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        どうした京都府? 発達障害者支援に意欲見られず
        2006/05/08
        先週の某曜日の夕方、私が副代表をしている家族会ノンラベルの代表と私とで、京都府障害福祉室室長と懇談してきました。家族会ノンラベルでは昨年の12月京都府議会に「高機能広汎性発達障害(児)者への民間の療育・支援活動への援助に関する請願書」を提出、採択されました。請願の内容は、1.「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害」などの、とりわけ思春期・青年期・成人期への取り組みを行う民間団体との連携を強める取り組みをすすめて下さい、2.同民間団体の取り組みへの財政的援助を行って下さい、というものでした。
         請願採択から半年が過ぎ、当該の理事部局である障害福祉室において、少しは取り組みが進んでいるかと、わずかに期待もしながら懇談に望みましたが、終了後には脱力感と無力感に襲われました。
         広汎性発達障害への公的な支援の要となるのが、発達障害者支援法で定められて、全国の都道府県・政令市のほとんどで設置が行われている「発達障害者支援センター」です。このセンター設置を前提に、民間支援団体との「連携」が取り組まれることを求める訳ですが、府の回答は「設置されていないところは本当にわずかになっています」と事実として認めながら、「現在、部内でも論議をしているところ」と、半年前と同じ内容。何ら取り組みが進んでいないことを明らかにしました。請願が採択されたことを受けて、当該部局としては「実績を作らなければならない」と理解はされていますが、「今年度予算では何もできない」「何年か時間がかかるものでしょう」と「予算」のないことを理由にしつつ、具体的に何の検討もされてないことも明らかになりました。
         家族会ノンラベルは文字通り家族による任意の民間団体です。必要に応じて事務局を持ち、スタッフを置き、会費とイベント収入などでギリギリカツカツの財政状態でやりくりしながら、必要とされる支援ニーズに応えて行こうと日々努力している団体です。本来、支援センターや保健所などの公的な支援サービスが充実していれば、家族会の役割も変わってくることになりますが、現在はあるべき公的支援を民間として行っているのが実態です。そのため、請願提出をしたわけです。民間団体の財政的脆弱さは、安定的な支援を進める上では危険要素です。しかし、ニーズがある以上、活動を取りやめることはできません。
         府は、こうした民間の財政的窮状を一定理解しつつも、「ご自分たちで始められた事業ですから、会員を増やすとか、副業で稼ぐとかして頑張っていってもらうしかない。どこか企業がスポンサーになってくれませんかねぇ」とまるで他人事のような態度。請願により委託された責任をすっかり回避しているばかりか、発達障害者への支援ニーズを基本的に理解してないんだなぁ、と痛感しました。その意欲がまったく感じられませんでした。
         6月1日から府は新体制となるようですが、担当が誰になろうと、どんな体制になろうと、発達障害への支援は、従来の身体・知的・精神の3障害の枠では括れない新たな支援ニーズの分野として、新しい支援サービスの枠組みが必要であること、当事者や民間支援団体の声を十分に聞きながら発達障害者支援センターを一日も早く府下に複数設置すべきことを訴え続けて行きたいと思いました。

        ●自殺防止総合対策を求める3万人署名、5月末締め切り
         国に自殺防止への総合対策を求める3万人署名が全国で取り組まれています。私も現在までで270筆を、いろんな方の協力で集めさせてもらいました。国会でも超党派で法整備を進める動きがあります。署名は5月31日締め切り、1筆でも多く集めたいと思います。皆さんのご協力を重ねてお願いします。

        ●栄養失調児に校長が見かねて、こっそり牛乳飲ます
         東京都内のある公立小学校での話しです。校長によると、04年春の新入生の中に体がやせ細り、元気のない男児がいて、授業中きちんとした姿勢を保てず、ぼんやりしていることも少なくなかったといいます。
         昨年4月、男子児童に話を聞くと、コンビニを営む両親から販売用のおにぎりや菓子パンを毎日のように与えられているということが明らかに。校長は栄養を補うために、給食の牛乳を冷蔵庫に保管、他の児童に知られないよう校長室で毎日飲ませてきました。
         その後も児童の食生活に改善は見られず、賞味期限切れの食品を与えられていることも分かりました。児童にも好き嫌いがあり、校長がスープを与えても飲まなかったそうです。栄養失調も疑われたため、見かねた校長は今年3月、保護者を学校に呼び出し、「今は成長期で、脳がつくられる大事な時期。きちんとした食生活をさせないと困る」と諭しました。
         母親は「(食事を)作っても食べない」と戸惑い、「食べるように(食材を)小さく切るなど工夫していますか」とたたみ掛けると、両親は互いに責任をなすり合い、けんかを始めたといいます。
         同校には数年前、「一日の食事はおにぎり1個」という児童がいましたが、栄養状態が切迫したため施設に保護してもらったということもありました。校長は「家庭の機能低下は現場で実感している。状況は悪化の一途だ」と憂えています。今も男児と別の児童計2人に牛乳を飲ませているそうです。
         校長は「家庭のしつけまで学校が引き受けるのはどうかと思うが、(劣悪な食事の)限度を超えている」と嘆きます。食育基本法が昨年夏施行され、国は朝食を取らない小学生をなくそうと呼びかけていますが、法の理念とかけ離れた現実に学校現場から悲鳴が上がっているのが実態です。
         政府は食育基本法に基づき今年3月、食育推進基本計画をスタートさせています。そこでは「朝食を欠く国民の割合の減少」を目標に掲げ、10年度までに朝食を取らない小学生をゼロにするとの数値目標が盛り込まれています。
         都教委の昨年の調査で「朝食を必ず取る」と答えた小学生は79.7%、中学生は70.2%。逆に「食べない」「食べないことが多い」という小学生は5.1%、中学生は11%でした。

        ●<問題行動>児童、出席停止も?…厳格化へ報告書(文科省など)
         22日、児童生徒の指導のあり方を調査・研究していた国立教育政策研究所生徒指導研究センターと文部科学省は、問題行動を起こした小中学生を出席停止とするなど厳格な対応を求める報告書をまとめ、公表しました。高校生には退学や停学などの懲戒処分を実施して学校秩序の維持を図る内容です。全国の公立小中高校生の暴力行為が98年度以降3万件前後で推移するなど問題行動が相次いでいるのを受け、センターなどが生徒指導の厳格化を軸に見直しを進めていたもの。
         各地で相次ぐ少年事件を受け、昨年11月から生徒指導体制の強化策を提言するため、センターなどが大学教員や弁護士、PTA理事や保護司など15人の協力を得て審議してきました。
         報告書は、生徒指導の基準や校則を明確化し、入学後の早い段階で児童生徒や保護者に周知徹底する。そのうえで、学校側は毅然(きぜん)とした指導を粘り強く行うよう提言。具体的な指導方法として、小さな問題行動から注意するなど、段階的に罰則を厳しくする「段階的指導」を挙げています。
         現在の公立小中学校では、学校の秩序が維持できないほどの問題行動を起こす児童生徒がいたとしても、停学や退学などの処分は認められていません。報告書は「居残り」「清掃」「訓告」などの懲戒や出席停止制度の活用、高校などでは停学・退学処分の適切な運用を求めています。
         小中学校の出席停止制度は、他の子どもの学習権を保障するため、市町村教委が適用。学校教育法の改正(02年1月施行)で出席停止の要件が明確化されるなど適用しやすくなっているそうですが、中学校では02年度37件、03、04年度ともに25件の適用にとどまり、小学校では02年度以降1件もないそうです。
         指導基準、校則、毅然とした指導、学校の秩序の維持、懲戒、出席停止、処分…。これらは学校教育における子どもたちの育ちに必要なものでしょうか? 問題行動を起こした後の対応ばかりが議論され指導方針として現場に降ろされていくことになるのでしょう。必要なのは、なぜその子がそんな「問題」となる行動を起こしたのか、起こさざるを得なかったのか、事実経過と背景を把握し、本人の気持ちに共感しながら受け止め、起こした行動の問題点を理解させ、認知に歪みがある場合には矯正への援助を行っていく、といった子ども個々への具体的対応ではないでしょうか。どの子にも育ち、学ぶ権利があります。