小さな自信が大きな動きの原動力。
2007/03/18
不登校やひきこもりの状態にあって、さまざまな神経症(対人恐怖や不安など)や抑うつ症状を出しておられる方の中で、何らかの小さな「変化」で「動き」が始まる方がおられます。
「変化」は日常生活の中で、ちょっとした「非日常」事態が起こった時などによくみられます。家族構成の変化(結婚や出産、転居…)や家族の所属の変化(進学や転職、入院…)、旅行や家族以外の人の訪問など、さまざまですが、結果、本人の気持ちを揺さぶることになれば、何らかの変化をみせてくれます。その変化に気づいてあげることが大切であることは言うまでもありません。
その小さな「変化」によって「動き」を出すと、本人は非日常的な体験をすることになります。その体験が、自身が「動けた」「○○をした」という能動的な体験として認知され、自らの変化として受け止められれば、それは小さな「自信」になる可能性があります。
人が、変わり、動き出すためには、この「自信」が不可欠です。そして、小さな「動き」→小さな「自信」→小さな「動き」→小さな「自信」…という積み重ねが、徐々に大きめの「自信」となり、気がつけば大きな「動き」となります。
この「非日常」状態での本人の「小さな変化」を、家族がきちんと気づき、小さな「動き」への原動力となるように位置づけることができるかどうかが大切で、私の御家族(主に母親)へのカウンセリングでは、この気づきと位置づけの促進に力をおいています。またご本人へのカウンセリングでは、「小さな変化」「小さな動き」を尊重し、それが「できた」ご本人を肯定的に受容してもらえるようアプローチしていっています。「小さな動き」の肯定的な受容→「小さな自信」、この積み重ねで自尊感情を取り戻していってもらいたいのです。
御家族からしてみれば、そんなささいなことで…、と思われることで、本人の「大きな動き」につながることがあります。
次回は「住居費負担は高すぎる」について考えてみたいと思います。
では、この1週間の気になる記事です。
<イラク帰還兵>4分の1にPTSD 3割以上治療必用
イラクとアフガニスタンから帰還した米兵約10万人のうち、4分の1が心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的障害があると診断されたことが、12日発行の米医学誌に掲載されたカリフォルニア大サンフランシスコ校などの研究で明らかになった。家族との関係維持に問題があるなど心理的トラブルを抱える事例も含めると、3割以上が治療や心理的ケアを必要とする状態にあるという。
同校医学部のカレン・シール博士らは01年9月~05年9月に退役軍人省の医療施設などを訪れたイラクとアフガンの帰還兵10万3788人のデータを分析。25%にあたる2万5658人が精神的障害を有すると診断されたことを確認した。最も多かったのは1万3205人を数えたPTSDで、精神的障害と診断された患者の半数に達した。医療施設を訪れた帰還兵総数の13%にあたる。
他の診断例は不安障害、適応障害が多かった。複数の精神的障害を持つと診断された帰還兵も1万4339人いた。
研究チームによると、障害が見つかった比率が最も高かったのは18~24歳の若い兵士で、患者中の28%(7558人)を占めた。性別では、女性兵士の方(26%)が男性兵士(25%)よりわずかに高かった。
シール博士らは「特に若い兵士を対象に、予防措置や早期診断システムの改善が必要だ」と指摘している。イラクやアフガニスタンでの戦闘はゲリラ戦的要素が強く、「見えにくい敵」を相手に多くの兵士が死傷している。専門家らは兵士の心理的ケアの改善を以前から求めている。
(毎日新聞)3月13日11時37分配信
●<転落>小学校で小5男児重体 愛知・豊明
14日午後5時40分ごろ、愛知県豊明市新田町西筋の同市立中央小学校(松原康久校長、児童数898人)の敷地内で、同市内に住む会社員(36)の長男で、同小5年生の男児(11)が頭から血を流して倒れているのを男性教師(28)が見つけ、119番した。男児は意識不明の重体。校舎2階から「ごめんなさい」などと書かれた男児が残したとみられる紙片が見つかっており、同県警愛知署は校舎から飛び降りるなどした自殺未遂と事故の両面で捜査を始めた。
調べでは、男児は「管理棟」と呼ばれる3階建て校舎の1階配ぜん室東側のコンクリート通路上に倒れていた。発見の約10分前、現場の真上にある2階通路の突き当たりの窓が開いているのを別の教師が目撃しており、そこから落ちた可能性がある。男児の教室も2階にある。
同小によると、この校舎と西側の体育館との間の敷地に男児のランドセルや帽子、靴などがあった。上履きはげた箱に入っていた。男児はこの日午後3時半まで授業に出席し、放課後は所属しているサッカークラブの練習に参加。午後5時15分ごろの練習終了まで参加したことが確認されている。発見時の服装はクラブで着用する体操着ではなく、普段着だった。
同小の教頭は「大事な子供の命が危ない状態になり、申し訳ない」などと話した。同小は豊明市役所南の住宅街の一角。
(毎日新聞)3月15日3時4分配信
●<国民健康保険>受診遅れなどで29人が死亡 民医連調査
全日本民主医療機関連合会(民医連)は15日、国民健康保険(国保)の保険料が支払えず、医療機関への受診が遅れたことなどによって死亡した人が、05年1月~07年2月で計29人に上ったと発表した。民医連の加盟事業所約1700施設などを対象に調査した結果で、男性が20人、女性が9人。50代が11人で最も多かった。
民医連によると、会社をリストラされた後、病気などで再就職できなかったため、保険料が支払えず、病気になっても全額自己負担で受診せざるを得ず、結果的に病気が悪化して亡くなった例などがあるという。29人のうち、5人は保険証を持っていたが、経済的に苦しくて受診を抑制するなどしていたという。
厚生労働省によると、06年の国保の滞納世帯は約480万世帯(国保世帯全体の19%)。1年以上保険料を滞納した人に発行する「資格証明書」は昨年6月現在、約35万世帯に上っているという。
(毎日新聞)03月15日21時34分
【コメント】今朝の朝刊にも、病気で寝たきり状態の夫が医療につなげられずに衰弱死したという記事が載っていました。妻はパートを3つ掛け持ちし、必至で働いて収入を得ていましたが、家賃と消費者ローンの返済で大半が消えて行き、医療費が捻出できなかった結果の悲しい出来事です。
●札幌で輪禍死障害者の両親 「逸失利益ゼロは不当」 加害者らを提訴へ
交通事故で死亡した自閉症の長男=当時(17)=の逸失利益を「ゼロ円」と算定したのは不当だとして、札幌市内の両親が、加害者の運転手と事故当時、長男を介護していたヘルパーらを相手取り、同年代の健常者と同じ逸失利益約四千二百万円を含む約七千三百万円の損害賠償を求め四月上旬、札幌地裁に提訴することが十四日、分かった。これまで、重度の障害者に健常者並みの逸失利益を認めた判決はなく、逸失利益の見直しを求める訴訟は全国でも異例だ。
両親らによると、重度の自閉症だった長男は二○○五年八月、ヘルパーに付き添われ、初めて路線バスを利用して札幌市内の公園へ行った。バスが公園内の停留所で停車し、ヘルパーが運賃を支払っている間に、長男は道路へ飛び出し、乗用車にはねられ死亡した。
事故の数カ月後、加害者の代理の損害保険会社が、男性の両親に賠償額の見積もりを提示。長男が受け取るはずの障害者年金を将来の収入と認めず、逸失利益をゼロと算定し、賠償額の総額は慰謝料など千六百万円とした。
逸失利益は、被害者が生きていれば将来得られたはずの収入で、同じ年代の健常者でも、職種などによって数千万円の差が生ずることもある。一般的に、障害者は仕事に就きにくいため、収入予想額を低く算定され、障害が重度になるほど逸失利益は低くなる。
両親は「障害者だからといって、命の対価と考えられる逸失利益がゼロ円なのは明らかな差別で、人権を無視している」と訴える。
両親の代理人を務める児玉勇二弁護士(東京)は「重度の障害者でも発達の可能性はあり、逸失利益に差をつけるのは不合理。少なくとも、法律で定められた最低賃金をベースに算定するべきだ」と話している。道内関係では、旧上磯町(現北斗市)の知的障害児施設で入浴中に死亡し、逸失利益を「ゼロ円」と算定された男性=当時(16)=の青森県に住む両親も、近く同様の訴訟を青森地裁に起こす。
(北海道新聞)2007/03/15
●小5自殺「教諭の体罰原因」=両親が北九州市を提訴-福岡地裁支部
北九州市で昨年3月、市立青葉小学校5年永井匠君=当時(11)=が首をつって自殺した問題で、原因は担任教諭の体罰だとして、父親の昭浩さん(46)と母親の和子さん(45)が15日、市に総額約8100万円の損害賠償を求める訴えを福岡地裁小倉支部に起こした。
訴状によると、昨年3月16日、匠君の同級生の女児が、新聞紙を丸めたもので匠君にたたかれたと50代の女性教諭に報告。教諭は匠君を問いただし、胸をつかんで床に押し倒すなどの体罰を加えた。
帰ると告げた匠君が教室に戻って来ると、教諭は「何で戻って来たんね」と叫び、匠君はランドセルを持って学校を後にした。帰宅後、匠君は自宅で首つり自殺した。
この問題で5年生の児童が記入した学校側のアンケートには、当日の目撃情報が含まれていたとされ、両親は真相解明のため開示を求めた。しかし、市教委の指示を受けた学校が廃棄したと、両親側は指摘している。
(時事通信)3月15日20時30分配信
●北九州・若松区の小5自殺:「匠の死無駄にしたくない」両親、写真と名前公表/福岡
「匠の死を無駄にせず、二度とこういうことが起こらないようにと写真と名前を公表しました」――。若松区の市立青葉小5年生だった永井匠君(当時11歳)が自宅で自殺してから16日で1年。記者会見した母和子さん(45)はこう訴えた。なぜ幼い命が失われたのか。両親は裁判の中で少しでも真相が明らかにされることを願っている。
父昭浩さん(46)と和子さんは、今月1日に市教委から事故報告書案が示されたことを明らかにした。しかし、昨年5月に学校が市教委に示した内容とほぼ変わらないものだった。教諭が永井君の服をつかんで持ち上げ、床に倒した行為を「指導の一環だった」とし、行為と自殺との因果関係も「分からない」と記した内容だったという。
両親が求めてきた第三者による調査については「できないという回答で、理由は説明されなかった」と昭浩さん。市教委や学校が児童のアンケートを廃棄した後、両親に「カウンセラーが持っている」などと虚偽の説明をしたことに対しても不信感を表明した。
両親への虚偽説明について、市教委指導部の平林末一主幹は「今は否定も肯定もできない」と話した。
(毎日新聞)3月16日13時2分配信
【コメント】「否定も肯定もできない」というコメントをすること自体に、異常さを感じることはないのでしょうか。
●<自殺予防>教師に基礎知識の教育必要 文科省検討会が提言
子どもの自殺予防策を話し合う文部科学省の検討会は16日、教師を対象とした自殺予防教育や、自殺の実態把握のための体制整備など、ただちに実施すべき対策を報告書にまとめた。自殺直前のサインも具体的に取り上げた。文科省は全国の自治体に報告書の活用を促す。
報告書は、教師が初任者研修や年次別研修、管理職研修などで、自殺予防に関する基礎知識を学ぶことを提言した。また、自殺の実態を把握するため、学校関係者による調査に限界がある場合、第三者による調査が必要とした。
自殺のサインとしては「これまでに関心があった事柄に興味を失う」「注意を集中していられない」などの「突然の変化」をはじめ、「遠くに行ってしまいたい」などの「自殺のほのめかし」や「大切な持ち物を友人にあげる」というような「別れの用意」を紹介。「総合的に判断することが重要」と注意を求めている。
検討会は昨年6月、自殺対策基本法が成立(10月施行)したのを受け、文科省として本格的な自殺対策に取り組むため、8月に設置された。
(毎日新聞)3月16日21時50分配信
●<ネット自殺予告>昨年、警察が39人を説得
インターネット上での自殺予告について、昨年1年間に警察が接続業者からの発信者情報などの提供を受け、説得にあたったケースが75件79人あり、このうち43人が助かったことが警察庁のまとめで分かった。39人は警察官が説得するなどして自殺を思いとどまらせ、4人は自殺を図ったものの周囲の人が救護したという。
(毎日新聞)3月15日21時19分配信
●「総合支援学校」に名称変更 京都市立の総合養護学校
京都市教委は4月1日から、市立の総合養護学校7校の名称を「総合支援学校」に変更する。市議会で13日、関係条例の改正案が可決された。
4月からの学校教育法改正で、障害の種別ごとに分かれていた盲・ろう・養護学校は制度上、地域の学校で学ぶ学習障害(LD)などの児童、生徒への支援強化も目指して「特別支援学校」に変わる。市教委は2004年度から、障害の種別にとらわれない総合養護学校に移行させているが、「地域と連携して支援を進める『教育センター』機能をより的確に示す名称として、総合支援学校にすることにした」(総合育成支援課)としている。
(京都新聞)3月13日21時18分配信
【コメント】障害のラベル貼りがすすむ一方で、「支援」という言葉がたくさん使われるようになりました。しかし、その実態は、さまざまな障害を一括りにしてしまう「自立支援」や今回の「総合支援」という安上がりの対策への変更が進んでいるだけのような気がしてなりません。本来、一人ひとりが持っている生活のしづらさに対して個別の必用な支援が受けられるようになるべきです。「総合支援」が、「隔離」とならないよう、厳しく見守っていく必用があります。
●新たな「教師力」を模索 大津でフォーラム 校長や高校生ら討論
求められている教師像などについて意見を述べるパネリストたち(大津市・ロイヤルオークホテル)
滋賀大は17日、大津市のロイヤルオークホテルで「いま滋賀が求める教師とは!」と題したフォーラムを開いた。不登校やいじめ、保護者の理不尽な要求などさまざまな問題が教育現場に山積する中、パネリストとなった同大学教授や小学校の校長、そして新年度から教員になる大学生や教員を目指す高校生ら6人がそれぞれの立場から意見を述べた。会場には教職員や保護者ら約150人が詰めかけ、6人の話を聞いた。
住岡英毅同大学教授らが「新しい教師力」と題し基調講演したのを受けてパネル討論がスタートした。司会者からの「優れた教師とは」という質問に、今春から教職に就く滋賀大4年の田中ゆかさんは「いろいろな問題を抱えた子どもがいるが、彼らが自分自身の良さに気づき、存在価値を感じられるよう、働き掛けができる教師」と述べた。教員を志望している膳所高2年の高坂麻菜美さんは「さまざまな問題を解決できる対応力が必要」とした上で「個人の力では限界があるので、結束した団結力を持つ教師集団も大切」と指摘した。
「実践力を高めるには」という司会者の問い掛けに対しては、石山小学校(大津市)の細川寛校長が「自分の言うことを聞かない子を煩わしく思うのでなく、自分を育てることに一役買ってくれると考えれば、おのずと方策が見いだせるのでは」と述べた。
(京都新聞)3月17日23時28分配信