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        広汎性発達障害と対人関係能力(5)
        2006/12/17
        「発達障害は『発達』する障害」ー、私の信頼する精神科医の名言です。
         少し極端な話しですが、定型発達をした人の中に精神病に罹患する人や犯罪を犯してしまう人がいるように、発達障害を有する人の中にも精神病に罹患する人や犯罪を犯してしまう人がいます。ただし、「不正義は許せない」という特性がありますので、発達障害の方の犯罪率は定型者のそれよりも低いことはよく理解しておいてほしいと思います。
         同様に、生後、乳幼児期、児童期、思春期、青年期、成人期と、それぞれの発達段階によって、発達障害を有する人も、人それぞれに成長・発達していきます。これまでの発達障害についての研究のほとんどがが乳児期~児童期についてのものであったことから、思春期以降の特性やその変化・発達についての研究はまだこれからといったところかと思います。
         小さいときには○○の特性を出していた、という人が思春期(中でも14~15歳に顕著)を経る中で、かつての特性が変化したり消去されたりして、新たな特性や認知を持たれていくことが多いように思います。例えば、小さいときには「知っている人はみんな友だち」という認知が、好きな人と嫌いな人がはっきりしてくる、ということがあります。「友だちは限られた少数者」という特性も、このことと関係が深いと思えます。自身を受け入れてくれる人とそうでない人の判別は、人間社会の中で安心して生きていく上ではとても重要な要素です。自身を受け入れてくれない人との関係性においては、自身が傷ついてしまう恐れがあり、そのことを無意識に判断していて、その判別が少し極端に行われる、と考えると良いと思います。また、こうした対人関係における判別は、それまでの成育史において、嫌悪的、被害的な(あるいはその逆の)対人関係の経験の有無も大きく関与します。
         定型者に一人ひとり個性があるように、発達障害を有する人にも一人ひとり、よりはっきりした個性があり、それは他者との関係性の中で様々に形成されていく、という視点を持つことが大切ではないでしょうか。
         アスペルガー障害と診断を受けておられたり、特定不能の広汎性発達障害と思われる方と接する中で、対人関係には表向きほとんど問題ないように見えても、よくお話を聴いていくといくつもの困難さを抱えながら、その困難さをどう考えればいいか、どう対処すれば良いかわからないままに悩んでおられる方が多いことがわかってきました。ご家族や職場など、生活や活動の場を共有する人に一人でも多く、他者との関係性に困難さを感じておられることを理解してあげられる人が増えてもらえるよう、社会的啓発や障害理解のための学習、共感的な関係性が進むことを期待します。
         次回は「自死遺族の社会的再構成に向けての課題のいくつか」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        学校での事件は第三者機関で調査究明を

        現役教師ら遺族が文科省に設置を訴え
         学校では、いじめによる自殺だけではなく、教師の過失などによるさまざまな事件、事故でも子供が亡くなっている。ただ、その原因について学校側は隠ぺいしようとの姿勢に終始し、遺族には真実がほとんど明らかにされないという。こうしたことから、現役教師を含む遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」(兵庫県たつの市)では、独立した調査機関の設置を文部科学省に要請し続けている。
         代表世話人の内海千春さん(47)は、兵庫県内の中学校教師で、一九九四年に小学六年生だった長男=当時(11)=が担任の教師に殴られた直後、自殺した。裁判の結果、暴力が原因の自殺と認められた。
         「学校で事件が起きると、教育委員会はすぐに“沈静化”に乗り出す。自殺でも事故死として処理しようとし、難しければ都合の悪い事実を隠そうと学校を動かす。遺族は訴訟相手になる“敵”と見ているので、事実を明らかにする考えは全くない。これは、今の一連のいじめ自殺でも続いている」と言う。
         こうした体質は全国どこでも見られるという。「大半の教師には情報が隠されている。しかし、人事権などを持っている教委に対して、何も言おうとはしない。子供たちがいじめを傍観するのと全く同じ構造だ」と、独立した調査機関の必要性を訴える。
         メンバーの宮脇勝哉さん(48)も、同県内の養護学校教師。九九年に同県川西市立中学校の一年生だった長男=当時(13)=をクラブ活動中の熱中症で亡くした。原因究明を求めて活動した結果、同市の「子どもの人権オンブズパーソン」の調査でようやくクラブ顧問の教師の過失が認定された。
         「航空機事故のように、中立の立場の専門家が調査して初めて事実が明らかになり、再発防止にもつながる。ところが、事件、事故をめぐる学校の調査は、信頼性に疑問がある上、これまでは遺族が求める情報提供にもほとんど応じてこなかった」と宮脇さん。
         さらに、遺族の苦しみは原因が明らかにされないことだけではないという。「学校側と闘う姿勢を見せた途端、『親の体調管理が悪かった』『顧問の教師に厳罰を求める署名活動をしている』など、事実とは異なる悪意のあるうわさが流れ、地域で孤立した。子供が死んだ理由を知ろうとするだけで、全国の遺族が“二次被害”に直面させられている」と訴えている。
        (時事通信社 フィーチャー)06年12月26日

        ●「子供の自殺原因の究明機関を」遺族が文科省に請願
         いじめ自殺などで子供を亡くした遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」のメンバーが12日、文部科学省に対し、自殺原因などの事実関係を究明するための第三者機関の設置を求め、請願した。
         同省を訪れたのは、いじめや教師の指導を苦に自殺した児童・生徒の遺族、学校内の事故で子供を亡くした遺族ら23人。メンバーは、学校や教育委員会が事実関係をなかなか伝えない実情を訴え、すべての情報を出来るだけ早く遺族に伝えるよう、各校に指導することなども求めた。
         兵庫県川西市立中学校で1999年7月、ラグビー部の練習中に熱中症で中1長男(当時13歳)を亡くした宮脇勝哉さん(48)らは請願後、会見し、「今年起こったいじめ自殺でも学校や教育委員会は事実を明らかにしようとしなかった。客観的に外部から事実を明らかにする制度が必要ではないか」と訴えた。
        (2006年12月12日22時48分読売新聞)

        ●全国学校事故・事件を語る会 文科省に要請
         いじめによる自殺などで子供を亡くした保護者らが12日、文科省を訪れ、教育委員会や学校の調査では真相究明は難しいとして、調査のための第三者機関を設置することなどを要請した。
         文科省を訪れたのは、いじめによる自殺や学校内での事故で子供を亡くした保護者らで作る「全国学校事故・事件を語る会」のメンバー。
         12日の要請では、いじめや学校での死亡事故の再発を防止するためには、第三者の調査による確実な事実認定が必要であるとして、第三者機関の設置を求めた。
         「全国学校事故・事件を語る会」は要望書提出後、会見を開き、メンバーの一人、内海千春さんが「事実を隠ぺいすることは被害者・遺族にとって重大な加害行為なんです」と語った。また、要請に参加した保護者らは、「自分たちと同じ経験をする人が二度と出てほしくない」と、今後も訴えを続けることにしている。
        (日テレNEWS24)12/12 20:03

        ●<教員意識調査>会社員以上に、仕事に満足感と多忙感
         公立小中学校の教員は会社員よりも仕事に満足感を得ていると同時に、多忙感も感じる傾向にあることが11日、文部科学省の調査で分かった。また、教員自身は勤務実績などで給与に差をつけることを否定的にとらえているが、保護者は肯定的ということも分かった。
         文科省は10月、全国354校の公立小中学校教員8976人(回収数8059人)と保護者1万4160人(同6723人)を対象に意識調査を行い、平均点を算出。中央教育審議会の「教職員給与の在り方に関する作業部会」に中間報告した。
         中間報告によると、「仕事にやりがいを感じている」と答えた教員が5点満点で平均4.23点だった。一方、「仕事が忙しすぎて、ほとんど仕事だけの生活になっている」のは3.75点となり、調査会社が所有している会社員のデータと比較すると、教員は会社員よりも満足感と多忙感を同時に感じているという。
         また、「指導力不足教員らに給与などへの反映が必要」と考える教員は3.37点。保護者への同種の質問では4.41点となり、両者のかい離が際立った。
        (毎日新聞)12月12日0時33分配信

        ●福岡の中2男子自殺で調査委 「いじめ」断定せず
         福岡県筑前町立三輪中学校2年の男子生徒(13)がいじめを苦に自殺した問題で、同町教育委員会が設置した調査委員会(委員長・高田清福岡教育大教授)は12日、「いじめに類する行為が自殺に追い込んだ可能性がある」との中間報告をまとめた。「いじめ」と断定することを避けた形で、年内にもまとめる最終報告に向けて協議を続けるという。
         さらに、同報告は「(1年当時の担任)教諭の言動が直接の要因と判断するのは難しい」としている。
         男子生徒は10月11日夜、自宅倉庫で首をつっているのを祖父が見つけ、「いじめを受けて生きていけません」などと書かれた遺書が見つかった。
         学校側はこれまでの会見で、男子生徒へのいじめがあったと認めた上で、「本当に自殺に追いやった主因は何か。もっと分析しなくてはいけない」としていた。
         教諭による不適切な言動がいじめの引き金になったともされていた。
         調査委は学識経験者ら7人で構成。町教委の委嘱を受けた第三者機関として11月7日に発足し、遺族や学校関係者から聞き取り調査した上、男子生徒の同級生へのアンケートをしてきた。
        (産経新聞)12月13日8時0分配信
        【コメント】この調査委員会は「第三者機関」ではなく、教育委員会設置による自前委員会であるため、教委に不利益となる報告をすることは期待できません。自前でなく、文字通りの第三者による調査が必用です。

        ●<「黒い羊」訴訟>少女側「元教諭の教育権侵害」主張
         静岡市立中学で昨年3月、以前担任だった元男性教諭が卒業アルバムの寄せ書きに英語で厄介者を示す「黒い羊」と書き込んだ問題があり、元生徒の少女(17)が名誉を侵害されたなどとして市に1650万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、静岡地裁(三島恭子裁判官)であった。少女側は「(学校側は)元教諭による教育権侵害を止めなかった」と主張。一方、市は「請求棄却を求める」との書面を提出し、全面的に争う姿勢を示した。
         訴状などによると、元教諭は少女の1年時の担任。昨年3月の卒業式前日、少女から卒業アルバムの寄せ書き欄に書き込みを頼まれ、英文で「どの集団にも厄介者はいる」という意味の「There is a black sheep in everyflock」と書き、少女の心を傷つけた。
         また入学直後、少女の兄が高機能自閉症であることを理由に少女を中傷して拳で頭を殴り、翌日から会議室で自習するよう命じた。同級生には「あいつは障害者だから付き合うな」と話したという。少女は卒業まで別室登校を続けざるを得なくなった。元教諭は昨年5月に依願退職したが、少女に対しては一度も謝罪していない。
        (毎日新聞)12月13日11時42分配信

        ●「黒い羊」訴訟:静岡市、争う姿勢 元教諭、少女に謝罪なく/静岡
         ◇「障害者の妹は人と違う」…別室登校3年に「死にたい」
         ◇提訴は戦い。傷ついても声を
         「えっ……」。母親(42)は娘が笑顔で持ち帰った卒業アルバムに書かれた英文の意味を示す電子辞書画面を見て凍りついた。
         昨年3月、静岡市駿河区の市立中学で、寄せ書きを頼んだ生徒のアルバムに元担任の男性教諭が英語で厄介者を示す「黒い羊」と書いた問題で、元生徒の少女(17)が市を相手に起こした訴訟の初弁論が13日、静岡地裁であった。教諭は依願退職したが、結局一度も少女に謝罪していない。市も争う姿勢を示した。
         始まりは教諭の暴言だった。少女には当時3年に高機能性自閉症の兄がいたが、教諭はこの兄を嫌っていたという。入学直後の4月中旬、少女が妹とわかると、教諭は態度を変えた。「障害者の妹だって? そんなやつの妹は人と違うことをしてきたんだろう」などと言い、少女の頭を拳でたたいた。翌日に別室登校を命じられ、少女は3年間を会議室で過ごした。
         少女の母親は何度も学校に相談した。しかし対応した教頭は「善処する」と繰り返すだけで一度も教諭に会わせなかったという。伝えた電話番号にも、電話がかかってくることはなかった。クラス一斉の家庭訪問さえ知らされないまま終わっていた。通知表の担任記入欄は空白なのに校長印だけは押されていた。
         県弁護士会・子供の権利委員会が昨年11月に教諭と学校、市教委に生徒の被害回復を図るよう勧告したが、その後も少女に謝罪はない。教諭は以前に勤めた中学でも問題を起こし、保護者から辞職を求める声も出ていた。市教委教職員課は「そういう声は届いていない。勧告にも適切な措置をとったと考えている」と話した。
           ◇   ◇
         少女は今、コンピューターの専門学校に通う一方、通信教育で中学の勉強を続ける。中学時代に別室登校の自分を見られるのが嫌で顔を覆うほど伸ばしていた髪を、今は少し短くした。けれど人と向き合うとうつむいてしまう。取材中、耐えるように腕につめを食い込ませていた。
         別室登校は事実上の放任だった。授業の資料も渡されず、3年次には会議室にただ一人。近くの教室から響く笑い声を聞くたびに涙をこらえた。「死んじゃいたい」。別室登校を命じた教諭は、一度も会議室を訪れなかったという。「提訴は戦い。どんなに傷ついても声を上げることはできる。それを示したかった」と少女はいう。
         男兄弟の中で育ち、自らを“僕”と呼ぶ。「先生は、学校は学ぶ場所だと言った。では僕は学校で何を学んだのか……」。震える声でそう話す少女の目から、涙がこぼれた。
        12月14日朝刊
        (毎日新聞)12月14日13時1分配信

        ●障害者権利条約が成立 国連総会、全会一致で採択
         【ニューヨーク13日共同】国連総会本会議は13日、障害者に対する差別を禁じ、社会参加を促進する「障害者権利条約」を全会一致で採択、同条約は成立した。障害者を対象にした人権条約は初めてで、世界人口の約1割、約6億5000万人(国連推計)とされる障害者の権利拡大に寄与しそうだ。20カ国が批准した時点で発効する。発効は2008年ごろになる見通し。
         条約は前文と本文50条から成り、障害者が「すべての人権や基本的自由を完全かつ平等に享受」できる環境を確保するのが目的。こうした目的を達成するため「すべての適当な立法、行政措置」を講じるよう締約国に求めている。
         具体的には(1)障害者の移動を促進するため建物や道路、交通機関における障害物の除去(2)教育における機会平等の確保(3)就職や昇進面での差別禁止-などが盛り込まれている。
        (福井新聞)12月14日午前01時26分
        【コメント】大きく、着実な時代の流れです。

        ●いじめ・人間関係…孤独な子供 相談1万1200件
        ■電話口から心の叫び
         いじめ自殺などが相次ぐなか、子供の電話相談「チャイルドライン」が11月6日から1カ月間行った集中相談で27都府県から9万件を超えるアクセスがあったことが分かった。NPO法人「チャイルドライン支援センター」(東京都港区)によると、相談内容を十分に把握できた約4000件のうち、いじめやいじめにつながる人間関係についての相談は1200件超。「死にたい」という言葉をすぐに使う子供も目立った。同センターでは「電話をしてくる子供は周りに相談する相手がいない」と分析、子供の話に耳を傾ける重要性を訴えている。
         同センターによると、無言電話などを除き、実際に相談を受けたのは1万1203件。このうち相談内容が把握できた4068件を分析すると、「いじめ」についての相談は、小学校高学年から中学生にかけて多く、男女別では女子からの相談は44%が「いじめ」や「人間関係」についてだった。「いじめ」関係以外では「性」(678件)や「恋愛・異性関係」(333件)、「心の不安」(193件)など。
         今回の電話相談で多かったのが「死にたい」という言葉をすぐ使う子供だった。自殺や自傷の相談は47件あった。小学校からいじめられていたという女子中学生は「『死ね』といわれるから死んでもいいかと思う。心で受ける傷よりリストカットは痛くない」と電話をしてきた。
         これまでには「給食をこぼしたら『死ね』といわれた。クラスのみんなが『死ね』と言い出した」(中学生)という相談もあった。「死ね」「ばい菌」「くさい」などの中傷に対する悩みが最近の典型という。
         同センターでは、相次ぐ自殺報道などの影響もあり、語彙(ごい)が少ない子供らは「つらさや苦しさを『死にたい』という言葉でしか表現できない傾向にある」と分析。「言葉に振り回されず、言葉の裏にある“思い”に寄り添うことが大切」と訴える。
         また、最近のいじめの傾向として、(1)集団で1人をいじめる(2)無視をするなど陰湿(3)いじめを受ける期間が長い-ことを上げる。携帯電話のメールで誹謗(ひぼう)中傷や無視を呼び掛けるなど陰湿ないじめも多い。
         同センターでは「電話をかけるだけでも勇気がいる。最初は何も話さくても10分くらい待つと声が聞こえてくることもある」と“無言のメッセージ”にも気を配っている。
        (産経新聞)12月15日8時0分配信

        ●<休職教員>「精神性疾患」最多の4178人 13年連続増
         05年度にうつ病など精神性疾患による病気休職をした公立小中高校などの教員数が過去最高の4178人に上ることが15日、文部科学省の調査で分かった。病気休職7017人のうち、精神性疾患を理由に休職した教員の割合(59.5%)も過去最高だった。また、懲戒処分を受けた教員(監督責任を除く)は前年度比29人増の1255人で、免職者総数は190人(懲戒156人、諭旨17人、分限17人)だった。
         精神性疾患を理由に休職した教員は前年度比619人増で、13年連続の増加となった。在職者に占める割合も0.45%となり、ここ10年間は連続して増えている。文科省は「保護者への対応が煩雑になっていることや、子ども、社会が変化してこれまで培ってきた指導法が通用しなくなっているとの指摘もある」と説明した。
         懲戒処分を受けた教員は5年連続で1000人を超えた。理由は国旗・国歌の取り扱い関係が大幅に減少し、前年度よりも61人少ない64人。このほか、児童生徒の成績が入力されたパソコンの盗難被害や、ファイル交換ソフト「ウィニー」を通してネット上に流出させた個人情報の不適切な取り扱いで懲戒処分を受けた教員も39人いた。わいせつ行為などは同7人減の124人だった。
         訓告などを含めた処分合計は前年度比385人増の4086人で、同218人増の交通事故(2406人)が目立った。また、病気休職を含め心身の不調などで適性を欠く場合などに行われる分限処分による免職理由では、10人が「適格性欠如」、4人が「指導力不足」だった。
        (毎日新聞)12月16日5時2分配信

        ●改正教基法が成立 「国愛する態度」明記 1月9日から防衛省
         今国会の最重要法案である改正教育基本法と、防衛「省」昇格関連法は15日の参院本会議で、それぞれ賛成多数で可決、成立した。改正教育基本法は自民、公明両党、防衛「省」昇格関連法は与党に加え民主党などが賛成した。すべての教育法令の根本である教育基本法は昭和22年の制定以来、59年ぶりに初めて改正された。29年に発足した防衛庁は、来年1月9日に防衛省として新たなスタートを切る。
         これに先立ち、民主、共産、社民、国民新の野党4党は、安倍内閣と麻生太郎外相の不信任決議案を河野洋平衆院議長に提出した。これを受けて与党は、衆院本会議で会期を19日まで4日間延長することを決め、続いて内閣不信任案を与党の反対多数で否決した。
         一方、野党は参院でも伊吹文明文部科学相に対する問責決議案を提出したが、15日夕の参院本会議で与党の反対多数で否決された。
         改正教育基本法は前文と18条で構成。「公共の精神の尊重」や「伝統の継承」の理念が前文に新たに盛り込まれたほか、教育の目的に「伝統と文化の尊重」や「わが国と郷土を愛する態度を養う」「豊かな情操と道徳心と培う」ことなど5項目を明記した。
         焦点だった「愛国心」をめぐる表現については、与党協議の過程で公明党への配慮から「心」が「態度」となった。
         防衛「省」昇格関連法は、行政組織上、内閣府の外局である防衛庁を「防衛省」に、防衛庁長官を「防衛相」にそれぞれ格上げする。これまで、防衛庁長官は、内閣府の長である首相を通じてでなければ閣議開催の請求や財務相への予算要求ができなかった。しかし、省昇格後は防衛相が直接行うことになる。
         また、これまで自衛隊の「付随的任務」とされてきた国連平和維持活動(PKO)、イラク復興支援などの海外活動も、国土防衛と同じ「本来任務」に位置付ける。
        【教育基本法のポイント】
         ・公共の精神を尊び伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進。憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、振興を図る
         ・伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛し、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う
         ・教育は不当な支配に服することなく、この法律および他の法律の定めにより行われる
         ・政府は教育振興施策を総合的に推進するため基本的な計画を定め、公表しなければならない
        最終更新:12月16日8時0分
        (産経新聞)12月16日8時0分配信
        【コメント】何ともお粗末な茶番劇です。教育基本法を今日改正する必要性が不鮮明、議会での議論が不十分かつ強引な幕引き、地方分権の流れへの逆行=国家による教育統制の強化など、数の力におごったあさましい事態です。

        ●『子は国のものじゃない』
        教職員怒りの集結
         「教育の憲法」とされる教育基本法の改正案が十四日夕、怒号が飛び交う中、参院教育基本法特別委員会で可決された。戦前の教育勅語体制への反省から生まれた基本法の六十年ぶりの改正。日本の教育が戦後最大の転換点を迎え、「我が国と郷土を愛する態度」の養成などが重視されるとあって、国会周辺に集まった多数の教職員からは反発の声が上がった。
         「民主国家の宝を捨てるのか」「子どもは国のものではない」。十四日午後六時すぎ、教育基本法改正案が参院特別委員会で可決されると、国会周辺に集まった千人近い教職員らが一斉に怒りの声を上げた。
         「戦前の教育を受けた者として見過ごすことはできない。憲法と教育基本法は戦後に築き上げた民主国家の宝。改正は改憲の前段になるのではないか」と東京都の元教員の男性(74)。嘱託教員の女性(64)も「これだけ反対の声があるのに、結論を急ぐ安倍首相の姿勢はまったく理解できない」と憤った。
         小六の子どもを持つ千葉県の主婦(50)は、テレビの国会中継を見て駆け付けた。「国が自分たちに都合のいい子どもだけを育てようとしているように感じる。家でじっとしていられなかった」
         会社を早退して駆けつけたという東京都の男性会社員(53)も「審議を見ているとあらかじめ答えが決まっていたようで、実のある議論と思えない」と不満を漏らした。
         この日は、参院特別委員会の審議開始に合わせ、朝から改正に反対する教職員らが議員会館前の歩道に集まった。「教育基本法の改悪に反対します」などと書いた横断幕を掲げ、シュプレヒコールを繰り返した。
         国会には普段と同じように社会見学の小学生が集団で訪問。抗議の様子に驚いた児童に、引率の教員が教育基本法の改正について説明する場面もあった。国による統制色が強まる改正の方向性に大分県の女性教員(40)は「国が何でも思い通りに動かせると思っていることが腹立たしい。子どもは国のものではない」。
         長崎県の小学校の男性教員(45)は「教育行政の在り方を問う国相手の訴訟は、今後連戦連敗になるだろう」と予測した。
        ■委員長に野党議員 詰め寄る中で採決
         「本法案に賛成の方の起立を求めます」。十四日夕、再開された参院教育基本法特別委員会。野党議員が委員長席に詰め寄る中、中曽根弘文委員長が声を張り上げた。激しい怒号の中、与党議員が起立し、教育基本法改正案が可決された。
         朝から始まった委員会には午前中、安倍晋三首相が出席。前日、調査結果が発表されたタウンミーティングのやらせ質問問題に質問は集中した。「やらせでつくられた法律だという汚名が残る」と近藤正道議員(社民・護憲連合)が質問したのに対し、安倍首相が「やらせでつくられたとは言い過ぎだ」と気色ばむ一幕もあった。
         正午すぎ、安倍首相が退席した後、中曽根委員長が「おはかりします。教育基本法案につきまして…」と口にしたところで突然、絶句。委員会はそのまま休憩に。
         夕方再開した審議の冒頭、委員長は審議を打ち切るか、もう一度与野党が協議する場を設けるか、で自身が迷ったことを明かした。
        (東京新聞)2006年12月15日00時00分

        ●県教組:少人数学級拡大を 知事に4万人の署名提出 /佐賀
         県教職員組合(近藤正敏委員長)は14日、35人以下の少人数学級を小学3年生以上にも拡大するよう求め、古川康知事に県民約4万人の署名を提出した。知事は「実態は分かる」と理解を示したものの、教育委員会が知事部局から独立していることを理由に、対応には慎重な姿勢を示した。
         県内の小学校では、05年度から1、2年生を対象に、少人数学級と複数の教師で授業を行うチームティーチング(TT)のどちらかを選ぶ選択制を取っている。県教組によると、6割が少人数学級を選択しているが、最終的に市町教委が決定するため要望が通らない学校もあるといい、この日は「学校の要望を尊重してほしい」との要求も盛り込んだ。
         近藤委員長は「アンケートを取ると3年生の保護者の不満が大きいことが分かる。少人数なら子供たちの自己表現の場も増え、自信が持てるようになる」と、いじめや不登校などの解決にもつながると訴えた。
        12月15日朝刊
        (毎日新聞)12月15日15時1分配信

        ●自殺志願者 福井・東尋坊で保護100人 NPO巡回で
         自殺防止活動を進める福井県坂井市のNPO法人「心に響く文集・編集局」が、地元の観光名所・東尋坊で保護し、自殺をくい止めた人が04年5月の発足以来、100人になった。理事長の茂幸雄さん(62)は「(自殺対策基本法が施行されたが)国や自治体の政策は不十分」と話している。
         茂さんは県警三国署(現・坂井西署)の副署長だった03年9月、管内の東尋坊で断がいに立ちすくむ東京都の男性(当時55歳)と女性(同72歳)を保護した。茂さんは2人を励まし、少しの金を渡して帰したが、再出発を誓っていた2人は3日後に新潟県で自殺した。
         2人は東京に戻る金がなく、福井県内の役所を訪れていた。自殺の2日後、「役所でたらい回しにされ、『死ぬならどうぞ』とまで言われた。私たちのような人間を二度と出さないでほしい」という遺書が同署に郵便で届いた。それがNPO設立のきっかけだった。
         NPOでは茂さんと元教師ら55人が連日、東尋坊周辺を交代で巡回。今月14日午後には、石川県加賀市の男性調理師(60)が断がい近くで一人で海を見ていた。茂さんは「もう死ぬしかない」とつぶやく男性の肩を抱き、事務所に連れて帰った。入院費がかさみ、生活保護も認められず、自殺しに来たという。100人目の保護だった。
         保護した人は、男58人、女42人。関東や関西など県外者がほとんどといい、福井県内で住宅や仕事のあっせんもする。茂さんは今年9月、「毎日社会福祉顕彰」を受賞。基本法施行で県の「自殺・ストレス防止対策協議会」の委員にも任命されたが、いまだに具体策を示さない協議会に「行政が対応を誤れば、自殺者は増えるばかり」と話している。
        (毎日新聞)12月16日17時16分配信