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        「教職員の資質能力の向上のため」? 先生を「ABC」3段階評価。
        2004/01/14
        いま、我が家の中1の次男は小倉百人一首の暗記にやっきです。1週間でテストをするそうです。思わず聞きました。「意味解って覚えとるんか?」「いいや…」。与えられたプリントにはひらかなで1面に百首が並んでいます。ひらかなの固まりを順次内容もわからないままに覚えているわけです。20数年前、私が百人一首と出会ったのは高校の「古典」でした。百首全部ではありませんが、読み解きながら学んだ記憶があります。文科省がすすめてきたさまざまな「改革」の中で、こうした記憶・反復学習が増えてきたんだなぁと嘆いてしまいました。意味を解りながら読み学び、百人一首を味わう機会が再び教育の中にあることを祈るばかりです。

         さて、話は変わって教師の評価制度についてです。15日、京都府教委が設置した「教員の評価に関する調査研究会議」(座長・山口満筑波大名誉教授)が、教職員を「ABC」の三段階で評価する新しい制度をまとめ、中間報告「教職員の資質能力の向上のため」として提出しました。府教委は4月以降、この評価制度を一部の学校で試行し、06年度から本格的に実施する方針です。中間まとめによると、「能力」「実績」「意欲」の3項目について、知識・技術や積極性など計16の着眼点から教職員を評価。評価の担当者は2人で客観性と公平性を保つことを目指し、例えば教員が年度当初に自己目標を設定して申告、年度末に目標が達成されたか面接などを通じて教頭、校長の順に評価するそうです。結果は、校長らが指導、育成する中で、本人に伝え、評価を補助する者を各校に置くことにしています。
         「(中間まとめ)」の始めの部分から少し抜粋してみます。「…こうした府民の期待にこたえるためには、説明責任(アカウンタビリティ)を常に意識し、積極的な学校情報の発信とそれに対する家庭や地域社会からの具体的な反応の的確な受け止め、つまり双方向の情報交流を積極的に学校運営に活かしていく…多様な資質能力を持つ個性豊かな教職員が連携・協働して教育活動にあたるべきである。管理職は、豊かな識見と的確な判断に立って校務全般に優れた指導力を発揮し、教職員は、不断の研さんと組織的な教育実践により、自覚と使命感を持ってそれぞれの職責の遂行に努める必要がある。そのためには、学校教育の直接の担い手である教職員一人一人の能力や実績等が適正に評価されるシステムを構築し、管理職による的確な指導助言により、教職員自身が自己の能力や適性を自ら認識するとともに、その資質能力を向上させながら、各自の力量を最大限に発揮していくことができるようにすることが不可欠である」「…地域の信頼にこたえる学校づくり、地域に開かれた学校づくりにとって、学校評価と教職員評価は「車の両輪」と考えるべきである」「…管理職は日ごろから教職員との信頼関係の構築に努め、指導上の悩みや指導方法などについて、個々の教職員と十分に話し合える関係づくりを進めるとともに、実際の相談に際しては、常に効果的な指導助言や援助が行えるよう努めなければならない」「…教員の資質能力の向上は個々の自主性に委ねられていたが、改善について教員個々の自主性に委ねるには限界があり、学校組織が一丸、一体となって教員を育てるシステムとしての新たな教職員評価制度が必要となった」「管理職には、評価に際し、教職員との面談を通じて、目標の立て方や目標の達成の手法に対する指導助言、教職員を育成する視点が必要となる。教職員評価制度を活用し、個々の教職員の教育活動の質を高めるような、管理職のリーダーシップが求められる」…。
         公立学校の管理職は地方教育行政の管理の末端、まさに「中間管理職」の位置にあると言われます。京都市教委では教委の権限の一部を学校現場にゆだねる「裁量権拡大」とした「学校分権」への動きが始まっています。毎年の人事異動でいつ変わるかわからない校長・教頭の「力量」強化が問われることになるわけですが、市教委自身が「校長の力量については各校によって事情も違い、何をもって評価するかは難しい」としているように、現実の「中間管理職」としての立場と求められる「力量」「権限」には隔たりがあり、それを「評価」するというのは現実離れしていると言えます。同じ京都でも府と市でこの開き、いずれにしてもこの「中間管理職」が教職員を「評価」するという新制度に、住民へのアカウンタビリティーに応える普遍性を期待できるでしょうか? ますますの先生たちの「窮屈さ」と「忙しさ」、子どもと過ごす時間の短縮が心配されます。

        法定認可に向け 活動続ける 向日の共同作業所・ゆうとぴあ
         京都府向日市唯一の精神障害者共同作業所として、ボランティアらの手で3年前に開所した「ゆうとぴあ・むこう」が法定認可に向け、「メンバーの自立の第一歩として、就労と生活訓練、気分転換の場は不可欠。認可施設として運営の安定化を図りたい」と地道な活動を続けています。 同施設は2000年12月、現在の代表と施設長らを中心に開所。学習塾を開いていた代表が、かつての教え子の1人が精神的なつらさをかかえていることを知り、自宅以外の居場所づくりが必要と感じたのがきっかけ。今では病院や保健所などで紹介された17人が登録。ボランティアスタッフの協力で、メンバーは月、水、金曜の週3日の開所日に体調に合わせて通所し、ホームセンターで販売されるビスのセット作業や包装などの作業を請け負っています。しかし、無認可施設のため運営は厳しく、さまざまな経費はすべてボランティアの持ち出しでまかなっている状態。作業で得られる収入はすべてメンバーの工賃にあてているが、ごくわずかにしかならないといいます。 昨年6月から法定認可の準備を進め、年末には向日市に協議書を提出。新年度から認可施設として一定の助成を得て、安定化を図ることを目指しています。「精神だけにとらわれず、他の福祉施設とも連携し、将来的には福祉ショップなどを開き、地域に根ざした活動を続けていきたい」と夢を描いておられます。