高機能の広汎性発達障害とカウンセリング(3)
2010/11/21
3.転移・逆転移は生じるか
臨床心理面接による心理療法において、転移と逆転移の感情交流を活用するケースは少なくありません。転移から依存的になってしまうクライエントに、お互いを安全な関係に保つために「距離を取りつつ関係性を継続する」ことに、セラピストはしばしば苦労します。
さて、高機能の広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)の特性のある方の場合、その方の主たる養育者との愛着形成や体験してきた様々な出来事記憶の認知などによって、「誰もわかってくれない」「信じられる人がいない」といった状態から、傾聴・肯定的受容的態度で接するセラピストに対して、「この人は大丈夫。話を聴いてくれる。わかってくれる」と「○」を出した場合、その時から依存対象となりやすいようです。これまで、会話によるコミュニケーションを望みつつも実現できなかったことが実現できそうに思えるのですから、その感情はよく理解できます。
自閉症スペクトラムの特性のある方の「語り」は、各々の認知特性も影響しつつ、とても独特でユニークで、一般的には理解できない解釈などが盛り込まれています。障害による認知特性を十分に理解しないままに、この「語り」に肯定的に傾聴しようとしても、違和感こそ感じるものの、共感することはおそらくできないでしょう。でも、その「語り」は、そのクライエントの意識・記憶としては「現実」のものなのです。セラピストがこうした障害特性をお持ちの方の「語り」を肯定的に「聴き」、受容できなければ、転移感情が起こるはずもありません。障害特性についての基本的な理解と、その人の体験や認知を、その人の「現実」として受容できるスキルや経験がセラピストに求められることになります。
そして、その人の「現実」として受容できたとして、逆転移感情が生じるか否か。当然「語り」の内容によるわけですが、経験的には、傾聴・受容しながら、「自己一致」として意識に上るのは、その「現実」が生じた機序の解釈や、その人が今後より楽な生活を送っていただけるようにするための「新たなルールづくり」などの具体的なケースワーク的対応方略です。逆転移を抱きつつ…、というのが正しい表現かも知れませんが、多くの場合、「答えを見つけ出すのはクライエント自身」となりにくく、具体的な問題解決が相談面接の目的となるからです。治療面接的対応が功を奏するケースももちろんありますが、自己覚知を高いレベルで意識的に取り組んできた方に限られると言って良いでしょう。この場合でも、やはり具体的な改善提案が功を奏することになるようです。
「生きてて良い」こと、「ありのままのあなたで良い」こと、「必要なルール作りやトレーニングが少し必要である」こと、「話せる相手を持つことで気持ちが楽になること」などを継続してお伝えしながら、自己評価や自己肯定感情を高めていただき、家庭・学校・職場など生活環境の調整を関わる人に理解・協力していただきながら進めることが、自閉症スペクトラムの特性のある方への「相談支援」の基本ではないかと思っています。
それでは、最近の気になる記事です。
<石巻3人殺傷>「少年と死刑」に直面 難題に裁判員ため息
プロの判断も揺れていた「少年と死刑」という難題に市民6人が対峙(たいじ)することになった。少年事件の裁判員裁判で初の死刑が求刑された19日の石巻3人殺傷事件の仙台地裁公判。検察側は「少年であることは意味を持たない」と重大事件を強調、弁護側は「更生可能性がないと安易に判断するのは避けるべきだ」と反論した。更生も重視するため量刑が難しい少年事件。法廷で少年を見つめてきた裁判員らの評議は25日夕の判決直前まで続く。
【石巻3人殺傷】「更生の可能性は皆無」少年に死刑求刑
「死刑が相当と考えます」。午後4時20分、地裁102号法廷。午前中の被告人質問で「僕も被害者の立場なら、犯人に極刑を求めたと思う」と述べた元解体作業員の少年(19)は論告にじっと聴き入り、その瞬間も背筋を伸ばしたまま。男性裁判員は手元の資料から目を離し天井を見上げ、これから臨む評議の重さを思ったのか、ため息を漏らした。
その評議は何がポイントになるのか。
国学院大の沢登俊雄名誉教授(少年法)は、改悛(かいしゅん)と成育歴を挙げる。深く反省している様子が顕著だったり成育歴が極めて劣悪な場合、極刑回避に傾くという意味だ。「改悛の情が顕著かどうかは、実際に被告を見ている裁判員にしか分からない。裁判員が社会人としての経験からそう思えるかどうかがポイント」という。
神戸家裁で約6000人の少年審判を担当した元裁判官の井垣康弘弁護士は「非行をした子どもは原則として育て直すという普通の市民的な発想で考えてほしい」と話す。担当した少年たちと少年院で面会し、更生ぶりに驚かされたという。
一方、全国犯罪被害者の会(あすの会)幹事の高橋正人弁護士は裁判員に「自分が被害者遺族だったらという視点を持って考えてもらいたい」と望む。また死刑選択の基準「永山基準」について「職業裁判官が作った基準。市民の良識で考えるとどうなのか」と疑問を呈した。
◇1カ月で死刑求刑4例目
制度開始から1年以上なかった裁判員裁判での死刑求刑がこの1カ月で相次いだ。4例目の今回の少年を除き、昨夏の起訴から今秋の初公判まで1年以上かかった点が共通する。死刑もあり得る重大事件だけに、争点を絞り込む公判前整理手続きなどで検察・弁護側の「綱引き」が長引いたためと言えそうだ。
鹿児島地裁で無罪を主張している白浜政広被告(71)は捜査段階から否認を続け、同手続きは今年5~10月に計12回にも及んだ。初の死刑求刑を東京地裁で受けた林貢二受刑者(42)=無期懲役刑が確定=は同手続き中に精神鑑定を実施。判決は「うつ状態」と認め「極刑に値するほど悪質な(殺害)動機とは言えない」と極刑回避の一因となった。
初の死刑判決(16日、横浜地裁)を受けた池田容之被告(32)の場合、男性2人殺害の強盗殺人など全9罪もの捜査に時間を要した。09年8月にまず覚せい剤密輸事件で起訴されたが、今年3月まで追起訴が続いた。
今回の少年は2月に逮捕、仙台家裁の逆送決定を受け4月に起訴された。少年審判で争点整理が事実上進んでいたと言え、約半年で初公判を迎えていた。
「毎日新聞」11月19日(金)22時6分配信
●弁論大会:いじめ・不登校乗り越え 倉敷市立精思高・三宅さんが全国大会挑戦 /岡山
◇「この学校でみんなに会えた」--あす・東京
夜間定時制倉敷市立精思高校4年の三宅舞さん(22)が21日に東京都で開かれる定時制・通信制高校の弁論大会「生活体験発表会」全国大会に挑む。10月に開かれた県大会で優勝した。テーマは「苦悩からの飛躍」。中学、高校といじめにあった三宅さんは同高に18歳で入学。再出発し、大学進学を決意するまでの過程を紹介し、「この学校でみんなに会えた」と訴える。【石戸諭】
三宅さんは中学2年の時、いじめにあった。廊下ですれ違う際、ゴミを投げつけられるなど陰湿ないじめの標的になり、学校をほとんど休んだ。同市内の私立高校に進学するも、またいじめにあった。体育の授業から帰ってくると自分のバックの中に他人の財布が入っていた。身に覚えがないのに関与を疑われ、また不登校になった。「留年してでも卒業を」と決意したが周囲の視線に耐えられず、退学した。挫折を後悔する日々が続いた。
転機になったのは18歳の時だ。同高に通う友人から「うちに来たらいいよ」と誘われ入学した。
三宅さんは同高で、再出発の転機をつかむ。友人にも恵まれ生徒会長、卓球部、美術部などを掛け持ち、充実した高校生活を送った。面倒見のいい性格で後輩からも慕われる。いじめにあった経験から「何もできない」という思いを払しょくし、「自分で出来るものは何でもやりたい」と思うようになった。「よりよい社会を作りたい」と法学部進学を目指し、勉強に励む日々を送る。
全国大会に向けて、連日午後9時過ぎから教員たちの前で練習を重ねる。三宅さんは「ちょっと遠回りだったと思うけど、18歳でこの学校に入学してみんなに会えて良かった。この思いを伝えたい」と話している。
「毎日新聞」11月20日(土)15時33分配信
●自殺:千葉の中2男子が首つり アンケにいじめ受けている
千葉県市川市の市立中学2年の男子生徒(14)が自宅で14日に首つり自殺をしていたことが分かった。1日に学校が実施したアンケートでいじめを受けていると回答、担任教諭には「いじめる生徒」の名前を伝え、学校側は対応を検討中だった。遺書は見つかっていないが、市教育委員会はいじめを苦に自殺した可能性もあるとみて調査している。
17日に会見した市教委によると、生徒は14日午後6時40分ごろ、自宅クローゼット内で首をつっているのを父親が発見、搬送先の病院で死亡が確認された。
男子生徒は1日のアンケートで「暴言や悪口による嫌がらせ」「物を隠される」「自分だけ集中的に何かされる」「訳もなくたたかれたり、殴られたり、けられる」の4項目を選び、いじめが「続いている」と回答。具体的には「ズボン下ろし」と記述していた。
担任と10日に面談した際には、いじめる側として、同学年で別のクラスの男子生徒1人の名前を挙げた。ただ「クラスは楽しい」とも話し、担任は緊急性を感じなかったという。学校側はこの1人を含む生徒3人に事情を聴く予定だった。
一方、生徒の母親は9月ごろ「学校に行きたがらないので注意して(様子を)見てほしい」と学校側に伝えていたという。
市教委の古山弘志・学校教育部長は「結果として自殺に至ったので、学校の対応が万全だったとは言えない。いじめが一つの原因だが、他の要因も考えられるため事実関係を調査したい」と話した。
「毎日新聞」 11月17日(水)20時59分配信
●金銭報酬は「やる気」をくじく 脳科学実験で裏付け
やりがいがある課題でも、金銭報酬によって自発的な「やる気」が低下してしまうことが、玉川大学脳科学研究所の松元健二准教授やドイツ・ミュンヘン大の村山航研究員らによる脳科学実験で裏付けられた。このようなモチベーションの変化は「アンダーマイニング効果」と呼ばれ、行動実験では知られていたが、脳活動の変化をとらえたのは初めて。米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。
大学生の男女28人を成績に応じた金銭報酬を提示したグループと、報酬を提示せずに実験後に定額の報酬を払うグループに分け、ストップウオッチをできるだけ5秒近くで止める課題をやってもらった。実験中の脳活動の変化を機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)で測定すると、最初の実験では両グループとも課題に対する意欲や達成感に関係する前頭葉や大脳基底核が働いていた。
しかし、報酬を支払わないことを告げた2度目は、報酬を約束されていたグループでは脳活動の高まりが消えて「やる気」が低下したのに対し、最初に報酬が提示されなかったグループは、1回目と同様の脳活動を示した。機械的にストップウオッチを止めるだけの「やる気の起きない課題」では、このような脳活動の変化は見られなかった。
また、休憩時間の行動を観察すると、報酬を提示したグループで課題に取り組んだのは14人中5人だったが、報酬と無関係のグループは14人中12人が積極的に課題を楽しむなど、自発的な「やる気」の差が顕著にあらわれた。
「産経新聞」11月16日(火)7時7分配信
●幻聴、被害妄想…統合失調症 自覚なくトラブル発展も
脳内の神経伝達物質がバランスを失うことで幻聴・幻視などの幻覚症状が現れる精神疾患だが、原因ははっきり分かっていない。本人は自覚できないので、家族や周囲の人が症状に気づいたら早めに精神神経科を受診させることが重要だ。
生涯の発症率は100人に1人といわれ、発症年齢は10代後半から30代ごろまでが最も多いとされている。
特徴的な症状について、日本精神神経学会理事を務める池上クリニック(川崎市)の池上秀明院長は「幻覚(幻聴の場合が多い)、被害妄想、奇異な行動、思考の混乱などが現れる『陽性症状』と、引きこもり、感情の起伏の消失、意欲減退などが現れる『陰性症状』の2つに大きく分けられる」と説明する。
初期は陽性症状が目立ち、徐々に陰性症状が強まる傾向があるという。
【放置すると妄想発展】
また、症状の出方によって3つの病型にも分類される。意欲の低下、自閉傾向が強い「破瓜(はか)型」。急に興奮したり、まったく動かなくなったりする「緊張型」は、「たとえば、道路の真ん中で急に交通整理をはじめる」(池上院長)などの奇行がみられる。
そして、最も多いのが『妄想(もうそう)型』。たいていは幻聴が強く現れ、被害妄想に取りつかれる。
池上院長は「他人が自分の悪口をいっている、隣家の物音は自分に対する嫌がらせだ、誰かに見張られている、盗聴されているなどと訴える」と話し、「脳細胞の興奮によって、本当に本人には見えるし、聞こえる」と症状の深刻さを指摘する。
放置したままだと妄想が発展して、妄想に支配された行動をとるとトラブルを引き起こしたり、自殺をしてしまうケースがあるから要注意だ。
【いかに受診させるか】
治療開始が早ければ早いほど治療効果が高く、回復も早い。が、本人が病気を自覚していないので、いかに受診させるかが、この病気の難しいところとなる。
「多人数で説得しないとなかなか受診してもらえない。家族の負担が大きければ、保健所の精神保健相談窓口に連絡して、保健師さんから説明してもらうなど力を借りた方がいい」
治療は入院・外来のいずれも抗精神病薬の服用と精神科リハビリテーションが基本。リハビリは地域のデイケア施設や地域生活支援センターなどで行われているさまざまなプログラム(共同作業、レクリエーション活動、料理教室、PC教室など)を通じて人とのコミュニケーションを深めていくことが大切になる。
「再発も多いが、きちんと薬を服用して通院していれば普通に社会復帰できる」と池上院長。
家族や地域の人の理解とサポートが最も重要になる疾患だ。
「産経新聞」2010/11/0119:35
<カンナからのコメント>
自閉症スペクトラムの概念は、もともと統合失調症から分かれていった経緯があります。「見分けるのが困難」です。この特性が、統合失調症の諸症状と酷似していることから、抗精神病薬による服薬治療が行われても、「効果がみられない」「副作用だけが生じ、以前より状態が悪い」と思われる場合は、自閉症スペクトラムの視点から生育歴や状態観察をしてみることが必要となります。早期発見が大切です。
●海上保安官のコメント全文
神戸海上保安部の海上保安官が16日未明、公表したコメントの全文は次の通り。(原文のまま)
私が今回起こした事件により、国民の皆様、関係各位には、多大なるご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。海上保安庁の皆様、中でもお世話になった方々や今回の件でご苦労されている方々に対しては、申し訳ない気持ちで一杯です。
今回私が事件を起こしたのは、政治的主張や私利私欲に基づくものではありません。ただ広く一人でも多くの人に遠く離れた日本の海で起こっている出来事を見てもらい、一人ひとりが考え判断し、そして行動して欲しかっただけです。
私は、今回の行動が正しいと信じておりますが、反面、公務員のルールとしては許されないことであったと反省もしております。
私の心情をご理解いただければ幸いです。
「共同通信」2010/11/1601:39
●捜査終了待たずに海上保安官を懲戒処分へ
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、海上保安庁は16日、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で事情聴取を受け、逮捕が見送られた神戸海上保安部(神戸市)の海上保安官(43)について、刑事処分の結果を待たずに懲戒処分とする方針を固めた。「規律を保つうえでも早期に厳正に対処すべきだ」とする声が内部に多いことが理由だが、免職とするか停職、減給にとどめるかなど処分の詳しい内容については意見が分かれている。
「産経新聞」11月17日(水)1時41分配信
●NHK「ネット同時配信」へ意欲 受信料制度など改革が必須
NHKが放送番組の「インターネット同時配信」に意欲を見せている。既にNHKオンデマンドで行われている番組単体のネット配信などとは違い、同時配信が行われれば、電波を必要とせずにネット経由でテレビを日常的に見られるようになる。福地茂雄会長は「お客さま(視聴者)に合わせていくのが義務」と説明するが、実現には放送法の改正や受信料制度の見直しなど、公共放送の位置づけそのものを問い直す”大手術”が必要になりそうだ。
「番組を見る形が変わりつつあるときに、”売り手”は変わらなくていいのか。お客さまに合わせた放送の在り方があるのではないか」
福地会長は4日の定例会見でこう述べ、テレビ番組の同時配信に乗り出す意向を表明。「今から準備を進めていかないと、(平成24年度からの)次の経営計画は作れない」とも語った。
NHKが想定しているのは、インターネットに接続されたパソコンや携帯端末への番組配信。新たな業務であるため放送法の改正が必要で、福地会長は総務省に改正を求めていることも明らかにした。
この「決断」は、NHKを受信できる受像機の設置を受信料徴収の根拠としてきたNHKにとって、大きな意味を持つ。テレビを見られるパソコンや携帯電話は既に普及しているが、これらは電波を受信している点で従来のテレビと違わない。同時配信では、ネット環境があればテレビが映ることになり、当然、受信料徴収の前提も変わることになる。
NHKは10月下旬、会長の諮問機関として外部有識者らで組織する「受信料制度等専門調査会」を設置。受信料や公共放送の在り方の議論をスタートさせた。福地会長はドイツで検討されている全世帯・事業所から受信料を一律徴収する考え方も「(議論に)当然、入ってくるのではないか」とも表明。調査会が来年6月をめどにまとめる意見は、次期経営計画に反映させるとしている。
こうした動きについて、砂川浩慶(ひろよし)・立教大准教授(メディア論)は「(ネット同時配信に)本当に視聴者ニーズがあるのか、公共放送としてやらなくてはいけないサービスなのかという点で、データに基づいた議論が不可欠だ」と指摘。民業圧迫につながる可能性も含め、「公共放送・NHKの役割とは何かという根本的なことが改めて問われる」としている。
一方、民放各社は「どういうことをやろうとしているのか詳しく聞いていない」(早河洋・テレビ朝日社長)、「受信料をベースにした形態になじむものなのかを見させていただきたい」(細川知正・日本テレビ社長)などと静観の姿勢を示しながら、NHKの出方を注視している。
「産経新聞」11月16日(火)9時35分配信
●大卒内定率、最低の57.6%=「就職氷河期」下回る-10月1日時点
文部科学、厚生労働両省は16日、来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)を発表した。内定率は前年より4.9ポイント低い57.6%で、「就職氷河期」と言われた2003年の60.2%を下回り、調査を開始した1996年以降で最悪の就職戦線となっている。急激な円高で景気の先行きに懸念が強まり、企業が採用を抑制しているためだ。
中小を中心にこれから採用を進める企業もあり、内定率は例年、年度末に向け上昇する。ただ、企業の経営環境が厳しさを増す中、どこまで伸びるかは不透明だ。
理系の内定率は前年比10.2ポイント低下の58.3%で、下げ幅は過去最大だった。文系は3.8ポイント低い57.4%。男女別では男子が59.5%、女子は55.3%で、それぞれ前年を3.8ポイント、6.3ポイント下回った。
学校種別では、国公立が63.2%と8.1ポイントの大幅悪化。私立は3.8ポイント低い55.8%だった。
「時事ドットコム」2010/11/16-21:08
●自殺小6「一人給食」訴え、校長と担任認識
群馬県桐生市の市立新里(にいさと)東小6年生、上村明子さん(12)が自殺した問題で、明子さんが自殺2日前「一人で給食を食べている」と訴えたことは岸洋一校長と担任に伝えられていたことが、市教委への取材でわかった。
明子さんは翌日は欠席し、学校側は「連絡はつかなかった」としている。
学校がいじめを認めた報告では担任以外の教諭が10月21日、明子さんが泣きながら訴えていたことを聞いていた。その後の対応は明らかになっていなかった。
市教委によると、教諭は明子さんの訴えを校長と担任に伝えた。担任は同22日、授業と同じ席で給食を食べるようにしたことを伝えようと、自宅訪問や電話をしたが、不在で連絡が取れなかったという。明子さんは翌23日に自殺した。
「読売新聞」11月18日(木)3時3分配信
●失業1年以上、最多の128万人=男性の職探し難航-7~9月期
総務省が16日発表した7~9月期の労働力調査(3カ月平均)によると、完全失業者336万人のうち失業期間1年以上の人は、前年同期比33万人増の128万人だった。比較可能な2002年以降では、IT(情報技術)バブル崩壊後の03年4~6月期の127万人を上回り過去最多。前期(4~6月期)比でも10万人増えた。
失業1年以上の人の割合は、男性が94万人、女性が34万人。就業者数は女性が多い介護・保育分野などで拡大する一方、男性が多い建設業や製造業では縮小傾向にある。こうした産業構造の変化が男性の職探しを難航させ、長期失業者の増加につながっているとみられる。
「時事ドットコム」2010/11/16-20:22
●「肥満防止薬」実験成功…食事減らさず体重抑制
食事の量を減らさなくても体重の増加を抑える「肥満防止薬」を合成することに、米ジョンズホプキンス大などのチームが成功した。成果は18日付米サイエンス誌に掲載された。
チームは、人間や動物の中枢神経に作用して強い食欲を引き起こし、肥満をもたらすホルモン「グレリン」に着目。グレリンは特定の酵素の助けが必要なことから、この酵素を邪魔する物質を合成した。
この物質を注射したマウスと、しないマウスに高脂肪のエサを与えた体重を比較した。食べる量は変わらないのに、注射したマウスの約1か月後の体重増加は10%以内にとどまったのに対し、投与しないマウスは、20%程度体重が増えた。
合成した物質は食欲を抑えるのではなく、糖などの代謝能力を高めていた。摂取したエネルギーを消費して、体重増を抑えているらしい。
「読売新聞」11月19日(金)7時12分配信