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        日本という「貧困」国に生きるということ。
        2012/06/15
         しばらくぶり、数年ぶりにこのサイトの「リンク」を模様替えしました(大幅更新)。
         さて、生活保護制度をめぐって、大騒ぎになっています。というか、「何で騒ぐことになったか?」。あまりに不勉強・非常識な一人の政治家の発言から始まり、いろんな立場の人が本音をむき出しにして、制度の利用をめぐる実態が赤裸々になり、その酷さに呆れてしまっています。
         現行の生活保護法に基づいて「生活保護制度」を運用していれば、こんな騒ぎになるはずがありません。行政やその窓口での勝手な解釈や、旧態依然とした一般的な観念論による対応で申請を水際で阻止したり、制度やその概念を正しく理解する環境を作ってこなかった、あるいはねじまげてきた人や組織・メディアなどによって、生活保護を申請・受給することが「恥ずかしいこと」、「家族・親族がいたらもらえない」などの誤った認識が広まってしまっていて、今回の騒ぎは、それをさらに助長させようという狙いが見え隠れしていることこそを問題とし、制度を正しく、必要な人が利用できるようにしていけるきっかけとなることを願います。
         国の政治や行政の大勢は、生活保護受給者や支給総額をいかに減らすかに躍起になっているようにしか思えませんが、そもそもこんなにも多数の「貧困」が生じたのは何故かを、しっかりと考える必要があります。新自由主義経済や競争原理の導入、バブル崩壊にリーマンショック、人口の都市集中と過疎化、企業倒産とリストラ、就職難、格差社会の拡大…。その影響は子どもたちの育ちに直結し、不登校・ひきこもり、ワーキングプア、結婚率低下や離婚率の増加、少子化、虐待増…、将来への希望を持てない中で、「問題」を起こさない偏差値の高い、スポーツもできる子どもが求められ、何らかの「課題」のあれば疎外され、適切なサポートも受けられないまま育ちを阻害されてきています。
         こんなさまざまな「貧困」を抱えた国に生きていくこと自体を、「なぜ?」と問えないことは、「悔しい」限りです。
         それでは、最近の気になる記事です。

        昨年の学生・生徒自殺1000人突破 「就職失敗」理由急増

         平成23年の自殺者は3万651人と、10年以来初めて3万1千人を下回ったが、一方で就職活動の失敗を苦に10~20代の若者が自殺するケースが目立っていることが8日、政府が公表した24年版「自殺対策白書」で明らかになった。
         白書によると、23年の大学生などの自殺は、前年比101人増の1029人で、調査を開始した昭和53年以来初めて千人を突破した。内閣府は「雇用情勢の悪化」を一因に挙げている。警察庁の統計では、「就職失敗」による10~20代の自殺者数は平成19年の60人から23年は150人にまで増加している。
         大学新卒者の就職率(4月1日現在)は過去最低だった23年の91・0%から24年は93・6%と4年ぶりに上昇したが「改善とまではいえない。実際に80社以上申し込んでも内定が得られないという学生もいる」(大学関係者)。
         全国自死遺族総合支援センターの杉本脩子代表は「何度も落ちることで次第に追い込まれ、『自分には価値がないのではないか』と孤立感を深めていくのでは」と分析する。
         このため心のケアに力を入れる大学も増えている。
         千葉県内の私立大の就職課は、リクルートスーツ姿の学生が目立ち始める1~4月、学生らの「表情」を気にし始めるという。「学生が企業と接触し始めるのがこの時期。厳しい質問に面食らい、ふさぎこむ学生も多いので積極的に声をかけて励ましている」(担当者)。都内の中堅大学では昨年から就職部のスタッフらが4年生全員と面談を実施。「マイナス思考になりがちな学生には、違った見方もあることを伝え、気持ちが前向きになるよう丁寧にアドバイスをしていく」という。
         厚生労働省も全国57カ所の「新卒応援ハローワーク」で、内定のないまま卒業した学生のケアを行っている。同省は「顔を見せなくなれば、電話やメールで就職活動再開を促している。学生に寄り添う型の支援がますます重要になってくる」としている。
        http://sankei.jp.msn.com/life/news/120608/bdy12060823330006-n1.htm
        <内閣府–自殺対策白書>
        http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html
        「産経ニュース」2012.6.8

        ●子どもの貧困率、日本ワースト9位 先進35カ国中で 各国の子どもの貧困率
         日本の子ども(18歳未満)の貧困率は14.9%で、先進35カ国のうち悪い方から9番目の27位――。国連児童基金(ユニセフ)がこんな報告書をまとめた。今年発表の国際比較でも悪化傾向に歯止めがかからず、深刻な状況が改めて示された。
         日本のデータは、2009年の所得を基にしている。これまでユニセフが同様の分析をした報告書によると、日本の子どもの貧困率は00年12.2%、05年と07年がいずれも14.3%。今回は15%に迫り、年を追うごとに上昇している。順位も23カ国中12位(00年)、26カ国中17位(05年)、24カ国中16位(07年)と、低迷が続いている。
         今回、子どもの貧困率が最も高かったのはルーマニア(25.5%)で、米国(23.1%)が続く。金融不安に揺れるギリシャ(16.0%)はワースト6位、イタリア(15.9%)は同7位で、15.4%のリトアニアをはさんで日本が続く。貧困率が低いのはアイスランド(4.7%)、フィンランド(5.3%)など北欧諸国が目立つ。
         日本の子ども(18歳未満)の貧困率は14.9%で、先進35カ国のうち悪い方から9番目の27位――。国連児童基金(ユニセフ)がこんな報告書をまとめた。今年発表の国際比較でも悪化傾向に歯止めがかからず、深刻な状況が改めて示された。
         日本のデータは、2009年の所得を基にしている。これまでユニセフが同様の分析をした報告書によると、日本の子どもの貧困率は00年12.2%、05年と07年がいずれも14.3%。今回は15%に迫り、年を追うごとに上昇している。順位も23カ国中12位(00年)、26カ国中17位(05年)、24カ国中16位(07年)と、低迷が続いている。
         今回、子どもの貧困率が最も高かったのはルーマニア(25.5%)で、米国(23.1%)が続く。金融不安に揺れるギリシャ(16.0%)はワースト6位、イタリア(15.9%)は同7位で、15.4%のリトアニアをはさんで日本が続く。貧困率が低いのはアイスランド(4.7%)、フィンランド(5.3%)など北欧諸国が目立つ。
         報告書は、各国の子育て政策や福祉も比較。日本は子どものための施策に対する公的支出が対国内総生産(GDP)比1.3%で、35カ国中で下から7番目に低かった。
         日本の統計に関して協力した国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんは、今後の見通しについて「(10年に支給が始まった)子ども手当はプラス要素だが、経済状況の悪化や震災の影響もあり、数字にどう出るかは不透明だ」と話している。
         貧困率とは、その国の国民一人ひとりの可処分所得を計算し、その真ん中の所得の半分に届かない人の割合。相対的貧困率とも言う。
        http://www.asahi.com/national/update/0609/TKY201206090128.html
        「朝日新聞デジタル」2012年6月10日

        ●親学議連:「発達障害、予防は可能」…抗議殺到し陳謝
         超党派の国会議員でつくる「親学推進議員連盟」が5月末「発達障害を予防する伝統的子育て」をテーマに勉強会を開いたことが分かった。配布資料には発達障害児の育児環境を「(子どもへの)声かけが少ない」とした表や「発達障害児は笑わない」「予防は可能」などの記述もあった。発達障害は子育ての問題だと受け取られかねない内容に、関係者の抗議が殺到、議連側は最終的に陳謝した。
         ◇勉強会内容をブログで報告
         発達障害を巡っては、大阪市の「大阪維新の会」市議団が5月に市議会への提案を目指した家庭教育支援条例案に「伝統的子育てで発達障害は予防できる」などの文言が盛り込まれ、批判を受け白紙撤回したばかり。政治の理解不足が改めて浮き彫りになった。
         親学推進議連は4月、民主、自民など衆参両院の81議員で発足した。安倍晋三元首相(自民)を会長、鳩山由紀夫元首相(民主)を顧問とし、町村信孝元文部科学相(自民)らいわゆる「文教族」議員が多く名を連ねる。
         勉強会は5月25日、衆院第2議員会館で開かれ、出席者によると、民間団体「さいたま市教育相談センター」の金子保所長と高橋史朗・明星大教授が資料をもとに講演した。
        http://mainichi.jp/select/news/20120612k0000m040096000c.html?inb=tw
        「毎日新聞」2012年06月12日

        ●障害者就職率、福井が全国1位 2年連続で最多更新
         2011年度に県内ハローワークを通じて就職した障害者が603人となり、調査開始以降、過去最多となったことが福井労働局のまとめで分かった。前年度比25・9%増で2年連続で最多を更新した。就職率は66・9%で全国1位だった。(宇野和宏)
         同労働局は「県内ハローワークのスピーディーな職業相談や職業紹介、企業とのマッチング体制に加え、県内企業に社会的責任の考えが浸透していることが要因」と分析している。
         調査結果によると、新規求職申込者数は前年度比23・3%増の901人。就職者数を求職者数で割った就職率は前年度比1・4ポイント増となり、3年連続で上昇した。就職率の全国平均は40・0%、全国2位は富山県の59・8%で本県の就職率は群を抜く水準。昨年は全国2位だった。
         就職者の内訳は、身体障害者が277人で最多。精神障害者208人、知的障害者90人。精神障害者は前年度比69・1%増と大きく伸びた。「06年度の改正障害者雇用促進法の施行で、精神障害者を実雇用率に算入できるようになり、企業側の理解が進んだ」(同労働局)とみられる。
         産業別の就職者は「医療・福祉」が全体の24・2%を占め、「製造業」18・1%、「卸売業・小売業」14・3%。職種別では「生産・労務の職業」が59・2%を占め、「事務的職業」15・3%、「サービスの職業」7・5%と続いた。解雇者は10人(前年度比6人減)と過去10年で最少だった。
        http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/35048.html
        「福井新聞」2012年6月4日

        ●親亡き後の障害者支援 宇部に法律・福祉専門家グループ
         障害者の財産管理などを支援する「うべ 障害者支援士業ネットワーク」が今月下旬で結成1年となる。障害者の家族らに、専門家が相続などについて助言して不安を解消する新しい取り組みで、他県からも相談が寄せられている。同ネットは「多くの人に知ってもらうために活動の幅を広げたい」としている。
         同ネットは、宇部市内の弁護士や司法書士、社会保険労務士、精神保健福祉士、税理士ら専門家9人と障害者の保護者ら計11人が「親が亡くなった障害者を支えるきめ細かい支援態勢が不十分」として、昨年6月29日に結成した。
         同市内の2か所の障害者福祉施設に設置した電話窓口で、相談内容によって専門家を紹介。障害のある子どもの将来を心配する親や親族らの悩みや不安の解消に努めている。
         「(子どもの収入源となる)障害年金の認定基準が厳しい」
         「成年後見制度について知りたい」
         「新潟市内の特別支援学校の保護者らに説明したい」
         今年の相談件数は5日現在で計13件。宇部、下関、山口市などのほか、取り組みを知った新潟市障がい福祉課からの電話もあった。
         家庭裁判所が選ぶ成年後見人が判断能力が不十分な精神、知的障害者らの財産や金銭を管理する成年後見制度などについての問い合わせが多いという。
         電話は平日(年末年始を除く)に受け付けている。相談料は原則無料だが、専門的な調査や手続きは有料となる。
         同ネットは電話相談のほか、毎月第4火曜日に例会を開いて行政への政策提言を協議。障害者の税制優遇措置や成年後見制度などを分かりやすく紹介するガイドブックも作成中だ。
         メンバーの1人で、自閉症の子どもがいる有田信二郎さん(62)は「障害者の親は自分が元気なうちに、準備しておきたいと思っている。子どもの権利が保障される仕組みが確立できれば安心する」と話す。
         自らも障害がある社会保険労務士の藤井悌一代表(77)は「親亡き後の住居の問題など課題は多い。障害者団体との連携も深め、今後は出前講座や相談会なども企画したい」と話している。
         問い合わせはNPO法人ときわ(0836・32・8923)、社会福祉法人光栄会(0836・58・2202)へ。
        http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamaguchi/news/20120605-OYT8T01625.htm?from=tw
        「読売新聞」2012年6月6日

        ●医療機関等登録制度:生活保護受給者の受診限定、撤回を 大阪市に弁護士ら要望書/大阪
         大阪市が、西成区に住む生活保護受給者の受診する医療機関を1カ所に限定する「医療機関等登録制度」について、弁護士や司法書士で作る「生活保護問題対策全国会議」(事務局・同市北区)など27団体は4日、制度の導入撤回を求める要望書を市に提出した。
         制度は、悪質な過剰診療や、処方された薬品の転売を防ぐため、市が8月に導入する予定。医療機関を診療科目ごとに原則1カ所に指定、調剤薬局も限定する。緊急時以外に登録していない医療機関で受診した場合は、自己負担を求める。
         要望書は「西成区に限り不合理な障壁を設けることは、適切な医療を受ける権利の侵害」と批判。同会議事務局長の小久保哲郎弁護士は「病気によって通う病院を分ける場合もある。悪質な医療機関を排除する方に力を注ぐべきだ」と指摘している。
         市福祉局は「事情がある場合は複数の機関での受診を認めるなど、柔軟に対応したい」としている。
        http://mainichi.jp/area/osaka/news/20120605ddlk27010399000c.html
        「毎日新聞」2012年06月05日

        ●「餓死・孤立死が増」指摘 生活保護改悪やめよ 全国会議
         全国で餓死・孤立死が相次ぐ一方、生活保護たたきの報道が過熱する中、生活保護問題対策全国会議(尾藤廣喜代表幹事)は7日、厚生労働省内で記者会見を開き、「貧困の実態に合わせた生活保護の制度設計こそが必要だ」と訴えました。
         作家の雨宮処凛さんは自民党の給付水準10%引き下げの提起にふれ、「貧困のまん延は、自民党が与党時代の政策の結果。その責任を取るべきなのに、たたき落とした人を見捨てようとする動きに憤りを感じる」と強調しました。
         弁護士の尾藤代表幹事は、生活保護たたきの報道とそれに便乗して、小宮山洋子厚生労働相が生活保護基準の引き下げや扶養義務を強化する方向での法「改正」を示唆したことにふれました。「これでは餓死・孤立死を増やすことになる」と指摘。「いまの貧困の実態や、生活保護を必要とする人の実態に合わせた制度設計こそが必要だ」と述べました。
         東京都世田谷区でケースワーカーを長年してきた東京自治労連の田川英信副中央執行委員長は「扶養義務の強化は、生活保護の申請をさせない根拠になる。絶対認めてはいけない」と批判しました。
         花園大学の吉永純教授は、1990年前後のデータで生活保護利用者のうち親族が扶養している割合はわずか2%程度にとどまるとして、「生活困窮者はすでに親族に頼っている。これ以上は無理だから最後に生活保護へたどりつく」と話しました。
         生活保護を利用する39歳の男性は車いすを利用しています。「障害があって低収入でも、生活保護で親から独立して自分らしい生活をしたい」と訴えました。
        http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-06-08/2012060801_04_1.html
        「しんぶん赤旗」2012年6月8日(金)

        ●アトピー慢性化の仕組み解明=たんぱく質沈着が原因―佐賀大など
         アトピー性皮膚炎がダニなどの原因物質を身の回りから取り除いた後もすぐに治らず、慢性化する仕組みを出原賢治佐賀大教授らの研究チームが解明し、米医学誌に11日発表した。
         研究チームは、患者の皮膚を分析。アレルギーの原因物質が体内に侵入すると、免疫細胞が働いてかゆみが生じると同時に、たんぱく質「ペリオスチン」が大量に生成されることを突き止めた。
         ペリオスチンが皮膚組織に沈着すると、免疫細胞がさらに刺激され、かゆみが生まれる悪循環が起きることも分かった。原因物質を取り除いてもペリオスチンの沈着が続き、症状が慢性化するという。
         現在の治療法はステロイドの服用などで免疫を抑制しており、感染症にかかりやすくなる副作用がある。今回の発見で、ペリオスチンを狙い撃ちする副作用の少ない薬の開発が期待できるという。 
        http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012061200028
        「時事通信」6月12日

        ●アトピー性皮膚炎慢性化 原因を解明
         アトピー性皮膚炎の症状を慢性化させる原因物質とメカニズムを解明したと、佐賀大学などの研究グループが発表しました。
         新たな治療薬の開発につながると期待されています。
         これは佐賀大学医学部の出原賢治教授などの研究グループが発表しました。
         アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴ったアレルギー性の皮膚疾患で、アレルギーの基になるダニや花粉などに接触しないようにしても、炎症が慢性的に続くことが知られています。
         研究グループは、アレルギー物質による刺激とは別に、体内で炎症が継続するメカニズムがあると考えて研究を進めていました。
         その結果、アレルギー物質が体内に入ったときに作られる「ペリオスチン」というタンパク質が別のタンパク質と結合した際に炎症を引き起こす物質ができるため、炎症が慢性的に続くことが分かりました。
         マウスを使った実験で2つのタンパク質の結合を阻害する抗体を投与したところ、アトピー性皮膚炎が起きなくなったということです。研究に当たった出原教授は「アトピー性皮膚炎の治療にはステロイド剤や免疫抑制剤が主に使われているが、今回の研究を基に新薬が開発されれば、副作用を心配せずに治療ができる」と話しています。
        http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120612/k10015762871000.html
        「NHK NEWS WEB」6月12日 4時25分

        ●<大飯原発>再稼働停止を求め、住民130人が国を提訴
         福井県おおい町の関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題を巡り、福井県や滋賀県などの住民約130人が12日、国を相手取り、関電に運転停止を命じるよう求める訴訟を大阪地裁に起こした。
         訴状によると、3、4号機の海側の活断層2本、陸側の活断層1本が連動すると、原子炉の核分裂反応を止める制御棒の挿入が遅れる▽原発直下にある「破砕帯」は活断層の可能性がある--などとしている。
        http://mainichi.jp/select/news/20120613k0000m040125000c.html
        「毎日新聞」6月13日

        ●精神障害者の雇用義務化へ 厚労省方針、社会進出促す
         障害者のハローワークでの新規求職申込件数
         厚生労働省は、新たに精神障害者の採用を企業に義務づける方針を固めた。身体障害者に加え、知的障害者の雇用を義務化した1997年以来の対象拡大になる。障害者の社会進出をさらに促す狙いだ。企業に達成が義務づけられている障害者雇用率は、上がることになりそうだ。
         専門家による研究会で、近く報告書をまとめる。今秋から労働政策審議会で議論し、来年にも障害者雇用促進法の改正案を通常国会に提出する。企業だけでなく、国や地方公共団体などにも義務づける。
         障害者雇用促進法は企業などに、全従業員にしめる障害者の割合を国が定める障害者雇用率以上にするよう義務づけている。障害者の範囲は身体、知的に限られていたが、そううつ病や統合失調症などの精神障害者を加える。
         障害者雇用率は、働いたり、働く意思があったりする障害者の全労働者にしめる割合と同程度になるよう計算して定められている。現在、1.8%で、来年4月から2.0%になることがすでに決まっている。対象拡大で、この計算にも新たに精神障害者が加わるため、率は上がりそうだ。
         働いたり、働く意思があったりする精神障害者の人数の正確な統計は今のところない。ただ、統計がある「ハローワークを通じて仕事を探す精神障害者」の推移をみると年々増えており、2011年度は約4万8千人。この数字で単純計算すると、雇用率は少なくとも2.2%になる。
         精神障害者の定義は、精神障害者保健福祉手帳を持つ人とする案が有力だ。手帳は10年度は59万人に交付されている。
         精神障害者の雇用義務づけは、働く障害者の増加にともない、障害者団体からの要望も強まっていた。      
          ◇
        〈障害者雇用率〉 義務づけの対象は従業員56人以上の企業(来年4月からは50人以上)。達成できないと、従業員201人以上の企業の場合は、不足する1人につき月5万円を国に納付しなければならない。昨年6月時点では、対象の約7万5千社のうち、達成企業は45.3%。率は法律で少なくとも5年に1回、見直すことになっている。
        http://www.asahi.com/business/update/0614/TKY201206130859.html
        「朝日新聞デジタル」2012年6月14日