お知らせ

news

  • ▼新着情報

    • ▼ブログ

      • ▼研究ノート

        カウンセラーの資格(?)について思う。
        2007/09/23
         災害や残虐な事件が起こった後などに、最近ではお決まりのように「カウンセラーを配置して…」という対応が行われます。その「カウンセラー」のほとんどは、臨床心理士であるようです。
         「カウンセラー」の国家資格化に向けて、小泉政権の時に法案が上程されましたが、解散総選挙によって廃案となりました。この時には、日本心理臨床学会が提案する「臨床心理士」と、日本臨床心理学会が提案する「医療心理士」の2つが「資格」化されようとしていた、と記憶しています。結果、現在のところ、「カウンセラー」の国家資格というものは存在しません。スクールカウンセラー等で配置されている臨床心理士は知名度が高いですが、これも民間団体である「(財)日本臨床心理士資格認定協会」の認定資格です。故・河合隼雄氏が文部科学省と強いパイプを持つ中で、スクールカウンセラーの全中学校への配置、そのための臨床心理士の大量育成という流れが作られ、大学で「臨床心理コース」等の設置が急増しました。
         このスクールカウンセラー制度は、当初、増え続ける不登校や学校内外の問題事象に対して、心理面からアプローチし、それらを減少させることが目的とされていたかと思います。しかし、残念ながら不登校は若干前年数を下回った年度もありましたが、13万人弱あたりを推移し続け、少子化の中で、発生率は増加傾向にあります。多額の税金が投入されているこの制度、学校という現場での位置づけや活用のあり方に問題があるように思えます。
         「カウンセラー」という名称こそないものの、精神に疾患やトラブルのある方への相談・援助を行うことができる精神科ケースワーカーである精神保健福祉士は厚生労働大臣が登録を行う国家資格です。多くの「カウンセラー」が様々な学派、療法による心理的アプローチを行うのに対して、精神保健福祉士はその倫理綱領に基づいて、クライエントさんの生活や人生、判断を尊重しつつ、生活面、医療面から必用な相談援助や具体的なケアを行います。生きづらさを解消し、より人間らしい生活を取り戻す道程の伴侶とも言えます。まだまだ社会的認知が低い現状がありますが、今後、精神医療を中心とする現場での活躍が期待されます。
         他にも様々な団体や学会の認定としての「○○カウンセラー」「○○心理士」という「資格」があり、様々な「治療者」がいます。
         精神に疾患やトラブルのある方にとっては、「資格」にとらわれることよりも、必用な援助を受けられる援助者との出会いが大切であると強く思います。そして、こうしたメンタル面での相談・援助が医療保険適用になることを強く希望するところです。
         次回は「もやっとしたことを相談する勇気を」について考えてみたいと思います。
         では、この1週間の気になる記事です。

        自閉症の兄弟殺害 母の公判 独りの育児『もうだめ…』

         広島県福山市で自閉症の長男(5つ)と二男(3つ)を絞殺したとして殺人罪に問われた母親の審理が、広島地裁で続いている。明らかになったのは、わが子の障害と正面から向き合い、必死に育児を続けていく中で次第に追い詰められた姿だった。
         泉ひろみ被告(35)が「駐車中の車内で子供の首を絞め殺した」と広島県警府中署に自首したのは、昨年十一月六日。公判で「自分も死のうと思った。世間では障害者は不幸という見方が強く、生きていても幸せになれないなら一緒に死んだ方がいい」と話した。
         二男は自分の思い通りにならないことがあるとパニックになり、暴れたり道端で全裸になったりした。長男もパニックを起こすと「包丁で刺すぞ」など乱暴な言葉を吐いたという。
         泉被告は、二人の養育をあきらめていたわけではなかった。自閉症についての本を読み、勉強会にも参加。二男が通園していた児童福祉施設の担当者も「アドバイスを忠実に受け止め、熱心に育てていた」と振り返る。
         変化が表れたのは昨年八月。うつ状態や不眠症が悪化、合わせるように二人のパニックがひどくなった。夫に「助けて」とすがりつくと「おまえの育て方が悪い。なめられているんじゃないか」。子供の世話を手伝ってくれた父親も高齢のため負担が重く、孤立無援の状態になっていった。
         十月二十七日。「もうだめだ」と思った泉被告は二男の首を絞めてしまう。夫は仕事を休み、県福山こども家庭センターに相談。県は「一時保護を提案したが拒否され、母子だけにしないよう家族に協力を求める方針だった」と説明する。
         十日後、「自閉症は障害だから薬をのませるものでない」と伝えていたのに、母親に「薬をのませなさい」と言われた。「夫も母も無理解。死ぬしかない」と、再び愛する子供に手をかけた。
         泉被告は現在、精神鑑定中。今年七月の被告人質問で今後の生き方を問われ「生きたいとは思っていない。子供たちのところへ行くのが一番の供養と思う」と答えた泉被告。「とてもつらい思いをさせた。かわいいという気持ちはなくなっていなかった」。涙ながらに話す言葉が法廷に響いた。
        ◇支援組織に相談を
         日本自閉症協会の石井哲夫会長(日本社会事業大名誉教授)の話 自閉症の子を持つ親が独りぼっちになると、生きる気持ちがそがれる。母親を受け止めてくれる相談相手がいなかったのだと思う。子殺しという事態になる前に、都道府県や政令市にある発達障害者支援センターや協会の支部に相談したり、苦労してきた先輩を頼ることもできた。親だけに育児の責任を負わせる現状では、第二、第三の事件も起こりかねない。自閉症について正確に理解し、家族を援助できる人材を増やしていく必要がある。
        (東京新聞)2007年9月17日

        ●自殺未遂者の4割「以前にも」…横浜市大調査
         自殺を図り、救命救急センターに運ばれて一命を取り留めた「重症自殺未遂者」のうち、4割以上が過去にも自殺を図った経験のあることが、横浜市立大精神医学教室自殺予防研究チームの調査で分かった。
         国内では自殺者が9年連続で3万人を超え、自殺者対策が急務となっているが、未遂者の実態把握はこれまで不十分だった。未遂者が再び自殺を図る危険性が明確になったことで、同チームでは「未遂者の医療的、社会的支援が自殺対策上、極めて重要」と指摘している。
         同チームでは、2003年度以降、同大付属市民総合医療センター(横浜市)にある高度救命救急センターに搬送され、入院したすべての自殺未遂者を対象に、本人と家族から聞き取りを行い、そのうち07年7月までの554人(搬送患者の11・7%、男222人、女332人)を分析した。
        (読売新聞)9月19日3時8分配信

        ●生活保護理由の不支給違法 障害者支援費で福島地裁
         重度の障害がある福島県田村市の女性が、旧身体障害者福祉法が定めた「居宅生活支援費」をめぐり、生活保護を受けていることを理由に申請時間数の一部しか認めなかった市長の決定取り消しを求めた訴訟の判決で、福島地裁は18日、決定を違法と判断した。
         ただし、同法が昨年4月に廃止され、障害者自立支援法が施行されたため「訴えの利益がなくなった」として、請求自体は却下した。
         訴えていたのは、上半身を自由に動かせない渡部貞美さん(54)。渡部さん側は「実質勝訴だ」と受け止めている。
         森高重久裁判長は「生活保護はその他の社会保障を充てても、不足がある場合に実施する。保護費の支給が、支援費支給を拒否する理由とはならない」とした。
        (中日新聞)2007年9月18日20時43分

        ●「知る権利」確立を いじめ自殺遺族訴え 議員連盟勉強会
         児童虐待やいじめ問題に取り組んでいる「チャイルドライン支援議員連盟」(会長=河村建夫・元文科相)が19日、国会内で勉強会を開催。いじめによる自殺や部活動中の事故などで子どもを亡くした父母らが出席し、学校で起きた事件、事故に関する事実解明の難しさや被害者が置かれた実情について訴えた。
         昨年10月にいじめを苦に命を絶った福岡県筑前町の森啓祐さん=当時(13)、三輪中2年=の母の美加さん(37)は、学校側から調査結果を知らされることもなく、「真実を知る」ことの困難さを吐露。「遺族には何が起きたのかを知る権利がある。真実を知ることで遺族はケアされ、次の命を守ることにもつながる」として、徹底した事実解明や、調査結果が被害者に伝えられる制度の確立を求めた。
         小学6年の息子を亡くした兵庫県の内海千春さんも、学校側や教育委員会の隠ぺい体質を指摘。「事実を明らかにせずして防止はあり得ない。遺族の救済もなされない」として、遺族が「知る権利」を保障する法律を整備するよう訴えた。
         議連は、遺族の声を受けてプロジェクトチームを立ち上げ、法制化も含めた検討に入る方針。
        (西日本新聞)2007/09/20

        ●鬱病治療の効能効果 リタリンから削除
         難治性鬱(うつ)病の治療薬として使われている向精神薬「リタリン」(塩酸メチルフェニデート)について、製造販売元のノバルティスファーマ社(東京都港区)が、同薬の適応(効能効果)から鬱病を削除する方針を固めたことが21日、分かった。同社は「不適正な使用が社会問題化しており、他にも有効な抗鬱薬が販売されているため」としている。
         リタリンは中枢神経に作用し覚醒(かくせい)効果や気分を高揚させる効果があり、覚醒剤の代わりとなる“合法ドラッグ”として悪用されていると指摘されていた。同社は不適正使用が後を絶たないうえ、他に高い治療効果がある鬱病治療薬がすでに販売されていることを考慮。
         医療保険が適用されなくなっても、患者の治療に影響がないかどうか、精神疾患関連の学会と協議を始めた。大きな影響が出ないと結論が出次第、厚生労働省に「難治性・遷延性鬱病」の適応除外を申請する。
         リタリンをめぐっては新宿区歌舞伎町のクリニックが診察をせずに適応症でない患者に処方を出していたとして、東京都と新宿区保健所が18日に立ち入り検査している。
        (産経新聞)9月22日8時3分配信

        ●「いじめが要因の1つ」学校側認める 神戸の高3自殺
         神戸市須磨区の私立高校で今年7月、校舎から飛び降り自殺した同校3年の男子生徒=当時(18)=に対し、同級生の少年(17)らが金品を要求していた恐喝未遂事件で、同校の校長らが21日、会見を開き、生徒に対するいじめの存在を初めて認め、「亡くなった生徒の冥福(めいふく)を祈り、遺族に心からおわびする」と謝罪した上で、「いじめが自殺の要因の一つだった」と述べた。また、高校側は、男子生徒に金を要求するメールの送信に、ほかに2人の同級生がかかわっていたことも明らかにした。
         同校は、生徒の自殺後、同級生ら約70人を対象にいじめの有無などを調査していた。しかし、少年の逮捕当日の今月17日の会見では「いじめがあったという認識はない」と否定していた。
         同校は翌18日~20日、同級生らに再調査を実施したほか、男子生徒や少年と同じフットサル同好会に所属していた3人から連日、事情を聴いた。その結果、同じクラスの34人のうち11人が「いじめがあった」と回答。フットサル仲間による男子生徒へのいじめも裏付けられたという。
         調査結果によると、6月に少年が生徒に対して現金を要求するメールを送信する際、フットサル仲間のうち2人が、「おれの名前と金額も(メールの中に)入れといてと依頼した」と関与を認めた。
         また、少年を含むフットサル仲間らが、高校2年の2学期に数回にわたって、生徒の机やかばんの中に紙粘土を入れるなどの嫌がらせを繰り返していたことも判明。この際、嫌がらせに気づいた担任が生徒に「大丈夫か」と声をかけたが、生徒が普段と変わらない様子で「大丈夫です」と答えたため、いじめとは受け止めなかった。
         フットサル仲間らは同校の聴取に対し、いじめの認識があったことを認めた上で「(自殺した生徒に)申し訳ない」と話しているという。
         同校は、少年の逮捕後の調査で、初めていじめの存在を把握したことについて「最初の調査ではほかの生徒らの心のケアも考慮していた。調査が甘かったといわれても仕方ない」と謝罪。教師が、生徒へのいじめを知らなかったことは「生徒と少年らが仲がよいと認識していたので、いじめを発見できなかった」と釈明したものの、学校側の責任についての回答は避けた。
        (産経新聞)9月21日22時41分配信

        ●神戸高3自殺 「裸の写真嫌だった」 “遺書”メモに記す
         神戸市須磨区の私立高校で今年7月、校舎から飛び降り自殺した同校3年の男子生徒=当時(18)=に対し、同級生の少年(17)らが金品を要求していた恐喝未遂事件で、男子生徒のポケットから見つかった遺書めいたメモに「裸の写真をとられたのが嫌だった」などと書かれていたことが22日、兵庫県警の調べで分かった。県警は、金品の要求に加え、インターネットを利用した嫌がらせが男子生徒を自殺に追い込んだとみて調べている。
         調べでは、男子生徒は今年7月3日、校舎の渡り廊下から飛び降り、自殺した。その際、ズボンのポケットには遺書めいたメモが残されており、多額の金品を要求されたことを示す内容のほか、「裸の写真をとられたのが嫌だった」などと記されていたという。
         関係者の話では、男子生徒は今年春ごろ、インターネットの個人ホームページ(HP)を立ち上げた。当初、男子生徒の名前などプロフィルなどが記載されていたが、次第に男子生徒や別の個人を中傷する内容が書き込まれるようになった。さらに、男子生徒の下半身の写真が載せられるようになり、数週間で閉鎖したという。
         男子生徒はメモの中で、「(HPを)作ったのは自分じゃない」などと積極的にHPに書き込んでいなかったことをほのめかしたうえ、「はだかの写真をとられたのが嫌だった」などと記していたという。
         また逮捕された少年が所属するフットサルサークルのメンバーから「財務大臣」と呼ばれ、集金役を担っていたこともわかった。
        (産経新聞)9月23日8時0分配信