「全国学校事故・事件を語る会」学校の密室化防ぎ真実を明らかに(神戸)
2006/06/11
学校が関係する事故や事件で子どもを失った親らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」の集会が3日、神戸市内で開催されました。同会の代表世話人で、担任教諭の暴行がきっかけで長男が自殺した公立中学校教諭、内海千春さん(47)は「隠ぺい体質を持った教育行政当局や学校側が、『密室』の学校内で起きた真実を明らかにすることが再発防止への手掛かりになる」と訴えました。
同会は03年、社会から孤立する遺族に生きる力を取り戻してもらい、同様の事件・事故の再発防止を目指して設立。この日、学校側の過失で子供が自殺した親らが集まり、体験や今後の対策などを涙ながらに語り合ったことからスタート。会を重ねる毎に参加者が増える、という望ましくない状態に戸惑っていながら、会の必要性を痛感しています。
たつの市内の市立小学校6年生だった内海さんの長男平君(当時11歳)は94年9月、担任の男性教諭の暴行の直後、自宅裏山で自殺しました。内海さんと妻礼子さん(47)が心を痛める中、信じられない出来事が相次ぎました。教諭の暴行の実態や経緯を明らかにしようとしない学校側、担任教諭を擁護する動きを見せたPTAら地域住民……。内海さん夫婦はこうした「2次被害」に孤立感を覚え、心を何度も踏みにじられました。
夫婦はその後、市を相手取った民事裁判で、担任教諭の暴行と自殺との因果関係を認める判決を勝ち取ります。しかし、2次被害に苦しむ遺族は多く、内海さんは「学校側に真実をすべて明らかにさせるシステムを作らなければ、同じような事案が繰り返される。亡くなった子どもたちのためにも一緒に頑張りましょう」と呼びかけました。
私は、今回は仕事で2日目のシンポジウムのみの参加となりましたが、弁護士、大学教授をはじめとする研究者、マスコミの参加の増加が目立ちました。学校の隠蔽体質を体験した一人として、この会の存続と、子どもの自殺防止、自死遺族への支援の取り組みの必要性を改めて強く感じました。
●自閉症の組織的対応に遅れ、養護学校在籍率急増
10日、国立特殊教育総合研究所の調査で、全国の知的障害養護学校で、04年に自閉症と診断された子どもの割合が前回調査の86年に比べ、小学部2.3倍、中学部1.9倍になったことが分かりました。
「自閉症の疑いあり」を含めると、在籍率は小学部48%、中学部41%に達したが、自閉症の特性に応じた指導を学校や学部全体で進めているのは24-26%にとどまっており、対応の遅れが浮き彫りになりました。
同研究所は「自閉症の子どもの教育は知的障害とは別に考えるべきだ。個々の教員に頼るのは限界があり、指導のノウハウを共有するなど組織的対応が緊急の課題だ」と指摘しています。
調査は04年夏に全国の盲・ろう・養護学校を対象に実施。91%から回答を得たもの。
養護学校が、体制的枠がないので自閉症児童・生徒を受け入れられない、と拒むケースを耳にします。「障害」はこれまで知的・身体・精神の「3障害」に括られてきたため、自閉症を含む「発達障害」に対する医療・療育・教育的支援サービスは独立した物としては取り組まれてきていません。文部科学省は「特別な支援が必要」な「軽度発達障害」を有する児童・生徒が6.3%いるとして「特別支援教育」を始めましたが、その具体化、地方による温度差が明らかとなっています。「発達障害」を新たな障がいの枠としてきちんと位置づけることが求められています。理念法である「発達障害者支援法」においても、さらに具体的な支援サービスのあり方を規定する法整備が必要です。
●高機能自閉症者への理解「私の歩んだ道」/森口奈緒美さんの講演(大阪)
25日(日)14時半~16時半、高槻市野見町の高槻市現代劇場3階レセプションルーム。自閉症を持つ成人女性として初めて自叙伝を書いた森口奈緒美さんの講演。コーディネーターに自閉症やアスペルガー障害の人たちの教育・支援活動を行っている服巻智子さん。14時から受け付け、小学生以下の子どもは入場できない。資料代2,000円。主催・問い合わせは、自閉症の人のバリアフリーを考える親の会「はぐくみ」(090・9982・5024=16~20時、hagukumi2003@yahoo.co.jp)。
それいゆ自閉症支援専門家養成センター・センター長の服巻智子先生には、昨年、滋賀県の自閉症・発達障害者支援センター主催の講演会でお会いしました。日本における自閉症スペクトラムの方々への支援の先駆者でもあり、学ばせていただくことがとても多い方です。森口奈緒美さんさんは自叙伝『変光星』を読み、当事者の言語化される自閉症の世界を知る上でとても参考にさせてもらっています。ぜひ参加したいと思います。