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        不登校2年連続減少(文科省)―でも生徒数も大幅減少
        2002/08/15
         10日発表の文部科学省の学校基本調査速報によると、03年度に年間30日以上欠席して「不登校」とされた小中学生の総数は、前年度から約5,000人減って12万6,212人となり、2年連続減少したそうです。
         不登校は、調査方式が異なる時期も含め1975年度から01年度までうなぎのぼりの増加。同省は「スクールカウンセラーの配置など取り組みの成果が出ているが、依然相当な数。引き続き対策を進める」としています。年間30日以上の欠席者のうち病気や経済的理由を除いた不登校は、小学生が6.9%減の2万4,086人、中学生が3.1%減の10万2,126人。小中合計では3.8%(約5,000人)の減。なお、大学・短大の進学率は過去最高の49.9%。男子は51.1%で初めて50%の大台に乗りました。
         文科省は不登校が「減った」、「スクールカウンセラー配置の効果」と強調していますが、現場や不登校の家族の声を聞くと口をそろえて「絶対増えている」と言われます。実際、「行きたくないから行かない」という子どもを学校側が勝手に「体調不良」や「病気」と扱っている事例をいくつも知っています。また、別室や保健室、適応教室、放課後だけ登校なども「登校」としてカウントされています。意図的に数を減らす努力をした結果が3.8%-5,000人、しかし児童・生徒数の「少子化」による減少などを考慮すれば、「減った」と言い切れるような状態では決してありません。小学校では前年度より1万2,000人減少で昭和57年から22年連続減少し過去最低、同じく中学校も前年度より22万5,000人減少で昭和62年から17年連続減少し過去最低です。「不登校が減った」という一面だけを見ていると、大きな認識間違いをしてしまいます。

        「引きこもり」初の対策、来年度から集団合宿で自立を支援?(文科省)
         文部科学省は、増加する「引きこもり」や「不登校」などの社会とのかかわりを持てない若者を対象に、1カ月間の集団合宿による社会体験の場を提供する自立支援事業を来年度から実施する方針を固めました。同省が引きこもり対策に乗り出すのは初めてです。就労やボランティア活動を体験することで勤労意欲を引き出し、人間関係を築いてもらうことを目的としているようです。
         同省によると、小中学生、高校生以上と年齢別のプログラムを全国20-30カ所のモデル地区で実施。高校生以上の引きこもりの若者を対象にした「青年長期社会体験事業」では、各地の「青年の家」で約1カ月の合宿を行い、福祉作業所や受け入れ企業での就労とボランティア活動を体験。集団生活の中で社会経験を積むことにより、引きこもり脱出と将来の就職につなげるそうです。
         また、友人や教師とうまく折り合えず不登校になった小中学生には「少年自然の家」で合宿しながら自然との触れ合いや集団生活を体験させる「悩みを抱える子どもの体験活動事業」を計画しています。
         一般の小中学生向けにも、一週間の合宿で自ら設定した課題に取り組み、人間関係を築いたり問題解決能力を養う「君がつくる一週間事業」を提供するそうです。
         対人関係が困難で家にひきこもっている青年を、1カ月も見ず知らずの他者集団と生活させるという発想自体があまりにも実態を知らない机上の空論と言えるのではないでしょうか。当事者をどう把握するのか、プログラムにどう誘うのか、想像がつきません。ひきこもりにも様々なきっかけや経過、状態(病状を含む)や段階があり、援助関係を持つとすれば最初は1対1が基本だと思います。そして援助者の援助のもとで徐々に社会関係を拡大し、対人関係の困難を解消していくという、個別プログラムが必要であり、極めてメンタルな取り組みです。集団生活で効果をあげているのは「グループホーム」などの小さな家族的な集団です。「数減らし」を追求するのではなく、実態に即したあくまでも本人を尊重する支援プログラムと援助者の養成、援助組織の拡大(それらへの公的な補助)こそ求められていると思います。