発達障がいのラベリングについて考える
2008/04/19
小さい時から変わっていると思っていた。気持ちが通じない。対人関係でトラブルが絶えない。性格なのかただの身勝手なのか、どう関わって良いかわからない。…このような気持ちで当事者に関わってきた周囲の人がいます。
自分はどこか人と違う。気持ちがうまく伝えられない。3人以上になると会話に入れず、自分は必要ないと思う。あるものに気が取られて、気がつけば授業はどんどん先に進んでいた。…こんな気持ちで育ってきた当事者がいます。
どうしてこうなっているのか? 病気なのか? 一度専門家に診てもらった方が良い。…と、精神科の門をたたく人が増えてきました。
「発達」について診られる精神科医(ここ数年では小児科医や心療内科医、内科医も)も増えてきています。
そして、検査・診察につながると、「○○障がい」というラベルをもらう人がいます。二次的に強迫性障害などの神経症やうつなどの精神病などを発症している場合は薬物療法で受診継続となりますが、そうでない場合は診断をして(ラベルを貼って)終わりというケースがほとんどではないでしょうか。
特に18歳以上の青年・成人の発達障がいのある人をサポートするシステムや組織・団体はまだまだ少ないのが実態です。
後のサポートがないのに、障がいのラベリングだけが行われることに対して、さまざまな批判が聞こえるのはこのためです。サポートの態勢を作っていくこと=まずは理解者を増やしていくことがどうしても必用です。
ある当事者のコメントを紹介します(あるブログで紹介されていたものの再掲です)。
◇
「アスペルガーの私からアスペルガーと付き合う必要のある人達へ」
私たちは大抵、うまく話すことが苦手です。特に話をまとめたり、自分の感情を伝えたりすることができません。
だから、どうか、うまく話を聞いてください。私たちも、人に理解されたいという気持ちが強いのですが、うまく話せないために、相手に嫌な顔をされることが多いので、話そうとする努力をだんだんしなくなってしまいます。
私たちが話すと、だらだら長くなってしまったり、伝えるべきことを抜かしてしまったりするのですが、もし気長に聞いてもらって、関心を持ってもらい、そして要点をまとめてもらえると、嬉しくなってもっとがんばって相手に伝えようとする気持ちが湧いてきます。そうすることで、少しずつ、自分の感情を捉えたり、それを伝えたりする能力がついてくるのです。
◇
いかがでしょうか。「サポート」というものを、もっと身近なものと考えて欲しいと思います。ラベリングが、本人や周囲の人にとって意味のあるものにしていくために…。
次回は「アスペルガー障がいの疑いのある人を医療に紹介するとき」です。
では、この1週間の気になる記事です。
後期高齢者医療制度:中止・撤回求める署名活動 悲鳴あげる寄せられた意見/奈良
◇「安心して暮らせる老後どこに」「困ります。もう死にたいです」--県保険医協
県内の開業医ら約1000人でつくる県保険医協会(谷掛駿介理事長)は、3月下旬から進めている後期高齢者(長寿)医療制度の中止・撤回を求める署名活動で、寄せられた署名はがきの自由記述欄に書かれた全意見を公表した。「安心して暮らせる老後はどこに」(75歳未満、女性)「とても困ります。もう死にたいです」(75歳以上、女性)など275件に上っている。
他の自由記述には▽「道路財源などの無駄を省き人の命にかかわることを大切に」(75歳以上、女性)▽「広報活動は不十分で政府は怠慢」(75歳以上、男性、夫婦2人暮らし)――などもあった。 傾向別の分類では、「絶対反対、廃止せよ」65件▽「生活苦しい、やっていけない」52件▽「年金からの天引きはひどい」43件などが多かった。
協会は、全国組織の全国保険医団体連合会が作成したはがき付きパンフレットを、県内を中心に高齢者クラブの会員などに約6万枚配布。4月17日までに、458枚1119筆が寄せられた。4月24日までの到着分を第1弾として衆参両院議長あてに提出する予定。
協会の市川篤副理事長は「高齢者がここまで追い込まれているということだ」と話した。
4月19日18時1分配信毎日新聞
●揺れる障害者福祉:自立支援法2年/就労強化と工賃アップ/和歌山
◇両立困難で事業断念--元作業所長
午前10時。和歌山市の「くじら共同作業所」に、焼きたてのパンの香りが広がる。聴覚障害のある泰地哲夫さん(53)が毎朝7時に来て、生地作りから成形までこなす。「パンが売れるのはうれしいけど作業は大変。給料もなかなか上がらない」と表情を曇らせる。
07年4月、障害者自立支援法に基づく新体系のうち、「就労継続支援」などを行う事業所に移行し、パン作りを開始。菓子作りが主だった移行前に比べ、売り上げは月約5万円伸びた。だが、利用者が2倍に増えたため、1人当たりの工賃は変わらない。白藤令所長(59)は「障害の程度によって、仕事の内容や量に差があるのは当たり前。工賃を上げようとすれば、負担が偏る」と言う。
就労支援は同法の柱の一つ。一般企業への就労率の高い事業所や目標工賃を達成した事業所に対し、報酬を加算するなどして就労促進を図る。県は「障害者就労支援5か年計画」(07~11年)を策定。求職活動の支援や施設職員の指導力向上などに取り組むが、作業所からは「無理な労働で利用者に負担をかけるのが心配」といった声が上がっている。
別の課題もある。すさみ町の「いなづみ作業所」は07年5月、移行から半年で「就労移行支援」事業を断念。能力の高い3人が就職で退所し、仕事が回らなくなった。利用者減で施設報酬も月約50万円減り、他のサービスを提供する事業所として再スタートした。
当時、所長だった石神慎太郎さん(36)は「仕事のできるエース的存在を次々と外に出せば、作業所の労働力は落ちる。就労の強化と工賃アップは両立しない。就労に力を入れるほど、自分の首を絞めることになる」と指摘する。
県障害福祉課は「事業所には、仕事のできる人材を育てる努力が必要。職員の意識改革を図り、支援体制を整えたい」とする。「障害者就業・生活支援センターつれもて」の加藤直人所長(51)は「障害の程度には個人差がある。労働量が限られる利用者にこそ支援が必要」と訴える。
■ことば
◇障害者の就労支援事業
障害者自立支援法施行に伴い、就労支援事業を、就職を目指す「就労移行支援」と、一般企業で働くことが難しい人を対象にした「就労継続支援」に再編。「就労移行支援」は利用期限2年で、作業訓練や職場実習、職場探しを行う。「就労継続支援」は雇用契約を結ぶA型と結ばないB型の2種類あり、働く場を提供しながら訓練する。利用期限はない。
(毎日新聞)4月19日18時1分配信
●<自立支援法>生活苦でも施設利用料1割負担 東京
東京都内の知的障害児施設に入所する少女(14)について、父親(64)が施設と正式な利用契約をしていないのに、都が障害者自立支援法に基づき、利用料の1割などを負担させる「契約制度」を適用していたことが分かった。父親は生活苦で利用料などが払えないため、施設が経費負担を余儀なくされている。施設側は、契約制度の適用をやめて事実上入所者の負担が減る「措置制度」の対象にするよう求めているが、都は応じていない。
施設によると、少女は父子家庭。04年4月、児童相談所が父親の養育困難を理由に少女と妹を一時保護し、都内の児童養護施設に入所させたが、05年11月に障害のある少女だけが知的障害児施設に移された。
06年10月に障害者自立支援法が本格施行され、施設利用料の原則1割などを保護者に負担させる契約制度の適用が可能になった。都は父親に契約能力があると判定し契約制度を適用した。
しかし、日雇い労働者だった父親は腰痛で働けなくなり、生活保護の申請も却下された。施設は「親の養育能力が不安」として措置制度の適用を再三要請したが、都は「親の経済事情と契約能力は別問題」と退けた。父親は月約1万5000円の施設利用料などを1年余り滞納し、今は連絡も取れないという。
契約制度の適用には施設と保護者との間で利用契約書など3種類の書類を取り交わすことが必要だが、法施行に向けた国の準備が遅れ、契約書だけで仮契約していた。
施設側は「正式契約を結んでいないのに一方的に契約制度を適用するのはおかしい」と都を批判。厚生労働省障害福祉課は「都は契約そのものが適切かどうか再確認すべきだ」と指摘している。
▽措置と契約 児童福祉法に基づく措置制度は、児童の入所に要する費用(措置費)を国と都道府県が2分の1ずつ負担。保護者は自治体に「徴収金」を支払うが、応能負担のため低所得層はほとんど出費の必要がない。一方、障害者自立支援法に伴う契約制度は、低所得の保護者も施設利用料の原則1割に加え、医療費や食費を施設に直接支払う必要がある。児童施設はすべてが措置制度だったが、06年の同法施行で障害児施設に限って「措置」か「契約」かを都道府県が個別に審査して決めることになった。
(毎日新聞)4月15日2時32分配信
●<労災>5万件超が「漏れ」 厚労省実態把握へ 06年度
社会保険庁が、政府管掌の健康保険の診療報酬明細書(レセプト)を調べたところ、本来は労災認定(労災保険)の対象であるケースが06年度で5万件以上もあることが分かった。これらの中には、事業主が意図的にその事実を隠ぺいする「労災隠し」が多数含まれているとみられ、厚生労働省が本格的な対策に乗り出す。今後、社会保険庁のデータなどを基に、労災請求に関し事業主の圧力がなかったかなどを調べ、悪質な事案には積極的に刑事処分の適用を検討する。
労災隠しは、事業主が無災害記録の更新や事業受注の継続などを図るため、事故を隠すなどして行われるとされる。健保は、労災の治療に適用できない規則だが、発覚をおそれて使われる。こうした労災隠しについて、労働基準監督署は悪質なケースを労働安全衛生法違反で送検。その件数は90年に31件だったのが、06年は138件にまで増えている。
一方で、健保の申請を受ける側の社会保険庁は膨大なレセプトの中から、健保の対象とはならない労災や交通事故などを探すが、こうした調査の結果、労災だったとされた請求は06年度で5万471件(15億4000万円分)にも上っていた。本来仕事中であるはずの平日に外傷を負ったケースなどに注目し、探し出した。
厚労省が今回打ち出した対策では、全国の労働局が当地の社会保険事務局に、災害が発生した理由や場所などが記載された情報の提供を受ける。これを基に、被災者に対して、労災請求をしなかった理由や災害発生状況なども尋ねる。その上で、事業主が請求を抑止していることが疑われたり、重大、悪質な法律違反、虚偽報告がされている場合は、事業主に適切な指導、監督を実施。労災隠しが確認されれば、刑事処分も含め厳正に対処するとしている。
また厚労省は、最近、製造業などで偽装請負が横行し、事業主責任のあいまいさなどから労災隠しにつながるおそれがあるとも指摘。東京、大阪、福岡などの労働局が、労使の代表者で構成する「労災報告の適正化に関する地方懇談会」を開催し、労災隠し対策での要望や提案についてとりまとめる。
(毎日新聞)4月16日2時33分配信
●<授業料・入学金>都道府県立高校の滞納総額、4億6千万円
全国の都道府県立高校で、06年度の授業料・入学金の滞納が総額4億6000万円に上ることが毎日新聞の調査で分かった。督促強化や、条例・規則改正で出席停止・退学の措置をとれるようにするなど、対策強化に乗り出した自治体も多い。千葉県で入学金納付が遅れた生徒を入学式に出席させない事態が起きたが、専門家からは補助制度充実など国にも対策の強化を求める声が出ている。
調査は47都道府県教委を対象にした。授業料の滞納額は大阪府が最も多く2億2611万円(滞納者数2768人)。▽北海道5072万円(同1060人)▽神奈川県4124万円(同775人)--が続いた。
大阪府の滞納額は06年度、前年度比約1.7倍になった。府教委は「滞納者には分割払いでも対応できるようにしているが、原因は分からない」と話す。東京都は2300万円で生徒数の多さに比べ低水準。都は「督促の努力と授業料減免制度の周知徹底を図ってきた成果」と説明する。
入学金の滞納額は計317万円。うち310万円(滞納者570人)は大阪府だった。授業料の滞納が原因の退学者は全国で429人に上り、うち大阪府が419人を占め、すべて授業料の滞納者だった。ただし、府教委は「きちんと出席する生徒は退学処分にはしていない」と説明している。
▽藤田英典・国際基督教大教授(教育社会学)の話 高校進学率は97.7%に達し、すでに準義務教育化している。公立学校を運営する自治体は、教育の機会を提供し保障する責任がある。経済的な理由で高校教育をあきらめる生徒がいるのは、好ましい事態ではない。自治体も減免制度を設けているが、奨学金や貸し付けなども含めて助成システムを国が整える時期に来ている。
(毎日新聞)4月18日2時31分配信
●遺児持つ母子家庭、平均年収137万円―あしなが育英会
自殺などで親を亡くした遺児を支援する「あしなが育英会」は17日、同会が奨学金を貸与する母子家庭の平均年収がサラリーマンの平均年収の約3割にとどまっているとする調査結果を発表した。
家計を理由に進路を変えた家庭は26・4%にのぼり、分析した村田治・関西学院大教授は「親の所得格差が教育格差を生む負の連鎖が生じている」と指摘している。
調査は2月、中3~高1の遺児を持つ母子家庭を対象に行われ、1064家庭が回答。母の平均年齢は46・7歳、父の死亡時の平均年齢は45・5歳で、1世帯あたりの遺児数は2・1人だった。
平均年収は前年比1・7%減の約137万1400円で、サラリーマンの平均年収の31・5%。職がある母のうち正社員は3人に1人にとどまっており、「給与だけでやっていけず、消費者金融から借金した」(福井県45歳)との声もあった。
(読売新聞)4月17日21:12
●学校裏サイト:悪質書き込み削除依頼、指導教諭が2次被害 /神奈川
横浜市中区の市立中の生徒が開設した掲示板「学校裏サイト」で、生徒指導担当の男性教諭がプロバイダーに悪質な書き込みの削除を依頼したところ、同じ裏サイト上で逆に「ネットをかぎ回って、削除している」と名指しで中傷されていたことが分かった。生徒を守ろうとした教諭が2次被害に遭った形で、市教育委員会は月内に同様の被害がないか市立中145校を対象に調査する。
市教委によると、男性教諭が被害を受けたのは昨年。携帯電話の裏サイトで、特定の生徒を誹謗(ひぼう)・中傷をする書き込みを見つけ、市教委の指示通り削除を依頼。その直後に攻撃を受けたという。また、この教諭の勤務先を含む中区の全6校で、服装や喫煙について一般的な指導した教諭に対し「うざい、むかつく、死ねばいい」などと裏サイトに書き込まれたことも分かった。
いずれも、市教委が2月に市立中での携帯電話の取り扱い状況をアンケートした際、中区の集計担当者から報告があった。
市教委は06年10月から生徒指導担当教諭に、悪質なネット上の書き込みは削除を依頼するよう指示。アンケートでは約半数の68校が依頼したと回答した。
(毎日新聞)4月18日14時1分配信
●発達障害児向けの教材ネットで公開 努力の結晶、共有
■厳選440点をデータベース化
LD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)など発達障害のある子供たちの学校生活を支援するため、「全国LD親の会」(東京)が中心となって、教師らが考案した教材教具を集めたデータベースが完成し、インターネット上で公開された。いずれも創意工夫を凝らしたものばかりで、同会は「これを参考に、それぞれの子供に合った教材教具を考えてもらえれば」と話している。
文部科学省の委嘱事業として、同会は平成18、19年度の2年間にわたり、「日本発達障害ネットワーク」の加盟団体と共同で教材教具を収集し、使用効果について実証研究を行った。研究チームを関東と関西につくり、メンバーには教師や保護者、研究者だけでなく、これまで学校現場とはあまりかかわりのなかった作業療法士らも加わった。
1000点を超える教材教具を収集して体系的に整理するとともに、子供の将来の就労や自立も念頭に置いた教材教具も新たに開発。最終的には、有効性が確認された約440点を厳選してデータベース化した。
ゲーム感覚で拗音(ようおん)を習得できるように工夫された大小のサイコロや、モニター画面に表示された文章のうち読む個所の色が変わったり、音声で読み上げたりする機能を持ったパソコンソフトなど、子供一人ひとりが抱える困難さに合わせてサポートする教材教具がそろっている。
研究チームの一員で、3月まで大阪府堺市の小学校教諭だった米田和子さんは「教師個人個人が持っていた創意工夫の結晶である『宝物』を、皆で共有できるようになったのは大きな成果」と話す。
大阪市内で3月に開かれた実証研究の報告会では、作業療法士が加わった意義が強調された。
例えば、アスペルガー症候群と診断され、週に1回、通級指導教室に通っている小学4年の女児は、姿勢を保つのが難しく、いすに座ることができないときも。筆圧が弱いため書いた字も読みにくかった。大阪府作業療法士会事業部発達部門代表の辻薫さんが女児のためにつくったのは、座位を保つクッションや足台。体の大きさに合わせてくりぬいた机や滑り止めシート、斜面台なども用意した。これらを使用することで、女児は姿勢を保つことができ、書く作業が続いても席を離れることがなくなったという。
作業療法士の参加について、米田さんは「教師はどうしても教科学習に目を向けてしまうが、生活面や運動面という支援を新たに学んだ」と指摘。辻さんは「これまで培ってきたノウハウは学校でも十分使えると実感した。これからは作業療法士を組み込んだ支援体制が必要では」と話す。
約440点の教材教具は、簡単に用意できて誰もが手軽に使えるものから、先端機器を活用したものまで幅広い。ただ、親の会の山岡修会長は「魔法のつえのように使えるツールはない」と強調する。A君に有効だった教材教具が、B君にそのまま通用するわけではなく、使用する教師の技量や子供と教師の関係性など、さまざまな要因が絡み合って効果につながるからだ。
米田さんは「子供が安心して使っていけるように、その子がどのように困っているのかを把握する教師や保護者らの目が大切」と指摘する。
特別支援教育の本格実施から1年。山岡会長は「このデータが学校現場で活用されることで、発達障害のある子供に対する指導法の確立につながれば。今後はデータの質、量をさらに高めていきたい」と話している。
(産経新聞)4月18日12時17分配信