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        発達課題としての喜怒哀楽の感情体験
        2006/08/12
         10代半ばから20代にかけての青年たちの中で、「自信が持てない」「したいものが見つからない」「なんで生まれてきたんだろう」「今の自分が情けない」「自分は存在しない方が良いんじゃないか」などと、自己を否定する気持ちを持たれて、日々やり切れない気持ちに囚われてしまっている人が少なくないようです。何人かの話しを聴いていると、小・中・高と特に何も考えず、敷かれたレールの上を歩んできた。でもその過程では、自分のペースではなく回りに一生懸命合わせていたり、自身の気持ちを押し殺していたり、イジメなどの傷つき体験を抱え込んでいたりしていて、でもそれらを親や回りの誰にも表現できずに過敏で繊細な子ども期、時に荒れ狂う葛藤の渦中である思春期を、多くの不安や悩みを抑圧したまま自分一人で乗り切って来られた方が、青年期にいろんな形で不調を現すようです。
         子ども期や思春期には、それぞれ育ちの課題があります。それらは、友だちや家族といった、安心できる人間関係の中で、自己を見つめ、他者の存在を認め、相互関係の中で喜怒哀楽の様々な体験を通して達成していけるものだと思います。人として生きる力、応用力や時に力を集中する力、他者と親密な関係性を結ぶ力….etc。今を生きる子どもたちは、そんな様々な体験、成功体験や失敗体験を豊かに持てているでしょうか?
         学校社会、学歴偏重社会、競争主義や成果主義などの価値観に満ちあふれる社会の中で、子どもたちにもこれらの価値観に沿った「大人の期待」が押しつけられてしまい、子どもとしての「育ち」の保障が崩れてしまっているのではないかと思えて仕方ありません。
         生きづらさを感じて立ち止まっている青年には、達成できていない発達課題を遡って体験してもらうことが大切だと思います。喜怒哀楽の感情をはじめとして、安心を基本に豊かな精神的・肉体的体験を通して、自分らしさを見つけ、自我の同一性をゆっくりと時間をかけて獲得してもらいたいものです。「相談室カンナ」は、そんな場所でありたいと思います。
         次回は「相手の人格を尊重すること」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「心の病」抱える社員が増加、30歳台が6割

         6割を超える企業で「心の病」を抱える社員が増加傾向にあることが、社会経済生産性本部の実施したアンケート調査でわかった。
         同本部では「風通しがよく、何でも相談しあえるような職場環境作りが急務になっている」と話している。
         調査は、全国の上場企業を対象にメンタルヘルスの取り組みについて聞いたもので、今年4月に実施。218社から回答を得た。
         調査結果によると、「この3年間で(社員の)心の病が増加した」と答えた割合は61・5%となり、2年前の調査に比べて3・3ポイント増えた。「心の病による1か月以上の休業者」を抱える企業の割合も74・8%に上った。
        (読売新聞)-8月6日21時8分更新
        【コメント】過密、長時間で自己責任を強く問われる労働環境が広がっています。一方で、職場のメンタルヘルスはなおざりにされている企業が圧倒的に多いように思います。自社内で体制が取れないなら、外部の資源を利用してメンタルヘルスの取り組みを抜本的に強める必用があると思います。「しんどさ」を感じたら無理をせず、自身を大切に考え、信頼できる相談機関や医療機関を利用して欲しいと思います。

        ●<髄液漏れ>子供の症例次々明らかに 「苦しさ分かって」
         激しい頭痛などを伴う「脳脊髄(せきずい)液減少症」のため、勉強やスポーツができない小中高校生の存在が次々と明らかになっている。症状のひどさや将来への不安、教師らに理解されない絶望感……。「自殺を考えた」と話す子どももおり、事態は深刻だ。ある母親は先月、厚生労働省と文部科学省の担当者に面談し、髄液漏れの子どもたちへの支援を訴えたが、国の対策はまだ本格化していない。
         静岡県の中学2年の女子生徒(14)は昨年夏、車の後部座席にいて追突事故に遭った。吐き気などだけでなく、やがて記憶力に著しい障害が出た。家族や友人のことが分からなくなり、特に漢字は全く読めなくなった。
         3カ月後に高次脳機能障害、さらに2カ月後に髄液漏れと診断された。漏出を止める手術を2回受け表情に生気が戻ってきたものの、事故前にはほど遠い。母親(38)は「直後に診察した医師は『検査しても異常はない。若いからすぐ治る』と言った。もっと早く髄液漏れの治療を受けていたら……」と悔やむ。
         大分県の通信制高校2年の女子生徒(16)は、中学2年の時、授業中に同級生がけったバレーボールを側頭部に受けた。激しい頭痛や耳鳴り、不眠などが続き、欠席日数は中2で31日、中3で66日に上った。登校しても保健室にいることが多く、「心の病」とされて1カ月以上入院した。「悪霊のせいだ」と周囲に言われたこともあったという。髄液漏れと診断されたのは卒業式のころだ。
         生徒は「苦しさを周囲に分かってもらえず、何度も自殺を考えた」と言う。地元自治体は「ボール事故と発症の因果関係はない」と主張、生徒側と法廷で対立している。
         事故が原因でなく、突然発症することもある。兵庫県の高校3年の男子生徒(18)は中1の4月、首に激痛が走った。以来、ふらついてまともに歩けず、会話する気力もなくなり、3年間苦しんだ。「やる気がないなら出ていけ」と怒る教師もいた。母親(44)といくつもの医療機関を回り、「自分は親に迷惑をかけるだけの存在だ」と考えていたという。
         髄液漏れの治療を受け、今はジョギングするほど回復した。中学の同級生と会うと、普通に歩く姿に驚かれるという。
         ◇転倒や出産など日常生活の中で頻繁に起こる可能性
         学校現場にも広がる髄液漏れ。この症状に詳しい国際医療福祉大付属熱海病院の篠永正道医師と山王病院の美馬達夫医師によると、両医師だけでも18歳以下の子ども約30人の治療にあたった経験を持つという。
         従来、髄液の漏出は珍しい病気と考えられていた。しかし、数年前から「スポーツ時の患者は非常に多い」と指摘されるようになった。篠永医師らは「親や教師が髄液漏れを知らないため、長期間、別の病気と誤解されていた子どもが少なくない」と話す。子どもの患者の実態は明らかになっていない。
         こうした実態について、文部科学省スポーツ・青少年局の担当官は「髄液漏れが学校生活に支障をきたすものだと聞いており、重大な関心を持っている」と話している。
         だが、現状は、関係する学会が研究の必要性を認め始めた段階にすぎない。国は今後、治療経験が豊富な医師や関係学会と連携し、診断基準の確立や症例情報の共有化などを急ぐ必要がある。
        (毎日新聞)-8月8日8時45分更新

        ●通所施設利用率 1割減 滋賀県調査 国に改善要望へ
         4月に施行された障害者自立支援法で、滋賀県内の通所施設の平均利用率が、施行前と比べて1割近く減ったことが8日、県の調査で分かった。特に、身体障害者の通所施設は16・4%減と大幅ダウンした。県は「障害福祉サービスの利用料として1割負担が課せられたことが主な要因」としている。
         調査は、6月中旬から7月下旬にかけて、321の障害者施設を対象に、聞き取りやアンケート形式で実施し、うち241の施設から回答を得た。
         調査結果によると、通所施設の平均利用率は同法施行直前の今年3月の91・1%で、身体障害者の通所施設では80%を切る施設もあった。
         また、無認可の共同作業所の利用者860人のうち、回答した548人の平均賃金収入は1万1700円(月額)で、60%が1万円未満、27%が5000円未満だった。同法では、低所得者の自己負担額の上限を1万5000円と定めており、県は「利用料が賃金収入を上回る利用者も多く、それが利用控えにつながっているのでは」とみている。
         県はこの結果を基に、8月下旬に国に対して改善を求める要望書を提出する一方で、独自の支援策について各市町と協議を進める。
        (京都新聞)-8月9日10時29分更新
        【コメント】自立支援法の施行前から予測された通りの実態が明らかになってきています。各自治体での支援策づくりが必用です。

        ●発達障害児の母ら 集いの場設置 亀岡、支援の輪 拡大へ
         京都府亀岡市内に住む自閉症やアスペルガー症候群といった発達障害のある子どもの母親たちがこのほど、保護者同士の交流や情報交換を目指した定期的な集いの場を設けた。対人関係に困難がある障害の特徴から、子どもたちが集団生活になじめないのとともに、周囲や保護者の認識不足などで障害と気づかずに悩みを深める親子が数多くいる中、母親たちは「孤立し、行き場を失っている人たちを1人でも多く支えていきたい」と話している。
         発達障害児の母親、小池環さん(39)=南つつじケ丘=ら4人が「自分たちが子どもを育ててきた経験や、障害についての情報を共有しながら、親と子の悩みをほぐしたい」と、「陽(ひ)だまり広場」を立ち上げた。発達障害と診断された子どもの保護者だけに限らず、発達状態が気になり、悩みを抱える親たちにも広く参加を呼びかけている。
         初めての広場は、余部町のふれあいプラザで開かれ、小学生や幼稚園などに通う子どもの保護者約15人が参加した。「発達障害児がかかわる保健所や幼稚園、小学校など各機関のつながりが薄く、支援態勢が途切れ途切れ。一貫したカルテを作って子どもの成長を各機関が連携して見守ってほしい」との意見や、「障害とは知らず、育てにくさの原因を自分のせいだと思いこんできた」「障害名を子どもに伝えることに迷いがある」といった声があったという。
         今後、9月以降の毎月第4火曜に同センターで開いていく予定で、1回目の様子を記した会報を市内の一部の小学校や、障害児サロンなどに配布している。小池さんたちは「親たちの中には、『子どもは普通でないけれど、障害とは認めたくない』と悩みを抱え込む人が多くいる。同じ境遇にいるからこそ、子どもの事を話題に笑い合えることもあるはず」と話している。問い合わせは、小池さん携帯電話090(8984)3678へ。
        (京都新聞)-8月9日10時49分更新
        【コメント】こうした家族の集まりがもっと広がって欲しいと思います。できれば、保健所や児童相談所、民間団体など、発達障害についての知識と対応法を学んでいる援助者が加わってのものとなると、障害のある子どもたちがより生きやすい環境をつくっていけると思います。

        ●<不登校>全国の小中学校で12万2255人 4年連続減少
         全国の小中学校で05年度に30日以上欠席した「不登校」の児童生徒は12万2255人で、4年連続減少したことが10日、文部科学省の学校基本調査速報で分かった。中学生は、不登校の割合が「36人に1人」程度の2.75%と4年ぶりに上昇に転じたが、小中学生全体では、「89人に1人」程度の1.13%と4年連続で低下した。同省は「スクールカウンセラーによる指導や家庭への働きかけなど、学校や教育委員会の取り組みの成果の表れと考えられるが、中学生の割合はむしろ増えており、減少傾向とまでは言えない」と分析している。
         今年5月1日現在で全国の国公私立小中学校を対象に調査。不登校の児童生徒は前年度から1103人(0.9%)減り、不登校の割合も0.01ポイント低下した。そのうち小学生は2万2709人で前年度から609人(2.6%)減少したが、割合は前年度と同じ0.32%。中学生は9万9546人で前年度から494人(0.5%)減り、97年度以来8年ぶりに10万人を割った。しかし、割合は前年度から0.02ポイント上がった。
         不登校のきっかけは、病気による欠席など「本人の問題に起因」が36.9%、友人関係など「学校生活に起因」が35.7%、親子関係など「家庭生活に起因」が18.3%など。不登校が続く理由は、登校の意思はあるのに身体の不調を訴えて登校できないなどの「情緒的混乱」が31.2%でトップ、次いで「無気力」の22.4%だった。
        (毎日新聞)-8月10日19時48分更新
        【コメント】4年連続減少とはいうものの、子どもの数が減っているわけですから、数だけではなく、割合と理由、対応に注目する必用があると思います。中学校では、スクールカウンセラーの配置も進んでいるにも関わらず数の上でも増加している実態は、「スクールカウンセラーによる指導や家庭への働きかけなど、学校や教育委員会の取り組みの成果の表れと考えられる」というコメントを否定するものとなっています。「「情緒的混乱」が31.2%」という結果は、特に注目しなければなりませ