がってきている。
         厚生労働省の発表では、うつ病患者が100万人(09年)を超え、この10年で2倍以上に急増した。10年1月6日付け「東京読売新聞」は患者急増と新規抗うつ薬との関係について概ねこのように報じている。
         一部の医療関係者は抗うつ薬の安易な投与に疑問を抱いている。北里大学宮岡等教授は「薬なしでも自然に回復するうつ病も多い」と話し、慶応大学渡辺衡一郎専任講師は「日本でも、まず抗うつ薬ありきという認識を見直す時期に来た」と述べている。
         抗うつ薬を服用していた患者が自殺したり、他人を傷つけたという報告が複数寄せられていることから、厚生労働省も対策に本腰を入れ出した。
         同省医薬品医療機器総合機構安全部は、抗うつ薬「SSRI」(パロキセチン塩酸塩水和物、フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン)と、「SNRI」(ミルナシプラン塩酸塩)を服用した患者が自殺や他害行為をした268ケースと、それぞれの薬の因果関係を調べた。
         すると塩酸パロキセチンで2件、マレイン酸フルボキサミンで2件については「医薬品と他害行為との因果関係が否定できない」としたが、それ以外のケースは「医薬品と他害行為との因果関係は不明」となった。しかし因果関係がないとも言えないため、医療機関に対して投与の際に「十分注意を払うべきだ」としている。調査は09年5月8日に発表した。
         厚労省の調査を踏まえて、日本うつ病学会は、うつ病患者には自殺のおそれがあるので、抗うつ薬の投与を開始した時と投与量を変更する時には、患者の状態を注意深く観察することが必要だ、として医療機関に注意を呼びかけている。なかでも24歳以下の患者は自殺のリスクが増加するという報告があり、投与する際には「より注意深い観察が必要である」としている。
        (J-CASTニュース)5月4日10時12分配信

        ●障害者向け新法案作りへ初会合 当事者中心に議論

         2013年8月までに廃止される障害者自立支援法に代わる新制度に向けた議論が27日、本格的に始まった。政府の障がい者制度改革推進会議の下に設置された「総合福祉部会」が初会合を開催。障害がある当事者らを中心に55人態勢で、新たな福祉サービスのあり方を議論していく。
         部会では、まずは廃止までの間の対応策から検討し、来年度予算への反映も目指す。この日の会合では、出席者からサービス利用量に応じて利用者負担も増える「応益負担」の仕組みの撤廃や、重度障害者への24時間介護などの必要性などの要望が出た。
         一方、自民、公明の両党は同日、利用者の負担能力に応じて料金を支払う「応能負担」の原則を採り入れた自立支援法改正案を衆院に提出した。グループホーム利用への助成制度創設も盛り込んでいる。
        (asahi.com)2010年4月27日21時28分

        ●あっぱれ!おかやま:障害者雇用に取り組む、トモニー/岡山
         ◇一人一人が貴重な戦力
         「いらっしゃいませ、ありがとうございました。いつも元気なトモニーです」。大声であいさつするのは自閉症、ダウン症、軽度の知的障害者たち。従業員の半数が何らかの障害を持つ総合サービス会社「トモニー」=北区祇園=の1日は朝礼から始まる。社名のトモニーは「共に」を意味し「共に働く、共に生きる」が基本理念だ。
         キーワードは「利益を出す」。本社は、複数の障害者・高齢者福祉施設などを運営する社会福祉法人「旭川荘」の敷地内にあり、旭川荘で使われるシーツやタオル類の洗濯、クリーニングや施設の清掃を請け負う。食堂や喫茶店も経営する。
         87年の会社設立から一貫してかかわる萩原義文専務は「障害者がかわいそうというだけでは何も変わりません。障害があったとしても貴重な戦力として扱う。一人一人が能力を発揮してもらえばいい」と語る。この発想は注目され、視察の申し込みも少なくない。
         飲食部門を案内してもらった。自閉症などの社員が働く調理場。野菜の皮むき、ご飯の盛りつけといった作業が進み、衛生環境は徹底している。食中毒など失敗は許されない。条件は普通の企業と同じでも「やっぱり障害者だから」と決めつけられかねない。ここで働く妹尾智矢さん(26)=06年入社=は「野菜の皮むきやスライスを担当している。仕事は大変だけど辞めたくない」と話す。仕事は少しずつだが確実に上達しているという。
         作られた弁当は施設内に配達され、旭川荘内のコンビニにも並ぶ。最初に売り切れるのはトモニーの商品だ。「市場で勝てるか。これが大事なことです。食べておいしく、お金を払う価値があるものを作る」(萩原専務)。社員一人一人が自分の力を発揮するトモニー。年間売り上げは約3億1000万円に達している。
         ◇有限会社「トモニー」(山本俊介社長)
         重度障害者の雇用を拡大し、旭川荘などの利用者のサービス向上を目的に87年に設立された。従業員は43人、うち22人が知的、身体障害者(10年4月現在)。資本金300万円。障害者雇用の実績をかわれ、昨年4月には法務省の橋渡しで窃盗罪で服役、出所を繰り返していた知的障害の男性を雇用した。
        (毎日jp)20100427

        ●自閉症:オキシトシン投与で知的障害者の症状改善 金沢大
         脳内ホルモンの一種「オキシトシン」の投与で重度の知的障害のある自閉症患者の症状が改善したと、金沢大・子どものこころ発達研究センターが23日、発表した。主治医の棟居俊夫・特任准教授は「知的障害のある患者で効果が確認された例は初めて」としている。
         オキシトシンは出産時に大量に分泌され、子宮や乳腺の収縮などに作用、陣痛促進剤などとして使われている。他者を認識したり、愛着を感じる機能に関係するとの研究結果も最近出され、知能の高い自閉症のアスペルガー症候群で効果が実証されたとの報告もある。
         この報告を知った、同センターに通院する20代の男性患者の両親が、08年にオキシトシンの点鼻薬を輸入し、数カ月服用したところ、(1)主治医の目を見て話す(2)対話で笑顔を浮かべる(3)IQテストが受けられるようになる--など症状が改善。10カ月間投与し改善状態の持続も確認した。
         男性は3歳で自閉症と診断され、服用前は他者と目を合わせず、質問におうむ返しの反応しかできなかった。
         これまで重度の知的障害がある自閉症患者へのオキシトシンの投与例はなく、今後、どのような患者に効果があるかを見極め、必要な投与期間や量、対象年齢などを突き止めるのが課題という。
        (毎日新聞)2010年4月24日

        ●ネットいじめ:防げ、中1に授業 業者を公募--堺市教委 /大阪
         携帯電話やパソコンを介した「ネットいじめ」を未然に防ぐため、堺市教育委員会は、市立中学1年生全員を対象にした「ネットいじめ防止授業」をする業者を公募している。
         誹謗(ひぼう)、中傷の書き込み、メールによるいじめなど、インターネットを悪用した人権侵害をする子どもが出ないように今年度、中学43校で予防教育をする。携帯電話の所有率が増える中学1年生が対象。
         文部科学省が06年度に全国の小中高校生を対象にした調査によると、いじめ約12万5000件のうち約4%の4883件がネットいじめだった。ネットいじめの場として、学校の公式ホームページと異なり、児童・生徒が管理するブログや掲示板の「学校裏サイト」が温床になっている。
         堺市小中学校生徒指導研究協議会の07年度の調査では、自分専用の携帯電話を持っている割合は小学生25%、中学生62%だった。小学生2%、中学生8%が「携帯電話を使ったいじめを受けた」と回答している。
         見積書上限金額は629万3000円。12日までに、市教委に必要書類を提出。応募多数の場合、書類審査、提案書に基づいて説明するプレゼンを経て業者を決める。問い合わせは、市教委学校教育部(072・228・7436)。
        (毎日新聞)5月2日13時55分配信

        障害者支援ー新たな法制度の充実に望むこと
        2010/04/25
        そりゃあ、いっぱいありますよね。思いつくままに列挙してみたいと思います。
        ・障害や疾患の診断名や従来の「程度区分」を基礎とした支援サービスの提供(質・量)から、それらの状態があることに起因して生じる本人さんやご家族の生きづらさに着目しての必用な支援内容の多面的な検討と支援の基盤づくり。
        ・発達障害や高次脳機能障害なども障害福祉サービスの対象であることや、介護保険と併用してのサービス受給ができることなどの、広報・啓発の強化。
        ・これらの気軽に身近で相談ができる体制の整備。
        ・福祉サービス事業において日常的に相談支援が受けられるよう、事業所における相談支援に報酬をつける。
        ・サービス管理責任者など、福祉サービス事業所に配置が義務づけられている人材の賃金原資として報酬をつける。
        ・精神障害や発達障害などのある人への就労支援のあり方を抜本的に見直し、「できること」「得意なこと」に着目した就労先の開拓や、長期ひきこもり状態などからのスローステップでの段階的な支援(低下した自尊感情を高め、様々な達成体験を積み、職場でのコミュニケーションスキルなどを獲得し、固定的な就労生活時間に慣れ、社会参加としての就労に意欲的になる、などなど)、障害特性に応じた仕事の開拓と必用なサポート体制の提供、受け入れ側の障害特性の理解と受容的環境整備などに着目し、現代の社会構造の中で覆い隠され、また排除されている能力を発揮できるための支援の実践的展開とそれへの財政的支援。
        ・行政や依託先の相談対応人材の質・量とものレベルアップ。個別の地域での支援ネットワークの柔軟な構築ができるようコーディネート力の向上。地域の様々な社会資源との連携づくり。
        ・成人の発達障害など、診断ができる医師が少ない、支援を受けられる機関・団体などの社会資源が極めて少ない、などの現実的な問題を緊急の課題として具体的改善をはかること。
        ・障害福祉サービスの本人負担上限月額が4月より急にほとんどの人が0円となりましたが、自治体の独自施策としておこなれている通所交通費などへの補助を全国的に拡充すること。
         とまあ、たくさん出てきます。病気・障害のある人やそのご家族がより安心・快適な生活になるよう、社会福祉は現実に対応をしていってもらわなければ困ります。みなさんも、機会あるごとに、要望をどんどん主張して行きましょう。これまでの支援施策や法制度などは、そうした本人さんやご家族、支援の現場からの「声」で創りあげてきたものです。黙っていても、事業仕分けがどんどんされる状況の中では、せっかくの制度すら縮小されかねませんので…。
         ☆映画「ぼくはうみがみたくなりました」の京都での上映会のお知らせです。
         いろいろとお世話になっている京都市児童福祉センターの門眞一郎先生が中心となって「工房あすく新後援会発足記念:ミニ講演と映画の集い」(京都府自閉症協会主催)を6月19日の午後に開催されるそうです。門先生が「自閉症に支援しよう」という演題でミニ講演をされます。詳細は以下のURLをご覧下さい。

        http://www.eonet.ne.jp/~skado/movie.jpg

        (門先生のサイト http://www.eonet.ne.jp/~skado/index.htm)
         それでは、今週の気になる記事です。

        「リストラ」「成果主義」で能力低下 企業活力研究所が報告書

         企業活力研究所は22日、企業の人材育成について、成果主義を背景とした行き過ぎた個人主義から、組織力重視の育成手法への転換を求める研究報告をまとめた。
         報告書では、90年代のバブル崩壊以降、企業がリストラや成果主義の導入で生き残りを図った結果、従業員の会社への信頼感や働く意欲が低下し、日本人の能力が弱体化したと指摘。日本企業がグローバルな競争に勝ち抜くためには、若手を積極的に海外へ派遣し、重要なプロジェクトを任せることで、個人の力と企業の力の両方を強化する必要があるとしている。
         具体的には毎年数百人の若手を海外へ送り出す韓国サムスン電子のように、日本国外でも仕事ができる人材を育成するため海外派遣を企業の投資ととらえ、帰国後の評価も配慮する。また、開発者の教育や訓練を重視し、新技術やサービスを生み出すことなどを求めている。
        (産経ニュース)2010.4.22

        ●あしなが募金 遺児の進学・就職率ダウン
         病気や自殺などで親を亡くした子どもたちを支援する「第80回あしなが学生募金」が24日、全国でスタートする。23日には東京都千代田区のJR有楽町駅前でオープニングセレモニーがあり、42年前、テレビ番組を通じて遺児救済運動のきっかけを作った落語家の桂小金治さんが、高校生や第1回の活動に参加したOBらとともに、奨学金のための寄付を呼びかけた。奨学生の中には、進学や就職など進路の選択が難しい人たちも増えている。
         学生募金は70年に始まり今年で40周年を迎えた。あしなが育英会が今年2月、同会の奨学金を利用する高校3年生(1036人)の進路を調査したところ、大学・短大への進学率は41.2%で、前年同期の3年生に比べ9.3ポイント下がったことが分かった。就職率も23.5%で前年より4.3ポイント下がった一方、進路未定者の割合は8.4%で前年の1.9%から大幅に上昇した。
         同会の工藤長彦理事は「進学率は従来、5割前後で推移していたが、生活が年々厳しくなり、進学をあきらめる家庭が増えたのではないか。就職難で仕事にも就けず、遺児たちは八方ふさがりの状況にある」と分析している。
         また奨学金利用者が年々増える一方、同会への継続的な支援者「あしながさん」は減り始めている。年度末の3月から4月20日までに寄付を打ち切ったあしながさんは121人。前年同期の65人に比べ2倍近くに上った。
        (毎日新聞)4月23日10時59分配信

        ●不登校児童ら学校復帰へ支援教室 綾部で開設、元教員が指導
         綾部市教委はこのほど、市内の不登校の児童や生徒の学校復帰を支援する適応指導教室「やすらぎルーム」を同市井倉町の井倉学習館内に開設した。小学校の元教員2人を嘱託指導員として配置し、不登校問題へのきめ細かな対応を図る。
         教室は、主に学校を年間100日以上休んでいる児童、生徒を対象とし、小学校の特別支援教育に携わった経験のある指導員2人が本人や保護者との面談や電話相談を通じて参加を呼びかける。教室に通えるようになれば、学校生活への復帰に向けて▽集団生活への適応▽情緒の安定▽学力の補充-などの指導を進める。
         教室開設に合わせ、市教委はいじめや非行などの教育相談を幅広く受け付ける市教育相談センターも川糸町から井倉学習館内に移転した。教室と一体的に運営して支援態勢を拡充する。教室とセンターの業務時間は平日の午前9時から午後4時まで。市教委学校教育課TEL0773(42)3280か、同教室TEL0773(42)1214。
        (京都新聞)4月20日11時19分配信

        ●喫煙で年間44万人が死亡、経済損失18兆円 米政府統計
         米疾病対策センター(CDC)は22日、米国の成人の喫煙者は4600万人に上り、たばこが原因で年間44万3000人が死亡しているとの統計を発表した。
         喫煙に直接関連した医療費は2004年の1年間で960億ドル(約9兆円)、健康関連の経済損失は年間1930億ドル(約18兆円)、生産性低下による損失は970億ドル(約9兆1000億円)と試算している。
         州別にみると、最も喫煙率が高かったのはウェストバージニア州の26.5%、最も低かったのはユタ州の9.3%だった。
         24州と首都ワシントンのあるコロンビア特別区では包括的な禁煙法を制定してたばこを規制している一方、ウェストバージニアなど7州は州全域規模の禁煙法を設けていないことが分かった。
         カリフォルニア州は包括的なたばこ規制が奏功して、1988年に22.7%だった成人の喫煙率を、2006年には13.3%にまで低下させたという。喫煙者の減少により、ほかの州より速いペースで心臓疾患による死者と肺がんの発生率も減った。
         全米規模で禁煙の取り組みを進めれば、喫煙による死者を減らして州の経済負担も大幅に軽減できるとCDCは提言している。
        (CNN)2010.04.23
        生きづらさへの相談支援、その必要性に着目すること
        2010/04/18
        先週土曜日は、放送大学大学院のオリエンテーションで、幕張の本学まで行ってましたので、2週間ぶりの更新です。
         雇用状況、偏差値至上主義的な教育の競争主義、様々な人間関係の問題に起因する抑うつなどの精神症状、食べていけないという現実、病気、障害…等々。今の日本にはこうした「生きづらさ」を抱えてしまう人が急増しており、自殺者連続3万人などはその具体的な実態を現しています。
         雇用、経済、経営、消費生活、身体疾患、知的・身体の障害などの分野では法制度や行政施策にもとづいて、相談支援や様々なサポートの枠組みが一定は取り組まれているかと思います(もちろん、当事者のニーズとの解離は大きなものがあります)。
         これまで、そして今も「なおざり」と言っても過言でないのが、精神面でのダメージに対する支援です。上記の様々な問題を抱えていると、本人さんはもちろん、そのご家族も心的ダメージを受け続けることになります。
         10数年ほど前から、個人心理学を基盤にした臨床心理的アプローチとして「心の専門家」による「心のケア」が各所で取り組まれてきましたが、起こっている問題は「個人」の問題ではないことが明らかとなり、「個人」及び個人を取り巻く社会、環境、対人関係などに視点を当てて問題解決を図っていくコミュニティー的な支援の必要性が強調されてきています。
         行政、学校、医療機関、保健・福祉施策やサービス提供機関・事業所、地域コミュニティー、警察、サークルなど様々な組織をフル動員する視点で、「個人」の問題を解決するために何ができるのかを、関係機関などが連携しつつ取り組む、という支援のあり方です。
         こうした支援の出発点とも言えるのが、「相談」です。日本人は「恥の文化」とも言われる、「家の問題は外には出さないでおこう」という意識や、昨今流行してしまった「自己責任論」に邪魔され、なかなか他者に「相談」することができなかったり、苦手だったりします。また、「相談」先がないことも物理的な大問題です。
         心的ダメージは、抱え込んで第三者のサポートが入らないまま推移すると、深刻化し、また複雑化・長期化し、要らぬ精神症状が出てきたり、感情問題から様々な形で事件化してしまうことが少なくありません。できるだけ早期に「相談」相手を、できれば精神医学や対人援助技術(面接技法などを含む)、地域の社会資源との連携の視点とつながりをもった「相談支援をする人」と出会って欲しいと思います。
         しかし、問題なのは、この「相談支援をする人」が少なすぎることです。行政や保健所、福祉事務所、ハローワークなどの窓口は十分に機能しているとは言えず、精神科は敷居が高く、一般カウンセリングは料金が高い上に「話しを聴く」だけが多い、など具体的な対応のできるシステムをつくるのには、まだまだ時間がかかります。せめて、「相談支援」を診療報酬や福祉サービスの報酬に加えたり、行政が「相談支援をする人」に事業依託をするなど、「相談支援」者が報酬を得られる仕組み、地域資源との連携のネットワークを組織化する部署を市町村に設置することから始めて欲しいと思います。「事業仕分け」ではなく、ニーズにもとづく「事業形成」の作業が、国として必用だと思います。
         では、今週の気になる記事です。

        昔は不登校、今は仕事の挫折で… ひきこもりの高齢化

         ひきこもりは、昭和50年ごろから顕在化し、平成に入って増加したとされる。当初は18歳以下が多く、中学校や高校の不登校の延長と、とらえる傾向もあったが、最近は仕事の挫折などを契機にひきこもる30~40代の存在も一般化しつつある。
         だが、詳細な調査は行われておらず、全国的な状況把握は進んでいない。東京都が平成19年度に行った実態調査(有効回答1388)では、ひきこもりの年齢は30~34歳(44%)が最多で、20~24歳(19%)、25~29歳(16%)の順だったが、調査対象が15~34歳だったこともあり、高齢層の実態は分かっていない。
         ひきこもり支援をめぐっては、全国約20の自治体が支援センターなどを設置。今年1月に設置されたばかりの広島市では、18歳以上のひきこもりを対象にしているが、市の担当者は「40代や50代の人から相談がきており、反響の大きさに驚いている」と話している。
        (産経新聞)4月14日13時10分配信

        ●40歳でゲーム漬け…ひきこもりも高齢化 人格固まり抜け出せず
         10代の子供を持つ親の悩みに応えようと約20年前に設立された「中卒・中退の子どもをもつ親のネットワーク」(事務局・大阪府枚方市)の会合に近年、20代から40代のひきこもりの子供を持つ老齢の親の参加が増えている。親の年金に頼る高齢ひきこもりは、生活保護予備軍とも言われるが、学校などを通じて状況が把握しやすい若年層と異なり、実態はあまり明らかになっていない。「どうしたらよいのか」。家族たちは途方に暮れている。
         大阪市北区の公共施設。4月初旬、ひきこもりの子供を抱える親ら6人が集まった。「家ではゲームばかり。反抗期のままずっといる感じやね」。60代女性がそう打ち明けると、別の女性も「うちもそう。12歳で時間が止まってしまった」とうなずいた。
         会合は月に2回。当初は中卒や高校中退の人らの職を考える場として始まったが最近は、20歳以上のひきこもりを持つ親が目立つ。
         60代女性の30代長男は高校卒業後、通信会社の作業員として働くが「自分一人で昼ご飯を食べるのが嫌」と、周囲とのコミュニケーションが取れなくなったことをきっかけに、次第にゲームに夢中になり部屋にこもるようになった
         ひきこもり状態は8年。無気力で親が部屋に入っても怒ることはない。「将来どうするの」と尋ねても「いつでも働きに行ける」と言うだけだ。
         長年にわたって会員の悩みの聞き役を務めてきたネットワークの世話人代表(67)の家庭でも、予期せぬことに、40代の長男が昨年から突然ひきこもりになったという。
         機械設備の検査員として約20年間働いたが景気悪化の影響もあって昨年3月に解雇。部屋に入ったきり、ほとんど外に出なくなった。食事は自分で用意しているが、米と塩昆布だけの日も。「口に入れるものがあれば何でもいい」というその日暮らしの生活だ。
         長男を家から追い出して自立を促すことも考えているが「一人暮らしをしても、どこかで餓死してしまうかも」と途方に暮れる。
         大阪府が今年度からひきこもりの支援ネットワークをつくるなど、ひきこもりの支援策は広がりつつあるが、支援の対象者は実態が把握しやすい学生が中心。高齢ひきこもりへの支援策はほとんどない。
         代表は「中学生や高校生ならやり直せるが、20歳を超えると人格が固まってしまい、なかなか抜け出すことはできない。先が見えなくて真っ暗闇だ」と話していた。
        (産経新聞)2010/04/14 12:56更新

        ●<愛知5人殺傷>ネット競売で借金300万円 警察に父相談
         愛知県豊川市の一家5人殺傷事件で、殺害された会社員、岩瀬一美さん(58)が事件直前、県警豊川署に「長男が自分のクレジットカードを勝手に使い、ネットオークションなどで200万~300万円の借金を作った。どうすればいいか」と相談していたことが17日、分かった。捜査幹部が明らかにした。一美さんはその後、自宅の電話を止めてインターネットを使えなくしたという。同署は長男の高之容疑者(30)=殺人未遂容疑で逮捕=がこれに激高して家族を襲ったとみて調べている。
         捜査幹部や親族によると、高之容疑者は引きこもり状態にあった事件前、ネットに一日中没頭したうえ、ゲームなどをオークションなどで購入しては一美さん名義のカードで支払っていた。一美さんら家族は12~15日に計8回、購入などに関するトラブルを巡って110番したり「これ以上エスカレートさせないためにはどうすればいいか」と同署に相談していた。
        (毎日新聞)4月18日2時31分配信

        ●<若年認知症>全国組織5月発足 家族らの負担軽減目指し
         若年認知症患者の家族らによる初の全国組織「全国若年認知症家族会連絡協議会」(全国協議会)が5月、発足する。働き盛りや子育て世代で認知症になると経済面など家族への影響が大きいが、支援は乏しい。各地の家族会や支援組織など23団体が参加する見通しで、本人や家族が安心して暮らせる施策の充実を求めていく。
         厚生労働省によると、18~64歳の認知症は推計約3万7800人。40~50代で発症すると失職に追い込まれ、住宅ローンや教育費を払えず自己破産に至ることもある。高齢者より進行が早いが、障害年金の給付には初診から1年半かかる。
         全国協議会は障害認定までの期間を短くしたり、生命保険で住宅ローン残高を支払える高度障害の対象とすることなどを国や関係団体に要望。啓発活動にも取り組む方針だ。事務局となるNPO法人・若年認知症サポートセンター(東京都)の宮永和夫理事長(新潟県南魚沼市立ゆきぐに大和病院長)は「地域ごとに支え合ってきたが、国の後押しがないと状況は変わらない。声を一つにして社会を動かしたい」と話す。
         5月23日に東京都内で役員会を開く。問い合わせは同センター(メールsupportcenter@star2003.jp、ファクス03・5368・1956)。
        (毎日新聞)4月17日20時17分配信

        ●生活保護受給者、自殺率2倍=精神疾患が影響か-厚労省調査
         生活保護受給者の自殺率(10万人当たりの自殺者数)が、全国民平均の2倍以上高いことが9日、厚生労働省の調査で明らかになった。2008年は受給者54.8人に対し、全国民平均は25.3人。同省は「自殺要因の一つである精神疾患の割合が、受給者で高いことが影響しているのではないか」と分析している。生活保護受給者の自殺率公表は初めて。
         調査結果によると、08年の生活保護受給者153万7893人のうち843人が自殺。自殺者の68.9%に当たる581人が何らかの精神疾患を抱えていた。同年の精神疾患の患者数の割合は、全人口が2.5%だったのに対し、生活保護受給者は16.4%と際立って高かった。同省は、貧困などが精神疾患を引き起こしたケースもあるとみている。
        (時事ドットコム)2010/04/09-21:33

        障害福祉サービスの自己負担上限月額が変わった!
        2010/04/04
        障害者自立支援法にもとづく障害福祉サービスを利用されている方には、当該の市町村などから通知が来ているかと思います。
         これまで(昨年7月改定以降)、サービスを利用する方で、前年度所得(住民税額)や預金額が一定以下であれば、本人1割負担が原則の月額利用料の上限が1,500円となっていました。前年度所得や預金額が一定額を超えていれば上限月額は跳ね上がります。
         政権が変わったことで、本来なら3月議会で「3年目の改正」が行われるはずだった障害者自立支援法がどうなるのか、注目をしてきたつもりでしたが、突然の大きな変更が行われ、驚きを隠せません。
         何が突然変わったかというと、月額上限月額がこの4月利用分から「0円」になるというもの。そして、「一定額」を越えた場合(現時点では平成20年度の住民税によって判断されているようですが)、9,300円、さらに上の方は3万数千円に。
         これらの変更が、サービス受給者証をお持ちの方には市町村などから直接通知が行われ、指定障害福祉サービス事業所に対しての通知は、市町村によって行われたり行われなかったり、が起こっています。0円になった方は一応問題ないようですが、20年度に就労されて一定の所得があり、その後障害などが認定(?)され、受給者証を取得されて月1,500円で利用されていた方が、突然月9,300円負担になってしまうというケースが生じています。
         障害についての認識や範囲、「程度」の評価なども含めて充実した支援を目指すとして、新たな「支援法」づくりの検討が進められていますが、現場で、そして家庭で、混乱が生じているのも事実です。
         生活のしづらさ、どんな支援があったら良いかと本人さんが思っているのかという視点、支援やサービスを提供する施設や機関、そこで働く人材の確保と育成、医療・保健・福祉・行政・学校・地域などの連携強化、財源の確保など、これまで不十分だったことが山積みです。
         どんな障害や病気があっても、人として幸せに生きる権利が保障される社会でなければなりません。国や行政の役割は大きいのは確かですが、障害や病気、生きづらい状況のある方への理解を、一人ひとりが深めていただくことが、法制度や施策充実を下支えしていくということを御理解いただきたいと思います。

         では、今週の気になる記事です。

        ネットイジメにも対応、45年ぶり指導手引き書

         文部科学省は2日、教育現場が抱える問題に対する児童生徒への指導方法をまとめた教師向けの手引書「生徒指導提要」を作成したと発表した。
         インターネットや携帯電話など「現代っ子」が抱える問題への対処法や、発達障害の子供への指導法などを盛り込んだのが特徴で、国が手引書を作るのは45年ぶり。
         今年夏頃をメドにすべての国公私立の小中高校などに配布する。
         新提要は計247ページ。生徒指導に関する基本的考え方のほか、ネットいじめや薬物乱用などに関する項目を新設。また、教育現場で「努力不足」や「わがまま」と誤解されかねない学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)に関する項目も新たに加えた。同省は「教育現場で生徒の指導法を議論するきっかけになれば」と話している。
         手引書は旧文部省が1965年に作成し、81年に改訂されたが、その後絶版となっていた。
        (読売新聞)4月2日23時36分配信

        ●「壁」越えてつかんだ春、フリースクールの外国の子どもら全員が高校進学/横浜
         サクラは、来日間もない外国の子どもたちにも祝福の花を咲かせた。言葉の壁だけでなく、制度のはざまで通うべき学校さえない「ニューカマー」のためのフリースクールが横浜に開校したのは昨秋のこと。その生徒16人全員がこの春、高校進学を果たした。支えとなったのは、県内の元教員らでつくる民間団体だった。

         ぎこちない日本語でも、高揚感は伝わった。
         「高校では、友達をたくさんつくりたい」
         壇上に中国やベトナム、ネパール出身の生徒のはにかんだ笑顔が広がった。3月下旬、外国にルーツを持つ子どもたちの交流イベント。フロアでは元中学校教員、高田文芳さん(61)が初めて送り出す卒業生の姿に目を細めていた。
         「たぶんかフリースクールよこはま」が開校したのは昨年9月。週3日、横浜市南区のみなみ市民活動センターを間借りし、15歳から17歳までの、ニューカマーの子どもたちが集まった。共同代表の高田さんが説明する。「義務教育を受けられるのは15歳まで。それを過ぎて来日した子どもは行く学校がない。日本語教室に入ったとしても教科の学習まではしてくれず、高校に進むためのプレスクールが必要だった」
         母体となったのは、元教員やボランティアらでつくる民間団体「多文化共生教育ネットワークかながわ」。多言語による高校進学ガイダンスなどの支援を行ってきたが、学齢超過の子どもをどう支えるかは長年の課題だった。「現役教員のころ、中国人生徒の受け入れを断らざるを得なかった。そのことがずっと心に引っ掛かっていた」と高田さん。フリースクールは制度のすき間を埋め、行政を先取りするものでもあった。
         昨夏に中国から来日、王磊さん(16)は定時制高校に合格した。「受験の仕組みさえ分からず、ここがなければ高校には行けなかった」。ベトナム出身、ドンバン・アンさん(17)は「先生の家に行ったり、海に遊びに行ったのが思い出。みんな一緒だから頑張れた」。困った人を助けたいと、通訳の仕事に就くのが夢だと笑った。
         もう一人の共同代表、元高校教員の井草まさ子さんは「日本社会との接点となる居場所をつくりたいという思いもあった」と振り返る。3月中旬に開かれたささやかな卒業式、高田さんの送る言葉は「高校で悩むことがあったら、いつでも遊びに来なさい」だったという。
         フリースクールでは現在2期生を募集している。4日午後2時から、みなみ市民活動センターで説明会を開く。問い合わせは井草さん電話090(9012)0033。
        (カナロコ)4月3日11時30分配信

        「世界自閉症デー」
        2010/03/28
        毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが、2007年12月18日の国連総会において決議されました。それを受けて、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、4月2日~8日を「発達障害啓発週間」として、自閉症をはじめとする発達障害について広く啓発する活動を展開する事になりました。
         今日は午前中、この啓発活動の一環として、主催:京都府発達障害関連団体連絡会(京都府自閉症協会、京都LD等発達障害親の会「たんぽぽ」、京都ADHD親の会「クローバー」、高機能自閉症・アスペルガー症候群及び周辺の発達障害 京都親の会「ONLY ONEの会」、特定非営利活動法人ノンラベル)、後援:京都府、京都市、京都府教育委員会、京都市教育委員会、京都府医師会、京都新聞社、京都新聞社会福祉事業団、JDDネットの発達障害啓発「かがやけ!はばたけ!ウォーク」に主催者側として参加してきました。
         名誉大会委員長は山口良治氏(京都市伏見工業高校ラグビー部総監督)、スペシャルゲストは朝原宣治氏(北京オリンピック陸上男子400メートルリレー銅メダリスト)という豪華なキャスティングもあり、総勢約200名が三条鴨川河川敷から梅小路講演まで歩きました。
         発達障害について、当事者や親の会が啓発活動をすることに京都府が(少ないですが)予算をつけてくれて、取り組んだイベントして、大きな成果だと自画自賛したいと思います。
         明日以降に疲れが出ると思いますが、達成感と充実感で乗り切りたいと思います。
         では、今週の気になる記事です。

        ほめる育児:社会適応力高い子育つ 親子400組調査

         親にほめられたり、やさしい言葉をかけられた乳幼児ほど、主体性や思いやりなど社会適応力の高い子に育つことが、3年以上に及ぶ科学技術振興機構の調査で分かった。父親の育児参加も同様の効果があった。「ほめる育児」の利点が長期調査で示されたのは初という。東京都で27日午後に開かれる応用脳科学研究会で発表する。
         調査は、大阪府と三重県の親子約400組を対象に、生後4カ月の赤ちゃんが3歳半になる09年まで追跡。親については、子とのかかわり方などをアンケートと行動観察で調べた。子に対しては、親に自分から働きかける「主体性」、親にほほ笑み返す「共感性」など5分野30項目で評価した。
         その結果、1歳半以降の行動観察で、親によくほめられた乳幼児は、ほめられない乳幼児に比べ、3歳半まで社会適応力が高い状態を保つ子が約2倍いることが分かった。また、ほめる以外に、目をしっかり見つめる▽一緒に歌ったり、リズムに合わせて体を揺らす▽たたかない▽生活習慣を整える▽一緒に本を読んだり出かける--などが社会適応力を高める傾向があった。
         一方、父親が1歳半から2歳半に継続して育児参加すると、そうでない親子に比べ、2歳半の時点で社会適応力が1.8倍高いことも判明した。母親の育児負担感が低かったり、育児の相談相手がいる場合も子の社会適応力が高くなった。
         調査を主導した安梅勅江(あんめときえ)・筑波大教授(発達心理学)は「経験として知られていたことを、科学的に明らかにできた。成果を親と子双方の支援に生かしたい」と話す。
        (毎日jp)2010年3月27日 15時1分

        ●「無条件で生活に必要な所得給付」
         生活に必要な所得をすべての人に無条件で給付する構想「ベーシック・インカム」の普及や研究に取り組むベーシック・インカム日本ネットワーク(BIJN)の設立集会が27日、京都市上京区の同志社大であった。
         同大や京都府立大など京都の研究者らが2007年から準備を進め、25日にBIJNを設立した。ベーシック・インカム世界ネットワーク(BIEN)と連携して、情報発信と研究活動を進める。
         集会には全国からベーシック・インカムに関心を持つ約400人が参加。BIJN代表に就任した小沢修司京都府立大教授が「ベーシック・インカムをめぐる議論を喚起し、貧困の問題にかかわる人々の交流の場をつくる」と述べ、英国から来日したガイ・スタンディングBIEN名誉共同議長は「さまざまな考えの人が幅広く連帯し、この運動を進めている」と演説した。
         リレートークでは障害者や女性団体、労働組合からベーシック・インカム実現に期待する声が上がっていた。
        (京都新聞)2010年3月28日

        ●小6いじめ自殺で和解=道、市が遺族に謝罪-条項に再発防止策も・札幌地裁
         北海道滝川市立小6年の松木友音さん=当時(12)=がいじめを苦に自殺した問題で、母親の敬子さん(41)が、道と市に対し慰謝料など計約7900万円の支払いを求めた訴訟は26日、札幌地裁(中山幾次郎裁判長)で、道と市が連帯して2500万円支払うことなどで和解が成立した。
         中山裁判長は、和解に当たり、前提となる事実関係の判断を提示し、担任のいじめに気付けなかった過失や、自殺の予見可能性を認定。また、市がいじめを否定し続けたことなどによる敬子さんの精神的苦痛も認め、慰謝料算定に盛り込んだ。
         和解内容は、和解金2500万円の支払いと謝罪、同種事案発生時の第三者による調査と被害者や親族から意見を聴く機会の保障、道内の教職員への和解内容の周知徹底-など。
         原告側代理人は「事後対応の悪さは、遺族を二重三重に苦しめる。隠ぺい体質の本質的解決を目指そうとする画期的な和解内容」と評価した。
        (時事通信)3月26日20時48分配信

        子ども手当よりも子育て環境整備基金事業を
        2010/03/21
        結局最後はほぼ与野党一体となっての賛成多数で成立の方向です。
         この手の「ばらまき」でまず思い出すのが「地域振興券」。子どもとお年寄りにばらまきました。わが家では子ども2人分4万円に少し追加して犬を買いました。今も元気にやんちゃくれぶりをはっきしてくれています。
         次が「定額給付金」。これは即生活費をやり繰りする口座に入金しました。少しは恩恵を受けたのかも知れませんが、財源は私たちが支払った税金であることを考えれば、「何のこっちゃ!」。その支給に多額の税金が使われていることを考えると、「わけがわかりません!」。
         で、今度は「子ども手当」。民主党の前回衆院選のマニュフェストの目玉の一つです。理由も、財源も、効果予測も、素養来継続性も、他の予算との関係もあいまいなまま、とりあえずの「みんなで渡れば怖くない」式の人気取り政治手法としか思えないのは、私がうがった考えを持っているためでしょうか?
         子どもの豊かな成長を保障することを大前提に考えると、E.H.エリクソンの人間発達論による、乳児期における主たる養育者との「基本的信頼」、幼児期における「自律性」、学童期における「積極性」「生産性」、思春期・青年期における「アイデンティティ(自我同一性)」、初期成人期における「親密性」…といった発達の課題(あるいは危機)をいかにゆるやかに安心できる環境や人間関係の中で獲得していけるか、が問われるべきです。安心できる環境(家庭や学校、地域)、人間関係(親子、家族、同級生・ともだち・教師との関係…)が不十分な中で、経済面や物質面での環境がいかに整ったとしても、不安や矛盾、疎外感、焦り、劣等感、孤立感、不信感、疑惑などの感情が強い状態では、上記の発達課題を達成することは困難です。
         親が安心して生活し子育てできるためには、生活費(それを支える仕事)や悩みを相談できたりちょっとしたことを頼めたりする友人や親戚、地域とのつながり、職場環境が必用でしょう。子どもが主に昼間に活動しながら学び成長する場である保育所や学校が、子どもの発達課題を促進的に援助できる環境(保育や教育の考え方やその根拠となる学び、施設や遊具、そして何よりも大切な保育士や教師などの支援人材とその育成、能力が余裕を持って生かせ、危機に十分に対応できる体制)の整備などが大前提となると思います。
         保育所待機児童の多さ、減らない不登校、増える虐待、いじめ、病休せざるを得ない教師、すすまない耐震補強、すすむ地域のつながりの希薄さ、進学率の増加と就職率の低下、退学者の増加、不安定就労の増加、結婚できない年収、激化する進学競争などなど、不安要素や社会病理にあふれる日本社会に、今必用なのが「子ども手当」なんでしょうか???
         子育て環境を整備するための基金の創設を提案したいと思います。あ、高校無償化はもちろん賛成ですし、私学への補助の増額、大学の無償化へと繋がって欲しいと思います。
         では、今週の気になる記事です。

        子ども手当、高校無償化両法案が衆院通過 月内に成立へ

         民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた最重要政策の「子ども手当法案」と「高校授業料無償化法案」が16日、衆院本会議で与党と公明、共産両党の賛成多数で可決された。自民、みんなの両党は反対した。両法案は参院に送付され、今月中に成立する見通しで、高校無償化は4月から実施され、子ども手当は6月に支給される。
         高校無償化法案は、公立高校では授業料を原則として徴収せず、国が減収分を補填(ほてん)する。私立高校生には世帯の所得に応じて年額11万8800~23万7600円を高校側に一括して支給する。衆院文部科学委員会の審議で、民主、公明、共産の3党が施行3年後の見直し規定を付則に加えた。対象に朝鮮学校を含めるかどうかは、第三者機関を設置して検討する。
         子ども手当法案は、平成22年度は、中学卒業までの子供1人当たり月1万3千円を支給する。最初の支給は6月で、2、6、10月の年3回、4カ月分がまとめて支給される。与党と公明党の合意で、政府案で支給対象外だった児童養護施設の入所者らに対する支援の検討などを付則に追加する修正が行われた。
        (産経新聞)3月16日21時30分配信

        ●子ども手当、高校無償化 関係者からさまざまな声
         16日の衆院本会議で可決された子ども手当法案と高校授業料無償化法案。鳩山政権にとっては政策の目玉だが、対象になる子供を持つ保護者や子育て支援団体の関係者からはさまざまな声が上がった。
         「親の格差が子供の格差につながってはいけない。そういう意味で両法案に賛成」というのは、滋賀子育てネットワーク(滋賀県甲賀市)代表の鹿田由香さん(44)。ただ、「社会全体でもっと子育てに関心をもつべきだ。保育所の整備、特に0~3歳児が集える場をつくってほしい」と望む。
         「子どもNPO和歌山県センター」(和歌山市)理事長の岡本瑞子さん(65)も両法案ともに賛成。「高校無償化で、親の経済的な理由で高校進学を断念していた生徒にもチャンスが与えられるなど、学ぶ機会が平等に提供される意味は大きい」と評価した。
         また、野外の体験学習を支援しているNPO法人「教育支援協会連合会京都支部」(京都市左京区)支部長、川久保雅悦さん(44)は「財源さえあれば、手当や無償化はいいが結局、個人の税金にしわ寄せが来るのではないか」と疑問を投げかけたうえで、「手当を親が使ってしまい、必ずしも教育に回されるわけではないということもある」と指摘する。
         3歳の長女を持つ神戸市東灘区の主婦、東千香子さん(36)は法案には賛成だが、「学校や幼稚園の校舎の耐震化など、安心して子供を学校に預けられるよう、ハード面の方にもお金をかけてほしい」と注文をつける。妻と長女(1)の3人で暮らす京都市東山区の会社員、福田竹志さん(27)も両法案ともに賛成だが、「将来、子供が中学や高校に進学するときに政権が交代して、政策が継続されていなければ全く意味がない」と懸念する。
         「応急処置的な意味では賛成だが、福祉そのものを充実させることが急務」というのは神戸市西区で認可外保育園を運営する「特定非営利法人ぴっぴ」理事長の福本良江さん(50)。「子ども手当は使い道が不明瞭(めいりょう)。外国で、使い道を教育に限ったクーポンを配る『バウチャー』のような仕組み作りの方が望ましいのではないか」と提言する。
         一方、乳幼児とその親を対象に支援する大阪府富田林市のNPO法人「ふらっとスペース金剛」代表理事、岡本聡子さん(37)は両法案とも「現状では反対」の立場。「財源を地域で求められているきめ細やかな育児、子育てサービスの充実のために使うべきだ」と述べた。
         小学6年の娘をもつ和歌山県田辺市の男性公務員(49)は「今はほとんどの子供が進学するので高校無償化には賛成だが、子ども手当には絶対反対。バラまき以外の何ものでもない」と話す。図書の貸し出しボランティアをしている「えんがわ文庫」(奈良市)世話人の上原雅さん(65)も子ども手当には「大反対」だ。「お金がもらえるならという安易な理由で子供を産んでほしくないし、子育ては誰かにお金をもらってするものではない。保育所の整備など親が子育てをしながら安心して働ける環境を整えることに使ってほしい」と願う。
        (産経新聞)3月17日0時26分配信

        ●減らぬ自殺 県弁護士会が初シンポ
         国内の年間自殺者は1998年から12年連続で3万人を超え、県内でも300人前後の高い水準で推移している。このような状況を受け、県弁護士会は関係機関と連携を深め、自殺対策について考えようと20日、大分市の県総合社会福祉会館で、初めてのシンポジウムを開いた。
         警察庁によると2009年の全国の自殺者は3万2753人。県内は332人で前年より29人多い。76%が男性で、健康や経済上の理由が主な原因とされる。
         県弁護士会は「弁護士は多重債務に苦しむ人など、自殺の恐れが高い人から相談を受ける機会が多いが、対策が不十分」として、昨年8月に「貧困と人権に関する委員会」を新設した。
         シンポジウムには約70人が参加した。長崎県などで活動するNPO法人「自死遺族支援ネットワークRe」の山口和浩代表が基調講演。「自殺はさまざまな問題で追い込まれた末の死。社会問題としてとらえ、相談できる環境を整えることが大事だ」と主張。父親を自殺で亡くした経験を語り「毎年14万人が自死遺族となり、その4人に1人は『自分も死にたい』と追い詰められている」と訴えた。
         県自殺対策連絡協議会長で、大分大学医学部の寺尾岳教授は、うつ病から自殺に至るケースが多いとし「最近の研究では、うつ病の原因は脳細胞の栄養不足と考えられている。坑うつ薬で栄養分を増やすことができる」と説明した。
         この後、「治療・相談現場における自殺対策」をテーマに4人がパネルディスカッション。大分財務事務所多重債務相談窓口の村上美佳子相談員は「貧困や経済的に追い詰められた人からの相談が多い。自己破産してもその後の生活が成り立たず、自殺を考える人もいる」として、背景にある厳しい経済状況を指摘。山口代表は「自殺対策の窓口にたどり着きながらも苦しんでいる人を、どうやって救うかがこれからの課題」と述べた。
        (大分合同新聞)2010年03月21日08:04

        ●労働者派遣法改正で失業者が増える!? 中小企業は対応に苦慮、派遣女性も困惑
        このニュースのトピックス:日本の議論
        一昨年秋以降の大量派遣切りをきっかけに平成20年の年末、東京・日比谷公園に出現した派遣村。労働者派遣法改正の原動力となった=平成20年12月31日(中鉢久美子撮影)一昨年秋以降の大量派遣切りをきっかけに平成20年の年末、東京・日比谷公園に出現した派遣村。労働者派遣法改正の原動力となった=平成20年12月31日(中鉢久美子撮影)
         製造業や登録型派遣の原則禁止を柱とする労働者派遣法改正案が19日、閣議決定され、今国会に提出されることになった。政府与党は参院選前の成果としてアピールしたい考えだが、これまで派遣に頼ってきた中小企業は対応に苦慮することになりそうだ。人件費のコストアップから企業が採用を抑制することも予想され、失業者が増える可能性も指摘される。法改正は本当に労働者保護につながるのだろうか。
         ◇規制緩和で増え続けた派遣…「ワーキングプア」の温床に 
         昭和61年に施行された労働者派遣法は当時、労働者が派遣元から中間搾取されることなどを避けるため、通訳など専門13業務に限り派遣を認めていた。
         その後は平成11年に建設、港湾運送、警備などを除いて原則自由化され、16年には製造業派遣も解禁となった。規制緩和の流れの中で派遣労働者は増え続け、20年度の派遣労働者は延べ約399万人と最多となった。
         派遣は多様な働き方を可能にする一方、雇用が不安定で、働いても貧困から逃れることができない「ワーキングプア」の温床として問題化した。さらに、一昨年秋以降の不況で製造業を中心に「派遣切り」が相次いだことを受け、昨年10月から労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で法改正に向けた議論がスタートした経緯がある。
        (産経ニュース)2010.3.21

        ●大学生の生活費、8年前より3割ダウン 年68万円…食費、光熱費を切り詰め
         大学生(昼間部)の平成20年の年間生活費は平均68万円で、ピークだった12年の94万円と比べ約3割減少したことが18日、日本学生支援機構の調査で分かった。奨学金を受給する学生が43・3%にまで増える一方、学費は右肩上がりで過去最高の118万円に。大学関係者からは「親の失業といった特別な状況でなくても、学費免除を求める学生が増えた」との声も聞かれ、生活費を切り詰める現代学生像が浮かんだ。
         調査は昭和43年から隔年で実施。今回の調査対象期間は平成19年12月~20年11月で、学部生の有効回答は1万1760人だった。
         生活費は12年の調査以降、4回連続で低下。項目別に比較すると、食費は12年の25万円から18万円に、住居・光熱費は29万円から21万円にそれぞれダウン。趣味などに費やす金額も18万円から14万円に下がった。病院代などの保健衛生費は4万円でほとんど変わっていない。
         平均収入は220万円で、12年の215万円からほぼ横ばい。内訳は、仕送りなど家庭からの収入が65・9%で、12年の72・4%から下降。代わりに、奨学金が12年の8・5%から15・3%へと大きく伸びた。家庭からの出費は、大学種別や学生の居住形態で大きな差があり、もっとも安い自宅通学の国立大生が72万円に対し、アパートなどに住む私立大生は198万円に上った。
         家庭の平均年収は、2年前と比べ国立は792万円で横ばい、私立は31万円減の834万円、公立は16万円減の724万円だった。学生の節約傾向について、同機構は「奨学金の重要性が増しており、貸与人員の増加などに取り組んでいきたい」と話す。
         大学による経済的支援も、不況下で拡充が続いている。今年1月、在学生計千人に1人10万円の奨学一時金を支給した九州大(福岡市)は、「授業料減免を求める人数がふえ、枠に入りきれない学生を対象に支給した。経済的困窮は以前は一部の学生だったが、いまは一般の学生でも生活を切り詰める様子が伝わってくる」と話している。
        (産経新聞)3月18日19時41分配信

        ●大麻の長期使用、精神病に関連米専門誌
         大麻使用者について、使用期間が長いほど幻覚や妄想を体験したり、精神病に悩まされる傾向があるとの研究報告が27日、米精神医学専門誌「アーカイブズ・オブ・ゼネラル・サイキアトリー(ArchivesofGeneralPsychiatry)」に掲載された。
         平均年齢20.1歳の計3801人を対象にしたオーストラリア・クイーンズランド大学(UniversityofQueensland)の調査によると、大麻を最初に使用した年齢が15歳以下の被験者が統合失調症を含む非感情性精神病を発症する割合は、大麻をまったく使用したことのない被験者に比べて約2倍高かった。
         被験者の大麻使用期間は、3年以下が17.7%、4~5年が16.2%、6年以上が14.3%だった。
         3801人のうち65人が統合失調症を含む非感情性精神病と診断されたことがあり、233人が少なくとも一度は幻覚を経験したことがあると答えた。
         報告では大麻の使用開始年齢の早さと、複数の精神疾患を発症する可能性には関連があると論じている。さらに幻覚を体験し始めた年齢が低い人ほど、大麻使用期間が長く、またより頻繁に使用していたことが分かった。
         しかし精神病と大麻使用の関係は複雑だとも指摘されている。報告は、精神病になりやすい人、つまり単発性の精神病症状を呈しやすい人ほど大麻に手を出しやすく、そこから大麻使用によっていっそう非感情性精神病に発展するリスクが高まりやすいと結論している。
         これまでの研究でも大麻使用と精神病の関連性は指摘されてきたが、交絡変数の取り扱いが適切でない問題があったという。クイーンズランド大学のジョン・マグラス(JohnMcGrath)氏が今回の研究を率いた。(c)AFP*2010年02月28日14:25 発信地:ワシントンD.C./米国
        人の可塑性、自己回復力のすばらしさ。
        2010/03/14
        ひきこもりや学校の成績不振、問題行動、広汎性発達障害のトラウマやフラッシュバックの呪縛などへの相談支援をする中で、親御さんやご家族に、人間の可塑性や自己回復力、それらが活かされる具体的な環境づくり・調整についての話しをさせていただくことが少なくありません。
         「もうダメだ」「こんな自分は生きている値打ちがない」「こうなってしまったのは○○のせいだ」…。過去の嫌な(時に死にたくなるほど苦しい)体験や、頑張ろうとしたけれどまた頑張ったけど上手くいかなくて納得できない結果となり現在に至っていること、昔はできたことが気がつけばできなくなってしまっていることなどなど、自分に対する自己肯定感情を低め、先の見通しが持てずに途方に暮れ、自分を責めたり、他者に怒りをぶつけたり…。家族全体の機能が崩れていき、困っている本人さんが厄介者扱いになり、ますますゴテゴテな関係性になってしまいます。
         そうした状態が日々続くと、本人さんをはじめ、親御さんなども、抑うつや強迫性障害や依存傾向の強まり、退行など、メンタル面での症状が二次的に出てきます。
         保健所の精神保健相談も人手不足などを理由として十分な対応はできていないのが実情ですし、精神科は敷居が高い、薬は飲みたくないと受診を拒んだり、通院・薬物治療が始まっても、薬物の効果が出るまでに日数のかかるものがあるために中途で止めてしまったり、クリニック・病院を転々としたりと、落ちついて症状や病気・障害の特定や治療枠組みに入れないケースも少なくありませんが、症状が重篤化してしまいます。
         早期に、近くで、気軽に、基本的に無料または安価で相談対応につながれるよう社会資源が整うことを願うばかりです。
         適切な診断やアセスメント、環境や関係性の改善に繋がれば、人間本来の可塑性や回復力が発揮され、学び直しや育ち直し、社会生活への参加、そして就労へとより快適な生活へと変容できるよう、社会福祉の役割は明確ではないでしょうか。
         では、今週の気になる記事です。

        京都市:自殺未遂者守ろう 救急外来から精神科医らにリレー-来年度/京都

         新たな自殺防止対策として京都市は来年度から、救急外来に搬送された自殺未遂者の支援に取り組むことを決めた。救急患者の中から自殺未遂者と疑われる患者を判別し、精神科医や各種相談機関に引き継ぐ仕組みの確立を目指す。自殺者には自殺未遂歴のある人が多く、対策には自殺未遂者への支援が欠かせないという。
         市こころの健康増進センターによると、自殺未遂者は救急外来に搬送されても治療が終われば帰されるケースが多い。自殺の原因を解決できないまま自殺未遂を繰り返すこともある。救急患者の中から自殺未遂者を見つけ出し、自殺の原因であるうつ病の治療や経済的なトラブルの解決などを図れば、自殺の防止につながる可能性があるという。
         市は市立病院(中京区)と連携し、自殺未遂者を判別するチェックリストの作成や、自殺の原因について相談できる機関への紹介方法などについて検討を始める。支援の仕組みが確立されれば、他の医療機関にも協力を呼びかける考え。
         同センター相談援助課の前田えり子・相談援助係長は「自殺未遂者支援は喫緊の課題。警察との連携を検討している自治体もあり、いろいろな仕組みを参考にしながら、早急に支援態勢を整えたい」と話している。
           ◇
         市は今年度中に総合的な自殺対策を推進するための「きょう いのち ほっとプラン-京都市自殺総合対策推進計画(仮称)」を策定する予定。計画案の概要版を市役所や区役所などで配布しており、16日まで市民意見を募集している。問い合わせは、同センター(075・314・0355)。
        (毎日新聞)3月9日18時53分配信

        ●自殺…相談窓口を紹介 府南丹保健所チラシ配る
         3月が「自殺対策強化月間」であることに伴い、府南丹保健所はこのほど、自殺予防やうつの早期発見の重要性を訴えるキャンペーンを、管内2カ所で行った。
         南丹市園部町上木崎町のスーパー「マツモト新そのべ店」では、同保健所と市の職員、府が委嘱する「こころの健康推進員」ら6人が、自殺や心の病に関する相談窓口を紹介するチラシを買い物客らに配った。
         亀岡市篠町の大型商業施設「アル・プラザ亀岡」でも、同保健所の職員と同推進員ら8人が、チラシやのぼりを手に「困った時は窓口を利用してください」と呼び掛けた。
         府自殺ストップセンターTEL0120(556)097(平日の午前9時~午後5時)。
        (京都新聞)3月9日11時49分配信

        ●南九州の中2自殺:知覧中が個人面談 いじめ有無の実態把握へ/鹿児島
         南九州市立知覧中2年の男子生徒(14)が4日夜、自宅倉庫で自殺した問題で、同校は8日、いじめ有無の実態を把握するため、在校生への個人面談を始めた。当面、入試を控える3年生以外が対象で、9日までに終える予定という。
         自殺後の5日、全校生徒に実施した無記名アンケートでは「金をせびられていたのを聞いたことがある」「野球部の練習で、スパイクに水が入れられたのを見たことがある」など、いじめをうかがわせる回答が数件あった。面談では、アンケート結果などを基に、担任教諭が「何か男子生徒のことで聞いたことがあるか」などを質問したという。
         市教委によると、8日は、計24人の生徒が学校を欠席したという。9日から県内の公立高で入試がある3年生の欠席者16人のうち5人が動揺などを理由としたという。1、2年生は計8人が欠席したが、市教委は「自殺との直接的な関係はないと考えている」と話した。保護者会では「動揺が激しく、登校に不安がある場合は家庭で相談して、欠席したい生徒は休ませよう」と確認していた。
         また、市教委などが学校に緊急派遣したスクールカウンセラーには、8日までに7人が相談したという。
        (毎日新聞)3月9日15時55分配信

        ●盲導犬候補の子犬世話、不登校克服の生徒も
         仙台市の私立高校で、不登校を経験した生徒ら約20人が昨年6月から、盲導犬候補の子犬の世話を手伝っている。
         子犬とともに生徒たち自身も大きく成長した9か月間。3年生7人は8日に卒業式を迎え、子犬も今春から専門の訓練センターに戻る。
         ラブラドルレトリバーの雌「エル」(生後11か月)を世話するのは、「クラーク記念国際高校」仙台キャンパス(仙台市若林区)の生徒たち。盲導犬候補の育成ボランティアを引き受けた同校の松村沙耶香教諭(27)が、「犬の世話やしつけを通じて生徒の心の成長を促したい」と、エルを連れてきた。
         子犬はボランティアが1年ほど家庭でしつけるが、日本盲導犬協会によると、学校では異例。生徒らは3班に分かれ、散歩や食事の世話を担当した。
         10年間、引きこもり状態だった3年の戸田麻美さんは、エルとともに盲導犬の募金活動に挑戦した。「数年前なら繁華街に一人で外出できなかった。エルが自分を外に引っ張っていってくれた感じ」。エルと一緒に過ごしたことで福祉への関心が高まり、卒業後は介護の専門学校に進むことに決めた。
         中学と高校の1年間を不登校で過ごし、高校2年の秋に転校してきた3年の福田亮汰さん(19)は最も熱心に世話をした。「エルの日々の成長は自分にも大きな自信になった」。今春から大学に進み、カウンセラーを目指す。
         松村教諭は「生徒たちはエルや仲間と心を通わせ、信頼関係を築くことを学んだ」と目を細める。
         日本盲導犬協会仙台訓練センター職員でエルを担当する末永陽介さん(27)は「生徒からたっぷり愛情を注がれ、人と一緒にいるのが大好きな子になった」と評価する。エルは5月頃に協会の訓練センターに戻り、本格訓練に臨む。最終的に盲導犬になれるのは候補の3~4割程度だが、生徒たちは「エルならきっとできる」と応援している。
        (読売新聞)3月8日7時30分配信

        ●大学生の「就業力」アップ、国が5年計画
         大学生の就職内定率が就職氷河期以来の落ち込みを記録する中、文部科学省は、2014年度までの5年を大学生・大学院生の「就業力」向上の重点期間と位置づけ、大学の財政支援などに乗り出す。
         10年度予算案で、既存の補助金などと別枠で30億円を確保、公募により、インターンシップ(就業体験)を卒業単位に認定するなど積極的な指導を行う国公私立大130校に資金配分する。また、私大約500校に来年度まで就職相談員を配置、大学生らの就業危機脱出を支援する。
         公募で選ばれた大学には、国立大への交付金や私学助成とは別枠で1校につき約2300万円ずつ配分する。選考基準は今後定めるが、1年生から将来の進路を考える科目が必修化されている金沢工業大(石川県)や、調査能力、国際感覚など社会人に必要な能力育成を意識した講義を行う東京女学館大(東京都)、就業体験を単位に認定している一橋大(同)などの例を念頭に置いている。
         財政支援を行うことでこうした取り組みが他大学に波及する効果も期待している。大学院生や、就職が決まらない既卒者の支援も産業界などと連携して進める。
         一方、就職相談員の配置は、企業で採用や人事を担当した経験者や民間の就職支援関連資格保有者の雇用費用を国が負担するもので、国公立大と一部私大を除く495校を対象に来年度まで支援する。
         同省などが12日に発表した2月1日現在の大学生の就職内定率は80%(前年同期比6・3ポイント減)で、調査を始めた00年以降で過去最低。新卒で就職する学生の3割が3年以内に離職しているというデータもある。各大学は独自に指導を行っているが、個々の学生の個性や職業観を踏まえた職業教育を行う大学がある一方、「面接対策など小手先の指導にとどまる大学も多い」(文科省)という。
        (読売新聞)2010年3月14日03時08分

        ●川端文科相「学習院が対応すること」 愛子さま不登校問題 
         同学年の児童から乱暴な行為を受けて強い不安感を訴えた皇太子ご夫妻の長女、敬宮愛子さまが学習院初等科を欠席していた問題について、川端達夫文科相は9日、閣議後会見で「(問題に)どう対応し、改善させるかは学習院初等科が基本的にやること」と述べた。
         会見で川端文科相は一連の問題について「いじめ問題かどうかは承知していないが、元気にまた学校に行っていただきたい」と愛子さまを心配する一方、解決策については「学習院初等科のみなさんが基本的におやりになること」と文科省としては一線をかくして対応する姿勢を示した。
         この問題をめぐっては野村東宮大夫が5日の定例会見で、愛子さまが同学年の児童たちから「乱暴」な行為を受けたことが原因で、通学に際して「腹痛や強い不安感」を訴えて学校を休まれていると説明。今月8日、6日ぶりに登校された。一方、学習院側は、愛子さまをターゲットとした乱暴行為は確認していないとしている。
        (産経新聞)3月9日11時47分配信

        精神科の転院は大変だ。
        2010/03/07
        うつ病(?)で通院、一時任意入院、医療保護入院となっている方を、医師の見立てへの疑問、病棟での管理ミスによる自殺行為の実行と怪我、病状の悪化などから、別の精神科病院に転院させるというケースで、驚きの連続です。
         この方、任意入院の折に、「カウンセリング」の初回にいきなりウェクスラー式知能検査を始められ、抑うつでじっと座っていることも苦痛で集中力も欠けていたため検査の半分ほどで当然のように中断になりましたが、心理所見に「発達障害の疑いあり」と記載されました。
         転院先を探し、担当医の医療情報提供書を持ってご家族が転院希望先の病院に相談に行かれましたが、現在のところ3件が「うちでは受けられません」との返事。抑うつの進行の過程ではアルコール依存があったり、家族の機能不全も否定できないものがあったり、おまけに「発達障害かも?」の所見付きのうつ病患者となるわけです。
         「うつ」だけであったら、問題なく転院の受け入れができていたものと思われます。アルコールや「ACかも?」や「発達かも?」を正直に伝えたため、としか思えません。
         さらに理解できない説明として、「うつを入院治療しているなら3-4カ月で効果が見られるはず」とか、「うつでは(家族などへの)攻撃性は出ない」など、実際に「攻撃」を受けたご家族にすれば信じがたい理由で断られるわけですから、たまったものではありません。
         診断名、病名はともかく、医療保護が必用な状態の患者が転院希望した場合の受け入れが、こんなにも嫌がられるものか、そして、病院間の古き慣習的手続きにこだわるのか、信じがたい現実に直面しています。
         もっとも、発達障害がベースにあって二次症状としての抑うつが重篤化しているとすれば、発達障害に対応できる医療機関が当然必要となりますが、どこを探しても表だって入院治療を受け入れているところはないのが現状のようです。
         平成21年12月8日、閣議決定により「障がい者制度改革推進本部」が設置され、月に2回のペースで障がい者制度改革推進会議が開催されていっています。
        http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/kaikaku.html#kaigi
         障害のある方全てが生きやすい日本社会になることをめざして、活発な、そして斬新な議論が展開されていると、昨日、京都の障害者権利条約の批准と完全実施をめざす京都実行委員会でDPI日本会議の崔栄繁氏から報告がありました。
         行政や保健医療機関の対応の遅れが、これから抜本的に明らかになっていくものと思われます。鳩山内閣が解散に追い込まれ、障がい者制度改革推進本部」が解散しない限りですが…。
         では、今週の気になる記事です。

        なぜ公表?宮内庁に疑問や批判… “犯人捜し”危ぐ

         愛子さまが通われている学習院初等科
         愛子さまの欠席理由にまで踏み込んだ宮内庁の異例の発表に対し、教育評論家や宮内庁関係者から5日、疑問や批判の声が相次いだ。「子ども同士の問題を、東宮職から公にすべきではない」との指摘のほか、結果的に「愛子さまに負担がかかる」との声も上がっている。
         「大声を上げるなど学習院が説明したような行為は、学校では日常的にあること」と話すのは、子ども家庭教育フォーラムの富田富士也代表。愛子さまが学校に行けなくなった背景を「周囲からの注目でストレスを抱えていたのだろう」と分析。その上で「そっとして様子を見るべきだった。公表することで周囲の子供が受けるショックは大きく、犯人捜しが始まる」と学校現場への影響を懸念する。
         尾木直樹法政大教授(臨床教育学)は「親が守るという姿勢を見せることは大切で、ご夫妻が心配するのは当然」と一定の理解を示す一方で「愛子さまがどうすれば学校に戻れるかを考慮した危機管理でなければならなかった」と指摘した。
         この問題はすでにインターネット上の掲示板で炎上するなどしており、尾木氏は「男子児童が退学せざるを得ない可能性もある。“自分のせいで退学になった子がいるんだ”と、愛子さまに余計に重荷を背負わせてしまうことになりかねない」と危ぐ。宮内庁に対しては「発表しなければこんな難しいことにはならなかった。学校に圧力をかけて沈静化させようという意図が透けて見える」と批判。学習院には「公立小学校ならよくある日常的なことだが、選抜された児童が入ってくる学習院には今まで男子の乱暴な行為がなかったのだと思う」と述べ、不慣れな事態に陥ったミスとした。
         静岡福祉大の小田部雄次教授(日本近現代史)は「皇族も一般の子供の中で強く育てるために学校に通わせているはず。愛子さまとご夫妻は、こうした問題への対処も含め乗り越えていく必要があるのではないか」と述べた。
         一方、天皇、皇后両陛下に長く仕えた側近の1人は「子供は“皇族だから”と意識しないし、先生が配慮すると余計反発する。お子さま方がいたずらされることはどの時代にもあった」と明かす。その上で「大夫が独断で公表するはずはなく、皇太子ご夫妻の心配を酌んだのだろうが、発表するなんて…」と驚きを隠せない様子で話した。
         宮内庁のある幹部も「子供同士で解決するべき問題。東宮職だけでなく、記者会見する学校の対応も異様だ」と首をかしげた。
        (スポニチ)2010年03月06日

        ●救える命・自殺未遂者を支える:第1部・現場/9止 居場所提供する経験者/秋田
         ◇「周囲の優しさあれば」
         引きこもりや不登校を支援するNPO「スタートライン」(湯沢市)の荻田弘則代表(44)。その活動の原点となったのは、自らの自殺未遂だった。あのとき感じた人のぬくもりが人生を変え、現在につながっている。
             ◆
         20代半ば、働いていた飲食店でトラブルがあった。それまでにも何度か自殺未遂をしたことがあったが、信じていた人に裏切られた気持ちと、人付き合いがうまくできない自分が心底嫌になった。ある秋の夜、真っ暗な林道に車を走らせ、車にガスを引き込んで死のうとした。
         意識が遠のき、眠りかけたとき夢を見た。斜め上から自分の体を見下ろしている感覚があり、その時どこかで声がした。「まだ大丈夫」。3歳のとき亡くなった父の声だった。自分が「んだな」と言うと、同時に目が覚め、その瞬間我に返った。手足はしびれ、体が言うことをきかない。それでも懸命に車を出て、助けを求めて近くの農家に倒れ込むように駆け込んだ。
         全身がけいれんし、今にも心臓が止まりそうな感覚。見ず知らずのおばあさんが、自分を抱きしめながら「がんばれ」と励ます声が聞こえた。あおむけに明かりが見え苦しいだけだったが、心から「生きたい」と思った。そこへ救急車が駆けつけた。
             ◆
         「死にたいという人の気持ちは分かる。でもそんな苦しい状況でも生きたくなるんだよ」。自殺を考える人にそんなメッセージを送る荻田さん。「そう思えたのは、周囲のぬくもりや優しさがあったから」と強調する。
         その後調書を取りに来た警察官に「お前も家族いればえがったのにな」と田舎言葉で言われたのもうれしかった。「キズものに触るような態度が一番つらい。今まで通り、普通に接してくれることがどれほどうれしいか」
         医療だけでなく、そんな地域の役割が大切と考えている。「地域に居場所が見いだせればいい。見えないけれどそこにある、空気みたいな寄り添いがあれば」。会の取り組みも、そんな思いが原動力となっている。
             ◆
         荻田さんは、行政などが進める今の自殺対策について「過去のデータの後追いばかり。今死のうと思っている人に届いているのか」と疑問を感じている。会議や統計から考えるのも大切だが、生き残った人、いま悩む人の声が聞こえてこない。そんな人たちの話を聞くことは、彼らの支えにもなるし、自殺予防に本当に必要なものが見えてくるのではないか。
         「自分の活動は極めて当事者寄りの視点。でもその視点をもっと大切にしてほしい。未遂者は答えを持っている」=第1部おわり
         ※この連載は百武信幸が担当しました。
         ◇悩みを語り合う
         「スタートライン」は毎月第1、3土曜日に湯沢市の福祉センターで悩みを語り合う会を開き、新たな第一歩を踏み出す支援をしている。会に参加する40代の男性は「悩みを共有できる仲間の存在が大きい。1人でいると物差しがないが、みんな何かしら悩んでおり自分だけくよくよ考えるのはやめようと思えた」と話す。スタッフとメンバーに隔たりがなく、誰かが悩んでいるときは何かしよう、自分が落ち込むときは助けてもらえばいいという雰囲気があるという。会の問い合わせは荻田代表(070・5098・0909)。
        (毎日新聞)3月6日11時26分配信

        ●中2自殺:いじめか? 手紙でほのめかす 東京・清瀬
         東京都清瀬市の市立中学に通う2年生の女子生徒(14)が2月15日、自宅マンションから飛び降り自殺していたことが分かった。市教委関係者によると、本人が書き残した手紙の文面に、同級生らからいじめを受けていたことを示唆する内容があったという。
         市教委指導課によると、女子生徒は2月15日午前8時10分ごろ、市内にある自宅マンション前で倒れており、病院へ搬送後に死亡が確認された。警視庁東村山署が調べた結果、事件に巻き込まれた形跡はなく、マンションから飛び降りて自殺したとみられる。
         手紙は、2月26日に見つかった。学校側はいじめを苦にした自殺だった可能性があるとして、今月1日に保護者会を開き、同級生らから事情を聴くことについて了承を得たという。市教委は3日、会見を開き女子生徒の自殺に関する調査結果を公表する。
         ◇学校が口止め
         2日夜、毎日新聞の取材に応じた女子生徒の同級生(14)によると、自殺があった翌日、学校側から生徒たちに転落死の事実が伝えられ、「外部に言わないように」と口止めされたという。
         2日になり、担任の教諭が遺書が見つかったと説明。その後、同じ学年の生徒全員が1人ずつ別室に呼ばれ、女子生徒に変化がなかったかなどについて聞かれたという。同級生は「(女子生徒が)いじめられている様子は感じなかった。驚いている」と話した。
        (毎日新聞)2010年3月3日

        ●女子中学生自殺で緊急会議 都教委、今年度中に全教員の研修を実施
         東京都清瀬市の市立中学校2年の女子生徒(14)がいじめを示唆する遺書を残し、自宅マンションから飛び降り自殺したことを受け、都教育委員会は4日、全区市町村教委の関係課長らを招集し、再発防止に向けた臨時会議を開いた。
         都教委の高野敬三指導部長は「将来ある子供が自らの命を絶つことは大変残念でならない」と述べた上で、「自殺につながるサインを発しない子供にも十分配慮し、緊急に状況把握に努めてほしい」と指示した。
         会議では、今年度中に全教員を対象とした自殺予防研修の実施と、保護者面談などを通じて児童・生徒の状況把握に努めることなどを決めた。
         女子生徒は2月15日、「学校なんか行きたくない。皆が敵に見えるから」などと記した遺書を残し自宅マンションから飛び降りて自殺。学校はこれまでにいじめの事実を確認していないとしている。
        (産経新聞)3月5日14時4分配信

        ●肥満の一部、細菌が原因となっている可能性=米研究
         [ワシントン 4日 ロイター] 米国の研究チームが4日、細菌が肥満や健康を脅かすさまざまな症状の原因となる可能性があるという研究結果を発表した。アトランタにあるエモリー大学のアンドリュー・ゲワーツ氏のチームが、米科学誌サイエンスに掲載した。
         研究によると、ある種のバクテリアは食欲に影響を与え得る炎症や、クローン病、大腸炎といった炎症性大腸疾患を引き起こす可能性がある。同チームによると、つまりは細菌が過食を招くのだという。
        (ロイター)2010年03月5日13:50JST

        ひきこもりの新ガイドラインまもなく公表?
        2010/02/28
        厚労省は、2010年3月中に、新しい「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン(案)」を公表する予定です。2月19日、東京都千代田区の「日経カンファレンスルーム」で厚労省研究班の主任研究者、国立国際医療センター国府台病院第二病棟部長の齊藤万比古氏らが、新ガイドライン案の概要を解説し、3年間にわたる研究成果などを報告するシンポジウムが、開かれた、私も参加してきました。
         詳しくは下記のURLで↓。
        http://news.goo.ne.jp/article/diamond/life/2010022506-diamond.html
         ポイントはいくつかあります。その大きな1つが、齊藤万比古氏が「引きこもりとは、メンタルヘルスの問題であるといっていい」と指摘したこと。「個々の精神障害の特性を把握することを評価の中心に捉えるべきである」と提言しています。
         つまり、引きこもりは「DSM-IVやICD-10の中に記された障害のいずれかに含まれることを把握すべきである」としていて、03年の「ひきこもり対応ガイドライン」に比べると、対応の仕方の枠組みの転換を提案したものになっています。最も多かった要因は「発達障害」の27%、以下、「不安障害」が5分の1強の22%、偏りを持った「パーソナリティー障害」が18%、うつなどの「気分障害」が14%、統合失調症を中心とする「精神病勢障害」が8%、「適応障害」が6%と続き、識別できない「その他」は5%に過ぎないという調査結果がもとになっています。
         ひきこもりをめぐっては、齊籐環氏を始めとする「社会的ひきこもり」を中心に、治療を必要としながらも、長期の見守りや安心してひきこめる環境をつくるといった非メンタルケア的なサポートが中心に議論されてきたと思いますので、今回出されるガイドラインは大転換となると言えます。
         2点目は、発達障害を原因とするものを27%と示したことです。ただ、これには私なりの異論があって、気分障害や不安障害などの他の精神疾患が発達障害の二次的な症状である場合が多く、それらの治療がすすめば発達障害が残るわけで、27%というのは「少なくとも…」という意味ととらえるべきでしょう。シンポジウムの後、名刺交換を兼ねて齊籐先生にその点をお尋ねすると、やはり「もっと多いと思います」とのお返事を頂きました。
         3点目はひきこもりからの回復=就労ではないこと、が強調されたことです。ひきこもりから自尊感情を取り戻し、自ら社会生活に参与しようという意欲を育てていくまでには、スローステップの段階を、家族への心理教育的援助や個別(訪問を含む)心理的援助(個人治療)、集団への参加(本人の居場所や親の会など)、就労への意識を育てる集団的あるいは個別的支援が必要であって、少し動き始めたからいきなりハローワークへ、ではほぼ絶対にないことです。
         家族、本人、関与する関係者、社会資源…、それぞれへのサポートや地域での連携の必用性が強調されています。
         では、今週の気になる記事です。

        厚労省:「漢方」「はり」治療データ蓄積、人材育成を提言

         漢方や鍼灸(しんきゅう)の今後のあり方について、厚生労働省の研究班(班長、黒岩祐治・国際医療福祉大教授)が提言をまとめ25日、長妻昭厚労相に提出した。治療効果のデータ収集や人材育成、原料の国内栽培の推進などを提案している。
         個別化医療を実現するために、患者の症状や診断、治療結果を収集・蓄積しデータベース化を進めることを提案。また、漢方薬については、現在は8割以上を中国からの輸入に頼っている生薬原料を、25年までに自給率を50%に高めることを目標とする▽休耕地や植物工場を活用した生薬原料の栽培▽漢方の正しい知識の普及--などを提言した。鍼灸については、研修の充実で鍼灸師の専門性を高めることを盛り込んだ。
         漢方や鍼灸などの伝統医療は、中国や韓国の主導で国際的なルールづくりの動きが出ている。提言では、日本も専任の担当部署をつくり、政府主導で対応することも求めた。
         渡辺賢治・慶応大漢方医学センター長は「中国や韓国は国際会議に国の担当者が来ているのに対して、日本は学会レベルで対応しており限界がある」と話している。
         漢方をめぐっては昨年の政府の事業仕分けで、漢方薬がうがい薬などと共に保険診療から外す案が出るなど、専門医の間には危機意識が強い。
        (毎日新聞)2010年2月25日 21時14分

        ●フリースクール:開設20年 進学・就職100人超--三島 /静岡
         ◇不登校生徒受け入れ 「刺激受け、踏み出せた」
         三島市本町でNPO法人・リベラヒューマンサポート(三好悠久彦理事長)が運営し、不登校の生徒を受け入れているフリースクール「リベラスコーレ」が開設20年を迎えた。今年、4人が志望大学への合格を決め、ここから進学・就職した生徒は100人を突破する。
         同校には、県立静岡中央高校通信制課程に在籍する生徒が通う。富士市の鈴木美里さん(18)は中学2年から通い始め、今月、青山学院女子短大英文学科に合格。「中学のとき部活の悩みなどで学校に行けなくなった。ここで友だちや先生とかかわることで刺激を受け、自分から踏み出した」と振り返る。英語に関心を抱き、「ハウルの動く城」の原書の翻訳を進めている。
         同NPOはスタッフ22人のうち9人が同校の卒業生。三好理事長は「引きこもりや不登校の子どもを支え、社会的起業として卒業生の雇用の場を増やしたい」と話す。
         同NPOは20日午後2時から、静岡中央高校通信制課程に進学を予定する中学3年生、高校中退者や保護者を対象にリベラスコーレの説明会をNPO事務所(055・972・4344)で開く。参加無料。
        (毎日新聞)2月19日12時2分配信

        ●いじめや不登校などに対応する専任教諭、小学校に配置へ/横浜市
         横浜市教育委員会は2010年度、市立小学校70校に「児童支援専任教諭」を配置する。いじめや不登校、暴力、発達障害など、学級担任だけで抱え込みがちだった課題に対応し、校内で中心的役割を担う。小学校への配置は全国的にも珍しく、14年度までの5年間で全346校への配置を目指す。
         専任教諭は、各校にいる熟練教諭を校長が任命。担任は持たず、授業数を週12時間以内と大幅に減らし、その分の時間をいじめや暴力の防止、担任支援、地域連携の促進などの活動に充てる。専任教諭が外れる分の授業は、非常勤講師を各校に派遣し対応する。10年度予算案には、非常勤講師の人件費として約1億1800万円を計上した。
         市教委は07年度から09年度までの3年間、全18区に約1校ずつモデル校を設置。専任教諭が登校をしぶる子どもの迎えを行ったところ、不登校の児童が減るなど、成果があったという。全国的にも珍しい取り組みとして、昨年12月には文部科学省からの視察も受けている。
         専任教諭を配置する背景の一つには、特に小学校で増加の一途をたどる暴力行為の発生に、歯止めをかける狙いがある。
         県内の暴力行為の発生件数は、4年連続で全国最多。横浜市立小学校では08年度、児童による暴力行為が559件(前年度比40・5%増)に上った。市教委によると「突然暴力に訴えるなど、コミュニケーション能力の不足といった社会的スキルの欠如」が特徴の一つという。学級を受け持つ担任教諭だけでは対応しきれない、きめ細かい児童指導を専任教諭が行い、問題の解決につなげていく考えという。
         市教委では、10年度の専任教諭の配置校を23日まで募集。各区の数校程度で実施する予定だ。
        (カナロコ)2月15日8時0分配信

        ●障害持つ子、携帯で学習支援…東大など
         障害を持つ児童・生徒の学習を支援する携帯電話の活用マニュアルを、東京大学とソフトバンクモバイル(東京都港区)が作成した。
         携帯電話のカメラや辞書、音声録音、読み上げ、タイマーなどの機能を活用した99の事例を紹介。インターネット(http://www.at2ed.jp/sbm/)で入手できる。
         マニュアルは17ページ。自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、肢体不自由、聴覚障害、視覚障害など9種類の障害別に、携帯電話の17機能の活用方法を一覧表にまとめ、具体的な事例も盛り込んでいる。
         読み書きに障害のある子どもは、授業を音声録音して記録したり、テキスト化した授業内容を読み上げ機能を使って音で聞いたりすることができる。視覚障害を持つ子どもには文字や画像の拡大機能が役立つ。コミュニケーション面では、会話が苦手でもメールやカメラで撮った写真を通して意思疎通ができる。
         また、筋ジストロフィーなどで手の力が弱くても、電子辞書はページをめくる動作なしに指先で操作できる。タッチパネル型の電話なら手をほとんど動かさずに文字が書ける。手で持たなくても会話できるスピーカーフォンも便利だ。
         マニュアル作成のために昨年、全国の養護学校など11校に米アップル社の「iPhone(アイフォーン)」など携帯電話34台を配布。東大先端科学技術センターの中邑賢龍(なかむらけんりゅう)教授(人間支援工学)ら研究室のスタッフが学校に出向き、さまざまな機能を検証してもらった。
         ADHDを抱える児童の場合、タイマー機能を使って時間の経過を画面で示すと気が散りにくくなる効果があった。自閉症で会話しない児童が、メールを送ったスタッフの目の前で「きょうは楽しかった。ありがとう」と返信して親を驚かせた例もあった。
         中邑教授は「子どもの携帯電話の所持には抵抗感を持つ人が多いが、障害を持つ子どもにとっては社会参加を促進し、劣等感や疎外感を取り除くために有効な道具。学校現場や保護者に活用を浸透させていきたい」と話す。今後、マニュアルをテキストにした講習会を要望に応じて開いていく。
         マニュアルの問い合わせはソフトバンクモバイル(0088・21・2000)へ。(吉田典之)
        (読売新聞)2010年2月24日

        ●遺伝子働き抑え精神障害発症 名城大がマウス実験で成功
         精神障害と関係するといわれる遺伝子の働きを一時抑えることで統合失調症のような症状を作り出すことに、名城大薬学部(名古屋市天白区)の鍋島俊隆教授らのグループがマウスを使った実験で成功した。
         誕生前後の発達段階でこの遺伝子がダメージを受けると発症につながる可能性が裏付けられた。成果は25日付の米神経科学誌ニューロンに掲載される。
         鍋島教授らは、精神障害が頻発している英国スコットランドの家系の人に、DISC1と呼ばれる遺伝子に変異があることに着目。誕生5日前のマウスの脳の特定部分にDISC1の働きを抑える物質を注入した。
         マウスの脳のDISC1の働きはいったん低下して生後14日までに回復したが、人間の思春期に相当する生後56日ごろになると、神経の機能が悪くなり、音に異常に驚いたり、認知能力が低下したりした。統合失調症の治療薬を与えたところ効果があり、統合失調症のような状態と確認された。
         鍋島教授は「ある一時期に短期間、遺伝子が傷つけられると神経の発達障害が起き、これが精神障害発症につながると考えられる」と説明した。
         精神障害の仕組みに詳しい貝淵弘三・名古屋大医学系研究科教授は「精神障害の症状を示すマウスを作り出したのは大きな成果。このマウスを使うことで、治療薬づくりに役立つ可能性がある」と評価した。
        (中日新聞)2010年2月25日09時22分

        ●モンスターペアレントや事故対応で相談窓口設置へ、法的面で学校サポート/神奈川県教委
         いわゆる「モンスターペアレント」や部活動中の事故などへの対応で、県教育委員会は2010年度、弁護士を含めた相談窓口を設置する。学校や教員をサポートする体制を整備し、問題解決や未然防止を目指す。亀井貴嗣氏(公明、横須賀市)の一般質問に、山本正人教育長が答えた。
         生徒指導や保護者への対応が難しくなる中、県教委はこれまで、校長らに効果的なコミュニケーションを身につける研修を実施したり、スクールカウンセラーを学校に配置して教員を支援するなどし、対応してきた。
         山本教育長はその一方、「保護者や地域の意見や要望が多様化し、学校の対応への不満や法律知識の不足などにより、大きなトラブルへつながる懸念もある」として、法的な面からも学校や教員を支援することが必要になったとの認識を示した。
         相談窓口は県教委の内部に置く。10年度のできるだけ早い時期に開設を目指す。
        (カナロコ)2月23日23時45分配信

        バックカメラが映った。
        2010/02/14
        これは、クレーマーの話ではなく、「こだわり」の話しだと思って下さい。
         先週のつづきです。サンヨーさんから電話があり、「機械本体、カメラ、接続上のトラブルは確認できません。ただ。カメラからの信号の不安定さが考えられるので、コントロールする装置をお送りしますので接続して試してみて下さい」とのこと。さっそく、オートバックスさんへ電話し、予約を入れました。
         サンヨーさんからの報告を伝えると、「やってみましょう」とピットへ。コントローラーを接続するだけ、と思っていたのですが…。
         しばらくして携帯に連絡があり、シガープラグから電源供給を受けている装置で不安定さが見られるようなので、配線を変えてみる旨の話し。よくわからないので、「良いと思われる方法でやって下さい」とお願いする。待つこと2時間。ナビ本体とコントローラーをシガープラグコードとは別に回線を引き、コントローラーのレベルはMAXに設定したそうです。
         それから1週間が経ち、問題なくリアカメラが映るようになっています。このトラブルにこだわって2カ月半近くになるでしょうか。サンヨーさん、オートバックスさんには、大変なお付き合いをさせてしまいました。ナビ本体は3台目、点検・配線やりかえ作業など10時間ほどかかっていると思います。感想は、どちらも「やる時はやるね!」です。
         それぞれに、御礼の連絡を、明日以降で入れるつもりです。
         では、今週の気になる記事です。

        <高校授業料>滞納分を無利子で融資 厚労省が特例で

         生活苦で授業料などを払えないために卒業できない「卒業クライシス(危機)」への対策として、厚生労働省は、高校授業料の滞納分を無利子で借りられるようにした。都道府県の社会福祉協議会が国の補助を受けて実施する「生活福祉資金貸付制度」に特例を設ける形で、都道府県に12日通知した。
         同制度は低所得世帯などに対する貸し付け事業で、教育支援としては高校の場合、月3万5000円以内を無利子で貸し付けている。滞納した授業料は範囲外だが、各高校の卒業判定が迫る中で今年度に限り特例的にさかのぼり、滞納した高校授業料を貸し付けられるようにした。1カ月当たり3万5000円以内とする。
         卒業クライシスを巡っては、高校生有志らが今月9日、長妻昭厚労相らに緊急要望書を提出して対応を求めていた。
        (毎日新聞)2月12日19時55分配信

        ●生徒指導の在り方探る 向日の教諭ら実践報告
         向日市生徒指導連絡協議会は12日、京都府向日市寺戸町の市民会館で研修会を開いた。暴力や器物損壊などの課題が山積すると言われる中、小中学校の生徒指導担当教諭ら約40人が実践報告などを通して、指導の在り方を考えた。
         第5向陽小の渡邊幸雄教諭は生徒指導の取り組みと成果を報告し、「具体的な提案で『うちの学校、変わったね』と確認し合うこと、実践で団結していくことが校内の生徒指導体制の根幹ではないか」とまとめた。
         市教委スクールソーシャルワーカー(SSW)の風谷千賀子さんは、学校や家庭など子どもの環境に働きかけて問題解決を図るSSWの活動を紹介し、「担任の先生とは立場が違うからできることがある」と話した。
         SSWのスーパーバイザー(監督者)、銅子龍賢さんは講演で、不登校の子どもが通う「適応指導教室」の意義や生徒指導担当教諭の大切さなどを説いた。
        (京都新聞)2月13日13時59分配信

        ●川崎・いじめ訴訟:276万円支払いへ 市教委、生徒の両親と示談/神奈川
         ◇いじめでPTSD
         川崎市教育委員会は10日、市立小在学中にいじめを受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された高校3年の女子生徒(18)の両親に、治療費と慰謝料約276万円を支払うことで示談が成立したと発表した。17日開会の定例市議会で報告する。
         市教委などによると、父親が中国人の女子生徒は、小学3年だった00年4月から約1年にわたり、同級生から「中国人」などとはやし立てられ、頭をたたかれるなどのいじめを受け、横浜市内への転校を余儀なくされた。
         市教委は04年に「民族差別を背景にした悪質ないじめ」と認め、女子生徒と両親に謝罪。当時の校長ら6人を減給などの処分とした。女子生徒は現在も治療中で、市教委の担当者は「治療が長期にわたり、高校卒業も控えていることから、現時点での損害額を算定した」と説明した。
         女子生徒の父親(60)は「一つの区切りはつけられた。嫌な思い出を覚えていてほしくないし、早く回復してほしい」と話した。
         女子生徒と両親は元同級生2人の保護者に損害賠償を求め提訴し、横浜地裁川崎支部が07年12月、いじめを認め保護者に計100万円の支払いを命じた判決が確定している。
        (毎日新聞)2月11日12時0分配信

        ●若者を対象にした自立支援の拠点がオープンへ/横浜
        2月12日13時30分配信カナロコ
         不登校や引きこもり状態の若者を対象にした自立支援の拠点「よこはま北部ユースプラザ」が3月1日、横浜市都筑区茅ケ崎中央のウェルネスセンタープラザ南ビル3階にオープンする。同市の自立支援事業の一環で、運営は居場所事業、保護者支援事業など取り組んでいるNPO法人「月一の会」。
         同プラザは港北、緑、青葉の3区を対象に、(1)一時的な総合相談(2)青少年の居場所(3)社会体験・就労体験(4)地域ネットワークの構築―などの機能を担う。社会的な自立を目指すおおむね15歳から35歳未満の市民と家族に対し、電話や来所での相談、家庭訪問、気軽に通えるフリースペースの提供、コミュニケーショントレーニングやスポーツ・文化活動の実施、家族支援、地域イベントの開催などに取り組む。
         北部での開所は西部(保土ケ谷区)、南部(磯子区)に続き3カ所目。市こども青少年局は「問題を本人や家族だけで考えず、地域や社会全体で支えていくことが必要。プラザを拠点に社会参加、自立への道のりをともに考えていきたい」としている。市営地下鉄センター南駅から徒歩6分。相談(3月1日から)は、電話045(948)5503。

        ●介護相談窓口:一人で悩まず電話を いのちの花協会が開設/京都
         孤立化しがちな介護者をサポートするために「日本いのちの花協会」(左京区)が、電話による相談窓口を開設した。同会は「精神的疲労がたまると、虐待だけでなくうつ病や自殺にもつながりかねない。一人で悩まずに電話をかけて」と呼び掛けている。
         認知症の高齢者などをみとるターミナルケアにも取り組んでいる有料老人ホーム「花の家」(同)を運営する同協会が、ホーム利用者以外の介護者もサポートしようと実施。臨床心理士らによる相談員養成講座を受けたボランティアスタッフ7人が相談に応じる。
         1月に相談を受け始めてから、被介護者からの暴言や暴力に悩む事例などの相談が寄せられている。
         代表の宮田さよ子さん(61)は「『あなたは孤独ではない』ということを伝え、少しでも相談者の気持ちが楽になる手助けをしたい」と話している。
         月水土の週3回で、相談料は無料。月曜日は午後6~8時、水・土曜日は同1~4時、専用番号(075・724・4047)へ。
        (毎日新聞)2月13日16時0分配信

        ●ちょっとした援助が自殺防ぐ NPO理事長講演
         白浜ロータリークラブ(中村寛会長)の例会がこのほど、和歌山県白浜町内のホテルであった。NPO白浜レスキューネットワークの藤薮庸一理事長(37)が講演し「自殺防止は難しくはない。ちょっとした援助や気持ちが防止のきっかけになる」と話した。
         ネットワークは2006年5月に発足。会員112人。投身自殺する人が多い三段壁を巡回したり、三段壁に設置している「いのちの電話」の応対をしたりしている。今年1月下旬からは毎週水曜午後8時半~11時に、田辺西牟婁地方の人を対象に電話相談も始めた。
         三段壁では09年2月から県、町と定期的に巡回パトロールを実施。昨秋には町が、投身者が多い岩場に柵を設け、入りにくいよう植栽した。
         講演で藤薮さんは「パトロール中に保護した人もいる。柵は、思い詰めていた人にもう一度考えさせる間を与える機会になっている」と話した。また、「一昨年は三段壁で21人が自殺し、多いと感じたが、田辺西牟婁地方での自殺者は40人を超えていた。三段壁での応対だけでは駄目だと思った」と述べた。
         最後に藤薮さんは、自殺を思いとどまって自立し、昨秋、病気で亡くなった人が「三段壁でぼんやりしていた時に『変な考えを起こしたらあかんで』と声を掛け、お金をくれた女学生さんに感謝や。声を掛けてくれてなかったら…」と、亡くなる間際に藤薮さんに話したことを例に挙げ、優しい気持ちだけでも人は救えると理解を求めた。
         白浜ロータリークラブでは同日、ネットワークの活動費の一部にと、金一封を藤薮さんに寄付した。
        (紀伊民報)2月11日17時2分配信

        ●県立全校に“裏サイト” 群馬県教委調査中間報告
         群馬県教育委員会は、いじめや犯罪の温床と指摘されているインターネット上の“学校裏サイト”についての実態調査の中間報告をまとめた。それによると、調査した県立高と中等教育学校全64校すべてに“裏サイト”があり、計710件の書き込みなどが確認された。県教委は「放置しておけば、生徒の自殺などの問題も起こりかねない。早急に対処したい」としている。
         調査は、個人情報流出の危険性があるサイトやいじめをほのめかすような不適切な内容の投稿実態を調べることが目的。昨年12月から今年3月にかけ、県立高63校と県立中等教育学校1校を対象に調査会社に委託して実施、中間報告では1月20日までの調査結果をまとめた。
         それによると、在校生らが情報交換などを目的に利用している学校の非公式のサイトで、問題のある投稿が計710件見つかり、全64校で関係する投稿があった。発見された投稿のうち、最も多かったのは、「個人情報の流布」で535件。そのほか、「いじめ・中傷」に関するものが36件、家出や自殺をほのめかすなどの「トラブル」が4件あった。サイト別では、プロフィールサイトが496件で全体の約7割を占めた。
         調査では、これらの情報を、(1)犯罪予告や児童生徒の生命にかかわる内容(2)早期の指導・対応が望ましい内容-などに分別。
         生命にかかわる極めて緊急性が高いものはなかったが、早期の指導や対応が望ましい書き込みとして、特定の教員や生徒を中傷したり、自殺をほのめかす書き込み計5件を検出。学校側に連絡し、書き込んだ生徒への指導など、対応を求めた。
         県教委は今後、調査結果を参考に、悪質な書き込みのあるサイトの削除や投稿した生徒の指導強化を実施する方針。
         県高校教育課は「サイトを削除しても、新しいサイトがすぐに立ち上がってはきりがない。今後の経過を注意するほかに、新たな対策が必要」としている。
        (産経新聞)2月13日7時56分配信

        バックカメラが映らない。
        2010/01/31
        先週は、土曜日が放送大学大学院の単位認定試験(5教科連続して試験受けました)、日曜日は日本精神保健福祉士協会の基幹研修1で1日缶詰になってました。
         さて、私は40歳頃まで、通勤やその他の移動にバイクを使っていました。250ccや400ccの中型自動二輪車です。今の仕事分野に変わることになってから、車での移動が必用になると思い、それまでの信念を断念して教習所に通い、普通免許を取得。4輪車に乗り換えました。
         400ccのバイクに乗っていた頃からカーナビゲーションを使っていて、車にそれを乗せ替えました。DVDナビでした。初心者マークがはずれてからもバックする際に誤ってこすって傷を付けてしまうことが続き、思い切ってネットで安いバックカメラを購入し、ナビで外部入力に切り換えた時に映るようにしました。
         車を乗り換え、同じナビを載せ替えて使っていましたが、10年も使えば寿命がくるもので、ある日エンジンをかけるとナビが「ガーー」とうなるばかり。仕方なく、流行始めたポータブルナビを買うことにしました。条件は、オンダッシュタイプでバックカメラ対応、地図データの更新ができることでした。昨年の11月現在ではバックカメラ対応の機種はサンヨーのゴリラだけだったので、それに即決。バックカメラとも接続し、ギアをリアに入れると画面がカメラ画像に自動的に切り替わることを確認しました。
         事件は翌日から始まります。駐車場でバックで車を駐めようとギアをリアに入れても画面がそのまま。何度やっても同じ。翌日、同じようにバックするとチャンとカメラ画像が映る。でも、自宅近くの駐車場にバックで駐める時にはまた映らない。しばらく様子を見て、特別な理由がなく、その場その場で映ったり映らなかったりしていると確認。購入・取付をしてもらったオートバックスに相談に行きました。
         オートバックスでは、2時間余りをかけて配線やカメラ、ナビなどの点検をしてくれましたが、その間にはバックカメラは常に作動していたため、ナビ本体を替えてみることにしました。そして、この経緯をサンヨーのナビの担当窓口に電話で報告。サンヨーからは、自動設定でなく手動設定にしたときにチャンと映るかどうかを含めて様子を見て欲しい、との回答。
         様子を見ました。事態は同じ。自動設定にするとほとんどの場合チャンと映りましたが、今度は途中で画面がフリーズし、緑色のフィルターがかかった状態になり、画面タッチをしても画面が切り替わらないなどの新たな問題が見つかりました。
         再度オートバックスに報告すると、もう一度見る、とのことでまた配線など全てをチェック。そして、またもや問題なし。今度は安く買ったカメラを疑い、カメラを新調して試してみることに…。しかし、同じ症状は続きました。
         このままでは納得できないので、翌週、店員に現認してもらおうと再びオートバックスへ。駐車場にバックで駐めようとした時、見事自動設定でリアにギアを入れても画面が切り替わらない状態となってくれました。エンジンをかけギアリアに入れたままサイドブレーキをかけて店内に飛び込み、店員に来てもらいました。現認です。さっそくピットを手配してくれ、3度目の点検をしてくれたのですが、やはりピットでは症状は出ず。結果、本体は3台目に交換されましたが、「これ以上のことはうちではできません」と言われました。
         翌日、サンヨーさんに経過報告。サンヨーさんにはカメラを新調した際にメーカー・型番を伝えてあり、同じ環境でテストを始めてくれていたようですが、まだ報告が来てないとのこと。報告が来次第、連絡をくれることになっています。
         ナビ本体のバグと思えますが、このモヤモヤはどこへぶつければいいんだ~~(`ヘ´)。
         では、今週の気になる記事です。

        不登校対策市町村を支援 県教委 特色ある事業へ補助(長野)

         県教委は新年度から、市町村教委の不登校対策を支援するため、特色ある取り組みについて事業費の3分の2までを補助する「笑顔で登校」支援事業をスタートさせる。不登校児童・生徒の多い市町村に対策を強化してもらおうというもので、2010年度当初予算案に4000万円を要求している。
         市町村への補助額の上限は200万円で、10年度から12年度までの3年間行う予定。2月中に各市町村教委から事業計画書の提出を受け、有識者などで構成する選定委員会が、対象事業を選ぶ。
         不登校予防にプラスになる特色ある活動であることが選定の条件で、カウンセラーの単なる増員などは認めない。不登校児童・生徒の多い市町村を優先するという。毎年度、効果の検証と事業の再選定を行う。
         08年度の調査では、県内の小学校の1000人あたりの不登校児童は5・0(全国平均3・2)で全国で最も高い割合だった。中学校も32・2(同28・9)で全国5番目に高かった。市郡別(学校数の少ない郡は非公表)でみると、小学校は、東筑摩郡12・1、安曇野市7・7、駒ヶ根市、北安曇郡7・6などが高かった。中学校は、岡谷市50・8、大町市48・4、東筑摩郡45・0などが高割合だった。
         県教委は、不登校対策を重点分野と位置づけており、県不登校対策検討委員会を設置。3月には、行動計画を策定することになっている。
        (読売新聞)2010年1月28日

        ●<自殺?>中3男子14階から 遺書メール後に 愛知・岡崎
         24日午前10時ごろ、愛知県岡崎市矢作町西河原6のマンション「グローリアス岡崎」(15階建て)の1階通路で、近くに住む中学3年の男子生徒(15)がうつぶせに倒れているのを通りかかった男性(23)が見つけ119番した。男子生徒は全身を強く打ち、間もなく死亡した。愛知県警岡崎署は、飛び降り自殺の可能性が高いとみて調べている。
         同署によると、男子生徒はマンションに外付けされた非常階段14階の踊り場から転落したとみられる。現場には高さ約1.2メートルのさくがあった。男子生徒は普段着で、倒れていた場所の近くにはリュックが落ちていた。同日午前、遺書めいたメールが家族らに送られたという。マンションは、生徒の自宅から約500メートル離れている。
         男子生徒は朝食を済ませた後に姿が見えなくなった。生徒が通う学校の教頭は「クラスでは活発な生徒で、金曜日まで登校し、変わった様子はなかった。友人関係や進路で悩んでいる様子もなく、現段階で思い当たるところはない」と話している。
        (毎日新聞)1月25日1時49分

        ●あんどYOU:笑顔伝えたい 不登校・発達障害の親の会、来月6日合唱披露/滋賀
         ◇30人、思い歌に込め
         不登校や発達障害の子どもを持つ親らでつくる「あんどYOU」(安土町)のメンバーが2月6日、「安土町町民のつどい」で混声合唱を披露する。「みんなの笑顔を伝えたい」。思いを歌に込め、練習を重ねている。【中本泰代】
         「今すごい楽しそうやった、グー!」。指導する同町立老蘇小校長、飯村悟さん(57)が大きな身ぶりでOKを出すと、メンバーから笑顔がこぼれた。27日夜、同小音楽室であった練習には小学生から大人まで約20人が集まり、アンジェラ・アキさんの「手紙」など4曲を合わせた。
         あんどYOUは05年4月、不登校の息子がいる代表の山田靖弘さん(46)ら3家族で発足。翌年には発達障害の子どもの家族も合流し、現在は安土町を中心に約50家族が参加する。「ほっと一息つける場を」と月1回、集まりを設けている。
         合唱を始めたきっかけは昨年3月、著名な児童精神科医を招いて開いた講演会。講師への感謝の気持ちを形にしたいと考えた山田さんが、アンジェラ・アキさんと中学生たちが「手紙」を歌うドキュメンタリー番組を見てひらめいた。飯村さんも指導を快諾。当日は50人近くが熱唱した。その楽しさが忘れられず、地域の歌好きの人たちも加え約30人が月1回、歌っている。
         本番に向け、練習も追い込み。娘3人と参加する吉村真美さん(43)は「普段つらいことがあっても、日々頑張ってできることがあれば力になる」と話す。山田さんは「不登校や発達障害は当事者だけの問題じゃない。それを、合唱を通じて知ってもらえたら」と期待を込める。
         町民のつどいは午後1時から、安土町桑実寺の文芸セミナリヨで。合唱は午後2時から。あんどYOUの連絡先は山田さん(090・1897・4614、メールyamadaya@ares.eonet.ne.jp)。
        (毎日新聞)1月29日16時1分配信

        ●京都フリースクール虐待、元経営者に懲役3年6月
         京都府京丹波町の「丹波ナチュラルスクール」入所者虐待事件で、入所者に対する逮捕監禁などの罪に問われた元経営者の朴聖烈被告(61)の判決が28日、京都地裁であり、宮崎英一裁判長は「長期間に渡り、被害者の自由と人格を踏みにじった悪質な犯行」として懲役3年6月(求刑懲役6年)を言い渡した。
         宮崎裁判長は判決理由で「些細(ささい)なことを理由に暴行を加えるなど、被害者に与えた恐怖心と絶望感は大きい。動機に酌むべく点もなく、反省の態度も認められない」とした。
         判決などによると、朴被告は平成17~20年の間、10~20代の男女6人を手錠をかけて自宅から施設まで車で連行。施設の部屋に閉じこめるなどして監禁したうえ、入所者の一人に暴行を加えてけがをさせた。
         検察側は「子供の教育などに悩み苦しんでいる親をだまして多額の金銭を支払わせる悲惨な犯行」などとして懲役6年を求刑。弁護側は「保護者に説明して了承を得ており、正当な業務の範囲内だった」と無罪を主張していた。
        (産経新聞)1月28日11時42分配信

        ●不登校:「環境変われば減」教研集会で開陽高発表 「単位制で目標明確に」/鹿児島
         中学で不登校だった生徒の6割以上が、単位制高校では高い割合で登校し、3年間で卒業できそうだ--。山形市などで開催された日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会(教研集会)分科会でそんな報告が発表された。「自主性を重んじてくれる」「校則がない」などが理由という。発表した単位制高校・開陽高校(鹿児島市)の大郷光則教諭(54)は「環境が変われば不登校の生徒も行動を起こす」と話した。
         同高全日制に08年春に入学した1年生158人のうち、中学3年間での欠席日数が100日を超えていた39人を対象に、09年前期まで1年半の登校率を調査。授業のある日の3分の2以上、登校した生徒が61・5%に当たる24人に上り、このうち、4人は皆勤した。
         「なぜ登校できるようになったか」の質問への回答は「出席を担任に強要されない」「単位を取り卒業するという目標が明確」などだったという。大郷教諭らは、スクールカウンセラーを置いた▽職員研修で配慮すべき生徒への共通理解を深めた--など、学校側の努力も背景にあったとまとめた。
         大郷教諭は「中学での不登校の理由を、生徒自身の意欲の低さとみるのは間違いで、不登校の子も本当は学校に行きたいはずだ。自主性を重んじるなど配慮したうえで、学校に行かなかったため低下した学力を取り戻せる環境を整え、生徒が通いやすくすることが大切」と話した。
        (毎日新聞)1月26日17時1分配信
        あれから15年。
        2010/01/17
         今日は1月17日です。阪神淡路大震災が発生した日。あれから15年が経ちました。
         まだ前職だった頃で、職場で救援ボランティアを募り、数日後の日曜日に神戸市東灘区へ向かったのが、ついこの前のことのように思い出されます。忘れもしない、東灘区森南町2丁目、通称「森公園」テント村。その日から毎週土曜日か日曜日かに暖かい汁物を作りに通いました。パンやお弁当の支給は早い時期から始まりましたが、冷たく、毎日同じような弁当…、「食べるものより、暖かい汁物が欲しい」というテント村の方々の声に応えようと、さまざまな地域の被災された方々が、とりあえず持ち出せた荷物、たき火(調理用の燃料でもある)のもとになる木材を倒れた家屋などから調達してきて切って集めた薪置き場。たき火の回りに人があつまりテント村の中心に、電気が配線され、水がポリタンクから仮設水道に、仮設トイレの数も増え、自衛隊のテントが配られ、テントが集まり、各地から送られてくる衣類などを保管するテントもできました。たき火は見事な調理場に変身。文字通りのテント村になっていきました。
         テント村自治会が作られ、村長には地位のお風呂屋さんのご主人がなられました。だから、当然のなりゆきとして、みなさんのニーズであったお風呂を自前で作ろう、と言う話しがまとまり、翌週行った時にはすでに1日交替で男・女で入浴できる立派なお風呂ができ、すでに使われていました。
         春になり、いろんな「復興」事業がはじまりました。この地域でも地域再編計画が市から提案され、避難道路などを優先した区画整理を主とした大幅な再編計画に賛否両論、市との説明会や協議会などが繰り返し開かれていきました。
         そんな頃、村長の奥さんから、「毎週の炊き出しが私たちにとっては大きな励みでした。それに応えるには、自分たちが新しい生活を立て直していくことではないかと、みんなで話し合って、テント村を解散していく方向で話しがまとまりました」と言われました。勤め先近くに居を移す人、新たな借金をして家を建て直す人、ひとまずプレハブではあるけれど以前経営していたお店を再開する人が次々と出てきました。村長さん夫妻は、元はお風呂屋さん。多くのローンが残ったままでしたが、新たに借り入れをして、使える浴槽を使って銭湯の再開を目指されました。
         ボランティア活動を止めて数ヶ月して、どうしても気になって森公園にバイクで向かいました。再開したお饅頭屋さん、家を新築された方、そしてお風呂屋さん。「ぜひ入りに来て下さい」と言われていたので、入浴させていただきました。入浴後に着替えていると、当時の村長さんが缶ビールを持ってきてくれ、「やっとここまでこれたけど、これからが大変や。でも、何とかなると思う」と言われた言葉は忘れられません。
         人の回復力、自然治癒力、そして人が織りなす社会や地域の力のすばらしさに、ただただ感動するばかりです。
         では、今週の気になる記事です。

        <障害者>政府が定義見直し 「社会の制約」考慮

         政府は、身体障害など「障害者」の定義について、抜本的な見直しに乗り出す。従来は個人の問題として心身の機能に注目する「医学モデル」だったが、社会参加を難しくしている社会の側の問題を重視し、必要な支援を把握する「社会モデル」への転換が狙い。「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)内に設置され、12日に初会合を開く「推進会議」で議論に入る。
         障害者については、障害者基本法で「身体障害、知的障害、精神障害があるため、日常生活または社会生活に制限を受ける者」と定める。さらに、身体障害者福祉法など障害ごとに福祉法令があり、それに基づき障害者自立支援法や障害者雇用促進法などが運用されてきた。例えば身体障害では、視覚や聴覚、肢体のほか、腎臓や心臓の障害、HIVは対象だが、他の多くの内臓や免疫系などの障害は対象外だ。
         しかし、対象外の人でも社会参加が難しい例は少なくない。見直しでは、障害者は「社会参加に支援やサービスが必要な人」との考え方を基に、一人一人の経済状況や住環境などを踏まえて障害者として認定する定義のあり方を検討する。
         政府が07年に署名した国連障害者権利条約は障害者について、「障害のある人であって、さまざまな障壁との相互作用で、平等に完全に参加するのを妨げられる」状態などととらえる。日本は条約を批准していないが、鳩山首相は昨年12月の改革推進本部設置の際、批准へ向け法整備を急ぐよう指示した。
         見直しは、障害福祉だけでなく雇用や教育など国内法全体に影響する。「推進会議」メンバーで車椅子を使う尾上浩二・DPI日本会議事務局長は「障害を個人の問題でなく、移動や就労など参加を難しくしている社会の制約の面からみる。参加に必要な支援を促すもので、大きな転換となる」と指摘している。
        (毎日新聞)01月11日02:42

        ●子どもの相談体制強化へ=官民推進会議を初開催-文科省
         文部科学省は14日、子どもがいじめや不登校などの悩みを安心して相談できる体制や子どもの居場所づくりに、官民が連携して取り組む推進会議の初会合を開いた。
         会議には文科、厚生労働、警察など関係省庁のほか、民間からは子どもの電話相談に取り組む民間非営利団体(NPO)や日本青年会議所、連合などが参加。会議の下にワーキンググループを設置し、7月をめどに関係者からヒアリングを行い、課題の論点整理を行う方針を確認した。
         川端達夫文科相は「子どもが一人で悩まずに解決できる方策を、あらゆる立場の人が力を合わせてやっていきたい」と述べた。初会合では、相談体制の充実や子どもたちが地域の人と触れ合う機会を増やすなど、関係機関の連携に向けた5項目の推進宣言も採択した。
        (時事通信)1月14日18時10分配信

        ●不登校フォーラム:多様な視点で考える--中京で24日/京都
         不登校について多様な視点から考える「第10回不登校フォーラム」が24日、京都市教育相談総合センター(中京区)で開催される。今回のテーマは「『登校ごころ』を育(はぐく)むつながり~子どもとつながり、社会とつながる~」で、2部制。
         第1部(午前10時~正午)は、市教育委員長で京都大名誉教授の藤原勝紀さんが講演。定員100人。
         第2部(午後1時15分~4時)は七つの観点から不登校を考える分科会を開く。各分科会の講師は次の通り。第1=中村道彦・京都教育大保健管理センター所長▽第2=浜野清志・京都文教大心理臨床センター長▽第3=フリースクールほっとハウス・鷹羽良男代表▽第4=市発達障害者支援センター・幸田有史さん▽第5=市スクールカウンセラー・徳田仁子さん▽第6=教育支援センター(適応指導教室)ふれあいの杜・坂野晴男館長▽第7=こどもパトナカウンセリングセンター主任指導主事・藤本範子さん。定員は各15人程度。
         参加無料。1部、2部それぞれのみの参加可。申し込みが必要。先着順。19日締め切り(必着)。希望者は同フォーラムのチラシか、市教委ホームページに掲載の申込書に記入し、〒604-8184 京都市中京区姉小路通東洞院東入曇華院前町706の3、こどもパトナ内市教委生徒指導課不登校フォーラム係へ、郵送またはファクス(075・213・5237)する。問い合わせは同係(075・213・5622)。
        (毎日新聞)1月8日17時1分配信

        ●特別支援学校:「増設を求める会」が県に要請書 緊急の施策訴え/宮城
         特別支援学校(養護学校)に通う児童・生徒数が増加し、学校が過密状態になっているとして、教職員や保護者らで構成する「支援学校の増設を求める会」(佐久間徹代表)は13日、閉鎖中の県の施設を活用するなどして早期解消を求める要請書を県教育委員会に提出した。県教委は今年度中に特別支援学校の整備計画をまとめる方針を示しているが、求める会側は「長期的な計画だけではなく、4月からの新年度を安心して迎えられるようにしてほしい」と県議会2月定例会で補正予算を組み、実効性のある緊急の施策を講じるよう訴えている。
         県教委によると、県内の特別支援学校は、県立21校、国立1校、仙台市立1校、私立1校の計24校。学級数と在籍者数は全国的に右肩上がりの傾向で、県内では昨年5月現在の在籍者数が10年前の1766人から約3割増の2233人となった。
         仙台周辺の支援学校では特に児童・生徒の過密状態が深刻化しており、利府町の県立利府養護学校では校庭内にプレハブ教室を設置する事態になっている。求める会はこの日、県庁で会見。同校に小4の息子(10)が通っている多賀城市の女性(41)は「校庭にプレハブ教室があることで、避難場所も確保されていない状況。県は4月からどのように対処するのか答えを示しておらず、がっかりしている」と訴えた。
         求める会は要望書で、現在閉鎖されている県総合衛生学院(仙台市宮城野区)や向山児童館(同市太白区)を一時的に分校として活用し、その間に新しい学校を建設するよう求めている。
         増加傾向について県教委特別支援教育室の佐藤浩一副参事は「障害を持った児童生徒が増えたわけではなく、特別支援学校の教育環境が再評価され、希望者が増えたと考えられる」とみる。
         特別支援学校の学級編成は、小中学校で6人、高校で8人と一般よりも少人数制をとるなど教育環境に恵まれている。スクールバスによる送迎もあり、保護者の負担も軽減されるという利点がある。
         増加傾向が著しい名取、利府、光明(仙台市泉区)の3校では、在籍者数が過去10年間で順に78%、56%、28%の増加をみせた。光明は10割、名取は6割、利府は3割が仙台市在住で、仙台市の希望者増に対応しきれていないのが実情だ。
         県教委が設置した「特別支援学校在り方検討委員会」は昨年9月、「仙台圏域に知的障害特別支援学校を新設する」などとする提言を取りまとめた。県教委は提言を踏まえ、仙台市と空き教室の活用や新設案について調整しており、今年度中の整備計画策定を目指している。
        (毎日新聞)1月14日12時0分配信
        「相手の気持ちがわからない」は本当か?
        2010/01/10
        自閉症スペクトラム障害のある人はよく、「場の空気が読めない」、「相手の気持ちがわからない」、「自分の言いたいことを一方的に話す」、「会話にならない」…、などと言われます。そう開設する書籍なども多数でしょう。でも、本当にそうでしょうか?
         この疑問は、高機能脳の広汎性発達障害のある人たちと日々関わっている中で沸いてくるものです。
         とにかく、人の言動や動きをよく観察されています。一度覚えたことは(ほとんどと言って良いくらい)わすれ(られ)ません。(他者に嫌われたくない、変に思われたくないなどの思いから)気配り・気遣いは時に強迫的なほどです。
         では、なぜ「K・Y」などといわれるのか?
         もっとも大きな原因は、かつての人生の中で、特性であるところの「思ったことをすぐ言語化する」によって、数々の失敗体験、それに起因してのからかいやイジメなどの体験を積んだことで、特に言葉によるコミュニケーションをセーブする方略を選択するという「俺ルール」を見つけ、そうすることで被虐体験から身を守ることができてきたことにあるのではないでしょうか。
         以下紹介するの浜松医大での研究で、感情の神経機能の弱さがあることがわかってきていますが、「人の気持ちがわからないよね~」という人は、回りにたくさんおられると思います。その方々は「自閉症」でしょうか?
         感情の神経機能の弱さはありつつも、十分に回りの空気や相手の気持ちを理解しよう、相手に変に思われたくないといった気持ちの強い人たちでありながら、それらの行動化のうまいやり方を獲得し損ねているのではないか、と考えて対人関係のトレーニングを日々行っているところですが、手応えは十分にあります。「こういう時は、こう言えば(すれば)大丈夫だ」とわかれば、どんどん実行していってくれますから…。あとは、それらを実社会において応用していけるかどうか、それに向かう自尊感情が高まっているかどうか、少々の問題が生じても受け入れてくれる社会であるかどうか、が問われます。
         「会話が困難」とされるHF-PDDの方々とは、わかりやすい、答えやすい会話を心がけながら、周囲の方が沢山会話をしてあげてほしいとおもいます。そのことで、過去のトラウマの自己開示に展開するなど、有益な治療的効果や改善に向けての方向性の発見が生まれると思います。
         では、今週の気になる記事です。

        自閉症:感情の神経機能低下が関係 脳断層撮影で浜松医大

         自閉症患者の脳では、感情などをつかさどる神経が十分に機能していないことを、浜松医科大などが陽電子放射断層撮影(PET)を使って初めて明らかにした。自閉症の治療や予防に役立つ成果として注目される。5日、米専門誌「精神医学アーカイブス」に発表した。
         自閉症は発達障害の一つで、「相手の気持ちが読めない」「自分の気持ちを伝えられない」「強いこだわりを持つ」などコミュニケーションや社会性の低下が特徴。程度や症状には幅があるが、小学生以下では50~100人に1人の割合で患者がいると推定される。原因は特定されておらず治療法もないため、「育て方が悪い」などの誤解が今も根強い。
         研究チームは、18~26歳の男性自閉症患者20人と健康な男性20人の脳を、研究目的に限定した専用のPETで撮影した。分析の結果、感情などを伝える「セロトニン神経」内部で、神経伝達物質のセロトニンを取り込むたんぱく質の働きが、患者の脳全体で健康な人より、平均で3割低くなっていた。中でも他人の気持ちを推し量る部位などでの機能低下が目立った。
         自閉症の原因については、関連する遺伝子が複数指摘されており、チームはこれらの遺伝子の異常が、今回分かった神経の障害を起こしている可能性があるとみている。
         チームの森則夫・浜松医科大教授(精神神経医学)は「自閉症は育て方とは関係なく、神経に障害が存在することが明確になった。治療・予防につながる標的が見えた意味は大きい」と話す。
        (毎日jp)2010/01/05

        ●働くカタチ:明日へ/4 若者支援のカフェ店長・山本和彦さん/栃木
         ◇就労訓練の場に 引きこもり体験生かす--山本和彦さん(31)
         県庁近くにあるカフェ「フルール・ブラン」(宇都宮市本町)はハンバーグが自慢の店だ。フランス語で「白い花」を意味する店は、白を基調とした明るい雰囲気で、昼時は若者や女性客でにぎわう。店長の山本和彦さん(31)=鹿沼市千住町=は店を切り盛りしながら、不登校や引きこもり、ニートの若者の相談に応じる。「信頼できるだれかがそばにいてあげることが大事。自分の場合は母でした」
           ◆ ◆ ◆
         山本さんは中学2年の2学期から学校を休みがちになった。「学校に行きたいけど、行けないんだよ」。母よし子さん(52)は息子の言葉を今でも覚えている。3人兄妹の長男で、親から見ても「しっかりしたお兄ちゃん」だった。「まさかうちの子がなんで……と思いました」。いじめがあったわけではない。学校の成績も良かった。
         「いろんな要素が絡み合って、何が原因というわけではない」。山本さんは当時の自分を思う。感受性が強く、神経質な性格。よし子さんは「初めての子でプレッシャーをかけるような育て方をしてしまった。未熟な親でした」と振り返る。
         それから3年間、家に引きこもった。深夜にテレビやインターネットに熱中し、昼夜逆転の生活になった。「何かやらなきゃ」と焦るが、何もできない。人に会うことがプレッシャーだった。近所の人が玄関のチャイムを鳴らしても、息を潜めた。「ダメな自分を見せたくなかった」
         抜け出すきっかけは、中3の秋、よし子さんが不登校の子を持つ親の会の存在を知ったことだった。同じ悩みを持つ親と出会い、「何とかなるから大丈夫」と言葉を掛けてもらい、母の気持ちは楽になった。「生きてくれればいい」。そう思えるようになった。
         「母との関係が変わったことが一番大きい。どんな自分でも受け入れてもらえるようになった」。家から外へ一歩踏み出すまで、風呂に入る、着替える、玄関で靴を履く--いくつものハードルがある。「きょうはこれができたね」と母は励ました。中学を卒業し、17歳の時、通信制の高校に入学。卒業後はコンビニなどでアルバイトを始めた。
           ◆ ◆ ◆
         24歳のころ、不登校や引きこもりを支援していた中野謙作さん(50)=宇都宮市下栗=に誘われ、若者が気軽に立ち寄れるような「居場所」作りを始めた。03年に支援団体「ホワイトキャンバス」を設立。若者の訪問相談のほか、鹿沼市内でフリースクールを開いた。
         「自分のなりわいをしっかりしないと、いい支援もできない」と考えたのは30歳のころ。知り合いにハンバーグの作り方などを教わり、08年5月にカフェをオープンした。よし子さんは「和彦らしい生き方をしてくれればいい」と見守る。
         自身の体験から、不登校や引きこもりの経験がある若者がいきなり就職することの難しさを知っている。そこで、将来はカフェを就労訓練の場にしたい考えだ。「いい人との出会いがあって、今の自分がある。若者が居心地よくいられるような空間にしたい」。そんな思いで、きょうもカウンターに立つ。自身の自立のため、そして自分が「信頼できるだれか」になるために。
         ◇フルール・ブラン
         宇都宮市本町13の5 2階(電話028・616・6390)。午前11時~午後10時、日 曜・祝日定休。
        (毎日新聞)1月7日13時1分配信

        ●こども相談センター 大阪市が運営開始
         旧大阪市中央児童相談所と市教育センターの教育相談部門を統合した「市こども相談センター」(中央区森ノ宮中央)が4日朝、運営をスタートした。児童相談所への相談の件数増加や複雑化に対応するため、児童福祉司らを増員して体制を強化。虐待や非行、不登校など子供に関する総合相談窓口を設置した。
         市こども相談センターはアピオ大阪(市立労働会館)跡に開設した。手狭となっていた旧児童相談所などのほぼ2倍となる延べ床面積約5千平方メートルを確保し、新たに小児科と児童精神科の診療所も設置した。
         この日午前9時、谷井雅美所長が「今年はわれわれの真価を問われる1年になる。子供のセーフティーネットの中核として役割を果たさなければならない」と職員に訓示した。
         同センターの総合相談窓口(TEL06・4301・3100)は平日の午前9時から午後5時半まで受け付ける。昨年9月に設置した24時間対応の市児童虐待ホットライン(フリーダイヤル0120・01・7285)も引き続き運用する。
        (産経新聞)1月4日15時27分配信

        ●<全盲教諭>視察相次ぐ 障害持つ教師、教委関係者
         長瀞町立長瀞中で教壇に立ち、2年目を迎えた全盲の新井淑則(よしのり)教諭(48)の授業の視察に、各地の障害を持つ教師や教育委員会が訪れている。新井教諭は「私が受けているような周囲からの配慮と工夫さえあれば、障害があっても十分働ける。自分が例外になってはいけない」と、後に続く人の活躍を願う。
         新井教諭は、網膜はく離で視力を失い普通学校を離れたが、昨春、16年ぶりに復帰した。別の教師とペアで進める国語の授業の様子が報道されると、授業の進め方や学校のバックアップに関する問い合わせ電話がかかるようになった。
         昨年末、宮城県立視覚支援学校の菊地理一郎教諭(31)が見学に訪れた。菊地教諭は、ペアの教諭との連携や生徒の声のすくい上げ方に興味深そうだった。3歳で両目の視力を失い、高校まで盲学校で学び、01年から視覚支援学校で教えている。普通学校で教えるのが目標という。菊地教諭は「目が見えないで授業をするのは難しいが、子供たちががっかりしないように工夫したい」と話す。
         08年11月には、非常勤講師だった全盲の男性(24)を中学で本採用することになった和歌山県教委の関係者が訪れた。
         長瀞中の高田忠一校長は「教育が目指すのは共生の社会づくり。障害を持つ教師が当たり前に教えられる社会になるよう輪が広がれば」と話している。
         ◇毛呂山町の教諭が県に支援継続要望
         5日、視覚障害がある毛呂山町立中の岩井隆教諭(57)と支援団体が県教育局を訪れ、来年度以降も町教委が岩井教諭を支援してくれるよう、県教育局から指導することを求めた。岩井教諭も08年12月に新井教諭の授業を視察した。
         今は町費で「教科支援員」を配置してもらい、カバーしてもらっている。岩井教諭は「あと3年で退職だが最後まで仕事を続けたい」と話し、小中学校人事課の担当者は「サポートが付くよう、こちらからも町教委に頼みたい」と答えた。
        (毎日新聞)1月6日13時13分配信

        今年一年、いろいろありました。
        2009/12/27
        早いもので、もう今年も終わり。最近の話題と言えば、ノンラベルの居場所で棒編みでマフラーを編み始めました(オッサンの集中する姿は、見てて面白いらしい…)。それから、放送大学大学院・人間発達科学プログラム修士課程に無事合格通知が来ました。授業料、どうしよう(;。;)
         小さな相談室として、いろんな相談にのり、いろんなケースに頭を抱え、また多くのことを学ばせてもらった一年でした。どうぞみなさん、良いお年を!
         さて、アスペルガー障害と診断を受けている女の子が個展を開催することになったので、本人の承諾を得て紹介させて頂きます。
         「井坂優香 個展 静かなモノを」
           海のイキモノはスキだけど海はコワイ
           キノコはいろいろあってオモシロイ
        ひきこもり状態にあるわが子との関わり(6)発達面の障害や傾向がある場合
        2008/12/28
        LD、AD/HD、広汎性発達障害などの知的には問題がないが学校など対人関係性に困難がある子どもたちを「軽度発達障害」と称した(文科省が命名)した時期もありましたが、現在では「発達障害」で統一されてきているようです。障害者自立支援法の施行3年にあたる来年4月に向けて、この「発達障害」(及び高次脳機能障害)を障害者自立支援法が定める「障害」に組み入れるという方向性が明らかになりました。
         LD、AD/HDは発見しやすいので、現在取り組まれている「特別支援教育」においても、様々な実践が積まれていて、対応法や具体的な支援のプログラムの開発もすすんでいます。一方で、これらの特性があるがゆえに、からかいやイジメの対象となったり、自己不全感を募らせて自身を責める気持ちを強く持つようになるなど、不適切な環境の中でマイナス面が浮き上がり、不適応を生じることが少なくありません。
         気づきにくくわかりにくい、どう対応したらいいのか…とそれぞれの関係性の中で課題となっているのが広汎性発達障害です。さらにその中でも、「アスペルガー障害(症候群)」や「特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)」で、IQが高いほどさらに気づきにくいものです。
         LD、AD/HDとは違って、広汎性発達障害のある人には、想像力の問題やこだわり行動などがあり、周囲の人が「意味不明」「理解不能」な現象に直面することになります。そしてLD、AD/HDと同様に、不適応状態を生じ、不登校、ひきこもり、二次障害の発症となるケースもあります。
         これら各々の障害の特性や関わり方についての学びがあれば、本人さんへを理解することからサポートのあり方を模索していけますが、理解がないまま「何とかしなければ…」という使命感などからの関わりが続けられると、逆効果になることも少なくありません。
         状態は同じひきこもりでも、いわゆる「社会的ひきこもり」と発達障害がベースにあっての「ひきこもり」とでは、その対応が自ずと異なってきます。
         発達面での障害の特性があるかないか、ある場合にはどんな特性があるのか、得意なこと・不得意なことは何か、何が今問題になって困っているのかなど、肯定的かつ成長促進的な視点から気づくこと、理解すること、障害特性への理解と関わりの経験のある人のサポートを受けつつ本人さんへの関わりや環境を工夫・改善していくことが重要です。
         「ひきこもり」で一括りにしてしまうと、発達障害がベースにあってひきこもり状態にある人にとって、望ましい支援が見えなくなってしまいます。発達障害への理解の普及が求められます。
         今年最後の更新になると思います。
         どうか、今年一年の良き振り返りをされて、新しい年をお迎え下さい。
         では、この1週間の気になる記事です。

        精神障害者:社会不参加、50万人

         精神科に通院する以外に社会参加をしていない65歳未満の精神障害者が推定で50万人程度いることが、社団法人・日本精神神経科診療所協会の研究班による調査で分かった。
         研究班長の平川博之・日本精神神経科診療所協会副会長は「通院先に精神保健福祉士などの専門職を配置し、精神障害者に対する相談機能を強化することで、社会参加へ向けた支援を進めるべきだ」と話している。
         同研究班は、全国の精神科診療所400カ所を抽出して調査票を送った。うち109カ所が、昨年12月中旬の任意の一日に受診した障害者計3768人について回答。
         その結果、594人(15.8%)が半年以上にわたって「就学・就労」「共同作業所などへの通所」「主な家事の担当」――のいずれもしておらず、通院以外に社会参加していなかった。期間が半年未満または不明だった人も加えると779人(20.7%)に上った。この割合を全国の精神科通院患者270万人(厚生労働省の05年調査)と比較すると、推計で42.7万~55.9万人が社会参加していないことになるという。
        (毎日新聞)2008年12月24日

        ●生活保護を申請したら「あんたらみたいな人にお金は貸せません」と門前払いされた…仕事失い、路上生活1カ月の男性-神戸
         年の瀬を迎え、路上生活者や仕事のない人々のために炊き出しを提供する「神戸冬の家」が二十七日、神戸市中央区の東遊園地で始まった。大鍋で温かい食べ物の準備をするボランティアに混じり、不況のため初めて路上生活に陥った男性(42)が手伝いにいそしむ姿もあった。
         ◇年の瀬の神戸で炊き出し 姫路出身の男性手伝い
         男性は姫路市出身。建設業の技術者で、二年前に大阪府内の建設会社に就職した。社員寮で妻とともに生活していたが、この秋以降、仕事は激減し、十一月に会社が倒産。倒産を告げられたのは一週間前で、数日後には同僚十五人とともに寮を追い出された。そして、妻の故郷、神戸へ。
         「腕一本でなんとかなると思っていた」と男性。しかし、仕事は見つからなかった。妻は姉宅に居候したが、男性は路上生活に入った。住所や連絡先がなければ、就職はますます厳しい。区役所で生活保護を申請しても「あんたらみたいな人にお金は貸せません」と門前払いされた。
         路上生活はもう一カ月。通り過ぎる人に笑われることもある。
        「僕もそうだった。ホームレスをばかにしていた。でも、一寸先は闇だった」
         そんな中、炊き出しを知って訪れた。「自分でできることはしたい」と手伝った。支援団体にも相談した男性は「ここで踏ん張って、また親方になりたい」と、神戸での再出発を誓う。
         「神戸冬の家」は一月五日まで毎日午後零時半ごろ、炊き出しを提供する。午前十時-午後四時には生活相談などがある。また、一月六-十二日には尼崎市東七松町一の橘公園でも「尼崎越年・越冬活動」が開かれる。
        (神戸新聞)2008/12/28

        ●教員52%が超勤2時間超 休日出勤も7割弱
         県内公立学校の教員の52・1%(4253人)が全国平均1時間43分を上回る2時間以上の勤務時間外業務に従事している実態が26日、県教育委員会の調査で明らかになった。5時間以上も5・9%(482人)に上る。平日には78・8%(6361人)が自宅に業務を持ち帰り、休日にも68・6%(5581人)が学校に出勤し、76・7%(6151人)が自宅で業務に当たるなど、勤務時間外労働が常態化している現状が浮き彫りになった。
         県教委は年明けにもワーキングチームを発足、週1回の定時退校設定など具体的な改善策を検討する。
         調査は初めて実施され、全公立小中高、特別支援学校の本務職員1万2760人を対象に、7月7―13日の業務量などを尋ね、84・9%に当たる1万839人が回答した。結果は外部有識者による分析検討委員会(会長・島袋恒男琉大教授)が回答者の76%を占める教諭8234人を中心に分析や改善策を審議し、26日、仲村守和教育長に提言した。
         業務量を多いと感じている教員は77・6%(6292人)、勤務時間外業務をする理由について「勤務時間内に時間が取れなかった」(48・4%、5903人)「勤務内に処理できる業務量ではない」(38・5%、4695人)ことを挙げた。
         業務内容は「校務分掌」「学習指導」「生徒指導」が計8割近くを占め、時間外業務で最も多かったのは「学習指導に関する業務」(57・0%、4248人)で、教員本来の仕事である教材研究や授業の準備が勤務時間内にできない状況が分かる。年間20日ある年休は、過半数が10日以下の取得だった。
         島袋会長は「本来の教育活動より、校務分掌や部活動などに時間を取られている懸念がある」と指摘した。検討委は定時退校日とノー部活動日の設定、県教委などによる調査依頼や通知文書などの整理縮減、管理職の組織マネジメント能力向上などを提言した。
        (琉球新報)12月27日11時31分配信

        ●生活困窮、新入生に100万円減免=授業料全額免除も-岡山理大など8校
         雇用不安が原因で受験を断念する高校生らが出始めている事態を受け、学校法人加計学園(岡山市)は26日、学園が設置している岡山理科大(同市)など3大学で、来年度の新入生150人を対象に入学金や授業料から100万円減額する措置を取ると発表した。高梁学園(岡山県高梁市)も5校で計100人の入学年度授業料を全額免除することを決めた。
         在学生に対する支援はあるが、新入生への支援は異例。
         加計学園が新設した「緊急奨学支援制度」では、受験生が保護者の離職証明などを添付し、願書提出時に申請。合格者の中から成績順に支援対象となる新入生を決定し、入学金や前期授業料などから100万円分を減免する。
        (時事通信)12月26日21時52分配信
        ひきこもり状態にあるわが子との関わり(5)回復のための時間
        2008/12/21
         12月14日は、目白大学で日本発達障害ネットワークの第4回年次大会に出席しました(前日13日に東京入り)。障害者自立支援法が、来年春に「3年目の改正」期限とされていて、大きな動きがすすんでいます。(先週、更新ができなかった言い訳です)
         さて、ひきこもり状態にある人の回復、たぶん=「家族および家族以外の社会関係の再構築」について考えてみたいと思います。
         「ひきこもり始めてからひきこもって動けない状態であった時間だけ、回復には時間がかかる」とも言われています。
         とはいっても、人それぞれ、心理社会的環境要因によって様々な回復があると思います。回復することが、本当に良いことなのか?というケースもあります。一般的には、人間が社会的動物である以上、他者との関わりが適度に保てながら、その人の人生を社会的に歩んでいける状態になっていくことを、回復と言っていいのでしょう。
         ひきこもり状態になっていく過程は、自信や自己肯定感を失っていく過程でもあります。それらを失い、自己否定の中でどうしたらいいかわからない、出口の見えない状態になってしまった人が、独力で回復をしていくことは望めません(無いわけではありませんが…)。
         ひきこもってしまったら、安心してその状態を継続していてもいい、という回りの理解と環境がまずは必用です。本人にとって、今はひきこもっている状態が必用と認め受容する勇気とも言えます。この時期に、親や周囲の期待・希望から、「そんなことをしていたらダメだ」とか、「これからどうするんだ」、「いつから動き出すつもりだ」などという言葉をあびせられることが多いと思いますが、本人への否定と責めでしかありませんし、本人はそのことで苦しんでいるわけですから傷に塩をするようなものです。その苦しさを感じ取り、受け入れ、共有し、今後を共に考え行動する覚悟を持つことが必用でしょう。これは、とても大変なことであることは言うまでもありません。
         できれば、このあたりから、信頼して相談でき、支援を受けられる第三者と家族がまずつながって欲しいものです。親の気持ちは不安の中で揺れ動きます。そして何度も方向性を見失ってしまいます。本人の特性や経緯、状態をできるだけ正確に理解し、方向性を持って、本人と家族の回復に寄り添う支援者の存在は、大きな支えとなります。
         回復には、やはり時間がかかります。統合失調症やうつ病などの精神病理、抑うつや強迫性障害などの神経症などの二次障害を生じておられる場合には、さらにそれらの治療過程が必用となります。
         「このままではダメだ」、「何とかしたい」という気持ちをご本人は基本的にお持ちですから、その気持ちを受け止め、一緒にその道程を進んでいくためのサポートをする第三者との関わりが、そのきっかけとなる場合が多いようです。
         ここで大切な姿勢は、その状態になったことを本人個人の問題にしないこと、家庭内で抱え込まないこと、第三者となれる多用な社会資源のサポートを受けながら本人のペースで段階を踏みながら社会性を回復していこうというものです。焦らず、しかし決してあきらめず、社会的関係性による肯定的な環境要因に頼りつつ、人として支えてあげることが必用です。
         次回は「ひきこもり状態にあるわが子との関わり(6)発達面の障害や傾向がある場合」についてです。
         では、この2週間の気になる記事です。

        障害者自立支援法見直し、原案は原則「全額公費負担」

         与党が検討している障害者自立支援法の見直しの原案が17日、明らかになった。
         介護など福祉サービスを利用する際の負担に関する原則を、「1割の自己負担」から「全額公費負担」に改める内容だ。一方で、所得のある人には能力に応じた負担を求めると明記する。来年の通常国会に改正案を提出し、来年度中に実施することを目指す。
         原案は与党の「障害者自立支援に関するプロジェクトチーム」(座長・木村義雄自民党衆院議員)がまとめたもので、17日午後の会合で検討する予定だ。
         2006年4月に施行された同法は、サービスの利用量に応じてかかった費用の原則1割を自己負担させる「応益負担」の立場をとっている。これに対し、低所得者からは「負担が重い」と不満が出ており、10月には各地の障害者29人が、同法が憲法の保障する生存権を侵害しているなどとして全国一斉訴訟を起こした。与党の見直しはこうした動きを踏まえ、同法の理念を、所得などに応じて自己負担させる「応能負担」に改めるものだ。
         政府は現在、所得ごとに負担額を定めることにより、平均の自己負担割合を3%程度に引き下げる負担軽減措置をとっており、公費支出は年間100億円の増加となっている。与党は法改正後もこの枠組みを維持し、支払い能力のある人に応分の負担を求める方針だ。
         また、原案には、福祉サービスのうち、障害者が福祉施設で作業して賃金を得る就労支援サービスでは当分の間、自己負担を求めない方針も盛り込まれた。全国的に賃金が少ないため、負担を求めるのは適切でないと判断した。
         同法については、民主党も「応益負担」を「応能負担」に変更する内容の改正案を国会に提出している。
        (読売新聞)2008年12月17日14時36分

        ●就活学生の98.8%が「就職戦線厳しい」と予測~02年以来の90%越えに
        2010年度卒業学生による、「2009年就職活動予測(2008年11月調査)」(データ出典:ディスコ)
         企業の人材採用に関するコンサルティングを行うディスコ社は8日(月)、2010年3月卒業予定の学生を対象にした「就職活動モニター調査」を発表した。その結果、前年度と比較した上での就職活動予測について、「非常に厳しい」(42.6%)「やや厳しい」(56.2%)と悲観的な予測をしている学生が98.8%にのぼり、昨年の53.3%と比べると急増していることがわかった。“悲観派”が90%を超えたのは、“就職氷河期”であった2002年11月の調査以来だという。
         「就職活動悲観派・楽観派」グラフ、昨年との比較
         同調査は同社と日経HRが運営する学生対象の就活支援サイト『日経就職ナビ2010』のモニターを対象に、11月14~25日に実施(回答者数1447名)。2010年春の入社に向けた就職戦線についての質問では、昨年度調査で「やや楽」「非常に楽」という“就活楽観派”が46.7%を占めていたのに対し、今年はわずか1.2%に急落。世界同時不況による経済状況の急激な変化と、それに端を発した2009年3月卒業者たちの「内定取り消し」などの雇用状況が、大きく影響していると思われる。
         就職後のキャリアプランについては56.3%が「ひとつの会社に定年まで勤めたい」と回答。また、就職したい理由(複数回答)については「経済的に自立したい」(77.7%)、「安定した収入を確保したい」(76.0%)が最も多く、“成長”よりも“安定”を望む学生が多いことも判明。先行き不透明な経済状況に巻き込まれた就活学生たちの不安と節実な思いが垣間見える結果となった。
        (ORICONSTYLE)12月08日15:11

        ●<内定切り>悪質「自己都合で辞退と書いて送れ」
         雇用状況の悪化に伴い、来春卒業予定の大学生の内定取り消しが相次いでいる問題で、連合は10日までの2日間、緊急電話相談を実施した。2日間に寄せられた相談は21件。内定した職種の変更を迫られたり、採用してもすぐ解雇することを明言された例があり、内定者が入社前から退職勧奨を受けているような状態にあることが浮かび上がった。 悪質なケースとしては、内定取り消しを通告された男子学生が理由を聞くと「内定だから、説明する必要はない」と言われた例があった。会社は「こちらの取り消しではなく、自己都合で辞退すると書いて書面で送れ」と言い、学生が拒否して働くことを希望すると「採用してもすぐに解雇する」と言われたという。内定は実質的な雇用契約で、取り消す場合は基本的に解雇と同じ扱いになる。やむなく取り消す場合も合理的な理由の説明などが求められる。
         内定は設計などの職種で得たのに営業職でないと仕事がないと言われた例や、「大阪で仕事をするという内定を取り消し東京でならば可能性がある」などと伝えられた例もあった。「経営が厳しく採用を延期する」と言いながら、延期期間を明確にしないケースも。連合は、自ら内定を辞退させるための嫌がらせとみている。
         連合は11、12日も午前10時~午後8時まで、非正規雇用労働者の解雇・雇い止め、内定取り消しの相談に応じる。相談電話は全国共通(0120・154・052)。
        (毎日新聞)12月11日02:41

        ●内定取り消し 厚労省あの手この手 採用で助成金、企業名公表…
         厚生労働省が11月に公表した調査結果によると、大学・高校で内定取り消し者は331人に上る。厚労省は「来年度末には、山一証券などが破綻した平成9年度末の922人を超える可能性もある」と危機感を募らせている。
         同省は、取り消し対策として、各都道府県の労働局などに大学生らの相談に対応する特別相談窓口を設置。内定を取り消された学生を採用した企業に最大で1人当たり100万円の助成金を支払うことで就職を後押しする対策などを打ち出している。
         厚労省は、パンフレットを配布するなどして、各経済団体や企業に対し、安易な内定取り消しをしないよう要請・指導。1月中をめどに職業安定法の施行規則を改正し、取り消しが悪質な企業名を公表できる規定を設ける。
         また、大学やハローワークなどと連携を強め、的確に内定取り消しに関する情報を収集できる体制づくりを進める。求人情報の提供や職業紹介の支援も強化する。予算措置が不必要な対策は来春までに実行する方針を示している。厚労省は「しっかりと対策を推し進めていきたい」としている。
        (産経新聞)12月12日8時5分配信

        ●夢を映像化!? 脳内画像を脳活動から再現
         人が目で見て認識している視覚情報を、脳活動を調べることで読み取り、コンピューターで画像として再現することに国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府)などの研究チームが初めて成功した。まだ単純な図形や文字で成功した段階だが、将来は夢を映画のように再現できる可能性もあるという。11日付の米科学誌「ニューロン」に発表した。
         物を見たときの視覚情報は、大脳の後ろにある視覚野という領域で処理される。研究チームは被験者に白黒の画像を見せ、視覚野の血流の変化を磁気共鳴画像装置(MRI)で計測。脳の活動パターンから効率よく画像を解読するプログラムを開発した。
         実験で使った画像は小さなマス目を縦横10個ずつ並べたもので、四角形や十字、アルファベットなど11種類。被験者が画像を見てから4秒後に、ほぼ原画に近い画像をコンピューターで再現できた。また、見ているままの状態を動画で再生することにも成功。再現精度は個人差があるが、カラー化も原理的には可能という。
         夢を見ているときや、頭の中で映像をイメージしているときも、視覚野は活動すると考えられている。ATR脳情報研究所の神谷之康室長は「夢を読み取って画像化することも、荒唐無稽(むけい)なことではない。医療での患者の心理状態の把握、新たな芸術や情報伝達の手段などに応用できるかもしれない」と話している。
         人が見ているものを脳活動から解読する試みでは、「縦じまか横じまか」といった単純な判別は可能だったが、見ているもの自体を画像として読み取ることはできなかった。
        (産経新聞)12月11日10時28分配信

        ●通り魔殺人が最多13件に、死傷者42人
         今年1~11月に全国の警察が把握した殺人事件(未遂も含む)は昨年同期比7・4%増の1200件で、このうち路上などで見ず知らずの人を襲う「通り魔殺人」は、統計を開始した1993年以来、最も多い13件に上ることが警察庁のまとめでわかった。
         同庁の吉村博人長官は11日の記者会見で、経済状況の悪化によって、今後も自暴自棄的な犯罪が増える可能性に触れ、繁華街のパトロールなどを強化する方針を明らかにした。
         11月末までの全国の刑法犯は昨年同期比4・9%減の167万4773件で、6年連続減少。このうち窃盗犯が4・1%、粗暴犯が5・8%、強盗も7・8%、それぞれ昨年同期を下回る中、2004年以降、4年連続で減少していた殺人は増加に転じた。
         特に、通り魔殺人は、茨城県土浦市のJR荒川沖駅で通行人ら8人が切りつけられた事件(3月)や、東京・秋葉原の無差別殺傷事件(6月)など多数の被害者が出る事件が相次ぎ、11月末までの死者は11人、負傷者は31人で、いずれも過去最多だった。
         親族間による殺人も48件増の511件で、殺人事件全体に占める割合は過去最高の49・6%。最も多かったのが親子間の殺人で254件に上り、夫婦(内縁を含む)が182件、兄弟が35件、その他親族が40件と続いた。
         動機では、「介護・看病疲れ」(42件)や「子育ての悩み」(30件)が目立った。
        (読売新聞)12月12日5時23分配信

        ●「うちの子も…」児童精神科の受診者殺到
         落ち着きがない、キレやすい、不登校や不眠、鬱病(うつびょう)といった症状を訴え、児童(小児)青年を対象とした精神科を受診する子供が増えている。国も、地域の拠点病院を核とした関連施設の連携を推進している。しかし、病院、医師とも不足しており、対策は十分とはいえない。子供はなぜ心を病み、大人はどう救おうとしているのか。一般にはなじみの薄い「児童精神科」の現場から、現代が抱える「病」を探った。
         ≪病名がひとり歩き≫
         師走の寒風が吹きつける平日の昼下がり。東京都立梅ケ丘病院(世田谷区)の外来待合室には、診察を待つ小学生から高校生ぐらいの子供と、その親が次々と訪れてくる。風邪や腹痛で来院する小児科の受診者に比べ、症状は分かりにくい。
         同病院は、主に18歳未満を対象とした精神科の専門病院として、全国最大の規模を誇る。外来は、(1)自閉症・精神遅滞の幼児(2)勉強が苦手(LD=学習障害)、落ち着きがない、キレやすい(ADHD=注意欠陥・多動性障害)(3)摂食障害、引きこもり-と3つの専門に分かれ、1日の受診者数は140人近くに上る。
         中でも、大半を占めるのが発達障害の一つ、ADHDの子供だ。
         「原因について仮説はいろいろあるが、はっきりとしたことは分からない。ひと昔前なら、『ちょっと変わってるな』と見過ごされてきたが、ここ数年、授業中に歩き回る子供の存在が注目される影響からか、『わが子もそうではないか』と不安になって受診する母親が殺到している」と市川宏伸院長は分析する。
         母親がインターネットでADHDなどに関する情報を集め、あちこちの病院で受診したものの、診断名がそれぞれ異なり、余計心配になって駆け込んでくるケースが後を絶たないという。
         市川院長は「ADHDへの正しい知識を持たぬまま、混乱している親が多い。子供がどういった症状で、何に困っているか整理せず、病名だけがひとり歩きしている」と困惑顔だ。「大切なのは病名ではなく、疑われる症状に基づく社会的不適応を少しでも減らせるようにすること」と市川院長は訴える。
         ≪予約は半年待ち≫
         子供専門の精神科クリニックも目立つようになってきた。
         尾山台すくすくクリニック(同区)の新井慎一院長は、梅ケ丘病院の医師から2年前に独立して開業。受診内容はADHDのほか、自閉症やリストカットを繰り返すといった深刻な症状から、乳幼児を持つ母親の育児不安にまで及び、現在、新患予約は半年待ちという状況だ。
         「地域に根ざしたクリニック」という特色を生かし、幼稚園や学校、保健所とも連携。患者である子供が通う学校の先生を交えて話し合い、授業や日常生活への理解、改善を求めるようにしている。新井院長は「子供を取り巻く社会が正しい情報を共有し、その子に合った対策をともに考えるのが大切」と話す。
         ≪関係見直しで改善も≫
         「精神科」に比べ受診に抵抗感の少ない一般の小児病院でも、不登校や不眠、情緒不安定といった心の不調を訴える患者が目立つ。
         バニーこども診療所(横浜市磯子区)では、専門の心理士のカウンセラーを置いている。親子で受診する際、互いに背中を向けたまま、顔を見て話そうとしない様子に異変を感じるという箕原豊院長は「親子関係を見直すことで、ほとんどの症状に改善がみられる」と話す一方で、こう不安視する。
         「ゆとり教育のひずみからか、気力の劣る子供や、子の鏡として行動できない親が増え、漠然とした『心の病』にさいなまされ、『病気』ならば治す、といった認識が甘いのではないか」
        (産経新聞)12月16日11時40分配信

        ●半数が障害者、立派な戦力 江戸川の町工場
         厚生労働省が11月、障害者の雇用状況(6月1日現在)を発表した。企業(従業員56人以上)の障害者雇用率は1.59%で3年連続過去最高を更新したが、法定雇用率(1.8%)には届いていない。遅れている障害者雇用。そんなとき、東京都内に社員14人のうち半数が障害者という小さな町工場があることを知った。
        ◇一生懸命の7人「仕事楽しい」
         東京都江戸川区の都市型工場団地「テクノタウン小松川」に入居する「コスモプリント」。ハンドクリームやシャンプーなどのプラスチック容器に商品名や商品内容を印刷する加工会社だ。社員は石塚利夫社長(74)を含め14人で7人が知的障害者、このうち5人はダウン症や自閉症などの重度障害者だ。
         容器の印刷がはがれないためのフレーム処理、印刷、検査、箱詰め…。正確に仕事をこなす社員たち。伊東明子さん(29)=仮名=がベルトコンベヤーから流れてくる大量の容器の中から3個を瞬時に取り除いた。わずかに文字が欠けている。伊東さんはダウン症の障害を持つ。
         石塚社長は昭和54年、知的障害者の特殊学校から中学3年生3人の実習依頼を受けた。「雇用は考えていなかった。でも、一生懸命働く姿に情が移ったんだね」。翌年、徳川幸夫さん(44)=仮名=ら3人を採用した。
         障害者雇用は簡単ではない。「彼らがいかに我慢し、継続できるか」。石塚社長は「最低1年、辛抱しなさい」と言い続けた。
         平成3年入社の北村夏子さん(34)=仮名=は、なかなか仕事ができなかった。石塚社長は「やはり無理か。辞めさせようか」と考え、1年後に切り出した。しかし、それをきっかけに能力が開花。今ではベルトコンベヤーを扱う仕事の中心となった北村さんは「周りの人が温かく、仕事を楽しんでいます」とほほえんだ。
         石塚社長は障害者雇用に理解のない人から「障害者は安い賃金で済むからいいですね」と言われるという。しかし、最低賃金は保証しなければならない。
         7年前に入社した岡田大輔さん(23)=仮名=は当初、木材関連会社に入社予定だったが、健常者が採用されたため不採用に。今年、初めてそれを知った石塚社長は「そうだったのか」と目頭を押さえた。
         「障害者について理解していない企業が多い。真剣に働く彼らを雇用したことで障害者のことが分かり、自分も教えられた」。石塚社長にとって7人は小さな工場でも立派な戦力で、そしてかわいい子供たちだ。
        ◇7割雇用の会社も
         川崎市に工場を持つチョーク製造会社「日本理化学工業」(本社・東京都大田区)は昭和35年から知的障害者雇用に取り組んでいる。北海道・美唄工場と合わせて社員74人のうち、実に7割の53人が障害者だ。大山隆久社長(40)は「『実習だけでも』と依頼され、雇用するつもりはなかった。しかし、一緒に働いた社員から直訴され、採用したのがきっかけ」と話す。
         同社の大山泰弘会長は当時、ある僧侶から「究極の幸せは4つ」と聞いた。(1)人に愛される(2)人に褒められる(3)人の役に立つ(4)人に必要とされる。「愛以外は仕事で得られる」と言われ、「企業は人間が求める究極の幸せを与える場」と実感したという。
         ■障害者雇用納付金 常用労働者301人以上の企業で、障害者雇用率が法定(1.8%)に満たない場合、不足1人につき月額5万円が徴収される。
         ■障害者雇用調整金・報奨金 法定以上を雇用している場合、301人以上の企業で超過1人につき月額2万7000円、301人以下で月額2万1000円がそれぞれ支給される。
        (産経ニュース)2008.12.1808:44

        ●出版:13歳・岩脇寛子さんの自殺から20年 両親が命日に「いじめの記憶」/富山
         ◇「いつまでも忘れないで」
         「もうだれもいじめないで」との悲痛な遺書を残し、1988年12月21日に13歳で自殺した岩脇寛子さんの父克己さん(68)と母寿恵さん(65)=富山市奥田寿町=が、事件から20年を迎えたのを機に、いじめの状況を知ろうと取り組んだ訴訟などの活動や、本紙などの新聞記事をまとめた「いじめの記憶」を寛子さんの命日に合わせて出版する。
         富山市立奥田中1年だった寛子さんは、同級生からのいじめを苦にアパート4階の自宅ベランダから飛び降りた。4日前に13歳になったばかり。遺書にはいじめた6人の実名を挙げ、いじめを繰り返すなと訴え、「私は、この世が大きらいだったよ」と、自らの苦しみをつづっていた。
         両親は同級生たちに配慮し、高校卒業後に市教育委員会に情報公開請求を行ったが、公開された文書はほとんどが黒塗りか空白。クラスメートによる追悼文も事件から約3カ月後、担任教諭が焼却した。「真相究明がいじめ根絶につながる」と、学校に安全保持義務違反があったなどとして96年に提訴。1、2審は訴えを棄却し、最高裁への上告も04年、不受理に終わった。
         同書は、自殺前後の思い出や、情報公開請求や裁判、周囲の支援やいじめで子を亡くした保護者同士のネットワークの広がりなど7章からなる。裁判などを伝えた本紙紙面も転載している。表紙には寛子さんの自筆遺書を掲載。両親は「年月が流れても、寛子が死をもって訴えたことを忘れずにいてほしい」と願っている。B5変形判、262ページ。2100円。桂書房(076・434・4600)。
         ◇いじめなくして、死を選ばないで--両親に思いを聞く
         寛子さんの死から20年。淡川典子・元富山大教授ら支援者9人でつくる「編集委員会」の協力で出版にこぎ着けた克己さんと寿恵さんに、寛子さんやいじめなどへの思いを聞いた。
         「今も『ただいま』と帰ってくるような気がする」。2人にとって、愛娘を失ってからの20年の年月は長いようで短かかった。当初は、突然、自殺という形で一人娘を失い、何をしていいか分からずにひたすら教育関係の講演会を訪ね歩いた。
         遺書でいじめに加わったと名前が挙げられた生徒たちが岩脇さん宅を訪れたのは1度きり。謝罪の言葉もなかった。寛子さんへの追悼作文を焼却した担任の男性教諭も、四十九日までは毎日やって来たが、「その後は音信不通です」。
         嫌がらせの電話も相次ぎ、孤独感にうちひしがれた。そんな2人を支えたのは、当時、「教育スペースあるむす」代表だった故・山本定明さんらが作った支援組織「もうひとりにさせないよ!の会」や、同じように子どもをいじめ自殺で失った親たちとの交流だった。
         娘の死に迫ろうと、市教育委員会への情報公開請求から裁判まで長い道のりを歩いてきた。一方で、2人は十七回忌を機に、寛子さんの部屋を少しずつ整理していった。寛子さんが大切にしていたピアノも友人に譲った。今月、一つのテープを聞いた。「寛子の声は元気ではきはきとして、いじめをうかがわせる様子はなかった」。
         完成した本が岩脇さん方に届いたのは12月17日の夜。寛子さんの誕生日だった。生きていれば33歳。孫がいたかもしれない。年齢が止まったままの娘のためにケーキを買った。克己さんは「お年寄りや子ども、障害を持つ人にも優しく、友人が靴を隠されると一緒に探してやるような子だった。寂しくて仕方ない」と漏らした。
         今もなお、いじめやそのための自殺はなくならない。寿恵さんは「地域、学校、保護者が一体となり、どうかいじめをなくしてほしい。なくせずとも、目の前のいじめや、被害者が自ら死を選ぶようなことだけは止めてほしい」と訴えた。
        (毎日新聞)12月20日15時0分配信
        ひきこもり状態にあるわが子との関わり(3)洗顔・入浴
        2008/11/30
        洗顔、歯磨き、入浴…。通常の社会生活をしている人にとっては日常の行為ですね。男性ならひげ剃り、女性なら化粧なども含まれてくるでしょう。
         これらは、他者との人間関係、対人関係、特に対面での関係性を想定しての準備です。
         こうした対面しての関係性が想定できない日常を送っているひきこもり状態にある人にとって、洗顔・入浴などの行為は、必要性を感じないものであると共に、めんどくさいものでもあります。
         昼夜逆転をしている場合など、本人が洗顔・入浴などをしているかどうか、把握できない場合も少なくありません。また、近距離での観察ができない場合、会話がない場合など、とうてい把握できません。
         洗顔用のタオルや歯ブラシ、お風呂、バスタオルなどの濡れ具合や、洗濯物の出し具合など、注意して確認し、本人の生活状態を把握する目安としてもらいたいと思います。
         では、これらを使った形跡が見られた場合、どう考えるべきか。それ以前にそうした形跡がなく、ある日から見られるようになった場合、本人の気持ちに大きな変化が起こっていると見るべきでしょう。孤独から社会へと視点を移していると考えられます。
         その場合、本人が欲すること、物が出てきますから、それを実現するためにはお金が必用です。散髪、衣類、靴、ゲーム、本など、それらを実行あるいは入手するためには、家から出て社会との接点を持たなければなりません。たとえネット通販であってもお金が必用となります。必用と思われる金額プラスαを「自由に使って良いから…」と渡してほしいと思います。
         変化がないように見えるひきこもり状態であっても、人として生活している以上、なにがしかの変化があるはずです。その変化やサインを見逃さないようにしてほしいと思います。そして、その場合の適切な対応について助言を得られる相談先を持っておくことは、とても大切です。
         次回は「ひきこもり状態にあるわが子との関わり(4)着替え・衣類の整理」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。
         今回のトップは、毎日新聞京都支局長さんが、私が副理事長をしているNPO法人ノンラベルを訪問され、書かれたものです。私も取材に少し関わりました。

        支局長からの手紙:アスペルガー/京都

         京都市立八条中学校の73年度卒業生の同窓会が市内で開かれ、私も出席しました。高校や大学に比べ、入試のない中学の仲間には自分とは異なるタイプの子が多くいたなあと。また、その後の人生も「結婚3回」「独身で派遣」「老人介護」など社会の縮図を見る思いでした。
         ある女性同窓生から「ぜひ、来てほしい」と誘われた場所へ後日、行ってきました。南区久世川原町にあるNPO法人「ノンラベル」(電話075・921・3338)の事務所です。田井みゆき理事長によると、ノンラベルは01年から不登校や引きこもりで悩む家族への援助活動を始めました。しかし、年々、不登校やひきこもりの当事者の中に発達障害(自閉症やアスペルガー症候群など)を持つ人の比率が高くなり、今では主にアスペルガー症候群の当事者とその家族をサポートする全国でも例のない民間団体となったそうです。
         発達障害は、体の成長の遅れではありません。人にはさまざまな能力があります。それらの能力がバランス良く発達しておれば、社会生活をあまり支障なく営めます。ところが、中枢神経の機能障害でこれらの発達に偏りがある人たちがいることが分かってきたのです。
         アスペルガー症候群に特有の性質は、「対人関係や集団行動が苦手」「楽しみや興味を他人と分かち合おうとしない」「特定の物事に熱中する」「自分流のルールや儀式にこだわる」「二つ以上のことを同時に行うのが苦手」「思考の柔軟性に欠け、抽象表現の理解が苦手」などと言われています。
         「ユニークな個性」と言われるのはいいです。しかし、「ちょっと変わった人」「わがまま」「怠けている」と見られがちで、当事者は「人に理解されない」「人と違う」と悩み、生きづらい社会生活を過ごし、不登校、引きこもりになる人もいます。でも、これらの特性のいくつかは自分や家族に当てはまると思いませんか。実際、子供の相談でノンラベルに来る母親が家族の話をするうち、田井理事長が「あなたの夫もアスペルガー症候群では」と指摘するケースも少なからずあるそうです。
         当事者や家族の悩み、苦しみを思えば軽々しくは言えませんが、世の中にはいろんなタイプの人がいて当たり前です。04年に成立した発達障害者支援法第4条(国民の責務)を引用します。
         「国民は、発達障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、発達障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない」
        (毎日新聞)2008年11月24日

        ●無年金扱いの93歳女性死亡 社保庁ミス、不支給1千万円超
         原則25年の公的年金の最低加入期間を満たし受給資格があったのに、社会保険庁のミスによる記録漏れで受給資格のない無年金者とされた35人のうち、93歳の女性が総額約1200万円とみられる全額を受け取らずに死亡していたことが25日、分かった。同様に無年金者とされた84歳の女性ら3人が既に死亡しており、死亡者は計4人。受給できなかった総額が1000万円を超えるとみられるのは初めて。
        (共同通信)2008年11月25日(火)17:42

        ●障害者給付金の運用改善を=厚労省にあっせんー総務省
         総務省は27日、心身障害者が扶養共済制度に基づく月額2万円の給付金受給を「収入増」とみなされ、支援入居施設の利用負担額も増える現行制度について、運用方法を見直すよう厚生労働省にあっせんすると発表した。
         給付金は、低所得の障害者が安定した生活を送れるための制度で、現在約3万9000人が受給している。しかし、厚労省は給付金を「収入」とみなしており、支援施設に支払う利用負担額が増加。結局、受給者の手元に残る金額は給付金を受け取っていない人とほぼ同額となる不合理が生じていた。
        (時事通信)11月27日18時27分配信

        ●2人に1人は腸にストレス、その原因は?
         「ストレス」と聞くと、「胃が痛くなる」といったイメージがあるが、「腸」への影響はどの程度あるのだろうか。腸へストレスを与える要因とされる16項目に答えてもらい、腸のストレス度合いを調べたところ、「生活がストレス腸※に傾いている」(該当数4~8個)は45.0%であることが、食品会社の塩水港精糖の調査で分かった。
        ※ストレス腸とは、腸の蠕動(ぜんどう)運動が抑制されやすい状況のことを言う。
         このほか「ストレス腸」(9~13個)は3.5%、「健康な腸」(0~3個)は51.5%。あまり知られていない腸へのストレスだが、ストレス腸またはストレス腸に傾いている人の合計は48.5%と約半数。「軽視できない腸へのストレス。日ごろから腸へのストレスに対して気を配り、何らかの対策が必要だろう」(塩水港精糖)としている。
         腸へのストレスを与える要因の該当チェックには「運動不足気味である」が最も多く59.2%、次いで「猫背など姿勢が悪い」(35.3%)、「睡眠時間が1日6時間以下である」(34.2%)、「魚や肉をよく食べる」(31.7%)。このほか「ストレスがたまる職場である」(26.8%)、「トイレに行きたくなっても我慢することがある」(19.2%)という回答が目立った。
         ◇ストレスを感じると出る症状
         ストレスを強く感じると出る症状を聞いたところ、最も多かったのは「不眠」(49.8%)。以下「食べすぎ」(36.6%)、「胃腸などの痛み」(33.6%)、「肌の荒れ」(22.7%)、「下痢」(19.5%)、「食欲不振」(15.6%)、「便秘」(14.3%)、「脱毛」(7.6%)と続いた。男女別で見ると、男女ともに1位は「不眠」だったが、男性の2位は「胃腸などの痛み」、女性の2位は「食べすぎ」という結果に。
         ストレスを解消するために何かしているのだろうか。61.3%の人が「特にしていない」と回答。また「(何か)している」と回答した人は、「スポーツなどをして体を動かす」「音楽、映画鑑賞をする」「ショッピングをする」といった意見が目立った。
        (Business Media 誠)11月27日 17:31

        ●<非正規雇用>雇い止め3万人超に 内定取り消しは331人
         厚生労働省は28日、非正規雇用労働者の期間満了・途中での雇い止めが3万人を超えるとする初の調査結果をまとめた。また来春の新卒者の内定取り消しは331人、高卒者求人数は前年同期比の3.8%減で6年ぶりに減少した。金融危機による世界的不況の中、雇用を巡る厳しい情勢が浮かんだ。
         調査結果によると、派遣労働者や期間作業員など非正規雇用労働者の雇い止めを10月~09年3月に実施・実施予定の事業所は、全国で延べ477事業所、3万67人に上った。うち派遣労働者が1万9775人と65.8%を占め、次いで▽期間作業員など5787人▽請負労働者3191人▽パートなど1314人--となった。
         契約期間中に雇い止めにされるケースは1万8573人(不明を含む)で6割超に及んだ。業種別では、製造業が2万8245人と大部分を占め、次いで卸小売業(725人)、運輸業(155人)などが多かった。都道府県別では、愛知県が4104人で最多。岐阜(1986人)▽栃木(1680人)▽長野(1616人)--と続く。自動車など大規模製造工場がある地域が目立つ。調査は全事業者が対象ではなく、厚労省はさらに多くの雇い止めが行われているとみている。
         厚労省は28日、期間満了での雇い止めは事業主に雇用維持の努力を求めること、中途解除では仕事の紹介など雇用安定の措置を取ることを事業者に指導するよう、都道府県労働局に通達を出した。
         舛添要一厚労相は28日の会見で「労働者の雇用維持などに対応する緊急雇用対策本部を設ける。内定取り消しは違法なので、企業、大学などに周知徹底する。学生諸君は泣き寝入りするな」と述べた。
         一方、09年3月卒業予定の新卒者の内定取り消しは25日現在、87事業所で331人に上った。内訳は大学生・短大などが302人、高校生が29人。87事業所のうち8事業所が倒産、10事業所は民事再生法が適用された。
         調査は93年から実施、過去最多は証券会社が破綻(はたん)するなどした98年の1077人。これまではハローワークへの届け出件数をまとめたが、今回は大学への聞き取りも実施した。調査手法は違うが、今回は4番目の規模となった。厚労省は全国の学生職業センターなどに特別相談窓口を設けるとともに「合理的な理由のない内定取り消しは無効」とした指針を企業に周知する。
         来春高校卒業予定者の就職内定率(9月末現在)は、51%(08年同期比1.3ポイント増)で98年以来の高い数字となった。男子が57.7%(同2ポイント増)、女子42.6%(同0.5ポイント増)。だが、求人数は前年同期比で3.8%減の29万3000人。6年ぶりの減少となり、好調が続いてきた就職状況に陰りが出ていることを裏付けた。
        (毎日新聞)11月28日11:22

        ●《気になる数字》118.8万人 サービス残業をなくすことで創出できる雇用
         2007年度に全国の労働基準監督署が賃金不払い残業(いわゆるサービス残業)として是正を指導し、100万円以上の割増賃金を支払った企業は1728社、対象労働者約18万人、支払われた所定労働時間外賃金総額は272億円(労働者1人当たり15万円)に上り、企業数・支払総額はデータの得られる01年以降では最多となった。もっとも、これらは労働者本人やその家族からの相談等に基づくもので、氷山の一角と見てよいだろう。
         賃金不払いという違法行為の解消は当然だが、経済効果という点からは、サービス残業の解消を雇用情勢・所得環境の改善に結びつけることが求められる。
         全労連系の労働運動総合研究所の試算によると、一般労働者(従業員30人以上の事業所が対象)の年間総サービス残業時間は24億1436万時間。この分の労働を新たに雇用される労働者が担うとすると、118万8000人の雇用が創出されることになる。増加労働者がすべて正規雇用の場合、賃金総額の増加は5.8兆円で、生産波及効果を含めるとGDPを0.7%押し上げることになる。日本経済の足腰の強化につながる一過性ではない有望な景気対策といえる。
         なお、こうしたサービス残業の解消は企業にとっては労働コスト増につながるが、同研究所ではこの10年間の賃金切り下げと内部留保の増加に照らし、そうした経費は十分賄えると見ている。
        (『東洋経済 統計月報』編集部)08/11/27|12:00

        ●「人生が変わってしまった」/22人の1人の保護者が心情を吐露/神田高校不適正入試問題
         「子どもの可能性の芽が摘まれてしまった。謝罪されても、もう時間は戻らない」―。県立神田高校(平塚市)が入試で選考基準を逸脱し、本来なら合格していた二十二人の生徒を服装の乱れなどを理由に不合格にしていた問題で、突然届いた県教育委員会からの手紙に当該の生徒やその保護者は戸惑っている。ある保護者は「(こうした事態を招いた)関係者が処分されないのは甘い」と怒りをあらわにした。
         神田高で基準点を超えながら不合格になったのは二〇〇四年度、〇五年度実施の入試でいずれも六人、〇七年度は十人。
         現在十八歳になる長男が〇五年度の後期選抜を受けた小田原市内の母親(53)は今月半ば、県教委から「お話したい」と手紙が届いた。その数日後の二度目の手紙に「合格圏内に入っていたにもかかわらず不合格にされていた」と理由が示されていた。
         母親は事態をのみ込んだ。「息子もあの時入学していれば違った人生を歩んでいたはずなのに」と悔しさを隠さない。
         長男は「俺だって高校生をみるとうらやましいし、高校に行きたかったよ」と話すが、進学した同級生は高三。「ようやく仕事を見つけ車の免許も取った。今さら三年間通う気にはなれない」
         中学生時代、茶髪にしたことが原因で教室に入れてもらえず、中二半ばから不登校になった。再起をかけ中三から横浜市内の公立中に転校。親類の家に下宿し、塾に通って個別指導を受け高校受験に備えてきた。
         塾の先生とも相談し、小田原市内の実家から通える距離も考慮して神田高を選んだ。母親は当時、「お母さん、受かったと思うよ」と長男が明るく話していたことを覚えている。ピアスの跡もあったが、髪を黒染めして受験に挑んだ。「息子は外見とは違い思いやりのある子。周りに迷惑をかけるようなことをする子ではない」(母親)。
         入学した通信制高は続かず、交通事故でけがしたことをきっかけにふさぎ込み、うつ状態になったこともある。ことし夏前からハローワークに通い、とび職の仕事を見つけて働き始めたところに、手紙が届いた。
         神田高の前校長の復帰を求める嘆願書が提出されたことを、母親は報道で知った。複雑な思いをにじませた。「不合格にされた息子のことも理解してほしい。(外見という)偏見で二十二人の人生を変えたのだから」
         県教委は不合格にされた受験生とその保護者に手紙を出して当該者と伝えている途中。「生徒や保護者と直接会って謝罪し、今後の対応を相談したい」(高校教育企画室)としている。
        (カナロコ)11月26日1時0分配信

        ひきこもり状態にあるわが子との関わり(2)食事
        2008/11/24
         自宅あるいは自室を安全・安心の場、あるいは最もストレスが少ない環境、自分自身でいられる世界として選択した人たちが、なぜそこを選んだのか、を考える必用があります。心的ダメージを回避できる場であるとともに、(多くが最低限の)生活が保障される場という理由が浮かびます。その中でも重要な要素として「食事」があります。
         「社会的ひきこもり」への精神科治療の実践者として著名な斉藤環氏の近著『ひきこもりはなぜ「治る」のか?』(中央法規出版)では、儒教思想に基づく家族の意識として、成人後も子どもが家に住みつづけること、子どもが親の老後の世話をすることを是とする日本の文化風土によって、ひきこもり状態になったわが子を、「なんとかならないか」と戸惑いつつも家の中で生活を保障している、という指摘がされています。この意識は、成人後は家から独立させるという欧米の家族意識とは対極に位置し、欧米で問題化している若年者のホームレスが日本では少ない(最近では増加傾向にありますが比較をすれば少ない)理由とされています。
         働けない、働く意欲を失った青年・成人の生活保障を、日本では家族が行っているわけです。一緒に住んでいなくても、家賃や生活費を仕送り続けておられる親御さんが多いのも現実です。
         家でひきこもってしまっている本人は、「食事の提供を受ける」ことをどう思っているでしょうか。親が子どもの面倒をみるのは当たり前、と思っている人は極少数と思います。やはり多くは、「申し訳ない」「こんな自分が情けない」と感じつつ、空腹を満たすために、家族から提供される食事を食べ続けているのでしょう。自分の部屋でしか食べられないのには、そうした理由があります。
         1日に3度、あるいは2度(中には1度)の食事の提供という機会は、本人と「関わる」大切な接点となります。
         本人の命を生物的レベルで守ることからスタートして、どんな状態であれ本人のことを「大切に思っている」気持ちを伝えるものとして、食事提供は基本的に継続すべきです。そして、本人が嫌がらない範囲で、本人の健康状態や生活上困っていることはないかなどの情報を知る接点として、メモを添える、簡単な質問に答えられるメモにしていく、メモを通しての「コミュニケーション」が成り立つようになれば次のステップへと、本人の社会性を取り戻す流れを、焦らず、本人の状態を理解しながらゆるやかに進めていく必用があります。
         食事を家族と一緒にとらない理由として、食事をしながらの「説教」、あるいは「説教」とまではいわないものの、親の思いを伝えておく、というものがあります。親とすれば、本人のことを思ってのことですが、親が言わんとすることは、わざわざ言われるまでもなく、本人が日々葛藤している中核的なテーマであるわけで、本人はそれを「否定されている」としかとれませんし、自己評価を下げることにしかならないからです。
         本人との食事を通してのコミュニケーションのとり方や、傷つけずにコミュニケーションを深めていく段階的な方法など、客観的に適切な助言のできる、信頼できる相談支援者を第三者としてもたれることをおすすめします。
         次回は「ひきこもり状態にあるわが子との関わり(3)洗顔・入浴」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        不登校の中学生、過去最大の割合に

         政府が21日に発表した平成20年版「青少年白書」によると、全国の中学生に占める不登校生の割合は19年度は2・91%と前年度から0・05ポイント上昇し、過去最大になったことがわかった。年間30日以上学校を欠席するのを「不登校」と定義し、中学校の不登校生は19年度が10万5328人(前年度比2・2%増)となった。一方で、小学校の不登校児は2万3926人(同0・4%増)で、不登校児の割合は近年は横ばい傾向が続いている。
        (産経新聞)11月21日15時58分配信

        ●「年長フリーター」固定化、中学の不登校は過去最高 青少年白書
         政府が21日に発表した平成20年版「青少年白書」によると、全国の中学生に占める不登校生の割合は19年度は2.91%と前年度から0.05ポイント上昇し、過去最大になったことがわかった。
         年間30日以上学校を欠席するのを「不登校」と定義し、中学校の不登校生は19年度が10万5328人(前年度比2・2%増)した。一方で、小学校の不登校児は2万3926人(同0.34%増)で、不登校児の割合は近年は横ばい傾向が続いている。
         また、若者の間でフリーターの総数は減っているものの、25歳から34歳までの年長者層では減少幅が少なく、フリーターの状態が固定化していることも分かった。
         19年の15-34歳のフリーターは181万人で、15年の217万人をピークに4年連続で減少。このうち15-24歳が4年で30万人減少した一方で、25-34歳の年長者層は6万人減にとどまった。
         政府は10月に発表した追加経済対策に、年長フリーターらを正社員として採用した企業に助成金を支給する制度を盛り込むなど、安定雇用確保に力を入れる方針だ。
         このほか、平日に親子が一緒に過ごす時間を調べたところ、「ほとんどない」と答えた父親の割合が12年の14.1%から18年時点では23.3%と大幅に増加した。「15分くらい」「30分くらい」を含めると約6割にのぼった。白書では「長時間労働など家庭を取り巻く環境の変化が子どもにとって好ましくない状況の背景になっている」と指摘している。
        (産経新聞)11月21日9時54分配信

        ●グーグルマップに名前や住所、うっかり公開37校980人
         インターネット上の無料地図情報サービス「グーグルマップ」で、名前や住所などの個人情報が誰でも閲覧できる状態になっていた問題で、小中高校などの教員らが誤って公開してしまった児童・生徒の個人情報が、全国で少なくとも37校の約980人分に上ることが16日、読売新聞の調査でわかった。
         一部のデータは削除しようとしても、閲覧可能な状態が続くことも判明。事態を受け、文部科学省は都道府県教育委員会を通じ、全国の教育機関に個人情報の扱いなどについて注意するよう指示した。
         誤って公開されてしまったのは、北海道、青森、千葉、埼玉、愛知、大阪、宮崎など21道府県の3幼稚園(34人)、15小学校(約420人)、15中学校(約390人)、4高校(133人)の個人情報。
         問題が起きているのは、ネット検索大手「グーグル」が提供しているグーグルマップの「マイマップ」機能で、昨年4月にスタートした。住所を打ち込むと、場所が検索でき、地図上に目印や名称、住所、コメントなどを書き込み、自分用の地図としてサイト上に保存できる。
         ところが、落とし穴となっているのがプライバシー設定。「自分用の地図」がうたい文句なため、自分だけが閲覧できると思いがちだが、初期設定は「一般公開」となっており、「限定公開」に変えないと、情報が不特定多数に見られてしまう。
         特に、情報流出の恐れが相次いで指摘されているのが、教員が家庭訪問のために作成した地図で、児童生徒の氏名や住所、電話番号までが閲覧できるものもあった。千葉県内の中学教頭(52)は「家庭訪問は年度当初に行われることが多く、土地カンのない先生は、生徒の家を探して歩くのはなかなか苦労するので、住所を打ち込むだけで訪問先一覧が出来るグーグルマップは便利」と話す。別の教員も「マイマップなら最短の訪問ルートもすぐ検索できる」と言う。
         登録した情報は「削除」ボタンをクリックすれば消える仕組みになっているが、「削除したはずなのに、まだ情報が閲覧できる状態になっている」との苦情も相次いでいる。
         愛知県瀬戸市の市立中学校の場合、今月5日、約15人分の生徒の名前や住所が記載された地図を削除したが、14日時点で再び一部が閲覧できる状態になっていた。宮崎市の小学校でも5日に削除の操作をしたのに、数日後に確認したところ、まだ残っていた。副校長は「教員は授業でもグーグルマップを活用していたが、タダより高いものはない」とこぼしている。
         グーグル広報の説明によると、利用者が登録した情報はグーグルの持つ複数のサーバーに複製される仕組みのため、一時記録が消えきらないケースがあるという。「要請があったものはできるだけ早く削除する」と釈明している。
        (読売新聞)11月17日3時6分配信

        ●学校で「がん」教育 予防と早期発見を啓発 失望せず向き合うために
         日本人の3人に1人の命を奪う、がん。しかし、がんに対する国民の理解は十分ではないとして、厚生労働省は10月、普及啓発懇談会をスタートさせた。懇談会には教育の専門家も参加、学校でがんを教えることも検討される。座長を務める東京大学医学部付属病院緩和ケア診療部長の中川恵一准教授は、学校での「がん教育」の重要性を説く。(猪谷千香)
         「今、がん患者が増えています。日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人が死んでいます。怖いと思うかもしれないけれど、自分の体から出てくる細胞でもあります。では、がんとはどういう病気なのだろう?」
         11月初旬、東京の国立市立国立第一中学校で全校生徒530人を前に、中川准教授の授業が始まった。がん細胞がどのようにできるのか、がん患者が増えている原因や、最新の治療方法などを図版を使いながら、やさしく解説していく。
         「がんは治らない病気ではなく、6割は完治します。命を落とさないためには、予防と早期発見をしなければなりません」
         この授業は、同校が中川准教授に依頼し、特別講演会として開かれた。久家義久校長は「がんになったとしても、失望するのではなく、よりよく生きるためにはどうしたらよいのか。子供たちにしっかり向かい合ってほしいと思い、講演をお願いしました」と話す。
         中川准教授は授業の中で、がんについて解説した自著『がんのひみつ』を自費で子供用に再編集したパンフレットを配布。講演会もボランティアで行った。1月に都内の高校でも同様の授業を行い、「依頼があれば、今後も引き受けたい」とする。
         今後、子供たちのがん教育をどうすべきか。厚労省は10月、がんに対する正しい理解を促進させるため、識者による「がんに関する普及啓発懇談会」を発足させた。学校でのがん教育実施も視野に、教育の専門家も参加している。
         厚労省がん対策推進室によると、これまで小中高校ではがんについて教えられてきたものの、未成年の喫煙との関係が強調されることが多かったという。今後は、懇談会でさまざまな取り組み事例を参考に、委員からのアイデアを取りまとめ、具体的な啓発活動につなげたいとしている。
         中川准教授は「例えば、子宮頸(けい)がんはウイルス感染によって発症する。米国では学校で教えているので9割の人が知っているが、日本ではほとんど知られていません」と、がん教育の必要性を訴える。
         日本は「がん大国」といってもよいほど、患者数は多いにもかかわらず、理解は深まっていないという。
         「子供たちにとっても、将来はかかわってくる可能性の高い病気。相手(がん)を知らなければ正しく対処できない。若いうちから、どのような病気かを教えることが大事です。先生たちも、がんのことをもっと知ってほしい」 
         ■進む国の対策
         現在、国を挙げてのがん対策が進んでいる。平成19年人口動態統計によると、がんで亡くなった人は33万6468人で、全死因の30・4%にあたる。国民の健康に重大な問題として、同年4月に「がん対策基本法」を施行。がんの予防や早期発見の推進▽専門医の育成や拠点病院の整備▽研究や医薬品、医療機器の早期承認のための整備-などを基本施策としている。これを受け、厚労省ではがん対策推進のための21年度予算として、20年度よりも26億円増の262億円を要求している。
        (産経新聞)11月19日8時6分配信

        ●<国歌>斉唱時は「起立、国として指導」-塩谷文科相が強調
         入学・卒業式の国歌斉唱時に起立せず、神奈川県内の教職員らが氏名など個人情報の消去などを求めて横浜地裁に提訴したことに関連し、塩谷立文部科学相は18日の閣議後会見で「国歌斉唱時に起立するのは国際的にも常識。それが理解されていないのなら、国として何らかの指導をする必要がある」と述べた。新学習指導要領では、起立についての規定はなく、波紋を呼びそうだ。
         また、塩谷文科相は「(教職員が起立するかしないか)バラバラな対応があるのならば把握しなければならない」として、全国的な調査の必要性を訴えた。指導は、教職員と児童生徒の両方を対象とすべきだとした上で、「『起立して(歌うよう指導する)』と書かなければならないのかなとも思う。どこにも書かれていない」と述べ、指導要領改定も示唆した。
        (毎日新聞)11月18日12時40分配信

        ●ニート自立塾 利用伸び悩み
         ニートの支援策の目玉として、厚生労働省が始めた若者自立塾の事業が、スタートから3年以上経過した。自立塾は、事業を委託されたNPOなどが、3か月間の合宿生活をしながら、ニートに職業訓練などを行うもの。その成果と課題を踏まえ、2回にわたりニート支援のあり方を探った。
         ◇共同生活
         午前7時朝食。掃除、洗濯の後、午前10時から午後4時まで、昼食をはさんで企業で就労研修。午後6時から夕食……。横浜市にある若者自立塾「Y―MAC」の1日のスケジュールは、ざっとこんな具合だ。日中は、スポーツ、面談指導、卒塾生との交流会、子育てボランティアなどを行うこともある。
         運営しているのは、若者を支援する事業を展開している株式会社「K2インターナショナルジャパン」(横浜市)。お好み焼き店など4か所の飲食店を持っており、塾生の研修の場としてだけでなく、卒塾後の働き先として活用している。精神疾患を持つ若者には、医療機関と提携してスケジュールを組むなど、きめ細かい対応も行っている。
         卒塾後の就労率は約7割と、全国の自立塾の中ではトップクラス。「モデルケース」として、関係者の視察が絶えない。同塾の統括責任者、岩本真実さんは、「共同生活を行うことが、働く意欲を高めるきっかけになっている」と話す。
         ◇予想の4割
         自立塾は05年度、全国で順次スタートし、現在30か所。同省によると、卒塾生は、今年7月末までの累計で1720人に上る。卒塾後の就労率は平均約6割。目標の7割には届かないが、専門学校など、就職以外に新たな道に進む若者も多い。
         だが、自立塾の利用者は伸び悩んでいるのが実情だ。
         同省は、05年度、全国で1200人の利用を見込んだが、実際の入塾者は約500人にとどまった。06年度は約1700人に対し、実績は約700人、07年度は約1600人に対して実績は約600人。過去3年間、国が予想した入塾者数に対する実績は、4割程度にとどまる。利用者の伸び悩みが原因で、これまでに二つの団体が事業から撤退した。
         ただ、ニートの親ら当事者の自立塾への関心は、決して低くはない。事業の委託を受けた各団体からは、「自立塾の説明会は毎回盛況」「電話での問い合わせは多い」といった声が目立つ。「自立塾への潜在的なニーズは根強い」というのが、関係者の一般的な見方だ。
         ◇利用料金20~30万
         では、なぜ、利用実績が伸びないのか。関係者が異口同音に、「深刻な状況にあるニートの場合には、自立塾の支援にも限界がある」と語る。関西で自立塾を運営する団体幹部は、「長年引きこもっている若者は外出もままならない。電話で話をすることもできない。親は自立塾に行かせたくて助けを求めてくるが、入塾は困難」と話す。別の団体幹部は、「そもそも、ニートの若者を3か月で自立させるのは難しい」という。
         また、利用料金の負担も利用実績が伸びない理由のようだ。団体によって異なるが、自立塾の費用は、3か月で20万円から30万円程度。同省は今年5月以降、生活保護を受給する世帯の若者が入塾する際、費用の大半を負担することとした。だが、生活保護を受けていない低所得者の家庭は、こうした恩恵にあずかれないままだ。関東の団体幹部は、「親も子も入塾に意欲があっても、金額を知って連絡が途絶えるケースがよくある」と打ち明ける。
         別の団体幹部はあきらめ顔で話す。「自立塾は事実上、比較的問題が少なく、経済的に恵まれている家庭のニートが対象。深刻で低所得という最も支援が必要な家庭にいるニートには届いていない」
        <ニート>
        進学も就職もせず、職業訓練も受けていない15~34歳までの若者のこと。厚労省の「労働経済白書」(07年版)によると、06年は62万人。02年以降60万人台で推移している。
        (読売新聞)2008年11月18日

        ●暴力行為5万3千件、半数は児童生徒問題 文科省調査

         文部科学省は20日、全国の小中高生を対象とする「2007年度問題行動調査」の結果を発表した。
         それによると、暴力行為は前年度比8000件増の5万3000件に上り、過去最多を更新。一方、前回調査で12万件を超えたいじめは10万1000件に減った。ただ、インターネット掲示板などを使った「ネットいじめ」は、前年度比2割増の5900件に達した。
         文科省によると、暴力行為が過去最多になったのは、07年度調査から、〈1〉警察へ被害届を出さない〈2〉医師の診断書がない――などのケースについて、報告に加えるよう改めて都道府県教委に促したため。
         その結果、前年度の4万4621件から5万2756件に急増。このうち、児童生徒間の暴力が2万8396件と全体の半数を占めた。これに、物を壊す行為(1万5718件)、教職員への暴力(6959件)が続いた。
         世代別では、中学校が3万6803件、高校1万739件、小学校5214件。中でも、小学校は前年度から37%も増えており、「キレる」傾向が一段と裏付けられた。
         いじめは前年の06年度調査で、認定範囲を「いじめを受けたと子供が感じたケース」に広げた結果、約6倍増の12万4898件に膨らんだ。ところが、今回の調査では約2万4000件減10万1127件にとどまった。これについて、文科省は「減少したものの依然、高水準」として警戒を緩めない。
         自殺した児童生徒も13人減の158人。このうち中学生1人、高校生4人の計5人は、いじめとの関連が指摘されている。都道府県別では、岐阜と熊本で、児童生徒1000人当たりの認知件数が30件を超えた。和歌山(1・2件)や鳥取(1・5件)とは約30倍の開きがあった。
         07年度では初めて、各学校で個人面談や家庭訪問がどの程度行われているかを調べたところ、多く実施している学校ほどいじめ認知件数が高いことが判明。同省は個人面談などが少ない学校では、いじめを把握しきれていないとみている。
         また、いじめの中の「ネットいじめ」は前年度比1016件増の5899件を数えた。「学校裏サイト」などのホームページや、ネット上の自己紹介サイト「プロフ」を使って、個人を中傷するケースが多いという。
        (読売新聞)2008年11月20日23時48分

        ●児童生徒の暴力最多、「ネットいじめ」21%増 文科省
         全国の学校が07年度に確認した児童生徒の暴力行為は5万2756件と前年度比で18%増え、小中高校のすべてで過去最多だったことが、文部科学省が20日付で発表した「問題行動調査」でわかった。感情をうまく抑制できずに急に暴力を振るうなど、学校現場が対応に苦しむケースが広がっているという。
         調査は文科省が都道府県教委を通じてまとめた。それによると、小学生の暴力行為は約5200件(前年度比37%増)、中学生が約3万6800件(20%増)、高校が約1万700件(5%増)。最も多いのは児童生徒間の暴力だった。
         暴力行為の調査では、前回06年度から、けがや診断書、警察への届けの有無に関係なく報告するよう求め、さらに今回は各校が書き込む調査票にも明記し、積極的な報告を促した。こうした方針が実数増の背景にあるが、文科省は子どもの変質ぶりも暴力増加の要因に挙げており「自分の感情がコントロールできない」「ルールを守る意識やコミュニケーション能力が低下している」などとみている。
         ただし、調査はあくまで各校の自己申告で、1千人あたりの発生件数では福島県の0.4件から香川県の10.1件と差が大きく、実情を正確に表しているかは不明だ。
         一方、07年度の「いじめ」は計約10万1千件で、過去最多の06年度からは約2割減に。校種別では小学校約4万9900件(20%減)、中学校約4万3500件(15%減)、高校約8400件(32%減)。前回調査では、いじめの定義から「一方的」「継続的」などの表現を削り、公立だけだった調査対象に国立と私立も加えたため、前年度比で6倍超になった。文科省の担当者は「なお深刻に考えている」と話す。
         携帯電話のサイトや学校裏サイトなどネット関連のいじめは約5900件。初調査の前年度より21%増えた。
        (asahi.com)2008年11月21日

        ●ヘルパーの年収258万円 07年度厚労省経営実態調査
         厚生労働省は20日、障害者自立支援法の施行後に初めて実施した07年度の障害福祉施設の経営実態調査の結果を公表した。収入に対する利益の割合(利益率)は全体では6.1%の黒字だったが、児童デイサービスでマイナス32.1%など厳しい経営状況が明らかになった。
         調査は全国5047事業所から有効回答を得た。来年4月の報酬改定の基礎資料となる。ほかに赤字だったのは、居宅介護のマイナス7.9%、自立訓練(機能訓練)のマイナス5.9%など。
         従事者の年収は、介護保険下の労働者よりさらに低い結果となった。ホームヘルパー(常勤)の年収は258万3千円で、介護のホームヘルパーより11万7千円低い。障害者支援施設の生活支援員は338万8千円で、介護の特別養護老人ホームの介護職と比べると41万1千円低かった。
         職員の常勤率は全体で81.5%。ただ職種やサービスごとで差が大きく、ホームヘルパーでは19.3%で、介護保険の40.8%を大きく下回った。
         各施設は12年3月末までに、報酬単価などを改めた自立支援法にもとづくサービス体系への移行が義務づけられているが、今年4月現在、移行施設は全体の28.2%だった。
        (asahi.com)2008年11月21日

        ●<子どものしかり方>思春期編 焦点絞り、具体的に(1) 反応に変化
         「待ちなさい」「もう、いいっ」--。背を向けた長男(14)を追いかけながら東京都三鷹市の会社員、亮子さん(44)=仮名=はため息をつく。「最近、物知りになり親に言い返す。きつくしかるとプイッと行ってしまいます」
         ◇反応に変化
         思春期の子どもの扱いは難しい。学校マガジン「おそい・はやい・ひくい・たかい」編集人で名古屋市の小学校教員、岡崎勝さんは「善悪を明快にシンプルにしかって」と勧める。10代の子どものしかり方はもともと気を使うものだが、10年ほど前から子どもの反応が変わったと、岡崎さんは指摘する。
         目立つのは次のタイプだ。
         (1)しかられることをどう受け止めていいかわからず笑ったりする。立ち直りが早く同じことを繰り返す
         (2)暴力をふるわれてきたため、男女関係なく粗暴。言葉でしかっても通じにくい
         (3)理屈をこねて言い返し、通用しないとキレる
         岡崎さんは「幼少時に善悪を明確に教えられない親が増えた」とみている。「学校の物を壊さない」などの基本的な事柄を理解していない子が増えた。(3)のタイプは、親が理詰めで納得させようと試みて、何をしかられているのかの焦点がぼけてしまった状態のことをいう。
        (毎日新聞)11月23日11時2分配信

        ●<子どものしかり方>思春期編 焦点絞り、具体的に(2) 事後のケア大事
         「親は自分の正義感や怒りをぶつけていい。社会の規範が崩れ、大人も迷うのでしょうが判断に悩むことはしからなくていい。私は生徒に茶髪は『いけない』ではなく、『先生は良くないと思う』と伝えています」
         悩みなどはしかった後で聞く。小学校高学年ともなれば大人と同様に自尊心が傷つく。事後のケアが大切だ。良くないのは母親が父親の顔色をうかがってしかるケース。子どもに何が問題なのかが分かりにくいからだ。
         長崎県大村市の精神科医、宮田雄吾・大村共立病院副院長は「効果的にしかる技術が必要だ」と提案する=表参照(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081123-00000007-maiall-soci.view-000)。
        (毎日新聞)11月23日11時3分配信

        ●<子どものしかり方>思春期編 焦点絞り、具体的に(3) 話し合いも
         ぜひ把握しておきたいのはしからない方が良いケースだ。
         人を陥れるうそは厳しくしかるべきだが、周囲に調子を合わせようとしたり、本人が体面を保つためにうそをついた場合がそれ。「そう?」と受け流し、子どもの気持ちを肯定してから他の言い方を教えるといい。知識や能力が足りず失敗した場合や不登校などで悩んでいる時も同様だ。「分かっていてできないことをしかられたら大人でもつらい。問題解決を話し合うなど対応を変えましょう」と宮田さんは指南する。
         ◇「コミュニケーション重要」
         教育情報誌「プレジデントファミリー」は今夏、学習塾の市進学院と共同で小6親子295組を対象に、成績上位層と普通層のしかり方を調べた。「スパッと短くしかる」は上位層で親53%、子31%、普通層で親44%、子20%だった。「親の体験を話す」「たとえ話をする」などしかり方に工夫している割合はいずれも上位層が普通層より少なかった。鈴木勝彦編集長は「コミュニケーションをとり、子どもをよく観察することが大切」と話している。
        (毎日新聞)11月23日11時3分配信
        社会福祉の現場で働く人たちの待遇はこれで良いのか?
        2008/11/19
        「ワーキングプア」、「年収200万円以下」、「生活が苦しい、将来が不安」…。若年労働者の不安定雇用について論じられていると思ったら大間違いです。中高年の世代の働く人たちの中にも、こうした状況にある人は多数おられます。かくいう私もその一人と言えます。そして、わが愚妻も…。つまり、わが家は「ワーキングプアファミリー」なのです。
         国家資格である精神保健福祉士で、私のように個人事務所を構えている人は極わずかかと思います。私の場合は、個人の相談室のわずかな「事業主貸」と、NPO法人の職員としての「事務費」で、額面は200万円は超えるでしょうが、国民健康保険、国民年金保険料などを差し引けば立派なワーキングプア。
        愚妻も特別養護老人ホームのアルバイトヘルパーですから、胸を張ってのワーキングプア。
         そうなんです。夫婦二人とも、福祉の現場でフルタイム労働をしているのに、やっとこさの生活。「ゆとり」なんて感じたことがありません。そして、次男は国立大学めざして、猛勉強中です。学費は「奨学金」をあてこんで…(;。;)。
         何よりも精神的に良くないのが「不安定さ」でしょうか。
         先週、あるサイトで、精神保健福祉士の正規採用の募集状況を調べたら、全国で3件でした。全国で。3件。月給は22~25万円というものもありましたが、そこから各種保険料が引かれ…。それじゃ、大卒初任給と同じではないか、と突っ込んでみても仕方ありませんが、これが現実のようです。
         精神に疾患のある人を、病院や施設から地域へ、というスローガンの下に精神保健福祉の施策は動いているはずです。増加する高齢者の介護も、同様に国家的課題であり、日本の社会保障制度のあり方が問われています。箱物も大切ですが、今現場で最も求められているのはマンパワー。福祉の現場で働く人は、「元気」でなければなりません。さまざまなハンディのある人たちと「元気」を共感しあえるようになることが目的の仕事ですから。
         次回は「どうしよう? MACOS10.3.9」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <教員>「教頭から教諭へ」など希望降任が過去最多106人

         成人学生07年度に自ら望んで教頭などから降任した公立学校の教員は、過去最多の106人(前年度比22人増)に上ったことが、文部科学省の調査で分かった。一方、生徒と信頼関係が築けないなどとして「指導力不足」と認定された教員は3年連続で減少し、371人(同79人減)だった。
         47都道府県と17政令市の64教育委員会を調べた。希望降任制度があるのは59教委。降任の内訳は、教頭から教諭が70人と最多で、校長から教頭が1人、校長から教諭が4人、その他(主幹教諭から教諭など)が31人だった。39教委しか制度を設けていなかった03年度は計66人で、制度の普及もあり4年間で約1.6倍に増えた。
         理由は「健康上の問題(精神疾患含む)」が53%、「職務上の問題」が27%など。文科省は「主幹教諭に業務が集中するなど、割り振りがうまくいっていないケースがある」としている。
         指導力不足教員は小学校193人、中学校88人、高校62人など。在職20年以上のベテランが228人と61%を占めた。06年度からの継続認定が241人で、07年度に新たに認定されたのは130人(前年度比82人減)。文科省は減少の理由に、学校で予防的研修を行うなど早期対応の取り組みが進んだことなどを挙げた。
         指導力不足教員のうち07年度に研修対象となったのは268人。うち87人が現場復帰したが、依願退職85人、免職5人、他職種への転任2人の計92人が現場を離れた。休職は16人。定年退職と育児休業が各1人で、71人が研修を継続している。
         また、試用期間(1年)の後で正式採用とならなかったのは過去最多の301人(前年度比6人増)。うち293人(同12人増)が依願退職し、103人(同19人増)は病気が理由。死亡した5人のうち1人は自殺だった。
        (毎日新聞)10月17日17時54分配信

        ●年収200万以下、若者の4割強
         若者の非正規雇用の増加が社会問題になる中、兵庫県内の労働組合などが七-九月、県内の若者約百人にアンケートしたところ、四割強が、年収二百万円以下のいわゆる「ワーキングプア」という結果が出た。非正規雇用の人に限れば、四分の三が年収二百万円以下と答えた。労組のメンバーらは今後、兵庫労働局へ調査結果を提出する。
         アンケートは、県内の若者らでつくる労組「ひょうご青年ユニオン~波」などで構成する「ひょうご青年実行委」が実施。三宮など神戸、尼崎市の計八カ所で、学生を除く十-三十代の若者百二人に年収などを尋ねた。
         それによると、雇用の形態は六十六人(64・7%)が正規雇用。三十三人(32・4%)が派遣やアルバイトなど非正規雇用だった。三人は求職中。
         年収は全体の四十五人(44・1%)が「二百万円以下」と答えた。雇用形態別の内訳は正規雇用では十八人(27・3%)だったが、非正規雇用は二十五人(75・8%)を占めた。年収二百万円の人のうち十六人は親から独立しており、生活は困窮していると推測される。
         自由回答では、三十代のアルバイト女性は「正社員の補助業務で仕事にやりがいがない。賃金も安く生活がしんどい。将来が不安」と記し、二十代の求職中の男性は「職場でののしられ、家にひきこもりがちになった。一人一人が大切にされる職場や社会にしてほしい」と訴えた。
         同実行委の門屋史明さん(37)は「ひどい労働環境でも、仕事を続けるために声を上げられない人もいた。若者が安定して働けるように法律を変えてほしい」と話している。
        (神戸新聞)10/16 09:31

        ●<専門弁護士>知的障害者に対応 養成へ大阪で初の取り組み
         大阪弁護士会が知的障害者ら心身に障害がある人の特性を理解し、弁護できる専門弁護士養成に乗り出す。全国初の取り組みで、11月にもプロジェクトチーム(PT)を設立し、具体的な検討を始める。新規受刑者の約2割は知的障害の疑いがあるが、十分な弁護をされていない可能性がある。そのため、来年5月の裁判員制度施行を控え、知的障害者らへの誤解や偏見を取り除き、正当な権利の保障を目指す方針だ。
         知的障害がある人の特徴として、見たり聞いたりしたことを整理、表現することが苦手なケースが多いとされる。また、相手に迎合し、誘導に乗りやすい面がある。強盗容疑で逮捕された知的障害の男性が警察官の誘導で自白調書を作られたとされ、公判中に真犯人が見つかり、05年3月、宇都宮地裁で無罪判決が出たケースもある。この事件を含め、弁護士が障害の特性に気づいていない場合が多いとみられている。
         法務省の矯正統計年報によると、知的障害の疑いがある「知能指数70未満」の新規受刑者は07年で約6700人に上り、全体の約2割を占めている。
         こうした背景を踏まえ、大阪弁護士会は06年4月、全国の弁護士会に先駆けて「知的障害者刑事弁護マニュアル」を作成した。知的障害がある場合は、具体的な事実を問う▽短い文章で質問する▽仮定の質問をしない▽時間の順を追って質問する--など具体的な弁護方法を紹介している。
         今回のPTは、このマニュアルを活用し、刑事裁判の当番弁護士に登録している人を中心に研修を実施。研修を受けた人を専門弁護士として名簿化し、障害のある人から依頼があった場合に派遣に応じるための仕組み作りを検討する。
         マニュアル作成時の座長で、PTのメンバーにも入る辻川圭乃(たまの)弁護士は「知的障害のある人は冤罪(えんざい)に巻き込まれやすい。また、罪を反省していても、裁判でうまくそれを伝えられず、厳罰化されやすい。目や耳が不自由な身体障害者も視野にいれ、対応できる専門弁護士を来年中にも養成したい」と話している。
        (毎日新聞)10月13日8時7分配信

        ●法務省:仮退院少年の就職支援 民間施設に宿泊「自分を見つめ直す場に」
         ◇再非行防止、来年度から
         少年院を仮退院した少年の就労を支援するため、法務省は来年度、民間の更生保護施設に一定期間宿泊させて就職活動をさせる取り組みを始める。社会に戻っても周辺環境に流され、再び非行グループに加わる少年も多いためで、職を得て自立させることで再非行防止につなげる。
         更生保護施設は、引受先のない刑務所出所者らの社会復帰を支援するため、出所直後に一時的に保護する施設。このような形の利用は初めて。
         法務省保護局によると、少年院を仮退院して自宅に帰る少年の中には、家庭環境や非行を一緒にしてきた友人の影響で、職探しをしなかったり、見つけた仕事もすぐに辞めてしまうケースが多い。このため、就労支援が必要と判断した。
         具体的には、主に仮退院から3カ月経過しても定職に就かない少年を、本人や親の了解を得て2週間程度、更生保護施設で受け入れる。一般の刑務所出所者と同様にハローワークで求人を探したり、職業体験講習を受けさせて就労意欲を養う。
         保護局は「定職を見つけられなければ更生の意欲がないと見なされかねない。いったん自宅を離れて自分を見つめ直すきっかけを提供したい」と説明している。
        (毎日新聞)2008年10月11日 東京夕刊

        ●地域生活への移行は4割減 京都府07年度 入院の精神障害者
         京都府内で2007年度に入院から地域生活に移行した精神障害者は62人と、前年度の100人から約4割減少したことが、12日までに府の調べで分かった。グループホームの建設など受け皿整備の遅れが背景にあるとみられる。
         府内で精神障害で入院している人は、05年の患者調査で5620人。国の調査では全国の精神科病院の入院患者の約2割にあたる7万5000人が退院可能な「社会的入院」とされ、12年までにゼロにする目標を立て、府も06年度から6年間に450人を地域生活に移行させる目標を設定している。
         府が公表した計画の達成状況によると、06、07年度の2年間で、地域生活へ移行した人は162人にとどまった。退院先は家族などとの同居64%、1人暮らし26%、共同生活するグループホームやケアホームの活用11%だった。
         移行には病院の精神保健福祉士らと外泊訓練などが必要になるが、府や京都市の退院支援事業の利用者も今年8月末までに計61人にとどまっている。
         府健康福祉部は「社会復帰にはヘルパーなど人的支援や、地域でネットワークをつくり受け入れを支援する必要がある。今後も地域住民による理解や基盤づくりを支援したい」としている。
         京都精神保健福祉推進家族会連合会の野地芳雄会長は「長期入院を強いられてきた人は、社会に戻る意欲があっても次第になくなり、社会での生活の仕方も失ってしまう。地域からの偏見は強くアパートを借りることさえ難しい。安心して社会に出られるよう行政も支援してほしい」と話した。
        (京都新聞)10月12日22時9分配信

        ●無年金訴訟で勝訴確定=統合失調症の男性-胃疾患で成人前受診・最高裁
         国民年金に未加入だった学生時代に統合失調症と診断された岩手県の男性の家族が、社会保険庁長官を相手に不支給処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は15日、国側の上告を退ける決定をした。原告側の勝訴が確定した。
         障害基礎年金は初診日が成人前であれば支給対象となる。同小法廷は、男性が20歳前に統合失調症による胃腸疾患で受診していたことから、受給要件を満たすと判断したとみられる。
         一、二審とも男性側が勝訴していた。学生無年金障害者訴訟をめぐり、原告の勝訴確定は3件目。過去の2件はいずれも、別の診療科での受診により、20歳前初診が認められた。
        (時事通信社)2008/10/15

        ●公表方法を再検討=来年度の学力テスト-文科省
         秋田県教育委員会と大阪府が相次いで全国学力テストの市町村別成績の開示を決めたことを受け、文部科学省は16日、テスト結果の公表方法を再検討する方針を明らかにした。専門家による検討会を近く設け、2009年度の実施要領を年内にまとめる。
         検討会では各地の教委から意見を聞く予定。教委・学校への結果提供の早期化や、データを有効活用するための分析のあり方なども話し合う。
        (時事通信)10月16日19時41分配信

        ●野菜刈り取られ…涙ぐむ園児 保育園の畑を大阪府が行政代執行
         第二京阪道路(京都市伏見区-大阪府門真市)の建設予定地に位置する北巣本保育園(門真市)の野菜畑を撤去する大阪府の行政代執行が16日早朝から始まった。保育園側は2週間後に近くの保育園と合同でこの野菜畑を使ったイモ掘り行事を控えており、職員ら約50人が「子供たちの野菜を奪わないで」と反対の声をあげたが、府は代執行を強行。園児らが育てた野菜を刈り取り、敷地の立ち入り禁止措置を取った。 
         橋下徹知事は「府はこれまで誠実に交渉してきた。供用開始が遅れると通行料で6億、7億円の損害が出る。申し訳ないが理解していただきたい」とコメント。「イモ掘り行事まで待ってほしい」という要望には「なぜ2週間早くイモ掘りをしなかったのか。もっと早く園児を喜ばせる方法があったはずだ」と保育園側の対応を批判した。
         これに対し、野菜畑の所有者で同園理事の松本剛一さん(49)は「イモがちゃんと育つにはあと2週間はかかるし、そもそも代執行の通知があったのは10日前で行事変更にも無理があった。府の都合で子供の気持ちを踏みにじったのは許せない」と怒りを隠しきれない様子だった。
        (産経ニュース)2008.10.16 11:32

        ●「指導力不足」先生371人も、8割が40~50歳代
         授業や学級運営ができず、各地の教育委員会から昨年度中に「指導力不足」と認定された公立学校の教員が371人いたことが17日、文部科学省のまとめで分かった。
         教員としての適性に疑問符のついたケースが目立ち、8割を40~50歳代が占めた。
         文科省によると、371人の7割は男性で、40歳代が46%、50歳代が37%だった。85人は依願退職したという。
         指導力不足と認定された理由は「生徒の反応を確かめずに一方的に授業を進めていた」「板書が乱雑で筆順の間違いが多い」--など適性を疑われるものが目立った。ベテランが多い理由について、同省は「詰め込み式の授業で何とかしのいできた教員が、考えさせる授業への転換といった環境の変化に対応できなくなっている表れでは」と分析している。
        (読売新聞)10月18日00:07

        ●教育費、高校・大学で1人平均1023万円 年収の56%の世帯も
         日本政策金融公庫は同公庫の教育ローンを利用した世帯を対象にした教育費の実態調査の結果をまとめた。高校入学から大学卒業までにかかる教育費は子供1人当たりの平均で1023万円。世帯年収に占める教育費の割合は平均34%で、年収が200万円以上400万円未満の世帯では56%に達していた。
         調査は同公庫が200万円以内で教育資金を貸し付ける「国の教育ローン」の利用世帯のうち、1万490件を対象に実施。2753件から回答を得た。
         授業料や通学費、教科書代など、在学中の子供にかかる年間費用は高校で92万5000円、大学では150万4000円。国公立大は104万9000円、私大は159万7000円で、約1.5倍の開きがあった。
        (NIKKEI NET)2008年10月19日

        ●同級生のいじめで統合失調症、2審も因果関係認める…広島
         広島市立中学に通っていた当時、同級生4人からのいじめが原因で不登校となり、統合失調症になったとして、元生徒の男性(20)と両親が同級生と広島県、市などに慰謝料など計約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、広島高裁であった。
         礒尾正裁判長は判決で、いじめと統合失調症の因果関係を認めた。損害賠償の金額については、計830万円の損害賠償を認めた1審・広島地裁判決を変更し、被告側に対して計約470万円の支払いを命じた。
        (読売新聞)10月15日14時13分配信

        ●<学校裏サイト>都教委が2200校監視 削除要請・通報も
         いじめを誘発するとされるインターネットや携帯電話の「学校裏サイト」について、東京都教育委員会は来年度から、民間の専門業者と連携して監視を始める方針を決めた。監視対象は都内の全公立校約2200校に上り、都教委の担当者は「これだけ大掛かりな自治体の対策は全国初では」と話している。
         都教委が委託した業者が学校裏サイトなどを監視し「死ね」「殺す」などの悪質な書き込みを見つけたら各校に連絡。必要に応じてプロバイダーに削除を要請する。危険性が高いと判断すれば警察にも通報する。各校に関係するサイトの情報を分析した資料も定期的にまとめ、指導の参考にしてもらう。
         都教委が7月にネットと携帯電話の利用状況を調査したところ、小学生の11.9%、中学生の23.4%、高校生の29.2%がトラブルを経験していた。一方、教員の約4分の3は学校裏サイトについて「見たことがない」「よく知らない」と答えていた。
        (毎日新聞)10月17日23時57分配信
        ひきこもり状態にあるわが子との関わり(1)小遣い
        2008/11/16
        精神科医の中垣内正和氏が著された『はじめてのひきこもり外来』(ハート出版)が、今年4月に出版されています。「ひきこもりからの回復」として、「親の10ステップ」、「若者の10ステップ」と章立てされ、ひきこもり当事者が「生き生きと生きる」ための方向性や、当事者が一歩を踏み出すための方法や動機づけの仕方、「新しい時代の新しい生き方」を示されています。
         ひきこもりという現象を社会全体で取り組むべき課題として、氏の臨床体験をもとに、具体的視点からの提起がされていて、とても参考になります。
         私はこのコーナーで、はずかしながら、この本でふれられてないことについて、私論(かなり大げさですが…)を少しずつ書いてみたいと思います。
         第1回目は、「小遣い」についてです。小遣いと言えば、子どもに金銭感覚をもってもらい、金銭管理ができるように、というのが導入の一般的な考え方ではないかと思います。何歳から渡し始め、何歳まで続けるのかは、それぞれの家庭や状態によって違ってきます。
         不登校状態になっている学齢期の子どもたちは、「学校」という所属先に、さまざまな背景から「行けない」、「行かない」という選択をしています。家から出られる子どもも、家から出られない子どもも、目的があれば家から出られる子どももいるでしょう。学校以外の生活において、日常の経済生活を継続するためには、一定のお金が必用です。
         では、学齢期を越え、「職場」という所属先を持たない、あるいはそこから退却して、家に、あるいは部屋に居ることを選択したひきこもり状態にある人についてはどうでしょうか(大学生段階での不登校-ひきこもりは、これらの間に位置するものです)。
         こちらも、基本的には、就労先への「勤務」をしていないだけで、日常の経済生活を継続するためには、やはり一定のお金が必用です。ところが、ここで一般的に親が考えるのが、「家にいるのだから、お金は使わないだろう。いい大人に小遣いを渡すのもどうか…」というものではないでしょうか。
         ひきこもり状態にある人にとって、使えるお金がないことは「兵糧攻め」にあっている状態と同じだと思います。青年期から成人期前半の人たちですから、何かを欲するという気持ちがあって当然ですし、もしそれすらも失った状態であれば、「ひきこもり」とは違う、精神科治療の対象にあると判断されなければならないでしょう。「○○が欲しい」「買いたい」とう感情は、生きることに対する意欲のバロメーターであると言っても過言ではないでしょう。
         ですから、長期にわたってひきこもりの状態にある人が、お金を持たない状態というのは、身動きがとれない状態を作っているのと同じだと思います。年齢に関係なく、自らお金を稼ぐことができない環境にある人には、家族からの一定額の金銭提供は、生きる意欲を維持し育てる土壌のようなものであるととらえて欲しいと思います。
         金額的には、いくらに設定するのがいいのか。本人がひきこもる前の日常生活の状態やご家族の経済状態、本人の感情レベルや家族への「申し訳ない」という思いのレベルなどを考えつつも、必用と思われる額よりも少し多め、というのが良いようです。現金で手渡すか、本人名義の口座に振り込むかなども、本人の状態や家族との関係性によって変わってきます。このあたりの考え方や判断は、客観性が必用となりますし、経験や知識のある第三者(私のような相談支援にあたっている人たち)と話し合うなかで方向性を見つけていってほしいと思います。
         問題を、家族という閉鎖された環境に閉じ込めないで、信頼できる第三者をはじめとして家族外の人たち、社会と共有していく中で、状態の改善への方向性は見いだせるということを理解してほしいと思います。
         次回は「ひきこもり状態にあるわが子との関わり(2)食事」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        実態知らなきゃ…“学校裏サイト案内”開設2カ月、閲覧申請が殺到

         友達などの話題が自由に書き込める非公式のインターネット掲示板「学校裏サイト」を検索するための“案内サイト”を民間団体が教育関係者向けに開設したところ、学校などからの閲覧申請がわずか2カ月で5000件以上にのぼっていることが13日、分かった。学校裏サイトは“ネットいじめ”の温床ともいわれ、子供たちがトラブルに巻き込まれるケースも多かったが、膨大なサイトの中から特定の学校を検索するのが難しかった。今回の動きについて専門家は「学校が本腰になって対策に乗り出した証し」とも指摘する。
         運営しているのは、不登校や引きこもりのカウンセリングを行っているNPO法人などでつくる「全国webカウンセリング協議会」(東京、安川雅史理事長)。
         学校裏サイトとは、小中高校の公式ホームページとは別に、子供らが独自に情報交換の場として立ち上げた非公式のサイト。文部科学省が今春行った委託調査では、全国の中高校の総数(約1万6000校)の2倍以上となる約3万8000件が確認されている。
         協議会では、学校裏サイトへの相談が増加していることから、ネット上に散在する膨大な裏サイト約11万件を抽出し、都道府県別に分類しデータベース化。今年9月から、教育関係者に限定して公開を始めた。
         この結果、学校や教育委員会からの閲覧申請は10月末までの2カ月間で5687件にのぼり、サイトへのアクセス件数は約22万2000件に上った。公開対象を保護者やPTA関係者にも広げたところ、約2週間で800件以上の申し込みがあったという。
         学校や教委が、裏サイトに目を光らせるのは、書き込みから事件に発展するなど、子供たちがトラブルに巻き込まれるケースがあるためだ。協議会によると、少なくとも裏サイトの3分の1は、個人名などを中傷目的で書き込んだ不適切なものだという。文科省の調査でも、裏サイトのうち5割で「キモい」「うざい」など個人を中傷する書き込みが含まれていた。
         今年7月には、携帯電話サイトの書き込みをめぐり、群馬県桐生市で高校1年の男子生徒が元同級生から暴行され、死亡する事件が発生。他人のプロフ(自己紹介などを目的とした携帯電話用サイト)をでっち上げて、サイトに張り付けるなど悪質な書き込みもみられるという。
         安川理事長は「裏サイトはちょっとした書き込みがいじめに発展する。イタチごっこだとしても、大人の目に気づけば、子供の書き込みも沈静化するはず」と話す。
         ≪「ネットいじめ」から子供を守れ≫
         “ネットいじめ”が深刻化している実態を受けて、子供たちを守ろうとする動きが広まっている。文部科学省は教員向けの対応マニュアルを作成。年内にも全国の国公私立の小中高校や教育委員会に約4万冊を配布する予定だ。
         文科省が平成18年度に行った調査では、全国の小中学校などで約4900件のネットいじめが確認された。「全国webカウンセリング協議会」にも4月以降、約4600件の相談が寄せられているという。
         マニュアルでは、中傷を書き込んだり、個人情報が無断掲載されたりしたケースなどの具体例15例を提示。ネットいじめにつながる書き込みは、画面を印刷するなど保存した上で、被害拡大を防ぐために迅速に削除することなどを求めている。
         東京都教委も来年度から、都内の全公立学校約2200校で裏サイトの監視に乗り出す方針で、委託業者がサイトを監視し、「殺す」「死ね」などの書き込みを見つけた場合、都内の各教委に連絡。各教委がプロバイダーに削除依頼したり、緊急性のあるものは警察に通報するという。
         ネットいじめに詳しい下田博次・群馬大特任教授(情報メディア論)は「学校や自治体もようやく対策に乗り出したが、単純なネット監視では、子供には追いつけない。大人が知恵を絞り、もっと効果的な指導法を考えていかなくてはならない」と警鐘を鳴らしている。
        (産経新聞)11月14日8時7分配信

        ●“ネットいじめ”対応マニュアル作成 文科省、年内にも配布
         “ネットいじめ”が深刻化している実態を受けて、子供たちを守ろうとする動きが広まっている。文部科学省は教員向けの対応マニュアルを作成。年内にも全国の国公私立の小中高校や教育委員会に約4万冊を配布する予定だ。
         文科省が平成18年度に行った調査では、全国の小中学校などで約4900件のネットいじめが確認された。「全国webカウンセリング協議会」にも4月以降、約4600件の相談が寄せられているという。
         マニュアルでは、中傷を書き込んだり、個人情報が無断掲載されたりしたケースなどの具体例15例を提示。ネットいじめにつながる書き込みは、画面を印刷するなど保存した上で、被害拡大を防ぐために迅速に削除することなどを求めている。
         東京都教委も来年度から、都内の全公立学校約2200校で裏サイトの監視に乗り出す方針で、委託業者がサイトを監視し、「殺す」「死ね」などの書き込みを見つけた場合、都内の各教委に連絡。各教委がプロバイダーに削除依頼したり、緊急性のあるものは警察に通報するという。
         ネットいじめに詳しい下田博次・群馬大特任教授(情報メディア論)は「学校や自治体もようやく対策に乗り出したが、単純なネット監視では、子供には追いつけない。大人が知恵を絞り、もっと効果的な指導法を考えていかなくてはならない」と警鐘を鳴らしている。
        (産経新聞)11月14日2時22分配信

        ●人の災難を喜ぶいじめっ子の脳
         脳のCTスキャンを使用した最新の研究によると、すぐにけんかを始める、うそをつく、物を壊してはしゃぐ、そんないじめっ子の脳には、他人の苦しみを見ると喜びを感じる回路が備わっているかもしれないという。今回の最新研究は、「BiologicalPsychology」誌の最新号に掲載される。
         研究チームの一員でシカゴ大学の心理学者ベンジャミン・レイヒー氏は、「この発見は予想外だった」と話す。研究チームでは、いじめっ子は他人の苦痛を目撃したときになんの反応も見せないだろうと予想していた。なぜなら、彼らは冷酷で、感情を高ぶらせることがないために、例えば良心の呵責(かしゃく)を感じることなくおやつ代を盗むことができると考えていたからだ。
         レイヒー氏は、「人が他人の苦痛を目にすると、自身が苦痛を経験したときと同じ脳内領域が光ることはこれまでの研究で判明していた。感情移入を示す反応だ」と話す。今回の最新研究では、いじめっ子の脳の場合、該当領域がさらに活発に活動を行っていることが判明した。
         しかし、いじめっ子が示す感情移入反応は、扁桃体(へんとうたい)と腹側線条体(ふくそくせんじょうたい)の活動によってゆがめられたものだと思われる。扁桃体や腹側線条体は脳内領域の中で報酬や喜びに関係すると考えられている部位である。「つまり、いじめっ子は人の苦痛を見るのが好きだと考えられる。この考えが正しい場合、彼らは弱い者いじめをして他人を攻撃するたびに心理的な報酬を受け取り、反応の強化が進んでいることになる」とレイヒー氏は話す。
         今回の最新研究では、うそや窃盗、公共物破損、弱い者いじめといった経歴を持つ16~18歳の少年8人の脳活動を検査した。8人の少年は臨床分野で攻撃型行為障害(aggressive conduct disorder)と呼ばれる症状を持っており、そのような経歴を持たない同年代の少年グループとの比較を通じて調査が行われた。
         検査では、苦痛の状況を描く短いビデオ映像数本をいじめっ子グループに見せた。映像には、つま先に金づちが落ちるシーンなど不慮の事故を描くものと、ピアノの演奏中にふたを閉め演奏者の指を挟むシーンなど意図的な行為を描くものが含まれていた。
         脳のCTスキャンを行った結果、喜びに関係する脳内領域と、苦痛に関係する脳内領域の活動が判明し、さらに、感情の統制に関係する脳内のある部位が、いじめっ子の脳では活動していないことが明らかになった。言い換えると、いじめっ子は、例えば昼食の列に並んでいるときに子どもが誤ってぶつかってきた場合などに、自分を抑制するメカニズムを欠いていることになる。
        「自己制御を欠いている点を処置する、あるいは埋め合わせる治療法を開発する必要があるだろう。いじめっ子が自己制御を欠いているのは事実だと考えているし、他人を傷付けるたびに心理的な報酬を受け取り、反応の強化が進む可能性がある」とレイヒー氏は語る。
         クレムゾン大学家族・近隣生活研究所でオルヴェウスいじめ防止プログラムを担当するマレーネ・スナイダー氏は次のように話す。「今回のテーマについて脳撮像による科学的調査で次第にさまざまなことが発見されるのは驚くことではない。脳がどのように機能しているのか、その解明は始まったばかりなのだ。脳の仕組みの理解が進めば、有意義な関与方法を見いだすことができるようになるだろう」。
        Imagecourtesy JeanDecety, University of Chicago
        John Roach
        for National Geographic News
        (nationalgeographic)November7, 2008

        ●就職活動、9割が「厳しくなる」=強まる学生の不安-毎日コミ調査
         就職情報サイト運営の毎日コミュニケーションズ(東京)が大学3年生らを対象にしたアンケート調査で、9割は「就職活動は厳しくなる」と回答したことが分かった。景気後退で採用を抑制する企業に対し、学生は不安を強めており、活動開始を早め、応募社数を増やす傾向にあるようだ。
         10月28-31日、2010年卒業予定の全国の大学3年生と大学院生を対象にウェブ上で実施。1472人から回答を得た。
         「先輩と比較し就職活動はどうなると思うか」との質問では、「多少厳しくなる」「かなり厳しくなる」が90.6%を占め、10.9%だった昨年とは一変した。昨年71.8%と最も多かった「変わらない」は8.4%まで下落した。
         「満足いく活動ができる自信はあるか」では、「大いにある」「少しある」が35.1%で昨年より3ポイント減少。逆に「あまりない」「まったくない」が29.9%で2.5ポイント増えた。
         応募した会社の平均は30.1社で、23.6社だった昨年同時期の約1.3倍。ニュースや新聞報道が業界・企業選択に影響するか聞いたところ、「かなり」「多少」影響するとの回答が81.2%と高く、学生が経済情勢の急激な変化に敏感になっている様子がうかがえた。
        (時事通信)11月13日5時14分配信

        ●消費者心理、過去最低=2カ月で更新-10月内閣府調査
         内閣府が12日発表した10月の消費動向調査によると、消費者心理の明るさを示す消費者態度指数は29.4と、前月比2.0ポイント低下し、2カ月ぶりに過去最低を更新した。世界的な金融危機の影響が消費者心理に悪影響を与えているとみられる。内閣府は基調判断を「悪化している」に据え置いた。
         消費者態度指数を構成する4指標すべてが悪化した。このうち、「収入の増え方」は34.5(1.3ポイント低下)で過去最低。「雇用環境」は24.8(4.1ポイント低下)と5年7カ月ぶりの低水準だった。内閣府は「景気後退局面では雇用環境が特に落ち込む傾向があり、注意が必要」とした。
        (時事通信)2008/11/12-18:15

        ●製造業で失業1万人以上=10月、大規模リストラ響く-厚労省
         製造業の大規模なリストラの結果、10月だけで1万人以上の労働者が失業したことが13日、分かった。厚生労働省が同日の参院厚労委員会で明らかにした。毎月の詳細なデータはないが、同省によると、製造業のリストラ失業は増加傾向にあり、世界的金融危機に伴う景気後退が雇用にも深刻な影響を及ぼしていることが裏付けられた。
        (時事ドットコム)2008/11/13-21:36

        ●脳障害 フラワーアレンジメントがリハビリ効果 特許申請
         生花を飾り付けるフラワーアレンジメントが、アルツハイマー病など脳の病気のリハビリ効果を高める--。独立行政法人・花き研究所(茨城県つくば市)の望月寛子研究員(33)らのグループがこんな可能性を突き止め、このほど特許を申請した。脳障害を持つ人の心を癒やすことも確認され、望月さんは「バランスに気を配りながら花を挿すことが、脳を活性化させるのでは。さらに新しい活用法や効果を実証したい」と意気込む。
         望月さんは神経科学と心理学が専門で、別の施設で記憶障害のリハビリを研究していたが、花き研の研究内容に興味があったため移り、花を使ったリハビリを考案した。
         障害者は指導者の説明を受けて、スポンジに付けられた丸や三角などの印に従って順番に切り花を挿したり、工程図を頼りに独力で作品を完成させる。精神科デイケアに通う10~50代の統合失調症患者約10人を対象に2週間で4回、この手法を実施したところ、聴覚と視覚の短期記憶の成績が大きく向上した。
         茨城県美浦(みほ)村のケアステーション・コナンでは、10月から高次脳機能障害のある通所者18人にこのリハビリを始めた。望月さんの指導で、赤いカーネーションとピンクの菊の切り花、濃い緑と薄い緑の葉を順番に挿すと、普段は表情を示さない患者が笑顔を見せた。望月さんは「通常のリハビリでは、無気力感や絶望感を抱くこともあるが、この手法では楽しい、うれしいといった気持ちを呼び起こすようだ」と話している。
        (毎日新聞)11月15日15時2分配信

        ●専門家ら不登校の子ども直接支援 福岡県立大にフリースクール 12月開設
         福岡県立大学(同県田川市伊田)の不登校・ひきこもりサポートセンター(所長・門田光司同大教授)は12月、キャンパス内に不登校の子どもが通うフリースクールを開設する。センターは子どもや保護者の相談や、学生による個別指導に取り組んでおり、新たに毎日授業を受けられるスクールを設けることで、支援機能の充実を図る。特定非営利活動法人(NPO法人)フリースクール全国ネットワークによると、大学内に常設されるフリースクールは全国でも珍しい。
         ◇学生の“援助力”も育成
         センターは昨年9月に発足し、人間社会、看護両学部が共同で運営。常駐する臨床心理士ら3人が電話相談と面談を受け付けている。また現場の教員に指導法を助言するほか、研修を受けた学生たちが学内で個別に勉強を教えるなどしている。
         新設する学内フリースクールは、従来の活動に加え、自前の施設で子どもや親を直接援助する試み。センター事務局隣の講義室(約80人収容)を改装し、教室とレクリエーション室を設ける。
         授業は平日に毎日行い、元小学校長をはじめ教育関係者3人が担当。学生が補助役を務める。家族の訪問支援にも当たり、来春には就職支援活動に乗り出す。スタッフは全体で約10人の予定。
         担当する松浦賢長・看護学部教授(学校保健学)は「学生たちにはボランティアとして積極的にかかわらせ、子どもへの“援助力”を育成したい」と話し、教育的な効果も期待している。
         スクール入学の申し込みや問い合わせは、同センター=0947(42)1343。
        (西日本新聞)11月15日15時7分配信

        ●神奈川県教委 2千人今も削除できず 県立高個人情報流出
         神奈川県立高校の06年度在校生約11万人の名前や住所、口座番号などの個人情報が流出した恐れがある問題で、県教育委員会は13日、このうち少なくとも延べ約2000人分の情報がインターネット上で取得可能になっていると発表した。現在もデータを削除できない状態で、県教委は県警に削除依頼などを相談する。
         県教委によると、個人情報はファイル交換ソフト「Share(シェア)」で取得可能になっていた。約1400人分は名前と口座番号で、一部は住所や電話番号を含む。約600人分は、授業料の滞納や退学・転入の記録などだった。
         13日に記者会見した日本IBMの出沢研太常務執行役員は「セキュリティー管理が徹底できなかった」と謝罪した。県教委は近く06年度の在校生全員に文書で謝罪し、口座番号の変更を呼びかける。
        (毎日新聞)11月13日23時48分配信
        相談室カンナ:室内の模様替え
        2008/11/09
        9月中旬頃、何かモヤモヤしていて、相談室のレイアウト変更を思い立ちました。それまでの机やソファ、本棚(3つ)、ファイリングケースなどの配置を90度回転させるというものです。
         それに伴って、窓側の障子を取り払って、ロールスクリーンを付けることにしました。さっそく知り合いの工務店に連絡、採寸してもらい発注しました。
         10月中旬の日曜日を丸1日使って、室内のレイアウト変更(肉体労働)を行いました。誰かに手伝ってもらえば楽だったかも知れませんが、微妙な配置であることと、本の多さから、単独で行うしかありませんでした。
         本の多さ、パソコンと周辺器機や電話などの関係からくる電気配線の複雑さ…。予想通りの大変な作業でした。
         変更後、入り口側が私の机となり、クライエント用のソファの背景は桂川と久瀬橋、それをロールスクリーンで適度に遮る形となりました。心配していたパソコンと周辺器機、光電話関係の電気配線も予想以上にすっきりと収まり、より快適な環境になったと思います。90度回転させたことによる、クライエントさんからの違和感も聞かれません。ロールスクリーンで5万円弱の出費は痛かったですが…。
         次回は「ひきこもり状態にあるわが子との関わり(1)小遣い」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        4割弱が非正社員=派遣は倍増-07年厚労省調査

         厚生労働省が7日発表した「就業形態の多様化に関する実態調査」(2007年10月実施)によると、全労働者のうち、契約社員や派遣労働者ら非正社員が占める割合は37.8%で、03年の前回調査より3.2ポイント上昇した。
         非正社員のうち、最も多いパートタイムは全労働者の22.5%で0.5ポイント低下。2位の派遣は4.7%と前回の2.0%から倍増した。
        (時事通信)11月7日18時50分配信

        ●賃金節約、雇用調整…進む格差 非正社員が4割
         企業に勤める労働者の中で、パートや派遣といった「非正社員」が4割近くを占めるまでに増加する一方で、その3割が正社員としての雇用を望んでいることが7日、厚生労働省の調査結果で分かった。企業が賃金抑制や、不況時の解雇を前提に非正社員を雇っていることも判明。景気減速のなかで現実となっている、非正社員を取り巻く厳しい労働環境が統計上で裏付けられた格好だ。
                           ◇
         調査は多様化する就業形態の実態をつかむ目的で、およそ4年間隔で実施。5人以上を雇用する1万791社と、労働者2万8783人から回答を得た。調査対象は平成19年10月1日現在の状況で、世界的な金融危機が深刻な状態になる前にあたる。労働者のうち、非正社員の割合は37・8%で前回15年時よりも3・2ポイントの増、11年時に比べると10・3ポイントも増えた。
         ≪不況見据えて≫
         非正社員を雇う理由(複数回答)では「賃金節約のため」が40・8%で最も多かった。「専門的業務に対応するため」が24・3%に上る一方、不況時の解雇を前提にした「景気変動に応じて雇用量を調整するため」という回答も21・1%あった。
         実際、消費の冷え込みが現実味を帯びてきた今夏以降、各企業では非正社員を“雇用の調整弁”として削減する動きが進んでいる。特に自動車業界ではトヨタが約2000人の期間従業員を、日産も派遣社員1000人の削減を検討するなど非正社員を中心にした大規模なリストラが進む。
         ≪「やむを得ず」≫
         また、労働者側に非正社員を選んだ理由(複数回答)をたずねたところ、「都合のよい時間に働けるから」が42・0%、「家計の補助」が34・8%と多数を占めた。「正社員として働ける会社がなかったから」も18・9%いた。
         厚労省では「望んで非正社員になる人もいるが、やむを得ずという人もいるなど、多様な理由によって非正社員層が構成されている」と分析している。
         収入(19年9月)をみると、正社員の39・0%が20万~30万円と回答した。非正社員では10万円未満が40・5%と最多を占め、収入の格差がはっきりと浮かび上がった。
         収入が低いにもかかわらず、派遣の70・5%、契約の68・6%が、生活を成り立たせる主収入を「自分の収入」と答えた。
         ≪低い職場満足度≫
         調査結果からは、正社員と非正社員での職場満足度に差があることも分かった。
         正社員の満足度は、「雇用の安定性」や「仕事の内容・やりがい」「賃金」「福利厚生」で、非正社員を上回った。
         逆に非正社員が満足度で正社員を上回ったのは、「労働時間など労働条件」だけだった。
         職場全体に関する満足度を総合的に聞いたところ、正社員の45・2%が満足と回答したのに対し、非正社員では33・5%にとどまった。
         低い満足度を反映してか非正社員では、正社員への登用を望む人も少なくない。今後の働き方に対する希望を非正社員に質問した項目では、30・6%が「他の就業形態に変わりたい」と希望。とりわけ20~24歳で65・9%、25~29歳で57・9%が「他の就業形態に変わりたい」と回答。そのうち9割は、正社員への登用を望んでいた。
         非正社員の雇用対策の一環として政府は4日、とりわけ雇用の不安定さが指摘されている「日雇い派遣」の原則禁止を柱にした労働者派遣法の改正案を国会に提出した。しかし、混沌(こんとん)とする国会状況に、審議入りのメドはたっていない。
         さらに、改正案が日雇い派遣の全面禁止に踏み込んでいないことから、「ワーキングプアを解消し、派遣労働者の雇用と生活を安定させるものとはなっていない」(日弁連会長声明)といった批判も出ており、非正社員にとっては厳しい労働環境が続きそうだ。
        (産経新聞)11月8日8時6分配信

        ●高次脳機能障害、和歌山県が支援拠点を開設
         病気や事故による脳の損傷で記憶や感情などの機能に障害が生じる「高次脳機能障害」の当事者や家族をサポートしようと、県は5日、和歌山市毛見の県子ども・障害者相談センター内に支援拠点を開設した。医療や福祉サービス、就労などに関する相談を受け付けるほか、医療機関や市町村などとの支援ネットワーク構築に取り組む。
         高次脳機能障害は全国で30万人以上の当事者がおり、同センターによると県内では年間25~30人の発症が推計されるという。外傷性脳損傷や脳血管障害により、場所や人の名前などが覚えられない「記憶障害」▽集中力が持続できなくなる「注意障害」▽急に怒ったり気持ちが沈んだりする「社会行動障害」-などを引き起こすが、外見からは症状が分かりにくいために周囲の理解を得られず孤立しがちで、適切な診断と社会的支援が課題となっている。
         電話相談は、祝日と年末年始を除く月・水曜日が午前10時~午後4時、金曜日が午前10時~午後6時。来所相談は事前に予約が必要。いずれも((電)073・441・7070)で受け付ける。
        (産経新聞)11月6日8時6分配信

        ●自閉症の子ども、多雨地域により多い傾向=米研究
         [ワシントン 4日 ロイター] 米国の研究者が4日、同国北西部の雨が多い地域の子どもは自閉症になりやすいという研究結果を発表した。ただし、因果関係ははっきりしないという。
         報告を行ったコーネル大のマイケル・ワルドマン氏らは、自閉症と環境の関連性を研究。カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州で1987─99年の間に生まれた子どものについて、地域ごとの自閉症のデータと1日当たりの降水量とを比較した。
         報告によると、2005年における3州での学齢児童の自閉症分布率が、1987─2001年の地域の降水量に関連している可能性があるという。
         これに対し、自閉症についての著書もある英国のマイケル・フィッツパトリック医師は、自閉症の数はあらゆる気候で増えているとして、この報告に疑問を呈している。
         自閉症は、重度の社会的回避から反復行動や深刻な精神遅滞まで症状はさまざまだが、原因については分かっていない。
        (REUTERS)2008年11月5日14:59JST

        ●<16歳少女自殺>「いじめ後遺症」学校認めず 愛知・岩倉
         愛知県岩倉市で06年8月、中学時代のいじめに起因する神経症と診断されて治療中だった高校2年の少女が自殺していたことが分かった。遺書には「もうつかれたの」などと書かれていた。だが中学側は少女が同級生から受けた行為を「いじめではなくいたずら」とし、行為から4年たっていることなどから自殺との因果関係も認めていない。少女の母親は「自殺はいじめの後遺症に苦しみ続けた結果だ」と訴えている。
         この少女は岩倉市に住んでいた高橋美桜子(みおこ)さん(当時16歳)。母典子さん(50)や名古屋大医学部付属病院の主治医(当時)によると、美桜子さんは02年4月、名古屋経済大学市邨(いちむら)中学校(名古屋市千種区)に入学したが、夏ごろから翌春まで、同級生から画びょうを靴に入れられたり「きもい」「死ね」などの言葉を浴び、1年修了時に転校した。
         まもなく突然パニックになるなどの症状が表れ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断を受けた。対人恐怖による不登校が続き、06年8月18日未明、自宅マンション8階から飛び降り、全身打撲で死亡した。主治医は自殺時の症状について、中学時代のいじめが強い心的外傷となり、別人格が生じる解離性障害に至ったと判断した。
         中学を運営する学校法人市邨学園職員である典子さんが法人を相手取って起こした地位確認訴訟の控訴審判決(06年3月、確定)で、名古屋高裁も美桜子さんがいじめを受けたと認定。だが同法人は現在も典子さんに対していじめ自体を認めておらず、毎日新聞の取材にも「こちらの認識を変えることはない」と話している。文部科学省のいじめ統計では06年度に起きたいじめ自殺は6件で、美桜子さんは含まれない。
         自殺問題に詳しい精神科医の吉川武彦・国立精神・神経センター精神保健研究所名誉所長は「PTSDなどでいじめを受けた時から環境が変わった後で自殺するケースはあるが、調査はできていない。いじめられた子どもの行政や学校による追跡調査が必要だ」と指摘している。
        (毎日新聞)11月8日2時31分配信

        ●<損害賠償提訴>福岡の中3女子「小学担任の暴言で障害に」
         小学時代の担任教諭による差別的な発言がきっかけでストレスによる解離性障害などを発症して不登校になるなどしたとして、福岡県中間市の中学3年の女子生徒(14)と両親が、同市と教諭を相手取り、慰謝料など約1億5565万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁小倉支部に起こした。生徒は昨秋、声が出なくなったうえ立てなくなり一時入院。不登校が続いている。
         4日付の訴状などによると、担任の女性教諭は生徒が小学5年だった04年4月以降「口の開け方がおかしい」「トロい」などの発言を繰り返した。生徒は同年2月に、てんかんと診断され投薬を受けていた。同年5月、生徒は両親に「学校に行きたくない」と言い始め、多くを語らなかったが、同級生から「(担任から)いじめを受けている」と言われ発覚した。
         母親が教諭に尋ねると「そんなことはない。口の開け方の指導に力を入れていた」と反論。しかしその後も同様の発言は続き、生徒はストレスで目が見えなくなったり耳が聞こえにくくなったりし、一時不登校になった。中学入学後もいじめを受け、学校が適切に対応しないため今年1月、特別支援学校に転校した。
         主治医によると、てんかんは15~20歳には完治するが、学校への恐怖心から症状はさらに悪化し解離性障害などと診断された。
         教諭は05年12月、差別的な発言を認め謝罪。当時の校長と市教育長もおわびの文書を出したが、両親は「完治は著しく困難と診断された。原因を作ったのは(当時の)担任で、市も適切に対応する義務を怠り症状を悪化させた」としている。
         これに対し、教諭は「弁護士に一任しており答えられない」。市教委学校教育課は「現段階では何もお話しできない」としている。
         【ことば】▽解離性障害▽ 苦痛やストレスにより記憶や意識、身体運動の正常なコントロールを失う神経症。(1)自分のしたことを覚えていない(2)周りの刺激に反応しない(3)声が出なくなったり立てなくなったりする--などの症状がある。患者の約8割は心身の外傷体験が関与しているとされている。
        (毎日新聞)11月9日2時30分配信

        ●フォーラム:自死への僧侶のかかわりを語り合う-西本願寺が下京で開催/京都
         ◇「悲しめる心の駆け込み寺に」
         深刻化する自殺問題に僧侶がどうかかわるかを語り合う「本願寺フォーラム 自死とわたしたち~みんなで考える」(浄土真宗本願寺派教学伝道研究センター主催)が7日、下京区の本願寺聞法会館で開かれた。宗派を超えた僧侶や市民ら約300人が参加し、白熱した議論に耳を傾けた。【木下武】
         奈良女子大生活環境学部の清水新二教授が「身近な自死と社会的対応」と題して基調講演。自殺対策として(1)予防(2)防止・介入(3)再発防止を挙げた上で、見逃されがちな再発防止対策について、後追い自殺を防ぐための遺族ケアの大切さを強調。「社会的、精神的に孤立しないよう、しっかり悲しめる心の駆け込み寺が必要」として自殺問題への僧侶のかかわりに期待を示した。
         続いて5年前に母を自殺で亡くした大学生の尾角光美さんが「自死遺族の立場から」と題して、自殺を防げなかった自責の念を告白。母の命日を共有してくれる僧侶の存在について「すごくありがたい」と話し、「本当は生きたい人が生きられる社会になってほしい」と訴えた。
         続くパネル討論では、僧侶の役割について同派東京教区安楽寺の藤澤克己副住職が「お寺で人を待つだけでないかかわり方がある」と述べ、自殺予防の電話相談員として活動していることを紹介。尾角さんは「死者に思いをはせるパートナーとして期待している」と述べた。コーディネーターを務めた日野慶之・同センター研究員は「自殺問題にかかわる僧侶が増えることを期待したい」と話した。
        (毎日新聞)11月8日17時2分配信

        ●自殺防止:県がネットワーク 相談中心から転換、地域の気配りに着目/長崎
         ◇指導員育成へ
         県内の自殺率が全国平均を上回る事態を受け、県は自殺防止のため「早期察知ネットワーク」の構築に乗り出す。これまでの防止対策の中心は専門機関で受け付ける相談だったが、これを転換。地域住民らが悩みを抱える人を早期に気付き、専門機関の存在をその人に伝えることで自殺を防ごうという内容だ。悩んでいる人を早期に気付ける手引書を作成したほか、来年3月までに指導員50人を養成する。
         県内の昨年の人口10万人に対する自殺者は27・9人(全国平均25・9人)で、過去10年間全国平均を上回っている。経済・生活苦を原因に自殺する割合が多いのが特徴。
         対策として県は、メンタルヘルス相談員の育成など相談業務の充実を図ってきた。だが消費生活センターなどと連携して始めた多重債務者の相談事業は、今年7月からの約4カ月間で相談件数が14件にとどまり、一部の人に利用が限られているのが現状という。
         ただ自殺の原因には(1)借金(2)うつ病(3)ギャンブル依存症(4)買い物依存症――などがあり、自殺するまでに兆候を察して介入できる場面がある。このため県は、悩みを抱えている人を周辺の人が早期に気づき、相談機関につなげるネットワークが必要と判断した。
         作成した手引書は「借金・経済問題への対応」「メンタルヘルス問題への対応」などで、(1)経済問題や精神的な悩みを抱えている相談者が示すサイン(2)助言方法(3)専門機関への相談手順――などを紹介。各1000部を自治会長や民生・児童委員、企業などに配る。また保健師らが指導員となり、地域の目の育成を図る方針だ。
        (毎日新聞)11月8日17時2分配信

        乱視+老眼
        2008/11/02
         2~3年前から乱視が両目に入ってきていることは気づいていました。夜、月を見ると、三重に見えていたからです。右目より左目の方が乱視は強いようです。
         しばらくガマンしていましたが、この夏を過ごす中で、ストレスが多かったことや眼球への疲労が重なったことも影響してか、近くのものが見えない症状が強まりました。一番困ったのが、夜寝る前の読書です。布団に入り、枕元の蛍光灯スタンドをつけて本を読むのを習慣としていますが、本の文字が判読できない。腕を伸ばしきった距離でやっと判読可能な状態にまでなっていました。
         さすがにこのままではまずいと思い、近くの「メガネの三城」へ。この店は、愚妻と次男がお世話になっていて、次男への誕生日プレゼント・3千円割引券(家族の方も使えます!)が届いていました。これをチャンスと思って、メガネの相談へ行きました。視力や乱視の状態の検査を終えて、検査者のお姉さんが、「乱視がきついですね。それと、老眼も少し入っていますよ」と…。やはりそうだったんだ、と納得。さっそく、読書・仕事用に(近距離用の)メガネを作ってもらいました。
         使ってみての感想。確かに近くの物はばっちり見えるようになりましたが、メガネをはずした後の眼球の疲労感が凄い!!。
         しかしながら、メガネ無しでは日常生活に不便を感じてしまう状態になってしまいました。眼球疲労とどう付き合うか、新たな課題が生じました。
         次回は「相談室カンナ:室内の模様替え」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        長期体罰の子、脳が萎縮 熊本大准教授が共同研究

         子どものころ長期にわたり強い体罰を受けた人は、受けていない人より脳の前頭葉の一部が最大で約19%縮んでいるという研究結果を、熊本大大学院医学薬学研究部の友田明美准教授(小児発達社会学)が米ハーバード大医学部との共同研究でまとめた。体罰と脳の萎縮(いしゅく)の因果関係を実証した研究として、体罰のあり方に一石を投じることになりそうだ。
         友田准教授は筑波大(茨城県つくば市)で開かれている「都市化社会と脳の健全育成」を主題としたシンポジウムで25日、研究結果を発表する。11月に米ワシントンでも学会発表の予定。
         研究は米国で、4~15歳のころに平手打ちされたり、むちで尻をたたかれたりするなどの体罰を年12回以上、3年以上にわたって受けた米国人の男女23人を対象に実施。磁気共鳴断層撮影装置(MRI)で脳の断面図を解析したところ、体罰を受けず育った同年代の22人に比べ、感情や意欲の動きにかかわる前頭前野内側部が平均19.1%、集中力や注意力にかかわる前帯状回が16.9%、認知機能にかかわる前頭前野背外側部が14.5%小さかった。
         小児期に過度の体罰を受けると行為障害や抑うつなどの精神症状を引き起こすことは知られているが、脳への影響は解明されていなかった。今回の研究で脳の萎縮がみられた人については、体罰でストレス下に置かれた脳が、前頭葉の発達を止めたと考えられるという。
         友田准教授は「研究結果は虐待の早期発見に生かせるのではないか」と話している。
        ▽虐待発見に役立つ
         子どもの虐待に詳しい才村純・関西学院大学人間福祉学部教授(児童福祉・母子保健)の話 虐待が子どもに与える影響を客観的な証拠で示した画期的な研究だ。子どもが虐待の事実を言い出せず、親も隠したり認識がなかったりして見落とされる事例は多い。脳との因果関係を裏付けることができるなら、隠れた虐待の発見に役立つだろう。研究成果が今後、教育や福祉の分野で普遍化されていくことを期待する。
        (asahi.com)2008年10月24日17時14分

        ●「自殺大国」日本…団塊世代リタイア後に増加 20年度版白書
         政府は31日午前の閣議で、平成20年版「自殺対策白書」を決定した。19年の自殺者数は前年比938人増の33093人で過去2番目の多さとなった。いわゆる熟年離婚したり、団塊世代で退職したりした壮年以上の男性自殺者が増加したことが一因とみられている。年間の自殺者数は10年連続で3万人で推移しており、政府は同日、自殺予防への重点施策を盛り込んだ「自殺対策加速化プラン」を策定した。
         白書によると、19年の男女別の自殺者の内訳は男性23478人(前年比665人増)、女性9615人(273人増)。原因や動機は「健康問題」(14684人、63.3%)が最多で、「経済・生活問題」(7318人、31.5%)、「家庭問題」(3751人、16.2%)が続いている。
         年齢層でみると、男性は55~64歳、女性は75歳以上が最も多い。職業別では「無職」が57.4%と半数以上を占め、次いで「被雇用者・勤め人」(27.7%)、「自営業・家族従事者」(9.9%)、「学生・生徒など」(2.6%)-となっている。
         場所は「自宅」(54.7%)、曜日は「月曜日」が最多で、時間帯では、男性が早朝の午前5~6時台、女性は昼下がりの午後2~4時台に頻発している。人口10万人あたりの自殺者数を示す「自殺死亡率」は23.7で世界8位だった。主要7カ国(G7)では男女ともに日本がトップで、「自殺大国」日本の実態が改めて浮き彫りになった。
         19年で顕著だった自殺の傾向について内閣府は「団塊の世代の自殺者が増えている。退職や熟年離婚などで配偶者や友人、職を失う『喪失体験』が自殺の原因の一つではないか」と分析している。
        (産経新聞)10月31日10時14分配信

        ●障害者自立支援法で一斉提訴 京都の原告側「制度に怒り」
         障害者自立支援法に基づくサービス利用料の原則1割自己負担をめぐり、障害者約30人が全国の8地裁に一斉に提訴した。京都では、重度の知的障害がある福知山市天田の稲継学さん(42)が原告となり、これまで支払った施設使用料約15万円の返還や慰謝料の支払いなどを求めている。提訴後、稲継さんと両親、代理人弁護士らが記者会見し、原告側は「応益負担という制度に憤りを感じる。絶対になくしてもらいたい」と強く訴えた。
         現在の稲継さんの月収は、障害基礎年金と特別障害者手当を合わせた約11万円と、通所更生施設から支給される給料約6000円。一方で、同法による施設使用料や食費として月6000円程度を支払っており、生活はぎりぎりの状態だという。
         母親の清代(すみよ)さん(72)は「健常者と100%同じでなくても、散歩や買い物、好きな音楽を聴かせてやったりしたいが、現状では時間に縛られてできない」と話し、改めて制度を批判。父親の清秀さん(71)は「今は家族とともに暮らすことでどうにかなっているが、息子が1人残されたら生活できない」と、将来への不安をにじませた。
        (産経新聞)11月1日8時5分配信

        ●金融不安、障害者施設にも影響
         金融不安に端を発した景気減速の影響などで、県内障害者施設への業務発注が急速に減っている。こうした中、障害者雇用を支援する全国の雇用協会の不明朗会計が明るみになり、各施設からは「苦しい現場を無視して、公金を目的外に使っていたとしたら許せない」との声が上がっている。
         29日、富山市内の知的・精神障害者施設では、通所者数十人が職員と段ボール箱に紙を入れるゲームに興じていた。施設長は「昨日から仕事が全くない」とうつむいた。市内企業から段ボールの組み立てを請け負うが、今月の受注は9月の約10分の1に激減。27日で作業を終えてしまった。
         自動車部品の検査を請け負う身体障害者施設も、先月から受注が減った。発注元に毎朝部品を取りに行くが、ゼロの日もある。印刷機部品検査の孫請けをしている県西部の施設は今月、発注元から「仕事を回せない」と言い渡された。
         障害者施設の中には「就労支援」を目的とし、最低賃金法など労働法規が適用されないケースも多い。ある施設長は、「行政は現場の困窮に早急に対応してほしい。雇用協会が障害者支援という本来の目的以外に公金を回すなど言語道断」と話している。
        (読売新聞)2008年10月30日

        ●派遣労働者:製造業の7割が「消極的理由で」NPO調査
         製造業で働く派遣労働者の70%以上が「正社員になれなかった」などの消極的理由で派遣を選んでいることが、製造業で働く非正規労働者で作るNPO法人「ガテン系連帯」(東京都)の調査で分かった。
         7~9月、東京や京都など11都府県にある自動車、電機、食品などの製造工場などで派遣労働者243人から聞き取った。
         その結果、全体の71%、173人が「正社員になれなかった」「地元で職がなかった」など消極的理由で選んだと回答。「さまざまな仕事ができる」「好きな時に働ける」といった理由で積極的に選んだ人は23%にとどまった。
         また、派遣労働者として働くことについて、全体の75%、182人が「いつ解雇されるか分からない」「将来の見通しが立たない」などと不安を抱いていた。
        (毎日新聞)11月2日2時32分配信

        ●死刑廃止、前向きに検討を=日本政府に勧告…国連委
         【ジュネーブ30日時事】日本の人権状況を審査してきた国連の自由権規約委員会は30日、死刑制度の廃止を前向きに検討するよう日本政府に勧告した最終意見書を公表した。第2次世界大戦中の従軍慰安婦問題でも、謝罪と補償措置を求めるなど、日本に厳しい注文が多く出された。
         同意見書は、日本での死刑の執行件数が近年、増加したことに懸念を表明。執行当日まで事前の告知がないことや、高齢者に実施されたことなども問題視し、「日本は死刑廃止を前向きに検討すべきだ」と勧告した。
         従軍慰安婦問題では、これまで行われた元慰安婦への補償措置を、「十分ではない」と批判。日本政府に対し、同問題での法的な責任を受け入れるとともに、被害者の大半が受け入れるような十分な謝罪と適切な補償措置を早急に講じるよう求めた。
        (時事通信)10月31日5時42分配信

        ●<札幌監禁>娘を8年間自宅に 19歳で保護
         札幌市北区の女性(21)が小学生の時から19歳で保護されるまで約8年間にわたり、母親によって自宅に監禁状態に置かれていたことが毎日新聞の取材で分かった。小学6年から中学までの4年間で3日しか登校していなかった。女性が通った市立小中学校は監禁に気付かず、いずれも「不登校」として処理。市保健福祉部も別居中の父親から相談を受けながら具体的対応をとらなかった。
         関係者によると、女性は小学2年までは普通に登校していたが、3年から登校日数が減り、4、5年の登校日数は50日前後に。6年で1日、中学も1年時に2日間登校しただけで2年時からは全く登校しなくなった。
         母親は、女性が小学3年のころから「娘が連れていかれる」などと話すようになり、登校後に連れ戻したり、家から動かないよう指示したりと、徐々に外出を許さなくなり、事実上の監禁状態になったという。母親は買い物などで時々外出していたらしい。一家は女性と両親の3人暮らしだったが、父親は不在がちで、女性が17歳のころに別居した。
         小中学校の担任教諭が月数回の割合で自宅訪問したというが、母親に断られて様子を確認することはできなかったという。また、父親は05年1月に保健福祉部の出先機関に相談したが、電話で助言を受けただけだった。
         06年6月に、付近住民から「異臭がする」と警察に連絡があり、市が事実関係を調査。2カ月後の8月には児童相談所に虐待ではないかという問い合わせがあり、女性を保護した。発見時、筋力が弱まり自力では歩けない状態だった。
         女性は福祉施設で治療を受けており、知的障害と認定された。小学2年までの学力は平均レベルだったため、長期間の監禁状態が障害の原因になったとみられている。母親も障害があると判断され、精神保健法に基づき医療保護入院している。
         道都大の小銭寿子准教授(社会福祉論)は「外出を認めない、学校に行かせないという不適切な養育は虐待で、ネグレクト(養育放棄)に当たる」と話す。女性を保護した同市の岡田寿・障がい福祉担当部長は「子供の監禁に関するシグナルはあった。教育委員会も含め、もっと専門的に関与することが必要だった。市として(今回のような事例を)うずもれさせないようにしたい」と話している。
        (毎日新聞)10月30日02:41

        ●「見た目」不合格問題で神田高校長を更迭―神奈川県教委
         神奈川県平塚市の県立神田高校が入学試験で、服装や態度の乱れを理由に合格圏内の22人を不合格にしていた問題で、県教委は29日、渕野辰雄校長を更迭し、11月1日付で県立総合教育センター専任主幹に異動させる人事を発表した。
         県教委は、服装の乱れなどを選考基準として公表していなかった点を問題視、「保護者や県民の不信を考えると、これから始まる入試準備にかかわるのは適切でない」と説明している。
         渕野校長は、受験生の外見を合否判定の基準にし始めた04年度実施の入試時は教頭、05年度以降は校長として非公表基準での選考を指示していた。
         県教委にはこの日、「なぜ外見で判断することがいけないのか」などとする意見が多数、寄せられた。一方、文部科学省は「公表基準以外で選考したのは入試の透明性、公正性の観点から不適切」との見解を示し、県教委に再発防止策の報告などを求める。
        (読売新聞)10月29日20:52

        ●障害者手帳に偽造防止シール 京都市、12月から導入
         京都市は、発行する障害者手帳にコピー防止シールを張るなどの偽造防止策を12月1日から導入する。他都市で偽造手帳を使い不正に障害者割引サービスを受けた事件が発生したため、対策を講じる。
         手帳には顔写真や障害の程度などが記入され、提示すれば公共施設や携帯電話使用料の割引サービスなどが受けられる。昨年以降、横浜市などで顔写真を張り替えたり、カラーコピーで複製した偽造手帳を使って携帯電話の障害者割引契約をする事件が発生した。
         京都市発行の手帳を使った偽造事件はないが、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類を対象に、コピーすると透かし文字が現れる偽造防止シールを張り、写真もはがせないようにするなどの防止策をとることにした。
         12月1日以前に手帳を交付された人には、希望があれば区役所などの窓口で偽造防止処理を施す。
         このほか、同日から国の通知に基づき、身体障害者手帳の交付申請者のうち障害認定後にリハビリで障害の軽減が予想される人には、1-5年以内に障害等級の再認定を受けるように制度を改める。問い合わせは市障害保健福祉課Tel:075(222)4161。
        (京都新聞)10月26日23時9分配信

        ●教育問題討論会 渦巻く怒号、やじ 橋下知事vs現場教員
         橋下徹大阪府知事と府民らが教育問題について意見を交わす討論会が26日、堺市の府立大学で開かれ、約700人が参加した。知事が発言するたびに現場教員らからヤジが飛び、会場は終始騒然とした雰囲気に。知事もいらだち、「こういう先生に子供たちを任せておくことはできない」と発言をエスカレートさせた。
         「中山成彬前国土交通相の(日教組の強いところは学力が低いという)発言について知事は『本質を突いている』と述べたが、どういうつもりなのか」
         日教組の組合員という女性がこう質問したとたん、会場の一部からは「そうだ」という掛け声と拍手があがった。
         これに対し橋下知事は「どんな理由があろうとも大阪の学力は全国からするとかなり低い」とし、「私には子供たちの学力を上げる責任がある。そのために知事に立候補し、当選させてもらった」と訴えた。
         しかし、発言中もヤジはやまず、知事が「こういう先生に子供たちを任せておくことはできない。中山成彬前国交相の発言こそ、まさに正しいじゃないですか」と持論を展開。発言を支持する参加者からは大きな拍手がわいた。
         その後も橋下知事が発言するたびに怒号に包まれる会場。橋下知事は「このように行政のトップの方針に学校の先生が従わない。どこの会社に社長の方針に従わない部下がいますか。そんな部下がいたらクビになる」と発言。さらに、「9割の先生は一生懸命やっている。地域や家庭の皆さんが学校運営にかかわり、1割のどうしようもない先生を排除してください」と呼びかけた。
         また橋下知事は「先生がちょっと子供の頭をゴッツンとしようものなら、体罰だと叫ばれる。これでは教育はできない」とし、「(こうした行為を)どこまで教育と認めていくか、家庭、地域と合意を形成することが必要」と続けた。
         学校での職業体験の充実などを訴えた同府泉大津市の会社員、笠井大三さん(45)は「発言中のやじなど、会話の基本中の基本ができていない人がいた」と不満を口にする一方、「知事は頑張って大阪を変えてほしい」と話した。
        (産経新聞)10月27日8時4分配信

        ●高齢・障害者向け「福祉避難所」、指定済みは3割のみ
         高齢者や障害者が、被災時の避難生活を安心して送れるようにする「福祉避難所」をあらかじめ指定している市区町村は全国で3割にとどまることが、財団法人消防科学総合センターなどの調査でわかった。
         指定先となる福祉施設との連携が不十分だったり、指定基準の作り方を担当者が分からなかったりするのが理由だという。
         福祉避難所の指定は、施設内に段差がなく、介護用品や医薬品が用意されていることなどが条件。同センターの小松幸夫研究員らは今年2、3月、当時の全1823市区町村に福祉避難所の指定状況を聞き、1097市区町村が回答。その結果、条件を満たす施設を把握し、すべてを指定している自治体は7%、一部指定は23・7%だけだった。一方、把握しても指定していないところが30・7%、調査もしていないところが29・3%に上った。
        (読売新聞)10月29日3時1分配信

        ●硫化水素自殺、9カ月で876人=ネット情報の対策強化-内閣府
         内閣府は29日、自殺予告や自殺方法の紹介などインターネット上にはんらんする有害情報への対策を柱とした「自殺対策加速化プラン」を自民党の内閣部会に提示し、了承された。それによると、硫化水素を使った自殺者数は、製造方法がネット上に紹介されるようになった今年1月からの9カ月間で876人に上っている。
         加速化プランは、政府が昨年策定した自殺総合対策大綱に基づき、当面強化すべき取り組みを列挙。特に硫化水素自殺に関しては、約4分の1のケースで家族や近隣住民が有毒ガスを吸い込むなどの被害が発生しているため、民間団体を通じて、製造方法を説明するホームページの削除などをプロバイダーに依頼する。
        (時事ドットコム)2008/10/29-18:20

        どうしよう? MAC OS10.3.9
        2008/10/26
        とっても困っています。のっけから泣き言ですみません。
         でも本当に困っているのです。OSのバージョン…。
         私が最初に買ったパソコンは、Macintosh ?ci HD40MB, RAM2MBで、当時100万円あまりを投入しました。当時、フォントは細明朝体と中ゴシック体の2つだけ。まだまだ実用に堪える代物ではありませんでした。仕事が印刷のデザインだったため、デザイン/版下/製版の3業務をデスクトップで仕上げてしまうというDTP(デスクトップパブリッシング)という概念が日本に上陸し、ほどなく飛びついたというわけです。ハードもアプリも、すべて高価でした。そしてスペックは、いまから比べれば子どものおもちゃ以下。
         そんなこんなで5年半ほど前まで、DTPの世界にどっぷりと浸かっていました。Adobeさんとも長~いつきあいです。
         3年半前にカンナの事務所を立ち上げる時に、iMAC G5を購入しました。半分はMACユーザーの意地でもありました。OSは10.3から10.3.9へ。Clasic環境が使える最後のバージョンでした。そんな10.3.Xにも終焉の時が迫ろうとしています。
         つい最近、10.4Tigerに乗り換えざるを得ないと決断したのは、大きくは2つの理由からです。
         1つは、音楽再生(?)ソフトであるiTune。毎日寝る前、車を運転中に聴いているiPodがそろそろ寿命を迎えそうなんですが、今販売されているiPodラインナップに対応するiTuneは10.4Tiger以上にしか対応していません。今使っているiPodの命の火が燃え尽きるまで10.3.9で行こうかとも思いました。
         2つめは、青色申告用会計ソフト「MACの青色申告」がバージョン4になっていて、10.4Tigerにしか対応していないこと。青色申告、確定申告のための帳簿を付けているソフトなので、12月末が区切りとなります。今年度の確定申告書類を作ってから、バージョン4にアップグレードすべきなのか…。
         しかし、さらなる問題がわかってきます。
         チラシや名刺、面談予約カード、年賀状などを作成してきたソフトはどうなる? 面談記録や案内の送付先リスト作成で使ってきたデータベースソフトはどうなる? ホームページの作成・更新をしてきたソフトは…???
         とにかく頭が痛いことばかりです。とりあえず、10.4Tigerと「MACの青色申告」バージョン4は購入しました。後のソフトはどうしよう…(-。-;)。
         次回は「乱視+老眼」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        学校選択制:大きな格差、男女比にも偏り…都内28市区

         学区外の小中学校にも通える学校選択制度を巡り、毎日新聞が東京都内28市区の教育委員会を調査したところ、今春の各校の入学率(校区内で住民登録している就学者数に対する入学者数の割合)に、8.1~326.7%と大きな格差があることが分かった。人気校と不人気校の固定化が進み、区部では新入生が1けたの学校が7校、10人以上20人未満が23校ある。男女の希望者数も偏り、男子が3割未満の中学も出ている。
         選択制は00年に「個性的な学校づくり」を目標に東京都品川区が取り入れてから都市部に広まり、東京では19区と9市が導入。全国で最も普及している東京の実情を調べた。
         入学率は、その学校が児童・生徒にどれほど選ばれたかを示す。各校の今春の数値を尋ねたところ、品川区では初の小中一貫校となった旧第二日野小が326.7%に達した一方、近隣の小学校は27.8%に落ち込んだ。江東区では、統廃合がうわさされた中学校の入学者が7人となり、わずか20.6%。小規模校を避ける動きは、どの地域にも共通している。
         文教地区にあってクラブ活動が盛んな学校には志願者が集まりやすい。一方、小規模校では廃部やチームを結成できない部も相次ぎ、他校に流れる子も少なくない。
         「荒れている」「いじめがある」のうわさで生徒が減る学校もあり、調査には「風評の影響を受けやすい」(武蔵村山市)との声も出た。
         選択制の課題については、小規模校化が助長される(多摩市)▽学校間の生徒数の格差の広がり(練馬区)--など、生徒数の偏りを懸念する声が出た。一方、メリットとして「魅力があり開かれた学校づくりが進む」と学校の活性化をあげる教委が多かった。かつて新入生がゼロだった品川区の中学校が、学力強化策を掲げ小中一貫校となってスタートしたところ、今春の新入生は65人に回復した例もある。
         男女比をみると、野球部やサッカー部のない江東区の中学で、男子の割合が29%まで減る一方で、部活の盛んな他校で男子が57%になるなど、一部でアンバランスが生じている。
         選択制については前橋市が、生徒数の偏りなどを理由に、11年度から原則廃止を決めている。江東区も地域と学校の関係希薄化を理由に、小学校での選択は徒歩で通える範囲に限る見直しを行う。
         ◇学校選択制度
         規制緩和のため、97年に旧文部省が通学区域の弾力的運用を認める通知を出し、03年の学校教育法施行規則改正で各教委が選択制を導入できるようになった。06年の文部科学省調査では、小学校で240自治体(14.2%)、中学校で185自治体(13.9%)が導入している。しかし、東京都内のように、行きたい学校を選べる自治体は金沢市や長崎市など少数派。山村の小規模校の活性化のため学区外から入学を認める限定的な選択制が多い。
         ◇解説…「ひずみ」冷静に検討を
         学校選択制度のメリットは、学校が学力強化や生徒指導に工夫をこらすようになることだとされる。確かに導入した地域では、保護者や地域も巻き込んで体験重視型の教育を行ったり、進んで情報公開するなど、変化がみられる。
         一方で、選択制は著しいひずみも生んでいる。少人数の学校は「切磋琢磨(せっさたくま)が難しい」と避けられ、「問題児がいる」とうわさがたてば新入生は激減する。いったん生徒が減りだすと部活動も停滞し、人数の回復は難しくなる。校舎が新しいというだけで生徒が集まる学校もあり、「教育内容で選んでほしい」という教育委員会の思惑は空回りしがちだ。
         小規模の中学では、理科の教員が数学を教えたり、陸上の不得手な生徒が区の陸上大会に引っ張り出されるなどの事態も起きている。江東区や品川区は対策として、小規模校に特別の予算を組んでいる。こうした対策も大切だが、選択制の功罪を冷静にとらえ直す時期に来ているのではないか。
        (毎日新聞)10月22日2時32分配信

        ●<改正少年法>12月に施行…少年審判の被害者傍聴盛り込む
         原則非公開の少年審判で、犯罪被害者や遺族による傍聴を認める改正少年法(6月成立)について、政府は20日、施行日を12月15日とする方針を固めた。近く閣議で了承する。
         傍聴の対象は、殺人や傷害致死、業務上過失致死など、他人を死傷させた重大事件の審判。家庭裁判所が加害少年の心身の状態などを考慮した上で傍聴の可否を決める。傍聴は12歳未満の事件では認めず、12~13歳の事件では特段の配慮をすることが盛り込まれた。
         被害者の権利を尊重する流れに沿った法改正だが、少年の更生の問題や「少年が萎縮(いしゅく)して発言をためらう」などの懸念の声も上がっていた。被害者らが刑事裁判に出席して被告に直接質問できる被害者参加制度を柱とする改正刑事訴訟法も12月1日に施行される。
        (毎日新聞)10月21日2時32分配信

        ●直接言えないこともネットでは書き込める 高校生の3割意識(1/2ページ)
        ▽高校生のネット利用に関する意識
         ネットスターは10日、第8回「家庭でのインターネット利用実態調査」の結果を発表した。ブログや掲示板では、「面と向かっては言えないことも書き込める」と自覚している高校生が3割に上ったという。調査は9月9日と10日、高校生1236人と保護者1236人の合計2472人を対象に、Webアンケート形式で実施した。
         ブログやSNS、掲示板などに書き込む際に高校生が感じる意識では、「面と向かっては言えないようなことでも書き込める」が32.0%で最多。次いで、「自分をよく見せようとしてしまう」(24.4%)や「いつもより強気に出てしまう」(15.9%)が多かった。「ネットのコミュニケーションの難しさへの自覚を持つ高校生が少なくない」(ネットスター)。
         高校生がネットで恐怖を感じた場面をサービス別に聞いたところ、ブログでは「アダルトや出会い系などのリンクをはられた」が33.7%でトップ。SNSでは「知らない人から変なコメントを書き込まれた」が23.6%で最も多く挙げられるなど、「同じコミュニケーションサイトの中でも若干の差が見られた」としている。
        ▽ネットトラブルで保護者に相談しない理由
         また、PCで頻繁に閲覧するサイトについては、高校生が「掲示板・ブログ・SNS」(46.4%)や「動画サイト」(51.7%)など、利用者参加型のサイトを多く挙げた。一方で保護者は「ニュース・天気予報サイト」(63.8%)や「交通情報・乗換案内サイト」(51.9%)など、閲覧型のサイト利用が多かった。「子どもが作成しているサイトを見たことがある」という保護者は28.6%だった。
        (産経新聞)2008.10.13 22:28

        ●日本こども学会 学術集会 ”居場所”を探す子供たち
         ■「仲間外れ」恐れ、他人の視線に神経質…
         「問題としての子どもから存在としての子どもへ いじめ理解を深めるために」と題した日本子ども学会主催の学術集会が9月下旬、奈良女子大(奈良市)で行われた。シンポジウムや、大阪大学の鷲田清一総長らの講演などから浮き彫りになったのは、「空気が読めない」という言葉が流行するように、他人からのまなざしを、神経質なほど気にしている子供たちの姿だった。
         ◆排除の論理
         鷲田総長は「いじめは子供の世界だけの問題でしょうか」と切り出し、高齢者の介護の話を持ちだした。
         「高齢者の世話をすることは自然と生活の中に組み込まれてきたものだが、今はお年寄りは弱い存在、支えられる存在として考えられるようになった」と述べた上で、「高齢者は切り捨てられてはいけないと思い、素直なかわいい存在になろうとしている。以前、キンさん、ギンさんのCMが流れていたときは、『嫌われてはいけないお年寄り』という脅迫的なメッセージがみえた」と話した。
         なぜ、「かわいい老人」というイメージが必要かといえば、現代社会では「排除の論理」があるからだという。それは、特定の人を存在しないように扱ったり、祭り上げたりすることで、「その集団の連帯を強化する」というもの。鷲田総長は「排除の論理に対抗する、集団形成の論理を作れなかった」ことが、「いじめ」を阻止できない理由の一つだと述べた。
         ◆閉ざされた空間
         鷲田総長は、いじめ報道が、いじめを助長している、とも指摘した。いじめをセンセーショナルに報道し、学校バッシングをする司会者、第三者として座るコメンテーター。この「学校対テレビ」という関係について、コメンテーターのコメントにうなずく視聴者。視聴者は「見て見ぬふりをし、実質上、いじめに加担している子供そのものではないか」というのだ。
         学校をバッシングし、教員にすべてを任すとすれば、教室は閉ざされた空間になる。複数の個人がいる密室の空間では、学校に限らず職場でも排除の論理は働きやすいという。鷲田総長は、教室を密封するのではなく、地域社会がどんどん介入し、「仲裁」することが必要だと提言した。
         また、「携帯電話でメールをもらったら、15秒以内に返信する」という15秒ルールや、「空気が読めない」という言葉の流行は、「仲間外れになりたくはない」という気持ちが具体化したものだと話す。
         こうした具体例について、鷲田総長はこう見解を示した。近代以前は「自分の存在は何か」という問いは、身分制度が機能していた社会環境が決めていた。だが、近代に入ると、自分が誰であるかを自分で決めなければならない。「自分」を見つけることは大作業だ。簡単なのは「自分」が他者に肯定されることで、「普通」であろうとすることだ。自分が、他人がいる輪の中に入り、仲間外れにならないことが重要になってくる、と。
         ◆正解求めぬ大切さ
         シンポジウムでは、中学校に週1回通い4年間、生徒の意識を調査した奈良女子大学大学院の研究員が、生徒は「仲間集団」を維持するために、常に周囲から自分がどのようにとらえられているかを意識し、自分の居場所を探していると報告。また、24年間、大阪府で中学校の教員をしていた女性は最近の生徒について、「友達がいないのは最悪だという意識が強い」と話した。
         奈良県の小学校教員は「子供は、グループの核になる人がいないので、新しい友達ができるかどうか、不安でいる。その中で、他人をイライラさせるような児童がターゲットにされ、いじめを受ける」と話した上で、改善策として、「まあ、いい」という感情を根付かせているという。意見が違っても、「まあ、いい」と思うことで、正解を求めない。
         この教員は「正解を求めることが本来の教育だが、学習方法を柔軟にする必要がある」と話した。
        (産経新聞)10月22日8時6分

        ●イライラが募る年頃?10代が抱えるストレス事情
        ▽10代がストレスに感じていること
        1
        友達関係
        2
        進学・就職
        3
        自分が他人にどう思われているか
        4
        親子関係
        5
        恋愛関係
         「ストレス社会」と言われる今の日本。大人ばかりではなく、悩みごとが尽きない年頃であろう10代の人たちも様々なストレスを抱えているのでは?そこで、オリコンが14~19歳を対象に『ストレスに感じていること』についてアンケート調査(複数回答可)を実施したところ、約9割が現在ストレスが【ある】(87.3%)と回答。【友達関係】(56.2%)、【恋愛関係】(22.2%)などの“人付き合い”が主なストレスの原因となっているようだが、自分の将来に関わる【進学・就職】(50.8%)や、少数ながら【政治・経済問題】(6.8%)などの社会問題もその要因としてあげられた。
        ▽10代のイライラ要因は何?ランキングとコメント一覧
         10代が抱えるストレスの1位は【友達関係】。「表向きだけで本音では話せていない」(群馬県/19歳/女性)と見えない壁を作ってしまっている人が少なくなく、本来は互いに心を許し合える存在である友達のはずが「実際は学校ですごく気を遣っているから」(大阪府/16歳/男性)というように、学校で毎日のように顔を合わせるからこそ悩みの種となっているようだ。
         また、TOP10内には【友達関係】をはじめ、【親子関係】(4位:22.6%)、【恋愛関係】(5位:22.2%)、【部活動/サークル関係】(6位:17.9%)、【バイト/仕事関係】(7位:15.8%)などが上位を占め、総じて“人間関係”がストレスや悩みの種となっている10代の姿が目立った。
         続いて、2位は【進学・就職】(50.8%)についての問題。「ハッキリとした目標がないから」(栃木県/17歳/女性)、「やりたいことはあるけど、何から手を付けていいか分からない」(埼玉県/19歳/男性)と一度しかない人生だからこそ、迫り来る岐路に焦りや戸惑いを隠せないよう。
         3位に登場したのは【自分が他人にどう思われているか】(35.4%)で、「人の心はその人にしか分からないから、気になりだしたら止まらない」(東京都/19歳/女性)など、自分では分からないことだからイライラが募るという声が多く聞かれた。
         また、これらの身近な要因に加え、テレビや新聞で目にする【政治・経済問題】(8位:6.8%)や【世界の戦争・紛争問題】(9位:2.7%)、【環境問題】(10位:2.3%)など、日本はもちろん世界の社会情勢についてもストレスを感じるというコメントがあった。
         多感な10代の日常には様々なストレスが潜んでいることがうかがえた今回の調査。ストレスは溜めると毒!もしも、どうしようもない不安が押し寄せてきたら、体を動かしたり音楽を聴いてみたりして、リフレッシュしてみては?
        (10月2日~10月6日、自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員の14~19歳の男女、各300人、合計600人にインターネット調査したもの)
        (ORICONSTYLE)10月22日10:02

        ●障害者外出支援費訴訟:「減額取り消せ」 障害者再び提訴
         障害者の外出を手助けする移動介護費の支給額を減らしたのは違法と裁判で認定されたのに、東京都大田区が減額を続けているとして、同区在住の鈴木敬治さん(56)が22日、減額の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。
         訴えによると、脳性まひで全身に障害がある鈴木さんは、月124時間分の移動介護費が認められていたが、区は原則月32時間以内とする上限を設置し、04年度から32時間分(後に42時間分)しか支給しなかった。
         鈴木さんの提訴を受けた東京地裁は06年11月、「個別事情を十分考慮せず、支給を激減させた処分は裁量権の範囲を逸脱し違法」と指摘。この判決後、区側は上限を廃止したが90時間分しか認めなかったため、「判決を尊重しておらず、障害者の権利を侵害している」と主張している。
         鈴木さんは記者会見し「障害者が当たり前に外出できる保障を認めるかどうかが問われている」と訴えた。大田区障害福祉課は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
        (毎日新聞)2008年10月23日 東京朝刊

        ●年長フリーターの正規雇用、企業に助成金 厚労省方針
         厚生労働省は21日、雇用対策として年長フリーターらを新たに正社員として雇う企業に対し、1人あたり50万~100万円程度の助成金を出す制度を作る方針を固めた。3年程度の時限措置とする。与党も同様の方針を固めており、政府が今月中にまとめる追加経済対策に、若者の雇用対策の目玉として盛り込む考えだ。
         厚労省案では、25~39歳の年長フリーターや派遣などの非正規労働者を新たに正社員として採用し、1年以上雇った場合に、大企業には50万円程度、中小企業には100万円程度を支給する。対象は3年間で10万人以上を想定している。財源は雇用保険料などからなる労働保険特別会計でまかない、一般会計には影響が出ない。
         現在、同じような制度で、失業中の障害者や高齢者(60歳以上65歳未満)を雇った場合に大企業に50万円、中小企業には60万円を支給する「特定求職者雇用開発助成金」がある。今回の若者対象の制度では、特に経営が厳しい中小企業への支援策という意味も込めて、給付を大企業よりも大幅に手厚くする意向だ。
         厚労省は雇用創出とフリーターらの正社員化を進めるため、企業に対して最長3カ月間の「お試し雇用」中に1人あたり月4万円を支給する「トライアル雇用奨励金」などの施策を行ってきたが、今回、年長フリーターに重点を置く強い対策を打ち出した。
         25~34歳の年長フリーターは、90年代のバブル崩壊後の就職氷河期に正社員になれなかった人たちが中心で、92万人(07年)にのぼる。ここ数年15~24歳の若いフリーターが減少するなか、あまり減っていない。35~44歳の不安定就労者も増え、07年は38万人と3年間で10万人増加した。
         今回の対策の背景には景気が後退局面に入り、雇用情勢の悪化も顕著になってきたことがある。8月の完全失業率(季節調整値)は前月を0.2ポイント上回る4.2%と06年6月以来の水準に悪化。また、雇用者のなかでも賃金が低く不安定な非正規労働者の数が年々増え、07年は1732万人と初めて全体の3分の1を突破した。
        (asahi.com)2008年10月21日15時5分

        ●アフガン:タリバン自爆「6割が障害者」 カブール大准教授、テロ犯遺体検分
         アフガニスタンで増加し続けている自爆テロ事件で、実行犯の6割以上が身体障害者だったことが、カブール大学医学部のルサフ・ラドガリ准教授(32)の調査でわかった。障害者の多くが地雷や不発弾の爆発で手足を失った住民とみられ、武装勢力タリバンが、社会的弱者の障害者を自爆犯として利用している実態が明らかになった。
         准教授は2年前から、カブールを中心に自爆テロの実行犯の遺体80体を独自に検分。うち65%に当たる52体が、手や足、指などが自爆前から欠損している身体障害者だった。
         准教授は現場に残された義足や歩行補助具を調べ、うち1件は06年、カブールの援助団体が中部ロガール州で地雷被害に遭った男性に贈ったものであったことも突き止めた。
         タリバンは「米軍の空爆による犠牲者の遺族が、(志願して)自爆している」と主張。准教授は「貧困に陥った障害者が、家族の生活を保障するなどと口約束されている可能性がある」と指摘する。
         准教授は近く、タイの研究機関の支援を得て、自爆犯のDNA鑑定を開始する。
        (毎日新聞)2008年10月20日 東京朝刊

        ●門前払いに強い不信感 自閉症児の就学拒否問題
         知多市旭北小学校で9月下旬、来春の就学相談に訪れた自閉症の子ども(6つ)と母親(40)に対し、舟橋佳延校長が「この子ではうちの学校は無理」と事実上、門前払いした。障害のある子の就学は本来、保護者や学校関係者、医師らの意見も聞き、半年近くをかけて市教委が最終的に決定するもの。わずか15分程度、子どもを見ただけで、校長一人で「入学の是非を判断」するのは論外だ。
         加えて、舟橋校長は子どもも同席する前で「小学校に来る状態ではない」などと発言した。普通学級か特別支援学級、または特別支援学校か、子どもに合った教育を探し始めたばかりだった母親は、泣きながら学校を後にした。
         子どもの数が減少傾向にある中、特別支援学級や学校に在籍する子どもの数はこの10年で5割増と、飛躍的に増加している。「(自閉症など)発達障害の認知が高まり、受診者が増えた」と、あいち発達障害者支援センターは分析する。
         文科省の調査によると、教育現場で教師が「発達障害ではないか」と疑う子どもは全児童・生徒の6・3%に達する。1クラスに2、3人は発達障害と疑われる子どもがいる計算だ。
         文科省は昨年度から、子どもの校内での生活や学習を支援する「特別支援教育支援員」の充実を図っている。とはいえ、県内の支援員は現在、953人。公立の小中学校数(1399校)すら満たしていない。
         現場の理解不足を嘆く声も多い。自閉症児は特定の音や物、行為でパニックを起こすこともある。何に「こだわる」のかは一人一人全く異なるが、その点さえ気をつければ普通に学校生活を送れるケースもある。
         今回の問題で、両親はやみくもに子どもを「普通学級に入れたい」と言っているわけではない。県自閉症協会(つぼみの会)も「親の思いだけで無理に頑張らせると、子ども本人にはつらいケースもある」と助言する。
         問題の核心は、校長の配慮に乏しい言動と、最初から駄目と決めてかかる姿勢にある。「『なぜ自分の子に障害があるのか』とずっと悩み続ける親もいる。親の気持ちにも配慮し、その子にどういう支援ができるのかを学校は常に考えてほしい」と同協会は語気を強める。
         紙面で今回の一件を知った老婦人から、電話をもらった。「車いすの息子の進学で、地元中学校の教頭は『来てほしくない』という態度がありあり。結局特別支援学校に進んだが、あの日のことを思い出すと悔しくて、悔しくて」。10年以上前の出来事だという。
        (中日新聞)2008年10月20日
        ノンラベル アスペルガー援助者養成講座<第9弾>
        2008/10/12
        私が副理事長をつとめているNPO法人ノンラベル主催のアスペルガー援助者養成講座<第9弾>は、申込み受付を始めています。
        http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/
         月日が経つのは早いもので、春と秋に開催しているこの講座も今回で9回目、4年半が経過したわけです。
         ひきこもりや不登校の「状態」にある青年たちの中で、いわゆる「社会的ひきこもり」とは違って、発達の障害や偏り、その傾向、その他の精神的な症状によってひきこもるという「状態」になっている青年が多いことに気づき、まずスタッフが発達の障害について学ぼうと始めたのがきっかけでした。
         ノンラベルにつながっていた本人さんの多くにアスペルガー障害を始めとする高機能の広汎性発達障害(知的には問題がないが、生得的に対人相互作用やコミュニケーション、特定の事柄へのこだわりなど想像力の問題などの自閉症スペクトラムの特性を持っているが故に「生きにくさ」を抱えている状態を特徴とする発達障害)やその傾向があることがわかってきて、任意団体であった当時、「アスペ・ノンラベル」という支援部門を設立し、家族会や個別面談、居場所などの活動を展開してきましたが、活動内容や会の規模の拡大、行政機関や他の関連団体との連携や社会的認知の拡大などのニーズから特定非営利活動法人となることを決め、2008年4月にその認証が下りました。
         今回の講座は、援助者と親御さんのための講座として、援助をする立場の人の学びの場としての位置づけを明確にしています。直接的に関わる援助者である親御さん・ご家族、学校や施設、保健・福祉などの機関、企業などでアスペルガー障害をはじめとして広汎性発達障害やその傾向があるために生きにくさを抱えておられる本人さんに関わるみなさんに、是非受講していただきたいと思います。
         次回は「社会福祉の現場で働く人たちの待遇はこれで良いのか?」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <学生無年金訴訟>原告の敗訴確定…最高裁判決

         成人学生の国民年金加入が任意だった91年4月以前に、未加入のまま統合失調症と診断された東京都の男性2人が、社会保険庁長官に障害基礎年金の支給を求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は10日、いずれも請求を退けた。原告敗訴が確定した。
         国民年金法は、初診日が20歳未満の障害者には未加入でも年金を支給すると定める。2人は20歳を過ぎてから診療を受けたが、統合失調症は発症に気付きにくく受診まで時間がかかるケースが多いとして「後で発症が20歳前と診断されれば支給を認めるべきだ」と主張した。
         判決は同法が初診日を「初めて医師の診療を受けた日」と明確に定義していると指摘。そのうえで「画一的で公平な判断のため、診療日で適用範囲を区切ったのが立法趣旨」と原告側主張を退けた。4人の裁判官のうち今井功裁判官は「一般の疾病と同様に初診日を基準とするのは、制度の趣旨に沿わない」と反対意見を述べた。
         1審は2件とも「初診日」要件を柔軟に解釈して原告の請求を認めた。2審では1件が原告逆転敗訴、1件は勝訴が維持され結論が分かれていた。
         判決後、原告の蓮実浩吉さん(48)は「強い思いを込めてきたのに届かず、失恋と同じ気持ち」と話した。
         ◇解説…司法による救済、限界示す
         初診日要件を厳格に解釈した最高裁判決は、司法による救済の限界を示した。全国の30人が9地裁に起こした学生無年金障害者訴訟は、立法の違憲性と初診日要件の解釈が争われた。最高裁は07年9月に違憲主張を退けており、この日の判決で大半の原告が敗訴する見通しとなった。
         成人学生の国民年金への任意加入は61年から30年間続き、その間に推計約4000人の学生無年金障害者を生んだ。訴訟はこうした制度のはざまで苦しむ人々の実態を明らかにし、05年の特別障害給付金制度の創設につなげた点で意義は大きい。
         しかし、障害基礎年金が月額8万2000~6万6000円なのに対し、給付金は月額5万~4万円にとどまり、老齢基礎年金の掛け金も免除されない。こうした事態の原因が、政府の周知不足や国会の法整備の遅れにあるのは明らかだ。その責任を自覚した柔軟な制度運用が求められる。
        (毎日新聞)2008年10月10日 20時22分

        ●閉ざされた司法救済 立法府の行動カギ 学生無年金訴訟
         「初診日」の解釈について初判断を示した10日の最高裁判決。すでに昨秋、学生を強制加入の対象としなかったことは合憲という判断が示され、この日の判決で「初診日」の拡張解釈を認めなかったため、元学生にとって司法による救済の道は事実上、閉ざされた。
         訴訟の争点は「初診日」を柔軟に解釈して、受給資格を広げられるかだった。身体障害者は障害を負った時期と初診日にほとんど差はないが、統合失調症など精神障害者は、症状悪化後に初めて受診することも多い。このため、発症が20歳未満なら初診日が20歳以上であっても支給を受けられるかどうか、2審東京高裁の判断は分かれた。
         元学生勝訴とした高裁判決は「症状が出て診察が必要となった時点が20歳前なら、例外的に拡張解釈を認められる」と柔軟に判断した。たしかに、国民年金法には、未加入でも「初診日」が20歳未満であれば障害基礎年金が支給されると定められている。
         だが、一方でその前提となる「初診日」について、「傷病について初めて医師の診療を受けた日」と明記。この受給資格の前提を崩せば、客観的基準を失わせ、公平で統一された判断を速やかに下せなくなり、新たな不平等を生む可能性もある。最高裁判決は「初診日」を文言通り、“辞書的に”解釈したといえる。
         学生無年金訴訟をめぐっては、地・高裁段階で判断が揺れてきたことからも、問題の深刻さや司法判断の難しさがうかがえる。ただ、こうした訴訟の過程で、平成16年には特別障害給付金支給法が成立、不十分とはいえ、一定の“成果”も生んできた。
         司法による救済には限界がみえたが、合憲とされたこの制度のなかで、何ができるか。立法府への負託は重い。
        (産経新聞)10月11日8時21分配信

        ●教諭自殺は「荒れた学校での支援不足」 労災求め提訴へ
         堺市の市立中学校に勤めていた女性教諭(当時51)が自殺したのは、荒れた学校現場で過酷な勤務を強いられたためだとして、夫が、地方公務員災害補償基金(東京)を相手に公務災害と認めるよう求める訴訟を来週にも大阪地裁に起こす。
         亡くなった教諭は田村友子(ともこ)さん。76年、大阪府教委に採用され、堺市の小中学校で勤務してきた。社会科担当で中学2年の学級担任だった97年6月、「うつ病」と診断され、5カ月後には緊急入院して休職。通院治療中の98年10月、自宅で首つり自殺した。
         夫の和夫さん(61)の訴えによると、当時の勤務先の中学では、生徒による教師への暴力が頻発し、喫煙を注意された男子生徒が別の女性教師の足をけるなどの事例が97年度だけで22件あった。田村さんは、無断で教室を出ようとした男子生徒を引き留めようとして腹を殴られたり、職員室で女子生徒にいすごと引きずり回されたりしたという。
         学校側はこうした事情を知りながら、田村さんの業務を軽減するなどの措置を取らず、教頭も「休まない方向で頑張ってほしい」と伝えるだけで積極的な支援をしなかった、と夫は主張している。
         夫は00年、地方公務員災害補償基金大阪府支部に公務災害の認定を請求したが、04年に退けられた。さらに基金審査会に再審査を求めたが、今年5月、「生徒とのトラブルは田村さんだけに起こったものではない」と棄却された。
         和夫さんは「妻の死は仕事が原因としか考えられない。荒れた学校で誠意をもって仕事をしたために、自殺に追い込まれたことを否定されることには耐えられない」と話している。一方、府教委の担当者は「基金側は十分な調査のうえで判断したと考えている。訴訟についてのコメントは控えたい」としている。
        (asahi.com)2008年10月9日

        ●<個室ビデオ店放火>都知事発言にNPOが質問状
         大阪市の個室ビデオ店で15人が死亡した放火事件を巡り、石原慎太郎・東京都知事が「200円、300円で泊まれる宿はいっぱいあるのにファッションみたいな形で泊まっている」などと発言し、生活困窮者を支援するNPO(非営利組織)は6日、石原知事に公開質問状を提出した。NPOは「自立生活サポートセンター・もやい」(新宿区)で、「200円の宿があるなら紹介して」などとただしている。
         石原知事は3日の会見で「(都内北東部にある)山谷のドヤに行ってご覧なさいよ。200円、300円で泊まれる宿はいっぱいあるんだよ。そこへ行かずにだな、何か知らんけれどもファッションみたいな形でね、1500円っていうお金を払ってね、そこへ泊まって『おれは大変だ、大変だ』って言うのはね」と発言した。
         これに対し、生活困窮者から月約100件の相談を受けるという「もやい」の稲葉剛代表理事は「200~300円で泊まれる宿なんて聞いたことがない。個室ビデオ店に泊まる生活困窮者を『ファッションみたい』というのも失礼な話だ」と指摘している。
        (毎日新聞)10月6日19時32分配信

        ●「山谷に安宿いっぱい」 都知事に台東区長ら抗議文
         個室ビデオ店放火事件をめぐり、石原慎太郎都知事が今月3日の記者会見で「山谷に行けば200円、300円で泊まれる宿はいっぱいある」などと発言したのを受け、山谷地区がある台東区の吉住弘区長と木下悦希区議会議長は7日、記者会見し、訂正と謝罪を要求する抗議文を同日、都に提出したことを明らかにした。
         吉住区長は会見で「地域のイメージダウンとなる重大な問題と認識している。遺憾の意を示すため抗議文を提出した」と話した。
         台東区によると、区内には133軒の簡易宿泊所があるが相場は2000円程度。把握している宿では900円が一番安いという。
         石原知事は同日、都庁で記者団に「認識不足だった。物価の変動もあり、1000円前後ということだった。申し訳ない」とコメントした。
        (産経新聞)10月8日8時6分配信

        ●「オンライン化」前にも年金改竄
         厚生年金の改竄(かいざん)問題について、政府は7日、総務省の年金記録確認第三者委員会が改竄を認定した記録のうち、オンライン化された昭和61年3月より前のものが、9月22日時点で24件あったとする答弁書を決定した。民主党の山井和則衆院議員の質問主意書に答えた。
         社会保険庁が先日公表した、改竄の疑いが強い記録が約6万9000件とする実態調査は、オンライン化した61年3月以降の記録から抽出したものだが、それ以前から改竄が行われてきたことになる。
         舛添要一厚生労働相はオンライン化前の改竄については「ほとんどない。オンライン化されてからだ」などと説明してきた。
         だが、この点について答弁書は「オンラインシステム稼働前の記録は被保険者名簿で管理されており、訂正処理は手書きで行わなければならず、職員が明確に証拠が残る形で不正な処理を行うことは一般的には考えにくい」とした。
        (産経新聞)10月8日8時6分配信

        ●「許し請いたい」「冤罪証明を」=死刑囚77人が思い訴え-市民団体アンケート
         死刑廃止を訴える市民団体が11日、確定死刑囚105人を対象とし77人から回答を得たアンケートの結果を公表した。それぞれが便せんなどに直筆で、執行を待つ心境や遺族への謝罪、冤罪(えんざい)の訴えなど、さまざまな思いをつづった。
         アンケートを実施したのは「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」。東京都内で同日開催したイベントで公表した。
         7月に再審請求したオウム真理教元幹部岡崎(現姓宮前)一明死刑囚は「日本人は死刑囚の実態を知らず、偏見を植え付けられている。生まれた時は真っ白な人間で、環境によって死刑囚にも偉人にもなる」と記した。
         自ら再審請求を取り下げたある死刑囚は「思い悩み、遺族のことを考えた。執行を待つ間、自分に何ができるかを考え続けたい」とつづった。主婦2人を殺害した死刑囚も「命ある限り、許しを請う気持ちを叫び続ける」とした。
        (時事通信)10月11日20時10分配信

        ●高額料金で劣悪な生活 フリースクール監禁虐待事件から1週間
         京都府京丹波町の「丹波ナチュラルクール」の入所者監禁虐待事件は、府警が南丹署に捜査本部を設置してから7日で1週間を迎えた。これまでの調べで、スクールは保護者から高額な料金を受け取る一方、入所者の食費や光熱費をありえないほど切り詰めるなどしていたことが判明。スクールが「教育目的」を掲げながら、組織的な関与で不当に巨額の収入を得ていた悪質な実態が明らかになってきた。
         ■極限まで節約
         調べでは、経営者の朴聖烈容疑者(60)=傷害罪で起訴、逮捕監禁容疑で再逮捕=らスクール側は、保護者に対し、入所金として200万~500万円▽強制的に連れ去る場合は別途30万~50万円▽月謝10万~15万円-など、高額の料金を請求。平成18年1月以降だけで、二十数人の入所者から1億数千万円の収入があったことが判明している。
         一方入所者の食事は、朴容疑者の親類が経営するコンビニエンスストアから無料で譲り受けた期限切れの弁当などを充当。ほかにも照明器具の半分を取り外す▽風呂は1回5分間で、冬は5日に1回、夏でも隔日▽トイレは時間を決めて数人がまとめて使用し、最後の人が水を流す-などを強要。十数人が生活するスクール全体の光熱費は月4万円程度だったという。
         ■組織的に関与
         逮捕監禁容疑で逮捕された朴容疑者ら11人(健康上の理由で1人は釈放)は、入所者の監視や夜間の宿直、嫌がる入所予定者の移送などを役割分担。実質的な責任者だった森下美津枝容疑者(55)ら数人は月数十万円を受け取っていたほか、3交代で宿直に当たっていた3人は1回1万円を、また入所予定者の連れ去り要員は1回10万円程度といった具合に、作業ごとに報酬を受け取っていた。
         メンバーは朴容疑者が集めた親類や知人などで、数人の容疑者は「塾長に指示されてやった」「金に困っていたので引き受けた」などと供述しているという。捜査本部は「塾長」である朴容疑者を頂点として、組織的に入所者を監禁していたとみている。
         ■入所者を選別
         府警は8月中旬、施設を逃げ出して保護された少女が「監禁され、虐待を受けている」と訴え、実際にけがをしていたことから本格捜査に入った。施設に多くの入所者が残っていたことを考慮し、実態解明よりもまず摘発を優先。9月9日に傷害容疑で朴、森下両容疑者を逮捕した。
         その後、スクールの運営に関与していたメンバー全体による組織的な監禁が判明。日常的に暴行を加えるなど極めて悪質として、殺人などのケースを除く虐待事件としては、異例の捜査本部設置を決めた。
         朴容疑者は、本当に手のかかりそうな子供は引き受けを断り、支配できそうな入所者を選んでいたという。関係者への報酬を除いても、朴容疑者の手元には相当な現金が残っていることから、捜査本部は金目当ての運営だったとみて全容解明を進めている。
        (産経新聞)10月6日23時33分配信

        <一言コメント>そもそもこの「施設」は「スクール」と名のってはいますが、「フリースクール」ではありません。それを、マスコミが「フリースクール」として扱い続けているため、真面目に子どもたちが学校以外で学ぶ場として設立・運営している他の(本来の)フリースクールと「同じような所」という印象を社会的に与え、誤った認識が広まってしまうことを危惧します。この「施設」は、明らかに営利目的で、違法かつ人権侵害を前提に行われていた事業であり、きっぱりと弾劾されなければなりませんし、マスコミは今からでも呼称の誤りを修正すべきです。
        私の睡眠障害とのたたかい-その5
        2008/10/05
        私の睡眠障害の根本にあるのは「うつ」です。ですから、処方されている薬物は、抗うつ薬(SNRIや三環系抗うつ薬)、抗不安薬などで、催眠薬はとん服としてもらっていますが最近はほとんどお世話になっていません。抗うつ薬、抗不安薬を朝・夕に飲み、24時間その効果が持続した状態にしつつ、眠前に別の抗不安薬を飲む、という処方です。
         「眠れない」=睡眠薬、と考えがちですが、根本にうつがある場合は、脳内の神経伝達物質の不足や偏りを調整して抑うつ気分や不安感を取り除くことで、自然な入眠と睡眠の継続がはかれるようにすることが必用であるようです。
         現在の処方は、数年かけて定まってきたもので、睡眠不足や過ストレスの時などに昼間の眠気や入眠を阻害する不安や精神運動亢進が生じることもたまにはありますが、比較的安定した睡眠リズムになっています。
         目下の課題は、減薬です。1種類の量を半分にすることはできましたが、次は何を減らせるか…?
         JR宝塚線(福知山線)の脱線事故で、負傷した兵庫県宝塚市の男性が自宅で自殺するという出来事が起こっています。事故から3年半が過ぎようとしていますが、精神的不調を訴えていたこの男性は、事故を直接的に体験したことによるトラウマから強度のストレスを抱き続け、精神の安定を奪われていたのでしょう。おそらくは、睡眠障害をはじめとして、さまざまな精神症状を生じていたにも関わらず、適切な治療や支援の機会を得られなかったものと思われます。ストレスの感じ方は人それぞれ、そのストレスが精神に与える影響も人それぞれです。
         うつの広がりの原因として、「社会的孤立」を指摘する人が増えつつあります。一人で抱え込む、家族で抱え込むことで、症状をより悪化させてしまうケースが増えているということです。不登校やひきこもり、発達障害などでも同様の負のメカニズムが働いてしまいます。精神の病理や障害は、誰にでも起こりうること、症状が生じた時には、病院・クリニックなどの医療機関をはじめ、地域の相談機関、個人など、多くのネットワークにつながり、人との関わりの中で症状を緩和させていくという考え方が必用な時代になっていると思います。
         次回は「ノンラベル アスペルガー援助者養成講座<第9弾>」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        校長、自閉症児の入学を拒否 本人前に「この子では無理」(愛知)

         愛知県知多市立旭北小学校(舟橋佳延校長)で、来春の就学相談に訪れた同市の発達障害の自閉症の子ども(6つ)と母親(40)に、舟橋校長が「この子ではうちの学校は無理」と事実上、門前払いしていたことが分かった。
         障害がある児童の就学は本来、外部の専門家も交えた「就学指導委員会」が保護者や幼稚園の意見も聞きながら半年近く調査、議論し、市教育委員会が決定する。知多市教委は1日、対応が不適切だったとして舟橋校長に口頭で指導した。
         母親は、中度の自閉症と診断されている子どもと一緒に9月25日、同校を訪ねた。15分ほど校内の特別支援学級などを視察した後、舟橋校長は子どもも同席した場で「無理」と断定。母親によると「小学校に来る状態ではない」「特別支援学校に行くべきだ」などと発言した。
         子どもは保護者の付き添いなしで保育園に通っている。両親は「支援学校も含め、子どもに適した学校はどこか、考え始めた直後だった。本人の前での暴言も教育者として許せない。子どもが小学校に行く権利はないのか」と憤る。
         舟橋校長は、「わが校の態勢では十分な支援ができない現状をお伝えしたかった。心に傷を与えたことをおわびしたい」とし、戸谷肇教育長は「校長の表現は不適切。入学の是非を校長が独断で判断することもできない。同じようなケースがないよう、各校長に徹底したい」と話している。
         ▼専門医師「氷山の一角」 障害者支援現場の理解進まず
         発達障害の子を持つ親や専門医師は、入学拒否は各地で恒常的に行われており、今回明るみに出たのは「氷山の一角にすぎない」と強調する。発達障害者支援法や改正学校教育法は、適切な教育的支援や指導、体制の整備を義務づけているが、現場の理解は進んでいない。
         「また起きたかという感じ」。発達障害の専門医である東海市民病院(愛知県東海市)の早川星朗小児科医長は「学校側は『お子さんに合った教育ができない』『安全が確保できない』と、もっともらしい理由をつけて面倒を避けようとする」と指摘する。
         同様に発達障害児の小学校入学を拒否された同県半田市のある保護者は「知人の親は、この子の状態ではとても通学は無理。(普通の学校にも通えるとの)医師の診断書を持ってきたら、入学を考えてもよいとまで校長に言われた」という。
         早川医師は実際の相談例として、就学は認めても「児童が動き回らないよう、教師が机の回りに画びょうを置いた」「行事の日は学校に来ないでくれと言われた」などの例も挙げる。
         こうした明らかな人権侵害でも、保護者は学校に預けている子どもが不利な扱いを受けることを心配し、泣き寝入りしているのが大半という。
         名古屋市の学校関係者は「保護者の希望が普通学級に通わせたいならば、何とか実現できるように体制を整え、最大限の努力をするのが学校の役目。今回のケースは信じられない」と話している。
        (中日新聞)2008年10月3日朝刊

        ●JR宝塚線事故の負傷者が自殺 事故後、精神的不調訴え
         乗客106人が死亡し、562人が負傷した05年4月のJR宝塚線(福知山線)の脱線事故で、負傷した兵庫県宝塚市の男性(25)が2日朝、自宅で自殺した。JR西日本によると、事故の負傷者の自殺が確認されたのは初めて。
         関係者によると、男性は事故時、大学4年生。快速電車の4両目に乗って通学中、兵庫県尼崎市で事故に遭い、首をねんざするなどのけがを負った。事故後から精神的な不調も訴えるようになり、通院治療を続けていたという。2日午前5時半ごろ、自宅で首をつっているのを家族が見つけ、119番通報した。
         事故直後に男性の家族から相談を受けたという負傷者の一人によると、「外出もままならない状態だったと聞いていた。誰にも相談できず、孤立している負傷者は多いのではないか」と話す。
         JR西日本広報部は朝日新聞の取材に対し、「心の病で長く通院治療を続けておられ、家族や主治医と連絡を取りながら、治療費の負担やホームヘルパーの派遣など支援を続けていた。最近は体調も回復していたと聞いていただけに、突然のことで残念だ」としている。
         脱線事故を巡っては、事故死した別の男性(当時33)と10年余り同居していた32歳の女性が06年10月、大阪市の自宅マンションから飛び降り自殺している。女性はJR西日本から遺族扱いされないことへの不満や、男性を亡くした悲しみをつづった遺書を残していた。
        (asahi.com)2008年10月3日17時27分

        ●障害者が裁判員制度検証 条件整備などが重要
         来年5月に導入される裁判員制度に向け、裁判員を選ぶ手順を検証する模擬手続きが29日、京都地裁であり、聴覚に障害のある男性が参加した。手話通訳を介して事件内容の説明を受け、裁判長の質問に応じた。男性は「専門用語にどこまでついて行けるか不安がある」と話した。
         模擬手続きは、地裁が企業や団体などの協力で作成した模擬裁判用の「裁判員候補者名簿」の中から20人を呼び出し、実施した。全員を対象に事件概要を説明した後、個別に裁判長から急用などで辞退を希望するかどうかを確認する質問を受けた。
         男性は終了後の会見で「スムーズに進めるためには、事前に資料などで内容を確認できる方が望ましい」と話し、手話通訳士も「手話は結論を先に伝えるので、事前に内容が分からないと訳しにくい」と指摘した。
         また、男性は審理への参加について「内容が理解できないと公平な裁判ができない。聴覚障害者は目で理解するので、見やすい場所に通訳者を配置するなど、参加しやすい雰囲気づくりを期待したい」と話した。
        (京都新聞)9月29日22時59分配信

        ●監禁 経営者ら再逮捕 京丹波施設暴行 新たに関係者8人も
         京都府京丹波町の私設更生施設「丹波ナチュラルスクール」の傷害事件で、京都府警捜査一課と南丹署は30日、入所者を監禁したとして、逮捕監禁の疑いで、施設経営者の江波戸聖烈被告(60)=南丹市園部町城南町小町、傷害罪で起訴=と施設責任者の森下美津枝容疑者(55)=同市園部町半田野ノ口=を再逮捕し、江波戸被告の長女で施設手伝いの仁丹真理子容疑者(40)=亀岡市曽我部町寺城ケ裏=ら施設関係者の男女8人を新たに逮捕した。
         府警は同日、南丹署に捜査本部を設置した。ほかにも監禁行為に加わった人物がいるとみている。
         調べでは、江波戸、森下両容疑者は共謀して、2006年8月に当時高校生だった中部地方の無職の男性(18)を、昨年12月には東北地方の無職の女性(22)をそれぞれ自宅から無理やり車に乗せ、手錠をかけて施設まで連行した疑い。また、施設で2人に暴行を加え、就寝時に2人の部屋の扉を外から施錠するなどして、今年9月まで監禁した疑い。
         他の8人は連行に加わったり、入所者が施設から逃げないよう監視するなどした疑い。8人は施設で宿直などをしていた、という。
         調べに対し、江波戸容疑者ら4人は容疑を認め、同容疑者は「(監禁は)自分が指示した」と供述している。森下、仁丹両容疑者ら6人は「親の承諾を得ていた」などと否認したり、一部否認している、という。仁丹容疑者の妹(36)は逮捕後、体調を配慮して釈放された。
         入所者の少女(14)に対する傷害容疑で江波戸容疑者とともに逮捕された森下容疑者は30日、京都地検が処分保留で釈放した後、再逮捕された。
        (京都新聞)9月30日22時29分配信

        ●死刑確定者は被害者のことで悩む76人が調査回答
         100人余りの死刑確定者(確定死刑囚)のうち、76人が市民団体のアンケートに答え「苦しいこと、つらいこと」として「被害者のことを考えたとき」や「いつ処刑されるか分からない」などを挙げたことが4日、分かった。冤罪を訴える回答も多く、42人が再審請求していた。3人は誰とも面会・文通していないという。
         回答者が全体の70%を超え、監獄法に代わる受刑者処遇法(刑事収容施設・被収容者処遇法に改称)施行後の変化に関する意見もあり、実情を知る大きな手掛かりになりそうだ。
         アンケートを実施したのは「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」(東京)。フォーラム90によると、7月末に全国の拘置所に収容されている死刑確定者にあてて、家族や弁護人らを通じてアンケート用紙を送付した。回答した76人は20代から80代で、9月11日に刑を執行された3人のうち2人も含まれている。
         「苦しいこと、つらいこと」の回答では「つらいのは死刑囚だから当然だ」と書いた確定者もいた。改善を期した受刑者処遇法の施行後は「友人と面会、文通できるようになった」などと評価する声の一方で「面会時間が短くなった」という意見も記されていた。
        (共同通信)2008/10/0500:02

        ●強制労働で日本を非難ハーグで市民団体が声明
         【ハーグ(オランダ)4日共同】韓国や北朝鮮、オランダ、日本など6カ国・地域の市民団体代表らが参加し、オランダ・ハーグで開いた「日本の過去の清算を要求する国際連帯協議会」の第5回大会は4日「戦時中、多くの外国人を強制的に使役した過去について、言及も反省もしていない」と麻生太郎首相らを非難する声明を採択し、3日間の日程を終えた。
         大会は、戦時下の文民保護や捕虜の扱いなどを定めたハーグ条約(1899年調印)が1907年に改定されて101年になるのを記念して開催された。
         声明は「ハーグ条約に基づいた日本の戦後処理は終わっていない」と指摘した上で、日本政府に「真実の隠ぺいと歪曲をやめるよう求める」と述べた。
         大会では北朝鮮の「日本軍慰安婦および強制連行被害者補償対策委員会」の洪善玉委員長が「日本政府は謝罪し、犠牲者らに補償するべきだ」と述べるなど、各国から犠牲者ら個人への補償を求める声が上がった。
        (共同通信)2008/10/0500:18

        ●理科教師の75%「自腹切った」=実験用備品が不足-公立中調査・教育政策研など
         公立中学校の理科教師の75%が実験、観察の教材を自費負担した経験があることが、科学技術振興機構と国立教育政策研究所の調査で分かった。6割強の教師が各学級で週1回以上、実験などを行う一方、多くは「設備、備品が不足している」と訴えている。
         調査は6-7月にアンケート方式で実施。全国から抽出した公立中のうち、337校の理科担当教師572人から回答があった。
         授業で実験、観察を行う回数は、53%が「週に1、2回程度」、10%が「ほぼ毎時間」と答えた。
         理科に充てられる今年度の学校予算(公費)を集計すると、設備備品費は生徒1人当たり453円、消耗品費は同341円。それぞれ「ゼロ」だった学校は17%、2%あった。公費以外では、教師の75%が教材費を自分で負担したことがあると回答。生徒から徴収した教師も24%いた。
        (時事通信)10月4日14時56分配信

        ●主幹・指導教諭を新たに配置 課題抱える学校に
         生徒指導などで難しい課題を抱える学校が増え、組織の充実が求められることから、京都府教委は3日、2009年度から京都市を除く小中学校と高校に「主幹教諭」と「指導教諭」を置き、学校運営体制を強化する方針を明らかにした。
         同日に開かれた9月定例府議会一般質問で田原博明教育長が表明した。
         主幹教諭、指導教諭は、学校の校長を補佐する「副校長」と合わせて、昨年6月成立の改正学校教育法で今年4月から配置することができる。全国では東京、大阪など12都府県ですでに導入されている。
         課題のある学校に配置される主幹教諭は、教頭、副校長など管理職の業務を補佐して保護者や地域と連携し問題の解決に当たる。一般教員を支援して、教員が子どもと向き合う時間を拡充する役割も果たす。
         指導教諭は、授業などで卓越した指導力のある教員を任命し、教員の指導改善や研修の企画などを行う。若手教員への指導技術の継承、人材育成の役割も担う。
         いずれも一般教員の中から任命する。選考基準は本年度中にまとめる方針。田原教育長は「現場で直面する課題に適切に対応するためにも積極的に取り組む」と述べた。
        (京都新聞)10月3日23時9分配信
        『自殺で家族を亡くして』
        2008/09/28
        全国自死遺族総合センター(編)、三省堂発行で『自殺で家族を亡くして 私たち遺族の物語』が発売されました。
        <三省堂>
        http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/jisatusde_nakusite.html
        <amazon>
        http://www.amazon.co.jp/%E8%87%AA%E6%AE%BA%E3%81%A7%E5%AE%B6%E6%97%8F%E3%82%92%E4%BA%A1%E3%81%8F%E3%81%97%E3%81%A6%E2%80%95%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E9%81%BA%E6%97%8F%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E5%85%A8%E5%9B%BD%E8%87%AA%E6%AD%BB%E9%81%BA%E6%97%8F%E7%B7%8F%E5%90%88%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/438536379X
         三章立てで、第1章:遺されて……自死遺族の物語、第2章:支援者から同行者へ-ともに歩む途上にて、第3章:自殺対策という<生きる支援>を社会で、皆で、となっていて、巻末には全国の支援団体が資料として紹介されています。
         私も、第1章の<息子・娘を亡くして>の一人として、体験を書かせてもらいました。
         私を含めて、27人の方が、短期間に文章を書き、三省堂さんが急ピッチで編集、印刷の作業をすすめ出版にこぎつけたものです。
         ぜひ、お買い求め下さい。
        ●編者<全国自死遺族総合支援センター>とは?
        自殺で大切な人を亡くした人が、偏見にさらされることなく悲しみと向き合い、適切な支援を受けながら、死別の痛みから回復し、その人らしい生き方を再構築できるように、「官と民」、「心理的支援と法的支援」、「自死遺族個々人と地域社会」など、これまで分断されてきた様々な要素を有機的につなぎなおして、総合的な自死遺族支援の拡充をめざして活動しています。

         次回は「私の睡眠障害とのたたかい―その5」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        学校選択制を小中とも廃止、生徒数極端な偏り 23年度から 前橋市

         群馬県前橋市教育委員会は、通学区域外の小中学校を選択できる「学校選択制」を平成23年度から廃止することを決めた。学校間で児童・生徒数の偏りが生じたためで、廃止は県内初、全国でも珍しいという。
         市教委によると、学校選択制は平成16年度に導入された。小学校は自宅から直線距離で4キロ、中学校は6キロ以内であれば、原則として自由に希望校を選択できる。しかし、ある中学校では入学生徒数が毎年約30人ずつ減少し、導入後の5年間で全校生徒数が約300人から約150人に半減。生徒数が減少した学校がある一方、大規模校では100人以上増加するなど、極端な偏りが生じた。
         生徒数が減少したために教師数も減り、1人の教師が複数の教科を掛け持たなければならなくなるケースも現れた。入学生徒数の減少で部活動にも支障が出ていた中学校もあった。
         このため、市教委では約2年前から学校選択制の見直しを検討。「地元の子供と地域社会の関係が希薄になるという新たな問題も出てきた」(市教委)として、廃止に踏み切ったという。
         市教委は学校選択制の廃止について、保護者にチラシを配布して通知するほか、今後、市の広報などを通じて周知する方針。
        (産経新聞)9月28日7時50分配信

        ●府高校定時制通信制生徒生活体験発表:夢を持って生きる 13人、力強く/京都
         ◇出産、いじめ、不登校…困難乗り越え--周囲の支え糧に
         「中学の時、家(親)が自己破産した。学びながら働こうと決めた」「17歳で母になった。周囲に反対されたが、芽生えた命を絶つことがどうしてもできず、産むことを決めた」……。「第4回府高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会」(府高等学校校長会定時制通信制部会など主催)が25日、上京区のホテルであった。府内の通信制定時制高校の生徒13人が、出産、いじめ、不登校などの問題に直面し、悩みながらも未来に向かって進む思いを語った。【谷田朋美】
         府立朱雀高定時制4年の清水ひかるさんは、親が自己破産し「家の手助けをしたい」と定時制を選んだ。仕事と勉強の両立の難しさを感じながらも野球部のマネジャーとなり、チームとの揺るぎないきずなが自分を支え成長させてくれたと生き生きと語り、最優秀賞を受賞した。
         17歳で母になったのは同西舞鶴高通信制3年の坂本なぎささん。全日制高校を中退して出産したが、子育ての大変さに選択を後悔したこともあった。「子供が子供を育てられるわけがないという周囲の目がつらかった」。通信制へ通い直すことで、子育てとの両立に時にはくじけそうになりながらも、あきらめていた「福祉の仕事につきたい」という夢が再び見えてきたという。「なぎちゃんならできる」という友人の言葉にも励まされた。「新たなスタートを切りたい」と力強く述べ、優秀賞を受賞した。
         同じく優秀賞の同朱雀高通信制3年の森島望香さんは、小学校の時の担任に授業で無視され、家庭の問題をクラスで笑いものにされるなどのいじめを受けた体験を語った。「先生になぜいじめるのか聞くと『お前はいらない子なんだよ』と言われた。その日から学校に行けなくなった」。だが、定時制で信頼できる先生に出会う。「人を信じられるようになってきた」と明るく語り、「今は心の傷ついた子どもを癒やすことのできる看護師になりたい」と笑顔を見せた。
         他に、同東舞鶴高浮島分校4年の蘆田珠貴さんと同桃山高定時制の鶴丸翔子さん(3年)も優秀賞を受賞した。最優秀賞の清水さんは11月23日に東京都の国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれる全国大会へ出場する。
        (毎日新聞)9月26日17時1分配信

        私の睡眠障害とのたたかい―その4
        2008/09/21
        それでは睡眠障害とのたたかいの続きを…。
         長男の喪失感、自責感、そして仕事を辞めたことからくる焦燥感、不安感(主に経済的不安)などから、過緊張、過覚醒の状態となり、それが睡眠リズムを狂わせていったのだと思います。
         精神科での処方は安定剤と抗うつ剤それぞれ数種、診断名は「うつ病」でした。今は自立支援医療の手続きをして通院、服薬を継続しています。
         症状としては、夜中に目が覚め、さえてしまって眠れない、早朝4時、5時に目覚めてしまってもう眠れない、という中途覚醒、早朝覚醒です。これが数日続くと、昼間に眠気とのたたかいとなり、やる気がなくなってしまいます。
         今の処方は、これらを改善する目的で、入眠した後の睡眠を一定時間継続できるようにするもので、朝・夕・眠前に服薬しています。
         入眠困難な時期がありましたが、その時には催眠効果のあるとん服を処方してもらっていました(最近も時々あります)。
         カウンセリング終結後はもっぱらこの薬物療法に頼っているわけですが、夜眠って昼活動する、という基本的な生活リズムが維持できているので、処方が整っているのだと思います。
         眠前薬を飲み忘れた時には、今でも中途覚醒に苦しみますが…。
         次回は「私の睡眠障害とのたたかい―その5」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        能力生かせる就労環境づくり(大人の発達障害者)

         大人の発達障害者の自立を支えるカギとなるのが就労だ。従来の障害者支援に加え、発達障害の特性に応じたサポートも始まっているが、実際に就職にまでこぎ着けるケースは、まだ少ない。(飯田祐子、写真も)
         巨大な倉庫が集まる千葉・浦安の臨海地域にある新晃(本社・千葉県船橋市)の浦安営業所。大手コンビニチェーンの約600店舗への商品の仕分けや配送を行っている。
         パート従業員の小田陽子さん(仮名、32歳)が、大きな台車を押しながら、菓子の箱が積まれた棚の間を進んできた。送り先の店舗ごとに、商品を1台の台車にまとめるのが仕事だ。手元のシールに書かれた品番に従って、商品の箱を棚から取り、台車に載せていく。
         小田さんは、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と学習障害(LD)があり、人とのコミュニケーションがうまくとれない。計算や字を書くのが苦手だが、読書は好きで、司馬遼太郎や陳舜臣の歴史小説をよく読むという。
         高校を出て、親せきの紹介で生花店に勤めたが、代金の計算ができず、1か月で退職。その後、地元の商店などの面接を何度も受けたが、採用されることはなかった。
         働ける喜び
         26歳の時、精神科を受診して、発達障害があることがわかった。2006年11月から約3か月間、障害者職業総合センター(千葉市)で、発達障害者のために開発された就労支援プログラムを受講。仕事の手順を分かりやすく記したマニュアルの作り方や、分からないことがある時の質問の仕方などを学んだ。ストレスを和らげるストレッチなど、パニック防止に役立つ自己コントロール法も教わった。
         以前から通っていた福祉作業所の職員や、千葉障害者職業センターなどの支援で、新晃の面接を受け、採用された。2週間の実習期間中は、同センターなどの「ジョブコーチ」と呼ばれる指導者が、一緒に通勤経路を確認したり、仕事の手順で理解しづらい点を分かりやすく説明したりと、常に寄り添ってサポートした。
         小田さんが働く浦安営業所の山中正浩所長は、「これまでの経歴を細かく記した履歴書をもらっていたし、あらかじめ、障害の特性を詳しく説明されていたので、不安なく受け入れることができた」と話す。
         十数年ぶりに仕事に就いた小田さんは、「採用試験に落ち続けて、何もかも嫌になった時もあった。いろいろな人に支えられて働けるようになり、本当にうれしい」と喜ぶ。
         雇用の壁
         小田さんが障害者職業総合センターで受けた発達障害者のための就労支援プログラムは、昨年度から東京と大阪、今年度から滋賀と沖縄の障害者職業センターでも実施されている。今後、全国の障害者職業センターに広げることが検討されている。
         発達障害者のためのプログラムと、従来の障害者就労支援を併用し、就労を目指すことが可能になったが、実際に採用にまでつながるケースはまだ少ない。昨年度、全国のハローワークの紹介で就職した障害者延べ4万5565人の大多数が、身体、知的、精神の障害を持つ。発達障害を含む「その他」は、近年急速に伸びてはいるものの、全体のわずか0・8%だ。「発達障害のことがまだ雇用側によく知られていないことが大きい」(障害者職業総合センター)ためとみられる。
         宇都宮大学の梅永雄二教授(発達障害臨床心理学)は、「発達障害者の中には、IQ(知能指数)が高かったり、特定分野の専門知識を持っていたりするなど、高い能力を示す人も少なくない。障害の特性に配慮しながら、本人の能力を生かす支援ができる人材の育成が重要だ」と話している。
        (読売新聞)2008年9月17日

        ●後期高齢者医療制度「大胆に見直す」 舛添厚労相が私案
         舛添要一厚生労働相は20日午前の民放テレビ番組で、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度について、「どんなに論理的で細密に作られていても、国民が支持しないような制度は大胆に見直すべきだ」と述べ、現行制度を廃止し、新制度創設を検討するとの私案を明らかにした。舛添氏は次期首相が確実視される自民党の麻生太郎幹事長の了解は得られていると説明したが、野党からは「実現性のない選挙対策だ」との批判が出ているほか、同制度を推進してきた与党にとっても“寝耳に水”の話で、今後の混乱が予想される。
         舛添氏は、代替案の基本方針として(1)75歳以上など年齢で区分けする制度にしない(2)保険料の年金天引きを強制しない(3)若年層に過度の負担が行かないようにして世代間の反目を助長しない-を提示。具体的には、現行の「独立保険方式」と、高齢になっても従来の国民健康保険や企業の健康保険に加入し続ける「突き抜け方式」、加入者の年齢や所得に応じて各医療保険間で財政調整を行う「リスク構造調整方式」の3方式を部分的に組み合わせる制度を想定しているという。当面は現行の後期高齢者医療制度を継続し、その上で今後1年以上かけて議論し、新制度に移行したい考えだ。ただ制度変更には法改正が必要となる。
         舛添氏によると、舛添氏が19日に麻生氏と会談した際、麻生氏は舛添案を了承。舛添氏は「私の政策を支持する方を総裁選で支持する」と麻生支持を明確にした上で、舛添案について「仮に麻生氏が首相になれば所信表明演説で言うと思う。これは麻生氏の考えだ」と強調した。
         ただ、舛添氏は事前に福田康夫首相や町村信孝官房長官の了承を得ておらず、その真意について「今の政権でやることではない。新政権に現職大臣として一石を投じるべきだと思った」と説明。与党内には、番組で同席した公明党の山口那津男政調会長が「自分は公明党の政調会長なのに事前に話を聞いていない。しっかり与党の皆さんに説明してほしい」と苦言を呈するなど、これまでの与党の主張との整合性について国民から説明を求められることについて不安が広がっている。また、先の通常国会に後期高齢者医療制度の廃止法案を国会に提出(継続審議)している野党側も「選挙対策の単なるパフォーマンス」(民主党の長妻昭政調会長代理)と批判を強めている。
         舛添氏は雑誌「中央公論」9月号で、後期高齢者医療制度に対する高齢者らの反発を「こういう無責任な国民のありようは、『観客型民主主義』とでも言えば分かりやすいだろうか」と厳しく批判していたが、最終的には次期衆院選を前に国民への説得をあきらめた格好。背景には厚労相続投も視野にあるとの見方もあり、舛添氏の発言の“軽さ”が改めて浮き彫りになったといえそうだ。
        (産経新聞)9月20日11時28分配信

        ●フリースクールの「死角」 暴力支配の運営実態明らかに
         京都府京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」を舞台にした入所者虐待事件は、経営者の朴聖烈容疑者(60)らが逮捕されて16日で1週間がたった。暴力で支配した異常な運営実態が次第に明らかになってきたが、こうした施設の「暴走」をなぜ食い止められなかったのか。既成の学校にはない自由さを売り物にしたフリースクールの「死角」を追った。
         ■連帯責任も
         「きちんとしつける」「大学にも行ける」。朴容疑者は保護者を言葉巧みに信用させて入所者を集める一方、勉強時間をほとんど確保せず、プレハブ施設で事実上の軟禁状態に置いていた。腐った弁当を食べさせるなど施設の処遇は劣悪。木刀で殴ったり、木に縛りつけて日常的に暴力を加え、食事やトイレ、入浴なども制限して抑圧していた。
         施設には男子1部屋、女子2部屋があり、朴容疑者は管理を徹底するため、入所者をしかる際には同じ部屋の年長者を同席させて連帯責任を負わせていた。
         被害者の少女(14)が今年8月3日、別の男性入所者とトラブルを起こしたとして朴容疑者から暴行を受けた際も、同じ部屋の年長者が呼びつけられ「ちゃんと見ておけ」ときつく言われたという。
         昨年秋ごろにあった脱走騒ぎでも、逃げようとした少年を別の入所者の子供らに追いかけさせていたとの証言もある。
         ■「問題はない」
         朴容疑者は同じ場所で約20年前から私塾という形で更生施設を運営してきたが、京都府家庭支援課が施設の存在を最初に把握したのは昨年10月下旬、入所者の少年が脱走するトラブルを起こしてからだった。朴容疑者は調査に対し、暴行の事実を隠しており、府は「虐待を感じさせるものはなかった」と判断。入所者の保護は見送られた。
         今年8月中旬になって少女ら3人が逃げ出し、南丹署が保護して初めて、18歳未満の入所者が虐待されていることが判明。児童福祉法と児童虐待防止法に基づき、やっと立ち入り調査に踏み切った。
         同課は「法律に基づかないフリースクールに対して指導や実態把握する権限を持っておらず、対応にも限界がある。今回の施設の対処に落ち度はないが、同じことを繰り返したくないので、実態の把握や指導といった対応ができるか検討したい」としている。
         ■規制すれば無意味に
         NPO法人「日本フリースクール協会」(東京)よると、施設は不登校児の親が集まって運営したり、退職教員が設立したり、学習塾が経営するなど、さまざまな形態があるというが、そもそもフリースクールには定義がなく、全国の施設数も正確にはわからないという。
         同協会は「今回のような事件は大半のスクールで起こりようがなく、驚いている」としたうえで、「もともと管理するのが難しい子供たちのために運営を自由にしており、そうした施設に規制をかけて国や自治体の管理下に置くと、一般の学校と同じようになってしまい、スクールの意義が失われてしまう」と指摘する。
         また、引きこもりの児童を対象にしたNPO法人「京都オレンジの会」(京都市東山区)は「名古屋のNPO法人の更生施設で2年半前に、入所男性逮捕監禁致死事件があったが、今回の構図はそれと同様であり、事件の反省が生かされていないのではないか」と話している。
        (産経新聞)9月17日7時59分配信

        ●年収200万円以下2年連続1000万人超
         国税庁が十九日に公表した二〇〇七年分の民間給与実態統計調査によると、年収二百万円以下の給与所得者の人数が昨年に続き一千万人を超えました。
         同調査によれば、一年を通じて勤務した給与所得者四千五百四十三万人のうち、年収百万円以下の階層が三百六十六万人。同百万円超二百万円以下の階層が六百六十六万人となり、合計で千三十二万人に達しました。
         〇六年分の同調査では二百万円以下の階層は千二十三万人でした。一年間に年収二百万円以下のサラリーマンが約十万人増加しました。
         一方、年収一千万円を超える階層は合計で二百三十三万人となり、〇六年分の調査と比べ八万四千人の増加となりました。所得格差の拡大が浮き彫りになっています。
        (しんぶん赤旗)2008年9月20日(土)

        iMAC G5、二度目の里帰りから帰ってきました。
        2008/09/14
        8月24日に更新して以来、しばらくぶりの更新です。
         事務所のiMAC G5が突然機嫌をそこねて起動しなくなってしまいました。やむなく仕事を終えてすぐ、JHOSHINさんへ運びました。「5年間ロングラン補償」での無料修理は、これで2度目となります。そして、故郷であるApple社さんへ…。
         原因は、意外なものでした。Appleさんでメモリーを抜いて再度差し直したら起動した、とのことです。なんじゃそりゃ(@_@;)。
         ともかくも、パソコン空白の退屈な日々を過ごした後に、ハードディスク上の大切なデータも基本設定もそのままに、内部清掃をされて、キレイな身体でiMACは帰ってきました。よかった、よかった。
         現在の痛切な悩み。それは、iPODの内蔵電池の寿命が近いようなので買い換えたいのだけれど、OSが10.3.9なので、10.4か10.5に上げたい。しかし、日々使っている会計ソフトなど基本ツールが10.3.9までしか対応していない。どうしたものか…。年末までには結論を出さないと…。
         さて、今回は京都府で起こった無法「フリースクール」でのとんでもない実態に怒っているので、その特集のようなものになっています。
         次回は「私の睡眠障害とのたたかい―その4」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        傷害:フリースクール経営者ら逮捕 入所少女に暴力 京都

         フリースクール入所者の少女に暴力をふるってけがをさせたとして、京都府警捜査1課と南丹署は9日、同府京丹波町の「丹波ナチュラルスクール」経営者、江波戸聖烈(えばとせいれつ)(60)と責任者の森下美津枝(55)の両容疑者を傷害容疑で逮捕、施設の家宅捜索を始めた。スクール側が保護者から入所費用として1人当たり数百万円を受け取っていたとの情報がある一方で、入所者の居室に外鍵を三つかけるなど出入りを制限していた疑いがあり、府警は全容解明を進める。
         調べでは、江波戸容疑者らは8月3日、スクール内で、兵庫県内の中学生の少女(14)に殴るけるの暴行を加え、顔などに全治17日間のけがをさせた疑い。少女は同13日、他の女性2人と逃げ出し、南丹署が保護。これを受けて府京都児童相談所が15日、立ち入り調査を実施し、10代の少女3人を保護した。南丹署が入所者らから事情を聴いたところ、いずれも「暴力を振るわれた」「賞味期限切れの食品を食べさせられた」などと話したという。
         スクールは丹波地方の山間部で、西岸寺境内にある。プレハブの事務所2階に男女別の居室があり、ともに外から三つの鍵が掛けられ、室内からは外せないようになっていた。
         ホームページなどによると、スクールは引きこもりの若者らの就業支援などを目的としており、江波戸容疑者が家族らと共に運営。「20年の実績」があるとうたっている。
         府警によると、保護された人を除く現在の入所者は未成年者2人を含む男女12人。保護者は入所時におおむね200万~350万円を支払っていたが、金額はまちまちで多い人は約700万円を支払っていたという。
         ◇やせた子多く心配していた…近所の人
         1人当たり数百万円の入所費用、そして三つの外鍵がついた居室--。京都府京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」の経営者らが逮捕された傷害事件。捜査の端緒は、厳しい生活に耐えかねたことによる入所者の「脱走」だった。府警の調べに、入所者らは「暴力をふるわれた」「賞味期限切れの食品を食べさせられた」と説明したという。就労・就学支援を看板に掲げるスクールで何が起きていたのか。
         8月中旬、同町内の24時間営業のスーパーに、今回の事件の被害者となった兵庫県内の女子中学生(14)ら10代2人を含む女性3人が駆け込んできた。府警南丹署に保護された3人は「暴力から逃れたかった」と訴えたという。捜査を進めると、平手で殴るなどの暴力は日常的で、入所者が部屋に閉じこめられたとの情報もあった。
         9日午前、家宅捜索に来た捜査員がプレハブ2階の入所者の居室に向かうと、男女の部屋の扉それぞれに鍵が3個ずつ取り付けられていた。いずれも外から閉めると、中からは開かないようになっていた。
         関係者によると、保護者が心配して電話をしても、スクール側は「子供のためには電話しないほうがよい」と言って、取り次ぎを断ったり、会話を遮ったりすることもあったという。
         現場のスクールがある西岸寺付近は山間部で民家はまばら。近所に住む女性は「スクールに来た子供たちはいつのまにか丸刈りになっていた。農作業でも監視の人が『メシ食わせへんどー』などと叫んで奴隷のようにこき使っていた。やせた子が多く、ちゃんと食べさせているのか不安に思っていた」と心配そうに話した。
         一方、事件はこうした施設の実態把握の難しさを浮き彫りにした。
         京都府内には現在、不登校の児童・生徒を対象とし、学校教育の成績に反映する「認定フリースクール」が3校ある。だが、大半のフリースクールについては、各施設が独自に運営。府教委学校教育課は「塾と同じように、すべてを把握することはできない。府内の小中学生が通っているという情報がなかったので、調査などは行っていない」という。京丹波町教委学校教育課も「行政との接点が全くない。施設内部を視察したり、調査することはない。閉鎖的な状況の中で、情報が全然漏れてこない」と困惑気味だ。
        (毎日新聞)2008年9月9日

        ●<フリースクール傷害>「ここに捨てられたんや」容疑者の言葉 20年前入所の男性、今も忘れず 
         京都府京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」の入所者虐待事件で、スクール設立間もない約20年前に入所していた男性が毎日新聞の取材に応じた。当時から木刀での殴打や手錠を使った連行はあったが、「報道で知る限り、はるかに暴力がエスカレートしている」と驚きを語った。
         この事件では、京都府警がスクール経営者の江波戸聖烈(えばとせいれつ)(60)、責任者の森下美津枝(55)両容疑者を傷害容疑で逮捕している。
         男性は中学時代、転校などを機に不登校になり、学校の勧めで入所した。当時のスクールは、江波戸容疑者と森下容疑者の夫が共同経営する「青雲塾」という名称。入所料など約150万円を支払った。
         現在のように入所初日に殴られることはなかったが、江波戸容疑者がいきなり放った「言うことをきかないからここに捨てられたんや」という言葉は今も忘れられない。
         入所者は男女合わせて4、5人。勉強はせずに「奉仕」と呼ばれるテレビの部品を作る内職をして過ごした。意味のない生活に疑問を持ち、2、3日後に脱走。タクシーに飛び乗ったが、金が払えず大阪府内の警察署に連れて行かれた。
         迎えに来た母親の後ろには江波戸容疑者がおり、手錠をはめて連れ戻された。「逃げられへんなと思って、反抗するのをやめた。やっぱり恐怖心があった」という。
         江波戸容疑者は木刀をぶら下げ「逃げたらどこにでも拉致しに行く」と脅した。だが、激しく殴られることはなく、言うことを聞いていれば暴力をふるうことはなかった。おとなしくしていた男性は3週間で「更生した」と判断され、帰宅できた。
         男性は江波戸容疑者らについて「私の時も、わずか3週間で150万円を手にしている。大金を受け取り続けているうち、おかしくなっていったのではないか」と話した。
        (毎日新聞)9月13日20時53分配信

        ●京丹波のフリースクール傷害:暴力一切許さない 緊急アピール採択を提案/京都
         ◇府青少年の社会的ひきこもり支援ネット「人権重視するのは当たり前」
         京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」での虐待事件が発覚後、初の「府青少年の社会的ひきこもり支援ネットワーク連絡会議」が11日、南区のホテルであった。出席者から「一切の暴力は許さない」「支援が独善に陥らないよう相互交流を活発化する」などの緊急アピールの採択が提案され、基本的に了承された。
         連絡会議は府内の35の民間支援団体と府などが06年に結成。緊急アピールは「京都オレンジの会」理事の山田孝明さん(55)が提案した。報道で知った問題のスクールの実態を「親の弱みにつけこみ、ビジネスとして強引な施設収容を行っている」とし、同会議が「施設の本質を把握できず看過し、大いなる自責の念を感じる」とした。山田さんは「事件を我々と関係ないものとすることは決してできない」と訴えた。
         他の出席者も衝撃を受けた様子。「京都若者サポートステーション」の熊澤真理さん(27)は「現場では多様な困難はある。それでも人権を重視するのは当たり前。なぜ鍵をたくさんつける必要があったのか」といぶかった。「支える側も人間。迷うこともあるが、今何をすべきか常に意識すれば支援の方向性は見えてくる」とも。
         「ハルハウス」の高谷修さん(60)は「閉鎖的な環境が事件を生んだのでは」と指摘。「近所に見られている意識がないまま間違った方向に行き出すと、どんどんそちらへ行ってしまう」と話した。
         結局、この日の出席が構成団体の約半数にとどまったため、府が他の団体の了承をとり、早急にアピールを発表することを決めた。
           ◇  ◇
         一方、府南丹土木事務所と園部消防署はこの日午前、それぞれ建築基準法と消防法に基づく調査で職員計7人が現地入り。同事務所は虐待現場とされるプレハブ2階建て施設を測量し、消防署は火災時に確保できる水利などを確認した。建物内部は捜査状況を踏まえて調査する方針。
         また、府は12日午前にも児童相談所や警察などの関係機関会議を招集して情報を共有するほか、今後の対応や課題なども協議する予定。
        (毎日新聞)2008年9月12日

        ●<フリースクール>移送中事故でスタッフを提訴…少年の遺族
         傷害容疑で経営者らが逮捕されたフリースクール「丹波ナチュラルスクール」(京都府京丹波町)問題で、スクールの車に乗車中の交通事故で死亡した入所少年(当時15歳)の遺族が、運転していたスクールスタッフの男性に約4700万円の損害賠償を求め、京都地裁に提訴していることが分かった。男性は、抵抗する少年を強引に連れ出したことを認める陳述書を地裁に提出している。
         訴状などによると、事故は05年5月15日午前5時45分ごろ、東京都江東区の首都高速湾岸線で発生。男性スタッフ3人が千葉県内の少年をスクールへ移送中、車が側壁に衝突して運転手を除く3人が死亡した。
         少年は中学時代、家庭内暴力が理由でスクールに入所。2回逃げ出した経験があった。関西の全寮制私立高校に進学したが、1カ月で中退していた。
         陳述書によると、スタッフが同日午前5時ごろ、自宅の寝室に入ると、少年は「お寺に行くんですか。僕は行きません」と強く拒否。両脇を抱えて引っ張ると、かもいをつかんで必死で拒んだ。外へ出てからも激しく抵抗する少年を3人で強引に後部座席へ押し込んだ。両親はスクール側と打ち合わせ、鍵を開けたまま留守にしていたという。
         事故原因として男性は、車内で「行きません」と訴えていた少年が突然ハンドルをつかみ、左へ切ったのが原因と主張。一方、昨年3月に提訴した両親は無謀な運転が原因としている。今月24日に判決がある。
        (毎日新聞)9月12日2時30分配信

        ●京丹波のフリースクール傷害:府、関係機関が情報共有--初会議/京都
         ◇他施設の現状把握へ
         京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」の入所者虐待事件を受け、府は12日、本庁や府教委、地元出先機関など関係機関を集めた会議を初めて開いた。フリースクールに関する法令がなく、直接所管する部課もないため、9日に経営者らが傷害容疑で逮捕されて以降“縦割り”で対応せざるを得なかった問題を重視。関係機関から約20人が出席して情報を共有し、今後の対応などについて意見交換した。
         林多聞・こども政策監が冒頭あいさつし、同スクールでの事件を「これまで真剣に展開された引きこもり支援などの活動に水を差し、人権にもかかわる許し難い事案になっている」と指摘した。
         その後、入所者12人の処遇が報告された。18歳未満の女子2人は、京都児童相談所が一時保護し、住所地の児相に引き継ぎ移送。残る成人10人は、南丹署・婦人相談所・南丹保健所が一時保護の上、11日までに親元へ帰したという。
         今後の対応については、警察の捜査状況を見守る一方、府内にある同様施設の定義付けと現状の把握を急ぐ方針を確認。必要に応じて国への要望も検討するという。
        (毎日新聞)2008年9月13日

        ●<自衛官自殺>いじめ認定、原告側が逆転勝訴 福岡高裁
         海上自衛隊佐世保基地(長崎県佐世保市)の護衛艦「さわぎり」内で自殺した3曹(当時21歳)の両親=宮崎市=が「自殺は隊内のいじめが原因」と、国に2000万円の慰謝料などを求めた訴訟で、福岡高裁は25日、請求を棄却した1審・長崎地裁佐世保支部判決(05年6月)を変更し、国に計350万円の支払いを命じた。原告側の逆転勝訴となった。
         判決で牧弘二裁判長は、直属の上官が3曹を侮辱するような言動を自殺前の約2カ月にわたって繰り返した事実を認定したうえで「上官らの言動は違法で、自殺との因果関係がある」と述べた。父親に150万円、母親に200万円の賠償を認定した。自衛官の自殺を巡る訴訟で国の責任を認めた司法判断は初めて。
         1審判決によると、3曹は99年3月に同艦に配属され、同年11月8日、訓練航海中の艦内で首をつり自殺した。海自佐世保地方総監部は00年5月、「いじめはなかった」とする調査報告書を公表。両親は01年、調査結果を不服として提訴に踏み切った。
         1審判決は、上官らの「仕事ができんくせに3曹とか言うな」などの発言を不適切としながらも「いじめとは評価されず、指導・教育として、社会的に相当な範囲を逸脱するものだったとは言えない」と判断した。また、3曹が自殺当時にうつ病を患っていたと認める一方で「上官らが正常時の3曹の様子と比べても変化を認識することは困難。安全配慮義務違反があったとは言えない」と結論づけた。
         控訴審では、両親側が1審で任意提出を求め、国側が拒否した勤務調査表や指導記録などの一部文書を提出するよう命じた。国側は3曹の自殺について1審同様、「いじめが原因ではなく、自分の技能習得度が伸びず苦悩したため」と主張した。
         自衛官の自殺を巡る同種訴訟は横浜地裁や静岡地裁浜松支部で係争中。
        (毎日新聞)8月25日13時40分配信

        ●<防衛省>海自3曹の自殺訴訟で上告断念…福岡高裁判決
         海上自衛隊佐世保基地(長崎県佐世保市)の護衛艦「さわぎり」内での3曹(当時21歳)の自殺をめぐる訴訟で、上官の言動が原因として国に350万円の賠償を命じた福岡高裁判決(8月25日)について防衛省は8日、上告を断念した。
         会見した増田好平事務次官は「要は直属の上司の言動に行き過ぎたものがあった、という判決で(憲法解釈の誤りなどの)上告理由には当たらない」とコメント。争点となった同艦内でのいじめについては「判決の中で認定はなかった。今後とも身上把握やメンタルヘルスの施策で再発防止に努めたい」と述べた。
         3曹は99年3月に同艦に配属され、同年11月8日、訓練航海中の艦内で首をつり自殺した。
        (毎日新聞)9月8日19時3分配信

        ●担当児童の個人情報を教諭が占い師に漏らす
         秋田県男鹿市の小学校で特別支援学級の担任をしていた男性教諭(40)が昨年、保護者に無断で障害を抱えている男子児童の個人情報を占い師に漏らし相談していたことが25日までに分かった。
         同市教育委員会によると、この教諭は2006年4月から今年3月まで特別支援学級の担任だったが、昨年初めに横浜市内の占い師を訪問。当時高学年だった児童の名前や生年月日、障害名などの個人情報を伝え「治る方法はないのか」などと相談したという。
         占い師を訪ねる直前の冬休み中に、インターネットで「病が治った」との書き込みを見つけ、アドバイスがもらえるかもしれないと思い、ネット上で占いを予約。占い師に会った際に初めて相談内容を明かしたという。治療師を勧める 昨年4月、教諭が児童の母親に「占いで岡山の治療師のところに行くと良くなるかもしれないと言われた」と伝えた。不審に思った母親が同年7月に学校に相談し、問題が発覚。校長と教諭が母親に謝罪した。個人情報は占い師に連絡し、抹消してもらったという。教諭は「児童の障害が少しでも良くなればと思い占い師に相談した。大変軽率なことをした」と反省している。秋田-横浜間の往復旅費や1回1~2万円の占い料は自費で支払ったという。
         普段の勤務態度に問題はなく、問題発覚後も担任を続けていたが、今年4月に県内の他の小学校へ異動になった。児童は同3月に小学校を卒業している。市教委は「占い師に子どもの情報を出し、相談したことは不適切。今後このようなことがないよう指導したい」とコメントした。
         教育界にたずさわってきて30年以上という教育評論家の尾木直樹法大教授は「こんな例は初めて聞いた」と困惑したが「児童のことで占いに頼るとは教師の適格性に欠ける」と指摘した。
         今回の教諭は特別支援学級の担任だったが「日本では教員の負担を減らすために、児童1人あたりの教員数は普通学級より多く、学校をあげた支援態勢を取っている」と解説。「占いや宗教に傾倒するのは各教師の個性ともいえるが、それらを教育現場に持ち込ませないためには、学校や教委の注意が必要になる」と語った。
        (スポーツ報知)8月26日8時1分配信

        ●<賃金割増率>50%に 月60時間超の時間外労働
         自民、公明両党は28日、現行は一律25%の時間外労働の賃金割増率について、月に60時間を超える部分は50%とすることなどで大筋合意した。長時間労働を強いる企業に負担増を求め、労働時間短縮を図るのが狙いで、日本経団連も容認する構え。与党は野党とも協議したうえで、国会で継続審議となっている労働基準法改正案を超党派の議員立法で修正、9月12日召集予定の臨時国会で成立させる方針だ。
         労基法改正をめぐる調整では、賃金の割増率50%の基準が焦点になってきた。政府は07年の通常国会に「月に80時間を超えた部分」などとする改正案を提出。だが、月80時間超という基準が「月80時間を超える残業が3カ月続く」と定めた過労死の認定基準と同じであるため与野党から批判が続出。与党は今年6月、政府案の修正では合意していた。
         しかし、具体的な基準については「月60時間超」を主張する公明党に対し、経団連が反発したほか、連合はより厳しい規制を求めた。このため、自民党の川崎二郎元厚生労働相らが労使双方と水面下の調整を進め、月60時間超で合意する見通しがついた。施行は来年10月となる方向だ。
         ただ、景気動向に影響を与えることを考慮し、中小企業には猶予期間を置く。経団連に配慮する形で、修正を与党で正式に合意する際、管理職手前の労働者を対象に残業という概念をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を検討課題と位置づけることも検討している。
         民主党は当初、50%の割り増し基準について「時間外労働のすべてを対象」と主張し、与党と対立していたが、連合も与党案を容認する姿勢であることから賛同するとみられる。【堀井恵里子】
         ◇ことば 時間外労働の賃金割り増し
         現行の労働基準法は通常の1時間当たり賃金に25%割り増しした賃金を支払うよう定めている。政府が提出した改正案は(1)月に45時間以下の部分は現行法と同じ25%(2)月に45時間を超え、80時間以下の部分は25%に労使で合意した割増率を加える(3)月に80時間を超える部分は50%割り増し--などの内容で、自民、公明両党は政府案の80時間を60時間に修正することで大筋合意。
        (毎日新聞)8月29日2時31分配信

        ●<母子放火殺人>草薙氏がNHKを提訴「信用傷付けられた」
         奈良県田原本町で06年に起きた母子3人放火殺人事件を取り上げた「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)の著者、草薙(くさなぎ)厚子さんが28日、「虚偽報道で信用を傷付けられた」として、NHKに1000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
         訴えによると、NHKは07年9月、「(草薙さんが)奈良地検の事情聴取で医師に供述調書の写しを見せてもらったと話している」と報道した。草薙さんは「取材源を明らかにしたことなどは虚偽報道。奈良地検が取材源の暴露はなかったと発表した後も、NHKから訂正も謝罪もない」と主張している。
         この事件では、放火した少年(18)の供述調書を草薙さんに見せたとして、精神鑑定医の崎浜盛三医師(50)が秘密漏示罪で起訴され奈良地裁で公判中。
         NHKは「十分な取材に基づき報道したもので、内容に間違いがあったとは考えていない」とコメントしている。
        (毎日新聞)08月28日19:01

        ●自殺予防シンポ:「一般診療の役割重要」 鹿児島市で250人参加/鹿児島
         自殺予防週間(10~16日)を前に鹿児島市中央町の県医師会館で7日、自殺予防シンポジウムIN鹿児島(県、厚労省など主催)があり、約250人が参加した。同週間中、全国6カ所で行われるシンポの一つ。
         パネルディスカッションには、医師や、多重債務に取り組む弁護士、自殺者の遺族会の代表らが参加。鮫島秀弥・県医師会理事は、自殺者の約8割がうつ病などの精神疾患を患っているものの、精神科を受診した人は1割にとどまり、通常は内科などにかかっていると指摘。「自殺予防には一般診療科の役割が重要」と主張した。また、井上久美子・リメンバー福岡自死遺族の集い代表は、「立ち直るにはつらい話を繰り返し聞いてもらうことが必要だが、なかなか良い医師に巡り合えず、病院は薬をもらうところと割り切っている人が多い」と遺族の受け皿がない現状を紹介。「カウンセリングは保険非適用で、1時間1万円かかる場合もある。“敷居”を下げるためにも適用が必要だ」と訴えた。
         九州・沖縄・山口の県精神保健福祉センターでは8~12日、時間を延長して午前9時~午後9時まで、一斉電話相談を受け付ける。(0570・054054)。
        (毎日新聞)9月8日17時1分配信

        ●京都市教委:ネットいじめ監視、PCで随時調査 予防システム構築へ/京都
         京都市教委は9日、児童生徒同士の「ネットいじめ」を防ぐ「子どものネット遊び場の危険回避予防システム」の構築に、群馬県、鳥取県教委、広島市教委とともに参画すると発表した。10月から3~4年の予定。京都市教委にはメールで通報や相談を受け付ける専用窓口があるが、「積極的に監視する必要がある」としている。
         ネットいじめ防止のアドバイスなどをしている下田博次・群馬大特任教授が提案し開発する。市教委では同システムにつながったパソコン3台を設置予定。市教委主催の上田教授の市民講座「携帯電話インストラクター」の受講者や職員らが、ネットを利用する子供たちの状況を随時調査し監視する。脅迫や恐喝など違法や深刻なものが発見されれば保護者や学校、教育委員会、警察など関係機関へ情報提供する。市教委は「今後全国の自治体や教委に呼びかけていきたい」と話す。
        (毎日新聞)9月10日17時1分配信

        ●<統合失調症>脳に未成熟な領域 マウスで確認 治療法期待
         統合失調症に似た異常行動を示すマウスの脳の中に未成熟な領域があることを、宮川剛・藤田保健衛生大教授(神経科学)らが発見した。死亡したヒトの脳の研究でも同様の傾向がみられ、統合失調症の客観的な診断や治療法開発につながると期待される。11日、英国のオンライン科学誌「モレキュラー・ブレイン」に発表する。
         宮川教授らはさまざまな遺伝子を欠損させたマウスの行動を網羅的に調べ、CaMK2αと呼ばれる酵素を欠いたマウスが「気分の波」など統合失調症に似た異常行動を起こすことを見つけた。
         この酵素を欠くマウスは、記憶をつかさどる海馬の「歯状回」という領域の神経細胞が未成熟で、ほとんど機能していない。死亡したヒトの脳を調べた米国のデータベースによれば、統合失調症の患者は、歯状回の成熟した神経細胞を示す分子が少ない傾向にある。
         宮川教授は「ヒトの統合失調症の一部は海馬の歯状回の未成熟が原因の可能性がある。成熟を促すことができれば治療法として有望だ」と話す。
        (毎日新聞)9月11日2時6分配信
        私の睡眠障害とのたたかい-その3
        2008/08/24
        お盆休み(と言っても、1泊2日で実家に帰った2日間だけ事務所に出なかっただけですが…)を理由に、1回更新をサボらせていただきました。更新をしなかったのに、アクセス数は通常より多かったのは、いかなる理由からかわかりません。ともかくも、ご覧頂きありがとうございます。
         さて、前回の続きです。
         長男の通っていた中学校が、荒れや、それに起因する不登校など子どもたちを精神的に追い込んでしまっていたこと、その対策に全くの無策であったこと、いやむしろ不適切な対応をしていたことを社会的に明らかにしたい。そして、その中で、長男が苦しみ、結果自死を選択していった事実。実子の自死に直面し、喪失感と自責感にさいなまれつつも、何をすべきか迷いつつ行動を始めたこと。京都弁護士会に長男の学校による人権侵害に対して、「人権救済の申し立て」を行い、1年半の調査の後に弁護士会によって「要望」が教育委員長、学校長に対して執行されたこと。これら一連の経過を『不登校自殺 そのとき親は、学校は-。』という著作に綴る作業を、仕事と併行して行いました。
         小さな会社ですが、取締役兼部長という立場で、自身もデザインの業務をしながら管理業務も行う、それだけでも疲れるはずなのに、今から思えば、ものすごいエネルギーを必要としていたと思います。
         本が出版され、講演依頼も数件こなし、大きな波がすーっと引いていった感じの2003年10月のある日、筏釣りをしている時にふっと「退職」を決意しました。
         子どもたち(思春期、青年期)の心理について、教育のあり方などについて本格的な勉強をしたい、というのがその理由でした。
         仕事上の立場もあり、半年計画で退職への準備をすすめ、翌年3月末日に退職。その翌日から放送大学の授業(スカパーでの放送授業視聴)が始まりました。それから2年間、「発達と教育」というコースで、「心理」「発達」「教育」「福祉」と名のつくものを中心に96単位を取得し、卒業となりました(させられました)。
         わずかばかりの退職金と貯蓄を取り崩しながら、2年間ひきこもったわけです。
         その間に、その後の相談活動を行うに向けて車の運転免許が必用と思い、42歳で免許を取得しました。
         こうした中でも、喪失感、自責感、焦りなどによる過覚醒から、中途覚醒、早朝覚醒といった睡眠障害や抑うつ感が強まっていき、精神科でのカウンセリングと薬物治療を続けることになります。
         次回は「私の睡眠障害とのたたかい―その4」についてです。
         では、この2週間の気になる記事です。

        止まらぬ飛び込み自殺 JR西 防止決めてなく苦慮

         JR西日本管内での飛び込み自殺が平成19年度、前年度に比べて8件増え85件にのぼっていたことが23日、分かった。今年度もほぼ同じペースで推移しており、減少の兆しは見られないという。利用者に大きな影響を与える鉄道自殺だが、同社では「防止の決め手はない」と苦慮している。
         JR西によると、昨年度の同社管内の人身事故件数は214件で、うち85件が飛び込み自殺だった。
         全国では19年度、前年度比約3%増の約3万3000人が自殺。鉄道への飛び込みは、首つり▽高所からの飛び降り▽入水-などに次いで6位で全体の約3%ほどだが、周囲への影響は大きい。
         例えば、7月2日に大阪府茨木市のJR東海道線茨木駅で発生した、特急電車への男性(45)の飛び込みでは、約1時間半にわたって列車が運休し、約8万7000人に影響した。
         同社によると、事件性の有無を調べる警察の現場検証の後、遺体の搬出を経て運転再開までの平均所要時間は1時間程度。2時間以上かかるケースもある。
         鉄道各社の経済的損失は、車両の破損のほか、代行バスなど振り替え輸送費用などで数百万円に上る。新幹線の場合は、特急料金の払い戻しの人件費などで億単位の損害が出るという。
         さらに、残された家族は鉄道各社から損害賠償を請求され、鉄道関係者によると、「法的手続きに至るケースもある」という。
         自殺防止の相談を受けるNPO団体「大阪自殺防止センター」(大阪市)の澤井登志所長は「鉄道自殺は社会への攻撃性が強く、巻き添えなどで他人に迷惑をかけることも気にしない人が多い」と指摘する。
         JR西では人身事故を防ぐため、駅ホームにガードマンを巡回させたり、精神を落ち着かせる効用がある青色発光ダイオードの照明灯を導入するなどの防止策を取っている。
         しかし、同社の調査によると、今年度も管内の自殺は6月末現在で計21人を数え、発生のペースに変化はない。
         同社広報部は「自殺を踏みとどまらせる妙手はなく、事後の処理を速くして利用者への影響を最小限にするのが精いっぱい」と話している。
        (産経新聞)8月23日16時14分配信

        ●仕事中はうつ 会社の外では元気 「新型うつ病」大流行の裏側
         「新型うつ病」なるものが蔓延しているのだという。クリニックの予約を取ろうとしても患者が多すぎ、新患は3ヶ月も待たされる場合もあるそうだ。仕事中にだけうつになり、会社の外では元気、というのが特徴で、若い世代に目立つというこの「新型うつ病」、なぜ増えているのだろうか。
         ■自分を責めるのではなく、身近な人間を攻撃
         精神科医の香山リカさんは、著書「うつ病が日本を滅ぼす!?」(2008年5月20日刊)にこんなことを書いている。
         「本当にこれが『うつ病?』と自分で書いたはずの診断書を改めて見返してしまう」
         これまでの「うつ病」といえば、几帳面でまじめな人がかかりやすく、落ち込み、自分を責め、自殺に至るケースが多いというイメージだった。しかし、07年から急激に増えだしたとされる「新型うつ病」は、仕事中だけうつで、帰宅後や休日は普段通り活発に活動する。自分を責めるのではなく、身近な人間や社会に対して攻撃的な態度になり、休職したとしても会社や同僚にかける迷惑などあまり感じない、というのが典型らしい。
         朝日新聞の08年5月17日付けには、精神科クリニックが患者でパンク状態になっているのは「新型うつ病」患者が急増したからではないか、と書かれている。「新型」は20~30代に目立ち、都内のあるクリニックでは患者の4割前後を占めるのだという。
         厚生労働省の調べによると、うつ病、躁うつ病の患者総数は99年の44万1千人に対し05年は2倍の92万4千人に増加。製薬会社ファイザーが12歳以上の一般生活者4,000人を対象に、07年2月7日から07年2月16日にかけて行ったインターネット調査では、「一般生活者の12%、約8人に1人がうつ病・うつ状態の可能性」があるという結果が出ている。
         ■昔から別の病名として扱われていた?
         こうした状況を、一体どう考えたら良いのか。「うつ病の真実」「専門医が教えるうつ病」などの著書がある防衛医科大学校病院副院長で、「日本うつ病学会」理事長の野村総一郎さんに聞いた。それによると、うつ病は症状や病気になる過程によって「メランコリー型うつ病」「双極性障害」「気分変調症」「非定型うつ病」の大きく4つに分類され、「新型」と呼ばれているのが「気分変調症」「非定型うつ病」に当たるのだという。そして、実はこうなんだそうだ。
         「新型と呼ばれているようですが、それは、うつ病という診断はしてこなかっただけで、昔から別の病名として扱われていたんです。患者数は増えてはいますが、実態としてはここ数年で急に増えた、ということでもないんです」
         うつ病と診断する基準は各国まちまちで、現在は米国精神医学会の診断マニュアル「DSM」を参考にするのが世界の趨勢なのだという。各国の医療関係者がこれを参考にし始めたのは、80年に画期的な変貌を遂げた第三版から。94年改定の第四版もほぼ同じ内容になっている。日本では「DSM」を参考にする医師は少なく、「新型」と呼ばれる症状については、パーソナリティー障害、抑うつ神経症などと診断していたのだそうだ。
         それが数年前からようやく日本でも「DSM」を参考にする医師が増え、患者に伝わることによって、いきなり「新型」が大流行しているかのような錯覚をする人が増えたのではないか、と、野村さんは見ている。さらに、「DSM」は2011年に改定され第五版が出るが、「新型」と呼ばれているものが、うつ病として分類されるかのかもわからないのだという。
        (J-CASTニュース)8月10日12時15分配信

        ●<神村学園>元野球部員が損賠提訴 練習で熱中症 鹿児島
         05年センバツで準優勝した神村学園高等部(鹿児島県いちき串木野市)の元野球部員、厚ケ瀬翔斗(しょうと)さん(21)=同県鹿屋市=が7日、同校を経営する学校法人・神村学園を相手取り約1億740万円の損害賠償を求める訴えを鹿児島地裁に起こした。厚ケ瀬さんは練習中に熱中症で倒れ、低酸素脳症などの後遺症を患っており、学園側の安全配慮義務違反を主張している。
         訴状などによると、03年8月22日、地区大会で負けた罰として、当時の長沢宏行監督(3月に依願退職)が部員にグラウンド100周(1周約200メートル)を命じた。当時高1だった厚ケ瀬さんは86周を超えたあたりでふらつき始め、しばらくして意識を失って倒れた。約5カ月間入院し、出席日数不足による留年を経て卒業したが、脳障害で足を引きずり、突然後ろにひっくり返る発作が起きるなどの後遺症が残った。
         同学園は「担当者が不在でコメントできない」としている。
        (毎日新聞)8月8日2時30分配信

        ●’08夏の伝言:「戦争は障害者つくる」 和歌山の大会で藤野さん講演/和歌山
         ◇大阪市立盲学校元教諭、平和の尊さ熱弁
         終戦の翌年、拾った不発弾が爆発し、視力と両手首を失った大阪市立盲学校元教諭、藤野高明さん(69)が、和歌山市で9、10両日開かれた全国障害者問題研究会の全国大会で講演し、自身の体験を語った。「空から爆弾が落ちなくなっても、不幸な事故は各地で起きた」と振り返り、「戦争は新たな障害者をつくってしまう」と訴えた。【安藤龍朗】
         福岡市生まれ。小学2年生の1946年7月、近所の川岸から自宅に持ち帰った金属管の中身をきれいにしようと、くぎを差し込むと爆発。そばにいた弟は亡くなった。生き残った藤野さんは「手のない子どもに点字は読めない」と地元の盲学校入学を断られ、「障害が両目だけ、両手首だけなら」と悩んだ。両目の手術を受けるため入院したとき、唇でも点字を読めることを知り「世界に光が差したように感じた」。20歳で大阪市立盲学校に編入。大学も卒業し、30年間教師を勤めた。
         戦争の負の遺産が障害をもたらした一方、藤野さんは「障害者の福祉や人権が確立していった時代を生きられ、恵まれていた」と平和の尊さを語った。
        (毎日新聞)8月11日13時1分配信

        ●目からの刺激で脳が発達理研がマウス実験で解明
         胎児期に脳を形作る遺伝子が、幼児期には視覚刺激によって脳を発達させる働きがあることを、理化学研究所(埼玉県和光市)のヘンシュ貴雄チームリーダー(神経生理学)らがマウスの実験で突き止め、7日付米科学誌「セル」に発表した。
         視覚が発達する仕組みの解明や、発達が阻害されて生じる弱視などの治療に向けた手掛かりになるとしている。
         研究チームは、脳の神経回路が活発に作り替えられる「臨界期」になると、この遺伝子が作るタンパク質が脳の視覚にかかわる「視覚野」に現れることに着目。実験でマウスを暗いところで飼育すると、脳にこのタンパク質が検出されず、臨界期にもならないが、このマウスの視覚野にタンパク質を注入すると神経回路の作り替えが進むことを突き止めた。
        (共同通信)2008/08/0801:10

        ●「アジアの死刑制度はいずれ全廃されるであろう」 専門家
         【キャンベラ13日AAP】ハワイ大学のデービッド・ジョンソン社会学教授は、アジア諸国では近年、死刑制度が廃止の方向に向かっているとし、いずれは全廃されるであろうと述べた。
         中国では昨年、5000人以上の国民が死刑となり、アジア諸国において最多の死刑施行数となったが、それでも1990年代後半と比べると大幅に減少したという。シンガポールは1990年代後半、人口1人当たりに対する死刑施行数の割合が1番高かったが、1994年の76件以降その数は減少し、昨年はわずか2件であった。
         韓国や台湾は死刑制度を廃止。インドやマレーシアでも死刑施行数は確実に減少している。一方、日本はアジアの国々の中で唯一、死刑を推進する方針を明らかにしている。
         ジョンソン教授は、死刑は人権問題につながるという考えがアジア各国でみられるようになったとしたうえで、「死刑を犯罪ではなく人権問題とした場合、その背後には不安や懸念、抵抗感がある。結局、死刑とは国家による殺人なのだ」と話した。
        (AAP)2008年08月13日17時14分

        ●「リストカット」に「自傷行為」 なぜ次々芸能人が告白するのか
         リストカットなど自傷行為を告白する芸能人がここのところ急増している。女優の奥菜恵さん、元「モー娘。」の加護亜依さんなどが記憶に新しいが、グラビアアイドルの有沢ゆいさん(19)も、「私は自分を(刃物で)傷付ける行為をしていた」と2008年8月21日付けのブログで告白した。間もなく発売のDVDにもその傷が映っているのだという。なぜ芸能人としてハンデになると思われるこのような告白が相次ぐのだろうか。
         ■「誰もそんなこと気にしないよ」
         有沢さんは08年8月21日、「重要な報告です」という題でブログを書いた。環境の変化にうまく対応できず、ストレスを抱え込んで悩み、
         「過去に自らを傷付けてしまう行為をしていました」
         と告白したのだ。今も赤く目立つ傷が体のところどころに残っていて、08年8月末に発売する初のDVDにも傷が映っているのだという。有沢さんはこの報告が遅れてしまったことを詫び、
         「こんな私でもグラビアの仕事を続けていられるのは、ブログで応援して下さっている皆さんのお蔭です」
        と神妙な文章で結んでいる。ブログのコメント欄には80もの投稿があって、
         「勇気出して報告ありがとう。ここのみんなはゆいちゃんを応援してます」
         「誰もそんなこと気にしないよ(^ー^)」
        などと励ましのコメントが並んでいる。
         アイドルが自傷行為をしていたといった告白は、イメージダウンになるというのが従来の考え方だ。しかし、今年に入りこうした告白が増えている。奥菜恵さんは08年4月発行の著書「紅い棘」で、高校時代に孤独感からリストカットをしていたと書いた。加護亜依さんは喫煙問題で所属事務所を解雇された後、自分の将来に悩み、家にあったハサミでリストカットしたと08年4月のテレビインタビューで語った。
         08年7月には女性芸能人が「ai-ka」というペンネームでケータイ小説「アイドル。」を出版。真実が書かれている、という触れ込みのこの本には、主人公がリストカットをするシーンが度々出てくる。また、お笑い芸人の鳥居みゆきさんが、リストカットしていたことが08年6月にネットで話題になった。これはまだ売れる前の鳥居さんが、雑誌「裏BUBKA」の03年5月号のインタビューで話したものだった。
         ■「話題の提供というところですかね」
         なぜ芸能人はリストカットなど自傷行為を告白するようになったのだろうか。有沢さんが所属する芸能プロダクションのエートップはJ-CASTニュースの取材に対し、今回の告白は有沢さんとプロダクションの話し合いのもと決めたと話した。有沢さんの足には小さいけれども多数の切り傷があり、化粧などで隠そうとしてもDVDのシャワーのシーンなどで化粧が流れてしまう。サイン会などでスカート姿だとファンに傷がわかってしまうため、思い切って公表することに決めたのだという。同プロダクションは、
         「ありのままを見せなければいけない、というか、ブログはあんな感じですが、それほど深刻にどうのこうのというわけではないんですよ。今月末にDVD発売のイベントがありますから、話題の提供というところですかね」
        と話した。
         漫画「リストカット症候群から卒業したい人たちへ」を監修した、阪南病院の西側充宏精神科医はリストカットに至る原因をこう説明する。
         ――リストカットをする若者が年々増えているが、死のうとして切っているのではなく、切った痛みで生きている実感を求めたり、周りの人に心配してもらいたいという欲求から、つい切るのが癖になってしまう場合が多い。
         西側医師は「リスカ」という文字が、ネットなどで軽々しく語られる現在の風潮を「時代が変わったのかな」と感じているのだという。
         「親からもらった体を大事に、と昔は言いましたよね。それを『リスカ』ですからね。リストカットしてしまう原因は本当に様々で難しい。そんな中で、有名人がリストカットのカミングアウトすることは、影響力があるだけに、どうかと思います」
        (J-CASTニュース)8月22日19時45分配信

        私の睡眠障害とのたたかい-その2
        2008/08/10
        思いがけない長男の自死。突然の出来事に戸惑い、我を忘れる間もなく、病院と、学校と、葬儀社と、お寺さんと、地域と、親族との打ち合わせに追われました。自死遺族に、フロイトたちの言う「喪の仕事」を型どおりに取り組んでいくことは不可能です。
         長男の自死の一方を受けたのは、東京のビジネスホテルででした。身支度をし東京駅へ、「のぞみ」に乗り、悲しみが現実のものとしてこみあげてきました。指定席に座っていることができず、ロビーで小窓から外を見るとはなしに眺めながら、涙を流し続けました。なぜ「死」を選ばざるを得なかったのか、なぜ何も気づいてやれなかったのか、そもそも何が長男をそこまで追い込んだのか…。2時間あまりの時間をかけて、考え続けました。
         何も気づいてやれなかったこと、それは一生かけて悔やみ続けなければならないことです。しかし、当時の学校の荒れを知っていた私は、何が長男をそこまで追い込んだのかを明らかにしたい、第二・第三の長男をつくらないためにやれることをしたいと、喪に服する間もなく闘い始める決意をしたのでした。
         お通夜・告別式に集まって頂く方々に、自死であること、自死にいたる経過、長男の自死と向き合っていく残された家族の思いを伝えたいと、その日の内に徹夜で文書をしたためました。(拙著『不登校自殺』に原文を掲載しています)思えば、この作業が、私の第二の人生のスタートだったのでしょう。
         増え続ける不登校、具体的対応策を一切もたない学校、悩み傷ついていく子どもたち…。私がやらねばならないこと、私だからやらねばならないことが次々と浮かんできました。過度の緊張感、過覚醒の始まりです。
         そして、まずとりかかったのが、当時の中学校の実態を明らかにすることと、今後どう改善されるべきかを法律の専門家の力を借りながら社会的に明らかにしようとするものでした。
         この頃から、精神科のお世話になったと思います。
         次回は「私の睡眠障害とのたたかい―その3」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        不登校、13万人=2年連続増、中学は34人に1人ー文科省

         2007年度に学校を30日以上欠席した「不登校」の小中学生は前年度比1.9%増の12万9254人に上ることが7日、文部科学省の学校基本調査(速報)で分かった。小、中とも2年連続の増加。中学生では全生徒に占める割合が34人に1人に当たる2.9%で、過去最高となった。
         不登校の人数は、病気や経済的理由による欠席を除いた数字。小学生が0.4%増の2万3926人、中学生が2.2%増の10万5328人だった。学年が高くなるにつれて増え、中3だけで4万2494人に上った。
        (時事通信)8月7日17時16分配信

        ●「いじめ」きっかけに3倍増 京都の不登校
         京都府と府教委は7日、2008年度の学校基本調査(速報)を発表した。07年度に30日以上欠席した不登校生徒は中学校で減少したが、不登校のきっかけにいじめを挙げた回答は昨年の3倍に増えた。また、高校の生徒数は19年連続で減少し、過去最高だった1989年度に比べ43%減少した。
         不登校を理由に挙げる長期欠席の児童・生徒は、小学校543人、中学校1997人で、中学校は前年度比28人減少した。中学校で不登校のきっかけを複数回答可で調査したところ、不安や無気力など「その他本人に関わる問題」58・2%、「いじめをのぞく友人関係」19・6%、「学業の不振」8・5%の順に多く、「いじめ」は3・0%だった。
         ただ、「いじめ」を挙げた人数は57人で、前年度の18人を上回った。府教委学校教育課は「06年度に国のいじめの定義が変わった結果、不登校状態が続く生徒のなかにも、きっかけがいじめに分類されるケースが増えた」とみている。
         府内の児童・生徒数は、小学校が約14万2000人で2年ぶりに増加した一方、中学校は約7万900人で2年ぶりに減少。高校は約7万800人で、前年度比約600人減少し、過去最低を更新した。
         中学校卒業者の高校進学率は98・3%、高校卒業者の大学・短大進学率は64・5%。大学・短大進学率は過去最高を更新し、9年連続で全国1位となった。
        (京都新聞)8月7日23時19分配信

        ●司法福祉学会:学校の事故事件、遺族が体質批判--九大/福岡
         日本司法福祉学会が3日、九州大学であり、一つの分科会で「全国学校事故事件を語る会」が企画した集いがあった。いじめや教師の指導など学校が関係する事案で子供を失った親が発言し、真相究明に消極的な教育現場の体質に対する批判などが相次いだ。
         佐賀工高3年の野中優司さん(当時17歳)はラグビーの練習中に熱中症で死亡。母恵美子さん(49)は「真相究明のために学校は何もしてくれなかった」と当時訴訟に踏み切った思いを語った。
         山口県下関市の安部直美さん(当時15歳、中3)はいじめを訴えるメモを残し自殺した。父慶光さん(52)は「市教委が設置した第三者委員会も真相に迫っていない。ちゃんとした調査機関でないと遺族の救済にならない」と訴えた。
         生徒指導が原因で自殺した長崎市の安達雄大君(当時14歳、中2)の母和美さん(46)は「学校の不誠実な対応はどこも一緒だと感じる。一人で悩んでいる遺族がいたら『語る会』に声をかけてほしい。子供の命を無駄にしない活動につなげたい」と呼び掛けた。
        (毎日新聞)〔福岡都市圏版〕2008年8月4日 地方版

        ●<稚内商工高>高2が自殺…中傷書き込みで事情聴かれた後に
         北海道稚内市の道立稚内商工高(337人)2年の男子生徒(16)が、携帯電話サイトの掲示板に他の生徒を誹謗(ひぼう)中傷する書き込みをしたとして同校の教諭から事情を聴かれた後に自宅で自殺を図り、2週間後の今月4日に死亡していたことが分かった。川崎博正校長は「職員の対応に問題はない」と話している。
         同校などによると、生徒指導担当の男性教諭ら計6人が7月20日、サイトを利用している生徒からの情報を受け、2時間50分にわたって男子生徒から事情を聴いた。生徒は「軽はずみで書き込んでしまった」と事実を認めたが、いじめをしていた疑いについても話が及んだため聴取が長引いたという。
         生徒は停学処分を通告され、午後5時ごろ、学校に呼ばれた母親とともに帰宅。その後、自宅で自殺を図っているのを父親が発見し、市内の病院に入院していた。自室の机上には、家族あてのメッセージを記したノート3ページ分の書き置きがあった。「教諭から『バカ』『死ね』などとと言われた」という内容が記されていたとされるが、川崎校長は「そんなことは言うはずがない」と否定した。
        (毎日新聞)8月7日12時13分配信

        ●携帯掲示板で友人中傷 教諭が注意、高2自殺 稚内
         【稚内】道立稚内商工高(川崎博正校長、三百三十七人)の二年生の男子生徒(16)が七月下旬、携帯電話サイトの掲示板に同校生徒の誹謗(ひぼう)中傷を書き込んだことから、学校側に事情を聴かれ、その日の夜に自宅で自殺を図り、今月四日に死亡していたことが六日、分かった。
         生徒は自殺直前に書き残した文章に、教諭から「死ね」などと言われたと書いている。学校側は「そうしたことは言っていない」と話している。
         同校などによると、掲示板の内容が学校内で話題になっていたことから、七月二十日午後二時すぎから断続的に約三時間、男子生徒に計六人の教諭が事情を聴いた。男子生徒は「軽い気持ちで安易に書き込んでしまった」と認め、反省していたという。
         男子生徒は午後五時ごろ、迎えに来た母親と帰宅。同日夜に自宅で自殺を図った。
         書き残していた文章はノート三ページにわたってつづられ、自分の部屋の机の上に置いてあった。
         文章には「自分は殺す。死ね。と軽々しく書いたので(中略)ケジメをつけるために死のうと思う」などという心情のほか、事情を聴かれた際の状況として「お前の罪は重いと。死ねと。他の先生からは、お前はバカか?と言われました」などと記していた。
         川崎校長は「書いてあるような言葉を言ったことは一切ない。事情を聴く中で大きな声を出したことは二、三回あるかもしれないが、事情聴取が本人を追い詰めたとは考えられない」と否定。事情聴取が三時間に及んだことについて「いじめの有無なども調べたので時間がかかった」としている。
         男子生徒の父親は「息子は『死ねと言われた』と書き残したが、これらが自殺の引き金になったのではないか」と話している。
        (北海道新聞)08/0707:03

        ●学校外施設通いを「出席扱い」へ 高校生不登校問題で文科省が方針
         不登校となっている高校生を支援するため、文部科学省は7日までに、フリースクールを中心とした学校外施設などに通っている生徒を、校長や教育委員会の判断で「出席扱い」とすることを認める方針を固めた。今後、適用条件を検討し実施時期を決める。
         出席扱いの適用はこれまで小中学生だけだったが、文科省は高校進学率がほぼ100%となり“事実上の義務教育化”している実態を考慮。「(高校は)自らの意思で入学し、退学の自由もあり、不登校という状態は理論上ありえない」(同省幹部)としてきた方針を転換させた形だ。
         文科省は、不登校の小中学生が7万人を超えた1992年から出席扱いの措置を導入。学外施設で相談や指導を受けていても(1)保護者と学校の連携が十分に取れている(2)訪問で対面指導ができる-などの一定の条件下で出席として認めてきた。2006年度は約1万7000人の小中学生が出席扱いとなった。
         一方で不登校の高校生は06年度で5万人を超えており、同様に支援する必要があると判断。
        (北海道新聞)08/0710:25

        ●国民年金納付率63.9%に 07年度、2年連続低下
         2007年度の国民年金保険料の納付率が63.9%と、06年度を2.4ポイント下回ったことが6日分かった。低下は2年連続で、政府が目標とする80%との乖離(かいり)が続く。社会保険庁は未納者への強制徴収などに取り組んだものの、年金記録漏れ問題への対応などに追われ、納付率の改善にはつながらなかった。
         国民年金は20歳以上60歳未満の自営業者やパート労働者などが加入し、保険料を猶予・免除されない限り保険料の納付義務が発生する。対象はおよそ2100万人。納付率は1990年代に80%以上あったが、年金不信の高まりを背景に低落傾向が続いている。
        (日経ネット)2008年8月7日

        ●児童虐待が過去最多の162件、加害者に実母も目立つ
         今年上半期(1~6月)に全国の警察が摘発した児童虐待事件が過去最多の162件に上ったことが、警察庁のまとめでわかった。
         死亡した児童は昨年同期より11人増の29人に上り、2001年に次いで過去2番目に多かった。
         虐待被害にあった児童数も昨年より9人増の166人で、過去最多。1歳未満が30人で最も多かった。
         虐待の内容別では、殴るなどの身体的虐待が116件、性的虐待が34件、食事を与えないなどの育児拒否が12件。
         今年3月には、埼玉県三郷市で実母が2歳の二男を餓死させるなど、実母による虐待も目立った。
        (読売新聞)8月8日5時5分配信

        私の睡眠障害とのたたかい-その1
        2008/08/03
         持って生まれて「過覚醒」の傾向はあったと思います。夜中に目覚めてしばらく眠れない、ということもたまにありました。仕事上の課題によるストレスが原因だったと思います。
         そうした状態が大きく悪化したのは、長男の死後しばらくしてからでした。早朝覚醒、中途覚醒が続き、昼間に急激な眠気に襲われる。過覚醒状態もひどくなり、じっとしていられない。休みの日でも、家にいることがなくなりました。
         精神科を受診し、薬物治療とカウンセリングを受け始めました。8年あまりのお付き合いになっています(カウンセリングは2年ほど前に終結しています)。
         早朝覚醒は、午前4時半、5時頃に目覚め、白々と夜が明けてくるのを感じながら眠くて眠ろうとしても寝られず、時々うつらうつらしながら起床時間を迎え、無理矢理身体を起こしていました。
         中途覚醒は、午前1時、3時というように2時間おき位に目覚め、しばらくすると眠れるもののまた目覚めてしまい、朝起きた時に「寝た気がしない」という状態が続きました。いずれも、自ずと昼間に眠気との闘い、となりました。
         過覚醒は、多動傾向もあるのだと思いますが、とにかくじっとしていられない。いつも何か有意味なことをしていないといけないという強迫的な観念を持っていて、常にスイッチがONの状態でないと気が済まないというものです。お陰で、専門書であふれています。
         次回は、そうした睡眠障害と過覚醒に至った私の心理的要因について書いてみます。
         次回は「私の睡眠障害とのたたかい―その2」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        職場でのいじめ-74%の企業が「ある」

         学校裏サイトなどの登場でいじめが再び社会問題化しているが、いじめは子どもに限った問題ではない。大人の社会――職場でも、いじめは起こっているようだ。
         日本産業カウンセラー協会が企業の人事担当者などにアンケート調査をしたところ、「あなたの企業でいじめが起こったことはありますか?」との質問に、74%が「ある」と回答した。
         いじめが起こった理由を尋ねると、「社員同士のコミュニケーションが少なかった」(66%)と「管理職の指導力が欠如していた」(64%)といった声が多かった。具体的には、「上司が業務内容を教えず、失敗すると強くしかる」、「障害者枠で雇用された社員を、報酬の差が気に入らないという理由で派遣社員がいじめていた」、「セクハラ問題を解決しようとしたコンプライアンス担当者が社内で孤立した」などの事例が報告された。
        ◇いじめにどう対応するか
         いじめが解決した場合、解決しなかった場合いずれでも、「配置転換」、「管理職・トップへの報告と意思統一」、「被害者へのメンタルサポート」が対策としてよくとられていたが、「決め手となる対応策については模索中というのが実情のようだ」(日本産業カウンセラー協会)。
         いじめに対応する際の難点としては、「パワハラをしている上司が『いじめは自分が解決できる』と思っている」、「会社のトップクラスが公にすることを嫌い、隠そうとする」、「病院からの診断書などがないと、会社はいじめの実態を認められない」などの例が挙げられた。
         しかし、1番良いことはそもそもいじめが起こらないようにすることだろう。そこで、いじめを予防するための有効な対策について尋ねると、「いじめを発生させない・容認させない社内風土づくり」(70.2%)や「社内コミュニケーションの活性化への取り組み」(62.6%)、「管理職対象のハラスメント研修」(60.3%)などが上位となった。個別では「トップが(いじめ防止について)社員の前で公然と語ることで認識が高まり、予防策となるのでは」という意見があった反面、「(いじめを)見抜ける上司がいない限りは改善は無理」といった声もあった。
         調査対象は産業カウンセラー資格を有する人事労務担当者・管理職・経営者177人。
        (BusinessMedia誠)7月29日18時6分配信

        ●精神病患者を強制入院措置=五輪の安全確保で-中国上海〔五輪〕
         【上海1日時事】中国上海市の公安当局は、北京五輪期間中の安全確保を理由に、同市出身者以外の精神病患者を五輪終了まで市内の病院に強制的に入院させる方針を決めた。1日付の上海各紙が伝えた。
         先月29日に市内の繁華街で、精神障害で通院歴がある安徽省出身の男がナイフで買い物客5人を切りつけた事件を踏まえた措置。同市は年初から精神病患者の所在確認作業を進めており、市内出身者でも保護者に監督能力がないと認められる場合は、同様に入院治療させるという。
        (時事通信)8月1日16時18分配信

        ●川崎市教委が学校裏サイト実態調査/市立179校のうち44校で確認
         児童や生徒がインターネットの掲示板を使って立ち上げる学校裏サイトの実態調査を川崎市教育委員会が三十日までにまとめ、市内公立学校全百七十九校のうち四十四校で存在を確認した。このうち、個人への悪口や中傷などトラブルに発展する恐れのある悪質な書き込みも三十七校で確認され、実際にいじめや不登校などのトラブルに発展したケースも七十三件あったことが分かった。
        (カナロコ)7月30日16時20分配信

        ●あくび児童に「包丁で刺すかも」=授業中の注意で小学教頭-宮城
         宮城県美里町立中埣小学校(児童133人、舘内充校長)で6年生の授業中、男性教頭(56)があくびをした児童に注意した際、「包丁で刺すかもしれないぞ」と発言していたことが2日、分かった。
         学校と町教委によると、教頭は7月1日、担任の代役で5時間目の国語を教えた。児童数人があくびをしたのを見て、「授業中にあくびをする者に真剣に教える気持ちになれない。ここに包丁が3本あるとしたら、そのうちの1本で刺すかもしれないぞ」といった趣旨の発言をした。
         注意された児童の保護者が学校側に抗議。校長と教頭が謝罪し、同月3日には教頭が6年生全員に謝った。教頭は「頭に言葉が浮かんできて、『刺されても仕方がない』という意味で言ってしまった」と話しているという。
        (時事通信)8月2日17時54分配信

        ●埼玉・所沢の高3自殺:損賠訴訟 地裁、母親の請求棄却/埼玉
         県立高校3年の男子生徒が教師からカンニングを疑われた後に自殺し、母親が「教師らの事情聴取で精神的に追い込まれたため」として、県に慰謝料など8000万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁は30日、請求を棄却した。岩田真裁判長は「生徒の不正行為は軽度といえず、事実確認の場所、時間、方法などは適切だった」と述べた。
         訴えていたのは井田紀子さん(55)。判決によると、井田さんの次男の将紀さん(当時17歳)は所沢高3年だった04年5月末、中間試験の物理のテスト中にメモを見ていて教諭に注意された。将紀さんは「日本史のメモだ」と釈明したが、教諭5人から別室で約1時間45分、事情を聴かれ、事実関係を書いて読み上げさせられたりした。この日夕、井田さんの携帯電話に「迷惑ばかりかけてごめんね」とメールした後、飛び降り自殺した。
         判決後、井田さんは「結果として生徒が死んでおり、指導が正しかったはずがない。先生方には何が間違っていたのか考えてもらいたい」と涙ながらに話した。
        (毎日新聞)7月31日13時2分配信
        保健室登校が増えている
        2008/07/27
        今回は睡眠障害について書き始めるつもりでしたが、どうしても気になる報道があったため、次回に延期させていただきます。
         気になる報道とは、保健室登校の増加についてのものです。日本学校保健会が毎年、各学校の保健室の養護教諭に資料の提出を求めています。保健室への来室者数、それを外科的・内科的要因に分けたり、学年別に分けたりして人数が出されます。
         今回の報道では、調査を依頼した文部科学省は「心の健康に問題を抱え、保健室を訪れる子どもが増えている」とされています。高校生では5年前の2倍になったとか。虐待やいじめ、身体的疾患、発達障がいを養護教諭が把握した数値ものきなみ増加しているようです。
         私の長男が不登校を始めた中学2年時の保健室来室者は、(700人規模の学校ですが)10,000人を超えていました。多い日には100人を超える子どもたちが保健室に来ていたそうです。今から10年前の話です。
         ある日、1年生の生徒がお腹が痛くなり、教師に「お腹が痛いので保健室に行ってもいいですか?」と許可をもらい、保健室に行ったものの、入りきれないほどの生徒の多さに驚き、教室に帰ってきて、「先生、保健室には、僕のようなものが行ってもいいんですか?」とたずねたという、ウソのようなホントの話しがあります。
         「心の健康に問題を抱え」…という表面的な分析をいくらしていても、問題は解消には向かいません。そこで(学校で)、「心の健康に問題を抱え」るほどの何かが生じている、そこに目を向け、事態を的確に把握し、原因や子どもたちが被虐体験をした心的な背景を理解し、改善に向けて必用な手立てを速やかに講じていかなければ、次回の報告でまた同じような結果が出されてしまうと思います。
         保健室来室を求めている生徒が増えているなら、まず養護教諭を増やし、保健室を拡張または複数設置し、その来室の原因となった心理社会的要因を探る体制を整えるべきです。言うまでもなく、予算をつけましょう。保健室登校が不登校の前段階となる子どもたちは少なくありません。
         次回は「私の睡眠障害とのたたかい―その1」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <保健室登校>小学校で増加 06年は5年前の約1.7倍に

         学校にいる間、教室ではなく主に保健室にいる「保健室登校」の小学生の数が06年、5年前の約1.7倍、高校生が2倍に増えたことが、財団法人・日本学校保健会の調査で分かった。調査を依頼した文部科学省は「心の健康に問題を抱え、保健室を訪れる子どもが増えている」と分析している。
         同会は06年10月、全国の小中高校1102校を調査した。常時保健室にいるか、特定の授業以外は保健室にいる児童・生徒は、計2391人(01年調査は887校で1247人)だった。1000人当たりに換算すると、小学校2.0人(01年1.2人)、中学6.6人(同5.6人)、高校2.8人(同1.4人)となった。
         また、養護教諭が家庭などでの児童や生徒の虐待を「把握した」と答えた学校数は、小学校37%(01年比16ポイント増)、中学校36%(同20ポイント増)。小中742校で虐待を受けていた児童・生徒は582人で、1000人当たりの数は小学1.5人で、01年(1.0人)の1.5倍、中学1.5人で同年(0.6人)の2.5倍に増加した。
         養護教諭がいじめを把握した小学校は30%、中学は65%、高校は45%。生徒の自傷行為を把握した中学校は73%で、高校は82%に達した。
         一方▽糖尿病▽腎臓病▽心臓病▽ぜんそく▽アトピー性皮膚炎--の5種の疾患を把握した学校の割合は、小中高のすべてで5年前より増加。今回新たに調査した発達障害(疑い含む)は、把握した小学校が74%に上った。
        (毎日新聞)7月22日10時37分配信

        ●大分県教委汚職、小学校など捜索…教頭「誘惑に負けた」
         大分県の教員採用汚職事件を巡り、同県警は22日、小学校長や教頭3人が元県教委義務教育課参事・江藤勝由被告(52)(収賄罪で起訴)に渡した商品券計110万円分は昇任のためのわいろだったとみて、3人の自宅や勤務先の小学校などを贈賄容疑で捜索した。
         3人のうち、50万円分の商品券を贈った男性教頭(50)は、読売新聞の取材に「合格するのはコネのある人ばかり」「まともにやってはダメという気持ちだった」と打ち明け、「子供にうそをつき続けるのは限界だった」と苦しい心境を吐露した。
         同県佐伯市内の小学校の男性教頭は今月8日、市内の別の小学校の女性校長(53)や女性教頭(49)とともに商品券を贈った事実を警察に説明したが、その前日に取材に応じた。女性教頭も50万円分、女性校長は10万円分の商品券を贈っていた。
         男性教頭は2003年度から管理職任用試験を受け始め、今年3月に教頭昇進の内示を受けるまで4回連続で不合格だった。「他の合格者と答え合わせをしても自分のほうが成績が良かった。でも合格するのは県教委幹部と釣りやゴルフに行く人ばかり。まともにやってもダメだと思った」
         昨年11月に1次試験を終えると、一緒に勤務したことがある元同課参事の矢野哲郎被告(52)(贈賄罪で起訴)から「自宅で試験勉強を教えてやる」と誘われた。
         そこで「江藤さんに口を利いてやる」と言われ、思わず応じると、「それなりの金が必要だ」と5本指を開いて示されたという。
         4月1日付で教頭になったものの、先月、勤務先の小学校で事件を説明する緊急集会が開かれ、後ろめたさに耐えきれなくなった。
         「何くわぬ顔で集会の司会者を務め、頭がおかしくなりそうになった。子供たちに毎日うそをつき続けるのは限界だった」
         男性教頭は教え子たちに「教頭は誘惑に負けた悪い人間です。君たちは正しい行いをできる勇気ある人になって下さい」という書き置きを残してきた。以来、出勤していない。18日の終業式でも教頭がなぜ姿を見せないのか学校側から児童に説明はなかったという。
        (読売新聞)7月23日3時9分配信

        ●大分教員汚職 教委改革へ「荒療治を」 元教師ら 不正合格者「名乗り出て」
         大分の教員採用汚職事件では県教育委員会ナンバー2の現職の教育審議監が不正合格を指示していた疑惑など事件捜査以外に、県教委の再生など課題が多い。確認が難しい不正採用の教員はどうするか。事件の教訓を教委改革にどう生かすか。ほかの教育委員会の委員や元教師に聞いた。
         全国都道府県教育委員会連合会の木村孟会長(東京都教育委員長)は、大分の事件を「なあなあで済ませる日本社会そのもの」と指摘。
         昇任試験を含めすべての不正を明らかにすべきだとし、「一番怖いのは『現場が混乱するから』と捜査を途中でやめること。荒療治をしないと、この国の風潮は改まらない」と話す。
         また茨城県の和田洋子教育委員長も「採用の透明性確保が教育の信頼回復につながる」と述べた。教育の継続性という課題があり非常に難しい問題だとしながら、「事実確認という、なすべきことはしないといけない」。
         約20年の教員経験を持つ尾木直樹法政大教授は「不正をして教委事務局に上がった人もいる。事務局の人間が処分されずに不正防止をいうのは許し難い。泥棒の親分が子分を犯罪者だというようなもの」と事務局の調査も徹底すべきだという。
         また埼玉県教育委員長の高橋史朗・明星大教授は、問題は外部識者らの教育委員が教委事務局をチェックできない仕組みにあるとし、「会議は月1、2回、2時間程度の審議では教育委員の権限を果たせない。十分な時間が取れる委員を任命すべきだ」と強調。「不正をチェックできなければ教育委員の本来の趣旨が問われる。できないなら教育委員は廃止しなければならない」と危機感を募らせる。
         不正合格者はどうするか。
         ヤンキー先生と呼ばれ教員経験を持つ義家弘介参院議員は、不正合格した教員は名乗り出るよう求めた。「それが保護者の信頼回復につながる」
         名乗り出れば解雇せず、指導力不足教員のような研修を受けさせればいいという。「警察の捜査で発覚した場合は解雇すればいい」
         さらに、「組合承認というなれ合い人事を改めるべきだ」と教委改革を求めた。短期的には教育長と人事担当部長に文科省や他県の教育長ら、しがらみがなく、ビジョンがある外部人材を登用すべきだと提言。中期的には教育行政の専門家を育てることだという。
         元国立市教育長の石井昌浩氏は、程度の差はあれ、どこでも起こりうる可能性がある事件とみる。
         「今回は、教育委員会というレイマンコントロール(一般市民による支配・監督)そのものが虚構だったことを認めたようなもの」と前置きして、「県教委の幹部らを逮捕しても解決にはならない。本当の問題はアメリカ占領の置き土産である教育委員会制度そのものだ」と指摘。教育行政の在り方を考える機会にすべきだと訴えた。
        (産経新聞)7月27日8時0分配信

        ●イラク戦費総額、ベトナム戦争水準に迫る 米議会調査局
         ワシントン――米議会調査局は25日、2003年に踏み切ったイラク軍事作戦の戦費が1975年に終結したベトナム戦争の水準に近付いているとの報告書を発表した。イラク戦争の戦費はこれまで推定約6480億ドル(約70兆円)だが、ベトナム戦争は2008年のドル換算値で6860億ドルとしている。
         2001年9月の米同時多発テロ後、イラクだけでなく、アフガニスタンや世界各地で展開した対テロ戦争での軍事作戦費用は総額で8600億円に達したとも報告した。これら費用には、退役軍人関連の財源、同盟国への援助金などは含まれていない。
         ベトナム戦争で米国は、第二次世界大戦後、最大の戦費を支出していた。
         同調査局はまた、イラク戦争が03年3月に始まって以降、戦費総額が毎年のように膨れ上がってきた事実も指摘。米ホワイトハウスは02年末、500億ドル─600億ドル内に収まると推定。しかし、1年後には、総額は千億ドルを超えるとの見通しが出てきたと説明している。
         戦費を国内総生産(GDP)比で見た場合、イラク戦費は最多の年で、約1%の比率だった。第二次世界大戦は08年のドル換算値で4.1兆ドルに達したが、GDP比は約36%、ベトナム戦争は戦費が最多の年で2.3%だったとしている。
        (JSTUpdated-CNN/AP)2008.07.26Webpostedat:18:14

        ●不登校:昨年度の県内中学、942人 現行調査で最多に/石川
         昨年度の県内中学校の不登校生徒(30日以上欠席)が942人に上り、現行方式で調査を始めた91年度以降最多となったことが24日、県の学校基本調査で分かった。
         少子化による生徒数減少にもかかわらず年々増え、97年度716人が、99年度は830人に。昨年度は過去最多だった06年度を52人上回り、初めて900人台に乗った。病気などを含む長期欠席総数1110人のうち、8割超を不登校が占め、全生徒数に対する割合は2・8%だった。
         県教委は「今回は数字だけだが、06年度の詳細調査ではいじめを含む友人関係、進路不安などが原因として増加傾向」と分析。事態を重くみて、小学校から環境が変わる中1で教員の増置制度を今年度から作るなど対策を図る。
        (毎日新聞)7月25日17時1分配信

        ●貝塚養護学校:不登校の中1、転入義務付け決定 大阪市に高裁/大阪
         精神的な疾患で不登校になった中学1年の女子生徒(12)の母親が、大阪市立貝塚養護学校(貝塚市)への転入を認めるよう大阪市に求めた訴訟で、大阪高裁(大谷正治裁判長)は23日付で、受け入れるよう仮に義務付ける決定をした。
         大谷裁判長は「適応障害で不登校になった」と認定。「一般の中学校では状態が改善できるか疑問」と述べ、養護学校への転入が適切と判断した。大阪地裁が今年3月に「病弱者には当たらない」と請求を却下したため、母親が高裁に抗告していた。
        (毎日新聞)7月25日14時1分配信

        ●不登校・引きこもり「育て直し」を支援…青少年施策大綱
         政府は25日午前、青少年育成推進本部(本部長・福田首相)の会合を首相官邸で開き、今年末にまとめる新たな「青少年育成施策大綱」の枠組みを決定した。
         不登校や引きこもり、ニートなど、問題を抱える青少年への対応策として、地方自治体、学校など関係機関が協力して、しつけや教育をやり直す「育て直し」などを支援する方針を新たに打ち出した。
         「育て直し」については、幼少期の家庭環境が要因となって、その後の成長過程で不登校や引きこもり、ニートなどの問題につながるとの指摘があることから、しつけや教育などの履歴を含めて相談を実施し、安定した職業に就くまで支援する態勢の構築を目指す。
         これらの施策を進める上で、国や地方自治体のほか、非営利組織(NPO)など地域のネットワークを活用することも盛り込む方針。このほか、〈1〉インターネット上の有害情報の規制〈2〉乳幼児期の教育の重視〈3〉自然・社会体験の促進--などの柱を掲げている。
         同大綱は、青少年を育成する上での政府の基本方針をまとめたもので、2003年12月に初めて策定した。
         5年ごとに見直すことにしており、今回決定した枠組みに対する意見を国民から募集し、年末に新たな大綱を決定する。
        (読売新聞)7月25日11時1分配信

        学校社会に適応できない子どもの行動化としての不登校
        2008/07/19
        学校恐怖症、登校拒否、そして不登校。呼称は変わり、不登校という状態に対する見方も変容してきています。
         学校に行けない、行かない子どもたちが目立ってきた頃、それは学校に行けない病気として扱われようとしていました。うつ、神経症などとして、精神科のお世話になる必用があると…。
         そして、育て方が悪い…などと、親の養育に問題があるとされた時期も経ました(母原論)。
         少子化が叫ばれる中、年間13万人近くの小中学生の不登校が続いています。文科省は「臨床心理士」を全国の小中学校に配置してきましたが、どう甘く見てもその効果があるとは言えません。大変な額の国税がつぎ込まれているにもかかわらず…。
         財務省は平成16年に、臨床心理士資格をもつスクールカウンセラーはこの資格をもたないスクールカウンセラーより問題解決能力を有するとはいえないと示唆する調査結果を発表しています(参考URL)が、臨床心理士も文部科学省もマスコミも完全に黙殺しています。
        http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy160622/1606d_19.pdf
         私の自殺した長男の不登校状態を振り返ると、不登校の背景には学校の荒れがあったわけで、こうした集団的な問題状態において「心の専門家」に出番はありません。しかし、学校教育においては、長い間、SC導入の他に対応がありませんでした。スクールソーシャルワーカーの導入があちらこちらで始まっていることに期待を寄せているところです。
         不登校は、「学校社会に適応できないよ~」という子どもたちの内面からの叫びであり、その行動化です。そして「学校社会」とは実に多面的なものであり、不登校という行動を生じている個々のケースにはそれぞれの社会的及び心理社会的背景があり、それを丹念に読み取り、改善に向けて環境調整を具体的に周囲が取り組んで行く必用があります。現実には、そうした必要性はわかりつつも、物理的に対応ができずに(人的、時間的など)、改善がすすまない、あるいは放置状態となっているわけです。
         不登校状態にある子どもに発達障がいがある場合は、さらに理解していくことが困難になります。しかし、病気やいじめ、暴力や暴言などの嫌悪体験などの背景がなく、理由がわからないとされる不登校の中に占める発達障がいのある子どもたちの割合は、推定されるものよりも多いと思われます。「理解が困難」、そして「放置」では、教育を受ける権利は保障されません。
         次回は「私の睡眠障害とのたたかい―その1」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        カネで買われた教壇…「汚れ役はトップへの登竜門」か

         教師になるのも、昇進するのもカネ次第-。教員採用をめぐる汚職事件で、元県教育委員会ナンバー2や現職校長ら5人が逮捕される異常事態となっている大分県。県教委はついに、不正な点数加算で採用試験に合格していた教員を解雇することを表明した。子弟を教員にするために、多額の現金や商品券が飛び交う“裏口採用”。あってはならない聖職者の不正が次々と明らかになっている。金品のやりとりは大分の特異な事例なのか、それとも教育界に蔓延する悪弊なのか…。
         ◇1人当たりの相場は200万円…逮捕者は5人に
         逮捕者は収賄側が2人、贈賄側が3人。容疑者はいずれも県教育界の幹部クラスだった。
         大分県警の調べでは、平成19年夏に実施された20年度小学校教員採用試験で、佐伯市立蒲江小学校長、浅利幾美容疑者(52)が長男と長女に便宜を図ってもらう目的で、県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)に商品券100万円分と現金300万円を渡した疑い。その仲介には同課参事の矢野哲郎容疑者(52)と妻のかおる容疑者(50)が当たっていた。
         江藤容疑者は、採用試験や教員人事を所管する義務教育課長補佐も兼ねており、採用試験の面接や試験結果の資料作成などの実務を担当していた。
         浅利容疑者の長男と長女は400万円相当を供与することで教職についた。1人当たりの相場は200万円だった実態が浮かび上がっている。
         浅利容疑者の事件で仲介役をした矢野容疑者と妻のかおる容疑者も、18年の小学校教員採用試験で、長女を合格させてもらった謝礼として、江藤容疑者と、採用試験全体を取り仕切っていた県教委ナンバー2の元教育審議監で同県由布市教育長の二宮政人容疑者(61)に、それぞれ100万円分の商品券を贈っていた。やはりここでも1人当たりの相場の200万円が動いていた。
         ◇「出世できると思った」…100点以上げたをはかせるケースも
         合格させる手口は単純そのもの。江藤容疑者が中心となって試験の点数を書き換えて、実際の得点にげたをはかせていただけだった。
         江藤容疑者は調べに対し、「18、19年の小学校教員採用試験で合格した82人のうち、少なくとも30人の得点を水増しして、手心を加えた」と供述したという。
         合格者のほぼ4割が不正によるものだったという供述は、“裏口採用”が県教委全体で常態化していた可能性をうかがわせる。
         関係者によると、18年の採用試験では、二宮容疑者が、部下の江藤容疑者に15人以上の受験者名を挙げて、得点に手心を加えるように指示したという。
         19年には、1次試験の点数表を江藤容疑者が上層部に提出すると、口利きを依頼された約20人に印が付けられ、うち約15人の点数を水増し。中には100点以上を増やして合格させた受験者もいた。
         加点で平均点が不自然に高くなることを避けるために、ボーダーライン上に近く、本来は合格していた別の約10人の成績は減点し、不合格とさせていたというのだから、まともに試験を受けた受験者はやり切れない。
         江藤容疑者は19、20年度の中学校教員採用試験でも「点数を改竄(かいざん)した」と周辺関係者に話していたことも判明しており、小学校の不正と同様に県教委上層部の指示があったとみられる。
         「上層部からの指示を断れば、出世ルートから外れる。自分もトップへの登竜門まで来ていた。汚れ役をやれば出世できると思った」
         出世への執念だったのか、江藤容疑者はこう供述しているという。県警はこの供述を重視。謝礼に加え、県教委上層部からの指示が心理的圧力になっていたとみている。
         江藤容疑者は「上層部からの直接的な見返りはなかった」とする一方で、「自分だけが捜査のターゲットにされた」とも供述。県教委内では採用担当者が不正操作の“汚れ役”を請け負うような、「組織的な犯行」が慣習的行われていたこともうかがわせている。
         ◇しわよせ不合格者の採用表明も答案廃棄で確認できず
         汚職事件を受けて県教委は今月16日、臨時委員会を開き、過去の採用試験で不正な点数操作などによって合格したことが確認できた場合、教員の採用を取り消すことを決めた。不正合格者のしわ寄せで不合格となった受験者については、本人の希望があれば採用するとしている。
         また、校長や教頭への昇任人事についても、同様の不正があれば懲戒処分などを行うという。
         教育現場の混乱は必至だが、県教委関係者は「信頼回復には背に腹をかえられない」と危機感を隠せない。
         小矢文則教育長は「可能な限り期間をさかのぼって確認したい」としているものの、得点の不正操作のデータや資料などは県警に押収されているほか、ここ数年の試験の答案用紙はすでに廃棄されるという不手際も明らかになっている。
         不正があったとされる18年から19年の小学校教員採用試験の答案用紙や面接結果については、文書管理規定で10年間の保存期間が定められていたのにもかかわらず、それぞれ試験のわずか半年後に廃棄されていたのだ。
         県教委はプロジェクトチームを立ち上げ、具体的な不正の確認方法を8月中にまとめると表明したが、最大の根拠となる答案の原本などを自ら廃棄していたことで、完全な検証作業は不可能に近い。
         答案用紙などの廃棄について、県教委は「不正を隠す意図はなかった」と釈明するが、汚職が組織的かつ慣習的に行われていたことをうかがわせる現状では、「“証拠隠滅”だったのでは」との疑念も広がる。
         信頼回復への道は相当険しそうだ。
        (産経新聞)7月19日15時11分配信

        ●障害児支援:児童福祉法を基に改善 厚労省検討会が報告書案
         障害児支援の見直しを論議している厚生労働省の検討会は14日、現在の障害者自立支援法ではなく、児童福祉法に基づくべきだとする報告書案をまとめた。保護者が福祉サービス利用料の原則1割を払う自立支援法の「契約制度」については、見直すかどうか結論が持ち越されたものの、子どもの福祉より、親や施設の意向を優先する現行の契約制度には委員の間で批判が根強く、22日にまとめる最終報告書では、何らかの改善策が盛り込まれる見通しだ。
         児童福祉法では、障害のない子が虐待などで施設に入所する場合、利用料や医療費などを公費で全額負担する「措置制度」を保障している。しかし、障害児は06年10月の自立支援法の本格施行で、保護者が「不在、虐待者、精神疾患」のいずれかに該当しない限り、契約制度が適用されることになった。
         厚労省が検討会に示した報告書案では、障害児支援を「児童福祉法に位置付ける」と明記。しかし、措置・契約問題では、契約と判断された児童の割合が都道府県間で大きく異なる現状を「基準の明確化」で是正する必要性は認めたものの、契約制度に関する是非には言及せず、「基本的に現行の枠組みで検討する」と記述するにとどまった。
         これについて、委員から「問題への解決策になっていない」「契約に伴う保護者の経済的負担への配慮に関する記載は不十分」など、案への異論が相次いだ。こうした議論を踏まえ、厚労省は報告書案を修正して22日の検討会に改めて提示する。
        (毎日新聞)2008年7月15日

        ●ネットカフェ難民へ自立資金、高齢者就労支援 厚労省案
         政府が社会保障分野で緊急に取り組む対策として今月末に公表予定の「五つの安心プラン」の厚生労働省素案が19日、明らかになった。働く高齢者の年金額を減らす在職老齢年金制度の見直しや、ネットカフェ難民への自立資金貸し付けなどの新規政策を盛り込む。
         今後、この素案をもとに内閣官房で少子化対策や厚労省の組織のあり方についても検討を進め、与党とも調整したうえで最終案を策定。予算の手当てが必要なものは09年度の概算要求に盛り込む。
         「安心プラン」は福田首相が先月23日の記者会見で表明。政府の社会保障国民会議で議論を進めている制度の中長期的改革と並行して、すぐにでも着手できる改革メニューを示し、社会保障政策への国民の不安を和らげて政権浮揚につなげるのがねらいだ。財源は主に、09年度概算要求基準(シーリング)のうち重要な政策に使う「重点化枠」を念頭に置いている。
         「五つの安心プラン」のテーマは、(1)高齢者政策(2)医療(3)子育て支援(4)非正規雇用(5)厚生労働行政の信頼回復。今回、厚労省がまとめたのは高齢者政策、非正規雇用、医療。
         高齢者政策は「知恵と経験豊かな意欲のある高齢者が働ける社会の実現」として、高齢者の就労意欲をそぐと指摘される在職老齢年金制度の見直しを検討する。現在は60~64歳では、年金の月額と給与の合計が28万円を超えた場合に年金額を減額される。減額対象の額の引き上げや減額幅の緩和で、高齢者の就労を後押しする。
         また、希望者全員を65歳以上まで継続雇用する仕組みを導入した企業への補助金交付や、高齢者を多数雇用する事業所への減税策を創設する。
         非正規雇用対策では「フリーター等の若者が早急に就職できるようにし、将来にわたる安定した生活を実現する」とした。非正規労働者が多いネットカフェ難民の就労支援のため、住宅入居時の初期費用や生活資金などを貸与する制度や、職業訓練中に生活費を支給する制度の新設を検討する。
         医療政策では、救急医療の充実のため、医療機関と消防機関の連携を強化し、救急患者受け入れコーディネーターを配置することを概算要求に盛り込む。増加する医療紛争を減らすため、医師や看護師らと患者側との意思疎通がうまくいくようサポートする相談員(メディエーター)を養成する仕組みを新設。国が研究予算を出している難病の対象範囲も、拡大させる。

        【五つの安心プラン・厚労省素案の骨子】
        ■高齢者
         高齢者が活力を持って、安心して暮らせる社会
        ・希望者全員65歳以上まで継続雇用する仕組みや勤務時間を労働者が選択できる仕組み導入の支援
        ・高齢者を多数雇用する事業所に対する減税
        ・働く高齢者の年金支給を減額する在職老齢年金制度の見直し
        ・公的賃貸住宅を活用したケア付き住宅の整備促進
        ・企業年金の確定拠出年金制度の充実
        ■非正規雇用
         派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会
        ・ネットカフェ難民への就労支援事業の推進(入居初期費用や生活資金などの貸与)
        ・職業訓練期間中の生活費を給付
        ・非正規労働者に対する社会保険の適用拡大
        ■医療
         健康に心配があれば、誰もが医療を受けられる社会
        ・医療機関と消防機関との連携強化(救急患者受け入れコーディネーターの配置など)
        ・医療従事者と患者・家族の意思疎通を図る相談員の育成
        ・難病に対する研究の推進
        (asahi.com)2008年7月19日15時12分

        ●多様な生き方 座談会で紹介 「居場所をつくる準備室」
         不登校やひきこもりなどの若者と家族を支援する「居場所をつくる準備室」(京都市左京区)が今春から毎月、職人ら各方面の人を囲んだ座談会を開いている。将来に悩むひきこもりなどの人に多様な生き方を知ってもらう狙いだ。19日夜は、京都で上映中の映画「藝州かやぶき紀行」を撮影した映像作家青原さとしさんを招く。
         同準備室が4月に開いた「カフェ&ギャラリー東西南北」(左京区浄土寺下馬場町)で行っている。同準備室代表の桜井一二さん(53)の知人らが講師で、4月は版画家の山田喜代春さん、5月はピッケル製作で著名な鍛冶職人の二村善市さんが話した。
         青原さんは、広島のかやぶき職人らの技術や歴史を追ったドキュメンタリー映画「藝州かやぶき紀行」を撮影した。19日午後7時半から食事を一緒にしながら、同映画の裏側や映像作家としての歩みを話してもらう。
         食事代込みで参加費4000円。先着20人。東西南北TEL075(751)1187へ。
        (京都新聞)7月16日9時39分配信

        ●夢むげんだい:不登校の子供の相談にのる、浅井正治さん/愛知
         ◆教師と臨床心理士、2役をこなし 不登校の子供の相談にのる、浅井正治さん(44)
         ◇「相談室」地域に開放、悩みに触れたい
         「不登校の子は本人しかわからない悩みを抱えています」。尾関学園高校(小牧市)の教師として生徒と接するうち、不登校の子供の深い悩みを知った。「一教師の立場を超え、専門的な知識をもって手助けしたい」。強い思いに学校も応え、教師を続けながら大学に通って臨床心理士の資格を取得した。現在、同校の「心理臨床相談室」の責任者として活動する一方、地域にも相談室を開放し、小中学生らの心の相談に応じている。
         立命館大を卒業し、尾関学園高の社会科教師になった。ごく普通の教員生活を送ったが、ある年、不登校の生徒とかかわり、初めて心の悩みに触れた。入学式の朝、生徒の母親から「本人は行きたいのにどうしても行けない」と涙ながらに電話があった。以来、毎日のように生徒に電話し、学校生活の楽しさなどを聞かせた。ある日、生徒は通学への一歩を踏み出した。少しずつ距離を延ばし、ついに校門をくぐった。保健室での個別授業を続け、卒業した。
         その生徒との経験を通して「不登校はなまけ心の結果でなく、心の中に問題がある」と理解した。その後も不登校の生徒を担当し、教師という立場に限界を感じた。「教師は何事も学校の中で解決しようとする。熱心な指導やアドバイスが逆に生徒を追い詰めてしまう場合さえある」と思い知らされた。
         02年、学校の協力を得て日本福祉大の大学院(夜間)に入学し、心理臨床を専攻した。05年には臨床心理士の資格を取得した。学校は心理臨床相談室を設け、その責任者に。教室では背広だが、相談室では白衣に着替え、教師とアドバイザーの2役をこなす。
         地域には不登校に苦しむ小中学生や幼児がいることも知った。「通学する学校のアドバイザーは身近過ぎて相談しにくい」との声も聞いた。そこで、同校の相談室を地域の相談拠点にすることを学校に提案し、実現させた。昨年9月から校外の生徒や学童、保育園児、保護者の相談に応じている。学校も火曜日と金曜日の授業を免除し、アドバイザーとして専念できるように配慮している。
         浅井さんは「自分ではどうすることもできない子供、おろおろと見ているだけの親のため、今後も役に立ちたい」と話している。
        (毎日新聞)7月13日11時1分配信

        ●越谷の中3自殺:損賠訴訟 両親の主張、退ける--地裁判決/埼玉
         ◇「欠席確認の義務なし」
         越谷市で06年、私立開智中3年、杉原賢哉さん(当時14歳)が自殺し、両親が開智学園(さいたま市)と理事長ら6人に約7760万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁(近藤寿邦裁判長)は18日、「息子が欠席したことを学校が連絡してくれていれば自殺は防げた」とする両親の主張を退けた。しかし、「自殺原因を調査し、両親に報告する義務を怠った」として学園に慰謝料22万円の支払いを命じた。
         判決によると、賢哉さんは06年6月、校内であった盗難事件を「目撃した」と教師に打ち明け、7月3日に「事件のことをはっきりさせたい」と教師2人に相談した。翌日、学校を無断欠席し、午後に電車に飛び込んで自殺した。
         学校は昼過ぎまで家族に電話で欠席を確認しなかったが、近藤裁判長は「学校には、生徒の身の危険が具体的に予見可能な場合を除き、欠席確認する法的義務はない」と述べた。
         判決後、父正彦さん(47)は「学校の欠席確認の義務を問う裁判にしたかった。悔しい」と憤った。開智学園側は「判決を真摯(しんし)に受け止める」と話した。
        (毎日新聞)7月19日13時1分配信

        ●自殺未遂後のケア「不十分」が7割―東京都
         自殺未遂患者への精神的ケア体制が十分でないと考えている救急医療機関が、全体の7割を超えることが、東京都の「救急医療機関における自殺企図患者等に関する調査」の結果から明らかになった。医療機関による連携強化などケア体制の充実を求める声も多く、都では「支援のための仕組みづくりを進めたい」と話している。
         調査は、昨年12月1日から31日の救急外来患者が対象。都内の救急告示医療機関338施設に調査用紙を配布し、206施設から回答があった。
         調査結果によると、自殺企図患者を受け入れた医療機関は、29.1%にあたる60か所。自殺企図患者は422人で、そのうち自殺未遂患者(企図患者のうち救命された人)は373人だった。
         自殺未遂患者のうち、精神疾患の合併が確認されたのは214人(57.4%)。ただ、精神科を標榜していない医療機関の6割近くが精神疾患の合併を「不明(または無回答)」としており、自殺未遂患者の7割以上が精神疾患を合併していると都はみている。
         回答した施設のうち、精神科を標榜する医療機関は58か所(28.2%)。このうち常勤の精神科医がいない施設が14か所(24.1%)と最も多く、次いで「1人」が10か所(17.2%)だった。精神科医の当直がある施設は16か所で、回答した206施設の7.8%にとどまっている。都は、「昼夜を問わず搬送された自殺企図患者が精神科医の治療を要する場合、対応が困難な場合が多い」としている。
         自殺未遂患者への精神的ケア体制については、回答施設の73.8%に当たる152か所が「不十分」か「どちらかといえば不十分」と回答した。
         ケア体制が十分でない理由としては、「精神科医師の不足」や「休日夜間の精神科医師の配置がない」、「迅速なベッドコントロールが求められる救急医療の現場で掛けられる時間に制約がある」などが挙がった。
         こうした現状を受けて、118施設(57.3%)が精神的ケア体制を充実させる必要性を指摘。そのために必要な対策として、▽救急医療機関と精神科医療機関のネットワーク作り▽自殺未遂患者に対応できる精神科医療機関のリスト整備▽自殺未遂患者支援のための相談援助活動の充実―などを挙げている。
         調査結果を受けて東京都では、「救急医療機関と精神科医療機関とのネットワーク作りと、自殺未遂患者の地域での生活支援の両面で対策を進めたい」としている。
         このほか、精神科への受診を指示された自殺未遂患者192人(51.5%)だった。自殺未遂患者373人の81.0%に当たる302人は通院状況が「不明(または無回答)」という。
        (医療介護CBニュース)7月17日22時17分配信

        ●下関の女子中生自殺:県教委に開示請求 父「独自調査の内容出れば」/山口
         下関市立川中中学で05年に3年の安部直美さん(当時15歳)が自殺した問題で、父慶光さん(51)は15日、県庁を訪れ、自殺に関する資料を県個人情報保護条例に基づき開示請求した。
         慶光さんは「自殺の真相を知りたい」と07年6月、山口地方法務局にいじめの調査内容を開示請求。同11月には県警にも捜査内容に関する文書を開示請求した。しかし、いずれも開示されたのは記録の一部で、聴取内容などは黒塗りだった。
         今回の県への請求について慶光さんは「県の独自調査の内容が少しでも出てきてくれれば」と話している。
        (毎日新聞)7月16日16時2分配信

        ●高2男子自殺:いじめ再調査を県教委に要望 遺族「身体張った取り組みを」/群馬
         西毛地区の県立高校2年の男子生徒(当時17歳)が昨年12月に自殺し、遺族がいじめが原因として県教委に調査を求めている問題で、生徒の両親は14日、県教委と福島金夫教育長あてに再調査などを求める正式な要望書を提出した。福島教育長は「内容をよく見て対応については検討したい」とコメントした。
         要望書では▽自殺直後の学校の対応▽生徒が訴えたいじめ被害への認識――などについて県教委の見解をただし、学校が実施した調査の手法や内容について検証を求めた。「無記名アンケートなり他の調査なりの方法を専門家を交えて検討いただきたい」として、臨床心理士らが調査に加わることを要望した。
         また、学校や県教委が「いじめの事実は確認できなかった」と結論づけている一連の状況について「生徒から投げかけられる相談を真剣に受け止める姿勢と、対応力の低い現状を、もっと真面目に受け止め、身体を張った取り組みを見せてほしい」と求めた。
        (毎日新聞)7月15日15時1分配信
        就労、就労支援というけれど…
        2008/07/13
        ひきこもりやニート、発達障がいや精神疾患がベースにあってそうした状態にある青年・成人に対しての「支援」の中心が、どう「就労」に結びつけるかになっているのが現状ではないでしょうか。
         ひきこもりなどの状態にある青年や「若年者」の当面の「問題」が「就労」できてないことにあることは否定できません。しかし、ひきこもりなどの状態になった原因の多くが、「就労」でのつまづきにあることを忘れてはなりません。
         面接試験で何度も不合格となる、就労したものの職場での人間関係がうまくいかずに辞めざるを得なくなったなど、「就労」にまつわる様々な挫折・嫌悪体験を重ね、自己防衛から「就労」に拒否反応を示したり、自責感を強め抑うつ的になってしまっている人たちに必用なのは、それでも「就労支援」なのでしょうか。
         自信を失い、意欲を失い、自己否定を強めている人たちにとって、かつてその原因となった「就労」へのトライは、高すぎるハードルであるはずです。
         まずは、その傷ついた精神状態を癒し、下げてしまった自己評価を高めるために、周囲の人たちがその状態を否定することなく、共感的に受け入れ、ともに課題に向き合うという環境を整えることが必用になります。
         広汎性発達障がいがあることによって、その特性としての対人相互作用の困難さが原因である場合には、二次的に生じている抑うつや強迫などの症状を精神科薬物療法などによって緩めつつ、障がい特性の理解と対人関係スキルを向上させるトレーニングが必用になります。
         挫折感、自責感などから回復するために、周囲の人たちの理解と協力を得ながら自己肯定感情を高めていくこと、就労への意欲を形成していくこと、就労先での対人関係スキルを向上させること、本人の特性や個性、興味・関心に応じた就労先を具体的にマッチングさせること、それらを精神科医やカウンセラーやソーシャルワーカー、支援団体などの援助者、ジョブサポートセンターなど行政の就労援助機関、ジョブトレーナー、職親など、さまざまな関係者が連携しながら本人をサポートする体制を構築していく必用があります。
         大切なのは、「就労」できない個人の問題としないという立場に立ちきることではないでしょうか。

         次回は「学校社会に適応できない子どもの行動化としての不登校」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <刑法犯>6年連続で減少、殺人は10%増 上半期・警察庁

         警察庁は10日、全国の警察が今年上半期(1~6月)に認知した刑法犯件数が07年同期比5.0%減の87万9208件で、6年連続で減少したと発表した。検挙率は31.6%(07年同期比0.3ポイント増)。殺人・殺人未遂事件の認知件数は649件で、07年同期比で10.8%増加した。
         罪種別では▽凶悪犯4200件(同8.8%減)▽粗暴犯3万3821件(同4.6%減)▽窃盗犯65万7230件(同4.6%減)--などが減少。一方、知能犯は3万8709件(同6.9%増)と増加した。このうち詐欺は3万4314件(同5.1%増)で、振り込め詐欺の増加が目立つ。警察庁は6月に庁内に振り込め詐欺対策室を設置し、取り締まり強化や被害予防に乗り出している。
         吉村博人長官は「取り締まりとともに、高齢者らが振り込め詐欺被害に遭わないよう、金融機関で職員の声かけを徹底してもらうなど被害予防にも力を入れたい」と話した。
         身近で起きる街頭犯罪は▽路上強盗673件(同13.4%減)▽略取・誘拐47件(同19.0%減)▽ひったくり8879件(同25.8%減)--などが減少。一方で、強姦(ごうかん)は237件(同8.2%増)と増え、暴行は9058件(同0.4%増)でほぼ横ばいだった。
        (毎日新聞)7月11日7時6分配信

        ●発達障害児者の就労考える 「スクラム福井」がセミナー
         自閉症など発達障害児者の就労について学ぼうと、県支援センター「スクラム福井」は7日、福井市のアオッサでセミナーを開いた。就労支援の事例や課題などが報告された。
         セミナーには発達障害児者の保護者や養護学校の教諭ら約70人が参加した。就労支援策について同センターが、職場体験やアルバイト体験を通し、本人特性に合った進路指導を行っていることを紹介。発達障害に特化した就労支援制度が未確立なことや、就労できる事業所の少ないことなどを課題として挙げた。
         参加者を交えた意見交換では「就職するときに発達障害であることを事業所に伝えるべきか悩む」「長期的に支援が受けられる体制がほしい」などの声が出ていた。
         同センターによると発達障害児者の場合、人間関係などに悩み離職を繰り返すことが多く、昨年4月から今年6月までに寄せられた約1700件の相談のうち、就労に関する相談が409件ともっとも多かった。また知的、精神の障害者手帳を取得できない人もおり、障害者雇用制度などを使った就職ができないこともあるという。
        (福井新聞)7月8日午前10時00分

        ●スクールソーシャルワーカー:県教委が公募、定員割れ 11人枠に7人/山梨
         ◇不登校や非行解決へフル活動、1人で訪問月20回の例も
         ◇「周知進めば派遣増必至」公募続行
         県教委が今年から公募で始めたスクールソーシャルワーカー(SSW)派遣事業で、11人の定員に満たず、7人しか集まっていないことが分かった。SSWは、いじめや不登校などの問題解決に向け、子どもの生活環境に踏み込んで対処する存在で、学校の協力要請に基づき派遣される。県教委は「活動の周知が進んで要請が多くなれば、手が足りなくなる」と話し、ホームページなどで公募を続けている。
         SSWは、文部科学省が今年から始めた事業で、委託された県教委が各地域の教育事務所に配置。教育と社会福祉の両分野の知識を持った社会福祉士や精神保健福祉士らが担当する。児童相談所や福祉保健所などと学校の連携を促進するほか、問題を抱える児童・生徒の親や地域など周囲から話を聞き、解決に向けて助言する。
         各教育事務所に対するSSWの配置数は▽中北教育事務所=1人(定数4)▽峡東教育事務所=2人(定数2)▽峡南教育事務所=2人(定数2)▽富士・東部教育事務所=2人(定数3)。118校の小中学校を抱える中北教育事務所では、児童相談所元所長の男性1人が週3回担当しているが、5月だけで5校から不登校や非行問題などで協力要請があり、学校を延べ20回訪問。他にも制度の周知のため各市教委などを訪問しており、「フル活動が続いている」という。
         現在は各校からの協力要請が少なく、問題は起きていないが、SSWの活動がより知られるようになれば要請の増加は必至。県教委は「教育、福祉の両方の知識と経験を持つ人が来てくれれば」と呼び掛けている。
        (毎日新聞)7月11日13時2分配信

        ●「ニートはどうして男だけなの?」そんな疑問が正しくないワケ
         「ニートはどうして男だけなの?」。そんな疑問でネットが盛り上がっている。確かにテレビ、雑誌などが報じるニートは男性ばかりだ。「男は女を見習うべきだ」といった意見も出ているが、実際は男女半々なのだそうだ。とすると、なぜ、男性ニートばかりがクローズアップされるのか。
        ■「男が女性を見習うべきだと思います」
         巨大掲示板「2ちゃんねる」に2008年7月9日にこんなスレッドが立った。
          「どうしてニートは男にしかいないのか?」
        これに対するカキコミには、
          「男がもう少し女性を見習うべきだと思います」
          「女は働かず結婚すべきという偏見があるから、ニートと呼ばないのです」
          「女は家事手伝いを公言できるから」
         一般的なニートの定義は、学校に通っておらず、働いてもおらず、職業訓練も行っていない、15?34歳までの若年者。内閣府が05年7月に出した「青少年の就労に関する研究調査」によれば、02年のニートは約85万人。この調査では、メディアによく引用される厚生労働省の「労働経済白書」(04年)のニートの数字52万人と比較している。この数字の開きは「家事手伝い」を含むか含まないかの差だと表記している。「家事手伝い」とされているのは女性がほとんど。実際のニートの男女比は半々なのだそうだ。
         それなのになぜ、「ニートは男性」のようなイメージが強くなってしまったのだろうか。「我が子をニートから救う本」「小島貴子式 仕事の起爆力」などの著書がある立教大学大学院ビジネスデザイン研究科小島貴子准教授はJ-CASTニュースに対し、
          「日本は男女に関して、画一的、表面的なものの見方が続いているため、仕事をしていない男性に対し、より厳しい目を向けている」
        と説明する。女性の場合は「家事手伝い」という立場が社会的にも一応認知されていて、仕事をしていなくてもやがては「結婚、主婦」という言い訳が通じる。また女性の場合、一生働き続けるという文化が未成熟なのも影響しているというのだ。
        ■面接でも女性は「家事手伝い」が通じる
         さらに、ニートから脱却するのも男性の方が不利なのだという。ニートがいきなり毎日・フルタイム働くのは難しく、ランディング(訓練)する期間が必要な人もいる。女性の場合は派遣社員になった場合でも短期間・短時間働ける職種があるのに比べ、男性は少ない。就職面接でも女性は「家事手伝い」が通じるが、男性の場合は就職していない「空白期間」を問題にされたりする。
         小島さんは、男性のニートについて、
          「親が子に対し、働く前から正社員になれ、長く勤めろ、など強い要求をしたり、『男の子なんだからしっかりしろ』といったために、逆に働けなくなってしまう場合が多い」
        と明かす。ニートの子供を持つ親は、子供に期待しすぎて信頼していないケースが多く、むしろ、期待せずに信頼することが、子供を立ち直らせる事に繋がるとしている。また、ニートの男性も、社会復帰した最初から完璧にやり抜こうなどと言う気負いは捨て、徐々に慣れればいいという気持ちが必要だとしている。そして、
          「本人の問題より、企業が採用の窓口を広げることが最重要。継続して仕事が続けられるように職業訓練をすることも必要です。そうしなければ現状は変わりません」
        と話している。
        (J-CASTニュース)7月12日17時36分配信

        ●教員採用 合否見直し遠く 大分県教委、対応に苦慮
         大分県の教員採用汚職事件をめぐり、点数操作や口利きなど相次いで発覚した不正によって採用された教員や、そのあおりで実際は合格だったのに不合格とされた受験者について、過去の試験の合否を見直すことができるかどうか県教育委員会が対応に苦慮している。
         収賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)の供述などから、平成19年だけでも15人前後が点数水増しで不正に合格する一方、減点などで約10人が不当に不合格となったことが判明。
         県教委の三浦徹夫義務教育課長は「不正合格は取り消すのが当然だし、不合格となった人には一生の問題でもあり、できるだけ早く救済したい」とするが、ここ数年の試験の答案は10年間と定められた文書保存期限を守らず既に破棄されていたことが分かった。得点の不正操作のデータや資料なども警察に押収された。
         県教委は「『不正をやった』という容疑者の供述だけではなく、証拠が必要」と、県警に押収資料の開示を求めたが拒まれた。捜査や公判が終了すれば返却されるが、県警は口利きの実態などを今後詳しく調べるとみられ、捜査終結のめどは立っていない。
         三浦課長は「合否の見直しにはまだ時間がかかる。まずは19日に始まる今年の採用試験に万全の態勢で臨むしかない」と話している。
        (産経新聞)7月12日15時46分配信

        ●障害児童の教育支援員 配置、48%止まり
         障害のある児童生徒の学習上、生活上の支援を行う特別支援教育支援員について、本年度に学校から配置の要望があったのは33市町村の701人だったが、実際に配置されたのは48%の32市町村、338人だったことが県教育委員会が5月に実施した調査で分かった。仲村守和県教育長が7日、県議会一般質問で西銘純恵氏(共産)の質問に答えた。
         文部科学省は2008年度の支援員配置予算として360億円を計上しており、県内市町村に地方交付税として約5億1300万円の予算が措置される予定。
         要望がなかったのは8村ですべて離島だった。仲村教育長は「今後とも市町村に対し、支援員にかかる予算確保と適切な配置がなされるよう指導助言をしたい」と述べた。
        (琉球新報)7月8日10時5分配信

        ●いじめでの県立高転校を認容
         広島県教委は、いじめを受けている県立高校の生徒について、学校が加害者に指導するなどしても、学業の継続が著しく困難な場合に限り、転校を認める方針を決めた。小中学校では既に認めているが、県立高は入試による選抜を理由に保護者の転居以外は認めていなかった。
         県教委指導二課によると、2007年度にいじめを理由とする転校の相談があったことや、いじめによる自殺が全国的に社会問題化したことなどから4月、県内すべての県立高校長に通知した。
         具体的には、いじめを受けた生徒が転校を希望し、校長が緊急でやむを得ないと判断した場合に、県教委が適否を判断。転入学者選抜試験を実施し、一定の学力があれば認める。試験の時期、方法は「弾力的に取り扱う」としている。
        (中国新聞)’08/7/9
        事務所を移転して1年
        2008/07/08
        5月25日、浜松市で活動されているフリースクール:NPO法人ドリーム・フィールド主催の「子どもの育ちシンポジウム」に講師としてお招き頂きました。その時の様子を「子ども育ちレスキューネット」さんが紹介してくれています。
        http://childrescuenet.hamazo.tv/d2008-06-03.html
         相談室カンナは、個人事業の相談室として2005年3月に開設、3年と4カ月が経ちます。昨年7月、当時私が副代表を兼ねていた「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」が規模拡大に伴って引越をすることになり、今の13LDKの広い一軒家に移るにあたって、相談室カンナも室料が安くなるという理由と、ノンラベル事務所への移動が無くなるとの理由から、同じ建物内の一室をお借りすることにしました。それから早1年が過ぎようとしています。
         事務所移転後、ノンラベルの方の業務が増え、NPO法人化していくこと、紙漉事業を開始するための設備・備品等を助成金で調達すること、青少年の宿泊体験事業などなど、ノンラベル副代表としての役割が増大しました。やむなく、相談室カンナの業務時間を減らしていき、今では火曜日から金曜日の夜に各1面談と、日曜日に4面談をお受けできるようにしています。
         その甲斐あってか、ノンラベルは無事にNPO法人の認証を取得、紙漉事業関連では350万円を超える助成を得ることができ、稼働を始めています。ノンラベルの方からの「給与」も少し増えました。(増えたと思ったら、数回前に書いたように、住民税、未納分を併せた国民年金の支払いが復活し、相変わらず経済的貧困を余儀なくされています)
         とはいえ、2つの仕事領域をもち、各々で収入があり、自己決定しながら課題に向かい、そして何よりも、対人援助が本業であるという現状は、それなりに快適です。
         今困っていることは(経済的貧困を別にして)、学びの時間が取れないことです。読みたい本が、デスクの上にも、本棚にも、枕元にも山積み状態です。

         次回は「就労、就労支援、というけれど…」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <自殺実態白書>地域性や原因分析 自治体別で初の全国集計

         警察庁のデータを基に、学識者らが自殺者の特徴を市区町村単位で整理した「自殺実態白書」がまとまった。原因や動機、職業などについて自殺者数が多い順に示し、地域の特徴を浮き彫りにした。市区町村や警察署単位で自殺の実態が全国規模で判明したのは初めて。また自殺の理由は一つではなく、平均で四つの「危機要因」を抱えていることも分かった。関係者は行政などの自殺防止対策の推進につながると期待している。
         学識者と弁護士、NPO法人代表らで作るプロジェクトチームが、04~06年の自殺者計9万7032人を分析。各警察署で起きた自殺のデータを、市区町村単位に再集計した。メンバーが4日、自殺問題を担当する岸田文雄・内閣府特命担当相に白書を提出し、対策の充実を求める。またNPO法人「ライフリンク」(清水康之代表)がホームページに4日、公開する予定だ。
        http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html
         ◇地域別の傾向
         全体では、遺書のあった人の動機は(1)経済・生活問題(2)病苦など(3)家庭問題の順に多かった。
         職業別では(1)無職(2)被雇用者(3)自営業者。警察署単位では(1)山梨県警富士吉田署(2)福岡県警早良署(3)青森県警青森署の順だった。
         各署ごとの傾向は、全体では6位の愛知県警豊田署(豊田市など)は被雇用者では1位。17位の北海道警旭川東署(旭川市など)は「病苦など」が1位だった。自治体別では、東京都千代田区では40代の被雇用者の男性、大阪市西区は40代の自営業者の男性、熊本県合志市では40代の無職の男性が最も多いなど、地域により自殺者の傾向に違いがあった。
         清水代表は「市町村関係者から、自殺の実態が分からないから具体的な対策ができないという声がある。白書を自殺対策に生かしてほしい」と話している。
         ◇危機要因四つ
         自殺の理由は一つではなく、平均で四つの「危機要因」を抱えていることが分かった。
         自殺した305人の遺族や知人から聞き取り、背景事情として家庭や健康、経済問題などにかかわる68項目を「危機要因」ととらえて調査。その結果、自殺時に危機要因が一つしかなかった人は4%だけで、平均で四つの危機要因があった。
         危機要因は(1)うつ病(2)家族の不和(3)負債(4)身体疾患(5)生活苦(6)職場の人間関係(7)職場環境の変化(8)失業(9)事業不振(10)過労--の順に多く、上位10項目で全体の約7割を占める。
         それぞれの要因は互いにつながっており、会社員なら「配置転換→過労や職場の人間関係悪化→うつ病」、経営者なら「事業不振→生活苦→多重債務→うつ病」といった経路が典型的だった。失業といじめ、アルコール問題と家族の死亡など、因果関係がはっきりしない要因が連鎖しているケースもあった。
        (毎日新聞)7月4日2時31分配信

        ●長崎市の中2自殺:判決報告会 教諭の過失不問、遺族「完全棄却悔しい」/長崎
         ◇不満の声相次ぐ
         長崎市立小島中2年の安達雄大君(当時14歳)の自殺を巡る長崎地裁判決の報告会が30日、同市内であり、母和美さん(46)は「生徒指導と自殺との因果関係は認められたものの、教諭の過失を『法的には問えない』と完全に棄却されたことを腹立たしく、悔しく思う」と語った。
         この日の朝、和美さんは仏壇に向かい、雄大君の遺影に「一緒に頑張ろうね」と声をかけ、自宅を出たという。「中途半端に私たちの主張を認めたすっきりしない結果だった。(雄大君に)どう報告していいのか」と戸惑いの表情を浮かべた。父敏昭さん(46)も「(教諭側に)法的責任が問えないなら、何を訴えたらいいのかジレンマを感じる」と語った。
         教諭側の過失を問わなかった理由が自殺予見が困難という点だったことについて、森永正之弁護士は「この判決では無関心な教諭は法的に救われるという図式になり、おかしい」。岩永隆之弁護士も「市側にまったく問題がなかったとは言わせない。不適切な指導を繰り返してはならないと今後も主張していきたい」と語った。
         和美さんは「過失は問えなくとも、指導があったから自殺したと認めた点は大きな事実。(学校の生徒指導に疑問を持つ多くの人に)この成果を伝えていきたい」と語った。
         一方、長崎市教委は「判決書の内容を検討しておらず、コメントできない」とした。
        (毎日新聞)2008年7月1日

        ●障害者施設の火災通報装置、設置率わずか23%/富山
         県内の知的・精神障害者施設で、来年度施行の改正消防法施行令により義務づけられる火災通報装置の設置率が、23%にとどまっていることが県の調べでわかった。また、認知症高齢者の施設では、同様に義務化されるスプリンクラーの設置率が21%にとどまった。
         調査は、神奈川県内の障害者施設で3人が死亡した6月2日の火災を受け、県が初めて実施。それによると、知的・精神障害者のグループホームなど全66か所のうち、消防機関と直接つながる「火災通報装置」のある施設は15か所で23%。一方、施設内で火災を知らせる「自動火災報知設備」は73%だった。
         認知症高齢者のグループホームでは、スプリンクラーの設置義務化対象となる56か所のうち、実際に設置していたのは12か所、21%。自動火災報知設備と火災通報装置はそれぞれ88%、78%だった。
         防火設備の設置が遅れている理由について、県は高額なためとみる。火災通報装置は1台数十万円、スプリンクラーは数百万円程度。既存施設で防火設備を購入する場合、国や県などの助成制度はないという。県は「調査結果は各消防署や市町村などに伝えた。それぞれの点検や指導の中で普及を呼びかけてもらう」としている。
        (読売新聞)2008年7月2日

        ●<私大調査>教員の半数以上が「学生に基礎学力がない」
         私立大学教員の半数以上が「学生の基礎学力が不足している」と感じていることが、私立大学情報教育協会の調査で分かった。特に理工系の教員では7割前後が基礎学力不足を指摘し、学生のレベル低下で授業の進め方に苦慮している実態が浮かんだ。
         調査は、昨年末に協会に加盟する481の私立大と短大のすべての教授、准教授、講師計6万9634人を対象に実施し、459校の計2万3603人から回答を得た(回答率33.9%)。
         授業で直面している問題点について選択式で回答を求めたところ、「基礎学力がない」とした大学教員が56.3%で最も多かった。協会は3年おきに調査を実施しており、前回調査より3.8ポイント減ったが依然として高い水準だ。専攻別では、理学系で70.4%、工学系で66.1%の教員が「基礎学力がない」と答えた。また、短大教員でも同じ回答が64.7%に上った。
         大学教員で次に多かったのは「(学生に)学習意欲がない」との回答で37.2%、「教員の言葉を理解できない」としたのは13%だった。
         協会は「教員からは小中学校レベルの学力さえない学生もいるとの話も聞いている。こうしたレベルの学生については、大学の補習で対応できる状況にはなく、改善のために教育界が組織を挙げて取り組まねばならない問題だ」と話している。
        (毎日新聞)7月5日18時49分配信

        ●県教委の放置メール:16件中3件がいじめ相談/静岡
         県教育委員会で受け付けているいじめ・暴力相談のメールが、4月1日から6月18日まで担当課に届いていなかった問題で、30日、期間内の相談が16件あったことが分かった。3件は小中学校でのいじめに関する相談だった。県教委は相談者全員におわびのメールを送り、相談への対応を開始した。
         県によると、県内の小中学校、高校に関する相談は12件で、県外からの相談は4件だった。1件は家庭内暴力に関する相談だった。県教委生涯学習企画課は「早期に対応できず、相談者には大変申し訳なかった」と話している。
        (毎日新聞)7月1日19時1分配信

        ●文科省 小6で「沖縄戦」指導を
         【東京】文部科学省は30日、2011年度から完全実施される小学社会科の新学習指導要領(3月公表)の解説書を公表した。6年生への指導について触れた部分で、第2次世界大戦によって「国民が大きな被害を受けたこと」の例として、初めて「沖縄戦」を明記。第2次世界大戦の指導で「沖縄戦」を教えるよう求めた。指導の具体的な内容や方法などについては触れていない。
         新たな解説書では、第2次世界大戦の指導について「国民が大きな被害を受けた」例として、「各地への空襲、沖縄戦、広島・長崎への原子爆弾の投下など」の一文を加えている。文部科学省によると、現在、小学6年生が使用している社会科の教科書は5社あり、すべての教科書で既に「沖縄戦」が表記されているという。
         解説書に初めて「沖縄戦」が明記された意義について、初等中等教育局の牛尾則文視学官は「教科書には載っているが第2次世界大戦の被害をどう教えるかは、現場の裁量に任せている部分があった。今回解説書に示したことで、指導者が沖縄戦をしっかり教えていくという意識付けになる」と強調した。
         文部科学省は30日から東京都内で、東日本の都道府県教育委員会の指導主事や私立学校の関係者らを集めた小学校新教育課程説明会を実施した。
        (琉球新報)7月1日10時5分配信
        自閉症スペクトラム障がいのある人で雨の日が好きな人が多い理由
        2008/06/29
        雨粒が皮膚に当たるのが「痛い」と感じて、雨が嫌いな自閉症スペクトラム障がいのある人がおられる一方で、雨が好きな自閉症スペクトラム障がいのある人が多数おられます。
         私がご本人から聞いた「雨が好き」な理由のいくつかを紹介します。
         まず、雨の日はまぶしくないから好き、というものです。晴れた日の太陽光線の刺激が強すぎて外出できないという青年の話です。
         次に、雨が降ると道が「キレイに洗い流される」、「人も自然もシーンとしているのが気持ちいい」、というものです。道路がキレイになる(視覚的に)、雨の音にかき消されて日常の喧噪が消える(聴覚的に)と感じる成人女性の話です。
         次は、雨だと「人があまり外に出ていない」、「一人で楽しめる」、「傘で人の目を見ないですむ」というものです。対人関係が苦手、他者の視線が気になるという成人女性の話です。
         そして、雨の日の夜はずぶ濡れになって走りに行くという青年。「過去のイヤなことが洗い流される感じがする」と言います(嫌悪体験への防衛反応と考えられます)。
         と、こんな感じで、皮膚感覚過敏のために雨が嫌いという人を除くと、おおむね雨天または曇天が好き、そして中にはわざわざどしゃ降りの中を濡れに行くという人も含めて、自閉症スペクトラム障がいのある人と雨とは親和性が高いようです。その理由が、とても情緒的であることが大切な点であると思います。

         次回は「事務所を移転して1年」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        IT業界で闘う“アスピーズ”―アスペルガー症候群を抱えたITプロたちの苦悩と現実

         優秀なプログラマーやエンジニアの中には、驚くほどの集中力で高度な仕事をこなす反面、人づきあい、会議、営業トークを苦手とする人も多い。そんな彼らは、もしかしたら「アスペルガー症候群」を抱え、対人関係の構築に苦しんでいる「アスピーズ」かもしれない。本記事では、IT業界で働くアスペルガー症候群を抱える人たちに焦点を当て、彼らが今、直面する問題と苦悩をつまびらかにするとともに、今後、われわれが改善すべき課題について考えてみたい。
         ●超人的な記憶力を持つものの、くだらない冗談が理解できない
         オーストラリア郊外在住のライノ(Ryno)氏は、自らを「燃え尽き症候群で障害と共に生きる人間」と表現する50代の元システム管理者である。
         Ryno氏はシステム管理という仕事に愛着を持ち、技術者として職務を遂行していた。しかし、会社生活の中で、親愛の情を込めて背中をポンとたたかれたり、会議に出席したりといった、職務に伴う対人的なコミュニケーションに耐えることができなかったという。
         ハイテク業界で26年のキャリアを持つデータベース・アプリケーション・プログラマーのボブ(Bob)氏は、数学と論理学を得意としている。同氏は、本人いわく「変わった記憶力」の持ち主で、質問に対する答えが思い出せなくても、その答えをどの本で目にしたかを、ページ、段落、そして文章の一言一句に至るまで、正確に思い出すことができるという。
         Bob氏には、このほかに2つの変わった癖がある。1つは強いストレスを感じると、言語能力が低下すること。そしてもう1つは、物事を文字どおりに(つまり、空気を読まずに)解釈してしまうことだ。
         ジェレミー(Jeremy)氏は、プログラミングに対する深い洞察力があり、ソースコードを内部から見渡すことができるかのように、プログラミングの問題を把握できる。また、取引先のCEOやCIOと、ビジネスや技術に関する非常に専門的な内容を議論するのも得意だ。匿名を希望する本人の意向もあり、その専門分野は明かせないが、Jeremy氏は業界の誰もが知っている大物プログラマーである。
         そのJeremy氏が苦手とするのは、つまらない発言をする同僚をうまくあしらったり、職場に存在する“官僚主義的な習慣”に折り合いをつけたりすることだ。例えば、どう考えても失敗するようなアイデアをだれかが提案した場合に、Jeremy氏は思ったことをそのまま口にしてしまうのである。こうした遠慮のなさが、職場でトラブルを引き起こしてしまうのだという。
         ●医学界でも見解が分かれる、アスペルガー症候群の定義
         紹介した3人のITプロフェッショナルには、共通点がある。それは自閉症であるということだ。Bob氏とRyno氏は自閉症の中にカテゴライズされる「アスペルガー症候群(Asperger’sSyndrome)」(アスペルガー障害:Asperger’sDisorderとも呼ばれる)であり、Jeremy氏は「高機能自閉症(High-FunctioningAutismb:HFA)」だ。
         ただし、アスペルガー症候群や高機能自閉症といった用語の定義については、医学界でも意見が割れており、しばしば激しい論争も起きている。基本的には、アスペルガー症候群もHFAも何らかの自閉症の特徴(周囲への反応が一般的でない、社会的相互交渉がうまくいかないなど)があるものの、典型的な自閉症に見られる「認識障害」や「コミュニケーション発達障害」、「言語発達遅滞」といった症状がない状態を指している。
         米国精神医学会が発行した『精神疾患の分類と診断の手引(DiagnosticandStatisticalManualofMentalDisorders:DSM-IV-TR)』(Amazon.co.jpのリンク)によると、一般に「アスピーズ」と呼ばれるアスペルガー症候群の人は、非言語的なシグナルを読み取ることが苦手だという。また、周囲とうまく交友関係を築けなかったり、特定の習慣や儀式的な行為に執着したり、手や指をひらひらさせるなどの特定の動作を繰り返したりする特徴が見られることがあるという。
         オーストラリア・ブリスベン在住で、アスペルガー症候群の臨床医兼作家として世界的に知られているトニー・アトウッド(TonyAttwood)博士は、より人格/性格的な観点からアスペルガー症候群を定義している。「多くのアスピーズは、知識や真理を探求する強い欲求を持っている。ただし、それらを探求する手法の優先順位が、一般の人とは異なっているのだ。アスピーズが最優先にするのは問題(課題)解決であり、探求の過程で発生する他者の感情的なニーズや社会とのかかわりなどは軽視することがある」(Attwood氏)
         Attwood氏が指摘する「他者との関係性に関する問題」は、まるでIT技術者が抱える問題のことを言っているように聞こえないだろうか。
         米国Yale大学の発達障害クリニックが発表したアスペルガー症候群に関する論文にも、同様の記述が見られる。その一部を紹介しよう。「アスペルガー症候群を抱える人は、物事への関心の向け方が特異的であることが多く、一般的でない。また極めて限定的な対象物(時刻表、蛇、天気、揚げ物用の鍋、電柱の絶縁体など)に関心を抱くことがある」
         “極めて限定的な対象物”にはテクノロジーも含まれるだろう。
         ●アスペルガー症候群とIT業界の深い関係とは
         自閉症という症状が最初に報告され、正式にそう命名されたのは1943年のことだ。自閉症は神経発達障害が原因だと考えられているが、その解明はいまだ十分に進んでおらず、原因や症状、研究、治療法など、あらゆる側面で現在も激しい議論が続いている。
         特に、知能指数が比較的高いアスペルガー症候群とHFAはその定義が難しく、診断が確定されなかったり症状が過小評価されたりすることがしばしば起こる。そのため全体の人数が正しく把握されておらず、また症状への理解も進んでいない。
         こうした背景から、成人したアスピーズの人口を把握するのはさらに困難だ。通常、アスピーズの知的能力は平均的かそれ以上であることが多い。そのため、その症状を隠して職場や社会に適応できてしまうことが少なくないからだ。その結果、診断を受けることなく一生を過ごしてしまう人も多いという。
         ではハイテク業界のアスピーズ率は、一般社会のアスピーズ率よりも高いのだろうか。このテーマを語ってもらうのに、テンプル・グランディン(TempleGrandin)氏ほどの適任者はいないだろう。Grandin氏はアスペルガー症候群を抱えながら博士号を取得した大学教授であり、動物の環境に配慮した家畜施設の設計者として世界的に知られている。現在はセカンド・キャリアとして、アスペルガー症候群についての執筆と講演活動に注力している。
         「アスペルガー症候群とITとの間に相関関係はあるのか──。もしアスペルガー症候群というものが存在しなければ、コンピュータは誕生しなかっただろう。“ギーク(Geek)”や“ナード(Nerd)”とは、要するに軽度のアスペルガー症候群のことだ。アスピーズの関心は、人ではなくモノに向けられている。そしてモノに関心を抱いた人たちが、現在われわれが使用しているコンピュータを作ってくれたのだ…」(Grandin氏)
        (TracyMayor/Computerworld米国版)
        (Computerworld.jp)6月25日11時26分配信

        ●自閉症:理解と支援を学ぶ 岡山でセミナー、300人参加/岡山
         ◇その子らしさを生かして
         自閉症に対する理解を深め、支援に役立てるセミナー「その子らしさを生かす子育て~高機能自閉症・アスペルガー症候群の理解と支援~」がこのほど、岡山市内であった。自閉症児の家族や学校関係者ら約300人が参加し、発達障害専門医院「よこはま発達クリニック」(横浜市都筑区)の児童精神科医、吉田友子さんの講演を聴いた=写真。
         県内の自閉症児を抱える家族らで作るNPO法人「岡山県自閉症児を育てる会」が、必要な支援を見過ごされがちな自閉症の特性を学び、周囲の理解を広げようと主催した。
         吉田さんはアスペルガー症候群など自閉症の特徴を、「社会性・コミュニケーション・抽象的な事象に関する社会的想像力」の3点で脳の発達に偏りがあると説明。「子供たちの行動の意味を読み取れば気持ちに寄り添える。強みにもなり得る脳の特性、ととらえてほしい」と語った。
         また、「障害と個性、症状とわがままは相反するものではなく、どの子のどの行動も発達の課題としてとらえる視点が必要」と話し、「聴覚過敏で運動会のピストル音やトイレの水洗音が苦手な場合も、感覚過敏は脳の特性に起因するもので、嫌いな音を聞こえにくくする工夫や、(自分の苦痛を)わかってもらえたという安心感を与えることで対処できる」と説明した。
        (毎日新聞)6月24日15時1分配信

        ●国民年金保険料、07年度納付率も目標「80%」に届かず
         2007年度の国民年金保険料の納付率が、社会保険庁が目標とする「80%」を大きく下回ることが確実となった。
         最終納付率は64%前後にとどまり、2年連続で低下する見通しだ。
         社保庁によると、07年度(07年4月から08年2月分まで)の納付率は63・4%で、最終納付率が66・3%だった06年度の同期と比べて2・1ポイント減少した。
         社保庁や年金そのものに対する国民の根強い不信感に加え、07年春以降に表面化した年金記録漏れ問題で、社会保険事務所の職員が相談業務や記録修正に追われ、保険料の徴収要員を十分確保できなかったという。
         納付率は1991、92年度の85・7%をピークに長期低落傾向が続く。社保庁は、市町村から徴収業務を移管された02年度に初めて70%を切ったことなどを受け、04年10月に、07年度を最終年度とする4年間の目標を設けた。
         結果は04年度(目標65・7%)、05年度(同69・5%)、06年度(同74・5%)と3年連続で目標をクリアできなかった。07年度には財産差し押さえなど、未納者への強制徴収も強化したが、困難となった。
        (読売新聞)6月28日20時1分配信

        ●若者自立支援のため訪問事業 大阪市がスタート 
         仕事に就くなど自立することが困難な若者を支援しようと大阪市は7月1日、全国でも珍しい相談員による自宅訪問事業を特色とした相談室「コネクションズおおさか」(東淀川区東中島、市立青少年文化創造ステーション3階)を開設する。事業の実施は社会参加できない若者支援に実績のあるNPO「育て上げ」ネット(東京都立川市)が担当する。
         対象者は15~34歳で現在仕事に就いていない若者とその保護者。市内には就職、就学をせず、職業訓練も受けていない若者が約2万3000人いると推定されており、人口比あたりの全国平均よりやや高い。
         訪問事業は地域の民生委員やケースワーカーから上げられた情報を元に、本人の承諾が得られれば相談室のコーディネーターが自宅などを訪問。話を聞き、相談室への来室を促す。相談者との相性もあることから、コーディネーターは2人1組で訪問するという。
         相談室は火、木、金、土曜日の午前11時~午後6時半の開室で、キャリアコンサルタントがそれぞれの状態に応じ、個別プログラムを作り支援する。区役所や民間会社など50以上の職場から本人の希望に応じ、仕事体験を行ってもらうという。また、保護者に向けても月1回、子供の理解の仕方や支援団体を伝える相談会を開く予定。
         相談室は月80人の利用を見込んでいる。問い合わせは同相談室((電)06・6328・0550)へ。
        (産経新聞)6月28日7時51分配信

        ●当直医らに患者らが暴力 救急医療に影響「逮捕して!」
        県医師会要請
         救急病院の当直の医師や看護師らが患者や家族から暴力行為を受けるケースが相次いでいるとして、県医師会が県警に加害者の逮捕など厳正な対応を求める異例の要請をしていることが27日、わかった。暴行を原因に、救急医療からの撤退を申し出る病院も出ており、同会は「救急体制に大きな影響が出かねない」としている。
         同会は、市原市内2か所の民間病院で、昨年6月20日と今年4月26日に起きた暴行事案を受けて申し入れた。要請は今月13日付。
         市原市医師会によると、4月のケースは、午前3時ごろ、鼻の痛みで37歳の女性が来院。医師がレントゲンで鼻骨骨折と診断し、「鼻が曲がる恐れがある」と説明したところ、付き添いの男性が突然、医師の顔を殴ったり腹をけったりした。仲裁に入った看護師らも暴行を受けた。
         通報で警察官が駆け付け、騒ぎは収まった。しかし、警察官は「逮捕するなら被害届と4~5時間程度の事情聴取が必要」と説明。医師らは「(事情聴取のために)救急診療を中断することは困難」と、被害届を出さなかったという。
         昨年6月にも、腰痛を訴えて午前1時ごろに救急車で運ばれた男性が、「入院の必要はない」と説明した医師に対し、「入院させろ」と暴行。警察官も来たが、「(男性に)精神障害があり、逮捕できない」と説明を受けたという。医師は首などに6週間のけがを負った。
         市医師会は「被害届や精神疾患にかかわらず、まずは暴行や傷害容疑で逮捕出来るはず。そうした抑止力がないと、病院での暴行が減らない」と訴える。
         市原市では、夜間や休日の救急医療を帝京大ちば総合医療センターなど9病院が輪番で担当。被害に遭った病院からは「安全が守られないなら、輪番を辞退する」との声が出ているという。県医師会の田那村宏副会長は「当直の負担に加え、暴行で医師の意欲が低下すると、救急医療が維持できない。警察には、逮捕という厳しい対応をお願いしたい」と話す。
         県警刑事総務課は「事実関係を確認中で、現段階ではコメントできない」としている。
        (読売新聞)2008年6月28日

        ●迷惑メール:規制強化でガイドライン策定へ 総務省
         迷惑メールの規制を強化する改正「特定電子メール法(迷惑メール法)」が通常国会で成立したことを受け、総務省は28日、事前に受信者の同意を得ていない広告メールの送信を原則禁止するため、「事前同意」の具体例を記したガイドラインを策定する方針を決めた。事前同意は、メールアドレスを自ら書き込んだり、広告の送信を許諾する欄に自分でチェックを入れるなど、広告メールと認識して送信に賛成の意思表示をした場合に限る。事前同意なしに一方的に送った場合は違法な「迷惑メール」とされ、罰金の対象となる。
         改正前の同法は、広告メールの送信者が住所や連絡先などを明示していれば、第三者から入手したメールアドレスに勝手にメールを送信しても受信者が拒否しない限り、違法とはならなかった。改正法は事前の同意がない広告メールの送信を禁止したが、どこまでを「事前同意」とみなすかは、改正法が施行される今年12月までに総務省がガイドラインで定めることにした。
         ガイドラインでは、他人のメールアドレスを無断で用いて同意の通知をする「なりすまし」を防止するため、書き込まれたアドレスに業者が確認のメールを送り、本人の「同意」を再度確認する方法を最も安全な方法として推奨する。
         「広告メールの送信に同意しますか?」などと問いかける場合は、チェックボックスの「はい」に最初からチェックが入っている状態は望ましくないとし、自分の意思で「はい」か「いいえ」をクリックできるようにする。一方、口座を開設している金融機関など取引関係がある業者については、明確な拒否がない限り、事前同意はあるとみなして送信を認める--など、具体的なルールを定める。
         改正法施行後、迷惑メールの受信者は対策機関にメールの内容などを通報して送信元が判別されれば、総務省に報告され、悪質な業者には最高3000万円の罰金が科せられる。
        (毎日新聞)2008年6月29日 2時30分

        ●新潟市教委は対話の場を 出席督促書の波紋
         「正当な理由なく、児童を登校させていない」-。新潟市教育委員会が5月上旬、校長名で児童13人の保護者に出した出席督促書が波紋を広げている。市教委は「保護者から『家庭で教育する』との連絡しかなく、就学義務を果たしていない」と異例の措置を取った理由を説明するが、保護者側は「子供の不登校に悩み続け、学校側とも話し合いを続けていたのに。一方的だ」と市教委の対応に憤る。保護者たちは新潟市内にフリースクールを立ち上げ、不登校の子供が学ぶ場づくりに乗り出している。「謎の不登校」と報道され、さまざまな憶測を呼んだ騒動の背景を探った。(永岡栄治、写真も)
         今月、新潟市郊外の秋葉区天ケ沢新田にある「フリースクールP&T新潟校」を何度か訪ねた。工場跡地を取得し、改装した施設に近づくと、子供たちの歓声が聞こえてくる。約1000平方メートルの校舎は教室のほか、トレーニング器具や体育施設も備えている。
         ここに小中学生ら28人が親の送り迎えで通っており、放課後だけ来る子もいる。講師2人が付いて各教科のドリルを進めるほか、直感力やイメージ力を養う右脳教育や英語、体育、美術、調理も学べる。元教員の母親が教えることもある。
         驚いたのは、子供たちの表情が実に生き生きとしていることだ。「子供の心を大切にした教育をしていますから」と、講師の鈴木優子さん(45)は言う。
         鈴木さんは15年前に旧新津市(現新潟市秋葉区)で幼児教室を始め、3年前から同市東区山木戸で、母親が互いの子供を育て合う方式の親子教室を開いた。現在は就学前の子供約60人が通っているという。
         この教室を出た子供たちが小学校に上がり、学校教育に拒否反応を示すケースが相次いでいる。「先生が怒ってばかりで怖い」「やらされる勉強でつまらない」と、子供たちは口々に訴える。兄や姉が不登校で苦しむ様子を見たり、学校の雰囲気になじめず、1年生4人も登校をかたくなに拒んでいるという。
         不登校に悩んだ母親たちが集まり、鈴木さんの協力を得て4月に塾を開いた。当初は鈴木さんが代表を務めていたが、今月からP&Tに改称、母親の一人の渡辺真由美さん(40)が代表に就任した。来月、NPO法人(特定非営利活動法人)化を申請する。
         P&Tに通う小学3年の女児は1年生の6月、いじめのストレスで授業中にまつげを全部抜いてしまった。2年になると学校で吐くようになり昨年10月、担任や校長と相談して学校を休んでいる。その女児がここで見違えるように元気になり、鮮やかに前転や側転を披露してくれた。
         渡辺代表らは「不登校の原因ははっきりしており、学校の了解も得ていたのに、市教委はなぜ事情も聴かずに督促書を出したのか」と憤る。
         市教委によると、保護者たちは当初、「家庭で責任を持って教育する」と学校に説明し、塾については「代表に迷惑がかかる」と話さなかった。そのうえ、入学当初から不登校の1年生が4人いたことから、市教委は「子供を学校に登校させない異常な事態だ」と判断、校長に指示して督促書を出す事態に発展した。
         佐藤満夫教育長は「督促書を出した児童の中に、不登校傾向の児童が含まれていたことが後で分かった」と認めたうえで、「子供は楽な方、楽しい方を選びがちだが、学校で集団生活を体験したり、苦手分野を克服するのは社会に出るうえで大切なこと」と、学校教育の重要性を訴える。
         市教委は今月から、督促書を出した保護者との個別面談を進め、市教委が不登校児を対象に開いている適応指導教室の利用を呼びかけている。P&Tについては「学校復帰を前提としておらず、施設やスタッフも要件を満たしていない」(学校支援課)としてフリースクールとは認めず、視察にも消極的だ。
         学校復帰を促す市教委と、フリースクール容認を訴える保護者たちの考えには、大きな開きがある。市教委はまずP&Tを視察し、子供たちの状況を確認したうえで、保護者と継続的に話し合うべきではないか。
        (産経新聞)6月26日7時51分配信

        ●支局長からの手紙:学校は休んでもいいんだよ/兵庫
         不登校の小中学生が通う「神戸フリースクール」(神戸市中央区下山手通8)を訪ねました。住宅街の一角にある2階建ての木造民家で、隣には西洋風のテラスや畑などがある広場もあります。
         今春、社会人になった私の娘も中学の一時期、不登校でした。それで、代表の田辺克之さん(64)のお話を聞きたかったのです。「私自身、フリースクールに対する考え方が随分変わりました」という答えが返ってきました。
         田辺さんは元々、明石市内で塾を経営していました。不登校生も来るようになり、90年に同市にフリースクールを開設。しかし、阪神大震災で全壊し、97年に現在の場所に越して来たのです。
         開設当初は、復学に備えて懸命に勉強を教えました。ところが、だんだん子どもの数が減っていきます。ある子に理由を尋ねると、「だって学校と同じだもん」と言われたそうです。そのころ、田辺さん自身の息子が不登校になったこともあり、必死にフリースクールのあり方を模索しました。
         そして、「子どもは子どもの群れの中で育つ」ということを実感したといいます。「3年間も引きこもりだった子どもが、すうーっと仲間に溶け込んでいる。子どもには同じ痛みを持つ仲間を受容し、元気をシェアする力があるんだと分かりました」と田辺さん。“教育方針”は「教えるのではなく、子どもとともに学ぶ」に変わりました。
         さらに、田辺さんはフリースクールを地域に開放します。きっかけは、学校でのいじめ自殺の多発でした。「フリースクールに来る子どもは心配ありません。自分を人間として対等に扱ってくれる仲間やスタッフに囲まれ、元気を取り戻していく。心配なのは学校を休めない子どもたちです」
         昨年夏、無償で借りている隣の空き地にテラスなどを置き、地域の人たちを招いて音楽や紙芝居などの交流の催しを開くようになりました。地域のお年寄りや子どもたちに交じって、「学校を休めない子どもたち」が参加してくれるのを願ってのことです。
         現代社会でフリースクールは今や欠かせない存在です。神戸フリースクールも2年前から学校通学扱いになりました。また、同スクールは近く、熊本県の高校と提携して高等部を新設します。パソコンを通じて高校の授業が受けられるようにするそうです。
         「学校は休んでもいいんだよ」という田辺さんのメッセージが子どもたちに届けば、と思います。神戸フリースクールの連絡先は078・366・0333です。
        (毎日新聞)6月23日13時1分配信

        ●交流会:「大切な居場所の提供」 不登校児保護者らが意見交換--尼崎/兵庫
         不登校の子どもの保護者らで作る「あんだんての会(尼崎登校拒否児をもつ親の会)」が22日、尼崎市大西町1の立花地区会館で交流会を開いた。30年以上、小学校の教諭をしていた森川紘一・大阪教育文化センター相談員を招いてアドバイスを受けたほか、約10人の父母らが意見交換した。
         97年5月から約2カ月に1回のペースで交流会を開き、今回が64回目。参加者の一人が「子どもが以前と同じような笑顔を取り戻してくれるように頑張りたい」と話すと、森川さんは、「以前と同じということを目標にするのではなく、新しく生まれ変わった子どもを見てあげることが大事。同時に親も生まれ変わらなくては」とアドバイス。ほかの参加者も真剣に耳を傾けていた。
         森川さんは、高齢者の自殺の増加に触れ、「高齢者の喪失感は幼少時の愛情の不足が一因という指摘もある。やはり家庭などで子どもたちにきちんと居場所を提供してあげることが大切」と話していた。
        (毎日新聞)6月23日13時1分配信

        ●「いじめは止められる」 被害者の会・大沢さん志摩中で講演 教師や教委の責任を強調
         いじめが原因で自殺した子どもの家族らで発足した「全国いじめ被害者の会」代表の大沢秀明さん(64)=大分県佐伯市=が27日、志摩町の志摩中学校(山口幸美校長、514人)で「いじめは止められる」と題して講演した。
         生徒のほか保護者ら約50人を前に大沢さんは、四男の秀猛君が城島町(現久留米市)の中学3年だった1996年1月、2年10カ月にわたって続いたいじめを苦に自殺したことや、秀猛君の死を悼み親友が大沢さんあてに書いた手紙を読み、悲しみを振り返った。
         そのうえで「先生も教育委員会もいじめを認めようとしなかった」「いじめる生徒は出席停止にするとか、場合によっては警察が乗り出して対処しないと、いじめはなくならない」と訴えた。
         講演の後、生徒たちが感想を発表し、3年の男子生徒は「いじめを見たら止めようと思う」と述べた。「保護者も考えないといけない問題だと感じた」と講演を企画したPTA役員の山田久志さん。山口校長は「教師が担った役割の重さを再確認した」と話した。
        (西日本新聞)6月28日7時7分配信

        ●高2男子自殺:いじめ、再調査へ 県教委、父親の要望受け/群馬
         西毛地区の県立高校2年の男子生徒(当時17歳)が昨年12月に自殺し、遺族がいじめが原因として県教委に調査を求めている問題で、生徒の父親(47)は24日、福島金夫教育長あてに再調査を求める電子メールを送った。近く正式に要望書を提出する。福島教育長が19日の記者会見で再調査について「遺族から正式な要望があった段階で検討する」と答えたことを受けたもの。
         一方、福島教育長は「遺族の要望に沿って可能な限り取り組みたい」と述べ、県教委として再調査に乗り出す考えを示した。
         父親はメールで、福島教育長が会見で「具体的ないじめは確認できなかった。調査には限界がある」などと述べたことを「遺憾」と指摘。「調査が尽くされたとはとうてい思えない。私どもとしては息子の死の動機を知ることが第一だ」と伝えた。
         メールを受けた福島教育長は、毎日新聞の取材に対し「今回は要望の中身が明記されていないが、具体的に再調査を求められたら当然応じる」と説明。具体的な再調査の内容などは、正式な要望書を受け取った上で検討する構えだ。学校側も「県教委から指示があれば可能な限り協力したい」と述べた。
         遺族は昨年12月と今年3月に県教委に調査を依頼したが、学校は12月に在校生を対象に個別面談や記名のアンケートなどを実施したのにとどまっている。
        (毎日新聞)6月25日13時1分配信

        ●自殺者遺族の心のケア 小冊子を発行
         自殺者遺族の心のケアに役立てるため、京都市こころの健康増進センター(中京区)はこのほど、小冊子「大切な人を自死でなくしたあなたへ」を発行した。
         「自死遺族」の多くの人が、周囲の理解が得られず、自分を責めたり、抑うつ状態となるという。冊子では、悲しみや悩みを同じ立場の人と分かち合うことの大切さを紹介している。
         遺族への接し方についても、「助言や指導ではなく、気持ちを受け止めてあげて」とアドバイスする。A5判、12ページ。6000部発行し、同センターや各保健所などで無料配布している。
        (京都新聞)6月25日15時10分配信
        自閉症スペクトラム障がいのある人は、本当に相手の気持ちが読めない?
        2008/06/22
         過去にも同じようなタイトルで書いたことがあるかも知れません。
         「相手の気持ちを読み取ることができない、または苦手」と言われる自閉症スペクトラム障がいですが、本当にそうでしょうか?
         確かに「苦手」さはあると思います。あるいはコミュニケーションのスキルを獲得し損なっている人で、一方的な会話をするなどを起こして、「場の空気が読めない」とか、「言葉が丁寧過ぎる」などの違和感から、「人の気持ちがわからない」と思われてしまいがちです。
         でも、本当に相手の気持ちがわからないのでしょうか?
         私は、そんなことはない、と強く主張したいと思います。
         自閉症スペクトラム障がいのある人の多くが、相手からどう思われているか不安に感じています。また、相手に迷惑をかけたくない、と強く思っています。そんな思いから、二次的に抑うつ状態になる人も少なくありません。
         自閉症スペクトラム障がいのある人が、「相手の気持ちが読めない」と思われてしまう理由として、どんな時、あるいはどうすれば相手が喜ぶか、楽しい・嬉しいと感じるか(あるいはその逆)を学ぶ体験が不足していることがあげられます。「どうしてこんな簡単なことがわからないの(できないの)?」と叱られても、学び獲得できていないのですから、対応できないのです。時には、その場しのぎに話しを作り上げてしまうこともあります(これがまた、大きなトラブルの引き金になってしまうのですが…)。
         律儀でまじめで、基本的にウソがつけないという特性がありますから、お世辞を言ったり、場をうまくとりつくろったりすることは当然苦手です。
         でも、自閉症スペクトラム障がいのある人の多く(IQの高さによって苦手さがカバーされている人も多くおられます)は、相手に対して細やかな気遣いのできる人たちであるという事実があまりにも知られていないことが残念でなりません。
         次回は「自閉症スペクトラム障がいのある人で雨の日が好きな人が多い理由」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <自殺者>10年連続で3万人台 高齢者と30歳代増加

         07年の全国の自殺者は3万3093人で、10年連続で3万人を超えたことが警察庁のまとめで分かった。前年比938人(2.9%)の増で、03年(3万4427人)に次いで多く、依然歯止めがかかっていない。年代別の対前年増加率は、60歳以上の高齢者(1万2107人)が8.9%と最も高く、次いで30代(4767人)の6.0%の順だった。両世代は統計を取り始めた78年以降、人数も最多だった。
         60歳以上と30代以外の自殺者は、多い順に▽50代7046人(前年比2.8%減)▽40代5096人(1.8%増)▽20代3309人(同2.5%減)▽19歳以下548人(同12.0%減)。19歳以下では、未就学児童はゼロだったが、小学生8人、中学生51人、高校生215人が含まれている。
         原因・動機については、昨年、遺書などから特定できた場合のみ計54の選択肢の中から三つまで複数計上する方式に改めた。特定した2万3209人のうち、最も多いのは「病気の悩み(うつ病)」(6060人)で、次が「身体の病気の悩み」(5240人)と、健康問題を苦にしての自殺が多い。昨年から選択肢に盛り込んだ「いじめ自殺」は19歳以下で10人。
         60歳以上で原因を特定できた8451人では、「身体の病気の悩み」3644人、うつ病2070人に次いで▽生活苦371人▽多重債務366人▽介護・看病疲れ153人など高齢社会の課題も浮き彫りになった。
         30代で特定できた3366人では、うつ病996人、「病気の悩み(統合失調症)」346人のほか▽多重債務341人▽仕事疲れ171人▽職場の人間関係144人が目立った。
         都道府県別(発生地)では▽東京都3047人(前年比14.3%増)▽大阪府2241人(同14.8%増)など都市部で増加した。
         自殺問題に取り組むNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表の話 増加している60歳以上と30代のいずれも仕事がらみの問題がきっかけとなる自殺が目立つと実感している。60歳以上であれば仕事に就けない不安、「就職氷河期」を経験した30代は職場での過労の問題などを抱えている。うつ病による自殺が目立つが、なぜうつになるかを解明し、対策を講じていくことが必要だ。
        (毎日新聞)6月19日10時46分配信

        ●自殺原因、医療・保健従事者も最多は健康問題
         昨年一年間に発生した自殺のうち、「医療・保健従事者」によるものが「専門・技術職」の中で「その他の専門・技術職」に次いで2番目に多いことが、警察庁の調べで6月20日までに明らかになった。中でも、うつ病など「健康問題」による自殺が多かった。
         集計結果によると、昨年一年間に全国で自殺した人は3万3093人(前年比2.9%増)で、1998年以来10年連続で3万人を超えた。
         このうち医療・保健従事者を含む専門・技術職の自殺者は872人で、全自殺者の2.6%。専門・技術職の内訳を見ると、「その他の専門・技術職」の428人に次いで医療・保健従事者の298人が多かった。男女別の内訳は、男161人、女137人。
         また、遺書などで自殺の原因や動機が推定できる2万3209人について、原因・動機(一人3つまで)を見ると、「健康問題」が最も多く、医療・保健従事者に限っても「健康問題」が最多。中でも、うつ病が圧倒的に多かった。
        (医療介護CBニュース)6月20日15時36分配信

        <連続幼女誘拐殺人>最後まで反省や謝罪の言葉聞かれず…
         連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤死刑囚(45)の死刑が17日、東京拘置所で執行された。判決確定から2年余り。宮崎死刑囚は再審請求の意向を示し、死刑制度を批判する手紙も公表したが、鳩山邦夫法相は早期の執行を決断した。社会を揺るがした特異な事件の発生から20年。法廷で不可解な発言を繰り返した男からは、最後まで反省や謝罪の言葉は聞かれなかった。
         「絞首刑は残虐」。宮崎死刑囚は、月刊誌「創」の篠田博之編集長に宛てた手紙の中で現行の死刑制度を批判する持論を再三展開した。同誌06年7月号によると、宮崎死刑囚は現行の絞首刑について「踏み板(床板)がはずれて下に落下している最中は、恐怖のどんぞこにおとしいれられるのである(人権の軽視になってしまいます)」と主張。薬物注射による執行の導入を訴えた。
         また、07年5月の手紙では「この国の現行の死刑執行方法だと、死刑確定囚の人は、刑執行時は恐怖とたたかわねばならず、反省のことなど考えなくなる」(同誌07年8月号)とも述べていた。
         篠田編集長によると、宮崎死刑囚からはほぼ毎月、手紙が届いた。幻聴を訴えたり、拘置所内で放送されたラジオ番組の内容を詳細に記すこともあった。しかし、10年以上にわたる300通以上の手紙の中で、被害者や遺族への謝罪はなかったという。
         執行を聞いた篠田編集長は「全く想定していなかった。極めて異例の早い執行だ」と驚きを隠さなかった。「彼は病気の影響もあって無頓着で、自分がどういう境遇にあるのか、よく分からない様子だった。死刑確定の意味についてもしっかり説明は受けていないようだった」と振り返った。
         06年1月に最高裁で上告が棄却された後、東京拘置所で面会した関係者に対し、宮崎死刑囚はほおづえをつきながら「(死刑は)何かの間違い」と語った。再審請求する意向を周囲に示していたという。
         なぜ、あのような事件を起こしたのか。この疑問を解こうと、臨床心理士の長谷川博一・東海学院大教授は最高裁判決の前日から約2週間の間に8回、宮崎死刑囚と拘置所で面会した。だが、公判で「(犯行時に)ネズミ人間が出てきた」などと不可解な供述をしていた宮崎死刑囚は、面会でも「常識では通用しない答えが多い」(長谷川教授)。反省の言葉を口にすることもなかったという。
        (毎日新聞)6月17日12時16分配信

        ●過度の携帯電話利用が若者の睡眠に影響――研究者が報告
         携帯電話を過度に利用する若者は、眠りが途切れがちになったり、落ち着きがなくなったり、ストレスや倦怠感を感じやすい傾向がある――スウェーデンのSahlgren’s Academyの研究者が報告している。
         この研究は、睡眠に問題のない14~20歳の21人の健康な被験者に対して行われた。被験者を統制群と実験群に分け、統制群は1日に5回未満の通話、5通未満のテキストメッセージ送信を、実験群は1日15回以上の通話、15通以上のメッセージ送信を行った。その後被験者は生活や睡眠に関する質問に答えた。
         その結果、統制群と比べて、実験群の被験者の方が落ち着きと注意力がなくなり、刺激のある飲み物の消費が増えた。さらに眠りにつくのが難しくなり、睡眠が途切れがちになり、ストレスや疲労感を感じやすくなった。
         研究報告書を執筆したSahlgren’s Academyのギャビー・バドレ氏は、携帯電話中毒は増えつつあり、若者は24時間つながっていなければならないという圧力を感じていると述べている。同氏は若者にとって睡眠は重要であるとし、過度の携帯電話利用が睡眠と覚醒のパターンに悪影響を及ぼすという認識を高めることが必要だとしている。
         この研究報告はAssociated Professional Sleep Societies(APSS)の年次学会で発表された。
        (ITmediaニュース)6月17日11時22分配信

        ●特集ワイド:秋葉原殺傷事件 問われる「社会の責任」--大塚英志さんに聞く
         ◇神戸芸術工科大教授・大塚英志さんに聞く
         東京・秋葉原で17人が殺傷された事件発生から約1週間。逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は「ウソをつくつもりはない」と素直に応じ、捜査員に自分の不遇を訴えているという。犯行予告をしていた携帯サイトには、職場への不安や家族に対する不満を書き残していた。この事件の奥に何が見えるか。漫画原作者で神戸芸術工科大教授の大塚英志さん(49)に聞いた。
         ◆加藤容疑者と永山元死刑囚の共通点
         ◇時代の「若者像」との格差/軍用の武器を使用/親から「捨てられた」意識
         「今回の事件を起こした彼を見ていると、永山則夫を思い出します」。永山則夫・元死刑囚は1968年、19歳の時に警備員ら4人をピストルで無差別に殺害したとして、97年に死刑が執行された。極貧家庭で8人兄弟の四男として生まれ、バクチ好きの父親と逃げ出した母親から育児を放棄された。「おれが無知で、貧乏だったから」と法廷で事件の背景を語っている。大塚さんには、永山元死刑囚の時代を描いた漫画「アンラッキーヤングメン」(角川書店)の作品がある。
         「永山は中学卒業後、集団就職で青森から上京した。このころ、大学生たちが少年マガジンを読み、アングラ劇団が始まった。つまり、サブカルチャーが生まれた。永山は職を転々とした後、新宿でジャズバーの店員となった」。大学生という新しい若者像にたどりつけなかった永山元死刑囚と、正社員との格差が広がる「派遣社員」である加藤容疑者の位置が、時代を超えて重なるという。
         60年代の若者文化の中心が新宿なら、現代は秋葉原だ。永山元死刑囚は在日米軍基地から盗んだピストルで犯行を重ね、加藤容疑者はミリタリーショップでダガーナイフを手に入れた。「永山が幼いころから家出を繰り返し、母親から『捨てられた』ことに拘泥する姿も、彼と重なりあう」。加藤容疑者は、携帯サイトの掲示板に、<中学生になった頃(ころ)には親の力が足りなくなって、捨てられた>と書き込んだ。「ネットやアキバと関連付けようとすればするほど、彼の姿が見えなくなる」
         共通点を並べたうえで、大塚さんは強調する。「永山の時代と今が『変わった』とすれば、事件を受け止める側に『社会の責任』という感覚が希薄化したことに尽きます。メディアの報道は、心の闇という決まり文句を繰り返し、直接的な原因をサブカルチャーに求め、自己責任として個人の厳罰化を叫んできた。しかし、派遣労働者の問題は『社会問題』で、そのような『社会』を容認してきたのは誰なのか。今日ではさすがに考え込まずにはいられなくなっている」
         「加害者を生んでしまったことに、私たちの責任はないだろうか。かつて繰り返された問いをもう一度真摯(しんし)に考える時期に来ています。加害者の責任の一端を担う社会の枠組みをもう一度復興できるかが問われている。労働格差に悩む若い人の間で、蟹工船が読まれる時代なのです」
         加藤容疑者は掲示板にたくさんの「自分について」を書き込んでいる。
         <平日の昼間からふらふらしている俺(おれ)ってなんなんだろうね>
         <いつも悪いのは全部俺> 大塚さんは「彼は自分であることの不安や、社会が実感できない不安に耐えかねていたのでしょう。自分だけの言葉で『誰かぼくの声を聞いてくれ』では誰にも届かない。彼は他者と会話する言葉を使うことができず、返事がこない孤独に耐えることができなかった。そして、返信する側も彼を受け入れることができなかった」と語る。誰もが発信者になれるインターネット。未熟な言葉を発しているのは加藤容疑者だけではないだろう。
         では、どうしたらいいのか。大塚さんは「難しいことじゃない。見知らぬ誰かと話すことから始めればいい。アキバは本来、それが可能な街だったはずです」と話した。
        (毎日新聞)2008年6月17日

        ●<ゴミ屋敷>育児放棄と密接関連か 「ゴミ屋敷」30世帯中6世帯で学校いかず
         ◇福岡県内の30世帯--不登校・予防接種なし顕著
         福岡県内の18歳未満の子供がいる家庭で、家の敷地内や室内にゴミをため込み生活に支障をきたす「ゴミ屋敷」が、30世帯に上ることが西南学院大の安部計彦(かずひこ)准教授(児童福祉)らの調査で分かった。このうち6世帯で子供が学校に行っておらず、9世帯で予防接種などを受けさせていなかった。安部准教授はゴミ屋敷がネグレクト(育児放棄)に密接に関連していると指摘している。
         安部准教授のゼミが07年7~8月、県内の全78市区町村の児童福祉担当者を対象に無記名で実施したところ、35市区町村から実態を踏まえた回答があった。30世帯(15カ所)のうち、親が昼間不在▽ゴミを片付ける意思がない▽家庭への介入を拒否する--の3項目に該当する24世帯について分析した。
         ゴミ屋敷では、就労率が7割(17世帯)にもかかわらず、公共料金を滞納している家庭が8割(19世帯)に上った。子供との関係では、25%(6世帯)が学校に行っておらず、3~6年間も登校していない子供が2人いた。また、予防接種など保健上のケアを受けさせてない9世帯のうち、公共料金滞納が8世帯に上るなど、さまざまな形で世間とのかかわりを避ける傾向が浮かび上がった。
         親が社会ルールを無視することが、子供の成育にも影響を与えている。ゴミ屋敷があると回答した15カ所中、衣服や体が不潔だったり、基本的な生活習慣の遅れがある事例がそれぞれ9カ所であり、低体重・低身長の事例も2カ所であった。
         一方、実態を「把握していない」と回答した自治体も7カ所あった。安部准教授は「清潔な環境は子供が健全に育つためのベースとなる。存在を把握していない自治体は子供のネグレクトを見逃している可能性もある。行政の福祉的な目配りが必要だ」と話している。
         ◇玄関に衣類の山、風呂も物あふれ--「家と言えぬ」状態
         「隣の部屋から異臭がする」との連絡を受け、民生委員がある民家を訪れると、玄関まで衣類や靴が散在していた。台所のコンロ台は物置き場と化し、居間のテーブルに簡易コンロがあった。衣類はかごに入れたまま長期間にわたって放置。風呂場にも物があふれ、住居とは到底言えないものだった。
         福岡県久留米市では07年度の虐待相談が120件あり、うちネグレクトに関する相談が半数近くの50件。同市家庭子ども相談課の浦部伸子技術主査は「身体的・性的虐待などと異なり、ネグレクトの親は程度の差こそあれ、『ゴミ屋敷』状態に陥っていることが多い」と指摘する。
         こうした家庭の多くは、予防接種や、4カ月から3歳まで4回ある定期健診も子供に受けさせていないという。理由を尋ねると、母親の多くは「バスを使ってまで、なかなか行けない」「他の兄弟を連れてはいけない」と釈明するという。
         浦部さんは「子供が食事を十分にとっていなかったり、言葉の遅れがある場合が多い。民生委員や児童委員、学校とともに、『ゴミ屋敷=ネグレクト』という共通認識をもって対応にあたるようにしている」と話している。
        (毎日新聞)6月20日17時23分配信

        ●フリースクールの現場から/3 「母原病」は本当か/栃木
         ◇親を孤立させない
         「育て方が悪かった」。リョウヘイ(19)=仮名=の母が息子の不登校に悩んでいた時、親せきに言われ、心に突き刺さった言葉だ。「荒井先生だけは『ゆとりがなかったんでしょう』と私を責めなかった。それが救いでした」と振り返る。
         リョウヘイの母は孤立無援だった。夫が子育てに無関心だったからだ。友人との付き合いがうまくいかず、高校2年で中退したリョウヘイは、家庭内暴力を振るうようになった。同居する祖母(夫の母)の胸ぐらをつかんだり、竹刀でふすまをボロボロにすることもあった。自身もふくらはぎを歩けなくなるくらい蹴(け)られた。
         それなのに、リョウヘイとろくに会話もしなかった夫は、攻撃の矛先が自分に向かないこともあって、暴力に対して毅然(きぜん)とした態度を取ってくれなかった。むしろ「怒らせる方にも問題がある」と責めさえした。「この人には何を言っても無駄だ」。リョウヘイの母だけに、重荷がずしりとのしかかった。
         栃木市の自宅でフリースクール「蔵の街分教場」を開く荒井清さん(65)は、85年から23年間、不登校などに悩む親や子の電話相談に応じている。その中には、リョウヘイの母のように周囲から一方的に責任を押しつけられ、苦しむ親もいる。荒井さんは「今の日本は地域共同体そのものが崩壊している。不登校を家庭内病理とか、子育ての失敗とか、親だけのせいにするのは間違っている」と指摘する。
         1979年に出版され、ベストセラーになった「母原(ぼげん)病-母親が原因でふえる子どもの異常」(久徳重盛著)。小児科医の久徳氏は「現代の子どもの異常の60%はその母親の育児が原因」と論じた。荒井さんは「『不登校は母原病』とする主張に、今でも多くの母親が傷付いている」と言う。
         荒井さんと出会い、リョウヘイの母は少なくとも孤立状態ではなくなった。荒井さんと母は互いに「なくてはならない存在」として支え合った。
         リョウヘイは、荒井さんにとっても一筋縄ではいかない存在だった。05年8月から荒井さんのフリースクールに通ったが、何かと手を焼かせた。06年4月に定時制高校に編入したが、「楽して暮らしたい。働きたくない」と言い張り、学習意欲に乏しかった。
         「もっと休ませた方がいいのか?」。荒井さんは自問した。しかしリョウヘイには、放置すれば引きこもり、自ら泥沼に沈んでいきかねない危うさがあった。結局放っておけず、「次につながる何か」を身につけさせようと荒井さんはあれこれ働きかけ、何とかこの春、卒業までこぎ着けた。
         ただリョウヘイは、何か自分の道を見つけられたわけではない。荒井さんは有償のボランティアを通じて労働体験をさせようと考えたが、リョウヘイは荒井さんと親元を離れ、別の民間訓練施設で寮生活することを選んだ。荒井さんは「心配もあるが、外に出るのは自立への一歩」と話す。=つづく
         「蔵の街分教場」(栃木市片柳町1)に関する問い合わせは電話0282・24・2540、またはメール(arakiyo@cc9.ne.jp)。
        (毎日新聞)2008年6月19日

        ●不登校児ら対象に漫画教室
         不登校を考える会・広島は30日午前10時、広島市佐伯区の吉見園公民館で、不登校の子どもや家に引きこもりがちな青年を対象に、プロの漫画家が手ほどきするマンガ・イラスト教室の無料体験会を催す。佐伯区在住の漫画家甲斐さゆみさんと迫田良明さんが、描き方を教える。子どもや若者が家の外へ出掛けるきっかけづくりにしてもらおうと企画した。7月7日からは原則毎週月曜日に教室を開く。月会費3000円。
        (中国新聞)08/6/19

        ●学校耐震化:公立校、財政制約で進まず 小中48.5%、高校50.2%/広島
         文部科学省が20日発表した今年度の全国の公立学校の耐震化状況から、依然として進まない県内の状況が浮き彫りとなった。県教育委員会施設課は「今年度の県立学校予算のうち約6割を耐震化関連予算に費やしているが、財政上の制約が厳しく、なかなか進まない」と漏らす。一方で、耐震化事業への国の補助率アップのない私立学校も厳しい状況を強いられている。
         ◇私立小中高も51・6%のみ
         県内の公立小中学校耐震化率は48・5%(前年度44・8%)で全国42位。公立高校は同50・2%(同47・6%)で同38位だ。一方、県内の私立学校は、昨年4月1日現在、小中高校の校舎や体育館など283棟のうち、耐震化されているのは146棟で、51・6%。全国41位だった。
         県学事課によると、今年度は聞き取り調査の予定はなく、公立学校のような耐震化工事に対する国の補助率増の予定もない。「児童生徒の安全にかかわることなので、理解を求めていきたいが、現実はなかなか厳しい」(県学事課)状況が続く。中には改修よりも建て替えた方がいいケースもあり、多額の費用がかかるため、難しいという。県は、私立学校が耐震化工事のために金融機関などから借り入れた際、利子を1%補助する独自の制度を設けているが、「財政的にこれ以上新たな補助制度を設けることは難しい」という。
        (毎日新聞)6月21日16時1分配信

        ●ネットいじめ、抽出全校で発生/神奈川県内公立中学
         携帯電話やパソコンのインターネット上の掲示板で中学生が同級生らから悪口や嫌がらせの言葉を書き込まれるなどの被害に遭うケースが、県教育委員会が抽出して調査した県内の公立中学校すべてで発生していたことが18日、分かった。社会問題化している「ネットいじめ」の温床が各中学校に浸透している実態が浮き彫りとなった。
         県教委は1~3月、公立小・中学校、高校の実態調査を5年ぶりに実施。対象校が昨年4月から12月までの発生状況を答えた。中学校は415校から抽出した40校すべて、高校は全県立高(全日制課程152、定時制課程19)の約6割の110校、小学校は866校から抽出した80校のうち約3割の27校で、それぞれ発生していた。
         調査校の児童生徒へのアンケートでは、ネット上の掲示板などで嫌なことを書き込まれた経験が「よくある」「わりとある」と答えたのは、小学生80人、中学生294人、高校生1776人に上った。逆に、掲示板などで相手に嫌な思いをさせたことが「よくある」「わりとある」との回答は、小学生49人、中学生161人、高校生802人。
        (カナロコ)6月18日21時50分配信

        ●<女子高生自殺>父親がネット書き込みの同級生告訴 北九州
         北九州市小倉北区の私立美萩野女子高校の1年生(16)が同級生からネット上に「死ね」などと書き込まれたのを苦に自殺した問題で、女子生徒の父親(51)が20日、この同級生を侮辱容疑で福岡県警小倉南署に告訴した。
         女子生徒は5月29日、「『みんなに嫌われてるよ』などと何度も書かれた」などとする遺書を残して自宅で自殺しているのが見つかった。告訴状では、この同級生がネット上に「葬式出てやるけ はよ死ね」「動脈切って死ね」などと書き込み、公然と女子生徒を侮辱した、としている。
         父親は告訴後、報道陣に「(かかわっているのは)告訴した同級生1人だけではないと思っている。学校の調査には限界があり、警察の捜査で解明してもらいたい」と話した。
        (毎日新聞)6月21日9時57分配信
        年金追納、住民税納税再開で驚愕!!
        2008/06/14
         今週は私事ですみません。が、怒ってるんです!
         このサイトを開設し、「つぶやき」を毎週更新(基本的には)してきた私にお付き合いをして下さっておられる皆さんには、このタイトルの意味をリアルに理解していただけるかと思います。
         かいつまんで書きますと、2003年に20年ほど勤めていた企業を退職し、放送大学学生として2年間ひきこもり、相談室カンナを開設して相談業務を始めつつ、精神保健福祉士国家資格受験資格取得のために専門学校の通信制で2年近く学び、何とか精神保健福祉士国家資格試験に合格し、現在に至るわけです。わずかばかりの退職金と預金を取り崩しながら生活をやりくりしていましたが、削れるものは削るしかない、という局面にぶつかり、取った方策が、年金の支払いを止めることと、住民税非課税世帯となることでした。
         相談室カンナが、個人事業として「税金」を収めるようになったのは、昨年度の確定申告からです。つまり、つい先日のこと…。なのに、なのに…。
        ほんのわずか、基準を上回る所得になったばっかりに、住民税課税となってしまいました。そして、年金の支払いを止めて後に追納ができるのは2年間分で、「そろそろ…」とは考えていて、市役所に相談に行ったら、追納を開始することに(なりゆきで)なってしまい、平成19年2月分から追納していくことになりました。
         がんばって、少々売上高が増えたと思ったのも束の間の喜び。年金と住民税を支払うことにすれば、「増えた」分は飛んでしまいます(住民税なんて、1カ月分の収入に相当します)。あー、どうしたものか…。
         今回は、泣き言になってしまってすみません。
         次回は「自閉症スペクトラム障がいのある人は、本当に相手の気持ちが読めない?」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        モンスターペアレント対策、警察OBを学校に派遣 堺市教委

         理不尽な要求や難題を学校側に突きつける保護者、いわゆる「モンスターペアレント」が社会問題化するなか、堺市教育委員会が大阪府警OBら2人を「学校危機管理アドバイザー」として採用していたことが13日、わかった。教職員だけでは対応が困難な事案の対処法について適切なアドバイスを行い、学校をサポートする。“モンスターペアレント対策”として教育委員会に警察官OBを配置するのは府内では初とみられる。
         市教委によると、気に入らない担任の解任を求めるなど、保護者らが無理難題を市内の小中学校に要求した事案は平成18、19年度いずれも20件報告されている。
         なかには教師がピアスをしてきた児童に外すよう注意したところ、父親が「他の子供に迷惑をかけているわけでない。自分がやることは最後までやり通させるのが、こっちのポリシーや」と強硬に反論してきたケースや、クラス替えで仲の良い5人のうち1人だけが別学級になったところ、その両親が「差別ではないか」と強く抗議してきたこともあった。
         保護者だけでなく、地域住民から「車のボンネットに(学校の)桜の花びらがついて、掃除に困るから木を切ってくれ」と要求があり、やむを得ず応じたケースもあったという。
         このような、学校が対応に苦慮する事例が増加しているため、市教委は3月に府警を退職した警察官OBと元小学校長の2人を4月に採用、理不尽な要求などの対策にあたらせることにした。2人は市内に計139校ある小中学校、養護学校内を巡回したり、校長らの相談相手になるほか、学校の“SOS”にアドバイスを行い、解決までサポートする。
         同様の対策としての警察官OB採用は、政令指定都市では京都市教委や北九州市教委がすでに実施している。
         「学校危機管理アドバイザー」制度について、堺市東部のある校長は「学校の問題は自助解決が基本だが、後ろで支えてくれるシステムがあるのは心強い」と語る。
         堺市教委は「かつてはありえなかった信じられないような要求が保護者からあり、現場は対応に苦慮している。こういうアドバイザーがいなくても学校運営できる状態が一番いいのだが」と話している。
        【用語解説】モンスターペアレント
         学校などの教育現場に理不尽なクレームを寄せたり、要求をするなどし、学校運営に支障をきたす保護者。校長や教員らが話し合いや説得に努めても、感情的なもつれなどから問題の解決がこじれ、なかには虚偽の告発をするなどして法的問題に発展させようとするケースもある。
        (産経新聞)6月13日15時55分配信

        ●2カ月間休まず勤務 キヤノン社員自殺を労災認定
         沼津労働基準監督署(静岡県)は13日までに、自宅に仕事を持ち帰り長時間残業を続けたキヤノンの男性社員=当時(37)=の自殺について、過重な業務で精神疾患を発症したのが原因として労災と認定した。
         労災を申請した妻の代理人の弁護士によると、男性はキヤノンの富士裾野リサーチパーク(静岡県裾野市)に研究職として勤務。平成18年11月30日、電車に飛び込み自殺した。
         職場は午後10時までしか残業できない決まりだったが、男性は帰宅後や休日も深夜までパソコンを使って仕事をしていた。同年8月末から10月下旬まで54日間休まずに働いており、社内での勤務時間と合わせると、自殺前1カ月の残業は263時間に上った。
         また研究成果を発表する「成果展」の準備で長時間残業。当日は慣れない研究分野の発表で質問にうまく答えられず大きな精神的ストレスを受けたという。
        (産経ニュース)2008.6.1318:04

        ●ひきこもり:脱出へ支援、府青少年課チーム設置 深刻化の前に手立てを/京都
         ◇都道府県単位で初
         府青少年課はこのほど、中退や不登校を経験してひきこもりになった若者を訪問して支援する「チーム絆(きずな)」を設置した。家庭や学校から連絡を受けると、担当者が家庭を訪問して相談に応じる。ひきこもり支援にあたる団体や就職支援機関を紹介し、深刻なひきこもりに陥ることを防ぐ。府によると、都道府県単位での支援チーム設置は全国初。
         チームは同課職員と元養護教諭、臨床心理士の計4人で構成。主な対象は中学卒業後から20歳未満で、卒業や中退などで学校との接点を失ってから間がなかったり、在学中だが接点を失いつつある若者とする。学校とのつなぎ目に着目するのは、ひきこもるのは不登校から移行した若者が目立つため。深刻化する前に社会との接点を持てる道を探る。
         チームは、面談のほか若者の就労支援を手助けする「京都ジョブパーク」や精神面などのケアにあたる「府ひきこもり相談支援センター」と連携し、自立に向けた方法を探る。
         同課は「まずどのようにして訪問を受け入れてもらい、本人と会うかから慎重に考えなければならないだろう」と話している。
         本人が同意すれば家族や学校、府ひきこもり相談支援センターを通じてチームを利用できる。無料。問い合わせはサポートダイヤル(075・414・4304)またはサポートメール(seisho@pref.kyoto.lg.jp)で。
        (毎日新聞)6月11日17時1分配信

        ●ピア・サポーター:不登校・ひきこもりを支援しよう 養成講座に30人-県/奈良
         不登校・ひきこもりの青少年を支援する「ピア・サポーター」の養成講座が、県庁で開かれた=写真。心理学や教育学を学ぶ学生や大学院生ら約30人が受講した。
         県青少年課と県青少年育成ボランティア協会が共催。県内には、ニート・ひきこもりの人が7000~8000人いるといわれている。問題を抱える青少年が気軽に相談できるよう、同世代の支援者を育成する。
         講座では、県臨床心理士会会長の石田陽彦・関西大社会学部教授が、「人に合わせようとし過ぎる子がしんどくなって不登校になりやすい」などと、不登校・ひきこもりからニートに至る過程と支援について説明した。
         今後、受講生は同協会にピア・サポーターとして登録。適応指導教室や若者自立塾にボランティア派遣され、家庭訪問などをする。
        (毎日新聞)6月11日17時3分配信

        ●広がれ、はぐくみの輪 南区のフリースクール開設10年/京都
         京都市南区のフリースクール「ほっとハウス」が開設10年目を迎えた。節目の年に、市の助成を受け、生徒らがデザインしたエコバッグ作りや野球大会などを計画。スタッフらは「地域に根ざした活動で子どもたちをはぐくむ輪を広げたい」と意気込んでいる。
         ほっとハウスは、不登校生徒たちの居場所作りを目的に、鷹羽良男代表(41)とスタッフの大辻咲子さん(30)を中心に、学生らのボランティアが運営にあたっている。現在、小学生から20代までの18人が一緒に勉強や遊び、スポーツなどに取り組んでいる。
         開設10年目を迎え、生徒たちの社会参加をさらに進めようと新事業を企画。本年度は市からも助成金を受けられることになった。
         相互交流や就労体験などをテーマに、生徒たちが描いた絵を使ったエコバッグやはし袋などほっとハウスのオリジナル製品を作り、区社協の夏祭りで住民に配布したり、地域の飲食店や商店などでの使用を依頼していく。
         また、生徒やスタッフの野球チームと区内の他チームが参加する野球大会や、南青少年活動センターでの交流サロンを主催する。
         自身も不登校を経験し、開設当初からかかわるボランティアスタッフの愚川聡晃さん(26)は「この10年、ほっとハウスと自分の成長が重なる。ここでは毎日、生徒の成長ぶりも見える。閉鎖的にならず外とつながっていければ」という。
         鷹羽代表も「10年続けるのが目標だったが、今は通過点となった。子どもの成長には、同世代の仲間作りが大切。垣根なく、いろいろな子どもが胸を張って来られるよう、地域とのつながりを作りたい」と話している。
        (京都新聞)6月13日11時59分配信

        ●学校裏サイト、川崎市が相談窓口充実へ
         川崎市教育委員会は十二日、「学校裏サイト」を介したいじめやトラブルの実情を把握するため現在、各学校で調査を実施しており、結果を踏まえて相談体制の充実を図ることを明らかにした。市議会定例会の本会議で公明党の菅原進氏の代表質問に木場田文夫教育長が答えた。
         調査は六月中に終える予定で、本年度中の早い時期に対策を講じるという。実態を踏まえ、新たに保護者や専門家と連携して全校を対象にした相談体制を整備。サポートが必要な緊急性の高い事案にも対応できるようにする。
         木場田教育長は「トラブルに発展するおそれのある悪質な書き込みが存在することが確認されている」とした上で(1)サイトの危険性についての啓発や被害の未然防止のため保護者向けのリーフレットの作成(2)各校でのインターネットトラブル防止に関する授業への講師派遣事業-などの展開に意欲を見せた。
         市教委は裏サイトを含めたネット被害から児童生徒を守るため、すべての幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校の指導者向けに「5分で分かる情報モラル教育Q&A」を配布。PTA連絡協議会と協力したIT学習会や教職員向け研修会も実施している。
        (カナロコ)6月12日22時40分配信

        ●学校適正配置審:大阪市内の全学年1クラス、38校の統合検討を市教委に答申/大阪
         大阪市学校適正配置審議会(会長=金子照基・大阪大名誉教授)は10日、市内の299小学校のうち、全学年が1クラスずつしかない38校について統合を検討すべきだと市教育委員会に答申した。
         答申では、一つの学校で12~24学級を「適正規模」と判断。全学年で単学級の場合は、クラス替えができず、児童の人間関係が固定化する▽クラス対抗ができず、団結心や競争心が育ちにくい――などの問題点を指摘。統合に向け、保護者や地域関係者との調整に着手するよう求めた。
         市教委は「答申の趣旨を尊重し、すべての学年が20人未満で男女比率が偏り、今後も増加の見通しがない学校を中心に、取り組みを進めていきたい」としている。
        (毎日新聞)6月11日16時1分配信

        心理学、カウンセリングによる自己責任化を問う
        2008/06/08
        心理学、カウンセリングがブームです。阪神淡路大震災の折に「心のケア」云々と叫ばれて以降、事件・事故・災害などが発生するとすぐに臨床心理士が派遣される、という構図ができあがってきました。
         人の「心」なるものには、古より深い関心が持たれてきたのは事実ですが、苦しみや困難、悩みなどを「共感」し「受容」するという技法によってクライエント(来談者)の内面にクライエント自らが気づき、それらの課題の解決をクライエントの「心」の「変容」に求めるというのが、「カウンセリング」となってしまってきていることに危惧を感じます。そしてその「心」の動きやしくみ、技法の研究を行うのが「心理学」ということになるのでしょう。
         「カウンセリング」というものが、問題の本質はクライエントの内面(無意識)にあることを気づかせて、本人の「心」の有り様次第で解決できるという、魔法のようなテクニックであるのかと感じてしまいます。
         「心」とは、その人の中で勝手に作り上げられるものなのでしょうか。
        人の考え方や価値観、意欲や防衛反応、夢や希望、悔いや悲しみ、さまざまな感情…、これらはもちろん生得的なものもありますが、それだけで形成されるものではありません。生後まもなくの母子の関係性、乳幼児期の家族との関係性、学齢期の家庭、学校や地域という環境、そしてそこでの人間関係やさまざまな体験や学びを通して、性格や人格などが形成されていきます。
         人が何かに困難を抱えている時に、「心」の有り様を「変容」させることで問題解決となることは、極めて希なケースと言えると思います。むしろ、その困難な事態がどのような状況において、どのような関係性において発生したのか、その解決・緩和のためには、何にどう働きかけていくべきかを多角的に多方面から考え、具体的に環境調整していく必用があると思います。カウンセリングの有効性を否定するものではもちろんありません。ただ、問題を個人の内面に求めること、自己責任化していくことに、心理学とカウンセリング技法が利用されようとしている現実に、しっかりと目を向けておきたいだけです。困難さの解決には、カウンセリングも必用、されど、ケースワークは不可欠と言えると思います。
         次回は「年金追納、住民税納税再開で驚愕!!」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        低所得層ほど保険料負担増に=厚労省説明と食い違い―後期医療調査

         厚生労働省は4日、国民健康保険(国保)から後期高齢者医療制度(長寿医療制度)へ移行した75歳以上の保険料負担の増減について、実態調査結果を公表した。69%の世帯で保険料負担は減少するものの、負担が下がる世帯の割合は高所得層ほど高く、「一般的な傾向として低所得層は負担減となり、高所得層は負担増となる」との同省の従来の説明とは食い違う結果となった。
         実態調査は、全国の1830市区町村を対象に今年5月に実施。単身世帯や夫婦世帯、子ども夫婦との同居世帯といったモデル世帯で、保険料の負担がどう変化したか、回答を求めた。
         同省は市区町村からの回答を基に、69%の世帯で保険料負担が減少すると推計。所得階層別では、年金収入177万円未満の低所得層の61%で負担が減少し、同177万~292万円の中所得層では75%、同292万円以上の高所得層は78%それぞれ減少するとした。
        (時事通信)6月4日19時1分配信

        ●給食費も「もう限界」/原油高で食材高騰
         小麦の値上げや原油価格高騰のあおりを受け、県内の各自治体の教育委員会が給食の食材調達に頭を悩ませている。業者の協力もあってこれまでは年間契約で供給されてきたが、学期ごとの契約を余儀なくされているところも。給食費は約十年間据え置きだった自治体も多く、「もう限界」と悲鳴に近い声が漏れている。
         ◇値上げや量減らしも
         県教育委員会によると、給食費は学校給食法に基づいて保護者に食材費の負担が求められ、各自治体(教育委員会)が実態に応じた給食費を設定している。
         二〇〇七年五月の調査では小学校の給食費は、南足柄市の月四千百円(年間百九十二回)が最高で、一食平均単価は二百三十五円。最安値の横須賀市は月三千三百円(同百八十二回)で同百九十九円になっている。一九九一年度から据え置いているという横須賀市教委の担当者は「一括購入によるスケールメリットを生かしたり、納入業者などの協力が重なった成果だが、このまま給食費を据え置くのは非常に苦しい状況になっている」と打ち明ける。
         学校給食の食材の基本は国内産。できれば県内産、さらに地場産とハードルを高くすれば、その分、調達費がかさみ、ますます予算面で厳しさを増す。
         こうした中、〇八年度から値上げに踏み切った自治体もある。平塚、茅ケ崎の両市と湯河原町の二市一町で値上げ幅は月二百~三百円。いずれも、値上げは〇七年度に決まったもので、最近の食材の高騰が直接影響したものではない。
         しかし、九八年九月以来、約十年ぶりに三百円の値上げをした茅ケ崎市教委の担当者は、〇二年に三十八円五十銭(二百??入りパック)だった牛乳が〇七年に四十円九十六銭、今年は四十一円六十八銭と急騰する状況を例に「一食二百円程度でこの高騰は大変なもの」と苦しい台所事情を解説する。一人六十?だった肉を五十?に減らし、甘夏は四分の一から六分の一にしたりと副食でやりくりしている。
         大豆やバターの高騰で、納入業者も見通しを立てられず、年間ではなく一学期単位の契約しかできないという。保護者にとっては安くて、良質な食材が期待されるが、先行きは一層不透明となっている。
        ◎市町村別の小学校の給食費
        市町村    月  額    1食平均
        横浜市    3,700   221 
        川崎市    3,500   210 
        横須賀市   3,300   199 
        *平塚市   3,455   208 
        鎌倉市    3,600   216 
        藤沢市    3,600   216 
        小田原市   3,800   227 
        *茅ケ崎市  3,600   216 
        逗子市    3,750   222 
        相模原市   3,700   226 
        三浦市    3,600   216 
        秦野市    3,600   220 
        厚木市    3,700   220 
        大和市    3,700   220 
        伊勢原市   3,700   226 
        海老名市   3,700   221 
        座間市    3,800   232 
        南足柄市   4,100   235 
        綾瀬市    3,800   229 
        葉山町    3,583   215 
        寒川町    3,677   221 
        大磯町    3,700   226 
        二宮町    3,800   232 
        中井町    3,900   232 
        大井町    3,800   224 
        松田町    3,800   228 
        山北町    3,827   231 
        開成町    3,900   233 
        箱根町    3,785   228 
        真鶴町    3,800   227 
        *湯河原町  3,600   218 
        愛川町    3,376   203 
        清川村    3,600   212 
        (注)2007年5月1日時点の県教委調査。単位は円。月額は年間徴収予定額を11で割ったもの。*の付いた自治体は08年度から値上げに踏み切った。
        (カナロコ)6月3日11時10分配信

        ●コミュニティースクール3年で20倍に 最多は京都市の110校
         保護者や地域住民の代表が学校運営協議会を構成し、学校の運営に直接参加する「コミュニティースクール(地域運営学校)」の指定を教育委員会から受けた公立の小中高校や幼稚園などは平成19年度末で343校となり、制度が創設された16年度末の17校から3年で約20倍に増えたことが2日、文部科学省の調査で分かった。本年度以降、さらに210校が指定を受ける予定だ。
         不登校やいじめなどの問題に学校だけでは対応できなくなっており、保護者や地域の参加が求められている。指定は増えているが、全国的にはばらつきが大きく、近畿では大阪、兵庫、奈良はゼロだった。文科省は「開かれた学校運営が広まるよう、各教委に理解を深めてもらえる努力をしたい」としている。
         指定を受けた学校のうち、小学校は243校で全体の約7割を占め、中学校が約2割の76校。一方、高校はわずか3校、幼稚園は17園、特別支援学校は4校にとどまった。
         コミュニティースクールがあるのは29都府県。最多は110校の京都市教委。市立校の約3分の1に上る。次いで島根県出雲市教委の49校、岡山市教委の35校、東京都世田谷区教委の22校など。
         文科省によると、コミュニティースクールに指定された学校では▽人事異動に伴う教員公募の採用面接に協議会の代表者が参加▽教員志望の学生やボランティアによる授業支援▽学校と地域の橋渡し役となる「学校教育コーディネーター」の配置-などの取り組みが実現している。
         一方で、学校運営に積極的にかかわる人材の確保が難しいことや、いじめや不登校などの問題に対する認識が校長と食い違うと協議会の提案が取り上げられにくいなど、運営上の課題も報告されている。
                           ◇
         ■地域と協力「教育力高い」 大阪・神戸は指定ゼロ「似た制度ある」
         コミュニティースクールの指定校数は自治体ごとに大きなばらつきがみられ、特に近畿では、その差が顕著だった。
         指定校数がゼロだった神戸市教委は「コミュニティースクール導入の前提となる、地域の基盤が完全に整っていない。導入すれば、教員がさらに多忙化する可能性もあり、検討すべき課題がある」。
         同じくゼロの大阪市教委では、すでに町内会やPTAが総合学習の時間に協力するなどの「はぐくみネット」を導入。同市教委では「似た制度はすでにあると考えている。より地域の協力が必要なコミュニティースクールが地域になじむかどうかは検討中」と慎重姿勢だ。
         一方、指定校数が全国最多の京都市では制度創設以前から、校内通信を周辺地区で回覧するなど、学校と地域が協力し合う環境づくりが進められてきた。市教委学校指導課の担当者は「地域の教育力が高く、スムーズに導入できた。地域との連携が強い学校に対しては、制度の利用を積極的に打診している」と話した。
                           ◇
        【用語解説】学校運営協議会
         保護者や住民の意見を反映させながら、地域ぐるみで支える学校づくりを進めることを目的に、平成16年9月から導入された。協議会は授業の編成など校長が作成する学校運営の基本方針を承認したり、教員人事について教育委員会に意見を述べたりする権限が与えられる。各教委が定めた手続きや要件を基に指定を受けた学校は「コミュニティースクール」「地域運営学校」などとも呼ばれる。対象は公立の幼稚園、小中高校、中等教育学校、特別支援学校で、協議会の委員選出方法も公募や推薦、任命など地域によりさまざま。
        (産経新聞)6月2日16時25分配信

        ●福岡県内の中学校 校外に「支援教室」 指導に従わぬ生徒対象
         授業妨害を繰り返した生徒が逮捕された福岡県田川郡内の町立中学校で、別の生徒による授業妨害が起き、町教育委員会と学校が校外に別の教室を設け、問題生徒を通わせ、学外講師の授業を受けさせる方針を決めたことが1日分かった。学校は「問題生徒が早く学校で授業を受けられるようにするのが目的」と説明するが、保護者には「校内で対応するのが先だ」との声もある。町は関連予算案の町議会可決後、6月にも教室を開く。
         町教委や学校によると、4月から一部生徒が授業中に校内を徘(はい)徊(かい)し、ほかの生徒が授業に集中できない状況が続いた。校内での指導が困難となり、5月上旬から県筑豊教育事務所と協議してきたという。
         別の教室は「サポート教室」と呼ばれ、7、8人を保護者の同意を得て通わせる方針。学外から20代の男性講師1人を雇用し、退職教師とともに授業を行い、大学生ボランティアも支援する。学校側は問題行動の背景に「授業に対する理解度の遅れ」があるとみて、個別の学習プログラムを組む計画。同教室に通えば出席扱いとなり、学校側の判断で復帰できる。
         保護者には「教師や学校は、生徒が戻ったとき再び問題が起きないように臨んでほしい」との要望もある。
        (西日本新聞)6月2日7時7分配信

        ●【特報 追う】「経済苦の自殺は救える」秋田のNPO法人
         ■1人で悩まず…“経験者”親身に相談
         平成19年の自殺率も全国一となり、13年連続のワーストを記録してしまった秋田県。一方で同年の自殺者数は 417人で、 500人前後で推移していた例年より2割近く減少したことが県警の調べで分かった。厚生労働省によれば、19年は全国の自殺者数は2年ぶりに3万人を超えた。自殺が社会問題になるなか、秋田の自殺者減少の裏には、県や自治体の早くからの取り組み、そして民間団体の地道な努力があった。
                          ◇
         「経済問題を苦に自殺する人は、家庭や病気の問題で悩む人と違って、原因がはっきりしています。具体的なアドバイスで、救える場合がほとんどです」
         中小企業などの自営業者で、倒産危機といった経済苦から自殺を考える人の相談に乗るNPO(特別非営利活動法人)「蜘蛛の糸」(秋田市)の理事長、佐藤久男さん(64)はそう話す。
         佐藤さんが「蜘蛛の糸」を立ち上げたのは、平成14年。これまでの6年間で約 300件、述べ1300回以上の相談に乗った。
         佐藤さんの対応はシンプルだ。倒産に追い込まれている自営業者がいれば、まずは会社の経営状況などをじっくりと聞く。その後、不動産鑑定事務所を経営していた経験を生かし、民事再生法などの適用を視野に入れ倒産を回避できないか検討する。「不動産の運用方法を変えるだけで、同じ売り上げでも会社を維持できる場合もある。相談者のうち、1割はそういった方法で倒産せずに済んでいる」という。
         倒産しか道がない場合でも、事務処理の方法から気の持ち方まで、何度でも会って話をする。「倒産は、何十年もかけて積み上げた地位や財産を一瞬で失う。住み慣れた家も手放さなければいけない。そのつらさは、経験した人にしか分かりません。私も何度死にたいと思ったことか」と佐藤さんは振り返る。
         佐藤さんは県職員を26歳で退職し、一般企業で経営のノウハウを学んだあと、34歳で会社を立ち上げた。不動産会社や介護用品会社などを経営したが、バブル崩壊後に徐々に経営が悪化し、12年に倒産。
         努力を積み重ねて大きくした会社、市内の120坪の土地に建てた家…。すべてを失った。妻の生命保険を解約し、8畳1間のアパートに無一文のまま転がり込んだ。降り積もる雪を見ながら、頭に浮かぶのは「死にたい」の言葉だけだった。
         「毎晩決まって2時になると、過去がフラッシュバックして目が覚めるんです。豊かだった昔の生活と惨めな現在が交互に浮かび、全身ががたがたと震える。死にたい、死にたいと叫んでいる自分が怖くて、般若心経を唱えながら木彫りの観音様を抱きました」
         そんな佐藤さんが立ち直り、NPOを立ち上げるきっかけになったのは、皮肉にも知人の自営業者の自殺だった。長い年月にわたって、地元の活性化に貢献した経営者が、なぜ破産ごときで死ななければいけないのか-。強い憤りを感じた佐藤さん、自分の経験を生かして自営業者の命を救おうと「蜘蛛の糸」を立ち上げたのだった。
         14年の県内の自殺者は 537人、うち自営業者は89人。佐藤さんは、「10年で自営業者の自殺を45人以下にすること」を目標に活動し、19年は64人にまで減った。「ネットワークは確実に広がり手応えを感じています。24年までには45人以下にしたい」と意気込む。
         「蜘蛛の糸」では、倒産の土壇場に追いやられた自営業者のほか、昨年からは同様に社会問題になっている多重債務者の相談も受け付けている。また、自殺防止などを目指す他の民間団体とのネットワークを広げ、シンポジウムなどを通じて「1人で悩まないで」と相談を呼びかけている。
         また佐藤さんら民間団体の活動と並行して、秋田では早くから県が自殺予防に取り組み、テレビCMなどで自殺予防を啓発してきた。最近では、市町村といった自治体も独自に自殺予防に取り組み、シンポジウムの開催も盛んだという。
         佐藤さんは「自殺は、身近な立場でないと食い止めにくい。秋田の成功は、自治体と民間の取り組みが功を奏した。私も体力が持つ限り、これからもこの問題に取り組んでいきたい」と話している。
         「蜘蛛の糸」の連絡先は(電) 018・ 853・9759。
        (産経新聞)6月7日7時51分配信

        ●北九州・高1自殺1週間 ネット対策妙案なく 各教委苦慮 情報教育徹底を指示
         北九州市の高校1年女子生徒(16)が、ブログ(日記風サイト)への書き込みを苦に自殺したことが発覚して7日で1週間。この間、九州各地の教育委員会は情報教育の徹底を指示するなど対応に追われた。過去にもさまざまな対策は講じられたが、ブログなどネットをめぐるトラブルは続き、対応の難しさがあらためて浮き彫りになっている。
         「消えろ」。今年春ごろ、鹿児島県内の女子高校生がホームページ(HP)で中傷された。書き込んだのはHPを開設した同級生。女子高校生は休みがちとなり、保護者が学校に相談した。同級生を特定して指導。女子高校生は落ち着きを取り戻したが、同県教委は「こういうふうにうまく指導できた例はまれ」と打ち明ける。
         北九州の自殺を受け、同県教委はインターネット上のトラブル未然防止に向けた指導を徹底するよう、市町村教委などに通知。福岡県教委も同様の文書を送付した。
         これまでも、佐賀県教委は「道徳を通して培う情報モラル」とする授業モデルを開発。熊本や大分の県教委は小冊子を、福岡市教委はDVDを作成し、保護者にも指導を働き掛ける。
         ブログに不適切な書き込みがないか「パトロール」する教諭もいる。だが、生徒はブログにパスワード設定などで“防衛”し、監視も容易ではない。ある市教委は「教員より生徒の方がネット技術が高い。生徒がHP上で何をしているのか、把握するのは困難」とため息を漏らした。
         北九州の女子高校生は、ブログに「死ね」などと書かれて自殺した。
         西南学院大文学部の今堀義教授(コミュニケーション学)は、「対面であれば言葉の意味を確認できる。今の若者は深いやりとりを好まず、コミュニケーションが取れなくなっている」と分析。特定非営利活動法人(NPO法人)「子どもとメディア」の古野陽一常務理事も「相手の顔を見ないコミュニケーションに慣れ、画面の文字のやりとりがすべてと感じている。会話など直接的なコミュニケーションの機会を増やす必要がある」と提言した。
        (西日本新聞)6月7日7時6分配信

        ●「小学校時にいじめられた」女子中学生が自殺 千葉
         千葉市美浜区の市立中学2年の女子生徒(13)が今月1日、「小学校時代にいじめられていた」などとする遺書を残して自殺していたことが4日、分かった。家族や友人にあてた遺書が複数あり、「進級時に友達とばらばらになるのが寂しい」といった内容も書かれていた。市教委が自殺の原因などを調査している。
         千葉西署などによると、女子生徒は1日午後6時ごろ同市美浜区のマンション敷地内で倒れているのが見つかり、病院で死亡が確認された。マンションは自宅ではなく、19階踊り場に遺書が入ったかばんなどが残されていた。同署は飛び降り自殺したとみている。
        (産経新聞)6月5日7時51分配信

        自閉症スペクトラムの人はひとりが好き?
        2008/06/01
        「自閉」…。この言葉から受けるイメージは「独り」、「自分の中に閉じこもる」、「人と関われない」…といったものかと思います。
         当の自閉症スペクトラムのある人は、「ひとりが好きなのですか?」との問いにどう答えるでしょうか?
         東田直樹君という現在15歳の青年が書いた『自閉症の僕が跳びはねる理由』という本があります(エスコアール出版部)。この中から、その「答え」となると思われる箇所を引用してみます。
        「…人として生まれてきたのにひとりぼっちが好きな人がいるなんて、僕には信じられません」、「僕たちは気にしているのです。自分のせいで他人に迷惑をかけていないか、いやな気持ちにさせていないか。そのために人といるのが辛くなって、ついひとりになろうとするのです。僕たちだって、みんなと一緒がいいのです。だけど、いつもいつも上手くいかなくて、気がついた時にはひとりで過ごすことに慣れてしまいました」
         自閉症スペクトラムのある人には、「相手の気持ちが読み取れない」という特性があります。でも、「他人に迷惑をかけていないか」と気遣い、思いやる気持ちがしっかりとあります。相手の意図するものを読み取る認知システムが定型発達をしている人とは違う、ということでしょう。
         ここで理解しておいてほしいのは、この認知システムの違いがどこかで線引きされるという訳ではないということです。「KY」と称される場の空気が読めないと言われる人、みなさんの回りにも結構おられると思います。この傾向の「強弱」はあっても、「ここからは自閉症…」という境界線はありません。個性として受け入れられれば、「あの人、天然ね…」と肯定的な関わりとなるのですから…。
         自閉症スペクトラムのある人も人が好き、みんなと関わりたいのです。ぜひ、周囲の人が自閉症スペクトラムの特性を理解しつつ、その人のペースに合わせながら関わってほしいと思います。
         次回は「心理学、カウンセリングによる自己責任化を問う」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <不登校>児童23人が謎の欠席、学校側13人に出席督促 文科省「聞いたことない」

         新潟市の複数の公立小学校長が今月、登校していない児童13人の保護者に対し、異例の「出席督促書」を渡していたことがわかった。督促を指示した市教育委員会は「昨年末から、特定の地域を中心に、親の意思で通学させないケースが続出している」と説明する。一方、督促された親たちは「子供が行きたがらずに登校できないのであって、親の意思ではない」と話している。
         督促書(A4判1枚)は「○月○日から正当な理由がないのに欠席していますので、直ちに出席させるよう新潟市立学校管理運営に関する規則第13条第2項により督促します」という内容。
         今月、市内の公立小学校に通う1~4年生計13人の保護者に届いた。うち1年生4人は、入学して一度も登校していないという。
         市教委によると、昨年12月から特定の地域を中心に「ホームスクーリング(自宅学習)をさせる」と親が申し出て、低学年の児童10人以上が登校しなくなった。2月初めには、就学通知が届いた新1年生の親からも同様の申し出があり、今年度には「原因がなく登校しない児童」が23人と倍増。事態を重視した市教委は、家庭訪問などで出席を促したが、「話し合いに応じる姿勢がない」と判断した保護者に限って督促書を出した。
         学校教育法では、児童生徒の出席状況が良好でなく、保護者に出席させない正当な理由がない場合に督促できると定めている。だが、実際に督促書を出す例はほとんどないという。子供が登校したくてもできない「不登校」の場合は対象とならない。
         佐藤満夫教育長は「異常な事態だ。親の考え方で公教育の機会を奪うのは許されないことを示し、少しでも子供の登校につながるよう願って督促を決めた」と話す。
         一方、督促書を受け取った母親は「子供が学校に行きたがらず、夜うなされたり吐いたりを繰り返したので、仕方なく家で勉強している。学校が理解してくれず、つらい」と話す。別の母親は「友達関係をきっかけに、前から不登校ぎみだった。子供を理解しようと十分に働きかけもせず、なぜ突然こんな文書を出すのか」と不信感を強める。
         文部科学省初等中等教育企画課は「子供がまとまって登校しなくなり、一度に督促したような例は聞いたことがない」と話している。
        (毎日新聞)5月29日18時1分配信

        ●自殺3万人超、07年も確実10年連続の深刻事態に
         全国で昨年1年間に自殺した人の数は3万人を超える見通しであることが27日、分かった。各都道府県警が調べた概数を共同通信が集計した。毎年6月ごろにまとまる警察庁の自殺者数統計は1998年以来3万人を上回っており、これで10年連続となることが確実になった。
         集計によると、昨年の自殺者数は約3万2000人。東京(約3000人)、大阪(約2000人)など、詳細な数字を明らかにしない都府県があるが、3万人を超えるのは確実とみられる。
         自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)が全国最悪で、早くから対策に取り組んできた秋田県は417人。2006年の493人から約15%の減少に成功した。しかし、前年に比べ、ほぼ横ばいか、増加の県が多いようだ。
         世界保健機関(WHO)の統計では、日本の自殺率(04年)は24・0で世界9位。G8ではロシア(34・3)に次いで高い。他の主要国はフランスが18・0、ドイツ13・0、カナダ11・6、米国11・0。
        (共同通信)2008/05/2717:31

        ●「死刑増加」日本を批判=アムネスティ報告書
         国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)が28日に公表した2007年の世界の人権状況に関する報告書で、日本について「9人が処刑された。死刑判決の確定は23事件で、1962年以来最も多かった」と指摘した。
         アムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠事務局長は同日、東京都内で記者会見し、「日本では殺人事件は激減しているが、死刑判決と死刑執行は増えている」と批判。来年5月に始まる裁判員制度について「多数決で死刑を科すことのできる制度であり、人権上極めて問題だ」と話した。
        (時事通信)5月28日17時0分配信

        ●<死刑になりたい>なぜ? 凶悪事件、犯行動機で供述相次ぐ(上)
         「死刑になりたかった」と、容疑者が犯行動機を供述する事件が続いている。なぜ、「死刑願望」とも言える供述が相次ぐのか? これらの事件が意味するものは? 著書「死刑」(朝日出版社)を出版した映画監督で作家の森達也さんらと考えた。
         ◇「死刑願望」の「なぜ?」--生かす方が罰の矛盾
         オウム真理教の信者側からの視点で事件や世間をあぶり出したドキュメンタリー映画「A」など、第三の視点からの作品でたびたび議論を起こしている森さんは、黒のパーカ姿で現れた。ひょうひょうとした雰囲気に淡々とした口調。ストイックなほどにテーマを徹底的に掘り下げる仕事ぶりからは意外なほど、脱力した印象だ。
         「僕は、(供述を)額面通りに受け取らない方がいいんじゃないか、という気がしています。まったくウソではないでしょうし、そういう要素もあると思いますが、人の心は揺れますから。死刑制度があるから、死刑になりたいが故に罪を犯した、というふうに短絡的に考えない方がいいと思うんです」
         相次ぐ事件は、死刑制度に関する議論の発火剤となった。その一つが、死刑制度維持の理由として挙げられる、犯罪の抑止効果だ。
         「心情分析をしても、犯人の本当の気持ちは分かるはずはないですから、抑止効果があるかどうかは、統計で見ていくしかない。ヨーロッパは死刑を廃止した後、犯罪はほとんど増えていません。減っている国もあるくらいです。最近、米ニュージャージー州で死刑を廃止しましたけど、その理由の一つも抑止効果がない、ということでした。データから見て、抑止効果はありません」
         森さんは著書の中で、死刑制度の密室性の問題を一貫して指摘している。死刑の実情が知らされていないことが、こうした犯罪を誘発している可能性はあるだろうか?
         「仮に、死刑を望んで罪を犯す人が本当にいるとすれば、その可能性はあるでしょうね。日本は自殺が多い国ですから、そういう意味では、自殺と他殺はそんなに距離は無いと思うんです。もしかしたら死刑を求めて人を殺す人がこれから増えてくるかもしれない。そうであれば、やっぱり死刑制度というものを、もうちょっと考えるべきだと思いますよね」
         死刑になりたい人が、そのために罪を犯して、望み通りに死刑になることに違和感を覚える人は少なくないだろう。この矛盾は、どう受け止めたらいいのだろうか?
         「ねじれてしまいますね。生きていてほしくないけど、死刑はその人の望みをかなえてしまうことになる。刑罰って何だ、罪と罰とは何か、ということを考えた方がいい。日本の刑法は、刑を受けて、改悛(かいしゅん)して、改めて社会に復帰する、ということを前提にした教育刑です。それに対して、死刑は応報刑なんです。応報という考えからすると、本人の嫌がることをするのが刑罰。死を望む人に対しては、生かすことの方が、たぶん罰になるわけです」
        (毎日新聞)5月28日18時12分配信

        ●死刑になりたい:なぜ?凶悪事件、犯行動機で供述(下)
         死刑を求めて罪を犯し、罰として望み通りに死刑になった典型的な例が、大阪教育大付属池田小乱入殺傷事件で、児童8人を刺殺した宅間守元死刑囚。弁護にあたった戸谷茂樹弁護士によると、宅間元死刑囚は犯行前2~3カ月の間に2度、自殺未遂をしている。そして、判決確定から1年弱という異例の早さで望み通りに死刑を執行された。戸谷弁護士は死刑の執行を聞いたとき「本望を遂げたな」と思ったという。
         「彼は、本当に死刑になりたくて犯罪を実行した、と言っていいと思います。彼にとって死刑は、罰ではなかった。望んでいる人に対する死刑は、罰としては機能しない」 戸谷弁護士は続けた。
         「(『死刑になりたかった』と供述する)犯罪は、自殺願望の裏返しである場合が結構あると思う。自殺願望の原因はいろいろですけど、いずれにしろ、生きる価値がない、と結論を出した。そういう人が年間3万人いる。その中に、死刑を望んで罪を犯す人がいてもおかしくない。それを避けるためには、どうやって生きる望みを味わうことができる社会にするか、っていうことだと思うんです。宅間に対する支援者がたくさん出てきたのは、『私もかつて同じような状況だった』とか、彼の思いや行動が理解できる人が相当数いたからです。世の中複雑になればなるほど、格差社会になればなるほど、そういう人が出てくる」
         ■
         米国では、以前から死刑願望者による事件が起きている。「死刑の大国アメリカ」(亜紀書房)の著書がある宮本倫好・文教大学名誉教授(米国近代社会論)によると、州ごとに死刑制度の有無が異なる米国では、わざわざ死刑制度のある州で、無差別に殺人を犯すケースがいくつも存在するという。
         宮本教授は「日米各ケースの内容は千差万別だと思う」とした上で、「強いて共通点を探すとすれば、やっぱり若者の間の絶望。米国の格差は日本とは比べものにならないくらいひどいけれど、両国とも今は暗くて閉塞(へいそく)感がものすごい。格差社会はますます徹底しているし、日本も、アメリカ型社会の後をある程度追っているんじゃないか、ということが言えると思いますね。心の弱い希望のない若者が犯罪に走ったり、死のうとする。絶望の中に、犯罪の種が生まれるというのは分かる気がします」
         ■
         著書「死刑」での森さんの結論は、死刑廃止だ。それでも、死刑願望からの犯罪を防ぐことを理由に死刑制度廃止を唱えるのには懐疑的だ。森さんは「大切なのは、死刑に関する情報公開と共に、罪と罰とは何か、を考えること」と強調する。
         「だって僕ら、国民一人一人が、認めて、払った税金で(死刑は)行われていることなんですから」
         相次ぐ事件は、目をそらしがちな死刑という制度と格差が広がる社会に、向き合う時機が来ているという、一つのサインなのかもしれない。
         ■今年すでに3件
         死刑願望を動機として供述した事件は今年、少なくとも3件起きた。2月、東京都新宿区の公衆トイレで見ず知らずの男性の頭を金づちで殴り殺人未遂容疑で逮捕された男(31)▽3月、茨城県土浦市のJR荒川沖駅の8人殺傷事件で逮捕された男(24)▽4月、鹿児島県姶良(あいら)町のタクシー運転手殺人事件で逮捕された男(19)の各容疑者が、死ぬことを目的に、無差別で犯行に及んだと供述している。
        (毎日新聞)2008年5月28日

        ●そううつ病の薬、脳神経再生促す効果・生理研が発見
         自然科学研究機構・生理学研究所(愛知県岡崎市)の等誠司准教授らの研究グループは27日、そううつ病の薬に脳神経の再生を促進する働きがあることを世界で初めて見つけたと発表した。脳の万能細胞である神経幹細胞の働きを薬が活発にする。新型万能細胞(iPS細胞)が注目される一方、体内の万能細胞を薬で活性化する新たな再生医療としての可能性が出てきた。
         神経再生の働きを見つけたのは、そううつ病患者の感情の起伏を安定させる薬として広く使われているリチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンの3種類の薬。患者に投与するのに相当する量をマウスに3週間与え、変化を調べた。これまでの同様の研究に比べ、薬の投与量を10分の1程度に抑えて微細な変化を観察した。
         薬を飲ませ続けると、神経幹細胞の働きを活発にする特殊なたんぱく質が増えて増殖が盛んになる。これにより幹細胞が5割程度増え、細胞全体の数も増える。
        (NIKKEI NET)5月27日23:16

        ●エコミュ:障害者作業所に“第3の道”、運営母体を株式会社化--宝塚/兵庫
        ◇「利益意識し時給の安定を」--宝塚の地域活動支援センター
         障害者の社会進出を支援する宝塚市の地域活動支援センター「エコミュ」の運営母体(運営委員会)が今春から「エコミュ株式会社」となった。施設長の川田祐一さん(35)は「利益を意識することで、利用者の時給安定が期待できる」と話す。障害者自立支援法の施行で、小規模作業所が法人格取得などが要件の「地域活動支援センター」への移行が促されている中、NPO法人でも社会福祉法人でもない珍しい運営体系として注目される。
        ◇花束販売やHP作成
         エコミュは障害者の精神的、経済的な自立を支援しようと「家庭の延長ではない施設」を目指し、06年4月に開設。仕事をまわせる生花店や印刷業などの事業者らが運営委員会を組織し、利用者の時給は500~700円を維持してきた。切り花を販売用にラッピングして花束に仕上げて販売するほか、ホームページ作成なども行う。
         「家から外に出る第一歩として、施設が必要な人ももちろんいる」と川田さんは話す。時給が数十円程度と低くても、交流の場の色彩の強い他の施設があってもいいと考えている。だが一つの選択肢として、利益追求を意識した本格的な職業訓練ができる場があってもいい、と考えた。民間企業なら当たり前のあいさつ励行や時間厳守を徹底し、売り上げランキングもつけている。
         企業のサポートは歓迎といい、「大手企業に買収されて子会社化されるのも構わない」という。開設当初は数人だった利用者も、現在は約30人が登録している。「選ばれる施設になる」のが目標だと話していた。
        (毎日新聞)5月27日

        ●市に397万円賠償命令=自閉症の少年転落事故-東京地裁支部
         東京都小金井市で2004年、当時小学3年だった自閉症の少年(12)が校舎から転落しけがを負ったのは教諭が倉庫に閉じ込めてパニックを起こさせたのが原因として、少年と両親が市と当時の校長らを相手に計約2300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁八王子支部は29日、計約397万円を少年に支払うよう市に命じた。校長と担当教諭に対する請求は棄却した。
         河合治夫裁判長は、上履きが倉庫真下の校舎前に落ちていた点やけがの状態から、少年が校舎2階の窓から落ちたと認定。目撃者がおらず、負傷の経緯が特定できないとした市側主張を退けた。
         倉庫の扉を閉めた教諭については「自閉症の特徴を持つ生徒が不安や混乱の中で逃げ出そうと、窓から出ることは十分予見できた」とし、市に慰謝料や治療費などの賠償責任があるとした。
        (時事通信)5月29日17時2分配信

        ●私立高の07年度、経済的理由での退学が過去最悪に
         私立高校を経済的な理由で中退した生徒は2007年度に1校当たり平均1.74人で、調査を始めた1998年度以降で最悪になったことが、全国私立学校教職員組合連合のまとめで分かった。
         各地の組合を通じて調査票を配布・回収する手法で、28都道府県の234高校から回答があった。経済的理由で中退した生徒数は407人で、06年度の188人から2倍以上に増加。1校当たりでは1.74人、全体に占める中退率は0.21%で、いずれも調査開始以来最悪だった。
         同連合は「『一身上の都合』などと、経済的理由と明示せずに中退するケースもあり、学費負担は子どもと保護者に重くのしかかっている」と主張している。
        (NIKKEI NET)6月1日00:30

        ●<国民年金保険料>07納付率、64%前後に低下 目標遠く
         国民年金保険料の07年度の納付率は、06年度の66.3%を2ポイント程度下回る64%前後になる見通しとなった。年金記録漏れ問題への対応に追われる社会保険庁が未納対策にまで手を回せないのが原因。納付率低下は2年連続で、「07年度は80%に回復」という目標の達成は不可能となった。
         社保庁は02年度の納付率が過去最低の62.8%に落ち込んだことへの反省を踏まえ、04年10月、納付率アップに向けた中期目標を設定。04年度65.7%、05年度69.5%、06年度74.5%と徐々に増加させ、最終年度の07年度は80%を掲げた。
         ところが、景気低迷に年金不信が重なり、実績は04年度63.6%、05年度67.1%、06年度66.3%で、目標値との差は開く一方となっている。
         そうした中、07年度は現場の社会保険事務所職員が記録漏れ問題に人を割かれ、保険料の督促など収納対策に力を注げない。集計済みの07年4月~08年2月分は63.4%にとどまっており、前年同期比2.1ポイント減。未集計の3月分を加えても65%到達さえ難しく、社保庁も「前年度割れは確実」と認めざるを得ない情勢だ。
         80%の目標については当初から「無謀だ」と指摘され、達成は絶望視されていた。それでも社保庁は08年度の政策目標も80%としている。
        (毎日新聞)5月31日2時31分配信

        ●スクールソーシャルワーカー:不登校問題の解決へ 福生市教委配置へ/東京
         福生市教育委員会は7月にも、市内10小中学校に子供の生活環境に踏み込んで不登校などの問題解決にあたる「スクールソーシャルワーカー」(SSW)を配置する。28日に発表した。SSWは文部科学省の委託事業。都内では福生市を含む16市区で、今年度から初めて導入される。
         主に児童生徒の心理面を扱うスクールカウンセラーとは異なり、SSWは子供の生活環境に着目。家庭や学校、関係機関とを橋渡ししながら、問題の解決にあたる。大阪府や兵庫県などでは既に導入されている。
         福生市では6月市議会にSSW関連の補正予算案を提出。可決されれば7月にも3人を採用し、10校を巡回指導する。委託期間は3年間。
         都教委によると、福生市の他に▽調布市▽東大和市▽杉並区▽足立区▽羽村市▽東久留米市▽小平市▽西東京市▽墨田区▽清瀬市▽府中市▽江東区▽中野区▽昭島市▽三鷹市――でも導入が予定されている。
        (毎日新聞)5月29日13時1分配信

        ●虐待や不登校…家族らを支援 福知山で要保護対策協が発足
         虐待や引きこもり、不登校など成長期の課題を抱えた子どもや家族を支援する京都府福知山市の要保護児童対策地域協議会が28日発足し、行政や団体の枠を超えて情報を交換し合い、連携を強化することを確認した。
         昨年改正された児童福祉法が各自治体に地域協議会の設置を義務付けたことを受け、昨年度まで虐待を受けた児童のみを対象にしていた市児童虐待防止市民会議を再編した。
         この日は、児童相談所や警察、教育機関、青少年育成団体などの代表者ら計24人が委員に就任。会長に元昭和小校長の高山義朗さん(78)を、副会長に福知山人権擁護委員協議会の上山英子さん(72)と京都弁護士会の安保(あぼ)千秋弁護士(51)を選んだ。
         また、市が昨年度に受理した児童虐待件数は70件で、身体的暴力が最も多く、年齢別では就学前や小学生が7割以上を占めることなどが報告された。
         府福知山児童相談所の早樫一男所長が「協議会の委員には法的に守秘義務が課せられるため、関係機関で情報交換がしやすい」とし、連携を強める必要性を強調した。
        (京都新聞)5月29日10時29分配信

        ●<高1自殺>ネット上に「死ね」と書かれ苦に 北九州
         北九州市小倉北区片野新町1の美萩野女子高校(大久保元晴校長、生徒数736人)に通う同市在住の1年の女子生徒(16)が、ネット上に「死ね」と書き込まれたのを苦に自殺したことが分かった。同校は31日、保護者集会を開き、経過を報告した。
         市消防局によると、女子生徒は29日午前6時54分ごろ、家族からの119番で市内の病院に搬送されたが、死亡が確認された。
         また同校によると、家族からは29日午前9時ごろに「(女子生徒が)自室で首をつって自殺した」と連絡があったといい、28日夜から29日未明に自殺したとみられる。
         校長らは連絡を受けて搬送先の病院に行った際、女子生徒の母親から、自室にあった家族あての遺書を見せてもらい、ネット上で「死ね」と書き込みされていた、との趣旨の記述があったという。
         同校は女子生徒と近い生徒らから聞き取りを実施。その中の一人が「26日から27日にかけて(女子生徒を)中傷する書き込みをしたかもしれない」と話したとしている。この生徒は30日以降、ショックで学校を休んでいるという。だが、自殺との因果関係は確認できていない。
         また、女子生徒が遺書で触れた書き込みについても、同じクラスの生徒が開設したブログとの情報もあるが、確認できていない。教職員は自殺した女子生徒へのいじめや、いわゆる「学校裏サイト」などへの書き込みがあったかなどについても調べている。警察にも協力を依頼し、ブログの確認などを進める。
         女子生徒はクラスで学級委員を務め、明るくリーダー的な存在だったという。5月28日、初めて学校を欠席。同日朝、母親から「中間テスト(22日終了)で頑張ったから疲れが出たと思う。休ませてください」と連絡があったという。
         同校は30日に全校集会を開き生徒に事件を報告。31日の保護者集会での説明では、一緒に登下校していた友人が数日前から女子生徒の様子がおかしかったと話していたという。
         大久保校長は毎日新聞の取材に「学校にいじめは全くなかった。生徒にもインターネットの怖さを教え、ブログなどのサイトを利用しないように指導してきた。自殺は本当に残念だ。原因を究明し、女子生徒の家族にきちんと報告したい」と語った。
        (毎日新聞)5月31日15時1分配信

        ●小5授業で自殺方法を紹介「睡眠薬や練炭も」…福岡・篠栗
         福岡県篠栗(ささぐり)町の北勢門(きたせと)小(岩崎陽一校長、708人)で、5年の担任男性講師(37)が28日の授業中、児童に対し、自殺する方法を具体的に紹介していたことが分かった。
         同小は29日、緊急の学級保護者会を開いて謝罪した。30日の授業は別の教諭が代行することにした。
         町教委と同小によると、29日に保護者から県教委に「先生が授業で自殺の方法を話し、子供がショックを受けている」と指摘があった。町教委の問い合わせを受けた岩崎校長が講師に事情を聞いたところ、国語の授業の冒頭で「自殺には身を投げたり、睡眠薬や練炭を使う方法がある」などと話していたことを認めた。
         講師は「児童から『こわい話をしてくれないか』などと言われたのがきっかけだった。命は大切で、自殺をせずに力強く生きてほしいと伝えるつもりだったが、力不足で不適切な発言をしてしまった」と反省しているという。
         町教委と同小は当面、講師に担任を続けさせるが、講師以外の教師にも授業をさせるなどの対応を取る。
        (読売新聞)5月30日12時12分配信

        理解のない“支援”はいらない
        2008/05/24
        障がいや病理などで、沢山の人が「支援」を必用としていて、それぞれに対応した支援の体制が作られて来ています(十分・不十分、程度の差こそあれ)。発達障がいへの支援は始まったばかりと言えますが…。
         しかし、支援する側の人が、「良かれ」と思って行う「支援」が、当事者にとって新たな負担や嫌な体験となることがあることを忘れてはなりません。
         特に、目に見えない障がいや病理のある人に対しての支援においては、当事者が言葉でニーズを伝える場合はともかくとして、多くの場合、支援する側が「○○が必用だろう」「○○であるべきだろう」と推測して行う支援となりますから、当事者のニーズとのズレが生じるのは必然とも言えます。
         ただ、支援にあたる人の推測が、障がいや病理の特性理解をベースとするものでなく、世間一般的な通念による発想でしかない場合は要注意です。当事者個々人の認知や行動のパターンを知ることなく、「一般的に○○であるべきだ」「そうすれば快適になるはず…」という思いこみは、当事者にとっては要らぬおせっかい、余計なお世話を越えて、迷惑千万、時には深く傷ついてしまう体験となってしまいます。
         まず、支援を必要とするその人を理解すること、理解しようとする姿勢が大前提だと思います。
         NPO法人ノンラベル主催の「アスペルガー障がいを学ぶ春の講座」は、お陰様で200名を超える参加で盛会の内に終了しました。毎日新聞が取材記事にしてくれましたので、紹介させていただきます。
         次回は「自閉症スペクトラムの人はひとりが好き?」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        アスペルガー障害:学ぶ講座に200人 当事者ら体験語る/京都

         ◇「アスペルガーは才能」
         アスペルガー障害の特性と当事者とのかかわり方を学ぶ「アスペルガー障がいを学ぶ春の講座」が18日、左京区の京都会館であった。当事者が「何かやれば成功する素質があるというプラス思考が大事」と強調し、集まった支援者ら約200人が耳を傾けた。
         アスペルガー障害に悩む人々を支援するNPO法人ノンラベル(南区)が主催。毎年春と秋に開いており、今回は17日から2日間、田井みゆき理事長や専門家らが講演した。
         アスペルガー障害は広汎性発達障害の一つ。他人の意図や感情を読めず、うまく意思疎通ができない▽特定の興味や関心の対象に執着する――などの特徴がある。
         この日は20歳代の当事者の男性が「私が今、伝えたいこと」と題して田井理事長と対談した。大学時代に漢字や英語検定に夢中になり、構内で歩きながら参考書を読んだ話や、アルバイト先で熱心に店のノウハウを学んで評価された話などを披露。「アスペルガー=才能と思って、生活、人生設計に生かせたら」と力を込めた。
         当事者の母親2人も登壇し「私たちが子供のころは、変わった子が多かったが、個性として受け入れられていた。今は画一的で『これができなかったらだめ』と言われる。そういう社会が少しずつ変わってくれれば」などと訴えた。
        (毎日新聞)5月19日17時2分配信

        ●過労自殺は最多81人=「労働時間短くても危険」-脳・心臓病死も高水準・厚労省
         仕事上のストレスが原因の過労による自殺で2007年度に労災認定された人は、前年度比22.7%増で過去最多の81人だったことが23日、厚生労働省のまとめで分かった。長時間労働で発症する脳や心臓の病気による過労死の労災認定も依然高い水準。労働環境が改善せず、心身ともに疲弊している実態が浮き彫りになった。
         同省によると、07年度にうつ病などの精神疾患で労災請求した人は前年度比16.2%増の952人、認定は同30.7%増の268人で、ともに4年前の2倍以上となり、過去最多だった。業種別では製造業(59人)がトップで、卸売・小売業(41人)や建設業(33人)、医療福祉業(26人)などが目立った。
         268人のうち自殺(未遂含む)で労災認定を受けた人は81人(未遂3人)。40代22人、30代21人で、働き盛りの年代が過半数を占めた。
         同省は今回、精神疾患で労災認定された人の時間外労働時間を初めて調査。81人のうち、1カ月の平均は100時間以上120時間未満が20人、80~100時間が11人などだったが、40時間未満も12人おり、労働時間が比較的短くても過労自殺の危険があることが裏付けられた。
        (時事通信)5月23日17時3分配信

        <職場いじめ>昨年度27%増…相談6千件 厚労省まとめ
         厚生労働省は、07年度の総合労働相談の結果を公表した。職場でのいじめに関する相談が前年度に比べて約6000件(27%)も増えたのが特徴だ。労組や弁護士グループの労働相談でもいじめ相談はここ数年増加しており、職場でのいじめが深く広がっていることをうかがわせた。
         総合労働相談は全国の労働局が約300カ所で実施。相談件数99万5061件(前年度比5.2%増)のうち、労働条件の引き下げなど個別の労働紛争に関する相談は約20万件(同5.5%増)に上った。
         労働紛争に関する相談内容の構成比では解雇が22.8%、いじめ12.5%、労働条件の引き下げ12.5%など。この中で、いじめは前年度比27.6%増の2万8278件と大幅増になった。労働形態別では、派遣、契約社員からの相談が2万7281件と16.1%増えたのが目立った。
         厚労省によると、いじめの相談は正社員よりも、非正規労働者からが多く、非正規同士のいじめもあり複雑だという。同省の担当者は「雇用形態の違う人が入り乱れて働く中、会社内での人間関係が希薄になっているのではないか」と分析している。
        (毎日新聞)5月24日11時35分配信

        ●学校裏サイト管理人に賠償命令=「書き込み放置は違法」-大阪地裁
         インターネット上の「学校裏サイト」の掲示板に実名で誹謗(ひぼう)中傷を書き込まれ精神的苦痛を受けたとして、大阪市内の少女がサイト管理人の男性に220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は23日、「書き込みを放置したのは違法」として、55万円の支払いを命じた。
         山下郁夫裁判長は「実名を公表された場合、現実の学校生活にも被害が及ぶことは容易に予想できた」と指摘。男性は書き込みを放置し、掲示板の管理義務に違反したと判断した。
         判決によると、少女が通っていた私立中学の裏サイト掲示板に2006年8月、少女の実名を挙げ「死ぬほどうざい」「ブス」などの悪口が書き込まれた。発見した学校側が9月に削除を要請したが、男性は応じなかった。
        (時事通信)5月23日21時1分配信

        ●障害者就労支援、知事に求める
         橋下徹知事は20日、障害者の就労を目的にパソコン技術の訓練を行う「府ITステーション」(大阪市天王寺区)を視察した。
         同ステーションは2004年9月開館で、府が大阪障害者団体連合会に年約2億円で運営を委託。知事直轄の改革プロジェクトチーム(PT)の財政再建プログラム試案では、8月以降の運営の全面見直しを求めている。
         橋下知事は、音声で操作内容を知らせる視覚障害者用のパソコンソフトを体験し、講習会や訓練の様子などを視察。同連合会の樋口四郎・理事長に「障害者の就労支援をお願いします」と求められ、「行政が取り組むべき課題と思っている。いろいろご意見いただきたい」と話した。
        (読売新聞)2008年5月21日

        ●障害児施設契約制度:「利用料滞納で退所可」 家計事情を排除-厚労省通知
         障害児施設に入所した子供の保護者に施設利用料などを課す「契約制度」を巡り、厚生労働省が家族の経済的事情を考慮する必要性を否定し「保護者が支払いを滞納した場合は、子供を退所させることも可能」とする通知を出していたことが分かった。通知は公費負担で養う「措置制度」の対象児童を限定する見解も示しており、障害児への公的責任を著しく狭める国の姿勢が浮き彫りになった。
         厚労省は障害者自立支援法の本格施行を控えた06年6月、障害児に措置制度を適用する要件として、保護者が(1)不在(2)精神疾患(3)虐待――のいずれかに該当することを定めた。さらに7月、全国児童相談所長会に措置を適用する場合の具体例を通知した。
         通知は「不在」の判断について、保護者が入院中や施設入所中でも病院・施設名が分かれば対象にならないことを明示。「精神疾患」に該当するのは「家裁に成年後見人の利用申請中」の保護者に限った。
         虐待に走る恐れがある故意に支払わない保護者についても「(虐待に当たる)養育拒否とは認められない」と定義。滞納世帯の児童は「(施設が)契約を解除することも可能」との見解を示した。
         日本知的障害者福祉協会の調査では、24都道県で契約と判定された児童の割合が7割を超えた。厚労省の通知を厳格に運用しているとみられる。
         厚生労働省障害福祉課は「一つの指標で『文言通りに従え』という意味ではない。子供の状況を勘案し、総合的な判断をするのは児童相談所の役割」と話している。
        ◇国の責任逃れだ--岡田喜篤・川崎医療福祉大学長の話
         児童は自己選択権も、不適切な境遇から自力で逃れる手だてもない存在で、公的責任の措置制度が重要だ。「公権力に基づく措置は自由がない」との指摘があるが、措置でも保護者の意向を尊重する手続きがある。措置に問題があるなら改善を検討すべきで、契約の導入が解決策にはならない。障害児だけ措置を制限するのは児童間の不公平で、国の責任逃れだ。
        (毎日新聞)2008年5月20日

        ●生活保護費から賠償金差し引く セクハラ敗訴の羽曳野市
         生活保護の申請をした女性(44)への職員のセクハラ行為をめぐる訴訟で敗訴し、110万円の損害賠償を支払った大阪府羽曳野市が、訴訟費用を除いて女性の手元に残った約24万円を「収入」とみなして生活保護費から差し引いていたことがわかった。専門家は「嫌がらせとしか思えない」と指摘している。
         昨年10月の大阪地裁堺支部判決によると、女性は生活保護受給を申請した05年5月から同12月、羽曳野市の担当の男性職員(30)=懲戒免職=から「夜に自宅に行く」といった内容の電話を4回受けた。元職員は訴訟で否認したが、判決は「立場を利用したもので悪質」と指摘し、セクハラ行為と認定。市に慰謝料など計110万円の支払いを命じた。
         女性の代理人弁護士らによると、市は判決に従って賠償金を支払い、女性の手元には訴訟で証拠採用された電話の録音テープの声紋鑑定費や弁護費用などを引いた24万2千円が残った。市はこれを女性の「収入」とみなし、昨年11月~今年4月、女性の生活保護費(月約6万6千円)から月1万~5万円を分割して差し引いた。
         一方で、市は国家賠償法に基づき、元職員に女性への賠償金と同じ額を市に支払うよう請求。元職員が応じたため、市は生活保護の減額に加えて賠償金も結果的に取り戻した形になった。
         自治体は生活保護法に基づき、受給者が交通事故や離婚などで保険金や慰謝料を受け取った場合、それを「収入」とみなして保護費を減額することができる。一方で旧厚生省は61年、受給者の自立や更生のために使われる分については収入とみなさない、とする通知を出している。
         女性の代理人は羽曳野市に「24万円は女性の自立や更生に必要な費用とみなすべきだ」と抗議。「そもそも、訴訟で負けた市が勝訴した側から賠償金を事実上取り戻すのは信義則に反する」と主張している。
         女性は朝日新聞の取材に「裁判で市が悪いと判断されたのに、お金を返す必要があるのか」と話した。
         これに対し、羽曳野市の麻野博一・福祉総務課長は「生活保護受給者が得た保険金などについては、ふだんから必要経費を除いたすべてを収入と認定している。今回も同様の措置をとった」と説明する。
         厚生労働省によると、行政の不法行為や災害被害などで賠償金を得た受給者については、自治体から問い合わせがあった場合、「個別の事情」を最大限考慮して生活保護の減額を判断するよう求めているという。過去には、95年の地下鉄サリン事件の被害に遭った生活保護受給者にオウム真理教(現アレフ)が支払った賠償金約300万円が、収入として認定されなかったケースがある。
         今回の羽曳野市の対応について、同省保護課の担当者は「訴訟に敗訴して賠償金を支払った経緯を踏まえれば、もう少し配慮の余地があったのではないか」と話している。
        (asahi.com)2008年05月24日03時00分

        ●子どもサミット:不登校を考える 佐世保のフリースペース-来月1日/長崎
         ◇設立20周年記念事業
         佐世保市京坪町の「フリースペースふきのとう」(山北真由美代表)は6月1日、同市三浦町のアルカスSASEBOで、不登校経験者が思いを語る「子どもサミット」を開く。ふきのとう設立20周年記念事業で、初めてメンバーの子どもたちが実行委員会をつくり運営する。
         子どもサミットは今年で4回目。1日は午後0時半開会、不登校問題などに詳しい高垣忠一郎・立命館大教授の基調講演「競争社会と自己肯定感」がある。その後、ふきのとうのメンバーら4人が体験などを語る。コーディネーターは高垣教授が務める。
         実行委員はふきのとうに通う8人。同市社会福祉協議会などを回ってサミットをPRしたり、当日の司会や受け付けも担当する。また、過去3回は1日だけの開催だったが、今回はサミット後も9、11月と来年2月に計3日間、「いじめ・不登校子どもの心に寄り添う」をテーマに講演会や劇団の公演などを催す。
         実行委員の一人は「『甘えている』と言われるのがつらかった。逃げているわけじゃなく、悩んでいて動けないということがある」と訴える。実行委員長の吉田祐太さん(19)は「多くの人に不登校について理解してほしい」と話している。
         山北代表は「子どもたちの生の声を聞いて、何に苦しんでいるのかを理解してほしい」と話している。サミット参加費は、中学生以上500円▽小学生以下無料。問い合わせは山北代表(0956・22・5462)。
        (毎日新聞)5月22日15時1分配信

        ●<小中教員増>文科省、授業増対応で1万3300人と試算
         文部科学省が「教育振興基本計画」の原案に掲げた小中学校の教員定数増の数値目標の内訳について、同省の試算が明らかになった。新学習指導要領(完全実施は小学校11年度、中学校12年度)で学ぶ内容が増え、(1)授業増への対応で1万3300人(2)小学校の外国語活動の専科教員約2400人(3)少人数教育実施で8800人--が必要と試算。文科省は23日、計約2万5000人の目標を同計画の原案に盛り込んだ。
         原案では、教員が子どもと向き合う時間の確保や特別支援教育の充実などのため、さらに定数増や非常勤職員配置を求めていく方針も示し、数値は記載しなかったが約1万人を見込んでいる。
         文科省は、原案を元に23日から各省との本格的な協議に入った。
        (毎日新聞)5月23日22時30分配信
        アスペルガー障がいのある人の発達のぎくしゃく
        2008/05/17
        自閉症スペクトラム障がいのある人には、発達の仕方にぎくしゃく(あるいは、でこぼこ、偏り)があります。
         これは、発達の「遅れ」を意味するものではありません。発達の仕方やパターンが定型発達をしている人とは違うという意味です。
         例えば、得意なこと(算数の計算や歴史の年表を覚えるなど)はクラスで一番できるのに、苦手なこと(作文や集団で行う球技など)はクラスで目立って苦手だったりします。
         学校という社会では、残念なことに、この「苦手なこと」が際だって目立ってしまい、からかいやイジメになってしまうことが少なくありません。
         この「苦手なこと」は、生得的なものであって、育て方や本人の性格によるものではありません。ただ、成育環境によって、その苦手さを自身がどう感じるかは異なってきます。不得手だけれど、少しずつ練習をして段々とレベルアップできることもありますし、やり方を替えることでできなかったことができるようになったりするからです。
         「どうしてそんな簡単なことができない!?」と言われ続けられることを想像してみて下さい。できないことを、「何故できない!?」と毎日のように責められたとしたら…。誰でもへこみます。そして自尊感情が低下していくに連れて、抑うつや強迫性障害の症状が出てきてしまいます。
         そうならないために、まずはできることを十分に誉めてあげることです。そして、苦手なことを回りが理解をしてあげることです。理解し、部分的なサポートをしてあげることで、少しでもできる状態に環境を整え、本人に達成感を味わってもらいましょう。否定的な対応でなく、肯定的なサポートを心がけたいものです。
         次回は「理解のない“支援”はいらない」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <自殺意識調査>成人男女の2割「本気で考えた」 内閣府

         成人男女の19.1%が本気で自殺を考えた経験があることが、内閣府が16日に発表した「自殺対策に関する意識調査」で明らかになった。そのうち20.8%は「最近1年以内に自殺したいと思った」と回答。一方、自殺を考えた時に「相談したことはない」人は60.4%に上り、一人で悩むケースが多い実態も浮かんだ。
         調査は今年2~3月、全国20歳以上の男女3000人を対象に実施し、1808人から回答を得た。調査票を密封回収する留置法により回答者のプライバシーにも配慮した。自殺に関する政府の全国一斉調査は初めて。
         単純比較はできないが、厚生労働省が06年にまとめた別の報告書では、自殺を考えたことがある人は1割弱だった。今回の調査結果はこれを上回り、20代(24.6%)と30代(27.8%)で比率が高いことも分かった。職業別では「パート・アルバイト」が25.8%で最多だった。「自殺したいと思ったことがない」は70.6%だった。
         自殺を考えたことがある人の11%は「悩みやつらい気持ちを受け止めてくれる人がいない」と答えた。自殺を考えたことがない人の場合は4.4%にとどまっており、周囲の支えの有無も「自殺願望」に影響しているとみられる。
         インターネット上の自殺サイトについて「規制すべきだ」との回答は76.1%に達したが、同サイトを「見たことがある」人はわずか1.9%だった。
         一方、仕事を持っている人を対象に、うつ病になった場合に休職することへの考えを複数回答で聞いたところ、「上司や同僚に迷惑をかける」が51.7%で最も多く、「職場復帰ができなくなる」26.6%▽「昇進や昇給に影響する」18.3%--などが続いた。休職に「特に支障はない」との答えは1割未満だった。
        (毎日新聞)5月16日19時38分配信

        ●無保険で死亡 全国で475人
        保険料の滞納などで健康保険が使えないいわゆる無保険の状態で病状が悪化して医療機関に運ばれ死亡した人が、この2年間に全国で少なくとも475人いたことが、NHKが医療機関に行ったアンケート調査でわかりました。
        NHKは、健康保険が使えないことの影響を調べるため、救急患者を受け入れている全国のおよそ4400の医療機関にアンケート調査を行い、2384の回答を得ました。その結果、いわゆる無保険の状態の人で病状が悪化して運ばれてきて死亡した人が、この2年間に174の医療機関で475人いたことがわかりました。保険が使えないことと病状の悪化に関係があるかどうかについて尋ねたところ、60%余りの医療機関は「わからない」としていますが、25%に当たる43の医療機関は医療費の負担の重さから治療を受けるのを我慢していたとみられる人がいたと答えました。市販の薬だけで様子を見ているうちに症状が悪くなったとみられるケースや、寝たきりの状態になっても経済的な理由から治療を受けていなかったとみられるケースがあったということです。社会保障制度に詳しい慶應義塾大学経済学部の駒村康平教授は「非正規の労働者など低所得者が増えるなかで、誰もが必要な医療を受けられるようにする保険制度の空洞化が進んでいるのではないか。制度を現状に即して見直していく必要がある」と話しています。一方、厚生労働省は、この結果について「保険料の滞納に至った経緯や生活の実態などを個々に詳しく分析しないと見解を出すのは難しい」としています。
        (NHKニュース)5月11日16時3分

        ●<生きテク>「自殺しなくて済む」サイトが月10万PV 死にたい悩み、回避の実例紹介
         ◇オキタさんらZERO実行委「生きる方法の蛇口に」 自殺の手段を紹介するインターネットのサイトが無数にあふれる中、「自殺しなくて済む方法」を提示するサイトがある。その名も「生きテク」(http://ikiteku.net/)。渋谷区でデザイン会社を経営するオキタ・リュウイチさん(32)と仲間でつくる「自殺ZEROキャンペーン実行委員会」が昨年9月に開設した。10日には杉並区と連携し、JR阿佐ケ谷駅前で自殺防止アピールをする。
         オキタさんは99年、「キレる17歳」とレッテルを張られていた高校生世代に向けて、「100個いいことをしたら願いがかなう」との触れ込みで「いいこと」をシールで記録する「ヘブンズパスポート」を考案・販売しブームを起こした。
         その後はデザインの仕事を順調に続けていたが、重いうつ病に見舞われ、再び社会にかかわる事業を模索。国内の自殺者が年間3万人を超える現状を変えようと、昨年3月に手弁当で実行委を設立した。
         昨年7月と9月には、自殺を踏みとどまらせる多様なメッセージ入りのTシャツを着た数十人が都心を練り歩くゲリラ的な活動を展開。今年1月にはJR新橋駅前で、ギャルファッションの若い女性たちと、自殺で父を亡くしたメンバーの書いた「天国のお父さんへ」と題する手紙のコピーを配った。今回もTシャツ隊が繰り出し、同様のチラシを配布する。
         サイト「生きテク」は、死にたいほどの悩みを「病気」「借金」など8類型に分け、自殺を回避できた人の実例を紹介する。オキタさんは「生きるための方法が見つかる蛇口のようにしたい」と話す。月に約10万件の訪問(ページビュー)があるという。
         杉並区は今年度から5月と9月を自殺予防月間に定め、毎年100人を超える区内の自殺者数の減少を目指している。
        (毎日新聞)5月13日16時47分配信

        ●小中生の携帯所持禁止を提言へ=教育再生懇が一致
         政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾塾長)は17日、都内で会合を開き、小中学生に携帯電話を持たせないよう保護者らに求める提言を、今月末にまとめる一次報告に盛り込むことで一致した。報告には、小中学生が使う携帯電話の機能を、通話や居場所確認に限定するよう携帯電話業界に求めることなども盛り込む。
         会合で、町村信孝官房長官は「携帯電話を使った犯罪が多発しているので、携帯会社任せにせずに規制を考えることが必要ではないか」と述べた。山谷えり子首相補佐官は会合後の記者会見で、「携帯を強制的に持たせないわけではないが、教育的視点から、保護者や業界に深く考えてもらうよう、メッセージを発信したい」としている。
        (時事通信)5月17日15時1分配信

        ●橋下知事「署名するなら金をくれ」
         大阪府の橋下徹知事が進める文化施設の廃止や統合をめぐり、知事と大阪市の平松邦夫市長が15日の会談で、激論を交わした。
         口火を切ったのは市長。「みんなで懸命に守ってきた文化を財政だけで切っていいのか。立て直すにも時間がかかる」と橋下知事に苦言を呈した。
         すると知事は「行政が特定の文化を育てると考えるのはおこがましい。残った物が文化だ」と即座に反論。
         平松市長も「弱いながらも守ってきたものが文化でないというのは、暴論だ」と言い返した。
         収まらない橋下知事は、上方演芸資料館(ワッハ上方)の移転や国際児童文学館の統合などに反対署名が寄せられていることを念頭に「府民や市民は署名はするが、お金を出してくれるのか」とヒートアップ。
         「本当に文化を残すつもりなら1人1000円でも出してくれればいい」とまくしたてた。
         この後、橋下知事は記者団に対しても同様の発言。「署名とかそんなことするんだったら、金出してくれっていうのが根本にあるんですけれどもね」と述べた。
        (nikkansports.com)2008年5月16日2時35分

        ●給食費滞納:県内初、前橋市が5世帯に法的措置も /群馬
         前橋市は16日から、支払い能力があるのに給食費を滞納している5世帯に対し、26日までに支払いに応じない場合は、裁判所に支払い督促の申し立てをするなど法的措置を取る考えを伝え始めた。市教育委員会によると、給食費滞納で法的措置による対応を決めたのは県内初という。
         市教委によると、5世帯は誓約書を提出しながら計約99万円を滞納。「職員の訪問などで経済的に支払い能力があると判断した」という。応じない場合、来月上旬にも前橋簡易裁判所に支払い督促の申し立てをする。前橋市の07年度末までの給食費滞納総額は約300世帯、1158万5814円。
        (毎日新聞)5月17日12時1分配信

        アスペルガー障がいの方とのカウンセリング
        2008/05/11
        社会性、コミュニケーション、想像力にモンダイがあると言われている自閉症スペクトラム障がい。その中で、コミュニケーションにはモンダイがないと言われているアスペルガー障がい。その方々とカウンセリングという2人で語り合う時間を仕事としている私。
         相手の気持ちがくみ取れない、自分の気持ちを上手く表現できない、自分の興味・関心のあることを話し続ける、などがアスペルガー障がいのある人の特性と言われていますが、カウンセリングはちゃんと成り立ちます。もちろん、その人それぞれで工夫や配慮は必用となります。
         IQの高い人ほど、対話が成立しやすくなるのは事実でしょう。しかし、IQが平均、あるいはボーダーに近い人も、定型発達の人と同じように、生きていく上で悩んでこられたこと、被虐的な体験をされたこと、そして現在困っておられることなどがあり、それらの緩和・解消に向けての相談を主としたカウンセリングは有効であると確信しています。
        特に気をつけているのは、自分の気持ちを上手く表現できないという特性を補うために、言い換えて表現してあげること、ご本人は自覚されてないことを推察して提示してあげることです。これらは、本人さんにとって気づきになりますし、問題の整理に役立ちます。
         定型発達の人たちより、生き難い生活をしておられる方が多いアスペルガー障がいの本人さんとご家族の方々が、継続して相談援助、問題解決へのケースワークを受けられる社会資源が、少なすぎる現状。何とか充実させて行きたいものです。
         次回は「アスペルガー障がいのある人の発達のぎくしゃく」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        障害者の権利条約発効=「歴史的」と評価―国連総長

         【ニューヨーク3日時事】世界に6億5000万人いるとされる障害者に健常者と同等の権利を保障する国際条約「障害者の権利条約」が3日、発効した。国連の潘基文事務総長はこれより先、「すべての人の人権実現を追求しているわれわれにとって歴史的瞬間だ」と評価する声明を発表した。
         条約は前文と本文50条、付属文書で構成。障害者の権利保全に向け立法措置を取ることを各国に義務付け、就職や結婚などでの差別全廃を徹底するよう求めている。
         条約は各国政府のほか、障害者の権利擁護を唱える非政府組織(NGO)などの手で起草され、2006年12月に国連総会で採択された。先月3日に批准国数が20カ国に達して発効要件を満たし、潘事務総長はこの際「採択後わずか1年半で発効にこぎつけた」と異例の早さに驚きを示していた。
         日本は昨年9月、条約に署名したが、国内法整備に時間を要し、批准は来年になる可能性がある。
        (時事通信社)2008/05/03-14:43

        ●熱湯いじめで兵庫県立高校生、県などに賠償提訴
         兵庫県美方郡内の県立高校の寮で2006年、当時1年生の男子生徒に熱湯をかけ、大やけどを負わせたなどとして、同級生ら計5人が傷害容疑などで逮捕された事件に絡み、被害生徒2人が県と逮捕者を含む少年5人に慰謝料など計1085万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こしていたことがわかった。原告側は「訴訟を通していじめの温床を断ちたい」としている。
         訴状などによると、2人は06年9月ごろから、少年らからほぼ毎日、暴行などのいじめを受けるようになり、うち1人は同年12月、入浴中に約70度の熱湯をかけられ、約6か月のやけどを負った。さらに、2人で殴り合いをさせられ、鼻の骨を折るなどした。2人はいじめが原因で不眠症になり、自殺も考えたという。
         寮には舎監の教職員2人がおり、いじめを目撃した別の生徒から通報を受けたのに、適切な防止策を取らず放置していたという。
         原告側は、過去にもこの寮でいじめがあったことに触れ、寮生に対する安全配慮義務がある県にも賠償責任があると主張している。被告側はいじめを認めたうえで、暴力の程度や損害額などを争っている。
        (読売新聞)2008年5月5日

        ●後期高齢者医療制度:加入強制 71歳「生活ギリギリ」 息子2人も障害者
         北海道や福岡県など10道県で、障害を抱えたお年寄り3400人余が、後期高齢者医療制度への加入を「強制」され、拒否していた。加入しなければ障害者医療費の助成を受けられないと知りつつ、保険料の負担に耐えられない現実がのしかかる。重い障害を抱えながら長年働き、家族を養う人たちは、制度のはざまに落ち込み、疑問の声を上げる。
         ◇富山市の説明、その場で拒否
         富山市の新聞販売店勤務、中崎宗夫さん(71)は聴覚障害2級で、肉声での会話は困難だ。耳鼻科や眼科にも通う必要があり、4月3日に受診、窓口で自己負担分430円を支払った。3月までは県と市の医療費助成があり、負担はゼロ。引き続き助成を受けるには、同制度に入る必要があったが、見送っていた。
         妻チヨミさん(66)と2人で新聞を配り、月収は約17万円。年金も約20万円あるが、配達用の車のガソリン代などで十数万円が消える。知的障害者施設で暮らす長男(37)、重症心身障害者施設に入所の次男(35)のため、月4万円を積み立て「生活はギリギリ」だ。
         3月に郵送されてきた新制度の通知を手に、市役所に出向いた。妻と息子、有料老人ホームで暮らす母親(91)は、中崎さんの政府管掌健保の被扶養者で月々の保険料は7200円。中崎さんが同制度に入ると、全員が個別の健康保険に入らなければならず、保険料総額は1万1700円に増えてしまう。
         中崎さんは、付き添いの友人のおかげで職員の説明をやっと理解し「今の収入では負担できない」とその場で加入を拒んだ。
         だが、今後は障害者対象の医療費助成が受けられず、日常的な通院で負担を強いられる。「通院だけならまだしも。今は事故も入院も考えたくない」
         「新制度に移れば、子供たちの保険も必要になる。制度の変更を国は真剣に考えてほしい」。中崎さんは筆談を交え、そう訴えた。
        (毎日新聞)2008年5月6日 東京朝刊

        ●40年続いた障害者相談員廃止 「実績少ない」と下関市
         身体、知的障害者の相談を障害者自身や家族らが受け付ける「障害者相談員」制度を山口県下関市が4月から廃止したことが1日分かった。法律に基づいて約40年前から全国に普及した制度で、同県内や隣の福岡県内では廃止例はほかにない。突然の通告に障害者団体は反発し、市議会に復活を求める陳情書を出した。
         市によると、07年度の相談員は42人。障害の種類別に、障害者本人や保護者、福祉施設職員などに委嘱していた。相談員は、福祉サービスや年金手続きを始め、生活全般にわたる悩みを聞いて助言。事務経費として年間2万4500円が支払われていた。
         市に提出された06年度の報告書によると、相談件数は計463件。1人で56件をこなした人もいたが、7人が0件、3人が1件、4人が2件だった。市は実績が少ないとして廃止を決め、3月末に障害者団体に文書で通知した。
         市は「1人あたりの相談件数は月1件未満で効果が薄い」と説明する。一方、市身体障害者団体連合会は「障害者同士で相談できる貴重な制度。実情を調べてほしかった」と困惑する。
         視覚障害者として相談員を務めていた同連合会の舛尾政美副会長は「視覚障害のある相談員には文書を作るのは大変。実際には報告されていない相談も多い」と話す。内臓疾患や人工肛門(こうもん)・膀胱(ぼうこう)利用者の場合など「当事者同士でなくては話しにくいことも多い」と必要性を指摘する。
         これに対し、下関市障害者支援課は「民間施設などの相談窓口を増やしている。より効果のある支援に変えていきたい」としている。
         「障害者相談員」制度は身体、知的の各障害者福祉法に基づく。山口市では07年度、相談員30人の相談件数は355件。1人あたりの件数は下関市と大差はないが、「報告されていない相談もある。今のところ制度廃止が議論になったことはない」と話す。
         福岡県内でも政令指定市の福岡市、北九州市をはじめ、全市町村で相談員制度が実施されているが、廃止の動きはないという。
        (asahi.com)2008年05月02日16時44分

        ●<損害賠償>一番嫌われている人、クラスで公表…元児童提訴
         千葉市立小学校時代に当時の担任教師が行った「クラスで好きな人、嫌いな人」のアンケートで「一番嫌われている人」として実名を発表されたため精神的苦痛を受けたとして、千葉市内の男子中学生とその両親が市に対し約1000万円の損害賠償を求める訴えを千葉地裁に起こしていたことが10日、分かった。
         関係者によると、05年4月、市立小学校4年だった男子生徒の担任教師がクラス全員を対象に「好きな人、嫌いな人」の実名を書かせた。約1週間後、児童の多数決をとったうえで、一番嫌われている人として男子生徒の実名を公表。これをきっかけに男子生徒はクラス内でいじめを受けるようになり、約1年半後に転校したという。
         千葉市教育委員会は「訴状が届いていることは事実。内容を確認し、事実関係を調査したい」と話している。
        (毎日新聞)5月10日12時53分配信

        ●不登校の話し相手「メンタルフレンド」、登録・利用が減少
         県内の大学生らが不登校の子どもの話し相手になるボランティア「メンタルフレンド」(MF)の登録者と利用者が減っている。事業が始まって17年。同様の相談窓口や支援活動がほかにも増えたことが背景にある。一方で、登録者が足りず利用を断る例も出ており、各相談窓口などとの連携強化の必要性を指摘する声も上がっている。
         「初めは家にいるのが安心だったけど、だんだん誰かとかかわりたくなって」。小中学校時代に不登校を経験した東信地方の女子高校生(16)は、小五の時、MFとつながった。一緒におやつを食べたり好きなアニメを見たり。それが「MFと一緒なら」と買い物に出かけ、MFがいるフリースクールにも顔を出すようになった。今は定時制高校に通う。「外に出ていくきっかけをつくってもらえた気がします」と振り返る。
         MFは、1991年に県内5カ所の児童相談所を窓口に始まった。県は、MFの利用で、家にこもりがちな不登校の子どもが、対人関係を持てるようになったり、行動範囲を広げたりした-などと評価。諏訪児童相談所の担当者も「子どもと年齢が近く身近な目標となりやすい」とその意義を語る。
         ところが、県内の登録人数はここ数年減り続け、2003年度に186人だったのが、07年度には67人に。利用する子どもの数とMFの派遣回数も03年度の35人、654回から07年度には17人、211回となっている。
         一方で、このところ年間二千数百人で推移する不登校の子どもたちへの対応として、学校に心の相談員やカウンセラーを配置したり、県教委が地域との連携を後押ししたりする動きが進んでいる。05年からは市町村にも相談窓口ができた。
         MF登録者が減る中、松本児童相談所では昨年度、子どもの希望にかなう登録者がなく、利用者はゼロ。諏訪児童相談所でも希望条件に合う登録者の自宅が遠く、応じられない例があったという。
         長野大(上田市)の学生サークル「メンタルフレンドの会」も、5年前に約20人だった登録者が今は5人。MFとしてかかわり、現在も子どもの支援に当たる長野大研究生の山口淑恵さん(22)は「集団が苦手でMFを必要とするような子どもは潜在的にもっといるはずだ」と、減少を憂う。
         同会顧問で長野大講師の端田篤人さん(35)は、支援の選択肢が増えたことを評価しながら、「利用者の側にはどこにどんなサービスがあるのか混乱もあるのではないか。各相談窓口や活動の連携強化が欠かせない」としている。
        (信毎web)5月5日(月)

        ●学校裏サイト:105校に 全体の7割超す--横浜市教委調査/神奈川
         ◇15校ではいじめや不登校に発展
         子供たちが運営し、いじめの温床にもなっているとされるインターネット上の掲示板「学校裏サイト」が横浜市立中145校のうち7割を超す105校にあることが横浜市教育委員会の調査で分かった。15校では裏サイトでの書き込みが、いじめや不登校などにつながったことも判明。7日発表した市教委は「予想以上にネット社会に子どもたちが巻き込まれ、トラブルに見舞われている」と分析している。【野口由紀】
         市教委は4月24日、全市立中145校の生徒指導担当教諭にアンケート。自分の学校に関連する裏サイトを確認しているのは105校に上った。
         調査によると、裏サイト上では「ウザイ」「キモイ」「ぶっ殺す」などの他人を攻撃する言葉が並び、個人を特定した上で悪口を連ねることも。さらに生徒の顔写真が無断掲載されたケースもあったという。
         いじめや不登校などに発展した事例も15校から報告された。ある中学では4人グループが裏サイト内で他人の悪口を書いていたが、次第にメンバー同士で中傷し合うようになり4人中2人が不登校になった。また「○○中弱い」と書き込まれた中学の生徒が集団で他校に乗り込み、県警から指導を受けたこともあった。
         また、悪質な書き込みについてプロバイダーに削除依頼した教諭が、裏サイト上で中傷される「逆攻撃」の被害も7校で報告された。
         市教委は2月、同様の「逆攻撃」被害について中区の中学から報告を受けたことから、全市立中を対象に今回調べていた。市教委は4月24日、削除依頼は個人名ではなく、学校名と校長名などで依頼するように各校に指導している。
         ◇全国で3万8260件--サイト数把握は困難
         1~3月の文部科学省調査によると、中高生が運営する「学校裏サイト」は全国で3万8260件に上る。全国の中学・高校約1万6000校より多いのは、1校で複数の裏サイトが存在するため。今回の横浜市教委調査では元々サイト数は調べていないが、掲示板によってはテーマごとに書き込み(スレッド)が立ち上がっては消えることもあり、「数は把握できない」(市教委)のが実情という。
         文科省調査で、記述内容を詳細に調べた群馬・静岡・兵庫3県の計2010件では、「キモい」「うざい」などの誹謗(ひぼう)・中傷表現が996件で見られた。生徒個人への中傷は約60%、教師に向けた中傷は約15%あった。「死ね」などの暴力的な表現も534件あった。
        (毎日新聞)5月8日15時1分配信

        県立高授業料滞納:経済的事情だが…過去最高624万6000円--06年度/山形
         ◇多くは経済的事情だが…頭抱える県教委「授業受けさせないわけにも」
         県立高校の授業料滞納額が、06年度に過去最高の624万6000円に上っていたことが県教育委員会の調査で分かった。県教委は「不平等になるので払ってもらわないと困るが、保護者が払わないといって、生徒に授業を受けさせないわけにもいかない」と対応に頭を抱えている。今後、実態把握調査に乗り出す。
         県教委は05年に対策要綱を作成。滞納者には、電話、面接指導、家庭訪問など1カ月ごとに段階を踏み、保護者に授業料納付を催促するよう指導している。3カ月以上も滞納し、応じない場合は「登校停止を検討する」としているが、これまで未納が理由の出席停止、退学の処分はないという。しかし進級や卒業を認めないという高校はあった。
         滞納理由は多くが複雑な家庭環境などを背景にした経済的な事情だが、一方で、子供の携帯電話に3万~4万円を払いながら、授業料は7カ月~8カ月未納という保護者もいたという。
         県教委総務課は「都会と比べれば少ないと思うが、公の概念が変わってきているかもしれない」と分析。「個々の家庭に応じた対応を考えなければならないが、まずは早急に実態を把握しなければ」と話している。
         ◇県立高校授業料の滞納状況◇(県教委調べ)
        年度       滞納額   人
        02 363万8000円  83
        03 581万1000円 124
        04 623万0000円 126
        05 529万5000円 120
        06 624万6000円 152
        (毎日新聞)5月9日15時1分配信
        発達障がいへの社会保障に望むこと
        2008/05/04
        障がい者自立支援法が施行されて3年目となっています。私が副理事長をしているノンラベルも、生活支援や就労継続支援などの福祉サービスを行う事業所として京都府より指定してもらうための準備を始めていますが、発達障がいのある人に対してのこれらサービスについては、厚生労働省は何の方針も計画もないのが現状です。こららサービスを受ける(本人1割負担で)には、知的あるいは精神障害の認定が必用となるようです。精神障害でないのに精神障害認定を受けなければならない、というとんでもない矛盾ですが、微妙なグレーゾーンとも言えるものです。
         そもそも障害者福祉は、知的・身体・精神の3分野に分けて「措置」という形で行われてきました。そられを統合(?)して、支援の必要な人に地域で(?)サービスを(1割負担で)提供していくという、日本の精神保健福祉サービス上の大転換が、この自立支援法によって行われました。
         自立支援法導入議論の以前から、LD、AD/HD、広汎性発達障がいなどの発達障がいに注目が集まっていましたが、原因や治療法などが明らかにならないことや、診断数は増えるものの実数が把握できない、診断がされても治療・療育などの体制がない、などの理由からでしょうか、事実上旧来の3障がいのみを対象とした障害者自立支援法が制定、施行されてしまいました。
         障害者への福祉サービスの必用の度合いは、生活のしづらさや生きづらさによってはかられるべきものです。発達障がいや高次脳機能障がいなどのぱっと見にはわかりにくい障がい(身体的あるいは知的に問題が認められないなど)は、依然放置されたままです。コミュニケーションや社会的相互関係、自己認知や自尊感情のありようなどに困難さを抱える発達障がい、二次的な障害・症状の発症も少なくありません。「発達障がい者福祉後進国」とならないよう、社会保障のあり方に、早期に大胆なメスが入れられることを願ってやみません。
         次回は「アスペルガー障がいの方とのカウンセリング」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        150人巻き込んだ中3不登校少女…硫化水素自殺の“闇”

         高知市から車で約1時間、のどかな田園が広がる高知県香南市香我美町の市営住宅で23日夜に突如発生した硫化水素による避難騒ぎ。死亡した中3少女(14)は、玄関ドアに赤い文字で「毒ガス発生中」と書いたメモを張って、浴室で自殺していた。少女に何があったのか。そしてなぜ約90人もの住民が手当を受けるほどの事態になったのか。
         ■1年秋から不登校
         死亡した少女の小学校時代の女性校長は語る。
         「優くて、よく人の面倒をみる子でした。児童会の役員もしており、活発でリーダーシップが発揮できた。お友達も多かったのにこんなことになるなんて」
         少女の同級生の母親の少女像も、最初はこれと共通したものだった。
         「中学に入っても活発で明るく、なんでも率先してやるいい子だったんです」
         それが中学1年の2学期ごろから変わり始めた。
         「何かのきっかけで学校に行きたくない-と言いだしたようです。2年生のころは保健室登校のような形だったと聞いています。3年生になると、母親から担任も代わり新しい環境になったからがんばって行こうね-などと励まされて、何日か登校したらしいのです」
         事件翌朝、中学校の校長は会見で、自殺の直接的な要因としていじめなどはなかったと強調した。
         しかし不登校になった要因として、1年の2学期にバレーボール部の練習についていけずに休部したことや、担任教諭との相性、3年時には、不登校による出席日数不足や学習面で不安があったことなどを列挙した。
         さらに2、3年生への進級時には、「仲の良い生徒と同じクラスにしてほしい」などという相談があったことも明かした。
         少女は2年生では、約240日の出席日のうち、約3分の2にあたる約160日を欠席。3年生になってからは、始業式の7日と翌8日は出席していたが、以後は欠席していた。
         本当にいじめなどはなかったのか。
         同級生によると、不登校になってからも、会うと少女の表情や態度はごく普通だったという。
         市営住宅の女性(28)もそうした点は同じように感じていたようで「あの子のような、重い引きこもりでもない子を救うことはできなかったのか」と、学校への憤りを隠さない。
         警察は遺書をあったことは認めているが、内容は明らかにしていない。
         自殺の直接的な動機や精神状態はどうだったのか。不登校傾向に陥ったきっかけは何だったのか、どんな要因が重なって立ち直れなかったのか。
         少女の心の闇は深い。
         ■150人避難
         警察によると、少女は5階建ての市営住宅の3階の一室で母親(38)と2人暮らし。
         母親が仕事に出掛けて1人きりになったとき、市営住宅の浴室にプラスチック製の衣装ケースを持ち込んで、トイレ洗浄剤などを注ぎ込んで、大量の硫化水素を発生させた。
         制服姿で、かたわらにはノートと携帯電話があり、遺書めいた書き込みがあったという。
         消防によると、事件発生直後から少女の住む部屋を中心に「気分が悪い」「のどが痛い」などの症状を訴える人が21人おり救急搬送。68人も自分で病院に駆け込み処置を受けた。
         硫化水素は空気より比重が重いため、高層階で発生した場合速やかに下層へ広まる性質がある。
         消防の検証でも、少女の住む3階の部屋を中心に両隣と、直下の2階、1階の住人が健康被害を訴えていた。
         小学生の子供を持つ女性(28)は「卵が腐ったようなにおいがして、子供と一緒になんだろうねと話していた。食事を終え風呂から上がったときに避難するよう言われ、あわてて飛び出した」。
         他にも「消防車の音がして窓を開けたとたんに、くさったにおいがして、避難してくださいと呼びかけるのが聞こえた」(35歳女性)。「妻が、のどが痛いといって検査入院中。とりあえず子供も心配なので帰ってきたが、どうなるんだろう」(35歳男性)。
         香南市消防本部は事件発生前の今月9日に消防庁の通達を受け、硫化水素自殺対策のマニュアルを15日に作成していた。
         勉強会も2回開催していた。
         このため事件の一報を聞いた時点で、硫化水素自殺と瞬時に判断。近くの体育館を避難所とすることを決定、午後8時過ぎから住民に呼びかけ避難させた。
         避難者150人に対し、治療の優先順位を決めるトリアージも実施。うち21人は治療の必要があるとして、病院に搬送した。
         ■情報社会の恐ろしさ
         警察では、硫化水素については、少女のメモなどからテレビなどで得た知識ではないかと見ている。
         いずれにしても巻き込まれた住民らは憤るよりも、こうした事件を簡単に起こすことができる世の中に、底知れなぬ恐怖を感じているようだ。
         同市営住宅に住む男性(45)は「インターネットや携帯電話、テレビで、子供がいろんな情報を簡単に手に入れられるのは怖い。規制するのは難しいだろうが」と沈痛な表情。
         そして朝刊で何があったかを確認した住民らは、改めて「子供が簡単に危険な情報を知りうる怖さ」を口にした。
        (産経新聞)4月29日18時49分配信

        ●「休みたいなら辞めろ」発言は暴論?正論? ネットで波紋広がる
         「休みたいならば辞めればいい」――。そう会見で述べたとされる日本電産の永守重信社長の発言への反響が広がっている。連合会長がメーデーで非難したのに続き、ネットでも永守発言に対して多くの「意見表明」がされた。批判が多いが、なかには「正論を言ってくれた」と支持する声もある。
         ■「会社が儲かればなんでもありなのか?」
         永守社長は2008年4月23日の記者会見で「休みたいならば辞めればよい」と発言したと報じられた。
          「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」
         と述べたとされている(asahi.com2008年04月23日)。
         その後、連合(日本労働組合総連合会)の高木剛会長が4月26日のメーデー中央大会で、この発言を「言語道断」と激しく批判。J-CASTニュースが報じたところ、同ニュースやYahoo!ニュース、livedoorニュースなどのコメント欄や個人のブログ、掲示板に、たくさんの読者の意見や感想が書き込まれた。その多くは、永守発言への批判的なコメントだ。
          「IT関連で働いています。会社でかなりの残業をやらされて過労死に追い詰められた同僚のことを思い出しました。このような発言は許せないですね。会社が儲かればなんでもありな会社なんですか?」(Yahoo!コメント)
          「『休みたいなら辞めろ』って酷い。そりゃ、仕事もろくにしないで休みまくってる人もいるんだろうけど、言い方ってあるでしょ。うちの叔父さんはほぼ休みない状態で働いて髪真っ白になったし(まだ30代)、お父さんは前の会社の社長が無能なせいで働き詰めで欝(うつ)にまでなった」(モバゲータウン日記)
          「武田鉄矢の『こら、鉄矢』って曲でお母さんが『休みたいと思えば死ね』なんて言っているけどあれは肉親だから許される事。会社がいくら親近感ある存在だろうがこう言う言語は、反発招くだろうな。と言うものの休みを取りたくてもなかなか出来ない現状だけど」(livedoorコメント)
          「だいぶ昔になるけど、ウチの会社でも『年休を取ったら余剰人員と見なす』って言ってた管理職がいた。当然、部下からは嫌われまくりで、定年で辞めるとき、部下は全員無視してお祝いもなにもしなかった」(J-CASTコメント)
         ■「こういう気持ちでなければ中小企業はつぶれてしまう」
         このようにそれぞれの体験にもとづく批判が多数寄せられた一方で、数は少ないが、永守社長の発言に賛成する意見もあった。中小企業の経営者としての立場から「休みたくても休めない現実」を訴えるものや、「倒産するよりはマシ」と考える意見など、さまざまだ。
          「この発言の何がいけないんでしょう?実際中小企業はこういう気持ちで一致団結してやってなければつぶれますよ。この発言を批判できる人間は公務員かあるいは庶民の生活を知らないゴールデンウィークには高い金払って海外旅行にいける大企業の人間だけですよ」(Yahoo!コメント)
          「休み休みって、ただ単にラクしたいだけだろ!俺は将来、独立する為に今は頑張って働いてるよ。月180時間の残業だぜ。有給を全消化するヤツには仕事で絶対負けない」(Yahoo!コメント)
          「日本電産の社長がいるおかげでどれだけ倒産しかけた企業の『正社員』とその家族の人生が豊かなものになっているかを考えて欲しいものだと思います。倒産した社員(=非労働組合員)のためにどれだけ高木委員長が頑張ってきたのか知りませんが、少なくても日本電産の方が税収に結びつく成果を上げてきた以上、批判は慎むべきたと思います」(J-CASTコメント)
         ■「オバマ大統領候補はしっかりと休暇をとっている」
         バブル経済末期の約20年前、「24時間、戦えますか?」とビジネスマンを鼓舞するCMが流行した。永守社長の発言はあのリゲインのCMの歌を思い出させるが、週休二日制が定着した今では、「24時間働く」のは時代遅れということなのかもしれない。
         ゴールデンウィークが始まり、海外へ旅行に出かける人たちのニュースがテレビで流れる。その一方で、ネットのニュースを見てコメントを書き込む人もいれば、パソコンに向かって仕事をしている人もいる。
         同じく、「この連休中も仕事をしている」という弁護士の落合洋司さんはブログで次のように書いている。
          「私自身は、社会に出た後、現在に至るまで、この社長発言のような感覚で生きてきている(適度に休んではいますが)ので、言っていることはよくわかりますが、そういった姿勢、やる気というものと、経営管理の立場での在り方というものは、やはり、きちんと区別し切り分けて進めないといけない、ということではないかと思います。
          日本人(特に、やり手と呼ばれるような人々)の根底に流れている、こういった感覚が、過労死にもつながるような過重労働を生み、日本各地で様々な不幸を生み出している、という面も、見逃すべきではないでしょう。
          先日、ニュースを見ていて、アメリカ大統領候補のオバマ氏が、激しい選挙戦の中、しっかりと休暇をとり家族と何日かを過ごした、ということを知り驚きましたが、そういったことが当然のこととされるような、より成熟した社会を、日本も、そして私自身(連休でも働いている)も、目指さなければならない、ということなのかもしれません」
        (J-CASTニュース)4月27日18時5分配信

        ●就労希望者8割、採用消極的企業も8割/横浜市「ニート」調査
         横浜市は市内在住のいわゆる「ニート」や引きこもり状態の若者について実態調査をまとめた。八割を超す若年無業者が就労を希望する一方、若年無業者というだけで採用に及び腰な企業も八割に上った。市は二〇〇八年度からスタートする「横浜型若者自立塾」事業などを通じ、公的資格の取得支援や職業的自立、社会参加を促すとともに、地元企業の就労に関する門戸拡大も目指す。
         市こども青少年局によると、就労意欲について「正社員としてある」の回答が46・6%、「パート・アルバイト・派遣社員などとしてある」が1・7%。「あるが不安が残る」の34・5%を加えると八割を超えた。「あるが今は休みたい」が1・7%、「ない」は1・7%で、現状では就労意欲のないのはごくわずかだった。無回答は13・8%。
         一方、企業へのアンケートでは83・3%が「就労困難な若年無業者を雇用する意向はない」と回答。「雇用する意向はある」は14・2%にとどまり、若年無業者にとって厳しい実態が明らかになった。
         企業側は受け入れる条件として、半数の社が「公的な資格の取得」、4社に1社が「専門相談員によるカウンセリングの個別実施」を挙げている。また八割が「健康・体力」を重視している。
         市は本年度、横浜の水源で豊かな自然に恵まれた山梨県道志村に若者自立塾を開設。昼夜逆転の生活を元に戻し、農業や林業の体験、塾生同士や道志村民との交流を進める。他にもさまざまな事業・施策を実施し、就労支援に本腰を入れる。
         アンケートは有識者らによる市自立支援研究会が十五歳以上三十五歳未満の若年無業者ら約七百五十人と、市内の企業約千社などを対象に実施。八十三人、三百十六社から回答があった。
        (神奈川新聞)2008/04/28

        ●不登校:拡大する「中1ギャップ」 小6→中学、変化になじめず/山形
         ◇06年度は4倍に
         小学生が中学生になった途端、授業や生活の変化になじめず不登校になる「中1ギャップ」が県内で拡大している。05年度の小学6年の不登校児は55人なのに対し、06年度の中学1年の不登校生徒は223人で、4・05倍に増えていた。県義務教育課は「4倍の大台に乗ったことは重大と考えるが、一過性の事態という可能性もある。慎重に調べたい」と話している。
         同課によると、近年では、▽02~03年度は2・68倍(65人↓174人)▽03~04年度は3・71倍(52人↓193人)▽04~05年度は3・75倍(52人↓195人)――で、拡大傾向が続いている。
         クラス担任制から教科担任制への移行、別の小学校から進学してきた生徒との交友関係など環境の変化を受けて、中1になると不登校になるケースは以前から多かった。
         また、06年度は不登校児童・生徒ともに増え、計1023人と4年ぶりに1000人台を突破。全国的にも増加していた。
         同課は「全国的に不登校が増加した06年度に何があったのか、はっきりしない。中1ギャップの拡大は非常に重要な問題と認識しているが、まずは事実と背景の確認を進めたい」と話している。
         「いじめを許さない教師の会」会長の後藤克彦・大石田町立横山小教諭は「小学生への学習指導が甘くなっても、中学に進学すれば3年後の受験という現実が突き付けられる。ゆとり教育路線で、学習意識へのギャップが大きくなったことが原因では」と推測している。
        (毎日新聞)4月29日13時1分配信

        ●学習障害児に自信と夢を 福岡市にフリースクール開校 教育先進国へ留学を後押し
         読み書きや計算など特定分野の学習が困難な学習障害(LD)児を対象としたフリースクール「Team(チーム) Gifted(ギフティッド)」(下津浦陽子代表)が福岡市東区西戸崎2丁目に開校した。LD児への教育支援が充実している欧米への留学を目標に、その準備として英語などを教える。日本では昨年度、LDなど発達障害児に対象を広げた特別支援教育が始まったが、学校現場の知識や経験不足が指摘されており、「先進国」を目指す発達障害児や保護者の受け皿として注目されそうだ。
         対象は原則、小学生。平日の午前10時‐午後6時、下津浦代表の自宅マンションに教室を開く。授業は原則として英語で行い、母国で発達障害児の指導経験が豊富な心理療法士ら欧米人講師7人が算数や理科などを指導する。他に日本人2人が茶道や国語を教える。欧米のLD児向け教材を使い、2年をめどに必要な英語力を養うという。
         児童はそれぞれ地元の学校に在籍し、校長と協議の上で通う。福岡市教委は「出席日数として扱うかどうかなどは各校長や市教委が個別に判断する」としている。
         校名の「Gifted」は「天賦の才能がある」の意味。欧米ではLD児は聴力や理解力、芸術などの才能が秀でているとされ、しばしばこの言葉が用いられるという。
         下津浦代表は小学5年の長男(10)が読み書きの困難なLD児で、長男に適した教育を求め国内外で独自に調査してきた。英米などの学校を訪ね、専門知識を持つ教師陣が専門の教材を用いて授業を行う状況に驚いたという。長男を今秋から英国に留学させるとともに、広く日本のLD児に海外留学を準備する場を提供しようとフリースクールの設立を決めた。
         下津浦代表は「当事者は日本の教育環境が整うのを待つわけにはいかない。LD児の潜在能力を見いだし、自信と夢をはぐくむお手伝いをしたい」と話す。入学金15万円。学費月18万‐15万円。同校=092(603)0091。
        (西日本新聞)5月1日7時9分配信

        ●不適切な指導で不登校に=津市に170万円賠償命令-大阪地裁
         授業内容をめぐり教師と話し合った後、不登校になったとして、津市立小学校に通っていた少女(16)と両親が、津市などに1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、大阪地裁であった。稲葉重子裁判長は「指導が不適切だった」として学校側の責任を認め、170万円の支払いを命じた。
         判決によると、少女は5年生だった2002年、音楽の授業でCDを大音量で流されたことに抗議。相談室で担任や校長らと話し合った。この際、興奮して部屋を出ようとした少女の体を担任が手で押さえつけるなどし、少女は約3時間半にわたり部屋から出られなかった。
         稲葉裁判長は「少女と言い争いのようになったり、興奮して泣いているのに室内に長時間留め置いたのは、指導の枠を超え不適切」とした。
        (時事通信)5月2日20時1分配信

        ●鈴鹿市教委:保護者の要求に助言 警察官OB・精神科医師が専門チームを発足/三重
         鈴鹿市教育委員会は1日、保護者などから学校や幼稚園に出される要求や抗議を専門的な見地から指導・助言する「学校問題解決支援チーム」を発足させたと発表した。警察官OBや精神科医師などをメンバーにして組織化するのは珍しいという。
         市教委によると、06年度に保護者などから市内の40小中学校に出された要求や抗議は、担任の指導方法や給食費の滞納、友人関係などついての計98件。学校や市教委だけの対応では対応が難しく、未解決の問題もあるという。このため、専門家による支援チームを発足させることにした。
         支援チームは、支援委員会とプロジェクト会議で構成。委員会は警察官OBをチームディレクターに、医師や大学准教授、会社役員、保護司の委員4人、プロジェクト会議は市教委の補佐級5人で組織する。チームディレクターは学校や幼稚園、保護者から出された要求などについて当事者から聞き取りを行い、指導・助言を行う。
         チームディレクターだけで解決できない場合はプロジェクト会議のメンバーと協議したり、支援委員会の会議を開く。また必要に応じて児童相談所や警察、弁護士とも連携して対応する。水井健次教育長は「専門的立場から保護者などに適切な指導、助言してもらいたい」としている。
        (毎日新聞)5月2日15時1分配信
        アスペルガー障がいの疑いのある人を医療に紹介するとき
        2008/04/27
        私が現在、アスペルガー障がいやその疑い、傾向のある方とどう関わっているか、特に医療との関わりについて少し紹介したいと思います。
         1つは、NPO法人ノンラベルの副理事長として、アスペルガー障がい及びその疑いのある青年・成人の方のカウンセリングをお受けしつつ、居場所「ぽけっと」において月曜日~金曜日の午後の時間をアスペルガー障がい及びその疑いのある青年・成人のみなさんと関わっています。
         2つは、個人事業として営業している相談室カンナにおいて、アスペルガー障がい及びその疑いのある青年・成人の方(もちろんそれ以外の方も…)のカウンセリングをお受けしています。
         そして、未診断で、「発達」の偏りが見受けられる方で、障がいの診断や服薬治療が必要と判断された方には、医療受診をおすすめし、了解された方には医療機関(現在のところ京都、大阪に限定されますが)を紹介させてもらっています。
         さて、この「判断」が極めて重要となるわけですが、ノンラベルの個別面談も、カンナでの面談も、基本的には同じスタンスと構造で、この「判断」のためのインテーク面接を行っています。
         これは、ご本人さんの親御さん(ほとんどがお母さん)から2時間程の聞き取り、という形をとります。まず、事前に妊娠・出産から今日に至るまでの本人さんの生育歴(エピソードなど)を書いてきてもらい、独自のインテーク用紙に沿って生育歴を聞き取らせてもらいます。その段階で「発達」に障がいや偏りの疑いや傾向があると思われると、オリジナルのチェックシート(DSM-?-TRやICD-10の操作的診断基準に基づくものではなく、さまざまな特性の有無を確認しつつ、特性や個性を深く聞き取ることを目的に作ってあります)を使っての聞き取りを行い、特性の状況によって「判断」をさせてもらいます。
         この「判断」によって、医療受診が必用と思われれば、その旨をお伝えし、医療機関を紹介し、受診予約を取っていただき、受診日やインテークの日が決まれば、その医療機関に「受診依頼書」とこちらでのインテーク資料を事前送付して、受診をスムーズにしていただけるようにしています。
         受診につながり、検査、診察、診断が行われると、検査結果のコピーをもらってきていただき、医療機関からは診察・診断の所見などを書かれた報告書をいただき、次回の面談の際に診断結果についてわかりやすく、そして詳しくご説明し、その後のケア計画を相談していきます。
         「広汎性発達障がい」や「アスペルガー障がい」、「特定不能の広汎性発達障がい」などの診断が下りた場合、多くのご本人さんにサポートが必用となります。それは、生きづらさや生活や仕事の場面での対人関係トラブル、不得手なことでのミスの連発などから、自尊感情を低くされたり、周囲の方が、その関わり方に困るケースが極めて多いからです。ご本人さんに対しての支持的なカウンセリング、困難なことについてやり方や考え方を替えてみようというアドバイス、ご本人さんに関わる周囲の方(ご家族や職場の方など)に対しての心理教育やケース相談(主に障がい特性、本人さんの特性や個性、考え方などの理解と、関わり方の工夫や環境をご本人がやりやすく、ミスを少なくできるように工夫し整えていくことを目的としたもの)を継続して行っていきます。
         ご本人さんとのカウンセリング、周囲の方とのケース相談、医療機関での服薬治療、さらに今後は行政との関わり(自立支援サービスなどの利用…)などを重層的に取り組むことで、ご本人さんの特性(得意・不得意なことや考え方のパターンなど)が段々と鮮明になり、生活改善に向けてのより具体的なアドバイス、サポートが行っていける、というのが、現状での私の到達した考え方です。「診断」は、サポートへのきっかけであり、指針となるもの。その後のケア、サポートの内容が問われています。
         次回は「発達障がいへの社会保障に望むこと」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <ジェネリック医薬品>生活保護受給者は使用を…厚労省通知

         全額公費負担で医療を受けている生活保護受給者への投薬には、価格の安いジェネリック(後発)医薬品を使うよう本人に指導することを厚生労働省が都道府県や政令市などに通知していることが分かった。指導に従わなかった場合、生活保護手当などの一時停止や打ち切りを検討すべきだとしている。後発薬は価格が安い半面、有効性などについての情報不足から使用に抵抗感を持つ医師や患者もおり、専門家から「患者が選択できないのは問題だ」と批判が上がっている。
         ◇専門家「患者の選択権奪う」
         後発薬は、研究や臨床試験を経て認可された先発医薬品の特許が切れた後に同じ主成分を使って製造されるため、多額の研究開発費がかからず安い。認可時には、血液中に成分が浸透する速さや濃度が先発薬と同じかどうかを確認する試験などがあり、国は「有効性や安全性は先発薬と同等」と判断。年々増大する医療費の削減に有効として使用を促進しており、08年度は後発薬の使用により220億円の医療費削減を掲げている。
         一方、主成分以外の溶剤やコーティング剤などが先発薬と違うことなどから、「先発薬と(効能が)まったく同じではない」として、後発薬の使用に抵抗や不安を感じる医師や患者もいる。
         通知は4月1日付。医学的理由で医師から指示され先発薬を使う場合を除き、生活保護者が医療機関で薬を処方される際、都道府県や政令市などの所管する福祉事務所が後発薬を使うよう本人に周知徹底する、としている。これを受け生活保護者は、医療機関で受診する際、後発薬を処方するよう医師に求めることになる。先発薬を使い続けている生活保護者については福祉事務所が診療報酬明細書をチェックし、正当な理由がない場合は口頭や文書で指導する。それでも従わない場合は保護の一時停止や打ち切りを検討するとしている。
         厚労省保護課は「生活保護の医療扶助は最低限の医療を受けてもらうのが目的。安全性や効用が同じなので安い後発薬の使用に問題はない。窓口で3割負担する人と比べ、負担のない受給者は(自ら)後発薬を選ぶ動機が働きにくく、制度に強制力を持たせないといけない」と説明している。
        (毎日新聞)4月27日2時31分配信

        ●<障害児>施設利用料が自治体の対応で差
         千葉県内の知的障害児施設に入所する男児(10)の処遇について、東京都が施設利用料の1割を保護者が負担する「契約制度」を適用したのに、事務を引き継いだ千葉県が一転、公的負担による「措置制度」に変更していたことが分かった。県が改めて男児の家庭環境を調査し、父親の養育能力に問題があると判断した。自治体の対応の違いで処遇が左右される現行制度の問題が浮き彫りになった。
         施設側の説明によると男児は05年1月、公的負担による措置制度で千葉の施設に入所した。一家の居住地が都内だったため都の児童相談センターが処遇に関する事務を担当。障害者自立支援法の本格施行(06年10月)を機に「措置」を「契約」に切り替えた。
         入所前に両親は離婚し、その後、父親が千葉県に転居したため、今年3月1日付で千葉県の児童相談所が事務を引き継いだ。改めて男児の家庭環境を調査したところ、父親の養育能力に問題があり、「契約は不適切」と判断、措置制度に戻した。
         男児が入所する施設によると、契約制度を適用した都は、児相センターの窓口に来た母親の所得を基準に施設利用料の算定根拠となる「受給者証」を発行していた。本来なら受給者証の名義人の母親が施設と契約しなければならないのに、実際に契約したのは親権を持つ父親だった。
         両親とも是正手続きをせず、所得証明書も出さなかったため負担軽減の対象外となり、父親への請求額は昨年10月、月2万~3万円から約5万円に増えた。施設が都の児相に問い合わせ、手続きの不備が判明した。
         都側は「手続きにミスはない」と説明。しかし、施設側は「都は家庭環境もまともに把握せず、『契約ありき』で判断している」と批判している。厚生労働省障害福祉課も「不適切な契約を長期間放置した都の対応は問題」と指摘している。
         ◇ことば 「措置」と「契約」
         児童福祉法に基づく措置制度は、児童の入所に要する費用(措置費)を国と都道府県が2分の1ずつ負担する。保護者は収入に応じて「徴収金」を自治体に支払う。一方、障害者自立支援法に伴う契約制度では、低所得の保護者も原則1割の施設利用料や医療費、食費を支払う必要がある。児童施設はすべてが措置制度だったが、06年の同法本格施行により、障害児施設に限って都道府県が「措置」か「契約」かを決めることになった。
        (毎日新聞)4月21日2時31分配信

        ●「雇用型」への移行難航 京の障害者施設再編 
         授産施設や共同作業所が、障害者の自立支援を促す目的で3つの支援事業所に再編される中、京都市は今夏から再編を効果的に進めるため本格的な検討に入る。特に、入所者に最低賃金を保障しなければならない雇用型と呼ばれる就労継続支援事業所への移行は難しいといわれ、収益を確保しながら事業運営をどう誘導していくかが課題となる。市は、4月末から雇用型として中京区に開設する喫茶店を一つのモデルケースに支援の在り方を探る。
         ■最低賃金の確保課題
         2006年の障害者雇用促進法改正と障害者自立支援法施行で、福祉的な就労の場だった授産施設と共同作業所が、「就労移行」「就労継続・雇用型」「同・非雇用型」の3つの支援事業所に再編されることが決まった。また、就労移行、雇用型の両支援事業所は最低賃金を保障するよう義務づけられた。
         国は10年度までの再編を求めているが、市では授産・共同137施設のうち、就労移行が10、雇用型4、非雇用型23の37施設の再編にとどまっている。
         特に、雇用型が少ない。今後、3年間で100施設の再編を進めるが、自立できる可能性の高い障害者が入所する就労移行に比べ、より細かなケアが必要な人の雇用型は、最低賃金を確保するため収益を上げる事業展開が問われる。
         NPO法人の京都ほっとはあとセンターが雇用型として、29日から西京区西ノ京東中合町の京一商西京同窓会館に喫茶「ほっとはあと」を開設する。これに対して市は場所を無償提供、店舗設備費を助成し、授産・共同施設の状況に応じた今後の事業誘導について探る。
         市障害保健福祉課では「企業やNPO、各施設などと協議しながら、賃金保障できるシステムを考えていきたい」として、専門委員会の設置を含め具体策の検討を急ぐ。
        (京都新聞)4月22日22時39分配信

        ●ひきこもり:若者半数以上、不登校の経験あり 県の対策会議がアンケート/愛知
         就労・就学など自宅以外の生活の場がない「ひきこもり」状態の若者の半数以上に不登校の経験があることが、県のアンケートで分かった。県の対策検討会議は「不登校の子は卒業すると学校のケアが届かなくなるので(ひきこもり防止のため)卒業前から保護者に相談場所を知らせる必要がある」と提言している。
         県によると、ひきこもり問題を抱える家庭は全国で26万世帯、県内では1万5500世帯に達すると推計されている。問題解決に向けて県は昨年、有識者の対策検討会議を設け、初めてのアンケートを実施した。ひきこもりに悩む県内の681世帯に支援団体などを通じて協力を呼びかけ、約3割にあたる233世帯の本人や家族から回答を得た。
         ひきこもり状態の人の主な年齢層は20~30代。中学や高校などでの不登校経験者が122人にのぼり、不登校・ひきこもり期間は「6カ月~1年」22人、「1年~1年半」17人などで「3年以上」も15人いた。約7割の161人に就労経験があり、うち44人が3カ月未満で辞めていた。145人に医療機関への通院経験があるが、保健所などの公的な相談サービスを利用したのは82人にとどまった。
         約9割の208人が家族と同居しており、親から毎月「1万円以下」もしくは「1万~3万円」の小遣いをもらう人が多い。主にテレビやインターネットで一日を過ごすが、201人が書店やコンビニなど「外に出かけることがある」と答えた。
         親の年代は50~60代が152人と多く、70代以上も20人いた。親の年収は「300万円以下」が59人で最も多く「300~500万円」が56人だった。
         現在困っていること(複数回答)としては「就職や仕事」128人、「人付き合いや友人関係」110人、「経済的なこと」105人など。今後希望する支援策は「働く場所」98人、「就労訓練サービス」73人、「居場所作り」52人などだった。
         検討会議は調査結果を受け、就労に向けた社会適応訓練事業や、家族や本人を支える相談事業の拡充などを県に提言した。県は家族の会や民間の支援団体と協力しながら相談体制の充実に取り組む。
        (毎日新聞)4月25日11時1分配信

        ●<新学習指導要領>前倒し実施、現場はやりくりに四苦八苦
         「ゆとり教育」から脱皮した学力重視の新学習指導要領の一部が来年度から、小中学校で先行実施される。文部科学省が24日公表した移行措置案。特に授業の総時間数が増える小学校では、授業時間や指導体制の確保が急務となるが、「やる事が増えるのに人もお金もない」と不満の声も漏れる。
         ■授業時間増
         小学校の授業時間は来年度から週1時間増える。山形県最上町立富沢小は、読み書きの力や計算力を上げるために全学年で週1回程度設けていた「ドリル学習」の時間を、増加分に充てる予定だ。笹原啓一校長は「ドリル学習は続けたかったが……」と漏らす。
         小中学校は現状でも授業時間が不足気味で、時間確保のため2学期制を導入する自治体も増えている。小学校全12校中5校で実施している埼玉県戸田市教委によると、始業式などの時間を削れるため、3学期制に比べて年15時間程度多く授業時間を確保できる。戸田市教委は「2学期制導入が広がる可能性がある」と話す。
         一方、3学期制の東京都文京区立窪町小の松野薫子教務主任は「新たに週1時間を確保するのは大変。インフルエンザで2日間学級閉鎖すれば、すぐ飛んでしまう」と気をもむ。
         ■どうする指導体制
         「定数増に努めてほしい」。移行措置案説明のため24日、各都道府県や政令市の教育長を集め、文科省で開かれた会議で、ある政令市の教育長は訴えた。今年度予算による人員増(教員定数1000人と非常勤講師7000人)に対し、「小中学校3校に1人しか増えない計算だ」と不満を突きつけた。
         授業時間が大幅に増える理科の担当教員。大阪府の公立小の男性教諭は「実験には多くの準備が必要。器具も少なく古い備品でやりくりする学校もある。人的、財政的な裏づけもすべきだ」と厳しい。埼玉県の公立小の理科主任の教員も「実験を理科が専門ではない教員が行うのは大変」と話す。
         小学5、6年の英語を先行実施するかは、各学校の裁量に任されている。だが、大阪府の公立小の教員は「保護者からは必ず『隣の小学校はやっているのに、うちの子が通う学校ではなぜやらないんだ』という声が上がる」と懸念する。
        (毎日新聞)4月24日23時57分配信

        ●少年は「広汎性発達障害」 岡山駅の突き落とし事件
         JR岡山駅のホームで岡山県職員仮谷国明さん=当時(38)=が突き落とされ死亡した事件で、殺人などの非行事実で家裁送致された大阪府大東市の少年(18)が、岡山地検の簡易精神鑑定で、広汎性発達障害の一種「アスペルガー症候群」と診断されていたことが23日、少年の付添人弁護士の話で分かった。
         付添人の木村雅史弁護士は「簡易鑑定で判断できるものではないが、接見で発達障害の傾向があることは間違いないと感じた」としている。家裁に本格的な精神鑑定を実施するよう申し入れを検討しているという。
         少年は岡山県警の調べに「家を離れたかった」「人を殺せば刑務所に行ける」などと説明。岡山地検は無差別的な犯行に至った心理状態を調べるため、鑑定を実施したとみられる。
         岡山家裁は15日、「少年の成育歴や生活環境を調査する必要性などを考慮した」として、少年の住所地を管轄する大阪家裁への事件移送を決定。少年も既に大阪少年鑑別所(堺市)に移された。
        (中日新聞)2008年4月24日02時02分

        発達障がいのラベリングについて考える
        2008/04/19
        小さい時から変わっていると思っていた。気持ちが通じない。対人関係でトラブルが絶えない。性格なのかただの身勝手なのか、どう関わって良いかわからない。…このような気持ちで当事者に関わってきた周囲の人がいます。
         自分はどこか人と違う。気持ちがうまく伝えられない。3人以上になると会話に入れず、自分は必要ないと思う。あるものに気が取られて、気がつけば授業はどんどん先に進んでいた。…こんな気持ちで育ってきた当事者がいます。
         どうしてこうなっているのか? 病気なのか? 一度専門家に診てもらった方が良い。…と、精神科の門をたたく人が増えてきました。
         「発達」について診られる精神科医(ここ数年では小児科医や心療内科医、内科医も)も増えてきています。
         そして、検査・診察につながると、「○○障がい」というラベルをもらう人がいます。二次的に強迫性障害などの神経症やうつなどの精神病などを発症している場合は薬物療法で受診継続となりますが、そうでない場合は診断をして(ラベルを貼って)終わりというケースがほとんどではないでしょうか。
         特に18歳以上の青年・成人の発達障がいのある人をサポートするシステムや組織・団体はまだまだ少ないのが実態です。
         後のサポートがないのに、障がいのラベリングだけが行われることに対して、さまざまな批判が聞こえるのはこのためです。サポートの態勢を作っていくこと=まずは理解者を増やしていくことがどうしても必用です。
         ある当事者のコメントを紹介します(あるブログで紹介されていたものの再掲です)。
          ◇
        「アスペルガーの私からアスペルガーと付き合う必要のある人達へ」

         私たちは大抵、うまく話すことが苦手です。特に話をまとめたり、自分の感情を伝えたりすることができません。

         だから、どうか、うまく話を聞いてください。私たちも、人に理解されたいという気持ちが強いのですが、うまく話せないために、相手に嫌な顔をされることが多いので、話そうとする努力をだんだんしなくなってしまいます。

         私たちが話すと、だらだら長くなってしまったり、伝えるべきことを抜かしてしまったりするのですが、もし気長に聞いてもらって、関心を持ってもらい、そして要点をまとめてもらえると、嬉しくなってもっとがんばって相手に伝えようとする気持ちが湧いてきます。そうすることで、少しずつ、自分の感情を捉えたり、それを伝えたりする能力がついてくるのです。
          ◇
         いかがでしょうか。「サポート」というものを、もっと身近なものと考えて欲しいと思います。ラベリングが、本人や周囲の人にとって意味のあるものにしていくために…。

         次回は「アスペルガー障がいの疑いのある人を医療に紹介するとき」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        後期高齢者医療制度:中止・撤回求める署名活動 悲鳴あげる寄せられた意見/奈良

         ◇「安心して暮らせる老後どこに」「困ります。もう死にたいです」--県保険医協
         県内の開業医ら約1000人でつくる県保険医協会(谷掛駿介理事長)は、3月下旬から進めている後期高齢者(長寿)医療制度の中止・撤回を求める署名活動で、寄せられた署名はがきの自由記述欄に書かれた全意見を公表した。「安心して暮らせる老後はどこに」(75歳未満、女性)「とても困ります。もう死にたいです」(75歳以上、女性)など275件に上っている。
         他の自由記述には▽「道路財源などの無駄を省き人の命にかかわることを大切に」(75歳以上、女性)▽「広報活動は不十分で政府は怠慢」(75歳以上、男性、夫婦2人暮らし)――などもあった。 傾向別の分類では、「絶対反対、廃止せよ」65件▽「生活苦しい、やっていけない」52件▽「年金からの天引きはひどい」43件などが多かった。
         協会は、全国組織の全国保険医団体連合会が作成したはがき付きパンフレットを、県内を中心に高齢者クラブの会員などに約6万枚配布。4月17日までに、458枚1119筆が寄せられた。4月24日までの到着分を第1弾として衆参両院議長あてに提出する予定。
         協会の市川篤副理事長は「高齢者がここまで追い込まれているということだ」と話した。
        4月19日18時1分配信毎日新聞

        ●揺れる障害者福祉:自立支援法2年/就労強化と工賃アップ/和歌山
         ◇両立困難で事業断念--元作業所長
         午前10時。和歌山市の「くじら共同作業所」に、焼きたてのパンの香りが広がる。聴覚障害のある泰地哲夫さん(53)が毎朝7時に来て、生地作りから成形までこなす。「パンが売れるのはうれしいけど作業は大変。給料もなかなか上がらない」と表情を曇らせる。
         07年4月、障害者自立支援法に基づく新体系のうち、「就労継続支援」などを行う事業所に移行し、パン作りを開始。菓子作りが主だった移行前に比べ、売り上げは月約5万円伸びた。だが、利用者が2倍に増えたため、1人当たりの工賃は変わらない。白藤令所長(59)は「障害の程度によって、仕事の内容や量に差があるのは当たり前。工賃を上げようとすれば、負担が偏る」と言う。
         就労支援は同法の柱の一つ。一般企業への就労率の高い事業所や目標工賃を達成した事業所に対し、報酬を加算するなどして就労促進を図る。県は「障害者就労支援5か年計画」(07~11年)を策定。求職活動の支援や施設職員の指導力向上などに取り組むが、作業所からは「無理な労働で利用者に負担をかけるのが心配」といった声が上がっている。
         別の課題もある。すさみ町の「いなづみ作業所」は07年5月、移行から半年で「就労移行支援」事業を断念。能力の高い3人が就職で退所し、仕事が回らなくなった。利用者減で施設報酬も月約50万円減り、他のサービスを提供する事業所として再スタートした。
         当時、所長だった石神慎太郎さん(36)は「仕事のできるエース的存在を次々と外に出せば、作業所の労働力は落ちる。就労の強化と工賃アップは両立しない。就労に力を入れるほど、自分の首を絞めることになる」と指摘する。
         県障害福祉課は「事業所には、仕事のできる人材を育てる努力が必要。職員の意識改革を図り、支援体制を整えたい」とする。「障害者就業・生活支援センターつれもて」の加藤直人所長(51)は「障害の程度には個人差がある。労働量が限られる利用者にこそ支援が必要」と訴える。
         ■ことば
         ◇障害者の就労支援事業
         障害者自立支援法施行に伴い、就労支援事業を、就職を目指す「就労移行支援」と、一般企業で働くことが難しい人を対象にした「就労継続支援」に再編。「就労移行支援」は利用期限2年で、作業訓練や職場実習、職場探しを行う。「就労継続支援」は雇用契約を結ぶA型と結ばないB型の2種類あり、働く場を提供しながら訓練する。利用期限はない。
        (毎日新聞)4月19日18時1分配信

        ●<自立支援法>生活苦でも施設利用料1割負担 東京
         東京都内の知的障害児施設に入所する少女(14)について、父親(64)が施設と正式な利用契約をしていないのに、都が障害者自立支援法に基づき、利用料の1割などを負担させる「契約制度」を適用していたことが分かった。父親は生活苦で利用料などが払えないため、施設が経費負担を余儀なくされている。施設側は、契約制度の適用をやめて事実上入所者の負担が減る「措置制度」の対象にするよう求めているが、都は応じていない。
         施設によると、少女は父子家庭。04年4月、児童相談所が父親の養育困難を理由に少女と妹を一時保護し、都内の児童養護施設に入所させたが、05年11月に障害のある少女だけが知的障害児施設に移された。
         06年10月に障害者自立支援法が本格施行され、施設利用料の原則1割などを保護者に負担させる契約制度の適用が可能になった。都は父親に契約能力があると判定し契約制度を適用した。
         しかし、日雇い労働者だった父親は腰痛で働けなくなり、生活保護の申請も却下された。施設は「親の養育能力が不安」として措置制度の適用を再三要請したが、都は「親の経済事情と契約能力は別問題」と退けた。父親は月約1万5000円の施設利用料などを1年余り滞納し、今は連絡も取れないという。
         契約制度の適用には施設と保護者との間で利用契約書など3種類の書類を取り交わすことが必要だが、法施行に向けた国の準備が遅れ、契約書だけで仮契約していた。
         施設側は「正式契約を結んでいないのに一方的に契約制度を適用するのはおかしい」と都を批判。厚生労働省障害福祉課は「都は契約そのものが適切かどうか再確認すべきだ」と指摘している。
         ▽措置と契約 児童福祉法に基づく措置制度は、児童の入所に要する費用(措置費)を国と都道府県が2分の1ずつ負担。保護者は自治体に「徴収金」を支払うが、応能負担のため低所得層はほとんど出費の必要がない。一方、障害者自立支援法に伴う契約制度は、低所得の保護者も施設利用料の原則1割に加え、医療費や食費を施設に直接支払う必要がある。児童施設はすべてが措置制度だったが、06年の同法施行で障害児施設に限って「措置」か「契約」かを都道府県が個別に審査して決めることになった。
        (毎日新聞)4月15日2時32分配信

        ●<労災>5万件超が「漏れ」 厚労省実態把握へ 06年度
         社会保険庁が、政府管掌の健康保険の診療報酬明細書(レセプト)を調べたところ、本来は労災認定(労災保険)の対象であるケースが06年度で5万件以上もあることが分かった。これらの中には、事業主が意図的にその事実を隠ぺいする「労災隠し」が多数含まれているとみられ、厚生労働省が本格的な対策に乗り出す。今後、社会保険庁のデータなどを基に、労災請求に関し事業主の圧力がなかったかなどを調べ、悪質な事案には積極的に刑事処分の適用を検討する。
         労災隠しは、事業主が無災害記録の更新や事業受注の継続などを図るため、事故を隠すなどして行われるとされる。健保は、労災の治療に適用できない規則だが、発覚をおそれて使われる。こうした労災隠しについて、労働基準監督署は悪質なケースを労働安全衛生法違反で送検。その件数は90年に31件だったのが、06年は138件にまで増えている。
         一方で、健保の申請を受ける側の社会保険庁は膨大なレセプトの中から、健保の対象とはならない労災や交通事故などを探すが、こうした調査の結果、労災だったとされた請求は06年度で5万471件(15億4000万円分)にも上っていた。本来仕事中であるはずの平日に外傷を負ったケースなどに注目し、探し出した。
         厚労省が今回打ち出した対策では、全国の労働局が当地の社会保険事務局に、災害が発生した理由や場所などが記載された情報の提供を受ける。これを基に、被災者に対して、労災請求をしなかった理由や災害発生状況なども尋ねる。その上で、事業主が請求を抑止していることが疑われたり、重大、悪質な法律違反、虚偽報告がされている場合は、事業主に適切な指導、監督を実施。労災隠しが確認されれば、刑事処分も含め厳正に対処するとしている。
         また厚労省は、最近、製造業などで偽装請負が横行し、事業主責任のあいまいさなどから労災隠しにつながるおそれがあるとも指摘。東京、大阪、福岡などの労働局が、労使の代表者で構成する「労災報告の適正化に関する地方懇談会」を開催し、労災隠し対策での要望や提案についてとりまとめる。
        (毎日新聞)4月16日2時33分配信

        ●<授業料・入学金>都道府県立高校の滞納総額、4億6千万円
         全国の都道府県立高校で、06年度の授業料・入学金の滞納が総額4億6000万円に上ることが毎日新聞の調査で分かった。督促強化や、条例・規則改正で出席停止・退学の措置をとれるようにするなど、対策強化に乗り出した自治体も多い。千葉県で入学金納付が遅れた生徒を入学式に出席させない事態が起きたが、専門家からは補助制度充実など国にも対策の強化を求める声が出ている。   
         調査は47都道府県教委を対象にした。授業料の滞納額は大阪府が最も多く2億2611万円(滞納者数2768人)。▽北海道5072万円(同1060人)▽神奈川県4124万円(同775人)--が続いた。  
         大阪府の滞納額は06年度、前年度比約1.7倍になった。府教委は「滞納者には分割払いでも対応できるようにしているが、原因は分からない」と話す。東京都は2300万円で生徒数の多さに比べ低水準。都は「督促の努力と授業料減免制度の周知徹底を図ってきた成果」と説明する。
         入学金の滞納額は計317万円。うち310万円(滞納者570人)は大阪府だった。授業料の滞納が原因の退学者は全国で429人に上り、うち大阪府が419人を占め、すべて授業料の滞納者だった。ただし、府教委は「きちんと出席する生徒は退学処分にはしていない」と説明している。
         ▽藤田英典・国際基督教大教授(教育社会学)の話 高校進学率は97.7%に達し、すでに準義務教育化している。公立学校を運営する自治体は、教育の機会を提供し保障する責任がある。経済的な理由で高校教育をあきらめる生徒がいるのは、好ましい事態ではない。自治体も減免制度を設けているが、奨学金や貸し付けなども含めて助成システムを国が整える時期に来ている。
        (毎日新聞)4月18日2時31分配信

        ●遺児持つ母子家庭、平均年収137万円―あしなが育英会
         自殺などで親を亡くした遺児を支援する「あしなが育英会」は17日、同会が奨学金を貸与する母子家庭の平均年収がサラリーマンの平均年収の約3割にとどまっているとする調査結果を発表した。
         家計を理由に進路を変えた家庭は26・4%にのぼり、分析した村田治・関西学院大教授は「親の所得格差が教育格差を生む負の連鎖が生じている」と指摘している。
         調査は2月、中3~高1の遺児を持つ母子家庭を対象に行われ、1064家庭が回答。母の平均年齢は46・7歳、父の死亡時の平均年齢は45・5歳で、1世帯あたりの遺児数は2・1人だった。
         平均年収は前年比1・7%減の約137万1400円で、サラリーマンの平均年収の31・5%。職がある母のうち正社員は3人に1人にとどまっており、「給与だけでやっていけず、消費者金融から借金した」(福井県45歳)との声もあった。
        (読売新聞)4月17日21:12

        ●学校裏サイト:悪質書き込み削除依頼、指導教諭が2次被害 /神奈川
         横浜市中区の市立中の生徒が開設した掲示板「学校裏サイト」で、生徒指導担当の男性教諭がプロバイダーに悪質な書き込みの削除を依頼したところ、同じ裏サイト上で逆に「ネットをかぎ回って、削除している」と名指しで中傷されていたことが分かった。生徒を守ろうとした教諭が2次被害に遭った形で、市教育委員会は月内に同様の被害がないか市立中145校を対象に調査する。
         市教委によると、男性教諭が被害を受けたのは昨年。携帯電話の裏サイトで、特定の生徒を誹謗(ひぼう)・中傷をする書き込みを見つけ、市教委の指示通り削除を依頼。その直後に攻撃を受けたという。また、この教諭の勤務先を含む中区の全6校で、服装や喫煙について一般的な指導した教諭に対し「うざい、むかつく、死ねばいい」などと裏サイトに書き込まれたことも分かった。
         いずれも、市教委が2月に市立中での携帯電話の取り扱い状況をアンケートした際、中区の集計担当者から報告があった。
         市教委は06年10月から生徒指導担当教諭に、悪質なネット上の書き込みは削除を依頼するよう指示。アンケートでは約半数の68校が依頼したと回答した。
        (毎日新聞)4月18日14時1分配信

        ●発達障害児向けの教材ネットで公開 努力の結晶、共有
         ■厳選440点をデータベース化
         LD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)など発達障害のある子供たちの学校生活を支援するため、「全国LD親の会」(東京)が中心となって、教師らが考案した教材教具を集めたデータベースが完成し、インターネット上で公開された。いずれも創意工夫を凝らしたものばかりで、同会は「これを参考に、それぞれの子供に合った教材教具を考えてもらえれば」と話している。
         文部科学省の委嘱事業として、同会は平成18、19年度の2年間にわたり、「日本発達障害ネットワーク」の加盟団体と共同で教材教具を収集し、使用効果について実証研究を行った。研究チームを関東と関西につくり、メンバーには教師や保護者、研究者だけでなく、これまで学校現場とはあまりかかわりのなかった作業療法士らも加わった。
         1000点を超える教材教具を収集して体系的に整理するとともに、子供の将来の就労や自立も念頭に置いた教材教具も新たに開発。最終的には、有効性が確認された約440点を厳選してデータベース化した。
         ゲーム感覚で拗音(ようおん)を習得できるように工夫された大小のサイコロや、モニター画面に表示された文章のうち読む個所の色が変わったり、音声で読み上げたりする機能を持ったパソコンソフトなど、子供一人ひとりが抱える困難さに合わせてサポートする教材教具がそろっている。
         研究チームの一員で、3月まで大阪府堺市の小学校教諭だった米田和子さんは「教師個人個人が持っていた創意工夫の結晶である『宝物』を、皆で共有できるようになったのは大きな成果」と話す。
         大阪市内で3月に開かれた実証研究の報告会では、作業療法士が加わった意義が強調された。
         例えば、アスペルガー症候群と診断され、週に1回、通級指導教室に通っている小学4年の女児は、姿勢を保つのが難しく、いすに座ることができないときも。筆圧が弱いため書いた字も読みにくかった。大阪府作業療法士会事業部発達部門代表の辻薫さんが女児のためにつくったのは、座位を保つクッションや足台。体の大きさに合わせてくりぬいた机や滑り止めシート、斜面台なども用意した。これらを使用することで、女児は姿勢を保つことができ、書く作業が続いても席を離れることがなくなったという。
         作業療法士の参加について、米田さんは「教師はどうしても教科学習に目を向けてしまうが、生活面や運動面という支援を新たに学んだ」と指摘。辻さんは「これまで培ってきたノウハウは学校でも十分使えると実感した。これからは作業療法士を組み込んだ支援体制が必要では」と話す。
         約440点の教材教具は、簡単に用意できて誰もが手軽に使えるものから、先端機器を活用したものまで幅広い。ただ、親の会の山岡修会長は「魔法のつえのように使えるツールはない」と強調する。A君に有効だった教材教具が、B君にそのまま通用するわけではなく、使用する教師の技量や子供と教師の関係性など、さまざまな要因が絡み合って効果につながるからだ。
         米田さんは「子供が安心して使っていけるように、その子がどのように困っているのかを把握する教師や保護者らの目が大切」と指摘する。
         特別支援教育の本格実施から1年。山岡会長は「このデータが学校現場で活用されることで、発達障害のある子供に対する指導法の確立につながれば。今後はデータの質、量をさらに高めていきたい」と話している。
        (産経新聞)4月18日12時17分配信

        ノンラベルがNPO法人に!
        2008/04/13
        私が副代表をしている「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」。昨年春より、NPO法人化に向けて準備をすすめてきました。昨年12月に設立総会を開催、今年1月に京都府に認証申請を出していました。
         認証申請を出して待つこと2カ月半、4月3日付けで認証。翌4日に京都地方法務局に法人設立の登記申請を行いました。さらに待つこと1週間、11日の午後に法務局より登記完了の連絡が入りました。
         正式名称は「特定非営利活動法人ノンラベル」。アスペルガー障がいなどの広汎性発達障がいやその傾向、ひきこもり・不登校の状態にある本人とご家族を多面的にサポートしていくとともに、これらの障がいや状態についての理解を広げる取り組みを行っていくことを目的としています。私は「副理事長」ということになります。
         NPO法人としての最初の取り組み・イベントは、5月17日(土)・18日(日)に京都会館会議場で開催する「アスペルガー障がいを学ぶ春の講座―アスペルガー援助者養成講座第8弾」です。詳しくはノンラベルのホームページをご覧下さい(まだNPO法人としてのページに更新はできていませんが…)↓。
        http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/
         次回は「発達障がいのラベリングについて考える」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「モンスターペアレント」 大阪市教委が対応マニュアル

         大阪市教育委員会は10日、学校現場に児童・生徒の保護者から寄せられる苦情や要望に対応する教員用マニュアル「要望・苦情等対応の手引き-保護者とのいい関係を築くために」を作成したと発表した。実際にあった事例を12例あげ、対応のポイントを解説している。市教委は市立小、中学校の全教員に配布する。
         マニュアルは学校への無理難題の要求に関する研究で知られ、『悲鳴をあげる学校』などの著作がある小野田正利・大阪大学大学院教授(教育制度論)らが協力。基本的に保護者や地域からの要望や苦情を「無理難題」と受け止めず、前向きな提案と考える手法について解説している。
         事例解説では、「子供が『先生が嫌いだから学校にいきたくない』と言っている」と電話が入ったり、「子供が授業中に落書きをするのは教師の授業が面白くないからだ」などの苦情が続いたケースを紹介。この場合は、該当する教員にアドバイスすると同時に、児童・生徒に対しても組織的にサポートをするなどの対応で解決したとしている。
         また、学校で子供同士のトラブルがあり、けがをした子供の保護者が、「後遺症が出たら学校が一生補償してほしい」と要求してきた事例もあげ、この場合は、再発防止に向けた取り組みを説明したものの、保護者に理解を得られず、弁護士の助言を受けたとしている。このケースについてマニュアルでは、「訴訟に発展しそうな場合は専門家の助言を受けて対応する」ことを勧めている。
        (産経新聞)4月10日22時31分配信

        ●発達障害支援充実へ 滋賀県教委 専門チーム立ち上げ
         滋賀県教委は本年度、発達障害のある子どもの教育支援策を充実させる。学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)への理解が十分浸透していない教育現場で、児童、生徒への適切な指導をするため、教諭の指導力向上を狙う。専門家らによる「特別支援教育巡回チーム」を立ち上げ、県立学校へ派遣、校長や園長の研修を新たに始める。現場教諭向けのマニュアルも作成した。
         巡回チームは、医師や臨床心理士、大学教員ら4人の専門家と、県教委職員5人で構成。要請のあった県立学校に、課題に応じてメンバー3人1組で派遣する。助言やカリキュラム作成など教諭の指導支援を行い、経験を蓄積して研修などで現場に還元していく。
         幼稚園から高校までの全校長、園長には県総合教育センター(野洲市)で講習を義務付ける。発達障害への理解を深めさせ、子どもの実態把握を行う力を付けさせる。
         現場教諭向けには今年3月、中高教諭向け支援ガイドブックを作成し、Q&A方式で障害のとらえ方、対処の仕方を紹介、保護者や医療機関との連携などについて概説した。
         昨年9月に県教委が実施した調査で、県内で発達障害とみられる児童・生徒は5762人とされる。
         県教委は「発達障害でも少しの配慮で対応できるケースがある。いじめや不登校などで発達障害の問題が隠れるケースもあり、教職員へ理解を浸透させたい」としている。
        (京都新聞)4月11日11時49分配信

        ●特別支援教育2年目へ:現場からの報告/中 手探りの教師たち/埼玉
         ◇「やれば必ず成長する」
         「正直、毎日が戦いでした」。県南西部の小学校。男性校長は5年前の日々を振り返った。
         転入生の男児(5年)は12月まで東京都内の児童精神科に入院していた。ADHD(注意欠陥多動性障害)。入院前の学校では、同級生ができることが自分にできず、いら立って机を倒す、文房具を窓から捨てるなど荒れ、不登校になった。
         親は「家にいるより良いだろう」と教育施設のある精神科に入院させた。男児を理解し、適切な支援をしてくれた病院の分教室。この間、男児にとって「学校は楽しい場所」に変わった。ところが、3学期に転入してくると、また荒れた。算数の授業が国語に変わるなど、突然の予定変更にパニックになる。男児は大声で叫び、壁をけった。
           ◇    ◇
         同小はもともと、小規模校のためか教諭全員で問題に対処しようという雰囲気があった。新年度が始まり、校長は職員全体で男児に接しようと提案。児童一人一人の違いに配慮できる教諭を担任に付けた。生徒指導部会で毎回のように支援方法を検討し、職員全員で共通理解を図る。前日に次の日の授業を予告する▽極力、予定変更しない▽男児と波長の合う子を隣の席に座らせる――。さらに「友達をたたかない」「友達をかまない」「つばをはかない」など、今日の目標を男児と約束し、できたら褒める。できなかったらどうしてできないのかを一緒に考える。試行錯誤を重ね、クリアできるまで続けた。
         地道で細かい支援が奏功し、男児は少しずつ成長した。友達との関係も良くなり、秋ごろには、自分の感情をコントロールできるようになったという。現在、男児は定時制高校に通い、コンビニエンスストアでアルバイトをしている。
           ◇    ◇
         必要最低限の学力と社会性を――。自立して生きていけるように学齢期に身につけさせたい力として保護者は二つを挙げる。得意不得意があり、能力に偏りのある発達障害者は、そのアンバランスから他者とコミュニケーションをうまく取れず、トラブルの元になる。「やれば確実に成長する。良い面は必ず出てくる」。校長は経験則からきっぱりと話した。
         卒業式の日、男児の母親は校長の一言が忘れられないという。「教師は後ろ向きでは、いけない。どこまでできるか分かりませんが、今後も積極的に受け入れていきたい」。同小にはこの春、アスペルガー症候群の新1年生が入学した。男児の母親は「次につながったことが、何よりもうれしい」と笑顔を見せた。
        (毎日新聞)4月10日13時2分配信

        ●北広島・いじめ放置、市立中で始業式 被害生徒、今も不登校/北海道
         ◇「置き去りにされるのか」--校長、担任ら謝罪なく去り
         06年秋にいじめを放置する不手際があった北広島市の市立中学校で6日、始業式が行われた。いじめを受けて不登校になった当時1年生の女子生徒(14)は3年生になった今も学校への不信感をぬぐえず、登校できないまま。当時の校長と教頭、担任は女子生徒に直接謝罪することなく今春、学校を去った。女子生徒と保護者は「(市と学校側は)問題を忘れようとしている。このまま置き去りにされるのではないか……」と不安を募らせている。【水戸健一】
         いじめは06年9月に起きた。女子生徒の同級生(14)が担任にいじめを報告したが、担任はしばらく放置。女子生徒は10月から不登校になり、同級生も市外への転校に追い込まれた。
         いじめの発生から1年半がたち、ほかの同級生たちが新学年になる期待に胸を膨らませる中、女子生徒は決して笑顔を見せない。3月末に学校作成の1年間の行事を振り返る冊子が届けられ、「2年の宿泊研修には行けなかった。3年の修学旅行には行きたい」とつぶやいた。転校した同級生も「いじめのことが今でも忘れられない」と、傷ついた心は癒やされていない。
         市教委は07年8月、市教委への報告が遅れたことなど学校の対応の問題点をまとめた報告書を作成したが、女子生徒の保護者は「内容があいまいで不十分だ」と反発。08年1月以降は双方が弁護士を立てて話し合いを続けている。
         当時の校長はこの問題で戒告処分を受けて今春退職、訓告処分を受けた教頭と担任は他校へ異動した。市教委青少年課はこの人事について「いじめ問題とは無関係」と説明。女子生徒が登校できない状態が続いていることについては「弁護士を立てて調整中なのでコメントは差し控えたい。長期化は申し訳ない」としている。
         「全国いじめ被害者の会」(大分県佐伯市)の大沢秀明代表は「校長や担任ら関係者が異動することで、いじめ問題がうやむやにされてしまうことはよくある。逃げ出したとも言え、無責任だ」と指摘。「被害生徒を第一に考えて対応する教諭がいれば、問題は解決できるはず」と、現場の教師がいじめ問題に真摯(しんし)に取り組むよう訴えている。
        (毎日新聞)4月7日12時1分配信

        ●福岡県内小中高校で始業式 学校再生誓う一歩 不適切指導で不登校、生徒逮捕…保護者、地域も一体
         福岡県内のほとんどの小中高校で7日、1学期の始業式があった。授業妨害などを繰り返した生徒2人が暴力行為法違反容疑で逮捕された福岡県田川郡内の中学や、担任の不適切な指導で女児が不登校になった福岡市博多区の博多小でも新学年がスタート。教員にも児童生徒にも新たな学校生活への期待や不安、緊張が交錯するなか、それぞれが1歩を踏み出した。
         ▼福岡市・博多小
         博多小では3月に女性教諭からしかられ、教室外に放置されるなどした当時2年生の女児が不登校になった。女児は3年生に進級したが、この日の始業式も欠席。
         3月末で離任した笠原嘉治前校長は、始業式に先立ち行われた離任式で、「心配をかけてごめんなさい」と児童たちに謝罪した上で、「先生、子ども、保護者がしっかりつながっていけば博多小はもっといい学校になる」と語り掛けた。
         博多小ではこの朝、男性の保護者らでつくる「はっぱの会」(伊藤利幸会長、150人)の会員40人が午前7時45分から校門前に立ち、登校する児童一人一人に声を掛けていた。同会は子ども山笠など、博多小校区の行事の運営にかかわっている。今回の問題を受け、「何か力になりたい」と声掛けを思い立ったという。大人たちの「おはよう」の呼び掛けに、児童たちは笑顔を見せていた。伊藤会長は「声を掛けることで、子どもたちを見守り続けたい」と話していた。
         ▼田川郡の中学
         生徒が逮捕された田川郡の中学の始業式では、校長が2、3年生約130人に「新しい先生が着任し、学校も変わる。甘えは許されない。一人一人が自覚と責任を持たなければいけない」と強調。学校再生を目指そうという空気に包まれた。
         さらに校長は、問題行動があった場合は、校長室で学年担当教員全員が個別指導▽自宅謹慎や出席停止を含めた措置を取る‐など、3月下旬に文部科学省に提出した「学校再生プラン」を説明。15日から毎週火、木曜日の午前中、保護者や地域の人に学校を公開することも示した。
        (西日本新聞)4月7日15時7分配信

        ●“出会い”生かしカフェオープン 左京 不登校などの支援団体/京都
         不登校やひきこもり、知的障害の青少年と家族の活動場所づくりに取り組む「居場所をつくる準備室」(京都市左京区)が11日、「カフェ&ギャラリー東西南北」を同区浄土寺下馬場町にオープンした。出会った人から取り寄せた食材の料理でもてなし、交流のある職人の工芸品を展示する「これまでの活動を集約した場所」としている。
         準備室は、自然体験教室を開く桜井一二さん(52)=左京区=が15年前に設立した。現在は、11家族が沖縄や北海道で工芸の創作、農業体験、高島市で無農薬の酒米作り、酒造りに取り組む。カフェは、出会いを通して自分と向き合い、世界を広げる入り口にしたいと、メンバーやOBたち約20人で準備してきた。
         メニューは無農薬有機栽培の食材の料理が中心で、手作り黒糖を使った沖縄の菓子「楚辺(そべ)ポーポー」もある。初の展示は24日までで、沖縄の伝統染色「紅型(びんがた)」や陶芸など約100点を並べる。桜井さんは「失敗も多いだろうが、それも大切な体験。交流のある農家や工芸家の思いに触れられる場にしたい」と話す。開店は午前11-午後7時で、金曜は午後10時半まで。月曜休み。東西南北TEL075(751)1187。
        (京都新聞)4月12日11時19分配信

        ●新教育の森:不登校や中退に対応 北九州市の取り組み/福岡
         ◇自宅学習で単位取得 面接指導で卒業支援--文科省、来年度にも制度全国へ
         不登校になった全日制高校生の自宅学習が、卒業に必要な履修単位として認められることになった。特区認定を受けた北九州市では既に先進的に取り組んでいるが、文部科学省は年度内に制度を改正し、早ければ来年度に全国で導入する。「高校中退の歯止めになる」と歓迎の声がある一方、制度の周知徹底を図った上できちんと利用されるかどうかなど課題もある。
         北九州市八幡西区の仰星学園高校。青や緑に彩られた廊下を抜けた図書室に、その女子生徒はいた。1年の時は学校に来られなかったが、自宅学習で単位を取得。翌年は少しずつ登校できるようになった。3年になった今、まだ教室には入れないが、図書室などで学習を続けている。
         同校は06年、通信制の添削指導を授業と認める教育特区の認定をうけ開校。単位制の全日制高校で、弾力的な学習制度で高校卒業資格の取得を支援する。生徒138人の多くは不登校の経験を持ち、高校を中退したり、学校が合わずに転校してきた生徒もいる。
         同校の生徒は最大1年間、自宅を拠点に学習できる。その間、課題のレポートをこなし、教科担任の面接指導を受ける。5人の相談員が自宅を訪問し、生徒や親に心理的ケアをするなどして支えていくという。
         中学3年間はほとんど登校できなかった3年生男子(17)は「自分のペースで勉強できるのが一番」と利点を話す。「卒業後は社会に出て働きたい」と目標も明確になった。
         06年度に高校を30日以上欠席した生徒は全国で約5万7000人。1万7686人が留年し、中退者は約7万7000人に上る。仰星学園高教務部長の長迫和恵教諭は「義務教育と異なり、高校では中退すると行き場がない」と指摘。同校は単位制とあって中退につながりやすい留年という措置もなく「高校卒業資格がほしい」という生徒をさまざまな学習制度で支えている。
         一方、懸念もある。自宅学習を出席扱いにする制度は小中学校で既に05年から導入されているが、制度利用者は06年度、全国で273人に過ぎない。教育現場で制度が周知されていないことが一因とみられる。
         宮崎県の農業男性(43)は中学3年生の長男(14)について学校から「この出席日数では進学できる高校は2、3校しかない」と告げられた。男性は2年前、自宅学習を出席扱いとする制度について学校側に尋ねたが「知らない」と言われた。不登校だった長男は今月から適応指導教室に通い始めており、男性は「せっかく進学意欲が生まれたのに(制度を利用できず)進学可能な高校が限られるのは残念」と話す。
         同県の小中学校では06年度の制度利用者はゼロ。生徒の立場に立った制度設計が求められている。
         ■ことば
         ◇「高等学校全日制課程において不登校状態にある生徒に対するIT等の活用による学習機会の拡大事業」
         政府の構造改革特区推進本部が3月に全国への展開を決定。文科省は今年度中に制度改正を実施。高校卒業に必要な最低74単位のうち、自宅学習を20~36単位まで認める見込み。
        (毎日新聞)4月12日16時1分配信

        ●都立高副校長はツライ!? 残業が全国平均の2、3倍
         都立高校の副校長の平均残業時間が、勤務日で3時間19分、休日出勤時の業務時間も3時間5分にのぼり、全国の高校教員平均の2、3倍に達していることが、都教育委員会の調査で分かった。
         総合的な学習の導入で地域との連携が深まり、窓口役の副校長に業務が集中していることなどが要因。都教委は、副校長をサポートする教員の育成を急ぐなど対応策を検討している。
         副校長の残業の内容をみると、報告書の作成が70分と最多。休日出勤時の業務内容は、地域行事や会合への出席など「外部対応」が平均約1時間半と半分を占めていた。
         公立小中高校・特別支援学校の副校長になるための管理職試験の倍率は、平成12年には4・5倍だったのが、19年には2倍にまで下降。都教委によると、副校長の責任の重さや多忙さが不人気の要因の一つになっているという。
        (産経新聞)4月13日8時1分配信

        ●都教委:「断定避ける若年層」 内館氏、教育の重要性強調--連絡会/東京
         都教育委員会が10日に都庁で開いた区市町村教委対象の連絡会で、都の教育委員5人が教育行政についてそれぞれの所感を述べた。このうち脚本家の内館牧子氏は、最近の若者が断定調の言葉遣いを避けるようになったと述べ、「日本が心やさしいだけの小心者の国になるのは決して楽しくない。一番すべきことは教育にある」と持論を披露した。
         大相撲の横綱審議委員を務める内館氏は、横綱・朝青龍を巡る騒動を例に挙げ、「私はただ一人、引退勧告をしてきついことを言い続けたが、ほとんど味方はいなかった」と孤立した状況を振り返った。その際、送られてきた手紙や電子メールの反応は▽30代前半までの若年層▽50代後半まで中年層▽60代以上の高年層――と、年代別に傾向が分かれたという。
         このうち若年層からは「はっきり言わない方が内館さんのためにいい」「目立たないようにしている方が安全です」といった助言が目立った。内館氏は▽「××みたいな~」との語尾上げ▽「××的」と的を付ける▽「KY(空気が読めない)」などの略語――といった若年層の言葉遣いも紹介し、「明確に断定しないで逃げ道を作り、相手を傷つけない言葉遣いがあふれている」と指摘した。
         内館氏は、こうした若年層の言動について「人に嫌われ、1人になることを恐れ、敵を作らぬように生きている」と分析。「明確に(意見を)言う人もいじめられたりしない教育をしなければ、国の体力、地力が落ちてくるのではないか」と危機感を訴え、改善策としてホームルームでのスピーチ訓練を提案した。
        (毎日新聞)4月11日14時2分配信

        一人事務所の社員旅行?
        2008/04/06
        今の事務所(カンナ)は確定申告の関係で会計は12月締めですが、事業開始が4月なので、3月末を「年度末」と位置づけるようにしています。早いもので、無事3年が経過しました。昨年から、この「年度末」に、自分へのご褒美として、1泊2日で研修に名を借りた小旅行をすることにしています。
         今年は、偶然に2日続けての休みがとれたので、春を感じるところで、美味しい魚を食べたいと思い、南紀方面へ車で向かいました。白浜から串本、潮岬、そして勝浦温泉で1泊。翌朝は紀の松原巡り観光船に乗り、那智の滝で壮大な滝を拝み、奈良県の山中を抜けて帰ってきました。
         贅沢はできないので、安めのホテル(旅館?)にしたので、料理はいまいちでしたが、数多くの料理で中瓶ビール3本を堪能。温泉にもゆっくりと浸かることができました。
         2日間で約600kmの走行。運転はかなり疲れましたが、とても良い気分転換になりました。
         その翌日、夕方に、1月に申請していたノンラベルのNPO法人化への認証がおりてますと京都府から連絡が入り、温泉気分が一気に吹き飛ぶことに…。そのあたりは、また次回に。
         次回は「ノンラベルがNPO法人に!」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        公立93病院で入院休止、医師不足など理由に…読売調査

         地方自治体が設置している公立病院のうち、2004年度以降に少なくとも93病院の141診療科が、医師不足などを理由に入院の受け入れ休止に追い込まれていたことが、読売新聞の全国調査でわかった。
         さらに少なくとも49の公立病院が経営悪化などで廃院したり診療所への転換や民間への移譲など運営形態を変えたりしたことも判明。公立病院を拠点とする地域医療が、各地で崩壊しつつある実情が浮き彫りになった。
         地方自治体が設置する病院は全国に約1000あり、調査は都道府県を対象に、医師不足の契機になったとされる新医師臨床研修制度が導入された04年度以降について実施した。
         今年2月までにいずれかの診療科で入院を休止したことのある病院は、公立病院の状況を把握していない10道県を除く37都府県で93病院。うち6病院は入院を再開した。休止理由について回答のあった42病院の9割は「医師不足」をあげた。
         診療科別では、産婦人科・産科の休止が44病院あり、次いで小児科の19病院。両科は、訴訟のリスクや不規則な勤務などで全国的に医師が不足しているといわれており、公立病院でもその傾向が表れた。
         北秋田市立阿仁病院(秋田県)では昨年5月から、小児科など五つの全診療科で入院を休止。湖北総合病院(滋賀県)は医師の退職で05年4月以降、3診療科で入院を休止した。
         一方、自治体財政の悪化などから、福岡県では四つの県立病院が民営化された。岩手県では06、07両年度、県立など計6病院を診療所に切り替えた。
         地域医療問題に詳しい本田宏・埼玉県済生会栗橋病院副院長は「地域医療の疲弊ぶりが如実に表れた。医療空白地帯が加速度的に拡大し、地方を中心に病院で受診できない人が続出するのではないか。医師確保を急がねばならない」と話している。
        (読売新聞)4月6日3時3分配信

        ●株式会社が運営 つくばの通信制高校開校
         つくば市筑波で4日、広域通信制高校「東豊学園つくば松実高校」(豊島庸市学園長)の開校式が行われた。同校は教育特区の認証を受け、株式会社が運営。不登校児や高校中退者などを対象に、将来の夢や将来設計ができる教育を目指す。
         開校式には約60人が出席。佐藤豊校長は「『ゆっくり生きよう、しっかり生きよう』をモットーに、必要とされる教育を環境を整えたい」とあいさつ。記念のもちつきを行い、新しい学校の門出を祝った。
         校舎は平成17年に廃校となった旧筑波第一小跡地を利用。初年度入学者は約180人で、授業はリポート(添削指導)やスクーリング(面接授業)、専門学校と連携したファッションや調理などの体験授業、学園都市の研究機関の見学などを予定している。
         同校の開校は、つくばエクスプレスの開業で発展が続く市南部と対照的に、人口減が続く旧筑波町地区の活性化にもつながると期待されている。
        (産経新聞)4月5日7時51分配信

        ●女性教諭に腹ばいで問題解かされ…小2女児が不登校
         福岡市立博多小で3月、当時2年生の女児(8)が、担任の20歳代の女性教諭から教室外に連れ出されて放置されたり、床にはうような姿勢で問題を解かされたりして精神的苦痛を受け、不登校になっていたことがわかった。
         女児は不眠や自傷行為を繰り返し、病院から強い不安感に襲われる「強迫性障害」の疑いがあると診断された。市教委は「不適切な指導で申し訳ない」と謝罪している。
         同校は、教室と廊下を仕切る壁や窓がない構造。市教委や女児の保護者などによると、女児は3月14日の始業前に、忘れ物をしたことで教諭から「このクラスの子ではない」という趣旨の言葉で強くしかられ、いやがるまま1年生が授業を受けている教室まで連れ出され、放置された。
         1時間目の途中、集合写真を撮るため、教室に呼び戻されたが、終了後、再び教室の外の廊下部分に出された。2時間目はその場所で、算数のプリントを手渡され、床にはうような姿勢で問題を解いたという。
        (読売新聞)4月3日3時11分配信

        ●20代女性教諭行き過ぎ指導で女児不登校に
         福岡市立博多小学校で3月、20代の女性教諭が当時2年生の女児(8)に対し、忘れ物を理由に教室で授業を受けさせず廊下でプリントの問題を解かせ、女児が精神的苦痛を理由に不登校になっていたことが3日、分かった。年度末の総まとめに燃える教諭が、女児の週3回の忘れ物に激怒した末に至った「行き過ぎた指導」(同校校長)。女児の母親からは学校に「(女児が)自傷行為をした」との連絡も入っているという。
         福岡市教育委員会や博多小学校によると“事件”が起きたのは3月14日。始業前、算数のプリントの宿題を「忘れました」と申告した女児に対し、教諭が「今はまとめの時期なのに、それでは3年生になれない」「あなたは2年生ではない」などとしかった。
         教諭は女児を、同じ階の1年生の教室の前に無理やり連れて行き、放置。同校は廊下と教室の間に段差や仕切りがない「オープン教室」建築を採用しており、女児の姿は1年生や、水飲み場で清掃活動をしていた6年生らに見られていた。
         1時間目の途中、女児はクラスの記念撮影のため教諭に呼ばれ、教室横の「フリースペース」に入ったが、再び教諭から「1年生からもう一度やり直さないといけない」などと諭され、廊下に戻った。2時間目、算数のプリントを配布されると、女児はその場でひざをつき、木の床にはうような姿勢で問題を解いた。
         始業前から2時間目の終わりまで約2時間、女児は廊下にいたことになる。3時間目からは通常通り授業に参加。女児はこの週、算数のプリントの宿題を忘れたのが3回目で、教諭は「年度末で、しっかりまとめていこうとクラスの意識を盛り上げたかった」と、「廊下でプリント」指導に至ってしまった心境を説明しているという。
         学校には、14日夜に女児の母親から抗議の電話があった。女児はそのまま不登校になり、春休みに突入。母親から学校に入った連絡によると、女児は病院で「強迫性障害」の疑いと診断された。女児は「死にたい」「眠れない」と話し、髪の毛を抜くなどの「自傷行為を繰り返している」との連絡も入ったという。
         教諭は「申し訳ない」と、毎日のように女児の家に行き、謝罪の手紙を投函しているが、女児とは会えずにいる。関係者によると、教諭は先生になって今年で3年目。「厳しいところもあるけど、熱心」という。
        (スポーツ報知)4月4日8時0分配信

        ●信大が発達障害を含めた学生支援をスタート
         信大は本年度、発達障害を含めコミュニケーションなどに困っている学生への支援を本格的に始める。松本、長野(教育)の2キャンパスに専任の学生支援コーディネーターを1人ずつ配置、5月にはコミュニケーション技術を学ぶ体験型の研修会を初めて開く。学生生活の向上や適切な進路選択につなげる考えだ。
         発達障害にも対応する専任スタッフを置き、支援する大学は全国でもあまり例がないという。
         同大教育学部によると、発達障害の有無にかかわらず、コミュニケーションや対人関係に悩む学生は近年目立つ。同学部の高橋知音(ともね)准教授は「学生のニーズを早期に把握し、自己管理力やコミュニケーション能力を向上させたい」と説明。自分に合った就職先を見つけることにもつなげたいという。
         コーディネーターは臨床心理士資格を持つ助教が務める。信大の教職員、学生のカウンセリング先、医療機関、保護者らとの間を仲立ちし、協力して学生を支える態勢をつくる。
         教育学部がある長野キャンパスは1日から、生協2階にコーディネーターが常駐。相談や研修会を行う自習室を整えた。工学部(長野市)、繊維学部(上田市)の学生も対象とする。松本キャンパスは農学部(上伊那郡南箕輪村)の学生も支援する。
         支援の一環で教育学部は本年度、同学部生や職員を対象に5月から計6回の研修会を開く。外部講師を招き、自己表現方法や考えを伝え聞くといった技術を体験して学ぶ。教員採用試験や就職面接などでも役立つ内容にするという。
        (信濃毎日新聞)4月6日(日)

        ●発達障害支援:白梅学園大と小平市が連携、協定調印 暮らしやすい街目指して/東京
         白梅学園大(汐見稔幸学長)と地元の小平市は、発達障害の子どもたちの支援に連携して取り組む。今後2年間にわたり障害児教育の専門家を育成する講演会を共催するほか、白梅大の学生キャラバン隊が紙芝居で小学生に障害児の実情を伝えたり、福祉施設に学生ボランティアを派遣したりする。障害のある人もない人も共に暮らしやすい街をつくることが目的。汐見学長と小林正則市長が3日、協定に調印した。
         白梅大は昨年から広汎性発達障害や多動性障害の子どもたちの支援を手がけ、学生の手助けで絵を描く「アートワークショップ」などを開催してきた。5月からは音楽やダンスもワークショップのプログラムに加え、4歳から9歳の計約40人の児童が参加する予定。学生による紙芝居や福祉施設でのボランティアも新しい試みで、地域の理解を高めたいと考える大学側が市に連携を持ちかけた。
         市障害者福祉課によると、大学と行政が障害児支援の分野でこうした協定を結ぶのは珍しいという。市側はキャラバン隊やボランティアの受け入れなどで協力していく。
         汐見学長は調印式で、「各国に比べ日本の障害児教育は遅れており、地域の理解も浅い。障害児への理解ある地域づくりのモデルになれるよう、市と連携したい」とあいさつした。
        (毎日新聞)4月4日14時1分配信
        今年は花粉によるアレルギーが強くて…
        2008/03/29
        今年は花粉の飛散が多いと言われていますが、みなさんはいかがでしょうか?
         私は、2~3年前よりアレルギー性鼻炎の症状が出始め、昨年秋に症状が強くなったため、かかりつけ医に相談して抗アレルギー薬を処方してもらい、しばらくは治まっていたのですが、この3月に入ってからそれが効かなくなりました。そして、耳鼻科受診を決意して2件ほど回ってみましたが、どちらも大行列!! あきらめて、近くの内科医を受診し、症状を伝え、医師から「アレルギー」反応についての講釈を拝聴し、新しい抗アレルギー薬を処方してもらい、服薬すると、症状が治まりました。
         今は、かかりつけ医から別の抗アレルギー薬を処方してもらっています。これで今の花粉には対処できそうです。
         驚いたのは、これら抗アレルギー薬の即効性です。服薬の翌日には効果が出ました。涙目、鼻水じゅるじゅるが完全に治まったのです。そして、よく聞かれる副作用としての眠気がないことです。
         しかし、この抗アレルギー薬、いつまで服薬すればいいのか、が目下の心配事です。
         次回は「一人事務所の社員旅行」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        文科省、新指導要領に「愛国心養成」を追加

         文部科学省は、約3年の改定作業を経てまとめた小中学校の新学習指導要領を28日付官報で告示する。
         先月15日公表の改定案と比べ、「我が国と郷土を愛し」といった記述が追加されたほか、「君が代」についても「歌えるよう指導する」と明記されるなど、「愛国心」の養成をうたった改正教育基本法を色濃く反映する形となった。
         これらの修正点は、文科相の諮問機関「中央教育審議会」の審議を経ないまま盛り込まれており、なぜ新たな文言が突然加わったのか議論を呼ぶのは必至だ。
         新しい指導要領は小学校では2011年度、中学では12年度から実施される。
         今回の修正の中で目立ったのは、一昨年12月に改正された教育基本法に「我が国と郷土を愛する態度を養う」との表現で愛国心の養成が盛り込まれたことを受け、小中学校ともに全体の指針となる総則に「我が国と郷土を愛し」という文言が加わった点。同じ総則の「伝統と文化を継承し」という記述も「尊重し」に変更され、小学国語に「神話・伝承を読み聞かせる」ことが追加されるなど伝統文化の尊重も強調された。
         君が代も小学音楽で「いずれの学年においても指導する」から「歌えるよう指導する」と修正され、中学社会では自衛隊の国際貢献に言及している。
         先月公表の改定案には、自民党の一部議員から、竹島や尖閣諸島について「我が国固有の領土」と明記されていないとの批判が集まっており、「愛国心を強調することで、そうした批判に配慮した」(自民党中堅)という指摘もある。
         文科省は「修正は中教審の答申の枠の中で行っており、批判を受けるとは考えていない」としている。
        (読売新聞)3月28日5時5分配信

        ●<飛び降り死>卒業式でセリフ換え? 「死んでおわび」メモ
         卒業式の後自宅で飛び降り自殺した東京都板橋区立小6年の男児(12)について、同小の校長は26日、卒業式のセレモニーでこの児童が「大好きな学校」というセリフを「大嫌いな」と言い換えていたことを明らかにした。警視庁志村署によると、居間に「死んでおわびする」という趣旨の1行のメモがあったが学校に関する記述はなかったという。
         校長らによると、児童は25日午前10時から約2時間行われた卒業式に出席。5年生と卒業生が一緒に行う「門出の言葉」というセレモニーで、全員で学校名を唱和する前の「大好きな学校」というセリフを「大嫌いな」と言い換えたという。そのとき、周囲がざわついたという。
         式終了後、校長が児童に対し「なんであんなことをしてしまったの」と尋ねたところ、男児は「緊張して間違ってしまいました」と答えたという。
         校長は「普段の行動に問題はなかった。出席も成績も良好。漢字検定も上級クラスを取得していた」と話し「問題は全く無かった」と話した。自ら行事のリーダーに立候補するような積極的なタイプで、悪ふざけをすることはあまりなかったという。
        (毎日新聞)3月26日12時50分配信

        ●社説:荒れる中学 問題の抱え込みは自壊を招く
         福岡県田川郡の町立中学校で一部の生徒たちが物を壊したり授業妨害をするなどし、対策に追われた校長、教頭が心労で休職したり、療養するという異常事態になった。今月になり2人が暴力行為法違反容疑で警察に逮捕されたが、ここまで状況を悪化させた要因として、問題を表へ出したがらない教育現場の消極的な体質がまたも露呈した。
         町教育委員会などによると、この学校では昨年から2、3年の男子生徒8人のグループが器物を壊したり、教師への威嚇、徘徊(はいかい)しての授業妨害など暴力的な問題行動を繰り返した。学校は美術準備室に隔離したが、生徒たちはテレビゲーム機や電熱器などをここに持ち込んで飲食や喫煙までし、指導効果はなかった。
         しかし、深刻な状況は校外になかなか知らされなかった。昨年末から断続的に教頭、2月上旬から校長、と相次いで不在となったが、大部分の保護者へ詳しい説明が行われたのは2月。また美術準備室がやり放題のたまり場になっている実態を町教委が知ったのも同月で、知らせたのは学校ではなく保護者という。
         今月14日の卒業式でグループの生徒たちはサングラスをかけたり胸をはだけた姿で周囲を威嚇し、報道陣にも悪態をつき、リポーターのマイクを取って放歌するなどした。
         一昨年来、各地の学校でいじめやそれに伴う自殺が表面化したが、学校が隠したり、教委などに報告していなかった事例が相次いで露呈し、社会問題になった。統計上何年もなかったことになっていたいじめが原因とされる自殺の件数が、調べ直して過去にさかのぼって書き直されるという異常な事態になった。このことは記憶に新しい。
         こうした反省から、問題は隠さず、必要に応じて教委や保護者らの支援も積極的に受け、解決に当たる--。文部科学省や各教委は各学校にそう呼びかけ、問題の無理な抱え込みはしないよう求めてきたはずだ。
         今回のケースはこの反省が全く生かされていない。そしてこの学校だけの問題でもない。「しょいきれない問題」を抱え込んでいる学校や先生は少なくないはずだ。とりわけ、公立小中学校入学の選択制をとる地域は「学校の評判」を気にしがちといわれる。
         しかし、それを隠したり、とりつくろうことが逆効果であることを今回の事例も証明した。教委も早く本格支援をしていれば事態はここまで悪化はしなかっただろう。例えば、一般に児童・生徒を「出席停止」にすることはためらわれがちだが、その期間の学習支援や指導を学校や教委が連携し、しっかりした姿勢で取り組めば、それは「教育の放棄」ではなく、「教育効果」も望めよう。
         文科省は今回の異常事を検証し、その教訓を全国の学校現場で共有すべきだ。
        (毎日新聞)2008年3月24日

        ●<緊急報告・荒れる中学>【その1】消えた校長と教頭—-無法地帯へ「自壊」
         コーラにラムネ菓子を落とすと、ペットボトルから激しくコーラが噴き出した。2月下旬、福岡県田川郡内の町立中学校。一部生徒の笑い声が響く教室で、他の生徒たちは何事もなかったように、静かに教科書に目を落としていた。教室内の教師は、ふざける生徒の姿は見えないかのように授業を続けた。
         この学校では、昨年から一部生徒の授業妨害が続き、昨秋以降、校長と教頭が心労で体調を崩した。2人は教育現場を離れ、3月に後任の校長が赴任するまで、学校は1週間にわたって管理職がいない状態になった。
         妨害したグループは8人。うち1人は約1年前から、昨秋からは全員が、「個別指導」(町教委)として、学校内の美術準備室に「隔離」された形になっていた。だが、準備室に常駐する教師はいなかった。生徒たちはテレビゲームやポットを持ち込み、たむろしては飲み食いした。様子を見た保護者の1人は「まるで無法地帯だった」と振り返る。
         荒れ始めたきっかけはよく分からない。町教委によると、グループは昨年7月、他の中学校の生徒とのけんかで2人が逮捕・補導された。復帰した2学期から授業妨害が激しくなり、1人が髪を金色に染めると仲間が倣った。
         試験中にラジカセを大音量で鳴らす▽2階から椅子を放り投げる▽校舎入り口にバリケード状に椅子を積み上げる▽職員室内を集団でうろつく……。生徒に注意し、暴言を吐かれた女性教師は体調を崩し学校を休んだ。
         「おれらが悪いん?」。トサカ状の髪を金色に染めたグループの1人は何を聞いても「知らねー」と繰り返し、記者をにらみつけた。「初めから見た目でおれらを判断したのは先生やん」。別の1人も、とがった声で吐き捨てるように言う。「先生は注意せん。放し飼いやん。言うこととやることが違う。汚い」
         激しい授業妨害と奇抜な外見。周辺からはまた違う見方も漏れてくる。同級生はグループの1人を「年下の面倒もみるし、優しい」。ある商店主も「一人一人はいい子」と語る。保護者の1人は「他の生徒には危害を加えていないし、あくまでも先生との問題」と、通常のいじめなどとは異なる非行という見方を示した。
         1枚の写真がある。グループの生徒5、6人が大人たちと写った写真だ。昨年12月、警察官や補導員らでつくる「ストップ非行防止プロジェクト」の関係者が呼びかけ、近くの山まで片道1時間のハイキングに出かけた。
         「頑張ってくださいよ」。ジャージー姿の生徒たちは、へばり気味の大人たちにそう声をかけ、黙々と山を登ったという。山頂での記念写真に、学校で見せる険しさはなく、照れたような笑顔が浮かんでいた。
          ◇   ◇
         「学校は結局、彼らの問題を抱え込んだまま、自ら壊れていったような感じがする」。関係者は振り返る。校長室で暴れた容疑で、14日の卒業式直後に、生徒2人が逮捕されて1週間。なぜ2人の管理職が倒れるに至ったのか。小さな町の中学校で起きた“自壊”の現場を報告する。(その2に続く)
        (毎日新聞)3月26日14時24分配信

        ●緊急報告・荒れる中学:(その2)誰が指示?「出席停止」実現せず
         ◇現場と教委、食い違い  
         疲れ切った校長の顔には、怒りがにじんでいた。一部生徒による授業妨害が繰り返された福岡県田川郡内の中学校。教え子の一人が校長室を訪ねたのは昨年11月だった。 
         苦境を察し「大変そうですね」と声をかけると、校長はうめくように言った。「出席停止について教育委員会に話しているが、取り合ってくれない」
         出席停止。教育委員会は、校長の具申書提出を受けて学習支援などを前提に、生徒の登校を拒むことができる。この町の場合、教育長を含む教育委員5人の合議で決まる。
         出席停止の要望は、受験まで半年を切っていた昨年秋の保護者集会で既に出ていた。授業妨害はエスカレートし、早退や欠席する女子生徒も増えていた。校長は「生徒を悪い方向に行かせたくない」と訴えたが一方、「最終的には検討しなければならないかも」と話した。12月の保護者集会でも、父親の一人が「出席停止の措置もあるのでは」と、校長に決断を促した。
         「生徒全員が自分のクラス」。全生徒の名をそらんじ毎朝、校門前で出迎えた校長もこのころから不眠を訴えるようになった。この時期、教委に再三足を運び、出席停止を相談した形跡がある。
         だが、ある保護者は学校関係者から、教委幹部が保護者集会の直前に職員室で「出席停止はできない」と言い渡したと聞かされた。ある教諭も「教委が止めたのは間違いない」と語る。
         一方、教委の話は正反対だ。教育長は「校長は数人の出席停止を検討していた」と認めたが「出席停止はだめだと言ったことは一切ない。むしろ、私の方が検討を促していた」。
         授業妨害を繰り返した生徒の保護者のうち、指導に応じたのは半数程度という。「(変形服は)似合うからいいだろう」「うちに問題があるというのか」。学校側に食ってかかる親もいた。
         孤立を深めた校長は2月6日から病欠。通院していた教頭も同25日、自宅療養となった。
         その日開かれた緊急の保護者会。事態の深刻さを悟った教育委員会は、たまり場となっていた美術準備室について「生徒の私物を片付け、閉鎖する」と告げた。
         「おれのものをどこへやったんか」。2人の生徒は怒鳴り、職員室や校長室に乱入し、暴れたことが逮捕容疑になった。
         そして3年生最後の行事、卒業式。元生徒会長が答辞を述べた。「学校や先生、教育委員会、PTAに裏切られた」。事前に学校側の誰も知らなかった内容が体育館に響いた。あっけにとられたのか、会場は静かだったという。「言わせた方も言った方も異常、そして聞いた方も異常。卒業式が無事に終わったこと自体、不思議ですよ」。ある教師は力なく語った。(その3に続く)

        ●緊急報告・荒れる学校:(その3止)「大人はびびらないで」
         ◇放置された「隔離」の場  
         体育館の床には自転車のタイヤや土足の跡が残り、トイレは汚物まみれだった。一部生徒による授業妨害が続いた福岡県田川郡内の中学校。今年1月、学校を訪れたある保護者は、あまりの乱雑さに言葉を失った。「昨日は先生が7人休んだ、今日は6人休んだという状況で、まさに『学校崩壊』だった」。PTA役員は振り返る。
         保護者たちは1月から交代で週1回、学校の清掃作業を始めた。教委も職員を派遣したが、それが裏目に出た面もあったという。「職員や私たちが彼らを注意すると『監視しよるんか』『関係ねえやつが来んな』と。2階からつばを吐かれ、放尿もされた」と保護者の一人は話す。
         授業妨害をしていた生徒8人のたまり場だった美術準備室。当初は、手の空いた教師が指導していたが、次第に手が付けられなくなった。問題のある生徒を「隔離」したことについて、あるPTA役員は学校側から「そこにいれば他の生徒の邪魔にならないから」との説明を受けている。
         「隔離」は、その先に起きる出来事を見据えたうえでの決断だったのか。近隣中学の教師は「(あの人数に)付き添いの教師がいないまま一部屋を使わせるやり方は全く理解できない」と指摘する。指導の場はなし崩し的に「隔離」の場となり、暴走の温床になっていった。
         学校は今年1月、生徒の一人が校長室の机を壊したとして警察に被害届を出していた。だが、間もなく「学校で指導したい」と取り下げている。また、あるPTA役員は教委に改善を訴えたが、らちがあかず、2月半ばに町幹部に直訴した。幹部は「視察したい」と応じたが、教委が「少し待ってほしい」と止めたという。
         取り返しがつかなくなるまで問題を抱え込んだ学校、適切なサポートをしなかった教委。そして、そこにつけ込んだ生徒たち。教諭の一人は「日ごろから厳しく接していればよかった。歯車がずれた」と力なく語る。
         子どもたちは大人を見ている。問題行動を繰り返した生徒とは別のある生徒は「先生が教室に入ってくる時、すごくビクビクしているのが、おれらから見ても分かってイヤだった」と話す。
         今春卒業したその生徒には、4月から中学生になる弟がいる。「同じことがあったらどう思う?」。記者が聞くと、少し考えて言葉が返ってきた。
         「やっぱ今度はきちんと解決してほしいと思います。きちんと学校の中で、大人がびびらずにやってほしい。おれはそう思います」

        ●京都府、フリースクールに助成 小、中学校評定に反映
         京都府教委は4月から、教員免許を持つ指導員がいるなど一定の条件で認定したフリースクールに、教育活動費を助成する。不登校生徒の「もう一つの教室」としてフリースクールでの学びを、在籍する小中学校の評定に反映させる。正規の学校ではない民間施設のフリースクールに助成するのは「全国的にも極めて珍しい」(府教委)という。
         ■4月から、一定条件で認定
         府教委によると、認定するフリースクールは教員免許や臨床心理士などの資格を持った指導員がおり、不登校の子どもが在籍する学校と緊密に連携を取れることが条件。
         人件費を除き、学習指導要領に準じた学習や体験活動などにかかった費用の半額(45万円程度)を助成する。2008年度当初予算に200万円を計上した。
         文部科学省の調査によると、本年度の不登校児童・生徒数は約12万7000人。府内では06年度に小学校で約530人、中学校で約1910人が1年間で30日以上欠席しており、全生徒に占める割合は中学校で3・14%と、全国平均2・86%を上回る。
         文科省は1992年から段階的に、フリースクールへの通所や自宅学習も、学校長の判断で「出席扱い」にできるとしてきた。
         府教委は05年度、フリースクールの施設や指導員の基準を定めた。06年度からは府内四施設とともに、学校との連携方法や教育内容を研究してきた。この中で、フリースクールは公的な財政支援が得にくく、入会金や月会費など利用者負担の重さが問題に挙がった。
         NPO法人(特定非営利活動法人)の日本フリースクール協会(東京都)の田中雄一事務局長は「学習や相談のニーズに十分応えるには費用が必要。京都の認定条件は他府県のガイドラインとなるだろう」と評価する。
         府教委学校指導課は「不登校の子どもたちにとって、フリースクールが学校復帰を促す役割を担っているのは現実。恒常的に支援したい」と話す。
        (京都新聞)3月24日9時39分配信

        ●発達障害の実情訴え 南丹で講座 当事者夫婦が体験発表
         発達障害の当事者が自らの体験を語り、市民の理解と支援態勢をつくる必要性を訴える「発達障害講座 当事者からの提言-自閉症スペクトラムの世界」が23日、京都府南丹市園部町小山東町の府南丹保健所で開かれた。
         ともに成人後に発達障害の診断を受けた関西在住の佐々木加奈さん夫妻が話した。加奈さんは、周りに適応できず苦しんだ学校生活やつらい体験のフラッシュバックを語り、「発達障害の子どもを1日1回は褒めてあげて。悪い面での他の子との比較はしないで」と訴えた。「発達障害児者の支援は一生続く」と強調し、アロマセラピーや外国語を勉強している今の生活や、発達障害の「当事者兼支援者」として活動していく夢を語った。
         加奈さんの夫も「発達障害だからといって悲観的になることはない。一般の人と少し違うだけで適応さえすれば人生は豊かになる」と話した。
         講座は、口丹波の発達障害児を持つ家族の集い「ぶどうの木」の主催で、発達障害児の保護者や福祉、教育の行政関係者ら約100人が参加。「自閉症の子どもが電車に強い関心を示すが、趣味を変えさせた方がいいのか」「本人への告知はどのようにすればよいのか。告知しない方がいいのか」など会場の質問に、夫妻が丁寧に答え、参加者は早い時期から継続した支援と理解が必要だと確認していた。
        (京都新聞)3月24日10時39分配信

        私のストレス耐性と緩和法
        2008/03/22
        ストレスのほとんどは、人間関係から生まれる、と言っても良いと思います。他者から言われた一言、他者からの頼まれごと、他者からの言外の評価(表情など)、あるいは他者と時と場を共有することそのこと…。他者、にはもちろん家族や恋人、友だちなども含まれます。そして時には、もう一人の自分も…。
         私自身は、対人関係のストレスにはとても脆い人間だと思っています。抑うつとのつきあいも永くなりました。そして、自分が今受けているストレスの度合いが、ある程度わかるようになってもきました。
         ストレスのない社会はありません。自室にひきこもっていても、家族や知人との物質的な関係性は絶ったとしても、精神的な関係性は日々認識しつづけるものですし、それこそが苦しさの本質でしょう。
         とすれば、ストレスは必ず被るものとして、どの程度で付き合うか、どう折り合うか、自分なりの対処の「やり方」を築いていく他ないわけです。カウンセリングもその一つです。第三者であるカウンセラーを「鏡」としながら、自身と向き合う有効な方策です。
         私のストレスとの付き合い方は、まず、何がストレッサーなのかを明確にし、それがどの程度のストレスになっているか、なぜストレスになっているのかを分析することで、ストレッサーを客観視します。そして、ストレスの掛かり具合を「なら、仕方がない」と認めます。次に、それをストレスとして感じる自分の受け止め方に視点を当て、違う受け止め方ができないかを考えます。そして、時間切れでその日が終わろうとしたら、思考を止めて、翌日に持ち越さないように、毎日行う寝るための準備をしてしまいます。そうすると、不思議なもので、前夜には考えつかなかった「違う受け止め方」が、翌朝のある瞬間に思い浮かぶことが多々あります。参考になりましたでしょうか???
         次回は「今年は花粉によるアレルギーが強くて…」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        自殺予防緊急集会:市民団体が「命より大切なもの」テーマに―湯沢/秋田

         ◇「つながり直す人間力大切」--市民団体「スタートライン」
         かけがえがない命を地域で守る「自殺予防緊急集会」が16日、湯沢市の湯沢福祉センターであった。不登校や、引きこもり、いじめ問題などに取り組む市民団体「スタートライン」(荻田弘則代表)が市社会福祉協議会の後援を得て主催し、潟上市立天王南中1年の女子生徒(13)が自殺したことも受けて真剣な議論が続いた。
         緊急集会は「命よりも大切なものがありますか?」をテーマに、20人余りが参加した。介護福祉士でもある荻田代表(42)が不登校になった10代のころや、勤め先のトラブルで自殺を図った体験を語り、秋田大医学部保健学科の熊澤由美子・助教(46)と対談した。
         荻田代表が「職場、仲間内で『つながり』を持ちたくても、持てない空気がある」と問題提起すると、熊澤助教は「私たちは難しい時代を生きている」との認識を示したうえで、「(人との)つながりの中で、つながり直す人間力が大切」と指摘した。
         さらに、「人間には無条件に愛される、自分が自分を愛する、人を愛する――の三つの愛がある。(生きることがつらくなった時は)もう一回、『愛される私』のところに戻ること。人生、生きてる時間は限られている」と話した。この後、参加者は2人を囲んで円形に座り、それぞれの思いを語った。
         スタートラインは03年に設立し、悩む若者の相談相手になりながら、秋田大医学部保健学科の佐々木久長・准教授と2回、「若者の自殺予防アピール緊急集会」を開いた。
        (毎日新聞)3月17日11時3分配信

        ●集中と選択:’08年度県予算 教育 不登校児童らの対応強化/長野
         不登校の小中学生が年々増加している。県教育委員会によると、06年度の不登校の割合は小学校は0・49%(全国は0・33%)で全国3番目、中学校は3・18%(同2・86%)の高い水準となった。この状況に、県教委教学指導課では「大きな課題であり、今まで以上に解決に力を入れていく」と強調する。
         児童・生徒の支援態勢を強化するため、県教委は来年度の「活用方法選択型教員配置」事業(51億2600万円)に、不登校児童らに応じた適応指導を盛り込んだ。この事業は現場の状況に応じて教員の配置ができるもので、小学校30人規模学級や習熟度別学習態勢などでの活用を挙げている。また国の補助率が削減された「スクールカウンセラー」事業(1億2620万円)も今年度と同額を維持した。
         人材育成の面では、「『未来塾ながの』推進」事業(75万円)を新たに始める。講演会や体験活動などを通じて地域の担い手づくりを目指す。
        (毎日新聞)3月19日12時2分配信

        ●郡山・体罰訴訟 市に全額賠償命じる 仙台高裁
         教師の体罰で不登校になった福島県郡山市立中学校の元生徒への損害賠償金は、教師の監督責任を負う市が払うべきだと、福島県が市に賠償金59万円の全額負担を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は19日、市の負担を約39万円とした福島地裁判決を変更し、市に全額負担を命じた。
         国家賠償法は違法行為をした公務員の監督権者と給与負担者が異なる場合の損害賠償金の負担について「損害賠償した者は内部関係で、損害を賠償する責任ある者に求償権を有する」と規定。県と市のどちらが「責任ある者」に当たるかが争点となった。
         井上稔裁判長は費用の最終負担者を「賠償債務の発生原因となった職務執行に要する費用を負担する者」と指摘した。
         その上で「教職員に関する県の負担は人件費に限られ、教育活動で発生した賠償債務まで負わない。体罰は教育活動中に起き、教職員への指導監督権を第一次的に有する市が最終負担者に当たる」として、県の主張を全面的に認めた。
         市は「教職員への管理権限の主体である県が最終負担者。人件費は教育活動に要する費用そのものだ」として、県の全額負担を求めていた。
         福島地裁は昨年10月、県と市の責任割合を1対2とし、県が支払った遅延損害金を含む賠償金約59万円のうち、約39万円の負担を市に命じた。県が市の全額負担を求めて控訴し、市も付帯控訴した。
         元生徒は2002年、県と市に200万円の損害賠償を求めて提訴。福島地裁郡山支部は04年7月、両者に計50万円の支払いを命じ、元生徒が控訴、県と市も付帯控訴した。市が同年10月に謝罪したため、元生徒は市への賠償請求権を放棄して和解。元生徒の控訴取り下げで県の付帯控訴が失効、判決が確定し、県の賠償義務のみ残った。
         判決について、木村孝雄市教育長は「大変残念。上告するかどうかは、判決内容を確認して決めたい」とコメントした。野地陽一県教育長は「正当な判決と受け止めている」と話した。
        (河北新報)3月20日11時21分配信

        ●「ぶぶ」の視点から学ぶこと 高槻・如是中で毎日新聞記者が出前授業/大阪
         自閉症の長男のことを、本紙夕刊の憂楽帳「ぶぶ」につづった毎日新聞編集制作センター副部長、浦窪学記者が18日、高槻市立如是中(同市如是町7)で講演した。「障害のある子のことを少しでも知り、ゆっくりでいいから受け入れてほしい」という話に、生徒や保護者ら約300人が聴き入った。
         「ぶぶ」は06年10~12月、長男文太郎君(6)の愛称を題名に12回連載。如是中は同時期に「ぶぶ」を授業で取り上げた。障害者の受け止め方など家庭でも感想を話し合い、学習に生かしてきた。
         長男を主語に「ぶぶ」の視点から書いたことについて、浦窪記者は「息子の心を想像することで、彼のことを知ろうと思った。みなさんも相手の気持ちを想像し、書く機会を大切に」と訴えた。
         「『ぶぶ』がパニックになった時は?」との質問には、「ひざまずき、目線を合わせ話を聞く。でも失敗の繰り返し」と浦窪記者。「実名で書いたことは怖かったが、伝える力はまったく違う。顔を隠さず自分を表現するのは大事なこと」と強調した。
        (毎日新聞)3月19日17時1分配信

        ●懲戒処分:電動車いすの電源切り「黙れ」 動けぬ生徒に暴言、北九州の県立高教諭停職
         福岡県教委は19日、体に障害のある生徒の電動車いすのスイッチを切って動けなくし、胸ぐらをつかんで暴言を吐き精神的苦痛を与えたとして、北九州市内の県立高校の男性教諭(49)を停職1カ月の懲戒処分にした。停職後は県教育センターでの1年間の指導改善研修を命じる方針。
         県教委教職員課によると、教諭は昨年6月14日午後2時半ごろ、担任する2年の男子生徒(17)と個人面談中、生徒から「先生は信用できない」と言われ激高。電動車いすのスイッチを切り、身動きが取れない状態にしたうえで、生徒の胸ぐらをつかんで「うるさい」「黙れ」などと怒鳴った。
         教諭は生徒のトイレの介助をする約束をしていたが、十分な介助をしていないと生徒から指摘されて怒ったという。生徒は恐怖心から教諭の授業に出席できなくなったため、高校側は7月から教諭をクラス担任と生徒が出席する授業から外している。
         この他にも、授業が騒がしくても注意をしないなど指導力が不十分で改善が見られなかったため、懲戒処分に踏み切ったという。
         県教委は「教諭の言動で生徒が授業を受けづらい状況になったことは申し訳ない。二度とこのようなことがないよう、再度、綱紀の徹底を図っていきたい」と話している。
        (毎日新聞)2008年3月20日
        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(9)
        2008/03/16
        アスペルガー障がいの“困った”についていろいろと体験的に考えてきたことを綴って、今回で10回目になります。
         まだまだたくさんの“困った”や対処法があると思いますが、10回目を機にひとまず連載を終えようと思います。
         さて、10回目ですが、アスペルガー障がいのある人と思春期について少し…。
         障がいの有無に関わらず、人は少年期を過ぎた後、青年期に至までの間、「疾風怒濤の時代」とも言われる思春期を迎え、これを越えて行きます。肉体的に「子ども」から「大人」へと急進的な成長を遂げつつ、我を思う、我を疑う、我を見通す、我を大切に思う、そして他者の存在を認め、他者との関係性を理解する、などなどさまざまな心理社会的な面の課題に直面し、それらと折り合いながら乗り越えていく、人生最大の「揺れ」の時代です。
         この「揺れ」の中にあって、環境要因の影響を受けながら、様々な葛藤を繰り広げ、精神面及び行動面で問題な状態を引き起こしてしまう場合もあります。アスペルガー障がいのある人にとっても、この葛藤は同じですが、その受け止め方、折り合いのつけかたに困難さのある場合が少なくありません。小学校高学年から中学校時代、「ちょっと変わった」ところのあるアスペルガー障がいのある人は、からかいやイジメ、非行への誘いの対象となる場合が少なくありません。そして、さまざまな嫌悪体験をしてしまいます。また、自らが問題行動を起こしてしまう場合もあります。
         アスペルガー障がいのある人の中には、記憶力のすぐれた人が多く、こうした嫌悪体験をまざまざと映像として記憶していて、成人した後にもフラッシュバックとして、思春期での嫌な思い出が突然思考の全面を占めてしまったり、忘れたいのにどうしても忘れられない、といった嫌な状態を経験します。嫌悪体験の内容にもよりますが、抑うつや強迫症状が出てしまうこともあります。
         「思春期」という発達段階とその時期の精神の働きや変化についての理解が不足していることから、過去の(思春期の頃の)嫌な思い出が頻繁に頭に現れてくるという当事者の方とたくさんお会いしてきました。思春期についての理解をすすめる説明や会話の必要性を痛感しています。
         また、アスペルガー障がいのある人が、思春期に嫌な体験をしないですむように(何も体験しないようにするという意味ではありません。さまざまな体験をしてもらう必用があります)、周囲の大人が特性を理解し、「被害」に巻き込まれないように見守り、必用なサポートをしてあげることが求められます。
         アスペルガー障がいについて,大妻女子大学人間関係学部の内山登紀夫氏がわかりやすく解説してくれているサイトを紹介して、この連載を締めくくりたいと思います。
        日本自閉症協会東京都支部HP:「アスペルガー症候群を知っていますか?」
        http://www.autism.jp/asp/
         次回は「私のストレス耐性と緩和方?」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        学校裏サイト3万8千件、「ウザイ・消えろ」2割に中傷

         いじめの温床になっているとして社会問題化しているインターネット上の「学校裏サイト」を文部科学省が調べたところ、集計がまとまった39都道府県だけで約3万8000件が開設されていることがわかった。
         このうち少なくとも2割で、「ウザイ」(うっとうしい)「氏ね」(死ね)といった特定の個人への攻撃や中傷が確認された。同省は14日午後に都道府県の青少年行政の担当者などを集めて開く「ネット安全安心全国推進フォーラム」で集計結果を公表、対策の具体的検討に乗り出す。
         「学校裏サイト」は、学校の公式サイトとは別に、児童や生徒などが開設した非公式な掲示板の総称。
         同省によると、学校裏サイトを通じた中傷やいじめは2006年ごろから目立ち始め、同年秋には、仙台市内の中学3年の男子生徒が「この世から消えろ」などと中傷されて不登校になり、書き込んだ生徒2人が家裁に送致された。昨年7月に神戸市の高校3年の男子生徒が自殺したケースでは、サイト上に裸の写真や悪口が投稿されていた。
         ネットを巡るトラブルの相談を受けている「全国webカウンセリング協議会」にも、学校裏サイトに関する悩みや相談が昨年1年間に374件寄せられた。
         このため、同省は今年1月から民間の調査会社とNPO(非営利組織)に委託して実態調査を開始。裏サイトを紹介している「全国学校サイトRANK」や、ネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」から探し出したり、中高生から直接聞き取ったりする方法で集計した結果、九州と沖縄を除く39都道府県で約3万8000件あることがわかった。
        (読売新聞)3月14日14時32分配信

        ●橋下知事、いじめ・不登校対策「緊急性ない」と言明 議場騒然
         大阪府の橋下徹知事は12日の府議会本会議で、7月までの暫定予算に計上されなかった、いじめ・不登校対策事業について、「(計上する)緊急性を感じなかった」と発言。議場からヤジが飛ぶなど、一時騒然となった。橋下知事は同事業に限らず、緊急性のあるものなどを除いた全事業をゼロベースで見直しているが、教育を最重要施策の一つに掲げているだけに、発言は波紋を呼びそうだ。
         この日の一般質問で、公明党の清水義人府議が橋下知事に、いじめ・不登校対策について質問。
         清水府議は、臨床心理士や弁護士が緊急かつ重篤ないじめ事案に対応する「こども支援チーム」など、各種のいじめ・不登校対策事業の予算が暫定予算に計上されていないことを指摘し、「緊急性の高いものとして認識し、予算計上すべき」と問いただした。
         これに対し、橋下知事は「いじめ・不登校に取り組むことは、橋下府政の最重要課題の一つと認識している」としたうえで、「(暫定予算に計上する)緊急性がないとないものと判断した」と答弁した。
         直後に議場内からは、「おー」とどよめきが起こり、「ちゃんと(議事録に)書いとけよ」などのヤジも飛んだ。
         一般質問終了後、清水府議は「知事は苦渋の答弁ではあったと思う。いじめ・不登校対策に限らず、暫定予算を組む際に事業の取捨選択をもっと慎重に行うべきだった」としている。
        (産経新聞)3月12日22時29分配信

        ●全学年で習熟度別指導を=橋下府知事
         大阪府の橋下徹知事は13日、府内の公立小中学校で限定的に導入されている習熟度別指導について「生活集団というクラスは守った上で、全学年習熟度別指導を目指していく」と述べ、全学年で習熟度別指導を行うことを府教育委員会に提案したと明らかにした。同日行われた府教育委員との懇談会の後、記者団に語った。
         これに対し、神戸女学院大教授で医師の生野照子教育委員長は「学年全部で導入というのはまだ議論が残されている」とし、児童・生徒の間で競争をあおりかねないとの懸念から、習熟度別指導の拡大に際しては慎重な検討が必要との考えを示した。
        (時事通信)3月13日21時0分配信

        ●小学5、6年生、週1回英語授業 京都市教委、4月から
         京都市教委は14日、4月から小学5、6年生で週1時間、市独自の教材と指導書を使って英語の授業を実施する、と発表した。英語(外国語活動)は学習指導要領の改定で2011年度から小学校高学年で必修化される見込みだが、前倒しして実施する。市議会文教委員会で明らかにした。
         市内では、05年度から全校で英語の授業が行われているが、時間数や内容にばらつきがある。08年度からは、現在の年平均時間数22・6時間を上回る35時間(週1時間)を一律実施する。
         授業では、コミュニケーション能力を養うことを目的に、会話や表現を中心に学ぶ。小学校教諭でつくる小学校英語研究会と市教委が作成する教材をもとに、担任教諭が教える。現在、市内に55人いるALT(外国語指導助手)がサポートする。
         栗原照男指導部長は「中学校との円滑な接続を図りたい」と話した。
        (京都新聞)3月14日23時20分配信

        ●日常生活の悩みなど話し合う 八幡でピア・カウンセリング講座
         障害のある人が障害の種類を超え、生活の悩みや苦しみを同じ立場で話し合い、悩みの解決を支援する「ピア・カウンセリング」の公開講座が12日、京都府八幡市男山の市立地域活動支援センターやまびこで開かれた。
         ピアとは「仲間」の意味。大阪市の障害者生活支援センター・いきいき代表の山浦孝臣氏が講師を務めた。事故や脳出血による身体の障害や、広汎性発達障害、統合失調症などを抱える14人が参加。互いをニックネームで呼び合い、最近楽しかったことや、日常生活での悩みなどを話し合い、互いの話に耳を傾けた。
         山浦氏は「ひとりひとりの障害のしんどさは、別の人には分からない。けれど、理解しようと努力することが信頼につながる」と話し、初めてピアカウンセリングを体験したという参加者も「人と話せて、本当に楽しい」「話し合うことで、元気がもらえる」と感想を語った。
        (京都新聞)3月12日22時29分配信

        ●発達障害、周囲の理解求める 野洲で県民セミナー、160人参加
         「発達障害者支援県民セミナー」が12日、滋賀県野洲市小篠原の野洲文化小劇場で開かれた。発達障害の子どもを持つ家族や支援者ら約160人が参加し、発達障害に対する支援のあり方について理解を深めた。
         セミナーは、県が昨年から県内各地で巡回開催しており、川崎医療福祉大の重松孝治講師が「発達障害の理解と支援」と題して講演した。
         重松氏は発達障害について脳の機能障害と説明し、「わがままや、親の育て方の問題ではない。困っているのは当事者自身である」と周囲の理解を求めた。「当たり前と思っていることを(発達障害者は)違った形で理解している。分かるように伝える心掛けが大切」と訴えた。最後に、自閉症のある生徒が口にした「支援よりも理解してほしい」という切実な思いで締めくくった。
         19日午後1時半から彦根市のビバシティホールでも開かれる。
        (京都新聞)3月12日21時49分配信

        ●中1自殺、担任が別室で指導後に…不適切なメール送信巡り
         秋田県潟上市天王の市立天王南中学校(一関雅裕校長)で14日、1年生の女子生徒(13)が首をつって自殺した問題で、生徒が授業中、担任教諭に呼び出され、別教室で指導を受けていたことが分かった。
         指導後に生徒は体調不良を訴えて保健室で泣いていたといい、午後にはいったん教室に戻ったが、トイレ内で制服のスカーフを使い、首をつっているところを同日夕、発見された。
         同校によると、生徒は13日午後11時30分ごろ、一時期、同じ部活動をしていた同学年の別学級の女子生徒に、携帯電話で、部活動の入退部に関するメールを送った。
         翌14日午前8時ごろ、メールを受け取った女子生徒の父親から学校に「子供が困っている」と連絡があり、指導のために担任教諭が1時間目の道徳の授業中に、生徒を呼び出した。
         担任教諭は「書いた内容は自分も同じメールを受け取ったときに嫌な気持ちになるものだね」などと指導。さらに、不適切なメールを送ったことを親に伝えると話したという。
         こうした指導について同校の中川真人教頭は、「強くしっ責などはしなかったが、結果的にこういう事態になってしまい、(指導が)間違いがなかったとはいえない」としている。
        (読売新聞)3月16日3時9分配信

        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(9)
        2008/03/09
        人には、様々な能力の分野があります。それらが一様に平均的に成長と共に発達すれば、バランスの良い「平均的」な人となるかどうかはわかりませんが、自己不全感少なく生きて行けるのかも知れません。
         発達障がいのある人は、これらの能力分野にアンバランスがあることが多いようです。数学は得意だが、国語は苦手。短距離や持久走など走ることは得意だが、ボール競技など集団プレーは苦手。絵は得意だが、一般教科はついていけない。などなど、いろんな偏りをお持ちです。
         アスペルガー障がいのある方の診断によく参考にされる心理検査に、ウェクスラー式検査(成人向けはWAIS-?など)がありますが、小分類(下位検査)では14の分野にわたって検査し、動作性IQ、言語性IQ、それらを総合して全IQが出されます。アスペルガー障がいのある人では、動作性<言語性、つまり動作性分野の能力を言語性分野の能力が上回ることが多いようですが、その逆の方も、違いのない方もおられます。この2つの能力(尺度)の差が大きいと自閉症特性が強いということになりますが、中分類である「群」(言語理解、作動記憶、知覚統合、処理速度)間の差が有意であることでも、「生きづらさ」を感じることになります。もちろん、個人差があります。
         得意・不得意、上手い・下手、は誰にもあるものですが、アスペルガー障がいのある人などでは、そのアンバランスさが大きいことから、イライラしたり、自信を失ったり、自分はダメだと自己否定感情を高めたり、ある分野への努力をあきらめてしまったり、あるいは逆に特定の分野に限局的な興味・関心を深めたり、そのこだわりから抜けられなかったり、と様々な行動面での問題化が生じたり、感情障害や神経症状との「重ね着」状態となることにもなります。
         「できない」「上手くいかない」から自信を失ったり止めてしまう(誤解や勝手な解釈による場合が少なくありません)というパターンから、苦手な面があることを自己理解しつつ「できる」ことに自信をもち、さらに必用なサポートを提供することで「できること」を増やしていくパターンへの転換が必用です。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(10)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        学校は変わったか:特別支援教育の1年/盲・ろう・養護一本化

         特別支援教育の導入は、盲・ろう・養護学校のあり方にも変化をもたらした。盲・ろう・養護学校は一本化され、「特別支援学校」に名称を原則、変更。中には高齢者らとの交流で地域福祉の拠点を目指す学校も現れている。
         ◇重複障害増加、複数種別に対応
         ◇多様な子が「育ちあい」/取り組み、各地でばらつき
         養護学校はこれまで、肢体不自由▽知的障害▽病弱--の3種類に分かれていた。特別支援教育の特徴の一つは、特定の障害のみを受け入れる方式から、設置者の地方自治体が、地域の子どもの実情に応じて複数の障害に対応できるように変えたことだ。背景には、子どもの障害の重度・重複化が顕著になっていることがある。
            *
         京都市上京区の西陣地区にある市立北総合支援学校。2月初旬の朝、小・中・高等部の約180人がスクールバスや徒歩で登校してきた。車椅子を利用する子や知的障害、視覚障害のある子などさまざまだ。げた箱で上靴に履き替えた車椅子の女児に、「一人で履けたの。すごいね」。女性教諭が、女児の目の高さまでかがんで声を掛けた。
         04年春に開校した同校は、07年の特別支援教育完全実施を先取りする形で、障害種別の枠を超えた支援に乗り出している。明るい雰囲気の5階建て校舎。開放的な造りで、保護者がいつでも見学できる。
         小学部の教室では、ダウン症や自閉症の子と並んで車椅子の女児がパズルを使って学習していた。「障害別に固定されたカリキュラムは、養護学校側の都合だったのではないか。子どもたちはいろいろな友だちがいる中で育ち合いができる」と奥田信一校長(56)は話す。
         同校のもう一つの大きな特徴は地域に開かれた学校づくりだ。廃校になった元小学校跡を活用したことから、開校準備当初から地元住民が協力。校舎には、自治会や高齢者デイサービスセンターも入り、中学部と高等部の生徒たちは地元の女性会などから茶道とフラワーアレンジメントを教わっている。ボランティアで指導している穴瀬初栄さん(73)は「孫のように感じて、ここに来るのが楽しみ」と語る。
            *
         こうして積極的に取り組む支援学校がある一方で、保護者の目に「看板が変わっただけ」と映る学校もある。西日本の別の特別支援学校に息子(11)を通わせている母親(41)は「子どもに対して特に良くなったとは感じない」と打ち明ける。
         また、全国の支援学校が直面しているのが児童・生徒数の急増だ。96年度に盲・ろう・養護学校の在学者は8万6000人だったのが、10年後の06年度には10万4000人を超えた。原因の一つは、軽度発達障害のある子の保護者が手厚い教育を求めて支援学校を志向しているからでは、と専門家は見ている。
         特別支援学校の実情に詳しい大阪大谷大教育福祉学部の小田浩伸准教授は「支援学校の大きな役割は、地域支援」と強調する。「地域の普通学校で学ぶ障害のある子にどんな支援ができるのか、もっと積極的に具体的なメニューを提示していくべきだ。その子を支えるために、医療・福祉・労働など各機関とのネットワーク作りの中核を担ってほしい」と指摘している。
        (毎日新聞)2008年3月5日

        ●ニート支援、官民チームがネットカフェに出向き相談
         国民生活審議会(福田首相の諮問機関)の「働く」作業部会は3日、ニートやフリーターのほか、障害者や母子家庭の母親などの「就職困難者」の就業を支援するため、雇用環境の改善策を盛り込んだ答申案をまとめた。
         官民共同の支援チームが若者の集まる場所に出向いて相談を受ける仕組みの創設などを提案している。月内に答申をまとめ、首相に提出する予定だ。
         答申案は、「就職困難者一人一人に訓練から職業紹介、就職に至るまできめ細かく支援する体制が十分に整備されていない」と問題点を指摘したうえで、具体的な改善策を列挙した。
         支援チームは、都道府県ごとに、NPO(非営利組織)法人などの民間支援団体と、国・地方自治体の労働・福祉分野の職員が協力して結成し、ネットカフェなどに出向いて相談を受けることを想定している。
         また、ハローワークでの就職相談、労働基準監督署での労災事故申請など、労働関係のすべての相談に対応できる窓口を各都道府県に設置するよう求めている。
         このほか、〈1〉労働関係の施策や相談窓口の情報が全国で簡単に検索できるホームページの整備〈2〉学校教育での「働くことの権利と義務」の周知徹底〈3〉労働行政の予算、定員の確保――などを提案している。
        (読売新聞)3月4日09時04分

        ●県自殺対策連絡協:県庁で初会合/群馬
         総合的な視点で自殺予防に取り組む県の自殺対策連絡協議会の初会合が6日、県庁で開かれた。同協議会は主に精神保健関係者で構成した従来の「自殺防止対策会議」に多分野の専門家を加えた。三國雅彦・群馬大大学院教授(脳神経精神行動学)が会長に就いた。
         委員には県弁護士会、県警、県高校校長協会の関係者らも参加。「自殺の個別の実態を知らないと対策はできない」「専門家のネットワーク作りが必要」などの意見が出た。
         今後は、いじめや不登校問題が顕在化している少年・青年期▽家庭や仕事問題のウエートが高い中高年期▽病気や介護問題が深刻な高齢期――と世代ごとに3分科会を設け検討を進める。
         県内の06年の自殺者は503人(男367人、女136人)。10万人当たりの自殺者は25・3人で全国22位という。
        (毎日新聞)3月7日12時2分配信

        ●睡眠障害:子ども専門の医療機関開設 県が神戸・西区に来月/兵庫
         ◇早期診療と予防目的に「睡眠の大切さ広く発信」--専門医養成や不登校リハビリも
         県は、子どもの睡眠障害を診療する「子どもの睡眠と発達医療センター」を神戸市西区に4月開設する。慢性的な睡眠不足など、子どもの睡眠障害を専門に診療する医療機関は国内でも珍しい。センターは教育関係機関などとも連携して早期の診療に当たるとともに、子どもの睡眠の大切さを広く発信し、睡眠障害の予防に努める。【川口裕之】
         センターは、西区の県立総合リハビリテーションセンターに整備する小児リハ病棟に併設され、4月11日から診療を始める。熊本大大学院の三池輝久教授(小児発達学)をセンター長に招き、小児科医数人が診察する。
         就寝中に頻繁に目を覚ますなど乳幼児の睡眠障害は、脳の発達に悪影響を及ぼし、自閉傾向やADHD(注意欠陥多動性障害)との関連も報告されている。また、小学生らは夜型社会の影響などで、日常的な夜更かしから慢性的な睡眠不足となり、不登校やひきこもりになりやすくなっているとも指摘されている。
         診療では、睡眠障害の要因となる体内時計の狂いを治すため、毎朝、昼間の野外の明るさに相当する光を浴びせる治療設備を10床分導入。一日の体温の上がり下がりのリズムを調整する低温サウナも取り入れる。
         センターは専門医の養成や不登校、ひきこもりの子どものリハビリにも取り組む方針。三池教授は「寝るのが遅いぐらいで心身に影響があるのか、と思っている人もいる。子どもの睡眠の大切さを広く伝えていきたい」と話している。
        (毎日新聞)3月4日14時0分配信

        ●教員の精神疾患:制度改定で再発激減 病気休暇・休職日数に追加で3分の1に/岩手
         増加が懸念される教員の精神疾患。一定期間休んだ後に職場復帰しても、再発するケースが多かった。児童・生徒への影響を心配した県教育委員会が制度を改定したところ、精神疾患の再発は3分の1になったという。
         県教委によると、精神疾患や慢性疾患の場合、給料が支払われる「病気休暇」は6カ月まで認められる。6カ月以上休むと「休職」になり、休職1年目は給料が80%支給され、2年目は無給、3年が経過すると自動的に失職する。
         従来の制度は、短期間でも一度復職すれば、給料が支払われる「病気休暇」が再び取得できたという。
         病気休暇・休職と復職を繰り返す人が多かったことなどから、県教委は06年1月から制度を改正。復帰後6カ月以内に同じ理由で再び2週間以上継続して休む場合は、これまでの病気休暇・休職日数に追加することに制度を改めた。
         精神疾患を理由に仕事を休んだ教職員のうち復職した延べ人数は、04年度82人中50人▽05年度90人中53人▽06年度91人中52人▽07年度94人中29人――。そのうち、同じ理由で再び休みを取った教職員は04年度が13人、05年度が11人であるのに対し、06年度は3人、07年度は2人と目に見えて少なくなったという。
        (毎日新聞)3月8日11時1分配信

        ●土曜授業の全校復活へ30校をモデル指定/京都市
         京都市教委は6日、子供の学力向上を図るため、来年度から市立小中学校30校で「土曜補習」をモデル実施することを明らかにした。最終的に対象を市内全254校に拡大させる計画で、全児童・生徒に参加を呼びかける。学校単位の土曜学習は全国各地で取り組みが始まっているが、教育委員会が本格的に導入を推進するのは全国初という。
         市教委の高桑三男教育長がこの日の市議会本会議で明らかにした。
         市教委によると、実施する土曜学習は、学習指導要領に規定された授業ではない「補習」の位置付けで、教員を配置するのが困難なため、地域住民や保護者、PTAなどがボランティアとして指導する。全校児童・生徒の参加を求める。
         市教委は教育現場から、「週末に勉強しない子供が増えている」との報告を受けており、学習機会を増やすことが必要と判断。今後、モデル校30校を決め、学校の実情に即した形で土曜学習の頻度や時間数を決めていく予定という。
         土曜学習をめぐっては、昨年6月に政府の教育再生会議の第2次報告で、「教育委員会や学校の裁量で、必要に応じ土曜日にも授業を行えるようにする」と提言されている。
        (産経新聞)3月6日14時39分配信

        ●県社教委:親の支援を提言 地域教育の充実目指し/福島
         外部有識者で構成する県社会教育委員会議は4日、「地域教育」の充実を目指す提案書を、県教委に提出した。「子育てアドバイザー」を新たに養成し、親を支援する体制作りなどを提言した。
         中田スウラ議長(福島大教授)が同日、県庁で野地陽一教育長に手渡した。提案書は、(1)家庭教育の推進(2)学校教育への支援(3)子供の育ちを支援する地域教育力の充実――を柱に掲げた。(1)では子育てアドバイザーを、(3)では地域住民が協力して放課後の子供の面倒を見る「放課後子供教室」の拡充などを提案した。
         中田氏は「学校を支える地域の力や、教育力向上のため、提案を有効活用してほしい」と話し、野地教育長は「地域の人材を育てることは大切。提案を検討したい」と答えた。
        (毎日新聞)3月5日13時1分配信

        ●県立高校:授業料免除、06年度は4500人に 8.6%に急増/長野
         ◇未払い額も増加傾向
         県教育委員会の山口利幸教育長は4日の県議会一般質問で、県立高校の授業料免除者の割合が、06年度で全生徒の8・6%にあたる4500人に達したことを明らかにした。
         「改革・緑新」の高島陽子議員の質問に答えた。授業料の免除制度は、生活保護世帯や市町村民税の支払い状況を基準に、経済的に困難な生徒の家庭に適用される。県教委高校教育課によると、99年度は3・6%だった免除者はここ数年で急増。保護者の生業不振などの占める割合が高くなっているという。
         授業料の未払い額も増加傾向で、06年度末で、延べ172人・821万円に上る。今年1月までに359万円が納入されたという。山口教育長は「家庭の事情を配慮しつつ、ねばり強く対応している」と説明した。
        (毎日新聞)3月5日12時2分配信

        ●京都市教委が控訴 分限免職訴訟
         指導力不足などを理由とした分限免職処分は不当として、京都市立小学校の元教諭の男性(34)が、市教育委員会に処分の取り消しを求めた訴訟で、市教委は4日、処分取り消しを命じた28日の京都地裁判決を不服として大阪高裁に控訴した。
         市教委は、控訴の理由について「事実の認定や証拠の採否に不服な点があり、上級審の判断を仰ぎたい」としている。男性の代理人の弁護士は「地裁が時間をかけて丁寧に事実を調べて判示した結果に対し、きちんと検討して判断したとは思えない。裁判を軽視している」と話した。
        (京都新聞)3月4日22時29分配信

        ●障害のある子への支援考える 南丹で地域センター会議/京都
         障害のある子どもたちの学習や生活についての相談支援などを行う丹波養護学校地域支援センターの活動成果と課題を考える会議が7日、京都府南丹市園部町小山東町の府園部総合庁舎で開かれた。
         地域支援センターは、障害のある子どもたちへのサポート体制づくりを目的に昨年、設立された。口丹波2市1町の幼、小中、高校などから発達障害などの子どもの教育について相談の依頼を受けて、巡回相談員を派遣するなどの取り組みを行う。巡回相談員は丹波養護学校の教員や、花ノ木医療福祉センター(亀岡市)の医師や作業療法士ら、医療、心理、福祉、教育などの専門家で構成されている。
         会議には巡回相談員ら約40人が出席。平岡克也センター長が「本年度は、就労にどうつなげるのか、個別の教育支援計画をどう作るのか、就学前の幼児はどこで支援が受けられるのか、といった相談が多かった」と説明。養護学校と高校の教諭が、相談される側、する側の立場から活動を振り返った後、中学と高校の連携の在り方などについて意見を交わした。
        (京都新聞)3月7日22時39分配信

        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(8)
        2008/03/02
        アスペルガー障がいのある人の中には、様々な感覚過敏をお持ちの方がおられます。今回は聴覚過敏について少し…。
         小さな音もよく聞こえる、音量の大小などがあっても複数の音が同じ音量で混じり合って聞こえてしまう、金属音など特定の音を苦痛に感じる、扇風機やエアコンや水道水が流れる音などの生活音をうるさく感じる、などなど、様々な過敏さが見られます。時には苦痛からパニックを起こすこともあります。
         一方で、絶対音感を持っていたり、遠くの小さな音を聞き分けたり、通常聞こえない周波数域の音も聞こえるなど、特殊能力的な聴覚をもっている場合もあります。
         家族と一緒に食事をしなくて困っている、というケースが少なからずあるのですが、本人に理由を聞くと、家族の誰かの咀嚼音がうるさくてガマンできなくて自分の部屋で食べたり、食事の時間をずらして一人で食べている、という場合があります。
         時々、2階の自室の床をドンと踏みならしている、というケースもあります。考えられるのは、1階のテレビや家族の会話などが(聞こえないだろうと思えていても)大きな音として聞こえている、自分のことについて何か批判的・否定的なことを相談しているのではないかと思い不安が強まった、などです。
         こうした過敏さを持って生きていくことは、大変な苦労をともなうと思いませんか? しかし、感覚器官の「異常」や「病気」などではありませんから、医学的な対応ができるわけでもありません。
         万能な方法とはいえませんが、一定効果があるのが、耳栓です。“うるさい”と感じる時は「耳栓をするとましになるよ」とすすめてみましょう。聞こえ方は、人それぞれですので、何がどう聞こえているのか、どれくらいの音量で聞こえているのか、それは苦痛に感じるのかなど、本人に確かめていくことが不可欠ですし、対処の方法はそこからしか考えて行けません。一番困っておられるのはご本人ですし、どうしたらいいかわからなくてイライラし不安になっておられるのもご本人です。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(9)」です。

        学生支援へ大学動く 自閉症など発達障害

         各地の大学で近年、自閉症やアスペルガー症候群など発達障害とみられる学生が目立っている。人間関係などに難しさを抱え、大学に通わなくなる学生もいる。京都大学や信州大学など、支援体制づくりに乗り出す大学が出始めた。 京都大学では、高機能自閉症の3回生男子(21)を、学部教職員やカウンセラーがチームで支えてきた。
         「遠回しな表現を理解できません」「否定的な言葉かけに過剰反応します」。合格後すぐ、母親は、問題点をファイルにまとめ、理解を求めた。大学側は、高校の担任からも話を聞き、相談役を決めた。かかわる全教職員で情報を共有した。
         1回生の6月、この学生が教務課に退学届を手に飛び込んできた。「京大生としてやっていけない」。語学で音読がよくできていないと指摘され、パニック状態だった。1時間ほどじっくりと聴くと、落ち着いた。
         相談役の職員(56)は、今も年6回面接をする。学生は「いつでも相談できて助かった」。京大は今後、様々な障害のある学生支援を、大学全体で継続して進めるセンター設置を検討中だ。
         富山大学は4月、学内のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を立ち上げる。対面の相談が苦手な学生は、カウンセラーとネット上でやりとりできる。
         「孤立させたくない」と斎藤清二保健管理センター長(57)。年100人ほどの新規相談者中、昨年は1~2割に発達障害が疑われたという。多くは、過去に診断を受けていない。「知的レベルが高く、気づかれずに来た」と斎藤さんはいう。
         信州大学は、4月から、「学生支援コーディネーター」を置く。精神科医や臨床心理士と学生の個別支援計画を作る。
         国立特別支援教育総合研究所などが05年度、全国の大学や短大の相談担当者らに実施した調査では、過去5年間で約760校のうち3割が、発達障害の診断があるか疑いのある学生の相談を受けていた。
         ◇〈発達障害〉
        (1)自閉症やアスペルガー症候群を含む「広汎性発達障害」(2)落ち着きがない「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」(3)読み書きや計算など特定分野が困難な「学習障害(LD)」など。脳の機能障害が原因と考えられている。文部科学省の02年調査では、普通学級に通う小中学生の6.3%に発達障害の可能性があるとされた。05年4月、早期発見と支援を国・自治体の責務とする発達障害者支援法が施行された。
        (asahi.com)2008年02月23日15時32分

        ●生徒「起立の強制よくない」/県立高校卒業式(神奈川)
         県立高校の卒業式が一日から始まった。式典で県教育委員会は君が代斉唱時の教職員の起立の徹底を求め、不起立者の氏名を報告するよう各校長に命じている。「起立の強制はよくない」「異なる考え方をなぜ認めないのか」。出席した生徒たちは、君が代問題への関心の有無を問わず、個人の自主性に任せ、多様な価値観の尊重を求める意見が相次いだ。
         この日、県立高六十校が卒業式を行った。ある県立高では、「国歌斉唱」の司会者の合図で参加者が一斉に起立した。一人の教諭はじっと席に座ったまま。君が代のメロディーが流れる中、同教諭は静かに時が過ぎるのを待っていた。
         この教諭は、起立しないことを事前に担任するクラスの生徒に伝えなかった。「価値観を押しつけたくない。自分で考えて判断してほしい」からだった。「教育現場に強制はなじまない。アジアの戦争被害者に思いをはせると、とても立てない」と打ち明けた。
         「日の丸、君が代の強制」について生徒に話すことは控えているが、思い余って話したことがあった。はっとする答えが生徒から返ってきた。
         「それって、沖縄の集団自決と同じじゃん」。戦時下で死に追い込まれた沖縄の人たち。生徒たちは、修学旅行で訪れた南国の地で学んだことと強制とを重ね合わせた。
         同教諭は手応えを感じた。「日の丸、君が代について声高に語らなくても、伝えたいことを生徒に託すことはできる」
         一日、同校を卒業したある女子は「強制はよくないと思う。同じクラスの男子で立たなかった人もいた」と級友の心を推し量った。グループで帰路に就いた卒業生グループも異口同音に「個人の自由」と言い切った。
         湘南地域の県立高でも、立たなかった教諭がいた。卒業する娘の晴れ舞台に臨んだ父親は「今の子は国旗、国歌をあまり意識しないのでは。うちの娘も…」と話すが、当の女子は自分なりに受け止めた。「大勢の中で一人だけ座ったり、国歌を歌わなかったりするのは勇気が要る。もっと自由が認められていい」
         横浜市内の県立高の卒業生の男子は、県教委の手法に手厳しい。「どうして違う考え方の人を認めないのか。不起立者の名前を集めるなんて、子供っぽい」。「強制」が生徒の気持ちにも影響を与えることを心配する。「心の中で立ちたくないと思う先生が強制されて立ったら、それを見ている生徒は、上の人の言うことをおかしいと思っても従うしかないのかと受け止めてしまう」
        ◆不起立教職員の氏名収集問題 県教委は06年の卒業式以降、延べ193人の氏名を収集したが、県個人情報保護審査会は07年10月の答申で「思想信条に該当する」として収集停止を求めた。さらに、県個人情報保護審議会も今年1月、収集を認めない答申を出した。だが、県教委は2月、不起立者の指導上、氏名把握は必要として答申に従わず、収集継続を決めた。
        (神奈川新聞)2008/03/01

        ●独断「先行」の教育改革 見えない中身 現場戸惑い 橋下・大阪知事
         「教育は僕のメーンテーマ」と語り、積極的に教育改革への意欲を口にする大阪府の橋下徹知事。習熟度別授業の充実、小学校の35人学級見直し、高校入試の学区撤廃…。これらの方針について橋下知事は、「机上の空論だった」「世間知らずを痛感した」と譲歩しながらも、推進の姿勢は崩していない。府教委は現在、学校からの意見聴取などを通じて、現行制度が適切かどうかを検証しているが、教育関係者からは「現場の実情を踏まえていない発言だ」という戸惑いの声もあがっている。
         ◇習熟度別授業
         「手厚く教えてあげなければならない子に対しては、じっくり小人数で教えるべきだと感じた」
         先月13日、初めて府内の学校を視察した橋下知事は、就任前から訴えてきた習熟度別授業推進の姿勢を改めて報道陣に強調した。
         理解度に応じて児童、生徒をグループ分けする習熟度別授業は、大阪府では平成13年ごろから導入が本格化、現在では公立小学校の約9割、中学校の約8割で取り入れられている。学力の差が顕著に現れる英語と算数・数学に限って行っているケースが多い。
         ただ、実施方法はまちまち。全学年でなく、小学校の場合は5、6年生限定という学校が大半。つまずきが見られやすい単元に絞って導入している学校もある。
         今後の習熟度別授業の方向性について、橋下知事は「(実施校を増やすというより)内容の充実を図る。私立に負けないようにというのが僕の持論。それがどの程度達成できているかを議論していきたい」と述べているが、どの部分を変えるのかという中身には踏み込んでいない。
         府教委小中学校課は「授業改善ということなのか、実施学年・学級を増やすということなのか…。後者であれば教員数の議論も必要になる」と話している。
         ◇35人学級見直し
         「国の基準の40人学級の枠組みであっても、4分の3は35人に収まる。はたして30億円の事業費が必要なのか」
         太田房江前知事の目玉公約として掲げた小学校の35人学級についても、橋下知事は、政策協議の場で府教委に見直し検討を指示している。
         35人学級は、きめ細かい指導で学習習慣を身につけさせることを目的に小学校1、2年生で実施。橋下知事が言うように、制度がなくなっても35人を超える学校は1024の公立小のうち約280校にとどまる。
         ある公立小教頭は「試算としては理解できるが、実際問題、いったん減らした人数を増やすことには抵抗がある。何より、『私立に負けない公立を』という知事の理念に反するのではないか」。
         府内の中学、高校の国語教師を務め、教員らの相談に応じる「教師駆け込み寺・大阪」を主宰する下橋邦彦さん(68)は「1クラス20~25人が国際的な水準」としたうえで、「大阪が35人という基準を守り抜くことは、将来的に国が定めた上限(40人)の見直し論議にもつながる」と訴える。
         ◇高校の学区撤廃
         習熟度別授業とともに、橋下知事が選挙期間中から訴えてきたのが公立高校入試の学区廃止だ。
         大阪の学区は、約3年間の議論をへて、昨年9から4に再編されたばかり。学区撤廃も視野に入れての協議だったが、「特定の学校に人気が集中しかねない」との理由で見送られた経緯がある。
         このため府教委は「再編の効果検証も済まないうちに再度変更すれば現場に混乱を招きかねない」(高等学校課)との考えだ。「教育に競争原理を持ち込もうという考えは支持できる」という府南部の公立中教諭も「完全に学区がなくなれば、高校と地域の結びつきが希薄になり中高の連携もとりにくくなる」とマイナス面の方を指摘する。
         橋下知事が掲げる一連の教育改革方針について、教師駆け込み寺の下橋さんは「大阪を変えようという意欲は評価する」と一定の理解を示しながらも、「現場を知らずに発言しているという印象は否めない。すべてを現場に任せろとは言わないが、教員や専門家の話を聞き、自分の中で温めたうえで施策を打ち出したほうがいいのではないか」と話している。
        (産経新聞)2008/03/02

        ●検証・心の闇の「臨界点」:母殺し少年保護処分/上 治療、更正でバランス/福島
         会津若松市で昨年5月に起きた母親殺害事件は、26日に少年(18)の医療少年院送致が決まり、治療と矯正が始まることになった。家裁は決定理由で、少年が「殺人・解体願望」を膨らませ、不満や不安から「臨界点」を越えて事件に及んだと判断した。今回の決定を検証しながら、少年の心の闇と事件が社会に突き付けたものを探った。
         ◇医療少年院送致後に特別少年院移送の処遇勧告
         「保護処分を選択すべき特段の事情がある」--。家裁会津若松支部の増永謙一郎裁判長は決定で、完全責任能力を認めながらも、少年を保護処分とした理由を6項目挙げた。被害者の応報感情が強くない、社会的不安が第三者に及ばない、少年に精神障害があった、などだ。
         特徴的だったのは6番目の理由。医療少年院での治療の目的を達成した際には、「特別少年院に移送するのが相当」という処遇勧告を付けた。「一対一での徹底した指導を相当長期間継続する必要性」からだ。
         元家裁調査官で京都ノートルダム女子大の藤川洋子教授(臨床心理学)は「裁判所がバランスを取ろうとした姿勢がうかがえる」と見る。
         法務省少年矯正課によると、「特別少年院」は非行を繰り返すなど、犯罪的傾向の進んだ16~22歳の少年が入院する。矯正教育の内容は、中等少年院などとほぼ変わらないが、法務教官が個別に対応することが多いという。
         同課の木村敦補佐官は「個別に接することができる点で、医療少年院から移送された場合に適しているとも言える」と話す。
         治療が重点の医療少年院に加え、特別少年院に移送することで、事件の重大性や更生の必要性も強調した「バランスを取った」判断だった。
         一方、01年4月施行の改正少年法は、殺人や傷害致死など故意に被害者を死亡させた16歳以上の少年を原則として検察官送致(逆送)すると定めた。最高裁によると、原則逆送にあたる罪で実際に逆送された割合は、施行前の98~00年度が約15%だったのに対し、施行後から昨年11月までは約60%と飛躍的に増えた。
         少年法に詳しい青山学院大大学院法務研究科の新倉修教授(刑事法)は「少年の内面を見る行為者主義でなく、何をやったかを重要視する行為主義になった」と分析する。
         事件当時17歳の少年も「原則逆送」に該当するが、今回の処分は少年の責任能力を認めながら逆送にはしなかった。殺人の「行為」を認定しながら、「行為者」の更生に考慮した両立的な判断ともいえる。実際、家裁送致の際に「刑事処分相当」の意見を付けた地検も、「責任能力を含め事実関係は当方の主張が認められた」(村上満男次席検事)と、決定を受け入れる結果となった。
         福島章・上智大名誉教授(犯罪心理学)は「障害がある少年の完全責任能力を認めた点に疑問はあるが、医療少年院送致としたことは医学的に評価できる。特別少年院移送の勧告は、少年に事件の重大性を自覚させるためではないか」と今回の決定に理解を示した。
         ============
         ■事件の経過■
        07年 5月15日 午前1時半ごろ、少年が母親を刺殺し、遺体を切断
                  (カラオケ店とインターネットカフェを訪れる)
                  午前7時ごろ、頭部を持ち会津若松署に自首し逮捕
              16日 殺人と死体損壊容疑で送検
              31日 地検会津若松支部が鑑定留置を決定
           10月 1日 鑑定留置が終了
           10月 5日 地検支部が「刑事処分相当」の意見を付し家裁送致
              22日 第1回審判。家裁会津若松支部が鑑定留置を決定
        08年 1月21日 2回目の鑑定留置が終了
              30日 第2回審判。2度目の精神鑑定の医師に尋問
              31日 第3回審判。少年と父親への質問
            2月 8日 第4回審判。少年と父親への質問
              18日 第5回審判。少年への質問
              26日 第6回審判。医療少年院送致の保護処分が決定
        (毎日新聞)2008年2月28日

        ●検証・心の闇の「臨界点」:母殺し少年保護処分/下 空想から行動、低い壁/福島
         問題のない子――。増永謙一郎裁判長は決定で、少年は高い知的水準や運動能力があり、母親ら周囲の大人から「必要適切な介入」を得られなかったと指摘した。中学2~3年ごろには「表面的な反応」で他者と接することができるようになり、「問題性改善の機会をますます失った」と見なした。
         ◇孤立した「問題のない子」、残虐画像で発散
         少年は中学時代、成績優秀でスキー・ジャンプの県大会で入賞した経験もあり、近所では「利発でしっかりした子」と評判だった。元家裁調査官で京都ノートルダム女子大の藤川洋子教授(臨床心理学)は「頭の良い子は放って置かれるもの。周囲が問題点を見つけられず、望まない方向に流れてしまった」と分析する。
         増永裁判長は「殺人・解体願望」が形成された要因として、視覚的刺激が強い死体写真や猟奇的漫画、インターネットを挙げた。藤川教授は「誰にでも『怖いもの見たさ』はあるが、少年の場合『怖い』という気持ちがない。『どうなるんだろう』という関心が強く、行動に移してしまったのではないか」と話し、空想から行動に移行する「壁」の低さを推察する。
         高校入学後の少年は、対人関係の不満発散のためネットに耽溺(たんでき)し、昼夜逆転の生活を送るようになった。国際基督教大の佐々木輝美教授(メディアコミュニケーション論)は、残虐なシーンを繰り返し見ることが、抵抗感をなくす「脱感作効果」を生むことを指摘する。少年が通学のため両親と離れて暮らすようになったことで「抑制するものがなくなり、自分の世界が大きくなって行動に移してしまった」と分析する。
         県教委は、今回の事件や不登校児童の増加を受け、来年度からスクールカウンセラーの派遣校を今年度の21校から45校前後に増やし、カウンセラーの人数も4~5人増やす方針だ。学習生活指導グループの菅家敏之参事は「早い段階で生徒の相談にのり、適正な指導をしたい」と話す。
         氾濫(はんらん)する残虐な情報から青少年を守ろうという動きも進んでいる。昨年7月施行の改正県青少年健全育成条例では、「有害図書」の指定要件に新たに「青少年の自殺または犯罪を誘発するおそれのあるもの」が加わった。これまで、犯罪手口を紹介した書籍や死体を傷つける描写がある漫画など12冊が指定された。県教委も、来年度から小中高の授業などで、インターネットの利用法を指導する予定だ。
         藤川教授は「子供は情報を取捨選択することができない。『放っておいてくれ』と言うが、人間は一人では生きられない。社会性を身につけるには、大人が積極的に介入し孤立させないことが重要だ」と訴える。
         「修学旅行を休んだころからやる気がなくなった」「友人をつくりたかったが、できなかった」。少年は逮捕後の供述で、孤立感を訴えた。「問題のない子」は深い心の闇を抱えていた。
        (毎日新聞)2月29日12時2分配信

        ●発達障害の学生の人づきあいを大学が支援 京大など
         各地の大学で近年、自閉症やアスペルガー症候群など発達障害とみられる学生が目立っている。人間関係などに難しさを抱え、大学に通わなくなる学生も。かかわる全教員が特性を理解し支える京都大学、インターネットによる支援体制をつくる富山大学など、フォローに乗り出す大学が出始めた。
         京都大学では、高機能自閉症の3回生男子(21)を、所属学部の教職員やカウンセラーがチームで支えてきた。
         「遠回しな表現を理解できません」「否定的な言葉かけに過剰反応します」。合格後すぐ、母親は、成育歴や問題点をファイルにまとめて、理解を求めた。大学側は、高校の担任からも話を聞き、相談役を決めた。情報は、かかわる全教職員で共有した。
         1回生の6月、この学生が教務課に退学届を手に飛び込んできた。「もう京大生としてやっていけない」。語学で音読がよくできていないと指摘され、パニック状態だった。1時間ほどじっくりと聴くと、落ち着いた。
         相談役の職員(56)は、今も年6回面接をする。学生は「いつでも相談できて助かった」。京大では今後、様々な障害のある学生の支援を、大学全体で継続して進める学生センター設置を検討中だ。
         高知大学は06年度から、入学時の健康診断で自閉症傾向が強ければ、保健管理センターの面接に誘う。早期コンタクトで、気軽に相談できる体制づくりを狙う。発達障害が疑われる学生は、06、07年度新入生でそれぞれ複数。また昨年度、センターへ相談に来た中にも十数人いた。
         富山大学は4月、学生と教職員向けのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を立ち上げる。面と向かっての相談が苦手な学生向けに、カウンセラーとネット上でやりとりできる。
         「孤立させたくない」と斎藤清二保健管理センター長(57)。年100人ほどの新規相談者中、昨年は1~2割に発達障害が疑われたという。
         多くは、過去に診断を受けていない。「知的レベルが高く、気づかれずに来た」と斎藤さん。
         国立特別支援教育総合研究所などが05年度、全国の大学や短大の相談担当者らに実施した調査では、過去5年間で約760校のうち3割が、発達障害の診断があるか疑いのある学生の相談を受けていた。
         岐阜大学医学部・高岡健准教授(児童精神医学)は「発達障害の人にとって必要なのは、障害の理解に基づいて生活しやすい環境を整えるということ。今後もこうした視点による、取り組みを広げていく必要がある」と話す。
         《発達障害》 (1)自閉症やアスペルガー症候群を含む「広汎性発達障害」(2)落ち着きがない「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」(3)読み書きや計算など特定分野が困難な「学習障害(LD)」など。脳の機能障害が原因と考えられている。文部科学省の02年調査では、普通学級に通う小中学生の6.3%に発達障害の可能性があるとされた。05年4月、早期発見と支援を国・自治体の責務とする発達障害者支援法が施行された。
        (朝日新聞)2008年02月23日

        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(7)
        2008/02/24
         場の空気が読めない。質問の意図を取り違えて的外れな返事をする。自分の興味のあることを一方的に話し続ける。話し方が不自然。繰り返し同じ事を言う。…アスペルガー障がいのある方にみられるコミュニケーション上の「困った」状態のいくつかです。相手の気持ちを読み取ることの困難さ、興味・関心の限局性、会話の仕方の獲得不足、等々、その理由が考えられます。
         一方で、こちらもよく見受けられるのですが、2人での会話は問題ない(?)けど、3人目が入ってくると会話に入れない。奇数人数が苦手(2人ペアとなり1人余るため)。集団では黙っている。…という状態になってしまう方も少なくありません。2人で話せる友だちを欲しがっているのですが、3人目が加わり、自分以外の2人の会話が始まると、どう会話に加わったら良いのかわからない、2人が会話しているから自分は加わらない方が良いのでは?と思いこんだり、集団ではいつ会話に加わったらいいかタイミングがわからない、といった3人以上の複数での会話の経験不足や、会話が飛び交うことで、話しの流れがつかめずに理解困難となる方もおられます。
         まずは、2人で話すことは楽しい、という経験をたっぷりとしてもらうことです。そして、3人以上になった時には、会話は順番に話し、聞き、他者の話が終わった時に自分の意見を言えば良い、という体験を積んでもらうことです。
         ただ、前述したような「困った」状態を回りが体験すると、その人を会話に加えなかったり、特別扱いしたりして、「良い会話」体験ができないまま成長されるケースが少なくありません。学校現場など成長期のアスペルガー障がいのある子どもたちが生活する環境において、こうしたコミュニケーション上の特性を理解した支援が早期より求められます。
         また、思春期を越えられた頃から、急に自分の気持ちを家族に話し始める方もおられます。ご家庭において、十分に話しを聞いて上げる、会話のトレーニングを改めて取り組む時間を持ってあげてほしいと思います。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(8)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        借金で死ぬな!樹海の看板29人救う

         「借金の解決は必ず出来ます!」。全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会(東京・神田)が、こう呼びかける看板を山梨県・富士山ろくの青木ヶ原樹海入り口に設置して1年余。
         24時間の相談電話番号も併記して、自殺を図ろうとする人を瀬戸際で助ける試みだ。これまでに少なくとも29人が救われたという。
         千葉県の運転手の男性(44)が樹海に入ったのは、昨年11月半ば。持病が悪化して昨年6月に会社を辞め、車上生活を余儀なくされていた。消費者金融の借金は150万円に膨らみ、家族とも疎遠。足は自然と樹海に向かった。
         約2週間さまよい、死にきれず、保護された警察官から、同協議会に相談してはどうかと言われた。
         「話を聴いてもらえますか」。恐る恐る電話した男性に、相談員は「大丈夫。やり直せます」とキッパリ。その一言で「助かるかも」と思った。警察官がポケットマネーで電車賃を出してくれ、同協議会へ向かった。
         だが、野宿続きで衰弱し、右足の一部が壊死(えし)していたため神田駅で倒れた。駅に迎えに来ていた相談員が119番通報し、都内の病院へ運ばれた。現在は生活保護を受け、リハビリを続けている。退院後は、自己破産などの方法で債務を整理し、再就職を目指す。
         再起の青写真が描けるのも、弁護士らと連携する同協議会の支えがあるからという。「あの電話が、人生をやり直すきっかけになった。福祉の職に就き、今度は自分が人助けできないか」。今はそう考えている。
        (読売新聞)2月23日14時36分配信

        ●発達障害のある子どもサポート 宇治市、全小中校に学級支援員
         京都府宇治市の市教委は新年度から、発達障害のある児童・生徒をサポートするための「いきいき学級支援員」を市内の全31小中学校に配置できる体制を整える。1校に支援員1人の体制をとるのは府内で初という。2008年度当初予算案に2400万円を計上した。
         市教委では01年度から、全小中学校のケースに対応する支援員を1人だけ置き、学校への派遣期間は原則として1学期間のみとしていた。しかし、07年6月に実施した調査で、市内の小学校22校のうち21校、中学校は9校全校で要支援児童・生徒のケースがあることが判明した。学校現場からも「教師1人だけでスムーズに授業を進めることが難しい」との声も上がっていたことから、市教委では全学校に配置するための準備を進めてきた。
         支援員は、要支援児童・生徒の授業中のケアプログラムを作成する「特別支援コーディネーター」とともに支援策を検討する。授業中は、児童・生徒のそばについて内容を詳細に説明し、問題の解き方やノートへのまとめ方などを手ほどきする。興奮して席を立ったりした場合には、子どもに寄り添って話を聞いたり相談に乗る役割も担う。
         市教委は「要支援の児童・生徒をサポートすることでクラス全体の学習の習熟度が上がる。子どもたちのために万全の教育環境を整えたい」としている。
        (京都新聞)2月22日11時19分配信

        ●年間出生数再び減少、1341人減…07年人口動態統計
         厚生労働省は20日、2007年の人口動態統計の速報値を公表した。
         年間の出生数は、前年比1341人減の112万937人で、6年ぶりに増加した前年から再び減少した。合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の人数に近い推計値)は前年の1・32から1・33程度に回復する可能性が高いが、子供を産む年齢層の女性人口が減り続けていることが影響した。
         死亡数は、前年比2万4099人増の111万9492人で、出生数から死亡数を引いた「自然増加」は1445人だった。ただ、速報値は、〈1〉国内の日本人〈2〉国内の外国人〈3〉海外の日本人の合計数で、国内の日本人だけを集計した場合、1万8000人前後の「自然減」になる見通しだ。
        (読売新聞)2月21日0時49分配信

        ●<児童虐待事件>過去最多 死亡児童数は減少 警察庁まとめ
         昨年に警察が容疑者を逮捕、書類送検した児童虐待事件は300件(前年比1.0%増)で、統計を取り始めた99年以降で最も多くなったことが、警察庁のまとめで分かった。虐待で死亡した児童は37人(同37.3%減)だったが、死亡を含めた被害児童数は315人(同0.3%減)と前年並みの高水準が続いている。
         検挙件数が増えたものの死者は減少したことについて、同庁は「児童虐待が社会的に知られるようになり被害通報が増える一方で、児童相談所などとの連携が強化され、対応が迅速になったためではないか」としている。
         一方、昨年の児童買春・児童ポルノ事件は1914件(同14.1%減)だったが、児童ポルノの被害児童は304人(同20.2%増)で増え、子どもが犯罪に巻き込まれる厳しい状況が続いている。
         同庁によると、児童虐待の被害児童315人の態様別では▽暴行、傷害などの身体的虐待224人▽わいせつ行為など性的虐待69人▽育児の怠慢、拒否22人。年齢別では1歳未満が47人▽5歳児25人▽3歳児24人--など低年齢の児童の被害が目立っている。
         虐待の加害者と被害者の関係では、実母による犯罪が97人で最も多く、実父91人▽養・継父55人▽内縁の父46人--など。
         また、警察が容疑者を逮捕、書類送検した児童買春事件は1347件(同16.5%減)、検察庁などへの送致人数は984人(同13.7%減)。児童ポルノ事件は567件(同8.0%減)、送致人数は377人(同7.7%増)だった。児童買春の被害児童は1160人(同12.5%減)だったが、児童ポルノの被害者は304人(同20.2%増)と増えている。
         一方、少年の刑法犯は10万3224人(同8.5%減)と4年連続で減少した。
        (毎日新聞)2月21日

        ●<引きこもり>最多は30~34歳 就職・就労きっかけで
         「引きこもり」となる原因は「就職や就労での挫折」が最多で、30~34歳の年齢層が最も多いことが東京都が行った実態調査で分かった。本人の心理や意識にも踏み込んだ引きこもりの公的な調査は全国初。不登校など学校時代の体験をきっかけとし、若年層が多いとされる従来の見方とは異なる傾向が浮かんだ。 
         調査は、都内に住む15~34歳の男女3000人を住民基本台帳から無作為抽出し、昨年9~10月に個別に訪問。1388人から協力を得た。うち10人を引きこもりと判断し、別途調査した18人を加えて計28人を分析対象とした。
         原因のトップは「職場不適応」と「病気」の25%だった。「就職活動不調」(14%)を加えると、就労・就職をきっかけとする人は39%に上った。「不登校」は18%だった。
         年齢層別では、「30~34歳」が全体の43%で最も多く、「15~19歳」「20~24歳」「25~29歳」はいずれも18%。引きこもり状態になった時期は「25~27歳」(29%)が最も多かった。
         一般の人との意識の違いを比べる(複数回答)と、「親との関係がうまくいかない」と答えた人は36%(一般は10%)▽「家族とよく話す」は32%(同66%)▽「家族から愛されている」は29%(同63%)--だった。
         調査をまとめた明星大学人文学部の高塚雄介教授(臨床心理学)は、都内の引きこもり人口を約2万5000人と推計。また、心理的に同様の傾向がある「予備軍」は都内で約18万人、全国で100万人を超えると見ている。
         高塚教授は、陥る人の特徴を▽自意識が強く状況変化に適応できない▽人と争って傷つくことを嫌う▽人間関係の訓練が不十分で逆境に弱い--と分析。「国の対策は、引きこもりとニートの分類が不明確で、現状に合った受け皿作りが必要」と話している。
        (毎日新聞)2月22日20時12分配信

        ●自殺者遺児の奨学金制度、国民新党が創設へ…月3万円支給
         国民新党は、自殺者の遺児を対象にした独自の「国民新党奨学金制度」を創設する方針を固めた。27日の党幹部会で決定し、4月から運用を始める。
         給付対象は高校生。10人程度の奨学生に、1人当たり毎月約3万円を支給する。奨学金の返済は不要。党所属国会議員のほか、有志企業などからの寄付で運営する。
         党のホームページなどで5月下旬まで希望者を募集し、6月に綿貫民輔代表らが面接して奨学生を決める。
        (読売新聞)2月24日9時29分配信

        ●フリースクール 福岡県が全国初の補助金制度
         不登校の小中学生が増え続ける中、福岡県が今年度、民間の小規模フリースクールへの補助金交付制度を始めた。初年度は600万円を予算計上し、今月、支給する4施設を決定した。行政がフリースクールの日常の運営資金を支援する制度は都道府県では初めてとみられる。
         生徒数人の小規模なフリースクールは子供にとって居心地の良いケースが多い半面、運営資金に窮する例もあり、福岡県は補助金支給を決めた。子供たちの学校復帰や自立支援を目的とし、NPOや財団など公益法人のフリースクールで、小中学校が施設での学習を出席扱いしてくれることなどが支給条件。今年度支給は福岡市3施設、大牟田市1施設。
         他府県では、神奈川県が04年度からフリースクールのキャンプなど特定事業に100万円を上限に補助しているほか、京都府は08年度から教材、体験学習費用などに限定し45万円を助成する方針。これに対し、福岡県の場合は補助金を新規職員カウンセラーの配置や体験学習、施設費など幅広く使えるのが特徴になっている。
         七十数万円の補助金支給が決まった、福岡市博多区博多駅東のNPO法人教育オンブズマン「うりはみクラブ」は昨春開校し、現在4人が学ぶ。クラブの山口秀範理事長(59)は「今回の支給を機に不登校の子供たちをさらに受け入れていきたい」と話した。
         県は08年度も1600万円を予算計上し、1施設200万円を上限に希望施設を募集する予定。県教委によると、県内の不登校児童・生徒は増加傾向で、06年度は公立小学生793人▽同中学生4157人。担当の県私学振興課は「不登校の生徒にはフリースクールのような学習の場も必要」と話している。
         NPO法人フリースクール全国ネットワークの奥地圭子代表理事の話 子供たちが安心して学べる場を保障していくことは大切。学校復帰だけにこだわらず、子供の意思を尊重すれば、福岡県の補助は非常に良い制度になるだろう。
         フリースクール 不登校の子供たちの受け皿として、民間や個人が作った学校。フリースクール全国ネットワークによると400~500カ所という。文部科学省調査では、06年度の不登校の小中学生は5年ぶりに増え12万6764人。不登校の中学生の割合は過去最高となった。学校長の裁量でスクールへの通所を出席日数にカウントできるようになったのは92年から。
        (毎日新聞)2月23日16時50分配信

        ●札幌市教委:6割「保護者対応が負担」-全教職員アンケート/北海道
         ◇過大な要求に悩み
         札幌市教育委員会が全市立学校の教職員を対象に実施したアンケートで、回答者の約6割が「保護者・PTA対応」に精神的負担を感じると答え、保護者からの「過大な要求」に悩んでいる教職員が多いことが分かった。
         調査は教職員の健康管理を目的に昨年2月、市立学校(小・中・高校、幼稚園)338校の7192人を対象に初めて実施。精神的負担を感じる業務を尋ねた質問(複数選択)には5410人が回答した。
         「保護者・PTA対応」は最多の3227人(59・6%)が選択。その理由として「本来家庭で行われるべきものが学校に求められる」などが挙げられた。このほか、個別の生徒指導(32・6%)▽校内での会議・打ち合わせ(21・8%)▽校内巡視など学校経営(21・3%)▽成績処理(19・9%)――などの回答が多かった。「セクハラ」と回答した教職員も2人いた。
         市教委によると、04年以降、精神疾患で30日以上休んだ教職員が約130人おり、60人に1人に上っている。この調査結果を受け市教委はメンタルヘルスや研修などを充実させる方針。
        (毎日新聞)2月23日13時1分配信

        ●中退者の進学支援 河合塾仙台校、高卒認定コース
         予備校大手の河合塾仙台校(仙台市青葉区)は新年度、高校中退者や不登校の生徒を対象にした「高卒認定・大学受験併願コース」を開設する。少人数制で専任の講師らが生徒の精神面もフォローしながら指導し、高校卒業程度認定試験の合格と大学進学を支援する。
         少子化に伴う大学全入時代を迎え、予備校の生き残り競争が激しくなっている。多角化の一環として、東北でも通信制などで高卒認定コースを設けるケースはあるが、大手による対面授業のコース開設は珍しいという。
         河合塾仙台校の高卒認定コースは一クラス20人の予定。自主性や学習ペースを考慮して個別の時間割を作り、授業時間外に講師が質問に応じる制度も設ける。
         中退者らは人間関係のつまずきから学校に行けなくなるケースが多い。教務スタッフ2人がクラス担任としてさまざまな相談に対応し、生徒指導や進路指導に当たる。講師や保護者とも連絡を密に取り、学習環境の整備を進める。
         河合塾東北地区本部の佐々木一幸教務部長は「まず信頼関係を築くことが重要。コミュニケーション能力の高い講師を充てるなど受け入れ態勢を整えており、多様な子どもたちの居場所を確保したい」と説明する。
         文部科学省によると、2005年度の高校中退者、不登校生は全国で約11万4000人。高卒認定試験は国が高校卒業程度の学力を認定する制度で、大学入学資格検定(大検)を改め、05年に始まった。本年度の出願者は3万人を超えた。
         佐々木教務部長は「高卒認定のニーズは増えている。基礎学力を伸ばして進学をサポートするとともに、将来の進路について考える機会を与えられれば」と話している。
        (河北新報)2月23日6時27分配信

        ●世田谷区:発達障害児の治療施設を併設 24時間対応保育園に-来春/東京
         世田谷区は来年度から、24時間対応が可能な保育園と、発達障害児の治療を専門とするセンターを合わせた「大蔵2丁目複合型子ども支援センター(仮称)」を整備する。保育園で障害に気付いた場合、早めの対応をすることが可能で、同様の施設は国内では例がないという。オープンは来年4月の予定だ。
         区によると、同センターは国立成育医療センターの敷地内に、国から土地を借りて整備する。総工費は約12億円。約1650平方メートルの敷地に4階建ての建物を建設。1階と2階の一部が保育園、2階の一部と3階が「発達・発育センター(仮称)」になる。4階は多目的広場として使う。
         保育園は、社会福祉法人「至誠学舎立川」(立川市)が運営。0~5歳の子供約100人を預かるほか、夜勤の親などに対応する区内初の24時間保育施設や病気の子供を預かる施設も作る。
         「発達・発育センター」は、区内に約5000人いると言われる発達障害児に関する治療、支援を集中的に実施。障害に関する診断や18歳までの療育プログラム作成、就労支援など多様なサポートをする。医師のほか臨床心理士、児童福祉士ら専門スタッフ約30人を配置する。
         これまで、発達障害児は知的、身体障害児らとともに区総合福祉センター(松原6)で対応していた。だが、就学後の子供については療育ができず、民間病院を紹介していたという。
         区はこのほか、4歳6カ月の子供について、発達、発育についての無料相談を地域ごとに実施。障害の早期発見にも取り組んでいく。
         区子ども家庭支援課は「医療と福祉を有機的に連携し、多くの子供にきめ細かな対応をしたい」と話している。
        (毎日新聞)2月22日13時1分配信

        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(6)
        2008/02/16
         自閉症の「三つ組みの課題」と言われるものの中に、「想像力」があります。
         物事を取り組んでいて、その先行きが予想できない。国語の文章題などで、登場人物の言葉から「気持ち」を読み取ることができない。その日一日のスケジュールがわかってないと不安になる。突然に予定変更が発生した時に、どうしたらいいかわからずパニックを起こす。…などなどの、いわゆる「見通しが持てない」という困難さがあります。もちろん、個人差があります。
         もう一方で、「空論」を展開させてしまい、それと現実とが区別できなくなるなどの状態になってしまうこともあります。
         何か失敗をして、その言い逃れをしようと「ウソ」を思いつき、空論を展開させるわけですが、事実関係と付き合わせていくと、それがウソであることがすぐにわかってしまい、「なぜウソをついた!」…となることもあります。「正直でウソがつけない」という特性がありながら、ウソをつく理由がここにあるようです。
         授業中などに、何かあることに意識が引っかかり、そのテーマがどんどんと頭の中で広がっていって非現実の物語を作り上げることに没頭してしまう、ということもあります。その間の授業内容はすっぽりと抜け落ちてしまいます。こうした状態を客観的に見ると、「人の話を聞いていない」「ぼーっとしている」「不自然ににやにやしている」…、となってしまいます。
         これらは、「同時に2つのことをすることが困難」という特性からも考えられます。時に、「妄想」や「空笑」などととらえられて、統合失調症という診断を下されてしまうこともあるようです。「問題」なその場面、状態だけからの早とちりな判断をしないようにしたいものです。
         ニキ・リンコさんは、こうした状態を「問題な想像力」として、わかりやすく表現してくれています。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(7)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        小中学校、主要教科の授業1割増…新学習指導要領案

         文部科学省は15日、主要教科の授業を1割以上増やすことなどを柱にした小中学校の学習指導要領改定案を公表した。
         現行の指導要領が掲げた「ゆとり教育」で学力が低下したとの批判にこたえることが狙い。小学校は2011年度、中学校では12年度から実施されるが、算数・数学と理科は一部を先行実施し、09年度から授業増に踏み切る。現行の指導要領で削減した学習内容も復活させ、算数・数学と理科は、小中の9年間で15%程度増える見込み。
         「ゆとり」重視の象徴とされた「総合学習」は、小学校で週3コマが2コマになるなど、小中ともに削減。指導要領の全面改定は1998年以来で、授業時間が増えるのも約40年ぶり。同省は一般の意見を募集し、来月末に告示する。同時に改定する幼稚園教育要領は09年度から完全実施、高校の指導要領案は秋ごろ公表する。
         今回の改定案は、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」が1月に出した答申に沿って策定された。
        (読売新聞)2月15日22時21分配信

        ●「目標明確」「窮屈に」 学習指導要領改定案に評価と困惑
         文部科学省が15日、公表した学習指導要領改定案。小中学校で約30年ぶりに主要教科の授業時間数を増やす一方、「ゆとり教育」の柱だった総合的な学習の時間(総合学習)を削減、小学校では英語が事実上、必修になる。県内では、総合学習の時間を減らす検討を始めた学校も。新要領の実施は、課題とされる活用力の向上や授業の充実につながるのか。現場には評価の一方、戸惑いもある。
         「力を入れてきたが、どの部分を減らせるか考えている」。茅野市東部中は、2008年度からの総合学習の時間数見直しを検討中だ。週2時間に加え、本年度は地元企業と連携して職業選択へ意識を高める「キャリア教育」を数日間、または1日数時間続けるなど工夫したという。
         しかし改定案では、総合学習は現在の週3時間程度から1時間減り、理科、数学の授業時間数が09年度から前倒しで増える。「週5日と限られた時間の中でどこか増えれば、どこか削る必要がある」と竹内英雄校長。
         総合学習に当たる「総合活動」に1970年代から取り組む伊那市伊那小。北原和俊校長は、改定案の総則に「生きる力をはぐくむ」の一文が残ったことを挙げ、「活用力を培うために総合学習は大切との位置付けは変わらない」と評価。現行指導要領では、総合学習は分野が広くテーマの絞り込みや内容の充実に課題があったが、改定案では目標や指導計画なども明確になったとみる。
         主要教科を中心とする授業時間数増の背景には学力や活用力低下への懸念がある。中信地方の中学の男性教員は「高校受験を控え、総合学習を歴史や英語に関連付けるといった“やりくり”は今も行われている。授業時間数増は学力向上の支えになる」と歓迎した。
         一方、南信の中学の男性教員は「時間割がより窮屈になる。今も過密な日課で過ごす生徒の能率を高める工夫は簡単ではない」。学習内容を増やし各教科で言語活動を重視するなど高い目標を掲げた揚げ句、“消化不良”になることを心配する。
         北信の小学校の女性教員は「下調べや準備など児童が主体になる行事や、問題を発見し解決する取り組みには時間が必要。効率が求められて教員主導になれば、知識を活用する力は育ちにくい」と話した。
        (信濃毎日新聞)2月16日(土)

        ●給食費未納に法的措置広がる 「学校給食立ち行かない」
         学校給食費未納が全国に広がるなか、保護者に対し法的措置を取る自治体が増えてきた。払えるのに払わない、という悪質なケースもあり、このままでは「公平な負担という学校給食制度が立ち行かなくなる」という危機感の表れだ。静岡県島田市の場合は、07年7月地元の簡易裁判所に未納8世帯への支払い申し立てを行い、08年1月に一応の決着をみた。
         ■給食費の回収にきた職員に暴力を振るう親
         島田市が07年に給食費未納世帯を調査したところ、68世帯の約500万円が未納であることがわかった。文書発送や直接訪問で払いを要請したが、「無視」が8世帯あった。生活に困窮している、という様子でもなく、立派な家に住んでいたり、中には職員が訪問した際に暴力を振るわれる、という事態も起き、同市は07年7月に簡易裁判所に支払い申し立てを行った。8世帯合計の滞納額は約120万円。
         同市の教育委員会はJ-CASTニュースの取材に対し、支払い申し立ての経緯についてこう説明した。
         「結局、話し合いというものが全くできないんですよ。ならば強い態度を示そうと。学校給食は公平な負担で成り立っていますので、普通に収めている世帯が感じた不公平感というのは大変なもの。今回の措置についての意見や苦情などは一切なかった」
         同市は08年1月9日に記者会見を開き、法的措置に踏み切った8世帯との裁判が一応の決着を見たと発表。異議申し立てにより訴訟に発展した2世帯とは和解。3世帯は滞納金を一部納付し、残る3世帯は延納願いが出された。教育委員会はJ-CASTニュースに、
         「08年1月時点の給食費納入額が既に昨年度を上回っています。強い姿勢で臨んだことが世帯の意識を変えた、ともいえます。(給食費の未納に悩む他の自治体も)こういう解決策をとるのもいいのではないでしょうか」
        と話した。
         ■法的措置を実施する自治体が急増
         未納世帯に法的措置を取ったのは07年5月の御前崎市が最初だが、先の島田市を初め全国的に法的措置を実施する自治体が増えている。豊後大野市は08年1月24日、給食費約45万円を滞納している保護者の給与を差し押さえることを明らかにした。07年11月28日に大分地裁竹田支部に債権差し押さえ命令を申し立て、竹田支部は08年1月からの給与差し押さえを通知した。足利市は08年1月23日、給食費を未納している保護者に対し、法的措置も辞さない方針を発表した。
         足利市教育委員会によれば、市内の小中校合わせ33校で給食費を未納している保護者は、06年度末で212人。うち支払い能力があるとみられる保護者は20人程だという。未納総額は1000万円近い。同教育委はJ-CASTニュースに対し、
         「都市部の学校での未納者が多い。回収のために訪問してみると、高級車に乗っているなど明らかにに支払い能力があるのに無視している例もある。交渉を繰り返しても結果的に納入されないため、最終的に裁判所に申し立てをします」
        と話した。この決定に先立ち教育委は06年10月、校長やPTA役員を委員とする協議会を設立。強制執行・給与の差し押さえなどを検討してきた。
         「未納者が増え続けますと『払わなくていいんだ』という人も出てきますし、そうなると給食の存続が危うくなります」
        と同教育委は話している。
        (J-CASTニュース)2月10日20時5分配信

        ●迷惑メールに罰金3000万円、上限30倍に法改正へ
         迷惑メールへの規制を強化する特定電子メール送信適正化法改正案の全容が10日、明らかになった。
         送り先の同意なしに広告・宣伝のメールを送りつけた業者に対する罰金上限を、現行の100万円から30倍の3000万円に引き上げることが盛り込まれた。罰則強化で増え続ける迷惑メールに歯止めをかける狙いだ。
         総務省は2月中にも今国会に提出し、2008年中の施行を目指す。
         改正法案では、メールアドレスを通知されている場合や取引関係にある場合などを除き、送り先から同意を得なければ広告・宣伝メールの送信を禁止する。いったん受信の同意を得ても、途中で受信を断られれば、それ以後の送信も禁止する。
         さらに、送信者に氏名・名称、連絡先メールアドレスをメールに明示するよう義務付け、送り先からどういう形で同意を得たかの記録を保存することも求める。現行法では適用外となっている海外発の迷惑メールも、国内発のメールと同様に規制対象にする。
         アドレスなどを偽装してメールを送った場合、同意を得ない送信などで総務省から改善命令を出されても従わなかった場合の罰金が最高3000万円となる。
        (読売新聞)2月11日3時10分配信

        ●「給与払わず年金横領」知的障害者4人が勤務先など提訴
         札幌市内の食堂に住み込みで働いていた知的障害者4人が、雇用主に障害者年金を横領され、給与も支払われなかったなどとして、食堂を経営していた同市白石区の会社などを相手取り、約4500万円の損害賠償を求める訴訟を13日、札幌地裁に起こした。
         訴えたのは、1976年11月~2007年6月、白石区内の食堂に勤務していた32~51歳の男女4人。
         訴えによると、食堂経営の会社社長は96年ごろ、勝手に障害基礎年金の手続きを行い、金融機関に4人の口座を開設、計約2600万円を横領していた。4人は1日12時間以上働かされ、少なくとも計約6600万円の給与が支払われなかった。
         昨年9月、4人の代理人弁護士が接触した際、社長は年金を横領した事実を認め「24時間面倒をみて十分食べさせてきた」などと話したが、その後、連絡が取れなくなったという。現在、食堂は閉鎖されている。
         4人はまた、生活していた寮の運営責任者であるにもかかわらず不衛生な環境に置いたとして、社団法人「札幌市知的障害者職親会」(札幌市東区)にも慰謝料を求めた。さらに、口座開設の際、北門信用金庫(滝川市)が本人確認を行わなかったことが横領の原因になったとして、同金庫にも賠償を求めた。
         訴えについて、職親会は「寮の運営は信用して会社に任せていたので、むしろ会社に欺かれた立場」とし、同信金は「訴状を見てから検討する」としている。
        (読売新聞)2008年2月13日

        ●発達障害:理解深めよう 講演会に浜松市民170人/静岡
         注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉症などの発達障害に対する理解を深めようと浜松市は9日、障害をテーマにした講演会をあいホール(同市中区)で開き、市民ら約170人が集まった。
         発達障害は、言語や知的な問題がなくても、人とのコミュニケーションや感情をコントロールするのが難しい脳の障害。同市が新年度に「発達障害者支援センター(仮称)」を設置するのに先立って企画した。
         埼玉県戸田市立医療保健福祉センター相談役で障害に詳しい平岩幹男医師が講演し、発達障害の症状や対応などを解説。「問題なのは子供の人格ではなく行動だ。子供が自信を失わず、目標を持って毎日を送るのが治療になる」などと話した。
         発達障害の長男(6)がいるパート従業員女性(36)は「友人にも悩んでいる人がいるのでセンターの設置は望ましい。講演会も市内全域で開いてほしい」と話した。
        (毎日新聞)2月10日11時0分配信
        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(5)
        2008/02/10
        アスペルガー障がいのある人で、相手の質問の意図を読み違えてしまい、とんちんかんな応対をしてしまうことがあります。さまざま原因が考えられます。
         話し言葉(=会話)の中から質問の主旨を読み取ることが困難、という特性が考えられます。主語がなかったり、抽象的な言葉が多かったりという表現上の問題や、ある単語にとらわれてしまって他の言葉を聞き漏らしたり、会話が複数の文脈になっていたりした時に主旨を聞き取る情報処理がうまくできないといった特性から生じる問題などです。
         聞き手である当事者さんへは、メモを取りながら聞く、「あなたが聞きたいのは○○についてですね」などと質問の内容を相手に確かめることなどをおすすめしています。とんちんかんな答えをして相手が気分を害されてしまったり、そのことでご自身が傷つくことを無くしたいからです。
         質問する側の方には、シンプル、ショートでストレートな聞き方、主語をハッキリさせる、答えやすい具体的な質問にする、答えに選択肢を設けるなどの工夫をお願いしています。もっとも、聞く相手がアスペルガー障がいのある方やその傾向のある方だとわかっている場合ですが…。
         話し言葉には問題がないのに、会話がちぐはぐ、質問にちゃんと答えられない、聞いていないことを一方的に話し続ける、身振り・手振りなどの非言語的な表現がほとんどないなどの会話・コミュニケーション上の困難さが感じられたら、アスペルガー障がいの特性をお持ちであるかもしれないと気づくこと、質問を具体的な単文に替えてみてどうか、などの対応が求められます。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(6)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <フリースクール>京都府教委、学習成果を内申書に反映

         京都府教委は7日、不登校の小中学生が府教委認定のフリースクールで受けたカリキュラムを、本来在籍している学校での学習評価対象とする新制度を来年度から導入すると発表した。評価は受験時の内申書にも反映させる。学校側はこれまでもフリースクールへの通所を出席扱いにできたが、新制度はこれを大きく進めて公的なお墨付きを与えるもの。都道府県レベルでは全国初の試みという。
         フリースクールでの学習成果を学校の成績に反映することで、不登校児童・生徒の自己肯定感を高めるのが目的。学校への興味を引き出すと共に、高校進学の門戸を広げ、最終的には学校への復帰を促す狙いがある。
         学識経験者らによる外部委員会が、教職員免許を持つスタッフがいることなど一定の基準で対象のフリースクールを認定。今年度末予定の2校を皮切りに順次増やしていく。認定スクールには年間45万円を助成する計画で、府の08年度予算案に200万円の事業費を盛り込んだ。
         府教委は現在、年間30日以上欠席した生徒が応募できる長期欠席者特別入学者選抜を府立高3校で実施。内申書を使わない選考で約25人を募集している。認定スクールが広がれば、この枠にこだわらずに志望校を選ぶことが可能になる。
         文部科学省は03年と05年、不登校の小中学生の学習について「計画や内容が学校の教育課程に照らして適切な場合」には、その成果を評価に反映できるなどと通知。同省児童生徒課は「通知に照らして京都府教委の取り組みに問題はない。学校の裁量で出来ることが、制度として運用されていなかっただけだ」としている。
         フリースクール関係者も好意的に受け止めている。「聖母の小さな学校」(京都府舞鶴市)の梅沢秀明代表は元教師の立場から「勉強の成果が認められることは、学校復帰のきっかけになるだろう」と話す。
        【ことば】◇フリースクール◇ 不登校の子供たちの受け皿として、民間や個人が作った学校。認可がいらないため正確な数は分からないが、フリースクール全国ネットワークによると400~500カ所ある。文部科学省の調査では、06年度の不登校の小中学生は5年ぶりに増えて12万6764人。92年から学校長の裁量でスクールへの通所を出席日数にカウントできるようになった。
        (毎日新聞)2月7日13時14分配信

        ●“経済格差が学力格差に”
         アンケートは去年9月から12月にかけて行われ、全国の教師3913人から回答が寄せられました。それによりますと、およそ8割の教師が「家庭の経済力の格差が子どもの学力の格差や進路に影響を及ぼしていると思う」と答え、具体的な事例として、保護者が日々の生活に追われて子どもの教育に手が回らず、高校生でもひらがなを書くことがおぼつかない生徒がいることや、成績のよい生徒が経済的な事情で進学をあきらめ、就職したことなどをあげています。また、教師の半数近くが「修学旅行費や副教材費などの未払いがある」と答え、「お金がなくて何も買えないだろう」といじめられた小学生や、自分の給食費が未払いになっていることを知り、「体調が悪い」と言って食べるのを遠慮した中学生がいるといった実態も指摘しています。この結果について日教組は「家庭の所得で子どもの学力や進路が左右されることは大きな問題で、教育にかける公費を増やすよう国や自治体に働きかけていきたい」と話しています。
        (NHKニュース)2月5日 4時34分

        ●君が代不起立「不採用は裁量権逸脱」 地裁判決、都に2750万円賠償命令
         卒業式の国歌斉唱で起立しなかったことを理由に、退職後に嘱託教員として採用しなかったのは違法として、東京都立高校の元教師ら13人が、都に計約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。中西茂裁判長は、起立を命じた職務命令は合憲としたが、「不採用は都教委の裁量権の逸脱」として都に計2750万円の賠償を命じた。
         都教委は平成15年、卒業式などの国歌斉唱で、教職員の起立徹底を校長に通達。校長は職務命令として教職員に起立を命じている。訴訟では、通達や職務命令の合法・合憲性が主に争われた。
         中西裁判長は、職務命令について「国歌斉唱で起立しても、特定の思想を表明することにはならない」と指摘し、思想や良心の自由を定めた憲法には違反しないと判断。同様に都教委の通達も合法とした。
         その上で、嘱託教員として採用しなかったことの可否を検討。「不起立という一度の職務命令違反を過大視する一方、勤務成績などを考慮しておらず、客観的合理性を著しく欠いている」とし、「不採用は裁量の逸脱」と結論づけた。
         判決によると、原告らは15~17年度の卒業式などで、国歌斉唱時に起立しなかったことで、都教委から戒告処分などを受け、退職後は嘱託教員として採用されなかった。
         都は「主張が認められなかったことは大変遺憾。判決内容を確認して、対応を検討する」とコメントした。
         同種訴訟では、東京地裁が18年9月、「通達と職務命令は違法・違憲」と判断。一方、最高裁は19年2月、11年の入学式で君が代のピアノ伴奏を拒否し、職務命令違反で戒告処分となった教師の訴訟で「職務命令は合憲」と判示。その後、東京地裁は19年6月、別の訴訟で最高裁の判例に沿った判断を示している。
        (産経新聞)2月8日8時2分配信

        ●<知的障害>出所者の更生支援…東京に事務所開設へ
         知的障害のある受刑者が刑務所から出所した際、福祉の視点から更生を支援する事務所を、長崎県の社会福祉法人が今春、東京都内に初めて開設する。知的障害者による犯罪の背景として、出所後の社会的受け皿の乏しさが指摘される。その支援のあり方を探るため06年に研究班を設置した厚生労働省や法務省も関心を寄せている。
        ◇長崎県の社会福祉法人が開設
         開設するのは「南高愛隣会」(長崎県雲仙市)。田島良昭理事長(63)は80年代から全国に先駆けて重度障害者の職業訓練を実施。厚労省研究班の主任研究員も務める。
         厚労省などによると、知的障害の受刑者は身元引受人がおらず、福祉サービスを受けるのに必要な「療育手帳」もないケースが大半だ。行政上の対策も遅れており、ある刑務官は「自立できずに無銭飲食や盗みなど軽微な犯罪を起こし、刑務所にまた戻ってきてしまう」と明かす。
         南高愛隣会の計画では、東京の事務所に社会福祉士ら職員4人を配置し、周辺の刑務所と連携。服役中の知的障害者の状況や出所予定時期に関する情報を得た上で、入所する福祉施設探しや就労あっせん、療育手帳の取得などを手がける。同会は昨年、研究班モデル事業として、運営する雲仙市のグループホームで出所した知的障害者3人を受け入れ、職業訓練などを行っている実績がある。
         研究班と法務省が昨年5月、全国15カ所の刑務所の受刑者2万7024人を対象に初めてサンプル調査したところ、410人(約1.5%)が知的障害の疑いがあることが分かった。
         同会は、こうした事務所を「社会生活支援センター」(仮称)として、全国で公的に運営する将来構想も提唱。厚労省も注目し、今年度、職員養成のプログラム作りに約800万円の補助金を支出している。
        ◇身寄りも療育手帳もなく
         「畳で寝られるのがうれしい」
         職業能力の開発と生活習慣の定着を目的に、社会福祉法人「南高愛隣会」が運営する長崎県雲仙市のグループホーム。元受刑者の50歳代の女性はそう言って、ほほえんだ。中度の知的障害があるとみられ、車への放火などで4回服役した。
         最後の服役を九州の刑務所で1年半送り、昨年5月に出所した。だが、身寄りも療育手帳もなく、福祉サービスを受けることができずにいた。出所しては公園で寝泊まりし、拾った弁当などで飢えをしのぐ日々だった。
         女性はほかの障害者とともに午前6時半に起床し、日中は農作業に励む。集団生活にも慣れ、「お母さん」と慕ってくる障害者もいるという。世話をする職員は「刑務所のご飯は温かくておいしい、と聞いたこともある。塀の中のほうが居心地がいいと思ったのだろうか」と想像する。
         職員らの尽力で、女性は療育手帳を取得し、今では障害基礎年金も申請している。ホームを出て「佐賀で働きたい」と将来を語るようになったという。
         だが、女性のようなケースは極めて少数なのが現状だ。厚生労働省の研究事業の場となったこのグループホームでも、受け入れはまだ3人。法務省幹部は「刑務所側は知的障害者の行き先が心配でも、出所後に本人に接触できないし、福祉のノウハウもない。スムーズに福祉へ橋渡しできるシステムが必要だ」と語る。◇解説…司法と福祉つなぐ実践
         長崎の法人による取り組みの背景には、厚生労働省と法務省の連携がなく、知的障害犯罪者が政策のはざまに置かれてきたことがある。知的障害者が他の人より犯罪に走る可能性が高いということはなく、施策の断絶が社会で行き場のない知的障害者を生んでいると、専門家は指摘する。
         厚労省研究班が昨年公表したサンプル調査。犯罪の動機は「生活苦」が約37%で、罪種では窃盗が約43%と多くを占めた。再犯者に限ると6割が出所後1年未満で再犯に及んでいた。
         「生活苦」に密接に関連するとみられるのが、税金の減免や雇用のあっせんなどが受けられる療育手帳の取得率の低さで、410人中26人だった。この手帳は「福祉のパスポート」と言われるが、障害者側が申請しなければならない。「18歳までに障害が発生した証拠」も求められる。
         調査では、再犯の知的障害者のうち、前回出所の際、相当数が行き先がなかった。専門家は「路上生活や暴力団の下働きを強いられる障害者も多い」とみており、服役中からの帰住先探しのニーズは高い。今回の取り組みは、司法と福祉をつなげる実践と言える。
        (毎日新聞)2月10日2時33分配信

        ●変わる児童養護施設 虐待理由増える
         家庭での生活が困難な子供たちを受け入れている児童養護施設には、その時代の社会情勢を反映した事情で入所する子供たちがいる。かつて孤児院と呼ばれ、親を失った子供が大半を占めていた時代もあったが、最近は虐待を理由に入所する子供が増えている。その役割の重要性は変わらないが、施設を取り巻く問題は山積している。
        ■60人が共同生活
         「こんにちは!」元気なあいさつと同時に、「これ、何?」と、リュックサックにつけていたストラップに興味を示す子供たちの笑顔が人なつっこい。
         この子供たちが暮らす和歌山市直川の児童養護施設「こばと学園」には、3~18歳の男女計60人が入所している。入所にいたる経緯はさまざまだが、森本祐司園長(51)は「最近、虐待を受けた児童の入所が増えてきた」と説明する。
         県のまとめによると、平成18年度の児童福祉施設(児童養護施設含む)の入所児童数は57人。このうち約半数の27人は、何らかの虐待を受けたことが理由だという。
         こばと学園には、児童指導員や保育士に加えて、虐待などの精神的ダメージを受けた子供に対応するための臨床心理士も配置されている。だが、「地域的な格差がある」と森本園長は話す。
         県児童養護施設協議会に加盟する施設は、乳児院を除いて7施設あるが、カウンセラーなどが配置されているのは、和歌山市内の3施設に過ぎない。新宮市の施設では臨床心理士のなり手が見つからない状態で、地域によっては、子供の事情に対応できない面もある。
        ■老朽化・職員不足
         建物の老朽化と職員不足の問題もある。こばと学園の建物は、平成18年3月に完成したばかりで、男女別で1部屋2~3人のゆったりとした造りになっている。しかし、その他の施設は、修繕を繰り返しながら使用している状況で、1部屋5~7人での生活や勉強机すら置けないような部屋も珍しくない。
         また、国の児童養護施設職員配置基準は、小学生以上の子供1人に対して職員6人とされている。定員60人のこばと学園の場合、職員11人が基準だ。経費のやり繰りをし、16人の職員で運営しているが、宿直や早番、夜勤などローテーションによる勤務では、職員全員がそろうことはなく、実際の配置は実数以上に厳しいものとなる。
         森本園長は、朝子供たちを見送る職員と、夕方迎える職員が異なることを例に、「普通の家庭は少なくとも1対1。この人数では子供に十分なかかわりができない」と嘆く。
        ■ボランティアが支え
         問題は山積しているが、「地域社会の支えがある」と森本園長は話す。地域の催しに職員と子供が顔を出す一方で、園の祭りに地域の人が参加することもある。また、毎週土、日曜には、近所の主婦や塾講師といった人たちが、ボランティアで学習指導やピアノの練習など、子供たちのくらしを支えている。
         また、職員は日々の生活の中で、子供たちが時折見せる優しさや思いやりにやりがいを感じている。「先生しんどそうやな」。子供たちからかけられるそんな一言がうれしいという。
         建物の老朽化や職員不足など、必ずしも十分とは言えない環境の中でも、地域の人たちや職員の愛情を受けた子供たちの笑顔は、今も昔も変わりがないようだ。
        (産経新聞)2月10日7時50分配信

        ●不登校と向き合う:新潟市のプロジェクトから 増える別室登校/新潟
        ◇欠かせぬ学級との協働--「自分たちの問題」受け止めて
         改装して三~四つに仕切った教室。廊下を通る生徒から見えないよう、入り口のドアガラスには紙が張られている。この日は、昼過ぎに登校した男子生徒が2人、それぞれの机で文庫本や数学の問題集を広げていた。時々、教師が訪れて自習を手伝うこともある。
         新潟市は、ほとんどの中学校に「適応指導学級」を設置している。登校しても教室に入れない「別室登校」の子供が学び、教室復帰を助けるクラスだ。
         不登校の数に目が行く一方で、別室登校(年間欠席30日以上を含む)もまた増加の一途をたどっている。中学校で著しく、04年度216人、05年度256人、06年度279人と増え続け、1校に平均5~6人の割合だ。
         同じ状況は、不登校対策プロジェクトのモデルとなった埼玉県熊谷市にもあった。開始から3年で不登校の数は4分の3に減ったが、同市学校教育課は「引きこもり回避を重視した分、別室登校は相当数増えた」と振り返る。

         新潟市の中学校で適応指導学級の担当をする男性教師は「手が回りきらない」と頭を抱える。受け持つ生徒が多く、「別室から教室へ」のハードルも高いためだ。何とか学級まで来られても、十分なケアができず再び姿を見せなくなることがあり、焦燥感がある。
         ただ、教室復帰した生徒には特徴があったという。
         「休み時間に友達が学級に遊びに来る子は、だいたい教室に戻る。安心できる友達が一人いると、全然違う」

         西蒲区の巻西中学校で昨年10月、いじめで不登校になる生徒の劇を生徒会のメンバーが演じた。「自分ならどうするか」。クラスに持ち帰って話し合いを重ね、2カ月後にいじめ根絶の人権集会を開いた。
         「以前、私たちのクラスではいじめがありました」「困っている人がいたら助け合うクラスを目指します」。発表する生徒の姿を見て、柏原了永校長は「不登校の原因は人間関係にあることが多い。解決には、思いやりを持って受け入れるクラス作りが必要」と話す。梁川一十男(ひとお)教頭は「地道な取り組みの中で1人でも何かを感じ取ってくれれば」と願う。
         集会後、3年の女子生徒(15)は「教室に来られない友達がいるけど、私にも何かできるかもしれない」と考え込んでいた。
         プロジェクトは市教委と教師が内々に対応策を考え、不登校の子供に働きかける内容が中心だ。しかし、不登校の子供の親と教師で作る自助グループ「アーベルの会」の西伸之教諭(50)は「やがて子供が戻っていく学級集団への働きかけが欠けている。保護者との連携も深め、もっと開かれたプロジェクトにしていくべきだ」と提案する。
         人権集会の閉会宣言で、生徒会長の山川将生くん(15)は全校生徒に問いかけた。「この学校(の生徒)が自分一人だったらどうですか。一人で勉強して、給食を食べて……。私にはとても考えられません。だから、みんなが笑って過ごせる学校にしたいですね」
        (毎日新聞)2月9日12時1分配信

        ●発達障害児:支援を県教育長らに提言--検討委/高知
         自閉症や注意欠陥多動性障害など、発達障害者を支援する仕組みづくりを考えてきた「県発達障害児・者支援体制整備検討委員会」(会長、畠中雄平・県立療育福祉センター副長センター長)はこのほど報告書をまとめ、大崎博澄・県教育長らに提言した。発達障害児の早期発見や個別支援の必要性を提起している。県や県教委は提言を踏まえ、発達障害の啓発などに努める考えだ。
         同委員会は05年4月の「発達障害者支援法」施行などを受け発足。養護学校の教員や保護者ら14人が、約2年がかりで報告書をまとめた。
         報告書では、乳幼児期の検診で発達障害を早期に発見するための問診項目を整え、子どもの障害や程度にあった支援計画の必要性を盛り込んだ。一方、就学後の学校の対応としては「教員の障害に対する理解が不可欠で、専門性の向上が求められている」と指摘。特別支援教育に関して全教職員の研修や教員向けのマニュアル作成を呼びかけた。
         畠中会長は「発達障害への支援はまだ緒についたばかりで制度が希薄。福祉、医療、教育各分野が知恵を集めて支援をしていくべきだ」と提言している。県は今年度、モデル的に香美市で早期発見に向けたマニュアル作りなどを始めており、提言を受けた大崎教育長は「この提言を行政に生かして、発達障害に関する情報を正確に伝えていきたい」と話した。
        (毎日新聞)2月8日17時3分配信
        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(4)
        2008/02/03
         アスペルガー障がいのある人の中には、定型発達の人に比べて記憶や情報処理の仕方、想像力などに違いや困難さをお持ちの方が少なくありません。そのためにしばしば悩まされるのがフラッシュバックです。
         過去に体験した心的な外傷が、時を経て、ある時突然に意識に浮かび上がり、映像としてまざまざと再現されてしまいます。こうしたフラッシュバックは、定型発達をした人にも起こる現象です。
         自閉症スペクトラムのある方のフラッシュバックにはさらに、相手の言葉の意味を取り違えて誤った認知をしてしまい、それが記憶から消せないである時脳裏にリアルに再現されてしまったり、また自身が勝手に想像をめぐらせて描き出した映像(時にグロテスクなものなど)が再現されてしまいしばらくその場面から抜け出せない、といった困った状態になられることがあるようです。
         認知、記憶力、情報処理の仕方の違い、視覚優位、こだわりなどの特性が総合されて起こるのがフラッシュバックとも言えると思います。このフラッシュバックが起こってしまった時に、その画像を意識から追い出すことができずに他のことが手に付かなかったり、パニックを起こしてしまったりします。突然のことですから、回りに定型発達の人がいた場合には、何が起こっているのか理解できないわけです。
         このあたりの、自閉っ子の脳のしくみについて、ニキ・リンコさんが『自閉っ子におけるモンダイな想像力』、『自閉っ子、えっちらおっちら世を渡る』の中でわかりやすく解説してくれていますので、参考にして下さい。
         昨日は、ノンラベル主催でニキ・リンコさんの講演会がありました。私が司会を務めさせていただきました。350名を越える方がお集まりいただき、ニキ・リンコさんのワールドに浸らせていただきました。終了後、夕食にもお付き合いいただき、2本目のオフレコ版の講演まで聞かせていただきました。次の本も執筆中とのことでした。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(5)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        解雇や倒産職失った障害者、昨年度の2.8倍に/神奈川

         県内で2007年度、解雇や倒産で職を失った障害者が29日時点で昨年度の2・8倍の83人となり、過去5年で最悪となったことが神奈川労働局のまとめで分かった。
         中小企業の倒産増や人員整理などで、昨年末までに例年のペースを上回る52人が離職した。療養費不正受給が明らかになった横浜市の2針きゅう院で、視覚障害者など計31人が解雇された。県内のハローワークと同労働局は障害者対象の「合同面接会」を開き、求職活動を支援する。
         県内事業所で、障害者の解雇は、02年度は過去最多の148人を記録、その後の景気回復に伴い、03年度(66人)から06年度(30人)まで、4年連続で減少していた。同労働局は「今年度は小さな事業所の倒産や人員整理が多い」としている。勤務先企業の事業所再編で転勤を求められ、やむを得ず退職するケースもあるという。
         合同説明会は、2月14日に横浜市中区の横浜文化体育館、3月5日に藤沢市の秩父宮記念体育館で開かれる。
         横浜は148社、藤沢は約30社が参加予定。居住地に関係なく参加でき、履歴書などを持参すれば、面接が受けられる。
         同局職業対策課は「2か所の面接会で約100人の就職が決まることを期待している。針きゅう院を解雇された方も参加してほしい」と呼び掛けている。問い合わせは、横浜(045・663・8609)、藤沢(0466・23・8609)、平塚(0463・24・8609)など各地のハローワークへ。
        (読売新聞)2008年1月30日

        ●障害者就業支援を強化・雇用義務違反企業、罰金の対象拡大
         厚生労働省は障害者や母子家庭の母親などの就職を支援するための対策を強化する。障害者の法定雇用率を満たしていない場合に罰則を科す企業の対象を拡大。「障害者就業・生活支援センター」を増設するなどして、5年間で就職者数の3割増を目指す。母子家庭の母親を正社員にした中小企業への助成制度も始める。「社会的弱者」と呼ばれる人たちの経済的自立を後押しすることで、社会保障費を圧縮する狙いもある。
         厚労省は障害者雇用促進法の改正案を今国会に提出する方針だ。
         同法は従業員56人以上の企業に障害者を1.8%以上、雇用するよう義務付けている。301人以上の大企業には目標に達しない場合、「罰金」も科しているが、厚労省はこの対象を段階的に101人以上の中小企業にまで広げる。
        (日経ネット)2008年2月3日

        ●息子の死 意味受け止めて
        《中2自殺賠償訴訟 結審》
         長崎市内の市立中学校で04年3月、2年生の安達雄大君(当時14)が校舎から飛び降りて自殺したのは、行き過ぎた生徒指導が原因であり、「市は安全管理義務を怠った」として、両親が市に約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が28日、長崎地裁(田川直之裁判長)であった。母親の和美さん(46)が意見陳述し、「指導の最中に子どもが命を落とした。原因がわからないまま、事故として終わらせないでください」と訴えた。裁判はこの日の最終弁論で結審した。
        ◆再発防止願う両親「先生たち考えて」
         和美さんは陳述書を手に、法廷の中央に立った。時々声を震わせながら、「いつも笑っていた雄大がなぜ死ななくてはいけないんだと、無性に悔しくなることがあります。どうしてこんなことになったのか、先生方や多くの人に知って、考えてもらうことが再発防止につながる」と述べた。
         父親の敏昭さん(46)は雄大君の遺影を手に、じっと目を閉じ和美さんの言葉を聞いていた。
         これまでの裁判によると、雄大君はたばこを持っていたため、放課後に校舎3階の多目的室で担任教諭の生徒指導を受けていた。部屋はアルミホイルで目張りされていた。途中で「トイレに行く」と席を立ったまま戻らず、校舎そばで倒れているのが発見された。
         多目的室には「オレにかかわるいろんな人 いままでありがとう」という遺書が残されていたという。
         雄大君が亡くなった後、同級生や部活の仲間が毎日何十人も訪ねてきた。「雄大が好きだった」と聞かされて、「こんなに慕われているんだ」と知った。
         いまでも月命日には、たくさんの友だちが訪ねてくる。敏昭さんは「同級生を見ると、雄大が生きていればこんなに成長していたんだという気持ちになる」と話す。
         両親は市に対して事故報告書の公開や詳しい調査を要請した。だが、市教委は生徒指導と自殺との因果関係を一貫して否定。両親は「このまま同じような指導が繰り返されれば、また同じことが起きる」と、提訴を決意した。
         事実を知りたいと奔走する両親に、冷ややかな目を向ける人もいた。今まで話をしていた同級生の保護者から顔を合わせても知らないふりをされた。匿名の電話が突然かかってきて「たばこを知らなかった親が悪い。学校を責めるな」と言われたこともあった。
         一方で、雄大君の同級生や支援者らに励まされ、裁判に踏み切ることができた。「安達雄大くんの『生徒指導自殺』裁判を支える会」のメンバーは180人を超える。
         この間、全国で生徒指導後に自ら命を絶った子どもが少なくないことを知り、その遺族に出会った。こうした悲劇が誰にでも起こりうることを知った。和美さんは「つらい経験を共有でき、自分だけじゃないことがわかった」という。
         この裁判を通じて「先生の言動で生徒が傷つく可能性があることを心のすみに置いてほしい。命の大切さを訴える教育行政に、指導によっては子どもが死ぬこともあると認めてもらいたい」と訴えた。
        (asahi.com)2008年01月29日

        ●発達障害児に支援体制(高知)
         自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害者の支援について検討してきた県発達障害児・者支援体制整備検討委員会と県広域特別支援連携協議会(ともに会長=畠中雄平・県立療育福祉センター副センター長)が29日、審議内容をまとめ、大崎博澄・県教育長に報告した。
         早期発見からその後の支援体制のあり方、就学や就労、生活に対する支援のほか、発達障害者の個別の支援などにも言及。早期発見後のフォロー体制として、状況に応じて市町村、県福祉保健所、療育福祉センターの3段階で支援するシステムの構築や、発達障害者の家族に対する精神的なサポートを行うシステムや情報を提供する方法の検討などの必要性を挙げている。
         畠中会長は「発達障害に対する理解は不十分。今後、行政として真剣に取り組んでもらいたい」と期待し、大崎教育長は「保護者や教職員からの相談も発達障害に関するものが増えている。内容を十分に把握して教育行政、福祉行政に生かしたい」と述べた。
         県は、発達障害者に対する支援として、2007年度から早期発見のためのマニュアル作成などをしており、障害福祉課は「提言の内容を検証したうえで、マニュアル作りなどに活用していきたい」としている。
         整備検討委と協議会は、県内の発達障害者の支援体制のあり方について検討するため、05年11月に設置。これまで13回の検討会を重ねてきた。
        (読売新聞)2008年1月30日

        ●長期欠席者枠、53人出願 京都府立高入試の特別選抜
         京都府教委は28日、2008年度の府立高入試で、特別選抜の志願者数を発表した。不登校経験がある生徒を含めた長期欠席者枠には、07年度より7人多い53人が出願した。
         06年度に始まった内申書を必要としない長期欠席者枠では、朱雀、城陽、西舞鶴の3校が全日制?・?類で計25人程度を募集。いずれの高校にも募集人数を超える応募があった。また、中国帰国孤児生徒が3人、20歳以上の成人が12人出願した。海外勤務者帰国生徒は志願がなかった。2月5日に学力検査や面接が行われ、8日に合格を内定する。
        (京都新聞)1月29日9時29分配信

        ●教諭の負担減へ新ポスト 滋賀県教委が検討
         滋賀県教委は29日、小中学校などでの副校長や主幹教諭という新設ポスト導入に向けた検討を始めた。必要な人事関連などの条例や規則を整備し、学校現場との調整を進めていく。いじめや不登校など児童生徒の問題や、保護者対応などで年々多忙になる教諭の負担を減らす狙い。
         県教委は「学校の組織運営に関する調査研究委員会」(委員長・川嶋宗継滋賀大教授、10人)を設置し、昨年度から議論を進めており、同日開催の第4回委員会で設置を求める意見がまとまった。
         委員会では「大規模校では現場教諭からの意見が管理職に上がりにくい」「若い教諭には指導的な教諭が必要」「現在の体制では一部特定の人材への負担が重い」などの意見が出た。一方、県内の3教職員組合からは「管理強化につながり、現場の負担につながる」という反対もあった。
         県教委はこれらの意見を反映、県との調整をしながら、関連条例や規則の整備などの検討を進める。早ければ来年度人事に反映させたい意向だ。
         副校長や主幹教諭は、昨夏改正された学校教育法に明記された。新年度の政府予算案では全国で主幹教諭1000人の配置が盛り込まれている。
        (京都新聞)1月29日19時39分配信

        ●いじめ不登校対策:専門家の派遣強化 県、来年度から/群馬
         県は来年度から、小中学校へカウンセラーやソーシャルワーカーを派遣するなどの「いじめ不登校対策総合推進事業」を強化する。従来の同事業を拡充し、いじめや不登校に歯止めをかける方針だ。
         県義務教育課によると、スクールカウンセラーは01年度から配置を始め、今年度は81人を県内の市町村立全174中学に週1回をめどに派遣。生徒のカウンセリングやストレスマネジメント授業、教師への助言などを行っている。来年度はこのうち4校を選び週2回派遣。増えた1日は学区内の小学校で同様の活動や経験の浅いカウンセラーのサポート役となる。
         新設するスクールソーシャルワーカーは9校程度の中学校に週2、3日派遣。家庭との連携や児童福祉関係機関への紹介・調整を担う。ほかにも幼稚園、小中学校の教員らの情報交換や事例研究などを進める「幼小中間連携事業」も新たに実施。進学時に不登校が急増する「中1プロブレム」の解決策も探る。
         同課は「小さいうちから対人関係のスキルを教えたり、家庭との連携を深め、現状を改善したい」という。
        (毎日新聞)2月1日12時1分配信

        ●不登校:生徒受け入れ、勉強や社会適応力はぐくむ 「箱崎自由学舎」が説明会/福岡
         不登校の中高生を受け入れるフリースクールのNPO法人「箱崎自由学舎 ESPERANZA(えすぺらんさ)」(理事長=齊藤皓彦・元福岡女学院大学長)が26日、中央区の市立青年センターで説明会を開き、親たちが熱心に聴き入った。説明会は2月8日と3月17日にも同センターである。
        ◇来月8日と3月17日にも中央区で
         ESPERANZAはスペイン語で「希望」や「夢」の意味で、05年に設立。東区箱崎の民家を改装した教室で、常勤スタッフ4人とボランティア9人の計13人が、いじめや引きこもりなどで学校に行けなくなった子供たちに勉強を教えている。
         このほか、社会適応力をはぐくむため、米や野菜を栽培するなどの体験学習も実施。中学や高校の卒業資格は得られないが、毎年数人~10人が学び、学舎での授業を中学で出席扱いとしてもらったり、通信制高校で学びながら通う生徒も多い。
         説明会では、月1回の料理実習のメニュー作りに何日も掛かったり、ボーリング大会の会場予約にとまどったりしながらも、子供たちが成長していく様子が紹介された。
         元高校教諭で常勤スタッフの小田哲也代表は「県内の中学での不登校は100人中3人で、クラスに1人いる計算。子供たちにはいろんな選択肢があることを知ってほしい」と話している。問い合わせは同学舎092・643・8615。
        (毎日新聞〔福岡都市圏版〕)1月28日17時1分配信

        ●「困っている」気持ちに理解を/秋田
         「人と違うことを認め、困っている気持ちを理解してください」。発達障害児の保護者らで結成する秋田LD・ADHD親の会「アインシュタイン」の東條裕志会長は19日に秋田市であった学習会で、参加者にそう訴えかけた。
         発達障害は一般的に脳機能の問題とされる。主なものに自閉症や、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の四つが挙げられる。
         コミュニケーションは苦手だが、記憶力が非常に良いといった能力の偏りや、多動性など、症状は幅広い。だが、誰でも得意・不得意なことはある。彼女らや、彼らを「障害者」となぜ呼ぶのだろうか。取材を進めるなかで、違和感はどうしてもぬぐえないままだ。
         県発達障害者支援センターの担当者も「『ずっと個性と考えていたのに、それを今さら障害と呼ぶなんて』と抵抗を感じている保護者はいます」と話す。「障害」という2文字は周囲が想像するよりも、当事者に大きな重荷を負わせてしまう。
         さらに発達障害は外見からは分かりにくいため、周囲が気づかず、「わがまま」「努力しない」と誤解し、彼女や、彼らを追いつめてしまう。保護者も「育て方が悪い」と非難される。悪循環によって、当事者や保護者がうつ病になったり、虐待問題になる可能性さえあるという。
         東條さんは発達障害を「発達のばらつきが大きく、それで困っている人です」と説明したうえで、こう付け加えた。「ただ、苦手なことを個性や、特性と受け止める周囲の理解や支援があれば、困らなくなるんです」
         彼女らや、彼らの話に耳を傾け、何に困っているのか、本人の気持ちを理解する。そして、苦手なことがあれば手助けする。それが「障害」のない社会へ近づく一歩となるに違いない。
        (毎日新聞)1月27日11時1分配信

        ●大垣特別支援学校:対面授業など公開 自閉症学級を100人見学/岐阜
        ◇東濃でも発表会
         県内初の自閉症学級が昨年度、モデル的に設置された大垣市西大外羽の県立大垣特別支援学校で30日、自閉症学級の公開授業と研究発表会が行われた。一方、土岐市泉町河合根ノ上の県立東濃特別支援学校でも30日、学習発表会が3日間の日程で始まり、小中高各部の子どもたちが保護者らの前で劇や歌などを発表する。
         大垣特別支援学校の自閉症学級は、小学部2年生に1学級(4人)、3年生に2学級(各5人)が設置され、子どもたち一人一人の課題を設定した指導や、小集団の中で自分の力が発揮でき、社会性を高める学習などを行っている。興味や関心を持って主体的に遊びに向かえる部屋も設けている。
         公開授業には教育関係者や療育支援関係者ら計約100人が訪れた。単語カードを使って色や文字などを対面方式で教える授業や、友だちの歩調に合わせて遊ぶ「ボール遊び」などを熱心に見学した。
         東濃特別支援学校ではこの日、中学部の各学年が舞台に立った。今年のテーマは「ハッピーライブ」「仲間とともに」「うきうきゴーゴー」。生徒らはクラスメートや教諭らと力を合わせて創作に取り組んできた。
         1年生のミュージカル「チコタン――ぼくの初恋」では、転校してきた女の子「チコタン」を好きになった男子が、プレゼントなどをしてアタック。成長して家業の魚屋を継ぎ、仲間と新しい店を作って結婚にこぎつけた。だが、幸せの絶頂で舞台は暗転。車の急ブレーキと衝突音、救急車のサイレンがけたたましく鳴り響いた。客席が静まり返る中で「チコタン、なぜ死んだ」と悲しい歌が流れた。思いもかけない展開に客席はざわめき、ハンカチでまぶたをぬぐう保護者も。
         人生には、楽しいだけではなく苦しいこともたくさんある。だけど乗り切っていこう――。そんなメッセージが伝わり、大きな拍手が鳴り響いた。
        (毎日新聞)1月31日12時1分配信

        ●2割「集団がやや苦手」 5歳児健診の効果報告
         府中丹西保健所と福知山市が05年度から始めている5歳児モデル健診事業の報告会が30日、市民会館で開かれた。健診で「集団がやや苦手な子」が約2割いることがわかったが、そうした子らに対して事後支援をし、問題改善に効果があったことも示され、問題を早期発見できる5歳児モデル健診の必要性を再認識した。
         集団が苦手などの特徴を見逃したまま子どもが大きくなると、学校や社会に適応できない、より大きな問題へとつながる。5歳児モデル健診は、乳幼児期にはわかりにくい発達上の課題発見にも役立つ。
         集団がやや苦手な子の割合は、他の地域の実施結果とほぼ同数という。事後支援によって3-4割で問題点が改善された。特に軽度発達障害児については事後支援の効果が6割以上で、早期介入による改善が期待できるとした。
         事業は08年度から市が主体となる。あいさつに立った溝尻・市保健福祉部長は「これまでの3カ年を踏まえて市の事業を進めていきたい」と話していた。
        (両丹日日新聞)1月31日15時10分配信
        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(3)
        2008/01/27
         アスペルガー障がいのある方の中には様々な感覚の過敏さや、入力された情報の処理の仕方の特異さをお持ちの方が少なくないようです。前回の聴覚の問題もその1つです。
         今回は、味覚周辺の感覚について少し…。
         好みになった物を食べ続ける(例えば、同じメニューを1週間以上食べ続けても平気、など)、特定の物しか食べない(パンしか食べない、など)、特定の味付けの物しか食べない(すべての料理にカレー粉をかける、など)、料理を1品ずつ食べていく(おかずを交互に食べないで、順番に食べ、最後に白米だけを食べる、など)、炭酸飲料が飲めない、ペットボトルの飲料が飲めない(唇がペットボトルの口に吸着してしまいうまく飲めない)、食べる速度が遅い、などなど。好みの物を食べ続けるは、1カ月周期とかで変わって行くこともあります。
         食べても安心な物しか食べない、というこだわりもあります。順番通りに食べる、というこだわりもあります。嚥下がうまくできないという問題もあります。いずれも、バランスの良い食生活を送るという上では阻害要因となりますので、改善に向けてのトレーニングは必用でしょう。
         ただし、無理強いは禁物です。嫌悪体験はトラウマとなり、「安心できない物」という認知が確立してしまいます。また、小さい時に食べなかったから…、と言って、いつまでも食べられないわけでもありません。成長と共に好みも変化しますし、「食べた方が良い」という認知も育っていくからです。「食べた方が良い」、「食べ残しOK!」という態度で関わる、固形物は細かくしたりつぶしたり、料理方法を工夫することで、苦手を減らしていくことができます。
         偏食などは、本人も困っているわけですから、どうすれば改善できるか、ご家族が一緒になって取り組んでいくことが求められます。時間をかけて…。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(4)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        国民の税や社会保障の負担、過去最高に

         財務省は23日、税や社会保障の負担の大きさを示す国民負担率が、2008年度に前年度より0・1ポイント高い40・1%になるという見通しを発表した。
         上昇は5年連続となり、最高を更新する。
         国民負担率は、国民の税負担と社会保障負担の合計が国民所得に占める割合。税の負担率は、法人税を中心とした税収の伸びが鈍るためわずかに下がるが、国民年金と厚生年金の保険料が毎年上がるため、社会保障の負担率は上がる。その結果、差し引きで0・1ポイント上昇する。
         さらに、将来の国民負担になるという意味から国と地方の財政赤字を加味した「潜在的国民負担率」は、3年連続で横ばいの43・5%となる見通しだ。
         国民負担率を外国と比べると、経済協力開発機構(OECD)加盟国の数値(05年)で比較可能な28か国の中では、低い方から6番目となっている。
        (読売新聞)1月23日20時52分配信

        ●「ネット利用に不安」45%、内閣府世論調査
         内閣府は26日、インターネット上の安全確保に関する初めての世論調査結果を発表した。
         インターネット利用に不安があると答えた人は45・4%と半数近くに上り、個人情報流出などを理由に挙げる人が多かった。
         一方で、出会い系サイトなどの有害サイトに接続できなくする「フィルタリング(選別)機能」について、「全く知らない」と答えた人は62・2%に上った。調査を依頼した警察庁は、「ネット犯罪に対し、安全を確保する部分についての認知度が低いことが分かった。被害防止のため広報・啓発活動に努めたい」としている。
         調査結果によると、インターネット利用で不安に感じるもの(複数回答)としては、「コンピューターウイルス感染による個人情報の流出」が66・5%と最多で、以下、「暗証番号などを無断で他人に利用される不正アクセス」(52・1%)、「ホームページを閲覧するだけで料金を請求されるなどの架空・不当請求」(50・5%)、「コンピューターウイルス感染によるデータの破壊」(47・7%)の順となった。
        (読売新聞)1月26日19時15分配信

        ●精神科医が家族の心構え説く 舞鶴でひきこもり・不登校シンポ
         引きこもりと不登校について考えるシンポジウムが26日、京都府舞鶴市伊佐津の市西駅交流センターであった。精神科医の斎藤環さんが講演し、家族の心構えを説いた。府の主催で、当初の定員を大幅に超える約220人の家族らが参加した。
         冒頭、斎藤さんは不登校について「家族は学校に行かせることにこだわらず、どうすれば子どもが元気になれるかを第一に考えるべき」と助言。「マニュアルはなく、だれかに丸投げせずにかかわりを持つことが大切」と説明した。
         ひきこもりについては厚生労働省の定義を引用して「精神疾患など以外の理由で6カ月以上、家族以外と交流できない状態。外出できない、という意味ではない」と説明した上で、「長期化するので根気と粘りが大切。軽い会話で関係を保つように」とアドバイス。その際に▽就労を促す言葉は避ける▽あいさつする▽外出や旅行に誘う▽頼み事をする-といったポイントを紹介した。
         ひきこもり長期化による家族の高齢化を想定。自立支援制度を知ることや、本人に家庭の資産状況を具体的に数字で示すことが必要と訴えた。
         会場からは「10年以上引きこもる兄にどう接すればよいか」などの質問があった。また、府内の民間教育施設紹介、不登校体験者による演劇もあった。
        (京都新聞)1月26日18時39分配信

        ●青少年の雇用拡大支援 育成計画原案 県民から意見募集1/群馬
         県は24日、県青少年健全育成基本計画(平成20~24年度)の原案を取りまとめた。ニート対策として、企業に青少年の雇用を拡大するよう求めるなどの支援策を盛り込んでいる。同日から、県民から意見を募るパブリックコメントを実施し、3月中に基本計画を策定する。
         計画は19年10月に施行された改正県青少年健全育成条例の基本理念に基づき、条例の適正な運用を目指して策定される。原案では、「不登校や引きこもりなど、社会との接触を避ける青少年が問題となっている」と指摘。そのうえで、「住みよい社会を自ら構築していく力を高めるための環境づくりの推進が大事」と強調した。
         そのために、社会的自立の支援や健やかに成長できる家庭・地域づくりなど4項目を実現すべきとの方針を明示。具体的には、(1)自然・社会体験の機会確保(2)食育教育の推進-などを打ち出した。
         ニート対策では、青少年の雇用枠を拡大するよう、企業側の努力を求めたほか、19年6月に開設された自立支援相談窓口「ぐんま若者サポートステーション」(前橋市)との連携強化などを提唱した。
         原案は、県ホームページ(HP)などで閲覧できる。パブリックコメントの実施期間は2月21日まで。
        (産経新聞)1月25日7時51分配信

        ●岡山・高1自殺:家裁、主犯格を少年院送致 「保護処分に納得できない」/岡山
         岡山市の高1男子生徒(16)が昨秋、中学時代の先輩2人に暴行、恐喝を受けて自殺した事件。岡山家裁は23日、主犯格の土木作業員(18)=同市=を2年間の長期処遇勧告を付けたうえで、中等少年院送致とする保護処分を決めた。
         審判結果によれば、土木作業員は元高校生(16)とともに、自殺した生徒らに、昨年11月9~16日にかけて暴行、現金を脅し取るなどした。生徒の自殺前日の15日には市内の河川敷に呼び出し、午後7時ごろから約10時間、殴ったり、体にたばこの火を押しあてるなどした。関係者によると、暴行時に生徒は「ここで死ぬか、家に帰って死ぬか」などと脅され、生徒は「家で」と答えて帰宅を許されたという。
         審判では自殺と傷害との因果関係は認められなかったが、県警は当初、執ような暴行と自殺に因果関係があると見て傷害致死、自殺教唆容疑などの適用も検討していた。「検察への逆送が適当」という見方は法曹関係者の間にもある。遺族の代理人弁護士は「少年は死を強いられていた。保護処分には納得できない」と話している。
        (毎日新聞)1月24日17時5分配信

        ●<夜間授業>進学塾講師が教壇に 杉並・和田中で始まる
         東京都杉並区立和田中学校(藤原和博校長)で26日午前、夜間授業「夜スペシャル」(夜スペ)が始まった。塾講師が、公立中で、有料の受験対策をする異例の試みで、都教委が一時再考を求めるなど波紋が広がった。土曜日のため授業は午前9時~11時半にあり、報道陣約40人が詰めかけた。
         この日の科目は、英語。会場の視聴覚室で大手進学塾「サピックス」の男性講師が教壇に立った。問題が書かれたプリントを生徒11人に配り、授業を開始。最初の問題は、英語で書かれた「なぞなぞ」。頭の体操をした後「節分」を英語で説明する問題が出され、生徒は頭を悩ませながら一生懸命に答えを書き込んだ。
         保護者代表の金子純代さんは「息子は塾に行きたがらなかったが『学校でやる授業なら行きたい』と意欲をみせてくれた。楽しんで勉強し、学力が伸びてくれたら」。受講した女子生徒は「面白い問題だったけど、難しくあまりできなかった」と苦笑いしていた。
        (毎日新聞)1月26日11時13分配信

        ●障害児・者支援を探る 南丹 施設職員ら実践交流
         口丹波2市1町の教育、福祉関係者が、障害児・者への支援の在り方について理解を深める実践交流会が25日、京都府南丹市八木町柴山の府立丹波養護学校で開かれた。
         同校の教職員約120人と、2市1町の小中高教員、行政関係者、福祉施設職員ら計約180人が参加した。
         午前中は、小学部から高等部まで20のクラスで公開授業を見学した。午後は、「知的障害者の教育と生活」や「地域の生活支援とネットワークづくり」など、テーマごとに6グループに分かれて、障害児・者を取り巻く課題について話し合った。
         「発達障害と地域支援・教育相談」をテーマにしたグループには約20人が参加し、各校の特別支援学級の取り組みや、発達障害の疑いがある児童への対応などについて報告し、意見を交換した。参加者から「特別支援学級に子どもを入れることに、抵抗感のある保護者が多い」「山間部の小規模校では、発達障害への理解が地域全体に浸透しているケースが多いが、大規模校はそこまで手が回っていないのでは」などの意見が出た。
        (京都新聞)1月25日20時9分配信

        ●発達障害:症状の特徴など説明、初のガイド作成--県発達障害者支援対策協/秋田
        ◇周囲の理解進め支援体制確立を
         保護者や教育関係者、地域住民が発達障害の理解を進めようと、県発達障害者支援対策協議会が症状の特徴や支援方法を説明したガイドブックを県内で初めて作成した。同会は「ガイドブックの発刊で社会の認知が進み、支援体制が確立すれば」と話している。
         ガイドブックでは、発達障害の主な症状の学習障害や注意欠陥多動性障害の詳細な特徴を説明するほか、県の支援センターや就労支援機関の連絡先を明記。発達障害の専門知識を持つ医師名も載せた。特効薬のない自閉症は、周囲の支援が不可欠と考え、接し方のポイントも紹介した。
         05年にようやく発達障害者支援法が施行するなど社会的認知が遅れるなか、周囲の理解を進めて早期の適切な支援に結びつけようとガイドブックを作成した。約2500部作り、小中学校などに配布。残部が約400部あり、希望者は電話018・823・7722県発達障害者支援センターへ。
        (毎日新聞)1月23日12時1分配信

        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(1)
        2008/01/13
        今回から、何回になるかわかりませんが、「アスペルガー障がいの“困った”への対処法」と題して書いていってみようと思います。
         アスペルガー障がいの方にとって、またアスペルガー障がいの方に関わる方にとって、“困る”ことといえば、まずパニックかと思います。
         突然の予定変更や、大きな音、納得ができない事態に遭遇した時などなど、パニックを起こす引き金はたくさんあります。パニックを起こされている時は、ご自身の感情が「わからない」「頭が真っ白になった」などの状態になられるようですが、おさまった後には、「パニックを起こしてしまった」という記憶は残り、それが自己否定的な感情を生み、自己評価を下げていく場合が少なくありません。
         パニックは、起こさずにすむ、が望ましいことですが、日常生活の中では難しいことです。しかし、できるだけ回りがパニックを起こさなくてもすむように配慮したいものです。予定が変更になる場合には、事前に伝えておく、驚いた時などには「大丈夫」と伝えしばしクールダウンしてもらう、納得ができない時には筋が通るように説明を工夫し理解を促す、などです。理屈に合わないこと、意味のないことを受け入れることが困難な方たちですので、わかりやすい説明で納得を得ることを心がけるだけでも、パニックをかなり減らせるのではないかと思います。要らぬ傷つきを残さないためにも、回りが配慮したいものです。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(2)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <学校裏サイト>文科省が実態調査 対策案策定も検討

         文部科学省は、いじめの温床にもなっていると指摘されるインターネット上の掲示板「学校裏サイト」の実態調査を始めた。学校裏サイトは子どもたちが情報交換のために立ち上げた掲示板で、匿名性を背景にひぼう中傷の書き込みがエスカレートしがちだ。文科省は「子どもたちのネット利用を見守る体制を作りたい」と実態調査後の対策案の策定も検討しており、3月末までに調査結果をまとめる方針。
         全小中高生を対象にした文科省の06年度いじめ実態調査(昨年11月公表)では、初めてパソコンや携帯電話でひぼう中傷や嫌がらせなどを受けた例を聞き(複数回答)、全体の3.9%にあたる4883件で「ネットいじめ」があったことが判明。顔写真とアダルト画像を組み合わせた合成写真が掲示板に掲示されるケースも報告されたという。
         ネットいじめを巡っては、毎日新聞の取材で、実名や携帯電話の番号を公開されたうえ、「うざい」「カンニングしている」と書き込まれ、無言電話や中傷メールの被害に遭い、不登校になった男子高校生がいることが分かっている。また、知らない男からわいせつな電話がかかり、自宅のチャイムが鳴るなどストーカーまがいの行為をされた女子高校生の被害も明るみになるなど、いじめ以上の問題に発展するケースが出ている。
         一方、携帯電話各社は昨年12月、出会い系など有害サイトへの接続を制限する「フィルタリングサービス」について、契約者が未成年の場合は、従来の任意加入から原則加入とする方針を表明した。しかし、フィルタリング機能だけでは学校裏サイトへの接続制限に限界があり、ネットいじめを解決する「即効薬」にはなりそうもない。
         このため、裏サイトの実態に基づく対応策が求められているのが現状だ。文科省青少年課は「どんな書き込みがあるのか一つ一つ当たっていき、次の対策を練らないといけない」と説明している。
         文科省はすでに大学教授やNPOの協力を得て調査を開始。学校裏サイトの総数のほか、有害情報と判断する具体的な基準を作り、書き込み内容を詳細にチェックしている。
         調査の責任者を務める下田博次・群馬大大学院教授(情報メディア論)は「子どもたちの有害情報発信の全体像を調べる調査は今までなかった。全体像の把握は、学校裏サイトがなぜ問題を生み出すのかを明らかにすることにつながる」と意義を強調している。
        ◇抑止効果を期待
         ネット上でいじめなどの悩みを聞く活動をしている「全国webカウンセリング協議会」の安川雅史理事長の話 今まで「氷山の一角」しか見えていなかったものが明らかになる。また、大人たちが調査を始めれば、子どもたちへの抑止効果も生み出すだろう。ただし、すべての学校裏サイトを調べることは不可能。実態を知っている子どもたちを調査に参加させるなど、手法を工夫すべきだ。そうしなければ、せっかく調査しても本当の実態が分からない恐れもある。
        【ことば】学校裏サイト 各学校の公式ホームページとは異なり、子どもたちが管理しているインターネット上の掲示板やブログ。主に携帯電話を使って接続し、ハンドルネーム(ネット上の名前)を使って書き込みをすることが多い。接続にパスワードが必要なサイトもあり、いじめの確認が難しい例も出ている。
        (毎日新聞)1月6日20時43分配信

        ●学校にソーシャルワーカー文科省、141地域に配置
         虐待や育児放棄など深刻な問題を抱える家庭の保護者や子どもに対し専門的な対応をするため、文部科学省は、08年度から公立小中学校で活動する「スクールソーシャルワーカー」を全都道府県計141地域に配置することを決めた。子どもの問題行動には家庭が影響しているケースも多く、専門家の協力を得られる仕組みを整えることで家庭状況に合った対応を可能にし、教員の負担を軽減する狙いもある。
        (共同通信)01月06日17時08分

        ●就労期まで障害児支援 倉敷市が療育相談センター開設
         倉敷市は9日、障害児に関する総合窓口となる総合療育相談センターを、同市笹沖のくらしき健康福祉プラザ内に開設した。教育、福祉など部署の枠を超え、乳幼児期から就労期まで継続して障害児を支援するのが特徴で、県内自治体では初めて。
         乳幼児から18歳までの障害児と保護者が対象。保育士と幼稚園教諭の資格を持つ相談員2人が常駐し、子どもの発達に関する悩みに応じたり、市教委や福祉施設との連絡や調整を行う。臨床心理士と社会福祉士による専門相談(予約制)も行う。利用は無料。
         これまで同市の障害に関する相談窓口は、成長段階によって市教委や保健所などに分かれ、利用者が各窓口で障害の程度を説明しなければならなかったり、担当部署を順送りされる場合があった。相談窓口を一元化することで、それぞれの子どもに合った支援が継続して受けられるようになる。
         小学5年生の障害児を持つ同市内の女性(38)は「県外から引っ越してきたとき、最初にどこに相談に行けばよいか分からなくてずいぶん困った。障害者福祉の拠点として、温かい支援を期待したい」と話していた。
         相談日時は火~土曜日の午前9時~午後5時。問い合わせは同センター(086―434―9882)。
        (山陽新聞)2008/1/10

        ●公立小中校、5年後1100校減…少子化・財政難で
         全国の公立小中学校がおおむね3~5年後に、少なくとも1117校減る見通しであることが、読売新聞社の全国調査でわかった。
         少子化の影響で、一つのクラスに複数の学年が学ぶ「複式学級」を抱える学校が増えていることや、自治体の合併による財政効率化で統廃合を迫られていることなどが背景にある。統廃合が進めば、地域住民が不便を強いられることは必至で、スクールバスの導入や校舎の建て替え費用など、政府も新たな財政負担を求められるとみられる。
         調査は昨年11~12月に実施。47都道府県と全市区町村の教育委員会に、小中高校などの統廃合や新設を伴う再編計画、学校数の増減を尋ねた。その結果、2万2420校ある小学校は2008年度には211校減少し、中学校も1万150校から50校減ることがわかった。
        (読売新聞)1月11日3時2分配信

        ●国歌斉唱起立せず、教職員名収集は「不適」…神奈川県教委
         神奈川県教委が卒業式や入学式の国歌斉唱時に起立しない教職員の氏名を収集していたことを巡り、同県個人情報保護審議会(会長=兼子仁東京都立大名誉教授)が、氏名収集は「不適」とする答申案をまとめたことが11日、わかった。
         17日の審議会で正式に決定する。
         答申案によると、県個人情報保護条例は「思想信条に当たる情報でも正当な事務に必要であれば扱える」としているが、正当性や必要性を積極的に認め難いと結論づけた。
         理由として、思想信条に当たる不起立者名の収集を例外的に認めるかどうかは、憲法判断が必要となり、明らかに合憲だと判断できないなどとしている。
        (読売新聞)1月12日9時7分配信

        ●消費税25%で成長を続ける「北欧モデル」って何?
         あなたは北欧というと何をイメージするだろうか。家具、デザイン、ノキアのケータイ、それともムーミン? なかには「福祉国家」を連想する人もいるかもしれない。じつは今、北欧モデルが世界的に見直されている。格差社会をいとわない、米国流の市場原理主義が席巻するなかで、北欧が経済成長と平等を同時に実現させているからだ。
         北欧諸国(スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー)は、高福祉・高負担の国として知られる。スウェーデンでは育児休暇が480日取れ、うち390日は国が給与の8割を補償する。男性も取得可能な「両親休暇」だ。保育園の自己負担は月2万1000円が上限。医療費は20歳まで、学校も大学まで無料だ。大学では逆に国から月4万6000円の支援金がもらえる。高齢者介護は今でも公営が基本で、市町村には介護が必要な人に対して適切なサービスを提供する義務がある。
         その代わり、給与所得の半分近くを税金で持っていかれる場合も。消費税は25%(食品は12%)。それでも経済成長を続けるから不思議だ。北欧諸国は93年から06年までの間、1人あたりGDPを1.8~2.6倍も伸ばした。一方、93年に世界のトップに君臨していた日本は、同期間で逆に1.7%減(ドル換算ベース)。北欧は過激な政策の宝庫でもある。たとえば、ノルウェーの民間企業は役員の4割以上に女性を登用しなければならない。「小国」ゆえ、機動的に政策が打てる。いま日本で俎上に上る年金改革や首都機能移転も、北欧ではとうの昔に実行済み。学力問題ではフィンランド式教育が話題となっている。
         北欧で最も国土が大きいスウェーデンでも、人口は東京の半分に満たない。フィンランドの人口は福岡県とほぼ同じ。日本で全国画一の政策が手詰まりとなる中、今後は地域ごとの再生プランが不可欠だ。道州制導入に際しても、北欧の知恵は日本にとって大いに参考になる。(並木厚憲/『週刊東洋経済』編集部)
        (Ranking×Review)2008.01.10

        ●<児童虐待>養護教諭向けに初の対応マニュアル 文科省作成
         増加を続ける児童虐待を防ごうと、文部科学省は、初めて養護教諭向けの対応マニュアルを約11万5000部作成し、全国の小中高校などに配布を始めた。健康診断やけがの手当てなどで、子供たちと接する機会の多い養護教諭の特質を生かし、早期発見につなげることが狙いだ。
         対応マニュアルはA4判38ページ。これまで教職員向けは作成されていたものの、児童相談所への相談件数(05年度3万4472件)などが増加し続けていることから、養護教諭に絞ったマニュアルも作成した。
         マニュアルでは「不登校傾向があったり非行や性的問題行動を繰り返す子供の中には、虐待を受けているケースもある」と指摘した上で「常に児童虐待があるかもしれないという視点を持つ必要がある」としている。
        (毎日新聞)1月8日2時33分配信

        ●中1クラスに35人学級を導入へ 山梨県教委
         中学1年への少人数学級導入を模索していた山梨県教委は7日、4月から5人減の35人学級編成とすることを決めた。すでに小1、2年で30人学級を取り入れており、これらに続く試みとなる。
         同制度は35人以下で学級編成をするというもので、県教委の昨年8月時点の調査では30校が該当。ただ1学級しかない小規模6校は学級を分けず、非常勤講師の配置で対応するほか、24校は市町村教委などの意向を聞き、学級を増やして教員を増員するか、増やさずに非常勤講師で対応するか選択させる。義務教育課によると、すでに中1で40人未満の少人数化を取り入れているのは31道府県あり、「いじめや不登校が多くなる中1できめ細かな指導を目指しつつ、集団生活を学ぶための適正規模を考えた」としている。
        (産経新聞)1月8日7時51分配信

        ●県教委:「中1ギャップ」対策で1クラス35人以下に/山梨
        ◇30校対象「アクティブクラス」と選択制
         県教委は7日、公立中学校1年で、いじめや不登校が急増する「中1ギャップ」対策として08年度から導入する少人数学級について、1クラス35人以下と発表した。35人学級編成とクラス分けをせずに非常勤講師を追加配置する「アクティブクラス」の学校ごとの選択制で、全96校のうち30校が対象になる。県教委は35人にした理由を「社会性をはぐくむ年齢でもあり、ある程度の集団規模が必要。少人数学級を導入している他県でも35人が最多」と説明した。
         来年度にかけて小中学校6校がなくなる統廃合などで教員が浮くため、導入に伴う新規の正規採用は行わない。
         選択制にしたのは、学校ごとの教室の不足や校長の方針といった事情に対応するため。対象30校のうち、学年に1学級しかない6校は1クラス20人を切るケースも考えられ、集団規模維持のため「アクティブクラス」に限定する。
         県教委によると、今年度、中1で少人数学級を導入しているのは31都道府県で、そのうち15道県が「35人」を採用している。
         県教委は、市町村教委へのアンケートなどからきめ細かな指導を行う必要性や効果が高いとして昨年11月に中1での少人数学級導入を決めていた。
         県教委によると、06年度の県内の「中1ギャップ」は、いじめが小6で67件、中1で128件、不登校が小6で76件、中1で216件と顕著に表れている。複数の小学校から生徒が集まることによる人間関係作りの失敗や部活動での上下関係などが背景にあるとみている。
        (毎日新聞)1月8日12時3分配信

        ●不登校生支援 塾代表がわいせつ 福岡県警 容疑で逮捕 塾生少女に複数回
         福岡県警は7日、非行や不登校からの立ち直りを支援する自分の施設に入所していた少女にわいせつ行為をさせたとして、児童福祉法違反(淫行(いんこう))の疑いで、同県大牟田市内で施設を運営する特定非営利活動法人(NPO法人)「ハートランド夢翔(むしょう)塾」代表の川野弘樹容疑者(35)=同市馬場町=を逮捕した。容疑を否認しているという。
         調べでは、川野容疑者は昨年7月14日夜、大牟田市内の駐車場に止めた車の中で、塾生の少女(16)に「家族からの手紙を見たければ応じろ」などと言って、わいせつな行為をさせた疑い。
         県警によると、少女は同月7日に入塾。川野容疑者と13‐17歳の少年8人、スタッフの女性1人とともに共同生活していた。川野容疑者から複数回わいせつ行為を求められたため、昨年10月に塾を抜け出しJR博多駅構内で保護された。
         夢翔塾は不登校や非行などの悩みを抱える子どもや家族を対象に心のケアや「居場所」を提供。川野容疑者は講演やテレビ番組に出演するなどしていた。被害少女は、母親がニュース番組で同塾を知り入塾させていた。
        (西日本新聞)1月8日10時9分配信

        ●磐田市:不登校小中学生の施設、市教育支援センター完成/静岡
         磐田市弥藤太島に、不登校の小中学生のための施設「市教育支援センター」が完成し、8日、記念式典が開かれた。不登校の児童・生徒が学校代わりに登校して個別の支援を受けられるほか、保護者の相談にも応じる。同様の施設が専用の建物でオープンするのは県内初。
         センターは鉄骨2階建て延べ約410平方メートル。既に平日の午前9時~午後3時に開いており、現在は小中学生28人が登録している。相談員や臨床心理士ら10人が担当する。
         旧磐田市では95年から「適応指導教室」という同様の支援施設があり、合併後の新市でも続けてきたが、合併で支援を必要とする児童・生徒数が倍増したことなどから、専用施設を新築した。センターでは床面積が約2倍になり、個別学習室も新設された。
         総事業費は約4750万円。市教委に06年末、寄せられた匿名の寄付100万円も、心理検査の用具などの購入に充てたという。
         鈴木望市長は式典で「ぬくもりのある場所にするため、努力していきたい」とあいさつした。
        (毎日新聞)1月9日11時1分配信

        ●廃校生かし若者育成を 高島 民間の通信制高校に認可書交付
         滋賀県高島市今津町椋川の旧今津西小椋川分校を活用し4月1日に開校する民間の通信制高校「ECC学園高」の設置認可書交付式が9日、高島市役所であった。
         予備校や外国語学校を営む株式会社ECC(総本部・大阪市)が、高島市の構造改革特区「株式会社による学校設置」に基づき、学校設置を申請していた。昨年12月末に学校設置認可を受け、昨年7月に廃校になった今津西小椋川分校を有償貸与され、開校する。
         交付式で海東英和市長が「19年間休校だったが新たな若者たちを育てる拠点になる」とあいさつ、山口勝美ECC社長は「素朴な自然の中でスクーリングができ、お互いにいい持ち味がだせる」とこたえた。
         同高は、高校の不登校生や途中退学者を対象にした総合学科の通信制高校で、1学年は定員200人、修業年限は3年。椋川の学舎では、年2回2泊3日のスクーリングを行う。初年度のスクーリング利用者は約40人を見込んでいる。さらに同社がかかえる三十数万人の児童、生徒のキャンプやサマースクール、スプリングスクールでの利用も検討している。
         椋川地区は36世帯66人。65歳以上が人口の約65%を占める限界集落の一つで、地域活性化への期待もある。
        (京都新聞)1月9日20時49分配信

        ●ニート:7割「就職したい」 周囲の理解やサポート必要--県アンケ/宮城
        ◇「人間関係に自信ない」など7割が活動せず 「学校でいじめられた経験」6割も
         「ニート」と呼ばれる無職の若者や不登校生を対象に行った県のアンケート調査で、7割近くが「就職したい」と答えたことが分かった。しかし、そのうちの7割近くが「人間関係に自信がない」などの理由で就職活動を行っていなかった。県産業人材・雇用対策課は「働く意欲が無いと決め付けず、就労には周囲の理解やきめ細かいサポートが必要」としている。
         調査は、ニートや不登校の若者を支援するNPO法人「わたげの会」に委託し、昨年7~8月に実施した。同会が運営する「せんだい若者サポートステーション」(仙台市太白区)などの利用者(16歳~30代後半)102人を対象とした。
         就職に対する意識では、「就職したいので求職活動をしている」が15・7%、「就職したいが求職活動はしていない」は52%で、両方合わせると67・7%が就職を希望していることが分かる。「就職したくない」は8・8%、「分からない」も12・7%あった。
         「就職したいが求職活動はしていない」と答えた人に、活動しない理由を複数選択式で尋ねたところ、「人間関係に自信がない」(66%)▽「体力や気力に自信がない」(60・4%)▽「知識・能力に自信がない」(56・6%)▽「どのような仕事が向いているのか分からない」(50・9%)――が上位を占めた。
         また、過去の経験について過半数の61・8%が「学校でいじめられたことがある」と答えていることから、いじめなどをきっかけに人付き合いに自信をなくし社会とのかかわりが希薄になったとも推測できるという。
         県の集計では、県内のニートの若者は02年時点で約1万2700人で、97年より約1600人増加していた。就職の意欲がありながら、あと一歩を踏み出せない若者のため、同課は厚生労働省のモデル事業として、仙台市と古川市に昨年5月にオープンした若者サポートステーションを活用し、企業での就労体験などに力を入れる考えだ。
        (毎日新聞)1月10日12時0分配信

        ●八戸で母弟妹殺害、18歳長男認める
         青森県八戸市で9日夜、アパート2階の一室から出火し、焼け跡から見つかった3遺体は、この部屋に住む女性(43)と中学3年の二男(15)、中学1年の長女(13)と判明した。首などに刃物で切られた傷があり、県警は殺人事件と断定。行方が分からなかった無職の長男(18)を10日午前6時ごろ、現場から約2キロ離れたJR八戸駅前で発見、サバイバルナイフ(刃渡り25センチ)を振り回すなどしたため、銃刀法違反の現行犯で逮捕した。
         八戸署捜査本部の調べに、長男は「3人を自宅で殺害後、遺体を布団の上に川の字に並べた。なぜかはいいたくない」などと供述しているという。また、司法解剖の結果、3人の死因はいずれも首を切られたことによる失血死だったことが分かった。捜査本部は動機などを追及しているが、長男は落ち着いて取り調べに応じているという。
         八戸駅前で10日早朝見つかった長男は、職務質問した警察官に「近づくな」などと大声で叫び、サバイバルナイフを振り回したため、署員が数人がかりで取り押さえた。当時計8本のナイフを持っていた。
         関係者によると、長男は自宅に引きこもりがちで、日ごろから家族と折り合いが悪かったという。火災があったアパートは2階建てで、ほかの住民は火災に気づき、逃げ出し無事だった。
        ■小学校から不登校…二男「いつか殺される」
         殺害を自供した無職の長男(18)は、小学生のころから家に引きこもるようになり、家族にナイフを突き付けるなどの奇行や暴力を振るっていた。殺害された二男(15)は友人たちに「いつか殺される」と話していた。
         関係者によると、長男は小学校のころから不登校になっていた。家庭内でトラブルがあり、それが引き金になって「長男が精神的におかしくなった」と母親(43)が周囲に漏らしていた。
         その奇行の対象は家族に向かい、二男は「小学校のころ、朝起きると兄が首にナイフを突き付けていた。いつか殺されるかも」と、友人の男子生徒(15)に漏らしていた。長男がナイフやエアガンを収集しているとも聞いたという。
         「いつだったか、自宅に油をまいて火を付けようとしたらしい。お母さんとも、たまにけんかをしていたようだ」と二男の別の友人(14)は証言する。
         殺された母親も近所の飲食店で「長男が暴れるから弟がかわいそう」「中学校には数回しか行かなかった」とこぼしていた。
         しかし、まれに家庭の外に出たときの長男は人付き合いが苦手そうな様子だったものの「無口でおとなしく、こんな事件を起こしそうにない人」と同級生からみられていた。
         昨年10月ごろ、長男と話したという近くの飲食店店長は「『今小説書いてるんだ。どうなるかわからないけど、将来、小説家になりたい。書いたら見せるから読んでくれる?』と初めて自分から話した。やっと自分から話せるようになってよかったと思っていたのに」と当時を振り返る。
         またそのとき、自身の体調についても「今、精神科に通院して薬もらってる。だから今は落ち着いている。たまに耳がキーンとなったり頭痛が続いてたりしてたんだ」と明かしたという。
         調べに対し、長男は9日深夜の出火後、アパートから寄り道せず発見されたJR八戸駅まで徒歩で向かったと供述。現金は所持していたが、着替えなどは持っていなかった。捜査本部は動機などを追及する。
        ◇ジャーナリストの大谷昭宏さんの話「凶悪犯罪というより、異常犯罪だ。凶器を多数用意し、この凶器がだめなら次がある、といったサバイバルゲーム感覚の異常さを感じる。人格障害の可能性が高いのではないか。ただ、最も問題なのは、家庭内での子供の異常行動に関して、相談窓口がないことだ。現状では、家族が恐怖を抱いていても、事件が起きない限り手の打ちようがない。行政、学校、警察などが手を取り合って早急に窓口を作ることが必要だ」
        ◇福島章・上智大名誉教授(犯罪心理学)の話「家族に暴力をふるい、さらにナイフを集めていたということは、攻撃性をもてあましていたはずだ。殺害後に放火したのは、奈良の事件(平成18年6月、奈良県田原本町の高1男子による母親ら3人放火殺人)など、最近の少年による同様の事件を学習し、『家族を殺すにはこの手口』と決めていたと考えられる。放火で事件を大きくし、より鬱憤(うっぷん)を晴らそうとしたのだろう。精神発達の度合いを調べる必要がある」
        (産経新聞)1月11日8時2分配信

        ●「連帯責任」クラス全員平手打ち…横浜市立小の女性教諭
         横浜市都筑区の市立山田小学校で、5年生を受け持つ女性臨時教諭(54)が、児童38人の顔を平手打ちしていたことが11日、わかった。
         一部の児童が野外観察に集まらなかったことに腹を立て、「連帯責任」としてクラス全員をたたいていた。学校は「あってはならない体罰だった」として保護者らに謝罪した。市教委は教諭を処分する。
         同校によると、女性教諭は今月7日、産休に入った学級担任に代わって赴任。翌日、校内にある畑の観察に行こうとしたところ、数人が校庭でボール遊びを始め、なかなか集まらなかったため、「みんなにも責任がある」と、顔を両手ではさむようにしてたたいた。なかには、数回たたかれ、ショックを受けている児童もいるという。
         女性教諭は「行き過ぎた行為だった。クラスが騒がしく、早く立て直さなければという焦りがあった」と説明しているという。
         後藤正博校長は「ビンタは体罰。決して許されない。再発防止徹底を図り、保護者や地域の人々の信頼回復に努めたい」と話している。
        (読売新聞)2008年1月12日3時4分

        ●発達障害きょうだいの会設立(東広島市)
         発達障害者をきょうだいに持つ東広島市内の自営業女性(35)が、悩みや喜びを分かち合うグループ「発達障害者きょうだいの会」を設立する。互いに不安や経験を話し合う場を設けて交流を深めるのが狙い。1月中にも初の集いを開く予定で、会員を募っている。同市や周辺の10―20人程度を募り、数カ月に1回、集いを開催。発達障害者の進学や就職、結婚などをテーマに互いに意見や悩みを話す。
         第1回の集いは、同市西条西本町の市子育て・障害総合支援センターで開く予定。問い合わせは同センター電話082(493)6073。
        (中国新聞)08/1/12

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        [2008.1.6]

        【この頃思うこと】3障がいって言うのをやめて!とニキ・リンコさんは訴えた

         新年、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
         2008年、初回を飾るのはニキ・リンコさん。2月2日には、ノンラベル主催で、KBSホールで開催する講演会にお呼びしています。
         さて、ニキ・リンコさん。昨年12月2日に中京大学で開催された「日本発達障害ネットワーク」年次総会のパネルディスカッション1「当事者が行政に言いたいこと、行政が当事者に言いたいこと」で元気よく発言されていました。厚生労働省、文部科学省のお役人を相手に、森口奈緒美さんと対決。「行政というのに、なぜ国土交通省は来ていないのか!?」、なるほどです。障がい者にやさしい標識づくりなど、国土交通省にもの申したいことがたくさんあるようです。
         さて、特に厚生労働省に対して言いたかったのだろうと思うのが、「3障がいって言うの、もうやめませんか?」でした。今では「自立支援法」のもと、基本的にすべての障がいを対象として施策を行い事になっているようですが、実態は旧来の「知的」「身体」「精神」の3障がいの区分が、依然として縦軸を握っていて、発達障がいや高次脳機能障がいなどなどの比較的新しいものや当該者が少数のものについては、施策の枠組みがほとんどないのが悲しい現実です。「発達障害者支援法」が施行されてこの春で丸2年になりますが、全国の都道府県・政令市のほとんどに「発達障害者支援センター」が設置されたことを除いて、発達障がい者に対する支援の公的なシステムは無いに等しい状態でしょう。文部科学省は医学的にも学術的にも使われていない「軽度発達障害」という新たな名称をLD、AD/HD、広汎性発達障がいの子どもたちにラベリングし、その比率を6.3%と公表しました。教師による「印象」から吸い上げた数値ですから根拠のあるものとは言えませんが、それでも日本国民にあてはめれば数百万人が該当することになります。仮に「発達障害」という障がい概念を用いることにしたとしても、「3障害」という旧来の枠組みは、ニキ・リンコさんがおたけんだように、一刻も早く取り除かれ、すべての障がいへの公的な支援、また民間での支援活動に対する公的な援助が取り組まれることが必用です。
         日本は、障がい者福祉の後進国であることを、他国と比較しながら見つめ直す時ではないでしょうか?
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(1)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        零細企業の給与、7年連続で減少・厚労省調べ

         零細企業の従業員の給与が7年連続で減少したことが分かった。厚生労働省の調査によると、従業員5人未満の企業に勤める人の基本給と残業代を合わせた月給は19万482円で、前年同月と比べ0.1%の減少となった。
         厚生労働省は年に一度零細企業の給与の動向を調べている。今回の調査は2007年7月の給与と、07年のボーナスについて調べた。07年のボーナスは前年比2.2%減の21万4629円で、9年連続で減少した。規模の小さな企業の従業員には景気回復の恩恵は行き渡っていない。
        (日経新聞)(03日07:02)

        ●伏見のNPO法人「車購入へ支援を」 薬物依存症回復活動で
         薬物依存症の人のリハビリに取り組む京都市伏見区のNPO法人(特定非営利活動法人)「京都DARC(ダルク)」が設立5年目を迎えた。利用者が増え、活動エリアも広がったため、法人として車を購入することを決めたが、運営資金の工面で手いっぱい。市民から、購入に充てる寄付金を募っている。
         京都DARCでは、薬物依存からの回復を願う人たちが集まり、グループセラピーを重ねている。設立当初は利用者が数人程度だったが、近年はニーズが高まり、現在は12人の利用者がいる。
         学校で講演をしたり、刑務所で薬物教育をする機会も増え、京都府内だけでなく、近畿一円に出張しているという。
         その際、グループでの移動にはスタッフのマイカーを使っていたが、利用者の増加で車が足りず、事故が起きた時の負担の問題などもあるため、8人乗りのワンボックスカーを購入することにした。
         損保ジャパン記念財団から100万円の助成を受けたが、残りの100万円は自己資金を用意しなければならない。400人近くいる支援者から寄付を募ったが、運営自体に余裕がないこともあり、いまのところ車の購入には20万円ほどしか充てられないという。
         加藤武士ディレクター(42)は「利用者はもう一度人生をやり直そう、生き直そうとしている人たちばかり。活動に必要な車の購入を市民の皆さんに支えていただきたい」と話している。
         問い合わせは京都DARCTEL075(645)7105。
        (京都新聞)12月30日12時29分配信

        ●生活保護業務ケースワーカー、無資格者が23%…全国調査
         全国の福祉事務所で生活保護業務に従事するケースワーカーの4人に1人が、社会福祉法で義務付けられた社会福祉主事の資格を取得していないことが、読売新聞の調査で明らかになった。
         ケースワーカーは自治体職員だが、経験3年未満が全体の7割近いことも判明、保護世帯の増加に対して自治体側の職員育成が追いついていない現状が浮き彫りになった。
         読売新聞が東京23区と17政令市、47都道府県にアンケートし、昨年4月時点での全自治体の人員配置状況を集計、分析した。
         全国1237福祉事務所のケースワーカー計1万3150人のうち、社会福祉主事の資格を持っていない者は23・4%。無資格者の割合が最も高かった政令市は大阪市で69・4%。都道府県は宮城県(仙台市を除く)の46・6%が最高だった。
        (読売新聞)1月5日3時10分配信

        ●「侍学園 スクオーラ・今人」理事長、長岡秀貴さん 無料の相談所を目指す
         仕事をせず学校にも通わない「ニート」や引きこもりの若者らを支援するNPO法人「侍学園 スクオーラ・今人(いまじん)」。この、甲信越では唯一となる厚生労働省委託の「若者自立塾」を運営する。
         「僕らの仕事は話を聴くこと。呼吸と同じで言いたいことを出し切れば、ようやくこちら側の言葉が入る」。「毒吐き」と呼ぶ、親と自分の過去への攻撃の時期を経て、就労に場にゆっくりと導く。
         「仕事のことを悩んでいるわけではない。もっと根っこの部分。人とのかかわりが持てない、人を信じられないとかで悩んでいる」。「働く」ことの前段階で立ちつくす若者は多い。
         「ここ10年間で新しいイプが増えている。完全な欲求枯渇型」と、ニートに変化を指摘する。親に小遣いも求めず、欲求を持たない。「親が死ねば保険金が入る。保険金がなくなったら、じっとして、自分が死ねばいい」。こう話す若者の言葉に罪悪感はみえなかった。
         今年、厚労省委託の無料の相談支援所「地域若者サポートステーション」の指定を目指す。
         「学園運営のため、しかたなく有料で相談をやっていた。無料でできれば、窓口が広がる」と意気込む。主婦らが作った衣料品などを販売するショップにも乗り出し、就業体験の場も増やす予定という。
        (産経新聞)1月6日7時50分配信

        ●非行や不登校の子にサポート校 千葉のNPOが設立
         非行少年の更生を支援している千葉市のNPO法人「ユース・サポート・センター友懇塾」(井内清満理事長)が4月から、通信制高校と提携するサポート校「千葉友懇学園」を開設する。学習支援のほか、静岡・伊豆半島での漁や民宿の手伝いといったユニークな就業訓練を体験できるのが大きな特徴だ。サポート校は専門学校などによる運営が主流で、NPO法人が開設するのは極めて異例という。
         千葉友懇学園は長野県上田市に本部がある通信制高校「さくら国際高等学校」と提携。転入や編入も可能で、入学を希望する生徒は同学園の親子同伴面接と作文を経て、合格すれば両校に入学する。
         同学園の最も特徴的な教育は、生徒に社会人として必要な常識などを身につけてもらうための職場体験。静岡県松崎町に西伊豆学習相談センターを開設し地元の民宿や干物工場、ミカン農園などと提携。生徒は西伊豆の寮に任意の期間住み込み、民宿での接客やミカン園での農作業を体験できる。
         干物工場では魚のさばき方などの実習を受けるほか、漁にも参加、自ら捕った魚を干物にして販売し、売り上げを受け取る。「魚を捕って、さばいて売るという一連の経済活動を実体験して、金銭感覚を養うのが狙い」(井内理事長)という。
         また、週に1、2日は単位の取得を手伝う元中学教諭らが授業を行うほか、自己表現を豊かにするため演劇指導などの情操教育にも力を入れる。
         サポート校は全国で増えつつあるが、単位取得のための学習支援に重点を置くところが多く、同学園のように職場体験などをカリキュラムに取り入れるのは珍しい。
         井内理事長は「単位を取得して高卒資格を得るだけでなく、職場体験などを通して就業意識や規範意識を身につけてもらいたい」と話している。
         問い合わせは同学園(電)043・301・8889。
        ■サポート校 通信制高校に在籍する生徒に学習支援などを行う民間の教育施設。学校教育法に基づく「学校」には該当しない。教科以外の専門的技術の修得のため、音楽科や福祉科といった独自のコースを設けているところもある。
        (産経新聞)1月3日19時37分配信

        ●発達障害ネット滋賀が設立 社会に理解求め支援活動
         日本発達障害ネットワーク(JDDネット)の滋賀県内の組織「JDDネット滋賀」がこのほど、設立された。発達障害のある人やその家族への支援活動を計画するとともに、発達障害について社会の理解を求めていく。
         JDDネットは、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害など、発達障害がある人の家族らが、2005年に立ち上げた。県内でのネットワークを緊密にするため、日本自閉症協会滋賀支部や滋賀LD親の会、滋賀LD教育研究会など6団体が中心になり、JDDネット滋賀を設立した。
         ネット滋賀では、共通する課題を連携して行政や社会に働き掛けようと、すでに県内26市町の特別支援教育や発達障害支援の実態調査に取り組んでいる。
         また、発達障害は「ふざけている」「やる気がない」「親のしつけが悪い」などと、誤解されやすい「見えにくい障害」で、周囲の理解が不可欠なため、企業経営者との懇談会で就業に対する理解を求め、インターネットを通じた情報発信なども進める。
         設立に携わった滋賀LD親の会の前坂雅春さん(54)は「地域や学校、仕事場などで、発達障害のある人に対する社会の理解が進むために活動していきたい」と話している。
        (京都新聞)12月30日22時41分配信

        アスペルガー障がいの“困った”への対処法(2)
        2008/01/02
        アスペルガー障がいの人の中には、質問や問いかけ・呼びかけに答えない、反応しないという状態になる人が少なくありません。
         その理由はいろいろと考えられます。まず、直接対面しての質問に答えない場合では、抽象的な表現の質問だった場合などに、質問の意味がわからない、答えるべき言葉が見つからずに黙り込んでしまう、といったことが多いようです。何を聞かれているのかわからない、答え方がわからない、と相手に言うことは恥ずかしくてできない、という事情が考えられます。
         少し離れた所からの問いかけや呼びかけに反応しないのは、自分のことを呼ばれているとわからなかったり、他のことに夢中になっていて「○○君!」という声が聞こえない、という事情が考えられます。
         いずれにしても、相手にしてみれば、「無視された…」と思ってしまうことになりますが、こうした事情があるために、適切な対応ができない、ということを理解して欲しいと思います。
         成長過程での人間関係の希薄さなどから、社会的会話の「いろは」が理解できていなかったり、言語を聞き取り記憶する仕方の違いから複数のテーマの話しになると始めの話しの内容を忘れてしまうという情報処理上の特性、同時に2つのことができないという特性などから、こうした事情は説明できるかと思います。
         また、質問の内容を取り違える、ということをよく起こす人もあります。
         話しかける時は、本人の前で、自分を確認してもらう。質問は具体的でわかりやすい内容を短く、できれば1つのことについて行う。などの配慮ができれば、十分にコミュニケーションがとれる人たちです。
         次回は「アスペルガー障がいの“困った”への対処法(3)」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        グッドウィル処分開始 労働者ら困惑 明日どうすれば…

         派遣労働者をさらに別の企業に送る違法な「二重派遣」を助長するなどして東京労働局から事業停止命令を受けた人材派遣大手「グッドウィル」(GW、東京)の処分が18日始まり、派遣労働者の支援団体や労働局には雇用不安や生活への窮状を訴える声が寄せられた。職を失った労働者らからは休業補償を求める声も上がっている。
         GWは全708事業所を対象に、2~4カ月の事業停止命令を受けた。労働者の仕事を守るため処分前に適正に契約が結ばれたケースを除き、新しい派遣契約の締結ができなくなる。厚労省は1日約3万4000人の派遣労働者に影響が出ると推測している。
         厚労省が15日から各地の労働局に設けた専用の相談窓口の一つ、神奈川労働局には、「明日からどうしたらいいのか」「契約はどうなるのか」といった10件を超える相談があったという。派遣労働者らでつくる「派遣ユニオン」(東京都新宿区)にも十数件の相談があった。今後の生活への不安を訴える声が多かったという。
         派遣ユニオンは同日、若者らでにぎわう渋谷区内にあるGWの事業所前で、労働者に「日雇い雇用保険」の活用を勧めるビラを配布。事業所から出てきた来日16年の千葉市に住む中国籍の男性(44)は「明日から生活が困る。早く次の派遣会社を探さなくては…。罰を受けるのは私たちではなく会社のトップ。保険がつかえるなら、失業手当を出してほしい」と訴えた。
         厚労省は昨年9月、派遣労働者も失業手当の支給対象にすることを決定している。しかし、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「ほとんどの日雇い派遣労働者は雇用保険に加入しておらず、GWも適用事業所の申請をしていない。補償が受けられる労働者は限られる」と、“最低限の安全網”が事実上機能していない状態を指摘している。
        (産経新聞)1月19日8時1分配信

        ●県立高校で初 発達障害の実態調査/長野
         県教委は県立高校で発達障害についての実態調査を初めて行い、17日、結果を発表した。発達障害のある高校生は、全日制で全生徒の0・3%に当たる138人、定時制で2・7%に当たる46人だった。
         調査結果は昨年8月末現在。全日制に通う生徒のうち、医療機関が発達障害と診断しているのは、学習障害(LD)が12人、注意欠陥・多動性障害(ADHD)が59人、高機能広汎性発達障害(HFPDD)が63人。ほかに4人が、複数の障害があると診断されている。定時制はLD7人、ADHD11人、HFPDD24人。ほかに複数の診断がある生徒は4人。
         診断は受けていないものの、特別な支援が必要と思われる生徒についても、発達障害の傾向を探るチェックリストを基に調べた。該当する生徒は全日制で264人(0・5%)、定時制で83人(同4・9%)だった。
         昨年4月施行の改正学校教育法は、小中学校に加えて高校でも、特別支援が必要な生徒への教育を明記。県教委は来年度、保護者や福祉関係者らと連携を図る特別支援教育コーディネーターの教員を全高校で選任する。県教委特別支援教育課は「現在は高校間で支援体制に差がある。実態把握を続け、体制を整えたい」としている。
        (信濃毎日新聞)1月18日(金)

        ●都城市こども発達センター:発達障害の診断や相談 支援施設が仮開所/宮崎
         身体障害や知的障害に比べて障害が見えにくい発達障害の診断や相談に応じる「都城市こども発達センター」が市役所内の市民健康センターに仮開所した。長峯誠市長らが17日、看板を掲げた。3月までは月3日、4月からは1週間に1回程度、専門の小児科医2人が交代で担当する。
         市は診断だけではなく訓練、訪問指導などの機能も備えた専門施設の整備を祝吉町で進めており、早ければ10月にも本開所する。
         市によると、診断機能を持つ発達障害の専門施設は、県内では宮崎市に次いで2カ所目。対象児が宮崎市の施設に集中し、受診に1年以上待つこともあったため、保護者らが施設設置を求めていた。
         発達障害には、他人の気持ちを推し量ることが苦手なアスペルガー症候群、衝動的で落ち着きのない注意欠陥多動性障害、読み書きが不得手な学習障害などがある。保護者でも気付きにくく、早期発見による支援が必要とされている。
         診断には医師のほか、必要に応じて心理士、作業療法士、保育士らが加わる。完全予約制。市こども課0986・23・2684。
        (毎日新聞)1月18日16時3分配信

        ●シンポジウム:不登校生への関わり方・進路を考える--27日・春日部/埼玉
        ◇医学と教育の観点から
         「不登校生への関(かか)わり方・進路を考える」をテーマにした教育シンポジウムが27日午後1時半から、春日部市民文化会館で開かれる。主催する松実高等学園(春日部市中央1)では「医学的観点と教育的観点から不登校問題をとらえるシンポジウムは県内では珍しい」と、保護者や教育者らに参加を呼びかけている。
         同学園が4月に茨城県つくば市に「東豊学園つくば松実学高等学校」を開校することを記念して開催する。シンポでは獨協医科大越谷病院の小児科医で同大医学部の作田亮一准教授が「医学から見た不登校生との関わり方」について特別講演。元文部省児童生徒問題行動等調査研究協力者会議委員の松井石根氏が「不登校・中退者の実態とその対応、学習の場選択」と題して基調報告した後、パネリストらが討論する。
         入場無料。申し込みは同学園シンポ係(電話048・738・4191)。
        (毎日新聞)1月19日12時1分配信

        ●<引きこもり>東京都がセーフティネット 予防に特化し支援
         東京都は08年度から、不登校経験者や中退者など引きこもりになる可能性がある若者の情報を基に、本人や保護者を支援する「ひきこもりセーフティネット」を始める。予防に特化した支援に行政が乗り出すのは全国初。
         都は区市町村に教育・福祉や、NPO(非営利組織)のスタッフらで構成する連絡協議会を設置。中学や高校から、退学したり不登校の生徒に関する情報提供を受け、支援が必要なケースでは積極的に保護者への相談に乗り出したり本人に訪問面談する。地域の特性も加えた独自の対策案を各自治体から募り、効果が高いと判断した3カ所をモデル事業に指定する。
         また、引きこもり予防のため、家族を支援する「対策マニュアル」も初めて作成する。保健所、NPO、都立校など約720機関と約50人の経験者を対象にした07年度のアンケートや面談による調査結果を活用し、予防に役立てる。都は08年度予算に「若年者自立支援経費」として2億円を計上する。
         厚生労働省の引きこもりに関する全国調査(02年)では、3割以上の人が小・中学校で不登校を経験している。だが、実態把握は難しく、同省やNPOの推計では全国で32万~160万人と開きがある。対応もNPOなど民間が中心だが、学校との連携などが難しく、早期対応が課題となっていた。
         若者支援NPO「育て上げネット」(東京都立川市)の工藤啓理事長(30)は「引きこもりは教育と労働行政の狭間の存在。セーフティネットは画期的な試みだが、不登校や退学の要因は複雑で重層的なため、長期的な視野に立った受け皿作りが求められる」と話している。
        (毎日新聞)1月19日12時27分配信

        ●教職員パワハラ訴え 「異動」示唆、時間外労働強制…/沖縄
         高教組(松田寛委員長)が学校現場でのパワーハラスメントの実態把握のため、県立高校と特別支援学校の教職員に対しパワハラなどに関するアンケートを実施したところ、校長から異動の可能性をちらつかされたり、時間外労働を強制される事例があったことが17日までに分かった。「リストラが導入されたら女のあなたからリストラだ」と言われたり、早朝のゼロ校時授業に異論を唱えたのに対し「学校経営方針に従えなければ異動させる」と言われた例など、パワハラの生々しい一面が明らかになった。高教組のパワハラアンケートは初めて。
         高教組82分会で2007年7月から随時アンケートを受け付け10月までに回答したものを集約した結果、実際にパワハラを受けたことがある教職員を中心に、24分会、151人から回答が得られた。
         高教組は、06年度に県内高校で校長によるパワハラが要因で病休者が出たことや、同年11月鹿児島県で校長からのパワハラを苦に女性教諭が自殺した事態などを受け、パワハラの実態解明に乗り出した。
         現場での実際の校長の言動、「指導・助言」の実態は、各分会の責任者が集約。アンケート結果から、「職員会議で発言しないよう圧力をかけた」「意見の食い違いに対して異動を盾にした発言がある」「若い教師や臨任の教師には高圧的な言葉を投げかけている」など校長や教頭、事務長の職権を背景とした言動や、「職員に個人的な用件で使い走りさせる」など業務と関係ない仕事を強要する事例が確認された。
         高教組の福元勇司書記長は「現場で増加している病休者の中には、パワハラやセクハラに起因するものもある。職場全体の問題として深刻にとらえ直す必要がある」と指摘。県教委に対し「セクハラ、パワハラのような不正常な人間関係を一掃する具体的な取り組みを」と対応を求めた。
         高教組は年度内にも県教育委員会にパワハラに関する要求書を提出し、対策方針の確立や研修実施などを具体的に求めていく。
         学校現場でのパワハラ・セクハラについては、昨年の県議会11月定例会で取り上げられ、仲村守和県教育長も来年度にパワハラとセクハラに関する調査を県教委独自に実施し、実態把握に努める意向を示している。
        <ニュース用語>パワーハラスメント
         職権などのパワーを背景にして、本来業務の適正な範囲を超えて、継続的に人格や尊厳を侵害する言動を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること。一般的に職場の力関係を背景としたいじめを指す。ちょっとしたミスでも容赦ない叱責(しっせき)、暴行、無視、冷遇を行ったり、解雇や転課、左遷の可能性をちらつかせ部下を自分に従わせようとしたり、職務上の立場を利用した嫌がらせなどが挙げられる。
        (琉球新報)1月18日14時13分配信

        ●いじめ訴訟「自宅周辺の徘徊禁止」 大阪地裁が異例の和解条件
         中学生当時にいじめを受けたとして、大阪市内の男子専門学校生(17)が、当時の同級生と母親、市立中学校を管理する市に計1100万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁(深見敏正裁判長)で和解した。和解条項では、同級生と母親が350万円、市側が300万円を支払う上、同級生が男子生徒の自宅周辺を徘徊(はいかい)する行為を禁じる異例の条件が盛り込まれた。
         訴状などによると、男子生徒は中学1年だった平成15年春、同じクラスになった同級生と遊ぶ仲になったが、しばらくして日常的に頭や顔などを殴られ、繰り返し恐喝されるようになった。
         いじめはクラスが分かれた中学2年になっても続き、同級生は男子生徒の自宅を訪れ金を要求。このため男子生徒の母親が学校に相談すると暴行はさらにエスカレート。生徒は股間を強くけられるなどし、現在も後遺症に苦しんでいるという。
         男子生徒側は18年6月に提訴したが、地裁が和解勧告し、昨年12月17日に和解が成立した。
         市教委の中学校教育担当は「裁判所の和解勧告を重大に受け止め、今後生徒間の暴行を未然に防ぐよう指導する」としている。
        (産経新聞)1月18日21時2分配信
        子どもの頃のことですが…(11)鷲羽山スカイラインの今昔
        2007/12/23
        瀬戸内海の眺望で有名な観光名所、岡山県南端の鷲羽山。そこから北へ15~20kmくらいでしょうか、時折瀬戸内海と水島工業地帯を見下ろしながら山をくねくねと走る道路があります。
         前々回の(9)峠の開通、で御紹介した峠にはこのスカイラインの橋が架けられ、橋のすぐ東側には中間料金所が設置されていました。そうです。開通当初は有料道路だったのです。といっても、自動車で200円か300円だったと思います。歩行者と自転車は無料でした。春にはわらび採りに歩いて行ったものでした。
         10年位、有料だったでしょうか。道路の敷設資金が回収できたとかで、ある日、全面無料になりました。中学3年の終わり頃、原動機付き自転車(いわゆる原ちゃり)の運転の練習に、母親と行ってました。私は自転車で…。その頃には、ほとんど車の通行はなく、適度にカーブや勾配があって運転練習にはもってこいでした。
         小学生高学年の頃、土曜日の夜中になると、家の向かいの山がさわがしくなりました(家の南側の山の斜面にスカイラインが通っていたのです)。このスカイラインを車のレースに使う若者が集まってきたのです。そして、時折「ボーン!」というクラッシュ音も聞かれました。
         昨年、久しぶりに車で通ってみましたが、かなり道路の傷みが目に付きます。つまり、今ではほとんど意味のない道路になってしまっているわけです。一体、何を目的に作ったのでしょうか? 疑問です。
         次回は「子どもの頃のことですが…(12)このトンネルは何?」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        多動性障害治療薬「コンサータ」発売、処方医を登録制に

         ヤンセンファーマ社(東京・千代田区)は19日、小児の注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療薬「コンサータ」(一般名・塩酸メチルフェニデート)を発売した。
         同疾患の治療薬が販売されるのは国内で初めて。依存性の高い向精神薬「リタリン」と同じ成分のため、同社は販売開始に合わせて、処方できる医師や薬局を限定する登録制にし、流通を管理する仕組みを導入した。同社によると、コンサータは同疾患の治療薬として、2000年8月に米国で初承認された後、世界70か国以上で使われている。国内では原則18歳未満の患者に対して、有効成分の量が異なる2種類の錠剤が販売される。
        (読売新聞)12月20日1時41分配信

        ●自治体に本部設置要請へ=少子化対策の重点戦略-政府
         政府の「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議(議長・町村信孝官房長官)は18日午前、首相官邸で会合を開き、少子化対策の重点戦略を決定した。これに基づき政府は年明けにも、都道府県や市町村に対し、福祉、教育、住宅部局などにまたがる少子化対策推進本部の設置を要請する。各本部は政府や他の自治体との連絡窓口になる。
         重点戦略は、働く女性の7割が妊娠・出産を機に離職する現状から「就労か出産・子育ての二者択一構造の解消」が不可欠と指摘。併せて「若者、女性、高齢者の労働市場参加」を推進しない限り出生率は回復せず、労働力人口が大幅に減少すると予測した。
         また、働き方の改革と子育て支援サービスの充実を「車の両輪」と位置付け、希望者全員が利用できる子どもの一時預かり事業や家庭的保育(保育ママ)の制度化などを来年度に行うべきだとした。
        (時事通信)12月18日9時1分配信

        ●発達障害児:特別支援教育の本格導入控え、「県アスペの会」が講演会/山口
        ◇「問題行動、背景把握を」児童精神科医・内山教授が指摘
         来年度から本格導入される特別支援教育の本質を知ろうと、発達障害児の親の会「県アスぺの会」がこのほど、山口市の山口大で講演会を開いた。小中高の教員やカウンセラーら約250人を前に、児童精神科医、内山登紀夫・大妻女子大教授が学校への適応が困難な子どもに対する指導で生じる誤解について「生い立ちなど背景把握が重要」と話した。
         同会が発足5周年を記念し主催(県小児科医会共催、毎日新聞社後援)した。よこはま発達クリニック院長の内山教授は自閉症支援の先進地、ノース・カロライナ大学やロンドンで研修。子どもが読める支援本など多数の出版にかかわっている。
         内山教授は助言活動している神奈川県の小学校を例に「特別支援の浸透で先生が言うことを聞かない子を障害と疑う傾向がある」と指摘。「総合的に脳機能の偏りをチェックし支援の方策を講じることが本質」と説いた。
         特殊学級の児童が通常学級で学ぶ際「クラスの中で特性を理解する空気を作らないと混乱する」と言い、身の回りの整理整頓が難しい場合は「しかると自信をなくし学力低下や不登校につながりかねない。どうすればよいか教えてあげて」と訴えた。
        (毎日新聞)12月20日12時3分配信

        ●生徒の作文を両親に開示=いじめ自殺訴訟、神奈川県と和解
         神奈川県立高校1年だった小森香澄さん=当時(15)=が1998年に自殺したのは学校でのいじめが原因として、両親が県と元同級生を相手に損害賠償を求めた訴訟は21日、両親と県の和解が東京高裁で成立した。元同級生とは今年2月に和解している。
         県は和解金440万円を支払う。また、和解条件の一つとして、県は同日、当時の生徒16人が書いた香澄さんに関する作文を、個人名を判別できないよう集約した上で両親に開示した。
         開示された作文を読んだ母親の美登理さん(50)は、記者会見で「わが子の身に何が起きたのだろうと探し続けてきた。本当に欲しかった内容がいただいた文章の中にいくつも入っていた」と話した。
        (時事通信)12月21日18時31分配信

        ●発達障害、親と悩み共有 情報発信ブログ人気 仙台
         仙台市のNPO法人「みやぎ発達障害サポートネット」のスタッフが、ブログ(日記風サイト)を活用して障害に関するアドバイスや日ごろの活動情報を発信し、障害児の親たちから人気を集めている。障害を個性とみなす社会づくりを目指して毎日情報を更新し、開設から半年でアクセス件数は2万件を突破。各種事業への参加者急増にも結び付いた。症状が異なる障害児の親と支援機関をつなぎ、悩みを解決する手段となっている。
         ブログは5月に「虹っ子広場」のタイトルで開設した。常勤や非常勤のスタッフ7人が交代で、障害児の支援方法を学び合う講座を開いたり、子どもたちが共同作業の喜びを感じ取れる野外イベントを開いたりした活動報告を書き込み、一日平均140件以上のアクセスがある。
         ブログの人気に伴い、約40人だった会員数は120人に増えたほか、各事業への参加者数は月平均で約70人から140人に倍増した。
         発達障害は、脳機能の障害により幼児期から言葉の発達の遅れやコミュニケーションの障害などを引き起こす。自閉症やアスペルガー症候群、学習障害などが含まれる。子どもの個性や発達の程度によって、表れる症状が異なる。本人の怠慢やしつけの問題と誤解されることもあり、どう対処したらいいか分からない親が少なくないという。
         サポートネットは、発達障害児と家族の支援を目的に、2005年に発足した。伊藤あづさ事務局長(52)は「障害児の親として同じ悩みを抱えた経験を持つスタッフがブログにありのままをつづり、ネットワークづくりに役立った」と強調する。
         サポートネットのブログは先月、内容や効果が評価され、日本財団(東京)が主催するブログ大賞で福祉賞を受賞した。伊藤さんは「NPO法人として情報を開示することで、信頼性の向上にも有効だった」と手応えを話している。
        (河北新報)12月19日14時35分配信

        ●無年金者、推計で118万人に
         公的年金の無年金者が、今後、保険料を納付しても受給資格を得られない人も含め、推計で118万人に上ることが、社会保険庁の調査でわかった。
         国民年金や厚生年金などの公的年金は、加入期間が原則、通算25年以上にならないと、老後の受給資格がない無年金者となり、納付した保険料も戻ってこない。
         社保庁によると、年齢別の無年金者は、「60歳未満」45万人、「60~64歳」31万人、「65歳以上」42万人。これらの計118万人は、保険料を支払える上限の70歳まで納付しても、25年の受給資格期間を満たせない。
         また、現時点で納付期間が25年に満たず、今後、保険料を支払わなければ、無年金者となる人は、60歳以上で37万人に上る。このため、最大で155万人が無年金者となる可能性がある。
        (読売新聞)12月22日20:14
        子どもの頃のことですが…(10)扇風機と黒電話
        2007/12/16
         今でも、夏に帰省した時に部屋で風をおこしながら回っている扇風機は、たぶん私が生まれて初めて見た扇風機だと思います。ということは、40年くらいは使いつづけていることに…。壊れない物ですね。昔の扇風機ですから、防護柵はあるものの、正面中央部には穴が開いていて、中央で回転している金属部分を指でさわったり、ファンに硬めの紙を当ててブー、パリパリと音をたてて遊んだものです。40年近くを経た今も、風量は3段階調節できますし、ちゃんと首を振ります。首を伸ばすことはできなくなってしまいましたが…。
         もう一つ、長期間使っている物がダイヤル式の黒電話です。番号穴に指をいれて右に回すと、ジーっと音を立てながらゆっくりと左回転して元の位置に戻るあれです。壊れない物ですね。私の実家の初代の電話機で現役です。この電話機にもいろいろとお世話になりました。なにせ町から遠く離れた村の奧ですから…。町に住む友だちに連絡をとる手段は電話しかありませんでした。最近の調査では、高校生が携帯電話を1日に使用する時間は(メールも含めて)2時間余りとか。私は、高校生の時に、5時間15分という連続通話記録を持っています。右手がしびれれば左手に持ち替え、左耳が痛くなれば右耳に替え、特に大した話しがあるわけでもないのに、ただ「切れない」だけでしゃべり続けました。確か、相手からかかってきた電話だったので、電話代は相手持ちだったのがせめてもの救いでしょうか(^。^)。
         長持ちする物は長生きする物、と思って付き合っていくのも良いものです。わが家では、何か新しい家電製品を購入し使い始めた時には、マジックでその日付を書き込むことにしています。投下した代金がちゃんと元を取ってくれるか、またその手の商品の耐久年数はどれくらいかを知るためです。結果、長持ちしている製品を愛おしく感じるようになるから不思議です。
         次回は「子どもの頃のことですが…(11)鷲羽山スカイラインの今昔」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <生活保護引き下げ>受給者、悲鳴と不安

         厚生労働省の検討会が生活保護基準(生活保護費の水準)引き下げを容認する報告書をまとめた。国が基準引き下げに踏み切るかどうかは未定だが、物価上昇が目立ち始めた今、「基準を引き下げられたら生きていけない」と訴える生活保護受給者も多い。7日に開かれた市民集会「生活扶助基準に関するもう一つの検討会」には当事者や学者ら約150人が参加、報告書への批判が相次いだ。
        ◇現状でも命維持のみ
         「生活保護は現状でも命を維持するだけの制度にとどまっている」
         生活保護を受けている70歳以上の人に支給されていた「老齢加算」が06年に廃止された後の高齢者397人の生活実態を調査した全日本民主医療機関連合会の斉藤江美子さんは、強い口調で訴えた。
         下着を含む衣類などの年間購入頻度では、82.5%が「3回以下」と回答し、「ゼロ」は40%。廃止で一番不足したのは食費(53.9%)で、「白いご飯だとおかずが欲しくなるのでパンで済ます」「1合のご飯を3回に分けて食べる」など、切り詰めた生活が浮かんだ。7割以上が地域行事や冠婚葬祭への参加を控えていた。斉藤さんは「孤立化した状態だ。これで健康で文化的な生活と言えるのか」と疑問を投げかけた。
         生活保護を受けるシングルマザーの女性は「何度就職しても解雇され、わずかな児童扶養手当に救われた。今も失職中だが、19歳の長男の稼ぎでやっと生きている」と窮状を訴えた。
         事故で足や手の指を切断し、視覚障害もある男性は「おにぎり252円、納豆99円……」など細かく記した家計簿を公開した。仕事はできないが、小学校などで自らの体験を語っている。「新しいコートがほしくて食費を削っている。生活保護を利用しながらでも社会参加し、生きていたいという思いは間違っているでしょうか」と声をからした。
         集会では、生活保護を受けていない人からも、基準の引き下げが他の手当に影響するのでは、との不安の意見が相次いだ。
        ◇厚労省「低所得世帯より生活費高い」
         検討会は厚労省社会・援護局長が設置。座長の樋口美雄・慶応大教授ら委員5人が先月30日、食費、光熱費など生活費について、低所得世帯の支出額と保護世帯の受給額を比べ、保護世帯の方が高い、との結論を出し、引き下げを容認した。
         昨年度廃止された「老齢加算」(月約1万6000円)や09年度に全廃の「母子加算」(月約2万1000円)の廃止決定の時も同じような比較がされた。
         社会保障審議会福祉部会が03年、「低所得の60~69歳」と「70歳以上」、母子の「低所得世帯」と「保護世帯」の消費支出をそれぞれ比べた。その結果、「70歳以上で支出が増えることはないので老齢加算は不要」「母子では保護世帯の受給額が低所得世帯の支出額より高い」と指摘。それから間もなく減額・廃止が決まった。
         いずれも当事者へのヒアリングは行われなかった。生活保護基準は、厚労相の告示で定められるため、今後いつでも裁量一つで基準を引き下げられる。
         老齢加算の対象者は約30万人、母子加算は約9万人だが、今回は全受給者約150万人にかかわる。基準引き下げで保護から外されると、ケースによって免除されていた地方税、国民年金保険料などの支払い義務が生じ、厳しい生活に追い打ちをかける。
         保護世帯以外の低所得世帯にも大きな影響を及ぼす。自治体の低所得者向け生活福祉資金(低利貸付制度)や就学援助などは、収入が「生活保護基準の1・2倍以内の世帯が対象」などと保護基準と連動させているものが多い。引き下げはこうした制度の利用世帯も直撃する。
         改正最低賃金法には、最低賃金は生活保護との整合性に配慮するよう明記され、基準引き下げは最低賃金の上げ幅にもマイナスの影響を与える。
        ◇小泉内閣以来の路線
         生活扶助の引き下げは政府の既定路線だ。04年の年金、05年の介護、06年の医療と、給付減額を伴う制度見直しを続けた。
         昨年7月に閣議決定された小泉内閣最後の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太の方針06)には、社会保障費を5年で1.1兆円削減する方針が盛り込まれた見直し対象に生活扶助などが列挙され、「08年度には確実に実施する」と期限も切られた。
         骨太策定時の議論は「削減ありき」で進み、後に達成手法へ移った。その際、かぜなど低額な医療費の全額自己負担化や、介護保険の自己負担を1割から2割にアップすることも検討されたが、選挙への影響を恐れた与党が退け、結局「抵抗勢力」が少ない生活保護が残った。
         高齢者医療費の負担増凍結を打ち出した福田康夫首相も、生活保護には音なしの構えだ。一方、検討会の報告書が公表された後、民主、公明党が相次いで勉強会を開催。民主党の部門会議では厚労省保護課長のほか、保護受給者と支援する市民グループメンバーらを招いてヒアリングが行われ、出席した議員から引き下げを疑問視する質問、意見が相次いだ。
        ▽生活保護費 飲食費、衣料費、光熱費など日常生活にかかる生活扶助が基本。必要に応じて支給される住宅費(家賃)、医療費などを足した総額が最低生活費認定額となる。勤労、年金などの収入がある場合は、その分を差し引いて支給される。最低生活費は、地域の物価差などで異なる。例えば3人世帯(33歳の夫、29歳の妻、4歳の子供)では、最も高い東京都区部などで月額16万7170円、最も低い地方は13万680円。06年度の調査では、受給者の50.2%が60歳以上。
        (毎日新聞)12月8日22時5分配信

        ●平仮名の作文、「八つ」を「はちつ」=国語力低下、教師9割が実感-岩波書店調査
         「八つ」を「はちつ」、平仮名だけで作文-。小学生の国語力が低下していると感じる教師が約9割に上ることが8日、「岩波書店」(東京都千代田区)が教師100人を対象に行った調査で分かった。同社は「現場の先生が危機感を持っている表れではないか」としている。
         調査結果によると、国語力について「非常に低下」とした教師は15人で、「やや低下」の73人と合わせるとほぼ9割に達した。「全く低下していない」との回答は皆無だった。
         具体例を挙げてもらったところ、4年生が「八つ」を「はちつ」と誤読したほか、数え方を知らずに、何でも「個」とする児童がいたという。
        (時事通信)12月8日14時30分配信

        ●「選挙なので言ってしまった」年金照合の年度内完了に白旗 官房長官
         町村信孝官房長官は11日午前の記者会見で、基礎年金番号に未統合で宙に浮いた年金記録の統合を来年3月末までに完了するとした自民党の参院選公約について「最後の1人まで3月末までにやるというわけではなく、選挙なので『年度末まですべて』と縮めて言ってしまった」と述べ、年度内の完全実施は難しいとの認識を示した。
         年度内までに統合が完了しない記録については「離婚などによって名前が変わったり、すでに亡くなったり、漢字変換が原因で氏名が間違ったりしたもの。来年4月以降も(照合作業を)やる」と説明した。統合作業の完了時期に関しては「分からない」と述べた。
         社会保険庁は宙に浮いた年金記録約5000万件のうち、18・5%にあたる約945万件が統合が難しい記録であるとの調査結果をまとめている。
        (産経新聞)12月11日11時31分配信

        ●<年金記録>舛添厚労相、開き直り?「ないものはない」
         宙に浮く年金記録約5000万件中、945万件の特定が困難との社会保険庁の調査結果を受け、舛添要一厚生労働相は11日午後、記者会見した。「他の方が大臣になっても結果は同じ。ないものはないんだから」「(参院選で)年金は最大のテーマ。『できないかもしれないけどやってみます』なんて言いませんよ」。開き直りとも取れる発言が続いた。
         「正直いって、ここまでひどいとは想像していませんでした。5合目まで順調だったが、こんなひどい岩山とアイスバーンがあったのかと率直にそういう気がします」。調査結果の感想を問われ、そう語った。
         政府が照合を3月末に完了すると公約し、就任直後に「最後の一人まで探し出す」とした発言との整合性については、「3月末までにすべてを片づけると言った覚えはない。5000万件の名寄せをやらなかったら公約違反」と述べ、矛盾はないと繰り返した。
         照合作業の期限を尋ねられると「エンドレスです。できないこともあります。そうでしょ?」と記者に同意を求め、「やったけどできなかったというんじゃなくて、みんなで努力してやっていくというポジティブな気持ちになっていただくことが必要だと思います」と語った。
        (毎日新聞)12月11日21時20分配信

        ●天理の女児不登校問題:校長自殺 教育長の辞任要求--市議会一般質問/奈良
        ◇責任問う発言相次ぐ
         天理市で04年2月、市立小学校の校長(当時60歳)が自殺した問題で、10日の市議会一般質問で、市議から吉岡溥(ひろし)市教育長の責任を問う発言が相次いだ。質問した吉井猛市議だけでなく、北田利光議長も吉岡教育長の辞任を求めた。吉岡教育長は「判断は私がする。この席で表明するものではないと思う」と答弁した。
         この問題は03年5月、市立小学校の男性教諭が、担任する3年生の授業でクラスの女児の姉が養護学校に通っていることに触れ、差別するような発言をしたとされ、それがきっかけで女児が不登校になった。04年2月13日に問題が報道され、一週間後の20日、校長が自殺。今年9月、公務災害が認定された。
         吉井市議は校長が教育長に相談に行った時、「お手上げなら校長を辞めてもらうことだ」と言ったとされる点や校長に責任ある支援をしなかったとされる点について「教育長の姿勢が校長を追い詰めたのではないか」と辞任を求めた。
         吉岡教育長は「市教委は何度も話し合いの場を持つなど、私を含め精いっぱい取り組んできた。校長のご遺族と認識が違う点がある。誤解を解きたい」と釈明した。
         吉井市議の質問後、北田議長は「校長先生の死は、あなたに対する抗議。責任ぐらいきちんと示しなさい。任命権者の市長もその点よく考えるように」と異例の言及をした。
        (毎日新聞)12月11日17時0分配信

        ●名張市:発達障害児ケアの療育センター設置へ、来春に検討委/三重
        ◇市立病院の小児科医、来年度には4人態勢
         名張市の亀井利克市長は7日、発達障害児をケアする療育センターの設置検討委員会を来年4月に立ち上げることを明らかにした。また、名張市立病院の小児科医を、今年度中に2人から3人に増やすことも示した。
         開会中の12月定例市議会で、吉住美智子議員(公明党)の質問に答えた。
         療育センターは、医師など専門家のアドバイスを受けながら、集団生活における発達障害児の行動などを長期間にわたって観察し、療育していく施設。専門家の指導で「一人一人に合った個別プログラムを作れるのが特徴」(亀井市長)としている。
          市は、関西医大からの小児科医の派遣を受けて、来年度中に医師6人態勢の小児医療センターを名張市立病院内に設置する構想を掲げている。
         しかし、小児科医の増員は当初計画より遅れており、来年度中には1人増やし、4人態勢となる見込み。市はさらに小児科医の増員を進めながら、小児医療センター設置を目指すとしており、同センター設置後に、療育センターを併設する方針。
         また議会後、24時間態勢の小児救急医療の再開について、報道陣から質問を受けた亀井市長は「検討中」と述べるにとどまった。
        (毎日新聞)12月8日15時2分配信

        ●スクールソーシャルワーク研究会しが:子ども目線で支援策 15日から講座/滋賀
        ◇虐待や不登校の対処法--来春まで4回開催
         教育関係者や不登校生徒の保護者、民生・児童委員らが参加する「スクールソーシャルワーク研究会しが」(会長、佐子完十郎・栗東高教諭)は15日から3月8日まで、4回連続で公開講座を開く。「スクールソーシャルワーク(SSW)」は、学校でさまざまな問題に直面する子どもを支援するため、家庭や地域を含む環境に働きかける手法で、虐待や不登校などの対処法として注目されている。
         講座はいずれも午後1時半~4時半。初回の15日は米原市下多良2の県立文化産業交流会館で、SSWの基本的視点を佐子代表と岩崎久志・流通科学大准教授が講演する。
         次回は来年1月19日、栗東市綣7のコミュニティセンター大宝で、養護教諭と彦根子ども家庭相談センターの富永豊さんが児童虐待などについて話す。
         3回目は2月23日、野洲市市三宅のコミュニティセンターきたので、大阪府教委スクールソーシャルワーカーの大塚美和子さんの講演と模擬事例の検討がある。
         最終回の3月8日は米原市下多良の米原公民館で、在日外国人支援について、教育、福祉両面から栗東市教委の右田マリアナ春美・日本語指導員が語る。
         佐子代表は「子どもの側に立つという原点を再確認したい」と話している。参加費1000円。
         問い合わせは佐子さん(090・3708・3315)。
        (毎日新聞)12月13日16時1分配信

        ●滝川の小6自殺:当時の担任との面談を 親族、道教委に要請/北海道
         滝川市立江部乙小学校でいじめを苦に自殺した6年生女子の親族と、北広島市立東部中学校のいじめ放置問題で被害に遭った女子生徒2人の保護者が13日、合同で道教委を訪れ、いじめ対策について申し入れをした。このうち小6女児の親族は当時の担任との面談を要請した。
         滝川市のいじめ自殺では、女児が05年9月に首をつり、翌年1月に死亡。06年9月に起きた北広島のいじめ放置では、女子生徒がいじめに遭い、別の女子生徒が教師に伝えたものの、学校側が対応せず、被害に遭った生徒は不登校、告発した生徒は転校する事態になった。
         自殺した女児の親族はこの日、「真相に迫りたいと、当時の担任に説明を何度も求めてきたが、市教委や学校の壁に阻まれ、納得いく対応がない。これでは無念が晴れない」と話し、道教委の仲介で担任から直接話を聞くことを求めた。
         また、北広島市の女子生徒2人の保護者は「市教委の報告書には虚偽があり、是正を申し入れたが、話し合いに応じる姿勢がみられない」として、道教委に指導するよう要請。同席した全国いじめ被害者の会の大沢秀明会長も「解決が遅れる背景に学校が安全配慮義務を怠ったことがある。道教委もその点を踏まえてしっかり対応してほしい」と話した。
         これに対し、道教委学校安全・健康課の担当者は「内容を検討したうえで、できるだけ早く回答したい」と述べた。
        (毎日新聞)12月14日11時1分配信

        ●発達障害:支援必要な児童生徒数、県調査で平均4.6%/岡山
         県内の公立幼稚園、小中学校の通常学級で、発達障害などで支援を必要とする児童・生徒らの割合が、幼稚園7・5%(570人)▽小学校5・0%(5508人)▽中学校3・6%(1937人)▽小中平均4・6%(7445人)――だったことが13日、県の調査で分かった。医学的診断や統一的基準によるものでなく、肢体不自由者なども含まれるが、県がこの種の調査を実施したのは初。
         過去には文科省が02年、全国約4万人の小中学生を対象に実施した調査があり、発達障害またはその疑いがある児童生徒は6・3%と報告されている。
         門野八洲雄教育長が県議会で答弁した。県指導課によると、調査は11~12月にかけて、幼稚園300園、小学校423校、中学校165校を対象に実施した。今回の結果を受け、県教委は、教員の指導力を高める研修の充実▽各学校への専門家チームや巡回相談員の派遣▽市町村レベルでの専門機関との連携――などにより、特別支援教育の推進を図る。
        (毎日新聞)12月14日14時0分配信

        子どもの頃のことですが…(9)峠の開通
        2007-12-08
        私が生まれ育った村の奧に向かう道路は、私が小学校の低学年頃まで行き止まりとなっていました。幼い頃、山の奥へ向かって伸びる道路を、行き止まりまで歩いていくことも、楽しい遊びでした。もちろん土で固められた道路でしたが、本格的なものではなく、でこぼこだらけで、草がいっぱい生えていました。そして、疑問に思っていました。「何故、行き止まりなんだろう?」「どうして放ってあるんだろう」。
         海の干拓が進み、工場の建設も進むに連れて、この行き止まりの道に動きがありました。工事が始まったのです。開通した後でわかったことですが、行き止まりの山の向こうには、村落があり、町へとつながる幹線道路が通っていて、工場地帯で働く人が通勤するための近道として山越えの道路を開通させようとしていたのでした。当時の私の生活世界はその道の行き止まりが世界の東の端だったのです。
         工事は短期間で完了したかと思います。峠の一番上あたりを削って道路を通すのは難工事だったそうです。それまで、私の村では、特に実家のある村の奧では自動車というものには滅多にお目にかかりませんでしたが、この山越えの道路が開通する頃から自動車は頻繁に目に入るようになり、この道路は短期間に交通量の多い、文字通り通勤道路となっていきました。アスファルトで固められた2車線道路が、村を通り抜けることになったのです。
         私の父も、ずっとバイクで通勤していましたが、35歳頃でしょうか、自動車運転免許を取り、軽自動車を購入しました。峠の開通は、村にモータリゼーション時代をもたらしましたが、道路が整備され、車の数が増えただけで、過疎化、村の高齢化の進行を止めることには何ら役立たなかったことは、その後の歴史が物語っています。
         次回は「子どもの頃のことですが…(10)扇風機と黒電話」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        日本の豊かさ、7位に後退=生産性本部調査

         社会経済生産性本部(牛尾治朗会長)は3日、2007年版「国民の豊かさの国際比較」を発表した。経済協力開発機構(OECD)30カ国中、日本は7位で前年(6位)より順位を下げた。
         この調査はOECDと世界銀行の最新データを用いて、環境、教育など6分野で各国と比較・分析するもの。日本を指標別に見ると、環境(4位)、健康(5位)は上位となったが、教育(13位)は中位に後退。マクロ経済(22位)は政府が巨額な財政赤字を抱えている点が響き、下位にランクされた。
         今年の総合ランキング1位はルクセンブルクで、以下ノルウェー、スウェーデン、スイス、フィンランド。5位までは前年と同順位だったが、6位にはオーストリアが入った。
        (時事通信社)2007/12/03-17:41

        ●15歳の学力で日本続落 応用力、読解力とも OECD
         経済協力開発機構(OECD)は4日、15歳を対象に06年に実施した国際的な学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。3回目となる今回は57カ国・地域が参加し、知識・技能を実生活に応用できるかどうかを主眼に合計40万人、国内は約6000人の高校1年が受けた。日本は、「読解力」で前回(03年)14位から15位、「数学的リテラシー(応用力)」では6位から10位に順位を落とした。
         先行して公表された「科学的リテラシー」でも2位から6位に下がっている。参加した国や地域が16増えたことや読解力の点数は03年の前回と同じだったことなどから、日本の学力がさらに落ちたとは言い切れない。ただ、文部科学省が「世界トップレベルと言えない」と分析した前回調査からの3年間で対策は目に見えた効果をあげておらず、学力をめぐる議論が再燃しそうだ。
         点数は3分野とも、OECD平均で500点になるよう調整されている。文科省は今回の日本の得点について統計的な誤差も考慮に入れたうえで、読解力は「11~21位でOECD平均と同程度」、数学的リテラシーは「6~13位で平均より高得点グループ」、科学的リテラシーは「3~9位で上位グループ」と分析している。
         今回受験した生徒は現行の学習指導要領が施行された02年春に小学6年だった。文科省は順位が落ちたことを「課題として受け止める」とし、指導要領の改訂で理数の授業増や各教科で言語力の育成などを盛り込む方針。これが、調査で浮かんだ課題への対策の中心となる。
         国際的にみると、読解力では韓国が1位(前回2位)、数学的リテラシーでは台湾が初参加で1位、科学的リテラシーではフィンランドが前回に引き続き1位だった。
         今回最も力を入れて調べた科学的リテラシーを詳しくみると、日本は、「証拠を用いる」能力で2位だったものの、「疑問を認識する」で8位、「現象を説明する」で7位と、自ら課題を設定し説明する力に弱点があった。
         PISAではアンケートも実施。科学に興味・関心や楽しさを感じている日本の生徒の割合は、さまざまな質問でOECD平均を軒並み下回った。
        (asahi.com)2007年12月05日06時24分

        ●OECD学力調査受け渡海文科相 「理数教育の充実努める」
         渡海紀三朗文部科学相は4日、結果を受け、読解力は横ばいだが、数学的活用力と科学的活用力は下がっていると分析し、「応用力や活用力の課題も改めて明確になった。今後理数教育の充実に努めたい」と述べた。
         原因については「中央教育審議会で授業時間を増やそうというのは(授業時間が)足りなかったからであり、活用力を上げるには基礎基本の知識が必要だ」として、授業時数、学習内容を削減した現行の学習指導要領が影響したことを事実上認めた。
         科学への興味、関心が最低だったことには、実験や現場を見るなど実体験を増やすことが重要だとし、論理的な思考の基盤となる言語力を育てる必要があることを強調した。
        (産経新聞)12月5日8時2分配信

        ●<障害者自立支援法>年金引き上げなど盛った見直し案合意
         与党の障害者自立支援に関するプロジェクトチーム(木村義雄座長)は5日、障害基礎年金の引き上げなどを盛り込んだ障害者自立支援法の抜本的見直し案で合意した。近く政府に提出する。
         見直し案は、障害者支援策について、介護保険への統合を前提としないことを明記。障害基礎年金は2級の給付額(月6万6000円)を1級(月8万2000円)並みに引き上げ、1級をさらに引き上げる。06年末から08年度まで計1200億円を投入した「特別対策」は09年度以降も継続。障害児のいる世帯のサービス費や医療費の自己負担合計額に上限を設け、サービス費の減免措置が適用される年収基準を現行の600万円未満から890万円未満に緩和する。
        (毎日新聞)12月5日18時23分配信

        ●ILO、障害者雇用で勧告検討 国内法定基準に満たず
         一定割合の障害者の雇用を義務づける法定雇用率を日本企業が下回り続けている状況について、国際労働機関(ILO)が是正勧告を出すかどうかの検討に入ったことが2日、わかった。勧告に強制力はないが、日本政府は国際的な批判を受けかねず、対応が求められそうだ。
         ILOは、全国福祉保育労働組合が障害者の雇用促進を求めて行った是正勧告の申し立てを先月、正式に受理。労使代表らが加わる審査委員会も設置した。日本政府や組合が提出する障害者雇用に関する資料をもとに、勧告について判断する。
         ILOの「障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」は、批准国に障害者の雇用機会の増進に努めるよう求めており、日本は92年に批准した。
         しかし、日本の民間企業(従業員56人以上)の07年の障害者雇用率は1.55%で、76年に障害者雇用が義務化されて以来最高だったが、法定雇用率(1.8%)は未達成となっている。同労組は是正勧告を求めた申し立てでこれを批判。障害者に福祉サービス利用料の原則1割負担を求める障害者自立支援法も条約違反だと、撤廃を求めている。
         日本障害者協議会の藤井克徳常務理事は「国際機関の評価を得て政府に是正を求めたい」と話す。厚労省は「今後、政府の見解を審査委員会に提出する。現時点ではコメントできない」としている。
        (asahi.com)2007年12月03日08時49分

        ●構造改革で「格差拡大」65% 否定意見は都市も地方も 北大全国世論調査
         北大の政治学を専門とする教員らでつくる「市民社会民主主義研究プロジェクト」(代表・山口二郎法学部教授)が全国の約千五百人を対象に実施した世論調査で、小泉純一郎、安倍晋三政権の構造改革で「日本はどうなったと思うか」との問いに対し、65%が「貧富の差、都市と地方の格差が広がった」と回答したことが六日分かった。都市部も地方も回答の傾向は変わらず、構造改革の陰の部分を問題視する声が、全国的に強いことが浮き彫りになった。
         プロジェクトには、北大法学部の教員を中心に十五人が参加。調査は十一月下旬、コンピューターで無作為に選んだ番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法を用い、北海道新聞情報研究所に委託して実施した。
         構造改革の評価=グラフ=は、六項目から二つを選ぶ形で調べ、格差拡大のほか「公共サービスの質が低下した」など否定的な回答が多かった。逆に「政治家や官僚の不透明な特権が是正された」「経済的な活力が高まり、豊かさを取り戻した」といった肯定的な評価は低かった。
         地域ごとに見ても、「格差拡大」は「東京都区部と政令指定都市」から「郡部」まで全地域で最も多かった。
         「今の日本で最も困っている人は誰だと思うか」との問いでは(一つだけ回答)、高齢者(29%)と「フリーターなど正社員ではない若者」(27%)が多く、農家と障害者が各13%で続いた。貧困問題の対策については、直接的な経済援助より職業訓練など自立支援に力を入れるべきだとの意見が多かった。
         同プロジェクトは本年度から五年間、今後の民主主義や公共政策のあり方などについて研究しており、今回の調査結果は研究の基礎資料とする。
         結果について、山口代表は「都市部でも、構造改革の弊害に対する不安が大きいことが分かった。国民の多くは、競争と効率重視の新自由主義に対抗しながらも、旧来型の大きな政府ではない第三の道を求めているようだ」と分析している。
        (北海道新聞)12月7日06:38

        ●年金から住民税天引き、09年10月支給分から…与党方針
         政府・与党は7日、高齢者が受け取る公的年金から、住んでいる自治体に納める個人住民税を自治体が天引きできる制度を、2009年10月に支給する年金から始める方針を固めた。
         年金受給者は現在、1年間の個人住民税を6、8、10、翌1月の年4回に分けて、自治体の窓口や金融機関などに出向いて納めなければならない。天引きになれば、こうした手間が省ける。年金は2か月ごとに支給されるため、年間の納税額を6等分し、毎回の年金から差し引く。
         総務省によると、年金受給者のうち、個人住民税を納める水準まで年金収入があって天引きの対象となる人は500万~600万人いるという。天引きは自治体にとっても事務を効率化できるメリットがある。
        (読売新聞)12月8日8時58分配信

        ●氏名公表は時代の流れ 法相の意向も反映
         法務省は、死刑を執行された死刑囚の氏名と年齢、犯罪事実の公表に踏み切った。死刑に関する国民世論に対して神経質ともいえる対応を取ってきた法務省が、一般国民への情報公開へと舵を切ったという意味で、時代の大きな転換点ともいえる。
         死刑執行に関する情報公開は長年の法務省の懸案で、以前から検討されていた。平成10年11月から執行の事実と執行人数を公表したが、氏名などの全面的な情報公開には踏み切らずにいた。
         氏名を公表しない理由として、法務省は死刑囚の遺族の精神的苦痛や、ほかの死刑囚に与える影響を挙げていた。しかし、一方で死刑が適正に行われていることを国民に理解してもらうため、情報公開を進めるという社会的要請もあった。両者のバランスを考え、法務省は情報公開による死刑制度の理解を深めることに重きを置いた。
         今回の判断には、8月に就任した鳩山邦夫法相の存在も影響している。「法相が絡まなくても自動的に(死刑執行が)進むような方法を考えたらどうかと思うことがある」と述べたのを皮切りに、次々と死刑に関する発言を繰り返した。
         この際、執行手続きを「ベルトコンベヤー」や「乱数表」などと表現したため野党から「法相として不適格」と批判を浴びたが、一連の発言が議論を後押ししたことは確かだろう。
         鳩山法相の存在について、法務省のある幹部は「今までは死刑の議論自体がタブーのようなところがあったが、鳩山法相が就任してオープンに議論が行われるようになった」と明かす。
         今回公表された情報は人命にかかわるという意味で大変重い。われわれはこの情報をやり過ごすのではなく、改めて事件の悲惨さや死刑制度の意義について考えるきっかけとすべきだろう。
        (産経新聞)12月7日13時40分配信

        ●国連人権高等弁務官、日本の死刑執行に「遺憾」
         【ローマ】国連人権高等弁務官事務所(本部ジュネーブ)のルイーズ・アーバー高等弁務官は7日、東京と大阪で同日、死刑囚3人の刑が執行されたことについて、「遺憾」とする声明を発表した。
         高等弁務官は、刑が執行された死刑囚の中に70歳代の高齢者が含まれていたことを問題視しており、声明の中で、「高齢者に対する刑の執行に正当な理由は見あたらない」とした。
        (読売新聞)2007年12月8日10時33分

        ●発達障害 地域で支えよう 南丹で保護者ら講演
         発達障害の子どもや保護者の支援について考える講座が6日、京都府南丹市園部町小山東町の府園部総合庁舎で開かれた。口丹波で支援を進める約20人が参加し、講演などを通して地域のかかわり方を考えた。
         発達障害は自閉症やアスペルガー症候群、学習障害など低年齢で現れる脳機能障害。講座は、発達障害児を支える地域づくり事業を進める府南丹保健所が主催した。
         ■安心できる場所を
         口丹波の発達障害の子どもを持つ親の集い「ぶどうの木」の西田香代子代表は、自閉症と診断された長男の体験を例に、安心できる場所や人を得るのは時間がかかるとする一方で、成長の跡として最近、親と離れて保育所の外泊旅行を楽しんだことを紹介した。その上で、「自閉症は子どもによって特徴が違って支援も難しいが、ゆっくり時間をかけて接したら伝わることを分かって」と話した。
         発達障害児通園施設「洛西愛育園」(京都市西京区)の高木恵子園長は「障害を理解しようという雰囲気が広がったことで、むしろ周りがどう接していいのか分からなくなっている」とし、「地域の支援があって初めて、子どものつぶやきを受け止め、『あなたがいて良かったよ』と言える環境が生まれる」と訴えた。
        (京都新聞)12月6日18時49分配信
        子どもの頃のことですが…(12)
        2007/12/07
        このトンネルは何?

         2007年、最後の更新となります。今年1年、お世話になりました。
         さて、今日のお題は「このトンネルは何?」です。高校生の時のことです。中学までは自転車で、山を3つ越えて、片道8km余り。高校はさらに1kmほど行った、町の中にありました。「繊維の町・児島」、その昔は塩田で有名だったそうですが、今ではその面影はほとんどありません。
         高校から帰るルートがいくつかありました。その中で、鷲羽山から下津井漁港の手前を回って帰るコースが一番距離が長いものでした。今でもある鷲羽山ハイランドの前を通るコースです。問題のトンネルは、鷲羽山ハイランドの手前にありました。くねくねと上り坂をえっちらおっちら登っていくと見えてくる、山に上下に開けられた2つの大きな穴。「トンネルらしい」とは思いましたが、その向かう先は瀬戸内海です。いったい、何のためのトンネルやら、としばらく不思議でなりませんでした。
         大学で京都に来てから、「瀬戸大橋、児島-坂出ルート」なるものの工事が始まるとマスコミで報道されるようになりました。「ははー、これか」と合点。数年後、帰省した折に現地へ行ってみると、2つの穴から鉄橋が瀬戸内海に向かって伸びているではありませんか。島から島へ、海を渡ってつながる本四連絡橋の壮大な姿に驚いたものです。
         驚いたのはそれだけではありませんでした。前回までにご紹介した「峠」の向こう、隣の村の上空に橋が架かっていました。「瀬戸中央自動車道」の陸橋です。それは大きな橋で支えられた、巨大なオブジェでした。
         「日本列島改造」の象徴とも言える瀬戸大橋、私の実家は、そのすぐ近くとなったのでした。今では、帰省は車で、名神高速、中国自動車道、山陽自動車道、瀬戸中央自動車道と乗り継いで3時間あまりで帰れるようになりました。1月1日には、新年の初詣に毎年行っている、岡山県の最南端に突出している神社から、雄大な瀬戸大橋を眺めることになると思います。
         12回にわたって綴ってきた「子どもの頃のことですが…」は、今回でひとまず終結とさせていただきます。2008年が、みなさんにとって良い年となりますように…。
         次回は「3障害って言うのをやめて!とニキ・リンコさんは訴えた」です。
         では、この1週間の気になる記事です。

        教員の「心の病」過去最多 公立校で4675人

         平成18年度に精神性疾患で病気休職した公立学校教職員は4675人で前年度より497人増加し、14年連続で過去最多を更新したことが28日、文部科学省のまとめで分かった。懲戒処分や訓告などの処分を受けた教職員も前年度比445人、10・9%増の4531人に上り、過去10年間で2番目に多かった。昨秋に発覚した未履修問題に絡む処分者が490人が全体の数を押し上げた格好だ。
         同省が毎年行っている教職員の懲戒処分に関する調査で明らかになった。
         精神的疾患による病気休職は4連続で前年度比1割以上の伸びとなっており、病気休職者全体に占める割合も初めて6割を超えた。
         文科省では「生徒、保護者、教員間での人間関係や、勤務の多忙化など複雑な要因が絡んでいるのではないか」としている。
         未履修問題で処分を受けた490人のうち28人が懲戒処分となった。最も厳しいのは過去にも未履修があった広島県で校長ら2人の減給。処分者数が最も多かったのは、道立28高校で発覚した北海道の96人だった。
         文科省では「厳正な処分を求めた方針を踏まえ、地方の現場が対応をとった」としている。
         処分者(当事者責任のみ)4531人のうち、セクシュアルハラスメントを含めたわいせつ行為は190人で前年度比48人増。過去10年では15年度の196人に次いで多く、再犯者が7人いた。処分者は40歳代が最も多く43%、対象は自校の生徒が42%を占めた。内容は「体に触る」が3割で最も多かった。
         そのほか、交通事故2390人▽未履修490人▽体罰424人▽国旗掲揚、国歌斉唱の取り扱い98人▽公費の不正執行や手当の不正受給25人▽争議行為17人-など。
         これとは別に監督責任を問われた校長や教頭らは1093人で、処分者数は計5624人。このうち懲戒処分は、監督責任を問われた205人を含め1364人だった。
        (産経新聞)12月28日17時53分配信

        ●行方不明:中1男子生徒が6日から--横浜/神奈川
         横浜市都筑区で6日から、私立中1年、岩田和輝君(12)=写真、都筑署提供=が行方不明になり、家族と都筑署が捜している。
         同署によると、岩田君は6日午後1時半ごろ、家族の留守中に自宅からいなくなった。身長150センチ、体重45キロ。カーキ色のトレーナー、ベージュ色のズボン、黒いスニーカー、紺色のウエストバッグが自宅にないため、これらを着用している可能性が高い。
         以前にも度々歩いていなくなり、相模原市など遠くへ行くこともあったが、いずれも2日以内に帰宅していた。発達障害があるが、「いわたかずき君ですか?」と尋ねれば、返事をするという。
         13日に、自宅から約6キロ離れた同市青葉区市ケ尾町のスーパー食品売り場で、似た少年が目撃されている。情報提供は同署(045・949・0110)へ。
        (毎日新聞)12月28日14時1分配信

        ●韓国で増えるニート、15-29歳の6人に1人
         経済協力開発機構(OECD)はこのほど、「韓国の青年雇用」と題した報告書をまとめ、韓国の青年(15-29歳)の6人に1人が仕事も勉強もしておらず、職業訓練も受けていない「ニート」で、割合はOECD加盟国の平均を大きく上回っていると指摘した。
         報告書によると、韓国における青年(15-24歳)の失業率は通貨危機以前の1996年の6.3%から2006年には10.0%に高まった。OECD加盟国平均(14.7%)を下回ってはいるが、韓国でも青年の失業が本格的な社会問題に浮上したことを示している。
         また、韓国での青年の就業率は昨年、27.2%にとどまり、OECD加盟国平均(43.0%)を大きく下回った。大学進学率が高いとはいえ、青年期に勉強も仕事もせずにぶらぶらしているニートが多いためだ。
         ニートが15-24歳の人口に占める割合は、韓国で11.7%、OECD加盟国平均で12.0%とほぼ同水準だが、本来働いていなければならない20代後半を含めた15-29歳で見ると、韓国ではニートの比率は17%に高まり、加盟国平均を大幅に上回るという。OECDは韓国にニートが多い理由について、「兵役で就職が遅れ、大学卒業後にも就職しない若者が多いため」と分析した。
        (朝鮮日報)2007/12/24

        ●派遣労働者、昨年度は過去最高321万人
         2006年度中に1度でも派遣労働をした人の数は延べ約321万人に及び、過去最高となったことが28日、厚生労働省のまとめで分かった。
         伸び率も前年度比26・1%とこれまでで最大。派遣会社の年間売上高も同34・3%増の約5兆4200億円となっている。
         労働者派遣法は、派遣元事業主に対し年1回、派遣労働者数や派遣料金などを厚労相に報告することを義務付けており、報告のあった4万1966事業所分を集計した。
         321万人は、派遣の対象職種が原則自由化された1999年度の3倍超。派遣契約期間は、「3か月未満」が80・4%と最も多く、派遣先から受け取る派遣料金(8時間換算)は、派遣会社の正社員のみを派遣する「特定労働者派遣事業」で平均2万2948円、日雇い派遣などの「登録型派遣」も扱う「一般労働者派遣事業」で同1万5577円。このうち、労働者が受け取る賃金(同)は、特定が61・7%の同1万4156円、一般が67・9%の同1万571円だった。
        (読売新聞)12月29日11時28分配信

        ●いじめ相談、24時間体制で3倍に 京都市教委のホットライン
         京都市教育委員会の「いじめ相談24時間ホットライン」が、12月で開設1年を迎えた。昼間中心だった受け付けを深夜時間帯まで広げた結果、相談件数は約3倍に増えた。相談者の割合も本人と親が逆転し、相談は夜間や早朝が大半を占めた。
         いじめが原因の自殺が相次ぎ、子どもの心のケアに関心が高まった昨年度、全国的にいじめ相談窓口が24時間体制になった。京都市も、午前9時から午後9時(休日は午後5時)までだった受け付けを24時間に拡充した。教員OBや臨床心理士が務める相談員も2倍に増やした。
         今年11月末までの相談は395件で、昨年同期の130件を大きく上回った。うち本人からの相談は219件で、深夜など拡充された時間帯の受け付けが8割(180件)を占めた。父母からの相談は157件で、拡充時間帯は5割(76件)だった。
         相談内容は「冷やかしや悪口」(106件)、「いやなことや危険なことをされたり、させられたりする」(36件)、「仲間はずれや無視」(35件)、「ひどくぶつかられたり、けられたりする」(20件)などが多かった。
         市教育相談総合センターカウンセリングセンターの長谷川智広担当係長は「親や先生には言いにくいことを相談できる窓口として、子どもがかけやすい時間に電話してくるようだ。携帯電話からも多い」と話す。ホットラインはTEL075(351(さぁこい))7834(なやみよ)。年中無休。全国統一いじめ相談ダイヤルTEL0570(0)78310にかけても、自動的に各地域のいじめ相談電話につながる。
        (京都新聞)12月30日9時29分配信

        « 「【この頃思うこと】ひきこもり状態にあるわが子との関わり(4)着替え・衣類の整理「【この頃思うこと】子どもの頃のことですが…
        ひきこもり状態にあるわが子との関わり(4)着替え・衣類の整理
        2007/12/06
        2007-12-06
         明日12月7日は東京である催しがあるため、今夜から上京です。私も執筆に参加させていただいた『自殺で家族を亡くして~私たち遺族の物語』(三省堂)の執筆者の集いが日本財団の会議室で開かれるためです。この本、各方面から話題となり、二刷りが決まっています。読み応えのある本です。自殺遺族の方、知り合いが自死された方、自殺したいと考えてしまっている方やそれらの支援に関わっておられる方、マスコミ関係の方などに、ぜひ読んでいただきたいと思います。
         さて、ひきこもり状態にある人が、着替えをできているかどうか、季節の変わり目で衣類の整理(衣替えなど)ができているかどうか、は本人さんの生活能力や生きる意欲を把握する上でとてもとても大切なものとなります。
         ずっと家に、部屋にいる状態が続いていると、誰に会うあてもないわけですから、頭髪(男性の場合は髭も)や身につける衣類が、伸びっぱなし、着っぱなし(着替えない)、という状態が多く見られます。
         ところが、そんなわが子が、ある日突然髪を短くしたり(自分で切る、あるいは散髪に行く)、いつもと違う「外に出られる」衣類に着替えている、タンスなどの衣類を整理する、という行動にでることがあります。
         これらは、とても大きな気持ちの変化があったか、何か気持ちの変化を求めての行動です。
         親御さんとしては、本人さんにダイレクトに心境を聞きたいところかと思いますが、まずは見守ってあげて欲しいと思います。そして、「親も気づいているだろうなぁ」と本人が思う頃、「髪の毛、すっきりしたね」とか「その服、今の季節に合ってるね」など、肯定的な感想を伝えてあげて下さい。くれぐれも、「何かあったのか?」などの問い詰めはされませんように。
         また、こうした変化を起こすためには、散髪代や衣類の購入費などのお金が必用です。お小遣いとして、事前に、定期的に、必用と思われる金額プラスαを渡してあげて欲しいと思います。
         次回は「ひきこもり状態にあるわが子との関わり(5)回復のための時間」についてです。
         では、この1週間の気になる記事です。

        派遣切り急増-経営が安易すぎないか

         販売不振、業績悪化だから派遣社員や期間工を解雇-では経営者はいらない。経費節減や役員報酬カットなど不況対策を尽くした後でやむなくというのならともかく、安易な解雇はやめるべきだ。
         四日夜、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた集会では派遣社員や期間従業員たち約二千人が「寮から追い出さないで」「仕事を保障してほしい」と次々に苦境を訴えた。仕事と住宅を同時に失う事態は深刻だ。
         このところの派遣切りや契約解除は目に余る。トヨタ自動車は来年三月末までに期間従業員を三分の一の三千人程度まで削減する。日産やホンダなど自動車業界だけで一万人を超える見込みだ。
         キヤノンは子会社の請負社員を一月末までに約千二百人、東芝も三月末までに約五百人の派遣・期間従業員を解雇する。キヤノンの御手洗冨士夫会長は日本経団連会長を、東芝の岡村正会長は日本商工会議所会頭をそれぞれ務めている。経済界トップの両社が真っ先に解雇では理解に苦しむ。
         厚生労働省によると来春までに非正規労働者が三万人以上職を失うという。実際はもっと増えよう。非正規千七百万人の一割でも職を失えば社会不安が起こる。
         経営者は雇用維持に全力を傾けるべきだ。日本企業の特色だった年功序列、終身雇用、企業内組合という「三種の神器」は崩壊したが、赤字にならないうちから解雇では従業員との信頼は揺らぐ。
         労働組合も真価が問われている。昨年六月末の労働組合の組織率は18・1%と三十二年連続で低下した。組織率が低いままでは政府への政策要求も、経営側への賃上げ交渉も強く出られない。非正規労働者の参加が不可欠だ。
         連合は来春闘について物価上昇に見合う賃上げ(ベースアップ)を要求することを決めた。雇用も賃上げもという目標だが、ここでも非正規労働者の雇用確保にどう取り組むのかという課題が残る。
         政府は非正規労働者の雇用確保に重点を置いた追加雇用対策を十日に正式決定する予定だ。
         失業給付の受給期間を六十日間延長するほか非正規労働者の雇用保険加入基準について「一年以上の雇用見込み」を「六カ月以上の雇用見込み」に緩和する方針だ。
         だが実施時期は来年以降になろう。失業した労働者にとって、生活をどう維持するかが一番重要である。政府は住宅確保などをただちに実行してもらいたい。
        (中日新聞)2008年12月6日

        ●パワハラ:「死ね」「辞めろ」適応障害の生保外交員に労災
         生命保険大手の「明治安田生命」(本社・東京都)の大阪市内の営業所に勤める保険外交員の女性(49)が適応障害になったのは、所長や同僚のパワーハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)が原因として、大阪中央労働基準監督署が労働災害と認定していたことが分かった。過労死弁護団全国連絡会議によると、パワハラによる適応障害で労災認定を受けたことが明らかになるのは異例だ。
         この女性によると、02年10月に大阪市東成区内の営業所で保険外交員として勤務し始めた。しかし06年4月に就任した男性所長から、営業成績が低いことなどを理由に、職場の朝礼などで「お前が嫌いだ」などと暴言を浴びせられたという。
         女性は昨年3月、この所長が書類の管理ミスなどを理由に外交員から私的に罰金を徴収していることや、日常的に外交員を怒鳴りつけることを本社のコンプライアンス部門に通報。所長は営業署内に通報者がいると知り、犯人捜しが始まったため、女性は自分が通報者だと告白した。その後、営業所内で、他の営業所員や同僚の保険外交員から約2時間にわたって「死ね」「営業所のがん」「早く辞めろ」などとつるし上げられ、退職を迫られたという。
         女性は頭痛や吐き気、不眠などの症状が出て体調を崩した。「心因反応」による適応障害と精神科で診断され、今も出勤できずに休職している。女性は個人加盟の労働組合に加入し、団体交渉を通じて会社側に調査と謝罪を求めたが、明確な回答が無かったため、今年4月に、怒鳴られた際に録音した記録媒体を添付して同労基署に労災を請求。11月下旬に認められ、休業補償を勝ち取った。
         明治安田生命広報部は「労基署の調査には協力してきた。認定を真剣に受け止めて適切に対処したい」としている。
        (毎日jp)2008年12月6日

        ●奨学金、3か月滞納すると“ブラックリスト”入り
         奨学金の貸与事業を行う独立行政法人「日本学生支援機構」は5日、奨学金の返済を3か月以上滞納した卒業生の氏名などを、今後、債務情報を管理する個人信用情報機関に登録すると発表した。
         同機構は11月25日に信用情報機関に加盟。現在の奨学生や来年度から奨学金を受ける学生らから、順次同意書を集め、2010年4月から登録する。
         同意しない学生は、奨学金を受け取ることを認めない方針だ。
         昨年度末現在の奨学金滞納額は660億円。将来的に回収不能の恐れのある債権は2253億円に上っており、同機構が設置した有識者会議が延滞者の多重債務化防止のため、信用情報機関への延滞情報提供を求めていた。
        (読売新聞)12月5日18時56分配信

        ●10年度から延滞通報=奨学金、在学生も対象-支援機構
         大学生らに奨学金を貸与する日本学生支援機構は5日、信用情報機関への延滞者の通報を2010年4月から始めると発表した。新規に貸与を受ける学生だけでなく、継続して貸与を受ける在学生なども制度の対象となり、年間5万件程度の情報が登録される見込み。
         支援機構は11月、銀行などが会員の全国銀行個人信用情報センターに加盟。センターの情報は消費者金融や信販会社も利用しており、通報された延滞者はローンを組んだり、クレジットカードを作ったりしづらくなる。
         通報するのは滞納から3-6カ月後。金融機関からの借用状況を点検できるようになり、ほかでも滞納していれば督促や強制執行の申し立てを行う。所在不明の場合は住所確認に利用する。
        (時事通信)12月5日18時34分配信

        子どもの頃のことですが…(6)竹で遊ぶ
        2007/11/27
        私の生家の裏には、女竹の小さな竹藪がありました。男竹の太くたくましいイメージに比べて、女竹は細くしなやかで、子どもにも扱いやすいものでした。
         家にはカマが数種類あって、祖父が竹で道具を作る技術を伝授してくれました。竹鉄砲、弓などから始まったと思います。だんだんと自分でカマを使って竹の細工ができるようになってから、凧、竹トンボ、棒高跳びのセットなどを作って遊んでいました。凧については次回で少し詳しく述べたいと思います。
         家には女竹しかありませんでしたが、近くには男竹の竹藪がいくつもあり、当時の私は、そこの竹は自然に生えていて、誰の物でもない、という変な確信がありましたので、勝手に切り出してきて竹馬を作っていたものです。ある日、同級生が竹馬がほしい、という話しになり、調子に乗った私は「作ってあげる」と安請け合い。竹藪に侵入し良さそうな竹を物色、切り出してきてノコギリと錐、針金を使い、夕暮れまでかかって竹馬を作ってあげました。同級生はそれをひきずって家に帰りました。
         その日の夜です。その子の親から電話が入り、私の父親に竹馬のお礼を告げられました。で、「どこから竹を切った?」と聞かれ正直に答えると、父親はすぐにお金を持って家を出て行きました。竹のお代を支払いに行ったのです。
         竹藪、というよりも、その山は個人の所有物で、そこに成育する物はその個人に所有権があり、無断で切り出すと、それはつまり窃盗にあたる、ということを当時の私は全然知らなかったのです。子どもだから仕方ないと言えばそれまでですが…。確か、3千円ほど支払ったと記憶しています。
         というわけで、いろいろとありましたが、竹は私の子ども時代になくてはならない遊び相手でした。今、住んでいる地域は筍の名産地で、男竹ばかり。しかも明らかに筍畑として管理されていますので、立ち入ることも許されない雰囲気に圧倒されて、犬の散歩をしながらただ眺めるだけになっていますが、竹との縁は切れないようです。
         次回は「子どもの頃のことですが…(7)凧揚げ」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        いじめ認知12万5千件=定義広げ6倍、自殺6人―06年度問題行動調査・文科省

         2006年度に学校現場で把握されたいじめは約12万5000件で、いじめが原因の可能性がある自殺者も6人いたことが15日、文部科学省の「児童生徒の問題行動等調査」で分かった。昨年に相次いだ児童・生徒の自殺を受け、いじめの定義を広くとらえ直し、調査方法や対象も変えた結果、件数は前年度(約2万件)から6倍以上に増えた。
         新たな定義では、従来の「自分より弱い者」や「継続的に」などの文言、受けた側の苦痛の深刻さを示す表現をなくした。調査では児童らへのアンケートや面接も併用し、国立と私立を新たに対象とした。
         いじめの件数は小学校6万件、中学5万1000件、高校1万2000件で、学年別では中1の2万4000件が最多。いじめがあると回答したのは2万2000校で全体の55%だった。
         具体的には「冷やかし、からかい」が最も多く、初めて調べた「パソコンや携帯によるひぼう中傷」が、中高を中心に4800件(4%)あった。
         都道府県別の認知件数(1000人当たり)は、熊本県が50件で最多。福井県(36件)、岐阜県(30件)と続いた。少ないのは鳥取県(2件)など。
         一方、自殺者は小中高で計171人。自殺当時の状況について「家庭不和」「進路問題」などから複数選択で回答を求めたところ、中学5人、高校1人のケースでいじめを挙げた。うち中学の4人ではいじめの項目のみを選択した。 
        (時事通信)11月15日16時31分配信

        ●京都府内のいじめ、5倍超の803件 公立校で認知、暴力も倍増
         文部科学省が発表した2006年度の問題行動調査で、京都府内の公立学校では、いじめの認知件数が803件にのぼり、前年度の約5・2倍と大幅に増加していることが分かった。暴力行為も倍増した。いじめ、暴力行為とも小学校で6-7倍に急増したのが目立った。
         府教委によると、いじめの内訳は小学校409件で前年度(54件)の7・6倍にのぼり、全体の半数を超えた。中学校314件(前年度70件)、高校60件(同29件)、特別支援学校20件(同1件)だった。
         いじめの内容はからかいや悪口、脅し文句などが目立った。京都市内の中学校でも先ごろ発覚するなど、全国的に問題になっているパソコンや携帯電話を利用した「ネットいじめ」は26件だった。府内の児童生徒1000人あたりのいじめ件数は3・3件だった。府教委は認知したいじめのうち約8割は「解消した」としている。
         暴力行為は、前年度より約2倍増の2038件。内訳は小学校369件で前年度(57件)よりも6・5倍になった。中学校は全体の約7割にあたる1408件(前年度770件)。高校は261件(同199件)だった。このうち、生徒間の暴力が1121件、教師への暴力は376件にのぼった。高校の中退者は803人と前年度より35人減った。自殺者は高校生の2人だったが、「いじめが原因ではない」(府教委、京都市教委)としている。
         府教委は「暴力行為、いじめとも従来の定義が見直された面もあるが、増えていることをしっかり認識して課題と受け止め、個々の要因に対する指導にあたりたい」としている。
        ■滋賀では4倍の464件
         滋賀県の公立学校では、いじめの認知件数が464件で、前年度の117件に比べて約4倍に増加し、暴力行為も前年度を65件上回る493件だった。
         内訳は小学校211件(前年度55件)、中学校176件(同52件)、高校64件(同8件)、特別支援学校13件(同2件)だった。
         態様は「冷やかし、からかい、言葉の脅し」が最も多く、新たに調査項目に加えた「パソコン・携帯電話での誹謗(ひぼう)中傷」は小学校3件、中学校13件、高校18件、特別支援学校1件だった。
         暴力行為は中学で大幅増加。内訳は小学校26件(前年度35件)、中学校366件(同294件)、高校101件(同99件)に上った。県立高で不登校などの長期欠席者は1244人(同1155人)、中退者は534人(同518人)でいずれも増えた。
         県教委は、いじめの件数が急増したことについて、「被害者の気持ちに寄り添い、多く発見できた結果。学校現場では解消が進んでいる」と説明し、440件(94・9%)がおおむね解決済みとしている。
        (京都新聞)11月16日0時9分配信

        ●筑前いじめ自殺 開示記録 9割黒塗り 福岡法務局「調査遂行に支障」
         福岡県筑前町で昨年10月、三輪中2年の森啓祐君=当時(13)=がいじめを苦に自殺した問題で、福岡法務局は13日、個人情報保護法に基づき遺族が公開申請していた調査記録を部分開示した。法務省によると、いじめ自殺の調査記録の開示は3件目という。
         開示対象は人権侵犯記録と題する計441枚分。しかし「開示されれば調査の遂行に支障が出る恐れがある」との理由から、遺族からの聴取部分を除き、約9割が黒塗りだった。このため、遺族以外の調査対象や人数、聴取内容は一切、明らかにならなかった。
         開示後、記者会見した父順二さん(41)は「もう少し踏み込んだものが出てくるかと思ったが、がっかりした」と悔しさをにじませ、母美加さん(37)は「遺族が何も知らされない現状がいまだにあることが残念」と述べた。
         遺族は近く、法相に対する不服申し立てか、国に対して不開示処分取り消しを求める訴訟を起こす方針。
         同法務局は、森君へのいじめ行為に「人権侵犯性が認められた」と認定し、今年5月、前校長と、からかいにつながる言動をしていた1年時の男性担任教諭に反省を促す「説示」の措置をとった。現校長と町教委にも、再発防止などを求める「要請」をした。
         遺族は「調査の具体的内容を知りたい」として9月に記録の開示を申請。同法務局は回答を1カ月延長し、この日、開示した。
        (西日本新聞)2007年11月14日

        ●リハビリで運動能力回復、脳が重要な働き
         脊髄(せきずい)損傷後、リハビリ訓練によって運動能力が回復する過程で、回復にかかわる脳の特定部分が変化することを、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)などのチームがサルを使った実験で突き止めた。
         運動能力の回復には、損傷がない特定部分の脊髄をうまく機能させるため、脳が重要な働きをしていることを示す結果で、リハビリでの患者の回復具合が予測できる可能性がある。成果は16日付の米科学誌サイエンスに掲載される。
         首の部分の脊髄(頸髄=けいずい)を一部損傷したサルは、直後は指先を使うことができないが、食べ物を指先でつまむ訓練を繰り返すと、1~3か月後には元通りにつまむことができる。
        (読売新聞)11月16日8時40分配信

        ●時効で失われた年金、8年間で2千億円超
         社会保険庁は16日、2004~06年度の3年間で、年金の受給開始の請求が遅れたために、5年間の時効によって受け取れなくなった年金が、5万8355人分計886億円に上るとする推計を明らかにした。
         すでに判明している1999年~03年度の時効分の年金計1155億円と合わせ、8年間で2000億円超の年金が時効で失われたことになる。
         社保庁が16日の衆院厚生労働委員会で、自民党の冨岡勉氏の質問に答えた。
         社保庁によると、04~06年度に、年金を新たに受け取った約482万人のうちの約1・2%で、請求の遅れが原因で時効になった年金が見つかった。06年度では、年金の受給を始めた165万411人中の20505人に時効分の年金があり、1人当たり平均約162万円を失った計算だ。
        (読売新聞)11月16日22時38分配信

        ●唐津の中3、ストレス障害で不登校 教諭にいたずら疑われ
         佐賀県唐津市内の中学3年の女子生徒が、校内でのいたずらを疑われ、教諭から調べを受けたことで「急性ストレス障害」になり、不登校になっていることが16日、分かった。学校側は、生徒の「いたずらに加わっていない」との言い分を認め「指導に行きすぎがあった」としている。
         同市教委などによると5月下旬、3年女子の上靴に押しピンが入れられるいたずらがあった。学年主任の30代の男性教諭がいたずらにかかわった可能性がある3年女子3人を2日間にわたって調べ、「被害者の考え方次第では警察が入ってくることもあり得る」などと話したという。
         このうち1人が6月中旬から不登校となった。8月に「急性ストレス障害」の診断書を提出し、現在も不眠や「先生の聞き取りが夢に出てくる」などと訴えて通院しているという。村井文三教育長は「警察の名を出すなど指導に行きすぎがあった。本人が1日も早く学校に来られるよう努めたい」と話している。
        (西日本新聞)11月16日17時8分配信
        子どもの頃のことですが…(7)凧揚げ
        2007/11/25
        小学校の頃、オモチャ屋のある繁華街までは、自転車で1km、さらにバスに揺られること10km程ありましたので、何かを「買う」ことは、半日がかりの仕事となりました。そして、「買う」にもお金が無く、もちろんバス賃もなく、家とそのまわりで何ができるか、が勝負でした。
         前回、竹の話しをしましたが、今回もその続きとなります。凧。誰かがお金を出して買った物を持っていたのか、授業で作ったのか、本か何かで見たのかよくは覚えていませんが、竹を細く切った支柱を2本バランス良くクロスさせて、半紙を張り、しっぽをつけ、出来上がった凧を糸で2点ないし3点で引っ張るように仕上げると、手作り凧のできあがりです。
         当時は、本当に暇だったので、まず竹を切ってきて、それを割くところから始めて、半日くらいかけて「上がる」凧を日々作っていました。オリジナルのハンドメイド凧ですので、作る度に違う形、違うバランスのものになりました。研究を重ねていく中で、凧づくりには、当時かなりの自信をもっていました。
         当初は、凧糸を使って上げていましたが、糸を出すのも巻くのも面倒なほど高く上げていたので、そのうちに、リール付きの釣り竿で上げることを始めました。釣り糸は結構重いのですが、それに負けないくらいよく上がる凧を作っていました。風にのれば、凧はどんどん上がります。糸を出すにはリールをフリーにするだけで良いし、巻く時もリールのハンドルを回すだけなので楽でした。それに、凧を釣り竿で操るというのも面白いものでした。
         貧乏な田舎小僧は、そこらにあるものを何やかやと使って、遊びを開発していたものです。
         次回は「子どもの頃のことですが…(8)海水浴場へ自転車で6km」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「高卒テスト」導入提唱 教育再生会議が素案

         大学の入学定員と志願者が同数になる「大学全入時代」の到来をにらみ、大学進学者の学力を担保するため「高卒学力テスト(仮称)」導入を提唱した政府の教育再生会議(座長・野依良治理化学研究所理事長)の大学入試制度に関する改革素案が18日、明らかになった。テストに合格しないと大学を受験できなくなる仕組みで、高校未卒業者を対象にした現行の高等学校卒業程度認定試験(旧大検)の衣替えも選択肢に挙げた。
         再生会議は来月取りまとめる第3次報告への盛りこみを検討、20日の再生会議合同分科会で本格議論に入る。
         背景には、昨年に高校の未履修問題が発覚したことも踏まえ、大学進学者の「質」を担保しないと、日本の大学制度が信頼を失うとの危機感がある。ただ受験生の「負担増」に直結するうえ、少子化の中で定員を確保したい大学側の反発も予想され、導入の是非をめぐり大きな論議を呼びそうだ。
         素案は大学全入時代の到来や、書類・面接などで選考するアドミッション・オフィス(AO)入試、推薦入試の拡大に伴い「大学入学時に必要な学力が備わっていない学生が増加している」と指摘し、学力担保策の必要性を強調した。
        (共同通信)2007/11/19

        ●<山形女子高生自殺>遺族が遺書公表 いじめ再調査を要請
         山形県高畠町の県立高畠高校(山田陽介校長)で昨年11月、2年生の女子生徒(当時16歳)が自殺した問題で、父親が23日記者会見し、本人の携帯電話に残されていた遺書とみられる書き込みの一部を公表、いじめは確認できなかったとする調査結果を出した県教委に再調査を求めた。遺族はこれまで匿名を条件に取材に答えていたが、匿名では説得力に乏しいとして実名公表に同意した。
         亡くなった渋谷美穂さんの父で会社員の登喜男さん(55)=高畠町=がこの日の一周忌法要後に会見した。
         渋谷さんは携帯電話に残されていた書き込みのうち、美穂さんが心情をつづった部分を抜粋し、紙に書き写して報道陣に配布した。実名で書かれた5人の生徒以外の同級生に対し、「これで満足? もう、ワキガ臭くも、おなら臭くもないもんね。皆が言った暴言、痛かった。いつも泣きたかった」「死は怖いけど、生きているより怖くはないです」「今回のイジメでやっと理解した。うぅん、理解させられた。私は皆に不快な思いしか与えられないんだってこと」などと記されている。
         渋谷さんは「今までは学校側の説明しかなく、このままでは娘を救えなかった負い目が大きくなる」と公表した理由を説明。「学校や県教委の報告書に納得していない。死ぬまで真相究明と再発防止にかかわっていきたい」と話した。また、自殺の5カ月前に美穂さんから「お父さんがいじめにあったらどうする」と聞かれていたことも明らかにし、「なぜあの時に疑問を持たなかったのか」と悔やんだ。
        ◇「遺書は根拠の見えないもの」校長がコメント
         遺族の会見を受け山田校長も記者会見し、「5人以外の生徒を一くくりにしていじめの加害者とするような内容になっているが、そのようなことはないと学校では判断し、この遺書を、根拠の見えないものと考えている」とのコメントを出した。
        (毎日新聞)11月23日22時9分配信

        ●関心アップ、利用者増 県発達障がい者支援センター2年
         自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、発達障害者をサポートする「県発達障がい者支援センター」が、上山市の県総合療育訓練センター内に開設し、2年が経過した。発達障害に対する関心の高まりに伴い、2007年の利用者数は前年同期の約1.5倍と増加している。
         支援センターは05年10月に開設。保護者や本人からの相談受け付け、心理検査や医学診断、就労支援などを中心に行っている。ほかに、教員や行政担当者の研修会を開いたり、一般を対象にしたセミナーを企画するなどしている。
         相談者は増加傾向にある。07年の電話による「相談支援」は9月末現在、延べ466件で、前年同期(352件)を上回るペースで推移。電話相談を経て具体的な診断や支援を行う「発達・就労支援」は同様に9月末現在、延べ491件に上り、既に06年の総数(454件)を超えた。「発達・就労支援」のうち100件余りは継続的な支援を必要とするケース。相談員と保育士、判定員の計3人という現在の体制では、3カ月待ちの状態も起きているという。
         相談者は、小中学生が約半数と最も多く、「コミュニケーションや団体行動が苦手」「勉強に集中できない」など、発達障害の典型的な特性に関する相談が目立つ。一方、次第に大人の相談者も増えている。年齢が上がるほど、障害の特性が周囲に理解されず、つらい体験を繰り返してきたことなどから引き起こされる不登校や引きこもり、結婚生活の悩み、うつ病といった「2次障害」が増えてくるという。
         センターで行われる支援は、診察を中心に、日常生活での困り事への専門的なアドバイスや、就労支援など関係機関の紹介などだが、本人と家族のほか、教師らも交えて話し合い、障害の特性や支援の方向性などについて共通理解を持てるよう手助けすることが重要だという。
         「日常の現場で実際に支援するのは、周りの家族や教師。センターは、支援者同士のコーディネーターの役割を担っている」と中島貴史同センター主査。「発達障害は、ある人ない人の二極論ではなく、その特徴が濃い人薄い人というようなもの。発達障害に対する理解を一般に広めていくことも大切だ」と話している。
        ◆発達障害
         脳機能の発達に障害があり、認知や言葉、コミュニケーション、運動など特定の能力や技術の獲得に困難がある。その特徴の表れ方により自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などと分類される。知的な遅れを伴わないものは「軽度発達障害」と総称される。2005年4月に発達障害者支援法が施行。07年4月の学校教育法改正では軽度発達障害児も支援の対象となった。
        (山形新聞)2007年11月24日(土)

        ●中1ギャップ問題:加配教員の配分変更 学校ごとの課題対応--県教育長方針 /岩手
         相澤徹県教育長は22日の会見で、中1ギャップ問題を念頭に置き、「少人数指導」用に国から加配された教員(今年度444人)を、学校規模に応じた従来の配分から、学校ごとの課題に対応した配分に変える方針を明らかにした。
         これまで、中学1年で入学後の学習環境や生活環境の大きな変化に伴い、いじめや不登校が急増する「中1ギャップ」現象が指摘されていた。
         これについて相澤教育長は、「学業での満足度を高めることが児童生徒のストレス軽減につながる」と分析。「各学校の課題をみて、人員強化が必要な学校にはきめ細かく対応していく」として、中1ギャップ問題解決などを視野に入れて加配教員を配置する方針だ。
        (毎日新聞)11月23日12時0分配信

        ●「リタリンの使用継続を」=患者ら厚労省に要望
         乱用問題で使用の制限が決まった向精神薬「リタリン」について、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの患者会が22日、厚生労働省を訪れ、リタリン治療の継続や、同様の効能を持つ薬剤の早期承認を要望した。
         リタリンは依存性があるため若者を中心に乱用が問題となり、うつ病の効能が取り消され、麻薬並みに流通を管理することが決定。効能は睡眠障害の一種のナルコレプシーだけとなる。ADHD治療薬としても適応外で使われているが、使用が困難になることが予想される。
         会見した患者会代表の黒岩秀行さんは「ほとんどの患者は戸惑っている」と話し、ADHDの効能追加や、効能外でも継続して使用できるよう求めた。
        (時事通信)11月22日22時30分配信

        子どもの頃のことですが…(5)ちりんちりんのおっちゃん
        2007/11/11
        小学校3年生くらいまでだったでしょうか。我が村にも週に1回、ちりんちりんのおっちゃんがやってきました。「ちりんちりん」とベルを鳴らしながら、自転車の後ろにパンやお菓子などを積んでやってくるのでした。
         村には、お菓子なども売っている雑貨屋が1軒ありましたが、そこまでは800mくらい離れていましたし、お小遣いというものをもらっていなかったので、勝手に買いに行くわけにもいかず…。
         ただ、ちりんちりんのおっちゃんが来た時だけは何十円かだけお金をもらい、クリームパンなる超美味しい食物にありつけることができました。そんな訳で、このちりんちりんのおっちゃんの存在は、当時その村の、特に村の奧の子どもたちにとっては偉大だったのです。ちりんちりんのおっちゃんが来る気配、というものが確かにあったと思います。曜日が決まっていたというだけでなく、確かに気配を感じていたと思います。そういえば、当時、おやつというものとして、いったい何を食べていたのでしょうか。記憶がありません。
         このおじさんは、自転車で村々を渡り歩き(走り?)ながら、パンや駄菓子類を売り歩いて生計を立てていたものと思われます。いつからおじさんが村に来なくなったのか、どうして来なくなったのか、これもまた記憶にありません。
         昭和40年代前半の地方の村には、こんな風景がありました。
         次回は「子どもの頃のことですが…(5)竹で遊ぶ」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        自殺 9年連続3万人超 初の白書、中高年男性急増

         政府は9日の閣議で、自殺の現状や政府の自殺対策の実施状況をまとめた平成19年版「自殺対策白書」を決定した。昨年10月施行の「自殺対策基本法」に基づき、国会に提出する初の年次報告となる。自殺者数は、10年以降9年連続して3万人超。その7割が男性で、特に急増した大半の部分を45~64歳までの中高年男性が占めている。
         白書では、中高年男性の自殺者の急増について、人口増や高齢化に加え、バブル崩壊といった経済的変化が働き盛りの男性に強く影響していると分析。特に社会の大きな変化を小・中学生のころに経験した昭和1桁(けた)から15年生まれまでの世代は、社会的変化の節目で高い自殺死亡率を占めるという世代的特徴があるとしている。
         また、今年6月に閣議決定した「自殺総合対策大綱」に沿って、自殺を「追い込まれた末の死」「防ぐことができる」「自殺を考えている人はサインを発している」という3つの基本認識の下、政府が進めている9項目、46の重点的な自殺対策についてまとめている。28年までに、17年の自殺死亡率の20%以上を減少させ、急増前の2万4000人台の水準まで下げることを目標に掲げている。
         18年の自殺状況は、原因の約半数を「健康問題」が占め、次いで「経済・生活問題」、「家庭問題」となっている。高度成長期やバブル期に自殺者が減少する一方、円高不況下の昭和60年前後やバブル崩壊後に増加しており、失業率と自殺死亡率との間に相関関係があることも指摘している。
        (産経新聞)11月9日16時21分配信

        ●フィルタリング機能:中高生の利用低迷 6人に1人「残虐サイト」見た/宮城
        ◇県警少年課が啓発強化へ
         携帯電話やパソコンからアダルトサイトなど有害な情報に接続するのを制限できる「フィルタリング機能」について、県内の中学生の利用割合が20・6%から33・1%に増加した一方、高校生では17%から14・6%に減少し、利用度が低迷していることが、県警少年課の調査で分かった。アクセス経験に関しては、パソコンなどを利用する中高生の6人に1人が「残虐サイト」を見たことがあり、「自殺サイト」閲覧経験者も40人学級に換算すると、1人か2人いる計算となった。
         出会い系サイトを利用した未成年者が性犯罪などに巻き込まれる事件が多発したことを受け、同課は昨年から調査を実施。今年は6月7~22日、県内24の中高校の2年生を対象に行い、生徒1598人、保護者1373人から回答を得た。
         その結果、中学生の52・9%、高校生の96・8%が携帯電話やパソコンを所持。そのうち、有害サイトに接続した経験のある中高生は、殺人シーンなどを描写した残虐なサイトが16・9%で最も多く、アダルトサイトが9・1%、出会い系サイトが4・3%。自殺サイト閲覧経験者も3・8%いた。
         フィルタリング機能自体に関する認知度は、保護者の間で昨年の33・9%から55・5%に増加した。同課は昨年11月、携帯電話販売業者や家電量販店に、フィルタリング機能の普及促進を呼び掛ける会議を開催。だが、携帯電話の契約・購入時に「店側から機能についての説明がなかった」と回答した保護者が49・8%と半数近くに上り、販売店側のあっせん活動などが不十分な様子が浮かんだという。
         有害サイトから子供を守る対策の必要性については、保護者の97・3%が「必要」と回答。中高生自身も84・9%が「必要」と認めた。「有効性をもっと積極的に広報する」「販売業者が機能を確実に説明する」などの対策に、中高生と保護者の8割以上が賛成した。
         同課は今年も業者に対する普及促進会議を開き、改めて協力を呼び掛ける。高校生のフィルタリング機能利用度が伸び悩んでいることについて、尾形利道県警生活安全部長は「高校生には親の目が届きにくい。県教委や高校に今回の調査結果など具体的なデータを示して、広報啓発を強化したい」と話した。
        (毎日新聞)11月10日11時2分配信

        ●発作で脳神経のつなぎ目減少=難治性てんかんで記憶障害メカニズム解明-都研究所
         抗てんかん薬を飲んでも完治しない「難治性てんかん」の発作による記憶障害のメカニズムを初めて解明したと、東京都神経科学総合研究所の山形要人副参事研究員らの研究グループが7日、米国科学雑誌「ニューロン」電子版に発表した。発作で脳内の神経細胞間のつなぎ目(シナプス)が減少して記憶障害が起きる仕組みだとしている。
         研究グループは、発作が起きると脳の神経細胞内で「アルカドリン」というたんぱく質が合成され、それがシナプス維持に必要な物質「N-カドヘリン」を減少させることを突き止めた。発作の繰り返しでシナプスが少なくなり、神経細胞間の情報伝達が阻害されるため、記憶・学習障害を引き起こす原因になるという。
         難治性てんかんは国内に20万~30万人いるとされ、小児患者の約3分の1に発育や学習面などでの遅れが生じるという。今回シナプス減少のメカニズムが解明されたことで、新薬や治療法の開発につながることが期待される。
        11月8日2時31分配信時事通信

        ●<国会議員>1人当たり経費3億1078万円なり 政府試算
         政府は9日、国会議員(衆院議員480人、参院議員242人)1人当たり07年度予算で3億1078万円の経費がかかっているとの試算を明らかにした。参院選という「臨時出費」で例年より増えた可能性はあるが、センセイ1人の活動を支えるために議員歳費(約2200万円)の約14倍の国費が必要となる計算だ。果たしてこれは高いのか、妥当なのか--。
         藤末健三参院議員(民主)の質問主意書に答えた。答弁書と財務省によると、議員歳費や秘書給与、議会事務局職員の人件費などを含め衆院の経費が約654億円、参院が約420億円。これに参院選関係費約580億円▽政党助成費約321億円▽議員の活動を補佐する国立国会図書館約229億円--などを加えた予算総額は2243億8723万円となった。
         国立国会図書館政治議会調査課が05年10月に行った調査によると、日本の議員歳費(約2229万円)は米国(約1779万円)や英国下院(約1176万円)に比べて高い。ただ、米国下院の場合、職務手当と秘書雇用手当の合計額は1億2000万円を超え、日本(約3800万円)を大幅に上回っている。
         質問主意書で藤末氏が「財政再建のためには立法府の支出削減も不可欠だ」と政府の見解を求めたのに対し、政府は「08年度予算についても、国会所管の予算を含め歳出全般にわたり聖域なく見直しに取り組む」と答弁した。議員定数削減については「各党・各会派で議論いただくべきだ」と述べた。
         岩井奉信日本大教授(政治学)は「民主主義にはある程度のコストがかかる。日本は欧州に比べて人口当たりの議員数が少ない。費用が高いから議員を減らせというのは本質論から外れている」と一定の理解を示したうえで、「問題なのは、日本の国会は開会日数が少なく閉鎖的で空転も多い。議員には、議会のチェック機能を強化し、国民の納得を得る努力をしてほしい」と注文を付けている。
        (毎日新聞)11月9日20時54分配信

        ●ゲーム形式で「社会」学ぶ 金銭感覚養いフリーターやニート化予防
         若者が安易にニートやフリーターになるのを予防しようと、高校生に「稼ぐ」「使う」の基礎的金銭感覚を養う授業をNPO法人(特定非営利活動法人)が始めた。ゲーム形式で1人暮らしをシミュレーションし、生活していけるかどうかを学ぶ。現実の生活にいくらかかるか、収入をどう得るか、将来はどうするかなど、これまで具体的に考えたことのなかった生徒たちに新鮮な驚きを与えている。
        ■食費月いくら?
         この日は茨城県立守谷高校(飯村省一校長)の3年生を対象に行われた。
         生徒は1カ月20万円の収入と仮定して、家賃、光熱費、食費など1人暮らしに必要な生活費を予想してシートに書き込んでいく。
         講師の松野賢太郎さんが声をかける。
         「食費1万円? そんなテレビ番組あったよね」「衣服代3万円? 女の子は大変だねえ」
         女子生徒から質問が出た。「国民健康保険って何ですか」「住民税は払わなきゃいけないの?」
         松野さんが分かりやすく答えたあと正解を読み上げた。
         「家賃約5万3000円、食費約2万4000円、衣服費約4000円-」
         松野さんによると、携帯電話代金を除くとほとんど正解はないという。
         次はくじをひいて「正社員」「派遣社員」「フリーター」に振り分ける。もう1枚のカードには月収15万円、30万円、100万円と書かれている。
         収入を派遣は1日1万円、フリーターは時給1000円と仮定し、何日または何時間働くと指定された金額になるか計算する。
         100万円のフリーターの場合、月に1000時間働く必要があり、「絶対できねえよ」と笑い声が起きた。
         さらに「30歳 結婚している 賃貸マンション」などと書かれた暮らし方カードをひいて、自分の収入から、この生活ができるか検討する。
         最後に松野さんが「正社員は責任が大きいが収入は安定している。フリーターは時間に自由がきくが安定していない。どう考えるかは自由だが、安易に選ぶのはやめてください」と結んだ。
        ■家計を知らない
         授業はNPO法人「育て上げ」ネットが開発した「マネーコミュニケーション」。同法人はこれまで、主に若者、特にフリーターや引きこもりの就労支援を行ってきた。
         同法人の工藤啓理事長は「ニートやフリーターの中にも自立して働きたいと思っている人がたくさんいる。だが、1人暮らしにいくらかかるのか、税金や年金は何か、まったく知らないのが現状だ」。
         給与が振り込みになり、親は子供の前で家計の話をしなくなったため、子供たちはリアルな金銭感覚が分からなくなっているという。
         開発には東京大学社会科学研究所の玄田有史教授やファイナンシャルプランナーも参加した。
         「以前は勉強をしていれば将来が開けた。将来が見えない現在、展望を見せておかなくては今を頑張れない」(工藤理事長)
         この日は50分間だったが、後半に収入を考えながら必要なもの、ほしいものの購入を考える100分の授業もある。講師は高校に無料で派遣され、これまで約40校で実施されてきた。
         授業後、生徒の金井鉄男君(18)は「面白かった。やはり正社員にならないと不利なことが分かった」、服部彩さん(18)は「1人暮らしだとお金が不安だ」と反応。短大へ進学して1人暮らしを始めるという菅井阿子さん(17)は「すごく実感があった。奨学金をもらってもきついなあ」ともらした。
         田中浩学年主任は「新鮮な授業で、税金などの知識やイメージを持たない生徒にもすんなりと理解できたようだ。個人差はあるが、生徒たちは刺激を受けて、いろいろ考えている」と評価。来年度以降も授業に取り入れたいと話していた。
        (産経新聞)11月9日17時56分配信

        ●不登校:児童・生徒支援の学習室、3校目が北区にオープン--今月下旬/京都
        ◇野外活動にも力
         京都市内の不登校の児童・生徒をサポートする「教育支援センター『ふれあいの杜』北学習室」が今月下旬、北区鷹峯旧土居町の楽只(らくし)学習施設内にオープンする。少人数での個別授業やカウンセリングで子供たちの学校生活への適応を目指す。
         センターは京都市教委が00年、中京区の初音中学校跡地に初めて開設。05年には市南部の要望に応えるため、伏見区に2校目を作った。市立校に通う小学4年~中学3年生で不登校が長期化し、不登校相談支援センターが入校を適切と判断した子供が対象となる。在学中の小中学校に在籍したまま入校でき、学校の出席と同じ扱いになる。指導は教員免許を持つ職員が行う。現在、2校で50人以上が学んでいる。
         3校目となる北学習室は、市北部での開設要望に加え、より少人数の環境を望む子供や親の希望に添う形で作られた。自然の豊かな環境で、近くの畑での野外活動にも力を入れる。市教委は「ふれあいの杜は、それぞれの小中学校と長い廊下でつながった別室のようなもの。まずは学校に悩みを相談することから始めてほしい」としている。
        (毎日新聞)11月6日17時5分配信

        ●新教育の森:ほっかいどう 変わる定時制高校 再スタートの受け皿に/北海道
        ◇不登校経験者や中退者、帰国生徒も
         札幌市中央区に08年春、市立札幌大通高校が開校する。同市立の定時制高校4校を1校に集約した単位制高校で、午前、午後、夜間の3部制となる。働く青少年のために設置された定時制高校だが、定職がある生徒は減り、現在は不登校経験者や中退者の受け皿として、その役割は大きく変化している。変わる定時制高校の現状を紹介する。【千々部一好】
        ■模擬授業も
         「札幌は碁盤の目状に作られた街と言われる。でもこの地図でそうなっていない個所を探してください」。長谷厳(つよし)教諭は、黒板に張り出した札幌中心部の地図を使って話した。出席者は手渡された地図を見ながら、該当場所をチェックした。
         10月下旬の学校説明会で行った模擬授業の一場面だ。入学希望の中学生や保護者を前に、長谷教諭が郷土研究「さっぽろ探究」の授業を実演。「北大植物園東側の道はまっすぐでないでしょう。これは開拓当時あった小川を避けるためです。札幌は扇状地に開けた町で、きれいな碁盤状でない所が多い」。1枚の地図を通して郷土を知る手がかりを説明した。
        ■3年で卒業可能
         同校は04年3月閉校の旧大通小跡地(中央区北2西11)にできる。当面は旧校舎を利用し、新校舎は10年春に完成する。
         従来の定時制は夜間だけだが、同校は午前、午後、夜間の3部制とした。生徒は受けやすい時間帯を選べ、しかも単位制で行う。卒業に必要な74単位を修得すれば、4年間でなく3年間で卒業できる。この仕組みは道立有朋高(札幌市北区)に続いて道内2番目だ。
         授業は国語、体育など一部は通年だが、大半は半期ごと。春に単位を落としても、秋に取ることが可能だ。必修科目のほか100の選択科目があり、福祉や簿記など資格取得、大学進学など、多様な進路希望に応える。
         入試は自己推薦、一般の2本立て。秋入学や転編入試験のほか、日本語が十分でない帰国生徒や在留外国人の受け入れ枠もある。「車いすも受け入れ可能か」「日本語が十分できないが大丈夫か」など、開校を前に問い合わせが多いという。
        ■調査書は不要
         道内の公立高定時制の在籍数(07年度)は約5400人で、全日制を含めた公立高校生徒の4・5%を占める。札幌市内の定時制4校の1年生は220人だが、定職のある生徒は4人にとどまっている。このうち不登校経験者が約4割、高校中退者が2割弱という。
         同校の吉川元秀教頭は「一般入試は調査書が不要で、5教科のテスト結果と面接で選抜する。調査書不要とは中学校時代の過去は見ないということで、高校で再スタートする決意で入学者を決めたい」と話している。
        (毎日新聞)11月9日12時1分配信

        子どもの頃のことですが…(4)虫と遊ぶ
        2007/11/07
         工業地帯の建設が進む中で子ども時代を過ごした私にとって、虫たちとのふれあいは、時代の動きを感じさせられるものとなりました。
         カブトムシやクワガタムシなど、夜の網戸に時折ぶつかってきたものでした。セミやカマキリ、トンボやバッタ、チョウチョウにカミキリムシ…、春から秋にかけての遊び相手でした。
         小学校への通学の第一集合場所の近くにいちじく畑があり、そこには各種のカミキリムシがいました。大きい物では本体だけで10?ほどもあったでしょうか。下手をして噛まれると肉を食いちぎられてとても痛い思いをしました。ポケットにいれたり、ナイロン袋に入れたりして学校に持っていったものです。
         夏は何と言ってもセミ。アブラゼミは言うまでもなく、クマゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシといったところが恰好のターゲットでした。裏庭から竹を切ってきて、網状のミカン袋(5個くらい入るやつ)に針金を通して、直径10?~15?くらいの輪にして竹竿の先に取り付けると、セミ取り網のできあがりです。竹竿は4~5mはあったでしょうか。入り口の小さい網ですが、木の枝の隙間をぬってセミを捕獲するには便利で、袋が深いために、一度に何匹も捕まえ続けることができました。
         虫たちは、たいてい、その日の内に釈放してあげていました。飼うのが目的ではなく、捕獲が目的でしたから…。
         次回は「子どもの頃のことですが…(5)ちりんちりんのおっちゃん」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        ジャッキー・チェン、障害者が働くカフェをオープン

         俳優のジャッキー・チェン(成龍)さんがオーナーの「ジャッキーズ・カフェ」が29日、北京市内の新中関ショッピングセンターで開業した。この店は障害を持つ人を積極的に雇用する。
         写真はジャッキーさんと耳が不自由な2人のスタッフ。ジャッキーさんは「この店の小さな主人です」と紹介した。
         店の売り上げの一部は慈善団体に寄付する。今後は、従業員がすべて障害者の店もオープンするという。(CNSPHOTO)
        (中国情報局NEWS)2007/10/31(水)

        ●授産施設の障害者賃金は1万5000円
         授産施設などで働く障害者らの賃金が月平均で約1万5000円にとどまっていることが、厚生労働省が初めて実施した調査で31日わかった。
         この調査は、今年2月に政府がまとめた「成長力底上げ戦略」の中に、授産施設などで働く障害者らを対象にした「工賃倍増5か年計画」が盛り込まれたことから実施。全国4656施設の回答をまとめた。
         それによると、全施設の平均賃金は月1万5257円。10万円を超えたのは、障害者と施設側が雇用契約を結んでいる福祉工場など一部の施設にとどまった。
         こうした施設については「就労訓練の場」という考え方があるが、民間企業での障害者雇用が進まない状況から、長期間働く障害者が多いのが実情。
         授産施設の連絡組織「全国社会就労センター協議会」の勝又和夫副会長は「このままでは障害者は生活できない。施設側の努力も必要だが、国や自治体も具体的な支援策を講じてほしい」と話している。厚労省は今後、地域ごとに目標賃金を設定するなどして、賃金アップを促したいとしている。
        (読売新聞)2007年11月1日

        ●障害者平均工賃1万2千円 地域格差2倍の開き 厚労省
         厚生労働省は31日、全国の福祉施設で働く障害者の工賃についての初の調査結果を発表した。06年度の月額工賃は、全国平均で1万2222円だった。都道府県別では最高の高知と最低の大阪で約2倍の開きがあるなど、地域間の格差も浮き彫りになった。
         全国の法定の福祉施設を対象に調べ、ほぼ全数の4656施設が回答。このうち4473施設が労働法の適用外で、同じ類型の施設でも障害によって差があり、通所授産施設では、身体障害者施設が月額工賃1万9393円、知的障害者施設は1万1502円、精神障害者施設は1万2745円だった。
         都道府県別にみると、高知の平均工賃が1万6013円で、1万5000円台は北海道、岩手、石川、福井、滋賀、佐賀の6道県。一方、大阪の7989円をはじめ、青森、福島、茨城、奈良の計5府県で1万円を下回った。
         労働法の対象で、最低賃金が適用される就労継続支援事業所の月額賃金は10万1116円だった。
         政府は今年度から5年間で工賃を倍増する目標を掲げている。調査結果を踏まえて各都道府県は今年度中に倍増計画を策定し、施設ごとの工賃と目標工賃をホームページなどで公表する予定だ。
        (asahi.com)2007年10月31日

        ●38都道県の教委に勧告=障害者雇用計画の未達で-厚労省
         厚生労働省は30日、障害者の雇用率が法定より著しく低く、改善のための採用計画も順調に進んでいないとして、38都道県の教育委員会に対して同計画を適正に実施するよう求める勧告を31日付で出すと発表した。都道府県教委の法定雇用率は2.0%だが、実際の平均雇用率は今年6月1日現在で1.51%と、公的機関の中でも特に低かった。
         勧告を受けるのは、障害者の採用計画に対する実施率が25%を下回り、改善が見られない教委。法定雇用率を達成したか、または計画の実施率が25%以上だった静岡、京都、大阪、奈良、和歌山、鳥取、愛媛、佐賀、大分の9府県を除いて勧告の対象となる。
        (時事通信社)2007/10/30

        ●深谷市:教育研究所を建設、発達障害や不登校児童を支援/埼玉
         深谷市は、本住町の旧深谷地区消防本部跡地に、福祉と教育を連携させて子育てを支援する「市立教育研究所・福祉交流センター(仮称)」を建設する。08年10月着工、09年12月の開設予定。
         施設には、発達障害の子どもを支援する「通級指導教室」などを設置する。同市には2小学校内に通級指導教室があるが、校外に設置するのは全国初という。学校になじめず、行きづらいと感じている生徒にも対応できるという。
         施設は鉄骨3階建て約2000平方メートルで、1階が福祉交流センター。2、3階の教育研究所内に通級指導教室を3教室、不登校の子どもを支援する適応指導教室を1教室設ける。いずれも対象は0~15歳。
         通級指導教室を校外に設置した場合、通常は教員が配置されないことから欠席扱いになってしまう。このため、市は「分教室」ととらえ、教員を配置して出席扱いになるよう特区申請している。
        (毎日新聞)11月2日12時2分配信

        ●発達障害への理解深めよう 草津で地域住民対象の研修会
        発達障害について説明し、子どもへの理解を呼び掛ける窪島さん(草津市西渋川2丁目・渋川福複センター)
         発達障害に対する理解を深めようと、滋賀県草津市発達障害者支援センターは10月31日、同市西渋川2丁目の渋川福複センターで、高学年児童の発達の特徴や発達障害についての研修会を開いた。
         市内の小学校に通い、高学年児童を支援している地域の協力員らを対象に開かれ、約25人が参加した。NPO法人(特定非営利活動法人)滋賀大キッズカレッジ&地域教育支援センターの窪島務理事長が講演した。
         窪島さんは「本音と建て前を使い分けるようになる」など、高学年の発達の特徴を説明。対人関係が苦手な広汎性発達障害や、集中が難しく落ち着きがない注意欠陥多動性障害などの発達障害ついて「しつけの影響ではない。できないということを大人が理解して、安心感を与えてほしい」と呼び掛けた。
        (京都新聞)10月31日19時47分配信

        ●絵本で発達支援の本出版 鹿島の女性2人
         子どもを「絵本大好きっ子」にして「発達をうながす」ことを目的にした「絵本で楽しく発達支援」が出版された。NPO法人MMサポートセンター(福島県南相馬市鹿島区)代表理事で言語聴覚士の谷地ミヨ子さん、同センターボランティアスタッフの保育士近藤育代さんがまとめた。記念パーティーは10月28日、南相馬市原町区のラフィーヌで開かれた。
         「絵本で楽しく発達支援」は、谷地さんが自閉症やADHD、LD、アスペルガー症候群などの子どもたちの発達支援に役立てている絵本の活用法を紹介した。谷地さんの指導の様子を見た近藤さんが出版を提案。文章とイラストは近藤さん、コラムは谷地さんが担当した。
         難しい教育の言葉を並べるのではなく、イラスト中心の構成。「読む」から「見る」に重点を置き、理解しやすくなっている。
         内容は「絵本に興味を持たせるアレンジ読み」「うごきまわる子を、すわらせつづけてくれる絵本の読み方」で始まり、実際の絵本33冊の読み聞かせ方、活用法を記した。「場の雰囲気が読めない子に」「自分に自信がない子に」などのテーマで、絵本を紹介している。
         B5判、102ページで1200円(消費税別)。山洋社(東京都)から出版した。
        (福島民報)2007年11月01日

        ●<改正少年法>1日施行 触法少年調査でマニュアル…警察庁
         刑事責任を問えない14歳未満の触法少年の事件について、警察に強制調査権を付与する改正少年法が1日に施行されたことにあわせ、警察庁は触法少年の調査にあたって警察官が配慮すべき点を示したマニュアルを作成し、全国警察に示した。
         マニュアルは14歳未満の少年について、早期に非行から立ち直る可能性を持ちつつも精神的に未成熟で、人の話に迎合する傾向があるなどの特性があると指摘。調査にあたっては他人の耳目に触れないようにするなど少年の心情に配慮しなければならないとした。
         マニュアル作成にあたっては児童心理学者の意見も取り入れ、触法少年の呼び出しや面接、質問の仕方などについて心がけるべき項目をそれぞれチェック事項として具体的に示した。また、発達障害、知的障害などを抱える少年の調査について面接時に配慮すべき点を明記した。
        (毎日新聞)11月1日11時37分配信
        子どもの頃のことですが…(3)神社での三角野球
        2007/10/28
         村には神社というものが大抵はあると思います。私の生まれ育った村にも小さめの神社があり、その境内は小さく三角形をしていました。南北に広がる村の中心よりもやや南に位置し、村の子どもたちが時折集まっては、隠れんぼや野球をしたものです。
         野球、といっても所詮子どもの遊び。こんにゃくボールとプラスチック製のバット、グローブはあったりなかったり…。境内の形に合わせて逆二等辺三角形のような形のグランド。鳥居の下がホームでした。
         うまく打てば、神社の屋根に乗ってホームラン。ファールを打つとみんなで藪の中のボール探しです。
         そういえば、収穫後の田んぼでも野球をしました。こちらは、神社よりも広いグランドとなりますが、足下はガタガタ。まともな走塁はできませんし、ボールも転がるとどこへ向かうかわかりません。
         私が小学校の時代には、あの村にも、野球をするだけの子どもたちがいた、ということに、今では驚きです。そして、どんな連絡網、意思伝達手段を用いて子どもたちが1カ所に集まったのか? おそらくは、学校帰りの道すがら、誰かが言い出し、伝えあったり、家まで呼びに行ったりしていたのでしょう。それでなんとかなっていたんですね。時間は、ゆっくりと流れていたと思います。
         次回は「子どもの頃のことですが…(4)虫と遊ぶ」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        発達障害どう処遇 少年院・少年刑務所 プログラム充実急務

         「治療」の少年院か、「刑罰」の少年刑務所か。寝屋川教職員殺傷事件の控訴審で焦点となったのは、広汎性発達障害と診断された少年の処遇のあり方だった。弁護側は矯正教育に主眼を置く少年院での処遇を主張したが、発達障害に対応できる施設はまだごく一部。一方、少年刑務所は個別処遇の態勢作りが始まったばかり。今後、発達障害のある少年受刑者が増える可能性もあり、具体的な処遇プログラムの充実が急務だ。
         近年、凶悪事件を起こした少年が発達障害と診断される例は多い。しかし、全国に53ある少年院のうち発達障害に対応できる施設について、法務省は「処遇プログラムがある少年院はまだ1割程度。しかも、その効果は科学的に実証されているわけではなく、明確な処遇法は確立されていない」と言葉を濁す。
         処遇プログラムで高い評価を受けている少年院の一つが、兵庫県加古川市の加古川学園だ。一人ひとりの特性に応じて矯正教育を行う処遇に加え、発達障害の疑いがある少年を識別するテストを平成16年から始めた。
         その結果、当時の院生の8割程度が想像力の欠如など発達障害の特徴を示した。こうした院生に対し、犯した罪を描いた絵を見せて被害者の気持ちを想像させる▽グループワークで他人の立場になって語り合う▽動物と触れあう中で命の重さや相手との関係の築き方を学ばせる-といったプログラムを進めている。
         法務教官の一柳光司次長は「障害を治すというより、周囲に理解されない疎外感の原因である『感覚のズレ』を、集団の中で気付かせて修正するのが目的」と話す。
         一方、処罰に重点を置く少年刑務所。現時点で発達障害に特化した処遇プログラムの導入例はないが、旧監獄法を抜本改正し昨年5月に施行された受刑者処遇法(再改正により刑事収容施設法に改称)に基づき、個別処遇の態勢作りが始まっている。
         このうち先進的な取り組みで知られる埼玉県の川越少年刑務所では、少年受刑者の個別担任制を導入。担任との交換日記や集団の中で他人の気持ちになって手紙を書く作業など、これまで十分でなかった矯正教育に力を注ぐ。少年院との人事交流も積極的に進めており、今年度中には、発達障害に対応できる処遇プログラムのある少年院へ職員を研修で派遣する。
         同刑務所の金子陽子首席矯正処遇官は「少年を育て直す少年院と、責任の自覚を促す少年刑務所は役割も目的も異なる。少年刑務所の『少年院化』ではなく、少年院の優れたノウハウを取り入れたい」と話す。
         法務省は「どの処遇プログラムが有効なのかを早急に検証し、科学的な裏付けを得たうえで少年刑務所で実践したい」と話している。
        (産経新聞)10月25日17時10分配信

        ●<リタリン>適応症からうつ病削除を正式承認 厚労省
         乱用が広がっている向精神薬「リタリン」について、厚生労働省は26日、適応症からうつ病を削除することを正式に承認した。これでリタリンはナルコレプシー(睡眠障害)のみに使われることになる。また、小児期の「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の国内初の治療薬「コンサータ」の発売も承認された。
         今回の承認で2剤は製薬会社が登録した医療機関や調剤薬局しか取り扱えなくなる。同省は同日、2剤の流通管理を徹底するよう改めて都道府県に通知した。
         一方、今月に入り、九州で20代の女性がリタリンを服用できなくなることを不安に感じて自殺を図ったとの情報が製薬会社から寄せられた。このため同省は26日、リタリンを服用中の患者に十分説明し、他の薬剤に切り替えるなど医師や薬局が適切に対応するよう求める文書も出した。
        (毎日新聞)10月26日21時39分配信

        ●引きこもり青年を支援 NPO法人、活動広げる(和歌山)
         田辺市内で、引きこもり状態にある青年に居場所を提供しているNPO法人「ハートツリー」が、法人化して約1年が過ぎた。活動拠点となる事務所の移転を機会に、自主製品の菓子づくりを本格的に始めるなど活動の幅を広げている。
         2002年にハートツリーハウスとして開所し、昨年10月にNPO法人の認証を受けた。12月には同市末広町から、下屋敷町の2階建ての民家を借りて移転した。
         1階に事務室や来客室、相談室など、2階にはクッキーやケーキを作る作業場、談話室などがあり、利用者が自由に使えるスペースにしている。移転前は平屋だったため、利用者のみで過ごせる部屋がなかった。
         移転後、ケーキ職人の経験があり、食品衛生責任者の資格を取得した職員が新たに加わり、菓子製造の認可も受けたことで、これまではバザー販売だった菓子が店頭に置けるようになった。菓子の種類も増えた。
         利用者は、職員の指導で月に1回ほど菓子製造に携わっている。すべて手作業でクッキーは6種類、ケーキは5種類。製造が軌道に乗れば、季節によって材料を変えるなどして種類を増やし、店頭販売を始める予定。売れた分は工賃として利用者に還元しており、その増額も目指す。
         利用者は15歳から30代までの男女が対象で、利用者の平均年齢は20代半ば。定期的な通所者は7人で、登録して家庭訪問を受けている人が4人。
         酒井滋子理事長とスタッフ2人の3人体制で、通所者の相談に乗り、話し相手になるほか、家庭訪問や電話相談にも応じている。
         通所者は、好きな時間に来て本を読んだり、ゲームをしたりなどして過ごす。菓子づくりのほか、月に1回程度は県の体験型観光プログラム「ほんまもん体験」にも参加している。これまでに陶芸や地引き網、カヌーなどを体験し、参加者からは「いい運動になった」「参加してよかった」などと好評だ。
         酒井理事長は「ハートツリーを利用することで、確実に力が付いてきている。支援を必要とする人がいる限り、さまざまな対応に努めたい。居場所が広くなり、利用者同士のつながりが深まった」と話している。
         利用時間は、月曜から金曜までの午後1時~5時。会費(1カ月)は1万円。
         メールでも相談を受け付けている。見学体験も可能。問い合わせはハートツリー(電話0739・25・8308、電子メールアドレスheart-h@mb.aikis.or.jp)へ。
        (紀伊民報)10月24日16時59分配信

        ●北広島いじめ放置:対応「あまりにお粗末」 被害者の会が申し入れ/北海道
         北広島市立東部中でいじめを受けた生徒が不登校に、いじめを担任に報告した同級生が転校に追い込まれた問題で、いじめによって子どもを亡くした保護者でつくる「全国いじめ被害者の会」(大分県佐伯市)が24日、道教委と北広島市教委に対し被害生徒の立場に立った行動などを求める申し入れ書を発送した。
         申し入れ書は同中と市教委の対応を厳しく批判し、道教委に対しては問題解決へ向けた積極的な関与を求める内容。被害者の会の大沢秀明代表は「いじめへの対応の難しさについて、文部科学省などは早期発見できない点を挙げるが、今回は生徒から訴えがあったのに放置された。あまりにもお粗末だ」と指摘する。
        (毎日新聞)10月25日11時1分配信

        ●体験学習:発達障害学校開設へ 来月から、参加者募集/鹿児島
         注意欠陥多動性障害(ADHD)や高機能自閉症など発達障害がある中高生を対象とした学校「むぎのめ学園」の来春開校を目指している「協同の組織むぎのめ」は、11月~来年3月に開く体験学習への参加者を募集している。
         同学園は7~10月の日程で同様の体験学習を開催している。内容はゲーム、スポーツ、絵画、農作業や、学校の教科学習など。費用は計10回で1万円。説明会が28日午前10時から、鹿児島市川上町の麦の芽福祉会である。問い合わせは同福祉会099・244・8201。
        (毎日新聞)10月24日16時1分配信

        ●「授業減らしすぎた」中教審が異例の反省
         次の学習指導要領を審議している中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が、近く公表する中間報告「審議のまとめ」の中で、現行の指導要領による「ゆとり教育」が行き詰まった原因を分析し、「授業時間を減らしすぎた」などと反省点を列挙することがわかった。
         中教審はすでに、小中学校での授業時間増など「脱ゆとり」の方針を決めているが、反省の姿勢を明確に打ち出すのは初めて。中教審が自己批判するのは極めて異例だが、反省点を具体的に示さなければ、方針転換の理由が学校現場に伝わらないと判断した。
         中教審は1996年、それまでの詰め込み教育への反省から、思考力や表現力といった学力と、他人を思いやる心などを「生きる力」として提唱。現行の学習指導要領は、この「生きる力」の育成を教育目標に掲げ、小中とも授業内容を3割削ったり、総授業時間数を1割近く減らしたりしたほか、教科を横断した学習で思考力などを身につける「総合学習の時間」の創設を盛り込んだ。しかし、指導要領が実施されると、授業時間の減少により、「基礎学力が低下した」「子供の学習意欲の個人差が広がった」といった批判が相次いだ。
        (読売新聞)10月28日3時4分配信

        子どもの頃のことですが…(2)小学校への通学
        2007/10/20
        瀬戸内海に流れ込む細い川に沿って狭い田が続く谷間の村落の一番奥まった所に、私の実家はあります。それでも、私が小学校の頃には子どもたちも結構いて、異年齢ながらいつも数名の子どもたちで遊んでいた記憶があります。
         大変だったのは、学校への通学。この集落は小学校区の一番端に位置したため、当時の小学校から一番遠い所に家がある子どもだったと言っても良いと思います(反対側の学区の端までの距離がわからないので…)。中学でも、高校でも、学区の端、一番家が遠い生徒でした。
         どれくらい遠いか? 約4km、もちろん徒歩で、歩き続けて1時間はかかりました。行きは、一番奥の子どもから順番に家を回って集まっていき、バス停近くの集合場所でもう1つのルートから集まる子どもたちが来るまで一遊び。それからバスに乗るわけではなく、歩いて隣の集落を抜けて小さな山を一つ越え、次の集落へ。工業地帯のコンビナートを右手に、「歩く」ために作られた旧道をぞろぞろと…。
         辛かったのは、終業式と始業式、その前後です。終業式には机やロッカーにある荷物に加えて先生からの図工などの返却物をすべて持ち帰らなければなりませんし、始業式にはまた学校で使う道具類一式を持っていかなければなりません。背中にぱんぱんに詰めたランドセル、両手一杯に荷物を持っての片道4kmは、小学校低学年にはとても辛いものでした。そして、夏場。今でこそ水筒持参の所が多いようですが、当時は水筒は遠足か運動会以外で持っていくことは禁止されていて、炎天下の帰り道、1時間水分補給無し、は地獄の苦しみでした。
         まぁ、お陰で、体力と忍耐力だけはついたようです。
         次回は「子どもの頃のことですが…(3)神社での三角野球」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        自殺予兆患者を専門医に紹介で診療報酬加算へ

         厚生労働省は19日、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)に対し、不眠症などで来院した患者に鬱病(うつびょう)などで自殺の予兆が認められた場合に、精神科医へ紹介すれば診療報酬を加算する考えを示した。一方、脳卒中の後遺症に悩む患者を減らすため、新薬療法が可能な体制を整備した「脳卒中対応病院」にも診療報酬を手厚くする方針も明らかにした。平成20年度の診療報酬改定で実現する見通しだ。
         自殺者数は毎年3万人超と高水準で推移しており、政府は6月に自殺対策基本法に基づく「自殺総合対策大綱」を決定。診療報酬改定でも対策を検討してきた。
         自殺の危険性が高い人は、鬱病などを患っていることが多いが、本人が自覚しておらず、身近な内科などの開業医にかかって体調不良を訴えることが多い。そこで、内科医などが患者のこうしたシグナルをつかんだ段階で専門治療につなげる流れを作るため、精神科医に紹介状を書けば診療報酬を加算することにした。
         自殺未遂者は再度自殺を試みることが多く、精神的なケアが必要なことから、救急搬送時に身体的な治療だけでなく、精神治療をした場合も、診療報酬を加算する。
         子供の精神障害については、親子それぞれに面談が必要など、診察時間が長時間に及ぶケースが多いため、診療時間に応じて診療報酬を加算する。1年間を限度として算定しているカウンセリング料の上限も延長する考えだ。
         一方、日本人の死因で第3位の脳卒中治療の充実に向け、脳梗塞の新薬「t-PA製剤」を使った治療態勢を整えた「脳卒中対応病院」に対し、診療報酬を手厚くする。
         「t-PA製剤」は血管内の血栓を溶かす能力が高く、脳梗塞発症後3時間以内に投与すれば、後遺症の発生率を下げることができるとされているが、脳出血の副作用があり、投与までの短時間に血液検査や画像診断などを行うために、24時間体制をとる必要がある。このため、診療報酬を加算して中規模病院にも態勢を整備してもらう。
        (産経新聞)10月19日22時13分配信

        ●<調書引用>医師逮捕…内部告発萎縮招き、表現の自由侵害も
         奈良県田原本町の医師宅に放火した長男の供述調書をめぐる秘密漏示事件で、草薙厚子さんの求めに応じて調書を見せたとして長男を精神鑑定した崎浜盛三医師(49)が奈良地検に逮捕された。「逮捕」に至ったことは、取材を受ける側の情報提供者や、内部告発を行う人たちの萎縮(いしゅく)効果を招きかねず、表現の自由を侵害する恐れが大きい。
         刑法の秘密漏示罪は、医師や弁護士らが正当な理由がないのに、業務上知り得た秘密を漏らす行為が処罰対象で、地検は不当な漏えいに当たると判断した。草薙さん側は取材源の秘匿だとして入手先を明らかにしていないが、崎浜医師が情報提供したのは、事件が起きた背景を社会が共有し再発を防ぐことに、秘密を守ることを上回る利益があると考えたからだとみられる。
         服部孝章・立教大教授(メディア法)は「刑事手続きに関する記録は基本的には社会全体が共有すべき情報であり、取材に応じる目的や方法が不当でない限り、秘密漏示には当たらない」と指摘し「逮捕は、秘密に接する公務員や裁判員になる国民に対する見せしめ効果しか生まない」と批判する。
         今回、草薙さんの著作の表現内容については批判も少なくない。(1)結果として崎浜医師の逮捕を招いた(2)少年法の精神と照らして調書の内容をほぼそのままの形で掲載するのが妥当なのか(3)関係者のプライバシーを侵害していないか--などの指摘がある。
         本来、表現や報道の自由にかかわる領域は、民事手続きで解決するのが筋だ。今回も草薙さんや講談社側に対する名誉棄損・プライバシー侵害での損害賠償請求や、出版の差し止め請求などで対応すべきだった。いずれにしろ、草薙さんと講談社には、十分な検証と社会に対する説明責任がある。
        (毎日新聞)10月15日11時35分配信

        ●鑑定医を逮捕で波紋広がる 漏洩依頼のジャーナリストの立件が焦点
         奈良県田原本町の医師(48)宅放火殺人の供述調書漏洩(ろうえい)事件で奈良地検は14日、ジャーナリストの草薙厚子さん(43)に調書や精神鑑定資料を閲覧させたといわれる京都市の精神科医を逮捕したが、取材対象の逮捕という異例の事態だけに、出版・報道の自由をめぐる論議があらためてたかまりそうだ。また、調書などをもとに著書を出版した草薙さんの立件の可能性の有無が今後の焦点となる。
         刑法の秘密漏示容疑で逮捕されたのは、放火した医師の長男(17)=中等少年院送致=の精神鑑定を担当した崎浜盛三容疑者(49)=京都市左京区下鴨西本町=。
         捜査当局によると、崎浜容疑者は、奈良家裁に精神鑑定書を提出する前後の昨年10月5~15日、自宅や京都市内のホテルで3回にわたって草薙さんと面会、鑑定資料や精神鑑定結果などを見せ、業務上知り得た秘密を不当に漏らした疑い。
         崎浜容疑者は昨年8月、家裁から鑑定医に選任され、長男や父親らの供述調書や非公開の少年審判記録の写しなどの鑑定資料を受領。草薙さんは今年5月、調書や審判記録などからの引用が内容の大半を占める著書「僕はパパを殺すことに決めた」を講談社から出版した。
         地検のこれまでの調べに対し、崎浜容疑者は「草薙さんから何度も頼まれ、資料を見せた」と認める一方、「事前に内容を確認できず、ああいう形で出版されるとは思わなかった」と供述している。検察当局は在宅起訴も検討したが、最終的に「真相解明のため、総合的に逮捕が必要」と判断した。
         一方、草薙さんについては、崎浜容疑者が草薙さんから再三にわたり閲覧を要請されたとしている点に加え、鑑定資料の多数のページから指紋が検出されたことも重視。閲覧時に同席した講談社社員とともに、刑法が規定する「身分なき共犯」に当たる可能性があるとみているもようだ。
         しかし、著書の内容が崎浜容疑者の意に反する形で出版されたことなどから、崎浜容疑者の漏洩(ろうえい)行為と草薙さんの著書出版とを一連の犯罪として立件するのは困難との見方もある。
         同書は出版直後から波紋を呼び、長勢甚遠法相(当時)は6月5日の会見で「司法秩序を乱し、少年法の趣旨に反する」と批判し、流出元の調査を省内に指示。同月、長男と父親から秘密漏示罪での告訴を受けた地検は、9月14日に崎浜容疑者や草薙さんの関係先を家宅捜索するとともに、任意の事情聴取を開始。草薙さんは特定の人物から捜査資料の開示を受け、一部を撮影したことを認める一方、取材源については明らかにしなかった。
        (産経新聞)10月15日11時44分配信

        ●いじめ自殺 遺族、文科省に質問書 福岡・筑前 森さんら 親の知る権利要望
         福岡県筑前町で昨年10月、いじめを苦に自殺した森啓祐君=当時(13)=の母美加さん(37)らが16日、文部科学省を訪れ、遺族の知る権利を重ねて訴える渡海紀三朗文科相あての質問書を池坊保子副大臣に手渡した。
         学校内での情報が保護者に詳しく知らされない現状の改善を訴え「隠ぺいが繰り返される実態をどうみるか」「学校での事件事故に関する親の知る権利を法制化する必要があると考えるか」など41項目について文科相の姿勢をただした。
         いじめなどが原因で子供を失った全国の遺族が5月に出した要望書への回答が不十分だったとして、合同で提出した。
         1998年に15歳の長女を自殺で亡くした横浜市の小森美登里さん(50)とともに質問書を手渡した美加さんは「この1年間、事実を知らされない苦しみが続いた。文科省が中心になって取り組んでほしい」と要望。池坊副大臣は「必ず丁寧に答える」と話した。
        (西日本新聞)2007/10/17付

        ●「学校裏サイト」ネットいじめの温床に
         総務省が昨年末にまとめた調査結果によると、13~19歳のうち「インターネットを利用したことがある」と答えたのは全体の約9割、また「携帯電話を利用した」と答えたのは約8割に上る。6~12歳でも4人に1人が携帯電話を利用しており、5年前に比べて4倍に急増している。
         携帯電話やインターネットの普及とともに広がっているのが「ネットいじめ」。神戸の事件では、自殺した男子生徒の携帯電話に「金を払わなければリンチする」などの脅迫メールが繰り返し送信されたり、インターネットサイトに男子生徒の裸の写真が掲載されたりするなど、ネットを悪用したいじめが繰り返されていた。しかし、学校側は男子生徒が自殺するまで携帯電話のメールによる金品要求や、サイトでの嫌がらせを把握しておらず、学校の管理や教師の目が行き届かないネットいじめの現状が改めて浮き彫りとなった。
         平成16年6月に長崎県佐世保市で起きた小6同級生殺害事件では、加害女児のホームページ(HP)に、同級生から中傷する書き込みがあったことをめぐるトラブルが事件につながった。また、昨年9月には同級生から「死ね」などのメールを送られた奈良県の中学1年の男子生徒が抑鬱(よくうつ)状態になる問題があり、奈良県警が同級生2人を児童相談所に通告した。
         最近では「学校裏サイト」とよばれ、同じ学校に通う生徒が情報交換に使うネット上の掲示板が、ネットいじめの“温床”となっている。
         今年4月には、大阪市の女子中学生への中傷的な書き込みを放置していたなどとして、大阪府警が名誉棄損幇助(ほうじょ)容疑で掲示板の管理者を書類送検した。しかし、このような学校裏サイトは20万件以上存在すると指摘する専門家もおり、捜査当局の摘発も氷山の一角だ。
         文部科学省では昨年度、毎年実施しているいじめの実態調査に「パソコンや携帯電話などで誹謗(ひぼう)中傷や嫌なことをされた」という項目を新しく追加し、従来のいじめと区別した形でネットいじめの実態調査に乗り出したばかりだ。
        (産経新聞)10月16日23時29分配信

        ●向精神薬リタリン、効能からうつ病を削除
         乱用が問題になっている向精神薬リタリン(一般名・塩酸メチルフェニデート)について、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は17日、効能からうつ病を削除することを認めた。
         これを受け、同省は月内にも適応症を睡眠障害ナルコレプシーに限定する。
         さらに乱用防止に向け、部会は、製造販売元のノバルティスファーマ社に管理体制の構築を義務づけた。同社は来年初めまでにナルコレプシーを適切に診断できる医師や、リタリンを処方できる医療機関・薬局を登録制にして流通を管理する。医療用麻薬並みの厳しい規制という。
         部会では、薬効成分がリタリンと同じで、小児の注意欠陥・多動性障害の治療薬コンサータについても、承認申請中のヤンセンファーマ社が同様の管理体制を提案。この疾患の新薬として、国内で初めて承認される見通しとなった。
        (読売新聞)10月17日23時40分配信

        ●虐待防止に関係者熱く 長岡京で研修会、精神科医が講演
         府乙訓保健所の「児童虐待防止研修会」が15日、京都府長岡京市開田3丁目の産業文化会館で開かれ、乙訓地域の保健や医療、福祉、学校関係者ら約150人が児童精神科医の講演を熱心に聞き、見識を深めた。
         同研修会は毎年、虐待防止と広域ネットワークを目的に行っている。今回は、愛知県大府市にある「あいち小児保健医療総合センター」の心療科部長兼保健センター長の杉山登志郎さんが「発達障害と子ども虐待-子どもと親の理解と対応」をテーマに講演した。
         杉山さんは専門外来を置く同センターの虐待対応システムの概要や診察を行った子どもの症例、問題点などを話すとともに、「現在は身体的な虐待が多いが、近い将来に性的虐待が噴出すると考えられる」と説明した。
         また、発達障害と虐待の関係については「虐待を受けた子どもの、ほぼすべてに発達障害が起こると言って過言ではない」とした上で、「加齢に従って類似した臨床的経過を示し、社会的な適応上の困難をもらたす。難しいが、治療的な介入によって軽減でき、恒常的な変化に対する修正が可能だ」と話した。
        (京都新聞)10月16日10時19分配信

        ●組み立て式小部屋:自閉症児に癒やしの箱 愛媛大など共同開発、効果アップへ実験
         自閉症の傾向がある子どもが中に入ってストレスを癒やす組み立て式小部屋を、愛媛大教育学部の苅田知則講師(34)=障害児心理学=と京都市の福祉機器会社「五大エンボディ」(佐藤忠弘社長)が共同開発。同学部付属特別支援学校(松山市、上岡一世校長)中学部で実証試験を始めた。12月に障害者らの電子情報支援技術などをテーマに研究者や企業などで作る学会「ATACカンファレンス2007京都」で発表し、来年以降に国内初の製品化を目指す。
         小部屋は化粧合板張りで高さ1・5メートル、幅と奥行き各1・2メートル。内部はブラインドを下げて暗くし、心を落ち着かせる効果があるとされる、7色の光が徐々に変化するプラスチック製ファイバー100本を束ねたオブジェなどを置く。
         苅田講師によると、自閉症児はさまざまなストレスからパニックを起こすことがあるが、囲われた静かな場所は回復や予防に効果があるという。北欧などの施設には視覚的な刺激が少ない専用室があるが、日本ではあまり例がなく、特別支援学校などで段ボールなどを使いスペースを作って対応している。しかし、壊れやすいため、必要な時に簡単に組み立てられる丈夫な小部屋を作ろうと、昨年11月から共同研究を進めている。
         実証試験は今月から始まり、利用する子どもの体表温度をサーモグラフィー(温度を色分け画像表示する装置)で測ったり、唾液(だえき)に含まれる消化酵素の分泌量を量るなどの方法でストレスの強さを計測。部屋の広さや中に置くオブジェを変えるなどしながら、最も鎮静効果が上がる条件を調べる。
         上岡校長は「子どもの障害や知的能力の程度などに応じ、どういう使い方をすれば最も鎮静効果が上がるか、学校としても研究したい」と話している。
        ◇大変意義深い--東京大先端科学技術研究センターバリアフリー分野、福島智・准教授(障害学)の話
         通常の子どもでも狭い場所に入ると安心する。母の胎内を思い出すからだという説がある。自閉症児を無理に周囲に合わせず、環境の方を調節して子どもの状態に合わせるのは大変意義深い研究。国内にあまり例がないと思う。
        ◇商品化の例ない--自閉症などに詳しい京都大霊長類研究所、正高信男教授(認知神経科学)の話
         自閉症児がパニックを起こした場合の対応は、さまざまな施設で苦心している。狭い場所の鎮静効果は知られているが国内で商品化の例はない。部屋の使い方のノウハウがなければ事故の恐れもあるので、いい研究だと思う。
        (毎日新聞)2007年10月14日

        ●府教委:高校生相次ぐ自殺に「緊急支援チーム」設置 教員に助言、生徒相談も/大阪
         府立高校の生徒の自殺が相次いでいることを受け、府教委は18日、自殺を防ぐために生徒や学校への「緊急支援チーム」を設置した。生徒へ命の大切さを伝える方法を学校にアドバイスしたり、悩みを持つ生徒の相談に乗る。府内の公立・私立の小中高校の全児童、生徒には、電話相談の連絡先を記した携帯用カードも配布し、「子供たちの心に届く取り組み」(府教委)を徹底する。
         府立高校では、9月末から生徒3人が自殺しており、いずれも詳しい原因は不明という。府教委はこの間、臨床心理士などの助言を受け、対策を協議。その結果、府教委の職員約20人と、スクールカウンセラーや精神科医ら専門家約30人で作る支援チームを設置した。府教委は、19日に府立学校173校の校長らを臨時に集め、ホームルームで教員が自らの体験を話すなど、命の重さについて生徒に伝えるように要請する。チームは、この伝え方をアドバイスし、ホームルームに参加。個別の生徒からの相談にも応じる。
         また、11月5~9日には、既に常設している電話相談窓口の終了時間を、現行の午後5時半から8時まで延長。11月初めには、この窓口も含めて計三つの電話相談の連絡先を記したカードを生徒に配布する。時間延長するのは「すこやかホットライン」(06・6607・7361)。
        (毎日新聞)10月19日17時3分配信
        子どもの頃のことですが…(1)フナ釣り
        2007/10/14
        私の若き日々を振り返ってみようと思い立ちました。
         私が生まれたのは瀬戸内海沿岸の小さな村落の一番奥まった辺りで、バス停から1kmありました。物心ついたころには沿岸部の干拓事業が進み、干拓された土地が農地利用されていて、わが家でも稲作をしていて、田植えや稲刈りをした記憶があります。
         この干拓事業は、コンビナート建設のための埋め立て事業の周辺整備で、米を作っていた田んぼ周辺は今ではグリーンベルトとして緑地公園となっていますが、そのすぐ隣にはとてつもなく大きな石油備蓄タンクが建てられています。
         自宅近くの風景は、棚田の向こうにコンビナートの煙突が林立し、煙突からは白い(?)煙と炎がもくもくと天に…。その煙で、その日の風向きがわかりました。
         さて、その棚田に水を供給していた池が、今回のフナ釣りの舞台です。自宅から歩いて3~4分のところにある農業用のため池で、70×150mくらいあったと思います。瀬戸内海沿岸部でありながら海までは遠かったので、池で釣りを覚えたわけです。まともな釣り道具をもってなかった頃は、青竹を竿に、たこ糸をテグスに、小石をおもりに、針金を釣り針に、ミミズを掘って池に通ったものでした。さすがにそんな仕掛けでは釣れませんでした。見るに見かねた親が、子ども用のリール付きの釣りセットを買ってくれ、それからは、フナを投げ釣りで釣る遊びにはまっていきます。
         ミミズをエサに、日が暮れるまで。毎回、何匹か釣れたことも、フナ釣りにはまった要因だと思います。
         当時は、年中水が溜まっていましたが、今では水稲を育てるシーズンが過ぎると水を抜いてしまい、秋から冬にかけては干上がって底が見えているので、もう魚類だけでなく、様々な生物が生存できなくなっているのでしょう。
         フナ釣りで覚えた釣りの楽しさは、30歳を超えてから再燃することになります。
         次回は「子どもの頃のことですが…(2)小学校への通学」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        アスペルガー障害の理解を 21日と11月、京で講演会

         コミュニケーションが苦手なアスペルガー障害への理解を深めてもらう講演会が、10月と11月に京都市内で相次いで開かれる。障害の当事者や支援に携わる専門家と一緒に、望ましいかかわり方を考える。
         いずれも、市民グループ「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」(京都市南区)で思春期以降のアスペルガー障害を支援する部門「アスペ・ノンラベル」が主催する。
         10月21日午後1時半から、左京区の京都会館で、アスペルガー障害の当事者として著作も多い翻訳家のニキ・リンコさんが「自閉は急に止まれない」をテーマに講演する。参加費3000円。
         11月23、24日午前10時から下京区の「ひと・まち交流館京都」で援助者養成講座を開く。初日は精神科医の定本ゆきこさんが講演し、当事者を交えて意見交換する。2日目は同家族会ノンラベルの田井みゆき代表と東京都立梅ケ丘病院の市川宏伸院長が講演する。参加費は1万円。
         定員は各300人(先着順)。メール、ファクスで参加を受け付ける。問い合わせはノンラベル事務局TEL075(921)3338。
        (京都新聞)10月7日10時19分配信

        アスペルガー障害:翻訳家のニキ・リンコさん講演--21日、京都会館で /京都
         広汎性発達障害の一つ、アスペルガー障害の当事者で、翻訳家のニキ・リンコさんが21日午後2時から、「自閉は急に止まれない」と題し、左京区の京都会館会議場で講演する。同障害の当事者と家族の支援などに取り組んでいる同市南区の民間団体「アスペ・ノンラベル」(田井みゆき代表)が「自閉症者が生きやすい社会をつくっていくヒントを学ぼう」と企画した。
         当日は、当事者として日常生活のありのままを語ってもらう予定。先着300人、参加費3000円。希望者は、住所・氏名・電話番号・ファクス番号を明記して、ノンラベル事務局あてメール(non‐label@mist.ocn.ne.jp)かファクス(075・921・5055)で。
        (毎日新聞)10月12日17時1分配信

        ●精神鑑定医を逮捕=少年の供述調書資料見せる-家族放火殺人で秘密漏示・奈良地検
         奈良県田原本町の医師(48)宅で3人が死亡した家族放火殺人をめぐり、少年院送致となった長男(17)らの供述調書を引用した本が出版された秘密漏えい事件で、奈良地検は14日、ジャーナリストに調書を見せたなどとして、刑法の秘密漏示容疑で、長男の精神鑑定をした音羽病院(京都市)医師崎浜盛三容疑者(49)=京都市左京区下鴨西本町=を逮捕した。容疑を認めているという。この事件では、著者のジャーナリスト草薙厚子さんの自宅や事務所が関連先として、9月14日に地検の家宅捜索を受けた。取材対象者が秘密漏示容疑で逮捕されたのは異例。取材、報道の自由への影響や少年法、プライバシー保護の観点から議論を呼びそうだ。
        (時事通信)10月14日12時1分配信

        ●全国学力テスト成績、全都道府県が公表せず
         今年4月、小学6年と中学3年を対象に実施された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果について、47都道府県すべてが、文部科学省から提供される市町村別や学校別の成績を公表しない方針であることが、読売新聞の調査で分かった。
         主な理由は「序列化や過度の競争を防ぐため」で、全都道府県が、住民から情報公開請求があっても「原則不開示にする」としている。一方、データの提供は当初予定より1か月半以上遅れており、「結果を分析する時間が足りない」と、各教育委員会などで不安が高まっている。
         文科省は、学力テストの平均点や問題ごとの正答率などを、国全体と都道府県別に分けて公表する一方、都道府県教委に、各都道府県のデータに加え、管内の市町村や学校のデータを提供する。さらに、市町村教委には各市町村と管内の学校のデータが提供され、各学校には学校のデータのほか、児童・生徒一人ひとりの成績表が配られる。
        (読売新聞)10月12日9時9分配信

        ●社保庁からの35歳時「年金」通知、57万通が届かず
         社会保険庁が3月に始めた、35歳時に年金記録を通知する「ねんきん定期便」で、7月までの5か月間に送付した831万4000通のうち、6・9%に上る57万通が加入者宅に届かなかったことが、読売新聞の情報公開請求でわかった。
         4年目になる受給2年前の58歳向け「被保険者記録事前通知」も、年々、不達率が上がっており、すでに受給している人を含む全加入者を対象に、12月から始める年金記録漏れ対策の「ねんきん特別便」でも、同様の不達が懸念される。
         同庁は、住所変更を届け出ない加入者が増えてきたのが主な原因として、「転居時には忘れず届け出を」と呼びかけている。
        (読売新聞)10月9日3時12分配信

        ●年金納付、20代前半で実質26%・06年度社保庁まとめ
         社会保険庁は9日、2006年度の国民年金保険料の年齢層別の実質納付率を明らかにした。納付を免除されている失業者や、納付猶予を受けている学生も分母に加えて算出した納付率で、20―24歳が26.9%と最低だった。25―29歳の40.4%が2番目に低く、若くなるほど未納が深刻になっている。一方、保険料の督促は停滞気味で、年金制度の空洞化に拍車がかかっている。
         収入がない失業者や生活保護世帯などは保険料の納付が免除され、学生も納付を猶予される特例がある。社保庁はこれまで免除・猶予者を分母から除外して納付率を算出してきたが、「実態を反映していない」という民主党の指摘で初めて実質納付率を算出した。
         全年齢層平均の納付率は49%で、年齢層が下がるにつれて納付率は低くなり、40―44歳から下の年齢層はすべて5割を割り込んだ。社保庁が従来公表してきた通常の納付率は平均が66.3%で、最も低い20―24歳でも56.2%となっていた。
        (NIKKEINET)2007年10月10日

        ●<精神障害者訓練>「実務」で就労促進 一般企業へ意欲 
         精神障害者が一般企業で働けるよう目指したロールプレー型の職業訓練が注目を集めている。「富士ソフト企画」(神奈川県鎌倉市)の人材開発グループ長でカウンセラーの佐織寿雄さん(41)が03年から行っており、04年からは厚生労働省の委託訓練事業として福祉団体や医療機関と連携した職業訓練を東京都などでも計4回実施。訓練に参加したことのある統合失調症の男性(38)は「内職中心の福祉作業所では自立への見通しは立たないのが現実。今は就職に近づいている実感がある」と話している。
         訓練は約15人が週5日、約3カ月間でホームページ(HP)作成などのパソコン技術や顧客との取引や電話対応など実務を学ぶ。上司や部下といった配役を設定。1人1台ずつのパソコンを使うほか「会議の文書をメールで送りました。ご確認ください」「分かりました」など、企業内の実務を想定した電話のやり取りをし、HP作成などのプロジェクトチームを組んで最終的にプレゼンテーションも行う。
         同社では就職後も社内のカウンセラーがこまめに面談し、職場との橋渡しや人事異動の提案などを行っていくという。うつ病で転職を繰り返し8月に同社に就職した東京都東大和市、福岡信治さん(41)は「病気を打ち明けると『辞めてくれ』と切り出されたこともある。障害への理解が得られる環境がありがたい」と話す。また、委託訓練事業の一環で外部の企業にそうした取り組みを見学してもらっている。
         厚労省によると、精神障害者の民間企業(従業員56人以上)への就職者数は06年6月現在で約2000人。全国で就業する知的障害者は約4万4000人だが、障害を明らかにして働く精神障害者の就業率は1%以下。
         同社はソフトウエア開発会社「富士ソフト」の特例子会社でHPなどを作成しており、精神障害者の採用企業でも多くは10人前後にとどまる中、国内最多の48人を採用。佐織さんは「精神障害は社会生活の中でこそ回復する」と就労の重要性を訴えている。
         神奈川県立保健福祉大学の松為信雄教授(精神保健福祉学)は「精神障害者は人間関係やストレスなど外的要因に左右される不安定な労働力とみなされがち。このような実例が増えることで企業側に雇用の機運が高まるのではないか」と話している。
        (毎日新聞)10月11日3時8分配信

        ●「ものづくり系」に重点化 府立高等技術専門校の講座 京都府が中間案
         職業訓練を行う府立高等技術専門校を活性化しようと、京都府は12日までに活性化プラン中間案をまとめた。各校の講座を求人が多い「ものづくり系」に重点化したり、受講対象を発達障害の人や若年の不定期雇用層にも拡大するなど、多様化な活性策を盛り込んだ。
         府内の高等技術専門校は、京都(京都市伏見区)、福知山、城陽障害者、陶工(東山区)の4校。建築や自動車整備などの各訓練科で、10-30人が、半年から1年間学んでいる。
         計画では、求人倍率が他分野より高い機械や電気分野の講座を、京都校や福知山校で重点化する。一方、民間の職業訓練機関と重複が指摘される事務・デザイン系の講座は縮小する。
         発達障害のある人や、フリーターや若年の不定期雇用層への職業訓練も新たに実施。中小企業の人材育成を支援するため、企業が従業員を教育する場合、各校の施設を開放する。
         府は「民間でできない職業訓練を中心に支援を強化する」(能力開発課)としている。
        (京都新聞)10月12日20時49分配信

        ●引きこもりの6割、不登校経験 京都府、自立へ就労支援など検討
         京都府ひきこもり相談支援センター(京都市伏見区)を面接相談に訪れた人のうち、約6割が不登校を経験していたことが7日までに分かった。卒業や中退後に社会との接点がなくなって30代を迎える人の相談も多く、教育機関と引きこもり支援の間の連携不足が浮き彫りになった。府は「学籍がなくなると教育機関は手を出しにくい。民間の力を借りながらより実効性ある施策を行いたい」として、来年度以降、フリースクールを活用した支援策を検討する。
         支援センターによると、2005年6月の開設以降、今年8月末までに215人が面接相談に訪れた。このうち不登校の経験は、115人が「あり」と回答。73人が「なし」、27人が不明だった。
         引きこもりが始まった年齢をみると、15歳以下が2割、16-18歳が3割で、合わせて半数を占めた。ただ、19-24歳も28%、30歳以上も13%あった。
         引きこもりの期間は、1-3年未満が19%と最も多いが、「3-5年未満」「10年以上」がいずれも18%、「5-7年未満」も17%あり、長期化する問題の深刻さをうかがわせた。
         相談者のうち約160人は家族で、本人は55人にとどまった。
         これを受けて府は、「青少年社会的自立支援プラン」の改定案をまとめた。重点施策として、不登校の子どもを支えるフリースクールに委託し、卒業後、引きこもらないよう就労支援や職業訓練などを働き掛ける仕組みづくりを掲げている。
         また、不登校と引きこもりの支援者を引き合わせる合同研修会や、引きこもりから自立した人が体験談を発信する「心の手紙」事業なども盛り込んでいる。
         同センターの曽我和博相談員は「対人関係が苦手という点では不登校も引きこもりも共通する。相談者の多くは中学、高校、大学というレールから外れたと思い、落ち込み、親子とも地域で孤立しがち。だが長期化しても、第三者とのかかわりをきっかけに社会参加につながった例もある。第三者に相談することが大事だ」と訴えている。電話相談はTEL075(641)2291で受け付けている。
        (京都新聞)10月8日11時59分配信

        ●学童保育、1施設当たり上限70人…厚労省指針
         共働きや一人親家庭の児童が放課後を過ごす「学童保育」の規模や設備などに関し、厚生労働省が策定する初のガイドライン(指針)の内容が13日、明らかになった。
         同省は近く公表し、各都道府県などに通知する。学童保育は、利用者急増で大規模化し「子供に目が届かない」などの問題も指摘されており、保育の質を確保するのが目的だ。
         指針では、1施設当たりの児童数を「最大70人までとする」と上限を明記した。面積は、児童1人当たりおおむね1・65平方メートル以上とし、児童の体調が悪いときに休息できるスペースを確保することを定めた。
         土曜日や夏休みなどの開所時間は、8時間以上としている。また、新1年生については、4月1日から受け入れるようにした。保育園に子供を預けて働く親が、「3月末の卒園後、4月上旬の入学式まで子供を預ける場所がないのは困る」との声が強かったためだ。
        (読売新聞)10月14日9時13分配信

        奥深い精神の分析か、さしあたあっての問題解消か
        2007/10/06
        一人の人が精神病理や神経症の症状を発したり、発達の障がいや偏りに周囲の人が気づいた場合に、精神科や心理療法を行う機関や個人、保健所等の相談機関につながることになると思います。
         まず、基本的な視点としてもっておいて欲しいことは、症状を出し状態を呈しておられる本人さんが、困っておられる、生きづらさを感じておられるという現実です。
        そこに至る原因や経過は人それぞれです。遺伝的要因も否定できませんし、生得的な精神の脆弱さもあるでしょうし、育っていく環境の中でのさまざまな体験、特に嫌悪体験や傷つき体験、恐怖体験なども大きく影響しますし、些細な人間関係上のトラブルがトラウマとなることが基点となることもあるでしょう。
         気をつけたいのは、精神病理や神経症の症状を発したり、発達の障がいや偏りが見られる場合に、その原因を本人=個人に帰属させてのみ対応を考えるという過ちをしないことでしょう。人は社会に関わる限り、他者との関係性の中で生き、学び、死を迎えるまで成長・発達する存在です。精神病理や神経症の症状も、発達の障がいや偏りによる生きづらさも、関係性の中から生じます。個人の内面を問題化していても、原因を知ることも、今行われるべき援助を見いだすこともできません。
         家系(各個人の特性)、本人の生育歴、生育環境、現病状や症状が発現するきっかけになったと思われる出来事、現在の生活状況、今後の人生をどう生きたいと思っているかなど、本人及び社会的環境を丹念に把握しながら、本人の願いを尊重しながらその生きづらさを軽減させていく方策を一緒に考えていくという姿勢が、援助者に求められていると思います。そのためのデータ収集としての聞き取りや各種検査、診断、薬物の処方、計画性のある治療とソーシャルワークが必用となります。
         繰り返しになりますが、個人の内面の問題だけにしないこと、即効性を求めての場当たり的な対応に陥らないことは、対人援助の基本姿勢として持ちたいと思います。
         次回から「子どもの頃のことですが…」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        生活保護申請書渡さず 女性、自殺寸前に 北九州市

         生活保護の申請を容易には受け付けない「水際作戦」が批判された北九州市で、3回も福祉事務所を訪れながら申請書すら渡されず、自殺寸前まで追い込まれた女性(47)がいた。3回目は、市が設置した第三者委員会が検証を進め、問題点の指摘を始めた矢先の7月だった。女性の携帯サイトへの書き込みで窮状を知った弁護士らが申請を支援。一命を取り留めた女性は保護を受け、小学3年の次男(9)と暮らしている。
         同市小倉南区に住む女性は05年夏、突然両手の感覚を失い、職をなくした。原因不明で服薬治療を続け、児童扶養手当などで暮らそうとしたが、行き詰まった。家賃や国民健康保険料を滞納し、06年2月に小倉南福祉事務所を訪ねた。
         窓口の職員に長男(23)や親兄弟に援助してもらうよう言われ、面接室に1人残されたという。後に入手した記録には「申請意思なし」に○がついていた。
         家賃滞納のまま食事にも事欠いていた今年3月、次男が41.5度の熱を出した。救急車を呼び、ことなきを得たが、医療費がない。「このままではこの子を殺してしまう」。再び福祉事務所へ行ったが、保険証の発行を受けただけだった。
         近所の住民が食事を分けてくれた。しかし、光熱費の滞納は続き、まずガスが止められた。水風呂に入る日々が続き、電気も水道も停止日の通知が届いていた。狭心症、うつ病の疑いもあった。でも、金がない。
         7月6日、また福祉事務所に足を運んだ。職安に通っていたが、まともに働ける状態ではない。それでも相談は国保の話に終始し、保護の申請書はもらえなかった。「これは死ねってことか」。帰宅後、電気が止められた。
         市内では05、06年に申請書をもらえずに男性が相次いで孤独死した。今年2月に就任した北橋健治市長は保護行政の検証を表明し、5月に第三者委を設置。6月には同委のメンバーが「申請書を渡すべきだった」と指摘していた。
        (asahi.com)2007年10月05日10時13分

        ●都内初・引きこもり調査を開始 要因分析、予防対策に
         東京都は2日までに、都内の引きこもりの実態調査に着手した。今年度末をメドに結果をまとめる。これまで全国レベルの調査はあったが、引きこもりの若者の推計人数が32万~160万人と幅がある上、都市部のデータが少なかった。大都市での本格的な調査は初めてといい、都では「都内の引きこもりの実態を解明することで、対症療法だけでなく予防も含めた対策に生かしたい」としている。
         都ではまず、住民基本台帳から無作為抽出した15~34歳の若者3000人を対象に、生活の実態や自立意識、引きこもりへの共感度などを聞く。
         さらに都内の保健所、教育相談センター、医療機関など約600施設に問い合わせて引きこもりの若者の紹介を受けて、300人を目標に本人への面接を実施する。家族環境や友人関係、学校に通っていたときの状況などを聞き取る方針。調査は明星大人文学部の高塚雄介教授に委託、面接にはカウンセリングの訓練を受けた学生などがあたる。
         面接調査の結果をふまえて、引きこもりの要因を分析しパターン化。引きこもりの芽をつむ方策を探る。
         都内には現在、どのくらい引きこもりの若者がいるかの推計もないのが現状。今回は「自宅以外の生活の場が6カ月以上失われている15~34歳の人」を「引きこもり」と定義して、人数を推計することにしている。
         都青少年・治安対策本部では「対象者を探して面接の了承を得るのが大変。難しい調査になるが、現状を明らかにしなければ対策も進まないので、できるだけ多くのデータを集めたい」と話している。
        (産経新聞)10月3日15時33分配信

        ●「醜くても真実知りたい」高校生も訴え 沖縄県民大会
         「真実を知り、伝えていきたい」――29日、沖縄県宜野湾市で開かれた教科書検定の意見撤回を求める県民大会では、2人の高校生が思いを込めたメッセージを読み上げた。関係団体はバスや駐車場を用意し、「歴史の改ざん」への抗議に結集を呼びかけた。予想を超える11万人が集まり、「本土」からの参加者の姿もあった。
         「教科書から軍の関与を消さないでください。あの醜い戦争を美化しないでほしい。たとえ醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい」
         沖縄県立読谷(よみ・たん)高3年の津嘉山拡大(つかやま・こうだい)さん(18)と照屋奈津美さん(18)は制服姿で壇上に並び、メッセージを読み上げた。「高校生も、この問題を考えていることを知ってほしい」。そんな思いを込めた。
         2人が住む読谷村には「チビチリガマ」と呼ばれる壕(ごう)がある。45年4月1日、沖縄戦で村に米軍が上陸した直後、その壕で悲劇が起きた。
         村史によると、壕に避難していた住民約140人のうち83人が「集団自決」を遂げた。毛布などに火がつけられ、「地獄絵図さながらの惨状だった」とされる。
         津嘉山さんは会場の参加者に語りかけた。「死を求める住民が毒の入った注射器の前に列をなしました。母が我が子を手にかけたり、互いを刃物で刺し合い……」
         津嘉山さんは小学生のころ、祖母に手をひかれてチビチリガマを見に行った記憶がある。その祖母は沖縄戦で、自身の母親を失った。本島中部の別の壕に避難した時、幼かった祖母をかばって流れ弾に倒れたという。
         「僕たちは親族に戦争体験者がいる。集団自決のつらさは実感できる」。大会前、津嘉山さんは、そう語っていた。
         2人とも大学に進み、教師になるのが夢だ。照屋さんは日本史を教えたいと思っている。
         照屋さんは壇上から訴えた。
         「このまま検定意見が通れば、事実ではないことを教えなければいけません。分厚い教科書の中のたった一文、たった一言かもしれません。しかし、その中には失われた多くの尊い命があるのです。二度と戦争は繰り返してはいけないという沖縄県民の強い思いがあるのです」
         大会終了後、「緊張しませんでした」と笑顔を見せた。「集まった人は同じ気持ちだと思いますから」
        (asahi.com)2007年09月30日08時02分

        ●入院時の意思疎通支援 重度障害者に神戸市が新制度
         重度障害者が入院したとき、医師や看護師との意思疎通がスムーズにできるよう、神戸市は十月から、医療機関に付き添いの人を派遣する「コミュニケーション支援事業」を始めた。利用時間は三十日、百五十時間が上限。重度障害者が安心して地域で暮らし、入院もできることを目指す。
         これまでは同様の支援がなく、障害者が早期に退院するケースもあったという。同事業の対象は、障害程度区分6で、重度訪問介護を受けている▽左右の上肢が不自由でナースコールが押せない▽発語困難のため意思表示をしにくい▽一人暮らしなどのため介護者がいない-のすべてに当てはまる人とする。
         普段から対象者と意思疎通をしている人を「コミュニケーション支援員」として派遣。利用時間は入院後三日間は一日あたり十時間以内、四日以降は五時間以内とし、本年度は約九十万円を予算化している。
         市と話し合いを進めてきた神戸障害者地域生活センター理事長で、脳性まひ患者の野橋順子さん(32)=同市東灘区=は「制度自体は評価できるが、利用できる時間が足りない」と指摘し、「重度障害者にはコミュニケーション支援だけでなく、入院中のヘルパー介護も必要」としている。
        (神戸新聞)2007/10/03

        ●最低賃金保障 無理なく自立
        ◇専門国有企業に補助金支給
         働く障害者が増えることは、社会にとってプラスだ。結果として納税者を増やすことにもつながる。障害者を専門に雇用するスウェーデンの国有企業「サムハル」を現地で取材し、障害者の「完全雇用」を目指す先進地の工夫を探った。(安田武晴、写真も)
        ◇待遇に納得
         いくつにも分かれた作業場ごとに、障害者たちが電球やDVDなどの包装作業をしている。ストックホルム郊外にあるサムハルのヨードブロー工場だ。
         「ここでは障害の状況に配慮してもらえるし、待遇にも納得している」と笑顔を見せるのは、請求書や受注書類などの作成、管理を任されているビッレル・ブローネルさん(46)。週5日、午前7時から11時まで働き、税込みで毎月約8000クローナ(約14万円)を稼ぐ。
         両足に障害があり、体力的にフルタイムで働くことは難しい。民間企業に6年間勤務したが、全体的に仕事のペースが速く、ついていくのが難しかった。1982年にサムハルに転職し、半日勤務の希望を申し出た。
        ◇施設を統合
         サムハルは、1980年、政府が各地の障害者作業施設などを統合し設立した。経営規模を大きくすることで、雇用環境を安定させることが目的だった。国内に約250か所の職場があり、一般企業で働くことが難しい障害者約2万1000人を雇用している。
         仕事は、商品の包装、自動車部品の組み立てなどのほか、事務所の清掃、他企業が経営する事業所や工場への派遣など多岐にわたる。従業員も、身体、知的、精神障害者のほか、アルコール・薬物依存者もいる。障害のない従業員も約2100人おり、障害者への援助や指導をする。
         1日1時間しか働かない人や、ゆっくりしたペースで作業する人もいる。トーマス・トーンブローム人事部リーダーは「長期間、社会へ出ていなかった人が入社してきた場合、人との接し方から教える」と話す。
         一般企業に比べて生産性が低く、利益を上げにくいため、国から年間約42億クローナ(約750億円)、障害者の賃金の約95%に相当する補助金が支給される。どんなに作業効率が悪くても、週40時間労働で月額1万5900クローナ(約28万円)という労使協定による最低賃金額を保障する。
         半日勤務のブローネルさんは月給も半分だが、月額約5000クローナ(約9万円)の障害年金もあり、暮らすには困らない。車の購入費は6割、ブレーキを手で操作するための改造費は全額、国が補助してくれた。「車があるから、人の手を借りず、一人で通勤したり買い物したりできる」と満足そうに語る。
        ◇日本では20万人最低賃金適用外
         障害に配慮し、必要な援助を行う「保護雇用」の場は、日本にもある。障害者を専門に雇用する「特例子会社」や「就労継続支援・雇用型施設」「福祉工場」がそうだ。障害年金を含めた経済的状況では、サムハルの障害者たちと肩を並べる人も中にはいる。
         だが、これらの職場で働く障害者は1万3000人程度しかおらず、スウェーデンに比べて大きく見劣りする。福祉サービスについても、学ぶべき点は多い。
         さらに問題なのは、授産施設や作業所で、約20万人が最低賃金法も適用されずに働いていることだ。授産施設の平均賃金は月額約1万5000円、作業所は同7300円で、自立とはほど遠い生活を強いられている。
         障害者就労支援施設の全国連絡組織「全国社会就労センター協議会」の鈴木清覚・副会長は、「どこの施設も仕事の確保に困っている。サムハルのような大規模な統合は難しいが、仕事を効率的に確保して公平に分配するだけなら、全国の施設が連携できるのではないか」と話している。
        (読売新聞)2007年10月2日

        ●首相、障害者自立支援に言及せず 福祉関係者は肩すかし
         昨年四月に施行され、障害者に“痛み”を強いる形になっていた「障害者自立支援法」について見直しを総裁選の公約に掲げた福田康夫首相だが、一日の所信表明では触れず、注目していた福祉関係者は肩すかしにあった格好だ。見直し方針は自民・公明の連立政権合意に盛り込まれ、民主も改正案を参院に提出。念願の見直しが現実味を帯び、兵庫県内の関係者は期待する一方で「政治の人気取りに使われている印象もある。現場の声を聞き、制度の根本的な論議をもっと」と望んでいる。(中島摩子)
         同法は障害者の就労支援強化や国の安定的な財源確保などを目指し、身体・知的・精神障害のサービスを一元化した。サービスに応じて一割の定率(応益)負担を導入し、利用者の所得に応じていた従来の制度から転換。施設などでの食費も実費となった。
         そのため負担が急増した障害者や家族から批判が噴出。小規模作業所から移行した就労継続支援事業所などでは、得た工賃の大半が利用料に消え、サービスの利用控えも表面化している。
         自民は参院選の惨敗を受け、弱者への配慮を表明。福田首相は同法の「抜本的見直し」を挙げた。とはいえ、内容は示されておらず、所信表明でも言及がなかった。
         「早く中身を語るべきだ」と、神戸市の社会福祉法人「えんぴつの家」の松村敏明理事長。「自立支援法で、自己負担がゼロから二万八千円に上がった障害者もいる。見直しは喜ばしいが、根本的な論議がないまま制度が次々と変わるのは、どうか」と指摘する。
         また、民主の改正案はサービス利用時の一割負担を凍結し、事業所の財政支援も盛り込んだ。事業所は、同法によって報酬の算出方法が変わり、大幅な減収に。正規職員をパートにして対応するケースも少なくない。
         就労継続支援事業所などを運営する同市のNPO法人「中央むつみ会」の坂井宗月代表理事は「質の高いサービスを提供したくても、事業所はどこもギリギリの状態」と明かし「今こそ私たちの声を聞き、ひずみを直してほしい」と訴える。
        (神戸新聞)2007/10/02

        ●乳幼児や障害者世帯も被保険者資格証明、政令市などの半数
         国民健康保険料の長期滞納世帯に保険証に代わって交付される「被保険者資格証明書」をめぐり、政令市や県庁所在市、東京23区のほぼ半数が、医療費の公的助成を受ける乳幼児や重度心身障害者の世帯も証明書交付の対象としていることが、読売新聞社の調査でわかった。
         資格証明書を交付されると、受診の際に医療費全額を自己負担しなければならず、災害や倒産など「特別の事情」のある人や被爆者らについては交付対象から除外される。しかし、都道府県や市町などが行う医療費助成(乳幼児、障害者など)の受給世帯は除外されておらず、証明書の交付は自治体の判断に任されている。
         調査では、こうした世帯について、36市区が「証明書の交付対象から除外しない」とし、「除外する」は37市区あった。
         岐阜市は、15歳まで入院費などを助成する「子ども医療費助成」を受けている183世帯、身体障害者手帳3級以上などを対象とした「重度心身障害者医療費助成」の30世帯(ともに4月末現在)に対しても、それぞれ証明書を交付。市は「納付相談にも応じない世帯については交付せざるを得ない。受診の必要があり、相談に応じる世帯については短期保険証を出す」としている。
         大阪市や堺市、福井市なども除外していないが、医療費助成世帯への証明書交付数は不明という。
        (読売新聞)2007年9月29日14時43分

        ●<奈良放火調書漏示>精神鑑定医を立件へ 奈良地検
         奈良県田原本町で昨年6月に母子3人が死亡した放火殺人事件を巡り、殺人などの非行事実で中等少年院送致の処分を受けた当時高校1年の長男(17)の供述調書の秘密漏示事件で、奈良地検は長男の精神鑑定をした医師を秘密漏示容疑で立件する方針を固めた。鑑定医は供述調書を引用した単行本を出版したフリージャーナリストから「コピーなどを一切取らないから見せてほしい」と依頼され、調書を貸したとの趣旨を供述していることが判明。奈良地検はフリージャーナリストら鑑定医以外の立件の可否についても、最終的な詰めの捜査を急いでいる。
         単行本はフリージャーナリスト、草薙厚子さんの「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)。鑑定医は奈良家裁から鑑定医に選任され、参考資料として長男や父親の供述調書の写しなどの提供を受けていた。
         鑑定医は奈良地検の任意の事情聴取や関係者に対し、草薙さんから昨年9月ごろ、「(供述調書の内容の一部を)本とか雑誌とかに載せるかもしれないが、先生には絶対迷惑をかけない。コピーは一切とらないので、供述調書を見せてほしい」と要望され、「見るだけなら」と考え、調書を一時、貸したと話していることが分かった。その場には講談社の担当編集者も同席していたという。
        (毎日新聞)10月5日3時6分配信

        ●自死遺族「寄り添う場を」 大川出身・古賀さん あす佐賀で会設立
         全国の自殺者は年間3万人を超える。その陰で「自殺は恥だ」との偏見に苦しんでいる遺族も多い。「誰にも言えなかった悲しみを分かち合って前に進みたい」。自身も父親を自殺で失った福岡県大川市出身の研修医古賀寛子さん(27)=佐賀市=はそんな思いを胸に、遺族同士が語り合う「佐賀ビッグフット分かち合いの会」を6日、佐賀市で発足させる。
         古賀さんは中学3年の秋、父をなくした。動揺した母は「誰にも話しては駄目。あなたの将来のために」と言った。親類にも伏せ、友人には病死で通した。「家族の自殺は一生の秘密」。ずっとそう思い込んでいた。
         心の霧が晴れたのは高校1年の夏。事故などで親を失った遺児の支援団体「あしなが育英会」の合宿に参加した際、ある男子学生が親の自殺を明かした。「話していいんだ」。参加17人の最後に「私の父も自ら命を絶った」と告白した。身も心も軽くなった。
         1998年、学生生活を送っていた佐賀市で遺児の支援団体「佐賀ビッグフット」の設立に加わった。今では自死遺族への理解を求め、九州各地で講演会を開く。それでも声を上げられない遺族がいる。「遺族同士が寄り添う場を」。分かち合いの会発足を決意したのはそんな思いからだ。会員は4人だが、少しずつ輪を広げていく。
         自死遺族の会は、九州では福岡、長崎に次ぎ3つ目。第1回会合は6日午前10時から、佐賀市兵庫町藤木のほほえみ館で開く。古賀さんは「人目が気になる地元よりも隣県での会合の方が参加しやすい。福岡からも足を運んでほしい」と呼び掛けている。参加費300円。古賀さん=090(8402)5167。
        (西日本新聞)10月5日17時8分配信
        もやっとしたことを相談する勇気を。
        2007/09/30
        人間は、小さく、弱い存在であることを、素直に表明できる社会であって欲しいと思います。
         現代の日本社会は、人間関係において、極めて高度なテクニックを必用としているとともに、「弱さ」を見せることを忌避する傾向を強くもっています。故に、生きづらく、ぎすぎすした、何でも競争、勝ち負け、面白いか面白くないかが価値判断の基準となるような歪んだものとなってしまっています。
         こうした環境の中で、人は、気負いつつも、小さなことで傷つきやすくなっていることも事実です。しかし、それを他者に表明することは、「弱い」自分を開示することになり、「負け」になるという思考パターンができあがってしまっています。これでは、傷ついた精神の袋小路です。
         気持ちが「モヤッ」とした時、それが深傷とならないうちに、気持ちを素直にはき出せる相手の存在が、特効薬である場合が多いと思います。嫌な気持ちを整理し、言語化し、伝え、共感してもらえると、人は安心感を得ます。
         本音を語る勇気、その相手、あなたも見直してみませんか?
         次回は「奥深い精神の分析か、さしあたっての問題解消か」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        新たな貧困層ー知恵を出せば救える

         その日の糧を得るのは、主に短期のアルバイトや日雇いの仕事だ。住む家はなく、インターネットカフェや漫画喫茶の狭い個室に寝泊まりする――。
         そんな「ネットカフェ難民」とも呼ばれる人たちが全国で約5400人に上ることが、厚生労働省の調査でわかった。これまでのホームレスとは違う新たな貧困層が、じわりと広がっている。
         「仕事を辞めて家賃を払えなくなった」「寮や住み込み先を出ざるを得なくなった」。住まいを失い、都会を漂流するような暮らしを始めたのは、たいていはそんなきっかけからだ。
         もともとネットカフェは、パソコンで遊んだり仕事をしたりできる施設だ。それを寝場所にする人が現れたのは、24時間営業し、ひと晩1500円ぐらいまでの低価格で過ごせる店があるからだ。
         生活は綱渡りだ。仕事が途絶えると、所持金はすぐ底をつく。より安く過ごせるファストフード店へ移ったり、時には野宿をしたりする人もいる。
         驚いたことに、こうした暮らしを続けているのは若者だけではない。厚労省の調査によると、20代に続いて多いのは50代の人たちで、全体の2割を超えていた。幅広い年齢層の問題なのだ。
         このまま何の対策もとらずにいれば、貧困層はますます広がっていく。それは本人のためにならないだけでなく、社会を不安定にする要因にもなる。
         厚労省も事態を重くみたのだろう。来年度から専門の相談窓口をつくり、仕事の紹介などに乗り出す。
         それは大いに歓迎だが、職探しを支援するだけでは足りない。
         ネットカフェなどで寝泊まりする人が相談窓口やハローワークへ行く場合、たいていは仕事を休まなければならない。すると、たちまちその日の生活費に困ってしまう。求人を見つけても履歴書に書く住所がない。だからといって、先に住まいを探そうとしても、アパートを借りる敷金がない。
         大切なのは、生活を安定させる手だてを全体として考えることだ。家賃の安い住宅を用意したり、住み込みの仕事を紹介したりするなど、住まいの確保を手助けするのもその一つだ。一時的に必要な金を工面できるよう、低利の貸付制度もほしい。仕事が見つかるまで、生活保護制度を活用することも考えられる。
         国や自治体だけでなく、民間の手や知恵も差し伸べられれば、さらに目配りのきいた支援になるかもしれない。もちろん本人の努力が欠かせないが、少しの手助けで生活の基盤さえ整えば、安定した生活や自立につなげられるはずだ。
         見過ごせない問題はまだある。厚労省の調査では、こうした暮らしをする人たちの多くが、年金や健康保険に入っていなかった。このままでは、厳しい生活が将来にわたって続くことになる。
         格差社会を象徴する課題でもある。手遅れにならないよう対策を急ぎたい。
        (asahi.com)2007年09月25日(火曜日)

        ●ニート支援拠点を倍増へ、全国100か所に…自宅訪問も
         政府は来年度から、進学も就職もせず、職業訓練も受けていない「ニート」の若者を支援する「地域若者サポートステーション」を現在の50か所から100か所に倍増し、ニート支援を強化する。
         これまでの対策は、相談を受けて支援に乗り出す“待ち”の姿勢だったが、積極的に関与する路線に転換することにした。今後は、相談員が若者を訪ねて自立支援を行ったり、地域のニートの存在を把握する支援体制づくりを目指す。
        (読売新聞)9月23日23時28分配信

        ●<奈良放火殺人>草薙さん会見「違法性の認識ない」と強調
         奈良県田原本町の医師宅で起きた放火殺人事件で、長男(17)=中等少年院送致=の供述調書を引用した単行本「僕はパパを殺すことに決めた」を執筆したフリージャーナリスト、草薙厚子さんが23日、東京都内で会見し、捜査資料の一部をカメラ撮影したことを明らかにしたうえで、「違法性の認識は全くない」と取材の正当性を訴えた。
         今月14日に奈良地検が、長男の精神鑑定医や草薙さんの関係先を、調書を漏らした秘密漏示容疑で家宅捜索して以降、草薙さんが公の場で発言したのは初めて。
         草薙さんは「少年が事件を起こした動機や背景を書いた。一番いい方法は肉声を出すことだと思った」と調書引用の正当性を強調。調書の入手方法については、ある人物から許可を受けて閲覧し、一部をカメラで撮影したと説明し、「金銭の提供などはなく、正当な取材活動だ」と主張した。
         その一方で、少年の親族らが「人権への配慮を欠いている」などと批判していることに関して、「私の思いが至らず、心よりおわびしたい」と謝罪の意思も示した。
         また、草薙さんは「奈良地検の事情聴取に取材源は秘匿しており、今後も言うことはない」と述べ、「鑑定医に調書の写しを見せてもらったと供述している」と報じたNHKを相手取り、損害賠償や訂正放送などを求める訴訟を近く東京地裁に起こすことも正式に表明した。
        (毎日新聞)09月23日19:52

        ●<京都父殺害>逮捕の次女「ギロチンにしようと…」
         京都府京田辺市で府警南署交通課の巡査部長(45)が自宅で殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された専門学校生の次女(16)は「父親の女性関係に数年前から疑念を抱いていた。(フランスで発明された処刑道具の)ギロチンにしようと思った」と、府警の調べに対し供述していることが、24日、分かった。父親への不信を募らせた末に殺害したとみられる。一方で、手おので首を切りつけるという残虐さとの隔たりもある。25日で事件から1週間。動機解明にまだ時間がかかりそうだ。
         これまでの調べで、次女は事件5日前の13日、自宅近くのホームセンターで手おのを購入。自室に隠し、殺害実行の日をうかがった。18日について、「この日だったら勤務先に迷惑をかけないと思った」と供述。巡査部長が休みの日を狙ったようだが、実際は17日が公休、18日は日勤予定で、勤務日を勘違いしたとみられる。ある府警幹部は「1日迷惑掛けなくても、その後は迷惑がかかる。子どもだけに先がみえていない」とし、殺害計画の周到さと考えの幼稚さの交錯を見て取る。府警は、次女の供述を裏付けるため、巡査部長の女性関係についても調べを進めている。
         府警は次女の部屋から、ゴシック・ロリータ(ゴスロリ)と呼ばれる、黒を基調に中世ヨーロッパの美術様式をイメージしたファッションを描いたデザイン帳を押収した。
         こうしたことや、次女が「ギロチンにしようと思った」と供述しているしていることについて、野田正彰・関西学院大学教授(精神病理学)は、「父に対する憎しみが高まっていったのが基本にあり、ゴスロリのイメージが殺害の形態を修飾した。だが(凶器におのを選んだのは)弱い者が強い者に対抗するには包丁や首を絞めるのではだめで、決定的なものでないといけないという合理的判断だ」と分析する。
         元家裁調査官でNPO法人「非行克服支援センター」の浅川道雄副理事長は「一般的に、子どもによる親殺しは一種の自殺行為。現状が耐え難く、行き詰まりを感じて自分の成り立ちの根源である父親を殺して自己否定しようとしたのでは」と話している。
        (毎日新聞)9月25日3時3分配信

        ●<長野殺人未遂>中学生次男「父の交友関係悩み」おので切る
         24日午前2時5分ごろ、長野県辰野町の無職の男性(44)方から、「夫が血を流して倒れている」と男性の妻から110番通報があった。警察官が駆け付けると、男性がふとんの上にあおむけに倒れ、病院に運ばれたが頭を4、5カ所切られ重傷。男性の中学3年の次男(15)が同2時20分ごろ、自宅から約1.5キロ離れた交番に1人で出頭し「父親の頭をおのでたたいた」と話したため、県警岡谷署は次男を殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。次男は「父親の交友関係で悩んでいた」と話しているといい、同署で動機を詳しく調べる。
         調べでは、次男は同日午前2時ごろ、1階居間で1人で寝ていた父親の頭を刃渡り約15センチの手おので数回切りつけ、殺害しようとした疑い。頭の傷は長さ最大25センチあり、骨に達した傷もあった。
         少年は事件直後に家を出て交番に歩いて行ったとみられ、白いTシャツと黒ズボンを着ていたが、靴は履かず靴下姿。凶器とみられるおのを、手に持っていたという。
         近所の住民によると男性方は夫婦のほか、長女、高校生の長男、次男、小学生の三男の6人暮らし。男性は最近失業していたという。
         少年が通う中学の校長は「落ち着いた生徒。家庭や友人関係の悩みなどは把握していない。起きてはいけないことが起きて驚いている」と話した。
         現場は畑と住宅が混在する閑静な住宅街。近所の住民は「子供の面倒をよく見るいい家族に見えた」と話している。
        (毎日新聞)9月25日3時7分配信

        ●民間の平均年収434万円、9年連続減…景気回復及ばず
         民間企業で働く人が2006年中に得た平均給与は前年を2万円(0・4%)下回る434万9000円となり、9年連続で減少したことが27日、国税庁の実態統計調査でわかった。
         同庁の別の統計では、企業の業績アップや地価の上昇を反映し、土地の貸し付けなどに伴う不動産所得が8年連続で、株などの配当所得も3年連続で前年を上回っているが、サラリーマンの給与には景気回復の影響が及んでいないようだ。
         昨年1年間を通じて民間企業に勤めた給与所得者は、前年比9万人(0・2%)減の4485万人、給与総額は同1兆2626億円(0・6%)減の195兆153億円だった。
         給与が1000万円超の人は224万人で前年より9万人増えたが、300万円以下の人も前年より49万人増えて1741万人となり、給与所得の格差は拡大した。
        (読売新聞)2007年9月27日19時13分

        ●引きこもり支援で賠償命令=時効認めず逆転判決-名古屋高裁
         不登校や引きこもりの子供の支援事業で知られる長田百合子さんらを相手に、福島県いわき市の男性(21)が施設に軟禁されるなどして精神的苦痛を受けたとして、500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長は、賠償請求権の時効(3年)成立を理由に訴えを棄却した昨年12月の一審名古屋地裁判決を変更し、長田さん側に100万円の賠償を命じた。
         青山裁判長は、長田さんらが男性の同意を得ずに、自宅から連れ出す様子をテレビ局に撮影させるなど、一部に違法行為があったと改めて認定。賠償請求権の時効については「男性の母親が請求できる状態になったのは施設との契約を解除した時点で、成立していない」と指摘した。
        (時事通信)9月26日21時0分配信

        ●引きこもり克服へ共同生活 京の団体がプログラム
         引きこもりの人が共に過ごし、自立を目指す短期入所プログラムを、今月から京都の市民団体がスタートさせた。協力し合って炊事や清掃にあたり、参加者が一歩踏み出すきっかけの場を目指す。
         新しい取り組みを始めたのは引きこもりや不登校の親子でつくる「京都ひきこもりと不登校の家族会・ノンラベル」(京都市南区)。これまで相談事業などを通して対人関係の苦手な人の「居場所づくり」に力を入れてきた。他方、昼夜逆転の毎日を送っている人に対し、生活リズムを整え、誰からも否定されることなく胸のうちを語り合う場として、宿泊を組み入れた活動を模索してきた。
         新たな活動拠点としてこの夏、宿泊用の部屋や広い台所を備えた民家を京都市南区に確保した。短期入所プログラムの定員は18歳以上の男性5人で、初年度は京都府の委託事業として助成も受けた。
         参加者は同じメンバー、スタッフと1泊2日の生活を5カ月間に9回繰り返す。先ごろあった第1回目の宿泊では1日の過ごし方をみんなで決め、スーパーへ買い物に行き、野菜いためを作って、みんなで食卓を囲んだ。朝早く近くの河川敷を清掃。トランプで盛り上がり、卓球もして、汗をかいた。
         1泊2日を一緒に過ごしたノンラベル代表の田井みゆきさんは「人を見て学ぶことは多い。みんな同じ悩みを持つ人同士、安心できる環境で共に生活し、自分を見つめ直してほしい」と話す。
        (京都新聞)9月25日15時29分配信

        ●<リタリン>「監視強化を」患者の家族ら厚労省に要望書
         向精神薬「リタリン」の乱用問題で、依存症に苦しむ患者を抱える家族が26日、適応症のない患者にリタリンを処方している医師や医療機関について、チェック機能や行政処分の強化を求める要望書を厚生労働省に提出した。リタリンの製造・販売元がうつ症状への適用を自主的に削除する方針を決めたが、家族は「患者の求めに応じて不必要な処方をする医師が後を絶たず、抜本的な対策が必要だ」と訴える。
         要望書を提出したのは、依存症の治療機関を紹介したり、家族同士の交流を支援する活動を続けている家族会のメンバーら。要望は(1)東京都などが立ち入り検査した東京クリニック(新宿区)など、リタリンを不適切に処方した疑いがある医療機関の医師に対し医道審議会で厳正な処分を行う(2)同審議会の処分根拠として、従来の刑事や民事の判決だけでなく、保健所の立ち入りなど自治体による行政指導実績も加える――など。
         要望書の提出後、メンバーは厚労省で会見し「日本の精神医療は、薬物に頼り過ぎている。医師の『薬物依存』がリタリン問題の背景にあるのではないか」と語り、医師の姿勢を批判した。
         出席した男性メンバーの息子は高校2年の時にいじめで不登校になり、クリニックを受診。医師はリタリンを1日1錠処方したが、3年後には1日8錠に増えた。家族への暴力も激しくなり、母親に肋骨(ろっこつ)を折るけがを負わせたこともある。暴力に耐えかねた家族は警察に相談し、紹介された医療機関で初めてリタリンが原因だと知った。息子は1年以上の治療の末、依存症から離脱。家族はこれを機に、リタリン依存に関する相談ボランティアを始めたという。
         長男毅さん(当時25歳)が依存症の末に自殺した名古屋市の小原幸子さん(55)も同席し、「医師のモラルを正してほしいというのが、子どもを亡くした親の気持ちです」と話した。
        (毎日新聞)9月26日20時37分配信

        ●<公務災害認定>児童の不登校問題原因で自殺の校長に 奈良
         女児の不登校問題が端緒となり、04年2月、奈良県天理市の市立小学校校長、奥田正克さん(当時60歳)が自殺した件で、地方公務員災害補償基金奈良県支部が公務災害と認定した。25日、妻けい子さん(66)=天理市福住町=が県庁で明らかにした。
         公務災害申請書などによると、奥田さんが校長を務めていた小学校で03年5月、授業でクラスの女児の姉が養護学校に通っていることなどに触れた男性教諭の差別的な発言がもとで、女児がショックで半年以上不登校になった。奥田さんは問題が報道された後の04年2月20日、自宅近くの墓地で首をつって自殺した。
         けい子さんは05年10月に公務災害認定を請求。県教委は「問題解決に向けて奔走する中で、職務に起因する強度の精神的ストレスにより自殺した」として昨年4月、同支部に申請書を提出していた。
         けい子さんは「夫は市教委に頼れないことで苦しんでいた。市教委はこの事実にしっかりと向き合い、二度と同じようなことが起こらないようにしてほしい」と話した。
        (毎日新聞)9月26日11時11分配信
        カウンセラーの資格(?)について思う。
        2007/09/23
         災害や残虐な事件が起こった後などに、最近ではお決まりのように「カウンセラーを配置して…」という対応が行われます。その「カウンセラー」のほとんどは、臨床心理士であるようです。
         「カウンセラー」の国家資格化に向けて、小泉政権の時に法案が上程されましたが、解散総選挙によって廃案となりました。この時には、日本心理臨床学会が提案する「臨床心理士」と、日本臨床心理学会が提案する「医療心理士」の2つが「資格」化されようとしていた、と記憶しています。結果、現在のところ、「カウンセラー」の国家資格というものは存在しません。スクールカウンセラー等で配置されている臨床心理士は知名度が高いですが、これも民間団体である「(財)日本臨床心理士資格認定協会」の認定資格です。故・河合隼雄氏が文部科学省と強いパイプを持つ中で、スクールカウンセラーの全中学校への配置、そのための臨床心理士の大量育成という流れが作られ、大学で「臨床心理コース」等の設置が急増しました。
         このスクールカウンセラー制度は、当初、増え続ける不登校や学校内外の問題事象に対して、心理面からアプローチし、それらを減少させることが目的とされていたかと思います。しかし、残念ながら不登校は若干前年数を下回った年度もありましたが、13万人弱あたりを推移し続け、少子化の中で、発生率は増加傾向にあります。多額の税金が投入されているこの制度、学校という現場での位置づけや活用のあり方に問題があるように思えます。
         「カウンセラー」という名称こそないものの、精神に疾患やトラブルのある方への相談・援助を行うことができる精神科ケースワーカーである精神保健福祉士は厚生労働大臣が登録を行う国家資格です。多くの「カウンセラー」が様々な学派、療法による心理的アプローチを行うのに対して、精神保健福祉士はその倫理綱領に基づいて、クライエントさんの生活や人生、判断を尊重しつつ、生活面、医療面から必用な相談援助や具体的なケアを行います。生きづらさを解消し、より人間らしい生活を取り戻す道程の伴侶とも言えます。まだまだ社会的認知が低い現状がありますが、今後、精神医療を中心とする現場での活躍が期待されます。
         他にも様々な団体や学会の認定としての「○○カウンセラー」「○○心理士」という「資格」があり、様々な「治療者」がいます。
         精神に疾患やトラブルのある方にとっては、「資格」にとらわれることよりも、必用な援助を受けられる援助者との出会いが大切であると強く思います。そして、こうしたメンタル面での相談・援助が医療保険適用になることを強く希望するところです。
         次回は「もやっとしたことを相談する勇気を」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        自閉症の兄弟殺害 母の公判 独りの育児『もうだめ…』

         広島県福山市で自閉症の長男(5つ)と二男(3つ)を絞殺したとして殺人罪に問われた母親の審理が、広島地裁で続いている。明らかになったのは、わが子の障害と正面から向き合い、必死に育児を続けていく中で次第に追い詰められた姿だった。
         泉ひろみ被告(35)が「駐車中の車内で子供の首を絞め殺した」と広島県警府中署に自首したのは、昨年十一月六日。公判で「自分も死のうと思った。世間では障害者は不幸という見方が強く、生きていても幸せになれないなら一緒に死んだ方がいい」と話した。
         二男は自分の思い通りにならないことがあるとパニックになり、暴れたり道端で全裸になったりした。長男もパニックを起こすと「包丁で刺すぞ」など乱暴な言葉を吐いたという。
         泉被告は、二人の養育をあきらめていたわけではなかった。自閉症についての本を読み、勉強会にも参加。二男が通園していた児童福祉施設の担当者も「アドバイスを忠実に受け止め、熱心に育てていた」と振り返る。
         変化が表れたのは昨年八月。うつ状態や不眠症が悪化、合わせるように二人のパニックがひどくなった。夫に「助けて」とすがりつくと「おまえの育て方が悪い。なめられているんじゃないか」。子供の世話を手伝ってくれた父親も高齢のため負担が重く、孤立無援の状態になっていった。
         十月二十七日。「もうだめだ」と思った泉被告は二男の首を絞めてしまう。夫は仕事を休み、県福山こども家庭センターに相談。県は「一時保護を提案したが拒否され、母子だけにしないよう家族に協力を求める方針だった」と説明する。
         十日後、「自閉症は障害だから薬をのませるものでない」と伝えていたのに、母親に「薬をのませなさい」と言われた。「夫も母も無理解。死ぬしかない」と、再び愛する子供に手をかけた。
         泉被告は現在、精神鑑定中。今年七月の被告人質問で今後の生き方を問われ「生きたいとは思っていない。子供たちのところへ行くのが一番の供養と思う」と答えた泉被告。「とてもつらい思いをさせた。かわいいという気持ちはなくなっていなかった」。涙ながらに話す言葉が法廷に響いた。
        ◇支援組織に相談を
         日本自閉症協会の石井哲夫会長(日本社会事業大名誉教授)の話 自閉症の子を持つ親が独りぼっちになると、生きる気持ちがそがれる。母親を受け止めてくれる相談相手がいなかったのだと思う。子殺しという事態になる前に、都道府県や政令市にある発達障害者支援センターや協会の支部に相談したり、苦労してきた先輩を頼ることもできた。親だけに育児の責任を負わせる現状では、第二、第三の事件も起こりかねない。自閉症について正確に理解し、家族を援助できる人材を増やしていく必要がある。
        (東京新聞)2007年9月17日

        ●自殺未遂者の4割「以前にも」…横浜市大調査
         自殺を図り、救命救急センターに運ばれて一命を取り留めた「重症自殺未遂者」のうち、4割以上が過去にも自殺を図った経験のあることが、横浜市立大精神医学教室自殺予防研究チームの調査で分かった。
         国内では自殺者が9年連続で3万人を超え、自殺者対策が急務となっているが、未遂者の実態把握はこれまで不十分だった。未遂者が再び自殺を図る危険性が明確になったことで、同チームでは「未遂者の医療的、社会的支援が自殺対策上、極めて重要」と指摘している。
         同チームでは、2003年度以降、同大付属市民総合医療センター(横浜市)にある高度救命救急センターに搬送され、入院したすべての自殺未遂者を対象に、本人と家族から聞き取りを行い、そのうち07年7月までの554人(搬送患者の11・7%、男222人、女332人)を分析した。
        (読売新聞)9月19日3時8分配信

        ●生活保護理由の不支給違法 障害者支援費で福島地裁
         重度の障害がある福島県田村市の女性が、旧身体障害者福祉法が定めた「居宅生活支援費」をめぐり、生活保護を受けていることを理由に申請時間数の一部しか認めなかった市長の決定取り消しを求めた訴訟の判決で、福島地裁は18日、決定を違法と判断した。
         ただし、同法が昨年4月に廃止され、障害者自立支援法が施行されたため「訴えの利益がなくなった」として、請求自体は却下した。
         訴えていたのは、上半身を自由に動かせない渡部貞美さん(54)。渡部さん側は「実質勝訴だ」と受け止めている。
         森高重久裁判長は「生活保護はその他の社会保障を充てても、不足がある場合に実施する。保護費の支給が、支援費支給を拒否する理由とはならない」とした。
        (中日新聞)2007年9月18日20時43分

        ●「知る権利」確立を いじめ自殺遺族訴え 議員連盟勉強会
         児童虐待やいじめ問題に取り組んでいる「チャイルドライン支援議員連盟」(会長=河村建夫・元文科相)が19日、国会内で勉強会を開催。いじめによる自殺や部活動中の事故などで子どもを亡くした父母らが出席し、学校で起きた事件、事故に関する事実解明の難しさや被害者が置かれた実情について訴えた。
         昨年10月にいじめを苦に命を絶った福岡県筑前町の森啓祐さん=当時(13)、三輪中2年=の母の美加さん(37)は、学校側から調査結果を知らされることもなく、「真実を知る」ことの困難さを吐露。「遺族には何が起きたのかを知る権利がある。真実を知ることで遺族はケアされ、次の命を守ることにもつながる」として、徹底した事実解明や、調査結果が被害者に伝えられる制度の確立を求めた。
         小学6年の息子を亡くした兵庫県の内海千春さんも、学校側や教育委員会の隠ぺい体質を指摘。「事実を明らかにせずして防止はあり得ない。遺族の救済もなされない」として、遺族が「知る権利」を保障する法律を整備するよう訴えた。
         議連は、遺族の声を受けてプロジェクトチームを立ち上げ、法制化も含めた検討に入る方針。
        (西日本新聞)2007/09/20

        ●鬱病治療の効能効果 リタリンから削除
         難治性鬱(うつ)病の治療薬として使われている向精神薬「リタリン」(塩酸メチルフェニデート)について、製造販売元のノバルティスファーマ社(東京都港区)が、同薬の適応(効能効果)から鬱病を削除する方針を固めたことが21日、分かった。同社は「不適正な使用が社会問題化しており、他にも有効な抗鬱薬が販売されているため」としている。
         リタリンは中枢神経に作用し覚醒(かくせい)効果や気分を高揚させる効果があり、覚醒剤の代わりとなる“合法ドラッグ”として悪用されていると指摘されていた。同社は不適正使用が後を絶たないうえ、他に高い治療効果がある鬱病治療薬がすでに販売されていることを考慮。
         医療保険が適用されなくなっても、患者の治療に影響がないかどうか、精神疾患関連の学会と協議を始めた。大きな影響が出ないと結論が出次第、厚生労働省に「難治性・遷延性鬱病」の適応除外を申請する。
         リタリンをめぐっては新宿区歌舞伎町のクリニックが診察をせずに適応症でない患者に処方を出していたとして、東京都と新宿区保健所が18日に立ち入り検査している。
        (産経新聞)9月22日8時3分配信

        ●「いじめが要因の1つ」学校側認める 神戸の高3自殺
         神戸市須磨区の私立高校で今年7月、校舎から飛び降り自殺した同校3年の男子生徒=当時(18)=に対し、同級生の少年(17)らが金品を要求していた恐喝未遂事件で、同校の校長らが21日、会見を開き、生徒に対するいじめの存在を初めて認め、「亡くなった生徒の冥福(めいふく)を祈り、遺族に心からおわびする」と謝罪した上で、「いじめが自殺の要因の一つだった」と述べた。また、高校側は、男子生徒に金を要求するメールの送信に、ほかに2人の同級生がかかわっていたことも明らかにした。
         同校は、生徒の自殺後、同級生ら約70人を対象にいじめの有無などを調査していた。しかし、少年の逮捕当日の今月17日の会見では「いじめがあったという認識はない」と否定していた。
         同校は翌18日~20日、同級生らに再調査を実施したほか、男子生徒や少年と同じフットサル同好会に所属していた3人から連日、事情を聴いた。その結果、同じクラスの34人のうち11人が「いじめがあった」と回答。フットサル仲間による男子生徒へのいじめも裏付けられたという。
         調査結果によると、6月に少年が生徒に対して現金を要求するメールを送信する際、フットサル仲間のうち2人が、「おれの名前と金額も(メールの中に)入れといてと依頼した」と関与を認めた。
         また、少年を含むフットサル仲間らが、高校2年の2学期に数回にわたって、生徒の机やかばんの中に紙粘土を入れるなどの嫌がらせを繰り返していたことも判明。この際、嫌がらせに気づいた担任が生徒に「大丈夫か」と声をかけたが、生徒が普段と変わらない様子で「大丈夫です」と答えたため、いじめとは受け止めなかった。
         フットサル仲間らは同校の聴取に対し、いじめの認識があったことを認めた上で「(自殺した生徒に)申し訳ない」と話しているという。
         同校は、少年の逮捕後の調査で、初めていじめの存在を把握したことについて「最初の調査ではほかの生徒らの心のケアも考慮していた。調査が甘かったといわれても仕方ない」と謝罪。教師が、生徒へのいじめを知らなかったことは「生徒と少年らが仲がよいと認識していたので、いじめを発見できなかった」と釈明したものの、学校側の責任についての回答は避けた。
        (産経新聞)9月21日22時41分配信

        ●神戸高3自殺 「裸の写真嫌だった」 “遺書”メモに記す
         神戸市須磨区の私立高校で今年7月、校舎から飛び降り自殺した同校3年の男子生徒=当時(18)=に対し、同級生の少年(17)らが金品を要求していた恐喝未遂事件で、男子生徒のポケットから見つかった遺書めいたメモに「裸の写真をとられたのが嫌だった」などと書かれていたことが22日、兵庫県警の調べで分かった。県警は、金品の要求に加え、インターネットを利用した嫌がらせが男子生徒を自殺に追い込んだとみて調べている。
         調べでは、男子生徒は今年7月3日、校舎の渡り廊下から飛び降り、自殺した。その際、ズボンのポケットには遺書めいたメモが残されており、多額の金品を要求されたことを示す内容のほか、「裸の写真をとられたのが嫌だった」などと記されていたという。
         関係者の話では、男子生徒は今年春ごろ、インターネットの個人ホームページ(HP)を立ち上げた。当初、男子生徒の名前などプロフィルなどが記載されていたが、次第に男子生徒や別の個人を中傷する内容が書き込まれるようになった。さらに、男子生徒の下半身の写真が載せられるようになり、数週間で閉鎖したという。
         男子生徒はメモの中で、「(HPを)作ったのは自分じゃない」などと積極的にHPに書き込んでいなかったことをほのめかしたうえ、「はだかの写真をとられたのが嫌だった」などと記していたという。
         また逮捕された少年が所属するフットサルサークルのメンバーから「財務大臣」と呼ばれ、集金役を担っていたこともわかった。
        (産経新聞)9月23日8時0分配信
        小さな物も近くで見れば大きな物。
        2007/09/17
        今回は、視覚と認知、抑うつ、自閉症スペクトラム障がいの認知特性を強引に結びつけて考えてみたいと思います。(かなり強引です)
         人の視覚は、人が生きていく上でとても重要な機能です。目を開いた時に見える視界はかなり広いものですが、たいていの場合、視野全体をぼんやり見ていることはありません。何か特定の「部分」に視点を当てていて、その「部分」があたかも拡大されたように見えていると思います(実際には人の視力に拡大機能はありませんが…)。そして、その「部分」以外はぼんやりと見えていると思います。このぼんやりさ、が自閉症スペクトラム障がいをお持ちの方の中で特に強いことがあります。一点集中状態です。学校生活や日常生活で、こうした一点集中状態が続いていると、いわゆる「回りが見えていない」「場の空気が読めない」…、とされてしまいます。近づいている訳でもないのに、フォーカスされた「部分」だけが目の前にくっきりと見え、回りは形をなさないのですから、仕方ありません。定型発達をされた方でも、こうした一点集中を感じることはあると思います。その「部分」に近寄ればなおさらです。とても大きな対象となります。
         次は認知についてです。ほんのささいな小さな事が妙に気になり、次第にそのことに意識が囚われ、悩みや不安を感じる場合などはそれがさらにどんどん膨らむ、という経験をされたことはありませんか? これも、気持ちの中の「部分」が拡大され、とても近い対象となり、大きく目の前に立ちはだかってしまうことで起こります。意識の中で起こることですから、どんな大きさにもなります。大きくなりすぎると、生活そのものに支障が出る場合もあります。そうならないように、適度にコントロールするストレスマネージメントが無意識に行われるのですが、時にコントロールが効かないほど強いストレスとして精神にダメージを与えることがあります。初期には抑うつ気分が生じます。できるだけ初期に、この異常に気づき、適切な対処が施されればダメージは大きくならずにすみますが、「これくらい、大丈夫…」と無理をすると、治療を必要とするダメージとなってしまいます。自閉症スペクトラム障がいをお持ちの方の場合は、とらわれ感の処理の仕方がわからずにさまざまな症状を出される場合があります。
         ほんの小さなことが、どんな大きな障壁になるかわかりません。問題が小さいうちに、信頼できる誰かに相談することが大切です。
         次回は「カウンセラーの資格(?)について思う」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        東京の小学生「勉強役に立たない」 国際比較調査

         「勉強は役に立つ」と考えている小学生の割合は、世界の6都市の中で東京が最も低かったー。ベネッセが14日発表した学習基本調査の国際比較で明らかになった。また、塾や宿題など学校外の学習時間でも、東京の子はソウルや北京の子より少ない半面、勉強する子としない子の二極化も判明。詰め込み教育は影を潜めたが、学習する上で目的意識を持てない現状が浮き彫りになった。
         同社のシンクタンク、ベネッセ教育研究開発センターが平成18年6月~19年1月にかけ、東京▽ソウル▽北京▽ロンドン▽ワシントンDC▽ヘルシンキの小学5年生(10~11歳、公立校)を対象に、学習に関する意識や実態を調べた。
         設問で、「出世する」「金持ちになる」「社会で役に立つ人になる」ために勉強が役立つかをたずねると、「役に立つ」と答えた割合は、東京の小学生が全項目で最低だった。希望の進学段階も、北京の小学生の65・2%が「大学院まで」を希望したが、東京の小学生は「高校まで」との回答が相対的に多かった。
         塾など学校外で学習する時間の平均では東京が101・1分で、ソウル(145・8分)や北京(131・6分)より少なかった。東京は1時間以下が49・3%を占める一方、3時間半以上も18・1%と二極化していた。親が勉強するよう毎日いう割合は東京が37・7%で、ヘルシンキに次ぎ2番目に低かった。
         調査責任者の耳塚寛明・お茶の水女子大教授は「(日本は)競争するものと競争しないものの分化が増している。学歴や学習に否定的なイメージが広がり、問題だと思う」と話している。
        (産経新聞)9月15日18時42分配信

        ●発信箱:優しい世代 磯崎由美
         「僕らは貧乏だけど貧困じゃない」「お金がなくても人間らしく暮らせればいいじゃないか」
         東京でこの夏あったトークライブ。バブル崩壊後に成人した「ロストジェネレーション(失われた世代)」の20~30代が激論を交わしていた。
         パネリストのフリーターや自営業、NPO主宰者に共通していたのは「人をけ落としてまで生きたくない」という労働観だった。リサイクルショップの経営者は「社長だけ高い給料もらうなんて、オレには無理。一緒に働く人からどう見られるか考えたら、耐えられないもの」と言った。
         企業や組織を嫌い我が道を行くタイプは昔からいた。でも何かが違う。その心象風景にあてはまる言葉を探せば、少し違和感を覚えつつも「優しさ」になるだろうか。
         ニートや引きこもり、うつ病。利益優先の経済活動に適応できない若者は増えている。親たち団塊世代のように組織の歯車となり、マイホームや老後のために働く生き方には魅力を感じない。でも意欲はある。自分に向き合い、仲間と支え合い、無意味な競争にさらされない。そんな仕事を追い求める。
         「甘い」と責めるのは簡単だが、もはやその優しさは社会のシステムに完全に組み込まれ、たくさんの人が安価な労働力の恩恵を受けている。例えば介護の現場。働き手の4割が20代だ。重労働低賃金に耐える青年たちから「お年寄りの笑顔を見るとつらいことも忘れるんです」と聞くたびに複雑な気持ちになる。
         いつか彼らも老いる。その時、どんな世の中が待っているのだろう。(生活報道センター)
        (毎日新聞)2007年9月12日 0時31分

        ●遺族が調査情報を開示請求=筑前いじめ自殺で法務局に-福岡
         福岡県筑前町立三輪中学2年の森啓祐君=当時(13)=が昨年10月、いじめを苦に自殺した問題で、遺族の森美加さん(37)ら両親は14日、行政機関個人情報保護法に基づき、福岡法務局に対し、調査で得た情報の開示を請求した。
         同法は生存者本人の情報開示が原則だが、今年7月、山口地方法務局が同様のケースで自殺した山口県下関市の生徒の遺族に、調査情報の一部を開示している。
        (時事通信)9月14日17時3分配信

        ●ぶっく・えんど:『わが子をいじめから守る10カ条』=武田さち子・著 /東京
         98年に神奈川県でいじめを苦に自殺した女子高校生の両親と共に、著者は03年、NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)を結成。現在、理事を務める。
         いじめの当事者と向き合い、さまざまなケースについて考えてきた経験を生かし「いじめの落とし穴を回避し徹底的にわが子を守るため」親たちに知ってほしい10カ条を紹介する。
         10カ条は…子供に「頑張れ」と言わない▽「親子の信頼関係」を過信しない▽子供の命の危機を見逃さない▽不登校や転校で安心しない▽いじめによる心の傷を甘くみない――など。
         そして「ときには親の無理解やわが子のためによかれと思ってとった行動が、子どもを死に追い詰めることもある」と訴える。WAVE出版。1365円。
        (毎日新聞)9月16日12時0分配信
        休日のない生活。
        2007/09/10
        昨日は、折良く面談予約がなかったため、京都精神保健福祉士協会の初任者研修に参加してきました。主題は「倫理綱領」です。
         グループワークを中心に、みんなで考え、語り合いました。「倫理綱領」からイメージする色・形・質感は? 私は、赤、球、柔らかいが重いと答えました。「倫理綱領」を身近なものにたとえると? 私は「枕」と答えました。特に正答はありません。
         さて、本題です。
         相談室カンナとノンラベル副代表という二足のわらじ状態の私は、「休日」というものがありません。先日、今流行の「脳内メーカー」で調べてみると、私の脳内は「休」という字でいっぱいでした。脳は「休養しろ!」と言っているのだろうと解釈しました。
         ノンラベルの居場所援助や日常事務、イベント準備などで平日の昼間は追われます。カンナの活動は平日早朝と夜、土・日に集中して行っています。日曜日・祝日で面談予約のない日だけが、「自由な日」となるわけです。
         でも、そんな生活の中での悩みは、「休みたい」ではなくて、「勉強する時間がない」なんです(良い子ぶっているわけではありません(^。^)。ホント)。
         不登校、ひきこもり、摂食障害、リストカット、抑うつ、強迫神経症、不潔恐怖、触法行為の常習、そして広汎性発達障害…。様々なケースに関わる中で、学習と援助者・医療関係者との交流の必要性を強く感じます。そして、「休み」はおあずけ、となります。とはいえ、疲労感は強く、無理をしているのでしょうが、脳内の過緊張状態が勝っているため、「ゆっくりできない」が起こっているのだと思います。ま、そんな時期もあっていいか、と考えるようにしています。あ、みなさんは、しっかりと休日、休養を取って下さいね。
         次回は「小さな物も近くで見れば大きな物」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        発達障害者支援センター「かがやき」設立から2年/京都

        ◇成人への対応試行錯誤
         京都市発達障害者支援センター「かがやき」(上京区)が、設立から間もなく2年を迎える。これまで子どもの問題として議論されることの多かった発達障害。同センターは、支援が遅れている成人の発達障害者への支援を中心に取り組んでいる。成人の発達障害者の現状と支援の課題を追った。【谷田朋美】
        ◇周囲の理解、まだ
        ◆センターの取り組み
         同センターは05年11月に設置され、成人に対する相談や就労支援のほか、子どもへの療育支援、企業などへの普及活動もしている。設立当初から通う府内の会社員で、ADHD(注意欠陥多動性障害)の女性(43)は「職場で一つのことに集中できない。仕事がたまって混乱し、パニックになる」と相談。同センターは1週間ごとにするべきことを仕事と私生活にわけて個条書きにし、予定表をつくるよう提案した。女性は月2回の相談時間に、スタッフに手伝ってもらい予定表を作成している。「物事の優先順位や終わっていない作業がひと目で確認でき、仕事中、他のことに気がそれにくくなった。自分の能力の限界も分かってきた」と話す。
        ◆細かな対応は限界
         一方で、このように月2回のきめ細かな相談支援は限界にきている。現在、スタッフは児童精神科医などの非常勤を含めて17人。そのうち、心理士や保育士など7人のスタッフが相談支援に応じている。国が基準としている4人を上回るが、新規の相談は約2カ月待ち。06年度は電話なども含めて約630件の相談があり、現在も増加中。この女性のように継続して相談を受け付けるケースもあるが、相談回数は原則1人5回までにせざるを得ない状態だ。副センター長の中山清司さん(43)は「多くの人が引きこもりや家庭内暴力、2次障害などの問題を抱えており、原則5回では対応しきれない。やむを得ず継続する場合もあるが、スタッフが追いつかず厳しい」と漏らす。
        ◆就労支援
         06年度は、情報提供(306件)の次に就労(114件)に関する相談が多かった。同センターでは、就労相談、ハローワークなどの職業支援施設への紹介、企業へ出向いて障害の説明を行うジョブコーチの派遣などを行っている。
         アスペルガー症候群などと診断され、センターで就労支援を受けた女性(35)は「障害者就業・生活支援センター(北区)での仕事探しや、会社の面接試験にスタッフが同行して障害について説明してくれ、ほっとした」と話す。紹介された会社に入社したが、職場でコミュニケーションがうまく取れず、数カ月でストレスによるてんかん発作を頻繁に起こすようになり辞めざるを得なくなった。
         「社長は福祉に関心があったが、『かわいそうだから』という感覚だった。少し配慮があればできる仕事を『これはもうやらなくていい』とさせてくれなかった。ジョブコーチも来てくれたが、職場で理解は得られなかった。障害に理解があり、自分の特性を生かせる職場でないと就労は難しい」と肩を落とす。
        ◆企業などと連携模索
         就労できても、人間関係のつまづきや特性に合わず辞める人も多い。中山さんは就労準備のためのプログラムを作成し、昨年4月に開始。同センターで書類整理や清掃などの仕事を体験してもらい、自身の特性や職場でのトラブル対処法などを一緒に学んでいる。
         中山さんは「当事者の要望にそのつど応えていこうと試行錯誤で支援に取り組んできた。しかしセンターだけでは支援のすべては担えない。就労支援施設はもちろん、研究機関、自助団体、ひいては企業などとの連携を模索している」と話す。
        ◇支援、個々の特性に応じて マニュアル対応は逆効果--十一・京大大学院教授
        ◆自分を理解する
         NPO法人「大人のADD(注意欠陥障害)&ADHDの会(SOAA)」理事で、兵庫県在住の広野ゆいさん(35)は月1回、関西に住む成人の発達障害者が集まり交流する場「関西ほっとサロン」を主宰している。
         広野さん自身、ADHDだ。家事がうまくこなせず、夫からあばら骨を折られるなどの家庭内暴力(DV)を受けた。「生きている価値はない」と言われ続け、じっとしていても疲労骨折するほど極度のうつ状態に。それでも「自分が悪い」と思っていた。00年、ADHDについての本を読み、SOAAの講演を聴きに行った。「自分はADHDだ」と確信したが、病院では「一時の流行」「大人にはない」と門前払い。診断後は、夫から「言い訳するな」などと暴力も受けるようになったが、「診断によって、自分を責めなくてもいいと思えるようになり、楽になった」と話す。
        ◆交流の場
         発達障害者がくつろげる場所をつくろうと同サロンを立ち上げた広野さん。「当事者同士で話し合うなかで、自分を客観的に見られるようになる。障害の特性や対処法が分かるようになり、うつを克服できた」と話す。今は離婚して2人の子どもを育てる傍ら、発達障害について講演し理解を広めている。
         「成人の発達障害者の多くは障害そのものより、いじめや虐待、DVなどでうつ病や強迫症などを患う2次障害で苦しんでいる。家庭でも理解されない人は多い」と指摘。「まず診断を受け、自分を理解し、居場所を得ることが2次障害を克服する近道。自助グループを居場所にしてほしい」とアドバイスする。
        ◆府も支援を準備
         今年度中に全国の都道府県、政令都市に最低1カ所、発達障害者支援センターが設置される予定という。府も、京田辺市に府社会福祉事業団に委託する発達障害者支援センターを設け、府内6カ所の社会福祉法人に発達障害のコーディネーターを各1人置く予定だ。8月1日には、府議会議員や府の担当職員らが成人の発達障害者から意見を聴くなど準備を進めている。
         発達障害に詳しい十一元三(といちもとみ)・京都大大学院医学研究科教授は「最も大切なのは、周囲の理解。発達障害があっても、周囲に理解があると適応して生きていきやすくなる。企業へのジョブコーチの派遣や産業医による啓発など、本人の特性に対する理解者をつくっていくことが重要。また、発達障害は千差万別であり、個々の特性に応じた柔軟な支援が必要。一面的な理解やマニュアルによる対応は逆効果になる」と話す。
        ◆発達障害
        ◇自殺未遂2割、いじめ被害8割
         自閉症、アスペルガー症候群や学習障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの先天的な脳機能障害。コミュニケーションが苦手、能力の極端な偏りなどの特徴がある。しかし知的障害を伴わないことが多く、本人や家族でも障害に容易に気づかないため、周囲に「自分勝手」などと誤解されていじめや虐待を受けやすい。NPO法人「大人のADD&ADHDの会」が2~3月にホームページ上で実施した調査では、ADHDの成人56人のうち、いじめられた経験があると答えた人は84%、自殺を試みたことがある人は21%にのぼり、52%がうつ病の診断を受けていた。
        (毎日新聞)9月2日13時0分配信

        ●県教委:メールで悩み相談--来月からHPで/栃木
         県教委は10月から、メールによるいじめや不登校などの悩み相談の受け付け窓口を、県教委のホームページ(HP)上に開設する。「電話よりもメールの方が相談しやすい」という保護者や子供の声を受けての措置。HPアドレスや相談窓口の愛称は近く決定する。
         県教委生涯学習課によると、県教委では現在、「家庭教育ホットライン」「いじめ相談ホットライン」の二つの電話相談窓口を設置しており、今年4~8月の相談件数は計977件に上った。ただ、電話相談の一部には「メールで相談を受け付けていないか」との意見も寄せられ、メール窓口開設のきっかけになったという。メール相談員は、現在の電話相談員が兼務する。
         同課は「電話では話しにくい相談をたくさん寄せてほしい。しかし、メール返信には最長で7日間かかるため、命にかかわる緊急な相談は従来どおりの電話を利用してもらいたい」と話している。
        (毎日新聞)9月5日13時5分配信

        ●<見舞金>福岡のいじめ自殺で中2遺族に 省令改正後初
         福岡県筑前町立三輪中2年の森啓祐君が昨年10月、いじめを苦に自宅で自殺した問題で、独立行政法人・日本スポーツ振興センターが、災害共済給付制度に基づく死亡見舞金の支給を決めたことが分かった。遺族らの訴えで文部科学省が今年7月、省令を改正、学校外での自殺も支給対象となっていた。改正後の支給は初めて。
        (毎日新聞)9月6日13時54分配信

        少しの理解とサポートで、発達障がい者は立派に働ける。
        2007/09/07
         アスペルガー障がいなどの広汎性発達障がいの方の中には、大学を難なく卒業される方が少なくありません。しかし、就労でつまづいてしまわれる方が多いのも現実です。
         企業の人事の採用基準で「コミュニケーション能力」が問われるためです。自閉症スペクトラム障がいの方にとって、この「コミュニケーション能力」というのは、大きな課題の1つですから、面接で視線が合わなかったり、質問の意味がわからなかったり、意味を取り違えて答えてしまったりして、結果「不採用」となってしまうためです。
         興味・関心をもったことには深く努力をする人たちであるにも関わらず、このような「対人関係のスムーズさ」基準によってふるい落とされてしまうのは、いかがなものでしょうか。人間の持つ能力の大きな損失ではないかと考えます。
         従業員の一人が「ちょっと人と違っているな…」と感じて、事業主さんが相談に来られているケースがあります。本人さんをカウンセリングにつなぎ、生育歴や職場でのトラブルなどを聞いていて、広汎性発達障がいの疑いを感じたため医療に紹介し、検査・診察を受けられ、広汎性発達障がいの診断を受けられました。その後も、本人さんへの対人関係トレーニング&トラブル対処のためのルールづくりを目的としたカウンセリングと、事業主さんへの関わり方を学んでいただく面談を継続しています。「能力のある人なので、できることを増やしてがんばってほしい」と、この事業主さんは言われています。佐々木正美先生の著された『アスペルガー症候群のすべてがわかる本』(講談社)をお薦めすると、すぐに購入され、2回読まれた上で、本人さんと定期的に話しをする時間をとられて、具体的な特性の理解と問題解決への議論を積まれておられます。この方には、本当に頭が下がる思いです。
         周囲の人の障がい特性の理解、障がいのある本人さんの個性を理解しようと努めること、部分部分で必要なサポートの必要性に気づき援助することで、本人さんは立派な労働者として生きて行くことができますし、事業主にとっても、有能な社員を確保することができるのです。
         こうした視点が、発達障がい者理解の上では不可欠だと思います。
         次回は「休日のない生活」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        親の年収400万円未満なら授業料タダ・東大、免除枠広く

         東京大学は家庭に経済的余裕がない学部生に対する授業料の免除枠を来年度から広げる。家庭の年収、構成人数などを総合的に判断して免除の可否を決めている現行制度を簡素化、年収が400万円未満なら一律に授業料全額を免除する方式に改める。国立大では初の試み。
         東大の学部の授業料は年53万5800円。いまは授業料が免除されるのは世帯の年収から特別控除額を引いた金額が基準額以下で、特別控除額や基準額は家族構成などによって異なる。例えば「4人家族、弟が公立高校生、自宅外通学」なら年収310万円以下の場合に全額免除が認められる
        (NIKKEINET)2007年8月30日

        ●過労死:明治屋支店社員遺族が損賠求め提訴 謝罪なく「安全配慮義務怠った」/京都
         05年4月に食料品輸入販売会社「明治屋」(本社・東京都中央区)の「京都三條ストアー」(中京区)の社員だった岩田謙吾さん(当時27歳)が死亡したのは、同社が長時間労働をさせて安全配慮義務を怠ったためだとして、両親=西京区嵐山樋之上町=が同社に総額9022万円の損害賠償を求める訴訟を24日、京都地裁に起こした。
         訴状によると、岩田さんは96年に入社し、同店で鮮魚調理や販売を担当。05年4月7日夜に帰宅し、疲れで入浴もできずに就寝したが、翌8日未明に急性心不全で死亡した。労働時間は死亡の半年前から月平均290時間超で、直前の1カ月間は13時間余りの日が多く休みは1日だけ。3月は法定を132時間上回る316時間に及んだ。
         京都上労基署は同年11月に労災認定し、その際の地方労災医員協議会の意見書は「異常な時間外労働で著しい疲労蓄積をきたし、短期的にも長期的にも過重業務だった」と指摘。同社と当時の店長(45)は今年6月、労基法違反罪で東京簡裁で各罰金30万円の略式命令を受けて確定している。
         提訴後に記者会見した母町子さん(58)は「会社から『代わりはいくらでもいる。息子さんは勝手に亡くなった』と言われ、いまだに謝罪の言葉はない」と憤り、「息子の死を無駄にさせないよう頑張りたい」と話した。
         岩田さんの死亡後、同店の従業員はほぼ全員が異動になったといい、同席した弁護団長の村山晃弁護士は「会社にきちんと責任を認めさせる必要がある。再発を防ぐためにも、当時の労働状況を知る人は情報を寄せてほしい」と呼びかけた。連絡は同弁護士(075・211・4411)へ。
         同社は提訴について「真摯(しんし)に対応する」としている。
        (毎日新聞)2007年8月25日

        ●文科省、学力テスト結果「非公表」 悩むのイヤ…データ不受理も
        ■教委、開示請求「困る」
         4月に文部科学省が実施した43年ぶりの全国学力テストの結果公表をめぐり、各地の教育委員会が頭を悩ませている。9月にも結果が全国へ通知されるのを前に、文部科学省は各教委に「序列化につながる」とし、市町村別や学校別の結果を公表しないよう求めた。だが、各教委は議会質問や情報公開請求を受けた場合の対応に苦慮しており、中には、結果自体を受け取らないという苦肉の策を検討する教委も現れている。
         「(市町村名や学校名の公表を禁じた)実施要領に基づいて対応してほしい。情報公開を請求されたら、不開示情報として取り扱ってほしい」
         24日に開かれた都道府県教委と政令指定都市教委の担当者説明会。文科省初等中等教育局の金森越哉局長は繰り返し強調した。
         今回の学力テストで文科省は、全体の結果や都道府県ごとの結果は公表するが、市町村別、学校別の平均点などは「序列化や過度の競争につながる」ため非公表としている。だが、結果を受けた各市町村や学校が内容を公表するかは個別の判断に委ねられるため、改めてクギを刺した。
         これに対し、各教委の反応はさまざま。ある教委の担当者は「どうすべきか悩んでいたが、国が非公表の方針を明確に示してくれたので助かった」と安堵(あんど)。別の担当者は「議会で突っ込まれたとき対応に困る」とぼやいた。
         各教委が特に懸念するのは、情報公開請求を受けた場合の対応だ。大阪府枚方市が平成15、16年度に実施した独自の学力テストで、学校別成績を不開示にしたことの是非が争われた裁判では、大阪地裁、高裁とも開示すべきだとの判断を示し、市教委は応じざるを得なくなった。
         文科省は、「同様の事例で盛岡地裁は今年8月、開示請求を棄却する判決を下している。地方レベルと全国レベルのテストでは規模も異なり、不開示は当然だ」と強調する。
         各教委からは「外に出て困るデータは受け取りたくないのが正直な気持ち」(大阪府内の市教委関係者)といった声も出始めている。
         千葉県教委は「市町村別や学校別のデータは受け取らないことも検討している」という。同県は毎年、抽出方式で独自の学力調査を行い、市町村別の傾向などを把握しているため、「情報公開のリスクをおかしてまで入手すべきデータかどうか慎重に判断したい」という。
         鳥取県教委も「学校別データなどは受け取らない方向で文科省と相談している」。同県は昨年、関係部局で情報公開への対応を検討したが、「開示せざるを得ないとの結論だった」という。
         文科省はマスコミの動きも警戒する。市町村教委や学校から個別のデータを収集すれば、学力ランキングをつくることも可能になるからだ。
         非公表の方針に、批判の声も出ている。
         宮城、新潟など8都県は昨年度に実施した独自の学力テストで、市町村別のデータを公表しており、「なぜ今回は対応が違うのか」との不満が一部保護者らの間で高まっているという。
         テストや受験の実情に詳しい森上教育研究所の森上展安社長は「情報はすべて公開すべきだ。何のために全国規模の調査にしたのか。学校や先生は競争を好まないが、競争意識を持ち、学力向上につなげることが大切だ」と話している。
        (産経新聞)8月27日12時54分配信

        ●障害者の工賃アップへ 発注企業の税控除 厚労省検討
         厚生労働省は08年度税制改正で、障害者が働く授産施設や障害者雇用のために設立した特例子会社向けに仕事の発注や業務委託を増やした企業に対し、増加額の25%程度を法人税などから控除するよう求める。企業からの発注を後押しすることで、障害者の工賃アップにつなげたい考えだ。
         税額控除を認める発注先は、授産施設や作業所、特例子会社のほか、障害者自立支援法で一般企業での就労に困難が伴う障害者向けに設けられた就労継続支援事業所など全国計約3000カ所。これらの事業所への発注が、過去2年間の発注実績の平均額を上回った企業に対し、増加分の約25%を法人税や法人住民税などから控除することを想定している。上限は課税額全体の10%程度。実現すれば、1年間で約6億5200万円の減税効果が見込めるという。
         現在、授産施設などで働く障害者の平均工賃は月約1万5000円で、政府は今後5年間で倍増させるとしている。工賃の原資を稼ぎ出せるよう、施設の売り上げアップにつながる支援策が必要だと判断した。
        (asahi.com)2007年08月28日10時36分

        ●「人権侵害増えた」が4割超…内閣府世論調査
         内閣府は25日、「人権擁護に関する世論調査」を発表した。
         人権侵害が増えたと感じる人が4割を超えるとともに、「権利のみを主張して他人の迷惑を考えない人が増えた」と答えた人は85%を超え、ともに過去最高となった。
         インターネットによる人権侵害を指摘する人が増加しており、内閣府では「他人への配慮がなくなってきている」として、対策のための啓発活動に力を入れたいとしている。
         調査は、1958年からほぼ5年に1度の割合で行われており、今回で10回目。今年6月21日から7月1日まで全国の20歳以上の男女3000人を対象に面接聴取で実施し、回収率は58・9%。
         人権侵害が「多くなってきた」と答えた人は、2003年の前回調査より5・8ポイント増えて42・0%、「あまり変わらない」は40・3%。調査開始以来初めて、人権侵害が増えたと感じる人が感じない人を上回った。
         「権利のみを主張して他人の迷惑を考えない人が増えた」という質問について、「そう思う」と回答した人は前回より8・5ポイント増えて85・2%、「そうは思わない」と答えた人は3・6ポイント減の12・7%だった。
         人権課題の中で関心のあるものについて、複数回答で尋ねたところ、「障害者」(44・1%)、「高齢者」(40・5%)、「子ども」(35・0%)、「インターネットによる人権侵害」(32・7%)、「北朝鮮当局によって拉致された被害者等」(31・5%)の順となった。
        (2007年8月25日22時6分読売新聞)

        ●「障害理由の解雇は不当」地位保全申し立てへ 神戸の男性
         勤務先が病気に伴う身体障害を理由に解雇したのは職権乱用に当たるとして、神戸市西区の男性(54)が、尼崎市の塗料メーカーを相手に、地位保全などを求める仮処分を今月中にも神戸地裁尼崎支部に申し立てる。
         男性は三十九年間、同社に勤務。一九九六年、「HTLV-1関連脊髄(せきずい)症(HAM)」と診断された。徐々に歩行が困難になり、九七年一月、身体障害者二種四級に認定された。その後、つえを使うようになり二〇〇三年には身体障害者一種二級となった。〇五年、総務人事室に異動。業務中に転ぶこともあったが、仕事を続けていた。
         ところが、今年二月ごろ、会社側から「従業員に迷惑がかかる」と、業務中の着席を指示され、七月には「けがをしたら会社の責任。仕事ができる状態ではない」などとして解雇された。
         男性側は「職場環境を整備する努力を怠り、職場から障害者を排除しようとするもので、公序良俗に反する」と主張。塗料メーカーは「努力したが、処理可能な業務量が限られていた。通勤や職場での安全面からも勤務継続は困難と判断した」と反論している。
         HAMは、白血球に感染したウイルス(HTLV-1)が歩行障害などを引き起こす。治療法がなく、国内に約千五百人とされる患者が国に難病指定を求めている。
        (神戸新聞ニュース)2007/08/30

        ●発達障害相談116件/医師「乳幼期の発見を」
         県発達障害者支援体制整備委員会が二十八日、県庁で開かれ、県発達障害者支援センター(うるま市)へ寄せられた相談件数が、今年二月の開所から六月までの五カ月間で、百十六件あったことなどが報告された。相談年齢が七歳以降の学童期に多いことから「乳幼児期での早期発見が重要」との指摘があったほか、県全体の支援体制について、地域や児童相談所、医療者らとの連携強化を求める声が上がった。
         「相談支援」の内容で最も多かったのは「学校での不適応」など教育に関するもの三十八件。次に診断や施設紹介などに関する「情報提供」十七件、家庭での療育などに関する「家庭生活」十四件と続いた。
         年齢層では「七歳―十二歳」の学童期が五十一件と約四割で最も多く、「十九歳以上」三十二件、「十三歳―十八歳以上」二十四件、「〇歳―六歳」の乳幼児は、九件と最も少なかった。
         同センターが行っている「発達支援」も五十六件のうち四十八件が「七歳―十二歳」。障害種別では「知的障害を伴う自閉症」が四十七件と多くを占めた。「就労支援」は二十九件だった。
         県南部医療センター・こども医療センターの土岐篤史医師は「学童期の相談が多いのが沖縄の特徴。年齢が高くなってから障害に気付き、ケースが複雑になることもある」と述べ、一歳半健診など乳幼児期での「気づき」が重要だと強調した。
         那覇市学校教育部の佐久川博美主幹は「就学前と就学後で支援体制がスムーズに移行できるよう整備が重要。子どもを軸にした支援を考える必要がある」と指摘。また八重山や宮古地域の相談件数が少ないことから、センターの周知や児童相談所、地域などとの連携強化が挙げられた。
         同センターの問い合わせは電話098(972)5630。
        (沖縄タイムス)2007年8月29日(水)

        ●【教育最前線】芦屋大アスペルガー研究所 発達障害者への理解呼びかけ
        ■正しい支援啓発 人材育成も
         コミュニケーションなど対人関係に問題を抱える発達障害の一種「アスペルガー症候群」。いじめや少年犯罪の背景要因の1つとしても近年注目されているが、知識や経験の不足から学校現場では対応に苦慮しているのが実情だ。教育系大学の芦屋大(兵庫県芦屋市)は昨年6月、同症候群の治療教育・研究を行う「アスペルガー研究所」を全国で初めて設置。臨床事例を蓄積し分析を進めているほか、市民講座などを通じて人材育成にも力を入れている。
         「いわゆるアスペルガー系の人は、言葉は理解できるし、むしろ普通の人より高い知能を持っているケースも多い。ただ心の器が少し違う」
         不登校のカウンセリングや刑事裁判での精神鑑定を多く手がけている、同研究所の井上敏明所長(72)は、そう分析する。
         井上所長が指摘する「心の器の違い」とは、主に特定の物事に執着し、他人への配慮や場の空気を「読む」のが理解できない点。そのため周囲との摩擦を招きやすく、パニックや家庭内暴力、引きこもり、犯罪などの深刻なトラブルに発展するケースもある。
         研究所は、臨床心理の専門家や精神科医など計9人で構成。月に1回、研究会を開催して情報交換を行っているほか、井上所長が主宰する六甲カウンセリング研究所(同県西宮市)に業務委託し、一般からの相談を受け付ける「人間関係相談センター」を開設した。
         反響は大きく、人間関係相談センターには年間約300件の相談が寄せられた。子供を抱える保護者からの相談が主だったが、成人からも多く、中には70歳を超えた元エンジニアの男性の妻から「仕事を退職した夫の挙動がおかしい。アスペルガーではないか」という相談もあったという。
         井上所長は「深刻なのは、家族や学校など周囲の人々に知識がないため適切な対応ができず、本人を支援するどころか、さらにストレスを抱えさせてしまうケース。2次被害的に鬱病(うつびょう)などを併発する場合もある」と指摘する。
         無理に「アスペルガー系の人」を周囲に適応させるのではなく、周囲の人が彼らに対する正しい知識を持つことが大切で、そうした考えから同研究所では発足以来、保護者や一般市民向けのセミナー・公開講座も積極的に開催している。
         8月20日からは、教員OBなどにアスペルガー症候群をはじめとした発達障害についての集中講座を受講してもらい、ボランティアとして現役教員のサポートに当たってもらう支援事業も開始した。
         文部科学省がまとめた調査結果によると、現在、通常学級にアスペルガー症候群などの発達障害の可能性がある児童・生徒がいる割合は約6%。同研究所は今後、研究内容をまとめた教育支援マニュアルなどを制作するとともに、幼児段階で発達障害にどう対応するかを定めた指針づくりなどを進める。
         倉光弘己・芦屋大学長(71)は「発達障害を持つ人々は、周囲がうまく受け入れられれば、1つのことに集中する能力が高いだけに社会に有益な財産にもなりうる。欠陥を補うのではなく、そうしたよい面を生かす方法を模索したい」と話している。
        (産経新聞)8月31日17時12分配信

        ●医療、雇用など活発論議 宮崎市で「不登校問題全国のつどい」 850人が参加
         不登校や引きこもりの子を持つ親や教員らを対象としたシンポジウム「登校拒否・不登校問題第12回全国のつどいin宮崎」(登校拒否・不登校問題全国連絡会などが主催)が25、26の両日、宮崎市塩路浜山のサンホテルフェニックスで開かれた。北海道など県内外から延べ約850人が駆け付け、不登校と医療との関係などが話し合われた。
         つどいは1996年から始まり、毎年開催されているが、九州では初めて。初日の25日に横湯園子中央大教授(教育臨床心理学)が記念講演した後、2日間にわたって分科会が開かれた。
         「医療福祉とのかかわり」をテーマにした分科会では、自閉症の1つ「アスペルガー症候群」や知的障害のある子どもがいる親、ソーシャルワーカー、大学教授らが参加。「アスペルガー症候群が原因だと決め付ける少年犯罪報道が多い。正しい知識と情報が社会に伝わっておらず、結果的に不登校に追いやられている」と訴える声が上がった。さらに「長引く不況や雇用主の理解不足から、知的障害者や自閉症がある人の雇用が減ってきており、引きこもりから脱する機会が奪われている」など現状を懸念する声も出た。
         ほかの分科会では、参加した男性会社員から「『活動に参加するのは母親』と決め付けず、父親も参加してみてはどうか。活動を通じて交友関係も広がり、複眼的な視点も持てるようになる」という意見も出された。
         来年は、8月9日と10日に京都市で開かれる予定。
        (西日本新聞)8月27日10時8分配信

        ●親も子供も宿題丸投げ いま代行業者繁盛
        ■読書感想文2万円、工作5万円
         「読書感想文」から「自由研究」まで、夏休みの宿題を片づける「宿題代行業者」が登場し、賛否を呼んでいる。メールなどで届いた依頼に、アルバイトの学生らが有料で応える。多くの小中学校で夏休み最後となる今週末は“駆け込み客”が殺到しているというが、「家庭学習の習慣を身につけるという本来の趣旨に反している」と、教育関係者は批判的だ。
         インターネット上で宿題代行サイトを主宰するのは大阪市内の20代の男性。このサイトには東大や京大、阪大、関関同立など全国の有名大学生らが多数、登録している。
         算数の文章問題は1問500円、読書感想文は2万円で引き受けるほか、大学生のリポート(2万円~)や卒業論文(30万円程度)まで幅広く手がけている。
         そのほか、夏休みの宿題の定番である工作(5万円)や自由研究(2万円)なども請け負っており、これまで実際に「アリの研究」や「河川敷の水質調査」などを提供したという。
         依頼は主に親からで、「子供の宿題が期限に間に合わないから」という理由がほとんど。中には小学生本人から注文が来たこともあるという。メールやFAXで受けた依頼を、業者を介して登録学生に発注。高額バイトとして一部の学生に人気があり、中には月20万円以上稼ぐ学生もいるという。
         夏休みには問い合わせが通常の約3倍になるといい、今年はこれまでに、小学生の夏休みの宿題だけで約40件の注文があったという。代行業者は「夏休みが終わる今週末は全国からの駆け込み客が増えている」と話す。
         こうした状況に文部科学省は「家庭学習の習慣を身につけるのが宿題の本来のねらい。その趣旨からも、宿題を丸投げするのはおかしい」。大阪府教育委員会も「宿題をお金で解決するという保護者の考えが気になる。それをビジネスにしてしまう業者もどうか。子供の成長を一番に考えればゆゆしき事態だ」と異議を唱える。
         一方、代行業者は「読書感想文などは、あくまで参考用に渡しており、そのまま提出することは禁止している」というが、実際は目が届かないのが現状だ。
         インターネット上では、ほかにも大学生の卒業論文を代行する業者が増えており、韓国では500サイト以上が乱立。すでに出来上がっている論文などを提供するサイトもあり、日本よりも一足早く問題になっているという。
         三重大学の奥村晴彦教授(情報教育)は「宿題や課題は結果より努力した跡が大切。お金で買ったものでは意味がない。保護者や業者も『何でも金で解決できる』という考え方を子供の心に植え付けるのは良くない」と話している。
        (産経新聞)9月1日18時36分配信周
        今年の猛暑の過ごし方。
        2007/08/26
        いやあ、とにかく暑いです。猛暑というよりも、酷暑、という言葉がぴったりです。
         先週、自宅の電気代の請求明細がポストに入っていて、「オットー」っと驚きました。過去最高の請求額だったからです。確かにエアコンのお世話になる時間がながかった…(O.;)。
         そんな中、お盆前後に車で走り回ることになりました。私の実家のある岡山県に長男のお墓があり、13日から15日にかけて墓参りに2泊3日で帰りました。そして、妻方の父の7回忌法要が18日に石川県(能登半島のほとんど北端)であり、17日・18日の1泊2日で帰りました。岡山まで片道約220km、石川までは約400km、都合2カ所の往復で1,240kmを車で走ったことになります。石川は仕事の都合で1泊だったので、さすがにこたえました。
         実は、これくらいしか、この夏について書くことがないのです。車で移動していた日以外は、毎日事務所に通う日々でした。「貧乏ひまなし」とは、私のための言葉のようです。
         さて、夏が終われば秋。秋にはノンラベルの講演会、学習会が9月、10月、11月と続きます。9月の「6周年記念講演会」(野田正彰先生)、10月の「アスペルガー障害を知る学習講演会」(ニキ・リンコさん)はHPで公開されていますので、ぜひご覧下さい。↓
        http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/
         次回は「少しの理解とサポートで、発達障害者は立派に働ける」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。今回は盛りだくさんです。

        広汎性発達障害…早期診断でサポート

        ◇周囲の接し方で混乱軽減
         「まわりの子どもと、何かが違う」――。そんな子どもの特異性に親や教育者が気づいた結果、「広汎(こうはん)性発達障害」と診断されるケースが増えてきた。人との交流が苦手という、この障害に対する知識が広がってきたからだ。育児や教育の中での訓練で人間関係を円滑にしたり、社会生活に適応することは可能だ。しかし、正確な理解が進んでいるとは言えず、適切に対応できる医療機関も少ない。
        ◇育て方は無関係
         「自閉症」「アスペルガー障害」などをまとめて、広汎性発達障害と呼ぶ。自閉症は言語の発達に遅れがあるのに対し、アスペルガー障害では著しい言葉の遅れはない。
         こうした障害を持つ子どもたちは、他者の感情をうまく理解できないので、「太ってるね」などと全く悪気なく言ってしまう。言葉を文字通りに受け取ってしまうので、「その話は置いておいて」と言うと、「何をどこに置くの?」と応じる。アナウンサーやアニメのキャラクターをそっくりまねた話し方をしたりするのは、想像力を働かせることが難しく、物事にこだわりを持ちやすいためだ。
         こうした特徴から、広汎性発達障害の子どもや家族は「親のしつけが悪いからだ」という誤解にさらされてきた。
         実際には、先天的な脳機能の障害が原因と考えられ、育て方とは無縁だ。全人口に占める割合は1~2%にのぼるとされ、男性に多い。
         朝起きて登校するまでにすることの順番を厳密に守るなど、極端な「こだわり」も目立つ。一方で、特定の分野に強い関心を持ち、数学的な思考に優れ、知的水準の高い人も多く、研究者や芸術家として成功することもある。驚異的な記憶力を持つ人もいる。
         自閉症のうち、知的障害がない場合を「高機能自閉症」と呼ぶこともあるが、世界保健機関(WHO)や米国精神医学会の診断基準では、その分類は用いられていない。
        ◇多い誤診
         広汎性発達障害は、注意力や行動の制御能力が欠ける「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、読む・書く・数えるなどのうち特定の能力が著しく劣る「学習障害(LD)」と間違えられることが多い。広汎性発達障害によくある不注意や学習のアンバランスが、一見するとADHDやLDのように見えるからだ。
         LDと誤診されると、学習能力を改善する訓練に力点が置かれ、人との交流を円滑にする支援はないままになる。
         京都大医学部保健学科教授の十(と)一(いち)元(もと)三(み)さん(児童精神医学)は「専門の医師以外による誤診が頻発している。確定診断までに4~5か所も相談機関や病院を回り、そのたびに診断名が変わった人もいる」と話す。
         他方、専門知識のある医師に患者が集中し、受診まで何年も待つ事態も起きている。「その間に子どもの状態はどんどん変わるし、不適切な教育指導を受けるおそれもある」と十一さんは指摘する。
         早期に正確な診断を受けるには、どうすればいいのか。
         府県や政令市の精神保健福祉センターや発達障害者支援センター、障害者支援部門は医療機関のリストを作っている。そうした情報をもとに、最寄りの病院や診療所を訪ねることを十一さんは勧める。
         医師の診断結果は家族や保育者、教職員らで検討する。そこで疑問が生じ、納得できない場合、その診断は誤りか、不十分な可能性がある。改めて医師と相談するか、別の医師の意見を求めるとよい。
         十一さんは「1歳半健診で可能性のある子どもを見つけようという試みもあるが、早期の診断だけでは意味がない。就学前までに気づいてサポート態勢がとれれば、効果は非常に大きい」と言う。
        ◇親の理解がカギ
         大阪府立精神医療センター・松心園の児童精神科医師、大石聡(さとる)さんは「親が障害の特性を知れば、子どもの行動の理由がわかり、互いにずいぶん楽になる」と話す。診断の際は、親への説明に特に時間をさいているという。
         「まず、先天的な障害であることを理解してもらい、『自分のせい』という罪悪感を除く。次に、障害の特徴をかみくだいて解説すると、育児で苦労した点が理解できて気持ちが和らぐ。どこに注目すれば周囲との関係を改善してやれるかも見えてくる」
         広汎性発達障害の子どもは聴覚や触覚が過敏になるため、知覚に入る情報を遮断しようと、一つの遊びに没頭する。大石さんによると、「自分を落ち着かせるための理にかなった行動」なので、中断させようとしてしかると、パニックに陥ってしまう。理由を理解し、介入しすぎないようにすれば、その子なりの方法で、周囲と交流を持とうとするようになるという。
         日本自閉症協会大阪府支部の井上ひとみさんは、広汎性発達障害の子どもを持つ。「一見、自分勝手な子どもの言動には本気で腹が立つもの」という。しかし、そこで怒っても、親の感情が理解できない子どもの混乱は逆に深まる。
         「私の場合、障害の特性を教える教室に通い、子どもへの接し方がわかると、腹を立てずにすむことを知った。周囲と交流しやすいよう導く方法も考えることができた」と井上さんは話している。
        (2007年8月12日読売新聞)

        ●発達障害:成人は置き去り 「診断の経験ない」5割、「就労できず在宅」3割
        ◇大阪・支援機関
         自閉症など発達障害の疑いがあり、日常生活で支障を感じている成人(19歳以上)のうち、医療機関で診断を受けたことがない人が約5割に上ることが、「大阪府発達障害者支援センター・アクトおおさか」(大阪市淀川区)に寄せられた相談内容の分析結果から明らかになった。就労できずに長期間の在宅生活を送っている人も約3割を占める。発達障害者支援法の施行から2年半。子どもの支援が本格化する一方、置き去りにされている成人障害者の実態が浮かび上がった。
         発達障害は、自閉症のほか、アスペルガー症候群や学習障害、注意欠陥多動性障害などの先天的な脳機能障害。コミュニケーションが苦手などの特徴があるが、知的障害を伴わない場合は本人や家族が気づかないうえ、周囲から「自分勝手な人」などと誤解されがちで、職場になじめず、頻繁に職を変えざるを得ない人が多い。
         センターは02年度、府の委託を受けて発達障害者や家族の相談事業を開始。06年度の相談者は約1000人と、前年度から倍増した。相談を分析したところ、19歳以上が約350人で、このうち「医療機関で診断を受けたことがない」と答えた人は約5割だった。
         また、相談内容は「診断や療育をしてくれる医療機関や、就労支援をしてくれる機関の紹介要請」が約4割を占めた。職業別では、一般就労やアルバイトなど所属先がはっきりした人が約2割なのに対し、不明分を含め約7割は決まった所属先がなく、長期の在宅生活の可能性が高いという。
         センターによると、発達障害者の多くは障害者手帳を持たず、企業に一定割合の障害者雇用を義務付ける法の対象外。診断や診療に時間と手間がかかる割に診療報酬が低く、発達障害を扱う医療機関が少ないなど、問題が山積している。
         2年前にアスペルガーと診断された府内の30歳代男性の母親(65)は「息子は障害を受け入れて今春から物流会社で働くようになった。企業の無理解から、障害を隠して就職して結局長続きしない人が多い」と訴える。
         新沢伸子センター長は「子どもの場合は学校があり、親同士が情報交換して支え合えるが、大人は孤立しがち。早期発見が大切な子どもとともに、成人への支援体制の充実も忘れてはならない」と話している。
        ◇社会で支援必要--発達障害に詳しい関西医科大付属滝井病院の上野千穂医師(精神神経科)の話
         成人期の診断は、幼少期までさかのぼって成育歴から聞き出す必要があるなど難しさが伴うが、障害として受け入れることで本人も親も不安が和らぎ、周囲の理解も得られる。専門医を増やすだけでなく、社会で支える視点が必要だ。
        (毎日新聞)2007年8月21日

        ●<診療科名削減>厚労省が見直し案を白紙撤回 学会が猛反発
         医療機関が掲げることができる診療科名を巡り、厚生労働省が「患者に分かりやすい表記を目指す」として、今年5月に公表した基本診療科名を38から26に4割削減する見直し案について、同省が事実上白紙撤回していたことが分かった。削減される診療科を専門とする学会が一斉に批判、他の学会も「現場に何の相談もなかった」と反発を強めたからだ。同省は打開策として現在の診療科名の使用を容認する案を各学会に打診したが、患者にとって分かりやすい表記になるかは不透明だ。
         診療科として表記できるのは医療法に基づき33の医科と四つの歯科、それに厚労相の許可を受けた麻酔科の計38科。現在は医師であれば自分の専門とは関係なく、どの科の看板を掲げても自由(麻酔科を除く)。患者集めを目的に複数の科を掲げて広告を出す診療所なども目立つようになり、患者から「何か専門が分かりにくい」との苦情が同省などに寄せられている。
         こうした状況を解消するため、同省は5月21日の医道審議会・診療科名標榜部会に見直し案を公表した。内科や外科など基本的な診療科を残し、より専門的な治療内容を表記する診療科は削減するのが基本。診療科として標ぼうできるの科を26に絞ったうえで、「ペインクリニック(痛み緩和)」や「花粉症」など得意分野の治療方法を「サブスペシャリティー」(専門性の高い領域)として診療科の下に自由に書き込めるよう“緩和”した。
         しかし、診療科から外された学会や患者団体から見直しを求める要望が続出。その一つ、日本神経学会は「やっと定着したのに。パーキンソン病やALSなど関連患者団体からも『これからどこに診療にいけばいいのか』と不安が寄せられている」と指摘。
         同学会のある幹部は「さまざまな名称の専門医が雨後のたけのこのようにあふれ、わかりにくいのは事実。しかし、医療の中で神経内科は重い責任を果たしており、削減されるのはおかしい」と、総論賛成各論反対の姿勢だ。
         厚労省は「基本診療科の下に自由表記できるという緩和面の趣旨がうまく伝わらなかった」として、先月、基本診療科名をほぼ従来通り表記できる“妥協案”を水面下で各学会に打診した。しかし、同省が「専門性は自由に表記できる」としているため、専門家からは「広告などで無制限に診療内容を羅列する医師が出てくる恐れがあり、今以上に患者にとって分かりにくくなってしまうのでは」との指摘が出ている。
         医事評論家、水野肇さんの話 診療科名の見直しは正直、何のためにやっているのか理解できない。優先順位から言えば他に産科・小児科の医師不足など、今すぐにやらなければいけない課題は山積している。本当に必要と思うなら、専門家の意見も突っぱねてでもやるべきだが、厚労省の対応はふらふらして自信がないように映る。
        (毎日新聞)8月20日3時3分配信

        ●短時間労働も容認 障害者雇用促進へ法改正
         厚生労働省は21日、障害者の雇用を促進するため、企業などに義務付けた障害者雇用率について、パートなど週20時間以上30時間未満の短時間労働も算定基準に加える方針を決めた。来年の通常国会に障害者雇用促進法の改正案を提出する。
         現在、週30時間以上の常用労働者数56人以上の企業には、1・8%以上の障害者雇用が義務付けられている。ただ、雇用率にカウントされるのは原則として週30時間以上勤務の障害者。
         一方、週30時間以上は困難でも、短時間なら勤務できる障害者も少なくない。実際、求職活動をしている障害者の約4分の1が、週30時間未満の勤務を希望しているという統計もある。
         このため厚労省は、障害者の短時間勤務も促進する必要があると判断、雇用率の算定基準に短時間労働を原則0・5人分と加算できるよう改正することにした。
         法定雇用率の義務を果たす一助となるため、企業にとっては障害者を雇用するインセンティブになる。
         障害者の派遣労働についても算定方法を見直す方針。現在は雇用主である派遣会社の雇用実績として算定しているが、派遣障害者1人を派遣先と派遣元で0・5人分ずつに分けてカウントする。
         障害者雇用率が達成できていない場合、従業員301人以上の企業は不足する障害者数1人につき月額5万円の納付金を徴収される。
        (産経新聞)8月22日8時1分配信

        ●障害者に進学の道 学ぶ作業所開校へ
         養護学校高等部を卒業した障害者らの学ぶ作業所「紀南養護学園(仮称)」が来年4月、社会福祉法人ふたば福祉会が運営する田辺市芳養町の障害者通所施設内に開校する。はまゆう養護学校(上富田町岩田)の育友会メンバーらでつくる「紀南養護専攻科を考える会」が、紀南地方での障害者の「大学」設置を目指して活動を続けてきた。通所施設自体も4月に開所する。
         考える会は、養護学校の卒業生に進学の道を開こうと、障害者の大学に当たる県立の「養護専攻科」(2年間)設置を目指し、昨年9月に発足。高等部卒業後、20歳までの教育の延長を訴えてきた。その背景には、紀南地方の卒業生の場合、作業所や企業に就職する以外、進路の選択肢がほとんどないという状況がある。
         しかし、専攻科を設置している養護学校は県内には1校もなく、全国的にも特に公立は少ない状況。県の財政などを考えても、専攻科設置は「長く、遠い目標」(考える会)。そこで、地域の障害者施設などに協力、助言を求め、専攻科のように集団で、ゆっくり学べる場所としての紀南養護学園の開校に至った。運営は、考える会を中心とした運営委員会に委任する予定。
         田辺市芳養町の市有地の一角に新築される「たがわの杜(仮称)」内の部屋を教室として使う。同施設は、市内で20年近く無認可運営を続けてきた小規模作業所2施設が移転して統合し、運営もふたば福祉会に移る。
         計画案によると、就学資格は同市、上富田町、白浜町、みなべ町などに住む通学可能な人で、原則は養護学校高等部を卒業した18歳以上の人。定員は6人以上10人まで。計算やパソコン、書道、絵画、音楽、スポーツなど自立した社会人になるための授業を用意し、それらを職業や趣味にしている一般人をボランティア講師に招く。
         考える会の出口幸三郎会長は「これからが大変だが、ぜひ地域の皆さんの支援をお願いしたい。この取り組みが実績となり、地域の人たちや行政に専攻科の必要性を認めてもらえると願って、新たな一歩を踏み出したい」と話している。
        ◇9月に開校記念集会
         紀南養護専攻科を考える会は、開校を記念して9月12日午後1時~2時半、田辺市中屋敷町の市青少年研修センター3階大ホールで研究集会を開く。市と市社会福祉協議会、市教委、紀伊民報後援、はまゆう養護学校育友会、ふたば福祉会協賛。
         和歌山市の障害者地域生活支援センター「ランドマーク」の日下宗紀所長の講演「福祉からの障害者青年期教育―就労までに伸ばしてあげたい、君の力」がある。入場は無料。
         問い合わせは、同会事務局(0739・25・5156)へ。
        (紀伊民報)2007.8.24

        ●世帯の所得格差、過去最大に…厚労省調査の05年ジニ係数
         厚生労働省は24日、世帯ごとの所得格差の大きさを表す2005年のジニ係数が0・5263で、過去最大になったとする「05年所得再分配調査」の結果を発表した。
         同省は、一般的に所得が少ない高齢者世帯の増加が主な要因と見ているが、「非正規社員と正社員の所得格差などが影響している可能性も否定できない」としており、次の臨時国会などで格差問題を巡る議論が活発化しそうだ。
         同調査は、3年ごとに実施されている。ジニ係数は0~1の間の数字で表され、格差が大きいほど1に近づく。
         今回の調査では、ジニ係数が前回を0・028ポイント上回り、初めて0・5を超えた。例えば、全体の25%の世帯が所得総額の75%を占めた場合などに、ジニ係数は0・5となる。
        (読売新聞)8月25日2時19分配信

        ●学校へのクレーム 理不尽な親に対策本格化 解決支援に専門家
         学校に保護者が理不尽な抗議や要求をするケースが全国的に増え、県内でも対策を本格化させる自治体が出てきた。太田市教育委員会は9月に、悪質な事例への対応策に関して助言や指導を行う専門家の組織「市学校問題解決支援隊」を発足させる。また、安中市教委は他県の事例を参考に独自の対応マニュアルを作成、7月に市内20の小・中学校に配布した。他の教委も、学校や教委が顧問弁護士と連携しながら解決にあたる態勢を整えつつある。
         「子供に掃除をさせるな」「担任の容姿が悪いから代えろ」――。こうした理不尽な抗議や要求を行う保護者は「モンスターペアレンツ(怪物親)」とも呼ばれる。学校の業務に支障が生じたり、教師がストレスで体調を崩すことも多いという。
         県外では、学校が弁護士に助言を求められる「学校法律相談事業」(東京都港区)や、苦情対応専門の教委嘱託職員の配置(岐阜市など)といった具体的な動きが広がり、文部科学省も来年度からクレーム対応の外部委託を一部の県教委で試行させるなど、対策に本腰を入れつつある。
         こうした先進事例にならって太田市教委が導入する「支援隊」は、市人権擁護委員を中心に弁護士、行政相談員を含む6人がメンバー。教員経験者も含まれるが、基本的に第三者の立場で助言し、学校に代わって保護者との話し合いにも応じるという。市教委は「不当な要求や苦情は増えている。学校から相談を受けたら会合を開き、臨機応変に対応したい」と話す。
        (読売新聞)2007年8月26日

        ●小中20校に手引 安中市教委
         安中市教委が作成した対応マニュアルはA4判8ページ。「依存型」「溺愛(できあい)型」など、「モンスターペアレンツ」の類型や特徴を紹介し、7段階の対応の手順や、管理職が果たすべき役割などを説明。教委が市の顧問弁護士を紹介することも明記し、「学校単独では解決が困難。必ず連絡を」と呼びかける。
         前橋や館林など複数の市教委でも「現状では学校と教委が個別に対応するが、顧問弁護士に相談した事例もある」と、クレーム対応に苦慮している。「まず学校が指導内容を保護者や地域にしっかり説明し、理解と信頼を得ることが大事」(高崎市、伊勢崎市など)と、従来通りの基本を重視する意見もあるが、県教委義務教育課は「対応が困難なケースがますます増えることも予想される。学校が安心して専門家に相談できる体制づくりが必要」と、新たな対応策導入を促している。
        (2007年8月25日読売新聞)

        ●就職活動「楽」、4年連続トップ=漢字1文字で表現-民間調査
         就職活動を「楽」と感じた学生が4年連続トップだったのに対し、内定を取れず「苦」とした割合も急上昇-。就職活動を漢字1文字で表現するアンケート調査から、大学4年生などの間にも「格差社会」が広がっている実態が浮かび上がった。
         就職情報サイトを運営する「毎日コミュニケーションズ」が実施した調査の結果によると、就職活動を表す漢字は「楽」が5.7%で4年連続トップ。「楽に内定がもらえた」「いろんな人に出会えて楽しかった」などの回答が目立った。
         昨年4位(2.6%)だった「苦」は4.7%で2位に急上昇し、苦戦したとの理由が増加。3位以下には「迷」「動」「悩」といった定番が続いた。
         同社の調査では、全体的には昨年より内定が得にくくなった半面、1人当たりの内定保有率は6月末時点で0.26社増の2.29社となった。
         同社は「内定が一部の学生に集中し、2極化している」と分析している。
        (時事通信)8月25日15時1分配信

        ●通信制高校:特区認定、高島にECC開設 休校中の椋川分校使い /滋賀
        ◇中退者ら受け入れ来春から
         英会話学校などを展開する「ECC」(大阪市浪速区)が来春、休校中の高島市立今津西小学校椋川(むくがわ)分校(同市今津町椋川)に通信制高校「ECC学園高校」(仮称)を開校する。高校中退者や不登校の生徒などを受け入れ、生徒は年2回、分校で開かれる授業「スクーリング」に参加する。農業体験などで住民と交流を深める計画もあり、市は地域活性化の起爆剤に期待している。【近藤修史】
         市にECC側から同分校を利用した通信制高校の設立の提案があり、市が今年5月、株式会社の学校設置を可能にする構造改革特区の認定を内閣府に申請。私立高校の設立認可は都道府県知事の所管だが、市が認可できる「高島環の郷教育特区」に先月上旬、認定された。市によると、教育特区の認定を受けて株式会社が設立した高校は全国に16校あり、県内では初めて。
         同分校は明治時代ごろの創立。過疎化に伴って児童数が減少し、89年に休校に追い込まれた。敷地内には、天文台やキャンプ場などの施設があり、地元の管理で林間学校などに利用されてきた。
         開校初年度は、通信制の生徒200人を受け入れる予定で、生徒は4泊5日のスクーリングで年2回、分校を訪れる。山間部の豊かな自然環境の中での学習が可能。スクーリング中、農林業の体験学習に取り組み、地元住民と交流を深めるプログラムも検討されている。
         市は今秋、学校を認可する見通し。分校は来春で廃校にし、有償でECCに貸与する契約を結ぶ。賃料は未定。
         開校は来年4月1日の予定。担当の市政策調整課は「豊かな自然の中で、地元住民と交流してもらい、地域活性化につなげたい」と話している。
        (毎日新聞)8月24日17時1分配信

        ●不登校児童、生徒の校外学習を「出席扱い」に
         松江市教委は、不登校や不登校傾向の児童生徒の学習支援を進めようと、自宅での学習支援など校外の学習活動を「出席扱い」とする要項を島根県内で初めてつくった。九月一日施行で、五月一日にさかのぼって適用する。
         市教委は不登校対策の県委託事業で今年五月、市民活動センター(同市白潟本町)内の青少年相談室に訪問指導員一人を配置。同相談室の学習支援員十八人とともに、児童生徒の家庭で訪問型学習支援を進める。家庭での指導ができない場合は、公民館なども活用する。
         学校復帰や社会的自立を目指して学習支援を受ける児童生徒の努力を、学校が評価する仕組みとして「出席」の要件などを盛り込んだ要項をつくった。
         学校側が本人や保護者の希望を受けて、計画的、継続的な学習支援員の指導、ITなどの活用による校外の学習活動の計画を立て、計画や要項に定める要件に沿って学習支援を受けた日を小中学校の指導要録上の「出席扱い」とする。
         昨年度、同市の不登校の小中学生は二百六十二人。小学生七十五人、中学生百八十七人で、それぞれ千人当たり七・一人、三五・〇人と、全国の三・三人、三〇・一人を上回る。
         全国的に登校にこだわらない柔軟な対応の必要性が叫ばれる中、市教委指導課の滝野一夫課長は「全教科を網羅するのは難しいかもしれないが、児童生徒に前向きな気持ちを持ってもらえるように、後押ししたい」と話している。
        (山陰中央新報)’07/08/24

        ●小中教員2万1000人増員要求
         文部科学省は23日、来年度からの3年間で公立小中学校の教職員を約2万1000人増員する計画をまとめた。来年度は校長などの管理職を補佐する「主幹教諭」や事務職員など約7000人を配置する考えで、経費を来年度予算の概算要求に盛り込む。
         教職員の負担軽減が目的。文科省の勤務実態調査によれば教員の残業時間は1日平均2時間で、保護者対応などに追われることも多く、生徒と向き合う時間の確保が求められていた。
         ただ、昨年5月に成立した行政改革推進法では、少子化による児童生徒数の減少に伴う教員数の削減が定められており、同法に逆行する増員計画を財務省が受け入れるかは不透明だ。
         来年度予算で要求する義務教育費国庫負担金は、前年度比約300億円増の約1兆7000億円。また、学校の事務作業を外部委託する新規事業も盛り込む。国や都道府県の学校に対する調査など事務作業量が多いため、事務処理を手伝う職員を約500人配置する考えだ。
        (産経新聞)8月23日19時51分配信

        ●県が発達障害者に職業訓練 全国初、就労を支援
         【愛知県】県は24日、自閉症や学習障害(LD)といった発達障害者を対象にした職業訓練を開始することを明らかにした。2009年度までの3年間を予定し、本年度は10月からスタートさせる。就職に有利なパソコン技術の習得に加え、職業人に必要なコミュニケーション技術の訓練も行う。全国初の取り組みで、初回の募集枠は10人。今月27日から募集を始める。
         訓練は、コンピューターでの文書作成や表計算、専用ソフトを使ったホームページ作成作業など。コミュニケーション技術は、あいさつや相手との会話の仕方など対人関係の基本マナーやルールのほか、面接練習なども。企業での研修も予定している。
         訓練は10月から来年3月までの半年間、県立岡崎高等技術専門校(岡崎市)で行う。指導は4人が当たり、パソコン技術者のほか、臨床心理士などの資格を持つ専門家がサポートするという。授業料は無料。
         発達障害は、全般的な知的発達に遅れはないものの、特定の能力だけが著しく劣ったりする。企業側も、発達障害者を雇用しても障害者雇用促進法で定める雇用率に反映されないこともあり、雇用が進んでいないという。
         今回の訓練は厚生労働省の委託事業で、愛知、新潟県、大阪府で行われる。愛知県就業促進課は「発達障害者の就職を積極的に支援したい」としている。
         募集対象は発達障害者で、就労意欲がある人。年齢制限はない。今月27日から9月18日まで募集し、公共職業安定所(ハローワーク)に入校願書を提出する。
         問い合わせは県立岡崎高等技術専門校=電0564(51)0775=へ。
        (中日新聞)8月25日11時56分配信

        ●障害児教育の課題など探る 丹波養護学校が教職員講座
         障害児教育にかかわる教員や職員を対象にした京都府立丹波養護学校(南丹市八木町柴山)の「夏期講座」が22日、同市園部町小桜町の市国際交流会館で開かれた。
         夏休み恒例の取り組みで、専門的な知識を深める狙い。口丹波2市1町の小中高教諭や福祉施設、教育委員会の職員ら約300人が参加した。
         京都少年鑑別所(京都市左京区)の精神科医、定本ゆきこさん(46)が「発達障害と少年非行」をテーマに、鑑別所で診察した少年たちの事例を引き合いにして講演した。
         定本さんは、非行少年の中に、未診断の発達障害の少年がいる事実を紹介し、「発達障害の子は、障害に由来するこだわりなどが原因で、いじめの対象になったりして、社会に対して生きにくさを感じている。そのため、仲間を求めることで犯罪に利用されたり、ストレスから違法行為を犯してしまうといったケースがある」と指摘した。同時に「発達障害そのものが、犯罪の原因になるわけではない」と強調し、その上で「学校や保護者ら、周囲の理解と支援が重要になる」と訴えた。
         また、口丹波の幼小中、同養護学校の教諭ら4人がパネリストになり、「口丹波の特別支援教育の実態と課題」について意見を交わした。
        (京都新聞)8月22日20時9分配信

        ●発達障害児支援へ専門チーム
         広島市は、自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害を乳幼児期に発見、支援するため、乳幼児健診充実など体制を強化する。医師らによる専門家チームを新設し29日に初会合を開く。保育士対象の講座で、障害に的確に対処する「発達支援コーディネーター」を養成、公私立保育園計139園に配置する。専門家チームは医師や保健師ら9人で構成。各区の保健センターの健診体制の見直しを検討する。
        (中国新聞)’07/8/21
        限局的な興味・関心としつけ・教育
        2007/08/19
         自閉症スペクトラムをお持ちの方の3つ組の課題の1つが限局的な興味・関心と呼ばれるものです。想像力の問題ともされています。
         ある特定の物や行動にこだわりを強く持って、収集したり、じっと見続けたり、その行動から離れられなかったり、といった行動でみられます。授業に集中ができなかったり、声をかけても気づかなかったり、ご飯も食べずに没頭してしまったりと、回りから見ると困った行動です。でも、本人はいたって落ちついて、安心して取り組んでいる場合が多いようです。同一性保持という特性とも重なると思います。
         され、この「こだわり」ですが、一度獲得すると継続して行う、という面があって、一度何かの行動を身につけると、それをかたくなにやり続けようとされますので、良い行動を教え身につけてもらえると、それは、その人の継続して「できること」となります。
         例えば、出かける前は身なりを整える、忘れ物をしないか確認する、などが習慣化できれば、学校などにおける評価は上がるのではないでしょうか。こうした子ども期からのしつけや教育が、自閉症スペクトラムをもつ方の生きづらさを緩めてくれるケースを散見します。挨拶や笑顔、礼儀正しい所作など、子ども期に獲得できたなら、一生の「できること」となるわけですから、周囲の大人は少し努力してあげたいものです。
         次回は「今年の猛暑の過ごし方」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        有害化学物質 発育への影響追跡 10万人、出生前から調査

         環境省は約10万人の子供を対象にダイオキシンや水銀など環境中の有害化学物質が発育に及ぼす影響について、出生前から数十年、長期間追跡する疫学調査に来年度から乗り出すことを決めた。
         国内での化学物質の影響については成人を対象にした研究が中心で、より影響を受けやすい子供に関する本格的な疫学調査に国が乗り出すのは初めて。
         健康への影響が大きいとされる5種の有害化学物質について血液や尿、毛髪中の濃度を毎年1回測定し、成育の状況を記録。得られたデータを総合的に分析、5年ごとに途中経過を取りまとめ、新たな環境基準値設定の必要性などについて検討する際の参考にする方針。
         担当者は「化学物質の影響を最も受けやすい胎児の段階から長期にわたり、広範囲にデータを収集することで、近年増加している小児ぜんそくやアトピー、発達障害などとの因果関係解明にも役立つと期待できる」(環境リスク評価室)としている。
         化学物質は世界で約10万種類、日本だけでも約5万種類あるとされる。同省によると、調査対象の有害化学物質はダイオキシン、水銀、鉛、有機フッ素化合物、臭素系ダイオキシン。全国の妊婦健診で子供の登録を呼び掛け、出生前や出生時については母親の血液や臍帯血(さいたいけつ)に含まれる濃度を確認する。
         床をはい回ったり手や物を口に入れたりするなど摂取経路が成人と異なる幼児の特性にも着目し、食生活や住環境などもチェックする。
         子供に焦点を絞った有害化学物質の影響評価や基準づくりは欧州で盛んで、ドイツや英国などで同様の調査が実施されているが、国内では研究や対策の遅れが指摘されていた。
        (産経新聞)8月17日16時35分配信

        ●発達障害児に専門教員 佐賀大、医学部と連携し養成
         佐賀大(佐賀市)は16日、学習障害や高機能自閉症といった発達障害のある子どもたちに対応できる専門的な教員を育てるため、10月に文化教育学部に医学部小児科と連携した教員養成カリキュラムを新設すると発表した。同大は、医学的知識や所見を踏まえた教員養成は全国でも画期的としている。
         このカリキュラムは、本年度から始まった文部科学省の教員養成充実事業に採択された。同省が2002年10月に発表した調査では、通常の学級に通う小中学生のうち、発達障害があるかまたはその可能性がある子どもは6、3%に上るとされ、学校現場では、これらの子どもへの対応が大きな課題となっている。
         新カリキュラムは、佐賀県内の公立小中学校に通う4人の子どもを対象に、学部生と大学院生4、5人でそれぞれチームを編成する。10月から来年1月にかけて子どもの障害や苦手分野などを把握。その際、小児科医も加わり、医学的見地からの障害や疾患の判断、指導法を検討するなど、個別の教育計画づくりに医学、心理、教育の各側面から取り組む。
         来年4月から各学校に出向いて実践的な指導力を養う予定。このカリキュラムは通常の教育実習とは別の選択制で、初年度は18人が受講予定という。
        (西日本新聞)8月17日10時8分配信

        ●メールで教育相談開始 京都府総合教育センター
         京都府総合教育センター(京都市伏見区)はこのほど、電子メールを用いた教育相談を始めた。同センターは電話や来所による教育相談を実施しているが、「電子メールで気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。
         電子メールによる相談の対象は府内に住む幼児や児童、生徒、保護者、学校教育関係者。いじめや不登校など相談内容に応じて、臨床心理士や精神科医らが対応する。
         電子メールには相談内容のほか、保護者の場合は子どもの年齢(学年)と性別、小中高生も年齢(学年)と性別を明記する。アドレスはsukoyaka@kyoto-be.ne.jp
        (京都新聞)8月18日10時9分配信

        ●障害者の1割自己負担凍結、民主が支援法改正案提出へ
         民主党は、昨年4月に施行された障害者自立支援法の改正案を次期臨時国会に提出する方針を固めた。
         障害者が福祉サービスを利用した際にかかる原則1割の自己負担を凍結し、利用者の所得に応じて負担する、以前の制度に戻すことを盛り込んだ。
         民主党が先の通常国会に提出し、衆院で継続審議となった改正案とほぼ同じ内容だ。同党は継続審議の改正案を取り下げ、与野党が逆転した参院に再提出する。共産、社民両党も同調する方向で、改正案は参院を通過する公算が大きい。衆院での与党の対応が焦点となりそうだ。
         民主党は参院選公約で現行法について、「障害者が急激な負担増に耐えられず、サービス利用を中止したり、抑制したりするケースが出ている」として、抜本的に見直す必要がある、としていた。
        (読売新聞)8月19日3時11分配信

        ●1文字5円、卒論に代行業者…大学は「見つけたら除籍」
         大学の卒業論文やリポートの執筆を有料で請け負う代行業者が登場し、波紋を広げている。
         学生がインターネット上で見つけた資料をリポートなどに引き写す「コピー&ペースト」が教育現場で問題となっているが、これを上回る究極の「丸投げ」で、文部科学省は「事実とすれば、到底認められない行為」としている。
         ネット検索大手のグーグルも、「こうした代行は不正行為にあたる」と判断、代行業者のネット上の広告掲載を禁止する措置に踏み切った。
         「国立大の学生・院生を中心としたチームなので安心の品質」「6年で740件の代行実績」。ある代行業者のホームページ(HP)には、そんなうたい文句が並ぶ。別の業者のHPは「社員は学生時代に必要最低限の勉強量で優やAを取ってきた精鋭ぞろい」とアピールしている。
        (読売新聞)8月18日18時39分配信

        増える不登校、すすまない自殺対策。
        2007/08/12
        予定していたテーマは、次週に回させていただきます。
         毎年恒例の文科省の学校基本調査が発表になりました。
         子どもの数は減り、スクールカウンセラーの配置は進み(と聞いています)、学校側の対応も進み(と言われています)、それでも不登校の児童・生徒の数は増加、割合で見ると、大変な数値になっています。
         長男が通っていた頃の中学校での不登校の発生率は5.12%でした。20人に1人以上ということになります。不登校は、決して不登校単独の問題ではありません。不登校の児童・生徒の多い学校には多様な学校病理が発生していると見るべきです。
         さて、昨日は、私もスタッフをしている「こころのカフェきょうと」と京都府、京都市が主催した「自殺予防と自死遺族支援のための府民・市民公開シンポジウム」(於:立命館大学朱雀キャンパスホール)に、要員として参加してきました。会場入り口での案内と、舞台設営です。
         内閣府自殺対策推進室参事官の高橋広幸氏による基調講演の後、NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表の清水泰之氏をコーディネーターにパネルディスカッションが行われました。パネリストは、こころのカフェ京都代表の石倉紘子氏、多重債務による自死をなくす会代表の弘中照美氏、リメンバー福岡・自死遺族のつどい代表の井上久美子氏、京都府精神保健福祉総合センター所長の森雅彦氏、京都市こころの健康増進センター所長の山下俊幸氏でした。
         自死遺族への支援を行う(自らも自死遺族である)民間団体の活動の経緯と課題、行政レベルで取り組みを始めた自殺防止と自死遺族支援のにむけた対策が報告され、行政のとり組みと、自死遺族の求める「わかちあい」の場と体制づくりが、うまく連携されながら取り組まれる必要性が明らかとなりました。
         ライフリンクはこうした取り組みを全国キャラバンとして、全国の都道府県で開催していっています。取り組みは始まったばかりと言えますが、全国で年間3万人の自殺者が続く中で、自死遺族へのサポートは、ますます必用なものとなっていきます。
         次回は「限局的な興味・関心と教育・しつけ」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        中学生不登校1学級1人、過去最高に… いじめ回避が一因か

         昨年度、不登校だった中学生の割合は、35人に1人の2・86%(前年度比0・11ポイント増)で過去最高となったことが9日、文部科学省の学校基本調査(速報)で分かった。
         1学級に1人は不登校の生徒がいる計算で、同省では、「いじめ自殺が相次ぎ、『いじめられるなら学校に行かなくてもいい』と考える保護者が増えたことも一因」とみている。
         不登校の調査は全小中学校を対象に、1991年度から毎年実施している。
         それによると、昨年度、病気や経済的理由以外で、年間30日以上欠席した「不登校」の小中学生は、前年度比約4500人増の計12万6764人で、5年ぶりに増加した。特に中学生は、前年度より約3400人増えて10万2940人となり、不登校の生徒が占める割合も10年前の60人に1人から大きく増加していた。
        (読売新聞)8月10日3時12分配信

        ●不登校5年ぶり増 「いじめ原因」4700人
         小中学校で年間30日以上欠席した「不登校」の児童生徒は、平成18年度は12万6764人(前年度比3.7%増)に上ったことが9日、文部科学省の学校基本調査(速報)で分かった。平成13年度に過去最多の13万8722人をピークに減少していたが、5年ぶりに増加に転じた。
         昨年相次いだいじめ問題を受け、不登校のきっかけについて今回から「いじめ」を選択肢に加えた結果、4688人(3.2%)が該当した。
         調査は今年5月1日現在で全国の国公私立学校を対象に実施。不登校は小学校で2万3824人(4.9%増)、中学校で10万2940人(3.4%増)。中学では35人に1人と過去最悪の割合で、1クラスに1人不登校生徒がいることになる。
         不登校のきっかけは、学習や進路の問題を中心とした「本人にかかわる問題」(31.2%)が最も多く、「いじめを除く友人関係」(15.6%)が続いた。小学校では「親子関係」(14.3%)も多かった。
         今回から「いじめ」の項目を加え複数回答で実施した結果、「学業の不振」(7.9%)▽「家庭内の不和」(4.1%)▽「いじめ」(3.2%)▽「教師との関係」(1.6%)-などの理由も浮かんだ。
        (産経新聞)8月10日6時9分配信

        ●児童虐待:最多に 児童ポルノ事件も大幅増 上半期
         今年6月までの上半期に、全国警察が逮捕や書類送検した児童虐待事件が149件(前年同期比24.2%増)、児童ポルノ事件が266件(同18.8%増)で、いずれも統計を取り始めた00年以降で最多だったことが警察庁のまとめで分かった。虐待で死亡した児童数は18人(同35.7%減)だったが、死亡を含めた被害児童数は157人(同22.7%増)で過去最悪に。同庁は「児童相談所や病院と警察との情報交換が円滑になり、認知が難しかった事件が顕在化した」とみている。
         同庁によると、児童虐待事件では164人(同25.2%増)が逮捕・送検された。被害児童157人の態様別では▽暴行、傷害などの身体的虐待120人▽わいせつ行為など性的虐待27人▽育児の怠慢・拒否10人。年齢別では1歳未満が22人、1歳が10人で、低年齢の児童の被害が目立つ。
         加害者は、実母が48人で最も多く、実父45人▽養・継父27人▽内縁の父24人--などが多い。虐待で死亡した18人の内訳は▽殺人6人▽傷害致死9人▽監禁致死2人▽重過失致死1人だった。
         また、児童ポルノ事件では162人(同13.3%増)を逮捕・送検。被害児童も122人(同87.7%増)と大幅に増えた。児童を誘い出して裸体などを撮影する事件が129件(同61.3%増)で目立つ。このうち、インターネットの掲示板などをきっかけとして児童と知り合って誘い出したケースが68件(同257.9%増)と多かった。
         児童買春事件は718件(同16.1%減)で被害児童は651人(同8.7%減)だったが、依然として高い水準で推移。小学生2人▽中学生210人▽高校生265人が被害に遭った。
        (毎日新聞)2007年8月10日 6時00分

        ●赤ちゃん教育ビデオに効果なし=言語習得遅れる恐れも-米大調査
         【シリコンバレー10日時事】米ワシントン大学教授らがこのほど発表した研究報告によると、生後8カ月から1年4カ月の赤ちゃんに早期教育ビデオ番組を見せた場合、言語習得が遅れる恐れがあることが分かった。研究に参加したディミトリ・クリスタキス教授は「そうした番組は効果がなく、むしろ有害かもしれない」と警告した。
         調査は1000人以上の保護者から聞き取り方式で実施。全体の32%が「英才教育」などと宣伝するビデオを赤ちゃんに見せていたが、ビデオを1時間見せるごとに、見せない場合に比べ習得言語数が6~8語少なかったという。 
        (時事通信)8月11日16時0分配信

        ●「教師のしっ責」ゼロ、児童生徒遺族が自殺統計見直し要望
         文部科学省が毎年実施している児童生徒の自殺調査に関し、自殺の主な原因の項目として設けられている「教師のしっ責」が長期間ゼロになっていることには疑問があるとして、自殺した児童生徒の遺族らで作る「全国学校事故・事件を語る会」は10日、文部科学省に統計の見直しを求める申し入れを行った。
         遺族らは「教師に追いつめられて命を絶つ子供もいるのに、調査からは実態がわからず何の対策も取られていない」と話している。
         文科省の調査は、主な原因を「いじめ」「家庭不和」「学業不振」「教師のしっ責」などから一つを選ぶ方法で行われてきた。
         文科省によると、1996~2005年度の10年間、「教師のしっ責」はゼロだったが、同会は、「教師のしっ責」が原因と考えられる自殺が少なくとも5件あると主張している。
        (読売新聞)8月11日1時12分配信

        ●<学校裏サイト>陰湿化深刻 いじめや脅迫、彼女の裸写真も
         中高生がインターネット上で情報交換する「学校裏サイト」で、いじめや問題画像の流出が問題化している。「裏サイト」は学校が公的に作るサイトとは別に、生徒個人が立ち上げている掲示板で、特定の生徒の写真が張り付けられ「きもい」「死ね」「消えて」の文言が並ぶこともある。頻発する人権侵害に、親や教師たちは困惑している。
         東京都内に住む19歳の少年は、私立高校3年生だった昨年、裏サイトに実名や携帯電話の番号、メールアドレスを勝手に公開され「うざい」「カンニングしている」と書き込まれた。自分の携帯電話には無言電話も数本かかり、中傷メールも1日に10通以上舞い込んだ。サイトには「いじめたい奴」として校内の数十人が実名でリストアップされ、この少年も含まれていたという。
         少年は「同じ学校の女子生徒と交際を始めてから嫌がらせが始まった。彼女の携帯電話にも『あいつと付き合うと犯すぞ』という脅迫メールが届いた」と話す。だれがいじめているのかは分からず、2人は友達に会うのが怖くなり、不登校になった。
         少年は、ネット上でいじめなどの悩みを聞く活動をしている「全国webカウンセリング協議会」に相談。アドバイスを受けてメールアドレスを変えると中傷メールは来なくなった。
         裏サイトでわいせつ写真が広まった例もある。北関東の公立中では「女の体を知りたい」という書き込みに対し、男子生徒が交際中の女子生徒の裸の写真を携帯電話で撮影して添付、大問題になった。校長は「PTAの緊急集会後に突然サイトは閉鎖されたが、別のサイトが立ち上がっていないか不安だ」と明かす。
         学校裏サイトをめぐっては昨年10月、仙台市の中学3年の男子生徒が掲示板で「死ね」と名指しで中傷される事件があり、同級生の女子生徒が侮辱の非行事実で家裁送致された。今春には、大阪府警が女子中学生を実名で中傷するメールを掲載した掲示板の管理人の男を、名誉棄損ほう助容疑で書類送検したが、嫌疑不十分で不起訴処分となっている。
        ◇発見、管理難しく
         生徒たちが立ち上げるサイトは学校の管理下になく、自由にアクセスして情報交換できることから「裏サイト」の名前がついた。掲示板「2ちゃんねる」の学校版とも呼ばれる。生徒たちは携帯電話のメールで裏サイトのアドレスを伝えあい、携帯電話からアクセスする。掲示板ではさまざまな話題でスレッドをたて、ハンドルネームによる匿名でおしゃべりを楽しむ。
         裏サイトに学校名がつけられることはほとんどなく、大人が検索しようとしても見つけるのは難しい。管理人も在校生か卒業生の場合が多い。中には、情報交換だけを楽しむことを目的にし「悪口書き込み禁止」とうたうサイトもある。
         全国webカウンセリング協議会の安川雅史理事長は「裏サイトに部活後のシャワー中の裸の写真を添付された男子生徒もおり、映像を駆使した嫌がらせも多発している。最近は親や教師の目から逃れようとパスワードを設けるサイトも増えており、密室化が進んでいる」と懸念する。
         情報モラルの問題に詳しい千葉県柏市立土南部小学校の西田光昭教諭は「裏サイトは子ども同士の口コミで広まる。子どもが親や教師に隠れてコミュニケーションの場を作っているため、校名で検索してもなかなかたどり着けない。学校側が逐一指導するのは難しい」と指摘する。
         同小は「親も実態を知ることが大切」として、今年初めて保護者向けに携帯電話の使い方について研修を行った。西田教諭は「問題が起きる前に親や学校が使い方などについて指導していくことが大事」と話している。
        (毎日新聞)8月11日15時26分配信

        ●「不登校」増加 強制せず子供本位の対策を
         「不登校」の小中学生が5年ぶりに増加に転じた。文部科学省の学校基本調査速報によると、2006年度に病気や経済的な理由以外で学校を年間30日以上欠席した小中学生の数は12万6764人。前年度比3・7%の増加である。「不登校」は前年度まで減少が続いていたが、実態を表していないのではないかという指摘があった。今回の結果がむしろ現実に近いのかもしれない。
         県内は既に05年度から増加に転じていた。さらに06年度は1625人と、前年度より61人増えた。県教育委員会は結果について「関係機関との連携を強化し、個々の生徒に対しきめ細かな対応をさらに充実させていきたい」とコメントした。2年連続の増加となれば、今度はもっと踏み込んだ具体的な対策を示さなくてはならないだろう。
         「不登校」が増える原因は何か。確たることは言えないが、教育・心理カウンセラーの富田富士也さんは「効率優先の学校に魅力を感じず、早々と勉強を放棄する子は増えている」と指摘する。また文科省は「いじめ問題などで、無理に学校に行かなくてもいいという考えが広まっているのかもしれない」と推測する。
         学校では、さまざまな人と出会い、心通わせ、共に楽しみ、時にはぶつかり悲しむ。これらの経験は、成長していく中で貴重なものだ。学力をつけることは、学校以外でも可能だが、集団の中で人間関係など生きていく術(すべ)を学ぶために、学校は格好の場所だといえるだろう。
         しかし、現実は、魅力を感じるどころか、いじめなどで深刻な苦痛を感じる場となっているという。ならば、「不登校」の子を学校に戻す方法として、「強制」「圧力」があってはならないと思う。
         「義務教育だから学校は行くべきだ」と杓子(しゃくし)定規に断じては、ますます「不登校」は増えるに違いない。その摩擦の中で傷つく子もいるだろう。
         魅力ある学校にすればいい。簡単ではないだろうが、保護者、行政、学校が、学校の存在意義に対して共通認識を持ち、児童・生徒が喜んで通える学校づくりのために知恵を出し合う必要がある。
         「不登校」の子たちをサポートしてきたフリースクールに学ぶことも1つの手だ。フリースクールで自尊心を取り戻し、積極的になっていく子供たちの姿を見ると、解決の糸口の1つがそこにあるように思える。
         文科省の理解も不可欠である。同省が今後、短絡的に「不登校」の数字減らしに腐心すれば改善は望めない。学校現場の実態を正確に把握し、魅力ある学校へ指導力を発揮してほしい。
        (琉球新報)8/11 9:55
        障害、偏り、くせ…。
        2007/08/05
        「発達障害」を社会的にサポートする枠組みづくりが、決定的に遅れています。発達障害者支援法が1昨年成立した一方で、障害者自立支援法では従来の「身体」「知的」「精神」の3障害を一括りにして「地域で」対応する…という方向を示すものの、「発達障害」についての位置づけはありません。では、「発達障害」は「障害」ではないのか…?
         アメリカ精神医学会の「精神疾患の分類と診断の手引」や世界保健機関の「精神および行動の障害」という操作的診断基準では、それぞれ「通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害」、「心理的発達の障害」というカテゴリーの中に広汎性発達障害などの「発達障害」が位置づけられています。しかし、医科大学の精神科領域で、「発達障害」について講義が行われているところは、全国でほんのわずかしかないと聞いています。日本の精神保健福祉領域で、「発達障害」が精神科領域において診断する「障害」、社会福祉としてサポート体制の必用な「障害」と位置付かない理由がこのあたりにも見えるように思えます。
         では、「障害」という位置づけが正しいのか? これも深く考えていく必用があります。生きづらさを抱えながら生きていく上で、他者のサポート(ほとんどが部分的なもの)が必用であることは確かですが、周囲の人の理解と適切な対応が行われれば、この生きづらさは大きく軽減します。ならば、「障害」者とラベリングする必用もなく、受け取り方や考え方、表現の仕方に少し偏りがある、クセがある人、として関わっていけるはずです。こうした角度からのサポート体制のあり方を検討し、具体化していく必用があると思います。
         次回は「限局的な興味・関心と教育・しつけ」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「困窮者、はよ死ねってことか」 孤独死男性日記に残す

         辞退届によって生活保護を廃止されて孤独死した北九州市小倉北区の男性(当時52)が、辞退届提出後に「生活困窮者は、はよ死ねってことか」などと日記に書き残していたことが30日、分かった。これまで市が「男性が自発的に出した」としていた辞退届についても、「書かされ、印まで押させ」と強制をうかがわせる記述があった。
         日記の詳細は遺族の了解のもと、生活保護行政検証のための第三者委員会にコピーが公開され、稲垣忠委員長が会見で一部を読み上げた。男性が出したとされる辞退届のコピーも市が公開した。
         市によると辞退届の提出は今年4月2日で、10日付で保護を廃止。男性の遺体は、7月10日に死後約1カ月とみられる状態で発見された。
         日記は、B5判32ページのノートに8ページにわたり、2月からボールペンで書かれていたという。家族への思いや自殺願望ととれる記述が大半を占める一方で、廃止が決まった後に「せっかく頑張ろうと思った矢先切りやがった。生活困窮者は、はよ死ねってことか」と記していた。
         5月末からは「人間食ってなくてももう10日生きてます」などと記し、最後は、6月5日午前3時の日時を記したうえで「オニギリ食いたーい。25日米食ってない」と残していた。
         稲垣委員長は「できるだけ事実に迫って市民と問題意識を共有したい」と一部を公開した理由を説明。「言いようのない孤立感が漂っている」と話した。
         稲垣委員長によると、辞退届について小倉北福祉事務所の担当課長は「(男性の)真意。本人が自らの意思で自立しますと書いたので、結構なことだと(保護を)打ち切った」と説明した。だが、5月25日付の日記に「法律はかざりか。書かされ、印まで押させ、自立指どうしたんか」と書かれていたという。
         第三者委で、小村洋一・保健福祉局長は「自立は本人の気持ちではなかったと思う」と、福祉事務所の不適切な対応を認めたという。
        (asahi.com)2007年07月31日03時03分

        ●生徒飛び降り「いじめ一因」=部活先輩が短パン下ろす-佐賀
         佐賀県唐津市の市立中学校で5月、1年の女子生徒(12)が校舎から転落し重傷を負った事故で、同市教育委員会は1日までに、「一つの要因として、周囲生徒の言動の中に結果的にいじめと認められるものがあった」と発表した。
         事故を受け学校側は、いじめがなかったか全校生徒に書き取り調査を実施。女子生徒が所属するソフトボール部員や同級生ら十数人からは、個別に聞き取り調査を行った。この結果、女子生徒が部活の先輩に運動場で体操服の短パンを下ろされたり、「なんで悪口を告げ口したのか」と問い詰められたりしていたことが分かったという。 
        (時事通信)8月1日15時1分配信

        ●米下院、慰安婦決議を採択=本会議で初、日本に謝罪要求-安倍政権に打撃
         【ワシントン30日時事】米下院は30日午後(日本時間31日未明)の本会議で、従軍慰安婦問題に関する対日謝罪要求決議案を採択した。決議に法的拘束力はないが、参院選の与党惨敗で政権基盤の弱まった安倍晋三首相にとっては大きな打撃で、同盟強化を進めてきた日米関係に影響が出る可能性もある。
         決議の採決は発声投票により実施。出席議員から「異議」は出されず、議会規則が定める「3分の2以上の賛成」が認定され、全会一致に近い形で採択された。
         決議は、第2次大戦中に旧日本軍が若い女性を「性的奴隷」にしたと非難した上で、日本政府に対し、公式かつ明確な謝罪や教育の徹底などを要求。本会議では代表提出者の日系のマイク・ホンダ議員(民主)とラントス外交委員長(同)が趣旨説明を行い、日本政府による謝罪の必要性を改めて強調した。
        (時事通信)7月31日5時1分配信

        ●「見られていると親切に」、ヒトと動物の共通パターン発見
         ヒトも動物も、他者から見られていると分かると好意的な態度を示す。そんな研究結果が26日、米国の科学誌「サイエンス(Science)」に発表された。
        「ヒトも動物も、自己の評判がかかっている場合には、利己的な行動を改め他者に尽くす行動をとるようになる。後者の態度のみが社会的に報いられることを知っているからだ」と記事は主張する。 
         コンピュータのモニター上に、目のような形をした2つのサインを表示するだけで、コンピュータを扱っている人間の行動は改善されるという。
         似た例としては、カフェテリアに置かれた募金箱に両目の図柄が描かれていると、花の図柄が描かれている場合に比べて、募金の額は格段に増えるという。
         研究チームを率いるドイツのマックスプランク進化生物学研究所(Max-PlanckInstituteforEvolutionaryBiology)のManfredMilinski氏と、エルフルト大学(TheUniversityofErfurt)のBettinaRockenbach氏は、他者の目から見られていると察知すると行動を改めるようにヒトの脳が「プログラム」されていることを突き止めたという。
         ヒトに限らず一部の鳥類や魚類も、見られていると分かると行動を変えるという。
         ベラ科の掃除魚は、大型魚の体や口の中をきれいにすることで知られているが、掃除中に次の「顧客」に見られていると丁寧に掃除をするが、そうでない場合には、むしろ大型魚の皮膚を食いちぎるようなやりかたをするという。
        (AFP BBNews)2007年07月30日10:34

        ●<年金運用>3兆7千億円黒字…06年度 厚労省法人が公表
         厚生労働省所管の「年金積立金管理運用独立行政法人」は31日、公的年金資金の06年度の運用結果を公表した。外国株式の運用収益などに支えられ、3兆9355億円の運用益を確保。政府の財政融資資金に対する借入利息1747億円を除いた06年度の収益は、3兆7608億円だった。単年度黒字は4年連続で、累積黒字は10兆2697億円と初めて10兆円台に達した。
         同法人は、06年度当初の資産102兆8707億円を運用し、うち市場で3兆6404億円の収益(収益率4.75%)を上げた。7割の2兆6806億円は外国株・債券の運用益によるもので、円安(対ユーロ)が大きく影響した。市場には新規に9兆1250億円を投入した。
         市場運用益に財投債の収益3042億円、年金特別会計からの寄託金13兆6312億円を加えた増収分は17兆5000億円余。ここから同会計への納付金1兆9611億円や財政融資資金からの借入金返還分3兆9218億円などを差し引いた06年度末の運用資産額は、114兆5278億円となる。
         なお、国内株式の運用収益は889億円だったが、有価証券報告書への虚偽記載などが発覚したライブドアの株式を保有していたため、48億円余の損失を出したという。
        (毎日新聞)7月31日23時51分配信

        ●自閉症の発生に新説、家系より遺伝子の突然変異か
         自閉症の家系でない子どもに自閉症の症状が見られた場合、原因は代々受け継がれた遺伝子の性質よりも、むしろ親の持つ正常な遺伝子が突然変異を起こした可能性が高い。こんな研究結果が23日、発表された。
         研究によると、家系に自閉症の子どもがいない家族の場合、子どもあるいはその親の遺伝子が突然変異を起こしDNAに異常を来すことが、突然の自閉症の発生の大きな原因となるという。
         自閉症がなぜ生じるか、遺伝子的にはまだ解明されていないが、最近の調査によると症状の10%は、DNAの起こすちょっとした異常で説明できるという。
         自閉症は散発的に起こるのがふつうだが、そういう場合はDNAが異常を起こした可能性が高いという。
         ニューヨークのコールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harborlaboratory)とアルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)は共同で、複数の自閉症のデータベースを数学的に解析し、自閉症の発生分布状況を新しい仮説で説明できるかどうか調べてみた。
         その結果、特に母親側がDNAの異常を起こした場合、50%の割合でその傾向が子どもにも受け継がれ、自閉症の原因となると仮定すると、これまで解明できなかった自閉症分布のパターンが説明できるという。
         遺伝子が突然変異をおこし、特定のDNAが消えたり重複する異常を起こす傾向を持つ女性は、自分では症状を覚えなくても、子どもが自閉症になる可能性は高いという。
         さらに、年齢とともにDNAが異常を起こす回数は高まるため、高齢の親に自閉症の子どもが多くなる理由も説明できるという。
         対人関係やコミュニケーションの技能に支障を来たす自閉症は、出生児の150人に1人の割合で発生し、そのほとんどは男児であることが米国政府の調査でわかっている。
         研究結果は国立科学アカデミー(National Academy of Sciences)の会報に掲載される。(c)AFP
        (AFP BBNews)2007年07月24日18:12

        ●学校基本調査:不登校児童・生徒が増加 小学生1706人、中学生6152人/愛知
        ◇昨年度県学校基本調査速報
         県内の小学校で昨年度、不登校を理由に長期欠席(30日以上欠席)した児童が過去最多の1706人に上ることが、県の学校基本調査速報で明らかになった。中学校でも不登校の生徒数は6152人に上った。いずれも01年をピークに減少傾向にあったが、ここにきて再び増え始めている。
         児童総数に占める不登校児童の割合は0・39%で、小学校では256人に1人が不登校になっている。また中学校になると、不登校生徒の割合は2・96%に増え、ほぼ34人に1人が不登校という実態が浮かんだ。
         今年5月1日現在の児童・生徒総数は、小学生が43万7862人(前年度比0・3%増)で6年連続増加。中学生も21万1451人(同1・9%増)で3年連続で増えた。一方、高校生は18万7017人(同1・8%減)で18年連続の減少となった。
         また昨年度の高校卒業者6万2399人のうち3万6018人が大学やなどに進学。現役の進学率としては過去最高の57・7%を記録した。また就職率も19・4%で4年連続上昇した。
        (毎日新聞)7月31日11時0分配信

        ●町田の女子高生刺殺:少年側「更生の点で無責任」 少年刑務所、不備を指摘/東京
         保護処分か刑事罰か――。地裁八王子支部で31日開かれた、町田市の都立高1年、古山優亜さん(当時15歳)刺殺事件の判決公判。広汎性発達障害と診断された少年(17)に対し、同支部は「障害の影響は一部あった」と認定しながらも事件の重大性や遺族感情を考慮し懲役11年の「実刑」を選択した。厳罰化する少年法の流れに沿った判決とみられるが、少年側弁護士は「少年刑務所では更生の制度が整わず、更生の点で無責任な判決だ」と批判した。
         判決では、障害が事件の動機や経緯に影響を与えたとはしながらも、障害によるパニックが犯行に導いたとはいえないと判断。「(保護処分か刑事処分かの)処遇選択において、同障害を考慮するにも一定の限界がある」とした。その上で少年刑務所でも十分更生の期待はできるとして、刑事処分を選択した。
         判決後会見した少年側弁護士らは、「障害の影響を認定しながらも、(少年が)優亜さんに対して激高した後に殺害に至る行動については障害の影響を排除してしまっている」と批判。「百歩譲っても、少年刑務所で処遇するとして、どのように処遇するのか、判決で明言すべきだ」と述べた。
         刑事施設・受刑者処遇法(06年5月施行)は、受刑者個人の資質や環境への配慮を挙げたうえで、性犯罪や薬物犯罪者らを対象にした矯正教育の受講が義務づけられた。しかし、障害を有する受刑者の制度的な配慮は不十分なのが現状という。
        (毎日新聞)8月1日13時2分配信

        体験してないことは“わからない”。
        2007/07/22
        アスペルガー障がいなどの自閉症スペクトラムのある皆さんの中で、「柔軟な対応、臨機応変ができない、または苦手」という方が多くおられます。スケジュールやマニュアルがあって、決まっていることは予定通りにこなしていける訳ですが、突然の出来事や状況の変化があると、どうしていいのかわからなくなり、とりあえずマニュアル通りにやってしまって、回りから苦情が起こる、というケースが少なくありません。時にはパニックを起こしてしまう場合もあります。
         これらは、「想定外」の出来事や状況変化への対応方法を知らないことから生じるトラブルと言っていいでしょう。体験してないことは“わからない”のです。
         幼少期からの、家庭でのしつけや、学校などでの社会的学習場面で、「教える(伝える)側」はきちんと伝えたつもりでも、本人が
        自閉症スペクトラムの様々な特性によって、「教えられ(つたえられ)がこと」を理解・獲得できないまま成人になった、というケースがよくあります。基本的な対人関係のマナーやルール、場面に応じた対応のバリエーションやスキルの獲得が、制限されている状態です。
         アスペルガー障がいなどの高機能の広汎性発達障がいの方は、障がい=生き辛さをまわりが見つけにくいために、定型発達者と同じ対応で育て、関わっていくことが多く、本人の「臨機応変ができない」状態が「理解できない」となります。
         体験が乏しいために生じていることですから、対応としては、数多く体験する、が基本になります。日常生活の中で起こった一つひとつの「困った出来事」を分析し、なぜそれが起こったのか、その時どう考えたのか、どう対応すべきだったのか、などを援助者が一緒に語り合う中で、今後そのような場面では「○○の対応の仕方がある」と、別の方法を身につけて行くという地道なトレーニングが必用となります。が、もう一つの特性として、「一度獲得したら継続してできる」というものがありますので、小さなトレーニングをコツコツと積み上げることで、本人も回りも関わりやすくなる、と認識することが大切です。
         次回は「アスペルガー障がいは十人十色」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        発達障害 個別の支援

          大学も発達障害など多様な学生への対応を迫られている。
         「授業に集中できず、注意した教員に衝動的にペットボトルを投げつけた」「実習で指示されたことと違う作業をすすめ、周囲の学生が困っている」「何度も同じ質問を繰り返して授業が進められない」
         東京都内のある大学のカウンセラーは近年、発達障害の可能性がある学生への対応に苦慮する声を、同僚や他大学の教員からよく耳にするようになった。
         「大学の教員は『あいつはダメだ』とレッテルを張ってしまい、学生の発達障害に思いが至らない傾向が強い。入学時に情報があったらいいのにと思う」
         国立特殊教育総合研究所(当時)が2005年、大学、短大、高専の学生相談担当者などに行った全国調査では、過去5年間で、761校の30%が、発達障害の診断があるか、疑いがある学生の相談を受けた。
         相談内容の多くが「友人とうまくつきあえない」「時間割の自己管理ができない」など、大学生活上の困難の訴えだ。自由な履修計画やゼミの討論など、高校までとは違う学習環境になじめず、戸惑う様子が浮かびあがってくる。
         上智大学(東京都千代田区)では、保健センターが新入生全員に行っている、心の健康度を診るテストで、悩みを持つ学生の中に発達障害の学生が含まれることが分かってきた。昨年10月の時点で、学内で把握した発達障害のある学生は可能性も含め28人で、保健センターで支援している20人中14人はテストを機に診断につながったケースだった。
         センターの東桂子・主任医師(53)は、「教職員の理解が第一」と昨年、発達障害の専門家の講演会や教授会での発達障害の説明会を開いた。その結果、教員からの相談も増えてきたと言う。
         だが、支援の方法は試行錯誤だ。聴覚や視覚障害、肢体不自由の学生に対しては、学生ボランティアなどによる支援が広がりつつあるが、発達障害では抱えている問題に個人差が大きく、具体的に何をすべきかイメージしにくい。学生自身が「周囲に知らせたくない」と希望する場合も多く、学生の集団の中で浮いたまま悩みが改善されない場合も多い。
         情報共有も課題だ。関東地方のある小規模私大では、学生支援室の担当教員が新入生約150人全員と面接し、発達障害が疑われる学生の情報を教職員で共有しようと考えた。しかし、「守秘義務」や「個人情報保護」が口実になり、情報が伝わらない現状がある。
         支援室では「情報共有こそ支援の基盤」と考えるが、高校までの生活や指導の実態は大学には伝わってこない。このため、学生や保護者への聞き取り調査で、過去の指導や不登校、いじめ経験などの「カルテ」を作り、個別の支援計画を模索する。
         「大学はいわば、社会へつながる最終関門。排除せず、周囲に理解を広げていくことが重要」と支援室の担当者。大学が、個々の学生の事情にきめ細かく対応せざるを得ない時代に入った。
         発達障害 文部科学省の定義によると、全般的な知的水準の発達に遅れはないが、読み書き計算や推論する能力のうち、特定のものの習得や使用に困難を示す学習障害(LD)、発達に釣り合わない注意力、または衝動性、多動性を特徴とする注意欠陥・多動性障害(ADHD)、特定の事象にこだわりが強い特徴を持つが、知的発達の遅れを伴わない高機能自閉症などがある。何らかの中枢神経系の障害が原因とされている。
        (読売新聞)2007年7月17日

        ●障害者雇用率、中小企業にも「罰金」 未達の適用拡大
         厚生労働省は13日、企業に義務づけている障害者の法定雇用率(従業員に占める障害者の割合=1.8%)が未達成の企業に課される納付金の支払い義務を、これまで免除されていた従業員300人以下の中小企業にも拡大する方針を固めた。納付金は事実上の「罰金」で、大企業に比べ雇用率が低い中小企業の障害者雇用を促す狙いがある。今秋から同省の労働政策審議会で審議を本格化し、来年の通常国会に障害者雇用促進法の改正案を提出する考えだ。
         同法では、従業員56人以上の企業に法定雇用率の達成を義務づけ、未達の場合は従業員301人以上の大企業に限り、不足人数1人につき月額5万円の納付金の支払いを課している。
         今回の改正では、この支払い義務を一定規模以上の中小企業にも拡大する。従業員56人以上300人以下の中小企業のうち、現在法定雇用率を満たしていない企業は約55%ある。
         一方で、中小企業は現在、雇用率が4%を超えるか雇用した障害者が6人を超える場合に、基準を上回る障害者1人あたり月2万1000円をもらえるが、法定雇用率を上回りさえすれば、大企業並みに1人あたり月2万7000円を得られるようにする。
         だが、経営基盤が弱い中小企業が多いため、支払い義務を拡大する中小企業の規模は今後、検討する。納付金の額も大企業より下げる可能性もある。障害者を受け入れる環境を整えるため、障害者の特性にあった仕事を社内に探し出すチェックシートの作成や、企業と障害者との対話を手助けするジョブコーチ制度への助成金の拡充なども、あわせて検討する。
         中小企業については、76年に納付金制度を始めた時に、障害者の雇用率が大企業を上回っていたことや経営体力の弱さに配慮し、納付金の支払い義務が免除された経緯がある。しかし、中小企業の雇用率は年々悪化し、06年も従業員1千人以上の大企業の平均雇用率1.69%に対し、100~299人の中小企業は1.27%にとどまった=グラフ。また、高齢・障害者雇用支援機構による05年の調査では、「法定雇用率を守るべきだ」との趣旨を回答した中小企業は約4割にとどまり、大企業の9割との差が際だった。
         ただ、中小企業数は大企業の約4.5倍とすそ野が広く、身近な地域で就職を望む障害者には雇用の受け皿として期待も強い。このため厚労省は、納付金の対象を拡大して中小企業の雇用率を改善させることが不可欠だと判断した。
        (朝日求人ウェブ)2007年07月13日

        ●「アルツハイマーの人でもわかる」麻生外相が講演で発言
         麻生外相は19日、富山県高岡市内で講演した際、国内外の米価を比較する例え話の中で「7万8000円と1万6000円はどちらが高いか。アルツハイマーの人でもわかる」などと発言した。
         麻生外相は、国内の農産物が高いと思われがちだとしてコメの価格に言及。1俵1万6000円の日本の標準米が、中国では7万8000円で売られているとしたうえで「どっちが高いか。アルツハイマーの人でもわかる。ね。こういう状況にもかかわらず、中国ではおコメを正式に輸入させてくれませんでした」などと述べた。
         参院選富山選挙区(改選数1)に立候補した自民の野上浩太郎氏の総決起大会に出席するため、同県を訪れていた。
        (asahi.com)2007年07月19日20時16分

        ●自転車部練習2人衝突死 強豪校の高校生 違法駐車の車に
         十九日午後一時五十分ごろ、千葉市美浜区美浜一の市道で、千葉県立京葉工業高三年で自転車競技部員の須藤哲也さん(17)=同県東金市田間=と高橋匠さん(18)=千葉市花見川区畑町=が、競技用自転車で走行中、道路左側に駐車していた乗用車に衝突した。二人は頭などを強く打ち、間もなく死亡した。
         千葉西署の調べでは、二人は同日午後から部活動の練習をしていた。他の部員二人とともに車道左端を縦一列に並んで走っていたところ、先頭の須藤さんと二番目の高橋さんが相次いで車にぶつかった。ブレーキをかけた形跡はなかった。自転車は時速五十キロ前後の速度だったとみられる。
         車には誰も乗っておらず、違法駐車だった。同署は自動車運転過失致死の疑いで、車を駐車した千葉市の男性(31)から事情を聴いている。
         現場は片側三車線の見通しのよい直線道路。東京湾に注ぐ花見川河口にかかる橋に近く、周辺に幕張メッセや千葉マリンスタジアムなどの大型施設が集中している。
         同校の自転車競技部は全国大会で上位入賞の経験もある強豪。須藤さんは個人スプリント、高橋さんは団体スプリントの部門で、それぞれ今年の県大会で優勝し、今月末から佐賀県で開かれるインターハイに出場が決まっていたという。
         同部は、道幅が広く交通量が比較的少ないコースを練習コースに指定しており、事故現場も指定コースだった。田辺義博教頭は「安全には注意していたが…。二人は練習に一生懸命で、生活態度も良かった。本当につらい」と肩を落とした。
        ○関係者「技術もある2人が…」
         「なぜ、技術も冷静さもある二人が止まっている車に衝突して死んでしまうのか」。千葉県内の自転車競技関係者らは、こう口をそろえた。
         高橋さんの知人は「小学生のころからロードレース用の自転車に乗り父親と練習していた。技術が高く、公道走行中も冷静。事故現場にブレーキ痕がないなんて信じられない」と話す。
         二人が乗っていた競技用自転車は、トラック競技用の「ピスト」とみられ、公道を走る場合は後輪部にのみブレーキを装着する。国体出場クラスの選手が乗れば、時速五十キロ以上のスピードが出る。その際、選手は強い前傾姿勢を取る。一列で集団走行する場合、空気抵抗を最小限にするため前を走行する選手を“風よけ”とする。車間は二十センチ以下となる場合もあり、視界は狭い。
         道路左側を走る公道練習の場合、先頭のライダーが「駐車車両あり」など、前方の交通状況を手信号などで後続に知らせるのがアマチュアレーサーでも一般的だ。ただ、ある実業団クラスの元選手は「加速する際や疲労が蓄積した場合、下を向いている瞬間がある」とも指摘する。
         自転車のロードレースを趣味とする記者は、高橋さんと同じトラックで練習した経験がある。事故現場もよく通り、彼の死は人ごとではない。
         警察庁は今年、道交法を改正し、自転車の取り締まり強化と安全に通行できる空間の確保に乗り出した。選手が死ななくて済む環境が、早期に実現することを望みたい。
        (東京新聞)2007年7月20日

        ●「再チャレンジ」公務員試験、152人枠に2万5千人応募
         政府が今年度から始めた「国家公務員中途採用者選考試験(再チャレンジ試験)」の申込者数が、採用予定152人に対し2万5000人を超える大人気となった。
         再チャレンジ試験は、大学や高校卒業者の就職内定率が低迷した1990年代以降のいわゆる「就職氷河期」に、自分の意に反してフリーターになった人たちに新たな挑戦の機会を与える狙いから、受験資格を4月1日現在で29歳~39歳の人に限った。
         難易度は高卒者を念頭においた国家公務員3種試験と同程度で、行政事務、税務、刑務官、皇宮護衛官、入国警備官などの職種で採用を予定している。9月に学科試験を行い、合格者をそれぞれの府省が面接した上で、11月に採用者を決定する。
        (読売新聞)7月22日1時35分配信

        ●大学の合格実績水増し、兵庫の私立高校でも
         兵庫県西宮市の私立仁川(にがわ)学院高校(永尾稔校長、生徒数約750人)が、今春の大学入試で、受験料を負担して生徒7人に関西の有名私立5大学の延べ約50学部・学科を受験させていたことがわかった。

         7人はうち28学部・学科に合格したといい、同校は「生徒の獲得競争が激しく、大学合格実績を上げるために2003年春から行ってきた。今後は改めたい」としている。大学合格実績の水増しが明らかになったのは大阪学芸高校に続き2校目。

         仁川学院高によると、1月の大学入試センター試験前に、成績が優秀だった7人に関西、関西学院、同志社、立命館、甲南各大学の学部・学科を複数受験するよう依頼。保護者から同意を得た上で、大学がセンター試験の結果だけで合否判定する制度を使って出願させた。負担した受験料は総額約100万円に上るが、生徒側に金品などは渡していないという。同校は5大学の延べ合格者を「116人」と説明しており、約2割水増しした計算になる。
        (読売新聞)7月22日8時59分配信

        ●いじめ自殺情報開示 山口法務局、下関の遺族へ
         山口県下関市の市立川中中学校で2005年4月、3年生の安部直美さん=当時(15)=がいじめを苦に校舎内で首をつって自殺した問題で、山口地方法務局は18日、行政機関個人情報保護法に基づき直美さんに関する記録の開示を求めていた遺族に対し、調査で把握した情報の一部を開示した。
         同法が定める開示対象は基本的には生存者の情報に限られるが、遺族の心情に配慮したとみられる。法務省によると、いじめ自殺の調査記録などが遺族に開示されるのは初めてという。
         開示された記録について直美さんの母親は「黒塗りの部分が多いが、きちんと調査してくれたと感じた。市教委が誠意ある対応をしてくれればここまですることはなかった」と話した。
         同法務局は、関係者からの調査でいじめの事実を確認し、人権侵害に当たると認定。学校側がいじめを認識しながら適切に対応せず、放置したことを重視し、昨年4月に同校と市教育委員会に再発防止や改善を促した。
         学校側は自殺直後、いじめがあったことを否定したが、直美さんが担任教諭にいじめを告白していたことが判明、約1カ月後に遺族に謝罪した。
         今回の調査記録の開示について、昨年10月、いじめを苦に命を絶った福岡県筑前町の中学2年森啓祐君=当時(13)=の母美加さん(37)は18日、「遺族への情報開示の道が開けたのではないか。遺族は、子どもが亡くなった真相に少しでも近づきたいと思う。できれば(黒塗りではなく)すべてを明らかにしてほしい」と話した。
        (西日本新聞)7月18日17時8分配信

        ●18人の笑顔 涙誘う いじめ原因自死 福岡でパネル展
         いじめや暴力が原因で自殺した子どもたちの写真やゆかりの品を紹介するパネル展「ジェントルハートメッセージ」(西日本新聞社など後援)が20日、福岡市・天神のアクロス福岡交流ギャラリーで始まった。いじめ問題に取り組む川崎市の特定非営利活動法人(NPO法人)「ジェントルハートプロジェクト」が主催。22日まで。
         昨年10月にいじめを苦に自殺した福岡県筑前町の森啓祐君=当時(13)、2004年に中学校で生活指導を受けた際に校舎から飛び降りた長崎市の安達雄大君=当時(13)=ら九州の5人を含む18人の写真が並ぶ。生き生きとした笑顔ばかりだ。
         「事故にあって寝たきりになりましたが、どんなにつらいリハビリにも弱音を吐かずに耐え、歩けるまで回復したのにリンチにあうなんて…」
         「生まれ変わっても、あなたの母になりたい」
         写真のそばに、それぞれの親がメッセージを添えた。子どもたちがスポーツに打ち込んでいる写真、将来の夢を書いた作文、生前の思い出深い言葉を記した色紙なども展示している。
         福岡市城南区の主婦則元陸子さん(67)は「写真の子どもたちの顔は皆、笑顔で優しい。希望に満ちた将来があっただろうと思うとたまらない」。そう話し、涙をぬぐった。
         21日午後1時から「いじめ社会の中の子どもたち」と題し、同NPO法人理事の小森美登里さん(50)と、森君の母美加さん(37)らが講演。22日午後1時からは、九州在住の遺族3人によるミニ講演会がある。
         入場無料。アクロス福岡=092(725)9100。
        (西日本新聞)7月21日10時7分配信

        ●都:自閉症にカリキュラム 対人関係指導などに重点--特別支援教育計画素案/東京
         都教育庁は17日、特別支援教育推進計画で来年度から10年度までの3カ年の具体的な取り組みを盛り込んだ、第2次実施計画の骨子案を発表した。都立知的障害特別支援学校では来年度から、知的障害と自閉症を併せ持つ児童・生徒に対応した独自のカリキュラムを全校で導入する。知的障害とは独立した自閉症のカリキュラムを編成するのは全国初という。
         自閉症の子どもに対して、現行は知的障害のカリキュラムだけで指導している。だが、知的障害のカリキュラムは基礎的な生活習慣などを繰り返して指導するため、自閉症の子どもには十分に対応できない面もあった。自閉症のカリキュラムは対人関係や社会性を育てる指導にも重点を置く内容で、同庁は今年度までに9校で試行した。
         来年度は小・中学部を持つ知的障害特別支援学校の全24校と1分校を対象に、自閉症のカリキュラムに基づき指導できる態勢を整える。全体の児童・生徒約2900人のうち、自閉症を併せ持つのは約4割という。
         このほか、実施計画は、視覚障害教育と知的障害教育の両部門を併置した学校の設置を新たに打ち出し、久我山盲学校と青鳥養護学校久我山分校の統合を予定している。同庁は骨子案について18日から9月14日まで都民の意見を募ったうえ、11月に実施計画を正式決定する。
        (毎日新聞)7月18日11時1分配信
        新事務所はこんなところです。
        2007/07/16
        やっと「つぶやき」の更新ができる気分になれました。

         7月8日午後からの便で事務所の引っ越しをしました。前日までに、本類だけは箱詰めしていましたが(10箱分!)、他の荷物は8日当日の早朝から箱詰め。何とか間に合いました。8日夕方から搬入開始。9日の午前には面談予約が入っていたため、机、ソファ、パソコンなど、当面必要なものだけセット。本類や他の小物類は9日の午後から整理(詰め込み)しました。何とか想定通りの面談室に整ってきています。
         そもそも今回の引越話しは、私が副代表をしているノンラベルの居場所が手狭になってきたことに端を発しています。いくつものテナントや一戸建て物件を見て回りましたが、今ひとつ不満足…、という折りに現在の物件が賃貸に出されました。交通の便は多少不便ですが、鉄筋3階建て、10DK+ガレージと作業場というもので、アスペルガー障害をお持ちだったりその疑い・傾向のある青年たちの対人関係トレーニングを行う居場所や軽作業、生活リズム確立のための短期入所などのプログラムを取り組んでいく上では好条件の物件でした。ノンラベルの個人面談も増加していることから、私が1部屋をカンナとして借り、かつノンラベルの第2面談室としていくことで話しがまとまったわけです。
         私のデスクからは久世橋とその下流が、クライエントさんの座るソファからは桂川と河川敷の緑、遠くに比叡山が見渡せます。久世橋は大阪と京都を結ぶ国道171号線となっていて、交通量が多く、少々騒音はありますが、窓さえ閉めておけば何とかなりそうです。
         以前の面談は、キッチン用の4人かけのテーブルをはさんでのもので、それはそれで適度な距離感だったのですが、記録を取っているノートが丸見え(!)状態で、いかがなものかと思っていました。今度の対面関係は事務机とソファですので、以前より距離があり、こちらの手元をのぞかれることはなくなりました。
         これからも、クライエントさんの要望を聞きながら、より快適な面談室に改造して行きたいと思っているところです。
         次回は「体験してないことは“わからない”」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <児童虐待>相談件数が過去最多3万7343件 06年度

         全国の児童相談所が相談を受け対応した児童虐待件数が06年度、過去最多の3万7343件(速報値)に上ったことが、厚生労働省のまとめで分かった。前年度より2871件多く、03年度(2万6569件)からの3年間で1万件以上増えた。秋田や京都など、虐待死や児童殺害事件があった地域の増加が目立っている。
         児童虐待の対応件数は90年度の統計開始以来、増加の一途をたどっている。05年度から児童福祉法の改定で市町村も虐待相談に応じるようになり窓口は分散されたが、主に都道府県が所管する児童相談所の対応は全体として減っていない。
         都道府県別で急増したのは、親が食事を与えず子供を死なせる事件があった京都府(前年度比72%増)や福島県(59%増)、母親が子供を殺害する事件が2件続いた秋田県(40%増)など。一方、鹿児島県(42%減)、鳥取県(24%減)など減少に転じた地域もあるが、厚労省は「市町村が対応を強化し、児相に頼らず解決する事例が増えたため」とみている。
         一方、児童相談所に配置される児童福祉司の数は、地方交付税の基準見直しで増員しやすくなったのを受け、今年4月現在で前年より124人多い2263人になった。今年度から始まった虐待早期発見を目的とする生後4カ月までの全戸訪問(こんにちは赤ちゃん事業)は全国で68%の市区町村が取り組み、厚労省は「初年度にしては高い実施率」と評価している。
        (毎日新聞)7月11日15時3分配信

        ●保護者の理不尽なクレーム、専門家による支援検討 文科省
         理不尽な要求で学校現場を混乱させる保護者ら、いわゆる「モンスターペアレント」について、文部科学省が来年度から、本格的な学校支援に乗り出す方針を固めた。地域ごとに外部のカウンセラーや弁護士らによる協力体制を確立し、学校にかかる負担を軽減することを検討している。来年度の予算要求に盛り込みたい考えで、各地の教育委員会にも対策強化を求める。
         文科省が検討している支援策は、保護者から理不尽な要求やクレームが繰り返された際、教育専門家ら外部のカウンセラーが保護者と学校の間に入り、感情的なもつれを解消して問題解決を図るというもの。
         保護者とのトラブルが法的問題に発展するケースもあるため、学校が地域の弁護士からアドバイスを受けられるような協力体制づくりも進める。地域ごとにカウンセラーや弁護士らの支援チームを結成することも検討する。
         教育現場では近年、無理難題を押しつける保護者らが急増。こうした保護者らは「モンスターペアレント」と呼ばれ、校長や教員が話し合いや説得に努めてきた。しかし感情的なもつれなどから問題解決がこじれ、学校にとって大きな負担になることが少なくないという。
         モンスターペアレントについては今月初めの副大臣会議でも取り上げられ、文科省の池坊保子副大臣が早急に対策に取り組む姿勢を示していた。
         文科省幹部は「学校が一部の保護者らの対応に追われて、子供たちの教育活動に支障が出るようになったら本末転倒。各教委が率先して対応に乗り出す必要がある」としている。
        (産経新聞)7月9日8時1分配信

        ●家族4人で月収10万円 生活保護費求め提訴へ
         2002年に過去10年間で最悪の5.4%となった完全失業率は、その後、減少し続け、03年春に8000円割れした日経平均株価も1万8100円を超えた。同年以降の経済成長率は2%台を堅持するなど、各種指標は景気回復を示している。一方で、全国の生活保護世帯は1992年度以降、増加の一途をたどり2005年度に100万世帯を超えた。景気回復の恩恵を受ける人々と、回復を実感できない人々の格差は広がりつつある。参院選を前に、格差社会の重圧にあえぐ人々の現実を追った。 (安藤恭子)
         「大の大人が三人もいて、生活保護を受け続けると甘えが出る」
         昨年八月、三郷市に住んでいた一人の女性(49)とその家族が、東京都葛飾区に転居した。翌九月、女性の転居に伴う生活保護の手続きのため、同市の福祉事務所に電話した吉広慶子弁護士は、担当職員の言葉に耳を疑った。
         女性は一年半にわたり、生活保護申請を受け付ける同市の福祉事務所窓口を訪れ、昨年六月に認められたばかり。同市が転居先の葛飾区に女性の生活保護に関する書類を送れば、転居先での保護申請手続きはスムーズに行われるはずだったが、市は手続きをとっていなかった。担当職員はその理由を「本人のためです」と話した。
         女性は急病に倒れた夫と派遣社員の息子、高校生の娘の四人暮らし。女性自身も夫の病気を苦に体調を崩し、収入は息子が稼ぐ月十万円のみ。夫婦の借金に加え、医療費とアパートの家賃だけで月に計約十五万円がかかり、家賃は一年以上滞納を続けた。
         困った女性は、夫が倒れた〇五年一月から約十回、同市の窓口に出向いたが「働きなさい」などと言われ、申請を断られた。吉広弁護士が申請に付き添い、昨年六月に生活保護が認められたが、今度は再三市外への転居を勧められ、九月までに転出した。
         女性は必要な生活保護申請を受け付けてもらえなかったとして、同市に対し、受け取れなかった期間の生活保護費や慰謝料など約一千万円の支払いを求めて近く提訴する。
         女性側は「相談当初から、市は要保護性を把握していたのに、申請をさせなかった」と主張。一方、三郷市福祉課は「相談に来た人には制度の内容を説明し、助言した上で、申請の必要があれば原則受け付けている」とコメントした。
         県社会福祉課によると、県内の生活保護受給者は一九九三年度以降増加に転じ、昨年度の月平均は約五万二千八百人。生活保護費の総額も増え続け、二〇〇五年度は八百九十五億円に上った。
         さいたま市などでは、夫婦(三十三、二十九歳)と四歳児の標準世帯の場合、最低生活費は約十六万二千円。これを申請者の収入が下回り、資産や働く能力などを加味しても、生活が成り立たない場合に不足分が支給される。憲法は二五条で最低限度の生活を保障している。生活保護は、この生存権を保障する最後の砦(とりで)だ。
        (東京新聞)2007年7月4日

        ●日記に「おにぎり食べたい」 生活保護「辞退」男性死亡
         北九州市小倉北区の独り暮らしの男性(52)が自宅で亡くなり、死後約1カ月たったとみられる状態で10日に見つかった。男性は昨年末から一時、生活保護を受けていたが、4月に「受給廃止」となっていた。市によると、福祉事務所の勧めで男性が「働きます」と受給の辞退届を出した。だが、男性が残していた日記には、そうした対応への不満がつづられ、6月上旬の日付で「おにぎり食べたい」などと空腹や窮状を訴える言葉も残されていたという。
         市などによると、10日、男性宅の異変に気づいた住民らから小倉北福祉事務所を通じて福岡県警小倉北署に通報があり、駆けつけた署員が部屋の中で、一部ミイラ化した遺体を発見した。目立った外傷はなく、事件の可能性は低いという。
         男性は肝臓を害し、治療のために病院に通っていた。市によると、昨年12月7日、福祉事務所に「病気で働けない」と生活保護を申請。事務所からは「働けるが、手持ち金がなく、生活も窮迫している」と判断され、同月26日から生活保護を受けることになった。
         だが、今春、事務所が病気の調査をしたうえで男性と面談し、「そろそろ働いてはどうか」などと勧めた。これに対し男性は「では、働きます」と応じ、生活保護の辞退届を提出。この結果、受給は4月10日付で打ち切られた。この対応について男性は日記に「働けないのに働けと言われた」などと記していたという。
         その後も男性は働いていない様子だった。1カ月ほど前に男性に会った周辺の住民によると、男性はやせ細って、「肝硬変になり、内臓にも潰瘍(かいよう)が見つかってつらい」と話していたという。
         小倉北区役所の常藤秀輝・保護1課長は「辞退届は本人が自発的に出したもの。男性は生活保護制度を活用して再出発したモデルケースで、対応に問題はなかったが、亡くなったことは非常に残念」と話している。
         同市では05年1月、八幡東区で、介護保険の要介護認定を受けていた独り暮らしの男性(当時68)が生活保護を認められずに孤独死していた。06年5月には門司区で身体障害者の男性(当時56)がミイラ化した遺体で見つかった。この男性は2回にわたって生活保護を求めたが、申請書すらもらえなかった。
         こうした市の対応への批判が高まり、市は今年5月、法律家や有識者らによる生活保護行政の検証委員会を設置し、改善策を検討している。
        (asahi.com)2007年07月11日16時16分

        ●生活保護、不法に廃止 収入など調べず 北九州の孤独死
         辞退届によって生活保護を廃止された北九州市小倉北区の男性(当時52)が孤独死した問題で、同市は「収入などを調べずに受給を廃止するのは不法」とした06年の広島高裁の確定判決を知らずに、収入などを調べることなく男性の生活保護を不法に廃止していたことがわかった。厚生労働省はこの判決を各自治体に通知していなかった。
         この裁判は、広島県東広島市の女性がパートに就くことを理由に調査を受けないまま生活保護の辞退届を書かされ、保護を廃止されたとして、東広島市を相手取って廃止処分の取り消しと慰謝料を求めた。
         06年9月の高裁判決によると、女性の実際の収入は月5、6万円だったが、市は給与などの調査もせずに「自立のめどがある」として辞退届の文案を作り、女性に出させた。高裁は「自立のめどがあるかどうか客観的に判断せずに保護を廃止したのは不法」として市の処分を取り消し、慰謝料30万円の支払いを命じた。市側は上告を断念し、判決が確定した。
         北九州市の小林正己・地域福祉部長は「判決は知らず、『自立のめどがあるかどうか客観的に判断する』という運用はしていなかった。生活保護法の趣旨にもとるような運用は改めないといけない。だが、今回の件では男性の自発的な意思に基づいて廃止を決定した」と話している。
         判決を通知しなかったことについて厚生労働省は「辞退届については法律などに規定がないため推移を見守ることになった。北九州市は当然認識していると思っていた」と説明する。
         孤独死した男性は昨年12月、病気で働けないとして生活保護を認められた。その後、北九州市側から働くことを勧められ、4月2日に辞退届を提出。同月10日付で保護は廃止された。7月10日、死後約1カ月の遺体が自宅で見つかった。
         大友信勝・龍谷大教授(社会福祉学)は「辞退届はそもそも強制で違法に近い。市の対応は高裁判決に照らしても正当性を欠き、生存権の保障を放棄したといえる。司法判断を知らなかったことは生存権を扱うプロとして怠慢だ」と指摘する。
        (asahi.com)2007年07月14日20時13分

        ●作陽学園損賠訴訟:学園、2審も敗訴 2770万円支払い命じる--大阪高裁/岡山
         作陽高校(津山市)在学中、寮で受けた集団暴行が原因で左腕に障害が残ったなどとして、茨城県在住の大学院生の男性(31)が、同校を運営する学校法人「作陽学園」(倉敷市)を相手取り約5000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5日、大阪高裁であった。若林諒裁判長は男性勝訴の1審・神戸地裁姫路支部の判決を一部変更し、同学園に約2770万円の支払いを命じた。
         判決によると、男性は91年5~6月、同校の男子寮で連日、先輩らから殴る、けるなどの集団暴行を受けた。若林裁判長は1審同様、暴行と左ひじの屈伸が不自由になった後遺症との因果関係を認定。また同学園の不法行為についても注意義務違反を認めた1審判決を踏襲した。
         男性は判決を受け「学園は謝罪し再発防止を誓ってほしい」と話した。作陽学園は「判決文を検討し、今後の対応を決めたい」としている。
        (毎日新聞)7月6日16時2分

        ●小学校カウンセラー拡充 いじめなどに対処 専門家会議
         文部科学省の専門家会議は5日、公立中学校を中心に派遣されているスクールカウンセラーを小学校にも広めることや、小学校にも教育相談や生徒指導のための主事を置くことを検討すべきだとする報告書をまとめた。同省は来年度から小学校へのカウンセラー派遣拡充を目指す。
         検討していたのは「教育相談等に関する調査研究協力者会議」(座長・尾木和英東京女子体育大名誉教授)。
         スクールカウンセラーは臨床心理士や精神科医が務め、学校に週1、2回出向く。95年度から始まり、昨年度は全国で1万158校に派遣された。現在は都道府県・指定市に対して国が半額補助する制度で、06年度は国が当初予算で約42億円を支出した。
         派遣の内訳をみると中学校は公立の76.0%にあたる7692校に派遣されたのに対し、小学校は1697校と7.6%にとどまった。
         文科省の調査によると、カウンセラーが2年以上派遣されている学校では、いじめ、不登校、学校内の暴力行為がいずれも全国平均を上回る率で減少している。
         報告は、不登校やいじめが中学校で急増するものの、原因の根は小学校にあることが多く、小学校での暴力行為は増加傾向にあると分析。これらに対処するためには、小学校高学年を中心にカウンセリング体制の充実が必要だと指摘した。
        (asahi.com)2007年07月06日07時39分

        ●<いじめ自殺>見舞い金給付に調査委設置を義務付け
         文部科学省の省令改正で独立行政法人・日本スポーツ振興センター(東京都)の災害共済給付制度が校外でのいじめ自殺にも適用されることになったことを受け、センターが死亡見舞金の給付審査にあたり、学校側に調査委員会の設置を事実上義務付けることが11日、分かった。今後、自殺した児童・生徒の遺族が給付申請すると、結果的に学校、教委で調査委が立ち上がることになる。
         センターはこれまで、校外で自殺した生徒・児童の遺族には、自殺の原因が校内で起きたいじめであっても給付金を支払ってこなかった。しかし、文科省はいじめ自殺が全国で問題化しているため、6日付で省令を改正。センターも同日付で内部基準を改定した。
         改定した内規では「必要に応じて学校長に照会し報告を求める」と規定。申請様式を新たにつくり、自殺の原因などを書く項目に加え、調査委員会の所見欄を設けた。調査委についての言及は特にないが、文科省学校健康教育課は「(いじめ自殺の場合)申請と調査委員会設置はセット」として、原則として申請には調査委の所見が必須となる。
         早稲田大学の喜多明人教授(教育法学)は「当事者には利害関係があるため、第三者で構成するのが原則だ」と指摘。長女をいじめで亡くしたNPO「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)の小森美登里理事は「指針がなければ調査委が行政寄りになりかねない。遺族の意見を聞きながら調査を進め、得られた結果はすべてオープンにする委員会であるべきだ」と話している。
        (毎日新聞)7月12日3時5分配信

        ●ひきこもり:経験者が家庭訪問、子ども支援--福岡市が9月から/福岡
        ◇悩みなど聞き解決へ
         福岡市こども総合相談センターはひきこもりの子どもたちを支援する「思春期ひきこもり等相談モデル事業」を9月から始める。家族の力だけでは回復が難しいとされるひきこもり。経験者の相談員が中心となり、家庭を訪問して外出できない子どもたちの悩みなどを聞き、家族らと解決策を探る。ひきこもりから脱出した経験者が、相談員やボランティアとして支援にかかわるのも特徴だ。
         センターでは04年度から不登校やひきこもりの子どもたちの個別面談をしたり、自由に活動できるスペースを提供する居場所事業を実施してきた。市内のひきこもり人口は推計で4000~5000人とされ、課題は相談さえできない子どもたちの存在だった。
         新しく始める訪問事業は市内の中学卒業後から20歳までが対象。センター主催の養成講座を受講した思春期訪問相談員(10~20人)を家庭に派遣し、子どもの話し相手になりながらひきこもり状態の改善を図る。
         また、センターは24時間電話相談(092・833・3000)を受け付けている。
        (毎日新聞)7月10日16時1分配信

        ●<ニート対策>東京都が支援マニュアル作成 来年度から
         東京都は来年度から、ニートや引きこもりの若者対策として、支援団体の間で共有できる独自のマニュアル作成など、新たな取り組みを始める。都内約5800のNPO(非営利組織)から先進的な取り組みを集約し、作成に生かす。ニートや引きこもり対策は民間主導で行われているが、指導方法はまちまちで、過去には過度な身体的拘束から入所者が死亡した事例もある。都は有効なノウハウを広めることで、支援の質と量の拡充を目指したいとしている。
         都青少年・治安対策本部は6月、教育や福祉分野のNPOを対象に、若年層(15~34歳)向けの自立支援活動の内容についてアンケートを実施。さらに今後、職員が直接視察する。この結果に基づいて有効な支援策と判断した事例を絞り込み、今年度末をめどにマニュアルとして完成させる。
         総務省の推計では、全国のニート人口は06年度で約62万人。一方、引きこもりは、本人と社会の接触が乏しいため実態把握が困難で、調査主体により32~160万人と大きく異なっており、「データ不足でどの程度の規模の支援が必要か分からない」(同本部)状況という。
         支援はほとんど民間が行っているが、昨年5月には名古屋市のNPO「アイメンタルスクール」で、職員らが入寮中の男性を鎖で縛り付けるなどして死亡させた逮捕監禁事件が発生。指導内容の問題が露呈した。運営理念や指導方針、スタッフ数なども団体によってばらつきがあり、一人一人に必要な支援にまでは手が回らない面もある。それでも、家族は受け入れ可能なわずかな施設に頼らざるを得ず、レベルの向上と受け皿の拡大が求められていた。
         東京都立川市の若者支援NPO「育て上げ」ネットの工藤啓理事長は「ひきこもり・ニート支援で共通して大切なのは現場、若者の目線でとらえ、サポートすること。支援に取り組む人も都の取り組みに参加すれば、より効果的な支援の選択につながるのではないか」と話している。
        (毎日新聞)7月13日15時4分配信

        ●中2女子が転落死=校舎3階窓から、自殺か-滋賀
         12日午後3時45分ごろ、滋賀県長浜市弓削町の市立びわ中学校で、校舎脇に2年生の女子生徒(13)が倒れていると119番があった。発見当時、生徒は意識不明の重体で、近くの病院に搬送されたが、同8時すぎ、脳挫傷などで死亡した。県警長浜署は、現場の状況などから、生徒が校舎3階の窓から飛び降り自殺した可能性もあるとみて詳しい状況を調べている。
         調べでは、校舎3階の音楽室の窓が開いていた。窓は床から高さ約80センチの位置にあり、窓枠には転落防止の棒も付いていた。窓の下には、生徒が履いていたとみられる上履きが並べて置いてあった。
         同校によると、生徒は日ごろから休みがちで、12日は午後に登校。クラスで授業は受けず、保健室にいたという。生徒へのいじめはないとしている。
        (時事通信)7月12日22時32分配信
        事務所引っ越し直前に思うこと。
        2007/07/01
        いよいよ1週間前になってしまいました。まだ、準備はほとんど何も手についていません。
         狭い事務所に、引っ越しようの段ボールセットが積まれているだけです。それはさておき…。
         この相談室を開設して、早いもので2年と3カ月になります。不登校・ひきこもり、気分障害、職場での人間関係に起因する反応性の軽うつ、高機能の広汎性発達障害などをお持ちのご本人やそのご家族と、数多く接してきました。
         一方で、ノンラベルの副代表として、とりわけ高機能の広汎性発達障害などをお持ちのご本人やそのご家族への援助に関わってくる中で、文献などに書かれていない当事者の特性や生きづらさ、ご家族など周辺の方々の関わり方の困難さに直接接してこれたと思います。
         “石の上にも3年”と言われますが、脱サラ、学生生活、先の見えない転身で、経済的な苦しさも多々味わいましたが、そうした負の部分に換えられない今後の方向性を得ることができたと実感することができていることは幸いです。
         今後もさまざまなケースに遭遇し、対応に窮することがあると思いますが、あきらめることなくクライエントさんと(そしてご家族や周囲の方々と)知恵と力を出し合って、状態の改善・緩和に向けて取り組んで行きたいと思います。
         次週は、引っ越し当日であるために、「つぶやき」の更新は、たぶんできないと思います。
         次回は「新事務所はこんなところです」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「手抜き当たり前の職場、解体仕方ない」社保庁職員が告白

         30日未明に国会で成立した社会保険庁改革関連法案。社会保険庁を解体し、職員を非公務員化する公法人を新設して出直しを図ることが正式に決まった。そんな中、東日本の社会保険事務所で働く職員が、読売新聞の取材に「手を抜くのが当たり前の職場。解体されても仕方がない」などと内情を証言した。
         職員の告白は、信頼回復への道のりがいかに険しいかを物語る。
         「決められたことをしないから、こんな組織になってしまった」。取材に応じた社保事務所の中堅職員の男性は、解体の運命をたどる自らの職場についてあきらめ混じりの口調で語った。
         男性が社保事務所で働き始めたのは1980年代。一通り業務を覚えると、職場の異常さに気づいた。指導してくれた先輩職員が、自分に教えた通りに仕事をしていない。例えば、年金番号をきちんと確認しない、窓口を訪れた人に給付額を丁寧に説明しない、昼休みになると窓口に人が来ても無視する……。
        (読売新聞)6月30日11時8分配信

        ●<抗うつ剤>「パキシル」服用の自殺者増加 副作用の疑い
         抗うつ剤「パキシル」(一般名・塩酸パロキセチン水和物)の副作用が疑われる自殺者が05、06年度と2年連続で2ケタに増えたことが厚生労働省などの調べで分かった。パキシルはうつ病やパニック障害などに有効だが、若い人を中心に自殺行動を高めるケースがあり、添付文書にはすでに警告や注意が明記されている。厚労省は医療関係者に「患者の状態の変化をよく観察し、薬の減量など適切な処置を」と呼びかけている。
         パキシルは世界で発売され、国内では00年11月から販売。製造・販売元の製薬会社「グラクソ・スミスクライン」によると、推計売り上げは01年は約120億円で、年々増え06年は約560億円。推定物流ベースでは抗うつ剤全体の約25%を占め人気が高いという。一方、厚労省の患者調査では、うつ病などの気分障害も増加傾向で、96年の43万3000人に対し、05年は倍以上の92万4000人に上っている。
         厚労省と独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」によると、同機構への報告が義務化された04年度以降、パキシルの副作用と疑われる症例のうち、自殺をした「自殺既遂」は04年度が1件だったが、05年度は11件、06年度は15件と増加。自殺行動が表れた「自殺企図」も04、05年度の各2件に対し、06年度は24件に増えた。いずれも03年度以前は1ケタとみられ、06年度は厚労省が5月末現在でまとめた。
         増加の原因について、医療関係者によると、処方される患者が増える中、医師が投与後、経過を十分に観察していないことなどが考えられるという。
         一方、同社は「患者が勝手に服用をやめると、病状が悪化する恐れがあり、必ず医師に相談してほしい」と話している。
         田島治・杏林大教授(精神保健学)の話 パキシルはうつ病に有効で、自殺関連の副作用が表れるのもごく一部とみられる。ただ、投与後、最初の9日間は慎重に様子をみて注意が必要だ。また、うつ病を早く見つけ、治療するという流れにのって、軽いうつ状態にまで、すべて薬を投与するのは問題だ。特に若い人の場合、カウンセリングで治るケースも多く、慎重にすべきだ。
        (毎日新聞)6月28日3時2分配信

        ●赤ちゃんのいる全家庭を訪問 守山市、7月からスタート
         滋賀県守山市は28日、生後3カ月と満1歳の乳幼児がいる市内のすべての家庭を訪問する「こんにちは赤ちゃん訪問事業」を7月からスタートする、と発表した。
         子育て中の親が地域から孤立するのを防ぐとともに、児童虐待の早期発見につなげるのが狙い。厚生労働省の交付金事業で、栗東、野洲市などがすでに実施している。
         守山市では初年度の対象家庭は約900戸で、本年度予算で140万円を見込んだ。訪問するのは各地域の民生委員や児童委員ら計130人で、保護者の育児の悩み相談にのったり、行政が実施している子育て支援サービスの情報などを提供する。
        (京都新聞)6月28日18時29分配信

        ●「原爆投下しょうがない」 久間防衛相が講演
         久間章生防衛相は30日、千葉県柏市の麗沢大で講演し、先の大戦での米国の原爆投下について「長崎に落とされ悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。それに対して米国を恨むつもりはない」と述べた。
         米国が旧ソ連の日本への参戦を食い止めるため原爆を投下した側面があるとの見方を示し「日本が負けると分かっているのにあえて原爆を広島と長崎に落とし、終戦になった。幸い北海道が占領されずに済んだが、間違うと北海道がソ連に取られてしまった」と指摘。
         また「勝ち戦と分かっている時に原爆まで使う必要があったのかどうかという思いは今でもしているが、国際情勢、戦後の占領状態などからすると、そういうことも選択としてはあり得るということも頭に入れながら考えなければいけない」と述べた。
        (長崎新聞)06/30 13:37

        ●久間防衛相発言を一斉批判=野党、原爆投下容認に罷免要求も
         久間章生防衛相が米国による広島、長崎への原子爆弾投下を「しょうがない」と発言したことに対し、民主、共産、社民、国民新の野党4党幹部は30日、「防衛相としてふさわしくない発言だ」(菅直人民主党代表代行)などと一斉に批判した。社民党の福島瑞穂党首は談話を発表し、安倍晋三首相に防衛相の罷免を要求した。
         野党側は7月5日までの今国会会期中に与野党が合意した衆院決算委員会を開き、首相や防衛相の見解をただす考え。参院選に向け、防衛相発言や首相の任命責任も追及し、攻勢を強める構えだ。
        (時事通信)6月30日21時1分配信

        ●自傷で失明、京都府が上告断念 損賠判決確定へ
         自閉症の女性(24)が向日が丘養護学校(京都府長岡京市)に在学中、自傷行為で両目を失明したのは、学校が不適切なカリキュラムを強いたことが原因として、女性と両親が府に損害賠償を求めていた訴訟で、府教委は27日、約6300万円の支払いを命じた大阪高裁判決を受け入れ、上告しないことを決めた。女性側も上告しない方針で、判決が確定する。
         女性は1990年に同養護学校小学部に転入、運動すると自傷行為をするようになった。6年生だった94年9月に運動会の練習を機に自傷行為が激しくなり外傷性白内障で両目を失明した。
         一審の京都地裁は「自傷を防ぐのは不可能」として訴えを退けたが、高裁判決は「学校は自傷行為を防ぐ注意義務があった」と判断した。府教委は、「元生徒の失明という不幸な事件に対し、人道的な観点からも長期にわたる裁判を続けるべきではない」として、上告を断念した。
         原告代理人の永井弘二弁護士は「当然の対応だと思う。判決で指摘された通り、障害児だけでなく健常者に対しても個人に見合った教育をしてほしい」と話した。
        (京都新聞)6月27日23時29分配信

        ●中高年女性に広がる「摂食障害」 無理な減量は危険
         中高年の女性の摂食障害「過食症」が最近、目立つようになってきたという。主婦が台所で一日中食べ続けて病気が進行することから、「キッチンイーター」とも呼ばれる。本人も周囲も病気だとは気づかないケースが多く、患者数すらつかめていない。しかし、次第に深刻化し、場合によっては命を落とすこともある。神戸女学院大学人間科学部心理・行動科学科の生野照子教授に、症状と早期発見の方法を聞いた。
         生野教授はまず、安易なダイエットが、過食症の発端になっている場合が多いと指摘。「無理な、過激な、誤ったダイエットはしてはいけません」と強調する。具体的には、ダイエットのために下剤を飲むなど薬を使うことと、「食べても吐けばいい」と考えて実行することだという。
         初めは1錠の下剤から飲み始めても、どんどん量が増え、一度に何十錠も飲む人もいる。一日中、食べ吐きをしている人もいる。「ダイエットだから、明日こそやめられる。大丈夫」と思っているのに、5年も10年も続いてしまう。
         「気持ちの持ち方でやめられるなら、病気ではありません。やめられないんです。でも、本人は病気だとは思っていない。そして、自分のしていることに罪悪感を感じているので隠し続けます。早期発見、早期治療が遅れてしまいます」
         もともと「思春期痩(や)せ症」といわれた拒食症は、その名の通り、痩せたいという思いが異様に強くなり、ガリガリに痩せてしまう。これに対し、過食症は食べ吐きを繰り返す。
         中高年の女性がなぜ、過食症になるのだろうか。生野教授は「おばさんになりたくない。若く見せたい。太ってしまったら、女としておしまい、と思ってしまっているのでしょうね。若い女性の痩せ願望と比べ、この時期の女性の過食症の一因は肥満恐怖症です」と話す。
         とはいえ、簡単に食べ物が手に入り、食べると「快」状態になるから食べずにいられない。台所で、冷蔵庫の中のものを食べつくしてしまうほどの大食になってしまうが、食べたら非常に後悔して、吐いたり、下剤を飲んだりする。すべてを排出できないから、外見からは摂食障害だとは分からない。でも、栄養バランスは崩れているため、「血液検査などを受ければ、健康状態はガタガタ」だという。
         大量に食べて、一気に排出すると、また大量に食べたくなるという悪循環に陥る。そして、長期間続くと、電解質の異常、慢性の栄養失調状態になり、虫歯や食道炎、心不全など全身に影響が出てくるという。
         「抑鬱(よくうつ)が強くなり、イライラして集中力、記憶力が低下し、心の症状にも出てきます。食べ吐きに長時間費やしてしまい、育児や近所付き合いもできにくくなって、引きこもり状態になることもあります。体、精神、社会性に悪影響が及んでしまうんです」
         摂食障害にならないためには、外見に生きがいのすべてをかけないで、他に楽しみを見つけるよう心がけ、ダイエットのために下剤などの薬を使わず、ダイエットと病気との境を自己チェックリストで知って、賢くなってほしい、という。
         そして、もしかしたら摂食障害かなと思ったら、専門家に受診する。心療内科、精神科、心理相談機関などがいい。専門機関では、心理治療、栄養治療、生活指導のほか、場合によっては服薬も行う。生野教授は、仲間同士で励ましあいながら克服していく自助グループも立ち上げている。
         生野教授は「ダイエットの先には怖い淵(ふち)があって、知らないうちにはまり込んでしまう。健康な美しさを大事にしてほしい」と訴えている。
        (産経新聞)6月27日14時41分配信

        ●ニートの8割「うしろめたい」自覚 就労も1カ月以上経験
         仕事に就かず、学校にも通っていない「ニート」と呼ばれる若者の8割が、1カ月以上の就労経験を持っていることが28日、厚生労働省の委託調査で分かった。また8割が自分自身の現状を「うしろめたい」と感じていた。厚労省は「単なる就職支援や励ましではなく、孤立化・孤独化を防ぐ継続的な支援が必要」としている。
         調査は、財団法人社会経済生産性本部が実施。ニートの若者の相談に応じる地域若者サポートステーションの利用者418人と、集団生活で脱ニートに向けた生活訓練を行う若者自立塾の参加者409人にアンケートを行い、専門家会議(座長、宮本みち子放送大教授)が分析した。これほど大規模なニート実態調査は初めてという。
         調査の結果、連続1カ月以上の就労経験のある人は79%で、就労経験回数は平均2・6回。就職する能力は持ちながら、仕事が続けられずニートに陥ったことが浮かび上がった。
         出身家庭の経済状況については「苦しい」37%、「普通」47%、「余裕がある」14%で、ニートが「裕福な家庭」の出身者の問題ではないことも分かった。
         進学状況は同世代と同水準だったが、高校、大学・短大、専門学校のいずれかの段階で中退していた人が31%にのぼり、37%が不登校を経験。いじめを受けた経験は55%、引きこもり経験は50%にのぼっていた。
         また、ニートであることについて「うしろめたい」が83%。「社会や人から感謝される仕事がしたい」も83%で、多くの人が就業意欲を持っていた。その一方で、81%が「仕事をしていくうえで人間関係に不安を感じる」と答えた。
        (産経新聞)6月28日19時38分配信

        ●生徒、体罰で不登校に 県立八日市養護学校「指導行き過ぎた」
         滋賀県東近江市の滋賀県立八日市養護学校(西田栄二校長)で高等部2年の男子生徒(17)が、担任の男性教諭(43)から2回にわたって体罰を受け、ショックで学校をほとんど休んでいることが29日、分かった。同校は「指導に行き過ぎがあった」と認め、謝罪したいとしている。
         同校によると、体罰があったのは5月28日と6月4日。携帯電話の使用をめぐり学校との約束が守れなかったなどとして、教諭は生徒指導室で生徒と2人きりで指導した。その際に手で頭を数回たたいたり、ひざで脇をけるなどの体罰や、パイプいすをロッカーにぶつけて威嚇するといった行為があったという。
         指導は保護者が担任に求めていたものだったが、生徒はその後、体調がすぐれないとして学校にほとんど行かなくなったという。母親は「体罰はもってのほか。子どもは学校に行くのを怖がっている。学校は行き過ぎのないように一対一の指導はしないと言っていたのに」と憤っている。
         同校によると、教諭は同校が初任地で勤続10年になり、指導には厳しい面があったという。西田校長は「体罰はあってはならないことで、本人も反省しており、生徒には何とか学校に戻ってほしい」としている。
         県教委も学校側に事実関係の調査を求めており、報告を受けた上で処分などを検討するという。
        (京都新聞)6月30日8時59分配信

        愛されることと自己肯定感情。
        2007/06/24
        思春期の子どもたちにとっての、発達課題として大きなものに、「自己像」の確立・獲得という課題があります。
         競争主義社会にあって、経済的に不安定な家庭や管理主義に走る学校、テレビなどでも何が真実か見抜けないものばかり…。こんな社会情勢の中で、子どもたちが自信と誇り、向上心にあふれる自己像を作り上げていくことは、とても困難な状況であることは否めません。
         だから、せめて子どもたちに関わる大人(家族や教師など)にしてほしいことは、子どもたちのありのままを認めてあげること、どんな小さな事でもチャレンジしたことを誉めてあげること、困難やトラブルを一緒に悩み考えてあげられる関係づくりです。これらの体験をする中で、子どもたちは、自身が愛されている存在であること、自分が時分であって良いんだと自己を肯定する感情を獲得していくことができます。
         現象面を見ての非難・否定は簡単です。しかし、ただ「叱る」のではなく、注意し、しつけとして正しい価値観を伝える、という方向で関わって欲しいと思います。
         認めること、誉めること、意外と難しいものですが、小さなことから始めてみませんか?
         次回は「事務所引っ越し直前に思うこと」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        なぜ、うちの子がピラミッドの上でないのか?保護者とトラブル、訴えられたら…

        ■先生の訴訟費用保険加入が急増
         学校に対する保護者の理不尽な要求が問題となるなか、仕事に関するトラブルで訴えられた場合に弁護士費用などを補償する「訴訟費用保険」に加入する教職員が急増している。東京ではすでに公立校の教職員の3分の1を超す2万1800人が加入した。いつ保護者に訴訟を起こされるか分からないとおびえる教師たちの姿が浮かぶ。
         公務員の訴訟費用保険は、職務に関連した行為が原因で法的トラブルに巻き込まれた際、弁護士費用や損害賠償金などを補償する保険。東京では都福利厚生事業団が窓口となり平成12年から都職員の加入を募集。保険料は月700円だ。
         事業団によると、加入者は教職員が突出して多く、3月現在で全体の約7割を占める2万1800人。導入した12年当時は全体の2割の1300人だったが、口コミで急速に広まったようだという。同タイプの保険を扱う大手損害保険会社でも、個人で加入する教職員が全国的に目立っているという。
         ただ、実際に都内で同保険が適用され、弁護士費用などが支払われたケースは過去7年間で約50件といい、不安が先行している面もあるようだ。
         事業団の保険に加入している都内の公立中学の校長は「下校途中に車にいたずらして壊した生徒の親が、修理代などを学校側に求めてくるケースもある。どんなことで訴えられるか分からない」と話した。
        ■現場苦悩 弁護士と連携「相談窓口」
         教師の自宅に毎晩長時間の電話をかけるなど、理不尽な要求や無理難題を突き付ける保護者たち。対処に悩む教育現場では、弁護士の相談窓口を置いたり、対応マニュアル作りを進めるなどの動きが始まっている。
        ≪自宅にも電話≫
         大阪のある教師の自宅には、保護者から毎晩電話がかかり、その日の子供の活動を細かく報告させられたという。電話は半年間続き、1時間半に及んだことも。
         このほか、運動会の組み体操をめぐり「なぜうちの子がピラミッドの上でないのか」と抗議されたケース。離婚係争中の配偶者が子供と一緒に下校したことに腹を立て、学校の責任を追及されたケース。体育祭の音がうるさいと損害賠償を請求されたケースも。
         都内の小学校長によると対応した教員が体調を崩すこともあるという。
        ≪マニュアル≫
         東京都港区教委は今月、教育問題などに詳しい5人の弁護士と契約し、区立小・中・幼稚園でトラブルがあった場合に、校長らが法律上の問題などを相談できるようにした。
         保護者対応で学校と弁護士が連携する取り組みは全国的にも珍しく、区内の中学校長は「いざというときに外部に相談できる制度があるのは安心」と話す。
         大阪市教委は、保護者対応のマニュアル作りを進めている。市内で起きたトラブルをもとに、20件前後の事例について解決策などを示す方針で、「保護者の要求を無理難題とはねつけるのではなく、相互理解の上に円滑に対処するのが狙いです」と担当者は話す。
         福岡市教委は3年前から、保護者のクレームなどに応じる第三者機関「学校保護者相談室」を設置。校長OBらが電話相談に応じ、学校の負担軽減に取り組んでいる。
        ≪父親もクレーム≫
         なぜ最近、理不尽な要求が増えたのか。クレーム問題などを考察する「学校保護者関係研究会」のメンバーで、立川第一中学校(東京)の嶋崎政男校長は、「地域のつながりが薄れる中、子供を通じて接点のある学校が、もっとも苦情の言いやすい場所になっているのでは」と分析する。
         嶋崎校長によれば、最近は父親からのクレームも目立つという。中には「解決までの日数を明確にしろ」「数値目標を示せ」などと問いつめるケースも。
         嶋崎校長は「おそらく会社で同じことを言われているのだろう。ただ、保護者にも言い分はある。対立するのではなく、学校と保護者が信頼し合う環境づくりを、地域や教委が一体となって行うべきだ」と話している。
        (産経新聞)07/06/17 18:06
        【コメント】第三者による介入が不可欠なケースは少なくありません。学校は、「子どもが主人公」であることを、大人は忘れてはなりません。

        ●親拒んでも15歳未満輸血、信仰より救命優先…学会指針案
         信仰上の理由で輸血を拒否する「エホバの証人」信者への輸血について、日本輸血・細胞治療学会など関連5学会の合同委員会(座長=大戸斉・福島県立医大教授)は、15歳未満の患者に対しては、信者である親が拒否しても救命を優先して輸血を行うとする指針の素案をまとめた。
         「信教の自由」と「生命の尊重」のどちらを優先するかで悩む医療現場の要請に応えて検討を始め、「自己決定能力が未熟な15歳未満への輸血拒否は、親権の乱用に当たる」と判断した。
         合同委員会はこのほか、日本外科学会、日本小児科学会、日本麻酔科学会、日本産科婦人科学会の国内主要学会で組織。年内に共通指針としてまとめる。
        (読売新聞)6月24日3時11分配信
        【コメント】子ども自身の意志の確認ができるといいのでしょうが…。

        ●<教育実習費>学生が学校側に謝金 全国各地で慣例化
         大学生が教育実習をする際、受け入れ先の学校に1万~2万円程度支払う謝金(実習費)が全国各地で慣例化していることが、毎日新聞の全国調査で分かった。学生からの謝金を指導教諭に渡していることが明らかになったのは滋賀県教委や京都市教委、新潟県教委など。13道府県と4政令市の教育委員会が取り扱いをルール化せず、現場判断に任せていた。文部科学省は、不透明な金銭授受だとして謝金の排除を求めているが、徹底されていない実態が浮き彫りになった。
         調査は聞き取りで、47都道府県教委と17政令市教委が対象。その結果、「法的根拠がない金銭の授受にあたり公務上弊害がある」(東京都教委)などとして、27都県教委と10政令市教委が謝金を受け取らないよう指導したり、県内の公立高校の校長会が受け取らないよう申し合わせをしたりしていた。
         徳島県教委は、今回の毎日新聞調査を機に実態を調べ、学校間でばらつきがあるとして謝金を受け取らないよう通知。今年度受け取った学校には返金するよう求めた。
         また、教材のコピー代や消耗品の経費は実習生が負担すべきだとして、大阪や愛媛、福岡など7府県教委と仙台、京都、神戸の3市教委が実習期間に応じて1週間あたり3000~7200円の実習費徴収を要綱などで決めていた(愛媛は期間に関係なく定額9900円を徴収)。このうち京都市教委は、学生の指導教諭に報償費で金を渡しているという。
         一方、北海道や滋賀県、岡山県など他の道府県教委は「教育実習は大学と受け入れ先の問題」としてルール化せず、受け取りを各学校長の判断に任せている。学校に支払われた謝金を県や市の収入としていない教委も多く、教育現場で不透明な金銭のやりとりが続いているとみられる。指導教諭に渡すケースについては「給与の二重取り」との指摘も出ている。
         現場任せにしている道府県の多くは、受け取った謝金を消耗品の購入代などに充てているとしているが、新潟県教委は、教員が実習生を勤務時間外に指導した場合、校長の承認で手当にすることができるとしている。
         文科省は教育実習指導を教員の本来業務としており、コピー代などの実費相当額を会計規則などに基づいて徴収し、それ以外の金品の授受を教育現場から排除するよう求める文書を昨年8月、都道府県教委に出した。
        (毎日新聞)6月24日3時7分配信
        【コメント】公教育、義務教育課程で「謝金」の授受はあってはならないでしょう。

        ●年金保険料横領、社保庁が全国で実態調査
         年金保険料の一部を収納担当の職員が横領している事例があるとして、社会保険庁は全国の実態調査を始めた。保険料横領は発覚している分だけで2002年までに1億1000万円を超すと判明、未発覚のケースもあると見られる。社保庁は市区町村職員を調査する方針だが、同庁の地方出先機関も対象になる可能性がある。保険料横領は、払ったはずの保険料納付記録がなくなっている「消えた年金」などの一因とみられる。調査と情報公開を急ぐ必要がありそうだ。
         会計検査院の調査資料によると、1989―02年までの公的保険料の横領額は発覚した分だけで約1億1000万円。4年間にわたり加入者から受け取った保険料を国庫に納付せずに着服していたケース(東京・蒲田)、架空の被保険者記録を職員が作り自ら開設した金融機関口座に年金を振り込ませていたケース(愛知県・半田)など計7件。
        (日経新聞)07年6月24日
        【コメント】あり得ないσ(`´メ∂

        ●ヤンキー先生、義家氏が自民から、参院選比例区に出馬へ
         自民党は7月の参院選比例区に、政府の教育再生会議担当室長の義家弘介氏(36)の擁立を決めた。25日の同党選挙対策本部会議で正式決定する。義家氏は23日午前、広島市内で開かれた同党の中川秀直幹事長のパーティーで「参院選は教育再生の分け目の戦いとなる。すべては若者のために戦っていく」とあいさつ。その後、記者団に、参院選に立候補する意向を明らかにした。
         義家氏は「ヤンキー先生」として知名度も高く、安倍政権として教育問題を重視していることをアピールする狙いもある。
         義家氏は、暴力事件で高校を退学後、中退者や不登校の生徒を受け入れる高校に入学。大学卒業後、母校の高校で教師になった。その活動を描いた著書がテレビドラマ化されて反響を呼び、横浜市教育委員などもつとめた。
        (asahi.com)2007年06月23日13時23分
        【コメント】この人には「野」人であって欲しかった。

        ●京都八幡高内に特別支援学校建設 府教委基本設計 10年春に開校へ
        京都八幡高の南キャンパス内に新設する特別支援学校の基本設計のイメージパース
         京都府教委は20日、八幡・久御山地区に新設する特別支援学校の基本設計を発表した。今春、統合再編した京都八幡高の南キャンパス(旧南八幡高、八幡市内里柿谷)内に建設する。高校と同じ敷地内に、知的、肢体の障害、小中学部、高等部の子どもが通学する特別支援学校を併設するのは全国初といい、高校生と障害のある子どもたちが交流する場も設ける。
         特別支援学校の児童、生徒数は120人、施設規模は校舎と体育館を合わせ約1万1200平方メートル。南キャンパスの北側校舎を高等部の校舎に利用し、エレベーターと通学バスのターミナル、スロープを設ける。格技場は特別支援学校の体育館として使う。
         新設は、特別教室棟と小中学部棟、重度重複障害のある子どもたちが利用する教室の平屋棟。3階建ての特別教室棟は職業訓練教室や図書館、個別学習室を設ける。3階建ての小中学部棟は教室やプレールーム、ランチルームのほか3階に25メートルプールも作る。肢体不自由や自閉症の子どもが活用する温水水治訓練室も設置する。開校は2010年4月の予定。
         南キャンパスには人間環境科介護福祉コースの生徒が今春から通学しており、敷地内には交流広場も作る。府教委特別支援教育課は「障害のある児童や生徒と高校生が日常的な交流を通して自立し、社会参加する力を育てたい」としている。
        (京都新聞)6月20日21時29分配信

        心療内科から精神科への敷居。
        2007/06/10
        ここ数年のことでしょうか。「心療内科」の看板を掲げる病院、クリニックが増えています。総合病院はともかく、内科の診療所・クリニックが「心療内科」を付け加えるケースと、精神科の診療所・クリニックが「心療内科」を付け加えるケースが多いようです。身体の不調と精神のトラブルは密接に関係しているので、内科、精神科双方からその垣根を低くすることは必用だと思います。
         気になるのは、精神科受診が基本であるうつや神経症などの精神疾患やパーソナリティ障害などのを発症しているケースで、「とりあえず心療内科で…」と「心療内科」の看板のある内科医を受診する方が少なくないことです。
         「精神科」は、まだまだ日本では敷居が高いというか、門をくぐるのに勇気が必用な所であることは事実ですが、ここ数年で広まっている、「うつかなと思ったら早めに医療受診を…」、「こんな症状を感じたら、社会不安障害かも知れません」などの「心の病は専門家へ」というメディアによる誘導的社会風潮によって、「とりあえず心療内科で…」が起こっているものと思われます。
         抑うつ気分を感じたり、不登校・ひきこもりなどの状態像が見られるというだけで受診し、症状を訴えると、抗うつ剤や抗不安剤が処方されることが多いようです。不本意に受診をさせられた人は、処方薬を飲もうとしなかったり、医療への拒否感を強めることもあります。また、処方薬を服薬しても効果がないと感じると、別の病院へとドクターショッピングが始まることもあります。
         大切なのは、その症状が起こってきた心理社会的背景をできるだけ把握し、状態や症状に応じた薬物療法、ケースによって精神療法(カウンセリング)との併行治療を行える精神科医と出会うことです。日常生活に支障が出ている場合には、「とりあえず…」ではなく、まず精神科を受診すること、患者個人の問題に帰することなく、経緯や背景を丹念に読み解きながら状態を判断し、治療をすすめることが必用かと思います。
         次回は「中学校での不本意な体験」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        自殺者数、9年連続で3万人超え 警察庁まとめ/自殺、学生・生徒は最悪886人

         昨年1年間の自殺者数は3万2155人で、前年より1・2%減少したものの、9年連続で3万人を超えたことが7日、警察庁のまとめで分かった。統計を始めた昭和53年以降6番目に多い。特に学生・生徒らの自殺は同2・9%増の886人で、53年以降、最悪となった。
         年齢別では、前年比2・1%増となった「60歳以上」が1万1120人で全体の34・6%。以下、「50歳代」7246人(同22・5%)▽「40歳代」5008人(同15・6%)▽「30歳代」4497人(同14・0%)-の順。男女別では男性が約7割を占める状況は変わらないが、女性が9342人で前年より330人増加した。
         自殺した学生・生徒ら886人のうち、小学生は14人で前年の2倍。中学生も22・7%増の81人。高校生は220人、大学生は404人だった。
         原因・動機別にみると、「健康問題」が全体の半分近くの1万5402人で最も多く、2番目が「経済生活問題」。さらに、「家庭問題」「勤務問題」と続いた。
         自殺者全体の32・5%に当たる1万466人が遺書を残しており、いじめや成績などの「学校問題」を理由に書いた人は、前年より28・2%多い91人で、統計の残る平成10年以来最多。昨年のいじめ自殺の続発を裏付けている。遺書だけでなく、警察の調べで「学校問題」が原因と判断された自殺者は242人で、前年を9人上回った。
         厚生労働省は6日に昨年の自殺者が3万人を割ったと発表したが、警察庁は、検視などで事件性を調べて自殺と判明した事案を集計、外国人も含まれるため、厚労省の人口動態統計より毎年2000~3000人多い。
        (産経新聞)6月7日15時50分配信

        ●引きこもり支援施設の監禁死事件、元代表理事に2審も実刑
         名古屋市北区の引きこもり者更生支援NPO法人「アイ・メンタルスクール」(解散)で昨年4月、男性(当時26歳)を監禁、死亡させたとして、逮捕監禁致死罪に問われた元代表理事・杉浦昌子被告(50)の控訴審判決が8日、名古屋高裁であった。
         前原捷一郎裁判長は「引きこもりに悩む家族の思いにつけ込んだ悪質な犯行だが、反省も深めた」と述べ、懲役4年とした1審・名古屋地裁判決を破棄し、懲役3年6月の実刑を言い渡した。
         被告側が求めていた執行猶予は認めなかった。
         判決によると、杉浦被告は職員ら4人(いずれも有罪確定)と共謀し、昨年4月14日未明、東京都内の男性の両手足に手錠をかけて名古屋市内の寮まで運び、男性の腹部に鎖を巻き付けるなどして監禁し、暴行を加え、死亡させた。
        (読売新聞)6月8日20時51分配信

        ●体罰の「罪」/長崎
         先月29日の長崎地裁の401号法廷。長崎市の中学で喫煙を巡る指導中に校舎4階から飛び降り死亡した男子生徒の両親が、市に損害賠償を求めた訴訟で担任の30代男性教師が証人として出廷した。
         男子生徒は、たばこを持っていることが見つかり、放課後に担任の指導を受けることが決まった後、複数の友人に「殴られる」「パンチしたらかわす」「やばかったら飛び降りる」と話したという。このため、担任が過去に体罰をふるっていたことが、生徒を追い詰めた一因ではないかと両親側はみている。
         これに対し、市側は事件当日は体罰をふるっておらず、この訴訟は「体罰とは関係ない事案」と主張する。
         両親側によると、担任はしばしば体罰をふるっていたという。担任は「最後の手段として体罰に及ぶことがあった」と複数の生徒に対する体罰を認めた。
         生徒指導のためとはいえ、法的に禁止されている体罰を使うのはなぜか。気持ちを抑制できないからか。周囲にも容認する雰囲気があるからだろうか。
         傍聴席で双方のやり取りを聞きながら、自らの学校時代のことを振り返ってみた。
         小学校から高校まで何人もの熱心な教師に出会った。札幌市で小学3年から卒業まで担任だった新任の女性教師とは、放課後の運動場でバスケットボールで遊んだ。何より感謝しているのは、楽しく勉強するこつを教わったことだ。
         転校した東京の中学の野球部顧問の体育教師には、外野フライも満足に取れなかった私の長所を見いだしてもらい、試合で使ってもらった。大きな自信につながった。
         教師から殴られたことはなかった。優等生だったわけではない。他の生徒が体罰をふるわれる場面も記憶にない。それが普通の学校と思っていた。
         「熱心さの余り、手が出た」との言い訳を時々、聞くが、熱心さと体罰は別ものだ。今、教育環境の違いを感じている。土地柄なのか、時代なのか。
         長崎地裁には県内だけでなく関西や九州各県から約100人が集まり、傍聴席に座りきれないほどだった。中には教師の指導後に命を絶った小学生と高校生の母親たちもいた。
         教師の指導で傷ついている子供たちは予想以上に多い。中でも体罰を背負った指導は思いもよらぬ結果をもたらすことがある。体罰の「罪」は大人が考える以上に重い。
        〔長崎版〕
        (毎日新聞)2007年6月5日

        ●「いじめ許さん」全員に体罰 辞表の先生、保護者が慰留 京都
         体罰を加えたことをわびる教諭に、教諭の熱意を正面から受け止めた児童と保護者。京都府京丹後市の市立小学校で、「クラスメートへのからかいをやめなかった」とクラス全員に体罰をした男性教諭(28)が辞表を提出した。しかし、保護者のほぼ全員が辞職の撤回を求める署名を提出。思いとどまった教諭は謹慎処分が解けた8日、児童らと互いに謝罪し、きずなを深めたという。市教委は「近年、学校に理不尽な要求をする保護者が増える中、教諭の熱意が通じたのでは」としている。
         市教委などによると、教諭のクラスでは1人の男児の外見を一部児童がからかい、他の児童も黙認する状態だった。教諭は「(次にからかったら)みんなをたたいて教師を辞める」と注意したが、今月4日、再びからかいがあったため、「ここで放置すると、いじめに発展しかねない」と判断、からかわれた男児を除く全員のほおを平手打ちした。
         報告を受けた校長は同日夜、保護者らを集め、教諭とともに謝罪。3日間の自宅謹慎を命じられた教諭は辞表を出した。ところが、寛大な処分を求める署名運動が保護者の間で始まり、全校の児童191人の保護者ほぼ全員分の署名が学校に提出された。
         その後、教諭が二度と体罰をしない意思を示したため、校長は辞表を返却。謹慎処分が解けた8日、うつむいてわびる教諭に、児童たちも泣きながら「私たちが悪かった」と謝ったという。
         教諭は採用4年目で、同小には今年度着任。校長によると、熱心でまじめな人柄で、子供のころに外見を理由にした嫌がらせを受けた経験があったという。
         引野恒司・同市教育長は「学校に理不尽な要求をする保護者も少なくない風潮なのに、教諭の行為を熱意ととらえ、署名運動まで起きるとは驚いている」とした上で、「体罰の事実は事実なので、子供や保護者の心情を受け止めた上で適正に処分はする」としている。
        ◇河上亮一・日本教育大学院大学教授(教師論)の話 「教師として、職をかけてもやってはいけないことを示す覚悟も必要。児童や親にもその姿勢が伝わったのではないか。最近ではこういう先生はめずらしく、評価すべきだ」
        ◇森毅・京都大名誉教授の話 「熱心だから体罰が許されるという話ではない。教師が体罰をするなら辞めるしかないと思うし、保護者らはそれを非難するにしても支持するにしても、もう少し学校と冷静に付き合う手だてがあるのでは」
        (産経新聞)2007/06/09

        ●次期学習指導要領、見通し 道徳「教科書」見送り 中教審部会長
        ■週5日制は堅持
         中央教育審議会・初等中等教育分科会教育課程部会の梶田叡一部会長(兵庫教育大学長)は8日、次期学習指導要領について、(1)週5日制は堅持(2)道徳は正規教科とせず、教科書検定は行わない(3)国語や理数科目を重視する-などを柱とするとの見通しを語った。指導要領を協議する部会長が新要領について公に言及するのは初めてで、教育再生会議の第2次報告に盛り込まれた道徳の「教科書検定」を事実上否定した形となった。
         現行の指導要領は平成17年から見直しが行われているが、教育基本法や教育関連3法改正の審議、未履修への対応などで作業が遅れている。
         梶田部会長は東京都内の講演で、秋には中間まとめを出し、来年早々にも告示したいと述べた。
         主な内容は、週5日制を維持▽授業時数は週30時間(現行28時間)▽教科再編は行わない▽「総合的な学習の時間」は時数を削減▽中学校の選択授業は廃止-などとしている。再生会議の報告にあった土曜日授業については「朝令暮改はよくない。個人的には現行のように補習や行事を行うべきだ」と述べた。
         伊吹文明文部科学相も5日の会見で「土曜日は今でも活用しており、実現の仕方は文科省に任せてもらわなければならない」と、再生会議を牽制(けんせい)していた。
        (産経新聞)6月9日15時32分配信

        ●<児童ポルノ>「所持合法の日本、のんき」 被害相談増える
         ネット上にはんらんし続ける児童ポルノに、日本はどう対処すべきなのか。この問題を取り上げた連載「ネット君臨」には、罰則の強化を求める読者の声が多数寄せられている。【ネット社会取材班】
        ◇通報の7割、性的行為 ネット上有害情報 
         10代で知らない相手から性的暴行を受けたという30代の女性は「一生忘れられないし、20年たった今でも悪夢に悩まされる」という。「児童ポルノは持っているだけでも処罰すべきで(単純所持が合法の)日本が、いつまでものんきなことを言っていていいのか、と首をひねりたくなる」
         2児の母という兵庫県の女性(37)は「娘がいるので、人ごとではありません。厳罰に処してほしい。女性と子供が安全に暮らせる社会でなければ少子化は止まらない」と訴える。
         幼いころ性的被害を受けた女性も「当時は幸いにビデオや携帯電話がなかったが、今は映像に残され、さらに傷つけられてしまう。一生を台無しにされるかもしれないのに、刑罰の甘さにはあきれてしまう」と言う。
         ネット上の有害情報の通報を受け付ける「インターネット・ホットラインセンター」(東京都港区)によると、昨年6月の開設以来、児童ポルノと判断した通報は1042件。単なるヌードではなく、DVDを中心に性的行為が7割を占めるとされる。さらに掲示板などへの投稿は「小学生や幼児の画像にまで及んでいる」(同センター)という。
         警察庁によると、児童ポルノ禁止法違反での検挙は06年が616件で前年比31・1%増。うちインターネットを利用したものが250件で4割に上る。警察庁幹部は「画像の削除を民間団体と協力して行っているが、限界がある。警察だけに限らず、単純所持の禁止を求める声は大きくなっている」と語る。
         奈良県では奈良市で起きた小1女児誘拐殺害事件を機に05年7月、児童ポルノの単純所持を禁止する条例が施行された。
        ◇「麻薬と同様だ」
         「ポルノグラフィと性暴力」の著書がある中里見博・福島大准教授(憲法)の話 単純所持の禁止に対し、表現の自由やプライバシー侵害として反対する声はあるが、児童ポルノは麻薬と同様だと考えれば「所持の自由」が認められる領域ではない。国境を越えるネットで流通している以上、各国が協力して規制するしかない。捜査権乱用を懸念する声もあるが、迷惑メールに添付された画像を削除し忘れた人が裁かれるべきではない、というのは原則。運用のあり方は議論すべきだろうが、大きな萎縮(いしゅく)効果があるのは確かだ。
        ◇解説 「人権軽視国でいいのか」 
         米政府が児童ポルノをめぐり、画像の「単純所持」を処罰できるよう日本側に法改正を要請したことは、国際社会の動きを反映している。現状のままでは「子供の人権を軽視する国」という評価が定まりかねず、国会は本格的な論議を求められる。
         今年5月、主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)司法・内務相会合は児童ポルノ根絶に向け、国際協調を強めることを宣言した。背景には、インターネットの世界的な普及と技術の進歩がある。この問題に取り組むスウェーデンのシルビア王妃は毎日新聞の取材に「ビデオカメラで撮影し、ネットで簡単にばらまける時代になった」と指摘。ネット時代に合わせた法整備の必要性を強調した。
         スウェーデンでは今年予定される法律の見直しで、単純所持の処罰をさらに進め、児童ポルノを見る行為そのものを禁止することも検討されている。「ネットで見るだけでも性的刺激を受け、実際に子供を虐待する危険がある」という考え方が強いからだ。
         児童の性的虐待問題に取り組む国際NGO(非政府組織)「ECPAT」の05年の報告書によると、日本は誰でも簡単に無料でアクセスできる児童ポルノサイトの数が、世界で5番目に多い。海外からも見ることができるため、日本国内だけの問題にとどまらない。
         単純所持の禁止については「捜査権の乱用を生みかねない」などの指摘が国会の一部にあり、判断を先送りしてきた。しかし、それは法律そのものより、運用の仕方にかかっている。
         米国やスウェーデンでも捜査当局はその点に慎重を期しており、大きな問題にはなっていない。国境を越えて広がる児童の被害をどうくい止めるか。日本も国際社会に足並みをそろえる時期に来ている。【ネット社会取材班】
        (毎日新聞)6月10日3時14分配信

        ●フリースクール:発達障害児を対象 染原さん、私財投じ元旅館改装--宗像/福岡
        ◇個々に応じて学習指導 宗像に「YOYO学園」開校--県内初の民間
         注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)など発達障害の幼児と児童生徒を対象にしたフリースクール「YOYO(ようよう)学園」が宗像市神湊に開校した。理事長兼学園長の染原レイ子さん(55)が私財を投じて元旅館を購入し、一部改装した。同様の民間施設としては県内初で現在、小学生4人と幼児1人が入園している。
         学園は3185平方メートルの敷地に、鉄骨(一部木造)2階建て延べ1270平方メートル。海岸のそばで玄界灘が一望できる。学園名は「陽葉」「前途洋々」など太陽をいっぱい浴びた緑の葉っぱや子どもたちが伸び伸びと育ち、楽しく学べることをイメージした。
         染原さんは日本LD学会認定の特別支援教育士でもあり、博多区で学習支援教室「からーぼっくす」も経営。スタッフは幼稚園、小学校、養護などの各教諭免許や言語聴覚士、図書館司書の資格を持った常勤5人と英会話や日本舞踊などを指導する非常勤5人。
         定員は幼稚部=10~20人▽小学1~3年=10~15人▽同4~6年=10~20人▽中学生=5~15人▽ショートクラスA(1回1時間半、4~15歳)=1週間に18人程度▽同B(1回1時間、3歳児)=8組程度の親子。
         入園時に面談や検査で子どもたちの言語能力や理解力などを的確につかみ、個々人に応じた学習指導プログラムを設定する。LDの治療法の一つで、トランポリンやシーソーなどを使って、いろいろな感覚を養う「感覚統合運動」や言葉指導を通して発達を促す。
         染原さんは97年、小学校教頭を最後に退職。次男(21)が小学6年の時にLDと診断され「母親としての責任を痛感した」と言う。染原さんは「子どもは育つ時に育てておかないといけないことが分かった。学びやすい環境で伸び伸びと成長した時に能力が開花する。これがすべての自信につながる」と話す。
         問い合わせはYOYO学園0940・62・0044。
        (毎日新聞)6月6日13時1分配信

        ●発達障害児:自己表現に理解を 学校職員らが研修会--草津/滋賀
         発達障害児の支援のための研修会が8日、草津市西渋川の発達障害支援センターで開かれ、県立小児保健医療センター児童精神科医の華園力(つとむ)さん(49)が保育園や小中学校の職員ら約80人に講演した。
         発達障害は、学習面や行動面で遅れが見られたり、周囲と円滑にコミュニケーションが取れず、いじめや不登校につながるケースもある。
         華園さんは「児童の状態を把握し、記録することが重要」「正常になることが最終的なゴールではない。(児童が)社会の中で安心して快適に自己実現が図れることがゴールになる」と訴えた。
         保育園に勤める林田和美さん(24)は「本人の立場になって、子どもを尊重してあげることが大切だと思った」と話していた。
        (毎日新聞)6月9日16時1分配信

        ●何でこうなの?:教育委員会の「?」を探る/3 調査機関/千葉
        ◇迅速な事実解明を--「第三者」に望む被害者ら
         いじめや体罰、わいせつ行為など、学校内で起きる問題は後を絶たない。しかし、こうした問題は学校側にとっては不都合で、隠ぺいの恐れもぬぐいきれない。全国のいじめやわいせつ被害者の会などは、問題を調査する第三者機関の設置を求めて文部科学省などに申し入れをしている。第三者機関が学校内を調査するようになる可能性はあるのだろうか。
         昨年10月にいすみ市の中学校で発覚した、男性教諭(39)が生徒に暴言をあびせるなど不適切な言動を繰り返していた問題では、マスコミの報道によって、初めて学校側が調査に乗り出した。自主的に事態を明らかにして解決を図ろうという姿勢はなかった。
         こうした態度に対して、文部科学省児童生徒課は「学校が誠意を持って対応し、調査するのが基本」と説明する。一方で、「各教育委員会に『こうしなさい』と言う権限は(文科省は)持っていない」とし、第三者機関の設置には消極的だ。
         県教育委員会教職員課も「『第三者は調査できない』という法律はないが、どんな問題でも第三者が入ればいいか、と言えばそうとも言えない」と同様の態度を示す。
         学校と児童・生徒側の間に入り、事実関係を明らかにする活動をしているNPO「千葉こどもサポートネット」の米田修副理事長は「子供が被害を受けたらすぐ訴えられるシステムを作らなくては、構造的な解決にならない」と話す。
         既に取り組みを始めた自治体もある。兵庫県川西市は、全国で初めて、子供の人権救済・調査機関を作った。同市子どもの人権オンブズパーソン事務局によると、この制度は、児童虐待などが専門の大学教授や弁護士など、非常勤のオンブズパーソン3人(2年任期)を市長が任命。常勤の相談員4人、専門員6人が加わり、学校などに調査に入っている。
         学校外の問題もカバーできるよう、市長の付属機関であるのが特徴で、条例が定める調査権限に基づき事実関係を明らかにし、勧告することができる。学校を通してリーフレットやカードで子供たちにPRしており、昨年は延べ603件の相談があったという。
         自殺や校内事故で子供を亡くした親による「全国学校事故・事件を語る会」(兵庫県)の内海千春代表理事は、第三者機関設置の重要性を認めながらも「川西市は例外的にうまく機能した」とし、「自治体によっては、機関が逆に世論の沈静化に利用され、事実が隠ぺいされる場合があるのではないか」と指摘する。
         内海代表理事は「第三者機関の設置を含め、事実解明をどのようにして図るかといった指針を国が早急に定めるべきだ」と話している。
        (毎日新聞)6月7日12時1分配信
        中学校での不本意な体験。
        2007/06/07
         中学校。イメージといて浮かんでくるのは、不登校、いじめ、暴力行為、学級崩壊、受験競争、思春期葛藤、抑うつ、自傷行為や摂食障害の始まり…、となぜか否定的なものばかりになってしまいます。
         中学時代は、本来、身体も精神も、子どもから大人へと急進的に成長する思春期と重なり、自分探しをたっぷりとしながら、自身とのその人生に向き合っていく、人生においてとても大切な成長過程です。
         しかしながら、高度経済成長期から今日に至るまで、中学校で子どもたちが体験することの中で、不本意で、嫌悪的、否定的、時に恐怖をともなう体験が少なくないのが実情のようです。
         思春期の心性は、確かにわかりにくいものです。それは自己の内部での精神の揺らぎであるからでしょう。そんな不安定な精神状態において、不本意な体験、例えばいじめや暴力、学級崩壊、点数や偏差値だけによる「学力」評価、教師やクラスメイトからの誤解や悪意ある待遇を体験すると、多くの子どもたちはそれらを、社会的な関係性を見ることなく、「自己問題化」してしまう傾向に陥ってしまいます。
         不登校も、イジメも、非行など様々な問題事象も、子ども個人の問題で生じることはまずありません。成育過程における周囲の環境や時々の人間関係、社会的要因の不本意さを、子どもたちが自らの行動において表現してくれている、ととらえるべきではないでしょうか。
         中学校での不本意な体験は、傷つきも大きく、人生にも影響を与えるほど大きな否定的体験となることが多く、自己評価をさげてしまいます。それに拍車をかけるのが、現代の風潮である「自己責任論」です。これらがからみあって、子どもたちの葛藤は深まり、歪み、出口を見えなくさせていっています。こんな中では、安心感と「人への信頼」の回復への援助が、不可欠な処方となります。
         次回は「愛されることと自己肯定感情」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <学校法律相談>教員支援の弁護士配置 東京・港区

         東京都港区は今月から、区立の幼稚園、小中学校に対する保護者や住民からのクレームやトラブルの解決法を教員に助言する専門弁護士を配置した。文部科学省は「学校トラブル専門の法律相談は聞いたことがない」といい、同区教委は「今は苦情も複雑多様で現場は頭を抱えている。弁護士配置は全国でも初の試みで、教員にはクレーム対応よりも教育にしっかりと時間を取らせたい」と話している。
         学校には、両親の離婚相談や同級生の親同士のけんかの仲裁、「チャイムがうるさい。慰謝料を払え」といった住民の苦情など、多様なトラブルが寄せられる。対応を誤って事態を悪化させることもあり、法律的見地から教育現場の専門アドバイザーとして、弁護士の相談窓口設置を決めた。
         区内5カ所の総合支所ごとに1人ずつ担当弁護士を決め、管内の区立校からの相談に随時応じる。担当は、保護者からの相談を受けた経験もある教育問題に詳しい弁護士が選ばれた。
         相談内容には、給食費を滞納する家庭への集金の注意事項までも想定。区教委は「専門相談を有効に使い、円満解決してほしい」としている。
        (毎日新聞)6月12日8時37分配信

        ●「いのちの電話」相談員6年で11%減、自殺予防に影響も
         自殺者が9年連続で3万人を超え、自殺予防が大きな課題となる中、全国49か所に開設された「いのちの電話」の相談員が、現在の開設数になった6年前に比べ、計約900人減少し、ほとんどの電話相談センターで「相談員不足」を訴えていることが、「日本いのちの電話連盟」(東京)と読売新聞の調査でわかった。
         相談員の高齢化が背景にあるとみられ、中には受付時間を短縮したり、電話回線を減らしたりするケースもあった。行政の支援不足を指摘するセンターも約8割に上り、ボランティアで運営する「最後のセーフティーネット」の苦境が浮き彫りになった。
         同連盟によると、センター数が現在の49か所になった2001年に全国で7933人いた相談員は、年々減少し、今年は7074人になった。この6年で11%減少したことになる。
        (読売新聞)6月13日9時9分配信

        ●クラスター爆弾規制を容認、高不発率弾は禁止…政府方針
         政府は15日、クラスター(集束)爆弾を規制する新たな条約制定に向け、ジュネーブで19日から始まる特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の政府専門家会合への対処方針を固めた。
         クラスター爆弾の即時撤廃と全面禁止に反対した上で、〈1〉人口密集地での使用を禁止する〈2〉不発弾率の高いものは禁止する〈3〉不発となった子爆弾が爆発しない機能があるものは認める――など、日本として受け入れ可能な規制を目指す。
         空中で分解して多数の子爆弾を広範囲に拡散させるクラスター爆弾は、不発の子爆弾による一般市民の被害が問題視されているが、4種類のクラスター爆弾を保有する日本は、規制に慎重な姿勢を示してきた。
        (読売新聞)6月16日3時12分配信

        ●<年金問題>社会保険庁長官、業務庁舎視察ゼロ 現場知らず
         自民党の年金問題緊急調査対応委員会は15日、社会保険庁の社会保険業務センター高井戸、三鷹両庁舎(いずれも東京都)への視察結果をまとめた報告書を作成した。基礎年金番号導入直後の97年2月~03年9月の6年半、歴代社保庁長官が、一度も両庁舎を視察していないことが判明、給付漏れについて「幹部が現場をきちんと掌握していないことに、問題が引き起こされた要因が大いにある」などと結論づけた。
         歴代長官らの責任を検証する、総務省の年金記録問題検証委員会の議論にも影響を与えそうだ。
         三鷹庁舎は、厚生年金約1億6000万件分、国民年金約1億4000万件分のデータなどを管理。高井戸庁舎には、年金給付システムが配備され、年金受給者3000万人の年金額を決定している。ともに公的年金の心臓部だ。報告書は▽コスト意識の欠落▽業務効率も極めて悪い――などとも指摘し、「今回の問題は起こるべくして起きた」としている。
        (毎日新聞)6月16日3時3分配信

        ●不登校やひきこもり支援 県立大に拠点設置 学生や教授が運営関与 9月めどに福岡県
         県は、不登校やひきこもりの傾向がある小中学生と高校生の支援事業に乗り出す。本年度当初予算案に約1100万円を計上し、9月をめどに県立大(田川市伊田)に「不登校・ひきこもりサポートセンター」を設置。悩んでいる子どもや保護者への対応や、学校への指導などを総合的に取り組む。
         県学事課によると、1年間に30日以上欠席している児童生徒は県内に約8000人(2005年度末)。発達障害や家庭での虐待が背景にあるケースもあり、対応が難しくなってきているという。
         同センターには臨床心理士ら2人が常駐し、同大人間社会学部と看護学部の教授らも運営にかかわる。
         具体的活動としては、研修を受けた同大の学生が「メンタルフレンド」として家庭訪問し、子どもの悩みを聞く。フリースクールに対しては教授らを派遣して、個別に助言。学校へのサポートとしては、指導法をまとめたマニュアルを作成して、県内の全小中学校に配布する予定だ。対応に悩んでいる保護者からの相談も受け付ける。
         同大の門田光司教授(学校ソーシャルワーク)は「不登校やひきこもりは、原因が多様化している現代では個人の問題というより社会的な課題。大学を中心にサポート環境を広げていきたい」と話している。
        (西日本新聞)6月15日10時7分配信

        ●脳科学予算、年700億円に=倍増、異例の目標提言-文科省報告書
         認知症の予防・治療法開発や子供の発達障害の原因解明などに役立つ脳科学の政府年間予算を、現在の約300億円から700億円程度に引き上げるべきだと提言する報告書を、文部科学省の懇談会(座長・金沢一郎日本学術会議会長)がまとめた。14日開かれた科学技術・学術審議会のライフサイエンス(生命科学)委員会で報告された。
         特定の研究分野で年間予算目標を設定するのは異例。同省は同審議会に脳科学委員会を新設するとともに、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)や理化学研究所脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)などの拠点を強化する方針。
        (時事通信)6月14日17時2分配信

        « 「【この頃思うこと】カンナの引っ越しが決
        カンナの引っ越しが決まりました。
        2007/06/03
        4月22日付で相談室カンナの事務所移転予定をお伝えしました。
         予定通り、7月上旬に引っ越しすることになります。
         住所等はまだ公表を控えさせていただきますが、現在、改装工事に入っています。築30数年の鉄筋3階建て、部屋数の多い物件です。電気配線等が古い上に、後から電話やテレビやインターホーン等を付け足しているため、配線工事そのものをやりかえることになりました。壁、クロス、襖、畳等の張り替えはもちろん、和室を洋室に変える工事など、かなり大がかりな改装工事となっています。
         カンナの事務所は、和室を洋室仕様に変え、押し入れを撤去して拡張。現在の面談室と事務室を足したくらいの広さになります。面談スタイルも、テーブルセットをはさんでの近距離での対面スタイルから、クライエントさんにはソファーに座っていただき、私が対面のデスクで応対するという適度な距離感のあるスタイルに変わります。
         引っ越し日や新しい電話番号が確定した後、できるだけ早くお知らせしたいと思います。
         次回は「心療内科から精神科への敷居」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        ネット依存 増える小中生 居場所は「秘密基地」

         インターネットの中に、「居場所」を求める子どもが増えている。うるさい親もいなければ、厳しい校則もない。パソコンのスイッチを入れるだけで、気の合う仲間と話せる“秘密基地”が現れ、住む地域も世代も超えた相手とも知り合える。だが今、友達の実名を書いて立ち直れなくなるまで非難したり、大人も目を覆いたくなるほど過激な性の話題が行き交うケースが増えている。“仮想世界の遊び場”の光と影を探った。
         広島県尾道市に住む中学1年の「jun」(12)。小学6年の時に会員制サイト・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を開設した。陸上部に所属し、よく日に焼けているが、口数は少なく、控えめな印象の少年だ。
         午後6時過ぎ、部活動を終えて帰宅すると、大学勤めの父親(46)の書斎に入って、パソコンのスイッチを入れる。パスワードを入れると、自分で描いた似顔絵と「職業:中学生」「好きなマンガ:こちら葛飾区亀有公園前派出所」などが管理人のプロフィルとして紹介される。会員は10~46歳の約20人。全員のホームページ(HP)を次々に開く。「ぼくも温泉大好きです!」。大分県の30代の会員男性の日記にコメントを書き込んだ。
         近所に住む友人ら4人の他は、ゲーム関連のサイトなどで仲良くなった「信頼できる」大人たちを会員として招いた。「さまざまな人とつながりたい」と開設したサイトで、「自分の世界が広がった気がした」と笑顔を見せる。
        ◇アクセス殺到、学校裏サイト
         「絢です。小6です H大好きです! 誰か犯してくれませんか☆」
         インターネットで見つけたサイトの一つに、小学生が書いたとは思えない言葉がいくつも目に飛び込んできた。
         「学校裏サイト」と呼ばれる掲示板の書き込みの一部。学校の公式ページとは異なり、子供たちが、自分たちだけのために立ち上げたものだ。
         部活動の連絡や定期試験の情報交換などに活用される場合もある。しかし、仮名で書き込めるため、わいせつ画像が横行することも珍しくない。自分の裸の写真を公開する女子中学生すらいる。また「言い争い」がいったん始まると、陰湿な書き込みの応酬が続く。
         子供たちのネット事情に詳しい群馬大社会情報学部大学院の下田博次教授によると、学校裏サイトは現在、少なくとも1万5000件ある。「大人が発信する有害情報の被害者になる子供たちが有害情報の発信者にもなっている」と下田教授。
         今年4月には、女子中学生への実名の中傷を放置した名誉棄損ほう助の疑いで、学校裏サイトを管理していた大阪市内の会社役員(26)が大阪府警に書類送検された。書き込んだのは、小学校時代の塾仲間の少女(13)。名誉棄損の非行事実で少女は児童相談所に通告された。
         裏サイトに使われるのは、無料のレンタル掲示板。画面に出会い系サイトや子供用の下着販売の広告が載るのも珍しくはない。
         掲示板を運営する業者は別のサイトで掲示板の書き込み数の多い順にランキングして紹介。子供たちは、他校の裏サイトに負けまいと競って書き込みをするため、アクセス数が増え、業者に入る広告料も自然と上がる。
         「子供たちが悪質な業者に操られている。ネットを見る子供を持つすべての親は『まさか、うちの子に限って……』という甘い考えを捨てるべきだ」。下田教授はそう警告する。
         ◇親子で利用ルール確立を
         子どもたちを有害サイトから守るにはどうしたらよいか--。NPOやパソコンメーカーは小中学校に出向き、安全なネット利用法を子どもや親、教師などに紹介するなど対策に力を注いでいる。
         横浜市のNPO「情報セキュリティフォーラム」は年間10回前後、主に教師向けにネットの安全利用法を講義する場を設けている。メンバーの寺田慶治さん(51)は「都市部より地方に住んでいる子どもの方が、ネットにはまりやすい」と指摘する。小中高校生が集まる掲示板を開くと、地方の学校名が目立つ。市街地にゲームセンターや大きな商業施設など遊び場が少ない地方都市の子どもは、ネットでつながりを求める気持ちが強いのかもしれない、と寺田さんは分析する。
         IT関連企業「ネットスター」(東京都)は昨年12月、小中学生のネット利用者約480人を対象に実態調査を実施。利用環境を尋ねたところ「保護者の目の届かないところでネットを利用している」との答えが8割に上ったという。携帯電話からのアクセスが多い、子どもの実態を反映しているとみられる。
         「ネットは、子どもたちにとって秘密基地みたいなもの」と寺田さんは言う。「『あれはだめ』『これはだめ』と禁止するだけでは、有害サイトへの免疫も作れない。パソコンが苦手な親も、できるだけ子どもに話しかけ、一緒にネット上の歩き方を見極めてほしい」と親の見守り方の重要さを説く。
         また、02年から子ども向けに「ネット安全教室」を開催するなど、業界内で早くから対策を講じてきたNEC(東京都)社会貢献室の山辺清和さんも「子どもをネットの世界に1人で置くのは危険。親子で話し合いながら利用する際のルールを作ることから始めてほしい」と呼びかける。
        (毎日新聞)5月27日17時11分配信

        ●<医師人口比>日本、20年に最下位へ OECD30カ国中
         人口1000人当たりの日本の医師数が、2020年には経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中最下位に転落する恐れがあることが、近藤克則・日本福祉大教授(社会疫学)の試算で分かった。より下位の韓国など3カ国の増加率が日本を大きく上回るためだ。日本各地で深刻化する医師不足について、国は「医師の地域偏在が原因で、全体としては足りている」との姿勢だが、国際水準から懸け離れた医師数の少なさが浮かんだ。
         OECDによると、診療に従事する03年の日本の医師数(診療医師数)は人口1000人あたり2人。OECD平均の2.9人に遠く及ばず、加盟国中27位の少なさで、▽韓国1.6人▽メキシコ1.5人▽トルコ1.4人――の3カ国を上回っているにすぎない。
         一方、診療医師数の年平均増加率(90~03年)はメキシコ3.2%、トルコ3.5%、韓国は5.5%に達する。日本は1.26%と大幅に低く、OECD各国中でも最低レベルにとどまる。各国とも医療の高度化や高齢化に対応して医師数を伸ばしているが、日本は「医師が過剰になる」として、養成数を抑制する政策を続けているためだ。
         近藤教授は、現状の増加率が続くと仮定し、人口1000人あたりの診療医師数の変化を試算した。09年に韓国に抜かれ、19年にメキシコ、20年にはトルコにも抜かれるとの結果になった。30年には韓国6.79人、メキシコ3.51人、トルコ3.54人になるが、日本は2.80人で、20年以上たっても現在のOECD平均にすら届かない。
         近藤教授は「OECDは『医療費を低く抑えると、医療の質の低下を招き、人材確保も困難になる』と指摘している。政府は医療費を抑えるため、医師数を抑え続けてきたが、もう限界だ。少ない医師数でやれるというなら、根拠や戦略を示すべきだ」と批判している。
        (毎日新聞)5月28日3時7分配信

        ●<国民生活調査>世帯所得は10年間で最低 母子家庭も増加
         母子家庭が全国で78万8000世帯に上り、平均世帯人数は過去最少の2.65人になっていることが、厚生労働省が実施した06年の国民生活基礎調査で分かった。調査では、1世帯当たりの05年の平均所得は過去10年で最低の約564万円、家計が「苦しい」と答えた世帯も6割近くに上ることも判明。世帯の小規模化が進み、苦しい生活実態が浮き彫りになった。
         調査は86年から実施。今回は、昨年6~7月、全国約4万6800世帯から世帯構成を、約6200世帯からは所得について聞き取り、その結果を推計した。
         それによると、世帯総数は前年より49万多い4753万で、20年前と比べ1.3倍に増加。このうち4分の1以上の1204万世帯が単身で、20年間で1.8倍になった。母子世帯は前年より約10万増え、初めて70万を超えた。01年からの5年間で1.3倍に増えた計算だ。反対に3世代同居は全体の10分の1以下、過去最少の432万世帯になった。65歳以上の高齢者だけか、高齢者と18歳未満しかいない家庭は、前年から11万増えて846万世帯だった。
         世帯当たりの05年の平均所得は前年より2.9%下がり、563万8000円。ピークだった94年の85%に下がった。家計が「苦しい」と答えた世帯の割合は、前年より0.1ポイント上がり過去最高の56.3%に達した。
        (毎日新聞)5月30日20時5分配信

        ●児童虐待:相談1087件、過去最多 前年度比46%増--06年度県受理/兵庫
        ◇「実の親から」86%
         県は30日、明石、西宮、姫路、豊岡の県内4カ所にあるこども家庭センターが06年度に受理した児童虐待の相談件数が過去最多の1087件(前年度比46%増)に上ったと発表した。身体的な虐待を加えるケースが半数近くを占め、主な虐待者の86%が実の父母だった。件数の増加について県児童課は「児童虐待への認識が県民に浸透してきたことが大きな要因ではないか」と分析している。
         同課によると、虐待の種別では、「身体的虐待」が483件で最も多く、世話を怠る「ネグレクト」が362件だった。ののしったり、おびえさせたりする「心理的虐待」が192件、「性的虐待」は50件だった。
         虐待者のトップは実母の643件、実父は297件で、実父母で86%を占めた。実父以外の父が81件で続いた。虐待を受けた子どもの80%(868件)が小学生以下で、うち就学前の子どもが約半数(444件)を占めた。
         虐待の相談件数は統計を取り始めた90年度は27件だったが、03年度には1000件を突破している。
        ◇神戸市も最多の282件
         一方、神戸市が管轄する市こども家庭センター(神戸市中央区)のまとめでも、06年度の児童虐待相談の総件数は282件(前年度比30%増)と過去最多となった。
         虐待の種別では、「ネグレクト」が138件と前年度(56件)に比べ2・5倍に急増した。同センターは「行為そのものを虐待と認識していない人が多いのではないか」としている。
         また、虐待者別では実父母が253件と3年連続で9割を占め、うち実母が8割近い213件にのぼった。同センターは「父親の育児参加が少なく母親にストレスがたまり、虐待につながっているのではないか」と分析している。
        (毎日新聞)5月31日18時0分配信

        ●教育再生会議 第2次報告決定 学力向上へ土曜授業可能
         政府の教育再生会議(野依良治座長)は1日、安倍晋三首相も出席して総会を開き、第2次報告を正式に決定した。緊急性の高い「4つの対応」として、平成19年度中に学習指導要領を改定し「徳育」を教科化することや、学力向上を目指し授業時間の10%増を図り、土曜日の授業も行えるようにすることを打ち出した。政府は2次報告を「骨太の方針」に反映させる。
         「4つの対応」はほかに、めりはりのある教員給与体系を実現し、大学の4月入学原則を弾力化して全国立大学に9月入学枠を設定するという内容。20年4月をめどに教員給与特別措置法を、また19年度中に学校教育法施行規則をそれぞれ改正するよう求めている。
         現在の「道徳の時間」を大幅に見直し指導内容、教材を充実させる「徳育」に関しては、従来の教科とは異なる「新たな枠組み」に基づき教科と位置付け、「多様な教科書と副教材を機能に応じて使う」よう求めた。数値による成績の評価や教員に対する専門免許の創設は見送った。
         第1次報告で提言されていた授業時間を10%増やすための具体策としては、夏休みの短縮と活用、1日7時間の授業などを列挙。教育委員会や学校の裁量で、必要に応じ土曜日にも授業を行えるようにするとしている。
         12月に予定される第三次報告に向けた検討課題については、(1)学校や教委の第三者評価制度(2)現行の「6・3・3・4」制のあり方(3)小学校での英語教育のあり方(4)行政が配布した利用券を使い、生徒が自ら選んだ学校に通う教育バウチャー制度-などを挙げた。
         一部から反発を受けた「親学」の提言は、最終的に見送った。
        (産経新聞)6月2日8時1分配信

        ●県人権救済条例:「子ども」テーマに、見直す検討委 関係者ら招く/鳥取
         県人権救済条例を見直す13回目の検討委員会が31日、県庁で開かれ「子ども」をテーマに、虐待や不登校児童の支援団体、PTA関係者らを招き聞き取りを行った。次回は6月28日で、8月の完成をめどに答申案を作成する。
         関係者からは、人権侵害例として、子ども間のいじめや虐待、教師の体罰などが挙げられ「子どもたちが相談できる仕組みを」と、学校と家庭以外の第三者機関の必要性が訴えられた。
         委員からは「学校は人権尊重の意識に欠ける」と指摘があった一方で、いじめなどの人間関係にかかわる問題に、第三者が踏み込むことへ、慎重意見が出されていた。
         鳥取大副学長の永山正男会長は「解決には子どもへの理解と高い専門性が必要。本格的、政策的に取り組まなければならない」と話し、条例における救済の限界を述べた。
        (毎日新聞)6月1日18時1分配信

        ●教育相談全般を一括受け付け 高島市教委、対応室を設置
         高島市教委は本年度から、教育全般に関する相談に一括して対応する「教育相談・課題対応室」を設置した。子どもや保護者のほか、教職員や学校管理職からの相談も受け付けるのが特徴という。
         対応室は滋賀県高島市安曇川支所にある市教委事務局内の1室を活用。今年3月まで高島市・湖西中校長だった小林忠伸室長(60)をはじめ、スクールカウンセラーの経験のある相談員が常時3人態勢で、来訪や電話による相談を受ける。
         いじめや不登校、進路、交友関係などの悩みや意見に対し、担当課の垣根を越えて受け付けるのが狙い。秘密は守り、内容によっては県の専門機関を紹介したり、学校と協力して解決にあたる。
         また教職員や学校管理職、一般市民からの相談も受け付ける。4月には約10件の相談があったが、中にはPTAの組織運営についてのものもあったという。
         小林室長は「わたし自身、学校運営でだれか別の専門家の意見を聞きたいと思ったことがある。気軽に相談してほしい」と話している。
         月曜から金曜の午前8時半から午後5時まで、無料で受け付ける。相談はTEL0740(32)4406へ。
        (京都新聞)5月29日11時37分配信

        ●<災害共済給付金>学校外での生徒自殺に「見舞金」ばらつき
         独立行政法人「日本スポーツ振興センター」が、自殺した生徒の遺族に見舞金を支給する際、学校外での自殺については、給付の運用にばらつきがあることが分かった。申請前に遺族が学校側から「学校外なので支払えない」と説明されたり、制度が説明されないケースがある。あいまいな運用に遺族から批判の声が上がっている。
        (毎日新聞)6月3日10時25分配信

        ●いじめ対策:心の教育が何より重要 パンフを改訂、教職員や保護者に配布/徳島
        ◇昨年の調査で深刻な実態判明--徳島市教委青少年育成補導センター
         徳島市教委青少年育成補導センターは、いじめ問題の対策をまとめたパンフレット「いじめをなくすために」(教職員用)、「『いじめ』をなくす家庭の手引き」(保護者用)を全面的に改訂した。昨年実施したいじめの調査で、児童・生徒の3人に1人が「いじめを受けたことがある」と答える深刻な実態が明らかになったのを受けて。市立の幼稚園、小中学校の全教職員(1500部)、全保護者(2万3000部)に配布する。【深尾昭寛】
         いじめによる児童・生徒の自殺が全国的に相次いだことから、同市教委は昨年12月、「いじめ問題対策チーム」を設置。小学4~6年生の6831人と中学生6476人、それぞれの保護者を対象に、無記名で調査を行った。
         その結果、「いじめを受けたことがあるか」という質問に、各学年の31・9~42・8%の生徒が「ある」と回答。また、「ある」と答えた生徒への「いじめは解決したか」という質問では、小学生26・8%、中学生18・4%が「今も続いている」と回答した。
         一方で、「子どもがいじめを受けたことがある」と答えた保護者は各学年ともおおむね25%前後にとどまった。児童・生徒と保護者の間で、認識に開きがあることもわかった。
         他にも調査結果からは、▽いじめを誰にも相談していない▽電話相談やカウンセラーなど相談機関の利用率が低い――などの傾向が明らかになった。
         市教委はこの結果を受け、改訂作業に着手。教職員用のパンフ(A4判、21ページ)では、「いじめはどの子どもにも、どの学校にも起こりうる」という認識に立ち、学級担任、学年主任、校長・教頭などの役割分担を明確化するよう求めた。
         市教委では「いじめは存在するという基本姿勢に立ち返り、人権意識の育成など心の教育を充実させることが何より重要。学校が中核となり、家庭・地域・関係機関などと手を携え、一体となって取り組みたい」と話している。
        (毎日新聞)5月31日13時6分配信

        ●東海市民病院:小児科に発達障害児専用の分室 あすから診療、個別指導開始/愛知
        ◇家庭、学校訪問も
         東海市民病院(東海市中ノ池、千木良晴ひこ院長)の小児科に、発達障害児専用の分室が完成、6月1日から診療や個別指導を始める。発達障害の診療や個別指導には、専門医師や医療保育士、臨床心理士などのスタッフが必要で、知多半島の公立病院では、あいち小児保健医療総合センター(大府市)を除き、初めての開設という。
         同病院は、小児科、外科、整形外科など14科あり、ベッド数は199床。外来は1日平均約500人が訪れる。発達障害は、自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などで、最近マスコミなどでも取り上げられ注目されている。同院でも、05年度に心理発達外来が開設されたが、初年度は118人、06年度は333人と増加傾向にある。しかし、これまでは子供の個別指導まではできず、話を聞くのが精いっぱいだった。
         分室は病院の敷地内に、約3432万円をかけ、軽量鉄骨平屋建て延べ約126平方メートルの専用棟を建設した。診察室のほか、観察室からガラス窓越しに子供の動きが見られるテスト室、自立課題やグループ学習、調理などができる指導ルーム、スタッフルームなどがある。同院小児科の早川星朗医師(39)と医療保育士、言語聴覚士、臨床心理士の4人でチームを作り、子供一人一人の特性や現在の水準に合わせ、診断やコミュニケーション、生活スキルなどの指導をする。
         また、スタッフが子供たちの通う幼稚園・保育園や小中学校へ出かけ、訪問指導したり、保護者勉強会なども行う。早川医師は「専門医やスタッフが少ないが、家庭や学校を直接訪問したりして、より適切な診断をしたい」と話している。
         診療は初診、再診とも完全予約制。現在すでに初診で、1年半の待機者が出ているという。問い合わせは同病院(電話0562・33・5500)。
        (毎日新聞)5月31日12時1分配信
        発達障害の重複への気づきを。
        2007/05/27
        日本で、学校において、通常学級に在籍する「問題な子」の増加(?)として注目され、LD(学習障害)やAD/HD(注意欠陥多動性障害)という診断名が流通するようになって10年近くになるのでしょうか。4、5年前からは、この2つの障害に加えて、広汎性発達障害(高機能自閉症やアスペルガー障害など)の診断がすすんできました。
         文部科学省は、これらの障害を知的には問題のない「軽度発達障害」という新しい「障害」名をつけて、全国に6.3%いる、と調査結果を発表するに至ります。そして、今年4月より、「特別支援教育」なるものがスタートしたところです。
         これら、「発達障害」に対しての理解はまだまだ進んでいるとはとても言えませんが、学校現場では「特別支援教育」のスタートとともに、「そういう障害がある」という理解は広まっているところかと思います。
         ここで気になるのは、LD、AD/HD、広汎性発達障害と3つのグループがある、という理解が進んでしまっていることです。というのは、それぞれの障害が、単独で存在しているケースは意外と少なく、複合しているケースがかなりあることが知られていないということです。広汎性発達障害がベースにありながらも、表面的にLDやAD/HAの症状が目に付き、単独の診断が降りているケースが多々見られます。精神科においてのLD、AD/HDの診断や学校現場での認知が、広汎性発達障害のそれよりも早くから進んでいたことがその理由と考えられます。
         LD、AD/HDと診断を受けているお子さんの中で、人とうまくコミュニケーションがとれなかったり、友だちができない、家では一人でずっと部屋に居続けるなど、対人相互関係に困難さがみられる場合には、広汎性発達障害がベースにあり、複合発症している場合がある、という理解を広める必要性があると思います。「リタリンを処方されて飲んでいるが、パニックが治まらない」といったケースなどは、わかりやすいケースですから、広汎性発達障害の診断ができる医師を再受診されることを考えられた方がいいかと思います。
         次回は「カンナの引っ越しが決まりました」について述べてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        改正少年法が成立、小学5年でも少年院送致の可能性

         刑事責任を問われない14歳未満の「触法少年」が起こした事件について、警察に強制調査権を与えたうえ、おおむね12歳以上であれば少年院送致も可能にする改正少年法・少年院法が25日、参院本会議で可決、成立した。
         「おおむね」は「前後1年以内」とされ、今後は小学5年生でも少年院に送致される可能性が出てきたため、法務省は小学生を想定した少年院の矯正教育プログラムを導入する方針を固めた。
         従来、触法少年が起こした事件では、警察の調査に強制力がなかったが、改正法は、捜索・押収などの権限を警察に与えた。また、処遇する場所は、これまで家庭的な教育環境で「育て直し」を行う児童自立支援施設などに限られてきたが、規律重視の集団生活を送る少年院にも送致できるようになる。
        (読売新聞)5月25日14時43分配信

        ●進路変更や意欲低下、私大中退5万5000人…全国初調査
         全国の私立大学で1年間に中途退学した学生は約5万5000人にのぼることが、文部科学省の外郭団体の調査で分かった。
         私立大の中退者数の実態が明らかになったのは初めて。大学全入時代を迎え、各大学による学生の獲得競争が激しくなっているが、学生がキャンパスを去らないような入学後の支援策も課題となりそうだ。
         私立大の中退者の動向に関心が高まっていることから、「日本私立学校振興・共済事業団私学経営相談センター」が、昨年実施した2005年度「学校法人基礎調査」に中退に関する項目を加え、回答をまとめた。
         大学院大学などを除く、ほぼすべての私立大550校の中退者は5万5497人。在籍した学生約193万人の2・9%にあたり、国立大の中退率1・6%(内田千代子・茨城大准教授調べ、04年度)を上回った。
        (読売新聞)5月20日10時59分配信

        ●年金支給漏れ、社保庁に調査義務…与党が法案に盛り込みへ
         社会保険庁が管理する年金保険料の納付記録のうち約5000万件が該当者不明となっている問題で、政府は23日、現在の年金受給者約3000万人を対象に、該当するものがあるかどうか調査する方針を固めた。
         与党は、年金支給漏れの被害者救済のための議員立法「時効年金救済法案(仮称)」の中に、調査を義務づける規定を盛り込む。安倍首相は25日の衆院厚生労働委員会で、支給漏れ対策への協力を表明する見通しだ。
         与党が法案に調査規定を盛り込むのは、ずさんな対応を繰り返している社会保険庁が確実に調査を行うよう義務づける狙いがある。
         約5000万件の記録は社保庁が管理するコンピューターに保存されている。調査は、受給者の「氏名」「生年月日」「性別」などの情報で記録を検索し、該当者かどうか特定する。記録が受給者と結びつけば、受け取る年金額が少なくなる「支給漏れ」の救済につながる。
        (読売新聞)5月24日3時8分配信

        ●障害者の在宅就労、県内のIT企業に広がり
         障害者の経済的自立を目指し、パソコンを使って在宅で働く動きが徐々に進んでいる。松本市のNPO法人「SOHO未来塾」の支援で、ライブドア(LD)が県内の障害者6人を正社員に雇用。企業側にも障害者雇用率の向上など利点があり、他の情報技術(IT)系企業も関心を寄せている。一方、より高度な業務を担うための技術向上や、働き手と企業をどう引き合わせるかといった課題も浮上している。
         LDは今年1月、同塾で講習などを受けた2人を正社員に採用した。昨年5月にも4人を採用している。6人は1日8時間、同社が管理・運営するサイト上に誤字脱字がないか、リンク先が正しいかなどを自宅でチェックし、本社にメールで報告する仕事をしている。
         ほかに、同塾への委託で8人が1日4時間を基本にアルバイトで働く。
         2002年に活動を始めた塾はウェブサイトの製作なども行うが、「民間業者との競合で厳しく、受注はなかなか難しい状況」(青木敏理事)だった。唐沢正明理事長(松本市)が05年6月、新たな事業展開を求め、都内の同社も含めIT系企業を訪ね業務委託を打診。サイトの閲覧数増加に伴い目視の担当者が必要になっていたLD側は同年8月から試験的にチェックを委託した。
         昨年5月に正社員となった塩尻市の渡辺勉さん(40)は、自動車の電装部品修理などの会社で働いていた。筋ジストロフィーの進行で10年ほど前に退職し、2年前からは車いすの生活だ。その中での雇用で「在宅で収入が得られる」と歓迎。バイトの統合失調症の男性は「体調の波に合わせて働ける」と喜ぶ。
         一方、LD側も「企業の社会的責任としても、通勤費が要らないコスト面でも利点がある」とする。重度障害者2人を含む県内6人を採用後の4月時点の障害者雇用率は2・89%で、法定基準(1・8%)を超えている。
         LDは、ヤフーや楽天など複数のIT系企業に取り組みを紹介。そのうちの1社、ネット広告代理業のサイバーエージェントは、人数は未公表だが、この4月に在宅で働く障害者を採用したといい、今後も雇用を拡大するか検討するという。
         LDが正社員に雇用した障害者の年収は、高い人で240万円程度。未来塾の唐沢理事長は「経済的に自立し、若い人が結婚などの夢を持てる金額」と評価するが、同社編成部サポートグループの高橋誠マネージャーは「軽作業をお願いしている段階」と、能力次第でさらに年収アップも可能との考えを示している。
         こうした企業側の動きに対応するため、未来塾は今月、障害者の在宅就労を狙ったパソコンの基礎知識を学ぶ講習会を長野市内で初めて開催。今後は応用的な内容の講習も行う方針だ。青木理事は「グレードアップした仕事を、逆に企業に提案していけるようになれれば」と話している。
        (信濃毎日新聞)5月23日(水)

        ●介護保険改革 『障害者』との統合を
         介護保険制度の被保険者(保険料負担者)と受給者の範囲の拡大について、厚生労働省の有識者会議の意見が割れた。財源問題を正面から議論せずには前へ進まないことを厚労省は認識すべきだ。
         有識者会議の中間報告は、介護保険制度の被保険者と、介護サービスを受ける受給者の範囲について「将来の拡大を視野に入れ、その見直しを検討すべきだ」という点では一致した。だが、具体的な拡大範囲では二案に分かれた。
         二〇〇四年から始まった介護保険は、被保険者は四十歳以上、受給者は原則六十五歳以上となっている。
         一つの案は、高齢や老化に起因する疾病を対象とした現行制度の基本的な仕組みを維持したうえ、被保険者と受給者の年齢を「三十歳以上」に引き下げる。
         別の案は、年齢制限を撤廃するとともに受給者を高齢、障害など「要介護状態」になった理由を問わずに広げ、介護保険と障害者福祉政策を統合し「普遍化」を目指す。
         介護保険論議が始まった十年前と比べ高齢化は進行し、若い世代の高齢者への理解が以前よりも深まったことや、被保険者と受給者の範囲を一致させるべきとの保険原理に立てば年齢引き下げは理解を得やすい。
         意見が対立するのは「普遍化」だ。「社会連帯」の立場からの賛成に対し、反対意見は医療保険料に上乗せして保険料を徴収する現行方式では、負担増を嫌う若い世代の未納・滞納が増える恐れや、若年者は要介護状態になる確率が低いから障害者福祉を保険で賄うことへの抵抗感があることなどを挙げている。
         厚労省のいうように「普遍化」は、介護保険創設時から目指していた理念だが、今回「普遍化」が浮上した背景には、要介護高齢者の増加のほか、障害者福祉政策の財源の不足を捻出(ねんしゅつ)しようとの狙いがある。
         障害者福祉政策では財源確保の見通しの甘さが指摘されてきたが、財政の辻褄(つじつま)合わせを優先させ「はじめに普遍化ありき」で進めようとするから障害者団体も「個々人によって異なる障害者福祉の多様性が損なわれかねない」と懸念するのだ。
         厚労省がまずすべきことは、高齢者介護、障害者福祉のそれぞれの過去の財政検証、将来見通しを正直に示すことである。
         そのうえで障害を特別視するのではなく「社会連帯」の立場から国民共通の課題ととらえ、できるところから介護保険との統合を目指すべきである。
         社会保障は、保険原理とともに所得の社会的再分配で成り立つ。この原則を忘れないようにしたい。
        (東京新聞)2007年5月23日

        ●<いじめ判決>統合失調症に、元同級生らに賠償命令
         広島市立中学校に通っていた当時、同級生4人から暴行などのいじめを受け、統合失調症になったとして、鳥取県内の男性(19)と両親が、4人とその親、同市、広島県に対して計約2600万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決が24日、広島地裁(能勢顕男裁判長)であった。能勢裁判長は「いじめは長期間にわたり執拗(しつよう)にほぼ毎日行われ、原告の自尊心を大きく傷つけ、多大な精神的打撃を与えた」などとして、元同級生と市、県に計約830万円の支払いを命じた。
         判決によると、01年5月~02年6月、男性は同級生だった男子生徒4人から、教室前の廊下や職員室近くなどで、首を絞められたり、けられるなどの暴行を受けた。また、万引きをそそのかされ、恐怖心から万引きをしたところ、教室の黒板に「万引き少年」と書かれるなどした。男性は02年6月から不登校になり、同11月、統合失調症と診断された。
         男性は、同中教諭はいじめを防ぐ義務があったのに、しなかったとして、雇用した同市と給与を支払う県も訴えていた。
         男性の両親は「息子はいじめについてなかなか親に言えなかった。学校は気付いたら報告してほしかった」と話した。
         広島市教委は「今後の対応は協議のうえ検討したい」との談話を出した。
        (毎日新聞)05月24日20時11分

        ●道徳教育が不徹底、再生会議が「検定教科書」提言へ
         政府の教育再生会議は25日、現在、小中学校で正式な教科でない「道徳の時間」を、「徳育」として「特別な教科」に位置づけ、国の検定教科書の使用を求める提言を打ち出すことで大筋一致した。
         現状では、学校現場で道徳教育の徹底が十分でないとして、検定教科書の使用による充実が必要だと判断した。6月1日に安倍首相に提出する予定の第2次報告に盛り込む方向だ。
         小中学校での道徳教育について、現行の学習指導要領は、週1時間程度の正規教科でない「道徳の時間」を設け、「思いやりの心を持つ」「生命を大切にする」といった教育を目指してきた。
         しかし、再生会議では、指導要領が定めた授業内容を評価しつつも、「指導に熱心でない教員がいたり、教材も不十分で子供に伝わっていない」(小野元之・元文部科学次官)などの意見が多数を占める。このため、道徳教育を正式な教科とすることを検討してきた。
        (読売新聞)5月25日14時43分配信

        ●教師の事務、外部委託 再生会議2次報告案、教育専念へ負担軽減
         政府の教育再生会議(野依良治座長)は第2次報告案に、教師の事務作業の外部委託や報告書類の簡素化を盛り込むことが26日、分かった。教師の負担を軽減し、学習指導や生活指導など「本来業務」に専念してもらうのが狙い。
         第2次報告案では、授業時間10%増加のため土曜授業の実施や長期休暇の短縮▽「モンスターペアレント」(問題保護者)への対応策として「学校問題解決支援チーム」の設置-などが盛り込まれる。
         こうした提言には教師の負担増が予測される。このため「子供の教育に専念できるよう」に、教師の多忙化の一因となっている事務書類の作成を外部に委託したり、学校事務の共同化、文部科学省や教育委員会などへ提出する書類を簡素化するなど負担軽減をセットにして提言する。
         また、教育現場のIT(情報技術)環境を整備したり、校内LAN(構内情報通信網)を充実させるよう提言し、授業準備などが容易にできるようにする。
         文部科学省が行った昨年7~12月の公立学校教員の勤務実態調査では、残業時間は小学校が月平均約33時間、中学校は約44時間に達している。また、約7割が「授業の準備時間が足りない」としており、特に授業以外の仕事が増えたことを指摘する声が強くなっている。
         一方、家庭教育に踏み込むとして批判があった「親学」「子育て提言」については触れず、「親の学びと子育てを応援する社会」の形成を求めるにとどまった。
         第2次報告は6月1日に提出される予定。
        (産経新聞)5月27日8時0分配信

        ●不登校、出社拒否…心癒やして 自立支援学校 秋吉台に開設 技術学び社会参加へ
         引きこもりや不登校、出社拒否に悩む人たちの自立を支援する施設「自分のための学校 秋吉台」が25日、山口県美東町の町立観光施設・秋吉台リフレッシュパーク内に開設された。秋吉台国定公園の豊かな自然の中で心身を癒やし、本当にしたいことを見つけて技術や知識を身に付けてもらうことで社会参加を後押しする。
         施設は、特定非営利活動法人(NPO法人)の「山口カウンセリング協会」(園田俊司理事長、同県宇部市)が運営。対象は就学や就労への思いはあっても動けない状態の人で、年齢制限はない。カウンセラーによる相談・指導から、生活に必要な知識習得の手助けに加え、社会復帰後のサポートまで一体的に支えていく。
         教室は同パークの研修棟で、心理カウンセラーらが常駐する。“生徒”の希望に合わせ、建築士、税理士、調理師、パソコンインストラクター、画家ら多彩な分野の専門家を講師に招請。社会や仕事への関心を持ってもらい、学習の手助けも行う。生徒寮は、同町の農業体験施設を活用。“卒業”は、自立のめどがついた段階で、本人との話し合いで決める。
         当面の募集定員は40人前後。入学金30万円のほか、学費や寮費・食費などで毎月10万円が必要。園田理事長は「自分のやりたいこと、できることを見つけ、自立を目指してほしい」と話す。問い合わせは、山口カウンセリング協会=0836(58)6443。
        (西日本新聞)5月26日10時8分配信

        ●下関の女子中生自殺:両親に法務局説明 「調査内容も知りたい」/山口
         下関市立川中中で05年、3年生の安部直美さん(当時15歳)が自殺した問題で、安部さんの両親は25日、直美さんへのいじめを人権侵害と認定して学校と市教委に対策を要請した山口地方法務局から説明を受けた。ただ、人権侵害と判断した理由や調査内容は明かされないまま。父慶光さん(50)は「(説明を聞きたいという)希望をきいてくれたことは良かったが、調査内容についても知らせてほしかった」と希望した。
         要請措置が報道された翌23日、慶光さんは法務局下関支局に説明を求めた。その場では「対応できない」と断られたが、夜になって山口地方法務局から「後日、説明する」と連絡を受けた。
         法務局の説明を前に取材に応じた慶光さんは「法務局がいじめを認めたということは(遺族にとっても)意味がある」と胸の内を明かした。ただ、何も知らされていなかったことはショックで、「いつ、どんな調査で何が分かったのか。娘のことは全部知りたい。何らかの形で知らせてほしい」と訴えた。
         また、調査対象に遺族が含まれていなかったため「学校と教育委員会だけが当事者なのか。除外されたような感じがして本当にきつい」。こうした思いを味わうのは初めてではない。学校や市教委が学校事故報告書を作る時も、有識者を交えて市教委が開いた生徒指導推進協議会でも、発言の機会はなかった。
         慶光さんは25日、聞き取り調査の方法や内容などについても質問したが、期待していた返答はなかったという。同法務局は「両親と話したことは事実だが、内容については言えない」としている。
        (毎日新聞)5月26日16時1分配信
        大型クレーンが6機。
        2007/05/20
        パソコンの突然の故障で久々の更新となります。ちょっと古いニュースも紹介することになりますので、ご了解をm(__)m。
         現在の相談室カンナの事務所は、京都市の中心部を東西に走る五条通(国道9号線)添いにあるマンションの9階で、北向きの部屋です。ここからは、市内北部が見渡せるわけですが、今見える限りで、高層の建築物を造るための大型クレーンが6機確認できます。このマンションのすぐ南側でも、マンション建設工事が進められています。
         2年と少し前に借りた当初には見られなかった光景です。商業施設の建設も進んでいますが、10階建てを越えるものはほとんどがマンションのようです。
         昨年には、このマンションのすぐ隣にもライオンズマンションが建ちました。入居受付すぐに全居入居となったようです。建てれば売れる、という状況と思われます。大手の不動産業者や建設業者は景気を取り戻しつつある、というところなのでしょうか。
         気になるのは、中小の建設業者とそこに働く労働者の雇用の状態と、新たに住宅をローンで購入された人たちのこれからの経済生活です。
         住宅ローンに車のローン、そして子どもの教育費…。今、正規雇用で働いておられる方の生活も、自転車操業のところがほとんどと言えるのではないでしょうか。一方で「ネットカフェ難民」の広がりにも見られる非正規の不安定雇用や失業状態にある方の多さは、まさに日本で進行している「格差社会」を如実に明らかにしています。
         市街を見渡せば目に入る大型クレーンは、その象徴と思えます。
         次回は「発達障害の重複への気づきを」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        過労自殺 労災認定57%増、過去最多の66人 06年度

        長時間労働や仕事のストレスなど過労が原因の自殺(未遂を含む)で06年度に労災認定を受けた人が前年度比57.1%増と急増し、過去最多の66人に上ることが16日、厚生労働省のまとめで分かった。うつ病など精神疾患が認定された人も前年度比61.4%増の205人で過去最多。働き方の見直しが言われる中、労働者を取り巻く長時間労働が一向に改善されない状況が改めて浮き彫りになった。
         同省によると、過労自殺が認定された66人では50代が21人で最多、30代が19人、40代12人。
         うつ病など精神疾患の認定を受けた205人の内訳は30代が83人と際だって多く、次いで20代が38人、40代36人、50代33人。20、30代で約6割を占めた。職種は▽専門技術職60人▽事務職34人▽技能職33人--など。請求数の819人も過去最多だった。
         過労で脳出血や心筋梗塞(こうそく)などを発症した「脳、心疾患」の認定者355人(うち死亡147人)も過去最多だった。50代が最多の141人、次いで40代104人、30代64人。ここでも30代が目立って増えた。職種では運輸・通信職が最も多かった。残業時間では月80~100時間未満が最多の116人。100~120時間未満は101人で、前年度より大幅に増えており、長時間労働がより過酷になっていることが分かった。
         厚労省は「ノルマ達成など過大な仕事を求められる厳しい労働環境が、長時間労働につながっているのでは」と分析している。
         労働相談などを実施している日本労働弁護団の事務局次長、棗(なつめ)一郎弁護士は「若年労働者から、うつ病など心の問題の相談が増えている。今回の結果には、それが反映されている。長時間労働やリストラなどで雇用不安のストレスが高まっている。長時間労働の削減や安定雇用対策に取り組まない限り、過労労災を減らすことはできない」と話している。
        (毎日新聞)5月17日8時56分配信

        ●「ネットカフェ難民」広がる 7割の店に「長期・常連」
         2、3年前から暮らしている、仕事が忙しすぎて帰宅できない――。インターネットカフェや漫画喫茶に寝泊まりする「ネットカフェ難民」の実態を知ろうと、各地の労働組合や民間団体が全国規模で聞き取り調査をし、27日に結果を公表した。調査した34店舗の4分の3に長期滞在者がいて、「難民」の広がりと深刻な実態が浮き彫りになった。
         調査は宮城、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、奈良、大阪、兵庫、福岡の10都府県で今月実施。ネットカフェの店員に質問したり、利用者に年齢や泊まる頻度、理由などを尋ねたりした。
         その結果、利用者84人が質問に答え、兵庫をのぞく9都府県の26店舗に「宿泊常連・長期滞在者」がいた。
         利用者からは「2年間ネットカフェ。深夜のアルバイトをしているが、仕事が不安定でアパートを借りようと思えない。夕方から働き、朝6時にネットカフェに帰る」(東京都・20代男性)、「家がない。正社員になれず、職を転々として当座のお金を稼いでいる」(愛知県・40代男性)、「3年前から夫の暴力を苦にネットカフェ暮らし。パートなどで月収9万円」(東京都・30代女性)などの声があった。
         「飲食店の正社員。家に帰ると寝る時間がなくなるので週6日はネットカフェに泊まり、日曜日だけ家に帰る」(東京都・20代男性)など、厳しい長時間労働が背景にある事例も複数あった。
         調査をまとめた首都圏青年ユニオンは「若者の貧困が予想以上に広がっており、仕事と生活の困難さの縮図になっている」と、行政や政治による対応を訴えた。
         厚生労働省も「ネットカフェ難民」に注目し、今年度中に働き方などの実態調査をする。今後の若年雇用対策につなげるため、ネットカフェで暮らす若者から直接話を聞くことも検討している。
         業界団体の日本複合カフェ協会によると、ネットカフェや漫画喫茶は05年時点で全国に約2740店。
        (asahi.com)2007年04月28日

        ●<国民健康・栄養調査>一人で朝食…中学生の4人に1人
         中学生の4人に1人が朝食を一人で取るなど、4割以上の子供の朝食に大人が一緒にいないことが、厚生労働省が16日公表した国民健康・栄養調査で明らかになった。肥満でもやせ過ぎでもない「普通」の体形の小中学生が減っていることも分かり、同省は「食事など生活習慣の乱れが一因にある」とみている。
         調査は05年11月に3588世帯に実施。朝食は9割以上の小中学生が毎日取っていたが、子供だけで食べている割合は、小学校低学年41%▽同高学年40%▽中学生43%で前回調査(93年)より1~14ポイント上昇した。初めて調査した「一人で食べる」割合は、低学年14%▽高学年12%▽中学生25%だった。夕食を午後7時以降に取る子供は46%で、前回調査より10ポイント高かった。
         子供の体形は「普通」が男女とも57%(前回60%)で、「肥満」「やせ過ぎ」の傾向がそれぞれ2割前後に上る。特に男子中学生は「普通」が半数以下の48%(同58%)で、3人に1人が「やせぎみ・やせ過ぎ」と判定された。運動の量は総じて増えていることから、厚労省は「体形のばらつきは食生活の影響が大きいのでは」と分析する。
         成人の体形は、中高年男性の肥満傾向がさらに強まり、40~60代の肥満率は3割を超えている。生活習慣病の危険性が高いとされるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の疑いが強い人とその予備軍は、昨年調査と同様に中高年男性の2人に1人、女性の5人に1人、全国で約1900万人と推計された。この傾向は、06年調査の速報値でも、ほぼ同じという。
        5月16日20時10分配信毎日新聞

        ●対応29医療機関を公表 京都府 高次脳機能障害を支援へ 
         外傷や病気で言語や記憶などに障害が出る「高次脳機能障害」患者を支援するため、京都府は16日、診断やリハビリなどの対応ができる医療機関リストをホームページ(HP)などで初めて公表した。同障害は支援や理解が遅れており、「どの病院で診てもらえるか分からない」という関係者の強い声に応えた。
         府は昨年夏から、リハビリ施設を持つ37医療機関で対応状況を調査した。リストでは、患者を受け入れられる29医療機関の名前や住所を掲載。7つの症状別や入通院別に、対応が可能かどうか記している。
         28医療機関は読み書きなどができない「失語症」や、物の形などが分からない「失認症」に対応可能とした。逆に、少しの困難で興奮したり感情的になる「社会的行動障害」に対応可能なのは8医療機関しかなかった。
         また、病院によって対応する診療科が、脳神経内科やリハビリテーション科など異なっていた。子どもへの対応ができなかったり、予約が必要な病院もあった。
         府は同日からホームページでリストの公表を始めた。保健所などでも見ることができる。さらに府は本年度中に、府立医大リハビリテーション支援センターに専門の相談支援員を配置する予定。府は「リストの活用で病院が探しやすくなると思う。ただ、高次脳機能障害は未知の分野が多く、病院の対応にも差がある。研修などで対応できる病院を増やしたい」(障害者支援室)としている。
        (京都新聞)2007年5月17日(木)

        ●ニート、京都府内で8300人 支援施設に不安や悩み…続々
         就学せず働いてもいないなど、ニートと呼ばれる若者が京都府内で約8300人、京都市内で5300人に達することが14日までに、国勢調査の基本調査で分かった。京都市はこれまで実態調査をしていないが、こうした若者を支援しようと昨年10月に開設した京都若者サポートステーション(中京区)には半年間で863件もの相談が寄せられており、深刻な実態の一端が明らかになっている。
         2005年の国勢調査によると、15歳から34歳で、厚生労働省がニートと定義する求職活動をせず家事も通学もしていない無業者は、市内で5333人で、うち30代は1630人を占めた。
         一方、サポートステーションを運営する市ユースサービス協会は「相談件数は予想以上の多さだが、氷山の一角。仕事に就くことへの不安や人間関係の困難さから、社会に一歩を踏み出せない若者が京都でも多い」とみている。
         サポートステーションは国のモデル事業で、15歳から34歳で、アルバイトも続かないなどの無業の状態にある若者の職業的自立支援が目的。無料の窓口相談などを実施している。協会によると、昨年10月から今年3月末で、相談は本人から583件、家族から243件。事態が深刻で臨床心理士らによる専門相談に至ったケースが273件だった。就労につながったのは7人だった。
         本人からの相談では「何をしてよいか分からない」「過去の人付き合いのトラブルや病のために、働くこと自体が不安」「しんどさを親に理解してもらえず、いつも仕事をしろとかき立てられる」といった声があった。また不登校から30代まで働く機会がなかった人、引きこもり、家庭内の虐待で本人が押しつぶされている例など、深刻なケースもあった。保護者らからは「子どもにどう声をかけてよいのか分からない」などの悩みが寄せられている。
         厚労省は2004年の労働経済白書で、ニート層が全国で約52万人と推計している。
        5月15日9時7分配信京都新聞

        ●いじめ相談電話 開設半年で229件(青森)
         県教委の「いじめ相談電話24」が十一月十四日に開設されて半年が過ぎた。六カ月間に受けた相談件数は二百二十九件で、二月に受け付けが二十四時間体制になってからは相談件数が増え、中でも直接本人からの電話が多くなっている。内容では、いじめに関する相談のほか、友人関係や部活動などについての悩みなども寄せられており、県教委は引き続き「独りで悩まず、ぜひ電話してほしい」と呼び掛けている。
         相談件数は、十一月の開設後、十二月、一月と減少したが、二十四時間体制となった二月に五十一件と急増。その後も三月が四十件、四月が四十一件と推移している。五月(十四日現在)は十七件。
         相談は、平日午前八時半から午後五時半の間は県教委義務教育課で受け付け、時間外は相談員の携帯電話への転送で応対している。時間外に受け付けた件数は、二月が三十一件と全体の六割を占めたほか、三月が十五件、四月が二十三件、五月は十一件に上っている。
         また、相談者は開設当初、保護者ら関係者からの電話が約八割を占めていたが、一月から本人の電話の割合が増え、三月以降はコンスタントに、六-七割が本人からとなっている。
         相談者別の件数は本人百五件、保護者百三件、祖父母など身内十五件、その他六件となっている。
         相談内容別では、いじめに関するものが百二十件、友人に関すること十二件、部活動に関すること七件、不登校と進路に関することがそれぞれ五件など。そのほか、子育てや親子関係、病気や非行などについての相談や意見、提言などもあった。いじめに関しては、ひやかしやからかい、悪口など、言葉によるものが多いという。
         県教委義務教育課は、三月まで八人だった相談員の体制を四月から九人、五月から十人と増強して対応に当たっている。
         相談電話の番号は017-734-9188。
        (東奧日報)2007年5月16日(水)

        ●「たったひとつの命だから」 つなげる思い 収録本に反響 筑後市の市民グループ出版
         「たったひとつの命だから」。1人の少女が書いたこの言葉から、感動の輪が広がっている。福岡県筑後市の市民グループが、この言葉に続くメッセージを広く募集し、朗読会を開催。地元FMラジオ番組で紹介されると、小学生から高齢者まで、幅広い世代から命の叫びが寄せられた。さらに、メッセージを収録した本が先月出版され、全国で反響を呼んでいる。
         ●久留米で20日記念の朗読会 「生きて」願う
         同グループは主婦らでつくる「ワンライフプロジェクト」。代表の童涼景(どうりょうけい)さん(49)は一昨年、重い病気のために利き腕の右腕が不自由になった関東に住む中学生の少女と、知人を通して知り合った。少女が左手でしたためた手紙の文末に書かれていた「たったひとつの命だから」との言葉に、心が強く揺さぶられた。
         「命が粗末にされる事件が多い中で、命を考えるきっかけにしたい」。童さんは、この言葉をつないで、多くの人と思いを共有しようと、友人の主婦や地元の高校生にも呼び掛け、続く言葉を募集した。
         子どもを自殺で亡くし「(息子が)どれだけもがいていたかを想像すると眠れません」という女性は、残された家族の優しさに触れ「たったひとつの命だから みんな生きて 私も生きたい」と言葉を紡いだ。
         体が動かなくなる重い病気を、多くの人の助けを受けて克服したという女性は「たったひとつの命だから、すべての人や物事に感謝し、幸せをわけてあげたい」とつづった。
         寄せられたメッセージは、地元での朗読会やFMなどで紹介され、多くの人の涙を誘った。また64本のメッセージを収録した本が発売されると、石川県の女性から「涙が出ました。朗読会を開きたい」という連絡があり、その後、地元のイベントでメッセージの一部が紹介されたという。
         童さんは「命に対する真剣な思いがさらに多くの人に広がり、生きることに悩み、疲れている人への支えにつながればうれしい」と話している。
         ワンライフプロジェクトは20日午後一時半から、福岡県久留米市諏訪野町のえーるピア久留米で、出版記念朗読会を開く。入場料は大人1000円、高校生以下は500円。問い合わせは同プロジェクト事務局の冨田さん=0942(53)2844。本は地湧(ぢゆう)社刊。1000円(税別)。同社=03(3258)1251。
        (西日本新聞)5月17日17時7分配信

        パソコンが帰ってきた(*^^)v。
        2007/05/17
        更新ができずに、すみませんでした。パソコンを修理に出していました。
         あれは、5月6日の朝。いつものようにiMAC-G5を起動し、メールチェック、ブラウザでニュースなどを見ていた時、突然に画面が…。とてもサイケデリックな色で崩れ始め、縦縞も現れ、ポインタが動かなくなりフリーズ。再起動をすると、起動中にフリーズ。お手上げになりました。
         すぐに購入したジョーシンさんへ修理へ運びました。Apple社へ送ることになるため「2~3週間はかかる」と言われ、愕然…。「どうか、基盤の損傷でありますように…」と祈りながら、ジョーシンさんを後にしました。
         昨日、ジョーシンさんから電話があり、「Appleから帰ってきました」とのことで、夜に引き取りに行きました。修理内容は、基盤と電源部分の交換。「やったー\(^O^)/。HDはさわっていない!!」。さらに嬉しいことには、「5年間ロングラン補償」に入っていたため、修理代は0円でした。起動してみると、環境設定はいくぶん変わっていましたが、データやアプリケーションはそのままで、ひとまず安心しました。
         そんな訳で、10日あまりパソコンのない「パソコン難民生活」を体験しました。机の上には10日分のパソコン処理仕事が山積み状態です。しかし、パソコンのない日々は思いっきり暇してました。実務・事務仕事、何もできないんですから…(T_T)。
         20日から「つぶやき」の更新を再開します。

        10年ぶりのキャンプ。
        2007/04/30
        4月上旬のことです。久しぶりに2日間の休みが取れたので、思い切って10年ぶりにキャンプに行ってきました。キャンプは、趣味の一つでしたが、長男の死後封印し、10年が経っています。
         キャンプ地は琵琶湖畔。10年前はバイクで、長男を後部座席に乗せ、前後にテントやマット、キャンプ用品、食料品などを満載して行っていたものでした。
         ですから、テントもマット寝袋も10年ぶりに陽の光を浴びることになりました。今回は車で、です。
         無事テントも張れ、一息、コーヒーを入れ…。本を読み。ゆっくりと時間が流れました。
         夕方となり、焼き肉用に炭に火を付け、具材をそろえて、ビールをちびりちびり…。この頃、空が曇り始め、ぽつりぽつりと雨が…。
         にわか雨とふんで、焼き肉を決行。独り淋しい晩餐でした。
         10年以上前から使っている携帯ラジオは、AMでNHKしか受信できないという「非日常」体験となりました。
         ビールの酔いも回り、時計も午後9時を回っていたので、テントに入り、iPODを聴きながら就寝。
         翌朝は、テント越しの朝日の明るさと暖かさで目覚めました。
         自ら作る孤独な時間。いろいろと考えることが出来ました。次は、もっと暖かくなってからです。
         次回は「大型クレーンが6機」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        倖田いじめ体験告白「本当につらかった」

        歌手倖田来未(24)が26日、安倍内閣メールマガジンに初登場し、子ども時代に受けたいじめ体験を告白、いじめ撲滅を訴えた。いじめられたのは、小学校と中学校の2回。突然無視されたり、消しゴムを隠されたりした。「本当につらかった」。親にも言えず、自分の中にため込み「吐き出せなくて思い詰めてました」。救いになったのは、「一緒に帰ろうか」などと、友人がかけてくれた言葉だった。「その一言があるのと無いのでは全然違いました」。
         その体験を踏まえ、いじめられている子に「乗り越えれば未来があるよって、心から伝えたい」。逆にいじめている子には「そんなことをしている間に自分の可能性をつぶしてしまっているって気付いて欲しい」と訴えている。
         「時間をかけて努力をしていけばいつか夢はつかめる」。最後の言葉は、下積みを重ねてスターの仲間入りを果たした自分と重ね合わせているようだった。倖田の動画は政府インターネットテレビで視聴できる。アドレスは、http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg1118.html
        (日刊スポーツ)4月27日9時42分配信
        【コメント】訴求力のあるものでしたよ。

        ●<いじめ自殺>遺族に給付金不払いの可能性 自宅は対象外
         学校での事故などが原因で死亡したり、けがをした児童生徒に災害共済給付金を支給する独立行政法人・日本スポーツ振興センター(東京都)が、いじめを苦に自宅で自殺した福岡県筑前町の中2男子生徒の遺族に給付金を支払わない可能性が高まった。内規の運用で、自殺の原因ではなく、場所を基準にしているためだ。学校が管理する校内や通学路では支給するが、自宅は対象外になるという。遺族側は「町教委が学校でのいじめと自殺の因果関係を認めているのにおかしい。制度の運用に不備がある」と疑問視している。
         支給を求めているのは、昨年10月に自殺した筑前町立三輪中2年、森啓祐君(当時13歳)の両親の順二さん(40)と美加さん(36)。
         給付金はセンターと学校設置者の教委が契約し、学校側がセンターに支給申請手続きをする。遺族が3月、弁護士を通じて給付の見通しを尋ねたところ、センターは「現状の運用に従うと、学校管理下の外で起きたと受け止めている。支給の対象にならない可能性が高いが、申し込みはしてほしい」と話したという。遺族は4月に町教委を通じて申請した。
         センター施行令によると、児童生徒が死亡した場合の給付の範囲は「(死亡の)原因である事由が学校の管理下において生じたもので、文部科学省令で定める」となっている。自殺については省令やセンター内規にも言及がないため、センターは校内でのいじめが原因で自殺したケースでも、支給の可否は自殺現場によると解釈している。一方、校内のいじめが原因で心の病気になった場合は給付対象としている。
         北海道滝川市で05年9月、小6女児がいじめを苦に教室で自殺を図り、死亡したケースでは06年6月、死亡見舞金が支給された。
         森君の自殺について町教委は昨年12月、「(原因は)学校での長期に及ぶからかいや冷やかしの蓄積による精神的苦痛が原因だ」などとする調査報告書をまとめた。遺族側弁護士は「自殺場所が自宅だったという理由だけで支給できないとするのは制度の理念に反する」と指摘している。
         センター福岡支所は「批判があるのは承知しているが、自殺の場合、原因が分からない例が多く、原因よりも場所によって給付の可否を決める方が救済範囲が広がるという判断だ」と話している。
         ▽災害共済給付制度 国と学校設置者、保護者の負担による共済制度。登下校や課外授業を含む学校の管理下での事故や事件で、児童生徒がけがをしたり、死亡した場合、学校設置者からの申請で、医療費・死亡見舞金などが支給される。死亡見舞金は最高2800万円。通学路で亡くなったり、教室での授業中に突然亡くなった場合は半額になる。運営する日本スポーツ振興センターは、日本学校安全会などが前身で、03年に設立された。全国で保育所から高専までの児童・生徒らの97%(06年度)が加入している。
         ◇柔軟運用すべきだ
         ▽諸澤英道・常磐大理事長(被害者学)の話 町教委も学校でのいじめと自殺の因果関係を認めている。自殺場所が自宅であることを理由に不支給とするのはおかしい。原因が学校での教育に関連していると解釈し、柔軟に運用すべきだ。同様に救済されなかった事案は他にもあると想像されるが、被害に遭った児童や生徒を救うのが制度の趣旨だから、できる限り支給できるよう内規を変えていくべきだ。
         ◇いじめ対応も柔軟に運用を
         日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度は、学校での死亡やけが、病気になった児童生徒とその家族を広く救済することに大きな意義がある。このためセンターは、内規に基づき柔軟に運用しているが、いじめで子供が自殺したケースでは、自殺した場所で区別するという極めて硬直した運用に陥っている。
         確かに制度の根拠となる法施行令や文部科学省令には「いじめ」の文言はない。いじめなどが社会問題化する以前の1960年にできた古い制度だからだ。それでもセンターが内規の改正で現実に対処しようとしてきた面もある。大阪の池田小乱入殺傷事件を受け03年、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、いじめが原因の精神疾患を支給対象として明文化した。
         一方、生徒の死亡事故を巡る訴訟の判決で、東京地裁は91年、内規について「法令としての効力を有しないことは明らかで、一応の参考資料にすぎない」との見解を示している。内規を限定的に解釈しないよう求めた司法判断といえる。
         学校でのいじめが原因の自殺であっても、子供たちが死を選ぶ場所は学校とは限らない。だが、センターのこれまでの運用では、いじめに起因する心の病気には広く支給しても、自殺の場合は救済が制限されるという矛盾が生じる。
         いじめ自殺の遺族の多くは金銭ではなく、「学校でのいじめがわが子を死に追いつめた」という事実を重視している。「いじめの場所(学校)」と「自殺の場所(自宅など)」を切り離して不支給とする運用は、結果的に「いじめ自殺」の事実を消し去ることにもなりかねず、遺族の救済からも遠ざかる対応と言える。
        (毎日新聞)4月29日3時3分
        【コメント】7年前、長男が自殺した折に、まず当時の校長がセンターに問い合わるように指示をしたそうです。センターの考え方を知りたかったので、私も問い合わせしてみましたが、答えはやはり同じでした。場所が基準でした。

        ●発達障害に悩む家族へ 京都市が「相談員制度」発足
         京都市は27日、自閉症などの発達障害に悩む家族への相談を充実させるため、「発達相談員制度」を発足させた。発達障害の子どもを抱える母親らを相談員として認定し、地域で相談を受ける。同じ立場の母親が応じるため、「より親身な対応がとれる」という。同日、上京区内で相談員として女性20人の委嘱式を行った。こうした取り組みは、政令指定都市では初めてという。
         発達障害は、自閉症やアスペルガー症候群、学習障害など低年齢で発現する脳機能障害のこと。市は2005年11月に発達障害者支援センター(上京区)を設け、障害のある子を持つ保護者らの相談事業に取り組んでいる。昨年度は600件を超える相談が寄せられ、「学校で障害に悩んでいることが分かってもらえない」「気軽に悩みを打ち明ける人がいない」などの相談も多かった。
         このため、市は「地域でより身近な相談相手が必要」と判断し、発達障害の支援活動を行っている日本自閉症協会京都府支部など4団体と協議。発達障害の子どもを育てた経験のある女性ら20人に、「発達相談員」として活動してもらうことにした。
         東山区を除く10区で、1-3人の相談員を配置し、東山は山科区の2人が兼任する。センターなどに相談が寄せられると、各区で相談員の連絡先を伝え、相談員は養育、生活、学習面などでアドバイスする。
         この日、上京区の市児童福祉センターで行われた委嘱式には相談員19人が出席。その1人、宮内賀永子さん(54)=伏見区=は「発達障害の子どもを育てた母親にしか分からない悩みがある。いっしょに解決していきたい」と話していた。
        (京都新聞)4月27日18時57分配信

        ●43年ぶり全国学力テスト小中3万校、233万人に
         学年全員を対象にした調査としては43年ぶりとなる文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が24日、小中計約3万3000校で一斉に実施され、小学6年と中学3年の計約233万2000人がテストを受けた。学校の参加率は99%。全国的な学力データを学校現場や教育委員会がそれぞれの結果と比較し、改善すべき課題を浮き彫りにさせるのが狙い。学力低下批判の高まりを背景に、全国一律式を復活させた。
        (共同通信)[04月24日09時08分
        【コメント】結果を、「できる学校」、「できない学校」の選別に使うことだけはやめてもらいたいと思います。

        ●「子供主体の授業大切」=全14校が学力テスト不参加-愛知・犬山
         全国学力テストが一斉実施された24日、全国の公立校で唯一不参加を決めた愛知県犬山市では小、中学全14校で通常通り授業を実施した。特に混乱はなかった。
         犬山市は、子供が自ら得た知識は生きる力をはぐくむとの考えから、少人数学級や教員による副教本づくりなどの取り組みを推進。全国テストは競争原理導入で市の教育理念に合わないとして、参加を見送った。
         犬山北小学校の加地健校長は「教育成果の検証は大切だが、現場に影響を与えない方法でやってほしい。学校は子供が主体的に取り組める授業を提供することが大事だ」と述べた。
        (時事通信)4月24日10時32分配信

        ●京都地裁、結論出さず 学力テスト中止仮処分申請
         全国の小学6年生と中学3年生を対象にした「全国学力・学習状況調査」(学力テスト)は、プライバシーの侵害などに当たり違憲だとして、京都市と京田辺市の児童、生徒9人が両市にテスト中止を求めた仮処分申し立てで、京都地裁は23日までに結論を出さなかった。テストは24日に実施されるため、申し立ては「時間切れ」で却下される見通しとなった。
         両市の教育委員会は「テストを受けたくない理由で登校しなくても、欠席扱いとする」との姿勢で、保護者や弁護団は「事実上の強制。裁判所が判断しないのは無責任だ」と反発している。
         弁護団は「(テストには)プライバシーにかかわる生活調査も含まれ、強制するのは違憲、違法だ」などと主張し、両市に対して、児童や生徒がテストを受けなかった場合の対応について釈明を求めていた。京都市教委は23日に開かれた地裁の審尋で「通常の授業と同様に扱う」と回答した。登校しない場合は欠席とし、テストを受けたくない児童、生徒には別室での授業などを各学校の判断で行う、という。京田辺市教委も同様の扱いをする、としている。
         テストの実施後、弁護団側から申し立ての取り下げがなければ、地裁は「訴えの利益がない」として却下する見通し。
        (京都新聞)4月23日(月)

        ●学力テスト不振校に教員追加配置も、教育再生会議が支援策
         政府の教育再生会議は24日、第1分科会(学校再生)を開き、全国学力・学習状況調査(学力テスト)の結果で成績がよくない学校に対し、教員の追加的な配置など具体的な支援策をまとめ、5月の第2次報告に盛り込む方針で一致した。
         分科会終了後の記者会見で、山谷えり子首相補佐官は「これまでの教育行政は、データに基づく困難校への支援ができなかった。教育格差はあってはならないとの観点から支援策を提言したい」と強調した。再生会議は支援の具体例として、<1>指導力のある教員の配置<2>習熟度別指導など指導力向上のための教員加配<3>有効な指導方法等の教員研修――などを示している。
         また、分科会では、教育委員会の活動について自己評価する仕組みが必要だとの認識で一致し、具体的な評価項目として、「学力向上への取り組み」「いじめや校内暴力などへの取り組み」などを挙げた。
        (読売新聞)4月24日19時53分配信

        ●<高校生意欲調査>「出世意欲」、日本は断トツ最下位
         日本の高校生は米中韓の高校生よりも「出世意欲」が低いことが、財団法人「日本青少年研究所」(千石保理事長)の「高校生の意欲に関する調査―日米中韓の比較」で分かった。「将来就きたい職業」では、公務員を選んだ高校生が日本では99年調査より約22ポイントも減少するなど、米中韓に比べ、明確な目標を持てない日本の高校生の実情が浮かんだ。
         調査は06年10月~12月、日米中韓の高校生計5676人を対象に実施。進路や人生目標、職業意識などを聞いた。所属する高校を通じて実施したため、回収率は100%になるという。
         「偉くなりたいか」という問いに、「強くそう思う」と答えた高校生は中国34.4%▽韓国22.9%▽米国22.3%に対して、日本はわずか8.0%。卒業後の進路への考えを一つ選ぶ質問では、「国内の一流大学に進学したい」を選択した生徒は、他の3国が37.8~24.7%だったのに対し、日本は20.4%にとどまった。
         また、将来就きたい職業(複数回答)では、日本は99年調査よりも弁護士や裁判官、大学教授、研究者の割合が低下。特に、公務員は前回の31・7%から大幅減となる9.2%だった。逆に「分からない」を選んだ生徒が6.2ポイント増の9.9%になった。
         千石理事長は「食べることに困らなくなり、今の高校生は『偉くなりたい』という意欲がなくなってきている。また、(従来『出世』と考えられてきた)職業に魅力や権威がなくなっている」と分析している。
        (毎日新聞)4月24日21時57分配信
        【コメント】格差固定社会化も後押しして、子どもたちが、大人社会に魅力を感じていないことを示しています。

        ●終身雇用派が急増 新入社員、安定志向鮮明に
         社会経済生産性本部が25日発表した「2007年度新入社員意識調査」によると、終身雇用を望む新入社員が前年比6・1ポイント増の45・9%と急増し、転職してもよいと考えている新入社員の34・4%(5・3ポイント減)を大幅に上回った。
         昨年の調査で、終身雇用派が転職派を初めて上回ったが、今回は挑戦や苦労を避ける新入社員の安定志向が一段と強まった形だ。アルバイトなどのフリーターに肯定的な意見も過去最低の26・4%だった。
         同本部は景気回復を受けて「このところ就職しやすい環境になっているが、かつての就職氷河期の記憶が生々しい上に、正社員と非正規社員の格差問題への意識も高まっているのではないか」と分析している。
         「社内で出世するより起業して独立したい」とする回答は18・3%と4年連続で減少。「会社の運動会など親睦行事には参加したくない」は14・9%と低水準だった。
         調査は今年4月入社の新入社員に3-4月に実施し、2574人から回答があった。
        (東京新聞)4月25日20時12分

        ●兵庫大、生涯福祉学部開設を申請
         兵庫大学(加古川市)は二十四日、二〇〇八年四月に「生涯福祉学部社会福祉学科」を開設すると文部科学省に届けた。兵庫大は今年七月ごろとみられる認可を待ち、来春に向けて学生を募集する。
         同学科では、一年時に社会福祉の基礎を学んだ後、希望や適正に応じ、総合福祉▽精神保健・医療福祉▽心理福祉の三コースに分かれる。定員は計六十人。
         各コースとも社会福祉士の国家試験受験資格を取得できるのが特色。またコースに応じ、福祉科目の高校教諭一種免許、精神保健福祉士の国家試験受験資格、認定心理士も取得可能となる。
         社会福祉振興・試験センターによると、県内で社会福祉士などの資格が取得できるのは十数大学あり、関学大(西宮市)も同様の資格が取得できる「人間福祉学部」の開設を〇八年四月に予定している。
         兵庫大は〇六年に看護学科を新設しており、新学部設置に伴って三学部五学科の編成となる。
         大村英子学長は「社会の需要に応じて、学生に学びの場を提供していきたい」と話し、今後も専門教育の充実を図る。
        (神戸新聞)4月25日

        ●生産性は向上、賃金は減少…07年労働経済白書案が判明
         厚生労働省の2007年版「労働経済の分析(労働経済白書)」の骨子案が26日、明らかになった。
         時間あたりの労働生産性と賃金の関係を分析したことが特徴だ。2000年代に入ってから、生産性は上向いているにもかかわらず、賃金はわずかに減少する「異例」の状況となっている。
         骨子案では、戦後を1950年代、60年代など10年単位で区切り、生産性と賃金などの関連性を分析した。50年代から90年代までは、生産性の上昇率が高まれば賃金の上昇率も同様に高まるという比例関係があった。しかし、2000年代に入ると、90年代より生産性の上昇率は高くなったものの、賃金は微減するという正反対の傾向を示した。
        (読売新聞)4月27日8時40分配信
        【コメント】「生産性の向上」も「賃金の減少」も、企業の収益性を上げ、働く者の労働条件と生活を厳しくするものです。

        ●自殺率、16年までに20%減=政府、総合対策大綱素案を決定
         政府は27日午前、関係閣僚による自殺総合対策会議(会長・塩崎恭久官房長官)を国会内で開き、国の自殺対策の指針となる「自殺総合対策大綱」の素案を決定した。焦点の数値目標では、人口10万人当たりの自殺者数である「自殺率」を2016年までに05年ベースの「24.2」から20%減らし、「19.4」を目指す方針を打ち出した。5月末にも大綱を閣議決定する。
         自殺者数は1998年以降、年間3万人台の高水準で推移。自殺率も2000年のデータでは、主要8カ国の中ではロシアの(39.4)に次いで、日本は24.1と突出し、自殺対策は喫緊の課題となっている。自殺率20%減は、年間の自殺者数が約5000人減少することに相当し、内閣府自殺対策推進室は「到達可能な目標として設定した」としている。
        (時事通信)4月27日9時0分配信
        【コメント】日本は、何か社会問題があると、その減少に向けて数値目標を出したがる国です。不登校でも「半減」を筆頭に「○%減」を多くの自治体が出しましたが、減ったとしてもわずか、逆に増えた所も少なくありません。自殺率も同様、問題の本質的な解明と改善に向けた努力が行われない中で、目標だけが一人歩きしてしまいそうです。

        ●66%が「地域格差拡大」=所得や雇用、社会保障で-国交白書
         大都市と地方の格差が拡大していると国民の66%が感じていることが、冬柴鉄三国土交通相が27日の閣議に報告した2006年度国土交通白書で分かった。自分の住む地域の将来に不安を感じる人も、町村部を中心に3割に上っている。
         調査は昨年12月、無作為で選んだ全国の成人男女2000人を対象に個別面接で実施し、1346人が回答した。
         地域格差が拡大しているかどうかでは「拡大」が32.6%、「やや拡大」が33.1%。それら回答者が格差が拡大しているとしたのは所得水準、雇用、医療・福祉の順だった。地域の将来については「不安」「とても不安」を合わせると30.2%で、少子高齢化の進展や人口減少が要因になっている。
        (時事通信)4月27日9時0分配信

        カンナは7月に引っ越しします。
        2007/04/22
        今回も、予定を変更してしまいます。
         少し急な話の展開があり、相談室カンナの事務所を7月上旬に移転することになりました。
         「話」というのは、私が副代表をしているノンラベルの事務所移転です。ノンラベル事務所では個人面談や居場所、ケースカンファレンスなどを日常的に行っていますが、日によっては居場所利用者が多人数になり、現状のキャパシティに限界が生じてきました。4月当初より不動産屋に物件を探してもらい、数カ所見学に行ってきましたが、先週、「これは…!」という物件とめぐりあいました。ノンラベルが、これまでの活動を継続しつつ、今後新たな事業展開を含めて活動を広げていくためにおあつらえ向きの物件なのです。そして、これまで面談室は1つでしたが、個別面談の利用者も増えてきていることから、2つ目の面談室を持つことになりました。
         この2つ目の面談室を私が使うことになり、ノンラベルとしての活動時間以外を、相談室カンナとしての相談事業に使う、ということになりました。
         移転の日程や場所、新しい電話番号など、7月に入ってからサイトの相談室カンナのページ等でお知らせしていきたいと思います。
         今はマンションの9階で、京都市街の北部が見渡せる部屋でしたが、移転先の部屋からは桂川と河川敷が見渡せます。
         ノンラベル内に面談室を持つことで、これまで以上に高機能の広汎性発達障害を始めとして思春期以降の方のさまざまな精神や発達の課題について、深めていくことができると期待を高めているところです。
         次回は「10年ぶりのキャンプ」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        日本で若者の賃金格差に懸念・国連が報告

        国連は18日、高齢化が進む日本で若年層に賃金格差が広がっていることなどを懸念する「2007年アジア太平洋経済社会報告」を発表した。
         報告は所得分配の偏りを示す「ジニ係数」が、日本で他の先進国平均よりも高くなったとした経済協力開発機構(OECD)の分析などを重視。高齢化の影響でジニ係数がかさ上げされたとする日本政府の反論も踏まえた上で、若年層の賃金格差を問題にしている。
         「ここ5年で倍増した非正規雇用の賃金は正社員よりも4割低く、社会保障の恩恵も限られる」と指摘。年金を受けられない高齢者や失業保険・生活保護に依存する低所得者の増大を招きかねないと警鐘を鳴らしている。
         アジア諸国は今後日本の後を追う形で高齢化を迎える。報告は「日本の挑戦はこれから高齢化、社会保障費の増大、景気後退に伴う財政赤字や失業給付の拡大といった現象に直面する国々へのシグナルになりうる」との見方を示した。
        (NIKKEINET)4月19日
        【コメント】国連からの報告や勧告を無視するのは日本政府の得意技ですから、格差是正に向けての国民の運動、世論形成が不可欠ですね。

        ●少年院「12歳以上」 少年法改正案今国会成立へ
         自民、公明両党は18日の衆院法務委員会で、刑事罰に問えない14歳未満の凶悪な少年事件に対応する少年法改正案について、政府案が撤廃するとした少年院送致の年齢制限(現行14歳以上)を、「おおむね12歳以上」で維持する修正案を提出し、賛成多数で可決した。今国会で成立する見通し。
         与党修正案は、14歳未満の少年事件に対する警察の強制調査権を付与した政府案について、刑罰法令に触れる行為をした「触法少年」に限定。将来罪を犯す恐れがある「虞犯(ぐはん)少年」を除外した。
         与党は野党側との修正案協議を重ねてきたが、不調に終わり、七条明法務委員長は職権で委員会の開会を宣言。採決では野党側の委員が七条委員長に詰め寄り、採決に反対した。
        (産経新聞)4月19日8時1分配信
        【コメント】またまた「厳罰化」です。少年による重犯罪数は統計上減少していることは明らかであるのに、マスコミが一部の少年事件を偏重して大きく取り上げ、あたかも増加、凶悪化しているかのような風潮が作られています。それに安易に乗っかっての今回の「改正」でしょう。事実に基づかない、問題の本質をとらえようとしていない、十分な議論もない中で与党の強行採決、という点からも、承伏しがたい事態です。

        ●「全国学力テスト実施しないで」児童生徒9人が仮処分申請
         全国の小学6年生、中学3年生を対象に、24日に実施される文部科学省の「全国学力テスト」について、京都市、京都府京田辺市の市立小中学生計9人が16日、テストでの生活習慣に関する調査はプライバシー侵害で個人情報保護法に違反するなどとして、両市に対し、自分たちへのテストを実施しないように求める仮処分を、京都地裁に申請した。
         学力テストを巡る法的な訴えは初めて。
         テストでは、国語と算数(数学)の試験のほか、テレビの視聴時間や家庭にパソコンがあるかどうか、といった調査も実施される。採点集計は民間企業が行い、国がデータを収集、保有する。
         申請では、「特定の個人を識別できる情報が膨大に収集され、民間企業に流されることになる」と指摘し、違法な個人情報の取得にあたるとしている。
        (読売新聞)4月16日23時9分配信

        ●中2男子が飛び降り自殺か 姫路の小学校
         十七日午後十一時前、姫路市北部の小学校の敷地内で、少年が頭から血を流して倒れているのを市立中学校の男性教諭が見つけ、一一九番。病院に運ばれたが、間もなく死亡した。姫路署の調べでは、同市内の中学二年の男子生徒(13)。校舎四階と屋上の間の踊り場に、靴と遺書のようなメモが置いてあり、同署は飛び降り自殺の可能性が高いとみている。
         男子生徒は十七日、部活動の後、帰宅せず、家族や教諭らが探していた。中学校などによると、男子生徒は成績上位でまじめな性格。いじめなどのトラブルは確認されていないという。
         中学校の教頭は「変わった様子がなかったので驚いている。生徒が動揺しないよう慎重に説明したい」と話している。
        (神戸新聞)4月18日(水)15:19

        ●子どもの悩み 一貫対応 米原市が支援センター開設
         滋賀県米原市はこのほど、山東庁舎内のこども家庭課に「子ども家庭サポートセンター」を開設した。あわせて市人権総合センター(同市一色)内に若者自立ルーム「あおぞら」を設け、子どもの悩みや就労支援などに一貫して取り組んでいる。
         市はこれまで、子どもサポートセンターで不登校やいじめの相談を受けてきた。新設した子ども家庭サポートセンターは、不登校やいじめに加え、児童虐待やひきこもり、ニートなどの相談を受け付け、内容ごとに担当者に振り分けている。
         若者自立ルームは、既存の少年センターに加え、ニートやひきこもりなどの成人を対象に就労支援にあたっている。
         子ども家庭サポートセンターの多賀正信所長は「複雑化する子どもの悩みの対応は学校だけでは限界があり、継続的にフォローし続けることが大切」と話している。
        (京都新聞)4月18日15時49分配信

        ●ADHD発症児の母、喫煙率一般の2倍
         落ち着きがないなどの症状が表れるADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもの場合、母親の喫煙率が同年代の女性の2倍程度高いことが、大阪府の小児科医の調査でわかった。
         母親の喫煙とADHD発症との関係を示す研究は、これまで海外ではあるが、日本では初めてという。
         ADHDは、生まれつきの脳の機能異常による発達障害とされ、集中力がない、衝動的な行動をするなどが特徴。治療経験の豊富な大阪府寝屋川市の小児科医院の安原昭博院長が、小児患者の母親167人に喫煙歴などをアンケートした。
         その結果、喫煙経験は47%にあり、妊娠時にも35%が喫煙していた。特に出産時の年齢が20~24歳の母親では、喫煙率が88%にのぼった。
        (読売新聞)4月20日14時51分配信
        高機能の自閉症者と集団。
        2007/04/14
        社会性、コミュニケーション、想像力。自閉症スペクトラムの3つ組みの困難さと言われています。高機能の広汎性発達障害の方では、会話は一定成り立つものの、相手の話の意図をくみ取りつつ相手の気持ちを考えて対応するという対人相互作用に問題をかかえておられる場合が多いかと思います。
         突然の変化や、思い通り(予定通り)に事が進まない時、突然過去の記憶が脳裏に鮮明に浮かぶフラッシュバックなどに対して起こすパニックも、対人関係を築く上で障害となります。
         こうした特性から、「一人で安心できる場」を提供してクールダウンしてもらう、という対応が多く見られます。そうした対応だけ、というケースも少なく無いようです。個室を用意したり、机の両側に障壁を作って一人の世界に没入できる環境をつくる、などがそれです。
         しかし、こうした対応は、確かにクールダウンには役立つと思いますが、「人と関わりながら生きていく」という課題の前には、小さな防御策でしかないとも言えると思います。
         自閉症スペクトラムの人は、確かに「一人が快適」なのでしょう。でも、「人と居ても大丈夫」、「人と一緒も楽しい」という認知を獲得することなしに、「人と関わりながら生きていく」という課題を乗り越えることはできません。そのためには、家族以外の第三者と関わる、安心・安全な人たちと場を共にする=集う、語り合う、という集団体験が不可欠だと思います。誰でも、知らない人ばかりの集団に入るのは不安です。でも、多くの定型発達の人たちは、集団にとけ込む術を人生の中で獲得してきているために、少しの時間で集団になじんでいくことができます。この術を獲得できていない人たちは、集団への参加を恐れたり、集団に入っても自分が話したいことだけを話し続けるなど、集団になじめない行動をしてしまいがちです。その集団が、安全・安心な人たちで、障害特性を持っていてもそれを受け入れながら迎え入れる態度であれば、多少時間はかかりますが、集う、語り合う、一緒に楽しむができるようになります。
         ノンラベルの「居場所」では、日々こうした受容、集団力動の変化の中で、高機能の自閉症スペクトラムの人たちが新たな人間関係を築いて行っています。人間には、「集団」で気持ちを通じ合い、分かち合うことが不可欠であることを強く感じさせてくれています。
         次回は「10年ぶりのキャンプ」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        精神障害者の治療・就職支援 「太陽の家」が医療施設 2010年めど

        40年以上にわたり、身体障害者の社会復帰を後押ししている大分県別府市の社会福祉法人「太陽の家」(中村太郎理事長)が12日、精神障害者の就労を支援する医療施設「こころのケアセンター」を2010年までに大分市内に設立することを明らかにした。精神疾患の治療だけでなく、退院後の自立まで視野に入れた支援態勢を持つ医療機関は極めて珍しいという。
         中村理事長によると、規模など詳しい計画は未定だが、精神科医のほかに生活習慣病の治療や栄養指導などを担当する医師を置き、一時入院の病床や学習施設を整備。治癒を進める一方で職を得るために必要な支援を総合的に施すとしている。
         同法人が医療施設を持つのは初めてで、既に、福岡などで引きこもり者のいる家庭の支援で実績のある精神科医の三好修さん(41)が準備室長に就任。今秋をめどに別府市の「太陽の家」内に診療所を開設し、精神障害者を治療しながら効果的な障害克服への方法を探るという。
         太陽の家は1965年、整形外科医だった故中村裕博士が設立。ホンダやソニー、オムロンといった大手企業と共同出資会社を設立し、身障者を雇用する仕組みをつくった。今回も、将来的には同様のシステムで精神障害者が就職できるよう協力企業に働き掛けていく方針で、中村理事長は「既存の病院ではカバーしきれない就労支援に取り組み、少しでも障害による壁を取り除きたい」と意気込んでいる。
        (西日本新聞)4月13日10時7分配信

        ●<高崎経済大>准教授を懲戒免職 ゼミ女子学生の自殺で
         高崎経済大学(群馬県高崎市)は9日、指導方法に問題があり、ゼミ生の経済学部2年の女子学生(当時20歳)を自殺に追い込んだとして、同学部の男性准教授(38)を懲戒免職処分とした。学生の自殺を理由に教員が懲戒免職処分を受けるのは異例という。また、管理責任者の木暮至学長を減給10%(2カ月)、石井伸男経済学部長を同(1カ月)とした。
         大学によると、准教授は昨年6月、ゼミ生に夏季の宿題として高度な課題を課し、女子学生は一部を提出していなかった。准教授は12月、未提出の3人に「提出しなければ留年」などとメールを送信。期限の1月15日夕、未提出の2人のうち女子学生だけに催促のメールを送った。女子学生は「留年すると分かっています。人生もやめます」と返信。同夜、同県みどり市の渡良瀬川に投身自殺した。
         大学の調査委員会はゼミ生や他の教員からの事情聴取で、宿題が2年生としては難解で留年通告が女子学生を自殺に追いやったと結論付けた。また、准教授は他の学生に度を越したセクハラ発言などの暴言があったという。准教授は「間違ったことはしていない」と反論しているという。
        (毎日新聞)4月10日0時40分配信

        ●光で脳を操る技術登場 「てんかん」治療などに期待

         光によって脳の神経細胞(ニューロン)の活動を自在に操ることができる最新技術がネイチャー誌に報告された。
         ニューロンの活動はすべてイオンの流れ(ナトリウムやカルシウムイオンなど)によるものである。脳の活動はすべてイオンの流れであると言っても過言ではない。今回の研究技術は、遺伝子を外部から導入することによって、このイオンの流れを制御することができるチャネル(穴)やポンプをニューロンに人工的に埋め込むというものだ。
         導入されたチャネルやポンプは、レーザー光を当てることによって自在に活性を操ることができる。実験者としては、祭りの射的ゲームのように、ニューロンをレーザー光で狙い撃ちして、脳の活動を自由に操ることが可能となるのだ。
         運動したり、考えたりすることができる脳の機能は、すべてニューロンの活動によるものである。この技術によって、特定のニューロンのみを選択的に制御できれば、思考や行動を、外部から自在に操作することができるだろう。
         実際に、この技術を開発した研究グループは、少なくとも線虫の水泳行動などは、光を当てることによって自在に制御できることを実証している。より大きな動物を用いても同様の結果が実現できる可能性が高い。
         遺伝子操作というと危険なイメージがつきものだが、ここでいう遺伝子操作とは、クローン動物などとはまったく異なり、あくまでも脳の一部の活動を補うというものなので、機械や薬による治療・制御と本質的には変わらないものである。
         しっかりとした安全性の検証はこれからの研究次第だが、これがヒトにも応用できるとすれば、異常な興奮が脳で起こってしまう「てんかん」の治療や、体が自由に動かせない人への介護システム(脳とロボットの連動など)の開発につながり、これまでにない新しい医療が実現される可能性もある。今後の研究の進展に期待がもてる。
        (日刊アメーバニュース)4月10日 15時20分

        ●引きこもりの若者連携を 札幌のNPO、HPを開設へ 道内外の団体紹介
         不登校や引きこもりの若者を支援する札幌のNPO法人「楽しいモグラクラブ」(平田真弓理事長)は、同様の活動をする道内外の団体や障害者の授産施設などを一堂に集めて紹介するホームページ(HP)を八月に開設する。各団体の活動状況を発信し、施設間の情報交換を促して新たな仕事を生み出す。同法人などによると、全国的にも珍しい取り組みという。
         同クラブは、引きこもりの若者の居場所として喫茶店を運営、HP制作やパソコンの修理などの仕事も請け負う。平田理事長によると、同種の支援団体や授産施設の多くは、新たな事業展開のアイデアに乏しく、アイデアがあっても人員が限られ、実現が難しい。こうしたことを踏まえ、HPを制作することにした。
         新しいHPでは、起業のアイデアを出し合い、人員や仕事を施設間で融通し合う。企業から仕事の発注を受けたり、施設で作った商品も販売する計画で、授産施設関係者らが最初に見るポータルサイトとする。
         HP制作に協力する、江別で知的障害者らが働くカフェを運営するNPO法人「地域(まち)で楽しく暮らすネットワーク」の富樫昌之理事長は「HPでは民間企業など外部とのつながりも期待したい」と語る。
         平田理事長は「HPをきっかけに全国の施設が積極的に事業展開できるようにしたい。また、引きこもりなどの若者が働きやすい、フルタイムとパートの間に位置する『中間労働』という労働形態を普及させたい」と話す。問い合わせやHPへの参加希望は同クラブ(電)011・758・3232、またはhttp://mog.la/
        (北海道新聞)4月11日09:02

        ●「心の病」支援へ月刊誌 千葉のNPO、本人の声多数掲載
         地域で暮らす精神障害者を支援する首都圏のNPO法人が、うつ病や統合失調症などを患う人を対象にした月刊誌「こころの元気+(プラス)」を創刊した。創刊号は精神障害者の活動拠点「浦河べてるの家」(日高管内浦河町)メンバーの対談もある。当事者向けの雑誌は珍しく、今後も障害者本人の声を多く載せる考えだ。
         発行したのは地域精神保健福祉機構・コンボ(千葉県市川市、代表・大島巌日本社会事業大教授)。発症を機に離婚や失職するなどして、自虐的になるケースが少なくないことから「前向きに生きる仲間の声を伝え、励ますこと」を目指した。
         三月に出た創刊号はB5判六十二ページ。医師や薬剤師が治療法について情報を提供するほか、本人の体験手記を掲載。精神障害者が地域で暮らす試みの草分けの「浦河べてるの家」のメンバーが夢をテーマに対談した記事も特集している。
         表紙は読者モデルが飾り、手記にもできるだけ顔写真を載せる。「隠すことが差別助長につながる」と、うつ病の経験を持つ編集責任者丹羽大輔さん(44)は力を込める。
         郵送による予約購読制で毎月十五日発売。定価四百円(送料九十円)。創刊号三万二千部は無料配布したが、今後の目標は一万部。五月号から「べてるの家」メンバーによる連載も始まる。
         精神障害者問題に詳しい道医療大の向谷地生良(むかいやちいくよし)教授は「これまで家族向けの雑誌はあったが、当事者向け雑誌は画期的。国の政策転換で地域で暮らす人が増える中、雑誌の役割は大きい」と評価する。問い合わせはコンボ(電)047・322・1360へ。
        (北海道新聞)4月11日09:04

        ●親子カウンセリング制度:アドバイザーに委嘱状--県警/香川
         非行や不登校など学校、家庭内で問題を抱える少年や保護者に対する少年相談の一つ、親子カウンセリング制度のアドバイザー委嘱式が12日、県警本部であり、大学教授や臨床心理士ら7人を再委嘱した。任期は1年。
         同制度は91年から始めた。アドバイザーは、少年や保護者らにカウンセリングを行って、問題の背景となる原因などを科学的に調査、分析。相談にあたる少年補導職員らをサポートする。
         この日は、山田尚義本部長=写真左=が委嘱状を手渡し、「親子間の関係や学校との連携、警察職員の能力向上のためにご支援いただきたい」とあいさつ。その後、アドバイザーが、補導職員やスクールサポーターら29人に「カウンセリングの技術」「面接技法」「発達障害」などテーマ別の講義をする研修会が開かれた。
         当初からアドバイザーを務める瀬戸内短大の草間徳康教授(70)=心理学専攻=は「最近は少年の規範意識や責任感の低下が顕著に見られる。なぜ非行に走る気持ちになったのかをまず理解することが大切だ」と話している。
         昨年1年間で県内の少年相談は524件あり、親子カウンセリングを受けたのは45件。電話相談は県警少年サポートセンター(087・837・4970)などで受け付ける。
        (毎日新聞)4月13日15時1分配信

        白か黒か、0か100か…。
        2007/04/06
        人は、不安な状態に置かれ続けると、自身の精神的存在を守ろうと様々な防衛を働かせます。防衛が働いている間はまだいいのですが、自分ではもうどうしようもない、解決の方向が見えないと、無力感と自己否定感情を強めてしまいます。「もう無理、違うやり方を考えよう」と、開き直って出直すことができると気持ちは楽になれますが、「自己責任」を重要な価値観としてもっている方が、無力感、自己否定感情から抑うつ状態へと向かってしまうことが少なくありません。
         こうした時には、何を考えても悪い方へ悪い方へ物事を考えてしまい、物事の是非も、白か黒か、0か100かという二極化思考になってしまいます。中間的思考、段階的思考、計画的(時間経過的)思考、折り合いの思考などができなくなってしまい、他者に対する評価などにおいても敵か味方かの性急な判断をしてしまいます。
         不安が継続する状態は、安全・安心がない状態です。常に周囲に怯えながら、主体を揺るがせながら、過度な緊張の中で身を守っている状態です。
         この不安への認知の偏りが、さまざまな精神病理を生み出します。内面への否定から自己への攻撃へと移っていく場合や、外面への攻撃によって解消・置き換えしようとしていく場合などがあります。
         不安と向き合い、その不安は何によって生まれたのか、何に対してのものなのか、不安のレベルはどれくらいのものなのか、他に考えようはないのか、一人で抱え込まなければならないものなのか、細分化して整理することはできないのか、など、解釈を加える作業をすることによって、漠然とした「恐れ」は、具体的な「課題」として浮かび上がってきます。この作業を一人で行うことは困難です。第三者(カウンセラーなど)を鏡としながら、ゆっくりと安全・安心の場で自身と向き合う過程を必用とします。
         日本では、カウンセリングがまだまだ浸透しておらず、心理抵抗を持たれる方が多いのが現実ですが、不安が強い場合などには状態が悪化する前に利用されることをおすすめしたいと思います。
         次回は「高機能の自閉症者と集団」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        いじめ根絶申し入れ 被害者の会(和歌山)

        いじめを苦にして自殺した児童、生徒の遺族らでつくる「全国いじめ被害者の会」(大沢秀明代表)が6日、県教委に対し、いじめの根絶を願う申入書を提出した。16日までに回答を求めている。
         大沢代表(63)=大分県佐伯市=と妻の園子さん(63)の2人は、3月15日から全国を行脚し、文部科学省をはじめ、これまで九州や四国など13県の教育委員会に申入書を提出。4月中には全国都道府県教委への提出を終える予定という。
         6日、2人は和歌山市の県庁を訪れ、県教委小中学校課の東中啓吉副課長に申入書を提出。「学校であったいじめを保護者に知らせてほしい」「いじめをいじめととらえない状況の中にあるのはどういうことか説明してほしい」など4項目の要望や質問が盛り込まれている。
         大沢代表は「いじめはどこの学校でも起きるが適切な対応をすれば断ち切ることができる」と語った。これに対し、東中副課長は「いじめがなくなるよう県教委も頑張っていきたい」と答えた。
         大沢代表の四男は、中学3年生だった1996年にいじめを苦に自殺。昨年10月に福岡県筑前町で起きた中学2年生男子のいじめ自殺事件を機に同会を発足させた。現在会員は400人を超えている。
        (紀伊民報)4月7日17時2分配信

        ●特別支援教育:小中校で義務化 教員経験不足、現場混乱 保護者から不満の声/新潟
         今月から改正学校教育法が施行され、障害を持つ児童・生徒一人一人の必要性に応じた適切な教育を行う「特別支援教育」がすべての小中学校で義務付けられた。特殊教育の対象ではなかった発達障害の子供も支援する点が特徴で、県内の小中学校でも準備作業が続けられている。しかし、教員の経験不足などで教育現場では混乱も起こり、保護者からも不満の声が上がっている。
         特別支援教育とは、目や耳の障害、知的障害や肢体不自由などに区別して教育を行っていた特殊教育を改め、発達障害を含む障害児一人一人に個別の指導計画を作り、きめ細かい支援を行う制度。文部科学省の通達では、今年度中の体制整備を目指すとされており、県内の全小中学校でも同法の施行を前倒しする形で、個別指導計画の作成や発達障害児らを対象とする特別支援学級を新設する動きが本格化している。
         しかし、実際に同教育を受けた障害児の保護者からは不満の声が上がり始めている。新潟市の主婦(36)は「制度だけできても中身が伴っていない」とため息をつく。
         長女(7)は、相手の言葉やあいまいな表現、感情が理解できないなどのコミュニケーション能力の障害▽自身の行動を別の行動に転換する能力の障害などを抱える。「きちんとした指導を受けさせたい」と昨年4月、同市内の小学校の特別支援学級に入学させた。
         しかし、実際の指導は期待とは違った。月1回作成されるはずだった個別指導計画は理由もなく2カ月で打ち切られたという。上手に会話できない長女の代わりに学校の様子を知ろうと、担任の40代の男性教諭に連絡帳の作成を申し出たが、「わかりました」との短い返事しか返ってこない。教諭は支援学級を指導した経験がなかった。
         また同校のもう一つの障害児の学級では、児童が教諭の言うことを聞かずに歩き回るなどし、授業が成り立たなくなっていた。結局、同校の障害児の保護者たちは順番で授業に付き添うことを決めた。
         こうした状況に頭を抱えるのは学校側も同じだ。同校では、05年に支援学級を設置したが、自ら支援学級の担任を志願した教員は1人もいなかった。校長は「こちらから(担任を)やって下さいとお願いしている」と教員の意欲不足を明かす。結果、経験のない教員と、障害への知識が豊富な保護者との間で意見の食い違いが生じ、「100%保護者の意向に沿えていない状況」という。
         県教委の担当者は「授業が成り立たない」という相談が他の学校からも寄せられていることを認め、「現場が混乱している。先生を指導するシステムを作っていかないといけない」と話した。
        ………………………………………………………………………………………………………
        ■ことば
        ◇発達障害
         発達障害とは、自閉症に代表される先天的な脳の機能障害。社会性を築くのが困難で、コミュニケーションに障害がある点などが特徴。知的障害や言葉の遅れを伴わない自閉症のアスペルガー症候群や注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれる。文科省の推計では、通常学級の全児童・生徒の6%が同障害などにより新たに特別支援教育の対象となるとみられる。
        (毎日新聞)4月3日11時2分配信
        【コメント】こうした実態が生じることは火を見るより明らかだったのでしょう。制度作り優先の「特別支援教育」。「特別」な「支援」を要するとされる子どもの障害の状態や必用な支援のあり方を理解し実践していくことは、決してたやすいことではありません。数回研修を受けただけでできるものであるはずがありません。教員の「意欲不足」を学校側は理由の一つにしようとしていますが、人を増やさずに現体制への上乗せ課題となりますから、尻込みしてしまう教員のみなさんを責めることはできないと思います。教委、学校側が、この制度実施に向けて、人的補充を含む必用な体制づくりと具体的な計画作成をしていくことが早急に求められています。

        ●新設都立校、すべての普通教室に日の丸を常時掲示へ
         6日に1期生が入学する東京都立永福学園養護学校(杉並区、小林進校長)が、教室内に日の丸を常時掲示することがわかった。校訓や都のシンボルマークとともに、国旗が入っているプレートを、すべての普通教室正面の壁に固定する。都教委指導企画課は「こうしたケースは都立校では初めて聞いた。都教委としては日常的な掲示を指導したことはない。学校長の裁量の問題だ」としている。
         同養護学校は、04年度で閉校した都立永福高校跡地に設置。知的障害が軽い生徒が対象の高等部就業技術科がこの4月に開校し、09年度には肢体不自由教育部門の小学部~高等部が設置される予定になっている。
         都教委によると、国旗入りのプレートは30ある普通教室のすべてに設置された。「誠心誠意」という校訓の左に国旗、逆側に都のマークが描かれている。「組織への所属意識の醸成に必要な施設設備」として、学校予算で設けられたという。
         学校側は朝日新聞の取材に「校長は今週は忙しい。来週以降なら応じる」と話している。
         6日には1期生100人が入学。入学式は区内の別会場で行い、生徒は9日から登校するという。
        (asahi.com)2007年04月05日07時56分
        【コメント】教室正面の壁に日の丸が掲示されるんですか? 「日の丸」・「君が代」が、何を目的としたものか、自ずと明らかになって行っているようですね。

        ●過労、うつ病自殺 悲しみ知って 下京で企画展、再発防止へ取り組み
         過労やうつ病で自殺した人たちをテーマにした企画展「私の中で今、生きているあなた-うつ自殺50家族の悲しみを見つめてみませんか」が、京都市下京区のひと・まち交流館京都で開かれている。遺族らも「残された者として役に立てれば」と展示に協力、再発防止への取り組みに市民の関心が集まっている。
         大阪市北区のNPO法人(特定非営利活動法人)「働く者のメンタルヘルス相談室」が、愛する人を失う悲しみを共有し、問題を一緒に考えようと初めて開催した。
         過労やうつ病で自殺した会社員や公務員ら男女50人を、裁判資料などを基に紹介。遺書や手記を展示し、過酷な残業や上司の圧力など、うつ病の原因になる職場実態を示している。
         会場には東京都内の病院に勤務して過労で1999年に自殺した小児科医中原利郎さん=当時(44)=の資料もあり、今年3月、訴訟で労災認定の判決を勝ち取った妻のり子さん(51)がこのほど来訪した。遺書に過酷な小児医療現場の環境改善を訴え、「私にとっては天女のような存在でした」と家族への愛情を記した中原医師の苦悩や人柄を紹介し、「命をかけた夫の思いを社会に伝えたい」と話した。
         会場には、同様に家族を自殺でなくした人も訪れるなど市民の関心を集めており、メンタルヘルス相談室は「遺族の悲しみに触れ、うつ病で自殺に追い込まれる前に相談してほしい」と話している。8日まで。無料。
        (京都新聞)4月5日9時49分配信

        ●鹿沼のいじめ損賠訴訟:両親が上告 /栃木
         鹿沼市立北犬飼中3年、臼井丈人君(当時15歳)の自殺をめぐる訴訟で、臼井君の両親が3日、「いじめは自殺の一因だが、学校側に直接の責任はない」とした2審東京高裁判決を不服として最高裁に上告した。
         臼井君は99年11月に自殺。3月28日の2審判決は、臼井君は元同級生2人のいじめでうつ病を発症、不登校になり自殺したと認定した。しかし学校側の責任について、いじめを防げなかった過失は認めたものの「自殺の誘因となったうつ病の発症は予見できなかった」として認めなかった。
         両親の代理人、横幕武徳弁護士は上告にあたり「学校側がいじめがあると認識していれば、本人の心身に重大な負荷がかかっているのは自明の理として理解できたはずで、この時点で予見可能性はあった」と2審判決を批判した。
        ◇「判決重く受け止め」--県教育長
         平間幸男県教育長は3日の会見で、鹿沼市の中3生自殺をめぐる訴訟にふれ、学校でのいじめが自殺の一因と認めた高裁判決について「学校側の責任も指摘され、重く受け止めている」と述べた。
         同訴訟では、99年に自殺した鹿沼市北犬飼中3年、臼井丈人君(当時15歳)の両親が、同市と県に総額約1億1000万円の賠償を求めた。高裁判決は賠償を命じたうえ、学校側にもいじめを阻止できなかった責任があると指摘した。平間県教育長は「いじめ根絶のために力を尽くしたい」と話した。一方で、今後の対応や文部科学省への報告については「上告の状況や、鹿沼市からの報告を見て考えたい」と述べるにとどまった。
         また、今年度からの新規事業として、全教員へのいじめ対応マニュアル配布などを柱とした「いじめ早期発見・早期対応プロジェクト事業」や、地域の実情に応じた学校の安全を推進する「学校安全協議会」を県内8カ所に設置することも明らかにした。
        (毎日新聞)4月4日11時0分配信

        ●県と市は上告せず=栃木・鹿沼の中3いじめ自殺訴訟
         1999年11月、栃木県鹿沼市の市立北犬飼中学3年の臼井丈人君=当時(15)=が自殺したのは学校でのいじめが原因だとして、両親が県や市を相手に損害賠償を求めた訴訟で、県と鹿沼市は5日までに、860万円の支払いを命じた東京高裁判決について上告しないことを決めた。
         鹿沼市教育委員会の小林守教育長は「高裁判決を真摯(しんし)に受け止める」としている。
        (時事通信)4月5日19時1分配信

        ●発達障害、社会の理解不足=過半数「深まっていない」-内閣府調査
         LD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)、自閉症など「発達障害」への社会の理解は深まっていない。過半数の人がこう考えていることが7日、内閣府の「障害者に関する世論調査」結果から分かった。2005年4月の発達障害者支援法の施行後、早期発見や成長過程に応じた支援の体制づくりが進んでいるが、周囲の理解はまだまだ不足しているようだ。
         調査は2月8日から18日にかけて成人男女3000人を対象に実施した。回収率は60.5%。発達障害は認知能力に関する先天性の障害で、周囲と異なる言動を取るケースが多い。
         調査では、発達障害への社会の理解が「深まっていると思うか」と尋ねたところ、否定派は51.6%に上った。一方、肯定派は34.5%にとどまった。内閣府は「政府としてさらに取り組みを進める必要がある」としている。
        (時事通信)4月7日19時1分配信
        【コメント】発達障害についての国の啓発事業にお目にかかったことがないのは、私だけ?

        ●適応指導教室の常設化で機能強化 京田辺市教委が不登校問題で
         京都府京田辺市教委は6日、同市立小中学校の不登校児童・生徒を対象とする適応指導教室「ポットラック」を、同市興戸に開設した。適応指導教室はこれまで市内3カ所で週2回ずつ開いていたが、1カ所にまとめて常設化することで、指導・相談機能を強化する。
         教室は、民家の離れの2階を間借りし、市教委の嘱託職員ら4人が指導と相談にあたる。同志社女子大現代社会学部の塘利枝子教授(発達心理学)のもとで学ぶ学生8人も指導に携わる。
         毎週月曜から金曜まで、午前9時-正午に児童・生徒を対象に個別学習指導や集団ゲーム、ストレッチ体操などを行う。午後1時-4時は保護者も含めた相談時間とする。無料。利用予約はポットラックTel:0774(68)1633。
         同市では現在、9小学校で計約20人、3中学校で計約50人の不登校児童・生徒がいるという。適応指導教室は1994年度に設置し、2005年度は11人が利用した。
        (京都新聞)4月5日21時18分配信
        15の春は…。
        2007/04/01
        まず、報告です。精神保健福祉士国家資格試験、見事合格しました。決して良い得点で、とは言えませんが、とにもかくにも合格は合格です。素直に喜びたいと思います。お騒がせしました。
         さて、今日の本題です。
         「15の春は泣かせない」、は元京都府知事であった蜷川虎三氏の有名な言葉です。高校通学圏や入試制度をめぐってはさまざまな議論があり、さまざま制度が変わって来ています。15歳で、人生の岐路となる選択を受験「学力」で行うことに対しては、様々な批判が行われるようになり、「中高一貫教育」という新たな制度も広がってきています。「中高一貫教育」については、15歳どころか12歳で進路選択を迫るという新たな過酷な試練を子どもたちに課すという問題を生んでいます。「お受験」の公立版とも言えます。
         15歳といえば、思春期のまっただ中。自分探しの旅の最中です。たっぷりと他者と関わり、自己と対話し、自身をみつけていきながら自己肯定感情を高めていって欲しい年齢です。この大切な発達の課題を、「受験」という課題が疎外してしまっていると言えます。
         さらに昨今の体制側による新自由主義の思想の意図的な普及の中で、自己責任論が子どもたちの意識の中にも定着が進んでいて、「負け組」にならないために「失敗はゆるされない」というがんじがらめの自己への「追いつめ」が起こっています。
         念願かなって志望校に進学できたとしても、受験期間中に積み残した発達の課題はうまく処理されないまままた、積み残されていってしまいます。一方で、志望校に行けなかった子どもたちは、「負け組」のラベルを背に張られ、負の荷物を背負いながらその後の人生を生きていかなければなりません。
         人生の岐路を、15歳で迎える仕組みが、子どもたちや親に与えるストレスは、様々な精神へのダメージとなることが少なくありません。不登校、いじめ、自傷行為、摂食障害、さまざまな神経症状や精神病理の発生・発症が15歳前後に始まることはそれを示しています。
         一人ひとりの子どもたちの人格形成を考えるならば、15歳の春は、ゆったりとできる人生の季節であってほしいと思います。
         次回は「白か黒か、0か100か…」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「ネット中傷」相談8千件、目立つ中高生のトラブル

        京インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷について、全国の警察に寄せられた被害相談が昨年、前年比39%増の8037件にのぼったことが、警察庁のまとめでわかった。
         名誉棄損罪で摘発するなど刑事事件に発展したケースも57件と、いずれも過去最多。目立つのが中高生ら同士のトラブルやいじめで、不登校や自殺未遂に至る事態も起きている。しかし、発信(書き込み)者が特定されるのは一部で、“匿名社会”における言葉の暴力の氾濫(はんらん)に対応が追いついていない。
         同庁によると、ネット上の中傷を巡る昨年の相談件数は、5年前の2267件の約3・5倍に急増。昨年の摘発例も名誉棄損容疑が53件、侮辱容疑が4件で、両容疑の合計件数は、過去最多だった2003年(51件)を上回った。相談の中には仕事のトラブルや男女関係のもつれなどもあるが、警察庁幹部は「最近は中高生など未成年のケースが目立つ」と分析する。
        (読売新聞)3月29日19時18分配信
        【コメント】被害相談は氷山の一角です。相談できずに悩んでいる子どもたちはその何倍もいるのではないでしょうか。ネットや携帯は便利なツールである一方で、匿名性などの機能を使った新たなイジメのツールとして普及してしまいました。考えて欲しいのは、子どもたちは、大人の真似をしている、ということです。

        ●脳神経網形成の関連遺伝子が異常=自閉症の早期診断期待-理研と都立病院
         脳の発達障害と考えられる自閉症は、脳神経ネットワークの形成に重要な役割を果たす物質の分泌を促進する遺伝子の異常が一因であることが分かった。理化学研究所と東京都立梅ケ丘病院の研究チームが25日までに、米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションの電子版に発表した。
         自閉症は3歳ごろまでに発症し、対人関係の障害や関心対象の狭さ、同じ行動の反復などが特徴。この遺伝子「CADPS2」に異常があるかないか、早期に調べて診断できれば、教育などによる症状の改善効果が高まると期待される。
        (時事通信)3月25日16時2分配信

        ●学校評議員、初めて80%超す 「外部の目」指導に好影響
         学校運営について外部からの意見を聞く「学校評議員制度」が、公立学校の82・3%に設置されていることが28日、文部科学省の調査で分かった。平成17年度より3・9ポイント増で80%を超えたのは初めて。「外部の目」が学校の指導に好影響を与えていると評価されている。
         「学校評議員」は保護者や地域住民から意見を聞き、学校への理解や協力を得る目的で12年に導入された。
         調査は18年8月1日現在、すべての国公立の幼稚園、小中高校、中等教育学校、盲・聾(ろう)・養護学校約4万2800校を対象に行った。
         学校評議員または類似した制度を設置しているのは、公立学校で3万5042校、検討中が2284校(5・4%)。校種別では、幼稚園1860校(35・5%)▽小学校1万9619校(88・2%)▽中学校8944校(88・5%)▽高校3728校(92・4%)▽中等教育学校14校(100%)▽盲学校など877校(94・0%)-。国立学校262校はすべて設置していた。
         評議員の人数は「4人以上7人未満」が公立で64・8%、国立で71・0%と最多。意見聴取回数は年1~3回の会合が最も多く公立で82・4%、国立で97・3%だった。意見を聞く内容は「基本的な目標・方針の決定」「学校評価」「危機管理・安全管理」「学校の施設設備」などが多かった。
         東京都練馬区立光和小学校の寺崎千秋校長(全国連合小学校長会長)は、評議員は地域と学校を結ぶうえで有効だと評価する。「例えば、評議員会であいさつ指導の協力を求めたところ、『街ではあいさつしない』と意見が出た。そこで互いに率先して声をかけようと合意、意識しあうことで子供の安全確保にもつながった」という。
         山梨県内の高校では最寄り駅の駅長が評議員に加わり、登下校時の様子を連絡してもらうことで、生徒指導の参考にしている。
         政令指定都市で全校に設置されているのは仙台、千葉、静岡、神戸、広島、北九州の6市、都道府県では岐阜県の98・4%が最高だった。
        (産経新聞)3月29日8時0分配信

        ●<人権侵害>学校のいじめ関連35.9%増 法務省まとめ
         人権侵害の疑いがあるとして、全国の法務局が昨年1年間に調査救済手続きを開始した件数は2万1328件(前年比10.4%減)に上ることが30日、法務省のまとめで分かった。学校でのいじめに関するものが973件(同35.9%増)、社会福祉施設の職員による入所者の虐待が142件(同21.4%増)で、増加が目立った。
         学校でのいじめに関する調査が増えたのは、いじめによる自殺が社会問題化し、相談態勢を強化した影響とみられる。このうち7件については、学校側がいじめを放置するなど不適切な対応だったとして、再発防止に向けた取り組みを行うよう校長や教育委員会などを指導した。
        (毎日新聞)3月30日11時2分配信

        ●<社会意識調査>「悪い方向に」教育がトップ 内閣府発表
         内閣府は3月31日、社会意識に関する世論調査結果を発表した。現在の日本の状況について「悪い方向に向かっている」と思う分野を複数回答で聞いたところ、教育が前回(06年)から12.3ポイント増え36.1%となり、98年にこの質問を盛り込んで以来最高で、初のトップとなった。高校の履修不足問題や、相次ぐいじめ自殺などが影響したとみられる。医療・福祉31.9%、地域格差26.5%も10ポイント以上の増加で過去最高を記録した。
         「政治や社会情勢の影響を受けやすい調査」(内閣府)だけに、安倍政権の課題を浮き彫りにした形だ。
         調査は1~2月、全国の成人男女1万人を対象に面接方式で実施。5585人(回収率55.9%)から回答を得た。
         教育と答えた人を男女別にみると、男性36.7%、女性35.6%。年代別では男女とも30代がトップ(男性47%、女性47.8%)で、20~40代の男女がいずれも4割を超えるなど、子育て世代の教育不安を裏付けた。
         教育に、前回トップの治安35.6%(前回比2.7ポイント減)、雇用・労働条件33.5%(同4.6ポイント増)が続いた。急増した医療・福祉(31.9%)と地域格差(26.5%)はそれぞれ、5位と8位だった。
         小泉政権で増加の一途だった外交は前回比8.9ポイント減の22.4%で、日中、日韓首脳会談の再開といった安倍外交を国民が評価していることをうかがわせた。
         一方、「良い方向」(複数回答)は(1)科学技術19.7%(2)通信・運輸18.9%(3)医療・福祉16.5%――の順だった。
        (毎日新聞)3月31日19時31分配信
        【コメント】教育が不安要素になっていく主要因は競争主義と「格差社会」を是とする社会意識が作られていったことにあると思います。「教育再生会議」での密室の議論は、「再生」どころか、意外にも現代日本の教育問題の明確化をすすめる一方で、それらに対してさらに混乱を持ち込むような提案が続いているようです。「再生」は、「愛国心」の埋め込みや「教員評価」の強化などの体制側の都合の押しつけで進むはずはありません。人格形成という学校教育の本命課題に対して、今の学校がどのようにズレていったのか、今を生きていく子どもたちの人格形成のために、学校はいかに変容すべきかなど、より本質的な議論が行われないならば、この「会議」の存在意義はさらに薄まると思います。

        ●進む校内の整備 個別計画は低調 特別支援教育4月スタート
         LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症など軽度発達障害者に必要な支援を行う「特別支援教育」が四月から始まる。県内では担当教師や校内委員会の整備が進む一方、個別の指導計画作成では全国平均を下回っていることが文部科学省の調査で二十八日までに分かった。教育関係者は「体制整備は評価できるが、問われるのは支援の中身」「複雑なケースは学校だけでは無理。福祉の面からのアプローチも必要」などと指摘している。
         調査は昨年十月、各都道府県と政令指定都市を対象に実施した「幼稚園、小学校、中学校、高校等におけるLD、ADHD、高機能自閉症等のある幼児・児童・生徒への教育支援体制整備状況調査」で、八項目について尋ねた。回答は同年九月一日現在で、その後さらに整備は進んだとみられる。
         特別支援教育の核で、学校長が担当教師を指名する「特別支援教育コーディネーター」は、小中学校の九割以上が既に決まっており、学校の中心組織となる「校内委員会」も八割以上で設置されている。幼稚園は委員会25・0%、コーディネーター13・9%、高校は委員会45・2%、コーディネーター59・7%。
         学習・生活面の年間目標などを盛り込んだ「個別の指導計画」を作成している学校は幼稚園5・3%、小学20・1%、中学16・7%、高校3・2%と全国平均を下回った。長期的な視点で福祉・医療・労働など関係機関と連携して作る「個別の教育支援計画」は幼稚園3・3%、小学14・3%、中学15・4%、高校1・6%とさらに低くなっている。また「巡回相談員の活用」は全校種計で約五割、「専門家チームの活用」が同約三割、「教員研修の受講」は同約四割と全体的に低調。
         琉球大学教育学部障害児教育実践センターの浦崎武助教授は「相談を受けると、親の期待と学校の不安のギャップが大きい。まずはできるところから始めてほしい」と提案。沖縄国際大学人間福祉学科の知名孝講師は「教育のノーマライゼーションともいうべき大きな変革だが、現場の認識はまだ十分とはいえない」として教育だけに任せず、福祉との連携強化の必要性を訴えた。
        (沖縄タイムス)3月29日
        【コメント】コーディネーターづくりのための、かけこみ「研修」が各地でさかんに行われてきたようです。数回の「研修」を受けただけで、「特別な支援」の必用な「軽度発達障害」のあるとされる子どもたちに対しての適切な「支援」を検討・計画し、実施することができると、本当に思っているのでしょうか。「体制」づくりは必用と思いますが、「体制」を作ったら、後は「担当者任せ」ということが学校現場では、「不登校対策」をはじめとして繰り返されてきました。そして、なによりも懸念されるのが、「軽度発達障害」がある、というラベル張りが行われ、「特別」に別教室で「支援」という名の下に対応されるという、選別と隔離に終わってしまう危険性です。1.学校管理者を先頭に、継続的な学習と、対象児童生徒との日常的な関わりの中から、本当に必用な対応を模索していく姿勢を、すべての教職者が持つこと、2.学校内の体制づくりに終わることなく、家庭や地域の資源と連携し(情報の共有と役割分担)、本人にとって必用な環境をコツコツと作っていく立場に立つこと、が求められます。

        障害3区分に発達等を加えて4区分にすべきでは?
        2007/03/25
         知的障害、身体障害、精神障害の3区分を強引に1つにまとめる障害者自立支援法。これまで、障害に応じてつくられ運営されてきた小規模作業所などが、「地域生活支援センター」に吸収されようとしていっています。そこでは、知的障害、身体障害、精神障害に加えて発達障害などのある人も同じ「センター」でしか援助を受けながら活動する(しかも利用料を支払って)ことになってしまうようです。
         それぞれが、違う障害であり、生活のしづらさや必用な援助も異なります。症状や状態、ニーズに応じた環境や援助が本来必用であるのに、「自立支援」の名の下に「合理的」(?)「効果的」(??)な施策として取り組みが進んでいるのが残念でなりません。
         さらに、首をかしげるのは、この「自立支援」に発達障害や情緒障害のある方への施策がないことです。精神障害に含む、とされるのでしょうか? 精神障害と発達障害などは明らかに別区分の障害として位置づけられるべきです。
         自立支援法は、近い将来、介護保険を吸収していくと言われています。国や行政からみて、「お金のかかる」領域の支出をいかに減らせるかが目的なのでしょう。
         すべての人が自由に尊厳をもって生きていく権利があることを、我々は福祉社会の大前提として置いているはずです。今、日本で進められようとしている福祉政策は、この大前提に真っ向から背くものと言わざるをえません。
         さしあたり、発達障害が、もう一つの障害区分として保健福祉及び医療施策の中に位置づけられ、個に応じて必用な援助のシステムづくりが必用かと思います。あまりにも対応がお粗末すぎます。
         次回は「脱サラ、転身、はや5年」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「将来の医療費に不安」=低所得層84%、高所得層36%ーNPO調査

        低所得層の8割以上が将来の医療費に不安を感じていることが19日、特定非営利活動法人(NPO法人)日本医療政策機構(黒川清代表理事)の世論調査で分かった。具合が悪いのに受診しなかった人も高所得層の2倍以上の4割に上った。
         副代表理事の近藤正晃ジェームス氏は「格差の実態を踏まえた政策論議が必要だ」としている。
         調査は今年1月、全国から無作為に抽出した20歳以上の男女4000人に調査票を郵送し、1318人から回答を得た。
         年間の世帯収入800万円以上で貯蓄2000万円以上の「高所得層」、収入300万円未満で貯蓄300万円未満の「低所得層」、それ以外の「中間層」に分けて分析。将来、深刻な病気にかかったときに医療費を払えない不安を感じる人は、高所得層36%に対し、中間層は74%、低所得層では84%に上った。
         費用が掛かるとの理由で、具合が悪いのに受診を控えたことがある人は、それぞれ16%、25%、40%。低所得層では、医師に勧められた検査や治療を受けなかった人も26%いた。
        (時事通信)2月19日5時0分
        【コメント】私も低所得層(それもかなりの…)ですから、医療受診を極力控えるようになっています。少々の風邪でも、受診し投薬を受けると3~4千円。昨年、腰痛で外科を受診した折は、X線検査などで6千円以上支払い、結果湿布薬をもらっただけでした。それ以来、病院に行ってないなぁ…。

        ●福岡中2いじめ自殺、同級生を暴力行為容疑で立件へ
         福岡県筑前町の三輪中2年の森啓祐(けいすけ)君(当時13歳)が、いじめを苦に昨年10月、自殺した問題で、福岡県警は19日、同級生ら5人が自殺当日に校舎内のトイレで、森君のズボンを無理やり脱がそうとした疑いが強まったとして、当時14歳だった3人を暴力行為処罰法違反容疑で書類送検し、13歳だった2人を同様の非行事実で児童相談所に通告する。
         県警は、「5人はいじめの中心ではないとした上で処罰が目的ではなく、反省を求めて立ち直りを促すためとしている。
         こうした措置に踏み切ることについて教育関係者らの論議を呼ぶ可能性がある。
         調べによると、5人は昨年10月11日午後4時10分ごろ、自殺をほのめかす森君に「うそだろう」などと言いながら、嫌がる森君を羽交い締めにして、集団でズボンのホックや学生服のボタンを無理やり外すなどした疑い。5人は「ふざけただけで、いじめたつもりはなかった」と話しているという。
        (読売新聞)2月19日3時17分

        ●言葉の暴力 解決は学校? 警察介入の境界線は
         福岡県筑前町の中学二年生=当時(13)=が、執拗ないじめを苦に自殺した問題で、同県警が暴力行為法違反(共同暴行)の疑いで同級生三人を書類送検、二人を児童相談所に通告した。県警側は「生徒らは中心メンバーでなく、処罰を求めない」としているが、警察の介入の境界線はどこにある?
         「送検、通告した五人以外にいじめた生徒はいないのか慎重に調べ『死ね』『うざい』などの言葉が亡くなった生徒に発せられていた事実も把握した。その上で、少年について立件できる事件はこれがすべてと判断した」
         福岡県警少年課の幹部は事件化の経過をこう説明する。
         調べでは、この五人は、昨年十月十一日午後四時十五分ごろ、同町立三輪中学校の男子トイレで、同中学二年の森啓祐君の手足を押さえつけ、無理やりズボンを脱がそうとした疑い。啓祐君はこの後自殺した。
         関係者の話を総合すると啓祐君に「死ね」など厳しい言葉を浴びせていた生徒は、今回、同県警が事件として取り扱った五人とは別に少なくとも三人いたとされる。この三人は容疑の場面でも遠巻きにして見ており、いじめの“中心グループ”とみられていた。
         県警は、休日や放課後を使い目立たないよう、いじめに加わった可能性のある生徒たちに事情聴取していた。
         しかし、事件化となると話は別。「言葉は学校内で日常的に飛び交い、必ずしも自殺した生徒だけに対して言われたものとはいえない。『死ね』と言った本人は相手が本当に死ぬとは想像もしていなかった」(幹部)として立件を見送った。
         また、県警はトイレの一件で五人を立件しながら、「罰しないよう」地検などに求める処遇意見をつけた。極めて異例な扱いだが、幹部は「少年たちはたまたま居合わせたもので、(啓祐君の)自殺で精神的なショックも受けた。少年の健全育成のため、後は専門家の手に委ねるのが最善」と説明した。
         筑前町役場では、送検などが発表された十九日、臨時の教育委員会を開いた。県警の対応にとまどいの声も出たが、約二時間の議論の末、「真摯(しんし)に受け止め、五人のケアをしっかりやり、学校全体で悪いことは悪いと指導していく」ことを確認したという。
         中原敏隆同町教育長は二十日、取材に対し「全国的に注目された事件。県警には動かざるを得ない事情もあり、立件は相当に迷っただろう。当事者の生徒たちへの捜査は、親を立ち会わせるなど配慮してもらったし、罰ではなく、少年の健全育成をしっかり考えてくれた。次の前進につなげないと」と複雑な胸の内を明かした。
         生徒の生徒に対するいじめの捜査は終了した。今後はいじめを誘発させた可能性も指摘される元担任教師に焦点が移る。
        ■“中心グループ”不問に疑問の声
         今回の自殺の事情をよく知る関係者は指摘する。
         「県警が生徒たちに反省を促し、健全育成を願うというのは納得できる。しかし、トイレの一件でたまたま手を出した五人だけが事件になって、日常的にいじめの言葉を発していた三人は何もなしでいいのか。このミゾを埋めるのは、教育現場の力しかない」
        ■捜査招いた教育現場
         いじめに関連して警察が捜査に乗り出すケースは、四年連続で増加している。警察庁によると、昨年一年間に全国の警察が摘発・補導した小中学生や高校生によるいじめ絡みの恐喝や傷害事件は、前年比41・2%増の二百三十三件に上った。二〇〇二年の九十四件の二倍以上になり、ここ十年でも最多だ。
         いじめ問題に詳しい中嶋博行弁護士は警察の介入を積極的に評価し、抑止効果に期待する。「警察はこれまで文部科学省や学校に遠慮していたが、今回、悪質ないじめには介入するという姿勢を明確にした。福岡県警は警察庁とも協議しているはずなので一県警のことではない。いじめる側にとって、次は自分が摘発されるのではないかというプレッシャーになる」
         さらに「東京都の鹿川裕史君の自殺(一九八六年)から二十年、愛知県の大河内清輝君の自殺(九四年)から十年以上。従来の教育的手法では、いじめをなくせなかった。外部の力を借りて根絶する時期が来ている。いじめは犯罪だから、一義的な通報先は警察だ。教育の力でいじめる子を立ち直らせるという幻想を持ち続けるべきではない」と教育界に意識改革を促す。
         自殺した森啓祐君の母美加さんを講義に招いたこともある大東文化大の村山士郎教授(教育学)は「一般的に、いじめ被害者がけがをさせられるような緊急の場合、警察が教育現場に入ることは否定しない」と強調する。ただし、今回の県警の捜査に対しては「まさに人権侵害が行われている、というケースではない」と否定的だ。
         そして、「いま一番大事なのは、加害者の子どもたちが、いじめをしたということを素直に語り、自ら反省すること。傍観していた子にとっても、それを素直に認めることが大事だ。学校側がその取り組みを始めたところに警察が入ればそれが中断してしまう。子どもたちはいじめについて話すと、今度は自分が危ないと思い黙り込んでしまう」と懸念する。
         わが子をいじめ自殺で失った親は、今回の捜査をどう評価しているのか。昨年十月に発足した「いじめ被害者の会」代表で、九六年に中三の四男を亡くした大沢秀明さんは警察の介入を招いた学校側の責任を指摘する。
         「学校はいじめを知っているのに、いじめだととらえない。ただのトラブルとして双方に『仲良くしなさい』と指導するだけ。本来なら加害生徒に適切な措置をし、いじめの継続を断たないといけない。加害者の親にも事実を伝えず、親は自分の子をたたいてしつける機会すら奪われている。先生が生徒の安全に配慮する義務をきちんと果たしていれば、警察の厄介にならずに済んだはずだ」
         九八年に高一の一人娘を失った特定非営利活動法人(NPO法人)「ジェントルハートプロジェクト」理事の小森美登里さんは「自殺直後に学校がいじめはないとうそをつき、加害生徒に反省を促す努力をしなかった結果だ。大きなニュースになったので、大人が落としどころとして、メンツを保つためにやったとしか思えない」と憤る。
        ■『先生の警察頼み怖い』
         さらに警察の介入による影響をこう懸念する。「警察が入らなければ、被害者が殺されてしまうケースもある。だが、先生が警察に頼ってしまうようになることが怖い。警察に通報された子どもは排除されたと感じ、もっと大きな犯罪に走ることだってある。教師と生徒の信頼は失われ、いじめはさらに増えていく」
         そして、こう訴える。
         「いじめ自殺は肉体的な暴力やリンチが原因ではなく、言葉の暴力で心的傷害を受けた結果のことが多い。言葉の暴力を立件できないというなら、今後も子どもたちが死に続けることになります」
        (東京新聞)2月21日

        ●全特別支援学校に専門教員配置へ 京都府教委が新年度から
         京都府教委は来年度、京都市を除く府内の養護学校と盲・聾(ろう)学校が「特別支援学校」に一本化されるのを機に、地域の小、中学校の教員や保護者の相談に応じる専門の教員「地域支援コーディネーター」を全10校に1-3人ずつ配置する。特別支援教育のノウハウを持つ養護学校にセンター的機能を担わせ、地域の学校に在籍する学習障害(LD)などの児童、生徒への支援を充実させる。府教委は25人程度の教員を置く考えで「愛知など2県が各校に1人配置しているが、府県レベルでは異例の規模」(特別支援教育課)という。
         盲・聾・養護学校に在籍する子どもたちの障害が重度化・重複化し、特別な教育的支援を必要とするLD、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症の児童、生徒が小、中学校に約6%の割合で存在する現状などを踏まえ、国は学校教育法を改正し、4月から養護学校などを障害種別を超えた特別支援学校に一本化する。加えて、地域の小、中学校で学ぶLDなどの児童、生徒の支援も担わせる。
         府教委は2003年度から養護学校ごとに医師や臨床心理士、教員らでつくる相談支援チームを編成し、地域の小、中学校の教員や保護者の相談に応じている。年々、相談件数が増えており、幼稚園、高校からも支援を求められるなど「タイムリーに対処できる体制整備が急務」(同課)として、専門の教員を配置することを決めた。
         4月から府立養護学校8校と盲・聾学校の全10校に各1-3人の教員を地域支援コーディネーターとして置く。自ら相談に応じるほか、ケースによっては専門家も派遣する。
         京都市教委は市立養護学校を障害種別を超えた総合養護学校に再編した04年度から、各校に置いた「支援部」を通じて近隣の小、中学校の相談に取り組んでいる。
        (京都新聞)2月24日12時7分配信
        【コメント】「一本化」が流行ってるんですね。支援・援助が薄まるばかりになるのではないでしょうか。「盲・聾・養護学校に在籍する子どもたちの障害が重度化・重複化」しているのだから、各々への対応をより充実させるべきですし、「特別な教育的支援を必要とするLD、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症の児童、生徒が小、中学校に約6%の割合で存在する」としているのなら各学校においての受け入れ体制の整備・充実をすすめるべきではないでしょうか。それらを「一本化」して、少数の「地域支援コーディネーター」が対応するという体制には大いに疑問があります。

        ●「心の教育」住民訴え/北部園児暴行(沖縄)
         本島北部の小学三、四年生の男子児童四人が幼稚園の男児一人に暴行を加え、小学校が教育委員会への報告を怠った問題で、同小学校は二十三日夜、保護者や地域住民を集めた緊急説明会を開いた。参加者からは学校や保護者、地域、行政など、関係者が一体となった取り組みを求める声や「心の奥底に染み込む教育をすべきだ」「もっと具体的な案を示すべきだ」との意見が上がった。
         説明会には、保護者や地域住民ら約二百五十人が参加。今回の事件に対する不安や怒り、学校への不信感など、さまざまな意見が相次いだ。
         ある女性は「今後の対応策」として学校側が示した「安全指導を徹底する」「パトロール強化」などの記述について「必要なのは道徳心や倫理観を教えることだ。原点に立ち返り、子どもたちの心の奥深くに染み込む教育を考えなければいけない」と指摘した。
         事件の詳細や経過を聞いた保護者からは、加害児童と一緒に学校に通うことへの不安の声も。これに対し、保護者の女性は「問題行動の多かった加害児童を、学校や校長、周囲の大人がつまはじきにして問題を先送りしてきた。自分の子どもがかわいいのであれば、周りの子どもにも愛情を注ぐべきだ」と訴えた。
         保護者の男性は「学校は学校を守るところではなく、子どもを守り育てるところだ」と、教委への報告が遅れたことを批判。「学校だけに任せるのではなく、保護者も少しずつできることをやっていこう」と、保護者がかかわることの重要性を強調した。
         説明会終了後、孫が同校に通うという男性は「学校の策には具体性が全くない」と批判。「経過説明に終始して、事件の背景が分からなかった。意見を交わしようがない。学校側は今回の事件で子どもに寄り添っていない。地域一体で取り組まないといけないのに」と不満をぶつけた。
         校長は「二度とこのような事件が起こらないよう、学校だけではなく、保護者や地域、関係機関とも連携し、心を育てる教育をしていく」と話した。
        (沖縄タイムス)2月24日

        ●いじめの早期発見目指し 教育関係者が研修会
         いじめで子どもが自殺する事件が全国で相次ぐ中、いじめの早期発見や対応を目指し、山城教育局は23日、「山城地方カウンセリングマインド養成研修会」=写真=を京都市伏見区の府総合教育センターで初めて開いた。管内14市町村の生徒指導・教育相談担当者ら約150人が集まり、研究協議や講演会に参加した。
         研究協議では小中高ごとに10人程度のグループに分かれて、いじめの早期発見と対応、いじめを許さない雰囲気づくり、命の大切さをどう伝えるかの3点について各校の取り組みを報告。
         宇治市の中学は、学校生活アンケートを取って、いじめがわかった事例を説明した。また、教員がほうきやちり取りを持って巡回と掃除を兼ね、生徒の様子を見守る活動も紹介された。
         講演会では、藤原勝紀京都大大学院教授と府警本部少年課被害少年保護係の脇久美子係長が講師を務め、子どもの接し方などについて話した。
        (京都新聞)2月23日21時47分配信

        ●いじめ:小学低学年経験3割、把握の教師は2.8%--小中高生アンケ/福井
         全国でいじめによる自殺者が相次いでいるのを受けて、福井県と県教委が昨年11月に県内の全小中学校と高校(計10万516人)を対象に実施した「いじめに関するアンケート」の中間結果が22日、まとまった。
         小学校低学年の児童で、「現在の学年でいじめられたことがある」との回答が30・8%に上った。小学高学年でも20・5%がいじめられた経験を訴えたのに対し、アンケートを基に小学校教師が行った面談の結果では、「いじめを把握できた」と答えたのはわずか2・8%。児童の思いと、教師の「いじめ」に関する認識のズレが顕著に表れた。
         「いじめについてどう思うか」という質問(複数回答)に対しては、中、高校生も合わせ全体で、78・2%が「絶対にいけない」と答えたが、「いじめられる人にも悪いところがある」と回答したのも40・6%あった。
         県いじめ対策協議会の中島和則会長は「3月末までに最終報告をまとめ、対策に反映させたい」としている。
        (毎日新聞)2月23日14時1分配信

        ●<いじめ自殺>両親と元同級生が和解  東京高裁
         神奈川県立高1年だった横浜市港南区の小森香澄さん(当時15歳)が98年、同級生の女子生徒からのいじめを苦に自殺したとして、両親が元同級生と県を相手取り損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、両親と元同級生が東京高裁で和解していたことが分かった。元同級生が両親に陳謝し、弔慰金30万円を支払う。
        (毎日新聞)2月23日11時23分配信

        ●自殺相談、ネットでは2.5倍=10、20代増加-電話と割合比較・いのちの電話
         自殺防止活動に取り組む「東京いのちの電話」が試験的に実施しているインターネット相談の中間集計で、自殺予告や、自殺を図っている最中の人など「自殺志向者」の割合が、電話相談の場合の2.5倍に上ったことが24日、分かった。
         中でも10代と20代の割合が増加。「日本いのちの電話連盟」の斎藤友紀雄常務理事は「若者の自殺を食い止めるには、電話より効果的」と話しており、サービス拡充のため、全国の相談センターに来月、正式に協力を呼び掛ける。 
        (時事通信)2月24日15時1分配信

        ●保健制度の改善を 滋賀の自閉症研究会、10周年で講演会
         自閉症がある人の家族でつくるNPO法人(特定非営利活動法人)「滋賀県自閉症研究会たんぽぽ」が設立10周年を迎え、記念講演会が24日に滋賀県栗東市の栗東芸術文化会館さきらで開かれた。自閉症児を取り巻く環境について、児童精神科医が講演するなどした。
         研究会は、自閉症児の親10人が会員として集まり、症状について正しい理解を深めようと1996年6月に発足。子どもに応じたコミュニケーション方法などを学ぶ学習会や、ボランティアを交えた余暇活動の場を定期的に設けてきた。
         この日、研究会の福永ナナ子理事長が「自閉症の存在は認知されてきたが、制度面でより良い流れを目指したい」とあいさつ。愛媛県今治市で開業し自閉症児を診療する藤岡宏院長が「巣立つ日のために」のテーマで講演した。藤岡さんは「うちの患者は、発達障害のある子が約7割。受け皿となる医院は少なく、症状の早期発見のためにも保険制度の改善が必要」と話した。
        (京都新聞)2月24日19時18分配信
        【コメント】自閉症をはじめとした発達障害は、医療点数が低いために、ニーズの増加に診察体制の充実が伴っていきません。国は発達障害の診断のできる医師の養成にやっと重い腰を上げつつあるようですが、保険制度の改善が進まない限り、積極的な受診体制とはならないと思います。また、診断(=ラベル貼り)だけが進んだとしても、「だからどうしていけばいいの?」という具体的な対応へのニーズに応える体制については、まさにこれからの課題であるのが現状です。

        ●クラスター爆弾:禁止条約創設へ、オスロ宣言を採択--日本は留保
         市民を無差別に殺傷するクラスター爆弾の禁止を目指す国際会議「オスロ・クラスター爆弾会議」は23日、クラスター爆弾の使用や生産を禁じる条約を08年までに作ることをうたった「オスロ宣言」を採択し、閉幕した。日本とポーランド、ルーマニアは態度を留保した。条約には、爆弾の廃棄や被害者支援のための新たな国際的枠組みの創設を盛り込み、今後3回の会議で交渉する。有志国・市民主導の条約作りは、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)以来二つ目となる。
         会議には49カ国が参加。日本は「安全保障や技術面などの議論から何が必要な措置か考えるべきだ」として態度を留保した。ポーランドは、既存の国連の枠組みを重視することを留保の理由に挙げた。
         オスロ宣言は、08年までに条約の署名・加入などを終える方針を明記。一方で、国連の枠組み内での議論継続や、国内措置を各国の判断に委ねることも盛り込むことで、慎重な国との妥協を図り、支持を広げた。
         宣言は▽クラスター爆弾の使用・生産・移動・備蓄を禁止▽爆弾の廃棄・不発弾の除去・被害者支援の国際的な枠組みを創設--するための条約作りを08年までに行うと表明。一方、「国際法の枠組み内やすべての関係する議論の場」で、クラスター爆弾によって起こされる問題に「引き続き取り組む」とした。
        (毎日新聞)2月24日 東京朝刊
        【コメント】日本は、自衛隊が保有しているんですね。だから、禁止の条約には賛成できないんですね。この爆弾の非人道性を考えると、信じられないことを日本はしているんですね。
        住居費負担は高すぎる。
        2007/03/25
        みなさんの家賃や住宅ローンなどの住居費は、生計費にどれくらいの割合を占めておられますか? 私の小さな事務所も賃貸で、駐車場代と合わせて、月7万円程が自動引き落としされます。正直、かなりきついです。
         私は、住居の方は、過去2回住宅ローンを組みました。1回目は結婚後すぐに15年ローン。中古住宅で狭かったこともあり、12年目に建て替えをし、2回目のローン組み。この頃は夫婦とも正規雇用でのダブルインカムだったので何とかなるか、と思っていましたが、思いもよらぬ長男の自殺。配偶者が2年目に仕事からドロップアウト、2年のひきこもり。次に私がバトンタッチして2年のひきこもり(大学生をしてました)…。配偶者は当然、パートタイムで働き始めました。この頃には、収入は、ダブルインカムの頃の10分の1程になっていました。幸い、配偶者が准公務員待遇で20年以上働いていたので、一定の退職金があり、議論の末、思い切って住宅ローンを完済することにしました。預金はなくなりましたが、ローンもなくなりました。それから、「その月暮らし」が始まりました。
         もし、住宅ローンを今も支払い続けていたら…、と思うとぞっとします。無理です。配偶者のパート収入と私の不安定な収入で、毎月固定の住居費を捻出すると、食生活がなりたちません。
         低賃金、不安定雇用の状態にある方にとって、賃貸にせよローンにせよ、住居費の負担は大きすぎると思います。私の住居の周辺住宅街でも、竹藪を切り開いて新しい一戸建てが次々と建ち、ここは4,000万代か、ここは5,000万代か、と感心する毎日ですが、現金買い出来る人はわずかだと思いますので、みんな住宅ローンと闘ってるんだなぁ、と…。
        「豊かな」国の厳しい住宅事情。何のために働いているのか、考えさせられますね。国民健康保険料が支払えないために医療の受診を控えて、無念にも命を落としてしまう方が、2005年1月から今年2月にかけて16府県で少なくとも29人おられることが、全日本民主医療機関連合会の調査で明らかになりました。国保料の滞納世帯が500万世帯近いという現実もあります。「格差社会」の実態を示すものでもあります。とにもかくにも、住居費の高額さが恨まれてなりません。
         次回は「15の春は…」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        いじめ認知件数急増 10月以降12件 城陽の小中学校

        京都府南部にある城陽市内の小中学校でいじめの認知件数が急増し、本年度は14件に達している。過去5年間の累計と同数で、市教委は「社会問題化した昨年10月以降、いじめかどうかの判断で、被害者の立場をより重視するようになったため」とみている。
         市教委によると、昨年4月から今年1月までの児童生徒間のトラブルで「いじめ」と学校が判断したのは小学校7件、中学校7件の計14件。01年度から05年度までの累計件数も14件で、わずか10カ月で5年分の件数と並んだ。
         いじめの認知時期を見ると、昨年10月以降が14件中12件と大半を占めた。福岡県筑前町など全国で自殺や自殺予告が相次ぐなどいじめの問題が社会で再注目された時期と一致している。
         市内の各小中学校は昨年10月以降、いじめをテーマにした教員研修や児童、生徒への調査を実施している。市教委は「実数が急増したとは考えにくい。被害者の立場になって、これまで『暴力』『トラブル』と分類してきた事案も『いじめ』と判断する教員が増えたため」(学校教育課)とみている。
         文部科学省は、いじめを「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」と定義していたが、「一方的」「継続的」などの言葉を削除し、3月に各市町村教委に通達している。
        (京都新聞)3月21日13時18分配信

        ●24時間往診可能、全国9000か所をネットで公開
         24時間体制で往診可能な在宅療養支援診療所について、独立行政法人福祉医療機構のインターネットサイト「WAM NET(ワムネット)」が、全国9346か所の診療所情報の提供を開始した。
         患者・家族の診療所探しを支援するのが目的。都道府県別では、トップの大阪が1233か所を数えたのに対し、最も少ない高知はわずか26か所で、地域差も目立った。
         在宅療養支援診療所は、在宅医療の拠点として、厚生労働省が昨年4月に新設した。社会保険事務局に届け出ると、診療報酬が手厚くなるが、患者や家族との連絡体制整備などが求められるため、一般の診療所の1割にとどまっている。同機構は、昨年10月1日現在の届け出リストをもとに、住所、電話番号、診療科目などの情報提供を始めた。
        (読売新聞)3月19日3時5分配信

        ●野球部元監督に有罪=部員に全裸ランニング-岡山地裁支部
         私立おかやま山陽高校(岡山県浅口市)の野球部員に全裸でランニングをさせたり、暴力を振るったりしたとして、強要と暴行の罪に問われた元監督池村英樹被告(36)の判決公判で、岡山地裁倉敷支部の樋上慎二裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
        (時事通信)3月23日18時32分配信

        ●<福岡いじめ自殺>同級生3人を家裁送致 共同暴行の事実で
         福岡県筑前町立三輪中2年の森啓祐君(当時13歳)がいじめを苦に自殺した問題で、福岡地検は23日、当時14歳だった同級生3人を暴力行為法違反の非行事実で福岡家裁に送致した。家裁は今後、審判を開くかどうかなどについて調査を進める。県警は「いたずらの限度を超えたいじめ」と判断して3人を書類送検していた。
        (毎日新聞)3月23日21時48分配信

        ●<新潟中2自殺>「いじめには当たらない」村教委の調査委
         新潟県神林村で昨年11月、村立平林中2年の男子生徒(当時14歳)が同級生にズボンを下ろされた後に自殺した問題で、有識者で作る同村教委の事故調査委員会(委員長・神村栄一新潟大助教授)は22日、「(自殺は)やや衝動的なものだが、いじめ自殺には当たらない」とする報告書を村教委に提出した。
        (毎日新聞)3月22日20時45分配信
        【コメント】ズボンを下ろされるというイジメの直後の自殺です。これが「やや衝動的なもの」という判断はいかがなものでしょうか。他に自殺に至る原因が特定できるのならともかく、このような報告書を出す「調査委員会」では、第三者機関による客観的評価とは言えないと思います。

        ●いじめ自殺問題:被害者の会「教諭は安全配慮徹底を」 深刻化防止申し入れ/千葉
        ◇県教委に申し入れ
         いじめで自殺した児童・生徒の遺族らによる「いじめ被害者の会」は16日、県教委に「教諭に『安全配慮義務』の実践を徹底し、いじめの深刻化を防ぐよう」申し入れた。06年10月に文部科学省に安全配慮義務の徹底を申し入れたが、都道府県教委への指示が徹底されていないため、千葉を皮切りに全国の都道府県教委に直接申し入れ、悲劇を起こさないよう訴える。
         県教委を訪れたのは同会代表の大沢秀明さん(62)=大分県佐伯市=と妻園子さん(63)。
         大沢さんは96年1月、福岡県城島町(現久留米市)で当時中学3年で15歳だった四男秀猛さんを、2年10カ月にわたる激しいいじめを原因とする自殺で亡くした。以後、秀猛さんの供養をとの思いで、県と町を相手取り最高裁まで事実認定を求めて闘い勝訴。県と町の賠償責任を認めさせたほか、全国で講演するなど自らの事業をたたんでまで、いじめ被害者を減らすための活動に取り組んできた。
         06年10月の福岡県筑前町のいじめ自殺事件をきっかけに、同月29日に全国の被害者家族らと「被害者の会」を設置し、同会に寄せられた400件を超す相談(現在時点)に対応する一方で、今年3月には著書「いじめは止められる! わが子を死なせないための安心の処方箋(せん)」(エビデンス社)を出版し、いじめ解決のために奔走している。
         大沢さんによると、いじめを深刻化させず自殺者を出さないためには、初期段階で実態を把握し、原因を見究めて適切な措置を取ることが重要。これは教員が「安全配慮義務」を徹底して実践すれば可能だという。
         しかし現実には、教諭や学校には保身のため、いじめを隠そうとする傾向が強く、実態把握や報告が遅れたり、適切な指導を欠いたりするケースが少なくない。
         大沢さんは「こうした対応が、被害者が教諭を信頼できずに相談をためらったり、加害者側が深刻さを認識せずにいじめを継続・エスカレートさせるといった状況を生み、被害者を自殺や精神障害、不登校に追いつめている」と指摘する。
         大沢さん夫妻は今後約20日間かけて全国を回る予定。同会は「いじめ自殺ゼロ」を目標に相談に応じている。問い合わせは同会(電話とファクス0972・23・8372)へ。
        ■ことば
        ◇安全配慮義務
         いじめ自殺をめぐる裁判の判例から定着してきた教員の義務。教師は教育現場や学校生活のなかで、児童・生徒が生命・身体・精神などに悪影響や危害を被るのを未然に防ぐため、早期発見や適切な措置を講じる義務がある。
        (毎日新聞)3月19日11時2分配信

        小さな自信が大きな動きの原動力。
        2007/03/18
        不登校やひきこもりの状態にあって、さまざまな神経症(対人恐怖や不安など)や抑うつ症状を出しておられる方の中で、何らかの小さな「変化」で「動き」が始まる方がおられます。
         「変化」は日常生活の中で、ちょっとした「非日常」事態が起こった時などによくみられます。家族構成の変化(結婚や出産、転居…)や家族の所属の変化(進学や転職、入院…)、旅行や家族以外の人の訪問など、さまざまですが、結果、本人の気持ちを揺さぶることになれば、何らかの変化をみせてくれます。その変化に気づいてあげることが大切であることは言うまでもありません。
         その小さな「変化」によって「動き」を出すと、本人は非日常的な体験をすることになります。その体験が、自身が「動けた」「○○をした」という能動的な体験として認知され、自らの変化として受け止められれば、それは小さな「自信」になる可能性があります。
         人が、変わり、動き出すためには、この「自信」が不可欠です。そして、小さな「動き」→小さな「自信」→小さな「動き」→小さな「自信」…という積み重ねが、徐々に大きめの「自信」となり、気がつけば大きな「動き」となります。
         この「非日常」状態での本人の「小さな変化」を、家族がきちんと気づき、小さな「動き」への原動力となるように位置づけることができるかどうかが大切で、私の御家族(主に母親)へのカウンセリングでは、この気づきと位置づけの促進に力をおいています。またご本人へのカウンセリングでは、「小さな変化」「小さな動き」を尊重し、それが「できた」ご本人を肯定的に受容してもらえるようアプローチしていっています。「小さな動き」の肯定的な受容→「小さな自信」、この積み重ねで自尊感情を取り戻していってもらいたいのです。
         御家族からしてみれば、そんなささいなことで…、と思われることで、本人の「大きな動き」につながることがあります。
         次回は「住居費負担は高すぎる」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <イラク帰還兵>4分の1にPTSD 3割以上治療必用

        イラクとアフガニスタンから帰還した米兵約10万人のうち、4分の1が心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的障害があると診断されたことが、12日発行の米医学誌に掲載されたカリフォルニア大サンフランシスコ校などの研究で明らかになった。家族との関係維持に問題があるなど心理的トラブルを抱える事例も含めると、3割以上が治療や心理的ケアを必要とする状態にあるという。
         同校医学部のカレン・シール博士らは01年9月~05年9月に退役軍人省の医療施設などを訪れたイラクとアフガンの帰還兵10万3788人のデータを分析。25%にあたる2万5658人が精神的障害を有すると診断されたことを確認した。最も多かったのは1万3205人を数えたPTSDで、精神的障害と診断された患者の半数に達した。医療施設を訪れた帰還兵総数の13%にあたる。
         他の診断例は不安障害、適応障害が多かった。複数の精神的障害を持つと診断された帰還兵も1万4339人いた。
         研究チームによると、障害が見つかった比率が最も高かったのは18~24歳の若い兵士で、患者中の28%(7558人)を占めた。性別では、女性兵士の方(26%)が男性兵士(25%)よりわずかに高かった。
         シール博士らは「特に若い兵士を対象に、予防措置や早期診断システムの改善が必要だ」と指摘している。イラクやアフガニスタンでの戦闘はゲリラ戦的要素が強く、「見えにくい敵」を相手に多くの兵士が死傷している。専門家らは兵士の心理的ケアの改善を以前から求めている。
        (毎日新聞)3月13日11時37分配信

        ●<転落>小学校で小5男児重体 愛知・豊明
         14日午後5時40分ごろ、愛知県豊明市新田町西筋の同市立中央小学校(松原康久校長、児童数898人)の敷地内で、同市内に住む会社員(36)の長男で、同小5年生の男児(11)が頭から血を流して倒れているのを男性教師(28)が見つけ、119番した。男児は意識不明の重体。校舎2階から「ごめんなさい」などと書かれた男児が残したとみられる紙片が見つかっており、同県警愛知署は校舎から飛び降りるなどした自殺未遂と事故の両面で捜査を始めた。
         調べでは、男児は「管理棟」と呼ばれる3階建て校舎の1階配ぜん室東側のコンクリート通路上に倒れていた。発見の約10分前、現場の真上にある2階通路の突き当たりの窓が開いているのを別の教師が目撃しており、そこから落ちた可能性がある。男児の教室も2階にある。
         同小によると、この校舎と西側の体育館との間の敷地に男児のランドセルや帽子、靴などがあった。上履きはげた箱に入っていた。男児はこの日午後3時半まで授業に出席し、放課後は所属しているサッカークラブの練習に参加。午後5時15分ごろの練習終了まで参加したことが確認されている。発見時の服装はクラブで着用する体操着ではなく、普段着だった。
         同小の教頭は「大事な子供の命が危ない状態になり、申し訳ない」などと話した。同小は豊明市役所南の住宅街の一角。
        (毎日新聞)3月15日3時4分配信

        ●<国民健康保険>受診遅れなどで29人が死亡 民医連調査
         全日本民主医療機関連合会(民医連)は15日、国民健康保険(国保)の保険料が支払えず、医療機関への受診が遅れたことなどによって死亡した人が、05年1月~07年2月で計29人に上ったと発表した。民医連の加盟事業所約1700施設などを対象に調査した結果で、男性が20人、女性が9人。50代が11人で最も多かった。
         民医連によると、会社をリストラされた後、病気などで再就職できなかったため、保険料が支払えず、病気になっても全額自己負担で受診せざるを得ず、結果的に病気が悪化して亡くなった例などがあるという。29人のうち、5人は保険証を持っていたが、経済的に苦しくて受診を抑制するなどしていたという。
         厚生労働省によると、06年の国保の滞納世帯は約480万世帯(国保世帯全体の19%)。1年以上保険料を滞納した人に発行する「資格証明書」は昨年6月現在、約35万世帯に上っているという。
        (毎日新聞)03月15日21時34分
        【コメント】今朝の朝刊にも、病気で寝たきり状態の夫が医療につなげられずに衰弱死したという記事が載っていました。妻はパートを3つ掛け持ちし、必至で働いて収入を得ていましたが、家賃と消費者ローンの返済で大半が消えて行き、医療費が捻出できなかった結果の悲しい出来事です。

        ●札幌で輪禍死障害者の両親 「逸失利益ゼロは不当」 加害者らを提訴へ
         交通事故で死亡した自閉症の長男=当時(17)=の逸失利益を「ゼロ円」と算定したのは不当だとして、札幌市内の両親が、加害者の運転手と事故当時、長男を介護していたヘルパーらを相手取り、同年代の健常者と同じ逸失利益約四千二百万円を含む約七千三百万円の損害賠償を求め四月上旬、札幌地裁に提訴することが十四日、分かった。これまで、重度の障害者に健常者並みの逸失利益を認めた判決はなく、逸失利益の見直しを求める訴訟は全国でも異例だ。
         両親らによると、重度の自閉症だった長男は二○○五年八月、ヘルパーに付き添われ、初めて路線バスを利用して札幌市内の公園へ行った。バスが公園内の停留所で停車し、ヘルパーが運賃を支払っている間に、長男は道路へ飛び出し、乗用車にはねられ死亡した。
         事故の数カ月後、加害者の代理の損害保険会社が、男性の両親に賠償額の見積もりを提示。長男が受け取るはずの障害者年金を将来の収入と認めず、逸失利益をゼロと算定し、賠償額の総額は慰謝料など千六百万円とした。
         逸失利益は、被害者が生きていれば将来得られたはずの収入で、同じ年代の健常者でも、職種などによって数千万円の差が生ずることもある。一般的に、障害者は仕事に就きにくいため、収入予想額を低く算定され、障害が重度になるほど逸失利益は低くなる。
         両親は「障害者だからといって、命の対価と考えられる逸失利益がゼロ円なのは明らかな差別で、人権を無視している」と訴える。
         両親の代理人を務める児玉勇二弁護士(東京)は「重度の障害者でも発達の可能性はあり、逸失利益に差をつけるのは不合理。少なくとも、法律で定められた最低賃金をベースに算定するべきだ」と話している。道内関係では、旧上磯町(現北斗市)の知的障害児施設で入浴中に死亡し、逸失利益を「ゼロ円」と算定された男性=当時(16)=の青森県に住む両親も、近く同様の訴訟を青森地裁に起こす。
        (北海道新聞)2007/03/15

        ●小5自殺「教諭の体罰原因」=両親が北九州市を提訴-福岡地裁支部
         北九州市で昨年3月、市立青葉小学校5年永井匠君=当時(11)=が首をつって自殺した問題で、原因は担任教諭の体罰だとして、父親の昭浩さん(46)と母親の和子さん(45)が15日、市に総額約8100万円の損害賠償を求める訴えを福岡地裁小倉支部に起こした。
         訴状によると、昨年3月16日、匠君の同級生の女児が、新聞紙を丸めたもので匠君にたたかれたと50代の女性教諭に報告。教諭は匠君を問いただし、胸をつかんで床に押し倒すなどの体罰を加えた。
         帰ると告げた匠君が教室に戻って来ると、教諭は「何で戻って来たんね」と叫び、匠君はランドセルを持って学校を後にした。帰宅後、匠君は自宅で首つり自殺した。
         この問題で5年生の児童が記入した学校側のアンケートには、当日の目撃情報が含まれていたとされ、両親は真相解明のため開示を求めた。しかし、市教委の指示を受けた学校が廃棄したと、両親側は指摘している。
        (時事通信)3月15日20時30分配信

        ●北九州・若松区の小5自殺:「匠の死無駄にしたくない」両親、写真と名前公表/福岡
         「匠の死を無駄にせず、二度とこういうことが起こらないようにと写真と名前を公表しました」――。若松区の市立青葉小5年生だった永井匠君(当時11歳)が自宅で自殺してから16日で1年。記者会見した母和子さん(45)はこう訴えた。なぜ幼い命が失われたのか。両親は裁判の中で少しでも真相が明らかにされることを願っている。
         父昭浩さん(46)と和子さんは、今月1日に市教委から事故報告書案が示されたことを明らかにした。しかし、昨年5月に学校が市教委に示した内容とほぼ変わらないものだった。教諭が永井君の服をつかんで持ち上げ、床に倒した行為を「指導の一環だった」とし、行為と自殺との因果関係も「分からない」と記した内容だったという。
         両親が求めてきた第三者による調査については「できないという回答で、理由は説明されなかった」と昭浩さん。市教委や学校が児童のアンケートを廃棄した後、両親に「カウンセラーが持っている」などと虚偽の説明をしたことに対しても不信感を表明した。
         両親への虚偽説明について、市教委指導部の平林末一主幹は「今は否定も肯定もできない」と話した。
        (毎日新聞)3月16日13時2分配信
        【コメント】「否定も肯定もできない」というコメントをすること自体に、異常さを感じることはないのでしょうか。

        ●<自殺予防>教師に基礎知識の教育必要 文科省検討会が提言
         子どもの自殺予防策を話し合う文部科学省の検討会は16日、教師を対象とした自殺予防教育や、自殺の実態把握のための体制整備など、ただちに実施すべき対策を報告書にまとめた。自殺直前のサインも具体的に取り上げた。文科省は全国の自治体に報告書の活用を促す。
         報告書は、教師が初任者研修や年次別研修、管理職研修などで、自殺予防に関する基礎知識を学ぶことを提言した。また、自殺の実態を把握するため、学校関係者による調査に限界がある場合、第三者による調査が必要とした。
         自殺のサインとしては「これまでに関心があった事柄に興味を失う」「注意を集中していられない」などの「突然の変化」をはじめ、「遠くに行ってしまいたい」などの「自殺のほのめかし」や「大切な持ち物を友人にあげる」というような「別れの用意」を紹介。「総合的に判断することが重要」と注意を求めている。
         検討会は昨年6月、自殺対策基本法が成立(10月施行)したのを受け、文科省として本格的な自殺対策に取り組むため、8月に設置された。
        (毎日新聞)3月16日21時50分配信

        ●<ネット自殺予告>昨年、警察が39人を説得
         インターネット上での自殺予告について、昨年1年間に警察が接続業者からの発信者情報などの提供を受け、説得にあたったケースが75件79人あり、このうち43人が助かったことが警察庁のまとめで分かった。39人は警察官が説得するなどして自殺を思いとどまらせ、4人は自殺を図ったものの周囲の人が救護したという。
        (毎日新聞)3月15日21時19分配信

        ●「総合支援学校」に名称変更 京都市立の総合養護学校
         京都市教委は4月1日から、市立の総合養護学校7校の名称を「総合支援学校」に変更する。市議会で13日、関係条例の改正案が可決された。
         4月からの学校教育法改正で、障害の種別ごとに分かれていた盲・ろう・養護学校は制度上、地域の学校で学ぶ学習障害(LD)などの児童、生徒への支援強化も目指して「特別支援学校」に変わる。市教委は2004年度から、障害の種別にとらわれない総合養護学校に移行させているが、「地域と連携して支援を進める『教育センター』機能をより的確に示す名称として、総合支援学校にすることにした」(総合育成支援課)としている。
        (京都新聞)3月13日21時18分配信
        【コメント】障害のラベル貼りがすすむ一方で、「支援」という言葉がたくさん使われるようになりました。しかし、その実態は、さまざまな障害を一括りにしてしまう「自立支援」や今回の「総合支援」という安上がりの対策への変更が進んでいるだけのような気がしてなりません。本来、一人ひとりが持っている生活のしづらさに対して個別の必用な支援が受けられるようになるべきです。「総合支援」が、「隔離」とならないよう、厳しく見守っていく必用があります。

        ●新たな「教師力」を模索 大津でフォーラム 校長や高校生ら討論
        求められている教師像などについて意見を述べるパネリストたち(大津市・ロイヤルオークホテル)
         滋賀大は17日、大津市のロイヤルオークホテルで「いま滋賀が求める教師とは!」と題したフォーラムを開いた。不登校やいじめ、保護者の理不尽な要求などさまざまな問題が教育現場に山積する中、パネリストとなった同大学教授や小学校の校長、そして新年度から教員になる大学生や教員を目指す高校生ら6人がそれぞれの立場から意見を述べた。会場には教職員や保護者ら約150人が詰めかけ、6人の話を聞いた。
         住岡英毅同大学教授らが「新しい教師力」と題し基調講演したのを受けてパネル討論がスタートした。司会者からの「優れた教師とは」という質問に、今春から教職に就く滋賀大4年の田中ゆかさんは「いろいろな問題を抱えた子どもがいるが、彼らが自分自身の良さに気づき、存在価値を感じられるよう、働き掛けができる教師」と述べた。教員を志望している膳所高2年の高坂麻菜美さんは「さまざまな問題を解決できる対応力が必要」とした上で「個人の力では限界があるので、結束した団結力を持つ教師集団も大切」と指摘した。
         「実践力を高めるには」という司会者の問い掛けに対しては、石山小学校(大津市)の細川寛校長が「自分の言うことを聞かない子を煩わしく思うのでなく、自分を育てることに一役買ってくれると考えれば、おのずと方策が見いだせるのでは」と述べた。
        (京都新聞)3月17日23時28分配信
        6月23日に講演を依頼されています。
        2007/03/11
         今回は「家族会ノンラベル、今年のイベント企画情報」についてお伝えしようと思っていましたが、現在のところ、まだ企画の詰めをしている段階で、ノンラベルのHPよりも先にここでお伝えするのも変かと思い、延期させて頂きます。
         で、今回は、6月23日の講演について…。
         京都で活動されている不登校の親の会「ほっこりスペースのうす」さんから、講演を依頼されていて、昨日、4名の方が打ち合わせにカンナ事務所にお見えになりました。
         私がお話できるのは、3つくらいパターンがあって、1つは長男の出来事の顛末記的なもの、2つはそれを基点として始めた相談室カンナを開く取り組みやカンナでの活動を通して感じたこと、3つはカンナや家族会ノンラベルで体験し学んできた高機能の広汎性発達障害のある方への援助のあり方について、です。
         今回の「のうす」さんでの講演では、この3つともが求められているようです。ただ、基本に置きたいのは、不登校やひきこもりや問題行動、あるいは発達障害を持つがゆえの生きづらさなどを考える場合に、どこに視点を置くかだと思います。
         競争主義が進行する中で「学歴社会」が浸透し、現実的には崩壊しているにも関わらず今でも「信仰」化している実態、その中で過度な期待を押しつけられ、大切な人格形成期である児童期・思春期・青年期を、「学力」競争社会の画一的なレールに乗せられてしまっている子どもたちの悲鳴を感じることができないままでいる大人社会。いろんな歪みが子どもたちの精神的な成長に重く暗い影を落としていることに気づき、一人ひとりが大切に育つ環境をつくっていく方向に、大人たちは、舵を切るべきだと思います。
         まだ準備に時間はたっぷりありますが、カンナでの活動の基軸を考えることと重なる、良い機会を与えて頂いたと思います。
         次回は「小さな自信が大きな動きの原動力」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        ひきこもり、専門家が対応 京都府がHPで支援情報

        京都府が、自宅にひきこもり、就労や通学などの社会参加をしにくい青少年の支援情報を掲載するホームページ(HP)を開設した。ひきこもりの当事者や家族からの相談に、専門家が応じる仕組みをHP内に設けた。行政の相談機関や支援制度、民間支援団体の取り組みも紹介している。
         HP内の相談窓口は、京都ノートルダム女子大に運営を委託する。ひきこもりの青少年が、インターネットを利用する割合が高いとされることから発案した。行政機関としては全国初の取り組みという。
         精神科医の河瀬雅紀教授(臨床心理学)ら研究者5人と大学院生10人が相談員として携わる。相談者がHP上で登録すれば、専用のページが設けられる。相談では、5回程度のやりとりを経て、本人の状態に適した相談機関や支援団体にかかわるよう促す。
         HPではほかに、府内で活動するフリースクールや居場所など21の支援団体を紹介。活動の報告や予定など最新情報が分かり、見比べられる仕組みにしている。
         3月下旬から、専門家のコラムなどを掲載する月1回のメールマガジンも発行する。府青少年課は「ひきこもりに悩み、どのような支援の手だてがあるのか分からない当事者や家族に、必要な情報を伝えられるようにしたい」と話している。
         アドレスはhttp://www.kyoto-hikikomori-net.jp
        (京都新聞)3月7日19時38分配信
        【コメント】私が副代表をしているノンラベルもこのサイトにページがあって、イベント情報などの更新を私が担当しています。行政が開設したひきこもり支援のサイトとしては珍しいし、内容も悪くないと思っています。

        ●中3男子が自殺、岐阜市で「夢を否定された」と遺書
         6日午後2時40分ごろ、岐阜市鏡島精華のマンションの壁に設置されているパイプにビニールひもを掛け、市立中学3年の男子生徒(15)が首をつって死んでいるのを、通り掛かった人が見つけた。岐阜中署は、近くにあった学生かばんに遺書があり、自殺とみて調べている。遺書には「将来の夢を母親に否定された」などと書かれていた。2日朝に行方不明になっていた。同日夜に死亡したとみられる。
        (共同通信)03月06日21時57分

        ●<福岡いじめ自殺>中学校長、元担任ら処分 県教委
         福岡県筑前町立三輪中2年の森啓祐君(当時13歳)がいじめを苦に自殺した問題で、県教委は6日、1年時の担任で親からの相談内容を他の生徒に漏らした男性教諭(48)と合谷智校長(52)を減給(10分の1)1カ月の懲戒処分にするなど計4人の処分を発表した。県教委がいじめ問題で、関係者を処分するのは初めてで「結果の重大性を考慮した」と説明している。
         他に教頭(52)が戒告、2年時の担任(44)が戒告と指導力改善のため県教育センターで1年間の研修を命じられた。
         1年時の担任について、県教委は「森君に関する不適切な発言がその時々のからかいや冷やかしにつながる一要因となった。しかし、恒常的にいじめをあおった事実はない」と指摘し、減給1カ月にとどめた理由を説明した。
         また、校長と教頭について「教職員を指導監督する責任があったが、いじめ対策を怠った」と述べた。2年時の担任については「いじめに気づかなかった」と述べた。
         また、県教委は1年時の担任の行為について「(守秘義務違反など)刑事処分の対象にはならない」として刑事告発を見送ることを明らかにした。【高橋咲子】
         ▽尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)の話 森君をいじめた子の一部が書類送検されたことなどを考えると、減給、戒告という処分は軽過ぎると思う。特に1年時の担任は母親からの相談内容を教室で漏らしており、厳密に考えると守秘義務違反だろう。この行為は、森君へのいじめを誘発し、全国の教師の信頼失墜まで招いたと言える。そうしたことを考えると処分は軽いと思う。それに森君をいじめた子どもたちの中心メンバーはまだ何のおとがめも受けていない。いじめた子たち、教師、校長を本気で反省させるなら、どこにメスを入れるべきか教育委員会はもっとよく考えるべきだ。
        (毎日新聞)3月6日22時53分配信

        ●萩野被告に懲役18年 地裁判決 宇治の学習塾女児殺害
         宇治市の学習塾「京進宇治神明校」で2005年12月、小学6年の堀本紗也乃さん=当時(12)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた塾の元講師萩野裕被告(24)の判決が6日、京都地裁であった。氷室真裁判長は犯行の計画性などから被告に完全な刑事責任能力があると判断し「あまりに残忍な犯行で極めて悪質。わずか12歳の可能性を秘めた尊い命が失われたのは理不尽というほかなく、両親の悲しみ、怒りは察するに余りある」として懲役18年(求刑無期懲役)を言い渡した。
         萩野被告は公判中の精神鑑定でアスペルガー障害と診断された。法廷では「(紗也乃さんに)殺されると思った」と主張。弁護側は心神耗弱に当たるとして責任能力の有無を争っていた。
         氷室裁判長は動機について「被害者の像が剣を持って襲いかかってくると認識し、その恐怖から逃れるため、現実の被害者を殺害すれば像がなくなると思いついた」と指摘した。そのうえで「被害者との間に問題が生じることに伴い、精神状態が悪化している。指導に関して両親から抗議を受けて腹を立てたことなどが要因と言え、動機は理解不可能なものではない」と述べた。
         さらに▽犯行の発覚を防ぐために他の児童を別室に移動させた▽監視カメラの電源を切った-などを挙げ「精神病のような状態にあったが、計画性は顕著で犯行時の記憶も鮮明だ」として責任能力を認めた。
         量刑理由では「圧倒的な体力差のある被害者に対し、鋭利な包丁で執拗(しつよう)に突き刺した犯行はあまりに残忍。幼い被害者が受けた苦痛は計り知れない」と犯行の悪質さを厳しく非難した。また「安全であるはずの学習塾で、本来生徒を守るべき講師が教え子を殺害した特異な事件だ」と述べ、塾の安全管理などが問題化した社会的影響についても触れた。
         判決によると、萩野被告は2005年12月10日午前9時ごろ、宇治市の京進宇治神明校の教室で、紗也乃さんの首を刺すなどして殺害した。
        (京都新聞)3月6日
        【コメント】荻野被告はアスペルガー障害と診断され、精神科を受診していました。マスコミ報道を見聞きしていて心配したのは、「アスペルガー障害」=「重犯罪を犯す」というステレオタイプが作られるのではないか、ということです。荻野被告の犯した犯罪は、アスペルガー障害による対人相互作用の困難さから女児との関係性がうまく築けずに「殺されると思った」という妄想様観念に支配されてしまい、それから身を守るために起こしてしまった犯罪行為です。「アスペルガー障害によるものだから、罪刑については考慮されるべきだ」と言いたいのではありません。犯罪、違法行為は許されるものではありませんし、法に基づいて適切な罰が与えられるべきですが、重刑罰を与えれば良いというものでもないと思います。被告自身が、自ら犯した行為の非人道さと刑事処分についてきちんと理解できるように認知を矯正しつつ刑に服して罪の意識や被害家族に対しての謝罪意識をを正しく持つことが必用ですし、社会においてもこの事件と判決を通じて広汎性発達障害についての理解が広まっていくことが必用だと思います。

        ●高畠・女子生徒自殺 遺族、山形県教委に質問状提出へ
         山形県立高畠高の女子生徒自殺問題で、県教委が5日、「いじめがあったという事実は確認できなかった」とする調査結果をまとめたことについて、生徒の父親(54)は6日、河北新報社の取材に対し「調査は不十分だという思いが強い」として、県教委に今週中にも質問状を提出する方針を明らかにした。
         父親は「学校を信頼していたが、生徒に対する聞き取りのみで、本当の意味で調査が行われたと言えるのか疑問だ」と、県教委の姿勢を批判した。
         先月25日、県教委が遺族に調査結果を説明した際には、高畠高が授業ごとに生徒が入れ替わる単位制を採用しているため「普通の高校と異なり、一人一人の行動が把握しにくい」ことなどを調査の難しさの理由の一つに挙げたという。
        ◎父親「いじめの確認を」
         自殺した山形県立高畠高の女子生徒の父親(54)が6日、河北新報社の取材に応じ「県教委の調査は納得できない」などと語った。父親との一問一答は次の通り。
        ―女子生徒は(遺書を残した)携帯電話の中で、いじめた人物を特定していたのか。
         「仲のいい友達の名前はあったが、いじめた人物の具体名はなかった」
        ―特定の生徒から、いじめを受けていたのか。
         「県教委の報告書は、そのあたりの事実関係をあいまいにしている。質問書であらためて聞いてみたい」
        ―県教委の調査をどう思うか。
         「遺書には『いじめられた』との記述があり、なかったとする調査結果は到底、納得がいかない。もっと核心を突いた調査をしてほしかった」
        ―携帯の中にはどんな記述があったのか。
         「人間は愚かな存在だが、素晴らしい人も中にはいる。だからこそ人生は素晴らしい、と記してあった」
        ―学校への損害賠償請求などは考えているか。
         「現時点では考えていない」
        ―いじめによる子どもの自殺が多発している。
         「あなたを必要としている人が大勢いる。死んでしまったら、悲しむ人がたくさんいることを知ってほしい。とにかく誰でもいいから、周りの人に話してほしい」
        (河北新報)3月7日7時2分配信

        ●高畠高の女生徒自殺:疑問点など県教委に質問書 遺族、苦しい胸のうち明かす/山形
         高畠町の県立高畠高校で2年生女子生徒(当時16歳)が自殺した問題で、女子生徒の遺族は9日、「いじめは確認できなかった」という調査結果を出した県教委に対し、疑問点などをまとめた質問書を郵送した。また、遺族は現在の心情を文章にして報道各社に公表。子供を亡くした苦しい胸の内を明かした。
         質問書は、同校の調査報告書を精査した県教委の疑問点の有無▽同校の総合学科という特徴ある教育課程の中での生徒の自己管理と教諭のかかわり方▽生徒、教諭、学校関係者の証言内容――などが主な内容。女子生徒は以前、母親に「いじめられている」と相談し、携帯電話にもいじめをほのめかすメモが残されていたことから、遺族は県教委の調査結果に納得していなかった。
         ◇なぜ大事な宝失ったのか
         遺族が公表した「今の心情」の概要は次の通り(原文のまま)。
         今までごく普通に会話し、生活を共にし、ごく普通にいるものと思っていた生活の中で、1人が居無くなり失なった事が、このように辛(つら)く苦しいものだとは。子供の存在自体が私達の生き甲斐(がい)だった。
         言葉では言い表せない想像を絶する寂しさに襲われながら、私達は自分の何が足らなかったのか、自分で自分を責め悲しみ、答えのない問答をくり返し、悲しみに涙し、毎日がそのくり返し。身近な人達に支えられ、自分をとり戻し、時が経(た)てば心落ちつくと思いながらも、心落ちつかず、時が経つほどに思いは強くなるばかりです。
         しかし、現実を見れば、学校や教育委員会の報告書からは、私達の思いとはかけ離れたものでした。何故(なぜ)、私達が大事な宝を失ったのか問いたいです。(中略)
         私達には、この事に関し避けて通りすぎる訳にはいきません。今、出来る事を後悔のない様に対処する時だと強く思っております。
        (毎日新聞)3月10日11時1分配信

        ●大阪・豊中市で高1が首つり自殺、前日に同級生が制止
         大阪府豊中市の私立大商学園高校(浜地茂樹校長)の放送部室で2月27日早朝、1年の岸祐太朗さん(16)(兵庫県宝塚市)が柔道着の帯で首をつって死んでいるのが見つかった。
         同校によると、岸さんは前日、教室で自分の首を柔道着の帯で絞めて同級生に制止され、担任教諭は「そんなことしたらあかん」などと声をかけたが、この事実を校長らに伝えたのは、遺体発見当日の午後。遺族は「すぐに知らせてくれていたら、自殺を未然に防げたはず」と憤っている。
         浜地校長は「担任は、前日の行為で自殺まで連想できなかった」と説明している。
        (読売新聞)3月10日22時32分配信

        ●発達障害の兆候のある幼児4割超改善 天童市相談事業
         山形県天童市は、市内の幼児を対象に本年度実施した「発達障害に関する臨床心理相談事業」の検証結果をまとめた。臨床心理士が保育現場で幼児の行動を直接観察し、早期発見と対応に取り組んだ結果、発達障害の兆候のあった幼児のうち、4割以上に改善効果が表れた。市は子育て支援策の一環として、新年度以降も事業を継続する方針。
         対象は市内の保育園と児童館計11施設に通う幼児780人。臨床心理士をはじめ、幼児の生後以来の検診記録を持つ保健師、家庭状況を把握する児童家庭相談員、保育士の4者が連携した。
         臨床心理士らは各施設を訪ね、幼児の過ごし方を観察。「大人の注意を無視する」「緊張が抜けず、つま先立ちで歩く」など発達障害特有の症状の有無を確認した。その結果、計103人について「発達障害の傾向がある」と判断した。
         兆候のある幼児には、臨床心理士らが健康状態や家庭状況などに基づき対応策を検討。担当保育士に「毎日、緊張をほぐすマッサージをする」「抱きしめるなど肌の触れ合いを多くする」などとアドバイスした。
         事業終了後の昨年末、市が全施設に経過を聴いたところ、昨年5月から7月にかけて指導した幼児80人のうち、43%に当たる34人が改善の方向に進んだ。「表情が柔和になった」「気持ちを言葉で伝えられるようになった」などの報告があったという。
         相談事業は昨年5月から10月にかけ、市児童家庭課が企画。保育施設で、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)など発達障害に関する保護者の相談が増えていることを踏まえ、前期と後期、それぞれ3カ月間かけて取り組んだ。事業実施中は、岐阜県などから視察団が訪れた。
         同課は「幼児期の発達障害は改善されるケースが多い。『障害捜し』という趣旨ではなく、早期発見と早期対応で健全な発達を支援したい」と話す。市は新年度以降、相談回数や時間、対象を拡大し、子育ての支援体制を築いていく。
        (河北新報)3月8日7時1分配信
        【コメント】乳幼児期において基本的信頼感が形成できないのが、発達障害をお持ちの方の生きづらさの始まりではないかと思います。自閉症圏の障害があっても、親御さんや回りの関わる人が特性に早期に気づき、特性を学び、適切な対応を始めれば、対人相互関係の持ち方、その快適さを学習していくことができる人は少なくないと思います。御家族や回りの人も、その子のありのままの特性として受け入れ、良いところを伸ばしてあげる関わりが大切でしょう。こうした取り組みは、都道府県レベルに1カ所という発達障害者支援センターだけでカバーできるものではなく、少なくとも、各行政区単位で行われるべきと思います。

        ●発達障害児ケアで指導員 県教委が市町村支援(福島)
         福島県教委は、市町村が新年度に小学校などに開設する「放課後子ども教室」に一般の指導員とは別に、学習障害(LD)などの発達障害のある子どもをサポートする指導員を配置する。6日の2月定例県議会一般質問で中村秀樹議員(県民連合、いわき)の質問に、富田孝志教育長が答えた。LDなどへの対応で指導員を置くのは全国でも珍しく、ケアを手厚くすることで発達障害児も教室に参加しやすい環境をつくる。また、小学校以外にも県立養護学校3校に独自に教室を設置する。
         放課後子ども教室は文部科学省の新年度の新規事業。授業が終了した後、小学生が自分の学校で地域の大人との交流やスポーツ・文化体験、遊び、学習などを行う。学校に通える比較的軽度の障害児も対象となる。県教委はLDや注意欠陥多動性障害(ADHD)などの場合、障害のない子どもとは異なる対応が必要になると判断し、担当指導員の配置を決めた。
         担当指導員は発達障害児に付き添ったり、常に行動に注意を払いながら、他の子どもとスムーズに活動に取り組めるように支援する。指導員は養護学校教員ОBをはじめ、一定程度障害などに理解のある地域住民らを想定。市町村が人選して委託し、県教委は国とともに経費の3分の2を負担する。
         現在、教室開設を希望する市町村から仮申請を受け付けている。教室は、現段階で約40市町村で120カ所程度の開設が見込まれている。県教委はこのうち発達障害児が通い、市町村が必要と判断した教室は基本的にすべてに担当指導員を配置する方針。事前の聞き取り調査などから現時点で全県で80人程度になると想定している。
         ただ、小規模な町村では発達障害児に対応する指導員を10分に確保できないことも懸念される。県教委は把握している適任者の人材情報を町村に提供するなどして支援する。県教委の平成17年の調査によると、県内の公立小学校でLDやADHDなどの発達障害の可能性がある児童は、全体の4・8%に当たる6079人となっている。
         このほか、一般の指導員は子ども10人に1人程度の割合で置くことにしており、現段階では1200人程度となるとみている。
        (福島民報)2007年03月07日
        脱サラ、転身、はや5年目に
        2007/03/04
        一つの目標に向かって走ってきた、と言えば格好いいですが、不安と焦りと無力感に嘖まれながら、それでも「動くしかない」と言い聞かせて来た日々であることは確かです。20年勤めた企業を辞し、2年間の大学生としての「ひきこもり」状態を経て、相談室カンナを開設。カンナでの相談活動と家族会ノンラベルでの家族・当事者援助をしながら、精神保健福祉士資格取得に向けて専門学校通信科で学び、受験資格を得て国家試験を受験、結果待ち。不安と焦りと無力感に嘖まれつつも、関わらせてもらっている方々に少しでもお役に立てればと思いながら日々を過ごしています。
         そうこうしている間に時は過ぎ、気がつけば4年。第二の人生、5年目に入ろうとしています。
         この間の私のモチベーションを維持できたのは、家族の支えがあったのは言うまでもありませんが、様々な人との出会いが大きいと思います。不登校の親の会、全国学校事故・事件を語る会、家族会ノンラベル、こころのカフェきょうと(京都自死遺族会)、マスコミ関係者、私を講師としてお招きいただいた様々な機関・団体、そして相談・カウンセリングをさせていただいた方々…。多くの人脈ができ、多くの症例と関わらせていただいてきました。2年前の今頃開設した事務所の本棚(アルミ製のブックシェルフ)も当初2つでしたが、現在3つになってしまいました(「積ん読」が多いのですが…)。
         サラリーマン時代に較べて、経済的には○分の1の収入となってしまいましたが、思えば風邪や発熱で倒れることも、持病だった歯痛に苦しむこともなくなりました。労働時間が短くなったとも言えませんし、ストレスももちろんあります。企業勤めをしていた頃と明らかに違うのは、「自分はこうしたい」を実行できていることでしょう。「嫌なことはしない」ではありません。それはそれとして意義を見いだすことができるようになってきたと思えます。
         「石の上にも○年…」と言いますが、「意志の上にも○年…」と言うところでしょうか。もう少し収入が増えれば言うことないのですが…(^_^)v。
         次回は「家族会ノンラベル、今年のイベント企画情報」についてお伝えしたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <少年意識調査>父親の4分の1、平日の接触ほとんどない

        内閣府は3日、小中学生とその親を対象にした「低年齢少年の生活と意識に関する調査」の結果を発表した。父親の約4分の1が子どもとの平日の接触が「ほとんどない」と答え、中学生の約7割が進学や友人関係などで悩んでいたのに、悩みを知っている父親は約3割にとどまった。
         調査は昨年3月、全国の小学4年~中学3年の男女3600人を対象に面接方式で実施し、2143人が回答(回収率59.5%)。答えた子どもの父母にも郵送回収方式で調査を行い、2734人から回答を得た。
         子どもに「悩みや心配」があるかを複数回答で聞いたところ、中学生では71%が何らかの悩み・心配を抱えていた。同じ質問をした直近の調査(95年)より15ポイント多く、悩みの内容は「勉学や進学」61%、次いで「友達や仲間」20%、「性格」19%などの順だった。
         一方、子どもの悩みを知っているかを親に尋ねると、母親は65%が「知っている」「まあ知っている」と答えたのに対し、父親は31%にとどまった。子どもとの平日の接触は、父母とも「1時間くらい」がそれぞれ24%、29%と最多だったが、「ほとんどない」は父親23%、母親4%と大きな差が出た。特に父親は00年の前回調査より9ポイント増加した。
         親子関係の希薄化について、内閣府の大塚幸寛参事官は、仕事優先の父親の姿勢に加え、パソコンや携帯電話の普及も影響しているのではないかと指摘している。調査では小学生の15%、中学生の52%が携帯電話を持っていた。
        (毎日新聞)3月3日20時13分配信
        【コメント】悩みの内容で「性格」19%というのが気になります。画一化・均一化・標準化が進む中で、その人なりの個性が尊重されなくなり、他者と違う部分があることに恐れや違和感を感じる子どもたちが増えている、ということでしょうか。仕事に追われる父親をつくってきたのは、競争原理を推し進める日本経済であり、父親もまたその被害者です。父親の姿勢を批判するのは簡単ですが、父親の置かれている企業社会での現実を前に、「じゃあどうすれば良いの?」という疑問に答えられる人は少ないと思います。

        ●<教育特区>神奈川・相模原市に 初の「会社立小学校」
         株式会社が経営する全国初の小学校認可のため、神奈川県相模原市が国に国際教育特区の認定を申請した。同市横山台の株式会社「LCA」(山口紀生代表)が05年4月に開校したフリースクール「LCAインターナショナル・スクール小学部」が対象で、認定されれば来年4月に“株式会社立小学校”になる。
         国際人の育成のために設立された同小学部は1650平方メートルの敷地内に木造2階建て校舎がある。学校教育法の学校設置基準に満たないため、フリースクールとして1~4年の児童64人が通っている。認可されれば英語科を設置する。文部科学省の検定済み教科書を使うが国語の時間を除き授業はすべて英語とする。教師も自国で教員免許を持つ米国や豪州などの外国人がほとんどだ。
         特区申請について相模原市は「実践的な英語力の習得や国際的なコミュニケーション能力を身につけさせたいと望む保護者が増えてきたため」と説明している。
        (毎日新聞)3月1日3時2分配信

        ●「いのちの電話」準備中 4日に準備委発足記念講演会(滋賀)
         県内で「いのちの電話」の開設に向け、ボランティアたちが準備を進めている。自殺を考える人の悩みや暮らしの心配事に通話料だけで相談に応じる予定だ。県の電話相談と合わせ24時間体制で相談を受け付け、自殺者の減少を目指す。
         いのちの電話は1953年にロンドンで設立。国内では計51局が開設され、プログラムに基づく訓練を受けたボランティアが相談に応じている。
         県は現在、草津市笠山の県立精神保健福祉センターで、非常勤の相談員が対応する「こころの電話」を開設し、平日の午前10時から午後9時まで受け付けている。
         県内でも夜間や休日に相談へ応じる態勢をつくろうと、京都府の「京都いのちの電話」事務局のメンバーが中心となり、有志で準備会を設立。昨春から打ち合わせを重ね、日本いのちの電話連盟に加盟申請を行った。
         加盟は今春にも認定される見通しで、今後はボランティア相談員や運営に協力する支援者を募集する予定。
         4日午後1時から準備委員会発足を記念して、講演会が開かれる。講師は、びわこ成蹊スポーツ大の豊田一成教授。問い合わせは設立準備委員会事務局=電075(864)1133=へ。
        (中日新聞)3月1日11時42分配信

        ●いじめ:公立高で件数10倍に 要件広義にとらえ--県教委調査/秋田
         県教委は28日、昨年相次いだいじめ自殺を受けて今年度、県内の公立高校を対象に独自に実施したいじめ調査の結果を明らかにした。件数は前年度の14件から146件と10倍に増えた。生徒にアンケートや面接を実施するなど調査方法を変更し、文部科学省のいじめの定義にとらわれず、生徒が苦痛を感じた場合はいじめととらえるなど定義を広げたためで、根岸均教育長は「これまで現場にあった『件数が多いことは不名誉』という認識を今後排除し、実態を踏まえることを重視したい」としている。
         文科省のこれまでのいじめの定義は(1)弱者に対して一方的(2)身体的・心理的な攻撃を継続的に加える(3)相手が深刻な苦痛を感じる――とするもので、一過性のケースなどはいじめとして認識されなかったが、県教委はいじめの要件を広義にとらえた。
         調査は昨年12月に実施。いじめの内容(複数回答)は、冷やかし・からかい80件▽仲間はずれ30件▽言葉での脅し28件▽中傷メール26件▽使い走りなどの強要17件――などで、言葉によるものが圧倒的に多かった。教師によるいじめはなかった。発見の端緒は、被害生徒からの訴え76件▽保護者からの訴え26件▽担任が発見10件▽他の生徒からの訴え6件――など。
         これまで文科省の指針に沿って毎年実施した調査では、01年度32件▽02年度17件▽03年度26件▽04年度16件――と、いずれも40件以下だった。
         公立小中学校についても、市町村教委が昨年10月以降に実態把握のために独自に調査し、件数は前年度の10倍前後に上った。
         文科省はいじめの定義を「心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的苦痛を感じるもの」と改める方針で、県教委は3月にはこの指針に沿って小中学校でも調査を実施する。
         ◇味方の存在が大事--県若者自立支援部会の委員で精神保健福祉士の水野淳一郎さんの話 いじめをどう定義するかで件数は大きく変わってくるもの。数の増減から見えるものは少ない。教育現場で管理を強めて子供同士のかかわりを遮断してしまうと、かえって子供の成長にマイナスになる場合もある。一方でいじめられたことで育っている子供もいる。ただ、大事なのはいじめられたときに身近に味方になれる人がいること。誰かが味方になってくれれば、いじめが解決できなくても生きていくことができ、そこから子供が発見できるものがある。
        ■解説 ◇思春期の複雑な心情絡むことも いじめの定義を広くとらえた今回の調査を機に、今後、いじめを固定的にとらえず柔軟に対応することで、件数の多寡にとらわれずに教員が生徒と向き合える動きが広がることが期待される。 ただ、いじめをめぐっては、調査だけでは見えない思春期の複雑な心情も絡む。千葉県松戸市の中学2年の男子生徒が2月、同級生への暴行を教師から叱責(しっせき)された翌日に飛び降り自殺したケースでは、いじめの悩みを聞くアンケートに対し、男子生徒自身が「仲間に疎外感を感じるが、自分で解決する」と答えており、思い詰めた様子は見せなかったという。県内の教育現場にも、最近の家庭環境からくる子供の変化についていけずに「子供が見えない」と戸惑う教諭の声はある。 政府の教育再生会議は、いじめた生徒への厳罰化も視野に入れる。しかし、いじめに対して真に児童・生徒のためになる姿勢は、放置でなく強制的介入でもない、見守りながら対処する力を育てるかかわり方ではないだろうか。現場の教員も多忙をきわめる中で、バランスが問われている。
        (毎日新聞)3月1日12時1分配信
        【コメント】子どもは、特に思春期は人格を完成させていく途上にあり、サポートや添え木が必用です。それが求められないと感じると、子どもたちは自分への責任化をしますし、不安や不満のコントロールができずに反社会的な行為によって代償を求めます。学校社会が、子どもと関わる時間を減らしている限り、子どもたちの悩みは増えるばかりです。

        ●文科相、緊急時には教委に是正勧告…中教審答申へ
         政府が今国会に提出する教育改革関連3法案(学校教育法改正案、教員免許法改正案、地方教育行政法改正案)の概要が固まった。
         3日開かれた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の合同分科会で、意見が分かれていた教育委員会改革について、文部科学相の権限強化という方向性が示されたためだ。
         いじめによる自殺で教委が対応を怠るなどの緊急事態に限り、文科相による是正勧告や指示を容認する内容を答申に盛り込む。
         文科相が都道府県教育長の任命に関与することや、教委が私立学校に「指導」することには反対意見が多く、認めない方針だ。中教審は10日に総会を開き、伊吹文科相に答申する予定だ。
        (読売新聞)3月4日3時11分配信

        ●柏の線路脇中3生死亡:学校側、対応や経緯を説明--市教委校長会議 /千葉
         柏市の東武野田線の線路脇で市立中学3年の男子生徒(15)が自殺したとみられる問題で、柏市教委は1日、小中学校61校と市立高校1校の臨時校長会議を開いた。矢上直教育長は「子供の命の大切さを重く感じて、学校運営にあたってほしい」と述べた。男子生徒の通っていた中学でも、校長が生徒や保護者にこの問題を説明した。
         校長会議では、冒頭全員で黙とうし、河原健学校教育課長が男子生徒が亡くなるまでの学校側の対応や経緯を説明した。 この後、矢上教育長は「子供のことを学校や担任が十分把握できていないのではないか。教師が子供に密着していくことが基本だ」と指摘。昨年11月のいじめアンケート結果で、小学校で約12%、中学校で約6%のいじめの存在が浮き彫りになったことを取り上げ、各学校で十分なフォローを行うように指示した。
         一方、男子生徒の通っていた中学では、3年生の一部と、1、2年生を対象にそれぞれ学年集会を開き、校長が経緯を説明。保護者向けの説明会も開いた。
        (毎日新聞)3月2日12時1分配信

        ●青少年のひきこもり・不登校問題 南区で「共に学ぶシンポ」(京都)
         不登校などの問題について、行政と民間支援団体が意見交換する「社会的ひきこもり・不登校を共に学ぶシンポジウム」が3日、京都市南区の京都テルサであり、官民連携や家族を巻き込んだ支援策の必要性を訴えた。
         ■連携強化を強調 パネル討議 保護者ら220人聴く
         府内には不登校、ひきこもりの青少年が1万人以上がいると推定され、府が支援政策充実のため昨年に続いて開いた。子どものひきこもりや不登校に悩む保護者ら約220人が傍聴した。
         パネルディスカッションでは、民間支援団体の代表ら3人と、長岡京市の小学校教頭、府の相談員の5人が参加した。団体側から「学校は不登校の子どもに大検や就職など目標ばかり先に求める。安心してひきこもれる環境をつくるのが解決への第一歩」と注文した。学校側は「教師としては学校に行ったほうがいいと思うが、今は強引に登校させていない。保護者と話し合い、その結果、登校してもらえたらいい」と切り返し、「不登校はけしからんという体質は薄まった」と述べた。
         学校側からは「在学中は学校がフォローするが、退学後は支援を引き継げない。民間と顔の見える連携が必要」と連携強化を強調した。民間団体は「施設に子どもが行くようになると保護者は安心し、社会に出たと思い込む。子どもは急に変わらない」と述べて過剰な期待に警鐘を鳴らし、「家庭が安定してこそ、子どもは安定する。保護者も団体の活動に積極的に参加してほしい」と訴えた。
         その後、民間支援団体12団体による合同説明会もあり、保護者らの相談を受けた。
        (京都新聞)3月4日10時37分配信
        【コメント】昨日のこのイベントに、家族会ノンラベルを代表して参加しました。府の支援ネットワークは昨年結成されていて、大きな取り組みとしては初めてのものになります。会場からは「こうした取り組みを継続してくれますか?」との声があり、ひきこもり・不登校の問題を考える機会が増えることが求められていることがわかります。中学卒業とともに切れてしまう公的な支援。ひきこもり問題がニート対策にすりかえられ、「就労」だけがひきこもり対策のゴールとなってきている実態についても批判的な発言が続き、あらためて、多様な支援の必要性を感じました。
        発達変化する子どもの力に依拠すること
        2007/02/18
        親子関係がうまくいっていない、と言われるケースが少なくありません。中でも、父-娘関係が目立ちます。
         娘を憎いと思う父親は滅多にいないはずです。関係性がうまく持てない理由として考えられるのが、「何を考えているかわからない」「どう接すればいいのかわからない」という言葉に隠れているわが子に接するスキルの少なさです。毎日の仕事に追われ、仕事を通しての様々な対人関係で疲れて帰るわが家で、家族との人間関係もうまくできる、という父親は表彰状ものかも知れませんね。
         一方、娘の方はと言うと、「お父さんは嫌い」と言ってはばからないつわものも見受けられますが、よく話しを聴いていると、本当は「もっと自分のことをわかってほしい」「もっと関わってほしい」…と、表現する言葉とは裏腹にお父さんのことを求めているのです。
         つまり、双方、基本的には求め合っている。しかし、その仕方が「わからない」ために素直な気持ちを伝えたり、行動化したりできないでいて、それらができない自身に「引け目」を感じ、「難しい…」と手をこまねき、徐々に距離を広げてしまう状態になってしまっているようです。
         小学校5年生頃から、そんな関係性を気づき始めた女の子は、その距離感から「わかってくれない父親」「話しを聴いてくれない父親」と固定的にとらえ始め、距離を広げてしまいます。そして父親もまた、そんな娘の言動により関わることをためらってしまいます。でも、その関係性がずっと続くケースばかりでは無いようです。娘が思春期の課題をゆっくりと、かつしっかりと越えて行く中で、父親の存在や自身の依存心のありようを前向きに考えられるように成長してくれるからです。
         もちろん、仲良しの父娘関係のまま、娘の思春期を過ごされる家族もおられます。
         遠からず近からず、引け目を感じることなく深入りもせず、といった程良い距離感と、いつも「関心をもって見てる」「いつでも話しを聴くよ」という父親の態度と、娘の成長を信じて見守る姿勢が大切なのだろうと思えます。子どもたちは、着実に発達変化していってくれます。
         逆に、してはいけないのは、子どものすることいちいちに対して細かく干渉し、禁止・抑制ばかりをしてしまうことでしょう。家庭が(少なくない)学校と同じように窮屈で不自由で自尊心を奪われる環境に感じられると、子どもたちは本当に居場所を失ってしまいますから…。
         次回は「障害3区分に発達を加えて4区分にすべきでは?」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        いじめが原因の少年事件、昨年は過去20年で最多

        昨年1年間に全国の警察が検挙・補導した少年事件のうち、いじめに起因する傷害、恐喝などの事件は、前年比68件増の233件に上り、過去20年間で最多となったことが警察庁のまとめでわかった。
         同庁では「いじめへの意識の高まりから通報が増えたことに加え、いじめ自体が増加している可能性もある」と分析している。いじめに起因する事件の統計は1984年から開始。85年の638件、1950人が、件数、検挙・補導人員とも最も多かったが、84年の531件、86年の281件と続き、これ以降、170件以内で推移していた。
         2002年には94件に減ったが、その後、再び上昇に転じ、昨年は233件で4年連続の上昇となり、過去4番目に多くなった。検挙・補導人員でみても、前年比134人増の460人に上り、このうち中学生が352人を占めた。
        (読売新聞)2月15日11時18分配信

        ●いじめで途中転校、市区教委の1割以上が手続き非公表
         子供が小中学校に入学する際、いじめなどを理由に指定された学校を変更できる制度について、全国の市区教育委員会の1割以上が法令で義務づけられている具体的手続きなどを公表していないことが10日、内閣府の実態調査で明らかになった。内閣府規制改革推進室は近く該当する教委名を公表する方針だ。
         調査は同室が昨年10~12月に全国802の市区教委を対象に実施した。回収率は87・4%だった。
         学校教育法施行令では、市区町村教委が入学先を指定した小中学校を保護者の申請で変更できるとし、同施行規則で各教委がその具体的要件や手続きを定めて公表するよう定めている。しかし、103市区(14・7%)は「必要な事項を想定していないし、公表する予定はない」と回答した。
        (読売新聞)2月11日14時4分配信

        ●<クラスター爆弾>米軍が高い不発弾率認識 イラク戦争
         03年のイラク戦争で米軍が、不発弾となる危険性が極めて高いクラスター爆弾を、その危険性を強く認識しながら使用していたことが、毎日新聞が入手した米国防総省の文書などでわかった。イラクで使われた1万発を超えるクラスター爆弾の少なくとも2500発以上が、米軍内部で改善や使用削減の必要性が繰り返し指摘された危険な爆弾だった。また、こうした爆弾の07年時の保有量は450万発(子爆弾6億個)以上にのぼると推測されることも判明。大量の在庫を抱える米軍が今後も使用する可能性が懸念されている。
         クラスター爆弾は、子爆弾が広範囲に飛び散って無差別に人を殺傷することに加え、不発のまま残された子爆弾が衝撃で爆発し、多くの2次被害を生んでいる。
         毎日新聞が入手した米陸軍第3歩兵師団の会議資料(03年)によると、同師団はクラスター爆弾を1014発使用。また米空軍の調査(同)を分析すると、クラスター爆弾などを約1500発使用したこともわかった。これら計約2500発について国防総省が04年に米議会に提出した報告書をもとに調べた結果、いずれも子爆弾の不発率が4~16%と極めて高いことが判明。これだけでもイラクに不発弾4万~12万個が残された計算になる。
         こうした不発率の高い爆弾は湾岸戦争(91年)で数万発使われ、不発弾で米兵80人が死傷。米陸軍の内部文書(96年)や国防総省が議会に提出した報告書(00年)は、クラスター爆弾の攻撃能力を高く評価する一方で、その危険性や改善の必要性を繰り返し強調。「不発弾となる最も大きな危険を引き起こす兵器の使用は徐々に停止しつつある」などと使用削減の方向性を示していた。
         米軍が一部米紙に明かしたところでは、イラク戦争で計1万782発のクラスター爆弾が使われた。また民間団体「イラク・ボディー・カウント」によると、イラクで03年3月から05年3月までに不発弾で死亡した市民は389人で「大半はクラスター爆弾が原因」だという。
         米国防総省の話 クラスター爆弾は合法的な兵器で重要な軍事的効果をもたらす。軍事作戦の際には市民への被害を回避すべく慎重を期している。米国はすべての爆発性戦争残存物(不発弾など)の削減に引き続き努める。
         クラスター爆弾 数個から数千個の子爆弾を親容器に詰め込んだもので、爆撃機から投下または地上から発射する。着弾の角度などで不発に終わることも多い。イラク戦争のほかベトナム戦争やレバノンなどで多用された。
        (毎日新聞)2月15日3時4分配信

        ●フリーター就職支援に「能力証明書」…政府が格差対策
         政府の格差対策の基礎となる「成長力底上げ戦略」の基本構想が14日、明らかになった。
         フリーターの就職活動を助けるため、公的機関が職業訓練の受講歴などを記載した証明書を発行する「ジョブ・カード」制度の創設のほか、授産施設で働く障害者などを対象とした「工賃倍増5か年計画」などの具体策を盛り込んでいる。
         16日の経済財政諮問会議に報告し、6月に決定する「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に盛り込んだうえで、2008年度から本格的に実施する方針だ。
         基本構想は、2月初めに発足した「成長力底上げ戦略構想チーム」(主査・塩崎官房長官)がまとめた。政府として具体的な低所得者層の所得向上策を示すのが狙いだ。
        (読売新聞)2月15日3時7分配信

        ●<児童虐待>過去最多の297件 警察庁まとめ
         昨年の児童虐待事件の検挙件数が297件(前年比33.8%増)と、統計を取り始めた99年以降で最も多くなったことが、警察庁のまとめで分かった。被害児童数も316人(前年比38.0%増)と最多で、死亡した児童も59人(同55.3%増)と、01年の61人に次いで多かった。児童買春・児童ポルノ事件の検挙件数も2229件(同8.8%増)で統計を取り始めた00年以降で最も多く、子どもたちを取り巻く環境が厳しさを増している状況がうかがえる。
         同庁によると、児童虐待の被害児童316人のうち暴行など身体的虐待を受けた児童が215人▽わいせつ行為など性的虐待が77人▽ネグレクト(育児放棄)が24人。昨年10月には京都府長岡京市で3歳の男児が両親から食事を与えられずに餓死するなど、ネグレクトの被害児童は前年の11人から2倍以上に増えた。
         死亡した被害児童59人の事件の状況別では、秋田県で昨年4月、畠山鈴香被告(34)が長女(9)を川に突き落として殺害▽同県で10月、4歳の男児が母親の進藤美香被告(31)と交際中の男(43)に殺害されるなど、殺人が最も多く36人。続いて、▽傷害致死15人▽保護責任者遺棄致死6人▽重過失致死2人。
         一方、児童買春事件の検挙件数は1613件(同2.2%増)、検挙人数は1140人(同11.3%増)。児童ポルノ事件の検挙件数は616件(同31.1%増)、検挙人数は350人(同12.2%増)になり、いずれも00年以降で最悪。児童買春の被害児童は1335人(同11.2%減)だったが、児童ポルノの被害者は269人(同9.3%増)だった。
        (毎日新聞)2月15日11時41分配信

        ●いじめ原因の事件 前年比41%増 昨年 「無抵抗だから」動機・原因の半数
         昨年1年間に全国の警察が検挙・補導したいじめに絡む事件は、前年比41・2%増の233件で、4年連続で増加したことが15日、警察庁のまとめで分かった。検挙・補導者数も41・1%増の460人に上り、うち中学生が76・5%だった。原因・動機は「(被害者の)力が弱い・無抵抗」が46・3%と突出していた。いじめの被害者に落ち度がなくても、力が弱かったり、拒絶する意思を示さないと、いじめのターゲットになる傾向が強まっていることが浮き彫りになった。またこの数値は過去10年でもっとも高かった。
         原因・動機調査は、いじめに絡む事件の捜査で、被害者、加害者の事情聴取などから得た情報を都道府県警が分析。該当するとみられる項目を複数回答で選び、警察庁でまとめた。
         233件の事件の内訳は、いじめる側による傷害や強要などが223件、いじめられた仕返しが10件だった。
         検挙・補導者は、小学生が対前年比5人減の18人、中学生は112人増の352人、高校生は27人増の90人で、中学生による事件の急増が目立っている。
         「原因・動機」では、「力が弱い・無抵抗」につぎ、「いい子ぶる・なまいき」(15・0%)、「態度動作が鈍い」(7・8%)、「よくうそをつく」(6・3%)-などが続いた。
         また、いじめの被害者210人について相談相手を複数回答で調べたところ、「保護者」が120件で57・1%。次いで「教師」が76件で36・2%、「警察などの相談機関」は65件で31・0%だった。「相談しなかった」は21・9%で、対前年比で13・6ポイント減少した。
         「保護者」や「教師」に相談した被害者は過去10年間横ばいだが、「警察など」に相談した割合は9年の7・3%から急増しており、被害者がいじめ解決の糸口を警察などの専門機関に求める傾向が強まっている。
         いじめに絡む事件をめぐっては、愛知県で昨年11月、14歳の男子中学生2人が、長期間のいじめの末、同学年の男子生徒(14)の両手足を粘着テープで縛り、蹴るなどして、全治10日間のけがを負わせるなど、長期のいじめが傷害事件に発展するケースが目立っている。
        (産経新聞)2月16日8時0分配信

        ●3歳児健診が発達障害発見に効果
         自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などの「発達障害」の疑いのある児童を早期に発見しようと、県出先機関などが独自に作成した三歳児健診向けチェックシートが効果を上げつつある。問診する保健師が利用するもので、二〇〇六年度上半期に東青地区で試行的に導入したところ、従来は発見の難しかった知的障害を伴わない発達障害児などを発見できたという。関係機関は他地域での活用も視野に内容を充実させ、早期の療育・教育につなげていく考えだ。
         十三日、県庁で開かれた県発達障害者支援体制整備検討委員会の席上、中央児童相談所の児童心理司が報告した。
         発達障害は早期の適切な対応が重要とされる。しかし、三歳児健診の問診は限られた時間で行われ、国の実施要綱に基づく従来の手法では、一部の発達障害児しか発見できなかった。
         こうした中、東地方健康福祉こどもセンターや青森市保健所、東郡四町村の保健師や児童心理司らが問診票とチェックシートを作成。〇六年度上半期、東青地区の三歳児健診で活用するとともに、支援体制を検討した。
         その結果、上半期の受診者千二百七十六人のうち、問診票で八十九人を抽出。保護者の同意を得た七十三人にチェックシートを活用したところ、「広汎性発達障害の可能性あり」十二人、「何らかの発達障害の可能性あり」が二十四人だった。その後の精密健診と整合性があり、シートの有用性が認められた。
         取り組みにより、知的障害を伴わない児童を発見できたほか、保健師の経験・知識に関係なく見立てを行うことができるようになったという。
        (東奧日報)2007年2月14日

        ●<国家公務員>中途障害者「救済を」…人事院が是正を要求
         在職中に障害者となった国家公務員が病気休暇や復職に必要な研修を認められず、退職を迫られている例があるとして、人事院は各省庁に是正を求める通知を出した。改善を求めてきた全国視覚障害者雇用促進連絡会(雇用連)の田中章治会長は「中途障害者の継続就労の道が開ける画期的な判断。地方公務員や民間企業にも波及することを期待している」と評価している。
         国家公務員一般職の勤務時間や休暇を定めた勤務時間法によると、病気休暇が認められるのは、けがや病気で療養する必要があり、勤務しないことがやむを得ない場合。期間の制限はないが、90日を超えると給与は半額となる。
         ところが、雇用連によると、99年秋に病気で視力が低下した20代の男性国家公務員が、人事担当者から「将来を考えて、新しい技術を身に着けて新しい道に進んだらどうか」と促されて退職せざるを得なくなるなど、問題のある事例が相次いでいる。このため、雇用連は05年12月、「訓練すれば職場復帰できるのに、退職せざるを得ない例がある」などと中途障害者に対する病気休暇の取得を求めていた。
         人事院はこれを受け先月29日付で、(1)けがや病気が治る見込みがなくても、医療行為として行うリハビリは病気休暇の対象(2)点字訓練や音声ソフトを用いたパソコン操作など、復職に必要な技術を習得する訓練は、人事院規則に基づく研修として認める――と各省庁に通知した。研修に認められると、給与は全額支給される。
         さらに、総務省は2日、各都道府県や政令指定都市に人事院の通知を送った。あくまで「参考」だが、同省公務員課は「各自治体の判断だが、同様の措置をとってもらえることが望ましい」と話している。
        (毎日新聞)2月18日3時4分配信

        ●<職場いじめ>深刻化…カウンセラー、8割「相談受けた」
         社員の心のケアなどに配置されている産業カウンセラーの約8割が、社員の職場でのいじめに関する相談を受けていることが、日本産業カウンセラー協会のアンケートで分かった。弁護士などが実施する労働相談でも、ここ数年いじめに関する相談が急増しており、大人の世界でもいじめは深刻化していることをうかがわせている。
         同協会が、資格を持って活動している全国100人の産業カウンセラーにアンケート調査を実施、74人から回答を得た。
         その結果、職場でのいじめで相談などを受けた人は約8割(59人)に上った。内容(複数回答)は、セクシュアル・パワーハラスメント(40人)▽人間関係の対立(32人)▽能力が低いといじめる(25人)▽ノルマ未達成でのいじめ(18人)――などだった。中には仕事ができることをねたまれてのいじめや、退職に追い込むため仕事を与えないなどのいじめもあった。
         職場でのいじめが起こる理由(複数回答)については、コミュニケーション能力の欠如(58人)▽人権感覚の低下(51人)――など個人の意識を挙げる回答と、成果主義の失敗(44人)▽過重労働を強いるシステム(32人)――など会社の働かせ方を理由に挙げる回答が多かった。また「格差社会になり、自分を守ることだけで大変な状況」という現代社会を象徴する人間関係の希薄さを指摘する意見もあった。
        (毎日新聞)2月18日3時3分配信

        ●いじめ:悩み教えて 全国の小中校に、ミニレター配布へ /福島
         全国でいじめによる子どもの自殺が起きている事態を受け、法務省と全国人権擁護委員連合会は、いじめなど困り事を抱える子どもからの相談に応じる「SOSミニレター こころのメッセージ」の配布を、今月から全国の小中学校で配布を始める。20日の東京での発表を前に、滝田三良・同連合会会長(県弁護士会郡山支部)が16日、郡山市役所で会見し明らかにした。
         ミニレターは小中学生がA4用紙に悩み事を書いて投かん(切手代は無料)すると、各都道府県の人権擁護委員が、手紙か電話で返事する。県内では、福島地方法務局と県人権擁護委員連合会が主体となり、教育委員会や小中学校にミニレターを配布し、子どもたちへ制度の趣旨を伝えるよう要請する。
         郡山人権擁護委員協議会では06年10月、郡山市の2校と田村郡3校で先行実施した。子どもからは2通のミニレターが届き、「決して自殺してはいけないよ」などのメッセージを伝えたという。
         滝田弁護士は「いじめ問題に対し、学校だけではなく法務省も対応することで、いじめを行っている子どもが『まずいな』と感じるのではないか。いじめに対する抑止力を期待している」と話した。
        (毎日新聞)2月17日13時1分配信

        ●<いじめ自殺>大河内君の父「いじめ相談員」に 愛知・西尾
         愛知県西尾市教委は、いじめを苦に94年に自殺した同市の中学2年、大河内清輝君(当時13)の父祥晴さん(60)を、4月から同市が導入する臨時職員「いじめ相談員」に任命することを決めた。いじめ問題に向き合ってきた祥晴さんに同市が昨年末から打診し、先日快諾を得たという。
        (毎日新聞)2月16日11時51分配信

         障害というハンディキャップがあることで、障害を持っている人がその人らしく生きていくためには、程度の違いこそあれ、他者の援助を必用とします。親や家族、学校や施設、職場など、当事者の回りにいる人が、その援助者となるわけです。
         専門職としての援助者はいうまでもなく、こうした一般の方においても、障害をお持ちの方と関わる場合に忘れてほしくない視点があると思います。
         それは、一言で言えば、「人間としての尊厳」、それが守られているか、ということかと思います。
         1948年、国連において、第二次世界大戦への反省から「世界人権宣言」が採択されました。その第1条には「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である」とうたわれています。1979年には「国際障害者年行動計画」が決議され、「完全参加と平等」を基本理念とし、「ある社会が、その構成員であるいくつかの人を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会である」と表現しています。
         障害は、21世紀になった現在においても残念なことに、健常あるいは定型発達をした人から、「違い」や「不遇」などの偏見をもって見られてしまうことが少なくないのが実態でしょう。
         でも、考えてほしいのです。視力が悪く眼鏡やコンタクトレンズのお世話になっている人は、視力に障害がある人です。抑うつや不安などから睡眠リズムに困難のある人は、睡眠に障害のある人です。加齢によって足腰が弱って杖などのお世話になっている人は歩行の障害のある人です。発達障害の人は、生得的な脳中枢の発達の偏りによって様々な機能に障害を生じている人です。
         眼鏡や杖などの具体的な補助具、抑うつを押さえたり睡眠を調整する薬物など、健常、定型発達と言われる人の中にもこうした「助け」によって生きやすさを維持している人は沢山おられます。こうした「助け」がニーズに基づいて開発され普及されてきました。今、生きづらさを感じておられる障害のある方は、こうした「助け」にまだ恵まれていない状態にあると考えてはどうでしょうか。「助け」は道具であったり、薬物であったり、環境や人的介助であったりします。何かをしたくて、一人では出来ないとき、誰かの力を借りることでそれが実現できることは少なくありません。助けあうことで、人の関係性は深まり、喜びや達成感を味わい、人間として豊かに生きて行けます。
         この「助け」を増やすこと、障害のある人が、人として、その人らしくその人の人生を楽しく生きるための援助が広がることは、すべての人が生きやすい世界を創ることにつながるのではないでしょうか。
         次回は「発達変化する子どもの力に依拠すること」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。
        障害のある方々と関わるときに忘れて欲しくない視点
        2007/02/11
        いじめ自殺 国提訴の両親 「真相明らかに」

        ■このままでは娘に合わす顔ない
         最愛の娘はなぜ自ら命を絶ったのか。「いじめ」を疑う両親に、学校や市は否定を続けた。埼玉県北本市立北本中1年、中井佑美さん=当時(12)=が自殺してから1年4カ月。「いじめを隠蔽(いんぺい)している」と国、市の責任を明らかにするため6日提訴した父の紳二さん(56)と母の節子さん(52)は会見し、娘を失った悲しみを語った。「娘の死の原因を明らかにしたい」。提訴はその一念からだった。
         佑美さんが自殺したのは平成17年10月11日午前8時20分ごろ。マンションから飛び降りたと聞き、両親は耳を疑った。当日も普段通り朝食を食べた。ふさぎこんだ様子もなかった。
         佑美さんの机から遺書が見つかった。いじめを示す直接的な言葉は書かれていなかったが、目が向く記述があった。
         《クラスの一部に勉強にテストのせいかも》
         佑美さんは小学校6年のとき、特定の女子児童からのいじめを受けていた。トイレに連れ込まれ「便器に顔を突っ込め」などと言われたことがあったという。佑美さんから伝えられていたので、両親はいじめに過敏になっていた。
         成績優秀だった佑美さん。勉強で悩んでいた様子はない。学校では美術部に所属。友達思いの優しい性格で、ケンカして落ち込んでいる友達の相談相手になる娘だった。
         いじめ以外の動機を思いつかなかった両親は、すぐに学校などに調査を依頼。しかし、学校側からの回答は「何もありませんでした」の一点張り。北本市教育委員会に「犯人捜しのようなことをすると、人権保護団体からクレームが来る」とも言われた。
         学校側の調査に不満を持った両親は、必死になって関係者を訪ねて自力で話を聞いた。
         その結果、中学に進級してからも佑美さんは、同級生から「キモい」「うざい」などと嘲笑(ちょうしょう)され、一部の生徒から無視されていた-などの証言が寄せられた。
         両親は、いじめがあり、それが自殺に結び付いたと確信した。
         娘の死と向き合い続けてきた1年4カ月。185センチと長身の紳二さんの体は、娘を亡くしてから体重が約18キロ落ちた。
         紳二さんは会見で「娘にいつまでも寄り添っていてあげたい。娘の遺骨は今も家に安置してあります」と言葉を絞り出した。そして、「娘に何があったのかを知ることができなければ、私たちが天国に行ったとき、娘に合わせる顔がありません」。
         節子さんは「1日だけ佑美が戻ってきたら、抱きしめてあげて『守ってあげられなくてごめんね』と言いたい」と話し、しゃくり上げた。
         なぜ娘は自殺したのか。自分たちの確信を公に認めさせるため、提訴を選択した。内心はまだ逡巡(しゅんじゅん)がある。
         しかし紳二さんは語る。「こんな苦しい思いをする親は、今後は出てほしくない。こんな悲しい裁判は二度と起こしてほしくない。そのための裁判です」
         佑美さんの遺書の最後はこう結ばれていた。
         《これから楽しい事もあるけど、つらい、いやな事は何億倍もあるから。いそがしい時にごめんなさい。私、お母さん大好きなのにね》
        (産経新聞)2月7日8時0分配信

        ●いじめの「なやみ言おう」、相談電話を文科省が設置
         いじめなどに悩む子供の相談を24時間体制で受けるため、文部科学省は7日、同じ番号に電話をすれば、全国のどこからでも地元の相談機関に自動的につながる「いじめ相談ダイヤル」を設置した。
         電話番号は「0570・078310(なやみ言おう)」。原則として、各都道府県や政令市の教育委員会の相談窓口につながるが、夜間は民間の臨床心理士や教員OBらが対応する自治体もある。通話料は相談者が負担し、PHSやIP電話などからはつながらない。準備が間に合わなかったさいたま市は9日から、奈良県は21日から24時間体制となる。
         同省では、今回設置した全国統一番号と、地域の相談機関の電話番号を記載したカードを1000万枚作製し、全国のすべての小中学生に配布する。
        (読売新聞)2月8日1時32分配信

        ●県内の自治体対応に格差の懸念 新年度からの発達障害支援
         【岐阜県】文部科学省が新年度から創設する発達障害の児童生徒に対する支援事業で、県内市町村で対応にばらつきが生じつつあることが分かった。文科省は、2年で全公立小中学校に支援員配置の方針を打ち出し、2007年度から財政措置を始めるが、一般財源の位置付けのため、実際の使い方は市町村に任されるからだ。関係者からは「自治体による格差が生じかねない」と懸念する声が上がっている。
         学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害は、全般的な知的発達に遅れはないものの、特定の能力だけが著しく劣ったり、年齢や発達に不釣り合いな注意力の散漫さや衝動性があったりする。県教委の本年度の調査によると、発達障害が疑われる児童生徒は県内で約1600人に上り、2年前の約4倍に上った。
         県教委は、04年度から教育アシスタント事業を開始し、06年度は150人に拡充。一部の市町村も独自に支援員などを配置してきた。県教委は今後も充実させる姿勢だったが、文科省が制度化することで、市町村の対応に委ねられる方向だ。
         単独で支援員を配置してきたある市は、新年度は文科省の制度を使い全小学校への配置に拡大する方針。担当者は「交付される目的は発達障害の支援。そのために使いたい」と話す。
         だが、別の市の担当者は「市予算の全体枠に入ってしまうため、交付の全額を支援員配置に振り向けるのは難しい」と打ち明ける。別の自治体も「単独事業の財源を国の交付額に振り替える。新年度の配置は現状維持」という。いずれも厳しい財政状況が背景にあるとみられる。
         日本自閉症協会県支部の水野佐知子支部長は「発達障害の子どもたちをきちんとサポートする体制をつくってほしい」と訴える。中部学院大の別府悦子教授(障害心理学)は「発達障害への対応は教育現場で重要な課題になっている。ようやく制度化されたわけで、市町村は財政措置通りに使うべきだ」と話している。
        (中日新聞)2月7日11時25分配信

        ●発達障害児:教育に光、親の会「支援員配置を」 文科省新施策、高まる期待/秋田
         文部科学省は07年度から、LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症など発達障害を持つ児童・生徒への「特別支援教育支援員」配置のための経費を全国の市町村に計約250億円、地方交付税として配分する。使い道は各市町村に委ねられる。障害を持つ子の親らがつくる「秋田LD・AD/HD親の会 『アインシュタイン』」(にかほ市、東條裕志会長)は先月18日、子供たちの教育をサポートする支援員配置に予算を活用するよう求める要望書を各市町村長とその教委あてに送った。県が07年10月から「発達障害者支援センター」を新設することもあり、親の会は期待を込めて行政による支援態勢充実の動きを見守っている。
         ●無理解が生む苦しみ
         ADHDは注意力の発達が年齢に釣り合わず、授業中じっと座っていられない。LDは読み書きや、話したり聞いたり、計算など特定の能力の習得が著しく困難だ。高機能自閉症は興味や関心が狭く特定のものにこだわる特徴があり、周囲とのコミュニケーションが困難になる。いずれも知的発達の遅れはなく、中枢神経系の機能障害が原因と見られているが、十分に解明されていない。
         「アインシュタイン」の東條会長によると、これらは社会に十分に認知されていないため、障害を持つ子とその家族が苦しむ現状があるという。
         例えばLDの子供は、計算はよくできるのにひらがなが書けないなどの症状で本人が困っているのに、周囲から「やる気がないからひらがなを覚えようとしない」などと言われる。ADHDであれば、「このボタンを押してはいけない」と言われても、それを理解する前に体が動き、「なぜやめろと言ったことをするのか」としかられる。周囲の無理解によるストレスで自己肯定感が失われ、自閉症を併発したり、些細なことで暴れるなど2次障害を引き起こすこともあるという。また、保護者も周囲から「しつけができていない」などと言われて苦しむことがある。教師が障害について知らずに子供をしかる場合や、教師が障害に気付いても保護者がそれを認めようとしないなど、障害への認識不足が解決を遅らせている。
         ●「先進」胸張る県
         文科省の新たな財政措置は各市町村に向けたもので、発達障害を持つ児童・生徒への支援員の配置や支援のあり方は、各市町村が独自に決める。秋田市では現在、普通学級に在籍する軽度の知的・身体障害や発達障害を持つ児童・生徒を支援するサポーターを必要に応じ各校に派遣しているが、この財政措置をどう生かすかは、検討することになるという。
         県は、各小中学校から教員1人を選んで、発達障害の児童・生徒への支援に悩む学校と、専門家や医療機関との橋渡しをするコーディネーターを養成する事業を04年度から始め、現在は県内の全小・中学校に1人が配置されている。一般教員にも10年ほど前から、研修で発達障害について理解を深める内容を組み込んでおり、「全国的に見てもかなり進んだ取り組みをしている」と胸を張る。07年度からは、「県小児療育センター」(秋田市八橋南1)に、子供や家族の相談窓口となる「発達障害者支援センター」が設置されることになり、支援態勢のさらなる拡充を図る構えだ。
         ●認識に開き
         06年度の県の調査では、県内小中学校で「学習・行動面で著しい困難を示す児童・生徒」は全体の約1・8%。だが、02年度に全国5カ所で実施された同じ調査の結果は約6・3%と大きな開きがあり、県は「学校側の配慮が奏功して、障害を持つ児童・生徒が自然に受け入れられ、調査結果に表れないこともある」と説明する。
         しかし、東條会長は「障害が目立たない場合は周囲に困難があると認識されにくく、実際にはより多くの児童・生徒が障害に苦しんでいるのではないか」と指摘する。背景には、県側の施策が教育現場に十分に浸透しておらず、障害に理解があり熱心に取り組む教員は少数で、現場全体で支援する態勢になっていない現状があるという。「発達障害者支援センター」も、当初は10年度開設予定の「こども総合支援エリア(仮称)」内に設置される計画だったが、「早く支援できる態勢を」との保護者の声を受け、前倒しでの設置となった。東條会長は「支援の内容はまだ十分わからない。今後も要望を出していきたい」と話す。
        (毎日新聞)2月7日13時1分配信

        ●いじめメール、中学生2人逮捕=「死ね」「キモイ」女子に700回-奈良
         女子生徒に700回以上「死ね」などと嫌がらせメールを送ったとして、奈良県警天理署は8日、同県天理市の市立中学校に通う15歳の3年男子生徒2人を県迷惑防止条例違反容疑で逮捕した。いずれも容疑を認めているという。
         調べでは、男子生徒2人は昨年12月中旬、1人の自宅のパソコンから、同学年の女子生徒(14)の携帯電話に向け「おいコラ死ね」「キモイ」などと記したメールを2日間で約700回送信して嫌がらせをした疑い。
         さらに、1人は今年1月初旬にも「死」「学校へ来るな」などの文言のメールを2日間で約70回送信した疑い。
        (時事通信)2月8日22時30分配信

        ●<いじめ自殺>生徒の母が名前、写真公表 都内のシンポで
         いじめを苦に我が子が自殺した親らが集うシンポジウム「生まれてきてくれた命たちへ」が10日、東京都内で開かれた。各遺族が体験談を語る中、昨年10月に起きた福岡県筑前町立三輪中のいじめ自殺事件の当事者、森美加さん(36)も登壇。亡くなった長男啓祐(けいすけ)君(当時13歳、中2)の名前と写真を初めて公開し、「息子が残したメッセージを多くの人に伝え、笑顔の絶えない社会をつくりたい」と涙ながらに語った。
         いじめのない社会を目指すNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)などが各遺族らに呼びかけて開いた。
         森さんは、啓祐君も気に入っていたという小学校卒業アルバムの写真パネルを横に、「当初は息子の名前を明らかにすることはためらいがあった」と説明。だが、中学進学を控えた二男(12)が「啓兄ちゃんは悪いことをしてない。だから僕は胸を張って中学校に行くよ」と語るのを聞き、夫順二さん(40)と相談し公表を決めた。
         美加さんは啓祐君の小学校卒業文集を紹介し、「啓君は優しい心の持ち主で、みんなが幸せに暮らせるいじめのない社会をつくってほしいと願っていた。命を絶つということの意味は何なのか。私たちは大きな課題を与えられた」と話した。
         参加者からは「学校は隠ぺいしがち」「真実を知ることがいじめ防止につながる」などの意見が相次ぎ、同NPO理事の武田さち子さん(48)は「当事者の親の知る権利を立法化してほしい」と訴えた。
         同じく理事で98年に長女をいじめ自殺で亡くした小森美登里さん(50)は、活動報告で「やられたらやり返せ」と親に教えられている子どもが多いと指摘し、「大人が学校のいじめを生み出しているのではないか」と問題提起した。
        (毎日新聞)2月10日21時5分配信

        ●自閉症者施設協:「障害程度区分」に批判 京都大会、関係者ら220人に参加/京都
         昨年4月の障害者自立支援法施行後初となる「全国自閉症者施設協議会」京都大会が8日、京都市内であった。自閉症者の保護者や施設関係者ら約220人が参加。法施行後、施設にとって経営上の負担になると懸念される「障害程度区分」に批判が相次いだ。
         同法では障害程度区分によって、施設入居の可否、サービス利用費、人員配置が決まる。自閉症者の場合も、食事や排せつ時の要介助の度合いや時間の長さなど、介護保険の要介護認定を基にした他の障害と同様の基準で区分が決まる。このため、障害特性を十分反映した認定になっていないのが実態という。
         分科会の席上、和歌山県内の施設関係者は「自閉症の場合、介護はそこまで必要ないが自傷行為やパニックがあり、専門性が必要とされる終日援助が不可欠。だが自閉症者の障害程度区分は低く評価されてしまう」と指摘。北海道内の施設長は「このままでは支援に必要な施設運営費や人員配置ができない。調査員に『一定期間だけでもこの人には手厚い支援が必要』などと伝えるしかない」と胸中を明かした。
         この他、発達障害研究の第一人者の十一元三(といちもとみ)・京都大医学部教授が講演。自閉症の特徴や現在分かっている原因について説明し、「高機能自閉症の人は適応能力が高く、過小診断が極めて多い。支援が急務だ」と訴えた。
        (毎日新聞)2月9日16時1分配信

        ●県内唯一の発達障害者施設オープン
         発達障害児(者)や家族を対象に支援を行う県内唯一の発達障害者支援センターがうるま市に設置された。県による設置で、学校や医療機関、公共職業安定所などと連携して相談に応じ、乳幼児から成人まで一貫した支援体制を目指す。
         センターには職員4人が配置され、乳幼児から成人までの幅広い就労支援、相談支援などを行うほか、夜間、緊急時の一時保護等に対応する。
         業務委託先は、2006年8月に発足された県発達障害者支援体制整備委員会が現地視察などを行い選定。運営は栄野比の里などを運営する社会福祉法人緑和会に委託された。
         1日に開所し、当事者から生活上の相談などが寄せられている。
         県内の発達障害者の実態は把握されていないが、02年2月の文部科学省の調査を基に県教育委員会が推計した知的発達に遅れはないが学習面や困難性がある児童、生徒は約9000人。
         沖縄自閉症児者親の会の谷口曜子会長は「ずっと待ち望んでいた。ネットワークの構築をしっかりし、教員や施設職員にも発達障害についての正しい知識を身に付けてほしい」と期待を寄せた。8日午前、センターの開所式が開かれる。
         電話相談は、月曜から金曜日の午前8時半から午後5時15分(緊急時は夜間、休日も可能)、来所相談は予約制。098(972)5515。
        (琉球新報)2月8日10時14分配信
        【コメント】京都府では、平成19年度当初予算案の中で、ようやく「発達障害者支援センター」を「府立こども発達支援センターに設置」する方向性が示されました。この子ども発達支援センターは、「児童福祉法に基づく知的障害児通園施設と肢体不自由児通園施設及び相談や検査を行う部門からなる心身障害児総合通園センターです。」「京都府南部地域における障害児療育の拠点として、専門的な知識・技術を要する障害児などへの相談・支援を行います。」とする施設です。発達障害のある子どもから成人までを対象として支援を行う発達障害者支援センターが、こうした「京都府南部地域における障害児療育の拠点」としての「心身障害児総合通園センター」に設置されることに疑問を感じます。京都府は南北に長い府であり、南部の1カ所設置ではニーズに応えきれません。また、発達障害への寮育や就労支援などの機能が、この立地条件で果たせていけるのか、その体制が確保できるのか、大きな疑問です。設置されること自体は、一歩前進と評価できるものですが…。

        ●京都市教委:学校名は「洛友中」と発表 不登校中学生を対象、4月4日に開校/京都
         ◇全国初、中学生と二部学級合同授業も実施
         京都市教委は8日、4月4日に開校する市内の不登校中学生を対象にした中学校名を「京都市立洛友(らくゆう)中学校」とする、と発表した。20日開会の2月市議会に、関連条例改正案を提出する。同校では、全国で初めて中学生と二部学級(夜間中学)の合同授業を実施。市教委は二部学級の生徒も募集する。
         市教委によると、昨年11~12月に校名を募集したところ、府内や滋賀・大阪などから84点の応募があり▽京都らしい▽さまざまな世代や国籍・背景を持つ生徒が学びあう学校にふさわしい▽平易な文字で声に出しても読みやすい――などの理由から選んだ。作者は金子雅寿さん(31)=宇治市=と原哲夫さん(58)=伏見区=で、開校日に表彰する。
         校舎は府内唯一の二部学級を併設する市立郁文中(下京区)を活用。同中は他の市立4中学との統合に伴い4月に市立下京中として開校予定で、空いた校舎を昼・夜ともに使う。中学生の定員は約10人で、3月以降に募集を始め、5~6月に入学する。
         一方、二部学級の募集定員は約30人。市内に住む16歳以上の中学教育課程未修了者で、3年間通学可能なことが条件。願書は9~20日、郁文中で受け付ける。問い合わせは同校二部学級(075・821・2196)。
        (毎日新聞)2月9日16時0分配信
        【コメント】京都市教育委員会は平成16年に、不登校の中学生を受け入れる「洛風中学校」を開校しています。この年度の卒業式では19名が卒業、在校生は26名とされています。市教委は当初、この「洛風中学校」で不登校への対応の先進的な経験を積み、それを各学校に普及していく、という見解を示していました。「京都市立洛友中学校」は2部制という特色はあるものの、2つめの不登校の中学生向けの中学校として作られるものです。しかも、1部の定員は10名、3年間通学できることが条件と言います。体の良い「隔離政策」と思えて仕方がありません。不登校の子どもたちに寄り添う、不登校を起こさなくてもすむように学校のあり方を検討し直す、といった対応が一切聞こえてこないのが残念でなりません。

        ●講演:いじめる権利、だれにもない 一人娘亡くした小森さんが訴え--氷見 /富山
        ◇「優しい心大切」
         高校生活3か月半で、一人娘の香澄さんをいじめによって失い、その後NPO法人「ジェントルハート(やさしい心) プロジェクト」を運営している小森美登里さん=横浜市=がこのほど、富山県氷見市のいきいき元気館で講演(氷見青年会議所主催)。「いじめられる子は弱い」「大人に相談しないからだ」と被害者に負担を強いる風潮、報道を批判し「『ウザイから』と、人を傷つけていい権利はない」と訴えた。
         講演の演題は「やさしい心が一番大切だよ」。98年7月、香澄さんが自ら死を選ぶ直前に語っていた言葉だ。香澄さんが生まれた時、アルバムの最初に「人の痛みの分かる優しい女の子になってください」と記した。その通りに育ってくれた香澄さんは、明るく、人を笑わせ、クラスのムードメーカーだった。ところが高校に入学して、一変してしまった。
         小森さんは娘の悲劇に直面するまで、いじめ報道などにも「死ぬほどの勇気があるなら、なぜもっと強く生きなかったのか」「親に相談せずに死ぬなんて、親子関係がうまくいっていないんだ」と考える一人の大人だったという。そして今は、心と体への暴力で傷ついた娘を思い起こし、「心が深く傷つくと、生きる気力を失ってしまうんです」と指摘する。
         さまざまないじめ事案に接し、「思い切って相談しても、周囲から『あんたにも問題があるんでしょ』と言われ、教師から『やり返せ。それが強さだよ』とハッパをかけられる」現状を説明。今の教育現場について「『保健室にいればいい。フリースクールや転校も』と、いじめられた子が対応を迫られるだけ。いじめた子を変えないと、根本的な解決にはならないんです」と訴えた。
         また「無視は心に対するリンチ。相手を死にも追いやる。いじめた側は『他の子もやった』と言い訳するが、10人の無視は、100倍もの心の痛みになる」とも語った。
         ◇自由の翼持つ命奪わないで--ジェントルハート
         「ジェントルハート」では、小森さんらが小中高校などを回って講演し、いじめを苦に天国に旅立った多くの子どもたちのメッセージを伝えている。人権という言葉を「自由の翼を持って生まれた命」として易しく説明。「皆さんは、自由の翼で飛び回ってください。でも、お友達の自由の翼をむしったり、ボンドで固めるようなことはしないで」と呼びかける。
         講演後は、5~6人に分かれワークショップ。模造紙に「今まで目撃したことのあるいじめ」を書いていってもらうと、いろんな種類が出てきて、ついに「自分がやったいじめ」を告白する子も出てくるという。
         小森さん夫妻は、香澄さんとの最後の別れの際、「生まれてきてくれてありがとう」と告げた。そして今、ジェントルハートの活動を通して「すべての子どもたち、生まれてきてくれてありがとう」と語りかけている。URL=http://www.gentle‐h.net
        (毎日新聞)2月10日16時0分配信
        対人援助におけるストレングスモデルの大切さ
        2007/02/04
        ひきこもり状態が続いている方や、抑うつ感をもたれている方などに共通しているのが、「自分は弱い」「自分はダメ」という自己を否定する感情の強さです。こうした状態の人に、一般的なはげましが意味を持たないことはよく語られています。
         何かのきっかけと心理社会的背景が重なってこうした状態になっていったと思われますので、今の状態に視点をおいてあれこれ論じても、否定的な感情を肯定的に変容させることは極めて困難です。
         その状態になる前の本人の個性や人格、今の状態から抜け出せた後の願いや目標に視点をおくことで、具体的な援助の方向性が見えることが少なくありません。
         その人は本来どんな人だったか、どんな良さや強さがあったのかに注目し、一緒に思い出しながら自身を見つめ直す、意欲が失われる中であきらめていったりやらなくなった行動に注目し、それができるようになることで自身の力を再確認するなど、否定され隠され包まれた本人の個性や興味やできることに気づき、「できる自分」や達成感を感じることに寄り添う援助をストレングスモデルの援助と言い、様々な回復援助において注目されています。
         「できない自分」を感じること、感じ続けることは辛いことです。かつてできていたことが、一人ではできなくても、やる気にならなくても、「誰かと一緒に」ならハードルは低くなり、再体験につながりやすいものです。どんな小さなことでもこの再体験が気持ちを動かします。「できないと思いこんでいた自分」から「やればできる自分」を感じる時です。それは徐々に意欲につながり、自己を肯定できる状態に変わって行けます。
         本来のその人、できていたことに視点を置くことは、対人援助において欠かせない視点だと思います。
         次回は「障害のある方々と関わるときに忘れて欲しくない視点」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        居残り、起立「体罰でない」 文科省、体罰範囲を明示

        学校教育法で禁じられている「体罰」の基準について文部科学省は2日、「居残り指導や授業中に起立を命じるなど、肉体的苦痛を与えない行為は体罰ではない」といった見解を現場への通知に盛り込む方針を明らかにした。何を体罰とするかの文科省見解は初。「教師が体罰の範囲を誤解して萎縮(いしゅく)することがないようにしたい」(同省児童生徒課)としている。
         文科省は来週、全国の都道府県教委などに(1)生徒指導の充実(2)出席停止の活用(3)懲戒(罰)、体罰について-を通知。罰について「殴る、ける、長時間立たせるなどの肉体的苦痛を与える行為は体罰であり、許されない」との基本的な考え方を明示した。その上で、授業中に生徒が騒いで授業が成立しない場合、他の児童生徒の教育権を保障する目的であれば「居残り指導」などは許容される罰としている。
         他にも「教員や他の児童生徒に対する暴力を正当防衛として制止する」「教室の秩序維持のために、室外で別の指導を受けさせる」ことなども許容される罰として例示。「授業中に通話した場合に携帯電話を一時的に預かる」行為も認める。
         出席停止については、いじめの加害者に対して、必要であれば「最後の手段」として認められると明記した。学校や教委が地域社会の理解が得られるよう支援するよう明示する考えだ。
         体罰基準をめぐっては「児童懲戒権の限界について」と題した昭和23年の法務庁長官回答が国の法的見解となっている。今回の文科省通知は基本的にこれに準じた形だ。
         いじめ自殺が社会問題化したことを受け、政府の教育再生会議ではいじめた子供への厳しい対応を要請。体罰の範囲の見直しや出席停止制度の活用を1月にまとめた第1次報告に盛り込んでいた。
        (産経新聞)2月3日8時1分配信

        ●中2自殺で松戸市教委が教諭聴取…担任女性は寝込む
         千葉県松戸市で同級生への集団暴行をとがめられた市立中学2年の男子生徒(14)が自殺した問題で、松戸市教委は3日、暴行があった1月31日の放課後に男子生徒の指導にあたった同校の教諭の事情聴取を始めた。市教委はこれまで、学校側の指導について「問題はなかった」との見解を示してきたが、改めて行き過ぎた指導がなかったかどうか調べる。市教委などによると、男子生徒を指導したのは男女4人の教諭。この日に聴取したのは50歳代の生徒指導主任の男性教諭で、約2時間半にわたり指導内容などを確認した。
         市教委は今後、学年主任の男性教諭らの聴取も進めることにしているが、このうち男子生徒の担任の40歳代の女性教諭は、ショックで寝込んでおり、事情を聞ける状態ではないという。
        (読売新聞)2月4日9時16分配信
        【コメント】集団暴行は集団によるいじめ。その加害者が自殺しました。いじめの加害者に対して出席停止などの対処を盛り込んだ教育再生会議の報告やマスコミによる報道が、この子に強い不安を与えたのではないでしょうか。いじめ加害者に厳罰主義的対応を行うという表面的な対処は、実態に合わないばかりでなく、更なる課題を産むものであるということが早くも明らかになったのではないでしょうか。

        ●06年の有効求人倍率、14年ぶりに1倍台を回復
         厚生労働省が30日公表した2006年の年平均の有効求人倍率は1・06倍となり、14年ぶりに1倍台を回復した。
         また、総務省によると、同年の年平均完全失業率は4・1%で、4年連続で低下した。景気回復による雇用情勢の改善がより鮮明になった。
         年平均の有効求人倍率は4年連続で前年を上回っており、02年の0・54倍から、ほぼ2倍の水準に回復した。有効求人倍率が1倍を超えると、計算上は、職を探す人全員が就職することができるだけ企業の求人があることになる。
         06年の年平均の完全失業者数は前年比19万人減の275万人となり、4年連続の減少。自営業も含む就業者数は、26万人増の6382万人だった。サラリーマンら雇用者数は79万人増の5472万人で、1953年の調査開始以来、過去最高となった。
        (読売新聞)1月30日11時3分配信

        ●<児童虐待防止法>超党派見直し案ー児相の安全確認義務化へ
         超党派の国会議員による児童虐待防止法の見直し案に、児童相談所(児相)の安全確認義務が盛り込まれる見通しとなった。児童相談所が虐待の通告を受けても安否を確認しないまま子どもが死亡するケースが後を絶たず、そうした事態をなくす目的。親が呼び出しに応じない場合は強制的に立ち入り調査するための親の呼び出し制度も併せて設ける方向だ。
         見直しを進めているのは「児童虐待防止法見直し勉強会」(幹事・馳浩自民党衆院議員)。
         04年に児童虐待で死亡した53件の中で、17件は児相が住民などの通告を受け把握していた。昨年10月の京都府長岡京市の男児餓死事件では、児童委員が死亡前6カ月間に4度通報したが、安否確認されなかった。
         児相の安全確認は、現行法では努力義務にとどまる。04年の法改正でも義務化が検討されたが、それに伴う職員の人員増が現実には困難との理由で見送られた。
         自治体の中には、埼玉県のように独自に48時間内の確認を義務化したケースもある。厚生労働省は今月、48時間内の確認に努めるよう指針を出したが、初動対応の差は現場ごとに大きく、「『(安全確認に)努める』という今の法律の表現は弱すぎる」(メンバーの議員)として、義務化に踏み込むことになった。
         安全確認の義務化と一体の形で、児相の立ち入り調査もしやすくする。これまでは親が施錠したり、応答がなければ居宅に入れるか判断が難しいとされ、05年度、全国の児相で立ち入り調査の1割が保護者の拒否などで断念されていた。このため、親が呼び出しに応じない場合、強制的な立ち入りを可能にする。裁判所の許諾を得るかどうかは検討中だ。
         このほか▽親が子の治療を放棄する場合、親権代行者を選び、治療を進める措置(親権の一時停止)▽一時保護や施設入所の子に対する親への接近禁止命令――なども検討中だ。
        (毎日新聞)01月31日03時01分

        ●<地域間格差>所得格差「小泉政権下で拡大」実証 本社集計
         99~04年の全国の市区町村の納税者1人あたりの平均所得に関し、格差の度合いを示す「ジニ係数」を年ごとに割り出したところ、02年を境に上昇したことが3日分かった。ジニ係数は毎日新聞が東京大大学院の神野直彦教授(財政学)の協力を得て割り出した。平均所得の最高値と最低値の差は3.40倍から4.49倍に拡大、小泉純一郎前政権の間に地域間格差が開いたことを示した。神野教授は「感覚的に論じられてきたものを初めて定量的に示せた」と指摘しており、地域間格差は4月の統一地方選の主要争点になりそうだ。
         ジニ係数は所得の不平等度を0~1の間で表す数値。「0」は完全な横並びで、数値が高いほど格差が開き、「1」は1人(1カ所)だけに所得が集中する状態となる。
         毎日新聞は、総務省が毎年まとめる「市町村税課税状況等の調(しらべ)」に基づき、年ごとに市区町村別の総所得金額をその自治体内の納税者数で割って平均所得を確定。これをジニ係数を求める公式に当てはめた。
         その結果、99~01年はほぼ横ばいだった数値が02年の0.070を境に上昇に転じ、04年には0.079になった。国内の個人所得のジニ係数が99~04年で0.007ポイント上昇というデータがあることが「格差論争」の根拠の一つとされており、市区町村別が2年間で0.009ポイント上昇したことは大きな数字だという。
         平均所得の上位はほとんどが大都市部。04年には東京23特別区のうち9区が上位20自治体に入った。これに対し、下位は軒並み高齢化の著しい町村部。最高値と最低値はそれぞれ、99年は東京都港区の751万円、秋田県東成瀬村の221万円で、04年が港区の947万円、北海道上砂川町の211万円だった。
         神野教授とともに作業にあたった慶応大大学院経済学研究科の宮崎雅人氏は「小さい所を大きな所が吸収するケースを考えれば、平成の大合併はジニ係数を下げる方向に働いたはずだ。実際の格差拡大は今回の結果より大きいのではないか」と分析している。【統一地方選取材班】
         ◇ジニ係数 所得の不平等感を0~1の間で示す数値。「0」は完全な横並びで、数値が高いほど格差が開き、「1」は1人だけに所得が集中する状態となる。イタリアの統計学者、C・ジニが考案した。日本の個人所得のジニ係数は80年前後から上昇。どの統計を使うかで数字は異なり、0.2台~0.4台と幅広い結果が出ている。今回は各自治体の平均所得を使ったが、個人所得の差よりも平均所得の差の開きは少ないため、0.07台という低い水準で推移することになった。
        (毎日新聞)2月4日3時7分配信
        【コメント】国民の多数が感じている「格差」の拡大、この調査でも数値的に明らかになりました。格差を感じ、景気回復を感じない、一方で景気を示す数値だけは上昇しているとすれば、誰が潤っているのか、誰のために政治が行われてきたのかを考えずにはいられませんね。

        自転車の右側通行と夜間の無灯火運転
        2007/01/29
         昨日、一昨日と、精神保健福祉士国家資格試験を受けに新大阪まで行っていました。今回のこの試験は、ここ数年の過去問題と比較しても、難易度の高いものだったのではないでしょうか。悩まされる問題ばかり、されど時間はなく、終わってみれば頭が真っ白…。手応えなし(O.;)。結果は3月末に発送されるそうです。
         さて今回のテーマです。夜、車を運転していて、頻繁に恐い思いをさせられることがあります。無灯火の自転車がまるで見えない…。気がつけば、そこに自転車が…。最近の自転車は、後ろ側には光を反射して赤く輝く反射板がほとんど取り付けられているので、左車線を走る自転車は後ろからほとんど確認ができます。しかし、右側車線を逆走してくる無灯火の自転車は暗闇を走る黒い物体であって、気づきにくいものです。とても危険です。本当に見えません。
         学校教育の中で、「安全教室」などで自転車の乗り方や交通ルールを学ぶ機会があると思うのですが、子どもからお年寄りまで、この自転車での右側通行や夜間の無灯火運転をする人が少なくありません。自転車は便利な乗り物ですし、車の交通量が多い道路では、「走りやすい所を走る」ことができる乗り物です。道路交通法上は「車両」となりますので、車道の左側を走行する決まりとなっていますが、交通量の多い所では歩道を走らざるを得ない場合も少なくありません。ですが、歩道とはいえ右側通行はいかがなものでしょうか? まして、夜間にライトをつけずに走る…。発電装置を使うと自転車をこぐのが重くなる、街灯などでそこそこ明るいので十分走れる、というのが無灯火運転をする理由かと思います。
         無灯火で右側車線を逆走していて、車の運転手からそれが確認できなかった、という場合、自転車と車の正面衝突となってしまいます。スピードによっては死亡事故となりかねません。自身の身の安全を守るためにも、車両運転者のモラルとしても、基本、ルールに立ち返って、自転車の運転をしてもらいたいと思います。
         次回は「対人援助におけるストレングスモデルの大切さ」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        ゆとり教育見直し、社会奉仕必修に7割賛成<毎日世論調査>

        毎日新聞の全国世論調査は、政府の教育再生会議の第1次報告が盛り込んだ(1)「ゆとり教育」の見直し(2)高校での社会奉仕の必修化――への賛否も尋ねた。ともに約7割が賛成し、この2点では教育再生会議の議論が支持された。子育て世代の20~40代を中心に、いじめ問題や学力低下で高まった教育現場への不満を吸収したとみられる。
         授業時間10%増が柱のゆとり教育見直しは、賛成71%、反対19%。年代別では、20~40代で賛成が8割近くに達した。
         支持政党別では、自民支持層の76%、民主支持層の77%、公明支持層の79%が賛成。共産、社民の支持層も半数近くが賛成した。与党内には「詰め込み教育が心の問題をないがしろにした」(森喜朗元首相)など異論も残っているが、授業増路線が幅広く歓迎された結果は見直し論の追い風になりそうだ。
         安倍晋三首相が強調する規範意識の柱である社会奉仕には、賛成が69%で反対が21%だった。賛成は内閣支持層では76%だったが不支持層では64%。反対は支持層が14%にとどまったのに対し、不支持層では31%に上った。
         一方、国会で議論を深めてほしい問題に「教育再生」を挙げる人が最多の30%にのぼったことからは、教育問題への関心の高さがうかがえ、官邸主導の教育改革を狙う首相にとって再生会議の議論への世論の支持が不可欠となりそうだ。
        (毎日新聞)01月29日03時03分
        【コメント】ゆとり教育をめぐっては、ほとんどのマスコミが見直しの方向の論調かと思います。最近でも、郵政民営化、教育基本法「改正」など、時の内閣が力を入れている方向性に肯定的な世論形成がすすめられている、と思えてしまいます。わけても、文科省の教育政策は、3年から5年くらいで方向が逆転してしまうことが続いていて、現場は混乱し、子どもたちがその影響をまともに受けてしまってきています。「賛成か反対か」だけを問う世論調査もまた、一定の調査データを活用した世論誘導ともなりかねないと思います。ゆとり教育について、どうだったのか、何をもって見直しが必用か、というまとまった総括論議や客観的評価を理解しないままに主観的印象や思惑で、義務教育のあり方がころころと変わってしまう現状に、厳しく目を向ける必用があると思います。

        ●会社側に7400万円賠償命令=過労死訴訟で因果関係認定-熊本地裁
         バイク部品製造会社「山田製作所」(群馬県桐生市)の社員山田昭友さん=当時(24)=の自殺で、遺族が「長時間労働を軽減しなかった安全配慮義務違反が原因」として、同社に約9300万円の損害賠償を求めた訴訟で、熊本地裁(亀川清長裁判長)は22日、約7400万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
         判決理由で、同裁判長は「常軌を逸した長時間労働に従事し、肉体的、精神的負荷を負い自殺に至った」と述べ、自殺と長時間労働の因果関係を認めた。
         訴状などによると、山田さんは2002年4月から、ホンダの部品を製造する同社熊本事業部で塗装班リーダーになった。生産が追い付かず、上司に叱責(しっせき)され残業が続き、同年5月、自宅で首つり自殺した。自殺2カ月前の残業は月119時間、1カ月前は同128時間以上だった。
        (時事通信)1月22日14時0分配信

        ●<いじめ自殺>不適切対応認め、両親に謝罪 埼玉・蕨市教委
         文部科学省のいじめ自殺再調査で「いじめが一因」と修正された04年の埼玉県蕨市の中2女子自殺事件に関し、市教育委員会幹部が両親宅を訪ね、連絡なく修正報告したことなどこれまでの対応を謝罪していたことが分かった。「職員の個人メモ」として公開を拒んでいた事件の記録についても、対応の誤りを認めて公文書化を約束した。「悲劇を繰り返さないため、事実をしっかり記録して検証し、いじめ防止策に生かしてほしい」という両親の願いが事件から2年半以上を経てようやく実現した。
         女子生徒は04年6月、ゴキブリ扱いされたなどと書いた遺書を残して自殺した。蕨市教委は当時「主たる原因は不明」と報告。両親の度重なる情報公開請求に対して埼玉県と市は、A4判1枚の事故報告書しか公開しなかった。その一方、昨夏以降のいじめ自殺問題を受けた文科省の再調査では、「職員間で引き継ぎした個人メモ」を元に「いじめも一因」と一転して報告していた。
         蕨市教委と両親によると昨年12月25日、両親宅に秋山亜輝男教育長と市教委職員2人が訪問。文科省の再調査で連絡せずに回答したことについて、「申しわけございません」などと謝り、再調査で不適切な対応をしたことを認めたという。
         両親は、事件当時の記録に関し「公文書として情報を共有化し、みんながいじめ防止について考えられるようにしてほしい」と要望。秋山教育長は「(いじめ自殺は)二度とあってはいけない。教育関係者として反省すべきこと」などと基本姿勢を示し、公開対象の公文書にすることを最終的に約束したという。
         蕨市は今年に入り、保管していた「個人メモ」を整理、新たに記録文書を作成した。公開に先立ち両親とも再び話し合って中身を手直ししたという。亡くなった女子生徒は自殺前日に書いた作文でもいじめに触れているといい、市は作文も公開対象にする。
         従来の対応を変更した理由などについて蕨市教委は詳しく説明はしていないが、寺山治雄学校教育課長は「新聞報道でご両親の気持ちを知っており、再調査について連絡すべきだった。残した記録をどのように生徒指導に生かすかについて今後は検討していきたい」と話す。
         女子生徒の父親(46)は「本来すべきことを教委はしただけ。だが、いまだに学校からも教委からも当人の私たちに聞き取り調査は行われていない上、まだ(完全には)自殺の原因をいじめだとは認めておらず、釈然としない気持ちは残っている」と話している。
        (毎日新聞)01月29日03時05分
        【コメント】学校に起因する自死で子どもを喪失した親や家族がまず求めるのは、具体的に何があったのか、その事実の明確化です。学校や教育委員会の隠蔽体質には徐々にメスが入って行っていますが、まだまだ甘い。事実経過の解明と様々な不作為の明確化を含めた総括、そして再発防止への具体的な手だての確立のためにも、死を持ってその苦しみを表し環境の改善を求めた自死当事者を前に、立場やプライドを捨てて「事実」と向き合ってほしいと思います。

        ●<給食費滞納>裁判所に督促申し立てで大幅減 宇都宮
         学校給食費の滞納問題を巡り、宇都宮市教育委員会が裁判所に保護者への督促申し立てなどの措置を取ったところ、7カ月間で3分の1が支払うなど滞納者が大幅に減ったことが分かった。「払えるのに払わない」家庭が多いことも裏付けられ、法的措置が全国的に広がる可能性もある。
         市教委によると、01年4月~06年3月の5年間の滞納者(卒業生を含む)は昨年5月時点で計702人、滞納総額は約3300万円だった。同7月、法的措置を取ることを知らせる文書を全保護者に送ったところ、同11月現在で滞納者・額は508人、約2670万円にまで減った。一部の支払いに応じたり、支払いを約束した保護者も数百人に上り「大きな成果が上がった」としている。
         さらに、市教委は昨年9月、経済的な事情で支払い困難な家庭を除く保護者40人について、実際に支払い督促を宇都宮簡裁に申し立てた。その結果、今月25日現在、所在不明の9人を除く26人が支払った。残る5人については強制執行の申し立てを同簡裁にする。
         ただ、経済的に支払い困難な家庭の見極めは各学校担当者の判断に委ねられており、統一基準がないのが実情。一部を支払いながら残額を滞納するケースもあるという。倉田明男・同市教委学校健康課長は「どうしても払えない人の線引きが難しい。口約束だけの保護者の説得は教員の負担になっている」と話す。
         給食費滞納で法的措置を取っている教委は宇都宮市のほか、仙台市、北海道石狩市、広島県呉市など少なくとも8教委ある。
        (毎日新聞)1月27日15時2分配信

        ●<指導力不足>中学校長解任 いじめ対応不十分 大阪・八尾
         大阪府八尾市教委は25日、いじめに遭った市立中学3年の女子生徒(15)が精神疾患を患い不登校になったのは、学校側の対応が不十分だったためだとして、指導力不足を理由に校長(57)を解任し、研修を受けさせる方針を固めた。文部科学省によると、指導力不足で研修を受けた教諭は05年度だけで全国で506人に上るが、管理職が受けるのは極めて異例。いじめが深刻化する中、校長の管理能力を厳しく問う措置といえそうだ。
         関係者によると、女子生徒は昨年5月ごろから、「悪口を言った」などと同級生の女子生徒らからいじめられるようになった。さらに、トイレで制服にせっけんをこすりつけられたり、給湯室で蹴られるなどの暴力も振るわれた。
         担任の男性教諭(30)は女子生徒がトイレに連れ込まれているのを知りながら「仲の良いグループのいざこざ」としかとらえていなかった。その後、担任は「教室を見回って(いじめた生徒から)守るから」と、女子生徒に約束したものの、休み時間も1人のまま放置したため、その間にいじめられ続けた。
         担任への不信感を募らせた女子生徒は同6月、体調を崩して不登校になり、適応障害などと診断された。学校側が必要な書類を生徒に届けないなどの不手際も重なり、保護者との関係は悪化。保護者は担任との接触を拒否したが、校長は担任をそのまま続けさせ、女子生徒は現在も登校できないという。
         このため市教委は、校長の初期の認識の甘さや、保護者の対応を担任ら一部教諭に任せ、組織的なサポート態勢をとらなかったことなどが指導力不足にあたるとして、校長職を解くことにした。
         校長は「担任が被害者側の気持ちに立って対応できなかった。一連の問題の責任は私にある。申し訳ない思いでいっぱいだ」と釈明。保護者から相談を受けたNPO法人「子どものための民間教育委員会」(大阪市北区)の良井靖昌代表委員は「信じがたいほど無責任な学校の対応が、いじめよりも生徒を傷つけた。いじめによる不登校の多くは、教諭の無関心や対応の問題が大きい」と指摘している。
        ▽村山士郎・大東文化大教授(教育学)の話 いじめ対応にかかわった教諭だけの責任が問われる風潮の中で、管理職の責任をはっきりさせるのは理解できる。だが、学校、市教委がどう指導し、何が問題だったのかや、いじめられた子ども、親の思いを全教員が共有し、真の意味で問題が改善されなければ、子どもは安心して学校に戻れない。首をすげ替えるだけでは本末転倒だ。
        (毎日新聞)1月26日3時2分配信

        私の喪の仕事と代償行為または逃避(?)
        2007/01/21
        長男を失って、まもなく7年が過ぎようとしています。拙著『不登校自殺』で、喪失直後から2年あまりの私の心的過程は語らせてもらったつもりですが、その後のことは、この「つぶやき」の中で、また依頼されてお話をさせていただく中で、時折触れてきたかと思います。このように、私は、長男の喪失体験を、出来事の初期より全面開示して、自らの心的体験も自己覚知しながら語る(書く)という形で表現してきました。このナラティブによる自己洞察は、私の喪の仕事において、とても重要な役割を果たしてきたと実感しているこの頃です。
         一方で、それが代償としての行為なのか逃避なのかは釈然としませんが、釣りという以前からの趣味に没入していた時期があります。長男喪失後3年あまりでしょうか。当時はまだ、サラリーマンを続けていて、そこそこの収入もありましたので、こうした趣味にお金をつぎ込むことができた、という理由もありますが、一人海に向かう、1日釣りに没入する、を毎週のようにやっていました。それは「趣味」を超えて、「依存」状態にあったと思えます。まさしく、割り切れない心的葛藤への防衛機制が働いていたと思われます。退職後、2年間の学生生活の間は、数えるほどしか海には行かず(行けず)、依存は消えて行きました。大学で学ぶ、が次なる依存となったのでしょう。それは、釣りという趣味の範疇ではなく、自らの知的欲求を満たすものであり、その後の(つまり現在の)第2の仕事人生への過渡的な準備作業でもあったと思えます。
         そして、現在はもっぱらカウンセリングや精神保健福祉分野の学習と対人援助の仕事に没入しています(特に最近は、今週末に受ける精神保健福祉士国家資格試験のための受験勉強に追い込みをかけています)。
         個人的には喪の仕事で言うところの離脱-再建、再構成と再適応の段階へやっと一歩を踏み出しているのかな、と考えています。
         次回は「自転車の右側通行と夜間の無灯火運転」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        教育再生会議:第1次中間報告の閣議決定見送り

        政府は17日、教育再生会議(野依良治座長)が今月下旬にまとめる第1次中間報告について、閣議による決定事項とはしない方針を固めた。同報告には「ゆとり教育」の見直しや高校での社会奉仕活動の必修化が明記される見通しだが、学校現場の反発や、再生会議と距離を置く与党の批判を抑えるために、拘束力を明確にしない考え。安倍晋三首相が政権の最重要課題に掲げる教育改革での閣議決定見送りは、政権の改革失速イメージを加速しそうだ。
         政権の重要課題を担う政策会議の答申や報告は(1)答申や報告そのものを閣議決定する(2)答申や報告の具体化を進める方針を閣議決定する--のいずれかが一般的。中曽根内閣が83年の臨時行政調査会(臨調)の答申について「政府が具体策を定める」と決定するなど、「政権の重要課題は閣議決定するのが通例」(総務省大臣官房)だ。
         今回は、首相サイドに報告の実現性を担保するため閣議決定を探る動きがあったほか、委員の一部からも「再生会議の議論をもとに法律が策定されるのだから閣議決定が必要」などの意見が出ていた。しかし、政府筋は17日「各省庁の合意形成が不可欠で時間がかかる」と説明。今年5月に予定される第2次中間報告、年末に予定される最終報告についても「閣議決定の必要性は感じない」と見送る考えを示した。ただ、拘束力の弱い閣議了解や閣議報告にする案も一部にある。
         第1次中間報告には「教員免許更新制の導入」や「教育委員会の制度改革」も盛り込まれる。政府は報告をもとに25日召集の通常国会でこれらの具体案を盛り込んだ法改正を予定しているが、閣議決定の見送りで、法改正の際に関係省庁や族議員の抵抗が強まる可能性がある。教育政策をめぐっては、森内閣が00年の教育改革国民会議の報告の閣議決定を検討したが、同会議が首相の私的諮問機関だったことや、教育基本法改正への世論の警戒感から見送られた例もある。
        (毎日新聞)2007年1月18日 3時00分

        ●学校週5日制見直し、報告案で明記へ…教育再生会議
         政府の教育再生会議(野依良治座長)がまとめた第1次報告最終案に、今後の検討課題として「週5日制の見直し」が盛り込まれていることが18日明らかになった。
         再生会議が目指す「ゆとり教育の見直し」や「授業時間数の10%増加」の具体策として挙げたもので、実現すれば約15年ぶりの政策転換となる。同会議は最終案を19日の合同分科会で議論した後、24日の総会で正式決定して安倍首相に提出する。
         週5日制は92年から月1回、95年から月2回と段階的に試行され、2002年度に公立学校で完全実施された。子供が家庭や地域で過ごす時間を増やし、考える力や生きる力をはぐくむのが目的だったが、授業時間が削減されたことで、学力低下の一因とも批判されてきた。
        (読売新聞)1月19日3時7分配信
        【コメント】委員の顔ぶれを見ても、戦後教育が抱えため込んできた複雑多岐にわたる教育課題について一定の見識をもって今後の「再生」に向けた基本的な方向性を打ち出すことを目的とした議論が行われているとは思えない、という人が少なくないと思います。課題の歴史的・現実的認識と分析、教育に対する経験や基本的理解を前提としたメンバー構成で、じっくりと時間をかけて、また関連する多くの機関・組織や個人からの意見も取り入れながら現実的な改善計画を練り上げる作業が必用であって、今回のように短期間で浅い議論(それもまとまったものとは言えない)で出される答申では、また現場が混乱してしまうことは火を見るよりも明らかです。そして、そのしわ寄せは子どもたちに行きます。

        ●いじめ定義、広くとらえ見直し=中傷メールも新たに追加-文科省
         文部科学省は19日、児童・生徒の問題に関する全国調査で用いるいじめの定義を見直すことを決めた。7年連続で報告のなかったいじめ自殺が昨年相次いで発覚、調査の信頼性が揺らいだのを受けた措置。「継続的に」「深刻な」など幅のある解釈を生む文言を削除するとともに、具体的な態様として新たにメールなどによる中傷を加え、いじめを広くとらえた。
         新たないじめの定義は「一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」。
         これまでは(1)自分より弱い者に対して一方的に(2)身体的・心理的攻撃を継続的に加え(3)相手が深刻な苦痛を感じているもの-だった。いじめか否かの判断は、いじめられた子どもの立場に立って行うよう徹底させる。
        (時事通信)1月19日20時1分配信

        ●子供自殺 いじめ14件認定
         いじめを苦にした自殺が相次いだ問題で文部科学省は19日、児童生徒の自殺にいじめがかかわっていると指摘を受けた41件のうち、14件でいじめがあったと認定した。平成17年度までの7年間、いじめによる自殺をゼロとしていた調査の信憑(しんぴょう)性に批判が集まったため再調査し、修正した。
         いじめを確認した14件のうち、いじめが自殺の主な理由となっていたケースが3件、理由の一つと考えられるケースは6件認定した。残る5件のうち、3件は「判決でいじめが認められなかった」などとし、いじめが理由とは考えられないと判断。2件は当時の資料が残っておらず不明とした。
         いじめを自殺の主たる原因と判断したのは、平成11年の堺市の高1女子▽17年の北海道滝川市の小6女子▽18年の愛媛県今治市の中1男子。自殺の一因と認定したのは、12年の千葉県市原市の中3女子▽13年の兵庫県宝塚市の小4男子▽14年の大阪府泉大津市の中2男子▽16年の埼玉県蕨市の中2女子▽17年の山口県下関市の中3女子▽18年の福岡県筑前町の中2男子-となった。
        (産経新聞)1月20日8時0分配信

        ●<いじめ自殺>文科省再調査 「問い合わせない」と遺族不満
         文部科学省が19日公表した「いじめ実態再調査」では、いじめ自殺がゼロとされた99年度以降にも、実際には複数あったことが確認された。だが「当事者である私たちに何の問い合わせもない」などと、癒やせぬ思いを口にする家族もいる。
         00年7月に「HELP」の書き置きを残して自殺した埼玉県川口市立中1年の大野悟君(当時13歳)の件は再調査で、いじめの事実を認めながらも「いじめた生徒らは自殺前に謝罪し解決していた。理由の一つとは考えられない」と報告された。当時の判断をよりどころにしたものだ。
         だが、根拠の資料は「文書保存期間満了による廃棄のため、確認できず」と記された。遺族は「再調査の連絡はなかった。国がやっても、教委の考えが変わらない限り何も変わらない」と怒りをにじませた。
         いじめのない社会づくりを目指すNPO「ジェントルハートプロジェクト」の理事、小森美登里さん(49)は、長女がいじめのため自殺した。「どのように再調査したか、方法も詳しく表に出してほしい。対応によっては救えた命はたくさんあったはず。命をどのように守っていくのか具体的に示すべきだ」と話した。
        (毎日新聞)1月20日15時2分配信
        【コメント】まだ、「数は減らしたい」という意識が見え見えです。事実に正面から向き合うこと、これを抜きに、死をもって訴えた子どもたちの気持ちに、私たち大人が応えることはできません。

        ●LD児ら対応の財源手当て=全小中学校に支援員配置へ-総務省
         総務省は19日、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの児童・生徒に対応する「特別支援教育支援員」を、約3万ある全小中学校に配置するため、2007年度から必要経費を地方交付税で財源手当てする方針を固めた。08年度までに1校当たり支援員1人を配置できるようにする。
         昨年の通常国会で成立した改正学校教育法では従来の盲・ろう・養護学校を、障害種別を超えた「特別支援学校」に一本化。また、LDなどの児童・生徒に適切な教育を行うことが新たに規定された。
        (時事通信)1月20日3時0分配信

        ●思春期考える講演会:揺れ動く心に、どう寄り添うか-来月2日・南区/京都
         リストカットや引きこもり、出会い系サイトなどさまざまな少年問題が多発する中、京都市こころの健康増進センターが2月2日、「思春期・青年期のこころの健康について考える講演会」を南区のアバンティホールで開く。思春期の揺れ動く心に、大人がどう寄り添うべきかを探る。少年事件や家族問題、薬物問題などの取材を続け、「薬(ドラッグ)がやめられない―子どもの薬物依存と家族」などの著書で知られる毎日新聞の小国綾子記者が「リストカット 子どもたちのこころの叫び」と題し講演する。
         同センターによると、思春期の子どもの親から「どうかかわっていいか分からない」と寄せられる相談数は少なくないという。担当者は「問題行動は声にならない子どもの悲痛な叫び。解決する特効薬はなく、継続的にそれぞれが向き合うしかない」と話す。午後2~4時(開場は同1時15分)。無料で事前申し込み不要。同センター(075・314・0355)へ。
        (毎日新聞)1月19日14時0分配信
        【コメント】金曜日ではなく、土日で開催してほしいですね。共稼ぎ家庭の保護者の学ぶ機会を増やすためにも…。

        ●「義務教育だから払わない」 給食費未納458件
         二〇〇五年度に鳥取県内の小中学校で給食費を未納したのは四百五十八人で、未納額は約千百七十二万円に上ることが十九日、県教委の調査で分かった。保護者の経済的な問題より規範意識の低さが指摘され、「義務教育だから払う必要がない」と開き直る保護者も。未納分を担任などが負担するケースも多く、法的措置を取った学校もあった。
         同日の県議会教育民生常任委員会で報告された。
         調査は学校給食を実施している公立の小学校百六十五校、中学校六十校すべてを対象に実施。未納者がいた小学校は37・6%の六十二校、中学校は55%の三十三校にも上った。未納者数は小学校で二百八十三人、中学校で百七十五人。
         未納者への対応では、すべての学校で電話、文書で説明や督促をしているほか、家庭訪問による説明・督促が五十七校、PTA会合での周知が二十一校。法的措置を取った小学校が一校あった。
         未納に伴う欠損分については、年度が替わっても督促を継続するが四十三校、校長などの管理職や担任など負担が三十九校もあった。
         60%の学校が近年、未納が増えているとし、未納の理由について学校側の認識は「保護者の経済的な問題」(33・6%)よりも「保護者の責任感や規範意識の問題」(60・3%)と指摘した。
         鳥取市では三十八校で百八十七人が未納で、未納額は四百四十六万円。「義務教育だから払う必要がない」という保護者もおり、“払えない”ではなく、“払わない”ケースが多いという。
         督促などのために校長や担任が幾度も自宅を訪問しており、同市教委は「学校側に大きな負担となっている」と説明。「悪質なケースは法的措置を講じることも検討する」としている。
         県教委は「今回の調査で初めて具体的な状況が分かり、全市町村教委にも通知した。経済的な理由で支払えない保護者については公的な支援、援助制度もあり、利用してほしい」と話している。
        (日本海新聞)2007年1月20日

        ●「財界のマドンナ」炎上!?(ゲンダイネット)
         奥谷禮子氏(56)の発言に非難ゴウゴウだ。人材派遣会社「ザ・アール」の社長にして、経済同友会理事ばかりか政府や自治体の委員にも就き、ローソンとか日本郵政の社外取締役も務める“財界のマドンナ”である。
         事の発端は、週刊東洋経済1月13日号のインタビュー記事。労働政策審議会の使用者側委員でもある奥谷氏が、日本版ホワイトカラー・エグゼンプションについて、こう話している。
        〈さらなる長時間労働、過労死を招くという反発がありますが、だいたい経営者は、過労死するまで働けなんて言いませんからね。過労死を含めて、これは自己管理だと私は思います。ボクシングの選手と一緒〉〈自分でつらいなら、休みたいと自己主張すればいいのに、そんなことは言えない、とヘンな自己規制をしてしまって、周囲に促されないと休みも取れない。揚げ句、会社が悪い、上司が悪いと他人のせい〉
         さらに〈労働基準監督署も不要〉と切って捨てている。これに世間の労働者たちが噛み付いた。ネットの掲示板は批判の声で“炎上”。「労働者に死ねと言うのか」「実態を分かっていない」とか、奥谷氏個人に対する脅迫めいた書き込みであふれ返っている。
         過労死弁護団全国連絡会議の川人博弁護士がこう言う。
        「そもそも自己管理で解決する問題なら、過労死はとうの昔になくなっているわけです。奥谷氏の発言は実態からも、過去の最高裁の判例からも、かけ離れている。批判されても当然で、経営者として勉強不足としか言いようがありません」
         最高裁は00年3月、大手広告代理店社員の過労自殺訴訟で、企業が社員に払うべき義務について「疲労が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことのないように注意する義務」という判断を示している。要は、社員の自己管理ではなく、経営サイドに「職場の環境を整備しろ」と言っているわけだ。
         ザ・アールからは「担当者が不在」として、きのう(15日)までに回答はなかった。
        (楽天ニュース)2007年1月16日
        【コメント】派遣人材として働いておられる方が年々増加しているようです。正規雇用枠が減っているのですから、働く側からすればやむなき選択です。その派遣会社の経営者がこうした過労死・や過労自殺も「自己責任」という態度では、安心して働けません。人を雇う側のリテラシーが、ここまでお粗末なところもあるのだなと、驚かされました。こうした利己的な観念が普遍化することがないことを祈ります。
        広汎性発達障害と対人関係能力(6)
        2007/01/14
        広汎性発達障害と診断を受けていたり、その疑いのある方と面談でお話を重ねていると、対人相互作用の困難さが人それぞれに違い、そして傍目よりも深刻にとらえられていることがわかります。
         「わかいたいと思って相手の話を聞くけれども、話しの筋についていけず、途中で意見を求められても何を質問されているのかわからない」「わかってもらいたけど、わかってもらえないとわかっているのが辛い」「叱られるので『ごめん』と謝るけど、『気持ちがこもってない』とまた叱られる。なぜ叱られたのかがわかってないので、気持ちは入らない」「自分が話すと回りが不快になるのがわかるので、話さないようにしている。でもそれがしんどくて死にたいと思うことがある」…。
         脳の中枢部分の機能的な障害によって、長い文章の脈略についていけなかったり、相手の言葉から相手の意図を読み取ることができなかったり、思いついたことを端的に言葉にしてしまったりと、対人コミュニケーションにおいて質的な困難さが生じ、それをストレスとして強く感じて抑うつ状態になってしまうケースが少なくありません。
         長い話し言葉はメモを取りながら聞く、できるだけ短く話してもらう、相手の意図がわからなければわかりやすい言葉で言い直してもらう、また自身のコミュニケーション上の困難さを回りに理解してもらいぶっきらぼうな話し方を受け入れてもらえるうようにするなど、当事者と周囲の人が相互に特性の理解を深め、工夫をしていけば、トラブルは少なくなり、そのことで生きづらさを感じなくても済むようになっていきます。
         こうした対処方を見つけていくには、一人ひとりの困難さや認知、言動のパターンを理解して、個々のトラブルからそれを回避する方策を見つけ、改善し、その体験を重ねていくことが必用です。
         対人関係に困難さをもっている人が、自身のしんどさの中身に気づき明らかにしていくことに寄り添える人材が増えていくことが求められています。
         次回は「私の喪の仕事と代償行為」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        新成人の5割、いじめ経験 うち3割が「自殺考えた」

        成人式を迎える新成人の5割が、学校や職場でいじめられた経験を持ち、このうち3割は「自殺を考えた」と回答したことが6日、結婚情報サービス会社、オーエムエムジー(大阪市)の調査で分かった。
         調査は、1986年4月2日-翌年4月1日生まれを対象に実施し、587人から回答を得た。毎年、家族や結婚への考え方を聞いているが、相次ぐいじめ自殺を受け、初めていじめの質問を盛り込んだ。
         いずれも複数回答で、47%の人がいじめられたことがあり、このうち自殺も考えたという回答が29%。いじめをしたことがある人も38%いた。
         「いじめの仲間に誘われたら断れない」が36%に上る一方、「いじめられる当人にも非がある」が28%。「職場や学校はいじめを助長する環境」との回答が64%もあった。
         「周囲の大人は何もしてくれない」との訴えは76%。政府が対策を急いでいるが「今後も改善されるとは思わない」が84%と、悲観的な見方が大勢を占めた。
         実際にいじめられた場合、51%は「誰かに相談するとは思わない」と答えており、有効な解決策が見当たらず、独りで抱え込んでしまう実態も浮かび上がった。
        (サンスポ)2007年01月06日更新

        ●いじめ早期発見へ 指導の手引き作成(和歌山)
         全国でいじめを苦にした自殺が相次いだことを受け、県教委は、いじめを早期に発見するため学校で点検できる項目などを掲載した指導の手引きを作った。約8000部作り、市町村教委や小中学校教職員に配った。現場の教職員に活用してもらうことで、早期発見や未然防止につなげたいとしている。
         冊子では「いじめはどの学校にも、どの学級にも起こりうる問題」という基本的な認識を持つことをまず訴えている。学校での早期発見のチェックポイントとしては「作品に落書きがあったり、傷つけられたりしている」「気になるあだ名で呼ばれる」など19項目を挙げている。
         また、家庭でのチェックポイントもあり「友だちとの行き来がなくなり、外に遊びに出なくなる」など15項目を掲載。印刷をして家庭に配ることも考慮している。このほか、いじめアンケートの定期的な実施▽子どもと担任の交換ノートの実施―など学校での取り組みの方針も載せている。
         県教委小中学校課は「これまで指導してきたことをまとめた内容だが、より具体的に活用してもらえたら」と話している。
        (紀伊民報)1月5日17時1分配信

        ●<ひきこもり学生>和歌山大が支援室 専門スタッフ配置
         ひきこもりや摂食障害などに悩む学生が勉学に取り組めるよう、医師や臨床心理士が専門的にケアをする「メンタルサポート室」が9日、和歌山大学(和歌山市栄谷、小田章学長)に設置される。ひきこもりを克服した先輩学生もボランティアで参画し、就労も支援する。同大などによると、ひきこもりの大学生を対象に専門スタッフを配置した組織は全国的にも珍しい。和歌山県とも連携し、同県全域のひきこもり対応拠点としての役割も担う。【福田隆、最上聡】
         ひきこもりは全国で40万~100万人いるとされる。同大でも大学院を含め計約4000人の学生のうち、常時80~100人程度がひきこもりの状態にあるという。同大保健管理センター所長の宮西照夫教授(精神医学)の調査によると、学内で精神疾患を発病した学生数は82~92年(11年間)は100人だったが、93~03年(同)は328人に増えた。そのうち、適応障害は12人から91人、摂食障害は3人から22人と増加が目立った。
         適応障害の大部分は男子学生。講義の履修登録方法を周囲に聞けず、そのまま登校できなくなるなど、ささいなことがきっかけとなるケースが多い。また、摂食障害はほとんどが女子学生で、中には月約10万円の仕送りをお菓子代として約5日間で使い切り、食べては吐くことを繰り返して深刻な過食・拒食状態となり、勉学に取り組めない例もある。
         同大は01年からカウンセリングルームを設け、学業復帰を果たした「元ひきこもり」の先輩学生が下宿を訪問するなどしてメンタル面でサポートに当たるなどして、効果を上げてきた。今回設置されるサポート室には、常勤で精神科医1人と看護師2人、非常勤で精神科医1人、臨床心理士3人、精神保健福祉士1人を配置。ひきこもり経験のある学生たちがサポーターとして7人ほど加わる。曜日ごとに適応障害、統合失調症、対人恐怖症、摂食障害などテーマを決めて集団療法などを行うほか、予約制で家族や学外からの相談も受け付ける。
         宮西教授は「『大学生にここまでのケアは必要ない』との意見が主流だが、少子化による大学全入時代を控え、中学高校でひきこもりだった人が大学に入る機会が増えてきた。大学として精神的サポートが必要な時代が来ている」と指摘。小田学長は「充実した大学生活を送ってもらうための取り組みとして、体制を強化した」と話している。
         問い合わせは同大保健管理センター(073・457・7965)。
        (毎日新聞)1月6日15時2分配信

        ●名古屋の更生支援NPO関連会社、寮費など所得隠し
         入寮者を監禁して死亡させ、代表理事らが逮捕、起訴された名古屋市北区の引きこもり者更生支援NPO法人「アイ・メンタルスクール」(解散)の関連会社が、名古屋国税局の税務調査を受け、2006年4月期までの5年間で約2000万円の所得隠しを指摘されていたことが4日、わかった。
         寮費の一部を所得として申告しないなど悪質で、追徴税額は重加算税を含め約800万円とみられる。同社は修正申告した。
         この会社はNPO法人と同名の有限会社で、事件のあった寮を運営。元代表理事の杉浦昌子被告(50)が実質的に経営していた。
         関係者によると、同社は引きこもり者ら寮生から、月額13万円の寮費と医療費などの雑費計約20万円を毎月受け取っていたが、杉浦被告はその一部を個人名義の口座に隠し、約1300万円を法人所得から除外していた。
        (読売新聞)1月5日3時11分配信

        ●福島市:全小学校に相談員 いじめや不登校対策で派遣 /福島
         福島市の瀬戸孝則市長は5日の年頭会見で、来年度から市内すべての小学校に児童と保護者の相談を受け付ける「ハートサポート相談員」を派遣することを明らかにした。相談員は週1回以上学校を訪問し、いじめや不登校の問題解決に当たる。市が独自に相談員を雇用して小学校に派遣するのは県内で初めて。
         相談員が派遣されるのは市内の小学校48校のうち、既に県からカウンセラーが派遣されている4校を除く44校。県に派遣されるカウンセラーは臨床心理士などの資格が必要だが、多くの人材を集めるのには限界がある。そこで同市では資格の有無を問わず、教員OBや地域スポーツ団体の指導員など、子供を指導した経験のある人に業務を委託する。十数人を雇用し、1人で数校を担当する予定だ。
         小学校への相談員派遣事業は会津若松市でも行われているが、相談員は市だけではなく県や国からも委嘱を受けている。また派遣回数は1校に対し年間3回から12回と少ない。福島市では市単独の雇用で年間約35回の派遣を目指しており、より本格的な活動を目指している。
         また、瀬戸市長は放課後に児童を預かる「放課後児童クラブ」を35カ所から44カ所に増やすことや、小学生の医療費自己負担分を市が負担する「小学生医療費助成事業」の創設を発表した。
        (毎日新聞)1月6日13時2分配信

        ●滝川いじめ自殺「人権侵犯の疑い」で札幌法務局が調査(北海道)
         滝川市の小6女児がいじめを苦に自殺した問題で、札幌法務局は、自殺を防げなかったのは女児への人権侵犯の疑いがあるとして、市教委関係者や遺族に聞き取り調査を始めた。いじめ自殺の再発防止に向け、関係機関に必要な措置を求める「要請」や「通告」などの救済措置が必要かどうか、今後検討していく。
         今回の調査は、申告者の申し立てによるものではなく、報道を端緒としたもの。同法務局は、「市教委報告にとらわれず、独自に事実関係を調べ、学校や市教委が適切な対応をしていたか確認する」としている。
        (読売新聞)2007年1月8日

        ●<教育再生会議>いじめで出席停止明記へ 首相の意向で復活
         政府の教育再生会議(野依良治座長)は11日、東京都内で運営委員会を開き、今月下旬に取りまとめる第1次中間報告に、いじめなど反社会的行為を繰り返す児童・生徒への「出席停止」措置を明記する方針で一致した。教育バウチャー(利用券)の導入も今年12月の最終報告に向けた検討課題として盛り込む。いずれも先月21日に公表された素案では急進的改革に慎重な与党に配慮して明記が見送られていたが、政権浮揚のためにも教育改革への取り組み姿勢を強調したい安倍晋三首相の意向で復活した。
         出席停止は学校教育法に基づく制度。公立小中学校で他の児童・生徒の教育に妨げがある時、所轄する教育委員会が命じることができる。05年度では全国で43件あった。
         規範意識について議論してきた再生会議の第2分科会が「学校の秩序を維持するためには必要だ」と提唱したが、一部委員から「出席停止は教師の責任回避につながる」と反発が出て、素案段階では削除されていた。
         再生会議の義家弘介担当室長は、出席停止を明記する方針となったことについて「乱用しないことを示せば、会議で最終的な合意を得られるだろう」と記者団に語った。
         教育バウチャー導入は、学校間の競争を促して公教育の質の向上を目指すのが目的。委員の一部には「学校数が限られる地方の実情になじまない」など異論もあったが、安倍首相が昨年9月の自民党総裁選で提唱した目玉政策でもあり、首相官邸の強い意向で盛り込まれることになった。
         学力向上を図るため「ゆとり教育の見直し」を明記することも改めて確認した。高校の履修単位不足問題で対応に不手際が目立った教育委員会については、教委を評価する第三者機関の創設などの改革を提唱する。「ダメ教師の排除」を狙った教員免許更新制の導入や社会人教員の大量採用も盛り込む。19日に全体会議を開き、今月下旬の報告取りまとめを目指す。
        (毎日新聞)01月11日21時13分

        ●家計貯蓄率さらに低下3・1%、過去最低を更新
         内閣府が12日発表した2005年度の国民経済計算(確報)によると、家計の可処分所得のうちどれだけ貯蓄に回ったかを示す「家計貯蓄率」は3・1%と、前年度より0・3ポイント低下し、過去最低を更新した。
         低下は8年連続で、ピークの1975年度(23・1%)の7分の1以下になった。高齢化が進み、貯蓄を取り崩して生計を立てる世帯が増えているためだ。
         家計の所得から税金や社会保障費を引いた「手取り収入」を示す家計可処分所得は、前年度比0・7%増の290兆3000億円と2年連続で上昇した。
        (読売新聞)1月12日22時17分配信

        ●自殺:遊佐の小5男児、校内トイレで首つり 新体制の県教委に衝撃/山形
        ◇カウンセラーを派遣、児童の心ケアへ
         10日午前、遊佐町吉出の町立遊佐小学校(高橋孝次校長)体育館の男子トイレ内で、5年生の男子児童(11)がロープで首をつって死亡した。県内では昨年11月、県立高畠高校で女子生徒の飛び降り自殺があり、12月末に県教委の新体制が動き出したばかりだっただけに、関係者らは大きなショックを受けていた。
         遊佐町の小田島建男教育長と高橋校長らは午後6時から町役場議場で記者会見した。高橋校長は「尊い命を守るべき学校で、あってはならない事故を起こしてしまい、亡くなった児童と保護者におわびします」と謝罪した。
         高橋校長らによると、学校では年4回、いじめの全校調査をしているが、亡くなった児童へのいじめがあった事実は確認していないし、児童は調査の対象外だったと説明した。児童は情緒が不安定でカッとなりやすく、1年前から医師の処方に従い、精神を安定させる薬を飲んでいたという。
         家庭からの相談もあり、学校でも担任教師が極力教室を離れないで児童を見守っていたが、同日は児童会の6年生を送る会の準備があり、教室を離れたという。児童は過去に自傷行為などはなく、高橋校長が両親と病院で会って謝罪した際も、母親は「今日のことはとても信じられない」と話していたという。
         児童はスポーツ少年団ではバレーボール部に所属。昨年の町小学校体育連盟主催の陸上と水泳大会ではリレーの選手となるほど運動好きだった。
         学校では同日午後3時に全校児童を一斉下校させ、児童の心のケアが必要だとして2日間臨時休校にした。また、午後8時から中央公民館で保護者会を開き、約170人が出席した。
         山口常夫県教育長は「非常に残念だ。県教委としては遊佐町教委と連絡を取りながら、スクールカウンセラーを派遣し、ショックを受けている子供たちの対応に全力で臨みたい」と話した。
        (毎日新聞)1月11日17時1分

        ●発達障害児・者への支援考える 城陽で講演会
         アスペルガー症候群など広汎性発達障害がある子どもへの対応をテーマにした講演会「発達障害児(者)への支援を考える」が12日、京都府城陽市寺田の文化パルク城陽で開かれた。定員を大幅に上回る140人が参加し、関心の高さを示した。
         広汎性発達障害にはアスペルガー症候群、高機能自閉症などがある。人の気持ちを読み取れないなど対人関係を苦手とするが、視覚や記憶力などに優れた特性を示すケースも多い。診断される子どもが近年増え、関心が高まっている。
         障害を早期に発見する5歳児検診を府内で初めて導入した府中丹西保健所の弓削マリ子所長が講演。「アスペルガー症候群の人は欧米では就職率が非常に高い」と述べ、早期の支援で特性を長所に変える育児が、不登校や引きこもりなどの防止につながる、とした。
         続いて、南山城養護学校の東敦子教諭が、高機能自閉症の高等部生を指導した体験を話した。「彼らの多くが不登校を経験している」と指摘し、成長に応じて支援していく体制の必要性を訴えた。
         講演会は南山城圏域障害者総合相談支援センターうぃるが主催。3月9日にも自閉症者への支援について実践報告会を文化パルク城陽で開く。
        (京都新聞)1月12日22時37分

        ●障害者サービス利用負担、高すぎる 法施行後に舞鶴市策定委が調査
         京都府舞鶴市の市障害者計画策定委員会がこのほど、市内の障害者を対象に福祉施策の改善要望などを聞くアンケートを行い、結果をまとめた。障害者自立支援法施行後のサービス利用負担の収入に占める割合についての質問では、「収入の7-8割に相当」とした人が25%を超え、「ほぼ同じ」「超える」とした人も合わせて17%に上った。
         同委員会は、市の来年度から10年間の「市障害者計画」と、同支援法に伴うサービスのあり方を決める「市障害者福祉計画」策定のために設置。昨年11月中旬から、アンケートを約1000人に協力を求めて実施し、415人が回答した。
         同支援法施行後の利用者負担については4問あり、全回答者のうち約220人が回答。収入に占める割合では「1-3割」とした人が48・6%と最多、「7-8割」が25・9%、「収入を超える」が11・3%と続いた。負担感については「高過ぎる」が52・3%を占め、今後のサービス利用意向では「今の利用を継続したい」が72・1%と多く、「利用を止めたい」「減らしたい」は合わせて19・4%だった。
         自由記入の欄には「1カ月の収入が2000円なのに負担額が2万円近い」「これからの福祉を考えると、不安で長生きしたくない」などと悲痛な声を書き込む人もいた。
         同委員会はアンケート結果を踏まえ、本年度中に両計画案をまとめる。
         同支援法は、通所施設や生活支援などの福祉サービス利用に対して、以前の所得に応じた応能負担から、応益負担に切り替えて利用料の原則1割負担を求め、全国の障害者から負担の重さを訴える声が上がっている。
        (京都新聞)1月13日12時7分

        ●セミナー:いじめや自殺衝動などの対処法学ぶ--来月、浪速区で/大阪
         いじめや自殺衝動などの問題にどのように対応するかを考えるセミナー「いじめ・自殺念慮などの早期発見と対処法を学ぶ 生徒指導上のピンチをチャンスに変える」が2月24日午後1時半から、大阪市浪速区難波中3のエール学園2号館で開かれる。
         教育関係者や保護者らが対象。知識や経験の豊かな人が生徒と同じ視線に立って継続的に行う支援「メンタリング」について解説する。また、埼玉県立岩槻高校の小林昭文教諭が現場の状況や対策法などを語る。
         午後5時半まで。参加無料。定員50人。申し込み、問い合わせはエール学園メンタリング教育実務セミナー事務局(06・6647・0012)。
        (毎日新聞)1月13日16時1分

        ●少人数学級:完全実施へ調整 合意あれば予算計上--新年度から県教委/滋賀
        ◇新年度から小学3年生
         県教委は新年度から、小学校3年生で35人以下の少人数学級を新たに完全実施する方向で調整に入った。県内部で了解が得られれば、少人数化に伴う教員の人件費約2億6000万円を07年度当初予算案に盛り込む。06年度に小3で少人数学級を完全実施しているのは、全国で山形、長野、和歌山、高知の4県だけ。
         現在、県では、▽小1▽小2▽中1の3学年に加えて、小学3~6年のうち1学年を学校ごとに選んで少人数学級を実施。来年度からは、計4学年を固定化する他、小学4~6年から1学年を選ぶ形で少人数教育を行うことになる。
         嘉田由紀子知事は昨年7月の知事選で、マニフェストに「07年から全小中学校での少人数学級の完全実施」を掲げていたが、人件費の見込み違いなどから完全実施は実現しなかった。
         マニフェストに示した項目では、発達障害を抱える生徒への支援の拡充も進める方針だ。現在、自閉症、学習障害などに対応し、コミュニケーション能力の指導などを行う教室が県内に25あるが、地域的に偏りがあるのが課題。地域のバランスに配慮して新たに4教室を加えるため、配置する教員の人件費などを予算要求している。
        (毎日新聞)1月13日15時0分

        ●『いじめ』生徒役から生の声/NHK
         いじめが身近にあると感じる生徒は全体の七割、一番つらいのは無視されること-。NHK名古屋放送局が教育テレビ「中学生日記」(月曜午後7時)の生徒役を対象にしたアンケートで、こんな実態が浮かび上がった。相次ぐいじめ自殺を受けて同番組が企画した「いじめなくしたい!プロジェクト」の一環。貴重な生の声を基に、十五日から四回にわたり、いじめをテーマにした討論会やドラマなどの特集を組む。
         アンケートは、生徒役の現役中学生二百三十人全員に記述式で行った。約七割が「現在、いじめが身近にある」と答え、約六割が過去にいじめを受けた経験を持っていた。一部の生徒にはインタビューを実施。いじめられた生徒から「死にたかった。居場所が見つからず、すごい孤独感があった」(2年男子)、「恐怖心から、みんなが敵になった感じ」(同)と切実な声が聞かれた。
         逆に、いじめた側は「苦しんでいるところを見ているのが楽しい。後からは『やりすぎたかな』という罪悪感が出る」(2年女子)と、生々しく証言。「自分は加わっていないけど、後から思うと、いじめに入るかな」(3年女子)という傍観者の声もあった。
         いじめられた生徒に、なぜ相談できなかったかを聞いたところ、親の場合は「自分の子がいじめられていると知ると、かわいそう」、先生には「チクった、と言われるから」といった理由が返ってきた。いじめの内容は、暴力よりも「無視されるのが一番つらい」という声が多かった。
         同番組はこれまでに、転校生がいじめられたりいじめる生徒が相談カウンセラーになったりと、いじめをテーマにしたドラマを数多く送り出してきた。
         中尾益巳チーフプロデューサーは「自殺で大きな社会問題になっているが、いじめを論じるニュースも国の対策も、大人の視点で語られている。そんな中、二百三十人の中学生を抱える『日記』は特異な存在。最大限に生かし、生の声を聞いてみようと。よく語ってくれた」という。
         「生の声を聞く」という趣旨から、十五日の初回は日記生百三十人による大討論会で、いじめの原因や解決に向けての方策を考える。二十二日は九人のインタビューで構成する。さらに、取材に基づくドラマを二月十九、二十六の両日、前後編にわたって放送する。
         アンケートの結果について、中尾プロデューサーは「いじめと、いじりの違いは微妙。本人は『いじめられている』と思わなくても、それを見た子が『いじめがある』ととる場合もある。だから七割という数字には、それほど驚かない。彼らにとっていじめは日常のこと」と受け止めている。
        (東京新聞)1月14日

        新年にあたって
        2007/01/04
        ばたばたと年越しの作業を終えて、束の間の正月気分。新年早々予定を変更して、年賀のあいさつ方々、思いつくことを書かせていただきます。
         2007年になったわけですが、みなさんは、よいスタートがきれましたでしょうか?
         私は、昨日(3日)事務所の大掃除(といっても、掃除機をかけ、タオルやカレンダーの交換をしたくらいですが)、今日は会計ソフトの年度更新につまづき、新年早々税務署紹介の税理士さんに「HELP」の電話をかけ、明日きてもらうことにするなど、早くもあたふたとしております。
         1月15日には、京都造形芸術大学の一般教養の「心理学?」の特別講義を委嘱されていて、その準備もしなければ…。27・28日には精神保健福祉士国家資格試験を受けることになっていて、その受験勉強の追い込みもしなければ…と、結構張りつめた気持ちで年明けを過ごしています。
         今年の目標は、1.無駄遣いをしない、2.買ってある本は読む、3.きちんとした身なりをする(?)、といったところです。簡単そうで、私にはなかなかできないことばかりです。
         相談室カンナも2年目の春を迎えます。これまでの経験に学びながら、クライエントの皆様のお力になれるよう、より一層の学びをしていく所存です。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(6)」について考えてみたいと思います。
         では、年末年始の気になる記事です。

        景気回復「実感ない」78%、「格差拡大」は74%に

        読売新聞社が9、10の両日実施した全国世論調査(面接方式)で、「景気は回復している」との政府の判断について、実感が「ない」と答えた人が「あまり」と「全く」を合わせて78%に達した。
         所得などの格差が「大きくなっている」と思う人は、「どちらかといえば」を合わせて74%に上った。「いざなぎ景気」を抜いて戦後最長となった今回の景気拡大が多くの国民にとって実感の薄いものであることが明らかになった。
         景気回復の実感が「ない」と答えた人は、2006年1月調査よりも4ポイント増えた。「ある」人は計21%にとどまった。
         「ない」と答えた人を地域別に見ると、「関東」「近畿」「中部」で70%台だったが、「北海道・東北」「中国・四国」「九州」では80%台に上った。
         1年前との暮らし向きの変化については、「変わらない」と答えた人が69%と最も多かった。買い物などの支出は、1年前に比べて「抑えている」人が、「非常に」と「ある程度」を合わせて63%に上った。
         所得などの格差が、「大きくなっている」が7割を超えたのに対し、「変わっていない」は22%、「小さくなっている」は計3%にとどまった。都市と地方との経済的な格差が「大きくなっている」と答えた人も計67%となった。
         現在の生活水準を聞いたところ、「中の中」が46%で最多だったが、05年12月調査より6ポイント減った。逆に「中の下」は33%で同6ポイント増え、過去最高となった。「下」(7%)も同2ポイント増加した。
        (2006年12月26日19時47分読売新聞)

        ●利用者の9割が負担増 障害者自立支援法施行
         京都市は27日、4月の障害者自立支援法施行後の障害者施設の経営や利用者への影響について、調査結果を公表した。国から事業者に支払われる報酬が引き下げられ、施設の平均収入は前年度より880万円の減少が見込まれる。半数以上の施設でレクリエーションの廃止などサービス縮小が進み、利用者の約9割が負担増となった、としている。
         同法の施行によって、事業者への報酬単価が1・3%引き下げられたほか、施設の利用者数に応じて毎月一定額が支払われていた報酬が、日ごとの利用実績に合わせて支給されるようなり、通所者も原則、利用料の1割負担が求められるようになった。調査は今夏行われ、市内に40ある身体、知的障害者施設を対象にした。
         その結果、施設平均の本年度収入見込みは前年度比9%減の約9000万円となり、特に、身体障害者の通所施設(7施設)は同15・3%減、知的障害者の通所施設(19施設)は12・6%減と大幅な減収が見込まれることが判明した。
         収入減の影響で、4施設では職員を削減し、22施設は余暇活動や買い物など外出支援を縮小したほか、利用者の実費負担となった給食の廃止などで対応しているという。
         また、今年4月の通所サービス利用者(約1100人)を対象に負担の増減を調べたところ、87・9%の人が負担増になり、月額5000-7500円アップが6割を占めた。
         京都市は法施行に合わせ負担軽減のため、利用者が支払う毎月の上限額を、独自に国基準の半分にしている。市保健福祉局は「施設の経営に関しては国も支援策を検討しており、状況をみながら市の独自支援がさらに可能か、検討したい」としている。
        (京都新聞)12月27日23時47分配信

        ●名古屋の中3いじめ自殺、両親が「調査不適正」と提訴
         名古屋市北区で2003年、飛び降り自殺した市立中学3年柴田祐美子さん(当時14歳)の両親が、「いじめを苦に自殺したのに、学校側は適正な調査や説明をしていない」などとして、同市を相手取り慰謝料など550万円を求める訴えを名古屋地裁に起こしていたことが27日、わかった。
         訴状などによると、祐美子さんは同年5月、マンション14階から飛び降り自殺した。同級生の名前を挙げて、「もうたえられない」などと書かれた遺書があり、両親は学校や市教委に調査を求めたが、学校側は適正な調査を行わないまま「いじめはなかった」と回答。
         両親は独自に同級生らにアンケート調査を行い、祐美子さんが無視されたり、仲間はずれにされたりするなどのいじめを受けていたことが分かったという。
        (読売新聞)12月27日21時35分配信

        ●「学友との不和」で23人自殺=過去3年分、警察庁統計で判明
         「学友との不和」を理由に自殺した小中高生や大学生らが、2003~05年の3年間で23人に上っていたことが27日、時事通信社が情報公開請求で入手した警察庁の自殺者に関する統計で分かった。すべてが「いじめ」を理由とした自殺ではないとみられるが、過去7年間、「いじめによる自殺者はゼロ」としてきた文部科学省の発表の信頼性が改めて問われそうだ。
         警察庁は統計の詳細な内容は公表しておらず、明らかになるのは初めて。
         統計によると、遺書が残された自殺者のうち、学校問題が動機だったのは210人。うち「学友との不和」による自殺は03年が7人、04、05年が各8人の計23人だった。統計の対象には、大学生らも含まれ、すべていじめが原因かは不明。
         一方、文科省の調査では、1999年度から7年間にわたり「小中高生のいじめ自殺はゼロ」で、調査方法の問題点などが指摘されている。
        (時事通信)12月28日5時30分配信

        ●教師連携の必要性を強調 大津市教育研、いじめ予防へ研修会
         いじめが原因で自殺する子どもが相次いでいることを受け、大津市教育研究所は26日、教職員向けのいじめ予防教育の研修会を同市本丸町の市生涯学習センターで開いた。専門家が、複数の教師が連携することの必要性など、相談の際の心構えを話し、118人が熱心に耳を傾けた。
         この日、日本自殺予防学会理事で、愛知県一宮市立三条小の橋本治教諭(53)が講演した。過去に各地で自殺した子どもや教諭として相談を受けた例を挙げ、▽相談は形にとらわれない▽学校と家庭との信頼関係が不可欠-など十の心構えや対応の仕方を説明した。
         橋本教諭は「最初の話し合いでは時間をかけて話を聞くようにする」とした上、「相談内容が事実と違っていても子どもがどう思っているかが大切」などと訴えた。
        (京都新聞)12月27日11時47分配信

        ●特盛・洛書き帳:2006師走 いじめ自殺=谷田朋美記者/京都
        ◇「排除の論理」の排除を
         いじめ自殺が止まらない。虐待事件やひきこもり問題の取材で、いじめに行き当たることは多い。お役所の統計には表れないが、実は多くの人がいじめを経験しているのではないか。だからこそ子どもは、自殺でもしない限り、自分のことを問題として取り上げてもらえないと知っていたのかもしれない。いじめは、「マイノリティー」と認識されないだけで、一種の「差別」だ▼いくつかのフリースクールで話を聞いた。ある京大生は6年前から、「死ね」といじめられた映像が頭の中でとまらなくなり、飛び降りて自分はぐちゃぐちゃにならなければならないという強迫観念を、薬で必死に抑えてきた。小さいころから人間関係は苦手。3年前に高機能自閉症だと知った。「知られれば隔離される」という恐怖から、コミュニケーションがうまくできないことをからかわれても、打ち明けられないでいる▼「いじめられる人も悪い。だから、いじめはなくならない」という声をよく聞く。その前提は、「他者は理解できる」ということなのだろう。しかし、「よくわからない人」は、人間の集団には当たり前のようにいる。分かりやすい世界だけに住もうとする考えは、自分も排除されることにつながる。
        (毎日新聞)12月26日17時1分配信

        ●サービス低下、負担増…障害者支援法、全国で不満噴出
         障害者自立支援法施行後、県内初の不服審査請求で一部認容する裁決が下されたことを受け、琉球新報社は25日から28日にかけて、47都道府県に不服審査請求の状況について調査した。その結果、不服審査請求が出ているのは28都道府県で380件に上り、このうち請求者の訴えを全面的に認める決定が2件下されていることが分かった。県内の請求件数は今回の裁決を含め3件(残り2件も裁決済み)だが、100件を抱える都道府県もあるなど、今年4月の同法施行後、当事者やサービスを提供する市町村を含め混乱している状況が浮き彫りとなった。
         全国の不服審査請求380件のうち、障害の程度で分けられる障害程度区分にかかるものが335件、サービス利用時間などが支給される支給決定が42件、金銭的な負担の利用者負担に対してが3件で、今回を含め10件が裁決されていた。うち認容が2件、一部認容が3件、棄却は5件だった。
         和歌山県では、自閉症のある知的障害児2人がそれぞれ、介助時間増やデイサービスの利用日数増を求めて申し立て、今年7月と9月に2件とも請求者の訴えを認容する裁決が下った。
         県の裁決を受け、サービスを提供する自治体は請求の訴え通りに、当初決定した身体介護10時間を15時間に、デイサービスの利用日数15日を23日に増やすことを決定した。
         同県障害福祉課は「それぞれ行動障害を伴う自閉症のある児童で、本人の状態から介護をする親の負担も大きいと判断した」と語った。
         埼玉県でも6件出ている請求のうち、支給量が少ないとする請求と、障害の程度が低いとの判断でサービスそのものが受けられないとした決定を一部取り消す裁決が下りていた。
         そのほか、棄却や審査請求後に各市町村との協議で請求を取り下げるケースも見られた。
         大阪府は25日現在で126件の請求が申請されており、ほとんどが一つの市からの申請という。
         県内では、進行性の筋ジストロフィー症の大城渉さん(21)=宜野湾市=が、24時間のヘルパー支給時間を求めている。県障害保健福祉課によると、県内に現在24時間介助を受けている利用者はいない。
         北谷町には、最も障害の程度が重い障害程度区分6で月570時間(1日約18時間)、区分5で455時間(約14時間)の介助を受けている利用者などがいる。同町民生課は「就寝時間のほぼすべてに介助がつく場合や区分6の重度でヘルパーを1時間も利用せず、デイサービスに通う人もいる。個人の障害の状態とライフワークの違いで異なり、一概に比較できない」と話した。
        (琉球新報)12月30日10時56分配信

        自死遺族の社会的再構成に向けての課題のいくつか
        2006/12/24

         私もその一人ですが、家族を自死で失った人は、その出来事=喪失体験に傷つくだけでなく、「自殺」という社会的マイナスイメージによる社会的な傷つき=二次的被害(時に三次的被害も)を受けることになります。家族や近親者の死による喪失は、大きなストレスとなり、その体験から新たな社会生活を再構成していくまで、「喪の仕事」をじっくりと取り組める環境が必用です。
         「喪の仕事」ー喪の過程とは、1.ショック、否認(感情麻痺)、2.悲しみ、探索行動(思慕と探索)、3.怒り、恨み(混乱と絶望)、4.諦め、受け入れ(脱愛着と再起)と言われています。またBowlbyによるモーニング(悲哀)4段階説では、1.情緒危機の段階(数時間~1週間、無感覚~強烈な苦痛や怒りの爆発)-適応能力の低下、2.抗議-保持の段階(数ヶ月~数年、思慕と探索)、3.断念-絶望の段階(絶望、失意、抑うつ、無気力)、4.離脱-再建の段階(喪失対象から自由になり新しい心のあり方の模索)ー(各段階は明確に区別できず、重なり合い漸進的な発現・消失、繰り返しや停滞もある)とされています。
         これらの各段階を適度に、より適切な環境で乗り越えることで、遺族や残された人は、自殺した人の死を受容し、喪失を一つの体験として整理し新しい生活への適応、社会生活の再構成をして行けます。しかし、この喪の仕事を取り組む環境によって、再構成への道のりは多岐にわたり、時に混乱し、より深い心理的ダメージとなったり(精神病理の発症を含む)、長期化したりします。
         家族の自死に際して、残された人がまずとらわれるのが、「なぜ早く気づけなかったのか」「何かできたはずだ」…といった自責感情です。これはするどい自己否定となります。そして、回りから「自殺するにはその家族にも原因があるのではないか」と思われているのではないか、という疑心(時には他者から具体的に表現・行動化される場合もあります)にさいなまれ、自身の存在自体に否定的になることも少なくありません。
         「自死」を、個人や家族の責任ととらえる風潮が日本では特に強いのではないでしょうか。最近「社会問題」となっている「いじめ自殺」においてさえ、「いじめられる側にも問題がある」という意識の根強さがそれを示していると思います。また、こうした自死遺族に対しての適切な理解が少ないことに加えて、遺族支援のシステムがほとんどない現実や、前述した社会的意識の中で、自死遺族の社会的再構成への過程は困難なものとなっています。
         年間3万人を超える自殺者を生み出し続ける日本社会。自殺や自傷行為を個人や家族の問題としてしか認識できない段階から、社会環境的要因によるものであるという認識への意識改革がすすむような啓発活動や、遺族支援のシステムづくりが早急に求められていると思います。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(6)」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <路上生活者襲撃>28歳容疑者「中学でいじめられ」

        愛知県岡崎市での路上生活者襲撃事件は21日、リーダー格の無職、木村邦寛容疑者(28)が逮捕されたことで、今後は、中学2年の3少年(14)とともに事件に至った経緯の解明が進むことになる。木村容疑者については「中学時代にいじめられていた」との複数の証言があり、10歳以上も年下の少年との共謀という特異性に対しては「いじめ体験が少年を傘下に置いて威厳を示す心理的背景になったのでは」との専門家の指摘もある。「弱者の集団」がさらに弱い者を襲うゆがんだ構図が浮かぶ。
         関係者によると、木村容疑者は中学校までを同県幡豆(はず)町の実家で過ごした。その後、北海道の技術専門学校に入り、97年に卒業。実家の溶接工場で5年間勤務した後、職場を転々とした。今年9月中旬からは愛知県安城市の倉庫で荷詰め作業員として働いていたが、10月半ばから突然無断欠勤したという。
         中学時代の同級生の印象は一様に「おとなしい」。職場の印象も「きちんと敬語が使え、働きぶりはまじめ。おとなしい」だ。しかし父親は知人に「切れると怖い」と話し、二面性も浮かぶ。
         中学時代の同級生の男性(28)によると「2年生のころ、所属している友人グループ内でいじめられていた」。近所の女性(60)も「いじめられて学校を休みがちだった。海岸で1人で遊んでいる姿を見た」と言う。別の同級生の男性は「自分が彼の立場なら耐えられないくらい、からかわれていた。友達もいなかった」と話し、「記憶に残っているのはいつも笑顔だったこと。明るいからではなく、つらいから笑うしかなかったのだと思う」と言う同級生もいた。
         精神科医の磯部潮さんは「少年時にいじめられた体験の反動で、攻撃的な人格を形成することはあり得る」と語る。さらに、中学生と共に路上生活者襲撃に及ぶ特異な行動は「大人とうまく付き合えず、自分に従う者としかコミュニケーションが取れない社会性の欠如、人格のゆがみ」と説明。「いじめ体験などが影響して特異な人格を形成したのでは」と分析する。
         一方、木村容疑者の指示を受け入れた3少年については、「学校や地域、自宅に居場所がないため、悩みの相談などに乗ってもらえる兄的存在を求めたのでは」とみる専門家もいる。
         いじめや非行問題に詳しい加藤幸雄・日本福祉大教授は「暴走族などでは年齢による強固な上下関係が築かれる。今回もそれに似た形を取って『浮遊するもの』同士が結びついた新しいパターン」と言う。非行少年が年上に依存するケースは多く、「支配と被支配の関係も生じる。『兄貴』の期待に応えたい、認められたい、との気持ちで暴行がエスカレートしたのでは」と分析する。
        12月22日3時3分配信毎日新聞
        【コメント】虐待やいじめの体験によって、安心や他者への信頼、自尊感情や自己効力感が失われ、他者への攻撃的感情や自己否定感情が高まり、他者との関係性を被害的にとらえる思考パターンの形成が促進されます。虐待やいじめを受けた人たちが、安心感や自己効力感、自尊心を取り戻すためには、ゆるやかでねばり強い支援が必要です。その社会的なシステムづくりが求められています。

        ●「結婚しなくていい」 20~30代、6割以上が回答
         県内の20~30代の男女のうち、6割以上が「結婚は個人の自由だからしなくてもよい」と考えていることが、県が実施したアンケート調査で分かった。子供を持つことについても、20代の6割以上が「必ずしも持つ必要はない」と回答。一方、出生率の低下の原因では、20、30代とも6割以上が経済的な負担を挙げた。
         調査は7月に県内に住む20歳以上の男女3000人を対象に実施。1158人から回答が寄せられた。
         結婚について、「個人の自由だからしなくてもよい」との問いに対して、全体の53.5%が「そう思わない」と回答。「そう思う」(41.7%)を上回った。年代別にみると、「そう思う」とした回答が20代は66.3%、30代では67.9%に上り、「そう思わない」(20代=26.7%、30代=27.6%)を大きく上回った。
         「結婚しても子供を持つ必要はない」の問いでは、20代の64.4%、30代の54.7%が肯定。これに対して、親の世代にもあたる60代は68.6%、70代では72.7%が否定的だった。
         また、30代の約5割が「結婚しなくても子供を持つのは自由」との問いに肯定的だった。
         出生率の低下の原因では、全体の約6割が「経済的な負担が大きい」と回答。年代別では20代と30代が64%と最も高かった。子育てで行政に期待する施策では、20~30代では妊娠や出産に対する経済的な支援の拡充や、子育てができる雇用環境の整備を求める回答が多かった。
        (SankeiWEB/香川の記事)2006/12/15

        ●出生率1・26に大幅下方修正、55年に8993万人
         国立社会保障・人口問題研究所は20日、2055年までの人口変動を予測する「日本の将来推計人口」を公表した。
         女性が一生に産む子供の数である合計特殊出生率は、前回(02年)の推計では1・39で安定するとしていたが、今回は1・26まで大幅に下方修正した。人口は2055年には8993万人まで減少する。
         少子高齢化がさらに予想を上回って加速することで、現役世代が高齢者を支える公的年金などの設計の見直しを迫られそうだ。
         人口推計は、国勢調査に合わせてほぼ5年に1度公表され、年金の給付水準を決める年金財政の再検証に利用されるほか、今後の経済成長などの予測にも参考にされる。
        (読売新聞)12月21日0時39分配信

        ●発達障害、1割「就学前気づかず」 20歳以上で診断も 道が初調査
         自閉症やアスペルガー症候群など発達障害者のうち、家族が本人の障害に就学前に気づかなかったケースが一割近くに上り、二十歳以上になって初めて診断された例も1・6%あることが道の初の実態調査で分かった。道は「発見が遅いと療育ができず、社会適応が遅れる可能性がある」として来年度、早期発見のための対策を検討する。
         発達障害は脳機能の障害が原因で、通常、低年齢で発現するが、専門医が少ないために発見が遅れる例がある。昨年四月、発達障害者支援法が施行されたのを受け、道は今年七月、道内の発達障害者の親の会を通して千四百八人を対象にアンケートを実施、七百八十八人から回答を得た。
         家族が「ほかの子供と違う点がある」と気づいた時期は一歳が最も多く34・6%、二歳が25・0%、三歳が16・4%と続き、六歳以上は8・9%だった。医師の診断を受けた時期は三歳が24・4%と最多で、二歳が12・8%、六歳が9・7%だった。全体の80・7%が就学前に市町村発達支援センターなどの療育機関を利用していた。
         一方、本人も家族も気付かず、二十歳以上になってから発達障害と診断された人は十一人いた。
        十八歳以上の二百四十二人のうち、就労経験のある人は三割の七十八人だった。
         調査結果について、道教大旭川校の安達潤助教授(特別支援教育)は「実際は成人しても診断を受けていない人たちはもっと多い。障害の把握、支援体制の整備が必要だ」としている。
        (北海道新聞)12/2107:07
        【コメント】発達障害者の親の会を通して実施されたアンケートからこうした数値が出ていて、その数値自体も発達障害への施策の不十分な現実を示していると思いますが、親の会や医療・療育に結びついていない人の方が圧倒的に多いのが現実で、現在思春期以降にあって発達障害に気づけないままの状態にある人の多さは容易に想像できます。18歳以上者で就労経験がある発達障害のある人が3割しかいないというのも、見過ごせない実態です。早期発見、診断、療育の開始だけでなく、発達段階に応じた支援(就労を含む)システムの確立に向けて、国や行政は早急に施策をスタートさせるべきです。

        ●<大阪府教委>いじめに「危機管理」 深刻度レベル5段階
         大阪府教委は、学校や家庭でいじめ自殺や虐待など緊急事態が発生した場合、深刻度に応じて1~5段階のレベルを設けて対応に当たることを決めた。最高のレベル5の場合は、教育長をトップとする緊急対策本部を設置し、専門家を派遣して支援するなど、レベルごとに対応マニュアルを作る。大規模テロや災害時の危機管理を応用し、子どもの緊急事態に迅速に対応する取り組み。文部科学省によると、全国的にも例がないといい、注目を集めそうだ。
         府教委によると、小規模な市町村教委では、人員不足から緊急事態に対応し切れないケースがあり、人的支援やノウハウの伝達が不可欠となっている。しかし、府教委はこれまで、緊急時の人員配置などに明確な基準を持っておらず、支援態勢作りに時間がかかる傾向があった。
         府教委が「レベル5」に想定しているのは、いじめを受けていた富田林市の女子中学生の自殺(11月)や、寝屋川市の小学校教諭が少年に刺殺された事件(昨年2月)などで、社会的影響や子どもの動揺が大きく、支援の迅速性と継続性が求められるケース。
         こうした事態が発生した場合、学校運営に詳しい府教委の指導主事や臨床心理士ら専門家を現地に派遣し、一定期間常駐させて心のケアや報道対応などの支援を行う。また、府教委には、教育長をトップに各課の担当者で構成する緊急対策本部を設置。現地をバックアップするとともに、再発防止策を検討して、府内の学校に反映させる。
         「レベル4」は、子どものセクシュアル・ハラスメント被害や教師の不祥事などで子どもに動揺が広がるケースで、指導主事と専門家を一時的に派遣するとともに、市町村教委に対策会議を設置。▽「3」は、子どものケアや保護者と学校の関係修復が必要なケースで、指導主事を派遣▽「2」は専門家を派遣▽「1」は電話で助言――などとしている。
         レベルは府教委幹部が決定し、担当者や専門家で作る「子ども支援チーム」が事務局を担う。府教委小中学校課は「レベルによって、事態の深刻さの共通イメージが得やすくなり、素早く動ける。子どもを守る態勢に磨きをかけたい」と説明する。文科省児童生徒課は「テロや災害時の危機対応を子どもの緊急事態に応用するのは、時代の要請であり、ぜひ進めてほしい」と評価している。
        (毎日新聞)12月22日3時4分

        ●いじめ相談数10月以降急増 京都府警「ヤングテレホン」
         京都府警は、子どもや保護者からの悩み相談を電話で聞く「ヤングテレホン」の今年1月から11月末までの受理件数をまとめた。いじめに関する内容は38件で、前年同期より17件増加した。このうち、全国でいじめによる自殺が相次いだ10、11月だけで相談件数は計21件に上り、府警少年課は「いじめの社会問題化が相談急増の背景にあるのでは」とみている。
         受理の総件数は377件(前年同期比60件減)。内容別では、子どものしつけや家庭内暴力などの「家庭問題」が最多の133件(14件増)で、いじめや不登校、進路に関する「学校問題」が75件(25件増)で続いた。
         いじめの相談38件のうち、1月から6月までは計17件で、7-9月にかけては1件の相談もなかった。その後、北海道や福岡県でのいじめによる自殺の報道が相次ぎ、10月に11件、11月にも10件と急増した。
         いじめの相談者は子ども本人が10件、保護者26件、親族・近隣者が2件で、いじめ被害の対象は小学生が6件、中学生が18件、高校生が14件だった。
         内容は、悪口や無視が21件で最も多く、うちメールによる中傷も2件あった。ほかは身体的暴行が12件、具体的な内容が不明な相談が5件だった。
         少年課は「『キモイ(気持ち悪い)』『死ね』といった悪口を言うなど陰湿な内容が多い。被害者がさらにいじめに遭わないよう相談に応じており、1人で悩まずに電話してほしい」と話す。
         ヤングテレホンは1975年に発足し、少年課の「少年サポートセンター」の臨床心理士や警察官が、24時間態勢で相談を受け付けている。TEL075(841)7500。
        (京都新聞)12月24日9時47分配信

        ●県が素案まとめる 自殺対策プラン(岩手)
         県は22日までに、普及啓発、早期発見など官民一体となって自殺予防に取り組むための自殺対策アクションプランの素案をまとめた。傾聴ボランティアの育成、自殺未遂者の実態調査など、関係機関がそれぞれの得意分野を生かして予防に取り組み、2010年までに自殺死亡率を全国平均値まで下げることを目標とする。来年1月、官民46団体で構成する県自殺予防対策推進協議会に提案し、意見交換を経て本年度中に策定する。
         プランは「普及啓発」「早期発見」「早期対応」「遺族・未遂者のケア」―の4本柱で構成。これまで各団体が個々に取り組んでいた自殺対策を一つのプランに盛り込み、情報、意識の共有化を図る。
         「普及啓発」では、事業所や自営業者、かかりつけ医対象の学習会のほか、傾聴ボランティアや住民組織の育成支援などを明記。「早期発見」では、産後うつスクリーニング(ふるい分け)、職場と家庭の連携など、これまで対策が不十分だった分野に力点を置いた。
         また、岩手医大を中心に本年度から対策を強化している「遺族・未遂者のケア」では、保健所による未遂者のアフターケア、未遂者の実態調査などを盛り込み、負の連鎖を未然に防ぐ。
         本県の2005年の自殺者数は470人で、人口10万人当たりの自殺死亡率は34・1。前年に比べ0・5下回ったものの、いまだ全国3番目の高率となっており、官民一丸となった対策が急務となっている。
        (岩手日報)12月23日

        ●「いじめや差別を見逃さず」と 長岡京・議場で子どもサミット開く
        子どもの人権問題について考える小中学生(長岡京市議会議場)
         京都府長岡京市の小中学生が子どもの人権をテーマに話し合う初の「長岡京市子どもサミット」が22日、同市議会議場で開かれた。市内14校の小中学生の代表計28人が出席。自分たちでまとめた「子ども人権アピール14」を採択した。
         同市では今年10月、幼児が虐待を受けて死亡する事件が発生。全国でも、いじめを苦にした小中学生の自殺が相次ぎ、子どもたちに命の大切さや自分たちの人権問題を身近なものとして考えてもらおうと市教委が企画した。
         市や市教委関係者らが見守る中、小中学生は議長に長岡第三中2年の藤井裕美さん(14)を選任。事前に子どもらが作成した「子ども人権アピール14」原案について意見を交わした後、全会一致で採択した。
         アピールは市内の学校数に合わせた十四項目で構成し、「いじめや差別を見逃さず、困っている人、悩んでいる人がいたら全力で支えます」と訴えている。児童4人が代表して読み上げ、閉会した。
         アピール文を読んだ神足小6年の佐々木菜都乃さん(12)は「いじめなどの問題を身近な問題として考えたことはなかった。これからは、いじめを見かけたら助けてあげたい」と話していた。
        (京都新聞)12月22日20時37分配信

        ●セミナー:ニートや引きこもりに就労支援 保護者対象に--参加募集/滋賀
        ◇来月14日に守山市、2月4日に彦根市で
         求職活動をせず、教育や職業訓練も受けていない無職の若者「ニート」や引きこもり状態の人の就労や社会復帰への支援のため、保護者を対象にした「就労をめざすニート・ひきこもりの保護者支援セミナー」が守山市で来年1月14日、彦根市で同2月4日に開かれる。県地域労使就職支援機構が主催。保護者にできることは何かを支援の現状をもとに考える。
         いずれも午後1時半~4時で、ひきこもりの若者支援などをしているNPO法人淡路プラッツ代表の田中俊英さんが、「ニート・ひきこもり支援の現場から」と題して講演。▽ニートをめぐる見取り図▽就労をめざすニートの支援▽保護者として本当の「待つ」こと――の3点を柱に話す。第2部(午後3時10分~)では個別相談会もある(要事前申し込み)。
         守山会場は、守山市のライズヴィル都賀山。彦根会場は、彦根市の彦根勤労福祉会館。いずれも参加費無料、定員各30人(先着順)。1月10日までに県地域労使就職支援機構(077・516・1833)へ申し込む。
        (毎日新聞)12月20日朝刊

        広汎性発達障害と対人関係能力(5)
        2006/12/17
        「発達障害は『発達』する障害」ー、私の信頼する精神科医の名言です。
         少し極端な話しですが、定型発達をした人の中に精神病に罹患する人や犯罪を犯してしまう人がいるように、発達障害を有する人の中にも精神病に罹患する人や犯罪を犯してしまう人がいます。ただし、「不正義は許せない」という特性がありますので、発達障害の方の犯罪率は定型者のそれよりも低いことはよく理解しておいてほしいと思います。
         同様に、生後、乳幼児期、児童期、思春期、青年期、成人期と、それぞれの発達段階によって、発達障害を有する人も、人それぞれに成長・発達していきます。これまでの発達障害についての研究のほとんどがが乳児期~児童期についてのものであったことから、思春期以降の特性やその変化・発達についての研究はまだこれからといったところかと思います。
         小さいときには○○の特性を出していた、という人が思春期(中でも14~15歳に顕著)を経る中で、かつての特性が変化したり消去されたりして、新たな特性や認知を持たれていくことが多いように思います。例えば、小さいときには「知っている人はみんな友だち」という認知が、好きな人と嫌いな人がはっきりしてくる、ということがあります。「友だちは限られた少数者」という特性も、このことと関係が深いと思えます。自身を受け入れてくれる人とそうでない人の判別は、人間社会の中で安心して生きていく上ではとても重要な要素です。自身を受け入れてくれない人との関係性においては、自身が傷ついてしまう恐れがあり、そのことを無意識に判断していて、その判別が少し極端に行われる、と考えると良いと思います。また、こうした対人関係における判別は、それまでの成育史において、嫌悪的、被害的な(あるいはその逆の)対人関係の経験の有無も大きく関与します。
         定型者に一人ひとり個性があるように、発達障害を有する人にも一人ひとり、よりはっきりした個性があり、それは他者との関係性の中で様々に形成されていく、という視点を持つことが大切ではないでしょうか。
         アスペルガー障害と診断を受けておられたり、特定不能の広汎性発達障害と思われる方と接する中で、対人関係には表向きほとんど問題ないように見えても、よくお話を聴いていくといくつもの困難さを抱えながら、その困難さをどう考えればいいか、どう対処すれば良いかわからないままに悩んでおられる方が多いことがわかってきました。ご家族や職場など、生活や活動の場を共有する人に一人でも多く、他者との関係性に困難さを感じておられることを理解してあげられる人が増えてもらえるよう、社会的啓発や障害理解のための学習、共感的な関係性が進むことを期待します。
         次回は「自死遺族の社会的再構成に向けての課題のいくつか」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        学校での事件は第三者機関で調査究明を

        現役教師ら遺族が文科省に設置を訴え
         学校では、いじめによる自殺だけではなく、教師の過失などによるさまざまな事件、事故でも子供が亡くなっている。ただ、その原因について学校側は隠ぺいしようとの姿勢に終始し、遺族には真実がほとんど明らかにされないという。こうしたことから、現役教師を含む遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」(兵庫県たつの市)では、独立した調査機関の設置を文部科学省に要請し続けている。
         代表世話人の内海千春さん(47)は、兵庫県内の中学校教師で、一九九四年に小学六年生だった長男=当時(11)=が担任の教師に殴られた直後、自殺した。裁判の結果、暴力が原因の自殺と認められた。
         「学校で事件が起きると、教育委員会はすぐに“沈静化”に乗り出す。自殺でも事故死として処理しようとし、難しければ都合の悪い事実を隠そうと学校を動かす。遺族は訴訟相手になる“敵”と見ているので、事実を明らかにする考えは全くない。これは、今の一連のいじめ自殺でも続いている」と言う。
         こうした体質は全国どこでも見られるという。「大半の教師には情報が隠されている。しかし、人事権などを持っている教委に対して、何も言おうとはしない。子供たちがいじめを傍観するのと全く同じ構造だ」と、独立した調査機関の必要性を訴える。
         メンバーの宮脇勝哉さん(48)も、同県内の養護学校教師。九九年に同県川西市立中学校の一年生だった長男=当時(13)=をクラブ活動中の熱中症で亡くした。原因究明を求めて活動した結果、同市の「子どもの人権オンブズパーソン」の調査でようやくクラブ顧問の教師の過失が認定された。
         「航空機事故のように、中立の立場の専門家が調査して初めて事実が明らかになり、再発防止にもつながる。ところが、事件、事故をめぐる学校の調査は、信頼性に疑問がある上、これまでは遺族が求める情報提供にもほとんど応じてこなかった」と宮脇さん。
         さらに、遺族の苦しみは原因が明らかにされないことだけではないという。「学校側と闘う姿勢を見せた途端、『親の体調管理が悪かった』『顧問の教師に厳罰を求める署名活動をしている』など、事実とは異なる悪意のあるうわさが流れ、地域で孤立した。子供が死んだ理由を知ろうとするだけで、全国の遺族が“二次被害”に直面させられている」と訴えている。
        (時事通信社 フィーチャー)06年12月26日

        ●「子供の自殺原因の究明機関を」遺族が文科省に請願
         いじめ自殺などで子供を亡くした遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」のメンバーが12日、文部科学省に対し、自殺原因などの事実関係を究明するための第三者機関の設置を求め、請願した。
         同省を訪れたのは、いじめや教師の指導を苦に自殺した児童・生徒の遺族、学校内の事故で子供を亡くした遺族ら23人。メンバーは、学校や教育委員会が事実関係をなかなか伝えない実情を訴え、すべての情報を出来るだけ早く遺族に伝えるよう、各校に指導することなども求めた。
         兵庫県川西市立中学校で1999年7月、ラグビー部の練習中に熱中症で中1長男(当時13歳)を亡くした宮脇勝哉さん(48)らは請願後、会見し、「今年起こったいじめ自殺でも学校や教育委員会は事実を明らかにしようとしなかった。客観的に外部から事実を明らかにする制度が必要ではないか」と訴えた。
        (2006年12月12日22時48分読売新聞)

        ●全国学校事故・事件を語る会 文科省に要請
         いじめによる自殺などで子供を亡くした保護者らが12日、文科省を訪れ、教育委員会や学校の調査では真相究明は難しいとして、調査のための第三者機関を設置することなどを要請した。
         文科省を訪れたのは、いじめによる自殺や学校内での事故で子供を亡くした保護者らで作る「全国学校事故・事件を語る会」のメンバー。
         12日の要請では、いじめや学校での死亡事故の再発を防止するためには、第三者の調査による確実な事実認定が必要であるとして、第三者機関の設置を求めた。
         「全国学校事故・事件を語る会」は要望書提出後、会見を開き、メンバーの一人、内海千春さんが「事実を隠ぺいすることは被害者・遺族にとって重大な加害行為なんです」と語った。また、要請に参加した保護者らは、「自分たちと同じ経験をする人が二度と出てほしくない」と、今後も訴えを続けることにしている。
        (日テレNEWS24)12/12 20:03

        ●<教員意識調査>会社員以上に、仕事に満足感と多忙感
         公立小中学校の教員は会社員よりも仕事に満足感を得ていると同時に、多忙感も感じる傾向にあることが11日、文部科学省の調査で分かった。また、教員自身は勤務実績などで給与に差をつけることを否定的にとらえているが、保護者は肯定的ということも分かった。
         文科省は10月、全国354校の公立小中学校教員8976人(回収数8059人)と保護者1万4160人(同6723人)を対象に意識調査を行い、平均点を算出。中央教育審議会の「教職員給与の在り方に関する作業部会」に中間報告した。
         中間報告によると、「仕事にやりがいを感じている」と答えた教員が5点満点で平均4.23点だった。一方、「仕事が忙しすぎて、ほとんど仕事だけの生活になっている」のは3.75点となり、調査会社が所有している会社員のデータと比較すると、教員は会社員よりも満足感と多忙感を同時に感じているという。
         また、「指導力不足教員らに給与などへの反映が必要」と考える教員は3.37点。保護者への同種の質問では4.41点となり、両者のかい離が際立った。
        (毎日新聞)12月12日0時33分配信

        ●福岡の中2男子自殺で調査委 「いじめ」断定せず
         福岡県筑前町立三輪中学校2年の男子生徒(13)がいじめを苦に自殺した問題で、同町教育委員会が設置した調査委員会(委員長・高田清福岡教育大教授)は12日、「いじめに類する行為が自殺に追い込んだ可能性がある」との中間報告をまとめた。「いじめ」と断定することを避けた形で、年内にもまとめる最終報告に向けて協議を続けるという。
         さらに、同報告は「(1年当時の担任)教諭の言動が直接の要因と判断するのは難しい」としている。
         男子生徒は10月11日夜、自宅倉庫で首をつっているのを祖父が見つけ、「いじめを受けて生きていけません」などと書かれた遺書が見つかった。
         学校側はこれまでの会見で、男子生徒へのいじめがあったと認めた上で、「本当に自殺に追いやった主因は何か。もっと分析しなくてはいけない」としていた。
         教諭による不適切な言動がいじめの引き金になったともされていた。
         調査委は学識経験者ら7人で構成。町教委の委嘱を受けた第三者機関として11月7日に発足し、遺族や学校関係者から聞き取り調査した上、男子生徒の同級生へのアンケートをしてきた。
        (産経新聞)12月13日8時0分配信
        【コメント】この調査委員会は「第三者機関」ではなく、教育委員会設置による自前委員会であるため、教委に不利益となる報告をすることは期待できません。自前でなく、文字通りの第三者による調査が必用です。

        ●<「黒い羊」訴訟>少女側「元教諭の教育権侵害」主張
         静岡市立中学で昨年3月、以前担任だった元男性教諭が卒業アルバムの寄せ書きに英語で厄介者を示す「黒い羊」と書き込んだ問題があり、元生徒の少女(17)が名誉を侵害されたなどとして市に1650万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、静岡地裁(三島恭子裁判官)であった。少女側は「(学校側は)元教諭による教育権侵害を止めなかった」と主張。一方、市は「請求棄却を求める」との書面を提出し、全面的に争う姿勢を示した。
         訴状などによると、元教諭は少女の1年時の担任。昨年3月の卒業式前日、少女から卒業アルバムの寄せ書き欄に書き込みを頼まれ、英文で「どの集団にも厄介者はいる」という意味の「There is a black sheep in everyflock」と書き、少女の心を傷つけた。
         また入学直後、少女の兄が高機能自閉症であることを理由に少女を中傷して拳で頭を殴り、翌日から会議室で自習するよう命じた。同級生には「あいつは障害者だから付き合うな」と話したという。少女は卒業まで別室登校を続けざるを得なくなった。元教諭は昨年5月に依願退職したが、少女に対しては一度も謝罪していない。
        (毎日新聞)12月13日11時42分配信

        ●「黒い羊」訴訟:静岡市、争う姿勢 元教諭、少女に謝罪なく/静岡
         ◇「障害者の妹は人と違う」…別室登校3年に「死にたい」
         ◇提訴は戦い。傷ついても声を
         「えっ……」。母親(42)は娘が笑顔で持ち帰った卒業アルバムに書かれた英文の意味を示す電子辞書画面を見て凍りついた。
         昨年3月、静岡市駿河区の市立中学で、寄せ書きを頼んだ生徒のアルバムに元担任の男性教諭が英語で厄介者を示す「黒い羊」と書いた問題で、元生徒の少女(17)が市を相手に起こした訴訟の初弁論が13日、静岡地裁であった。教諭は依願退職したが、結局一度も少女に謝罪していない。市も争う姿勢を示した。
         始まりは教諭の暴言だった。少女には当時3年に高機能性自閉症の兄がいたが、教諭はこの兄を嫌っていたという。入学直後の4月中旬、少女が妹とわかると、教諭は態度を変えた。「障害者の妹だって? そんなやつの妹は人と違うことをしてきたんだろう」などと言い、少女の頭を拳でたたいた。翌日に別室登校を命じられ、少女は3年間を会議室で過ごした。
         少女の母親は何度も学校に相談した。しかし対応した教頭は「善処する」と繰り返すだけで一度も教諭に会わせなかったという。伝えた電話番号にも、電話がかかってくることはなかった。クラス一斉の家庭訪問さえ知らされないまま終わっていた。通知表の担任記入欄は空白なのに校長印だけは押されていた。
         県弁護士会・子供の権利委員会が昨年11月に教諭と学校、市教委に生徒の被害回復を図るよう勧告したが、その後も少女に謝罪はない。教諭は以前に勤めた中学でも問題を起こし、保護者から辞職を求める声も出ていた。市教委教職員課は「そういう声は届いていない。勧告にも適切な措置をとったと考えている」と話した。
           ◇   ◇
         少女は今、コンピューターの専門学校に通う一方、通信教育で中学の勉強を続ける。中学時代に別室登校の自分を見られるのが嫌で顔を覆うほど伸ばしていた髪を、今は少し短くした。けれど人と向き合うとうつむいてしまう。取材中、耐えるように腕につめを食い込ませていた。
         別室登校は事実上の放任だった。授業の資料も渡されず、3年次には会議室にただ一人。近くの教室から響く笑い声を聞くたびに涙をこらえた。「死んじゃいたい」。別室登校を命じた教諭は、一度も会議室を訪れなかったという。「提訴は戦い。どんなに傷ついても声を上げることはできる。それを示したかった」と少女はいう。
         男兄弟の中で育ち、自らを“僕”と呼ぶ。「先生は、学校は学ぶ場所だと言った。では僕は学校で何を学んだのか……」。震える声でそう話す少女の目から、涙がこぼれた。
        12月14日朝刊
        (毎日新聞)12月14日13時1分配信

        ●障害者権利条約が成立 国連総会、全会一致で採択
         【ニューヨーク13日共同】国連総会本会議は13日、障害者に対する差別を禁じ、社会参加を促進する「障害者権利条約」を全会一致で採択、同条約は成立した。障害者を対象にした人権条約は初めてで、世界人口の約1割、約6億5000万人(国連推計)とされる障害者の権利拡大に寄与しそうだ。20カ国が批准した時点で発効する。発効は2008年ごろになる見通し。
         条約は前文と本文50条から成り、障害者が「すべての人権や基本的自由を完全かつ平等に享受」できる環境を確保するのが目的。こうした目的を達成するため「すべての適当な立法、行政措置」を講じるよう締約国に求めている。
         具体的には(1)障害者の移動を促進するため建物や道路、交通機関における障害物の除去(2)教育における機会平等の確保(3)就職や昇進面での差別禁止-などが盛り込まれている。
        (福井新聞)12月14日午前01時26分
        【コメント】大きく、着実な時代の流れです。

        ●いじめ・人間関係…孤独な子供 相談1万1200件
        ■電話口から心の叫び
         いじめ自殺などが相次ぐなか、子供の電話相談「チャイルドライン」が11月6日から1カ月間行った集中相談で27都府県から9万件を超えるアクセスがあったことが分かった。NPO法人「チャイルドライン支援センター」(東京都港区)によると、相談内容を十分に把握できた約4000件のうち、いじめやいじめにつながる人間関係についての相談は1200件超。「死にたい」という言葉をすぐに使う子供も目立った。同センターでは「電話をしてくる子供は周りに相談する相手がいない」と分析、子供の話に耳を傾ける重要性を訴えている。
         同センターによると、無言電話などを除き、実際に相談を受けたのは1万1203件。このうち相談内容が把握できた4068件を分析すると、「いじめ」についての相談は、小学校高学年から中学生にかけて多く、男女別では女子からの相談は44%が「いじめ」や「人間関係」についてだった。「いじめ」関係以外では「性」(678件)や「恋愛・異性関係」(333件)、「心の不安」(193件)など。
         今回の電話相談で多かったのが「死にたい」という言葉をすぐ使う子供だった。自殺や自傷の相談は47件あった。小学校からいじめられていたという女子中学生は「『死ね』といわれるから死んでもいいかと思う。心で受ける傷よりリストカットは痛くない」と電話をしてきた。
         これまでには「給食をこぼしたら『死ね』といわれた。クラスのみんなが『死ね』と言い出した」(中学生)という相談もあった。「死ね」「ばい菌」「くさい」などの中傷に対する悩みが最近の典型という。
         同センターでは、相次ぐ自殺報道などの影響もあり、語彙(ごい)が少ない子供らは「つらさや苦しさを『死にたい』という言葉でしか表現できない傾向にある」と分析。「言葉に振り回されず、言葉の裏にある“思い”に寄り添うことが大切」と訴える。
         また、最近のいじめの傾向として、(1)集団で1人をいじめる(2)無視をするなど陰湿(3)いじめを受ける期間が長い-ことを上げる。携帯電話のメールで誹謗(ひぼう)中傷や無視を呼び掛けるなど陰湿ないじめも多い。
         同センターでは「電話をかけるだけでも勇気がいる。最初は何も話さくても10分くらい待つと声が聞こえてくることもある」と“無言のメッセージ”にも気を配っている。
        (産経新聞)12月15日8時0分配信

        ●<休職教員>「精神性疾患」最多の4178人 13年連続増
         05年度にうつ病など精神性疾患による病気休職をした公立小中高校などの教員数が過去最高の4178人に上ることが15日、文部科学省の調査で分かった。病気休職7017人のうち、精神性疾患を理由に休職した教員の割合(59.5%)も過去最高だった。また、懲戒処分を受けた教員(監督責任を除く)は前年度比29人増の1255人で、免職者総数は190人(懲戒156人、諭旨17人、分限17人)だった。
         精神性疾患を理由に休職した教員は前年度比619人増で、13年連続の増加となった。在職者に占める割合も0.45%となり、ここ10年間は連続して増えている。文科省は「保護者への対応が煩雑になっていることや、子ども、社会が変化してこれまで培ってきた指導法が通用しなくなっているとの指摘もある」と説明した。
         懲戒処分を受けた教員は5年連続で1000人を超えた。理由は国旗・国歌の取り扱い関係が大幅に減少し、前年度よりも61人少ない64人。このほか、児童生徒の成績が入力されたパソコンの盗難被害や、ファイル交換ソフト「ウィニー」を通してネット上に流出させた個人情報の不適切な取り扱いで懲戒処分を受けた教員も39人いた。わいせつ行為などは同7人減の124人だった。
         訓告などを含めた処分合計は前年度比385人増の4086人で、同218人増の交通事故(2406人)が目立った。また、病気休職を含め心身の不調などで適性を欠く場合などに行われる分限処分による免職理由では、10人が「適格性欠如」、4人が「指導力不足」だった。
        (毎日新聞)12月16日5時2分配信

        ●改正教基法が成立 「国愛する態度」明記 1月9日から防衛省
         今国会の最重要法案である改正教育基本法と、防衛「省」昇格関連法は15日の参院本会議で、それぞれ賛成多数で可決、成立した。改正教育基本法は自民、公明両党、防衛「省」昇格関連法は与党に加え民主党などが賛成した。すべての教育法令の根本である教育基本法は昭和22年の制定以来、59年ぶりに初めて改正された。29年に発足した防衛庁は、来年1月9日に防衛省として新たなスタートを切る。
         これに先立ち、民主、共産、社民、国民新の野党4党は、安倍内閣と麻生太郎外相の不信任決議案を河野洋平衆院議長に提出した。これを受けて与党は、衆院本会議で会期を19日まで4日間延長することを決め、続いて内閣不信任案を与党の反対多数で否決した。
         一方、野党は参院でも伊吹文明文部科学相に対する問責決議案を提出したが、15日夕の参院本会議で与党の反対多数で否決された。
         改正教育基本法は前文と18条で構成。「公共の精神の尊重」や「伝統の継承」の理念が前文に新たに盛り込まれたほか、教育の目的に「伝統と文化の尊重」や「わが国と郷土を愛する態度を養う」「豊かな情操と道徳心と培う」ことなど5項目を明記した。
         焦点だった「愛国心」をめぐる表現については、与党協議の過程で公明党への配慮から「心」が「態度」となった。
         防衛「省」昇格関連法は、行政組織上、内閣府の外局である防衛庁を「防衛省」に、防衛庁長官を「防衛相」にそれぞれ格上げする。これまで、防衛庁長官は、内閣府の長である首相を通じてでなければ閣議開催の請求や財務相への予算要求ができなかった。しかし、省昇格後は防衛相が直接行うことになる。
         また、これまで自衛隊の「付随的任務」とされてきた国連平和維持活動(PKO)、イラク復興支援などの海外活動も、国土防衛と同じ「本来任務」に位置付ける。
        【教育基本法のポイント】
         ・公共の精神を尊び伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進。憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、振興を図る
         ・伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛し、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う
         ・教育は不当な支配に服することなく、この法律および他の法律の定めにより行われる
         ・政府は教育振興施策を総合的に推進するため基本的な計画を定め、公表しなければならない
        最終更新:12月16日8時0分
        (産経新聞)12月16日8時0分配信
        【コメント】何ともお粗末な茶番劇です。教育基本法を今日改正する必要性が不鮮明、議会での議論が不十分かつ強引な幕引き、地方分権の流れへの逆行=国家による教育統制の強化など、数の力におごったあさましい事態です。

        ●『子は国のものじゃない』
        教職員怒りの集結
         「教育の憲法」とされる教育基本法の改正案が十四日夕、怒号が飛び交う中、参院教育基本法特別委員会で可決された。戦前の教育勅語体制への反省から生まれた基本法の六十年ぶりの改正。日本の教育が戦後最大の転換点を迎え、「我が国と郷土を愛する態度」の養成などが重視されるとあって、国会周辺に集まった多数の教職員からは反発の声が上がった。
         「民主国家の宝を捨てるのか」「子どもは国のものではない」。十四日午後六時すぎ、教育基本法改正案が参院特別委員会で可決されると、国会周辺に集まった千人近い教職員らが一斉に怒りの声を上げた。
         「戦前の教育を受けた者として見過ごすことはできない。憲法と教育基本法は戦後に築き上げた民主国家の宝。改正は改憲の前段になるのではないか」と東京都の元教員の男性(74)。嘱託教員の女性(64)も「これだけ反対の声があるのに、結論を急ぐ安倍首相の姿勢はまったく理解できない」と憤った。
         小六の子どもを持つ千葉県の主婦(50)は、テレビの国会中継を見て駆け付けた。「国が自分たちに都合のいい子どもだけを育てようとしているように感じる。家でじっとしていられなかった」
         会社を早退して駆けつけたという東京都の男性会社員(53)も「審議を見ているとあらかじめ答えが決まっていたようで、実のある議論と思えない」と不満を漏らした。
         この日は、参院特別委員会の審議開始に合わせ、朝から改正に反対する教職員らが議員会館前の歩道に集まった。「教育基本法の改悪に反対します」などと書いた横断幕を掲げ、シュプレヒコールを繰り返した。
         国会には普段と同じように社会見学の小学生が集団で訪問。抗議の様子に驚いた児童に、引率の教員が教育基本法の改正について説明する場面もあった。国による統制色が強まる改正の方向性に大分県の女性教員(40)は「国が何でも思い通りに動かせると思っていることが腹立たしい。子どもは国のものではない」。
         長崎県の小学校の男性教員(45)は「教育行政の在り方を問う国相手の訴訟は、今後連戦連敗になるだろう」と予測した。
        ■委員長に野党議員 詰め寄る中で採決
         「本法案に賛成の方の起立を求めます」。十四日夕、再開された参院教育基本法特別委員会。野党議員が委員長席に詰め寄る中、中曽根弘文委員長が声を張り上げた。激しい怒号の中、与党議員が起立し、教育基本法改正案が可決された。
         朝から始まった委員会には午前中、安倍晋三首相が出席。前日、調査結果が発表されたタウンミーティングのやらせ質問問題に質問は集中した。「やらせでつくられた法律だという汚名が残る」と近藤正道議員(社民・護憲連合)が質問したのに対し、安倍首相が「やらせでつくられたとは言い過ぎだ」と気色ばむ一幕もあった。
         正午すぎ、安倍首相が退席した後、中曽根委員長が「おはかりします。教育基本法案につきまして…」と口にしたところで突然、絶句。委員会はそのまま休憩に。
         夕方再開した審議の冒頭、委員長は審議を打ち切るか、もう一度与野党が協議する場を設けるか、で自身が迷ったことを明かした。
        (東京新聞)2006年12月15日00時00分

        ●県教組:少人数学級拡大を 知事に4万人の署名提出 /佐賀
         県教職員組合(近藤正敏委員長)は14日、35人以下の少人数学級を小学3年生以上にも拡大するよう求め、古川康知事に県民約4万人の署名を提出した。知事は「実態は分かる」と理解を示したものの、教育委員会が知事部局から独立していることを理由に、対応には慎重な姿勢を示した。
         県内の小学校では、05年度から1、2年生を対象に、少人数学級と複数の教師で授業を行うチームティーチング(TT)のどちらかを選ぶ選択制を取っている。県教組によると、6割が少人数学級を選択しているが、最終的に市町教委が決定するため要望が通らない学校もあるといい、この日は「学校の要望を尊重してほしい」との要求も盛り込んだ。
         近藤委員長は「アンケートを取ると3年生の保護者の不満が大きいことが分かる。少人数なら子供たちの自己表現の場も増え、自信が持てるようになる」と、いじめや不登校などの解決にもつながると訴えた。
        12月15日朝刊
        (毎日新聞)12月15日15時1分配信

        ●自殺志願者 福井・東尋坊で保護100人 NPO巡回で
         自殺防止活動を進める福井県坂井市のNPO法人「心に響く文集・編集局」が、地元の観光名所・東尋坊で保護し、自殺をくい止めた人が04年5月の発足以来、100人になった。理事長の茂幸雄さん(62)は「(自殺対策基本法が施行されたが)国や自治体の政策は不十分」と話している。
         茂さんは県警三国署(現・坂井西署)の副署長だった03年9月、管内の東尋坊で断がいに立ちすくむ東京都の男性(当時55歳)と女性(同72歳)を保護した。茂さんは2人を励まし、少しの金を渡して帰したが、再出発を誓っていた2人は3日後に新潟県で自殺した。
         2人は東京に戻る金がなく、福井県内の役所を訪れていた。自殺の2日後、「役所でたらい回しにされ、『死ぬならどうぞ』とまで言われた。私たちのような人間を二度と出さないでほしい」という遺書が同署に郵便で届いた。それがNPO設立のきっかけだった。
         NPOでは茂さんと元教師ら55人が連日、東尋坊周辺を交代で巡回。今月14日午後には、石川県加賀市の男性調理師(60)が断がい近くで一人で海を見ていた。茂さんは「もう死ぬしかない」とつぶやく男性の肩を抱き、事務所に連れて帰った。入院費がかさみ、生活保護も認められず、自殺しに来たという。100人目の保護だった。
         保護した人は、男58人、女42人。関東や関西など県外者がほとんどといい、福井県内で住宅や仕事のあっせんもする。茂さんは今年9月、「毎日社会福祉顕彰」を受賞。基本法施行で県の「自殺・ストレス防止対策協議会」の委員にも任命されたが、いまだに具体策を示さない協議会に「行政が対応を誤れば、自殺者は増えるばかり」と話している。
        (毎日新聞)12月16日17時16分配信
        自己評価を高める共感的な他者との関係性
        2006/12/06
        今回は、10日に東京で開催された「全国発達障害ネットワーク」の年次総会に参加していたため、更新が遅れています。
         抑うつ状態になる人の多くは、思考負の循環となってしまいます。仲間に入れてもらえなかったー相手から嫌われているのではないかー自分はいつもこうだーこれからも何をしてもだめだろう、と将来への見通しが持てなくなってしまいがちです。
         こんな感情になってしまったとき、その人の自身への評価は極めて低くなっています。本来もっている良い面が覆い隠されてしまって、弱い面、不十分な面が強調されて自意識を支配します。そして、一人だけでその状態について考えてしまうことで、この循環は深まってしまいます。
         うまくいかない、失敗ばかりする、わかってもらえない、無視されているのだろうか、嫌われているんじゃないか…、こうした意識が自身の思考の中心にあると思えたら、ぜひ話しを聴いてもらえる人をみつけて、話しを聴いてもらってください。アドバイスや励ましや分析をしてくれる人も多いかと思いますが、ただ聴いてくれる人が望ましいと思います。しかし、この「ただ聴く」というのは実はとても難しいことで、共感しながら傾聴する、無条件に話す人の気持ちを受容し、話しに積極的な関心を示す、適度にうなずき、また時に話しの内容を確認するなど、カウンセラーの「聴き方」が見本となります。カウンセラーはそれが仕事ですから、できなければ困りますが、カウンセラーでない方にも、こうした共感的な「聴き方」ができる人がいます。そんな人は、話す人を、その話の内容を否定しません。それが大切なのです。
         否定されない=受け入れられる=肯定される、という体験を、話す人ができます。この体験を通して、自己評価を少しずつ高めて行くことができます。こんな話し相手、相談相手が身近にいると、自己を否定することなく課題を乗り越えていけるでしょう。
         友だちなどから相談を持ちかけられた時、ぜひ多くの方が、共感的に「聴く」関係性を持てる相手となって欲しいと思います。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(5)」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        “いじめ”「クラスの空気」反映 学級崩壊時5倍 集団の不満集中

        いじめの発生は学級の雰囲気に左右され、児童生徒が学校生活への不満を感じるクラスで特定の子供をはけ口にする傾向が強いことが5日、都留文科大学(山梨県)の河村茂雄教授(心理学)の調査研究で明らかになった。中学では学級崩壊の兆候が見え始めると、いじめの発生は約5倍に跳ね上がる。河村教授は「いじめは被害者と加害者という二者関係でなく、学級という集団の問題としてとらえ、対処することが重要」と指摘している。
         河村教授は平成7年度以降、約10万人の児童生徒を対象に心理テストを行い、学級でのトラブルの大小や児童生徒の意欲の高さなどから、学級の状態を(1)子供同士の人間関係が良く学級運営も正常な「満足型」(2)教師が統率するタイプの「管理型」(3)教師とも友達感覚が漂うタイプの「なれ合い型」-などに分類した。これまでの研究では、「管理型」は小学校で24%、中学校では58%、「なれあい型」は小学校で45%、中学校で16%を占める。
         このうち16年度から2年間にわたり、約1万人を対象にいじめについて調べた結果、小学生では「長い間いじめられている」「とてもつらい」と答えた児童が40人学級で1人の割合となる3・6%を占めた。中学生は2%で、8割の学級でいじめを訴えていた。
         いじめと学級状態との関係では、「満足型」の学級でのいじめ発生割合を1とした場合、「管理型」は小学校で2・5倍、中学校で1・6倍。
        「なれあい型」では小学校3・6倍、中学は2・1倍で、学級崩壊の兆候が見え始めると、中学では5・1倍に急増した。
         学級内のストレスの要因をみると、全般的には「授業がわからない。興味が持てない」が多く、「管理型」ではそれに加えて、「教師が威圧的。特定の子供だけが認められている」「授業や学級生活がワンパターン。判で押した生活で刺激に乏しい」といった不満があった。
         「なれあい型」にみられるストレスには、「子供同士の陰口が多い」「ルールが守られていない」「学級に親しみが感じられない」が並んだ。
         いじめと感じている児童生徒に「誰からいじめられたか」をたずねたところ、小学生の50%弱、中学生の30%弱が「同じクラスのいろいろな人」と回答。いじめられている子供は集団生活のなかで、みんなの不満のはけ口にされている構図が浮き彫りとなった。
         河村教授は今回の調査結果について、「いじめ問題は、加害者対被害者という二者関係でとらえられがちだが、被害者はみんなから『いじめられた』と感じている。学級でいじめは埋没して見えにくく、表面化しても周囲が自覚に乏しいのはこのためだろう。特に『なれ合い型』では、実際には子供が傷ついているのに、教師が見逃したり、軽い気持ちで加担したりする危険がある」と指摘している。
        (産経新聞)-12月6日8時0分更新
        【コメント】私の長男が在籍していた中学校は「管理型」の典型でした。学級を通り越して学年全体が崩壊状態でした。

        ●中教審答申より厳格化、教員免許5年更新・試用3年へ
         教員免許更新制度のあり方を検討している安倍首相直属の教育再生会議(野依良治座長)は4日、〈1〉免許の更新期間を5年間〈2〉正式任用前の「条件付き任用期間」(試用期間)を現在の1年間から3年間に延長――とする方向で最終調整に入った。
         中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が答申した「更新期間10年間で研修30時間」では、不適格教員を排除するには不十分だと判断した。今月8、9日に開く分科会の合宿審議で詳細を詰める。来年1月の第1次報告に盛り込み、通常国会に関連法案を提出する方針だ。
         中教審答申よりも更新期間を短縮し、「試用期間」を延長するのは、教員免許制度の運用をより厳格化し、首相が唱える「教育現場からダメ教師を排除し、教育の質を高める」ことにつなげる狙いがある。
        (読売新聞)-12月4日14時40分更新

        ●「再チャレンジ支援税制」ニート・フリーターを除外
         政府は、2007年度税制改正に盛り込む「再チャレンジ支援税制」の対象から、仕事・通学をしていない「ニート」や、定職を持たない「フリーター」を外す方針を固めた。政府案はほかに、制度を利用する企業・団体に地方自治体の事前認定を求めるなど、厳しく枠をはめる内容となっている。
         安倍政権が「2010年までにフリーターをピーク時の8割に減らす」と公約したことを受け、政府は当初、雇用対象にニートやフリーターも含める方向で検討していた。
         しかし、正社員としての雇用を望んでいるかどうかなど、支援すべきニートやフリーターの定義が難しいとして、「定義があいまいなまま制度を導入すれば、課税逃れに悪用されかねない」(内閣府)と判断した。除外の方針を固めたことにより、格差是正に向けたフリーター支援との趣旨から大きく外れることになる。
        (読売新聞)-12月4日15時42分更新

        ●<いじめ絵本>20年読み継がれ…著者「相手の気持ちに…」
         いじめ被害を題材にした絵本「わたしのいもうと」(偕成社)は約20年にわたり、学校などで読み継がれてきた。被害者がどれだけ深く、そして長く、心に傷を負うのかを伝える本だ。作者で児童文学作家の松谷みよ子さん(80)は「相手の気持ちに気づかない限り、いじめは続く。本当はいじめがなくなって忘れ去られる本になってほしい」と語る。
         「わたしのいもうとの話を聞いてください……」。二十数年前、「ちいさいモモちゃん」などを書いた松谷さんに、少女から手紙が届いた。妹がいじめに遭い、家に引きこもり心を閉ざしてしまったとの内容だった。
         手紙は「わたしをいじめたひとたちは、もうわたしをわすれてしまったでしょうね」という妹のメモにも触れていた。松谷さんは「いじめている方は、すぐ忘れても、いじめられた子には深刻な問題だ」との思いで、手紙をもとに絵本を書いた。
         一家が7年前に引っ越してきたことから始まる。小学4年生の妹は、転校した学校で「言葉がおかしい」「くさい。ぶた」といじめられる。給食を配ると受け取ってもらえない。誰も口を聞いてくれなくなり、遠足に行った時も独りぼっち。やがて学校へ行かず、ご飯も食べず、部屋に閉じこもるようになる。
         やせ衰え、「このままでは命がもたない」とまで言われたが、母親の必死の看病で、命だけはとりとめる。やがて、いじめた子たちは中学生になり、さらに高校生になる。笑いながら窓の外を通り過ぎて行くのを妹は見つめるだけ。そして、ある日、ひっそりと息を引き取る。
         妹を描いた絵は、うつむいていたり、後ろ姿で顔は一度も出てこない。そして、最後に手紙につづられたメモが描かれている。
         87年に初版6000部で出版された本は、道徳の授業などで使われ、44刷まで版を重ね、14万7000部が世に出た。出版社には、親や教師からだけでなく、加害者の子どもからも感想が寄せられている。
         栃木県鹿沼市立北押原中学では先月、「いじめは命にかかわる大きな問題だと気づかせたかった」(3年の学年主任、鬼頭真教諭)と絵本を題材に道徳の授業をした。生徒からは「助ける人が必要で、周りも行動を起こさないといけない」という意見が相次いだという。
        (毎日新聞)-12月6日15時11分更新

        ●発達障害:警察官も理解を 誤解や偏見の防止へ、県警が研修活動に乗り出す/鹿児島
        ◇障害者支援団体が歓迎
         自閉症やLD(学習障害)など発達障害への理解を深め、警察活動に役立てようと、県警は一線の警察官向けの研修活動に乗り出した。専門家の講義などで正しい知識を身につけ、トラブルに巻き込まれやすい発達障害者への誤解や偏見をなくすのが狙い。警察内部での研修は全国でもまだ例が少なく、発達障害者の支援団体はこうした動きを歓迎している。
         県警は11月10日、鹿児島市の県警本部で発達障害をテーマに初の研修会を開いた。刑事部や生活安全部など各部と22警察署から一線の警察官約150人が参加。県医師会常任理事の林芳郎医師が講師を務め、発達障害の種類とそれぞれの特徴、接し方などを解説した。
         今回の研修について県警の田中憲一・少年サポートセンター長は「発達障害の知識がなければ現場で対処しづらいケースが増えているため」と開催理由を説明。今後の取り組みについて「他の専門家による講義やパンフレット作成もしていきたい」と前向きな姿勢を見せる。
         日本自閉症協会県支部で研修担当の野添裕継さんは「発達障害者が地域で暮らすためには警察の理解が欠かせない。こうした取り組みが鹿児島から全国へ広がってほしい」と県警の活動に期待している。
        12月5日朝刊
        (毎日新聞)-12月5日18時0分更新

        ●西海評論:現実離れ /長崎
         政府の教育再生会議(野依良治座長)が先月29日に決定した「いじめ」緊急提言に対し「現場の感覚から懸け離れている」との声が出ている。
         特にいじめた子供に対し「社会奉仕、別教室での教育」を掲げたり、一時検討された「出席停止」の考えには反発が聞かれる。「いじめが悪いことは当然だ。だが、いじめた側の話を聞く場を作ることが大切。処罰では解決にならない」。小学校で約25年教壇に立った県教組の明石佳成委員長(57)は強調する。
         いじめを放置した教員に懲戒処分を適用するとの同会議の提言に対しても「いじめを放置するような教師は、まずいないだろう」と反発する。現場でそれぞれの教師が試行錯誤で解決に向けて取り組んでいる。「それでも解決できないとなると、校長、教頭がどう教育委員会に報告するのか」と懸念する。
         その上で「教師の事務作業の負担を減らして、もっと子供を見られるようにしてほしい」と訴える。確かに「休み時間も打ち合わせがあるので、授業中にプリントをやらせている間にトイレに行かねばならない」と言う女性教師もいる。
         出席停止や別教室での教育について、中学で20年以上教えてきた元教師も懸念を示す。「いじめる側の子供でも、まずは言い分をじっくり聞くことから始めなければと思う。そうすれば、子供と教師との人間関係も出来る」。いわゆる荒れた学校を多く経験しただけに説得力を感じる。
         明らかな暴力、あるいは金銭・物品を脅し取ったのだったら、誰が加害者か分かりやすく、対応しやすい。だが、今のいじめ問題の難しさは、被害者、加害者の見分けが難しいことだと指摘する。
         一人の生徒がクラスの多くに無視されることがあるが、一体だれを別教室に入れて指導するのか。いじめた生徒がいじめられる立場に陥ることもある。けんかでも、負けた方がいじめられたと過剰に反応してくることもあるという。
         著名人を集めた教育再生会議だが、苦労している教育現場からは共鳴より反発が強いようだ。だが、このような会議がつくられたのも、学校現場で対応が十分出来ていないという現実があるから。
         現場感覚と異なる提言を押し付けられないためにも、親や住民の声を聞きながら、各学校の職員室で現実に即した対策を話し合っていただきたい。
        12月4日朝刊
        (毎日新聞)-12月4日17時1分更新

        ●土佐の教育改革:学力低下、いじめ…もっと対策を 提言書を県教育長に/高知
        ◇今月中に方針まとめ
         土佐の教育改革の検証と総括をする「教育改革10年を未来につなげる会」(半田久米夫座長)は5日、これまでの会合でまとめた提言書を大崎博澄・県教育長に提出した。依然として課題となっている中学校での学力低下やいじめ、不登校などに一層の取り組みを求めている。
         土佐の教育改革は、いじめや不登校問題、私立学校への生徒流出などの問題を受け、97年度からスタート。同会は今年9月から、改革の成果を検証しようと4回の会合を持った。
         中学校での問題の背景には、思春期という心理上の問題に加え、教科担任制や部活動の本格化など教育システムの変化への戸惑いが考えられると指摘。対策として「小学校と中学校では授業力に差があり、教員は小学校の授業を参考にすべきだ」「学力を伸ばすカリキュラム開発に大学などと共同で取り組む必要がある」との意見を示した。
         提言書を受け取った大崎教育長は「中学校のいじめ・不登校問題を改善すれば、小学校や高校の改善にもつながる」と答えた。
         県教委では、提言を踏まえ今後の方針を今月中にまとめ、来年度予算に組み込む予定。また、来年2月には県民フォーラムの開催を計画している。

        ●いじめ対応不適切 小学校に異例勧告 沖縄弁護士会
         本島中部の小学校で男子児童に対するいじめがあり、いじめをめぐる学校側の認識の欠如と不適切な対応が児童を不登校に追い込んだなどとして、沖縄弁護士会(大城浩会長)が9月21日、対応策を全校挙げて確立するよう同校に勧告していたことが4日、分かった。同弁護士会がいじめ対応について学校側に勧告するのは2件目で、異例の対応だ。
         同校によると男子児童は、3年生だった前年度、複数の級友らから一方的に殴る、けるの暴行を受け、所有物を勝手に取られたり、言葉での中傷を日常的に繰り返された。担任の男性教諭は児童間のトラブルを4月から把握していたが、いじめと認識したのは10月ごろからという。
         同年12月、いじめを受けていることを相談した日記を児童が提出したところ、担任は学級会で全児童の前で読み上げた。校長は「担任はいじめを皆で考え、解決しようとした」と説明する。
         しかし、児童の両親によれば、日記を公表したことがきっかけになって精神的に追い込まれ、2006年1月から不登校となり、4年生に進級した現在も続いている。
         両親は「内面を相談した日記を公表されて密告した形になり、学校に行けなくなった。対応を学校に求めても、担任だけに任せた」と批判した。
         同弁護士会人権擁護委員会(委員長・三宅俊司弁護士)は、今年5月と7月に両親からの依頼を受けて調査。(1)いじめに学校全体で対応する体制(2)再登校のための計画を専門家を含め早急に策定―など5点を勧告。
         これを受け同校は、(1)「いじめ組織的対応」を職員会議で確認(2)専門家とともに再登校を促すプログラム作成―などを明記した報告書を11月28日に回答した。
         校長は「初期の対応がまずかったことは確か。日記を本人の了解も得ずに全体の場で読むことは良くない」と認めた上で「学校として努力しており、早く戻ってほしい」と説明。校長によれば、担任も対応に問題があったことを認めている。
        (琉球新報)-12月5日9時49分更新

        ●発達障害 乳幼児の支援策充実
        広島市の検討委提言 早期発見など5項目
         自閉症など発達障害者の支援体制整備に取り組んでいる広島市の検討委員会は、乳幼児段階に絞った提言をまとめた。市民の理解促進、早期発見や診断、支援の充実など五つの重点項目を掲げ、各種施策を展開する必要性を強調。市は本年度末までに策定する「障害者基本計画」に盛り込む。
         具体的な施策として、就学先などで円滑な支援が受けられるようにするため、子どもの「サポートファイル」の作成、活用を提案。専門医の育成や幼稚園・保育園への支援コーディネーター配置など二十の具体的な取り組みを列挙している。
         発達障害は自閉症やアスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害など範囲が広く、生活に支障がないなど周囲が障害に気づかないケースも多い。一方で、早期発見や療育の必要性が指摘されている。
         二〇〇四年度の発達障害者支援法の成立などによる障害への知識、理解が深まったことや診断技術の向上により、障害児の数は増加傾向にある。市の三つのこども療育センターでアスペルガー症候群などを含む「自閉症スペクトラム」とされた件数は〇三年度には一〇一件だったが、〇四年度は二百六十七件となった。
         支援法は理念法の色彩が強く、具体的支援策やサービス確保は自治体に委ねられている。このため、市は昨年八月、専門家などでつくる検討委を設置、七回の会合を重ねてきた。成人期までのライフステージに応じた一貫した支援が大切として、まず未就学児に限った提言を中間取りまとめとして作成した。
         検討委は〇七年度までに就学段階から成人を対象にした提言をまとめる。
        (中国新聞)(2006.12.2)

        ●<教育再生会議>いじめ対策の「出席停止」素案明記 論議に
         政府の教育再生会議が9日まで行った集中討議で、問題行動を繰り返す子どもへの出席停止を来年1月の中間報告に向けた素案に明記したのは、いじめ対策への積極的な取り組みをアピールするためだ。子どもへのボランティア義務付けも盛り込み保守色が一層強まったが、ともに慎重論が根強いテーマだけに論議を呼びそうだ。
         いじめによる相次ぐ子どもの自殺を受けた先月29日の緊急提言で、出席停止の明記は見送られた。集中討議では、義家弘介担当室長が再び「いじめや教師に暴力を振るう子どもには強い措置が必要」と主張。素案の中で再び浮上した。
         池田守男座長代理は終了後の記者会見で「教育的見地の一つという形で書かせてほしい」と意欲を示したが、委員には「学校の責任放棄」との批判もあり、引き続き慎重に協議する。
         ボランティア活動の義務付けは、00年の教育改革国民会議で「憲法が禁じた苦役につながる」と見送られた経緯がある。安倍晋三首相は9月の自民党総裁選で、大学入学前の義務化を提唱しており、再生会議も「(義務である)奉仕活動を教育で実践する意見が多数」(池田氏)という。
         このほか中間報告では、国・地域の伝統を尊重する心を養うことや、正月などに「家族の日」を設けて「家族のきずなを深める」ことを提唱するなど、首相の持論に沿う内容を盛り込む見通しだ。
        (毎日新聞)-12月9日23時26分更新

        ●発達障害:20歳超え診断1.6% 来年度内に対応策--道が初の実態調査/北海道
         道が、自閉症、学習障害(LD)など発達障害児・者の実態調査を初めて実施したところ、本人や家族も気づかずに20歳を超えてから診断された人が1・6%含まれていることがわかった。診断が遅れた場合、適切な支援を受けられず、社会適応が難しくなるケースが多いため、道は07年度中に早期診断の体制確保など対応策をまとめる方針だ。
         発達障害は自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害など脳に何らかの機能障害があり通常、低年齢で発現するとされている。発達障害の可能性のある子どもは国の調査では6・3%ともいわれているが対象者の把握自体が難しいという。
         昨年4月、発達障害者支援法が施行したのを受け、道は今年7月に実態調査を実施。自閉症や学習障害の親の会などを通じて1408人を対象にアンケートを行い、697人から回答を得た。
         その結果、発達障害の診断を受けた時期は、3歳が最も多く166人(回答者の24・4%)で、これを含めて就学前までに診断を受けた人は全体の7割を占めた。
         一方、20歳を超えてから診断を受けていたと答えた回答者は11人(1・6%)だった。知的障害を伴う場合は早期に発見されやすいが、そうでない場合は、小中高校を何の支援も受けずに過ごし、就職してから問題を抱えるケースが少なくない。
         また就業経験者(78人)のうち、退職した人に理由を尋ねたところ、「自己都合」が29人(64・4%)、「会社の都合」が16人(35・6%)で、「人間関係がうまくいかない」「業務についていけない」などが挙げられていた。
        12月9日朝刊
        (毎日新聞)-12月9日12時1分更新

        ●なぜ学校はいじめを隠すのか 第三者機関設置を要望へ
         いじめ自殺で学校や教育委員会の真相隠しが問題となる中、自殺や校内の事故で子どもを亡くした親らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」(事務局・たつの市)が十二日、文部科学省に、事実を調べる第三者機関の設置などを申し入れる。会には学校の体質を知る教員もおり、「このままでは悲劇はなくならない」と訴える。
         同会代表世話人の内海千春さん(47)=たつの市。一九九四年、小学生の長男=当時(11)=が担任に平手でほおなどを殴られた後、命を絶った。学校は詳細を語らず、報告書に「管理外の事故死・原因不明」と書いた。
         両親は何度も学校に真相解明を申し入れ、検察は担任を略式起訴。それでも、学校は動かなかった。結局、市を訴えた裁判に勝つまで、わが子の死をめぐる“真実”を知ることはできなかった。
         公立中教諭の内海さんは「学校は『子どもを動揺させないように』と沈静化に終始する。真相究明の調査は教師の仕事ではない」と語る。
         川西市の宮脇勝哉さん(48)も、中学生だった長男=当時(13)=を、部活動中の熱中症で失った。やはり、真相究明は壁にぶつかり、市が設置した「子どもの人権オンブズパーソン」の調査で、ようやく顧問教諭の過失が認定された。
         宮脇さんも教師。「列車や航空機の事故には調査委員会があるが、校内で起きたことを誰が客観的に調査できるか。強い権限を持った第三者機関が必要」と強調する。
         同会の姫路市の男子大学院生(31)は、個人としての請願書も用意した。十五年前、岡山県内の私立高校の寮で上級生らに連日暴行されたとして大阪高裁で係争中。「自殺未遂を繰り返した一人として、死を選ぶ気持ちが分かる。私学経営者らは問題を公表しない」とし、私学についても実態把握を文科相に要望する。
         さらに請願書では、第三者機関の設置、問題が起きた際に文科省が情報を当事者に伝えるよう学校を指導することや、年一回、当事者から学校や教委の対応について聴く場を持つよう求める。
        (神戸新聞)2006/12/10

        ●少年事件テーマに取り組み紹介 京都家裁が庁舎見学会
         家庭裁判所の役割を広く知ってもらおうと、京都家裁(京都市左京区)は9日、庁舎見学会を開いた。関心が高まる少年事件をメーンテーマに、裁判官のミニ講演や保護者が悩みを語り合う新たな取り組みを紹介した。
         10月初旬の法の日週間にちなんだ催しで、京都家裁では庁内を流れる泉川沿いの紅葉が深まるこの時期に開いている。今年は約60人が訪れた。
         生熊正子裁判官が少年事件の審判の流れを説明し、「処罰ではなく少年を立ち直らせるのが目的。家庭裁判所ではどんな小さな事件もすべて扱う」と話した。
         子どもの居場所として大切な家庭への働き掛けとして、京都家裁が今年始めた「保護者会」を再現。職員や市民ボランティアふんする親たちが「子どもが何を考えているか分からない」「お話できるほど、自分は子どもを知らないと気づいた」などと語り合う様子を、来場者たちは熱心に見守っていた。
        (京都新聞)-12月9日18時57分更新
        子どもの頃のことですが…(8)海水浴場へ自転車で6km
        2006/12/03
         物心ついた頃には、村の浜の干拓が進んでいて、当初は田んぼで稲作をしていました。小学校に入る頃にはさらに埋め立てられ、目の前に工業地帯が広がっていきました。ですから、海岸にあった村なのに、その浜辺で泳ぐことはできませんでした。
         私の村は、小学校区の西の端でしたが、反対側の東の端に向かうと海水浴場がありました。といっても、自然の浜がある、というだけのものでしたが…。
         夏休み、小学校のプールのある日はプールへ。プールのない日は(もちろん毎日ではありませんが)、小学校近くに家がある友だちを誘って、自転車で6kmあまりかけて、1つ山を越えて、その海水浴場へ泳ぎに行っていました。海水パンツの上にズボンをはいて、持ち物は水中メガネくらいでした。
         自然のままで、ほとんど手が入っていませんでしたから、海底には岩が散在し、牡蠣ガラなどでよく足の裏を切ったものです。時折、魚が足に触れて行ったりもしました。
         浜に1軒だけお店がありました。帰りにはアイスクリームを1つだけ買って食べ、店のおばさんにお願いして水道を借りて、身体についた海水を水で洗い流させてもらっていました。
         この海岸は、今では砂浜らしき形状こそ残っていますが、コンクリートで護岸整備され、とても「泳ごう」という気にはなれないところとなっています。あのお店もありません。浜の西隣に、小さな漁港が残っているのが唯一の救いです。
         それにしても、どこへ行くにも自転車でしたね…。自転車で行くしかなかったというか。
         次回は「子どもの頃のことですが…(9)峠の開通」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        生活保護費を引き下げへ(厚生労働省)

         厚生労働省は29日までに、生活保護費のうち、食費や光熱水費などの生活費に当たる生活扶助を見直し、全体として引き下げる方針を固めた。厚労省などの調査では、保護を受けていない低所得世帯の生活費より、生活扶助が上回っている保護世帯がある。このため、勤労意欲を減退させかねないなどとして、実態を反映させたい意向だ。
         同省は今後、08年度予算編成作業の中で、与党などとの折衝を進める。引き下げ幅などは、所得や家族構成などの世帯別モデルケースを詳細に検証しながら決めることになる。
         同省は、08年度予算で社会保障費の伸びを2200億円抑制することを求められている。診療報酬の薬価引き下げや政府管掌健康保険(政管健保)の国庫負担を健康保険組合などに肩代わりさせることなどで手当てする方針だが、それだけでは賄えず生活保護費も対象に加えたい考え。
         調査によると、収入が全世帯のうち下から1割に当たる低所得世帯では、夫婦と子供1人の勤労世帯では医療費などを除く生活費が14万8781円であるのに対し、生活扶助は15万408円と上回った。60歳以上の単身世帯でも、低所得の非保護世帯は生活費が6万2831円であるのに対し、生活扶助は7万1209円と高かった。
         このほか、生活扶助は単身世帯よりも4人以上の世帯に有利になっている傾向がある。また生活扶助は地方より都市部が高くなっているが、両地域間の消費格差が縮小していることも指摘されており、そうした観点からも見直しが図られる見通し。
        (nikkansports.com)2007年11月29日

        ●<生活保護>市民グループ「命守って」訴え 引き下げ方針
         ガソリンも食料品も上がっているこの時期に、なぜ--。厚生労働省の検討会が生活保護基準の引き下げを容認する報告を出した30日、東京都千代田区の同省前では、反対する市民グループなどが「私たちはぎりぎりのところで暮らしている。命を守って下さい」と訴えた。
         生活保護は、生活困窮者の日常生活を支える「最後のセーフティーネット」と言われる。その引き下げは受給者にとって死活問題。生活保護を巡っては、70歳以上を対象に一定額を上乗せする老齢加算が06年度に全廃され、段階的削減が続く母子家庭への加算も09年度に全廃されるなど、費用削減が続いている。
         この日、抗議活動をしたのは▽日雇い派遣労働者の労組▽生活保護受給者の支援グループ▽障害者団体などが連携した「反貧困ネットワーク」(代表・宇都宮健児弁護士)などのメンバー。
         老齢加算廃止の取り消しを国に求めて東京地裁に提訴した原告の1人、東京都調布市の八木明(めい)さん(81)は、バセドー病の長女(55)と暮らす。八木さんは「老齢加算の1万7930円が切られ、食費を切り詰めた。洋服はもう何年も買っていない。弱いところから切る国のやり方は許せない」。3児の母で入退院を繰り返しているという北海道小樽市の佐賀光江さん(41)は「長男を高校に行かせたい。母子加算が削られ、灯油も値上がりし苦しい。風呂を週2回に減らした。これ以上何を削ればいいのか」と話した。
         引き下げは子供の就学援助などの政策にも影響を与えかねない。ネットワークの湯浅誠事務局長は「生活保護を受けないで済む社会を作るべき国が、貧困層を圧迫しており断じて許せない」と批判した。同ネットは検討会に対抗し、当事者が参加した「生活扶助基準に関するもう一つの検討会」を12月7日に開催する予定。
        (毎日新聞)11月30日11時34分配信

        ●障害者雇用未達の納付金、中小企業も段階適用 厚労省案
         企業に法定雇用率(従業員に占める障害者の割合=1.8%)の達成を義務づける障害者雇用促進法の改正について、厚生労働省がまとめた意見書案が27日、明らかになった。雇用率が未達成の企業に課される納付金の支払い義務を、中小企業にも規模に応じて段階的に適用することを明記。厚労省は今後、まず従業員200人以上の企業に対象を広げ、徐々に100人以上の企業に拡大する方向で調整する。
         意見書案は28日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)分科会に示され、年内をめどに正式決定。厚労省が改正案を来年の通常国会に提出する。
         法定雇用率の未達成企業には、不足1人につき月5万円を国に納付する義務があるが、現在は従業員300人以下の企業は対象外。意見書案は「経済的負担能力などを考慮し、当初は比較的規模の大きい中小企業から適用対象とすることが適当」とした。
         労働時間が週20時間以上30時間未満の短時間労働者は現在、雇用率に算入されていないが、0.5人に換算することが適当とした。だが、障害者の派遣労働者を派遣先の雇用率に算入することには反対意見が多く、「慎重に見極める必要がある」としている。
        (asahi.com)2007年11月28日

        ●「心と体の傷が癒えない」南京事件70年で生存者ら証言
         「あの時の心と体の傷は決して癒えません」。旧日本軍による南京の市民らに対する殺害や暴行、略奪などがあったとされる日中戦争中の「南京事件」から、今月で70年。大阪市中央区で1日、この事件の生存者2人の証言を聞く集会が開かれた。2人のうち、初来日した南京市の張秀紅(ツァンシュウホン)さん(81)は何度も言葉を詰まらせながら、当時の体験や胸中を語った。
         「11歳の時、日本兵が自宅に来ました。私を守ろうとする祖父を銃剣で脅しました」。張さんは約80人の聴衆を前に、うつむきがちにゆっくりと体験を語り始めた。
         「無理やり隣の空き家に連れていかれ、服を脱がされました。両足を押し広げられ、痛さで気絶している間に、強姦(ごうかん)されました。気がついた時、下半身は血だらけでした。祖父が泣きながら抱きしめてくれました」
         そう話し、張さんは大声を上げて泣いた。
         今でも腰や股関節が痛み、しゃがむことができないという。
         集会は96年から毎年続いており、今年は東京や名古屋、神戸など8都市で開かれる。主催する南京大虐殺60カ年全国連絡会の招きに、張さんは当初「日本に行ったら殺される」と固辞。半年間ほど迷った末に「真実を語りたい」と決意したという。
         男性生存者で南京市に住む伍正禧(ウツェンシ)さん(84)は「3人の日本兵が自宅に来て、兄といとこ、叔父の計5人を連れ去りました」と証言。大勢の死体が放置された沼や川を捜したが、行方不明のままという。その数日後には、若い女性を求めて自宅に押し入った日本兵に、目の前で祖父を刺殺された。
         3度目の来日。「南京事件を知らない若い人や、事実ではないと言い張る日本人もいる。私たち生存者がしっかり伝えたい」と語った。
         証言を聞いた大阪市平野区の教諭森口和美さん(55)は「生存者の生の声に言葉を失った。記憶にとどめ、語り続けないといけない」と話した。
        (asahi.com)2007年12月01日

        ●人の満足感は他人との格差が重要、ドイツ人研究者が研究発表
         年の瀬になると昇給やボーナスが気になるものだが、最近の神経科学的な研究により、人は報酬をどれだけ手に入れたかという絶対的な量よりも、相対的に他人よりどれだけ多いのかを重視することがドイツの研究機関が雑誌「サイエンス」に発表した研究論文により明らかとなった。
         この研究を行ったのはドイツのライフ・アンド・ブレイン・センター(LifeandBrainCenterBonn)のKlausFliessbach研究員を中心とする研究グループ。
         経済学では人の意思決定において、得られた報酬の絶対量が満足感を決める要因であると考えられてきた一方で、社会心理学者や人類学者は、満足感には報酬に関わる社会的状況が影響すると指摘してきたが、こうした心理過程の脳内メカニズムについてはこれまで明らかになっていなかった。
         ライフ・アンド・ブレイン・センターの研究グループは、複数の被験者に対して、実験に参加する際の報酬額の優劣を加えると同時に、被験者同士が実験に参加するにあたってどれだけの報酬を受け取っているのをに付いて判るようにしたところ、相対的な報酬量に応じて、報酬の評価や予測に主に関与する腹側線条体(側座核)の活性が変化することがわかったとしている。
         実験では、ペアになった被験者がそれぞれ隣接する2台のMRIスキャナーに入り、正答すれば報酬が与えられるという推測課題を行ったもので、最初の段階では、腹側線条体の活動を初期状態に調整するために、被験者とパートナーそれぞれに同額の報酬を提示。その上で、実験が進むにつれ、わざとパートナーと異なる報酬額を被験者に提示したところ、腹側線条体の初期状態からの変化量は、パートナーと比較してどれだけの報酬を得ることができたかという相対的な報酬量に依存することがわかったとしている。
         また、被験者が意思決定をする必要がない場面でも腹側線条体が活性化していたことから、報酬の理解を通して認識される社会的状況を、自動的に処理していることが示唆されているとも述べている。
        (Technobahn)2007/11/27

        ●弱さをさらし共感呼ぶ「こわれ者の祭典」 新潟
         アルコール依存症、摂食障害、強迫神経症…。さまざまな病気から回復した人たちが一堂に集い、笑いを交えながら魂のパフォーマンスを演じる。平成14年、新潟市で始まった異色イベント「こわれ者の祭典」は今年、5周年を迎え、公演は27回を重ねた。国内の自殺者が年間3万人を超える、この生きづらい世の中を、みんなで共同体を作って生き抜いていこう-。新潟から全国へ、力強いメッセージを発信し続けている。(新潟支局 永岡栄治)
         「いじめられて自殺するなら、学校を辞めよう」
         「いじめられて死ぬぐらいなら、引きこもりになろうよ」
         パジャマ姿の中年男性が、激しいギターサウンドに乗って絶叫する。10月、新潟市内で「ストップ・ザ・自殺」と銘打って開かれた「こわれ者の祭典」。3時間に及ぶ公演は、アルコール依存症・引きこもり“自慢”の月乃光司さん(42)のパフォーマンスで最高潮に達した。引きこもり時代に着ていたパジャマがステージ衣装だ。
         穏やかな表情で取材にこたえる月乃さんだが、これまで歩んできた半生は壮絶だ。
         小学生のころからいじめを受け、高校時代は醜形恐怖症のため不登校になり、引きこもり生活は通算4年間に及んだ。24歳からはアルコール依存症となって自殺未遂を繰り返し、精神科病棟に3度入院。手首には、高校時代から繰り返したリストカットの跡が残る。
         酒は27歳で止めることができたが、生きづらさは変わらなかった。そんなとき、アルコール依存症患者でつくる自助グループの集会に参加。ある紳士然とした男性が自分のみっともない過去を、人前で堂々と発表する姿に衝撃を受けた。
         「人生が変わった瞬間でした。過去をさらけ出すことで、不要なプライドに縛られていた自分が解放され、ありのままに生きられるって気づかされたんです」
         月乃さんは仲間と2人で、「病気」を乗り越えた経験を話すイベントを開こうと考え、「新潟お笑い集団NAMARA」代表の江口歩さん(42)に相談した。これまで世の中のタブーに果敢に挑戦してきた江口さんは「ちょうど精神障害者のイベントをやろうと考えていたところ」と司会を買って出てくれた。
         第1回公演は平成14年5月31日、新潟市内で開かれた。1度きりのつもりだった。「ところが、70人の会場に170人が来る大盛況。終わった後も本人や家族から『もう1回見たい』『私も出られますか』といった電話が相次いで。新潟でこんなに需要があるんだとびっくりした」。月乃さんは「こわれ者の祭典」を続ける決心をした。
         単独ライブや自主映画上映などの関連イベントを含めると公演は約80回に上り、関東進出も果たした。公演後の打ち上げで来場者と交流、出演者は回を重ねるごとに増えていった。
         幼少からの祖父の暴力が原因で、強迫神経症に悩まされてきたアイコさん(24)も「こわれ者の祭典」で人生が変わった一人だ。
         「殴るけるより、言葉の暴力の方がつらかった。『お前はダメだ、ゴミだ』と言われ続けて、コンプレックスがすごくあった」。小学校のころは休み時間ごとにトイレで顔を確認。高校では授業中に呼吸の仕方が気になって、学校を休みがちになった。
         どん底だった10代の終わり、月乃さんのパフォーマンスを見て鳥肌が立った。「格好悪いことを全身全霊で見せてくれる大人に初めて出会った。苦しいのは自分だけじゃないんだと知ったら、すっごく楽になって」
         今では詩の朗読や弾き語りを披露、単独ライブを開くまでに成長した。「月乃さんに出会って、私は180度変わった。昔の私と同じような人がいたら、今度は私が支えになりたい」。普通の人の3倍、人に会うのがアイコさんの今の目標だ。
         身体障害者も共演する「こわれ者の祭典」だが、月乃さんは当初、身障者が加わることに反対だった。「精神障害と身体障害は問題の質が違う」と考えていた。
         脳性まひの障害があるDAIGOさん(34)は第1回公演から欠かさず見に来て、出演を猛アピール。15年12月、「身体障害者版こわれ者の祭典」を開くと、DAIGOさんのボケと司会の江口さんのツッコミに、会場は大受けだった。月乃さんは「生きづらさを受け入れ、ポジティブに生きる点では僕らと同じなんだ」と気づいた。DAIGOさんらの加入は、「こわれ者の祭典」に新たなパワーを注いだ。
         「こわれ者」という表現は時に批判を浴びることがある。そんなとき、月乃さんはこう答える。
         「肉体は必ずいつかは滅びる。だから、人間は誰もがこわれ者。『こわれ者の祭典』とは実は、『人間の祭典』なんです」
        (産経新聞)11月28日7時51分配信

        ●福岡いじめ自殺 黒塗り記録に不服 両親が法相に開示請求
         福岡県筑前町の中学2年、森啓祐君(13歳)がいじめを苦に自殺したことを巡り、両親が30日、福岡法務局の人権侵犯調査記録の大半が黒塗りだったことを不服として、鳩山邦夫法相に審査請求書を提出した。行政不服審査法に基づき、黒塗り部分の開示を求める。
         同法務局は今年5月、調査の結果、森君への人権侵害行為があったとして、当時の校長や1年時の担任に反省を促す「説示」の措置をとった。両親は9月、調査記録を開示するよう請求したが、11月13日に開示された約440枚の資料のうち、両親に対する聞き取り内容などを除き、黒塗りだった。法務局は「開示すると今後の調査に支障が出る恐れがある」と説明したという。
         審査請求書は「(教職員などの)個人名は不開示でいいが、死を選んだ事実関係を知りたい。わが子の死について、学校と教委が持つ情報をなぜ遺族が知ることができないのか」と主張。母美加さん(37)は「(加害者の)同級生の少年審判の記録は見られた。少年の記録は開示され、大人(学校関係者)に対する調査は伏せられる。矛盾だ」と話した。
         法務局による人権侵犯調査は、山口県下関市の中学3年の女子生徒が05年4月、いじめを苦に自殺した問題でも実施。この際も遺族に調査記録が開示されたが、具体的内容の大半が黒塗りだった。
        (毎日新聞)12月1日10時53分配信

        ●講演会:自閉症の暮らしを考える 枚方で講演や対談-8日/大阪
         年齢を重ねた自閉症の人たちが地域で普通に暮らす上での問題や改善策について考える講演会「いま、あらためて<共に生きる>とは」が8日午後2時、枚方市新町の「ラポールひらかた」である。研究者の講演や、自閉症者の親との対談などがある。無料。
         「枚方自閉症児(者)親の会」の主催。同会は、自閉症児を含む知的障害児を公立高校に入学させるよう求める署名運動を担った肉親らが中心となり発足。働く場の確保など、障害のある人が当たり前に地域で生きていける社会の実現を掲げて活動してきた。
         講演会では、大阪市立大大学院教授で障害児教育などが専門分野の堀智晴さんが「年長『自閉症者』の就労を含めた地域での生き方と、その生活支援への具体的な方法を考える」と題して講演。その後、同会会長で、自閉症の次男をモデルとした小説「トミーの夕陽」の作者、鶴島緋沙子さんと対談する。
         枚方市や同市教委などが後援する。問い合わせは、同会の立溝ひとみさん(072・832・3970)。
        (毎日新聞)12月2日14時0分配信

        「いじめ」問題を語るつどいで発言しました。
        2006/12/03
        今回も予定を変更させていただきます。今日、3日、京都会館会議場で、尾木直樹さんを講師に招いて「「いじめ」問題を語るつどい」が、京都教職員組合と京都市教職員組合の主催で開かれ、講演の後の討論で10分間の指名発言を依頼されお話して来ました。どこかの「タウンミーティング」ではありませんので悪しからず…。
         以下、発言です。
        *******
         私は現在、「教育と人間関係の相談室カンナ」という小さな相談室で、相談やカウンセリングをお受けしています。
         不登校、いじめ、ひきこもりや発達障害、それらの当事者である子どもたちや親御さん、また家庭や職場、地域での人間関係にしんどさを抱えておられる方々の相談をお受けするかたわら、「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」の副代表として、ご家族への支援や心理教育、当事者である子どもたち・青年たちに対して居場所や訪問での支援を日々行っています。この家族会ノンラベルの方でも、広汎性発達障害やその疑いの子どもたちの比率が高まっていて、その支援のあり方を日々模索しているところです。
         私が、こうした活動に身を転じた経過に少し触れたいと思います。それまでサラリーマンをしていて、ダブルインカムで2人の子どもに恵まれ、仕事に追われながらも平凡な生活をしていましたが、長男が中学3年であった2000年2月に、不登校から自殺をいたしました。当時、長男が通っていた中学校は荒れが深刻で、学級崩壊を通り越して学年全体が崩壊した状態でした。長男はその恐怖と喧噪に耐えかね、また、授業が成立しない中で勉強が身に付かないといういらだちなどから、不登校という選択をしました。当時の中学校では、荒れという状態の下で、いじめや暴力、盗みをはじめとする反社会的行為が日常となっていたようで、長男もこうした状況の渦中にあって、そのしんどさに耐えかねたのでしょう。またそれらを体験した子どもたちは成人した後、「当時のことが思い出せない」というほど、一人ひとりの意識から抑圧し嫌悪体験を忘れようとすることで、健常な自我を守ろうとしています。
         長男の死に際して、思ったことは、まず、子どもを亡くした親なら誰でもそうであると思いますが、なぜもっとわが子のことを理解してやれなかったのか、寄り添ってやれなかったのかという自身を責める気持ちです。そして、不登校の原因となった、学校という場が、なぜ子どもたちにとって安全な場でなくなっていったのかということと、学校に関わる教職員や親たち大人がなぜその荒れを食い止め、また解消していくことができなかったのかということへの疑問です。
         そして何よりも、長男が死をもって、私たちに残したメッセージをしっかりと受け止めてやりたいということでした。それは、子どもたち、とりわけ思春期にある現代を生きる子どもたちが置かれている状況、心理社会的な環境と、その中で懸命に身をまもりながら生きているけなげな気持ちを、そのありのまま受け入れてやれる大人でありたいということにつながります。また、長男のような悲しい選択をせざるを得ない子どもが再び出てこないようにするには、何が必用か、この社会を形成し動かしている大人たちに何ができるのかを真剣に考え、自らその役に立てる人材になりたい、ということでした。
         こうして、20年のサラリーマン生活に終止符を打ち、心理や教育、発達などを学びつつ、家族会でのボランティアで実践的に当事者及び家族への支援に関わるようになりました。
         今、私の相談室カンナでも、言葉による暴力や意図的で理不尽な扱いなどの精神的・肉体的な被害体験が引き金となって自己評価を下げ、抑うつや神経症状を出しながら不登校となっている子どもたちの相談をいくつかお受けしています。また、広汎性発達障害であるが故にからかいやいじめを受けても本人はいじめという意識を持ち得ないままにやり場のないしんどさを抱えて不登校やひきこもりになっておられる方も少なくありません。不登校の子どもたちの中で発達障害を有している比率は30%強と言われています。広汎性発達障害を有する子どもたちは、障害特性を理解し必用なときに適切な支援ができる大人が回りに一人でもいれば、不登校になる確立は大きく低下します。
         ちょっと人と変わっている、いじりやすい、からかうと反応がおもしろい、いろんな意味でめだっているなど、本人の個性や特性や言動が「標準的でない」というだけで、からかいやいじめのターゲットとされてしまう、これが、今の学校で日常的に起こっている実態です。
         いじめられる側の子どもたちは、生まれ持った特性やその後に獲得してきた認知によってマイノリティにされてしまいます。一方、いじめる側の子どもたちも、何の理由もなく他者をからかい、いじめる行為に出ることはありません。家庭や学校、地域での生活の中で感じ続けてきた不安やいらだちなどから、自身の不全感との葛藤や自己保全のための虚勢を、他者を攻撃するという形で表現していると見るべきだと思います。
         また、私たち大人も今、競争主義を基盤とする管理社会といういじめ社会を生きています。そして、学校という社会はまさにその象徴的存在だと思います。このいじめ社会の中で人は、しんどい、つらい、悲しいという率直な感情を言葉にして誰かに表現することができずに、一人で抱え込み、背中を丸めながら、ぎすぎすした人間関係の中を生きています。その姿を子どもたちはしかりと見ているのです。ですから、子どもたちは、しんどさ、つらさを大人に話すことをためらうのではないでしょうか?
         今の子どもたち一人ひとりが置かれている状況、抱いている内面の心理状態に心を配れる大人がその子の回りに存在し、安全と安心が醸し出す温かい人間関係の中で、子どもたちの話しを聴いてあげられる環境を作ってあげること、それこそが「教育再生」という取り組みの中軸となるべきだと思います。いじめに因る自殺が何年にも渡ってゼロであるという報告がまかり通る教育行政という社会や、いじめ加害者に懲罰的な対処をすることでいじめを無くそうとする思考は、死をもって訴えている子どもたちから何も学ぶことができていないことの証であり、お話になりません。
         多くの子どもたちが、さまざまないじめや被害感情から自己評価を下げ、自殺という最悪の結論を自ら出し続けています。子どもたちには何の責任もありません。今、このいじめ問題で問われているのは、大人の責任、まさにこれから、子どもたちの育ちに真摯に向き合う大人の態度ではないでしょうか。私たち大人が、競争主義に埋没していることを見つめ直し、自分自身を大切にすること、精神的なゆとりを取り戻すことを通して、子どもたちの話しを聴ける存在となれることが、今求められているのではないでしょうか。
         私は小さな相談室や家族会での支援活動で、微力ながら、大人の一人としての役割を果たし続けて行きたいと思っています。ぜひ、みなさん、子どもたちを理解し慈しむ、学校、家庭、地域での共同の取り組みを広げて行きましょう。
        *******
         次回は「自己評価を高める共感的な他者との関係性」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <教育再生会議>「いじめ問題への緊急提言」を決定

        政府の教育再生会議(野依良治座長)は29日午前、首相官邸で第3回全体会合を開き「いじめ問題への緊急提言」を決定、公表した。相次ぐいじめによる自殺を受け、いじめをした子どもに対する指導、懲戒の基準を明確にし、「いじめを見て見ぬふりをする者も加害者」との指導を学校が子どもに徹底するよう求めた。また、いじめに加担するだけでなく、放置・助長した教員も懲戒処分の対象とすることを明記。「いじめを解決するのがいい学校」との認識を強調し、学校による隠ぺいの排除を図った。
         再生会議は10月25日に「いじめ防止の緊急アピール」を発表している。その後も同様の事件が続き、重視姿勢を示す必要があると判断した。
         提言ではまず「いじめは反社会的な行為として絶対許されない」との指導を学校が子どもに徹底するよう要請した。いじめた子どもへの懲戒は出席停止を念頭に置いたもの。明記することも検討したが、「事態を複雑化しかねない」(伊吹文明文部科学相)との慎重論も強く、見送られた。
         教員への処分については、児童・生徒をいじめた場合の処分を規定した東京都教委などを例に、全国の教委に同様の規定の導入を呼びかけた。
         また、学校や教育委員会、保護者が連携していじめ撲滅に全力を挙げることや、教委が学校支援のためのサポートチームを結成するよう求めた。いじめを理由とする転校が認められていることを生徒や保護者にしっかり伝えるよう、注意を喚起。「いじめの解決を図るには、家庭の責任も重大」と言及した。
         再生会議は、緊急提言を文科省や都道府県教委を通じて学校、保護者に呼びかける。安倍晋三首相は会合であいさつし、提言について「即実行できるものは実行させていただく」と述べ、いじめ自殺対策を急ぐ考えを示した。池田守男座長代理(資生堂相談役)は終了後の記者会見で、緊急提言を「社会全体に対する再生会議の(いじめ撲滅の)決意表明だ」と強調。出席停止の明記には委員の意見が分かれたことを明らかにした上で、いじめた子どもへの懲戒基準に「(出席停止も)一つの選択肢としてあっていい」との認識を示した。
         ◆政府の教育再生会議有識者委員一同が29日まとめた緊急提言は次の通り。
        (1)学校は、子どもに対し、いじめは反社会的な行為として絶対許されないことであり、かつ、いじめを見て見ぬふりをする者も加害者であることを徹底して指導する。<学校に、いじめを訴えやすい場所や仕組みを設けるなどの工夫を><徹底的に調査を行い、いじめを絶対に許さない姿勢を学校全体に示す>
        (2)学校は、問題を起こす子どもに対して、指導、懲戒の基準を明確にし、毅然とした対応をとる。<例えば、社会奉仕、個別指導、別教室での教育など、規律を確保するため校内で全教員が一致した対応をとる>
        (3)教員は、いじめられている子どもには、守ってくれる人、その子を必要としている人が必ずいるとの指導を徹底する。日ごろから、家庭・地域と連携して、子どもを見守り、子どもと触れ合い、子どもに声をかけ、どんな小さなサインも見逃さないようコミュニケーションを図る。いじめ発生時には、子ども、保護者に、学校がとる解決策を伝える。いじめの解決に全力で取り組む中、子どもや保護者が希望する場合には、いじめを理由とする転校制度が認められることも周知する。
        (4)教育委員会は、いじめにかかわったり、いじめを放置・助長した教員に、懲戒処分を適用する。<東京都、神奈川県にならい、全国の教育委員会で検討し、教員の責任を明確に>
        (5)学校は、いじめ問題があった場合、事態に応じ、個々の教員のみに委ねるのではなく、校長、教頭、生徒指導担当教員、養護教諭などでチームを作り、学校として解決に当たる。生徒間での話し合いも実施する。教員もクラス・マネジメントを見直し、一人一人の子どもとの人間関係を築き直す。教育委員会も、いじめ解決のサポートチームを結成し、学校を支援する。教育委員会は、学校をサポートするスキルを高める。
        (6)学校は、いじめがあった場合、それを隠すことなく、いじめを受けている当事者のプライバシーや二次被害の防止に配慮しつつ、必ず、学校評議員、学校運営協議会、保護者に報告し、家庭や地域と一体となって、解決に取り組む。学校と保護者との信頼が重要である。また、問題は小さなうち(泣いていたり、寂しそうにしていたり、けんかをしていたりなど)に芽を摘み、悪化するのを未然に防ぐ。<いじめが発生するのは悪い学校ではない。いじめを解決するのがいい学校との認識を徹底する。いじめやクラス・マネジメントへの取り組みを学校評価、教員評価にも盛り込む>
        (7)いじめを生まない素地をつくり、いじめの解決を図るには、家庭の責任も重大である。保護者は、子どもにしっかりと向き合わなければならない。日々の生活の中で、ほめる、励ます、しかるなど親としての責任を果たす。おじいちゃんやおばあちゃん、地域の人たちも子どもに声をかけ、子どもの表情や変化を見逃さず、気付いた点を学校に知らせるなどサポートを積極的に行う。子供たちには「いじめはいけない」「いじめに負けない」というメッセージを伝えよう。
        (8)いじめ問題については、一過性の対応で終わらせず、教育再生会議としてもさらに真剣に取り組むとともに政府が一丸となって取り組む。
        (毎日新聞)-11月29日12時11分更新

        ●いじめ緊急提言 厳しい教育現場の声 「アメとムチ」
         続発するいじめ事件に関し、政府の教育再生会議が29日、緊急提言をまとめた。焦点の一つとして、いじめを放置・助長した教員に懲戒処分を適用することを求めた。一方で、いじめ対策への取り組みを教員評価につなげるよう提言。努力した教員にはアメを与えるとも受け取れる内容だ。現場のいじめ対策にどんな影響があるのか。反応の声もさまざまだ。
         東京都内の区立中学校長は「学校の先生がきちんと指導できていないという発想に立ったもので本末転倒な話だ。現場の先生の神経を逆なでし、処分されるとなればますますいじめを隠そうとする」と強く批判する。一方、“アメ”に関しては「何をもって、いじめが減ったか増えたか、取り組みが進んだか進んでないかを評価するのか。現場の実情とはかけ離れた考え方だ。学校はユートピアではなく、けんかもあればいじめもある。特効薬はなく、現場は一つ一つ全力を挙げて対応していくしかない」と憤りを込めて話した。
         一方、別の区内のある小学校長は「いじめ自殺があった学校では、校長らがマスコミを前に謝罪しているが、一過性に過ぎない。現場の教員は『いじめを見逃したら教師生命がない』というくらいの真剣さが必要だ。その意味で懲戒処分を盛り込んだことは評価できると思う」と話す。
         ただ、緊急提言の中にいじめた子への「指導・懲戒」案として、奉仕活動をさせることが掲げられていることに関しては「社会奉仕が有効なんですかね。きれいごと過ぎますよね」と疑問符もつけた。
         提言通りなら、教師の懲戒処分は各地の教育委員会が行うことになる。94年に大河内清輝君いじめ自殺事件があった愛知県。名古屋市教委のある幹部は提言内容を読み「ちょっと厳しいな……」と漏らした。「現場の先生方の苦しさをもう少し理解してほしい。先生だって失敗はあるが、一生懸命仕事をしている。その結果として懲戒処分にされたら、やってられない」と同情的に語った。
         一方、提言に文科省幹部も批判的だ。内容の多くは、すでに同省が各都道府県教委などに指導・助言をしている。ある幹部は「なんで今ごろこんなものを(提言するのか)……。けんかを売られているような感じがする」と批判した。
        (毎日新聞)-11月30日10時3分更新

        ●いじめ対策、「厳罰化」効果に疑問=教育再生会議の緊急提言
         いじめを苦にした自殺が相次ぐ事態を受け、政府の教育再生会議(野依良治座長)がまとめた緊急提言に対し、有識者や与党内から疑問の声が上がっている。提言は加害者の子どもに別教室での指導を課すほか、いじめを助長・放置した教員の懲戒処分が柱だが、「厳罰化は根本的解決にはつながらない」とみられるためだ。
         提言は「見て見ぬふりは加害者」「家庭の責任は重大」などの8項目。これまで具体的な対策がなかったことから、教育再生を看板に掲げる安倍内閣として、問題解決に取り組む姿勢を示したものだ。
        (時事通信)-12月3日15時1分更新
        【コメント】この「緊急提言」は、教育再生会議が「緊急」にとりあえず出した「提言」としか思えません。いじめとはどういうものか、いじめの実態はどうかについての記述がないこともそのいい加減さの証ですが、本来いじめという行為が、人間の尊厳を脅かすものであり、子どもたちの人格形成を目的とした教育現場にあってはならないものであるという基本認識が伺えません。また、前文が「子どもが命を絶つという痛ましい事件を何としても食い止めるため、学校のみに任せず、教育委員会の関係者、保護者、地域を含むすべての人々が「社会総がかり」で早急に取り組む必要があると考え、美しい国づくりのために、緊急に以下のことを提言します。」と締められて8つの提言が示されていますが、「美しい国づくりのために」とは、いかにも安部政権色を出すための付け足しで、いじめ問題と何の関係もありません。いじめ加害者や教師に責任を転嫁し、懲罰主義で「減らす」ことに執着した、歴史的にもお粗末なものと言わざるを得ません。

        ●全国公立小中で給食費滞納18億円、目立つ「拒否」
         全国の公立小中学校で2005年度に、18億円を超える給食費が滞納されていたことが、読売新聞の調査で分かった。
         本来徴収されるべき給食費の0・53%に相当する。経済的に余裕がありながら、払わない保護者が増えており、簡易裁判所に支払い督促を申し立てるなど法的措置に踏み切る自治体も出ている。
         文部科学省も今月から調査を始めているが、給食費の滞納が全国的に広がっている実態が明らかになったのは初めてで、行政側は新たな対応を迫られそうだ。
         読売新聞が10~11月、全国1840の区市町村に、公立小中学校の給食費について、05年度の滞納状況をたずねたところ、約85%にあたる1575区市町村から有効回答があった。
        (読売新聞)-11月27日3時13分更新
         学校給食法は、子供たちに給食を提供するよう自治体に「努めなければならない」と努力義務を規定。そのための設備や調理員の人件費は自治体が負担するが、食材費は保護者が負担するよう定めている。文科省学校健康教育課では「結局は保護者のモラルの問題。学校を通じて給食は自己負担であることへの理解を求めるしかない」と話している。
        【コメント】給食も「義務教育」の内、という誤解や手前勝手な思いこみは、いつ頃から始まったのでしょうか。終戦後の劣悪な食糧事情の中から生まれた公教育における給食制度が、このような形でその質を落とさざるを得ないというのは、悲しむべき事態です。給食制度、子どもたちへの食教育などについて、改めて見つめ直す作業が、学校、家庭、地域で必用となっています。

        ●北海道の給食費滞納額、全国ワースト1。読売新聞調べ(北海道)
         公立小中学校で2005年度に給食費がどれだけ滞納されたかを調べた読売新聞社の全国調査で、北海道は47都道府県の中でも滞納総額が約2億5000万円で全国ワースト1位、滞納率が1・38%でワースト2位と、全国でも突出して多い実態が明らかになった。各市町村の担当者からは、「払えるのに払わない義務感の乏しい保護者が目立つ」との声もあり、法的措置に踏み切る自治体も出始めるなど、深刻な問題となっている。
         調査は26日までに道内180市町村のうち142市町村(78・8%)から寄せられた有効回答を集計。夕張市、滝川市、北広島市、北斗市、ほか34町村からは有効回答がなかった。
         「以前は生活困窮による滞納が多かったが、最近は借金までして良い生活をしたがる自己中心的な親が目立つ」。滞納率が道内ワースト2位となった八雲町の給食センター職員は嘆く。
         3か月ごとに督促状を送り、個別訪問も行うなど努力はしているが、「払います」との口約束は守られない場合も多い。同町では給食は公会計のため、昨年度約370万円にのぼった滞納分は、町の一般会計で補てんするしかない状況だ。
         一方、給食費を学校単位で管理する私会計の場合、補てんができずに食材費を削る市町村も多い。その一つ、留萌市は2002年度から滞納者に対して法的措置を導入した。
         裁判所を通じ、財産の差し押さえも可能にする「支払督促申立書」をこれまで12世帯に送付。「裁判所からの通知の効果は高く、9割方の滞納者は連絡をしてくる。以前は200万以上あった滞納額が昨年度は80万まで減った」と市職員。留萌市のほかにも民事訴訟に踏み切った根室市のように、法的手段に訴える市町村は増えている。
         もちろん、「長引く景気低迷で保護者が失業、離婚し、払いたくても払えない家庭もある」(道南の町)。多くの自治体がそのような家庭に生活保護や就学援助の制度を勧め、滞納額の軽減に努めている。だが、「パチンコ、酒に出費しても給食費は払いたくないという保護者」や「小学校は義務教育だから給食は無料にすべきだと言う親」もいるとした市町村もあり、「無責任な親の姿を見て、子供も同様の大人に育ってしまう」との教育上の懸念さえ抱かれている。
         道内には滞納ゼロの自治体も45町村(有効回答の31・6%)あった。しかし、滞納総額は東京の約2倍、大阪の約4倍にのぼる。滞納率も全国平均0・52%の3倍近い。
         道教委は過去、給食費滞納について統計をとっていなかった。学校安全健康課はワースト1位という結果について、「有効な対策をとっている自治体の例を紹介するなど、道教委としても対応が必要」としている。
        (2006年11月27日読売新聞)

        ●教委の監査機関設置、保護者が教員評価…教育再生会議
         安倍首相直属の「教育再生会議」(野依良治座長)が来年1月にまとめる第1次報告素案の概要が26日、明らかになった。
         教員の能力を保護者らが評価し、指導力不足と認定した教員に対する研修や配置替えを徹底することや教育委員会の抜本的見直しが主な柱だ。学力向上策に加え、放課後に児童を学校で預かる「放課後子どもプラン」の来年度からの実施も盛り込む。会議は12月の集中審議で第1次報告案を詰める方針だ。
         素案の概要は、教育再生会議の野依座長や池田守男座長代理、義家弘介担当室長らが21日に開いた運営委員会でまとめ、文部科学省側にも伝えた。伊吹文部科学相は26日のNHK番組で「教師を信頼し、任せる代わりに教師の資質がしっかりしている裏付けが必要だ」と強調した。
        (読売新聞)-11月27日3時13分更新

        ●教育タウンミーティング全8回、国の動員依頼は6回
         内閣府と文部科学省は27日午前、小泉内閣が開催した教育改革に関するタウンミーティング8回のうち6回で、国側の依頼により開催県の教育委員会などが参加者を動員していたとする調査結果を、参院教育基本法特別委員会理事会に報告した。
         8回のうち、青森県八戸市(今年9月)と松山市(2004年5月)で参加者動員があったことは、すでに明らかになっていた。今回の調査で、新たに岐阜市(03年12月)、山形県米沢市(04年4月)、和歌山市(同年10月)、大分県別府市(同年11月)でも動員依頼があったことがわかった。
         岐阜市では文科省が地元県教委に、その他は内閣府が開催県や市などに依頼し、名簿の存在が確認できなかった別府市を除き、65人から180人が動員されていた。米沢市の場合は、当日の参加者数389人の半数近い180人が、山形県教委や同県の知事部局、地元市役所による動員だった。
        (読売新聞)-11月27日12時49分更新

        ●山形県教育長ら辞任 高2自殺の夜に食事会
         山形県立高畠高校で2年の女子生徒(16)が自殺した問題で、斎藤弘山形県知事は27日の記者会見で、県教育委員会の伊藤晴夫教育委員長と佐藤敏彦教育長から辞表を提出され、受理したと発表した。2人とも後任が決まるまで職にとどまるという。
         女子生徒の自殺した当日の夜に、県教委が自殺を知りながら食事会を開いていたことなどに責任を取ったものとみられる。
         佐藤教育長は辞表提出の理由について「相次ぐ教職員の不祥事や、教科書の未履修問題、高畠高校の自殺当夜の対応などで県民の教育行政に対する信頼を損なった」と説明した。
         教育長は24日に辞表を提出。斎藤知事は「教育現場の現状は非常事態にある。教育に関する信頼回復を早急に成し遂げたい」と述べた。
         県教委は、22日に定例委員会を開催。この場で女子高生が転落死したと報告があったにもかかわらず、終了後に山形市内のレストランで新旧教育委員の歓送迎会などを兼ねた食事会を開いていた。
         教育長は24日の記者会見で「判断が甘く、深く反省している」と陳謝した。
        (産経新聞)-11月27日16時33分更新

        ●<消費者金融>自殺4人に1人…大手5社の借り手の死因
         消費者金融大手のプロミス(東京都)が借り手全員に掛けていた生命保険のデータを金融庁に虚偽報告していた問題で、同庁は28日、再調査の結果を公表した。借り手の死因判明分に占める同社の自殺率は当初の報告の2倍以上の26.9%に上った。これに伴い、大手5社の平均も25.5%に増え、自殺者が4人に1人に達している実態が初めて明らかになった。【多重債務取材班】
         ◇「病死」減り、自殺率はね上がる…プロミス
         金融庁などによると、プロミスは今年9月、実際は死因不詳だった4287件をすべて死因が判明した「病死」に含め、病死が全体で6105件に上ると報告。「死因不詳はゼロ」とした。これに基づき、死因判明分のうち自殺者の割合は11.2%とされたが、修正報告によって「病死」が減ったため、自殺率が26.9%にはね上がった。
         プロミスの自殺率が増えたことで、アコム▽アイフル▽武富士▽三洋信販――の4社を含む大手5社の死因判明分に占める自殺率も、当初の平均19.4%から25.5%に増加した。同じ生命保険に加入していた計17社(大手5社を含む)の平均でも19.8%から23.9%に増えた。
         17社全体の「死因不詳」は6割に上り、この中には自殺も相当数含まれるとみられるが、一定の条件を満たせば住民票で死亡の事実を確認するだけで保険金が下りるため、実態は分かっていない。
         再調査で自殺率が大きく上がったことについて同庁金融会社室は「保険金の受け取り実態とかけ離れているのに報告内容を精査せず、国民の関心の高い調査で不正確な内容を公表したことをおわびしたい」と話している。
         厚生労働省の05年の人口動態調査によると、20歳以上の死亡者に占める自殺者の割合は2.8%で、消費者金融の借り手とは大きな開きがある。
           ×    ×
         この問題は28日の衆院財務金融委員会でも取り上げられた。長妻昭議員(民主)が「保険(のデータ)からは、さらに多い自殺者がいると推測される。業者が加盟する全国信用情報センター連合会にある顧客情報を基に(件数ではなく)実際の自殺者数を調べられないか」と金融庁に求めた。これに対し、渡辺喜美・副金融相は「難しいが検討する」と答えた。
         また長妻議員は17社のうち借り手の自殺率が33.3%と最も高い業者の名前を明らかにするよう山本有二金融相にただしたが「取り立てが厳しかったことは推定されるが個別には言えない」と答えるにとどまった。
         ◇負債理由は1996人…昨年の自殺
         28日の衆院財務金融委員会で、警察庁の竹花豊生活安全局長は05年に「経済・生活苦」のため遺書を残して自殺した3255人中、「負債」による死者が1996人に上ることを明らかにした。借金苦による動機が明確な自殺者数が国の統計で公表されたのは初めて。長妻昭議員(民主)の質問に答えた。
        (毎日新聞)-11月29日3時4分更新

        ●「真相究明に第三者機関を」 いじめ自殺や学校事故遺族
         子どもはなぜ死なねばならなかったのか。当事者らが思いを語った研究会=神戸市中央区山本通4 いじめによる自殺が相次ぐ中、学校内の事故や事件を考える「子どもの人権研究会IN神戸」が二十五日、神戸市中央区ののじぎく会館で開かれた。子どもを亡くした親たちが体験を語り合い、「学校や教育委員会の隠ぺい体質は何年たっても変わらない。事実が知らされないことで遺族はさらに傷つく」と訴えた。
         同研究会は一九八七年結成。全国の弁護士や研究者、家裁調査官ら約三百五十人が所属し、今回は約五十人が参加した。
         二年前、長崎市で中学二年の二男が校舎の窓から飛び降り自殺した安達和美さんは「学校に調査をお願いしても断られ、事故として処理された。事実が明らかにならなければ『自殺する子が弱い』と片づけられてしまう」と声を詰まらせた。
         ラグビー部の練習中に中学生の長男を熱中症で失った宮脇啓子さん=川西市=は「子どもの命がなくなる瞬間を知りたかった」と、涙ぐみながらに語った。「川西市が設けた『子どもの人権オンブズパーソン』の調査や勧告が役に立った」とし、夫で、教員の勝哉さんも「学校や教育委員会が身内を調べることは難しく、第三者機関が必要」と強調した。
         また、福岡県の八尋八郎弁護士は「いじめ自殺の相談を多く受けているのに、文部科学省は『ゼロ』。これが実態を表している。問題意識を持って取り組んでいかなければならない」と述べた。
        (神戸新聞)2006/11/26

        ●越谷の中2女子飛び降り死亡:校長「いじめ情報ない」 /埼玉
         越谷市の市立中学2年の女子生徒(14)が、自宅マンションから飛び降り自殺したとみられる問題で、同中の校長が30日記者会見し、在校生徒に事情を聴いた結果、「いじめに関する情報はなかった」と述べた。
         同中はこの日、スクールカウンセラーや担任が、女子生徒と同じクラスの生徒や所属していた吹奏楽部の部員らの相談に乗るなどして対応。11月29日の下校時に一緒にいた友人らによると、「(女子生徒は)部活動ではいつものようににこやかに後輩に接していた。これからも練習を頑張ろうよと話しながら帰った」という。同中は1日に臨時保護者会を開く。
        12月1日朝刊
        (毎日新聞)-12月1日11時2分更新

        ●越谷の中3自殺:両親が学校など提訴 /埼玉
         越谷市で7月に起きた私立開智中3年、杉原賢哉さん(当時14歳)の自殺を巡り、同市に住む両親が30日、同中を運営する学校法人「開智学園」(さいたま市)と教師ら6人を相手取り、約7760万円の損害賠償訴訟をさいたま地裁に起こした。両親は「自分の子がなぜ死んだのかを知りたい」と話している。
         訴状によると、今年6月、賢哉さんは校内であった盗難事件を「目撃した」と教師に打ち明けた。7月3日にも教師に話し、母親にも事件を告げたが、その際に「学校で大変なことが起きている」などと言った。同4日、賢哉さんは普段通り家を出たが登校せず、午後1時45分ごろ、越谷市内の駅で電車に飛び込んだ。
         両親は▽盗難事件の全容解明を怠り、賢哉さんに精神的苦痛を与えた▽自殺した日の午後まで教師が欠席確認を保護者にしなかったのは安全確認義務違反――などと訴えている。
         一方、記者会見した同学園によると、賢哉さんが目撃したのは盗難事件の現場ではないことが分かり、7月3日に本人に再確認したという。自殺に関しては「原因も分からず予見もできなかった」とし、「両親には慎重に対応してきたが裁判になったのは残念。道義的責任は感じるが法的責任はない」と話した。
        12月1日朝刊
        (毎日新聞)-12月1日11時2分更新

        ●いじめ:「受けた」小学423人、中学124人--瑞浪市がアンケート実施 /岐阜
         ◇全児童・生徒に実施
         ◇でも、市教委“認定”は38件
         いじめを苦に2年生の少女が自殺した瑞浪市立瑞浪中の佐々木喜三夫校長と尾石和正・市教育長らが30日、同市内で記者会見した。尾石教育長が、市内の全小中学校の児童・生徒約3600人を対象に無記名で行った「いじめアンケート」の結果を公表した。【小林哲夫】
         アンケートでは「いじめを受けた」と答えたのは小学校423人(18%)、中学校124人(10%)にのぼり、「いじめをした」と認識している子どもも小学校で25%、中学校で20%いた。
         しかし、文部科学省の規定に基づく「いじめ」に該当する内容と判断して市教委が学校に対応を指示したのは小学校20件、中学校18件だけ。市教委の判断と当事者である子どもたちの感覚とのギャップを感じさせる結果となった。市教委の杉浦文昭教育指導次長は「大半はからかい程度の内容」と述べ、いじめと判断しなかった事例についても、学校に問い合わせるなど何らかの対応をしたことを明らかにした。
         いじめの内容(複数回答)については「ウザイ」「キモイ」「死ね」などの「言葉」が小学校296件、中学校42件で最も多く、小突くなどの「暴力」が小学校154件、中学校14件、あいさつをしないなどの「無視」が小学校99件、中学校31件と続いている。
         尾石教育長はいじめと判断した38件について「実感としていじめの数が多いと思った」と話し、今後の対策として「防止の手引」作成や「指導者交流会」の実施などを挙げた。
        12月1日朝刊
        (毎日新聞)-12月1日11時1分更新

        ●いのちの電話:気軽に悩み相談して あすから1週間、フリーダイヤル開設 /大分
         自殺予防などのためボランティアで電話相談を受けている社会福祉法人「いのちの電話」は12月1日から7日までの1週間、全国規模でフリーダイヤル相談窓口を開設し、24時間無料で相談を受ける。電話番号は0120・738・556。
         8年連続して自殺者が3万人を上回っていることなどから、気軽に悩みを相談してもらい、少しでも自殺者数を減らすのが狙い。
         「大分いのちの電話」によると、今年10月末までに1万4128件の相談があり、そのうち自殺に触れたものが716件と過去最多になっているという。同電話はフリーダイヤル開設期間以外にも1年を通じて相談を受けている。097・536・4343。
        11月30日朝刊
        (毎日新聞)-11月30日17時0分更新

        ●発達障害児・者:総合支援、指導・相談に一貫対応 来月4日センターオープン /福岡
         発達障害児・者に対する支援の総合窓口となる「福岡市発達障がい者支援センター」が12月4日、市発達教育センター(中央区地行浜2)2階にオープンする。就学前▽学齢期▽就労期と、違う施設で対応してきた発達障害に関する指導・相談に、支援センターが一貫して対応する。
         昨年4月施行の発達障害者支援法は、都道府県と政令指定都市に発達障害者支援センターの設置を求めており、9月末現在で48自治体が設置している。
         福岡市では市社会福祉事業団が運営。職員5人が常駐し、本人や家族の相談に応じるほか、関係機関との連携や発達障害への理解を深めるための啓発活動などを行う。
         市障がい児支援課によると、昨年度、市心身障がい福祉センター(中央区)と市西部療育センター(西区)に寄せられた就学前の発達障害児に関する相談は276件。市発達教育センターへ寄せられた学齢期の発達障害児に関する相談も276件で、いずれも増加傾向にあるという。
         同課は「発達障害が社会的に認知され、これまで潜在的にいた人たちが表に出てきたのではないか」と見ており「センターを発達障害児・者や家族を支援する地域の拠点にしていきたい」としている。センターは平日の午前9時~午後5時。相談や問い合わせは(845・0040)へ。
         また開所を記念し、2日午前10時から、中央区天神4の福岡ガーデンパレスで講演会が開かれる。自閉症で川崎市職員として働く明石徹之さんと母洋子さんが「発達障害者支援法に込めた親の思い」をテーマに講演する。申し込みが必要で、詳しくは同センター開設準備室(845・0040)へ。〔福岡都市圏版〕11月30日朝刊
        (毎日新聞)-11月30日17時0分更新

        ●<いじめ>「大人」の職場でも深刻 労働相談の2割近くに
         「大人のいじめ」もまん延してます――。日本労働弁護団(宮里邦雄会長)の実施する労働相談で、職場でのいじめに関する相談件数が全体の2割近くを占め続けている。内容も言葉のいじめから直接的な暴力まであり、弁護団は「子どものいじめ自殺が相次ぐ中、『子は親を映す鏡』というが、長時間労働などが職場にギスギスした雰囲気を生み、いじめにつながっているのでは」と分析。「14年間の相談活動の中で経験したことのない異常事態」と指摘している。
         弁護団によると、年間約2000件寄せられる相談のうち、いじめに関する相談の割合は04年に8%で、不払い残業(30%)や解雇(14.9%)などと比べて相談は少なかった。それが05年には17.7%と2倍以上に増加。06年も17.2%と高水準のままだ。これに伴って労災の相談では、従来のけがなどから「うつ病」の相談がほとんどを占めるようになった。
         20代のシステムエンジニアの男性の事例では、システムの完成が進まないことから「再教育」の名目で仕事と関係のない研修を受けさせられ、ひざげりなどの暴力を受けるようになり、うつ病となった。また、経理職だった女性は営業に回された上、けんしょう炎になるまで古い伝票を破る作業を延々とやらされたという。技術の未熟な若者や動きの鈍い人などが狙われるらしい。
         弁護団の棗一郎弁護士は「さまざまな形のいじめがある。法的措置で対抗もできるのでぜひ相談してほしい」と話している。
         弁護団は2日を中心に20都道府県で電話相談「労働トラブル110番」を実施。常設的な相談も行っており、問い合わせは弁護団(03・3251・4472)へ。
        (毎日新聞)-12月2日15時10分更新

        広汎性発達障害と対人関係能力(4)
        2006/11/26
        昨夜で、家族会ノンラベル主催の「アスペルガー援助者養成講座【第5弾】」が無事終了しました。最終回は精神科医の定本ゆきこ先生で、「青年期・成人期における生きにくさの援助~違法行為にも触れて~」と題してお話頂きました。先生は京都少年鑑別所で技官として、違法行為を行った少年・青年たちと日々向き合っておられ、その中で、いわゆる非行型少年事件ケースとは違う、広汎性発達障害に起因する行為が触法・違法となってしまったケースを多く鑑別、援助されて来られています。こうしたケースは、ほとんどが未診断で、家庭で障害特性を理解されなかったり、学校での無理解によるいじめなどの不適応を体験し、また多くがうつや強迫などの二次的症状を出しているそうです。
         広汎性発達障害の人は、定型の人から見れば変わったことにこだわったり、その場にふさわしくない言動をしたりします。それを、叱ったり、嘲笑やからかいの対象としたりすれば、当事者の自己評価は下がり、人との関係性にトラブルが強まったり、希薄になってしまいます。逆に、周囲がその行為を、好意的な態度で肯定的に評価をすれば、周囲の人から受け入れられていると感じ、自己評価が高まります。自己評価が高まれば、前向きな意欲が亢進され、障害特性が社会に適応的な行動に変化していきます。また、そのことで、周囲の人も当事者と関わりやすくなり、生活がしやすくなります。
         見方を変えれば、当事者の障害特性に起因する言動は、周囲の環境が肯定的か否定的かによって大きく変わりますし、それぞれの循環が正の方向にも負の方向にも起こっていきます。障害特性のために、広汎性発達障害の人がこの世界でより生きやすくなるためには、周囲の適度な支援が必要です。親も学校も社会も、正の方向に循環がすすむ支援者であることが求められます。
         現在、思春期や青年期を迎えられていて、未診断であったり、療育的な関わりや支援を受けて来られなかった広汎性発達障害の方々の多くが、これまでの成育歴の中で、数多くの嫌悪体験や心的なダメージを負って来られ、とても生きづらい状態にあると思われます。そのしんどさを、周囲の人が理解してあげること、そこから支援が始まりますし、当事者の対人関係能力が正の循環へと向かっていくものと思います。
         次回は「自己評価を高める共感的な他者との関係性」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        いじめた生徒は出席停止に…教育再生会議が緊急提言へ

        学校でいじめによる自殺が相次いでいる事態を受け、安倍首相直属の教育再生会議(野依良治座長)は25日、いじめ問題に対する緊急提言を来週にもまとめ、公表する方針を固めた。
         都道府県や市町村の教育委員会に対し、〈1〉いじめた児童・生徒に出席停止など厳しい対応を取る〈2〉深刻ないじめ問題が起きた場合に備え、緊急に学校を支援する態勢をつくる――ことなどを求める。
         同会議は来年1月に中間報告を作成する予定だが、自殺問題を重く見て、法改正などが不要の緊急対策を早急に打ち出すことにした。文部科学省も速やかに対策を講じる考えだ。
         学校教育法では、「児童の性行不良で、他の児童の教育に妨げがある時」は、市町村教委は保護者に対し、その児童の出席停止を命じることができると定めている。具体例として、傷害、心身の苦痛、財産上の損失などを与える場合を挙げている。
        (読売新聞)-11月25日14時41分更新
        【コメント】「出席停止」の命令は学校教育法で定められているものの、ほとんど実施されていないと聞きます。それは、「出席停止」という懲罰が適切であるかどうか、その判断と効果に疑問があるからだと思います。ある調査では、いじめという行為を「したことがある」と答える現役小中高生は過半数以上です。こうした実情において、いじめをしたら「出席停止」にする、という脅し(?)が、どんな効果があると思っての緊急提言なのか、疑問です。教育再生会議に参加する「有識者」には、さまざまな人がおられます。創意としての「提言」と言うなら、この会議の存在自体に疑問を感じてしまいます。いじめをしてしまった子どもたちが、自身の行ったことの重さや問題性を深く理解できる教育への再生こそ求められているのではないでしょうか。

        ●<いじめ>加害者からの相談も急増
         いじめ自殺が社会問題化する中、各種機関への子どもたちや親からの相談が急増している。「どうしたら抜け出せるのか」など被害者からだけでなく、加害者側からの相談も目立ってきたという。電話やメールで子どもたちの世界に接してきた担当者からは「被害者と加害者が簡単に入れ替わる環境の中で子どもたちはストレスを抱えている」との指摘が出ている。
         ◇「本当はいじめをやめたい」…苦しい胸の内も
         79年にトヨタ自動車の協力で開設された「トヨタ子ども110番」(東京都港区)では、この数カ月、いじめる子どもからの悩み相談が増えているという。
         いじめる理由は「悪いと思うがやめられない」「相手が自分より弱いと思うと安心する」「以前いじめられた仕返し」など。「仲直りの仕方が分からない」と関係修復の方法を尋ねるケースもあるという。
         相談業務をまとめる米沢琴江さんは「いじめている子は、怒られるのが怖くてなかなか誰にも相談しない」と話す。「じっくり話を聴き、自分を見つめさせること」を心掛けているという。
         NPO法人「チャイルドライン支援センター」(東京都港区)では、いじめている子が「本当はいじめをやめたい」などと苦しい胸の内を訴える声がこの1、2年目立つという。
         かつての「不幸の手紙」と似た「チェーンメール」で、いじめへの加担を強いられたという悩みも届いた。「あいつウザイ」とメールが回り、メールを次の子に送らないと、自分が攻撃対象になる。同センターの徳丸のり子常務理事は「子どもの世界では、いじめるかいじめられるか流動的な面がある。標的になりたくないという理由で、いじめに加わるケースも少なくない」と話す。
         相談機関への訴えは急増中だ。法務省が急きょ「いじめ問題相談強化週間」とした10月23~29日、同省の「子どもの人権110番」には8月の強化週間の約9倍の647件の相談が寄せられた。うち49件については「学校や教師の対応が不適切」との意見を受け、学校に対する聴き取り調査を始めた。
         東京弁護士会の「子どもの人権110番」でもいじめに関する相談は昨年度は月平均17件だったが、10月ひと月で33件あった。相談に応じている川村百合弁護士は「学校側が適切な対応ができず、かえっていじめを陰湿化させることもあり、保護者は学校だけに問題解決を任せられないと感じている」と語った。
        ■いじめに関する主な相談窓口
        ◇法務省 子どもの人権110番
         0570・070・110
        (平日8時半~17時15分)
        ◇東京都教育相談センター
         03・3493・8008
        (平日9~21時、土日祝9~17時。メール相談受付あり)
        ◇東京弁護士会 子どもの人権110番
         03・3503・0110
        (平日13時半~16時半、17~20時、土13~16時)
        ◇警視庁 ヤング・テレホン・コーナー
         03・3580・4970
        (平日8時半~20時、土日祝8時半~17時。メール相談受付あり)
        ◇チャイルドライン
         0120・7・26266
        (地域により番号と開設時間は異なる。詳細はホームページ参照)
        ◇トヨタ子ども110番
         03・3470・0110
        (月~土17~21時)
        ※国立教育政策研究所のホームページから、いじめ問題などを相談できる公的機関を見ることができる。(http://www.nicer.go.jp/integration/user/map.php)
        (毎日新聞)-11月21日15時38分更新

        ●<いじめ>人権作文コンで体験告白 沖縄の女子中学生
         人権をテーマにした「第26回全国中学生人権作文コンテスト」(法務省など主催)の入賞者が24日に公表され、いじめをテーマにした沖縄県伊平屋村立伊平屋中学1年の伊禮美朱紀(いれいみずき)さん(12)が内閣総理大臣賞に選ばれた。作品は、友人をいじめていた自分がいじめられる側になった体験を通し、いじめられる痛みを知る内容。伊禮さんは「いじめをやめて」と呼びかけている。
         作文のタイトルは「一人じゃないよ」。小学校4年の時に、「いじめの標的にされるのが怖かった」伊禮さんがいじめグループとともに、友人をいじめたと告白。しかし、小5になると今度はいじめられる側になった。
         「いじめられた人の心の傷の痛さを味わった……さびしくて、怖くて、悲しくて、心が痛くなることを初めて分かった」とつづった。そして、転校生が新たな標的になった時、いじめに加担することを勇気を持って断った。
         さらにいじめられている転校生にできることはないか。考えた末に「あんたは一人じゃないよ」と声をかけた。
         輝きを取り戻した転校生。伊禮さんは先生や親にいじめの事実を告げ、クラスみんなで話し合い、「いじめをなくすことを誓い合った」。
         伊平屋村は沖縄県北部の離島。子どものころからクラスの顔ぶれはほとんど変わらない。伊禮さんたちは中学生になったが、「あれ以来一度もいじめは起こっていない」と振り返る。そして「いじめを見たり聞いたりしたら知らんふりをせず、思いやりの手を差しのべてほしい。私は『この世の中にいじめはあってはならない』ことをこれからも訴え続けていきたい」と結んだ。
         伊禮さんは、いじめをなくし仲良くする秘けつは「言い合うこと。何でも言い合って、自分たちで解決することです」。また「(いじめられている人に)思いやりの手を差し伸べて。いじめた人は正直に謝って」と同世代の仲間へのメッセージを語った。
         コンテストには79万9103人が応募。いじめをテーマにした作品が最も多く全体の2割強に上った。
        (毎日新聞)-11月25日3時3分更新

        ●子どもの声を学校現場に 滋賀県教委 「いじめ対策チーム」初会合
         いじめを苦にした自殺が全国で相次ぐ中、滋賀県教委は児童や生徒を交えた「いじめ対策チーム」を発足させ、24日に大津市の県庁内で初会合を開いた。いじめられた経験を持つ高校生が自らの経験を語り「生徒の目線に立てば、生徒も先生を信用する」と訴えた。
         このチームは、子どもの声を学校現場に生かし、いじめをなくす方策を探ろうと設置した。メンバーは、大津市にある中央小6年の南規楽君(11)と獅子堂聡美さん(12)、打出中2年の丹保裕介君(13)、大津商3年の小森敏充君(18)の4人をはじめ、教職員や保護者ら計15人で構成する。
         この日は15人全員が出席した。小中学校時代にいじめにあった小森君は「トイレに連れ込まれたりもしたが、何をされても負けずに学校に行き続けたことで、いじめがなくなった」と述べた。そのうえで「先生と生徒は、心の距離が離れている。生徒の目線に立てば、生徒も先生を信用する」と指摘した。
         外国籍の児童に日本語を教える水戸小(湖南市)の楠田睦美教諭は「外国人の子どもは少数派で、弱い立場に置かれる。だから標的にもなりやすい。外国人同士でもいじめがある」と実態を紹介した。
         次回は12月20日前後に開き、メンバーがいじめ防止に向けた具体策を提案する予定。
        (京都新聞)-11月24日21時59分更新

        ●「いじめ相談ネットワーク」設立=清輝君父ら発起人、民間8団体連携
         愛知県西尾市で12年前、いじめを苦に自殺した市立中学2年大河内清輝君=当時(13)=の父祥晴さん(60)らが発起人となり、いじめ問題に取り組む全国の民間8団体が25日までに、「いじめ電話相談ネットワーク」を設立した。
         全国で中学生を中心に、いじめが原因とみられる自殺が相次ぐ中、名古屋市内で開かれた緊急集会で、子どもたちから「相談する場所がない」などの意見が続出。大河内さんらは、駆け込み寺のような場所が必要と判断した。
         同県内で不登校の生徒を相手にフリースクールを運営する木村茂司さん(60)が取りまとめ役となり、全国の民間団体に協力を要請、ネットワークを立ち上げた。電話やファクス、メールで24時間相談を受け付けている。 
        (時事通信)-11月25日6時3分更新

        ●両親、「本当の理由知りたい」・高畠高生自殺問題
         県立高畠高2年の女子生徒(16)が22日、同校の校舎敷地内で飛び降り自殺した問題で、女子生徒の両親は24日、「自殺した本当の理由を知りたい」「いじめはこの地域だけの問題ではない。こうした悲しい思いをする人が二度と出ないようにしてほしい」などと、中学時代の生徒を知る関係者に心情を訴えた。
         24日朝に自宅を弔問した関係者によると、女子生徒が数人の名前とともに携帯電話に残したとされるいじめの内容について、両親は「一部しか知らされていない」と述べたという。
         女子生徒は20日、学校でいじめを受けていることを母親に打ち明け、母親は翌21日、学校を欠席させた。事件当日の22日朝も母親は学校を休ませようとしたが、生徒は「いい」と言って元気に登校した。両親は「学校は安全で信頼のおける場所だと思っていたのに、娘は変わり果てた姿で戻ってきた。引き留められなかったことが悔しい」と涙ながらに話したという。
         父親は「娘は高校に入ってから表情が暗くなってしまい、明るい写真がない」と漏らし、遺影は中学生時代の写真を使っているという。
         この関係者は「女子生徒は正義感が強く、思いやりのある優しい子どもだった。両親に心配をかけまいとするあまり、いじめを1人で抱え込んでしまったのではないか」と話している。
        (山形新聞ニュース)2006年11月25日土曜日

        ●発達障害児:学齢期以降も支援を 親の会など長崎市に陳情/長崎
         日本自閉症協会県支部と長崎学習障害児親の会「のこのこ」など4団体は20日、学齢期以降も発達障害児に適切な支援を継続することなどを求める伊藤一長市長あての陳情書を提出した。
         陳情書では、保護者や学識経験者などによる連絡協議会の設置▽市障害福祉センター(茂里町)の事業として「学齢期以降の発達障害児・者支援」を位置づけたうえでの支援充実や人材確保――などを求めた。同センターは未就学児の診察や療育、保護者の相談などを実施しているが、特例を除き学齢期以降は支援の対象にしていない。両会は、05年の市議会で同趣旨の請願が全会一致で採択されたが「市の方針が変わっていない」として、今回改めて陳情した。
         自身も発達障害児の親で、思春期外来で診療する長崎大大学院の岩永竜一郎助教授(38)は「発達障害は早期発見と継続支援をしないと不登校、強迫症状といった2次、3次障害につながる可能性がある。一度社会に不信感を抱くと就労も困難になり、ニートの原因にもなる」と話した。
         一方、市側は「センター内の他事業の状況や財政状況をみながら検討したい」と述べた。4団体が求めた文書による回答は拒否した。
         発達障害には、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、アスペルガー症候群などがある。うまく意思疎通ができない、関心に激しい偏りがあることなどが特徴。先天性の脳の機能障害ともいわれ、早期発見と継続的な療育で社会適応を支援することが重要とされる。
         文部科学省の調査では、特別な教育的支援を要する小中学生は通常学級で6・3%に上る。長崎市では05年度、発達障害の診断を受けている小学生は150人(0・7%)、中学生は40人(0・3%)だった。佐世保市などは学齢期以降も支援をしている。
         「のこのこ」は、保護者などからの相談を受け付けている。連絡先は事務局長の谷栄子さん(095・857・7713)。
        11月21日朝刊
        (毎日新聞)-11月21日16時1分更新
        【コメント】市議会で請願が採択されていながら、その具体化が進まないために陳情…。家族会ノンラベルで昨年12月京都府議会に請願、採択された「高機能広汎性発達障害(児)者への民間の療育・支援への援助に関する請願」も1年が経とうとしていますが、具体的な動きは何もありません。それどころか、ほとんどの都道府県・政令市に設置されている発達障害者支援センターの設置に向けた議論も遅々として進んでいないようです。来年度から義務教育において特別支援教育がはじまり、これまでの児童相談所などにおいての発達障害を有する児童・生徒への支援は一定充実が見込まれますが、中学を卒業したあとの公的な支援は公的にはほとんどないのが実情と言えます。「財政状況の問題」ではすまされない、緊急の課題であることを、行政は理解すべきです。

        ●不登校の子らの就労支援 カフェ開店 宇治で交流の輪拡大へ
         ひきこもりや不登校の子どもたちのほか、地域住民の交流拠点にもなっている京都府宇治市木幡の「ほっこりスペースハートあい」が22日、コミュニティーカフェを開店する。ひきこもり経験者の就労へのステップとして、誰にでも開かれた地域交流の場として、活動5年を機に新たな門出を迎える。
         「ほっこりスペースハートあい」は2001年6月、不登校の子どもを持つ親たちが、住宅街の一角に民家を借りてスタートした。子どもが自由に過ごせる「居場所」として始まったが活動は広がり、現在は高齢者や地域住民も集まる。現在、スタッフが5人、会員が45人いる。
         カフェはスタッフで元小学校教諭の平尾裕子さん(54)が今夏、発案した。不登校の青少年の出口になればと、滋賀県や和歌山県の子育て支援の勉強会に出かけて現地のカフェも見学し、「宇治でもできるかも」と決めた。
         活動拠点としている民家の2部屋を充て、コーヒーや紅茶、市内の共同作業所が作るケーキを出す。府社会福祉協議会の助成金で家具や材料を購入し、準備した。
         西村育子代表(38)は「歌声喫茶のように楽しいイベントも開きながら、多くの人に知ってもらい支援の輪を広げたい」と話している。
         カフェは宇治市木幡御蔵山39ノ622、TEL0774(38)5058。営業は月曜から金曜までの午後1時-4時半。
        (京都新聞)-11月22日12時7分更新

        ●『いじめと命の問題 家族で話し合って』
        作家・落合恵子さん講演で訴え
         「かわさき子どもの権利の日のつどい」(同実行委など主催)が十九日、川崎市中原区の中原市民館で開催された。記念講演では、作家落合恵子さんが全国で子どもの自殺が相次いでいることを踏まえ、「大人社会の一員として子どもがいる。いじめは大人社会の責任。自分の子どもを愛し、次の世代のことを考えているなら、大人はもう傍観者であることはやめましょう」と呼びかけた。 (飯田克志)
         市は二〇〇一年四月、全国に先駆けて市子ども権利条例を施行。国連が一九八九年に子どもの権利条約を採択した十一月二十日を「権利の日」と定めていて、その前後に同つどいなど子どもや家族の問題に関するイベントが市内で催されている。
         落合さんは人権や教育、介護などについて執筆。この日は「子どもとおとな、同時代を生きる…それぞれが自分色に輝いて」と題して講演した。
         落合さんは「子どもたちは今、目立たないことがいじめにあわないですむ、という言葉にしないコンセンサスを持っている。大人はどれだけ気づいているだろうか」と子どもの社会の現実に触れ、「社会の中で大人が傍観者であるかぎり、子どももそのことを学んでしまう」と指摘した。
         また、いじめを受けて家出してきた孫に、「いつでも来ていいよ」と何も聞かず受け止めたおばあさんの体験を紹介し、子どもの居場所や逃げ場所の大切を訴えた。
         さらに、「いじめる側にいる子も悲しいものを背負っている。いじめを受けているかだけでなく、いじめる側に自分の子どもがいないかも意識して、家でいじめと命の問題を話し合ってください」と語りかけた。
         最後に、「子どもの人権を考えることは、高齢者、女性、障害者の人権を考えることとつながっている。ここまできたら、新しい風を吹かせるしかない。『助けて』と言い合える社会にしていきましょう」と呼びかけた。
        (中日新聞)-11月20日

        ●<タウンミーティング>公務員動員15回 毎日新聞調査
         政府主催のタウンミーティング(TM、全174回開催)で「やらせ質問」問題などが発覚したことを受け、毎日新聞は22~25日、第2回全国調査を実施した。その結果、政府の依頼で自治体が職員を対象に参加者を募る「公務員の動員」について、安倍晋三首相が今年5月、官房長官時代に出席した札幌市のTMでも行われていたことが新たに判明した。動員のあったケースは札幌分を含めて少なくとも15回に上り、特に小泉前政権末期の06年度には計19回のTMのうち5回と多かった。会場を満席にするため、公務員による「穴埋め」が常態化しつつあったことが分かった。
         札幌市でのTMは、安倍首相が目玉政策として推進してきた「再チャレンジ」がテーマ。内閣府が口頭で「数十人集めてほしい」と北海道庁に要請。道庁は各部に参加を呼びかけ、幹部を含めた道職員数十人が参加者として事前登録した。06年度に道内で開かれた他2回のTMでも同様の要請・呼びかけがあった。
         公務員らの動員は判明しただけで01~03年度の6回に対し、04~06年度は9回に達した。今年4月の富山市でのTMでは内閣府が「参加者が少ない。50人集められないか」と県に要請。01年11月の水戸市のTMでも茨城県が呼びかけ、職員ら約60人が申し込んでいた。
         また、県などが質問者をあっせんしたケースは調査で判明した分だけでも20回に上った。「少子化」をテーマにした今年8月の岐阜県飛騨市のTMでは、市が保護者会関係者ら15人に質問を依頼し、質問内容は市の配布資料を参考に自主的に考えるよう要請した。当日は9人の質問者のうち、5人が市の依頼したメンバーだった。
         一方、「やらせ質問」は教育改革を扱った計5回のTMに加え、02年11月に京都市で内閣府と京都大が共催した「大学発タウンミーティング」でも行われていたことが発覚した。「経済連携」をテーマとした04年9月の鹿児島市のTMでも「未遂」が判明している。
         内閣府の「タウンミーティング調査委員会」(委員長・林芳正副内閣相)は都道府県や関係省庁の担当者などを対象に実態調査に乗り出しており、27日以降、調査結果を順次公表する方針だ。
        (毎日新聞)-11月26日3時6分更新
        【コメント】あきれはてて、言葉がありません。小泉劇場の裏側が徐々に明らかになってきているのでしょう。タウン(町中)でのミーティング(話し合い)も、お金と権力で操っていたわけですね。

        広汎性発達障がいと対人関係能力(3)
        2006/11/16
         昨夜は、私が司会を務める、家族会ノンラベル主催の「アスペルガー援助者養成講座【第5弾】」の第3講、京都教育大学発達障害学科の小谷裕実先生が、「ソーシャルスキルトレーニングの実践から」と題して話されました。まんがやコミック会話、劇ごっこなど、対人相互関係に困難さのある広汎性発達障害の子どもたちに、対人場面でより適切な対応を獲得してもらうための、視覚的な学びと理解の支援を中心として実践研究を紹介されました。
         広汎性発達障害の人たちの多くは、会話場面で、自分の興味関心のあることを一方的に話し続けて会話がなりたたない、相手の目や顔を見て聞き話すことができない、相手の言葉を字義通りに受け取ってしまい相手の隠された気持ちを読み取ることができない、などの困難さを持っておられます(定型発達の側から見ればの話しですが)。例えば、相手の目や顔を見て会話ができない、には理由があることをご存じでしょうか? 相手の目や顔の表情を見ていると、そちらに気が散ってしまって、自分が話そうと思うことを頭の中で整理しまとめる作業ができなくなるようです。集中できることは長時間取り組めるという長所のある反面、同時に複数のことを行うことが難しい、という特性があります。
         こうした困難さを持っていても、相手の目や顔を見ながら会話をすることが、人と会話をするときのルールであり、相手が自分により話したい気持ちになるということを、コミック会話や劇、ソーシャルストーリーなどで丁寧に教えてあげることで、会話のスタイルを獲得し、相手の気持ちを考えながらの会話ができるようになっていきます。アスペルガー障害の人たちの多くは、元々人が好きですから、会話が成り立つことで話しができる人が増えることは喜びであり、達成感を感じるものです。ただ、それを一人で獲得していくことができません。定型発達の人と広汎性発達障害の人とが話をするときに、「通訳者」がいて、話しの意図をわかりやすい言葉に変えて伝えると会話がなりたつことを数多く体験してきました。この通訳者の作業こそが、相手の言葉の奧にある気持ちを広汎性発達障害の人に理解してもらうトレーニングとなっています。
         対人関係の困難さという特性と、それを補う支援の方法を知っている人が、広汎性発達障害の人の近くにいて、対人場面で丁寧に援助することで、対人関係の困難さの多くは克服していけます。こうした援助者(ご家族も含めて)が一人でも多く、早急に育って行ってほしいと思います。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(4)」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        いじめ被害者と加害者、容易に逆転 京大助教授ら高校生を調査

        いじめたり、いじめられた経験のある生徒は、被害者、加害者の立場が逆転しやすく、一方に固定していないことが、京都大医学研究科の木原雅子助教授(社会疫学)と全国高校PTA連合会が14日発表した高校生約6400人を対象にした共同調査で分かった。
         全国でいじめによる自殺が相次いでおり、いじめる側、いじめられる側の双方にケアが必要な状況が明らかになった。
         木原助教授らは今年9月、執拗(しつよう)なからかいや無視など本人が不愉快になることを「精神的ないじめ」と定義し、全国45公立高の2年生男子3501人、女子2905人に文書アンケートで回答してもらった。
         調査によると、いじめた経験があると答えたのは、小学校で6割以上、中学校で5割前後、高校は男子で4割前後、女子で3割弱で、いじめられた経験があるとの回答もほぼ同じだった。
         さらに、小、中学校で仲間をいじめた経験、いじめられた経験のある生徒は、経験のない生徒に比べて、7-9倍の割合で逆の立場になったことがあると回答。高校生では、この割合は16-17倍にもなり、いじめる側といじめられる側が高い割合で流動化する傾向があると分かった。
         アンケートでは、人間関係といじめとの傾向も調べた。信頼できる友達や教員、家族がいないと答えた生徒の方が、いると答えた生徒よりも、いじめをした経験が1・3-2倍の割合で高く、人間関係の希薄さが、いじめにつながる傾向も見られた。また、テレビやゲーム、インターネットといじめる側との関係で、長時間テレビを見たり、ネットをする生徒の方が、そうでない生徒に比べて、いじめた経験が1・2-1・9倍の割合で高かった。いじめを受けた相手を尋ねる設問(複数回答)では、9割が同級生だったが、教員を挙げた生徒も2割前後いた。
         木原助教授は「弱いからいじめられるだけではなく、状況に応じていじめは行われることが明らかになった。いじめられる側とともに、いじめる側の背景を探り、ケアやサポートを行う必要がある」と話している。
        (京都新聞)-11月15日9時47分更新

        ●「同級生が金銭要求」中3男子が首つり自殺…埼玉
         12日午後7時半ごろ、埼玉県本庄市の中学校3年の男子生徒(14)が、自宅敷地の倉庫内でロープで首をつって死んでいるのを母親(39)が発見し、119番通報した。
         県警本庄署は自殺とみて調べている。中学校は「この男子生徒から、同級生に金銭を要求されていると相談があった」と説明しており、同署で自殺との関係を調べている。
         調べによると、生徒は同日午後2時ごろに昼食を食べた後、行方が分からなくなっていた。遺書は見つかっていない。中学校によると、男子生徒は6日に「同級生に『500円を返せ』『利子がつくので2万円返せ』と要求されている」と相談していた。男子生徒の家族は、「悩んでいる様子はなかった」と話しているという。
        (読売新聞)-11月13日8時59分更新

        ●「いじめ」未報告の校長が首つり死亡
         福岡県北九州市の林の中で、小学校の校長が首をつって自殺しているのが見つかりました。この小学校では、女子児童が同級生らからたかられ、現金を渡していた事が分かり、校長は11日に謝罪していました。
         死亡したのは北九州市の市立小学校の56歳の男性校長です。警察によりますと12日、家族から捜索願が出され、午後2時半過ぎに北九州市八幡東区の林の中で首をつって死亡しているのが見つかったということです。
         この小学校では5年生の女子児童が同級生ら8人から現金をたかられ、合わせて10数万円を渡していた事が発覚していました。学校側は「いじめ」があったと認識していたにもかかわらず、市教委に「金銭トラブルがある」としか報告していなかったことから、校長は11日に記者会見を開き、謝罪していました。
         「何とも言いようがないんですが、遺書等もまだ無いというふうに聞いておりますし、校長先生の立場からしたら、自らこの問題の解決の先頭に立っていただきたかったという思いがあります」(北九州市教育委員会・大庭清明教育長)
         北九州市教育委員会は12日夜の会見でこのように述べたうえで、今後、児童の心のケアにつとめていくとしています。(12日22:22)
        (JNN)[13日6時25分更新]

        ●<自殺予告>止まらぬ連鎖…有効策なし焦り濃く
         伊吹文明文部科学相あての「いじめ自殺予告文書」を受けて全国的な警戒が続く中、子どもの自殺が止まらない。文書を公表したものの、相次ぐ予告に戸惑う文科省。教育委員会、各学校も即効性のある対策は打ち出せないままだ。連鎖は食い止められるのか。子どもたちに「命」の大切さをどう伝えるか。過去にも度々社会問題化したいじめ問題の教訓はいつ生かされるのか。【佐藤敬一、吉永磨美】
         「連鎖的なものが来ることは覚悟していた」。13日行われた、日本記者クラブ主催の記者会見。招かれた伊吹文科相は苦渋の表情で、自殺予告の手紙が続いていることに言及した。
         文科省が「11日に自殺する」との手紙を公表したのは7日未明。各都道府県教委にいじめの正確な把握と報告を求めている手前「情報隠し」はできない事情もあった。伊吹文科相は「(公表してもしなくても)どちらになっても必ず非難を受ける。非難は私が受けるんだと、毅然(きぜん)とした姿勢を示さないと教委、校長がついてこない」と選択の理由を強調した。
         しかし、公表の影響は予告手紙が相次いだことで明確になった。自殺の原因や予告手紙との関連性が不明ではあるものの、12日に大阪と埼玉で中学生が命を絶った。大阪の飛び降り自殺の一報が入ったのは「いじめ自殺予告」の警戒中。銭谷真美・初等中等教育局長ら幹部も駆けつけ、省内は緊迫感に包まれた。
         1通目の手紙を見た総務課職員が「(手紙の内容が)本当だったら危ないなと思った。かなり緊迫していた」と話していたが、その状態は今も続く。
         教育基本法改正の国会審議に加え、タウンミーティングでのやらせ、高校の履修単位不足、いじめの「三重苦」で文科省職員の疲労も色濃い。問題が次々と発生し、いじめ問題に対する抜本的な解決策を検討するいとまもなく、解決策の検討は「お手上げ」(ある幹部)という。
         13日、新たに届いた2通の手紙について会見をした児童生徒課の木岡保雅課長は「公表によって救われた子どもも多くいるのでは、と考えている。ですから、一つ一つのケースについてできる限りのことをしてまいりたい」と公表の効果を強調した。しかし、具体的な解決策を示さなければ、マイナスの連鎖が続く可能性も捨てきれない。
        ◇「連鎖」断ち切るには…
         今夏以降、各地でいじめが原因とみられる自殺が問題化している。その「連鎖」を断ち切るにはどのような方法があるのか。
         8月17日、愛媛県今治市の中1男子が首つり自殺。遺書には3年間にわたり「貧乏」「泥棒」呼ばわりされ「最近生きていくことが嫌になってきました」と記されていた。
         北海道滝川市の小6女児が昨年、教室で自殺を図り、今年1月死亡した事件では、10月になって女児の遺書を市教委が事実上放置していたことが発覚。さらに10月11日には福岡県筑前町の中2男子、23日には岐阜県瑞浪市の中2女子がそれぞれ自殺した。文科省にいじめ自殺の予告手紙が次々に届き、全国各校で問題の再点検など行われる中、12日に大阪府富田林市と埼玉県本庄市で中学生が自ら命を絶った。
         多くが同様の手段を選んでおり、先行する事件の影響を指摘する声もある。社会評論家の赤塚行雄さんは「戦前に伊豆大島・三原山で自殺が相次ぎ社会現象になるなど、ある時期に次々と自殺が続くことは昔からある。何か心が傾いていると、解決法として『この手で行こう』と引っ張られる」と分析する。
         86年にはアイドルの岡田有希子さんが自殺し、後追い自殺が社会問題化した。警察庁のまとめによると、86年の19歳以下(未成年)の自殺者数は前年比約1.4倍の802人に達した。岡田さんと同じ方法での自殺が多かった。愛知県西尾市の大河内清輝君のいじめ自殺事件が問題化した94年の未成年者の自殺数も580人と前年より多くなっているが、98年以降600人弱から700人超と、より深刻化した。
         履修漏れ問題も含め、「校長の自殺」も最近の特徴だ。ジャーナリストの江川紹子さんは「先生にとり良い職場でない学校が、子どもにとって良い学びの場であるわけがない」と教育者の自殺の背景に思いをはせる。その上で「根本的に何が問題か考えなければいけない。1人だと行動しない子どもたちも、集団自殺のように1人じゃないという仲間意識が芽生え、連鎖的に行動するのでは」と指摘する。
        (毎日新聞)-11月14日3時8分更新
        【コメント】連鎖の問題は、背景に、自殺念慮の状態にある子どもや教師、大人が、自殺者の数倍、あるいは数十倍いることを明らかにしていると思います。「いのちの大切さ」「こころの教育」といった一般論も必用ですが、「死にたい」と思っている人、個々人の具体的な悩みやその背景に寄り添える人の存在こそが、今求められているのではないでしょうか。

        ●<いじめ自殺>素早い対応で防止 母親が体験語る
         大阪府富田林市の中学1年、大川理恵さん(12)の自殺で、家族が明かした「チビと言われて泣いていた」といういじめ体験。同じ悩みを持つ長男が同様のいじめに遭い、自殺を何度も口にしたという首都圏在住の女性(43)が「周囲の理解もあって乗り越えた。その体験を伝えたい」と家族の闘いの経緯を語った。【竹中拓実】
         女性の中学3年の長男(15)は幼少時、成長ホルモンの分泌が減って身長が伸びにくくなる難病と診断された。小学校入学時の身長は3歳児並みの95センチだった。
         最初にいじめに気付いたのは入学後間もなく。通学路でランドセルをいくつも頭の上に乗せられているのを上級生が見かねて伝えてくれた。「人間だるま落とし」。名前まで付いているのを聞き、血の気が引く思いがした。
         6年生になり、いじめが悪化した。身長は小6の平均より30センチ低い115センチ。秋ごろから、女性の財布の現金が少しずつ減るのに気付いた。額が10円単位から100円単位、1000円単位と増えていく。当初は「落としたのか」と考えたという。
         そして元日。新年の抱負を話していたが、「僕はもう死にたい」と長男が口にした。理由を説明してくれない。2月にバッグから10万円が消えた。女性は長男を捜し、家電量販店で同級生たちに1万円ずつ渡していた現場を見つけた。10円単位のおごりが1万円単位のゆすり、たかりに発展していた。
         女性は自殺にまで至らなかった理由の一つに「学校の素早い対応」を挙げる。その日のうちに、校長は関係する児童と保護者を呼び、一家族ずつとじっくり話し合ったという。
         長男は今、高齢者介護の職場で働く夢などを語る。大川さんの報道について家族で話した時、経験を伝えようと決めた。
         女性は「外見をからかうのは子どもではよくあること。そんないじめがなくなるなんて思っていません。ただ、そのたびに周囲の大人には『そんなことを言ってはいけない』と指導してほしい」と願う。
         「学校がいじめの相談を受けた時に『しばらく様子を見ましょう』というのは絶対だめです」
        (毎日新聞)-11月16日15時6分更新

        ●<大阪中1自殺>15人がいじめ 学年アンケートで判明
         大阪府富田林市の中学1年、大川理恵さん(12)の自殺で、市教委と学校側は18日、同学年の154人全員を対象にしたアンケートと作文の結果を公表した。いじめがあったことを4割以上の生徒が知っており、延べ15人が自らいじめたことを認めたという。学校側は、いじめと自殺の因果関係を認めたうえで、身体的特徴をとらえた「チビ」という言葉が精神的苦痛を与えたとみられるとしている。
         148人から回答があったアンケートでは、▽「チビ」と呼ぶ▽大声で威圧する▽通せんぼ▽バレーボールを当てる▽悪口――の五つのいじめ行為があったことが判明。「チビ」と言われていることを65人(44%)が知っていた。それを中学での出来事としたのは33人、小学校での出来事としたのは32人おり、小学生のころから続いていたことをうかがわせた。しかし、「実際に自分が言った」という回答は0だった。
         作文では、▽通せんぼ5人▽大声4人▽バレーボール3人▽きつい言葉を言った3人――の延べ15人が自ら加わったことを認めた。
         市教委と学校側は自殺との因果関係をより精査するため調査を続ける方針を示した。
         新美好正校長は「一連の(いじめ)行動も自殺に至らしめた精神的苦痛の要因となったと受け止めている」と話した。
         大川さんは生まれつきの病気で成長が遅く、深く悩んでいたことを遺族が証言している。
         また、大川さんの自宅には初七日のこの日夜、同級生ら約30人が教員に引率されて弔問に訪れた。会見を終えた新美校長と堂山博也・市教育長も訪れ、アンケートの結果を遺族に説明した。大川さんの父和夫さん(49)によると、新美校長は仏壇の前で涙を流し、うなだれていたという。
         和夫さんは、学校側が自殺の要因をいじめと認めたことについて「やはりそうだったのかと思った。学校の対応が至らなかったからだ。犠牲者を増やさないためにもきちんと対応してほしい」と話した。同級生の弔問については「これだけ友人が来てくれたのはうれしい。ただ生きている間にもっと仲良く出来たら良かったのに」と声を落とした。
        (毎日新聞)-11月18日23時0分更新

        ●子の立場で接して 九州特別支援教育研究大会
         第40回九州地区特別支援教育研究連盟研究大会(九州地区特別支援教育連盟主催)が9、10の両日、那覇市西の県男女共同参画センターなどで開かれた。9日の全体会では千葉大学教育学部の太田俊己教授が講演。「子どものニーズを把握し満たす基本は、子どもの立場で一人一人の思いを読み取ろうとすること」などと強調した。 大会には九州各県から盲、ろう、養護学校や、小中学校の養護学級の教員らが参加した。第35回県特別支援教育研究大会も兼ねた。
         講演で太田教授は「『一人一人のニーズに合わせた支援が必要』とよくいわれるが、具体的に何をすれば良いのか、ニーズの中身が分からなければ支援できない」と説明。さらに「特別支援が必要な子どものニーズは医師など専門的な立場で分析し、見極めるものととらえる風潮があるのではないか」と指摘。「いつも接している教師が主体的に判断することが必要だ。子どもたちが主体的にやりたいことを、子どもの思いをくんで感じ取ることが必要だ」と強調した。
         10日は「自閉症への支援」「LD・ADHD等への支援(センター的な機能)」など八分科会で公開授業などが行われた。
        (琉球新報)-11月17日10時10分更新
        【コメント】日々子どもたちと接している大人に、発達の課題があるかも…と気づく知識と経験が求められています。しかし、気づいた後、発達障害を診断してもらえる医師が絶対的に不足している現状も、一方で厳然とあります。児童・青年期の精神科外来やクリニックを増やす国の施策の必要性を痛感します。

        学校社会といじめ
        2006/11/12
        今回は予告していたテーマを変えさせていただきます。
         「生きろ」「死なないで」「君は一人じゃない」…、いじめ自殺予告の手紙が文部科学大臣に送られた後に、寄せられたメッセージの中で、自殺を考えている人に向けて励ます内容とおもわれるものです。一方で、「いじめられる側を鍛える必用がある」、あるいは石原東京都知事の「自分で戦ったらいい。ファイティングスピリットがなければ、一生どこへ行ってもいじめられるのではないか」などといったいじめられる側の責任に言及するものも見られます。テレビ番組でも長時間の枠をとって、いじめ問題を核として現在の教育のあり方をめぐり議論するものが日々放映されていて、様々な立場から様々な見解が述べられています。
         強者が弱者よりも優位に立つというのは生物のもつ本能ではあります。人間社会以外の自然界では、この本能に基づいて序列ができ、食物連鎖が築かれ、自然淘汰が行われ、また群れが形成されるなど、その役割には普遍的な意味があります。では、人間社会においてはどうでしょうか?
         人間は近代社会において基本的人権という理性的尺度を持ち、生存権とともにそれら概念に基づいて憲法や諸法を策定してきました。人として生まれた以上、何人も人として生きる権利を奪われることがない、これが現代社会を構成する基本的な前提です。いじめは、この前提を奪う、根源的な過ちであると思います。しかし、そのいじめが高度な経済力をもつ日本において近代以降も面々と続き、いびつに深化・進化していくのはなぜでしょうか?
         日本では、「法律ノ範囲内」という限定つきではありましたが明治22年公布の明治憲法において基本的人権が保障されます。遡ること、明治5年に「学制」が公布され、日本の学校教育制度がスタートします。日本の学校制度はこの学制スタート時から、様々な時代の変化があっても、基本的に変わらず営まれてきたと言われています。学制公布後17年経って「基本的人権」が確立される、このズレが気になって仕方ありません。学制に定められた初等教育の革新のために、明治5年に東京に師範学校(翌年、東京師範学校に改称)が作られ、小学校教師のための近代的な教育方法の伝習、新しい小学教則の編成、また小学校用の教科書の編纂が取り組まれています。これらの作業の中に、基本的人権の尊重という基本的理念が貫かれていたかどうか、意外と重要な問題なのかも知れません。
         いずれにしても、現代の学校社会は、不登校を「病欠」と、自殺を「事故死」と、いじめ自殺を理由「不明」の死亡とカウントし、その経過や原因、関係性を精査することなく、学校関係者の保身のために隠蔽とごまかしに終始してきたことが、今回のいじめ自殺報道を契機に、白日の下に曝されようとしていることは事実です。また、学校教育における印象の数値化による人物評価や学力テストなどによる序列化、「能力」評価などによって競争が煽られ、子どもたちのなかに歪んだ人間関係が形成されてきたことも否定できない事実でしょう。親もまた、こうした学校社会で育った人間です。悪しき連鎖が生む悲劇は、学校社会において社会的弱者である子どもたちの日常において具体的に症状化しています。
         しんどいことを「しんどい」と、辛いことを「辛い」と言えない社会、それが今の日本社会に貫かれている価値観だとしたら、いじめを受けている子どもたちが学校社会において、自身の気持ちを表明することはほとんど期待できません。人として生きる自分自身を大切に思える気持ちが十分に育つ社会であれば、しんどさや辛さを表明でき、それを周囲が受け入れることが可能になると思います。「格差」肯定社会から、人間尊重社会へ、転換への舵を切ることが求められています。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(3)」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。いじめ自殺問題をはじめとして、盛りだくさんになっています。

        <いじめ調査>やる方が「悪い」は半数以下 希薄な罪の意識

        いじめがあった時「いじめる方が悪い」と考える子どもが中学、高校で半数にも満たないことが、民間団体の調査で分かった。また、いじめを受けた際に相談できる相手を聞くと「教師」はわずか19%で、「いない」と答えた子どもは2割を超えた。文部科学省の統計報告がいじめ自殺をゼロとしてきた裏で、標的の子が罪の意識の希薄な子どもに追いつめられた上、周囲の大人が十分対処できていない様子が浮かび上がった。
         いじめをなくそうと呼びかけているNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)が、過去3年間に講演活動で訪れた全国の小学校8校、中学校23校、高校5校の児童生徒約1万3000人を対象としたアンケートの結果をまとめた。
         それによると、「いじめる方が悪いと思うか」と聞かれ、「はい」と答えた小学生は6割を超えた。しかし、中学、高校生は4割台だった。「いじめられても仕方のない子はいるか」の問いに「いいえ」と答えたのは、小学生ではかろうじて半数を超えたが、中学生では4割を切った。
         一方、「いじめはなくせるか」との問いに「はい」と答えた比率は、学年が上になるほど少なくなる。「いじめを相談できる相手」は、「友だち」(56%)が多く、親は39%にとどまった(複数回答)。
         また、「周囲でいじめやそれに類する行為が今までにあった」と考える児童生徒は全体の82%に達し、いじめがまん延している実態がうかがえる。
         同NPO理事の小森美登里さん(49)は「年齢が上がるにつれ、いじめに対する慣れやあきらめが広がるようだ。優しい心で人とつながる方が心地よいということに気づいてほしい」と話す。
           ◇   ◇
         講演で全国を巡り、娘がいじめを受けて自殺したつらい体験を語る小森さんのもとには多数の感想文が寄せられる。いじめの悩みを打ち明ける子もいる。
         公立小5年女子はこう書いた。「級友と帰る時、草むらにおされたりカラーペンで(家の近所の)トンネル(の壁)に名前を書かれたりしました。油性ペンで消すのがたいへんで、つめや指がまっ黒に汚れました」
         講演を聞いた大半の子は「人を死に導くものだと分かった」(公立中1年女子)と、いじめへの認識を新たにしている。ただ、ごく少数だが、こんな感想もある。「いじめが悪いとは思いません。人が(いじめを)やるのもその人の個性だ」(公立小6年男子)
        (毎日新聞)-11月7日3時9分更新

        ●[いじめ自殺]慎重報道求める 予防総合対策センター
         国の機関「自殺予防総合対策センター」は、いじめ自殺報道が過熱化すれば若年層に悪影響を与えかねないとして、HPの冒頭でWHOの自殺報道ガイドラインを紹介し、マスコミに慎重な報道を呼びかけ始めた。ガイドラインは、適切な報道が自殺予防に役立つ点を認めつつ、報道が自殺行動に影響する可能性にも言及している。
        (毎日新聞)2006年11月06日03時31分

        ●徴収金未納で鹿児島県内小・中学校 担任に「取り立て競争」も 県教組調査
         県内の小、中学校で給食費など徴収金の未納家庭に対し、担任教師が職場を訪問して徴収したり、“取り立て”を競わせる学校があったことが、県教職員組合の調査で明らかになった。未納がいじめの原因になった事例もあり、県教組は鹿児島市で4日から開かれた県教育研究集会で報告。調査結果を40年ぶりとなる「教育白書」にまとめる方針だ。
         調査は小、中学校の教職員と保護者に対し8‐9月に無記名で実施。徴収金未納などについて教職員1340人、保護者779人から回答を得た。
         徴収金の未納があると答えたのは、学級担任教諭957人中、399人(約42%)。うち83人の教諭が自分で立て替え、132人は督促などを行っていた。190人が未収金のままだった(重複回答)。
         督促の方法はほとんどが電話や文書だが、中には家庭、職場への訪問も。「卒業アルバムと引き換え」として、結局アルバムを渡さなかった例や、管理職が「回収できなかったら担任の責任」と発言したり、職員室の黒板に学級ごとの徴収金残高を書き出し、担任に“取り立て”を競わせたりした例もあったという。
         未納が原因で、子どもが「食い逃げ」「給食泥棒」などといじめられたという指摘もあった。
         また教職員の80%以上が「保護者の経済力が子どもの学力格差に影響している」、保護者の約60%が「教育費を負担」と感じていると回答した。
         県教組は「この生の声を通じて教育予算の増額、保護者負担の軽減を訴えていきたい」と話している。
        (西日本新聞)-11月6日10時10分更新

        ●<いじめ自殺>文科相あてに予告手紙届く 小中学生の男子か
         文部科学省は7日未明、いじめを苦にした自殺予告の手紙が6日午前中に伊吹文明文部科学相あてに送られてきたと発表した。手紙は「僕は、いじめが原因で11月11日土曜日に自殺することを証明します。手紙を書いた理由は生きていくのがつらいからです」などとつづっていた。内容や字体から小中学生の男子からとみられる。文科省は、消印から差し出した地域とみられる21都道府県39市区町村の教育委員会に該当する子供がいないか探すよう通知した。
         封書には、文科相、教育委員会、校長、担任、同級生、同級生の保護者、両親にあてた手紙7通が同封されていた。それぞれ、便せんや原稿用紙1~2枚に記され、8日までにいじめの状況が変わらなければ、11日に学校で自殺することを予告している。
         文科相あての手紙には「先生は何もしませんでした」、担任へは「なぜ僕をたすけてくれないのですか」、同級生には「クラスのみんなへ」と題し、「みんな責任をとって自殺してください」、両親へは「ごめんなさい」などとつづっている。消印は4日付。差出人の名前、学校名などが特定できる情報はない。
         消印に「豊」という1文字だけ見えたため、文科省は「豊」を含む集配郵便局のある21都道府県39市区町村教委に連絡し、いじめの相談・報告があるか確認している。
         午前0時過ぎに会見した銭谷真実・初等中等教育局長は、公表に踏み切った理由について、「手紙通りとすれば、11日に自殺すると言っているわけで、一度しかない命を大切にしてほしいと考えた。大人もいじめ問題の解決のために頑張るから、ぜひ生きてほしいというメッセージを(マスコミに)伝えてほしい」と話した。
         いじめを苦にした自殺では8月に愛媛県今治市で中学1年の男子が遺書を残し首つり自殺。今年10月上旬、北海道滝川市教委が小学6年の女子児童(12)の自殺をいじめ自殺と認めて以降、福岡県筑前町立三輪中学校2年の男子生徒(13)が自宅で首をつって自殺したほか、岐阜県瑞浪市の中学2年生の女子生徒(14)も自宅で首をつって自殺している。文科省は10月19日、都道府県・政令市担当者の緊急連絡会議を開き、いじめの兆候をいち早く把握することなどを求める通知を出していた。
        (毎日新聞)-11月7日1時27分更新

        ●いじめ自殺「予告」の手紙、文部科学省に届く
         文部科学省は7日未明、「いじめが原因で自殺する」という内容の男の子が書いたと見られる手紙が同省に届けられたと発表した。
         午前0時15分すぎに会見した銭谷真美・初等中等教育局長によると、あて名に「文部科学省 伊吹文明大臣様」と手書きで書かれた封筒に、(1)大臣(2)教育委員会(3)校長先生(4)担任の先生(5)クラスのみんな(6)クラスのみんなの保護者(7)両親――にあてた計7通の手紙が入っていた。6日午前中に郵送されて来たという。
         学校でいじめを受けているとし、8日までに状況が変わらなければ、11日に学校で自殺すると書かれていた。「クラスのみんな」あてには「なぜ僕をいじめるのですか。キモイからですか。クサイからですか。なぜ僕のズボンをおろすのですか」。校長あてには「なぜ親がずっとまえから校長先生にいじめのことをいってもずっとなにもしないのですか」などとあった。
         差出人の名前や住所、学校名など個人を特定できる情報は書かれていなかった。消印の一部には「豊」と見える文字があり、文科省は、この文字を含む全国の集配局を調査。21都道府県の39市区町村の44郵便局が該当することが分かった。4日に投函(とうかん)されたとみられるという。
         文科省は、該当する都道府県教委を通じ、これらの局を含む自治体の教育委員会に連絡。該当するような相談を受けていないか、民間の電話相談窓口なども含めて調査するよう指示した。
         本当の自殺予告と判断した理由について、銭谷局長は「11日に自殺する、とはっきり書いてある」としたうえで、「大臣に対して行動してほしいという要請の手紙だろうと判断した」と説明。
         記者発表した理由について「私どもとしては、たった一つしかない命を大切にしてほしい。文科省も大人も、いじめの問題解決のためにがんばるから、『ぜひ、生きてほしい』とのメッセージを伝えたい」と話した。
        (asahi.com)2006年11月07日01時11分

        ●「いじめ自殺」調査方法見直し…文科省
         いじめを苦にした児童・生徒の自殺件数調査が実態を反映していないとされる問題で、文部科学省は7日、調査方法を見直すことを決めた。
         10日にも有識者を集めた初会合を開き、「いじめ」そのものの定義についても検討を始める。
         同省が年1回行っている現行の調査では、公立の小中高校が、自殺などの件数を原因別に記入した調査票を各教育委員会に提出。同省が集計している。
         自殺の場合、原因の記入欄に「いじめ」のほか「学業不振」など15項目が挙げられているが、昨年度の場合、自殺105件の原因の約6割は「その他」となっていた。この中には、いじめの疑いがあるのに調査中であるため「その他」としていたケースもあるとみられ、同省は「『その他』に簡単につけられないよう調査票を見直す」(伊吹文科相)方針だ。
        (読売新聞)-11月8日1時11分更新

        ●文部科学省、いじめ自殺「0」修正へ…16件を再調査
         文部科学省は9日、いじめによる児童・生徒の自殺件数がゼロとなっている1999~2005年度の統計を見直す方針を固めた。
         同省が確定した統計数値を修正するのは極めて異例。同省は、この期間にあった自殺のうち、いじめが原因と疑われるケース計16件について再調査を開始している。これまでに大阪府堺市教委が自殺原因をいじめに訂正したほか、北海道教委もいじめ自殺を報告する方向で、今後、ゼロとされてきたいじめ自殺の件数が増える可能性が強まってきた。
         同省は今月4日から該当する教育委員会への再調査を始め、〈1〉当時の事例の概要〈2〉当時、報告はどう行ったか〈3〉現時点での判断〈4〉いじめは、自殺の原因の一つと考えられるか――について、報告を求めている。
        (読売新聞)-11月10日3時11分更新

        ●<やらせ質問>内閣府 関与認める調査結果を報告、陳謝
         政府が9月に開いた教育基本法改正に関するタウンミーティングで改正賛成の質問をするよう参加者に依頼していた問題で、内閣府は7日、「やらせ質問」への関与を認める調査結果を衆院教育基本法特別委員会の理事会に報告し、陳謝した。これを受け与党は13日に特別委で、14日に衆院本会議で同改正案を採決する日程を提示したが、野党は「調査が不十分」として受け入れなかった。
         調査によると、内閣府や開催地の青森県教委は「時代に対応すべく基本法を見直すべきだ」などの質問案3案を、あらかじめ決まっていた質問者に提示した。「対話のきっかけを作るため」(内閣府)だったという。やらせ質問が発覚した同県八戸市以外のタウンミーティングでも同様の働きかけがなかったか、9日に改めて報告する。
         この問題は、先月31日の特別委で高橋千鶴子氏(共産党)が指摘。青森県教委が地元の中学校長らに対し賛成の立場から質問するよう文書で働きかけていたことが発覚した。
        (毎日新聞)-11月7日11時55分更新

        ●<やらせ質問>タウンミーティング 定着一転、存続の危機
         政府の教育改革に関するタウンミーティングで発覚した「やらせ質問」問題は、過去174回におよぶ全タウンミーティングを調査する事態に発展し、今後も問題は拡大する様相だ。小泉前政権が「政府と国民との直接対話」をうたい文句に導入したが、あらかじめ質問者を用意し、政府側の意に沿った質問をさせるやり方は国民の強い不信を招き、「情報操作」との指摘も出ている。政府は信頼回復に躍起だが、タウンミーティングの再開のめどは立っておらず、存続も危ぶまれる状況となっている。
         「参加者には大変不愉快なことだろう。運営が不透明という批判が起きてもやむをえない」。内閣府の内田俊一事務次官は9日の会見で政府の非を全面的に認め、陳謝した。
         政府の同日までの調査で「やらせ質問」が明らかになったのは、教育改革に関する過去5回のタウンミーティング。政府が事前に用意した質問案は、「新しい時代にふさわしい教育基本法となるよう改正が必要だ」(04年5月、松山市)▽「義務教育の財源が地方に移ると公教育に地域格差が生まれることが懸念される」(同年10月、和歌山市)――など文部科学省の意向を反映させたものだった。「できるだけ自分の言葉で」「『依頼されて』とは言わないでください」といった注意事項を付けたケースもあった。
         タウンミーティングは小泉純一郎前首相が就任時の公約に掲げ、01年6月~06年9月に計174回開かれた。昨年の場合、1カ所につき平均1100万円の開催費をつぎ込むなど「劇場型政治」の典型とも指摘されてきたが、自作自演のPRショーの疑いをぬぐえなくなっている。
         政府は調査結果が出るまで再開を見送る方針だが、時期については「時間を少しいただきたい」(塩崎恭久官房長官)と述べるのが精いっぱい。タウンミーティング自体は抜本的に見直した上で存続させる意向だが、信頼回復のための妙案は見いだせないでいる。
        (毎日新聞)-11月9日23時55分更新

        ●筑前・いじめ自殺から1カ月 真相程遠く
         福岡県筑前町で三輪中2年の男子生徒(13)が自殺してから11日で1カ月。同級生グループから「死ね」「消えろ」など繰り返し言葉のいじめを受けていたことが判明しているが、学校側はいじめと自殺の因果関係については「はっきりしない」と慎重な立場だ。学校や町教委による真相解明は進まず、遺族の悲しみといら立ちは募るばかりだ。 (いじめ問題取材班)
        ■学校、関連に慎重姿勢 遺族、説明不足に憤り
         「1カ月がたとうというのに…。何も進んどらんし、変わっとらんです」。自殺した生徒の父親(40)は、深いため息をついた。視線の先には、丸刈りで目のクリッとしたわが子が遺影の中で、ほほ笑んでいる。
         「せめて今は一緒にいてあげたい」。両親は毎晩、霊前に手を合わせ、遺影のそばで「添い寝」するのが日課だ。
         「亡くなってすぐは『ただいま』って帰ってくるようでした。少し落ち着いた今はかえって寂しさが込み上げます」。母親(36)は声を落とした。
         学校で何があったのか。わが子を死に追いやったものは何なのか‐。両親の思いは真相解明の1点に尽きる。だが、思いが届かないことが、時に学校や町教委に対するいら立ちの言葉となって漏れる。「早く火を消したいとしか思えない」と。
           ■   ■
         「死ね」「消えろ」「うざい」‐。同級生らの証言により、特定の同級生グループがたびたび生徒を汚い言葉でののしっていたことが次第に明らかになっている。自殺の6日前には、体育のダンスの授業中に行われた班分けで仲間外れにされ、泣く姿も目撃されている。
         一方で「じゃれ合っているようにしか見えなかった」と証言する同級生もいる。「廊下で擦れ違いざまにとか、便所など人けのないところで汚い言葉をかけていたからではないか。陰湿化する今のいじめの実態だと思う」と父親は語る。
           ■   ■
         「この程度かと思うと悔しくてたまらん」。今月6日深夜。遺族宅で厳しい声が響いた。生徒への聞き取りなどを通して調査を進める学校側が、約束だった中間報告を延期。「伝えるだけの十分な情報がない」との説明に遺族が怒りを爆発させた。
         なぜ調査が進まないのか。自殺した生徒をクラスの中でからかうなどしていじめのきっかけをつくったとされる、1年時の担任教諭が精神的ストレスから入院し、事情を十分に聴けていない。さらに、無記名で生徒にいじめの実態を聞く3回目のアンケートも、生徒の動揺などを理由に延期されたままだ。朝倉署は複数の生徒から事情を聴いているが、十分な情報は学校側に伝わっていない。一方、町教委は有識者でつくる調査委員会を発足。12月上旬に中間報告か最終報告を出す方針だが、「公平性」を理由に遺族関係者をメンバーに加えてほしいという遺族の意向には応じていない。
         「親としていじめに気づいてあげられなかったことが悔しい。だからこそ真実を明らかにしたい。うやむやで終わらせるわけにはいかない」。両親は、やり切れない思いにさいなまれている。
        (西日本新聞)-11月11日10時7分更新

        ●<いじめ自殺>教委に理由「不明」と報告した元校長の苦悩 
         女子生徒がいじめを示唆するメモを残し命を絶った苦い経験を持つ元校長(61)が、一連のいじめ報道を受けて取材に応じた。生徒の死はいじめと関係があると遺族に説明したが、教育委員会には自殺の理由を「その他(不明)」と報告した。「(報告は)あれでよかったのか。彼女はなぜ死に急いだのか。いろんな思いが今も頭から離れません」。退職した後も、心穏やかに過ごせないという。【井上英介】
         東日本の公立中学校に校長として勤務していた時のことだ。初夏のある日、教え子の女子生徒が自宅で亡くなった。自室にあったノートに「死にたい」と書かれ、級友たちから害虫呼ばわりされたことなどを苦にする記述があった。
         遺族からノートを見せられ、級友への聞き取り調査で生徒が不快なあだ名で呼ばれていた事実を確認した。「いじめはあった。自殺と関係があると認識している」と遺族に説明し、保護者会でも報告した。
         「お母さんは泣き崩れ、私も泣きました。あだ名で呼ばれたのは短期間だが、ささいなことでも本人が嫌だと思えばいじめです」
         教職員とともに誠意をもって対応し、いじめた子も親とともに謝罪、月命日のたびに焼香に訪れたこともあって、遺族の一定の納得は得られた。半年以上かかって学校は落ち着いたが、一人でいる時にぼんやりと生徒のことを考え、はっと我に返るようなことがしばらく続いた。
         いじめ問題への文部科学省の取り組みに、疑問を感じないではない。「いじめかどうかを判断する認定基準が厳しすぎる。『いじめがいじめではない』という極めて奇妙な結果を導き、現場を誤らせかねない」
         文科省は「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じている」という認定基準を定めている。だが、基準とは別に「いじめか否かは、子どもの立場に立って判断せよ」と何度も現場に呼びかけ、教育現場に混乱を招いている。
         「教員はみな基準を頭に刻みつけている。なぜ実態に即したものに変えないのか。いじめの芽を見逃しかねない」。現役時代、日ごろから教員たちに「いじめの小さな前兆を見逃すな」と言ってきた。それでも前兆を察知し、防ぐことができなかった。
         教え子の死から半年以上たち、教委にいじめがあったことを報告した。しかし、自殺については「主たる理由を一つ挙げよ」との指示に基づいて「その他」とした。「いじめは理由の一つだとは思うが、主たる原因だったのかどうか……学校は警察ではない。真相究明は難しい」。対応が正しかったのかどうか、答えは出ていない。
        (毎日新聞)-11月12日7時41分更新

        ●出版:発達障害わかって 中学生の長男の遭遇する困難、苦悩の父親が本に/島根
         益田市在住の公務員、島田博さん(45)が、「発達障害をわかってほしい」(ぶどう社)を出版した=写真。発達障害がある中学生の長男が遭遇する困難と親としての苦悩を率直につづった。島田さんは「挫折の連続だったが、専門家や職場の仲間らが支えてくれた。発達障害に対する理解の輪が広がれば」と話している。
         サブタイトルは、「アスペルガー症候群の子どもと家族が『学校』で出会った数々のこと」。アスペルガー症候群とは知的障害を伴わない自閉症で、「他人との社会的関係を持つ」などの点で問題を抱えている。また、味覚や聴覚などの感覚過敏を示すケースもある。
         本書では学校現場の理解不足や連携の悪さなどが繰り返し記述されており、島田さんは「適切な支援があれば不登校なども防げる。学校と親の連携をもっと密にすることが大切」と指摘する。
         また、発達障害を子供に伝えない親もいるが、島田さんは長男が小学校高学年の時、パソコンを使って発達障害があることを本人に伝えた。島田さんは「(伝えたことで)自分の苦手なことをどのように克服するかを考えるきっかけになった」と話している。
         A5判。1600円(税別)。問い合わせは、ぶどう社(03・5283・7544)。
        (毎日新聞)-11月9日16時1分更新

        ●<転落死>中学校舎から卒業した17歳女性 北九州市
         9日午後9時過ぎ、北九州市小倉北区、市立南小倉中の校舎そばに女性が倒れているのが見つかった。4階付近の階段の窓から落ちたとみられ、約1時間後、死亡が確認された。警察の調べでは、女性は昨春に卒業した区内の無職女性(17)。学校によると、女性は中1の秋から不登校だった。遺書などは見つかっていない。
        (毎日新聞)-11月10日10時15分更新

        広汎性発達障害と対人関係能力(2)
        2006/11/05
        昨夜、私が副代表をしている家族会ノンラベル主催の「アスペルガー援助者養成講座【第5弾】」が京都市内の会場で始まりました。私はいつものように司会・進行役をしています。今回は定員200名に対して250名を越える申込みがあり、多数の方にお断りをする結果となり、本当に残念で申し訳ない思いでいっぱいです。今回参加できなかった皆さんには、来年春の【第6弾】以降には、ぜひ参加していただきたいと思います。
         さて、昨夜の1回目は、ノンラベル代表の田井みゆきが「生活支援の現場から~アスペルガー特性と具体的援助方」と題して講演を行いました。200名の熱気に包まれる中、参加された皆さんは熱心にメモをとりながら学ばれていました。2回目以降が医師として臨床現場や大学において教鞭をとられつつ実践的研究をされておられる方々なので、1回目は生活支援の現場から見える障害特性や家庭や学校、療育の現場でのタイムリーな援助のあり方を具体的に紹介することになりました。
         DSM-?やICD-10などの診断基準に出てくる、表情や身振りなどでの「感情表現」の困難さや乏しさについて、広汎性発達障害をお持ちの方と定型発達者では「感情表現」における質的な違いは確かにあるものの、ずっと困難さを持ったままかというとそうではない。生育環境において、回りの家族や援助者が笑顔で関わってきたお子さんは笑顔を獲得されているが、逆に「困った子」「扱いにくい子」として精神的に疎外されながら育ってきたお子さんは「他者はいつも自分を怒る存在」と定位し自己防衛に充ちた乏しい表情しか獲得できていないことが多い。また、居場所に来始めた当初、表情なくじっとかしこまって座っていただけの青年が、家に帰ると母親に「今日は楽しかった」と告げ、2回目、3回目と来続ける中で、スタッフの笑顔や楽しい雑談に慣れ、ふと笑顔が出たり、会話に口を挟んだりして心地よい対人関係を獲得して行っている事例の紹介などを通して、生来的に持っている質的違いはあるものの、回りの人の関わり方や細やかな気配りや具体的援助の積み重ねの中で、対人関係能力を獲得していく力を十分に持っているということが明らかにされていきました。
         私もこれらの変化を現場で体験してきていますので、「感情表現」の困難さや乏しさは、当事者の性格の問題などではなく、回りの人の関わり方に因るところが大きいと思いますし、一定年齢に成育されたところからでも、第三者を含めた適切な援助的関わりがあれば、対人関係の力を獲得していってもらえ、またそのことで今の社会の中でより生きやすくなってもらえるのではないかと思っています。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(3)」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。いじめ自殺問題をはじめとして、盛りだくさんになっています。

        ちょっとしたひと言が招く“心へのいじめ”

        相次いで発生している小中学生の自殺。その理由の大半は“いじめ”によるものだという。暴行や虐待など表だって肉体的苦痛を強いるものの場合は、その原因が火を見るよりも明らかなのだが、厄介なのは心に無数の傷を負わせる“精神的暴力”のケースだ。
         何と言っても、相手を傷つけている言葉を口にしている本人がそれを“いじめ”とは思っていないのだから始末が悪い。ちょっとしたひと言が招く“心へのいじめ”。では、具体的にどんな言葉に人々は傷つくのだろうか。10代から40代までの男女に「子どもの頃に他人から言われて傷ついた一言」というテーマで調査を行った。
         最も多かったのは容姿に対する“からかい”。「あごがしゃくれてる」(愛知県 20代女性)、「オデコが広い」(秋田県 20代女性)、「きつね目」(宮城県 30代女性)、「たらこくちびる」(長崎県 30代女性/他)、「ほくろが多い」(茨城県 大学生男性/他)、「歯がでてる」(長野県 30代男性)、「馬面」(北海道 30代男性)など顔の“パーツ”を取り上げての一言から、「毛深い」(福岡県 20代男性/他)、「ちび」(大阪府 中高生女性 他)、「短足」(東京都 20代女性)など“コンプレックス”に直接つながってしまうような指摘までさまざまだが、その中でも圧倒的な回答数となったのが「でぶ」(広島県 30代女性/他)。いつの時代もダイエットが“ブーム”である理由がここにある。
         とはいえ、見た目への“ちょっかい”だったら気持ちの持ちようで克服することも十分可能だが(とは言え、言われた本人にとってはきついことだろう)。明らかな“悪意”を持ったひと言の場合は、当事者でなければそのつらさはわからない。「うざい」と回答した大学生女性(埼玉県)は傷ついた理由として「改革の余地がないからどうしようもない」と答えている(「うざい」には他多数の回答)。わずか3文字の理不尽な中傷が、相手の存在そのものを否定してしまうのだから恐ろしいというほかない。これがエスカレートすると「死ね」(岡山県 中高生男性/他)となる。ここまでいくと“いじめ”ではなく、立派な“強迫罪”だ。これで傷つかないわけがない。
         罵声は本人に向けられるものばかりではない。「誰々の弟」(大阪府 30代女性)というケースもある。どういうことかというと「女の子なのに、姉の意地悪な友だちから誰々(姉の名前)の弟とからかわれた」とのこと。本人ではなく肉親に悪口を言う。同様に「家族の悪口」(京都府 大学生男性/他)、「お父さんいなくてかわいそう」(茨城県 大学生女性/他)なども心をズタズタにする言葉だ。
         ところが、そんな信頼を置いている親からの信じられない言葉も寄せられた。「お姉ちゃんは勉強できるのに」(福岡県 中高生女性)、「子どものあなたには関係ない」(神奈川県 40代女性)も子どもへの配慮が足りないひと言だが、どうしようもないのが「あんたなんか産まんといたらよかった」(京都府 40代男性)。近年親子の殺傷沙汰が増えているが、その要因の一つを垣間見た気がする。
         加害者の範囲は教師にまで広がる。「邪魔だなあ」(千葉県 20代女性)、「うそつき」(鹿児島県 40代女性)なんて、断じて教育者の吐く言葉ではない。
         また、「しっかりしてるね」(大阪府 専門・大学生)というほめ言葉や、「親に似ているね」(愛知県 30代女性)って言葉に傷つくなんて回答もあった。その回答に親も十分に傷つくと思うけど…。言葉って難しい。そして、子供の頃に言われて傷ついた言葉は、けっこう澱のように心の中にくすぶっているものだ。
        「子どもの頃に他人から言われて傷ついた一言」の一覧表/http://www.oricon.co.jp/news/ranking/38239/#rkはこちらへ。
        (オリコン)-10月29日11時0分更新
        【コメント】一定年齢の大人の目から見れば、「なぜそんな事ぐらいで…」「気持ちが負けているからだ」といった感想も出るかと思います。しかし、今の子どもたちや若者は、これら些細な「傷つく」言葉に、相手の「想定」以上に酷く傷ついてしまいます。「競争社会」が進む中、乳幼児期から学齢期にかけて、家庭や学校、地域における人間関係の中で、縦、横、斜めの関係性や、言葉や時には身体を使ってのぶつかり合いの経験が乏しく、よってストレスへの耐性が弱まっていると言えると思います。自身を肯定し、ありのままで良しとする自尊感情を高めるための対人関係性の体験のし直しが必用なのかも知れません。

        ●自殺生徒宅で「いじめ被害者の会」設立、5家族が参加
         福岡県筑前町立三輪中2年の男子生徒(13)が自殺した問題を受け、いじめが原因で自殺した子どもの保護者らが29日、男子生徒の自宅で「いじめ被害者の会」の設立総会を開いた。
         九州や神奈川県などの5家族7人が参加。発起人で代表を務める大分県佐伯市の大沢秀明さん(62)は「いじめの存在を隠そうとする学校の体質は変わっていない」と指摘し、「学校がいじめの早期発見や適切な対応に取り組むように、国や県に働きかけていきたい」と強調した。
         大沢さんは1996年、福岡県城島町(現久留米市)で、中学3年の四男(当時15歳)を亡くしている。
         94年に中学2年の長男(当時14歳)を亡くした神奈川県相模原市の平野信矢さん(57)は「子どもへのいじめで悩む保護者に必要なのは、周囲の支え。自分の経験を生かして、苦しむ人たちの相談に応じたい」と話した。
        (読売新聞)-10月29日20時35分更新
        【コメント】自殺を「恥」と考える文化の根強い日本においては、家族を自死で失った方々の多くはその喪失感と自責の念、何もできない現実への無力感などと独りで向き合い続けなければなりません。自殺を「個人責任」にしてしまう風潮はもうお終いにしませんか。人が自殺を選択するときには、必ず社会的背景・要因があります。決して個人の「弱さ」や「逃避」ではなく、社会問題としてとらえ、個々の事件を大切にし、課題を明らかにしながら自殺を防止する方策、残された遺族を支援する方策を積極的に、官・民・個人を問わず、様々なレベルで模索し具体化していくことが今求められていると思います。

        ●<岐阜中2自殺>学校側の説明二転三転 原因には触れず
         岐阜県瑞浪市の市立中学2年の少女(14)が今月23日、いじめをほのめかす遺書を残して自殺した問題で、いじめの有無を巡る学校側の説明が二転三転している。同校は少女の家族に対していじめを認めていたが、その後、会見などで「原因は分からない」「広い意味でのいじめはあった」と言い直しを繰り返し、30日には再び「自殺に結びつくいじめの事実はない」と話した。中学校では同日朝、緊急の全校集会が開かれたが、校長は自殺の原因を特定しなかった。
         少女の家族によると、校長、学年主任らが28日、自宅を訪ねた際、少女が遺書で名前を挙げたバスケットボールクラブのチームメート4人について、家族が「(4人の)親はいじめがあったと認めているのか」とただすと、学年主任は「無視や強いパスなどで苦しめていたと認めている」と答えていた。家族はこの様子をビデオに収めており、報道陣に公開した。
         しかし、校長は29日の会見で「自殺の原因は分からない」と説明。さらに同日夜には「広い意味でのいじめはあったが、自殺の原因となったかは分からない」とやや表現を変え、いじめの存在を一部認める発言をした。
         ところが30日朝、全校集会後に、同校の教頭は報道陣に対し「現段階でいじめの事実は確認できていない」。その後、校長も市役所で開いた会見で「『ウザイ』などのからかう発言はいじめに当たると思うが、自殺につながるかは推測の域を出ず、最終的な原因に結びつけられない」と話した。「原因をうやむうやにするつもりか」との質問には「そのつもりはない。原因は知りたい」と答えた。
         同校は、いじめの確認について「犯人捜しが先行すると生徒の間に動揺が広がる」として、今後、全校生徒に無記名のアンケートを行い、日ごろの校内でのいじめの有無などを問うという。校長は「学校は警察と違う。踏み込んだ調査はできない」と話した。
         ◇2回目の緊急全校集会
         緊急の全校集会は午前8時半から開かれた。学校の説明によると、集会は自殺翌日の24日に続いて2回目。最初の集会では校長が死因を明かさずに少女の死に触れ、命の大切さを訴えたが、この日の校長は「自殺に結びつくいじめの事実はないが、今後の調査で出てくるかもしれない」と話し、「不安を抱いている子も多いだろうが、より良い学校を目指していこう」とあいさつした。生徒たちは静かに聴き入っていたという。
         生徒たちは30日朝、一様に硬い表情で登校。教職員が通学路に立ち、「おはよう」と声をかけた。学校前には多くの報道陣が詰め掛けたが、ほとんどの生徒が記者の問いかけに無言で、足早に校内に入った。1年生の男子生徒は事件について「ショックです」と漏らした。
        (毎日新聞)-10月30日14時3分更新

        ●デスクの目:彼の死を受け止めるために/福岡 <報道部・御手洗恭二>
         「友だちに少しでも変わったことがあったら、それはサインかもしれない。見逃さないで下さい」
         いじめを苦にして自殺した筑前町立三輪中の男子生徒の葬儀で、声をつまらせながら参列した子どもたちに語りかけるお父さんの言葉が、今も耳に残る。ニュースを見ながら涙が止まらなかった。
         04年、長崎県佐世保市で娘に降りかかった事件の後、長崎県教委が半年かけてまとめた調査報告の中に「事件の予兆の把握」という項目がある。
         加害女児が事件前に書いた作文の記述、交換日記を巡る同級生とのトラブル、バトルロワイアルなどの小説をよく読んでいたこと--などの九つを予兆として挙げた。
         対する教師の認識とは「特に問題視しなかった」「知らなかった」「気がつかなかった」…。悲しくなるような記述が見事なまでに並ぶ。
         そこに先生たちの生の声はない。そんなふうに表層的で本音を覆い隠したまま、残った子どもたちの教育を全うするというステップに進めたのだろうか。そんな大人を子どもたちは信頼するだろうか。うまくいったとすれば、子どもたち自身の力によるものだ。
         佐世保事件を取材した同僚から聞いた話も思い出した。「なぜ(加害女児の)変化に気づいてあげられなかったのだろう」と話す同級生の親がいたというのだ。私も同様だった。二人の間のいさかいを全く知らなかった。転校後に心配していた友人関係も、時の経過とともに「うまくいっている」と思いこみ、注意を払わなくなっていた。しかし事件後、目にした娘の手紙には、友人関係の悩みがつづられていた。
         そう、誰も彼女に、私は娘に、手を差し伸べることができなかった。そして、筑前町の彼にも。
         彼の自殺といじめを町教育委員会が調査するという。国も文部科学省政務官、教育担当の首相補佐官、教育再生会議委員の「ヤンキー先生」を派遣した。本腰という姿勢を見せるのはいい。評価は結果を出してからだ。
         そこで調査に注文がある。
         先生や子どもたちが本音を語れる状況を保証してほしい。体裁を取り繕ったり、上っ面だけの内容となっては意味がない。聞き取り方も工夫が必要だ。威圧的では何も語らないだろう。
         さらに調査委員会に入るという第三者の役割は重い。調査が信頼できるかどうかは第三者にかかっている。
         そのうえで、三輪中の先生たちや子どもたちに、お願いがある。
         先生には、自分たちが彼に何をして、何をしなかったのか▽その時に何を考え、何を考えていなかったのか、明らかにしてほしい。
         子どもたちは、彼に対する言動(見て見ぬふりをしていたことも含まれる)を包み隠さず話してほしい。
         そして、ご家族もいつか落ち着かれた時、彼のことを振り返ってください。
         そこまでしても、彼の選択の理由が見つかるかどうかは分からない。でも、彼の死を受け止め、何かを学び取るために最低限なすべきことだと信じる。
         彼のお母さんが同僚に「その日の朝」のことを話してくれた。言葉を交わしたものの、食器を洗っていたお母さんは彼の後ろ姿を見ていないという。それは私と娘の最後の朝とダブる。洗濯していた私も声だけで娘の出ていく姿を見ていない。
         子どもと迎える、いつもと同じ朝。そんな日常に安住せず、神経質にもなりすぎず、感覚をとぎすましたい。そして、立ちすくむことなく腹を据えて子どもと向き合おう。大切な子どもを失わないために。
        毎日新聞〔福岡都市圏版〕 2006年10月30日

        ●<福岡中2自殺>いじめ調査委に遺族参加認めず 筑前町
         福岡県筑前町立三輪中2年の男子生徒(13)がいじめを苦に自殺した問題で、いじめの調査委員会への参加を求めていた男子生徒の遺族に対し、町教委は4日、遺族を含む保護者代表の調査委への参加を拒否すると伝えた。
         町教委の回答書は「公平性、客観性、透明性、迅速性が確保できる第三者機関による調査を目的としているので、応じることはできない」としている。
         町教委は調査委を設置する計画だが、まだメンバーは確定していない。このため、遺族は大仁田厚参院議員(自民)と連名で「自殺は命をかけた最後の訴え」とし、遺族を含む保護者代表を調査委に参加させるよう、今月2日に要望書を出していた。
         遺族は「納得できない。遺族の声を反映してほしい。委員として(遺族が)入れないなら弁護士2人を委員に入れてほしい」と語った。
         また、遺族らは調査委の早期設置も同時に求めていたが、町教委は「1週間以内に発足させる」と約束した。(毎日新聞)-11月4日20時2分更新
        【コメント】何度かふれてきたと思いますが、遺族は起こった出来事の事実関係が知りたいのです。「調査」において、遺族が有している情報や物証は不可欠な要素です。このご遺族が話されているような、委員会に参加ができないのなら弁護士が入る、遺族の委員会傍聴を認める、といった処置は、今後実現されていくものと確信しています。

        ●<岐阜中2自殺>学校側「いじめ」認める 遺族に謝罪へ
         岐阜県瑞浪市の市立瑞浪中学2年の少女(14)が今月23日に自殺した問題で、学校側は31日、自殺の原因はいじめだったとする結論をまとめた。同日午後にも記者会見して公表し、校長らが近く遺族に謝罪する方針。
         遺族によると、少女は所属していたバスケットボールクラブのチームメートから、無視されたり「ウザイ」と言われるなどの嫌がらせを受け、学校側も自殺直後にはその事実を認めていたという。しかし、その後の会見では、佐々木喜三夫校長が「からかう発言はいじめに当たると思うが、自殺につながるかは推測の域を出ず、最終的な原因に結び付けられない」などとして「自殺に結び付くいじめの事実はなかった」と因果関係を否定していた。
         しかし関係者によると、少女の自殺後に全校生徒に実施した無記名アンケートでも校内でのいじめをうかがわせる記述があり、実態が明らかになりつつあるとして、同市教委と協議し、いじめと自殺の関係を認めることにしたという。
        (毎日新聞)-10月31日13時17分更新

        ●<自閉症提訴>倉庫に閉じ込められ負傷 賠償2千万円求める
         東京都小金井市の市立小学校で04年、心身障害児学級に通う自閉症の男児(10)が担任の男性教諭に倉庫に閉じ込められ負傷した事故で、男児と両親は1日、市と当時の校長らを相手取り、約2000万円の賠償と市広報への謝罪文掲載を求めて東京地裁八王子支部に提訴した。男児側は「学校側に自閉症への理解がなく事故後の対応も不誠実だった」としている。
         訴状によると、04年11月、体育の授業中に体育館隣の倉庫に入った当時小学3年生の男児に対し、男性教諭が「そんなに入っていたいなら、しばらくそこにいなさい」としかって閉じ込めた。男児はパニック状態になり、2階の窓から5メートル下の地面に落下、大けがを負った。
         会見した母親は「経緯をありのまま話してほしかったが、先生や校長、市教委は息子が話せないのをいいことに自分たちの都合のいい説明を繰り返した」と話した。
        (毎日新聞)-11月1日11時2分更新

        ●遺書で「パワハラ」訴え、女性中学教諭が自殺…鹿児島
         鹿児島県曽於(そお)市の中学校の女性音楽教諭(32)が、パワーハラスメント(職権による人権侵害)を訴える遺書を残し、自殺していたことがわかった。
         学校側は「頑張ってもらおうと指導したもので、パワハラはなかった」と説明している。
         家族によると、教諭は28日に行方不明になり、29日朝、空き家になっている県内の実家で首をつって自殺しているのを父親(61)が見つけた。教諭のパソコンには、学校関係者と母親(59)あての遺書があり、校長(55)には「(県総合教育)センター行き、すべてあなたの犯行」、別の上司には「他の同僚と私を差別した」などと記されていた。
         学校によると、教諭は2002年、中学校に赴任し、音楽科と家庭科を担当。05年から、1、2年生に国語も教えるようになったが、曽於市教委から「指導力不足」と判断された。このため、10月1日から半年間、県総合教育センター(鹿児島市)で研修を受けることになり、鹿児島市内の自宅から通っていた。
        (読売新聞)-10月31日22時48分更新

        ●<パワハラ自殺>校長ら3人が謝罪 鹿児島・両親が会見
         鹿児島県曽於(そお)市の市立中学校の女性教諭(32)が上司からのパワーハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)を訴えて自殺した問題で、教諭の両親ら遺族3人が4日、鹿児島市の自宅で会見した。遺族は校長らが謝罪に訪れたことを明らかにし「今後同様の犠牲者が出ないようにしてほしい」と訴えた。
         遺族によると、3日、校長と教頭、市教育長の3人が自宅を訪れ「いじめと誤解されるようなことをして済まなかった。教諭のためを思って指導したが、パワハラと受けとられ、自殺に追い込んだことは申し訳ない」などと謝罪したという。また、女性教諭の月命日には「命を考える時間」を設け、生徒たちとともに命の大切さについて考えていくことも約束したという。
         遺族は会見で「娘は専門外の教科を教えるように要求され、一生懸命努力したが、悩んで自殺した。きちんと謝罪を受けたので、学校を責めるつもりはないが、同じ悩みを抱えた教師が多くいると聞く。第二の犠牲者を生まないようにしてほしい」と涙ながらに訴えた。
         女性教諭は04年から専門の音楽以外の国語や家庭科を教えるように指示され、通信教育などで勉強したが、今年10月から「指導力不足教員」として県総合教育センターで研修中だった。10月29日、同県さつま町の父親の実家で首をつって死亡しているのが見つかった。教諭のパソコンには上司のパワハラを訴える内容の文書が保存されていた。
        (毎日新聞)-11月4日23時12分更新

        ●教育改革タウンミーティングでやらせ質問、内閣府作成
         今年9月2日に青森県八戸市で開かれた政府の「教育改革タウンミーティング」で、内閣府などが教育基本法改正案に賛成の立場で質問するよう参加者に依頼していたことが1日の衆院教育基本法特別委員会で明らかになった。
         石井郁子議員(共産)が内閣府や青森県教育庁などが作成した文書を基に指摘し、政府もこれを認めた。
         文書は、青森県内の教育事務所と同県教育庁が、地元の中学校長あてにファクスで送った2種類。一つは「タウンミーティングの質問のお願い」として、三つの質問案を示し、そのうちの一つを質問するよう依頼している。
         もう一つの文書は「内閣府から以下のとおり発言の仕方について注意があった」として、<1>できるだけ趣旨を踏まえて自分の言葉(せりふの棒読みはさけてください)<2>「お願いされて」とか「依頼されて」と言わないで下さい(あくまで自分の意見を言っている、という感じで)――などと、アドバイスしている。
        (読売新聞)-11月1日20時10分更新
        【コメント】要するに、安部内閣として、教育基本法の改正は目玉商品であり、そのためには使える組織はすべて使うということなのでしょう。「依頼」とはいえ、校長など受け取る側にすれば上意下達の「通達」に等しい物ですから、その意に背く発言や行動を起こす勇気のある人はいない、という前提での戦略と言えます。これまで、こうした「依頼」がどれだけ使われてきたのかと思うと、情けないを通り越して背筋が寒くなります。

        ●障害者施設 自立支援法 4割が人件費削減
         障害者自立支援法の施行後の減収で、職員の給与を減らすなど人件費を切り詰めている施設が約四割に上ることが二十八日、障害者が働く小規模作業所などの全国組織「きょうされん」(東京都中野区)の調査で分かった。施設が経営を維持するために、窮余の選択を迫られている実態が浮き彫りになった。 
         調査は八月から九月にかけて実施。同法で定める通所・入所施設とグループホームなど加盟計五百五十七施設のうち三百九十四施設が回答した。
         それによると、同法が施行された今年四月以降に、給与や賞与のカットなど人件費を切り詰めた施設は約41%に達した。「削減を検討中」(約18%)も含めると、全体の約六割に及んでいた。
         同法の施行により、(1)施設側の報酬単価が下がった(2)報酬が月額制から障害者が通った日数の日割り計算になった-ことによる収入減が原因とみられる。
         土日勤務を増やすなど職員の休暇日数を削った施設も三割を超えた。
         調査した「きょうされん」の多田薫事務局長は「給与カットや労働条件の悪化に耐えられず、職場を去る若い職員が増えている。障害者支援に影響しないか心配だ」と、懸念を示している。
         施設経営への影響について、厚生労働省障害保健福祉部企画課は「利用者のニーズに応じてサービスを提供する日額払いの利点を生かし、増収の施設もある。通所施設の定員を超えた利用受け入れを認めたり、家庭訪問を報酬評価したりして影響を抑える緩和策も講じている」と指摘する。
        ■質低下招く恐れも
        北野誠一・東洋大教授(地域・障害福祉学)の話
         福祉サービスの提供者が経営維持のため、職員を非常勤化したり給与を削減したりすれば、現場の意欲が下がり、サービスの質の低下を招きかねない。国の制度設計の無理から生じた事態だが、当面は自治体が負担軽減策を講じるなど地域全体で福祉サービスを支えるしかない。
        (東京新聞)10月29日

        ●小中学校予算に学力テストの結果を反映…東京・足立区
         東京都足立区教委は来年度から、区立小中学校への予算配分に、都と区が実施している学力テストの結果を反映させる方針を決めた。
         テストの平均点などから各校を4段階に分類し、各校の独自の取り組みに支出する「特色づくり予算」の配分を、1校あたり500~200万円と格差をつける。区教委教育政策課は「子供の能力に序列をつけるのではなく、学校経営を評価するという趣旨。学校の経営改革として実施したい」としている。
         学力テストは、都が毎年1月、区は4月に実施している。区教委の計画では、区内72の小学校と37の中学校について、各校のテストの平均点や前年度からの伸び率、校長の経営計画などから点数化、ABCDの4段階に分類する。Aは全体の約1割、Bは約2割、Cは約3割、Dは約4割とする予定。分類結果は公表しない。
        (読売新聞)-11月4日12時48分更新
        【コメント】都内の他の区でもこうした決定がされていると聞きます。「特色ある学校づくり」のスローガンは1年あまりで聞かれなくなったかと思いますが、今回の「特色づくり予算」も新たな競争を学校教育に持ち込むものであることは間違いありません。これからも、テストの点数をもって「学力」とする教育評価や、子どもたち一人ひとりの育ちや教師の教育実践を見ることなく「学校評価」に戦々恐々とする学校管理者の孤独な闘いが続くのでしょうか?

        広汎性発達障がいと対人関係能力(1)
        2006/10/29
        アスペルガー障害をはじめとする広汎性発達障害をお持ちの人は、「対人相互作用」に困難さがある、とよく言われます。自閉症スペクトラムの三つ組み課題の一つであり、高機能の広汎性発達障害の方においてもこの困難さが特徴的に現れている方が多いかと思います。「相手の気持ちがくみ取れない」「まわりの雰囲気が読めない」「多人数の中にいると疲れてしまったり疎外感を強く感じる」など、当事者にとっても、その場にいるまわりの人にとっても、関係性に困難を感じます。
         では、この対人関係の困難さは、広汎性発達障害の方が、生まれもって身につけてきたもので、改善できないものなのかどうか? 各種の文献や論文では特徴的な特性としてこの困難さが指摘されていますが、一生持ち続ける生活レベルで支障の出る困難さなのでしょうか? この疑問に対して、最近、相談室でのカウンセリングや訪問、家族会ノンラベルの居場所で当事者の方々と接して来る中で、違う認識を持つようになりました。それは、確かに生まれながらの障害特性であり、まわりの人の言動を注視してそこから学ぶという柔軟な対応が困難であることは確かであると思いますが、個別、適切な援助があれば対人場面での多くの対応法を学ぶ力は持っていて、十分に獲得できる、ということです。たまたま、こうした援助の機会や体験を得ずして育ってきてしまったために、獲得できないままでいる、ととらえるべきではないかというものです。それは、第三者として1対1で関わったり、居場所という集団での関わりの中で、こちらの意思を確かめたり、気を使ってくれたり、という体験を数多くしてきたからです。他者との関わり方のルールを一つずつ獲得していくことができれば、社会において適応できる基本的な社会的能力を身につけていくことは十分にできるのではないか、そのための学びや体験を提供できる人的資源が必用である、と強く思うこの頃です。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(2)」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <いじめ>法務省調査では「増加」 文科省とは逆の結果に

        「学校のいじめは減少している」という文部科学省の「いじめ」に関する調査に対し、「実態を反映していない」との指摘が出ているが、法務省の調査では増加傾向にある。同省の調査によると、学校でのいじめは05年には前年より2割以上増えており、文科省調査への疑問の声は大きくなりそうだ。また、各地の弁護士会や自治体がいじめに関する相談機関を設置しており、「ぜひ相談を」と呼び掛けている。
         法務省の調査によると、学校内のいじめについて「学校側が不適切な対応をした」とする05年の人権侵犯事件数は716件で、04年に比べて22.6%も増加。01年は481件▽02年524件▽03年542件▽04年584件と増え続けている。いじめも執ようで、陰湿な事例が多くなっているという。
         法務省調査は、各地の法務局など人権擁護機関が、「いじめで人権を侵害された」と相談した当事者の申告などに基づいている。
         一方、文科省は、学校や自治体教委の報告を積み重ねる形だ。学校側がいじめを見落としたり黙認したりすれば、統計には反映されない。また、いじめ根絶を目指す自治体が発生件数を具体的な目標として数値化したため、「実態を目標に合わせて報告する例もあるのでは」との指摘もある。
         増加するいじめを重く見た法務省は、今年度からは相談ごとを自由に書いて法務局の人権擁護担当に無料で郵送できる「SOSミニレター」を約70万枚作成し、さらに18万枚増刷する。全国の小学5、6年と中学生に配布を進めている。
        (毎日新聞)-10月23日3時5分更新
        【コメント】どうしていじめの現場である学校で把握している数字よりも、人権擁護機関などへ寄せられた相談件数の方が多いのでしょうか? 学校にいじめの問題を相談しても解決してもらえない…、といったあきらめ感もあると思いますが、学校現場において、いじめ解消に向けて具体的に行動することなしに、いじめ問題が減ることはないと思います。いじめは犯罪であり、結果被害者も加害者もその後の人格形成に大きく影響する問題であると共に、人権問題であるという意識をもっと強くもつ必用があると思います。
        <子どもの人権問題に関する相談先電話番号一覧>
        http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken27.html

        ●教諭のいじめで不登校に-鹿児島県奄美大島の中学校
         鹿児島県奄美市の市立朝日中学校で、2年生の女子生徒(14)が1年生だった昨年9月に担任の男性教諭(30)からいじめを受け、不登校になっていることが24日、分かった。学校側もいじめを認め、生徒の両親に謝罪しているという。
         奄美市教育委員会によると、男性教諭は女子生徒に授業のプリントを渡さなかったり、出欠確認の時に名前を呼ばなかったりした。女子生徒は昨年10月から学校を休みがちとなり、進級した現在もほとんど欠席しているという。
         男性教諭は「心ない言動で心の傷を負わせてしまった。申し訳ない」と話しており、3月の終業式では1年生全員の前で謝罪したが、女子生徒が面会を拒んでいることから、直接には謝罪できていないという。
         2月に女子生徒の母親の訴えでいじめを把握した市教委は、3月に男性教諭を口頭での訓告処分とした。学校側は「教師として許されない。1日も早く学校に出て来てもらえるよう家庭訪問などを続けたい」としている。
        (サンケイスポーツ)2006年10月24日更新
        【コメント】情けない話しです。被害少女は、この教師からの謝罪を「心からの謝罪」として受け入れるまで、心的外傷からの回復は始まらないと思います。

        ●「教諭自殺、学校に責任」両親が公務災害認定を申請
         東京都新宿区立小学校に今春から勤務していた新任の女性教師(当時23歳)が自殺したのは、仕事上のストレスや学校の支援不足が原因だとして、この教師の両親が24日、地方公務員災害補償基金東京都支部に公務災害の認定を申請した。
         心の病で休職する教師が増える中、新任教師の死は学校現場に課題を突き付けている。
         両親の代理人弁護士によると、この教師は4月、2年生の担任になった。保護者と交換する連絡帳の中で、宿題の出し方が安定しない、子どものけんかで授業がつぶれるなどと指摘されるようになり、5月には、人生経験の少なさも批判された。
         このため5月22日、校長に初めて相談。保護者と電話で話すよう指示を受けたが、時間外労働も加わり、過度のストレスを感じていた。自殺を図っていったん未遂に終わったが、同月末にもう一度自殺を図り、翌日死亡した。ノートには「全(すべ)て私の無能さが原因です」などと書き残されていた。弁護士は「保護者からのクレームなどで精神的に追いつめられ、学校の支援も不足していた」としている。
        (読売新聞)-10月25日1時53分更新
        【コメント】学校社会という日本一大きな管理組織は、間接や末梢神経部分に外見からは判断できない病理が広まっているようです。自己治癒力も免疫力も抵抗力も、あまり期待できない状態になってしまっているのでしょうか。

        ●<生活保護>7割が申請に至らず 事前相談で門前払いか
         全国各市が設置する福祉事務所で04年度に受け付けた生活保護の相談件数のうち、実際に保護を始めた割合が平均で28%と3割に満たないことが会計検査院の調べで分かった。最低の北九州市は14.6%で、最高の千葉市は69.7%だった。こうした自治体間の格差について専門家の中には「相談にとどめて申請させない門前払いの実態を示している」と指摘する声もある。政府が給付削減を進める中、生活保護行政の姿勢が問われそうだ。
         検査院は昨年6月に国会から社会保障費の地域間格差の検査を要請され、生活保護費などを調査。初の結果となった。
         検査院によると、相談件数を把握しているのは、全福祉事務所(1225カ所)のうち各市が設置した事務所(903カ所)。政令市と都道府県別に集計したが、最高、最低以外の自治体は公表していない。
         調査結果では、相談件数に対する保護開始率の低さが目立つ一方、相談から申請に至った比率も全国平均で30.6%。最低が北九州市(15.8%)で、最高が千葉市(71.1%)だった。実際に申請された件数に対する保護開始率は平均で91.5%。最低の熊本県でも73.8%と高く、申請後は高率で保護を受けられる実態がうかがえた。
         日本弁護士連合会が今年6、7月に行った生活保護に関する無料電話相談によると、事務所に相談に行った180人中118人(65.5%)が「65歳までは仕事を見つけなさい」「子供などから援助を」などと言われ申請に至らなかったという。
         生活保護行政の問題に詳しい小野順子弁護士は「子供など扶養義務者がいることが理由で相談段階で門前払いになるケースが多い。だが、実際には申請を受けて調査しないと扶養できるのかどうかすら分からない」と指摘する。一方、厚生労働省保護課は「相談者はさまざまな要因で生活に困っており、児童給付などほかの制度を使っている可能性もある。この数字だけで門前払いとは言えない」と話している。
         北九州市では、保護を必要とする人たちから悲痛な声が上がっている。
         「区役所の窓口はいつもけんか腰で『子供に援助してもらえ』の一点張り。思わず『首をつって死にます』と言ったこともある」。小倉北区の市営住宅に1人で暮らす女性(75)は8年前に夫と死別。年金月額7万円だけが収入だ。2人の息子のうち援助を受けていた二男が春から音信不通に。長男は自分の家計維持で精いっぱいという。「介護保険料も医療費も上がって暮らしはぎりぎり。夫が元気な間はちゃんと税金を納めていたのになぜこんな目に遭うのか」と涙ながらに訴える。
         同市内7区の福祉事務所は毎年策定する運営方針で相談件数に対する申請率の数値見込みを設定している。同市保護課は「申請件数のとらえ方が自治体によって異なり、申請率を一概には比較できない。市は従来、保護行政の適正実施に努めている。門前払いはしていない」と反論する。
         もちろん北九州市だけではない。今年2月、京都市伏見区では、認知症の母親(当時86歳)の介護で生活苦に陥った息子が、母親に相談の上で殺害し自らも自殺を図った。息子は窓口に3回行ったが、失業保険を理由に申請を受理されなかった。京都地裁は7月の有罪判決で「生活保護の相談窓口の対応が問われている」と異例の指摘をした。また秋田市では今年7月、2度の申請を却下された男性(当時37歳)が、乗用車内で練炭自殺している。
        (毎日新聞)-10月26日3時6分更新
        【コメント】国や担当部局が関心を持つのは、保護費をどれだけ前年比で減らすことができるかで、保護を必用としている人の生活の実情ではないようです。先進諸外国の公的扶助や精神保健などに対する国家予算の支出割合やその位置づけを学ぶべきです。

        ●奈良の母子3人放火殺人、16歳長男の少年院送致決定
         奈良県田原本町(たわらもとちょう)の医師(47)宅が全焼し、妻子3人が死亡した放火殺人事件で、殺人、現住建造物等放火などの非行事実で送致された元私立高校1年の長男(16)の少年審判が26日、奈良家裁で開かれ、石田裕一裁判長は、中等少年院送致とする保護処分を決定した。
         決定によると、長男は6月20日午前5時ごろ、自宅1階台所などにサラダ油をまき、ガスコンロで着火したタオルで1階階段付近に放火。木造2階建て延べ約140平方メートルを全焼させ、2階で寝ていた母親(当時38歳)、二男(同7歳)、長女(同5歳)を一酸化炭素中毒で死亡させた。
         奈良地検は長男を「確定的に近い殺意があった」として、刑事処分相当の意見を付けて家裁に送致した。しかし、家裁による精神鑑定で、「父親の暴力で抑うつ状態になり、一つのことにしか注意が向かない発達障害だった」と診断され、付添人弁護士は「殺意はなく、更生のために専門的な施設で治療を受けさせるべき」と主張していた。
        (読売新聞)-10月26日12時21分更新

        ●奄美の不登校中1女子、教師訪問直後に自殺未遂
         鹿児島県奄美大島の公立中学校の男性教諭(37)が、不登校になっていた1年の女子生徒(12)の自宅に上がり込み、生徒がかぶっていた布団を引きはがして、「学校に行くのか、行かないのか」などと迫り、その直後、生徒が首つり自殺を図っていたことが26日、わかった。
         生徒は一命を取り留めたが、校長は「不適切な行動だった」と教師の対応に問題があったことを認め、27日にも男性教諭らが生徒と両親に謝罪するという。
         学校や関係者によると、女子生徒は今年6月ごろ、部活動を巡って顧問の女性教諭(25)から全部員の前でしっ責された。女子生徒はその後、退部し、2学期から学校に行かなくなった。
        (読売新聞)-10月27日3時7分更新
        【コメント】これも情けない話しですし、とても可哀想な事件です。90年代の前半くらいまでは、こんな対応が行われていたかと思います。「全部員の前でしっ責」を受け、「布団を引きはが」された少女の気持ちが、この教師たちに理解できるのでしょうか。

        ●障害者自立法施行『採算合わぬ』 東大和市社協が撤退
         障害者自立支援法の全面施行に伴う負担増を理由に、東京都東大和市の同市社会福祉協議会が、九月末で障害者の外出を援助する移動支援事業から撤退したことが、二十五日分かった。市内で同事業をしていた十九の事業者で撤退したのは同社協だけ。同法施行で事業が区市町村の裁量に任された結果、報酬単価の引き下げなどによる撤退事業者の増加も懸念されていたが、「地域福祉の中核的役割を担う社協が真っ先に投げ出すなんて…」と福祉団体から批判も上がっている。
         一九九〇年から移動支援事業を手掛けてきた同社協が、市側に撤退の意向を示したのは八月下旬。同法全面施行に伴い、事務作業が煩雑化し負担が増える▽採算性が合わない▽ガイドヘルパーの確保が難しい-というのが理由だった。
         財源の半分を市の補助金と委託費で賄う社会福祉法人で、地域福祉推進の中核でもあるだけに、同社協の星長助事務局長は「認識が甘いと言われても仕方がないが、現実的に考えれば継続は困難。民間が育ち、社協は(移動支援の)役割を果たしたという判断もあった」と説明する。
         しかし、突然の撤退で、同社協の移動支援事業を利用していた視覚障害者七人(九月末現在)のうち、現在も二人の受け入れ先が未定。その一人の五十代の男性は「一方的に打ち切りを決めてフォローもない。十五の事業者を回ったが、以前のようなサービスを受けられるところが見つからず病院にも行けない」と憤る。
         障害者支援組織「東大和障害福祉ネットワーク」は十三日、利用者のサポートや社協の体制見直しを求め、尾又正則市長へ要望書を提出した。同ネットワークの海老原宏美代表は「苦しいのはどの事業者も同じ」と批判する。
         同事業が区市町村の裁量に任され、報酬単価の引き下げなどに伴い苦境に立つ事業者も多いとみられ、川崎市では約百二十の事業者のうち二十前後が撤退したという。しかし、全国社会福祉協議会によると、社協については「今のところ、ほかに撤退したところは聞いていない」としている。
         世界規模の障害者団体の国内組織「DPI日本会議」、尾上浩二事務局長は「移動支援は報酬単価が低いうえ、利用が不定期でヘルパーの確保が大変なことから事業者は敬遠しがち。手を引く事業者は今後もますます増えると予想される。社協の役割からして、こうした事業こそカバーすべきだ」と主張する。
        <メモ>移動支援 ガイドヘルパーを派遣するなど身体、視覚、知的、精神障害者の外出を支援し、社会参加を支えるサービス。今月、障害者自立支援法の全面施行に伴い、地域生活支援事業に組み込まれた。事業者の報酬単価や利用者負担などは市町村の裁量に委ねられ、実情に沿った柔軟な対応が可能となった。東京都杉並区では身体介護を伴うサービスを1時間4000円、伴わないサービスを同2400円と報酬単価がアップしたが、広島市では一律1時間1500円と大幅減額になるなど、自治体間の格差も生まれている。従来に比べ負担が増えた事業者は多く、事業撤退やサービス低下が懸念されている。
        (東京新聞)2006/10/25
        【コメント】社会福祉協議会が「採算が合わない」と事業から撤退を決める自立支援法。もっと規模の小さな事業所や施設では、採算が合わないどころか、存続の危機に迫られています。悪法であると言って良いと思います。

        ●長男を中等少年院送致 奈良放火殺人 家裁「殺意は未必的」
         奈良県田原本町で今年6月、母子3人が死亡した医師(47)宅放火殺人事件で、奈良家裁は26日、殺人や現住建造物等放火などの非行事実で送致された長男(16)を中等少年院送致の保護処分にすることを決定した。石田裕一裁判長は「保護処分によって矯正改善の見込みがある。結果の重大性などを考慮しても、なお保護処分で対処すべき特別の事情がある」と判断。処遇期間については、「相当長期の処遇が必要」と意見をつけた。
         少年法は16歳以上の少年が故意に人を死なせた場合は原則検察官送致(逆送)しなければならないと規定する一方で、「相当の理由」がある場合には例外規定も設けている。今回の決定はこの例外規定に基づいており、検察側は抗告受理申し立てを検討する。
         石田裁判長は決定理由で、長男への父親の継続的な暴力について「正当なしつけの限度を超えた虐待ともいうべきもの」と指摘。長男が事件前の中間テストが不出来だったことで「父に発覚すれば殺されてしまうぐらい殴られると恐怖し、父を殺害して家出することを決意した」とした。
         さらに、実行には特定不能の広汎(こうはん)性発達障害の特質が強く影響し、放火を決意したと指摘。殺意については、「確定的ではなく、未必的に過ぎない」と認定。長男に罪の意識が芽生えつつあることなどから「自分自身の内面を振り返ることができる教育的環境のもとで、情緒の健全な発達を促し、贖罪(しょくざい)意識を養うことが望ましい」と結論づけた。
         決定によると、長男は6月20日午前5時ごろ自宅1階階段付近に放火し、2階で寝ていた母親=当時(38)=と弟=同(7)▽妹=同(5)=の3人を一酸化炭素中毒で死亡させた。
        ■奈良地検の西浦久子次席検事の話 「決定の内容を検討の上、上級庁と協議して抗告受理申し立てをするか否かを検討する」
        ■付添人の濱田剛史弁護士の話 「決定は非常に適正だと思う。少年の更生可能性が適正に判断された」
        ■十一元三・京都大教授(児童精神医学)の話 「長男への保護処分決定は、家裁が情状面や殺意の有無などに関して総合的に判断した結果だと考えている。広汎性発達障害は本来犯罪に結びつくものではないが、更生を図るには発達障害を念頭にした個別の処遇プログラムが必要だ。保護処分の決定は、家裁が刑事責任を問わず、長男が社会に再び適応できるための教育を優先すべきだと判断したのだろう」
        【用語解説】広汎性発達障害
         興味の偏りや、コミュニケーションの障害などを特徴とする発達障害の総称。先天的な脳機能障害が原因とされ、現在の診断基準は1994年に米国で確立された。自閉症やアスペルガー障害などが含まれ、全国に100万人前後いると推計される。犯罪などの反社会的行動を起こすことはまれであり、むしろ詐欺などの被害にあうことが多いとされる。
        (産経新聞)-10月26日17時5分更新

        ●全国初の「職親制度」 京都府が創設 ひきこもり支援へ
         対人関係をうまく築けず、自宅中心の生活を送る社会的ひきこもりの青年の自立に向け、京都府は26日、就労体験のできる事業所と青年を引き合わせる「職親制度」を新たに創設すると発表した。ひきこもり青年を1人受け入れるごとに、府が5万円を事業所に助成する制度で、全国初という。
         山田啓二知事が、同日の定例会見で明らかにした。
         府は、仕事や学校に行けず、自宅にひきこもっている青年が府内に約8000人いる、と推計している。仕事を通じて人間関係の再構築を目指す狙いから、新制度を「職親」と名付けた。
         居場所の提供や相談など、日常的にひきこもり青年を支援する府内27の団体から紹介を受けて、事業所に引き合わせる。事業所、支援団体と受け入れに関する協定を結んだ上で、青年に1カ月(80時間)程度の就労体験をしてもらう。支援団体は、その様子を見ながら青年や事業所に助言する。
         府は「ひきこもりの青年を力づける取り組みを官民の協働で進めたい」としており、受け入れ可能な事業所を26日から11月15日まで募る。企業だけでなく、農林水産業や伝統産業の職人、NPO(民間非営利団体)なども応募できる。問い合わせは府青少年課Tel:075(414)4304。
        (京都新聞)-10月26日15時49分更新
        【コメント】ひきこもり支援が、こうした就労支援だけになっていることに危惧を感じます。就労が課題、という段階のひきこもりの人たちは、まさに氷山の一角であり、圧倒的多数者が家から部屋から出られない、人に会えないなど重篤な状態で、中にはひきこもり状態から二次的に神経症や精神病を引き起こしているケースも少なくありません。こうした「見えにくい」部分にこそ支援の光があてられなければならないと思います。繰り返しますが、ひきこもり問題は、若年者非就労問題だけでは決してありません。

        ●<千葉教諭自殺>「校長のパワハラ許せない」遺族が会見
         千葉市立中学の教諭、土岐文昭さん(50)が9月に自殺した問題で、妻聖子さん(47)ら遺族が28日、同市内で会見し、「校長の過剰な圧力、大声での叱責(しっせき)はパワーハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)だと考えている。一生許すことはできない」と声を震わせ話した。遺族は近く、公務災害申請をする方針だ。
         遺族側の報告書によると、土岐さんは4月に赴任した中学で、校長(58)から「役立たず」などと度々大声で叱責され、精神的ダメージを受けていた。8月末、職務を優先させるために教頭昇任試験を受けないと校長に伝えたところ、「辞表を書け」「おれに恥をかかせる気か」などと怒鳴られたという。直後に「抑うつ、疲弊状態」と診断され、9月6日、同市内で飛び降り自殺した。
         聖子さんは「人の命と人権を大切にしなければならない学校で二度とこんなことが起きてほしくはない。真相を究明してほしい」と訴えた。
         一方、市教委は28日、「調査結果が出る時期は未定」と話し、自殺原因について明言を避けた。週明けにも療養休暇中の校長、教職員を対象に対面調査を実施する。
        (毎日新聞)-10月28日20時20分更新
        父と娘のすれ違い
        2006/10/22
        日本の高度経済成長を現場で支えてきたお父さんたちの多くは、「家庭をかえりみず仕事に打ち込んできた」という方であると思います。おのずと家庭と子育てはお母さんの仕事と…。こうした経済社会的背景において、性別役割がある程度規定されて行ったのだと思います。その中で、おざなりにされてきたのが、父親役割・母親役割かと思います。
         子どもは、乳幼児期に主たる養育者である(多くの場合)母親に愛着を求めます。子どもが女の子であれば、続いて異性の親である父親からの愛情を求めます。この頃に、「仕事が忙しい」お父さんたちは、娘の求める愛情に十分に応えることができません。時には愛情希求行動を疎ましく思いぞんざいにあしらってしまったり、無視やはねつけなどをしてしまうケースが少なくありません。子どもにしてみれば、自然と愛情を求めて近づいて行った相手から、自身が求める対応をもらえないばかりか、反対の結果を体験してしまい、自らの欲求を抑圧し、「愛情を求めることはダメなこと」という認知が形成されてしまいます。父娘の葛藤は、かなり幼少期に始まっていると言えます。
         思春期になって、「お父さんが嫌い」と公言してはばからない女の子が沢山います。成育歴をお聴きすると、上記のような体験をされている方が少なくありません。父親も、娘を可愛く思っていないわけではありません。しかし、幼少期に形成されたアンビバレントな思考が固定化し、その溝が埋まらないまま時間だけが経過し、本来のそれぞれの思いとは逆のすれ違いが続いてしまいます。
         こうしたケースでは、第三者が子どもの気持ちをしっかりと聴くこと、そして父親の考えや人生観を聴くこと、そしてお母さんなど間に立って調整役となれる人が第三者と連携しながら、父・娘それぞれの思いや立場を尊重しながら、意識的にかつ気長に関係修復へ働きかけること、それらをコーディネートできる第三者(家族関係への心理教育を行えるカウンセラーなど)を持つこと、などが大切です。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        いじめ自殺緊急調査、文科省が全国の小中高で洗い出し

        北海道、福岡県の児童・生徒がいじめを苦に自殺した問題を受け、文部科学省は16日、全国のすべての小中高校を対象に、自殺の原因となっている「いじめ」について、緊急調査に乗り出す方針を決めた。
         今週中にも各都道府県教委や私立、国立の学校に要請する。また、来年度には警察などと連携し、自殺の実態を探る全国調査を実施するほか、教員向けのマニュアルを整備するなど、子供の自殺を食い止めるための体制づくりを早急に進める。
         文科省では、これまでも年1回、全国の公立小中高校を対象に、いじめや自殺、不登校の数などを調べてきた。9月に公表した調査結果によると、昨年度の自殺の件数は105件で、ピークだった1979年(380件)と比較すると激減していた。ただ、原因別で見ると、いじめによる自殺の件数は99年度以降ゼロで、調査が実態を反映していないという指摘が出ていた。
        (読売新聞)-10月17日3時5分更新
        【コメント】いじめの実態を明らかにさせる取り組みは必用です。数を調べることに留まることなく、何が原因やきっかけで、どんなイジメがどんな構造でどんな範囲で行われ、どんな対応が行われ、結果どうなったか、その後の対応に生かす教訓は何かなど、いじめ事件から学ばなければならないことはたくさんあります。また、いじめにだけ焦点があたっていますが、不登校をはじめとして学校社会にはさまざまな問題が鬱積しています。いじめを一つの契機として、これらの多様な問題にも調査を深め、解決に向けて具体的対応法を見いだしてほしいと思います。いじめは「なくす」ことを考えるとその困難さから暗礁に乗り上げてしまいますが、「必ず対応できる」という姿勢でのぞむことで具体的な取り組みが進むと思います。

        ●2年生自殺の三輪中、いじめ7─8件を「0件」と報告
         福岡県筑前町立三輪中2年の男子生徒(13)がいじめを苦に自殺した問題で、合谷智校長は16日の記者会見で、同校ではこの数年間、7、8件のいじめが起きていたのに、担当教諭の指導などで解決したため、「いじめが続くことはない」と判断し、町教委に「0件」と報告していたことを明らかにした。
        文科省は「いじめが起きていたのなら、解決したかどうかには関係なく、正確な件数を報告してほしかった」と指摘している。
         7、8件のいじめうち4、5件は、合谷校長が着任した2004年4月以降に起きていた。合谷校長は「統計上もきちんと報告を上げるべきで、私の判断が誤っていた。7、8件のいじめについては現在、再調査しており、内容が判明したら公表したい」と述べた。
        (読売新聞)-10月16日22時13分更新

        ●福岡いじめ自殺 全校生徒の1割「経験ある」 校長が謝罪
         「いじめが原因です。さようなら」との遺書を残して福岡県筑前町の町立三輪中2年の男子生徒(13)が自殺した事件で、同校は16日、過去に別のいじめがありながら、町の教育委員会には報告していなかったことを明らかにした。また急きょ行ったアンケートで、全校生徒の1割がいじめの経験があると答えていることも発表。後手に回る学校の対応、自殺原因と教師の関係の説明も二転三転する中、文部科学省は調査に乗り出すことを決めた。
         16日午後の記者会見で合谷智校長は「(校長に就任した)04年4月以降、今回の事案とは無関係だが4~5件のいじめがあった」と告白した。町教委にいじめの報告をしなかったが、「いずれも長期にわたらなかった」「自殺した男子生徒のいじめは分からなかった」などと釈明した。
         同校では男子生徒の自殺翌日から全生徒425人を対象に記名アンケートを実施。ここで生徒たちがいじめの実態を次々に告白しているという。
         男子生徒にいじめ発言を繰り返したとされる学年主任(47)については合谷校長は「父親は学年主任が長期的に(いじめ発言が)続いたと訴えているが、私は短期間に集中し、例えば1年生の1学期にあったと考えている」と、いじめ発言期間が限定的なものだったと強調。「いじめを否定しないが、誘因と考えている。裏付けられるデータが上がっていない」と語り、自殺の直接の引き金になったとの見方を否定した。その上で処遇に触れ「今は話を聞ける状態ではないので、今後の推移をみて判断したい」と述べた。
         これに先立ち三輪中は同日午前、緊急の全校集会を開いた。合谷校長は「本当に申し訳ない」と全生徒に謝罪。「先生たちが手を抜いてしまった。乱暴な言葉を使った。全力で君たちの信号をキャッチする」と話し、信頼回復に全力を尽くす考えを強調した。
         三輪中や町教委には数百件を超える電話やメールによる批判が殺到している。生徒の間では「先生が(いじめ発言をしたのが)原因なら、学校はきちんと調べるべきだ」「学校からいじめをなくしてほしい」などの声が上がっている。
        ◇「学校は自殺との因果関係なかなか認めない」
         98年に長女をいじめ自殺で亡くした小森美登里さん(49)=横浜市港南区=は、今回の事件に触れ「教育委員会や学校は謝罪していじめがあったことを認めても、自殺との因果関係はなかなか認めない」と話す。
         小森さんは現在、いじめのない優しい社会を目指すNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)の理事で、講演活動などのために各地の学校に出向いている。
         一般論としながら「いじめなどの問題が多いと学校の管理職らの格下げなどの処分となり、保身のために事実を言いにくくなる」と指摘。また、学校現場の教師たちのしがらみが、「いじめの対応が遅れる一因となっている」と分析する。
         同NPOが03~06年に、中学校23校8997人を対象に行ったアンケートでは、4人に1人がいじめられた経験を持つと回答した。小森さんは「子どもの実感と教師の目に違いがある」という。
         また、いじめの数を減らすために目標数値を設定する自治体もあり、「目標値内に収めようと(いじめを)隠す原因になる」と疑問を投げかける。「数が多いことを恐れず、国や自治体は一度、実態を把握して解決に動いてほしい」と訴える。小森さんによると、長女の死亡原因は「いじめ」とされていないと学校側に説明されたという。
         いじめを解決する方法の一つとして、「大人は子どもと一緒に、心と命の問題について考えていかないといけない。話を聞けば子どもは答えをしっかり教えてくれる」と話した。【吉永磨美】
         ◇教諭のいじめ関与、全国で
         「葬式ごっこ」や差別発言、暴力、体罰……。教諭が生徒へのいじめに関与した事例はこれまでも全国で起きている。
         86年2月に「このままじゃ『生きジゴク』になっちゃうよ」との遺書を残して自殺した東京都中野区立中野富士見中2年、鹿川裕史君(当時13歳)のケースでは、教諭4人が同級生とともに色紙に追悼の言葉を寄せ書きするなどの「葬式ごっこ」を行っていた。
         91年6月には福岡市の市立中学校でも、尿検査で再検診となった3年生の男子生徒に対し、担任の男性教諭が中心となって同級生に「追悼の言葉」を言わせるなどした。
         また、福岡市の市立小学校の男性教諭が、担任の4年生男児の曽祖父が米国人と知って、男児に「血が汚れている」などの差別発言や体罰などを繰り返し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症させたとして、男児と両親が、教諭と市を相手取って総額約5800万円の損害賠償を求めて提訴。福岡地裁が今年7月、体罰と差別的発言があったと認定し、市に220万円の支払いを命じた。しかし、PTSDは否定したため、男児側が控訴している。
         ほかにも、横浜市の市立中学校で05年、男性教諭が3年生の男子生徒の鼻にチョークを押し込もうとするなどの「いじめ」を繰り返し、頭を柱にぶつけて軽傷を負わせた。02年には東京都武蔵村山市の都立養護学校の高校2年の男子生徒が、授業中に担任の男性教諭からワインを唇に塗られたり、遺影と誤解するような黒縁立ての写真を贈られている。
        (毎日新聞)-10月17日10時23分更新

        ●福岡、中2自殺 変わらぬ隠蔽体質 心の痛み共感できない学校
        福岡県筑前町立三輪中学校の2年生の男子生徒(13)がいじめを苦に自殺した問題で、同校校長は16日、1年当時の担任による言葉のいじめを認め、全校集会が開かれた。文部科学省は過去のいじめ自殺で、いじめの定義を変更するなど、隠蔽(いんぺい)体質になりがちな学校の対応の変化をうながしてきたが、いじめが原因の自殺はこの7年間、統計上ゼロ。子供の心の痛みを共感できない学校や教師に関係者からは批判の声がでている。
        《解明困難…「いじめ自殺7年連続ゼロ」》
         文科省は、いじめの定義について、(1)自分より弱いものに一方的に(2)身体的、心理的な攻撃を継続的に加え(3)相手が深刻な苦痛を感じている-としている。
         昭和61年、東京都中野区立中野富士見中2年、鹿川裕史君=当時(13)=が、担任教師まで加わった“葬式ごっこ”などのいじめを苦に自殺した事件を踏まえて定義されたものだ。
         さらに平成6年、愛知県の西尾市で市立東部中2年、大河内清輝君=同(13)=がいじめを苦に自殺。この事件後、同省はいじめの定義にあった「学校としていじめの事実関係を把握しているもの」の文言を削除。「遺書などで『いじめられた』と子供が訴えれば、具体的な事実関係を厳密に特定するまでもなく、いじめがあったと認定する」(同省)ことで、隠蔽されがちないじめに対する学校の対応の変化をうながした。
         文科省の統計では、小、中学、高校のいじめは年間約2万件以上。一方、児童生徒の自殺は年間100人以上で推移している。しかし、いじめを主たる理由とする児童生徒の自殺件数は、平成10年に千葉県成田市の中学2年生が自殺した事件を最後に17年までの7年連続ゼロだ。
         同省では「自殺の原因を学校で特定するのは、非常に困難だ。特にいじめの場合、教師の目を盗んで行われる場合もあり正直、遺書がなければいじめと特定することは困難」と話す。
         しかし、北海道滝川市のいじめ自殺では遺書にいじめの記述がありながら市教委と学校が「いじめがあったか確定できない」としていた。
         同省では、滝川市のケースで自殺の3週間前にも同クラスで修学旅行のグループ分けをめぐり3回にもわたって話し合いが行われたことについて、「自殺した生徒にすれば、教師も加わっていじめられたように感じるだろう。福岡の担任にも言えることだが、校長でもいい、教委には指導主事もいる。なぜ、『指導としておかしい』と担任を正さなかったのか」と学校運営の問題点を指摘。ある文科省の幹部は「こうした事件が起きる学校は必ずといっていいほど『担任任せ』もしくは『校長排除』の空気がある。情報の風通しが悪く、組織一丸となった対応に鈍い」と話す。
        《校長、「いじめ」を「プレッシャー」と表現》
         福岡県筑前町立三輪中学校のいじめ自殺問題で、合谷(ごうや)智校長が16日朝の全校集会で、他の生徒によるいじめを「プレッシャー」と表現していたことが分かった。
         合谷校長は午後に町役場で開いた記者会見で「男子生徒に対するいじめがあった」との認識を改めて示した上、「子供たちの姿を見て、いじめという言葉が出てこなかった。わたしの弱さだ」と釈明した。
         全校集会は生徒の自殺を受け、午前8時半すぎから約30分間、報道機関に非公開で開いた。会見によると、合谷校長は生徒らを前に「君たちがプレッシャーを与えることはあった。そのことに対して『ごめんなさい』と謝る気持ちが大切です」と発言したという。
         不適切な発言でいじめたとされる元担任は、全校集会は体調不良を理由に欠席。合谷校長は学校側の非を認め、生徒たちに謝罪した上で、「これからは『先生、そんなこと言ったら傷つくよ』と話し、みんなで優しい人間になっていこう」と話したという。
         一方、合谷校長は「マスコミやインターネットで出ている学校と違うと知っているのは君たちとわたしたち。振り回されてはいけません」とも発言したという。会見では「ネットの書き込みに目を覆いたくなる内容があった」と述べ、「マスコミ」の問題を指摘した言葉は削除するとした。
         遺族が学校側の説明に納得していない点について、合谷校長は会見で「(原因究明への)情報収集で学校が遅れているなと思う。大変申し訳ない」と釈明。「経験したことのない事態で、今までの三輪中の組織力ではもう限界を超えている」と話した。
         一方、文科省は16日、福岡県教委に職員を派遣し、教諭の関与について調査に乗り出すことを決めた。
        ◇埼玉県教育委員の高橋史朗・明星大教授の話
         「最大の問題は、子供と心のキャッチボールができず、心の痛みを共感できない教師の存在だ。教師に求められるのは知識・技術の伝達だけで、『時代が要請する教師像とは何か』という視点が戦後教育からすっぽり抜け落ちていた。このため、子供を不用意に傷つける教師の言動が増えている。今、教育現場に問われているのは教師自身の人間力。望ましい教師像とは何かを改めて考え、教師の養成、採用、研修に努めるべきだ」
        ◇プロ教師の会を主宰する河上亮一・日本教育大学院大教授の話
         「学校社会には、教師が教え、生徒が学ぶというある種の上下関係が必要だが、この関係を誤解する教師がいる。自分が偉いと思い込み、生徒に横暴に接するのだ。今回の事件も教師の側に問題があったことは否めない。ただ、教師や学校を非難するだけでは根本的な問題解決にならない。どんな学校にもトラブルやいじめは存在する。その現実から目をそらさず、家庭や地域も積極的に学校運営に関与すべきだ」
        (産経新聞)-10月17日8時1分更新
        【コメント】いじめ自殺に限らず、学校で起こった事故によって死亡したり障害が残ったケースでも、学校は事実経過の調査に積極的に取り組まなかったり、事実を隠蔽して学校側の責任をあいまいにしようとし続けてきました。全国でこれらの問題をめぐって訴訟や人権救済の申し立てが行われていますが、学校や教委の隠蔽体質が明らかになるとともに、司法の側の不理解から遺族の「起こった出来事の事実経過を知りたい」「再発防止に具体的な方向性を」といった願いが通じることは希有です。

        ●校長“いじめ”で男性教諭自殺か
         千葉市立中学校で教務主任を務めた男性教諭(50)が先月自殺したことが17日までに明らかになった。同市の教育委員会が勤務校の男性校長(58)の度重なる叱責(しっせき)により自殺した可能性があるとみて関係者から事情を聴いている。この校長は9月中旬に市教委から事情を聴かれたが翌日から体調不良を理由に休職している。
         市教委などによると自殺した男性教諭は9月6日に千葉市内の道路にかかる陸橋から飛び降りて死亡した。遺書は見つかっていないが遺族が「真相を知りたい」と市教委に訴え、調査を開始。学校側は市教委から配布された文書に回答し、提出したという。
         校長の自殺した教諭への「行き過ぎ指導」は今年の夏休み前から始まったとされる。この教諭に対して校長が大声で罵詈雑言(ばりぞうごん)の集中砲火を浴びせ、責めている姿が学校関係者らにたびたび目撃されていたという。
         校長は昨年4月に、亡くなった教諭は今年4月に同校へ着任した。数学を担当し、サッカー部の顧問を務めた。生徒の話では「まじめなタイプ。優しかった」。校長については「朝礼はいつも予定を毎回オーバーしたし…いつ終わるんだよって感じ」という声があがるなど「説教好き」として煙たがられている面もあったようだ。
         この件を知った生徒たちは動揺を隠せず、教室内でもさまざまな憶測が飛んでいる。放課後もマスコミが生徒に近づかないよう職員が周囲を巡回する“厳戒態勢”を取って対応した。取材に応じた同校の教頭は「(市教委の)調査結果を待つだけ。(校長がこの教諭を叱責する場面は)見たことがない」と説明している。
        (スポーツ報知)-10月18日8時4分更新

        ●大阪教職員殺傷 少年に懲役12年 家裁移送退ける
         大阪府寝屋川市立中央小学校の教職員殺傷事件で、殺人などの罪に問われた卒業生の少年(18)に対し、大阪地裁は19日、懲役12年(求刑・無期懲役)の判決を言い渡した。横田信之裁判長は少年の広汎性発達障害が犯行に与えた影響を認めたが、「その影響は過大視できない。結果の重大性などに照らして極めて悪質な事案で、もはや保護処分の域を超えている」と判断し、刑事処分を選択した。
         一方で、横田裁判長は再犯防止などのために障害を踏まえた処遇の必要性に言及、「少年刑務所での適切な処遇を強く希望する」と付け加えた。
         公判では、発達障害を考慮して矯正教育をする少年院送致が適当か、事件の重大性からあくまでも厳罰で臨むかが最大の争点だった。横田裁判長はまず、発達障害について「障害の特徴である強迫的な固執性もあって、少年は本件犯行に及んだとみられる」などと認定した。
         しかし、「少年は規範意識もある程度働いており、犯行を思いとどまることは不可能ではなかった。一般に障害そのものは犯罪と結びつくわけでもない」と指摘。さらに「障害の確立された治療法はなく、18歳という年齢から、少年院での処遇可能期間に治療効果が浸透するか問題だ」などとして、弁護側が主張する保護処分(少年院送致)に疑問を呈した。
         また、「人を刺すことは当然、殺す可能性を含んでいる」と、弁護側は否定した殺意を認定。犯行当時の精神状態についても「著しく減退していなかった」と完全責任能力を認めた。
         ただ、検察側は犯行時18歳未満の最高刑となる無期懲役を求刑したが、障害による影響などを考慮して「無期に処することはできない」とした。
         少年犯罪を厳罰化した01年4月施行の改正少年法は、故意の行為で人を死亡させた16歳以上の少年について、原則的に成人と同様の刑事裁判を受けさせる検察官送致(逆送)と規定している。大阪家裁は昨年8月、この原則に沿って少年を逆送し、大阪地検が起訴した。少年は捜査・公判段階の2度の精神鑑定で広汎性発達障害と診断された。
         弁護側は「発達障害の克服なしに真の更生は出来ず、少年院送致が相当」と少年法55条に基づく家裁移送の決定を強く主張。改正少年法施行後、殺人罪で初の家裁移送の決定が出るか注目されていた。
        ◆認定事実 中央小学校在学中、同級生からいじめられていると感じ、担任教諭に否定的な感情を持っていた少年は、引きこもり生活の中で加害空想を抱くようになり、担任教諭らを刺そうと計画。17歳だった昨年2月14日午後3時ごろ、同小に包丁を持って侵入、担任が不在だったため、鴨崎満明教諭(当時52歳)を刺殺、女性教職員2人の腹部や背中を刺して重傷を負わせた=殺人、殺人未遂、建造物侵入、銃刀法違反の罪。
        【広汎性発達障害】 自閉症、アスペルガー症候群などの自閉性障害の総称。先天的な脳機能障害とされ、他人の意図を読めずうまくコミュニケーションできない▽想像力に障害があり、情緒的理解や抽象的思考が苦手▽自分の興味、関心に執着する--といった特徴がある。雰囲気を察知したり、相手の表情から内心を読み取ることが難しく、社会適応に訓練が必要とされる。その半面、集中力や記憶力で優れた能力を発揮するケースもある。
        (毎日新聞)-10月19日17時13分更新
        【コメント】この判決から、1.広汎性発達障害について司法がまるで学び理解しようとしていない現実、2.今の日本社会が広汎性発達障害に対して抱いている意識や理解のレベルを司法判断が見事に現していること、が読み取れます。発達障害があるから罪が許される、ということはありません。起こした犯罪行為に対して罪は償うべきであることはいうまでもありません。犯罪行為を犯罪として理解・認知できない状態にある被告には、懲罰的な処遇だけではなく、起こした罪をしっかりと認知し自身の罪と向き合える能力を養うための医療・療育的な環境を与えることが不可欠だと思います。また、多くの方が指摘されていますが、この少年の成育歴や、学校に対して恨みを抱くようになった経緯についてまったく触れられていないことは、判決として極めて不備なものであると思います。広汎性発達障害と犯罪については、今後も起こりうるものですから、障害特性の理解の上に立って司法判断が行われて行くようになることを願います。

        ●<自殺統計>分類に「いじめ」「多重債務」など追加 警察庁
         警察庁は19日、8年連続で年間3万人を超える自殺対策に役立てるため、同庁の自殺統計の原因・動機の分類方法を見直し、「いじめ」「負債(多重債務)」「介護・看病疲れ」など社会問題化している項目を新たに加えることを決めた。来年1月以降は新しい分類で集計し、データは08年以降に関係省庁や研究機関の要望に応じて速やかに公表する。
         今年6月に国と自治体に自殺に関する情報の収集、分析などを義務付けた自殺対策基本法が成立したことを受け、同庁が見直しを進めていた。
         同庁は全国警察で把握した自殺者のデータを「自殺の概要資料」として毎年とりまとめ、公表している。原因・動機は「家庭問題」「健康問題」「経済・生活問題」など大きく8項目に分類。さらに家庭問題を「親との不和」や「子との不和」に分けるなど全体で54項目に細分化し、検視を担当した警察官がこのうち一つを選んでいた。
         今回の見直しでは分類項目に新たに「いじめ」「介護・看病疲れ」「子育ての悩み」「被虐待」などを加えるほか、これまで「負債」としてきたものをさらに「多重債務」「連帯保証債務」「その他」の三つに分ける。また、該当するケースの少ない「思想」や「あてこすり」を廃止し、全体で53項目とした。自殺の動機は多岐にわたることが多いことから警察官が三つまで選んで記録する。さらに、これまでまとめていなかった自殺サイトへの書き込みの有無も集計。自殺の手段の分類にも「練炭等」「排ガス」の項目を加えた。
        ▽自殺対策に詳しい本橋豊・秋田大医学部教授(公衆衛生学)の話 原因の分析は自殺対策には欠かせない。自殺の動機は一つに限定できないことが多く、原因を一つに絞り込む方法には問題があった。新分類は社会的な問題が新たに盛り込まれており、自殺対策により役立つ中身になったと評価している。
        (毎日新聞)-10月19日11時0分更新

        ●いじめ 摘発165件 力が弱い/無抵抗/いい子ぶる/動作鈍い
         昨年1年間に全国の警察が摘発、補導した、いじめに絡む小中高校生による暴行などの事件は3年連続で増加し、過去10年で2番目に多い165件(前年比4件増)に上ることが20日、警察庁のまとめで分かった。
         同庁によると、いじめる側が起こした暴行などの事件は155件で、いじめの仕返しによる事件は10件だった。
         摘発、補導された人数は前年より10人多い326人。うち中学生が240人と7割以上を占め、高校生は63人、小学生が23人だった。
         いじめた理由(複数回答)は「力が弱い、無抵抗だから」が全体の27・3%で最も多く、次いで「いい子ぶる、生意気」が27・0%、「よくうそをつく」が11・7%、「態度、動作が鈍い」が11・3%。
         被害者203人のうち6割以上が「誰かに相談した」と回答。相談相手(複数回答)は保護者が41・9%で最多。教師の31・5%、警察などの相談機関13・8%、友人の3・0%と続いた。
         小中高生のいじめに絡む事件の摘発、補導は平成8年からの10年間でみると12年の170件がピーク。14年は94件だったが、翌年以降は増え続けている。
         教育現場に警察が介入する「いじめ絡み事件」の増加について、教育関係者の多くは「学校が子供の暴力行為に自力で対処しきれなくなっている現状の表れ」と指摘する。
         文部科学省の統計によると、いじめの発生件数自体は近年、少子化による児童生徒数の減少とともに、減少傾向にある。一方で、校内暴力の発生件数(文科省調べ)は増加しており、暴力的ないじめに特化している傾向を裏付ける。同省は「キレやすい子供」を脳の機能不全ととらえた科学的な研究も進めている。
         子供から電話相談を受けるNPO法人「チャイルドライン支援センター」の徳丸のり子理事は「今の子供は人間関係で衝突したり摩擦を起こしたりする経験が少ないから、たまにそうなると凶暴化してしまう」と指摘。「いじめられっ子のサインに先生や親が早く気付き、適切に処置すれば、解決できるはず。大人の力が弱まっている」とも話す。
         不登校生徒のメンタルケアにあたっているNPO法人「不登校情報センター」の藤原宏美理事は「不登校になる子の8割ほどはいじめが原因。教師や家庭から子供を助ける意識が薄れてきている」と分析している。
         「日本子どもを守る会」名誉会長の大田尭・東大名誉教授(教育哲学)は「人間関係が疎遠な時代、大人の人間関係作りが下手になったことが子供にも影響している」と話している。
        《首相、教育再生会議で議論》
         安倍晋三首相は20日、いじめによる子供の自殺などが社会問題化していることについて、「教室、学校におけるいじめの問題は、昔からあったのも事実だが、最近極めて深刻化している。教育再生会議でもこの問題をどうすれば解決できるか議論していきたい」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
        (産経新聞)-10月21日8時2分更新

        ●対人能力障害、ケア充実を 京の団体 アスペルガー援助者 養成講座 
         知的に問題はないが、対人能力に障害のあるアスペルガー症候群の人へのチームケア充実を目指す「アスペルガー援助者養成講座」が11月4-25日の毎週土曜午後6時半から、京都市中京区丸太町通七本松西入ルの京都アスニーで開かれる。
         思春期から成人期にかけての援助をテーマに、医療や教育、生活の現場で支援に携わる専門家が適切な理解と支援について講演する。
         「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」(右京区、田井みゆき代表)が催す。定員200人で、家庭や学校、職場など当事者にかかわる幅広い人の参加を呼び掛けている。
         講師は▽4日 田井代表▽11日 十一元三さん(京都大医学部教授)▽18日 小谷裕実さん(京都教育大教授)▽25日 定本ゆきこさん(精神科医師)。参加費は4回で1万円。はがきかファクス、電子メールで先着順に受け付ける。問い合わせはノンラベルTEL、ファクス075(312)3338。
        (京都新聞)-10月19日8時49分更新
        【コメント】参加を希望される方は、お早めにお申し込みを!

        ●自殺防止:県が連絡会議設置 来年7月までに行動計画 /石川
         石川県は20日、自殺防止のための関係者の連絡会議(会長・山岸勇副知事)の初会合を県庁で開いた。自殺対策基本法が12月までに施行され、対策が県の責務とされているのを受けた取り組み。来年7月までに行動計画を作り、実施する。
         メンバーは、医療、労働、教育、宗教など各分野のリーダーと、県、県警の担当者ら30人。会議では県警の担当者が県内自殺者数の推移を説明した。
         1990年代、年間ほぼ200人前後だったが、山一証券など金融機関の破たんが相次いだ98年に300人を突破。その後300人前後で続いている。最も多かったのは03年の332人。
         性別では、男性は90年代前半、120~130人台だったが、96年から急増し、98年に200人を突破。その後も200人を上回る状況が続く。一方で女性は60~100人前後で、男性ほどの変化はない。年代別では96年以降、50歳代が急増。
         職業では無職が多い。原因別でみると、病苦は増減を繰り返しながらも減少傾向であるのに対し、経済生活問題が98年以降急増。03、04年には病苦を抜いて原因のトップになっている。
         委員らは自殺防止に向けた取り組みを説明。30年来、電話相談を行っている「金沢こころの電話」会長の山内ミハルさんは「先日当番だった日は3時間で2件、自殺に関する電話があった。うち1件は大学生。『つらいことがあって昨日、首を切った。自分は生きる価値がない』というものだった」などと相談の具体例を報告した。
         今後、連絡会議の内部に、「児童・生徒」「勤労者」「高齢者」の3部会を置き、それぞれ対策を練って、行動計画につなげる。
        10月21日朝刊
        (毎日新聞)-10月21日16時2分更新

        青年・成人期のアスペルガー障害への支援を考える
        2006/10/15
        「アスペルガー障害」、「アスペルガー症候群」と聞いて、イメージできる人は、今の日本でどれくらいいらっしゃるのでしょうか。文部科学省が発表した教育上「特別な支援」を要する生徒は6.3%という数字や、最近のマスコミによる事件報道などでの「広汎性発達障害」の鑑定など、少しずつ認知は広がってきているように思います。しかし、広汎性発達障害=凶悪事件というステレオタイプが広まってしまったのも悲しい事実です。ここで押さえておいてほしいのは、凶悪な事件を起こした「犯人」が広汎性発達障害であったとわかるのは、事件発生後の精神鑑定においてがほとんどであることです。つまり、広汎性発達障害があることに回りの誰もが気づけないままに成長し、障害特性である「限局的な興味・関心」(=こだわり)から、違法行為をおこしてしまったり、他害的な事件の場合に常識では考えられないような陰惨な犯罪行為になってしまうことがあるということです。早期に発見され、療育を受けて成長した広汎性発達障害を有する人の起こす違法行為の発生率は定型発達の人に比べてはるかに低いと言われています。
         平成19年度から学校現場において「特別支援教育」が導入されますし、行政によっては発達障害などの早期発見に向けての乳幼児期のスクリーニングに独自の施策を打ち出している所も増えてきています。では、すでに中学を卒業し、あるいは児童相談所の対象年齢である18歳を越えた人で、広汎性発達障害が見過ごされてしまっている場合はどうでしょうか。発達障害者支援センターが全国都道府県及び政令市のほとんどで設置されてきていますが、小・中学生年齢まで、青年期以降は見られない、というところがほとんどのようです。青年期以降の発達障害の診断ができる精神科医なども極めて少ないのが現実ですし、診断が降りたとしても、その後の本人や家族へのケアを行う社会資源となると、ほとんどないのが現状です。
         私が副代表をしている京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベルのアスペルガー障害支援部門である「アスペルガー障害 思春期・青年期・成人期 アスペ・ノンラベル」は、全国でも数少ない、広汎性発達障害の方とそのご家族への支援を行っている民間団体です。こうした、広汎性発達障害の特性や関わり方を学び、具体的・個別的に援助計画を立てて支援を行う団体や公的機関が増えることが火急に求められています。
         アスペ・ノンラベルのサイトを一度のぞいて見て下さい。
        http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/
         また、ノンラベルが編集した『どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害』(かもがわ出版)をぜひお読みいただきたいと思います。
        http://www.amazon.co.jp/gp/product/4876999902/ref=sr_11_1/503-4339259-5803153?ie=UTF8
         次回は「父と娘のすれ違い」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <福岡いじめ自殺>生徒、当日5回も「死にたい」と話す

        福岡県筑前町の町立三輪中2年の男子生徒(13)がいじめを苦に自殺した問題で、同中の合谷(ごうや)智校長らが14日記者会見し、生徒が自殺した11日に授業時間中や昼休みなどに計5回、「死にたい」と話していたことを明らかにした。さらに、下校直前に生徒7人にトイレで「(死にたいのは)うそだろう。下腹部を見せろ」とズボンを下ろされそうになっていたことを認めた。合谷校長は「トイレでのいじめが自殺の要因の一つになった可能性もある」と話した。学校側はこの事実を13日までに確認していたが、「聞かれなかったから」として公表していなかった。
         合谷校長によると、男子生徒は11日は1、3、5時限の授業中に周囲の生徒に聞こえるように「死にたい」と漏らしていた。発言の内容が分からず私語だとして「集中しなさい」と注意した教諭もいた。また昼休みにも「死にたい」と話していた。
         6時限目の美術の時間には、スケッチブックを忘れてきたため、クラスの生徒から借りた。それに「遺言 お金はすべて学校に寄付します。いじめが原因です」などと書いた。貸した生徒は冗談と思っていたという。遺書は学校のスケッチブックの他にも、プリントの裏などに書かれ、計4通あった。
         6時限目終了後にトイレで7人の男子生徒に囲まれた時も「死にたい」と漏らすと「うそだろう。下腹部を見せろ」と言われ、ズボンを腰のあたりまで下ろされそうになったという。男子生徒はその後家に帰り、自宅の倉庫で首をつって自殺した。合谷校長は「徐々に気持ちが高まっていったのかもしれない」と話し、トイレの事件が自殺の引き金になった可能性に言及した。
        (毎日新聞)-10月15日2時47分更新

        ●いじめ自殺:中2男子が自宅で首つり、遺書残し(福岡)
         福岡県筑前町立三輪中学校2年生の男子生徒(13)が、自宅で首つり自殺していたことが、分かった。近くに「いじめで耐えられません」などと書かれた遺書があり、町教育委員会や県警朝倉署が背景について調べを始めた。
         町教委や同署などの調べでは、11日午後、男子生徒が、同町の自宅の物置内で首をつって死んでいるのを、祖父が見つけた。遺書は学校で配布されたプリント紙の裏側やスケッチブックなど計3枚で、1枚は上着のポケットの中に、もう1枚は遺体の足元にあり、スケッチブックは学校の美術室に置いてあった。
         「お父さん、お母さん、こんなだめ息子でごめん」などと走り書きされていた。先日引退表明した競走馬ディープインパクトのファンで、「生まれかわったらディープインパクトの子供で最強になりたい」とも書かれていた。
         複数の関係者によると、生徒は自殺した当日、学校の友人に「おれは今日死ぬ」と自殺をほのめかしていたという。
         生徒は今年9月からバレー部主将を務め、学校を欠席することもなく、明るくあいさつする活発な子で、成績も悪くなかったという。
         三輪中は12日に全校集会を開き、生徒の自殺を報告。12、13日には、全生徒を対象に「何か心当たりはないか」と問いかけるアンケートを実施した。臨床心理士4人を招いて、生徒全員の面談も始めている。13日からの中間試験も延期した。
         自殺した生徒の父親(40)は13日夜、自宅前で報道陣の質問に答え、「以前も別の生徒がいじめられてけがをしたことがあった。学校は二度と起きないように対応すると約束したのに、またいじめが起こった。息子がなぜこんなことになったのか究明してほしい」と話した。祖父は「弟たちに風呂の準備をしてあげるような優しい子だった。まだ13歳ですよ……」と声を詰まらせた。
         三輪中の合谷智校長と中原敏隆町教育長が13日夜、同校で会見した。合谷校長は「サインが出ていたのかもしれないが、気が付かなかった。教師、生徒、保護者の距離を詰めるよう努力してきたが、できていなかった」と話した。
         中原教育長は「13歳という若い命を失ったことは残念。いじめがあったという認識に立ち、自殺の原因を解明したい」と語った。
         ■生徒の遺書の主な内容■
         「遺言 お金はすべて学校に寄付します。うざい奴等はとりつきます。さよなら」
         「いじめが原因です。いたって本気です。さようなら」
         「seeyouagein? 人生のフィナーレがきました さようなら さようなら さよ~なら~」
         「生まれかわったら ディープインパクトの子供で最強になりたいと思います」
         「お母さん お父さん こんなだめ息子でごめん 今までありがとう。いじめられてもういきていけない」
        毎日新聞 2006年10月14日 3時00分 (最終更新時間 10月14日 6時19分)
        【コメント】
        北海道でのいじめ自殺事件報道が一段落したかと思った矢先の福岡での同様の事件です。今回も学校による不適切な対応、事実隠しが明らかになっています。文部行政は、数多くの子どもたちの屍を前に、なぜ何も学ぼうとしないのか、再発防止への真摯な取り組みを行わないのか、不思議でなりません。

        ●中1、いじめで抑鬱状態 奈良・橿原の中学 携帯メールに「死ね」
         奈良県橿原市の市立中学1年の男子生徒(13)が、複数の同級生から「死ね」などと書かれたメールを携帯電話に送られるなどのいじめに遭い、抑鬱(よくうつ)状態になったとして両親が「傷害を受けた」と橿原署に被害届を提出、同署が捜査を始めたことが8日、分かった。生徒は9月末から不登校になっているという。
         市教委などによると、この生徒は4月下旬、口論がもとで同級生から石を投げられたのをきっかけに「汚い」「臭い」などと言われ、9月初めには「学校に来るな」と言われた。同月26、27日は生徒の携帯電話に「死ね」などと中傷する12件のメールが届き、翌28日から不登校となった。
         生徒が医師から「抑鬱状態」と診断されたこともあり、両親は今月初めに被害届を提出。同署は学校関係者から事情を聴くなど慎重に調べを進めている。
         いじめが始まった直後から、生徒や保護者は学校に相談。学校側はいじめた同級生らを交えて話し合ったり、いじめた同級生に作文を書かせるなどしたが、市教委にはいじめの事実を報告しなかったという。
         校長は「学校内で対応し、一定の解決をしたと判断したので市教委に報告しなかった。生徒が早く学校に復帰できるよう努力したい」と説明。一方、市教委は「早い段階で連絡があれば、いろんな対応の仕方があったかもしれない」としている。
        (産経新聞)-10月9日8時0分更新

        ●いじめで中1男子が「抑うつ」、傷害で捜査…奈良県
         奈良県橿原市立中学1年の男子生徒(13)が、入学直後から約5か月間、携帯メールで中傷されるなど陰湿ないじめに遭い、抑うつ状態になったとして、両親の被害届を受けた橿原署が傷害容疑で捜査していることがわかった。
         学校側は5月にいじめを把握しながら、有効な対策を取れず、市教委にも報告していなかった。生徒は9月下旬から不登校になっている。
         学校などによると、生徒は5月ごろから連日クラスの半数以上にあたる十数人から「気持ち悪い」「臭い」などと言われ、石を投げられたこともあった。9月上旬には、携帯電話に週3回程度、「嫌われ者」「最低」などの中傷メールが届くようになった。このころ、生徒は同級生に「不登校になれ」「死ね」という言葉を浴びせられ、学校を飛び出した。生徒は「近くの池で死のうとしたが、家族のことを思い出してやめた」と話しているという。
        (読売新聞)-10月8日6時12分更新

        ●「なれ合い型」学級崩壊が急増 「反抗型」影潜め 一見和やか 先生は友達…
         子供の教師への反発が広がって学級運営が立ち行かなくなる「反抗型」の学級崩壊が影を潜める一方で、友達感覚の優しい先生とのなれ合いの末に秩序が崩れる「なれ合い型」の学級崩壊が都市部の小中学校を中心に急増していることが、都留文科大学の河村茂雄教授(心理学)の調査研究で分かった。こうしたケースは、表面上は和やかな雰囲気の教室に崩壊の兆候が潜むだけに、教師の落胆も大きく、立て直しのための処方箋(せん)も見つけにくいという。
         河村教授は集団心理研究の立場から学級崩壊の兆候を探る「学級集団アセスメント(QU)」と呼ばれる手法を提唱。依頼を受けた全国延べ約5万学級の全児童生徒を対象に心理テストを実施し、学級崩壊の予防策についてアドバイスを続けている。
         河村教授によると、学級崩壊は平均で10校に1校の割合で起きており、そのプロセスは(1)管理重視で指導好きの教師に一部の子供が反発、それが広がっていく「反抗型」(2)優しい教師による友達感覚の学級運営が瓦解を招く「なれ合い型」-の2つに大別できるという。
         学級崩壊の広がりが問題化した平成9年当時は、「反抗型」が主流だったが、最近は地方の学校で散見されるだけ。16年の大規模調査では、なれ合い型のケースが特に小学校で急増。首都圏の小学校で崩壊した学級の60~70%がなれ合い型だったほか、地方でも、県庁所在地や人口密度が高い新興ベッドタウンなどの学校で増えているという。
         教授によると、なれ合い型の学級崩壊は、こんなプロセスをたどる-。
         年度当初、保護者は「自分の子供は受けいれられている」と感じ、教師との信頼関係が築かれる。だが、内実は先生と個々の子供の関係ばかりが大切にされ、集団としてのまとまりに欠けている。教師は友達口調で子供に接し、子供に善悪を理解させず、曖昧(あいまい)な態度を取ることが多い。
         学級のルールが守れなくても「今日は仕方がない」などと特例を設けたり、私語を許すなどルール作りがおろそかになり、子供側には「ルールは先生の気分次第」という空気が生まれる。やがて教室内には、教師の気を引く言動が無秩序に生まれ、「あの子がほめられて面白くない」「先生は私と仲良くしてくれない」などの不満が噴出。告げ口が横行し、学級の統制が取れなくなる。
         河村教授は「反抗型はかつて中学校で問題となった『荒れる学校』に近いパターン。問題を抱えた子供をしっかりマークして指導方針を変えるなど処方箋が比較的打ち出しやすいが、なれ合い型の崩壊は学級のどこから崩れるかわかりにくい問題がある」と指摘。
         「最近の学校は個性重視が説かれ、個に寄り添える教師が増えた。その半面で教師も子供も集団形成や統制が苦手で、学級は集団というより群衆に近い状態になっている」と語っている。
        【なれ合い型の学級崩壊の兆候】
        (崩壊初期)
        ◎学級全体の取り組みが遅れ、やる気が低下する
        ◎教師の気を引く悪ふざけが散見する
        ◎ルール違反しても教師に個人的に許してほしいとねだる
        ◎私語が増え、教師の話に口をはさむ
        ◎2~3人が固まりヒソヒソ話が目立つ
        ◎他の子供やグループのことを教師に言いつける
        (崩壊中期)
        ◎注意すると「私だけ怒られた」と反発する
        ◎教師の指示が行き渡らなくなる
        ◎係活動が半分以上なされない
        ◎陰口が増え、授業中の私語、手紙の回し合いが目立つ
        ◎子供同士のけんかが目立つ
        (崩壊期)
        ◎教師を無視し、勝手な行動で授業が成り立たない
        ◎教師に反抗するときだけ団結する
        ◎係活動を怠り、ゴミが散乱、いたずら書きが目立つ
        ◎掲示物などが壊される
        ◎給食は力の強い順番になり、勝手に食べる
        【用語解説】学級崩壊
         一般に子供が授業中に教師の指示に従わず立ち歩いたり、教室を抜け出すなどの行為を繰り返すことで授業が成立しない状況を指す。全国校長会が全国547の小学校を抽出調査(平成9~11年度)したところ「そのような学級がある」は84校、「どちらともいえない(学級がある)」が36校あった。一部の都道府県教委が実態を公表した例はあるが、正確な実態はよくわかっておらず、文部科学省はこれまで全国調査などを行っていない。
        (産経新聞)-10月13日8時0分更新
        【コメント】学級崩壊が起こった場合、教育委員会や学校管理者は「指導力不足」教員として教師個人に責任転嫁をはかることが横行しています。学級崩壊という現象を社会学的にとらえてそのメカニズムを把握すること、教師や生徒の個の問題とせず学級や学校全体の組織的な課題と位置づけて早期の適切な対応をはかること、学校と家庭が現実課題について共通認識を持ち解消に向けた取り組みが行える環境を整えること、子どもたちを「管理」の対象としてではなく問題解決に向けて学校教育の主体として位置づけることなど、なすべきことを見定めて取り組んでいってほしいものです。

        ●県立療育福祉センター:発達障害者支援拠点、新施設スタート/高知
        ◇勉強の場や保護者の交流も
         県立療育福祉センター(高知市若草町)内で、「発達障害者支援センター」の新施設が完成し、本格的に業務をスタートさせた。自閉症や注意欠陥他動性障害などの発達障害者への支援拠点として期待され、5日には関係者約30人が集まり、見学会が開かれた。【服部陽】
         昨年4月の発達障害者支援法施行に伴い、県も支援センターを暫定的に整備。空き部屋を利用していたが、手狭だったことから改装していた。
         新施設は約570平方メートル。見学会では、すべり台やボールが置かれた「プレイルーム」、子どもが手先を使った作業をする机などが披露され、出席者はスタッフの説明を受けていた。
         一般的に発達障害者は人口の数%を占めるとされ、4月からの支援センターで受けた相談件数は計145件にのぼった。支援センターでは相談を受けた後に診断し、それぞれの障害に分けて専門的な支援に取り組む。また、就学前の自閉症の子ども向けには通園部門を設置。9月末時点で44人が契約し、月数回、利用している。
         出席した高知発達障害等親の会「KOSEI」代表の谷内つぼみさん(51)は「発達障害児は勉強する場が少ないので助かる。家に閉じこもりがちな保護者同士が交流できるのもうれしい」と話していた。同支援センター(088・844・1247)の電話相談は平日午前9時~午後5時。
        (毎日新聞)-10月6日16時1分更新

        ●持続的抑うつ状態、「父親から逃亡」=長男、発達障害と診断-奈良医師宅放火
         奈良県田原本町の医師(47)宅が全焼し母子3人が死亡した事件で、殺人や現住建造物等放火などの非行事実で奈良家裁に送致された長男(16)の精神鑑定書が13日、家裁に提出された。関係者によると、長男について広汎(こうはん)性発達障害と診断。幼少期からの父親の暴力により持続的抑うつ状態だったとした。事件当時は父親からの逃亡に病的に注意が集中している状態だったと指摘した。 
        (時事通信)-10月13日20時1分更新

        ●引きこもりの青少年に居場所を 宇治の教会で「フリースペース」
        「家を一歩出て、会話を交わす。気持ちのやりとりが始まれば」と、呼びかけのビラを用意する倉橋さん(城陽市寺田の自宅)  不登校や引きこもりとなった青少年の居場所「フリースペースおやすみ」が、宇治市内の教会でこのほど始まった。開いているのは、長男の不登校で悩んだ経験がある牧師。「悩む親子が集い、ほっとできる場に」と話している。
         「西小倉めぐみ教会」(京都府宇治市小倉町西浦)の牧師倉橋剛さん(56)=城陽市寺田。平日は「研修センター」として市民が利用している教会の礼拝堂で、9月4日から毎週月曜の午後2時から5時まで、フリースペースを始めた。
         倉橋さんは1999年、当時牧師だった岡山県倉敷市の教会でフリースペースを開設。6年間、不登校となった子どもたちの成長を見つめてきた。昨年4月に宇治市の教会に赴任したのを機に、地元で新たな居場所をつくることにした。
         フリースペースでは決まった活動はない。パソコン、卓球台、ピアノなどがあり、本を読んでも、昼寝をしてもいい。さまざまな理由で学校に行けなくなった子ども、進路を見失って引きこもる若者が家を一歩出て、会話を交わし、将来へのきっかけを探す。
         活動に「成果」を求めないのは、倉橋さん自身が、長男が中学1年で不登校になり、今もわが子と向き合っているためだ。「解決の特効薬はないのに、親は焦る。私もそう」と、孤立しがちな保護者にとってもほっとできる場を目指す。
         始めて1カ月余り。教会の周辺にビラを配っただけだが、すでに2人の青年が訪れている。16日もスペースを開く。「活動はこれから。焦らずゆっくりやっていきたい」。問い合わせは倉橋さんTEL0774(26)3661。
        (京都新聞)-10月13日11時29分更新

        ●トゥレット症候群、5人に1人不登校=周囲の無理解に悩む-支援団体初調査
         発声や動作を自分でコントロールできない「トゥレット症候群」の子供の5人に1人が不登校を経験していることが、支援団体による初のアンケートで分かった。症状のつらさや嘲笑(ちょうしょう)が主な理由で、周囲の無理解に悩む当事者の姿が浮き彫りになった。
         トゥレット症候群は、まばたき、顔しかめなどの「運動チック」と、せき払い、叫び声などの「音声チック」が1年以上続く神経の病気。1000人に1人程度の割合で発症するとされる。 
        (時事通信)-10月14日6時3分更新

        ●職員採用試験 「筆記できない」理由に 別府市 障害者受験断る
         別府市がことし7月に実施した身体障害者枠の市職員採用試験(上級職)で、「筆記ができない」ことを理由に手足に障害のある市内の大学4年生男性の受験を断っていたことが14日、分かった。市職員課は「筆記ができないと業務や職場の配置に影響が出る。そのための特別枠をつくる予定もない」と話している。
         同課によると、採用試験は1次でマークシート形式の「教養」と、小論文形式の「作文」、2次と3次でマークシート形式の事務適性検査や面接などを実施。市は受験案内に「自力による通勤ができ、かつ介助なしに職務の遂行が可能な者」との条件を示していたが、筆記能力の有無については明記していなかった。
         男性は6月中旬、受験の申し込みに同課を訪れ、パソコンを使った受験を要望したが、同課は「特例は認めていない」として拒否したという。
        2006/10/15付 西日本新聞朝刊

        ●生活保護最多1万7105世帯昨年度21年ぶり被保護者8年連続増
        不正受給も倍増7400万円
         2005年度の県内の生活保護世帯数(月平均)は、前年度比4・9%増の1万7105世帯で、1951年度の統計開始以来の最多記録を21年ぶりに更新したことが県のまとめでわかった。被保護者数も8年連続で増え、同4・4%増の2万3241人だった。県内経済の低迷や人口の高齢化などが背景にあるようだ。
         県健康福祉政策課によると、保護世帯数のこれまでの最多記録は84年度の1万6365世帯。80年代後半~90年代前半は減少傾向で、95年度に1万1237世帯まで減ったが、最近10年は一貫して増えていた。
         人口1000人あたりの被保護者数(保護率)を見ると、05年度の青森県は16・2人(前年度比0・8人増)。全国平均の11・6人を大きく上回っている。
         県内の市町村ごとの保護率では、大間町の38・1人が最も多く、佐井村の28・1人、風間浦村の25・5人が続いた。市部で最も多かったのは、青森市の21・9人だった。
         05年度の県内の保護世帯の類型別内訳は、「高齢者世帯」が7930世帯でトップ。次いで、「障害者・傷病者世帯」が6869世帯、「母子世帯」が1077世帯など。全体に占める高齢者世帯の割合は46・4%で、全国平均より3ポイント高い。県内の高齢化率がもともと高いことが関連しているようだ。
         保護世帯数の増加とともに、収入を偽って申請するなどの不正受給の件数も増えている。県内では05年度、前年度の1・8倍にあたる99件が確認された。不正受給総額も04年度の約3784万円から、05年度は約7461万円と倍増。有効求人倍率が全国最低にとどまるなど、県内の雇用環境の厳しさが、保護世帯の増加、不正受給の増加のいずれにも影響しているとみられる。
         生活保護を巡る県内の状況について、青森大の末永洋一教授(地域経済論)は、「経済が低迷しており、働く場所もない。特に、中高年層の雇用環境は厳しい。また、十分な年金を受けていない高齢者も多いことなどが要因ではないか」と話している。
        (2006年10月15日読売新聞)
        入り口の切り花
        2006/10/07
         相談室カンナを開設して1年半が過ぎました。個人開業のカウンセリングルーム経営の困難さ・脆弱さを身体の芯から学ばせて頂きました。とはいえ、相談・カウンセリングを必用とされている方がいらっしゃる限り、日々研鑽を積みながら相談室を続けて行かなければなりません。
         私の相談室の狭い入り口には、来談者をお迎えする意味で、ちいさな花瓶に切り花を生けるようにしています。駐車場から事務所のあるマンションへの道の途中に小さな花屋さんがあり、そこで季節の花を買っています。1週間に数百円くらいの買い物ですが、いつも愛想良く応対してもらっていて、気持ちが楽になります。殺風景な事務所に、この花があるのとないのとでは雰囲気が大きく違います。相談やカウンセリングに来られ、ドアを開けて入る時、そして終えられて帰られる時に、ちょっとの気持ちの切り換えをしていただければ、と思っています。
         次回は「ひきこもり当事者とインターネット」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        障害者の負担軽減、自治体の4割導入ー広がる地域格差

        障害者自立支援法で障害者に義務づけられた福祉サービス費用の原則1割負担をめぐり、全都道府県と政令指定市など主要市、特別区のうち、約4割が独自の軽減策を実施したり、導入を決めたりしていることが、朝日新聞社の全国調査でわかった。同法が一部施行された4月以降、従来に比べて急激な負担増となったのを緩和する措置。10月から始まる障害児施設の利用料負担でも、同様の軽減策に踏み切る自治体が相次いでおり、住む場所によって障害者の負担が異なる「地域格差」が広がっている実態が浮かび上がった。
         1割負担をめぐっては、同法で障害者の所得によって負担の上限額(1万5000~3万7200円)が設けられ、生活保護世帯は対象外。だが、食費や光熱水費は一定の実費負担が課せられており、金銭的負担を理由に、施設を退所する障害者が全国で続出している。
         全国調査では、47都道府県のほか、15の指定市とほかの県庁所在都市、中核市、特別区の計90自治体を対象に、同法施行に伴う障害者への取り組みなどについて聞いた。
         都道府県と指定市の計62自治体のうち、軽減策を実施、または実施の方針を決めたのは15自治体で、10自治体が現在、検討している。京都府は「負担増で必要なサービスを受けられなくなる」として、3年間の期限付きで国より低い上限額を設け、超過分を市町村と折半で助成。横浜市は非課税世帯を対象に負担の増額分を全額助成している。三重、千葉両県は、障害者が共同で暮らすグループホームへの家賃を補助する形で、本人の負担を軽減する。
         一方、37自治体は「実施していない」と回答。「障害者施策は全国一律であるべきで、軽減策についても国の責任」(茨城県)「低所得層に配慮した軽減策が法律で用意されている」(静岡市)などの意見が多かった。
         指定市を除く県庁所在都市と中核市、特別区の計75自治体では、42自治体が軽減策を実施、または実施の方針を決めており、実施しない27自治体を大きく上回る。検討中は6自治体だった。都道府県と指定市を含めると、57自治体が実施または実施方針で、全体の約4割にのぼる。
         児童福祉法の改正に伴い、10月から施設利用料の1割負担がスタートする障害児については、都道府県と指定市のうち、長崎県や川崎市などが現在の個人負担額を超えた分を全額補助するなど、13自治体が軽減策を実施する予定。「利用が抑制されれば子どもの療育が阻害される」(長崎県)との理由が多い。32自治体は、財政難などを理由に実施する予定がないとしている。
         調査では、国の一連の施策に対する評価も聞いた。「問題がある」「どちらかというと問題」が39%を占め、「余りにも短い期間で急激な変化」(川崎市)などの意見が目立つ。「妥当」と回答したのはゼロ。「どちらかというと妥当」は16%、「どちらとも言えない」は34%だった。
         〈障害者自立支援法〉 障害者の地域での自立や、身体、知的、精神の障害別で提供されてきた福祉サービスの一元化が目的。利用者が福祉サービスを自由に選べる「支援費制度」が財政破綻(はたん)したため、導入された。所得を基本とした「応能負担」に加え、利用したサービス量で利用料が決まる「応益負担」の仕組みを採り入れた。4月からの本人1割負担に続き、10月からは障害の程度を6段階に区分する認定制度も始まる。
        (asahi.com) 2006年09月25日08時15分
        【コメント】この自立支援法も後に介護保険と一体化すると言われています。必用な社会保障は、地域格差なく全国一律であるべきとは思いますが、障害毎の特性や支援の必要性・難易度などによって、障害者個々の状態に応じた支援が行われるべきであることは言うまでもありません。「福祉サービスの一元化」は「安上がり福祉」に向けて敷かれた線路と言えるでしょう。

        ●補助金維持を要請 障害者9団体(沖縄)
         県小規模作業所連絡会や障害者支援団体九団体の代表らが21日、県庁に喜友名朝春福祉保健部長を訪ね、障害者自立支援法に伴う障害者施策の低下を懸念し、小規模作業所に対する補助金の現行維持などを求め要請した。作業所への支援について、喜友名部長は「障害者の就労支援など法定事業を進める。利用者に不安がないよう市町村と連携を図っていきたい」と述べた。
         要請したのは、県特別支援学校PTA協議会、県LD児者親の会「はばたき」、沖縄自閉症児者親の会「まいわーるど」、県高等学校障害児学校教職員組合など9団体。
         一行は、県がこれまで行ってきた「地域療育等支援事業」が次年度以降、市町村に移管されることに「各市町村の対応はバラバラ。今までのようなサービスが受けられるか懸念している」と訴えた。県と市町村で2分の1ずつ補助している小規模作業所への助成も減額されないよう求めた。
         要請したメンバーからは「市町村に丸投げして格差が出れば誰が責任を取るのか。県が指導力を発揮すべきだ」「作業所の存続に肝心なのは補助金」との意見があった。自立支援法についても「自殺支援法という人さえいる。欠陥法と認めて県として何ができるか考えて」との声もあった。
        (琉球新報)-9月22日9時47分更新

        ●「自分に向かない」…校長・教頭の降格申し出が激増
         「自分に管理職は向かない」と、学校の校長や教頭が一般教員への降格を自ら申し出る「希望降任」が全国で増えている。
         多忙で精神的なプレッシャーの大きい職責に耐えきれず、思い悩んだり、体を壊したりする例が多いようだ。
         文部科学省によると、全国の公立小中高校などで2005年度に自ら降格を申し出た管理職は71人。01年度の26人から3倍近くに増加した。このうち、教員にとって「初めての管理職」である教頭の降任が62人を占め、最も多い。自治体別では東京都(18人)、北九州市(7人)、神奈川県、大阪府、広島県(各4人)などが多かった。
         希望降任はもともと、制度がなくても、地方公務員法上は可能だったが、「多くの管理職が降格できるとは知らず、悩みを抱え込むことが多かった」(文科省幹部)ため、01年度前後から各教委が相次いで制度を導入した。05年度末現在、都道府県や政令指定市の計50教委が制度を導入済みだ。
        (読売新聞)-9月24日16時39分更新
        【コメント】「なりたい仕事よりも、なれる仕事…」というCMが流れていたかと思います。学校管理者の任用方法は、結構闇に包まれています。ある教育委員会の教頭の任用試験では「君が代」を大声で歌うことが求められた、という話しを聞きました。今、学校現場に求められる管理は多様・複雑、かつ緊急のものが増えています。相当な管理能力と臨機応変さ、そして人格が求められています。従来の任用のあり方が問われているわけですが、それに教育委員会が臨機応変に対応できるか、ここにも大きな課題がありそうです。

        ●「再チャレンジ」年長フリーター対策で官民に温度差
         今週発足する安倍政権が重要施策に掲げる「再チャレンジ支援策」のひとつである25~34歳で定職に就かない「年長フリーター」の正社員化をめぐり、官民の温度差が際立っている。政府側の意気込みをよそに、日本経団連の調査では、年長フリーター採用に前向きな企業はわずか1.6%で、24.3%は採用する意思がなかった。新政権がどこまで企業の理解と協力を得られるのか。実行力をはかる試金石になりそうだ。
         年長フリーターの正社員化支援をめぐっては、安倍晋三・自民党新総裁が官房長官として議長を務めた再チャレンジ推進会議が、新卒だけでなくフリーターや第2新卒にも門戸を広げる「複線型採用」の導入や、採用年齢の引き上げなどを訴えている。また、政府も日本経団連や日本商工会議所に中途採用の拡大を要請。厚生労働省でも来年度予算で26億円を新規要求し、対策を練っている。
         しかし、日本経団連のある会員企業の人事担当者は「ずっとフリーターだった若者を一から教育する考えはない」と突き放しており、新政権の真価が問われそうだ。
        (産経新聞)09/25 07:59
        【コメント】フリーター、ニートという社会問題を作ったのは、若者たちではなく、企業の側の都合での雇用戦略であることが明らかになってきていると思います。「再チャレンジ」すべきは若者たちではなく、企業(多くは大企業)であり、その戦略を許してきた政府側であると思います。

        ●西海評論:再チャレンジの心/長崎
         次期首相就任が確実な自民党の安倍晋三新総裁が盛んに唱えているのが「再チャレンジ可能な社会へ」。リストラや受験失敗、さらに若い時につまずいた人が再度、やりたい仕事や勉強に挑戦出来る社会を意味するようだ。
         格差が開く中で、今は再チャレンジが難しいという前提での主張なのだろう。では、再チャレンジをしやすくするには、どんな具体策が必要なのか。
         「安倍さんが、そういう理念を示してくれたことは前進だ」。長崎市銅座町のフレッシュワーク長崎で統括マネジャーの二階堂孝志さん(45)は強調する。再出発を目指す若者らの就職を支援する施設だ。
         「面接では、前の会社を辞めた理由を尋ねられるのを覚悟しておかねばならない。それ以上に、さまざまなアルバイトをした経験を評価してもらえるよう前向きなアピールの仕方が大切だ」と言う。
         一方では、企業側が一度会社を辞めた若者にも能力を公平に評価する姿勢も求めている。「安倍さんの考え方が企業にも浸透すれば、再チャレンジの可能性も高まるはずだ」
         青春期に挫折、引きこもりを経験した若者の再チャレンジの機会も確保されるのか。「半分期待し、半分あきらめている」。福岡市のNPO法人「青少年サポートセンターひまわりの会」の会長、村上友利さん(61)は話す。
         九州各地の引きこもりの若者を福岡に集めたり、高速道路を走り回って訪問したりで20人を支援している。「今日は長崎県北部へ行って来た。往復で6時間掛かった」。佐世保から福岡のセンターに出てきている若者もいる。
         「他県までサポートに行くには、きつい年齢になった。財政を考えると日帰りになる。後継者を育てるにも金が掛かる。若者の再出発のために財政面で支援してくれる施策をお願いしたい。ただし、役所が間に入ると計画が遅々として進まない。末端に来るまでに安倍さんの理念も消えてしまうかもしれない」
         長崎市の「登校拒否を考える親の会」の井形和子会長も「まだ言葉だけで、具体策が示されないと評価しようがない」と話す。ただし「登校拒否の子供が集まり、自信を回復出来る居場所を各地に造ってもらいたい」との不登校を経験した女性の願いには共鳴する。
         「再チャレンジ可能な社会」を実現するには、一番支援を必要としている現場の思いに十分耳を傾けることから始めねばならない。
        9月25日朝刊(毎日新聞)-9月25日18時1分更新

        ●市民団体:「チャイルドライン」電話相談の受け手養成 来月開講 /福岡
         ◇受講生を募集
         市民団体「チャイルドライン@ふくおか」は10月1日から、子ども向け電話相談の受け手ボランティア(キャッチャー)の養成講座を始める。今回が7期目。来年3月まで計15回の講座のうち12回以上の出席者が、来年度のキャッチャーになれる。
         チャイルドラインは全国34都道府県で61団体が実施しており、昨年度は12万件を超す電話があった。相談はいじめや不登校、犯罪被害、親の離婚などさまざまで、受け手には子どもの現状についての知識や話を聴く技術が求められる。児童福祉の専門家だけで対応している団体もあるが、「@ふくおか」は一般の希望者を養成し、毎年20~30人程度をキャッチャーに認定している。
         今年度の養成講座の講師は▽フリースクール主宰の梅津和子さん▽エイズ・ワーカーズ福岡の北村紀代子さん▽精神科医の佐藤眞弓さん▽少年事件に詳しい八尋八郎弁護士――ら15人。いずれも日曜の午前からで、高校生無料▽学生6000円▽社会人1万2000円。キャッチャー希望者のほかに1回1000円で一般聴講もできる。
         問い合わせは事務局の山口祐二さん090・1199・8792。9月27日朝刊(毎日新聞)-9月27日16時2分更新

        ●不登校:長崎市民エフエムでラジオ相談--来月2日スタート /長崎
         ◇毎週月曜日午後11時半
         長崎市城山町のフリースクール「クレイン・ハーバー」を運営する中村尊さん(39)が、10月から長崎市民エフエム放送で不登校の子供や親の相談に乗る。毎週月曜午後11時半から30分。
         相談はファクス(095・832・2513)、メール(a@nagasakifm.net)で受け付ける。無料。中村さんは「対面では相談しづらい方に、ラジオを通してアドバイスしたい」と話している。
         クレイン・ハーバーは04年にNPO法人として開設。現在、10代の不登校の生徒7人が集まり、週5回農作業や学習などをしている。連絡は095・861・2453。
        9月30日朝刊(毎日新聞)-9月30日17時1分更新

        ●給食費払わぬ親たち お金あっても「頼んだ覚えない」
         家計にゆとりがあるのに給食費を払わない保護者が増えている。あまりの悪質ぶりに、法的措置を取る自治体が相次ぐ。未納分を学校側が立て替えたり、給食の質や量を下げて対応している事実は、教育界では“公然の秘密”。生活保護に上積みされた給食費を別の出費に流用する保護者もいるほどで、きちんと払っている保護者や教職員たちから非難の声が上がっている。
         「高級外車を乗り回し、携帯電話に何万円も払っているのに、給食費は払わない保護者がいる」。文部科学省にはこんな報告が相次いで寄せられている。外車に乗るような世帯だけではない。国や自治体は所得により生活保護に給食費分を上乗せして支給しているが、それでも給食費を滞納する保護者も多いという。
         小学校(低学年)で月3900円、中学校で月4500円の給食費(文科省発表の全国平均)。宇都宮市は9月12日、給食費を滞納している保護者38人に、支払い督促を宇都宮簡裁に申し立てた。4月には仙台市が、翌5月には北海道根室市が同様の措置を取っている。支払いに応じなければ、裁判所による差し押さえの処分が下ることになる。
         宇都宮市の調べでは、5月1日時点で、702人分の給食費が3カ月以上未納で滞納総額は3290万円。中学校21校中20校、小学校59校のうち40校で未納者がいた。未納者がいない学校の方が少なかった。
         北海道芦別市では昨年3月、支払い能力がありながら支払う意思がない「特定滞納者」に行政サービスの一部停止や住所、氏名の公表などを認める条例を可決した。
         佐賀県多久市では一昨年、給食費の納付を約束する保証人付きの「確約書」を全保護者に求めた(昨年度で廃止)。山梨県笛吹市でも「連絡なしに滞納した場合は給食停止」という同意書を保護者に提出させた。
         広島県や東京都でも悪質な未納事案が横行。学校側の再三の説得にも支払いに応じず、教員がポケットマネーで負担した例は日常茶飯事。教師や校長、PTAの役員が給食費を立て替えたものの、子供たちが卒業した後に踏み倒されてしまった例が絶えない。
         各自治体は、徴収員の配置やプリペイド方式の採用など“あの手この手”で踏み倒し防止に躍起だが、滞納する保護者の多くが「義務教育だから払いたくない」の一点張り。なかには「給食を出せと頼んだ覚えはない!」「給食を止められるものなら止めてみろ!」などとすごむ保護者もいるという。
         東京都内のある中学では、1人当たりの給食の予算は1日280円だったが、260円分に抑えざるを得なくなった。給食費の未納は、給食の質や量を低下させるという事態を招いている。
         学校給食法は、子供たちに給食を提供するよう自治体に「努めなければならない」と努力義務を規定。そのための設備や調理員の人件費は自治体が負担するが、食材費は保護者が負担するよう定めている。文科省学校健康教育課では「結局は保護者のモラルの問題。学校を通じて給食は自己負担であることへの理解を求めるしかない」と話している。
        (SankeiWeb)10/01 02:12

        ●札幌2児虐待死 「少年時代父にから暴力」 逮捕の男が供述
         札幌市中央区の女児二人の虐待死事件で、無職今野望美容疑者(24)=死体遺棄容疑で逮捕済み=の長女(4つ)への殺人容疑で再逮捕された同市中央区南一一西一、無職稲見淳容疑者(29)が、道警捜査一課や札幌南署の調べに対し、「少年時代に父親から虐待を受けた」と供述していることが三十日、分かった。同容疑者は事件前から女性などに対する暴力を繰り返しており、同署などは事件の全容解明に向け、同容疑者の成育歴にも注目している。
         同署などの調べや関係者によると、稲見容疑者は函館市に住んでいた中学時代に両親が離婚し、高校時代の途中まで千葉県の父親のもとで暮らしていた。同容疑者は十代だった一九九六年ごろ、付き合っていた女性に「小さいころから父親に木刀で殴られた」などと話していたという。ところが、稲見容疑者はこの女性に対しては、ささいなことで怒り、殴るけるなどの暴行を加えていた。その後も、同容疑者は妻子や女性に暴力を振るい、今回の虐待死事件以外にも、少なくとも四件のトラブルを起こしている。
         今年六月に内閣府が発表した青少年白書では、虐待を受けた子供が親になって自分の子供を虐待する「虐待の世代間連鎖」の可能性にも言及している。
        (北海道新聞)2006/10/01 08:19
        ひきこもり当事者とインターネット
        2006/10/07
        ひきこもりの状態にある青年たちはみんなインターネットに浸かっている、という印象があるようです。しかし、実態は、パソコンに向かいインターネットを長時間しているひきこもり状態の青年たちは意外と少ないようです。パソコンという器機への興味の有無も大きく影響します。ネットはネット社会という「外界」とのコンタクトを意味します。そういう段階にある人がネットからの情報を得たり、また自らチャットや掲示板に書き込んで自らの状態を発信しつつ自身への問いかけをしているものと思われます。
         では、パソコンをしないひきこもり状態にある人はどうか。部屋の中、家の中でできる様々なことをされています。金魚や熱帯魚を飼育する人、ペットと語り合う人、受験勉強を続ける人、テレビを見続ける人、料理などの家事を手伝う人、等々。実に多様に、今を行き自己存在への問いかけを続けておられます。
         ひきこもりには、それに至る経過(原因を含む)、ひきこもってからの経過、様々な刺激による自己洞察や試験的動きだしや部屋・家からの外出トライヤルなどの段階がありますが、「様々な刺激」の質が問われます。他者の人生の多様性を知り、自身の命や人生の大切さに気づき、自尊感情を高める、そんな刺激を受けられるのは第三者との関わりから、という場合が多いようです。お一人で抱える、本人の自己責任にする、家族内の問題として抱え込まれる、そうした閉鎖的で自己責任化した環境の中では、状態変化への刺激が生じることは希で、多くの場合、むしろご自身や家族内でお互いを責め合う、という非難・否定的刺激が積み重なってしまいます。神経症や抑うつなどの二次的障害も、、起こるべくして起こってしまいます。
         信頼でき、継続的に本人とご家族と関わることのできる第三者とつながることの重要性を強調したいと思います。
         次回は「青年・成人期のアスペルガー障害への支援を考える」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        58自治体が設置か予定ー自殺対策ネット

        自殺対策のため官民でつくる地域のネットワーク組織などを既に設置しているのは、全国六十二の都道府県・政令指定都市のうち香川県など二十で、設置予定(三十八)を含めると、計五十八の自治体が何らかの対策に取り組んでいることが特定非営利活動法人(NPO法人)の調査で三日、分かった。
         別の機関が実施した四月一日時点での調査では、設置済みと予定を合わせて計二十三にとどまっており、六月の自殺対策基本法制定を契機に対策が進んだといえる。
         調査はNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京)が、八月下旬から九月初めに自治体に聞き取りし、対策の取り組み状況によってAからEまでの五段階で評価した。
         自殺死亡率が全国的に高い秋田など東北三県は、既に「自殺対策連絡協議会」などの地域ネットワークが実践的な活動を進めていることを評価してAランク。兵庫など七自治体は、モデル事業など核となる取り組みが機能し始めているとしてBランクに位置付けた。
         組織があってもまだ具体的な取り組みをしていないCランクは香川など十、来年度までに設置予定のDランクは三十八自治体に上った。組織づくりの具体的な検討がないさいたま市、東京、滋賀、奈良の四自治体はEランクだった。
         C、Dランクの中には、民間との連携や人選の方法が分からないとの声もあり、ライフリンクは「一刻も早く国が組織の目的や連携のモデルを分かりやすく示し、支援を積極的に行うべきだ」と話している。
        (四国新聞 2006/10/04 09:26)
        【コメント】自死遺族会や自殺予防の運動をされている団体や個人は全国に多数存在します。「民間との連携や人選の方法が分からない」のは、窓口担当者やその部署に民間と連携をしようとする意志がないだけです。多様な癒しや予防の支援があります。柔軟に、そして早急にネットワークづくりをすすめてほしいと思います。

        ●敦賀に発達障害の支援センター「スクラム福井」開設
         自閉症や学習障害(LD)など発達障害がある人の支援センター「スクラム福井」が1日に開設された。事務所が置かれる敦賀市桜ケ丘町の授産施設「野坂の郷(さと)」で開所式があり、看板を設置して祝った。
         野坂の郷を運営する社会福祉法人「ウエルビーイングつるが」(福田晋介理事長)が、県の委託を受けて始める。敦賀市のほか福井、大野両市にも窓口を置き、障害者と家族への支援や、県民への啓発活動などを行う。
         福田理事長は長男(15)が自閉症だったことから、約10年間、自閉症患者の支援に携わってきた。「子どもが生まれた当時はどこに相談していいのか分からず戸惑った」と苦労を振り返り、「県全域の障害者とその家族、支援者とスクラムを組んで歩んでいこうと思う」と話した。
         各相談窓口の連絡先は敦賀(野坂の郷内)=電0770(21)2346、福井=電0776(22)0370、大野(希望園内)=0779(66)1133=へ。
        (北陸中日新聞 10/1)

        ●滝川市の小6自殺、1か月半前に担任に友人関係相談
         北海道滝川市内の小学校で昨年9月、6年生の女児が首をつり、後に死亡した問題で、担任教諭がその1か月半前の7月、友人関係のことで女児から相談を受けていたことが1日、わかった。
         自殺を図った後に学校が同級生に行った聞き取り調査でも、「死にたいと漏らしていた」などの証言が多数得られており、学校は昨年10月、女児の家族に「本人のサインを学校、担任として受け止められなかった」との内容の文書を渡していた。
         文書は、学校側が事前に把握していた女児の様子について、「席替えのことや友人関係について担任に相談があった」「修学旅行の部屋割りで(女児一人がどのグループにも入れないという)問題が生じた」ことに触れていた。しかし、ともに「担任の指導で解決された」と説明し、いじめは否定していた。
        (読売新聞)-10月2日3時10分更新

        ●滝川小6自殺 遅すぎた謝罪 批判浴び主張一変 市教委に高まる不信
         【滝川】滝川市内の小学六年生の女子が昨年九月、通っていた学校の教室で自殺を図り死亡した問題で、滝川市教委は五日、これまでの主張を一変させ、いじめがあったことを認めた。「認めるのが遅すぎた」「やはり隠そうとしたのでは」。一年もたった末の手のひらを返したような対応に、市民らの不信感は高まった。
         五日午後六時。田村弘・滝川市長と安西輝恭教育長は、滝川市内の遺族宅の玄関に立った。
         「申し訳ありませんでした」「すみませんでした」。出迎えた遺族の男性に何度も頭を下げた。訪問した時間は十分ほど。沈痛な面持ちで焼香を終えた。
         謝罪後の記者会見では、「いじめが自殺の原因か」という記者の質問に、「恐らくそうではないかと思う」と安西教育長。対して、校長は「自殺の原因がすべていじめであるとは思えない」。見解は食い違った。
         謝罪訪問に先駆けて開かれた市議会の総務文教常任委員会でも、安西教育長は「遺族をはじめ、多くの市民に迷惑をかけた。心からおわび申し上げます」と深く頭を下げていた。千葉潤指導室長は「謝っても取り返しがつかない」と時折言葉を詰まらせた。
         だが、謝罪はあまりにも遅すぎた。市教委は昨年十月十二日には遺書二通の内容を把握したが、十一月の会見では「いじめの事実は把握できなかった」と発表。遺書七通の全容を把握した今年六月二十一日以降も「調査内容を分析して結論を出したい」とし、対応を遅らせ続けた。
         今月五日の記者会見では、二日に開かれた会見でいじめの存在を事実上認めていなかったのに、突然、主張を変えたことに質問が集中。安西教育長は「いろいろな意見をいただいたこともあり、総合的に判断した」と話し、世論に押されたうえでの方向転換であることを明かした。
         文部科学省は一九九五年の通知で、いじめの判断基準を「あくまでもいじめられている子どもの認識の問題である」と示している。校長は会見で、この通知について「把握していた」と答えたものの、「女子から友人関係について相談を受けた時点でいじめだと認識していれば、自殺そのものが防げたのではないか」との質問には、沈黙を挟みながら「担任からは解決したと聞いていた。ただ、(いじめの判断の)共通認識が徹底されていなかったと言われればそうかもしれない」とうなだれた。
         市教委の対応に、市民の不信感は増した。女子と同じ地域に住む男性(41)は「認めるのが遅すぎた。いじめられている弱い立場に立つのが教育者。それができていなかったということだろう」と吐き捨てるように言った。
        (北海道新聞 2006/10/06 08:13)

        ●女子児童の「遺書」、教育部長「見たくない」と拒否
         北海道滝川市の小学校で、いじめを苦に女子児童が自殺した問題で、市の教育委員会の幹部が、遺書を見ることを拒否していたことが分かりました。
         遺族によると、去年9月、女子児童が自殺を図った翌日に、入院先の病院で、遺族は滝川市の教育部長に遺書を見てもらおうとしました。しかし、教育部長は「見たくない」と拒んだということです。これまで、市の教育委員会は「遺書は原因究明に必要なため、遺族には当初から見せてもらうよう頼んだが、応じてもらえなかった」と説明をしていました。この問題では、市の教育委員会に抗議などが殺到しています。「明らかにいじめだ」、「原因究明が遅い」などと、電話と電子メールでおよそ1900件が寄せられています。
        (YAHOOニュース 6日8時41分更新)
        【コメント】この事件は、教委の対応が余りにもずさんで子どもじみた(というと子どもに失礼)ウソで塗り固めようとして次々と暴露されていったために大きなマスコミネタとなりましたが、事件性としては氷山の一角です。子どもの死の意味よりも優先される自己保身のための虚偽報告、いじめや学校事故によって子どもを亡くされ訴訟などを起こされている親御さんたちのほとんどが、この厚い壁と闘っておられます。これまでも何度か書いてきましたが、残された家族が得たいのは、起こった出来事の事実経過と心からの謝罪と再発防止への具体的施策化です。

        ●<司法支援センター>業務スタート さっそく電話相次ぐ
         身近な法的トラブルを解決するための情報提供窓口となる日本司法支援センター(愛称・法テラス)が2日朝、業務をスタートさせた。午前9時の業務開始とともに、コールセンターには利用者からの電話が相次ぎ、80人のオペレーターが対応に大忙しだった。
         コールセンターは、平日の午前9時~午後9時と、土曜日午前9時~午後5時(日曜・祝日は休み)、金銭トラブルや相続、離婚などの解決に役立つ制度を無料で紹介し、弁護士会や司法書士会などへの橋渡しも行う。年間約120万件の相談が見込まれ、初日は業務開始から1時間で計245件の相談に応じた。電話番号は0570・078374(オナヤミナシ)で、ほかに犯罪被害者向けの専用電話(0570・079714)もある。
         金平輝子理事長は「身近な司法への道しるべとなれるよう体制を充実させたい」と語った。
         法テラスではほかに、資力の乏しい人への裁判費用の援助や、弁護士過疎地域での法律サービスの提供なども行う。(毎日新聞)-10月2日11時33分更新

        ●見晴台学園:名古屋の障害児が学ぶ教育施設、8日と12日に説明会/愛知
         学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害児が通う無認可の学校「見晴台学園」(名古屋市中川区)が、来年度入学希望者のための学園説明会を8日と12日に開催する。
         見晴台学園は1990年、発達障害児などの保護者でつくるNPO「学習障害児・者の教育と自立の保障をすすめる会」(名古屋市)が、「子供らが自分のペースで学べる場がほしい」と設立。中等部と高等部のほか、高卒程度を対象にした専攻科があり、生徒が学習指導要領とは異なる独自のカリキュラムで授業を受けている。
         12日は午前中に授業見学も実施する予定。同学園は「説明会では学園の概要説明だけでなく、参加者が抱える課題についての相談の時間も設けたい」と話している。問い合わせは同学園(052・224・7378)まで。
        10月6日朝刊
        (毎日新聞)-10月6日11時1分更新

        ●県教委、発達障害を本格調査 小中校の実数把握
         県教育委員会は、県内小中学校の通常学級に在籍する学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など軽度発達障害の児童・生徒数を2006―07年度に初めて本格調査することを決めた。5日の県議会文教厚生委員会で赤嶺昇氏の質問に答えた。県教委は05年度の予備調査を基に「4500人(全児童・生徒の約3%)以下ではないか」と推定。「実数を把握し、支援体制づくりに活用したい」と説明している。
         調査は、軽度発達障害の実数を把握し、効果的な支援につなげることや、通常学級の担任に軽度発達障害についての認識を深めさせ、必要な支援に結び付ける狙い。
         県教委は「専門家を含む調査チームをつくり、できる限り正確な実数を把握したい」としている。
         県教委は本格調査に向けた予備調査を昨年度、県内小中学生約1万3千人を対象に実施。各校の報告の結果、「教育上、特別な配慮を要する児童・生徒」は小学校が全児童の3・14%、中学校は全生徒の3・29%だった。
         県LD児・者親の会「はばたき」の岡崎綾子代表は「県全体の調査は良いこと。正確な実数把握の結果をどう活用するかが課題。各教員の発達障害への認識が深まってほしい」と語った。
         文部科学省は、全国の小中学校で通常学級に在籍する軽度発達障害の児童・生徒は約6%と推定している。
        (琉球新報)-10月6日10時18分更新

        ●県立療育福祉センター:発達障害者支援拠点、新施設スタート/高知
         ◇勉強の場や保護者の交流も
         県立療育福祉センター(高知市若草町)内で、「発達障害者支援センター」の新施設が完成し、本格的に業務をスタートさせた。自閉症や注意欠陥他動性障害などの発達障害者への支援拠点として期待され、5日には関係者約30人が集まり、見学会が開かれた。【服部陽】
         昨年4月の発達障害者支援法施行に伴い、県も支援センターを暫定的に整備。空き部屋を利用していたが、手狭だったことから改装していた。
         新施設は約570平方メートル。見学会では、すべり台やボールが置かれた「プレイルーム」、子どもが手先を使った作業をする机などが披露され、出席者はスタッフの説明を受けていた。
         一般的に発達障害者は人口の数%を占めるとされ、4月からの支援センターで受けた相談件数は計145件にのぼった。支援センターでは相談を受けた後に診断し、それぞれの障害に分けて専門的な支援に取り組む。また、就学前の自閉症の子ども向けには通園部門を設置。9月末時点で44人が契約し、月数回、利用している。
         出席した高知発達障害等親の会「KOSEI」代表の谷内つぼみさん(51)は「発達障害児は勉強する場が少ないので助かる。家に閉じこもりがちな保護者同士が交流できるのもうれしい」と話していた。同支援センター(088・844・1247)の電話相談は平日午前9時~午後5時。
        10月6日朝刊
        (毎日新聞)-10月6日16時1分更新

        明け方の夢の不思議
        2006/09/24
        印象深いものでないかぎり、見た夢を記憶している時間は短いと言われています。明け方に見た夢は、目覚めた時に短期記憶に不完全ながら残っているため、深夜に見た夢に比べて比較的よく(短時間ではあれ)覚えているものです。しかし、これも、すぐに他の朝の取り組みを始めて意識がそちらに映ると、夢の記憶は速やかに薄れ消えてしまいます。明け方に見た夢を覚えていたい、と思ったならば、寝床で見た夢を再想起して記憶を深める作業をする必用があります。良い夢、楽しい夢なら、長時間覚えていたいものですよね(私は時々チャレンジしています)。逆に嫌な夢なら、さっさと朝の作業に取りかかって忘れてしまいたいものです。
         明け方に見る夢の中で、私の場合少なくないのがトイレやお風呂の場面です。尿意を催す時間帯でもあるので、その刺激が夢の意識に影響し映像化されるものと思われますが、不思議な光景となって現れるのが不思議です。恐ろしく汚れた、トイレとは思えない場所に立っていたり、とても大きな大浴場が自宅にあったりと、日頃思ってもみない情景を作り上げてくれます。トイレやお風呂に限らず、これまで見たことも、想像したこともない情景が出現する夢、本当に不思議です。できることならば、やさしく、穏やかな物語であってほしいと思います。
         次回は「入り口の切り花」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        障害者ピアカウンセリングの連続講座

        障害者自身が障害者の相談に乗る「ピアカウンセリング」を学ぶ連続講座が18日、京都府城陽市寺田のプラムイン城陽で始まった。初日は、奈良市内の自立生活支援センター「フリーダム21」のピアカウンセラー上野久美さんが講演し、カウンセリングや自立生活の意義を、受講生ら45人に話した。
         上野さんは、脊髄(せきずい)性筋委縮症で首から下の大半が動かない障害がある。ピアカウンセリングの役割について「目的は自立生活のための情報提供と精神的サポート」と述べ、「朝起きて何を食べ、何を着るのか。決める権利が自立生活にはある。そこに生きている意味がある」と、障害者が施設を出て暮らす意義を、体験を交えて述べた。
         さらに、障害者の友人から「しんどい時はしんどいと言っていいねんで」と言われた思い出に触れ、「肩ひじ張って(障害者に関する)運動をしてきた自分が、人と優しく接することができるようになりました」と、ピアカウンセリングを通じて障害者同士がつながることの大切さを訴えた。
         講座は、南山城圏域障害者総合相談支援センターうぃる主催。カウンセリングの手法などを4日間学ぶ。
        (京都新聞)-9月18日22時49分更新
        【コメント】私は、長男を不登校から自殺で失ったという、不登校当事者の親であり、同時に自死遺族であるという立場で、京都の不登校の親の会や京都の自死遺族の会「こころのカフェ・きょうと」にボランティアとして参加しています。本業としているカウンセリングにおいては、不登校や家族の自死などの相談をお受けしていますが、その際には、時には自己開示をすることもありますが、基本的にセラピストの立場に立ちきろうとしています。自らの体験は、相談者の気持ちへの共感に役立ってくれますが、個人の体験を一般化することはできないと思うからです。ピアカウンセリングの場合に聴く側が気を付けなければならないことだと思います。ピアカウンセリング自体は、様々なケースに応じて幅広く、数多く広がることが望まれます。

        ●自閉症児の外出支援へガイド養成
         自閉症児の親らでつくる八戸市自閉症児者親の会(馬渕豊美会長)が本年度から、自閉症児者の外出に付き添うガイドヘルプボランティアの養成に取り組んでいる。自閉症児者に特化したガイドヘルプの研修は県内初という。自閉症児者の社会参加を促すため、身近で支援してくれる人を育てようという試みだ。
         ガイドヘルプは、一人での外出が困難な障害者を支援するサービス。交通機関による移動や買い物を手伝ったり、外出の計画を立てたりする。障害者の行動範囲を広げ、社会参加の手助けをするほか、家族の負担も軽減する。
         視覚障害者や脳性まひ患者などへのガイドヘルパー派遣事業はあるが、自閉症児者向けの公的なガイドヘルパー制度はない。同会会員で研修会総括責任者の菅原友記さんは「自閉症が障害として認められた歴史が浅く、世間的な認識が十分に広がっていないのが原因」と話す。
         同会では、三月上旬から研修会を開始した。受講者は名簿登録し、同会に自閉症児者の家族などから要請があれば外出支援活動を行う。第一回の受講者は、既に施設などで活動を始めている。
         このほど、八戸市の市障害者地域生活支援センター「ハピア」で開いた第三回研修会には、学生や養護学校の教師、施設関係者など約二十人が参加した。同市立市民病院非常勤医師の橋本美貴さんら八人の講師が、サービスの内容や自閉症の医学的理解などを講義。その後、実際に図書館やボウリング場、デパートなどへ出掛ける自閉症児者に同伴する実習を行った。
         実習では、一人の自閉症児者に四、五人の受講生が同伴、自閉症児者一人一人の注意点などを記したメモを手に、バスの乗降や切符の購入、買い物などを手伝った。
        (東奧日報)2006年9月19日(火)
        【コメント】発達障害への認知はまだまだこれから、といった所ですが、援助・支援者の要請は急務の課題です。国や行政が制度として、民間などとの連携をしながらできるだけ数多く多様に構築していくべきものだと思います。

        ●テンプスタッフ、障害者の人材紹介に本格参入
         テンプスタッフは障害者専門の人材紹介事業に本格参入する。10月に専門の会社を新設。障害者に適した職を紹介するほか、採用企業向けに採用業務の代行などを手掛ける。4月の改正障害者雇用促進法の施行による需要増に対応する。
         10月1日付で新会社のテンプスタッフフロンティア(東京・中央、中村淳社長)を設立する。資本金は3000万円。求職者が適職を見つけやすいよう勉強会や面接などを実施し、パソコン教室なども手掛ける。企業に対しては提供可能な職種や労働条件に関する相談にも乗り、求職者とのミスマッチを防ぐ。(07:00)
        (NIKKEINET)9月22日

        ●若者の自立支援 心理・就労両面で 京都市、10月に拠点開設
         京都市は10月2日、仕事に就けない若者の相談に応じる「京都若者サポートステーション」を、市中京青少年活動センター(中京区東洞院通六角下ル)内に開設する。市は併せて、ひきこもり青年の支援団体や商工団体とネットワークをつくり、心理・就労の両面から若者の自立を後押しする。
         ニート対策として、厚生労働省が民間団体などに委託して全国25カ所に整備する事業。京都市が、実施主体として市ユースサービス協会(同)を選定した。
         同協会は、10月2日から相談事業を始める。月曜から土曜は正午から午後8時まで、日曜・祝日は午前10時から午後6時まで、協会職員が相談に応じる。
         さらに専門的な相談が必要な場合は、臨床心理士が月曜と水曜、就労支援専門の相談員が火曜と金曜のそれぞれ午後1時から5時まで応対する。専門相談は要予約。水曜のみ京都テルサ(京都市南区)が会場になる。
         また、京都市は10月以降、ひきこもり支援団体や社会福祉協議会、心療内科などの医療機関、商工・労働団体などと連携する。相談事業を通じて、職業体験やさらに専門的な相談が必要な時に協力を求める。
         市勤労福祉青少年課は「幅広い関係者が協力して、若者が気軽に相談して働く意欲を持てる環境を整えたい」と話している。問い合わせは市ユースサービス協会TEL075(213)3681へ。
        (京都新聞)-9月19日10時29分更新
        【コメント】ひきこもりへの支援は、継続が基本だと思います。相談に来てくれる人の相談に応じる、では支援にならないのがひきこもりの大きな課題です。家から出られない青年への支援は、家族への心理相談・教育から始まり、本人と第三者との関係づくりが必用だと思っています。

        ●株式会社立高校:県内初、不登校・中退者が対象 予備校クラゼミが地域密着型 /静岡
         不登校や中退者を対象にした県内初の株式会社立高校「クラ・ゼミ輝(キラリ)高等学校」が来月1日、吉田町神戸に誕生する。総合予備校「クラゼミ」(浜松市田町、倉橋義郎校長)が同町の「教育特区」を利用したもので、地元のウナギやシラスなどの体験授業など町との二人三脚による「地域密着型」通信制高校を目指す。
         設立は昨年7月、予備校に来る不登校生の増加を問題視した同校が、「彼らのフォローをする機関を設置したい」と特区による学校設立を同町に働きかけたのがきっかけ。教育による地域振興を模索していた町が応じ、同年11月、国の認可が下りて設立が現実化した。
         新設校はインターネットによる授業などで単位を取得し高校卒業資格が得られる通信制高校。年2回の学校での面接授業の際に、吉田名産のシラスやウナギなどの現状を地元の人から教わる「地域交流授業」を体験できるのが特徴だ。今月8日から生徒募集を開始したところ、すでに県内外から数十人の希望者があった。同校担当者は「卒業資格だけでなく、地域の魅力も体験できる学校。さまざまな理由で学校に行けない生徒の学びの場にしたい」と話す。問い合わせは同校(0548・33・4976)。
        9月19日朝刊
        (毎日新聞)-9月19日12時1分更新

        ●悩み電話相談5740件 チャイルドラインの実施から1年
         【三重県】県内で18歳以下の子どもたちの悩みを受け止める専用電話「チャイルドライン24」が昨年8月に始まって1年が過ぎた。かかってきた電話は計5740件。学校や家庭での悩み相談のほか、無言電話も多い。「安心して頼れるかどうか試しているのでは」と声なき声にも耳を傾ける。県からの委託金が本年度で終了する見通しで、活動資金の不足は必至だ。
         県内の特定非営利活動法人(NPO法人)16団体でつくる実施組織が運営。15歳から25歳の約50人を含むボランティア約150人とスタッフ約30人が、毎週金曜日午後2時から24時間、津や松阪など県内7市で電話応対している。
         開始は昨年8月26日。実施組織がこの1年間をまとめた報告では、内容は「学校生活」の悩みが全体の約7%の403件で友人との関係に悩む声が多い。次いで「自分自身」が約6%の357件。「不登校」「いじめ」「虐待」とはっきり分かるものも約4%の211件あった。
         しかし約3200件と約56%を占めたのが「無言・一言」だった。「雑談」も多く、食事や風呂などたわいもない生活ぶりを伝えてくることも。田部真樹子代表理事(68)は「何回か無言で、やっと話してくれる例もある。雑談は人とつながっていたいという気持ちの表れ」とみる。
         来年1月8日からは、毎週月曜日の午後4-9時にも拡大。利用時間を増やしながら、各団体の特徴を発揮することを目標にしている。
         問題は資金面だ。運営にかかる経費は年間約2400万円。準備期間も含めた2年間、県から年間約480万円の委託金を受け取っていたが、本年度で打ち切られる。このため、寄付金を募っていくという。
         チャイルドライン24はフリーダイヤル(0120)969147。(中日新聞)-9月23日12時46分更新
        【コメント】国や地方自治体は、こうした分野での財源的打ち切りを強めています。いのちの電話が資金難であることなど、由々しき事態と言えます。国民から集めたお金は、必用なところに配分してほしい、と強く思います。
        空を飛んでいる夢をみたら
        2006/09/18
        最近は少なくなりましたが、空を飛ぶ夢をよく見ます。空を飛ぶ夢にはいろいろあるようで、ふわりと身体が中に浮いた状態になるものから、鳥の様にまさに飛ぶものまで…。わたしの飛ぶ夢は、最初前者で、浮いた状態を認識して、「もしかしたら思うままに飛べるのでは」と身体を前に倒してみると推進力が生まれ、割と自由に飛んでしまいます。スピードが出るときもあれば、出ないときも、高く飛べるときもあれば、なかなか高度が上がらないときもあります。景色も様々です。最近で生々しく記憶に残っているのは、高度経済成長期の町並みで、中層のビルなどの建物が密集した町並みに電線が縦横無尽に張り巡らされている中を、電線に触れないようにすり抜けて飛んでいく、というものです。
         精神分析の祖、フロイト.Sは、この「空を飛ぶ夢」を「性的欲求不満」の現れ、と分析したとか…。その夢を見たとき、性的欲求不満でなかったとは言えません。正直に言えば、かなり長期にわたって性的欲求不満の状態は続いています。しかし、私が頻繁に空を飛ぶ夢を見ていたのは、3年半前頃、それまで20年間勤めた印刷会社でのデザインという仕事に終止符を打ち、2年間の大学での再学習を決意していた頃です。人生の大きな過渡期に入る直前、不安とかすかな希望、がんばらなければ後がないという究極追いつめられた状態でしたので、性的欲求不満というよりも、生理的欲求不充足な状況で起こった乖離状態の現れではないかと思っています。その頃によく見た他の夢は、高層ビルの上階のオフィスで大地震に遭遇し、ビルが丸ごとよじれながらゆっくりと倒れていくのを淡々とその場にいながら(一緒に倒れながら)見ている、というものでした。どなたか、分析してみて下さい。
         次回は「明け方の夢の不思議」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「青年のひきこもりと支援を考える」/家族会ノンラベルがシンポジウム

        京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル設立5周年記念シンポジウム
        「青年のひきこもりと支援を考える」
        -ひきこもり、社会的ひきこもり、ニート、フリーター問題にふれて
        と き:9月23日(祝)午後1時開場、1時30分開会
        ところ:キャンパスプラザ京都第1講義室
        ○開会挨拶 午後1時30分~
         ノンラベル代表:田井みゆき
        ○基調講演 午後1時40分~
         講師:春日井敏之先生(立命館大学文学部教授)
        ○シンポジウム 午後3時10分~
        [シンポジスト]
        ・上山和樹氏(『「ひきこもり」だった僕から』著者)
        ・井出草平氏(大阪大学大学院博士課程、ウェブサイト「論点ひきこもり-社会参加情報センター」事務局)
        ・田井みゆき(京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル代表)
        [コーディネーター]
        ・春日井敏之先生
        ○参加費1,000円
        (事前申込は不要ですが、満席となった時点で締め切らせて頂きます)
        ○問い合わせ
        事務局:京都市右京区西院三蔵町30-11 MAINOR43 101号室
        TEL/FAX 075-312-3338
        http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/

        ●ノンラベル:アスペルガー援助者養成講座(第5弾)(全4回)
        チーム・ケアの充実で適切な理解と援助を
        『アスペルガー思春期・青年・成人期への援助』
        と き:2006年11月4・11・18日・25日
        (各土曜日午後6時30分開場)
        〔会場〕京都アスニー(京都市中京区丸太町通七本松西入ル)
        ○11月4日(土)
        〔講師〕田井みゆき(ノンラベル代表)
         「生活支援の現場から~アスペルガー特性と具体的援助法」
        ○11月11日(土)
        〔講師〕十一元三先生(京都大学医学部保健学科教授)
         「アスペルガー障害:支援に通じる診断と認知特性の理解」
        ○11月18日(土)
        〔講師〕小谷裕実先生(京都教育大学発達障害科助教授)
         「SST(ソーシャルスキルトレーニング)の実践から」
        ○11月25日(土)
        〔講師〕定本ゆきこ先生(精神科医)
         「青年期、成人期における生きにくさへの援助~問題行動にもふれて(仮題)」
        ○申込み 住所、氏名、電話・FAX番号、参加人数を記し、ハガキ、FAX、Eメールのいずれかでお申込下さい。
        ○参加費 10,000円(4回分です)
        ○募集定員 先着200名とさせて頂きます。(満席となり次第、締め切りとし、当日の飛び込み参加は受け付けない旨ご了承下さ?
        ●障害者自立支援法施行5カ月、財政難で自治体の支援無く/秋田
         ◇障害重い人ほど負担増え…退所者も
         障害者にサービス利用料の原則1割負担を求める障害者自立支援法が施行されて5カ月。県内でも利用料の負担増に耐えかね、施設利用をやめたり、減らす障害者が増えている。全国には独自の支援策を決定している市町村もあるが、県内で同様の政策を取る自治体はない。障害者団体や施設からは、県や市町村に早急な対応を求める声が上がっている。
         秋田市内のある通所授産施設では、施行から9月中旬までに通所者30人中3人が施設をやめた。別の50代の男性通所者も施設利用中止を考えている。施行前は月2000~3000円だった利用料が施行後は月1万8000~2万円にはね上がったためだ。脳卒中のため右半身まひが残り、障害者基礎年金や工賃など月計約13万円で生活している男性にとって、この負担増は大きい。「もうやめたい」と繰り返す男性側を説得し、つなぎ留めている施設側は、工賃の値上げなども検討しているという。施設長は「切り捨てどころではない。これでは障害者が生きていけない」と同法への怒りをあらわにする。
         国が緊縮財政を進めるなかで支援費の財源確保が困難になったのが、同法施行の背景だ。同法の前には03年に始まった、障害者が自らサービス内容を選ぶ「支援費制度」があった。だが使い勝手のよさから利用者が増加、ホームヘルプなどの在宅サービスに充てる国の当初予算は02年度493億円から03年度516億円、04年度には602億円と膨らんだ。それだけ予算を増額したにもかかわらず、04年度の場合、当初予算と比べてさらに約300億円が不足した。このため、国はサービスを受けた回数ではなく所得に応じて利用料を支払う「応能負担」から、利用回数に応じて払う「応益負担」へ政策を転換した。
         応能負担の場合、障害者の多くが低所得者のため利用料は無料も多かった。だが応益負担では、サービスが必要な障害の重い人ほど利用料が増加する傾向にある。同法は利用料負担について、所得に応じて最大3万7200円の上限や生活保護世帯は無料といった緩和措置を取っているが、障害者の共同作業所の全国組織「きょうされん」の調査により、今年4月から2カ月間で加盟する県内の知的・身体障害者の認可施設7カ所で約230人中5人が退所していことが分かった。
         同法は障害者の自立を促すことを目的の一つに掲げているが、県内では不景気などで障害者の雇用も少ない。従業員56人以上の一般企業には障害者雇用促進法により、障害者の雇用が全従業員の中で1・8%以上を占めるよう義務付けられているが、県内の障害者雇用率は05年1・47%で全国平均1・49%を下回っている。また法定雇用率を達成していない企業は全体の半分以上の293企業にも及ぶ。日本知的障害者福祉協会の三浦憲一・東北地区代表は「高額になった施設利用料を払えない障害者は行き場を失い、引きこもりや市内をうろつく人を生むのではないか」と危惧(きぐ)する。
         地方自治体のなかには独自の支援策を講じる市町村も少なくない。岐阜県可児市は通所授産、通所更生の両施設のサービス利用料の1割負担を全額補助する制度を設けることを決めた。1割負担が作業工賃を上回ってしまうケースが市内の施設で出たため、自立への意欲を阻害しかねないと考え、導入に踏み切った。市福祉課は「雇用の地盤が整っていない地方では就労支援も難しい。自立支援法の趣旨にも合うと考えた」と話している。秋田県内の市町村では「支援策を準備している自治体は確認していない」(県障害福祉課)という。障害者数が最も多い秋田市の障害福祉課は「財源確保が難しく、今後施設に対する調査やアンケートを見極めて(支援策を)検討していきたい」としている。
        9月17日朝刊
        (毎日新聞)-9月17日11時1分更新
        【コメント】各地の自治体で、利用料の補助を行おうという取り組みが聞かれます。利用者にとってはありがたいことです。しかし、すべての自治体で、というわけにはいきません。財政難から補助がまったくないところの方が多いのが実態です。

        ●ニートと呼ばないで:沿岸地方で初、自立研修講座-宮古など5地区で/岩手
         ひきこもりや不登校、ニートについて理解を深め、自立に向けての手立てについての研修講座を23日の宮古市を皮切りに、沿岸地区を中心に5地区で開催する。沿岸地区での開催は初めて。参加者を募集している。
         盛岡市松尾町のNPO法人青少年自立支援センター「ポランの広場」が主催。これまで講座は盛岡市を中心に開催されてきたが、講座に沿岸地方からの参加者が多いため開催した。
         対象者は学校関係者や家族、本人など。ひきこもりなどの支援をしている相談員が県内の現状について説明しながら社会復帰への道筋について参加者との討論も予定している。
         各地区の日程は次の通り。
         宮古地区(23、24日、市小山田の市民総合体育館)▽久慈地区(30、10月1日、市旭町の福祉の村)▽遠野地区(10月14、15日、市松崎町白岩の遠野健康福祉の里)▽釜石地区(同28、29日、市港町の釜石市港湾会館)▽大船渡地区(11月18、19日、市猪川町の猪川地区公民館)。問い合わせは藤田健事務局長(電話0193・62・5899)。
        9月14日朝刊
        (毎日新聞)-9月14日11時1分更新

        ●いのち見守る:福井・東尋坊にて/「胸の内聞いてあげる」/福井
         ◇行政の限界に奮い立つ
         「一度は思いとどまったんだがな。その後に自殺してしまって……」
         03年9月、NPO心に響く文集・編集局理事長の茂幸雄さん(62)が県警三国署の副署長だった時に東尋坊で出会ったカップル。現行法で、警察は自殺企図者(自殺しようとしている人)を基本的に24時間しか保護できない。「東京へ帰りたい」という2人に、交通費を渡して見送ったことを、茂さんは今でも悔やんでいる。
         その時の苦い思い出が、NPOを立ち上げるきっかけとなった。「自殺を思いとどまらせるには、行政では出来ない細やかな配慮が必要なんだよ。まずは胸の内の思いをよく聞いてあげることだね」。茂さんが活動の基本にしていることだ。
          ◇  ◇  ◇
         「海を見ているだけ」。茂さんのパトロールに付き合った昨年11月29日夕、東尋坊の断崖(だんがい)の上に立っていた男性は、そう言ったまま動こうとしない。「何してんの。あんた自殺しに来たんやろ。そんなこと考えたらあかんよ」。ためらいなく自然に近づいた茂さんが、後ろからそっと両脇を抱えてNPOの相談所に連れて帰った。
         持っていたバックに入っていたカード類から、金沢市在住の無職の41歳の男性とわかった。「つらかったでしょう。今日からはもう大丈夫ですよ」。茂さんが声をかけると、男性は医者から自閉症と診断されて就職ができず、1年前に両親が相次いで病死したこと、将来を悲観し自殺しようと東尋坊へ来たことを、泣きながら打ち明けた。
         茂さんは翌日、金沢市役所に出向いて男性の生活保護を申請した。自宅療養する男性は、再起を図ることを考えるまでになったという。
         茂さんは日中、活動費の足しにと観光客に名物の「おろしもち」を販売して過ごす。夕方になるとボランティアの仲間とパトロールに出る。空が闇に向かう前、薄暮の時分に自殺を思い詰める人が一番多く訪れるという。岩場に一人で来ている人はいないか、泣き崩れている人はいないか。ジッと目をこらす。
          ×  ×  ×  いじめ、リストラ、借金苦、介護疲れ――。国内での自殺者は毎年3万人を上回る。「病んで自分を失った人を一人でも救いたい」。福井県坂井市の東尋坊で自殺の予防活動に奮闘する茂さんらの活動を追った。
        9月15日朝刊
        (毎日新聞)-9月15日20時1分更新

        自分に問題があるのか、環境に問題があるのか
        2006/09/09
         自身が望んだ人生を送れている、と言える人は、何%くらいいらっしゃるのでしょうか。多数の人が、「自分の夢は○○だった」、「あの時、もう少しがんばっていれば…」、「あの時の選択はやはり違っていたのでは…」などと、かつての希望や理想と現実とのギャップについてやや否定的に考えられるのではないでしょうか。
         思い描いていた未来とは違う現実に立っておられる場合、1.その原因を自分の努力不足や判断間違いとするのか、2.自分の理想を邪魔した環境に原因があるとするのか、あるいは、3.それらの相互関係の中で織りなしてきた結果であると受け入れるのか、で、これからの生き方が大きく変わると言っても過言ではないと思います。
         自己責任化は現代日本における風潮ともなっているようですが、高度に成長した社会環境において、自分一人の力で人生を左右していけることはまずあり得ません。また、2.のように、責任を外界に転嫁して済ませるような簡単な問題でもありませんね。己があり、己の意志があり、環境要因があり、社会的な枠組みとの関係性があり、偶然の巡り合わせがあり、それらが複雑に絡み合いながら一つの方向性としての今を生きているのです。自らの意志のありのままを受け入れ、環境を知り調整を図りながら、次の生きる方向性を探していく、人生はその繰り返しではないでしょうか。
         今まで生きてきた自身の人生の軌跡は、誰のものでもなく自身の生きた証であり、未来の軌跡は自身の前に刻まれて行く、そんな考え方をしたいと思います。
         次回は「抑うつ気分は内面の堂々巡りから」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        公立小中校長の9割「学力格差、将来広がる」

         公立小中学校長の約9割が、「20年前に比べて家庭の教育力が低下している」と受け止め、「将来、学力格差は広がる」と見ていることが29日、東京大学基礎学力研究開発センターの全国調査で明らかになった。「教育改革がはやすぎて現場がついていけない」と感じる校長も9割近くにのぼっており、改革に戸惑う現場の実態も浮き彫りになっている。
         調査は先月から今月にかけ、全国の小中学校の約3分の1の1万800校を対象に行われ、約4割の校長から回答が届いた。
         それによると、「子どもの学力が20年前に比べ下がった」とみるのは小学校で42%、中学校では57%。小学校の76%、中学校の65%が「子どもを教えにくくなっている」と答えた。
        (読売新聞)-8月30日3時11分更新
        【コメント】「家庭の教育力」が、今に比べて20年前にそれほど高かったというデータはないと思います。高度経済成長の最中、父親は仕事に追われて家庭に居る時間は少なく、母親も共稼ぎで、家庭において子どもを教育する時間など物理的になかったと思いますし、この頃は受験競争を勝ち抜くための塾通いなど、産業的教育サービス依存が進んでいたと思います。「学力」の評価も、その基準は文部省、文科省によってどんどんと変わっていきました。「現場がついていけない」というのは本音であると思います。「子どもを教えにくくなっている」のは、子どもに原因があるのか、家庭に原因があるのか、教師に原因があるのか、学校に原因があるのか、教育制度に原因があるのか、社会環境に原因があるのか、この議論はえてして徒労に終わりそうです。「学力格差」の広がり予想、この問題の本質論議をしっかりとして欲しいと思います。

        ●学校に“通信簿”…文科省が現場取り組みを5段階評価
         文部科学省は、小中学校の授業内容や学校運営などを客観的に評価する統一基準を定め、各学校を「評定5」から「評定1」の5段階で評価していく方針を決めた。
         国が、学校現場の取り組みを数値で評価するのは初めてで、今年度は全国124の公立小中学校で試行する。これまでも教職員や保護者ら学校関係者による学校評価は行われていたが、今回の5段階評価は、学校と直接かかわりのない第三者が各学校の真の実力を見極め、教育の質の向上につなげるのが目的だ。
         9月から始まる評価の対象となるのは、47都道府県と15政令市にある公立の小中学校各1校。文科省は来年度以降も対象を拡大し、将来的には私立や国立も含め、幼稚園や高校などへの評価も検討する。
        (読売新聞)-8月28日3時9分更新
        【コメント】各学校に「特色ある学校づくり」を求めていたかと思えば、今度は評価の統一基準を定めるそうです。アンビバレントな施策に、また現場も親も子どもたちも振り回されてしまいそうですね。

        ●思春期やせ症-発見の遅れ命取りに
         思春期のやせ願望から、無理なダイエットをしたり、食べても吐いたりするなどの異常な食行動を続ける「思春期やせ症」の子どもが増えている。厚生労働省研究班が予防、早期発見などの診療指針を作成し、早期の発見と対処を呼びかけている。
         成長期なのに体重が大きく減る状態を経験したことがある女子は、中学3年で5・5%、高校3年では13・2%にも上る。
         学校、家庭、友人関係など、思い通りにならないストレスを抱える中で、「芸能人のようにスリムになりたい」「細身の服を着たい」といったささいな自己実現への欲求が、無理なダイエットに走るきっかけになるとされる。
         一般には拒食症と言われるが、特に思春期の子どもは、将来の健康に及ぼす影響が大きいことから、思春期やせ症(神経性食欲不振症)と呼ぶ。男女比は1対10で女性が圧倒的に多い。
         極端にやせると、栄養失調から、血液中の糖分が不足し、元気が出ず、不眠や疲労感が現れる。脳の働きが低下し、精神的に不安定になったり、ホルモンバランスが乱れ、成長障害や不妊の原因になったりする。
         少ない栄養で生きのびようとするため、心拍が遅くなり、心不全の危険も招く。このため、死亡率は国内外の研究で6~10%にも上る。
         深刻な病気で、ゆがんだ食習慣や自分の体のイメージを修正していく地道な努力が必要だ。
         厚労省研究班は、早期発見し医療機関を受診する基準として、〈1〉身長などから算出する肥満度がマイナス15%以下〈2〉身長体重の変化をグラフにした成長曲線で、体重が前年より1段階以上(おおむね5キロ・グラム)減少〈3〉安静時の脈拍が1分間に60回を下回る――を目安としている。
         本人が進んで医療機関を受診することはほとんどない。やせることが心地良く、他人から見たイメージも良いと思いこむからだ。健康なら空腹感や体の不調は苦痛だが、脳内麻薬物質の分泌により心地良いと錯覚している。このため、体重が20キロ・グラム台になるまで平気な場合も少なくない。
         「早期発見しないと生命に危険が及ぶばかりでなく、完治させるのが非常にやっかい。学校、地域の小児科医らの連携が欠かせない」と、厚労省研究班班長で慶応大小児科講師の渡辺久子さんは言う。
         治療では、ゆっくり時間をかけながら、十分な栄養を取れるようにする。親子関係のすれ違いなどから、子どもの心の奥の孤独や自信のなさを親が理解していないことも多いことから、親など家族の心理支援も必要になる。重症の場合は1年以上の入院が必要な場合も珍しくない。
        ケース1
         中学3年のA子さんは、身長161センチ、体重52キロ・グラムと健康だったが、1年後には体重が46キロ・グラムと6キロ・グラムも減っていた。養護教諭が事情を聞くと、友人関係の悩みから食欲がなくなり、月経も3か月止まっていた。 精密検査を受けたところ、性、甲状腺などのホルモン値が低くなっていた。小児科医は栄養の必要性を説明し、3度の食事内容を細かく記入するなどの指導をした。幸い健康に大きな問題はなく、半年ほどで回復した。
        ケース2
         9歳で重度の思春期やせ症と診断されたB子さんは、家では母親に常に指図してわがまま放題。だが、心の底から甘えることや、両親の愛情を感じることができない欠落感を抱え、それが食事の拒否につながっていた。 カウンセリングなどの治療は7年目。高校生になってようやく、自分の感情を親に伝えることができるようになり、食事の習慣も正常に戻りつつある。
        (2006年8月25日読売新聞)

        ●全公立小で“放課後教室”…共働きには時間延長も
         文部科学省と厚生労働省は、来年度から全国すべての公立小学校で、放課後も児童を預かることを決めた。
         スタッフは教員OBや地域住民で、勉強やスポーツのプログラムを用意して、児童が放課後を学校で過ごす環境を整えるほか、共働き家庭の子ども向けには、さらに時間を延長する。
         子どもが安心して遊べる居場所づくりや、子育ての負担軽減による少子化対策につなげるのが目的で、2007年以降、大量退職する教員に活動の場を提供する狙いもある。両省では、来年度の総事業費として約1000億円を見込んでいる。
         今回の事業は、全児童対象の時間帯と、それ以降の、親が留守の家庭の子どもを対象とする時間帯の2本立て。小学校内での活動が基本で、空き教室や体育館、校庭などを利用することを予定している。
        (読売新聞)-8月29日14時41分更新
        【コメント】放課後の子どもの居場所が必用であるとして「学童保育所」を作る運動が全国的に展開され法制化されるに至りましたが、これに抵抗し続けてきたのが政府と多くの自治体でした。

        ●保護者から理不尽な要求、悩む教師を大阪市が支援
         小中学校の教師に、保護者らから厳しいクレームや要望が集中し、過度な負担を強いられている実態が1日、大阪市の市政改革本部が行った調査で分かった。同様の調査は、学識経験者が実施した例はあるが、自治体としては全国初。教師への理不尽な要求が広がっている状況が改めて浮き彫りになり、市は「現場支援プロジェクト」を発足。本格的な対策に乗り出した。
         市内の小中学校から無作為に6校を選定。教師を中心に、校長や教頭、保護者ら計約40人から現場が抱えている悩みや問題点について、対面式で聞き取りを行った。
         この結果、「勉強ができないのは学校のせい」「共働きなので、インフルエンザで学級閉鎖になっても、保健室で寝かせてほしい」など、理不尽な要求が数多く学校に寄せられていたことがわかった。
         クレームが解決するまでに時間がかかるケースも目立っており、市はその処理に追われ、教師としての本来の技能を磨く時間が奪われている可能性があると懸念。教師らのこうした悩みを解消して、教育環境をよくするため、本格的な対策に乗り出した。
         市政改革本部と市教委は連携して課題を整理し、解決策を検討。改善に向けたプログラムを作成するとともに、モデル校を設定する方針という。
         市によると、教師らを取り巻く問題の対策は、これまで現場任せにしてきた実態があったといい、自治体としてバックアップ体制を整えることが不可欠と判断した。
         市教委は「教師が疲弊していては良い教育は行えない。子供のためにも教師が元気になる取り組みを行い、教育環境を整えたい」としている。
        (産経新聞)2006/09/0210:45
        【コメント】確かに保護者のニーズは「多様化」しています。中には「理不尽」なものもあるでしょう。その「理不尽」さを保護者に理解してもらうことも、学校に求められている、そんな時代になったのですね。クラス懇談会などを開いて、保護者と学校とが対話を広げることが、教育環境を整えるための近道ではないでしょうか。教育行政の中での抱え込みで、問題解決が進んだ例を知りません。

        ●障害者自立支援法:障害者5団体、初の合同集会 施行前に1000人が参加(東京
         知的・発達障害者の保護者や施設関係者でつくる都内5団体による「障害者自立支援法対策東京集会」が2日、新宿区市谷田町で開かれた。来月1日の同法完全施行を前に、当事者と事業者が立場を超えて福祉サービスの改善を目指すのが目的。5団体合同の集会は初めてで、約1000人が参加した。
         集会では、厚生労働省が8月24日の全国主管課長会議で、利用者負担の軽減対象を拡大した点などについて一定の評価をした。しかし、障害程度区分の判定結果や、利用者負担に対する自治体独自の軽減措置の有無により地域間格差があるなど、問題点も指摘された。
         最後に「障害者の特性が反映される障害程度区分への見直し」「所得保障・諸手当の拡充」など8項目の緊急アピールを採択した。
        (毎日新聞)-9月3日11時3分更新
        【コメント】10月1日から、全国の障害者支援サービスを行っている施設などにおいて、大変な事態がはじまります。この「自立支援」は障害者のためのものではなく、政府の「自立支援」策である、という指摘もうなずけます。
        抑うつ気分は内面の堂々巡りから
        2006/09/09
         抑うつ状態とうつ病が違うことはご存じですね。うつ病は「気分障害」として精神病として分類されるものです。一方の抑うつは、日常生活の中で頻度高く生じる鬱々とした気分の状態を広く言います。財布を落としてしまった、約束していたデートがキャンセルになった、料理を焦がして食べられなくしてしまった、子どもが学校に行き渋るようになってきた、不登校が続いている、イジメを受けているようだが自分からは何も語ってくれない、夫が毎晩残業で遅く話す時間がない、こんなにがんばっているのにだれも自分のことを認めてくれない…。人として生きる上での基本的な生理的な欲求が満たされ、一定の社会生活がなりたっていても、このような気持ちの満足が得られない状態はひんぱんに生じます。
         割り切ってリセットできるものであれば頭の切り替えができて、不満な気持ちを引きずることはないかもしれませんが、割り切ることができず、いくら考えても解決の方向性が見えずに、また内容的に家族や友人にも相談し辛かったり、相談できたとしても一緒に悶々としてしまったりする内容であれば、内面で堂々巡りをしながら時間ばかりが過ぎていく、ということになります。
         こんな時は内容にもよりますが、1.問題をひとまず後回しにして時間を置き別のことに集中してみる、2.今悩んでいる問題が自身の人生においてどれくらい重要なものかを考えてみる、3.問題を一緒に考え整理しながら解決方向に寄り添ってくれる信頼できる第三者の相談相手(カウンセラーなど)の力を借りる、といった方策が考えられます。問題が時間の経過とともに自然と解決してくれる場合は良いのですが、放っておけばずっとそのままとなる問題には、違う角度からのアプローチが必用です。
         いずれにしても、内面の堂々巡りから生じた抑うつ気分は、ストレスを与え続けるものです。一人で抱え込まないで、信頼できる第三者に聴いてもらうことから解決の方向に向かうことは少なくありません。相談室カンナは、そんな場所でありたいと思っています。
         次回は「空を飛んでいる夢をみたら」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        少子化要因は育児世代の長時間労働…厚生労働白書

         厚生労働省は8日、2006年版厚生労働白書を公表した。白書は、少子化の要因の一つに、30代を中心とした育児世代の長時間労働を挙げ、労働者の仕事と生活の調和を実現する働き方の見直しは企業の社会的責任であると強調した。
         国民に対しても、長時間労働を生む原因となる「24時間サービス」「即日配達」など、利便性を際限なく求める姿勢を見直すよう訴えている。
         白書によると、25~39歳で「週60時間以上」の長時間労働をしている人は、2004年には20%を超え、10年前より4ポイント前後が増えた。仕事以外の時間が足りない状況は、「少子化の一つの要因で、長期的にみて社会の活力を低下させる」と分析。労働者が仕事に偏った生活から解放され、仕事と家庭の調和がとれた状況「ワークライフバランス」の実現を求めている。
        (読売新聞)-9月8日10時48分更新
        【コメント】
        育児世代の長時間労働は、少子化の要因となるとともに、幼児期・学童期・思春期の子どもたちとの親子関係が適度にもたない状態を強います。仕事場における労働者としての役割は重要ですが、家庭に帰れば父親役割、母親役割を果たしながら家庭が子どもの育ちにとってよりよい環境となるようにする義務があることを、企業社会が認識することが求められていると思います。

        ●「起立性障害は怠け病じゃない」心身医学会が診療指針
         中学生の約1割に見られ、不登校の原因にもなっている「起立性調節障害」の診療指針を日本小児心身医学会が作成した。
         同障害は思春期特有の自律神経失調症で、朝は立ちくらみや頭痛で起きられないが、午後には回復することから「怠け病」ととられることも多い。
         学会では「身体疾患であることを教師や親に正しく理解してもらうきっかけになれば」としている。
         指針の作成にあたった田中英高・大阪医大助教授によると、起立性調節障害の子供は優等生タイプが多く、親らの要求に応えすぎてストレスをためやすい。ストレスが自律神経の働きを鈍らせ、特に立ち上がった時に脳や身体への血流が低下して「朝起きられない」「脈拍が速くなる」などの症状が現れ、約4割に不登校が見られるという。
        (読売新聞)-9月7日14時49分更新
        【コメント】
        「障害」とはいえ、ストレス因によるところの大きなものであり、ストレスが減少すれば(例えば午後になれば)症状が消える、という可塑性の高い疾患です。診療指針の確立は必用ですが、原因であるストレス因を除去する方策を、学校教育の現場とともに考える連携した取り組みが求められます。

        ●発達障害児ら一貫支援/幼稚園から高校/田村3市町モデル指定/11月から県教委
         県教委は学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症などの発達障害がある子どもたちらの学習環境を整える特別支援教育体制推進事業を11月から始める。田村市、三春町、小野町の田村地方をモデル地域とし、幼稚園から高校まで一貫して支援する。3市町の教育関係者や医師らで特別支援教育推進連絡会を設置し、児童生徒一人一人の障害に応じた具体的な指導法を教員にアドバイスするなど児童生徒の学習の充実を図る。県教委は取り組みを全県に広げたい考えだ。
         連絡会は幼稚園や小中学・高校、養護学校の教員のほか、地元の医師、保健師、各市町教委の担当者、県の児童福祉司らで構成する。小中学校の特殊学級だけでなく通常学級で学ぶ障害の程度の軽い児童生徒も対象とし、児童生徒の現状を把握する。さらに乳幼児健診など幼少期の情報も加味する。
         田村地方の小学校37、中学校15、高校3の全校と管内の全幼稚園を対象に、医師や養護学校教員ら専門家が学校、園を定期的に訪問。障害を持つ児童生徒の授業を見学、教員から状況を聞き、学習進度の調整や注意の仕方など個人個人に合わせた適切な指導法を教員にアドバイスする。
         支援は高校卒業まで継続して実施する。11月の初会合後に具体的な支援策の詳細を詰める。10月には保護者や地域住民を対象とした啓発セミナーを開催する。
         県教委はこれまで、LDなどの児童生徒への支援策として各校の教員1人を特別支援教育コーディネーターに指名していた。コーディネーターの養成研修は実施しているものの、習得した知識をほかの教員に伝える校内研修がなかなか進まず、各教室での児童生徒の支援は十分にできていないのが現状だ。
         さらに、児童生徒一人一人の障害の状況が異なる上、障害かどうか判断しにくい場合もあり、教員は接し方に悩むケースが多かった。また、小学校から中学校へなどの進学時に情報交換しているものの、連携が不十分といった指摘もあり、一貫して支援する体制が求められていた。
         推進事業は国の委嘱を受けた今年度限りの事業だが、3市町は連絡会を継続し、児童生徒の学習環境を維持していく方針。
         県教委は田村地方の成果を県内の各地域に伝え「それぞれの地方の実情に合った特別支援教育の体制づくりを進めたい」(特別支援教育グループ)としている。
         県教委が昨年、県内全公立小中学校を対象に実施した調査によると、LDやADHDなどの可能性がある児童生徒数は全体の4%だった。
        (福島民報)2006年09月03日

        ●講演会:不登校問題を考えよう-10日に松戸で/千葉
         不登校問題をテーマにした広木克行・神戸大発達科学部教授の講演会、「子どものシグナル見えますか~不登校、ひきこもり…から学ぶこと~」が10日、松戸市の稔台市民センターで開かれる。
         不登校問題を考える東葛の会「ひだまり」の主催。94年、不登校児を抱える親の会として誕生した。県北西部を中心に活動し、親の会員は約150人、学生などスタッフ27人。
         広木教授は臨床教育学が専門。発達科学部付属養護学校長も務め、少年事件や不登校問題に詳しい。
         「ひだまり」の鹿又克之代表は「不登校に悩む人は社会に潜在している」という。小学校教諭で世話人の岩根宏さんは「不登校は後ろめたい、解消すべきだという考え方が子どもを追いつめる。不登校にどう向かい合うか、講演会に来てもらい一緒に考えたい」と話す。
         講演会は午後1時から。会費1000円。問い合わせは「ひだまり」(電話047・361・8757)。
        (毎日新聞)-9月6日12時1分更新
        【コメント】
        平成17年度の学校基本調査の結果が出され、不登校は実数こそ減ったものの、少子化の中で子どもの数自体が減っているために比率としてはむしろ微増。特に中学生では2.75%(36人に1人の割合)と高い数値に伸びています。自治体によっては「不登校数の半減」などの数値目標までかかげて取り組んだところもあるようですが、効果はほぼ見られません。不登校「対策」への視軸を早く見直してほしいものです。
        しんどさを感じる時のコーピングあれこれ
        2006/08/27
        その日の仕事や取り組みを終えられた時に感じるしんどさは、ほとんどの方にあると思います。ここで取り上げたいのは、肉体的な疲れを伴わない場面で、気持ちがしんどさを感じる時の対処法についてです。恐らく睡眠を十分にとることが具体的で効果的な対処法だとは思いますが、状態によっては寝付けない、中途で目覚めてしまって寝られないなど、睡眠自体が不足してしまっているケースも少なくないでしょう。
         しんどさは気分の状態ですから、気分を変えることができれば解消できるわけですが、それがなかなか難しいですね。自己に対して否定的な感情を抱いてしまいしんどくなられる、解決困難な問題に直面し自己の責任で問題解決が迫られているのに解決策がまったく浮かんでこない、どうしようもない自体を受け入れざるを得ない状況にある、など、不安、緊張、嫌悪感、怒り、否定感、恐怖感はその人の精神世界を支配してしまいます。
         そんな時に、少しでも楽になれる方策を考えてみましょう。1.自身の感情・気分を理解する。なぜ自分はその問題をそう考えているのかを考えてみることです。2.自己評価を一定に保つ。問題に直面していても、そのことによって自身の人格価値が下げてしまう必用はない、と考えることです。3.ダメージのレベルを数値化してみる。今抱えているしんどさは、平静を0点、破滅を100点としたときに何点くらいに位置するか考えることです。
         これらは、自然と考えてしまう自動思考から、より合理的な考え方に変換する作業になります。考え方が変われば、気分は変わります。目の前の問題を現実的に分析し、違う角度から見つめてみることで認識が大きく変わることが少なくありません。気分転換として趣味の時間を持ったり、家族や友人とおしゃべりをして思考の内容をすっかり入れ替えてみることでストレス解消をされている方は多いと思いますが、しんどさが重く、継続する場合には上記のような考え方、見方の座標軸の入れ替えをされてみてはいかがでしょうか。
         次回は「自分に問題があるのか、環境に問題があるのか」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <自殺中2遺族>長崎市を提訴…「安全配慮怠った」と

         長崎市立小島中学で04年3月、生活指導中に飛び降り自殺をした安達雄大君(当時14歳)の両親が22日、「不適切な指導で自殺に追い詰められ、学校側に安全配慮義務違反があった」として同市に約9000万円の損害賠償を求める訴えを長崎地裁に起こした。長崎県内では昨年夏から今年にかけて中高生の自殺が相次いだ。両親は「理由がしっかり検証されないまま、次の悲劇が起きている。雄大の自殺の真相を究明することで再発防止に役立てたい」と話している。
         訴状によると、雄大君は同中2年生だった04年3月10日、校内でライターを持っているところを見つかり、担任教諭や学年主任から喫煙を巡って掃除用具庫や多目的室で生活指導を受けた。指導の途中で「トイレに行きたい」と1人で教室を出て、そのまま校舎4階から飛び降りて死亡した。
         両親は▽狭い掃除用具庫や薄暗い多目的室での指導で、精神的に追い詰めた▽友人関係を最重要視する思春期に、他に喫煙している生徒を密告するよう強制され、屈辱的な心境になった▽連帯責任を問われて部活動が停止になるかもしれず、友人に迷惑を掛けると自責の念に苦しんだ――ことが、自殺の背景にあると主張している。
         両親は、これまで再三にわたって市教委に原因究明と詳細な調査を求めてきたが、納得できる回答が得られなかった。さらに、市教委がこの件を県教委に「転落死亡事故」として報告し、自殺として認めていないことが分かり、市教委の姿勢に不信感を強めた。
         提訴後に会見した雄大君の母和美さん(44)▽父敏昭さん(44)は「昨年度は長崎県内で子どもの自殺が9件と、短期間に多発している。一つ一つの事案に対して丁寧に検証する必要があるのに、雄大のケースも真相が分からぬままだ。このまま黙っていることはできず、私たちに残された手段は提訴しかなかった」と語った。さらに「お金が欲しくて裁判を起こしたわけではない。裁判を通して真相を究明し、雄大のような悲劇を二度と起こしてほしくない」と述べた。
         提訴について長崎市教委は「訴状を見ていないので、今は何も申し上げられない」と話している。
        (毎日新聞)-8月23日11時16分更新
        【コメント】死を決意した時の雄大君の気持ちに寄り添った調査、検討、そして判決を望みます。雄大君の自死を「転落死亡事故」として処理するという市教委の姿勢、教育の現場にいる大人として極めてさもしいものと思います。

        ●全県立の全病院を民営化へ 福岡、財政悪化が影響(福岡県)
         福岡県は平成19年4月から県立病院すべてを民営化する。恒常的な赤字による財政悪化が理由で、同県によると全病院民営化は全国で初めて。ただ、自治体病院の在り方として疑問を指摘する関係者もいる。
         県立病院は柳川、嘉穂、朝倉、遠賀、太宰府の5病院あった。朝倉、遠賀、太宰府の3病院は17年4月にすでに地元医師会など民間に移譲しており、残る2病院の民営化に向け、移譲先の選定を進めている。
         同県は5年から県立病院の経営改革に取り組んでおり、非診療部門の民間委託や職員定数の削減などを実施したが、赤字体質から脱却できなかった。
         県担当者は、大学病院が拡充されるなど医療提供体制が充実し、県立病院の役割が希薄化しつつあることも民営化の要因だとしている。
         全国自治体病院協議会によると、10年から18年までに民間移譲された自治体病院は全国で16病院あり、検討中も4病院に上るという。
         同協議会長の小山田恵岩手県立病院名誉院長は「自治体病院は地域のニーズでできた病院。民営化すると経営が主となり、医療の質が保てるか確証はない」と懸念する。
         さらに「すべてを民間移譲する福岡県の例は残念だ。住民が求める医療を提供できていなかったのだろう。自治体病院は住民とコミュニケーションをとりながら運営する姿勢が必要だ」と指摘した。
        (産経新聞)-8月21日8時2分更新
        【コメント】民間依存でスタートした日本の医療がまたしても民間依存に。社会保障、保健福祉の理念に基づいた議論が求められていると思います。

        ●学校の要望で医師ら派遣 発達障害児支援へ本腰
         厚生労働省は23日、自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害がある児童、生徒らへの支援を拡充するため、2007年度予算の概算要求で本年度の4・4倍に相当する12億円の対策費を要求する方針を固めた。小中学校などから要望があれば医師ら専門家を派遣したり、卒業後の就労対策などを拡充する方針で、見過ごされがちだったこれらの障害のある子らへの支援に本腰を入れる。
         専門家の派遣は、これまではモデル的に一部の学校などだけで実施してきた。07年度からは体系的な事業として、要望があった場合に発達障害への対処について専門的トレーニングを受けた医師や保健師などを派遣したい考え。小中学校のほか、卒業生らが通う障害者施設も対象となる。事業主体は地方自治体で一定額を国庫で負担する方針。
        (共同通信)2006年8月23日(水)

        ●<いじめ自殺>中1男子が遺書残し 市教委事実認める(愛媛県)
         愛媛県今治市の島しょ部にある市立中学1年の男子生徒が今月17日、学校でいじめにあっていることをほのめかす遺書を残し、自宅近くの路上で首をつって自殺していたことが分かった。市教委は言葉などによるいじめの事実を認めており、中学の校長は「小学校から言葉の暴力を受けて傷つく傾向があると聞いていたが、自殺するほど悩んでいることに気付かなかった。真摯(し)に反省している」としている。
         市教委などによると、17日午後4時ごろ、生徒が自宅から数キロ離れた電柱で首をつっているのを通行人が発見。自宅の勉強机の中に「『貧乏』や『泥棒』などという言葉に傷つき、生きていることが嫌になった」という内容の遺書があった。
         中学校は18日に全校集会で事情を説明し、全校アンケートなどで「同様の悩みがないか」を聞いた。市教委は生徒の相談などに応じるため、19日に臨床心理士3人を中学校に派遣した。
         同校は全校生徒100人以下の小規模校で、ほぼ全員が同じ小学校の卒業生。市教委は「生徒は小学4年ごろから言葉によるいじめを受け、学校としては注意して見守っていた」としている。今治市の倉永忠・教育長は「いじめに対する取り組みを全小中学校で見直し、再発防止を図りたい」と話している。
        (毎日新聞)-8月24日12時10分更新

        ●中1男子が自殺、「いじめあった」と学校が両親に謝罪
         愛媛県今治市立中学1年の男子生徒(12)が17日、同級生らからいじめられていたことをほのめかす遺書を残して自殺していたことがわかった。学校側はいじめがあったことを認め、両親に謝罪した。
         市教委などによると、男子生徒は17日午後5時ごろ、自宅近くの山林で、首をつって自殺しているのが見つかった。自宅の部屋に「貧乏、臭いなどと、自分にとって苦しめられることを言われた」という内容の手書きのメモが残されていた。
         市教委は「男子生徒が小学校の時から言葉によるいじめを受けていたとの報告を受けていながら、中学校側の対応が不十分だった。二度といじめが起きないよう、対策をとりたい」としている。
        (読売新聞)-8月24日12時17分更新

        ●ニートに「発達障害」の疑い、支援に心理専門職も
         仕事も通学もせず、職業訓練も受けていない15~34歳の若者を指す「ニート」について、厚生労働省は就労支援の内容を見直す方針を決めた。
         ニートの一部に、「発達障害」の疑いのある人が含まれていることが、同省の調査で判明したため。実態をさらに把握したうえで、支援機関に心理などの専門職を配置するなど、きめ細かい支援のあり方を検討する。
         調査は今年6月、首都圏などにあるニートの就職・自立支援施設4か所を選び、施設を利用したことのあるニートの若者155人について、行動の特徴や成育歴、指導記録などを心理の専門職らが調べた。
         この結果、医師から発達障害との診断を受けている2人を含む計36人、23・2%に、発達障害またはその疑いがあることがわかった。
         発達障害は、生まれつきの脳の機能障害で、自閉症や注意欠陥多動性障害などが知られている。コミュニケーションが苦手なことが多く、就職の面接試験で失敗を重ねたりするが、就職して存分に能力を発揮することも少なくない。
         調査では、「人との距離感が分からず、顔を必要以上に近づける」(26歳男性)、「その場の空気が読めず、じっとしている」(20歳女性)などのコミュニケーション問題や、「口頭の作業指示では理解できず、実演が必要」(16歳男性)など、発達障害特有の行動が確認された。
         厚労省によると、発達障害のある人は、集団で行動するニート支援施設を利用しない傾向がある。このため、「支援施設に来ない人を含めると、割合がさらに高くなる可能性もある」(障害者雇用対策課)という。
         ニートの就労支援では、一般的に、規則正しい生活を送る訓練や、企業での就労体験、資格取得の勉強などが行われている。
         一方、発達障害がある場合は、作業訓練のほか、援助者の確保や同僚の理解促進など、働く場の環境整備が中心となる。具体的には、福祉機関などと連携して個別の支援計画を作ったり、企業を啓発したりすることが求められている。
         発達障害者の就労支援に取り組む大妻女子大の小川浩教授は、「ニートの支援には、職業体験など、発達障害者にも役立つものもある。だが、社会性やコミュニケーション能力を高めるため、『頑張ればできる』という発想で訓練するのは、発達障害者には強度のストレスとなり、うつなどの二次障害を生じさせる」と指摘している。
         調査結果について、NPO法人・青少年自立援助センター(東京都福生市)の石井正宏・若者自立塾副塾長は、「実態がある程度明らかになったことで、早めの支援につながるのではないか」と話している。
        (2006年8月24日3時14分読売新聞)
        【コメント】「ニート」と呼ばれることになった人たちは青年・成人です。発達障害に社会的な関心が高まり、医療や支援の必要性が説かれはじめてまだ数年、青年・成人の発達障害を診断できる医師や支援にあたれる「専門職」は全国にどれだけいるのでしょうか? さらに、「ニート」という名詞が一人歩きし就労支援など具体的な支援策が一定進展する中で、ひきこもり対策はほとんど放置されたままであるのはなぜでしょうか? 国や自治体がやり残してきたことが社会問題化し、重い腰を少し上げ始めたところですが、まだ、ひきこもりに対しては無策なままと言っていいでしょう。

        ●発達障害など対応へ教員確保=3年間で1450人-文部科学省
         文部科学省は23日、発達障害を抱える子どもへの教育や食育指導の充実に向け、2007年度から3年間で教員計1450人の確保を目指す方針を固めた。全体の約6%に上るとされる発達障害を持つ小中学生の支援や、05年度に導入された栄養教諭制度の定着を目指す。
         具体的には、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などを持つ児童・生徒が、通常学級に在籍しながら支援を受ける「通級指導」の指導要員と、食育指導の中核を担うことが期待されていながら、十分に定着していない栄養教諭の増員が柱となる。公務員の総人件費改革で、公立学校の教職員も定数削減が求められているが、同省はこうした対策のための教員確保は必要と判断した。
         07年度分は、通級指導311人、栄養教諭20人を加配する計画。ただ、先の国会で成立した行政改革推進法は、教職員に関し「児童・生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるため必要な措置を講じる」と規定しており、特定分野の加配には他の分野の削減が必要となる。
         同省は、学校運営の合理化により、給食や事務関係の職員の削減も可能とみて、こうした職員の削減数も教員の加配分に充てたい考え。しかし、国庫負担対象外の職員の削減を教員の削減分として数えることには、財務省や自治体などに反発もあり、調整は難航も予想される。 
        (時事通信)-8月24日7時0分更新
        【コメント】特別支援教育は、人も金も出さない、というところからスタートしました。しかし、実際に支援を必要とする児童・生徒への関わりをすすめていく上で、体制的に人も金も必用なことがやっとわかったということでしょうか。

        ●厚労省が発達障害に標準支援策、拠点整備し指針発信へ
         厚生労働省は来年度から、自閉症や学習障害などを持つ発達障害者の標準的な支援策作りに乗り出すことを決めた。
         この支援策を、全国の医療機関などに発信する「発達障害対策情報センター(仮称)」も創設する。
         発達障害については、医療機関や施設、学校によって治療も対応もばらばらなのが現状。科学的な分析に基づいた支援策を普及させ、全国どこでも適切な支援を受けられる体制づくりを目指す。
         発達障害の子供は、その接し方や幼児期の治療などによって、その後の生活状態や社会への適応状況も変わるとされるが、標準的な対応方法が定まっておらず、施設や医師などによって、支援レベルも異なるという。
        (読売新聞)-8月25日14時33分更新
        【コメント】発達障害をお持ちの子どもたちに関わったことのある方ならおわかりかと思いますが、一人ひとりに個性があり、障がいのレベル、本人の生育環境や状態像の違いがあります。標準的な対応方法をあてはめることが可能とは思えませんし、そのことで要らぬ生きにくさが加わることが懸念されます。
        相手の人格を尊重すること
        2006/08/26
        「相手」といってもいろいろありますが、今回は「子ども」について考えてみたいと思います。
         基本的人権が子どもにも保障されるべきことを国際的に定めた「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、1989年11月20日に国連総会において採択され、2003年7月現在で192の国と地域が締結しています。その中では、「児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきである」「児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであり、かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきである」ことを考慮すべきとされ、人格の発達の保障がうたわれています。どの子どもにも生まれながらに「人格」があり、肉体的・精神的成長が、人格も「完全かつ調和のとれた」発達の中ですすめられるべきものとされています。
         身辺自立の途上にある乳幼児であっても、この人格は尊重されるべきです。もちろん、発達の初期段階にあり、大人による世話やしつけが不可欠ですが、人として尊重されなければなりません。そして、自立への課題に向かう思春期においては、一人の大人としての関わりが、その子の健全な精神的発達を促進するとされています。「あれもできない、これもできない」「まだまだ未熟だ」と、ついつい子ども扱いをしてしまう思春期ですが、子どもの気持ちはどんどん大人に向かっていますので、できないことへの非難・否定ではなく、向かうべき方向に導いてあげるべきです。
         一人の人間として認められながら育った子どもには、自分がありのままでいいという自己を肯定する気持ちと、自己効力感が養われ、自信に満ち、積極的に社会と関わり生きていく志向性が育ちます。
         人間は10数年という時間をかけて子ども期を卒業していきます。この最も大切な成長過程の大半は学齢期と重なり、学校社会に身を置きます。家庭と学校、地域が子どもの育ちを保障することの大切さを、改めて見つめ直す必用があると思います。
         次回は「しんどさを感じる時のコーピングあれこれ」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        発達障害児者、支援体制を整備へ-県が委員会設置(沖縄)

         自閉症や学習障害など発達障害児・者の総合的支援体制の整備を目指し県障害福祉保健課は15日、「県発達障害者支援体制整備委員会」を立ち上げ、県庁で第1回会合を開いた。県が発達障害に特化した取り組みを行うのは初めて。
         委員らは、相談業務や就労支援を総合的に行うため10月にも設置される「発達障害者支援センター」の業務委託先の選定方法などについて意見を述べた。県は21日以降に委託団体の公募を始める。
         発達障害児は出生児の約5%と算定され、県内でも近年、相談件数が急増している。適切な支援によって状態が改善することから、支援体制の強化が求められている。
         同センターでは相談業務や発達支援、就労支援、普及啓発活動を行うほか夜間や緊急時の対応や一時保護なども行う。同委員会が、応募のあった社会福祉法人やNPO法人などから運営団体を選定し、県が業務委託する。初年度の予算は約1090万円で、国と県が2分の1ずつ負担する。21日以降に公募を始め、10月中旬に決定する。
         委員からは、同センターに対する県の役割を明確にすることを求める意見が複数出たほか、「相談業務は一カ所では無理。連携こそが大事だ」「年齢によって抱える問題も違う。ネットワークを生かした連携がないと良い支援はできない」などの意見があった。
        琉球新報(8/1616:01)
        【コメント】全国の都道府県で発達障害者支援センターがまだできていないところは残り1ケタになっています。「作ればいい」というものではもちろんありません。ここで言われている連携の必要性、年齢によって違う課題などは重要な問題です。とりわけ、青年期以降に発達障害であることがわかった方々への支援が、手薄であることは、全国に共通しているようで、今後の大きな課題となると思われます。

        ●「給食費は義務教育の範囲内でしょ!」ブチ切れ保護者から教師を救え!?
         「うちの子と○○ちゃんは仲が悪いみたいなの。今すぐクラスを別々にしてもらえます?」
         これはある保護者が学校の教師に突きつけた要求。受け入れられるわけがないだろう、と耳を疑いたくなるようなこの発言。関係者によると、こんなのはまだまだ序の口らしい。中にはとんでもない無理難題を要求する親たちが急増しているというのだ。大阪大学の小野田正利教授を中心に発足した「学校保護者関係研究会」は、教師が頭を悩ます“理不尽な親たち”について、その原因究明と対策に乗り出しているという。
         「本来学校側に対して保護者が要求をするというのは、まったく問題のない行為です。ただ、最近の保護者の要求は度が過ぎています」(東京都福生市教委参事嶋崎政男さん)
         このほか、「義務教育だから給食費は払わない!!」「うちの子は箱入り娘で育てたい。誰ともケンカさせないという念書を提出しろ」「保護者会に参加するために会社を休んだから休業補償を支払え」などの要求のほか、しまいには「うちの子がけがをして学校を休む間、けがをさせた子も休ませろ」と言ってくる親まで・・・。
         これでは教師があまりにかわいそう。しかし親御さんたちの要求をむげに扱うわけにもいかない・・・。
         「そうなんです。このような無理な要求に対応しようと頑張って、心も病んでしまう教師はたくさんいます。また真剣に向き合うあまりに、教師と保護者が敵対関係になってしまうことも」(同)
         こうしたケースに教師たちはお手上げ状態のようだ。文科省調査によれば、全国の公立小中学校で精神性疾患による教職員の休職者は10年前のほぼ3倍に。小野田教授の調査によると、小中学校・園の8割が「無理難題な要求が増えた」と回答しているんだそう。その背景には教師の能力に問題がある場合も多分にあるが、保護者のコミュニケーション能力の低下が主な原因としてあげられる。
         教師と保護者が手を結んでいかないと“いい教育”は子供たちにできないのではないか。子供かわいさゆえのこの行動も、ここまでくると考えものである・・・。
        Livedoor’NEWS2006年08月11日21時14分
        【コメント】今の学齢期の子どもたちをもつ親たちの育った時代背景や、現代の日本の競争主義がはびこる経済社会的環境や経済格差社会、その中で作られた価値観を見つめ直してみる必用があると思います。それらの矛盾が、こうした教育現場などの局面で露呈しているものと思われます。

        ●障害者条約に基本合意も 月内に国連特別委員会
         【ニューヨーク15日共同】国連は15日までに、障害者に対する差別をなくし、健常者と同様の権利の保障を各国に求める「障害者権利条約」策定のための特別委員会第8回会合を開いた。マッケイ委員長(ニュージーランド国連大使)は同日の記者会見で、月内にも条約内容について特別委で基本合意できる可能性があると述べた。
         障害者を対象にした国連の主要な人権条約は初めて。合意できれば9月からの国連総会での採択を目指す。世界には人口の1割に当たる約6億5000万人の障害者がいるとされ、条約採択は「障害者に対する認識を変える大切な一歩」(国連)と期待されている。
         特別委員会は、2001年12月に設置が決まり、これまでに7回の会合を重ねてきた。今回の会合は14-25日。マッケイ委員長は「今回の会合が終わるまでに(条約内容の基本合意を)完了する十分な可能性がある」と述べた。
        山陽新聞(8月16日10時17分)
        【コメント】障害者の人権をめぐって、国際的に重大なエポックとなる作業がすすめられていました。注目していきたいと思います。

        ●「つらいのは本人」 ひきこもり者支援フォーラム
         ひきこもり者支援フォーラム(県立総合精神保健福祉センター主催)が12日、那覇市の県総合福祉センターゆいほーるで約150人が参加して開かれた。中本昌子さん(58)=与那原町=が家族からのメッセージとして、今は就職した息子(27)との体験談を紹介。「息子のためだと思っていたしつけが、いい親でありたいと思う私のためだった。本当につらいのは息子だった」と述べ、苦しむ人の立場に立つよう訴えた。
         講演した緒方明熊本大学教育学部・同臨床心理士大学院教授は、厚生労働省が1年間で精神保健福祉センターや保健所を2回以上訪れた人や家族を対象に行ったひきこもり調査結果を説明。
         調査によると、小、中、高、大学のいずれかで不登校経験のある人が61・4%。不登校経験者で就労経験のない人が63・1%だった。緒方教授は「ニートの中にひきこもりがあり、不登校からひきこもりへ移行しているのではないか」とした。
         また「精神保健センターでは、家族教室や電話相談などを行っているが、就労にはつながらない割合が多い」とした。企業に対しては「メンタルヘルスを理解してもらいたい。講習会などで知識を得ると広がっていくと思う」と支援を求めた。
        (琉球新報)8月14日10時6分更新

        ●君が代・日の丸問題で自殺、高校長に「公務災害」認定
         卒業式での君が代斉唱と日の丸掲揚の完全実施を巡る問題に悩み、式前日の1999年2月に自殺した広島県立世羅高の元校長(当時58歳)について、地方公務員災害補償基金広島県支部(支部長=藤田雄山知事)は17日、自殺は職務に起因するとして、公務災害と認定した。
         県教委によると、文部省(現文部科学省)から是正指導を受けた県教委が99年1月、君が代斉唱などを完全実施するよう県立学校長に職務命令を出したのを受け、元校長は連日、深夜まで教職員と会議を重ねたが、交渉は難航。同年2月28日、自宅で自殺した。
         この自殺がきっかけとなり、同8月に国旗は日の丸、国歌は君が代と定めた「国旗・国歌法」が制定された。
        (読売新聞)8月17日21時53分更新

        ●職業能力開発拡充へ 多様なIT訓練 京都府、障害者の就労支援
         京都府は、障害のある人の職業能力開発の拡充に乗り出す。現在の高等技術専門校を再編し、障害者向けの多様なIT訓練を充実。また、訓練から就職、職場定着までワンストップで対応するため、関係団体で構成する「自立就労支援協議会」(仮称)を設置する方向で検討している。
         府は2004年度から3年間、国のモデル事業として府立高等技術専門校京都校(京都市伏見区)、同福知山校(福知山市)で障害者の訓練を実施。従来の短期訓練で約40%だった就職率が60%に上昇し、生活に身近な地域で多彩な訓練が受けられると好評だった。
         このため、こうした成果やノウハウを活用し、07年度から総合的な就労支援対策に取り組むことになった。
         対策の柱は、職業訓練の再編強化と就労支援ネットワーク事業。具体的には、京都校のOAビジネス科に訓練期間6カ月と同1年のコースや、高度なIT技術を専門的に学ぶシステム設計科を新設する。福知山校には販売実務科を置き、城陽障害者高等技術専門校も学科の在り方を検討していく。
         また、自立就労支援協議会には府内の労働団体や福祉団体、経営者団体など関係団体が参加する見通し。1人1人の能力に応じたプログラムの作成はじめ▽専門家による就職・職場定着支援▽就職後の再チャレンジ▽求人や受注販路開拓-など、きめ細かな施策を展開し、就職率や法定雇用率の向上を目指す。
         府は「障害者の自立から就労までの支援を『京都モデル』として推進していきたい。生活や雇用・就労実態に合わせた多様な選択ができるよう訓練職種の拡大に努めたい」(府民労働部)としている。
        (京都新聞)8月19日9時29分更新

        発達課題としての喜怒哀楽の感情体験
        2006/08/12
         10代半ばから20代にかけての青年たちの中で、「自信が持てない」「したいものが見つからない」「なんで生まれてきたんだろう」「今の自分が情けない」「自分は存在しない方が良いんじゃないか」などと、自己を否定する気持ちを持たれて、日々やり切れない気持ちに囚われてしまっている人が少なくないようです。何人かの話しを聴いていると、小・中・高と特に何も考えず、敷かれたレールの上を歩んできた。でもその過程では、自分のペースではなく回りに一生懸命合わせていたり、自身の気持ちを押し殺していたり、イジメなどの傷つき体験を抱え込んでいたりしていて、でもそれらを親や回りの誰にも表現できずに過敏で繊細な子ども期、時に荒れ狂う葛藤の渦中である思春期を、多くの不安や悩みを抑圧したまま自分一人で乗り切って来られた方が、青年期にいろんな形で不調を現すようです。
         子ども期や思春期には、それぞれ育ちの課題があります。それらは、友だちや家族といった、安心できる人間関係の中で、自己を見つめ、他者の存在を認め、相互関係の中で喜怒哀楽の様々な体験を通して達成していけるものだと思います。人として生きる力、応用力や時に力を集中する力、他者と親密な関係性を結ぶ力….etc。今を生きる子どもたちは、そんな様々な体験、成功体験や失敗体験を豊かに持てているでしょうか?
         学校社会、学歴偏重社会、競争主義や成果主義などの価値観に満ちあふれる社会の中で、子どもたちにもこれらの価値観に沿った「大人の期待」が押しつけられてしまい、子どもとしての「育ち」の保障が崩れてしまっているのではないかと思えて仕方ありません。
         生きづらさを感じて立ち止まっている青年には、達成できていない発達課題を遡って体験してもらうことが大切だと思います。喜怒哀楽の感情をはじめとして、安心を基本に豊かな精神的・肉体的体験を通して、自分らしさを見つけ、自我の同一性をゆっくりと時間をかけて獲得してもらいたいものです。「相談室カンナ」は、そんな場所でありたいと思います。
         次回は「相手の人格を尊重すること」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「心の病」抱える社員が増加、30歳台が6割

         6割を超える企業で「心の病」を抱える社員が増加傾向にあることが、社会経済生産性本部の実施したアンケート調査でわかった。
         同本部では「風通しがよく、何でも相談しあえるような職場環境作りが急務になっている」と話している。
         調査は、全国の上場企業を対象にメンタルヘルスの取り組みについて聞いたもので、今年4月に実施。218社から回答を得た。
         調査結果によると、「この3年間で(社員の)心の病が増加した」と答えた割合は61・5%となり、2年前の調査に比べて3・3ポイント増えた。「心の病による1か月以上の休業者」を抱える企業の割合も74・8%に上った。
        (読売新聞)-8月6日21時8分更新
        【コメント】過密、長時間で自己責任を強く問われる労働環境が広がっています。一方で、職場のメンタルヘルスはなおざりにされている企業が圧倒的に多いように思います。自社内で体制が取れないなら、外部の資源を利用してメンタルヘルスの取り組みを抜本的に強める必用があると思います。「しんどさ」を感じたら無理をせず、自身を大切に考え、信頼できる相談機関や医療機関を利用して欲しいと思います。

        ●<髄液漏れ>子供の症例次々明らかに 「苦しさ分かって」
         激しい頭痛などを伴う「脳脊髄(せきずい)液減少症」のため、勉強やスポーツができない小中高校生の存在が次々と明らかになっている。症状のひどさや将来への不安、教師らに理解されない絶望感……。「自殺を考えた」と話す子どももおり、事態は深刻だ。ある母親は先月、厚生労働省と文部科学省の担当者に面談し、髄液漏れの子どもたちへの支援を訴えたが、国の対策はまだ本格化していない。
         静岡県の中学2年の女子生徒(14)は昨年夏、車の後部座席にいて追突事故に遭った。吐き気などだけでなく、やがて記憶力に著しい障害が出た。家族や友人のことが分からなくなり、特に漢字は全く読めなくなった。
         3カ月後に高次脳機能障害、さらに2カ月後に髄液漏れと診断された。漏出を止める手術を2回受け表情に生気が戻ってきたものの、事故前にはほど遠い。母親(38)は「直後に診察した医師は『検査しても異常はない。若いからすぐ治る』と言った。もっと早く髄液漏れの治療を受けていたら……」と悔やむ。
         大分県の通信制高校2年の女子生徒(16)は、中学2年の時、授業中に同級生がけったバレーボールを側頭部に受けた。激しい頭痛や耳鳴り、不眠などが続き、欠席日数は中2で31日、中3で66日に上った。登校しても保健室にいることが多く、「心の病」とされて1カ月以上入院した。「悪霊のせいだ」と周囲に言われたこともあったという。髄液漏れと診断されたのは卒業式のころだ。
         生徒は「苦しさを周囲に分かってもらえず、何度も自殺を考えた」と言う。地元自治体は「ボール事故と発症の因果関係はない」と主張、生徒側と法廷で対立している。
         事故が原因でなく、突然発症することもある。兵庫県の高校3年の男子生徒(18)は中1の4月、首に激痛が走った。以来、ふらついてまともに歩けず、会話する気力もなくなり、3年間苦しんだ。「やる気がないなら出ていけ」と怒る教師もいた。母親(44)といくつもの医療機関を回り、「自分は親に迷惑をかけるだけの存在だ」と考えていたという。
         髄液漏れの治療を受け、今はジョギングするほど回復した。中学の同級生と会うと、普通に歩く姿に驚かれるという。
         ◇転倒や出産など日常生活の中で頻繁に起こる可能性
         学校現場にも広がる髄液漏れ。この症状に詳しい国際医療福祉大付属熱海病院の篠永正道医師と山王病院の美馬達夫医師によると、両医師だけでも18歳以下の子ども約30人の治療にあたった経験を持つという。
         従来、髄液の漏出は珍しい病気と考えられていた。しかし、数年前から「スポーツ時の患者は非常に多い」と指摘されるようになった。篠永医師らは「親や教師が髄液漏れを知らないため、長期間、別の病気と誤解されていた子どもが少なくない」と話す。子どもの患者の実態は明らかになっていない。
         こうした実態について、文部科学省スポーツ・青少年局の担当官は「髄液漏れが学校生活に支障をきたすものだと聞いており、重大な関心を持っている」と話している。
         だが、現状は、関係する学会が研究の必要性を認め始めた段階にすぎない。国は今後、治療経験が豊富な医師や関係学会と連携し、診断基準の確立や症例情報の共有化などを急ぐ必要がある。
        (毎日新聞)-8月8日8時45分更新

        ●通所施設利用率 1割減 滋賀県調査 国に改善要望へ
         4月に施行された障害者自立支援法で、滋賀県内の通所施設の平均利用率が、施行前と比べて1割近く減ったことが8日、県の調査で分かった。特に、身体障害者の通所施設は16・4%減と大幅ダウンした。県は「障害福祉サービスの利用料として1割負担が課せられたことが主な要因」としている。
         調査は、6月中旬から7月下旬にかけて、321の障害者施設を対象に、聞き取りやアンケート形式で実施し、うち241の施設から回答を得た。
         調査結果によると、通所施設の平均利用率は同法施行直前の今年3月の91・1%で、身体障害者の通所施設では80%を切る施設もあった。
         また、無認可の共同作業所の利用者860人のうち、回答した548人の平均賃金収入は1万1700円(月額)で、60%が1万円未満、27%が5000円未満だった。同法では、低所得者の自己負担額の上限を1万5000円と定めており、県は「利用料が賃金収入を上回る利用者も多く、それが利用控えにつながっているのでは」とみている。
         県はこの結果を基に、8月下旬に国に対して改善を求める要望書を提出する一方で、独自の支援策について各市町と協議を進める。
        (京都新聞)-8月9日10時29分更新
        【コメント】自立支援法の施行前から予測された通りの実態が明らかになってきています。各自治体での支援策づくりが必用です。

        ●発達障害児の母ら 集いの場設置 亀岡、支援の輪 拡大へ
         京都府亀岡市内に住む自閉症やアスペルガー症候群といった発達障害のある子どもの母親たちがこのほど、保護者同士の交流や情報交換を目指した定期的な集いの場を設けた。対人関係に困難がある障害の特徴から、子どもたちが集団生活になじめないのとともに、周囲や保護者の認識不足などで障害と気づかずに悩みを深める親子が数多くいる中、母親たちは「孤立し、行き場を失っている人たちを1人でも多く支えていきたい」と話している。
         発達障害児の母親、小池環さん(39)=南つつじケ丘=ら4人が「自分たちが子どもを育ててきた経験や、障害についての情報を共有しながら、親と子の悩みをほぐしたい」と、「陽(ひ)だまり広場」を立ち上げた。発達障害と診断された子どもの保護者だけに限らず、発達状態が気になり、悩みを抱える親たちにも広く参加を呼びかけている。
         初めての広場は、余部町のふれあいプラザで開かれ、小学生や幼稚園などに通う子どもの保護者約15人が参加した。「発達障害児がかかわる保健所や幼稚園、小学校など各機関のつながりが薄く、支援態勢が途切れ途切れ。一貫したカルテを作って子どもの成長を各機関が連携して見守ってほしい」との意見や、「障害とは知らず、育てにくさの原因を自分のせいだと思いこんできた」「障害名を子どもに伝えることに迷いがある」といった声があったという。
         今後、9月以降の毎月第4火曜に同センターで開いていく予定で、1回目の様子を記した会報を市内の一部の小学校や、障害児サロンなどに配布している。小池さんたちは「親たちの中には、『子どもは普通でないけれど、障害とは認めたくない』と悩みを抱え込む人が多くいる。同じ境遇にいるからこそ、子どもの事を話題に笑い合えることもあるはず」と話している。問い合わせは、小池さん携帯電話090(8984)3678へ。
        (京都新聞)-8月9日10時49分更新
        【コメント】こうした家族の集まりがもっと広がって欲しいと思います。できれば、保健所や児童相談所、民間団体など、発達障害についての知識と対応法を学んでいる援助者が加わってのものとなると、障害のある子どもたちがより生きやすい環境をつくっていけると思います。

        ●<不登校>全国の小中学校で12万2255人 4年連続減少
         全国の小中学校で05年度に30日以上欠席した「不登校」の児童生徒は12万2255人で、4年連続減少したことが10日、文部科学省の学校基本調査速報で分かった。中学生は、不登校の割合が「36人に1人」程度の2.75%と4年ぶりに上昇に転じたが、小中学生全体では、「89人に1人」程度の1.13%と4年連続で低下した。同省は「スクールカウンセラーによる指導や家庭への働きかけなど、学校や教育委員会の取り組みの成果の表れと考えられるが、中学生の割合はむしろ増えており、減少傾向とまでは言えない」と分析している。
         今年5月1日現在で全国の国公私立小中学校を対象に調査。不登校の児童生徒は前年度から1103人(0.9%)減り、不登校の割合も0.01ポイント低下した。そのうち小学生は2万2709人で前年度から609人(2.6%)減少したが、割合は前年度と同じ0.32%。中学生は9万9546人で前年度から494人(0.5%)減り、97年度以来8年ぶりに10万人を割った。しかし、割合は前年度から0.02ポイント上がった。
         不登校のきっかけは、病気による欠席など「本人の問題に起因」が36.9%、友人関係など「学校生活に起因」が35.7%、親子関係など「家庭生活に起因」が18.3%など。不登校が続く理由は、登校の意思はあるのに身体の不調を訴えて登校できないなどの「情緒的混乱」が31.2%でトップ、次いで「無気力」の22.4%だった。
        (毎日新聞)-8月10日19時48分更新
        【コメント】4年連続減少とはいうものの、子どもの数が減っているわけですから、数だけではなく、割合と理由、対応に注目する必用があると思います。中学校では、スクールカウンセラーの配置も進んでいるにも関わらず数の上でも増加している実態は、「スクールカウンセラーによる指導や家庭への働きかけなど、学校や教育委員会の取り組みの成果の表れと考えられる」というコメントを否定するものとなっています。「「情緒的混乱」が31.2%」という結果は、特に注目しなければなりませ
        横断歩道、どちらが優先? 人・車
        2006/07/30
        この週1回更新の「つぶやき」を少しだけパターンを変化させたいと思います。まず、私が日頃思っていること(ほとんどがうっぷんになるかも…)を書いてストレス解消。そして、その前1週間にメディア記事として流されたものの中から、私が恣意的に選んだ、子どもや教育、発達障害、自殺などの問題に関するものを紹介し、少しコメントを付けたいと思います。
         さて、【この頃思うこと】の1回目は歩行者優先原則が無惨にも無視されている現状について思うことです。横断歩道を渡ろうとしている人や自転車がいるときに通りかかった車、果たして何割の車が停車して人や自転車の横断を優先させられているでしょうか? かくいう私はどうかと聞かれれば、「その場の状況による」としか答えられないので説得力に欠きますが、実態は酷いものでしょう。
         私の場合、後続車がなく安全に停止できる状況であれば停止し、歩行者・自転車の横断を待ちます。これができない状況というのは、後続車があり、その運転手が「俺は急いでるんだ」オーラを感じる時、横断待ちをしている人が「あきらめ」てこちらを見ていない時などです。
         では、酷い実態を演じている人々(運転手)の心理はどんなものでしょうか。1.「車」という器に載っていることである種の「優越感」が生まれることによる歩行者や自転車の軽視、2.歩行者や自転車は止まっているが自分の車は相当なスピードで走り抜けようとしているので停車するのは困難という手前勝手な状況判断、3.よほどのことがない限り罰せられることはないという妙な「安心感」、などでしょうか。
         運転者も、車を降りて逆の立場=「歩行者の立場」になったときに、横断歩道で停車せずに突っ切る車に対する憤りを感じる人は少なくないと思います。立場変われば人変わるー。親が幼いわが子に対して抱く感情、教師が生徒に対して抱く感情、与党政治家や権力者が政治的マイノリティに対して抱く感情、これらに相通じる所があるように思えます。逆の立場で、相手から発せられた言葉や行為を感じることができれば、その「思い上がり」や「勝手な価値基準」に気づくことは難しいことではないでしょう。
         日常生活の様々な場面で、瞬時に相手の立場に立って考えるようになるためには、少し努力が必要ですが、そのことが理解と安心の人間関係を築くことにつながりますから、人として豊かになるための努力であると思います。
         次回は「自転車がなぜ車道の右側を走るのか」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        自殺対策ー原因・動機など詳細を公表へ(警察庁)

         これまで非公開だった自殺の原因・動機を細かく分類した警察庁の内部資料について、同庁は今後、自殺対策のため、関係官庁や研究機関などの要望に応じて速やかに公表する方針を決めた。一方でさらに自殺対策に有効になるようにするため、従来の分類方法について外部の専門家の意見を聞いて見直しも図る。先月、成立した自殺対策基本法は自殺関連の情報の収集、分析、提供などを国と自治体に義務付けた。自殺対策の第一歩として、正確な現状把握に寄与しそうだ。
         警察庁は毎年、「自殺の概要資料」を発表。原因・動機別は「家庭問題」「健康問題」「経済・生活問題」など大きく8項目に分けて明らかにしている。05年は、自殺者総数3万2552人で、「健康問題」が1万5014人と最も多かった。
         しかし、警察庁によると、原因・動機はさらに細かく分類されている。例えば、「家庭問題」は▽親との不和▽子との不和▽家族の死亡▽両親間の不和――など11項目。「経済・生活問題」では▽倒産▽事業不振▽失業▽就職失敗――など7項目。「健康問題」は▽病苦▽老衰苦▽アルコール症▽覚せい剤による精神障害――など9項目に細分化されている。
         これまで警察庁は「犯罪による死亡ではないことの確認が第一で、自殺原因を十分に解明できているわけではない」として、詳細なデータは内部資料にとどめていた。しかし、自殺対策基本法の成立を受け、参考資料として関係機関に提供する方針に改めた。
         一方、現行では、原因・動機の「学校問題」の詳細項目に「学友との不和」はあるが、「いじめ」はない。「経済・生活問題」でも「負債」や「生活苦」はあるが、「借金苦」はないため、警察庁は専門家らとの検討で、自殺の実態をより把握できるよう項目内容を見直す方針だ。
         自殺者の実態調査では、フィンランドが87年度の自殺者全員を対象に自殺要因を調べ、その後の対策に生かし、自殺死亡率を引き下げる成果を上げている。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「自殺の実態を明らかにすることで、効果的な対策が取れ、社会的に追い詰められた末の自殺者を減らすことにつながるはずだ」と期待する。
        【コメント】やっと自殺対策基本法を実態あるものにする方向で動きが始まりました。学校問題の項目に「いじめ」がないという実態にそぐわない現状も明らかになっていますが、警察では「自殺」とカウントしていても、文科省ではその多くが「事故」として処理されている実態を明らかにしていく必要があると思います。教師の指導の直後に校舎4階の窓から飛び降りても「事故」として処理されている事例が身近にあります。

        ●養育放棄で入院400人超、半数の病院が受け入れ経験
         児童虐待の1つで、食事などの世話をしない「養育放棄(ネグレクト)」によって、体調が悪化した子供の入院受け入れを、小児科がある病院の46%が過去に経験、入院した子供は400人を超えることが24日、厚生労働省研究班の全国調査で分かった。うち12人が死亡、21人に重い後遺症があった。
         2005年だけでも100人以上が入院しており、早期発見が難しいとされるネグレクトの深刻な被害実態が浮かび上がった。児童相談所など関係機関による一層の取り組みが求められそうだ。
         調査は1月、小児科がある全国の570病院を対象に実施、230病院から回答を得た。うち、疑い例も含めネグレクトによる子供の入院を経験したことがあるとしたのは106病院(46%)に上った。
        【コメント】「子ども夫婦」の子育て、と言われる実態がまだまだ問題化されていないと思います。子どもができて「親」になるわけですが、親となるために子育てをしながら学ぶことができない夫婦を多く生み出している今の日本。親個人の問題ではなく、健全に子どもを育てられる社会環境の形成レベルが問われていると見るべきだと思います。

        ●障害者、もっと大学へ=8月、東大が初の支援イベント-現役学生、教員らが体験談
         東京大学は、障害を持つ中高生に大学進学の道をアドバイスする初のイベント「君たちは大学に進学するために何をすべきか」を8月27日、同大武田ホール(東京都文京区弥生)で開催する。障害を持つ現役学生や研究者が体験談を語り、キャンパスライフや進路、障害者が受験勉強するコツなどについて分かりやすく説明する。東大を目指す学生だけでなく、障害を持つ生徒すべてが対象。

        ●シンポジウム:「『ひきこもり』だった僕から」の著者・上山さんら事例報告(京都)
         ニートをめぐる議論を手がかりに、日本の社会が“強要”する学校観や労働観を問い直すシンポジウム「『ニート』議論で語られないこと」が22日、北区の立命館大であった。「『ひきこもり』だった僕から」の著者、上山和樹さん(37)らが事例報告し、「生きにくさ」を抱えるマイノリティーの立場を代弁した。
         上山さんはひきこもりの心理を、社会に順応したい気持ちが強過ぎて「スイッチが24時間オンの状態」に陥り、かえって社会規範から逸脱していく、と説明。不登校が子どもの選択肢として受け入れられた一方で、大人の不適応は否定され、相次ぐ心中事件などを助長している、と指摘した。
         更に、「甘えている」と、社会全体が向ける誤解が苦しみを生むことを強調。無理に“社会復帰”させようとするのは逆効果、などと主張した。
         一方で、上山さんはサラリーマンのネクタイを引き合いに「ひきこもった人から見ると、元気に社会参加する人は異様。“社会生活”という名の信仰を持っているように見える」と吐露。これには、会場から「実際の自分が別にいるのに儀礼で別の現実を作り、観念的な安定を得るのが人間。ネクタイは社会人としての儀礼に過ぎない」と理解を示す声も出た。
         この他、大阪府高槻市で在日コリアンらの生活を支援する「高槻むくげの会」の紀井早苗さん(34)は、同市の公立学校などの在日外国人向け教育支援事業の廃止(04年度)を痛烈に批判。「在日外国人の子どもは社会の入り口部分である学校から疎外されている。日本人は学校の中に共生の場をつくるべき」などと訴えた。
        【コメント】上山さんの「不登校が子どもの選択肢として受け入れられた一方で、大人の不適応は否定され、相次ぐ心中事件などを助長している」というコメントに共感します。私が副代表をしている「家族会ノンラベル」の5周年記念講演会(9月23日開催予定)にシンポジストとして上山さんに登場してもらうことになっています。今、あらためて「ひきこもり論」を熱く語ってもらいたいとおもっています。

        ●不登校:「中1のつまずき」防げ、4年連続減 府教委「小・中連携が成果」(大阪)
         府教委は27日、府内公立小・中学生の不登校児・生徒が4年連続で減少し、昨年度は9798人だったと発表した。中学校への進学時に学習でつまずき、中学1年で不登校が急増するのが特徴だったが、府教委は「不登校を未然に防ぐことに狙いをおいた小・中連携の成果が出ている」と分析している。
         府教委によると、心理的理由などで30日以上欠席した児童・生徒は昨年度、小学生1824人(在籍者の0・37%)、中学生7974人(同3・70%)。ピークは01年度の1万1523人だった。
         現場の取り組みとして、▽中学1年生への夏休みの補充授業▽小学校時代の元担任と中学校の現担任との共同家庭訪問▽小中学校の教員による相互授業見学――などの成果が出てきたという。
        【コメント】「中1のつまずき」は学習面でのつまずきが多いのはもちろんですが、小学校のときから集団生活に適応できないものをもちながら中学校という教科学習中心で管理教育が強い場に入れられ、不快さ、嫌悪感、拒否感を強く抱くという学校システム上の問題や、思春期の自分探しの課題と学校という器との不適応など、子どもの視点での深い検討が必要です。強いストレスにさらされ続ける子どもたちに、「補充授業」や「共同家庭訪問」という新たなストレスが加えられることで、一時的に不登校を減少できたとしても、ストレスは蓄積されていくだけではないでしょうか。その子らしく思春期を乗り越えられる環境を、学校という半強制的な器が用意してあげられるかどうかが問われていると思います。

        ●来所人数36%増、前年比「不登校」が6割近くー05年度教育相談概況(長岡京市)
         京都府長岡京市教育支援センターはこのほど、2005年度教育相談概況をまとめた。来所した延べ人数は、過去最多だった04年度よりも40%近く増加した。
         04年度までは市立図書館(同市天神4丁目)内の市立教育センターで、子どもの心身や学習面、家庭教育などについて相談を受けつけていた。昨年4月からバンビオ1番館に市教育支援センターを設置し、相談事業などを引き継いだ。
         05年度の相談延べ人数は1761人で、前年度より36%増えた。同センターは「実際に悩みを抱える子どもが増えているほか、相談事業が周知されてきたこと、駅前に移って利便性が増したことなどが考えられる」としている。
         主な相談内容は「不登校」が1034件ともっとも多く、60%近くを占めている。「神経症的傾向」が84人で前年度比2・3倍、「情緒不安定」が121人で同4・3倍と大幅に増えた。
         相談は臨床心理士など4人がカウンセラーとして対応しているが「手いっぱいの状況になりつつある」(同センター)という。

        ●全教員対象の研修始まるー不登校問題で京都市教委と校長会(京都市)
         京都市立学校の全教員を対象にした不登校問題研修が26日、京都市左京区の京都会館で始まった。初日は、管理職や一般教員、常勤講師ら約1400人が参加し、藤原勝紀・京都大教育学研究科教授の話を聞いた。
         不登校傾向の児童・生徒への支援充実を目指し、市立の幼稚園と小中学校、総合養護学校の全教員約6500人に義務づける初の研修で、市教委と各校長会が企画した。8月10日までに藤原教授や河合隼雄・文化庁長官らが講師になる11の講座を開き、1人1講座の受講を求める。
         この日の研修で、藤原教授は、「ごく普通の子」が起こすと言われる近年の少年犯罪などに触れ「悪いことと頭で分かっていても、それができない。知識と生身の人間が相関しない状況がある」と指摘。「生身の人間が、生身の人間に影響力を与えるのが教育ではないか」と投げかけた。
         不登校問題も「生身に引きつけて考える必要がある」とし「登校している子も『不登校になる心』を抱えて学校に来ている。どのようにしてその心を乗り越えているのか、登校している子から学んでほしい。子どもの知恵が教えてくれる」と話した。
        【コメント】「『不登校になる心』をどう乗り越えているのか、登校している子から学ぶ」ー、今学校現場で行われている「不登校対策」に対する適宜なアンチテーゼではないかと思いました。学童期から思春期にかけて、子どもたちが求めているのは、ともだちとの関係性であり、信頼できる大人との関係性ではないでしょうか。親や学校現場の大人たちは、子どもたちが信頼を寄せる対象となり得ているか、日々自己観察したいものです。
        労働経済白書「格差」に警鐘、雇用改善で少子化対策を
        2006/07/23
        15日、厚生労働省の06年版「労働経済の分析」(労働経済白書)の原案が明らかになりました。少子化の主因を、20歳代を中心に非正規雇用が増え、収入格差が広がったことで若者の結婚が大幅に減った点にあると分析し、若年層の雇用対策の重要性を強調しています。
         また、親との同居が多い若年層が、今後、独立していくことで、社会全体の所得格差や格差の固定化につながる懸念があると警鐘を鳴らしています。
         白書によると、02年の15~34歳の男性に配偶者がいる割合は、「正規従業員」が約40%だったのに対し、「非正規従業員」や「パート・アルバイト」は10%前後にとどまっています。
         また、アルバイトなど非正規雇用の割合を1997年と02年で比較すると、20~59歳まですべての年齢層で増加傾向がみられますが、特に20~24歳の年代で増加率が高く、02年は97年からほぼ倍増し、30%を超えています。

        ●「貧困層」比率先進国2位 OECDの対日審査報告
         20日、経済協力開発機構(OECD)は日本経済の現状を分析した「対日経済審査報告書」を発表しました。相対的貧困層の割合は先進国で2番目とし、「不平等の度合いが増している」と指摘しています。格差拡大は、所得が低い世帯の子どもたちの教育水準低下などを招く恐れがあると懸念を表明しました。
         ゼロ金利解除後の金融政策にも言及し、デフレに逆戻りするのを避けるためにも、追加利上げは慎重に判断するよう求めています。主要国の日本経済に対する考え方を示す同報告書は、構造改革への抵抗を強めかねない格差拡大を防ぐよう警告していて、経済政策をめぐる国内の議論にも影響を与えそうです。
         国内外の調査報告で、「貧困層」拡大や「格差」拡大が明確となり、少子化や教育条件への対策の必要性が迫られています。「格差」の広がりを事実として受け止め、改善に向けた対策を国はスタートさせるべきです。

        ●理不尽な親急増、「今すぐクラス移して」…教師に無理難題
         「あの子の親と仲が悪いから、今すぐうちの子を別のクラスに移して」「うちの子がけがをして学校を休む間、けがをさせた子も休ませろ」…。保護者が教師に無理難題を言うケースが各地で急増しているようです。教師が頭を悩ますこうした「理不尽な親たち」について、大阪大の小野田正利教授(人間科学、教育制度学)は、文部科学省の科学研究補助金を受けて教育関係者や弁護士、精神科医らによる「学校保護者関係研究会」を発足させ、原因究明と対策に乗り出しました。
         持ち込み禁止の携帯電話を生徒から取り上げた中学教師は、保護者に「基本料金を日割りで払え」と言われ、言葉が見つからなかったと言います。
         ある幼稚園では、おもちゃを取り合う園児を見た親が「取り合うようなおもちゃを置かないでほしい」という申し入れも。小学校の1学年全クラスの担任配置表を独自に作成し、「この通りでなければ子どもを学校に行かせない」と要求した保護者もいるそうです。
         小野田教授のもとには、信じがたい親たちの実態が全国の教育現場から続々と集まっています。
         文科省調査では、全国の公立小中学校で精神性疾患による教職員の休職者は一昨年度、病気休職者の56%を占める3,559人に達しています。10年前のほぼ3倍、先生たちはお手上げ状態です。研究会メンバーの嶋崎政男・東京都福生市教委参事は「現場感覚でいうと、精神性疾患による休職の多くに保護者対応による疲弊が関係している」と見ています。
         小野田教授の調査に、小中学校・園の8割が「無理難題要求が増えた」と回答。背景として嶋崎参事は「教師の能力に問題があるケースもあるが」と前置きした上で、「行政による『開かれた学校』がうたわれた結果、些細なことにもクレームが寄せられるようになった」と指摘しています。
         保護者の理不尽な要求への関心は高まっており、小野田教授の講演依頼は学校やPTA、民生委員から殺到しているそうです。
         嶋崎参事は、無理難題を言う保護者の養育態度を、「過保護型」「放任型」「過干渉型」の3種類に大別しています。いずれも家庭内の人間関係に原因がある場合が多く、過干渉型の場合、親にとって「良い子」を演じる子どもが教師の言動を大げさに報告し、事態を悪くすることもあるといいます。
         また、要求態度については、◇子どもの言い分をうのみにする溺愛型◇教師の困った様子を見て満足する欲求不満解消型◇利得追求型-などに分類しています。
         このような保護者への対応として、嶋崎参事は(1)複数の教師で対応に当たる(2)専門家のアドバイスを受ける(3)マニュアルを作る(4)事前研修の実施-などを提案しています。
         その一方で「学校に無理な要求をする保護者は皆何らかの問題を抱えている。その解決のために学校と話したいという意思表示と考えるべきだ」とし、要求を機に保護者を“味方”に変える努力を呼びかけます。
         小野田教授は「たてつかない弱者をいじめる“言った者勝ち”の傾向が社会に蔓延している」と指摘。社会問題としてとらえ、第三者機関の設置や学校の“守備範囲”の限定を訴えています。

        小中学校で通知票廃止/年4、5回評価へ 熊谷市教委
        2006/07/16
        埼玉県熊谷市教委が、公立小中学校で学期ごとに評価していた通知表を来年度から廃止することが分かりました。年4、5回程度、単元など学習のまとまりごとに、より細かく評価する新しい仕組みを導入。2学期制への移行に伴う措置で「年2回の評価では、正確な状況がわからない」という保護者側の要望が背景にあるようです。今後、各教科の教師からなる専門の部会でモデル案を作成し、来年度から各校が採用するそうです。
         新しい制度は国語なら小説などの題材、理科や社会だと単元、算数なら章で……といったように1教科につき7~10時間程度の学習のまとまりごとで評価し、保護者に知らせるというもので、年間4、5回程度を想定しています。現在は3段階評価だが、評価や評定の出し方は今後決めるとしています。学習の達成状況の他、意欲や態度も評価。全教科をまとめて冊子にするか、各教科ごとにファイルケースにまとめるなど、やり方は各学校に一任。評価と通知をこまめに行うことで、学校と保護者が、子どもの学習の達成状況について相互理解を深めることなどが狙いだそうです。
         市内には市立小学校が28校、同中学校が16校ある。市は02年度から2学期制への移行を推進。今年度で全校が移行しました。今後は小中学校の各科目ごとに数人の教師が集まり、10月までにモデル案を作成する予定。2学期制は週5日制による学力低下への不安を背景に、授業時間増の切り札として全国に広まってきています。文部科学省の04年度の調査では、2学期制を採っている公立校は小学校が9.44%、中学校が10.4%、高校で26.1%に達しています。
         一方で導入した学校の中には、評価が年2回しかないことへの不安・不満の声が寄せられるケースが少なくありません。「学期ごとの通知表をとりやめるのは全国的に珍しい」と話す教育評論家の尾木直樹さんは「保護者の不安解消につながる上に、教師も子どもの弱点を把握して学力向上を図れるという点では実践的だ」と評価しています。

        ●<医療扶助>生活保護者に「1割」自己負担を厚労省が検討
         10日、厚生労働省は全額税金で負担している生活保護受給者の医療費「医療扶助」について、08年度から一部自己負担を求める方向で検討に入りました。医療機関の窓口で、最低でもかかった医療費の1割を支払ってもらう考えです。ただ、受給者に自己負担を課すことは、憲法上の「最低限度の生活保障」を目的とする生活保護の理念を覆す、との指摘もあり、同省は慎重に検討を進める意向のようです。99年度の月平均受給者は80万3,855人でしたが、04年度は115万4,521人と急増しています。
         06年度の生活保護費(予算ベース)は2兆6,888億円。うち、51.8%に当たる1兆3,940億円が医療扶助に充てられています。現在は、生活保護受給者が医療機関にかかっても窓口負担は一切不要で、財務省はこの点が生活保護費全体を押し上げているとみて改善を迫っています。
         社会保障費を2011年度までに国費ベースで1.1兆円削減することを目標とした政府方針を受け、財務省は今後5年間、厚労省に毎年社会保障費の伸びを2,200億円圧縮するよう求める方針です。厚労省は、07年度予算については、生活保護費の母子家庭を対象とした加算の縮小と地域加算の見直し、雇用保険の国庫負担削減などでクリアできるとみていますが、08年度のメドはたっていないとしています。このため08年度は、生活保護費本体部分の「生活扶助」の水準カットとともに、医療扶助への自己負担導入を検討することにしたものです。
         同省はこの社会保障費の削減効果を1,000億円台とみている。
         生活保護制度の改革をめぐっては、医療扶助を廃止し、生活保護受給者には市町村の国民健康保険へ移行してもらって自己負担を求める案が再三浮上しています。ただ、市町村は「財政負担増を招く」と反発し、議論は進んでいません。このため厚労省は、医療扶助制度を残したまま自己負担を求める方針案を与党幹部らにも説明をしたそうです。

        ●「教育上必要」と遅刻学生から罰金100円、琉大教授
         10日、琉球大工学部の教授(62)が講義に遅刻した学生から罰金100円を徴収していることが分かりました。学部が徴収をやめるよう勧告しましたが、教授は「遅刻を減らすには教育上必要な措置」として応じていないそうです。大学は調査委員会を設け、教授の処分を検討するとしています。
         工学部によると、“罰金制度”は昨年度後期から、機械システム工学科2年の必修科目の講義で開始。学生約45人が受講しており、冒頭に出欠を取る際に不在の場合、途中で教授に自己申告して100円を払う。払わなければ欠席扱いに。
         昨年11月、学生からの苦情で発覚。問題視した学部側は、教授会や文書で勧告しましたが、教授が従わないため先月下旬、「払わないように」と学生に促すビラを配布。今月、講義室ドアに「100円払わない。『遅刻しました』だけ告げる」とする学科長名の張り紙をしたそうです。
         学生の間では「教授には逆らえない」「100円で遅刻が出席になるなら安いもの」などと、払うケースがあると言います。
         「欠席扱い」が100円で「出席扱い」になる。大学の講義って、その程度のものという認識をこの教授が持っている、という理解でいいのでしょうか?

        ●「特定疾患に認めて」 脳脊髄液減少症の全国組織
         交通事故などに遭った後、頭痛やしびれを引き起こす脳脊髄(せきずい)液減少症の患者栂紀久代(とが・きくよ)さん(54)=大阪市=の呼び掛けで、全国の患者を支援する会「サン・クラブ」がこのほど発足しました。全国から趣旨に賛同する人が集まり、会員数は既に患者200人を含む1,000人に。
         栂さんは1980年に鳥取県で交通事故に遭いました。頭痛や体のしびれや耳鳴りに悩まされてこられましたが、病院では「仮病」と言われたり、「うつ病」と診断されたりしたそうです。自ら医師を探し出し、脳脊髄液減少症と診断されるまで23年かかりました。
         腰椎(ようつい)に注射した血液の凝固作用で漏れを止める「ブラッドパッチ」という治療法があるそうですが、厚生労働省は「学会からの要望がない」などとして健康保険の適用を認めていません。近年、重い後遺症として交通事故との因果関係を認める判決が相次いでいます。
         問い合わせは「サン・クラブ」電話06(6474)2114。

        ●小さな相談室から(5) 若すぎる死
         京都では祇園祭の宵々山を迎え暑さしきりの昨日、知人の息子さんの告別式に参列してきました。彼は、子ども期から青年期にかけて、やんちゃで、元気を振りまいていました。どんな背景があったのかは推測の域を出ませんが、躁鬱病で入退院を繰り返し、退院してまもなく、家の近くの精神単独型の小規模作業所に通いはじめることになっていました。その日、ご両親が仕事に出かけられた直後、自宅に灯油を撒いて火を付け、焼死してしまいました。
         焼香の列に並び、お父さんに「ゆっくりと弔ってあげて下さい」と声をかけようと心に決めていましたが、お父さんに直面した時に、感情がこみ上げ、ついに口から言葉を出すことができず、お辞儀をするのが精一杯でした。お父さんは、気丈にも「がんばる」と一言かけてくれました。
         30歳の自死。身近な逆縁。若すぎる死でした。

        「学校だけが息抜きの場」、医師宅火災で逮捕の長男
        2006/07/09
        6日、3人が死亡した奈良県田原本町の医師宅火災で、放火と殺人の疑いで逮捕された高校1年の長男(16)が「学校が唯一の息抜きの場だった」と話していることを接見した弁護士が明らかにしました。
         長男は幼稚園のころから父親(47)の監視下で勉強させられていたといい、「漫画を買っても家で読めないから、学校で読んで友達にあげていた」と話しているといいます。
         一方、自宅に放火した後「思い出のため、父と2人で写っている写真を持って家を出た」ことも判明。
         調べに対し「父の暴力が許せなかった」と供述しており、田原本署捜査本部は父親への不満から自宅へ火を付けるに至った動機を慎重に調べています。
         父親が抱いていた職場での学歴による差別化と劣等感が産んだ惨劇といえると思います。自身が実現させたかった夢をわが子に託す、「愛情」に名を借りた共依存。学歴・出身校偏重、人格や経験などではなくレッテルによる差別化、親世代が有しているこうしたデバイドの犠牲者はいつも子どもたちです。そろそろ気づき合いませんか、子どもが人として豊かに育つことの大切さとそのために親・学校・地域ができることを…。

        ●2歳女児死亡に児童相談所、虐待に一切気付かず「対応、手ぬるかった」
         滋賀県高島市の夫婦が2歳の女児を虐待して死亡させたとされる事件で、滋賀県中央子ども家庭相談センター(草津市)の竹嶋道江所長らが6日、大津市の滋賀県庁で会見し、傷害致死容疑で逮捕された父親の長阪健太容疑者(24)と母親の千鶴容疑者(25)がネグレクト(育児放棄)をしていた可能性があると判断していたことを明らかにし、「結果から見れば、対応が手ぬるかった」と陳謝しました。
         同センターによると、千鶴容疑者が育児不安を訴えたため、死亡した優奈ちゃんは04年1月から県内の乳児院に預けられ、千鶴容疑者の様子などからネグレクトの可能性がある、と判断したといいます。
         優奈ちゃんが自宅に戻った今年5月中旬から、高島市とともに、13回以上の電話と5回の家庭訪問を行ったそうですが、事前に連絡したり、抜き打ちで自宅を訪れても不在が多く、長阪容疑者と1度会えただけで、優奈ちゃんとは1度も会えなかったといいます。
         竹嶋所長は「身体的な虐待の可能性は考えていなかった。家庭訪問を積み重ねれば、いつか優奈ちゃんと会えると思っていたが、対応が手ぬるかった」と話しました。
         長阪容疑者の自宅近くの女性によると、近所の人が「4、5日前に(同容疑者宅の)風呂場付近で『あちゅい、あちゅい』という泣き声が聞こえた」と話していたといい、この女性も「家の中で人をたたく音を聞いたことがある。1年ほど前、優奈ちゃんが1人で泣いていたので相手をしていると、父親から『ほっといてくれ、迷惑だ』と言われた」といいます。
         虐待やネグレクトを確認したり疑いを感じたときには通報すること、とされていますが、通報先の児童相談所がこうした対応しかされないのであれば、通報をためらってしまいます。大人が軽い暴力(?)を起こしただけでも警察のお世話になるのに、子どもは命が危険にさらされた状態であっても、子どもということで放置される。なぜ、子どもを一人の人格として認知してあげられないのでしょうか?

        ●求む!保健所長、医師不足で欠員相次ぐ(東北)
         東北の保健所が医師不足にあえいでいます。岩手、宮城、秋田の3県で、原則として医師免許が必要な保健所長を確保できず、1人で複数の所長を兼務する事態が続いているそうです。国は保健所長の資格要件を緩和し、なり手の拡大を目指していますが、効果は表れていません。「都市に偏在する傾向は、臨床医師と同じ」(厚生労働省)で、新型インフルエンザ対策など危機管理の対応に懸念が広がっています。
         宮城県では06年度、7カ所の保健所のうち栗原、登米、気仙沼の3保健所で所長が欠員状態。7月下旬に、本年度採用した医師2人が登米、気仙沼に赴任しますが、現在は栗原、登米を大崎保健所長が、気仙沼を石巻保健所長がそれぞれ兼務しています。
         鹿野和男大崎保健所長は、週3日は大崎、週2日は栗原と登米に半日ずつ通っています。「緊急のやりとりを電話で済ますことも多い。時々、頭の中で管轄が混乱しそうになる。今まで大きな問題はないが、兼任は望ましくない」と漏らしています。
         岩手県は本年度、10保健所のうち2カ所の所長を確保できず、北上と水沢、久慈と二戸の組み合わせで兼務。秋田県は8保健所中、3カ所が欠員。横手と湯沢、秋田中央と大仙、北秋田と大館が兼務となっています。青森(6保健所)、山形(4)、福島(6)は充足しています。
         厚労省は04年4月、所長不足を解消するため、医師免許を資格要件としていた地域保健法施行令を改正。どうしても医師が確保できない場合は、薬剤師や獣医師なども就任できるようにしました。しかし、これまでに医師以外の所長就任は全国でゼロ。岩手、宮城、秋田では検討さえ進んでいません。
         医師以外の所長を置く場合でも、医師免許を持つ職員の配置は必要になります。秋田県は「知識や判断力は医師にかなわない。所長は強い処分権限があり、医師でないと県民に納得してもらえないのでは」と、検討が進まない理由を語ります。
         厚労省のホームページには、所長ら保健所で勤務する医師を募集する自治体が登録されているが、大半は地方。医師側は「都心勤務を希望する人が多い」(鹿野所長)といいます。
         東北大大学院医学研究科の辻一郎教授(公衆衛生学)は「患者に接する臨床医に比べ、公衆衛生分野の志望者はもともと少ない。感染症の予防や健康増進など保健所の使命を、行政が粘り強くPRするしかない」と話しています。

        ●障害者支援法人に無担保融資、大阪のNPOなど全国初
         1日、NPO法人「ゆめ風基金」(大阪市東淀川区)と近畿労働金庫(同市中央区)は近畿のNPO法人と社会福祉法人の障害者支援活動を対象とする無担保の低利融資制度を創設しました。
         上限500万円で金利は年1.95%(変動)。使途は<1>事務所の敷金など事業の立ち上げ資金<2>行政の助成金交付までのつなぎ資金――などです。障害者活動に特化した民間金融機関の融資制度は全国初といいます。
         障害者団体の多くは運営基盤が弱く、融資を受けるのが難しい。今回の制度は、同基金がこれまでの募金活動で集まった資金を活用し、同金庫に保証資金として1,000万円を預金する方法で実現しました。
         同基金の牧口一二・代表理事は「活動実績がなくても融資を受けられるのが大きい。ただ本当に困っているのは、法人格のない任意団体。対象にできないか今後、考えたい」と話しています。

        ●特別支援教育:理解深めよう 8地域でフォーラム開催へ/山口県教委
         授業や集団活動で困難を抱える子供たちを支援する「特別支援教育」の理解を深めようと、山口県教委は10、11、29の3日間、県内8地域でフォーラムを開きます。参加費は無料。
         発達障害児とかかわる療育機関や臨床心理士らと、保護者や学校関係者によるパネルディスカッション形式。子どもが自分のペースで学校生活を送り、地域社会で働いていくためのビジョンなどについて意見を出し合います。
         【10日午前10時~正午】下関市の海峡メッセ下関▽防府市のデザインプラザHOHU▽柳井市のアクティブやない【11日午前10時~正午】周南市の周南総合庁舎▽岩国市の市民会館▽宇部市の湖水ホール▽萩市の市民体育館【29日午後1~4時】山口市の県セミナーパーク。問い合わせは県教委特別支援教育推進室(083-933-4615)。
        児童虐待相談3万件超、被害の半数近くが6歳未満
        2006/07/02
        27日午前、内閣府は「青少年の現状と施策」(2006年版青少年白書)を発表しました。
         04年度の児童虐待に関する相談が3万3,408件(前年度比6,839件増)と初めて3万件を超え、過去最高となりました。「児童虐待は、子どもの生涯、さらには世代を越えて大きな影を落とす。発生予防から虐待を受けた子どもの自立に至るまで、切れ目なく支援することが必要だ」としています。
         全国の児童相談所や警察に寄せられた児童虐待の相談は、調査を始めた90年度から14年連続で増え、04年度には約30倍となりました。
         内容別では、身体的虐待が1万4,881件(44.5%)で最も多く、ネグレクト(育児などの怠慢や拒否)が1万2,263件(36.7%)、心理的虐待が5,216件(15.6%)、性的虐待が1,048件(3.1%)と続いています。

        ●56%が生活「苦しい」/国民生活基礎調査(厚労省)
         28日、厚生労働省は05年の国民生活基礎調査結果を公表しました。生活を「苦しい」と答えた世帯は56.2%に達し、過去最高を更新しました。1世帯当たりの平均所得額(04年)は580万4,000円。95年の659万6,000円から12%減少し、低所得層ほど減少率が目立つなど格差の拡大傾向をうかがわせています。
         同調査は昨年6~7月、全国4万5,001世帯(所得調査は7,038世帯)から回答を得たもの。
         今の生活を「大変苦しい」と答えた世帯は23%。「やや苦しい」の33.2%を加えた「苦しい」は56.2%で、前年より0.3ポイント増えています。調査開始時の86年より15.3ポイント増え、00年の50.7%より5.5ポイントの増。「児童のいる世帯」では「苦しい」が60.1%に上っています。
         平均所得額の10年間での減少を所得階層別(5区分)でみると、最も所得の低い層(平均123万9,000円)の下げ幅は24%減だったのに対し、最も高い層(同1,295万1,000円)は9%減にとどまっており、経済格差の低所得層への広がりが示された結果となっています。
         また、調査結果から推計した総世帯数は4,704万3,000世帯で、うち「児童のいる世帯」は1,236万世帯(26.3%)。86年の1,736万4,000世帯(46.2%)から大幅に低下しました。平均児童数も1.72人で、86年の1.83人より0.11人減りました。一方、65歳以上の人がいる世帯は39.4%の1,853万2,000世帯で86年に比べ倍増。うち独居は406万9,000世帯でした。
         「児童のいる世帯」で60.1%が「苦しい」と答える状況では、「少子化対策」としていくら箱物を作っても、抜本的な歯止めにはならないことは明らかです。

        ●精神障害の相談気軽に/来月から夜間勉強会:家族会『新宿フレンズ』
         心の病気について、もっと気軽に相談できる場を提供しようと、新宿区の精神障害者家族会「新宿フレンズ」(代表・岡嵜(おかざき)清二さん)が、7月から夜間勉強会をスタートさせます。これまでの家族限定の会ではなく、心の病気を心配する人や、病気に関心を持つ人すべてに対象を広げ、知識の普及に役立てていくとしています。
         「新宿フレンズ」は1969年から活動を始め、現在の会員は約500人。症例の多くは統合失調症で、適切な治療を受ければ回復するが、受診が遅れたがために、症状が悪化する例も少なくないといいます。
         同会はこれまで、保健・医療の専門家を招いて勉強会を月に1度、土曜日の昼間に開いてきましたが、もっと多くの人が立ち寄れるようにと夜間の開催を企画したものです。同会では「心の病気は家族ぐるみの支えが必要。多忙な父親にもぜひ出てほしい」と話しています。
         夜間勉強会は7月12日にスタート。毎月第2水曜日の午後7時-9時、新宿区西新宿8の13の18、クレイン西新宿101「ムツミ第一作業所」で開催。問い合わせは、新宿フレンズ=電(3987)9788=へ。

        ●「軽度発達障害」早期対応へコーディネーターの養成研修
         軽度発達障害の児童生徒に、適切な指導を行う「特別支援教育」が来年度から全国の小中学校に適用されるのを前に、校内や学校と家庭、専門家との連絡調整役となる特別支援教育コーディネーターの養成研修が各地で開かれています。
         来年度中に、全国すべての小中学校へのコーディネーター配置を目指していますが、依然として課題も少なくありません。
         特別支援教育は「学校教育法」が改正されるのに伴い、来年度から本格的に実施されることになっています。LD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症などの軽度発達障害児も対象となります。
         こうした児童生徒の指導を充実させるため、今月6日に行われた東京都教委のコーディネーター養成研修の2回目の講座では、「保護者への啓発を進めながら連携をしていくことが大切だ」「コーディネーターにお任せ状態になってはいけない」などの声が上がりました。
         区市町村教委から推薦を受けた約50人の教員が、「校内支援体制の構築」をテーマに9つの班に分かれて協議を行いました。教員たちは、10月まで計10回の研修を受けた後、それぞれの市町村で行われる伝達研修で講師役を務めることになっています。
         特別支援教育では、従来の「特殊教育」では対象外だった通常学級に在籍する軽度発達障害の子供も含めて、それぞれ状況に応じた個別指導計画を作成し、教育をしていくことになります。
         しかし、「担任が軽度発達障害の子に気づいても、そのことを保護者に納得させることができずに、一人で悩みを抱え込んでしまう教員が多い」と、都教育庁義務教育心身障害教育指導課の田島忍・指導主事は、教育現場での不安を代弁します。
         田島さんは養護学校の教員だった05年度にコーディネーターとなり、通常学校の校内研修に講師役として参加。軽度発達障害の子に対する教育は、早期発見・対応が重要だが、わが子が特別な扱いを受けることに抵抗を持つ保護者が壁となり、専門家の意見を聞けずにいると言う声を耳にしてきました。
         こうした子どもを、学校全体でサポートするため、特別支援教育では校内委員会を設置し、個別指導計画を作成して教育することを掲げています。文科省特別支援教育課の調査によると、05年の特別支援教育コーディネーターの配置率は公立小中学校で77.9%、校内委員会の設置率は87.8%に上っています。しかし、個別指導計画の作成率は28.9%にとどまっており、現場での教育体制がまだ整っていないことが浮き彫りとなっています。
         小貫悟・明星大学助教授(臨床心理学)は、「特別支援教育には、保護者の理解・協力が不可欠。個別指導計画を通して、保護者と話し合いをしていくことが重要」と指摘しています。
         「特別支援」は、個のニーズに応じた適切な支援提供が基本です。現状の学校の枠組みや力量、保護者との連携の度合いを前提とするのではなく、本人が何に困り、何を必要としているかを理解し、その状態の改善に向けて学校と家庭、地域で具体的に何が必要かを検討し、個別支援計画を作っていくことが求められていると思います。支援の「パターン化」が進まないことを祈ります。

        ●中高校生の4人に1人が不眠、成人を上回る:10万人調査
         中学・高校生の4人に1人が不眠を訴えていることが、日本大医学部の兼板佳孝助手(公衆衛生学)らの研究でわかりました。10万人規模の調査で、思春期の子どもの不眠の実態が明らかになるのは初めてで、不眠の割合は大人を上回っています。大津市で開催された日本睡眠学会学術集会で30日発表されました。
         研究は、厚生労働省の研究班(主任研究者、林謙治・国立保健医療科学院次長)の調査の一環で、04年12月~05年1月に、全国の中学131校、高校109校を無作為に抽出、在校生に最近1カ月の睡眠状況や生活習慣、精神的健康度を質問したもの。回収数は約10万人(回収率64.8%)。
         不眠としたのは(1)なかなか寝付けない「入眠障害」(2)夜中に目が覚める「夜間覚醒(かくせい)」(3)朝早く目覚めて再び眠るのが難しい「早朝覚醒」――の3項目のうち1つ以上が当てはまった場合。その結果、不眠の割合は23.5%で、成人3,030人を対象にした調査(97年)の21.4%を上回りました。
         入眠障害は14.8%で、成人の8.3%より6.5ポイントも高い結果。逆に、夜間覚醒は11.3%(成人15%)、早朝覚醒は5.5%(同8%)で、成人より低かった。
         不眠が多いのは▽男子▽精神的健康度が低い▽朝食を食べない▽飲酒習慣あり▽喫煙習慣あり▽部活動に不参加▽大学進学希望なし――などと答えた生徒でした。
        〈教育評論家の尾木直樹・法政大教授の話〉悩んで寝付けないのは思春期にはあることだが、あまりに不眠の割合が高く、大変な事態だ。日本の中高生は、携帯電話のメールの普及で、友人づきあいがバーチャル化している。それが、大人が思っている以上のストレスになっているのではないか。
        『どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害』、毎日新聞で紹介
        2006/06/25
        私も執筆に参加した『どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害』が、毎日新聞・読書之森で紹介で紹介されました。以下、毎日新聞の記事です。
        (毎日新聞6月18日朝刊より)
         ◇京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル編(かもがわ出版、1,365円)
         生まれつきの中枢神経の機能障害によって現れる発達障害の一つ、アスペルガー障害。発達に「偏り」があり、物事の感じ方や理解の仕方などが「普通の人」と異なるのだが、障害に気づかない周囲との間に誤解や摩擦が生じ、ストレスをためた本人が抑うつ状態に陥り、暴力に走る。こうした悪循環を断つため、本人とその家族を支える活動に01年から取り組むのがノンラベル。「『生きにくさ』の理解と援助のために」の副題の通り、障害の早期診断・発見・治療の必要性と、生涯にわたる一貫した理解と支援を繰り返し説き、活動を通じて見えた具体的な支援策を紹介している。アスペルガー障害の子を持つ母親5人の体験談も収録。障害の診断を聞いた時の反応を聞かれ、「半信半疑だった」「がっくりしたがほっとした」などと答えているのが生々しい。田井みゆき代表がつづる「『人それぞれ』という概念が徹底していけば彼らの特性も個性として認められる社会になる」という言葉も重い。アスペルガー障害の実際を知る入門書としてだけでなく、社会のあり方そのものも考えさせられる好著だ。A5、117ページ。

        ●長崎の自殺中学生両親、賠償求め市を提訴へ
         04年3月、長崎市の市立中2年、安達雄大君=当時(14)=が、教師の指導を受けた直後に校舎から飛び降り自殺した事件で、雄大君の両親は19日までに、「担任は不適切な指導をした上、指導で傷ついた生徒に必要な配慮を怠った」などとして、市に数千万円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を起こすことを決めました。早ければ来月にも長崎地裁に提訴します。
         両親などによると、雄大君は04年3月10日の放課後、持っていたたばこが見つかり、担任から校舎3階の掃除用具入れの中や多目的室で生活指導を受けた。学年主任が代わって話を聞こうとすると「トイレに行きたい」と一人で教室を出て、そのまま校舎4階から飛び降り自殺したものです。
         両親は担任の指導について「狭い掃除用具入れの中で指導したり、ほかに喫煙した友人がいないか聞き出そうとするなど精神的に追い詰めた」と指摘。「指導で傷ついた生徒を一人にするなど、安全配慮義務違反があった」としています。
         市教委の調査では担任が月に2、3回、生徒を拳で殴るなどの体罰も明らかになっています。
         雄大君の自殺をめぐっては、両親が「転落死亡事故」とした市教委の報告書を「自殺」とするよう訂正を求めましたが、市教委は「報告書は事実関係のみ記した」と拒んでいます。
         雄大君の母親(44)は「雄大はあの日いつものように元気に家を出た。明るく友人も多かった雄大が死に至るまでの短い時間に何があったか知りたい。市教委に第三者機関を設置し事実を解明するよう求めたが応えてもらえず、事実を知る手段として訴訟を選んだ」と話しています。市教委健康教育課は「コメントできない」としています。
         個別の生徒指導の途中での飛び降り。これを「転落死亡事故」として処理したい市教委。事実を解明し、再発防止への対策を考えるという姿勢を持てない教育行政の態度は、悲しいことに全国共通のようです。
         全国学校事故・事件を語る会で何度か安達さん(お母様)にお会いしていますが、ご両親の提訴の目的は賠償ではありません。起こった出来事の事実を明らかにし、再発防止へ対策を作ることです。

        ●自閉症への理解さらに、近畿の支援センターがフォーラム(奈良県)
         18日、日本自閉症協会近畿ブロック奈良支部が中心となって「NHKハート・フォーラム 自閉症児者のライフステージに対応する支援」が奈良市三条宮前町のなら100年会館で開かれ、近畿各地から教職員、施設関係者を含む約400人が参加しました。
         奈良県では、平成17年4月の発達障害者支援法施行を受け、今年1月に奈良発達障害センター「でぃあ~」が設置されました。これをきっかけに、今回初めて近畿に7カ所ある発達障害者支援センターのセンター長らが参加して同フォーラムが開催されたもの。
         近畿圏で支援センターがまだできていないのは京都府だけだと思います。このままだと、全国最後となってしまうかも知れませんね。

        自殺対策基本法が成立
        2006/06/18
        自殺の防止と自殺者の親族のケアを目的として、自殺対策を国や自治体の責務とし、超党派による議員立法で国会提出された自殺対策基本法が15日午後、衆院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立しました。自殺について「多様かつ複合的な原因及び背景を有するもの」と定め、官房長官をトップとする自殺総合対策会議を内閣府に設置し、対応状況を国会に報告するように義務づけています。
        http://seiji.yahoo.co.jp/gian/0164016402018/index.html
         年間の自殺者が98年から8年連続で3万人を超える中、自殺を単に個人の問題として片づけるのではなく、社会的に取り組むべき課題として基本理念で位置づけまし。国や自治体、医療機関、事業主、学校、NPOが密接に連携して対策にあたるべきだとし、未遂者や遺族への支援充実も掲げています。事業主に対しては従業員が心の健康を保てるよう必要な措置をとるよう求めたのも特徴です。
         自殺防止をめぐっては政府が昨年末に総合対策を策定しました。しかし、省庁の対応が縦割りで、実効性を確保するために基本法の整備が必要との意見が与野党の国会議員からあがり、議員有志が法案をまとめたもの。自殺防止に取り組むNPOや民間団体、個人も各地で署名運動を展開(わずか1カ月半で目標の3倍以上の10万1055人分が集まりました)、基本法の制定を求めていました。
         本法は理念法として成立したものですが、自殺を個人の問題とせず社会的背景や関係性の要因があり、国や自治体、事業主、学校などが自殺防止の取り組みをする民間団体や個人と連携しながら自殺対策を行うことを求めています。総論的に「…ねばならない」の羅列とも読めますが、「自殺大国」と呼ばれるようになったわが国において、やっと自殺対策を国として取り組むことが宣言されたことは大きな一歩と言えます。今後、対策の具体化や態勢づくりに向けて、自殺防止や未遂者・遺族ケアに取り組む団体や個人と行政などが連携できる枠組みを速やかに作っていく必要があります。

        ●「カンニング疑われ自殺」高校生遺族が損害賠償を提訴(埼玉県)
         カンニングを疑われて自殺した高校生の母親が、埼玉県に対し、8,000万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。
         04年、埼玉県立所沢高校の3年生だった井田将紀さん(当時17)は、中間試験でカンニングを疑われ、教師5人に2時間に渡って事情聴取を受けた後、飛び降り自殺しました。井田さんの母親は「大学の入試に関係のない物理のテスト中に日本史の勉強をしていただけで、カンニングでないことは明白だった」として、埼玉県に対し、8,000万円の損害賠償を求める訴えをさいたま地裁に起こしました。
         学校教育の場において「聴取」という言葉に不自然さを感じる人が多いことを信じたいと思います。それも、大人である教師が5人の集団で2時間も問いつめたわけです。教師たちには、集団心理が働きます。カンニングを疑わせる行為があったことを認めさせ、「謝罪」させ、「処分」を受けさせるという筋書き通りに「指導」という名の圧倒的弱者である個人への圧倒的強者からの攻撃、それへの服従を「善」と考え集団に参加していくという心理です。将紀さんは、この2時間に渡る拘束と圧力によって、抵抗する気力も萎え、無力感に嘖まれ、あげく自己否定感情を募らせたのでしょう。これが学校という場において行われるべき「指導」と言えるでしょうか。
         お母さんは学校側に要望して、この2時間の出来事を再現してもらったそうです。再現した教師個人に感想を聞くと、「なぜそこまでやる必要があったのかわからない」というようなことを言われたそうです。ナチスの強制収容所で行われていた収容者への信じがたい非人間的な対応がなぜ生じたのか、その状況での「強者」の集団心理が、この事件とだぶって感じられました。

        ●人間関係「希薄に」80%…読売世論調査
         読売新聞社が実施した全国世論調査(面接方式)で、社会の人付き合いや人間関係が希薄になっていると思う人は、00年7月の前回調査よりも7ポイント増え、80%に達したそうです。
         希薄になっていると思う人は、大都市よりも、中小都市や町村で急激に増えており、人とのつながりの喪失感が大都市部だけでなく、全国的に広がっていることが浮き彫りとなりました。
         調査は5月13、14日の両日実施。人間関係が希薄になりつつあると思うかとの質問に、80%の人が「そう思う」と答え、「そうは思わない」という人は19%でした。
         「そう思う」人を都市規模別にみると、中都市(東京23区と政令市を除く人口10万人以上の市)が81%で最も高く、次いで、小都市(人口10万人未満の市)80%、大都市(東京23区と政令市)78%、町村75%の順。前回調査と比較すると、大都市は3ポイント増だったのに対し、中都市と町村が6ポイント、小都市は10ポイントと、大幅に増加しています。

        ●田辺市の発達障害支援事業が軌道に/年齢問わずに対応(和歌山県)
         人とのコミュニケーションが取りづらい、落ち着きがないという、発達障害の悩みに相談に応じる田辺市の事業が軌道に乗っています。5月の1カ月間だけで本人や家族、教員ら延べ42人から相談がありました。昨年10月の事業開始から徐々に相談人数は増加していて、市やすらぎ対策課の梶垣吉良参事は「子どもから大人まで一貫した支援体制を築きたい」と話しています。
         同課によると、市町村が発達障害者の支援体制整備事業に取り組んでいるのは、県内では田辺市だけ。
         昨年4月に発達障害者支援法が施行され、広域でこの問題に対処する道が開けたことから、田辺市では、同市とみなべ、白浜、上富田、すさみの各町で事業を展開しています。これまでは「就学前は保育所で」「入学したら学校で」など支援体制がバラバラでしたが、乳幼児から成人まで一貫した発達障害児者の支援体制をつくったものです。
         社会福祉士や臨床心理士ら専門家による発達障害支援コーディネーターが相談に応じています。相談の内容は「学校で授業に集中できない」「友達関係がうまくいかない」「学習面のバランスの悪さを、どう指導したら良いのか」「パニックを起こした子どもとのかかわり方は」などさまざま。本人や保護者だけでなく、指導している教員からの悩みも多いといいます。
         昨年12月から、定期的に予約制で直接面談する「はなまる相談」と名付けた発達障害児者相談の日を設けた。毎月2回、同市湊の市民総合センター2階作業室で臨床心理士が1人約1時間、1日5人まで相談に応じています。
         相談受け付け状況(延べ人数)は、相談日の前後の相談も含めて4月が児童6人、保護者5人、教員などその他16人の計27人。5月は児童2人、保護者7人、その他33人でした。開設当初は教員からの相談が多かったそうですが、本人や家族からも増えてきているといいます。完全予約制で、6月はすでに定員がいっぱいの状態です。
         整備事業では、相談だけでなくコーディネーターを中心に学校や保育所、福祉事務所、保健所などの関係者が、発達障害の状態に応じた個別の支援計画を作成。教育や福祉などの関係機関へ助言するほか、地域住民に発達障害への理解を深めてもらうための啓発活動に取り組みます。和歌山市にある発達障害者支援センターとも連携します。
         はなまる相談は7月は11日、25日の午前10時~午後4時。問い合わせ、申し込みはやすらぎ対策課(0739-26-4902)へ。

        ●発達障害者:県検討委、支援で調査/来月から3、5歳児らの2万人対象に(徳島)
         16日、発達障害を持つ子どもに対する支援のあり方を考える県発達障害者支援体制整備検討委(会長、橋本俊顕・鳴門教育大教授)の今年度初会合が徳島県庁であり、障害児の状況を把握するため、7~11月に約2万人を対象にした実態調査の実施を決めました。県教委が04年度に全小中学生を対象に調査しているが、今回の調査には3、5歳児や高校生も含めることになりました。
         検討委によると、8市と那賀、美波、牟岐、海陽各町の3、5歳児と小中高校生が対象。該当者は約8万6,200人です。3歳児健診時の他、保育所や幼稚園、小中高校の協力を得たうえで、1万9,500人に調査。内訳は3、5歳児は各3,000人、高校生は各学年1,500人(計4,500人)。
         具体的な質問項目は「『パパ カイシャ イッタ』等の3語文で会話ができますか」(3歳児)、「身の回りのことなど、言葉の指示だけでは行動に移せない」(5歳児)、「相手が聞いて分かるように整理して話すことができない」(中学生)など。該当の有無などを問う内容で、中間報告を12月にまとめるとしています。分析も加えた最終報告を踏まえ、来年度に具体的な支援体制を話し合うそうです。
         LD(学習障害)や自閉症などの可能性があり、特別な支援が必要とされる児童生徒数は、文部科学省の小中学校全国調査(02年)で、全体の6.3%との結果が出ていますが、04年の県教委調査では4.1%でした。

        ●余呉町の廃校利用、不登校児ら支援へ「教室」(滋賀県)
         廃校になった小学校を利用し、不登校の児童、生徒を支援する教室づくりが余呉町で進んでいます。ボランティアの力を借りて校舎を改装し、7月ごろから受け入れを始める方針です。
         準備を進めているのは、3月末まで同県長浜市青少年センターで不登校や非行の子どもと親のカウンセリングをしていた唐子恵子さん(49)。「不登校の支援は即応性が大切。行政は決裁に時間がかかるなど支援が遅れてしまう。それなら自分で教室をつくろうと決意した」と話しています。
         活用するのは、昨年3月末に廃校となった余呉町上丹生の旧丹生小学校。センター勤務時代に同校を訪れた際、木造2階建て校舎に温かみを感じ「ここなら」と思い立ったそうです。
         余呉町に貸与を申し入れ、町側も快諾。教室の名前と同じ特定非営利活動法人(NPO法人)「子ども自立の郷ウオームアップスクールここから」を発足させ、長浜市から教室近くに移り住みました。
         受け入れは小学生から高校生まで。不登校の相談は唐子さんがあたるほか、授業は教員免許を持ったボランティアが担当。学校に復帰する場合は、事前に町内の小中学校で授業を受けさせるなど町教育委員会もバックアップ。幅広く受け入れようと、通学に加え寄宿も可能に。
         今月から壁の塗り替えなど改装に取り掛かったほか、近くの住民がソファなどの備品を提供するなど支援の輪も広がっています。唐子さんは「将来は校舎内に喫茶室をつくり、住民との交流も目指したい」と話しています。
         入学金は3万円、授業料は月額7万円(寄宿の場合は14万円)の予定。問い合わせは同NPO法人=電0749(86)3578=へ。
        「全国学校事故・事件を語る会」学校の密室化防ぎ真実を明らかに(神戸)
        2006/06/11
        学校が関係する事故や事件で子どもを失った親らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」の集会が3日、神戸市内で開催されました。同会の代表世話人で、担任教諭の暴行がきっかけで長男が自殺した公立中学校教諭、内海千春さん(47)は「隠ぺい体質を持った教育行政当局や学校側が、『密室』の学校内で起きた真実を明らかにすることが再発防止への手掛かりになる」と訴えました。
         同会は03年、社会から孤立する遺族に生きる力を取り戻してもらい、同様の事件・事故の再発防止を目指して設立。この日、学校側の過失で子供が自殺した親らが集まり、体験や今後の対策などを涙ながらに語り合ったことからスタート。会を重ねる毎に参加者が増える、という望ましくない状態に戸惑っていながら、会の必要性を痛感しています。
         たつの市内の市立小学校6年生だった内海さんの長男平君(当時11歳)は94年9月、担任の男性教諭の暴行の直後、自宅裏山で自殺しました。内海さんと妻礼子さん(47)が心を痛める中、信じられない出来事が相次ぎました。教諭の暴行の実態や経緯を明らかにしようとしない学校側、担任教諭を擁護する動きを見せたPTAら地域住民……。内海さん夫婦はこうした「2次被害」に孤立感を覚え、心を何度も踏みにじられました。
         夫婦はその後、市を相手取った民事裁判で、担任教諭の暴行と自殺との因果関係を認める判決を勝ち取ります。しかし、2次被害に苦しむ遺族は多く、内海さんは「学校側に真実をすべて明らかにさせるシステムを作らなければ、同じような事案が繰り返される。亡くなった子どもたちのためにも一緒に頑張りましょう」と呼びかけました。
         私は、今回は仕事で2日目のシンポジウムのみの参加となりましたが、弁護士、大学教授をはじめとする研究者、マスコミの参加の増加が目立ちました。学校の隠蔽体質を体験した一人として、この会の存続と、子どもの自殺防止、自死遺族への支援の取り組みの必要性を改めて強く感じました。

        ●自閉症の組織的対応に遅れ、養護学校在籍率急増
         10日、国立特殊教育総合研究所の調査で、全国の知的障害養護学校で、04年に自閉症と診断された子どもの割合が前回調査の86年に比べ、小学部2.3倍、中学部1.9倍になったことが分かりました。
         「自閉症の疑いあり」を含めると、在籍率は小学部48%、中学部41%に達したが、自閉症の特性に応じた指導を学校や学部全体で進めているのは24-26%にとどまっており、対応の遅れが浮き彫りになりました。
         同研究所は「自閉症の子どもの教育は知的障害とは別に考えるべきだ。個々の教員に頼るのは限界があり、指導のノウハウを共有するなど組織的対応が緊急の課題だ」と指摘しています。
         調査は04年夏に全国の盲・ろう・養護学校を対象に実施。91%から回答を得たもの。
         養護学校が、体制的枠がないので自閉症児童・生徒を受け入れられない、と拒むケースを耳にします。「障害」はこれまで知的・身体・精神の「3障害」に括られてきたため、自閉症を含む「発達障害」に対する医療・療育・教育的支援サービスは独立した物としては取り組まれてきていません。文部科学省は「特別な支援が必要」な「軽度発達障害」を有する児童・生徒が6.3%いるとして「特別支援教育」を始めましたが、その具体化、地方による温度差が明らかとなっています。「発達障害」を新たな障がいの枠としてきちんと位置づけることが求められています。理念法である「発達障害者支援法」においても、さらに具体的な支援サービスのあり方を規定する法整備が必要です。

        ●高機能自閉症者への理解「私の歩んだ道」/森口奈緒美さんの講演(大阪)
         25日(日)14時半~16時半、高槻市野見町の高槻市現代劇場3階レセプションルーム。自閉症を持つ成人女性として初めて自叙伝を書いた森口奈緒美さんの講演。コーディネーターに自閉症やアスペルガー障害の人たちの教育・支援活動を行っている服巻智子さん。14時から受け付け、小学生以下の子どもは入場できない。資料代2,000円。主催・問い合わせは、自閉症の人のバリアフリーを考える親の会「はぐくみ」(090・9982・5024=16~20時、hagukumi2003@yahoo.co.jp)。
         それいゆ自閉症支援専門家養成センター・センター長の服巻智子先生には、昨年、滋賀県の自閉症・発達障害者支援センター主催の講演会でお会いしました。日本における自閉症スペクトラムの方々への支援の先駆者でもあり、学ばせていただくことがとても多い方です。森口奈緒美さんさんは自叙伝『変光星』を読み、当事者の言語化される自閉症の世界を知る上でとても参考にさせてもらっています。ぜひ参加したいと思います。
        自殺者8年連続で3万人越える/20~30代で増加
        2006/06/03
         昨年の全国の自殺者は、3万2,552人と8年連続で3万人を超えたことが1日、警察庁のまとめで分かりました。例年と同じく中高年の自殺が多いが、20~30代の若者の自殺者数が前年比で5%以上増えているのが特徴。原因・動機は健康問題と並んで「経済・生活問題」が目立っています。社会の将来を支える若年層の苦悩ぶりをうかがわせる結果となっています。
         同庁によると、昨年の自殺者数は、過去最悪だった03年の3万4,427人より減少しましたが、記録を取り始めた78年以降4番目に多く、男性が2万3,540人で全体の72.3%を占めました。
         年代別では、60歳以上が1万894人(前年比0.9%減)と最も多く、続いて▽50代7,586人(同2.4%減)▽40代5,208人(同2.1%増)▽30代4,606人(同6.3%増)▽20代3,409人(同5.0%増)▽10代以下608人(同3.2%増)。また、小学生が7人、中学生が66人、高校生が215人。大学生は433人と、前年の370人より63人増えた。
         動機のトップは「健康問題」1万5,014人(46.1%)。次いで「経済・生活問題」7,756人(23.8%)▽「家庭問題」3,019人(9.3%)▽「勤務問題」1,807人(5.6%)――だった。「経済・生活問題」はバブル景気に沸いた90年には1,272人でしたが、景気の悪化とともに増加し、98年には6,000人を超え、近年は主な動機として注目されるようになっています。
         20~30代の自殺は、厚生労働省の調査で同年代の死亡理由の中で最も多く、今回の警察庁のまとめで、遺書を残しており動機が明確な30代1,409人のうち「経済・生活問題」は412人(29.2%)で「健康問題」452人(32.1%)に次いでいます。20代では976人のうち「健康問題」313人(32.1%)▽「経済・生活問題」177人(18.1%)でした。
         自殺防止対策の法制化を国に求めていますが、自殺する個人に焦点をあてた「うつ対策」で終わらないようにしなければなりません。自殺動機で多いのが「健康問題」、「経済・生活問題」、「家庭問題」、「勤務問題」。日本社会で生活していくことの困難さにこそ、焦点があてられる必要があります。

        ●市町村教委/生徒指導“場当たり的”、担当主事「不在」45%(文科省調査)
         文部科学省の調査で、生徒指導を担当する指導主事を配置していない市町村教委が全国の45%にのぼることが分かりました。文科省は「荒れる学校」対策として、問題のある生徒に教員が一丸となって臨む米国流の生徒指導方針「ゼロトレランス(毅然(きぜん)とした対応)」の導入を打ち出していますが、調査結果では、学校を管理する市町村教委に危機感が乏しく、教育現場の状況を掌握しきれていないなどの課題が浮かんできました。
         調査は昨年12月の時点で全国の教育委員会と高校を対象に実施。学校の生徒指導について専門的な立場から指導助言する指導主事が何人いるかを市町村教委に尋ねたところ、「0人」が45.2%で「1人」が33.2%。生徒指導をめぐる国や都道府県の方針や通達、指導が現場に周知徹底されにくい実態が分かりました。
         指導主事が実情把握のため学校訪問する回数も「状況次第で定期的にはない」が37.6%、「生徒指導に絞った学校訪問はしていない」は24.8%、「年一回」が13.6%。学校任せにしがちで実態掌握には消極的な姿勢が明らかとなっています。
         生徒指導を充実させるための研修を実施していない教委は45.7%。実施した場合の研修テーマは「不登校」(74.8%)「生徒理解」(66.1%)などが多く、学校の秩序維持に効果的とされる(?)「出席停止」は、わずか5.2%でした。
         「毅然とした対応」の生徒指導方針は、学校を舞台にした凶悪事件や薬物事件などが全国で相次ぐことを受け、文科省が全国に通知。学校の秩序維持のため、度重なる指導を聞き入れない生徒には出席停止などの厳しい態度で臨む方針のようですが、その前提には、あらかじめ生徒の行動規範や罰則、運用方針などを生徒や保護者に十分に周知していることが不可欠となります。
         しかし、今回の調査結果では、出席停止の前段階となる問題生徒への特別指導を教委の規則に「特に盛り込んでいない」と回答した市町村教委は62.9%もありました。
         市町村教委の80.5%は、出席停止の措置などを普段から保護者や住民に周知させておらず、都道府県教委の55.3%も退学や停学などの懲戒処分を出す方針を示していませんでした。具体的な行動規範や違反した場合の罰則などを全生徒や保護者に周知させている高校は15.8%にとどまり、懲罰や制裁には腰が引けた姿勢が浮かびあがりました。
         文科省児童生徒課の話:「指導主事不在の教委が多いのは深刻な問題。国の考えが学校にきちんと浸透していないことになる。市町村教委の生徒指導への対応は場当たり的で、事前にルールを周知させたり、日常的な共通理解を作ろうという意識に乏しい。これではいざ処分や制裁を出した場合、生徒や保護者とトラブルを招きやすい」
         教育委員会に体制や姿勢・意欲がない状態で、学校で発生する反社会的な問題行動にどう対応するかは、学校任せになり、校長任せになり、生徒指導部長任せになり、現実的には担任任せになってしまいます。秩序維持の徹底や懲罰などを含む厳格な対応が良いとは思いませんが、現場で対応にあたる担任や生徒指導部が相談相手をもてないという現実は、解消していく必要があると思います。問題行動の事実と経過、背景について、少なくとも学年団として共通理解を持ち、対応について集団論議の上で共通認識をもって臨むという体制づくりは必要でしょう。

        ●出生率5年連続で過去最低の1.25に/予想上回る少子化ペース
         1日、厚生労働省の人口動態統計(概数)で、1人の女性が生涯に産む子供の平均数の推計値である合計特殊出生率が、5年連続で過去最低を更新し、平成17年は1.25となったことが分かりました。前年比0.04ポイントの大幅下落で、人口減少に歯止めがかからない実態が改めて裏付けられ、年金などの社会保障制度や労働力への影響が懸念されます。政府・与党は6月中に新たな少子化対策をまとめる方針ですが、より実効性のある施策が求められます。
         昨年1年間に生まれた子どもの数は106万2,604人で過去最低だった前年より約4万8,000人減。一方、出生数から死亡数を引いた「自然増加数」はマイナス2万1,408人で、統計を取り始めた明治32年以来、データのない昭和19~21年を除き初の減少となり、平成17年に人口減少社会に突入したことを改めて裏付けました。
         厚労省は出生率の低下について、晩婚化や晩産化傾向が背景にあると分析。また、15~49歳の出産期人口や、出生率が高い25~34歳の割合が減少したことを出生数減を招いた大きな要因とみています。
         年金制度は、国立社会保障・人口問題研究所が平成14年に公表した将来人口推計に基づいて財政計算され、給付水準はモデル世帯で現役世代の平均手取り賃金の50.2%とされていますが、推計では合計特殊出生率は19年に1.31で底を打ち、62年に1.39まで回復するとしていました。
         しかし、今回の数値(1.25)は推計値を0.06ポイント下回り、このまま出生率の下落に歯止めがかからなければ、年金制度の前提が大きく崩れます。年金収入を見込んで設計されている高齢者医療制度や介護保険制度など他の社会保障制度にも影響を与えかねません。
         また、若年世代の減少は将来的な労働力不足を意味し、経済成長や企業活動に影響が出ることが必至です。
         政府・与党は、団塊ジュニアが出産適齢期を迎えたこの5年間を少子化に歯止めをかけるラストチャンスととらえ、新たな少子化対策を打ち出す予定ですが、政府の予想を上回るペースでの少子化進行は、議論に大きな影響を与えることになります。
         歳出・歳入一体改革議論が同時に進んでいることもあり、政府・与党内では少子化対策への思い切った財源投入には否定的な意見が強くありました。しかし、小泉純一郎首相がこの日、「数字を厳しく受け止めなければいけない。今後、少子化対策は最重要課題になる」との認識を示したことから、今後、より実効性のある施策の展開を求める声が強まりそうです。

        ●アスペルガーの専門研究所、兵庫・芦屋大が設置
         芦屋大(兵庫県芦屋市)は6月1日、発達障害の一種で、他人との関係を築きにくい特徴を持つアスペルガー症候群を専門にする「アスペルガー研究所」を開設します。専門研究所は日本では数少ないのが実態です。
         芦屋大は教育学部の単科大学。アスペルガー症候群の実態を把握し研究、分析するとともに、教育現場で実際に同症候群の子どもと接する教職員たちの支援も目指すそうです。
         研究所は学内外の9人で構成。所長には不登校問題を長年扱い、同症候群研究で知られる臨床心理学者井上敏明さん(六甲カウンセリング研究所長)を迎えるとしています。

        ●発達障害:早期発見、5歳児も健診実施-栃木市が来月から/栃木
         栃木市は6月から5歳児の発達相談を市内の幼稚園や保育園、保健福祉センターで順次実施します。対象は06年度中に5歳になる子供約700人で、幼稚園や保育園に通っていない未就園児も含みます。発達障害の早期発見、支援をすることで、子供の不適応反応や2次的障害の予防を目的にしています。
         これまで健康診査は4カ月、9カ月、1歳6カ月、2歳、3歳の5回行ってきましたが、従来の健診では発見されにくい高機能自閉症などの発達障害に対応する必要が出てきた。またきつ音などの構音障害、小児肥満についても早期に対応することが出来るといいます。
         就園児は市内の幼稚園10カ所と保育園10カ所、未就園児は保健福祉センターで健診を受ける。保護者が記入した相談票を元に、幼稚園教諭や保育士、保健師、福祉トータルサポートセンターの心理職を中心に行動観察し、対応が必要と思われる子供には個別相談を実施。
         発達障害は自閉症、アスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、通常低年齢で表れる脳機能の障害。04年度に1,056人の5歳児を対象とした県の調査では、発達障害の疑いで2次健診や医療機関に紹介したケースが56人と5.3%あったそうです。
         栃木市は05年4月、医療、保健、福祉、教育の窓口を一本化する「福祉トータルサポートセンター」を開設し、出生から就労まで一貫した支援を受けられるよう体制を整えました。同市健康増進課は「発達相談は障害の発見が最終目的ではない。小学校入学前の子供に合わせ、どんな支援が出来るか把握することが大切だ」と話しています。

        ひきこもり支援団体を紹介/京都府がガイド作成
        2006/05/21
        京都府は、ひきこもりで悩む人やその家族の支援活動をしている民間団体を紹介する「ひきこもり支援情報ガイド」を作製、府内27団体の活動地域や内容が掲載されています。
         行政と民間団体が共同で支援活動を展開するため、初めて作製したもの。連絡先のほか、活動歴、対象年齢、利用者数、料金など、各団体の概要が一目で分かるようになっています。また、支援団体の活動理念も紹介されています。
         掲載されているのは、台風23号被害での災害ボランティアなど体験学習で子どもたちの社会参加を目指す団体や、外国の若者や高齢者との交流、スポーツ体験などさまざまな活動を通して「ひきこもり」を解決しようと取り組む団体、「ひきこもり」となった子どもの保護者らの支援団体もあります。
         A4判、58ページで2,000部発行。ひきこもり相談支援センター(伏見区)や各府保健所で配布中。郵送でも受け付けています。問い合わせは、府青少年課TEL.075(414)4301へ。
         私が関わっている家族会ノンラベルも掲載されています。

        ●全教員対象に不登校問題研修(京都市教委)
         京都市教委は、不登校傾向の児童や生徒への支援充実を目指し、市立学校の全教員と常勤講師を対象とした不登校問題研修を始めます。これまで生徒指導担当など一部の教員だけだった研修対象を全員に広げ、不登校対策の学校間や教員間の格差解消を図るとしています。
         市教委によると、年間30日以上学校を欠席した不登校の児童・生徒の数は、04年度で小学生269人、中学生945人で、01年以降は減少傾向にあるとしています。
         「不登校状態にある子への支援や相談体制は整った」(生徒指導課)としていますが、未然に不登校を防ぐ取り組みや、学校に戻った子が再び不登校にならない対策については、学校間に温度差があるのが現状といいます。
         学校ごとに設けている「不登校対策委員会」など教員組織の形骸(けいがい)化を防ぎ、全教員で不登校問題に取り組む意識を再認識してもらおうと全員研修を計画したものです。
         研修では、京都大教育学研究科の藤原勝紀教授ら教育心理の専門家を招き、夏休み中に6日間に分けて講座を開講。常勤講師も含めた全教員約6,500人に必ず一講座の受講を義務づけ、子どもたちの心のサインを見抜いたり、悩みを抱えた子への声のかけ方などを学んでもらうとしています。
         市教委生徒指導課は「学校に来させるのがすべてではないが、不登校の背景には子どもたちのさまざまな悩みや課題がある。研修を各校の実情にあった指導に生かしてほしい」としています。
         不登校は、小学校では担任任せ、中学校では担任と生徒指導部任せ、といった学校が少なくありません。個別のケースに対して、担任や生徒指導部だけが関わるのではなく、不登校に至った背景や今の状態、今後学校とのどんな関わりがその子にとって好ましいか等について、家庭と学校(校長をはじめとする管理職、学年主任、担任等)が本人の思いを最大限尊重しながら情報を共有し、検討を重ね、柔軟な対応を積み重ねるという姿勢が求められていると思います。教員の「研修」への参加の強制は、学びとしては必要かも知れませんが、大切なのは不登校状態にある子ども一人ひとりに対する大人の多方面からの関わり方です。これは研修では学べません。個々の実践を豊かなものにしていってほしいと思います。

        ●ひきこもり相談窓口開設5年/相談件数は増加傾向(田辺市)
         田辺市が、全国に先駆けて「ひきこもり相談窓口」を開設して今年で5年。相談件数は年々増加しており、3月末までに293家族から計309件の相談がありました。同市健康増進課相談窓口担当の目良宣子さんは「困っていても相談できずにいる青年もおり、相談に来やすい空気を当人の周りにつくるなど啓発活動が必要」と話しています。
         同市は、01年3月、10代から30代までを中心とした社会的ひきこもり対策で、市民総合センター内の健康増進課に相談窓口を開設しました。窓口の担当者は2人で、面談や専用電話、ファクス、メールで本人、家族などの相談に乗っています。
         延べ相談数は、01年度138回、02年度337回、03年度481回、04年度1,097回、05年度1,090回と急増しています。
         同じ人の複数回にわたる相談を1件にまとめると、5年間で309件が寄せられました。うち3割近くの86件が、05年度中の相談。初回の相談者は母親が最も多く、次に医師や教員など関係者からとなっています。86件中、20代が35件と半数近くを占めています。
         5年間で3カ月以上継続した相談の実件数は65件。個別の相談は本人で2週間に1回、家族で1カ月に1回を基本としている。
         相談を受けた結果、就労(アルバイト含む)や進学、就労訓練、社会体験活動、自動車免許取得など、自宅中心の生活から外の社会に出たケースもあります。
         また、健康増進課では05年度、合併した旧町村への啓発活動として、本宮や龍神、中辺路、大塔の各地域で「ひきこもり講演会」も開いています。
         目良さんは「相談に乗ることで、相手から学んだり、教えてもらったりすることもある。相談を受けた人の考え方や行動が前向きになってきてくれたときはうれしく、励みになっている」と話します。
         専用電話での相談時間は、月曜から金曜まで(祝日を除く)の午後2時~4時。窓口での直接相談は予約が必要。電話・FAX.0739-26-4933、メールアドレスshc@city.tanabe.lg.jp

        ●ひきこもり青少年支援「ハートツリーハウス」NPO法人化目指す(田辺市)
         ひきこもりの若者らが気軽に立ち寄れる居場所として02年、田辺市内に開所した「ハートツリーハウス」(酒井滋子運営委員長)は運営の安定に向け、今秋を目標にNPO法人への移行を目指します。19日、田辺市湊の市民総合センターであった法人設立総会で、酒井さんは「まだまだ、ひきこもりに対する否定的な見方が根強くあるのではないか。法人格を取得し、独自の活動を進める必要を痛感している」と話しました。
         ハートツリーハウスは02年、田辺市末広町の民家を借りて開所。04年度からは、県からひきこもり者社会参加支援センター運営事業費の補助を受けています。県と市からの補助金や利用料、寄付、バザーの売り上げなどで運営しており、補助金収入が大きな割合を占めている。現在は無認可だが、NPO法人化されれば、各種企業が設けている補助金制度を活用しやすくなるとともに、認知度も高まり、行政への働き掛けや社会への提言もよりスムーズになるといいます。
         酒井さんら民間のボランティアは97年、西牟婁教育相談センターで不登校の相談活動を始めた。98年、活動の場を市民総合センターに移し、ハートツリーハウスの前身とも言える青年サークル「ハッピー」を結成しました。
         ハートツリーハウスでは、酒井さんとスタッフ2人が、15歳から30代までのひきこもりの青少年の相談に乗ったり、話し相手になったりするなど支援に当たっています。自宅から出てくることができない人への家庭訪問や、作業所などと連携して就労支援にも取り組んでいます。
         現在、6人が定期的に通所しており、家庭訪問が中心の登録者が3人。好きな時間に来て、スタッフと話をしたり、バザーに出品するクッキーなどの自主製品を作ったり、散歩したりしています。予定が入っていない日は読書やテレビ、ゲームなどをして過ごすそうです。
         月曜から金曜までの午後1時~5時に開いており、1カ月の利用料は1万円。相談や見学、体験利用も受け付けています。
         問い合わせは、ハートツリーハウス(0739-25-8308)へ。
         こうした青年たちの居場所の運営のネックになるのは、どうしても財源です。田辺市では01年より「ひきこもり相談窓口」を開設。幅広い支援活動を展開する中の一つの取り組みとして、この団体への補助を行っています。民間団体では、行政ではできない「個」に応じた援助やオリジナルな援助展開を行っているところが少なくありません。行政は、こうした民間団体と連携を強化し、このような事業委託をすすめていく必要性があると思います。

        「青少年の社会的ひきこもり支援ネットワーク連絡会議」を設立(京都府)
        2006/05/14
        京都府は11日、府内26の民間団体で構成する「青少年の社会的ひきこもり支援ネットワーク連絡会議」を設立、京都市上京区の平安会館で初会合を開きました。民間と行政が連携し、支援スタッフの研修やボランティア養成などの施策、事業に取り組むほか、この夏には、ひきこもりの実態調査を初めて実施することを決めました。
         ひきこもりで悩む青少年の社会参加を促し、家族支援を充実させるのが目的。構成団体は、ひきこもりと不登校の家族会や居場所づくりに取り組むグループなどで、府青少年課や精神・社会参加室なども参加しました。
         初会合では、府の加瀬康夫府民労働部長が「国の調査で府内のひきこもりは8,000人と推計されるが、500人しか把握できていない」と説明し、支援活動に向けた情報交換や官民の連携を呼び掛けました。
         この後、ひきこもりの実態調査のほか、ITを活用した支援策、ひきこもり当事者の就労体験や社会体験促進事業などを盛り込んだ本年度の事業計画を決めました。
         連絡会議事務局の府青少年課は「民間団体には情報やマンパワーがある。社会参加を促す事業をボランティアや民間と連携し、きめ細かな自立支援対策を打っていきたい」としています。
         私が副代表をしている「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」からも、この会合に代表が参加しました。京都でも、やっと公的レベルで動きが始まった、というのが実感です。「就労」や「社会参加」が課題である段階の人も多数いますが、家族とも話しをしない、部屋から出られない、発達障害や精神病理の症状がみられる、など、より深刻な段階の人は少なくありません。幅広い実態把握、行政や民間、専門分野の方々のチームサポートによる一人ひとりの状態に応じた支援策の検討と具体化が求められます。

        ●<逮捕監禁致死>死亡男性を施設側が突然拘束
         8日、問題を抱える若者の支援施設「アイメンタルスクール」(名古屋市北区)の入居男性(当時26歳)が死亡した逮捕監禁致死事件で、男性は施設に入居することを事前に知らされていなかったことが愛知県警北署捜査本部の調べで分かりました。入居日の4月14日、杉浦容疑者ら施設関係者6人が男性宅を訪れたのは午前5時ごろで、男性は自室で寝ていたところを突然、6人に囲まれて押さえ込まれ、拉致されるように強引に車に連れ込まれ、激しく抵抗したとみられますが、移動する車内で無理やり押さえつけられたことが直接の死因となった可能性が強いといいます。
         「拉致」された際、男性は激しく抵抗しましたが、捜査本部は男性が突然の出来事に言いようのない恐怖感を覚えたため暴れたのではないかとみています。しかし、施設側は男性の心理状態に配慮することなく、東京―名古屋間を車で移動する間中、床にうつぶせの状態にさせ、背中を押さえつけたり、手首や足首を手錠で拘束するなどしたそうです。捜査本部は、男性が施設に運ばれるまでの長時間にわたって不自然な姿勢で押さえつけられたことや、激しく抵抗した際の打撲や傷などがきっかけとなって、内臓障害を併発し、外傷性ショック死につながったのではないかとみています。
         調べでは、男性の入居のきっかけは、両親が見た施設を紹介するテレビ番組。今年3月下旬、両親は施設を運営する杉浦昌子容疑者(49)に連絡。その後、杉浦容疑者らスタッフと数回にわたって面談を重ね、施設の見学もしたそうです。一方で、両親は男性をこの施設に入居させることを本人には告げなかったといいます。また、本人の同意なく強引に施設に連れ込まれた入居者はほかにもいるといい、施設の運営実態の解明を進める方向です。

        ●「市発達障害者支援センター」を開設(名古屋市)
         名古屋市は、自閉症などの発達障害児(者)の相談窓口となるを市児童福祉センター(同市昭和区川名山町)内に開設しました。
         センターは、昨年4月施行の発達障害者支援法に基づき開設したもの。自閉症やアスペルガー症候群、学習障害などの発達障害児(者)に対し、社会福祉士や保育士などの資格を持ったスタッフ6人が面談方式で相談に応じ、情報提供や関係機関の紹介などを行います。
         また、今後はインターネット上にホームページの開設を予定しており、障害に対する情報発信や普及啓発を行っていくそうです。
         相談の受け付けは土・日・祝日を除き、午前8時45分~午後5時15分。相談の予約は同センター(電話052・832・6172)へ。

        ●小児成育医療:心のケア重視、県立医大病院で本格化へ(和歌山)
         子どもの心のケアを重視した小児成育医療が、県立医大病院(和歌山市紀三井寺)で、近く本格的に始まります。和歌山市の委託を受けて、小児科に、週2回相談を受ける医療支援室と診療に当たる外来を設けました。市保健所によると、地元自治体と大学病院が連携し、子どもの心の診療に取り組むのは珍しいとのことです。専門医の育成も併せて進めるとしていて、厚生労働省は「子どもの心の診療医の確保は全国共通の課題。医師の育成も視野に入れた取り組みは重要」と注目しています。
         医師3人、臨床心理士1人、ソーシャルワーカー2人の計6人体制を予定。虐待などでは、家族を含めたケアも視野に入れています。市保健所は、子どもの心のケアがより求められている現状を踏まえ、「これまで相談の段階でとどまることが多かったが、実際の専門的な診療に結びつけられる」と期待しています。
         支援室副室長の柳川敏彦・同医大保健看護学部教授は「用意した看板に集まってもらうのでなく、県民、市民のニーズを把握しながら、方向性を考えたい」と説明。また、医師の育成については「小児心身症の専門家を育てるのと、すべての小児科や精神科の医師に、専門分野への関心をもってもらうことを目指したい」と話しました。
         さらに、心のケアに取り組む他の関係機関などとも「互いに協力できれば」としています。
         虐待やネグレクト(養育放棄)への対応と併せて、発達障害の相談・診断・療育にも取り組める社会資源になってほしいと思います。

        ●「自殺対策法案」今国会にも提出へ、「国と自治体の責務」明記
         自殺者が8年連続で3万人超になりそうな社会情勢の中、超党派の国会議員が自殺対策の基本法案策定に向け具体的作業に着手し、議員立法として今国会にも提出する見通しであることが分かりました。政府は05年12月、自殺予防の総合対策を発表しましたが、法的根拠がないため、実体のない掛け声だけで終わりかねないとの声があがっていました。基本法案では自殺対策を「国と自治体の責務」と明記するほか、政府に対し、対策の実施状況に関する年次報告の義務付けなどを盛り込み、総合的な対策の推進を目指します。
         関係者によると、検討中の法案は基本理念として、自殺は「個人的な問題としてのみとらえるのではなく、その背景に社会的な要因がある」と指摘し、社会問題と位置づけています。そのうえで、国と自治体に「自殺防止対策を策定し、実施する責務がある」ことを条文化。さらに政府に対しては、毎年、国会に政府が行った自殺防止対策の実施状況に関する報告書の提出を義務付けることとしています。
         また、自殺未遂者へのケアとして、国と自治体は「再び自殺を図ることのないように、必要な措置を講ずるものとする」とし、自殺者の遺族に対しても、「深刻な心理的影響が緩和される」ことを目指して、適切な対策をとるように求めます。自殺防止に取り組む民間団体へは、活動を支援するために必要な施策を行うとしています。
         このほか、国と自治体は、自殺防止に関して調査研究を推進し、情報の収集や分析、提供を行うとし、一般国民に対して、教育や広報などを通じて、必要な施策を実施することも明文化するとしています。
         超党派で構成される国会議員には、閣僚経験者も含まれています。法制化を目指すある与党議員は「3万人以上の人が7年も連続で自殺する状況は、大きな社会問題。与野党を超えて賛同を集め、今国会で法案を成立させたい」と語り、ある野党議員も「法的根拠があれば、施策の推進にとても力になるのは間違いない。自殺対策は待ったなしの状況だ」と話しています。
         法制化を巡っては、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京都)が05年5月、シンポジウムを開催。尾辻秀久・厚生労働相(当時)や衆参両院議員ら約200人以上が参加し、自殺防止について話し合いました。
        ○「自殺対策法の制定を」遺族らが全国で街頭署名
         13日、国を挙げて対策を進めるため「自殺対策基本法(仮称)」を制定するよう求める自殺者の遺族や遺児らが東京や京都、福岡など7カ所でチラシ配布や街頭署名の活動を展開しました。
         JR新宿駅前には遺族や遺児、支援メンバーら約20人が集まり、ライフリンクの清水康之代表は「生きる手段が見つからずに自殺に追い込まれてしまう人がいる。追い詰められた人たちを周りが支える足場づくりのためにも法整備が必要」などと訴えました。
         京都市では、下京区の四条河原町交差点で、メンバーや遺族、市民団体が買い物客らに署名を呼びかけました。自身も遺族の石倉紘子さん(62)=西京区=は「身近な人間関係が自殺を未然に防ぐことも伝えたい」と話します。
        ↓署名用紙はライフリンクのサイトからダウンロードして下さい。
        http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html
         私は、家族会ノンラベルの「アスペルガー援助者養成講座」で司会進行をしていたため、この署名行動には参加できませんでしたが、講座会場で署名を集めさせていただきました。国会で本法案が可決させるよう、皆さんの署名へのご協力をよろしくお願いします。

        どうした京都府? 発達障害者支援に意欲見られず
        2006/05/08
        先週の某曜日の夕方、私が副代表をしている家族会ノンラベルの代表と私とで、京都府障害福祉室室長と懇談してきました。家族会ノンラベルでは昨年の12月京都府議会に「高機能広汎性発達障害(児)者への民間の療育・支援活動への援助に関する請願書」を提出、採択されました。請願の内容は、1.「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害」などの、とりわけ思春期・青年期・成人期への取り組みを行う民間団体との連携を強める取り組みをすすめて下さい、2.同民間団体の取り組みへの財政的援助を行って下さい、というものでした。
         請願採択から半年が過ぎ、当該の理事部局である障害福祉室において、少しは取り組みが進んでいるかと、わずかに期待もしながら懇談に望みましたが、終了後には脱力感と無力感に襲われました。
         広汎性発達障害への公的な支援の要となるのが、発達障害者支援法で定められて、全国の都道府県・政令市のほとんどで設置が行われている「発達障害者支援センター」です。このセンター設置を前提に、民間支援団体との「連携」が取り組まれることを求める訳ですが、府の回答は「設置されていないところは本当にわずかになっています」と事実として認めながら、「現在、部内でも論議をしているところ」と、半年前と同じ内容。何ら取り組みが進んでいないことを明らかにしました。請願が採択されたことを受けて、当該部局としては「実績を作らなければならない」と理解はされていますが、「今年度予算では何もできない」「何年か時間がかかるものでしょう」と「予算」のないことを理由にしつつ、具体的に何の検討もされてないことも明らかになりました。
         家族会ノンラベルは文字通り家族による任意の民間団体です。必要に応じて事務局を持ち、スタッフを置き、会費とイベント収入などでギリギリカツカツの財政状態でやりくりしながら、必要とされる支援ニーズに応えて行こうと日々努力している団体です。本来、支援センターや保健所などの公的な支援サービスが充実していれば、家族会の役割も変わってくることになりますが、現在はあるべき公的支援を民間として行っているのが実態です。そのため、請願提出をしたわけです。民間団体の財政的脆弱さは、安定的な支援を進める上では危険要素です。しかし、ニーズがある以上、活動を取りやめることはできません。
         府は、こうした民間の財政的窮状を一定理解しつつも、「ご自分たちで始められた事業ですから、会員を増やすとか、副業で稼ぐとかして頑張っていってもらうしかない。どこか企業がスポンサーになってくれませんかねぇ」とまるで他人事のような態度。請願により委託された責任をすっかり回避しているばかりか、発達障害者への支援ニーズを基本的に理解してないんだなぁ、と痛感しました。その意欲がまったく感じられませんでした。
         6月1日から府は新体制となるようですが、担当が誰になろうと、どんな体制になろうと、発達障害への支援は、従来の身体・知的・精神の3障害の枠では括れない新たな支援ニーズの分野として、新しい支援サービスの枠組みが必要であること、当事者や民間支援団体の声を十分に聞きながら発達障害者支援センターを一日も早く府下に複数設置すべきことを訴え続けて行きたいと思いました。

        ●自殺防止総合対策を求める3万人署名、5月末締め切り
         国に自殺防止への総合対策を求める3万人署名が全国で取り組まれています。私も現在までで270筆を、いろんな方の協力で集めさせてもらいました。国会でも超党派で法整備を進める動きがあります。署名は5月31日締め切り、1筆でも多く集めたいと思います。皆さんのご協力を重ねてお願いします。

        ●栄養失調児に校長が見かねて、こっそり牛乳飲ます
         東京都内のある公立小学校での話しです。校長によると、04年春の新入生の中に体がやせ細り、元気のない男児がいて、授業中きちんとした姿勢を保てず、ぼんやりしていることも少なくなかったといいます。
         昨年4月、男子児童に話を聞くと、コンビニを営む両親から販売用のおにぎりや菓子パンを毎日のように与えられているということが明らかに。校長は栄養を補うために、給食の牛乳を冷蔵庫に保管、他の児童に知られないよう校長室で毎日飲ませてきました。
         その後も児童の食生活に改善は見られず、賞味期限切れの食品を与えられていることも分かりました。児童にも好き嫌いがあり、校長がスープを与えても飲まなかったそうです。栄養失調も疑われたため、見かねた校長は今年3月、保護者を学校に呼び出し、「今は成長期で、脳がつくられる大事な時期。きちんとした食生活をさせないと困る」と諭しました。
         母親は「(食事を)作っても食べない」と戸惑い、「食べるように(食材を)小さく切るなど工夫していますか」とたたみ掛けると、両親は互いに責任をなすり合い、けんかを始めたといいます。
         同校には数年前、「一日の食事はおにぎり1個」という児童がいましたが、栄養状態が切迫したため施設に保護してもらったということもありました。校長は「家庭の機能低下は現場で実感している。状況は悪化の一途だ」と憂えています。今も男児と別の児童計2人に牛乳を飲ませているそうです。
         校長は「家庭のしつけまで学校が引き受けるのはどうかと思うが、(劣悪な食事の)限度を超えている」と嘆きます。食育基本法が昨年夏施行され、国は朝食を取らない小学生をなくそうと呼びかけていますが、法の理念とかけ離れた現実に学校現場から悲鳴が上がっているのが実態です。
         政府は食育基本法に基づき今年3月、食育推進基本計画をスタートさせています。そこでは「朝食を欠く国民の割合の減少」を目標に掲げ、10年度までに朝食を取らない小学生をゼロにするとの数値目標が盛り込まれています。
         都教委の昨年の調査で「朝食を必ず取る」と答えた小学生は79.7%、中学生は70.2%。逆に「食べない」「食べないことが多い」という小学生は5.1%、中学生は11%でした。

        ●<問題行動>児童、出席停止も?…厳格化へ報告書(文科省など)
         22日、児童生徒の指導のあり方を調査・研究していた国立教育政策研究所生徒指導研究センターと文部科学省は、問題行動を起こした小中学生を出席停止とするなど厳格な対応を求める報告書をまとめ、公表しました。高校生には退学や停学などの懲戒処分を実施して学校秩序の維持を図る内容です。全国の公立小中高校生の暴力行為が98年度以降3万件前後で推移するなど問題行動が相次いでいるのを受け、センターなどが生徒指導の厳格化を軸に見直しを進めていたもの。
         各地で相次ぐ少年事件を受け、昨年11月から生徒指導体制の強化策を提言するため、センターなどが大学教員や弁護士、PTA理事や保護司など15人の協力を得て審議してきました。
         報告書は、生徒指導の基準や校則を明確化し、入学後の早い段階で児童生徒や保護者に周知徹底する。そのうえで、学校側は毅然(きぜん)とした指導を粘り強く行うよう提言。具体的な指導方法として、小さな問題行動から注意するなど、段階的に罰則を厳しくする「段階的指導」を挙げています。
         現在の公立小中学校では、学校の秩序が維持できないほどの問題行動を起こす児童生徒がいたとしても、停学や退学などの処分は認められていません。報告書は「居残り」「清掃」「訓告」などの懲戒や出席停止制度の活用、高校などでは停学・退学処分の適切な運用を求めています。
         小中学校の出席停止制度は、他の子どもの学習権を保障するため、市町村教委が適用。学校教育法の改正(02年1月施行)で出席停止の要件が明確化されるなど適用しやすくなっているそうですが、中学校では02年度37件、03、04年度ともに25件の適用にとどまり、小学校では02年度以降1件もないそうです。
         指導基準、校則、毅然とした指導、学校の秩序の維持、懲戒、出席停止、処分…。これらは学校教育における子どもたちの育ちに必要なものでしょうか? 問題行動を起こした後の対応ばかりが議論され指導方針として現場に降ろされていくことになるのでしょう。必要なのは、なぜその子がそんな「問題」となる行動を起こしたのか、起こさざるを得なかったのか、事実経過と背景を把握し、本人の気持ちに共感しながら受け止め、起こした行動の問題点を理解させ、認知に歪みがある場合には矯正への援助を行っていく、といった子ども個々への具体的対応ではないでしょうか。どの子にも育ち、学ぶ権利があります。
        自殺対策で協議会設置はわずか13道県/3分の2は設置未定
        2006/05/07
        6日、共同通信の調査で、自治体での総合的な自殺対策を進めるため、行政機関や民間団体でつくる自殺対策連絡協議会(仮称)を既に設置しているのは62の都道府県・政令指定都市のうち13道県で、設置予定を含めても23道府県・市にとどまっていることが分かりました。
         7年連続で自殺者数が3万人を超える中、昨年12月に、政府が総合対策を策定した後、自治体の対策状況が明らかになったのは初めてです。ほとんどの自治体が何らかの自殺対策を実施していましたが、地域によって取り組みに大きな差があったほか、独自の実態調査や遺族支援にまで踏み込んでいる所はほとんどなく、今後の課題も浮かび上がりました。
         私も京都の自死遺族の会に関わっていますが、実態調査がないのはもちろんのこと、遺族会を開くための会場提供への京都市への協力要請にも「市としては上からの取り組みなさいという要望も何も来ていないと」、「従来やってきた保健所の精神保健とこころの健康増進センターの仕事をいままでどおりにやっていきます。ある特定の団体を優遇すると平等の原則に反する」の一点張りだったそうです。上からの法的な枠組みによる指示・指導、予算がなければ、独自施策としては取り組む意志はない、ということです。
         「自殺対策は国と自治体の責務」と明記し、一人でも多くの命を救うことを目指す自殺対策基本法(仮称)の制定に向けた署名活動に皆さんのご協力をお願いします。
         ↓署名用紙はライフリンクのサイトからダウンロードして下さい。
        http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html

        ●教員OB活用し無料補習 07年度から、文科省方針
         文部科学省は1日までに、07年度から団塊の世代の教員OBらを活用し、放課後や土日に無料の補習を実施する方針を固めました。経済的理由から塾に通えない子と通える子の間に格差が広がるのを防ぐことが狙いだそうです。全国約1万カ所で進めている「子どもの居場所づくり」の中で行い、07年度予算の概算要求に盛り込むとしています。
         教育関係者には「学校での教育充実に予算を使うべきで、塾代わりの補習は本末転倒」という意見がありますが、文科省は「学校の教育とは役割分担できる」としています。
         文科省は04年度から子どもの居場所づくりのため、地域の大人が読み聞かせやスポーツの指導などをする「地域子ども教室」を開いており、07年度からは、この地域子ども教室を衣替えし、小学生ら希望者を対象に補習も行うようにするものです。
         小学校での授業だけでは塾に通う子との間に格差が生まれる…。小学生の「学力」格差は、中学受験でのランクに直結(?)。だから、親は経済的に無理をしてでも「学習塾」や家庭教師を子どもにあてがう。不公平感をなくそおうと、そうでない子どもたちにも放課後や土日に補習を行う。受験「学力」向上のためだけが目的の施策にしか思えません。これによって、子どもたちが得るものは、また失うものは? いわゆる「お受験」に失敗し、おおいなる挫折感から自己否定を深化させ、10年、20年経った現在も自身を責め続けている青年たちを、誰が救えるのでしょうか。その家族を、誰が責められるのでしょうか。

        ●都内の脚本家が自閉症青年を主人公にした小説の映画化計画
         自閉症だった長男を今年3月末に15歳で事故で亡くした東京都町田市の脚本家の男性が、自ら書いた自閉症の青年が主人公の小説を自主制作で映画化する計画を進めています。小説は10年以上前、男性が「自閉症への理解を広めたい」とテレビドラマの脚本として応募したもので、映画製作への協力を呼びかけています。
         計画しているのは、山下久仁明(くにあき)さん(45)で、長男は大輝(ひろき)さん。山下さんはアニメの製作会社を経て12年前、フリーで独立。大輝さんが4歳の時に、テレビドラマの脚本募集に「心の扉」の題で応募しました。
         脚本は、大輝さんを育てた経験をもとに描いた、看護学校の女子学生が自閉症の青年に出会いドライブに出るストーリー。自閉症について知識がなかった女子学生は話しかけても答えない青年に戸惑いながらも理解を深めていく内容。
         ドラマの脚本には採用されませんでしたが、山下さんはその後、出版社に持ち込み、相談のうえ、題名を「ぼくはうみがみたくなりました」に替え、小説として02年に「ぶどう社」から出版しました。
         大輝さんは、成長しても話す言葉は単語程度で、「周りの人の気持ちをあまり理解できなかった」(山下さん)といいます。電柱や自宅の屋根に上っては両親をはらはらさせていました。しかし、今年3月28日、自宅近くを散歩中、踏み切りに入って、電車にはねられ命を落としました。
         映像への望みを捨てきれない山下さんが、映画の製作への協力を呼びかけるホームページ(http://homepage2.nifty.com/bokuumi/)を開設したのは先月5日。これまでに約200万円がカンパとして集まったといいます。
         それでも製作には約3,000万円が必要といい、山下さんは「自閉症を理解してもらうには映像が最も訴えやすい。長男が背中を押してくれると信じて、企画を進めていきたい」と話しています。

        ●GWで施設から一時帰宅中の障害の娘を殺害、母逮捕
         宮城県警角田署は6日、自宅で長女(33)を殺害したとして、殺人容疑で同県角田市枝野、無職佐藤隆子容疑者(55)を逮捕しました。佐藤容疑者は5日夜、自宅1階の寝室で長女の首を絞めて殺害した疑い。
         長女は知的障害者で、角田市内の知的障害者介護施設に入所、佐藤容疑者も介護していたそうです。調べに対し「介護に疲れた。娘をふびんに思った」などと供述。
         長女が入所する施設によると、施設は3日から約1週間の休暇になり、入所者は一時的に帰宅していました。
         「子殺し」や「親子無理心中」などのニュースが連日のように報道されます。こうしたケースの中で、子どもに障害や病理によるハンディがあるケースがかなりの割合を占めると言われています。障害者自立支援法実施によって、施設やサービスの利用を断念せざるを得なくなった人たちも多数おられます。経済面からの数値だけで「景気回復」と言い、「格差はない」という今の政府は、社会保障を切実に求める人たちから「応益負担」を「公平」として具体的に保障を切り下げて行っています。こうした悲しい出来事が、国の社会福祉のレベルや志向を現していることをしっかりと見つめなければなりません。
        小さな相談室から(4) 本音を聴く「訪問」
        2006/05/01
        この間、相談室カンナで1件、家族会ノンラベルで1件、自宅にひきこもっておられる青年への訪問が増えました。いわゆる「第三者の介入」ということになりますが、親が望んで本人の了解なく「土足で部屋に踏み込む」ような訪問は、基本的に意味がないと思っています。最近、名古屋市の引きこもり者更生支援施設「アイ・メンタルスクール」での利用者死亡事件をお伝えしましたが、ここも本人の了解なく無理矢理押しかけ、施設に連れ帰るということが行われていたようです。こうしたケースは人権問題でもあり論外ですが、ひきこもったり不登校や問題行為を起こしている子どもたちが、家庭や学校に求めているもの、自分自身に問いかけているものを聴いてあげる存在として、「第三者」が関わることで確かな変化が生まれることを実感しています。
         1件はご本人からの要請で、もう1件はご本人了解の上でご本人も訪問を「意味あるものにしたい」として始まっています。現象面としては、長期にわたるひきこもりや家庭内での家族とのいさかいですが、ご本人の中では「聴いてほしい」「わかってほしい」という気持ちが渦巻き、積もり積もっています。
         私の「訪問」援助には、3つのテーマをおいています。1つは、ご本人の思いをじっくりと聴くこと。積年の抱え込まれた思いを時間をかけて吐き出してもらいたいと思います。2つめは、ご本人の思いとご家族の思いとの関係調整です。ご本人の思いをご家族がしっかりと受け止め、理解できる家族関係の再構築をめざしたいと思います。3つめは、聴いてもらえ、理解してもらえる体験をご本人が積まれることで、自己肯定感情を取り戻され、自ら新たな課題を見つけてもらうことです。その意識の変容過程とゆるやかな行動化へ寄り添いたいと思います。
         ケースによって訪問の目的や課題は違いますが、「ご本人を尊重する」ことは共通した基本的立場です。これからも「本人尊重」の立場で、相談室での相談・カウンセリング、訪問、学校などへの同行、家族会ノンラベル副代表としての居場所援助をはじめとする活動を展開していきたいと思います。

        ●優秀な教員に重点配分/08年度めどに給与の一律優遇見直し(文部科学省)
         30日、文部科学省は公立小中学校教員の給与を優遇する人材確保法(人確法)について、一定額を一律に上乗せしている現行制度を見直し、優秀な教員に重点的に配分する制度を導入する方向で検討に入りました。教員の評価制度と併せ制度設計を急ぎ、08年度をめどに実現を目指すそうです。
         教員の「優秀」さって、何を基準に図るのでしょうか? 教育現場の管理主義が強まることを危惧します。

        ●思春期の悩みケア/府立洛南病院1日から専門外来など開設(京都府)
         京都府の山田啓二知事は28日の定例会見で、5月1日から府立洛南病院(宇治市)に、児童や若者を対象とした心の健康相談窓口と専門外来診を開設すると発表しました。思春期に差し掛かったり、ひきこもりや行動障害で悩む若者や家族を対象に、相談から診察、ケアまで、心の専門家が対応するとしています。
         府は昨年6月、ひきこもり支援センター(京都市伏見区)を設置。半年間で500件を超える相談が寄せられ、中には治療を必要とする人も。また、発達障害などへの治療ニーズが高まっていることなどもあり、専門の精神科医を採用して専門外来の開設を決めたものです。
         相談は予約制で受け付け、臨床心理士が無料で応対します。面談で治療が必要と判断された場合、医師の診察を受けることになります(有料)。治療後も心理検査や継続面接を実施し、家族らの不安解消に努めるとしています。
         京都府は南北に広がる府で、今回の洛南病院での思春期外来は府中・南部を対象としたものです。府北部でのニーズにどう応えていくのか、発達障害支援センター設置の方向性も見えない中で、府の対応の遅れが目立ちます。

        ●御代田町の高1自殺:「いじめ」損賠訴訟/県側が棄却求める(長野県)
         28日、県立丸子実業高1年生だった高山裕太君(当時16歳)の自殺をめぐり、いじめが原因であり、生徒に対する安全配慮義務を怠ったなどとして、母親の高山かおるさん(42)が県などを相手取り、約8,300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が長野地裁(宮永忠明裁判官)で行われました。県側は答弁書で請求棄却を求めました。
         訴状によると、裕太君は昨年5月ごろから、所属するバレーボール部の上級生に、声まねをされたり、殴られるなどいじめに遭いました。精神的に追い込まれて不登校になり、うつ病を発症。同11月には「進級が困難になる」との同校の文書を見て症状が悪化し、同12月に御代田町の自宅で自殺したものです。前途への不安と絶望に駆り立てられての自殺とみられます。
         口頭弁論後の会見で、かおるさんは「簡単なことで子供は亡くならない。その気持ちを分かってほしい」と述べました。県教育委員会こども支援チームは「不適切な行為はあったが継続的ではない。うつ病や自殺との因果関係はない」としました。
         「こども支援チーム」が、いじめとうつ病・自殺との因果関係はないと、教育委員会を「支援」する口頭弁論。こうした教育委員会の事実を認めない、明らかにしようとしない態度は、全国共通です。「再発防止」の意識が全くないことを表明しているようなものだと思います。
        国会議員とNPOが連携し自殺対策基本法(仮称)で遺族支援を
        2006/04/23
         日本では、98年から7年連続で年間3万人が自殺しています。昨年7月、参院厚生労働委員会が自殺対策を求める決議を行い、政府は同12月、関係省庁が連携し、15年度までに自殺者を2万5,000人前後に減らすことを目標にした総合対策を発表。厚労省は3月31日、自殺防止を推進するため、相談体制の充実などの取り組みをするよう都道府県と政令市に対し通知を行いました。
         今回の通知は、「自殺は社会の問題」とする政府の総合的な対策を受けた初めての措置です。今後、東京のNPO法人が超党派の国会議員に連携を呼び掛け、自殺対策基本法(仮称)の制定に向けた活動が始まります。新法には「自殺対策は国と自治体の責務」と明記し、一人でも多くの命を救うことを目指します。
         新法が想定する内容は、○効果的な予防策のために自殺の実態調査、○個人だけではなく、社会全体を対象にした総合対策、○自殺未遂者や遺族への支援――などで、社会問題が原因の「不本意な自殺」は、適切な社会対策さえ講じられれば「避けられる死」と位置づけるとみられています。
         こうした動きの発端は、昨年5月、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(清水康之代表)が東京・永田町の参院議員会館で「自殺を防ぐために何ができるか」をテーマに開いたシンポジウム。尾辻秀久厚生労働相(当時)や衆参両院議員ら200人以上が参加、遺族の体験や市民団体の取り組みを聞いた尾辻厚労相は「できることはすぐやる」と発言していました。
         ライフリンクの今後の具体的な活動としては、法制化を実現させるため、全国で3万人署名を展開。交流のある約30の市民団体に協力を呼びかけ、5月中にも政府へ署名簿を提出し、早期の法制化を訴えていきます。
         一連の動きの中心ともいえるライフリンクの清水代表は「自殺対策を確実に推進するには、法的な根拠が必要だ。関心が高まっている今こそ、法制化を実現させたい」と話しています。
         私も京都の自死遺族の語り合いの会「こころのカフェ きょうと」のスタッフとして、署名を集めています。ぜひご協力下さい。
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        ●全国学校事故・事件を語る会-長崎集会:遺族ら再発防止願う(長崎)
         「全国学校事故・事件を語る会」の集会が16日、長崎市で開かれました。約130人が出席。遺族や専門家など9人の発言に耳を傾け、再発防止に向け考えを深めました。
         県内では昨年7月以降、中高生9人が自ら命を絶っている。語る会は03年に発足し、約70家族が参加。関西で定例懇談会を開いてきたが、長崎で悲劇が相次いだことから九州初の開催をしたものです。
         いずれも子どもが学校での指導後に自らの命を絶ったという5人の遺族は、「学校で何があったのか知りたい」と学校や教育委員会と交渉を続けましたが、事実はほとんど明らかにされず、「指導に問題はない」「家庭や子どもに問題があった」と報告されただけ。事実を知りたくて活動すると、沈静化を望む地域やPTAから孤立させられたケースもあります。「指導で亡くなった子や、同じ経験をしている人がこんなにいることに驚いた」「命を守るはずの学校なのに。危機感があれば、他の命を救えたはず」などの意見が続き、遺族らは第三者機関による事実解明や指導見直しが必要だと訴えました。
         04年に同市の中学で生活指導を受けている時に、校舎から飛び降りて亡くなった安達雄大君(当時14歳)の両親が集会開催を提案。発言者として参加した母和美さん(44)は、「学校で何があったのか知りたいが、学校側の都合がいいように事実がゆがめられてしまう」と「指導」の中身についていまだに学校側から納得いく回答が得られていない現状を報告し「1人でも多くの人に体験を伝え、学校で何が起きたのかを検証することで再発防止につなげたい」と呼びかけました。
         語る会代表世話人の内海千春さん(47、兵庫県)は「子どもは命を奪われ、人格を奪われ、家族の名誉を奪われる。怒りや悲しみが生活の全エネルギーだった」、「事件に対応するシステムが学校にないのが問題だ。家庭にも問題はあるだろうが、学校は学校として、何があったかを明らかにしなければいけない」と強く主張し真相究明の制度づくりの必要性を訴えました。
         県外からの参加者も「教師5人が生徒1人を取り囲んで事情を聴くなど、警察の取り調べのような“指導”で追い詰められた」「人が亡くなっているのに、なぜ『指導に問題はなかった』と言えるのか」と訴えました
         学校関連の裁判に詳しい渡部吉泰弁護士は「遺族、当事者が発信して社会に還元していくことが重要」と述べ、神戸大の広木克行教授(臨床教育学)は「長崎の場合、急激な教育改革が背景にある。見えない圧力がかかり、教師の指導の質も変わっている」「学校での生徒指導が取り調べ化し、子どもへの心理的虐待になっている」と指摘し、「子どもの権利を守るための第三者機関設置の動きを長崎から作ってはどうか」と提案がありました。
         支援を続けてきた望月彰・大阪府立大助教授(児童養護論)は、「自殺も少年事件も根は同じ。長崎で事件が続発するのは、教育制度を巡る大きな変化が教師や親、子どもに大きなストレスを与えているからではないか。状況を変えるために輪を広めてほしい」と呼びかけました

        ●引きこもり支援施設変死事件、現場検証(名古屋)
         18日、名古屋市北区芳野の引きこもり者更生支援施設「アイ・メンタルスクール」(杉浦昌子代表理事)で入寮中の東京都世田谷区の無職男性(26)が死亡した事件で、愛知県警北署は20日午前、逮捕監禁致死などの疑いで施設内を現場検証をしました。
         同日午前9時50分ごろに、捜査員ら約20人が次々と施設内に入り、男性が他の入寮者9人と一緒に住んでいた1階大部屋などを調べ、職員らからも当時の状況を聞いた模様。
         施設は、引きこもりや不登校の若者らの社会復帰支援を目的に、98年に設立。現在、10~40歳代の約60人が入寮し、共同生活を送りながら、学校や社会への復帰を図っているといいます。
         施設内には2~10人部屋が19室あり、杉浦代表理事自らがカウンセリングに当たり、約10人の職員が入寮者の世話などにあたっていたそうです。
         また、この寮施設は杉浦代表理事が代表を務める同名の有限会社が運営し、入寮者にカウンセリングや寮費などとして、月13万円程度を支払わせていました。このため、県は今年1月、NPOと寮施設を区別し、NPOへの相談者らに誤解を与えるような宣伝などしないように指導していたようです。
         この日、杉浦代表理事は報道陣の前に姿を現さず、スクール側は取材に応じていません。入寮者らはこの日も普段通り、アルバイト先に出かけるなどしていましたが、報道陣の問いかけに「何もわかりません」などと言葉少なに話すだけで、施設もひっそりとしていたそうです。
         県警のこれまでの調べによると、男性は家庭内暴力と引きこもりを理由に、今月14日から入寮。1階大部屋で生活していましたが、17日夜から暴れだしたため、職員が押さえ込んだ末、添い寝をするなどしていたといいます。18日午前8時ごろに、男性が布団の上でぐったりしているのに職員が気付き、病院に運ばれたが、死亡が確認されたもの。男性はこれまでも、奇声を上げたり、暴れたりすることがあり、施設では手足を拘束することがあったといいます。
         ひきこもりの青年たち向けのこうした「更生支援施設」は全国に多数あるようです。施設内での利用者の死亡は今回が初めてだと思います。「手足を拘束することがあった」というのには驚きです。人の身体的自由を拘束する行為は、こうした「施設」ではあってはならないものです。この施設のサイト(現在は閉鎖されているようです)を見ましたが、代表がカウンセリングを行う以外は、若い約10名のスタッフが「生活支援」をしていただけのようで、今回亡くなられた男性のケースのようにメンタル面での課題を抱えている利用者への援助体制が整っていたとは思えません。「緊急時は専属の小児科医、精神科医が待機している」と宣伝しいていたようですが、20歳代の男性の入寮者は「そんな医師がいるとは知らなかった」と打ち明けています。
         引きこもりは病気ではないものの、うつ病や心身症などを併発することは医学的にも明らかになりつつあります。このため、状態が長期化している場合は、医師による診察を受けることが社会復帰への近道であると指摘する専門家も多くなっています。教育評論家の尾木直樹さんは「暴れるなら医療機関に橋渡しをすべきだった」と疑問を投げかけています。

        ●ひきこもりの人に県が「居場所」提供/社会参加推進事業(青森)
         青森県では今年度から、227万円の事業費を計上して、社会的ひきこもりの人に「居場所」を提供するなど社会参加を進める事業に取り組んでいます。県内にいるひきこもりの人は2,000人と推計され、相談件数は03年度で延べ207件、04年度で延べ244件と増加しているそうです。
         ひきこもり当事者の居場所づくりのモデル事業として、県立精神保健福祉センター(青森市三内沢部)などで月2回、当事者の教室を開催。またひきこもり問題を抱える家族を支援するため、同センターで年9回、家族教室を開催。家族会を育成、指導する交流会のほか、市町村や医療、教育機関などが参加する地域連絡会議も開催する予定です。
         県は04~05年度、当事者が社会復帰するための調査研究を行い、市町村や保健所の窓口で相談しやすい体制づくりを図り、相談件数が増えて問題が顕在化。家族会や民間支援団体が作られるようになり、今は相互の連携欠如が課題になっているといいます。
         行政が対応窓口を持ち、実態を把握しつつ必要な施策を民間と連携しながら取り組むことが求められています。
        小学生の給食費いりません/全国初、三笠市の子育て支援(北海道)
        2006/04/16
        小学生のいる家庭を支援しようと、北海道三笠市が4月から給食費を全額公費で負担する事業を始めました。文部科学省によると、全額を負担するのは全国でも初めてと言います。
         小学生1人当たりの年間給食費は約4万2,000円ですが、これまでも生活保護家庭などは負担を免除しており、市内6校に通う計約300人が新たな対象となる。
         人口約1万2,000人の三笠市は、05年の調査で人口減少率が全国3位。人口減に伴い児童数も年々減っていることから市民アンケートを実施したところ、経済的支援を求める声が多かったそうです。医療費の助成なども候補に挙がったが、最終的に全員が平等に恩恵を受けられる給食費に決まったそうです。
         対象児童が300人ですから1,260万円の予算組みで実現できます。この三笠市に限らず、行財政の無駄遣いをやめれば給食費や医療費の就学前無料化、少人数学級など、焦眉の課題は首長と議会の意志ですぐにでも実現できるものが多いはずです。子どもや障害者、高齢者にやさしい行政は、人間にやさしい行政だと思います。こうした実践がどんどん広がってほしいものです。

        ●[労働経済白書の骨子]20代の所得格差が拡大 
         厚生労働省が毎年作成する「労働経済の分析」(労働経済白書)の06年版骨子で「20代の所得格差が拡大し、固定化が懸念される」と指摘していることが13日、分かりました。
         30~40代の正社員でも、成果主義賃金の導入で格差が広がっているとしています。また正社員ではない非正規労働者で配偶者のいる割合が低く、少子化が進む要因になっていると分析しています。
         「格差社会」が国会で論点となっており、小泉純一郎首相は「先進国と比べて日本では(格差は)決して広がっていない」などと答弁していますが、白書は正社員かどうかの雇用形態や年代によって賃金格差が拡大していることを示しています。
        (平成17年版 労働経済の分析-人口減少社会における労働政策の課題)
        http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/05/index.html
         50万人以上とも言われている「ニート」(日本では失業者をニートに含んでいません)、400万人以上とも言われるフリーター。4年生大学卒業後に就職できる人は54%とか……。「20代の所得格差が拡大し、固定化が懸念される」という指摘は、小泉首相がどんな「解釈」を叫ぼうとも否定できない現実ではないでしょうか。「景気回復」の兆しが言われていますが、日常生活の中では感じられない、という方が多いのではないでしょうか。

        ●職員会議での挙手・採決を禁止/都教委が異例の通達
         東京都教育委員会は、「職員会議で挙手や採決によって教職員の意向を確認するような運営は行わない」とする通知を都立学校長あてに出しました。
         通知は教育長名で、学校運営に関する重要な案件は管理職による会議で決定するよう徹底するのが目的。職員会議での挙手や採決そのものを禁止した通知は全国にも例がないといい、現場の教員の反発を呼ぶことが予想されます。
         都教委は01年6月、学校運営の重要事項は、校長や副校長、主幹、主任らで構成する「企画調整会議」の場で議論するよう通知しています。しかし、今年1~2月に都立高など計22校でヒアリングをしたところ、主任教諭の選任や学校行事の運営について、職員会議に諮ったうえ、多数決で決めていた学校が約7割に上ったそうです。
         都教委では、こうした現状は企画調整会議の役割を否定することになりかねず、校長の意思決定にも影響を与えるとして、今回の通知を出したとしています。同時に職員会議の司会者や記録者を校長が指名することや、司会者を「議長」と呼ばないよう求めています。
         職員会議が、管理職からの上意下達会議となっている学校が相当数になっていると思います。職員会議とは、そもそも誰のために開かれるものなのでしょうか? 「企画調整会議」での決定を「承認」するだけの会議だとしたら、時間と経費の無駄とも言えます。

        ●青森の児童相談所に精神科医配置
         青森県は4月から、児童精神科医の武田哲医師(37)を県職員として青森市の中央児童相談所に配置した。県内の児童相談所に精神科医が常勤するのは初めてで、東北地方でも3カ所目です。虐待を受けた子どもの心のケアや、発達・知的障害の子どもなどの診断体制の充実が期待されています。
         厚生労働省雇用均等・児童家庭局によると、03年5月1日現在の児童相談所の数は全国で187カ所。厚労省は常勤精神科医の配置を推奨していますが、実際は23カ所と少ない状況です。
         県内6つの児童相談所でも、精神科医は非常勤嘱託という形で週1回程度通って対応してきていました。中央児童相談所は県内で唯一、虐待を受けた子どもを預かる一時保護所を併設しており、県内各地から子どもが集まります。
         武田医師は神奈川県生まれ。弘前大学医学部を卒業後、同大学大学院を修了、医学博士。県内や秋田県の病院、弘大医学部付属病院などで、主に子どもの診療に携わり、3月まで弘大医学部の医学科神経精神医学講座助手を務めていました。
         児童相談所では、発達障害や不登校などの子どもの医学的診断や、他の相談所を含めた職員への助言・指導などを行っていくとしています。

        アスペルガー援助者養成講座にお申し込みを(家族会ノンラベル)
        2006/04/09
        京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベルでは、アスペルガー援助者養成講座【第4弾】(全4回)『アスペルガー思春期・青年・成人期への援助』―チーム・ケアの充実で適切な理解と援助を―を、06年5月13・20・27日・6月3日(各土曜日午後1時30分開場)で開催します。
         会場は京都アスニー(京都市中京区丸太町通七本松西入ル)。参加費は4回分で12,000円。
         講師は13日が門眞一郎先生(京都市児童福祉センター 児童精神科医)、20日が当事者の保護者・琵琶法師氏、27日が田井みゆき(ノンラベル代表)、6月3日が定本ゆきこ先生(精神科医)です。
         申込みは住所、氏名、電話・FAX番号、参加人数を記し、ハガキ、FAX、Eメールのいずれかでノンラベル事務局(?.075-312-3338)まで。
        http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/top.html

        ●「学校に通うのがつらかった」-発達障害者へのアンケート
         発達障害者支援法の施行から1年が経過したのを機に、ADHDへの理解を深めてもらおうと、NPO法人「大人のADD(注意欠陥障害)&ADHDの会」が会員ら205人から、子供のころに学校で感じた思いなどについて調査した結果、大半の人が「学校に通うのがつらかった」と回答したことが5日、分かりました。同法人は「親だけでなく、教育現場でも症状についてもっと理解してほしい」と話しています。
         ADHDに限らず、LD(学習障害)やアスペルガー障害を含む高機能広汎性発達障害を有する方々の少なくない割合の方々が、集団になじめない、一斉授業がわからない、特性による独特な言動によってからかわれたりイジメを受けたり、教師に特性を認められず定型発達の児童・生徒と同様の対応を強要されたりといった嫌悪体験を学校で受けたことから「学校社会」への不適応となり、不登校になっています。
         「特別支援教育」実施に向けて各教育委員会や学校において取り組みがすすめられつつありますが、まずこれら「軽度発達障害」の障害特性と対応法についての学習を、支援にあたる教職員の皆さんには取り組んで欲しいと思います。

        ●障害者自立支援法スタート-見えてきた問題点
         4月1日から障害者自立支援法が実施され、大幅な負担増に障害者・家族の不安が広がっています。
         障害者自立支援法は、昨年10月成立。身体・知的・精神の3障害者に対する福祉サービスを一元化するなど、関係者の声を反映した面もあるものの、国の財政削減をすすめる小泉「構造改革」のもとで、応益負担の導入により障害者・家族の負担増となるなど重大な問題点を持っています。
         06年度予算で、公費から支出される施設への報酬が3―4割も引き下げられ、施設の運営が困難になり、結果として利用者サービスの後退を招きかねない深刻な事態も起きています。
         これまで応能負担だった福祉サービス利用料が定率一割負担になり、障害者は大幅な負担増となります。障害が重いほど負担も重く、施設やグループホームの利用者は、食費と居住費(水光熱費)も全額自己負担となります。また、自立支援医療(これまでの更生・育成・精神通院の公費負担医療制度)も、原則1割負担になります。
         収入は障害基礎年金(1級8万3千円、2級6万6千円)のみの人や、それ以外にはわずかな工賃だけという人も少なくため、この負担増は耐えがたいものとなります。
         通所施設は、これまで95%の人が無料でしたが、平均で月1,000円から1万9,000円へと19倍もの値上げが見込まれています。工賃より利用料が高くなれば、生活が圧迫され、働く意欲が失われます。北海道の旭川市ではすでに、身体と知的障害の通所施設の利用者259人中、30人が退所の意向を表明しているそうです。
         政府は、所得に応じて4段階の月額負担上限額(生活保護世帯はゼロ円、市町村民税非課税世帯で年収80万円以下(低所得1)は月額1万5,000円、市町村民税非課税世帯(低所得2)は月額2万4,600円、市町村民税課税世帯は月額3万7,200円)をもうけるなど、いくつかの軽減策を実施しまが、(低所得1)の世帯で、収入の2割にものぼる負担を強いられるケースもあります。
         自治体独自の負担軽減策も、障害者団体のねばり強い運動によって、多くの自治体に広がっています。東京・荒川区では、在宅の障害者の全サービスを1割から3%に軽減、重度の障害者について国が定めた月額上限額を半額に軽減することになりました。こうした動きを全国に広げていくことが急務です。
         自立支援法は申請主義。自治体に申請手続きをしなければ、軽減措置を受けられません。行政の説明が不十分なために、混乱した事態が各地で続いています。4月をこえても申請は可能で、自治体が引き続き相談会の開催などの周知徹底をはかることが求められています。
         地域生活支援事業(10月からの実施)は、市町村(一部都道府県)が実施主体で、半年間で200億円しか国から補助されないため、一自治体への財源配分は極めて少額となります。
         事業の対象になるのは、視覚障害者などを介助するガイドヘルパー、手話通訳派遣事業、地域活動支援センターなどですが、市町村の財政力によってサービスに格差が出ることが懸念されます。
         小規模作業所(全国6,000カ所をこえる)の安定した運営も切実な問題です。今年度は小規模作業所への補助金の継続が決定されたものの、すでに減額に踏み出し、数年後は打ち切りを表明している県も出てきています。国は小規模作業所に十分な財政措置を講じ、自治体も現行の補助水準を維持させることが求められています。

        ●ネット授業:不登校生に配信 中学生対象、リアルタイムで-(福井)
         中学校を長期間欠席する生徒や学力不振の生徒への学習支援を行おうと、NPO法人教育支援機構(奥下晃二・代表理事、福井県あわら市)は5日から、インターネットを通じての授業配信を始めます。県内では初となるリアルタイムの中学生向け授業配信に注目が集まっています。
         同NPOは01年の設立以来、長期欠席の児童・生徒に対し、郵送やファクスを使った通信教育を展開。学校に再び通学するようになったという例もある一方、郵送やファクスの手間などから、約半年間で受講をやめる生徒がほとんどだったそうです。そこで、インターネットでの配信を決定。不登校の生徒は無気力で昼夜逆転の生活を送っている場合も多く、リアルタイムの配信を「1日の生活に規則性を持ち、臨場感を通じて『学校』や『友人』を認識してほしい」と期待しています。
         授業はあわら市内の学習塾の一室を間借りし、塾講師や元教員のスタッフ5人が1講座60~70分の授業を担当。生徒はパソコン上で専用ブラウザを使って受講します。教科は中学1年~3年の英語、数学、理科、社会。英語は週2回、その他の教科は週1回配信。また「電子メールを利用して生徒の相談にも乗りたい」としています。
         受講料は1講座あたり1カ月2,000円。問い合わせは(0776・77・1668)ホームページ(http://www.support-st.com/)

        ●発達障害者への「特別支援教育」手引書に―湖南市教委が冊子作製
         滋賀県湖南市教委は、障害者を乳幼児期から就職まで一貫して支援する同市の発達支援システムと教育手法をまとめた「特別支援教育ハンドブック」を作製。全国に先駆けて構築した同システムへの関心が高いことから、市外の希望者にもハンドブックを有料で配布するそうです。
         同市では00年から文部科学省の委嘱を受け、研究に着手。02年4月に三雲小内に「発達支援センター」を開設し、教育だけでなく、福祉、医療、就労などの関係機関が一体になった発達支援を続けています。
         ハンドブックは発達支援システムの概要、ITネットワークを活用した情報共有システムを解説しているほか、特に、学校や幼稚園の対応方法、個別指導計画の立て方、学習環境チェックリストなど実践的な内容を盛り込んでいます。
         A4判、33ページ。800部を作り、市内の教諭、保育士に配るほか、市外の希望者には一部500円で配布する。問い合わせは同市教委学校教育課TEL.0748(77)7011まで。
        乳幼児医療費への自治体助成、全額助成は53%
        2006/04/02
        毎日新聞が全国の767市(3月13日現在)と東京23区を対象に調査したところ、乳幼児医療費の助成制度で、保険医療の自己負担分を全額助成している自治体は421市区で、53%に上ったことが明らかになりました。。このうち全体の44%にあたる351市区では所得制限を設けていませんでした。一方で、財政事情などを背景に、対象年齢などに大きな開きがあることも明らかになっています。
         調査は2月下旬~3月上旬、全国の取材網を通じて実施されたもの。790市区について、都道府県による助成分も含め、・対象年齢・助成額・所得制限などを聞いています。今年4月1日施行の制度も一部含まれています。
         調査結果によると「所得制限も自己負担もある」のは135市。所得制限なしで全額助成している351市区のうち、両方が適用される対象年齢は「就学前」が186市区、「2歳まで」が44市、「0歳」が40市、「4歳まで」が19市などで、最高は「中学卒業まで」で4市区ありました。
         国の現行制度では、3歳未満の子供について医療費の8割を保険給付(2割が自己負担)していますが、大半の自治体が上乗せ助成を行っています。政府・与党が昨年12月に決定した医療制度改革大綱は、8割給付の対象を08年度から「就学前」に引き上げることを盛り込んでいます。
         乳幼児医療費への助成を実施していない自治体は、おおむね「予算がない」ことを理由にしています。しかし一方で「無駄使い」の予算は数知れず……。「中学卒業まで」実施している自治体との違いは何なのでしょうか?自治体の長の権限は大きく、その人の考え方一つで、「予算」組みは相当額が変わると言われています。流れは間違いなく、乳幼児・児童医療費無料化の方向へ向かっていると思います。

        ●少子化背景に府立高校統廃合や中高一貫が急ピッチ-“予備校化”懸念も(京都府)
         京都府は府立高校改革を急ピッチで進めています。小学区制を見直した85年に続く大がかりな取り組みで、少子化を背景としています。中3生は「団塊ジュニア世代」の87年度に4万3,160人とピークを記録し、今年度は2万3,741人とほぼ半減。一方で府立高数は48校でピーク時と変わっていません。
         00年の有識者らの懇話会で議論の具体化が始まりました。柱は学校規模の適正化と、教育システムの多様化。02年1月の「まとめ」は戦後初の高校数減少となる統廃合に言及し、職業教育が主眼だった専門学科の見直しや中高一貫教育の導入などを提言しました。
         これを受けて府教委は昨年、府南部の城南と西宇治を09年度、八幡と南八幡を07年度に統合し、養護学校を併設する計画を公表。府教委の森永重治・高校改革推進室長は「統合で講座が増やせ、部活動の活性化にもつながる」としています。教育の多様化では04年、洛北高に付属中を設けて中高一貫化。06年度には大学理系学部進学を目指す専門学科を桃山など一挙4校に設けます。「平等の名で選択権もない時代があった。『京大で宇宙物理を学びたい』『農業を学んで働きたい』といった多様な希望に応えるのが公立の使命」と森永室長は強調しています。
         これに対し、府立高教職員組合の佐古田博・教文部長は「根底には、財政改革を進める現府政の『経営』の視点がある。教育は経営では語れない」と批判。さらに“教育の多様化”が招く、高校の受験予備校化に懸念を示す。「一部の出来の良い子のための現行路線は学力の二極化を招くだけ。高校は減らさず少人数教育にし、普通科を充実させて全体の底上げを図るべきだ」と訴えます。
         現在、京都では9日投票で知事選挙が戦われています。毎日新聞がこの府立高校改革への考え方を2人の候補者に質問したものへの回答は以下の通りです。
        ◇山田啓二氏
         改革の目的は、子どもたちがそこで学んで良かったと思えること。多様な専門学科があり、自分に合った教育を受けられるなど将来を見据えた学校づくりが大切。
        ◇衣笠洋子氏
         ゆきすぎた競争教育、高校つぶし、いっそうの選別強化をもたらす改革には反対。地元で通える魅力ある学校づくり、30人学級の実現などの改革をすすめます。

         京都府民のみなさん、知事選びの参考にして下さい。実態として経済格差が広がる中、「弱者」への施策が重要な選択肢になると思います。

        ●いまさらですが…不祥事防止に向け、教師向けマニュアル(栃木)
         「生徒の体を触るのはわいせつ行為」「公金の着服は犯罪」――。栃木県教委は06年度、教職員の不祥事防止に向け、犯罪にあたる事例を記したマニュアルを県立学校や市町村教委に配布するそうです。教員の不祥事に頭を痛めた県教委が、教職員の「意識改革」の足しにと作成したものですが、内容はいずれも社会人としての常識を列挙したものばかり。児童・生徒や保護者らから、失笑も漏れ聞こえてきそうです。
         マニュアルは20ページ。わいせつ行為や「体罰」、飲酒運転など犯罪に問われる5つの事例のほか、教職員の懲戒処分の基準や関係法令なども盛り込まれています。
         事例の「わいせつ行為」の解説では、「体験学習を引率した教員が、就寝中の女子児童の体を触った」との想定で、性行為やわいせつ行為は「刑事責任を負う」と明記。「密室での生徒指導はしない」「宿泊行事では飲酒はしない」などの注意点を列挙しています。
         また「児童・生徒への暴力は暴行罪や傷害罪に問われる」「他人の印鑑などによる文書偽造は私文書偽造にあたる」「仕事で使う物品でも、公金で買った物を横領すると業務上横領」などと指摘したうえで「(懲戒処分が科されると)給与や期末・勤勉手当にも影響がある」と警告しています。
         県教委教職員課は「これまで関係法令などをまとめた資料はあったが、事例集の作成は初めて。『当たり前』のことだが、改めて学校内の研修会で活用して、教職員の自覚を促したい」と狙いを話しています。
         県教委によると、05年度に懲戒処分を受けた教職員は前年度と同じ16人でした。

        ●「君が代」起立しない都内の公立学校教諭33人を懲戒処分
         31日、東京都教育委員会は今春の卒業式で校長の職務命令に反し、君が代斉唱時に起立しなかったりした都内の公立学校の教諭33人を地方公務員法に基づく懲戒処分にしました。入学・卒業式などでの日の丸掲揚や君が代の起立斉唱徹底を求めた03年10月の通達以降、今回も含め延べ約340人が処分を受けたことになります。
        自死遺族の語り合いの会発足(京都市)
        2006/03/26
        25日、自死遺族の方々の語り合いの会「こころのカフェ きょうと」が発足しました。私もスタッフ、ファシリテーターとして参加しました。自死遺族の方々25名とスタッフ10数名の参加で、少々狭かった会場は熱気と涙に包まれました。
         私は子どもを自死で亡くされたグループを担当。死んでいった子どもたちはみんな真面目で優しい子、自死は突然予測なく実行される、死の受容ができない、周囲(家族や地域など)との関係が崩れる、自殺をわかってもらえない、などの共通した悲しみ、悩みについて語り合いました。「京都にこんな会ができるのを待っていた」「誰にも話せないことだけど、ここでなら話せる」と、会の発足・継続の必要性を痛感しました。
         第2回は5月6日(土)午後1時30分より「ひと・まち交流館 京都」で開催予定です。お問い合わせは相談室カンナ、またはTel.090-8536-1729(午後6時-9時)まで。

        ●子育て支援税制議論、政府・与党少子化協議会が初会合
         23日午前、政府・与党は首相官邸で、少子化対策に関する協議会の初会合を開きました。政府は6月をめどに総合的な少子化対策を取りまとめ、07年度からの実施を目指しています。
         初会合では、政府・与党双方から、子だくさんの大家族が優遇される税制の必要性が指摘され、今後、具体策を検討していくことになったそうです。
         所得を世帯の人数で頭割りして税額を計算することで、大家族ほど税額が抑えられる「N分N乗方式」や、本来納めるべき税額から子供の人数に応じて一定額を差し引く「税額控除方式」などが検討される見通しです。現行の、子供の人数に応じて課税対象となる所得を控除する「所得控除方式」に比べ、より効果的な子育て支援策になるのではないかと期待されています。
         このほか、仕事と子育てが両立できる職場環境の整備、出産費無料化などについても検討を進めるそうです。
         協議会には猪口少子化相や安倍官房長官、川崎厚生労働相ら9閣僚のほか、自民、公明両党の幹事長、政調会長らが出席。出席者からは、「従業員301人以上の企業に義務付けられている育児と仕事両立のための行動計画の公表を義務化すべきだ」(坂口力・元厚労相)、「地方からは出産費無料化を求める声が多い」(猪口少子化相)などの意見が出されました。
         会合後、猪口少子化相は記者団に対して、「即効薬、万能薬はないが、知恵を出し合えば対応できるのではないかとの意気込みが感じられた」と強調しました。

        ●教頭も民間人OKに―家庭・地域とのパイプ役を期待
         4月から全国の小中高校で、企業勤務経験者など民間人の教頭を採用することが可能になるそうです。経営感覚を持つなど、幅広い人材を起用し、学校と地域、家庭とのパイプ役を担わせることで教育現場を活性化させる狙いです。
         学校の管理職への民間人の登用は、00年度から校長に限って認められてきました。文部科学省は今月末に学校教育法施行規則を改正する予定です。
         現行の施行規則は、教頭の資格要件として、〈1〉一種教員免許状を持ち、教育に関係する職に5年以上従事〈2〉教員免許がなくても、学校事務職員のような教育に関係する職に10年以上従事――のいずれかを満たすことが必要と定めています。
         今回の規則改正では、都道府県教育委員会や私立学校の設置者が、二つの要件を満たさなくても、同等の資質を持つ人物と判断すれば、教頭に採用できるようになります。実際の採用は、07年春からになる見通しです。
        教諭から注意、小5男児が帰宅後自殺(北九州市)
        2006/03/19
        16日午後4時半ごろ、北九州市若松区の市立小5年の男児(11)が自宅で首をつって死亡しました。
         学校で教諭から注意を受け、帰宅後に死亡しており、福岡県警若松署は自殺とみて、学校関係者から事情を聞いています。
         同署などによると、男児が自分の部屋の天井にひもをかけ、首をつっているのを母親が見つけましたた。遺書はありませんでした。
         市教委によると、男児は同日午後、翌日の卒業式のため、同級生と教室の掃除などをしていた。女児2人が、男児からたたかれたと50歳代の担任の女性教諭に訴えました。男児が紙を丸めた棒を振り回していたことがわかり、教諭が理由を尋ねた男児の答えがあいまいだったため、胸元をつかんで数回揺すったところ、男児は室内にあったペットボトルを投げつけ、教室を飛び出したといいます。
         同校によると、男児は昨年秋ごろから担任教諭との関係が悪化、心配した家族が学校側に相談していたそうです。男児は夏休みを過ぎたころから授業中に教科書を開かないなどの行動が目立つようになり、担任教諭がよく注意していて、腹を立てた児童と言い合いになることもあったといいます。
         男児が「先生が嫌いや」「僕のことを分かってくれない」などと訴えたため、母親は担任教諭に連絡帳を通じて相談。教諭は電話などで母親と対策を話し合っていたそうです。男児は元気で明るい性格だった一方で、ふてくされたり物を投げるなどの行動もみられ、低学年のころから指導を受けることが多かったといいます。
         教諭は17日、「厳しくしかったのは事実。このような結果になり申し訳ない」と両親に謝罪しました。
         校長は「教諭の指導に行き過ぎた点はなかったと思うが、深刻に受け止めている。しかった後、フォローしなかった点は反省しなければならない」と話しています。
         11歳は前思春期、自分の存在や認知と他者の存在と認知を知り、大人へ変容しようとする激動の思春期を迎えようとする多感で不安定な発達段階だと思います。教室でどんな出来事があれ、本人が基本的に尊重され、その精神的発達が保障される環境を、大人たちは作ってあげる必要があります。

        ●身近な命失う悲痛共有、自死遺族会/来月から「集い」(長崎)
         長崎県大村市の医療施設に勤務する児童支援員山口和浩さん(25)が、家族や友人を自殺で失った遺族同士で思いを語り合う「自死遺族のつどい」を4月から同市で始めることになりました。同様の集いは、九州では福岡市に次ぎ2カ所目。中学生のときに父親が自らの命を絶ったという山口さんは「同じ体験を持つ遺族同士だからこそ、話せることもある。一人で苦しまないでほしい」と参加を呼び掛けています。
         山口さんは中学2年のときに父親を亡くした後、「父親を守れなかった」という自責の念と、周囲から偏見の目で見られる苦しみを抱えていました。それが、高校生のころに参加した「あしなが育英会」の集いで、同じ苦しみを持つ遺族らと出会い、初めて自分の父親の死について話をし、苦しみが和らいだといいます。
         山口さんは、自殺者の遺族らが一昨年9月から福岡市で始めた「リメンバー福岡」の集まりに参加したり、悩みごとなど人の話を聞く訓練をしたりしながら「無理なく遺族が集い、話し合える場ができないか」と考えてきました。
         山口さんが勤務先の情緒障害児短期治療施設「大村椿(つばき)の森学園」に相談したところ、施設側も場所の提供などについて協力を約束。第一回の集いを4月上旬に開き、その後も月1回程度開催する方向でまとまったそうです。
         長崎県では昨夏以降、中高生の自殺が約10件起きており、国内の年間自殺者は3万人を超えています。山口さんは「大切な人が自ら命を絶ったことを人に話せずに苦しむ遺族が3万人の何倍もいる。集いの運営はみんなで話し合いながら決め、遺族が訪れやすいものにしたい」と話しています。
         京都でも、自死遺族の方々の語り合いの会「こころのカフェ きょうと」が25日に第1回の会合が持たれます。(連絡先:TEL090-8536-1729 (9時~17時))
        不登校の体験談を紹介/市民団体が情報誌(京都)
        2006/03/12
        給食費の支払いやテストを受けたかどうかなど、子どもが学校に行かない時のさまざまな疑問に体験談で答える情報誌「プロン・トン・トン」第2号がこのほど、発行されました。不登校の子どもやその親から集めたアンケート結果を中心に、子どもの居場所や教育委員会の取り組み、相談機関まで幅広く紹介しています。
         発行したのは、不登校の子どもを育てる親たちでつくる京都市山科区の市民団体「親子支援ネットワークあんだんて」。同団体は、3年前に発行した第1号に続いて、新たに取り直したアンケートをもとに昨年から編集を進めてきました。

        http://www.ne.jp/asahi/oyako-net/andante/index.htm

         今回は親79人、現在不登校か不登校を経験した子ども62人から回答があり、「親の声」では現在困っていることやほしい情報を、「子の声」では先生や友達に望むことや不登校を経験して感じたことがまとめてあります。昨年秋に開かれたシンポジウムの抜粋記事では、「不登校の経験は、その子に生きている」という前提のもと、学校に行かなくても学力や社会性が身に付くかの議論が紹介されています。
         また、今回は最終章に発達障害を特集。同団体の福本早穂代表は「ちょっとしたことが分からなくて悩み、つまずいてしまう親が多いので、情報誌が参考になればうれしい。学校の先生にもぜひ読んでほしい」と話しています。情報誌は1,260円で、あんだんて=ファクス075(595)8255=で受け付けているほか、大型書店でも販売しています。
         私の相談室も紹介されています。

        自閉症抱え普通高卒業/鉄道専門学校へ(沖縄)
         自閉症がありながら普天間高校を卒業した玉城亮さん(18歳・北中城村)は今春、幼少からの夢に向かって横浜にある鉄道関係の専門学校へ進学されます。3年前、全国的にも珍しいといわれた普通高校一般入試をクリアし、昨年の夏休みには自動車免許も取得、自立に向けた歩みを重ねてこられました。パニックを起こして突然教室を飛び出した小中校時代。「いまは自己コントロールできる」と語れるほどになられています。自閉症に詳しい専門家は「全国的にもまれな成功例」と評価しています。
         玉城さんは発達障害がありながら、両親の希望で北中城小中学校の普通学級へ。過敏な反応、“変わった”行動がいじめの対象になり、父譲さん(47)、母園子さん(46)にとって子育ては常に「がけっぷちだった」といいます。
         高校在学中に同級生とトラブルがあったらしく、譲さんが「父さんが学校と話してこようか」と気遣うと、「自分で対処する」と返せる気丈な息子に育っていたそうです。
         自閉症は人との付き合いが苦手で、知的な発達障害も心配される半面、特定のこだわりには人並み以上の能力を発揮します。亮さんは鉄道が好きで、全国の路線と駅名を暗記し、小学校で鉄道検定に合格。譲さんが出張先から亮さんに電話し、目的地へのダイヤを教わっていたといいます。
         高卒後の進路は、インターネットで横浜の法律社会科郵政鉄道コースがある専門学校に決め、将来は車掌を目指されるそうです。
         「つらいこともあったけど、悩む余裕がなかった」と譲さん。息子の成長に目を細める園子さんは「運転は制限速度内。融通が利かないかもしれないけど、そんな特性に合った職業があるはずだ」と、息子の巣立ちを喜んでいます。
         日本自閉症協会の石井哲夫会長は「会話が普通に近い状態になった背景には、涙ぐましい子育て記録が刻まれているはずだ。逃げずに体当たりで向かい合った親子のきずなは感動に値する」と絶賛しています。

        県発達障害者支援、実態把握へワーキンググループ設置(徳島)
         自閉症や学習障害(LD)など発達障害者への支援の在り方を検討する徳島県発達障害者支援体制整備検討委員会(会長・橋本俊顕鳴門教育大教授)の第二回会合が8日、県庁で開催されました。県の支援計画策定に向け、発達障害者の実態把握の方法について、今後ワーキンググループを設置して検討していくことを決めました。
         発達障害者の実態把握については、保健所や学校、保育所など県内の関係機関が、これまでに取り組んできた調査の方法やデータをそれぞれ報告。委員からは「県教委が小中学校や幼稚園でチェックリストを作って実施している実態調査を基本に、高校まで対象を拡大した調査をしてはどうか」といった意見が出されました。
         今後、調査方法をワーキンググループで検討し、07年度中の計画策定を目指すそうです。
         また県が、南部圏域(小松島、阿南両市、那賀、海部両郡)を対象に、06年度から2年計画で「発達障害者圏域支援体制整備事業」をモデル的に実施する方針を示し、了承されました。
         同事業は乳幼児期から成人期まで、一貫した支援ができる体制の整備を目指す事業で、臨床心理士らを発達障害支援コーディネーターとして配置するなどし、個々の発達障害者に対する支援計画づくりなどをサポートするそうです。
         全国各地で発達障害を支援する体制づくりがすすんでいます。全国の動きに乗り遅れている京都府でも、研究者や既存の機関だけでなく、当事者やご家族、援助団体などの声を組み入れながら、早く動き出して欲しいものです。

        小さな相談室から(4)
         精神保健福祉士の資格取得のために通信制で学んでいる専門学校からの病院実習に通っています。統合失調症の方が全体の8割を越える病院のデイケアを拠点に学ばせてもらっています。昨日で前半の6日間を無事終了。このデイケアは、朝8時半開所ですが、時間前から多くの利用者さんがスタッフの到着を待っています。9時半から利用者さん全員でのミーティング、その後は午前中のプログラムが取り組まれます。健康体操、ゲーム大会、音楽などに参加しました。11時45分からは昼食の準備、配食のお手伝い。利用者さんにとって食事は大切な楽しみで、早くから列を作って待っておられます。午後もプログラムがあり、ソフトボールやファミリーバドミントンなどに参加。午後3時に再び終わりのミーティングでデイの方は解散となります。デイ・ナイトケアの利用者さんは午後7時までの利用となります。実習は午後5時までなので、2時間余りは残った利用者さんとオセロや将棋、カラオケをしたり、談話を楽しんでいます。
         昨日は病棟で1日実習をしました。午前中は急性期、亜急性(以上、閉鎖病棟)、療養(解放病棟)を見せてもらい、午後はPSWと患者さんとの面接に立ち会わせてもらい、空き時間は急性期病棟のロビーで入院患者さんと談話をさせていただきました。
         病院における精神保健福祉士の役割と活動を学ぶことが実習の主目的と思いますが、実際の病理と患者さんとの関わりに接することができる、有意義な実習であると実感しています。また明日から6日間、がんばります。
         実習のために面談予定を変更頂いた方、先送りにさせて頂いた方、予約などの電話連絡ができない方々、御迷惑をお掛けいたしますが、どうか御理解下さい。

        イラク帰還米兵、3人に1人が精神ケア
        2006/03/05
         イラクから帰還した米兵の約3人に1人が、カウンセリングなど精神面のケアを受けていたことがウォルターリード米陸軍研究所の調査で2月28日までに分かりました。1日付の米医師会雑誌に発表されます。
         帰還兵の約1割が心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、戦闘への参加と密接に関連していた。帰還兵の精神面のケア充実を求める声が強まりそうです。
         調査は04年4月までに帰還した米陸軍、海軍の兵士らを対象に実施。計約22万人のイラク帰還兵の31%が、帰国後1年以内にカウンセリングをはじめとする精神面のケアを受けていました。
         PTSDと診断されたのは約2万2,000人。うち約80%は、死傷者が出た現場に立ち会ったり、戦闘に直接参加していました。

        ●県発達障害者支援センター:相談窓口を開設、7月にも(群馬)
         県は、自閉症などの発達障害のある子どもや家族の相談窓口となる「県発達障害者支援センター」を、前橋市新前橋町の県社会福祉総合センター内に開設する準備を進めています。発達障害者の医療、保健、福祉、教育、就労と広範にわたる支援の拠点としての役割を担うもので、開会中の2月定例県議会に提出された県の新年度当初予算案の議決を経て、7月にも開設される見込みです。
         支援センターは昨年4月に施行された発達障害者支援法に基づくもので、全国では36の自治体で既に開設されています。県は策定中の次期県障害者計画に同センター設置を盛り込み、障害者団体や識者でつくる協議会などで詳細を検討しています。
         県障害政策課によると、同センターは社会福祉士や心理判定員ら専任職員5人体制にする予定。家族らの相談のほか、児童相談所や医療機関から連絡を受け、障害の有無の確認や適切な関係機関や団体への紹介などを行い、また医師も定期的に診察に訪れるなど、ケースごとに柔軟な対応をとれる形を目指すとしています。
         発達障害は従来、知的な遅れを伴わない場合、法的には福祉サービスの対象外でした。県はこれまで関係機関と連携しながら対策をとってきましたが、発達障害に特化した施設はありませんでした。児相での相談ができなかった18歳以上も同センターでは対象となるため、家族らから就労面の支援にも期待が寄せられています。
         長男(24)が自閉症という日本自閉症協会県支部の中林文子支部長(54)は「障害があるかないか分からずに悩んでしまう人たちを、いずれかの機関や団体につなげてくれると期待している。また一般に対する発達障害への理解も進むと思う」と話しています。
         センター設立に向けた「協議会」に、障害者や援助者の意見が反映されることが大切です。昨年末、私が副代表をしている「京都ひきこもりと不登校の家族会」が提出した「高機能広汎性発達障害(児)者への民間の療育・支援活動への援助に関する請願」が京都府議会で採択されました(詳しくは「アスペ・ノンラベル」ホームページ http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/ をご覧下さい)。年明けから担当の府障害福祉室と懇談を重ねています。京都府ではまだ「発達障害者支援センター」の設置に向けた計画すらなく、私たちは、まず「拠点」としてのセンター設置に向けて、医師や当事者、援助団体なども参加した準備会の立ち上げを要望しています。

        ●障害者福祉サービスの新報酬、障害別の分類廃止
         厚生労働省は1日、4月施行の障害者自立支援法に基づく福祉サービスの報酬体系を公表しました。
         在宅と施設に分かれている現行の仕組みを、「訪問」「居住」「日中活動」に再編。身体、知的、精神という障害の種類による分類も廃止し、サービスの具体的な内容に基づく共通の報酬となります。
         訪問サービスでは、身体介護が1.5時間で5,800円、家事援助は2,250円。これとは別に、重度障害者でヘルパーが長時間、自宅に滞在して介護する場合の報酬を定めます。
         例えば、1日8時間利用の場合、障害の程度により2万2,400~1万4,260円に。30日間、毎日8時間ずつ利用すれば37万2,000~42万7,800円となり、原則としてこの1割が利用者の自己負担となります。
         居住サービスでは、共同で生活する「グループホーム」が、職員態勢により1日1,160~1,710円に。日中活動サービスでは、企業などへ就職するための訓練を行う「就労移行支援」が、定員などにより1日4,030~7,360円。就職に成功した人が一定数以上いる場合、1日260円の加算を行うなど、成果主義が導入されます。
         新しい報酬は、9月までの経過期間を経て、10月から全面的に適用されます。
         福祉サービスの枠組みが変わり、サービス内容も広がりを持つことになる一方で、利用者負担の導入が現実のものとなります。特に重度障害の方の場合、利用料が莫大となり、これまで受けてきたサービスを「我慢」しなければならないケースが多くなりそうです。これでは、「福祉の後退」となってしまいます。「金の切れ目が…」が、今の日本の福祉レベルと言えます。

        小さな相談室から(3)
        2006/02/26
        私の相談室は「相談室」と看板をあげていますが、来られる方(クライエントさん)によって「面談」と「カウンセリング」を区別しています。形態は同じなのですが、内容がトラブルや人間関係のもつれなどからの「対応」の仕方が主である場合は「面談」、ご本人の心的不全感や自己治癒への寄り添いなどの場合は「カウンセリング」として対応させていただいています。特定の「療法」にこだわることなく、ケースに応じてより適切と思われるアプローチを心がけています。一般的にインテーク時など早期に行われる様々な「検査」も、必要に応じて、私とクライエントさんとの間での信頼関係が十分に築かれてから行うようにしています。また、成育歴や「事」が起こった経過、ご本人の認知特性などを丹念に聞き取り、読み取ることを重視しています。発達障害に起因して起こっている状態・症状では、こうした聞き取りによってその障害の存在に気づくことができることが多いことと、ご本人が経験されたことを第三者に話すという行為、そこで現れる心的な変化を尊重したいためです。ですから、いわゆる「インテーク」面接というものは、緩やかに時間をかけて(数回に渡って)行い、当初の「見立て」にとらわれることなく、信頼関係を前提としてその時々に話されることの一つひとつから読み取り解釈を膨らませていく、というスタイルをとっています。おそらく、一般的に行われている「カウンセリング」とは随分と形の違うものになっていると思います。面談やカウンセリングを継続される中で、クライエントさんやその回りの状態・環境は変容していき、問題の緩和・解消、自己治癒力の促進による状態の回復や向上がはかられます。もちろん困難なケースはありますが、「決してあきらめない」緩やかな関わりの継続が少しずつの変化を与えていきます。こんなスタンスで、まもなく開業後1年が近づいています。沢山のことを、クライエントさんとの関わりを通じて学ばせていただきました。今後の私の臨床活動の糧としていきたいと思います。

        ●新人医師、激務の小児科避け志望4割減(日本小児科学会調査)
         日本小児科学会の調査で、大学病院や大学の関連病院の小児科での勤務を希望する新人医師が、3年前に比べて約4割減少したことがわかりました。
         04年以降、医師国家試験の合格後に2年間の臨床研修が義務化されましたが、同学会では「臨床研修で小児科の過酷な勤務実態に接し、敬遠されたのではないか」と危機感を募らせています。
         今回の調査は、小児科医の育成に対し、この臨床研修制度がどんな影響を及ぼしているのかをテーマに、研修を実施した全国約1,000の医療機関を対象に行ったもの。研修制度が導入される前の03年4月には、大学卒業後に大学とその関連病院の小児科に勤務した医師は502人でしたが、今回の調査では、この3月に臨床研修を終える医師のうち、大学等の小児科勤務の希望者は276人にとどまっているといいます。
         また、研修中に小児科から他の診療科に志望を変更した医師は223人を数え、他の診療科から小児科に変更した70人を大きく上回り、若手医師の小児科離れを裏付けています。
         大学病院から地域の病院に派遣されて診療にあたる若手小児科医も多いだけに、日本小児科学会の衛藤義勝会長は「このままだと、地域の小児救急医療が危機的な状況に陥る恐れもある。小児科医の労働条件を改善するなど抜本的対策も必要だ」としています。

        ●親の負担軽減へ小中学校に看護師配置(大阪府)
         大阪府教育委員会は23日までに、障害のため、たんの吸引など医療行為が必要な児童・生徒が通う府内の公立小中学校45校(大阪市、堺市を除く)を対象に、06年度から看護師を配置することを決めました。保護者の負担軽減が狙いで、府教委によると、公立学校への看護師配置は都道府県レベルで初といいます。
         医師法上、管を体内に挿入してたんの吸引や尿の排出ができる医療行為が可能なのは、医師や看護師のほか患者本人と家族に限られていましたが、04年10月からは看護師が常駐する盲・聾・養護学校の教員にも条件付きで認められています。しかし、子どもを普通学級に通わせるためには、一日中付き添わなければならない保護者もいて、「共働きでなければ生活していけない」と入学をあきらめるケースもあったといいます。

        ●全国初、全国学力テスト不参加方針(愛知県犬山市)
         23日、愛知県犬山市が、07年度から文部科学省が全国で実施する予定の「全国学力テスト」に参加しない方針を固めたことが分かりました。同省の教育課程課は「参加は強制できない。これまで不参加を表明した自治体は把握していない」としており、同市が不参加を正式に表明すれば全国で初めてとなります。
         同テストは、全国の小学6年と中学3年の全員を対象に国語と数学(算数)のテストを実施、学習到達度などを把握するもの。同市教育委員会は24日に、同テストが「地方の特色のある教育づくりを阻害する」と指摘した施策案を承認する見通しです。市教委は「承認すれば事実上、全国学力テストを実施しないことになる」と話しています。
         同市は数年前から、40人学級を2つに分けて授業を行う少人数授業や、複数の教諭による授業を導入して「自ら学ぶ力」を重視、「子どもの実態を見ながら教育に取り組みたいので、一面的な評価はしない」としています。

        ●人権侵害:茶髪の女生徒に黒スプレー(京都)
         茶髪を理由に高校2年の女子生徒(17)に授業を受けさせず、髪に黒色のスプレーをかけたのは人権侵害だとして、京都弁護士会(田中彰寿会長)は24日までに、京都市立日吉ケ丘高校(同市東山区)に対し、改善を求める要望書を送付しました。
         要望書などによると、女子生徒は茶髪を理由に学生証用の写真撮影を学校に拒否され、2年生だった昨年4月、髪を黒く染めるスプレーを無理やり教員にかけられました。8月には、同じ理由で授業を受けずに下校するよう指示され、テストが受けられなかったといいます。
         女子生徒はやむなく髪を黒く染めたが、その後休みがちになり、10月、通信制私立高校に転校。精神的ショックで、現在も精神・神経科に通院しているといいます。
         長男が通っていた中学校でも、校門立ちをしている教師が黒スプレーを持っていたといいます。黒くしなければ学校に入れませんでした。学習権の侵害でもあります。

        ●園児の夜更かし、不登校の一因にー金沢大・木村教授が調査
         就学前の子どもの4割が夜型の生活リズムとなっていることが、金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻の木村留美子教授(小児保健学)と津田朗子助手らの調査で分かりました。夜型の子どもは日中に体温が上がらないため元気がなく、勉強や友人との関係につまずきやすい傾向にあるといいます。生活の乱れが不登校につながることもあるとみて、早寝、早起きの習慣づけを呼び掛けています。
         調査は金沢市内の4つの保育所に通う6カ月―6歳の乳幼児198人を対象とし、一日の体温の変化や、就寝と起床の時間などを調べたもの。
         体温変化が正しいリズムとなっていたのは、1歳児では3割強で、成長とともに上昇するものの、小学校入学前の5歳児でも64%にとどまっていました。2年間の追跡調査で、就寝時間が午後8時半―10時の早寝の子どもは7割が正しい体温のリズムを身に付けていましたが、10時以降に寝る子どもでは2割だけでした。
         木村教授によると、人間の体温は、朝の起床時から上昇し、夕方に最も高くなり、就寝前に低下するというリズムを刻んでいます。乳児は体温のリズムが発達していないため夜泣きもしますが、日中に日光を浴びたり、早寝、早起きの習慣を付けたりすることで、2歳ごろまでには正しいリズムを身に付けるそうです。
         しかし、寝るのが遅い夜型の生活では、朝、起きた後も体温が上がらないため、日中の活動が鈍くなり、夜になっても体温が下がらないため眠くならず、夜更かしする悪循環が始まるといいます。
         木村教授は「夜型の子どもは常に『時差ぼけ』の状態。勉強に身が入らず、友達と遊ぶのもおっくうになり、社会性の発達が遅れた場合は不登校の原因になる可能性もある」と指摘しています。
        ひきこもり相談295件に、長期化壮年傾向も(京都府)
        2006/02/19
         京都府は、昨年6月に開設した「ひきこもり相談支援センター」の相談状況をまとめ、12月末までに、来所や電話で計295件の相談が寄せられたことがわかりました。専門家による面接相談を受けたのは58人、本人が10人、家族は48人でした。
         相談の方法は、電話が141件、専門家による面接が154件。面接相談の結果によると、ひきこもりで悩む58人(男性52人、女性6人)の状況では、16-29歳が38人と青年層が多いが、30歳以上も19人いました。ひきこもり期間は3年未満が26%、5-7年が19%、10年以上が19%でした。ひきこもりの長期化に伴う壮年化傾向がうかがわれます。また約7割が不登校経験者でした。
         厚生労働省の推計では京都府内のひきこもりは約8,000人とされています。府保健福祉部は「解決には長い時間を要するが、相談拡充に努めるとともに、本人の社会参加を支援する取り組みを民間と連携しながら進めていきたい」としています。
         「焼け石に水」の取り組みですが、基本的に必要な体制だと思います。1回の相談で状態が改善することは望めません。継続的な関わりが必要です。また、第三者と家庭との、第三者と当事者との関わりが始まることで、家庭に「外部」の風が通り、変化が見られることがよくありますので、相談の窓口対応だけでなく、民間との連携でフットワーク軽く「動く」ことが良き援助となると思います。(何が何でも家に入れば良い、というわけでないことは言うまでもはありません)

        ●人間関係希薄で問題行動/PTA、高2の6,000人を調査
         全国高等学校PTA連合会が公立高55校の2年生約6,000人を対象に調査した結果がまとまり、集計と分析に当たった木原雅子京都大助教授(社会疫学)が12日発表しました。家族との会話がなかったり、学校をやめたいと思ったりした生徒は、性経験や万引、刃物で手首を傷つけるなどの自傷行為をする割合が、そうでない生徒の約2倍以上、という結果です。
         地域差は少なく、木原助教授は「問題視されるこれらの行為は子供たちの叫びであり、共通の原因は人間関係の希薄さ。今の社会は意識して人と人がかかわり合う必要があり、大人が本気で取り組まないと状況は変わらない」としています。
         家庭環境が大きく変化し、家族で食事、会話をする時間が短いというご家庭が増えています。不況の影響でぎすぎすし、家庭の人間関係が薄まっているのも現実です。また、学校現場が相変わらず40人を基本とした一斉授業、教師は実務に追われ、子どもたちに関わる時間は減るばかりです。「関わって欲しい」「理解して欲しい」、子どもたちの叫びが聞こえてきます。

        ●複数障害対応校を検討、特別支援教育で方針(沖縄)
         15日、県教育委員会は07年度から全国で実施される特別支援教育に向けて「沖縄県における特別支援教育体制整備の基本方針」を決定、複数の障害に対応できる養護学校の設置を検討することが盛り込まれました。さらに小中学校の通常学級に在籍する学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの児童・生徒らを支援する体制の充実や、障害のある子どもたちと障害がない子どもたちの交流や共同学習を積極的に推進していくことなどを決めました。
         同方針は、文部科学省が推進する特別支援教育を受けて(1)ノーマライゼーションの進展に対応した教育的対応の充実(2)通常の学級に在籍するLDなどの児童・生徒への対応と特殊学級などの充実(3)盲、ろう、養護学校における教育とセンター的機能の充実(4)障害のある児童・生徒についての相談支援と就学指導の充実(5)教職員の専門性の向上と適切な人事交流などの検討―の5つを柱としています。
         (1)では障害のある人もない人もともに生活するノーマライゼーションの理念を基礎に、障害のある児童・生徒を支援するため地域全体で連携していくことが示されています。(2)は、LD児らへ対応するための職員研修の充実や、専門家が各校に出向いて発達障害の子どもらへの対応を教員に助言する巡回相談アドバイザーによる支援の強化などの施策を実施することに。(3)では医療、福祉、労働など関係機関との調整役をする地域のセンター的機能の充実、(5)では特殊教育教諭免許状の保有率向上を図る方針が示されました。
         仲宗根用英県教育長は「特殊教育は、大きな転換期を迎えている。一人ひとりの教育的ニーズに対応していくため、今回の方針を基に県の特別支援教育を推進していきたい」と話しているます。県教委は今回の方針を冊子にまとめ、3月中には市町村教育委員会や各小中高校に配布するそうです。

        ●非開示一部取り消し=体罰教諭の情報公開請求(神戸地裁)
         16日、神戸大大学院教授が、体罰について兵庫県教育委員会に行った情報公開請求で、非開示部分の取り消しを求めた訴訟の判決が神戸地裁でありました。佐藤明裁判長は「条例で非公開と定めるプライバシーの侵害には当たらない」として、体罰発生報告書などで記された加害教諭や学校名などの非公開決定の一部取り消しを認める判決を言い渡しました。
         提訴していたのは学校教育を研究する馬場健一教授(43)。02年、学校で起きた体罰を対象に公文書の情報公開請求をしましたが、体罰を行った教職員や学校名は非公開とされていました。
         佐藤裁判長は判決理由で、個人を特定する懲戒処分の情報は非公開対象と指摘したが「生徒への体罰は公務員である教職員の職務執行で、プライバシーの情報は含まれないと考えるべき」と判断。「情報公開条例は公務員の不当な職務執行にも向けられている」とし「非公開は条例目的に反する」としています。
         同教授は「体罰を抑止する画期的判決。プライバシーを理由に不透明になりがちな不祥事で、公務員の監視を行うことができる」としています。
         体罰、いじめ、不登校、問題行動、自殺など、学校で何が起こっているのか、親が知ることができない、巨大な壁が学校にはあります。学校側による何らかの過失で起こった事故や事件、自殺などに対して、多くの場合学校側は教育委員会ぐるみで事実関係を明らかにせず、責任関係を曖昧にしようとします。教師の体罰の直後に自殺するというケースも多く、この判決は学校の隠蔽体質を変えていく上で大きな一歩となると思います。

        「全国学校事故・事件を語る会」第13回集会に参加(神戸)
        2006/02/12
        11日、神戸市内で開催された「全国学校事故・事件を語る会」第13回集会に参加してきました。学校に起因する事故や事件でお子さんを亡くされた方や、心的外傷により後遺症状に苦しまれているお子さんの家族、約20組が参加し、交流し合いました。全体会の後、学校事故での死亡、自殺、後遺症状の3つの分科会に別れて、交流、問題や課題の抽出、改善方向などについて議論をしました。私は自殺事案の分科会に参加したわけですが、子どもの自殺は残された家族の心的問題であること、裁判等で学校関係者から事実がほとんど語られず隠蔽されること、「恥」として家族で抱え込まれてしまうケースが多いことなど、この取り組みが広がって行かざるを得ない実態を痛感しました。
         次回集会は4月15日(新長田勤労市民センター)、1泊まりでの大集会は6月3・4日(パレス神戸)開催されます。ご遺族や当該ご家族のみなさん、ご関心のあられるみなさん、是非ご参加下さい。詳しくは私宛にメール下さるか、代表の内海さん(fax.0791-66-1108、eメール:HQC00120@nifty.com)までお問い合わせ下さい。

        ●府教委が来年度、学習障害児ら支援に非常勤講師に退職教員ら100人(京都)
         京都府教委は06年度から、通常学級に在籍している学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの児童生徒への個別指導を充実させるため、退職教員や大学院生ら100人を非常勤講師として配置すると発表しました。府の06年度当初予算案に事業費として2億2,000万円が盛り込まれています。
         府内の小、中学校では03年度から、学校と家庭、専門機関をつなぐ「特別支援教育コーディネーター」(教員)を中心に、軽度発達障害の子どもの支援にあたってきていますが、他の校務を持つ教員では専門性を高めるのが難しいといった課題がありました。
         このため、一人ひとりの子どもの状態に応じた専門性の高い指導につなげようと、増加が見込まれる「団塊の世代」の退職教員や、特別支援教育を専門的に学ぶ大学院生ら100人(うち京都市内50人)を週20時間程度、学校に派遣するとしたもの。別室での個別指導や複数教員によるチームティーチング方式を通じ、細かく目配りする。府教委は市町村教委を通じて各校の実態を把握した上で講師の配置を決めるとしています。
         府教委は「早い段階で適切な指導を行うことで、子どもたちの自立につなげたい」(特別支援教育課)としています。

        ●発達障がい者支援センター」10月にも開所(福岡市)
         福岡市は設置を検討してきた「市発達障がい者支援センター」を中央区の心身障がい福祉センター内で10月にも開所する方針を決めました。支援センターは学習障害や発達障害がある人の相談・支援窓口となります。
         市こども未来局などによると、運営は社会福祉法人に委託しますが、市も入った運営検討委員会が支援センターの運営や関係機関との連絡調整について話し合うそうです。スタッフは心理、生活相談、就労相談など専門性を持ち、他の施設との連絡調整を図れる人材を確保する予定。発達障害について市に寄せられる相談は新規分だけで年間250人前後としています。

        ●大垣養護学校:新年度からモデル的に自閉症学級、設置へ(岐阜)
         大垣市西大外羽の県立大垣養護学校(冲中紀男校長)に新年度から、県内で初めて自閉症学級が設置されます。年々増加する自閉症の児童・生徒を特性に応じて指導していくもので、新年度はモデル的に小学部2年に自閉症学級1クラスを開設、斬新な教育方法や内容を検討していくそうです。
         同校によると、自閉症の児童・生徒は20年ほど前から全国的に増え、現在では同校でも小学部・中学部の半数が自閉症の児童・生徒。特に今年度の小学部1年生は18人のうち13人が自閉症と診断されているそうです。このため、同校では2年前から、障害の特性に応じた支援のあり方を研究してきました。他県に研修に出かけたり、全職員を集めて講座を開く一方、地域の小・中学校や幼稚園の教員らを招いた公開授業や、岐阜大学教育学部障害児教育講座の坂本裕助教授らを招いて研究授業も行ってきたそうです。
         新年度の自閉症学級は、父母に説明して納得してもらった家庭の児童を対象に開設。同校では「自閉症の児童の学習指導には、教室や教材など、環境づくりが必要。全校児童・生徒が351人とマンモス校で、さらに新年度は20人ほど増えるなど、克服しなければならない課題もあるが、児童の特性に配慮した指導をしていきたい」と話しています。

        ●就労へ、まず社会性学ぶ
        (2006年2月2日読売新聞)より
         発達障害の生徒が就職するにはどうしたら良いか。
         午前9時30分、教室内には約50人の声が響き渡った。「心を結ぶあいさつ」「やる気に満ちた返事」……。民間教育機関「ステップアップアカデミー」(東京都中野区)の大学部は、目指すべき7か条を在学生が唱和して、一日が始まる。
         同校は、発達障害や人間関係を築くのが困難な生徒たちの進学・就職支援のため、1999年に開校。小中学部から大学部まであり、このうち高等部は通信制高校などに籍を置きながら日常的に通う「サポート校」と呼ばれる塾だ。在校生の大半を占める大学部と高等部には計65人が在籍する。
         開校当初はパソコン技術やホームヘルパー資格取得など就労に向けた訓練が授業の中心だったが、企業が求めていたものは違った。
         「どんなに技術や知識があっても、あいさつや協調性などがなければ企業は困る」と、田中雄一校長(58)。このため、02年に教育目標を転換、社会の中で生きる力を身につけることを目指すようになった。
         例えば、友情をテーマにした絵本を読み聞かせて相手の立場を考えさせる授業や、授業以外でも例えばボウリング場に行き、靴の借り方から学ぶ。20歳以上の学生には、居酒屋で酒の飲み方を教えることもある。

         入学当初は半数の生徒が座って授業を受けられない。大学部の授業はこのため1時限30分だが、授業時間は就労時間と同じ午前9時30分~午後5時にした。
         田中校長はこうも語る。
         「周囲は勝手に注意欠陥・多動性障害(ADHD)などと決めつけるが、生徒の特性を客観的に理解し、指導することが必要です」
         このため、生徒は毎年、臨床心理士や眼科医の検査を受ける。さらに、物を見る際の距離感や立体感覚を鍛え、行を飛ばさずに本を読むための「視知覚トレーニング」も毎日継続する。
         こうした授業が実を結び、雇用される生徒も増えてきたが、その数は満足いくものではない。「就労が一番の課題」という田中校長の悩みは深刻だ。

         こうした課題を解決するため、横浜市金沢区にあるサポート校「アンデルセン高等学院」は就労の場の提供にも力を入れる。以前から卒業生向けにクッキーの製造・販売の場を設けてきたが、1月には「あひるのチラシ屋」を開設。学習障害(LD)など20~30代の卒業生13人が、チラシの印刷から折り込み、配布まで請け負うようになった。
         公立高校も動き出した。
         卒業生の約6割が就職する福島県立川俣高校は特別支援教育を本格化させた今年度、発達障害の把握に力を注いだ。来年度からは就職に向け、対人関係の基礎を磨くソーシャルスキルの訓練も始める予定だ。
         「高校は生徒が自分の発達障害を受け入れられる最後の時期」と、同校の特別支援コーディネーター、高井麗子教諭(49)。発達障害は早期発見と個人の特性に合わせた支援が不可欠だが、その輪はまだまだ小さい。
         障害児の進路 全国の盲、ろう、養護学校の高等部卒業生は約1万2000人(04年3月)で、就職率は20.4%に過ぎない。障害者雇用促進法は、民間企業(従業員56人以上)に全従業員の1.8%、国や地方公共団体(職員48人以上)に全職員の2.1%の身体・知的障害者の雇用を義務づけている。しかし、1,000人以上の企業でも、33.3%しか義務を達成していない(05年6月現在)。
        http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20060202us41.htm
        退職後の生活水準、72%が「低下する」
        2006/02/06
        昨日更新の日でしたが、以下で紹介するイベントのため(司会をしていました)、更新ができませんでした。

         日本やアメリカ、それにヨーロッパなど11の国と地域で、およそ7000人を対象に、フランスの大手保険会社「アクサ」が行った電話によるアンケート調査でわかったものです。この中で、現在働いている人たちに、「退職後の収入の見通し」を聞いたところ、アメリカやドイツなど6つの国と地域では、「満足できる水準だと思う」と答えた人が半数を超えたのに対して、日本はわずか4%と、調査した中で最低でした。さらに「退職後の生活水準」について、他の国では「低下する」と答えた人の割合は30%から40%台だったのに対して、日本では72%に上っています。また「定年退職後も仕事をしたいか」聞いたところ、「はい」と答えた人の割合は、フランスやドイツなどが30%台だったのに対して日本は68%で、最も高い結果に。調査を行った保険会社では、「日本では、年金の支給額が減るなど十分な収入を得られないのではないかという不安があり、欧米に比べ退職後の生活に悲観的な見通しを持っている。このため再就職して働き続けることを考える傾向が強い」と話しています。
         調査結果で明らかになると、「やはり…」と納得します。日本の60歳以降の生活への不安は他先進国と比べると異常なほど強いものです。「少子高齢化」が叫ばれますが、自然とそうなったわけではなく、日本の経済構造が作り上げてきた、先細り構造を如実に現したものであることを見逃すわけにはいきません。国や各自治体のお金の使い方が問われていると思います。「社会福祉」の原点に立ち返って施策を建て直す時ではないでしょうか。

        ●個々に応じた生涯支援/県発達障害者支援センター:鹿児島で開設
         1日、自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害がある子どもや大人、家族の相談に応じる「県発達障害者支援センター」が鹿児島市桜ケ丘6の県児童総合相談センター(児相)内にオープンしました。05年4月に施行された発達障害者支援法に基づくもので、九州・山口では沖縄を除いて最後となりました。
         就学前から就労まで個人に応じて一貫した支援を行うのが特徴で、県内各地で発達障害にかかわる医療・保健・福祉・教育・就労の各機関の拠点施設としての役割を担うとしています。
         県はセンター設置にあたり、相談所の指導課を支援課として、センター機能を担う発達支援係、と療育支援係に再編。職員(非常勤を含む)も計13人から16人に3人増やし、診断を行う医師は、従来の小児科医に加え2人体制となりました。
         児相では以前から診断や発達支援相談を実施していましたが、今回対象を児童以外(18歳以上)にも拡大。鹿児島市の鹿児島障害者職業センターなどと連携をとって就労支援に力を入れることになります。
         文部科学省の調査では、小中学生の約6%に発達障害の可能性があるとされています。県内では約1万人の計算になりますが、従来は知的な遅れを伴わない場合、法的には福祉サービスの対象外でした。県内では専門医が不足しているため、県外に診断を求めるケースも多数ありました。
         小4の長男が自閉症だという日本自閉症協会県支部の広瀬英子さん(43)は「(障害があっても)どこにどういう形で相談すればいいか分からない人は多い。センターが開設されることで、診断を受けたり、支援相談や将来設計ができるようになれば」と話します。電話相談は月~金の午前9時~午後5時(祝祭日は休み)。来所相談は火、水の2日間で予約が必要。同センター(099-264-3720)。

        ●アスペルガー障害への理解を/講演やシンポ(京都)
        ↓「京都新聞」の記事から転載します。
         青年期・思春期のアスペルガー障害について考える講演会とシンポジウムが5日、京都市下京区のひと・まち交流館京都で開かれた。障害に悩む人を支える家族や学校関係者ら約120人が参加し、障害の特性や支援の在り方などを学んだ。
         京都ひきこもりと不登校の家族会「ノンラベル」(右京区)が、障害への理解を求める本の出版と、アスペルガー障害の支援部門「アスペ・ノンラベル」の開設1年を記念して企画した。
         講演で精神科医の定本ゆきこさんは、こだわりが強く、思う通りにしないと気が済まないなど、アスペルガー障害の特性を紹介。「進学や就職など、幼児期から青年期の間の出来事に合わせ、行動や心配を予想しておけば問題は回避できる。親で抱え込むのではなく、行政や民間組織、地域など第三者も交えたチームサポートが大事」と話した。
         「アスペルガー障害の生きにくさをどう支えるか」と題したシンポジウムでは、「アスペルガーの子は、自発性に任せるだけではいけない。こうしなさいと指示することも有効」「問題行動に対し、校内で各教諭が統一した対応をとる必要がある」などの意見が出された。
        ↑何とか無事に終了し一安心です。鹿児島県で発達障害者支援センターが開設され、全国の都道府県で34カ所(?)、政令市を合わせて38カ所(?)で設置されていますが、京都府ではまだ計画すらないのが実情です。京都府の中心部である京都市には昨年秋に設置されていますが、京都市外の府民は利用できません。一日も早く、府北部・中部・南部の3カ所くらいのセンター開設が行われるよう、取り組みを強めて行く必要があります。みなさんの地域の状況はいかがでしょうか?
        2月5日、アスペ・ノンラベル設立1周年記念講演会開催(京都)
        2006/01/29
         私がスタッフとして関わっている「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」が、そのアスペルガー障害援助部門である「思春期・青年期・成人期 アスペ・ノンラベル」設立1周年と、前回ご紹介した『どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害』出版記念を兼ねた「記念講演会」を、2月5日(日)午後2時より「ひと・まち交流館 京都」で開催します。第一部は記念講演で、「アスペルガー障害 思春期・青年期の理解と援助」と題して精神科医の定本ゆきこ先生にお話していただきます。第二部はシンポジウムで、「アスペルガー障害の生きにくさをどう支えるか?」と題して、定本先生、京都府障害福祉室の荒田均氏、府精神保健福祉総合センターの曽我和博氏、ECC高等学院京都校・難波校校長の金馬宗昭氏、ノンラベル代表の田井みゆきをシンポジストとして行います。定員は先着300名、参加費は3,000円です。詳細はアスペ・ノンラベルのサイトをご覧下さい。
        http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/asupe/index.html
        尚、全体の司会進行は、私がする予定です>^_^<。 ●アスペルガー障害を知って 特性や対応策実例交え本に (京都新聞、1月27日に掲載されました) 「京都ひきこもりと不登校の家族会 ノンラベル」(事務局・京都市右京区)はこのほど、アスペルガー障害の特性や対応策についてまとめた「どう関(かか)わる?思春期・青年期のアスペルガー障害」(かもがわ出版)を刊行した。  アスペルガー障害は中枢神経の機能不全による発達障害だが、原因は不明。一般の人とは異なる物事の感じ方や理解をする傾向があり、ほかの人とはどこかが違うという生きにくさを感じ、ひきこもりや不登校になるケースが多いという。  同会は思春期・青年期のアスペルガー障害を援助する部門として、一昨年12月に「アスペ・ノンラベル」を設立。相談や対人関係のトレーニングを行っている。  本の中では、「だんどりが分からない」「言葉を字義通りに解釈する」「応用・手抜きが分からない」など障害の特性を、実例を取り入れて解説。周囲が取るべき対応策としては「特性を個性として尊重することで人としてのすばらしさが見えてくる」としている。A5判、117ページ、1,365円。  また「アスペ・ノンラベル」設立1周年の記念講演会を2月5日午後1時半から、京都市下京区、ひと・まち交流館京都で開き、本の執筆にも参加した精神科医定本ゆきこさんが講演する。問い合わせは同会TEL.075(312)3338。 ●福島のNPOが引きこもりを支援/住宅開放、週3回に(福島)  福島市のNPO「ビーンズふくしま」(中鉢博之理事長)は、引きこもりを続ける若者が社会との接点を持ち、立ち直るきっかけにしてもらおうと、今月から週3回、借りた住宅を開放し、スタッフが作成したプログラムに沿った支援活動を行っています。04年11月から月2回、支援活動を行ってきましたが、希望者が多く回数を増やしたもの。  支援活動は、事務所とは別に一戸建て住宅を借りて、引きこもりの若者が自由に交流できるスペースを確保し行っています。今後は就労体験やボランティアに参加してこれからの生き方について考えてもらうそうです。すでに18~33歳の男性4人がサービスを受けるための会員として登録し、立ち直るにはどのようなことをしていくかスタッフと話し合いました。中鉢理事長によると、引きこもりの若者は県北地方だけでも1,000~2,000人。「一人で悩んでいても、何も解決しない。解決の糸口をつくってあげたい」と話しています。問い合わせは024(544)1987まで。 ●40年ぶりに教員の勤務実態調査…高給批判で検証(文科省)  28日文部科学省は、小中高校などの教員の労働時間や超過勤務の状況についての全国調査を行う方針を固めました。国がこの種の調査を行うのは1966年以来40年ぶりになります。  高過ぎるという指摘のある教員の給与水準が適正かどうかを判断する資料にする目的で、今秋に調査結果のとりまとめを目指すそうです。  調査は全国の公立小中高校や養護学校などに勤務する教員約90万人から抽出した10数万人規模で行う見通し。具体的な項目は年度内に詰めるとし、〈1〉通常の勤務時間〈2〉超過勤務時間〈3〉超過勤務の理由(放課後指導、教材研究、部活動指導、会議など)を中心に調査する方針です。テストの採点を自宅で行うといった「持ち帰り残業」の実態についても調べる方向。  また、「先生たちも夏休みの間は休んでいる」との誤解も多いことから、夏休み中の勤務状況についても初めて調査するそうです。  教員の勤務実態調査が40年間も行われなかった背景には、日教組が「管理強化につながる」などとして強く反対してきた経緯があります。しかし、組合員から「教育現場で過重な負担が教職員にかかっている実態を明らかにする必要がある」などの声が上がったことから、日教組自身が93年からほぼ2年に1度、実態調査を実施してきています。04年調査では時間外勤務の合計は1日平均2時間9分、1か月換算で約43時間と、厚生労働省調べによる同年の全産業平均(10.3時間)の約4倍となっています。  教員給与は一般行政職より優遇されていることから批判され、公務員の総人件費改革の一環として来年度、見直しを検討することになっています。文科省や自民党の文教族は見直しに反対しており、調査の実施には「基本的に残業手当が付かない教員の給与が、勤務実態と比べて高いのか低いのかを示して国民の理解を得たい」(文科省幹部)との思惑もあるようです。

        『どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害』発売!
        2006/01/22
        15日、私がスタッフとして関わっている「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」から、『どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害』(かもがわ出版発行、120頁、定価1,300円+税)が出版されました。全国の主要書店に並んでいると思われます。私も部分的に執筆に参加しています。
         アスペルガー障害を含む高機能広汎性発達障害の診断を受けた方、またその疑いのある方、中でも障害特性が顕著に表れる思春期・青年期の当事者の特性の理解と関わり方のヒント等を、家族会として彼らと関わりながら学んできたことをまとめたものです。
         18歳を過ぎると児童相談所との関わりも切れるため、相談先、受診先を見失ってしまわれるご家族が多いのが実情です。「発達障害者支援法」の施行によって、全国の都道府県、政令市で「発達障害者支援センター」が設置されていっていますが、思春期・青年期の高機能広汎性発達障害(児)者への援助に関するノウハウの蓄積はまさに始まったばかりです。
         高機能広汎性発達障害への正しい理解と適切な関わりを、多くの方が獲得していただけることを切に期待します。ぜひご購入を!

        ●子どもの心の問題診る医師、専門性3段階に分けて養成(厚労省)
         18日、子どもの心の問題に対応できる小児科・精神科医の養成方法を話し合っていた厚生労働省の検討会は、医師の専門性を3つのレベルに分けて養成することを盛り込んだ報告書案を大筋で了承しました。次回会合で取りまとめる方向です。
         厚労省によると、虐待を体験した子どもの増加や発達障害への認識の高まりに伴い、心のケアの必要性が急速に高まっている一方で、全国の専門医は2,200人程度と推計され、時間と手間のかかる子どもの診療は予約を入れても2、3年先になるケースもあり、医師不足が問題となっています。
         報告書案は医師を(1)軽症例を診療できる一般医(2)1年以下の研修を受け中等症例を診療できる専門医(3)1年以上の長期研修を受け重症例、難治例を診療できる高度専門医-の3つの水準に分類。初診は(1)の医師で対応し、重度になるにつれて専門性の高い(2)や(3)の医師が診療するということです。
         初診を(1)の医師で対応するというのが気になります。やっとの思いで医療につながったご家族や当事者が、その入り口で不愉快な対応を受けたり、誤診され要らぬ投薬治療を長期に続けた後に別の診断名をもらうというケースが多いからです。段階的に対応できる医師を養成することの必要性は言うまでもありませんが、やはり、初診は「重症例、難治例」を見分ける力量のある医師であることが望ましいと思います。また、小児科や児童精神科の医師の養成とあわせて、ご家族や当事者のメンタル面でのケアにあたる援助者(カウンセラーやソーシャルワーカーなど相談できる第三者)の養成と連携強化も必要です。

        ●小中と養護学校の教職員、給与の国庫負担一本化へ
         文部科学省は、小中学校など、義務教育を担う各学校の中で養護学校だけが別制度となっている教職員給与の国の負担金(義務教育費国庫負担制度)を一本化する方針を決め、通常国会に関連する法律の改正案を提出する方向です。
         これによって、負担金交付までの国や都道府県の事務手続きが簡略化されるほか、地方にとっては教職員配置の自由度が高まります。4月から実施する予定だそうです。
         養護学校の場合、肢体不自由児以外に長期療養中の児童生徒や注意欠陥・多動性障害(AD/HD)など発達障害のある子どもたちも受け入れる場合があり、教職員配置に柔軟性が求められます。
         ところが、小中学校などの教職員給与費が義務教育費国庫負担法などを根拠にしているのに対し、養護学校だけは、校舎建設に対する国の補助などを定めた「公立養護学校整備特別措置法」が根拠法で、両者は共に教職員給与の半額を国が負担することを定めていて、実質は同じですが、法律上は別の制度となっています。
         この結果、例えば少人数学級実施のため小学校に配置された教員を養護学校の発達障害児支援に充てることはできないのが現状です。一本化すれば、こうしたことも都道府県の裁量で可能になるそうです。
         都道府県の「裁量」は知事の意志に、学校での「裁量」は校長の意志に寄るものです。子どもたちの育ちや学びに関わる組織の長は、一人ひとりの子どもたちにとって最善の利益が得られる環境づくりをどうすすめるべきか、関連機関や民間援助団体、研究者・医師などの個人、そして何よりも家庭との連携をすすめながら、現状ニーズに応じた施策を大胆に取り組んで行って欲しいと思います。

        生活保護費の基準額(最低生活費)の引き下げについて
        2006/01/11
        11日、厚生労働省は生活保護費の基準額(最低生活費)の引き下げを検討する方針を固めました。地域によっては基準額が基礎年金額を上回り、与党や自治体から「基準額が高すぎる」という指摘が出ているのを受けた措置で、生活保護費全体の抑制につなげる狙いもあるようです。三位一体改革に絡んで進めてきた地方団体との協議を再開するとともに、専門家による検討会も設置し、基準額の見直し議論が進められていきます。
         生活保護費の受給世帯数は04年に初めて100万世帯を突破。03年度の保護費総額は2兆3,881億円で、90年に比べて約8割の増。全受給世帯のうち高齢者世帯が半数を占め、今後も増加が見込まれています。
         生活保護費のうち、食費や光熱費など生活扶助の基準額は、居住地によって細かく規定されています。たとえば、単身の65歳の場合、郡部では月額6万2,640円ですが、県庁所在地は7万3,540円、東京23区では8万820円。家賃などを負担していれば、1万3,000円を限度に住宅扶助が加算されます。
         これに対し、05年度の基礎年金額は、40年加入した満額受給者でも月額6万6,207円で都市部では生活扶助の基準額を下回ります。こうした状況を問題視する与党などからは「基礎年金より高い保護費をもらうのはおかしい」との意見が相次いでいて、全国知事会と全国市長会は昨年11月、国に対して基準額の見直しを求めていました。このため、厚労省は見直しに着手する方向となりましたが、公的年金が他の収入や資産の有無に関係なく保険料納付実績に基づいて支給されるのに対し、生活保護は最低の生活を保障することが目的で資産調査を伴います。省内には「生活保護と公的年金は性格の異なるもので、単純に比較すべきでない」との考えも根強く、今後の議論ではこうした点をどう整理するかが焦点になるとみられています。
         年金と生活保護費は制度の目的や確立経過が異なります。「受給額」の多少だけを問題にした論議は財政上の表面的な見方でしかなく、年金問題の本質的課題や生活保護受給に至る社会経済的背景の検討・議論がないがしろにされると思います。

        ●始業式の朝、佐世保の中2男子自殺=今年度、県内中高生で8人目(長崎)
         10日午前7時15分ごろ、長崎県佐世保市の市立中学2年の男子生徒が自宅の自分の部屋で死亡しているのを、母親が見つけ江迎署に通報しました。この日は3学期の始業式。同署は自殺とみて動機などを調べています。県内では今年度これまでに、中学生が2人、高校生が5人自殺しています。
         この自殺を受けて10日、生徒が通う学校の校長と鶴崎耕一・市教育長が会見、「命の大切さを繰り返し生徒たちに訴えてきた。亡くなった子も『自殺は周りの人を悲しませる』という趣旨の感想文を書き、思いが届いていると思っていた。でも、本当は届いていなかったのだろうか」と、14歳の生徒が自ら命を絶ったことに、校長は声を震わせたそうです。
         学校によると、生徒が感想文を書いたのは昨年10月5日。同校のPTA会長が交通事故から生還した身内の体験を語り、全校生徒が感想文を書いた。昨年7~10月に県内で7件相次いで発生した自殺に対し、県教委が「命を大切にする教育」の大切さを訴える中、生徒も命の重みをつづりながら、なお死を選んだ結果となりました。
         市役所で会見した校長は「本人に悩みがあり、そのことを私たちが察知できなかったとしたら、申し訳ない」、鶴崎教育長は「『命が大切』であることは『あなた自身が大切』ということと表裏一体と伝えることが必要だ。思春期で心の揺れがあったとしても、バランスを大きく欠いて(自殺して)しまうのはどういうことなのか。もう一度我々も考えなければいけない」と語りました。
         学校はこの日、実力テストを延期し、緊急の全校集会を開いた。校長は生徒の死を伝えたうえで「悩みがあったら、友達、お父さん、お母さん、先生に教えて」と訴えたといいます。
         文部科学省によると、中学生の自殺者は04年度、全国で30人。動機は・家庭事情16.7%・学校問題13.3%・厭世13.3%で、理由不明など「その他」が56.7%としています。県教委によると、04年度は、中高生とも県内の自殺者はゼロだったそうです。
         警察庁が発表する自殺者の同年代の数値は、文科省発表の4倍位になっています。事故や病気として多くの自殺事案が処理されています。それにしても0件から8件に急増した長崎での中高生の自殺。その背景にあるものを、教育行政担当者はとことん追究し、問題解決をはかるべきです。

        ●運営継続へ支援を/舞鶴の不登校児童・生徒の民間施設
         京都府舞鶴市上安にある不登校児童・生徒の民間教育施設「聖母の小さな学校」の「支える会」が、運営資金の寄付を広く呼びかけています。新年度から、主な支援先からの資金提供が受けられなくなるためで、「学校が存続すれば、立ち直る子が1人、また1人と出る」と支援を訴えている。
         同校は元高校教師の梅澤秀明さん(51)と良子さん(57)夫妻が「困難を抱える子どもに徹底的にかかわる教育をしよう」と89年に設立しました。個々に応じて教科や手話などの体験学習を実施。この16年間で約200人の子どもが卒業し、昨年は、府教委の「不登校学習プログラム」の共同開発施設にも選ばれています。
         しかし運営面は、個人経営のため厳しい状態が続いています。平均10人弱の在籍生から1日1,000円の指導料を受け取るが、通学が月に数回の子もおり、年間運営費450万円の約3分の1にしかなりません。そのため赤字分は、梅澤さん夫妻が生活費から出すほか、主に、夫妻が以前勤めた高校の運営母体だった宗教法人「聖母訪問会」(神奈川県鎌倉市)が必要に応じて補てんしてきましたた。しかし同会もメンバーの高齢化などで経営が厳しく、学校敷地と建物の無償貸与は続けるが、資金援助を中止することになりました。
         卒業生の保護者らも「支える会」を新たに結成し、各方面に寄付を呼びかけていますが目標には大幅に足りない状況。川崎弘会長(60)は「先生は1人の子が立ち直るために、身を削って努力している。学校を1人でも多くの人に知ってほしい」と話しています。
         寄付は一口1,000円。郵便振替で「聖母の小さな学校を支える会」の口座=00980-1-162920=へ。問い合わせは同校TEL.0773(77)0579まで。
         私も個人的にご夫妻と面識があります。京都府北部における拠点的フリースクールであるだけに、何としても存続させて頂きたいと思います。

        ●軽度発達障害者/支援体制の構築急務(島根)
         島根県は発達障害者支援法の施行を受けて、06年度に「支援センター」設置を準備するなどようやく支援に乗り出しました。
         文部科学省の調べでは、通常学級で知的発達に遅れはないが学習面や行動面で著しい困難を示すと担任教師が回答した児童生徒の割合は6.3%。中国地方5県で支援センターが設置されていないのは島根だけで、専門家不足や対応の遅さが指摘されています。障害に対する正しい知識の伝達と、患者が自立するための援助機関の創設・支援が、早急に求められています。
         「あの子たちの行き場が社会にはない。相談できる所すらないのが現状」。軽度発達障害の長男(23)を持つ出雲市の主婦、岡田誠子さん(51)は打ち明けます。長男は知的な遅れはないが、幼いころから落ち着きがなく、集団生活が出来なかった。学校でも次第に孤立するようになり、中学では不登校に。卒業後から現在まで就職もできず家で生活しています。
         外見は普通の成人男性。しかし軍手を手にはめないと物が触れないなど強いこだわりをいくつか持ち、行動がぎこちないため、街を歩けば警察官にたびたび職務質問を受ける。「障害を警察に説明しても、普通に見えるため理解されない。本人も歩いているだけで職質され、理由が分からないのでかっとなり何度もトラブルが起きました」。警察には「こういう子は外に出すな!」と怒鳴られたこともあった。障害が理解されない現状。「それでも最終的に、彼に自立してほしいという思いは捨てきれません…」
         岡田さんは軽度発達障害の子どもを持つ親の会「紫陽花倶楽部」代表を務めます。会員は保護者ら約70人。月に数回集まり、学集会や情報交換をしています。「地域に発達障害の知識がない」「就労する場所がない」。昨年12月に出雲市内で開かれた会では、母親たちがやり場のない悩みを吐露しました。ある母親は「理解のなさが子ども同士のいじめを誘発している状況もある。悔しいです」と目に涙を浮かべたそうです。
         20年間、自閉症児の療育に携わり、現在は出雲市平田町で軽度発達障害や自閉症の子どもたちの療育支援をしている佐藤比登美医師(62)は「ここ2年間、子どもから大人まで軽度発達障害を訴えて来る患者が急増したが、まだまだ県内での認知度は低い」と理解不足に危機感を募らせます。佐藤医師が昨年行った講演会には、教師や保護者160人が参加し、関心の高さをうかがわせました。「軽度発達障害児には、幼児期からのコミュニケーション技術の訓練など適切な対応こそ効果を生む。大切なのは日常生活。子どもの将来を考え、学校、家庭、専門家が連携して日常生活の中で個別に社会的スキル(技術)など必要な援助をしていくことが大切」と話しています。
         就学中の児童生徒の相談・指導には、県教育センター(松江市)の特別支援教育セクションが取り組んでいます。発達障害の相談件数は01年以降急増傾向で、05年度10月末現在でもすでに延べ1,083件の相談がありました。
         相談の大半は小学生が教師の勧めで相談に来るケースですが、最近では不登校や非行と絡んだ高校からの相談も多いようです。同センター職員の長沢幸子さん(51)は「対人関係の不器用さや集中力がないのを『怠けている』と考えるなど間違った対応が、結果的に子どもの自信を失わせてしまい、学校に来ることすらできなくなるような2次障害を引き起こしている」と話します。ここでは相談者に訓練を含めたグループセラピーを行っているが、相談件数の増加から十分な対応ができていないのが現状といいます。
         長沢さんは「それでも義務教育期間中は誰かがみている。でも問題はその後の社会に、ケア体制が整っていないこと。早急な支援体制の構築が課題です」と指摘しています。
        新年明けましておめでとうございます。
        2006/01/08
        新年明けましておめでとうございます。相談室を開設して初めての年明けです。今年も、「つぶやき」では、不登校やひきこもり、発達障害などについての全国のさまざまな情報を紹介しながら、私の考えも少しだけ添えさせていただきたいと思っています。今年もよろしくお願いします。

        不登校の陰に起立性調節障害/神戸の女性HPで呼びかけ

         神戸市北区のパート塩島玲子さん(45)がホームページを開設し、息子の不登校の体験などをつづっています。朝起きると頭が痛み、めまいがする―「起立性調節障害(OD)」が不登校の原因にもなることの理解を広めようされています。
         ODは、自律神経失調症の一つで、寝起き直後などに血圧が正常に上がらず、気分が悪くなったりし、主に成長期の子どもにみられるといいます。
         塩島さんの長男正悟君(16)は中学2年の2学期、始業式の朝に登校したものの学校に行かずに帰宅。つらそうな顔で「しんどい」とこぼし、その日から卒業まで不登校が続きました。
         朝は頭痛や嘔吐(おうと)を繰り返すが、血圧が戻る午後には元気に。塩島さんは最初、「怠けているだけ」と疑い、「不登校児の親」と言われる不安などから学校に行くようにと叱りつけたそうです。正悟君はその後、病院でODと診断されました。
         ある時、悩みを打ち明けた友人に「どんなことしても、あんたの子やん」と言われ、次第に不登校を受け入れようと思うようになっっていきます。「認めることができないと、親も子も余計につらくなる」
         その思いを同じ立場の親や教師にも伝えようと、一昨年11月、HPを開設。体験を載せると、「私の子も不登校です」と打ち明ける書き込みが相次いだそうです。成績や進学、将来の不安…。同じように悩み、互いに励ましあう。ある親は「(子どもが)不登校になったことで本当にたくさんの大切なことに向き合うことができた」と書き込んでいます。
         現在、高校1年の正悟君は毎朝学校に通学。HPの表紙には塩島さんのこんなメッセージが添えられています。「ゆっくりあるこうよ」
        http://plaza.rakuten.co.jp/eikichi55/

        ●出生率過去最低を更新、1.26前後に

         05年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が1.26前後に落ち込み、過去最低となることが28日、明らかになりました。厚生労働省が先に発表した人口動態統計(年間推計)の分析で判明したもので、これまで最低だった03、04年の1.29を大きく下回ります。
         この統計では、05年に初めて死亡数が出生数を上回る「自然減」となったことがわかりましたが、その根本原因である少子化が、予想以上の速さで進展していることが明確になりました。
         人口動態統計によると、05年の出生数は106万7,000人で、前年より4万4,000人減少。合計特殊出生率が前年比で0.08ポイントの大幅減となった95年の5万1,000人減以来の下げ幅です。
         厚労省は正確な出生率を06年5~6月に発表する予定ですが、「1.26前後まで低下が見込まれ、さらに落ち込む可能性もある」と見ています。
         国立社会保障・人口問題研究所は02年に公表した中位推計で、「00年の1.36から07年に1.306まで低下するが、下げ止まり、35年ごろから1.387で安定的に推移する」としていました。
         内閣府によると、先進国の03年の合計特殊出生率は、アメリカ2.04、フランス1.89、ドイツ1.34、イタリア1.29など。日本は各国の中で、特に低下のペースが速くなっています。

        ●中学「別室指導は見せしめ」…保護者ら人権救済訴え
         兵庫県川西市立東谷中学校(同市見野、岡田良仁校長)が、教諭に従わない生徒らを「別室指導」としてクラスから一定期間“隔離”し、個別指導していたことがわかりました。市設置の第三者機関「川西市子どもの権利オンブズパーソン」が「生徒の権利が十分保障されていない」と是正を勧告したが、同中学は「授業を円滑に進めるためのやむを得ない対応」と、続けていました。この指導を受けた男子生徒の保護者らから「見せしめ、懲罰的だ」との声が上がり、兵庫県弁護士会に人権救済を申し立てる事態になっています。
         市教委や岡田校長などによると、同中学が別室指導を始めたのは今春。授業態度を注意した教諭に反抗したり、暴言を吐いたりした生徒に対し「他の生徒の妨げになるため、本人を落ち着かせる」との目的で、5日間、別の教室に移し、教諭と1対1でプリント学習をさせました。1日目は1時間だけでしたが、以降は毎日1時間ずつ延長。遅刻などがあれば5日以上続けて行うこともあったといいます。
         生徒の一人から人権救済の申し立てを受けたオンブズパーソンは8月、「『秩序を守るため』という目的は、教育を受ける権利を制限する正当な理由とはいえず、生徒に積極的な授業妨害もみられない」などとして中学側に是正勧告をしました。
         市教委も「別室指導は必要な場合もあるが、あらかじめ期限を決めるのは不適切」とし、口頭で指導していましたが、同中学は9月末、別の生徒に5日間の別室指導を行っていました。
         この生徒ら6人の保護者は11月、「平手打ちされた」などの体罰も訴えて市教委に改善を求める一方、同弁護士会に人権救済を申し立てました。代理人の櫛田寛一弁護士は「学校側が問題生徒を頭から抑えにかかる異常な状況だ」と指摘しています。
         岡田校長は「板書中の教諭に物を投げつけた生徒もおり、社会常識を身につけさせるためにも個別で指導している。見せしめという思いは一切ない。理解が得られるよう生徒や保護者と粘り強く話し合っていくしかない」と話しています。
        〈孤立化させる恐れ〉
         影山昇・東京海洋大名誉教授(学校教育学)の話:「別室指導は、その生徒を孤立化させてしまう恐れがあり、人権問題と言われても仕方がない。同じ教室の中で問題解決を図るべきだ」
        〈やむなしの場合も〉
         元中学校教諭で「学校崩壊」の著書がある河上亮一さんの話「少数生徒の行動で教室全体が混乱しているなら別室指導もやむを得ない場合があるかも知れない。学校は教室の状況と、他の生徒への影響を保護者らにしっかり説明し、ともに対応を考えるべきだ」

         理由もなく授業中に教師に暴言をはいたり物を投げるなどの授業妨害をする生徒はいません。そうした行為に及んだ生徒の気持ちに寄り添った指導こそが求められるのであり、「授業を円滑に進めるため」として、その生徒を隔離することで問題解決を図ろうとする思考は、学校管理という「権威」を利用して事態の表面的な沈静化をはかったものと言わざるを得ません。荒れる子どもの声を、誰か大人は聴いたのでしょうか?

        ●宮城県教委がフリースクールと連携-不登校問題解決へ
         宮城県教委は新年度、児童生徒の不登校対策の一環として、民間フリースクールとの共同事業の検討をスタートさせます。県教委や学校関係者、フリースクール代表らを委員とする連絡会議を設置。不登校の子どもの学校復帰を支援するモデル事業について協議し、07年度以降に展開したい考えです。
         不登校の生徒らが通う民間フリースクールは現在、県内に約20カ所ありますが、市町村教委や学校と連携している施設はほとんどないそうです。子どもの学校復帰を目的としている施設もあり、県教委はそうした施設の代表らに連絡会議への参加を呼び掛ける方針だそうです。
         協議では、公立学校の教師とフリースクールの指導者との情報共有、学校以外での学習指導、カウンセリングの方法などについて検討。モデル事業計画を策定するとしています。
         県教委は93年度から、不登校の児童生徒支援施設「けやき教室」を県内8カ所に設置。年間約60人の小中学生が通い学習指導などを受けているが、学校復帰できる子どもは少なく、04年度は15人にとどまっています。「民間の力も借りながら、一人でも多くの学校復帰を目指したい」(義務教育課)として、フリースクールとの連絡会議設置を決めたものです。
         04年度の県内の不登校児童生徒数は、小学校が397人、中学校が2,015人。ピーク時の00年度ごろよりやや減ったが「ほぼ横ばいで推移しており、本格的な減少傾向になったとは言えない」(同課)。県教委は、これまで展開してきた相談受付事業やカウンセラー派遣事業なども継続し、不登校問題の改善を図るとしています。
         「連携」とうたいつつも、前提が「学校復帰」では、「連携」の幅が狭まります。「けやき教室」を子どもたちが「選択」しなくなっていった事実から学んでほしいと思います。

        ●県医療費助成、7歳未満まで対象拡大/都道府県でトップ水準に(徳島県飯泉知事)
         飯泉嘉門知事は4日の記者会見で、6歳未満の通院と3歳未満の入院を対象としている県の乳幼児医療費助成制度を、入院・通院ともに7歳未満まで対象拡大する方針を明らかにしました。制度拡充が実現すれば、都道府県としては全国トップ水準となります。
         同制度は、事業主体の市町村と県が事業費の半分ずつ負担する内容で、県内の全35市町村が同制度を活用し、乳幼児医療無料化の制度を設けています。県が検討しているのは、対象年齢を7歳の誕生日前日とする内容。対象拡大に際して、「就学前」も検討されましたが、就学時には学用品の準備など、保護者の負担が膨らむうえ、子どもが生まれた時期によって不公平感もあることから、「7歳の誕生日前日」とすることにしたそうです。必要な事業費は新年度の当初予算案に盛り込む方向で準備を進めています。
         一方、財政がひっ迫しているうえ、現行制度でも保護者の所得制限を設けている市町村が多いことなどから、所得制限のほか保護者の一部自己負担なども検討されています。
        ◇発達障害総合支援ゾーンの整備も-徳島赤十字病院跡地
         また、飯泉知事は会見で、新築移転後の徳島赤十字病院跡地(小松島市中田町)を中心とした地域に、発達障害者やその家族に対する相談や発達支援などにあたる「発達障害者支援センター」などからなる「発達障害総合支援ゾーン」を整備する方針も表明しました。
         病院北側にある県立ひのみね養護学校には、高校段階の生徒に社会的・職業的自立に向けた教育を行う「高等養護部門」を新設する方針で、07年度中の用地取得を目指すそうです。
         知事権限はとても大きなものがあります。いずこも財政ひっ迫を理由に、福祉や医療、教育などから予算を削ることに躍起ですが、こうした自治体が存在することに勇気を与えられます。
        自転車がなぜ車道の右側を走るのか?
        2006/01/06
        車を運転していて驚くことは多々あります。「それはないやろ…」と突っ込みたくなる光景を日に何度も体験します。中でも目に付くのが自転車のマナー違反運転です。
         マナー違反ですんでいる間はまだ良い(良くないか)のですが、一つ間違えれば「あんた、命落とすよ!」と言いたい行動の多いことと言ったら…。
         特に恐いのが、車道の右側を走る自転車です。狭く歩道が無かったり路側帯が整備されていない旧街道や町中なら、運転する側も用心してスピードを緩めて運転する方が多いと思いますが、自転車が通れるように道路の両側に歩道が整備されているのに、わざわざ車道の右側を突っ走る自転車と対面すると、驚きを越えて怒りの感情も沸いてきます。それが夜、無灯火ならなおさらです。センターラインを走る自転車を見たこともあります。自転車は「車両」であり、道路の左側を走ることは、義務教育の中の安全教室などで学ぶ機会があるはずです。
         では、なぜ車道右側を自転車で走るのでしょうか? 「車両は左」を知らない、右側に目的地がある、信号を待てずにとりあえず右側を走り出した、…。理由はさまざまなのでしょうが、対面で通過する車とのすれ違いに危険を感じない、としたら、問題です。「車がよけてくれる」という思いこみを持っているのでしょうが、いつもその通りになるとは限りません。危険を察知する能力は失いたくないものです。
         交通マナーについて「思うこと」を書いていくと切りがないので、次回は「発達課題としての喜怒哀楽の感情体験」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        自殺予防教育を本格化、月内にも研究会(文科省)

         年間の自殺者が98年から8年連続で3万人を超えるなか、文部科学省は、児童・生徒の自殺を防ぐため、専門家による研究会を今月中にも設置することを決めた。今年度末をめどに課題と対策などをまとめ、学校での取り組みに生かす考えだ。これまで公立校に限って実施してきた自殺実態調査も、07年度からは私立、国立も対象に含める方針だ。
         自殺対策を国や自治体の責務と規定した「自殺対策基本法」が6月に成立したこともあり、本格的に取り組む必要があると文科省が判断した。
         研究会は、自殺問題を研究している精神科や臨床心理などの専門家や、中学、高校の教諭、学校カウンセラーら15人前後でつくる。小中高校生の自殺の特徴や傾向、自殺の予兆と思われるような行動などを分析し、教職員が見逃さずに対処するにはどうしたらいいかという調査・研究に取り組む見通し。
         さらに、生徒・児童に対する自殺防止教育や、家庭との連携も検討課題にする予定だ。
         文科省によると、04年度の公立の小中高校生の自殺者は計125人。一方、年度ではなく、暦年でまとめている警察庁の調査では、小中高校生の自殺者は04年、計284人にのぼる。文科省は約30年前から、児童・生徒の問題行動や生徒指導上の問題を把握する調査の一環として、自殺者数とその原因を調べてきたが、基本法の成立を受けて、より詳細な実態把握に乗り出すことにした。
         文科省は「これまで自殺に焦点を絞った教育はしてこなかった。研究会での成果を学校現場に伝え、児童・生徒の自殺防止に役立てたい」と話している。
         「青少年の自殺予防対策」について調べたことがある大分県立看護科学大の影山隆之教授(精神保健学)によると、一部の県を除き、学校で「自殺予防」の教育に取り組んでいる例は極めて少ないという。
        asahi.com2006年08月03日06時06分
        【コメント】文科省発表の小中高校生の自殺者は計125人に対し、警察庁の調査では284人。ここに、学校や教育委員会による「隠蔽体質」と自浄能力の欠如の一端を見ることができます。人の死から何を受け止め、学ぶのかは、残された者に課せられた課題です。

        ●<家庭教育>日本の父が子供と一緒の時間は6カ国中5番目
         日本の父親が平日に子どもと過ごす平均時間は3.1時間で、タイや米国など6カ国のうち韓国に次いで低いことが、国立女性教育会館の実施した「家庭教育に関する国際比較調査」で分かった。母親は7.6時間と6カ国中最長で、子どもとの接触時間の父母の差は4.5時間で最大。食事の世話をする父親の割合も10.1%で各国中最も低く、家事や育児が母親に偏りがちな傾向が鮮明に浮かんだ。
         調査は12歳以下の子どもと同居する日本、韓国、タイ、米国、フランス、スウェーデン各国の親約1000人ずつを対象に昨年3~6月に面接して行った。
         日本女性学習財団がほぼ同じ内容について94年に実施した調査(フランスの代わりに英国が対象)では、日本の父親が平日に子どもと過ごす時間は3.3時間で6カ国中最低で、今回さらに0.2時間減った。韓国が今回2.8時間だったため最下位は免れたが、5.9時間と最も長いタイのほぼ半分程度だ。
         94年に比べ、「子どもと接する時間が短い」と悩む父親は27.6%から41.3%に増えており、同会館は「子どもにもっと接したいのにできないという意識の表れ」と受け止めている。
         また、子どもを狙った犯罪の続発や生活苦を反映してか、子育ての悩みや問題点として「子どもの身の安全」を挙げる親が33.8%から46.9%に増加。経済的援助を求める親も31.0%から48.5%に増えた。
         しつけの面では5歳で「行儀よく食事ができる」割合が日本69.3%、韓国70.8%で、9割前後の他の4カ国に及ばなかった。「日常のあいさつができる」割合も日本は83.0%で最も低かった。15歳で「マナーを守ることができる」も9割台の各国に比べ日本は85.8%と最も低く、同会館は「全体的にしつけの達成度や子どもの自立が低い傾向が見られる」と分析している。
        (毎日新聞)8月1日21時33分更新
        【コメント】「しつけの達成度や子どもの自立の低さ」は、思春期の発達課題を越える上でマイナス要因となるようです。また、子ども期の「しつけ」は、その人の一生をも左右することにもなります。親が親として子どもに「しつけ」ができるのは思春期以前だと思いますので、家庭での豊かな関係性の中で「人として」のあり方を教えてあげられる時間的ゆとり、その工夫が求められます。

        ●<児童虐待>被害数128人と「最悪」 上半期・買春も増加
         今年上半期(1~6月)の児童虐待、児童買春事件の検挙件数が、いずれも統計を取り始めた00年以降で最も多くなったことが、警察庁のまとめで分かった。虐待による被害児童数も128人(前年同期比18.5%増)と「最悪」。今年2月には群馬県で25歳の父と28歳の母が長男(3)に対し、しつけと称して水風呂に約2時間つからせるなどの虐待を続け、死亡させる痛ましい事件も起きた。こうして死亡した児童は28人(同27.3%増)に上り、01年の31人に次いで多かった。また虐待死以外でも、殺人事件などで子どもたちが犠牲になる事件が目立っている。
         同庁によると、児童虐待事件の検挙件数は120件(同14.3%増)だった。被害児童128人の態様別では、▽暴行など身体的虐待92人▽わいせつ行為など性的虐待24人▽ネグレクト(育児放棄)12人だった。虐待で死亡した被害児童28人の内訳は、▽殺人の犠牲17人▽傷害致死8人▽保護責任者遺棄致死3人だった。
         また、児童買春事件の検挙件数は861件(同16.5%増)で、検挙人数は609人(同21.8%増)だった。児童ポルノ事件の検挙件数は226件(同37.8%増)、検挙人数は144人(同41.2%増)になり、いずれも00年以降で最悪になった。
         児童買春の被害にあった児童は750人(同8.4%増)で、児童ポルノの被害者は83人(同8.8%減)だった。
         一方、13歳未満の少年が被害者になる刑法犯の認知件数は1万4467件(同4.4%減)だったが、3月に神奈川県で起きた男児(9)投げ落とし事件や5月の秋田県の男児(7)殺害事件などの凶悪事件が多発、被害件数はほぼ横ばいの99件に上った。
         逆に、刑法犯として検挙された少年は5万96人(同14.7%減)と減少。しかし、検挙された少年の再犯率は31.0%(同2.1ポイント増)で、89年以降で最も高くなった。
        (毎日新聞)-8月3日11時11分更新
        【コメント】「しつけ」に名を借りた虐待は、親の勝手な子どもへの強制と暴力以外なにものでもありません。「子どもの権利条約」に基づく国連子どもの権利委員会から日本国政府への「勧告」を、私たちは素直に正面から受け止めなければなりません。

        ●障害児施設で自立支援法施行に伴う増額分助成(横浜市)
         障害者自立支援法施行に伴い、10月から障害児施設利用料の1割が自己負担となるのを受け、横浜市は2日、制度改正に伴う増額分を助成する独自の負担軽減策を講じると発表した。市によると、現行の負担額を維持する軽減策は政令市で初めて。
         障害児施設を利用する子どもが市内に約900人いるといい、負担増で施設利用をあきらめるなどして、障害児のいる家庭の子育て環境が悪化するの防ぐのが狙い。本年度の経過措置として実施し、助成額は計約8700万円。
         中田宏市長は軽減策について「国の乱暴な制度改正に対し、できることをやっていく」とする一方、「地方が国の尻ぬぐいをしている感が否めない」として、国の責任で速やかに負担軽減策を講じるよう求める考え。
        山陽新聞(8月2日20時26分)
        【コメント】こうした行政による独自の「救済」制度が全国的に取り組まれることを望みます。

        ●『自立支援法』に異議あり、精神障害者らが冊子出版(さいたま市)
         障害者サービスの費用の一割を原則利用者負担とすることなどを定めた障害者自立支援法について、県内の精神障害者や支援施設の職員らが「これでいいのか障害者自立支援法」と題した冊子三冊にまとめ、緊急出版した。負担の増大などで障害者が必要なサービスを受けられなくなる可能性など、現場からの危機感を訴えている。
         冊子を出版したのは、さいたま市内で精神障害者の作業所やグループホームを運営する社団法人「やどかりの里」の利用者や職員でつくる編集委員会。冊子の第一部では精神障害者自らが法律の仕組みや暮らしへの影響をQ&A方式でまとめ、二部と三部では施設職員らが法律の課題を指摘している。
         同法は身体障害、知的障害、精神障害と種別ごとに異なる法律で定められてきた福祉サービスや公的医療を一元化して提供することを目的に四月に施行した。障害者は自治体による障害程度区分の認定調査を経て、受けられるサービスが決まる。同冊子ではサービス利用時に一割負担を求める「応益負担」の考え方は重度の障害者ほど負担が増すとし「国の財政難に端を発した障害者支援抑制の法律」と非難する。
         編集メンバーの一人で統合失調症を患う堀澄清さん(69)は「精神障害は一日の間に症状が変化する。認定調査で非該当とされれば、障害者が必要なサービスを受けられないケースも出てくる」と心配する。作業所などの労働支援施設の利用も負担の対象となることについても、「一般の人が働いて利用料を取られることはない。障害者を人間として扱わない法律だ」と憤る。
         冊子は一冊九百円(二部のみ千円)。さいたま市に独自の負担軽減策を講じるよう求める請願活動も行っている。問い合わせはやどかり出版=電048(680)1891=へ。
        (東京新聞)2006/7/31

        ●<教師体罰>中学生徒、ショックで授業出られず(長崎市)
         長崎市立片淵中学で、バレーボール部員の3年男子生徒が、顧問の男性教諭(43)の体罰で精神的ショックを受け、部活動ができず、教諭が担当する体育の授業にも出席できなくなった。峯脇成彬校長は「体罰ではなく、行き過ぎた指導だった。生徒と親には謝罪した」と説明するが、生徒は「殺されるかと思った」と話している。教諭は今年1月に別の生徒にけがをさせたとして傷害容疑で書類送検され、市教委は文書訓告にする方針だった。
         学校の説明によると、生徒は6月16日、給食室で下級生や女性教諭を「イケメン」などと冷やかしたという。女性教諭がたしなめ、バレー部の顧問教諭に伝えた。教諭は昼休みの練習中、生徒に「そんなことをしてはつまらんやろ」と言って首をつかんで押した。
         生徒は、6月下旬から学校を休んだり遅刻するようになってバレーの練習にも参加しなくなった。7月に入ってからは体育の授業にも出ずに保健室などにいた。
         教諭は謝罪したが、生徒や親は「首は断続的に3、4回数秒ずつ押されて持ち上げられ、息が出来なくなった。本当に殺されると思った」と話している。生徒側によると、昨年から何度も殴られ、口を切って食事ができないこともあった。
         教諭は今年1月、当時3年の男子生徒をたたいて目にけがをさせたとして傷害容疑で長崎区検に書類送検された。区検は6月30日付で起訴猶予処分としていた。
         市教委は教諭の処分について「検察の処分を見て対応することにしていた。教諭の指導は学校に任せていた」と話している。
        (毎日新聞)-8月5日3時7分更新
        【コメント】長崎県では、なぜかくも子どもたちに関する悲しい出来事が続くのでしょうか。

        ●アルコール依存症家族にミーティング(京都市)
         京都市は、アルコール依存症に悩んでいる家族を対象にしたミーティングをこころの健康増進センター(中京区壬生東高田町)で開いている。共通の悩みを語り合い、解決策を探ろうという取り組みで、毎月2回開催している。
         専門医の講義やビデオで学習した後、参加者が体験談を語り合う。依存症になった家族との日常生活や日ごろ感じていることなどを話すことによって、「参加者の同じ思いに安心感を持ち、元気になって帰る人も多い」(同センター)という。昨年度は計229人が参加した。
         開催は毎月第1、第3月曜日(祝日は除く)の午後1時半-3時半。無料。予約不要。同センターはアルコール相談専門の医師による「アルコール外来」も設けており、本人や家族の相談も行っている。
         問い合わせ・相談はいずれも同センター
        「花はたださく ただひたすらに」が「やくざの書くような言葉」?
        2004/12/26
        宿題の書き初めで、書家、詩人として著名な相田みつをさんの詩を書いたところ、中学の男性国語教諭(53)に「やくざの書くような言葉だ」などとばかにされ、これが原因で卒業文集にもほおに傷のある似顔絵を描かれたとして、横浜市立中学の元女子生徒が市に慰謝料など350万円の支払いを求めた訴訟で、横浜地裁の河辺義典裁判長は24日、教諭らの責任を認め、市に計25万円の支払いを命じました。元生徒は別の男性教諭(46)から部活動中に腰をけられており、支払額はこの賠償5万円を含むそうです。
         判決によると、元生徒は3年生だった01年1月、「花はたださく ただひたすらに」と書いた書き初めを、国語の授業に提出。相田みつをさんの詩ですが、国語教諭はこの詩を知らず、ほおに指を当てて(傷跡を)なぞる仕草をして「こういう人たちが書くような言葉だね」と発言。同級生は笑い、元生徒は「やくざ」などとからかわれるようになったと言います。
         その後、生徒たちが卒業文集で互いの10年後を想像した似顔絵を描き合った際、元生徒は、ほおに傷がある絵を描かれ、担任の女性教諭(38)は、絵を見ていながら修正せずに文集を配布。学校はその後、元生徒の母親の抗議で文集を回収し、印刷し直した文集を配り直したそうです。
         判決は教諭の発言を「(発言で)嫌がらせを受けるのは当然予想され、不適切で軽率」と批判。似顔絵についても「(担任が)訂正の必要性を認識すべきだった」としています。
         今年も数多くの教師の不祥事報道がありました。このように、訴訟によってその非が明らかにされるケースはごくわずかなのでしょうね。それにしても、この子が受けた精神的苦痛に対する慰謝料がわずか20万円というのも驚きです。無知と無配慮から発せられた教師の言葉に端を発した同級生のからかい、卒業文集でもその意味をわかっていながらほおに傷のある絵をそのまま配布された本人、家族にとって、生涯忘れられない苦痛を学校において受けたことの結論が20万円、蹴られた分が5万円の賠償ですから……。
        教育基本法「改正」を批判「もっと国民的議論を」-毎日新聞社講演会
         24日、福岡市の中央市民センターで、教育基本法について考える講演会「教育基本法の改正は必要か~イブの夜、子どもの未来を考えよう~」(毎日新聞社主催)が開催されました。毎日新聞論説副委員長・瀬戸純一が講演し、「憲法改正の動きと重ねてみると教育基本法改正の意図が透けて見える」と「改正」の動きを批判しました。
         瀬戸論説副委員長は「改正推進派はその理由に教育の荒廃を挙げているが、教育基本法に特定の言葉があったりなかったりするから教育の荒廃が起きているのか。法律に書けば、どうにかなるというものではない」と指摘。「国旗国歌法が成立した時も『強制するものにはならない』としながら、結局は東京都などで生徒の不起立による教師の処分が起こっている。かなり警戒していかなければならない」と訴えました。
         その後、少年問題に詳しい八尋八郎弁護士と瀬戸論説副委員長が対談。八尋弁護士は「基本法の『改正』問題についてもっと国民的な議論があってもいいはずだが、関心が薄いように感じる」と問題提起し、瀬戸論説副委員長は「自分の子どものことだけを考えるのではなく、これからどういう社会にするのかを考えてほしい」と応えました。
         全国各地で教育基本法「改正」について考える取り組みが開催されていますが、それらのほとんどがマスコミ報道されることはありません。規模が小さい場合はともかく、一定規模の集会やシンポジウムなどでも取材は入りません。一方で、政府や関係省庁、与党の関連する、「改正」に肯定的な動きは克明に報道されます。これを「世論操作」と言うのでしょうか。テレビしか見ない人が増える昨今、与党側、経済的支配者層に有利な情報だけが、NHKを筆頭に映し出され、イラクへの派遣延長も、増税も、憲法・教基法などの「改正」も、なし崩し的にすすめられる下地がつくられていると思えて仕方ありません。私はNHKについては、「公共放送」の役割を果たしていないと考え、来年から受信料の支払いを拒否する決意をしました。

         今年もあと5日。仕事もしていないのに、放送・面接授業とボランティア(ひきこもりと不登校の家族会)を中心に動き回った一年でした。来年は、いよいよ相談室開設。平行して専門学校通信部で学習開始(以前は放送大学大学院の科目履修としていましたが、より実践的な学びを選択しました)します。05年が皆さんにとっても、新たな変化の年となりますことをお祈りします。次回更新は1月5日の予定です。では、よいお年を!

        児童生徒自殺11%増=小中高137人、「理由不明」と文科省
        2004/12/19
        17日、文部科学省がまとめた「生徒指導上の諸問題の現状」で、03年度に自殺した公立小中高の児童生徒は前年度比14人増の137人で、98年度以来、5年ぶりに増加したことがわかりました。児童生徒10万人当たりの割合は0.12ポイント増の1.03人。内訳は、小学生が2人増の5人、中学生が2人減の34人。高校生が14人増の98人。
         教育委員会が報告した自殺の原因別は、64%が理由が特定できないとして「その他」扱いとされたほかは父母の叱責など家庭事情が12%、精神障害9%、「世の中がいやになった」5%、進路など学校問題が4%など。インターネットを通じた集団自殺が含まれているかどうかは不明で、いじめが原因とされた自殺は5年間ゼロが続いていると言います。全国の公立小中高校児童生徒の自殺は5年ぶりの増加。過去10年では00年度(1.05人)に次いで4番目に高い水準。文科省は「自殺原因はいろいろあり、増加理由は不明」としながら、「道徳教育などの場で命を大切にする教育をさらに進める」としています。
         「いじめが原因とされた自殺は5年間ゼロが続いている」としていますが、64%が「その他」であることを考えても、それはありえないでしょう。今回のまとめがどんな資料をもとにしたものかはわかりませんが、他の理由が%表示されているところをみると、遺書の有無・内容から判断されていると思われます。いじめが原因の場合、遺書を残す場合もあれば、衝動的に自殺行為に及ぶ場合もありますし、実際に、いじめを苦にした内容の遺書を残してのいじめ自殺は後を絶ちません。この現実に眼を向けず、「64%が理由が特定できない」「自殺原因はいろいろあり、増加理由は不明」というのでは、学校教育の統轄官庁としての見解としては、あまりにもお粗末です。一件一件の自殺を各学校、教育委員会で真正面から受け止め、その子の心を思いやり、事実経過を明らかにしながら総括すべきは総括する、改善すべきは勇気をもって毅然と改善するという立場があってこそ、「命を大切にする教育をさらに進める」ことができると思います。

        文科省「ゆとり」転換、授業時間増を検討
         文部科学省は14日、小中学校などの授業時間を増やすため、標準授業時間の見直しの検討に着手したそうです。高校1年の読解力低下を示す今月7日の国際調査結果に続いて、小中学生の学力低下傾向を示す結果が出たのを受けての措置だそうです。実現すれば77年から減り続けていた授業時間が約30年ぶりに増加に転じることになり、文科省が推進してきた「ゆとり教育」の方針が、事実上、転換されることになります。省内には異論もあり、慎重に検討を進めているそうです。
         検討されているのは、平均的な基準だった標準授業時間を「最低限度」と位置づけを改め、各学校にそれを上回る授業時間を確保するよう促す案や、標準授業時間そのものを引き上げる案などで、学校現場に学力向上への意識を高めてもらう一方、近年の学力低下論の噴出で高まる公教育への不信感をぬぐいたいという狙いがあります。見直しの方向性がまとまり次第、文科省では年明けにも中央教育審議会に具体的な導入方法や時期などを審議するよう要請する方向です。
         標準授業時間は現在、小学校が6年間で計5,367時間、中学校が3年間で計2,940時間。高校も必要な単位数を取得するための時間数を規定しています。標準授業時間が最長だったのは、68年の学習指導要領改訂後の一定期間でした。「教育の現代化」に向けて各教科で新しい内容が盛り込まれ、中学校では3,360時間から3,535時間に拡大。小学校の授業も当時は5,821時間という長さでした。ところが授業についていけない子が問題になり、その反省から77年の改訂で、小中学校とも授業時間を削減。その後も、「ゆとり教育」や学校週5日制の実施で、標準授業時間は削られ続けてきました。
         小中学校では中3の受験期などを除き、標準を上回る授業時間を確保しているのが実態ですが、今後、授業時間を拡大する場合、長期休暇の一部や放課後を授業に充てるケースなども想定され、学校現場にも大きな影響が出そうです。
         2つの国際調査で相次いで学力低下の傾向が示されたことについて、中山文科相は「学校週5日制や学習指導要領の削減が、必ずしも望ましい結果になっていないと思う。その点を率直に認め、対策を講じる必要がある」と述べています。
         文部科学省の施策・スローガンは3年もたないようです。対処療法的に右に左に揺れ続け、数値合わせに奔走している姿が嘆かわしく見えますが、実際の被害者が子どもたちであることは許されませんし、学歴主義・学校化社会を大人たちが肯定し続けるという問題は、短期的視野での「改革」が意味をなさないことを示していると思います。
        ようするに勉強しなくなった(?!) 中川文科相。
        2004/12/12
        OECDの学習到達度調査の結果について中山成彬文部科学相は7日の記者会見で、「要するに勉強しなくなったんじゃないですか。低下傾向にあることをはっきり認識すべきだ」と述べ、世界トップレベルからの脱落を認めました。そればかりか、「もっと勉強しないと駄目だということを徹底しないといけない」と指摘。「日本が停滞している間に近隣諸国が追い上げてきて取り残されてしまう。東洋の老小国になってしまってはわれわれの子や孫たちに申し訳ない」と述べ、学力向上策に徹底的に取り組む姿勢を示し、「『僕は勉強したいから塾に行きたい』と子どもの方から親にお願いするぐらいでないといけない」と持論を展開したそうです。
         崩壊していく学歴主義の社会構造を見極める視点が欠落している方たちは、人間の発達でとても大切な「子ども期」を受験勉強で埋め尽くそうとします。それが、文部科学大臣とは…、情けなくもどかしいですね。
         OECD調査とは、経済協力開発機構(OECD)の03年学習到達度調査(PISA)のことで、今回調査で日本の15歳(高校1年生)の読解力低下をあらわにしました。読解力だけでなく、「1位グループ」(文部科学省)とされた数学的活用力でさえ「明らかに低下している」ととらえる教育関係者も少なくありません。試験と同時実施の意識調査からは、成績はよくても勉強への関心が低い生徒像や、生徒から当てにされない学校像も浮かび上がりました。
         上野健爾・京都大大学院理学研究科教授(数学)は「悲惨な結果だ。勉強の面白さを理解できなければ、知識が頭の中を通過するだけで、分数も分からない大学生を生むことになる。学習指導要領改訂で教科書が薄くなり、子どもの関心を呼び起こす内容が削られてしまったことも一因だ」と話しています。
         ◆低い学校への信頼、満足度
         授業で先生が支援してくれていると生徒はどれぐらいみているか―。生徒への意識調査結果を13カ国(欧米など主要7カ国と今回成績のよかった香港など)で比べると、日本は「(先生は)生徒一人ひとりの勉強に関心がある」「意見を発表する機会を与えてくれる」など数学教師による支援度を問う5項目のいずれでも、「いつもそうだ」と全面肯定する生徒の割合が平均より低く、5項目を平均すると13カ国で最低。特に「意見発表の機会を与えてくれる」では、「いつもそうだ」「たいていそうだ」を合わせても肯定派は46%と半数に届かず、OECD加盟国平均を12ポイントも下回りました。逆に「ほとんどない」は平均を7ポイント上回る20%。生徒と教師の関係を問う「多くの先生は、生徒が満足しているかに関心がある」という質問にも肯定派は45%にとどまり、平均を20ポイント下回っています。
         学校への信頼感も他国より希薄。「(学校が)仕事に役立つことを教えてくれた」に肯定的に答えた生徒は59%と加盟国平均より28ポイントも低く、13カ国中で最低。「決断する自信をつけてくれた」も52%と18ポイント下回っています。

        「解散恐れず」武部節絶好調
         自民党の武部勤幹事長は9日、都内で講演し、「(首相は)衆院解散権を発動すべきだ」「(若者が)サマワに二、三カ月行けば変わる」と“武部節”を連発、「サプライズ」で「流行語大賞」授賞式に出席した余勢をかって?絶好調ぶりをみせました。
         武部氏は、郵政民営化に対し党内で反発が根強いことを指摘し、「私は解散を恐れていない。場合によっては、(首相は)解散権を発動すべきだ」と述べ、“抵抗勢力”を牽制(けんせい)。さらに「私は自民党のための幹事長ではない。自民党がつぶれた方がいいというのなら、その覚悟で臨まなければならない」とかつて「自民党をぶっこわす」と言い放った首相もかくやの挑発ぶり。
         さらに犯罪の凶悪化や教育現場の荒廃に話が及ぶと、「暴論かもしれないが、一度自衛隊に入って、サマワみたいなところに行って、緊張感をもって地元に感謝されながら活動したら三カ月でまたたく間に(人間性が)変わるという考え方もある」と“妙案”まで披露したそうです。
         サマワって、「非戦闘地域」で「安全」だから自衛隊が「人道復興支援」の名の下に、日米同盟(安保条約がいつの間にか『同盟関係』に…)での役割を果たすために行っている所ですよね。安全な所に緊張感がなぜあるのか、地元は自衛隊の活動に不満を示していて「感謝」どころではないと思うのですが…。

        内閣支持率、急落37% イラク派遣延長反対も62%<世論調査>
         自衛隊のイラク派遣延長が9日に閣議決定されたのを受け、毎日新聞が10、11両日に実施した緊急世論調査(電話)によると、小泉内閣の支持率は37%と、01年4月の内閣発足以来初めて4割を割り、一方不支持率も過去最高の45%に増加、支持率を大きく上回ったそうです。イラク派遣の1年延長には「反対」が62%と、「賛成」31%の2倍に。派遣延長について小泉首相の国民への説明が「十分でない」との回答が84%を占めた。延長反対と答えた人の61%が小泉内閣を支持しておらず、国民の十分な理解を得ないまま派遣延長を決めた首相への不満が内閣支持率に反映したとみられます。
         確かに、派遣延長がどこでどのように決まったのか、さっぱりわかりませんでした。「大本営発表を聞いているようだ」と言う声にも納得です。とりまきの官僚各位も問題言動のオンパレード、「自民党をぶっつぶす」前に、日本という国がぶっつぶれないように、国民が本音を政治にぶつけて行ってほしいと思います。

         私事、放送大学もあとわずかで卒業に(?)なる予定です。後期始まり時点で残り3単位でした。来年3月からは、「教育と人間関係の相談室 カンナ」開設に向けて準備を具体的に始めます。一方で、「京都ひきこもりと不登校の家族会 ノンラベル」の援助スタッフも継続。さらに学習を深めるために、放送大学の大学院の専科履修生になることも考えています。仕事を辞めて来年3月で2年に、時の動きは早いものですね。
        京都府青少年の健全な育成に関する条例改定に思うこと。
        2004/12/05
        現在京都府議会で、この条例の一部を改定する条例案ついて議論がすすめられているそうです。「性や暴力等を誇張表現する各種メディアの有害情報のはんらん」「24時間型社会の進行」「インターネット利用の拡大」等が見直しの背景とされています。昭和56年の制定以降、時折の情勢の変化や課題に応じて8回の改正を重ねています。青少年の深夜の外出等が課題としてクローズアップされています。私がこの条例をざっと読んで不思議に思ったのは、この条例が寄って立つ基本理念は何か?ということです。条例では、以下のように規定されています。
        (目的)第1条 この条例は、青少年の健全な育成に関する理念を明らかにし、府の施策の基本を定めてその推進を図るとともに、府民参加のもとに青少年を取り巻く社会環境の整備を助長し、その健全な成長を阻害するおそれのある行為から青少年を保護し、もつて青少年の健全な育成を図ることを目的とする。
        (基本理念)第2条 何人も、青少年の育成に当たつては、青少年が次代を担う者としての誇りと自覚をもつて、自己の啓発、向上に努めるとともに、積極的な社会参加を通じて人間尊重と連帯の精神を培い、もつて心身ともに健康な社会人として成長するよう配慮しなければならない。
         国の方でも「青少年育成施策大綱」を策定して関係省庁が連携しながら諸施策を推進しているとされています。しかし、これらの条例等の文章の中に、「青少年の健全育成」の前提としての「子どもの権利」についてふれられているところは見あたりません。日本政府が批准している「子どもの権利条約」、「国際人権規約」等の国際条約や、教育基本法、児童福祉法などの国内法等の、子どもたちが「健全」に生きていく権利を謳った条例・法等がありながら、それらにふれることなく、独自施策としての「健全育成条例」が国・府県レベルで策定され実施されているのが実態です。今回の京都府の改定案を見ていても、どうしても改定「作業」としての「お役所仕事」に思えてなりません。「子どもの権利」に立脚した条例として意義あるもの、子どもたちの安心・安全な環境での学びと育ちを保障するという大人社会のモラル・倫理観の健全化に資するものとなるような「改定」を望みます。

        日の丸君が代―脅迫容疑などで大学教授らが石原都知事告発
         今春の卒業式や入学式で、石原慎太郎東京都知事らが「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱することを強要したなどととして、大学教授や弁護士ら102人が1日、石原知事らについて、脅迫、強要、公務員職権乱用の容疑で東京地検に告発状を提出しました。現職の都立高校教諭ら7人も別に同容疑で告訴状を提出しました。地検は受理の可否を検討するとして、告訴・告発状を預かったそうです。
         告発状によると、石原知事と横山洋吉教育長、近藤精一指導部長の3人は共謀し、(1)昨年10月に通達を出し、起立・斉唱しなければ処分するとして職務命令で教員らを脅迫した(2)今春の卒業式・入学式で職権を乱用して起立やピアノ伴奏を強要した(3)その後も職権を乱用して不起立教員らを処分し、再雇用を取り消したり、「再発防止研修」を強要した―などと主張しています。
         東京都教委は、「犯罪かどうかは検察庁が判断することで、都教委はコメントする立場にない」としています。
         もともと無茶で強引な「日の丸」「君が代」への迎合・服従の押しつけ、個人の思想・心情の自由をふみにじる強迫行為ですから、きちんと裁判の場で一刻も早くその違法性を明らかにしてもらい、処罰を受けたり、強要を受けやむなく応じた、人権を侵害された方々の心的苦痛を解放していってほしいと思います。

        「発達障害者支援法案」、与野党共同で衆院へ提出。
        2004/11/28
        自民、公明、民主、共産、社民の各党は19日、自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害のある子供を早期発見し、適切な教育、医療などにつなげる体制を整備するための「発達障害者支援法案」を衆院に共同提出しました。(sienho.pdf)
         発達障害の子は、幼い時から心理面や学習面で適切なケアをすれば社会参加できるのに、一般の理解はまだ低く、診断できる専門医も少ないのが実情。障害が分からないまま、学校になじめず不登校になる子もいます。
         厚生労働省は既に、法整備を見込んで、来年度予算概算要求の中に8億5千万円余の支援体制整備費(等)を盛り込みました。
        発達障害には、自閉症のほか、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などがあり、文部科学省が2002年度に行なった全国調査によれば、全国の小・中学生の6%強に何らかの発達障害がある可能性が強いという結果が出ています。しかし、いままで、発達障害者への支援は障害児・者福祉サービスの中には位置づけられてなく、知的障害を伴わないとサービスを受けることができませんでした。今回の法案が成立すれば、遅ればせながら、発達障害者に対する本格的な支援の枠組みが整うことになります。
         議員連盟がまとめた法案では、発達障害の早期発見の促進や、乳幼児期から成年期までに亘る支援を、「国や自治体の責務」であると明確に規定しています。その上で、以下のようなことに力点を置いています。なお、成立すれば、来年4月から施行される予定です。
        1.乳幼児健診などによる早期発見の促進
        2.保育・教育・就労・地域生活支援など、発達障害者の生活全般に亘る支援体制の整備
        3.社会福祉法人などを「発達障害者支援センター」に指定し、支援体制を確立
         厚生労働省では、来年度から各都道府県に発達障害者に対する支援体制を検討する専門委員会を設置する方向で、調整を進めています。さらに、特にモデル地域を決めた上で発達障害者の個別支援計画案を作成し(ケア・マネジメント)、また、障害児施設で支援事業を行ない、発達障害者に対する支援のあり方を確立してゆく方針が決まっています。

         現在私が援助スタッフとして関わっている「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」(http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/)の当事者の中にも、アスペルガー障害と診断された方、アスペルガー的な方がかなりいらっしゃいます。義務教育の間はこれからも「特別支援教育」等の枠組みで対応・支援が受けられるかと思いますが、中学卒業後、あるいは18歳以降に支援・援助を受ける社会的資源はお粗末な状況です。都道府県の精神保健福祉センターが相談の窓口となるようですが、個々のケースに細やかに対応してもらえる状況は想定できません。ノンラベルでは、家族会の中に「青年・成人期のアスペルガー部門」を創設する方向で、現在「AS援助者養成講座」を開催中です。軽度発達障害の方々への援助はケースバイケースであるとともに、生涯にわたるものですし、家族の理解と適切な援助、社会的な支援ネットワークが必要です。民間ベースでの援助の拡大が公的サービスへの流れをつくるというのが日本の福祉の歴史であることは否めませんが、法案が通ったからと言って、その受け皿となる学校や保健所、医療機関などが十分な援助レベルに到達するには、遠い道のりがあると思います。もっと予算とマンパワーの充実を求めたいものです。

        県立高入試模擬試験で大手進学塾が販売競争?
         大手の受験情報会社と教材販売会社が、滋賀県の県立高校普通科の通学区全県一区化を前に、県立高入試にしぼった模擬試験を新たに作成、県内の中小の学習塾や家庭教師の派遣業者への販売競争を繰り広げているようです。
         中小の塾は従来、受験情報会社が関西圏で行う標準的な模試や、大手進学塾などが作る県立高版の模試を使って、受験指導をしていました。大手進学塾の模試の使用については「生徒の学力情報が大手に知られ、引き抜かれる恐れがある」などとして模試参加に難色を示す塾が多く、さらに全県一区になると県立高志望者の学力を県全体の比較の中でよりきめ細かく把握する必要があり、新たな模試を求める声が出ています。
         そんな中、受験情報会社「大阪進研」(大阪市)は今月から県立高受験にしぼった模試を作り、販売を始めました。「従来の模試で全県一区に対応できると考えていたが、今のままでは受験指導が通用しなくなるという塾の危機感に押され、作成に踏み切った」と言います。
         試験は5科目、年3回行う予定。偏差値は県立高以外の合否診断にも活用できるそうです。初回は約2000人が参加。販売した約50の塾のうち、新規取引先が約3割を占めているといい、「期待は大きい」と販路拡大に自信をみせています。
         教材販売会社「パピルス書房」(京都市)も昨夏から、県立高受験者向けの模試を導入しています。主要5教科で年4回行っており、参加者は約1400人という。各教科の得点と、参加者が自己申告した内申点を合わせた合否判定が特徴だそうです。同社教材事業部では「全県一区化で需要の拡大が見込める」と話し、参加者3000人を目標にしています。
         公立高校の通学区「全県一区」は、東京都を皮切りに全国で広がり始めていますが、どんなメリットがあるのか私にはわかりません。京都でも弾力的に(?)一部地域で通学区の拡大が行われていますが、単に通学距離が遠くなっただけのようでもあり、教委の意図する生徒の学力による序列化(?)が、いかに子どもたちにとって精神的にも物理的にも負担をかけるものになるか、客観的に見直す必要があると思います。子どもたちの本音は、「近くの学校で、クラブなどが楽しくやれる学校」です。
        教育委員会の主事がクラスに突然入ってきた?
        2004/11/21
         次男の通う中学校に、教育委員会の主事が突然にクラス巡回に入ってくるという事件がありました。そこで、11月5日に、向日市学校教育課にさっそくメールで質問しました。

        西ノ岡中学で子どもがお世話になっている木下と申します。
        いくつかの疑問にお答え頂きたくメール致します。

        1週間ほど前でしょうか、授業中に突然、教育委員会の方が各教室に入ってこられ、数分見て回られたそうです。
        地域の知人等からの情報をまとめると、ある市会議員さんが教育委員会に対して、「西ノ岡中学で授業が成立していないところがあるようだ」と言い、それに対応する形で、いきなり学校現場・教室に入り込んで行った、ということのようですが、まず、この経過に間違いはないでしょうか?

        仮にそうだとすれば、議員とはいえ、1個人が「疑い」をもったことで、教育委員会のしかるべき立場の方が、学校の、校長の権限を越えて教育現場に足を踏み入れ授業行為を侵襲したことになり、様々な角度から問題点が指摘出きるかと思います。
        また、この方は昨年度も同中の期末試験に向けた授業行為に対し「プレテストと称して事前に試験問題を出していいる云々」と議会で発言され、結果二学期期末試験でありながら、一部教科で一学期にまで遡った範囲での試験のやり直しが行われ、現場教師はもとより、当該の子どもたちに多大な労力と混乱を招いています。昨年、この件について質問させて頂いた折りには、「議員は市民の代表だから」という回答を頂いたと思いますが、今回は議会での発言でもないわけで、私的見解を教育行政に持ち込み、教育委員会がそれに対応し、混乱を招いたことになることは事実かと思います。

        各学校における教育活動が十分に行えるように援助・指導することが教育委員会の主たる任務かと考えますが、今回の事態を見るにつけ、「援助・指導」ではなく、管理と監視が全面に出ており、学校現場をより窮屈なものにし、「閉じられた学校」づくりにすすんでいるような気がしてなりません。教育委員会の本来的役割に照らして、今回の行為についての見解をお聞きしたいと思います。

        以上、お忙しい中、お手間を取らせますが、ご回答願います。

         それから2週間。やっとの返信が…。

        on04.11.191:36PM,向日市学校教育課atgakko@city.muko.kyoto.jpwrote:
        木下様
         ご返事が遅くなり申し訳ありませんでしたが、先日頂戴したご質問にお答えします。
         学校は、教育委員会が管理する教育機関であります。このため、教育委員会は、学校の教職員、教育内容、施設等を包括的に管理する権限を有しております。
         また、教育委員会は、学習指導要領等に基づき、生徒、保護者、市民の期待と信頼に応える公教育を推進する責務を担っております。
         このために教育委員会は、学校の現状を把握する必要が生じた場合は、教育委員会の責任と権限に基づいて学校を訪問し、授業、生徒指導、施設等の状況を把握し、指導・助言する場合がございます。

         「訪問」に来て、クラスの「状況を把握」したことは、明らかになりました。が、結果が知りたいので、またもメールを送りました。

        <「訪問」の結果はどうだったのでしょうか?>
        お返事、ありがとうございます。
        ところで、今回の「訪問」の結果について、お教え頂けませんでしょうか。
        保護者としても、学校評価の一貫として参考にさせて頂きたいと思いますので……。
        来年度、新一年生入学を控えておられる方から西中の様子を聞かれています。「訪問」が行われたことはご存じですので、結果が知りたいそうです。

        さて、みなさんは、この経過と市教委の対応をどう思われますか? 私がどうしても腑に落ちないのは、学校と教育委員会の関係です。中央教育審議会の平成16年3月4日付けの文部科学大臣宛の諮問の中でも、「学校に権限と責任を与え、その自主性・自立性を高めることにより、ニーズに迅速にかつきめ細かく対応していくことが必要であります」と書かれています。今回の事例では、教育委員会が学校長権限を抑えつけ越権行為に及んだと言えます。通常、こうしたケースでは、市教委から学校長に問い合わせし、実態を把握・報告させるという段階がふまれると思います。今回はそれを通り越していきなりの乗り込みでした。それも、きっかけは1市会議員(文教消防常任委員会の委員長だそうです)の指摘でした。教育行政の「公平性」に疑問!です。

        不登校児は「不良品」と暴言―PTA大会で福井副知事。
        2004/11/15
        10月15日に福井市であった「第60回東海北陸ブロックPTA研究大会」のあいさつで、福井県の山本雅俊副知事が不登校児を不良品に例える発言をし、西川一誠知事から注意を受けていたことが1日わかりました。
         山本副知事は知事代理として出席。自らの企業経験に触れながら、「東海北陸6県の生徒数は120万人で、そのうちの1万4000人は不良品」と述べたそうです。質疑の時間に、怒りを表す出席者もおり、主催の日本PTA全国協議会関係者も不穏当な発言と抗議、山本副知事は「総合的対策が必要との趣旨での例えだったが、不適切だった」などと釈明。
         発言を巡り、インターネット上の同大会掲示板には「非常識極まりない」「不登校で悩んでいる家族の心をどれほど傷つけたことか」などと非難の声が多数寄せられ、福井県に抗議する関係者もいました。これに対し、西川知事は「説明が十分至らなかったために真意をお伝えできなかったものと思います」などと応え、知事が副知事に口頭で注意。山本副知事は、デンソー常務や化学会社デュポンの日本法人社長を歴任。行政経験のない民間出身の副知事として昨年8月に就任しています。
         山本雅俊副知事は8日、記者会見し「大変不適切な発言があり、保護者の皆さんに不愉快な思いをさせた。おわび申し上げる」と陳謝しました。
         学校に行っていないというだけで「不良品」と「物」扱い、この副知事は自身を「良品」だと思っているのでしょうね。少なくとも、教育分野で発言することに関しては「不良品」だったわけです。「不適切な発言」と陳謝していますが、不登校=「不良品」認識という「真意」は変わってないのではないかと思えます。総合的対策も必要でしょうが、児童・生徒個々に寄り添う関係性こそ大切と思います。行政当局者の学習・認識不足には辟易させられること多しです。

        夏休み1週間減、授業30時間増―葛飾区が全中学で
         東京都葛飾区は9日、区立の全中学校24校の夏休みを1週間減らし、2学期開始を8月25日とすると発表しました。来年度から実施する予定です。目的は学力アップ、一斉に授業を年間約30時間(6時間×5日間)増やすのは極めて異例なこと。文部科学省が始めた「ゆとり教育」への揺り戻しとして注目されます。
         同区教委は、文科省が02年度から週5日制を完全実施した結果、中学校の授業は約20日(約70時間)減った。国語、数学、英語など基本教科が週1時間減り、現場の教師は基礎学力の定着に悩んでいるといいます。
         都全域で実施された学力調査(今年6月結果発表)で、葛飾区の平均正答率は全教科で都平均を下回り、数学、英語などの差が大きかった。
         区教委教育指導室は「夏の5日間が、大きな成果になると確信している」と話しています。
         学校法によると、夏休みや冬休みは自治体の教育委員会が決めることができます。このため区は昨年11月から、夏休み短縮の検討を開始。今年夏までに全24中学校の教室に冷房を設置し、初めて全生徒対象の夏季教室を開いた。平均約11日間の夏季教室には生徒の過半数が参加するなど、区教委は盛夏の学習環境が整ったと判断したそうです。
         増えた時間の授業内容は学校に任せる。区教委は○特定教科の授業増○学力向上のためのテスト○読書や百人一首○職場体験などを例に挙げています。
         また区教委は各校が授業時間確保のために学校行事、家庭訪問などを廃止・縮小しており、夏休み短縮で生徒の豊かな人間性育成ができるゆとりも利点に挙げている。
         夏休みの短縮、二学期制の導入など、学校の学習環境が変えられていっています。これらの発想の原点は「学力アップ」、要するに「競争」主義のあおりです。学校の冷房が整備できたと言って、「盛夏の学習環境が整った」と言えるでしょうか。登下校時の暑さ、部活動や学習塾との関係など、さまざまな混乱が予想されますが、「夏休み」が設けられた基本的な考え方を改めて考えてみてほしいと思います。

         昨日、一昨日と、放送大学の面接授業「海洋と地球環境」で、和歌山県白浜町京都大学フィールド科学研究センター瀬戸臨海実験所に行ってました。風邪をおしての参加でしたので、講義中は風邪薬の効果で意識が薄かったのですが、磯でのフィールドワーク、隣接する水族館見学は眼を爛々と輝かせて楽しんできました。
         大学生活も予定ではあと4カ月あまり、残り単位数は4単位。最近は大学授業とボランティア(京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベルの援助スタッフ)が生活の半々、来年3月からの「教育と人間関係の相談室」開設に向けての準備もすすめています。
        「子どもにも競争原理を」―文科相、学力調査見直しも。
        2004/11/07
        中山成彬文部科学相は5日の会見で、「もっと子どもたちが切磋琢磨(せっさたくま)する風潮を高めたい」と、子ども同士にも競争原理が必要との認識を示しました。その上で、文科省が実施している教育課程実施状況調査(学力テスト)について「全体の中で、自分がどういう位置にあるのかを自覚しながら頑張る精神を養うよう検討していったらいい」と、見直しが必要との考えを明らかに。
         文科相は「前回、政務次官を拝命してから13年がたつが、日本人が外国人に負けていることを痛感した。頑張らないと日本は大変なことになる。これまでの教育は競争しない方がいいという風潮があった」と強調(?)。「現実の社会に出ると非常に厳しい競争にさらされる。ギャップを感じ就職しても辞める人もいる。21世紀の日本が世界の中でごしていくためには、競い合う気持ちが大事だと分からせたい」と述べました。
         全国規模の学力テストはかつて、1956年度に始まりましたが、過度の競争を生んだため、66年度に廃止された経緯があります。学力をめぐる都道府県のランク付けにつながるなどの指摘もあり、復活の提案が論議を呼ぶことは必至です。
         さらに、中山文部科学相は4日の経済財政諮問会議でも、全国学力テストの復活に加え、新たに全国一斉の体力テストの導入についても検討する方針を明らかにしています。文部科学省によると、体力テストは現在、児童・生徒の体力や運動能力の傾向を調べるため、小中高校で各都道府県ごとに1学年あたり48人ずつ抽出する形で実施しています。
         文科相は諮問会議後の記者会見で、「確かな学力、豊かな心、健やかな体、挑戦する精神」を今後の教育改革の基本方針に据える考えを示した上で、「これらをいろんな意味で検証、観察する必要がある」とし、学力・体力テスト導入に意欲を示しました。学力テストについては「(諮問会議の)民間議員の中にも評価する意見があった。大学全入の時代を迎え、学力競争をあおらず実施することは可能ではないか」と述べた。
         国連子どもの権利委員会から、「過度に競争的」と改善勧告を出されている日本の教育。「大学全入の時代」と言われる陰で、行きたくても高校にも行けない子どもたちが多数存在することには目をふさぎ、教育「強者」にのみ目を向けた政策と言わざるを得ません。また、教育内容に国がどこまで介入できるかが問われた旭川学力テスト判決(76年)で最高裁は、「国の介入は抑制的であることが要請される」と見解を示しています。学校教育への競争原理の露骨な導入、表層的な観念論で議論が行われ、子どもの全国的ランク付けテストが復活することのないようにする議論を広げていきたいものです。

        小学生の2割が「幻覚体験」―不安定な親子関係反映か
         統合失調症の診断基準にもなる幻覚(幻視、幻聴)を体験したとする小学校高学年の児童が2割に上ることが、名古屋大発達心理精神科学教育研究センターの調査で分かりました。3日から名古屋市内で始まった日本児童青年精神医学会総会で発表されました。調査は村瀬助教授らが通院歴などのない11、12歳の児童約760人を対象に実施。うち約21%が「人の顔が浮かぶ」「自分の悪口が聞こえる」などと回答したそうです。幻覚を訴える子供の割合はこれまでの海外の研究で19-35%とされてきたが、国内で示されたのは初めて。
         意識と行動のつながりが失われる「解離」や不安が関連しているとみられ、村瀬聡美助教授は「親子関係のストレスがきっかけで幻覚が出たという症例もあり、親子関係の不安定さが(調査結果の)背景にあるのではないか」とみています。

        「学校運営協議会」を導入―京都/中京・御所南小など3校
         学校運営に地域住民や保護者の意見を取り入れる「学校運営協議会」制度を御所南小、高倉小、京都御池中の3校に導入すると、京都市教委が4日発表しました。教職員の人事や学校予算の使い方にも住民の声を反映して「開かれた学校づくり」を進める狙いで、05年1月にも、京都初の「地域運営学校」がスタートする見込みです。学校運営協議会地域住民や保護者、公募の市民ら10人程度で構成する合議制の機関。校長がつくる学校運営の基本方針の審議が主な役割で、学校予算の使い道に意見を述べたり、教育方針に合う教職員を配置するよう教育委員会に求めることができます。京都市教委は「毎年数校ずつ指定校を増やし、信頼される学校づくりを進めていきたい」としています。
         地域と学校の関係が希薄化する中、住民が積極的に学校づくりにかかわれる制度をつくろうと、6月に地方教育行政組織運営法が改正され、市町村教委が同協議会の設置校を指定できるようになりました。
         文科省などによると、東京都世田谷、杉並、足立各区教委が同制度の導入を決めていますが、関西では初めてだそうです。

        被爆者写真で「肝試し」? 「軽率だった」というが…。
        2004/10/31
        熊本市内の市立小学校の理科教諭(59)が18日午後6時半から同校であった「月と星の観察会」で「肝試しをしよう」と、怖がらせる目的で4年生児童にケロイドのある原爆被爆者の写真を見せていたことが分かりました。この「観察会」には児童9人が参加、理科教諭が一人で指導にあたっていました。ショックで泣き出す児童もいたそうです。
         20日、保護者とPTA役員が「教育的立場で指導すべきものを肝試しに利用するとはどういうことか」と学校側に抗議して発覚。学校から市教委に報告はなく、匿名の電話を受けた市教委が25日、同校に問い合わせ確認したもの。同校の校長と理科教諭、担任は25日になって保護者宅を回り、謝罪。
         当初は運動場で星座を観察する予定でしたが、台風接近で急きょ、教室でのVTR観賞会に変更。児童に天体のVTRを見せた後、「肝試しをしよう」と個人で所有していた原爆に関する写真12枚を見せ、背中にケロイドのある長崎原爆被爆者や黒焦げになった遺体の写真もあったそうです。
         理科教諭は「肝試しは思いつきでやった。原爆の写真を子どもを怖がらせるための材料として使ったことは大変軽率な行為で深く反省している」と話しているといいます。
        ●日本原水協県協議会の中島絹子理事長の話:被爆者をぼうとくする行為で、怒りで身震いがする。来年で被爆六十年になるが、いまだに苦しんでいる人もいる。それなのに「肝試し」という感覚は、教育者として到底許されない。
        ●原水爆禁止日本国民会議県協議会の丸山澄雄理事長の話:原爆に関する写真が肝試しという形で扱われたのなら由々しきことだ。特に教育現場で起こったことが残念。戦争が年々風化している中、原爆など核兵器の悲惨さを子どもたちにどう伝えるのか苦心しているのに。

         熊本市教委などには26日、全国から抗議のメールや電話が相次ぎ、市教委は被爆者団体に謝罪することなどを決めました。
         市教委のこの日の緊急協議では、教諭が見せたパネルは計12枚で、20数年前に教材として出版社から購入していたことが確認されました。教諭はこれまで、平和教育の時間に児童らにパネルを使うなどしていたそうです。

         熊本市教育委員会は28日定例会を開き、「男性教諭と校長は懲戒処分が相当」とする内申議案を全員一致で議決、同日、処分を決める県教育委員会に申し立てたそうです。
         定例会は非公開で審議され、男性教諭は地方公務員法上の「信用失墜行為」に当たり、校長は「管理監督不行き届き」に当たり、いずれも懲戒処分相当と判断。県教委に早期の処分決定も求めています。終了後会見した永山博市教育長は「教師としてあってはならない行為で、関係者や市民に大変申し訳なく、心からおわびします」と謝罪。県教委は「教師、校長から速やかに事情を聴いた上で適切に対応したい。できるだけ早く結論を出したい」と話しています。
         このパネルは、かつては平和教育の目的で使用されていたもの、それが肝試しに使われる……。風化というよりも、麻痺が学校現場で起こっていることが悲しいです。

        中学生の性で親に努力義務―東京都が条例化を本格検討
         東京都は31日までに、中学生以下の子どもたちが安易な性行動で性感染症にかかったり、妊娠したりしないよう、保護者に対する努力義務規定を条例に盛り込めないか、本格的に検討する方針を固めたそうです。11月2日に都青少年問題協議会(会長・石原慎太郎知事)を開き、諮問する予定。
         インターネットの有害サイトなどから子どもたちを守る方策の検討も行うそうです。来年1月の答申で、都青少年健全育成条例の改正が提言されれば、2月中にも開会する定例議会に改正案が提出されます。
         都によると、保護者の努力義務規定は、子どもたちの性行動を規制するのではなく、性に関する規範を示すのが目的。罰則は設けないとのこと。
         「子どもたちを守る」というのなら、子どもたちの性を商品として扱う大人たちのあり方への「規制」、「規範」の確立こそ急務の課題と思いますが、そうした根本的な課題を棚上げにして、問題を「家庭教育」に転化しているだけかと思えます。全ての家庭がこの努力義務に応えられる状態にあると思っているとしたら、現実を勝手に理想的に歪曲視した誤った理解の上で行われる施策がまた一つ増えることになるだけでしょう。
        やりなおさないか 君らしさのままで。
        2004/10/24
        2004-10-24
         新潟県中越地方を震源地とする大規模の地震が発生しました。まだ余震が続く中、寸断された道路、ライフライン、多数の犠牲になられた者、被災された者…、まだ援助の手の届かない方、土砂に埋まるなどで身元が確認されない方が多数いらっしゃいます。謹んでお見舞い申し上げます。阪神淡路大震災の時には(私も土日ボランティアで炊き出し等に行きましたが…)平地の都市部がほとんどでしたが、対応が遅れ、多大な被害を出しました。今回の地震は、援助の動きは早いようですが、地域も広く山間地も多数あることから、救援・復旧はかなり困難なものになると予想されます。国・行政をあげての待ったなしの支援が求められています。

         22日・23日と、京都市教職員組合主催の「全ての父母・教職員・市民のための子育てと教育のつどい(京都市教職員組合教育研究集会)」に参加してきました。22日の全体会では、北海道・北星学園余市高等学校校長の佐々木成行氏が「やりなおさないか 君らしさのままで―北星学園余市高校の挑戦」と題して講演されました。「ヤンキー母校に帰る」で有名になった高校ですが、地元の公立校や私立校に入れなかったり、中途退学してやり直したいと思う子どもたちを受け入れ、地元に根ざした高校になっていきました。教職員と生徒がはだかでつき合える人間関係豊かな生徒指導、学年運営、生徒の成長を通して学校と父母とのつながりを深め、全国にその輪を広げています。現在では、不登校経験者が60%、女子が50%入学してきているそうですが、教師たちの真剣な子どもたちへの関わり、子どもたち同士の信頼関係を徹底して追求していても、20%程度の子どもたちが、非行や人間関係の問題から卒業できずに中途退学していくそうです。もともと、様々な課題を背負って入学してきた子どもたち、学校としての精一杯の取り組みにも関わらずこぼれていく子どもたちのその後をどうしても考えてしまいます。
         余市高校の生徒指導の実戦の一部を聞いていて「?」と思った事が一つあります。非行の子どもも不登校や軽度発達障害をはじめとする課題をかかえた子どもも、一斉指導で自主規律に導こうとしていることです。何か問題が起これば学年全体の問題として解決するまで全体論議を尽くす、してはいけないことをお互い言い合える関係を築く中で全体の中で受け入れられる自分、自分の存在が全体を構成しているという体験はかけがえの無いことだと思います。ただ、他者との社会的関係性を築くことに困難性をかかえている子どもにとって、こうした一斉指導は苦痛なものではないでしょうか。全体が困難な学校であることはよくわかりますが、その中でも、個々の困難さへの配慮が後回しにされている実情は、わからないではありませんが、もう一がんばり欲しいところかと思います。それはさておき、こうした、どんな子も受け入れる学校がさらに全国に広がることを希望します。「ヤンキー先生」の義家弘介先生が京都に来られます。11月7日に開催される「京都教育研究集会」(主催:京都教職員組合・京都教育センター、同志社大学京田辺キャンパス)の全体会で記念講演されます。私も参加する予定です。

        半世紀続いた「特殊学級」の表現見直しへ。
        2004/10/17
         中央教育審議会の特別委員会は、障害のある児童や生徒の教育について、学校教育法などで半世紀にわたって使われてきた「特殊教育」という表現を改めるよう求める中間報告をまとめました。文部科学省は同審議会の答申をまって、「特殊学級」の言葉も含め、来年度にも法改正に乗り出すそうです。
         「特殊教育」は障害のある児童生徒をきめ細かく指導するため、盲・ろう・養護学校や「特殊学級」で行われてきました。こうした言葉遣いには、以前から「障害者への配慮を欠いている」などとする批判があり、多くの自治体では、「特殊教育」の担当部署名を「養護教育係」などと変えたり、「特殊学級」を「ひまわり」などと呼んだりしています。しかし、法律については、「適切な言い換えが困難」として見直しが進んでいませんでした。
         ところが、近年、従来の特殊教育の対象に、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの児童生徒も加え、教育ニーズに応じた支援を行うという「特別支援教育」の考え方が広がってきました。同委員会は「特別支援教育の理念を定着させるためにも、法律の用語を改める必要がある」と提言。言い換え語の選定は文科省が行うそうですが、「特殊」を「特別支援」に改める案などが考えられています。
         「特別」「特殊」という発想に、そもそもの問題の本質があるように思えます。人それぞれ、様々な性格や人格を持ち、身体的あるいは気質的課題も多かれ少なかれ持ち合わせていると思います。最近まで「ちょっと変わった子」として社会にとけ込んで来れた子どもたちが、LD、ADHD、広汎性発達障害などの脳機能障害による軽度発達障害として診断され、診断名が一人歩きし、多人数での一斉授業や管理教育に適さない症状であるが故に「特別」な支援が必要とされ、「特殊学級」という別室に閉じこめられてきたのではないでしょうか。必要なのは、こうした別室での「特別」な支援ではなく、一般学級での学習や生活をしていく上で必要な支援を行う人的な支援だと思います。それは、不得意な領域に、不得手な科目に、パニックを起こした時に、適切な援助を行う、リアルタイムな援助であり、それらの課題を一歩一歩改善できるように具体的援助を与える支援です。あらためて、学校は「育ち」の場です。

        髪切り校長、暴行容疑で書類送検
         9月20日付けの「つぶやき」で紹介しましたが、埼玉県鳩ケ谷市の市立中学校で9月、男性校長(57)が中学3年の女子生徒(15)の髪の毛を切って持ち去った問題のその後です。女子生徒と母親が同署に被害届を出されていて、県警武南署は15日、校長を暴行容疑でさいたま地検に書類送検しました。
         校長は同21日、市教育委員会に退職願を提出、現在は処分を待って休暇を取っているそうです。
         校長の問題、責任追及は当然ですが、この校長を管理していた教育委員会の責任は、どこで問われるのでしょうか。

        中学生の8割「親子円満」? 消えゆく反抗期。
        2004/10/10
         教育シンクタンク「ベネッセ未来教育センター」(東京都多摩市)の意識調査から、8割の中学生が親との関係は円満だと考えている一方で、この年代に特有の「反抗期」の傾向が失われている実態が見えてきているそうです。「一見、好ましい結果に見えるが、子供が親に依存し続けて精神的な自立が遅れている。社会全体でみると心配な結果だ」と、調査をまとめた深谷昌志・東京成徳大学子ども学部教授は指摘している。
         調査は今年2月、関東の中学1-3年生1,355人を対象に行われたもの。家庭で過ごす時間について、半数を超える中学生が「のびのびできる」「安心できる」「楽しい」と回答。「退屈」「イライラする」「孤独」など否定的な回答はどれも半数以下。
         親との会話は、「父親とよく話す」が26.7%、「母親とよく話す」が54.9%。「親は自分を理解している」と答えたのは70.6%で、「親とうまくいっている」は父親とが77.7%、母親とは87.4%を占めています。「今と同じ家庭に生まれ変わりたい」(36.6%)が「生まれ変わりたくない」(21%)を大きく上回り、親を肯定的にとらえ、円満な家庭に満足している姿が浮かんでいます。
         半面、親はどういう場面で絶対にしかると思うかを複数回答を求めたところ、「先生の言うことを聞かなかった」「近所の人にあいさつしなかった」「朝家族に『おはよう』といわない」はいずれも10%前後。子供をしからない親たちの姿がうかがえます。
         また「どういうことで親を超えたか」の問いに「母親の体力」とした中学生は79.8%でしたが、半数を超えたのはこれのみで、「付き合い方」「社会の見方」「社会常識」はいずれも25%以下だった。
         この結果について深谷教授は、「これが小学生高学年の調査なら全く問題ないのだが、中学生になると、親に依存していた子供は親を疎ましく感じたり目障りに感じるもので、こうした反抗期固有の傾向がうかがえない。これは高校生への調査でもみられる傾向だ」と指摘しています。
         そして、「家庭が円満なことを否定する必要はないが、反抗期は子供が精神的に自立する上で不可欠な過程だ。近年の、友達同士のような親子関係や、親元を離れない『パラサイトシングル』などの現象と無関係と思えない。反抗期が消え、ゆるやかに成長するスタイルが定着したともいえるが、反抗期を持たない子供がどう自立するのか心配だ」と話した。
             ☆
        ≪人生観示さぬ親≫
         子供の心相談をしている北海道旭川市の小児科医、田下昌明さんの話 「中学生が家庭でのびのびでき親に理解されていると感じることは、子供が親をうまく利用できていると思っていることの裏返し。いまの親は自分の人生観を子供に示しておらず、目に見えない親の大きさを子供が感じていない可能性がある。子供が3つ4つのころから子供の話を真剣に聴き、自分の人生観を示し、子供と生きる目的や理由について一緒に考えることを普段からしていなければ、子供は自分で道を探そうとはしない」
             ☆
         反抗期>親から自立する過渡期にみられる一過性の不適応状態。子供は親に心身とも依存して育つが、中学生ぐらいになり自立するようになると、自分とよく似た、しかも身近にいる親の存在を目障りに感じたり、無視するなどの態度に出る。自分の殻にこもり、月日がたって自分ができてくると、殻を破って自分を表し、親との関係もやがて修復される。幼児期の第一次反抗期と対比し、第二次反抗期とも呼ばれる。

        16歳以上に権利<住民投票> 神奈川・大和市が条例案可決
         神奈川県大和市議会で16歳以上の市民に住民投票の実施請求権と投票権を与える条項を盛り込んだ自治基本条例案が4日、賛成多数で可決されました。市によると、町村合併などを巡り、投票権を16歳まで引き下げた例は過去にもあるが、常設の条例で16歳以上を対象とするのは全国初となります。条例の施行は来年4月です。
        学校の主人公は校長か子どもたちか、生徒指導の視点の違いで…。
        2004/10/03
        私の住む向日市には、生徒指導上の視点が対極的な中学校があります。1つは、私の長男がその「荒れ」に耐えきれず不登校になっていった学校で、校長を頂点にしたピラミッド型の学校管理体制が敷かれ、校則の遵守と学校秩序の維持を旗印に、茶髪や服装の乱れた生徒を、他の生徒に悪影響を及ぼすとして門から中に入れないという管理教育の落とし子のようなところ(最近は少し緩やかになっているようですが)。もう一つは、次男の通う学校で、子どもたちを主人公とした学校づくりをめざした逆ピラミッド型、問題のある子どももともかく学校内に受け入れ、内面に寄り添って人間関係を深める中で受け入れられる安心を感じ安定していく、体育祭の運営・司会も生徒会が行い、優勝チームの表彰なども生徒会長名で渡されるという生徒自治を尊重するところです。前者の場合、学校の入り口で「入る」「入れない」の押し問答が最初の「生徒指導」となり、それにエネルギーを使い、信頼関係は生まれることなく、肝心なところ、いざ問題が起こった時に、子どもと教師が人間として向き合う関係にはなれずに適切な対応が後手になったり、学校内で抱え込んだり、子どもと家庭にのみ問題の原因を置こうとします。「開かれた学校づくり」「家庭・地域との連携の強化」というお題目は、文字通りお題目に終わってしまいます(最近はやたらと「家庭訪問」が強調されますので、全てのケースがそうだとは言いませんが…)。後者の場合、最初から「受け入れる」ことで人間関係づくりが始まっていて、日々の関わりは深く、問題が起こっても、信頼関係の中での話し合いが行われ、その子への指導に必要な対応は教職員集団で共有された課題として検討され、家庭や地域関係機関との連携もスムーズに行われます。とはいえ、ここでも校長は、教育委員会開催の「校長会」からの指導を受け、管理教育をすすめる立場に追い込まれていますから、職員会議での議論は、ある意味戦場なのでしょう。それでも、ゆるやかな妥協はありつつも、子どもたちの主体性に依拠し尊重する立場を貫こうとする教職員の姿勢に軍配があがります。事実、そうした視点での生徒指導をすすめる中で不登校生徒数にしても問題事象発生件数にしても、前者の学校は群を抜いて多く、後者は少ないという結果が出ています。
         「過度に競争的」でストレスにあふれる現在の学校社会。学歴信仰はまだ、というかこんなご時世ゆえに強いものがあります。しかし、私たち大人が、いましっかりとした視点を持つべきところは、子どもたちにとって「最善の利益」となる環境はいかなるものであるか、人間としての人格の成長・発達にとって望ましい選択は、というものではないでしょうか。悲しい少年犯罪・被害が続いていますが、その背後に、こうした視点が存在していたかどうか、検証してみる必要があると思います。

        教員の新評価システム導入に京都市教組が反対声明。
        2004/09/26
        京都市教委が導入を検討している新しい教員の評価システムについて、24日、京都市教職員組合などは「学校と教育をゆがめる」と、導入に反対する声明を発表しました。
         03年度から文部科学省の「教員の評価に関する調査研究」の委嘱を受けている市教委に、有識者らでつくる調査協力会議が今月2日、校長、教頭が教員を3段階で評価し、人事や給与に反映させるシステムの中間まとめを提出しています。市教委は05年度から試験導入を計画しているそうです。
         市教組の声明は、◎教育活動は教職員集団が子どもたちに働きかける営みで1人ひとりを切り離して評価できない◎1年単位では正確に評価できず、管理職の意向ばかり気にする教員を増やしかねない、などとして、システム導入に反対しています。
         市教組は「子どもや保護者の意見を取り入れる多様な価値観、多様な形式の評価こそ必要だ」としています。
         何のための「評価」を必要としているのか、が知りたいところです。今の教育制度についての様々な議論や新システム導入などに欠けているのは、それらが子どもたちの育ちと学びにとって必要なものであるのかどうかという視点だと思います。虐待、いじめ、学級崩壊、不登校、ひきこもり、NEET…。対策が迫られているこれらの社会問題に、子どもたちの目線で議論し対応していくことが今の大人社会に求められています。

        教職員委託料支出で市民団体が京都市長らに損害賠償請求
         京都市教委が「教育改革パイオニア実践研究事業」などで教職員に委託料を支出したのは違法として、市民団体「『心の教育』はいらない!市民会議」などが市を相手に4日、桝本頼兼市長らに約7200万円を損害賠償請求するよう求める訴えを京都地裁に起こしました。
         訴状によると、市教委は02年度から校長の推薦を受けた教職員と委託契約を結び、「心のノートの効果的な活用」「道徳教育」などの研究に対し、図書費や印刷費など02、03年度の2年間で、計約1400人に約7200万円を支払っています。市民会議は「給与の二重払いで地方公務員法や地方自治法に違反する」と主張しています。
         市教委総務課は「書籍代などの実費を適正に支出しており給与ではない」としています。
         「心のノートの効果的な活用」「道徳教育」などの研究に約7200万円。やはり、高額すぎると思います。教職員が教委から「委託契約」で受け取るということも「???」です。校務の一部であり、必要な書籍代などは別会計とすべきで、個人に支出するというのは、意図的なものを感じます。
        中学校長、「記念にもらう」と女生徒の髪切る?
        2004/09/20
         所は埼玉県鳩ヶ谷市内の市立中学校。校長が3年生の女子生徒(15)に対し、「短い方がいい」などと言いながら髪の毛十数本を約10センチ切っていたことが19日、わかりました。校長は事実を認め、「悪ふざけで、校長として慢心があった」と謝罪しているそうです。
         この校長は16日午後4時ごろ、放課後の校内見回りの際、校舎外に並んで座っていた3年生の女子生徒数人のうち1人に後ろから近づき、しゃがんで両肩に手を置きました。さらに、別の生徒が持っていたはさみで女子生徒の髪を切り、「記念にもらっておく」と言って切った髪を持ち去ったといいます。女子生徒は、泣きながら担任に報告。「後ろから抱きつかれ、ほおを寄せられた」と訴えているそうです。
         「慢心」とはおごり高ぶる心、これがどうして、女子生徒に抱きつきほおを寄せ髪を切る行為につながるのでしょうか? 「記念にもらっておく」として持ち去られた髪、これって「ロリコン趣味?」と思われても仕方のない行為です。そもそも、他人に抱きついて髪を切る行為は人権侵害です。この「慢心」、教育委員会はどう処理するのでしょうか。

        小学校女性教諭が差別発言繰り返し、懲戒免職。
         勤務する公立小学校で児童の人権を侵害する差別発言などを繰り返したとして、徳島県教委は14日、この女性教諭(32)を13日付で懲戒免職処分としたと発表しました。教諭を監督する同校の校長(55)も戒告処分となっています。
         県教委によると、教諭は始業式前日の4月7日から15日にかけ、差別的な事柄を理由に、児童の保護者に対して「登校させないように」などと電話したり、同じ趣旨の手紙を児童あてに送ったりしていたそうです。県教委の事情聴取に対し、教諭は「仕事の割り振りで不満があり、学校を困らせたかった」と話しているといいます。
         県教委は「差別によって児童が教育を受ける権利を否定しており、教育者として許されない」としています。
         「仕事の割り振りで不満…」を子どもとその保護者にぶつける、「登校させないように」と電話するなど、教育現場にあってはならないことです。この教師を擁護するつもりはありませんが、教師の多忙の要因として公務分掌の多さがあります。また異動は一方的に決められ、担任するクラスの決め方も学校によってまちまち、事務仕事が増える中で子どもたちと関わる時間が、授業の準備をする時間がなくなっているのは事実です。今回、監督責任を問われ学校長が処分を受けたことは、学校における管理のあり方を考える上で注目できます。

        学校行かず働かず52万人―04年版の労働経済白書。
        2004/09/10
        厚生労働省が9日発表した、「2004年版労働経済の分析」(労働経済白書)によると、求職せず通学もしないため社会問題になっている「若年無業者」の、02年、03年を初めて集計。その数は03年は年平均で前年より4万人多い52万人に上り、事態が深刻さを増していることが明らかになりました。総務省の労働力調査を基に厚労省が集計したものです。
         白書は、若年層の失業率が高く維持している問題と併せて、企業活動や景気への影響だけでなく「社会の維持、発展」といった観点からも「憂慮すべき問題」と警告しています。
         若年無業者は、求職活動していない非労働力人口のうち、15-34歳で、学校を卒業した後、進学などせず結婚もしていない人などを指します。
         進路が見えない中、現実にとどまることで最低限の「安心」を得ている若者が、どんな思いで日々を送っているか。「気持ちの問題」とか「本人のやる気」とかの問題としてとらえることのできる数ではありません。政府は何かと「改革」を叫び続けますが、その影で真の改革を必要とする人々が増えている実態がまた一つ明らかになりました。

        <児童虐待防止>家庭訪問事業が不振―厚労省が活用呼びかけ
         児童虐待を減らすため、国が補助金を出して今年度から始めた「家庭訪問事業」を実施している市町村が、国の想定数の13%にとどまっていることが厚生労働省の調べで分かりました。相談待ちではなく、手遅れになる前に支援を図る積極策で、虐待防止効果に期待が高かったものです。厚労省は、実施率が低い状況が続くと事業が縮小・廃止に追い込まれる可能性もあるとして、活用を呼びかけています。
         この事業は、市町村が医療機関や児童相談所、保健所、学校などから情報を集め、親の育児ノイローゼや子供の引きこもり、心身の発達の遅れなど養育上の問題を抱えている家庭を把握し、支援が必要と判断すれば、その家庭に子育て経験者や保健師、保育士らを派遣し、相談に乗るというもの。児童虐待の早期発見、対応などを目指すネットワークを設置している市町村が03年度に967カ所あり、国は今年度予算としてほぼ同数の957市町村分、計約20億円を初めて計上していました。国が事業費の半分を負担、人口3万~5万人の市町村の場合、補助額は約210万円。しかし、今年度当初予算でこの事業を計上して実施しているのは、125市町村しかありませんでした。未実施の理由に「厳しい財政事情」を挙げているところが多いといいます。
         厚労省虐待防止対策室は「財政事情が厳しいのは国も同じ。児童虐待問題は深刻で、かつ緊急を要する。事業の積極的な活用を自治体に要請したい」と話しています。
         全国の児童相談所で昨年度に受け付けた児童虐待の相談は2万7128件、対応方針を決めた相談処理件数は2万6573件(いずれも速報値)で、ともに過去最多を記録しています。
         児童福祉の分野でも不登校・ひきこもり対策などの分野でも、市町村の対応は一部の自治体で始まったところと言っていいでしょう。機関や窓口が抱え込むのではなく、地域のネットワークを官民問わず広げる中で対策を前進させる工夫が期待されます。

        14歳未満も「強制捜査」―法相、少年法制改正を諮問
         野沢太三法相は8日、法制審議会(法相の諮問機関)の総会で、犯罪の低年齢化に対処するための少年法制の改正要綱を諮問、現行刑法では刑事責任を問えない14歳未満の「触法少年」が事件を起こした場合、警察に捜索や押収など捜査に準じた調査権限を与えるとともに、家庭裁判所による少年院送致を可能としました。
         法務省は法制審の答申を受け、次期通常国会に少年法などの改正案を提出します。
         厳罰化、対象年齢の引き下げといった対応で、神戸や長崎で起こった事件が防げたとは思えません。不安や恐怖に耐える子どもたちの声を聞き、寄り添うことこそ必要だと思いますが、そんな発想で法案議論に参加する議員や委員はいないのでしょうね。悲しいことです。

        「誰も知らない」を観て言葉を失いました。
        2004/09/05
        先週、今公開されている映画「誰も知らない」を観ました。淡々とストーリーは進行していきますが、そこでは、政府が国連常任理事国入りに躍起になっている国の、児童福祉のさもしい実態がまざまざと描かれています。
        http://www.daremoshiranai.com/
         東京都で実際に起こった事件を脚色したものだそうですが、04年カンヌ国際映画祭・最優秀男優賞を受賞した主演の柳楽優弥君他の演技もさることながら、住民票も学籍もない子どもたちがけなげに生きる姿を観て、全身から力が抜けていきました。「何なんだ、この現実は?」と、感情の奥底を揺さぶられました。まだ観られてない方は、ぜひご覧になることをお勧めします。
         映画と言えば「華氏911」も観劇しました。ブッシュの侵略戦争で犠牲となり、傷つき死んでいった多くの方々には申し訳ありませんが、偽政治家ブッシュの人間性がユーモアたっぷりに鮮やかに描かれています。違法な手段をこうじて勝ち取った大統領の地位、石油産業と軍需産業の利権に密着・執着し、平気で嘘を次々とつき続け、戦禍を拡大・継続させる最悪の戦争犯罪人=ブッシュ。軍に入隊しイラクに向かう若者たちの、「行く」理由の多くは貧困によるものです。それに追随し、違憲・違法の自衛隊派遣をやめない我が国の首相にも通じるものを感じます。小泉首相はこの映画を「政治的な立場の偏った映画というのはあまり見たいとは思わないね」と語りました。見たらコメントができないからではないでしょうか。毎年欠かさない靖国神社参拝は、「政治的な立場の偏った」行為ではないのでしょうか。

        佐世保事件で「殺されるのは当たり前」 愛知の小学校教諭
         愛知県豊田市の市立小学校で、男性教諭(56)が、6年生の理科の授業中に長崎県佐世保市で起きた女児殺害事件について、「殺されるのは当たり前だ。殺した方は悪くない。周りが悪い」などと発言していたことが31日わかりました。愛知県教委は「不適切」として、教諭を同日付で停職2カ月の懲戒処分としています。
         県教委によると、教諭は6月3~4日、6年生の3クラスで受け持っている理科の授業時間中、それぞれ事件の話題にふれ、「この学校でも(同様の事件が)起こるかもしれない。おまえらもそういうふうになるんだぞ」などと話したといいます。
         保護者からの苦情を受けた学校側が教諭に事実関係を確認したところ、教諭が否定したため、児童を対象にアンケート調査を実施。その結果、91人中49人が発言のあったことを認め、「すごく嫌だった」「怖かった」などと感想を記したそうです。
         教諭は学校に対し、「多くの時間を使って事件への思いを話したことは不適切だった」としながらも、「授業では『(加害者は)きっと何かで思いつめ、そういうことを実行してしまった。誰もがその子と同じなのです』と話した」とし、誰もが加害者になりうる可能性があることを指摘したかったと釈明しているといいます。それを脅かしながら指摘して、子どもたちに何を考えさせたかったのでしょうか。

        発達障害者―議員立法で支援法案 早期発見、国の責務に
         超党派の「発達障害の支援を考える議員連盟」が4日、自閉症などの「発達障害」の早期発見、支援について定める「発達障害者支援法案」(仮称)を秋の臨時国会に議員立法で提出する方針を固めました。議連がまとめた法案は、発達障害者の早期発見や乳幼児期から成人期までの支援を、国や自治体の責務と規定しています。
         やっと法的な支援への動きが始まったわけですが、発達障害に起因する不登校やひきこもりも相当数にのぼると言われていることから、学齢期の子どもたちへの支援にとどまることなく、青年・成人期以降の支援を国の施策としてほしいと思います。
        東京、山口、鳥取と面接授業の夏の旅を終えました
        2004/08/23
        放送大学では、20単位を面接授業で取得する必要があります。1科目1単位です。私の場合、心理学の実験・実習関係の授業を受ける必要があって、地元を中心に申請をしていましたがまったく引っかかることが無く、この夏はやむなく遠方の学習センター開設の講義を申請し、3つ取れたわけです。8月の7・8日が東京、17・18日が山口、21・22日が鳥取で、昨夜帰ってきたところです。心理学ブームの影響だと思いますが、近畿圏での授業開設数が少ないのを何とかしてほしい、というのが実感です。旅費、宿泊代と、かなりお金を使ってしまいました。さらに、28・29日には、和歌山で開催される「不登校全国のつどい」に参加しますので、この8月は旅つづきとなります。甲子園も、アテネオリンピックも、ニュース番組で見て「ほー」という感じです。9月は、少し落ち着くので、買い溜めて置いてある本を読んで行きたいと思います。

        自衛官、4カ月で31人が自殺、過去最悪のペース。
         自衛官の自殺者が増え、今年4月から7月末までの4カ月間で31人にのぼっているそうです。防衛庁は、このまま続けば過去最多だった02年度の78人を上回るとみています。冷戦後に部隊組織などを合理化したことに伴い、単身赴任が増えるなど職場環境が変化したことが背景にあるとの見方も出ています。イラクへの違法派遣の影響もあると思います。合理化と「死」に直面する戦地への派遣、人の「生」の反対方向にベクトルが向いた組織の現実です。
        少年法関係法令改正へ―14歳未満も少年院収容。
        2004/08/20
        法務省は24日、犯罪の低年齢化に対処するため、刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年(触法少年)の少年院への収容を可能にし、警察による「調査権」を明記することなどを柱として少年法関係法令を見直す方針を明らかにました。
         少年非行対策の法整備は、昨年末の政府発表の「青少年育成施策大綱」にも盛り込まれています。法務省は9月の法制審議会に関係法改正を諮問し、早期に成案を得たい考えのようです。
         保護観察中の少年が順守事項を守らず、保護観察所の警告に従わなかった場合、家裁の判断で施設への送致を可能にする制度の検討も…。
         在宅や児童自立支援施設で更生を図ってきたこれまでの触法少年に対する処遇の在り方を見直す内容で、「厳罰化」の進行が危惧されます。
         27日、京都で開催された、日本弁護士連合会・近畿弁護士連合会・京都弁護士会主催の「子どもの権利条約批准10周年記念シンポジウム―進行する子どもの選別、監視、切り捨てにどう立ち向かうか―教育基本法「改正」と青少年育成施策大綱を考える―」に参加してきました。一人ひとりの子どもの成長と発達、教育を保障していくのではなく、一部のエリートを選別しお金をかけて育成、一方他の多数にはお金をかけずそれなりの道徳心を植え付け、従順な労働者、戦争に参加する人間に作り上げていく、というのが国・財界の本音です。いじめ、不登校、中途退学、学級崩壊、青少年の巨悪犯罪等が、教育基本法改正の建前として利用されていますが、こうした「改正」への議論には、子どもたちの実態・現実についての調査・検討はまったく行われていないという事実を見過ごすことはできません。子どもたちをめぐる様々な課題、現場で、同じ視線に立って一緒に考える志向が求められます。

        東京都が新中高一貫校で「つくる会」歴史教科書を採択
         東京都教育委員会は26日午前、台東区に来春開校する都立中高一貫校で使う教科書として、「新しい歴史教科書をつくる会」(八木秀次会長)のメンバーらが執筆した扶桑社の歴史教科書を採択しました。この議論は5分そこそこで決議になったとか…。公立の普通校での採択は、愛媛県の中高一貫校(計3校)に次いで全国で2例目です。使用が決まったのは、都立「白鴎高校・白鴎高校付属中学校」。同校は都教委が設置を進める中高一貫校の第1号で、来年度入学する1年生160人(予定募集定員)が使うことになります。
         つくる会の教科書は中学生向けの歴史と公民の計2冊。公立校では、01年に都立養護学校と愛媛県立養護・ろう学校で採択された後、翌年、同県の中高一貫校でも採択されましたが、圧倒的多数を占める区市町村立の中学では採用されていません。同会によると、私立では全国で8校が採用しているといいます。
         採択時には大きな議論を巻き起こす「つくる会」の歴史教科書だが、すでに使用している学校現場で目立った混乱は生じていない。
         中高一貫の愛媛県立松山西中は昨年から、つくる会の歴史教科書を使い始めた。学校側は「副教材も使い、多角的に歴史を見るようにしている。第2次世界大戦の部分は(教師が)他の教科書も参考にするなど、気をつかっている」とし、「生徒、保護者、教師からの苦情はない」。ただ、「他の教科書に比べ、人物名などの分量が多く、授業で十分扱いきれない面もある」とも指摘しています。同県立の今治東、宇和島南の2校も「苦情や混乱はない」としています。
         「つくる会」歴史教科書導入の動きと、教育基本法「改正」、青少年育成施策大綱の根底に流れる思想は、日本を「戦争のできる国」にするというもので、「愛国心」や「道徳教育」の推進などで、具体的に、じわじわと私たちの、子どもたちの日常に浸透していっています。日本は単一民族の国家ではなく、多数の在日外国人が社会を構成しています。この方々を初めから切り捨て、「国家」・「日本人」意識を強化しようとしつつ、一方でグローバル化を謳うという矛盾、国際国家からの孤立化への道を突き進むつもりなのでしょうか。
        わずか1単位の面接授業、されど1単位。
        2004/08/09
        昨夜、放送大学の面接授業「臨床心理学実習」で東京から帰ってきました。心理学の実習・実験科目は地元関西の学習センターでは申し込んでも蹴られっぱなしで、やむなく、東京(足立)、山口、鳥取と申し込んでやっと3つGET! 盆明けからは山口、鳥取です。面接授業は2日間で5セッション(各2時間15分)行われ、3セッションの日は朝10時から午後5時55分まで拘束(?)されます。今回のテーマは「根拠を明らかにしながら性格を記述する」と言うもので、質問紙による性格検査からの性格査定や小面談による性格査定など、内容のとても濃いものでした。
         昨日授業終了後、あまりに疲れたので東京駅八重洲地下街のビアホールに入り、ついつい飲み過ぎました。おかげで帰りの新幹線は名古屋まで熟睡。1単位を取得するのは、本当に大変です。1単位取得の旅はまだ続きます。

        今春、史上最高の155校で定員割れ―私大入試
         4年制私立大の今春の入試で、新入生の数が入学定員を割り込む「定員割れ」が、学校数としては過去最高の155校に上ったことが、日本私立学校振興・共済事業団の調べでわかりました。入学者が定員の7割未満の大学も59校(11%)あり、少子化を背景に私大の経営が苦しくなっている実態が浮き彫りになっています。
         毎春実施している「学校法人基礎調査」から私大・短大の入学者などについてのデータを抜き出してまとめたもので、通信教育部のみの大学(4校)や株式会社立の大学(2校)などは対象外。
         今春に学生募集した私大533校のうち、定員割れは155校で29.1%。割合では01年春の30.2%を下回ったものの、前年度(147校、28.2%)より0.9ポイント増え、定員充足率が70%未満の大学も59校で前年度より9校増えています。
         短大では、全体の41%にあたる164校が定員割れとなっていますが、15校が募集停止に踏み切ったほか、3校が4年制に改組したことなどにより入学定員が前年度より9069人減少、定員充足率は4.7ポイント改善しています。
         同事業団は「私大は人気校と不人気校の2極化が進み、私大の経営を少しずつ圧迫している。来年度以降もこの傾向は続く」と分析しています。
         また、大学院の概況について初めて公表。389校を(1)修士課程・博士前期課程、専門職学位課程(2)博士後期課程・博士課程――の2種類に分けて集計。入学者と充足率は(1)が3万3676人、94.56%、(2)が4625人、61.83%でした。このうち、今春スタートした法科大学院(46校)は、3800人の入学定員に対し5万5283人の志願者があり、入学者は3932人でした。
         大学に行くのにお金がかかりすぎるというのも、定員割れの理由として大きなものがあると思います。私学個々の経営努力を云々するだけでは問題の解決にはなりません。国公立大の授業料無料化、私学助成の根本的な増額を強く望みます。「入学料」など、もっての他です。

        相談によく乗る―「父子」意識にすれ違い。
        2004/07/25
         子どもが抱える悩みに、父親は6割が「自分は相談に乗っている」と考えているのに対し、子どもは4割しか思っていないことが、東京都が行った「青年の自立・社会性に関する調査」の報告書で明らかになりました。
         調査は今年1月から2月にかけて、都内に住む15歳から29歳までの男女と、その父親・母親3,945人を対象にアンケート調査、回収率は54%。
         「父親がよく相談に乗ってくれているか」との質問に、「その通り」と答えた子どもは10.8%。「大体そう」(27.3%)と合わせても、父親が「よく相談に乗ってくれている」と感じている子どもは4割に満たない結果となりました。
         特に、15歳から18歳の女子高校生に不満は強く、「その通り」(8.1%)と「大体そう」(12.1%)を合わせてもわずか20.2%。同年齢の男子高校生(同50%)に比べて、著しく低いものでした。
         一方、父親は「子どもの相談によく乗るか」との質問に、18.9%が「その通り」と回答。「大体そう」は42.5%で、両方を合わせると61.4%がよく相談に乗っていると思い込んでいます。
         母親と子供の関係については、「母親がよく相談に乗ってくれている」と回答した子どもは62.7%にのぼりました。「子どもの相談によく乗る」と答えた母親は82.9%でした。
         このほか、親を尊敬しているかとの子どもへの質問では、「父親を尊敬している」が76.4%だったのに対して、母親は81.8%。父親は、ここでも母親に“負け”ていました。
        「子どもとの距離」をめぐる父と子の「意識のすれ違い」に、都では「深刻な問題だ。今後、青少年健全育成事業の参考にしたい」と話しています。
         性別役割分業がすすんできた中で、情緒面でのつながりは母親が強くなり、父親は、自分の意識に反して子どもと身体的・精神的に接する時間と場が少ないことの証でもあります。父親本来の家庭内役割が果たせるよう、社会的意識の変革が求められていますが、この不況下、しばらくは無理なようですね。

        沖縄県の教員の病気休職300人―過重労働で精神性疾患が増加
         沖縄県教育委員会は、教職員の病気休職について2003年度の状況をまとめた。県内の小中高校で、病気休職した教職員は300人で、うち精神性疾患は99人。どちらも、資料がある1989年以降では最多です。県内の公立学校で病気休職した教師のうち、精神性疾患が3分の1を占めています。その数は5年連続で増え、10年で約3倍になりました。専門家は、教師が「過重な労働」を強いられているとして、地域の人材がもっと学校に入って部活や生活指導へのかかわりを強める必要性を指摘しています。
         03年に病気休職した300人の内訳は、小学校146人(精神性疾患49人)、中学校79人(同27人)、高校55人(同18人)、特殊教育諸学校20人(同5人)でした。
         教師の休職や復職について協議する健康審査委員会の1人で、職場の健康問題に詳しい精神科医の山本和儀医師は、教師に適さない人も一部にいると指摘しつつ、全体的な問題として「部活や生徒指導などに追われ、休日出勤もあるなど、十分な休みが取れない状況にある」と説明しています。
         さらに、相次ぐ少年事件を背景に、学校の責任や教師が感じる心的圧力が大きくなる一方で、身近な職場に相談できる人がいないことが多いと指摘し、「地域社会の人が、もっと学校に入り込み、部活や生徒指導を手伝うなど責任を分担することが必要」と話しました。
         県教委によると、「教職員の悩み相談事業」に寄せられた悩みは03年度が670件と、前年度の364件から大幅に増えていました。多いのは生徒指導108件、職場の人間関係80件(複数回答あり)などでした。
         県高教組の松田寛委員長は「たくさんの調査書などへの対応で多忙化し、教職員の横のつながりが断ち切れ、1人で悩みを抱えてしまっている」と強調。一方、県教委は「実態はさまざまで一概に言えない」と説明しています。
         教育委員会は、こうした現実を直視し、適切な対応をすることが職務だと思いますが、その職責は棚上げし、教師個人の能力の問題にすりかえるケースが多いのが現実です。教育委員会の職責放棄と縦型統制管理主義、今、学校化社会で見直すべきことの上位に位置づけられると思います。

        7歳ごろ死を理解―兵庫・生と死を考える会が調査。
        2004/07/11
        「死んだいのちは帰って来ない」といった生と死についての認識は、7歳ごろに確立されることが、「兵庫・生と死を考える会」の調査で分かりました。従来は9歳ごろとするのが定説だったそうで、2年早まった格好です。昨年11・12月、兵庫県内の幼稚園・小学校10校園に通う4―9歳児504人に実施。動植物や自動車を生きていると思うか▽生き物の飼育経験の有無▽人の死をどう認識しているか―など16問を設け、聞き取ったもの。「人は死んでもまた生き返ると思うか」という問いには、「生き返らない」と答えたのが4歳児では53.2%だが、6歳以降は70%台になり、9歳で81.7%に達したそうです。
         長崎の小6女児事件後、「命の教育」の大切さが強調される一方、死について幼い子に話すことをためらう風潮がありますが、同会は「死の理解が確立される前の幼稚園ごろから、家庭や学校で死について話してやることが大切」と訴えています。
         同会会長の高木慶子・英知大教授(人間学)は「7歳の子どもがすでに自分や人の死を考えている。大人も避けることなく話す機会を持つことが大切」と指摘。「ペットや身近な人などの死を取り上げ、死を迎える苦しみや死者を送り出す悲しみなどを考えさせてほしい」と提案しています。会は今後、小学生から高校生までの死生観を継続して調べる一方、幼稚園児や小学生向けの教育カリキュラムについて研究するといいます。
         家庭や地域での日常的な生活場面において、「死」と向き合う体験をすることが稀少となっている現代、「生きること」と「死ぬこと」について、子どもの育ちの中で、子ども自身が考える課題・テーマを適宜提供する姿勢が大人に求められていると思います。

        郡山の中学校体罰損賠訴訟、県と市に50万円支払い命じる――地裁支部
         地裁郡山支部(宍戸充裁判長)は6日、郡山市立行健中学校で01年、国語科の男性教諭の体罰で精神的苦痛を受け不登校になったとして、同市の県立安積黎明高校2年の男子生徒と両親が市と県に慰謝料200万円を求めた損害賠償訴訟で、教諭の体罰を認定して市と県は連帯して生徒側に対して50万円支払うよう命じる判決を言い渡しました。
         判決によると、教諭(当時31歳)は01年5月、授業中に騒がしかったため、学級副委員長だったこの生徒に前に出ていすの上に立ち、静かにさせるよう命じた。また、授業を途中で打ち切って生徒をトイレに連れて行き、トイレ内で生徒を怒鳴りつけ、左腰付近を3回以上足げりした。
         県教委の富田孝志教育長は「体罰はあった。大変遺憾」と述べ、市と県は判決をよく検討して今後の対応を決める方針を明らかにしました。
         またも体罰問題です。教師が、校則と体罰で生徒は手っ取り早く「言うことをきく」と考えてしまう環境が「学校」に存在しているのでしょう。子どもの人間的成長よりも、学校秩序等の外見的規範の確保を優先するという「学校病理」です。一人ひとりが大切にされることのない「学校」で「教えられる」「命の教育」って、いったい……。

        確率の説明で「死のくじ」―横浜市立中教諭
         先月30日横浜市磯子区の市立中学校で、3年生の数学の授業を担当していた男性教諭(48)が確率の説明をする際、黒板に「死」など3種類の文字があるくじ引きを描き、引かれた「死」のくじの隣にクラスの男子生徒の名前を書き込んでいたことが6日、わかりました。市教育委員会は「不適切な指導」として教諭の処分を検討しています。
         教諭は黒板に袋の絵を描き、その中に当たりを示す「当」の字を2つ、ハズレの「ハ」を4つ、「死」を1つ書き入れたうえで、「当」の後に「死」を引く確率を出題。くじ引きが行われたものと想定して袋の外側に「当」「死亡」と書き、その隣に、クラスの男子生徒の名前をそれぞれ書き込んだそうです。
         授業後、他の生徒が別の教諭に「あのやり方はよくないと思う」と指摘し、校長が事実関係を調査して授業内容が発覚。男性教諭は校長に対し、「確率からロシアンルーレットや死を連想した。死という言葉を使うことで、授業に親しみやすさが出ると思った。(くじの隣に書き込んだ)生徒の名前は無作為に選んだ。他意はなかった」と釈明したといいます。教諭は今月2日、「不適切な例を挙げて申し訳なかった」とクラスで謝り、5日には「死亡」とされた生徒と保護者に対して謝罪しています。クラス全生徒のノートを回収し、該当部分を消すなどの対応を取るそうです。
         市教委小中学校教育課は、「生徒の名前と死を結びつけて例示するのは大変不適切。生徒の心情への配慮が足りない。事実関係を調べたうえで厳正に対処する」としている。
         「死」とされた生徒たちの気持ちを考えることができない、相手の立場に立って考えることができない、「学校」が求める「規範」と授業の実態はかけ離れているようです。
        キレる子どもの脳に特徴? 1万人追跡調査へ。
        2004/07/04
         文部科学省所管の独立行政法人科学技術振興機構は29日、少年犯罪の増加や学級崩壊、不登校のまん延などの原因を最先端の脳科学で探ろうと、0歳児と5歳児計1万人について、行動の特徴と脳の働きの関係を5年間にわたって追跡調査すると発表しました。
         この調査は、体を傷つけずに磁気や光で脳内の活動を調べる「機能的MRI(磁気共鳴画像)」や「光トポグラフィー」といった最先端技術を活用し、子供の生活状況や心身の発達、言語の習得具合などを調べながら、脳との関係を長期間にわたって観察するそうです。家庭環境の違いや地域差、男女差なども詳しく分析、問題行動を起こす子供の脳の特徴や、その原因などを突き止めることを目標としています。今年度から2年間、予備調査を行い、調査手法やプライバシー保護のあり方などを検討。本調査は2006年度から5年間実施する予定です。
         ここ数年、ささいなことですぐに「キレる」子供が増え、少年犯罪の増加などにつながっていると言われています。テレビやゲーム、インターネットの普及、ストレスの増大、少子化などとの関連が指摘されていますが、はっきりした因果関係は分かっていません。
         研究の代表者は、光トポグラフィーの開発者で脳科学が専門の小泉英明・日立製作所フェロー。全国の大学病院や自治体などの協力を得て、乳児健診時に家族構成や生活状況などを聞き、追跡調査の対象者を絞り込みます。調査研究費は7年間で総額40-50億円にのぼる見込みだそうです。
         「キレる」ことと脳機能との関係を調査し明らかにすることは意義のあることだと思います。できればキレやすくなる前の子どもの脳の状態と、キレるようになってからの脳の状態の違い、変化が明らかになるような縦断的調査が行われればと思いますが、一方で、脳の機能的変化が起こるとしたら、その環境的要因(政治、経済、文化、地域、学校、家庭等の社会的環境と人間関係など)を同時に調査してもらいたいと思います。そして、小学校高学年から中学校にかけての児童生徒に様々な問題行動が顕著なことを考えると、5年間だけでなく、青年期までの追跡調査が必要かと思います。

        民間のIT技術者を教員向けに派遣(文科省)
         長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件などを受けて、文部科学省は情報モラルをはじめIT(情報技術)に対応できる教員を増やすため、民間企業の技術者らを講師役として各地に「出前派遣」してもらい、指導力の向上を目指す方針を固めました。学校と企業との橋渡し役として「教育情報化推進協議会」が7月にも発足するそうです。会員企業の支店網をフルに活用し、官民一体の取り組みとするそうです。推進協は、電機・通信機器メーカーや教科書関連会社、都道府県教委の連合会、情報教育関係団体などが会員として参加し、学校からの研修希望を受けて、会員企業の支店などに講師派遣を依頼。企業の技術者のほか、情報教育で優れた実践例がある学校関係者も講師になります。
         文科省の調査では、公立小・中・高校でコンピューターの指導ができる教員は52.8%(昨年3月現在、全国平均)にとどまるそうです。教員のIT研修は各都道府県教委単位で実施されてきましたが、内容は各教委にゆだねられてばらつきがあるうえ、参加費用を個人負担しなくてはならない例もあり、必ずしも十分には普及していなかったようです。
         佐世保の事件では、ネット上のやり取りを巡るトラブルが背景の一つとして指摘されています。相手の表情が分かる日常会話とは異なる特性を踏まえ、ネット利用のエチケットである「ネチケット」を子供に身につけさせるなど、教員の指導力の問題も改めてクローズアップされています。

        久留米の小5女児、校長体罰でケガ・25日から欠席
         福岡県久留米市の市立鳥飼小の今古賀信夫校長(55)が授業中、5年生の女児(11)の顔を平手打ちし、1週間の打撲傷を負わせていたことが28日分かりました。女児は「学校に行きたくない」と家族に話し、欠席しています。
         市教委などによると、女児のクラスでは級友を中傷する内容のメモが出回るなどしたため、24日の3時間目の学級会で話し合うことになりました。校長が「いじめをしないこと」や「命の尊さ」を指導しようと午前11時ごろ、教室に入ったところ、女児が自分の席についていなかったため、注意した後、ほおを1回、平手でたたくと、女児は衝撃で棚に顔をぶつけ、けがをした。教室には担任の男性教諭もいたといいます。校長は同日中に市教委に報告後、女児の自宅を訪ね保護者に謝罪。女児は翌25日から学校を休んでいます。校長は読売新聞の取材に対し事実を認め、「教職員を指導する立場にありながら、取り返しのつかないことをした。校長として、教員として、してはいけない行為だった。猛省している」と話しています。
         日本で「体罰」禁止の法的規定の歴史は長いものがありますが、実態として、「生徒指導」の手っ取り早い手段、教師の感情的な行為として、温存され続けています。この少女が受けた精神的傷は、当該の校長や教育委員会がどんな釈明・謝罪を言葉で繕ったとしても、簡単に消えるものではありません。「教育のプロ」の肩書きが泣きます。
        中学校ではしばしば体罰が行われている可能性?
        2004/06/27
        女性教員の方が身体的な虐待や心理的な虐待には反応しやすく、男性教員の方がネグレクト(育児放棄)には敏感――。児童虐待に対する教員の“感度”には、男性か女性か、ベテランか若手かなど、その属性によって差があることが、文部科学省が玉井邦夫・山梨大助教授らの研究班に委託して行った調査で明らかになりました。調査は、2002年度から2年かけ、全国の幼稚園と小中学校の教員約7400人を対象に実施されたもので、「子どもの腹を足でけり上げる」など39の事例を挙げ、それぞれについて、〈1〉虐待や放任に当たると思うか〈2〉福祉機関に通告する必要性があると思うか――を5段階で答えてもらっています。
         その結果、「罰として、子どもを夜中まで外に立たせておく」「親が思春期の異性の子どもと一緒に風呂に入る」「他のきょうだいと比べて、『お前はだめだ』と言う」など、身体的、性的、心理的な虐待に対しては、女性教員の方が男性教員より、明白な「虐待」としてとらえる傾向が強いことが判明。これに対し、「親がギャンブルにカネを使って給食費が払えない」「子どもが仲間と家で飲酒しているのに何も言わない」「親がパチンコをしている間、乳幼児を車に残す」など、ネグレクト関連の項目については、男性教員の方が敏感に反応することが分かりました。
         玉井助教授らは研究報告書の中で、「女性教員の多くは、自分で子どもを育てながら仕事をしてきた経験があるため、子どもの世話がおろそかになるネグレクトを、男性教員よりも大目に見ている可能性がある」と分析しています。
         また、教員歴を「10年以下」「11―20年」「21年以上」の3群に分けて比較したところ、身体的虐待では顕著な差は見られなかったものの、心理的虐待に対しては、教員歴が長くなるほど感度が下がることが分かりました。また、関連機関に通告するかどうかの判断は、身体的虐待、心理的虐待とも、ベテランになるほど抑制的でした。
         小学校や幼稚園は圧倒的に女性教員が多いというように、学校によって教員の配置には偏りがあることから、研究班は、人員構成の特徴に応じた配慮を現場に求めています。さらに、「中学校の教員には体罰への慣れがあることを示しており、中学校で、しばしば同様の体罰が行われている可能性がある」と指摘しています。
         「体罰への慣れ」とは、あってはならないこと、教育基本法で禁じられている体罰に「慣れ」が見られるのは、生徒への統制と管理を行う手段として体罰が常態的に行われているところが少なくないということです。

        例題に「殺して山分け」 小6担任教諭を厳重注意
         宮城県迫町の町立小学校6年生の算数の授業で、担任の男性教諭が最小公倍数を求める問題に、銀行強盗の犯人が仲間を殺して、奪った現金を山分けする場面を例題とし、校長が厳重注意していたことが24日、分かりました。同町教育委員会によると昨年10月、40代の男性教諭が「7人で銀行強盗をして札束を山分けしたら2束足りません。そこで2人を殺しましたが、それでも2束足りません…札束は何束でしょう」などと黒板に書き出し、児童にノートに書き写させました。ノートを見た保護者が学校に抗議、学校側は文書で保護者に謝罪しました。教諭は「子どもが飽きないように出題したが、反省している」と話しているといいます。町教委は「子どもによる凶悪な事件が相次ぎ、命の大切さを教えている中で、極めて不適切な問題だ」としています。
         「子どもが飽きないように」工夫するのは構いませんが、思考が歪んでいます。こんな問題なら子どもたちが興味を持つと、本気で思ってのことでしょうか?

        制御できぬネットの言葉、学会シンポで専門家指摘。
        2004/06/20
        13日、福岡市で開催された児童心理学や教育社会学の研究者らでつくる「日本子ども社会学会」の公開シンポジウム「子どもは変わったか」で、長崎県の小6女児事件に関連し、子どもたちが最先端の電子メディアに巻き込まれる危うさが指摘されました。
         お茶の水女子大の本田和子学長(児童学)は、加害女児と被害者が交わしていたインターネットのチャットの会話について「ネット上の言葉が発する力を、大人は理性で制御できても子どもにはできない」と述べられました。
         さらに「ネット上の言葉は観客を想定したショー的な面を持つ。『殺してやる』と書けば本当に殺さねばならなくなるなど、そのショーを完成させるために自分が発した言葉に自分が規制され、時に異常な行動に出てしまうのではないか」と分析されました。
         また、電子メディアと子どもの接触について東京成徳大の深谷昌志教授(教育社会学)は、「バーチャルな経験が増えて実際の体験が不足し、人間関係が未成熟なまま成長してしまう。今の子どもたちに生の体験をどう積ませ、どのように生き方を見つけさせるかを考えねばならない」と述べられました。
         小学校でPC操作、ネット世界を教えている現状では、子どもたちがそれを通して何を体験し、何を学んで、何を楽しんでいるかを、親や教師が把握し、バーチャルな経験に浸かってしまわないように適切な関わりが求められると思います。ネットがコミュニケーションの手段を超える時、大人でも心理的に追いつめられる経験をすることがあります。メールを覗くのははばかれますが、PCやネットについての会話を十分に行う努力はしたいものです。

        ブッシュ政権の交代要求 元CIA長官ら27人
         【ワシントン16日共同】ターナー元米中央情報局(CIA)長官ら米政府や軍の元高官27人が16日、ブッシュ政権の外交・安全保障政策はイラク戦争などで「完全に失敗した」として、政権交代を求める声明を発表しています。元高官らが現政権の交代を公の場で要求するのは極めて異例のことです。声明は「ブッシュ政権は合理的な分析よりもイデオロギーに基づいて、米国を出口の見えない、高くつく戦争に導いた」と厳しく批判、「建国以来225年の歴史の中で、米国がこれほど孤立し、恐れられ、信頼を失ったことはない」と強調、「変革の時だ」と訴えました。メンバーは党派とは無関係に危機感を共有しており、大半は前回の大統領選でブッシュ大統領を支持したといいます。
         真実を見抜く扉は、時代によって開かれます。無法な侵略攻撃も、軍事支配も、強国政府に追随し「人道支援」を強調しながら軍隊でない自衛隊を「多国籍軍」に参加させる決定を独断で行う政治家の姿勢も、人道にもとるものであることは、いずれ明らかとなるでしょう。それまでの被害を最小にとどめなければなりません。

        「学校事故・事件を語る連絡会」第5回(小)集会に参加
         19日、神戸市で開催された「学校事故・事件を語る連絡会」第5回(小)集会に参加してきました。学校事故・事件被害者の様々な問題を改善していくことを目的に回を重ねています。今回は長崎から参加された方もありました。来る8月21日(土)~22日(日)には「学校事故・事件を語る連絡会」第6回(大)集会が神戸で開催されます。学校における事故や学校に係る事件でお子さんを亡くされたり被害を受けられた方、また関心のある方の参加を期待します。
         「学校事故・事件を語る連絡会」の当面の連絡先は、
        http://homepage3.nifty.com/Hyogo-GGG-Izokunokai/、E-mail: HQC00120@nifty.com です。

        教員の半数が児童虐待気付いても通告ためらう?
        2004/06/13
        文部科学省の委託研究班による「児童虐待に関する学校の対応についての調査研究」で、虐待が疑われる子どもの存在に気付いても、幼稚園と小中学校の教員の半数近くが、「児童相談所などへの通告は、場合による」と考えていることが6日分かりました。調査は、山梨大の玉井邦夫・助教授らの研究班が2002年度、全国の公私立幼稚園と公立小中学校、計179校の教員3710人を対象に実施し、2年がかりで回答を分析したものです。通告は法的義務ですが、教員がためらうのは、「自らの判断に自信が持てない」「子どもへの被害拡大を恐れる」などの理由が多く、研究班は「児童相談所などとの適切な連携に向けたシステムづくりが急務」と指摘しています。
         2002年度までの2年間に、家庭での虐待(身体的・心理的・性的虐待、育児放棄)が疑われる児童・生徒への対応を経験した教員は5人に1人の21.9%、幼稚園25.6%、小学校25.3%、中学校18.2%の順でした。疑いを持ったきっかけは、「身体的な様子」「子どもの言動」「他の教員の連絡」「欠席状況」の順で多く、養護教員、学年主任、生徒指導担当者などの教員ごとに、虐待に気付くきっかけに特徴があり、報告書は「学校は複眼的な視点を持ちうることを示している」としています。しかし、虐待事例を教員が見つけた場合に、児童相談所や福祉事務所に通告する義務(児童虐待防止法)について、「知っている」「聞いたことがある」と答えたのは83.6%。公務員の守秘義務よりも通告義務が優先することを知っていたのは、71.4%にとどまっています。
         「今後、疑わしい事例を通告するか」という問いには、「必ずする」と答えたのは44%。「場合によってはする」が48.8%、「しない」が0.3%いました。
         通告をためらう要因は、「虐待であるという判断に自信が持てない」「事実関係を把握したいと考えるだろうから」など「自分の判断」に関するものが回答者の4割強、「子どもに被害が出るのではと思う」など「子ども自身」に関するものは2割弱、「保護者との信頼関係を損ないたくない」など「家庭との関係」に関するもの、「上司から止められそう」など「校内体制」に関するものがいずれも1割強でした。
         虐待を受けている子どもにとって、どんな対応がふさわしいのかを考えた時、これらの答えは「大人の立場」が優先された判断と思えてしまいます。

        若者減り、年金不信加速―出生率低下
         出生率低下に歯止めがかかりません。厚生労働省が10日発表した03年の合計特殊出生率は政府の02年推計を下回り、1.29に落ち込みました。この「誤算」は、改正したばかりの年金設計を大きく揺るがします。政府が約束した「50%給付」の確保は不透明になり、「年金不信」に拍車がかかるのは避けられそうにありません。出生率低下はまた、経済成長の足を引っ張り、過疎化による地域崩壊などにもつながりますが、抜本策は見えないままです。
         政府は89年に合計特殊出生率が急落した「1.57ショック」をきっかけに少子化対策に取り組んできました。今回の年金改革法にも、育児休業中の人の年金保険料免除期間を現行の1年から3年に延長することを盛り込んでいます。児童手当の支給対象の拡大や不妊治療に対する助成制度も設けていますが、出生率低下は底なしの様相です。
         政府の出生動向基本調査によると、結婚5年未満の夫婦が「理想とする子ども数」は2.31人。しかし「予定する子ども数」は1.99人。その差の理由は「金が掛かるから」が8割を占めています。
         フランスでは3人の子どもを9年間養育した男女に年金額を10%加算するなどして、出生率を94年の1.65から02年に1.88に回復させたそうです。スウェーデンでは、子どもが4歳になる間に所得が減っても、年金計算は(1)子どもが生まれる前年の所得(2)年金加入期間の平均所得の75%(3)現行所得に基礎額(約50万円)を上乗せした金額――の3通りから最も有利なものを充てるなどの対策で、01年に1.57だった出生率は02年に1.65に伸びたそうです。政府はこうした事例を参考に、若い夫婦への「経済支援」に力点を置いていますが、政府の社会保障審議会では、女性の就労形態の変化や、出産よりも自らの生き方を尊重し始めたことも出生率低下につながっているとの指摘も出ています。政府は昨年、自治体や大企業に少子化対策の行動計画作りを義務づけた次世代育成支援対策推進法を作りましたが、少子化に伴う年金財政の悪化→若い世代の将来不安増大→一層の少子化進行――という悪循環から抜け出せていません。
         今回の「年金騒動」を見ていても、政府関係者が長期的視点を持って真剣に子育て支援社会の形成を考えているとは思えません。子の生きる世代、孫の生きる世代をよりよい社会に、という意思が稀薄であるために、その場しのぎの右往左往施策が続くのではないでしょうか。

        子どもが育つ環境を考えさせられる佐世保同級生殺害事件。
        2004/06/06
         長崎県佐世保市の市立大久保小学校(児童数187人)の6年生、御手洗怜美(さとみ)さん(12)が殺害された事件で、県警の調べに対し、補導された同級生の女児(11)が「(事件の)4日前に殺すつもりだった」と供述していることが分かりました。佐世保児童相談所は2日、女児を長崎家裁佐世保支部に送致、家裁は女児の観護措置を決め、長崎市の長崎少年鑑別所に。
         この事件は単に11歳女児の同級生殺害という事件性だけでなく、その背景について考えさせられます。
         事件の10日ほど前、女児が髪を切っており、髪形などについて、インターネットの掲示板に書き込みがあったそうです。県警の調べに女児は「仲良しだったけど、インターネットの掲示板に(怜美さんに)嫌なことを何度か書き込まれ、腹が立った。殺すつもりだった」と供述。実際に事件が起きた1日の4日前にも殺害を実行しようとしていたとみられます。また女児が自分のホームページ(HP)に同級生への激しい憤りなどをつづっていたことも分かりました。女児は掲示板の書き込みについて「やめて欲しい」と怜美さんに求めていたといいます。このHPの世界を覗くと、様々な彼女の苦悩が見えてくるようです。
        ◇クラス替えのない小さな「密室」の友人関係
         <うぜークラス つーか私のいるクラスうざってー>。女児は昨年12月、自分のHPに気持ちをぶつけています。同級生たちをののしる言葉がさらに並びます。<下品な愚民や><喧嘩(けんか)売ってきて買ったら「ごめん」とか言って謝るヘタレ(根性なし)や><高慢でジコマン(自己満足)なデブス(デブでブス)や>
         女児は今年5月、HPで物語も書いています。題名は「BATTLE ROYALEー囁(ささや)きー」。残虐シーンが社会問題化した映画「バトル・ロワイアル」になぞらえ、同じクラスの中学生同士が、ただ一人の生き残りをかけて殺し合う。登場人物は男子18人、女子20人。1学級しかない大久保小の6年生と構成は全く同じ。物語は一人の女子生徒だけが生き残ったところで終わる。女児はこう記しています。<私は……殺し合い、なんて、人を奪うことは許されないので殺し合いなんてしません(何きれいごと吐いてるんだ)>
         保護者の中には「女児にはいろんなストレスがたまっていたのではないか」とみる人もいます。6年間1クラスで持ち上がり、女子特有の小集団形成・解体・再形成もあったでしょうし、表面的には「良い子」の役割を演じ続けるというストレスも大人には理解できないほど強いものだったのでしょう。
         学校関係者は「女児は事件の1週間ほど前からいらいらして、他のクラスメートとも口げんかをしていた」と明かします。これは確かな「兆候」ではないのでしょうか。夜のチャットで不本意な書き込みにいらだっていれば、昼間の学校生活場面でもその心理状態が現れて当然です。
         はた目には少女らしい仲良しの2人。女児は怜美さんのように授業参観でも進んで手を上げる快活なタイプだった。だが、教師の目には「非常に明るい半面、暗いところがある」と映ったといいます。その暗いと感じた面を知る関わりを持って欲しかったと思います。
         父母は佐世保児童相談所に「子供は問題なく育っていた。成績もよく、頑張り屋だったが、なかなか自己主張できないところがあった」と話しています。一所懸命演じた「良い子」のもう一つの面を、彼女は精一杯隠し通したのでしょう。誰にも心を開くことなく……。
         捜査関係者は残酷な事件と女児の顔が結びつかない。「かわいらしい、どこにでもいる普通の子で特別な感じはしない。本当の動機は仲の良かった2人にしかわからないかもしれない」と語っています。学校も家庭も地域も、子どもたちにとって「安心できる場の保障」「自分を大切に思い他者を思いやる気持ちの育ち」の必要性を教えてくれた事件ではなかったでしょうか。しかし、失ったものが大きすぎます。

        民間施設と教委、小中学校が連携:不登校児童・生徒の対応へ初会合
        フリースクール関係者と学校関係者の連携のあり方などを考えるネットワーク会議(京都市上京区)
         不登校児童・生徒への対応について、学校関係者とフリースクールなど民間施設の関係者が協議する「不登校に関するネットワーク会議」の初会合が1日、京都市上京区のホテルで開かれました。
         これまでほとんど連携がなかった府内の民間施設と教育委員会、小中学校が「児童、生徒に細やかに対応するため」情報交換する場を設けたものです。▽フリースクールなどの実態把握▽学校とフリースクールの連携のあり方▽文部科学省が示している出席認定に関するガイドラインの京都府版策定-の3点を協議するそうです。
         委員には府教委、小中学校代表、学識経験者らのほか、ほっとハウス(京都市南区)、わく星学校(同左京区)、聖母の小さな学校(舞鶴市)の3つのフリースクールの代表が出席した。
         座長に本間友巳京都教育大教授を選び、フリースクールが「人間関係をつくり、社会の中で自立できるようになることを目指している」などと活動の状況を報告した。
         会議は今後月1、2回のペースで数回開催し、連携のあり方やガイドラインを決めていくそうです。
        カンニング疑われた高3男子、学校の事情聴取の後に自殺。
        2004/05/30
        また悲しい出来事が起こりました。埼玉県所沢市の県立所沢高校に通う3年生の男子生徒(17)が、中間試験の最中にカンニングを疑われて指導を受けた後、飛び降り自殺していたことが27日分かりました。
         男子生徒は26日午前の中間テストで2時間目の物理の時間中、1時間目にあった社会科に関する資料を机の上に出していたため、試験監督の教諭に注意を受けました。生徒は3時間目の試験が終わってから個室に呼び出され、教諭4人に正午ごろから午後2時ごろまで代わる代わる事情を聴かれるなどしたといいます。しかし生徒は「カンニングはしていない」と主張、学校側は「違う科目の資料であっても、疑われるような行為は良くない」と指導したといいます。生徒はいったん帰宅した後に外出、同日午後6時ごろ、自宅から約3キロ離れたビルから飛び降りました。自殺直前と思われる5時40分過ぎ、生徒から母親の携帯電話に「本当に本当に迷惑をかけてごめんね」と、短いメールが着信していました。母親は「学校からは『カンニングをしたとは認識していない』と説明があったが、それならなぜ2時間も事情聴取をしたのか。そのことが原因としか思えない。悔しかったんだと思う」と話しています。遠山校長は「命がなくなったことは謙虚に受け止めて反省しなければいけない。力不足だった」とし、指導のあり方について「調査(聴取)の時間が長かったかもしれない」と話しています。
         「力不足」とかの問題ではなく、「疑い」だけで2時間も4人の教師が代わる代わる問いつめられ、対応した「教師全員から疑われたこと」「自分を信じてもらえなかったこと」が悔しくて耐えられず、刹那的に人生を悲観・否定し自死を選択してしまったのだと思います。「疑い」だけで2時間も4人の教師が関われるのなら、なぜ日常の「生徒指導」においてゆとりをもった人間的関わりができなかったのか、それができていたらここまで一人を疑い多数で2時間も問いつめるという事態はあり得ないと思います。これでは「生徒指導」ではなく、「心理的虐待」でしかありません。学校側は、「事情聴取」の内容やその仕方、生徒の様子・対応について、詳しく家族に説明する責任があります。親が知りたいのは、「あった事実」とその時の「我が子の気持ち」であり、学校側のその場しのぎのごまかしの粉飾された言い分ではありません。

        学校間格差、最大45倍? 絶対評価「5」にばらつき
         「絶対評価」に基づく教科ごとの成績評価で、5段階評定の「5」の割合に最大45倍の学校間格差があることが横浜市内の公立中学校を今春卒業した生徒の調査で分かりました。成績評価は高校入試の調査書に影響します(神奈川県の公立高入試では調査書の比重が大きい)が、今回調査の実態から、評価基準の客観性が問われそうです。毎日新聞社が学校別の評定一覧を情報公開請求し、同市教委が公開したもので、全校分の公開は政令市で初めてだそうです。学校名と成績が公開されたのは、同市内の公立中145校を今春卒業した生徒の2年修了時と3年2学期の分、学校別に全9教科で1~5評価の生徒数が記載されています。1学年の生徒数が40人以上の学校(144校)で、「5」の生徒数の割合に最も差がついたのは2年生の英語。80人中44人(55%)と82人中1人(1.2%)の学校の格差が45.8倍ありました。全校の「5」評価数の平均は、以前の「相対評価」で定められていた7%の2倍を超える17.7%。30%以上も9校ありました。3年生の保健体育では、「5」が56.4%(335人中189人)と高率の学校がある一方、0%(14人中0人)の学校もありました。ある学校では全9教科で「5」評価数の平均が4割を超え、評定平均は2年生が3.79、3年生が4.02でした。相対評価の場合は3.00になるが、同校の校長は「興味や関心を持ち、意欲的に学習する生徒が多いから」と他校より高い原因を説明。同市教委も「突出する学校は気になるが、問題ではない。絶対評価ではあり得ること」と静観。
         しかし同市立中の40歳代の男性教諭は「学校現場の実態からは想像できない高値。入試での土俵が違ってしまい、受験生に不公平感をもたらす。絶対評価の調査書を入試の選抜資料に用いるのは疑問」と首をかしげています。
         教科の到達度評価の基準や学年全体の状態、授業を受ける態度への評価に学校毎に大きな差があれば、当然ながら調査書に不公平が起こります。文部科学省による拙速で一律的な評価方法の変更に対する学校現場の対応にばらつきが発生している事実、全体的に低い評価を受ければ「はずれくじ」では済まされません。
        (絶対評価):新学習指導要領に合わせ、02年度から全国の小中学校で導入。5段階評定で最高の「5」は7%などと各評定の割合があらかじめ定められた相対評価と異なり、学習目標をどこまで達成できたかを評価。理論上は全員が「5」もあり得る。
        10年で1.6倍=働かない若者「ニート」昨年63万人。
        2004/05/23
        ニートは「Not in Employment, Education or Training」の略語で英国の労働政策の中から生まれた言葉だそうです。長引く不況下で企業が正社員採用を手控える中で増加したと言われています。一方、フリーターはフリーのアルバイターの意味の造語で、定職につかず、短期のアルバイトなどをして暮らす若者らのこと。就職意欲がなく働かない、「ニート(NEET=無業者)」と呼ばれる若者たちが急増してきていることを、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の小杉礼子・副統括研究員が、総務省の労働力調査のデータを分析して明らかにしました。平成15年は63万人と10年前の約1.6倍に増加、15-34歳の約2%に上ると推計されます。就職活動をしないことからハローワークなど公的機関経由の接触も困難、少なくとも働く意思はあるフリーターよりつかみどころがない存在です。
         ニートの急増ぶりは、15-34歳の比較的若い年齢層に限定、フリーターを除外し計算したところ、平成5年の40万人から、10年後の15年には63万人に急増、対象年齢層の約2%に上るといいます。この分析結果を踏まえ、小杉研究員は、若者への就業支援を行っている民間企業、地方公共団体施設などを対象に、ニートの実態などについて聞き取り調査を実施。その結果、ニートの例では、親に“パラサイト(寄生)”して生活しているケースが多く、現金が必要になると、1、2日の短期のアルバイトをしてしのいでいる-などの生活スタイルが浮かんでいます。ニートがいくつかに大別できることも分かったそうです。「ヤンキー型」は先進国特有のタイプで各国に共通して存在。「立ちすくみ型」、「つまずき型」は完全に自信をなくしている人もいて、アルバイトもできない場合がある。「高校や大学を卒業すると一斉に就職し、離職したら再挑戦が難しい日本に特有のタイプではないか」と小杉研究員は指摘しています。
         年齢別でみると高校卒業から1年以内にあたる19歳が突出して多く、男女とも対象年齢の約4%。就職事情の厳しさから高校卒業後に定職に就くことをあきらめた層がかなり含まれているとみられます。若者の就業をめぐっては、フリーターが内閣府調査で全国で約417万人にのぼり、税収減、年金制度など経済、社会への影響が懸念され国が対策に手をつけたばかり。小杉研究員は、「日本社会がこれまでもっていた次世代の職業人を育成するシステムが機能しなくなったことをまず社会全体が認識する必要がある。その上で、学校、産業界、行政が連携してシステムを再構築しなければならない」と指摘しています。
         「パラサイト・シングルの時代」などの著書がある東京学芸大の山田昌弘教授(家族社会学)の話:「アルバイトとか夢をもっているフリーターのほうがまだましで、『どうなってもいいや』という人が増えることは、社会における不安定要因になる。これだけ努力したら、こんな職に就けてこんな生活が待っているといった将来の見通しがつけられるような総合的対策が必要だろう」
         村上龍さんの「13歳のハローワーク」が100万部を突破したそうです。不登校・ひきこもり・フリーター・ニートという児童期から青年期にかけての不安と自己愛の喪失という連続体に対して、社会的な対策と支援システムの構築が緊迫した課題となっていることを表していると思います。

        「勉強しろ」いやで中3、同級生と共謀しオノで母殴る
         鳥取県警倉吉署は19日、母親(52)をオノで殴りつけて殺害しようとしたとして、倉吉市内の中学3年の少年(15)と同級生の少年(14)を殺人未遂の疑いで逮捕しました。調べに対し、15歳の少年は「母親がふだんから厳格で『勉強しろ』と言われ、うっぷんがたまっていたので殺そうと思った」などと供述、同署は計画的な犯行とみて、2人を追及しています。少年は数日前、市内で自転車1台を盗み、乗っているところを所有者に見つかって取り返されており、「いずれは母親に知れ、しかられるのが怖かった」とも供述。日ごろのうっぷんに加え、この自転車盗が犯行の引き金になったとみています。学校関係者によると、2人は友人で、少年はおとなしく目立たないが、学校にもきちんと登校し、これまでに非行歴はないといいます。同級生もおとなしいが、学校は休みがちだったそうです。
         蓄積され続けるストレスに加えて、自転車盗という負い目が不安と葛藤を強め、直接的に精神的ストレスの対象であった母親への暴力という攻撃的対処を行ったという悲しい事件です。勉強を強要することを「親の義務」「子どものため」とはき違えてしまう今の競争主義社会の過り、子どもの気持ちを理解し寄り添うことの必要性を改めて考えさせられます。
        美味しい「京都西山」の天然水、でも地元は川の水を飲む?
        2004/05/16
        あるTV-CMで、「おいしい天然水…」として「京都西山」の水を使っていると紹介されている商品があるのを知って、おやおやと思いました。私の地元は京都の乙訓地域と言って、京都西山の南側に位置します。酒造会社のサントリーがウイスキーの蒸留所を持っているのも、乙訓郡大山崎町で、京都盆地から乙訓地域にかけてたっぷりと蓄えられている地下水を使ってウイスキーを作っていて、「山崎」という商品もあるくらいです。京都盆地に匹敵するほどの地下水脈があるそうで、私の住む向日市も3・4年前まではこの地下水を上水道として使っていて、冬温かく、夏冷たい、美味しい水道水を飲んでいました。それが降ってわいたように、地下水枯渇の恐れ(科学的根拠はない)を理由に「水道水の安定的供給をはかるため」として京都府営水道との統合(桂川の水を上流で汲み上げわざわざパイプを引いて山の上のタンクに運び、地下水とブレンドするというもの)が強引に決定され(地元では大きな反対運動が繰り広げられましたが…)、現在不味い、高い水道に変わっています。多市町から転居されてこられた方が「この水道メーター壊れとる!」と言われるのももっともなほど突出した高額公共水道と化しました。地下水枯渇に根拠がないのは、地元の電気関係などのメーカーや商業施設では独自に井戸を掘り、低価格で地下水を利用していることからもわかります。そこへもってきて、「西山の天然水」ですから、笑えます。無理と矛盾のある施策は、いつかは思わぬところから暴露されるのですね。行政当局はどんな説明責任ができるのでしょうか。これまで被った高い水道代を返して欲しい! 美味しい地下水を返せ! 地元住民の声です。

        政府・与党とマスコミが一体となった人質バッシングは情報操作
         「自作自演説」が警察筋から流されました。「自己責任論」は政府官邸とマスコミから流されました。そして御用マスコミがこぞって誇張して書き立て、人格攻撃とも言えるバッシングが行われました。これらの本格的なだましのテクニックに乗せられて、少なくない人々が「自己責任論」を是とするバッシングに加わってしまったことが残念でなりません。人質事件ではっきりしたのは、日本には「お上」が存在し、それに刃向かうものを政府は切り捨てるということ、「弱者」に対してうっぷんのはけ口とするかのように匿名でものすごい攻撃が行われるほど社会が病んでいること、小泉内閣によって自衛隊派兵の国民的認知を高めてしまったこと、小泉政権のメディア戦略に多くのマスコミが屈し御用化したこと、そしてイラク問題で日本政府は何も貢献できないばかりかNGOらの実態ある支援活動を危険に陥れたことなどでしょう。そして今、「自己責任」は、当の小泉首相を含む年金未納・未加入政治家センセイ達自身が問われる事態となっています。この大混乱の中、年金改悪法は年金未納者たちによって立案され論議され3党合意とかで強行可決されました。繕いようのないほど乱れた国会、この夏の参議院選挙ほど、国会正常化に向かわせる契機とするべく、冷静で積極的な有権者の判断が求められている選挙はないと思います。

        GW、いかがお過ごしでしたか?
        2004/05/09
        久々の長期休暇の方も多かったようですね。学生兼家事労働者である私にはほとんど関係ありませんでしたが……。29・30日は墓参りと帰省を兼ねたドライブ(唯一の休暇と言えば休暇です)、1・2日はメンタルケア協会の「精神対話士」養成基礎講座で大阪・天六へ、3・4日は日本社会臨床学会の総会で東京・立教大学へ、8日は再び「精神対話士」養成基礎講座の最終日(後はレポート提出後、実践講座が6月中旬から…)といった具合で、家事労働もそこそこに飛び回っていました。放送大学は28日から5日まで「ゆとりの時間」として放送授業はストップ(限定した科目を集中したり、特別講義などを放送していました)していましたが、6日から授業再開しています。

        やっぱり私もPTSDのようです。
         長男の死後4年2カ月経ちます。現在の主たる症状は過覚醒による睡眠障害ですが、米国精神医学会の「DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引」を見ていると、PTSDと診断されても良いほど症状があてはまります。
        A.その人は、以下の2つがともに認められる外傷的な出来事に暴露されたことがある。?実際にまはた危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。?その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。B.外傷的な出来事が、以下の1ち(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。?出来事の反復的、侵入的、かつ苦痛な想起で、それは心像、思考、または知覚を含む。?外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに暴露された場合に生じる、強い心理的苦痛。C.以下の3つ(またはそれ以上)によって示される、(外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺:?外傷と関連した思考、感情、または会話を回避しようとする努力?外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力?重要な活動への関心または参加の著しい減退?未来が短縮した感覚。D.(外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、以下の2つ(またはそれ以上)によって示される。?入眠、または睡眠維持の困難?集中困難。E.障害(基準B、C、およびDの症状)の持続期間が1カ月以上。F.障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
        ――と、まあこんな感じで慢性的なPTSDと診断されてもおかしくない状態です。これらの現実をどう自身の課題として引き受けて折り合って行けるか、今は何とも言えません。イラクでの人質となった高遠さんは急性のPTSD状態にあると思われますが、慢性とならないように周りの精神医医療を含むケアが求められていると思います。本当の気持ちが語れるのには時間がかかると思います。気持ちを表現することは癒しにつながる行為ですが、高遠さんの場合は嫌がらせともいえるバッシングという外傷が続く中でその機会を失ってしまっています。「なんとさもしい国であるか…」と誰かがメディアに書かれていましたが、本当にそう思います。太平洋戦争の総括をきちんとしていないツケが熟成されて、再び全体主義への指向が強まっているとしたら、その進行を阻むことこそ今求められていると思います。一人ひとりが、その人らしく、個性豊かに学び生きていける社会・国家に向かうための努力を惜しみたくありません。
        新入社員の4割が良心に反する仕事でも行動?
        2004/05/01
        社会経済生産性本部が、同本部主催の新入社員研修の受講者を対象に3~4月にアンケートを実施、741人から回答を得た04年度新入社員意識調査が26日にまとめとして発表されました。驚くのは「自分の良心に反する仕事でも指示通り行動する」との回答が43.4%に上り、初めて4割を超えたこと。給与や昇格で年功序列を望む傾向も過去最高に達していて、「厳しい就職活動を背景に、滅私奉公的なムードが強まっているのではないか」と分析されています。「良心に反しても指示通り」と回答した人は、設問を設定した99年度が39.1%で、「できる限り避ける」の33.3%を上回っていましたが、翌年度以降は逆転し、指示を優先させる割合は3割前後に下がっていました。昨年度も32.0%でしたが、今春入社組は一転、11.4ポイントも急上昇しました。同様な傾向は他の回答にも。例えば給与は「能力主義」が大勢を占めるものの、「年功主義」も33.3%で過去最高、昇格でも「年功主義」を望む割合が3年連続で増えています。アフター5や休日の過ごし方でも、「友人との先約がある日に職場の飲み会に出る」と答えた人は64.2%と過去最高、会社の運動会など親ぼく行事に参加したくない人は20.2%で過去最低でした。画一的な全体主義が反映されているのでしょうか? 一人ひとりが本心で社会生活を送れる関係が精神的に楽だし、仕事でも能力が発揮できると思うのですが、「長いものに巻かれる」思考がまたもはびこってきているのでしょうか。

        43歳で初心者マーク・中古車購入!
        2、3月と教習所通いに力を注ぎ(この時期、高卒者や学生で教習所はあふれかえっていました)、4月8日にようやく卒業検定、一発で合格、午後に運転免許試験場にて適性検査・免許証交付、20日には車体価格38万円、走行距離5万9千キロの中古車をゲット。1昨日・昨日と急遽予定が無くなったので、岡山の実家に帰ることを思いつきました。走り始めて実家に電話するも、誰も出ず。しばらくしてかけ直しても誰も出ず。仕方ないので鳥取方面にドライブを決め込み、某温泉旅館で1泊。昨日朝に再度電話をかけると実家の母親が出て、「夕べ遅く帰ってきた」とのこと。宿の朝食後、長男の墓のある倉敷に向けて出発、墓参りをした後、実家に昼食を食べに寄って、落ち着く暇もなく京都に向けて……。車入手後2週間にして高速を飛ばして600キロ近く走りました。無茶と言えば無茶ですが、こんな性格なもので……。

        「不登校は心の問題ではない」とスクールカウンセラーが発言?
        2004/04/25
         京都市のある中学校に派遣されているスクールカウンセラー(臨床心理士)が近隣の小学校のPTAのインタビューに対して、次のように答えたそうです(同PTA会報に記載され配布されました)。
        >「不登校問題で学校に行く行かないを子どもに決めさせてはいけません。不登校というのは、心の問題ではなく単に生活の方法論の問題なので、子どもの意思を尊重する形での解決は、対策としては期待できません」
         これを知った多くの保護者が異議を唱えるとともに、この不登校に関して極めて誤った認識をされているカウンセラーの発言の真意に疑いを持っています。「京都不登校の子を持つ親の会」と「登校拒否・不登校問題京都連絡会議」は、このスクールカウンセラーを採用している京都市教育委員会に対して、発言の事実確認を行った上での教育委員会としての見解を出すこと、並びに当該の中学校に対して不登校問題の理解と対応について学習を深めるとともに適切な助言・支援を行うことなどを申し入れています。
         臨床心理士にもいろんな人がいるようですが、このような立場で学校臨床に臨まれ、保護者や子どもたちに混乱をもたらすというのは、スクールカウンセラー導入の本来の主旨に反するばかりか、学校臨床の存在理由を問うものとなると思います。

        「日本人は人質に冷たい視線」と米メディア
         「解放された人質はより大きな苦しみを味わっている」。イラクで人質になった後に解放された日本人について、米メディアは帰国後の様子を相次いで報道したそうです。自国の民間人犠牲すら大騒ぎしない米国ですが、日本での非難騒ぎを驚きを持って伝えています。23日付のニューヨーク・タイムズ紙では東京発の記事が一面に掲載され、解放された三人は「黄色いリボンに温かく包まれるどころか、国民の冷たい視線にさらされた」。「自業自得だ」「日本の恥だ」といった非難を浴びているため「ストレスは監禁されていたとき以上に強い」と診断した医師の話も紹介しているそうです。タイムズ紙、AP通信とも「危険を恐れない国民がいることを日本人は誇りに思うべきだ」とのパウエル米国務長官発言を使って、日本人の反応に異議を唱えています。さらにタイムズ紙は「三人の罪はお上に盾突いたことだ」と分析。政府が言う“自己責任論”を「結局、政府に何も期待するなと言っていることと同じだ」と批判しています。
         一方で、三人の“自己責任論”を追及している政府の3閣僚の国民年金保険料未払い問題をめぐって衆院厚生労働委員会が紛糾し、審議が止まったこと、そもそも政府の閣僚が年金を滞納していたことの自己責任については何も問われないのでしょうか? モラルハザード(倫理の欠如)を助長し、国民年金の「空洞化」に大きな影響を与える今回の閣僚国保料滞納問題。滞納問題の発端となった女優・江角マキコさんはCMの出演料を返金したとか…。閣僚の場合、問題は未納期間やその金額ではなく、社会保障上の義務を国会議員が放棄するという有り有べからざる事態であることはもちろん、「議員年金があるから国民年金への関心が薄い」との指摘もあるように自身の立場への認識の薄さが指摘できると思います。小泉首相に至っては「国民の多くが払ってないという現状だから閣僚であってもありうる」などと身内をかばうあいまいな発言を堂々としています。今の日本の政治状況を見事に反映していると思いませんか?

        人の命の重みと自衛隊派遣。
        2004/04/11
        根拠のない開戦、非道な殺戮・破壊と侵略、終結後の強権的支配と混乱……、イラクでは今でも罪もない市民の血が日々流れています。イスラムの人々の民族や文化、価値観を詳しくは知りませんが、肥沃な土地に豊かな文化、高い宗教性、民族意識、多民族国家といった一般的知識から考えるだけでも、無差別殺傷による攻撃・侵略、軍隊による統治・支配というシステムが他国によって作られた時に、かつての日本の戦後統治のような状況が生まれるはずがないことははっきりしていたと思います。石油権益に群がる先進諸国の政治的思惑、命の重みを後回しにしてでも、米国を頂点とした一部の資本主義国の国際的優位・支配体制と序列を守ろうとする国家的野望の犠牲としては大きすぎます。多額な税金を使って派遣した自衛隊、駐屯地域を「非戦闘地域」と考える人はもういないのではないでしょうか。そして「復興支援」と称して行っている活動は、以前よりすでにNGO他の方々がもっと効率的に行っていた活動であり、具体的「支援」内容を見ると自衛隊である必要のないことも明らかになりつつあります。そもそも米国軍の庇護を受けつつ武装した「復興支援」軍隊は、反米感情の強い人々にとってはとても受け入れられるものではないでしょう。憲法や自衛隊法をはじめとする諸法に勝手な解釈を加えて自衛隊を派遣した意図が、米国との関係性を維持するためだけにあったと私には思えてなりませんが、みなさんはどうお考えでしょうか? これ以上、人の命が戦闘という人権侵害行為によって奪われることを許せないという気持ちが高まるばかりです。

        東京都採用の新人先生退職、過去最多の48人
         03年度に東京都に採用された教員1864人のうち48人が、この1年間の試用期間中に退職し、1年以内の退職者数としては過去最高となったことが、8日分かりました。このうち9人については、指導力不足を指摘され、正式採用されないケース。都教育庁は、OB教員の採用試験基準を緩和するなど、質の高い教員確保に動いているそうです。同庁によると、試用期間を厳格に運用し始めた01年度以降、1年以内の退職者数は同年が25人、02年が39人と増加。03年度の48人の内、40人が小学校教員。正式採用されなかった9人についても8人が小学校教員でした。指導力不足の例としては、子供とやりとりをせずに、教科書を読むだけの授業をしたり、教えていない内容を試験に出したり……。予定した授業内容の半分も消化できないケースや、授業開始から十分もたたずに授業が成り立たなくなることもあったそうです。小学校に指導力不足の教員が多いことについて、都教育庁は、教える教科が多く、対応仕切れないケースが目立つと指摘。「教科によって教える能力にムラがある教員は学級崩壊を招きやすい」としています。大阪府でも来年度に2000人の教師の増員に動いていますが、もっと適切な分析と長期的な展望をもって教育行政というものは行えないものでしょうか? 絞り込まれた教育予算の下で年度毎の変化に対応することすら困難な現実は、将来を担う子どもたちへの大人の責任の放棄を表していると思います。
        喪失感=心の虚無について
        2004/04/04
        長男の死後、睡眠時間の確保のために坑うつ剤、坑不安剤のお世話になっています。日常生活では特に問題があるわけではありませんが、時々、訳もなく抑うつ感に襲われることがあります。ずっとそのメカニズムを考えていましたが、一つの仮説を思いつきました。長男の喪失体験、これは心の中にぽっかりと穴を空けました。心の中に「虚無」空間ができたわけです。心はその分だけ小さくなろうとしますが、私の無意識が心の大きさを維持しようと働き、その無の穴を埋めようと、常にいっぱいいっぱいにしておこうと、あれこれと考え行動することを意識に求めて、意識の強い覚醒状態が続くというものです。しかし覚醒状態は継続できず、そのはざまで抑うつ状態が顔を出します。過剰な覚醒状態のために、入眠できてもレム睡眠時に覚醒してしまうのでしょう。おかげで、いろんな問題意識が持てますし、いろんなところに参加する意欲も沸きますので、体調管理さえすれば、良い効果とも言えます。仕事を辞めて1年間休養することで、こんな心の有り様を分析できるようになりました。でも、この虚無と折り合いをつける作業、長男の死をきちんと受容する作業にはまだまだ時間がかかりそうです。

        全教科に指導要領超す内容 小学校教科書、検定緩和
         3月30日、文部科学省は、来春から使用する小学校教科書の検定結果を発表しました。学習指導要領の範囲を超える「発展的内容」が全教科に初めて登場。5年生の算数で「台形の面積を求める公式」など、内容を厳選した現行教科書では消えた項目を「発展」として復活させるそうです。「食物連鎖」(6年生理科)や「縄文時代」(6年生社会)など中学レベルの内容も許容、同時に公表した高校教科書検定では、生物2の「臓器移植と細胞性免疫」など大学レベルも認めています。国語、社会では、発展かどうかで文科省側と教科書出版社の見解が食い違うケースも多数ありました。
         文科省は従来、指導要領を超える記述を一切認めていませんでしたが「学力低下」を懸念する声に押されて変更。昨年の高校教科書検定から選択科目に限って許容し、今回は全教科で認めたことになります。
         「ゆとり教育」のスローガンは何年もったのでしょうか? 子どもたちにとっては、学年によって学ぶ内容が変わるということを、どう認識しているのでしょうか。習熟度別クラス分けで、授業の内容に違いが出て、子どもの選別化がすすむことは間違いありません。できる子とできない子、勝ち組と負け組を義務教育段階から生むシステムであることを問題視する声は残念ながらまだまだ小さいと思います。
         他にも様々なスローガンが浮かんでは数年で消えていきます。文部科学省の対症療法的な政策が長続きした試しはありません。日本の教育制度が第二次産業の推進に適したシステムとして出発し、それをバブル崩壊以後の変化の時代においても根本的な見直しをすることも、将来を見通した政策を検討することもなく、ただ発生してくる出来事に翻弄されながらパッチをあてるために「協力者会議」等をつくり、まとめや通達、スローガンを連発してきましたが、長期的に実効性のある政策を打ち出すことはできていません。会議室の机上の議論から生まれてくるものは、現場、現実から解離しています。不登校、いじめ、非行の増加はそれを奇しくも証明しています。教育の国家統制的傾向も見過ごせません。イラクへの自衛隊派遣について反対署名を提出した女子高生、小泉首相は署名を見ることもなく、教師に自衛隊派遣の意義を「ちゃんと教えて欲しい」と平然と言い切りました。「官」の振り子は右側に振ったまま止まっているようです。振り子が振り子として働くためにも、子どもにとって分かる授業、楽しい学校を創るための現場・親が大きな声を出せる環境となることを切望します。
        長期欠席-教職員も会えない子ども1万人、虐待対策に死角。
        2004/04/01
        全国の公立小中学校で長期欠席(連続30日以上)している児童・生徒は約5万人、このうち教職員も児童相談所など関係機関の職員も会えていないとみられる子どもが約2割の約1万人もいることが文部科学省の調査で分かりました。調査は1月に発覚した大阪府岸和田市の虐待事件を受けて、初めて調べたもの。1月末~2月末に都道府県教委を通じて調査表を送り、公立の全小中学生1049万4775人が対象。家庭内の虐待を疑っても学校だけで対応したケースが約600人、虐待が潜んでいる可能性もある長期欠席の実態を学校などが把握し切れていない現状が浮かび上がりました。調査結果を受けて文科省は、長期欠席の状況把握の徹底を15日、都道府県教委などに通知したそうです。
         3月1日現在、不登校や病気など何らかの理由で長期欠席している子どもは4万9352人で、担任やスクールカウンセラーら教職員が本人に会えていない例は28.2%の1万3902人。そのうち、民間のフリースクールや児相、警察など学校以外の機関も会えていない子どもは9945人で、長期欠席全体の20.2%に上りました。会えない理由は、ひきこもりや医師の指示など「本人の心身上の理由」が66.1%と最多。しかし、虐待で長期欠席を続けた岸和田市の中3男子の場合、保護者が「本人の体調がすぐれない」などと担任の面会を拒んでおり、同様に虐待が隠されている可能性もあります。会えない理由は次いで「保護者の拒絶」9.1%、「家出などで不在」4.6%でした。学校側が本人と会えなかった1万3902人のうち1万12人は保護者と会えたが、残る3890人は保護者にすら接触できていませんでした。
         一方、昨年4月~今年2月、学校が虐待を発見したり疑って、児相や福祉事務所、警察などに通告・連絡・相談したのは8051人。ただ、虐待を疑っても、教育委員会を含めてどこにも連絡せず、学校だけで対応した例が597人ありました。
         子どもが大切にされない社会、それは大人たちも息苦しい社会です。子どもたちの受けるストレスは計り知れないものがあります。

        開放された3人に航空機、健診費用を請求へ、これも自己責任?
         イラクで人質とされた人たちが無事解放され、みなさんもホッとされていると思います。米国国務長官も、こうした勇気ある行動をする国民がいることを「日本人は誇りとすべきだ」と発言されました。今回の開放も、以前からのNGOをはじめとする民間の支援活動とNGOによるイスラム宗教者などへの人質の活動の理解を求める無数のメール、自衛隊撤退を求める日本国民の行動、そして何よりも戦争を放棄した日本の平和憲法などに対するイラクの人々の理解によるものだと思います。「人道復興支援」としてアメリカの要請に添って憲法や法に反してまでも強行した自衛隊派遣によって、今回の事件は起こったと言えます。「イラクのベトナム化」が叫ばれています。日本はこれからも占領軍側にくみしつづけるのでしょうか? 今回の混乱のそもそもの原因を、あらためて見つめ直すべきだと思います。
         さて、自衛隊のイラクでの活動ですが、医療と学校と給水ということですが、377億円もの税金を使っています。これらと同規模の活動をNGOは6000万円から8000万円で行ってきていたそうです。この不合理さは何でしょうか? そして、イラクの多くの人は自衛隊の後に日本企業が来ると思っていたようです。イラクの人々が必要としているのは経済復興と雇用。給水活動などは民間で十分にまかなえますし、政府がわずかな経済援助を行えば済む話です。
         話を少し戻しますが、あきれる事態が与党を中心に進行しています。与党は16日、人質事件をめぐる対策本部の会合を国会内で開いた際に、イラク入りする民間人に自己責任の徹底を求める意見が相次ぐとともに、民間人のイラク入りを抑制するため、「今回の救出にかかった総経費を公表すべきだ」との意見があり、公明党の冬柴鉄三幹事長は人質本人や家族の経費負担にも言及しました。自民党の額賀福志郎政調会長は「憲法上の問題もあるが、退避勧告ではなく、国として渡航禁止という意思を示した方が良い」と述べたそうです。17日、外務省は航空機代の一部や健診費用を本人に請求する方針を出しました。こんな少額を「自己責任」のみせしめとして請求するのなら、はるかに多額の税金の無駄づかいや天下り官僚の異常に高額な退職金、一部大手銀行への公的資金投入問題、小泉首相の靖国神社公式参拝など、血税を食い物にするやからの自己責任こそ追及されるべきではないでしょうか。

        43歳で普通自動車免許取得に挑戦中!
        2004/03/28
        向日市3月定例市議会で「向日市個人情報保護条例案」は可決されました。ひとまず長男の指導要録の開示に向けて、大きな山を越えることになりました。
         実は今、放送大学の春休みを利用して自動車教習所に通っています。20数年、二輪免許で過ごしてきましたが、今後のことを考えて思い切って普通免許を取得することに決めました。親子3人と犬が1匹、長男の墓参りに行くのにも、犬をペットホテルに入れて、新幹線で往復するよりも、車で移動する方が便利で融通が利きますし……。今週のどこかで高速教習、その後3時限の路上教習の後に見極め、卒業検定という流れです。3月中に…と思っていましたが、考えることはみんな同じ。大学生や高校生に白髪混じりのおじさんが混じって教習を受けています。路上教習で感じることは、世間の大人たちの焦りです。すきがあれば割り込む、方向指示器も出さずに進路変更する、赤信号でも無理に進む、法定速度は守らない、本当に殺気立っています。まるで「競争」です。何がみんなを、あんなに急がせているのでしょうか。私の好きな歌のフレーズに、「生き急ぐことはない、死に急ぐこともないと…」というのがあります。今、私たちが少し立ち止まって聞いて欲しい言葉だと思います。

        中学校の教室に神棚模型設置、合格祈願で(愛知)
         愛知県美和町立美和中学校で、30代の男性教諭が担任する3年生の教室に今年初めから2カ月以上、神棚の模型などを設置していたことがわかりました。模型は教諭が数年前にプラモデル店で買った木製の組み立てキットで、かしわ手を打つ音に反応して観音開きの扉が開く仕組み。学年末テスト終了直後の今年1月中旬、教室にあるテレビの上に模型を置き、鈴2個も天井に取り付け、鈴を鳴らすための紅白のひもを下げていたそうです。校長は模型に気付いた校務主任教諭から報告を受けましたが、撤去は命じませんでした。男性教諭は「神聖なものではなく、クリスマスツリーなどと同じ感覚で設置した」「拝むよう強制したことはない」と説明、合格祈願の一策だったと言っているそうです。神棚は3月上旬に撤去されています。校長は「教諭が生徒のために善意でやったことだが、いろいろな宗教の人がいることを十分に配慮しなければならなかったと思う」と語っているそうです。愛知県教委義務教育課は「礼拝を強要しなかったことから、教育基本法に抵触するかの判断は難しい」とするものの、「教室にこうしたものを置くのは適切ではない」と話しています。
         教育基本法第9条は公立学校による特定宗教のための活動を禁じていますので、教諭の行動と学校側の対応は論議を呼びそうです。
        向日市、「個人情報保護条例案」可決で情報開示に光。
        2004/03/20
        長男の中学時代の指導要録等の開示を情報公開条例に基づいて請求してきたものが「非公開」とされたことは2回に渡って書きました。これに関して大きな動きがありました。市議会に上程されていた「個人情報保護条例案」が18日の総務常任委員会で全会一致で可決、24日の市会本会議で可決されれば年内施行に向けて作業が始まります。この条例では、市が保有する個人情報を開示することが明記され、市総務課では「死者の情報も親であることなど一定の条件をクリアすれば開示していく方向で、今後は条例制定後の個人情報保護審議会で検討していきたい」としています。教育長も「条例の主旨に沿って開示していくのが時代の流れであり、それが個人の権利を保障することになる」と話しているそうです。半月ほどの間に、情報の開示に対する対応が180度変化したことになるわけですが、そもそも情報公開条例だけが先行し個人情報保護条例が後追いで制定へ動き出したもので、その狭間に私の長男の指導要録等の開示請求が行われたということです。ともあれ、長男の中学生活の一端を知ることができることになるとともに、今後指導要録等の開示に道が開けることは大きな前進だと思います。総務、文教の各常任委員会で尽力頂いた市議の方々、また応援頂いた多くのみなさまに御礼申し上げます。

        京都府立向陽高PTAが解散 校長ら脱会、活動できず
         向日市の京都府立向陽高校のPTAが、3月いっぱいで解散することになりました。2000年春、当時の校長ら管理職の脱会とPTA事務所の校内からの撤去によって、校内でPTA活動ができない事態が続いていたもので、結果的に既存のPTA組織が解散するという全国でも異例のケースとなりました。同校は管理職の脱会後、PTAの学校施設の使用を拒否。当時、PTAのあり方などをめぐる両者の食い違いが原因のようですが、子どもたちの学びの場について話し合う環境が失われたことは事実です。PTAは毎年、入学式に合わせて入会を呼びかけ、組織を存続させてきており、現在、保護者と教職員合わせ675人の会員がいます。PTA解散は2月28日の総会で決定。関係正常化を求めて話し合ってきていましたが昨秋、学校側が「現在のPTA本部と話し合うつもりはない」と伝えてきたため、打開策は得られないと判断したと言います。現PTA会長は「協力していく道を見つけたかった。誠意を見せても理解してもらえず、問題の発端も風化した。ここで終止符を打つのが子どもたちのためにベストと決断した」と話しています。府立高PTA連合会事務局は「PTA解散は聞いたこともない。子どものため親と先生がいて教育環境の整備にかかわるのがあるべき姿」と驚いています。府教委は「任意団体だが学校との連携は欠かせない」としながら「学校側が個別に判断することで府教委として指示はできない」と静観。校長は「3年間、対応してきたが、われわれが考えた正常化と若干の違いがあった。PTA活動は学校教育に必要と考える。04年度から方向を模索したい」としています。
         校長の意に添わないからといって校長以下管理職が脱退、校内での活動を禁止するという暴挙の末、PTAは解散を余儀なくされていったわけです。「保護者・地域との連携」と聞こえの良い言葉だけが一人歩きしていますが、実態は、PTAを校長の管理下に置きたいというだけではないでしょうか。PTAの形骸化が叫ばれていますが、学校管理組織下に位置づけようとする管理側の意図が、本来の「連携」の太いパイプとなるはずのPTAを潰してしまったという、地域住民として恥ずかしい出来事。今後、どんな形で子どもたちの学びの場について話し合う環境を再構築していけるのか、異例の事態に注目していきたいと思います。
        息子の学校生活、永久に分からぬのか…京都新聞が報道。
        2004/03/14
        3月10日付の京都新聞社会面に「指導要録公開に”法の壁”」「息子の学校生活、永久に分からぬのか…」という見出しで長男の指導要録の非開示問題が報道されました。
        Kyoto Shimbun 2004.03.09 News
        向日市教委、指導要録公開を拒否 不登校の中3自殺問題で
         2000年2月、不登校だった中学3年の長男(当時15歳)が自殺した京都府向日市の木下秀美さん(42)=放送大学生=がこのほど、同市情報公開条例に基づいて息子の指導要録の公開を求めたが、同市教委は条例では個人情報は非公開との理由で拒否した。木下さんは「なぜ息子が不登校となり自殺に至ったのか。親として知る権利はある」と公開を求めている。
         また、指導要録は、担任教諭が記入する所見などの保存が5年間と定められていることから、「この1年間で指導要録を公開させられないなら永久に知ることができない」とも訴えている。
         長男は1997年4月に同市勝山中に入学したが、2年から休みがちに。3年の2学期から不登校になり、私立高入試の当日に自殺した。
         木下さんは今年1月、長男が在籍していた97年度から3年間の指導要録と調査書の公開を市に申し入れたが、2月26日付で非公開とされた。同時に請求していた指導要録などの公文書は、同市の情報公開条例が2000年4月に施行されているため、「公開の対象外」で、不服申し立てもできないと告げられた。
         指導要録の保存期間は学籍については20年だが、教科の成績や特別活動、生活習慣など11項目に分かれた行動記録、学年ごとに担任が記入する総合所見の学業記録は5年となっている。
         同市教委の奥村將治教育長は「個人情報は親でも公開できない。亡くなられた方でもプライバシーはあり、その情報は守らなければならない。特例を認めれば個人情報に対する市民への信頼が崩れる」としている。
        http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2004mar/09/W20040309MWC1K300000079.html

         この記事を見せられた向日市長は「指導要録に何が書かれているかが問題やなぁ…」という内容のことを話したとか…。そういう問題ではないと思うのですが、「表に出されては困る記載があると後が大変だ…」という意識がまず働いての発言かと思います。多くの方から「どう考えても『非公開』って理解できひん」と励ましの言葉を頂いています。今後どう対応すべきか、じっくりと考え中です。

        中2、学校で転落死?(長崎市)
         10日午後5時40分ごろ、長崎市上小島4丁目、市立小島中学校(松田克彦校長)の男性教諭から「生徒が4階から落ちた」と一一〇番通報がありました。長崎署員が駆け付けたところ、同校2年の男子生徒(14)が校舎裏の敷地内で血を流して倒れていて、搬送先の病院で死亡が確認されました。生徒が倒れていた真上の、校舎4階の手洗い場の窓が開いたままになっていて、同署は自殺の可能性もあるとみて調べています。同日会見した松田校長によると、生徒は3階の空き教室で担任や学年主任と話をしており、「トイレに行きたい」と教室を出た後、行方が分からなくなったとしています。同校長は、教室での話の内容については「聞いていない」と繰り返したそうです。担任、学年主任と話をしている時に席をはずして直後に窓から…。何らかの「生徒指導」が行われていて、その内容に刺激されての行動、死の選択と思えます。「生徒指導」の内容が明らかにされないと、事実解明はできないと思います。

        熊本県弁護士会が丸刈り廃止を19中学に勧告
         「今頃、何で?」という報道に驚きました。熊本県弁護士会が10日、同県内の公立中学校193校のうち、校則で男子生徒の丸刈りを定めている19校に対して、「基本的人権である髪形の自由を不当に制約している」として校則の規定を廃止するよう求める勧告書を発送したというものです。昨年8月に市民グループから提出された人権救済の申し立てを受けた措置です。弁護士会が丸刈り校則の廃止を勧告・要望するのは全国で13例目だそうですが、全国的には大半の地域ですでに廃止されており、同弁護士会は19校について「基本的人権の認識が希薄というほかない」と批判しています。子どもの権利条約が、日本で生きたものとなるのには、まだまだ時間がかかるのでしょうか。それにしても、あきれた状況が全国にはあるのですね。
        長男の指導要録非公開の背景を考える
        2004/03/07
        私の住んでいる向日市では、2000年4月に情報公開条例がスタートしていますが、個人情報保護条例はまだつくられていません。市議会の議案にはのぼっていて、来年5月までにつくることが求められておりその作業が進んでいるようですが、それを待ってはいられません。指導要録の開示が行われている判例等では、この条例に基づいて判断されているケースが多いようです。しかし、本来教育を受ける権利、プライバシーの権利、自己情報コントロール権等に基づくものであり、また指導要録本来の目的から考えて、非開示とする法的根拠はありません。文科省=教育委員会の「伝統的見解」による非開示の態度は、国際的動向のみならず、全国の自治体での開示への動き、文科省自身による開示への柔軟化思考にも反する非合理的なものです。
         指導要録は教育評価の一つの表現媒体です。その内容の一定部分は子ども本人及び親からの情報が含まれていて、調査書等の基礎となるものである以上、その内容について本人及び保護者が記載事項の正誤を確認できることが当然であるとともに、教育評価に役立てるためにも、教師だけでなく本人・親に公開し評価と以降の指導の方向性を考える材料とすべきものですから、在籍中であっても公開・開示は当然と言えます。まして今回の場合などは、本人は死亡、請求者は親ですから個人のプライバシーが侵害されるものではありませんし、「開示しないことが正当である」とか「公正かつ適切な行政執行の妨げになる」といった理由も根拠になるとは思えません。教委の「伝統的見解」に帰する判断であるか、それ以外に開示できない事情があるのかも知れません。向日市の情報公開条例の「特定の個人が識別され…」という規定が指導要録の開示を認めない根拠となるというのは本末転倒と言わざるを得ません。

        教育委員会制度、初の本格見直し諮問へ
         河村文部科学相が4日昼、教育委員会制度の見直しについて、中央教育審議会(中教審、鳥居泰彦会長)に諮問しました。形がい化が指摘されている教育委員会制度の新たな意義と役割を検討するよう求めるものです。1948年の制度導入以来、初の本格的な見直しで、中教審は年内をめどに答申の骨格をまとめる方針です。諮問では、教育委員会について、<1>地方自治体首長との関係<2>都道府県組織と市町村組織の関係<3>学校との関係や学校の自主性・自律性の確立――などを検討課題としています。教育委員会制度については、教育の政治的中立を守る機能を果たしているとの評価の一方で、「首長選の功労人事で教育委員が『名誉職』になっている」「教育行政に対する責任を十分に果たしていない」などの批判があります。首長からは、教育委員会が持っている教職員の人事権などの権限の移譲を求める声も強く、複数の小規模自治体の教育委員会をまとめて広域化することや、校長が指導力を発揮しやすい学校組織をどう整備するかなども論点になると見られます。「公選制」の復活についても議論が広がって欲しいものです。

        長男の中学在学時の指導要録開示請求に市が「非公開」通知。
        2004/03/01
        3年程前の人権救済の調査の折りに一度向日市の情報公開制度を活用して指導要録の開示を請求していましたが、予想通り「非公開」とされました。その後法改正があり、指導要録等の保管機関が5年間となり、5年が過ぎると「処分」されることとなったので、何とか入手するなら今年しかないと改めて公開を請求していました。きっかけは、昨年11月に、東京の大田区が小学校6年間の指導要録の開示を認めなかった処分をめぐる訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷が、全面非開示とした二審・東京高裁判決を破棄し、成績評価等について開示を認める判決を言い渡したことです(一審判決は一部開示を認めていた)。
         公開を求めたのは「平成9年度~11年度に勝山中学校に在籍した木下学の指導要録および調査書」。向日市教育委員会からの「非公開と決定した理由」では、「向日市情報公開条例内条第1号(公開しないことができる公文書:個人に関する情報で特定の個人が識別され…が該当すると思われます)により…非公開とします。なお、申出の理由欄に『昨年11月、最高裁における判決に準じ、両親による亡き長男の中学期を証明する記録として開示を求めます』と記載されていますが、最高裁の文書非開示決定処分取消請求事件の争点である個人情報開示請求規定は、向日市情報公開条例には規定がありません」とありました。請求対象の文書の期間がこの条例の施行以前のもの(2000年4月施行)であるために、「不服申し立て」をすることもできないとされています。
         指導要録等の開示は、多くの自治体で開示が行われています。今回の場合では、個人情報たる本人は死亡しており、また開示の請求者がその親であり、「個人が識別され…」ても何ら問題はなく、まして、「向日市情報公開条例には規定がありません」というのは、公開できない理由とはなり得ないと思います。「規定がない」という理由で「非公開」とされるのであれば、向日市においては今後も指導要録等の開示は行われないということになります。「冷たい市政やなぁ」というのが率直な感想です。情報公開請求に対してはその公開・非公開の決定通知を2週間以内に本人に通知することになっていますが、この件については「勉強したいので待ってほしい」という条例に規定のない理由で通知が延長されました。何を勉強されたのかはわかりませんが、基本的に「公開しないため」の勉強であったことは確かなようです。全然納得がいきませんので、対応を考えていきたいと思いますが、何か知恵や情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらご一報をよろしくお願いします。
         2月28日、神戸市で開催された「学校事故・事件を語る連絡会」に参加してきました。事故・事件に遭遇した家族・遺族への心的援助、裁判等これから乗り越えなければならない課題への作業的援助等を取り組みつつ、全国で事態に直面し心的危機状態にある方々への相談活動等の展開の必要性を痛感しました。この会には遠く仙台から来られたご両親やマスコミ関係者、臨床心理士も参加されていて、広がる学校での事件・事故の被害者に対し、また事件・事故を起こした学校、対応した学校管理者や教育委員会・行政の非協力的な対応に対しての適切な対処を求めた取り組みの広がりを感じました。
         「学校事故・事件を語る連絡会」の当面の連絡先はhttp://homepage3.nifty.com/Hyogo-GGG-Izokunokai/、E-mail: hggg-izokunokai@sep.nifty.jp です。
        子どもの権利条約の拘束力と感情的虐待。
        2004/02/22
        奈良県天理市に続いて、横浜市長宛にも昨年11月「どうかたすけてください」「わたしの心をわかってほしいです」「いじめやめさせて」と不登校になっている小3の少女が手紙を書いていたことがわかりました。いずれも担任男性教諭による暴力的な言動への恐怖などが原因といいます。天理市の市長は2週間後に返事を郵送。この中で「(教育)委員会や学校に課せられた緊急の課題として取り組んでいるとの報告を受けています」とし「(関係者が)十分誠意をもって話し合いを進められるべきと思い、委員会に伝えています。早く良い結果が出ますように関心をもって見守っていきます」「市長という立場上、影響が大きいので(返信の)文面以上のことは言えない」と、具体的対応についてふれていません。対応に追われたこの学校の校長は家族に「しんどい」ともらし、20日に自殺しました。一方、いじめを認めない学校への不満、担任への不信、そして級友への思いを込めた横浜市長宛の手紙は最近まで放置されていて、市長は「事実であれば残念。今まで表に出なかったことや放置されたことについて速やかに最善の手を(学校は)打つべきだ。子供と一緒に話をしたい」と述べています。学校管理者や教育委員会でなく、市の「一番偉い人」にけなげに救いを求めて手紙を書くというのは、学校内では改善されそうもないのでより立場の強いと思われる自治体の長への直訴です。自治体の長の認識が、学校病理へのメスを握っているとも言えます。身体的虐待よりも感情的な虐待によって受けた心の傷が、子どもたちの非社会化をもたらしていることを、もっと認識する必要があります。また、精神的に追いつめられる校長職の実態、教育行政の構造や力関係も明らかにしていかなければなりません。
         1月30日、国連・子どもの権利委員会が日本政府が出していた2回目の報告書に対する「総括所見」を公開しました。この所見では、「教育制度の過度に競争的な性質によって子どもの身体的および精神的健康に悪影響が生じ、かつ子どもが最大限可能なまで発達することが阻害されている」ことを懸念し、「生徒および親と連携しながら学校における問題および紛争、とくに(いじめを含む)学校における暴力に効果的に対応するための措置を発展させる」ことを勧告しています。また、同「条約の実施を監視する独立したシステムが全国規模で存在しないこと」や「思春期の子どもの間で精神障害および情緒障害(ストレスおよび鬱を含む)が蔓延しており思春期の子どもの精神的健康に関する包括的な戦略が存在しないこと」を懸念し、「人権教育、およびとくに子どもの権利教育を学校カリキュラムに含めること」や「施設および家庭における体罰の禁止の措置」を勧告しています。さらに「政府、議会および一般公衆のあいだで、条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため広く配布されるべき」として、「日本政府の出した第2回報告書および文書回答を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、国連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告」しています。
         昨年7月、日本政府の青少年育成推進本部担当相(当時)の鴻池祥肇氏(長崎児童突き落とし事件で「市中引き回し」発言をした人物)が衆院内閣委員会で子どもの権利条約への認識を問われ、「私は詳しいことは存じておりません」と言い放ったとか…。担当大臣クラスがこの程度の認識で平然としているのも、それがマスコミで批判されないのもどうかしていると言うしかありません。国際条約である子どもの権利条約の国内行政・諸機関での拘束力が高まることに、子どもたちをめぐる課題の前進を切望します。とりわけ学校現場や教育行政において、この条約に基づいて子どもたちの最前の利益と権利が守られるようになることは、緊急の課題だと思います。
        京都府教委が不登校支援にネットワーク会議設置。
        2004/02/14
         京都府教委は、不登校の登校認定に向けてフリースクールの実態調査をし、学校復帰を支援する連携のあり方を探る目的で04年度から、フリースクールの代表や教師、大学教授、臨床心理士らでつくるネットワーク会議を設置するそうです。府内の公立小中学校の不登校は約2,700人、この内府内外のフリースクール17カ所に約140人が通っているといいます。フリースクールへ通うことを登校と見なすかどうかは市町村教委によりまちまち、府教委は連携のための諸条件について協議し国の基準を原則にガイドライン策定をめざすそうです。
         登校認定の問題も重要ですが、フリースクールの認知と財政的援助が、子どもたちの教育権の保障を考え上ではより大切だと思うのですが……。

        児童福祉法改正案10日提出…虐待防止へ家裁関与強化
         厚生労働省は、児童虐待対策を行う児童相談所に対する家庭裁判所の関与を強化することなどを盛り込んだ児童福祉法改正案をまとめ、10日、国会へ提出、来年4月の施行を目指すそうです。
         家裁の関与はこれまで、相談所が親の同意なしに児童を施設に保護する場合の「承認」のみに限られていましたが、改正案は、家裁の関与を強めることで、相談所の業務を法的に後押しし、被害児童の保護や虐待の再発防止を支援する狙いがあります。
         改正案では、家裁は、相談所が親などに行う指導の結果について、報告を求められるとした上で、必要に応じ、相談所に対して、親が虐待を繰り返さないための指導を行うよう「勧告」ができると規定しています。
         また、虐待で一時保護した児童の親などが引き取りを求めた際、従来は保護継続の法的裏付けがあいまいで、相談所との間でトラブルになることが多かったため、規定のなかった児童福祉施設の入所期間を「最長2年」と設定。相談所が子供を家庭へ戻すのが時期尚早と判断した場合、家裁で入所期間の延長の可否を審査し、最終的に入所期間を延長するかどうか決定。さらに、同法に関する事件について定めた特別家事審判規則を改め、家裁自体が保護者に面会などを控えるよう命令できるようにするそうです。
         改正案には、〈1〉児童相談所の機能を、虐待など高い専門性が必要な困難事例に重点化する〈2〉関係機関で情報交換する「地域協議会」を市町村が設置できる――ことも盛り込まれています。
         厚労省の雇用均等・児童家庭局では、「家裁が関与することで、保護者への指導がより効果的になり、子供が将来再び家庭へ戻れるための対応が進められる」と説明しています。

        岸和田の長男虐待・児童相談所などの人員増を!
        2004/02/01
        先週はニュースの度に大阪・岸和田市の長男虐待事件が報じられました。ついに殺人未遂で逮捕。それらの中で気になったのが、長男が「通報やめて」と隣人に懇願していたというものです。虐待が始まって約10か月後の昨年春、虐待に気付いたマンションの隣人が、自宅前で立たされていた長男を見かね、「警察に通報してあげる」と救いの手を差し伸べようとしたところ、「絶対にやめて」と強く拒み、「何をされるか、わからない」とおびえた表情も見せたといいます。その後も、悲鳴やどなり声、壁に何かが打ち付けられる音が連日のように聞こえ、耐えかねて転居した隣人は事件発覚後、周囲に「何もしてあげられず、責任を感じる」と漏らしているそうです。マンション住人らによると、一昨年秋から昨年春にかけ、同じように立たされている長男の姿が度々目撃されていて、真冬の早朝にはだしで薄着姿の時もあったといいます。この長男にとって、虐待する親との関係がこれ以上悪化することに恐怖感を募らせ、家庭外に救済の道を求めることまで考えることなどできない状態に心理的に追いつめられていたということです。
         児童相談所の対応の不十分さは言うまでもありませんが、児童相談所の体制的な実態を考えると、親が「大丈夫」というような件は要介入度は低いものになってしまいます。一人の担当者が抱える件数は3ケタ、不登校などは卒業年次の3月が過ぎるのを待つだけという対応も実態としてあるそうです。児童虐待防止法もDV防止法も、教育基本法も子どもの権利条約も、子どもにとって意味あるものにするのもしないのも大人の意識と行動次第です。教育・福祉にもっと予算を増やして、児童相談所など必要な部署には人員を増員するなど、大胆な「改革」こそ求められていると思います。民間団体・組織・個人も輪を広げながらがんばっているのですから、行政にも納税者の期待に応えるアカウンタビリティーに耐える施策を期待します。

        いじめで女児がPTSD、民族差別と市教委が謝罪。
         00年4月から約1年間にわたって、中国人の父と日本人の母を持つ当時3年生の女児が、川崎市多摩区の市立南菅小で同級生から悪質ないじめを受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されていたことが28日わかりました。川崎市教育委員会は「民族差別に基づく悪質ないじめで、学級の対応は不適切だった」として女児と両親に謝罪。南菅小の当時の校長ら管理職についても処分を検討、女児の治療費などは賠償する方針だそうです。女児は3年生に進級した00年4月ごろから、頭や足をたたくなどの暴行を受けたり「服装が中国的だ」「臭い」と言われるなどのいじめを同級生から受けたそうです。わざと無視したり、給食の時間に机を離され、給食を配らないなどの嫌がらせもあったそうですが、担任は継続的な指導はしませんでした。
         いじめの発生する学校では、教師の間でもいじめがあったり人間関係がギクシャクしていたり、管理強化で個々バラバラになって相談相手もない状態であることが多いようです。教育の基本の1つに規範意識を高めるということがあります。教師は子どもたちの規範的見本です。そして、子どもたちは教師たちの人間関係をよく見抜いているのも事実です。教師が規範的モデルとして行動できる環境をつくるのは管理者の任務です。いじめは、当事者間の問題ではなく、その学校の問題であると受け止めることから始めないと、解決に向かうことはないと思います。
        尾道市教育次長の奥さん公務災害認定を請求。
        2004/01/25
        昨年7月に自ら命を絶った元尾道市教委教育次長の山岡将吉さん/当時(55)の奥さんが21日、自殺は公務に起因するとして、市教委を通して地方公務員災害補償基金広島県支部へ公務災害認定を請求しました。山岡さんは、銀行マンから転身した同市立高須小の元校長慶徳和宏さん/当時(56)が自殺した昨年3月以降、真相を究明する調査の取りまとめや、県教委や県・市議会、報道陣、各種団体の対応窓口となるなど激務にあり、帰宅時間が深夜に及ぶこともあったそうです。 遺族側は、この時期の山岡さんの出勤や帰宅時間、悩んでいた様子、言葉をつづったメモなどを基に書類を作成。市教委は、庶務課を中心に職場仲間からも聞き取りし、山岡さんの勤務状況を可能な限り明らかにした。この日会見した市教委の瓜生八百実教育次長は「書類の提出を機に何とか気持ちの整理をつけ、公正な審判を待ちたい」との奥さんのコメントを代読しました。自殺者や病気休職者がここ数年で激増する裏側で、「日の丸・君が代」をテコにした教師統制が強められ、県教委が市教委を飛び越して戒告・訓告等の処分が大量に行われている事実は一般マスコミでは報道されないのでほとんどの方が知らないと思います。文部省(当時)が98年にこれらの「是正指導」を開始、県教育長も本省から送り込み(前任者はゆとり教育の寺脇研氏なので異動の意図は明らか)、小中高の校長の処分者(戒告・文書訓告・厳重注意)は99年で95名、00年では27名。校長だけでなく教職員への「指導」も同様に徹底され、今では「君が代」斉唱時に着席したままの教職員は一人もいなくなったそうです。退職者も増えました。また、高校進学率は97年に全国5位だったのが02年には33位に、中学校の不登校率は97年全国ワースト3位が02年にはワースト2位に、高校中退率は同21位が6位へと悪化しています。学校が窒息状態であることをこれらの数字は雄弁に物語っています。文科省は学校教育を、子どもたちをどうしたいというのでしょうか? 一方で、広島県内では過去5年間で教職員15人が、わいせつ行為など性的な問題行為で懲戒処分を受けています。教職員の倫理観もあらためて問われます。県教委の教育部長は「県民の信頼を損なう、こうした行為が相次ぎ遺憾。教育公務員として許されず、厳正に対処し、再発しないよう県立学校長や市長村教委へ指導を徹底する」とコメントしているそうですが…。

         私事ですが、現在放送大学の単位認定試験の真っ最中、今日もこれから試験会場に向かいます。試験が終了したらやりたいことがいくつかありますが、その一つが長男の指導要録と調査書の公開請求です。指導要録については00年の秋に一度請求しましたが、「個人情報」として開示されませんでした。昨年11月、東京都大田区で小学6年生の指導要録非開示処分をめぐる訴訟の上告審で最高裁は二審の高裁判決を破棄し成績評価など一部の本人開示を認めています。こうした変化もあって、改めて向日市に情報公開を請求する予定です。法改正によって指導要録等の学校保存義務が20年間から5年間に短縮されたために、今回の請求が非開示となれば、永久に長男の中学校時代の指導要録を見ることはできなくなります。
        「命の教育」について思う…。
        2004/01/19
        2004-01-19
        私の伯母(父親の姉)が15日に肺炎で亡くなり、16日から実家に帰っていました。17日が通夜、18日が告別式でした。83歳での往生、ひ孫が3人、見送りました。生きて共に生活していた人が、突然に息をしなくなり、動かなくなり、儀式の後に骨になってしまい、もう存在しなくなるとという現実を、5歳~7歳のひ孫たちは経験しました。こうした経験は、核家族(親子家族)ではなかなかできませんが、「生」とともに「死」を現実のものとして受け止めることの大切さを、今、多くの方が痛感されておられるのではないでしょうか。
         長男の死は、当時の中学校で、1・2年生は生徒指導部が作成した文書を各クラスで担任が読み上げて終わり。3年生はその文書を読み上げた後、1時間は「命の尊さについて」として授業が行われたそうです。長男のクラスでは1時間話しがされたそうですが、他のクラスでは普通の授業に切り替えたところもあったそうです。この文書が読みたいと、市の情報公開で請求したりしましたが、授業終了後に教頭が回収し処分したそうです。統一した文書を担任が読み上げて終わり…、生徒の感想は「何か読んでたけど、よう覚えとらん」というものでした。同じ学校の生徒が自殺し、その死A4で1枚のワープロ打ちを読み上げたのと、学校だよりの「…死亡されました。謹んで…」1行だけ。生徒たちで話し合うという取り組みはなかったそうです。今更ながら、この形式的で不十分な「命の教育」が残念でなりません。生徒たちは何を学び、何を考えることができたのでしょうか?
         伯母の死顔を直視することも、末期の水をあげることも、柩を運ぶことも、冷静にできました。4年半という時間は私を、長男の死後に十分に行えなかった「悲哀」を乗り越え、死の「受容」に確実に向かわせているようです。
        「教職員の資質能力の向上のため」? 先生を「ABC」3段階評価。
        2004/01/14
        いま、我が家の中1の次男は小倉百人一首の暗記にやっきです。1週間でテストをするそうです。思わず聞きました。「意味解って覚えとるんか?」「いいや…」。与えられたプリントにはひらかなで1面に百首が並んでいます。ひらかなの固まりを順次内容もわからないままに覚えているわけです。20数年前、私が百人一首と出会ったのは高校の「古典」でした。百首全部ではありませんが、読み解きながら学んだ記憶があります。文科省がすすめてきたさまざまな「改革」の中で、こうした記憶・反復学習が増えてきたんだなぁと嘆いてしまいました。意味を解りながら読み学び、百人一首を味わう機会が再び教育の中にあることを祈るばかりです。

         さて、話は変わって教師の評価制度についてです。15日、京都府教委が設置した「教員の評価に関する調査研究会議」(座長・山口満筑波大名誉教授)が、教職員を「ABC」の三段階で評価する新しい制度をまとめ、中間報告「教職員の資質能力の向上のため」として提出しました。府教委は4月以降、この評価制度を一部の学校で試行し、06年度から本格的に実施する方針です。中間まとめによると、「能力」「実績」「意欲」の3項目について、知識・技術や積極性など計16の着眼点から教職員を評価。評価の担当者は2人で客観性と公平性を保つことを目指し、例えば教員が年度当初に自己目標を設定して申告、年度末に目標が達成されたか面接などを通じて教頭、校長の順に評価するそうです。結果は、校長らが指導、育成する中で、本人に伝え、評価を補助する者を各校に置くことにしています。
         「(中間まとめ)」の始めの部分から少し抜粋してみます。「…こうした府民の期待にこたえるためには、説明責任(アカウンタビリティ)を常に意識し、積極的な学校情報の発信とそれに対する家庭や地域社会からの具体的な反応の的確な受け止め、つまり双方向の情報交流を積極的に学校運営に活かしていく…多様な資質能力を持つ個性豊かな教職員が連携・協働して教育活動にあたるべきである。管理職は、豊かな識見と的確な判断に立って校務全般に優れた指導力を発揮し、教職員は、不断の研さんと組織的な教育実践により、自覚と使命感を持ってそれぞれの職責の遂行に努める必要がある。そのためには、学校教育の直接の担い手である教職員一人一人の能力や実績等が適正に評価されるシステムを構築し、管理職による的確な指導助言により、教職員自身が自己の能力や適性を自ら認識するとともに、その資質能力を向上させながら、各自の力量を最大限に発揮していくことができるようにすることが不可欠である」「…地域の信頼にこたえる学校づくり、地域に開かれた学校づくりにとって、学校評価と教職員評価は「車の両輪」と考えるべきである」「…管理職は日ごろから教職員との信頼関係の構築に努め、指導上の悩みや指導方法などについて、個々の教職員と十分に話し合える関係づくりを進めるとともに、実際の相談に際しては、常に効果的な指導助言や援助が行えるよう努めなければならない」「…教員の資質能力の向上は個々の自主性に委ねられていたが、改善について教員個々の自主性に委ねるには限界があり、学校組織が一丸、一体となって教員を育てるシステムとしての新たな教職員評価制度が必要となった」「管理職には、評価に際し、教職員との面談を通じて、目標の立て方や目標の達成の手法に対する指導助言、教職員を育成する視点が必要となる。教職員評価制度を活用し、個々の教職員の教育活動の質を高めるような、管理職のリーダーシップが求められる」…。
         公立学校の管理職は地方教育行政の管理の末端、まさに「中間管理職」の位置にあると言われます。京都市教委では教委の権限の一部を学校現場にゆだねる「裁量権拡大」とした「学校分権」への動きが始まっています。毎年の人事異動でいつ変わるかわからない校長・教頭の「力量」強化が問われることになるわけですが、市教委自身が「校長の力量については各校によって事情も違い、何をもって評価するかは難しい」としているように、現実の「中間管理職」としての立場と求められる「力量」「権限」には隔たりがあり、それを「評価」するというのは現実離れしていると言えます。同じ京都でも府と市でこの開き、いずれにしてもこの「中間管理職」が教職員を「評価」するという新制度に、住民へのアカウンタビリティーに応える普遍性を期待できるでしょうか? ますますの先生たちの「窮屈さ」と「忙しさ」、子どもと過ごす時間の短縮が心配されます。

        法定認可に向け 活動続ける 向日の共同作業所・ゆうとぴあ
         京都府向日市唯一の精神障害者共同作業所として、ボランティアらの手で3年前に開所した「ゆうとぴあ・むこう」が法定認可に向け、「メンバーの自立の第一歩として、就労と生活訓練、気分転換の場は不可欠。認可施設として運営の安定化を図りたい」と地道な活動を続けています。 同施設は2000年12月、現在の代表と施設長らを中心に開所。学習塾を開いていた代表が、かつての教え子の1人が精神的なつらさをかかえていることを知り、自宅以外の居場所づくりが必要と感じたのがきっかけ。今では病院や保健所などで紹介された17人が登録。ボランティアスタッフの協力で、メンバーは月、水、金曜の週3日の開所日に体調に合わせて通所し、ホームセンターで販売されるビスのセット作業や包装などの作業を請け負っています。しかし、無認可施設のため運営は厳しく、さまざまな経費はすべてボランティアの持ち出しでまかなっている状態。作業で得られる収入はすべてメンバーの工賃にあてているが、ごくわずかにしかならないといいます。 昨年6月から法定認可の準備を進め、年末には向日市に協議書を提出。新年度から認可施設として一定の助成を得て、安定化を図ることを目指しています。「精神だけにとらわれず、他の福祉施設とも連携し、将来的には福祉ショップなどを開き、地域に根ざした活動を続けていきたい」と夢を描いておられます。
        児童虐待に児童養護施設などに約1600人の非常勤職員を増員。
        2004/01/11
         厚生労働省が児童虐待の増加に対して目に見える処方を提起しました。04年度から児童養護施設等に約1600人の非常勤職員を増員し、虐待された子どものケア、親に対する生活指導やカウンセリング受講をすすめる等、家族再生支援への資源とするそうです。悲惨な事例が毎日のように報道される昨今、水面下では相当数の虐待や養育放棄が行われているのが実態でしょう。今回の処方の背景には、増加一方の相談や関係機関との連携等に人員面で応じきれない実態があります。先に京都で開かれた「日本子どもの虐待防止研究会 第9回学術集会」で、厚生労働省の担当者が「年明けには具体的な対応策をお示しできると思う」と語られていたものがこれだったのです。「福祉」を望ましいものにして行くには人の増員が不可欠です。その意味では具体的な効果の期待できる処方だと思います。でも、行政や関係機関にまかせるだけでなく、児童相談所への通告対象も「児童虐待を受けた児童」から「受けているおそれのある児童」に広げる、隣近所・地域社会で気を遣う、支え合う人間関係の回復・再構築の必要性等についての論議がちまたで広がることが今回の処方をより実態のあるものにしていくものと思います。虐待する親も、相談相手がない、精神的な苦痛、自身の被虐待体験から我が子に虐待を繰り返す連鎖等、加害者であると共に被害者・犠牲者でもあるという認識も必要です。各自治体での具体的施策の(人的補充も含めての)改善に期待したいと思います。
         さて、私の地元・向日市で突然始められた公立小中学校の「希望校制度」(通学区域弾力化制度)の受け入れが締め切られました。小学校で15件、中学校で7件の「希望校」への入学が行われることになります。6小学校・3中学校(小学校の1つは希望者ゼロ)でのこの件数、多いのか少ないのか? 私はこの程度の「越境入学」希望には柔軟な例外措置として対処すればすむ話だと思いますが、実施後の経過を町の将来に結びつく問題としてその経過に注目していく必要があります。私学ならともかく、公立校に、知る友だちもいない中に入って行かなければならない子どもたちのストレスへのケアを現場の教師の皆さんには十分にお願いしたいと思います。
        「学力考査」の「プレテスト」は「答えを教えている」?
        2004/01/08
        昨年末の向日市議会で、教育問題についてある議員が「学力考査」に関する質問をされました。「プレテストの名目で答えを教えて、同じ問題で学力考査を実施されている状況で本当の学力の定着が図れるのか…」というものでした。学力評価についての認識が固定的・一面的で古い教育観・学力評価観にとらわれての質問であったと思います。
         言われるところの「学力考査」は中学校において数十年にわたって続けられている「客観的テスト」形式の総括的評価です。しかし、学力評価には、「診断的評価」「形成的評価」そして「総括的評価」の3つがあり、中でも「形成的評価」の重要性が現在強調されています。「プレテスト」はこれにあたるもので、教師にとっては生徒がどのくらい授業内容を理解できているか、どの部分の理解が不十分かを知る意味があり、また生徒にとっては自身の理解度を知ることができ、わかっていないところに気づく機会です。そしてわかっていないところを再学習して身につけることが大切だと思います。この「プレテスト」がたまたま学期末試験の直前に行われ、内容に一定の同一性があったことを問題とされているようですが、一人ひとりが確かな学力を身につけていくことを重視する立場から考えれば、何ら「問題」とする必要を感じません。教育評価のあり方について、もっと学習された上で、問題指摘としての発言でなく、より子どもたちにとって有意義な学力評価が向日市の教育現場で行われていくよう建設的な質問なり意見を述べていただきたいと思います。
         この議員質問のために、次男の学年(中1)の社会科の2学期末試験はやり直しとなり、試験範囲も1学期分も含めるとされ実施されました。一人の議員の固定観念による質問で教育委員会が動揺し、学校長に調査を指示、約7割が似通っていたとして百数十人の子どもたちが再テストを受けるという事態となりました。学期末も押し迫ってのこの事態、対応する教師の皆さんも大変だったと思います。社会科などの教科で学期途上での形成的評価を行うための小テストをすれば、それとほぼ同じ問題が本試験に出ることは当然と言えば当然です。数学などのように数字を少し変えれば違う問題となる教科とは基本的に違うからです。鎌倉幕府ができたのはやはり1192年なのですから…。
         わかるところと、わかってないところを理解し、わからないところを学習し身につける。十分に形成された学力で総括的評価をしてもらいたいと思うのは子どもたちはもちろん、親の願いでもあると思います。競争的受験のための評価には相対評価や偏差値による序列化、差別化が必要でしょう。でも、その中で形成される意識は「競争的」な人間関係や「他人より…」という価値観です。客観的評価はその時点の一面的な学力を表すもので、その人の本当の全体的学力や人間性、価値観を表すことはできません。高度経済成長からバブル崩壊まで信仰されてきた学校信仰・学歴社会が崩れ去った現在、当時の教育評価の中軸であった客観的テストによる総括的評価のみに頼りつづけることなく、全人格的な学力評価を行える様々な評価方法を柔軟に組み合わせる必要性が強調されてきています。ちなみに、この発言をした議員は「文教消防常任委員会」の委員長をされています。教育委員会・学校教育の施策に大きな影響力を持つ議員であるという、前向きで誠実な意識を再構築して頂きたいと思います。
        小泉改革実効性無し! 保育所企業参入は全体のわずか0.1%。
        2004/01/04
        新年あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします。
         04年、1発目の話題は保育所問題です。我が家では長男・次男と続いて11年間公立保育所にお世話になりました。向日市には公立が6ヵ園あり、現在元第4保育所を解体・建て替え工事中で、近くの第1保育所にプレハブ園舎を増設し統合保育を暫定的に行っています。04年4月からは、建て替え中の新しい保育所が「第1保育所」を名のって開所、第4保育所は欠番となります。統合保育を行っている現在の第1保育所には0歳から5歳までの子どもたちが240人程通所しています(定員は210人)。新「第1保育所」は鉄筋2階建てで定員は230人となります。私はこんなに定員の多い、小学校規模の定員の公立保育所を他に聞いたことがありません。市にメールで質問したところ、法的には問題ないと返事がありましたが…。情報公開で建築図面等を入手しましたが、以前よりも園庭はせまく、2倍近くになった子どもたちがどんな保育所生活を送るのか不安です。運動会等を全体で行うことは不可能です。朝夕の送り迎えのための駐車スペースは2台分しかなく、職員向けの駐車場もありません。乳児・幼児各々での合同保育が基本となるようで、従来の年齢別集団保育の形態が変わりそうです。かつての運動会や夏まつりを懐かしく思い出しますが、今年から無くなりそうです。本来なら、第1、第4のそれぞれを建て替えるべきところを、「安上がり」にするために「統合」の道を選んだのでしょう。どんな変化が生まれるか、見守って行きたいと思います。
         続いては国の保育政策についての話題です。保育所不足による待機児童を減らすため、小泉内閣が01年に「待機児童ゼロ作戦」として「新設保育所については社会福祉法人、企業、NPO(非営利組織)等をはじめ民営で行うことを基本とする」という閣議決定をしていましたが、大阪や名古屋など設置認可権を持つ10市が事実上これを拒否していることがわかりました。公立以外で保育所を独占運営してきた社会福祉法人が反対、自治体側も「企業参入はなじまない」と判断したことによります。待機児童が多い都市部での拒否が目立ち、企業設立の保育所は全体のわずか0.1%、小泉改革が実効性を伴っていない実態が浮かび上がったことになります。
         毎日新聞が保育所設置の認可権を持つ都道府県と13政令市、35中核市(人口30万人以上)を対象に調べた結果によると、さいたま・名古屋・京都・大阪・北九州の5政令市と、神奈川県相模原・兵庫県姫路・岡山県倉敷・大分・宮崎の5中核市が企業参入を完全拒否または事実上拒否していたことがわかりました。
         京都、大阪両市はともに要綱は定めていませんが、保育所団体が「営利目的の企業が運営すると保育の質が下がる」と強く反対したため、企業参入を認めていないそうです。大阪市は「企業は経営次第で運営が危うくなる可能性がある」と説明。北九州市と相模原市は「社会福祉法人の方が望ましい」との意向が強く、事実上拒否しています。
         厚生労働省によると、03年4月時点の全国の待機児童は2万6383人で、最多は大阪市の1355人。03年7月時点の保育所数は2万2371カ所で、このうち企業の設立は28カ所だけとのことです。
         保育所制度を考えるときに大切にすべき視点は「福祉」です。家庭での生活の厳しさが増す昨今、保育所における子どもの育ちに対する役割に求められるものは増えるばかりです。そこに「安上がり」を優先させる政治は、住民の生命と生活を二の次、三の次に、できるなら「切り捨て」対象に考えるお粗末なものであることを、しっかりと見つめたいものです。
        メールで在宅授業…特区で好評(!?)、全国展開へ。
        2004/01/01
         31日、文部科学省は不登校対策として、電子メールなどIT(情報技術)を活用した在宅学習支援を06年度から全国で実施できるようにする方針を固めたそうです。
         ITを活用した在宅学習事業は、秋田県と、横浜市など6市が特区に認定されているそうです。インターネットなどを通じて在宅学習した日数を、通知表や内申書の原簿となる指導要録上で正式に出席扱いと認めているのが特徴。在宅学習の具体的なやり方は、指導教員が電子メールで各教科の問題を送信し、児童生徒は解答のほか、問題の解き方や疑問に感じた点などをメールで返信。こうした作業を繰り返しながら学習を深めると同時に、メールを書くことで、児童らが自己表現するきっかけにつながることが期待されると言います。
         文科省では、ITを活用した在宅学習を出席日数に振り替える方式を全国で可能にする考えで、ほかの在宅学習支援策も、特区での効果を見ながら、採用するかどうか判断したい考えだそうです。
         学習指導要領にとらわれない弾力的な教育課程編成を認める事業は、東京都八王子市など6市町が特区認定されています。八王子市では、不登校の児童生徒を対象とした小中一貫校を設け、授業についていけない児童生徒に配慮して授業時間数を減らしたり、「スポーツレクリエーション」など体験型の新たな教科を設けるなどしています。文科省では、特区における教育課程弾力化の実施状況を1年かけて調査、全国展開に必要な条件整備を進める方針だそうです。
         京都市でもこの秋から市内中心部に、「特区」事業として「不登校の中学校」がオープンします。とはいえ、京都市も広く、西京区、左京区、伏見区などからここへ通うことは事実上困難です。通えない周辺地域の不登校の子どもたちは、初めから切り捨てられていて、募集人数も3学年で30人~50人と少なくあいまい! どうして、各中学校での子どもの内面に寄り添う援助にお金と心を配らないのでしょうか? メールによる在宅授業も、中学生ならまだしも、小学生で家庭にパソコンを持ちメールのやりとりをしている子どもは、まだまだ少ないでしょうし、パソコン保有を促進できるものでもないでしょう。限られたケースを除いて、子どもたちの育ちと学びに役立つものとなるとは思えませんが……。

        放送大学16年度1期単位認定試験終了!
         今回は10科目に挑戦しました。基礎的な心理学科目や臨床心理関係科目はほとんど終了していたので、今回は社会心理学や教育思想など周辺領域科目を履修していました。しかし、手応えがあまりありません……(@o@;~)。終盤、特に暑さにめげて、学習に集中できなかったのは大きいかなと、弁解をもう考えているのが情けない……。8月は面接授業で、東京、山口、鳥取に、各2日間お邪魔します。月末には「第9回不登校・登校拒否問題全国のつどい」で和歌山に2日間お邪魔します。ってことは、月の半分近くは家にいないということですね。体力勝負でがんばります。

        個人的な一年を振り返ります…。
        2003/12/29
         私の今年一番の話題は、何と言っても20年間勤めてきた企業を退社し放送大学3年次生に編入学したことです。そしてそれと平行してアメリカ・ブッシュによるイラク侵略、日本・小泉政権の追従が始まりました。不登校関連では「不登校問題に関する調査研究協力者会議」の「最終報告」が出され、学校基本調査では平成14年度の不登校児童・生徒が減少したという報道がありました。
         学生生活をしながら不登校の「親の会」に3つ、ひきこもりの「家族会」に1つ(援助スタッフとしてボランティア参加)、毎月の例会に可能な限り参加するようになりました。自分自身との対話(自己分析も兼ねて)の必要性からカウンセリングを受け始めました。日本社会臨床学会の会員となり、日本子どもの虐待防止研究会に入会を申し込みました。「不登校自殺」の著者としては、京都と大阪の弁護士会からの依頼で研修の場で2回報告、浜松のフリースクールNPO(設立準備中)依頼での講演を行いました。
         放送大学は、第一期(前期)単位認定試験は15科目中14科目認定、第二期(後期)も15科目を履修し単位認定試験に向けて勉強中。
         他にも講演会やセミナー等、子どもと教育に関わるものを中心に多数参加してきました。これらの活動のほとんどをバイクを移動手段として使っています。今年は、倉敷、神戸、石川県珠洲、浜松、蒲郡と走り回りました。購入後、最高の走行距離を走ったと思います。
         健康面では秘密にしてきましたが、2月末から歯根に雑菌が繁殖し左下奥歯1本の半分を抜きブリッジで被せる形で一応の完治をしたのが10月はじめ、10月末には突然に右顔面が麻痺し投薬で1カ月の治療を要しました(無事1カ月でほぼ完治しました)。
         人生の大きな岐路を、沢山の方に支えられ、沢山の人と出会いながら乗り切って来ることができました。みなさんに感謝したいと思います。
         来年も子どもたちと学校教育、それに関わる心理とシステムを中心にした学びを続けて行きたいと思います。どうかみなさん、良いお年をお迎え下さい。
        日本子どもの虐待防止研究会 第9回学術研究集会・京都大会に参加。
        2003/12/21
        「子どもに笑顔、親に微笑みを~架けよう!! 虐待防止のための様々な「架け橋」を~」をスローガンに、19日(金)・20日(土)の2日間、「日本子どもの虐待防止研究会 第9回学術集会・京都大会」が国立京都国際会館で開催されました。1日目は教育講演、招待講演、指定講演(厚生労働省・虐待防止室長 古川夏樹氏)、特別講演(中坊公平氏)、シンポジウム、2日目は分科会と一般演題で児童虐待の実態について事例をもとにした実践報告や研究報告が次々と行われました。軽度発達障害と虐待の関連性、親子関係における虐待の連鎖、施設や病院、司法や少年院等での関わり、児童虐待防止法の改定の方向性等、それぞれの分野の最先端の情報で頭がオーバーフローしてしまいました。私が改めて確信したのは、家庭における乳幼児期に受けた様々な(身体的、精神的、性的、ネグレクト…)虐待体験が児童期・思春期や自身が子どもをもった時に想記(時にはフラッシュ・バック)され、他者への暴力や自子に対する虐待行為が行われるという家系的な縦軸の連鎖と、それに影響され学校や地域で他児童生徒や教師に、また家庭において兄弟等に対して攻撃的となる横軸の広がりが四次元的に広がっているということです。大会で多くの方が主張されていましたが、虐待がより早期に発見され対処され、十分なケアや適切な支援プログラムが行われていれば、様々な事件や虐待の連鎖は食い止められるのに…ということです。児童相談所をはじめとして、具体的に対応する専門機関は人手不足で適切な手が打てなかったり医療機関などでは長期の「順番待ち」となっているのが現状ですが、虐待防止法の改定の中ではそれらの解消に向けた方向性が含まれているようです。使える社会的資源はすべて使う、地域の社会的サポートをとにかく利用する、それらの情報を持ち、また普及する、行政はもちろん各種関連機関や民間組織、ボランティア、個人がさらに学び、具体的な対応の幅を広げることが求められていると思います。

        カウンセラー替え玉、中学校長が黙認
         熊本市の九州ルーテル学院大元教授園田雄次郎被告(49)=大麻取締法違反罪で起訴=が、臨床心理士の資格のない双子の兄にスクールカウンセリングをさせていました。さらに、カウンセリングが行われた熊本県内の中学校の男性校長(52)は事実を確認した後も替え玉を黙認していたそうです。県教委は校長の処分を検討しています。県教委などによると、校長は3月14日のカウンセリング終了後に替え玉の事実を発見。しかし、既に予定されていた19日の教職員向け相談業務について、「仕方がない」と替え玉の兄に行わせたということです。スクールカウンセラーを配置している都道府県では「臨床心理士」に限るとして「資格」にこだわっていますが、こんな抜け穴がぽっかりと空いていました。はたして、心理臨床についての学習や経験があればともかくとして、それもないとしたらいったいどんな活動がされていたのでしょうか。さらに、報酬については明らかな不正支出となりますので、住民監査請求が行われても当然かと思います。それにしても「黙認」していたという学校長、県教委から配置されたカウンセラー、不適格と判明後に速やかに対応ができなかった心理的理由はどんなものだったのでしょうか。すでに実施しているところもあるようですが、必要性が認められれば、各自治体において「資格」にこだわることなく、実質的に役立つ学校カウンセリングを実施していく必要に迫られていると思います。

        国庫補助負担金1兆円削減の義務教育制度への影響は?
        2003/12/14
         政府・与党が打ち出している地方財政の「三位一体改革」…、国庫補助負担金が1兆円削減されることで与党合意されました。これまで国庫補助負担金の8割は福祉と教育分野が占めていました。生活保護費と児童扶養手当、義務教育費の退職金手当削減に対して、全国知事会などの6団体が「単なる地方への負担転嫁であり、福祉、教育など、住民生活に大きな影響を与えるため、絶対に容認できない」という「緊急意見」を発表して強く反対していました。法律にもとづく国民の権利として国が一定水準の福祉・教育を国民に保障するのが国庫負担金です。この削減・引き下げはまさに国による身勝手な責任放棄と言えます。公立小中学校の教職員人件費の半分を国が負担する義務教育費国庫負担金では、退職と児童手当への2300億円の補助金が対象。使途が地方に任される一般財源化が検討されましたが来年度は見送られ「税源移譲予定交付金(仮称)」に切り替えることになりました。義務としての負担金が一般財源にされれば、福祉・教育の水準の「保障」が崩されます。しかし政府はこれを突破口として、教員給与そのものの一般財源化をねらっているようです。「地方の自由度を高める」として一般財源化されれば、教員の削減、給与水準の引き下げに道を開きます。地方の財政力によって教育内容に格差が生まれることになり、「国の責任ですべての子どもたちにゆきとどいた教育を」保障する義務教育制度の屋台骨が揺らぎます。必要なところから財政を削る、一体何のための税金を私たちは払っているのでしょう。その使い道をしっかりと見定める必要があります。
         19日(金)・20日(土)と国立京都国際会館で「日本子どもの虐待防止研究会 第9回学術集会・京都大会」が開催され、私も学生の身分で参加することになっています。いじめ、不登校、非行、校内暴力、学級崩壊などは現場(主には学校)で発生していますが、その原因の太い根っこの1つには子どもの虐待の連鎖があるのではないかと最近考えています。被虐待児の5割以上が自身の子どもに虐待するという調査もあります。被虐待といじめや反社会的行為との関係も深いものがあると言われています。その影響として学級崩壊、教師の多忙化、校則と力による生徒指導の強化、そしてその反動としてのいじめや反社会的行為の拡大、そうした環境への心理的不適応からの不登校の増大……。そんな視点で学んで来たいと思います。

        自衛隊イラク派遣…大義名分はあるのか?
        2003/12/10
        9日、自衛隊のイラク派遣が閣議決定されました。みなさんはどう受け取られたでしょうか? 3月段階では「大量破壊兵器」があるからとブッシュのイラク侵略攻撃を支持し、自衛隊派遣の必要性が議論されていましたが、今もって「大量破壊兵器」は見つからないままに、そしてアメリカとの関係では結論を出すのは年を越すわけにいかないとの判断からか、「テロを許すわけにはいかない」を全面に押し出し「人道復興支援」「安全確保支援」として、現在もその全土が戦闘状態にある他国の領土へ自衛隊が軍備を備えて送られることになろうとしています。ある世論調査では9割の国民が派遣には慎重・反対と答えています。国連は国連軍への参加や復興支援について決議していますが、今回の日本の自衛隊派遣は、戦争を始め、終結宣言後も殺戮を繰り広げながらイラクを占領下においているアメリカとの「同盟関係」に基づくもので、イラク側から見ればアメリカの援軍としての参戦と受け止められても仕方のないものです。
         イラクの市民が今最も求めているのは、生命の安全の確保とライフラインの復旧です。水道・電気、医療と子どもたち、人々の命です。自衛隊がそのために来てくれると派遣地とされるサマーワの人たちは考えているそうです。「復旧のためなら何でも協力する」と……。しかし、迷彩服を着て軍備を備えた軍隊が数百人規模で押しかければ、政府の言うところの「テロリスト」たちにとって格好の攻撃対象となることは誰にでも考えられます。
         イラクの主権を尊重しながらの国連主導の復興支援はもちろん必要です。しかしアメリカも「イラク全土が戦闘状態にある」と言っているような状況では、アメリカは一時占領を止めて退却し、国連軍として復興支援として参加すべきであり、日本もまた同じく国際政治の場でその役割を果たす時ではないでしょうか。私には小泉首相の説明は、アメリカとの同盟関係を維持するための自衛隊派遣としか聞こえませんでした。
         今回のイラク戦争において、アメリカははじめから侵略者=「テロリスト」であって、恐怖政治を行っていたフセイン政権が倒れたことは歓迎しつつも、その際の攻撃もその後の占領政策における戦闘も多数の一般市民を次々と犠牲者とし、住居や様々な建造物を破壊し続けているわけですから、イラクの国家復興に向けて望む民主化に役立っているとはイラク市民の4分の3が思っていません。今日の生活も明日の命も見えない日々を過ごしている市民と子どもたちにとっての「最善の利益」が考えられなければなりません。復興に向けて、戦闘という軍事的活動から国連における国際政治の場に焦点が移される時に来ていると思います。
         ブッシュの始めた侵略戦争に荷担することへの決議にあたり、同盟国として日本の「国家の意思が問われ、国民の精神が試されている」と小泉首相は言いましたが、私には自衛隊派遣との関係が一国民としてまるで理解できません。すごくねじれた憲法解釈に基づく精神主義的な主張で、自衛隊派遣への大義名分は少しも聞き取れませんでした。「国際貢献」とか(むいたところで)「石油権益の確保」を言う前に、イラク国民が本当に望んでいることは何かを、イラクの人々の命の重みを、派遣されることになるかも知れない自衛隊員の命の重みを、戦争という行為の愚かさを、わずか半世紀余り前に起こったことを振り返りながら考えるべき時だと思います。20世紀を振り返る時です。
        子どものストレス増え続けて…。
        2003/12/07
         いじめ、学級崩壊、校内暴力、非行……、これらの背景には、増え続ける子どもたちのストレスがあります。日本の高度経済成長ただ中の1975年。この年はいろんな意味で転換期と言えそうです。第三次産業従事者が他の産業従事者を上回り、都市周辺部への居住地移行による核家族化の増加と専業主婦の増加、学歴社会の形成……。そうした中で、子どもたちに学歴を中心とした親の「期待」が増加していきます。高校進学率は90%を、大学進学率も50%を超え、学歴重視の年功序列型賃金制度が定着する(今変化しようとしています)ことで、子どもへの高学歴「期待」は、家族の最優先事となっていきます。家庭でプレッシャーを受け、学校も上級学校への進学を主体とした教育・進学指導に重点を置き、子どもたちの放課後は塾や習い事で埋まってしまい、「自由時間」は激減しました。自由に遊ぶことも、休むことも、振り返りつつ考えることもできなくなりながらも、「期待」に応えたいとけなげに頑張る子どもたちの心身は疲れ果てて行っても当然といえば当然です。小学生に聞くと「むかつく」「きれる」、中学生へ聞くと「きつい」「つかれる」と過半数以上、調査によれば8割を超えてこうした声が返ってくるそうです。「受験」はやむを得ないものとしても、またいくら競争社会だと言っても、疲れ果て、自分を失うまで追い込んでいては人生の意味が失われはしないでしょうか。進学が目的・手段化し、児童期・思春期・青年期に楽しみ獲得すべき様々な体験を放棄して受験準備に命を削る……、その反動が日々最も過ごす時間の長い学校社会の中で発生するいじめ、学級崩壊、校内暴力、非行等として現れます。子どもたちの悲鳴が聞こえます。

        ●スクールカウンセラーが子どもを押さえつけ負傷させる
         京都市立の小学校で、スクールカウンセラーが6年生の女子に軽傷をおわせ、精神的ショックを受けた女子が転校をするといいう事件がおこりました。体育の授業を休んだ女子に担任が事情を聞こうとしたところ反抗したため(?)、スクールカウンセラーがおちつかせようと外へ連れ出し(?)、女子の手を後ろから持った状態で校内を行き来し、逃れようとして転んだ女子の首や肩にひざをいれて約8分間押さえ込んだ(?)というものです。女子は1週間のけがを負いました。手を取って校内を歩いたことをカウンセラーは「他の子どもに危害を加えないようにするため」と市教委に説明。市教委は「カウンセラーとしてではなく、一職員として熱心に指導したことが偶発的にトラブルにつながった」(?)とみているそうです。「本音で言うてみ」とこのカウンセラーは女子に迫ったそうです(?)。これでは、体育会系(?)教師と何ら変わらない、ただの「生徒指導」担当者の感覚です。騒ぎに他の子どもたちが気づき、校長や教諭らが駆けつけたとき、「離して」と繰り返す女子を押さえつけながら、「落ち着かせますので時間を下さい」と言い、校長らは二人を引き離さなかったそうです。「心のプロ」が言うのだから……、という専門家への過信を反省しているようですが、女の子は見ていた誰もが助けてくれなかったという不信感が残っているそうです。教職員とカウンセラーの役割の確認を最徹底すると教委はコメントしていますが、それ以前の問題のような気がします。ただの暴力、体罰を「心の専門家」が、子どもたちの前で堂々と行ってしまいました。スクールカウンセラーをめぐっては「おかしい」等という様々な声が各地であがっていますが、文科省が都道府県に急ぎ配置をすすめた結果の歪みが表面化してきているものと思います。これらの実態を集め、あり方を根本的に考える場の必要性を感じます。
        校長らが不登校生徒宅に80万円?
        2003/11/30
         埼玉県岩槻市の市立川通中学校で昨年12月、当時2年生だった不登校の女子生徒(14)の母親(41)を菅野俊一校長と担任教諭が訪問、現金80万円を渡していたことが27日わかりました。生徒は小児神経症のため年間20日程度、校内の「相談室」に登校していましたが、昨年10月から登校しなくなり、同級生に相談室まで給食を運んでもらっていた生徒に担任の女性教諭が「お客さん気取りでいいの? 教室に取りにきなさい」などと言ったそうです。母親は不登校の原因が担任にあると主張し、学校側に公の場での謝罪と賠償金などを求めていました。菅野校長は同日夜、臨時保護者会で「指導に不適切な点があった」と謝罪、現金は母親が翌月、全額を返しました。母親は、菅野校長に看病のため会社を解雇された損害賠償金30万円、担任に通院費など40万円を求める内容証明を送付。その後、校長らが現金を持って訪問。菅野校長は現金は担任が用意し、自分のポケットマネーで補てんしたと説明しているそうです。教師が個人で賠償金を支払う事例は初めてでは…?
         先週は北九州市で市立緑丘中学(門司区)の男性教諭(35)が「暴力を伴う指導、常軌を逸した暴言で生徒に著しい苦痛を与えた」として懲戒免職になっています。教諭は卓球部顧問で、試合中に殴ったり、突き飛ばしたりし、練習中にもみぞおちを手で押し続けるなどの暴力行為や、「退部するなら絶対に差別する。この裏切り者」などの暴言を繰り返していて、判明しただけで部員延べ約20人がけがをし、うち4人が通院治療を受けたほか不登校になる部員もいました。また、事実を一部知りながら「自分の立場が悪くなる」と市教委に報告しなかった校長(53)も「管理能力に問題がある」などと3カ月の減給(10分の1)のうえ更迭、教育センターでの研修が命じられました。状況を重く見た保護者も市教委に対して「教諭を免職にしてほしい」との要望書を提出していました。市教委によると、校長は父母の一人に「(報告しても)市教委はあてにならない。(自分と)同じ穴のムジナで、校長を守るところ。父母が(市教委に)行くと私の印象が悪くなる」と話したと言います。
         これって、校長の本音なんでしょうね。それにしても、学校教育に視点をおいてメディアをよく見ていると、ほんとに毎週複数件の学校病理現象が報道されているのに驚きます。
         文部科学省は、不登校の小中学生数がここ10年で約2倍と増え続ける中で、学校や家庭、関係機関が連携した地域ぐるみの対策を充実させようと、拠点となる「地域スクーリング・サポートセンター」の創設を決定したそうです。都道府県などに委託して約400カ所つくる予定で、来年度予算の概算要求に必要経費10億円余を盛り込みました。
         教育関連施設や保健所、ボランティアなどと連携して、家庭に引きこもった児童・生徒への訪問指導や保護者の相談対応のほか、教員研修なども実施、都道府県や政令指定都市に、地域を支援する「広域スクーリング・サポート・センター」を設置、基礎研究などのシンクタンク機能も持たせるそうです。こうした流れの中で京都市教委の不登校生徒用中学校も「特区」として認定されました。公教育の中で起こった問題は公教育の中で責任をもって解決していくのが筋といえば筋ですが、その進め方に、私たちは注目していかなければならないと思います。

        学校教育は社会的責任を放棄している
        2003/11/23
         義務教育制度を法として定めている日本では、学校教育は国民に対して社会的責任を持っています。国民が支払う税金で管理・運営される公教育においては、それはさらに明らかです。子どもたちの学ぶ権利を保障する場として、国民が納めた税金で作り、管理・運営する公立学校。すべての子どもたちが平等に十分な教育が受けられる場でなければならないはずです。でも、学校による原因・理由で、学校にいけなくなくなる、身体および精神的苦痛にあう、事件・事故にあう、あげく心身症、神経症、精神病を発症したり、自殺に至ったり…。こうした事例が少なくない、むしろ社会問題化していながら、いずれも改善の方向に向かっていない。そればかりか、学校を職場とする人たちの中で、反社会的行為を行う人が後を絶たず、毎週数件のニュース報道に登場するという自浄能力を失った病理状態を露呈しています。有効な対策が打てない、目新しい施策やスローガンは5年も続かない、国民の信頼は失われていくばかり…。これでは、不登校問題一つを見ても、社会的責任を放棄していると言えるでしょう。
         先週も千葉県教委では、仙台市で10月に開かれた校長会をサボり、観光したとして、小学校校長3人を停職1カ月の懲戒処分で後に教諭へ降格、また県立高校の男性教頭(52)が女子生徒の携帯電話に何度も「可愛い子猫ちゃん」などと迷惑電子メールを送っていたことが分かりその教頭を停職1カ月の処分、等の学校管理職の「失態」が報じられました。本来の仕事・使命を横に置いて、勤務中に自己の欲求にまかせた行為をしていたのでは、自分が管理・勤務している学校現場で起こっているさまざまな問題、深刻な課題を、自らの問題・課題として受け止め関わることはできませんね。
         学校社会の閉鎖性については何度か触れてきましたが、「地域・保護者との連携」をスローガンとして数年が過ぎていると思います。多くの学校でスローガンで終わってしまっている理由として、「これまでそうした前例がないから…」といって学校側が問題・課題を外に開かない志向を持ち続けていることがあると思います。学校の問題は子どもの問題、保護者や地域の問題として、私たち親は受け止めて、解決・改善に力を寄せ合おうという意志を持っていると思います。その意志を活用しようとしない、それどころかさらに溝を深める結果となる独断専行的な決定や隠蔽体質の硬直化がすすんでいることが残念でなりません。全国ではこうした学校病理から脱して、地域・保護者と問題・課題を共有化しながら「地域の学校」として、子どもたちだけでなく、地域の大人が集う場として、新たな学校機能を働かせている学校も出てきています。NHK教育のドキュメンタリーなどの特定のメディアや専門書でしか目にすることはありません。こうした実践がもっと知られ、広がっていくことを願います。それぞれの地域の「学校課題」を、保護者・住民として見つめ直して、関わっていくことから始めませんか?
        水着忘れ体操服で泳がせる?
        2003/11/16
        共同通信によると、体育の授業で水着を忘れたことに女性教諭(41)が怒り、1年生の生徒60人を体操服のまま泳がせるという事件が京都国分寺市の市立中学校で9月2日に発生しました。市教委によると、1年生3クラス計118人のうち75人が水着を忘れ、その教諭は、うち男女計60人を体操服のまま泳がせたそうです。保護者から「女子生徒の下着が透けて見えて恥ずかしそうだった」との苦情の手紙が校長あてに届き、事情を聴いたところ、この教諭は「水着を忘れた罰ではなく、水難事故防止のための『着衣水泳』だった」と説明したそうです。校長は教師に注意をしただけで、市教委には報告をしていませんでした。
         この行為が子どもたちの命にかかわる危険なものであること、生涯忘れられない屈辱的なものであること(とりわけ女子生徒にとっては)、教師という立場を利用した強権的なものであることに気づけなかったのでしょうか?「罰ではなく、水難事故防止のための『着衣水泳』だった」等、その場しのぎの言い逃れであることは誰の耳にも明らかだと思います。事情を聞き事態を知った校長の認識の低さ、判断の甘さにも驚きます。「問題のない学校」であること、が大切だったのでしょうか。保護者が「おかしい!」と申し出ることがなかったら、この異常な事件は無かったものとして過ぎ去っていくのでしょう。でも、子どもたちの受けた心的外傷は一生ものです。誰が責任をもてるというのでしょう。
         先週は生徒を逆さ吊りして道路を横断し「小学生なんかに負けるか」と押さえつけた教師、盗撮をしていた教師についての報道もありました。毎週のように全国どこかで、こうした教師による不祥事が発生していますが、その背景にあるものは、事件を起こした教師個人に帰するものだけなのでしょうか? 管理主義がはびこり、競争原理に犯され、子どもたちにゆとりをもって関わることができなくなった教師のみなさんが抱えた強度なストレスは「公務員だから…」という一般的感覚の中で見過ごされているのも実態です。このストレスが、はけ口を持たないまま継続し重度化していく中で、神経症や精神病(うつが多い)を発症する人が出てくるのは必然だと思います。学校におけるさまざまな事件・事故の背後にあるもの、それは学校をとりまく大人社会全体の歪みではないでしょうか。子どもたちにとって安心・安全で育ち学べる学校を再構築するためには、学校、家庭、地域ぐるみで子どもたちの環境を考えることが不可欠だと、これらの事件報道を聞くたびに思います。
        学校事故・事件を語る連絡会小集会に参加しました。
        2003/11/09
        18歳・16歳男女の家族殺傷事件の影。
        2003/11/02
        11月1日大阪府河内長野市で起きた家族殺傷事件は、両親や弟を殺傷した容疑で長男の私立大1年の学生(18)が逮捕され、同時に男子学生と一緒にいた交際相手の高校1年の女子生徒(16)も、自分の両親を殺すために包丁を買っていたとして殺人予備容疑で逮捕されました。男子生徒は事件後、女子生徒に「母親はあかんやろう。あとの2人は(殺害に)失敗した」と“報告”。女子生徒は「2人で過ごす場所がないので、家族全部を殺すつもりだった」と警察に供述。「中学時代は自殺未遂して独りぼっちだった。9月ごろ(男子学生と)知り合って落ち着いた。自分をよく分かってくれる人だった」と供述しているそうです。一方、男子学生の高校時代の友人によると、学生は昨年夏ごろ、腕に包帯を巻き「自分で切った。血はきれいや」と答えたり、大量の風邪薬を持ち歩いて薬の成分表を記した手帳を見せて「麻薬と同じ効き目があるんや」と話すなど、奇妙な行動が見られたという。また、死亡した母親は最近、「仕事が忙しくてかまってやれず、息子はふさぎ込んでいた」と悩みを漏らしていたそうです。女子生徒が通う大阪市内の公立高校によると、女子生徒は今春、トップクラスの成績で入学し、学業成績は常に上位で、無遅刻・無欠席。同校の教頭は「家庭で問題があったという話は一切聞いていない。非常に優秀な生徒と認識している。ただただ驚いた」と話しています。
        「みずから選んだ孤独は恵み深い結果をもたらす」(ストー:米精神分析医)。逆に、集団の中の「孤独」ほど寂しく自己を否定するものはありません。そんな不安感が対象を自身の両親たちの存在に向けてしまい起こった悲しい事件です。この「孤独感」という生活の場で表に現れない無意識=影の部分に誰も気づけなかったことが悲しい。

        向日市では「小・中学校通学区域の弾力化」という名の学校自由選択制導入へ

        来年度入学の新小・中学1年生は向日市内の学校を自由に選択できるという制度の導入が突然発表されました。1昨年から保護者の要望が強かった、小学校区が複数の中学校区に分かれる地域を「調整区域」としてどちらの中学かを選べる制度と、部活動を理由とした学校選択(市教委が便乗して導入)という校区弾力化は始まっていますが、今回の市内全域の自由選択制は全国の先取り的なものでまさに「突然」という印象です。いじめや体罰、また学校や教師への相性等から不登校となった子どもたちに対して弾力的に隣接校に編入させる等の施策は必要と思いますが、市内全域の学校自由選択制導入に向けては、保護者・地域からどんな要望・ニーズがあったのでしょうか? 市教委は説明会・相談会を頻繁に開く予定ですが、この導入劇には保護者も地域も、当の子どもたちからも声を聞いた形跡がありません。校区の再編成等を行う場合には、学校を中心とした地域社会をどう再構築するかといった課題とともに検討し実施することが必要だと思いますが…。そのねらいについて、いろんな憶測が飛び交っています。孤独感を抱く子どもが増えるという結果とならないように、細やかな寄り添いがこれまで以上に必要となると思います。
        職員室にゆとりと豊かな人間関係を…。
        2003/10/26
        校内で小5女児を暴行しようとしたとして世田谷区の男性教諭が強姦(ごうかん)未遂容疑で逮捕されました。この男性教諭は容疑を認めています。23日午後5時半ごろ、女子児童に対し「部活動の相談に乗ってやる」と会議室に誘い出し、服を脱がせるなどして暴行しようとしたものの女子児童が泣きだしたため、暴行をあきらめたといいます。女子児童の家族が警察に通報し、事件が発覚しました。学校は「教育熱心で、情熱的。クラス運営も一生懸命する教員だった。子供たちからも好かれている」と説明。「子供たちの力量を高めるためにしてあげたマッサージの度が過ぎてしまった」と男性教諭。「これからマッサージの状況を調査しなければ・・・」と学校側。それまでにも女子生徒に対する様々な性的な行為が行われてきたようです。
        最近教師による問題行動が立て続けにマスコミ沙汰になっていますが、とても気になることがあります。いずれもがその場だけの衝動的なものでなく、一定長期に渡って続いていた行為が発覚したもので、その間学校側は保護者の指摘にも関わらず学校内部、それも当該者と一部の管理職の中で抱え込んでいて学校としての課題となっていないことです。少し距離をおいて見ると、教師間で教科指導や生徒指導、あるいは私的な問題等についての相談が気軽にできる環境、同僚としての人間関係が十分にできていない様子が見て取れます。忙しくて同僚の相談になど乗っていられない、個人の努力課題、能力評価に影響する等の理由で抑制してしまう雰囲気があるのでしょう。これらの状況で欠落してしまっているのは、「子どもたちにとってどうなのか?」という意識です。子どもたちを中心に据えた時にはじめて、どんな対応が必要か、どんな論議が必要か、どんな職員室の環境が必要かが見えてくるのではないでしょうか。保護者や地域が蚊帳の外になっていて、結果、加害者VS被害者の関係でしか関われないという状態では、「開かれた学校づくり」「学校・保護者・地域の連携」といったこれからの大きな課題を共にすすめていく前提を失うと思います。

        教育は「教え」「育つ」という支援者と子どもの相互関係。
        2003/10/19
        2003-10-19
        私は学校側の立場から考えて「教え」「育てる」という意味と思っていましたが、本来の意味は「教え」「育つ」だそうです。つまり、教えの支援者である教師などによる「教え」と、それを受けながら「育つ」子どもたちの相互関係をさす言葉です。であれば、学校はその環境となります。教師が教壇から一方的に教科を教え、それを聞いて見て学ぶだけでは「教育」とはならないわけですね。教師からの学習刺激を受けて子どもたち一人ひとりが関心・興味を持ち、考え、調べ発見し、文字通りの学力が育っていくことが本来の「教育」。とても大切な価値観だと思います。
        昨夜、地元で開かれた公立高校の京都西区通学圏交流集会に参加してきました。京都府では「特色」「多様化」「選択」「少子化」をキーワードにした「府立高校改革推進計画」が動き出しています。文科省の指導の下進められている全国的な流れですが、どうも目的は学校ごとの役割分担と効率化、予算軽減のように思えます。東京都では普通科校を進学校と中堅校と教育課題校、新しいタイプの高校に役割分担させつつ高校数を大幅に減らす計画です。進学校は東京大学へ進学する生徒を生み出すことが目的だそうです。教育課題校とはエンカレッジ・スクール(励ます、力づけると言う意味)で、教育委員の一人が「カタカナなど使わず、『落ちこぼれ学校』と言った方がわかりやすい」と発言したことからもその役割(?)が理解できます(この発言は後に事務局が議事録から削除したそうです)。他都県でも「特進コース」「学究コース」と言う名の進学校づくりや、学区の廃止(全県1学区等)が進んでいます。教育委員会や行政の側からはこうした「改革」が必要と考えるのでしょうが、子どもたちはそれらを望んでいるのでしょうか? そこで言われる「役割」に応じた力が育つのでしょうか? 京都のある普通科進学コースの生徒へのアンケートでは、その学校を選んだ理由について、「近くの高校だから」…40.0%、「クラブ活動」…20.0%、「その他」…20.0%で、「特色」と答えた生徒は2.9%に過ぎないという結果が出ています。近くの高校でクラブ活動もやりたいというのが子どもたちの本音です。この進学コースの生徒の97.5%がクラブに入っています。学校を運営する側と利用する側のこのニーズのズレを私たち大人は考えるべきなのでしょうか。また、京都では定時制高校が減らされる一方で入学希望者が増え、それまで受け入れられていた不登校経験等の子どもたちがはじき飛ばされるという状況も生まれています。権力をもって決定するのは運営する側、保護者が校則の厳しさなどについて苦情を言うと「あなたが選んだのだから、気に入らないなら他へ行って下さい」と、運動部の指導がしたいという教師には「他校に転勤して下さい」と平然と言う校長がいるそうです。行政側の発言をもう一つ…。「今は自己決定と自己責任の時代。生徒の選択の幅を広げるのは当然」(滋賀県のある市長)。公立の中高一貫校もできはじめ、12歳や15歳で人生コースの「選択」をさせるということを、不自然に思えない人たちに「教育」が動かされているという現実を私たちは厳しい目を持ち、不自然なことを自然なことに変える取り組みを強めていかなければならないのではないでしょうか。
        小4男子生徒に自殺を迫る教師を考える…。
        2003/10/11
        9月8日、担任教師から子どもが「けがれた血だ。自宅マンションから飛び降りろ」と自殺を迫られ、「五つの刑」といった体罰を受けていたご両親が当該教師と福岡市に対して損害賠償訴訟を起こされました。その子は「生まれ変わりたい。自分には生きる価値がない」と抱え込み自己否定感情を高めているようです。その子の恐怖体験も深刻ですが、教室でその場を体験した他の子どもたちの受けた心的外傷もとても深いものだと思います。
        体罰は言うまでもなく法律違反です。でも(少し古い資料ですが)小学校では4割強、中学校では6割強の教師が体罰を必要と考えているという調査結果があります。そして、げんこつ・平手打ち等の過度な暴力的体罰をしたあと「後味が悪かった」と答えた人は8割を超えています。子どもの側の受け止めは正直です。小学生で、「なぐられてもしかたがない」と答えた子どもは28.3%ですが、「なぐらなくてもよいのに」43.3%、「なぐられるほど悪いことはしていない」16.7%、他に否定的・反発的感情を抱いた回答が8.3%。中学生も近い数値ですが、否定的・反発的感情を抱いた回答は13.9%です。体罰によって子どもが反省したと思っている教師は多いようですか、それは思いこみです。体罰は即効性のある規制ですし、「強い態度」に出ないと言うことを聞いてくれないと思う教師のみなさんの心情も理解できます。しかし、子どもたちのこうした否定的・反発的感情は一時的なものではなく、体罰によって教師への信頼感は確実に揺らいでしまいます。過激な体罰を受けた子どもほど「えこひいき」を感じたり、「学校に行くのがイヤになる」、「ムカつく」、「対教師暴力願望」といった感情が高い。教室という密室で、みんなの前で行われる違法な体罰は、「強者が弱者を暴力で制裁する」ということを是とすることで、教師自身が「いじめ」を容認する風土を学校内につくっていることになることを忘れないで欲しいと思います。
        「けがれた血」「単一民族」といった言葉で連想したのはナショナリズムです。この教師がどんな思想・心情をもっていても構いませんが、公教育の場に持ち込むことは明らかな違法であり、今回の行為は暴力であり人権侵害です。503人の全国弁護団のみなさんには本当にがんばって欲しいと思います。
        10月10日付の「週間金曜日」紙上で「なぜいま『心のノート』なのか」という激論がありました。登場するのは文化庁長官の河合隼雄氏と作家の森巣博氏。『心のノート』をめぐる様々な賛否の論議がされた後、河合氏は「いろいろ論争が起きると言うことは、ぼくは大歓迎です。皆で充分考えて、その結果『そんな内容やったらやめよう』という声が大きくなれば、やめたっていいわけですから」と締めくくっています。どこで決まって何を目的に始まったのかわからず、突然全生徒向けに配られ「使うように」という指導・点検が行われ、現場に混乱だけを与えて、だめなら「やめたっていい」という開き直り、こんな事業に2年間で10億円という税金が使われているという事実にこうまで客観的でいられるのかと驚きです。10億円あれば他に豊かな教育をめざす取り組みがいっぱいできると思うと、こんな文部行政を許している国民として情けなさを感じます。
        フリースクール卒業者に大学受験の道が…。
        2003/10/05
        愛媛大学がフリースクール卒業者や高校中退者等で、高卒同等の学力があると判断した場合、大検(大学入学資格検定)に合格してなくても来春の受験を認めることを決めたそうです。9月に文科省が大学受験資格の緩和をしましたが、具体的に道が開かれることになりました。大学側の「学生獲得」という目的もあるかも知れませんが、それを差し引いても不登校の子どもたちに「展望」と「安心」を与える措置が、さらに広がることを願います。
        昨日は京都会館会議場で「子どもたちの21世紀 希望と笑顔あふれる京都へ 子育てと教育を考えるシンポジウム」に参加してきました。高知県の「教育改革」について四万十学舎楽長・幡多高校生ゼミナール顧問・元高知県高等学校教職員組合委員長の山下正寿氏、高知新聞社社会部副部長の石川浩之氏、山形県の少人数学級への歩みについて山形教育文化センター所長・30人学級を実現する県民連絡会代表委員の鈴木輝男氏がシンポジストとして語られました。土佐では小規模校・分校を残すために5年間で300人の教員を増やし、「教育改革」を柱とした橋本知事は行政管理職に対してよく「子どもの幸せのために仕事をしてるんじゃないですか?」と強い姿勢で改革に取り組んでいるそうです。山形では「さんさんプラン」に基づいて現在33人を上限とした学級編成が行われ、子どもたちへのアンケートでは「友だちがふえた」89%、「学校が楽しくなった」72%と答えていて、県民の97%がこのプランに関心を示しているそうです。家庭・学校・地域・行政が子どもを真ん中において地域の未来を考える取り組みの中で、それぞれの立場で関心を強め、参加を強め、変化を実感していけるという先進的な経験を学ばせてもらいました。2県ともそれぞれまだまだ課題はあるそうですが、全県的取り組みが進む中で改善していけるものと思います。京都の子どもたちを取り巻く課題もたくさん渦巻いていますが、現状への批判や反対を訴えることも必要ですが、新たな構造を創り出す取り組みを始める方が楽しいし、共生、協同の輪が広がると思います。実態や変化をしっかりと見つめ、改善に向けた造り直し、創造を始めたいものです。
        スクールカウンセラーがクレーム処理係になっている?
        2003/09/28
        スクールカウンセラーが学校現場でどんな活動ができるかは、学校側の生徒指導への姿勢や学校内の教職員・管理職・養護教諭等の人間関係に大きな影響を受けるようです。最近よく聞かれるのが、学校サイドで問題や課題が手に負えなくなった時、保護者から批判やクレームが来た時等に、スクールカウンセラーに振って、何となくなだめてもらうという形で「利用」されている気がするというSCの声です。学校にもよると思いますが、SC本来の導入の目的や役割性への十分な理解のないまま、学校内での関係性がきちんと築けないまま週1回(一定高い時給で訪れる)SCに対して、その力を学校運営に活かすという志向を持たないまま、安易にクレーム処理に「心理」的方法をつかって訴求者の矛を納めてもらう役割を負わせるというのは、正に資源の無駄遣いです。様々な課題に悩む子どもや親、教師に学校現場なりの心理的援助を行い、学校内外の関係性を改善に向かわせる提案や支援・関係づくり、子どもの育ちを地域の課題として考えていく示唆を与える活動等、SC本来の役割が発揮できる環境があり、その資質をもったSCであれば、学校は変わり、子どもの人格形成に影響を与える社会的環境をよりよくしていくことできるのに…、と考えると今の現状は残念でなりません。学校管理者は事務処理の合間にSCの適切な活用方法について考えてほしいものです。SC事業の目的についての理解が必要です。
        巨人軍原監督の突然の辞任にとても違和感を覚えました。3つの言葉が象徴的です。「巨人軍監督の権威と威厳を傷つけた」「すべて監督である私の責任」「読売グループ内の人事異動と考えてほしい」といったものです。まず感じたのが権力と服従の関係です。学校システムにおいてのそれとダブってイメージされてしまい、心がくすぶってしまいます。それぞれの社会において服従状態にある多数者は、服従状態にあることでその社会に存在の場を確保できるという関係性があります。そこには反発心や違和感があっても、抵抗という行動に出ることはその社会からのドロップアウトをもたらしますので、自分の問題として抱え込んで辛抱する、辛抱・我慢がキャパシティーを超えた時、身体症状が出たり、心身症、うつ等の精神病域に入る等、服従している側に不利益となる構図があります。この服従している側に光が当てられない限り、その社会の抱える課題は改善の方向には向かわないと思います。巨人軍も監督やコーチ、選手の人格に光があたらないと、読売グループが求めてやまない「強い巨人軍」を再生させることはできないと思います。私は巨人ファンではありませんが…。
        一昨日は京都文教大学で開催されていた日本臨床心理学会に学生として1日参加、夜は不登校の親の会に、昨日は浜松市でNPO法人として来年度フリースクールをスタートさせる「ドリームフィールド」のイベントとして私の講演をメインにした企画にバイクで参加してきました。子どもを真ん中において、その育ちに豊かな環境としての家庭・学校・地域・行政等の改善に向けた取り組みの必要性を考える大人たちとの新たな多くの出会いがありました。
        放送大学1学期15科目で14科目単位認定されました。
        2003/09/21
        単位認定試験後の実感としては全科目行けた!と思っていましたが、1科目だけ(人体の構造と機能)D判定(60点未満)で認定されませんでした。残念ですが、最もしんどかった科目なので、第2期で再試験を受ける元気も出ません。第2期では別の実践的領域の15科目を受講します。
        今日から、「京都 ひきこもりと不登校の家族会」の例会スタッフ(?)としてボランティア参加します。不登校の親の会には3つ参加させてもらい勉強していますが、この会では支援者側として関わらせてもらうことになりました。今、会の代表から指定された斉藤環氏の「ひきこもり救出マニュアル」という600ページの本をコツコツと読んでいます。マニュアルというのには違和感がありますが、斉藤氏の膨大な臨床体験からまとめられたものですので、今後の実践に役立つものと思います。毎年生まれる不登校体験者の2割程度がひきこもりになっていく、社会的ひきこもりから社会復帰できる方の数はそれを上回ることはないと思いますので、今後しばらくは増え続け、高齢化していきます。要介護老人をひきこもりの子どもが介護するという時代がすぐそこまで来ています。社会的ひきこもりの方の60%が不登校を体験しているというデータもあります。自己肯定感情を持てない子どもたちが恐ろしく増えているそうです。先日こんな話を聞きました。小学校高学年の子どもに「将来何になりたい?」と聞くと、「赤ちゃんになりたい。だって何もしなくても食べられるもの」と答えたそうです。小学生が将来の生計を不安に思う社会、とても先進国、世界第4位の経済力を持つ国の現実とは思いたくありませんね。消費税導入から15年。社会福祉のためと導入、その後増税されました。この間、大企業の法人3税は累計で131兆円も減収しているのに、国民からの消費税収入は136兆円だそうです。福祉に使われることなく、大企業の収益を守るために使われてしまったわけです。財界や政府は数年後には10数%に増税せよと大合唱していますが、ヨーロッパ並みに社会保障を優先した予算に転換するというのなら我慢のし甲斐もありますが…。今のままでは若い人たちが結婚し、子どもを生み育てることがとても困難な環境が続き、少子化に歯止めはかかりません。政治の中身を変えることに、努力しなければなりないと思います。

        朝の犬の散歩1時間で脂肪肝を改善するのだ宣言。
        2003/09/05
        この3月で仕事を辞める数ヶ月前から中断していた朝の犬の散歩を復活させてから3カ月位になります。午前5時45分、携帯のアラームで布団から重い体を起こし、身支度をしてスタート。緑に覆われた坂道を降り、川沿いの道を歩きます。この川にはこれまでの確認では3羽のカワセミがいます。ガードレール越しに、今はイチジクが美味しそうに熟しています(6個ほど失敬して家族で頂きました)。これからはビワに注目して歩かなければなりません。花も豊富で、私は中でもカンナが大好きです。夏の盛りに黄・赤・オレンジの可憐な花を咲かせます。8月の上旬に小さな目を1本引っこ抜いてきて(根を地中で伸ばしながら増殖する種類のようで地下茎の部分で折れてしまいましたが、1本だけ細い根が残っていたので持ち帰りました)、自宅の猫の額の半分くらいの庭に駄目もとで植えたところ、土壌に適したのか今では大きな葉をつけた3本に増えました。花が咲くかどうかはわかりませんが、恐ろしいほどの繁殖力には脱帽しています。話がそれましたが、この散歩に1カ月ほど前から、手首に各500gの腕輪を装着するようにしています。お陰で朝の涼しい時間帯であるにも関わらず、帰ってくると汗だく。これで持病の一つである脂肪肝の改善になるのではと期待しています。
        昨日・一昨日と神戸で開催された近畿弁護士連合会・子どもの権利委員会の「夏期研修会」に、人権救済制度利用者の一人として呼ばれて発言の機会を与えられました。私の報告はともかくとして、委員会の弁護士のみなさんの子どもの権利擁護に向けた熱意がジンジンと伝わってきて、とても充実感のある時間を与えられたと思います。大阪府教委が行っている「子どもサポート推進事業」についての報告もあり、学校・教育委員会と地域や専門家(弁護士、臨床心理士、精神科医)、関係機関が連携をとりつつ問題行動などへの早期からの重層的なサポート体制づくりの実践が、公の事業として行われているということをとても新鮮に感じました。都道府県教育委員会毎に子どもたちへの関わりに対する考え方や対応はまちまちです。広島県のように管理教育を行うように強い指導を文科省から受けて忠実に指導に従おうとしているところもあれば、市町村教育委員会の考えや活動を尊重し支援する立場で関わるところもあるなど、本当にそこに関わる人次第であるなぁと感じます。公・行政であれ、そこに属する人がやる気になれば一定のことは独自施策として実践できる、それを提案しサポートする地域の個人や組織の関わりが大切であることを学べたと思います。近畿弁護士会・子どもの権利委員会のみなさま、ありがとうございました。今後のご活躍を心より期待します。
        広島では99年以降12名の管理職・教師が犠牲に
        2003/08/31
        「広島の教育はどうなっているのか」というタイトルで『週間金曜日』にルポが載っていました。尾道市高須小学校の民間人校長・慶徳さんが「うつ病」と診断されつつ休職願いを拒否され、教頭も2名が過労で倒れる中で自ら命を絶ったのは昨年3月。当時慶徳さんが市教委から提出を求められていた報告書は370件、自殺直前の超過勤務時間は1日平均7時間16分だったそうです。被爆地広島では「平和教育」や部落差別をなくすための「同和教育」を地元の様々な団体と連携して取り組んできた歴史があるのに、98年に文部省がこれらが学習指導要領等から逸脱しているとして「是正指導」を行い、県教委に是正状況の報告を指導していたそうです。こうした流れの中で校長の権限が強化され、職員会議は校長の補助機関化、上意下達の場となり民主的な学校運営が困難に、また教師のつながりは分断され管理職に対する忠誠心競争に駆り立てられていったとも。定年前の退職も増加し、97年度に比べ校長は14人から02年度には2倍の28人に、教諭は70人が123人に。休職者に占める精神疾患の割合も36.1%から44.6%に増加しています。12名の命が奪われ、退職・休職者が増加の一途をたどる実態は広島だけのものでしょうか。
        広教組書記長は「現場の教師は書類の山で、教育をしている実態がない。子どもそっちのけの業務になっている」と、全教広島の書記長は「是正指導や(広島の)教育改革の特徴はあるべき教育の形だけが論議され、子どもが不在であることです。広島の子どもたちをどうするべきかを議論すべきです」と語っています。学習権の主体である子どもたちの声を聞かない「教育改革」なんて、大人の都合、企業の都合、国家の都合でしかありません。今こそ子どもたちの声を聞く子どものための「改革」が求められていると思います。

        「登校拒否を考える全国夏合宿」に参加してきました。
        2003/08/25
        登校拒否を考える全国ネットワーク主催の恒例の夏合宿に、23・24日参加してきました。不登校の子どもを失った参加者というのは私くらいだと思いますが、一昨年の東京、昨年の鹿児島、そして今年愛知県蒲郡市と3年連続しての参加になりました。今回は学生の立場を半分加えて大いに学びエネルギーを充填させてもらいました。1日目の講演は小沢牧子さん、夜の「この人と語ろう」は相談室「モモの部屋」の内田良子さんの部屋に、2日目の分科会は「医療・相談機関との関わり」、岐阜大学助教授の高岡健さんのお話と、盛りだくさんの企画に参加し、学び、交流を深めさせていただきました。全体では750人を超える参加で合宿は大盛会でした。書籍販売コーナーには私の「不登校自殺」がわずかにありましたが、完売でした。
        この1週間はバイクで走り回った1週間でした。19~21日は妻方の実家である能登半島の珠洲市大谷町へ義母の話し相手に行き半島の北端まで足をのばし、一昨日・昨日は蒲郡へと、1,300km位走ったことになります。来月末には浜松市でNPOとしてフリースクールを立ち上げられた方から講演の依頼を受けていて、また往復してこようと思っています。こんなことをしていられるのも放送授業が再開する10月1日までです。でも、「夏休み」の間に読もうと積み上げている本が減らずにまた増え続けているのはどうしたものでしょうか?
        YES-MAN校長は自己一致できているでしょうか? 2003-08-17
        2003-08-17
        再び校長先生の話です。教師としての出世コースで「勝ち組」となった校長、しかしてその実態は…?
        上を向いてYESとしか言えない、教委の意のままに動かされる将棋の駒と言えば言い過ぎかもしれませんが、日の丸・君が代を折りあるごとに教職員や子どもたちに強要し、批判的態度をする教職員をチェックし報告したり、教員評価を「指導力不足」の視点で行ったり、組合幹部の引き出しをこっそり開けたりと、不本意に違いない「業務」を行わざるを得ない、そんな日々を過ごしていて子どもたちと接することもほとんどなく、時に関われば「キモイ!」と言われ、自己の教育観や意欲はどこへ行ったのやら? それで教師生命を終えるとしたら、教師人生これで良しと思えるのでしょうか? 校長ご自身の責任でないことはわかっています。上の指導によるものですから、絶対服従するしか、その立場を守ることはできません。つらい立場ですよね。でも、あえて聞きたいのです。そんなご自身を受け入れ、これが自分自身だ、自分の人生だと胸を張って言えるのでしょうか? 言えるとしたら一度心理分析をされることをお勧めしたいと思います。なぜなら、服従状態に自己一致した人格で、一個の自律した大人とは言えないと思うからです。ぜひ一度、問い直してほしいと思います。
        放送大学は現在夏の集中面接授業の真っ最中、今日も2時限受けに行きます。お盆もゆっくりさせてくれません(甲子園は雨で中止なので少しストレスは減りました)。今日のテーマは「『江戸』から見た日本の教育」です。

        28年ぶりに減少……(!?)
        2003/08/09
        文部科学省の8日の発表によると学校基本調査で、2002年度の「不登校」の小中学生は13万1,211人で前年度から7,511人減少したそうです。共同通信の記事でも、「教室に入れない『保健室登校』なども出席扱いで、実態を反映していない」と指摘する声もあると書かれています。文科省は「スクールカウンセラーなどの相談体制や不登校の子に対応する適応指導教室の充実などが成果として表れた」と見ているそうですが、「不登校」の認識が学校によってまちまちである実態はあきらかですし、それを「減らす」志向で数を数えると、これくらいの数字の減少は十分にあり得ると思います。減少に向かう客観的状況は見られませんし、文科省の言うSCや適応教室が不登校の子どもに適応したという話も聞こえてきません。文科省なりに力を入れた事業としてその実績が数字的に欲しかったのでしょうか? 小中学校ともに在学者数自体が過去最低(中学生は前年度比11万5千人減少・17年連続)、中学校だけで7,000人の減という発表も、意図的なものを感じます。減ったと言っても2年前と同じくらいですから、少子化傾向の中での13万人という状況をどうとらえるか、事態の深刻さに変わりはありません。
        広島県立日彰館高校が教職員向けに野田正彰・京都女子大教授の講演を予定していたものの、尾道市の民間人校長自殺の調査に関わっていることを理由に講演中止が申し入れられていたそうです。校長からは電話で、県教委から「講師を替えるように言われた」と一方的に告げられ、7日に野田氏の自宅を訪れた同校長は「予算の措置が出来ていなかった」と違う理由を説明したそうです。野田氏は県教職員組合の調査報告書で「うつ病を訴えた校長に休みを認めなかった」と県教委を批判していて、その関連性は否定できません。野田氏は「このままでは学校が駄目になる」と危惧されています。
        今日から2泊3日で倉敷の実家に長男の墓参りを兼ねて帰ります。

        放送大学の1学期単位認定試験無事終了!
        2003/08/03
        性懲りもなく15教科、地獄の1週間でした。でも、何とかすべての単位認定試験を終えてホッとしています。あとは結果を待つだけ……。第2期の履修登録を済ませばしばらくの夏休み、と思いきや、集中スクーリングを8月に3教科申し込んでいました。放送大学のスクーリングというのは土日型、毎週型、集中型の3種あって、休み中に行われるのが集中型です。卒業には合計20単位が必要です。2時間半を1時限とし、1日目3時限、2日目2時限の計5時限で1単位取得できます。私は認定心理士資格取得を当面めざしていますので、心理学実験・実習にあたる科目で3単位以上のこれに該当する科目の単位取得が必要です。この科目は放送授業ではありませんので、スクーリングで取得するしかないわけですが、この科目が開講される学習センターが全国各地に散在しています。他の方のホームページでこの苦労話を読んだことがありますが、事実でした。卒業まであと1年半、チャンスはあるようでない、1泊2日の単位獲得旅行を惜しみなく実行することなく単位は得られないようです。とはいえ束の間の休息、少しゆっくりします。
        9月の末に、浜松でNPO法人のフリースクールをこの6月に立ち上げられた方の依頼で講演に行くことになっています。「元気が出るような話を…」と言われています。どんなお話ができるか、朝の1時間の犬の散歩でじっくり考えたいと思います。

        なかなか手強い放送大学の単位認定試験!
        2003/07/27
        いよいよ放送大学の単位認定試験が始まりました。現在3科目終了、あと12科目です。履修している科目の試験はマークシート方式ですが、内容は思っていた以上に手強い、という印象です。問題自身は10問~15問ですが、それぞれの設問が5問程度あって、その中から正しいものまたは誤っているものを選べというものですから、50~75程の設問に対して正誤を判断する知識をもっていないと正解とはならないわけです。そしてそれぞれが「こんなん教科書のどこに書いてあるねん?」というそれらしい「ひっかけ」的なものから教科書のどこかにきっちりとあまり目にとまらないように記述してあるものなど、結局試験ですから詰め込み記憶量がものをいう世界なのです。もう少し認識的というか概念的な部分で問いを立てて欲しいとは思います。今日2科目、29・30日はそれぞれ5科目ずつという過激スケジュール。開き直って立ち向かうしかありませんね。
        私の気質について最近考える機会が多く、あれこれ考えた末に、「超自我」といわれる「…あらねばならない」「…してはならない」という風に自身の意識や行動を制御する部分がかなり強いのではないかと結論づけました。だから、自分自身もいつも気分的にしんどいし、他人に対してもそうした意識が働くので相手もしんどい思いをしてしまう、ということです。中年期の危機(過渡期・転換期)にそんな自分を、もう少し楽に生きられる自分に変容すべく努力してみようと思います。
        死の数日前に1時間話を聞いてくれたおばさんが亡くなりました。
        2003/07/20
        長男の死後、ご近所にお礼を言って回っている時に、同じ筋に住んでおられたあるおばさんが、「1週間ほど前、朝の10頃やったかな、一人でロータリーの所を歩いていたので、『学校行ってへんのんか?』と声をかけて、一緒に座って1時間ぐらい話をしたんよ」と語ってくれました。その時の話の内容を詳しく聞き、長男について知らなかった面をたくさん知ることができました。
        このおばさんが入院先の病院で脳梗塞を起こして意識不明になり、2週間後の先週17日に逝去、18日にお通夜が営まれました。焼香の時、「あちらへ行かれたら長男に声をかけてやって下さい」とお願いしました。19日の葬儀には、とても出席できる精神状態にありませんでしたので失礼させていただきました。長男の生前を知る人が、また一人居なくなってしまいました。このおばさんとの1時間は、長男にとって心静まるひとときだったと思います。地域にとっても貴重な存在でした。
        今日は当地・向日市議選挙の投票日です。1昨日、向日市長宛にメールを送りました。「○○○○、○○○○、○○○○、でございます。みなさまの熱いご支援をよろしくお願いします。○○○○です」という選挙カーの名前の連呼に辟易したためです。政策や主張を一言も語らず名前だけを繰り返す選挙宣伝しかできない候補者がとても多く、こんな候補者が議員として議会に出たとしても、今の自治体がかかえる山積する課題を前向きに解決することに役立つとはとても思えません。本当に当選したら何をしたいのか、さっぱりわからない人が多く、何を基準に有権者は支持を選択するのでしょうか。小学校の生徒会選挙でも立ち会い演説会等があって政策を表明し、それによって1票を投じてもらうというのに、市議会議員選挙がこんな低いレベルの政治戦(?)でおこなわれることは住民として恥です。議会が形成された後の運営も大変だろうと思い、市長に進言したわけです。市長からは当日に返事があり、「公選法上仕方がない」「私が議員時代に議席数を減らした」「あなたのように行政に関心がある方が議会に出てほしい」と、かなり勘違いされていたので、改めてわかりやすい表現でメールを返しました。
        おばさんの死で、私の支持する候補者は1票を失ってしまいました。向日市の現在の最大の課題は府営水道の協定見直しで水道料金が抑えられるかどうかです。まずは協定見直しを市として確認(6月議会では賛成多数で決議されています)する基盤を選挙で確かなものにし、府に対して近隣市町、住民とともに協定見直しを訴え実現させて行かなければなりません。このままでは数年後には府下で1番高い水道料金になってしまいます。それでは、投票に行ってきます
        「犯罪者の親打ち首に」…「青少年育成推進本部」責任者の発言?
        2003/07/13
        『長崎市の幼児誘拐殺人事件で補導された少年(12)が在籍する中学校では、身近で起きた衝撃的な事件のショックから、心身の変調を訴える生徒が相次いでいる。生徒は「眠れない」「制服を着たくない」と言い、教職員も途切れない嫌がらせ電話の応対などで精神的に疲弊しているという』(YAHOOニュース7/13より)。被害者の家族の受けた悲しみや怒りは言うまでもなく、補導された少年の家族の受けた衝撃も、学校等関係者の心痛も計り知れないものです。そんな折り、政府の「青少年育成推進本部」副部長で防災担当相でもある鴻池祥肇氏が11日の記者会見で「犯罪者の親を市中引き回しの上、打ち首にすればいい」「引きずり出してTVであやまらせればいい」等と発言。問題化した後「例え話だよ」「勧善懲悪の水戸黄門がはやっている」と、1人のおじさんの世俗話をさらに堂々と発しました。人権意識のかけらもなく、人の痛みを感じないこんな短絡的なおじさんが、青少年問題の何を語れるというのでしょうか? 「打ち首」が罰として残っていたのは封建時代まで、この人の意識には、その後の人権と民主主義の時代はすっぽりと失われているのでしょうか? 
        事件発覚の翌日、同じ長崎県長与町の小学校の教頭が3年生の図画工作の授業中、忘れ物をした生徒に対し「あまり忘れ物が多いと、裸にして突き落とすぞ」と発言したという報道も…(生徒たちはこの人が犯人ではと騒いだ)。
        競争原理に毒された現代の日本社会において子どもたちは受験競争のストレスに喘ぎ、学校にもどっぽりと浸透しています。そしてこんな大人たちの発言をマスコミ等を通じて毎日のように吸収して育っていきます。ゆとりを失った病理社会において子どもたちがおこす様々な事件は必然的とも言え、当事者の子どもやその親にその責任のすべてを押しつけることはできないと思います。青少年の凶悪犯罪が増加、凶悪化、低年齢化しているというマスコミ報道は、それが根拠のない間違った知見であることは資料をみれば明らかで、戦後混乱期の「生きるための犯罪」をピークに全体としては減少しています(『警察白書』参照)。
        グローバル化する社会で生き残れる日本人を作るために「愛国心」を育てる教科書を使って教育できるように「憲法」や「教育基本法」を改正すべきと主張されている方々にとって、自尊心を失い自己肯定ができなくなった「弱者」の心などその視野に入ってないのでしょうね。東北地方の地震で多数の被害者が出たとき、我が国の現首相は「地震が起こっても自信は失わないでおこう」とTVで笑いながら発言してしていたことを思い出しました。
        沖縄中2生暴行・殺害・死体遺棄事件を考える…。
        2003-07-06
        沖縄県北谷町の墓地で一部白骨化した状態で13歳、中学2年の男子生徒が見つかり、友人だった上級生やOB、同級生が容疑を認め補導されました。男子生徒は家出中でしたが捜索願いは出されていなかったようです。「財布を盗んだだろう」と言って墓地に連れて行かれ、長時間にわたって暴行され、死後に砂をかけて埋められていました。男子生徒は中1の終わり頃から不登校気味になっていて、加害者側の不登校の友人と仲が良かったそうです。経過や背景は新聞報道によるしかありませんが、被害者・加害者ともに不登校であったという点で心が痛みます。被害者の男子生徒は不登校であっても授業時間に学校のテニスコートで姿が見られており、学校に居場所を求めていたと思われます。この「仲間たち」はゲームセンターで補導されたこともあるとかで、学校側が「不登校」という視点ではなく「非行」生徒という見方をしていたのではないでしょうか。少なくとも1週間にわたり学校に姿を見せない子ども、反社会的行為を継続していた子どもたちに対して、学校側はどんなアプローチをしたのでしょうか。「放置」だったのではないでしょうか。加害生徒たちも、殺害後1週間何事もなかったように過ごしていたとありますし、補導後も反省の言葉がないというのは、人格の歪みがとても大きいことを表しています。加害少年たちの犯罪性を追求するのは当然としても、その背景にどんな生育史があったのか、お金のトラブルによる暴行・殺害・死体遺棄という行為を淡々と行い反省しないという意識がどこから生成されてきたのか、なぜ学校や地域は予兆とも言える反社会的行為や不登校状態に人間的関わりを持とうとしなかったのか、深く探る必要があると思います。毎日のように「殺人」や「自殺」が報道されます。これでは命の尊厳への意識が麻痺してしまいます。乳幼児期・児童期からの豊かな人間関係の中での信頼や相手を思いやる心の獲得は、教科授業消化型の学校教育では困難なのでしょうか。先週、授業の総時間数が減り、一方で基礎学力強化が求められ、学校行事にあてる時間が削られているという調査結果が報道されました。核家族化や地域での孤立化、塾通い等、子どもたちの仲間作りの時間と場が狭められている実態も看過できません。メディアの影響も、大人社会、国や地方自治の政治の歪みも……。
        学校システムという行政機構に司法的チェックを…。
        2003/06/29
        今の学校システムを私なりに図に描いてみました。頂点が言うまでもなく文部科学省(その上に国があるのでしょうが話がややこしくなるので省きます)、その下が都道府県教育委員会、その下が市町村教育委員会、その下が校長会、その下が学校管理者の打ち合わせ会議、その下が教職員(職員会議ではありません。上意下達の報告・通知会となっている所が少なくないようなので…)、さらにその下に子どもたちが管理されています。この縦社会に横方向に線が延びて、地域の関係者・機関、PTA、その下に保護者が位置付きます。おおざっぱな図ですが、問題が3つ見えてきます。1つは学校システムが縦社会であることで、ピラミッド型ならまだしも縦一直線の行政管理型となっているということです。2つめは教育を受ける主権者・学校の主人公である子どもたちが最下層で管理の対象とされているということです。3つめは盛んに連携が叫ばれる中でも地域や保護者「お客さん」的に扱われその間は細い糸でしか結ばれていないことです。2つめは1つめの問題の結果ですが、教育の主権者たる子どもたちを頂点あるいは中心とした社会システムがつくれないことには教育に管理的に関わる大人のエゴイズムが強く反映していると思います。教育基本法や子どもの権利条約をないがしろにしても良い、次代を担う子どもたちの育つ環境やわかる教育をいかに実現するかよりも今年いっぱいを問題なくそつなく終えることを優先して考えるという意識がそれを支えているのでしょう。こうした歪さを改善するために、「連携」を言われる保護者や地域の関係者・機関が学校や教育委員会と密接に協力しながら子どもたちの教育をより豊かにする関係、課題があれば速やかに見定め改善への方策を一緒に検討・実践するという「司法的」関係の形成が不可欠と思います。教育委員の公選制の導入を検討する自治体があります。子どもの人権オンブズパーソン制度をもつ自治体もあります。これらが全国に広がることを願ってやみません。もっと保護者は学校に顔を出しましょう!
        昨日は京都府総合教育センター主催の「教育相談セミナー」に参加してきました。講演は京都大学大学院の山中康裕教授で、テーマは「現代子ども論-ハリーと千尋をもとに-」でした。学校関係者を主対象とした府民開放講座ですが、一般の方も多く参加されていました。一つだけ印象に残ったことを…。女子は10歳、男子は11歳に大きな転換期があり、それを気づき損なわないことが大切であり、その変化(目の輝きが増すなど)をもたらすものは子ども自身が何かをやり遂げたという達成感を体験すること、という主張です。子どもたち一人ひとりとの人間的関係性を持ち、達成経験を共有してあげられる教室であれば、学校は大丈夫と……。実際の現場では困難さが増すばかりですが、子ども自身の本来持っている育つ力を信頼し、見守りという関係性を大切にするだけでも学校は変わっていけるというわけです。総論としては理解できますが、「1~3歳は愛される中で自分が大切な存在あることを認知すること、4~6歳は人間としてしてよいこと・してはいけないことをしっかりと教える躾・養育、ここまでが家庭での教育であり、あとは学校に任せなさい」という言葉には引っかかるものがありました。教師向けの叱咤激励の意味であるとわかりながらも、学校によって自信と自己肯定感を失っていく子どもが多いという現実にはもう少し正面からの厳しい指摘がほしかったと思います。
        バイクにつけたカーナビを使いながら考えた学校管理システム。
        2003/06/22
        私は車を持っていません。移動はバイク(カワサキ・バルカンクラシック400cc)が中心です。先日ポータブルカーナビ(サンヨー・ゴリラNV-DK751)を取り付けました。詳細は省きますが、利用してみてその特性が少し見えてきました。DVD-ROMに記録されている地図データをもとにGPS衛星から見て最短と思えるルートを探索するシステムですから、スタート地点とゴール地点を指定してルート探索させるとそれなりのルートを作ります。しかしあくまでも地図データが基本ですから、実際の渋滞や路面の状況、信号待ちの時間などは理解できません(最新のものは渋滞状況などを把握してルート修正を行う等するそうです)。ここで探索されたルートは融通性のない「ルートマニュアル」とも言えます。偉いところは、指定されたルートからはずれるとルートの「再探索」をするところですが……。さて、走りながら学校の管理システムとの類似性を見つけてしまいました。文科省という名のGPS衛星、教委や諮問機関等の基本データ、これらにテーマが与えられると指導要領や通達等という名のルートが探索・表示され学校という利用者に提示されます。普遍性を求めた一般論的な色彩が強い「指導」がこうして行われていきます。現場で日々刻々と変化する状況(子ども、子どもと教師、職員間などの人間関係や外部からの影響等)は「ルート外」です。カーナビのように「再探索」はありません。基本データも怪しいものですし、GPSの性能も前近代的なもののようです。要は、どれだけ利用者がこのシステムの有効性と限界性を理解した上で柔軟に活用できるかが大切ということ。指定されたルート通りに走り続けるととんでもない渋滞やトラブルに巻き込まれます。「再探索」する勇気が求められているとも言えるでしょう。でも、もっと大切なのは、誰のための、何のためのルートなのかということです。ゴール地点の設定が、教育の主権者である子どもたち一人ひとりの豊かな成長と学びに置かれるならば、子どもの数だけルートが作られ、日々の状況変化に柔軟にルート修正・再探索が行われなければなりません。そうした現場実践がデータとして「地図情報」に追加され、積極的な関心を持って受容するGPSが人間性豊かに機能するならば、学校という場はもっと人にやさしいところ、安心できる場となるのではないでしょうか?
        子どもの喪失は親の人生の一部を喪失する。
        2003/06/15
        長男を失って3年と4か月あまり、自責感や不安、空虚さなどを感じ続けてきました。PTSDと言葉では括れるかもしれませんが、普通に(?)人生を送られている人とは違う人生を送ることになる、自分の喜びも他人の喜びも心から喜べることがない、心が傷つく(特に子どもたち)ことや死に対して過敏になっている、など強迫観念を含む様々な思いが心の中を渦巻き続けています。心理学を学び始めて改めて自分の自我の状態を見つめることが少し出来るようになりました。最近感じることは、長男の喪失感が自我に強く影響を与え、自身のライフサイクルの中の長男の「子育て」にあたる後半部分がすっぽりと喪失していることからくる空虚さです。共に生きるはずのパートナーの喪失、とても大きな人生の危機です。しかもそれが自殺によるものであるために危機状態は高いレベルで長期化し消失することはありえません。私の本を読まれてメールを通じて知り合った友人が「エンプティ・チェア」というゲシュタルト心理療法を紹介してくれました。文字通り誰もいない椅子に向かって、そこに私の場合長男がいると想定して対話をするというものだそうです。今の私のストレスを和らげる効果は期待できますが、その勇気がありませんし、もう少し時間をかけて自然と語り合える精神状態になってから……とも思います。
        自身の心理分析をするためカウンセリングを受けながら心理検査を受けています。昨日はロールシャッハテストという投影法、前回は質問紙法とバウムテスト(1本の木を描くというもの)、これら3つのテストバッテリーによる心理検査の結果を次回に聞きます。これを参考にして自身を見つめ直したいと思います。
        ストレス対処のいろいろ……、長男と私の場合。
        2003/06/09
        京都教育大学の公開講座「こどもとストレス」2回目を7日に受講しました。人間は様々な有害な刺激(ストレス)に対して心理的な媒介過程を経てストレス反応をします。授業が聞こえない、学べない、荒れが怖い、いじめなど同級の人間関係に耐えられない、教師が信頼できない……。こうしたストレッシャーに長男は情動的に不安と不信という反応から学校に行けないという自己防衛の行動的反応が出ました。そして家に居ながらの日々の中で自尊心と自己肯定感を失い、うつ抑から腹痛や頭痛といった身体的反応を出しながら、手荒いなどの強迫行為が現れました。そんな自分を理解してくれる人もなく、エンパワーを受ける友だちとも疎遠となり、学習的無力感の中受験を迎え、究極の回避的対処として自ら現実世界とさよならしました。子どもは、この心理的な媒介過程が短いというか、短期的に反応に至る場合が多いそうです。直面しているストレスをどう考えどう向き合うかという媒介過程、様々な体験と思考により複雑多岐なバリエーションを持つそうで、その結果様々な対処(コーピング)を行いながらそれなりに折り合っていけるようになるそうです。長男の中学時代は管理主義的生徒指導と荒れとの闘争の渦中にあり、思春期(前青年期)で身につけたい仲間との遊びや豊かな人間関係や安心感、行事などを通しての様々な協同体験、年長者への信頼感などがほとんど築けなかったと思えます。私の場合は、長男の死というPTSDに自己否定的な認知的評価を繰り返しながら、多くは問題解決(原因究明)に焦点をあてた対処行動を強力に行い、徐々に情動に焦点をあてた対処を行ってきたように思います。ある時点で断面的に見れば問題解決的であり、また違う時点では情動的であるため、継続的に私を観察した人には「二面性」があると映ると思います。自身でもそう感じています。
        大阪教育大付属池田小事件で学校管理者・教職員に処分が下りました。殺人目的で乱入した部外者による殺傷事件という不測の事態への安全管理と対応をめぐっての処分ですが、教師による体罰や黙認されたいじめ事態の直後にその子どもが自殺した場合など、学校に起因していることがはっきりしている場合にも、安全管理と生徒指導に対する管理職と教職員の責任があると思われます。これまでの訴訟ではこの責任が十分に明らかにされて来なかったように思います。当該の管理者や教員は、遺影の前では個人として涙を流すものの、教育委員会のフィルターを通った後に「学校側」になった途端に黙秘と記憶否定、「やれることはやってきた」という自己肯定を行うことが共通しています。池田小での処分はそんな意味でとても大きな前例となります。今後の展開が、子どもの目線で、その命の重みを十分に考慮された形ですすむことを望みます。
        教師との関係で強い嫌悪感を感じ行けない子が増えている…。
        2003/06/01
        昨日から始まった京都教育大学の公開講座「こどもとストレス」を受講しています。計3回の講座で5,200円で受けられます。昨日はさっそくある行政機関で相談活動をされている客員教授が、ご自身が調査したデータと相談経験からお話されました。中学生のストレスについて中心的にふれられましたが、中でも印象深かったのは、ストレッシャーとして、学業、友人関係、教師との関係、部活動の4つが主要なもので、学業から発生するストレス反応で一番強いものは「無力感」だということです。「学習的無力感」については長男の件で少しふれましたが、試験や成績が思うような結果が出せない、期待に応えられないという否定的な思いが最も多く形成されているようです。次に印象に残ったのが教師との関係です。これは自訴頻度は学業よりも低いものの、「嫌悪感」が一番強かったそうです。やり方・言い方が気に入らない、わかりやすく教えてくれなかった、自分を理解してくれなかった、悪くないのに注意された、えこひいきされた……。長男の声を聞く思いです。子どもたちは大人が考える以上に多くのストレスを学校で抱えながら生きています。同級生の視線恐怖や休み時間・昼食時間を一人で過ごすことへの気まずさ、厳しい自己評価など、表現することなく自分の心の中で苦しんでいることを大人は知らずに過ごしてしまいます。抑うつ・不安などから二次的対処行動としての問題行動に移ることは避けなければなりません。話を聞いてあげるだけで心に折り合いをつけられる子どももいます。子どもが話しやすい態度・表情ができていますか? と自問してみます。
        放送大学の通信添削指導、15科目をすべて回答し終えました。すごいストレスでした。感想は一言「手強い」。1200字以内の文書記述もありました。この指導の対象範囲は各教科の前半部分、単位認定試験では残り半分も含めてのものと思うと、あと2か月が重苦しく感じます。でも内容的にはそれぞれ基礎的部分から本論部分に入っていっていますので、楽しい学びとなっています。出来ることをやっていくしかありませんね。

        長男の中学修学旅行から4年、出発を見送って…。
        2003/05/25
        中学2年2学期途中から五月雨登校となった長男が、3年になると「受験」に向かう意識から1学期は無理をして学校「復帰」をしました。この時期の一大イベントの修学旅行にも参加、その時の笑顔の写真は今も食卓にあります。今朝、愛犬が早くからさわぐので5時半過ぎに散歩に出ました。かつて長男が不登校の期間にちょくちょく走っていた近くのグラウンドを横断しての散歩コース、グラウンドに入ろうとしたとき、ジャージ姿で大きな荷物を背負った中学生を見かけ、「あぁ、勝中の修学旅行か…」と理解し、4年前の修学旅行の出発式を見送った時間が去来しました。川沿いの散歩を終えてグラウンドに帰って来たときには、全員がそろい出発式が始まっていました。校長や旅行社からの激励の挨拶の後、生徒指導と思わしき教師が服装の乱れなどを理由に強い調子で「不満」を表明、「一人の勝手な行動が旅行全体を台無しにする」という厳しい「指導」でその場は緊張と沈黙。その後トイレ行きを5分間と指示し、「1分経過!」とあおり始めました。200人あまりの集団のトイレ時間がたったの5分。グラウンドの反対側にある狭い使いづらいトイレで、どうやって5分で集合しろというのか? 子どもたちよりも先にトイレに向かったバスガイドさんたちは子どもたちよりも後にバスへと帰っていきました。もちろん5分は大幅に過ぎ、全員がそろったところでその教師は「遅い! でも5組は待っている間静かに座っていた。さっきは文句を言ったがこれは評価できる。クラスや班のリーダーを中心に集団活動をがんばるように」といった主旨のことを話していました。総じての感想は、4年前の私語と乱れに満ちた集団とはずいぶん違い、静かな集団となっていましたが、旅行を楽しい経験とするよりも、秩序ある集団行動で問題なく執り行うことが大切であるという管理姿勢は基本的に変わっていないなぁというものです。せめてバスに乗るために分かれていく前に「楽しんできましょう!」の一言が欲しいと思いました。
        昨日は京都会館で岩波書店の創業90周年記念講演会に参加してきました。講演は河合隼雄氏と井上ひさし氏の2本。河合氏は「神話と日本人の心」について個人的研究の成果として7月に岩波から出版する自著本の宣伝、という印象の強いものでした。学校教育に心理的手法を使った道徳心の取り込み、臨床心理士の職場作りとしてのスクールカウンセラー導入などの私の興味関心の強い部分についてはまったくふれられることはありませんでした。1学者としての講演でした。井上氏は「吉野作造を読み返す」というテーマで、民本主義の立場で大正デモクラシーを理論的に支えた吉野氏の思想の今日的意義について十分な説得力をもって話されました。立憲君主制の「君主」にあたる部分がいま「ブッシュ政権」となり、国会外の場で国の進路を左右する問題が決められるシステムが構築されているのは戦前の軍国主義化の流れと同じ現象であり、司法が本来の役割を果たしていない。暗黒時代に抑圧された大正デモクラシーの到達点に終戦後の時点での世界の人権や民主主義、平和主義を求めた各種憲章や宣言、国内からの百を超える憲法草案等から進歩的なエッセンスを集大成して作り上げた日本国憲法を「押しつけられた憲法」として批判・攻撃する勢力の欺瞞性を厳しく批判、主権者である国民が憲法と議会を使って豊かな社会を実現しようとすることの重要性を説いた吉野作造の思想が今日こそ見つめ直されるべきと強調されました。
        小泉首相は「自衛隊は軍隊である」と国会で述べました。もう言いたい放題です。拉致問題も国会で十分に論議され方向が出されることなくブッシュ氏との個人的会談の場でアメリカが介入する形で解決を図ることが決まるという、情けない状況。そんな政権、国会議員を選んだ国民の責任も否めません。河合氏の言う「日本人」的価値観と議会制民主主義とが妙に矛盾を醸し出したダブル講演でした。

        管理主義的な生徒指導場面と「怒り」表出方法が似ている?
        2003/05/11
        J.R.アバァリルという人が1979年に「人の怒りの表出方法」というものをまとめています。その中の「直接、間接の攻撃」には、1.相手に言語的攻撃を仕掛ける。または皮肉を言う。ないしは相手に懲罰を加える。2.相手が喜んでいたものを拒否する。または取り上げる。3.相手に対する身体的攻撃または懲罰。4.相手にとって大切な誰かまたは何かに攻撃を仕掛ける、傷つける、損傷を与える。5.相手に対する仕返しの目的で、第三者に言いつける。…とあります。これを見て、長男の中学校時代の生徒指導の姿が思い浮かびました。あまりにもマッチしていたので、少し怖くなりました。校則、学校秩序、校長権限が学校の「主人公」のような学校で行われる管理主義的生徒指導は、この「怒り」の表出と酷似している、ということはその表出を受けた子どもたちは「怒り」にどう反応するのでしょう? 子どもたちの発達を保障する場である学校において、大人である教師の子どもへの対応が「怒り」の表出をもっての「指導」であるなら、それが毎日のように行われるなら、そこに信頼を前提とする人間関係など生まれないでしょう。「怒り」ではなく、あたたかなまなざしと受容こそ、子どもたちがいま求めているものではないでしょうか。中学生は論理的思考の成長過程で揺れる存在です。文書や口頭注意やましてや懲罰(もちろんケースによりますが)等で、管理者が「望ましい」と思う秩序ある学校が形成されると思うことは、あまりにも安易な思考によるものと言わざるを得ません。

        学習性無力感と強迫行為、防衛…。学校は育ちの場でもある
        2003/05/11
        人は自己の気持ちと日々経験する外的な環境とが適応できないとき、その外的環境から離れたり変えようとしたり、あるいはより高次な対応として自身の気持ちの持ちようを変えようとします。これは大人の場合で、自己概念を守るために様々な防衛行動をとることができます。この適応や防衛行動ががうまくいかない時に神経症性の症状が出るなど、不適応状態が他者から一定目に見える形で現れますし、自身がそれを訴えることがあります。でも、児童期・思春期の子どもたちが適応できない環境に長期間置かれたとしたら、どうなるでしょうか。特にそこに行くことがあたりまえとされる学校という場では、どうでしょうか。自己の気持ちをきちんと理解できず苦しみを表現することも、困難なのが子どもたちです。防衛反応としては、その場から離れる方法、つまり登校はするものの教室には入らないで保健室や別室などで1日を過ごす登校型やきっぱりとその意志を示す「行かない」不登校(こんな言葉を考えてみました)か、その環境に耐えられるだけ耐えるものの限界に達した時に何らかの自己防衛反応として神経症性の諸症状等が現れ行きたいのに「行けない」不登校か、非社会的な様々な行動と場を探すか、いずれにしても自身の心の居場所をゆがんだ学校教育の現場以外に求めるのではないでしょうか。荒れ、成立しない授業、信頼のない人間関係、いじめや暴力、こうした長期的な学校での経験を積む中で長男は、その環境に何とか自身を適応させようと努力し、外的環境はもちろん自己概念を変容させることもできないことを学び無力感を募らせたのだと思います(学習性無力感の形成)。しっかりと気づき関わってあげることができませんでしたが、頻繁な手荒い等の強迫行為を続け、そして防衛の手段として「行けない」不登校の選択を余儀なくされ、学びたい気持ちを実現できない焦りと、「行けない」自身への自己否定を募らせていったのだと思われます。
        義務教育を行う学校は、学びと育ちという子どもの権利を保障する場だと思います。でも少なくない中学校においては、この育ちへの保証が「生徒指導」というものに置き換えられ、校則や学校秩序を守らせることがことさらに徹底され、それを乱す子どもは「困った子」「問題児」として管理統制下に置かれ時には罰を受けます。こうした行動抑制や罰の強制は一時的に問題とされる行動を抑制する効果がある場合もあるようですが、消失させることはできません。また繰り返したり形を変えて再燃してしまいます。こうした表面的な対処療法(?)的生徒指導しか行えない学校というシステムとその管理姿勢に失望を覚えます。「困った子」「問題児」と名付けられる子どもたちがそうした行動を起こすには内面における原因があり、それを受け入れ寄り添う指導、大人による豊かな人間的関係形成が必要だと思います。その意味において、1日の生活の大半を過ごす学校においては大人としての教師の役割、それを保証する学校職場のあり方は自ずと見えてくるのではないでしょうか。茶髪等の校則違反を理由とした学校に入ることの拒否、人権侵害の持ち物検査、罰則強制などが子どもの人格を認めない、信頼関係の欠如した社会を形成していること、そこでは人間としての豊かな成長が望めないことに、学校設置者や学校管理者は気づき、対応して欲しいと思います。「教育の専門家にまかせろ」などとおっしゃる前に、教育基本法や子どもの権利条約に託された教育への人々の願いを今一度考えて下さい。親子関係、家族関係における大人の役割やあり方等についても学び思考を続けていますので、近々書き込むと思います。
        次男(中1)が国語の授業で「心は脳の中にある」と教わる。
        2003/05/04
        教育指導要領ではこのように教えるように書かれているのでしょうか?「心」は「意識」と言われています。神経科学の研究は脳内メカニズムの分析を飛躍的に進化させていますが、意識の神経メカニズムは、現在まだ十分には分析されていないそうです。「心」というものを意識させることを目的とした授業なのか、「心」にまつわる体内作用的部位の特定の理解を目的としたものなのか、あるいは授業への集中を意図した話題提供としてのものなのかはわかりませんが、子どもたちには唐突で不可解な刺激だったようです。教師の話は子どもたちにとってはある程度絶対的知識を得るものですから、この教師の話を次男はそのまま記憶しようとしていました。「心」や魂、身体や生物などについて家族で話をする契機となり、それはそれで有意義でしたが……。でも疑問は残ります。
        放送大学から「通信指導問題」が送られてきました。ぱらぱらと問題を見て驚きました。「こんなのテキストにあったか~?」という問題が多く、レベルの高さに少し足がすくみましたが、テキストを見直すとちゃんと載っていて、「何とかなるか…」と自身を励ましているところです。多くがマークシート式ですが、中には記述式のものがあり、手術前の吉田拓郎ではありませんが率直なところびびっています。15科目の通信問題を5月いっぱいをめどに仕上げなければなりません。というわけで、このGWも「復習」だけの毎日です。前回書いたように、小沢牧子さんからの刺激によってより批判的に心理学に向き合えるようになっていることが少し救いです。しかし、自制的な日々の中で「釣りに行きたい」という欲求がムラムラと……。
        「心の専門家はいらない」、小沢牧子さんとお話。
        2003/04/29
        26・27日と日本臨床心理学会の総会(三重県名張市皇學館大學名張学舎にて)に参加してきました。この学会には心理臨床分野で大学で研究・教授されていたり、病院や各種障害者施設、児童相談所などの臨床現場で活躍されている方、教育現場の教職員など、実に様々な立場の方々が加入されています。27日の午前中は記念講演として小沢牧子さんが「心の専門家はいらないー社会臨床学会ー10年をふまえて」というタイトルで話されました。私は講演開始前に小沢さんにアタック、講演後の昼休みに無理を言ってお話させていただく約束をとりつけました。長男の死後3年、その死を受け入れられないまま悩み続け、「心」について学びカウンセラーをめざして放送大学で学んでいるが、その方向性についての是非などを聞きたいと思い、氏の懐に飛び込ませていただいたわけです。小沢さんの考え方については著書「心の専門家はいらない」(洋泉社)、「心理学は子どもの見方か?」(古今社)、「『心のノート』を読み解く」(かもがわ出版)などで読み、当日の講演でそれなりに理解していたつもりでしたが、私の心理学に対する幻想をきっぱりと否定されました。「心理学は人と人との違いを明らかにし序列化することが出発点であり、心の傷ついた人を病者として分離し続けている。人を楽にさせるものではなかった」「カウンセリングを生業とするには一定のカリスマ性が必要であるが、それは幻想をふりまくことで成り立つ。様々な技法・療法があるが、決まった時間と場所の中で人と人が心を開き語り合うことができるでしょうか? 時間にとらわれず相談にのってあげることが大切で、それに値段がつけられるでしょうか?」「お子さんを亡くされたという大きな体験や20年間の印刷会社での仕事を通しての経験などを相談の中で生かしていかれては?」……というご指摘を30分以上時間を割いて話していただきました。これらのお話はとてもすっきりと腑に落ちました。臨床心理士の経済的基盤作りとしての国家資格化や、スクールカウンセラー配置制度の動き、「心のノート」に象徴される公教育への心理技法を使っての心理の介入など、心理ブームの中で臨床心理士のロイヤリティー確保と国家権力への迎合が結びついて、ますます臨床(ベッドに横たわる病者への治療行為)を必要とする人を増やし続ける心理臨床のあり方には、もちろん反対です。一方で不安とストレスにあふれる社会にあって、また核家族化や個人主義化がすすむ中で、「話を聞いてもらえる人」を必要とする人の増加も否定できません。
        小沢さんのように臨床心理の奥深くを知り尽くした方であるからこそ、そこからの乖離をすすめる中で心の解放感を味わいつつ、「相談」というものの本来的あり方を明確に認識できるのだと思います。私は今回の小沢さんから頂いた貴重な時間の中で学んだことを大切にしていきたいと思います。臨床心理についてこれまで以上に批判的立場で引き続き学びつつ、私なりの「相談」活動のあり方を模索し続けることにします。
        話は変わって、25日の夜には京都教育文化センターで月例開催の京都の「親の会」に参加させていただきました。学校により、学校長により、教師により、不登校の子どもに対する関わり方は実に様々です。既存のスクールカウンセラーがその主旨たる役割を果たしているという話は残念ながら聞かれません。「親の会」はグループ「相談」の場としてとても有効であることを痛感しました。多人数となるとそうもいかないでしょうが……。個別「相談」のニーズは、はたしてどれくらいあるのでしょうか?
        自殺遺族の外的傷害後ストレスについて少し。
        2003/04/20
        この3月いっぱいで仕事を辞めて、心理臨床家の一人となるべく放送大学で学んでいます。3週間余りの自身の人生の選択後の心理をふりかえると、まず、選択のきっかけは言うまでもなく長男の不登校からの自殺という出来事です。3年程仕事を続けましたが、人権救済申し立てや出版、講演などを忙しい仕事の合間をぬってがむしゃらに取り組んできたことがよくわかります。その中で今回の選択が結論として導かれたわけですが、その背景というか、心の奥底で決して薄れることなく継続されてきた心理、長男の自殺という絶大な外的心障を日常生活の中で抑制することを続けていたことにも気づきました。仕事を辞めた今、この外的心傷の後に心理に及ぼすストレスを何のフィルターもなしに感じています。3年間続いている睡眠障害、いくつかの強迫観念、対人障害なども、ダイレクトに認知できます。5月から、「学習分析」を兼ねて、これらのストレス性障害とどうつきあっていくかカウンセリングを受けるつもりです。長男の死を、まだ受け入れられていないことによると思われるその喪失感、自責感の感情の中の居場所探し、この課題の整理(心の中で折り合いをつけること)を一定済ませないままでは、人の心の援助などできません。時間をかけて取り組もうと思います。
        今度の日曜日27日は、向日市長選挙の投票日です。府営水道契約を解除し以前の地下水に戻す、不要不急の大型公共工事をやめ福祉・教育の充実に予算を使う、小型市内循環バスなど市民の要求を聞き実現をめざすことを公約する「民主市政の会」の候補者は、私がそれなりにがんばってきた保育所や学童の保護者会連合会の活動の先輩で、手話通訳(士)として市役所に入ってから障害者福祉の分野で25年間勤めてきた方です。現在の地方自治の長に求められる姿勢、人格をよく判断して一票を投じてほしいと思います。私は26・27日と日本臨床心理学会の総会に参加するので、生まれて初めて「不在者投票」をします。
        文科省「専門家会議」最終報告書公表。
        2003/04/13
        「ただ待つだけでは状況は改善しない」と、子どもの状況に応じて学校などが登校を働きかけること等を「不登校問題に関する調査研究協力者会議」が最終報告書として提言しました。文科省はこれを受けて、4月中に各教育委員会に内容を通知、学校現場への周知をはかるとか……。不登校の子どもたちに共感する姿勢の重要性を指摘し「強引な働きかけで追いつめてはならない」とも書かれていますが、文科省が各教育委員会に「通知」する段階で、学校現場へ「周知」をはかる段階で、この報告書の全文がどれだけ間引かれ、マニュアル化がはかられるかを考えると、危惧を感じてしまうのは私だけではないでしょう。これまでも文科省は不登校対策を何もしてこなかったわけではありません。結果的にはそれらは十数年以上にわたって裏目に出て、不登校の「数」を増やし続けてきました。現場での対応は、学校によってまちまち、ひどいところでは担任まかせで、文科省の「指導」が(是非はともかく)「周知」されることはなかったと言っていいでしょう。「共感する姿勢の重要性」にしても、言葉では簡単ですが、実際の場面ではとても困難なことであり、今の緊張感と束縛感にあふれる管理教育の現場で一人ひとりの子どもの心に「共感する姿勢」を持つことのできる教師、あるいはその条件が存在する割合はかなり低いものと思います。調査研究協力者会議の論議と中間まとめや最終報告書は国レベルの不登校に対する対応の到達点であり、批判的視点でしっかりと読むことが大切だと思います。学校現場の方々も、間引かれた「通知」だけでなく、それら全文から具体的実践課題を考えていただきたいと願ってやみません。
        話は変わって、昨日はお隣の行政区である京都市西京区の「親の会」におじゃまさせていただきました。放送授業とテキストによる机上の(パソコンとテレビに向かう)学習だけでなく、不登校の現実に触れていたいと思い無理を言わせていただきました。月例の会なので毎月おじゃますることにしました。京都の「親の会」にもおじゃまする予定です。1クラスに3人はいるという話を聞きました。学校によって数・率に違いはありますが、行政区レベルで見ると驚くほどの学校に行けない・行かない子どもたちがいることがわかります。彼ら、彼女らは日々どうしているのでしょう? フリースクールや親の会への参加者は減少傾向にあると聞きます。「適応指導」教室への通所者が増えているとも思えません。不登校を受け入れる家庭が増えているのか、でも学習や発達、社会との関わりなどの面での関わりは充分なのか、見えてこないことにもどかしさを感じます。
        今日は統一地方選挙投票日。戦争を許さない立場、子どもの成長と発達を最大限尊重する施策を求める立場、税金の使い方を住民本位に変える立場をはっきりと持つ候補者に一票を投じたいと思います。

        桜咲き乱れ、放送大学授業慌ただしく始まる。
        2003/04/06
        学生時代に龍谷大学文学部に3年間在籍(だけ)していたので、放送大学には3年次編入という形で入学できました。スカパーによる放送授業と面接授業(後期から受講可)、単位認定試験、と書いてあったので結構気軽に入学したものの、送られてきたテキストはすべて本格的なもの、放送授業も全国の名だたる大学の先生方が次々と登場し、生の大学での授業よりも濃い内容のお話が行われていて、「予習」なしに見るだけ聴くだけでは理解がついていかないであろうことがわかりました。第1週は何とか全授業の予習をし、ラジオ番組2つだけ録画の失敗で学習センターへテープを聴きに行きましたが、一応クリアしました。でもすべて導入部の話なので、本論に入るのは来週からです。録画したビデオはCD-ROMに焼いて残していっていますので、試験前に見直すことにするつもりですが、15教科各15章、見る時間があるかどうか??
        突然話は変わりますが、アメリカによるイラクへの残虐な侵略はバクダッド中心部での戦闘に入りました。虐殺し、傷つけ、支配し、政治や文化、生活等すべてにわたってアメリカのそれを押しつける戦争。世界でも希な「平和憲法」を持ち被爆国でもある日本の政府がこの戦争に堂々と「支援」を表明したことは、歴史的醜態といってもいいでしょう。浜田省吾の「Father’s Son」というアルバムの中の1曲の詞に「過ぎ去った昔のことを子どもたちに伝えずに、この国何を学んで来たのだろう……、焼け跡の灰の中から遠く高く飛び立った1945、焼け跡から遠く飛び立った今」というフレーズがあります。もう古いアルバムですが、今こそこんなメッセージが随所で語られることが必要だと思います。「国を愛する心」を叫びながら教育基本法の改悪への動きが平行して行われていることもお忘れなく……。

        4月1日から放送大学授業開始、学生生活のスタートです
        2003/03/30
        年度末の仕事の追い込みで、この3月はほとんど休みなく会社にいました。久々の書き込みです。この間に、アメリカによる不法な対イラク戦争が勃発し、着地点の見えない悲劇が続いていますし、次男の小学校の単年度学級編成制導入は正式に平成15年度実施を見送ることになったり、文科省の「不登校問題に関する調査研究協力者会議」の「中間まとめ」が発表されそれに対する意見が募集され私もメールで送付したりと、あわただしく日々が過ぎていきました。昨夜は職場で歓送迎会を開いていただき、過分な励ましの言葉をいただきました(当然、カラオケで午前様です)。明日31日をもって退職となりますが、しばらくは片づけや引継などで会社に顔を出すことになります。
        今日は放送大学の「入学者のつどい」が午後に学習センターで行われます。
        15年度第1学期(4-9月)に15科目30単位を登録していて、テキストも送られてきていますが、ほとんど手つかずのまま。急いで遅れを取り戻さないといけません。42歳からの学生生活、本格的に学び始める心理学、とりあえず始めて見ますか……。
        単年度学級編成制導入に向け2回目の説明会開かれる。
        2003/03/16
        次男の小学校で殺気立っている学校長と保護者の信頼関係のひび。2月27日に突然平成15年度「実施」に向けた説明会が開かれた後、向日市教委に押し掛け抗議・申し入れする保護者、向日市教委や京都府教委に抗議電話をする保護者が相次ぎ、学区内各地で小集会や電話での意見交流が深く広く浸透していきました。単年度クラス替え問題と、一部教員への監視の徹底、その中で子どもたちの学ぶ権利が奪われていくという実態、そして学校側の権威的な一方的なやり方への義憤がエネルギーの原点です。府教委の相談窓口は「学校の運営に関することは学校長が決め、責任をもって運営するもの」と、職員会議などでの議論の必要性と学校内民主主義を完全に否定しました。そして「校長と保護者でじっくりと話し合いを重ねて下さい」と……。
        絶対的な権威と権限を与えられた校長が替わったことによって、それまでずっと積み上げられてきた小学校の各行事などをはじめとする学校の独自性や教育への基本的視点が唐突に変えられたため、子どもたちも保護者も教職員も違和感と不信感をもったことは当然の成り行きでしょう。しかし、現在の学校に求められているのは校長のリーダーシップの元で、親・地域と連携を強化した「開かれた学校づくり」です。この2つは文科省の思惑に沿わず、現場では相反するものとなって現出しています。リーダーシップを発揮するればするほど溝が深まっていく関係、一番の被害者は敏感に日々感じ取っている子どもたちでした。説明と理解、合意と納得が前提にない中で、何人もリーダーシップなど取れないでしょう。国の政治をみてもわかります。
        昨日15日、この単年度クラス替えに向けての第2回目の説明会が、保護者の強い要望に基づいて開かれました。前回の権威的な会議運営とはうって変わって(司会も替わって)、導入根拠の丁寧な説明の後、保護者からの質問へも誠実に答える校長の姿がありました。そして、「みなさんのご意見も組み入れながら今後の提案を考えていきたい」と事実上15年度での導入を見送る発言をしたそうです。子どもたちの疑問からスタートした今回の取り組み、保護者は学校運営の「あるべき姿」を求めて知恵と力を出しました。でも、油断大敵です。
        会社を退職、学生生活に?
        2003/03/08
        長男の「死」の理由を求めて、仕事をしながら様々なことをこの3年間してきました。その中で、児童期・思春期の子どもの心理について興味を深めてきたことは何度か、この「つぶやき」上でも書き込んできました。そしてついに、この3月末を機に、仕事から基本的に離れ、「心理学」を放送大学3年次生に編入学して学び始めることにしました。とりあえずの目標は「認定心理士」資格取得ですが、それを待たずに、自身に他者の心を受容する(カウンセリングを行う)自信ができた段階で、不登校の子どもたちとその家族を中心的対象にしたカウンセリングを始めるつもりです。事をうち明けたほとんどの方々からは「思い切ったことするなぁ」と驚かれます。職場でカミングアウトしたときには、突然だったこともあって「笑うしかないわ」「引継に半年は続けて来てや」など、様々な動揺を与えてしまっています。代表取締役常務でデジタル制作部長という立場でしたから、引継や私が抜けた後の体制のリストラクチャー、年度末仕事の繁忙で、今は戦場のような職場です。ワガママを通すそんな私のために、新入社員の歓迎と併せて歓送迎会の準備が進められていて、とてもありがたく思っています。
        まもなく42歳。人生の折り返しを学生生活から始めることになります。放送大学のテキストが届き始めていますが、結構難しく、でもとても面白いので、昼休みに楽しみながら読んでいます。今後この「つぶやき」の中で、放送大学での「学び」についてふれることが増えると思います。
        次男の小学校では単年度クラス替え導入等で大紛糾。
        2003-03-01
        単年度クラス替えが良いか悪いかという議論ではありません。その導入に向けて学校側が民主主義をかなぐり捨て、一方的に強引に押しつけようとするやり方に保護者の(それまでの不安・不信も含めて)怒りが爆発してしまいました。今年度新校長になってから、学校行事の形式や内容の変更、廃止が説明もほとんどないまま突然に一方的に行われてきました。単年度クラス替えについても校長は、1学期には学校説明会の席上で「(クラス替えについて)私は考えている。しかし、メリット、デメリットがあるので検討していきたい」と答えていました。その後校長は数名の保護者に「どちらがいいと思うか」と訪ねたという(最近のPTA会長との懇談の中ではそのことについて「否定はしない」と答えている)。この頃から単年度問題について保護者の中で不安と不信が広がりはじめ、2月27日の「学校教育活動報告会」を迎えました。この「報告会」は、事前に案内が配られたものの、そこにはクラス名・指名記名による参加申し込み書がついていて、誰が参加するかを学校側が事前に把握できる仕掛けがなされていました。この1週間ほど前、ある保護者が単年度問題で校長と懇談した際には「まだ決定していない」と答えていたにも関わらず、「報告会」では、教務主任の強引な議事進行でさっさと4月以降実施という方向が校長によって口頭で行われたために、保護者の怒りが爆発。たった1週間前の話がくつがえったばかりか、不登校児童への1年ごとの新たな関わり方ができる等という「メリット」を示すOHPシートが用意されていて、保護者の怒りを飛び交う中で、教務主任は「4月以降実施に向けてよりよく進めていく方向での発言をお願いしたい」と発言内容を制限するという暴挙に出ました。反対意見や質問はいっさい聞かない、とにかく進めるという明らかな態度で議事を進めた訳ですから、「報告会」時間切れとなっても保護者の怒りは収まりません。翌日から教育委員会に電話をする人、直接押しかける人……。
        「地域に開かれた学校づくり」といううたい文句が泣きます。親・地域の信頼を失うための学校運営を行っている学校管理者、それを指導・援助する立場の教育委員会の今後の対応に注目が集まっています。卒業式の形式変更についても一波乱あること、間違いなし!
        いじめと教師の対応から子どもたちは何を学ぶ?
        2003/02/23
        先日聞いた話ですが、ある中学校のあるクラスでいじめっ子がある生徒をガムテープで体中をグルグル巻きにしていじめていたそうです。今でも泣き出しそうな巻かれた生徒、そこに通りかかったある教師が「そんなことやめなさい」と言葉で注意はしたものの、それ以上何もせずにそこに立って事態の推移を見ていたといいます。巻かれた子どもはついにクラスのみんなの前で泣き出してしまいました。それを機にガムテープははがされ、そのいじめは止まったそうですが、巻かれた子どもは「泣いた」ことでプライドが大きく傷ついただけでなく、こうしたいじめに対して、学校で教師は生徒を助けることをしない、ということを学びました。その教師を嫌いになったことは言うまでもないことですが、教師をはじめとする大人を「自分を助けてくれない人」と認識することになります。中学校においてこんな悲しいことを学んでしまったのです。この場合、この教師は、自分がそれ以上の介入をすることを躊躇する意識はわからないではないですが、「自己保身」による反応だと思います。せめて同僚教師を呼びに行き、複数で指導にあたるということはできたはずです。なぜそうしなかったのか。過去において、さらなるいじめや暴力の場面が一時的にフラッシュバックし、何もできなくなったと思われます。いじめられた子どもについては前述しましたが、その事態の推移を見ていた子どもたちも、この教師の対応をどのように感じたのでしょうか。
        学校においてこうした問題事象が発生した場合に、学校全体あるいは学年集団、また生徒指導部などとの連携で、いじめ被害を最小限に食い止め繰り返しを防止するとともに、いじめられた子どもの自尊心を最大限回復させる対応が求められると思います。
        これはある事実に基づいた話ですが、これと同じような事象は、日々数限りなく学校現場で発生しているのでしょう。教師のみなさんが、自身の立場や感情よりも、当事者およびその場面を見ている子どもたちが何を感じ何を学ぶかを最優先させた対応・指導を行っていただくことを願うばかりです。
        「校長先生、どうして私たちのクラスにばかり来るの?」
        2003/02/16
        事の発端は女子生徒の上記の投書からです。女の子たちの中ではかなり早い時期から話題となり、家庭でも話していたようですが、男の子たちはあまり関心を持たないのか、この投書事件があってから初めて我が家で話題になることになりました。
        出来事は1学期から始まっていたようです。次男の通う向日市立第6向陽小学校の校長(校長が都合が悪いときは教頭または教務主任)が、次男のクラスに「指導」という名目で「監視」に来続けていたのです。ある教科について1時間びっちりと教室の後ろに立ち、子どもたちの討論に口を挟んだり(制止)もしていたそうです。この話を聞き、まず思ったのは、1.子どもたちが授業に集中できず学習権が侵害されているのではないか、2.担任が萎縮し自信をもって授業にとりくめないのではないか、ということでした。さっそく翌日、向日市教委に電話しました。市教委の回答では、この校長の行動について市教委の指導によるものでなく、校長の裁量によるものである、いわゆる「見回り」は他のクラスにもおこなっているはず、校長は管理職であるとともに教職に身を置くものとして授業のプラスになるように参加することがある、等というものでした。
        その翌日、参観懇談会があり、担任を通して保護者がその事実をつぶさに聞くことになりました。校長から「どの教科を見に来てほしいか自分で申告しなさい」、「どうして私が授業に参加しているのか、その理由を自分から子どもたちに説明しなさい」(実際、担任は子どもたちに「自分の教え方が悪いから校長先生に来てもらっている」と子どもたちに説明したそうです)と。これは教師の人権を著しく侵害しているばかりか、管理上の立場を利用した不当労働行為にあたるのではないでしょうか?
        懇談会では保護者の怒りが爆発、校長をクラスに呼びつけ、「指導」のあり方についての不信感をぶつけることに…。子どもたちにも担任にもプラスどころかマイナス刺激を与えることでしかないこの行為、とても看過できません。
        1年ごとにクラス替えをすることにする、卒業式の席の設定も例年のものから変更し参加者全員が日の丸と校長と向かい合う形に変えるなど、校長の独断専行的な発言が目に付くようになっています。懇談会では卒業式の問題で質問した保護者に対して「どこから聞いた」、「まだ決定したわけではない」、別の保護者が「決定したら保護者に対して説明をしてくれるのか」という質問には「説明する必要はない」と答えたそうです。文部科学省や教育委員会は口ではしきりに「親・地域との連携をより深めて…」と言っていますが、現場での実際の場面では、親・地域の声には耳を貸さず、学校管理サイドの裁量でより管理教育を強化している実体が見えてきます。
        斉藤環vs上山和樹、淡路プラッツのシンポに参加してきます。
        2003/02/09
        今日はこれから、フリースクール淡路プラッツのNPO法人設立記念シンポジウム「03年の『不登校/ひきこもり』問題はこうなる」に参加してきます。第1部の対談は精神科医の斉藤環氏vs『ひきこもりだった僕から』著者の上山和樹氏。第二部はお二人を交えてのシンポジウムです。現在私は、上山ワールドに引き込まれていて、距離を置きつつ共感している自分を感じています。昨秋の映画『青の塔』上映後のトークで、「ひきこもりにとって経済的自立が一番難しい」と語っておられた上山氏。文部科学省の「不登校問題に関する調査研究協力者会議」の委員として「ひきこもり、不登校を完全になくそうとする予防策には反対」と述べられた斉藤氏。とても楽しみです。
        「調査協力者会議」は「待つのはまちがいとの結論にしたい」という方向でまとめられようとしています。議事録も第6回まで入手して今読んでいますが、SCや適応指導教室等の取り組みを強化して早期発見・早期治療によって早く学校復帰させることを第一義的課題として議事が進行しているように思えてなりません。各論部分では理解できる点もあるのですが、総論が「いかに学校復帰させるか」なので、お役所仕事的な感じがぬぐえないのでしょう。
        それにしても、当の子どもたちの声は出てきませんね。

        『home』『ファザーレス―父なき時代』上映とトークライブ。
        2003-02-02
        1月26日(日)、立命館大学人間科学研究所の取り組み「家族を結びなおす―家族に傷ついた人々の回復の物語―」に参加してきました。映画はいずれも日本映画学校の卒業制作として撮られたドキュメンタリーで、世界学生映画祭大賞などを受賞されています。ひきこもりからの社会復帰、自分を捨てた父への怒りから不登校、家庭崩壊、自傷を繰り返す若者の自分探しを、家族と向かい合いその絆を紡ぎなおす再生の取り組みのなかですすめていく自分自身とその家族をありのままに描いています。一観の価値あり!
        上映後のトークライブには『home』制作者・当事者の小林博和・貴裕兄弟、『ファザーレス』制作者・当事者の村石雅也さんらが映画の背景や撮影の裏話、公開後のあれこれについて、丁寧にそして楽しく語っておられました。
        当事者自らによる家族療法、撮影療法(?)によって、引きこもりや暴力、自傷などによって傷ついた心と引き裂かれた家族が、家族との関係を紡ぎなおす中で社会復帰をはかったという希有な実録です。自らを映像にするという発意がなければ、家族のありのままを映し出すという勇気がなければ、この結果はなかったでしょう。
        2本の映画の公式HPは以下の通りです。
        『home』 http://www.mmjp.or.jp/BOX/home/
        『ファザーレス』 http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/6048/

        『「心のノート」を読み解く』がおもしろい。
        2003/01/25
        「おもしろい」と言ったら不適切かも知れませんが、読み始めて胸のつかえがす~っと消えていくような感じがしました。
        「心イコール道徳の考えは、りっぱな心を修めて、その心で自分をコントロールしましょう、という発想になる。「心で自分を」コントロールするわけだ。その心に外側から正しい基準、あるべき価値を注ぎ込むのが「心の教育」となる」「だれが「正しい」とか「あるべき」とかを判断するのだろうか。いつもそれは、教育する側だ教育権限を持っている側である」(同著より)。
        心は自信の中で育てていくもの、憲法も教育基本法も「個」の尊重を重視している、その「個」の心を教育する上位構造がその権限を行使しようとしている。「心理」というベールに柔らかに包みながら……。
        学校教育に突然押しつけられた教科書ではない文部科学省著作の違法図書:「心のノート」、これをどう観、対応すべきか、ぜひ読みたい一冊です。『「心のノート」を読み解く』(かもがわ出版刊、小沢牧子・長谷川孝編著、定価1,000円)
        次男が学童野球クラブを卒部。中学生にむけて…。
        2003/01/19
        次男が小3からお世話になってきた向陽オックスという学童野球を本日無事卒部しました。昨年春の全京都学童野球大会では優勝、夏の大会でも準優勝をさせていただくなど、とてもお世話になりながら、豊かな学童期を過ごさせていただいたと思っています。いま、我が家の居間には卒部式で分け合った賞状やトロフィーなどがあふれています。1番セカンドとして多くの大会でがんばってきた成果を、小学校時代の思い出として大切にしていってほしいと思います。
        長男の自殺から早いものでまもなく3年。複雑な思いで今日も一日をすごしてしまいました。
        文科省の「生徒指導上の諸問題の現状について」に疑問。
        2003/01/14
        8月8日の「学校基本調査速報の結果について」で不登校の減少が報じられた後、22日には「平成14年度の生徒指導上の諸問題の現状について(速報)」が発表されました。暴力行為の発生件数は減少しているとマスコミでも報道されましたが、何かうさんくささを感じ文科省のホームページにアクセス。「都道府県別暴力行為の発生件数」というページの表を見て、やはり…と納得しました。端的な例としては東京都と神奈川県の暴力行為発生件数合計数値。東京都は900件であるのに対して、神奈川県では4,486件と2ケタも違い5.6倍の開きがあります。神奈川県は正直にカウントして集計したものだと思いますが、そもそも東京都がこんな少ない数であるとは思えない、意図的に減らすための操作が行われたとしか思えません。大阪府でも3,699件です。さらに、暴力行為の中の「対教師暴力」の数は東京都が112件、神奈川県は676件です。長男が中学在学時に最も荒れた2年生の時の対教師暴力は59件でした。1校で東京都の半分以上の発生件数となります。都道府県により、市町村により、さらに学校により、何をもって、どこまでを「暴力行為」とカウントするかの基準がまちまちで、それらを集計した数値が増えた、減ったと言われても、合理的な説得力を感じません。マスコミで報道される部分だけを鵜呑みにしていたのでは、学校における課題の本質には近づけないという一例として、覚えておきたいものです。こうして見ていくと、不登校の減少という件も、数字のマジックによってどうにでもなるものと思えて仕方ありません。基準の画一化、一律化を望むものではありませんが、表面的に表れる数値だけを評論するのではなく、数値の背景を精査し、各地域、学校での傾向と対策を検討できる材料となるように努力してほしいと思います。
        話は変わりますが、ついに名刺をつくりました。心の相談室「カンナ」(準備室)代表・相談員という肩書きです。自宅パソコンで組み、インクジェットプリンタでプリントし手で切るという手作りです。放送大学での学習をしつつ、実践的に相談活動を始める決意をしました。「誰かに聞いて欲しいことがある」「ずっと悩んでいることがある」方、ぜひ一報下さい。近隣なら出張相談も行います。

        3回目の命日が近づいています。
        2003/01/11
        年明けの仕事の繁忙に追われた1週間でした。新年早々とても疲れています。今の会社は第2・4土曜が休みなので、今日から3連休です。「つぶやき」の書き込みも、休みの日の朝の作業になってきています。
        一昨日の朝方の夢に、久しぶりに長男が登場しました。覚えている限りでは2度目です。当時の学校規定の青いジャージの上下姿で、玄関の植木鉢に水やりをしながら、ニッコリと笑いかけていました。2月4日の命日(3回目)が近づいていることを告げてくれたのでしょう。
        今年私は、新たなチャレンジを始める決意をしています。スタートしたらまた書き込みますが、人生の折り返し点を、第二の人生のスタートとしたいと思っています。適当におつきあい下さい。
        自宅で過ごす不登校が増えている
        2002/12/29
        年々うなぎ登りに増えている不登校の子どもたち。でも、いくつかの調査を見ていると、フリースクールやフリースペース、「適応指導」教室などの公民の居場所に通う子どもたちの数は減っているようです。不登校で家にいることを早くから容認し、社会的結びつきの場をもてない子どもたち、家庭が増えているということです。この容認の選択が適切な場合ももちろんあるでしょうが、無目的に、「その方がよい、へたに登校刺激をして状態が悪化したときの責任がもてないから…」とした選択ならば、不適切と言わざるをえないと思います。とはいえ、学校・家庭以外の安全で安心できる居場所が近くにあるかというと、そうでない場合が多いのが現実です。居場所が学校の数ほど、経営的にも成り立つ条件が築けるには遠い道のりがあります。公の「適応指導」教室やスクールカウンセラー等の取り組みも紆余曲折、安全・安心の居場所とはほど遠い存在です。
        こんなことを思い悩みながら、今年の書き込みを終わりたいと思います。
        みなさん、来年が良い一年になりますように。
        学校復帰、早期発見、早期対応?
        2002/12/22
        文部科学省が「不登校問題に関する調査研究協力者会議」というものを開いています。これまで6回開かれ、文部科学省のHPに掲載された第1回から第3回までの議事録を、いま読んでいるところです。まずはの感想は、議事録の半分以上が事務局からの提案・報告が占めていることで、基本的な議事運営はちゃっかりとプログラムされていて、その中の一部に「協力者」の討議が含まれている、という印象を強く持ちました。細部では、不登校の心の問題に踏み込んだ発言や、学校そのもののあり方の転換についての発言がありますが、全体を流れる基調は、学校復帰を前提にした不登校対策を具体化させるために学校、教員管理、学級運営、保護者・地域・専門機関との連携、スクールカウンセラーや心の相談員、適応指導教室の活用強化などをどうすすめていくかについての方向性を提言しようとするもののようです。第6回では、民間フリースクールからのヒアリングが行われ、討議の幅が広がったようです。委員の斉藤環氏はひきこもりに対応がおこなわれまま長期化していて、このままでは20年後には引きこもりの高齢化社会の到来を予測。また、不登校を完全になくそうとする予防策に反対、引きこもりがこじれないような対応が必要という発言をされたそうです。この会議に子どもたちの生の声が生かされればと思うのですが…。

        風でダウン、やっとパソコンに向かえるように…。
        2002/12/15
        先々週の木曜日の朝、布団から出ることができず、結局一日中寝ていました。その時は一日で持ち直しましたが、一週間後の先週木曜日、鼻水、咳、全身のだるさ……という典型的な風邪の症状が出て病院に直行。医師は二言。「風邪であることは間違いありません」「安静にしていて下さい」と。抗生物質を処方してもらい、そのまま3連休に入りました。というわけで、薬が効いたのか少し楽になり、家の中でごそごそし始めました。
        まず事始め(?)に、ダウンする前に買っておいた激安ビデオデッキ(\11,000)を開封。
        ADVC-100というアナログデータをデジタルに変換する機器を通じてMAC-G4に接続。ビデオ画像をCD-ROMに焼くという方法を身につけました(簡単に書いていますが、マニュアルなど見ない質なので結構大変でした)。I-Movieで読み込み45分間の画像を471MB強のQuickTimeMovie書類にし、CD-ROMに。最近のPCの内蔵HDが大きくなっている理由がわかりました。
        ビデオを読み込むとみるみるHDの残容量が減っていきます。私のPCは内蔵60GB、外付け60GBを装備しています。この装備と作業が何のためか?
        それはまたいずれ……。

        映画『青の塔』、観ました。
        2002/12/08
        もう先週の話ですが、京都の「新風館」で『青の塔』の関西初公開を観て来ました。ひきこもりの少年と母親の暮らしのリアルな描写、亡くなった妹とイメージをだぶらせる突然現れた少女との出会いとふれあい。この「これでもか」と言わんばかりに悲壮な母子の家庭が実は、痛手を受けた少女の心を癒す力を持っているという、もう一つの家庭の力。少女との関わりの中で人間同士のつながりを確認し、窓を開け外へ……。日記に綴られた自分と、もう一人の本当の自分、その二つが同一化していく過程が、見事に演出されています。
        上映後の「トーク」で『ひきこもりだった僕から』の著者・上山和樹氏がが、「その後の自立、特に経済的な自立が大変なんです」と。
        会場からの発言では、「あれはまさに我が家の現実、親としてどうかかわっていけばいいのか……?」。映画ではこれに対する答えは直接的には得られません。ひきこもりという現実を理解し、受け入れ、共に生きる家庭の役割を教えてくれるだけといったら言い過ぎでしょうか? でも、それがまず大切ですよね。
        「トーク」終了後、「トーク」のコーディネーターをされたひきこもり家族会「ノンラベル」代表の田井みゆきさんとお話させていただきました。今後の私の、不登校に関わる取り組みについて、考えていることをお話しし、ご意見をいただきました。不登校、ひきこもりと関わり、あるいは支援する個人や組織、機関がどんどん広がっていることは素晴らしいことです。私もその仲間に入れていただくためにがんばる決意を固めているところです。
        今日は地元向日市民会館に、「第25回子どもの世界を考えるキャラバン隊」として、精神科医の斉藤環氏が講演に来られます。パネルディスカッションも楽しみで、午前の部のみ参加して来ます。
        私の二面性への指摘と同一化について
        2002/12/01
        私の自著「不登校自殺」やシンポジウムで発言する時の私と、直接会って話をした時の私が違う、二面性を感じる、という指摘を受けました。この指摘をしていただいた方は、とても感性の鋭い方だと思います。
        私自身も自信の二面性については、長男の死の直後から悩み続けてきたことですが、徐々に同一化していっています。
        二面性とは、1.長男を救えなかった情けない親、長男の苦しみに最後まで寄り添えなかった申し訳ない気持ちにあふれる親として、体験を今後不登校(とその予備軍)の子どもたちの中から二度と長男のように自ら命を絶つという最悪の選択をさせないために行動する私、2.長男の不登校の直接的原因となった当時の中学校の荒れへの誤った画一的な生徒指導によって学年が崩壊し、その中で自己否定感等を強め学習権を侵害され不登校等になった子どもたちを多数放置状態にした学校側の不作為に対して、人権救済の申し立てを行ったり、そうした中でも学校管理者と子どもたちの間で苦悩していた教職員たちを励まし、子どもが主人公の学校への再構築を微力ながら一緒に取り組もうとする私、です。
        学校で自信を失っていく、自己への否定感を強めていく、そして学校に行けなくなる。こうした子どもたちを生み出しているのは、今の学校社会です。学校社会において子どもたち一人ひとりを認め、受け入れ、寄り添い、学びと育ちを支える現場にいるのは教職員であり、親であるわけです。お互いが(時には必要な関係者・機関が)同じ価値観と方向性をもって子どもに関わっていくことが、自己肯定への必要条件ではないでしょうか。スクールカウンセラーにその「橋渡し」の役割が求められているようですが、学校によってその位置づけや、本人や家族・担任等への介入の領域がまちまちであり、本来の目的にそった活動が行えているカウンセラーはわずかだと思えます。親と教職員の共同した取り組みの必要性を痛感する中で、この二面性は同一化していったと思います。
        子どもたちの反社会・非社会的行動の初期対応
        2002/11/23
        非行・暴力・いじめ、保健室登校や不登校。学校において「適応」できない心理から生まれるこれらの行動に、最初に気づくのは、多くが担任や教科担任の教師ではないでしょうか。その教師にゆとりがなく、子どもたちの内面の揺れに気づくことができずに過ごしてしまうと、子どもたちはさまざまな身体症状を起こしてしまいます。自分の苦しみ・悲しみを誰もわかってくれない、自分の存在さえも否定してしまう自己否定感情が強まります。学校で何らかの事象が起こったとしても、学校がそれを抱え込んでしまったら、親がそれに気づくのに時間がかかってしまいます。その時、すでに手遅れ、という場合もあります。
        現在の学校教育において、日々の子どもの内面の変化に気づき対応することはもはや困難なことだとは思います。それでも、子どもを一人の人間・人格として見るならば、管理教育はさておいて、その変化に対応することは、人間として大切なことであることに異論はないと思います。そして、親とともにその事象を共に認識・理解し、受け入れ、対応を考えていくことが必要だと思いますが、それができない学校現場と親との関係には、明らかに疑問視せざるを得ません。なぜ、このような関係が生じているのか? 「ゆとり教育」「心の教育」という概念だけが上滑りし、その実子どもたちの「心」との距離を広げているだけのように感じてしまいます。もっと、教師のみなさんへの「ゆとり」と、問題事象への教育臨床の保障を必要としていると思います。非行や不登校などのケーススタディを、親と教師が積み重ねていくことがその一歩となるのではないでしょうか。

        長男の死の理由を探す旅を続けて変わったことは?
        2002/11/17
        昨日の京都での「生かそう憲法・教育基本法 府民集会」で、パネラーとして「教育弱者」にとっての「改正」による変化、今の学校教育に対する願いとそれらが現行基本法の理念に沿った実践の中でこそ実現できるといったことを発言させてもらいました。長男の自殺から人権救済、出版に至る経過なども冒頭に簡単にふれていたので、会場から質問用紙で、「長男の死の理由を探す旅を続ける中で一番変わったことは?」という質問をいただきました。答える機会を得ましたので、短時間「お応え」しました。まず、私の基本スタンスとして、長男の自殺に際してまず思ったことは、長男の心に十分に寄り添うことができずに自殺に追いつめてしまったことに対する「悔い」の気持ちは一生つづくだろう、いや一生悔い続けてやろうと思ったこと。そして、学校の荒れの始まりとかみ合わない管理的画一的生徒指導が火に油を注ぐごとくに荒れを学年全体に広め、子どもたちの学習権の侵害と不登校の子どもたちを放置状態においたことなど、管理教育の誤った仕組みの改善に向けて、第二の長男を生み出さないために、できることから始めようと考え行動に移したことを述べました。「変わったこと2つ」については、1つは学校信仰に基づく親の価値観を長男に植え付けようとしていたことへの自己批判を行ったこと、2つは、子どもを中心にした生活、生き方に変えたことであるとお話ししました。
        「軍隊をすてた国・コスタリカ」の子どもを中心にした国策や平和教育について足立力也さんが集会前半の「ミニ講演」でお話されていたので、他のパネラーの方々も子どもを中心にすえながら、様々な角度から今回の基本法「改正」についての考えを出し合い、会場からの発言とも併せて、幅広く基本法の理念を今こそ生かしながら学校・家庭・地域が子どもたちの学びと成長を保障していく必要があることが議論されたと思います。こうした取り組み、話し合いがあちらこちらで行われることを切望します。
        再び教育基本法「改正」について。
        2002/11/09

        中教審の中間報告案では、個人の思想信条の自由への配慮が感じられません。「心の危機」を叫び、「豊かな心」「郷土や国を愛する心」へと人々の心を方向付けようとする意図がはっきり見られます。このあたりに「改正」のねらいが……?
        そして、危惧するのが、不登校やいじめ、LD・ADHDなどの各種障害をもった子どもたちなど、いわゆる「教育弱者」(?)の人権や学習権、民主主義などの教育基本法の基本理念が、議論の中にも案の中にも見られないことです。こうした子どもたちや親の願いは、「誰にもわかる授業をしてほしい」「もっと声を聞いてほしい」「一人ひとりを大切にしてほしい」……、といったものではないでしょうか。現行の教育基本法を生かした教育を、学校・親・地域が協力・連携して進めていく中でこそ、こうした願いは実現できると思います。16日の京都の「府民集会」では、そのあたりをパネラーとして発言するつもりです。
        今日は次男の小学校の「学校公開・授業参観」。午後からお邪魔しようと思っています。

        教育基本法見直し? 今こそ生かして欲しいのに……。
        2002/11/03
        教育基本法の見直しを専門的に審議している中央教育審議会の基本問題部会が、2回続けて委員の参加が定足数を満たさず、「懇談会」として運営されていたことがわかりました。こんな中で中教審は、11月に中間報告を提出するとか…。まともな議論も成立しないままに基本法の「見直し」を出すというのですから驚きです。また、中間報告の素案では、愛国心や個よりも公を強調する等が上げられ、現行基本法の「教育を受ける権利」については意見が分かれ継続審議となっている等、荒っぽいものです。
        先日、京都の「府民集会」(10月14日のつぶやきで紹介)のパネラー打ち合わせ会議で、どんな流れにしていくかの議論をしました。基本法自体やその「見直し」について理解を深める、というよりも、今の学校教育に何が必要かという視点から様々な問題提起をパネラーが行い、会場と一体となって議論を深めるという進行にすることになりました。私たち親や子どもたちの教育に対する願いが、「見直し」論議の基本になっていないことが残念でなりません。じゃあ、何がねらいなのでしょうか?
        今日は、京都の不登校「親と教職員のつどい」です。今からお手伝いに行って来ます。親の会や不登校サポートボランティアの方々と出会えることが楽しみです。
        自分から一人では釣りに行かないことに。
        2002/10/26
        思うところあって、自分から釣りに行くことをやめることにしました。この間釣っているときに突然そういう決意となりました。これから寒くなるのでちょうど良いでしょう。ただし、誰かに誘われた場合は「お付き合い」で行かせてもらいます。それでも、釣りに費やしていたお金は、相当額が削減されることでよう。そして、時間は不登校や臨床心理の勉強などに使えます。
        大阪の大東市教職員組合から講演を依頼されました。11月15日の夜、大東市民会館にて。
        学校に行けない、行かない子どもたちの居場所、学びの場。親の会。
        2002/10/20
        全国でフリースクール、フリースペースなど、学校に行けない、行かない子どもたちの居場所、学校とは違う学びの場が作られて、多くの子どもたちが通っています。さまざまな形態、目標、理念で運営されていますが、「適応指導教室」などと違い、「学校への復帰」を目的とせず、安心できる居場所として、自己肯定感を取り戻す場として存在していることは共通しているのではないでしょうか。しかし運営、特に財政的には厳しい条件の中で取り組まれているのが実態です。私の地元、京都府向日市にはこうした居場所として「みらいの会」というフリースクールが一つだけ活動されていますが、入所するには私学並の金額が必要なようです(運営上やむを得ないのでしょう)。もっと負担が少なく、子どもたちにとって安全で安心できる居場所や親の会づくりが必要だと思うこの頃です。多くの方々の協力の中で、これらを実現させたいと、今のところ一人悶々と考えているところです。何か良いお知恵や情報を頂ければ幸いです。
        京都の「つどい」のご案内です。
        2002/10/01
        2002-10-01
        登校拒否・不登校を考える京都連絡会主催の第7回きょうと「親と教職員」の「つどい」が、11月3日(祝)に京都市西文化会館ウエスティで開催されます。午後1時より。講演は立命館大学の野田正人さん。参加費は500円です。私は会場設営などに協力させて頂く予定です。
        わかりにくい、ちょっと不便な場所(千代原口から徒歩10分)ですが、ぜひご参加下さい。
        お問い合わせは、古川様(PDF00611@nifty.ne.jp)まで。
        年に一度の京都レベルの「つどい」です。登校拒否・不登校でお悩みの方、思うところのある方、思いを交流しませんか?
        教育行政の中にも個人として「改革」を求めている人も。
        2002/09/27
        25日の書き込みに対してだと思いますが、教育行政に携わる人の中にも、現状に対して改革の必要性を真面目に考えている人もいるというお手紙をいただきました。心強い限りです。私の本の中で、長男の自殺について、私たち親としての3つの過ちと、学校としての3つの過ちをまとめています。これらについて話し合われたそうです。とてもありがたいと思いました。そして、こういう論議を、学校職場で、教職員が職員室でどんどんやってほしいと願うのです。職員室が子どもたちの話題であふれる、さらに子どもたちであふれるものになればと思います。しかし現状は、教委の対応に気を使い、教職員と子どもたちを窮屈な統制の下におこうとせざるを得ない校長の学校管理に抑え付けられています。9月27日付けの「週間金曜日」で掲載された広島県の戸河内小学校での、校長による卒業制作「寺内町景観図」の破壊・放置の記事を読んで、教委による「指導」の実態に寒気がしました。
        人の意識を思想統制する、そんな管理の中で、子どもたちには「心のノート」が配られています。臨床心理の大御所であり文化庁長官である河合隼雄氏が作成協力者会議座長を務めたこの「ノート」、心理面から何を子どもたちに迫ろうとしているのか、現物を見てじっくりと考える必要があるのではないでしょうか。配り、使わなければならない現場教職員の方々とともに、保護者が考え会う素材だと思います。
        それを怠れば、学校に居ること、行くことから逃れざるを得ない子どもたちをさらに増やすことになるのですから……。
        13万9000人の不登校、国や行政の施策に期待できますか?
        2002/09/25
        不登校、いじめ、自殺、暴力……。思春期の(低年齢化が問題になっていますが)子どもたちから、学校教育という枠組みが遠ざかっていっています。枠にはめようとすればするほど、対象が離れていくのは当たり前。義務教育という名の下に、その制度と立場に横臥している教育行政と学校の管理職域にある方々に、今の子どもたちの内面の苦しみに寄り添って、共に悩み考え、改善に向けて新たな施策を取り組み始めようとする意欲が今ほど求められている時はないと思います。しかし残念なことに、私の人権救済の申し立てへの弁護士会の「要望書」執行に対する府教委・市教委の対応は、「今は不登校の数も減って落ち着いてきている」ので今後も対応を強めていきましょう、というものでした。当該の勝山中学校の実状が問題なのでしょうか? 全国的に減少していると報道された「暴力行為」も京都府では24.5%(中学)も前年比で増えています。不登校が減っているとは思えません。同じ人間として、苦しみ、耐えている子どもたちの内面に、大人たちの関わりは余りにも距離があります。教育や成長に直接関わる学校や家庭においての大人の関わりこそ、子どもたちが求めていることではないでしょうか。国や行政がその関わりを支援するものになるように、変えていくことも、私たち大人社会の役割・責任と思えます。

        今日は単身バイクで長男の墓参り(倉敷)へ行きます。
        2002/09/23
        先週も慌ただしく仕事に追われた一週間でした。で、昨日はというと、とあるお祭りの模擬店で串カツを揚げていました。その数800本。仕込みは知り合いの居酒屋さんにお願いしていたもので、つまり「プロの味」が売り文句。完売しました。油まみれの一日でした。
        さて、今日は本当は家族で長男の墓へ新幹線で向かうはずでしたが、次男の野球チームが昨日の試合に勝ったため、今日はご褒美として練習の後、バーベキューをやることになったとかで、単身倉敷へ帰ることにしました。思えば5月の連休に帰って依頼、顔を出していません。墓石の前に立つと、仏壇や遺影に向かうのとはかなり違った感情となります。土の下の「存在」を意識するからでしょうか。さて、風呂に入って、目を覚ましてから出発です。

        この不況下で仕事に追われ、嬉しい悲鳴の1週間でした。
        2002/09/14
        明日から2日続けて講演を依頼されていて、本当だったら今週は仕事の合間をみてその準備を、と思っていたのですが、甘い考えでした。短納期、他品種の仕事を減量した体制でこなしてきましたが、毎夜9時・10時が続くとさすがに疲れました。
        今日からは久々の3連休。とは言っても、今日は朝からスカイパーフェクTVのアンテナとチューナーの取り付け工事、明日、あさってと講演が2本。充実した連休となりそうです。
        明日からの講演の中で、鹿児島県の知覧中学校のいじめ自殺事件のお母さんの声を紹介するつもりです。村方さんの体験された出来事と私が長男で体験したことにいくつかの共通点が考えられるからです。1.学校内で起こっていたことを親や地域に知らされることがなく親として気づけなかったという学校の抱え込み。2.学校信仰、学校可社会への信奉で、子どもは学校に行くのが当たり前という親の価値観での子どもへの煽り。3.我が子の内面の苦しみや辛さを聞いてあげられる大人でなかったこと。4.学校の生徒指導が画一的・管理主義的で、子どもの心に寄り添っていないこと。5.事件後、あるいは判決(私の場合は要望書の執行)の学校や教育委員会の冷たい行政的な対応。などです。
        「ぜひとも村方さんと会ってお話がしたい」という思いがこみ上げ、「登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島)」の代表をされている内沢さんに突然電話を入れ、趣旨をお伝えしたところ、快く橋渡しをしていただく了解を得ました。あとは、私がいつまた鹿児島に飛べるかです。その時には、じっくりとお話ししたいと思います。
        スカイパーフェクTVは娯楽のためではなく、来年4月から受講を考えている「放送大学」のためです。思春期の心理やカウンセリングに興味が沸き、きちんと学ぼうと思っています。こうしてパコパコしている横で、電気屋さんはせっせと工事に励んでいます。ご苦労様です!
        「心のノート」って子どもたちに配られてますか?
        2002/09/07
        文科省が4月に「心のノート」というものを全国の小・中学生に一斉配布したそうです。我が家の次男(小6)は「知らん」と言っているところをみると、学校によって扱いはまちまちのようですが、「教科書でも副読本でもない」と言いながら7億3000万円をかけて作り配っています。「よいことすすんで」「人間の力を超えたものがある」「我が国を愛しその発展を願う」などの言葉がならんでいます。しかもオールカラーで写真やイラストがふんだんに使われていて、「金かかってるなぁ~」という仕上がりです。この冊子制作の協力者会議座長は文化庁長官の河合隼雄氏。心理学の権威です。柔らかく心の教育をしようというのでしょうか。道徳に限らず、どの教科で使っても良いということのようですが、教師のみなさんにとってはとても扱いに困るものだと思いました。そのねらいは何なのか? マインドコントロールなのか? 京都では9月29日(日)午後1時半から京大会館で学習会が企画されています。お問い合わせは京都教職員組合(075-752-0011)まで。

        睡眠障がいに苦しんでいます。
        2002/09/01
        長男の死後数ヶ月後から神経科に通い、意欲を高めたり、不安をやわらげる薬を処方されています。全国のつどいに参加する前に薬が切れ、「そろそろ何とかなるかなあ?」と、薬なしで過ごしてみましたが、28日あたりから睡眠が断片的になり、29日にはとうとう朝起きることができず、午前中仕事を休んでしまいました。30日夜には神経科に行き、いつもの薬を処方してもらいました。2年半経過しますが、不登校だった長男の苦しみにい寄り添えなかったことに対する自責は心の深いところで何ら変わらず続いているということでしょう。
        9月は、15日に「ノンラベル・ひきこもりの子を持つ親の会」の1周年記念例会(こどもみらい館・京都市)、16日は西京母親大会(生協・桂組合員センター)でお話させていただきます。ノンラベルは不登校・ひきこもりの大先輩たちを前に話すことになるので、いささか困惑気味です。母親大会では、子どもたちをとりまく窮屈な環境について、またそんな中での大人の役割についてお話したいと思っています。
        宝塚の全国のつどいに行って来ます。
        2002/08/24
        今日から2日間、宝塚グランドホテルで開かれる「第7回登校拒否・不登校問題全国のつどい」に参加してきます。といっても、その前に地元の乙訓教職員組合主催の「2002夏の教育講座」で地元からの発言者として30分程度お話をすることになっています(メイン講演は和光大学教授の梅原利夫先生)。……と準備をしている時に目に止まったのが、本日の京都新聞の記事。
        「公立の小中高 暴力行為5.3%減」というタイトル。文科省の2001年度のまとめが23日発表され、「スクールカウンセラーの配置など、子どもの悩みや葛藤を受け止める体制づくりが功を奏した」とコメントしています。一方で京都・滋賀では逆に依然増加していて、京都では前年度比17.8%増、このうち中学校だけでは24.5%の増です。府教委学校教育課長は「人とうまくコミュニケーションがとれなかったり、自己コントロールの力が弱い生徒が増えている」と子どもたちの側に問題があるようなコメントをしています。滋賀県では同じく前年度比18.4%増、中学校だけでは21.1%の増で、県教委学校教育課は「学校と地域と保護者が一体となって子どもとかかわる必要がある」と前向きに積極的対応の必要性を語っています。この2つのコメントの視点の違いはとても重要だと思います。不登校との関係もわかるといいのですが……。
        ともあれ、教育講座とつどいに行って来ます。講座では乙教組で、つどいではかもがわ出版で私の本も販売される予定です。
        またまた増加した不登校、13万9000人。
        2002/08/18
        お盆休みは舞鶴に通い筏のチヌ釣りに興じていたのですが、15日に届いた全国不登校新聞の記事と、翌日知人からのFAXで、毎年この時期に文部科学省が発表している「平成14年度学校基本調査速報」が9日に発表されていたことを知りました。今回の速報で不登校(年間30日以上欠席)は過去最高の13万9000人に、中でも中学生は前年度比12万9060人も減少しているにも関わらず不登校は4283人増で、全自動数に占める割合は2.81%。実に36人に1人となっています。1クラスに1人は不登校の子どもがいることになります。少子化の中で反比例するように増える不登校。文科省はスクールカウンセラーの充実と適応指導教室の増で対応したいと昨年と同じようなことを言っていますが、それらが文科省の願うようには影響しているわけでないことは今回の速報の数値が明らかにしています。年間30日異常欠席で不登校をカウントしはじめてHp,年間対応を強めてきた文科省(かつては文部省でしたが、この間に不登校は2倍に、比率では2.6倍に増えているそうです。「学校に戻す」ことで不登校数を減らそうとする対応が逆効果であることはいろいろ効果例を上げても、数字から明らかです。子どもたちに不適応化している学校、学校社会を変える新たな視軸が必要になっていると思います。
        不登校2年連続減少(文科省)―でも生徒数も大幅減少
        2002/08/15
         10日発表の文部科学省の学校基本調査速報によると、03年度に年間30日以上欠席して「不登校」とされた小中学生の総数は、前年度から約5,000人減って12万6,212人となり、2年連続減少したそうです。
         不登校は、調査方式が異なる時期も含め1975年度から01年度までうなぎのぼりの増加。同省は「スクールカウンセラーの配置など取り組みの成果が出ているが、依然相当な数。引き続き対策を進める」としています。年間30日以上の欠席者のうち病気や経済的理由を除いた不登校は、小学生が6.9%減の2万4,086人、中学生が3.1%減の10万2,126人。小中合計では3.8%(約5,000人)の減。なお、大学・短大の進学率は過去最高の49.9%。男子は51.1%で初めて50%の大台に乗りました。
         文科省は不登校が「減った」、「スクールカウンセラー配置の効果」と強調していますが、現場や不登校の家族の声を聞くと口をそろえて「絶対増えている」と言われます。実際、「行きたくないから行かない」という子どもを学校側が勝手に「体調不良」や「病気」と扱っている事例をいくつも知っています。また、別室や保健室、適応教室、放課後だけ登校なども「登校」としてカウントされています。意図的に数を減らす努力をした結果が3.8%-5,000人、しかし児童・生徒数の「少子化」による減少などを考慮すれば、「減った」と言い切れるような状態では決してありません。小学校では前年度より1万2,000人減少で昭和57年から22年連続減少し過去最低、同じく中学校も前年度より22万5,000人減少で昭和62年から17年連続減少し過去最低です。「不登校が減った」という一面だけを見ていると、大きな認識間違いをしてしまいます。

        「引きこもり」初の対策、来年度から集団合宿で自立を支援?(文科省)
         文部科学省は、増加する「引きこもり」や「不登校」などの社会とのかかわりを持てない若者を対象に、1カ月間の集団合宿による社会体験の場を提供する自立支援事業を来年度から実施する方針を固めました。同省が引きこもり対策に乗り出すのは初めてです。就労やボランティア活動を体験することで勤労意欲を引き出し、人間関係を築いてもらうことを目的としているようです。
         同省によると、小中学生、高校生以上と年齢別のプログラムを全国20-30カ所のモデル地区で実施。高校生以上の引きこもりの若者を対象にした「青年長期社会体験事業」では、各地の「青年の家」で約1カ月の合宿を行い、福祉作業所や受け入れ企業での就労とボランティア活動を体験。集団生活の中で社会経験を積むことにより、引きこもり脱出と将来の就職につなげるそうです。
         また、友人や教師とうまく折り合えず不登校になった小中学生には「少年自然の家」で合宿しながら自然との触れ合いや集団生活を体験させる「悩みを抱える子どもの体験活動事業」を計画しています。
         一般の小中学生向けにも、一週間の合宿で自ら設定した課題に取り組み、人間関係を築いたり問題解決能力を養う「君がつくる一週間事業」を提供するそうです。
         対人関係が困難で家にひきこもっている青年を、1カ月も見ず知らずの他者集団と生活させるという発想自体があまりにも実態を知らない机上の空論と言えるのではないでしょうか。当事者をどう把握するのか、プログラムにどう誘うのか、想像がつきません。ひきこもりにも様々なきっかけや経過、状態(病状を含む)や段階があり、援助関係を持つとすれば最初は1対1が基本だと思います。そして援助者の援助のもとで徐々に社会関係を拡大し、対人関係の困難を解消していくという、個別プログラムが必要であり、極めてメンタルな取り組みです。集団生活で効果をあげているのは「グループホーム」などの小さな家族的な集団です。「数減らし」を追求するのではなく、実態に即したあくまでも本人を尊重する支援プログラムと援助者の養成、援助組織の拡大(それらへの公的な補助)こそ求められていると思います。
        お話させていただく予定が3件
        2002/08/14
        随分と長期間、更新ができませんでした。親不知を抜いてしばらく苦しんだり、次男は全京都学童軟式野球選手権大会で準優勝まで勝ちあがったり(春の大会では見事優勝、この決勝での3ベースヒットは圧巻でした)、盆前の仕事の追い込みなど、結構忙しくしていました。
        今後の予定ですが、8月24日(土)午後2時から乙訓教職員組合主催の夏の教育講座で和光大学の梅原利夫教授の前座で少しお話させていただきます。その後、宝塚へ向かい、「第7回登校拒否・不登校問題全国のつどいin兵庫」に25日(日)まで参加。9月に入ると、15日(日)に「ノンラベル・ひきこもりの子を持つ親の会」の設立1周年記念例会での講演、翌16日(月)は京都市の西京母親大会での講演依頼を受けています。暑い中、一踏ん張りしたいと思います。
        長かったネット不接続、結構いらいらしますね!
        2002/08/02
        鹿児島に行く前夜、突然にブラウザがwebとの接続を拒否しました。鹿児島に納得できないまま飛び、帰ってきても接続できないMAC OSX G4-933MHにいらいら。ルーターのマニュアルを読みあさり、接続時間制限の設定に問題があることがわかりました。ともかく、何とか開通! 鹿児島でもらった元気を改めて実感出来るようになりました。長かった一週間でした。
        「登校拒否を考える夏の合宿2002in鹿児島」には全国から700人が参加。大平光代弁護士の講演、分科会、知覧中学校いじめ自殺事件の母親・村方さんの報告、そして温泉……。たくさんの方と出会い、交流しました。本当に元気をもらいました。

        お寺での語り合い、次は鹿児島で全国のみなさんと
        2002/07/26
        23日夜、市内のある不登校の親の会メンバー有志の方々の招待で語り合いに参加してきました。主催された方の家がお寺ということもあって、ご住職が長男の回向をしていただき、参加された皆さんも焼香をしていただいたあと、3時間余り話しあいました。参加された多くの方が中学3年のお子さんがおられ、不登校。高校進学等、中学卒業後の進路について悩んでおられます。親の願いもあるでしょうが、その子が今どんな状態にあって、将来について考えられる力が回復しているのか、親の期待に無理して応えようとしていないか、など、いろんな話ができました。共に待つ親のしんどさ。でも、信じて待ってあげられるのは親しかいません。
        27・28日は、「登校拒否を考える夏の合宿2002in鹿児島」に参加してきます。昨年は東京で開かれました。今年は台風の後を追いかけて、全国のみなさんと交流したいと思っています。
        でも、飛行機は飛ぶのかな?
        京都市内のあるお寺での有志のつどいに呼ばれて
        2002/07/16
        市内のある不登校の親の会メンバー有志の方々に呼ばれています。少しお話をしたあとに意見交換という内容ですが、会場がお寺なので、長男の回向を行っていただけるということです。長男の戒名は「浄円学優信士」。私は無信教で唯物史観の立場に立っているのですが、実家が真言宗のため、今年の三回忌も型どおりに済ませています。実家近くにある代々墓に眠る長男には5月の連休に、実家の菩提寺の住職に塔婆をあげてもらいました。いまでも意味はよくわかりません。
        今回の「お呼ばれ」(来週)では、お言葉に甘えて回向なるものをしていただこうと思っています。宗派なんて、この際関係ないですよね。長男の心に近づくことが出来れば……。
        台風一過。みなさんの地域では被害はありませんでしたか? 京都では今夜地震がありました。

        私が思春期を共にしたギター
        2002/07/15
        四条通を市バスで堀川通から烏丸通まで通過しました。数多くの鉾があちこちで出番を待っています。寺町や新京極では浴衣姿の若い女性が夕暮れを待っていました。今日は宵々山、祇園祭の前々日です。こんな日に仕事で市役所で原稿を引き取り、その足で寺町の電気屋にMOやCD-R、DVD-RAMなどを買い出しに行くのも情けないものでした。
        今日は夜、久しぶりにギターを弾きました。中学3年から始めたフォークギター。最初は1万5千円のYAMAHAの入門バージョン。高校2年生の時父親に2番目の5万円のを買ってもらい、高校・大学と弾き続けました。子どもが生まれてからも保育所の合宿などでその出番はありました。しばらく遠ざかった後、2000年の長男の死後、その年の12月にまた熱病にかかったように25万円を出してOVATION2000年モデルを衝動買い。チヌ釣り用の竿と共に宝物です。
        思えば、私の思春期はギターで乗り切ったようなものでした。毎日、手の指が変形するほど(指先がくぼむほど)毎日毎日弾いていました。作詞作曲を始めたのもこの頃です。とにかく夢中でした。曲もいくつか書きました。いまでも左手の指の爪は短く、右手の爪は長く、いつでもギターを弾けるようにしています。もう25年。情熱は薄れても指が馴染むというか、一つの違う世界に一時入り込める、そんな豊かな気持ちを与えてくれます。ちなみに私の好きなソングライター兼ミュージシャンは浜田省吾です。奥さんもCDを聞きながら涙しているようです。
        なぜこんなことが言えるの?教育委員会2
        2002/07/09
        さて、不登校をめぐっての向日市教委の答弁。「…不登校の問題についても学校としては、的確に総括をし、指導の改善充実に努めてきているところであります。『家庭訪問するのは担任教員一人だけ』と記述されておりますが、決して担任のみにまかせていたのではなく、管理職、学年主任、教育相談部、養護教諭等と十分連携を図りながら、家庭訪問等の指導を行っていたところであります」。
        ところが、当時の2年生の「生徒指導部総括」の「課題」では、「課題層に対し問題事象の対応に追われ、学年として明確な指導方針を持って対応できなかった」「保護者との連携不足があらゆる場面であり、学校と協調できない事が指導の不十分さにつながってしまった…(問題事象の時だけでなく、普段からの積極をしていく事が必要であった)」「不登校については、担任の対応だけになってしまい、学年として援助できなかった」と文書が残っています。
        その後、確かに不登校の数は減っているようですが、当時の放置状態についての生徒指導部の総括と、教委の市議会答弁要旨がこれほど食い違っていてもいいものでしょうか?
        当時の荒れや不登校の実態についての事実認識はあいまい、今後の弁護士会からの「要望書」に対しての改善方向も何ら具体的なものを示せない教委の現状に、なんと感想を言って良いのやら……。
        7月4日には地元向日市でPTA等の活動に携わっていた方々のOBの集まりである「あじさいの会」で、6日には子育て支援コミュニティ「おふぃすパワーアップ」の「京都発不登校ガイドブック2号」企画会議で話をさせて頂きました。次は8月24日に乙訓教職員組合主催の教育講座の前座で、9月15日には「ノンラベル」ひきこもりの子どもをもつ親の会の一周年記念企画で話をさせていただく予定です。それぞれ参加者の層や問題意識が違うので、じっくり準備させてもらわなければ……。
        なぜこんなことが言えるの?教育委員会
        2002/07/02
        今日から数回に分けて、4月の向日市議会本会議での一般質問に対する向日市教委の「答弁要旨」のいい加減さについて書いてみます。
        当時の勝山中学校の「荒れ」については「概ね要望書(京都弁護士会執行)に記述されている状況でございました」と事実を認めつつも、「要望書では『不登校の状態に陥った生徒一人ひとりに対しては、学校として、きめの細かい配慮を行えていなかったと判断される』と記述されておりますが、学校としては最大限の努力をしてきたところであります。勝山中学校においては、当時の学校の状況について、生徒指導部を中心に、学校全体で分析をするとともに、指導上の課題と今後の指導の在り方を明確にしてきたところであります」と反論し、「今日落ち着いた学校となっております」と答弁しています。
        さて、「最大限の努力」をしていて、子どもが自殺したことについてどう総括しているか、答弁は在りません。また、当時の「2年生徒指導部総括」では、「課題層に対し問題事象の対応に追われ、学年として明確な指導方針をもって対応できなかった」、「問題事象の対応の際、不統一があった」、「エスケープや授業妨害について指導が入らない事や、クラスへの問題の返しが弱く、一部の荒れが全体に広がっていったようにと思う」、「保護者との連携不足があらゆる場面であり、学校と強調できない事が指導の不十分さにつながってしまったように思う…(問題事象の時だけでなく、普段からの接触をしていく事が必要であった)」と記述されています。
        学校での総括と議会での答弁がこれだけ食い違うのですから、現場と会議室の現状認識の相違は計り知れないものがあるようです。よくもまあ、こんな答弁ができるものだとあきれるばかりです。生徒指導部の総括に対して、共感と適切な指導があれば、3年生の中学校生活は少しはちがったものになったのかも知れません。
        不登校をめぐっての答弁については次回をお楽しみに!

        多忙な一日、感動の映画
        2002/07/01
        昨日は多忙な一日でした。まず、我が家の「不登校自殺」在庫が数冊になったので注文フォーム
        のページを削除する更新をしました。そして新京極に向かい、映画「I am sam」を見て、 あんなに愛し合える父娘(それも7歳の知能しかない父が親権をめぐって裁判闘争する)にとても嫉妬し、
        「私のパパはパパだけ」という娘の言葉に涙しました(今年私のいち押しの映画です)。
        その後、京都市美術館で開催されているシャガール展「その愛とファンタジー」を鑑賞、信仰を基礎に物量を超越
        した構図、見事な色彩と筆致に感動しました。
        さらにその後、次男の全京都学童野球春季大会優勝祝賀・大鳴門大会出場記念壮行会にカメラマンとして参加、
        4時間あまり立ちっぱなしで撮りまくりました。
        家に着いたのは9時半を回っていて、「つぶやき」を書き込む元気もありませんでした。それでも壮行会の始まる
        前に40分時間ができたので、立命館大学の高垣先生の「共に待つ子育て」(かもがわ出版)を会場1階の喫茶で
        読めました。せっかくの日曜日にこんなに慌ただしくしていて、今週、私の神経はもつのでしょうか?
        「さよなら」できましたか?
        2002/06/25
        23日、京都学童保育連絡協議会主催の「第15回京都学童保育学童保育学習交流集会」に発言者として参加してきました。午前中の全体会は立命館大学教授の高垣忠一郎先生の講演を聞き、偶然、昼食をご一緒させていただきました。お話をしているなかで先生が「もう息子さんとさよならできましたか?」と突然聞かれました。少し考えて、「まだです、さよならしないようにいろんなことをしようと思っているんだと思います」と答えました。
        先生は午後の私の発言する分科会に、ゼミの学生さんと一緒に最後まで参加してくれました。
        私は1時間半ほど話した後、質問に答える形で何度かマイクをにぎりました。言い忘れたこと、良い足りなかったことが沢山ありますが、参加頂いた方々がどんな感想をもたれたか、とても知りたいと思います。
        出版したことに対して、「よく書いてくれた」「どうしてそこまで書けるのか」という感想をいただきます。すべて過渡期の行動です。「さよなら」する気になるまで、何かをし続けると思います。もっと多くの方に、本を読んで欲しいと思います。
        学童京都連協学習交流集会第1分科会で発言します。
        2002/06/17
        2週間余り更新できませんでした。仕事に追われつつ風邪をひき、のべ4日半も仕事を休んでしまいました。それでも、6月8日から始まった京都教育大学で開催されている市民公開講座「思春期の心を考える」(土曜日3週連続講座)に参加しています。
        23日の日曜日に、京都学童保育連絡協議会が京都教育文化センターで開催する「第15回京都学童保育学童保育学習交流集会」の第1分科会での問題提起を依頼されました。一昨年前までは一参加者でしたが、今回は発言者側になってしまいました。「不登校自殺」の内容を基調に、今の子どもたちに大人たちが何がしてあげられるのかを、ともに語り合ってきたいと思います。
        午前中の全体会は立命館大学の高垣忠一郎先生の「揺れる子どもの心と発達」です。
        ご関心のある方は
        http://www.fukushi-hiroba/com/gakudo
        E-mail;gakudo-k@mbox.kyoto-inet.or.jp
        TEL.075-821-0700 FAX.075-822-6220 までお問い合わせ下さい。参加費1,000円。
        「自分は駄目」が7割?
        2002/06/03
        財団法人日本青少年研究所の調査で、高校生の中で「自分は駄目な人間であると思うことがある」という設問に「よく当てはまる」「まあ当てはまる」と答えた子どもが73%、1980年の調査よりも14%増加したという記事を朝刊で読みました。この調査では毎日の学習時間も調べていて、学習時間の平均が80年の調査より半減、「ほとんどしない」が倍増しているという。
        学校嫌い、「不適応」が増えている中で、自身への自信の喪失感、自己否定感を強めている子どもたちが増えていることを、学校教育にたずさわっておられる方々はどう思われるでしょうか。
        これでも、子ども個人の問題でしょうか? あるいは家庭の問題でしょうか? もちろん、学校だけの問題ではないでしょう。自分に自身のない子どもが大人になり、次代の日本を支えていくということを、もっと深刻に、大人は考える必要があると思います。校則や学校秩序、地位や名誉を云々している場合ではないのではないでしょうか。自信と活気にあふれていてこそ子どもです。そんな環境に戻してあげる取り組みを、それぞれの学校、地域で始めたいものです。
        窮屈な管理、窮屈な学校、子どもたちの心も窮屈に。
        2002/05/29
        昨日、「絶対評価」導入について少し書きました。少子化が進む中で増加する不登校、子どもたちが学校に適応しなくなってきている証です。なのに、追い打ちをかけるように窮屈さを増す管理が現場に求められつつあります。教職員のみなさんはますます窮屈になるでしょう。そして、もっと子どもたちと関わりたいのに、関わってあげてほしいのに、その時間が奪われていきます。教職員のストレスの増加は、子どもたちのストレス増加につながります。子は親の背中を見て育つ、といいますが、これは、言葉や態度に出さずとも、大人の心の内を子どもたちが敏感に感じ取りながら成長していくというものでしょう。極度に競争的な環境にあると指摘される日本の公教育。教育を受ける主体である子どもたちにとって、最前の利益をもたらす環境を、大人たちは提供する義務があるはずです。ゆとり教育を叫ぶ一方で窮屈さを増す管理教育。将来の日本を支える子どもたちに、何を求めているのでしょう?

        内申書に絶対評価、京都府・市教委。
        2002/05/28
        高校入試に際して中学校が提出する内申書の評価方法を「絶対評価」に来年度から切り替えると京都府・市教委が発表しました。新指導要領で導入された「絶対評価」。本当に客観的に信頼できるのか疑念が叫ばれています。「荒れ」もなく、平穏無事に授業が成立している学級だけを想定して考えられた制度ではないかと思えるのは私だけでしょうか。授業崩壊の最中にある子どもたちにはどんな「絶対評価」が? まして学校に行かない・行けない子どもたちに対する「絶対評価」は?現場で現実に起こっている状況から遊離して考え出されたものとしか思えません。ところで、いったい何が目的なのでしょうか? 公教育は主人公である子どもたちが教育を受ける権利に基づいて学び成長する場です。選別を受けるところではないはずです。
        いつまでも過去に…といわれるけれど。
        2002/05/27
        人権救済の申し立て、本の出版、ホームページの開設と、「やるべきこと」と思っていたことをねばり強くやってきたつもりです。しかし、心の奥底にある、長男に結局寄り添えなかったという後悔の念は日を追って強くなっていくばかりです。出版やホームページを通して多くの方と関わることができました。また、多くの本とも出会うことができました。そして、今から自分が関われる、実行できそうな課題もいくつか見えてきました。だから、精神的にはとても不安定です。やりたいことが見えているのに、日々の仕事に追われる中であきらめなければならない現実。やりたいと思うことが本当にできることなのかという疑問。いつまでも過ぎてしまったことにとらわれないで…という、周りの方の温かい励まし。どれも本当です。じっくりと整理しながら、取り組んで行きたいと思います。
        今日、久しぶりに神経科の先生に診察を受けました。といっても上記のような今の心境を伝え、こんな自分を続けていていいのか聞きたかったのですが、息抜きも必要と諭されました。「釣りに行って下さい。薬よりも必要なのかも知れません」と。仕事、長男への後悔、やりたいと思うこと、息抜き。これらのバランスが適当に保たれてないと、どれもすすまないのでしょうね。
        ちぬ釣りと精神安定。
        2002/05/24
        長男が自殺する前から、舞鶴を中心に日本海に通っています。たまにしか釣れないちぬ(黒鯛)ですが、ちぬや鯵等の他の魚を、長男はよく食べてくれました。休日の一日を丸々潰して遊ぶ訳ですから、「釣り」というのは「家族を見放した遊び」、あるいは「家族に見放された者のやる趣味」、さらには「結局、現実逃避よね」等と、あまり良くは見られません。でも月に1~2度、いや2~3度、数時間を一切を忘れ海の上で穂先と糸を見つめ、ちぬがエサをくわえる一瞬を見逃さないスリル、ちぬを寄せるために絶えず繰り返すだんごの投入、エサ取りとして釣れる鯵やカワハギ、ちゃりこ、ハネ等の夕食のおかずになる魚たちを釣り上げる快感、なんと言ってもその日一日を自然の中で過ごしたという感覚が素晴らしいのです。釣れれば持ち帰って、さばき、夕食になる。釣れなくても、行き帰りの数時間を(私は多くを一人でバイクで往復しています)、いろいろなことを考え(独り言を言いながら)、たとえば仕事上の会議等での報告や、この間の様々な取り組みに向けての意見の整理等に使わせていただきました。確かに疲れます。3~4時間の睡眠で海に向かい、9~10時間を波に揺られ、2時間余りをかけて帰ってきて魚をさばく。過酷と言えばこんな過酷な遊びも少ないでしょう。でも、決して飽きることなく、行けば心豊かになり、こんな安定剤はほかにはないと思います。長男の死後、海に向かう回数は確実に増えていると思います。
        タイトルアレルギーを払拭して親の声を聞いてほしい。
        2002/05/21
        「不登校自殺」というタイトルを見ただけで、というか、「不登校」という言葉に拒絶反応を示す方が多いだろうと、当初よりかもがわ出版の編集長と話していました。これは、私が一番読んで欲しいと思っている学校教職員のみなさまの中で、きっと現れる反応だろうと思っていました。確かに、日々荒れや授業崩壊、問題事象、不登校等と対峙されている現場教職員のみなさまにとって、「不登校」に「自殺」のついた本など、とんでもないことかも知れません。でも、そんな方々にこそ読んで欲しいのです。反社会的行動や非社会的行動に出てしまう子どもの心に寄り添うことなく、校則の遵守と学校秩序の維持のためのマニュアルに沿った生徒指導に徹する中で深刻化した学年崩壊。その中で真面目にありたいと思っていた子どもたちが教室に居ることに耐えられなくなって保健室へ、そして家へと居場所を求めた。そんな行き過ぎた画一的な管理主義的指導を社会的に明らかにし、とりわけ不登校の子どもたちへのケアを充実させたいと思い、人権救済の申し立てをし、「要望書」が執行された。そんな経過をまとめた本です。私は、これらの経過の中で、いわゆる被害者は、子どもたちはもちろんですが、直接的被害者は教職員のみなさんだと思っています。職務上マニュアルに忠実であらねばならなかった事実、管理の下で分断され、同僚や専門機関と連携することのできなかったみなさんの苦しみ、これらも明らかにしたかったのです。どうか、タイトルだけを見て目を背けないで下さい。書いた私は、こんな思いなのですから……。
        もっと勉強、もっと交流。
        2002/05/16
        11日の土曜日は、地元京都の京都・学校に行かない子と親の会発足15周年記念例会に参加しました。この日は、私の田舎でもある岡山の川崎医科大学精神科学教授の青木省三氏(岩波書店「思春期こころのいる場所」等著者)の講演を聞かせてもらいました。思春期の子どもたちに関わる大人のスタンスなど、考えさせられることが多い講演でした。
        12日の朝日新聞・京都欄に私の先日の記者会見の記事が紹介されました。「子に寄り添って考えて 「不登校自殺…父親の手記」出版 「後悔」「問題」つづる」というタイトルでかなり大きく紙面をとってくれました。京都新聞と朝日新聞の記事などを見て、京都のNPO法人おふぃすパワーアップの丸橋代表から連絡をいただき、7月に懇談することになりました。
        6月の第2・3・4土曜日の午後に京都教育大学で行われる公開講座「思春期の心を考える」を受講することになりました。学校現場での臨床心理の実践にふれる良い機会だと思っています。
        今週は仕事が忙しく、HPの更新もなかなかできませんでしたが、さまざま学習と交流の場を作っていっています。どん欲に、不登校、学校臨床、思春期の心について学びたいと思います。
        次男のこと。
        2002/05/09
        自殺した長男より6歳年下の次男は、小6の野球少年です。地元の「向陽オックス」というチームで打順1番、セカンドを守っています。この春休みの期間に京都で行われた全京都学童野球選手権春期大会では見事優勝。真っ黒に日焼けし、やりたい野球に打ち込んでいます。
        心配なのは、この次男が、長男の事件をどのように受け止めているか、どう心の中で整理しようとしているか、その悲しみを乗り越えられているかです。
        最近の作文で家族について書くようにテーマが与えられました。次男はその作文の中で「家族は3人であと犬が一匹……」と、長男の存在に触れませんでした。どうしても気になったので、かかりつけの神経科の医師に相談すると、「自己防衛のためにまず行うのが『否認』です。心から避けられるはずがない悲しみを『否認』しながら自己を確立しているのでしょう。必要以上に悲しみに触れない方がいいでしょう」とアドバイスされました。とても納得し、相談したことを良かったと思います。
        これからの人生で、兄のことに触れないで過ごすことはできません。事実に自分なりに対応できるよう、ゆっくり、ゆったりと育ってくれればと願います。
        来年は中学進学。どんな選択になるのか……。
        多くの励ましをありがとうございます。
        2002/05/08
        本日付けの「京都新聞」に顔写真入りで大きく掲載されたので、仕事の取引先の方が本を買ってくれるやら、友人・知人からメールをいただくやら、(これは新聞とは関係ありませんが)愛知県でフリースクールを開設しておられる方からFAXで励ましをいただくなど、忙しい一日でした。500冊を個人で買い取って普及しているのですが、もう残りわずかになっています。書店の方はどうなのでしょうか? 売れることより読んでいただくことが大切だと思っています。「一気に読んだ」「一日で読んだ」という方が多いと聞きます。是非多くの方の読後の感想をいただきたいと思います。
        そろそろトップページのリニューアルをしたいとも思いますが、なかなか時間が作れそうにありません。この「つぶやき」の更新で精一杯というのが実状です。お許し下さい。でも、そのうちに更新します。筏のチヌ釣り(舞鶴湾を中心に)のページや、朝の散歩コースの花の写真のページ、リンクの充実など、したいことは一杯です。
        記者会見をしてきました。
        2002/05/07
        京都の教育記者クラブというのは、京都府教育委員会の3階の奥にあって、新聞各社のデスクがあります。今日、初めて府教委の中に入りました。記者クラブの方々はとても好意的で、出版にあたっての経過や思いを話させてもらいました。質問などを含め、1時間以上時間になりました。明日の朝刊に載るのかな? 府教委本丸での記者会見は少しスリリングでした。
        4日から6日にかけて、長男の墓のある岡山の実家に帰っていました。5日に長男の3回忌(法要は京都の自宅で行っていましたが)の塔婆を実家の菩提寺の住職にお願いし経を上げてもらいました。仏壇は京都、墓は岡山と、長男はいま行ったり来たりと忙しいのです。実家のご近所の方々には、不登校から自殺したとは言えなくて(私が住んでいれば話すでしょうが両親だけなので)、病死ということにしていますが、ご住職には事実を知ってもらいたいと、本を渡してきました。
        発売前からみなさんの協力で……。7日記者会見。
        2002/05/03
        7日発売にも関わらず(すでに知人・縁故関係に押しつけて売ってもらっています)、売れ行きは上々というところでしょうか。大学時代の友人は、家庭訪問に来られた教師に寄贈してくれたり(我が家も次男の担任に寄贈しました)、地元の乙訓教職員組合でも相当数を預かってもらったり、私が会長をしていた学童保育保護者会の後継会長が連合会総会やレクリエーションで紹介・販売したいと申し出てくれたりと、私の買い取り分は順調にはけてっています。
         連休明けの7日午後、京都教育委員会内の教育記者クラブで「不登校自殺」の記者会見を行ってくれることになりました。事件や人権救済申し立ての経過、出版への思いなどをうまくしゃべれればいいなと思います。
        責任を自覚しなければ放置できる?
        2002/05/01
         昨日、「不登校自殺」の推薦人をお願いした京都教職員組合執行委員長・大平勲氏より激励と協力の手紙をいただきました。「今の教育の混迷と矛盾の泥沼に対するひとつの告発としてライフワークとしてとりくんでいただければと思います」――。京都教職員組合や地元の乙訓教職員組合とは、長男の自殺当初より、親は親として、学校関係者は学校関係者として何がしてあげられたのか、今後何ができるのかなど、一緒に取り組んできました。大平氏も先の府教委での「要望書」の取り扱いについて、「極めておざなりでほとんど議論がなかったと聞かされ、教育行政の機能しない壁の厚さを思い知らされました」と述べておられます。
         さて、私がまもなく読み終わろうとしている本の紹介。「学校崩壊――現場からの報告」河上亮一著・草思社刊。一部生徒たちの荒れからクラス・学年が崩壊していく中で、学年主任として赴任一年目の苦悩と苦闘がつづられています。「教育改革国民会議」第一分科会に現場教師として参加し、「奉仕」や「出席停止」などで話題となった人の著書です。これらの問題については学習不足であり、コメントするものを持ち得ていませんが、その中で、とても共感したところを三カ所紹介します。
        「考えてみれば、管理職は日常の担任や教師の苦しみなどわかるわけがないのだ。自分の責任を自覚しなければ、放っておくことができる。放っておいても、時間だけはたっていくのである」。
        「そのような学校の変化の中で登場したのが、管理職が直接、教師をコントロールするやり方である。企業の経営管理の考え方を導入したのだろうが、この学校はその最先端だったわけである。教頭が一人ひとりの教師と結びつき、教師はことあるごとに教頭に相談に行き、支持を求めるというシステムがこの学校を支配していた。学年主任は飾りもので、学年の共同性はほとんどなく、一人ひとりの教師が自分で責任を持つことになっていた。学年教師の自治が崩れれば、このようなシステムが登場するのはしかたなかっただろう」。
        「一人ひとりがばらばらに立ち向かおうとすれば、他人をかまっている余裕などない。耐えられない教師が出てくるのも自然のなりゆきである。いちばん弱い教師が破綻し、それが他の教師へも波及するのは時間の問題だ」。
         長男の通っていた当時の勝山中学校のそれと、極めて似ている。全国の中学校にこんな「システム」がはびこっているのだろうか?
        どうしてそんなタイトルつけたのか?
        2002/04/28
        昨日、数年来のおつきあいをさせていただいている方に「不登校自殺」を“押し売り”に行きました。即座に購入いただきましたが、表紙を見て、「長男の命を守れなかった父親の手記」という小タイトルに「どうしてこんな文句をつけたの?」と不満を訴えられました。長男の自殺の経過も、我が家の実体もよく知っている方である上に、ご自身が息子さんを病気で亡くされているということもあり、涙ながらにこの「不満」を漏らされたのでした。
         この小タイトルは、私がどうしてもつけたかったものです。なぜか? 不登校にありながら、表情ではあかるく繕ってくれていた長男の心遣いに甘えて、心に傷を、そして自己否定感を募らせていた長男に、寄り添い、その苦しみを理解してやることができなかった情けない親として、悔やみ続けてやりたいという思いでいっぱいであるからです。
         この本を読んで下されば、こうした思いもわかってもらえると思っています。
        出版の記者会見が行えそうです。
        2002/04/26
         京都の教育記者クラブに申し入れしたところ、5月7日に記者会見を設定してもらえそうです。より多くのこの本を通じて訴えたかったことを知ってもらえる機会になると思います。
         ここ数日はパソコンを更新(MAC G4)したため、様々なセットアップに毎晩悪戦苦闘していました。やっとHPのアップサイトができる状態になりました。本の見本本の送付等や知人・円縁故関係での配布におわれながら(もちろん昼間は仕事をちゃんとしながら)、なかなか過激な日々を送ってしまいました。本来もっと早く見本本、謹呈本をお送りしなければならない方々に送ることできていないことに少々焦っています。
        いよいよ本が出来上がってきました。
        2002/04/22
        「不登校自殺」は5月7日発売ですが、現物は今日仕上がってきました。これから出版者から書店への配本となります。私個人の買い取り分はもう手元にあるので、今日から徐々に見本本配りや謹呈本の送付などを行います。GW前半は忙しくなりそう……。
         とにもかくにも、自宅に帰り、長男の仏前に本を供えました。
        「不登校新聞」1面で紹介されました。
        2002/04/21
        4月15日付けの「不登校新聞」(全国不登校新聞社発行)1面に、「学校の荒れによる不登校は学習権侵害―京都府教委などに対応要望」という見出しで、85行に渡り長男の自殺から人権救済申し立て、今回の「要望書」提出、その内容について紹介されました。
        京都府教委傍聴者の感想から
        2002/04/15
         4月11日午後、京都府教育委員会が開かれたそうです。
         私の人権救済申し立てに対して京都弁護士会が同委員会委員長ら宛に「要望書」が執行されて初めての委員会で、「日の丸・君が代」おしつけに反対する申し入れについてと、「要望書」について、傍聴者のいる中で討議されたようです。
         しかしながらとても淡々というか簡潔というか、短時間の討議で終わったようです。「不登校は今日的な課題である。京都は全国的な水準を上回っている」「一つの教訓として、不登校対策をさらに綿密にしていく必要がある」という発言があったそうです。「綿密」な対策が、管理教育の延長でないことを祈るばかりです。
         傍聴された方の感想の中で、「『要望書』自体を教育委員全員が読んだのかさえ不明です」という部分が印象的でした。
        2002年度勝山中学校の入学式で校長が暴言
        2002/04/14
        2002年4月9日に行われた向日市立勝山中学校の入学式で、片岡睦郎校長が「日の丸」「君が代」に際して起立しないものは「対抗措置をとる」「泥試合はしたくない」などと暴言をはいたという。これは新1年生と保護者、来賓の方々を前にして発せられたもので、極めて不適切であり、暴言というほかありません。出席した保護者からも怒りと驚きの声が聞かれました。私の人権救済に対して執行された「要望書」が提出されたあとの人事異動で、学校長も教頭も移動になって早々の出来事でした。立派な人権侵害であり、公教育者としての品格を疑うものでした。
        1月16日、京都・大谷ホールで府民集会。パネラーで参加します。
        2002/01/14
        「子ども、平和を大切に 教育基本法改悪反対!今こそ生かそう憲法・教育基本法11・16府民集会」が、同実行委員会の主催で、11月16日(土)、大谷ホール(京都市下京区烏丸六条西)で、午後1時30分から開催されます。内容は、ドキュメンタリー映画「軍隊をすてた国」アシスタント・プロデューサー:足立力也さんによるミニ講演「平和をつくる教育」―「軍隊をすてた国」コスタリカの子どもたちと、シンポジウム「身近で生きる教育基本法 今なぜ『見直し』か?」。コーディネーターは京都府立大学教授の築山崇さん、パネラーは、加藤直樹さん(立命館大学教授)、私・木下秀美(保護者として)、小笠原伸児さん(弁護士)、中西京子さん(保育園長)です。お問い合わせは実行委事務局(075-752-0011 京都教職員組合)まで。
        「荒れ」、長男の不登校、自殺、学習権の侵害を認定する人権救済の「要望書」、そして拙書の出版、そんな経験の中で、憲法や教育基本法、子どもの権利条約等で明記されている「教育を享受する主体者」としての子どもたちが学校ではその主人公でなくなっている現実に疑問を感じつつ、なぜ今「教育基本法」を「変える」必要があるのかその意図は、不登校等の子どもたちの学習権はその中でどう保障されるのか、わからないことばかりです。教育基本法全文を改めて読み、その精神の今日的意義を強く感じました。一部のエリートをつくる教育への移行、「心のノート」に象徴される戦争準備の心の植え付け、これらの根っこには憲法の改悪への流れがあると言われています。一人ひとりが認められ、尊重され、十分な学習の機会・環境が保障される学校に立て直すことこそ求められているというのに……。

        ここのところ1週間余り、風邪による体調不良と仕事の繁忙で更新ができませんでした。
        41 向日市長選挙を振り返って
        2023/05/06
        2023向日市市長選挙をふり返って

        2023年5月1日
        向日市「生きる」ネット代表 木下秀美


        ●全体を通して(総論として)

         早いようで、とても短い選挙期間だったという実感です。まずは、このようなチャンスをいただき、貴重な体験をさせていただきながら、皆様のご期待にお応えできなかったことを心よりお詫び申し上げます。
         幾名かの方から立候補のお誘いをいただいたのが2月末。当初はお断りをしましたが、そもそも自分はこの20年あまり何をしてきたのか? これから何をしたいのか? しばし熟考の後、精神保健福祉士としての私へのお誘いは、日本精神保健福祉士協会認定の精神保健福祉士としてすべき仕事・役割ではないかと考えるに至り、自らの意思として立候補を表明することになりました。
         とはいえ、無所属の無名である私が、2期8年市長(それ以前は市議・府議)としての実績のある方と市長の座を争うことになるわけですから、「とりあえず始めてみよう」では取り組めません。
         応援して下さる方々ともたくさん話し合い、私が発足当初からアドバイザーとして関わらせていただいてきた子育て・不登校の親のグループ(それぞれ11年・6年)の方々、学校事故・事件や自死対策、子ども虐待防止、その他さまざまな地域活動などで関わり支えていただいてきた方々、個別にカウンセリングなどでサポートさせていただいている方々などに、率直に意向をお伝えし、ご意見やご提案をいただきました。そして、これまで取り組まれてきた「政治」選択でない、誰も対立構図になることなく、共創・協働の地域社会、その軸となる市政を作る必要がある。さらに多様なお立場のみなさんのお声をお聴きしながらビジョンを作り、この首長選挙が、地域社会や地方自治体の役割をお考えいただける機会となるように、その結果として有権者全員の意思決定の場となるようにと、選挙活動の展開を考えました。
         結果はご存じの通り、安田氏11,545票、木下4,325票という大差での敗北です。投票率は前回よりも0.83%増加したとのことですが、票を増やしたのは安田氏であり、真摯に受け止めつつ、しっかりと分析をしていかなければなりません。安田陣営が気を引き締めるきっかけを作ってしまったのかも知れません。今回の結果は、前回市会議員選挙における各党・会派・議員それぞれの得票数を合計と酷似しています。どのような力が働いたのかは推測の域を出ませんが、単純に数字を見れば、基盤・基礎票を固めた相手側に敗北したことになります。しかし、4,325人の方々が「木下秀美」と投票用紙に書いていただいたことはありがたい事実です。
         大局的な争点は「開発」か、「福祉」かであったと思いますが、農業、まちのにぎわい(特に阪急東向日)、コロナ禍を経ての各種事業や市民の生活の継続と生き延び方、保育所・幼稚園教育、学校教育、障害者福祉、高齢者福祉、医療、など多岐にわたる行政課題が複雑にからみ合いながらの選択、その結果でした。
         ひとまず「『福祉』のための財源確保の『開発』優先」へ、向こう4年の向日市へ舵が切られたわけです。しかし、さまざまな場面、立場、局面で、当然ながら多くの小異があり、「生きる」レベルで守らなければならないものを必死に守っている市民の存在、かつて一緒に取り組んでこられた活動が分断され、孤立化されているのを、この選挙戦でもしっかりとつかみました。しかし、それでもあきらめないお一人おひとりの力を感じさせていただきました。

        ●40年暮らし、これからも生きる向日市で社会福祉専門職として(個人的な思いとして)

         結婚を機に向日市に移り住んで40年。二人の子育てをしながら、共働きなので当たり前に公立保育所を利用し、保護者会の会長や連合会役員を、小学校では学童保育所の会長や連合会役員をさせていただきました。向日市には6つの公立保育所が、そして6つの各小学校敷地内に学童保育所(留守家庭児童会)がありました。緑にあふれた環境の良い、水道水は地下水を使っていてとても美味しい、そしてこども・子育てに優しくあたたかい町でした。阪急東向日駅周辺も交通の要所としてだけでなく、買い物が便利でにぎわう所でした。
         あれから40年。向日市は大きく様変わりして行きました。「開発」も進みましたが、そのために田畑がなくなって行きました。田畑・竹藪・お商売など、後継者問題も重なり、事態は深刻です。京都市との境目に阪急電車の新駅「洛西口駅」(2003年開設)が、JRの新駅「桂川駅」(2008年開設)が、そして「イオンモール桂川」(2014年開業)が作られました。マンションや戸建て住宅が増え、人が増えた事で新しいにぎわいが作られています。
         しかし、こうした「開発」によってこどもの数が増えることがわかっていたはずなのに、小学校も保育所も、それを見込んだ準備をしていたとは言えず、近くの小学校・学童保育はこどもたちであふれ、保育所入所も「激戦区」と言われる状態です。保育所入所を諦め、幼稚園に預けるために正職員を辞めざるを得なかったお母さんもおられます。公立保育所は3カ園に減り、学童保育所も民間委託が進んでいます。もう、こども・子育てに優しい、福祉の町としての向日市はどこかに行ってしまいました。
         同様に、障害のある方にも、ご高齢の方にも、生活困窮にある方にも、「経費削減」扱いのごとく、支援・サービスを利用できる壁を高くし、予算も削られ続けています。生活保護ワーカーが重大犯罪に巻き込まれるという事件も生じてしまいました。住民のいのち・くらしを考える時、悲しみがこみ上げて来るほどです。私は認定精神保健福祉士として個人開業(教育と人間関係の相談室カンナ)していますので、多様な困り事相談やカウンセリングで、そして成年後見人等として関わる中で、その惨状を、この目で見、この耳で聞き、問題解決に向けてご一緒させていただいている支援者として、怒りすら覚えます。
         昨年春、障害のある方向けに発行されている「福祉タクシー事業」の対象者を切り捨てるという事件が起こりました。「外出が困難な障がい者に対し、タクシー料金の一部を助成することにより障がい者の生活行動範囲の拡大及び社会参加の促進をはかることを目的とした事業」で、具体的には要件を満たせば最高で1年間12,000円分のタクシーチケット(1枚100円分×120枚)が助成されるものです。今の要綱でも、他市と比べてもハードルが高い上に、突然に身体障害者の「脚の部分」の障害等級が「2級以上」であることが特定できないと判断された14人が対象から外されました。私も「おかしいのではないか」と交渉する中で、「医師の意見書があれば対象とする」と対応が変わり、7名にチケットが交付されました。この実施要綱の解釈変更を厳密に行うなら、下肢の障害状態に限って障害レベルを特定できる整形外科医に再診断を受けて、障害者手帳の更新・再発行が必要となりますし、特に高齢者や「永久認定」を受けておられる方などでは現実的ではありません。では、何がしたかったのか? 対象者の「外し・減らし」以外に考えられません。そして、残る7名分、84,000円が切り捨てられたことは事実です。この事件は氷山の一角で、介護サービス支給などにおいても同様に、さらに大規模に「外し・減らし」が行われていると言って良いでしょう。困りの声が止まらないからです。
         私が個人事務所でお受けできる、ご一緒できるケースには当然限りがあります。今回の選挙で訴え続けて来たように、本来私が個人で行っている取り組みの80%以上は、本来行政が「健康福祉部」として対応すべき課題です。引き続き、行政サービスが利用できるものは市役所の当該窓口におつなぎしつつ、窓口がしっかりと対応できるように外郭からではありますがサポートさせていただきつつ、不登校、メンタルヘルス、さまざまな人間関係、意思決定支援など、行政が窓口を持てていない谷間・隙間の課題に対応をして行きます。それら1つひとつにご一緒することが、必ず市役所を動かしていくことになると信じるからです。同時に、議会傍聴をはじめとした市政ウォッチング、タウンミーティングや学習懇談会などを行い市民の声をお聴きする取り組みを継続します。

        ●市民の声・要望はどこにあるのか?


         私たちは、今回の市長選挙で、以下のスローガンやビジョンを掲げてきました。

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        「向日市を変えるビジョン」
        願いを語り、実現をめざす市政に変えて行きましょう!

        <スローガン>
        ●あなたを支える、それが行政の仕事だよ。あなたは夢に向かって!
        ●こども、子育て、いのち、くらし支えきる市政に

        1.こども・子育て・社会福祉の充実
        ●こども・子育て・教育を、総合的に支援する拠点(センター)を設置
        ●市役所健康福祉部各課に、必要な数の社会福祉専門職を常勤配置
        ●小中学校の給食費無償化、トイレに生理用品常備
        ●18歳までの医療費を通院も無償化
        ●子育て支援・障害福祉・学校教育の連携で、親の困り・悩み・不安の軽減、必要な施設の新・改築
        ●障害福祉、介護の拡充。高齢者医療費軽減などで、誰もが困らない、「困っています」が言える市政に
        ※こどもの権利条約、障害者の権利条約を、すべての人の人権と尊厳の擁護を市政の基軸とする条例制定をめざします。

        2.環境・くらし・まちづくり
        ●市民の声と力を活かし、緑・環境を大切にする「向日市らしい」まちづくり
        ●市民会館名に「向日市」を入れ、使いやすい施設に
        ●コロナ禍・物価高騰に対する生活・自営業者への支援
        ●誰もが気軽に集える「居場所」や公園をふやす
        ●農産物の地産地消、「住宅リフォーム」「耐震改修」「バリアフリー化」への助成など、地域循環型経済施策で、にぎわう向日市に
        ●市民の関心が高い多様なテーマで、市民学習交流会を開催
        ●トップダウンでなく、市役所職員が元気に、意欲的に働ける市役所に
        ※環境を守り、箱物に「魂」を入れ、一人ひとりの市民の声と市役所が力合わせ、対立でなく、共生・協働によって、こどもたちが5年後、10年後、20年後に「向日市で育って良かった」と言える市政をめざします。
        <市民学習会のテーマ>
        環境・まちづくり、こども・子育て・教育、農業・商工業によるにぎわい、学術・科学、健康と医療、健康と福祉、虐待・ネグレクト・不適切な養育について、生活保護、こどもの権利条約、障害者の権利条約…
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         これらは、私が原案を提案させていただき、向日市「生きる」ネット会員や、推薦してくださった「新しい民主市政をつくる市民の会」、それに参加される方々とご一緒に、文字通りすごい時間をかけて、一言一句練り上げ、絞り込んだたものです。
         今回、得票という結果には十分には結びつきませんでしたが、今の向日市が抱える問題・課題であり、その解決に向かう方向性を「声ある声」として市民のみなさんにご提示してものです。切実な声をしっかりとお聴きしながら「向日市らしさ」を意識し、大切にしつつ作って来たものですから、今回は残念な結果となっても、今後もその実現をめざして取り組んで行かなければならないテーマばかりです。
         また、立候補表明と同時に「くらしアンケート」を集めてきました。QRコードをスマホで読み取って回答・送信するというものです。当初はご高齢の方々には戸惑いがありましたが、「お近くの若い人、お孫さんなどに手伝ってもらって、一緒に話し合いながら…」と訴え、投票日前日に締め切った段階では131名の方からご回答をいただきました。50代、60代、70代の方が60%を超え、80代以上の方からもご回答をいただけたのは驚きでもあり、とても嬉しく思います。一方で、10代は一定割合おられましたが、20代が思ったよりも少なく、「Z世代」といわれる有権者4,000名の方々への浸透が十分でなかったこと、「お声」を、ご要望をお聴きできなかったことは大きな課題です。
         「日々・月々のくらしの状態について」、「満足している」「少し満足している」「ふつう」と回答した方が6割おられました。それぞれ満足の基準は違うでしょうが、一定の満足度があります。その一方で「少し困っている」方が3割、「困っている」方も1割おられることがわかりました。具体的な困りや、改善のために活用できる支援やサービスはあるのか、その相談先や行政対応につながれておられるのか心配です。これまで個人事務所でのご相談でも、選挙に入ってからの市民のみなさんとの対話でも、「困っていても、相談先がない」「相談に行ったらたらい回しにあった」ことから、あきらめている方が少なくないことがわかっています。誰も困らない、「困っています」が言える向日市にしていく必要があります。
         「向日市政について」「これからの向日市政に求めたいこと」では、「くらしの安定・充実」が突出していました。これは「日々・月々のくらし」ともリンクしています。「子ども・子育て」「学校教育」「社会福祉」「健康推進」「高齢介護」「まちづくり」「にぎわい」「ライフライン整備」「居場所」に関する項目への関心・要望が高いこともわかりました。
         道路整備や上下水道など市民生活に密接する「開発・整備」への関心・要望は高く、一方でJR向日町駅東口についての回答が多いのは「どんな開発がされようとしているのか?」への関心の高さと読み取れます。
         「子どもたちが向日市で育つこと」についての設問では、(向日市で育ってほしいかどうか)「どちらとも言えない」が40.5%、ついで「そうして欲しい」が多いものの、「そうして欲しいと思わない」方が少なくなくおられることは、向日市のこども・子育て施策に課題があることを明らかにしています。
         そして、「よく利用される市の窓口」は、当然ながらですが今の「市民サービス部」、つまり東向日別館であることもはっきりとしました。東向日別館がさらに利用しやすいように改善が、そして健康福祉部局の対応の向上が求められます。
         私たち向日市「生きる」ネットが掲げたビジョンは、市民のみなさまの声・要望に添った内容であるものと思いますが、市長選挙の争点とはならなかった、と言わざるを得ない結果でした。だからといって、「要望がない」「みんな満足している」と解釈してはいけません。確かな「困りの声」があることは明らかです。

        ●「開発で税収、福祉向上へ」のまやかしが、なぜまかり通るのか?

         私たち向日市「生きる」ネットは当初より、「こども・子育て・いのち・くらし支えきる市政に」という、至ってまっすぐなスローガンを掲げています。
         「福祉にお金がかかる、だから開発をし、大企業を誘致する」は、一見もっともらしく聞こえますが、向日市が住所地でない大企業が建物を建てて事業活動をしても、向日市の税収となるのは基本的に固定資産税のみです。そればかりか、大企業のための道路整備、以後の維持管理は向日市の持ち出しとなります。
         「開発で税収」を増やして福祉に回すと言いますが、むしろこれからまだまだ福祉に回すお金を減らすことになってしまいそうです。
         阪急洛西口駅周辺は、確かに現代的な要素の多い、新しい街に見えるだけでなく、明らかに人口が増えました。同時に、後追いでこどもの数も増えました。
         さらにこれからJR向日町駅東口にタワーマンションが建設される計画があり、人口、こどもの数が増えます。しかしいずれも、保育所・幼稚園・小学校・学童保育所などの受け入れや子育て支援の体制整備が伴っているようには見えません。
         かつて6カ園あった公立保育所は3カ園に減り、民営化され、認可保育園・こども園頼みの傾向が増しています。「0歳児、一次・二次ともに落ちた」「1歳児は激戦区」「3歳は入れない」という声があふれ、正規就労継続をあきらめて幼稚園を選択せざるを得なかった人もおられます。「昼間の保育に欠ける」要件がどんどん厳しくなり、かつての「子育てするなら福祉にあたたかい向日市で」の声は聞かれなくなりました。
         それでも京都市から見ると、向日市は「福祉があたたかい」と見えるようです。しかし人口動態(H28年〜R2年)を見ると、人口はマンション建設などによる増加で変動。転入減少、転出増加するものの、出生数で維持している状況です。今後もマンション建設が進めば、増加となるでしょう。しかし、転入減少、転出増加は看過できません。「住みたくない」「住んでみたけど他へ移動する」市と見ることもできます。
         福祉が切り捨てられ、後回しにされていることを、若い人たちはしっかりと見ているのではないでしょうか。
         一方で政治不信の現れとも言える投票率の低さは顕著で、地盤・基礎票の強い現職側がそれらを押さえきり得票につないだことは、結果から見て取れます。
         選挙に勝った=市民の支持を得た=だから開発、という解釈で強引に、そして乱暴に、これからも「開発」や企業誘致が進められることになるでしょう。しかし、安田氏の得票は全有権者46,307人の中で24.93%に過ぎません。私たち市民は、今後4年間は、さらに切り捨てられる福祉、後回しにされる福祉の中を生きていかなければなりません。

        ●「サイレント・マジョリティ」と言わせないために

         乙訓青年会議所が、今回の市長選挙に向けてZoomによる事前収録の「公開討論会」を開催してくれました。その中で、安田氏は「自分を支持してくれているサイレント・マジョリティを大切にしたい」という主旨の言葉を使われ、とても驚きました。サイレント・マジョリティとは、声なき、あるいは物言わぬ多数者のことを言います。大部分の市民が満足していて、自分を支持してくれている、と解されます。
         果たしてそうでしょうか? くらしアンケートの結果からも、物言う市民が多数いることはわかりますし、低い投票率における4,325票はマイノリティと言うには決して少なくない数字です。
         私たち向日市「生きる」ネットは、今回の市長選挙で最も大切にしたのが投票率のアップでした。Z世代にもしっかりと伝えられるようにとWEBサイトやSNSの活用に力を注ぎました。
         18歳選挙権になってから7年。これからの選挙では、インターネットの活用が不可欠になります。向日市長選挙、市議会議員選挙で、今回のレベルでの取り組みは初めてのことと思います。選挙の準備、本番の期間が短かったこと、有権者のみなさんが慣れていないこと、ご高齢の方々には日頃使わないツールであることなどから結果にはつながらなかったかも知れませんが、必ず今後に生きていくものと確信します。
         インターネットの活用は、このサイレント・マジョリティを声なき、あるいは物言わぬ多数者として扱えなくする取り組みでもあります。今後の展開に期待します。

        ●こども・子育て・いのち・くらし支えきる向日市政へ、リノベーションをご一緒に

         サイレント・マジョリティと解される問題も、全国的に起こっています。しかし、現在の多くの為政陣営にとっての勘違いに過ぎないことを、私たちは証明して行かなければなりません。とりわけ大切な首長選挙においては、その自治体のその後の4年を託すトップを決める選挙ですから、投票率を高めて、文字通り民意を反映するものにしなければなりません。
         また、「勝つための票固め(集め)」で勝ててしまえる選挙、も終わりにしなければなりません。
         向日市には、市のWEBサイトを通してPDFでしか見ることができない「第2次ふるさと向日市創生計画(令和4年度改訂版)」(https://www.city.muko.kyoto.jp/kurashi/shisei/shisaku/furusato/1663647686537.html)があります。序論の(2)「計画の位置付け」には「この計画は、本市が目指すべき方向性を示したまちづくりの最上位計画と位置付けます。」とされています。3つの施策の柱、それぞれの施策分野が示されています。そして年度毎の改定をしています。【基本フレーム】の「土地利用」のゾーニングでは、JR向日町駅-阪急東向日駅-競輪場の一帯を「中心にぎわいゾーン」としています。文字通り「中心にぎわいゾーン」にしていかなければならないのに、逆ににぎわいが失われています。そして「産業ゾーン」の「開発」だけは計画通りに着々とすすめられています。
         向日市の「憲法」とも言える「まちづくりの最上位計画」は、毎年度、わたしたちの声で味付けしているわけですから、市長選挙で敗北したから「次は4年後」ではなく、次年度の改定のための市民の取り組みを続け、あるいは始めていかなければなりません。まずこの「創生計画」の全戸への配布(現状ではWEBサイトからPDFを開ける人しか見ることができません)、計画やその柱・施策ごとの学習懇談会など、市民の声を集める、出せるようにしていかなければなりません。
         今回の市長選挙を戦う中で、多くのこどもたち、子育て世帯、高齢者、農業を営む方、お商売をされる方、建設・建築で働く方、市役所の中で働く方、ご近所の方、私自身の子育て時代の保育所や学童保育所仲間、大学時代の友人・知人などから、応援とともにご要望や切実な声をたくさんお聴きしてきました。それらすべてが、選挙戦を支えてくれました。
         また、私たちが夢を持ち続け、あきらめる必要がないことを教えてくれる自治体も誕生しています。旧来・従来の政党・政治とカネ・地盤や基礎票、「寄らば大樹の陰」とばかりの「群れ」、分断・対立の煽り(あおり)に惑わされることなく、お一人おひとりがこれからの世界を、日本を、地域を変えて行くために、政治、行政の「真」の役割やあり様を問う形で、各地の首長選挙で有権者がその結果を出して来ています。

         ・2022年9月就任、杉並区長:岸本聡子氏
         「環境とこどもを守り、杉並に住むすべての人が安心して暮らせるまちづくりを一番に」
         ・2011年5月就任、明石市長:泉 房穂氏
         「こども施策で人口増・経済好循環〜決断すれば実現可能〜」
         ・2023年4月当選、芦屋市長:高島崚輔氏
         「皆さまと共に、この芦屋市を世界で一番住み続けたい、そんな街にしていきたいのです」
         ・2023年4月当選、江東区長:木村やよい氏
         「住んでよかった江東区!子育てするなら江東区!」
         ・2022年11月無投票5選、伊根町長:吉本秀樹氏
         「ないものねだりをしない、あるものを最大限に活かす」「より良い地域社会『ええまち』を私たちの手でつくりだし、そして未来へ伝えていく」
         ※「」内は公式ブログなどから抜粋。

         「こども」「住み続けたい」「安心できるまちづくり」が中心的に訴えられ、支持・得票につながっていったのでしょう。私たち向日市「生きる」ネットのビジョンも、内容や優先順位は同様と思います。まだまだ訴えを届けることが不十分で、市民のみなさんの支持・得票という意思表示にまで至らなかった、私たちの力不足、取り組み不足であり、深く反省・検証し、これからに活かして行かなければならないという思いでいっぱいです。向日市政のリノベーションを、ご一緒に取り組みたいと思います。
         どうか、向日市政のあり様について、時々立ち止まって、ご自身のくらし・いのち・人生、そして何よりもこどもたちの未来と結び合わせてお考えいただける機会を増やせるように、私たち向日市「生きる」ネットは引き続き「こども・子育て・いのち・くらし支えきる市政に」をスローガンに取り組んで参ります。みなさんのお声・ご要望・お力をお寄せいただきますようにお願いいたします。
        40 2023向日市長選挙に立候補します。
        2023/03/06
        今年4月16日告示、23日投票の向日市長選挙に無所属で立候補をすることになりました。
        4月5日にメディア記者発表した際の配付資料をご紹介します。
        なぜ私が立候補に至ったのか、何を思ってなのか、どんな選挙にしたいのかなど、お読みいただき、ご理解いただきますようお願い致します。


        立候補表明にあたって
        <記者発表>2023年3月5日 於:永守重信市民会館第一会議室

        予定候補者 木下 秀美

        教育と人間関係の相談室カンナ代表
        日本精神保健福祉士協会認定精神保健福祉士 同認定成年後見人
        日本自閉症スペクトラム学会認定自閉症スペクトラム支援士(Standard)
        ※精神保健福祉士は以下「MHSW(メンタル・ヘルス・ソーシャルワーカー)」もしくは「ソーシャルワーカー」と表現させていただきます。

        <自己紹介>
        岡山県倉敷市、ジーンズの町として有名となった児島で生まれました(1961年3月26日)。県立児島高校卒業後、大学進学で京都にやってきました。
        小さな印刷会社にアルバイトでデザインの仕事を始め、半年後に正社員となり、労働組合の役員や中間管理職、部長、そして常務取締役などを務めました。
        22歳で結婚。子育ての環境として、美味しい地下水、保育所や学童保育所が充実しているとすすめられて向日市に居を構えました。2人の子どもに恵まれ、共働きで子育てをしつつ、保育所・学童保育所では保護者会長やそれぞれの連合会の副会長などを努めさせていただきました。
        しかし、長男が勝山中学に入ってから事態は急変します。当時の同中学校は大変荒れた状態で、それに対して学校管理者が管理教育で押さえつけようとしたことから「荒れ」がさらに強まりました。長男は2年生から登校しぶりが始まり不登校に、3年生になって修学旅行には参加しましたが、その後完全な不登校状態となりました。地元の公立高校への進学を希望していましたが、2000年2月4日、「ここしか推薦できない」と言われていた私立高校の受験日当日の午前4時頃、自室で頸を吊って自ら命を絶ちました。

        私たちは突然に学校事故・事件被害者、「自死遺族」となりました。


        遺書と思われるメモには、「自分に自信がなく、このままではろくな大人にはなれないと思いました。これ以上家族や先生にはめいわくがかけられないと思った。」と書かれていました。自死の理由は、この二行から十分に読み解くことができました。
        でも、学校の「荒れ」が生徒に与えた影響、「荒れ」の理由は何か、なぜそれが長男の自死につながるのか、事実が知りたいと弁護士に相談をしました。今のように第三者調査委員会はなく、学校事故・事件が訴訟になることもほんのわずかでしたから、唯一の方法として弁護士から勧められ弁護士会への人権救済の申立を行いました。その経緯、申立要望書、弁護士会がまとめた調査結果、執行された教育委員会、学校長宛の「要望」は『不登校自殺 その時親は、学校はー』(かもがわ出版,2002)にまとめて出版しておりますし、私の事務所のウェブサイトにも掲載しています。
        当然ながらこの事件で、私の人生は2つ目のステージに入ることになりました。
        長男が不登校になった当時、具体的に相談できる相手がいなかったため私自身がなろうと、同時に不登校の親の会やこどもたちが安心して居られる居場所を作りたいと思いましたが、まずは思春期・成年期の心理や学校教育のあり方などについて専門的に学び、資格を保有する必用があると考え、大学卒業資格を取るために放送大学三年時に編入学。卒業後精神保健福祉士資格取得に向けて国家資格試験受験資格を得るために通信制の専門学校へ。4年がかりで国家資格試験を取得しました。
        その過程である2005年4月に「教育と人間関係の相談室カンナ」を開設し、相談対応を始めました。
        全国学校事故・事件を語る会とつながり、全国の被害者遺族・家族・きょうだいと互いを支え合い、今では支援者の一人として関わらせてもらっています。
        (その後の経歴など詳細は、別添えプロフィールをご覧いただければ幸いです)
        専門領域は人間発達科学、中でも最近注目を集めている神経発達症・障害とその併存症・障害、それらの当事者・親支援、地域ネットワーク作りです。MHSWとして相談・カウンセリング対応だけでなく、利用できる制度・サービスへのつなぎや支援ネットワーク作りなどのソーシャルワーク、必要なのに支援が届かない場合には、そのための新たな支援を創っていくソーシャルアクションにも取り組んできています。
        具体的には、「子どもの育ちに課題がある」と保育所・幼稚園・小学校などから言われ対応に悩まれているお母さんたちからの依頼で「子どもと親のそだちを語る会『そだちカフェ』」(11年前〜)、子どもが不登校状態にあるお母さんたちからの依頼で「乙訓不登校を考える親の会『大地』」(6年前〜)のアドバイザーを、それぞれ発足当初からさせてもらっています。また、「判断能力」に欠けるもしくは支援が必要とされる知的障害者・精神障害者・認知症高齢者の資産管理、各種契約行為等の身上監護を任とする成年後見人等の受任も続けています。
        総じて、子どもの権利条約、障害者の権利条約、発達障害者支援法、自殺防止対策基本法、いじめ防止対策基本法などを作る、理念法に魂を入れる活動に直接・間接的に関わって来ています。

        なぜ立候補要請をお受けしたのか?

        今回、「候補者に」と市民の方々から依頼を受けた時、当初は即座にお断りをしたのですが、こうした経過をふり返り、MHSWの責務や役割と考え合わせた時に、ソーシャルアクションとしてこの選挙に取り組む必用性があると考え直し、前向きに捉え、今日に至っています。
        次に、「どんな視点から何を考え、何をしたいのか?」が大切な課題となります。
        これまでの首長選挙では、特定の政党や団体の支持・推薦を受けて、既存の支持基盤を前提となるため不要な対立構図も生まれ、実態として多様な立場の市民の多様なニーズに対応できない市政になってきていることを、40年向日市で生活する中で、またMHSWとしての支援活動の中で、また長岡京市等との違いも体験してきました。
        市政が取り組む施策・分野毎に、お一人お一人の思いや願いは違います。市民の困りや悩み・不安、ニーズをもっと聴き取り、できれば「声」に出していただき、それらの改善・解消につながる施策を充実・策定していく、新たな市政を市民みんなが創って行く、そのきっかけとなる市長選挙を取り組みたいと考えるようになりました。
        これまで経験してきた不登校、子育て、障害者・高齢者・経済的困窮など社会的弱者と言われる方々へのご支援から、都市開発的な整備だけでなく、すべての市民の困りや悩み、不安にしっかりと向き合い、誰も見捨てない、あきらめさせない社会福祉が充実した市政に変えて行くことが大切と、まず思いました。
        そして、こども・若者目線から5年後10年後20年後に、「向日市で育って良かった」と言える市政にしたい、そのためには今の市政の到達点を客観的にアセスメントしていく必用がある、など市政の視点・有り様を変えるリフレーミングが必用であると考えました。

        どう市民の「声」を聴き、政策にしていくのか?

        向日市に住まわれている市民だけでなく、向日市で働いている方々(もちろん市役所職員も含めて)、向日市ご出身の方々、お知り合いが向日市におられる方々、向日市に関心がおありの方々など、「声」をお聴きしたい、「声」を出して欲しい人は全国、いやグローバルにおられます。中でも、「Z世代」と言われる若い世代の声、子育てをされている方々や、障害者、高齢者、経済的に困られている方々など、「社会的弱者」と言われる方々の声をたくさんお聴きし、政策に盛り込んでいきたいと思っています。
        そのためには、インターネット、SNSをフル活用して、アンケートを集約し、リアルタイムに寄せられた声を配信するなど、アクティブなムーブメントを作りたいと考えています。
        とはいえ、基本的な政策の考え方や具体的なものをお示しする必要がありますので、以下、現在考えている内容をまとめてみます。

        <スローガン(案)>
        ・みんなの声が市政を変える
        ・若者世代、弱い立場の人をもっと大切に
        ・こどもたちが「育って良かった」と言える向日市に

        <政策作りの視点として大切にしたいこと>
        大切なこども、若者、支える・関わる人たちと共に
        □「Z世代、その次世代、支え合い支えきる向日市政に」

        市役所を拠点に、一人ひとりの今・これからをみんなと一緒に
        □「困り、悩み、不安を分かち合い、支え合える向日市に」

        暮らし、命、次世代継承に不可欠な社会福祉・保障の充実こそ
        □「誰も切り捨てない、あきらめさせない、風通しの良い温かい向日市政に」

        <市政アセスメント、政策作りの取りかかりとして>
        向日市統計書(令和3年版公表分)から見えて来るもの ※H28年度以降の年度比較で増減が見えるもの

        ・世代別人口 向日市は実は少子高齢化とは言えない。働く世代(=子育て世代)が多く、こどもたちの数は人口増加に伴って増えている、など。 ※別添え資料をご参照願います。

        ・増えていない・減少している 1世帯あたり人口、生活保護受給、身体障害者、国保医療給付費、国民年金給付費、介護サービス給付費、加入電話・公衆電話、中小企業振興融資、事業所数・従業者数、商店数、農家人口・経営耕地面積、施設園芸、鉄道乗降客数、がん健診、健康診査、小学校職員数(教員は増)、交通事故発生件数・負傷者数、農林水産業費など。
         
        ・増えている 人口、世帯数、児童家庭相談室相談件数、農地転用、道路総面積・総延長、宅地面積、建築確認申請、公害苦情受理処理、幼・保・小・中児童・生徒数、図書館貸出登録者数、歳入・歳出総額、一般会計歳出、基準財政需要・収入額、標準財政規模、市債、総務費、民生費、教育費(予算は減)、情報公開請求・申出など。

        ・増えて良いはずなのに増えていない 困りごと相談、女性のための相談、子育て支援、発達相談、不登校相談など。

        ・増えているが継続対処が可能と思われる 後期高齢者医療、介護保険事業、障害福祉サービスなど。


        <母体となる団体名称>

        (仮称)向日市くらし支え合いネットワーク「生きる」 (略称:向日市「生きる」ネット)
        ※事務所、事務局体制などは現在準備中です。
        39 2011年に投稿した原稿
        2023/01/08
         「少年問題ネットワーク」という会がありました(2001年8月発足)。弁護士、研究者、ジャーナリストなど、少年問題に関わる人たちが会員となり、井垣康弘氏(元神戸家裁判事)を運営委員会委員長としたもので、近畿弁護士会の方から紹介されて、2005年頃からメルマガ会員にさせていただいていました。このメールマガジンは通算137号が最終号として2013年8月に発行され、その後のことはわかりません。しかし、こうした取り組みを(少なくとも)12年にも渡って続けて頂いたことに感謝するしかありません。
         私も1回は書いておこうと考えていたのでしょう。2011年10月に事務局に以下の原稿を送ったようです。掲載されたかどうかは覚えていませんが。
         書いた当時は放送大学大学院で修士論文の大詰めを迎えていた時期のようです。

        「不登校対応など、教育行政は10年経っても…」

        木下 秀美(精神保健福祉士・教育と人間関係の相談室カンナ代表)

         本メルマガの資格要件の「ロ メールマガジンに何らかのご投稿をいただくこと」、「ト 三月に一回は発言する旨誓約していただけること」を字義通りに受け取ってしまうたちなので、「そろそろ何か投稿しなくちゃ…」と思いつつ早○年が過ぎました。やっと、短文ながら書けそうなテーマができたので、トライすることに致しました。

         私が本メルマガを受け取るようになったきっかけは、2000年2月4日に、不登校から自殺を選択せざるを得なかった長男(当時中3、15歳)を、その心理社会的要因として断崖のように眼前に追い込んでいった、当時の公立中学校における荒れや不登校などの問題事象に対しての不作為を明らかにしつつ、その対応や体制の充実を求めて、2000年10月3日、京都弁護士会に申し立てた人権救済でした。
         京都弁護士会は申し立てを受理し、1年半近くの調査・検討の末に「荒れ」の放置を学習権の侵害と判断し、それらの改善に向けた十分な対応を求める「要望書」を、2002年3月29日、京都府教育委員長、向日市教育委員長、学校長宛に執行しました。
         長男が体験した中学校の実態や人権救済申し立ての顛末、長男の育ちや親としての関わり、そして長男の喪失体験をめぐる思いをまとめ、『不登校自殺 そのとき親は、学校はーー』(2002,5,7:かもがわ出版)として出版。お世話になった弁護士の依頼もあって、京都弁護士会人権擁護委員会の司法研修や、近畿弁護士会の学習合宿などでお話させていただく機会を与えられ、井垣委員長とも出会い…、という経緯によるものでし。

         さて、私は、拙書『不登校自殺』を出版した頃より、あるいはそれ以前から、思春期の心理臨床的支援や学校教育、人間発達、精神医学などの分野の学びをきちんとしたいという思いが強まり、翌年度末にそれまで勤めていた企業を退職し、放送大学に編入学(1回目の大学は3年で中退)。これら分野の科目を履修し、卒業必要単位に達したため卒業証書が送られてきてしまいました。その頃には、対人援助を人生第二の仕事にすることを決心していたため、現在の相談室を開業するとともに、精神保健福祉士国家資格を取得するために通信制の専門学校で学び、卒業年度の1月末実施の国家試験に何かの間違いで合格し、精神保健福祉士としてさまざまな相談支援に従事してきました。現在も懲りずに、放送大学大学院・人間発達科学プログラムM2で修士論文に追われています。
         しかし、原点は2000年2月4日ですから、不登校などの学校における「問題事象」、思春期の心理や、思春期における発達課題の未達成(自我同一性拡散など)が後の青年期・成人期に与える影響、そして不登校・ひきこもり状態になってしまう要因として着目されてきた「発達障害」などについての臨床的支援実践が、生活のほとんどを占めるという日々を送っています。
         
         前置きが長くなりましたが、人権救済申し立て以降、毎年、在住市内の公立小中学校における「問題事象」などの情報公開を請求してきました。
         今年も8月13日に公文書公開請求を行い、9月末に公開された市内小中学校の平成22年度の問題事象や特別支援教育に係る公文書をざっと見ての感想を述べたいと思います。
         22年度のスクールカウンセラーの活動状況について。6つある小学校でSC配置は1校。そのSCが扱った相談は年間延べ446件で、その内、「教師との関係」が241件とされていました。そして、相談者は「教師」が204件。SC配置の目的が、本来の目的から逸れながら、教師の相談対応になっていて、それ自体はそれでいいのでしょうが、子どもたち177人、保護者41人、教師204人の相談者の中で、SCに相談した内容で半数を超えるのが「教師との関係」。ということは、子ども・保護者の相談の大半が「教師との関係」についてSCに相談している、ということになるのでしょうか? だとすると、学校そのものが機能不全化していて、その問題解決をSC頼みにしているということになります。
         22年度のスクールカウンセラーの3つの中学校での活動状況について。生徒数、SC配置数、延べ相談件数は以下の通りでした。
        A:628、2、159
        B:385、1、225
        C:304、1、208
         相談者の内訳、生徒、保護者、教師、合計は以下の通り。
        合計 A:112、46、1、159
           B:87、49、87、225
           C:109:21、78、208
         A校では教師の相談が年間1名しかいない?? 生徒数が多いことからでしょうが、実働はともかく他校に比べて1名多い2名体制。こんな学校はめずらしいのではないでしょうか。にも関わらず、教師は1名しか相談していない…。「SCには相談するな」という管理職からの圧力があるとしか思えない結果です。
         B、C校では校内の教職員の相談やコンサルテーション機能が働いているようですが、A校では抑制がかかっているために、生徒もSCへの相談に躊躇し、教師は問題や課題を抱え込んでいるとしか思えない結果も出ています。A校の不登校での生徒の相談件数は他校と大差はありませんが、「性格・行動」などの相談が異常に少ない状況でした(A:16、B:58、C:98)。
         そしてA校の不登校の出現率は3.97%、人数では市内全体の60%と高い状況です。B校1.55%、C校2.79%、3校合計の平均は2.96%ですから、A校が俄然引き上げています。
         SC活用は抑制されているとしたら、SC活用を学校管理者が阻害しているという問題になると思われます。A校の出現率は、11年前は4.39%、10年前は5.14%。当時の校長は、学校管理目標は「校則遵守」「学校秩序維持」と言って憚りませんでした。
         校長が替わったり、職員が替わったりという変化はこの10年であるでしょうが、市内の「モデル校」的存在であることは変わっていません。この「モデル」的存在というのが問題改善を阻害しているとしか思えないのです。SC活用も無視して、管理統制が今でも行われているのでしょうか? 教職員も相談相手を持てない学校…。
         もう一つ気になる資料は、向日市の22年度の特別支援学級実態調査。対象となる児童生徒数は小学校56人、中学校27人(?)。中学校の通級(自校および他校)は13人とのこと。1,317人の生徒だから0.987%。発達障害特性のある児童生徒がみんな特別支援学校に通っているとは思えないので、数字だけを見ていても疑問だらけです。
         要するに特別な配慮や支援が必要と思われる児童・生徒に気づいていない、理解しようという意識がないということなのでしょうか? 小中各校で「特別支援教育全体計画」などが作られていて、45枚もの資料が公開されました。でも、どれも似たような「年間方針」だけで、「会議録」や「総括」などは1枚もありませんでした。「特別」にしない教育実践が行われているのなら問題はないのですが…。
         10年余りの追跡調査(?)になっていますが、A中学校の生徒指導を「管理統制」で何とかしよう、という姿勢はどうやら変わっていないという残念な結果が見えてきました。迷惑を被るのは、子どもたち、ご家族、そして地域社会です。教育委員会は、「問題事象」とSC活用の関連性、「特別支援教育」のあり方、といった視点から、各学校現場での子どもたちの人権(学習権をはじめとして…)が守られているかどうかを検討してもらいたいと思います。
         「発達障害」(特に自閉症スペクトラム=ASD)特性が表面化する(高機能群では思春期での発現が多い)ことによって、クラスでのからかいやイジメの対象となり、不登校や対人恐怖、自尊感情の低下、具体的な被虐体験がトラウマとなり、特性としての記憶力の良さや独特の認知構成、対人相互作用の困難さなどに加えて、思春期葛藤と発達課題が加算されて自己の認知・感情コントロールが不能になるケースが多く、抑うつや不安・強迫神経症などの二次症状、ひきこもり状態、親への暴力・暴言、他者への攻撃や犯罪行為、自殺、社会からの孤立、防衛機制による解離やファンタジー没入、統合失調症などの誤診によつ多剤大量の薬物投与の継続による思考の抑制…。「失われた思春期」、「失われた10年」…という表現を、多くの当事者から聴いてきました。
         「楽しい」という体験や思い出が何一つない、という過去に、苦しさや悲しさ、悔しさ、怒り、憎しみなどの否定的な感情しか持てない人生を想像して見て下さい。これらの被虐体験や認知は、学校という社会で作られてきたという現実に、教育、精神科医療、司法、保健・福祉、関連行政に関わる人は、「仕事として」はもちろん、「人として」真摯に直面する覚悟を、時代が必要としていると思います。「発達障害」も、不登校も、ひきこもりも「病気」ではありませんから(二次症状は精神症状であり治療対象)、精神科医療まかせ、特別支援教育担当者や生徒指導部や担任まかせ、ましてや親まかせ、本人の問題にしてしまうなど、現前の課題の放棄、逃避でしかありません。
         それぞれの地域で、子どもたちの学びと育ち、その環境(家庭、学校、地域…)を支え助け合う社会資源の構築と人材養成、それらの有効な連携が進むよう、微力ながら関わり続けたいと思っています。
        38 成年後見制度利用支援事業の拡充が必要
        2022/08/18
        8月17日付けの京都新聞さんから。
        省庁縦割りの壁に遮られながらも、国としての課題意識がある、ということはわかる。
        でも、これらを具体化していくためには、裁判所や行政の理解と努力が不可欠。もちろん職業後見人や法人後見をしている団体も。それぞれに思いがあるだろうから、ヒアリングをまずすべきだろう。
        ただ、もう一つ、利用者が増えない、使いづらいと感じる大きな理由についてあまり語られていない問題があるように思う。
        後見人報酬の問題だ。月2万〜4万円と聞いただけで、必要としていても止めるか躊躇う。お金に余裕があってもだ。
        問題は、認知症高齢者や障害のある人で、利用の必用性がある場合、その多くが老齢年金や障害年金を頼りに生活されている。生活保護受給者であれば、全国のほぼほとんどの市町村の「成年後見制度利用支援事業」で報酬助成の申請・受給ができる。障害者総合支援法では市町村の必須事業とされているので、未実施のところは問題である。
        この事業、地域差はあれども、概ね、生活保護受給者だけでなく低所得の人(およびその後見人等)が申請できる対象者とする内容となっているものの、年収、預貯金の上限要件というものがある。一定額の預貯金(300万円もしくは350万円という設定が多い)があれば、そこから取り崩すこともしばらくは可能だろう。しかし、収入要件は年に150万円以下というものが多い。進んでいるところでは収入要件を年収ではなく「非課税であること」としてきている。進んでいるところでは、である。
        後見人等の報酬は、非課税など低所得の方の場合、年額20〜30万円(在宅と入所・入院で異なる)程度で、地元市2つの実際の事業の予算・実績を見ると、10数件から20件程度と思える。職員一人分の人件費に相当すると考えて良いだろう。
        もし、後見人抜きで、対象者の医療、介護や障害福祉の申請・手続き、契約、支払い、預貯金管理など個別・随時の対応を行政「サービス」(本来そうすべきもの)としてプッシュ型で行っていたら、職員一人でやれるだろうか? 家族の負担はどれくらいだろうか? 見える化されないネグレクトは、いったいどれくらいあるのだろうか?
        お金があってもなくても、これらの「手間」は同じである。行政は「申請主義」で逃げるばかり。そうした矛盾の谷間・隙間を埋める制度としても、成年後見制度は、いろいろあっても動かざるを得ない。
        成年後見人を必要とする人は増え続けることに違いはなさそうである。でも、利用者も、後見人も増えない。制度改善をめざす見える旗を振っている人は、探さないと見つからない。日本の社会福祉の現状をまざまざと映し出している。予算を増やさないばかりか減らそうとしているようにも思える。(今、地元市に1件助成申請していて、年収要件で引っかかっているためだろうが、昨年まで支給決定されていたのに、今年は1か月半が過ぎてもその決定の可否通知が来ない)
        国葬などやっている場合ではない。
        37 向日市タクシーチケット事業要綱「改正」に伴うトラブルなど
        2022/05/30
        向日市の「福祉タクシー事業」の実施要綱が「改正」されたことに伴って、前年まで申請・受領していた身体障害のある被補助人が突然「対象外」とされました。
        これについて、補助人として(代理権はないものの)、福祉専門職有資格者として、市の障がい者支援課と懇談の場を持つことができました。
        併せて、今月26日にあった住宅火災への対応、成年後見制度利用促進についての考えも問いました。

        以下、「相談・確認したいこと」の文面です。現物は以下のURL、若しくはページ下部のPDFでご覧下さい。
        http://ss856941.stars.ne.jp/kannadata/soudan-kakuninn202205_20220530_0001.pdf

        懇談の内容は、以下のURL、若しくはページ下部の画像でご覧下さい。
        http://ss856941.stars.ne.jp/kannadata/kanikeikikanate202205_20220530_0001.pdf

        向日市市民サービス部様 障がい者支援課様   
        2022年 5月 30日 

        障がい福祉課窓口で相談・確認したいこと


        いつもお世話になっております。
        精神保健福祉専門職(有資格者)、成年後見人等として、いくつか相談・確認をさせてください。
        (略儀をお許し下さい)

        1.向日市福祉タクシー事業の「改正」について

        私が補助人をしている市内在住の高齢身体障害者である被補助人(単身、賃貸住宅、要介護3)が、先般、市からの通知に沿って移動支援事業を利用して「福祉タクシー事業」の申請に行ったところ、「今年から要綱が改正され、対象外となった。診断書を再提出するようにと言われた。昨年までもらえていたのになぜ急に無理になるのか?と問うと、さらに説明をされたが理解できない。訪問診療医に診断書を書いてもらうのもタダではないし、申請に行くだけでもタクシー代の往復分がかかる。再申請をすれば2倍の費用がかかるから諦めることにした」とのことです(申請は郵送でも可との説明理解は不明、(ご案内)も手渡されたが)。本人は機嫌を損ねるどころか怒りが激しく、訪問面会においても会話にならず、(ご案内)はゴミ箱に入れられました。
        本人の障害者手帳(手帳申請申請当時の自治体発行)には、障害名「右脳内出血による左上下肢機能障害」、身体障害者等級表による種別「2級」とされています。


        向日市福祉タクシー事業はその実施要綱(昭和56年3月31日策定)では、
        (目的)第1条、外出困難な障がい者に対し、タクシー料金及び障害者用自動車のガソリン等の代金(以下「ガソリン代」という。)の一部を助成することにより、障がい者の生活行動範囲の拡大及び社会参加の促進を図り、もつて福祉の増進に寄与することを目的とする。
        とされています。
        「地域共生社会」の実現、障害者の差別禁止・社会参加の促進等、時代の求めに即した市の独自事業として有り難いものと認識致しております。
        ところが、本年4月より、以下の内容で「要綱を改正します」とされました。
        令和4年度から要綱を一部改正し、以下の点が変更となりました。
        (略)今後、手帳の表記が上記に該当しない方は福祉タクシー利用券の対象外となります。必ず手帳の表記と上記の内容をご確認ください。

        これにより、本被補助人は「下肢」の障害等級がわからないとの理由で非該当と判断されたようです。

        全国の自治体における同様の事業を見ると、それぞれに本旨は類するものの、詳細において、特に対象とする身体障害者の障害等級については二極化しているようです。つまり、当市のように「下肢」について2級以上であることを要件とするもの、身体障害者手帳2級以上であることを要件とするもの、の2つです。

        本被補助人の手帳からは、「下肢」の障害の程度や等級を切り取って判断することはできません。そのために貴課は、主治医による改めての障害状態を特定する書面が必要と考えられ、当該医師宛にその依頼をされたものと考えます(送付された封筒には返信用封筒も切手も入っておらず、医療機関の負担となっているとのことです)。そもそも、申請時に医師の意見書(診断書)の添付を必要とする自治体は、ネットで見る限り見当たりません。

        以下、厚生労働省の障害等級等についての「通知」から抜粋します。

        〇「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」の一部改正について(平成26年1月21日)(障発0121第1号)
        (各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

        四 肢体不自由
        (2) 下肢不自由
        ア 一下肢の機能障害
        (ア) 「全廃」(3級)とは、下肢の運動性と支持性をほとんど失ったものをいう。
        具体的な例は次のとおりである。
        a 下肢全体の筋力の低下のため患肢で立位を保持できないもの

        〇身体障害認定基準の取扱い(身体障害認定要領)について(平成15年1月10日)(障企発第0110001号)
        (各都道府県・各指定都市・各中核市障害保健福祉主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長通知)

        2 障害程度の認定について
        (1) 肢体不自由の障害程度は、上肢不自由、下肢不自由、体幹不自由及び脳原性運動機能障害(上肢機能・移動機能)の別に認定する。
        この場合、上肢、下肢、体幹の各障害については、それらが重複するときは、身体障害認定基準の障害が重複する場合の取扱いにより上位等級に認定することが可能である

        <確認事項.1>
        今回の「改正」は、本市が昭和56年に策定し運用してきた要綱の解釈を変更したために生じたものと思われますがいかがでしょうか?

        ・そうであれば、昨年までに同様の申請でチケットを支給されていた障害者を「非該当」と切り捨てることとなり、当該障害者の社会参加の意欲や機会を減らし、経済的負担を増加させるという新たな「障壁」を本市が作ったこととなります。
        ・「非該当」とするのではなく、申請書の身体障害の対象者に記載を求める「障がい部位及び等級」を部位事ではなく、障害者手帳の等級のみにすることで、また、「下肢…のいずれかを含む」と変更することで、昨年までの利用者が切り捨てられることなく、医師への新たな負担も避けられるのではないでしょうか。
        横浜市・長崎市の案内、長岡京市・かほく市の申請書を添付しますので、参考にして下さい。

        <確認事項.2>
        「改正」の議論の経過、通知の仕方は、妥当なものだったのでしょうか?

        ・今回「改正」は市議会の議事を経ないで行えるもののようです。部内の議論・決済で行われたものとはいえ、補助人としては、その議論の内容や経過について、公文書開示請求も含めて、今回「非該当」になった被補助人にわかりやすく説明する必要があります。
        ・今回「改正」の通知は本年3月付けで市ホームページ及び(ご案内)書面で行われています。「非該当」となる障害者の多くが身体障害者であり、障がい福祉サービスや介護サービスを利用していると思われます。
        ・これら「サービス」を利用するには、相談支援事業所や居宅介護事業所と契約し、計画相談や居宅サービス計画書の作成が必要となりますので、それら事業所が、事前に「改正」内容や理由を正しく理解しておくことが不可欠と思いますが、今回「改正」ではそれらは行われておらず、申請時に「非該当」とされることで初めて「改正」されたことを知るところとなっています。該当するであろう障害当事者はもとより、各障害者団体、乙訓圏域自立支援協議会、乙訓障がい者基幹相談支援センター、乙訓福祉事務組合、各地域包括支援センター、各移動支援事業所、乙訓医師会等にも同様に、事前の説明やニーズの聴き取り・アセスメント、話し合いの場、「改正」決定後の通知・周知も丁寧に行う必要があったと思います。
        ・また、障害の程度について、症状が固定し、永久認定になっている障害手帳をお持ちの障害者の申請においては、医師の意見書(診断書)を必要とする必要性はないと思います。

        2.寺戸町永田において5月26日に発生した火事について
        高齢者が火災により死亡され、怪我を負い、住居・財産を失う等、被災されています。

        <確認事項.3>
        今回の火災において、支援の制度がありながら「非該当」等となって支援が届かなかった、ということはなかったのでしょうか? また自然災害に限らず、高齢者、障害者、支援を要する人への火災等での被災時に、行政各担当課からの重層的・多面的なプッシュ型の支援が必要と思いますが、いかがお考えでしょうか?

        ・亡くなられたのは80代の単身生活の方、怪我をされたのも高齢の方々だったと聞きます。向日市は住宅密集により、火災発生時の類焼危険性が高い地域と聞きます。自然災害を想定した、災害時の要支援者登録は取り組まれていますが、実際には支援が必要であるにも関わらず登録を躊躇っている方も多いようです。具体的に災害が発生し、要請があれば動く、では初動が遅く、必要な支援が届かないことは想像に難くありません。火災、台風等の風水害、突然の土砂崩れや建造物の倒壊等、高齢者や障害者が被災するリスクは高く、他の部局や地域の各種機関・団体等と連携してこうした災害被害に備える必要があると思います。

        3.成年後見制度利用促進について
        第6期向日市障がい福祉計画・第2期向日市障がい児福祉計画によれば、向日市における成年後見制度利用支援事業の令和4年度・5年度の【サービスの見込み量】はそれぞれ7人・8人とされています。第5期の実績が5〜6人で、自然増を見込んだものと思われます。
        国・厚労相は「第二期成年後見制度利用促進基本計画」(令和4年度〜令和8年度、令和4年3月25日閣議決定、同日各都道府県・市区町村 民生主管部(局)長宛て通知)に基づき、権利擁護支援の地域連携ネットワーク、重層的支援体制整備、市町村長申立てと成年後見制度利用支援事業の推進、担い手の育成等をさらにすすめるために、5月27日にも第158回市町村職員を対象とするセミナーをオンラインにて開催しました(私も視聴しました)。同事業の全市町村における実施率は94%となっていますが(100%をめざして未実施市町村に要請をしています)、申立費用・報酬の一部助成について生活保護受給者のみを対象としている市町村が少なくないため、非課税・低所得の人を広く対象とするように要綱改正等の取り組みが強く促されていました。
        利用支援事業とともに、成年後見制度利用促進法(平成28年4月15日公布、同年5月13日施行)に基づく市町村での取り組みが求められているところです。

        (地方公共団体の責務)
        第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、成年後見制度の利用の促進に関する施策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

        第五章 地方公共団体の講ずる措置
        (市町村の講ずる措置)
        第十四条 市町村は、成年後見制度利用促進基本計画を勘案して、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるとともに、成年後見等実施機関の設立等に係る支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
        2 市町村は、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関して、基本的な事項を調査審議させる等のため、当該市町村の条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くよう努めるものとする。

        <確認事項.4>
         本市の成年後見制度利用支援事業を、非課税の低所得者が対象とされるように柔軟な対応ができるものに要綱を改正することをお考えではありませんか? また、成年後見制度利用促進法および第二期成年後見制度利用促進基本計画に基づき、本市における利用促進基本計画の作成およびその実施、そのプロセスにおける市民や後見人である専門職等の参加についてはどのようにお考えでしょうか?

        ・本市における利用支援事業は収入・資産要件において、実質的には生活保護受給者およびそれに準ずる非課税所得者のみを対象としており、年収が150万円を超えるとこれまた「非該当」となってしまいます。150万円から家賃、そして後見人報酬を差し引けば、間違いなく基本生活費を下回ります。収入要件を撤廃すること、低所得の非課税の人が利用対象者となることが必用です。成年後見制度の利用について、そのニーズを広く市民、介護・障害福祉・司法関係者等から把握すると共に、支援事業の拡充や利用促進基本計画の作成を求めたいと思います。


        以上ご検討いただき、回答頂きますと共に、今後の向日市における地域共生社会の実現、障害者の差別解消や社会参加の促進に引き続きのご尽力をお願い致します。

        今後とも宜しくお願いします。
        36 B&Y for Peace - 改詞
        2022/04/27
        2月後半、北京で開催されるパラリンピック開会を目前に、少し前から危ぶまれていた大国による隣国侵略戦争が始まりました。軍事侵攻した大国は「特殊作戦だ」としていましたが、侵攻を受けた国はもとより、多くの国が、そして同国内の人たちからも侵略行為であり、民間人への攻撃も大々的に行われる大量殺戮、破壊、強奪・略取であると認識し、一日も早い戦争の終息を願いました。
        激しい首都への侵攻がSNS、ネット、メディアでも報じられ、青と黄色の国旗を守る戦い=戦争が、2022年の今まさに始まってしまっていること、それが道理なき侵略行動であること、国連の場でも侵略国側の政府が嘘を平然とつき通すことなど、怒りを感じ続けています。
        歌を作る者にとって、画面の向こうとは言え、人の命や平和な暮らしが奪われ壊されることを「他人事」にすることはできません。今、こうした怒りや、何もできないもどかしさなどを表現しておかなければ…という衝動に駆り立てられ、「B&Y for Peace」を作りました。
        戦争反対、侵略者は出ていけ、命を守ろう…。ストレートな言葉は使わずに、詞としてもそれなりに整いつつ意味が伝わる。アコギ一本で、聴いた人の耳に残る。そんな曲にしたいと、パーカッシブな音作りをしたつもりです。
        歌詞は3月4日に作り、曲も入れましたが、戦闘行為は範囲を拡げ、終わりが見えない沼化していく中で、3月14日に一部の詞を改めました。
        2番のBメロ部分。
        <当初>
        …どんな理由を押し付けようと こどもを決して傷つけるなかれ
        <改詞>
        …人の 子どもの 命を奪う 愚かな者を 決して許さない

        よろしければ聴いてやって下さい。チャンネル登録もお願いします。

        hidemi kinoshita チャンネル
        https://www.youtube.com/channel/UCoHq51Hrsh3Z8P3zKGEeI3A
        ↘歌詞はこちらからご覧いただけます。 
        35 『大地』5周年を迎えて 寄稿
        2022/01/11
        乙訓不登校を考える親の会『大地』5周年記念誌「そのままでええねん」の巻頭に寄稿したものです。

        乙訓不登校を考える親の会『大地』5周年を迎えて

         「親の会を作るのでアドバイザーになってもらえませんか?」「この日を16年間待っていました」と答えたのを思い出す。来られた二人は、私が元不登校の子どもの親であることを知っていた(詳細は私の事務所のサイトで…)。
         小・中学校の不登校(年間30日以上欠席)が増加し2001年度に13万人を超えた。その後減少期を経るが2019年度は18万人を越え、さらに増加傾向にある。
         不登校に対する考え方や呼称も大きく変わった。学校恐怖症、学校嫌い、登校拒否、そして不登校…。2016年に教育機会確保法が成立し、学校以外で学びを受けられる環境は、コロナ禍の影響もあり多様になっている。学校に「行かさなければ…」「再登校させなければ…」という親や学校による「大人の圧」は低減しているが、何か解決の光が輝いているわけではない。子も親も教師も悶々とし続けている。
         その悶々を共有し、一緒に考えることを目的とした「親の会」。全国レベルの連絡会も25年の歴史を持つ。公助がない中で自助を支える地域の共助組織として、子と親に安心と勇気を紡ぎ合う不可欠な存在になっている。
         『大地』は、かなりユニークな「親の会」である。毎月の定例会運営だけでも相当なエネルギーを要するのに、地元の教育委員会の後援を頂きながら地域に不登校の理解を呼びかけるフォーラムや講演会の開催、卓球を楽しむ親子の活動、地元のお寺の協力を得た子どもの居場所、それに便乗した?親の居場所、バーベキューやそうめん流しなどのお楽しみ会、学習会やワークショップ、地域のイベントへの参加、市町の適応指導教室の拡充を求める取り組みなど、多彩多様に楽しんでいる。支援者、関係者の参加も多い。
         不登校の数だけその原因・理由・経過はあるのだから、一括りにはできない。直面した子と親にとって、もがき悩みながら共に人生を見つけていく営み。だから、支え合う中でこそ味わえる、人間的な共感や喜びは普遍的かつ有意義で、そして重い。家庭や個々の問題として抱え込まれることなく、地域で共に生きる課題として共有し、すべての人が豊かな気持ちで居られる、解の無い問いを包み込む地域となることを願いつつ、あの日から5年を迎える。

        『大地』アドバイザー 教育と人間関係の相談室カンナ 代表 木下秀美
        34 『大地』5周年記念誌が完成しました。
        2021/12/28
        「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の5周年記念誌のご案内

         向日市を拠点に活動している「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の発足時よりアドバイザーをさせていただき5年を迎えました。年度当初より実行委員会を中心に取り組みを進め、12月に5周年記念誌が出来上がりました。
         本会の設立まで乙訓地域には不登校の親の会はなく、2人から始めた活動は、毎月の定例会を基本として、イベントを含めて延べ800名に参加いただけるものとなりました。  不登校の体験談(親・子)だけでなく、支援者・関係者、月例定例会・特別例会(イベント)、居場所活動、自主的な取り組み、通信制高校情報、親・子それぞれから集約したアンケートに基づいた集計・分析などなど、5年間の活動で会員(こどもたちも含めて)みんなが力にしてきたことがまとめられています。
         「こくみん共済 coop 地域貢献助成事業」を受けての印刷で、700部限定の冊子ですが、配付して終わりではもったいないと、PDFでダウンロードしてご覧いただけるようにしました。  私からの「謹呈文」と合わせてお読みいただければ幸いです。
         引き続き、ご支援・ご指導をよろしくお願いします。



        「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の5周年記念誌pdf1_17


        「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の5周年記念誌pdf18_41

        「乙訓不登校を考える親の会『大地』」の5周年記念誌pdf18_41

        謹呈文



        『大地』テーマソング:僕は僕(『大地』のうた)
        (Youtube)
        33 成年後見制度、成年後見制度利用支援事業をご存じですか?
        2021/10/24
        ■成年後見制度とは?
         法務省のwebサイト「成年後見制度・成年後見登記制度」では、
        認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。
        と紹介されています。
         https://www.moj.go.jp/MINJI/minji95.html
         同サイトのパンフレットなどをご覧いただきたいと思います。

         「判断能力」の状態によって、後見・保佐・補助の3類型があり、「援助が必用…」とされる保佐・補助では、何を法定代理で後見人等に頼むのかを選択できます。
         例えば、通帳等は管理して欲しいけど一定の現金や生活費用の通帳は自分で管理したい、どの病院に行くかは自分で判断したい、今は自分でできるけどいずれは頼みたい、など。
         資産や預貯金の管理はイメージしやすいと思いますが、適切な医療や介護等のサービスを受けられるように手続きや契約をするなどの「身上監護」はこの制度の「車の両輪」と例えられる大切な代理権(及び取消権)が含まれます。
         私たち福祉専門職(精神保健福祉士・社会福祉士)が成年後見人等を受任する場合は、資産管理はもちろん、身上監護をとても大切にします。認知症や障害の状態や進行に応じて、適宜サービスを利用する医療・介護の事業提供者や行政の窓口等と連携して、その方に必用と思われるサービス利用やその変更、新たな契約等を代わりに行います。

        ■利用するには?
         法定後見制度の場合は、ご本人やご親族(三親等内)が「利用したい」という意思があり申立すること、医師意見書によってその必要性が判断されること、家庭裁判所に後見等の開始の審判(家事審判)申立を行うことが必用で、開始となるか、誰が後見人等に選任されるかは家庭裁判所の判断となります(申立時に後見人等の候補者を申請することもできます)。
         申立には、所定の手続き・費用が必用です。一般の方には家事審判の申立はハードルの高いものとなるため、弁護士や司法書士に手続きを委任することが多いです(所定の申立費用に加えて委任費用:資産等に応じて概ね10万円〜15万円が必用)。生活保護受給者や非課税世帯の場合に、法テラスの法律扶助制度を利用することもできます。
         家庭裁判所から後見等の開始の審判が下ると、選任された後見人等(後見人・保佐人・補助人)が活動を始めます。後見人等は就任後1か月を目処に、被後見人等の資産・預貯金や医療・介護等の利用を含めた生活状況を財産目録・収支予定表等で裁判所に報告します。そして、1年後に事務報告・財産目録・収支予定表等を提出し、報酬付与審判申立を行い、裁判所から報酬が決定されます(資産に応じて概ね年間20万円〜)。

        ■成年後見制度利用支援事業とは?
         報酬額を聞かれて驚かれた方も多いと思います。1月あたり2万円程度〜。これを高いと考えるか、必用な報酬額と考えるかは大切なところです。ご本人やご家族が資産管理や身上監護を行ったとしても、当然金額として見えないコストはかかります。また、物理的に行えない場合、誰かに代わりに行ってもらう必用がありますので、対価としての報酬が発生します。このあたりを事前にご相談いただけるように、当相談室では後見制度利用相談を行っています。
         生活保護受給者や非課税世帯の場合に、市町村が実施している「成年後見制度利用支援事業」の利用を申請することができます。報酬を、ご本人の預貯金から拠出できない場合に、市町村がこれを助成することができる制度です。全国のほとんどの市町村で制度の要綱整備・実施がされていますが、まだ取り組まれていないところもありますので、事前に調べておくことが必用です。
         成年後見制度利用支援事業は、介護保険法では市町村の地域支援事業の任意事業として、障害者総合支援法では地域生活支援事業の必須事業と定められています。また、成年後見制度利用促進法の制定に伴い、制度の利用促進やその基盤整備が市町村に義務づけられています。
         <参考webサイト>
         ・成年後見制度利用支援事業の実施状況について - 厚生労働省
         ・成年後見制度の利用促進について - 地方厚生局

        ■成年後見制度についてお気軽にご相談を!
         相談室カンナでは、代表が専門職後見人として後見・保佐・補助の各類型の法定後見人として活動しています。
         制度の入口から、具体的な疑問について、丁寧にご相談対応いたします。
        32 不登校の(だった)こどもたちに概ね共通する学校に行けない(行かなくなった)理由
        2021/10/19
         新しいwebサイトが、ようやく安定してきたので(といってもまだ工事中)、研究ノートを久しぶりに書いてみます。

         個人の相談室の相談・カウンセリングでも、不登校の親の会でも、「不登校の理由」は当然ながらよく話題に出ます。具体的な理由がわかれば、どうにか対処・対応したくなりますよね。
         気を付けたいのは、その考え方に「再登校」「学校復帰」を望む大人の願望がないか?です。その視点で理由探しをしても、何かが解決・解消して、大人の望む「再登校」「学校復帰」に至ることは稀ですし、もしそうなったとしても本人は無理をして「行くことに」してくれたのだと思います。
         「親がそこまで言うのなら」「先生が自分のためにそこまで動くのなら」と忖度し、でも「本当に大丈夫か?」と疑いつつ…。
         数多くの当事者から、行かなくなった当時のことを聴くと、「なぜだかよくわからないけど、急に行きたくなくなった」という答えが返ってきます。
         さらに、時間をかけて、時間を経て教えてくれる「ふり返って考えれば…」の「不登校の理由」は、概ね次の3点に共通しているようです。

        1.大人数の狭い空間が嫌
        2.(先生などから)何をするのかを指示されるのが嫌
        3.自分がやりたいと思うことを自由にさせてくれないのが嫌

         一定数の当事者にアンケートに協力してもらうなどしてデータを集めれば、それなりの根拠のあるデータに基づく研究としてまとめられると思いますが。
         また、この3点の共通項が、神経発達症とされる自閉スペクトラム、ADHDの特性にも当てはまる点を見落とさないことが大切です。特に感覚過敏、社会的状況に合わせることの苦手さ、限定的な興味・関心。

         10月13日(水)、文部科学省が「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省初等中等教育局児童生徒課)を発表しました。

        ※↓のサイトからダウンロードすることができます。
        https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm

         いじめの状況、自死児童生徒の増加、そして不登校の増加が報道でも注目を集めました。
         小中学校の不登校については、196,127人と過去最高となっています。
         私が注目したのは、(4-8)不登校児童生徒への指導結果状況。不登校児童生徒数の中で、「指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒」と「指導中の児童生徒」に分けてをカウントしていることです。具体的には、「指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒」は54,884人(28.0%)、「指導中の児童生徒」は141,243人(72.0%)です。学校からの「指導」という関わりで「再登校」になったものの年間30日以上は休んでいる児童生徒は28%ということです。
         この数値を多いと見るのか少ないと見るのか、意見は分かれると思いますが、72%は「それでも行かない(行けない)」のが調査結果の数値であり、その数が増加傾向にある事実と向き合う必用があります。

         先にあげた「3つの理由」、「教室の授業そのもの」と思えませんか?
        31 「そだちカフェ」オンライン学習会&ミーティングでの講演
        2020/05/23
        「そだちカフェ」オンライン学習会&ミーティングでの講演
        もしかしてパートナーが、私も?—大人の発達特性について—

        子どもと親のそだちを語る会「そだちカフェ」が2020年5月16日(土)に開催したオンライン学習会&ミーティングでの講演。

        大人の「神経発達症・障害」の特性、その関わり方などについて、60分程話させていただいた録音と使用したスライドから動画化したものです。
        30 こどもとの関わりーワンポイント・メッセージ(コロナ禍の中で)
        2020/04/28
        こどもと、今世界で起こっている事態を話したり、学んで欲しい、そんなことをお話ししたいと思います。
        私も、先日、ある中の言い人とSNSでやりとりしていて、「あんた、ちょっと、気持ちがゆるんでるんじゃないの?」と厳しく、でも優しく指摘されて、そうだなぁと思いながら、そんなことを言ってくれる人がいることをとてもありがたく感じたところです。厳しい現実、正しく理解して、正しく対処していかなければなりません。
        コロナウイルスに関連して、いろんな言葉がテレビやネットで使われています。
        例えば、
        コロナ、WHO、クラスター、ロックダウン、政府、総理、記者会見、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、緊急事態宣言、専門家会議、都府県独自の自粛要請、ウイルス、肺炎、COVID19、感染、感染予防、重度・中等度・軽度、国立感染症研究所、医療現場、中国・武漢、アメリカ・ニューヨーク、イタリア、フランス、香港、感染者数、陽性・陰性、PCR検査、ワクチン、治療薬、免疫力、推移、割合、手洗い、消毒、アベノマスク、10万円一律給付、個人事業主、ソーシャル・ディスタンス、インターハイ初の中止などなどです。
        この機会にちゃんと理解しておきたい単語や内容がいっぱいです。
        私も含めて、「テレビでよく聞くけど、説明しろと言われるとちょっと…」という方がほとんどだと思います。
        「よく出て来るけど…」「どういう意味?」「どうしたら良いの?」、が実際のところですよね。
        知識・理解、対処の仕方など、わからないのは、こどもも大人も実際には「同じレベル」じゃないでしょうか?
        大人は、こどもに比べるとこれらに関連する知識と経験があります。
        でも、こどもには新鮮な感覚で興味を持つ力、柔らか頭の抜群の吸収(理解)力があります。
        大人とこどもが、一緒に学習に取り組むことで、学習が楽しくなり、豊かな内容を身につけることができるはずです。
        (「こどもとの関わり 2.“コロナ”を一緒に考える」より抜粋)

        ↑そんな思いから、YouTubeチャンネル(hidemi konoshita)に動画をアップし始めています。
        #曖昧さに耐えよう
        #ピンチはチャンスの親子関係づくり

        ぜひご覧下さい。

        「こどもとの関わり 1.気持ちの切り替え」
        こどもが約束を守らない時、腹が立ちますよね。
        https://www.youtube.com/watch?v=jJufzWh_FAw

        「こどもとの関わり 2.“コロナ”を一緒に考える」
        コロナ関連のワード、こどもと一緒に学びましょう。
        https://www.youtube.com/watch?v=xlVZ2aFOK0o

        「こどもとの関わり 3.ギターでも弾いてみない」
        こどもとギター(何か楽器)を楽しんでみませんか?
        https://www.youtube.com/watch?v=-3QgtVnHVhg



        YouTubeチャンネル(hidemi kinoshita)をお楽しみに!
        29 学校における重大事故後の事後対応と『対象喪失』
        2020/03/18
        『心の傷を癒やすということ』安 克昌:著をちまちまと読んでいます。少しずつしか読めません。
        昨夜、「対象喪失」後の「悲哀の仕事」とその段階、こどもが体験した場合の反応・行動などの記述を…。
        フロイトが提唱した悲哀・喪の仕事、J・ボウルビーらが提唱したその段階、そして小此木啓吾が著した『対象喪失』-悲しむということ-で書かれている以下の文が思い出された。

        …あまりにも過酷な脅威や危険が迫っているときには、「情緒危機」は起こっても「悲哀の仕事」は、その危機が去るまで引き延ばされ、後回しにされる。(同書第5章 「悲哀の仕事」の課題と病理から)

        学校事故・事件など、こどもやきょうだいが、学校生活に起因する事故・事件で命を落としたり(自死や怪我)、重篤な後遺症と生きることになると、ほとんどの場合、「喪失」事態に続いて悪夢のような「苦」がすぐさまやってくる。いわゆる学校や教育委員会による「重大事故後の事後対応」によるものである。
        学校側に責任はないなど、逃れと隠しに躍起になって「組織的」対応をし始め、遺族・家族を苦しめ、突き落とし続ける。
        「悲哀の仕事」をじっくりと取り組むことができないまま、「おかしいんちゃうん?」「何が起こったのか、本当のことを知りたい」「何で嘘つくの?」と、行動を起こさざるを得ない。中には、ぐっと飲み込みながら、動くことすらできない人もたくさんいるだろう。

        私の場合も、もう20年が過ぎようとしているが、「悲哀の仕事」を順序立てて取り組むこと無く、長年経過しても行ったり来たり、どれも途上で振り出しに戻る感が否めない。

        キューブラロスによる「悲哀の仕事」の5段階は以下。

        ① 否認

        →自分の余命がわずかであることは「何かの間違えだ」と反論し、事実を受け入れない段階。

        ② 怒り

        →余命があとわずかであるという、事実は受け入れることが出来るが、「なぜ何も悪いことをしていない自分が死ななくてはならないんだ。」というような怒りにとらわれるような段階。

        ③ 取り引き

        →なんとかして余命を長くできないかと願ったり模索したりする段階。

        ④ 抑うつ

        →取り引きがどうにもならないと理解し、現実的に死を受け入れ、絶望や憂鬱に支配される段階。

        ⑤ 受容

        →生命に終わりがあることを冷静に受け止め、自分の人生の終わりを受け入れる段階。

        心理学用語
        心理学用語:喪の作業(モーニングワークス)より

        『心の傷を癒やすということ』では、PTSDのDSMによる診断基準も載せられており、改めて今も基準を満たしていることを再確認しました。

        いじめに限らず、事故や自死、後遺症など、『対象喪失』を背負う当事者・遺族・家族に、真の意味で寄り添う重大事故後の事後対応のあり方を学校現場や教育行政に真に求めます。
        28 「乙訓不登校フォーラムVol.2」をふり返って。(乙訓不登校を考える親の会『大地』、2019年9月8日開催)
        今回は「体験者に教えてもらおう」という前回(昨年)コンセプトを引き継ぎ、3名の体験当事者&3名の保護者、計6名に、凝縮された6つの現在進行形の物語を聴かせていただきました。今年は昨年よりも参加者がちょっと少なく、私を含めて100名でした。同じ地域(それもすぐ近く)で、「どれにも参加したい」と思えるイベントが3つ重なってしまったことも影響しているでしょう。とはいえ、100名が集まるフォーラムはやはり値打ちがあります。
        寄せて頂いたアンケート・感想のほとんどが、生の話しが聴けて良かった、よく話してくれた、知ったことを地域で(あるいは家庭で)活かしていきたい、これからも体験者の声を聴かせてほしい、というものでした。
        アンケート・感想を参考にさせていただきつつ、コーディネーター(『大地』のアドバイザー)として、備忘として打ち上げ会を終えての振り返りを残しておきたいと思います。

        <乙訓の不登校フォーラムの独自性>
        ・学びから交流・共感、仲間作りへ
        『大地』が結成されてまもなく(この12月で)3年となります。毎月の定例会、年に1回の特別定例会(講演会、フォーラム)、学習会(発達障害など)、ワークショップ(居場所など)、親睦会(ランチ会、バーベキュー、流し素麺会など)、地域のイベントへの出店およびその準備などなど、「不登校」というテーマで集まったこどもと大人が入り交じって様々な体験を共有し続けています。
        2市(向日市、長岡京市)1町(大山崎町)が1つの保健圏域で、それを1つのエリアとはしていますが、京都市内などからも集まってこられています。
        不登校のこども、親だけでなく、行政(議員、職員)や社会福祉協議会、こども支援に関わる支援者の方々も参加いただいていて、「地域」の子育て支援を共に考え協働する1つの拠点にもなろうとしています。

        ・多様な学びと居場所の拡がり
        各教育委員会設置の適応指導教室、放課後等デイサービス、NPO法人運営の居場所利用、お寺のカフェ(毎週1回お借りして開催)、卓球(月3回位)などなど、こどものニーズからその実現に向けて柔軟にかつ大胆に、多様に取り組みや活用できる社会資源が拡がってきています。
        適応指導教室については、向日市ではそれまで週3日午前だけの開設であったものが週5日午前に拡充、それまで無かった大山崎町でも週3日開設が実現しました。まだまだ課題はありますが、適応指導教室に「適応」するこどもが居る事は事実です。学びと仲間作りの場としてさらなる充実に向けて取り組みが進められようとしています。
        NPO法人運営の居場所通所、放課後等デイサービスへの通所を通じて、学びと仲間作り、安心と自己肯定感を高めるこどもたちが増えて来ました。
        諸先輩方の体験などから、学校との関わり方を、その子に合ったものへと変化させ、「行かない」けど「嫌じゃない」関係性の模索をされる親が増えています。こども目線で一緒に考え対応していくことの大切さを実体験されています。

        ・不登校を生きるこどもたちの主体的参加
        講演会やフォーラムは、事務局の親が中心となり、会員である親が協力する形でスタートしましたが、昨年からこどもが準備段階・当日の設営や受付・アンケートの集約のための入力作業などに参加・協力してくれるようになってきました。今年は受付、会場設営を多数のこどもたちが積極的に
        手伝ってくれて助かりました。「親がやってるのを手伝う」ではなく、「自分たちのフォーラム」を成功させたい!という思いが伝わってきました。今彼ら彼女らが「居場所」と思えている所は、彼ら彼女らのものとなっています。

        <体験者の語りにこだわる理由>
        ・講演会や学習会は沢山開催されるので情報を提供すれば良い
        京都市などでは、教委主催の講演会が公開されます。ちょっと足を伸ばせば、様々な団体主催の企画に参加できます。そうしたものを地元で、という希望もありますが、講師をお招きして人数を集めて…という取り組みを年1回の大きなイベントにして良いのか?という段階に至ったのが1つの大きな理由です。
        こどもが不登校状態になっている親、学校や地域や親族として関わる人たちに、不登校の現実や体験をもっと知ってもらって、不登校に限らずこそだての悩みや困りに理解ある地域に変えて行きたい。そんな段階に辿り付いています。
        そして、3年あまり取り組みを続ける中で、現役不登校児童・生徒、体験者との関わり(家族なので当たり前ですが)が着実に増え、「フォーラムで発表しても良い」と言ってくれる体験者が出てきました。回を重ねる毎に増えて行くものと考えています。
        研究者・有識者・支援者などの著作は多数ある。不登校新聞を始め、メディア報道やネット情報も多数ある。だけど、もっと身近で具体的な、地域特有の課題も含めた不登校については、体験者が自らの実体験を語り、対話をして行く中であればこそ知ることができるもの。それは、学びとしてはとても有り難く、大きな感動と希望を与えてくれるものであることを、私たちは実体験してしまいました。
        理由・キッカケも、対応・経過も、その後も、十人十色、百人百様、千差万別の不登校。どう理解し、受け入れ、関わって行けば良いのか、そのヒントを沢山もらえるのは「体験者の語り」なのかな?と思うからです。

        <学校関係者の参加の増加>
        不登校をモンダイとして捉えると、学校と家庭はどうしても対立構図になってしまいがちです。それでは、何の解決・改善にもならないことを私たちは学んできました。
        特に昨年の1回目のフォーラム準備段階から、学校・教委関係者(教職員、元職、SC・SSWなど学校現場でこどもと関わる大人)にご参加いただいて、一緒に考え、悩み、取り組みを拡げて行きたいという思いが強くなりました。
        幸い、地元の2市1町の教育委員会に協力要請すると、後援をしていただけることになり、フォーラムのチラシは2市1町の全小・中学校で全児童生徒に配付されています。
        当日も、今回は1回目よりも学校・教委関係者の参加が増えました。参加してくれている教職員を見て、「嬉しかった」と感想を寄せてくれた親も複数おられました。

        そんなこんなで、教育・福祉・地域社会の様々な立場の大人たち、また、こどもたちの縦・横つながりの拡がりを実感できていることが、率直に嬉しいわけです。
        来年もVol.3をやることになりそうです。
        また、ご案内させていただきます。その節はよろしく…
        27 介護現場の「困った利用者」にどう向き合うか? 「発達障害」を中心に(3)
        2020/02/06
        <シリーズ3回目>
        ○合理的配慮をすべての障害者、高齢者に
        65歳までに「障害状態」と認定されている方は(障害者総合支援法では)「障害者」として基本的に扱われます。認定を受けるかどうかはその人次第です。介護保険サービスの対象となる65歳を越えた高齢者の多くが、視覚、聴覚、歩行などの運動機能、認知機能、生活習慣病などの内疾患などなど、何らかの「障害状態」にあるのではないでしょうか?
        2016年にスタートした「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)では、障害者を、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と規定し、障害者手帳の有無に関係なく「日常生活又は社会生活を営む上で障壁となる」ものによって「相当な制限を受ける」障害がある者と定義されています。
        同法は国及び地方公共団体に、「障害を理由とする差別の解消の推進」に向けた施策策定とその実施、国民に対しても「障害を理由とする差別の解消の推進に寄与する」ことを求めています。
        具体的には、差別的取扱いの禁止、障害者から社会的障壁の除去への意思表明があった場合に「当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮」をしなければなりません。
        また、各種サービスを提供する事業者にも同様の努力義務が課せられています。
        日本政府は2014年に国連の「障害者の権利に関する法律」を締結し、国連に批准書を寄託していて、障害者の権利の実現に向けた取り組みがさらに進められようとしています。
        長生きをすれば、誰もが「障害状態」となる、と言えば言い過ぎでしょうか。障害のある人への合理的配慮、そして何より人権の尊重を大切にした社会は、すべての人に優しい社会であると言われます。

        ○「同調圧力」を求める「教師/指導者」的な支援者にならないために
        元号は平成から令和とやらに変わったようですが、日本の義務教育(初等・中等教育)を受けて育った人は、「みんなと同じように」「他の人に負けないように」を是とする意識が染みついていないでしょうか? 「空気を読む」ことが求められ、忖度が政治の場であからさまに行われ、モンダイとして改善される気配すらない同調圧力の中を息苦しく生きていることに馴染んでしまっているようです。 発達障害の人たちが最も理解に苦しむ価値意識です。
        こうした空気や価値意識を「生存バイアス」と言います。「○○でないと生きていけないよ」「あなたのためを思って言ってるのよ」などと、日常的に使う言葉になっていませんか?
        介護保険サービスは、財源を理由にした点数制限制によって、「あてがいの支援(サービス)」になっているとの批判がありますが、ここでも制度のモンダイだけでなく「同調圧力」や「生存バイアス」が働いているように思えます。
        利用する個人の価値観や願いを差し置いて、「フツー」「○○だから仕方ない」といった価値観でサービスが組み立てられ提供されているという懸念がぬぐえません。
        障害や介護分野に限らず、教育や医療、行政においても、どこかに、利用者個人を「制度を知らない人」「わがままばかりを言う人」と考え、指導的立場で既存の枠に「良かれ」と思って押し込めようと…。制度、仕組みが非人間的なものになっているところもあるので、仕方ないのでしょうが。
        利用者が亡くなられた時、相続を協議する時など、その人への支援や介護が、「その人が求めたものだったろうか?」「家族・親族は納得できるものだったろうか?」と考えます。また、自分自身が将来「そうした支援や介護を受けたいと思うのだろうか?」と考えます。
        まだ少し時間がありそうなので、今、それまでに「できることをやっておきたい」、そう考える人が多数派になる時代を築けるように努力を惜しまないでいたいと思います。

        ※シリーズの最終回として、発達障害を理解する上で推薦したい図書を一つ。
        『発達障害—生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』/本田秀夫:著/SB新書/2018.12
        当事者理解のために、ASDとADHDの重複やそれぞれの濃淡のグラデーション、環境調整を中心とした関わり方などがわかりやすく記されています。

        26 介護現場の「困った利用者」にどう向き合うか? 「発達障害」を中心に(2)
        2020/02/06
        <シリーズ2回目>
        ○「発達障害」の理解
        「困った利用者」と思われる筆頭株は、「発達障害」を有するとされる人となるでしょうか。
        2005年4月1日に施行された「発達障害者支援法」。障害者の権利条約、その暫定的国内法である「障害者差別解消法」施行にあわせて2016年に早期発見・適切な発達支援をめざす内容などを盛り込んだ内容に改正されました。
        介護保険サービスなどの公的な法内制度においては、基本的にこの法に基づいて「発達障害」を有するとされる人への対応をしていかなければなりません。「発達障害」の定義、支援に関する基本理念、国・地方公共団体の責務、国民の責務、そして改正によって、地域での生活支援、権利利益の擁護、家族などへの支援、民間団体への支援などが明記されているからです。
        この法で定義されている「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」という障害名称などは、新しい精神科の診断基準(医療者が現場で一般的に使っている「DSM-5」)で、総じて「神経発達症/障害群」とされ、自閉スペクトラム症/障害、注意欠如多動症/障害、限局性学習症/障害などに変わり、診断の基準も日常の社会生活における困難さをベースとされるようになっています。これまでの広汎性発達障害(自閉症、ADHDを包括)やアスペルガー障害などの名称は消滅しました。
        支援法が改正され、文科省や厚労省がその改正を啓発する努力をしても、お膝元の学校教育や医療・福祉・介護などの現場では、なかなか理解が進まないのが実情です。これは、なぜでしょう?
        「神経発達症/障害群」について理解することは、どうしても面倒でやっかいなことと感じてしまいます。
        確かに、「神経発達症/障害群」の理解には「やっかいな壁」があります。例えば「生存バイアス」と言われるもの。昭和〜平成を生きてきた私たちはどうしても「フツーは…」「○○でないと将来困るよ」といった「狭い許容範囲」でマジメに生きること(それを子どもや他者に求めること)を「美徳」と考え、あるいは「良き指導」、「良き支援」と思い追い込み、「フツー」意識に対して疑問を持たない人が多数おられます。
        「みんなちがって、みんないい」を否定する人は少ないでしょう。ではなぜ、この「やっかいな壁」が低くならないのでしょうか?
        みなさんの回りに、次のような人は沢山おられるはずです。
        <変わった人、やっかいな人、回りが困る人、他者に迷惑をかける人、すぐに怒る(キレる)人、不必要に声の大きな人、周囲に配慮できない人、社会のルールを守らない人、人の話を聞かない人、自分が正しいと主観を押し付ける人、陰で悪口を言う人、嘘を平気でつく人、相手が怖がる(気持ち悪がる)人、欲深い人、コロコロと考えが変わる人、衝動的に買い物をしてしまう人、空気を読めない人、落ち着きのない人、同じものをいくつも揃えておく人、融通が利かない人、じっとしていることができない人、物を捨てられない人、ガチガチにルールを守ろうとする人、声の音量調節ができない人、内緒話をすぐにばらしてしまう人、ケチな人、約束を守れない人、マイペース過ぎる人…>
        上記の例で、前半と後半で違いがあることに気づかれますか? どちらも、本人は「これがフツー」と思って行動しているでしょうが、周囲が「迷惑」と感じてしまうタイプの人と考えられます。そして、前半は性格や考え方・態度に問題がある人、後半(コロコロと考えが変わる…以降)は脳の機能的違いなどによってそうした認知や行動が生じてしまう人と分けて考えることができます。「社会」が期待する考え方や行動の範囲を超えた(と多数派の人が考える)ところがあるので、「困った人」になってしまいますが、独特の感じ方、考え方、行動の仕方があるだけです。「社会」が寛容であれば「変わったところのある人」、むしろ「ユニークで興味深い人」として重宝される人となります。実際に、技術開発、基礎研究、文化・芸術、制度・体系の維持・管理などの分野で、時代を拓き、社会を守る役割を中心的に担って来た人たちの多くが、診断を受けるとすれば「神経発達症/障害群」となるかも知れません。みなさんがよくご存じの著名人で、診断をカミングアウトして活躍されている方が多数おられます。なかなかの「変わり者」ばかりではないでしょうか?
        法に触れるような迷惑行為であれば質されなければならないでしょうが、そうでなければ、その人の基本的人権が尊重され、持てる能力が発揮される場を保障しなければなりません。

        25 介護現場の「困った利用者」にどう向き合うか? 「発達障害」を中心に(1)
        2019/05/03
        <シリーズ1回目>

        説明しても分かってくれない、約束を破る、その日の気分で対応が変わる、どう見てもワガママなだけ…。こうした言動や対応に、支援者は困るものです。

        冒頭から辛口になってしまいますが、「困った人…」と思ってしまう時点で、「そう思っていて良いのか?」と考えて欲しいと思います。

        視点を変えると(リフレーミングすると)、「(幼児期〜学童期の)子どもと同じかも?」と思えませんか?

        ○共生社会に向かう時代と介護

        政府官邸も、内閣府も、文部科学省も、もちろん厚生労働省も、国民一人ひとりが豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けていくとともに、年齢や障害の有無などにかかわりなく、安心して暮らせる「共生社会」の実現を強調しています。共生社会は、誰もが社会にあたりまえに参加し、能力や状態に応じて役割を担い、相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会であり、それが実現できていないので重要な課題として取り組んでいこう、とするものです(「共生社会」でネット検索すると上位にヒットします)。

        しかし、現実(制度・サービスや現場の実態)との乖離はクッキリ見えてしまうし、何かのマニュアルがあるわけでもないので、「何すればいいの?」「どうせ無理だよ」となってしまいますね。

        みなさんの子や孫、みなさんご自身の老後を考える時、現状から、少しでも共生社会に近づいていて欲しいと思いませんか?

        要介護状態の高齢者は、これまでの人生を、これまでの時代を切り開き、築き、今日につないてくれた方々です。年を重ね、様々な疾患にも罹患し、目・耳など感覚器官や脳の認知機能にも衰えや障害が生じている病者であり障害者である人がほとんど、と言っても間違いではないでしょう(受診し診断を受けているか否かの違い)。

        そして何よりも、各々が、一人の人権を有する人である、ということが大切です。

        人生の終盤、自らの老化や衰えを受け入れつつ(これ自体が困難な課題)、現実の身体機能の変化を感じつつ、家族などに「迷惑を(できるだけ)かけたくない」と思い、必要とする医療・福祉・介護などの公的な支援を甘んじて受けながら生きていく選択をされた方々。できれば、まだ若かった頃に描いたであろう「自らの老後」生活をあきらめたくないはずです。

        私たち支援者が立つべき位置(目線)は、こうした願い(ニーズ)を、どうすれば一緒に実現できるか、近づけることができるか、というところではないでしょうか。
        24 学びと育ちの権利の主体としての子ども目線であり続けること
        2018年9月22日
        乙訓不登校を考える親の会『大地』アドバイザー、
        精神保健福祉士事務所・教育と人間関係の相談室カンナ代表、認定精神保健福祉士 木下秀美

         2018年9月8日に開催された乙訓不登校を考える親の会『大地』特別定例会のコーディネーターを勤めさせていただきました。地元の2市1町以外からも、当事者・家族だけでなく関わる学校・福祉・心理関係職やその卵?、間接的に不登校に関わっているという方などなど112名の参加(スピーカーの5名は除く)、70名からのアンケート回答(回収率62.5%)をいただきました。
         アンケートを読めば読むほど、企画・テーマ・運営などがみなさんのニーズにかなったもので、それぞれに新たな発見、思いを新たにしていただけたのかなぁと、主催側として重く受け止めています。子ども一人ひとりが大切な権利の主体者として堂々と生きられる社会をめざして…。反響の大きさに驚くと共に、『大地』の存在の意味や、子どもを支え合う地域のネットワーク作りの大切さを改めて感じました。
         企画・運営、当日のコーディネーターとして関わった者として、広報などにご協力頂いた方々に、自身の感想をお伝えすることで御礼に代えたいと思います。
         以下の文書は、後日に思い出しながら振り返り、フェイスブックへの公開投稿をしたものを一部修正したものです。ご一読いただければ幸いです。

        ■やっぱり、当事者・元当事者に教えてもらうのが一番!と改めて思う。小・中学校の発達段階では困難だが、高校年齢になると自分の気持ちをしっかりと、相手に対してわかりやすく忖度しながら話せるようになる人が少なくない。
         これまで行われてきた学校、教育、心理、医療などの角度からの、当事者本人や家族へのアプローチは、限定的で一方的で圧力的で侵襲的で的を得ない寄り添えないものになっていないか?学歴・学校化社会の押し付けの域を脱してないのではないか?など、考え直す機会にもなれた。
         不登校やその後のひきこもりは、個人や家族の問題として抱え込むべきものではない。「誰にでも生じうること」として、地域社会がより寛容に関われる環境づくりこそが大切。学校教育も、高い敷居を低くして、地域のさまざまな資源とつながりながら、この難題と一緒に向き合って欲しいと、改めて願う。
         後援や協賛などでご協力頂いたところには、アンケート集計を添えて御礼状が届けられる。教委や各学校にも…。

        ■学校で、教師から、かなり酷い扱いをされたことを機に(それだけではないにしても)不登校になっても、周囲の理解や、やりたいこと探しを十分にして、次のステップに移れると、不登校であったことがどうでもよくなるだけでなく、「あの先生は、きっと自分のような子どもがいるってことを知らなかったんだ」と、否定的でも受容的でもなく、客観的・寛容に認識できる人もいる。
         でも、この言葉はとても重い。

        ■彼ら彼女らが、学びを始めた(再開した)のは、学校ではなかった。
         ヒマ過ぎて、どの教科ならわかるか?と手に取った教科書、選んだ科目をサポートしてくれたのはネットの中の「先生」だった。
         放課後、休日の遊びと学びを提供する居場所に支えられた。
         転入した通信・単位制の高校で、やりたいことが見えて来た。
         高校は嫌になった(ならされた)ので高校卒業資格認定試験で全科目を取り、後に行きたいと思うようになった専門学校に進んだ。

         これらは、既存・既成の学校復帰や高校進学というコースではない。
         それぞれにつながり、切り開いた、独自の進路。教育行政が提供出来ないコースである。
         親・家族が、既存・既成のコースにとらわれず、過干渉せずに、ありのままの「不登校」と一緒に向き合う中で生まれた奇跡とも思えるが、小さな親の会主催の取り組みで、5人の体験者が、堂々と自らの「不登校」と今、そしてこれからを語ってくれたことに普遍性があるとも思える。
         一方で、個別性はもっと大切だろう。
         小・中学校の不登校は、再び13万人を超えている。10年経てば、13万人の不登校体験者が増える。
         公的な不登校支援の成果はどうなのだろうか?
         効果があれば、不登校は減ったのかもしれない。
         それは、イコール「回復」なのか?
         現実は平成24年度から増加に転じ、増え続けている。
         「チーム学校」という言葉が叫ばれ、学校という塀の中で「頑張る!」スタイルが再編されようとしているらしいが、5人が語ってくれた話とは、あまりにもかけ離れているように思えて仕方ない。
         もちろん、学校外の支援から、学校復帰?した体験者もいる。学校は、学校としての取り組みをして、両者が相互反応した結果、次のステージに進んだ体験者もいる。
         要は、学校が抱え込まないこと、個人・家族の自己責任で済まさないこと(ゼロトレランスの考えに取り込まれないこと)、家族が世間の学校・学歴社会信仰にとらわれずに「不登校」の子どもの力を信じること、使える社会資源を存分に浴びることを保障することではないだろうか。
         日本の学校化社会妄想は、薄く、根拠のない、子どもへの威圧的な押し付けと、自由や権利を奪う、即物的な親・家族、また学校の自己満足を満たす装置として動かされてしまっていることに、(遅ればせながらも)大人が気づくことの大切さを教えてくれたと思う。
        子どもの可能性を伸ばすも諦めさせるも、大人の価値観次第である。
         子どもの権利条約が実態化する社会を目指す責任が、大人に課せられていることを、改めて自覚する機会は、こうして子どもから提供される。

        ■「不登校」は、やはり学校側目線の言葉ではないか?
         教育を受ける権利を有する主体者である子どもの目線に立てば、学びたくてもそこで学べない、行きたくても行けない学校であること自体が、学習権が侵害された状態。学習権を保障する義務を負う学校設置者、大人社会は、そんな状態を速やかに解決・解消する責任がある。そこに行くか行かないかは、子どもが自由に選択できなければならないだろう。
         こうして目線を変えれば、「不登校」という言葉に違和感を感じてくる。
         学校に行ってようと行っていまいと、何かに困り悩んでいる子どもが、当たり前に素朴に困りを相談したいと思う大人が、今、存在するのだろうか?
         子どもの育ちを、無条件に受け入れ喜び、その感情をきちんと子どもに伝えている(応答している)大人が、今、存在しているのだろうか?
         子どもは、親や大人の、自己満足の対象にされていないだろうか?
         大人都合で過度に期待を押し付け、比較・評価し、無意識に平然と、否定し蔑む言葉をかけていないだろうか?
         良い子、頑張る子、厄介なことを言ってこない子どもであることを、(大人が)自分を主語に望み、期待に応えることを暗に感じさせていないだろうか?
         そんな自問をすることは、シンドくてツライ作業だろうけど、子どもはそんな大人の思いを疑うことなく真正面から引き受けようとしているはずである。だから、競争と比較、評価ばかりの学校社会は、シンドい場所、安心して学べる場所で無くなっている。
         そして、個別性の尊重や配慮があるとは到底言えない現状にも晒されている。
         折しも文部科学省の事務次官、初等中等教育局長などの幹部が処分され辞任するなど、文部科学行政の呆れる実態が明らかになった。
         そして、政権は変わらない。
         何を変える?
         どこから変える?
         誰が変える?

         繰り返しになるが、子どもたちに責任はない
        23 「薬で何とか…」の精神医療の課題は多いけど
         東大医学部附属病院精神神経科の近藤伸介助教らの研究チームが、三鷹市の社会福祉法人「巣立ち会」と共同で、精神科病院の長期入院を経て退院し、地域生活に移行した利用者254人を追跡調査し、精神疾患を有する人の平均余命が一般人口に比べて、20年以上短いことを明らかにしたとの報道を目にしました。

        精神疾患持つ人の余命20年以上短い – 東大病院研究チームが明らかに
        8/10(木) 20:00配信 「医療介護CBnews」
        https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170810-20000000-cbn-soci

         私が保佐人(成年後見制度の類型の1つ)をさせてもらっている方(被保佐人)が今年60代後半で亡くなり、文字通り「20年以上短い」人生を精神科病院で終えました。
         高血糖、糖尿病、深部下肢静脈血栓など、長期入院の中で、特に循環器系の内疾患が進行し、循環不全→多臓器不全という死因となりました。
         一時期、地域のグループホームで生活されていた時期に出会い、階段乗降時に意識低下で落下、意識不明で救急搬送、数日で打撲のみで退院となったものの、階段上(二階)に居室のあるグループホームに戻れなくて、長期入院していた精神科病院に入院し、次の生活の場を探すことも含めて成年後見制度利用となりました。
         精神科の診断名は、よくある「統合失調症」。ユニークな発想をされ、思ったことをズバッと言われ、どこか超越したところはありましたが、その病名の症状を感じたことはありませんでした。
         むしろ、血糖値の管理や、小刻み歩行、座っていても右へ傾く傾向、よく転ける、よくむせるなどの身体機能の低下・悪化や、買い物・収集癖、早食い(よく嚼まずに飲み込む)、長期の精神病薬の副作用・神経機能へのダメージを心配していました。
         結果、就任1年余りで、あっけない「老衰」死の事後対応をすることになりました。

         保佐人として、お金の管理はもとより、身上監護を担う者として、(少なくとも)この最後の入院生活が医療的に妥当なものであったかどうかを、自ら問い、可能な検証をするべきと思い、入院先の病院へ医療情報の開示請求をし、家庭裁判所への最終(終了)の報告に添えました。
         以下、その概略です。

        ーーーーーー

        ○○病院 様
        2017年 ○月 ○日
        連絡事項:医療情報の提供依頼

         ○月○日、○病棟にてご臨終になりました○○○○様の保佐人:木下です。
         長期の入院療養では大変お世話になりました。
         逝去後は○○(相続親族)、保護課等と相談しつつ、○○を喪主として会葬を伴わない火葬のみの葬儀を、地元で最も安価な業者に委託し執り行い、○○の所属する教会にて親族および関係者の偲ぶ会が営まれました。葬祭費用は、遺留財産(預金20万円余り)と病室に残された6千円余り、病棟からの荷物引き取り時に捜索し見つけ出した封筒に入った1万円と1万5千円にて奇跡的に支払うことができました。

         私は家庭裁判所から選任された保佐人として、○○様の資産管理と身上監護の任を担っております。
         死亡後の相続を含む最終報告をして事実上の解任となります(現在は死亡後処理の緊急対応として6ヶ月間の継続任務にあたっています)。
         ○○様は、平成○○年にグループホームに入所し7年間ほどの地域生活をされましたが、それ以前の20年強と、平成27年○月に○○病院(総合病院)から転院して以降は、貴院にて療養生活をされていました。
         地域生活時には、障害福祉サービスを利用して、共同生活援助(グループホーム)、生活訓練(○○事業所)通所を行い、精神疾患以外の内疾患については糖尿病等について専門外来等への通院をしていました。また、この時期には要介護認定を受けて介護保険サービス利用も行っていましたが、入院と共にこれら専門外来通院、サービス利用が停止しました。
         身上監護を任とする保佐人として、平成28年○月○日以降の医療・介護等について適切な対応ができていたかどうかの検証を自ら行い、裁判所に報告することになります。
         この度の6○歳での死亡に当たり、貴院で記された死亡診断書では、Ⅰ:(ア)直接起因「多臓器不全」(○日)、(イ)(ア)の原因「循環不全」(○日)、Ⅱ:Ⅰに影響を及ぼした疾病名「糖尿病」(30年2ヶ月)とあります。また、深部静脈血栓症等との診断も受けたことがあるとも聞いております。
         死亡直前の主治医からは、「様々な病状が急激に悪化し、老衰と考えて良い状態」等と説明を受けましたが、6○歳での「老衰」は一般的なものではありませんので、裁判所への説明が必用と判断しました。これら死因に関する病状に関して、どのような医療的ケア等が行われてきて、それらが適切であったのかどうかをふり返る必用があります。

         他に成年後見人等を受任し死亡に至ったケースや、障害や症状が継続することになったケース等でも、必用と判断した場合には他の医療機関(○○病院、○○病院、○病院、○○病院等)に情報提供(カルテ、治療・療養経緯説明、レントゲンや内視鏡画像等)を求めてきました。また、いわゆる「困難ケース」等に関しては基幹相談支援センター等が開催するケース会議等に参加し、他医療機関(○○病院NSW、○○NSW、等)、行政(障害福祉担当)、居宅介護サービス事業所、相談支援事業所、保健所(特定疾患等のある場合)、訪問看護、訪問診療医、乙訓消防本部(救急要請が頻回な場合等)等と情報共有しつつチーム支援に取り組んで頂いて来ております(貴院に対して参加要請がされた場合に貴院からの参加がこれまで無かったことを残念に思っています)。

         ○○様の循環不全、糖尿病等内疾患に関して、貴院入院中の治療・看護情報の開示を書面で提供いただきますようお願い致します。裁判所への報告期限がありますので、○月中での開示にご協力願います。開示に必用なコピー代等は、当方にて負担させて頂きます。

         今後とも宜しくお願いします。

        ーーーーーー

        <家裁への報告(上申書)>
        京都家庭裁判所 後見センター 様
        2017年○月○日
         故○○様の保佐人をさせていただいていた木下です。

         ○○様の身上監護に関して、別紙の通り、最終入院先となりました○○病院での療養経過について、本年○月○日付けで同病院に医療情報の開示請求を致しました。

         病院からは同○月○日に開示が行われ、私なりに精査を致しました。要点は以下の通りです。
        ・直接死因の多臓器不全についてはその通りです。
        ・その原因となる循環不全および影響を及ぼした糖尿病については、開示請求対象期間当初より既往症状として医療的対応がされていますが、血糖値の変動に対する対処に終始したと思われます。
        ・「原因不明の貧血」による転倒などが頻回にあり、中等度貧血、起立性低血圧の疑い、一過性の意識レベル低下等のカルテ記載がありますが、本年○月○日の血液検査から「鉄(fe)」が検査項目に加わり、基準値以下の数値が出ていますが、取り立てて対処された記録はなく、鉄欠乏性貧血に対しての疑い(○月○日に記述)や処置が行われないまま、頻回な転倒によるダメージが加わっていったと思われます。
        ・○月○日に急に向精神薬中止とされました。向精神薬の急な減薬・断薬は離脱症状や悪性症候群を引き起こす可能性が高いために、通常は期間をかけて微減していくものです。そのリスクを冒してでも断薬すると判断されたものと思われますが、それ以前に向精神病薬の継続投与の必用があったのかどうか疑わしいところです。カルテをみる限り、向精神病薬を必用とする精神症状があったわけではなく、年齢や今回死因となった内疾患症状を考えれば、早期から減薬していくべきだったであろうと推量されます。

         精神科長期入・通院、精神薬長期投与の患者への多剤・大量投与や長期入院が問題視されるようになってきていますが、○○様はまさしくその見本のような方でした。
         精神疾患に関しては特に、漫然とした(医療まかせの)身上監護にとどまる事無く、連携しつつも全人的な機能維持や回復をめざした後見等の活動を行う必用性を痛感させられました。

        ーーーーーー

         こんな感じで、福祉専門職職業成年後見人として、司法が精神科医療の課題を理解して行ってほしいと願いつつ、地味な取り組みをしています。
        22 「聴こえる声7種」仮説
        それは幻聴や、妄想や、ありえへん、おかしいんちゃう、病気ちがう、勝手なことばかり言って…。

        正直に思ったこと、聴いたことを話しただけなのに、場や相手によっては対応に困って、気づいたら措置入院になってました、という方に少なからず関わって来ました。
        措置入院までにはならないまでも、不登校やひきこもりになったり、いじめられたり、無視されたり…。辛い体験を重ねてこられた方に少なからず関わって来ました。

        『COCORA 自閉症を生きた少女』Ⅰ 小学校編(天咲心良:著、講談社:刊)
        には、2つの「声」と、夢の体験がリアルに書かれています。そして、彼女は、それらが自らが作り出しているものだと気づく…。
        この本を読んで、仮説にかなり確信が持てたので、アップすることにしました。

        1.現存する(今まさに体験する)人の話し声に、聴覚器官が反応して聴覚中枢を通して、「聴こえる」と認知するもの。
        2.自身の話し声に聴覚器官が反応して、聴覚中枢を通して、「聴こえる」と認知するもの。
        3.過去に体験・記憶した1.の「声」が、何らかのキッカケでフラッシュバックされ、聴覚中枢を通して、「聴こえる」と認知するもの。
        4.自身の思考(を意識レベルで読み上げること)を、聴覚中枢を通して、「聴こえる」と認知するもの。
        5.現存する他者が、自分に対して抱いているであろうと(思い込む)思考が生じることで、聴覚器官が反応して、聴覚中枢を通して、「聴こえる」と認知するもの。
        6.何らかのキッカケや刺激(何かが擦れ合う音や機械音など)に聴覚器官が反応し、3.および5.が不合理に神経ネッワークレベルで連結することで錯綜した情報(何らかの言葉を別人が発しているなど)を、聴覚中枢が「聴こえる」と認知するもの。
        7.おそらくはレム睡眠時の「夢」で創出された動画を、主観的な事実として認知・記憶し、1.の体験記憶として思い込んでしまっているもの。

        <参考>『幻聴の世界―ヒアリング・ヴォイシズ』
        「聞こえる」という訴えが、これらの中のどれなのか(あるいはこれら以外のものなのか)を聴き分けるスキルが、「支援する」、「関わる」人に求められている。それをしくじると、画一的に「幻聴」と扱われ、不適切な対処をされてしまう歴史を、まざまざと見てきた。
        21 「成年後見」という制度に「専門職」として関わりながら<1>
         <その1.制度と実態>
         私は「精神保健福祉士」という国家資格で「成年後見」という制度に「成年後見人等」として関わる時は、「専門職」=「職業後見人」として取り組んでいます。毎年家庭裁判所に後見人等としての活動や資産状況などの報告をし、活動実績に応じて審判される報酬を受け取る(非課税など低所得の方は市町村の成年後見制度利用支援事業を活用して)という仕事としてです。
         毎年数件はマスコミで、「後見人が(被後見人の)財産を横領…」といった事件が報道され、制度そのものの危うさが露呈されています。財産や権利を「守る」はずの制度が、故意に「奪える」仕組みとして利用されるという問題ですが、本質的にはもっと深い憂うべき本質があります。
         現在の制度は2000年4月、それまでの禁治産・準禁治産制度にかわってスタートしましたが、その契機となったのが介護保険制度の発足です。詐欺被害や相続問題などの増加もさることながら、介護保険サービスは「契約」によって行われるため、「契約」する「人」が必用となったわけです。本人が認知症、親族はいないか疎遠であれば、この仕組みは成り立ちません。制度を理解し、「つなぐ」人の存在も不可欠です。

         「成年後見」制度は、民法上の「判断能力」の考え方によって<3つの類型>があります。
         □後見:欠く状態にある □保佐:著しく不十分 □補助:不十分
         「判断能力」が全くない、あると言えない、支援が必要、という3段階ですが、それを「判断」する材料は申立時に提出する書面と調査(諸資料、医師診断書、本人への聴き取り)で、それでも裁判官が「判断」できない場合には精神鑑定が行われます。おおよそが精神科医による「判断」で類型が決まり、支援する人(後見人等)は裁判所が選任します(申立時に候補者を出すこともできます)。
         この「判断」で「後見」とされるか、「保佐」「補助」とされても「代理権」や「同意権」が付与されていれば、本人が「○○したい(したくない)」と意思を持っていても「判断能力」がないわけなので、後見人等が判断することになります。
         これは、現在の制度が「判断能力」がどの程度あるかは医学モデル(精神機能/脳機能の程度)による判断(権利能力説)によるためですが、国連で2006年12月採択され日本政府も批准した「障害者の権利に関する条約」(2014年1月20日公布)に反するものであるのです。例えば「お金」については…。
        第十二条 法律の前にひとしく認められる権利
        5 締約国は(略)障害者が財産を所有し、又は相続し、自己の会計を管理し、(略)平等の権利を確保するための全ての適当かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。
         成年後見制度は施行から16年、活用状況は低迷しています。最高裁事務総局家庭局がまとめた平成26年の概況によれば、全国の制度利用者数は毎年増加しつつ約18万5千人。全国の同年の申立件数は約3万4千件、約82%が「後見」開始(保佐は約14%、補助は約3%)。本人との関係では、約35%が親族、約65%が第三者でその内訳は弁護士:約6千9百人、司法書士:約8千7百人、社会福祉士:約3千3百人、他)。
         認知症、老老・老障介護、親亡き後の知的・精神障害、生活困窮とされる人の数を考える時、18万5千人という制度利用者数は決して相応とは言えません。しかし、制度を後見人等として支える第三者:主に「専門職」(職業)後見人等にも限りがありますし、その中には資産略取や権利を守るために為すべきことをしない「専門職」がいる実態もあります。

        (note22<その2.問われる専門性、問う制度のあり方>へ続く)
        20 裁判所が付与審判した報酬が支援事業で切り捨てられる件。
        生活保護や非課税の世帯で(収入・預金等の)「要件」を満たす方が成年後見制度を利用する場合に、申立費用や報酬を市町村が補助する制度が「成年後見利用支援事業」です。
         note18では、障害年金の遡及支払い分を過年度の「収入」と見なすのか、当該年度分だけを切り取って「収入」とみなすのか、を当該市に「嘆願」し、後者の立場で支給決定、今後も同様のケースが生じた場合にも対応してもらえるようになりました、
         今回のケースは、京都市の同事業の要綱が示す「要件」を満たす被保佐人が、着任後1ヶ月に満たない期間で死亡、保佐終了となったものです。
         保佐とはいえ、資産管理等かなりの同意行為を付与されていたため、着任後は、預金口座(2件)の名義変更、役所での介護・障害・医療保険等の窓口での送付先変更等、入所施設との契約やカンファレンスでの療養計画の変更(リハビリを増)等、一般的に着任後に行うほとんどの事務を行いました。
         本人(被保佐人)の急逝時点で解任となりますが、直前での預金の引出(家族=相続人が葬儀費用等に充てるため)、「応急処分」として相続に関するサポート:凍結された銀行口座からの相続手続きや役所の各窓口での諸手続等)、後見等終了登記、終了事務照会と報酬付与申立等を行いました。
         保佐人としての入口と出口の実務を行ったものの、就任期間が1ヶ月に満たないだけでした。家庭裁判所からは、相応の報酬付与審判を頂いたと思います。
         同市の利用支援事業の「要件」を満たす対象者であったため、要綱に従って報酬分の補助を申請ましたが、市の要綱の文面通りの解釈で、規定される報酬補助額月額の日割り分だけが支給決定されました。
         その解釈について、市長選挙の最中であった当時に、市長宛に「質問書」を出しての顛末記です。
         実際には、この支援事業は市町村によって内容や運用状況はまちまち、また「想定外」に対応できないため、暫時改定されていかなければならないもので、首長の解釈次第で柔軟に対応されているところもあるようです。
         今回の京都市の対応には「冷ややかさ」を感じました。
         第1ラウンドは敗退ですが、数年以内に改定されることを期待しつつ、ひとまずこの間のやり取りを公開します。
         皆さんからのご意見・情報など、お待ちします。

        <PDF>ある保佐事例の成年後見制度利用支援事業における報酬申請をめぐるやり取り。
        kyotocityshienjigyomatome.pdf
        kyotocityshienjigyomatome
        京都市:成年後見制度利用支援事業(申立費用・報酬支給)について
        http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000142400.html
        19 放送大学大学院での修士論文を公開します。
         放送大学教務課を通して、指導教官の許可を得て、私の修士論文を公開させていただくことにしました。
         もう4年前に仕上げたものですが、自閉症スペクトラムの方へのサポートがなかなか進まない中で、現在でも参考になるエッセンスが多いのでは?という自負から、また、自閉症スペクトラムを基軸とする「神経発達障害」圏への理解を広めていただきたいという思いから、公開を決意しました。
         生きづらさを感じておられる本人さん、関わるご家族や支援者の方々に役に立つものであれば幸いです。

        「自閉症スペクトラム(ASD)特性のある成人へのスキル獲得レディネスの発達の視点による、段階・状態別のサポート事例に見る有効な支援と課題 」
        木 下 秀 美(091-820293-7)
        放送大学大学院  文化科学研究科 人間発達科学プログラム
        (2011年12月提出/2012年3月修了)

        <概要>
         自閉症スペクトラム障害(ASD)やその特性のある人が、その特性や成長過程での心理社会的要因によってさまざまなスキルの獲得のためのレディネスの発達が多面的・複合的に阻害され、それらの獲得が遅れている、または獲得できないままでいるスキルを生活・就労面などで活かせるように獲得していくための具体的なスキル獲得のための相談支援や対人関係トレーニングによる実践等から検討・検証を事例研究により行い、それらの必要性および有効なアプローチや課題を明らかにする。

        <本研究が対象とするASD特性のある成人>
         DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引)によるところの、知的障害を伴わない「299.00自閉性障害」(高機能自閉症と通称される)、「299.80アスペルガー障害」および「特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)」と診断された、または診断にいたらないまでもそれらの特性が生活や対人関係において困難さを生じていると見られる青年・成人(Broader Phenotypeなどのより広い表現形をも含む)。2015年に予定されている国際的精神疾患診断基準の改訂(DSM-Ⅴ、ICD11)において、「広汎性発達障害」から「自閉症スペクトラム障害」へと名称が変更されることを前提に、その略称である「ASD(Autism Spectrum Disorders)」と基本的に表記することにする。

        <考察>
         成人のASDの特性のある人には一定の共通した部分がありつつも各々の生得的な違いやアンバランス、段階や状態があり、そのサポートには段階・状態に応じた構造化された個別の支援の多様な「器」が必要である。

        1.相談支援面接(カウンセリング面接)の有効性と課題
        2.集団的スキル・トレーニングの有効性と課題
        3.家族の学び、理解、関係性への支援の必要性
        4.トラウマ処理と自己評価を高める個別及び集団的支援の併行アプローチ
        5.就学・社会生活・就労を緩やかに支援する医療と連携した豊かな福祉的支援の必要性

        ↑こんな内容のものです。

        ↓PDF http://mhswkanna.starfree.jp/mronbun201112.pdf
        18 成年後見制度利用支援事業の「収入」要件について
        この8月、私が成年後見制度の保佐人に選任されている方の保佐人報酬に関して、長岡京市の成年後見制度利用支援事業を申請するにあたり、別紙の通り「嘆願書」(以下にPDF末尾に全文)を提出しました。

        長岡京市成年後見制度利用支援事業における「収入要件」にかかる嘆願書
        tangannagaokakyocity201509.pdf

        (長岡京市成年後見制度利用支援事業)
        http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/0000004733.html

         被保佐人は精神症状が10代より生じ、通院・ひきこもり状態で30年以上が経過しています。障害手帳は当初3級だったものを、保佐人に選任された後の昨年、再認定で2級となりました。
         障害基礎年金は、過去にもご自身・両親で裁定請求をされたことがありましたが、20歳前発症を証するものがないなどで窓口却下され、諦めていたものを、24年頃より社会保険労務士と協働して再裁定請求する方向でご支援してきたものです。
         様々経過を経て、この8月に、過去分(2年)を含めて障害基礎年金「1級」の初回支払いが行われました。
         本人はそれまで、父親の受給する高齢老齢年金から小遣いとして毎月少額をもらって生活していましたので、預金は30万円程。保佐人となった後は私が預金、収支を管理をしています。
         障害基礎年金受給は、本人にとって、今後の人生の経済的支えの根幹となるものであり、受給要件を満たす本人がきちんと受け取り、適切に活用できることは当たり前のことであり、妥協はできません。
         たまたま過去2年分が一括して支払われ、同事業の、「対象要件」の1つにある「年間収入が150万円以下であること」に、過去2年分の障害年金が一括払いとなったためにこの要件を満たさなくなるかも?をどう判断するか、柔軟な解釈などを求めた嘆願でした。
        ※詳細は「嘆願書」をお読み下さい。

         結果、同支援事業の申請は支給決定され、担当者より口頭ではありましたが、決定に至った経緯や解釈を説明いただきました。
         (2.障害年金そのものが非課税…)に関しては、国の「社会福祉法人等にいおる利用者負担軽減制度」で、障害年金等非課税対象の年金受給を収入と見なしても良いと、京都府を通して国から回答があり(検討に時間を要したこと)、よってこの「収入」要件は妥当であるものの、(1.)の過去分(25・26年度分)は各々の年度の収入とみなし、27年度分は150万円以下であると判断したこと、さらに、(6.要綱の改定または内規策定)は内規的に担当課内で申し送る決定をしている、とのことでした。

         障害のある方の老後を支える活動をされている多くの団体や組織が、この解釈をめぐって、「非課税である障害年金を収入とみなすべきではない」と取り組んでおられます。
         私なりにネット波乗りをして、国の解釈や実際の運用を調べてみました。

        <障害年金を「収入」に含めるとする解釈>

        社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度実施要綱
        平成18年3月31日
        告示第57号

        (目的)
        第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)に規定する介護保険サービスの提供を行う社会福祉法人等が、低所得で生計が困難であると認められる者に対し利用者負担を軽減することにより、低所得利用者の生活の安定と、介護保険制度の円滑な実施に資することを目的とする。

        (軽減対象者)
        第3条 この要綱による軽減対象者は、市が行う介護保険の要介護被保険者等(生活保護受給者及び旧措置入所者で利用者負担割合が5パーセント以下の者を除く。ただし、旧措置入所者で利用者負担割合が5パーセント以下の者であっても、ユニット型個室の居住費に係る利用者負担額は、軽減の対象となる。)で、市民税非課税世帯に属する者であって、次のすべての要件を満たす者のうち、その者の収入、世帯の状況、利用者負担等を総合的に勘案し、生計が困難な者として市長が認めた者とする。
        (1) 年間収入(収入には非課税収入、仕送り等も含めるものとする。ただし、事業収入及び譲渡収入については、収入から必要経費を控除した額とする。)が単身世帯にあっては150万円以下とし、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であること。
        (2) 預貯金等の額が単身世帯にあっては350万円以下とし、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下であること。
        (3) 世帯がその居住の用に供する家屋その他日常生活のために必要な資産以外に利用し得る資産を所有していないこと。


        ↑これらに基づいて、障害基礎年金や遺族年金等は非課税でありながらも、障害福祉サービスの利用料算定等に際して「所得」と認定されたり、「社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度」等でも「収入」に含まれることになっています。

        ↓一般的に運用されている「軽減制度」の紹介

        (東京都北区の例)
        http://www.city.kita.tokyo.jp/kaigo/kurashi/hoken/kaigo/teshutsushorui/documents/3.pdf
        (富士市の例)
        http://www.city.fuji.shizuoka.jp/kenkou/c0504/fmervo000000kstz-att/fmervo000001m1hz.pdf
        (神戸市の例)
        http://www.city.kobe.lg.jp/life/support/carenet/setsumeikai/img/20110318_7.pdf

        全国一律で、非課税年金も収入とされ、その額も同じです。



        <「嘆願書」全文>(個人が特定される部分は○○としています)

        長岡京市長 中小路健吾 殿

        長岡京市成年後見制度利用支援事業における
        「収入要件」にかかる嘆願書

         長岡京市におかれましては、障害者総合支援法等に基づく市町村事業(地域生活支援事業等権利擁護事業)としての「長岡京市成年後見制度利用支援事業要綱」を実効性高い内容に改定・拡充していただき、成年後見制度利用を必用としている生活保護受給世帯はもとより、それに準ずる低所得・非課税世帯等がその申立および報酬に関して助成を受けられるようになりましたこと、まず御礼申し上げます。
         私は○○○○氏(○○○○○○○○)の保佐人(京都家庭裁判所における平成26年○○月○○日付保佐開始・選任審判/平成26年(家)第○○号・第○○号事件)である精神保健福祉士の木下秀美と申します。
         保佐開始・代理権付与の審判が下る背景には、被保佐人が長期に渡って精神疾患罹患状態であることによる就労不能や判断能力等の低さ・困難さ、無年金、老齢年金収入のみで生活している父母と同居とはいえ、父親は心臓疾患等を含む持病がありつつ介護サービスを受け、母親もリウマチや呼吸器疾患等の持病がありながら夫の介護と息子である被保佐人の生活を支えており、その生活は正に困窮状態にあり、被保佐人はその父親からの月25,000円の小遣いをもらいながらひきこもり状態にあったことが大きく判断の根拠とされているようです。
         この度、被保佐人である○○○○氏について、家庭裁判所に対して保佐事務照会と共に報酬付与申立を行いその審判が下り、貴市要綱が定める所の「助成対象要件」を満たすと判断し、「報酬費用の助成」を申請するに至りました。
         一方で被保佐人は、10代より精神科等に通院し、精神症状が悪化・継続、生活はひきこもり状態で、両親と同居ながら無年金の単身世帯であったため、平成24年11月頃より障害基礎年金裁定請求を改めて行うこととなりました。社会保険労務士を代理人として平成25年5月1日に下京年金事務所において裁定請求受付、年金機構の審査を経て、厚生労働大臣による「初診日不確定」を理由とする却下決定(平成25年8月5日)、近畿厚生局社会保険審査官に対して「決定」内容に対する不服審査請求(平成25年10月8日)、同受付(平成25年10月9日)、同審査請求棄却(平成26年4月30日)、同再審査請求(平成26年6月23日)、同受付(平成26年6月27日)、厚生労働省社会保険審査会審理(平成26年12月12日)、同棄却裁決(平成27年2月27日)等を経て、「裁定請求にかかる決定の変更」通知(平成27年5月28日)、障害基礎年金決定通知書(平成27年6月25日)、年金支払通知書等(平成27年8月6日)、8月14日に平成25年5月以降分(過去分および8月支払分)として被保佐人名義預金口座に2,105,281円が振り込まれるに至りました。
         保佐人として平成26年7月1日〜平成27年7月31日の一年間の保佐事務・財産目録等の照会、報酬付与申立を家庭裁判所に提出した直前に決定通知が届き、提出後に(過去分を含む)初回支払いが行われたことになります。
         貴市支援事業要綱に基づけば、利用対象となる「収入・資産要件」のイの(2):「年間収入が単身世帯で150万円」以下との「収入要件」を一過的に満たさない状態となります。
         
         保佐人として本件に関して、以下の観点から「収入要件」を柔軟に解釈され、貴市支援事業の請求を受理いただけるよう嘆願するものです。

        1.本件200万円余の障害基礎年金「支払」は、過去分(2年)を含むものであり、本来であれば裁定請求を提出した日(平成25年5月1日)から「おおむね50日」には初回支払が行われるものであったが、却下、再審査等2年余を経て決定通知となったために支払が一括されたものであり、過年において受け取っているはずの「入金」が200万円余のほとんどであること。
        2.障害年金そのものが非課税であり、1.の「一括」がなければ「収入要件」を問うことがなかったこと。
        3. 今回障害基礎年金決定額が過年に支払をされていた額を全て預金していたとしても、本支援事業の「預金要件」に該当すること。
        4.私は財産の保存行為・管理行為等の代理権を付与された保佐人として、成年後見制度の基本理念(ノーマライゼーション、自己決定の尊重、身上保護の重視等)に基づき、被保佐人(本人)の資産を守り、身上監護において「意思尊重義務」「善良な管理者の注意義務」等を担いその権利を擁護する立場にあることから、今回の過年分を含む「入金」は被保佐人にとって重大な資産として守る立場にあること。
        5.「収入要件」によって貴市支援事業の請求が受理されなければ、単年度ながらも家庭裁判所から審判された保佐人「報酬」(261,360円)を、「預金要件」に該当しない預金の中から受け取ることことは、保佐人として、また精神保健福祉士として自己判断しかねる内容であること。
        6.本件は稀なケースではあるが、今後同様のケースが生じることが想定されるため、ケース毎の(その時の)対応とするのではなく、貴市の判断により必用と認められる場合は要綱の一部改訂または一定の内規の制定が必用と考えられるため。

         以上、宜しくご検討・ご判断願います。

        ※京都市は年間「収入」を対象要件としていないことを付記しておきます。

        2015年8月18日   
        ○○○○ 保佐人 木下秀美(精神保健福祉士)   
        ○○○○○○○○○○○○○○   

        ○○○○(被保佐人)   
        ○○○○○○○○○○○○○○   

        上記嘆願に賛同します。

        住所       (司法書士、主治医、各1名の賛同署名)
        氏名
        17 第6回とっとり自死遺族フォーラム
        講演②でお話しさせていただきました。(下に「講演の要旨」、参考資料リンク)



        2015年 第6回 とっとり自死遺族フォーラム 開催のお知らせ

        私は生きたい あなたとの約束 未来へ

        日 時  7月4日(土) 13:30 ~ 16:00

        場 所  倉吉未来中心 セミナールーム1

        ① 佃 祐世  約束の向こうに ~夫との約束、主婦から弁護士に

        ② 木下秀美  不登校自殺  ~息子の死から~

        入場無料  申込み・予約不要

        主催者   とっとり自死遺族自助グループ「コスモスの会」



        全国自死遺族連絡会
        http://zenziren.web.fc2.com

        フォーラムのチラシ
        http://zenziren.web.fc2.com/kaiinkatudo/2015kosumosu.compressed.pdf

        翌日の日本海新聞の記事
        http://www.nnn.co.jp/news/150705/20150705001.html



        ■講演の要旨
        家族・大切な人を自死で亡くした者が何を体験し、何を考え、生きるのか、一例として

        <長男の自死、その後の私 概略>
         中学校の「荒れ」から不登校に(700名規模校で2年生時の1年間の保健室来室者数は1万人超)
         「荒れ」に対して管理と統制で対処しようとした学校
         高校入試という壁、断崖
         京都弁護士会へ人権救済の申し立て(事実解明のために他の選択肢はなかった)
         脱サラ、相談支援者になるために(経済的苦難、精神的自虐の始まり)

        <最近、思うこと>
         もっと怒って良いのに…
         もし、あの学校に行かなければ…(運とタイミングの悪さ)
         事実を知りたいだけなのに、できることがない
         なぜ、加害者が守られる(昇進する)?
         法や制度が(一応)できても、変わらないのはなぜ?
         あれから15年、積もったストレスが身体症状に… (うつ、PTSD、睡眠障害、疼痛等自律神経系の異常…)
         それでも、闘い続けるしかない 何と?

        <問題1:誘発>なぜ自死が起こるのか
         「尊重」される努力、我慢、自戒…
         成績・点数・結果だけによる評価
         狭い人生の選択肢
         自己責任化、「家」・自助概念
         組織防衛によって個人は守られないという学習(風化、尻尾切り、無かったことにする…)
         隣人に思いを寄りそうゆとりのない生活・仕事
         孤立
         「人様に迷惑だけはかけるな」の縛り
         精神症状への無理解 →虐待、ネグレクト、貧困、教育格差等の連鎖

        <問題2:事後>怒れない理由
         ◇内なる力
          自責感情
          決して報われることのない、了解することのできない「消せない記憶」と向き合うこと
          無力・絶望→希死念慮(消えてなくなりたい、あの人の所へ行きたい)
          地域や社会からの孤立(迷惑、やっかい者)

         ◇外部からの力
          組織防衛のためのウソと誤魔化し、隠蔽
          ウソや推測による同調圧力 「家にも問題が…」「学校の評判が…」
          警察は事件として捜査する(縊死に使ったロープ、生命保険の確認等、他殺か自殺かの同定)
          「故意の死亡」という認識(小学生、中学生、高校生が「故意」で自ら死ぬだろうか?)
          地域や社会からの(故意による)孤立

         ◇クレーマーでなく、正当にもの申すために
          事実解明・検証をしてほしいから
          再発防止を願うから

         ◇それでも遺族として地域で活き続けるために

        <問題3:自死防止・遺族支援>何が必用か、足りないのか
         他の事故・事件同様に、事実の解明・検証ありきの理念
         間違い・誤りを正し、不足を補う
         作られてきた認識・概念を問い直し、作り変える
         無い仕組みを作る<支える・つなぐ仕組み>
         仕組みを支える人を作る
         事件・事故を「無かったこと」にさせないために語る(記す)こと
         哀しみや無念さを共有し、連携を広めること
         「語る」ことが苦しくないように
        (当時を思い出し言葉にすることは故意のフラッシュバック、新たな哀しみを重ねることになるが、でも「自死」の意味を考え、理解し、自死防止・遺族支援の仕組みをさらに整えて欲しいから)

        (参考資料)
        自殺防止対策有識者懇談会報告「自殺予防に向けての提言」 平成14年12月発表
        自殺対策基本法(平成十八年六月二十一日法律第八十五号)
        自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議 平成十七年七月十九日 参議院厚生労働委員会
        自殺総合対策の更なる推進を求める決議 平成二十七年六月二日 参議院厚生労働委員会
        警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等 平成24年7月18日内閣府自殺対策推進室
        自殺予防対策に関する行政評価・監視 結果報告書 平成24 年6月 総務省行政評価局

        児童生徒の自殺が起きたときの背景調査の在り方について(通知)23文科初第329号 平成23年6月1日
        「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」の改訂について:文部科学省
        「学校事故対応に関する調査研究」調査報告書 文部科学省学校健康教育課
        文部科学省委託事業学校事故対応に関する調査研究調査報告書(PDF:平成27年2月 国立大学法人大阪教育大学)
        大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会の調査報告書について(大津市ホームページ)
        学校保健安全法(最終改正:平成二〇年六月一八日法律第七三号)
        いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)
        平成22年度児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議審議のまとめ 平成23年3月 児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議
        平成22年度児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議審議のまとめ(PDF)
        児童の権利に関する条約 1990年(平成2年)9月21日署名 1994年(平成6年)4月22日批准
        児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)
        強いられた死のない社会をめざし、実効性のある自殺防止対策を求める決議2012年(平成24年)10月5日 日本弁護士連合会

        『不登校自殺』そのとき親は、学校は。―長男の命を守れなかった父親の手記 単行本 – 2002/5 木下 秀美 (著)
        『不登校自殺』サイト http://www.croomkanna.com/kanna/top/html
        16 「一人にしない社会をつくるガイドブック」
        京都府の「一人にしない社会をつくるガイドブック」に掲載されました。

        (発行:京都自立就労サポートセンター)

        本分テキストは以下の通りです。

        精神保健福祉士事務所
        教育と人間関係の相談室カンナ

        <支援内容>ひきこもり・不登校・障がい
        カウンセリング・心理教育(本人・家族等)、法制度・行政サービス利用への相談支援等

         困った状態には背景要因があり、個別のサポートが必要です。精神保健福祉士・自閉症スペクトラム支援士として多様なアシストをさせて頂きます。
         ▽お子さんの育ちや関わり方への不安がある。▽不登校、ひきこもり、いじめ、暴力など学校や家庭生活上の問題がある。▽長期のひきこもり状態、精神症状がある。将来が心配。▽「発達障害」の疑いがある、と言われた。▽「発達障害」と診断されたが、どう対応したらいいか困っている。▽学校や職場での人間関係によるストレスや傷つき。家族関係のもつれ、生活上のさまざまな不安がある。▽自分に自信が持てない、否定的感情が強い、過去の体験が辛い。▽人と接することに不安を感じる、コミュニケーションがうまく取れない。▽学校や職場に人付き合いなどで困っている人がいる。▽困った状態の方への関わり方がわからない。▽精神障害などで様々なサポート(手帳、年金、福祉サービス、成年後見など)を受けたい。

        ※どうして掲載団体(?)として認められたのかは不明です。
        15 競争社会から共同社会へ
        「京都民報」2014年10月26日付け<書評>

        ↓記者から依頼されて書評を書かせていただきました。
        14 自殺・自死、用語をめぐって
        「自死遺族フォーラム」(2014年11月23日/枚方市)でのパネル発言から

        私は、14年前に長男を自殺で亡くし、その後、自責の念と向き合いながら、それでも何がいけなかったのか、足りなかったのかを自問自答しながら、社会資源として決定的に不足している相談支援者に自らなろうと学び直し、精神保健福祉士として個人事務所での活動を中心に、多くの方々の人生のあれやこれやの現実の課題にご一緒に取り組んでいるものです。

        長男は自ら命を絶ちました…
        これを人前で語ることの必要性を感じるからこそ語るが、そのたびに新たな悲哀や悲嘆、無力などの感情と併せて辛い体験が生々しく思い出され、トラウマをさらに複雑なものに刻み込んで行きます。
        なぜ、子どもの自死を、こんなにも辛い思いでしか語れないのか、それでも語るべきだと思うのか、そのあたりが、自死・自殺という用語の用い方を考える上で、大切なことだと思います。
        私は、自ら行った行為であっても、その死が、仕方なく選択せざるを得ない状況に追い込まれた中で生じた場合、事件・問題として語る時には「自殺」という用語を、亡くなった人が追い込まれた状況での無力や絶望の感情、そして尊厳、また残された遺族や関係者の無念さや無力感、自責感を語る時には「自死」という用語を、意識して使うようにしています。
        自殺者が年間3万人という社会問題を、個人・個体の脆弱さや家族個別の問題ではなく、社会の支えの不十分さ、日本社会の構造的な問題として取り組む必用を明らかにした自殺対策基本法が施行されたのは平成18年。民間レベルでの取り組みの拡がりに、参議院の超党派議員により立法化された一定課題への具体的取り組みを網羅したものだと思いますが、その中に明記されている「自殺未遂者と自殺(未遂を含む)者の親族に対するケア」については、ずいぶんと後回しになっている状況が、自死遺族・関係者の苦しみをさらに強く、複雑なものにしているのではないかと思います。

        長男の話を少し…。
        公立中学校の3年だった長男は、2000年2月4日、学校から「そこしか推薦できるところはない」とされた単位制の私立高校の受験の当日早朝、首を括って自宅で自殺しました。
        最近、もし女の子だったら、中学1年の時に家の建て替えで仮住まいをしていた場所を住所としていたら隣の中学校に通っていたのに、無理にでも学習塾に通っていたら、そうしたら死ぬことはなかったのだろうなぁ、と思うことが増えました。
        長男の遺書は短いものでした。「自分に自信がなく、このままだとろくな大人になれないと思いました。これ以上、家族や先生に迷惑がかけられないと思った。」
        この2行に込められている意味を、きちんと理解していく必用があると思います。
        運やタイミング、ちょっとした選択のズレで、中学生が、学校のすさまじい荒れの中から不登校になり、学習の遅れを悩み、進路や将来に絶望し、これ以上もう生きて居たくないという選択をし自らの命を絶つ。残された遺族や関係者は、その無念さや哀しみ、辛さ、苦しみを引き受け、何かできたはず、あの時こうしていたらと薄まることのない自責感情と毎日向き合いながら、生きて行かなければならなくなります。

        不登校の状態に長男が向き合っていた当時、そして長男の死後、私たち家族に一番必要だったのは、ちゃんと相談できるところでした。
        不登校状態について、学校は相談先としてまったく機能していませんでした。SCも、当時はモデル的な配置事業としてその学校には非常勤で一人心理士が配置されていましたが、本人が行けない学校に相談に行けるはずもなく、私が2回、仕事を休んでカウンセリングを受けに行きましたが、何かが改善したり、気持ちがスッキリしたわけでもありません。
        そして長男の死後、学校は自死の事実をできるだけ曖昧にして学校には責任がないことの表明にエネルギーを注いだだけです。
        それだけではなく、駆けつけた病院の霊安室で長男の変わり果てた姿に向き合い、まだ長男の死を自殺としてカミングアウトするかどうか迷っていた最中に、現れた当時の学校長は、あいさつもなくいきなり「この度のことは、受験のただ中にもあるので、他の生徒には自殺ではなく、亡くなられたとだけ伝えたい」と、緊急に召集されたらしい教育委員会の校長会の判断の了解を得るためにそう伝えに来ました。子どもたちをあずかる学校の長が、子どもの自殺の意味を問うことなく、穏便に、事務的に処理して済ませようとする態度に、私の対戦スイッチが入ってしまったのは仕方ないことだと思います。
        長男が置かれた、荒れ荒んだ学校の状態、それを押さえつけるために取られた力尽くでの管理・統制の生徒指導、それに対抗してさらに荒れる生徒との乱闘の毎日。マジメでおとなしい生徒が学習の機会を奪われ、学校に行くこともできなくなる。
        こうした状態や経過はオカシイと、長男の死後に人権救済を申し立てた京都弁護士会の人権擁護委員会は、これらの事実の検証と併せて、不登校状態の生徒の増加などに対して、学校が本来行うべき対応をしていなかったことを不作為として、学校長や教育委員会に対して「要望」として執行しました。人権救済は訴訟とは違って、法的拘束力がないので、執行されても教育委員会で数分の議論があっただけで、何もその後の学校教育に活かされることはありませんでした。不登校を含む公立小中学校での問題事象などを集計する文科省が毎年行っている学校基本調査の数値をその後毎年、市に対して公文書開示請求をして取り寄せていますが、不登校の発生率も、問題事象も、減ることがありません。あれから14年、何も変わっていないどころか、次代の流れと共にあらたな問題を抱え込んで行っています。

        自死・自殺という用語について
        私には、登校拒否から不登校という用語に代わっていった経過と重ねて考えられると思います。
        今、国や文科省、学校行政は不登校という用語で統一して表現していますが、あえて登校拒否という用語を使う文脈があります。

        自死か自殺か、不登校か登校拒否か、
        その違いが意味するものを考える視点が5つあると思います。

        1.自死をした人の尊厳、死を選択せざるを得なかった心理社会的・構造的要因を可能な限り明らかにすること
        2.遺族(関係者)の自死の受容・再構成、社会的孤立を防ぐこと
        3.自死を語る時の目線、語りの主体者、自死の意味を大切にすること
        4.加害・被害関係の有無、その質や量を可能な限り明確にすること
        5.自殺と言えない、自己責任化してしまう社会や仕組みへの問題提起
        これらは、言い換えれば、誰が、どんな文脈でで語るか、によって使い方は違うだろうし、その場合に丁寧な使い分けが必用だろうと思います。自殺が、本当の意味で「自死」と言い換えられる社会に変えて行くためにも、自死遺族として、そして相談支援者の一人として、強く思うところです。

        <フォーラムのチラシ>
        http://mhl.or.jp/pdf/hirakat%20tirasi.pdf
        <参考>

        「自殺」を「自死」に変更 遺族の要望、島根県(日本経済新聞 2013/3/30)
        http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3000X_Q3A330C1CC0000/
        ↓島根県のサイト
        http://mhl.or.jp/pdf/hirakat%20tirasi.pdf

        13 子育てに関わるすべての人へ 「共育ちへの自分自身へのメッセージ」
         —大切に育てられれば、人を、そして自分を大切にする人に育つ—
        (項目だけ)

        1. 子どもを(感情的に)叱りつけないで下さい。
        ・自分の都合や立場から、一時の感情的な言動になっていませんか?
        ・受けた処遇を子どもがどう認識(記憶)するかを、子どもの立場になって考えられますか?

        2. 子どもを(感情的に)たたかないで下さい。
        ・自分の都合や立場から、一時の感情的な行動になっていませんか?
        ・暴力的な手段を講じるほどの問題か否か、受けた処遇を子どもがどう認識(記憶)するかを、子どもの立 場になって考えられますか?

        3. 子どもを不安にさせないで下さい。
        ・普段(平常な状態)と違う子どもの表情や目つき、仕草、行動などに気づくことはできますか(そのゆとりがありますか)?
        ・小さな変化に気づいた時に、「どうしたの?」と子どもの気持ちを知りたいという態度で関われていますか?

        4. 子どもを無視しないで下さい。
        ・親が自分の課題や気持ちを子どもよりも優先したり、「上から目線」での指示や非難・否定が日常的な関 係性になっていませんか?
        ・子どもが思いを伝えやすい環境(話しかける時のルールづくりや、同じ目線で聴くなど)が整えられてい ますか?

        5. 子どもの話を途中で遮らないで下さい。
        ・自分の体験や信念をおしつけようとしていませんか?
        ・子どものスピードや理解力を無視して、あなたのテンポや感情まかせに「言いくるめる」結果になっては いませんか?

        6. 子どもが行った過ちを、叱って終わりにしないで下さい。
        ・叱る、禁止するで「安定」するのはあなたの感情ではありませんか?
        ・困った時にしてほしいことは、説教ではなく、一緒に考えてくれることではありませんか?

        7. 子どもの言葉にできない訴えを、まず想像しながら聴いてしてみましょう。
        ・解決を急ぐ余りに、充分に聴くことなく勝手な「決めつけ」をしていませんか?
        ・その場しのぎでなく、その後の人生に生きる力となるような関わりになれていますか?

        8. 子どもの「しつけ」(教え)は、その子の人生に大きな影響を与えます。
        ・その子が今、どんな発達段階にあるかを意識した関わりになっていますか?
        ・言葉だけで「何度言ったらわかるの?」と繰り返していませんか?

        9. 他の子どもと比較して悩むより、まずその子の個性や特性を理解していきましょう。
        ・「他の子はちゃんとできているのに…」と、ついつい思ってしまっていませんか?
        ・がんばったことや「やる気」を、「できて当たり前」と過小評価していませんか?

        10. 子どもに、人として生きる力、支え合う力を身につけてもらいましょう。
        ・学校の成績や成果物に対してだけの「評価」になっていませんか?
        ・子どもの5年後、10年後を見据えた関わりになっていますか?

        ↑家族支援をテーマに、ここしばらく考え、文章化し、多くの方に読んで意見をもらいながら修正を重ねているものです。(項目だけですが)

        今後読んでいただく方、層に併せてアレンジしていくつもりです。

        12 発達が「気になる」子どもとお母さんたちの「そだちカフェ」。
        毎月、地元で定例で開催している「そだちカフェ」。

        •発達検査で…。

        •保育所・幼稚園や学校から…。

        •家や地域で…。

         すでに療育や支援級・支援学校、障害福祉サービスなどのサポートが入っている方も、受診をすすめられている方も、「様子を見ましょう」と言われている方も…。年齢や状態、家庭環境などが違っても、地域でつながっている子育て中のお母さんたちが学び交流し合える場として集っています。

         私は、「発達障害」特性のある子とそのご家族をサポートするという視点で、カフェの始まりのミニレクチャーを担当させてもらっています。

         ミニレクチャーを聞かれての質問から、我が子に視点を移しながらの理解を深めていただけるようにと取り組んでいますが、むしろ後半のフリートークに加わることから学ばさせてもらうことがいっぱいです。

        これまで2回のレジュメを公開します。参考にしていただき、またご意見など賜れば幸いです。

         ◇高機能の「発達障害」とその特徴−−理解する立場で「Vol.1」↓
        http://kanna.capoo.jp/hp/wp-content/uploads/2020/01/sodachicoffee-Vol1.pdf

         ◇「今」だけでなく「生涯」を見据えて−−理解する立場で「Vol.2」↓
        http://kanna.capoo.jp/hp/wp-content/uploads/2020/01/sodachicoffee-Vol2.pdf

         次回からは、ケーススタディをしていく予定です。
        11 「シンポジウム『いじめ』『体罰』のない学校と社会へ PART2」で再びの発言
        2021/09/27
         今年4月29日に開催された、シンポジウム「『いじめ』『体罰』のない学校と社会を」の報告集が発刊され、そのつどいが10月14日に開催されました。

        <主催者のサイト>

        http://www.jcp-kyoto.jp/activities/2013/11/part2-1.html

        同じ動画です。時間のある時に観てやって下さい。

        ↓以下は、10月14日「つどい」での発言内容です。

        いじめ・体罰・不登校・非行…

        学齢期の子どもたちへの寄り添いを考える

        2013.10.14 精神保健福祉士 木下秀美

         早いもので、4月のシンポジウムから半年近くが経ちました。この間、学校、社会から、いじめ、体罰をなくすという視点で多くの方が力を合わせて取り組むことの必要性を、さらに強く感じて来ました。

         4月の報告集を前提に、その後の新たな思いなども含めて、補足的なお話しをさせて頂きたいと思います。

         私は40歳を前に、個人的な体験からそれまでと違う人生に切り替えて生きて行くことになりました。

         私は、大切な長男を不登校が続く中、高校受験の日に自殺で亡くしている自死遺族の一人です。

         いじめ、体罰、行きすぎた指導などによって児童・生徒が自殺に至るケースは、大津のいじめ自殺事件あたりから社会的に認知されるようになってきています。しかし、死に至らないまでも耐えがたい苦しみを体験し、不登校になったり、自殺を考えたり、消して消えることのないトラウマを背負ったままその後の人生を生きて行かなければならない子どもたちの多さに、もっと注目していく必用があると思います。

         私の長男は不登校状態の中での自殺ですが、不登校を選択した理由は学校の荒れに起因するものです。長男の死後、京都弁護士会に人権救済の申し立てを行い、弁護士会は当時の学校の荒れや、それに対して適切な対応ができていなかった不作為を明らかにしました。不登校が生じる現場には、いじめも様々な問題行動も、また管理・統制の枠組みにはめられ上からの指示通りに動くしかない教職員の実態も、5教科の成績や偏差値を最優先する高学歴信仰から抜け出せない大人たちも、子どもたちが問題行動を出し始めた時に家族だけの責任にせずに学校・地域で守っていくという視点を失っていった大人たちも、環境要因として存在しています。

         子どもたちには、教科の学力ももちろん必用ですが、大人になって社会で生きて行く力、社会的スキルや生活する力を、学齢期に獲得してもらう必用があります。

         学校は、教科指導だけでなく、育ちの場としての子どもたちへの支援的関わりが必用です。教科指導を妨げるさまざまな問題が生じた時に、「困った事態」として管理・統制だけの「生徒指導」に終始するだけでなく、そもそもなぜその問題や事件が生じたのか、その背景の友だち関係や家族関係などがどうなっているのか、渦中にある子どもたちはどんな心理状態にあるのかを丁寧に把握し、理由も事実経過も解決の方向性も、子どもたちを真ん中において子どもたちと一緒に取り組んで行く必用があります。学校にとって、その学年は1年経てば終わりかも知れませんが、子どもたちにとっては生涯消えない体験記憶として刻まれるからです。

         さて私は、小さな相談室を開設しています。

         不登校・ひきこもり・いじめ・それらの要因になりやすいとされる「発達障害」をはじめとして、さまざまな家族のドラマに、第三者として関わらせてもらっています。

         最近では、成人された後、就職活動で挫折を味わってひきこもってしまう、精神症状を出されるというケースが実際増えています。

         生い立ち・生育歴をお聴きしていくと、小学校時代のいじめ(同級生や教師によるもの)、親・家族や教師などから評価してほしいのに無視されたり「もっと頑張れるはず」と、どんなにがんばっても認められない体験、一方的な決めつけや理解できない叱責や非難・否定の積み重ねなどをトラウマとして重く背負いながら、学習面だけでなく、学齢期や思春期における発達課題にきちんと向き合い乗り越えることができないまま、低い自己評価、社会的および対人的スキルを充分に獲得できないままに大人の社会へ参入しようとした時に、準備不足から「自分には無理!」と早々に自身を守るために社会参入への挑戦を諦めてしまう、などのケースです。

         それまでの発達段階で抱えてきた課題が一度に集結し吹き出したかのように、家族を巻き込んで、出口の見えない底なし沼のような家庭状態になってしまいます。

         自閉症スペクトラム特性のある子どもへの支援についての研究では、0歳〜5歳までに個別的および集団的に社会生活上のスキル=場面や状況での適切な行動や対応ができる力が一定レベルで獲得できていれば、小学校でいわゆる「困った子」にならないで済む確率が高いことがわかってきています。

         そして、子どもたちの人格的な成長は、脳神経細胞の発達に沿って、概ね18歳頃までに大枠が形作られるとされています。学校に所属している年齢です。学校という所が、いかに子どもの成長・発達にとって重要な所か、良くも悪くも大きな影響を与える所であるかを、理解し、一人ひとりの子どもにとって成長・発達を促進する環境として整え直して行く必用があると思います。

         子どもたちの「社会」、学校で生じていることは日本社会の縮図です。

        ・競争

        ・ハラスメント

        ・偏差値など特定の「基準」による「評価」

        ・格差、貧困

        ・「標準化」、「コミュニケーション力」などが必要以上に強調される

         今の時代を生きている、生きて行く子どもたちは、おそらく人間が耐えられるレベルを超えたストレスに晒されています。大人もそうでしょう。

         しかし、子どもたちは、これからを生きる存在です。大人が力を合わせて、ストレスが今よりもずっと少ない社会を譲り渡して行けるように、力を合わせて努力して行きませんか?

         大切なのは、子どもの声を聴く、「困り」を理解する、一緒に考え行動することです。

        子どもの権利条約の前文には、「児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであり、」と書かれています.

        ・私たち大人は、子どもがそれぞれ一人の人格、権利を持った「人」として対応できているでしょうか?

        ・「問題」、「困り事」の客観的な把握、改善・解決に向けて、大人の立場や都合を優先することなく、柔軟で臨機応変な集団的・組織的な取り組みができているでしょうか?

        ・その子の育ちの歴史・環境・体験やそれらの受け止め方、心理社会的な生活環境などをしっかりと把握した上での対応になっているでしょうか?

         一つひとつの事案で、こうした視点をもって向き合って欲しいと思います。

         ちなみに、子どもの権利条約の中で、いじめ・体罰などの事件において抵触すると思われる項目を拾ってみると、差別の禁止、子どもの最善の利益、立法・行政その他の措置、親その他の者の指導の尊重、生命への権利、生存・発達の確保、身元の保全、意見表明権、表現・情報の自由、結社・集会の自由、プライバシィ・通信・名誉の保護、マス・メディアへのアクセス、親の第一義的養育責任に対する援助、虐待・放任からの保護、家庭環境を奪われた子どもの養護、障害児の権利、健康・医療への権利、社会保障への権利、生活水準への権利、教育への権利、教育の目的。ざっとこのあたりでしょうか。文面では、締約国を主語に、「児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」「児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する」「自己の意見を形成する能力がある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」「あらゆる形態の身体的もしくは精神的な暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取り扱い、不当な取り扱い又は搾取(性的虐待を含む)からその児童を保護するすべての適当な立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる」などの部分を、この国で起こっている実態と照らし合わせて読み直すと、子どもたちに対していかにいい加減な対応を押し付け、ストレスを与えているかに気付けると思います。

         少しずつではありますが、学校における事故・事件の未然防止や適切な対応に取り組めるような仕組みが作られていっています。

         私も10年以上、行ける時参加という形ですが、「全国学校・事故事件を語る会」という家族・当事者を支える全国組織が活動を続けています。

         また来月には、この「全国学校・事故事件を語る会」がサポートをしている訴訟事案などについて弁護士有志によって「学校事故・事件被害者全国弁護団」が創立される予定と聞いています。

         いじめ防止対策推進法という法律が、遅ればせながら急に成立、9月28日に施行されました。多くの自治体で、この法に基づいた独自事業が動き出しているようです。この法を中身のあるものにできるかどうかは、私たち大人の行動に係っています。

         最後に、子どもたちの学びや育ちに関わるみなさんに、ほとんど私自身に跳ね返ってくる提案、お願いがあります。

         学術的領域としては「人間発達論」「発達心理学」「学校臨床社会学」など、子ども理解への学びを深めましょう。

         これまでのやり方やマニュアル、組織の決め事や上下関係などにとらわれることなく、家庭、地域資源などとの具体的な協働・連携、ケース毎に実情に応じて創り上げ、子どもたちの間に生じる問題の解決のために取り組みを蓄積し、広めていきましょう。

        以上、私からの訴えとさせていただきます。
        10 生活保護受給中における家電品の買い換えなどについて
        以下の文書は、生活保護法の「改正」による保護基準の引き下げなどによって生活がさらに困窮することになるために生活保護受給者の皆さんが全国で起こしている不服審査請求の1つに、意見として提出させていただいたものです。

        私は、成年後見(後見・補助)人として幾人かの単身で生活されておられる生活保護受給中など、経済的に困難な状態な方のサポートをしています。
        受け取り年金が生活保護基準を満たさず、生活保護を重視ながら介護サービスなどの支援を受けながら、ご自宅での生活を営んでおられるケースなどで、老朽化による家電品の買い換えができずに困っておられます。
        エアコンは冷暖房器具として生活福祉資金の借り入れで(収入認定としないで)交換ができるようですが、申請も借用の書類も、本人名だけでは受け付けてもらえず、後見人等が共同申請、共に印鑑証明書などを添えての借用書作成となるようです。また、本人に年金収入がない場合には「返済」の担保がないため申請すらできないようです。生活保護受給など生活困難な状況にある人は、今利用している家電品が、壊れないように祈るほかないのが実情です。
        さて、今回強く意見をさせていただきたいのは、こうした生活福祉資金貸し付けの対象とならない(生活保護による他の認定対象ともならない)冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、洗濯機などの生活必需家電に関してです。
        最近の夏場の暑さは異常気象と言われ、食品の安全な保管や加熱などは、食中毒予防の上でも生活上不可欠なものであることは誰も疑うところのないところです。
        特に、高齢・単身で介護サービスなどの支援を受けながら生活されている人にとっては、冷蔵庫は失えば命に直接関わる耐久消費財です。
        購入後50年以上が経過し、メーカー保証切れはもちろん、モーターの異常な動きが見られるなどすぐにでも買い換えたい冷蔵庫について当該福祉事務所に相談に行きましたが、「対象外」として「生活費の中から貯めて買い換えて下さい」と言われました。経済的にはまったく余裕がなく、お金を月々貯めることが実質的に困難なケースにおいて、冷蔵庫が突然に故障すれば、その日から食品を保冷する装置を失います。介護ヘルパーが日に1回入っていたとしても、おかずを2食分作り1食分は冷蔵庫保管、2日に1回入る場合にはおかずを数回分作り冷蔵庫保管し、次のサービス提供まで食べ繋ぐのが実態です。
        日中35度をはるかに超え、夜も30度を下回らない熱帯夜が続く中、冷蔵庫なしに、このおかずを保管することは不可能です。そして、冷蔵庫を買い換える方策がないとなれば、食生活の見通しがまったく立たないことになります。
        電気冷蔵庫・電気洗濯機・白黒テレビは1960年代に「三種の神器」と言われました(高度経済成長期にはカラーテレビ(又はピアノ)・クーラー・車)。
        これらの中で、クーラー(エアコン)を除いて、使用していた物の故障などによる買い換えへの資金貸し付けすらなされないという実態が、「生存権」を保障しているとは到底思えません。
        「保護の実施要領」第7:最低生活費の認定、「生活福祉資金」の制度設計などに関して、生活実態に即したものとなるよう実態調査及び見直しをはかるとともに、暫定的な措置として必要な生活必需家電品の買い換えに対応できる資金貸し付けサービスの実施などの、「命を守る」対策を至急に講じていただくことを強く求めるものです。
        9 「ペアレントペンタ−」について意見を書いてみます。
        厚労省がすすめている「発達障害者支援体制整備事業」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/hattatsu/gaiyo.html

         自閉症、学習障害や注意欠陥多動性障害などの発達障害のある人や家族に対し、ライフステージを通じた一貫した支援体制の強化を図るため、都道府県・指定都市で、ペアレントメンター(※)の養成とその活動を調整する人の配置、アセスメントツールの導入を促進する研修会などを実施しています。

        ※ペアレントメンター:発達障害者の子育て経験のある親であって、その経験を活かし、子どもが発達障害の診断を受けて間もない親などに対して相談や助言を行う人のこと。

         この「ライフステージを通じた一貫した支援体制」の必要性に視点が当たってきたことは評価すべきことだと思いますが、何せ、予算を付けずに既存の仕組みや資源を運用し、民間のマンパワーに依存しながら…という志向性は変わっていないため、理屈は良くても中身がついてこないという、これまでの(障害者自立支援法などのような)隙間・谷間の多い、痒いところに手が届かない、「専門性」をうたう所ほど専門性が疑われるなどの危惧を正直びんびんと感じるところです。
        ◇「ライフステージを通じた一貫した支援体制」をつくる上で不十分と思われる課題

         以下、思いつくままに羅列してみます。

        ・発達段階に応じて「発達障害」が正しく診断できる医師が決定的に不足したまま。

        ・DSMの改訂で「アスペルガーが消える」といった話題だけが取りざたされASD概念の組み立て直しが正しく理解されようとされていない。

        ・特別支援教育がインクルージョンを志向しているとはいえず、概ね隔離・区別の枠組みの中にHF群が入れられ、優れた能力部分の学習支援が放置され、苦手領域を何とかして「社会適応」させようとする取り組みが結構目立つ。

        ・早期発見・療育開始は基本で、乳幼児期に家族・周囲の関係者の理解と協力が得られた場合の「不適応」度合いは低くなることが臨床的にエビデンスを持ってきているにも関わらず、1歳半、3歳半、就学前の検診・スクリーニングをスルーしてしまうHF群の就学後の「不適応」状態が多く発生している実態に対応できるものになって行っていない。

        ・乳幼児期は愛着形成とともに、沢山の実用的な対人関係性や社会的スキルを日々獲得していく、かけがえのない(取り戻しのきかない)発達段階である。

        ・乳幼児期の人間発達課題に加えて、神経発達上の課題、個人の特性や能力を考慮しながらの個別の養育は、1家族、1母親に課するには荷が過大すぎるものである。療育機関や行政等、他の社会資源との連携や拡がりとの相互補完関 係の構築が不可欠であるが、そのあたりは地域差があるとともに曖昧にされていると言える。

        ・就学後は、5教科学力評価と対人関係性や社会性、注意欠如(忘れ物や指示に従えない)など、教師にとっての評価が、本人「評価」(アセスメント)にとって代わる。よって、入学後に(アセスメントのないまま)、「特別な支援 が必用な子」となってしまう。

        ・大学・大学院卒業後の就活や社会参入後の「不適応」状態は、学力やIQよりも社会生活スキルのレベルの低さによって生じることがほとんどで、学齢期における同スキルの獲得のための支援や、適職探しやオープン就労後の受け 入れ先での理解と協力を得るサポートは極めて乏しい。「発達障害者」雇用を取り組む企業は日本でまだ70数社。

        ・時々の適切な診断は支援の基本的な視軸となるが、生活レベルの支援が必用な場合、それにつながらなければただの烙印となる(手帳・年金などの経済的基盤整備には不可欠だが…)。また、医学モデルのみの「支援」が奏功するのは、限られたケースである。

        ・神経発達障害の遺伝との関係は否定できない。困難さや課題のある子どもの親が、その子と同様な親からの養育を受けてきたケースは実際にいくらでも見受けられ、「親の育て方」以前の問題である。核家族、孤立化した家族化が広まる中で、また福祉・医療・行政の支援が薄い(地域差の大きさも)中で、家族の支援、家族支援の役割・必要性を強調しても、それが実施・奏功する家族は稀な存在であろう。

        ・自閉症スペクトラム特性のある子どもへの支援において、家族が担うべきところが大きいことは確かであるが、その家族への「心理教育」(この言葉が適当かどうかは疑問)や多角的な支援、家族支援を行う「専門家」(そんな人はこれまでいなかった)養成・スーパーバイズなど、メンター制度を謳う前に準備しておくべきことが山積した状態での「事業」化は賭博のようなものである。

        ・親が年金生活に入る頃から、本人の残りの人生の生き方がさらに切実な問題となる。それ以前にも自己評価やトラウマなどとの闘いは続くが…。この段階を迎えても「ペアレントメンター」や家族による支援と言われ続けるのであろうか? 現在の生活保護問題などと合わせて、課題の先送りでしかない。

        ・厚労省が想定しているメンター像は、ある種「成功例」者であり、ごくわずかな「うまくいった」ケースの人ばかりが「なり手」を希望しないか、という疑念もある。個人的には、もっとやわらかく包容していける「親の会」などの拡がりと運営支援(財政的及び専門的知見・経験からのサポート)に力を入れるべきだろうと思う。(現行の会は、独自性や個性が強いところも多いが、医療機関スタッフが立ち上げや運営に協力しているモデルケースも少なくない)

         また、ペアレントメンターが直面する支援課題の想定がどのレベルで行われているか、という問題があります。
         私が、放送大学修士論文(※)の「考察」でまとめた「5つの器」の3つ目が家族に関するものですが、他の4つとも、家族の気づきや情報収集、背中押し、意欲の維持など、家族の関係性に依拠するところが大きく、そこは相互補完関係の重要さだろうと思います。
         特に、聴き方、受容の仕方、障害特性と本人特性の学びと理解、トラウマや体験によって構成された認知スタイルや行動パターンによって生じる「不適応」への対応、集団への参加とメタ認知などの獲得、社会資源や制度・サービスなどとのつながりなど、社会福祉や心理・精神医療などの知識(つなぐ知識)や実践は、医療・福祉現場などで実際に関わっている者にとってもハードルの高いものだと思います。

         0歳〜5歳=乳幼児期に発達段階に応じた社会的(日常的、対人的、生活面の)スキルを一定レベルで獲得しておくことができると、小学校入学後に「不適応」な状態にならなくて済む確率を上げると言われています。乳幼児期の愛着形成、(一般的に言われる)「しつけ」、同・近年齢集団での遊びを通した関係性などの獲得は、この発達段階でこそできる課題で、一人ひとりの特性に早期から気づきながら、適切なサポートが多様な資源を使って提供できることが大切です。これらを、親の課題、家族の役割…としてしまうことは課題の「自己責任化」意識を強めることになってしまいます。

        (※)修士論文:「自閉症スペクトラム(ASD)特性のある成人へのスキル獲得レディネスの発達の視点による、段階・状態別のサポート事例に見る有効な支援と課題」

        第5章 考察

        1.相談支援面接(カウンセリング面接)の有効性と課題

        2.集団的スキル・トレーニングの有効性と課題

        3.家族の学び、理解、関係性への支援の必要性

        4.トラウマ処理と自己評価を高める個別及び集団的支援の併行アプローチの必要性

        5.就学・社会生活・就労を緩やかに支援する医療と連携した豊かな福祉的支援の必要性
        8 「シンポジウム『いじめ』『体罰』のない学校と社会を」でパネラー発言
         日本共産党京都府委員会と京都府同党後援会が4月29日、シンポジウム「『いじめ』『体罰』のない学校と社会を」を京都市中京区の京都アスニーで開催。行政関係者や青年、保護者、教育関係者など約170人が参加。私もパネラーとして発言しました。  以下は、配布資料の抜粋です(当日の発言内容はこれを補足したものです)。 ○我が子が、病気や事故でなく、自死という形で予兆も無く命を落とし、その亡骸と対面した時に、親はどんな感情を抱くでしょうか? ・大切な人を喪失したことへの混乱、これはウソだという否定、自分にも責任があるという自責 ・何があったのか、なぜ死ななくてはならないのかという疑問・疑念と、それがわからない無念さ・無力さ ・学校に起因した問題なのに、学校が何も語らない、説明を拒否することへの怒り、何ができるかという焦り、…  こうした段階をそれぞれに経過しますが、子どもを失った親が求めるものは、2つです。  何があったのかの事実解明と、再発防止のための検証と具体的な対応です。  学校でのいじめや体罰などの問題解決を考える上で、その視点の中心に置いてほしいものが3つあると思います。  1つは、「子どもの権利」という視点です。 2つ目は、「障害者の権利、差別禁止」という視点です。 3つ目は、被害者の体験は「ハラスメント」として認知され、持続的・不可避的なものは絶望と無力感を生むという視点です。 ○子どもが意見・思いを表明する、その内容やタイミング、方法などを保障できる環境を大人は提供すべきあり、その取り組みが悲しい学校事故・事件の再発防止へとつながります。その子、その人のツマヅキや困難さに、回りが気づくこと、安心して相談できること、そして環境調整すること。この視点で、私たちは目の前で起こっている人の命に関わるモンダイときちんと向き合い、改善への取り組みをすすめなければならないと思います。
        7 精神障害者の地域移行は進むのか-総合福祉法→総合支援法
        2013/02/21
        2010年1月から始まった「障がい者制度改革推進会議」の総合福祉部会は、55名の委員が毎月のように会議を重ね、2011年8月、現行の障害者自立支援法を廃止して新たに策定する障害者総合福祉法の骨格提言を提出しました。しかし、政権交代の中でこの提言は活かされることなく、これまでの障害者自立支援法を名前を変えただけの「障害者総合福祉法」がこの4月に施行されます。
        私も同部会に意見を提出してきましたが、障害のある(状態にある)当事者や支援者などの願いが「白紙」に戻った状態をとても残念に思っています。
        こうした中で、長年課題として明らかな精神科病院や施設などへの長期の「社会的入院」、地域に戻っての生活を、今後どう考えれば良いのか、ある学習会での学びから感じたことをTwitterで連続ツィートしたものをまとめてみます。関連するサイトも紹介しますので、ぜひ読んでいただき、一緒に考え行動してほしいと願うところです。

        ・昨夜は、「障害者の権利条約批准に向けて〜精神障害者の地域移行は進むのか〜」(講師:いつも元気な大阪府立大学の三田優子先生-総合福祉法の骨格提言をまとめた障がい者制度改革推進会議の医療部会副座長など歴任)という学習会に参加しました。以前、直接お会いしたこともあり、間接的につながってもいて、覚えていて下さいました。

        ・総合福祉法の骨格提言は、現行自立支援法の課題を明らかにしつつ、大幅な見直しをし「総合福祉法」を作っていくために、当事者を含む55名が2010年1月から毎月の議論でまとめられたもの。安倍新政権で、骨格提言はほとんどなかったことにされ、自立支援法が「総合支援法」に名を変えただけに…。

        ・この2010年1月、全国14地裁で違憲訴訟が起こった自立支援法に、国(民主党政権)が原告団に和解を提示、基本合意書が取り交わされました。今、この基本合意は「無視」された状態。差別禁止法をめぐる動きも水面下に…。障害者の権利に関する条約は、2007年9月に署名したまま、批准しない。

        ・障害者の権利に関する条約は、国内法が整備されないと、条約内容と実態の乖離がはなはだしいため、国内法整備優先は大切。でも、その見通しがさらに見えなくなってしまっています。同条約の「障害」は、他の者と平等な立場で社会に参加することを制限されていること、と定義されています。対象は広く。

        ・障害者の権利や差別禁止の取り組みに乗っかってこない領域の中で大きなものは、「教育」と「精神医療」。隠蔽、聖域、閉鎖、収容、隔離、治外法権…、「支援」を提供する側の利権益を守ろうとする意識が強く働く領域ということでしょうか。主体者が誰なのか、当事者が思いを語る時に明らかにされます。

        ・「自立」とは、福祉サービスを受けないですむようになることを意味しません。どんなに重度の障害者であっても、地域で主体的に生きる、自己実現をはかることこそがほんとうの自立であるはずです。…(中村優一 1984)

        ・ノーマライゼーションの定義。「自分自身がその状態におかれたとき、どう感じ、何をしたいか、それを真剣に考えることです。そうすれば、こたえは、自ずから導き出せるはずです」(N・E・バンクミケルセン1989 大熊由紀子氏役)。

        ・障がい者制度改革推進会議総合福祉部会における、ご自身が盲ろう者である東京大学教授の福島智氏の発言。歴史に刻まれています。
        http://www.youtube.com/watch?v=SltreKVT0dA&context=C36b3b08ADOEgsToPDskKwdGBKigLXUHqLknWAkrFe
        http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2012/02/dl/0208-5a01_00.pdf

        ・暴走する首長、追随する取り巻きたちの迷走で、大阪では、毎日のようにトンデモナイことが起こっているようです。数年にわたって当事者や支援者、行政が積み上げ動き始めた仕組みや支援が、突然白紙になったり、ばっさりと切られたり。切られた(解雇された)支援者が、無償で支援を続けているとか…。

        ・関わる人を含めると国民3人から4人が関係する障害のある人に関する問題は、小さな問題ではない。国民みんなに関わる問題であって、みんなの生活を豊かにする課題です。地域で暮らす障害者、高齢者、生活困窮者、施設・病院に収容されている人の本音が語られる環境作りがまず必要。

        <関連するサイト・データです>

        障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言
        http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/dl/110905.pdf

        障害者制度改革推進会議 総合福祉部会 (厚生労働省)
        http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/

        障害者自立支援法等の一部を改正する法律案新旧対照条文
        http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/171x.pdf

        障害者自立支援法違憲訴訟に係る基本合意について
        http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/goui/index.html

        障害者総合支援法が公布されました(厚生労働省)
        http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/

        障害者虐待防止法が施行されました(厚生労働省)
        http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/gyakutaiboushi/

        児童虐待の防止等に関する法律
        http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO082.html

        高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
        http://law.e-gov.go.jp/announce/H17HO124.html

        障害者差別禁止法の制定に向けて(DPI日本会議)
        http://www.dpi-japan.org/problem/kinshi.html

        国連障害者の権利条約(DINF 障害保健福祉研究情報システム)
        http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html

        差別禁止法に関する意見一覧
        http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_4/pdf/s2.pdf
        6 障害者自立支援法・地域生活支援事業に関する要望・質問・回答
        障害者自立支援法で定められている市町村が行う事業「地域生活支援事業」で、本来行われるべきサービスが実施・運営されていないために困った状態になっているケースで、要望書と公開質問書を、向日市長、長岡京市長宛に提出し、記者発表をしました。

        2013年2月28日、向日市から「回答」が書面で届きました。

        2013年3月4日、長岡京市から「回答」(2月28日付け)が書面で届きました。

         2013年4月から向日市の「成年後見制度利用支援事業」が拡充されました。↓
        http://kanna.capoo.jp/hp/wp-content/uploads/2020/01/mukocity20koken20kakujyu2020131.jpg

        向日市「成年後見制度利用支援事業」を紹介する市のサイト、同「実施要綱」↓
        http://kanna.capoo.jp/hp/wp-content/uploads/2020/01/mukodcity-jissiyoko-201304.pdf

        ●長岡京市における障害等のある児童・生徒の育ちと学び・生活を保障する地域生活支援事業の充実を求める要望書(2013年1月18日)
        特別支援学校から学童保育への移動支援のための「移動支援」の実施、「日中一時支援」の充実、レスパイトケアなど「その他」事業の拡充を「乙訓地域における障害児・者への地域支援を考える会」として求めています。

        長岡京市への要望↓
        http://kanna.capoo.jp/hp/wp-content/uploads/2020/01/demandmovementsupportnagaokakyo201301.pdf

        長岡京市からの書面「回答」(2013年2月28日付)↓
        http://kanna.capoo.jp/hp/wp-content/uploads/2020/01/nagaoka-city-answer.pdf

        2013年3月28日、長岡京市と懇談を行いました。
        ●「成年後見制度利用支援事業」実施に係る公開質問書(2013年1月25日)

        必須事業に格上げとなった同事業が実質取り組まれておらず、実施要綱策定以降の取り組みや今後の実施などについての考え方を、当事者&支援者8名で質問しています。

        向日市への公開質問書↓
        http://kanna.capoo.jp/hp/wp-content/uploads/2020/01/questionmukocity201301.pdf
        http://kanna.capoo.jp/hp/wp-content/uploads/2020/01/furthernotemukocity201301.pdf

        5 Twitterつぶやきから—「雑感vol.1」
        2012/12/18
        「Twitterつぶやきから」では、Twitterで@kanna1961にてつぶやいてきた、やや“まとも”と思われるものを紹介します(ばらばらで申し訳ありません)。

        「美しい」ものにふれる(観る、聴く、味わう、嗅ぐ、読む、触る、感じる、その場に居る、追想する…)ことで、ひとときであれ「安心」感に包まれ、生来のその人らしさを取り戻し表出することができる。子どもたちには、こうした原体験を人間関係においても積み重ねてもらえる「環境」が必要だと思う。

        「怒ったら負けだよ」。高校時代にご指導頂いた某会館の舞台係のおじさんの金言。

        思いつきで人を巻き込んで行動を強要し、それが間違っていたり気が変わったりするとすぐに違う行動に変え、反省もせず自己愛に任せた生き方の人が組織の長に立っていると、組織は私物化されつつ崩壊へ向かう。長は長でストレス過から感情不安定となり負のスパイラルに…。NHKが流す清盛ドラマ観て。

        言っていることがコロコロと変わる人は、じっくりと事象の本質を考えていないと思う。端的に言えば、思いつきで軸がブレて、回りを巻き込んではばからない。その思考パターンは、どこで形成されたのか、を考えることも大切。誰が…?

        何か買いたい衝動を抑えられない方(私のような)にこんな提案もありかと…。代替え品が100円均一ショップで購入できるものであれば、ひとまず105円の物で、本当に必要なものか否かを試してみて判断する。105円なら、損をしたというダメージが少ないので、納得できるし、立ち直りやすい。

        銀さんの娘4姉妹、平均年齢93歳だったっけ。集まってのおしゃべり(雑談)が脳内血流を増やしている。すごいリハビリ効果。現状の高齢の方への支援・介護福祉のあり方に、「どやさ!」の切り込み。みなさんポジティブ、笑っている、動き回っている、支え合っている。

        数日前、『無知の涙』を読んでいる配偶者が、「何でこの人を死刑にしたんだろう?」といつもの重罰擁護の立場を翻して自問していた。「死刑制度があるからに決まっているんじゃない?」「…」

        確かに。怒りの感情は、「不公平さ」の認知から生じる。根拠はたぶんいっぱいある。反証は「…仕方ない」にしかならないから怒るんだな。上下関係や権力・権威構造とかあると特に。いろんなレベルで、当てはまると思います。

        4 Twitterつぶやきから—「権利擁護、公的扶助vol.1」
        2012/12/18
        「Twitterつぶやきから」では、Twitterで@kanna1961にてつぶやいてきた、やや“まとも”と思われるものを紹介します(ばらばらで申し訳ありません)。

        なぜそのような活動ができているのか? 「知っちゃったことは、知らなかったことにできない。それをしたら自分が終わっちゃう」 (湯浅誠氏の講演DVDから)

        イジメや虐待、ハラスメントの加害者は、人権を侵害する違法行為を行っているという意識がない。被害者が、その心的外傷を、生涯背負わざるを得ないことを、想像できないほど、人として幼い。行為の個人責任を否定できないが、人権意識を育てる環境を整えられない社会や政治の到達度の指標でもある。

        生保受給など経済的困窮状態にある方の成年後見制度利用を支える「成年後見制度利用支援事業」(障発第0801002号「地域生活支援事業の実施について」厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長/平成18年8月1日/「地域生活支援事業実施要綱」で通知)を無視して実施しない自治体の不作為…。

        障害者自立支援法に基づく市町村事業の地域生活支援事業。その一つの「成年後見制度利用支援事業」が、今年4月から必須事業になっています。さらにその拡充のための施策実施要請も…。まだ実施してない自治体が多いようですが、やらなきゃダメですよ! 他にもいろいろと変化があります。

        市町村の必須事業となった「成年後見制度利用支援事業」。未実施自治体では、生活困難な方が成年後見制度をちゃんと利用できず、生活や介護・福祉などの必要な支援も受けられず…。行政に、「人権問題」という認識が甘いことになります。ひとまずは数百万円規模から、かなり充実したものになるはず…。
        3 Twitterつぶやきから—「対人援助(福祉、医療、臨床心理、教育…)vol.1」
        2012/12/18
        「Twitterつぶやきから」では、Twitterで@kanna1961にてつぶやいてきた、やや“まとも”と思われるものを紹介します(ばらばらで申し訳ありません)。

        しばしば考えてしまいますが、相談支援を必要としている人は、まだ医療や福祉等の枠組みにつながれていない人の方が多い。というか、そんな仕組みを知らない人が多い。制度やサービスにつながるまでにうんと距離のある人たちを「相談支援」等につなぐ支援には仕組みも報酬もない。ここに問題の本丸が。

        幼児期に、何かイケナイ事をして、叱られたり、自身を恥ずかしいと思った記憶って、しっかりと覚えていませんか? 殴られたり、蹴られたり、からかわれたり、集団で無視されたり…。覚えている、ということは、その体験ときちんと折り合えていなくて、引きずっているということ。被虐児も加虐児も…。

        脳が「高機能」とされる人は回転が良すぎて考えすぎるのだろう。深読み、先読み、それが夢や希望や計画であれば良いが、それに伴うリスクも考えて否定的思考が拡がり、結果、自身の行動を抑制してしまうのでは。ストレス蓄積+不安増幅から抑うつ的になる。その日やることを最少・単純・視覚化しよう。

        人と人との関係性が喪失して来た中で、自死、過労死、孤独死、不登校など子どもたちの問題行動が増え高止まりしている。安心できる人のつながり、集う場などを作りなおさないと…。精神病域でない人には投薬でなく、失った自尊感情を取り戻せる環境が必要。

        不登校もひきこもりも精神疾患とされる症状も自殺したいと思う気持ちも、環境(ほぼ人との関係性)による「不安」に原点があるかと。環境における問題・課題を調整・改善する視点が必要で、生育歴やおかれている状況、家族・社会(人間)の関わり(精神医療もその一つ)方をまず把握すべきかと。

        臨床心理、精神医学、福祉関連の「専門」用語の翻訳語さがしを始めたいと思います。CL.のためにではなく、支援者(自分も含めて)のために…。例えば、「同一性保持」→「やってみて安心だったことを続けたいと思う気持ちや行動」なんて。結構たいへんそうですが、用語の字義通り解釈は危険なので。

        どんな関係性においても、意思疎通を良くするためには、お互いの思いを共有できる十分な情報と互いを尊重する気持ちが不可欠。そして、その改善が必要な際には、話し合うタイミング(潮時)が結果に大きく影響します。でないと、一方的な言いたい放題という残念な状況を生むこともあります。

        リエゾン(連絡、調整、連携、つなぎ…)をきちんとして、信念を持って距離を取るって関わりが必要な時があると思います。依存関係の形成を2者関係で修正できない時など…。リエゾンを受ける側の力を発揮しやすい関係性になってもらいたいし。そんな連携先がWWWのごとく拡がってほしいと。

        「ASについての誤解」。常に対人関係を避け他者に無関心、人間関係をまったく持たない、まったく視線を合わせない、他者への共感性に欠けている、天才である。ーこんな認識じゃ、ASDの「診断」や併存症状との鑑別なんて…。メンタルヘルスの「専門家」の中でも信じ続けられている誤解らしい。

        私もまだまだ勉強中ですが、福祉(障害や介護、保健、地域など)、医療などの分野に「仕事」として関わる人は(良否は別として現行の)障害者自立支援法や介護保険法、精神保健福祉法、年金保険法、生活保護法やそれらに関する厚労省などの「通知」などは、いつでも参照できるようにしておいてほしい。

        不安な気持ちを言語化したら、妄想とか幻覚と判断されてしまって…。緊急対応が必要な場合を除いて、症状だけ見たててくれて、要らぬ薬とか過剰につかわずに、脳ダメージ少なく、状況改善に向けた社会的支援につながってくれると良いのに、と思うこの頃(ずっとです)。

        私の回りは、私自身を含めて、「違い」や「偏り」、変わった性格、ユニークな発想、独特な対人相互関係、こだわり等のある人ばかりに思えます。生い立ちもさまざまで…。「一般的な人」って、どんなタイプの人を差すのか、考え中。

        軽度MR、ASD、アディクション、パーソナリティ、「精神病」などの状態の人を、抑うつや不安神経症などの「診断」でCBT構造に引き入れても…。可能な限りで十分な情報と、時々の的確な診断と、支援ネットワーク内での役割分担や情報共有を前提とした個別のアプローチ、柔軟な構造化が必要かと。

        家族内力動や関係性が正常域(?)を超えると、中の顔とは違う外の仮面が作られる。仮面を見ていても、仮面が語る言葉を聞いていても、家庭内で生じている現実や状態・症状を知ることはできない。診察室内での診療や「相談支援」対応だけでは、「中」=事実を見ない対応になってしまっているのでは…?

        教育行政などの、「受診-診断-診断名依存症候群」的な…。これも「連携」ではあるけど、大切なのはその先の、一緒に見通しを見つけながらの多様に「連携」した支援ではないかと…。

        自閉症スペクトラムのパニック、認知症や高次脳機能障害などの記憶や意識の障害、精神症状としての不安や混乱。機序や具体的対応の理解や体験が不足していると、支援者が対応できない状態となる。そんな理解や体験を、支援者がどう獲得し血肉にするか、その養成環境の構築が課題かと思うが…ないなぁ。

        ひきこもり状態は人それぞれ。神経発達の偏り的な特性で、定型者社会と距離を置くことになる人は多い。でもそれだけが原因では無い。多様な認知体験、思考パターン形成、体験場面での人との関係性(愛着や基本的信頼感などの形成または嫌悪体験化)、それらを基盤に現在、過去、未来を考えている状態。

        支援者が「支援しにくい」などの理由で興奮などを抑える薬を飲ませる行為は、施設などにおける「虐待」とみなしてもいいのではないでしょうか。学校から「受診」をすすめる、という行為も…。特性と症状、状況、関わり様などをしっかりとアセスメントしてほしいと思います。

        「片付けられない」には、理由(=考え方)、状況(環境及び内的現実認知)、行動化への動機の有無やレベルなどがそれぞれ違っている。ひとくくりに注意欠如とか多動性で評価・判断していても問題解決には至らない。この解決は、あくまで本人さんにとっての…。

        部屋の片付然り、持ち物や身の回り然り、動けない状態(ひきこもり状態を含む)然り、「発達障害」の診断や評価・判断は本人さんが必要とした場合にその支援のヒントとなるものではないでしょうか。「発達障害」だから…という支援思考は、本人さんの自己評価を高めないし、支援者側の都合だったり…。

        なんでもかんでも規制緩和、民間委託で、支援「サービス」の質・量が低下し、ハイリスク・ケースが増えてしまっている気がする。それらの支援には相当量の「サービス」提供が必要となり、結果高コストに。必要な人への適切な「サービス」を早期から提供できていた方が低コストになるという簡単な算数。
        2 成人のASD特性のある人への個別支援の多様な「器」
        2012/11/10
        成人のASD特性のある人へのサポートには段階・状態に応じて構造化された個別支援の多様な「器」(具体的な支援法や仕組みなど)が必要である。

        具体的には、
        1.相談支援面接(カウンセリング面接)
        2.集団的スキル・トレーニング
        3.家族の学び・理解・関係性への支援
        4.トラウマ処理と自己評価を高める個別及び集団的支援の併行アプローチ
        5.就学・社会生活・就労を緩やかに支援する医療とも連携した豊かな福祉的支援
        である。

        こうした支援実践は全国でも数少ないのが現実であるが、個別適切なサポートを取り組むことで、将来の生活への希望につながる自己評価と意欲を回復・向上させ、その人らしいそれぞれの人世の再スタートを始めることができた多くの事例から、これらの「器」が多様に整えられ、相互補完的かつ促進的に機能することが、ASD特性があり、「発達」促進と社会「参入」にサポートを必要とする人への環境調整の課題である。

        ※放送大学「Open Forum 第9号」(大学院教育研究成果報告)【学生論文集】掲載予定原稿より抜粋。

        1 高機能の自閉症スペクトラム特性のある方への支援 —「困難」時のふりかえり事項
        2012/11/09
        □ 1.独自のルールを守ろうとした言動ではないか
        □ 2.初めての体験や環境への混乱や拒絶反応ではないか
        □ 3.発話言語の誤解、理解の不十分さではないか
        □ 4.既にインプットされていた情報へのとらわれではないか
        □ 5.ストレスや混乱によるパニックではないか

        <望ましい対応>
        1.ルールを「変える」ではなく、違うルールを一緒に<創る>
        2.事前予告、新たな情報を視覚的にインプットしておく
        3.日常会話は問題なくても、取り決めや確認は活字で確実に
        4.情報の更新や変更は視覚情報として伝える
        5.安全、大丈夫であることを伝えながらクールダウン

        <留意事項>
        □話せば(示せば)わかる、情は厚い気づかいの人(本来的に人に優しい性格)
        □持てる能力がわかりにくい、理解の仕方が違うだけ(学習・理解能力は高い)
        □言葉や質問などを重ねると容量を超えるため混乱する(一度に一つ)
        □一度確立したルールは守ろうとする(「違うやり方」のルールづくり)
        □生理的拒否感はわがままではなく、本能的な「防衛」反応と理解する
        □重要事項は視覚的に残る情報として伝え確認する(時に繰り返す)
        □数字を入れる、「損・得」判断での選択や説明
        □感覚の過敏さ、鈍感さを気づく
        □思い、願いは尊重しつつも、現実的妥当な対処を提案し了解・実行へ
        □利用者の「特性」や「ルール」などを支援者で共通理解、統一した対応をする

        ※対象者、「困った」場面毎にふり返って下さい。ヒントが見つかるはずです。
        ※否定や押しつけは、誰でも反発・拒否します。わかってもらう「工夫」、新たなルールづくり、それらを支援者間で共有していきましょう。