「青少年の社会的ひきこもり支援ネットワーク連絡会議」を設立(京都府)
2006/05/14
京都府は11日、府内26の民間団体で構成する「青少年の社会的ひきこもり支援ネットワーク連絡会議」を設立、京都市上京区の平安会館で初会合を開きました。民間と行政が連携し、支援スタッフの研修やボランティア養成などの施策、事業に取り組むほか、この夏には、ひきこもりの実態調査を初めて実施することを決めました。
ひきこもりで悩む青少年の社会参加を促し、家族支援を充実させるのが目的。構成団体は、ひきこもりと不登校の家族会や居場所づくりに取り組むグループなどで、府青少年課や精神・社会参加室なども参加しました。
初会合では、府の加瀬康夫府民労働部長が「国の調査で府内のひきこもりは8,000人と推計されるが、500人しか把握できていない」と説明し、支援活動に向けた情報交換や官民の連携を呼び掛けました。
この後、ひきこもりの実態調査のほか、ITを活用した支援策、ひきこもり当事者の就労体験や社会体験促進事業などを盛り込んだ本年度の事業計画を決めました。
連絡会議事務局の府青少年課は「民間団体には情報やマンパワーがある。社会参加を促す事業をボランティアや民間と連携し、きめ細かな自立支援対策を打っていきたい」としています。
私が副代表をしている「京都ひきこもりと不登校の家族会ノンラベル」からも、この会合に代表が参加しました。京都でも、やっと公的レベルで動きが始まった、というのが実感です。「就労」や「社会参加」が課題である段階の人も多数いますが、家族とも話しをしない、部屋から出られない、発達障害や精神病理の症状がみられる、など、より深刻な段階の人は少なくありません。幅広い実態把握、行政や民間、専門分野の方々のチームサポートによる一人ひとりの状態に応じた支援策の検討と具体化が求められます。
●<逮捕監禁致死>死亡男性を施設側が突然拘束
8日、問題を抱える若者の支援施設「アイメンタルスクール」(名古屋市北区)の入居男性(当時26歳)が死亡した逮捕監禁致死事件で、男性は施設に入居することを事前に知らされていなかったことが愛知県警北署捜査本部の調べで分かりました。入居日の4月14日、杉浦容疑者ら施設関係者6人が男性宅を訪れたのは午前5時ごろで、男性は自室で寝ていたところを突然、6人に囲まれて押さえ込まれ、拉致されるように強引に車に連れ込まれ、激しく抵抗したとみられますが、移動する車内で無理やり押さえつけられたことが直接の死因となった可能性が強いといいます。
「拉致」された際、男性は激しく抵抗しましたが、捜査本部は男性が突然の出来事に言いようのない恐怖感を覚えたため暴れたのではないかとみています。しかし、施設側は男性の心理状態に配慮することなく、東京―名古屋間を車で移動する間中、床にうつぶせの状態にさせ、背中を押さえつけたり、手首や足首を手錠で拘束するなどしたそうです。捜査本部は、男性が施設に運ばれるまでの長時間にわたって不自然な姿勢で押さえつけられたことや、激しく抵抗した際の打撲や傷などがきっかけとなって、内臓障害を併発し、外傷性ショック死につながったのではないかとみています。
調べでは、男性の入居のきっかけは、両親が見た施設を紹介するテレビ番組。今年3月下旬、両親は施設を運営する杉浦昌子容疑者(49)に連絡。その後、杉浦容疑者らスタッフと数回にわたって面談を重ね、施設の見学もしたそうです。一方で、両親は男性をこの施設に入居させることを本人には告げなかったといいます。また、本人の同意なく強引に施設に連れ込まれた入居者はほかにもいるといい、施設の運営実態の解明を進める方向です。
●「市発達障害者支援センター」を開設(名古屋市)
名古屋市は、自閉症などの発達障害児(者)の相談窓口となるを市児童福祉センター(同市昭和区川名山町)内に開設しました。
センターは、昨年4月施行の発達障害者支援法に基づき開設したもの。自閉症やアスペルガー症候群、学習障害などの発達障害児(者)に対し、社会福祉士や保育士などの資格を持ったスタッフ6人が面談方式で相談に応じ、情報提供や関係機関の紹介などを行います。
また、今後はインターネット上にホームページの開設を予定しており、障害に対する情報発信や普及啓発を行っていくそうです。
相談の受け付けは土・日・祝日を除き、午前8時45分~午後5時15分。相談の予約は同センター(電話052・832・6172)へ。
●小児成育医療:心のケア重視、県立医大病院で本格化へ(和歌山)
子どもの心のケアを重視した小児成育医療が、県立医大病院(和歌山市紀三井寺)で、近く本格的に始まります。和歌山市の委託を受けて、小児科に、週2回相談を受ける医療支援室と診療に当たる外来を設けました。市保健所によると、地元自治体と大学病院が連携し、子どもの心の診療に取り組むのは珍しいとのことです。専門医の育成も併せて進めるとしていて、厚生労働省は「子どもの心の診療医の確保は全国共通の課題。医師の育成も視野に入れた取り組みは重要」と注目しています。
医師3人、臨床心理士1人、ソーシャルワーカー2人の計6人体制を予定。虐待などでは、家族を含めたケアも視野に入れています。市保健所は、子どもの心のケアがより求められている現状を踏まえ、「これまで相談の段階でとどまることが多かったが、実際の専門的な診療に結びつけられる」と期待しています。
支援室副室長の柳川敏彦・同医大保健看護学部教授は「用意した看板に集まってもらうのでなく、県民、市民のニーズを把握しながら、方向性を考えたい」と説明。また、医師の育成については「小児心身症の専門家を育てるのと、すべての小児科や精神科の医師に、専門分野への関心をもってもらうことを目指したい」と話しました。
さらに、心のケアに取り組む他の関係機関などとも「互いに協力できれば」としています。
虐待やネグレクト(養育放棄)への対応と併せて、発達障害の相談・診断・療育にも取り組める社会資源になってほしいと思います。
●「自殺対策法案」今国会にも提出へ、「国と自治体の責務」明記
自殺者が8年連続で3万人超になりそうな社会情勢の中、超党派の国会議員が自殺対策の基本法案策定に向け具体的作業に着手し、議員立法として今国会にも提出する見通しであることが分かりました。政府は05年12月、自殺予防の総合対策を発表しましたが、法的根拠がないため、実体のない掛け声だけで終わりかねないとの声があがっていました。基本法案では自殺対策を「国と自治体の責務」と明記するほか、政府に対し、対策の実施状況に関する年次報告の義務付けなどを盛り込み、総合的な対策の推進を目指します。
関係者によると、検討中の法案は基本理念として、自殺は「個人的な問題としてのみとらえるのではなく、その背景に社会的な要因がある」と指摘し、社会問題と位置づけています。そのうえで、国と自治体に「自殺防止対策を策定し、実施する責務がある」ことを条文化。さらに政府に対しては、毎年、国会に政府が行った自殺防止対策の実施状況に関する報告書の提出を義務付けることとしています。
また、自殺未遂者へのケアとして、国と自治体は「再び自殺を図ることのないように、必要な措置を講ずるものとする」とし、自殺者の遺族に対しても、「深刻な心理的影響が緩和される」ことを目指して、適切な対策をとるように求めます。自殺防止に取り組む民間団体へは、活動を支援するために必要な施策を行うとしています。
このほか、国と自治体は、自殺防止に関して調査研究を推進し、情報の収集や分析、提供を行うとし、一般国民に対して、教育や広報などを通じて、必要な施策を実施することも明文化するとしています。
超党派で構成される国会議員には、閣僚経験者も含まれています。法制化を目指すある与党議員は「3万人以上の人が7年も連続で自殺する状況は、大きな社会問題。与野党を超えて賛同を集め、今国会で法案を成立させたい」と語り、ある野党議員も「法的根拠があれば、施策の推進にとても力になるのは間違いない。自殺対策は待ったなしの状況だ」と話しています。
法制化を巡っては、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京都)が05年5月、シンポジウムを開催。尾辻秀久・厚生労働相(当時)や衆参両院議員ら約200人以上が参加し、自殺防止について話し合いました。
○「自殺対策法の制定を」遺族らが全国で街頭署名
13日、国を挙げて対策を進めるため「自殺対策基本法(仮称)」を制定するよう求める自殺者の遺族や遺児らが東京や京都、福岡など7カ所でチラシ配布や街頭署名の活動を展開しました。
JR新宿駅前には遺族や遺児、支援メンバーら約20人が集まり、ライフリンクの清水康之代表は「生きる手段が見つからずに自殺に追い込まれてしまう人がいる。追い詰められた人たちを周りが支える足場づくりのためにも法整備が必要」などと訴えました。
京都市では、下京区の四条河原町交差点で、メンバーや遺族、市民団体が買い物客らに署名を呼びかけました。自身も遺族の石倉紘子さん(62)=西京区=は「身近な人間関係が自殺を未然に防ぐことも伝えたい」と話します。
↓署名用紙はライフリンクのサイトからダウンロードして下さい。
http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html
私は、家族会ノンラベルの「アスペルガー援助者養成講座」で司会進行をしていたため、この署名行動には参加できませんでしたが、講座会場で署名を集めさせていただきました。国会で本法案が可決させるよう、皆さんの署名へのご協力をよろしくお願いします。