子どもの頃のことですが…(9)峠の開通
2007-12-08
私が生まれ育った村の奧に向かう道路は、私が小学校の低学年頃まで行き止まりとなっていました。幼い頃、山の奥へ向かって伸びる道路を、行き止まりまで歩いていくことも、楽しい遊びでした。もちろん土で固められた道路でしたが、本格的なものではなく、でこぼこだらけで、草がいっぱい生えていました。そして、疑問に思っていました。「何故、行き止まりなんだろう?」「どうして放ってあるんだろう」。
海の干拓が進み、工場の建設も進むに連れて、この行き止まりの道に動きがありました。工事が始まったのです。開通した後でわかったことですが、行き止まりの山の向こうには、村落があり、町へとつながる幹線道路が通っていて、工場地帯で働く人が通勤するための近道として山越えの道路を開通させようとしていたのでした。当時の私の生活世界はその道の行き止まりが世界の東の端だったのです。
工事は短期間で完了したかと思います。峠の一番上あたりを削って道路を通すのは難工事だったそうです。それまで、私の村では、特に実家のある村の奧では自動車というものには滅多にお目にかかりませんでしたが、この山越えの道路が開通する頃から自動車は頻繁に目に入るようになり、この道路は短期間に交通量の多い、文字通り通勤道路となっていきました。アスファルトで固められた2車線道路が、村を通り抜けることになったのです。
私の父も、ずっとバイクで通勤していましたが、35歳頃でしょうか、自動車運転免許を取り、軽自動車を購入しました。峠の開通は、村にモータリゼーション時代をもたらしましたが、道路が整備され、車の数が増えただけで、過疎化、村の高齢化の進行を止めることには何ら役立たなかったことは、その後の歴史が物語っています。
次回は「子どもの頃のことですが…(10)扇風機と黒電話」というタイトルで、私の回想を綴ってみたいと思います。
では、この1週間の気になる記事です。
日本の豊かさ、7位に後退=生産性本部調査
社会経済生産性本部(牛尾治朗会長)は3日、2007年版「国民の豊かさの国際比較」を発表した。経済協力開発機構(OECD)30カ国中、日本は7位で前年(6位)より順位を下げた。
この調査はOECDと世界銀行の最新データを用いて、環境、教育など6分野で各国と比較・分析するもの。日本を指標別に見ると、環境(4位)、健康(5位)は上位となったが、教育(13位)は中位に後退。マクロ経済(22位)は政府が巨額な財政赤字を抱えている点が響き、下位にランクされた。
今年の総合ランキング1位はルクセンブルクで、以下ノルウェー、スウェーデン、スイス、フィンランド。5位までは前年と同順位だったが、6位にはオーストリアが入った。
(時事通信社)2007/12/03-17:41
●15歳の学力で日本続落 応用力、読解力とも OECD
経済協力開発機構(OECD)は4日、15歳を対象に06年に実施した国際的な学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。3回目となる今回は57カ国・地域が参加し、知識・技能を実生活に応用できるかどうかを主眼に合計40万人、国内は約6000人の高校1年が受けた。日本は、「読解力」で前回(03年)14位から15位、「数学的リテラシー(応用力)」では6位から10位に順位を落とした。
先行して公表された「科学的リテラシー」でも2位から6位に下がっている。参加した国や地域が16増えたことや読解力の点数は03年の前回と同じだったことなどから、日本の学力がさらに落ちたとは言い切れない。ただ、文部科学省が「世界トップレベルと言えない」と分析した前回調査からの3年間で対策は目に見えた効果をあげておらず、学力をめぐる議論が再燃しそうだ。
点数は3分野とも、OECD平均で500点になるよう調整されている。文科省は今回の日本の得点について統計的な誤差も考慮に入れたうえで、読解力は「11~21位でOECD平均と同程度」、数学的リテラシーは「6~13位で平均より高得点グループ」、科学的リテラシーは「3~9位で上位グループ」と分析している。
今回受験した生徒は現行の学習指導要領が施行された02年春に小学6年だった。文科省は順位が落ちたことを「課題として受け止める」とし、指導要領の改訂で理数の授業増や各教科で言語力の育成などを盛り込む方針。これが、調査で浮かんだ課題への対策の中心となる。
国際的にみると、読解力では韓国が1位(前回2位)、数学的リテラシーでは台湾が初参加で1位、科学的リテラシーではフィンランドが前回に引き続き1位だった。
今回最も力を入れて調べた科学的リテラシーを詳しくみると、日本は、「証拠を用いる」能力で2位だったものの、「疑問を認識する」で8位、「現象を説明する」で7位と、自ら課題を設定し説明する力に弱点があった。
PISAではアンケートも実施。科学に興味・関心や楽しさを感じている日本の生徒の割合は、さまざまな質問でOECD平均を軒並み下回った。
(asahi.com)2007年12月05日06時24分
●OECD学力調査受け渡海文科相 「理数教育の充実努める」
渡海紀三朗文部科学相は4日、結果を受け、読解力は横ばいだが、数学的活用力と科学的活用力は下がっていると分析し、「応用力や活用力の課題も改めて明確になった。今後理数教育の充実に努めたい」と述べた。
原因については「中央教育審議会で授業時間を増やそうというのは(授業時間が)足りなかったからであり、活用力を上げるには基礎基本の知識が必要だ」として、授業時数、学習内容を削減した現行の学習指導要領が影響したことを事実上認めた。
科学への興味、関心が最低だったことには、実験や現場を見るなど実体験を増やすことが重要だとし、論理的な思考の基盤となる言語力を育てる必要があることを強調した。
(産経新聞)12月5日8時2分配信
●<障害者自立支援法>年金引き上げなど盛った見直し案合意
与党の障害者自立支援に関するプロジェクトチーム(木村義雄座長)は5日、障害基礎年金の引き上げなどを盛り込んだ障害者自立支援法の抜本的見直し案で合意した。近く政府に提出する。
見直し案は、障害者支援策について、介護保険への統合を前提としないことを明記。障害基礎年金は2級の給付額(月6万6000円)を1級(月8万2000円)並みに引き上げ、1級をさらに引き上げる。06年末から08年度まで計1200億円を投入した「特別対策」は09年度以降も継続。障害児のいる世帯のサービス費や医療費の自己負担合計額に上限を設け、サービス費の減免措置が適用される年収基準を現行の600万円未満から890万円未満に緩和する。
(毎日新聞)12月5日18時23分配信
●ILO、障害者雇用で勧告検討 国内法定基準に満たず
一定割合の障害者の雇用を義務づける法定雇用率を日本企業が下回り続けている状況について、国際労働機関(ILO)が是正勧告を出すかどうかの検討に入ったことが2日、わかった。勧告に強制力はないが、日本政府は国際的な批判を受けかねず、対応が求められそうだ。
ILOは、全国福祉保育労働組合が障害者の雇用促進を求めて行った是正勧告の申し立てを先月、正式に受理。労使代表らが加わる審査委員会も設置した。日本政府や組合が提出する障害者雇用に関する資料をもとに、勧告について判断する。
ILOの「障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」は、批准国に障害者の雇用機会の増進に努めるよう求めており、日本は92年に批准した。
しかし、日本の民間企業(従業員56人以上)の07年の障害者雇用率は1.55%で、76年に障害者雇用が義務化されて以来最高だったが、法定雇用率(1.8%)は未達成となっている。同労組は是正勧告を求めた申し立てでこれを批判。障害者に福祉サービス利用料の原則1割負担を求める障害者自立支援法も条約違反だと、撤廃を求めている。
日本障害者協議会の藤井克徳常務理事は「国際機関の評価を得て政府に是正を求めたい」と話す。厚労省は「今後、政府の見解を審査委員会に提出する。現時点ではコメントできない」としている。
(asahi.com)2007年12月03日08時49分
●構造改革で「格差拡大」65% 否定意見は都市も地方も 北大全国世論調査
北大の政治学を専門とする教員らでつくる「市民社会民主主義研究プロジェクト」(代表・山口二郎法学部教授)が全国の約千五百人を対象に実施した世論調査で、小泉純一郎、安倍晋三政権の構造改革で「日本はどうなったと思うか」との問いに対し、65%が「貧富の差、都市と地方の格差が広がった」と回答したことが六日分かった。都市部も地方も回答の傾向は変わらず、構造改革の陰の部分を問題視する声が、全国的に強いことが浮き彫りになった。
プロジェクトには、北大法学部の教員を中心に十五人が参加。調査は十一月下旬、コンピューターで無作為に選んだ番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法を用い、北海道新聞情報研究所に委託して実施した。
構造改革の評価=グラフ=は、六項目から二つを選ぶ形で調べ、格差拡大のほか「公共サービスの質が低下した」など否定的な回答が多かった。逆に「政治家や官僚の不透明な特権が是正された」「経済的な活力が高まり、豊かさを取り戻した」といった肯定的な評価は低かった。
地域ごとに見ても、「格差拡大」は「東京都区部と政令指定都市」から「郡部」まで全地域で最も多かった。
「今の日本で最も困っている人は誰だと思うか」との問いでは(一つだけ回答)、高齢者(29%)と「フリーターなど正社員ではない若者」(27%)が多く、農家と障害者が各13%で続いた。貧困問題の対策については、直接的な経済援助より職業訓練など自立支援に力を入れるべきだとの意見が多かった。
同プロジェクトは本年度から五年間、今後の民主主義や公共政策のあり方などについて研究しており、今回の調査結果は研究の基礎資料とする。
結果について、山口代表は「都市部でも、構造改革の弊害に対する不安が大きいことが分かった。国民の多くは、競争と効率重視の新自由主義に対抗しながらも、旧来型の大きな政府ではない第三の道を求めているようだ」と分析している。
(北海道新聞)12月7日06:38
●年金から住民税天引き、09年10月支給分から…与党方針
政府・与党は7日、高齢者が受け取る公的年金から、住んでいる自治体に納める個人住民税を自治体が天引きできる制度を、2009年10月に支給する年金から始める方針を固めた。
年金受給者は現在、1年間の個人住民税を6、8、10、翌1月の年4回に分けて、自治体の窓口や金融機関などに出向いて納めなければならない。天引きになれば、こうした手間が省ける。年金は2か月ごとに支給されるため、年間の納税額を6等分し、毎回の年金から差し引く。
総務省によると、年金受給者のうち、個人住民税を納める水準まで年金収入があって天引きの対象となる人は500万~600万人いるという。天引きは自治体にとっても事務を効率化できるメリットがある。
(読売新聞)12月8日8時58分配信
●氏名公表は時代の流れ 法相の意向も反映
法務省は、死刑を執行された死刑囚の氏名と年齢、犯罪事実の公表に踏み切った。死刑に関する国民世論に対して神経質ともいえる対応を取ってきた法務省が、一般国民への情報公開へと舵を切ったという意味で、時代の大きな転換点ともいえる。
死刑執行に関する情報公開は長年の法務省の懸案で、以前から検討されていた。平成10年11月から執行の事実と執行人数を公表したが、氏名などの全面的な情報公開には踏み切らずにいた。
氏名を公表しない理由として、法務省は死刑囚の遺族の精神的苦痛や、ほかの死刑囚に与える影響を挙げていた。しかし、一方で死刑が適正に行われていることを国民に理解してもらうため、情報公開を進めるという社会的要請もあった。両者のバランスを考え、法務省は情報公開による死刑制度の理解を深めることに重きを置いた。
今回の判断には、8月に就任した鳩山邦夫法相の存在も影響している。「法相が絡まなくても自動的に(死刑執行が)進むような方法を考えたらどうかと思うことがある」と述べたのを皮切りに、次々と死刑に関する発言を繰り返した。
この際、執行手続きを「ベルトコンベヤー」や「乱数表」などと表現したため野党から「法相として不適格」と批判を浴びたが、一連の発言が議論を後押ししたことは確かだろう。
鳩山法相の存在について、法務省のある幹部は「今までは死刑の議論自体がタブーのようなところがあったが、鳩山法相が就任してオープンに議論が行われるようになった」と明かす。
今回公表された情報は人命にかかわるという意味で大変重い。われわれはこの情報をやり過ごすのではなく、改めて事件の悲惨さや死刑制度の意義について考えるきっかけとすべきだろう。
(産経新聞)12月7日13時40分配信
●国連人権高等弁務官、日本の死刑執行に「遺憾」
【ローマ】国連人権高等弁務官事務所(本部ジュネーブ)のルイーズ・アーバー高等弁務官は7日、東京と大阪で同日、死刑囚3人の刑が執行されたことについて、「遺憾」とする声明を発表した。
高等弁務官は、刑が執行された死刑囚の中に70歳代の高齢者が含まれていたことを問題視しており、声明の中で、「高齢者に対する刑の執行に正当な理由は見あたらない」とした。
(読売新聞)2007年12月8日10時33分
●発達障害 地域で支えよう 南丹で保護者ら講演
発達障害の子どもや保護者の支援について考える講座が6日、京都府南丹市園部町小山東町の府園部総合庁舎で開かれた。口丹波で支援を進める約20人が参加し、講演などを通して地域のかかわり方を考えた。
発達障害は自閉症やアスペルガー症候群、学習障害など低年齢で現れる脳機能障害。講座は、発達障害児を支える地域づくり事業を進める府南丹保健所が主催した。
■安心できる場所を
口丹波の発達障害の子どもを持つ親の集い「ぶどうの木」の西田香代子代表は、自閉症と診断された長男の体験を例に、安心できる場所や人を得るのは時間がかかるとする一方で、成長の跡として最近、親と離れて保育所の外泊旅行を楽しんだことを紹介した。その上で、「自閉症は子どもによって特徴が違って支援も難しいが、ゆっくり時間をかけて接したら伝わることを分かって」と話した。
発達障害児通園施設「洛西愛育園」(京都市西京区)の高木恵子園長は「障害を理解しようという雰囲気が広がったことで、むしろ周りがどう接していいのか分からなくなっている」とし、「地域の支援があって初めて、子どものつぶやきを受け止め、『あなたがいて良かったよ』と言える環境が生まれる」と訴えた。
(京都新聞)12月6日18時49分配信