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        カンニング疑われた高3男子、学校の事情聴取の後に自殺。
        2004/05/30
        また悲しい出来事が起こりました。埼玉県所沢市の県立所沢高校に通う3年生の男子生徒(17)が、中間試験の最中にカンニングを疑われて指導を受けた後、飛び降り自殺していたことが27日分かりました。
         男子生徒は26日午前の中間テストで2時間目の物理の時間中、1時間目にあった社会科に関する資料を机の上に出していたため、試験監督の教諭に注意を受けました。生徒は3時間目の試験が終わってから個室に呼び出され、教諭4人に正午ごろから午後2時ごろまで代わる代わる事情を聴かれるなどしたといいます。しかし生徒は「カンニングはしていない」と主張、学校側は「違う科目の資料であっても、疑われるような行為は良くない」と指導したといいます。生徒はいったん帰宅した後に外出、同日午後6時ごろ、自宅から約3キロ離れたビルから飛び降りました。自殺直前と思われる5時40分過ぎ、生徒から母親の携帯電話に「本当に本当に迷惑をかけてごめんね」と、短いメールが着信していました。母親は「学校からは『カンニングをしたとは認識していない』と説明があったが、それならなぜ2時間も事情聴取をしたのか。そのことが原因としか思えない。悔しかったんだと思う」と話しています。遠山校長は「命がなくなったことは謙虚に受け止めて反省しなければいけない。力不足だった」とし、指導のあり方について「調査(聴取)の時間が長かったかもしれない」と話しています。
         「力不足」とかの問題ではなく、「疑い」だけで2時間も4人の教師が代わる代わる問いつめられ、対応した「教師全員から疑われたこと」「自分を信じてもらえなかったこと」が悔しくて耐えられず、刹那的に人生を悲観・否定し自死を選択してしまったのだと思います。「疑い」だけで2時間も4人の教師が関われるのなら、なぜ日常の「生徒指導」においてゆとりをもった人間的関わりができなかったのか、それができていたらここまで一人を疑い多数で2時間も問いつめるという事態はあり得ないと思います。これでは「生徒指導」ではなく、「心理的虐待」でしかありません。学校側は、「事情聴取」の内容やその仕方、生徒の様子・対応について、詳しく家族に説明する責任があります。親が知りたいのは、「あった事実」とその時の「我が子の気持ち」であり、学校側のその場しのぎのごまかしの粉飾された言い分ではありません。

        学校間格差、最大45倍? 絶対評価「5」にばらつき
         「絶対評価」に基づく教科ごとの成績評価で、5段階評定の「5」の割合に最大45倍の学校間格差があることが横浜市内の公立中学校を今春卒業した生徒の調査で分かりました。成績評価は高校入試の調査書に影響します(神奈川県の公立高入試では調査書の比重が大きい)が、今回調査の実態から、評価基準の客観性が問われそうです。毎日新聞社が学校別の評定一覧を情報公開請求し、同市教委が公開したもので、全校分の公開は政令市で初めてだそうです。学校名と成績が公開されたのは、同市内の公立中145校を今春卒業した生徒の2年修了時と3年2学期の分、学校別に全9教科で1~5評価の生徒数が記載されています。1学年の生徒数が40人以上の学校(144校)で、「5」の生徒数の割合に最も差がついたのは2年生の英語。80人中44人(55%)と82人中1人(1.2%)の学校の格差が45.8倍ありました。全校の「5」評価数の平均は、以前の「相対評価」で定められていた7%の2倍を超える17.7%。30%以上も9校ありました。3年生の保健体育では、「5」が56.4%(335人中189人)と高率の学校がある一方、0%(14人中0人)の学校もありました。ある学校では全9教科で「5」評価数の平均が4割を超え、評定平均は2年生が3.79、3年生が4.02でした。相対評価の場合は3.00になるが、同校の校長は「興味や関心を持ち、意欲的に学習する生徒が多いから」と他校より高い原因を説明。同市教委も「突出する学校は気になるが、問題ではない。絶対評価ではあり得ること」と静観。
         しかし同市立中の40歳代の男性教諭は「学校現場の実態からは想像できない高値。入試での土俵が違ってしまい、受験生に不公平感をもたらす。絶対評価の調査書を入試の選抜資料に用いるのは疑問」と首をかしげています。
         教科の到達度評価の基準や学年全体の状態、授業を受ける態度への評価に学校毎に大きな差があれば、当然ながら調査書に不公平が起こります。文部科学省による拙速で一律的な評価方法の変更に対する学校現場の対応にばらつきが発生している事実、全体的に低い評価を受ければ「はずれくじ」では済まされません。
        (絶対評価):新学習指導要領に合わせ、02年度から全国の小中学校で導入。5段階評定で最高の「5」は7%などと各評定の割合があらかじめ定められた相対評価と異なり、学習目標をどこまで達成できたかを評価。理論上は全員が「5」もあり得る。