「発達障害者支援法案」、与野党共同で衆院へ提出。
2004/11/28
自民、公明、民主、共産、社民の各党は19日、自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害のある子供を早期発見し、適切な教育、医療などにつなげる体制を整備するための「発達障害者支援法案」を衆院に共同提出しました。(sienho.pdf)
発達障害の子は、幼い時から心理面や学習面で適切なケアをすれば社会参加できるのに、一般の理解はまだ低く、診断できる専門医も少ないのが実情。障害が分からないまま、学校になじめず不登校になる子もいます。
厚生労働省は既に、法整備を見込んで、来年度予算概算要求の中に8億5千万円余の支援体制整備費(等)を盛り込みました。
発達障害には、自閉症のほか、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などがあり、文部科学省が2002年度に行なった全国調査によれば、全国の小・中学生の6%強に何らかの発達障害がある可能性が強いという結果が出ています。しかし、いままで、発達障害者への支援は障害児・者福祉サービスの中には位置づけられてなく、知的障害を伴わないとサービスを受けることができませんでした。今回の法案が成立すれば、遅ればせながら、発達障害者に対する本格的な支援の枠組みが整うことになります。
議員連盟がまとめた法案では、発達障害の早期発見の促進や、乳幼児期から成年期までに亘る支援を、「国や自治体の責務」であると明確に規定しています。その上で、以下のようなことに力点を置いています。なお、成立すれば、来年4月から施行される予定です。
1.乳幼児健診などによる早期発見の促進
2.保育・教育・就労・地域生活支援など、発達障害者の生活全般に亘る支援体制の整備
3.社会福祉法人などを「発達障害者支援センター」に指定し、支援体制を確立
厚生労働省では、来年度から各都道府県に発達障害者に対する支援体制を検討する専門委員会を設置する方向で、調整を進めています。さらに、特にモデル地域を決めた上で発達障害者の個別支援計画案を作成し(ケア・マネジメント)、また、障害児施設で支援事業を行ない、発達障害者に対する支援のあり方を確立してゆく方針が決まっています。
現在私が援助スタッフとして関わっている「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」(http://www13.ocn.ne.jp/~nonlabel/)の当事者の中にも、アスペルガー障害と診断された方、アスペルガー的な方がかなりいらっしゃいます。義務教育の間はこれからも「特別支援教育」等の枠組みで対応・支援が受けられるかと思いますが、中学卒業後、あるいは18歳以降に支援・援助を受ける社会的資源はお粗末な状況です。都道府県の精神保健福祉センターが相談の窓口となるようですが、個々のケースに細やかに対応してもらえる状況は想定できません。ノンラベルでは、家族会の中に「青年・成人期のアスペルガー部門」を創設する方向で、現在「AS援助者養成講座」を開催中です。軽度発達障害の方々への援助はケースバイケースであるとともに、生涯にわたるものですし、家族の理解と適切な援助、社会的な支援ネットワークが必要です。民間ベースでの援助の拡大が公的サービスへの流れをつくるというのが日本の福祉の歴史であることは否めませんが、法案が通ったからと言って、その受け皿となる学校や保健所、医療機関などが十分な援助レベルに到達するには、遠い道のりがあると思います。もっと予算とマンパワーの充実を求めたいものです。
県立高入試模擬試験で大手進学塾が販売競争?
大手の受験情報会社と教材販売会社が、滋賀県の県立高校普通科の通学区全県一区化を前に、県立高入試にしぼった模擬試験を新たに作成、県内の中小の学習塾や家庭教師の派遣業者への販売競争を繰り広げているようです。
中小の塾は従来、受験情報会社が関西圏で行う標準的な模試や、大手進学塾などが作る県立高版の模試を使って、受験指導をしていました。大手進学塾の模試の使用については「生徒の学力情報が大手に知られ、引き抜かれる恐れがある」などとして模試参加に難色を示す塾が多く、さらに全県一区になると県立高志望者の学力を県全体の比較の中でよりきめ細かく把握する必要があり、新たな模試を求める声が出ています。
そんな中、受験情報会社「大阪進研」(大阪市)は今月から県立高受験にしぼった模試を作り、販売を始めました。「従来の模試で全県一区に対応できると考えていたが、今のままでは受験指導が通用しなくなるという塾の危機感に押され、作成に踏み切った」と言います。
試験は5科目、年3回行う予定。偏差値は県立高以外の合否診断にも活用できるそうです。初回は約2000人が参加。販売した約50の塾のうち、新規取引先が約3割を占めているといい、「期待は大きい」と販路拡大に自信をみせています。
教材販売会社「パピルス書房」(京都市)も昨夏から、県立高受験者向けの模試を導入しています。主要5教科で年4回行っており、参加者は約1400人という。各教科の得点と、参加者が自己申告した内申点を合わせた合否判定が特徴だそうです。同社教材事業部では「全県一区化で需要の拡大が見込める」と話し、参加者3000人を目標にしています。
公立高校の通学区「全県一区」は、東京都を皮切りに全国で広がり始めていますが、どんなメリットがあるのか私にはわかりません。京都でも弾力的に(?)一部地域で通学区の拡大が行われていますが、単に通学距離が遠くなっただけのようでもあり、教委の意図する生徒の学力による序列化(?)が、いかに子どもたちにとって精神的にも物理的にも負担をかけるものになるか、客観的に見直す必要があると思います。子どもたちの本音は、「近くの学校で、クラブなどが楽しくやれる学校」です。