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        日本の精神保健の現状を憂うーうつを中心に
        2010/05/04
         GWのど真ん中。事務所で修士論文の準備をしようと出てきています。しかしすごい高速道路の渋滞ですね。昨日、田舎(倉敷)から車で帰ってきましたが、5時間以上かかりました。もっとも、強烈な睡魔に襲われるので(過去、これほどの疲れは感じなかったのですが、危ない危ない)、サービスエリア毎に休憩していたのも影響していますが…。
         さて本題です。うつの診断が母子共におりている母子家庭で、物事がうまく行かないのはすべて母親のせいだ、とわめき続け大混乱の日々、母親は反論すると状態が悪化するため黙って聞き続けるしかない、大混乱の息子に夜を徹しての相手。でもそれも限界とクライシスコール。
         当該市の精神保健の窓口に電話をして、訪問して状況を把握して欲しいと依頼するよう、母親に伝えました。母親はさっそく電話したものの、これまで何度か電話や面接相談で事情はある程度わかってくれているはずなのに、担当者は「通院している病院に行って下さい」「今は人がいないので訪問することはできません」。
         再びクライシスコール。電話の向こうでは大狂乱、泣きわめく声が続きます。母親への軽い暴力や物を投げつけるなどの行動があったため、私は第三者として警察に通報しました。これが2回目の警察の介入です。
         ところが、家に入って話しを聞いた警官は、「息子さんの言う通りにして下さい」「誰か第三者に入ってもらって解決して下さい」「こんなことで警察を呼ばないで下さい」と、あきれるような対応。あなたが第三者ですから~!!
         保健所も、精神保健の所轄の移行で新たな窓口となったセンターも、警察も、「医者に行け」「相談は来てくれれば受け付けます」「血も流れてないのに警察を呼ぶな」といった対応に徹しています。共依存がすすんだ親子関係,密室化した家の中で何が起こっているかを的確に把握し、この後どんな事が予想されるかを考え、事件の未然防止や病状の悪化を止め治療・改善的な方向にどう介入すればいいかなど、積極的な精神保健的な援助の基本がまるでありません。驚くべき惨状です。
         以下で紹介する抗うつ剤と自殺に関する記事でも新たな動きが見られますが、抗うつ剤の副作用や正しい使い方についてはアメリカで2000年頃より疑問視や問題提起が行われています。日本でも2006年に厚労省が以下の指導を行っています。
        <自殺の試み増える恐れ パキシルで厚労省注意喚起>
         厚生労働省は14日までに、抗うつ剤パキシル(一般名・塩酸パロキセチン水和物)の添付文書に「若年の成人で自殺行動のリスクが高くなる可能性が報告されており、投与する場合は注意深く観察すること」との記述を加えるよう指導、製造販売元のグラクソ・スミスクラインは添付文書を改訂した。  米食品医薬品局(FDA)が5月に、同様の警告を発表したことを受けた措置。
         厚労省によると、患者を対象にした海外での臨床試験で、パキシルを服用した3455人中11人(0・32%)が自殺を試みた。偽薬を飲んだ1978人では1人(0・05%)だった。自殺行動は18-30歳で多かった。
        2006/06/14 10:28 【共同通信】
         パキシルは全世界で年間270億ドルの売上となっているそうです。ルボックスやデプロメールなどとともに有名なSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」)です。ルボックスは、1999年にアメリカのコロンバイン高校銃乱射事件の主犯者服用していましたことから、その服用と銃乱射の因果関係が裁判で争われました。結果、ルボックスの製造会社であるアメリカのソルベイ社は、2002年にルボックスの国内販売を中止。このあたりの経緯は『乱造される心の病』(クリストファー・レーン著:河出消防新社)をご覧下さい。パキシルのわかりやすい問題点として、過度のストレスと通常のストレスを区別するだけの選択的効果がないため、身体がストレスと不安を区別できなくなってしまうというものがあるそうです。発達障害のある人では、このストレスと不安の違いや、自分が受けているダメージの大きさがわからないという問題と重なるので、処方はとても難しいものと推測できます。
         SSRIがダメ、と言っているのではありません。必用な状態の人には投与しなければならないでしょう。ただ、その際に、効能や副作用、減薬にあたっての注意事項などの説明は必用です(実際には、短い精神科の診察時間にそんな説明を医師が事細かにしている時間はないのが現実ですが…)。とすれば、服用する側が知識を正確に持つことが大切になります。私もSNRIと気分安定剤、眠剤などを長年服薬(=人体実験)していて、夜の睡眠の安定的確保を目的としています。いわゆる過覚醒、中途・早朝覚醒という睡眠障害といううつの症状緩和のためです。副作用にもいつも気を配っています。
         うつとの関わり方について、いくつか本を紹介します。関心のある方はお読み下さい。理解と正しい関わりを…。
         そういえば、数年前にSAD(社会不安障害)がTVのCMなどで盛んに宣伝され、そうであれば受診と服薬治療が必用だと言われていましたっけ。DSMの「社会恐怖」の別名で、「内気」とどこが違うのかよくわからない、と議論になりました。このSADの治療薬もパキシルが効果が高いとされてきました。こちらは私の人体実験ができないので何とも言えませんが、製薬会社はさぞ儲けられたのだろうと思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        うつ病自殺7割が精神科を受診 「抗うつ薬」安易な服用に懸念

        安易な抗うつ薬の服用は死を招きかねない
         うつ病で自殺した人の7割が精神科を受診しており、その多くは「抗うつ薬」を服用していた。遺族が行った調査でわかった。最近は製薬会社のテレビCMや政府の「うつキャンペーン」のせいもあって、抗うつ薬に抵抗感のない人が増えている。医療関係者の間でも安易な服用を懸念する声があがっている。
         全国自死遺族連絡会が2010年3月までに行った調査によると、自殺者1016人のうち精神科を受診、治療中だった人は701人で、69.0%を占めた。自殺者のうち飛び降り、飛び込みは197人で、自宅のマンションから飛び降り自殺を図った場合は全員が受診していた。また、自殺した20~50歳代女性も100%が通院していた。
         ◇「1日20~40錠の服用はざらにある」
         調査で、自殺者の多くは抗うつ剤を服用していたこともわかった。1回5~7錠を1日3~4回にわたって服用していた。全国自死遺族連絡会の田中幸子さんは、
          「1日20~40錠はざらです。症状がよくならないと、別の病名がどんどん上乗せされていき、その分、薬の量が増えていきます。うつ病は生まれつきではなくて誰もがなり得る病気で、うつになるには原因があるんです。それを解決しないと、いくら薬を飲んでも治りません。頭痛や不眠といった症状は薬の力で助けてもらって、根本の問題はカウンセリングなどで治していくというのが本来の治療なのです」
        と指摘する。
         日本ではカウンセリングには保険診療点数がつかないので赤字になるという理由で、ほとんどの病院で取り入れず、1~3分程度の問診で薬を投与する例が多いという。そして、
          「私たち遺族は、精神科に子どもや家族を行かせなければ、死ななかったかもしれないという自責の念を抱えています」
        と話している。
         内閣府自殺対策推進室は2010年3月から、「お父さん眠れてる?」というキャッチコピーでうつ病防止キャンペーンを行い、2週間以上眠れない日が続いたり、食欲がなく体重が減ったりしている場合にはうつかもしれないので、医者に相談するよう呼びかけている。こうしたキャンペーンを大々的にすることも、安易な服用につながりかねない、と田中さんは危惧する。
          「抗うつ薬を飲むと滑舌が悪くなり、ぼーっとしてきたりして、会社勤めができなくなります。まじめな人ほど病院にかかって、薬をちゃんと飲んで、そういう人ほど亡くなっています。また、若者の間でも服用が広がり、副作用でだるくなって仕事をする気がなくなり、最終的には寝たきりになる人が増えているんです」
        そして、こうアドバイスする。
          「軽いうつ状態なら誰にもあること。まずは少し休んでみたり、おいしいものを食べてみたり、ストレス発散してみたりして、薬で治るという信仰を捨てないと危険です」
         ◇「抗うつ薬ありきという認識を見直す時期に来た」
         抗うつ薬の安易な服用はよくないという見方は、医療関係者の間にも広がってきている。
         厚生労働省の発表では、うつ病患者が100万人(09年)を超え、この10年で2倍以上に急増した。10年1月6日付け「東京読売新聞」は患者急増と新規抗うつ薬との関係について概ねこのように報じている。
         一部の医療関係者は抗うつ薬の安易な投与に疑問を抱いている。北里大学宮岡等教授は「薬なしでも自然に回復するうつ病も多い」と話し、慶応大学渡辺衡一郎専任講師は「日本でも、まず抗うつ薬ありきという認識を見直す時期に来た」と述べている。
         抗うつ薬を服用していた患者が自殺したり、他人を傷つけたという報告が複数寄せられていることから、厚生労働省も対策に本腰を入れ出した。
         同省医薬品医療機器総合機構安全部は、抗うつ薬「SSRI」(パロキセチン塩酸塩水和物、フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン)と、「SNRI」(ミルナシプラン塩酸塩)を服用した患者が自殺や他害行為をした268ケースと、それぞれの薬の因果関係を調べた。
         すると塩酸パロキセチンで2件、マレイン酸フルボキサミンで2件については「医薬品と他害行為との因果関係が否定できない」としたが、それ以外のケースは「医薬品と他害行為との因果関係は不明」となった。しかし因果関係がないとも言えないため、医療機関に対して投与の際に「十分注意を払うべきだ」としている。調査は09年5月8日に発表した。
         厚労省の調査を踏まえて、日本うつ病学会は、うつ病患者には自殺のおそれがあるので、抗うつ薬の投与を開始した時と投与量を変更する時には、患者の状態を注意深く観察することが必要だ、として医療機関に注意を呼びかけている。なかでも24歳以下の患者は自殺のリスクが増加するという報告があり、投与する際には「より注意深い観察が必要である」としている。
        (J-CASTニュース)5月4日10時12分配信

        ●障害者向け新法案作りへ初会合 当事者中心に議論

         2013年8月までに廃止される障害者自立支援法に代わる新制度に向けた議論が27日、本格的に始まった。政府の障がい者制度改革推進会議の下に設置された「総合福祉部会」が初会合を開催。障害がある当事者らを中心に55人態勢で、新たな福祉サービスのあり方を議論していく。
         部会では、まずは廃止までの間の対応策から検討し、来年度予算への反映も目指す。この日の会合では、出席者からサービス利用量に応じて利用者負担も増える「応益負担」の仕組みの撤廃や、重度障害者への24時間介護などの必要性などの要望が出た。
         一方、自民、公明の両党は同日、利用者の負担能力に応じて料金を支払う「応能負担」の原則を採り入れた自立支援法改正案を衆院に提出した。グループホーム利用への助成制度創設も盛り込んでいる。
        (asahi.com)2010年4月27日21時28分

        ●あっぱれ!おかやま:障害者雇用に取り組む、トモニー/岡山
         ◇一人一人が貴重な戦力
         「いらっしゃいませ、ありがとうございました。いつも元気なトモニーです」。大声であいさつするのは自閉症、ダウン症、軽度の知的障害者たち。従業員の半数が何らかの障害を持つ総合サービス会社「トモニー」=北区祇園=の1日は朝礼から始まる。社名のトモニーは「共に」を意味し「共に働く、共に生きる」が基本理念だ。
         キーワードは「利益を出す」。本社は、複数の障害者・高齢者福祉施設などを運営する社会福祉法人「旭川荘」の敷地内にあり、旭川荘で使われるシーツやタオル類の洗濯、クリーニングや施設の清掃を請け負う。食堂や喫茶店も経営する。
         87年の会社設立から一貫してかかわる萩原義文専務は「障害者がかわいそうというだけでは何も変わりません。障害があったとしても貴重な戦力として扱う。一人一人が能力を発揮してもらえばいい」と語る。この発想は注目され、視察の申し込みも少なくない。
         飲食部門を案内してもらった。自閉症などの社員が働く調理場。野菜の皮むき、ご飯の盛りつけといった作業が進み、衛生環境は徹底している。食中毒など失敗は許されない。条件は普通の企業と同じでも「やっぱり障害者だから」と決めつけられかねない。ここで働く妹尾智矢さん(26)=06年入社=は「野菜の皮むきやスライスを担当している。仕事は大変だけど辞めたくない」と話す。仕事は少しずつだが確実に上達しているという。
         作られた弁当は施設内に配達され、旭川荘内のコンビニにも並ぶ。最初に売り切れるのはトモニーの商品だ。「市場で勝てるか。これが大事なことです。食べておいしく、お金を払う価値があるものを作る」(萩原専務)。社員一人一人が自分の力を発揮するトモニー。年間売り上げは約3億1000万円に達している。
         ◇有限会社「トモニー」(山本俊介社長)
         重度障害者の雇用を拡大し、旭川荘などの利用者のサービス向上を目的に87年に設立された。従業員は43人、うち22人が知的、身体障害者(10年4月現在)。資本金300万円。障害者雇用の実績をかわれ、昨年4月には法務省の橋渡しで窃盗罪で服役、出所を繰り返していた知的障害の男性を雇用した。
        (毎日jp)20100427

        ●自閉症:オキシトシン投与で知的障害者の症状改善 金沢大
         脳内ホルモンの一種「オキシトシン」の投与で重度の知的障害のある自閉症患者の症状が改善したと、金沢大・子どものこころ発達研究センターが23日、発表した。主治医の棟居俊夫・特任准教授は「知的障害のある患者で効果が確認された例は初めて」としている。
         オキシトシンは出産時に大量に分泌され、子宮や乳腺の収縮などに作用、陣痛促進剤などとして使われている。他者を認識したり、愛着を感じる機能に関係するとの研究結果も最近出され、知能の高い自閉症のアスペルガー症候群で効果が実証されたとの報告もある。
         この報告を知った、同センターに通院する20代の男性患者の両親が、08年にオキシトシンの点鼻薬を輸入し、数カ月服用したところ、(1)主治医の目を見て話す(2)対話で笑顔を浮かべる(3)IQテストが受けられるようになる--など症状が改善。10カ月間投与し改善状態の持続も確認した。
         男性は3歳で自閉症と診断され、服用前は他者と目を合わせず、質問におうむ返しの反応しかできなかった。
         これまで重度の知的障害がある自閉症患者へのオキシトシンの投与例はなく、今後、どのような患者に効果があるかを見極め、必要な投与期間や量、対象年齢などを突き止めるのが課題という。
        (毎日新聞)2010年4月24日

        ●ネットいじめ:防げ、中1に授業 業者を公募--堺市教委 /大阪
         携帯電話やパソコンを介した「ネットいじめ」を未然に防ぐため、堺市教育委員会は、市立中学1年生全員を対象にした「ネットいじめ防止授業」をする業者を公募している。
         誹謗(ひぼう)、中傷の書き込み、メールによるいじめなど、インターネットを悪用した人権侵害をする子どもが出ないように今年度、中学43校で予防教育をする。携帯電話の所有率が増える中学1年生が対象。
         文部科学省が06年度に全国の小中高校生を対象にした調査によると、いじめ約12万5000件のうち約4%の4883件がネットいじめだった。ネットいじめの場として、学校の公式ホームページと異なり、児童・生徒が管理するブログや掲示板の「学校裏サイト」が温床になっている。
         堺市小中学校生徒指導研究協議会の07年度の調査では、自分専用の携帯電話を持っている割合は小学生25%、中学生62%だった。小学生2%、中学生8%が「携帯電話を使ったいじめを受けた」と回答している。
         見積書上限金額は629万3000円。12日までに、市教委に必要書類を提出。応募多数の場合、書類審査、提案書に基づいて説明するプレゼンを経て業者を決める。問い合わせは、市教委学校教育部(072・228・7436)。
        (毎日新聞)5月2日13時55分配信