ひきこもり当事者とインターネット
2006/10/07
ひきこもりの状態にある青年たちはみんなインターネットに浸かっている、という印象があるようです。しかし、実態は、パソコンに向かいインターネットを長時間しているひきこもり状態の青年たちは意外と少ないようです。パソコンという器機への興味の有無も大きく影響します。ネットはネット社会という「外界」とのコンタクトを意味します。そういう段階にある人がネットからの情報を得たり、また自らチャットや掲示板に書き込んで自らの状態を発信しつつ自身への問いかけをしているものと思われます。
では、パソコンをしないひきこもり状態にある人はどうか。部屋の中、家の中でできる様々なことをされています。金魚や熱帯魚を飼育する人、ペットと語り合う人、受験勉強を続ける人、テレビを見続ける人、料理などの家事を手伝う人、等々。実に多様に、今を行き自己存在への問いかけを続けておられます。
ひきこもりには、それに至る経過(原因を含む)、ひきこもってからの経過、様々な刺激による自己洞察や試験的動きだしや部屋・家からの外出トライヤルなどの段階がありますが、「様々な刺激」の質が問われます。他者の人生の多様性を知り、自身の命や人生の大切さに気づき、自尊感情を高める、そんな刺激を受けられるのは第三者との関わりから、という場合が多いようです。お一人で抱える、本人の自己責任にする、家族内の問題として抱え込まれる、そうした閉鎖的で自己責任化した環境の中では、状態変化への刺激が生じることは希で、多くの場合、むしろご自身や家族内でお互いを責め合う、という非難・否定的刺激が積み重なってしまいます。神経症や抑うつなどの二次的障害も、、起こるべくして起こってしまいます。
信頼でき、継続的に本人とご家族と関わることのできる第三者とつながることの重要性を強調したいと思います。
次回は「青年・成人期のアスペルガー障害への支援を考える」について考えてみたいと思います。
では、この1週間の気になる記事です。
58自治体が設置か予定ー自殺対策ネット
自殺対策のため官民でつくる地域のネットワーク組織などを既に設置しているのは、全国六十二の都道府県・政令指定都市のうち香川県など二十で、設置予定(三十八)を含めると、計五十八の自治体が何らかの対策に取り組んでいることが特定非営利活動法人(NPO法人)の調査で三日、分かった。
別の機関が実施した四月一日時点での調査では、設置済みと予定を合わせて計二十三にとどまっており、六月の自殺対策基本法制定を契機に対策が進んだといえる。
調査はNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京)が、八月下旬から九月初めに自治体に聞き取りし、対策の取り組み状況によってAからEまでの五段階で評価した。
自殺死亡率が全国的に高い秋田など東北三県は、既に「自殺対策連絡協議会」などの地域ネットワークが実践的な活動を進めていることを評価してAランク。兵庫など七自治体は、モデル事業など核となる取り組みが機能し始めているとしてBランクに位置付けた。
組織があってもまだ具体的な取り組みをしていないCランクは香川など十、来年度までに設置予定のDランクは三十八自治体に上った。組織づくりの具体的な検討がないさいたま市、東京、滋賀、奈良の四自治体はEランクだった。
C、Dランクの中には、民間との連携や人選の方法が分からないとの声もあり、ライフリンクは「一刻も早く国が組織の目的や連携のモデルを分かりやすく示し、支援を積極的に行うべきだ」と話している。
(四国新聞 2006/10/04 09:26)
【コメント】自死遺族会や自殺予防の運動をされている団体や個人は全国に多数存在します。「民間との連携や人選の方法が分からない」のは、窓口担当者やその部署に民間と連携をしようとする意志がないだけです。多様な癒しや予防の支援があります。柔軟に、そして早急にネットワークづくりをすすめてほしいと思います。
●敦賀に発達障害の支援センター「スクラム福井」開設
自閉症や学習障害(LD)など発達障害がある人の支援センター「スクラム福井」が1日に開設された。事務所が置かれる敦賀市桜ケ丘町の授産施設「野坂の郷(さと)」で開所式があり、看板を設置して祝った。
野坂の郷を運営する社会福祉法人「ウエルビーイングつるが」(福田晋介理事長)が、県の委託を受けて始める。敦賀市のほか福井、大野両市にも窓口を置き、障害者と家族への支援や、県民への啓発活動などを行う。
福田理事長は長男(15)が自閉症だったことから、約10年間、自閉症患者の支援に携わってきた。「子どもが生まれた当時はどこに相談していいのか分からず戸惑った」と苦労を振り返り、「県全域の障害者とその家族、支援者とスクラムを組んで歩んでいこうと思う」と話した。
各相談窓口の連絡先は敦賀(野坂の郷内)=電0770(21)2346、福井=電0776(22)0370、大野(希望園内)=0779(66)1133=へ。
(北陸中日新聞 10/1)
●滝川市の小6自殺、1か月半前に担任に友人関係相談
北海道滝川市内の小学校で昨年9月、6年生の女児が首をつり、後に死亡した問題で、担任教諭がその1か月半前の7月、友人関係のことで女児から相談を受けていたことが1日、わかった。
自殺を図った後に学校が同級生に行った聞き取り調査でも、「死にたいと漏らしていた」などの証言が多数得られており、学校は昨年10月、女児の家族に「本人のサインを学校、担任として受け止められなかった」との内容の文書を渡していた。
文書は、学校側が事前に把握していた女児の様子について、「席替えのことや友人関係について担任に相談があった」「修学旅行の部屋割りで(女児一人がどのグループにも入れないという)問題が生じた」ことに触れていた。しかし、ともに「担任の指導で解決された」と説明し、いじめは否定していた。
(読売新聞)-10月2日3時10分更新
●滝川小6自殺 遅すぎた謝罪 批判浴び主張一変 市教委に高まる不信
【滝川】滝川市内の小学六年生の女子が昨年九月、通っていた学校の教室で自殺を図り死亡した問題で、滝川市教委は五日、これまでの主張を一変させ、いじめがあったことを認めた。「認めるのが遅すぎた」「やはり隠そうとしたのでは」。一年もたった末の手のひらを返したような対応に、市民らの不信感は高まった。
五日午後六時。田村弘・滝川市長と安西輝恭教育長は、滝川市内の遺族宅の玄関に立った。
「申し訳ありませんでした」「すみませんでした」。出迎えた遺族の男性に何度も頭を下げた。訪問した時間は十分ほど。沈痛な面持ちで焼香を終えた。
謝罪後の記者会見では、「いじめが自殺の原因か」という記者の質問に、「恐らくそうではないかと思う」と安西教育長。対して、校長は「自殺の原因がすべていじめであるとは思えない」。見解は食い違った。
謝罪訪問に先駆けて開かれた市議会の総務文教常任委員会でも、安西教育長は「遺族をはじめ、多くの市民に迷惑をかけた。心からおわび申し上げます」と深く頭を下げていた。千葉潤指導室長は「謝っても取り返しがつかない」と時折言葉を詰まらせた。
だが、謝罪はあまりにも遅すぎた。市教委は昨年十月十二日には遺書二通の内容を把握したが、十一月の会見では「いじめの事実は把握できなかった」と発表。遺書七通の全容を把握した今年六月二十一日以降も「調査内容を分析して結論を出したい」とし、対応を遅らせ続けた。
今月五日の記者会見では、二日に開かれた会見でいじめの存在を事実上認めていなかったのに、突然、主張を変えたことに質問が集中。安西教育長は「いろいろな意見をいただいたこともあり、総合的に判断した」と話し、世論に押されたうえでの方向転換であることを明かした。
文部科学省は一九九五年の通知で、いじめの判断基準を「あくまでもいじめられている子どもの認識の問題である」と示している。校長は会見で、この通知について「把握していた」と答えたものの、「女子から友人関係について相談を受けた時点でいじめだと認識していれば、自殺そのものが防げたのではないか」との質問には、沈黙を挟みながら「担任からは解決したと聞いていた。ただ、(いじめの判断の)共通認識が徹底されていなかったと言われればそうかもしれない」とうなだれた。
市教委の対応に、市民の不信感は増した。女子と同じ地域に住む男性(41)は「認めるのが遅すぎた。いじめられている弱い立場に立つのが教育者。それができていなかったということだろう」と吐き捨てるように言った。
(北海道新聞 2006/10/06 08:13)
●女子児童の「遺書」、教育部長「見たくない」と拒否
北海道滝川市の小学校で、いじめを苦に女子児童が自殺した問題で、市の教育委員会の幹部が、遺書を見ることを拒否していたことが分かりました。
遺族によると、去年9月、女子児童が自殺を図った翌日に、入院先の病院で、遺族は滝川市の教育部長に遺書を見てもらおうとしました。しかし、教育部長は「見たくない」と拒んだということです。これまで、市の教育委員会は「遺書は原因究明に必要なため、遺族には当初から見せてもらうよう頼んだが、応じてもらえなかった」と説明をしていました。この問題では、市の教育委員会に抗議などが殺到しています。「明らかにいじめだ」、「原因究明が遅い」などと、電話と電子メールでおよそ1900件が寄せられています。
(YAHOOニュース 6日8時41分更新)
【コメント】この事件は、教委の対応が余りにもずさんで子どもじみた(というと子どもに失礼)ウソで塗り固めようとして次々と暴露されていったために大きなマスコミネタとなりましたが、事件性としては氷山の一角です。子どもの死の意味よりも優先される自己保身のための虚偽報告、いじめや学校事故によって子どもを亡くされ訴訟などを起こされている親御さんたちのほとんどが、この厚い壁と闘っておられます。これまでも何度か書いてきましたが、残された家族が得たいのは、起こった出来事の事実経過と心からの謝罪と再発防止への具体的施策化です。
●<司法支援センター>業務スタート さっそく電話相次ぐ
身近な法的トラブルを解決するための情報提供窓口となる日本司法支援センター(愛称・法テラス)が2日朝、業務をスタートさせた。午前9時の業務開始とともに、コールセンターには利用者からの電話が相次ぎ、80人のオペレーターが対応に大忙しだった。
コールセンターは、平日の午前9時~午後9時と、土曜日午前9時~午後5時(日曜・祝日は休み)、金銭トラブルや相続、離婚などの解決に役立つ制度を無料で紹介し、弁護士会や司法書士会などへの橋渡しも行う。年間約120万件の相談が見込まれ、初日は業務開始から1時間で計245件の相談に応じた。電話番号は0570・078374(オナヤミナシ)で、ほかに犯罪被害者向けの専用電話(0570・079714)もある。
金平輝子理事長は「身近な司法への道しるべとなれるよう体制を充実させたい」と語った。
法テラスではほかに、資力の乏しい人への裁判費用の援助や、弁護士過疎地域での法律サービスの提供なども行う。(毎日新聞)-10月2日11時33分更新
●見晴台学園:名古屋の障害児が学ぶ教育施設、8日と12日に説明会/愛知
学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害児が通う無認可の学校「見晴台学園」(名古屋市中川区)が、来年度入学希望者のための学園説明会を8日と12日に開催する。
見晴台学園は1990年、発達障害児などの保護者でつくるNPO「学習障害児・者の教育と自立の保障をすすめる会」(名古屋市)が、「子供らが自分のペースで学べる場がほしい」と設立。中等部と高等部のほか、高卒程度を対象にした専攻科があり、生徒が学習指導要領とは異なる独自のカリキュラムで授業を受けている。
12日は午前中に授業見学も実施する予定。同学園は「説明会では学園の概要説明だけでなく、参加者が抱える課題についての相談の時間も設けたい」と話している。問い合わせは同学園(052・224・7378)まで。
10月6日朝刊
(毎日新聞)-10月6日11時1分更新
●県教委、発達障害を本格調査 小中校の実数把握
県教育委員会は、県内小中学校の通常学級に在籍する学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など軽度発達障害の児童・生徒数を2006―07年度に初めて本格調査することを決めた。5日の県議会文教厚生委員会で赤嶺昇氏の質問に答えた。県教委は05年度の予備調査を基に「4500人(全児童・生徒の約3%)以下ではないか」と推定。「実数を把握し、支援体制づくりに活用したい」と説明している。
調査は、軽度発達障害の実数を把握し、効果的な支援につなげることや、通常学級の担任に軽度発達障害についての認識を深めさせ、必要な支援に結び付ける狙い。
県教委は「専門家を含む調査チームをつくり、できる限り正確な実数を把握したい」としている。
県教委は本格調査に向けた予備調査を昨年度、県内小中学生約1万3千人を対象に実施。各校の報告の結果、「教育上、特別な配慮を要する児童・生徒」は小学校が全児童の3・14%、中学校は全生徒の3・29%だった。
県LD児・者親の会「はばたき」の岡崎綾子代表は「県全体の調査は良いこと。正確な実数把握の結果をどう活用するかが課題。各教員の発達障害への認識が深まってほしい」と語った。
文部科学省は、全国の小中学校で通常学級に在籍する軽度発達障害の児童・生徒は約6%と推定している。
(琉球新報)-10月6日10時18分更新
●県立療育福祉センター:発達障害者支援拠点、新施設スタート/高知
◇勉強の場や保護者の交流も
県立療育福祉センター(高知市若草町)内で、「発達障害者支援センター」の新施設が完成し、本格的に業務をスタートさせた。自閉症や注意欠陥他動性障害などの発達障害者への支援拠点として期待され、5日には関係者約30人が集まり、見学会が開かれた。【服部陽】
昨年4月の発達障害者支援法施行に伴い、県も支援センターを暫定的に整備。空き部屋を利用していたが、手狭だったことから改装していた。
新施設は約570平方メートル。見学会では、すべり台やボールが置かれた「プレイルーム」、子どもが手先を使った作業をする机などが披露され、出席者はスタッフの説明を受けていた。
一般的に発達障害者は人口の数%を占めるとされ、4月からの支援センターで受けた相談件数は計145件にのぼった。支援センターでは相談を受けた後に診断し、それぞれの障害に分けて専門的な支援に取り組む。また、就学前の自閉症の子ども向けには通園部門を設置。9月末時点で44人が契約し、月数回、利用している。
出席した高知発達障害等親の会「KOSEI」代表の谷内つぼみさん(51)は「発達障害児は勉強する場が少ないので助かる。家に閉じこもりがちな保護者同士が交流できるのもうれしい」と話していた。同支援センター(088・844・1247)の電話相談は平日午前9時~午後5時。
10月6日朝刊
(毎日新聞)-10月6日16時1分更新