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        しんどさを感じる時のコーピングあれこれ
        2006/08/27
        その日の仕事や取り組みを終えられた時に感じるしんどさは、ほとんどの方にあると思います。ここで取り上げたいのは、肉体的な疲れを伴わない場面で、気持ちがしんどさを感じる時の対処法についてです。恐らく睡眠を十分にとることが具体的で効果的な対処法だとは思いますが、状態によっては寝付けない、中途で目覚めてしまって寝られないなど、睡眠自体が不足してしまっているケースも少なくないでしょう。
         しんどさは気分の状態ですから、気分を変えることができれば解消できるわけですが、それがなかなか難しいですね。自己に対して否定的な感情を抱いてしまいしんどくなられる、解決困難な問題に直面し自己の責任で問題解決が迫られているのに解決策がまったく浮かんでこない、どうしようもない自体を受け入れざるを得ない状況にある、など、不安、緊張、嫌悪感、怒り、否定感、恐怖感はその人の精神世界を支配してしまいます。
         そんな時に、少しでも楽になれる方策を考えてみましょう。1.自身の感情・気分を理解する。なぜ自分はその問題をそう考えているのかを考えてみることです。2.自己評価を一定に保つ。問題に直面していても、そのことによって自身の人格価値が下げてしまう必用はない、と考えることです。3.ダメージのレベルを数値化してみる。今抱えているしんどさは、平静を0点、破滅を100点としたときに何点くらいに位置するか考えることです。
         これらは、自然と考えてしまう自動思考から、より合理的な考え方に変換する作業になります。考え方が変われば、気分は変わります。目の前の問題を現実的に分析し、違う角度から見つめてみることで認識が大きく変わることが少なくありません。気分転換として趣味の時間を持ったり、家族や友人とおしゃべりをして思考の内容をすっかり入れ替えてみることでストレス解消をされている方は多いと思いますが、しんどさが重く、継続する場合には上記のような考え方、見方の座標軸の入れ替えをされてみてはいかがでしょうか。
         次回は「自分に問題があるのか、環境に問題があるのか」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        <自殺中2遺族>長崎市を提訴…「安全配慮怠った」と

         長崎市立小島中学で04年3月、生活指導中に飛び降り自殺をした安達雄大君(当時14歳)の両親が22日、「不適切な指導で自殺に追い詰められ、学校側に安全配慮義務違反があった」として同市に約9000万円の損害賠償を求める訴えを長崎地裁に起こした。長崎県内では昨年夏から今年にかけて中高生の自殺が相次いだ。両親は「理由がしっかり検証されないまま、次の悲劇が起きている。雄大の自殺の真相を究明することで再発防止に役立てたい」と話している。
         訴状によると、雄大君は同中2年生だった04年3月10日、校内でライターを持っているところを見つかり、担任教諭や学年主任から喫煙を巡って掃除用具庫や多目的室で生活指導を受けた。指導の途中で「トイレに行きたい」と1人で教室を出て、そのまま校舎4階から飛び降りて死亡した。
         両親は▽狭い掃除用具庫や薄暗い多目的室での指導で、精神的に追い詰めた▽友人関係を最重要視する思春期に、他に喫煙している生徒を密告するよう強制され、屈辱的な心境になった▽連帯責任を問われて部活動が停止になるかもしれず、友人に迷惑を掛けると自責の念に苦しんだ――ことが、自殺の背景にあると主張している。
         両親は、これまで再三にわたって市教委に原因究明と詳細な調査を求めてきたが、納得できる回答が得られなかった。さらに、市教委がこの件を県教委に「転落死亡事故」として報告し、自殺として認めていないことが分かり、市教委の姿勢に不信感を強めた。
         提訴後に会見した雄大君の母和美さん(44)▽父敏昭さん(44)は「昨年度は長崎県内で子どもの自殺が9件と、短期間に多発している。一つ一つの事案に対して丁寧に検証する必要があるのに、雄大のケースも真相が分からぬままだ。このまま黙っていることはできず、私たちに残された手段は提訴しかなかった」と語った。さらに「お金が欲しくて裁判を起こしたわけではない。裁判を通して真相を究明し、雄大のような悲劇を二度と起こしてほしくない」と述べた。
         提訴について長崎市教委は「訴状を見ていないので、今は何も申し上げられない」と話している。
        (毎日新聞)-8月23日11時16分更新
        【コメント】死を決意した時の雄大君の気持ちに寄り添った調査、検討、そして判決を望みます。雄大君の自死を「転落死亡事故」として処理するという市教委の姿勢、教育の現場にいる大人として極めてさもしいものと思います。

        ●全県立の全病院を民営化へ 福岡、財政悪化が影響(福岡県)
         福岡県は平成19年4月から県立病院すべてを民営化する。恒常的な赤字による財政悪化が理由で、同県によると全病院民営化は全国で初めて。ただ、自治体病院の在り方として疑問を指摘する関係者もいる。
         県立病院は柳川、嘉穂、朝倉、遠賀、太宰府の5病院あった。朝倉、遠賀、太宰府の3病院は17年4月にすでに地元医師会など民間に移譲しており、残る2病院の民営化に向け、移譲先の選定を進めている。
         同県は5年から県立病院の経営改革に取り組んでおり、非診療部門の民間委託や職員定数の削減などを実施したが、赤字体質から脱却できなかった。
         県担当者は、大学病院が拡充されるなど医療提供体制が充実し、県立病院の役割が希薄化しつつあることも民営化の要因だとしている。
         全国自治体病院協議会によると、10年から18年までに民間移譲された自治体病院は全国で16病院あり、検討中も4病院に上るという。
         同協議会長の小山田恵岩手県立病院名誉院長は「自治体病院は地域のニーズでできた病院。民営化すると経営が主となり、医療の質が保てるか確証はない」と懸念する。
         さらに「すべてを民間移譲する福岡県の例は残念だ。住民が求める医療を提供できていなかったのだろう。自治体病院は住民とコミュニケーションをとりながら運営する姿勢が必要だ」と指摘した。
        (産経新聞)-8月21日8時2分更新
        【コメント】民間依存でスタートした日本の医療がまたしても民間依存に。社会保障、保健福祉の理念に基づいた議論が求められていると思います。

        ●学校の要望で医師ら派遣 発達障害児支援へ本腰
         厚生労働省は23日、自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害がある児童、生徒らへの支援を拡充するため、2007年度予算の概算要求で本年度の4・4倍に相当する12億円の対策費を要求する方針を固めた。小中学校などから要望があれば医師ら専門家を派遣したり、卒業後の就労対策などを拡充する方針で、見過ごされがちだったこれらの障害のある子らへの支援に本腰を入れる。
         専門家の派遣は、これまではモデル的に一部の学校などだけで実施してきた。07年度からは体系的な事業として、要望があった場合に発達障害への対処について専門的トレーニングを受けた医師や保健師などを派遣したい考え。小中学校のほか、卒業生らが通う障害者施設も対象となる。事業主体は地方自治体で一定額を国庫で負担する方針。
        (共同通信)2006年8月23日(水)

        ●<いじめ自殺>中1男子が遺書残し 市教委事実認める(愛媛県)
         愛媛県今治市の島しょ部にある市立中学1年の男子生徒が今月17日、学校でいじめにあっていることをほのめかす遺書を残し、自宅近くの路上で首をつって自殺していたことが分かった。市教委は言葉などによるいじめの事実を認めており、中学の校長は「小学校から言葉の暴力を受けて傷つく傾向があると聞いていたが、自殺するほど悩んでいることに気付かなかった。真摯(し)に反省している」としている。
         市教委などによると、17日午後4時ごろ、生徒が自宅から数キロ離れた電柱で首をつっているのを通行人が発見。自宅の勉強机の中に「『貧乏』や『泥棒』などという言葉に傷つき、生きていることが嫌になった」という内容の遺書があった。
         中学校は18日に全校集会で事情を説明し、全校アンケートなどで「同様の悩みがないか」を聞いた。市教委は生徒の相談などに応じるため、19日に臨床心理士3人を中学校に派遣した。
         同校は全校生徒100人以下の小規模校で、ほぼ全員が同じ小学校の卒業生。市教委は「生徒は小学4年ごろから言葉によるいじめを受け、学校としては注意して見守っていた」としている。今治市の倉永忠・教育長は「いじめに対する取り組みを全小中学校で見直し、再発防止を図りたい」と話している。
        (毎日新聞)-8月24日12時10分更新

        ●中1男子が自殺、「いじめあった」と学校が両親に謝罪
         愛媛県今治市立中学1年の男子生徒(12)が17日、同級生らからいじめられていたことをほのめかす遺書を残して自殺していたことがわかった。学校側はいじめがあったことを認め、両親に謝罪した。
         市教委などによると、男子生徒は17日午後5時ごろ、自宅近くの山林で、首をつって自殺しているのが見つかった。自宅の部屋に「貧乏、臭いなどと、自分にとって苦しめられることを言われた」という内容の手書きのメモが残されていた。
         市教委は「男子生徒が小学校の時から言葉によるいじめを受けていたとの報告を受けていながら、中学校側の対応が不十分だった。二度といじめが起きないよう、対策をとりたい」としている。
        (読売新聞)-8月24日12時17分更新

        ●ニートに「発達障害」の疑い、支援に心理専門職も
         仕事も通学もせず、職業訓練も受けていない15~34歳の若者を指す「ニート」について、厚生労働省は就労支援の内容を見直す方針を決めた。
         ニートの一部に、「発達障害」の疑いのある人が含まれていることが、同省の調査で判明したため。実態をさらに把握したうえで、支援機関に心理などの専門職を配置するなど、きめ細かい支援のあり方を検討する。
         調査は今年6月、首都圏などにあるニートの就職・自立支援施設4か所を選び、施設を利用したことのあるニートの若者155人について、行動の特徴や成育歴、指導記録などを心理の専門職らが調べた。
         この結果、医師から発達障害との診断を受けている2人を含む計36人、23・2%に、発達障害またはその疑いがあることがわかった。
         発達障害は、生まれつきの脳の機能障害で、自閉症や注意欠陥多動性障害などが知られている。コミュニケーションが苦手なことが多く、就職の面接試験で失敗を重ねたりするが、就職して存分に能力を発揮することも少なくない。
         調査では、「人との距離感が分からず、顔を必要以上に近づける」(26歳男性)、「その場の空気が読めず、じっとしている」(20歳女性)などのコミュニケーション問題や、「口頭の作業指示では理解できず、実演が必要」(16歳男性)など、発達障害特有の行動が確認された。
         厚労省によると、発達障害のある人は、集団で行動するニート支援施設を利用しない傾向がある。このため、「支援施設に来ない人を含めると、割合がさらに高くなる可能性もある」(障害者雇用対策課)という。
         ニートの就労支援では、一般的に、規則正しい生活を送る訓練や、企業での就労体験、資格取得の勉強などが行われている。
         一方、発達障害がある場合は、作業訓練のほか、援助者の確保や同僚の理解促進など、働く場の環境整備が中心となる。具体的には、福祉機関などと連携して個別の支援計画を作ったり、企業を啓発したりすることが求められている。
         発達障害者の就労支援に取り組む大妻女子大の小川浩教授は、「ニートの支援には、職業体験など、発達障害者にも役立つものもある。だが、社会性やコミュニケーション能力を高めるため、『頑張ればできる』という発想で訓練するのは、発達障害者には強度のストレスとなり、うつなどの二次障害を生じさせる」と指摘している。
         調査結果について、NPO法人・青少年自立援助センター(東京都福生市)の石井正宏・若者自立塾副塾長は、「実態がある程度明らかになったことで、早めの支援につながるのではないか」と話している。
        (2006年8月24日3時14分読売新聞)
        【コメント】「ニート」と呼ばれることになった人たちは青年・成人です。発達障害に社会的な関心が高まり、医療や支援の必要性が説かれはじめてまだ数年、青年・成人の発達障害を診断できる医師や支援にあたれる「専門職」は全国にどれだけいるのでしょうか? さらに、「ニート」という名詞が一人歩きし就労支援など具体的な支援策が一定進展する中で、ひきこもり対策はほとんど放置されたままであるのはなぜでしょうか? 国や自治体がやり残してきたことが社会問題化し、重い腰を少し上げ始めたところですが、まだ、ひきこもりに対しては無策なままと言っていいでしょう。

        ●発達障害など対応へ教員確保=3年間で1450人-文部科学省
         文部科学省は23日、発達障害を抱える子どもへの教育や食育指導の充実に向け、2007年度から3年間で教員計1450人の確保を目指す方針を固めた。全体の約6%に上るとされる発達障害を持つ小中学生の支援や、05年度に導入された栄養教諭制度の定着を目指す。
         具体的には、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などを持つ児童・生徒が、通常学級に在籍しながら支援を受ける「通級指導」の指導要員と、食育指導の中核を担うことが期待されていながら、十分に定着していない栄養教諭の増員が柱となる。公務員の総人件費改革で、公立学校の教職員も定数削減が求められているが、同省はこうした対策のための教員確保は必要と判断した。
         07年度分は、通級指導311人、栄養教諭20人を加配する計画。ただ、先の国会で成立した行政改革推進法は、教職員に関し「児童・生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるため必要な措置を講じる」と規定しており、特定分野の加配には他の分野の削減が必要となる。
         同省は、学校運営の合理化により、給食や事務関係の職員の削減も可能とみて、こうした職員の削減数も教員の加配分に充てたい考え。しかし、国庫負担対象外の職員の削減を教員の削減分として数えることには、財務省や自治体などに反発もあり、調整は難航も予想される。 
        (時事通信)-8月24日7時0分更新
        【コメント】特別支援教育は、人も金も出さない、というところからスタートしました。しかし、実際に支援を必要とする児童・生徒への関わりをすすめていく上で、体制的に人も金も必用なことがやっとわかったということでしょうか。

        ●厚労省が発達障害に標準支援策、拠点整備し指針発信へ
         厚生労働省は来年度から、自閉症や学習障害などを持つ発達障害者の標準的な支援策作りに乗り出すことを決めた。
         この支援策を、全国の医療機関などに発信する「発達障害対策情報センター(仮称)」も創設する。
         発達障害については、医療機関や施設、学校によって治療も対応もばらばらなのが現状。科学的な分析に基づいた支援策を普及させ、全国どこでも適切な支援を受けられる体制づくりを目指す。
         発達障害の子供は、その接し方や幼児期の治療などによって、その後の生活状態や社会への適応状況も変わるとされるが、標準的な対応方法が定まっておらず、施設や医師などによって、支援レベルも異なるという。
        (読売新聞)-8月25日14時33分更新
        【コメント】発達障害をお持ちの子どもたちに関わったことのある方ならおわかりかと思いますが、一人ひとりに個性があり、障がいのレベル、本人の生育環境や状態像の違いがあります。標準的な対応方法をあてはめることが可能とは思えませんし、そのことで要らぬ生きにくさが加わることが懸念されます。