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        高機能の広汎性発達障害とカウンセリング(2)
        2010/11/14
        2.「自由にして守られた空間」としての枠組み
         HF-PDD特性があり、そのことから様々なトラウマ体験や無力感、自己否定感を抱えて来られ、ひきこもりなど自尊感情低下の状態や他罰的な言動が対人的に問題となられている方に対する相談支援は不可欠なものだと思います。抑うつや社会不安障害、強迫性障害などの神経症状に対する薬物療法が必要な状態の方にはお薬が必要ですが、根底にある不安感や不満足感などを「聴いてほしい」「わかってほしい」という欲求は、「聴く」「理解する(受容する)」対象が必要だからです。
         1.で述べたことと重なりますが、「わかってくれる人と出会いたい」→「この人なら聴いてくれる、話してみよう」と、信頼できる対象と出会えた時の会話は、多くの場合「吐き出し」から始まります。その際の話す場所、所用時間、料金などの枠組みの考え方が難しいのが実際の問題です。
         まず、場所は、言うまでもなく、安心できる(その場所での会話はカウンセラーとクライエント以外には漏れないなど)個室であること。臨床心理面接の基本とされる「自由にして守られた空間」のハードウェアは整えなければならないでしょう。
         所要時間は、45分、50分、1時間…と諸説あるようですが、カウンセリングの進行状態やその時の感情状態を尊重することが大切で、「うまく話せない」ことにずっと悩んできた方に「時間ですから、続きはまた次回にお聴きします」はストレスを持って帰ってもらうことになります。カウンセラー、クライエント双方のストレスや継続したカウンセリングの保障などを考えると、60分から長くても90分がある意味「限界」ではありますが、時に大幅に超過してしまうことが必要な場合もありますので、固定的に枠組みとして押しつけることは避けるべきでしょう。安全で自由で守られた面接を継続する枠組みとして、時間の制約が必要なことをわかりやすく伝えながら、了解してもらえる状態に面接そのものを発展させていくことが課題となります。
         料金、実はこれが1番難しい問題かも知れません。現在の医療制度では、医師が行う「精神療法」と、臨床心理士などが30分以内で医療機関において行う「心理面接」(=精神療法)に対してのみが診療報酬の対象となりますので、30分を超えるもの、医療機関以外で行うものは、個別契約に基づくものとして扱われますので、カウンセリングルーム、相談室などを構えて相談支援を行う事業者(カウンセラー)は、室料など諸経費を考え、「50分:○○円」などの料金設定をせざるを得ません。大学設置の相談室などでは3,000円程の設定にされているところもありますが、個人開業されているところでは、1万円を超える所も少なくありません。とても仕事ができる状態にないHF-PDD特性のある方が多いのに、相談の必要性がありながらこうした料金は障壁でしかありません。ご家族に理解がある場合には、本人さんに料金の提示をすることなく、ご家族に請求させてもらうケースが多いのが実情です。しかし、その経済的余裕がある家庭に限定されてしまいます。もちろん、中には、仕事をされていて一定の収入があり、でも「相談したい」と料金を了解・納得の上でカウンセリングに来られる方もおられます。
         現行の障害者自立支援法の「相談支援」は、障害福祉サービスなどに繋ぐためのアセスメントと「個別支援計画書」作成で1回:5,000円の報酬単価となっていて、利用者はとても公表できないほど少ない状況です。高望みをしないまでも、「人として当たり前のレベルで安心して生活できるようになりたい、そのために誰かに相談したい」と願う方に対しての「相談支援」は、支援計画書づくりではありません。特に発達障害特性のある方の場合には、生育歴=どんな心理社会的環境で育ってきたのか、何を体験しどう記憶=認識しているのか、それらのために今どんな状態にあり、何をどう困り悩んでおられるのか、何を希望されておられるのか、今何を不安に思っておられるのかなど、その方の背負っておられる背景を理解しつつ今の感情(特に不安や焦り、いらだちなど)を傾聴・共感し、問題の解決・改善に向けたアドバイスや他の社会資源の紹介などの具体的なソーシャルワークこそが求められています。しかし、こうした求められる「相談支援」に対しての社会福祉の制度としての援助は、実態としてありません。障害福祉に限らず、介護福祉、医療福祉などにおいても同様です。公的機関が財政事情を理由に相談体制を制約し、外部の法人委託を行っていること自体に問題があると思いますが、相談ニーズに立脚して財源を確保し、相談場所の大幅な増加と支援人材(精神保健福祉士など)の育成・増加に本気で取り組んで行くことで、働けない状態にある多くの人が働く喜び、生きていく意欲を回復しつつ、納税者となっていくことこそが、社会福祉や障害者の就労支援の本筋ではないかと考えます。
         とにもかくにも、障害特性の理解を前提としたカウンセリングは、HF-PDD特性のある方に対して必要かつ有効であることを、日々確信しているところです。
         それでは、最近の気になる記事です。

        「いじめ隠さず対応を」小6自殺で文科省通知

         文部科学省は9日、都道府県教育委員会などに対し、いじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応することや、いじめ問題が生じた場合、隠さずに家庭・地域と連携するよう求める通知を、10日に出すことを決めた。
         群馬県桐生市の小学6年生、上村明子さん(12)が自殺した問題で、同市教委が「いじめがあった」と認めるまでの間、対応が遅れたことを受けたもので、8日の同市教委の調査結果発表から異例のスピード対応となった。
         通知は、上村さんのケースのほか、今年6月に川崎市の市立中学3年の男子生徒(当時14歳)が自殺し、学校でいじめに遭っていた事実が確認されたことにも言及。「いじめはどの学校でも、どの子にも起こりうる」ことを前提に、すべての学校で児童生徒にいじめの有無を聞くアンケートを実施するなど、いじめの実態把握と早期対応の徹底を求めた。
        「読売新聞」11月10日(水)7時17分配信

        ●群馬小6自殺 文科省の依頼にも学校は調査せず
         群馬県桐生市の市立新里東小6年、上村明子さん=当時(12)=が自殺し、後になって学校側がいじめがあったことを確認した問題で、同小学校が自殺1カ月前に文部科学省から依頼されたいじめ調査を実施していなかったことが10日、分かった。調査を実施していれば、事前に明子さんへのいじめを把握できた可能性もあり、文科省では「自殺を防げたかもしれない」としている。
         桐生市教委によると、同小は調査を実施しなかった理由について「12月初旬の人権週間に合わせ、実施する予定だった。『実施しなかった』という認識はない」と説明したという。
         同小が実施していなかったのは、文科省の「いじめの実態把握のためのアンケート」。いじめ早期発見と対策のために、各校の児童や生徒一人一人にアンケート実施を求めていた。
         文科省によると、今年9月14日に、全国の小中学校と高校などへ教委を通じてアンケートを依頼。明子さんの通っていた新里東小にも、桐生市教委を通じて通知文書が届けられていた。
         しかし、同校ではアンケートは実施されず、10月23日に明子さんが自殺。それにもかかわらず学校側は、記者会見で「いじめの認識はなかった」という見解を示した。
         明子さんの両親がいじめの存在を強く主張したことなどから、学校側は文科省アンケートとは別に全児童を対象に聞き取り調査を実施し、11月8日になって、いじめの事実を認めた。ただ、自殺の原因とは認めなかった。
         一連の経緯に疑問を感じた文科省が、群馬県教委を通じて同小にアンケート結果を確認したところ、未実施であることが判明した。
         同アンケートの実施率は平成21年度で65・9%。3分の1以上の学校が実施していないことなどから、文科省は10日、「いじめに対する学校側の認識が甘い。積極的な把握に努めないと解決は難しい」として、各都道府県教委に対し、いじめなどについて定期的なアンケート実施を徹底するように求める通知を出した。
        「産経新聞」11月11日(木)7時5分配信

        ●桐生の小6女児自殺:「いじめ」調査を継続 市教委が確認 /群馬
         桐生市立新里東小6年、上村明子さん(12)の自殺を巡り、同市教育委員会は12日、定例会後に非公開で打ち合わせを行い、今後も明子さんへのいじめに関する調査を継続し、事実確認を進めていくことを確認した。
         学校側は8日の会見で、明子さんに対するいじめがあったことを認める一方、「(自殺の)直接的な原因はわからない」として、因果関係は認めなかった。
         この調査結果を巡っては、亀山豊文市長がいじめと自殺との関連について「さらなる調査」を求めており、大澤正明知事も「不十分」との見解を示している。
         市教委の鈴木正三委員長は、今後の調査を有識者で作る第三者委員会に委ねる手法について「一つの方向性としてあり得る」と述べた。
        「毎日新聞」11月13日(土)12時53分配信

        ●<日本学生支援機構>奨学金支給ミス相次ぐ 書類審査に不備
         独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)の奨学金が、支給予定日の11日に入金されなかったケースが全国で相次いだ。書類を審査する手続きなどに不備があったため、振り込みが誤って停止されたという。同機構によると、対象は全国約400の国公立・私立大学などに通う約1050人。未支給の総額は少なくとも約5000万円に上る。同機構は22日に改めて入金するよう準備を進めており、担当者は「大変申し訳ない。再発防止を図りたい」としている。
         同機構の説明によると、誤って入金が停止されたのは、今年4月から奨学金を受け始めた学生の一部。機構は今年度から、奨学金の貸与を始める際、連帯保証人や返済方法などを記した「返還誓約書」の提出を学生に義務付け、提出されなかった場合は貸与を停止するようにしたが、この誓約書の審査に不備があった。
         誓約書の提出期限は6月。記載漏れなどがあった場合、8月にいったん学生に送り返し、9月上旬までに再提出するよう求めた。その後、学生が期限内に誓約書を再提出したのに、機構側の審査やデータ処理が間に合わず、奨学金を管理するコンピューターシステムが誤って入金を停止してしまったという。機構の担当者は「制度が変わり、事務量が膨大になった。スケジュールに無理があった」と説明している。
         同機構の奨学金は、全国の大学・大学院生の3分の1以上にあたる約118万人が利用。無利子と有利子(上限3%)の2種類があり、月額3万円から二十数万円の貸与を受けられる。
        「毎日新聞」 11月12日(金)2時32分配信

        ●脳への電気刺激で数学力向上、効果は最長6カ月持続=英研究
         英オックスフォード大の神経科学者のチームは4日、微量の電流で脳に刺激を与えると数学的能力が最長6カ月間にわたって向上するとの研究結果を発表した。
         同研究には15人のボランティアが協力。数学的思考を司るとされる脳の「頭頂葉」に6日間刺激を与え、数学のパズルを解く速さと正確さを測ったところ、効果がみられたという。
         研究を率いたコーエン・カドッシュ氏は、「電気刺激を受けるよう人々に勧めているわけではないが、今回の発見には非常に興奮しており、脳にどのような変化が起きたのかを精査している」と語っている。
         同研究チームは先月、脳の深部に電極からの刺激を与えることで、他の治療法では効果が得られなかった重度の強迫性障害の患者の症状を改善できる可能性があるという研究結果を発表していた。
        [ロンドン 4日 ロイター]2010年11月5日20:01

        ●海上保安大学校の映像データに数十件のアクセス確認…尖閣ビデオ流出
         尖閣諸島付近の中国漁船衝突の映像流出事件で、海上保安大学校(広島県呉市)の担当者が捜査当局の聴取に対し、「海上保安庁(東京)と話し合い、映像データの提供を受けた」と話していることが13日、捜査関係者への取材で分かった。各地の海保の活動に役立てるなどの目的だったとみられる。
         関与を認めた神戸海上保安部の海上保安官(43)の巡視艇のほか、第2管区海上保安本部(宮城県・塩釜市)内の関連施設から映像データへのアクセスがあり、警視庁は海保大の共有フォルダーに計数十件のアクセスを確認している。
         これまで保安官は「自分で大学校の共有フォルダーから入手した」としていたが、聴取に「同僚が巡視艇内の共用パソコンに取り込んだ映像を、後から1人で記憶媒体『USBメモリー』に保存した」と説明を変えた。
         9月中旬から下旬の間に巡視艇うらなみで資料を探していた乗組員が、イントラネット経由で海保大の共有ファイルの映像を見つけ、「これは何だ?」と映像を保存。乗組員2人と映像を見た。その後、保安官は共有パソコンが置いてある操舵(そうだ)室で同僚数人と一緒に映像を閲覧。「業務の参考になる」と話し合ったという。
         一方、馬淵澄夫国交相(50)が映像流出の約2週間前の10月18日に海上保安庁に指示した「情報管理の徹底」が第11管区海上保安本部(那覇)などごく少数の部署の幹部らだけに伝えられたことが判明。流出元とみられる保安大学校、保安官が所属する神戸海上保安部に指示はなく、内部調査でも対象外だった。情報管理と調査のずさんさが今後問題となりそうだ。
        「スポーツ報知」11月14日(日)8時9分配信

        ●カウンセラーが個人情報USBメモリー紛失 滋賀
         不登校の高校生の心のケアをする「心の教育相談センター」(大津市浜大津)の嘱託の女性カウンセラーが、23人の名前、相談日、相談内容など個人情報が入ったUSBメモリーを紛失した。県教委が発表した。県教委学校教育課によると、女性は週3回カウンセリングを担当。今月1日午後1時ごろ、管理しているロッカー内にUSBメモリーがないのに気付いた。USBメモリーを外に持ち出したことはないという。センターでは、高校生宅を訪問して謝罪するという。学校教育課は「改めて管理体制の徹底を計りたい」としている。
        「産経新聞」11月8日(月)7時57分