地震対策-、情報、冷静な判断、的確かつ柔軟な対応を。
2011/03/13
東日本巨大地震発生以来、ほとんどのメディアが報道を続けています。被災された皆さんには、心よりお見舞い申し上げます。まだまだ確認できない不明者や連絡のつかない人(市によっては1万人以上との報道あり)、原発事故による被爆の拡大、ライフラインをはじめとして全体の状況が把握できていないなど、事態は予断を許しませんが、一人ひとりが力を合わせ、生き抜いて行きましょう。
情報を随時入手すること、冷静な判断をすること、避難指示などに従うこと(勝手な判断での行動を控えること)、生命と健康維持を最優先すること、言うまでもありません。
被災地、被災された方に、何かできないかと思われている方も多いでしょうが、以下に紹介するように、資源の受け入れ体制がはっきりしない状態での物資や人の送り込みは、無駄になったり二次被害が生じる場合もありますので、こちらも冷静に判断願います。
◇災害ボランティア活動支援プロジェクト会議
http://www.shien-p-saigai.org/
宮城、福島への先遣隊の派遣について
投稿日: 2011.03.13 (日) 1:57 AM 投稿者: 災害ボランティア活動支援プロジェクト会議
改めまして青森、宮城、福島など被災地のみなさまにはお見舞い申し上げます。
本日、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議の会議があり、先遣隊の派遣を行うことが決定されました。
既に今夜宮城行きチームが出発しています。
また明日、福島行きチームが出発する予定です。
義捐金の受付窓口については中央共同募金会と日本赤十字社で調整をされています。
正式なご案内はもう少々お待ちください。
本プロジェクト会議とは別に、いくつかの緊急救援のNGOが既に現地に向かっているようです。
またそれに伴い、寄付金なども集めておられることもあります。
なお、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議からの最新の発信は、以下をご参照ください、
http://twitter/shienp
◇日本災害救援ボランティアネットワーク
http://www.nvnad.or.jp/top.html
■「東北地方太平洋沖地震」被害に対する救援支援金募集の広報のお願い(2011.3.11)
平素、何かとお世話になりありがとうございます。
ご承知の通り本日3月11日(金)午後2時46分頃に、三陸沖を震源地とする大規模な地震が発生し、宮城県を中心に東北地方の広範囲にわたって甚大な被害が出ている模様です。
日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)としては、本日11日(金)18時の時点で支援活動を開始することを決定致しました。
つきましては、只今から被災者救援への支援金を募り、下記の口座にて募金活動を開始し、受け付けていきたいと存じます。
これらの支援金の具体的な使途に関しましては、現時点では被災地の状況がまだ把握できないので詳細は決定しておりませんが、今後、国内の災害NPOとも連携をとりながら、被災地域の支援を展開していきたいと思います。(詳細が決まり次第、随時広報させていただきます。)
なお、物品等の受け付けはしておりません。また、募金全体の15%を上限として、支援のための間接的な経費(現地までの交通費や通信費等)に充てさせていただきます。
つきましては、このことを広報していただくようお願い申し上げます。
記
*銀行口座
三井住友銀行 西宮支店
(普)7022161
名義 NVNAD国内支援口
*ゆうちょ銀行
口座番号 00900-5-29560
名義 NVNAD国内支援口
今、最優先で手配して欲しいのは、空輸手段(ヘリコプターなど)、各自治体などで備蓄している食料、飲料水、毛布などをすぐに被災地に送れる準備、お湯や汁物を作れる大鍋、灯油ストーブ、着替え用・防寒用の衣類、道路復旧などのための重機…。情報として欲しいのは、被災地・避難所などで必要と思われる物は何か、被災地に提供できる何がどこにどれだけあるか、そしてそれらの情報をとりまとめて有効にマッチングさせるコーディネート機能です。海外からの支援も受けながら、国として最優先して取り組み、一人ひとりが力を合わせましょう。
それでは、今週の気になる記事です。
東日本巨大地震、数万人の安否が不明
東日本巨大地震の津波で壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町の町民約1万人が行方不明になっているほか、岩手県大槌町では、町長を含め1万人の所在が確認されていない。
また13日朝の段階で、宮城県女川町、岩手県の陸前高田、遠野両市、住田、岩泉両町、九戸村の6市町村の行政機能がマヒし、被害把握ができない状況になっていることが総務省消防庁への取材で分かった。この6市町村の人口総数は約8万6000人で、安否確認が遅れている。岩手県内では人口約1万9000人の山田町で多くの人たちが行方不明。福島県では行方不明者だけで1167人に上っている。気象庁によると、マグニチュード8・8とされていた今回の地震の規模は世界最大級の9・0と分かった。
13日午前、警察庁に宮城県警から入った情報によると、同県東松島市野蒜(のびる)地区で200体以上の遺体が発見され、県警が収容作業を始めた。同庁のまとめでは、同日午前10時現在、同地震の死者は763人、行方不明者639人、負傷者1419人。ほかに仙台市内で200~300人の遺体が見つかっており、死者、行方不明者は計1800人以上に達した。
一方、陸上自衛隊によると、宮城県内で亘理町の9000人など計2万人を超える人が孤立して救助を求めている。石巻市、気仙沼市、多賀城市などでも多くの人たちが孤立している。
消防庁によると、岩手県では計約1260人が救助を待っている。
気象庁によると、同日午前8時25分頃に、宮城県沖を震源とするマグニチュード(M)6・2の地震が発生、同県登米市で震度5弱を観測するなど、強い余震が依然続いている。11日以降、13日午前7時までに東日本の太平洋側で発生したM5以上の余震は震源が特定できているものだけで168回に上り、同庁は「徐々に減っているが今後もM7クラスの余震が起こる可能性はある」と警戒を呼びかけている。
三陸海岸周辺で観測された津波の高さが12日夜から13日朝にかけて半減していることから、同庁は同日午前7時半、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県に出していた津波警報を注意報に切り替えた。津波警報が出ている地域はゼロになった。
一方、被災地の交通網やライフラインは13日午前も回復していない。JR東日本によると、東北新幹線、東北地方の在来線すべてが運休しており復旧のメドは立っていない。高速道路は同日午前5時30分現在、東北道や常磐道、磐越道の大半が、支援物資を運ぶトラックなどを除き一般車両は通行止め。上越、長野新幹線は同日始発から復旧した。
東北電力によると13日午前8時現在、依然179万9287戸が停電。厚生労働省によると、水道は16県で少なくとも140万世帯で断水が続いている。
「読売新聞」3月13日(日)12時13分配信
●福島原発周辺の入院患者ら15人、放射能に汚染
総務省消防庁によると、福島原発の半径10キロ圏内の病院に収容されていた入院患者ら15人と救急車が放射能に汚染されていたことがわかり、15人の脱衣と救急車の除染を実施したという。
「読売新聞」3月13日(日)8時18分配信
●福島第一原発3号機、冷却装置が停止 緊急事態報告
東京電力によると、東日本大震災で自動停止し、原子炉を冷却していた福島第一原発3号機で、13日午前2時44分、冷却水を炉心に入れていた高圧注水系が停止した。別の冷却装置を起動しようとしたが働かなかった。東電は、消火用の配管などを使い外部から強制的に水を入れたり、炉心溶融の可能性がある1号機と同様に海水を使ったりすることも検討している。
今のところ格納容器内の圧力は適正値だが、圧力が上昇し損傷することを防ぐため、蒸気逃し弁の開放作業を始めた。圧力が高まると、大気中に放射性物質を含む蒸気を放出することになる。
東京電力は1、2号機に続き、原子力災害特別措置法に基づく緊急事態に当たるとして、国に報告した。
「asahi.com」2011年3月13日7時15分
●160人被曝の可能性 福島原発周辺で
経済産業省の原子力安全・保安院は13日、東京電力福島第1原発の周辺で約160人が被曝(ひばく)した可能性があることを明らかにした。
被曝した可能性があるのは、国の避難指示を受け原発から10キロ圏内を出るために双葉厚生病院から移動して、同原発から約3・7キロ離れた県立双葉高校のグラウンドで救助のヘリを待っていた約60人と、原発での爆発後に福島県外にバスで避難した約100人。
バスで避難していた100人のうち9人の放射線量を測定したところ、3人から通常を上回る数値が検出されたという。今後、160人全員の放射線量も調査するとみられる。
「産経ニュース」2011.3.13 06:44
●NHK、ネット通じた地震映像の配信認めず
NHKは11日、他の報道機関がインターネットを通じてNHKの東北大地震の放送映像を配信することを受け入れなかった。NHK広報部によると「NHKの放送やウェブサイトで流すために現場に人員を投入しており、NHKの媒体で見てもらうのが筋だ」という。
NHKは新聞紙面上で放送映像を「NHKの映像」と断ったうえで掲載することを認めているが、他の報道機関がネットに配信するのは認めていない。日本経済新聞社は、今回は未曽有の非常事態で、公共性の高いNHKの重要な映像情報を幅広く提供したい意向を伝えたが、受け入れられなかった。
「日本経済新聞」2011/3/12 0:32
●「幼児に向精神薬処方」が3割 発達障害で専門医
自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)といった「発達障害」がある小学校入学前の幼い子どもに、精神安定剤や睡眠薬などの「向精神薬」を処方している専門医が3割に上ることが9日、厚生労働省研究班の調査で分かった。
小学校低学年(1~2年)まで含めると、専門医の半数を超えた。子どもを対象にした向精神薬の処方の実態が明らかになるのは初めて。向精神薬は使い方を誤れば精神に悪影響を及ぼす恐れがあり、慎重な処方が求められている。
調査した国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)小児神経科の中川栄二医長は「神経伝達物質やホルモンの分泌に直接作用する薬もあるのに、幼いころから飲み続けた場合の精神や身体の成長への影響が検証されていない。知識の乏しい医師が処方する例もある」と懸念。製薬会社などと協力して安全性を早急に調査し、治療の指針を確立する必要があるとしている。
昨秋、全国の小児神経専門医と日本児童青年精神医学会認定医計1155人を対象にアンケートを実施。回答した618人のうち、小学校入学前の子どもに向精神薬を処方しているのは175人(28%)だった。小学校低学年まで含めると339人(55%)に増え、高校生まで合わせると451人(73%)となった。
向精神薬による治療の対象としている子どもの症状(複数回答)は「興奮」が88%、「睡眠障害」78%、「衝動性」77%、「多動」73%、「自傷他害」67%。「共同通信」2011年03月10日 02時10分
●川崎・中3自殺:「真矢を忘れないで」 自殺中学生の両親、実名公表/神奈川
◇一緒に卒業しよう 同級生が式典で呼び掛け
◇友人いじめられ「守れなかった」
「いじめられた友人を守れなかった」と昨年6月に自殺した川崎市の中学3年の男子生徒(当時14歳)が通っていた同市多摩区の市立中学校で9日、卒業式が開かれた。同級生が「一緒に卒業しよう」と涙で呼び掛ける場面もあり、出席した両親は「14歳まで生きた事実を忘れないで」と、生徒の名前を篠原真矢(まさや)さんと公表、報道各社に写真を提供した。
両親によると、卒業証書は兄(17)が受け取った。121人の卒業生の名前が呼ばれた後、校長(60)から最後に手渡された。真矢さんと一緒に生徒会活動をしていた同級生が答辞の最後、天を仰ぐように「シノ、一緒に卒業しような」と語りかけると、卒業生も泣き出し、両親も号泣した。
同級生の言葉を聞いた父親(46)は「真矢は本当に幸せだったなと涙が止まらなかった」。兄は「真矢がいて122人全員がそろったら良かったのに……。欠けるのは悲しいと思いながら卒業証書を受け取った」と話した。
名前の公表は母親(44)が先月、「みんなに真矢のことを忘れてほしくない」と家族内で切り出したのがきっかけだった。両親はこれまで、高校生だった兄に配慮してきたが、今月卒業したことで公表に踏み切った。父親は「何も悪いことをしていないのに実名報道されないのはつらかった。卒業で一区切りです」と振り返った。
両親は式典後、クラスメートや所属していた野球部の後輩から寄せ書きをもらった。「ずっと忘れないから」「また、どっかで会おう」「部活で頑張っている姿が目標でした」などとつづられていた。
遺書にいじめていたと実名が書かれていた生徒4人は卒業式を欠席した。校長は式典後、報道各社に「(4人と真矢さんの両親の)両者が話し合いの場を持つなど、接点を作れなかったことが心残り」と述べた。4人の欠席については「全員に卒業証書を渡したかった」とだけ話した。
「毎日新聞」 3月10日(木)11時49分配信
●新生活 一人暮らし家財一式=24万円
進学や就職で、一人暮らしを始める人が多いこの時期。新生活に必要な家財道具一式を買いそろえるといくらぐらいになるのか、選び方のポイントと合わせて、調べてみた。
◇TV、冷蔵庫、ベッド…
インターネットなどで、一人暮らし向けの生活用品を通信販売している「シングルライフコミュニケーションズ」(本社・新潟市)に、売れ筋の価格帯を調べてもらった。それによると、新生活に必要そうなものを一通りそろえると、合計で24万円程度はかかりそうだ。
まず家電製品では、冷蔵庫、洗濯機、薄型テレビが挙げられる。冷蔵庫は、冷凍室と冷蔵室が別々になった2ドアタイプが人気。一人暮らしでも、容量に少し余裕がある110リットルクラスを選ぶ人が多いという。また、洗濯機は4・5キロ・グラムクラスの全自動、テレビは19型が売れ筋だ。各家電メーカーはそれぞれに単身者向けの製品を用意しており、部屋の雰囲気に合わせて色を統一してもいい。
家具は、狭い部屋を有効に使える工夫が凝らされているものがお勧め。ベッドでは下部に引き出し式収納がついたタイプ、本棚では増えていく教科書などに対応できる「連結拡張型」が人気だ。コタツは、食卓テーブルと暖房器具を兼ねられる。パソコン世代には、本体とプリンターなどの周辺機器をうまく配置できる勉強机があると便利だ。
忘れがちなのが、カーテンとカーペット。カーテンは一人暮らしのプライバシー保護に、カーペットは賃貸住宅の床材保護や階下への騒音軽減に役立つ。
一人暮らし向けの生活用品は、家電量販店や大学生協などでも扱っている。参考にしてみるといいだろう。
◇大学生の平均29万円
全国大学生活協同組合連合会(東京)が、昨年春に大学に入学した学生の保護者を対象に行った調査によると、下宿生の生活用品購入費用の平均は、前年比3%減の28万7000円だった。うち、「家電」が11万3500円と最も金額が大きく、「衣類や身の回りの小物」(6万400円)、「家具」(4万5100円)などが続いた。
「読売新聞」2011年3月7日
●<自閉症>症状の原因一端を解明…顔認識の神経、働きが低下
自閉症患者の脳では、人の顔を認識する部位の神経の働きが低下していることを、鈴木勝昭・浜松医科大准教授(精神科)らのチームが突き止めた。患者は人の目を見ない傾向が強く、「相手の気持ちを読めない」などの障害が指摘されている。自閉症の特徴的な症状の原因の一端が明らかになったのは初めてで、症状の悪化防止に道を開く成果という。8日発行の米精神医学誌に発表する。
チームは、18~33歳の患者20人の脳を、陽電子放射断層撮影(PET)という装置で撮影し、一般の人の脳の画像と比較。患者では、脳下部にある顔の認知にかかわる部位「紡錘(ぼうすい)状回」で、脳の活動を調節する「アセチルコリン神経」の働きが最大4割低下していることを発見した。
鈴木准教授は「人と視線を合わせないことが、自閉症による脳の機能低下を示している。この症状に早く気付くことで、社会性を養う訓練開始など症状を重くしない対応が可能になる」と話す。
「毎日新聞」 3月8日(火)6時0分配信
●自閉症にアセチルコリンが影響 浜松医科大など研究チーム発表
自閉症患者は健常者に比べ、相手の表情を認識する脳の部位で、アセチルコリンと呼ばれる物質の働きが弱いことを浜松医科大と中京大、特定非営利活動法人(NPO法人)「アスペ・エルデの会」が共同で明らかにした。症状の悪化を防ぐことにつながるといい、日本時間8日、米医学誌で発表した。
研究チームは、自閉症患者が相手と視線を合わせない傾向を持つことに注目。脳の下部にあって他人の顔を認識するときに使う「紡錘状回(ぼうすいじょうかい)」で、活動に影響するアセチルコリンの働きを調べた。
「産経ニュース」2011.3.8 06:00
●精神保健支援員を配置 亀岡市が自殺予防対策
亀岡市議会は9日、3月定例会の本会議を再開し、2日目の一般質問を行った。市は深刻化する自殺の予防に向け、主な原因とされるうつ病などの精神疾患に悩む市民の相談に応じる精神保健福祉支援員を市役所に配置する方針を示した。
武田学健康福祉部長は、市の精神医療通院制度の利用者のうち、うつ病を含む気分障害を患う人が現在451人に上ると報告。2011年度から、嘱託職員として同支援員1人を市社会福祉課に置き、窓口や電話で相談に応じる。さらに、病院など関係機関と連携して予防対策強化に取り組む。11年度一般会計当初予算案に200万円を盛り込んだ。
精神保健福祉支援員は、うつ病など心の病を中心に専門的な立場からアドバイスし、社会復帰を促す。
「京都新聞」3月10日(木)10時29分配信
●自殺 1人で悩まず相談を 強化月間で啓発 京都市
「自殺対策強化月間」の今月、京都市は、さまざまな方法で悩みの相談を呼びかけ、命の大切さを訴えている。同市内の自殺者数は3年連続で300人を超えており、担当者は「何とかして自殺に走ってしまう市民の方を守りたい」としている。
市の自殺者数は平成10年に初めて300人を超え、その後いったん減ったが、19年から21年まで3年連続で300人台を推移。人口10万人中の自殺者数は21年では21・5人と全国で7位となっており、市は昨年3月に「自殺総合対策推進計画」を策定するなど、対策に乗り出している。
啓発活動では、コンビニ「ローソン」の市内全約160店舗のレジカウンターの画面に「弱音をはこう 弱音をきこう」と訴える広告を出しているほか、市の専門機関への悩み相談を呼びかけるステッカーやクリアファイルなど数千点を病院や大学で配布。また、地下鉄の駅で街頭啓発を行うなど、精力的に活動する。
市の担当者は「1人で悩みを抱え込まず、まずは相談してほしい」と話している。
「産経新聞」3月10日(木)7時57分配信
●国歌斉唱せず懲戒…東京高裁ほぼ全員取り消し
入学式や卒業式で国歌を斉唱しなかったことなどを理由に東京都教育委員会から懲戒処分を受けた都立学校の教職員ら計168人が、都に処分の取り消しと1人当たり55万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、東京高裁であった。
大橋寛明裁判長は、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、ほぼ全員の処分を取り消した。賠償請求は棄却した。
都教委は2003年10月、都立学校の各校長に対し、式典での国旗掲揚や国歌斉唱を適正に行い、校長の職務命令に教職員が従わない場合、服務上の責任を問うとする通達を出した。教職員らは同年11月~04年4月の式典で国歌斉唱の際に起立しなかったなどとして、戒告や減給の処分を受けた。教職員側は「通達に基づく職務命令は思想・良心の自由を保障した憲法に違反する」と主張していた。
また、ピアノ伴奏を拒否し、戒告処分を受けた元小学校教諭ら2人が処分取り消しなどを求めた訴訟でも、同高裁は同日、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、処分を取り消した。
「読売新聞」3月10日(木)15時29分配信
●「癒やし」イメージ、女性が被害=ブーム背景、家族に隠し―神世界事件
「キツネの霊が取りついている」などと不安をあおりカネを集めたとして、幹部らが逮捕された「神世界」グループの霊感商法詐欺事件。近年「宗教」が絡む事件が相次ぎ、敏感になっていたはずの社会になぜ巧みに浸透していったのか。被害対策弁護団は、被害が拡大した理由について二つの側面を指摘する。
まず神世界が宗教色を前面に出さず、「ヒーリング」というソフトイメージを強調した点。宗教は怖いが気軽に「癒やし」を求めたい女性をターゲットにしたとされる。勧誘の実行部隊は女性スタッフで、被害者のほとんどは女性だった。
次に、被害が広がった数年前、霊との交信が実在するかのようなテレビ番組が人気を集め、「スピリチュアルブーム」が起きていたこと。会員になる心理的なハードルを下げる要因の一つになったと、弁護団は指摘する。
神世界では、悩みの相談者に「太陽神からパワーを授けられた人物だけが伝えられる力」として、3000~1万5000円で「御霊光(手かざしによるパワー)」が送られる。深夜に相談者の体調が悪くなっても、自宅までパワーが届くと説明。10万円ほどで「ライセンス」を取れば自分でパワーが出せると促され支払った人も多い。
典型的な霊感商法の手口なのに、被害は拡大。家族に秘密でサロンに通っていた人は、被害を届け出ないことが多い。被害額が多いほど入れ込んでおり、神奈川県警の被害者探しは難航した。
県警は「団体の規模は縮小傾向」とみているが、弁護団は「潜在的被害者が多く、深刻な状況は変わらない。被害者は金銭的、精神的ダメージに今も苦しんでおり、県警には悪質な実態を暴く捜査を期待する」としている。
「時事通信」3月11日(金)6時3分配信