自己評価を高める共感的な他者との関係性
2006/12/06
今回は、10日に東京で開催された「全国発達障害ネットワーク」の年次総会に参加していたため、更新が遅れています。
抑うつ状態になる人の多くは、思考負の循環となってしまいます。仲間に入れてもらえなかったー相手から嫌われているのではないかー自分はいつもこうだーこれからも何をしてもだめだろう、と将来への見通しが持てなくなってしまいがちです。
こんな感情になってしまったとき、その人の自身への評価は極めて低くなっています。本来もっている良い面が覆い隠されてしまって、弱い面、不十分な面が強調されて自意識を支配します。そして、一人だけでその状態について考えてしまうことで、この循環は深まってしまいます。
うまくいかない、失敗ばかりする、わかってもらえない、無視されているのだろうか、嫌われているんじゃないか…、こうした意識が自身の思考の中心にあると思えたら、ぜひ話しを聴いてもらえる人をみつけて、話しを聴いてもらってください。アドバイスや励ましや分析をしてくれる人も多いかと思いますが、ただ聴いてくれる人が望ましいと思います。しかし、この「ただ聴く」というのは実はとても難しいことで、共感しながら傾聴する、無条件に話す人の気持ちを受容し、話しに積極的な関心を示す、適度にうなずき、また時に話しの内容を確認するなど、カウンセラーの「聴き方」が見本となります。カウンセラーはそれが仕事ですから、できなければ困りますが、カウンセラーでない方にも、こうした共感的な「聴き方」ができる人がいます。そんな人は、話す人を、その話の内容を否定しません。それが大切なのです。
否定されない=受け入れられる=肯定される、という体験を、話す人ができます。この体験を通して、自己評価を少しずつ高めて行くことができます。こんな話し相手、相談相手が身近にいると、自己を否定することなく課題を乗り越えていけるでしょう。
友だちなどから相談を持ちかけられた時、ぜひ多くの方が、共感的に「聴く」関係性を持てる相手となって欲しいと思います。
次回は「広汎性発達障害と対人関係能力(5)」について考えてみたいと思います。
では、この1週間の気になる記事です。
“いじめ”「クラスの空気」反映 学級崩壊時5倍 集団の不満集中
いじめの発生は学級の雰囲気に左右され、児童生徒が学校生活への不満を感じるクラスで特定の子供をはけ口にする傾向が強いことが5日、都留文科大学(山梨県)の河村茂雄教授(心理学)の調査研究で明らかになった。中学では学級崩壊の兆候が見え始めると、いじめの発生は約5倍に跳ね上がる。河村教授は「いじめは被害者と加害者という二者関係でなく、学級という集団の問題としてとらえ、対処することが重要」と指摘している。
河村教授は平成7年度以降、約10万人の児童生徒を対象に心理テストを行い、学級でのトラブルの大小や児童生徒の意欲の高さなどから、学級の状態を(1)子供同士の人間関係が良く学級運営も正常な「満足型」(2)教師が統率するタイプの「管理型」(3)教師とも友達感覚が漂うタイプの「なれ合い型」-などに分類した。これまでの研究では、「管理型」は小学校で24%、中学校では58%、「なれあい型」は小学校で45%、中学校で16%を占める。
このうち16年度から2年間にわたり、約1万人を対象にいじめについて調べた結果、小学生では「長い間いじめられている」「とてもつらい」と答えた児童が40人学級で1人の割合となる3・6%を占めた。中学生は2%で、8割の学級でいじめを訴えていた。
いじめと学級状態との関係では、「満足型」の学級でのいじめ発生割合を1とした場合、「管理型」は小学校で2・5倍、中学校で1・6倍。
「なれあい型」では小学校3・6倍、中学は2・1倍で、学級崩壊の兆候が見え始めると、中学では5・1倍に急増した。
学級内のストレスの要因をみると、全般的には「授業がわからない。興味が持てない」が多く、「管理型」ではそれに加えて、「教師が威圧的。特定の子供だけが認められている」「授業や学級生活がワンパターン。判で押した生活で刺激に乏しい」といった不満があった。
「なれあい型」にみられるストレスには、「子供同士の陰口が多い」「ルールが守られていない」「学級に親しみが感じられない」が並んだ。
いじめと感じている児童生徒に「誰からいじめられたか」をたずねたところ、小学生の50%弱、中学生の30%弱が「同じクラスのいろいろな人」と回答。いじめられている子供は集団生活のなかで、みんなの不満のはけ口にされている構図が浮き彫りとなった。
河村教授は今回の調査結果について、「いじめ問題は、加害者対被害者という二者関係でとらえられがちだが、被害者はみんなから『いじめられた』と感じている。学級でいじめは埋没して見えにくく、表面化しても周囲が自覚に乏しいのはこのためだろう。特に『なれ合い型』では、実際には子供が傷ついているのに、教師が見逃したり、軽い気持ちで加担したりする危険がある」と指摘している。
(産経新聞)-12月6日8時0分更新
【コメント】私の長男が在籍していた中学校は「管理型」の典型でした。学級を通り越して学年全体が崩壊状態でした。
●中教審答申より厳格化、教員免許5年更新・試用3年へ
教員免許更新制度のあり方を検討している安倍首相直属の教育再生会議(野依良治座長)は4日、〈1〉免許の更新期間を5年間〈2〉正式任用前の「条件付き任用期間」(試用期間)を現在の1年間から3年間に延長――とする方向で最終調整に入った。
中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が答申した「更新期間10年間で研修30時間」では、不適格教員を排除するには不十分だと判断した。今月8、9日に開く分科会の合宿審議で詳細を詰める。来年1月の第1次報告に盛り込み、通常国会に関連法案を提出する方針だ。
中教審答申よりも更新期間を短縮し、「試用期間」を延長するのは、教員免許制度の運用をより厳格化し、首相が唱える「教育現場からダメ教師を排除し、教育の質を高める」ことにつなげる狙いがある。
(読売新聞)-12月4日14時40分更新
●「再チャレンジ支援税制」ニート・フリーターを除外
政府は、2007年度税制改正に盛り込む「再チャレンジ支援税制」の対象から、仕事・通学をしていない「ニート」や、定職を持たない「フリーター」を外す方針を固めた。政府案はほかに、制度を利用する企業・団体に地方自治体の事前認定を求めるなど、厳しく枠をはめる内容となっている。
安倍政権が「2010年までにフリーターをピーク時の8割に減らす」と公約したことを受け、政府は当初、雇用対象にニートやフリーターも含める方向で検討していた。
しかし、正社員としての雇用を望んでいるかどうかなど、支援すべきニートやフリーターの定義が難しいとして、「定義があいまいなまま制度を導入すれば、課税逃れに悪用されかねない」(内閣府)と判断した。除外の方針を固めたことにより、格差是正に向けたフリーター支援との趣旨から大きく外れることになる。
(読売新聞)-12月4日15時42分更新
●<いじめ絵本>20年読み継がれ…著者「相手の気持ちに…」
いじめ被害を題材にした絵本「わたしのいもうと」(偕成社)は約20年にわたり、学校などで読み継がれてきた。被害者がどれだけ深く、そして長く、心に傷を負うのかを伝える本だ。作者で児童文学作家の松谷みよ子さん(80)は「相手の気持ちに気づかない限り、いじめは続く。本当はいじめがなくなって忘れ去られる本になってほしい」と語る。
「わたしのいもうとの話を聞いてください……」。二十数年前、「ちいさいモモちゃん」などを書いた松谷さんに、少女から手紙が届いた。妹がいじめに遭い、家に引きこもり心を閉ざしてしまったとの内容だった。
手紙は「わたしをいじめたひとたちは、もうわたしをわすれてしまったでしょうね」という妹のメモにも触れていた。松谷さんは「いじめている方は、すぐ忘れても、いじめられた子には深刻な問題だ」との思いで、手紙をもとに絵本を書いた。
一家が7年前に引っ越してきたことから始まる。小学4年生の妹は、転校した学校で「言葉がおかしい」「くさい。ぶた」といじめられる。給食を配ると受け取ってもらえない。誰も口を聞いてくれなくなり、遠足に行った時も独りぼっち。やがて学校へ行かず、ご飯も食べず、部屋に閉じこもるようになる。
やせ衰え、「このままでは命がもたない」とまで言われたが、母親の必死の看病で、命だけはとりとめる。やがて、いじめた子たちは中学生になり、さらに高校生になる。笑いながら窓の外を通り過ぎて行くのを妹は見つめるだけ。そして、ある日、ひっそりと息を引き取る。
妹を描いた絵は、うつむいていたり、後ろ姿で顔は一度も出てこない。そして、最後に手紙につづられたメモが描かれている。
87年に初版6000部で出版された本は、道徳の授業などで使われ、44刷まで版を重ね、14万7000部が世に出た。出版社には、親や教師からだけでなく、加害者の子どもからも感想が寄せられている。
栃木県鹿沼市立北押原中学では先月、「いじめは命にかかわる大きな問題だと気づかせたかった」(3年の学年主任、鬼頭真教諭)と絵本を題材に道徳の授業をした。生徒からは「助ける人が必要で、周りも行動を起こさないといけない」という意見が相次いだという。
(毎日新聞)-12月6日15時11分更新
●発達障害:警察官も理解を 誤解や偏見の防止へ、県警が研修活動に乗り出す/鹿児島
◇障害者支援団体が歓迎
自閉症やLD(学習障害)など発達障害への理解を深め、警察活動に役立てようと、県警は一線の警察官向けの研修活動に乗り出した。専門家の講義などで正しい知識を身につけ、トラブルに巻き込まれやすい発達障害者への誤解や偏見をなくすのが狙い。警察内部での研修は全国でもまだ例が少なく、発達障害者の支援団体はこうした動きを歓迎している。
県警は11月10日、鹿児島市の県警本部で発達障害をテーマに初の研修会を開いた。刑事部や生活安全部など各部と22警察署から一線の警察官約150人が参加。県医師会常任理事の林芳郎医師が講師を務め、発達障害の種類とそれぞれの特徴、接し方などを解説した。
今回の研修について県警の田中憲一・少年サポートセンター長は「発達障害の知識がなければ現場で対処しづらいケースが増えているため」と開催理由を説明。今後の取り組みについて「他の専門家による講義やパンフレット作成もしていきたい」と前向きな姿勢を見せる。
日本自閉症協会県支部で研修担当の野添裕継さんは「発達障害者が地域で暮らすためには警察の理解が欠かせない。こうした取り組みが鹿児島から全国へ広がってほしい」と県警の活動に期待している。
12月5日朝刊
(毎日新聞)-12月5日18時0分更新
●西海評論:現実離れ /長崎
政府の教育再生会議(野依良治座長)が先月29日に決定した「いじめ」緊急提言に対し「現場の感覚から懸け離れている」との声が出ている。
特にいじめた子供に対し「社会奉仕、別教室での教育」を掲げたり、一時検討された「出席停止」の考えには反発が聞かれる。「いじめが悪いことは当然だ。だが、いじめた側の話を聞く場を作ることが大切。処罰では解決にならない」。小学校で約25年教壇に立った県教組の明石佳成委員長(57)は強調する。
いじめを放置した教員に懲戒処分を適用するとの同会議の提言に対しても「いじめを放置するような教師は、まずいないだろう」と反発する。現場でそれぞれの教師が試行錯誤で解決に向けて取り組んでいる。「それでも解決できないとなると、校長、教頭がどう教育委員会に報告するのか」と懸念する。
その上で「教師の事務作業の負担を減らして、もっと子供を見られるようにしてほしい」と訴える。確かに「休み時間も打ち合わせがあるので、授業中にプリントをやらせている間にトイレに行かねばならない」と言う女性教師もいる。
出席停止や別教室での教育について、中学で20年以上教えてきた元教師も懸念を示す。「いじめる側の子供でも、まずは言い分をじっくり聞くことから始めなければと思う。そうすれば、子供と教師との人間関係も出来る」。いわゆる荒れた学校を多く経験しただけに説得力を感じる。
明らかな暴力、あるいは金銭・物品を脅し取ったのだったら、誰が加害者か分かりやすく、対応しやすい。だが、今のいじめ問題の難しさは、被害者、加害者の見分けが難しいことだと指摘する。
一人の生徒がクラスの多くに無視されることがあるが、一体だれを別教室に入れて指導するのか。いじめた生徒がいじめられる立場に陥ることもある。けんかでも、負けた方がいじめられたと過剰に反応してくることもあるという。
著名人を集めた教育再生会議だが、苦労している教育現場からは共鳴より反発が強いようだ。だが、このような会議がつくられたのも、学校現場で対応が十分出来ていないという現実があるから。
現場感覚と異なる提言を押し付けられないためにも、親や住民の声を聞きながら、各学校の職員室で現実に即した対策を話し合っていただきたい。
12月4日朝刊
(毎日新聞)-12月4日17時1分更新
●土佐の教育改革:学力低下、いじめ…もっと対策を 提言書を県教育長に/高知
◇今月中に方針まとめ
土佐の教育改革の検証と総括をする「教育改革10年を未来につなげる会」(半田久米夫座長)は5日、これまでの会合でまとめた提言書を大崎博澄・県教育長に提出した。依然として課題となっている中学校での学力低下やいじめ、不登校などに一層の取り組みを求めている。
土佐の教育改革は、いじめや不登校問題、私立学校への生徒流出などの問題を受け、97年度からスタート。同会は今年9月から、改革の成果を検証しようと4回の会合を持った。
中学校での問題の背景には、思春期という心理上の問題に加え、教科担任制や部活動の本格化など教育システムの変化への戸惑いが考えられると指摘。対策として「小学校と中学校では授業力に差があり、教員は小学校の授業を参考にすべきだ」「学力を伸ばすカリキュラム開発に大学などと共同で取り組む必要がある」との意見を示した。
提言書を受け取った大崎教育長は「中学校のいじめ・不登校問題を改善すれば、小学校や高校の改善にもつながる」と答えた。
県教委では、提言を踏まえ今後の方針を今月中にまとめ、来年度予算に組み込む予定。また、来年2月には県民フォーラムの開催を計画している。
●いじめ対応不適切 小学校に異例勧告 沖縄弁護士会
本島中部の小学校で男子児童に対するいじめがあり、いじめをめぐる学校側の認識の欠如と不適切な対応が児童を不登校に追い込んだなどとして、沖縄弁護士会(大城浩会長)が9月21日、対応策を全校挙げて確立するよう同校に勧告していたことが4日、分かった。同弁護士会がいじめ対応について学校側に勧告するのは2件目で、異例の対応だ。
同校によると男子児童は、3年生だった前年度、複数の級友らから一方的に殴る、けるの暴行を受け、所有物を勝手に取られたり、言葉での中傷を日常的に繰り返された。担任の男性教諭は児童間のトラブルを4月から把握していたが、いじめと認識したのは10月ごろからという。
同年12月、いじめを受けていることを相談した日記を児童が提出したところ、担任は学級会で全児童の前で読み上げた。校長は「担任はいじめを皆で考え、解決しようとした」と説明する。
しかし、児童の両親によれば、日記を公表したことがきっかけになって精神的に追い込まれ、2006年1月から不登校となり、4年生に進級した現在も続いている。
両親は「内面を相談した日記を公表されて密告した形になり、学校に行けなくなった。対応を学校に求めても、担任だけに任せた」と批判した。
同弁護士会人権擁護委員会(委員長・三宅俊司弁護士)は、今年5月と7月に両親からの依頼を受けて調査。(1)いじめに学校全体で対応する体制(2)再登校のための計画を専門家を含め早急に策定―など5点を勧告。
これを受け同校は、(1)「いじめ組織的対応」を職員会議で確認(2)専門家とともに再登校を促すプログラム作成―などを明記した報告書を11月28日に回答した。
校長は「初期の対応がまずかったことは確か。日記を本人の了解も得ずに全体の場で読むことは良くない」と認めた上で「学校として努力しており、早く戻ってほしい」と説明。校長によれば、担任も対応に問題があったことを認めている。
(琉球新報)-12月5日9時49分更新
●発達障害 乳幼児の支援策充実
広島市の検討委提言 早期発見など5項目
自閉症など発達障害者の支援体制整備に取り組んでいる広島市の検討委員会は、乳幼児段階に絞った提言をまとめた。市民の理解促進、早期発見や診断、支援の充実など五つの重点項目を掲げ、各種施策を展開する必要性を強調。市は本年度末までに策定する「障害者基本計画」に盛り込む。
具体的な施策として、就学先などで円滑な支援が受けられるようにするため、子どもの「サポートファイル」の作成、活用を提案。専門医の育成や幼稚園・保育園への支援コーディネーター配置など二十の具体的な取り組みを列挙している。
発達障害は自閉症やアスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害など範囲が広く、生活に支障がないなど周囲が障害に気づかないケースも多い。一方で、早期発見や療育の必要性が指摘されている。
二〇〇四年度の発達障害者支援法の成立などによる障害への知識、理解が深まったことや診断技術の向上により、障害児の数は増加傾向にある。市の三つのこども療育センターでアスペルガー症候群などを含む「自閉症スペクトラム」とされた件数は〇三年度には一〇一件だったが、〇四年度は二百六十七件となった。
支援法は理念法の色彩が強く、具体的支援策やサービス確保は自治体に委ねられている。このため、市は昨年八月、専門家などでつくる検討委を設置、七回の会合を重ねてきた。成人期までのライフステージに応じた一貫した支援が大切として、まず未就学児に限った提言を中間取りまとめとして作成した。
検討委は〇七年度までに就学段階から成人を対象にした提言をまとめる。
(中国新聞)(2006.12.2)
●<教育再生会議>いじめ対策の「出席停止」素案明記 論議に
政府の教育再生会議が9日まで行った集中討議で、問題行動を繰り返す子どもへの出席停止を来年1月の中間報告に向けた素案に明記したのは、いじめ対策への積極的な取り組みをアピールするためだ。子どもへのボランティア義務付けも盛り込み保守色が一層強まったが、ともに慎重論が根強いテーマだけに論議を呼びそうだ。
いじめによる相次ぐ子どもの自殺を受けた先月29日の緊急提言で、出席停止の明記は見送られた。集中討議では、義家弘介担当室長が再び「いじめや教師に暴力を振るう子どもには強い措置が必要」と主張。素案の中で再び浮上した。
池田守男座長代理は終了後の記者会見で「教育的見地の一つという形で書かせてほしい」と意欲を示したが、委員には「学校の責任放棄」との批判もあり、引き続き慎重に協議する。
ボランティア活動の義務付けは、00年の教育改革国民会議で「憲法が禁じた苦役につながる」と見送られた経緯がある。安倍晋三首相は9月の自民党総裁選で、大学入学前の義務化を提唱しており、再生会議も「(義務である)奉仕活動を教育で実践する意見が多数」(池田氏)という。
このほか中間報告では、国・地域の伝統を尊重する心を養うことや、正月などに「家族の日」を設けて「家族のきずなを深める」ことを提唱するなど、首相の持論に沿う内容を盛り込む見通しだ。
(毎日新聞)-12月9日23時26分更新
●発達障害:20歳超え診断1.6% 来年度内に対応策--道が初の実態調査/北海道
道が、自閉症、学習障害(LD)など発達障害児・者の実態調査を初めて実施したところ、本人や家族も気づかずに20歳を超えてから診断された人が1・6%含まれていることがわかった。診断が遅れた場合、適切な支援を受けられず、社会適応が難しくなるケースが多いため、道は07年度中に早期診断の体制確保など対応策をまとめる方針だ。
発達障害は自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害など脳に何らかの機能障害があり通常、低年齢で発現するとされている。発達障害の可能性のある子どもは国の調査では6・3%ともいわれているが対象者の把握自体が難しいという。
昨年4月、発達障害者支援法が施行したのを受け、道は今年7月に実態調査を実施。自閉症や学習障害の親の会などを通じて1408人を対象にアンケートを行い、697人から回答を得た。
その結果、発達障害の診断を受けた時期は、3歳が最も多く166人(回答者の24・4%)で、これを含めて就学前までに診断を受けた人は全体の7割を占めた。
一方、20歳を超えてから診断を受けていたと答えた回答者は11人(1・6%)だった。知的障害を伴う場合は早期に発見されやすいが、そうでない場合は、小中高校を何の支援も受けずに過ごし、就職してから問題を抱えるケースが少なくない。
また就業経験者(78人)のうち、退職した人に理由を尋ねたところ、「自己都合」が29人(64・4%)、「会社の都合」が16人(35・6%)で、「人間関係がうまくいかない」「業務についていけない」などが挙げられていた。
12月9日朝刊
(毎日新聞)-12月9日12時1分更新
●なぜ学校はいじめを隠すのか 第三者機関設置を要望へ
いじめ自殺で学校や教育委員会の真相隠しが問題となる中、自殺や校内の事故で子どもを亡くした親らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」(事務局・たつの市)が十二日、文部科学省に、事実を調べる第三者機関の設置などを申し入れる。会には学校の体質を知る教員もおり、「このままでは悲劇はなくならない」と訴える。
同会代表世話人の内海千春さん(47)=たつの市。一九九四年、小学生の長男=当時(11)=が担任に平手でほおなどを殴られた後、命を絶った。学校は詳細を語らず、報告書に「管理外の事故死・原因不明」と書いた。
両親は何度も学校に真相解明を申し入れ、検察は担任を略式起訴。それでも、学校は動かなかった。結局、市を訴えた裁判に勝つまで、わが子の死をめぐる“真実”を知ることはできなかった。
公立中教諭の内海さんは「学校は『子どもを動揺させないように』と沈静化に終始する。真相究明の調査は教師の仕事ではない」と語る。
川西市の宮脇勝哉さん(48)も、中学生だった長男=当時(13)=を、部活動中の熱中症で失った。やはり、真相究明は壁にぶつかり、市が設置した「子どもの人権オンブズパーソン」の調査で、ようやく顧問教諭の過失が認定された。
宮脇さんも教師。「列車や航空機の事故には調査委員会があるが、校内で起きたことを誰が客観的に調査できるか。強い権限を持った第三者機関が必要」と強調する。
同会の姫路市の男子大学院生(31)は、個人としての請願書も用意した。十五年前、岡山県内の私立高校の寮で上級生らに連日暴行されたとして大阪高裁で係争中。「自殺未遂を繰り返した一人として、死を選ぶ気持ちが分かる。私学経営者らは問題を公表しない」とし、私学についても実態把握を文科相に要望する。
さらに請願書では、第三者機関の設置、問題が起きた際に文科省が情報を当事者に伝えるよう学校を指導することや、年一回、当事者から学校や教委の対応について聴く場を持つよう求める。
(神戸新聞)2006/12/10
●少年事件テーマに取り組み紹介 京都家裁が庁舎見学会
家庭裁判所の役割を広く知ってもらおうと、京都家裁(京都市左京区)は9日、庁舎見学会を開いた。関心が高まる少年事件をメーンテーマに、裁判官のミニ講演や保護者が悩みを語り合う新たな取り組みを紹介した。
10月初旬の法の日週間にちなんだ催しで、京都家裁では庁内を流れる泉川沿いの紅葉が深まるこの時期に開いている。今年は約60人が訪れた。
生熊正子裁判官が少年事件の審判の流れを説明し、「処罰ではなく少年を立ち直らせるのが目的。家庭裁判所ではどんな小さな事件もすべて扱う」と話した。
子どもの居場所として大切な家庭への働き掛けとして、京都家裁が今年始めた「保護者会」を再現。職員や市民ボランティアふんする親たちが「子どもが何を考えているか分からない」「お話できるほど、自分は子どもを知らないと気づいた」などと語り合う様子を、来場者たちは熱心に見守っていた。
(京都新聞)-12月9日18時57分更新