お知らせ

news

  • ▼新着情報

    • ▼ブログ

      • ▼研究ノート

        広汎性発達障害と対人関係能力(4)
        2006/11/26
        昨夜で、家族会ノンラベル主催の「アスペルガー援助者養成講座【第5弾】」が無事終了しました。最終回は精神科医の定本ゆきこ先生で、「青年期・成人期における生きにくさの援助~違法行為にも触れて~」と題してお話頂きました。先生は京都少年鑑別所で技官として、違法行為を行った少年・青年たちと日々向き合っておられ、その中で、いわゆる非行型少年事件ケースとは違う、広汎性発達障害に起因する行為が触法・違法となってしまったケースを多く鑑別、援助されて来られています。こうしたケースは、ほとんどが未診断で、家庭で障害特性を理解されなかったり、学校での無理解によるいじめなどの不適応を体験し、また多くがうつや強迫などの二次的症状を出しているそうです。
         広汎性発達障害の人は、定型の人から見れば変わったことにこだわったり、その場にふさわしくない言動をしたりします。それを、叱ったり、嘲笑やからかいの対象としたりすれば、当事者の自己評価は下がり、人との関係性にトラブルが強まったり、希薄になってしまいます。逆に、周囲がその行為を、好意的な態度で肯定的に評価をすれば、周囲の人から受け入れられていると感じ、自己評価が高まります。自己評価が高まれば、前向きな意欲が亢進され、障害特性が社会に適応的な行動に変化していきます。また、そのことで、周囲の人も当事者と関わりやすくなり、生活がしやすくなります。
         見方を変えれば、当事者の障害特性に起因する言動は、周囲の環境が肯定的か否定的かによって大きく変わりますし、それぞれの循環が正の方向にも負の方向にも起こっていきます。障害特性のために、広汎性発達障害の人がこの世界でより生きやすくなるためには、周囲の適度な支援が必要です。親も学校も社会も、正の方向に循環がすすむ支援者であることが求められます。
         現在、思春期や青年期を迎えられていて、未診断であったり、療育的な関わりや支援を受けて来られなかった広汎性発達障害の方々の多くが、これまでの成育歴の中で、数多くの嫌悪体験や心的なダメージを負って来られ、とても生きづらい状態にあると思われます。そのしんどさを、周囲の人が理解してあげること、そこから支援が始まりますし、当事者の対人関係能力が正の循環へと向かっていくものと思います。
         次回は「自己評価を高める共感的な他者との関係性」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        いじめた生徒は出席停止に…教育再生会議が緊急提言へ

        学校でいじめによる自殺が相次いでいる事態を受け、安倍首相直属の教育再生会議(野依良治座長)は25日、いじめ問題に対する緊急提言を来週にもまとめ、公表する方針を固めた。
         都道府県や市町村の教育委員会に対し、〈1〉いじめた児童・生徒に出席停止など厳しい対応を取る〈2〉深刻ないじめ問題が起きた場合に備え、緊急に学校を支援する態勢をつくる――ことなどを求める。
         同会議は来年1月に中間報告を作成する予定だが、自殺問題を重く見て、法改正などが不要の緊急対策を早急に打ち出すことにした。文部科学省も速やかに対策を講じる考えだ。
         学校教育法では、「児童の性行不良で、他の児童の教育に妨げがある時」は、市町村教委は保護者に対し、その児童の出席停止を命じることができると定めている。具体例として、傷害、心身の苦痛、財産上の損失などを与える場合を挙げている。
        (読売新聞)-11月25日14時41分更新
        【コメント】「出席停止」の命令は学校教育法で定められているものの、ほとんど実施されていないと聞きます。それは、「出席停止」という懲罰が適切であるかどうか、その判断と効果に疑問があるからだと思います。ある調査では、いじめという行為を「したことがある」と答える現役小中高生は過半数以上です。こうした実情において、いじめをしたら「出席停止」にする、という脅し(?)が、どんな効果があると思っての緊急提言なのか、疑問です。教育再生会議に参加する「有識者」には、さまざまな人がおられます。創意としての「提言」と言うなら、この会議の存在自体に疑問を感じてしまいます。いじめをしてしまった子どもたちが、自身の行ったことの重さや問題性を深く理解できる教育への再生こそ求められているのではないでしょうか。

        ●<いじめ>加害者からの相談も急増
         いじめ自殺が社会問題化する中、各種機関への子どもたちや親からの相談が急増している。「どうしたら抜け出せるのか」など被害者からだけでなく、加害者側からの相談も目立ってきたという。電話やメールで子どもたちの世界に接してきた担当者からは「被害者と加害者が簡単に入れ替わる環境の中で子どもたちはストレスを抱えている」との指摘が出ている。
         ◇「本当はいじめをやめたい」…苦しい胸の内も
         79年にトヨタ自動車の協力で開設された「トヨタ子ども110番」(東京都港区)では、この数カ月、いじめる子どもからの悩み相談が増えているという。
         いじめる理由は「悪いと思うがやめられない」「相手が自分より弱いと思うと安心する」「以前いじめられた仕返し」など。「仲直りの仕方が分からない」と関係修復の方法を尋ねるケースもあるという。
         相談業務をまとめる米沢琴江さんは「いじめている子は、怒られるのが怖くてなかなか誰にも相談しない」と話す。「じっくり話を聴き、自分を見つめさせること」を心掛けているという。
         NPO法人「チャイルドライン支援センター」(東京都港区)では、いじめている子が「本当はいじめをやめたい」などと苦しい胸の内を訴える声がこの1、2年目立つという。
         かつての「不幸の手紙」と似た「チェーンメール」で、いじめへの加担を強いられたという悩みも届いた。「あいつウザイ」とメールが回り、メールを次の子に送らないと、自分が攻撃対象になる。同センターの徳丸のり子常務理事は「子どもの世界では、いじめるかいじめられるか流動的な面がある。標的になりたくないという理由で、いじめに加わるケースも少なくない」と話す。
         相談機関への訴えは急増中だ。法務省が急きょ「いじめ問題相談強化週間」とした10月23~29日、同省の「子どもの人権110番」には8月の強化週間の約9倍の647件の相談が寄せられた。うち49件については「学校や教師の対応が不適切」との意見を受け、学校に対する聴き取り調査を始めた。
         東京弁護士会の「子どもの人権110番」でもいじめに関する相談は昨年度は月平均17件だったが、10月ひと月で33件あった。相談に応じている川村百合弁護士は「学校側が適切な対応ができず、かえっていじめを陰湿化させることもあり、保護者は学校だけに問題解決を任せられないと感じている」と語った。
        ■いじめに関する主な相談窓口
        ◇法務省 子どもの人権110番
         0570・070・110
        (平日8時半~17時15分)
        ◇東京都教育相談センター
         03・3493・8008
        (平日9~21時、土日祝9~17時。メール相談受付あり)
        ◇東京弁護士会 子どもの人権110番
         03・3503・0110
        (平日13時半~16時半、17~20時、土13~16時)
        ◇警視庁 ヤング・テレホン・コーナー
         03・3580・4970
        (平日8時半~20時、土日祝8時半~17時。メール相談受付あり)
        ◇チャイルドライン
         0120・7・26266
        (地域により番号と開設時間は異なる。詳細はホームページ参照)
        ◇トヨタ子ども110番
         03・3470・0110
        (月~土17~21時)
        ※国立教育政策研究所のホームページから、いじめ問題などを相談できる公的機関を見ることができる。(http://www.nicer.go.jp/integration/user/map.php)
        (毎日新聞)-11月21日15時38分更新

        ●<いじめ>人権作文コンで体験告白 沖縄の女子中学生
         人権をテーマにした「第26回全国中学生人権作文コンテスト」(法務省など主催)の入賞者が24日に公表され、いじめをテーマにした沖縄県伊平屋村立伊平屋中学1年の伊禮美朱紀(いれいみずき)さん(12)が内閣総理大臣賞に選ばれた。作品は、友人をいじめていた自分がいじめられる側になった体験を通し、いじめられる痛みを知る内容。伊禮さんは「いじめをやめて」と呼びかけている。
         作文のタイトルは「一人じゃないよ」。小学校4年の時に、「いじめの標的にされるのが怖かった」伊禮さんがいじめグループとともに、友人をいじめたと告白。しかし、小5になると今度はいじめられる側になった。
         「いじめられた人の心の傷の痛さを味わった……さびしくて、怖くて、悲しくて、心が痛くなることを初めて分かった」とつづった。そして、転校生が新たな標的になった時、いじめに加担することを勇気を持って断った。
         さらにいじめられている転校生にできることはないか。考えた末に「あんたは一人じゃないよ」と声をかけた。
         輝きを取り戻した転校生。伊禮さんは先生や親にいじめの事実を告げ、クラスみんなで話し合い、「いじめをなくすことを誓い合った」。
         伊平屋村は沖縄県北部の離島。子どものころからクラスの顔ぶれはほとんど変わらない。伊禮さんたちは中学生になったが、「あれ以来一度もいじめは起こっていない」と振り返る。そして「いじめを見たり聞いたりしたら知らんふりをせず、思いやりの手を差しのべてほしい。私は『この世の中にいじめはあってはならない』ことをこれからも訴え続けていきたい」と結んだ。
         伊禮さんは、いじめをなくし仲良くする秘けつは「言い合うこと。何でも言い合って、自分たちで解決することです」。また「(いじめられている人に)思いやりの手を差し伸べて。いじめた人は正直に謝って」と同世代の仲間へのメッセージを語った。
         コンテストには79万9103人が応募。いじめをテーマにした作品が最も多く全体の2割強に上った。
        (毎日新聞)-11月25日3時3分更新

        ●子どもの声を学校現場に 滋賀県教委 「いじめ対策チーム」初会合
         いじめを苦にした自殺が全国で相次ぐ中、滋賀県教委は児童や生徒を交えた「いじめ対策チーム」を発足させ、24日に大津市の県庁内で初会合を開いた。いじめられた経験を持つ高校生が自らの経験を語り「生徒の目線に立てば、生徒も先生を信用する」と訴えた。
         このチームは、子どもの声を学校現場に生かし、いじめをなくす方策を探ろうと設置した。メンバーは、大津市にある中央小6年の南規楽君(11)と獅子堂聡美さん(12)、打出中2年の丹保裕介君(13)、大津商3年の小森敏充君(18)の4人をはじめ、教職員や保護者ら計15人で構成する。
         この日は15人全員が出席した。小中学校時代にいじめにあった小森君は「トイレに連れ込まれたりもしたが、何をされても負けずに学校に行き続けたことで、いじめがなくなった」と述べた。そのうえで「先生と生徒は、心の距離が離れている。生徒の目線に立てば、生徒も先生を信用する」と指摘した。
         外国籍の児童に日本語を教える水戸小(湖南市)の楠田睦美教諭は「外国人の子どもは少数派で、弱い立場に置かれる。だから標的にもなりやすい。外国人同士でもいじめがある」と実態を紹介した。
         次回は12月20日前後に開き、メンバーがいじめ防止に向けた具体策を提案する予定。
        (京都新聞)-11月24日21時59分更新

        ●「いじめ相談ネットワーク」設立=清輝君父ら発起人、民間8団体連携
         愛知県西尾市で12年前、いじめを苦に自殺した市立中学2年大河内清輝君=当時(13)=の父祥晴さん(60)らが発起人となり、いじめ問題に取り組む全国の民間8団体が25日までに、「いじめ電話相談ネットワーク」を設立した。
         全国で中学生を中心に、いじめが原因とみられる自殺が相次ぐ中、名古屋市内で開かれた緊急集会で、子どもたちから「相談する場所がない」などの意見が続出。大河内さんらは、駆け込み寺のような場所が必要と判断した。
         同県内で不登校の生徒を相手にフリースクールを運営する木村茂司さん(60)が取りまとめ役となり、全国の民間団体に協力を要請、ネットワークを立ち上げた。電話やファクス、メールで24時間相談を受け付けている。 
        (時事通信)-11月25日6時3分更新

        ●両親、「本当の理由知りたい」・高畠高生自殺問題
         県立高畠高2年の女子生徒(16)が22日、同校の校舎敷地内で飛び降り自殺した問題で、女子生徒の両親は24日、「自殺した本当の理由を知りたい」「いじめはこの地域だけの問題ではない。こうした悲しい思いをする人が二度と出ないようにしてほしい」などと、中学時代の生徒を知る関係者に心情を訴えた。
         24日朝に自宅を弔問した関係者によると、女子生徒が数人の名前とともに携帯電話に残したとされるいじめの内容について、両親は「一部しか知らされていない」と述べたという。
         女子生徒は20日、学校でいじめを受けていることを母親に打ち明け、母親は翌21日、学校を欠席させた。事件当日の22日朝も母親は学校を休ませようとしたが、生徒は「いい」と言って元気に登校した。両親は「学校は安全で信頼のおける場所だと思っていたのに、娘は変わり果てた姿で戻ってきた。引き留められなかったことが悔しい」と涙ながらに話したという。
         父親は「娘は高校に入ってから表情が暗くなってしまい、明るい写真がない」と漏らし、遺影は中学生時代の写真を使っているという。
         この関係者は「女子生徒は正義感が強く、思いやりのある優しい子どもだった。両親に心配をかけまいとするあまり、いじめを1人で抱え込んでしまったのではないか」と話している。
        (山形新聞ニュース)2006年11月25日土曜日

        ●発達障害児:学齢期以降も支援を 親の会など長崎市に陳情/長崎
         日本自閉症協会県支部と長崎学習障害児親の会「のこのこ」など4団体は20日、学齢期以降も発達障害児に適切な支援を継続することなどを求める伊藤一長市長あての陳情書を提出した。
         陳情書では、保護者や学識経験者などによる連絡協議会の設置▽市障害福祉センター(茂里町)の事業として「学齢期以降の発達障害児・者支援」を位置づけたうえでの支援充実や人材確保――などを求めた。同センターは未就学児の診察や療育、保護者の相談などを実施しているが、特例を除き学齢期以降は支援の対象にしていない。両会は、05年の市議会で同趣旨の請願が全会一致で採択されたが「市の方針が変わっていない」として、今回改めて陳情した。
         自身も発達障害児の親で、思春期外来で診療する長崎大大学院の岩永竜一郎助教授(38)は「発達障害は早期発見と継続支援をしないと不登校、強迫症状といった2次、3次障害につながる可能性がある。一度社会に不信感を抱くと就労も困難になり、ニートの原因にもなる」と話した。
         一方、市側は「センター内の他事業の状況や財政状況をみながら検討したい」と述べた。4団体が求めた文書による回答は拒否した。
         発達障害には、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、アスペルガー症候群などがある。うまく意思疎通ができない、関心に激しい偏りがあることなどが特徴。先天性の脳の機能障害ともいわれ、早期発見と継続的な療育で社会適応を支援することが重要とされる。
         文部科学省の調査では、特別な教育的支援を要する小中学生は通常学級で6・3%に上る。長崎市では05年度、発達障害の診断を受けている小学生は150人(0・7%)、中学生は40人(0・3%)だった。佐世保市などは学齢期以降も支援をしている。
         「のこのこ」は、保護者などからの相談を受け付けている。連絡先は事務局長の谷栄子さん(095・857・7713)。
        11月21日朝刊
        (毎日新聞)-11月21日16時1分更新
        【コメント】市議会で請願が採択されていながら、その具体化が進まないために陳情…。家族会ノンラベルで昨年12月京都府議会に請願、採択された「高機能広汎性発達障害(児)者への民間の療育・支援への援助に関する請願」も1年が経とうとしていますが、具体的な動きは何もありません。それどころか、ほとんどの都道府県・政令市に設置されている発達障害者支援センターの設置に向けた議論も遅々として進んでいないようです。来年度から義務教育において特別支援教育がはじまり、これまでの児童相談所などにおいての発達障害を有する児童・生徒への支援は一定充実が見込まれますが、中学を卒業したあとの公的な支援は公的にはほとんどないのが実情と言えます。「財政状況の問題」ではすまされない、緊急の課題であることを、行政は理解すべきです。

        ●不登校の子らの就労支援 カフェ開店 宇治で交流の輪拡大へ
         ひきこもりや不登校の子どもたちのほか、地域住民の交流拠点にもなっている京都府宇治市木幡の「ほっこりスペースハートあい」が22日、コミュニティーカフェを開店する。ひきこもり経験者の就労へのステップとして、誰にでも開かれた地域交流の場として、活動5年を機に新たな門出を迎える。
         「ほっこりスペースハートあい」は2001年6月、不登校の子どもを持つ親たちが、住宅街の一角に民家を借りてスタートした。子どもが自由に過ごせる「居場所」として始まったが活動は広がり、現在は高齢者や地域住民も集まる。現在、スタッフが5人、会員が45人いる。
         カフェはスタッフで元小学校教諭の平尾裕子さん(54)が今夏、発案した。不登校の青少年の出口になればと、滋賀県や和歌山県の子育て支援の勉強会に出かけて現地のカフェも見学し、「宇治でもできるかも」と決めた。
         活動拠点としている民家の2部屋を充て、コーヒーや紅茶、市内の共同作業所が作るケーキを出す。府社会福祉協議会の助成金で家具や材料を購入し、準備した。
         西村育子代表(38)は「歌声喫茶のように楽しいイベントも開きながら、多くの人に知ってもらい支援の輪を広げたい」と話している。
         カフェは宇治市木幡御蔵山39ノ622、TEL0774(38)5058。営業は月曜から金曜までの午後1時-4時半。
        (京都新聞)-11月22日12時7分更新

        ●『いじめと命の問題 家族で話し合って』
        作家・落合恵子さん講演で訴え
         「かわさき子どもの権利の日のつどい」(同実行委など主催)が十九日、川崎市中原区の中原市民館で開催された。記念講演では、作家落合恵子さんが全国で子どもの自殺が相次いでいることを踏まえ、「大人社会の一員として子どもがいる。いじめは大人社会の責任。自分の子どもを愛し、次の世代のことを考えているなら、大人はもう傍観者であることはやめましょう」と呼びかけた。 (飯田克志)
         市は二〇〇一年四月、全国に先駆けて市子ども権利条例を施行。国連が一九八九年に子どもの権利条約を採択した十一月二十日を「権利の日」と定めていて、その前後に同つどいなど子どもや家族の問題に関するイベントが市内で催されている。
         落合さんは人権や教育、介護などについて執筆。この日は「子どもとおとな、同時代を生きる…それぞれが自分色に輝いて」と題して講演した。
         落合さんは「子どもたちは今、目立たないことがいじめにあわないですむ、という言葉にしないコンセンサスを持っている。大人はどれだけ気づいているだろうか」と子どもの社会の現実に触れ、「社会の中で大人が傍観者であるかぎり、子どももそのことを学んでしまう」と指摘した。
         また、いじめを受けて家出してきた孫に、「いつでも来ていいよ」と何も聞かず受け止めたおばあさんの体験を紹介し、子どもの居場所や逃げ場所の大切を訴えた。
         さらに、「いじめる側にいる子も悲しいものを背負っている。いじめを受けているかだけでなく、いじめる側に自分の子どもがいないかも意識して、家でいじめと命の問題を話し合ってください」と語りかけた。
         最後に、「子どもの人権を考えることは、高齢者、女性、障害者の人権を考えることとつながっている。ここまできたら、新しい風を吹かせるしかない。『助けて』と言い合える社会にしていきましょう」と呼びかけた。
        (中日新聞)-11月20日

        ●<タウンミーティング>公務員動員15回 毎日新聞調査
         政府主催のタウンミーティング(TM、全174回開催)で「やらせ質問」問題などが発覚したことを受け、毎日新聞は22~25日、第2回全国調査を実施した。その結果、政府の依頼で自治体が職員を対象に参加者を募る「公務員の動員」について、安倍晋三首相が今年5月、官房長官時代に出席した札幌市のTMでも行われていたことが新たに判明した。動員のあったケースは札幌分を含めて少なくとも15回に上り、特に小泉前政権末期の06年度には計19回のTMのうち5回と多かった。会場を満席にするため、公務員による「穴埋め」が常態化しつつあったことが分かった。
         札幌市でのTMは、安倍首相が目玉政策として推進してきた「再チャレンジ」がテーマ。内閣府が口頭で「数十人集めてほしい」と北海道庁に要請。道庁は各部に参加を呼びかけ、幹部を含めた道職員数十人が参加者として事前登録した。06年度に道内で開かれた他2回のTMでも同様の要請・呼びかけがあった。
         公務員らの動員は判明しただけで01~03年度の6回に対し、04~06年度は9回に達した。今年4月の富山市でのTMでは内閣府が「参加者が少ない。50人集められないか」と県に要請。01年11月の水戸市のTMでも茨城県が呼びかけ、職員ら約60人が申し込んでいた。
         また、県などが質問者をあっせんしたケースは調査で判明した分だけでも20回に上った。「少子化」をテーマにした今年8月の岐阜県飛騨市のTMでは、市が保護者会関係者ら15人に質問を依頼し、質問内容は市の配布資料を参考に自主的に考えるよう要請した。当日は9人の質問者のうち、5人が市の依頼したメンバーだった。
         一方、「やらせ質問」は教育改革を扱った計5回のTMに加え、02年11月に京都市で内閣府と京都大が共催した「大学発タウンミーティング」でも行われていたことが発覚した。「経済連携」をテーマとした04年9月の鹿児島市のTMでも「未遂」が判明している。
         内閣府の「タウンミーティング調査委員会」(委員長・林芳正副内閣相)は都道府県や関係省庁の担当者などを対象に実態調査に乗り出しており、27日以降、調査結果を順次公表する方針だ。
        (毎日新聞)-11月26日3時6分更新
        【コメント】あきれはてて、言葉がありません。小泉劇場の裏側が徐々に明らかになってきているのでしょう。タウン(町中)でのミーティング(話し合い)も、お金と権力で操っていたわけですね。