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        自分に問題があるのか、環境に問題があるのか
        2006/09/09
         自身が望んだ人生を送れている、と言える人は、何%くらいいらっしゃるのでしょうか。多数の人が、「自分の夢は○○だった」、「あの時、もう少しがんばっていれば…」、「あの時の選択はやはり違っていたのでは…」などと、かつての希望や理想と現実とのギャップについてやや否定的に考えられるのではないでしょうか。
         思い描いていた未来とは違う現実に立っておられる場合、1.その原因を自分の努力不足や判断間違いとするのか、2.自分の理想を邪魔した環境に原因があるとするのか、あるいは、3.それらの相互関係の中で織りなしてきた結果であると受け入れるのか、で、これからの生き方が大きく変わると言っても過言ではないと思います。
         自己責任化は現代日本における風潮ともなっているようですが、高度に成長した社会環境において、自分一人の力で人生を左右していけることはまずあり得ません。また、2.のように、責任を外界に転嫁して済ませるような簡単な問題でもありませんね。己があり、己の意志があり、環境要因があり、社会的な枠組みとの関係性があり、偶然の巡り合わせがあり、それらが複雑に絡み合いながら一つの方向性としての今を生きているのです。自らの意志のありのままを受け入れ、環境を知り調整を図りながら、次の生きる方向性を探していく、人生はその繰り返しではないでしょうか。
         今まで生きてきた自身の人生の軌跡は、誰のものでもなく自身の生きた証であり、未来の軌跡は自身の前に刻まれて行く、そんな考え方をしたいと思います。
         次回は「抑うつ気分は内面の堂々巡りから」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        公立小中校長の9割「学力格差、将来広がる」

         公立小中学校長の約9割が、「20年前に比べて家庭の教育力が低下している」と受け止め、「将来、学力格差は広がる」と見ていることが29日、東京大学基礎学力研究開発センターの全国調査で明らかになった。「教育改革がはやすぎて現場がついていけない」と感じる校長も9割近くにのぼっており、改革に戸惑う現場の実態も浮き彫りになっている。
         調査は先月から今月にかけ、全国の小中学校の約3分の1の1万800校を対象に行われ、約4割の校長から回答が届いた。
         それによると、「子どもの学力が20年前に比べ下がった」とみるのは小学校で42%、中学校では57%。小学校の76%、中学校の65%が「子どもを教えにくくなっている」と答えた。
        (読売新聞)-8月30日3時11分更新
        【コメント】「家庭の教育力」が、今に比べて20年前にそれほど高かったというデータはないと思います。高度経済成長の最中、父親は仕事に追われて家庭に居る時間は少なく、母親も共稼ぎで、家庭において子どもを教育する時間など物理的になかったと思いますし、この頃は受験競争を勝ち抜くための塾通いなど、産業的教育サービス依存が進んでいたと思います。「学力」の評価も、その基準は文部省、文科省によってどんどんと変わっていきました。「現場がついていけない」というのは本音であると思います。「子どもを教えにくくなっている」のは、子どもに原因があるのか、家庭に原因があるのか、教師に原因があるのか、学校に原因があるのか、教育制度に原因があるのか、社会環境に原因があるのか、この議論はえてして徒労に終わりそうです。「学力格差」の広がり予想、この問題の本質論議をしっかりとして欲しいと思います。

        ●学校に“通信簿”…文科省が現場取り組みを5段階評価
         文部科学省は、小中学校の授業内容や学校運営などを客観的に評価する統一基準を定め、各学校を「評定5」から「評定1」の5段階で評価していく方針を決めた。
         国が、学校現場の取り組みを数値で評価するのは初めてで、今年度は全国124の公立小中学校で試行する。これまでも教職員や保護者ら学校関係者による学校評価は行われていたが、今回の5段階評価は、学校と直接かかわりのない第三者が各学校の真の実力を見極め、教育の質の向上につなげるのが目的だ。
         9月から始まる評価の対象となるのは、47都道府県と15政令市にある公立の小中学校各1校。文科省は来年度以降も対象を拡大し、将来的には私立や国立も含め、幼稚園や高校などへの評価も検討する。
        (読売新聞)-8月28日3時9分更新
        【コメント】各学校に「特色ある学校づくり」を求めていたかと思えば、今度は評価の統一基準を定めるそうです。アンビバレントな施策に、また現場も親も子どもたちも振り回されてしまいそうですね。

        ●思春期やせ症-発見の遅れ命取りに
         思春期のやせ願望から、無理なダイエットをしたり、食べても吐いたりするなどの異常な食行動を続ける「思春期やせ症」の子どもが増えている。厚生労働省研究班が予防、早期発見などの診療指針を作成し、早期の発見と対処を呼びかけている。
         成長期なのに体重が大きく減る状態を経験したことがある女子は、中学3年で5・5%、高校3年では13・2%にも上る。
         学校、家庭、友人関係など、思い通りにならないストレスを抱える中で、「芸能人のようにスリムになりたい」「細身の服を着たい」といったささいな自己実現への欲求が、無理なダイエットに走るきっかけになるとされる。
         一般には拒食症と言われるが、特に思春期の子どもは、将来の健康に及ぼす影響が大きいことから、思春期やせ症(神経性食欲不振症)と呼ぶ。男女比は1対10で女性が圧倒的に多い。
         極端にやせると、栄養失調から、血液中の糖分が不足し、元気が出ず、不眠や疲労感が現れる。脳の働きが低下し、精神的に不安定になったり、ホルモンバランスが乱れ、成長障害や不妊の原因になったりする。
         少ない栄養で生きのびようとするため、心拍が遅くなり、心不全の危険も招く。このため、死亡率は国内外の研究で6~10%にも上る。
         深刻な病気で、ゆがんだ食習慣や自分の体のイメージを修正していく地道な努力が必要だ。
         厚労省研究班は、早期発見し医療機関を受診する基準として、〈1〉身長などから算出する肥満度がマイナス15%以下〈2〉身長体重の変化をグラフにした成長曲線で、体重が前年より1段階以上(おおむね5キロ・グラム)減少〈3〉安静時の脈拍が1分間に60回を下回る――を目安としている。
         本人が進んで医療機関を受診することはほとんどない。やせることが心地良く、他人から見たイメージも良いと思いこむからだ。健康なら空腹感や体の不調は苦痛だが、脳内麻薬物質の分泌により心地良いと錯覚している。このため、体重が20キロ・グラム台になるまで平気な場合も少なくない。
         「早期発見しないと生命に危険が及ぶばかりでなく、完治させるのが非常にやっかい。学校、地域の小児科医らの連携が欠かせない」と、厚労省研究班班長で慶応大小児科講師の渡辺久子さんは言う。
         治療では、ゆっくり時間をかけながら、十分な栄養を取れるようにする。親子関係のすれ違いなどから、子どもの心の奥の孤独や自信のなさを親が理解していないことも多いことから、親など家族の心理支援も必要になる。重症の場合は1年以上の入院が必要な場合も珍しくない。
        ケース1
         中学3年のA子さんは、身長161センチ、体重52キロ・グラムと健康だったが、1年後には体重が46キロ・グラムと6キロ・グラムも減っていた。養護教諭が事情を聞くと、友人関係の悩みから食欲がなくなり、月経も3か月止まっていた。 精密検査を受けたところ、性、甲状腺などのホルモン値が低くなっていた。小児科医は栄養の必要性を説明し、3度の食事内容を細かく記入するなどの指導をした。幸い健康に大きな問題はなく、半年ほどで回復した。
        ケース2
         9歳で重度の思春期やせ症と診断されたB子さんは、家では母親に常に指図してわがまま放題。だが、心の底から甘えることや、両親の愛情を感じることができない欠落感を抱え、それが食事の拒否につながっていた。 カウンセリングなどの治療は7年目。高校生になってようやく、自分の感情を親に伝えることができるようになり、食事の習慣も正常に戻りつつある。
        (2006年8月25日読売新聞)

        ●全公立小で“放課後教室”…共働きには時間延長も
         文部科学省と厚生労働省は、来年度から全国すべての公立小学校で、放課後も児童を預かることを決めた。
         スタッフは教員OBや地域住民で、勉強やスポーツのプログラムを用意して、児童が放課後を学校で過ごす環境を整えるほか、共働き家庭の子ども向けには、さらに時間を延長する。
         子どもが安心して遊べる居場所づくりや、子育ての負担軽減による少子化対策につなげるのが目的で、2007年以降、大量退職する教員に活動の場を提供する狙いもある。両省では、来年度の総事業費として約1000億円を見込んでいる。
         今回の事業は、全児童対象の時間帯と、それ以降の、親が留守の家庭の子どもを対象とする時間帯の2本立て。小学校内での活動が基本で、空き教室や体育館、校庭などを利用することを予定している。
        (読売新聞)-8月29日14時41分更新
        【コメント】放課後の子どもの居場所が必用であるとして「学童保育所」を作る運動が全国的に展開され法制化されるに至りましたが、これに抵抗し続けてきたのが政府と多くの自治体でした。

        ●保護者から理不尽な要求、悩む教師を大阪市が支援
         小中学校の教師に、保護者らから厳しいクレームや要望が集中し、過度な負担を強いられている実態が1日、大阪市の市政改革本部が行った調査で分かった。同様の調査は、学識経験者が実施した例はあるが、自治体としては全国初。教師への理不尽な要求が広がっている状況が改めて浮き彫りになり、市は「現場支援プロジェクト」を発足。本格的な対策に乗り出した。
         市内の小中学校から無作為に6校を選定。教師を中心に、校長や教頭、保護者ら計約40人から現場が抱えている悩みや問題点について、対面式で聞き取りを行った。
         この結果、「勉強ができないのは学校のせい」「共働きなので、インフルエンザで学級閉鎖になっても、保健室で寝かせてほしい」など、理不尽な要求が数多く学校に寄せられていたことがわかった。
         クレームが解決するまでに時間がかかるケースも目立っており、市はその処理に追われ、教師としての本来の技能を磨く時間が奪われている可能性があると懸念。教師らのこうした悩みを解消して、教育環境をよくするため、本格的な対策に乗り出した。
         市政改革本部と市教委は連携して課題を整理し、解決策を検討。改善に向けたプログラムを作成するとともに、モデル校を設定する方針という。
         市によると、教師らを取り巻く問題の対策は、これまで現場任せにしてきた実態があったといい、自治体としてバックアップ体制を整えることが不可欠と判断した。
         市教委は「教師が疲弊していては良い教育は行えない。子供のためにも教師が元気になる取り組みを行い、教育環境を整えたい」としている。
        (産経新聞)2006/09/0210:45
        【コメント】確かに保護者のニーズは「多様化」しています。中には「理不尽」なものもあるでしょう。その「理不尽」さを保護者に理解してもらうことも、学校に求められている、そんな時代になったのですね。クラス懇談会などを開いて、保護者と学校とが対話を広げることが、教育環境を整えるための近道ではないでしょうか。教育行政の中での抱え込みで、問題解決が進んだ例を知りません。

        ●障害者自立支援法:障害者5団体、初の合同集会 施行前に1000人が参加(東京
         知的・発達障害者の保護者や施設関係者でつくる都内5団体による「障害者自立支援法対策東京集会」が2日、新宿区市谷田町で開かれた。来月1日の同法完全施行を前に、当事者と事業者が立場を超えて福祉サービスの改善を目指すのが目的。5団体合同の集会は初めてで、約1000人が参加した。
         集会では、厚生労働省が8月24日の全国主管課長会議で、利用者負担の軽減対象を拡大した点などについて一定の評価をした。しかし、障害程度区分の判定結果や、利用者負担に対する自治体独自の軽減措置の有無により地域間格差があるなど、問題点も指摘された。
         最後に「障害者の特性が反映される障害程度区分への見直し」「所得保障・諸手当の拡充」など8項目の緊急アピールを採択した。
        (毎日新聞)-9月3日11時3分更新
        【コメント】10月1日から、全国の障害者支援サービスを行っている施設などにおいて、大変な事態がはじまります。この「自立支援」は障害者のためのものではなく、政府の「自立支援」策である、という指摘もうなずけます。