不登校対応など、教育行政は形骸化そのもの。
2011/11/16
先週あたりにTwitterでつぶやいた教育行政に関する話題をまとめてみます。
8月13日に公文書公開請求を行い、9月末に公開された向日市の小中学校の平成22年度の問題事象や特別支援教育に係る公文書をざっと見ての感想です。
22年度のスクールカウンセラーの活動状況について。6つある小学校でSC配置は1校。そのSCが扱った相談は年間延べ446件で、その内、「教師との関係」が241件とされていました。そして、相談者は「教師」が204件。SC配置の目的が、本来の目的から逸れながら、教師の相談対応になっていて、それ自体はそれでいいのでしょうが、子どもたち177人、保護者41人、教師204人の相談者の中で、SCに相談した内容で半数を超えるのが「教師との関係」。ということは、子ども・保護者の相談の大半が「教師との関係」についてSCに相談している、ということになるのでしょうか? だとすると、学校そのものが機能不全化していて、その問題解決をSC頼みにしているということになります。
22年度のスクールカウンセラーの3つの中学校での活動状況について。生徒数、SC配置数、延べ相談件数は以下の通りでした。
A:628、2、159
B:385、1、225
C:304、1、208
相談者の内訳、生徒、保護者、教師、合計は以下の通り。
合計 A:112、46、1、159
B:87、49、87、225
C:109:21、78、208
A校では教師の相談が年間1名しかいない?? 生徒数が多いことからでしょうが、実働はともかく他校に比べて1名多い2名体制。こんな学校はめずらしいのではないでしょうか。にも関わらず、教師は1名しか相談していない…。「SCには相談するな」という管理職からの圧力があるとしか思えない結果です。
B、C校では校内の教職員の相談やコンサルテーション機能が働いているようですが、A校では抑制がかかっているために、生徒もSCへの相談に躊躇し、教師は問題や課題を抱え込んでいるとしか思えない結果も出ています。A校の不登校での生徒の相談件数は他校と大差はありませんが、「性格・行動」などの相談が異常に少ない(A:16、B:58、C:98)。
そして不登校の出現率は3.97%、人数では市内全体の60%と高い状況です。
不登校出現率は、B校1.55%、C校2.79%、3校合計の平均は2.96%だからA校が俄然引き上げています。
SC活用は抑制されているとしたら、SC活用を学校管理者が阻害しているという問題になると思われます。A校の出現率は、11年前は4.39%、10年前は5.14%。当時の校長は、学校管理目標は「校則遵守」「学校秩序維持」と言って憚りませんでした。
校長が替わったり、職員が替わったりという変化はこの10年であるでしょうが、市内の「モデル校」的存在であることは変わっていません。この「モデル」的存在というのが問題改善を阻害しているとしか思えないのです。SC活用も無視して、管理統制が今でも行われているのでしょうか? 教職員も相談相手を持てない学校…。
もう一つの向日市の22年度の特別支援学級実態調査。対象となる児童生徒数は小学校56人、中学校27人(?)。中学校の通級(自校および他校)は13人とのこと。1,317人の生徒だから0.987%。発達障害特性のある児童生徒がみんな特別支援学校に通っているとは思えないので、数字だけを見ていても疑問だらけです。
要するに特別な配慮や支援が必要と思われる児童・生徒に気づいていない、理解しようという意識がないということなんでしょうか? 小中各校で「特別支援教育全体計画」などが作られていて、45枚もの資料が公開されました。でも、どれも似たような「年間方針」だけで、「会議録」や「総括」などは1枚もありませんでした。「特別」にしない教育実践が行われているのなら問題はないのですが…。
10年余りの追跡調査(?)になっていますが、A中学校の生徒指導を「管理統制」で何とかしよう、という姿勢はどうやら変わっていないという残念な結果が見えてきました。迷惑を被るのは、子どもたち、ご家族、そして地域社会です。教育委員会は、「問題事象」とSC活用の関連性、「特別支援教育」のあり方、といった視点から、各学校現場での子どもたちの人権(学習権をはじめとして…)が守られているかどうかを、そろそろ検討してもらいたいと思うこの頃です。
それでは、今週の気になる記事です。
<「健康格差」対策>収入・職業・学歴など要因 日本は「後進国」
収入や職業、学歴などの社会的要因による健康状態の格差を減らす対策を話し合う世界保健機関(WHO)の国際会議が19~21日、ブラジルで開かれる。欧米や韓国などでは政府が数値目標を掲げて「健康格差」対策を進めるなど関心が高く、参加予定80カ国の過半数は大臣級の代表が出席する。一方、日本でこうした観点の対策はなく、会議にも省庁の担当者レベルの参加を検討するにとどまり、専門家からは積極的な取り組みを求める声が出ている。
健康格差問題に詳しい日本福祉大の近藤克則教授によると、80年代以降、欧州を中心に研究が進み、健康は遺伝や生活習慣だけでなく、社会的要因によっても左右されることが明らかになった。英国では、ブレア政権が国としての数値目標を設定して対策を推進。WHO総会では09年、加盟国に健康格差是正へ向けた取り組みの推進を勧告する決議が採択された。
対策の対象は医療だけでなく、都市計画や労働、交通、税制など政策全般に及ぶ。WHOは政策や事業の実施にあたって、事前に健康への影響を評価する「健康影響予測評価」の実施を勧告。欧米では政策に取り入れる国も増えてきている。道路建設に際して評価した結果、地域コミュニティー分断や交通事故などによる健康への影響を考慮してルートが変更された例もあるという。
今回の会議では、各国の対策の成功例や失敗例を共有し、今後の進め方を検討する。先月末時点で80カ国が参加を表明し、うち49カ国は大臣級が出席する予定だ。一方、日本は「厚生労働省か外務省の担当者レベルの出席を検討しているが、具体的な人選は決まっていない」(厚労省国際課)という状況で、具体的な対策を進める体制もない。
国内でも近年、社会的要因による健康格差を示す研究成果が報告されている。愛知県の高齢者約1万5000人を対象にした調査では、所得水準が低いほど精神疾患や脳卒中、肥満などの割合が高いとの結果が出た。学歴が低いほどがんや外傷による死亡率が高いことや、収入が低い人ほど運動をしていない割合や喫煙率が高いとの研究もある。
経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の貧困率は14・9%(03年)で加盟30カ国中4番目に高い。非正規雇用労働者の増加などで、所得格差の指標となる労働所得の「ジニ係数」も87年以降一貫して上昇。日本学術会議は先月、健康格差の実態調査や対策の推進を国に提言した。
近藤教授は「米国で経済格差の拡大に抗議する若者たちの抗議行動が起きているが、日本でも非正規雇用の若者が増えるなど似たような状況になっている。将来、国民の健康問題に発展する恐れがある。今回の会議を機に、日本も積極的に対応すべきだ」と話している。
「毎日新聞」10月12日
●いじめ後遺症 文科省、支援へ調査 敵対心・憎悪…癒えぬ心の傷
◇「いじめ→不登校→ひきこもり」負の連鎖断ち切れず
文部科学省が不登校生徒の追跡調査に乗り出すのは、子供時代のいじめの「後遺症」が、その後の「ひきこもり」につながっているとの指摘があるからだ。
いじめによる心の傷は簡単に癒やされず、「いじめ→不登校→ひきこもり」の負の連鎖を断ち切ることは難しい。支援団体には、社会生活に支障が出ているケースも報告されており、専門家は長期的な支援作りの必要性を訴えている。
文科省によると、全国の小中学校の不登校児童・生徒数は平成9年度に初めて10万人を突破した。近年は減少傾向にあるが、「高止まりの状態」(文科省)に変わりはない。22年度は11万4971人で、2・3%の約2600人が「いじめが原因」と回答し、17・1%に当たる約2万人が「友人関係や教職員との関係」を理由に挙げている。
「思春期に激しいいじめを受けた人の中には、人間に対する敵対心や憎悪の気持ちが生まれ、一生外に出られない人もいる」。東京都内でひきこもりの人たちの社会復帰を支援しているNPO(特定非営利活動)法人「不登校情報センター」(東京都葛飾区)の松田武己理事長はこう訴える。
松田理事長は相談に訪れた先で、いじめ被害によって、中学卒業から何年も経過した後でも憎悪の気持ちが消えない人を目にしてきた。「いじめは被害者の人生を棒に振らせることもある」と指摘する。
ひきこもりの人の社会参加を後押しするNPO法人「リーラ」(東京都豊島区)では週に3回、「居場所」と称してひきこもりの30歳前後の人たちと対話の機会を持つ。
「居場所」のスタッフは、かつていじめを受けて不登校になった被害者や、その保護者たち。相談に乗るうちに、ひきこもりの人たちが「学校でいじめられていたため、学校を出た後も対人恐怖がある」「人と関わると、いじめられていたことがフラッシュバックする」などと悩みを打ち明けられるという。
いじめが原因で家族以外と親密な関係を築くのが難しいという人たちに対し、市川乙允理事長は「ここが、あなたにとっての『居場所』です。信じてもらえる仲間がいます」と根気強くサポートしていくことで、社会参加を促している。
法政大の尾木直樹教授(臨床教育学)は「学校を卒業したからといって、いじめの苦しみから解放されるわけではない。ネット依存になる人たちも含めれば、いじめ被害の後遺症に苦しむ人は多い。被害者の生の声を拾う実態把握を急いだ上で、社会全体でその後のケアに取り組むための長期的な支援作りが必要だ」と訴える。
「産経新聞」10月5日
●普通学級で多くの経験を 名古屋・瑞穂区の難病少女 父親が訴え 北区で通学へ体制考える学習会
人工呼吸器を着けた子どもが普通学級に通える体制づくりを考える学習会が、名古屋市北区の市総合社会福祉会館であった。来年4月に小学校入学を控える瑞穂区の林京香ちゃん(6つ)と父親の智宏さん(36)が、「地域の学校でいろいろな経験をし、健常者の子と学び合って育ってほしい」と訴えた。 (日下部弘太)
京香ちゃんは生後8カ月で脊髄性筋萎縮症と診断された。人工呼吸器を着け、胃ろうで栄養を取っている。目や指を動かして意思を伝えている。
智宏さんらは一般の小学校で学べるよう、市に対してたんの吸引をする看護師の配置を求め、市教委が検討している。大阪や三重、千葉などすでに配置されている例は多い。
智宏さんは「好奇心旺盛で、ブドウやイクラ、アイドルグループの『嵐』が大好き」と京香ちゃんの人となりを紹介。菓子作りや花火、プール、リンゴ狩りなどに挑戦してきたという。
今は市の療育センターに通い、月2回は地元の保育園にも通園。「最初は物を取られて泣いたりもしていたが、自然に溶け込み、楽しんで行っている」と紹介。「京ちゃんはいろんな友だちをつくりたい、話したいという希望がある。障害児だから守られて、ではなく、できることは挑戦したい」と述べた。
京香ちゃんと同じ病気を抱えながら小学校から高校まで普通学級で過ごした大阪府池田市の折田涼さん(22)も講演し、ドッジボールや海での水泳の思い出を披露。「友だちや先生がクラスの一人として接してくれ、多くの経験ができた」と振り返った。
会は障害のある子を持つ親らでつくる「名古屋『障害児・者』生活と教育を考える会」が開き、130人が耳を傾けた。
(中日新聞)2011年10月12日)
●職場や家にかかってくる勧誘電話の撃退法は?
マンション販売や教材販売、株取引など、会社や自宅には様々な商品・サービスの勧誘電話がかかってくる。断っても長時間ねばったり、頻繁に電話してくる業者も少なくない。しつこい勧誘電話をうまく断るにはどうすればいいのか? ヒューマンディスカバリー・インターナショナル代表で、『イラッとされないビジネスマナー社会常識の正解』(サンクチュアリ出版)などの著書がある尾形圭子さんに聞いてみた。
「同じ勧誘電話でも、会社にかかってくるものと、自宅にかかってくるものでは、電話する業者側の姿勢が少し異なります。会社の場合、業者はまず上司や代表者など決裁権のある人に取り次いでもらおうとします。自宅の場合は、電話を受けた当人が買う・買わないを決めるので、その人自身に買わせようと説得してきます」
となると、会社と自宅で対応も変わってくる。具体的にどうすれば?
「会社での場合は上司や代表者に取り次がないことが重要。用件を聞き、『○○から(あるいは弊社では)そのようなお話は取り次がないよう言われております』と伝えましょう。取り次いでもらえないとわかれば、たいていの業者は引き下がるはずです。その後、『申し訳ありませんが、今後、二度とお電話しないでください』などと続けると、再び電話がかかってくることも防げます」
◇自宅への電話は、相手に質問するのが効果的だ。
「自宅の電話番号をどうやって知ったのか尋ねたり、相手の会社名や電話番号、本社所在地、代表者名などを質問してみましょう。業者側は自分のことを探られるのを嫌いますから、ほとんどの場合は相手から電話を切り上げるでしょう。『今ネットで会社名を調べてみます』などと伝えるのもいいですね」
ちなみに特定商取引法では、勧誘電話をする側は会社名やその目的を明かすことが義務付けられている。会社名や用件を言わない業者には「それは違反では?」と聞いてみるのも効果的だろう。また今年10月から宅地建物取引業法の一部が改正され、マンション販売に関して、一度勧誘を断った相手をしつこく勧誘し続けるような行為は禁止された。迷惑だと思ったら、はっきりと「迷惑です」「二度と電話しないで」と対応すればよいということ。
なお、「怒鳴り返したりすると、業者側が言葉尻を捉えて逆ギレする可能性もゼロとは言い切れません」(尾形さん)とのこと。冷静かつきっぱりと対応し、しつこい勧誘電話をスマートに撃退するべし!
「gooニュース」2011年10月8日(土)
●7カ月…「いつまで居られる」 京滋公営住宅の避難者
東日本大震災で京都府と滋賀県の公営住宅に避難した被災者から、入居期限の延長を求める声が高まっている。府、京都市ともに現状では1年としているが、福島第1原発事故の影響で帰郷のめどが立たない人が多い。11日で震災から7カ月。被災者は「いつまで居られるのか」と先行きへの不安が消えない。
「少なくても2年は京都で暮らしたい」。福島県郡山市から京都市山科区の市営住宅に避難してきた辻本繭子さん(37)は入居期限の延長を訴える。
放射能の懸念から、夫(41)を残して3人の子どもとともに逃れてきた。一向に進まない事故処理。余震の恐怖もある。「当面は戻れない」
6年前に建てた一戸建てのローンを抱えながらの二重生活で、経済的負担は大きい。家賃が免除される市営住宅はありがたい存在だ。入居契約は6月27日付で、1年の期限では小学5年の長女絹花さん(11)が6年生の途中で転校せざるを得なくなる。「できるだけ勉強に支障がない形にしてあげたい」と気に掛ける。
同じ市営住宅に福島県いわき市から4月下旬に移った江尻アイさん(84)は地震で家が傾いた。倒壊の危険性もあるが、費用の問題もあり修繕や建て替えに踏み切れずにいる。一人暮らし。「入居期限が過ぎたら、どこに行けばいいのか」。家財道具も少なく広々とした部屋でつぶやいた。
7日現在、府内の公営住宅に入居している避難者は232世帯664人、滋賀県内では35世帯105人に及ぶ。このうち京都市営住宅に入居する76世帯は、福島県からが75%を占め、来年3月から順次入居期限を迎える。
今月5日、山科区の市営住宅に避難する主婦らが市役所を訪ね、期限延長を求める要望書を提出した。同住宅では55世帯のうち少なくとも45世帯が期限延長を求めているという。「帰りたくても帰れない」「住む場所があっての安心。何とか理解を」。主婦らは住宅提供への感謝を述べながら、帰郷が見通せない不安を市担当者に訴えた。
これに先立つ8月下旬には、府営住宅に住む避難者も同様の要望書を府に提出している。
要望を受け、府は期限を2年とすることについて検討を始めた。被災地の応急仮設住宅の入居期限に準じた期間という。市住宅政策課は「避難者の実情を踏まえながら前向きに検討している」、滋賀県も「ほかの自治体の対応を参考にしたい」とし、いずれも柔軟な姿勢を見せている。
「京都新聞」10月10日(月)8時59分配信
●生活保護 職業訓練を”要件に” 厚労省検討 欠席者は受給廃止も
雇用保険を受けられない失業者に月10万円を給付し職業訓練を行う「求職者支援制度」が10月から法制化されたことを理由に、同制度を生活保護受給の事実上の要件とすることを厚生労働省が検討していることがわかりました。職業訓練を欠席した場合、保護を停・廃止することも打ち出しています。生活保護法の改定に向けて非公開で行っている国と地方の協議のなかで、厚労省が示したものです。
厚労省は協議の中で、生活保護の適用の前に、他の法律による扶助を優先して適用するという生活保護法の規定を引き、求職者支援制度の法制化により、同制度が優先すべき扶助の「対象になる」との見解を示しています。
そのうえで厚労省は、生活保護受給者が同訓練を「合理的理由なく利用しない場合や訓練を欠席する場合には、指導指示など所定の手続きの上で保護の停・廃止ができることとするのが適当ではないか」と述べ、求職者支援制度を活用しない場合、保護を廃止することを打ち出しました。
協議に参加している自治体側からは「現状の雇用情勢を総合的に判断すれば、保護の停・廃止は難しい」との声が上がりました。
<解説>生活保護の要件に求職者支援制度 実態見ない厚労省
厚労省はこの間、生活保護受給者の急増、なかでも働ける年齢層の増加を問題にし、その層を生活保護から追い出すための制度改悪を検討しています。求職者支援制度を生活保護の事実上の要件にしようとするのもその一環です。求職者支援制度を関門にして受給者をせばめ、訓練を欠席したことを理由に保護を打ち切る狙いです。
同省は、「職業訓練の活用によって就職実現が期待できるにもかかわらず、合理的な理由もなく利用せずに漫然と保護を受給することは国民感情としても認められないのではないか」と述べています。しかしこれは、あまりに実態にあわない議論です。
求職者支援制度は10月から法制化されましたが、訓練の内容は地域によってばらつきや偏りがあり、希望する訓練が受けられるとは限りません。受講したら必ず就職できる保証もありません。
自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛代表理事は「そうした訓練を生活保護の要件にするのは、職業選択の自由を奪うものだ」と批判します。訓練を提供する事業者には、就職率を一定程度あげることが求められているため、「就職の見込みが低い人が受講をはねられるおそれがある」とも指摘します。
生活保護の改善を求める生活保護問題対策全国会議は、▽求職者支援制度の給付金は生活保護法にいう「他の法律に定める扶助」に当たらない▽他の法律による扶助を「優先」することと「要件」とすることは異なる―などをあげ、厚労省が同制度活用を受給の要件にすることは違法だと指摘しています。
生活保護制度の見直しを議論する国と地方の協議では、自治体側から慎重論が出ています。しかし、政令指定都市長の集まりである指定都市市長会は、7月の厚労省への緊急要請で求職者支援制度を生活保護に「優先する制度として定めること」を要望しています。今後の議論の成り行きは予断を許しません。
働ける年齢層の生活保護が増えているのは、リストラ、非正規化などの雇用破壊と中小業者の経営悪化などで働きたくても職がないからです。
生活保護受給者が、「漫然と保護を受給」しているかのようにいう厚労省の主張は、現実を見ないものです。
「しんぶん赤旗」2011年10月9日(日)
●年金支給開始年齢 引き上げ検討へ
厚生労働省は、年金の支給開始年齢について、急速に進む少子高齢化に対応するには、将来的に68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、今週から本格的な議論を始める方針です。
年金の支給開始年齢を巡っては、厚生年金について、男性は2025年度、女性は2030年度までに段階的に65歳まで引き上げ、基礎年金と合わせることがすでに決まっています。これについて、厚生労働省は、急速に進む少子高齢化に対応するには、さらに68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、今週から社会保障審議会の部会で本格的な議論を始める方針です。具体的には、引き上げるスケジュールを3年に1歳ずつから2年に1歳ずつに早めて、65歳への引き上げ時期を前倒ししたうえで、基礎年金とともに、68歳から70歳程度へ引き上げる案などを示し、定年制の見直しなど高齢者の雇用対策も含めて慎重に議論を進めることにしています。一方、60歳から64歳で、年金と給料の合計が月額28万円を超えると年金が減額される、「在職老齢年金制度」の現在の仕組みについて、働く意欲を阻害しているという指摘があることから、厚生労働省は、減額の対象となる限度額を、65歳以上と同じ46万円や、平均的な給与水準に合わせた33万円に緩和する案などを示し、検討していくことにしています。
「NHK NEWSweb」10月9日
●全国民必読 まやかしの再雇用 いつわりの年金 「仕事はない、年金は大幅減額」 60過ぎたら、この世は地獄
ハッピーリタイアメント、定年後は悠々自適など、夢のまた夢。地獄が待っていた。当てにしていた年金は先延ばしにされたうえ、大幅減額。代わりに用意したという職場では邪魔者扱い。この国はおかしい。
◇平均年収200万円
「入社以来、事務部門に勤務していました。退職前は課長職になり、部下も十数人従え、年収は1200万円あった。定年後、再雇用を希望すると、『幸い、北海道の営業所で販売課長の職が残っていますよ』と言われたので、年収は300万円台に下がるけれど、2~3年は働けるだろうとホッとしていたのですが・・・・・・。
いざ赴任して与えられた仕事は、カバン片手に中小零細企業を回って、新規顧客を開拓する営業職。部下はひとりもいない代わりに、販売課長という肩書を持った再雇用者がすでに4人いて、誰もが毎日必死に走り回っている。営業経験がなかった私は、まったく契約が取れぬまま精神的に参ってしまい、3ヵ月で辞めて東京に戻りました」(大手事務機器メーカー・61歳)
国民年金はすでに支給開始年齢が順次上がっているが、2013年度から厚生年金の報酬比例部分も現行の60歳から3年ごとに1歳ずつ上げられ(男性の場合)、最終的に65歳が年金支給開始年齢となる。
だが、大多数の企業の定年は60歳。企業年金が整備されていない会社も多く、無収入・無年金生活が現実のものとして迫ってきた。
こうした事態を避けるため、65歳までの雇用を確保しようという趣旨で生まれたのが「継続雇用制度」のひとつである「再雇用制度」。政府が’04年に高年齢者雇用安定法を改正してつくった制度で、定年退職者を企業が一度退職させて再び雇用するというものだ。
「政府は、定年の引き上げか定年の廃止、あるいは継続雇用制度の導入のいずれかの措置をとることを企業に求めました。この中から企業はどれを選択したか。’10年6月1日現在、社員30人以上の規模の会社で、定年を廃止したのは2.8%、定年を引き上げたのは13.9%、対していわゆる再雇用制度を導入した会社は83.3%と、圧倒的に多かったんです」(『よくわかる継続雇用制度導入の実務と手引き』の著書がある、特定社会保険労務士の川端重夫氏)
現在の日本では、60歳を過ぎて新たな再就職先を探そうにも、高齢がネックになってやりたい仕事はなかなか見つからない。ましてコンビニでレジ打ちをするよりは、それまでお世話になった会社に残ったほうが、働きやすいはず。だから、企業の再雇用制度導入には大賛成と思う人は多いかもしれない。
しかし、冒頭の告白にもあるように、再雇用制度は多くの〝不幸〟を孕んでいる。
まず第一に、給与が大幅に下がることを覚悟しなければならない。
一般に、企業は再雇用者の賃金を定年前の給与の3分の1程度に抑えている。平均的な再雇用者の年収は200万円台で、300万円台だったり、賞与が払われるなら恵まれているほうだ。中にはアルバイト同然の時給制になっている企業もある。
(続きは http://gendai.ismedia.jp/articles/-/22319 で)
「週刊現代」/経済の死角2011年10月11日