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        広汎性発達障害と対人関係能力(2)
        2006/11/05
        昨夜、私が副代表をしている家族会ノンラベル主催の「アスペルガー援助者養成講座【第5弾】」が京都市内の会場で始まりました。私はいつものように司会・進行役をしています。今回は定員200名に対して250名を越える申込みがあり、多数の方にお断りをする結果となり、本当に残念で申し訳ない思いでいっぱいです。今回参加できなかった皆さんには、来年春の【第6弾】以降には、ぜひ参加していただきたいと思います。
         さて、昨夜の1回目は、ノンラベル代表の田井みゆきが「生活支援の現場から~アスペルガー特性と具体的援助方」と題して講演を行いました。200名の熱気に包まれる中、参加された皆さんは熱心にメモをとりながら学ばれていました。2回目以降が医師として臨床現場や大学において教鞭をとられつつ実践的研究をされておられる方々なので、1回目は生活支援の現場から見える障害特性や家庭や学校、療育の現場でのタイムリーな援助のあり方を具体的に紹介することになりました。
         DSM-?やICD-10などの診断基準に出てくる、表情や身振りなどでの「感情表現」の困難さや乏しさについて、広汎性発達障害をお持ちの方と定型発達者では「感情表現」における質的な違いは確かにあるものの、ずっと困難さを持ったままかというとそうではない。生育環境において、回りの家族や援助者が笑顔で関わってきたお子さんは笑顔を獲得されているが、逆に「困った子」「扱いにくい子」として精神的に疎外されながら育ってきたお子さんは「他者はいつも自分を怒る存在」と定位し自己防衛に充ちた乏しい表情しか獲得できていないことが多い。また、居場所に来始めた当初、表情なくじっとかしこまって座っていただけの青年が、家に帰ると母親に「今日は楽しかった」と告げ、2回目、3回目と来続ける中で、スタッフの笑顔や楽しい雑談に慣れ、ふと笑顔が出たり、会話に口を挟んだりして心地よい対人関係を獲得して行っている事例の紹介などを通して、生来的に持っている質的違いはあるものの、回りの人の関わり方や細やかな気配りや具体的援助の積み重ねの中で、対人関係能力を獲得していく力を十分に持っているということが明らかにされていきました。
         私もこれらの変化を現場で体験してきていますので、「感情表現」の困難さや乏しさは、当事者の性格の問題などではなく、回りの人の関わり方に因るところが大きいと思いますし、一定年齢に成育されたところからでも、第三者を含めた適切な援助的関わりがあれば、対人関係の力を獲得していってもらえ、またそのことで今の社会の中でより生きやすくなってもらえるのではないかと思っています。
         次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(3)」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。いじめ自殺問題をはじめとして、盛りだくさんになっています。

        ちょっとしたひと言が招く“心へのいじめ”

        相次いで発生している小中学生の自殺。その理由の大半は“いじめ”によるものだという。暴行や虐待など表だって肉体的苦痛を強いるものの場合は、その原因が火を見るよりも明らかなのだが、厄介なのは心に無数の傷を負わせる“精神的暴力”のケースだ。
         何と言っても、相手を傷つけている言葉を口にしている本人がそれを“いじめ”とは思っていないのだから始末が悪い。ちょっとしたひと言が招く“心へのいじめ”。では、具体的にどんな言葉に人々は傷つくのだろうか。10代から40代までの男女に「子どもの頃に他人から言われて傷ついた一言」というテーマで調査を行った。
         最も多かったのは容姿に対する“からかい”。「あごがしゃくれてる」(愛知県 20代女性)、「オデコが広い」(秋田県 20代女性)、「きつね目」(宮城県 30代女性)、「たらこくちびる」(長崎県 30代女性/他)、「ほくろが多い」(茨城県 大学生男性/他)、「歯がでてる」(長野県 30代男性)、「馬面」(北海道 30代男性)など顔の“パーツ”を取り上げての一言から、「毛深い」(福岡県 20代男性/他)、「ちび」(大阪府 中高生女性 他)、「短足」(東京都 20代女性)など“コンプレックス”に直接つながってしまうような指摘までさまざまだが、その中でも圧倒的な回答数となったのが「でぶ」(広島県 30代女性/他)。いつの時代もダイエットが“ブーム”である理由がここにある。
         とはいえ、見た目への“ちょっかい”だったら気持ちの持ちようで克服することも十分可能だが(とは言え、言われた本人にとってはきついことだろう)。明らかな“悪意”を持ったひと言の場合は、当事者でなければそのつらさはわからない。「うざい」と回答した大学生女性(埼玉県)は傷ついた理由として「改革の余地がないからどうしようもない」と答えている(「うざい」には他多数の回答)。わずか3文字の理不尽な中傷が、相手の存在そのものを否定してしまうのだから恐ろしいというほかない。これがエスカレートすると「死ね」(岡山県 中高生男性/他)となる。ここまでいくと“いじめ”ではなく、立派な“強迫罪”だ。これで傷つかないわけがない。
         罵声は本人に向けられるものばかりではない。「誰々の弟」(大阪府 30代女性)というケースもある。どういうことかというと「女の子なのに、姉の意地悪な友だちから誰々(姉の名前)の弟とからかわれた」とのこと。本人ではなく肉親に悪口を言う。同様に「家族の悪口」(京都府 大学生男性/他)、「お父さんいなくてかわいそう」(茨城県 大学生女性/他)なども心をズタズタにする言葉だ。
         ところが、そんな信頼を置いている親からの信じられない言葉も寄せられた。「お姉ちゃんは勉強できるのに」(福岡県 中高生女性)、「子どものあなたには関係ない」(神奈川県 40代女性)も子どもへの配慮が足りないひと言だが、どうしようもないのが「あんたなんか産まんといたらよかった」(京都府 40代男性)。近年親子の殺傷沙汰が増えているが、その要因の一つを垣間見た気がする。
         加害者の範囲は教師にまで広がる。「邪魔だなあ」(千葉県 20代女性)、「うそつき」(鹿児島県 40代女性)なんて、断じて教育者の吐く言葉ではない。
         また、「しっかりしてるね」(大阪府 専門・大学生)というほめ言葉や、「親に似ているね」(愛知県 30代女性)って言葉に傷つくなんて回答もあった。その回答に親も十分に傷つくと思うけど…。言葉って難しい。そして、子供の頃に言われて傷ついた言葉は、けっこう澱のように心の中にくすぶっているものだ。
        「子どもの頃に他人から言われて傷ついた一言」の一覧表/http://www.oricon.co.jp/news/ranking/38239/#rkはこちらへ。
        (オリコン)-10月29日11時0分更新
        【コメント】一定年齢の大人の目から見れば、「なぜそんな事ぐらいで…」「気持ちが負けているからだ」といった感想も出るかと思います。しかし、今の子どもたちや若者は、これら些細な「傷つく」言葉に、相手の「想定」以上に酷く傷ついてしまいます。「競争社会」が進む中、乳幼児期から学齢期にかけて、家庭や学校、地域における人間関係の中で、縦、横、斜めの関係性や、言葉や時には身体を使ってのぶつかり合いの経験が乏しく、よってストレスへの耐性が弱まっていると言えると思います。自身を肯定し、ありのままで良しとする自尊感情を高めるための対人関係性の体験のし直しが必用なのかも知れません。

        ●自殺生徒宅で「いじめ被害者の会」設立、5家族が参加
         福岡県筑前町立三輪中2年の男子生徒(13)が自殺した問題を受け、いじめが原因で自殺した子どもの保護者らが29日、男子生徒の自宅で「いじめ被害者の会」の設立総会を開いた。
         九州や神奈川県などの5家族7人が参加。発起人で代表を務める大分県佐伯市の大沢秀明さん(62)は「いじめの存在を隠そうとする学校の体質は変わっていない」と指摘し、「学校がいじめの早期発見や適切な対応に取り組むように、国や県に働きかけていきたい」と強調した。
         大沢さんは1996年、福岡県城島町(現久留米市)で、中学3年の四男(当時15歳)を亡くしている。
         94年に中学2年の長男(当時14歳)を亡くした神奈川県相模原市の平野信矢さん(57)は「子どもへのいじめで悩む保護者に必要なのは、周囲の支え。自分の経験を生かして、苦しむ人たちの相談に応じたい」と話した。
        (読売新聞)-10月29日20時35分更新
        【コメント】自殺を「恥」と考える文化の根強い日本においては、家族を自死で失った方々の多くはその喪失感と自責の念、何もできない現実への無力感などと独りで向き合い続けなければなりません。自殺を「個人責任」にしてしまう風潮はもうお終いにしませんか。人が自殺を選択するときには、必ず社会的背景・要因があります。決して個人の「弱さ」や「逃避」ではなく、社会問題としてとらえ、個々の事件を大切にし、課題を明らかにしながら自殺を防止する方策、残された遺族を支援する方策を積極的に、官・民・個人を問わず、様々なレベルで模索し具体化していくことが今求められていると思います。

        ●<岐阜中2自殺>学校側の説明二転三転 原因には触れず
         岐阜県瑞浪市の市立中学2年の少女(14)が今月23日、いじめをほのめかす遺書を残して自殺した問題で、いじめの有無を巡る学校側の説明が二転三転している。同校は少女の家族に対していじめを認めていたが、その後、会見などで「原因は分からない」「広い意味でのいじめはあった」と言い直しを繰り返し、30日には再び「自殺に結びつくいじめの事実はない」と話した。中学校では同日朝、緊急の全校集会が開かれたが、校長は自殺の原因を特定しなかった。
         少女の家族によると、校長、学年主任らが28日、自宅を訪ねた際、少女が遺書で名前を挙げたバスケットボールクラブのチームメート4人について、家族が「(4人の)親はいじめがあったと認めているのか」とただすと、学年主任は「無視や強いパスなどで苦しめていたと認めている」と答えていた。家族はこの様子をビデオに収めており、報道陣に公開した。
         しかし、校長は29日の会見で「自殺の原因は分からない」と説明。さらに同日夜には「広い意味でのいじめはあったが、自殺の原因となったかは分からない」とやや表現を変え、いじめの存在を一部認める発言をした。
         ところが30日朝、全校集会後に、同校の教頭は報道陣に対し「現段階でいじめの事実は確認できていない」。その後、校長も市役所で開いた会見で「『ウザイ』などのからかう発言はいじめに当たると思うが、自殺につながるかは推測の域を出ず、最終的な原因に結びつけられない」と話した。「原因をうやむうやにするつもりか」との質問には「そのつもりはない。原因は知りたい」と答えた。
         同校は、いじめの確認について「犯人捜しが先行すると生徒の間に動揺が広がる」として、今後、全校生徒に無記名のアンケートを行い、日ごろの校内でのいじめの有無などを問うという。校長は「学校は警察と違う。踏み込んだ調査はできない」と話した。
         ◇2回目の緊急全校集会
         緊急の全校集会は午前8時半から開かれた。学校の説明によると、集会は自殺翌日の24日に続いて2回目。最初の集会では校長が死因を明かさずに少女の死に触れ、命の大切さを訴えたが、この日の校長は「自殺に結びつくいじめの事実はないが、今後の調査で出てくるかもしれない」と話し、「不安を抱いている子も多いだろうが、より良い学校を目指していこう」とあいさつした。生徒たちは静かに聴き入っていたという。
         生徒たちは30日朝、一様に硬い表情で登校。教職員が通学路に立ち、「おはよう」と声をかけた。学校前には多くの報道陣が詰め掛けたが、ほとんどの生徒が記者の問いかけに無言で、足早に校内に入った。1年生の男子生徒は事件について「ショックです」と漏らした。
        (毎日新聞)-10月30日14時3分更新

        ●デスクの目:彼の死を受け止めるために/福岡 <報道部・御手洗恭二>
         「友だちに少しでも変わったことがあったら、それはサインかもしれない。見逃さないで下さい」
         いじめを苦にして自殺した筑前町立三輪中の男子生徒の葬儀で、声をつまらせながら参列した子どもたちに語りかけるお父さんの言葉が、今も耳に残る。ニュースを見ながら涙が止まらなかった。
         04年、長崎県佐世保市で娘に降りかかった事件の後、長崎県教委が半年かけてまとめた調査報告の中に「事件の予兆の把握」という項目がある。
         加害女児が事件前に書いた作文の記述、交換日記を巡る同級生とのトラブル、バトルロワイアルなどの小説をよく読んでいたこと--などの九つを予兆として挙げた。
         対する教師の認識とは「特に問題視しなかった」「知らなかった」「気がつかなかった」…。悲しくなるような記述が見事なまでに並ぶ。
         そこに先生たちの生の声はない。そんなふうに表層的で本音を覆い隠したまま、残った子どもたちの教育を全うするというステップに進めたのだろうか。そんな大人を子どもたちは信頼するだろうか。うまくいったとすれば、子どもたち自身の力によるものだ。
         佐世保事件を取材した同僚から聞いた話も思い出した。「なぜ(加害女児の)変化に気づいてあげられなかったのだろう」と話す同級生の親がいたというのだ。私も同様だった。二人の間のいさかいを全く知らなかった。転校後に心配していた友人関係も、時の経過とともに「うまくいっている」と思いこみ、注意を払わなくなっていた。しかし事件後、目にした娘の手紙には、友人関係の悩みがつづられていた。
         そう、誰も彼女に、私は娘に、手を差し伸べることができなかった。そして、筑前町の彼にも。
         彼の自殺といじめを町教育委員会が調査するという。国も文部科学省政務官、教育担当の首相補佐官、教育再生会議委員の「ヤンキー先生」を派遣した。本腰という姿勢を見せるのはいい。評価は結果を出してからだ。
         そこで調査に注文がある。
         先生や子どもたちが本音を語れる状況を保証してほしい。体裁を取り繕ったり、上っ面だけの内容となっては意味がない。聞き取り方も工夫が必要だ。威圧的では何も語らないだろう。
         さらに調査委員会に入るという第三者の役割は重い。調査が信頼できるかどうかは第三者にかかっている。
         そのうえで、三輪中の先生たちや子どもたちに、お願いがある。
         先生には、自分たちが彼に何をして、何をしなかったのか▽その時に何を考え、何を考えていなかったのか、明らかにしてほしい。
         子どもたちは、彼に対する言動(見て見ぬふりをしていたことも含まれる)を包み隠さず話してほしい。
         そして、ご家族もいつか落ち着かれた時、彼のことを振り返ってください。
         そこまでしても、彼の選択の理由が見つかるかどうかは分からない。でも、彼の死を受け止め、何かを学び取るために最低限なすべきことだと信じる。
         彼のお母さんが同僚に「その日の朝」のことを話してくれた。言葉を交わしたものの、食器を洗っていたお母さんは彼の後ろ姿を見ていないという。それは私と娘の最後の朝とダブる。洗濯していた私も声だけで娘の出ていく姿を見ていない。
         子どもと迎える、いつもと同じ朝。そんな日常に安住せず、神経質にもなりすぎず、感覚をとぎすましたい。そして、立ちすくむことなく腹を据えて子どもと向き合おう。大切な子どもを失わないために。
        毎日新聞〔福岡都市圏版〕 2006年10月30日

        ●<福岡中2自殺>いじめ調査委に遺族参加認めず 筑前町
         福岡県筑前町立三輪中2年の男子生徒(13)がいじめを苦に自殺した問題で、いじめの調査委員会への参加を求めていた男子生徒の遺族に対し、町教委は4日、遺族を含む保護者代表の調査委への参加を拒否すると伝えた。
         町教委の回答書は「公平性、客観性、透明性、迅速性が確保できる第三者機関による調査を目的としているので、応じることはできない」としている。
         町教委は調査委を設置する計画だが、まだメンバーは確定していない。このため、遺族は大仁田厚参院議員(自民)と連名で「自殺は命をかけた最後の訴え」とし、遺族を含む保護者代表を調査委に参加させるよう、今月2日に要望書を出していた。
         遺族は「納得できない。遺族の声を反映してほしい。委員として(遺族が)入れないなら弁護士2人を委員に入れてほしい」と語った。
         また、遺族らは調査委の早期設置も同時に求めていたが、町教委は「1週間以内に発足させる」と約束した。(毎日新聞)-11月4日20時2分更新
        【コメント】何度かふれてきたと思いますが、遺族は起こった出来事の事実関係が知りたいのです。「調査」において、遺族が有している情報や物証は不可欠な要素です。このご遺族が話されているような、委員会に参加ができないのなら弁護士が入る、遺族の委員会傍聴を認める、といった処置は、今後実現されていくものと確信しています。

        ●<岐阜中2自殺>学校側「いじめ」認める 遺族に謝罪へ
         岐阜県瑞浪市の市立瑞浪中学2年の少女(14)が今月23日に自殺した問題で、学校側は31日、自殺の原因はいじめだったとする結論をまとめた。同日午後にも記者会見して公表し、校長らが近く遺族に謝罪する方針。
         遺族によると、少女は所属していたバスケットボールクラブのチームメートから、無視されたり「ウザイ」と言われるなどの嫌がらせを受け、学校側も自殺直後にはその事実を認めていたという。しかし、その後の会見では、佐々木喜三夫校長が「からかう発言はいじめに当たると思うが、自殺につながるかは推測の域を出ず、最終的な原因に結び付けられない」などとして「自殺に結び付くいじめの事実はなかった」と因果関係を否定していた。
         しかし関係者によると、少女の自殺後に全校生徒に実施した無記名アンケートでも校内でのいじめをうかがわせる記述があり、実態が明らかになりつつあるとして、同市教委と協議し、いじめと自殺の関係を認めることにしたという。
        (毎日新聞)-10月31日13時17分更新

        ●<自閉症提訴>倉庫に閉じ込められ負傷 賠償2千万円求める
         東京都小金井市の市立小学校で04年、心身障害児学級に通う自閉症の男児(10)が担任の男性教諭に倉庫に閉じ込められ負傷した事故で、男児と両親は1日、市と当時の校長らを相手取り、約2000万円の賠償と市広報への謝罪文掲載を求めて東京地裁八王子支部に提訴した。男児側は「学校側に自閉症への理解がなく事故後の対応も不誠実だった」としている。
         訴状によると、04年11月、体育の授業中に体育館隣の倉庫に入った当時小学3年生の男児に対し、男性教諭が「そんなに入っていたいなら、しばらくそこにいなさい」としかって閉じ込めた。男児はパニック状態になり、2階の窓から5メートル下の地面に落下、大けがを負った。
         会見した母親は「経緯をありのまま話してほしかったが、先生や校長、市教委は息子が話せないのをいいことに自分たちの都合のいい説明を繰り返した」と話した。
        (毎日新聞)-11月1日11時2分更新

        ●遺書で「パワハラ」訴え、女性中学教諭が自殺…鹿児島
         鹿児島県曽於(そお)市の中学校の女性音楽教諭(32)が、パワーハラスメント(職権による人権侵害)を訴える遺書を残し、自殺していたことがわかった。
         学校側は「頑張ってもらおうと指導したもので、パワハラはなかった」と説明している。
         家族によると、教諭は28日に行方不明になり、29日朝、空き家になっている県内の実家で首をつって自殺しているのを父親(61)が見つけた。教諭のパソコンには、学校関係者と母親(59)あての遺書があり、校長(55)には「(県総合教育)センター行き、すべてあなたの犯行」、別の上司には「他の同僚と私を差別した」などと記されていた。
         学校によると、教諭は2002年、中学校に赴任し、音楽科と家庭科を担当。05年から、1、2年生に国語も教えるようになったが、曽於市教委から「指導力不足」と判断された。このため、10月1日から半年間、県総合教育センター(鹿児島市)で研修を受けることになり、鹿児島市内の自宅から通っていた。
        (読売新聞)-10月31日22時48分更新

        ●<パワハラ自殺>校長ら3人が謝罪 鹿児島・両親が会見
         鹿児島県曽於(そお)市の市立中学校の女性教諭(32)が上司からのパワーハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)を訴えて自殺した問題で、教諭の両親ら遺族3人が4日、鹿児島市の自宅で会見した。遺族は校長らが謝罪に訪れたことを明らかにし「今後同様の犠牲者が出ないようにしてほしい」と訴えた。
         遺族によると、3日、校長と教頭、市教育長の3人が自宅を訪れ「いじめと誤解されるようなことをして済まなかった。教諭のためを思って指導したが、パワハラと受けとられ、自殺に追い込んだことは申し訳ない」などと謝罪したという。また、女性教諭の月命日には「命を考える時間」を設け、生徒たちとともに命の大切さについて考えていくことも約束したという。
         遺族は会見で「娘は専門外の教科を教えるように要求され、一生懸命努力したが、悩んで自殺した。きちんと謝罪を受けたので、学校を責めるつもりはないが、同じ悩みを抱えた教師が多くいると聞く。第二の犠牲者を生まないようにしてほしい」と涙ながらに訴えた。
         女性教諭は04年から専門の音楽以外の国語や家庭科を教えるように指示され、通信教育などで勉強したが、今年10月から「指導力不足教員」として県総合教育センターで研修中だった。10月29日、同県さつま町の父親の実家で首をつって死亡しているのが見つかった。教諭のパソコンには上司のパワハラを訴える内容の文書が保存されていた。
        (毎日新聞)-11月4日23時12分更新

        ●教育改革タウンミーティングでやらせ質問、内閣府作成
         今年9月2日に青森県八戸市で開かれた政府の「教育改革タウンミーティング」で、内閣府などが教育基本法改正案に賛成の立場で質問するよう参加者に依頼していたことが1日の衆院教育基本法特別委員会で明らかになった。
         石井郁子議員(共産)が内閣府や青森県教育庁などが作成した文書を基に指摘し、政府もこれを認めた。
         文書は、青森県内の教育事務所と同県教育庁が、地元の中学校長あてにファクスで送った2種類。一つは「タウンミーティングの質問のお願い」として、三つの質問案を示し、そのうちの一つを質問するよう依頼している。
         もう一つの文書は「内閣府から以下のとおり発言の仕方について注意があった」として、<1>できるだけ趣旨を踏まえて自分の言葉(せりふの棒読みはさけてください)<2>「お願いされて」とか「依頼されて」と言わないで下さい(あくまで自分の意見を言っている、という感じで)――などと、アドバイスしている。
        (読売新聞)-11月1日20時10分更新
        【コメント】要するに、安部内閣として、教育基本法の改正は目玉商品であり、そのためには使える組織はすべて使うということなのでしょう。「依頼」とはいえ、校長など受け取る側にすれば上意下達の「通達」に等しい物ですから、その意に背く発言や行動を起こす勇気のある人はいない、という前提での戦略と言えます。これまで、こうした「依頼」がどれだけ使われてきたのかと思うと、情けないを通り越して背筋が寒くなります。

        ●障害者施設 自立支援法 4割が人件費削減
         障害者自立支援法の施行後の減収で、職員の給与を減らすなど人件費を切り詰めている施設が約四割に上ることが二十八日、障害者が働く小規模作業所などの全国組織「きょうされん」(東京都中野区)の調査で分かった。施設が経営を維持するために、窮余の選択を迫られている実態が浮き彫りになった。 
         調査は八月から九月にかけて実施。同法で定める通所・入所施設とグループホームなど加盟計五百五十七施設のうち三百九十四施設が回答した。
         それによると、同法が施行された今年四月以降に、給与や賞与のカットなど人件費を切り詰めた施設は約41%に達した。「削減を検討中」(約18%)も含めると、全体の約六割に及んでいた。
         同法の施行により、(1)施設側の報酬単価が下がった(2)報酬が月額制から障害者が通った日数の日割り計算になった-ことによる収入減が原因とみられる。
         土日勤務を増やすなど職員の休暇日数を削った施設も三割を超えた。
         調査した「きょうされん」の多田薫事務局長は「給与カットや労働条件の悪化に耐えられず、職場を去る若い職員が増えている。障害者支援に影響しないか心配だ」と、懸念を示している。
         施設経営への影響について、厚生労働省障害保健福祉部企画課は「利用者のニーズに応じてサービスを提供する日額払いの利点を生かし、増収の施設もある。通所施設の定員を超えた利用受け入れを認めたり、家庭訪問を報酬評価したりして影響を抑える緩和策も講じている」と指摘する。
        ■質低下招く恐れも
        北野誠一・東洋大教授(地域・障害福祉学)の話
         福祉サービスの提供者が経営維持のため、職員を非常勤化したり給与を削減したりすれば、現場の意欲が下がり、サービスの質の低下を招きかねない。国の制度設計の無理から生じた事態だが、当面は自治体が負担軽減策を講じるなど地域全体で福祉サービスを支えるしかない。
        (東京新聞)10月29日

        ●小中学校予算に学力テストの結果を反映…東京・足立区
         東京都足立区教委は来年度から、区立小中学校への予算配分に、都と区が実施している学力テストの結果を反映させる方針を決めた。
         テストの平均点などから各校を4段階に分類し、各校の独自の取り組みに支出する「特色づくり予算」の配分を、1校あたり500~200万円と格差をつける。区教委教育政策課は「子供の能力に序列をつけるのではなく、学校経営を評価するという趣旨。学校の経営改革として実施したい」としている。
         学力テストは、都が毎年1月、区は4月に実施している。区教委の計画では、区内72の小学校と37の中学校について、各校のテストの平均点や前年度からの伸び率、校長の経営計画などから点数化、ABCDの4段階に分類する。Aは全体の約1割、Bは約2割、Cは約3割、Dは約4割とする予定。分類結果は公表しない。
        (読売新聞)-11月4日12時48分更新
        【コメント】都内の他の区でもこうした決定がされていると聞きます。「特色ある学校づくり」のスローガンは1年あまりで聞かれなくなったかと思いますが、今回の「特色づくり予算」も新たな競争を学校教育に持ち込むものであることは間違いありません。これからも、テストの点数をもって「学力」とする教育評価や、子どもたち一人ひとりの育ちや教師の教育実践を見ることなく「学校評価」に戦々恐々とする学校管理者の孤独な闘いが続くのでしょうか?