自治体の障害福祉の窓口はあたたかく理解あれ。
2011/12/24
どうにかこうにか修士論文を提出できました。HF-ASD特性のある青年・成人への支援のあり方がテーマです。果たして、通るか?? 次は、年始早々に口頭試問、そのプレゼンデータ作成を始めています。さて、本題に…。
障害者自立支援法にもとづく障害福祉サービスの受給や更新の手続きなどについて、その解釈や対応が自治体によってまちまちです。
発達障害が障害福祉サービスの対象であると、主幹課長会議で通知されてから数年経っても「対象ではない」と明言したり、生活訓練等の期限付きサービスについて自治体の判断で再支給決定ができる(私も最近ネットで見つけたばかりですが…)ことなどを知らない所や担当者がわんさかおられます。厚労省も今年2月に再通知していますが、少なくとも最近連絡をとった京都府内、大阪府内、滋賀県内、奈良県内の自治体では、福祉サービスの新体系に係る基本条文の内容(それすら知らない所もありましたが…)でしか対応しようとされませんでした。みなさん、「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)しか見ていないようですね。
ASD(自閉症スペクトラム)の特性があるがために、就学や就労、日常生活に困難さをかかえておられる成人の方への支援サービスとして、いきなりの「就労支援」は嫌な体験を重ねることになりかねませんので、とりわけ対人関係のトレーニング(人慣れ、場慣れ、場の空気を読む…)を積みながら自尊感情を高めていただく自立訓練(生活訓練)が現行制度では適切だと思われますが、基本最長3年のサービスであり、その後は就労継続支援B型への移行、そして段階をゆっくりと経て「就労」につながる支援へとサポートして行きたいところですが、この生活訓練から就労継続支援B型への移行も来年3月末までで「移行(猶予)期間」が修了予定です。厚労省は、全国からの期間延長などの要請を考慮し、現在も「検討中」として、来年2月の主幹課長会議で通知するとしています。
こうした障害者自立支援法上の制度の仕組みや動きについて、各自治体の窓口によってその理解や対応がまちまちであることは、利用される方、その予定者、対象者及びそのご家族、さらに福祉サービス事業者にとって、極めて迷惑で不利益な状態であることを認識してもらいたいと思います。
上記の現行の通達内容などを以下ご紹介します。
障害保健福祉関係主管課長会議資料(平成23年2月22日(火))
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20110630-01-04-1.pdf
8 障害福祉サービス事業所等における適正な運営等について
(6)自立訓練と就労移行支援に係る訓練等給付費の支給決定の取扱い
一部市町村において、自立訓練や就労移行支援の利用について、「生涯一 度だけの利用が原則であり、再度の利用はできない」との誤った運用がなされている実態があると聞いているところである。
自立訓練及び就労移行支援の利用については、生涯一度だけの利用を原則 とするものではなく、例えば、障害者が自立訓練の利用を経て地域生活に移行した後、生活環境や障害の状況の変化等により、再度、自立訓練の利用を希望し、その利用が必要と認められる場合においては、再度の支給決定が可能な仕組みとしている。
各都道府県におかれては、管内市町村及び関係機関に対し、自立訓練及び就労移行支援に係る訓練等給付費の支給決定が適切になされるよう周知徹底をお願いする。
厚生労働省HP/障害福祉サービスの内容
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/naiyou.html
17 就労継続支援B型(非雇用型)
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、通常の事業所に雇用されていた障害者であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行います。
【対象者】
就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者。具体的には次のような例が挙げられます。
(1) 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
(2) 就労移行支援事業を利用(暫定支給決定での利用を含む)した結果、B型の利用が適当と判断された者
(3) 上記に該当しない者であって、50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
(4) 上記に該当しない者であって、地域に一般就労の場やA型の事業所による雇用の場が乏しく雇用されること又は就労移行支援事業者が少なく利用することが困難と区市町村が判断した者(平成23年までの経過措置)
それでは、最近の気になる記事です。
生活保護の急増は本当に”不正受給”が原因か? 蔓延する「受給者悪玉論」の死角と真に論ずべき課題
厚生労働省の発表によれば、今年7月時点での全国の生活保護受給者は、205万495人と過去最多になったという。この報道とセットで語られるのが、「不正受給」の問題だ。「不正受給が増えているから、生活保護費が膨れ上がり、国や自治体の財政を圧迫しているのだ」という論調が、世間に広まっている。しかし、生活保護受給者の増加は、本当に「不正受給」や受給者の怠慢ばかりが原因なのだろうか。報道の裏に隠された受給者の実態を探ると、これまで定説のように語られていた「受給者悪玉論」が、一面的なものの見方に過ぎないことがわかってきた。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)
◇「戦後最大」「過去最多」の生活保護 不正受給報道の裏に隠れた興味深い議論
「生活保護受給者、戦後最大の205万495人に」
厚生労働省の発表によれば、今年7月時点での全国の生活保護受給者は、205万495人に達し、過去最多となった。「戦後最大」の4文字に、眉をひそめた人も多いだろう。
追い打ちをかけるように、今月6日には、8月時点での受給者がさらに9376人増え、2ヵ月連続で過去最多を更新したことも発表された。それに関連して、とりわけ問題視されているのが、各自治体が発表する「不正受給」の件数が増えていることだ。
「不正受給が増えているから、生活保護費が膨れ上がり、国や自治体の財政を圧迫しているのだ」という論調が、世間に広まっている。
この論調を裏付けるかのように 12月1日には「生活保護を受けているのに高級車に乗っている人がいる」と通報を受けたことから、ある受給者が生活保護費を搾取していたことが発覚し、逮捕に至った事件が報道された。
これらの報道に関する街の声を聞くと、生活保護受給者へ向けられる視線は、日に日に厳しくなっていることがわかる。
「真面目に働いている人が損をして、生活保護を受給する人が得をするような仕組みはおかしい」(20代男性)
「役所は、受給するべき人なのかどうか、しっかり見極めて欲しい。現状では見極めが不十分なのではないかと感じる」(30代男性)
不況が続き、上がらない給料に頭を抱える納税者らにとって、「働かずに保護を受けている」ように見える生活保護受給者は、疎ましい存在かもしれない。また、「不正受給」がこれだけ報道されれば、「行政の管理がずさんなのではないか」という疑いも生まれる。
しかし、こうした「不正受給」は本当に増えているのだろうか。また、これほどまでに大きく取り沙汰されるべきものなのか。
一連の報道の陰で、「不正受給」に焦点を当てずに、生活保護問題を扱う報道もある。11月24日付けの読売新聞「急増『生活保護』緊急座談会」では、「本当に困っている人たちが受給できるようになった」という発言があり、急増の背後にあるのは、医療、雇用、介護、年金などの社会保障制度のほころびと指摘された。
また、「生活保護「受給者最多」のカラクリ――本当に問題なのは貧困の放置」(オルタナ・オンライン)と題されたネット記事では、全人口に占める生活保護受給者数の割合である「保護率」は、これまで受給者数が過去最多だった1951年の2.4%に比べ、今年7月時点で約1.6%と、むしろ少なくなっていることを指摘している。
◇高級車に乗るような受給者はごくわずか 実は国際的に見ても低い日本の「捕捉率」
「日本の捕捉率は国際的に見て非常に低い」と指摘するのは、『絶対にあきらめない生活保護受給マニュアル』(同文館出版)の著者で、社会福祉士の田村宏氏。捕捉率とは、生活保護を受けるほど生活が困窮している人の中で、実際に生活保護を受けている人の割合のことで、日本は20%程度と言われる。
生活保護受給者の増加で、誰も彼もが生活保護を申請しているかのような印象を受けるが、実際のところ、保護を受けるべき環境で暮らしていても申請しなかったり、申請しても役所の窓口における「水際作戦」で受け付けられなかったりするケースは多いという。
「家族がいる場合、子どもが学校の給食費を免除されたり、区役所の職員が定期的に訪れることなどがあり、近所に生活保護を受けていることが知られやすい。『恥ずかしい』と感じ、申請しない人は多いと考えられる」(田村氏)。
本当の問題は、生活保護受給者の増加ではなく、むしろ「まだ受給しなければならない層がいること」と田村氏は指摘する。
しかし、生活保護受給者の増加により、「財政の圧迫」を叫ぶ声は多い。震災や雇用状況の悪化により、受給者がさらに増えることが予想される今後、財政再建のためには何が必要なのか。
「現在の問題点は、生活保護が、年金や雇用保険、児童扶養手当、障害者年金などの社会保障でカバーし切れていない人のセーフティネットになってしまっていること。本来ならば、他の社会保障制度で助けなければいけない人が、制度の不備によって、生活保護を受けるしかないところまで追い込まれているのが実態だ」(田村氏)
これは、前出の読売新聞の座談会記事と重なる内容だ。
◇働いても収入が同じでは頑張れない! 国会議員も指摘する生活保護の問題点
それでは、不正受給の実態についてはどうだろう。
各自治体の不正受給の件数を報じる記事は、地方新聞で多く読むことができる。11月20日の茨城新聞で報じられた内容によれば、2010年度の生活保護の不正受給は前年比37%増、1億922万円に上ったという。
信じられないような額だが、記事をよく読むと、「極めて悪質なケースは少ないが、年金の遡及(そきゅう)があった場合や、高校生の子どものアルバイト収入などを申告しないままにしているケースが目立つ」という、県福祉指導課のコメントがあることがわかる。
収入を申告しないで生活保護費を受け取る「不正受給」の実態については、「受給者の問題とばかりは言えないところもある」と話すのは、民主党生活保護ワーキングチーム事務局長でもある、初鹿明博・衆議院議員。
「たとえば、生活扶助で10万円もらっている受給者が、月給5万円のアルバイト収入を得た場合、控除はあるがほぼ同額が減らされる。働いても働かなくても、得られるのは10万円ちょっと。頑張って働いてももらえる金額はほぼ同じなわけで、これでは就労する意欲がなくなってしまう。これが生活保護の一番の問題点だ」(初鹿議員)
事務局では現在、受給者が働いた分を少しずつでも貯金できる仕組みができないかを、検討しているという。
冒頭で紹介したような「生活保護をもらっていながら高級車を乗り回す」といった例は、実際はごくわずか。制度の不備が、不正受給の増加を招いている一面もあるのではないか。
◇受給者のお金を管理する第三者の不在 生活保護の扶助に「後見扶助」を加えるべき
また、前出の田村氏は「生活保護の使途」についても指摘する。現在の生活保護制度は、申請がなかなか受け付けられないという現実がある一方で、いったん受給が決まると、その使途を管理されることは少ない。
「20年ほど前までは、アルコールなどで金銭管理に問題のある人は、役所の窓口に毎日来てもらい、1日2000円ずつ渡す……などというようなこともあった。今は申請が多いので、そんなことはやっていられないだろう。受給者のお金を管理する第三者の存在が必要だ」(田村氏)
田村氏の提案は、生活保護として認められる扶助(現在は、生活扶助・住宅扶助・教育扶助など8つ)に「後見扶助」を加えることだという。
「後見扶助をつけ、受給者のお金を管理する成年後見人などを付ける。保佐や補助人も含め、後見人などを付けることで、生活保護が貧困ビジネスなどに渡ってしまうことを防ぐことができるし、後見扶助は後見人などに渡ることになるので、そこに小さな雇用が生まれることになる
生活保護の介護扶助は介護保険を、医療扶助は医療制度を支える。「後見扶助」は、受給者の金銭管理の手助けになると共に、雇用のかたちにつなげることで、所得の再分配につながるというのだ。
◇背景には社会保障制度そのものの不備も 自己責任を問うより受給者の生の声を聞け
厚生労働省の発表によれば、生活保護者受給世帯のうち、最も多かったのは「高齢者世帯」(42%)だが、目立つのは10年前に比べて4倍に増えた「その他の世帯」(17%)だ。「その他の世帯」は、「高齢者世帯」「母子世帯」「傷病・障害者世帯」以外の受給世帯で、働ける年齢層を含む。
この「その他の世帯」の受給については、「怠けているのではないか」「困窮は自己責任ではないか」という批判がある。これについて、田村氏と初鹿議員の双方が口にしたのが、「生活保護受給者の問題を自己責任と考えるのであれば、一度、実際に生活保護受給者に会った方がよい」という意味合いの言葉だった。
「周囲に馴染めなかったり、いじめられたり――。社会がずっと排除してきた人たちが今、雇用の場をなくしている。健康状態が良いからと言って、仕事に就くことができるわけではない」(初鹿氏)
大卒でも就職が厳しいと言われる現況がある。指摘しづらい問題ではあるが、受給者の中には、これまで社会に上手く適応できなかった人も多い。「その気になれば働けるはずだ」と言うのは酷ではないのか。
IT化による単純労働の減少や、核家族化により就労能力のない層を身内がカバーしなくなったことも、社会への適応能力が低い層が生活保護に走る遠因となっている。「自己責任」と決めつけることは簡単だが、高齢化が進む中、就労人口を少しでも減らさないためには、貧困層への教育制度を考え直す必要があるのではないだろうか。
これまで述べてきたことは、生活保護に否定的な読者からすれば、「甘すぎる」のかもしれない。しかし、「生活保護は怠け者が受けるもの」「不正受給が横行している」といった一面的な見方では、生活保護制度の本来の意味での不備や、その背景にある社会保障制度の未整備を見落とす恐れがある。
客観的な視点は忘れてはならないものの、生活保護受給者に理解を寄せることは、生活保護につながる社会問題に改めて向き合うことにつながるはずだ。
「DIAMOND ONLINE」2011年12月9日
●65歳まで再雇用義務化 希望者対象に厚労省方針
年金の支給開始年齢引き上げに合わせて60歳以上の雇用を確保するため、厚生労働省は、65歳まで希望者全員を再雇用するよう企業に義務づける方針を固めた。2013年度から実施する考えだ。一方、不安定な雇用が問題となっている、契約社員、期間従業員などの有期雇用については期間に上限を設け、契約満了の時期を決めない無期雇用への転換を促す。いずれも14日の労働政策審議会に提案し、労使の同意を得て、来年の通常国会での法改正を目指す。
現在の高年齢者雇用安定法(高齢法)には、定年後の再雇用について、労使協定で基準を決めれば対象者を限定できる規定がある。このため、希望しても再雇用されない人がいる。
一方、会社員が入る厚生年金は支給開始年齢が段階的に引き上げられている。男性の支給開始が61歳となる13年度には、多くの企業が定年とする60歳以降も働けるようにしないと、無収入の人が出かねない。
「asahi.com」2011.12.13
●授産製品販売増へ支援 宇治のNPO2年かけ”大作戦”
障害のある人たちが福祉施設で作っている授産製品の販売を支援しようと、宇治市木幡のNPO法人「まちづくりねっと・うじ」が、「売り上げ倍増大作戦」に乗り出した。カタログを作って市内の企業や団体に製品を売り込む計画で、イベントへの出店や、商品の質の向上を図る取り組みも始める。
授産製品は、福祉施設を利用する障害者が日常的に手がけている。しかし、同法人によると、販売の機会が少ないことなどが課題になっているという。
「製品が売れない」との悩みを聞いた同法人のメンバーが支援策を提案。市障害者施設連絡協議会や府、立命館大などと話し合い、府の事業として本年度から2カ年でサポート活動に取り組む。
今後は市内の企業300社を訪問し、営業活動を行う予定。現在は市内10施設の製品を掲載したカタログを制作しており、企業の粗品に使ってもらったり、社の一角に販売コーナーを設けることなどを提案していく。
このほか、商品を顧客のニーズに合わせるため、希望する施設に専門家を派遣してパッケージデザインを提案するほか、新商品の開発なども支援する。ホームページを作成し、インターネットでの販売も検討している。今秋には市内のイベントに出店して製品の販売も行っており、来年以降の催しにも参加する。
同法人理事の安江徹さん(69)は「ひと工夫を加えるだけで商品価値が変わる。企業や市民の協力を得て、少しでも販路が広がれば」と期待している。
「京都新聞」12月22日(木)9時19分配信
●被ばくの不安、京の避難者へ医療支援 震災9ヵ月
福島第1原発事故で京都へ避難した人たちは、被ばくによる健康への懸念と向き合っている。消えない不安に応えるため、甲状腺の検査など医療支援の動きがでてきた。東日本大震災の発生から11日で9カ月を迎える。
福島県郡山市から避難している本田直美さん(22)は8月、京都で出産した。その次男は、肝機能の数値が正常値より高かった。頻繁に体調を崩す気がする。長男(1)は自宅のある福島へ一時帰宅すると胸や腹にじんましんが出た。「放射能の影響かも」。本田さんの心配は尽きない。
京都市伏見区の公務員宿舎へ5月半ばに避難するまで、被ばくを避けようと外出を控えていた。「考えすぎないようにしたいけど、子どものこととなるとそうもいかない。細かく検査したい」
宿舎の避難者を対象に、原爆症認定訴訟の原告団支援で被ばく医療の実績がある京都民主医療機関連合会(右京区)は4日、伏見区内で健康診断をした。27人が医師の問診のほか、被ばくの影響が出やすいとされる甲状腺の機能を調べる項目を追加した血液検査に臨んだ。
「ひとまず安心材料がほしい」。検査を終えた石井明子さん(38)がつぶやいた。郡山市で夫(41)と営んでいた飲食店を閉め、10月に京都へ自主的に避難した。10カ月の長女の被ばくを案じ、決断した。夏の終わり、知人を介してようやく入手した線量計で室内を測ると、長女のベッド付近が最も数値が高かったからだ。
福島県では避難区域外の住民に対し、被ばくに関する検査はなかった。県が始めた全県民対象の健康管理調査の問診票は、京都に来てから届いた。石井さんは「もっと早く健診の機会がほしかった。被ばくの影響を減らすため、できることは全てしたいが、何をしていいのか」と語る。
京都民医連は、子どもの健診も計画している。被ばくの程度によっては長期的に生じる「晩発性障害」の恐れがあり、継続した健康観察が必要だ。血液検査の値は今後の変化を見る基準になる。
「先々、どんな影響が出るのか」「専門家の見解がまちまち。どうすべきか」。宿舎の避難者でつくるグループのアンケートに、放射能への疑問や詳細な被ばく検査を望む声が相次いだ。
京都民医連の岸本啓介事務局長(49)は「何十年も向き合わなければいけない問題」と語る。免疫力を高める食事指導をしたほか、放射能への疑問を解消するため、福井県の原発労働者を診療している内科医を招いた勉強会を催す。
・京都府医療安全相談コーナーTEL075(451)9292
・滋賀県健康推進課TEL077(528)3619
「京都新聞」12月11日(日)18時19分配信
●<大阪府立大>学生開発の人工衛星、H2Aで宇宙へ
大阪府立大(堺市中区)の学生たちが設計から製造、運用までを担う小型人工衛星「OPUSAT(オプサット)」が2013年夏、H2Aロケットに乗って宇宙に飛び立つことが決まった。宇宙航空研究開発機構が14日、明らかにした。宇宙でも蓄電装置が正常に機能するかを調べる。実物大の模型を手に、学生たちは「宇宙を目指すのが夢だったのでうれしい」と意気込んでいた。
◇香川大など他の6大学の衛星も行く。
OPUSATの名前は、大学名と衛星の英訳「SATELLITE(サテライト)」を掛け合わせた。同機構がロケットに相乗りさせる小型衛星を募集しているのを知り、航空宇宙工学や宇宙環境学専攻の学生約20人が今年1月から設計・開発に着手した。
設計によると、OPUSATはアルミ製で、重さは約1キロ、10センチ大の立方体。宇宙に出た後にロケットから離脱し、最長で1年間、地球の周囲を回り続ける。大阪の上空を通過する際、府立大に設けた管制室で衛星からの信号をキャッチし、遠隔操作する。
OPUSATは内部に蓄電装置を搭載し、太陽光をエネルギーに変え蓄電放電を繰り返すことができる。打ち上げの衝撃に耐え、放射線量が高い宇宙空間でも蓄電装置が繰り返し機能するか調べるのが目的。
基本設計は終わり、現在は信号などの機能を試験中の段階。13年3月までに完成させる。リーダーの別所昂(たかし)さん(23)=大学院工学研究科1年=は「国のロケットに載せてもらうので失敗はできない。重圧に負けず、立派に作り上げたい」と話した。府立大は、東大阪市の中小企業が製造した小型人工衛星「まいど1号」の開発に参加している。
「毎日新聞」12月15日(木)
●保安院 海への汚染水 ゼロ扱い
福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。
試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。
さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。
今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。
「東京新聞」2011年12月16日 07時06分
●「トラウマを消す薬」を米軍が研究
兵士たちのPTSD(心的外傷後ストレス障害)問題を抱える米国防総省が、「恐怖の消去」に役立つとされる、D-サイクロセリン(DCS)を使った曝露療法の研究に支援を開始した。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ兵士は少なくとも250,000人にのぼるが、これまでのところ、国防総省が試してきた治療法はどれもうまくいっていない。抗鬱薬や行動療法といった従来型のアプローチは、大失敗に終わっている。
国防総省の助成金によりハーバード大学で大々的に行われたプロプラノロールに関する一連の研究(日本語版記事)をはじめとする、「恐怖を除去する」とされる薬をテストするこれまでの調査も、すべてが期待に反する結果に終わっている。
こうしたなか、米国防総省は12月13日(米国時間)、軍が実施するPTSD研究に関して、長期にわたって中核となる3つの研究機関に対する合計1,100万ドルの補助金を発表した。ニューヨーク長老派教会病院ワイル・コーネル・メディカル・センター、南カリフォルニア大学、およびエモリー大学において、D-サイクロセリン(DCS)の有効性に関する研究を専門家が行うことになる。
DCSは、恐怖記憶の消去を促進するとされている薬だ。たいてい、曝露療法(疑似体験療法)の直前に、このDCSを服用する。
曝露療法とは、心的外傷(トラウマ)による恐怖の連想を無効化するために、安全な環境でトラウマ的体験を再び体験するものだ。心は、過去の出来事を思い出すたびに、その記憶を「上書きする」。曝露療法によって、患者が心的外傷の記憶をより恐ろしくないものに書き直す方向に持っていくことで、悪夢やフラッシュバックなどの症状を著しく改善できることが複数の研究で示唆されている。
曝露療法の際に用いられるDCSは、恐怖反応の統制に関与している脳の経路に働きかけ、書き直しを促進すると考えられている。DCSにより、脳が学習するプロセスが強化されるようだ。DCSはまた、恐怖反応を司る脳の領域である小脳扁桃にあるレセプターと結合する。そのため、患者がトラウマ体験を再体験している「あいだに」恐怖反応をブロックすることで、DCSは恐怖を出どころから、文字どおり「消去」できると専門家は考えている。
DCS自体は1960年代から存在しており、最初は結核の治療に使われた[抗生物質の一種]。しかし現在は、抑鬱症、統合失調症、強迫性障害、そしてPTSDなどの症状を緩和して、錠剤の常用をせずにすませられるという可能性のほうに、研究者は関心を向けている。
エモリー大学の研究チームは、PTSD、高所恐怖症、および強迫性障害の患者に、DCSとバーチャル・リアリティーの利用をすでに試みている。バーバラ・ロスバウムらの同大学の研究チームは2006年以降、患者にDCS、ザナックス[抗不安薬]、また偽薬を用いて、曝露療法の比較実験を行っている。
一方で、DCSに関する人体研究には、望みが持てない結果が出ているものもある。2010年には、国際トラウマティック・ストレス学会(ISTSS)の大会で、DCSを使った期待はずれの試験が数件、発表されている。
TEXT BY Katie Drummond
TRANSLATION BY ガリレオ
WIRED NEWS 原文(English){この翻訳は抄訳です}2011年12月21日
●東京電力、政府に追加支援6000億円要請へ
東京電力が政府に対し、福島第一原子力発電所事故の賠償金支払いのために6000億円規模の追加支援を年内に要請する方向で調整に入った。
東電は11月に約1兆円の支援を受けることが決まっている。だが、新たに約150万人の自主避難者らへの賠償金を支払うことになり、将来的に資金が不足するためだ。
東電は28日にも、政府が賠償支援のために設立した原子力損害賠償支援機構に追加の資金支援を要請する方向だ。政府は26日、警戒区域を来年4月をメドに解除した後、新たに設ける三つの避難区域の詳細を示す方針だ。自宅に戻るまでの期間なども示される見通しで、追加資金の要請額が膨らむ可能性もある。
東電は11月に政府が認定した緊急特別事業計画で、原子力損害賠償法に基づく国の補償金1200億円と支援機構を通じた約8900億円の計約1兆円の資金援助が認められた。当初はこの資金で年度内の賠償支払いは賄えるとみていた。
「読売新聞」2011年12月23日03時02分
●青森山田の野球部員死亡 上級生からたたかれた後
青森市の私立青森山田高校の野球部寮で18日深夜、1年生の男子野球部員(16)の容体が急変して意識不明となり、救急搬送された市内の病院で19日未明に死亡が確認された。学校側への取材で分かった。
同校の説明によると、18日夜、この部員が他の1年生部員3人と寮内で禁止されている焼き肉をしていたところを2年生部員が見つけ、注意したという。その際、部員の背中を2年生部員がこぶしでたたいたところ、直後に容体が急変。連絡を受けた男性コーチが午後11時すぎに119番通報した。部員は市内の病院に運ばれたが間もなく亡くなった。部員は大阪府出身という。
青森県警は現場にいた他の部員やコーチから当時の様子を聴くとともに、亡くなった部員の遺体を司法解剖して死因を調べている。同校の渡辺俊治事務長は「子どもたちの心のケアを第一に考え、原因究明に当たりたい」と話している。
「asahi.com」20111219
●被災学生に奨学金=返済不要、最長6年―東北大
東北大学は21日、東日本大震災で被災した学生を対象とする奨学金制度を新設したと発表した。市民や企業から寄せられた寄付金約4億7000万円のうち半分の2億3000万円を充て、返済は不要とする。
奨学金は被災の程度に応じて3段階に区分。学費を負担していた親などが死亡または行方不明の場合、医学部と歯学部は6年、他の学部は4年間にわたり月10万円を給付する。制度は2016年度までの6年間とし、今年度は自宅の被害が半壊以上の241人に支給する。
「時事通信」12月21日(水)18時26分配信
●<奨学金>新制度創設 低所得学生対象に「出世払い」で返還
中川正春文部科学相は19日、来年度予算案について安住淳財務相らと会談し、年収300万円以下の低所得世帯の学生が、卒業後に一定の収入を得るまで返済期限を猶予する無利子の貸与奨学金制度を新設することで合意した。中川文科相は「出世払いの奨学金」と銘打ち、来年度の新規利用者約10万人のうち約3万人が対象になると見込む。
現行の独立行政法人「日本学生支援機構」の貸与奨学金は無利子と有利子の二本立てで、本人の卒業後の年収が300万円以下の場合などについては返済を最大5年間猶予する制度もある。文科省は概算要求に返済不要な給付型奨学金の創設を盛り込んだが、将来の定収入を条件とした猶予制度を設けることで財務省側と折り合った。また、無利子奨学金の新規貸与者の増加分を1万5000人とし、このうち6500人を東日本大震災の被災者枠とする。
「毎日新聞」12月19日(月)19時59分配信
●自殺の悩み、和尚さん頼って 臨済宗妙心寺派がパンフ作成
臨済宗妙心寺派(大本山・妙心寺、京都市右京区)は、宗派の全寺院で自殺に関する相談を受けようと、パンフレットを作成して全国3400カ寺に置いた。自殺をテーマに研修も始めており、「まずは、和尚さんに相談してください」と呼び掛けている。
パンフレットはA4判で、自殺予防に重きを置いた内容と、身近な人を自殺で失った人の心身をケアする内容の2種類。「身辺整理を始める」など自殺へのサインとなる言動を記しているほか、「あのとき声をかければと自分を責める」といった遺族の心身の状態を記している。公的な相談機関の紹介も添えた。
各5万部を作成。各寺院は来訪者が自由に手に取れる場所にパンフレットを置き、求めに応じて話を聞く。相談を聞く場合に注意する言動も全寺院に文書で伝えた。
妙心寺派は社会問題に関する取り組みを強化するため、2年前から自殺をテーマに研修を進めている。今後は遺族が語り合う場や追悼法要の実施を検討している。栗原正雄教学部長は「寺が自殺問題への意識を高め、身近で相談できる存在を目指したい」としている。
「京都新聞」12月22日(木)8時49分配信
●「戸塚ヨットスクール」で訓練生の30歳男性が重傷で見つかる 「自分で飛び降りた」
スパルタ教育で知られる、愛知・美浜町の海沿いにある「戸塚ヨットスクール」の敷地内で20日、30歳の男性が倒れているのが見つかった。
顔や足の骨を折るなどの重傷を負った男性は、戸塚ヨットスクールの訓練生だった。
男性は、警察に「自分で飛び降りた」と説明している。
戸塚ヨットスクールは戸塚 宏校長が1976年に開校し、全盛期は100人近い訓練生が在籍していた。
しかし、訓練生の死亡などが相次ぎ、行き過ぎた体罰が原因として事件化した。
2009年10月には、戸塚ヨットスクールの3階建ての寮の屋上から、10代の女性の訓練生が飛び降り、自殺した。
当時、戸塚校長は「(管理態勢に問題はなかった?)だからー、止められると思う? 突発的な行動なんだから」と話していた。
コーチなどと布団を干していた女性は、突然、高さ1.5メートルのコンクリートの柵を乗り越え飛び降りた。
両親によると、女性は周囲に「死にたい」とほのめかしていたという。
また、戸塚校長は当時、「昔は何と言ったんだ? 監禁するから、そういうことが起こると言ったんだよ。今度は監禁しなかったから悪いって言うの?」と話していた。
2011年、FNNの取材を受けた戸塚校長は、スクールでの体罰について、「人格ができていないから、体罰してつくってやるんですよ。あくまでも体罰は善である。わがままはまずいんだ、言うことを聞かんのはまずいんだと。そいつを直していったらいいんですよ」と話していた。
スクール側によると、20日、重傷を負って倒れていた男性は、搬送先の病院で「合宿生活に疲れた」と、父親に話しているという。
スクールによると、男性は16年間ひきこもり状態で、家庭内暴力などもあったため、2010年11月に入校したという。
これまでに、男性と別の生徒の間で、食事をめぐるトラブルが何度かあり、いじめがあったかもしれないとしている。
スクール側は、男性に対する体罰はなかったとしたうえで、「男性はいい方に変わってきており、両親もありがたいと話していた中、こういう事態になり残念です」とコメントしている。
「フジテレビ系(FNN)」12月21日(水)17時48分配信