「花はたださく ただひたすらに」が「やくざの書くような言葉」?
2004/12/26
宿題の書き初めで、書家、詩人として著名な相田みつをさんの詩を書いたところ、中学の男性国語教諭(53)に「やくざの書くような言葉だ」などとばかにされ、これが原因で卒業文集にもほおに傷のある似顔絵を描かれたとして、横浜市立中学の元女子生徒が市に慰謝料など350万円の支払いを求めた訴訟で、横浜地裁の河辺義典裁判長は24日、教諭らの責任を認め、市に計25万円の支払いを命じました。元生徒は別の男性教諭(46)から部活動中に腰をけられており、支払額はこの賠償5万円を含むそうです。
判決によると、元生徒は3年生だった01年1月、「花はたださく ただひたすらに」と書いた書き初めを、国語の授業に提出。相田みつをさんの詩ですが、国語教諭はこの詩を知らず、ほおに指を当てて(傷跡を)なぞる仕草をして「こういう人たちが書くような言葉だね」と発言。同級生は笑い、元生徒は「やくざ」などとからかわれるようになったと言います。
その後、生徒たちが卒業文集で互いの10年後を想像した似顔絵を描き合った際、元生徒は、ほおに傷がある絵を描かれ、担任の女性教諭(38)は、絵を見ていながら修正せずに文集を配布。学校はその後、元生徒の母親の抗議で文集を回収し、印刷し直した文集を配り直したそうです。
判決は教諭の発言を「(発言で)嫌がらせを受けるのは当然予想され、不適切で軽率」と批判。似顔絵についても「(担任が)訂正の必要性を認識すべきだった」としています。
今年も数多くの教師の不祥事報道がありました。このように、訴訟によってその非が明らかにされるケースはごくわずかなのでしょうね。それにしても、この子が受けた精神的苦痛に対する慰謝料がわずか20万円というのも驚きです。無知と無配慮から発せられた教師の言葉に端を発した同級生のからかい、卒業文集でもその意味をわかっていながらほおに傷のある絵をそのまま配布された本人、家族にとって、生涯忘れられない苦痛を学校において受けたことの結論が20万円、蹴られた分が5万円の賠償ですから……。
教育基本法「改正」を批判「もっと国民的議論を」-毎日新聞社講演会
24日、福岡市の中央市民センターで、教育基本法について考える講演会「教育基本法の改正は必要か~イブの夜、子どもの未来を考えよう~」(毎日新聞社主催)が開催されました。毎日新聞論説副委員長・瀬戸純一が講演し、「憲法改正の動きと重ねてみると教育基本法改正の意図が透けて見える」と「改正」の動きを批判しました。
瀬戸論説副委員長は「改正推進派はその理由に教育の荒廃を挙げているが、教育基本法に特定の言葉があったりなかったりするから教育の荒廃が起きているのか。法律に書けば、どうにかなるというものではない」と指摘。「国旗国歌法が成立した時も『強制するものにはならない』としながら、結局は東京都などで生徒の不起立による教師の処分が起こっている。かなり警戒していかなければならない」と訴えました。
その後、少年問題に詳しい八尋八郎弁護士と瀬戸論説副委員長が対談。八尋弁護士は「基本法の『改正』問題についてもっと国民的な議論があってもいいはずだが、関心が薄いように感じる」と問題提起し、瀬戸論説副委員長は「自分の子どものことだけを考えるのではなく、これからどういう社会にするのかを考えてほしい」と応えました。
全国各地で教育基本法「改正」について考える取り組みが開催されていますが、それらのほとんどがマスコミ報道されることはありません。規模が小さい場合はともかく、一定規模の集会やシンポジウムなどでも取材は入りません。一方で、政府や関係省庁、与党の関連する、「改正」に肯定的な動きは克明に報道されます。これを「世論操作」と言うのでしょうか。テレビしか見ない人が増える昨今、与党側、経済的支配者層に有利な情報だけが、NHKを筆頭に映し出され、イラクへの派遣延長も、増税も、憲法・教基法などの「改正」も、なし崩し的にすすめられる下地がつくられていると思えて仕方ありません。私はNHKについては、「公共放送」の役割を果たしていないと考え、来年から受信料の支払いを拒否する決意をしました。
今年もあと5日。仕事もしていないのに、放送・面接授業とボランティア(ひきこもりと不登校の家族会)を中心に動き回った一年でした。来年は、いよいよ相談室開設。平行して専門学校通信部で学習開始(以前は放送大学大学院の科目履修としていましたが、より実践的な学びを選択しました)します。05年が皆さんにとっても、新たな変化の年となりますことをお祈りします。次回更新は1月5日の予定です。では、よいお年を!