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        相手の人格を尊重すること
        2006/08/26
        「相手」といってもいろいろありますが、今回は「子ども」について考えてみたいと思います。
         基本的人権が子どもにも保障されるべきことを国際的に定めた「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、1989年11月20日に国連総会において採択され、2003年7月現在で192の国と地域が締結しています。その中では、「児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきである」「児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであり、かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきである」ことを考慮すべきとされ、人格の発達の保障がうたわれています。どの子どもにも生まれながらに「人格」があり、肉体的・精神的成長が、人格も「完全かつ調和のとれた」発達の中ですすめられるべきものとされています。
         身辺自立の途上にある乳幼児であっても、この人格は尊重されるべきです。もちろん、発達の初期段階にあり、大人による世話やしつけが不可欠ですが、人として尊重されなければなりません。そして、自立への課題に向かう思春期においては、一人の大人としての関わりが、その子の健全な精神的発達を促進するとされています。「あれもできない、これもできない」「まだまだ未熟だ」と、ついつい子ども扱いをしてしまう思春期ですが、子どもの気持ちはどんどん大人に向かっていますので、できないことへの非難・否定ではなく、向かうべき方向に導いてあげるべきです。
         一人の人間として認められながら育った子どもには、自分がありのままでいいという自己を肯定する気持ちと、自己効力感が養われ、自信に満ち、積極的に社会と関わり生きていく志向性が育ちます。
         人間は10数年という時間をかけて子ども期を卒業していきます。この最も大切な成長過程の大半は学齢期と重なり、学校社会に身を置きます。家庭と学校、地域が子どもの育ちを保障することの大切さを、改めて見つめ直す必用があると思います。
         次回は「しんどさを感じる時のコーピングあれこれ」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        発達障害児者、支援体制を整備へ-県が委員会設置(沖縄)

         自閉症や学習障害など発達障害児・者の総合的支援体制の整備を目指し県障害福祉保健課は15日、「県発達障害者支援体制整備委員会」を立ち上げ、県庁で第1回会合を開いた。県が発達障害に特化した取り組みを行うのは初めて。
         委員らは、相談業務や就労支援を総合的に行うため10月にも設置される「発達障害者支援センター」の業務委託先の選定方法などについて意見を述べた。県は21日以降に委託団体の公募を始める。
         発達障害児は出生児の約5%と算定され、県内でも近年、相談件数が急増している。適切な支援によって状態が改善することから、支援体制の強化が求められている。
         同センターでは相談業務や発達支援、就労支援、普及啓発活動を行うほか夜間や緊急時の対応や一時保護なども行う。同委員会が、応募のあった社会福祉法人やNPO法人などから運営団体を選定し、県が業務委託する。初年度の予算は約1090万円で、国と県が2分の1ずつ負担する。21日以降に公募を始め、10月中旬に決定する。
         委員からは、同センターに対する県の役割を明確にすることを求める意見が複数出たほか、「相談業務は一カ所では無理。連携こそが大事だ」「年齢によって抱える問題も違う。ネットワークを生かした連携がないと良い支援はできない」などの意見があった。
        琉球新報(8/1616:01)
        【コメント】全国の都道府県で発達障害者支援センターがまだできていないところは残り1ケタになっています。「作ればいい」というものではもちろんありません。ここで言われている連携の必要性、年齢によって違う課題などは重要な問題です。とりわけ、青年期以降に発達障害であることがわかった方々への支援が、手薄であることは、全国に共通しているようで、今後の大きな課題となると思われます。

        ●「給食費は義務教育の範囲内でしょ!」ブチ切れ保護者から教師を救え!?
         「うちの子と○○ちゃんは仲が悪いみたいなの。今すぐクラスを別々にしてもらえます?」
         これはある保護者が学校の教師に突きつけた要求。受け入れられるわけがないだろう、と耳を疑いたくなるようなこの発言。関係者によると、こんなのはまだまだ序の口らしい。中にはとんでもない無理難題を要求する親たちが急増しているというのだ。大阪大学の小野田正利教授を中心に発足した「学校保護者関係研究会」は、教師が頭を悩ます“理不尽な親たち”について、その原因究明と対策に乗り出しているという。
         「本来学校側に対して保護者が要求をするというのは、まったく問題のない行為です。ただ、最近の保護者の要求は度が過ぎています」(東京都福生市教委参事嶋崎政男さん)
         このほか、「義務教育だから給食費は払わない!!」「うちの子は箱入り娘で育てたい。誰ともケンカさせないという念書を提出しろ」「保護者会に参加するために会社を休んだから休業補償を支払え」などの要求のほか、しまいには「うちの子がけがをして学校を休む間、けがをさせた子も休ませろ」と言ってくる親まで・・・。
         これでは教師があまりにかわいそう。しかし親御さんたちの要求をむげに扱うわけにもいかない・・・。
         「そうなんです。このような無理な要求に対応しようと頑張って、心も病んでしまう教師はたくさんいます。また真剣に向き合うあまりに、教師と保護者が敵対関係になってしまうことも」(同)
         こうしたケースに教師たちはお手上げ状態のようだ。文科省調査によれば、全国の公立小中学校で精神性疾患による教職員の休職者は10年前のほぼ3倍に。小野田教授の調査によると、小中学校・園の8割が「無理難題な要求が増えた」と回答しているんだそう。その背景には教師の能力に問題がある場合も多分にあるが、保護者のコミュニケーション能力の低下が主な原因としてあげられる。
         教師と保護者が手を結んでいかないと“いい教育”は子供たちにできないのではないか。子供かわいさゆえのこの行動も、ここまでくると考えものである・・・。
        Livedoor’NEWS2006年08月11日21時14分
        【コメント】今の学齢期の子どもたちをもつ親たちの育った時代背景や、現代の日本の競争主義がはびこる経済社会的環境や経済格差社会、その中で作られた価値観を見つめ直してみる必用があると思います。それらの矛盾が、こうした教育現場などの局面で露呈しているものと思われます。

        ●障害者条約に基本合意も 月内に国連特別委員会
         【ニューヨーク15日共同】国連は15日までに、障害者に対する差別をなくし、健常者と同様の権利の保障を各国に求める「障害者権利条約」策定のための特別委員会第8回会合を開いた。マッケイ委員長(ニュージーランド国連大使)は同日の記者会見で、月内にも条約内容について特別委で基本合意できる可能性があると述べた。
         障害者を対象にした国連の主要な人権条約は初めて。合意できれば9月からの国連総会での採択を目指す。世界には人口の1割に当たる約6億5000万人の障害者がいるとされ、条約採択は「障害者に対する認識を変える大切な一歩」(国連)と期待されている。
         特別委員会は、2001年12月に設置が決まり、これまでに7回の会合を重ねてきた。今回の会合は14-25日。マッケイ委員長は「今回の会合が終わるまでに(条約内容の基本合意を)完了する十分な可能性がある」と述べた。
        山陽新聞(8月16日10時17分)
        【コメント】障害者の人権をめぐって、国際的に重大なエポックとなる作業がすすめられていました。注目していきたいと思います。

        ●「つらいのは本人」 ひきこもり者支援フォーラム
         ひきこもり者支援フォーラム(県立総合精神保健福祉センター主催)が12日、那覇市の県総合福祉センターゆいほーるで約150人が参加して開かれた。中本昌子さん(58)=与那原町=が家族からのメッセージとして、今は就職した息子(27)との体験談を紹介。「息子のためだと思っていたしつけが、いい親でありたいと思う私のためだった。本当につらいのは息子だった」と述べ、苦しむ人の立場に立つよう訴えた。
         講演した緒方明熊本大学教育学部・同臨床心理士大学院教授は、厚生労働省が1年間で精神保健福祉センターや保健所を2回以上訪れた人や家族を対象に行ったひきこもり調査結果を説明。
         調査によると、小、中、高、大学のいずれかで不登校経験のある人が61・4%。不登校経験者で就労経験のない人が63・1%だった。緒方教授は「ニートの中にひきこもりがあり、不登校からひきこもりへ移行しているのではないか」とした。
         また「精神保健センターでは、家族教室や電話相談などを行っているが、就労にはつながらない割合が多い」とした。企業に対しては「メンタルヘルスを理解してもらいたい。講習会などで知識を得ると広がっていくと思う」と支援を求めた。
        (琉球新報)8月14日10時6分更新

        ●君が代・日の丸問題で自殺、高校長に「公務災害」認定
         卒業式での君が代斉唱と日の丸掲揚の完全実施を巡る問題に悩み、式前日の1999年2月に自殺した広島県立世羅高の元校長(当時58歳)について、地方公務員災害補償基金広島県支部(支部長=藤田雄山知事)は17日、自殺は職務に起因するとして、公務災害と認定した。
         県教委によると、文部省(現文部科学省)から是正指導を受けた県教委が99年1月、君が代斉唱などを完全実施するよう県立学校長に職務命令を出したのを受け、元校長は連日、深夜まで教職員と会議を重ねたが、交渉は難航。同年2月28日、自宅で自殺した。
         この自殺がきっかけとなり、同8月に国旗は日の丸、国歌は君が代と定めた「国旗・国歌法」が制定された。
        (読売新聞)8月17日21時53分更新

        ●職業能力開発拡充へ 多様なIT訓練 京都府、障害者の就労支援
         京都府は、障害のある人の職業能力開発の拡充に乗り出す。現在の高等技術専門校を再編し、障害者向けの多様なIT訓練を充実。また、訓練から就職、職場定着までワンストップで対応するため、関係団体で構成する「自立就労支援協議会」(仮称)を設置する方向で検討している。
         府は2004年度から3年間、国のモデル事業として府立高等技術専門校京都校(京都市伏見区)、同福知山校(福知山市)で障害者の訓練を実施。従来の短期訓練で約40%だった就職率が60%に上昇し、生活に身近な地域で多彩な訓練が受けられると好評だった。
         このため、こうした成果やノウハウを活用し、07年度から総合的な就労支援対策に取り組むことになった。
         対策の柱は、職業訓練の再編強化と就労支援ネットワーク事業。具体的には、京都校のOAビジネス科に訓練期間6カ月と同1年のコースや、高度なIT技術を専門的に学ぶシステム設計科を新設する。福知山校には販売実務科を置き、城陽障害者高等技術専門校も学科の在り方を検討していく。
         また、自立就労支援協議会には府内の労働団体や福祉団体、経営者団体など関係団体が参加する見通し。1人1人の能力に応じたプログラムの作成はじめ▽専門家による就職・職場定着支援▽就職後の再チャレンジ▽求人や受注販路開拓-など、きめ細かな施策を展開し、就職率や法定雇用率の向上を目指す。
         府は「障害者の自立から就労までの支援を『京都モデル』として推進していきたい。生活や雇用・就労実態に合わせた多様な選択ができるよう訓練職種の拡大に努めたい」(府民労働部)としている。
        (京都新聞)8月19日9時29分更新