生活保護は恥じゃない。申請を阻止する福祉事務所の違法行為こそが恥。
2012/08/28
またまた久しぶりの更新となってしまいました。
毎日新聞の8月28日付けで、「生きられる社会へ:生活保護の今 最低生活費知り相談を 病気、リストラ……所持金ゼロになる前に」という記事を紹介したいと思います。
全文はこちらから↓
http://mainichi.jp/feature/news/20120828ddm013100022000c.html
国が定める「最低生活費」を知っている人はどれぐらいいるだろうか。収入が最低生活費を下回る場合は生活保護を受給できる。さいたま市で生活困窮者の支援をするNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事に、最近目立つ相談事例と、最低生活費の計算例を聞いた。
から始まって具体的なケース、生活保護の8種類の扶助も紹介されています。
以下、生活保護制度に関する基本点を引用します。
◇最低生活費
憲法25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を営むのに必要な費用。生活保護はこれを下回る収入の世帯に支給される。生活保護法で定める8種類の扶助を組み合わせて計算する。
◇要件満たせば、原因問わず
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定する憲法25条の理念に基づき、要件さえ満たせば、すべての国民は無差別平等に保護を受けることができる。困窮の原因は問われない。
生活保護法24条は「申請があったときは保護の要否、種類、程度と方法を決め、申請者に書面で通知する」と定めているので申請を受理しないのは「保護申請権」の侵害とみなされる。
生活保護費は、「健康で文化的な最低限度の生活」を営むのに必要な費用で、これを下回る収入の世帯に支給され、困窮に至った原因は問われません。
しかし、以下に紹介する記事にもありますが、申請窓口で、勝手な基準を作ったりして「水際」で阻止するという違法行為が役所において行われていたり、バッシング等によって日本人の「恥意識」に乗じて申請を恥ずかしいものとしてあきらめる意識が煽られたりで、本当に必要としている人が利用できなかったり、利用していても孤独死するなど、生活保護法本来の理念や運用が著しく歪められています。
役所の担当窓口の職員も、生活保護法や制度について正しく理解していない人や、勝手な解釈であきらめさせることに情熱を燃やしている(?)人が居たりしますので、要件に該当すれば、正しい知識を持ち、あきらめることなく申請し、必要と思われれば遠慮無く理解ある支援者に同行してもらいましょう。
「水際」で阻止することを任務とされている、あるいは勘違いされている申請窓口の方。あなたの行っている行為に、法に反するものはありませんか? 立脚するのは、憲法25条です。
いろんな立場で社会福祉に関わる支援者は、「生活保護申請マニュアル 2012年度版」(生活保護問題対策全国会議:編著、全国クレジット・サラ金問題対策協議会:発行)を片手に、申請のサポートをして欲しいと思います。
それでは、最近の気になる記事です。
生活保護で虚偽説明 大津市、不適切認め謝罪へ
大津市役所に生活保護の申請に訪れた男性(47)に対し、同市生活福祉課の男性副参事が「最低でも10日間は野宿しないと生活保護申請は認められない」などと説明し、受給の可否が野宿の日数によって決まると思わせる虚偽の説明をしていたことが27日、分かった。市は不適切な発言であることを認め、関係者に謝罪するとした。
関係者によると、男性は8月22日未明、大阪府門真市の勤務先の寮を出て大津市に到着。同市生活福祉課を訪れ生活保護申請をしたが、居住地である門真市で申請するように勧められた。23日に再訪すると、勤務先の退職証明書などを持参するように指示された。その際に同課の男性副参事は「ホームレスの実績がない。最低でも10日間は野宿しないと生活保護は認められない」と発言し、さらに「市の内規に書いてある」と根拠のない受給条件の説明を繰り返したという。
24日に退職証明書などを持参したところ申請は受理された。生活福祉課の皆川宏司課長は「住所のない大津で男性が生活保護を受けるには、本当にホームレスであることの確認が必要だった。それを説明するときに、不適切な表現があった」と話している。
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120828000019
「京都新聞」2012年08月28日
●生活保護者の孤独死43人 札幌市「異変察知は困難」 4~6月
札幌市内で誰にも知られず自宅で亡くなった一人暮らしの生活保護受給者が、今年4月から6月の3カ月で43人いたことが27日、同市のまとめで分かった。
生活保護の支給を「死去」のために廃止した人のうち、親族などからの速やかな通報で手続きした人を除いたケースを初めてまとめた。遺体発見までの時間や性別、年齢層の分析はしていない。
同市によると、43人のうち37人は家賃滞納などで自宅に様子を見に行った大家や管理会社が遺体を発見。残り6人は、近隣住民から「最近見かけない」などの連絡を受けたケースワーカーが住宅に立ち入って発見した。
過去のデータがないため年間の孤独死者数は正確には分からないとしながらも、同市保健福祉局は「今回の調査から、少なくとも年間100人以上は孤独死していると考えられる」と推測。「生活保護受給者で行政の関与はあるのだが、一人暮らしのため、異変に即座に気づくのは難しい」としている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/399582.html
「北海道新聞」2012/08/28
●生活保護断られ飛び降り騒ぎ 浪速区役所7階
27日午後3時20分頃、大阪市浪速区の区役所職員から「男が庁舎から飛び降りようとしている」と110番があった。
大阪府警浪速署員が駆けつけたところ、男が「死んでやる」などと言いながら、区役所7階のベランダの柵(高さ約1・5メートル)を乗り越えて身を乗り出しており、署員らが説得。約1時間半後に取り押さえ、建造物侵入容疑で現行犯逮捕した。
浪速署の調べでは、男は同区塩草、タクシー運転手藤井忠幸容疑者(58)。生活保護の受給を求めて5階の保健福祉課を訪れていたが、「要件を満たさない」と断られ、面談途中で退席。直後に会議室が並ぶ7階に立ち入ったらしい。この騒ぎで区役所は正面玄関を閉鎖、驚いた市民数十人が庁舎を取り囲むなど一時、騒然となった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120827-OYT1T01003.htm
「読売新聞」2012年8月28日
●障害者総合支援法成立:サービス利用料無料化見送り
政府が現行の障害者自立支援法に代わり、今国会に提出していた障害者総合支援法案は20日、参院本会議で民主、自民、公明などの賛成多数で可決、成立した。重度訪問介護サービスの対象拡大など新たな施策を盛り込んだが、内閣府の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が出した骨格提言はことごとく採用されず、障害福祉サービス利用料の原則無料化も見送られた。
サービス利用料を原則1割負担(応益負担)とした自立支援法を巡っては各地で違憲訴訟が起こされ、民主党が同法廃止を約束して原告団と和解。だが廃止は実現せず、自己負担も残った。元原告団らは20日夜の記者会見で「骨格提言が全く反映されていない。万感の怒りを持って抗議する」と非難し「政府の法的責任を徹底的に追及する」と再提訴も辞さない姿勢を示した。
一方、知的障害者の親らでつくる「全日本手をつなぐ育成会」の田中正博常務理事は「障害者福祉は社会保障でも出遅れており、一歩でも前に進むことが重要」と評価。新法が難病患者を障害福祉サービスの対象としたことに「日本難病・疾病団体協議会」の伊藤たてお代表理事は「歓迎したい」と述べた。
http://mainichi.jp/select/news/20120621k0000m010078000c.html
毎日新聞 2012年06月20日
●新卒「ニート」3万人 働き手減少に拍車 教育・就職 橋渡し欠く
大学を今春卒業した約56万人のうち6%にあたる約3万3千人が、進学も就職の準備もしていないことが27日、文部科学省の調査で分かった。大半が「ニート」とみられ、学校から職場へのスムーズな移行が難しいという若年層の課題が浮き彫りになった。ニートへの対応が遅れれば質と量の両面で日本の労働力の劣化を招き、生活保護受給者の増大なども懸念される。抜本的な対策が急務だ。
文科省の学校基本調査速報によると、今春の大卒者は昨年比1.2%増の55万9千人で、このうち35万7千人が就職した。就職率は63.9%で2.3ポイント増え、2年連続で改善した。同省は大企業志向が強かった学生が中小企業に目を向けた影響が大きいと見ている。
ただ就職も進学もしなかった約8万6千人の現状を初めて調べたところ、就職や進学の準備をしている人は約5万3千人にとどまった。残り約3万3千人はどちらの活動もしていない。男性が約1万8千人、女性が約1万5千人で、家事手伝いやボランティア従事者なども含まれるが、いわゆるニートが大半を占めるとみられる。
全国に約60万人といわれるニートは高卒者や学校中退者が多いとみられていた。大学の新卒者でも数万人規模に上ることが分かり、問題の深刻さが鮮明になった。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの横山重宏主任研究員は「就業しないまま年を重ねると、職探しがより難しくなる」と指摘する。都内の30歳男性は大学卒業後に勤めた会社をやめて7~8年がたつ。収入はなく親と同居。「働きたい気持ちはあるが、仕事を長く離れ、他人との会話が不安」と打ち明ける。
企業などで職業訓練を受けないニートが増えると、日本の労働力全体の質が下がる懸念がある。就職した同世代との経済格差が拡大し、いずれ生活保護受給者になりかねない。結婚や子育てが困難な人が増え、少子化が一段と深刻になる可能性も指摘されている。
政府は専門の相談員がニートなどの若者の自立を支援する「地域若者サポートステーション」の拡充を急いでいる。2011年度は全国110拠点に約37万6千人が来所したものの、就職などの進路が決まった人は約9700人にとどまった。
横山氏は「研修の場の提供など民間企業を巻き込んだ支援を進めるべきだ。成長産業の育成などで雇用を生み出すことも重要」と言う。
調査では約2万2千人が契約社員や派遣などの非正規雇用になっていることも分かった。正社員を希望したものの内定を得られず、契約社員などを選んだ人も多い。アルバイトなど一時的な仕事に就いた人も含めると、新卒者のほぼ4人に1人の12万8千人が安定した仕事に就けていない。
新卒者の進路を学部系統別にみると、文系で無職やアルバイトの割合が多かった。人文科学は25.2%、社会科学は21.8%だった。理学と工学は4割前後が大学院に進学しており、無職や非正規雇用の割合は10%台で比較的低かった。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2702C_X20C12A8000000/
「nikkei.com」2012/8/27 20:50
●大津市教育長襲撃:暴力では何の解決にも至らない 中2自殺・遺族の思い、初のコメント
大津市の沢村憲次教育長(65)が男子大学生(19)=殺人未遂容疑で逮捕=にハンマーで殴られ負傷した事件について、昨年10月に自殺した大津市立中2年の男子生徒の父親が21日、「大変悲しく思っております。暴力に訴えても何の解決にも至らない。息子の本望ではない」とするメッセージを公表した。
遺族の代理人の弁護士事務所(吉原稔法律事務所)が開設する支援ホームページに掲載された。遺族が教育長襲撃事件で公にコメントするのは初めて。
父親は「息子に対する『いじめの暴力』の存在を知った時、確かに相手を殴ってやりたい衝動に駆られました。しかし、息子は喜ぶのだろうかと必死に考えました」と思いをつづった。そのうえで、「暴力に訴えることだけは決して行わないでください」と求めた。
滋賀県警によると、男子大学生は事件の動機について、男子生徒の自殺問題での市教委側の対応への不満を挙げている。
http://mainichi.jp/area/news/20120822ddn041040014000c.html
「毎日新聞」2012年08月22日
●「少年たちの居場所がない」 京都の少年犯罪 全国ワースト1なぜ?
◇高い再犯率 警察や地域一体で「どう防ぐ」カギ
府内の少年犯罪が深刻化している。府警によると、昨年、刑法犯で摘発された少年が人口比で全国ワースト1位を記録。犯行を繰り返す少年は全体の約4割を占め、再犯率の高さもワースト3位だった。犯罪から抜け出せない少年が後を絶たない現状に、専門家らは「家庭や地域に少年たちの居場所がなくなっていることが原因」として、警察や地域が一体となって少年非行を考える必要があると訴える。
◇
7月、山科区内の駐車場で、同区の中学1、2年の女子生徒2人と小学6年の女子児童が、伏見区の中学2年の女子生徒に「言葉遣いが生意気」と因縁をつけ、殴る蹴るの暴行を加える事件が起きた。
捜査関係者によると、加害者の3人は学校に行かず日常的に夜遊びを繰り返しており、女子児童も小学校2年生の時から学校にいかず、自転車盗などの非行を繰り返していたという。
山科署は、中学2年の女子生徒を家裁送致に、中学1年の女子生徒と小学6年の女子児童を児童相談所に通告した。
府警によると、昨年、刑法犯で摘発された府内の少年は、同世代の人口千人あたり15・5人で全国ワースト1位。再犯率も約4割に上り、全国でも沖縄県、高知県に続いてワースト3位とかなり高い。
捜査関係者は「万引など罪の意識が低い犯罪を繰り返すことで、より罪の重い犯罪へのハードルも低くなっていく」と指摘。「再犯をいかに防げるかが、少年非行を減らす鍵だ」と話す。
再犯率の高さについては、少年院などの更生施設を出ても、居場所を求めて結局不良グループに戻ってしまい、再び犯罪に走る-という「負のスパイラル」があると指摘される。
「家庭や地域の愛情に飢えている子が居場所を求めて繰り返し犯罪に走ってしまう」と話すのは、府更生保護女性連盟副会長の斉藤靖子さん(70)。
「しかし、放火などの重大な罪を犯しても、話をじっくり聞いてあげることで更生し、就職して結婚し、自分の子供を連れてきてくれた子もたくさんいる」とも話す。「家庭はもちろん、学校や地域でイベントを開くなどして、積極的に子供たちに声をかけてほしい」と訴えた。
こうした状況を踏まえ、府警も、地元のボランティアらと連携し、地域一体となった非行防止策に取り組んでいる。小学校や中学校で非行防止教室を開くだけでなく、7月下旬には、警察官とボランティアら約60人が京都市でパレードを行い非行撲滅を呼びかけた。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120814/kyt12081402020001-n1.htm
「産経ニュース」2012.8.14
●発達障害めぐる判決、被告側が控訴 支援団体は連携検討
大阪市平野区の自宅で昨年7月、姉(当時46)を刺殺したとして殺人罪に問われた無職大東一広(おおひがし・かずひろ)被告(42)の弁護人が、発達障害を理由に検察側の求刑(懲役16年)を上回る懲役20年とした大阪地裁の裁判員裁判の判決を不服として控訴した。11日付。
先月30日の判決は「被告の障害に対応できる受け皿がなく、再犯の恐れが強い。許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持につながる」と指摘した。これに対し、日本弁護士連合会や日本自閉症協会などから「障害への無理解と偏見がある」などと批判が相次いでいる。
◇
先月大阪地裁で求刑を上回る懲役20年の判決を受けた発達障害の男性被告の控訴を受け、障害者の支援団体「日本発達障害ネットワーク」は13日、「(発達障害の一種の)アスペルガー症候群の特性を正しく理解した裁判が行われることを期待する」との声明を出した。
都内で記者会見した市川宏伸理事長は「正しい判断に基づいた裁判が行われる可能性が出たことを歓迎する」とした上で、「今回の判決は、自分の気持ちをうまく表現できないアスペルガー症候群の特性を正しく理解していない」と指摘。「控訴審では、弁護士と連携して支援を行うことも検討したい」と述べた。
http://www.asahi.com/health/news/OSK201208130248.html?ref=rss&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
「朝日新聞デジタル」2012年8月13日
●使用済み核燃料の地中廃棄を研究 来年度予算で経産省検討
原発から出る使用済み核燃料をごみとして地下に埋めて処分する「地中廃棄」の研究費を、経済産業省が来年度予算の概算要求に初めて盛り込む方向で検討していることが14日、分かった。
日本は現在、使用済み燃料を全て再処理しプルトニウムやウランを取り出して再利用する「全量再処理」を採用している。青森県六ケ所村にある再処理工場は、本格稼働が大幅に遅れている上、国内の原発から出る使用済み燃料を全て処理できる能力がなく、全量再処理は事実上破綻。原発への依存度を下げた場合、地中廃棄の必要性も高まるため、全量再処理路線の見直しが不可避となっている。
http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012081401002324.html
「共同通信」2012/08/14
●自殺対策、財源確保を=総務省
総務省は17日、2013年度予算概算要求に向けた改善事項を各府省に申し入れた。厚生労働省や内閣府には、都道府県が行う自殺対策に対する財政支援のため設けた基金が12年度末までの時限措置となっているため、引き続き対策に必要な財源を確保するよう要請した。
自殺対策をめぐっては、東日本大震災や景気低迷を受け、自治体も取り組みを強化している。総務省は「地方でも自殺対策のさらなる推進が必要だ」として、電話相談など基金を活用して実施している事業への財政支援の継続を求めた。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2012081700247
「時事ドットコム」2012/08/17
地域自殺対策緊急強化基金検証・評価チーム(第1回)配布資料2 地域自殺対策緊急強化基金の概要
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/kikin/k_1/pdf/s2.pdf
●自主退学要請を撤回=いじめ、一部認める-仙台私立高
仙台市の私立高校で同級生からたばこの火を押し付けられるなどのいじめを受けていたと訴えた男子生徒(16)が、学校側から自主退学を求められていた問題で、学校側は17日、この生徒の両親に対し、いじめの一部事実を認め、自主退学の要請を撤回した。同日、生徒の母親(42)が記者団の取材に応じ、明らかにした。
生徒は6日、「根性焼き」と称してたばこの火でやけどをさせられたなどとして、宮城県警仙台東署に被害届を提出。同署が傷害容疑などで捜査している。
母親によると、学校側は殴る蹴るの暴行をいじめと認めたが、「根性焼き」については「警察の捜査を見て判断する」として態度を保留した。いじめについての謝罪はなかったといい、母親は「すべてを認め、謝罪してほしい。いじめと傷害事件は延長線上にある」と訴えた。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012081700689
「時事ドットコム」2012/08/17
●脳血流量少なく アスペルガー患者、表情認識時印刷用画面を開く
発達障害の一つであるアスペルガー症候群などの患者と健常者では、人間の表情が変化する動画を見たときの脳の活動に明確な違いがあることを、京都大の佐藤弥白眉センター准教授(脳科学)、十一元三医学研究科教授たちのグループが突き止めた。発達障害の客観的な診断法の開発や治療につながる成果といい、17日までに英医学誌に発表した。
発達障害の診断は、主に患者の行動などを分析して行われている。脳の機能障害とされているが、表情の静止画を見せたときの脳血流の変化をfMRI(機能的磁気共鳴画像装置)で調べる研究では、健常者との明確な違いは分かっていなかった。
グループは、無表情が笑顔やこわばった顔に変わる動画を20~30代の患者12人と健常者13人に見せ、脳血流の変化をfMRIで調べた。その結果、患者は、他者と自分の運動を結びつける前頭葉の「下前頭回(かぜんとうかい)」や、他者の表情を認識する側頭葉の「上側頭溝(じょうそくとうこう)」など五つの領域で血流量が少なかった。下前頭回と上側頭溝を結ぶ神経回路が機能せず、表情がうまく読み取れていないらしい。
佐藤准教授は「診断への応用には、うつ病などを併発している患者での調査も進め、脳反応と実際の行動との関連を詳しく調べる必要がある」と話している。
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120817000143
「京都新聞」2012年08月17日
●栃木中3労災死:校長が就労許可「違反認識なく」
群馬県桐生市の工事現場で栃木県足利市立西中学校3年の男子生徒が死亡した事故をめぐり、足利市教委は20日記者会見し、同校の岩下利宏校長が男子生徒に「職場体験」と称して働くことを許可し、報告を受けた市教委も追認していたことを明らかにした。岩田昭教育長は「労働基準法と就学の義務について認識が甘かった」と釈明した。
市教委によると、事故を受け岩下校長は「本人と保護者の希望があり、学校長の裁量で許可した。労働基準法違反にあたるという認識はなかった」と説明しているという。市教委は「校長が熟慮した結果」として岩下校長の判断を追認した。
一方、市教委が市内の中学校に聞き取り調査したところ、02年以降、男子生徒と同じ建設会社で働いていた可能性のある生徒が16人いることが明らかになった。
http://mainichi.jp/select/news/20120821k0000m040092000c.html
「毎日新聞」2012年08月21日
●発達障害やてんかんの治療法開発へ-慶大、神経細胞制御の仕組み解明
慶大医学部の研究グループは、発達障害やてんかんの病態解明、治療法開発につながる、大脳皮質の形成時期に見られる神経細胞の特徴的な動きの制御メカニズムを明らかにした。この研究成果は22日発行の米神経科学雑誌The Journal of Neuroscienceに掲載される。
同研究は、同大解剖学教室の仲嶋一範教授、田畑秀典専任講師、吉永怜史医師らのグループによるもの。
発達過程では、脳の内部にあり、脳脊髄液で満たされている「脳室」と呼ばれる空間に面した部位で誕生した神経細胞は、大脳皮質のそれぞれの目的地に正確に移動して配置されることで機能する。この過程の異常が、滑脳症などの大脳皮質の形成障害、自閉症や統合失調症、てんかんなどの精神・神経疾患に関与する可能性が指摘されている。
神経細胞が移動する際には、一時的に多くの神経突起を伸ばしたり、縮めたりする特徴的な動きをする。研究グループは、このような突起伸縮運動をコントロールする分子機構の一端を解明した。今回の研究は、細胞内の仕組みを明らかにしたもので、今後は、どのような細胞外のシグナルにより、この細胞内の仕組みが制御されているかを明らかにする必要があるという。将来的には、発達障害やてんかんの病態解明、治療法の開発につなげていきたい考えだ。
http://www.carenet.com/news/general/cabrain/30711
「医療介護CBニュース」2012/08/24
●教職大学院、半数で定員割れ…メリット少なく
学力向上からいじめまで、教育現場が抱える様々な問題に対処できる高い専門性を持つ教員育成を目指す教職大学院の2012年度の入学状況は、全国25校のうち13校で定員を下回っていることがわかった。
制度発足から5年連続で、4割超の大学院で定員割れが続いている。中央教育審議会は28日、教員の養成期間を6年に引き上げる答申をまとめるが、受け皿となる大学院の中には、定員削減に踏み切る動きも出ている。
読売新聞が教職大学院25校について今年度の「定員充足状況」を調べたところ、13校で入学者数が定員に対し60~95%で、定員割れの状態だった。25校全体の総定員815人に対し、入学者数は782人だった。
教職大学院は、学力向上、いじめ、不登校など、学校が抱える様々な問題に対処するため、生徒の指導方法や学校経営などについて実践的な手法を学ばせる場としてスタートした。
しかし、大学院を修了してもメリットが少ないことが課題。教員採用試験では、修了者に対する優遇措置がほとんどなく、現役教員が修了しても待遇などは不変で、こうしたことが不人気の背景にあるとみられる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120826-OYT1T01072.htm
「読売新聞」8月27日
●何もしない「外こもり」 日本の閉塞感から逃れられぬ若者 (1/2ページ)
「引きこもるなら海外で」--いわゆる「引きこもり」が自宅に閉じこもるのに対し、物価の安いアジアなどに行き、引きこもり同様、何もせずに暮らすことを「外こもり」と呼ぶ。
「移住」とも異なり、日本国内で人材派遣などの仕事を3カ月程度の短期間で一気に稼ぎ、それを元手に物価の安い国で「引きこもる」というライフスタイルだ。現地でPCを使って投資するような人もいるようだが、基本的には留学や現地で働くのとは違い、「海外で特に何もしない」のが特徴である。
「外こもり」は2000年代後半から若者を中心に広がった。日本人はタイなどの東南アジア諸国、ヨーロッパの若者はエジプトで暮らすことが多いようだ。物価の安さに加え、観光ビザで長期滞在できる国を選ぶというわけである。
海外で引きこもる人々にあるのは、国内の引きこもり以上の悲壮感だ。旅行作家の下川裕治氏は、「日本で希望が見つからない、正規社員になれない、など基本的に失望があり、日本で頑張るより、アジアで仕事せずに暮らせるならそうしようという発想」と話す。
だが、昨今そんな「外こもり」もできなくなる事態が訪れている。「(外こもりをする人の数は)明らかに減っている。日本経済の悪化で、派遣で働くことも難しくなっているからだ」(下川氏)。
他方、同世代の若者の中には、海外で就職したり投資したりすることで、悠々自適な生活を送っている人々が徐々に増えている。国外に脱出しても、格差はつきまとう。どこにいても、日本の閉塞感からは逃げられそうにない。
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/120826/ecc1208261101001-n1.htm
「SankeiBiz」2012.8.26
●「やむ得ぬ理由」厚生年金基金脱退、認める判決
長野県内の建設会社が求めていた厚生年金基金からの脱退を認めた24日の長野地裁判決で、山本剛史裁判長は「『やむを得ない理由』がある場合には、任意脱退を制限することは許されない」などと判決の理由を示した。
建設会社が加盟する「長野県建設業厚生年金基金」(長野市)では、2010年に23億円余の使途不明金が発覚、財務状況も悪化していたことから、建設会社が昨年1月に脱退を申請した。これに対し、基金の代議員会は不承認と議決し、建設会社が訴訟を起こした。
訴訟では、基金側が加盟企業の脱退が相次ぐと存続できなくなるなどとして、脱退には代議員会の議決が必要だと主張したが、判決は、基金との信頼関係を損なうような「やむを得ない理由」がある場合、議決は不要との判断を示した。
「読売新聞」2012年8月25日
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120824-OYT1T00724.htm?from=main1