障害、偏り、くせ…。
2007/08/05
「発達障害」を社会的にサポートする枠組みづくりが、決定的に遅れています。発達障害者支援法が1昨年成立した一方で、障害者自立支援法では従来の「身体」「知的」「精神」の3障害を一括りにして「地域で」対応する…という方向を示すものの、「発達障害」についての位置づけはありません。では、「発達障害」は「障害」ではないのか…?
アメリカ精神医学会の「精神疾患の分類と診断の手引」や世界保健機関の「精神および行動の障害」という操作的診断基準では、それぞれ「通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害」、「心理的発達の障害」というカテゴリーの中に広汎性発達障害などの「発達障害」が位置づけられています。しかし、医科大学の精神科領域で、「発達障害」について講義が行われているところは、全国でほんのわずかしかないと聞いています。日本の精神保健福祉領域で、「発達障害」が精神科領域において診断する「障害」、社会福祉としてサポート体制の必用な「障害」と位置付かない理由がこのあたりにも見えるように思えます。
では、「障害」という位置づけが正しいのか? これも深く考えていく必用があります。生きづらさを抱えながら生きていく上で、他者のサポート(ほとんどが部分的なもの)が必用であることは確かですが、周囲の人の理解と適切な対応が行われれば、この生きづらさは大きく軽減します。ならば、「障害」者とラベリングする必用もなく、受け取り方や考え方、表現の仕方に少し偏りがある、クセがある人、として関わっていけるはずです。こうした角度からのサポート体制のあり方を検討し、具体化していく必用があると思います。
次回は「限局的な興味・関心と教育・しつけ」について考えてみたいと思います。
では、この1週間の気になる記事です。
「困窮者、はよ死ねってことか」 孤独死男性日記に残す
辞退届によって生活保護を廃止されて孤独死した北九州市小倉北区の男性(当時52)が、辞退届提出後に「生活困窮者は、はよ死ねってことか」などと日記に書き残していたことが30日、分かった。これまで市が「男性が自発的に出した」としていた辞退届についても、「書かされ、印まで押させ」と強制をうかがわせる記述があった。
日記の詳細は遺族の了解のもと、生活保護行政検証のための第三者委員会にコピーが公開され、稲垣忠委員長が会見で一部を読み上げた。男性が出したとされる辞退届のコピーも市が公開した。
市によると辞退届の提出は今年4月2日で、10日付で保護を廃止。男性の遺体は、7月10日に死後約1カ月とみられる状態で発見された。
日記は、B5判32ページのノートに8ページにわたり、2月からボールペンで書かれていたという。家族への思いや自殺願望ととれる記述が大半を占める一方で、廃止が決まった後に「せっかく頑張ろうと思った矢先切りやがった。生活困窮者は、はよ死ねってことか」と記していた。
5月末からは「人間食ってなくてももう10日生きてます」などと記し、最後は、6月5日午前3時の日時を記したうえで「オニギリ食いたーい。25日米食ってない」と残していた。
稲垣委員長は「できるだけ事実に迫って市民と問題意識を共有したい」と一部を公開した理由を説明。「言いようのない孤立感が漂っている」と話した。
稲垣委員長によると、辞退届について小倉北福祉事務所の担当課長は「(男性の)真意。本人が自らの意思で自立しますと書いたので、結構なことだと(保護を)打ち切った」と説明した。だが、5月25日付の日記に「法律はかざりか。書かされ、印まで押させ、自立指どうしたんか」と書かれていたという。
第三者委で、小村洋一・保健福祉局長は「自立は本人の気持ちではなかったと思う」と、福祉事務所の不適切な対応を認めたという。
(asahi.com)2007年07月31日03時03分
●生徒飛び降り「いじめ一因」=部活先輩が短パン下ろす-佐賀
佐賀県唐津市の市立中学校で5月、1年の女子生徒(12)が校舎から転落し重傷を負った事故で、同市教育委員会は1日までに、「一つの要因として、周囲生徒の言動の中に結果的にいじめと認められるものがあった」と発表した。
事故を受け学校側は、いじめがなかったか全校生徒に書き取り調査を実施。女子生徒が所属するソフトボール部員や同級生ら十数人からは、個別に聞き取り調査を行った。この結果、女子生徒が部活の先輩に運動場で体操服の短パンを下ろされたり、「なんで悪口を告げ口したのか」と問い詰められたりしていたことが分かったという。
(時事通信)8月1日15時1分配信
●米下院、慰安婦決議を採択=本会議で初、日本に謝罪要求-安倍政権に打撃
【ワシントン30日時事】米下院は30日午後(日本時間31日未明)の本会議で、従軍慰安婦問題に関する対日謝罪要求決議案を採択した。決議に法的拘束力はないが、参院選の与党惨敗で政権基盤の弱まった安倍晋三首相にとっては大きな打撃で、同盟強化を進めてきた日米関係に影響が出る可能性もある。
決議の採決は発声投票により実施。出席議員から「異議」は出されず、議会規則が定める「3分の2以上の賛成」が認定され、全会一致に近い形で採択された。
決議は、第2次大戦中に旧日本軍が若い女性を「性的奴隷」にしたと非難した上で、日本政府に対し、公式かつ明確な謝罪や教育の徹底などを要求。本会議では代表提出者の日系のマイク・ホンダ議員(民主)とラントス外交委員長(同)が趣旨説明を行い、日本政府による謝罪の必要性を改めて強調した。
(時事通信)7月31日5時1分配信
●「見られていると親切に」、ヒトと動物の共通パターン発見
ヒトも動物も、他者から見られていると分かると好意的な態度を示す。そんな研究結果が26日、米国の科学誌「サイエンス(Science)」に発表された。
「ヒトも動物も、自己の評判がかかっている場合には、利己的な行動を改め他者に尽くす行動をとるようになる。後者の態度のみが社会的に報いられることを知っているからだ」と記事は主張する。
コンピュータのモニター上に、目のような形をした2つのサインを表示するだけで、コンピュータを扱っている人間の行動は改善されるという。
似た例としては、カフェテリアに置かれた募金箱に両目の図柄が描かれていると、花の図柄が描かれている場合に比べて、募金の額は格段に増えるという。
研究チームを率いるドイツのマックスプランク進化生物学研究所(Max-PlanckInstituteforEvolutionaryBiology)のManfredMilinski氏と、エルフルト大学(TheUniversityofErfurt)のBettinaRockenbach氏は、他者の目から見られていると察知すると行動を改めるようにヒトの脳が「プログラム」されていることを突き止めたという。
ヒトに限らず一部の鳥類や魚類も、見られていると分かると行動を変えるという。
ベラ科の掃除魚は、大型魚の体や口の中をきれいにすることで知られているが、掃除中に次の「顧客」に見られていると丁寧に掃除をするが、そうでない場合には、むしろ大型魚の皮膚を食いちぎるようなやりかたをするという。
(AFP BBNews)2007年07月30日10:34
●<年金運用>3兆7千億円黒字…06年度 厚労省法人が公表
厚生労働省所管の「年金積立金管理運用独立行政法人」は31日、公的年金資金の06年度の運用結果を公表した。外国株式の運用収益などに支えられ、3兆9355億円の運用益を確保。政府の財政融資資金に対する借入利息1747億円を除いた06年度の収益は、3兆7608億円だった。単年度黒字は4年連続で、累積黒字は10兆2697億円と初めて10兆円台に達した。
同法人は、06年度当初の資産102兆8707億円を運用し、うち市場で3兆6404億円の収益(収益率4.75%)を上げた。7割の2兆6806億円は外国株・債券の運用益によるもので、円安(対ユーロ)が大きく影響した。市場には新規に9兆1250億円を投入した。
市場運用益に財投債の収益3042億円、年金特別会計からの寄託金13兆6312億円を加えた増収分は17兆5000億円余。ここから同会計への納付金1兆9611億円や財政融資資金からの借入金返還分3兆9218億円などを差し引いた06年度末の運用資産額は、114兆5278億円となる。
なお、国内株式の運用収益は889億円だったが、有価証券報告書への虚偽記載などが発覚したライブドアの株式を保有していたため、48億円余の損失を出したという。
(毎日新聞)7月31日23時51分配信
●自閉症の発生に新説、家系より遺伝子の突然変異か
自閉症の家系でない子どもに自閉症の症状が見られた場合、原因は代々受け継がれた遺伝子の性質よりも、むしろ親の持つ正常な遺伝子が突然変異を起こした可能性が高い。こんな研究結果が23日、発表された。
研究によると、家系に自閉症の子どもがいない家族の場合、子どもあるいはその親の遺伝子が突然変異を起こしDNAに異常を来すことが、突然の自閉症の発生の大きな原因となるという。
自閉症がなぜ生じるか、遺伝子的にはまだ解明されていないが、最近の調査によると症状の10%は、DNAの起こすちょっとした異常で説明できるという。
自閉症は散発的に起こるのがふつうだが、そういう場合はDNAが異常を起こした可能性が高いという。
ニューヨークのコールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harborlaboratory)とアルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)は共同で、複数の自閉症のデータベースを数学的に解析し、自閉症の発生分布状況を新しい仮説で説明できるかどうか調べてみた。
その結果、特に母親側がDNAの異常を起こした場合、50%の割合でその傾向が子どもにも受け継がれ、自閉症の原因となると仮定すると、これまで解明できなかった自閉症分布のパターンが説明できるという。
遺伝子が突然変異をおこし、特定のDNAが消えたり重複する異常を起こす傾向を持つ女性は、自分では症状を覚えなくても、子どもが自閉症になる可能性は高いという。
さらに、年齢とともにDNAが異常を起こす回数は高まるため、高齢の親に自閉症の子どもが多くなる理由も説明できるという。
対人関係やコミュニケーションの技能に支障を来たす自閉症は、出生児の150人に1人の割合で発生し、そのほとんどは男児であることが米国政府の調査でわかっている。
研究結果は国立科学アカデミー(National Academy of Sciences)の会報に掲載される。(c)AFP
(AFP BBNews)2007年07月24日18:12
●学校基本調査:不登校児童・生徒が増加 小学生1706人、中学生6152人/愛知
◇昨年度県学校基本調査速報
県内の小学校で昨年度、不登校を理由に長期欠席(30日以上欠席)した児童が過去最多の1706人に上ることが、県の学校基本調査速報で明らかになった。中学校でも不登校の生徒数は6152人に上った。いずれも01年をピークに減少傾向にあったが、ここにきて再び増え始めている。
児童総数に占める不登校児童の割合は0・39%で、小学校では256人に1人が不登校になっている。また中学校になると、不登校生徒の割合は2・96%に増え、ほぼ34人に1人が不登校という実態が浮かんだ。
今年5月1日現在の児童・生徒総数は、小学生が43万7862人(前年度比0・3%増)で6年連続増加。中学生も21万1451人(同1・9%増)で3年連続で増えた。一方、高校生は18万7017人(同1・8%減)で18年連続の減少となった。
また昨年度の高校卒業者6万2399人のうち3万6018人が大学やなどに進学。現役の進学率としては過去最高の57・7%を記録した。また就職率も19・4%で4年連続上昇した。
(毎日新聞)7月31日11時0分配信
●町田の女子高生刺殺:少年側「更生の点で無責任」 少年刑務所、不備を指摘/東京
保護処分か刑事罰か――。地裁八王子支部で31日開かれた、町田市の都立高1年、古山優亜さん(当時15歳)刺殺事件の判決公判。広汎性発達障害と診断された少年(17)に対し、同支部は「障害の影響は一部あった」と認定しながらも事件の重大性や遺族感情を考慮し懲役11年の「実刑」を選択した。厳罰化する少年法の流れに沿った判決とみられるが、少年側弁護士は「少年刑務所では更生の制度が整わず、更生の点で無責任な判決だ」と批判した。
判決では、障害が事件の動機や経緯に影響を与えたとはしながらも、障害によるパニックが犯行に導いたとはいえないと判断。「(保護処分か刑事処分かの)処遇選択において、同障害を考慮するにも一定の限界がある」とした。その上で少年刑務所でも十分更生の期待はできるとして、刑事処分を選択した。
判決後会見した少年側弁護士らは、「障害の影響を認定しながらも、(少年が)優亜さんに対して激高した後に殺害に至る行動については障害の影響を排除してしまっている」と批判。「百歩譲っても、少年刑務所で処遇するとして、どのように処遇するのか、判決で明言すべきだ」と述べた。
刑事施設・受刑者処遇法(06年5月施行)は、受刑者個人の資質や環境への配慮を挙げたうえで、性犯罪や薬物犯罪者らを対象にした矯正教育の受講が義務づけられた。しかし、障害を有する受刑者の制度的な配慮は不十分なのが現状という。
(毎日新聞)8月1日13時2分配信