発達変化する子どもの力に依拠すること
2007/02/18
親子関係がうまくいっていない、と言われるケースが少なくありません。中でも、父-娘関係が目立ちます。
娘を憎いと思う父親は滅多にいないはずです。関係性がうまく持てない理由として考えられるのが、「何を考えているかわからない」「どう接すればいいのかわからない」という言葉に隠れているわが子に接するスキルの少なさです。毎日の仕事に追われ、仕事を通しての様々な対人関係で疲れて帰るわが家で、家族との人間関係もうまくできる、という父親は表彰状ものかも知れませんね。
一方、娘の方はと言うと、「お父さんは嫌い」と言ってはばからないつわものも見受けられますが、よく話しを聴いていると、本当は「もっと自分のことをわかってほしい」「もっと関わってほしい」…と、表現する言葉とは裏腹にお父さんのことを求めているのです。
つまり、双方、基本的には求め合っている。しかし、その仕方が「わからない」ために素直な気持ちを伝えたり、行動化したりできないでいて、それらができない自身に「引け目」を感じ、「難しい…」と手をこまねき、徐々に距離を広げてしまう状態になってしまっているようです。
小学校5年生頃から、そんな関係性を気づき始めた女の子は、その距離感から「わかってくれない父親」「話しを聴いてくれない父親」と固定的にとらえ始め、距離を広げてしまいます。そして父親もまた、そんな娘の言動により関わることをためらってしまいます。でも、その関係性がずっと続くケースばかりでは無いようです。娘が思春期の課題をゆっくりと、かつしっかりと越えて行く中で、父親の存在や自身の依存心のありようを前向きに考えられるように成長してくれるからです。
もちろん、仲良しの父娘関係のまま、娘の思春期を過ごされる家族もおられます。
遠からず近からず、引け目を感じることなく深入りもせず、といった程良い距離感と、いつも「関心をもって見てる」「いつでも話しを聴くよ」という父親の態度と、娘の成長を信じて見守る姿勢が大切なのだろうと思えます。子どもたちは、着実に発達変化していってくれます。
逆に、してはいけないのは、子どものすることいちいちに対して細かく干渉し、禁止・抑制ばかりをしてしまうことでしょう。家庭が(少なくない)学校と同じように窮屈で不自由で自尊心を奪われる環境に感じられると、子どもたちは本当に居場所を失ってしまいますから…。
次回は「障害3区分に発達を加えて4区分にすべきでは?」について考えてみたいと思います。
では、この1週間の気になる記事です。
いじめが原因の少年事件、昨年は過去20年で最多
昨年1年間に全国の警察が検挙・補導した少年事件のうち、いじめに起因する傷害、恐喝などの事件は、前年比68件増の233件に上り、過去20年間で最多となったことが警察庁のまとめでわかった。
同庁では「いじめへの意識の高まりから通報が増えたことに加え、いじめ自体が増加している可能性もある」と分析している。いじめに起因する事件の統計は1984年から開始。85年の638件、1950人が、件数、検挙・補導人員とも最も多かったが、84年の531件、86年の281件と続き、これ以降、170件以内で推移していた。
2002年には94件に減ったが、その後、再び上昇に転じ、昨年は233件で4年連続の上昇となり、過去4番目に多くなった。検挙・補導人員でみても、前年比134人増の460人に上り、このうち中学生が352人を占めた。
(読売新聞)2月15日11時18分配信
●いじめで途中転校、市区教委の1割以上が手続き非公表
子供が小中学校に入学する際、いじめなどを理由に指定された学校を変更できる制度について、全国の市区教育委員会の1割以上が法令で義務づけられている具体的手続きなどを公表していないことが10日、内閣府の実態調査で明らかになった。内閣府規制改革推進室は近く該当する教委名を公表する方針だ。
調査は同室が昨年10~12月に全国802の市区教委を対象に実施した。回収率は87・4%だった。
学校教育法施行令では、市区町村教委が入学先を指定した小中学校を保護者の申請で変更できるとし、同施行規則で各教委がその具体的要件や手続きを定めて公表するよう定めている。しかし、103市区(14・7%)は「必要な事項を想定していないし、公表する予定はない」と回答した。
(読売新聞)2月11日14時4分配信
●<クラスター爆弾>米軍が高い不発弾率認識 イラク戦争
03年のイラク戦争で米軍が、不発弾となる危険性が極めて高いクラスター爆弾を、その危険性を強く認識しながら使用していたことが、毎日新聞が入手した米国防総省の文書などでわかった。イラクで使われた1万発を超えるクラスター爆弾の少なくとも2500発以上が、米軍内部で改善や使用削減の必要性が繰り返し指摘された危険な爆弾だった。また、こうした爆弾の07年時の保有量は450万発(子爆弾6億個)以上にのぼると推測されることも判明。大量の在庫を抱える米軍が今後も使用する可能性が懸念されている。
クラスター爆弾は、子爆弾が広範囲に飛び散って無差別に人を殺傷することに加え、不発のまま残された子爆弾が衝撃で爆発し、多くの2次被害を生んでいる。
毎日新聞が入手した米陸軍第3歩兵師団の会議資料(03年)によると、同師団はクラスター爆弾を1014発使用。また米空軍の調査(同)を分析すると、クラスター爆弾などを約1500発使用したこともわかった。これら計約2500発について国防総省が04年に米議会に提出した報告書をもとに調べた結果、いずれも子爆弾の不発率が4~16%と極めて高いことが判明。これだけでもイラクに不発弾4万~12万個が残された計算になる。
こうした不発率の高い爆弾は湾岸戦争(91年)で数万発使われ、不発弾で米兵80人が死傷。米陸軍の内部文書(96年)や国防総省が議会に提出した報告書(00年)は、クラスター爆弾の攻撃能力を高く評価する一方で、その危険性や改善の必要性を繰り返し強調。「不発弾となる最も大きな危険を引き起こす兵器の使用は徐々に停止しつつある」などと使用削減の方向性を示していた。
米軍が一部米紙に明かしたところでは、イラク戦争で計1万782発のクラスター爆弾が使われた。また民間団体「イラク・ボディー・カウント」によると、イラクで03年3月から05年3月までに不発弾で死亡した市民は389人で「大半はクラスター爆弾が原因」だという。
米国防総省の話 クラスター爆弾は合法的な兵器で重要な軍事的効果をもたらす。軍事作戦の際には市民への被害を回避すべく慎重を期している。米国はすべての爆発性戦争残存物(不発弾など)の削減に引き続き努める。
クラスター爆弾 数個から数千個の子爆弾を親容器に詰め込んだもので、爆撃機から投下または地上から発射する。着弾の角度などで不発に終わることも多い。イラク戦争のほかベトナム戦争やレバノンなどで多用された。
(毎日新聞)2月15日3時4分配信
●フリーター就職支援に「能力証明書」…政府が格差対策
政府の格差対策の基礎となる「成長力底上げ戦略」の基本構想が14日、明らかになった。
フリーターの就職活動を助けるため、公的機関が職業訓練の受講歴などを記載した証明書を発行する「ジョブ・カード」制度の創設のほか、授産施設で働く障害者などを対象とした「工賃倍増5か年計画」などの具体策を盛り込んでいる。
16日の経済財政諮問会議に報告し、6月に決定する「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に盛り込んだうえで、2008年度から本格的に実施する方針だ。
基本構想は、2月初めに発足した「成長力底上げ戦略構想チーム」(主査・塩崎官房長官)がまとめた。政府として具体的な低所得者層の所得向上策を示すのが狙いだ。
(読売新聞)2月15日3時7分配信
●<児童虐待>過去最多の297件 警察庁まとめ
昨年の児童虐待事件の検挙件数が297件(前年比33.8%増)と、統計を取り始めた99年以降で最も多くなったことが、警察庁のまとめで分かった。被害児童数も316人(前年比38.0%増)と最多で、死亡した児童も59人(同55.3%増)と、01年の61人に次いで多かった。児童買春・児童ポルノ事件の検挙件数も2229件(同8.8%増)で統計を取り始めた00年以降で最も多く、子どもたちを取り巻く環境が厳しさを増している状況がうかがえる。
同庁によると、児童虐待の被害児童316人のうち暴行など身体的虐待を受けた児童が215人▽わいせつ行為など性的虐待が77人▽ネグレクト(育児放棄)が24人。昨年10月には京都府長岡京市で3歳の男児が両親から食事を与えられずに餓死するなど、ネグレクトの被害児童は前年の11人から2倍以上に増えた。
死亡した被害児童59人の事件の状況別では、秋田県で昨年4月、畠山鈴香被告(34)が長女(9)を川に突き落として殺害▽同県で10月、4歳の男児が母親の進藤美香被告(31)と交際中の男(43)に殺害されるなど、殺人が最も多く36人。続いて、▽傷害致死15人▽保護責任者遺棄致死6人▽重過失致死2人。
一方、児童買春事件の検挙件数は1613件(同2.2%増)、検挙人数は1140人(同11.3%増)。児童ポルノ事件の検挙件数は616件(同31.1%増)、検挙人数は350人(同12.2%増)になり、いずれも00年以降で最悪。児童買春の被害児童は1335人(同11.2%減)だったが、児童ポルノの被害者は269人(同9.3%増)だった。
(毎日新聞)2月15日11時41分配信
●いじめ原因の事件 前年比41%増 昨年 「無抵抗だから」動機・原因の半数
昨年1年間に全国の警察が検挙・補導したいじめに絡む事件は、前年比41・2%増の233件で、4年連続で増加したことが15日、警察庁のまとめで分かった。検挙・補導者数も41・1%増の460人に上り、うち中学生が76・5%だった。原因・動機は「(被害者の)力が弱い・無抵抗」が46・3%と突出していた。いじめの被害者に落ち度がなくても、力が弱かったり、拒絶する意思を示さないと、いじめのターゲットになる傾向が強まっていることが浮き彫りになった。またこの数値は過去10年でもっとも高かった。
原因・動機調査は、いじめに絡む事件の捜査で、被害者、加害者の事情聴取などから得た情報を都道府県警が分析。該当するとみられる項目を複数回答で選び、警察庁でまとめた。
233件の事件の内訳は、いじめる側による傷害や強要などが223件、いじめられた仕返しが10件だった。
検挙・補導者は、小学生が対前年比5人減の18人、中学生は112人増の352人、高校生は27人増の90人で、中学生による事件の急増が目立っている。
「原因・動機」では、「力が弱い・無抵抗」につぎ、「いい子ぶる・なまいき」(15・0%)、「態度動作が鈍い」(7・8%)、「よくうそをつく」(6・3%)-などが続いた。
また、いじめの被害者210人について相談相手を複数回答で調べたところ、「保護者」が120件で57・1%。次いで「教師」が76件で36・2%、「警察などの相談機関」は65件で31・0%だった。「相談しなかった」は21・9%で、対前年比で13・6ポイント減少した。
「保護者」や「教師」に相談した被害者は過去10年間横ばいだが、「警察など」に相談した割合は9年の7・3%から急増しており、被害者がいじめ解決の糸口を警察などの専門機関に求める傾向が強まっている。
いじめに絡む事件をめぐっては、愛知県で昨年11月、14歳の男子中学生2人が、長期間のいじめの末、同学年の男子生徒(14)の両手足を粘着テープで縛り、蹴るなどして、全治10日間のけがを負わせるなど、長期のいじめが傷害事件に発展するケースが目立っている。
(産経新聞)2月16日8時0分配信
●3歳児健診が発達障害発見に効果
自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などの「発達障害」の疑いのある児童を早期に発見しようと、県出先機関などが独自に作成した三歳児健診向けチェックシートが効果を上げつつある。問診する保健師が利用するもので、二〇〇六年度上半期に東青地区で試行的に導入したところ、従来は発見の難しかった知的障害を伴わない発達障害児などを発見できたという。関係機関は他地域での活用も視野に内容を充実させ、早期の療育・教育につなげていく考えだ。
十三日、県庁で開かれた県発達障害者支援体制整備検討委員会の席上、中央児童相談所の児童心理司が報告した。
発達障害は早期の適切な対応が重要とされる。しかし、三歳児健診の問診は限られた時間で行われ、国の実施要綱に基づく従来の手法では、一部の発達障害児しか発見できなかった。
こうした中、東地方健康福祉こどもセンターや青森市保健所、東郡四町村の保健師や児童心理司らが問診票とチェックシートを作成。〇六年度上半期、東青地区の三歳児健診で活用するとともに、支援体制を検討した。
その結果、上半期の受診者千二百七十六人のうち、問診票で八十九人を抽出。保護者の同意を得た七十三人にチェックシートを活用したところ、「広汎性発達障害の可能性あり」十二人、「何らかの発達障害の可能性あり」が二十四人だった。その後の精密健診と整合性があり、シートの有用性が認められた。
取り組みにより、知的障害を伴わない児童を発見できたほか、保健師の経験・知識に関係なく見立てを行うことができるようになったという。
(東奧日報)2007年2月14日
●<国家公務員>中途障害者「救済を」…人事院が是正を要求
在職中に障害者となった国家公務員が病気休暇や復職に必要な研修を認められず、退職を迫られている例があるとして、人事院は各省庁に是正を求める通知を出した。改善を求めてきた全国視覚障害者雇用促進連絡会(雇用連)の田中章治会長は「中途障害者の継続就労の道が開ける画期的な判断。地方公務員や民間企業にも波及することを期待している」と評価している。
国家公務員一般職の勤務時間や休暇を定めた勤務時間法によると、病気休暇が認められるのは、けがや病気で療養する必要があり、勤務しないことがやむを得ない場合。期間の制限はないが、90日を超えると給与は半額となる。
ところが、雇用連によると、99年秋に病気で視力が低下した20代の男性国家公務員が、人事担当者から「将来を考えて、新しい技術を身に着けて新しい道に進んだらどうか」と促されて退職せざるを得なくなるなど、問題のある事例が相次いでいる。このため、雇用連は05年12月、「訓練すれば職場復帰できるのに、退職せざるを得ない例がある」などと中途障害者に対する病気休暇の取得を求めていた。
人事院はこれを受け先月29日付で、(1)けがや病気が治る見込みがなくても、医療行為として行うリハビリは病気休暇の対象(2)点字訓練や音声ソフトを用いたパソコン操作など、復職に必要な技術を習得する訓練は、人事院規則に基づく研修として認める――と各省庁に通知した。研修に認められると、給与は全額支給される。
さらに、総務省は2日、各都道府県や政令指定都市に人事院の通知を送った。あくまで「参考」だが、同省公務員課は「各自治体の判断だが、同様の措置をとってもらえることが望ましい」と話している。
(毎日新聞)2月18日3時4分配信
●<職場いじめ>深刻化…カウンセラー、8割「相談受けた」
社員の心のケアなどに配置されている産業カウンセラーの約8割が、社員の職場でのいじめに関する相談を受けていることが、日本産業カウンセラー協会のアンケートで分かった。弁護士などが実施する労働相談でも、ここ数年いじめに関する相談が急増しており、大人の世界でもいじめは深刻化していることをうかがわせている。
同協会が、資格を持って活動している全国100人の産業カウンセラーにアンケート調査を実施、74人から回答を得た。
その結果、職場でのいじめで相談などを受けた人は約8割(59人)に上った。内容(複数回答)は、セクシュアル・パワーハラスメント(40人)▽人間関係の対立(32人)▽能力が低いといじめる(25人)▽ノルマ未達成でのいじめ(18人)――などだった。中には仕事ができることをねたまれてのいじめや、退職に追い込むため仕事を与えないなどのいじめもあった。
職場でのいじめが起こる理由(複数回答)については、コミュニケーション能力の欠如(58人)▽人権感覚の低下(51人)――など個人の意識を挙げる回答と、成果主義の失敗(44人)▽過重労働を強いるシステム(32人)――など会社の働かせ方を理由に挙げる回答が多かった。また「格差社会になり、自分を守ることだけで大変な状況」という現代社会を象徴する人間関係の希薄さを指摘する意見もあった。
(毎日新聞)2月18日3時3分配信
●いじめ:悩み教えて 全国の小中校に、ミニレター配布へ /福島
全国でいじめによる子どもの自殺が起きている事態を受け、法務省と全国人権擁護委員連合会は、いじめなど困り事を抱える子どもからの相談に応じる「SOSミニレター こころのメッセージ」の配布を、今月から全国の小中学校で配布を始める。20日の東京での発表を前に、滝田三良・同連合会会長(県弁護士会郡山支部)が16日、郡山市役所で会見し明らかにした。
ミニレターは小中学生がA4用紙に悩み事を書いて投かん(切手代は無料)すると、各都道府県の人権擁護委員が、手紙か電話で返事する。県内では、福島地方法務局と県人権擁護委員連合会が主体となり、教育委員会や小中学校にミニレターを配布し、子どもたちへ制度の趣旨を伝えるよう要請する。
郡山人権擁護委員協議会では06年10月、郡山市の2校と田村郡3校で先行実施した。子どもからは2通のミニレターが届き、「決して自殺してはいけないよ」などのメッセージを伝えたという。
滝田弁護士は「いじめ問題に対し、学校だけではなく法務省も対応することで、いじめを行っている子どもが『まずいな』と感じるのではないか。いじめに対する抑止力を期待している」と話した。
(毎日新聞)2月17日13時1分配信
●<いじめ自殺>大河内君の父「いじめ相談員」に 愛知・西尾
愛知県西尾市教委は、いじめを苦に94年に自殺した同市の中学2年、大河内清輝君(当時13)の父祥晴さん(60)を、4月から同市が導入する臨時職員「いじめ相談員」に任命することを決めた。いじめ問題に向き合ってきた祥晴さんに同市が昨年末から打診し、先日快諾を得たという。
(毎日新聞)2月16日11時51分配信
障害というハンディキャップがあることで、障害を持っている人がその人らしく生きていくためには、程度の違いこそあれ、他者の援助を必用とします。親や家族、学校や施設、職場など、当事者の回りにいる人が、その援助者となるわけです。
専門職としての援助者はいうまでもなく、こうした一般の方においても、障害をお持ちの方と関わる場合に忘れてほしくない視点があると思います。
それは、一言で言えば、「人間としての尊厳」、それが守られているか、ということかと思います。
1948年、国連において、第二次世界大戦への反省から「世界人権宣言」が採択されました。その第1条には「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である」とうたわれています。1979年には「国際障害者年行動計画」が決議され、「完全参加と平等」を基本理念とし、「ある社会が、その構成員であるいくつかの人を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会である」と表現しています。
障害は、21世紀になった現在においても残念なことに、健常あるいは定型発達をした人から、「違い」や「不遇」などの偏見をもって見られてしまうことが少なくないのが実態でしょう。
でも、考えてほしいのです。視力が悪く眼鏡やコンタクトレンズのお世話になっている人は、視力に障害がある人です。抑うつや不安などから睡眠リズムに困難のある人は、睡眠に障害のある人です。加齢によって足腰が弱って杖などのお世話になっている人は歩行の障害のある人です。発達障害の人は、生得的な脳中枢の発達の偏りによって様々な機能に障害を生じている人です。
眼鏡や杖などの具体的な補助具、抑うつを押さえたり睡眠を調整する薬物など、健常、定型発達と言われる人の中にもこうした「助け」によって生きやすさを維持している人は沢山おられます。こうした「助け」がニーズに基づいて開発され普及されてきました。今、生きづらさを感じておられる障害のある方は、こうした「助け」にまだ恵まれていない状態にあると考えてはどうでしょうか。「助け」は道具であったり、薬物であったり、環境や人的介助であったりします。何かをしたくて、一人では出来ないとき、誰かの力を借りることでそれが実現できることは少なくありません。助けあうことで、人の関係性は深まり、喜びや達成感を味わい、人間として豊かに生きて行けます。
この「助け」を増やすこと、障害のある人が、人として、その人らしくその人の人生を楽しく生きるための援助が広がることは、すべての人が生きやすい世界を創ることにつながるのではないでしょうか。
次回は「発達変化する子どもの力に依拠すること」について考えてみたいと思います。
では、この1週間の気になる記事です。