小中学校で通知票廃止/年4、5回評価へ 熊谷市教委
2006/07/16
埼玉県熊谷市教委が、公立小中学校で学期ごとに評価していた通知表を来年度から廃止することが分かりました。年4、5回程度、単元など学習のまとまりごとに、より細かく評価する新しい仕組みを導入。2学期制への移行に伴う措置で「年2回の評価では、正確な状況がわからない」という保護者側の要望が背景にあるようです。今後、各教科の教師からなる専門の部会でモデル案を作成し、来年度から各校が採用するそうです。
新しい制度は国語なら小説などの題材、理科や社会だと単元、算数なら章で……といったように1教科につき7~10時間程度の学習のまとまりごとで評価し、保護者に知らせるというもので、年間4、5回程度を想定しています。現在は3段階評価だが、評価や評定の出し方は今後決めるとしています。学習の達成状況の他、意欲や態度も評価。全教科をまとめて冊子にするか、各教科ごとにファイルケースにまとめるなど、やり方は各学校に一任。評価と通知をこまめに行うことで、学校と保護者が、子どもの学習の達成状況について相互理解を深めることなどが狙いだそうです。
市内には市立小学校が28校、同中学校が16校ある。市は02年度から2学期制への移行を推進。今年度で全校が移行しました。今後は小中学校の各科目ごとに数人の教師が集まり、10月までにモデル案を作成する予定。2学期制は週5日制による学力低下への不安を背景に、授業時間増の切り札として全国に広まってきています。文部科学省の04年度の調査では、2学期制を採っている公立校は小学校が9.44%、中学校が10.4%、高校で26.1%に達しています。
一方で導入した学校の中には、評価が年2回しかないことへの不安・不満の声が寄せられるケースが少なくありません。「学期ごとの通知表をとりやめるのは全国的に珍しい」と話す教育評論家の尾木直樹さんは「保護者の不安解消につながる上に、教師も子どもの弱点を把握して学力向上を図れるという点では実践的だ」と評価しています。
●<医療扶助>生活保護者に「1割」自己負担を厚労省が検討
10日、厚生労働省は全額税金で負担している生活保護受給者の医療費「医療扶助」について、08年度から一部自己負担を求める方向で検討に入りました。医療機関の窓口で、最低でもかかった医療費の1割を支払ってもらう考えです。ただ、受給者に自己負担を課すことは、憲法上の「最低限度の生活保障」を目的とする生活保護の理念を覆す、との指摘もあり、同省は慎重に検討を進める意向のようです。99年度の月平均受給者は80万3,855人でしたが、04年度は115万4,521人と急増しています。
06年度の生活保護費(予算ベース)は2兆6,888億円。うち、51.8%に当たる1兆3,940億円が医療扶助に充てられています。現在は、生活保護受給者が医療機関にかかっても窓口負担は一切不要で、財務省はこの点が生活保護費全体を押し上げているとみて改善を迫っています。
社会保障費を2011年度までに国費ベースで1.1兆円削減することを目標とした政府方針を受け、財務省は今後5年間、厚労省に毎年社会保障費の伸びを2,200億円圧縮するよう求める方針です。厚労省は、07年度予算については、生活保護費の母子家庭を対象とした加算の縮小と地域加算の見直し、雇用保険の国庫負担削減などでクリアできるとみていますが、08年度のメドはたっていないとしています。このため08年度は、生活保護費本体部分の「生活扶助」の水準カットとともに、医療扶助への自己負担導入を検討することにしたものです。
同省はこの社会保障費の削減効果を1,000億円台とみている。
生活保護制度の改革をめぐっては、医療扶助を廃止し、生活保護受給者には市町村の国民健康保険へ移行してもらって自己負担を求める案が再三浮上しています。ただ、市町村は「財政負担増を招く」と反発し、議論は進んでいません。このため厚労省は、医療扶助制度を残したまま自己負担を求める方針案を与党幹部らにも説明をしたそうです。
●「教育上必要」と遅刻学生から罰金100円、琉大教授
10日、琉球大工学部の教授(62)が講義に遅刻した学生から罰金100円を徴収していることが分かりました。学部が徴収をやめるよう勧告しましたが、教授は「遅刻を減らすには教育上必要な措置」として応じていないそうです。大学は調査委員会を設け、教授の処分を検討するとしています。
工学部によると、“罰金制度”は昨年度後期から、機械システム工学科2年の必修科目の講義で開始。学生約45人が受講しており、冒頭に出欠を取る際に不在の場合、途中で教授に自己申告して100円を払う。払わなければ欠席扱いに。
昨年11月、学生からの苦情で発覚。問題視した学部側は、教授会や文書で勧告しましたが、教授が従わないため先月下旬、「払わないように」と学生に促すビラを配布。今月、講義室ドアに「100円払わない。『遅刻しました』だけ告げる」とする学科長名の張り紙をしたそうです。
学生の間では「教授には逆らえない」「100円で遅刻が出席になるなら安いもの」などと、払うケースがあると言います。
「欠席扱い」が100円で「出席扱い」になる。大学の講義って、その程度のものという認識をこの教授が持っている、という理解でいいのでしょうか?
●「特定疾患に認めて」 脳脊髄液減少症の全国組織
交通事故などに遭った後、頭痛やしびれを引き起こす脳脊髄(せきずい)液減少症の患者栂紀久代(とが・きくよ)さん(54)=大阪市=の呼び掛けで、全国の患者を支援する会「サン・クラブ」がこのほど発足しました。全国から趣旨に賛同する人が集まり、会員数は既に患者200人を含む1,000人に。
栂さんは1980年に鳥取県で交通事故に遭いました。頭痛や体のしびれや耳鳴りに悩まされてこられましたが、病院では「仮病」と言われたり、「うつ病」と診断されたりしたそうです。自ら医師を探し出し、脳脊髄液減少症と診断されるまで23年かかりました。
腰椎(ようつい)に注射した血液の凝固作用で漏れを止める「ブラッドパッチ」という治療法があるそうですが、厚生労働省は「学会からの要望がない」などとして健康保険の適用を認めていません。近年、重い後遺症として交通事故との因果関係を認める判決が相次いでいます。
問い合わせは「サン・クラブ」電話06(6474)2114。
●小さな相談室から(5) 若すぎる死
京都では祇園祭の宵々山を迎え暑さしきりの昨日、知人の息子さんの告別式に参列してきました。彼は、子ども期から青年期にかけて、やんちゃで、元気を振りまいていました。どんな背景があったのかは推測の域を出ませんが、躁鬱病で入退院を繰り返し、退院してまもなく、家の近くの精神単独型の小規模作業所に通いはじめることになっていました。その日、ご両親が仕事に出かけられた直後、自宅に灯油を撒いて火を付け、焼死してしまいました。
焼香の列に並び、お父さんに「ゆっくりと弔ってあげて下さい」と声をかけようと心に決めていましたが、お父さんに直面した時に、感情がこみ上げ、ついに口から言葉を出すことができず、お辞儀をするのが精一杯でした。お父さんは、気丈にも「がんばる」と一言かけてくれました。
30歳の自死。身近な逆縁。若すぎる死でした。