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        『どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害』発売!
        2006/01/22
        15日、私がスタッフとして関わっている「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」から、『どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害』(かもがわ出版発行、120頁、定価1,300円+税)が出版されました。全国の主要書店に並んでいると思われます。私も部分的に執筆に参加しています。
         アスペルガー障害を含む高機能広汎性発達障害の診断を受けた方、またその疑いのある方、中でも障害特性が顕著に表れる思春期・青年期の当事者の特性の理解と関わり方のヒント等を、家族会として彼らと関わりながら学んできたことをまとめたものです。
         18歳を過ぎると児童相談所との関わりも切れるため、相談先、受診先を見失ってしまわれるご家族が多いのが実情です。「発達障害者支援法」の施行によって、全国の都道府県、政令市で「発達障害者支援センター」が設置されていっていますが、思春期・青年期の高機能広汎性発達障害(児)者への援助に関するノウハウの蓄積はまさに始まったばかりです。
         高機能広汎性発達障害への正しい理解と適切な関わりを、多くの方が獲得していただけることを切に期待します。ぜひご購入を!

        ●子どもの心の問題診る医師、専門性3段階に分けて養成(厚労省)
         18日、子どもの心の問題に対応できる小児科・精神科医の養成方法を話し合っていた厚生労働省の検討会は、医師の専門性を3つのレベルに分けて養成することを盛り込んだ報告書案を大筋で了承しました。次回会合で取りまとめる方向です。
         厚労省によると、虐待を体験した子どもの増加や発達障害への認識の高まりに伴い、心のケアの必要性が急速に高まっている一方で、全国の専門医は2,200人程度と推計され、時間と手間のかかる子どもの診療は予約を入れても2、3年先になるケースもあり、医師不足が問題となっています。
         報告書案は医師を(1)軽症例を診療できる一般医(2)1年以下の研修を受け中等症例を診療できる専門医(3)1年以上の長期研修を受け重症例、難治例を診療できる高度専門医-の3つの水準に分類。初診は(1)の医師で対応し、重度になるにつれて専門性の高い(2)や(3)の医師が診療するということです。
         初診を(1)の医師で対応するというのが気になります。やっとの思いで医療につながったご家族や当事者が、その入り口で不愉快な対応を受けたり、誤診され要らぬ投薬治療を長期に続けた後に別の診断名をもらうというケースが多いからです。段階的に対応できる医師を養成することの必要性は言うまでもありませんが、やはり、初診は「重症例、難治例」を見分ける力量のある医師であることが望ましいと思います。また、小児科や児童精神科の医師の養成とあわせて、ご家族や当事者のメンタル面でのケアにあたる援助者(カウンセラーやソーシャルワーカーなど相談できる第三者)の養成と連携強化も必要です。

        ●小中と養護学校の教職員、給与の国庫負担一本化へ
         文部科学省は、小中学校など、義務教育を担う各学校の中で養護学校だけが別制度となっている教職員給与の国の負担金(義務教育費国庫負担制度)を一本化する方針を決め、通常国会に関連する法律の改正案を提出する方向です。
         これによって、負担金交付までの国や都道府県の事務手続きが簡略化されるほか、地方にとっては教職員配置の自由度が高まります。4月から実施する予定だそうです。
         養護学校の場合、肢体不自由児以外に長期療養中の児童生徒や注意欠陥・多動性障害(AD/HD)など発達障害のある子どもたちも受け入れる場合があり、教職員配置に柔軟性が求められます。
         ところが、小中学校などの教職員給与費が義務教育費国庫負担法などを根拠にしているのに対し、養護学校だけは、校舎建設に対する国の補助などを定めた「公立養護学校整備特別措置法」が根拠法で、両者は共に教職員給与の半額を国が負担することを定めていて、実質は同じですが、法律上は別の制度となっています。
         この結果、例えば少人数学級実施のため小学校に配置された教員を養護学校の発達障害児支援に充てることはできないのが現状です。一本化すれば、こうしたことも都道府県の裁量で可能になるそうです。
         都道府県の「裁量」は知事の意志に、学校での「裁量」は校長の意志に寄るものです。子どもたちの育ちや学びに関わる組織の長は、一人ひとりの子どもたちにとって最善の利益が得られる環境づくりをどうすすめるべきか、関連機関や民間援助団体、研究者・医師などの個人、そして何よりも家庭との連携をすすめながら、現状ニーズに応じた施策を大胆に取り組んで行って欲しいと思います。