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        15の春は…。
        2007/04/01
        まず、報告です。精神保健福祉士国家資格試験、見事合格しました。決して良い得点で、とは言えませんが、とにもかくにも合格は合格です。素直に喜びたいと思います。お騒がせしました。
         さて、今日の本題です。
         「15の春は泣かせない」、は元京都府知事であった蜷川虎三氏の有名な言葉です。高校通学圏や入試制度をめぐってはさまざまな議論があり、さまざま制度が変わって来ています。15歳で、人生の岐路となる選択を受験「学力」で行うことに対しては、様々な批判が行われるようになり、「中高一貫教育」という新たな制度も広がってきています。「中高一貫教育」については、15歳どころか12歳で進路選択を迫るという新たな過酷な試練を子どもたちに課すという問題を生んでいます。「お受験」の公立版とも言えます。
         15歳といえば、思春期のまっただ中。自分探しの旅の最中です。たっぷりと他者と関わり、自己と対話し、自身をみつけていきながら自己肯定感情を高めていって欲しい年齢です。この大切な発達の課題を、「受験」という課題が疎外してしまっていると言えます。
         さらに昨今の体制側による新自由主義の思想の意図的な普及の中で、自己責任論が子どもたちの意識の中にも定着が進んでいて、「負け組」にならないために「失敗はゆるされない」というがんじがらめの自己への「追いつめ」が起こっています。
         念願かなって志望校に進学できたとしても、受験期間中に積み残した発達の課題はうまく処理されないまままた、積み残されていってしまいます。一方で、志望校に行けなかった子どもたちは、「負け組」のラベルを背に張られ、負の荷物を背負いながらその後の人生を生きていかなければなりません。
         人生の岐路を、15歳で迎える仕組みが、子どもたちや親に与えるストレスは、様々な精神へのダメージとなることが少なくありません。不登校、いじめ、自傷行為、摂食障害、さまざまな神経症状や精神病理の発生・発症が15歳前後に始まることはそれを示しています。
         一人ひとりの子どもたちの人格形成を考えるならば、15歳の春は、ゆったりとできる人生の季節であってほしいと思います。
         次回は「白か黒か、0か100か…」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        「ネット中傷」相談8千件、目立つ中高生のトラブル

        京インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷について、全国の警察に寄せられた被害相談が昨年、前年比39%増の8037件にのぼったことが、警察庁のまとめでわかった。
         名誉棄損罪で摘発するなど刑事事件に発展したケースも57件と、いずれも過去最多。目立つのが中高生ら同士のトラブルやいじめで、不登校や自殺未遂に至る事態も起きている。しかし、発信(書き込み)者が特定されるのは一部で、“匿名社会”における言葉の暴力の氾濫(はんらん)に対応が追いついていない。
         同庁によると、ネット上の中傷を巡る昨年の相談件数は、5年前の2267件の約3・5倍に急増。昨年の摘発例も名誉棄損容疑が53件、侮辱容疑が4件で、両容疑の合計件数は、過去最多だった2003年(51件)を上回った。相談の中には仕事のトラブルや男女関係のもつれなどもあるが、警察庁幹部は「最近は中高生など未成年のケースが目立つ」と分析する。
        (読売新聞)3月29日19時18分配信
        【コメント】被害相談は氷山の一角です。相談できずに悩んでいる子どもたちはその何倍もいるのではないでしょうか。ネットや携帯は便利なツールである一方で、匿名性などの機能を使った新たなイジメのツールとして普及してしまいました。考えて欲しいのは、子どもたちは、大人の真似をしている、ということです。

        ●脳神経網形成の関連遺伝子が異常=自閉症の早期診断期待-理研と都立病院
         脳の発達障害と考えられる自閉症は、脳神経ネットワークの形成に重要な役割を果たす物質の分泌を促進する遺伝子の異常が一因であることが分かった。理化学研究所と東京都立梅ケ丘病院の研究チームが25日までに、米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションの電子版に発表した。
         自閉症は3歳ごろまでに発症し、対人関係の障害や関心対象の狭さ、同じ行動の反復などが特徴。この遺伝子「CADPS2」に異常があるかないか、早期に調べて診断できれば、教育などによる症状の改善効果が高まると期待される。
        (時事通信)3月25日16時2分配信

        ●学校評議員、初めて80%超す 「外部の目」指導に好影響
         学校運営について外部からの意見を聞く「学校評議員制度」が、公立学校の82・3%に設置されていることが28日、文部科学省の調査で分かった。平成17年度より3・9ポイント増で80%を超えたのは初めて。「外部の目」が学校の指導に好影響を与えていると評価されている。
         「学校評議員」は保護者や地域住民から意見を聞き、学校への理解や協力を得る目的で12年に導入された。
         調査は18年8月1日現在、すべての国公立の幼稚園、小中高校、中等教育学校、盲・聾(ろう)・養護学校約4万2800校を対象に行った。
         学校評議員または類似した制度を設置しているのは、公立学校で3万5042校、検討中が2284校(5・4%)。校種別では、幼稚園1860校(35・5%)▽小学校1万9619校(88・2%)▽中学校8944校(88・5%)▽高校3728校(92・4%)▽中等教育学校14校(100%)▽盲学校など877校(94・0%)-。国立学校262校はすべて設置していた。
         評議員の人数は「4人以上7人未満」が公立で64・8%、国立で71・0%と最多。意見聴取回数は年1~3回の会合が最も多く公立で82・4%、国立で97・3%だった。意見を聞く内容は「基本的な目標・方針の決定」「学校評価」「危機管理・安全管理」「学校の施設設備」などが多かった。
         東京都練馬区立光和小学校の寺崎千秋校長(全国連合小学校長会長)は、評議員は地域と学校を結ぶうえで有効だと評価する。「例えば、評議員会であいさつ指導の協力を求めたところ、『街ではあいさつしない』と意見が出た。そこで互いに率先して声をかけようと合意、意識しあうことで子供の安全確保にもつながった」という。
         山梨県内の高校では最寄り駅の駅長が評議員に加わり、登下校時の様子を連絡してもらうことで、生徒指導の参考にしている。
         政令指定都市で全校に設置されているのは仙台、千葉、静岡、神戸、広島、北九州の6市、都道府県では岐阜県の98・4%が最高だった。
        (産経新聞)3月29日8時0分配信

        ●<人権侵害>学校のいじめ関連35.9%増 法務省まとめ
         人権侵害の疑いがあるとして、全国の法務局が昨年1年間に調査救済手続きを開始した件数は2万1328件(前年比10.4%減)に上ることが30日、法務省のまとめで分かった。学校でのいじめに関するものが973件(同35.9%増)、社会福祉施設の職員による入所者の虐待が142件(同21.4%増)で、増加が目立った。
         学校でのいじめに関する調査が増えたのは、いじめによる自殺が社会問題化し、相談態勢を強化した影響とみられる。このうち7件については、学校側がいじめを放置するなど不適切な対応だったとして、再発防止に向けた取り組みを行うよう校長や教育委員会などを指導した。
        (毎日新聞)3月30日11時2分配信

        ●<社会意識調査>「悪い方向に」教育がトップ 内閣府発表
         内閣府は3月31日、社会意識に関する世論調査結果を発表した。現在の日本の状況について「悪い方向に向かっている」と思う分野を複数回答で聞いたところ、教育が前回(06年)から12.3ポイント増え36.1%となり、98年にこの質問を盛り込んで以来最高で、初のトップとなった。高校の履修不足問題や、相次ぐいじめ自殺などが影響したとみられる。医療・福祉31.9%、地域格差26.5%も10ポイント以上の増加で過去最高を記録した。
         「政治や社会情勢の影響を受けやすい調査」(内閣府)だけに、安倍政権の課題を浮き彫りにした形だ。
         調査は1~2月、全国の成人男女1万人を対象に面接方式で実施。5585人(回収率55.9%)から回答を得た。
         教育と答えた人を男女別にみると、男性36.7%、女性35.6%。年代別では男女とも30代がトップ(男性47%、女性47.8%)で、20~40代の男女がいずれも4割を超えるなど、子育て世代の教育不安を裏付けた。
         教育に、前回トップの治安35.6%(前回比2.7ポイント減)、雇用・労働条件33.5%(同4.6ポイント増)が続いた。急増した医療・福祉(31.9%)と地域格差(26.5%)はそれぞれ、5位と8位だった。
         小泉政権で増加の一途だった外交は前回比8.9ポイント減の22.4%で、日中、日韓首脳会談の再開といった安倍外交を国民が評価していることをうかがわせた。
         一方、「良い方向」(複数回答)は(1)科学技術19.7%(2)通信・運輸18.9%(3)医療・福祉16.5%――の順だった。
        (毎日新聞)3月31日19時31分配信
        【コメント】教育が不安要素になっていく主要因は競争主義と「格差社会」を是とする社会意識が作られていったことにあると思います。「教育再生会議」での密室の議論は、「再生」どころか、意外にも現代日本の教育問題の明確化をすすめる一方で、それらに対してさらに混乱を持ち込むような提案が続いているようです。「再生」は、「愛国心」の埋め込みや「教員評価」の強化などの体制側の都合の押しつけで進むはずはありません。人格形成という学校教育の本命課題に対して、今の学校がどのようにズレていったのか、今を生きていく子どもたちの人格形成のために、学校はいかに変容すべきかなど、より本質的な議論が行われないならば、この「会議」の存在意義はさらに薄まると思います。

        ●進む校内の整備 個別計画は低調 特別支援教育4月スタート
         LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症など軽度発達障害者に必要な支援を行う「特別支援教育」が四月から始まる。県内では担当教師や校内委員会の整備が進む一方、個別の指導計画作成では全国平均を下回っていることが文部科学省の調査で二十八日までに分かった。教育関係者は「体制整備は評価できるが、問われるのは支援の中身」「複雑なケースは学校だけでは無理。福祉の面からのアプローチも必要」などと指摘している。
         調査は昨年十月、各都道府県と政令指定都市を対象に実施した「幼稚園、小学校、中学校、高校等におけるLD、ADHD、高機能自閉症等のある幼児・児童・生徒への教育支援体制整備状況調査」で、八項目について尋ねた。回答は同年九月一日現在で、その後さらに整備は進んだとみられる。
         特別支援教育の核で、学校長が担当教師を指名する「特別支援教育コーディネーター」は、小中学校の九割以上が既に決まっており、学校の中心組織となる「校内委員会」も八割以上で設置されている。幼稚園は委員会25・0%、コーディネーター13・9%、高校は委員会45・2%、コーディネーター59・7%。
         学習・生活面の年間目標などを盛り込んだ「個別の指導計画」を作成している学校は幼稚園5・3%、小学20・1%、中学16・7%、高校3・2%と全国平均を下回った。長期的な視点で福祉・医療・労働など関係機関と連携して作る「個別の教育支援計画」は幼稚園3・3%、小学14・3%、中学15・4%、高校1・6%とさらに低くなっている。また「巡回相談員の活用」は全校種計で約五割、「専門家チームの活用」が同約三割、「教員研修の受講」は同約四割と全体的に低調。
         琉球大学教育学部障害児教育実践センターの浦崎武助教授は「相談を受けると、親の期待と学校の不安のギャップが大きい。まずはできるところから始めてほしい」と提案。沖縄国際大学人間福祉学科の知名孝講師は「教育のノーマライゼーションともいうべき大きな変革だが、現場の認識はまだ十分とはいえない」として教育だけに任せず、福祉との連携強化の必要性を訴えた。
        (沖縄タイムス)3月29日
        【コメント】コーディネーターづくりのための、かけこみ「研修」が各地でさかんに行われてきたようです。数回の「研修」を受けただけで、「特別な支援」の必用な「軽度発達障害」のあるとされる子どもたちに対しての適切な「支援」を検討・計画し、実施することができると、本当に思っているのでしょうか。「体制」づくりは必用と思いますが、「体制」を作ったら、後は「担当者任せ」ということが学校現場では、「不登校対策」をはじめとして繰り返されてきました。そして、なによりも懸念されるのが、「軽度発達障害」がある、というラベル張りが行われ、「特別」に別教室で「支援」という名の下に対応されるという、選別と隔離に終わってしまう危険性です。1.学校管理者を先頭に、継続的な学習と、対象児童生徒との日常的な関わりの中から、本当に必用な対応を模索していく姿勢を、すべての教職者が持つこと、2.学校内の体制づくりに終わることなく、家庭や地域の資源と連携し(情報の共有と役割分担)、本人にとって必用な環境をコツコツと作っていく立場に立つこと、が求められます。