自分探し~アイデンティティの確立が難しい時代。
2012/01/15
先週末は放送大学大学院の修士論文の口頭試問で幕張に行ってました。終了後に飲み会があり「乾杯!」したということは、終わった、ということなのでしょう。さておき…。
スティーブ・ジョブズの伝記を読んでいて(まだ前巻のの途中)、あれ程の偉業を成し遂げていったスティーブ・ジョブズが、愛着やアイデンティティ確立の課題と取り組みながら、「自分が何者で、何をなすべきか?」を問い続けて生きてきたことが読み取れます。早くからエレクトロニクスへの興味関心を強く持ち、技術と美学を追究した商品開発を続ける一方で、自分探しの旅を続けました。まだお読みになられていない人にねたばらしになってはいけないので、この辺で…。
思春期・青年期は、一人の子どもが、大人として生きていく、「社会」で自立していく過渡期で、そこで獲得し、また乗り越えて行く課題の多い発達段階です。
昨日の講演会で、思春期・青年期の心性や課題、発達障害特性のある人の思春期・青年期の課題やサポートのあり方 医学モデルを中心に学び直しをさせていただきました。10年前の対応では、今のさまざまな状態や問題に対応できないことに、親や学校、支援者が気づくことがまず必要だと…。
ASD特性がある場合で二次的な精神症状を生じてしまった場合の、一般的な対応についても、親御さん向けにわかりやすく説明されていて、支援者の端くれとしては、さらに重篤なケース対応にも触れて欲しい、とも思いますが、それは講演会の主旨ではないので仕方ありません。
愛着、思春期・青年期のアイデンティティ獲得の課題を十分に乗り越えられないまま成人になられた、特にASD特性のある方が、今本当に生きづらい時代にあると改めて思います。対人相互関係性の困難さなどから、何かをきっかけとして「社会」から離れざるを得なくなった場合(とても多い)、多くの傷付きやトラウマとして抱えますし、ひきこもりなどで対人関係が限局または無い状態が続く中で、自己評価は下がるばかりですし、他者からの「社会」参入の働きかけは否定・非難的にしか受け止められなくなります。
「普通は…」、「みんなは…」、「やればできるのに…」などなど、こうした多くの「一般的」な言葉かけは、本人さんを追い詰めてしまいます(言われなくても、一番よくわかっているからです)。
困っている、悩んでいることを話してもらえる関係づくり、その気持ちを受容的にしっかり聴く、解決できることから解決していく、努力していることを認め褒める…。時間をかけて、自己評価を上げてもらえる関わりを、家族以外の第三者(一人でも複数でもOK)とあきらめずに続けること、ご家族も関わり方や特性理解、メンタルケアのサポート(必要な場合)を受けることが不可欠でしょう。
今の日本社会は、複数のハンディを持つ方が生きていくことは、半端なく困難な時代です。サポートを受けられる対象とつながることを遠慮しないで欲しいと思います。社会保障はそのためにあるのですから…。
それでは、最近の気になる記事です。
自殺者14年連続3万人超=昨年は3万513人―被災3県は減少・警察庁
昨年1年間の自殺者数(速報値)は、前年比3.7%減の3万513人と、14年連続で3万人を超えたことが10日、警察庁のまとめで分かった。東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県ではいずれも減少した。
同庁によると、男女別では男性が2万867人、女性が9646人。月別では、5月が3367人と最多で、次いで6月が3029人。それ以外の月は2000人台だった。
都道府県別では、東京と滋賀を除く、東北、関東・甲信越、関西、中国各地方の全府県で減少したが、愛知、愛媛、福岡、宮崎、沖縄など12都県で増加した。
減少幅が大きかったのは大阪(171人減の1899人)や北海道(95人減の1438人)など。増加した中では、愛知(59人増の1630人)、福岡(51人増の1310人)、愛媛(28人増の369人)が目立った。
「時事通信」1月10日
●東電、1200億供託へ…福島第一の無保険回避
東京電力福島第一原子力発電所の保険契約問題で、東電は保険金額と同額となる1200億円を法務局に供託する方針を固めた。
東電は海外保険大手と新たな損害保険契約を結ぶ方向で交渉していたが、条件面などで交渉が難航し、現在の保険が満期となる15日までに契約できるメドが立たなくなったためだ。
原子力損害賠償法(原賠法)は無保険状態での原発の運転や廃炉作業を禁じている。福島第一原発については、損保各社で作った「日本原子力保険プール」が保険を引き受けていたが損保各社が契約更新を拒否したため、東電は新たな保険の引受先を探していた。
「読売新聞」 1月10日
●君が代起立斉唱、大阪府教育長が職務命令へ 今春卒業式
大阪府教育委員会は、君が代の起立斉唱を義務づける府条例を踏まえ、府立学校の教職員約1万人を対象に教育長名で起立斉唱を求める職務命令を今月内に出す方針を決めた。職務命令は毎年数人程度に出していたが、今回は式典会場に入るすべての教職員を対象とする。近年の府立学校の卒業式では毎回60~80人程度が起立しないため、命令違反に基づく処分者が急増する可能性もある。
府の君が代条例は、橋下徹前府知事が率いる大阪維新の会が府議会に提出し、昨年6月に成立。小中高校などの学校行事で演奏される君が代について「教職員は起立により斉唱を行うものとする」と定めている。
君が代斉唱をめぐる職務命令はこれまで、各校長が事前に不起立を表明していた教職員のみを対象に出していた。しかし、府教委は条例成立後で初の卒業式シーズンを前に、条例順守を求める姿勢を示すため、教育長が一律的に命令を出すことにした。職務命令に反して起立を拒めば、地方公務員法に基づき懲戒や訓告などの処分対象となる。
「asahi.com」2012年1月13日
●福島の子ども 傷つく心 転園・転校余儀なく ケア態勢急務
「家族や周囲の大人に見守られているという安心感を与えたい」。仮設住宅を回り、避難者の子どもに声を掛ける高田さん=7日、福島県三春町
福島第1原発事故で避難を余儀なくされた福島県の児童、生徒の心的ストレスが深刻化している。生活環境の変化が重圧になり、不登校になる子どもも少なくない。専門家は「行政、教育、福祉機関が連携して心のケアを図る態勢を築くべきだ」と指摘している。
ある小学校の男子児童は原発事故後、不登校になった。双葉郡内に住み地元の学校に通っていたが、原発事故で避難し、住まいを転々とした。最終的に県中地方の仮設住宅に家族と移り、現地の学校に転入した。
転入先の学校になじめず、仮設住宅にこもりがちになった。学校に「外に出るのが怖い」「母と離れたくない」と心境を明かしたという。
郡山市のスクールソーシャルワーカーの高田宣実さん(69)が派遣され、児童と話し合いを重ねた。原発事故で職を失って家にいる母親と一緒にいたい気持ちが影響していることが分かり、就労機会をあっせんする公的制度を紹介した。母親は仕事を見つけて働き始め、それに合わせるように児童も学校へ通うようになった。
原発事故で地元を離れ、他地域に転園、転校した県内の幼稚園児と小中学生、高校生は昨年9月現在、計1万8368人に上る。うち1万1918人は県外に行き先を求めた。全校生徒300人の3分の2が、避難に伴って県内外の学校に転出した中学校もあるという。
転居、転校による生活環境の変化が子どもに重圧となってのしかかり、心的負担を増大させる。
福島大人間発達文化学類の鈴木庸裕教授(学校福祉学)によると、小学校低学年の児童の中には原発事故後のストレスで親に甘える「幼児返り」がみられる子どもがいる。高学年も放射能対策で外遊びが制限されるなどしてストレスをため込む傾向がある。
スクールソーシャルワーカーは学校と連携して子どもの心のケアに取り組む。原発事故後、福島県はワーカーを8人から18人に増やした。行政や福祉機関の協力も得て、生活環境の変化に翻弄(ほんろう)される子どもを支援している。
鈴木教授は「子どもを見守ってきた地域の人間関係や家庭が原発事故で分断された。大人が連携していかなければ、子どもの問題に対応しきれない」と話している。
「河北新報社」2012年01月10日
●職安法違反:原発に不正派遣 工藤会系組長の妻らを逮捕
福岡、福井両県警は12日、福井県おおい町の関西電力大飯原発改修工事に労働者を「偽装請負」で不正派遣したとして、福井県敦賀市、太平電業福井地区営業所長(当時大飯事業所長)、一瀬秀夫(58)▽京都府舞鶴市、高田機工社長、富田好(59)▽北九州市若松区、ドリーム(当時総進工業)役員、池上加奈枝(36)の3容疑者を職業安定法違反容疑で逮捕した。
両県警は、労働者の派遣元となった総進工業の役員だった池上容疑者が指定暴力団工藤会(北九州市)系組長の妻と確認しており、原発への労働者派遣が工藤会の資金源になったとみている。原発関連工事への労働者派遣を巡って暴力団の関与を視野に入れ強制捜査するのは極めて異例。全国の原発労働のあり方に影響を与える可能性もある。
逮捕容疑は10年3月上旬~9月下旬、請負契約を装って総進工業社員の男性を大飯原発の改修工事に従事する労働者として派遣し、男性を太平電業の指揮下において改修工事に従事させたとしている。3人とも容疑を認めているという。
福岡県警などによると、総進工業と高田機工、高田機工と太平電業の2段階で請負契約を装っていた。請負契約を結んだ業者は、発注者の太平電業から独立して業務を行わなければならないが、派遣された男性は太平電業社員の指揮下で配管の取り換え工事などに従事しており、両県警は実態は現場に送り込まれただけの派遣労働とみている。同様に不正派遣された労働者が複数いるとみられ、「偽装請負」が常態化していた可能性があるという。
原発労働を巡っては、複数の派遣会社の介在による給料の中間搾取が問題視されており、労働者の派遣元として暴力団の関与も指摘されている。福島第1原発の事故処理についても、発注者である東京電力は警察庁から暴力団との関係遮断を指導されており、昨年7月には元請け業者22社と暴力団排除協議会を設置している。太平電業は1947年設立で資本金約40億円の東証1部上場企業。全国各地で原発の建設や補修を行い、福島第1原発の事故処理にも当たっている。11年3月期決算の売り上げは約618億円。
「毎日新聞」2012年1月13日
●訪問リハビリの単独開業を容認=被災地の医師不足を考慮―厚労省
厚生労働省は14日、心身が衰えた高齢者向けの介護保険サービスの「訪問リハビリテーション」について、東日本大震災の被災地に限り、事業所の開業基準を緩和することを決めた。現行は病院や診療所への併設でなければ開業できないが、被災地では医師不足で診療所の閉鎖が相次いでいることから、特例で単独開業を認める。これにより、被災地の高齢者がリハビリを受けられずに要介護度が重くなるのを防ぐ。
訪問リハビリの単独開業の対象は、昨年12月に成立した復興特別区域(特区)法が適用される11道県の計222市町村。単独開業は省令改正により、申請のあった地域ごとに今月以降順次認める。
「時事通信」1月15日(日)
●30年後でも…加藤登紀子「原発が止まるのを見届けたい」
東京電力福島第1原発事故をきっかけに「原発のない未来」を話し合う「脱原発世界会議」が14日、横浜市のパシフィコ横浜で開催された。以前から脱原発を呼び掛けてきた歌手の加藤登紀子(68)やロックバンド「LUNA SEA」のギタリストSUGIZO(42)がライブを実施。加藤は「私が生きているうちに原発の運転停止を見届けたい」と切実に訴えた。
ライブ会場となった会議室には200人以上が詰めかけ熱気に包まれた。加藤は72年に第1子となる長女を出産した直後に作った「この世に生まれてきたら」と「おまえの人生」をギターで弾き語り。命の尊さなどを歌った楽曲で、くしくも前年の71年には福島第1原発が運転を開始。「原発は今(運転を)止めても廃炉までに30年はかかる。できれば私が生きているうちに、原発が止まるのを見届けたい」と切々と語ると、拍手が湧き起こった。
40分間のライブを締めくくった6曲目は、東日本大震災発生直後の昨年3月16日に作った「今どこにいますか」。ステージ上の大型モニターには被災地を訪問した際の写真などが映し出され、会場のあちこちでハンカチで涙をぬぐう姿が見られた。加藤も声を詰まらせ「とても大事なことを教えられたのが3月11日だった。みんなが一生懸命、自分を大切にして生きれば、世界は変わります」と呼び掛けた。
40年以上前から反核、反原発を訴え、昨年11月に設立された「脱原発をめざす女たちの会」にも参加。今回の出演オファーも「昨年もいろんな形で一生懸命やったけど、時代はなかなか思うようには動かない。年が変わってきょうという日は重要な日と思い、何か協力したいと思いました」と快諾した。
昨年は福島県飯舘村での集会に参加し被災者を激励するなど精力的に活動。「沈没していくタイタニック号の上で演奏し続けた音楽家のことをふと考えるんです。どんな事態でも居合わせた人たちに対して何ができるのかということと、自分が生きる中で最大限頑張ろうということ」
脱原発世界会議には約30カ国から原子力の専門家らが参加し、5000人以上が来場。「抱えきれない不安もみんなで共有すれば希望に変わる。原発はタイタニックとは違い、沈没せずに止めることができるんです」と力強く話した。同会議は15日も開催される。
「スポニチ」2012年1月15日
●発達障害将来を悲観…長男殺害初公判被告、犯行前に心中図る
昨年1月、自宅で発達障害のある長男(当時4歳)を殺害し、長女(同6歳)も首を絞めて殺そうとしたとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた清瀬市、無職の女性被告(36)の裁判員裁判の初公判が11日、地裁立川支部(毛利晴光裁判長)であり、被告は、「間違いありません」と起訴事実を認めた。
公判は、被害者である長女への影響を配慮した裁判所の判断で、被告の実名は伏せて進められた。
冒頭陳述で、検察側はまず犯行の約1年前に、長男に軽度知的障害と広汎性発達障害があると知ってから、その将来を悲観して思い悩むようになった経緯を明らかにした。犯行の約3週間前には、長男や長女を道連れに自殺しようと家出し、自殺を思いとどまった後、被告の夫や双方の両親が心配して気にかけるようになったが、「自分が思い悩んでいる状況を相談することはなかった」と述べた。
また、犯行後、被告と被告の夫、双方の両親で話し合い、被告の夫が翌日事故死を装って110番通報することを決め、実行したことも明かした。
一方、弁護側は、「思い悩んだ末の犯行で、深く後悔している」と述べた。さらに、長女や夫が、再び被告と共に生活することを望んでいることを挙げ、「長女の健全な育成を考えれば、家族の元に返すのが最もふさわしい」として、社会生活を続けながら更生できるよう、執行猶予付きの判決を求めた。
「読売新聞」2012年1月12日
●67歳、仮設から大学へ 精神保健福祉士めざし合格
宮城県気仙沼市の仮設住宅で暮らす67歳の太田初子さんが、東京福祉大学(群馬県伊勢崎市)の推薦入試に合格した。震災では津波にのみ込まれながらも一命を取り留めた。「精神保健福祉士になり、震災で傷ついた人たちを支えたい」と勉学に励んでいる。
気仙沼中学校の校庭にある仮設住宅。太田さんは、間取り1Kの部屋で小さなコタツに教科書を並べ、毎日、英語の勉強をしたり新聞を読んだりしている。
気仙沼市出身で、家の経済的な理由から中学を卒業して群馬県の家電メーカーに就職した。転機は20歳で結婚した夫の順啓さんをがんで亡くした2007年。入院中の父の世話で気仙沼に帰った時に気仙沼高校定時制の生徒募集を新聞広告で知り、移り住んだ。
「asahi.com」2012年1月14日