相談によく乗る―「父子」意識にすれ違い。
2004/07/25
子どもが抱える悩みに、父親は6割が「自分は相談に乗っている」と考えているのに対し、子どもは4割しか思っていないことが、東京都が行った「青年の自立・社会性に関する調査」の報告書で明らかになりました。
調査は今年1月から2月にかけて、都内に住む15歳から29歳までの男女と、その父親・母親3,945人を対象にアンケート調査、回収率は54%。
「父親がよく相談に乗ってくれているか」との質問に、「その通り」と答えた子どもは10.8%。「大体そう」(27.3%)と合わせても、父親が「よく相談に乗ってくれている」と感じている子どもは4割に満たない結果となりました。
特に、15歳から18歳の女子高校生に不満は強く、「その通り」(8.1%)と「大体そう」(12.1%)を合わせてもわずか20.2%。同年齢の男子高校生(同50%)に比べて、著しく低いものでした。
一方、父親は「子どもの相談によく乗るか」との質問に、18.9%が「その通り」と回答。「大体そう」は42.5%で、両方を合わせると61.4%がよく相談に乗っていると思い込んでいます。
母親と子供の関係については、「母親がよく相談に乗ってくれている」と回答した子どもは62.7%にのぼりました。「子どもの相談によく乗る」と答えた母親は82.9%でした。
このほか、親を尊敬しているかとの子どもへの質問では、「父親を尊敬している」が76.4%だったのに対して、母親は81.8%。父親は、ここでも母親に“負け”ていました。
「子どもとの距離」をめぐる父と子の「意識のすれ違い」に、都では「深刻な問題だ。今後、青少年健全育成事業の参考にしたい」と話しています。
性別役割分業がすすんできた中で、情緒面でのつながりは母親が強くなり、父親は、自分の意識に反して子どもと身体的・精神的に接する時間と場が少ないことの証でもあります。父親本来の家庭内役割が果たせるよう、社会的意識の変革が求められていますが、この不況下、しばらくは無理なようですね。
沖縄県の教員の病気休職300人―過重労働で精神性疾患が増加
沖縄県教育委員会は、教職員の病気休職について2003年度の状況をまとめた。県内の小中高校で、病気休職した教職員は300人で、うち精神性疾患は99人。どちらも、資料がある1989年以降では最多です。県内の公立学校で病気休職した教師のうち、精神性疾患が3分の1を占めています。その数は5年連続で増え、10年で約3倍になりました。専門家は、教師が「過重な労働」を強いられているとして、地域の人材がもっと学校に入って部活や生活指導へのかかわりを強める必要性を指摘しています。
03年に病気休職した300人の内訳は、小学校146人(精神性疾患49人)、中学校79人(同27人)、高校55人(同18人)、特殊教育諸学校20人(同5人)でした。
教師の休職や復職について協議する健康審査委員会の1人で、職場の健康問題に詳しい精神科医の山本和儀医師は、教師に適さない人も一部にいると指摘しつつ、全体的な問題として「部活や生徒指導などに追われ、休日出勤もあるなど、十分な休みが取れない状況にある」と説明しています。
さらに、相次ぐ少年事件を背景に、学校の責任や教師が感じる心的圧力が大きくなる一方で、身近な職場に相談できる人がいないことが多いと指摘し、「地域社会の人が、もっと学校に入り込み、部活や生徒指導を手伝うなど責任を分担することが必要」と話しました。
県教委によると、「教職員の悩み相談事業」に寄せられた悩みは03年度が670件と、前年度の364件から大幅に増えていました。多いのは生徒指導108件、職場の人間関係80件(複数回答あり)などでした。
県高教組の松田寛委員長は「たくさんの調査書などへの対応で多忙化し、教職員の横のつながりが断ち切れ、1人で悩みを抱えてしまっている」と強調。一方、県教委は「実態はさまざまで一概に言えない」と説明しています。
教育委員会は、こうした現実を直視し、適切な対応をすることが職務だと思いますが、その職責は棚上げし、教師個人の能力の問題にすりかえるケースが多いのが現実です。教育委員会の職責放棄と縦型統制管理主義、今、学校化社会で見直すべきことの上位に位置づけられると思います。