お知らせ

news

  • ▼新着情報

    • ▼ブログ

      • ▼研究ノート

        ひきこもり状態にあるわが子との関わり(5)回復のための時間
        2008/12/21
         12月14日は、目白大学で日本発達障害ネットワークの第4回年次大会に出席しました(前日13日に東京入り)。障害者自立支援法が、来年春に「3年目の改正」期限とされていて、大きな動きがすすんでいます。(先週、更新ができなかった言い訳です)
         さて、ひきこもり状態にある人の回復、たぶん=「家族および家族以外の社会関係の再構築」について考えてみたいと思います。
         「ひきこもり始めてからひきこもって動けない状態であった時間だけ、回復には時間がかかる」とも言われています。
         とはいっても、人それぞれ、心理社会的環境要因によって様々な回復があると思います。回復することが、本当に良いことなのか?というケースもあります。一般的には、人間が社会的動物である以上、他者との関わりが適度に保てながら、その人の人生を社会的に歩んでいける状態になっていくことを、回復と言っていいのでしょう。
         ひきこもり状態になっていく過程は、自信や自己肯定感を失っていく過程でもあります。それらを失い、自己否定の中でどうしたらいいかわからない、出口の見えない状態になってしまった人が、独力で回復をしていくことは望めません(無いわけではありませんが…)。
         ひきこもってしまったら、安心してその状態を継続していてもいい、という回りの理解と環境がまずは必用です。本人にとって、今はひきこもっている状態が必用と認め受容する勇気とも言えます。この時期に、親や周囲の期待・希望から、「そんなことをしていたらダメだ」とか、「これからどうするんだ」、「いつから動き出すつもりだ」などという言葉をあびせられることが多いと思いますが、本人への否定と責めでしかありませんし、本人はそのことで苦しんでいるわけですから傷に塩をするようなものです。その苦しさを感じ取り、受け入れ、共有し、今後を共に考え行動する覚悟を持つことが必用でしょう。これは、とても大変なことであることは言うまでもありません。
         できれば、このあたりから、信頼して相談でき、支援を受けられる第三者と家族がまずつながって欲しいものです。親の気持ちは不安の中で揺れ動きます。そして何度も方向性を見失ってしまいます。本人の特性や経緯、状態をできるだけ正確に理解し、方向性を持って、本人と家族の回復に寄り添う支援者の存在は、大きな支えとなります。
         回復には、やはり時間がかかります。統合失調症やうつ病などの精神病理、抑うつや強迫性障害などの神経症などの二次障害を生じておられる場合には、さらにそれらの治療過程が必用となります。
         「このままではダメだ」、「何とかしたい」という気持ちをご本人は基本的にお持ちですから、その気持ちを受け止め、一緒にその道程を進んでいくためのサポートをする第三者との関わりが、そのきっかけとなる場合が多いようです。
         ここで大切な姿勢は、その状態になったことを本人個人の問題にしないこと、家庭内で抱え込まないこと、第三者となれる多用な社会資源のサポートを受けながら本人のペースで段階を踏みながら社会性を回復していこうというものです。焦らず、しかし決してあきらめず、社会的関係性による肯定的な環境要因に頼りつつ、人として支えてあげることが必用です。
         次回は「ひきこもり状態にあるわが子との関わり(6)発達面の障害や傾向がある場合」についてです。
         では、この2週間の気になる記事です。

        障害者自立支援法見直し、原案は原則「全額公費負担」

         与党が検討している障害者自立支援法の見直しの原案が17日、明らかになった。
         介護など福祉サービスを利用する際の負担に関する原則を、「1割の自己負担」から「全額公費負担」に改める内容だ。一方で、所得のある人には能力に応じた負担を求めると明記する。来年の通常国会に改正案を提出し、来年度中に実施することを目指す。
         原案は与党の「障害者自立支援に関するプロジェクトチーム」(座長・木村義雄自民党衆院議員)がまとめたもので、17日午後の会合で検討する予定だ。
         2006年4月に施行された同法は、サービスの利用量に応じてかかった費用の原則1割を自己負担させる「応益負担」の立場をとっている。これに対し、低所得者からは「負担が重い」と不満が出ており、10月には各地の障害者29人が、同法が憲法の保障する生存権を侵害しているなどとして全国一斉訴訟を起こした。与党の見直しはこうした動きを踏まえ、同法の理念を、所得などに応じて自己負担させる「応能負担」に改めるものだ。
         政府は現在、所得ごとに負担額を定めることにより、平均の自己負担割合を3%程度に引き下げる負担軽減措置をとっており、公費支出は年間100億円の増加となっている。与党は法改正後もこの枠組みを維持し、支払い能力のある人に応分の負担を求める方針だ。
         また、原案には、福祉サービスのうち、障害者が福祉施設で作業して賃金を得る就労支援サービスでは当分の間、自己負担を求めない方針も盛り込まれた。全国的に賃金が少ないため、負担を求めるのは適切でないと判断した。
         同法については、民主党も「応益負担」を「応能負担」に変更する内容の改正案を国会に提出している。
        (読売新聞)2008年12月17日14時36分

        ●就活学生の98.8%が「就職戦線厳しい」と予測~02年以来の90%越えに
        2010年度卒業学生による、「2009年就職活動予測(2008年11月調査)」(データ出典:ディスコ)
         企業の人材採用に関するコンサルティングを行うディスコ社は8日(月)、2010年3月卒業予定の学生を対象にした「就職活動モニター調査」を発表した。その結果、前年度と比較した上での就職活動予測について、「非常に厳しい」(42.6%)「やや厳しい」(56.2%)と悲観的な予測をしている学生が98.8%にのぼり、昨年の53.3%と比べると急増していることがわかった。“悲観派”が90%を超えたのは、“就職氷河期”であった2002年11月の調査以来だという。
         「就職活動悲観派・楽観派」グラフ、昨年との比較
         同調査は同社と日経HRが運営する学生対象の就活支援サイト『日経就職ナビ2010』のモニターを対象に、11月14~25日に実施(回答者数1447名)。2010年春の入社に向けた就職戦線についての質問では、昨年度調査で「やや楽」「非常に楽」という“就活楽観派”が46.7%を占めていたのに対し、今年はわずか1.2%に急落。世界同時不況による経済状況の急激な変化と、それに端を発した2009年3月卒業者たちの「内定取り消し」などの雇用状況が、大きく影響していると思われる。
         就職後のキャリアプランについては56.3%が「ひとつの会社に定年まで勤めたい」と回答。また、就職したい理由(複数回答)については「経済的に自立したい」(77.7%)、「安定した収入を確保したい」(76.0%)が最も多く、“成長”よりも“安定”を望む学生が多いことも判明。先行き不透明な経済状況に巻き込まれた就活学生たちの不安と節実な思いが垣間見える結果となった。
        (ORICONSTYLE)12月08日15:11

        ●<内定切り>悪質「自己都合で辞退と書いて送れ」
         雇用状況の悪化に伴い、来春卒業予定の大学生の内定取り消しが相次いでいる問題で、連合は10日までの2日間、緊急電話相談を実施した。2日間に寄せられた相談は21件。内定した職種の変更を迫られたり、採用してもすぐ解雇することを明言された例があり、内定者が入社前から退職勧奨を受けているような状態にあることが浮かび上がった。 悪質なケースとしては、内定取り消しを通告された男子学生が理由を聞くと「内定だから、説明する必要はない」と言われた例があった。会社は「こちらの取り消しではなく、自己都合で辞退すると書いて書面で送れ」と言い、学生が拒否して働くことを希望すると「採用してもすぐに解雇する」と言われたという。内定は実質的な雇用契約で、取り消す場合は基本的に解雇と同じ扱いになる。やむなく取り消す場合も合理的な理由の説明などが求められる。
         内定は設計などの職種で得たのに営業職でないと仕事がないと言われた例や、「大阪で仕事をするという内定を取り消し東京でならば可能性がある」などと伝えられた例もあった。「経営が厳しく採用を延期する」と言いながら、延期期間を明確にしないケースも。連合は、自ら内定を辞退させるための嫌がらせとみている。
         連合は11、12日も午前10時~午後8時まで、非正規雇用労働者の解雇・雇い止め、内定取り消しの相談に応じる。相談電話は全国共通(0120・154・052)。
        (毎日新聞)12月11日02:41

        ●内定取り消し 厚労省あの手この手 採用で助成金、企業名公表…
         厚生労働省が11月に公表した調査結果によると、大学・高校で内定取り消し者は331人に上る。厚労省は「来年度末には、山一証券などが破綻した平成9年度末の922人を超える可能性もある」と危機感を募らせている。
         同省は、取り消し対策として、各都道府県の労働局などに大学生らの相談に対応する特別相談窓口を設置。内定を取り消された学生を採用した企業に最大で1人当たり100万円の助成金を支払うことで就職を後押しする対策などを打ち出している。
         厚労省は、パンフレットを配布するなどして、各経済団体や企業に対し、安易な内定取り消しをしないよう要請・指導。1月中をめどに職業安定法の施行規則を改正し、取り消しが悪質な企業名を公表できる規定を設ける。
         また、大学やハローワークなどと連携を強め、的確に内定取り消しに関する情報を収集できる体制づくりを進める。求人情報の提供や職業紹介の支援も強化する。予算措置が不必要な対策は来春までに実行する方針を示している。厚労省は「しっかりと対策を推し進めていきたい」としている。
        (産経新聞)12月12日8時5分配信

        ●夢を映像化!? 脳内画像を脳活動から再現
         人が目で見て認識している視覚情報を、脳活動を調べることで読み取り、コンピューターで画像として再現することに国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府)などの研究チームが初めて成功した。まだ単純な図形や文字で成功した段階だが、将来は夢を映画のように再現できる可能性もあるという。11日付の米科学誌「ニューロン」に発表した。
         物を見たときの視覚情報は、大脳の後ろにある視覚野という領域で処理される。研究チームは被験者に白黒の画像を見せ、視覚野の血流の変化を磁気共鳴画像装置(MRI)で計測。脳の活動パターンから効率よく画像を解読するプログラムを開発した。
         実験で使った画像は小さなマス目を縦横10個ずつ並べたもので、四角形や十字、アルファベットなど11種類。被験者が画像を見てから4秒後に、ほぼ原画に近い画像をコンピューターで再現できた。また、見ているままの状態を動画で再生することにも成功。再現精度は個人差があるが、カラー化も原理的には可能という。
         夢を見ているときや、頭の中で映像をイメージしているときも、視覚野は活動すると考えられている。ATR脳情報研究所の神谷之康室長は「夢を読み取って画像化することも、荒唐無稽(むけい)なことではない。医療での患者の心理状態の把握、新たな芸術や情報伝達の手段などに応用できるかもしれない」と話している。
         人が見ているものを脳活動から解読する試みでは、「縦じまか横じまか」といった単純な判別は可能だったが、見ているもの自体を画像として読み取ることはできなかった。
        (産経新聞)12月11日10時28分配信

        ●通り魔殺人が最多13件に、死傷者42人
         今年1~11月に全国の警察が把握した殺人事件(未遂も含む)は昨年同期比7・4%増の1200件で、このうち路上などで見ず知らずの人を襲う「通り魔殺人」は、統計を開始した1993年以来、最も多い13件に上ることが警察庁のまとめでわかった。
         同庁の吉村博人長官は11日の記者会見で、経済状況の悪化によって、今後も自暴自棄的な犯罪が増える可能性に触れ、繁華街のパトロールなどを強化する方針を明らかにした。
         11月末までの全国の刑法犯は昨年同期比4・9%減の167万4773件で、6年連続減少。このうち窃盗犯が4・1%、粗暴犯が5・8%、強盗も7・8%、それぞれ昨年同期を下回る中、2004年以降、4年連続で減少していた殺人は増加に転じた。
         特に、通り魔殺人は、茨城県土浦市のJR荒川沖駅で通行人ら8人が切りつけられた事件(3月)や、東京・秋葉原の無差別殺傷事件(6月)など多数の被害者が出る事件が相次ぎ、11月末までの死者は11人、負傷者は31人で、いずれも過去最多だった。
         親族間による殺人も48件増の511件で、殺人事件全体に占める割合は過去最高の49・6%。最も多かったのが親子間の殺人で254件に上り、夫婦(内縁を含む)が182件、兄弟が35件、その他親族が40件と続いた。
         動機では、「介護・看病疲れ」(42件)や「子育ての悩み」(30件)が目立った。
        (読売新聞)12月12日5時23分配信

        ●「うちの子も…」児童精神科の受診者殺到
         落ち着きがない、キレやすい、不登校や不眠、鬱病(うつびょう)といった症状を訴え、児童(小児)青年を対象とした精神科を受診する子供が増えている。国も、地域の拠点病院を核とした関連施設の連携を推進している。しかし、病院、医師とも不足しており、対策は十分とはいえない。子供はなぜ心を病み、大人はどう救おうとしているのか。一般にはなじみの薄い「児童精神科」の現場から、現代が抱える「病」を探った。
         ≪病名がひとり歩き≫
         師走の寒風が吹きつける平日の昼下がり。東京都立梅ケ丘病院(世田谷区)の外来待合室には、診察を待つ小学生から高校生ぐらいの子供と、その親が次々と訪れてくる。風邪や腹痛で来院する小児科の受診者に比べ、症状は分かりにくい。
         同病院は、主に18歳未満を対象とした精神科の専門病院として、全国最大の規模を誇る。外来は、(1)自閉症・精神遅滞の幼児(2)勉強が苦手(LD=学習障害)、落ち着きがない、キレやすい(ADHD=注意欠陥・多動性障害)(3)摂食障害、引きこもり-と3つの専門に分かれ、1日の受診者数は140人近くに上る。
         中でも、大半を占めるのが発達障害の一つ、ADHDの子供だ。
         「原因について仮説はいろいろあるが、はっきりとしたことは分からない。ひと昔前なら、『ちょっと変わってるな』と見過ごされてきたが、ここ数年、授業中に歩き回る子供の存在が注目される影響からか、『わが子もそうではないか』と不安になって受診する母親が殺到している」と市川宏伸院長は分析する。
         母親がインターネットでADHDなどに関する情報を集め、あちこちの病院で受診したものの、診断名がそれぞれ異なり、余計心配になって駆け込んでくるケースが後を絶たないという。
         市川院長は「ADHDへの正しい知識を持たぬまま、混乱している親が多い。子供がどういった症状で、何に困っているか整理せず、病名だけがひとり歩きしている」と困惑顔だ。「大切なのは病名ではなく、疑われる症状に基づく社会的不適応を少しでも減らせるようにすること」と市川院長は訴える。
         ≪予約は半年待ち≫
         子供専門の精神科クリニックも目立つようになってきた。
         尾山台すくすくクリニック(同区)の新井慎一院長は、梅ケ丘病院の医師から2年前に独立して開業。受診内容はADHDのほか、自閉症やリストカットを繰り返すといった深刻な症状から、乳幼児を持つ母親の育児不安にまで及び、現在、新患予約は半年待ちという状況だ。
         「地域に根ざしたクリニック」という特色を生かし、幼稚園や学校、保健所とも連携。患者である子供が通う学校の先生を交えて話し合い、授業や日常生活への理解、改善を求めるようにしている。新井院長は「子供を取り巻く社会が正しい情報を共有し、その子に合った対策をともに考えるのが大切」と話す。
         ≪関係見直しで改善も≫
         「精神科」に比べ受診に抵抗感の少ない一般の小児病院でも、不登校や不眠、情緒不安定といった心の不調を訴える患者が目立つ。
         バニーこども診療所(横浜市磯子区)では、専門の心理士のカウンセラーを置いている。親子で受診する際、互いに背中を向けたまま、顔を見て話そうとしない様子に異変を感じるという箕原豊院長は「親子関係を見直すことで、ほとんどの症状に改善がみられる」と話す一方で、こう不安視する。
         「ゆとり教育のひずみからか、気力の劣る子供や、子の鏡として行動できない親が増え、漠然とした『心の病』にさいなまされ、『病気』ならば治す、といった認識が甘いのではないか」
        (産経新聞)12月16日11時40分配信

        ●半数が障害者、立派な戦力 江戸川の町工場
         厚生労働省が11月、障害者の雇用状況(6月1日現在)を発表した。企業(従業員56人以上)の障害者雇用率は1.59%で3年連続過去最高を更新したが、法定雇用率(1.8%)には届いていない。遅れている障害者雇用。そんなとき、東京都内に社員14人のうち半数が障害者という小さな町工場があることを知った。
        ◇一生懸命の7人「仕事楽しい」
         東京都江戸川区の都市型工場団地「テクノタウン小松川」に入居する「コスモプリント」。ハンドクリームやシャンプーなどのプラスチック容器に商品名や商品内容を印刷する加工会社だ。社員は石塚利夫社長(74)を含め14人で7人が知的障害者、このうち5人はダウン症や自閉症などの重度障害者だ。
         容器の印刷がはがれないためのフレーム処理、印刷、検査、箱詰め…。正確に仕事をこなす社員たち。伊東明子さん(29)=仮名=がベルトコンベヤーから流れてくる大量の容器の中から3個を瞬時に取り除いた。わずかに文字が欠けている。伊東さんはダウン症の障害を持つ。
         石塚社長は昭和54年、知的障害者の特殊学校から中学3年生3人の実習依頼を受けた。「雇用は考えていなかった。でも、一生懸命働く姿に情が移ったんだね」。翌年、徳川幸夫さん(44)=仮名=ら3人を採用した。
         障害者雇用は簡単ではない。「彼らがいかに我慢し、継続できるか」。石塚社長は「最低1年、辛抱しなさい」と言い続けた。
         平成3年入社の北村夏子さん(34)=仮名=は、なかなか仕事ができなかった。石塚社長は「やはり無理か。辞めさせようか」と考え、1年後に切り出した。しかし、それをきっかけに能力が開花。今ではベルトコンベヤーを扱う仕事の中心となった北村さんは「周りの人が温かく、仕事を楽しんでいます」とほほえんだ。
         石塚社長は障害者雇用に理解のない人から「障害者は安い賃金で済むからいいですね」と言われるという。しかし、最低賃金は保証しなければならない。
         7年前に入社した岡田大輔さん(23)=仮名=は当初、木材関連会社に入社予定だったが、健常者が採用されたため不採用に。今年、初めてそれを知った石塚社長は「そうだったのか」と目頭を押さえた。
         「障害者について理解していない企業が多い。真剣に働く彼らを雇用したことで障害者のことが分かり、自分も教えられた」。石塚社長にとって7人は小さな工場でも立派な戦力で、そしてかわいい子供たちだ。
        ◇7割雇用の会社も
         川崎市に工場を持つチョーク製造会社「日本理化学工業」(本社・東京都大田区)は昭和35年から知的障害者雇用に取り組んでいる。北海道・美唄工場と合わせて社員74人のうち、実に7割の53人が障害者だ。大山隆久社長(40)は「『実習だけでも』と依頼され、雇用するつもりはなかった。しかし、一緒に働いた社員から直訴され、採用したのがきっかけ」と話す。
         同社の大山泰弘会長は当時、ある僧侶から「究極の幸せは4つ」と聞いた。(1)人に愛される(2)人に褒められる(3)人の役に立つ(4)人に必要とされる。「愛以外は仕事で得られる」と言われ、「企業は人間が求める究極の幸せを与える場」と実感したという。
         ■障害者雇用納付金 常用労働者301人以上の企業で、障害者雇用率が法定(1.8%)に満たない場合、不足1人につき月額5万円が徴収される。
         ■障害者雇用調整金・報奨金 法定以上を雇用している場合、301人以上の企業で超過1人につき月額2万7000円、301人以下で月額2万1000円がそれぞれ支給される。
        (産経ニュース)2008.12.1808:44

        ●出版:13歳・岩脇寛子さんの自殺から20年 両親が命日に「いじめの記憶」/富山
         ◇「いつまでも忘れないで」
         「もうだれもいじめないで」との悲痛な遺書を残し、1988年12月21日に13歳で自殺した岩脇寛子さんの父克己さん(68)と母寿恵さん(65)=富山市奥田寿町=が、事件から20年を迎えたのを機に、いじめの状況を知ろうと取り組んだ訴訟などの活動や、本紙などの新聞記事をまとめた「いじめの記憶」を寛子さんの命日に合わせて出版する。
         富山市立奥田中1年だった寛子さんは、同級生からのいじめを苦にアパート4階の自宅ベランダから飛び降りた。4日前に13歳になったばかり。遺書にはいじめた6人の実名を挙げ、いじめを繰り返すなと訴え、「私は、この世が大きらいだったよ」と、自らの苦しみをつづっていた。
         両親は同級生たちに配慮し、高校卒業後に市教育委員会に情報公開請求を行ったが、公開された文書はほとんどが黒塗りか空白。クラスメートによる追悼文も事件から約3カ月後、担任教諭が焼却した。「真相究明がいじめ根絶につながる」と、学校に安全保持義務違反があったなどとして96年に提訴。1、2審は訴えを棄却し、最高裁への上告も04年、不受理に終わった。
         同書は、自殺前後の思い出や、情報公開請求や裁判、周囲の支援やいじめで子を亡くした保護者同士のネットワークの広がりなど7章からなる。裁判などを伝えた本紙紙面も転載している。表紙には寛子さんの自筆遺書を掲載。両親は「年月が流れても、寛子が死をもって訴えたことを忘れずにいてほしい」と願っている。B5変形判、262ページ。2100円。桂書房(076・434・4600)。
         ◇いじめなくして、死を選ばないで--両親に思いを聞く
         寛子さんの死から20年。淡川典子・元富山大教授ら支援者9人でつくる「編集委員会」の協力で出版にこぎ着けた克己さんと寿恵さんに、寛子さんやいじめなどへの思いを聞いた。
         「今も『ただいま』と帰ってくるような気がする」。2人にとって、愛娘を失ってからの20年の年月は長いようで短かかった。当初は、突然、自殺という形で一人娘を失い、何をしていいか分からずにひたすら教育関係の講演会を訪ね歩いた。
         遺書でいじめに加わったと名前が挙げられた生徒たちが岩脇さん宅を訪れたのは1度きり。謝罪の言葉もなかった。寛子さんへの追悼作文を焼却した担任の男性教諭も、四十九日までは毎日やって来たが、「その後は音信不通です」。
         嫌がらせの電話も相次ぎ、孤独感にうちひしがれた。そんな2人を支えたのは、当時、「教育スペースあるむす」代表だった故・山本定明さんらが作った支援組織「もうひとりにさせないよ!の会」や、同じように子どもをいじめ自殺で失った親たちとの交流だった。
         娘の死に迫ろうと、市教育委員会への情報公開請求から裁判まで長い道のりを歩いてきた。一方で、2人は十七回忌を機に、寛子さんの部屋を少しずつ整理していった。寛子さんが大切にしていたピアノも友人に譲った。今月、一つのテープを聞いた。「寛子の声は元気ではきはきとして、いじめをうかがわせる様子はなかった」。
         完成した本が岩脇さん方に届いたのは12月17日の夜。寛子さんの誕生日だった。生きていれば33歳。孫がいたかもしれない。年齢が止まったままの娘のためにケーキを買った。克己さんは「お年寄りや子ども、障害を持つ人にも優しく、友人が靴を隠されると一緒に探してやるような子だった。寂しくて仕方ない」と漏らした。
         今もなお、いじめやそのための自殺はなくならない。寿恵さんは「地域、学校、保護者が一体となり、どうかいじめをなくしてほしい。なくせずとも、目の前のいじめや、被害者が自ら死を選ぶようなことだけは止めてほしい」と訴えた。
        (毎日新聞)12月20日15時0分配信