乳幼児医療費への自治体助成、全額助成は53%
2006/04/02
毎日新聞が全国の767市(3月13日現在)と東京23区を対象に調査したところ、乳幼児医療費の助成制度で、保険医療の自己負担分を全額助成している自治体は421市区で、53%に上ったことが明らかになりました。。このうち全体の44%にあたる351市区では所得制限を設けていませんでした。一方で、財政事情などを背景に、対象年齢などに大きな開きがあることも明らかになっています。
調査は2月下旬~3月上旬、全国の取材網を通じて実施されたもの。790市区について、都道府県による助成分も含め、・対象年齢・助成額・所得制限などを聞いています。今年4月1日施行の制度も一部含まれています。
調査結果によると「所得制限も自己負担もある」のは135市。所得制限なしで全額助成している351市区のうち、両方が適用される対象年齢は「就学前」が186市区、「2歳まで」が44市、「0歳」が40市、「4歳まで」が19市などで、最高は「中学卒業まで」で4市区ありました。
国の現行制度では、3歳未満の子供について医療費の8割を保険給付(2割が自己負担)していますが、大半の自治体が上乗せ助成を行っています。政府・与党が昨年12月に決定した医療制度改革大綱は、8割給付の対象を08年度から「就学前」に引き上げることを盛り込んでいます。
乳幼児医療費への助成を実施していない自治体は、おおむね「予算がない」ことを理由にしています。しかし一方で「無駄使い」の予算は数知れず……。「中学卒業まで」実施している自治体との違いは何なのでしょうか?自治体の長の権限は大きく、その人の考え方一つで、「予算」組みは相当額が変わると言われています。流れは間違いなく、乳幼児・児童医療費無料化の方向へ向かっていると思います。
●少子化背景に府立高校統廃合や中高一貫が急ピッチ-“予備校化”懸念も(京都府)
京都府は府立高校改革を急ピッチで進めています。小学区制を見直した85年に続く大がかりな取り組みで、少子化を背景としています。中3生は「団塊ジュニア世代」の87年度に4万3,160人とピークを記録し、今年度は2万3,741人とほぼ半減。一方で府立高数は48校でピーク時と変わっていません。
00年の有識者らの懇話会で議論の具体化が始まりました。柱は学校規模の適正化と、教育システムの多様化。02年1月の「まとめ」は戦後初の高校数減少となる統廃合に言及し、職業教育が主眼だった専門学科の見直しや中高一貫教育の導入などを提言しました。
これを受けて府教委は昨年、府南部の城南と西宇治を09年度、八幡と南八幡を07年度に統合し、養護学校を併設する計画を公表。府教委の森永重治・高校改革推進室長は「統合で講座が増やせ、部活動の活性化にもつながる」としています。教育の多様化では04年、洛北高に付属中を設けて中高一貫化。06年度には大学理系学部進学を目指す専門学科を桃山など一挙4校に設けます。「平等の名で選択権もない時代があった。『京大で宇宙物理を学びたい』『農業を学んで働きたい』といった多様な希望に応えるのが公立の使命」と森永室長は強調しています。
これに対し、府立高教職員組合の佐古田博・教文部長は「根底には、財政改革を進める現府政の『経営』の視点がある。教育は経営では語れない」と批判。さらに“教育の多様化”が招く、高校の受験予備校化に懸念を示す。「一部の出来の良い子のための現行路線は学力の二極化を招くだけ。高校は減らさず少人数教育にし、普通科を充実させて全体の底上げを図るべきだ」と訴えます。
現在、京都では9日投票で知事選挙が戦われています。毎日新聞がこの府立高校改革への考え方を2人の候補者に質問したものへの回答は以下の通りです。
◇山田啓二氏
改革の目的は、子どもたちがそこで学んで良かったと思えること。多様な専門学科があり、自分に合った教育を受けられるなど将来を見据えた学校づくりが大切。
◇衣笠洋子氏
ゆきすぎた競争教育、高校つぶし、いっそうの選別強化をもたらす改革には反対。地元で通える魅力ある学校づくり、30人学級の実現などの改革をすすめます。
京都府民のみなさん、知事選びの参考にして下さい。実態として経済格差が広がる中、「弱者」への施策が重要な選択肢になると思います。
●いまさらですが…不祥事防止に向け、教師向けマニュアル(栃木)
「生徒の体を触るのはわいせつ行為」「公金の着服は犯罪」――。栃木県教委は06年度、教職員の不祥事防止に向け、犯罪にあたる事例を記したマニュアルを県立学校や市町村教委に配布するそうです。教員の不祥事に頭を痛めた県教委が、教職員の「意識改革」の足しにと作成したものですが、内容はいずれも社会人としての常識を列挙したものばかり。児童・生徒や保護者らから、失笑も漏れ聞こえてきそうです。
マニュアルは20ページ。わいせつ行為や「体罰」、飲酒運転など犯罪に問われる5つの事例のほか、教職員の懲戒処分の基準や関係法令なども盛り込まれています。
事例の「わいせつ行為」の解説では、「体験学習を引率した教員が、就寝中の女子児童の体を触った」との想定で、性行為やわいせつ行為は「刑事責任を負う」と明記。「密室での生徒指導はしない」「宿泊行事では飲酒はしない」などの注意点を列挙しています。
また「児童・生徒への暴力は暴行罪や傷害罪に問われる」「他人の印鑑などによる文書偽造は私文書偽造にあたる」「仕事で使う物品でも、公金で買った物を横領すると業務上横領」などと指摘したうえで「(懲戒処分が科されると)給与や期末・勤勉手当にも影響がある」と警告しています。
県教委教職員課は「これまで関係法令などをまとめた資料はあったが、事例集の作成は初めて。『当たり前』のことだが、改めて学校内の研修会で活用して、教職員の自覚を促したい」と狙いを話しています。
県教委によると、05年度に懲戒処分を受けた教職員は前年度と同じ16人でした。
●「君が代」起立しない都内の公立学校教諭33人を懲戒処分
31日、東京都教育委員会は今春の卒業式で校長の職務命令に反し、君が代斉唱時に起立しなかったりした都内の公立学校の教諭33人を地方公務員法に基づく懲戒処分にしました。入学・卒業式などでの日の丸掲揚や君が代の起立斉唱徹底を求めた03年10月の通達以降、今回も含め延べ約340人が処分を受けたことになります。