岸和田の長男虐待・児童相談所などの人員増を!
2004/02/01
先週はニュースの度に大阪・岸和田市の長男虐待事件が報じられました。ついに殺人未遂で逮捕。それらの中で気になったのが、長男が「通報やめて」と隣人に懇願していたというものです。虐待が始まって約10か月後の昨年春、虐待に気付いたマンションの隣人が、自宅前で立たされていた長男を見かね、「警察に通報してあげる」と救いの手を差し伸べようとしたところ、「絶対にやめて」と強く拒み、「何をされるか、わからない」とおびえた表情も見せたといいます。その後も、悲鳴やどなり声、壁に何かが打ち付けられる音が連日のように聞こえ、耐えかねて転居した隣人は事件発覚後、周囲に「何もしてあげられず、責任を感じる」と漏らしているそうです。マンション住人らによると、一昨年秋から昨年春にかけ、同じように立たされている長男の姿が度々目撃されていて、真冬の早朝にはだしで薄着姿の時もあったといいます。この長男にとって、虐待する親との関係がこれ以上悪化することに恐怖感を募らせ、家庭外に救済の道を求めることまで考えることなどできない状態に心理的に追いつめられていたということです。
児童相談所の対応の不十分さは言うまでもありませんが、児童相談所の体制的な実態を考えると、親が「大丈夫」というような件は要介入度は低いものになってしまいます。一人の担当者が抱える件数は3ケタ、不登校などは卒業年次の3月が過ぎるのを待つだけという対応も実態としてあるそうです。児童虐待防止法もDV防止法も、教育基本法も子どもの権利条約も、子どもにとって意味あるものにするのもしないのも大人の意識と行動次第です。教育・福祉にもっと予算を増やして、児童相談所など必要な部署には人員を増員するなど、大胆な「改革」こそ求められていると思います。民間団体・組織・個人も輪を広げながらがんばっているのですから、行政にも納税者の期待に応えるアカウンタビリティーに耐える施策を期待します。
いじめで女児がPTSD、民族差別と市教委が謝罪。
00年4月から約1年間にわたって、中国人の父と日本人の母を持つ当時3年生の女児が、川崎市多摩区の市立南菅小で同級生から悪質ないじめを受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されていたことが28日わかりました。川崎市教育委員会は「民族差別に基づく悪質ないじめで、学級の対応は不適切だった」として女児と両親に謝罪。南菅小の当時の校長ら管理職についても処分を検討、女児の治療費などは賠償する方針だそうです。女児は3年生に進級した00年4月ごろから、頭や足をたたくなどの暴行を受けたり「服装が中国的だ」「臭い」と言われるなどのいじめを同級生から受けたそうです。わざと無視したり、給食の時間に机を離され、給食を配らないなどの嫌がらせもあったそうですが、担任は継続的な指導はしませんでした。
いじめの発生する学校では、教師の間でもいじめがあったり人間関係がギクシャクしていたり、管理強化で個々バラバラになって相談相手もない状態であることが多いようです。教育の基本の1つに規範意識を高めるということがあります。教師は子どもたちの規範的見本です。そして、子どもたちは教師たちの人間関係をよく見抜いているのも事実です。教師が規範的モデルとして行動できる環境をつくるのは管理者の任務です。いじめは、当事者間の問題ではなく、その学校の問題であると受け止めることから始めないと、解決に向かうことはないと思います。