お知らせ

news

  • ▼新着情報

    • ▼ブログ

      • ▼研究ノート

        増える不登校、すすまない自殺対策。
        2007/08/12
        予定していたテーマは、次週に回させていただきます。
         毎年恒例の文科省の学校基本調査が発表になりました。
         子どもの数は減り、スクールカウンセラーの配置は進み(と聞いています)、学校側の対応も進み(と言われています)、それでも不登校の児童・生徒の数は増加、割合で見ると、大変な数値になっています。
         長男が通っていた頃の中学校での不登校の発生率は5.12%でした。20人に1人以上ということになります。不登校は、決して不登校単独の問題ではありません。不登校の児童・生徒の多い学校には多様な学校病理が発生していると見るべきです。
         さて、昨日は、私もスタッフをしている「こころのカフェきょうと」と京都府、京都市が主催した「自殺予防と自死遺族支援のための府民・市民公開シンポジウム」(於:立命館大学朱雀キャンパスホール)に、要員として参加してきました。会場入り口での案内と、舞台設営です。
         内閣府自殺対策推進室参事官の高橋広幸氏による基調講演の後、NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表の清水泰之氏をコーディネーターにパネルディスカッションが行われました。パネリストは、こころのカフェ京都代表の石倉紘子氏、多重債務による自死をなくす会代表の弘中照美氏、リメンバー福岡・自死遺族のつどい代表の井上久美子氏、京都府精神保健福祉総合センター所長の森雅彦氏、京都市こころの健康増進センター所長の山下俊幸氏でした。
         自死遺族への支援を行う(自らも自死遺族である)民間団体の活動の経緯と課題、行政レベルで取り組みを始めた自殺防止と自死遺族支援のにむけた対策が報告され、行政のとり組みと、自死遺族の求める「わかちあい」の場と体制づくりが、うまく連携されながら取り組まれる必要性が明らかとなりました。
         ライフリンクはこうした取り組みを全国キャラバンとして、全国の都道府県で開催していっています。取り組みは始まったばかりと言えますが、全国で年間3万人の自殺者が続く中で、自死遺族へのサポートは、ますます必用なものとなっていきます。
         次回は「限局的な興味・関心と教育・しつけ」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        中学生不登校1学級1人、過去最高に… いじめ回避が一因か

         昨年度、不登校だった中学生の割合は、35人に1人の2・86%(前年度比0・11ポイント増)で過去最高となったことが9日、文部科学省の学校基本調査(速報)で分かった。
         1学級に1人は不登校の生徒がいる計算で、同省では、「いじめ自殺が相次ぎ、『いじめられるなら学校に行かなくてもいい』と考える保護者が増えたことも一因」とみている。
         不登校の調査は全小中学校を対象に、1991年度から毎年実施している。
         それによると、昨年度、病気や経済的理由以外で、年間30日以上欠席した「不登校」の小中学生は、前年度比約4500人増の計12万6764人で、5年ぶりに増加した。特に中学生は、前年度より約3400人増えて10万2940人となり、不登校の生徒が占める割合も10年前の60人に1人から大きく増加していた。
        (読売新聞)8月10日3時12分配信

        ●不登校5年ぶり増 「いじめ原因」4700人
         小中学校で年間30日以上欠席した「不登校」の児童生徒は、平成18年度は12万6764人(前年度比3.7%増)に上ったことが9日、文部科学省の学校基本調査(速報)で分かった。平成13年度に過去最多の13万8722人をピークに減少していたが、5年ぶりに増加に転じた。
         昨年相次いだいじめ問題を受け、不登校のきっかけについて今回から「いじめ」を選択肢に加えた結果、4688人(3.2%)が該当した。
         調査は今年5月1日現在で全国の国公私立学校を対象に実施。不登校は小学校で2万3824人(4.9%増)、中学校で10万2940人(3.4%増)。中学では35人に1人と過去最悪の割合で、1クラスに1人不登校生徒がいることになる。
         不登校のきっかけは、学習や進路の問題を中心とした「本人にかかわる問題」(31.2%)が最も多く、「いじめを除く友人関係」(15.6%)が続いた。小学校では「親子関係」(14.3%)も多かった。
         今回から「いじめ」の項目を加え複数回答で実施した結果、「学業の不振」(7.9%)▽「家庭内の不和」(4.1%)▽「いじめ」(3.2%)▽「教師との関係」(1.6%)-などの理由も浮かんだ。
        (産経新聞)8月10日6時9分配信

        ●児童虐待:最多に 児童ポルノ事件も大幅増 上半期
         今年6月までの上半期に、全国警察が逮捕や書類送検した児童虐待事件が149件(前年同期比24.2%増)、児童ポルノ事件が266件(同18.8%増)で、いずれも統計を取り始めた00年以降で最多だったことが警察庁のまとめで分かった。虐待で死亡した児童数は18人(同35.7%減)だったが、死亡を含めた被害児童数は157人(同22.7%増)で過去最悪に。同庁は「児童相談所や病院と警察との情報交換が円滑になり、認知が難しかった事件が顕在化した」とみている。
         同庁によると、児童虐待事件では164人(同25.2%増)が逮捕・送検された。被害児童157人の態様別では▽暴行、傷害などの身体的虐待120人▽わいせつ行為など性的虐待27人▽育児の怠慢・拒否10人。年齢別では1歳未満が22人、1歳が10人で、低年齢の児童の被害が目立つ。
         加害者は、実母が48人で最も多く、実父45人▽養・継父27人▽内縁の父24人--などが多い。虐待で死亡した18人の内訳は▽殺人6人▽傷害致死9人▽監禁致死2人▽重過失致死1人だった。
         また、児童ポルノ事件では162人(同13.3%増)を逮捕・送検。被害児童も122人(同87.7%増)と大幅に増えた。児童を誘い出して裸体などを撮影する事件が129件(同61.3%増)で目立つ。このうち、インターネットの掲示板などをきっかけとして児童と知り合って誘い出したケースが68件(同257.9%増)と多かった。
         児童買春事件は718件(同16.1%減)で被害児童は651人(同8.7%減)だったが、依然として高い水準で推移。小学生2人▽中学生210人▽高校生265人が被害に遭った。
        (毎日新聞)2007年8月10日 6時00分

        ●赤ちゃん教育ビデオに効果なし=言語習得遅れる恐れも-米大調査
         【シリコンバレー10日時事】米ワシントン大学教授らがこのほど発表した研究報告によると、生後8カ月から1年4カ月の赤ちゃんに早期教育ビデオ番組を見せた場合、言語習得が遅れる恐れがあることが分かった。研究に参加したディミトリ・クリスタキス教授は「そうした番組は効果がなく、むしろ有害かもしれない」と警告した。
         調査は1000人以上の保護者から聞き取り方式で実施。全体の32%が「英才教育」などと宣伝するビデオを赤ちゃんに見せていたが、ビデオを1時間見せるごとに、見せない場合に比べ習得言語数が6~8語少なかったという。 
        (時事通信)8月11日16時0分配信

        ●「教師のしっ責」ゼロ、児童生徒遺族が自殺統計見直し要望
         文部科学省が毎年実施している児童生徒の自殺調査に関し、自殺の主な原因の項目として設けられている「教師のしっ責」が長期間ゼロになっていることには疑問があるとして、自殺した児童生徒の遺族らで作る「全国学校事故・事件を語る会」は10日、文部科学省に統計の見直しを求める申し入れを行った。
         遺族らは「教師に追いつめられて命を絶つ子供もいるのに、調査からは実態がわからず何の対策も取られていない」と話している。
         文科省の調査は、主な原因を「いじめ」「家庭不和」「学業不振」「教師のしっ責」などから一つを選ぶ方法で行われてきた。
         文科省によると、1996~2005年度の10年間、「教師のしっ責」はゼロだったが、同会は、「教師のしっ責」が原因と考えられる自殺が少なくとも5件あると主張している。
        (読売新聞)8月11日1時12分配信

        ●<学校裏サイト>陰湿化深刻 いじめや脅迫、彼女の裸写真も
         中高生がインターネット上で情報交換する「学校裏サイト」で、いじめや問題画像の流出が問題化している。「裏サイト」は学校が公的に作るサイトとは別に、生徒個人が立ち上げている掲示板で、特定の生徒の写真が張り付けられ「きもい」「死ね」「消えて」の文言が並ぶこともある。頻発する人権侵害に、親や教師たちは困惑している。
         東京都内に住む19歳の少年は、私立高校3年生だった昨年、裏サイトに実名や携帯電話の番号、メールアドレスを勝手に公開され「うざい」「カンニングしている」と書き込まれた。自分の携帯電話には無言電話も数本かかり、中傷メールも1日に10通以上舞い込んだ。サイトには「いじめたい奴」として校内の数十人が実名でリストアップされ、この少年も含まれていたという。
         少年は「同じ学校の女子生徒と交際を始めてから嫌がらせが始まった。彼女の携帯電話にも『あいつと付き合うと犯すぞ』という脅迫メールが届いた」と話す。だれがいじめているのかは分からず、2人は友達に会うのが怖くなり、不登校になった。
         少年は、ネット上でいじめなどの悩みを聞く活動をしている「全国webカウンセリング協議会」に相談。アドバイスを受けてメールアドレスを変えると中傷メールは来なくなった。
         裏サイトでわいせつ写真が広まった例もある。北関東の公立中では「女の体を知りたい」という書き込みに対し、男子生徒が交際中の女子生徒の裸の写真を携帯電話で撮影して添付、大問題になった。校長は「PTAの緊急集会後に突然サイトは閉鎖されたが、別のサイトが立ち上がっていないか不安だ」と明かす。
         学校裏サイトをめぐっては昨年10月、仙台市の中学3年の男子生徒が掲示板で「死ね」と名指しで中傷される事件があり、同級生の女子生徒が侮辱の非行事実で家裁送致された。今春には、大阪府警が女子中学生を実名で中傷するメールを掲載した掲示板の管理人の男を、名誉棄損ほう助容疑で書類送検したが、嫌疑不十分で不起訴処分となっている。
        ◇発見、管理難しく
         生徒たちが立ち上げるサイトは学校の管理下になく、自由にアクセスして情報交換できることから「裏サイト」の名前がついた。掲示板「2ちゃんねる」の学校版とも呼ばれる。生徒たちは携帯電話のメールで裏サイトのアドレスを伝えあい、携帯電話からアクセスする。掲示板ではさまざまな話題でスレッドをたて、ハンドルネームによる匿名でおしゃべりを楽しむ。
         裏サイトに学校名がつけられることはほとんどなく、大人が検索しようとしても見つけるのは難しい。管理人も在校生か卒業生の場合が多い。中には、情報交換だけを楽しむことを目的にし「悪口書き込み禁止」とうたうサイトもある。
         全国webカウンセリング協議会の安川雅史理事長は「裏サイトに部活後のシャワー中の裸の写真を添付された男子生徒もおり、映像を駆使した嫌がらせも多発している。最近は親や教師の目から逃れようとパスワードを設けるサイトも増えており、密室化が進んでいる」と懸念する。
         情報モラルの問題に詳しい千葉県柏市立土南部小学校の西田光昭教諭は「裏サイトは子ども同士の口コミで広まる。子どもが親や教師に隠れてコミュニケーションの場を作っているため、校名で検索してもなかなかたどり着けない。学校側が逐一指導するのは難しい」と指摘する。
         同小は「親も実態を知ることが大切」として、今年初めて保護者向けに携帯電話の使い方について研修を行った。西田教諭は「問題が起きる前に親や学校が使い方などについて指導していくことが大事」と話している。
        (毎日新聞)8月11日15時26分配信

        ●「不登校」増加 強制せず子供本位の対策を
         「不登校」の小中学生が5年ぶりに増加に転じた。文部科学省の学校基本調査速報によると、2006年度に病気や経済的な理由以外で学校を年間30日以上欠席した小中学生の数は12万6764人。前年度比3・7%の増加である。「不登校」は前年度まで減少が続いていたが、実態を表していないのではないかという指摘があった。今回の結果がむしろ現実に近いのかもしれない。
         県内は既に05年度から増加に転じていた。さらに06年度は1625人と、前年度より61人増えた。県教育委員会は結果について「関係機関との連携を強化し、個々の生徒に対しきめ細かな対応をさらに充実させていきたい」とコメントした。2年連続の増加となれば、今度はもっと踏み込んだ具体的な対策を示さなくてはならないだろう。
         「不登校」が増える原因は何か。確たることは言えないが、教育・心理カウンセラーの富田富士也さんは「効率優先の学校に魅力を感じず、早々と勉強を放棄する子は増えている」と指摘する。また文科省は「いじめ問題などで、無理に学校に行かなくてもいいという考えが広まっているのかもしれない」と推測する。
         学校では、さまざまな人と出会い、心通わせ、共に楽しみ、時にはぶつかり悲しむ。これらの経験は、成長していく中で貴重なものだ。学力をつけることは、学校以外でも可能だが、集団の中で人間関係など生きていく術(すべ)を学ぶために、学校は格好の場所だといえるだろう。
         しかし、現実は、魅力を感じるどころか、いじめなどで深刻な苦痛を感じる場となっているという。ならば、「不登校」の子を学校に戻す方法として、「強制」「圧力」があってはならないと思う。
         「義務教育だから学校は行くべきだ」と杓子(しゃくし)定規に断じては、ますます「不登校」は増えるに違いない。その摩擦の中で傷つく子もいるだろう。
         魅力ある学校にすればいい。簡単ではないだろうが、保護者、行政、学校が、学校の存在意義に対して共通認識を持ち、児童・生徒が喜んで通える学校づくりのために知恵を出し合う必要がある。
         「不登校」の子たちをサポートしてきたフリースクールに学ぶことも1つの手だ。フリースクールで自尊心を取り戻し、積極的になっていく子供たちの姿を見ると、解決の糸口の1つがそこにあるように思える。
         文科省の理解も不可欠である。同省が今後、短絡的に「不登校」の数字減らしに腐心すれば改善は望めない。学校現場の実態を正確に把握し、魅力ある学校へ指導力を発揮してほしい。
        (琉球新報)8/11 9:55