「全国学校事故・事件を語る会」第13回集会に参加(神戸)
2006/02/12
11日、神戸市内で開催された「全国学校事故・事件を語る会」第13回集会に参加してきました。学校に起因する事故や事件でお子さんを亡くされた方や、心的外傷により後遺症状に苦しまれているお子さんの家族、約20組が参加し、交流し合いました。全体会の後、学校事故での死亡、自殺、後遺症状の3つの分科会に別れて、交流、問題や課題の抽出、改善方向などについて議論をしました。私は自殺事案の分科会に参加したわけですが、子どもの自殺は残された家族の心的問題であること、裁判等で学校関係者から事実がほとんど語られず隠蔽されること、「恥」として家族で抱え込まれてしまうケースが多いことなど、この取り組みが広がって行かざるを得ない実態を痛感しました。
次回集会は4月15日(新長田勤労市民センター)、1泊まりでの大集会は6月3・4日(パレス神戸)開催されます。ご遺族や当該ご家族のみなさん、ご関心のあられるみなさん、是非ご参加下さい。詳しくは私宛にメール下さるか、代表の内海さん(fax.0791-66-1108、eメール:HQC00120@nifty.com)までお問い合わせ下さい。
●府教委が来年度、学習障害児ら支援に非常勤講師に退職教員ら100人(京都)
京都府教委は06年度から、通常学級に在籍している学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの児童生徒への個別指導を充実させるため、退職教員や大学院生ら100人を非常勤講師として配置すると発表しました。府の06年度当初予算案に事業費として2億2,000万円が盛り込まれています。
府内の小、中学校では03年度から、学校と家庭、専門機関をつなぐ「特別支援教育コーディネーター」(教員)を中心に、軽度発達障害の子どもの支援にあたってきていますが、他の校務を持つ教員では専門性を高めるのが難しいといった課題がありました。
このため、一人ひとりの子どもの状態に応じた専門性の高い指導につなげようと、増加が見込まれる「団塊の世代」の退職教員や、特別支援教育を専門的に学ぶ大学院生ら100人(うち京都市内50人)を週20時間程度、学校に派遣するとしたもの。別室での個別指導や複数教員によるチームティーチング方式を通じ、細かく目配りする。府教委は市町村教委を通じて各校の実態を把握した上で講師の配置を決めるとしています。
府教委は「早い段階で適切な指導を行うことで、子どもたちの自立につなげたい」(特別支援教育課)としています。
●発達障がい者支援センター」10月にも開所(福岡市)
福岡市は設置を検討してきた「市発達障がい者支援センター」を中央区の心身障がい福祉センター内で10月にも開所する方針を決めました。支援センターは学習障害や発達障害がある人の相談・支援窓口となります。
市こども未来局などによると、運営は社会福祉法人に委託しますが、市も入った運営検討委員会が支援センターの運営や関係機関との連絡調整について話し合うそうです。スタッフは心理、生活相談、就労相談など専門性を持ち、他の施設との連絡調整を図れる人材を確保する予定。発達障害について市に寄せられる相談は新規分だけで年間250人前後としています。
●大垣養護学校:新年度からモデル的に自閉症学級、設置へ(岐阜)
大垣市西大外羽の県立大垣養護学校(冲中紀男校長)に新年度から、県内で初めて自閉症学級が設置されます。年々増加する自閉症の児童・生徒を特性に応じて指導していくもので、新年度はモデル的に小学部2年に自閉症学級1クラスを開設、斬新な教育方法や内容を検討していくそうです。
同校によると、自閉症の児童・生徒は20年ほど前から全国的に増え、現在では同校でも小学部・中学部の半数が自閉症の児童・生徒。特に今年度の小学部1年生は18人のうち13人が自閉症と診断されているそうです。このため、同校では2年前から、障害の特性に応じた支援のあり方を研究してきました。他県に研修に出かけたり、全職員を集めて講座を開く一方、地域の小・中学校や幼稚園の教員らを招いた公開授業や、岐阜大学教育学部障害児教育講座の坂本裕助教授らを招いて研究授業も行ってきたそうです。
新年度の自閉症学級は、父母に説明して納得してもらった家庭の児童を対象に開設。同校では「自閉症の児童の学習指導には、教室や教材など、環境づくりが必要。全校児童・生徒が351人とマンモス校で、さらに新年度は20人ほど増えるなど、克服しなければならない課題もあるが、児童の特性に配慮した指導をしていきたい」と話しています。
●就労へ、まず社会性学ぶ
(2006年2月2日読売新聞)より
発達障害の生徒が就職するにはどうしたら良いか。
午前9時30分、教室内には約50人の声が響き渡った。「心を結ぶあいさつ」「やる気に満ちた返事」……。民間教育機関「ステップアップアカデミー」(東京都中野区)の大学部は、目指すべき7か条を在学生が唱和して、一日が始まる。
同校は、発達障害や人間関係を築くのが困難な生徒たちの進学・就職支援のため、1999年に開校。小中学部から大学部まであり、このうち高等部は通信制高校などに籍を置きながら日常的に通う「サポート校」と呼ばれる塾だ。在校生の大半を占める大学部と高等部には計65人が在籍する。
開校当初はパソコン技術やホームヘルパー資格取得など就労に向けた訓練が授業の中心だったが、企業が求めていたものは違った。
「どんなに技術や知識があっても、あいさつや協調性などがなければ企業は困る」と、田中雄一校長(58)。このため、02年に教育目標を転換、社会の中で生きる力を身につけることを目指すようになった。
例えば、友情をテーマにした絵本を読み聞かせて相手の立場を考えさせる授業や、授業以外でも例えばボウリング場に行き、靴の借り方から学ぶ。20歳以上の学生には、居酒屋で酒の飲み方を教えることもある。
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入学当初は半数の生徒が座って授業を受けられない。大学部の授業はこのため1時限30分だが、授業時間は就労時間と同じ午前9時30分~午後5時にした。
田中校長はこうも語る。
「周囲は勝手に注意欠陥・多動性障害(ADHD)などと決めつけるが、生徒の特性を客観的に理解し、指導することが必要です」
このため、生徒は毎年、臨床心理士や眼科医の検査を受ける。さらに、物を見る際の距離感や立体感覚を鍛え、行を飛ばさずに本を読むための「視知覚トレーニング」も毎日継続する。
こうした授業が実を結び、雇用される生徒も増えてきたが、その数は満足いくものではない。「就労が一番の課題」という田中校長の悩みは深刻だ。
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こうした課題を解決するため、横浜市金沢区にあるサポート校「アンデルセン高等学院」は就労の場の提供にも力を入れる。以前から卒業生向けにクッキーの製造・販売の場を設けてきたが、1月には「あひるのチラシ屋」を開設。学習障害(LD)など20~30代の卒業生13人が、チラシの印刷から折り込み、配布まで請け負うようになった。
公立高校も動き出した。
卒業生の約6割が就職する福島県立川俣高校は特別支援教育を本格化させた今年度、発達障害の把握に力を注いだ。来年度からは就職に向け、対人関係の基礎を磨くソーシャルスキルの訓練も始める予定だ。
「高校は生徒が自分の発達障害を受け入れられる最後の時期」と、同校の特別支援コーディネーター、高井麗子教諭(49)。発達障害は早期発見と個人の特性に合わせた支援が不可欠だが、その輪はまだまだ小さい。
障害児の進路 全国の盲、ろう、養護学校の高等部卒業生は約1万2000人(04年3月)で、就職率は20.4%に過ぎない。障害者雇用促進法は、民間企業(従業員56人以上)に全従業員の1.8%、国や地方公共団体(職員48人以上)に全職員の2.1%の身体・知的障害者の雇用を義務づけている。しかし、1,000人以上の企業でも、33.3%しか義務を達成していない(05年6月現在)。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20060202us41.htm