「眠れないんです」相談から統合失調症診断・長期「服薬治療」に?
2012/03/11
東日本大震災から1年。被災された皆様に京都より、心より「がんばろう」とお伝えしたいと思います。
もう高齢の女性。おそらく30代に、様々な不安事から睡眠障害の状態になられ、何とか寝られるように、と精神科を受診された。通院を続けるうちに、気がつけば統合失調症と診断され、その後、長期の通院・服薬治療が続いています。
多剤・大量処方で、お会いしてお話ししていて、抗精神病薬の効果も、長期服薬による脳機能へのダメージも、幸いにして少ないように思われました。
むしろ、発話は活発で、内職仕事も「職人技」の域で継続されていて、外出も活発に行われています。通院も電車を使って、片道30分以上はかかるクリニックにかかさずされていたのですから…。
印象的には、ADHD傾向の強い自閉症スペクトラムの特性のある方です。何せ、過去の記憶がすごい。結婚されて以降の出来事など、年月日を正確にしながら、延々と話し続けられます。考え方はポジティブで、元気にご主人の介護もされています。
知人のケアマネが(介護の対象ではないのでボランティア的に)相談に乗っていて、まず勧めたのが転院。30分もかけて行くクリニックに行くことが困難になってきていることもありますが、歩いて行ける所でセカンド診断を受ける、処方を変える意味の方が大きいでしょう。
統合失調症。あるサイトで「周囲からみてわかる症状」として、話の筋が乱れたり支離滅裂、表情の硬さ、冷たさ、ひとりごとやそら笑い、周囲にそぐわない感情の反応、周囲への無関心、ときにみられる緊張病性興奮、奇妙な症状(たとえばなんでも拒否する拒否症状)、緘黙症、拒食症、拒薬症、おうむ返し、常同症、わざとらしくて奇妙な衒奇症、とらされた姿態をとり続けるカタレプシー、造語症、命令自動症やる気のない(無為)状態…、とありました。この高齢女性には、1つも当てはまりません。
また、これらが一切見られず、気分や体調の不全な波があるものの、好きなアーチストの曲をギターで弾きたいと勉強し、毎日1時間昼間に散歩しているある30代男性は、10年以上この「診断」で「服薬治療」を受けています。長期のひきこもり状態や妄想様症状が見られたといういことですが、ASD特性からも解釈できる範囲かと…。さすがに今は抗精神病薬はすべて無くなり、気分安定薬と眠剤処方のみとなっていることからも、統合失調症診断が続いていることに疑問を感じざるを得ません。
大切なのは、生育歴、その環境、症状の起因子、治療や症状の経過、そして何よりも現在の状態への的確な診断です。漫然と薬物処方を続ける通院や、社会的入院として問題とされている長期入院(病院の「固定資産」と関係者は表現しているとか…)です。
精神疾患として治療され続け、高齢になれば介護保険が優先される仕組みとなっていますので、社会的入院も、精神科入院から高齢介護病棟などへの入院となり、その間に人間関係も薄れ、何十年という人生を精神科病棟で過ごし、終の棲家となってしまう方が多数おられることを、国やマスコミは、もっと問題視し、改善への具体的な施策を作って行かなければならないと思います。
それでは、最近の気になる記事です。
福島 避難区域で餓死の疑い
東京電力福島第一原子力発電所の事故で設定された福島県の避難区域内で、自宅などに取り残されて餓死した疑いの強い人が少なくとも5人いることがNHKの取材で分かりました。
警察や遺体の状況を調べた医師は、自力での避難や助けを求めることができず、取り残された可能性があると指摘しています。
◇やせ細った状態で
東日本大震災で、福島県内では津波による「溺死」やがれきに巻き込まれて1605人が亡くなっています。
NHKが、福島県内の自治体や警察などに取材したところ、こうした人たち以外にも、原発周辺の避難区域内の自宅やその周辺で、自力では逃げることができず、食事や水をとれないまま餓死した疑いの強い人が少なくとも5人いることが分かりました。
このうち原発からおよそ5キロの住宅では、去年3月下旬、70代の男性が2階部分で遺体で見つかりました。
関係者によりますと、住宅は1階が津波の被害を受けていたということです。
また、原発からおよそ6キロ離れた住宅でも、4月に60代の女性が部屋のこたつの中で遺体で見つかりました。
女性は1人暮らしで、住宅に大きな被害はなかったものの、足に持病を抱えていたということです。
5人の遺体は、いずれもやせ細った状態だったということです。
当時、この区域では、政府が出した避難指示を受けて、大勢の住民の避難誘導が行われていましたが、警察や遺体の状況を調べた医師は、5人は自力で避難できなかったり助けを求めることができなかったりして取り残された可能性があると指摘しています。
また、津波の現場で見つかった遺体を調べた複数の医師は、NHKの取材に対し、目立った不審な点がなければ、詳しい死因を調べる解剖などを行わず、「溺死」としたと説明しています。
そのうえで医師らは、「溺死」とされた人の中にも、津波のあと、しばらくは生存し、その後、衰弱するなどして別の死因で亡くなった人も含まれている可能性があると指摘しています。
◇医師”餓死の疑い強い”
福島県相馬市の標葉隆三郎医師は、震災発生後、避難区域で見つかった遺体について餓死の疑いが強いと判断しました。
標葉医師は、遺体はひどくやせ細り、ほとんど食べ物を食べず、水も飲んでいないことがうかがえ、震災後、しばらく生存したうえで衰弱していったとみています。
今回の事態について、標葉医師は「避難区域で取り残されて、亡くなっていったと考えられる。こうした方々の死を決して忘れてはいけない。連絡手段がないなかで避難していない人を、行政がどのようにケアしていくのかについて、今後、対策を考える必要がある」と話しています。
震災発生後に、福島県内の津波被害の現場で見つかった遺体の死因を調べた日本法医学会に所属する千葉大学大学院の岩瀬博太郎教授は、「正確に死因が究明できているかというと、当然、問題は残っている。災害時、遺体を調べる際にどのような検査をするのかや、どのような状態だったら解剖まですべきなのかということを含めて、法医学会として今後、死因の究明の在り方を検討していきたい」と話しています。
◇消防団員”救える命があった”
震災直後に避難区域で救助活動に当たっていた複数の消防団員は、避難指示が出て救助活動が中断されるまでの間に助けを求める声を聞いたと証言しています。
このうち津波で125人が死亡した福島県浪江町の請戸地区で救助活動に当たっていた浪江町消防団員の高野仁久さんは、震災当日の夜、がれきの中から助けを求める声や、物をたたいて居場所を知らせようとする音を聞いていたということです。
高野さんは、応援を求めにいったん役場の詰め所に戻りますが、機材も人員も足りず、大津波警報が引き続き出されていたため、町の判断で救助活動は翌朝に持ち越されたということです。
しかし、翌日の朝、原発から10キロ圏内に避難指示が出されたため、救助活動に向かうことができず、住民の避難誘導を優先せざるをえなかったということです。
これについて高野さんは、「あのとき、『あす助けにくるから待ってろよ』と声をかけてきたのに、結局、救助に行けなかったことを今でも後悔している。原発事故がなければ何人もの命を救うことができたのではないかと無念に思う」と話しています。
◇遺族”せめて死をむだにしないで”
自宅やその周辺に取り残されて食事や水を取れないまま餓死した疑いが強い5人のうち、原発からおよそ6キロ離れた自宅のこたつの中で遺体で見つかった女性の親族の男性は、「おそらく周りで何が起きているのかも分からないまま、1人で何日間も耐え忍んでいたかと思うと、どんなに心細かったか、ことばになりません。今でも、なぜ家族が死ななくてはならなかったのか考えると、月日がたつにつれて原発事故さえなかったらという思いを強くしています。残された遺族としては、せめて家族の死をむだにしないでほしいと願っています」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120305/k10013494741000.html
「NHK NEWSweb」3月5日
●福島第一原発事故で拡散、プルトニウム初検出
東京電力福島第一原子力発電所事故で拡散したとみられるプルトニウム241を、放射線医学総合研究所などが福島県内で初めて検出した。
文部科学省による昨年9月の調査結果では、同位体のプルトニウム238、239、240を検出していたが、241は調査対象外だった。英国の科学電子雑誌に8日、発表した。
研究チームは浪江町、飯舘村のほか、広野と楢葉の両町にまたがるJヴィレッジの3か所から採取した土壌や落ち葉から、241(1キロ・グラムあたり4・52~34・8ベクレル)を検出した。241は国内ではほとんど検出されないため、原発事故で拡散したと結論づけた。
最大濃度の落ち葉が採取された場所の今後50年間の被曝(ひばく)線量は0・44ミリ・シーベルトと試算され、健康影響はほとんどないと研究チームはみている。ただ、241が崩壊して生じる放射性物質のアメリシウムは植物へ移行しやすいという研究もあり、「継続調査が必要だ」としている。文科省は241を調査から外した理由について、「検査に時間がかかるため、同じベータ核種のストロンチウムを優先した」と説明している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120308-00001249-yom-sci
「読売新聞」3月9日(金)
●5.5兆円賠償求め東電歴代経営陣を提訴 株主42人
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、同社の個人株主42人が5日、勝俣恒久会長や西沢俊夫社長ら現旧の取締役27人を相手取り、総額約5兆5千億円の支払いを求める株主代表訴訟を東京地裁に起こした。「津波対策を怠り、会社に巨額の賠償責任を負わせた」などと主張している。東電によると、福島原発事故をめぐる株主代表訴訟は初めてという。
訴えたのは、長年にわたり株主総会で東電に「脱原発」を訴えてきた株主ら。多くは東京都内在住だが、3人は福島県内に住んでいる。損害額は、昨年10月に政府の「東電に関する経営・財務調査委員会」が試算した東電の賠償総額(4兆5402億円)に廃炉費用(9643億円)を加えて算出した。株主側は、勝訴した場合、会社が回収した金を被害者への賠償にあてるよう求めている。
訴状によると、文部科学省の地震調査研究推進本部は2002年、三陸沖から房総沖でマグニチュード8クラスの大地震が起きる可能性を指摘した。このため、株主側は02年以降の会長や社長、原発担当の取締役らを被告とした。
http://www.asahi.com/national/update/0305/TKY201203050542.html
「asahi.com」3月5日
●行き場を失った被災地のガレキ。保管所では自然発火で火災も発生
石巻市の仮置き場に積み上げられた震災ガレキの山。受け入れ先も広がらないまま、連日ダンプカー400台分がここに運ばれてくる
3・11から1年を迎えるにも関わらず、宮城県、福島県、岩手県などの被災地で発生した震災ガレキと除染ゴミの処理は進んでいない。環境省・廃棄物対策課の播磨哲平氏は、こう説明する。
「津波によって発生した災害廃棄物の量は岩手県で通常の約11年分、宮城県で通常の19年分。既存の施設に加え、仮設焼却炉を設置して日夜、処理に取り組んでいますが、現時点では一部しか処理できていません。そこで災害廃棄物の広域処理(県外処理)が不可欠になっているのですが、これが一向に進まないのです」
宮城県のガレキ総量の約4割、岩手県分の1.3倍もの膨大なガレキを抱える石巻市の場合、市内に23ヶ所ある一次仮置き場のうち、「満量により閉鎖済み」が2ヶ所、「閉鎖予定」が2ヶ所、仮置き場の許容量100パーセント超えがすでに5ヶ所(2月8日時点)となっている。だが、仮置き場を新設する土地はもう無い。石巻市川口町一次仮置き場を管理する現場監督がこう話す。
「連日、2トン、4トン、10トンダンプカー約400台分のガレキが運ばれてくる。場内に積み上がったガレキの高さは20メートルに達しています。保管スペースはあとわずか。近々ここも閉鎖になるでしょう」
5月には日に1500トンを燃やす仮設焼却プラントが動き出す予定なのだが、前出の石巻市職員は不安をこう口にする。
「焼却プラントが稼働するまで2ヶ月。それまでもつかどうか……。実は被災家屋など、まだ解体できていない建物が約5000棟も残っていまして現時点で地権者から解体申請があったのは約1万棟で、このうち解体済みは約5000棟。つまり今、一次仮置き場に山積みになっているガレキと同じ量のガレキが、これから搬入されてくるということ。このままでは仮置き場がパンクしてしまう」
行き場の無いガレキは、保管スペース以外にも新たな懸念を生んでいる。それが”火災”だ。
「ガレキは分別しないまま高く積み上げると、内部が高温になったり木材などは腐敗してガスが発生したりして、自然発火による火災の危険性が高まる。昨年、市内の仮置き場で起きた火災は4件。うち1件は鎮火まで2週間かかる大規模なものだった。現在、内部の熱を逃す管をガレキの山に差し込むなどの対策は講じているが、ガレキ内部がかなり高温に達している仮置き場も少なくない。発火点に達すれば、この巨大なガレキの山は火の海になりかねない」(前出・現場監督)
いまだ多くの自治体で受け入れ拒否されている震災ガレキ。この問題が解決されない限り、真の復興とはいえない。
http://wpb.shueisha.co.jp/2012/03/05/10116/
「週プレニュース」2012年03月05日
●SPEEDI予測「公表できない」 文科省文書に記載
東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成されていたことが2日、同省関係者への取材で分かった。
文科省は「事務方が作ったメモだが不正確。公表の具体的な判断はしなかった」と内容を一部否定している。
事故直後のSPEEDIの試算公表をめぐる文科省の議事録などは公表されていなかった。
http://www.chibanippo.co.jp/c/newspack/20120303/71388
「ちばとぴ」2012年03月03日
●自殺者数は14年連続の3万人超え
2011年の自殺者数は3万651人で、14年連続で3万人を超えたことが9日、内閣府と警察庁のまとめで明らかになった。前年からは1039人(3.3%)減少し、14年ぶりに3万1000人を下回った。
男女別に見ると、男性が2万955人(68.4%)で、前年から1328人の減。一方、女性は9696人(31.6%)で、289人増加した。
自殺の原因・動機(複数計上)では、「健康問題」が1万4621人で最も多く、以下は「経済・生活問題」6406人、「家庭問題」4547人などの順だった。
このうち、「健康問題」の内訳は、「うつ病」の6513人が最多で、「身体の病気」4659人、「統合失調症」1313人、「その他の精神疾患」1207人などと続いた。また、「家庭問題」では、「介護・看病疲れ」による自殺者が326人いた。
月別にみると、例年は3月にピークを迎えるが、11年は5月が最も多く、前年同月に比べて21.3%増えていた。この点について内閣府の担当者は、「東日本大震災の影響や、経済環境の悪化が背景として考えられる。今後分析を進めたい」としている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120309-00000001-cbn-soci
「医療介護CBニュース」3月9日(金)
●昨年の人権侵犯、いじめ最多に 京都地方法務局まとめ
京都地方法務局が昨年1年間に、被害者からの申告に基づき調査した人権侵犯のうち、小中学校や高校など学校でのいじめが127件(前年比17・6%増)で、比較可能な統計が残る平成17年以降で最多となったことが2日、分かった。
法務局によると、23年に人権救済手続きで調査を始めた人権侵犯は661件で前年比1・3%の微増。このうちいじめについて、法務局職員や各自治体の人権擁護委員が学校側に連絡するなどの措置をとり、ほぼすべての事案が改善されたという。
法務局は「相談窓口が周知し、潜在的にあったいじめが表面化するようになった。必ずしも増えたわけではない」としながらも、今後も学校で児童・生徒に申告用紙を配布し、”SOS”をくみ取る。
いじめに関する相談は「子どもの人権110番」(フリーダイアル0120・007・110)へ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120303-00000042-san-l26
「産経新聞」3月3日(土)
●今国会提出の障害者自立支援法改正案 元原告ら抗議 京都
◇「約束が違う」
今国会に提出される障害者自立支援法改正案について、同法の違憲訴訟を起こした元原告らが5日、京都市内で記者会見し、「改正案は元原告との基本合意に違反する」と抗議の声を上げた。
同法が「障害者の生存権を無視しており、憲法に違反する」として、平成20~21年に障害者らが全国14地裁で一斉に集団提訴。22年、国と原告団の間で、同法の廃止を盛り込んだ基本合意がなされ、和解している。
会見には、京都原告団の元原告4人と原告の母親らが出席。今国会に同法の改正案が提出されることを受け、「約束が違う」と訴えた。元原告の井上吉郎さん(66)=亀岡市=は「国は廃止を約束したのに、延命法として改正案が上程されようとしている。憤りを感じる」と語気を強めた。
元原告らの代理人弁護士は「改正案の内容に明らかな合意違反があった場合、再提訴も視野に入れて考える」としている。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120306/kyt12030602060001-n1.htm
「産経新聞」3月6日(火)
●[成年後見制悪用]チェック体制を見直せ
この国で何を信じ、何に頼ればいいのだろうか。暗い気持ちにさせる違法行為が明らかになった。
知的障がいや認知症などで判断能力が不十分な成人の財産などを管理する「成年後見人」の立場を悪用し、現金1千万円を横領したとして、県司法書士会元会長(71)が業務上横領の疑いで那覇署に逮捕された。元会長は「未公開株に投資した」と容疑を認めているという。
県警は、元会長が後見人を務めた別の3人の財産も流用し、合計額が計1億3千万円に上ることを把握しているという。何をか言わんやだ。
法律の専門家が、その知識を悪用して判断力が十分でない人の現金を横領するなど信じられない違法行為で、実に嘆かわしい。
県司法書士会の崎間敏会長は「はなはだ遺憾で許し難い。再発防止策にしっかり取り組む」と述べているが、会の信頼回復のためにも、あらためて倫理の周知徹底など早急に対応してもらいたい。
一方、成年後見制度のチェック体制についても見直しが必要だろう。
2000年に始まった同制度をめぐっては、全国的に後見人による財産などの流用事件が後を絶たないからだ。最高裁の調査では10年6月から10カ月間で成年後見人らによる着服が184件、被害額は18億円以上になっている。
同種事件の未然防止に向け、後見人を選任する家庭裁判所の体制強化や新たな法律の制定も含め、抜本的な制度改革の論議を始める時期に来ている。
成年後見制度は、認知症や障がいなどで判断力が不十分になった人を支援する。本人や親族、市町村長などの申し立てを受け、家庭裁判所から選任された後見人(保佐、補助)が財産管理のほか、契約などで被後見人が損害を受けないよう支援している。
家庭裁判所は、後見人が提出した本人の財産目録や事務報告を厳正にチェックするなどしているが、流用事件が相次ぐ現状では十分機能しているとはいえない。
そもそも後見人に頼らざるを得ない人は、契約や財産管理などで不利益を受けたとしても、警察や裁判所などへ訴える判断力が十分でないケースがほとんどだ。
制度制定から10年が経過し後見人の選任の在り方やチェック機能なども含め、さまざまな検証が必要だろう。社会的に弱い立場にある人々を支援するには制度の充実が不可欠である。
成年後見制度は、高齢化の進行とともにニーズや重要性が高まっている。一方で、身内が高齢者などの理由で後見人が見つからなかったり、低所得者は第三者に頼む場合、報酬の問題などで使いにくいなど課題も多い
使い勝手のいい制度にするには財産管理や契約に限らず、介護、福祉などの観点からアプローチすることも必要だろう。
法人が後見人となってさまざまなケースに対応する「法人後見」や報酬の補助制度の在り方など、幅広い議論が求められる。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-03-02_30515/
「沖縄タイムス」2012年3月2日
●無実の罪で27年服役、米フロリダ州が補償金1億円支払いへ
米フロリダ州議会は1日、冤罪(えんざい)で27年間服役した男性に対し、計135万ドル(約1億1000万円)の補償金を支払うことを決定した。
ウィリアム・ディロンさん(52)は1981年、同州ブレバード郡で発生した殺人事件の容疑者として逮捕され、刑務所に収監された。
その後、冤罪が疑われる受刑者を支援する団体「イノセント・プロジェクト・オブ・フロリダ」が尽力し、DNA鑑定が決め手となってディロンさんの無実が証明された。ディロンさんは2008年に釈放された。
ディロンさんは記者団に対し、「非常に嬉しく思う」とコメント。「私を信じて助けてくれる人がいた」と感謝の言葉を述べた。
州議会がディロンさんに支払う135万ドルは、1年当たり5万ドルの計算で、収監されていた27年分を合わせた額。
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE82103Y20120302
「ロイター」2012年3月2日
●左右の脳が抑制し合う神経回路メカニズムを解明
-最新の研究手法で半世紀の謎がついに明らかに-
右手でボールを触ったのに、左手で触ったと感じては困ります。このような困ったことにならないために左右の脳が抑制し合う「半球間抑制」という神経現象があります。これは、1962年に日本の生理学者らが世界に先駆けて発見したものでした。しかし、秒進分歩といわれる科学の世界でも、それを確認する手法が確立されず、高精度な測定装置もなく、詳細なメカニズムは解明されないままでした。
私たちの体では、右半身の感覚情報は左大脳半球の新皮質に、左半身の感覚情報は右大脳半球の新皮質に伝えられます。左右の大脳新皮質は脳梁とよばれる情報の道でつながり、情報のやり取りをしながら巧みに混乱を防いでいます。もし、両方の大脳が同じように手や足の感覚を受け取ってしまったら、とてもスムーズに動けません。つまり、左右どちらかの大脳が遠慮して「どうぞ」と道を譲るわけです。よくできていますね。
脳科学総合研究センターの若手研究者がこの謎解きに挑戦しました。より自然な神経活動を観察するためラットを生きたままの状態にして独自の実験装置や手法も駆使し多角的に検証しました。その結果、一方の大脳新皮質に情報が届くと、興奮性の情報が脳梁を通ってもう一方の大脳新皮質に伝わり、その表層に存在する抑制性の神経細胞を活性化して抑制性神経伝達物質(GABA)を放出します。GABAは大脳新皮質の5層錐体細胞の樹状突起に作用して神経活動が抑制される-という一連の流れを神経細胞レベルで解き明かしました。
今回の研究成果は、左右の脳の情報のやり取りの仕組み解明に道筋をつけたもので、脳の障害による運動や感覚のまひ、言語障害などのリハビリテーション医学分野へ基礎的な知見を示せると期待できます。また、独自に開発した研究手法は、これまでできなかった複雑な神経細胞の活動の観察を可能にするもので、単一神経細胞レベル、あるいはネットワークレベルでの観察ができるようになります。
しかし、どうして左手の情報が右の大脳半球へ行くのでしょうか?不思議です。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2012/120224/index.html
[発表者]
脳科学総合研究センター 行動神経生理学研究チーム 村山正宜チームリーダー
「理化学研究所プレリリース」2012年2月24日
●東大、脳の発達障害の原因タンパク質がシナプスを動かしていることを確認
東京大学(東大)大学院医学系研究科神経細胞生物学分野の岡部繁男 教授らの研究チームは、細胞骨格の一種で微小管をレールとしてその上を動く分子モーター「ダイニン」と結合し、その機能を制御することが知られている遺伝子「Lis1」が、脳の中で神経細胞の間のシナプスと呼ばれる”つなぎめ”にも存在し、Lis1によって制御されたモーター分子によりシナプスが微小管に沿って移動し、最終的に正しい場所にシナプスが配置されるということを明らかにした。同成果の詳細は「Nature Communications」(オンライン版)に2012年3月6日に掲載された。
脳の発達障害の原因となる遺伝子には様々なものがある。Lis1遺伝子の異常により引き起こされる滑脳症は、脳の発達早期に幼弱な神経細胞が正しい場所に移動できず、結果的に脳の表面のしわがなくなってしまい、知的発達障害や、脳興奮が抑制できないためのてんかん性発作などの症状が起こることが知られている。これまでLis1遺伝子の機能として、神経細胞の移動をコントロールすることは知られていたが、より発達した脳でどのような役割を持っているのかについてはわかっていなかった。
また脳の過剰興奮で生じるてんかん性発作などの解明には興奮性の神経細胞と抑制性の神経細胞の間のバランスを制御する仕組みを調べる必要があるが、興奮性神経細胞は数が多く、細胞間のつながりであるシナプスがどのようにできてくるのかについても調べやすいのに対し、抑制性神経細胞については数も少なく、これまでシナプスが出来て細胞がつながっていく過程について研究がほとんど行われてこなかった。
今回の研究では、神経細胞の間のシナプスと呼ばれる”つなぎめ”に着目し、マウス由来の神経細胞の培養系を利用して、抑制性の神経細胞におけるシナプスのふるまいを生きた細胞で長時間観察したところ、興奮性の神経細胞では起こらない、シナプスが細胞の上を動いていく様子が観察できたという。このようなシナプスの動きは方向が一定で、しかも神経細胞から伸び出てくる細い突起の上で起こっていた。シナプスが動くことによって最終的にシナプスは突起の根本にたどり着き、その部分で安定に存在するようになるほか、このようなシナプスが神経伝達の機能を持っていることも細胞の中に流れ込むカルシウムイオンを可視化することで確認したという。
また、このシナプスの動きがどのようなメカニズムによって起こるのかを知るために、神経細胞の中の細胞内に存在するタンパク質が重合して形成される線維状の構造である「細胞骨格」を薬理学的に壊す実験を行ったところ、細胞骨格の一種で分子モーター「キネシン」および「ダイニン」のレールである微小管と呼ばれる細胞骨格が壊れるとシナプスの動きが止まることが判明した。
これまでの研究で微小管の上を突起の根本に向かって物質を運ぶモーター分子としてはダイニンが知られており、研究チームでは脳の発達障害の原因遺伝子であるLis1も、ダイニンに結合する分子であることに着目、Lis1がダイニンを介してシナプスの動きを調節しているという仮説を立てた。実際、Lis1の遺伝子を破壊したマウスの神経細胞では、シナプスの移動がうまく起こらず、本来規則正しく配列されるシナプスの配置が乱れてしまうことを確認しており、これらの結果から、Lis1はダイニンというモーター分子を介して抑制性の神経細胞の上に形成されるシナプスの移動・配置を調節しており、この制御がうまくいかないと脳の中で興奮を抑制する機能が弱くなるとの考えに至ったという。
なお、研究チームでは、今回の結果は脳における神経細胞同士のつながり方についての新しいモデルを提供するものとなるほか、この成果により発達障害などの脳疾患で過剰な興奮がどうして起こるのか、そのメカニズムの解明が進むことが期待されるとしている。
http://news.mynavi.jp/news/2012/03/09/109/index.html
「マイナビニュース」2012/03/09
●「柔道授業」安全徹底を 文科省が教員向け手引き書
4月から中学校の体育で必修化される「武道」の柔道について保護者らから安全面への不安の声が出ていることを受け、文部科学省は9日、全国の教育委員会に対し、授業での安全が徹底されるよう指導者や指導計画の見直しを要請するとともに、教員向けに安全管理の手引書を作成、全国の中学校に配布した。
平野博文文部科学相は閣議後の会見で「安全性が一番大事で、万が一事故が起こったときの医学に対する知識も指導者には持ってもらう。しっかり準備態勢を整えた上で実施してもらいたい」と述べた。
文科省は通知の中で、指導者や指導計画、畳などの施設設備、事故が発生した場合の対応について点検、見直しを行うよう求め、問題があった場合、改善されるまでは、授業の開始を遅らせることも要請した。
安全管理の手引きでは、多くの生徒が初心者であることを踏まえた段階的な指導を求めた上で、「頭を打たない、打たせない」ための受け身の練習の徹底を強調。学習指導要領に例示された投げ技と安全指導のポイントを写真を明示しながら解説した。万一の場合に備え、骨折や脱臼のほか、首や頭部への負傷の対象法についても説明した。
手引書は保護者にも見てもらえるよう文科省のホームページにも掲載する。
柔道の指導方法をめぐっては、部活動などで子供を亡くした保護者らでつくるる「全国柔道事故被害者の会」(小林泰彦会長)が文科省に事故防止の徹底を求める要望書を提出している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120309-00000527-san-soci
「産経新聞」3月9日(金)