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        ひきこもり支援団体を紹介/京都府がガイド作成
        2006/05/21
        京都府は、ひきこもりで悩む人やその家族の支援活動をしている民間団体を紹介する「ひきこもり支援情報ガイド」を作製、府内27団体の活動地域や内容が掲載されています。
         行政と民間団体が共同で支援活動を展開するため、初めて作製したもの。連絡先のほか、活動歴、対象年齢、利用者数、料金など、各団体の概要が一目で分かるようになっています。また、支援団体の活動理念も紹介されています。
         掲載されているのは、台風23号被害での災害ボランティアなど体験学習で子どもたちの社会参加を目指す団体や、外国の若者や高齢者との交流、スポーツ体験などさまざまな活動を通して「ひきこもり」を解決しようと取り組む団体、「ひきこもり」となった子どもの保護者らの支援団体もあります。
         A4判、58ページで2,000部発行。ひきこもり相談支援センター(伏見区)や各府保健所で配布中。郵送でも受け付けています。問い合わせは、府青少年課TEL.075(414)4301へ。
         私が関わっている家族会ノンラベルも掲載されています。

        ●全教員対象に不登校問題研修(京都市教委)
         京都市教委は、不登校傾向の児童や生徒への支援充実を目指し、市立学校の全教員と常勤講師を対象とした不登校問題研修を始めます。これまで生徒指導担当など一部の教員だけだった研修対象を全員に広げ、不登校対策の学校間や教員間の格差解消を図るとしています。
         市教委によると、年間30日以上学校を欠席した不登校の児童・生徒の数は、04年度で小学生269人、中学生945人で、01年以降は減少傾向にあるとしています。
         「不登校状態にある子への支援や相談体制は整った」(生徒指導課)としていますが、未然に不登校を防ぐ取り組みや、学校に戻った子が再び不登校にならない対策については、学校間に温度差があるのが現状といいます。
         学校ごとに設けている「不登校対策委員会」など教員組織の形骸(けいがい)化を防ぎ、全教員で不登校問題に取り組む意識を再認識してもらおうと全員研修を計画したものです。
         研修では、京都大教育学研究科の藤原勝紀教授ら教育心理の専門家を招き、夏休み中に6日間に分けて講座を開講。常勤講師も含めた全教員約6,500人に必ず一講座の受講を義務づけ、子どもたちの心のサインを見抜いたり、悩みを抱えた子への声のかけ方などを学んでもらうとしています。
         市教委生徒指導課は「学校に来させるのがすべてではないが、不登校の背景には子どもたちのさまざまな悩みや課題がある。研修を各校の実情にあった指導に生かしてほしい」としています。
         不登校は、小学校では担任任せ、中学校では担任と生徒指導部任せ、といった学校が少なくありません。個別のケースに対して、担任や生徒指導部だけが関わるのではなく、不登校に至った背景や今の状態、今後学校とのどんな関わりがその子にとって好ましいか等について、家庭と学校(校長をはじめとする管理職、学年主任、担任等)が本人の思いを最大限尊重しながら情報を共有し、検討を重ね、柔軟な対応を積み重ねるという姿勢が求められていると思います。教員の「研修」への参加の強制は、学びとしては必要かも知れませんが、大切なのは不登校状態にある子ども一人ひとりに対する大人の多方面からの関わり方です。これは研修では学べません。個々の実践を豊かなものにしていってほしいと思います。

        ●ひきこもり相談窓口開設5年/相談件数は増加傾向(田辺市)
         田辺市が、全国に先駆けて「ひきこもり相談窓口」を開設して今年で5年。相談件数は年々増加しており、3月末までに293家族から計309件の相談がありました。同市健康増進課相談窓口担当の目良宣子さんは「困っていても相談できずにいる青年もおり、相談に来やすい空気を当人の周りにつくるなど啓発活動が必要」と話しています。
         同市は、01年3月、10代から30代までを中心とした社会的ひきこもり対策で、市民総合センター内の健康増進課に相談窓口を開設しました。窓口の担当者は2人で、面談や専用電話、ファクス、メールで本人、家族などの相談に乗っています。
         延べ相談数は、01年度138回、02年度337回、03年度481回、04年度1,097回、05年度1,090回と急増しています。
         同じ人の複数回にわたる相談を1件にまとめると、5年間で309件が寄せられました。うち3割近くの86件が、05年度中の相談。初回の相談者は母親が最も多く、次に医師や教員など関係者からとなっています。86件中、20代が35件と半数近くを占めています。
         5年間で3カ月以上継続した相談の実件数は65件。個別の相談は本人で2週間に1回、家族で1カ月に1回を基本としている。
         相談を受けた結果、就労(アルバイト含む)や進学、就労訓練、社会体験活動、自動車免許取得など、自宅中心の生活から外の社会に出たケースもあります。
         また、健康増進課では05年度、合併した旧町村への啓発活動として、本宮や龍神、中辺路、大塔の各地域で「ひきこもり講演会」も開いています。
         目良さんは「相談に乗ることで、相手から学んだり、教えてもらったりすることもある。相談を受けた人の考え方や行動が前向きになってきてくれたときはうれしく、励みになっている」と話します。
         専用電話での相談時間は、月曜から金曜まで(祝日を除く)の午後2時~4時。窓口での直接相談は予約が必要。電話・FAX.0739-26-4933、メールアドレスshc@city.tanabe.lg.jp

        ●ひきこもり青少年支援「ハートツリーハウス」NPO法人化目指す(田辺市)
         ひきこもりの若者らが気軽に立ち寄れる居場所として02年、田辺市内に開所した「ハートツリーハウス」(酒井滋子運営委員長)は運営の安定に向け、今秋を目標にNPO法人への移行を目指します。19日、田辺市湊の市民総合センターであった法人設立総会で、酒井さんは「まだまだ、ひきこもりに対する否定的な見方が根強くあるのではないか。法人格を取得し、独自の活動を進める必要を痛感している」と話しました。
         ハートツリーハウスは02年、田辺市末広町の民家を借りて開所。04年度からは、県からひきこもり者社会参加支援センター運営事業費の補助を受けています。県と市からの補助金や利用料、寄付、バザーの売り上げなどで運営しており、補助金収入が大きな割合を占めている。現在は無認可だが、NPO法人化されれば、各種企業が設けている補助金制度を活用しやすくなるとともに、認知度も高まり、行政への働き掛けや社会への提言もよりスムーズになるといいます。
         酒井さんら民間のボランティアは97年、西牟婁教育相談センターで不登校の相談活動を始めた。98年、活動の場を市民総合センターに移し、ハートツリーハウスの前身とも言える青年サークル「ハッピー」を結成しました。
         ハートツリーハウスでは、酒井さんとスタッフ2人が、15歳から30代までのひきこもりの青少年の相談に乗ったり、話し相手になったりするなど支援に当たっています。自宅から出てくることができない人への家庭訪問や、作業所などと連携して就労支援にも取り組んでいます。
         現在、6人が定期的に通所しており、家庭訪問が中心の登録者が3人。好きな時間に来て、スタッフと話をしたり、バザーに出品するクッキーなどの自主製品を作ったり、散歩したりしています。予定が入っていない日は読書やテレビ、ゲームなどをして過ごすそうです。
         月曜から金曜までの午後1時~5時に開いており、1カ月の利用料は1万円。相談や見学、体験利用も受け付けています。
         問い合わせは、ハートツリーハウス(0739-25-8308)へ。
         こうした青年たちの居場所の運営のネックになるのは、どうしても財源です。田辺市では01年より「ひきこもり相談窓口」を開設。幅広い支援活動を展開する中の一つの取り組みとして、この団体への補助を行っています。民間団体では、行政ではできない「個」に応じた援助やオリジナルな援助展開を行っているところが少なくありません。行政は、こうした民間団体と連携を強化し、このような事業委託をすすめていく必要性があると思います。