就労、就労支援というけれど…
2008/07/13
ひきこもりやニート、発達障がいや精神疾患がベースにあってそうした状態にある青年・成人に対しての「支援」の中心が、どう「就労」に結びつけるかになっているのが現状ではないでしょうか。
ひきこもりなどの状態にある青年や「若年者」の当面の「問題」が「就労」できてないことにあることは否定できません。しかし、ひきこもりなどの状態になった原因の多くが、「就労」でのつまづきにあることを忘れてはなりません。
面接試験で何度も不合格となる、就労したものの職場での人間関係がうまくいかずに辞めざるを得なくなったなど、「就労」にまつわる様々な挫折・嫌悪体験を重ね、自己防衛から「就労」に拒否反応を示したり、自責感を強め抑うつ的になってしまっている人たちに必用なのは、それでも「就労支援」なのでしょうか。
自信を失い、意欲を失い、自己否定を強めている人たちにとって、かつてその原因となった「就労」へのトライは、高すぎるハードルであるはずです。
まずは、その傷ついた精神状態を癒し、下げてしまった自己評価を高めるために、周囲の人たちがその状態を否定することなく、共感的に受け入れ、ともに課題に向き合うという環境を整えることが必用になります。
広汎性発達障がいがあることによって、その特性としての対人相互作用の困難さが原因である場合には、二次的に生じている抑うつや強迫などの症状を精神科薬物療法などによって緩めつつ、障がい特性の理解と対人関係スキルを向上させるトレーニングが必用になります。
挫折感、自責感などから回復するために、周囲の人たちの理解と協力を得ながら自己肯定感情を高めていくこと、就労への意欲を形成していくこと、就労先での対人関係スキルを向上させること、本人の特性や個性、興味・関心に応じた就労先を具体的にマッチングさせること、それらを精神科医やカウンセラーやソーシャルワーカー、支援団体などの援助者、ジョブサポートセンターなど行政の就労援助機関、ジョブトレーナー、職親など、さまざまな関係者が連携しながら本人をサポートする体制を構築していく必用があります。
大切なのは、「就労」できない個人の問題としないという立場に立ちきることではないでしょうか。
次回は「学校社会に適応できない子どもの行動化としての不登校」についてです。
では、この1週間の気になる記事です。
<刑法犯>6年連続で減少、殺人は10%増 上半期・警察庁
警察庁は10日、全国の警察が今年上半期(1~6月)に認知した刑法犯件数が07年同期比5.0%減の87万9208件で、6年連続で減少したと発表した。検挙率は31.6%(07年同期比0.3ポイント増)。殺人・殺人未遂事件の認知件数は649件で、07年同期比で10.8%増加した。
罪種別では▽凶悪犯4200件(同8.8%減)▽粗暴犯3万3821件(同4.6%減)▽窃盗犯65万7230件(同4.6%減)--などが減少。一方、知能犯は3万8709件(同6.9%増)と増加した。このうち詐欺は3万4314件(同5.1%増)で、振り込め詐欺の増加が目立つ。警察庁は6月に庁内に振り込め詐欺対策室を設置し、取り締まり強化や被害予防に乗り出している。
吉村博人長官は「取り締まりとともに、高齢者らが振り込め詐欺被害に遭わないよう、金融機関で職員の声かけを徹底してもらうなど被害予防にも力を入れたい」と話した。
身近で起きる街頭犯罪は▽路上強盗673件(同13.4%減)▽略取・誘拐47件(同19.0%減)▽ひったくり8879件(同25.8%減)--などが減少。一方で、強姦(ごうかん)は237件(同8.2%増)と増え、暴行は9058件(同0.4%増)でほぼ横ばいだった。
(毎日新聞)7月11日7時6分配信
●発達障害児者の就労考える 「スクラム福井」がセミナー
自閉症など発達障害児者の就労について学ぼうと、県支援センター「スクラム福井」は7日、福井市のアオッサでセミナーを開いた。就労支援の事例や課題などが報告された。
セミナーには発達障害児者の保護者や養護学校の教諭ら約70人が参加した。就労支援策について同センターが、職場体験やアルバイト体験を通し、本人特性に合った進路指導を行っていることを紹介。発達障害に特化した就労支援制度が未確立なことや、就労できる事業所の少ないことなどを課題として挙げた。
参加者を交えた意見交換では「就職するときに発達障害であることを事業所に伝えるべきか悩む」「長期的に支援が受けられる体制がほしい」などの声が出ていた。
同センターによると発達障害児者の場合、人間関係などに悩み離職を繰り返すことが多く、昨年4月から今年6月までに寄せられた約1700件の相談のうち、就労に関する相談が409件ともっとも多かった。また知的、精神の障害者手帳を取得できない人もおり、障害者雇用制度などを使った就職ができないこともあるという。
(福井新聞)7月8日午前10時00分
●スクールソーシャルワーカー:県教委が公募、定員割れ 11人枠に7人/山梨
◇不登校や非行解決へフル活動、1人で訪問月20回の例も
◇「周知進めば派遣増必至」公募続行
県教委が今年から公募で始めたスクールソーシャルワーカー(SSW)派遣事業で、11人の定員に満たず、7人しか集まっていないことが分かった。SSWは、いじめや不登校などの問題解決に向け、子どもの生活環境に踏み込んで対処する存在で、学校の協力要請に基づき派遣される。県教委は「活動の周知が進んで要請が多くなれば、手が足りなくなる」と話し、ホームページなどで公募を続けている。
SSWは、文部科学省が今年から始めた事業で、委託された県教委が各地域の教育事務所に配置。教育と社会福祉の両分野の知識を持った社会福祉士や精神保健福祉士らが担当する。児童相談所や福祉保健所などと学校の連携を促進するほか、問題を抱える児童・生徒の親や地域など周囲から話を聞き、解決に向けて助言する。
各教育事務所に対するSSWの配置数は▽中北教育事務所=1人(定数4)▽峡東教育事務所=2人(定数2)▽峡南教育事務所=2人(定数2)▽富士・東部教育事務所=2人(定数3)。118校の小中学校を抱える中北教育事務所では、児童相談所元所長の男性1人が週3回担当しているが、5月だけで5校から不登校や非行問題などで協力要請があり、学校を延べ20回訪問。他にも制度の周知のため各市教委などを訪問しており、「フル活動が続いている」という。
現在は各校からの協力要請が少なく、問題は起きていないが、SSWの活動がより知られるようになれば要請の増加は必至。県教委は「教育、福祉の両方の知識と経験を持つ人が来てくれれば」と呼び掛けている。
(毎日新聞)7月11日13時2分配信
●「ニートはどうして男だけなの?」そんな疑問が正しくないワケ
「ニートはどうして男だけなの?」。そんな疑問でネットが盛り上がっている。確かにテレビ、雑誌などが報じるニートは男性ばかりだ。「男は女を見習うべきだ」といった意見も出ているが、実際は男女半々なのだそうだ。とすると、なぜ、男性ニートばかりがクローズアップされるのか。
■「男が女性を見習うべきだと思います」
巨大掲示板「2ちゃんねる」に2008年7月9日にこんなスレッドが立った。
「どうしてニートは男にしかいないのか?」
これに対するカキコミには、
「男がもう少し女性を見習うべきだと思います」
「女は働かず結婚すべきという偏見があるから、ニートと呼ばないのです」
「女は家事手伝いを公言できるから」
一般的なニートの定義は、学校に通っておらず、働いてもおらず、職業訓練も行っていない、15?34歳までの若年者。内閣府が05年7月に出した「青少年の就労に関する研究調査」によれば、02年のニートは約85万人。この調査では、メディアによく引用される厚生労働省の「労働経済白書」(04年)のニートの数字52万人と比較している。この数字の開きは「家事手伝い」を含むか含まないかの差だと表記している。「家事手伝い」とされているのは女性がほとんど。実際のニートの男女比は半々なのだそうだ。
それなのになぜ、「ニートは男性」のようなイメージが強くなってしまったのだろうか。「我が子をニートから救う本」「小島貴子式 仕事の起爆力」などの著書がある立教大学大学院ビジネスデザイン研究科小島貴子准教授はJ-CASTニュースに対し、
「日本は男女に関して、画一的、表面的なものの見方が続いているため、仕事をしていない男性に対し、より厳しい目を向けている」
と説明する。女性の場合は「家事手伝い」という立場が社会的にも一応認知されていて、仕事をしていなくてもやがては「結婚、主婦」という言い訳が通じる。また女性の場合、一生働き続けるという文化が未成熟なのも影響しているというのだ。
■面接でも女性は「家事手伝い」が通じる
さらに、ニートから脱却するのも男性の方が不利なのだという。ニートがいきなり毎日・フルタイム働くのは難しく、ランディング(訓練)する期間が必要な人もいる。女性の場合は派遣社員になった場合でも短期間・短時間働ける職種があるのに比べ、男性は少ない。就職面接でも女性は「家事手伝い」が通じるが、男性の場合は就職していない「空白期間」を問題にされたりする。
小島さんは、男性のニートについて、
「親が子に対し、働く前から正社員になれ、長く勤めろ、など強い要求をしたり、『男の子なんだからしっかりしろ』といったために、逆に働けなくなってしまう場合が多い」
と明かす。ニートの子供を持つ親は、子供に期待しすぎて信頼していないケースが多く、むしろ、期待せずに信頼することが、子供を立ち直らせる事に繋がるとしている。また、ニートの男性も、社会復帰した最初から完璧にやり抜こうなどと言う気負いは捨て、徐々に慣れればいいという気持ちが必要だとしている。そして、
「本人の問題より、企業が採用の窓口を広げることが最重要。継続して仕事が続けられるように職業訓練をすることも必要です。そうしなければ現状は変わりません」
と話している。
(J-CASTニュース)7月12日17時36分配信
●教員採用 合否見直し遠く 大分県教委、対応に苦慮
大分県の教員採用汚職事件をめぐり、点数操作や口利きなど相次いで発覚した不正によって採用された教員や、そのあおりで実際は合格だったのに不合格とされた受験者について、過去の試験の合否を見直すことができるかどうか県教育委員会が対応に苦慮している。
収賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)の供述などから、平成19年だけでも15人前後が点数水増しで不正に合格する一方、減点などで約10人が不当に不合格となったことが判明。
県教委の三浦徹夫義務教育課長は「不正合格は取り消すのが当然だし、不合格となった人には一生の問題でもあり、できるだけ早く救済したい」とするが、ここ数年の試験の答案は10年間と定められた文書保存期限を守らず既に破棄されていたことが分かった。得点の不正操作のデータや資料なども警察に押収された。
県教委は「『不正をやった』という容疑者の供述だけではなく、証拠が必要」と、県警に押収資料の開示を求めたが拒まれた。捜査や公判が終了すれば返却されるが、県警は口利きの実態などを今後詳しく調べるとみられ、捜査終結のめどは立っていない。
三浦課長は「合否の見直しにはまだ時間がかかる。まずは19日に始まる今年の採用試験に万全の態勢で臨むしかない」と話している。
(産経新聞)7月12日15時46分配信
●障害児童の教育支援員 配置、48%止まり
障害のある児童生徒の学習上、生活上の支援を行う特別支援教育支援員について、本年度に学校から配置の要望があったのは33市町村の701人だったが、実際に配置されたのは48%の32市町村、338人だったことが県教育委員会が5月に実施した調査で分かった。仲村守和県教育長が7日、県議会一般質問で西銘純恵氏(共産)の質問に答えた。
文部科学省は2008年度の支援員配置予算として360億円を計上しており、県内市町村に地方交付税として約5億1300万円の予算が措置される予定。
要望がなかったのは8村ですべて離島だった。仲村教育長は「今後とも市町村に対し、支援員にかかる予算確保と適切な配置がなされるよう指導助言をしたい」と述べた。
(琉球新報)7月8日10時5分配信
●いじめでの県立高転校を認容
広島県教委は、いじめを受けている県立高校の生徒について、学校が加害者に指導するなどしても、学業の継続が著しく困難な場合に限り、転校を認める方針を決めた。小中学校では既に認めているが、県立高は入試による選抜を理由に保護者の転居以外は認めていなかった。
県教委指導二課によると、2007年度にいじめを理由とする転校の相談があったことや、いじめによる自殺が全国的に社会問題化したことなどから4月、県内すべての県立高校長に通知した。
具体的には、いじめを受けた生徒が転校を希望し、校長が緊急でやむを得ないと判断した場合に、県教委が適否を判断。転入学者選抜試験を実施し、一定の学力があれば認める。試験の時期、方法は「弾力的に取り扱う」としている。
(中国新聞)’08/7/9