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        うつと気分障害、多様なタイプを見落とさないこと
        2011/08/13
        一昨日、歩いていて左側から車に突っ込まれて頸椎ね捻挫、左腓骨骨折、左上肢打撲擦過傷、左頭部打撲などの診断で、4週間の加療必要と。意識はずっと鮮明で、今はあちこちの打撲や筋肉痛で少し痛い目をしています。自宅にいても暑いだけなので、事務所でくつろぎながら勉強でもしようかと出てきています。
         さて、今日の本題。
         不登校やひきこもり、最近では教員をはじめとして長期の欠勤の原因として、また自殺リスクの最大要因として「うつ」概念が、広義に取り扱われています。「心の風邪」、誰でも起こるもの、治療には薬物療法、休養、はげまさない、などが一般的に拡がっています。しかし、うつには様々なタイプがあり、治療や周囲の関わり方に違いがあることは、意外と知られていません。
         うつは、脳の領域全体が異常な反応を示すもので、苦痛や痛み、不安などは、「死ぬほど耐えがたいもの」である場合が少なくないことを理解してほしいと思います。以下、岡田尊司先生の『うつと気分障害』(冬幻覚舎,2010)を参考に、少し書いてみます。
         DSM-Ⅳでは診断カテゴリー6の「気分障害」とされます。単極性、双極性、季節性感情障害と大区分されます。さらに、単極性・双極性ともに大うつと小うつに。さらに単極性大うつはメランコリー型うつ病、精神病性うつ病、非定型うつ病、季節性うつ病に、単極性小うつは気分変調性、適応障害(気分障害には入らない)に。双極性大うつは双極性Ⅰ型障害と双極性Ⅱ型障害に、小うつは気分変調性障害へと区分されます。
         うつの基本症状は、ネガティブな感情が増えてポジティブな感情が減る、行動機能障害、睡眠・食欲・便通異常・身体のだるさや痛みなどの身体的症状。大うつではこの3つがすべて強く見られるますが、小うつ(軽うつ)では行動機能障害や身体的症状が軽度となります。
         診断基準によるさらに詳しい症状は以下の9項目です。1.抑うつ気分、2.無感情・無関心、3.睡眠障害、4.疲れや気力・活力低下、5.実行機能障害、6.精神運動障害、7.体重や食欲の異常、8.自殺念慮、9.罪悪感や無価値感。
         体や頭の動きが鈍く空回りする、良いことにも反応しなくなる、よく喋るあるいは口数が減る、記憶力・判断力の低下、慢性的な身体の痛みが続く、ひきこもりの背景にも多い。
         一方で双極性で生じる躁状態と症状について。
         早朝に目覚めて(睡眠不足状態で)もスッキリしている、口数が増え声も話も大きくなる、疲れを知らないかのような行動、暴走から混乱に至る。躁とうつが入り交じった「混合状態」もしばしば見られる。「軽躁状態」は「性格」と見分けにくい。
         日々の出来事や気分に影響を与える物質(アルコールや薬物など)でうつや躁状態になることもあります。
         「うつ」は、人前で症状を呈するので気づきやすいのですが、人前では出さない「躁病エピソード」があれば「隠れ躁うつ病」となり、50%が躁であるという報告もあるほど。単極性のうつではなく、双極性であれば、治療法が違いますし、うつとして抗うつ剤中心の処方がされていた場合に、「躁転」などの有害な事態を招いたり、躁うつの波を強めてしまうため危険です。本人さんは気づきにくく、診察室でも自覚がないため症状を医師に伝えてなければ、躁状態に気づくことは困難です。家族や周囲の方が、生活場面をよく観察することが大切です。
         「隠れ躁うつ病」(特に双極性Ⅱ型)に気づくポイントのいくつかをあげます。
         躁病エピソード(急に明るく、活動的になる、浪費、思いつきで意外な行動をする、など)の存在、嬉しいことに普通の反応をする、家族歴がある、産後発症、抗うつ剤が効きにくい。また、子どもの気分障害は実は多いことがわかってきていて、中でも自殺の危険性が高いが、とても気づきにくい。ADHDやHF-ASD(アスペルガー障害など)に併発することが多い。
         とりあえず「うつでしょう」と受診して医師に言われたり、抑うつ状態が見られたら、こうした様々なタイプがあることを思い出して、精神科受診をしつつ、日々の生活の観察(とくに躁病エピソードの有無)を十分に行い(見られた場合は医師に具体的に伝えましょう)、適切な対応ができることが、命を救い、長期化や再発、薬害などを避ける方法だと思います。そして、一人で悩まないこと…!
         それでは、今週の気になる記事です。

        原賠機構法が成立へ=東電賠償の枠組み整う

         東京電力福島第1原発の事故で、東電の損害賠償を国が支援する枠組みを定めた原子力損害賠償支援機構法が3日の参院本会議で可決、成立する。政府は10日をめどに同法を施行し、8月中の機構設立を目指す。東電は今後、これまで遅れていた賠償金支払いを速やかに行うことが求められる。
        「時事通信」8月3日(水)6時48分配信

        ●電力5社、経営陣が動員関与…会社ぐるみ常態化
         原子力発電所に関するシンポジウムや住民説明会に、電力会社が社内や関連会社などの関係者を動員した問題で、四国電力以外にも東北、中部、中国、九州の4電力会社で、当時の副社長や社長が動員を指示したり、了承したりしていたことがわかった。
         社員らの動員は、これまで四国電力など6社で判明しているが、このうち5社で経営陣の関与が認められたことになる。
         副社長が関与していたのは、2006~10年に開かれた東北電力女川(宮城県)、中部電力浜岡(静岡県)、中国電力島根(島根県)、四国電力伊方(愛媛県)の各原発についてのプルサーマル計画に関するシンポジウムなど。
         東北電力では09年12月、火力原子力本部長の副社長が幹部との打ち合わせで「出席できる人は出てください」と述べ、出席した部長らが部下に伝え、管理職や関連会社への参加要請が行われた。中国電力では、08年12月に電源事業本部長の副社長や島根原子力本部長の常務らが集まった会議で、社員らに参加を要請することが了承された。中部電力では07年8月に開かれたシンポジウムについて、同社広報部は「副社長が報告を受けて了承した」としている。
         九州電力では、昨年5月の川内原発3号機増設に関する「第1次公開ヒアリング」で、社長が動員要請を事前に把握していた。
        「読売新聞」8月3日(水)3時7分配信

        ●高校の不登校5万3000人=調査開始以来、初の増加―文科省
         2010年度に30日以上学校を欠席した不登校の高校生は、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)を除き、5万3084人だったことが4日、文部科学省の問題行動調査で分かった。全都道府県をまとめた09年度と比べ2.6%増で、調査を始めた05年度以来初めて増加。生徒数は約14万人減った一方、不登校は約1300人増えた。
         不登校のきっかけ(複数回答)は、「無気力」(24.1%)のほか、「不安など情緒的混乱」(16.3%)、「遊び・非行」(11.0%)が上位を占めた。同省は「人間関係をうまく構築できなかったり、無気力な生徒が増えたりしたのが原因」と分析している。
        「時事通信」8月4日(木)17時9分配信

        <参考サイトの紹介>
        「平成22年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について(通知)
        http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1309331.htm
        平成22年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について (PDF:759KB)
        http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/__icsFiles/afieldfile/2011/08/04/1309304_01.pdf

        ●不謹慎テロップに民放連会長「社会意識の欠如に問題の根源」
         東海テレビ放送(名古屋市)が4日に放映した情報番組「ぴーかんテレビ」で岩手県産米の当選者について「怪しいお米セシウムさん」などと記したテロップが流れた問題で、日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日顧問)は5日、「原発事故によって多くの方々が被害にあっておられるなか、放射能の風評被害について、放送事業者はもっとも敏感であるべき」などとするコメントを発表した。
         広瀬会長は「問題のテロップはあまりにも常識を欠いた表現」と指摘。「本件では(1)こうした内容のテロップを作成するという社会意識の欠如に問題の根源があるうえに(2)それをチェックできなかったこと(3)操作ミスで画面に出したものを即座に取り消せなかったことにも重要な問題がある」と述べた。
         また、民放連の会員各社に対して、倫理観の再確認や防止策への注力を求めたことを明らかにした。
        「産経新聞」8月5日(金)23時4分配信

        ●東海テレビ不適切テロップ、3日間で抗議1万件
         東海テレビ放送(名古屋市)が4日に放送した情報番組「ぴーかんテレビ」で、岩手県産米のプレゼント当選者について不適切なテロップを誤って流した問題で、同社に6日夜までに寄せられた抗議の電話やメールが1万件を超えた。
         同社によると、6日は電話が午後6時までで約260件、メールが同9時までで約1600通に上った。放送日からの3日間では、電話約1300件、メール約9000通に達した。多くが岩手県など東北地方からで、抗議や関係者の厳正な処分を求める内容がほとんどという。
         同社は5日夕の特別番組で、問題の経緯を公表し、謝罪したが、愛知、岐阜、三重県の放送エリアだけだったため、6日夜、特別番組の概要と、岩手県庁などを役員が訪問して謝罪したことを同社のホームページに掲載した。
        「読売新聞」8月6日(土)23時33分配信

        ●日本IBM、国会図書館の全文テキスト化システムのプロトタイプを開発
         日本IBMは1日、国立国会図書館が蔵書の大規模デジタル化作業の一環として実施した全文テキスト化システムプロトタイプ構築事業において、プロトタイプを開発したと発表した。
         欧米では、文化財保存を目的とした書籍のデジタル化が活発に展開されている。一方で日本では、ひらがな・カタカナに加え、多数の漢字(常用漢字2136文字、旧字・異体字など含めて約1万文字)を用いて表記されるほか、ルビや縦横書きの混在など、表現の多様性が全文テキスト化の実現を困難なものとしている。
         今回のプロトタイプは、このような日本語特有の問題を解消し、明治以降の各年代における日本語書籍の全文テキスト化の効率化、印刷物の読書が困難な状況にある人に配慮したアクセシビリティの実現、ならびに効果的な全文テキストデータ検索・表示の実現を目指して開発された。
         機能面では「共同校正機能」や「共同構造化機能」を備える。共同校正機能は、Webブラウザ経由で多数の文字校正者が同時に作業できる環境と、光学式文字認識(OCR)の精度向上を実現する。インターフェイスには、OCRで認識された文字群を一覧表示され、作業者が一括して校正できる。共同仕上げ校正の際には、紙の原本やスキャン画像と文字を見比べながら1つずつレビューするというアプローチではなく、共同文字校正であらかじめ校正された結果を原本の画像上に表示・対比させることで、一目で確認・修正できるという。作業結果をOCRの再学習に用いることで少しずつ精度を上げていく仕組みも備える。
         一方の共同構造化機能では、視覚障がい者などが読み上げソフトを使って書籍を読む際に重要な「構造化」を行うため、「構造情報付加機能」と「読み上げ順序修正機能」の2つを提供。IBM東京基礎研究所で開発された、読み上げ順序を一筆書きで表現しドラッグ&ドロップのみで修正できる技術を採用するとともに、全文テキスト化された書籍の構造の種類に応じた最適な構造化インターフェイスを用意することで、HTMLやXMLなどの記述言語の知識がなくとも構造化できるという。また、読み上げ順序、見出し、目次、図、表、注釈、ページ番号といった構造情報を自動推論し、構造化担当者にガイドを提示する機能なども提供する。
         同プロトタイプには、2008年にIBM東京基礎研究所が開発した、Webページのアクセシビリティを向上させる「Social Accessibility」のコンセプトが応用され、多数かつ多様な作業者がWebブラウザで同時に協働作業できるよう工夫された。また、IBMハイファ研究所がEUと進めている歴史的資料のデジタル化プロジェクト「IMPACT(IMProving ACess to Text)」の一環として開発された、シンプルな操作を繰り返して行う協調型文字校正技術も採用。OCRエンジンが文字認識エラーの校正を自動で学習し、少しずつ精度を向上していく機能も含まれており、作業の効率化に貢献するという。
        「cloud.watch」2011/8/1 13:45