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        高機能の広汎性発達障害とカウンセリング(4)
        2010/11/28
        4.その人の生きづらさー解釈から理解へ
         自閉症スペクトラムの特性をお持ちで、成人になられた方。様々な被虐体験を積まれたり、学習性無力感に苛まれておられたりというトラウマを幾重にも重ねておられる方もおられますし、多少のそうした体験があってもそれを心的外傷と感じずに来られている方や、「何かうまく行かない」感や「どこか他者と違う」感を持たれつつも知的あるいは理性的にカバーして来られた方、でも何かをきっかけに挫折体験をされてシングルフォーカスの特性から頭の中で特定の思考が「ぐるぐる」して動けない状態になられた方など、さまざまな生きづらさを感じて「相談」支援が必要となられる方と多く接してきました。
         自閉症スペクトラムの特性を持って生まれて以降、乳児期の愛着形成や他者との基本的信頼感の獲得、自我同一性の獲得などの様々な発達課題を他者との関係性形成の不得意さから乗り越え損ねて、アンビバレントな対人関係や対人不安・不信・恐怖、自己覚知の不安定さ、自己否定感、現状及び将来不安などなど、成長過程で体験した様々な不安・嫌悪体験や学習の不足や偏りなどから、精神及び行動上の問題が生じるケースが少なくありません。むしろ、今の社会を生きていれば、そうした状態にならずに育つ事の方が不思議なのかも知れません。
         その人の持たれる特性や得意・不得意といった能力や個性、生育歴の中でのエピソードやそこから形成されてきた思考パターン、現状の自己認識、将来への思いなどを、十分にお聴きし、特性を前提として一定の解釈を加えつつ、現実のその方を理解しようとすることから、「必要なサポート」が見えてきます。
         診断が必要な人、そうでない人、(二次障害への)薬物治療が必要な人、そうでない人、状態によってそれぞれですが、生活面での部分的なサポートは必ず必要ですし、そのサポートが入ることで、生きやすさが生まれます。必要かつ部分的なサポート…。ご家族によるもの、知人や職場によるもの、ご近所の方々との関係性によるもの、障害福祉サービスなどによるもの、カウンセリングなど「相談」支援によるものなどなど、個別に多様なサポートが考えられますし、作り上げることができます。
         こうした必要なサポートへつながるために大切なのは、何に生きづらさを感じ、何からそれが生じ、今どうされたいのか、何に困っておられるのかなどを特性から解釈しながら理解し、既存の枠組みにとらわれることなく柔軟・機敏に具体的な対応方をご一緒に見つけていく支援者の視点・姿勢だと思います。 
         それでは、最近の気になる記事です。

        過酷”就活” 大学生、ハローワークに殺到、1カ月3万人

         来春卒業予定の大学生の企業採用が冷え込み、失業者の職探しの場だった全国各地の公共職業安定所「ハローワーク」を訪れた大学生が1カ月で3万人を超えたことが21日、分かった。大学生は企業説明会やOB訪問を通じて採用されるのが一般的だったが、あまりの”就職戦線”の厳しさに国が今年9月にハローワークに大学生向けの相談窓口を設置。窓口では「とにかく仕事を」と、悲痛な声が上がっている。
         厚生労働省によると、全国55カ所のハローワークに設置された大学生向けの窓口「新卒応援ハローワーク」を訪れた人数は、9月下旬~10月下旬までで3万641人に上った。
         窓口では、民間企業で採用活動などの経験がある定年者らが相談に乗り、求人情報などを提供している。
         東京都港区のハローワークでは、スーツ姿の多くの大学生でごった返し、真剣な表情で求人情報が閲覧できるパソコン画面に目を走らせる。都内の私立大4年の男子学生(23)は「昨夏から80社近く受けたが、一つも内定がもらえなかった。何とかしないと思い、来てみた」と話した。
         こうした窓口は、政府の「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」で設置。10月末時点で、利用者2090人の就職内定につながっている。
         現役の大学生だけでなく、卒業後も仕事を見つけられない既卒者向けの支援も行われている。3年以内の既卒者を新卒扱いで採用した企業には、正規雇用から半年後に100万円の奨励金を支給する制度もあり、求人数は11月14日現在で約1万人、うち約160人が正社員として採用されている。
         ただ、就職内定率が過去最低の57・6%(10月1日時点)となっている今年の現状では、それも”焼け石に水”状態で、就職できない学生はあふれている。
         文部科学省も大学の就職支援事業を打ち出すなどしているが、政府の行政刷新会議の事業仕分けで「廃止」と判定された。政府内でも何が有効な対策なのかも定まらないのが実情で、多くの学生が就職を決められずに年越しを迎える事態が予想される。
        「SankeiBiz」2010.11.2208:54

        ●勤務時間減、30年前の水準に=睡眠、読書は減り、ネット増―シチズン調査
         不況で残業が減り、勤務時間は短くなったが、飲みにも行かず、家ではネット―。シチズンホールディングス(東京)が行った生活時間に関するアンケートで、男性ビジネスマンのこんな日常が浮かび上がった。
         同社は1980年以降10年ごとに、男性ビジネスマンを対象に生活上の所要時間をアンケート調査。4回目の今年は20~50歳代の計400人に聞いた。
         平日1日当たりの睡眠時間は、6時間2分と80年(7時間1分)から約1時間減で過去最短。食事時間も1時間9分で、1時間20分台だった過去3回の調査よりも短かった。一方、勤務時間も8時間39分と前回2000年から1時間近く減少。80年(8時間36分)の水準に戻った。
         仕事や睡眠など生活に必要な時間を除いたプライベートな時間では、ネットやメールに費やす時間が週に計7時間59分と最多。テレビは7時間52分で、調査開始以降初めて首位の座を譲り、視聴時間も30年前の13時間2分から大きく減った。本や新聞、雑誌を読む時間も2時間36分で、80年の8時間42分から大きく減り、「活字離れ」が如実に。今回初めて項目に加わった「電子書籍を読む」は2時間9分だったが、実際に読んでいると答えた人は14.5%にとどまった。
        「時事通信」11月27日(土)5時19分配信

        ●【WEB充生活】「過去の自分」が就活の敵に
         インターネットを活用するのは就活生だけではない。企業の採用側も、説明会に参加した学生や面接した学生が、ブログやSNSでどんなことを書いているのかをチェックする。
         就活状況を記していれば、「ああ、この学生はあの会社も受けているんだな」と採用側から認識されてしまうし、日記から社風に合うか合わないかも見られている。
         ドイツでは、採用雇用判断にソーシャルメディアの利用を禁止する動きが出ているようだが、日本では議論も始まっていない。就活では、過去自分が書いた記録が自分の進路を阻むこともある。
         ネットでの発言は自由だが、それが自分の自由を奪うかもしれないことをわきまえておくことが、今後いっそう必要になってくるのだ。
        「産経ニュース」2010.11.2507:55

        ●小6自殺で県緊急アンケート いじめ認知 一気に3倍 群馬
         桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、県教育委員会は25日、小中学校に緊急で実施したアンケート調査の結果を発表した。小学校で認知したいじめは143校で、全小学校(336校)の42・6%に達した。昨年、文部科学省の指示で実施した調査ではわずか46校でいじめを認知しただけで、今回は3倍増となった。県教委は「各校のこれまでの調査が不十分だった」とみて同日、各市町村教委の担当者に定期的ないじめ調査実施を求めた。
         いじめは、10月に県下の公立の全小中学生を対象に実施したアンケートを基に、学校側が追跡調査を実施するなどして認定した。
         その結果、小学生では143校で、いじめを認知。件数も計1522件に上った。
         アンケートで回答のあったいじめ行為(複数回答)で最も多かったのは「悪口を言われたり、脅されたりする」で2368件。
         そのほかには、「たたかれたり、けられたりする」(1345件)、「仲間外れにされたり無視されたりする」(930件)、「持ち物を隠されたり壊されたりする」(469件)が目立った。
         認知したいじめのうち76・3%にあたる1161件は教諭らの指導でなくなったが、残る361件のいじめは継続しているという。
         一方、中学校(全172校)では、いじめの認知が過半数の90校に達し、計750件に上った。うち解消されたのは450件にとどまった。
         こうした膨大ないじめを危惧(きぐ)した県教委は25日、県庁に市町村教委の担当者を集め、いじめを許さない環境づくりや保護者との連携の徹底、毎月1回のアンケート実施を指示した。
         さらに、上村さんのクラスが学級崩壊状態であったことから、校長ら管理職が定期的に教室を巡回し、学級崩壊に向かうような小さな異変を見逃さない体制づくりも求めた。
        「産経新聞」11月26日(金)7時57分配信

        ●札幌中2女子自殺、いじめの経緯も遺書に
         札幌市立中学校の2年生の女子生徒(13)が、同市中央区の自宅マンションから飛び降り自殺した問題で、女子生徒の遺書には、1年生の時に同級生だった生徒の名前を挙げて、クラスで配布物を回す際、「あなたからもらいたくない」と受け取りを嫌がられた経験が記されていたことが、関係者への取材で分かった。
         また、別の2人の生徒の名前を挙げて1年生の時に無視されたり、「きもい」と言われたりした、と書かれていた。遺書には、学校生活以外の悩みも記され、市教委はこれらの記述と女子生徒の自殺との関連を調べる。
        「読売新聞」11月24日(水)3時5分配信

        ●子ども・家庭を支援 市教委、訪問型立ち上げへ
         京都市教育委員会は来年度、子どもの問題行動に悩む保護者やその児童生徒を支援する「子ども・家庭支援チーム」を立ち上げる。元校長と府警OBでつくり、相談機関を敬遠する家庭の要望を受けて、地元の学校や家庭に出向く訪問型の支援が特徴だ。
         25日の市議会本会議の一般質問で高桑三男教育長が明らかにした。
         市教委によると、暴力行為や不登校などの問題行動の相談機関として、市教育相談総合センター(こども相談センターパトナ)や市児童相談所などがあるが、継続的に通うことが負担だったり、機関の利用を嫌う家庭を対象に学校を通じて利用を呼び掛けるという。チームの人数は十数人程度を想定している。
         訪問型家庭教育支援は各地の自治体で広がっているが、元警察官をメンバーにすることは珍しいといい、非行防止にあたった経験を生かしてもらう。
        「京都新聞」11月25日(木)22時9分配信

        ●無期刑、仮釈放まで30年…厳罰化で長引く
         無期懲役刑の受刑者で仮釈放を許可するかどうかの審査を昨年受けた24人のうち、不許可が18人と75%を占め、過去10年間の平均の34・6%を大幅に上回ったことが、法務省のまとめでわかった。
         許可された6人の受刑期間の平均は30年2か月で、10年前の1・4倍に延びており、厳罰化の影響で無期懲役囚の仮釈放は一層難しくなっている。
         法務省のまとめによると、昨年末時点の無期懲役囚は1772人で、このうち受刑期間が30年以上なのは88人。50~60年にわたり服役している受刑者も7人いる。
         2005年以降、刑務所長の申請に基づいて仮釈放審査が行われた件数は年に1~7件と少数にとどまっていたが、審査の透明化を求める声が高まり、昨年4月からは刑期が30年を過ぎた時点で必ず審査する新制度が始まった。これにより、昨年は審査数が24人に急増。ただ、許可されたのは4分の1にとどまり、30年目の審査は仮釈放の拡大にはつながらなかった。
        読売新聞11月22日(月)7時12分配信

        ●マナー守られぬ自転車 歩行者と事故、10年で3.7倍
         歩行者を巻き込む自転車の事故が絶えない。昨年は全国で2934件。10年間で約3.7倍に増えた。自転車は幅広い年齢層が愛用するが、マナーが守られているとは言い難い。「エコブーム」で自転車人気はさらに広がるが、万一に備えた保険の加入率は上がらず、専用レーンなどの整備も進んでいない。
        ■一瞬の油断、命奪う
         「禁固2年執行猶予3年」――。12日、東京地裁が43歳の男性会社員に有罪判決を言い渡した。1月に自転車で走行中、東京都大田区の交差点で75歳の女性とぶつかった。女性は転倒して頭を打ち、5日後に死亡した。
         男性はサイクリングが趣味で、多摩川に向かう途中だった。車道の左側を走っていたが赤信号に気づかず、横断歩道を左から渡ってきた女性とぶつかった。5メートル手前で女性に気づいてブレーキをかけたが間に合わなかった。
         普通の会社員から刑事被告人に。「慎重な性格だったのに」と、昨年結婚したばかりの妻も肩を落とす。夫婦で近くの神社に通い、犠牲者の冥福を祈るしかなかった。
         一方で、遺族の悲しみは癒やされない。「私は被告人に母を殺された」。女性の長男で会社員の東光宏さん(40)は重い処罰を望んだ。
         自転車事故で適用される罪は多くの場合「重過失致死罪」。最高でも5年の懲役か禁固だ。「ならばせめて実刑を」と裁判で訴えたが、受け入れられなかった。判決を聞き、東さんは法廷で「不満です」と声を上げた。
        ■守られぬマナー、検挙急増
         警察庁によると、自転車と歩行者の事故は1999年は801件だったが、翌年に1827件に急増。最近は2千件台の後半で推移している。
         交通事故全体は減る傾向だが、自転車事故は2009年に15万6373件(21.2%)あり、全体に占める割合は増えている。
        「asahi.com」2010年11月22日7時1分

        ●【何が虐待へ向かわせるのか】(3)子育ての「私事化」 地域・社会から切り離され
         かつて「母原病(ぼげんびょう)」という言葉があった。子供の非行や登校拒否などが社会問題化した1970年代、「母親の育て方が原因でこれらの問題が生じた」として唱えられた言葉だ。現在は誤った認識に基づく用語とされ、死語となっている。
         子育ての「私事(しじ)化」。山梨県立大学の西沢哲教授(52)=臨床心理学=は「戦後の高度経済成長期以降、子育てが地域や社会から切り離され、家族、中でも主に母親が担う『私事』とされるようになった」と指摘し、こう続けた。
         「子供が示すさまざまな問題の責任を、社会は母親に求めた。70年代には『スキンシップ』が奨励され、母原病という言葉が母親を追い詰めた。子育ての責務を一身に背負い、社会や夫からの支援を絶たれた母親たちの中に、持って行き場のない『怒り』を子供へと向けるものが現れた」
         ◆特異な協議離婚
         愛知県に住む1児の母親(34)は数年前に夫と別れ母子家庭になった。養育費の支払いはうやむやにされた。母親は「経済的に追い詰められ心身が不安定なときに息子がぐずったりすると、『どうして夫は自由に生きて私だけがこんな思いをしなければならないの』『この子さえいなければ』と何度も子供をほうり出したい気持ちになる」と明かし、こう訴えた。
         「ここで私が息子を殺してしまったり、育児放棄したりすれば私は罰を受けるのに、どうして夫には何のおとがめもないのかと考えてしまい、心がすさんでいくばかりです」
         子供のことは無視した身勝手な考えだが、それだけ追い詰められて、煮詰まった状態ともいえる。
         厚生労働省の推計によると、全国の母子家庭は75万世帯。平均年収は児童扶養手当や元夫からの養育費、親からの仕送りなどすべて含め平成18年度の調査で213万円だった。就労収入のみでは171万円。一方、9万世帯ある父子家庭は平均年収421万円。全世帯では563万円だった。
         同じ調査では、離婚した父親から養育費を「受けたことがない」と答えた母子家庭が59%に上った。
         東北大学の水野紀子教授(55)=民法・家族法=はその一因として、わが国の離婚の9割が届け出だけで成立する協議離婚であることを挙げ、こう述べた。
         「欧米では夫婦に争いがなくても、離婚は原則として裁判所で判決を得る。養育費の支払いや子供の監護には司法の監督が必要とされているためだ。協議離婚は特異な制度といえる」
         フランスでは養育費は元夫の給料から天引きされ、不履行には刑事罰が科されるという。
         ◆児相が肩代わり
         児童相談所出身で目白大学の田中勝博教授(57)は10年前、北陸地方に虐待対応ゼロの児童相談所があると聞き驚いた。
         この児童相談所へ問い合わせると現在はゼロではなかったが、田中教授は「主に農村部を管轄しており、人口が少ないことを考慮しても、地域社会が健在であることと無関係ではなかったと思う。逆に高齢者虐待が多いとも聞いた」。
         農村社会学者で熊本大学の徳野貞雄教授(61)は「虐待する親たち個人の心理だけを見ていては、なぜ4万件まで急増したのか、どうして北陸の農村部で10年前まで虐待対応がなかったのかは理解できない」とし、こう続けた。
         「高度成長期以前にも子供に手を出す親はいたが、家族があり家の中にじじばばがいた。隣近所も親戚(しんせき)もいた。『飯食いにこい』『本当にしんどくなったら逃げてこい』と介入した。都市部で今、こうした役割を担うのは児童相談所という役所くらいになった」
        「産経新聞」11月25日(木)7時56分配信

        ●障害者就労:県教委が支援 企業に登録呼びかけ/岐阜
         県教育委員会は、特別支援学校高等部に在学する障害のある生徒の就労を進める「働きたい!応援団 ぎふ」の登録制度をスタートし、県内の企業にサポーター登録を呼びかけている。
         対象は県内に事業所を置く企業。サポートの内容は▽職場見学▽1、2週間程度の実習をする就業体験▽1、2カ月間継続する企業内作業学習▽校内での技術指導▽雇用を前提とした実習▽雇用。
         特別支援学校は、岐阜盲学校、岐阜聾(ろう)学校、各務原養護学校など16校あり、来年4月には美濃加茂市に加茂特別支援学校が開校する。
         現在は、31事業所が企業内作業学習などで協力しているが、就労支援をさらに進めるため、企業の事情に合わせたサポートを求めることにした。
         これまでに障害者を受け入れた企業からは「職場が明るくなった」「安全性も向上してみんなが働きやすくなった」などの声が寄せられているといい、県教委は「障害者への理解を深めてもらい、地域で働く場を増やしたい」と話している。
        「毎日新聞」11月27日(土)12時18分配信

        ●コミュニケーション障害…市販薬で改善 芦屋大などの研究チーム解析
         アスペルガー症候群や高機能自閉症などの障害を持つ人のコミュニケーション力が、神経細胞を活発化する市販の従来薬の投与で改善されることを、芦屋大発達障害教育研究所(兵庫県芦屋市)と東京農工大大学院生物工学科(東京都府中市)の共同研究チームが突き止め、日本神経精神薬理学会などで発表した。
         コミュニケーション障害の効果的な治療薬はほとんど開発されておらず、芦屋大で研究にあたる油井(ゆい)邦雄医師は「障害に悩む人の治療の選択肢を増やすことができる」としている。
         アスペルガー症候群や高機能自閉症などを総称して自閉症スペクトラム障害といわれる。研究チームによると、一つのことに熱中、反復するなどの行動障害と他人の言葉の意味や気持ちの理解が困難なコミュニケーション障害がある。脳の神経発達不全が原因とされるが、これまでコミュニケーション障害の治療薬はほとんどなかった。
         研究チームは、神経細胞の発達に効果があり、錠剤として市販もされているアラキドン酸に注目。自閉症スペクトラムと診断された7人に1日1回、アラキドン酸約240ミリグラムを含んだ錠剤を、6人に偽薬をそれぞれ投与したところ、4カ月後、アラキドン酸を投与したグループはコミュニケーション障害が軽減した。
         その後の4カ月間にわたり全員にアラキドン酸錠剤を投与すると、この差はなくなり、最終的に13人中10人が目に見えて改善したという。
         顕著な例では、教室から頻繁に出ていく子供が静かに座って授業を受けられるようになったり、孤立状態だった人が積極的に人にかかわるようになったりしたといい、研究チームは今後さらに効果を確かめる。
        「産経ニュース」2010.11.2711:04
        【カンナからのコメント】
         Wikipediaによると、アラキドン酸(-さん、Arachidonicacid)は、不飽和脂肪酸のひとつ。ほとんどの哺乳類にとって必須脂肪酸であると考えられている。4つの二重結合を含む20個の炭素鎖からなるカルボン酸で、ω-6脂肪酸に分類される。細胞膜中のリン脂質(特にホスファチジルエタノールアミン・ホスファチジルクロリン・ホスファチジルイノシトール)として存在し、なかでも脳に多く含まれる。細胞間のシグナル伝達におけるセカンドメッセンジャーとして働く。とされています。これまでも様々な薬品に効果があると、臨床現場で投薬されてきましたが、流行し消えていった物も少なくありません。薬物への反応性や効果は、やはり人それぞれですし、極端な例では、それまでの薬物を全部止めて漢方にしぼって状態が良くなったというケースもあるくらいです。二次障害の状態やAD/HD傾向の状態などとも大きく関係すると思いますので、「これが効く」という単発的な情報に直截的に左右されずに情報として持ちつつ、主治医と服薬状態をよく相談しながら、より効果のある処方を一緒に見つけて行かれることを心がけて欲しいと思います。