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        高齢者、要介護者と発達障害。
        2011/05/08
        本題に入る前に、気になるサイト情報を1つ紹介します。
        「被災した引きこもりや支援者たちは今――震災を機に精神疾患の症状が治まった当事者たちの活躍」
        http://diamond.jp/articles/-/11882
         今回の震災直後に私がまず考えたのが、「ひきこもり状態の人はどうなった?」でした。社会からの「孤立」を選択したり、人との関わりを「怖い」と考える人たちが、大地震の揺れをどう体験し、津波情報などをどう入手し、判断、行動できたか、でした。一つの情報として知ることができました。
         さて、本題です。
         訪問介護やガイドヘルプを行っている事業所の方より、「介護が必要な人やそのご家族の中で、支援がうまく入らない、説明しても意図が伝わらずに関係性がこじれるケースが少なくなく、広汎性発達障害の特性を疑わざるを得ないと考えている。実感としては感じるが、どう関われば良いのか、ヘルプに入る人やケアマネさんに発達障害の特性のある人への介護の視点にプラスして関わってもらうためにはどうすればいいのか?」という相談があり、個別に対応していたのではお互いに身が持たないので、学習会として関わる人たちに学び考えてもらう機会を持とう、ということになりました。7月下旬に京都府の長岡京市内で開催予定です。私の講演の仮題は「要介護高齢者に潜在した発達の偏りに気づく ーこだわりや独特な考え方や言動、援助のし難さには「理由」がある」です。
         「介護保険」のサービス提供の視点からは、加齢にともなう身体や認知の機能的な衰えや障害という表面的な問題・課題への支援や環境調整、機能回復といったことが中心に据えられます。しかし、認知症による記憶の障害や認知の変化だけでは説明がつかない事態が現場では生じていて、また高齢者介護支援者で障害者自立支援法やそれにもとづく福祉サービスを理解している人は少ないのも現実問題です。
         支援が入りにくい、言葉での説明や環境調整のための家具の配置や補助具の導入に反発して受け入れてもらえない、こだわりが強い、対人関係で頻繁に問題を起こすなどなど、様々な課題に対応しきれず、どう考えていけばいいのか壁にぶつかっている状態。
         身体的な機能の低下は介護保険サービスを優先させつつ、必要な場合に身体障害に対する障害福祉サービスをうまく提供していくことが大切なのは言うまでもありません。
         一方、認知機能の低下や変化については、加齢によるものか、以前からそうした認知パターンがあったかで、対応の考え方・支援のあり方は変わってきます。対人相互作用(関係性)、社会性、こだわりや独特の考え方や「俺ルール」、正直でウソが言えず、頼まれると「嫌」と言えない、被害妄想的に考えるなどの考え方のクセなどが若い時からあったとすれば、自閉症スペクトラムの特性をお持ちの上に、加齢による認知機能の変化や障害が加わったと捉える必要があるでしょう。
         発達障害が基盤にあってのものか、加齢によるものかの見分けは、生育歴の聴き取り把握と家族性(ご家族・直系親族などに似た傾向の人がいること)の有無の2つがまずは基本かと思います。早期発見・療育の必要性から、乳幼児から学齢期(特別支援教育も含めて)の診断や支援は進んでいますが、成人期が今取り上げれるようになったところで、高齢者となると「別問題」と考えてしまうのが実情でしょう。でも、発達障害は最近急に生じたものではなく、アインシュタインをはじめ偉業をなした歴史的に著名な人たちが多数いることからも、ずっと昔から、人類が人間社会を構築していった過程ではすでに脳の機能的な違いのある人として存在しつづけていると思われますので、「高齢者の中にも○%程度はいて当たり前」としてその人のよりよき残りの人生のサポートができるよう、支援者は学び知恵をしぼって新たな援助方略を見つけていって欲しいと思います。
         それでは、今週の気になる記事です。

        東日本大震災 両親死亡、不明の子供少なくとも132人に

         東日本大震災で両親が亡くなったり行方不明になっている高校生までの子供は、岩手、宮城、福島の被災3県で少なくとも132人に上ることが4日までの毎日新聞の調べで分かった。判明している大半は、親戚などに保護されているが、両親のどちらかを亡くした子供も加えるとその数は大幅に増えるとみられ、就学や進学、経済的な支援も含めた対応が早急に求められている。
        【ぼくも流されて、ママに会いたいなあ。波になりたい】
         被災3県に、両親が死亡または行方不明になっている子供の数を聞いたところ、岩手県では山田町などで18歳未満が少なくとも57人、宮城県も女川町や東松島市などで同じく57人、福島県では相馬市やいわき市などで18人(4~18歳)だった。
         子供たちは、「大半は親族が世話をしているが知人宅にいるケースもある」(岩手)▽「57人中55人は県内外の親戚に保護され、2人は県内の児童養護施設に入所している」(宮城)▽「ほぼ親戚などに保護されている」(福島)となっており、ほとんどが身内の家庭に引き取られている。
         3県とも児童相談所の職員が、避難所などを訪問して子供の様子や今後の養育について聞き取り調査を実施中で、可能な限り親族のもとで養育してもらうよう勧めている。福島県は、東京電力福島第1原発事故の対応などで、実態把握が遅れ気味という。
         宮城県は「3親等以内の親族が育てる『親族里親制度』(生活費などの手当が出る)の活用を勧めている。親族が見つからない場合は児童養護施設に入所してもらった上で、親族以外が育てる『養育里親制度』(同)を利用してもらうか調整する」と話している。
         阪神大震災では、兵庫県内で両親ともあるいは父母のどちらかを亡くし保護者がいなくなった子供が68人報告されている。東日本大震災の死者・行方不明者数は2万5056人(4日現在)で、阪神大震災の6437人を大幅に上回っており、保護者を亡くした子供の数はさらに増えるとみられる。
        「毎日新聞」 5月5日(木)12時44分配信

        ●不況影響?自殺者623人 府警まとめ
         京都府警は、昨年に取り扱った府内の自殺概要をまとめた。総数は623人で、前年に続き600人台を突破した。原因・動機は、「健康問題」と「経済生活問題」で、全体の7割を占めた。
         性別では、男性449人、女性174人。年齢別では、65歳以上が158人と最多で、40~49歳が115人、50~59歳が112人と続いた。20~29歳も76人、19歳以下も12人いた。
         職業別では、無職が331人と半数以上を占めた。学生・生徒は34人。自営業・家族従事は73人で前年比69・8%増となった。
         原因・動機は健康問題が276人で最多。経済生活問題が161人で前年比24・8%増となり、長引く不況の影響をうかがわせた。月別では、12月が64人と最多だった。
         府内の自殺総数は1998年以降、毎年600人前後で推移している。府警生活安全対策課は「一時期目立った硫化水素や集団の自殺は減っている。防止策として、悩みを抱えた人が相談できる環境を充実させるほか、周囲が異変に気付き、それを専門機関につなぐ役割が大事になってくる」としている。
        「京都新聞」5月5日(木)8時49分配信

        ●電話相談開局10周年 三重の自殺率、全国で最少
         ■いのちの電話協会「微力ながら貢献できた」
         特定非営利活動法人「三重いのちの電話協会」(鈴木秀昭理事長)が、13日で電話相談開局10周年を迎える。10年間で受けた電話相談は計6万2788件。平成22年の県の人口10万人あたりの自殺率は19・3人で全国で最も低く、同協会では「微力ながら貢献できた」と自負。10周年を記念して14日午後1時半から、津市の県総合文化センター中ホールで、三重ヴォークスボーナや、韓流歌手・Zeroさんらによる「こころのコンサート」が開かれる。入場無料。
                           ◇
         電話相談((電)059・221・2525)は、平成13年から開始し、午後6時から同11時まで年中無休。開局年を除く9年間の年平均は6976件で、1日平均18件あった。男女内訳は、男性が3万7716件で約60%。女性が2万5072件で約40%。死にたいという気持ちを訴える自殺志向の相談は全体の約10%にあたる6272件で、男性は3090件(4・9%)、女性は3182件(5・1%)。相談自体は男性が多いが、自殺志向相談はわずかに女性が多い。
         年齢別順位では男女とも30歳代、20歳代の順に多く、次いで男性は40歳代、女性は50歳代が続く。
         問題別では保険医療が1万9097件(30・4%)と最も多く、社会生活上のさまざまな要因から、心の不安、神経症的な訴えや、精神の病気で治療中の人が多かった。次いで人生が1万988件(17・5%)で、独り暮らしやかかわってくれる人がいないなど、人生に孤独を感じている人や、生きがいがないなど、将来に不安を感じている人が多かった。
         3番目は対人関係6329件(10・1%)で家族や職場、近隣などでの、いじめや、ハラスメント、不和などで悩んでいる人が多い。4番目は性で5461件(8・7%)で、痴漢、ストーカーなどの性被害のほか、妊娠中絶、近親相姦などの深刻な問題もあった。5番目は家族で4778件(7・6%)で、家族の扶養や介護、家庭内暴力、虐待などの悩みも多い。
         自殺率は今年3月に警察庁が発表。三重は前年の476人より118人少ない358人で、減少率も24・8%減と全国1位だった。
         記念コンサートにはこのほか、津児童合唱団、三重大教育学部付属中音楽部が出場する。
        「産経新聞」5月7日(土)7時55分配信

        ●学習機能:刺激減ると低下 遺伝子へ悪影響…東京大チーム
         外部からの刺激が乏しくなると、学習機能に関わる遺伝子に悪影響が及び、学習機能が落ちることを、東京大の尹喜玲(インジリン)特別研究員と広川信隆特任教授のチームがマウス実験で突き止めた。この遺伝子は人にも存在し、頭を使わないほど知力が衰えることを示す成果として注目されそうだ。28日付の米科学誌ニューロンに発表した。
         チームは00年、神経細胞間で記憶や学習機能に関わるたんぱく質「NMDA」を運ぶ分子「KIF17」を発見。この分子ができないマウスを人工的に作ったところ、NMDAを主に構成する「NR2B」というたんぱく質を作る遺伝子の働きも低下することが分かった。
         また、音が鳴ると足に電気刺激を与え、その後に音だけを聞かせる実験を行った。すると、NR2B遺伝子の働きが落ちたマウスの場合、音に反応して足を縮める行動を取る割合が通常のマウスの半分にとどまることが判明。学習をつかさどる脳内の「海馬」でのNR2Bの量も、通常のマウスの3割しかなかった。広川さんは「認知症の改善には刺激が大切と言われる。この成果を活用し、認知症を改善する薬剤の開発につなげたい」と話す。
        「毎日新聞」2011年4月28日

        ●学習障害に支援本 京都府総合センター 家庭での効果的な学習法などを掲載したガイドブック
         学習障害(LD)や読み書きに困難のある子どもへの指導の手引きとして、京都府総合教育センターが「特別支援教育ガイドブック 読める!書ける!~すべての子どもが楽に読み書きを学ぶために」を作成した。家庭での効果的な学習法も紹介しており、同センターは「すべての教員や保護者に役立ててほしい」としている。
         府内の小学校や特別支援学校と協力し、2年間研究した成果をまとめた。教科書の音読が苦手な子どもに(1)大人がゆっくり音読して聞かせる(2)文節で区切りながら大人が読み、子どもに復唱させる(3)子どもと声を合わせて読む(4)一人で読ませる-と段階的に丁寧に進める学習法を紹介。読み書きが苦手な子どもに大人がゆっくり読み上げた文章を正確に書き取らせる練習なども解説している。
         同センターのホームページ(http://www.kyoto-be.ne.jp/ed-center/)からダウンロードできる。
        「京都新聞」5月6日(金)22時49分配信