少年法関係法令改正へ―14歳未満も少年院収容。
2004/08/20
法務省は24日、犯罪の低年齢化に対処するため、刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年(触法少年)の少年院への収容を可能にし、警察による「調査権」を明記することなどを柱として少年法関係法令を見直す方針を明らかにました。
少年非行対策の法整備は、昨年末の政府発表の「青少年育成施策大綱」にも盛り込まれています。法務省は9月の法制審議会に関係法改正を諮問し、早期に成案を得たい考えのようです。
保護観察中の少年が順守事項を守らず、保護観察所の警告に従わなかった場合、家裁の判断で施設への送致を可能にする制度の検討も…。
在宅や児童自立支援施設で更生を図ってきたこれまでの触法少年に対する処遇の在り方を見直す内容で、「厳罰化」の進行が危惧されます。
27日、京都で開催された、日本弁護士連合会・近畿弁護士連合会・京都弁護士会主催の「子どもの権利条約批准10周年記念シンポジウム―進行する子どもの選別、監視、切り捨てにどう立ち向かうか―教育基本法「改正」と青少年育成施策大綱を考える―」に参加してきました。一人ひとりの子どもの成長と発達、教育を保障していくのではなく、一部のエリートを選別しお金をかけて育成、一方他の多数にはお金をかけずそれなりの道徳心を植え付け、従順な労働者、戦争に参加する人間に作り上げていく、というのが国・財界の本音です。いじめ、不登校、中途退学、学級崩壊、青少年の巨悪犯罪等が、教育基本法改正の建前として利用されていますが、こうした「改正」への議論には、子どもたちの実態・現実についての調査・検討はまったく行われていないという事実を見過ごすことはできません。子どもたちをめぐる様々な課題、現場で、同じ視線に立って一緒に考える志向が求められます。
東京都が新中高一貫校で「つくる会」歴史教科書を採択
東京都教育委員会は26日午前、台東区に来春開校する都立中高一貫校で使う教科書として、「新しい歴史教科書をつくる会」(八木秀次会長)のメンバーらが執筆した扶桑社の歴史教科書を採択しました。この議論は5分そこそこで決議になったとか…。公立の普通校での採択は、愛媛県の中高一貫校(計3校)に次いで全国で2例目です。使用が決まったのは、都立「白鴎高校・白鴎高校付属中学校」。同校は都教委が設置を進める中高一貫校の第1号で、来年度入学する1年生160人(予定募集定員)が使うことになります。
つくる会の教科書は中学生向けの歴史と公民の計2冊。公立校では、01年に都立養護学校と愛媛県立養護・ろう学校で採択された後、翌年、同県の中高一貫校でも採択されましたが、圧倒的多数を占める区市町村立の中学では採用されていません。同会によると、私立では全国で8校が採用しているといいます。
採択時には大きな議論を巻き起こす「つくる会」の歴史教科書だが、すでに使用している学校現場で目立った混乱は生じていない。
中高一貫の愛媛県立松山西中は昨年から、つくる会の歴史教科書を使い始めた。学校側は「副教材も使い、多角的に歴史を見るようにしている。第2次世界大戦の部分は(教師が)他の教科書も参考にするなど、気をつかっている」とし、「生徒、保護者、教師からの苦情はない」。ただ、「他の教科書に比べ、人物名などの分量が多く、授業で十分扱いきれない面もある」とも指摘しています。同県立の今治東、宇和島南の2校も「苦情や混乱はない」としています。
「つくる会」歴史教科書導入の動きと、教育基本法「改正」、青少年育成施策大綱の根底に流れる思想は、日本を「戦争のできる国」にするというもので、「愛国心」や「道徳教育」の推進などで、具体的に、じわじわと私たちの、子どもたちの日常に浸透していっています。日本は単一民族の国家ではなく、多数の在日外国人が社会を構成しています。この方々を初めから切り捨て、「国家」・「日本人」意識を強化しようとしつつ、一方でグローバル化を謳うという矛盾、国際国家からの孤立化への道を突き進むつもりなのでしょうか。