子どもの悲しい自死、大人は「子どもの権利」と向き合おう。
2013/02/17
子どもたちの「自殺」という悲しい出来事が続いています。先週14日にも、大阪府大東市で小学5年生(11歳)が、学校の統廃合への「抗議」として自決しました(あえて「自決」という表現を使います)。子どもの自殺の多くが、最近報道される事案のほとんどが、学校での教師との関係性に起因することは、深刻かつしっかりとした対応、その仕組みの立て直しが火急な課題であることを意味します。学校は、子どもたちが毎日学び、育つ場であるからです。
子どもの自死に関わることなって、まず「これや!」と考え方の基軸にして来たのが国連「児童の権利に関する条約」、同委員会から日本政府への「勧告」です。子どもの最善の利益や意見表明権など日本の学校で生じている事故・事件への対応を考える上で大切にしたい視点が盛り込まれています。http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig_all.html http://www.itoh.org/io/kenri/kankoku.htm。
そして、これまでその隠蔽体質から水面下に隠され続けようとしてきた学校に起因する子どもの死亡事案について、中立的公正・公平な立場からの検証を初めて行った大津市自殺事件の第三者委員会報告書は、第三者委員会のあり方を考える上でも、我が国初めての「教典」的存在となると思います。現在のところ、報告書は以下のサイトからのみ入手できるようです。
日本共産党滋賀県委員会のサイト http://www3.ocn.ne.jp/~jcpshiga/sinbun.htm
大津市自殺事件での第三者委員会報告書は、事実経過、事実の考察、問題点、学校・市教委の対応の事実経過、同問題点、マスコミやスクールカウンセラーの役割などの問題点、教員への提言、学校への提言、教育委員会への提言、スクールカウンセラーの運用の在り方、危機対応、招待に向けての課題という章立てで、詳細に検証・報告された230ページ余りのものです。委員・調査員名簿も、もちろん含まれます。
とても印象的なのは、末尾に添えられた「保護者の皆さんへ」「生徒の皆さんへ」、その直前の「若手記者の皆さんへ」というメッセージです。報道記者岡村昭彦氏の名前を挙げ、「組織に埋没するな、フリーランスとして生きろ、肩書きで仕事をするな、…」と言いたい、と期待が込められています。
被害を受けた子ども、被害を与えた子ども、遺族、保護者へのそれぞれのケアの必要性、学校や教育委員会、スクールカウンセラーや弁護士など未然防止や事案の検証などに関わる者の役割、第三者委員会の在り方など、貴重な視点を明確に提示してくれています。その中心には、「子どもの権利」を守る視点が貫かれています。
保身や体勢維持のための隠蔽や誤魔化し、人気取りにあけくれる学校、教育委員会、首長や行政への批判も必要ですが、大人一人ひとりが、「子どもの権利」を守ることとしっかりと向き合い考え行動することが今最も大切なことではないでしょうか。子どもたちは、そんな大人をモデルとして学び、考え、育って行きます。
※生活保護基準の引き下げ問題について、正しく理解して欲しいと思い、わかりやすいサイトを紹介させていただきます。
NHK:くらし☆解説 「生活保護基準引き下げへ 影響は?」
2013年01月25日 (金)後藤 千恵 解説委員
生活に困って暮らせなくなった時の最後のセーフティネットと言われる生活保護。その基準を引き下げる方向で今、検討が進められています。引き下げによってどんな影響があるのでしょうか。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/145143.html
それでは、最近の気になる記事です。
「キャプテンしばけば何とかなると思っているのですか?」生徒の手紙、苦悩生々しく
大阪市立桜宮高校のバスケットボール部主将の男子生徒=当時(17)=が顧問の男性教員(47)=13日付で懲戒免職=の体罰後に自殺した問題で、市教委は同日の記者会見で、生徒が顧問あてに用意していた手紙の一部内容を明らかにした。手紙は自殺4日前の昨年12月19日に書かれたが、生徒は他の部員に制止されて顧問に渡せなかった。
内容は次の通り(原文のまま)。
「先生が練習や試合で、自分ばかりに攻めてくるのに僕は不満を持っています」
「昨日の話を聞いていても、こういうことをする人がキャプテンになる人と言っていましたが、どこのどんなチームでも、そんな完璧な人いないと思います」
「先生は僕に、何も考えていないと言いますが、僕は考えています。いつもその場で答えることができませんが、じゃあ逆に、それを完璧に答える人はいるのですか?」
「○○さん(バスケの外部指導者)が講習会をしてくれた日、僕は○○さんが言っていることを自分なりに理解して一生懸命やりました。なのに、なぜ、翌日に僕だけが、あんなにシバき回されなければならないのですか?」
「キャプテンしばけば何とかなると思っているのですか? 毎日のように言われ続けて、僕は本当に訳が分からないとしか思っていません」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130213/crm13021321220023-n1.htm
[産経ニュース」2013.2.13
●「暴力、自殺の一因」 外部監察で認定 桜宮高問題
大阪市立桜宮(さくらのみや)高校のバスケットボール部主将の男子生徒が昨年12月に自殺した問題で、事実関係を調べていた市の外部監察チームが、同部顧問の男性教諭による男子生徒らへの「暴力行為」が常態化していたと指摘する報告書をまとめたことがわかった。特に自殺直前の練習試合での暴力が生徒を自殺に追い込む一因になったとも認定。市教委は顧問教諭の懲戒免職も含め厳しい処分を検討する。
弁護士による外部監察チームは市教委からの要請を受け、顧問本人から事情を聴取。他の教員やバスケ部員らにも聞き取り調査をし、確認した事実関係をまとめた報告書を市教委に提出した。
報告書では、顧問の暴力が、非行行為に対する生活指導などとは異なり、男子生徒が昨年9月に主将になってから練習や試合中に平手打ちなどを繰り返していた点を重視。「体罰」との表現は使わずに「暴力行為」だったと結論づけた。
http://www.asahi.com/national/update/0211/OSK201302100116.html?tr=pc
「朝日新聞」2013年2月11日
●自殺か:小5駅で飛び込み 学校統廃合中止求めるメモ残す
14日午後4時25分ごろ、大阪府大東市野崎1のJR片町線野崎駅構内で、線路内に立ち入った男児が同志社前発宝塚行き下り快速電車(7両編成)にはねられ即死した。府警四條畷署によると、同市内に住む市立小学校5年生の男児(11)で、自殺とみられる。現場近くには、男児が通う学校の統廃合中止を求める遺書らしきメモが残されており、同署や市教委で詳しい動機などを調べる。
同署やJR西日本によると、男児がホームから飛び込むのを運転士が目撃。非常ブレーキをかけたが間に合わなかった。ホームには男児のものとみられるリュックサックが残され、中に塾の教材が入っていたという。遺書らしきメモはリュックのそばに置かれていた。
市教委によると、市立小学校統合実施計画に基づき、同校は今年4月、近くの学校に統合され、2月17日に閉校式の予定だった。遺族によると、遺書らしきメモには「どうか一つのちいさな命とひきかえに、とうはいごうを中止してください」と記されていた。
また、男児は13日、「閉校式を止めることができないか」「学校がつぶされるのに僕たちの気持ちを誰も聞いてくれない」と話していたという。
母親(47)の携帯電話には自殺直前、「今までありがとう。みんな大好きだよ」とメールがあったといい、「息子の思いに気付いてやれなかったのが悔しい。自殺というやり方で世の中が変わると他の子が思わないでほしい」と話した。
この事故で、JR片町線は上下32本が運休するなど約1万4000人に影響した。
http://mainichi.jp/select/news/20130215k0000e040176000c.html
「毎日新聞」2013年02月15日
●自殺の小5、統廃合への賛否を同級生に尋ねる?
大阪府大東市の小学5年の男児(11)が電車に飛び込んで自殺した問題で、男児が、遺書とみられるメモに「25人全員が『とうはいごうがなくなってほしい』に賛成しました」と記していたことがわかった。
クラスメートの人数と同じで、男児が学校統廃合への賛否を同級生に尋ねた結果とみられる。
男児の家族によると、メモの片面に統廃合への賛否の数が「正」の字で記載。裏面には25人への調査結果を書き、「ぼくは、とうはいごうが『なくなってほしい』『なんでもする』に賛成です」と記していた。
一方、男児が通う小学校の校長は15日夕、記者会見し、「思い悩んでいたことを十分把握できず、非常に申し訳ない」と謝罪した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130215-OYT1T01232.htm
「読売新聞」2013年2月15日
●「とうはいごうを中止して」小5抗議の自殺
大阪府大東市のJR片町線野崎駅で、14日午後4時25分ごろ、同志社前発宝塚行き快速電車に、大東市に住む小学5年生の男児(11)がはねられ死亡した。四條畷署は自殺とみている。市教育委員会は15日、記者会見。男児が通っている小学校が廃校になることに悩み、抗議する遺書のようなメモを現場近くに残していたことを明らかにした。
「どうか一つのちいさな命とひきかえに、とうはいごう(統廃合)を中止してください」
ホームに残された男児のリュックサックの上に置かれていたメモ。手帳より、やや大きいサイズの真っ白な紙の表には、消え去る母校への熱い思いが記されていた。
市教委によると、少子化に伴う児童の減少に対応するため、男児の通う市立深野(ふこの)北小学校は3月で廃校になり4月以降、全校児童は別の2校に分かれて通学することが決まっている。
紙の裏側には「とうはいごうがあってほしい」「なくなってほしい」という設問が記され、「なくなってほしい」の下には「正」の字が5つ。
また「がっこうがなくならないためなら」という記述に続き「なんでもする」「あるていどする」「なにもしない」の選択肢が設けられ、「なんでもする」の下には正の字の2画目まで、「あるていどする」の下に正の字が4つと3画目までが記され「なにもしない」の下は空白だった。市教委は「男児が、クラス内の自分以外の児童25人に対し聞き取り調査を行ったと思われる」とした。
メモには「ちなみにぼくは、”なくなってほしい””なんでもする”に賛成です」と、統廃合中止への強い決意をにじませる記述があった。
市教委によると男児は繊細で優しい、物静かな性格だったといい、14日も、通常通り登校していた。関係者によると、男児は約1年前から「学校をつぶさないで」と訴える作文を書くなど、普段から廃校に関して気にしているようだった。
また、12日にあった閉校式の予行演習に出席した男児は、家族に「つらい、いやだ」という趣旨のことを話したという。
17日に予定されていた閉校式は延期されることになった。両親は「自分が死ぬことで事態を変えていこうとすることは正しくない」と話しており、市教委は「統合方針に変更はない」としている。
校長は「深く悩んでいたことを学校でつかめていなかった」と謝罪。両親は「ここまでの気持ちを察してあげられなかったのが悔やまれる。亡くなった理由が不明ということにはしてほしくない」と話しているという。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/02/16/kiji/K20130216005207060.html
「スポニチ」2013年2月16日
●いじめ・体罰で子供自殺 遺族が意見交換会(動画あり)
神戸市で16日午後、いじめや体罰などを理由に自殺した子供を持つ遺族ら約30人が集まり、それぞれの事件における教育委員会や第三者調査委員会の対応について問題点などを話し合った。
顧問による体罰が原因で生徒が自殺した大阪市立桜宮高校の問題への対応については、「事態を沈静化しているだけで、本質的な解決には至っていない」などの指摘の声が上がった。
体罰で長男が自殺した内海千春さん「顧問の先生が厳しく処分されたが、それを黙認してきた教育委員会については全く触れられていない。関係者を処分するというだけでこの問題がなくなるとは、到底思えない」
遺族らは、今後もこうした意見交換を続けていきたいとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20130217-00000002-nnn-soci
日本テレビ系(NNN) 2月17日
●児童虐待防止条例:名古屋市議会で議員提案へ
名古屋市議会の自民、公明、民主各市議団の議員7人が「児童を虐待から守る条例」案を21日開会の2月定例議会に議員提案することが10日分かった。市内の児童相談所2カ所と16区役所が情報共有する仕組みを盛り込んだ。
条例案は、地域に相談支援拠点を指定できるほか、児童虐待の取り組み状況を議会に報告し、公表を義務付ける。米ロサンゼルス市では、日本の児相に相当する機関や警察に児童虐待の情報が寄せられた場合、速やかに情報共有するシステムがあり、参考にした。
市内では11年10月、中学2年の男子生徒が母親の交際相手に虐待を受け死亡する事件が起き、区役所と児相の連携不備などが指摘されていた。市によると、児童虐待防止条例は、ほかに全国の政令指定都市3市で制定されている。
http://mainichi.jp/select/news/20130211k0000m040089000c.html
「毎日新聞」2013年02月11日
●憂楽帳:発達障害と投薬
いつもぼーっとしたような感じで、視線が合わない。小3の息子が向精神薬を飲み始めて3カ月。「気分が落ち着くからと処方されたけど、やめました。生まれつきの障害を薬でどうにかするのも変だと思って……」。自閉症の子をもつある母親は話した。
発達障害の子供に向精神薬を処方する流れが強まっている。多動だと「衝動が抑えられる」、不登校だと「生活をただすため」などと、統合失調症の薬や睡眠薬が出る。親は「お医者さんが言うなら」と受け入れがちだ。
昨秋、不幸な事故が起きた。日本脳炎のワクチンを接種された10歳男児が心肺停止で亡くなり、調べると、発達障害で3剤の向精神薬を処方されていた。うち2剤は、心臓に悪影響を及ぼす恐れから併用禁止になっていた。調査した厚生科学審議会は死因を特定しなかったものの、2剤の相互作用による心停止を疑う声も出た。
向精神薬は中枢神経に作用するが、成長期にある子供の脳に及ぼす影響は検証されていない。発達障害の子供たちを取材した経験から、発達障害を診る児童精神科医は常に、慎重な診察を心がけてほしいと思う。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130213ddg041070011000c.html
「毎日新聞」2013年02月13日
●生活保護:埼玉県、受給世帯対象に高校生の無料学習教室
埼玉県が生活保護費受給家庭の高校生の就学状況を追跡調査したところ、中退率が全体の2倍以上になっていることが分かった。県は中退を防止するため、来年度から受給世帯の高校1年生200人を対象に無料の学習教室を開く方針。受給世帯の高校生を対象にした本格的な学習支援は全国初という。
県社会福祉課によると、11年度に県内の高校に入学した受給世帯の742人のうち、同年度末で中退したのは51人、6.9%で、全体の中退率(3.1%)の2倍以上だった。51人の約6割が無職と答え、高校中退が「貧困の連鎖」につながる可能性が浮かび上がった。
県は10年度から受給世帯の中学生を対象に無料学習教室を開き、参加者の高校進学率(同年度)は97.5%と受給していない世帯とほぼ並んだ。しかし、教室参加で高校中退した人の22.2%が「学業不振」を理由に挙げ、県は進学後の学習支援も必要と判断。来年度当初予算案に学習支援教室開設費など1億1445万円を盛り込んだ。
同課の大山典宏主査は「保護世帯は親らによる中退への歯止めが弱い。福祉事務所と家庭の情報を共有しながら、中退防止を支援したい」と話している。
http://mainichi.jp/select/news/20130215k0000m040048000c.html
「毎日新聞」2013年02月14日
●児童養護施設退所者 「孤独・孤立感」44%
児童養護施設などで過ごした人たちは施設を出た後、正規雇用に就く割合が低く、孤独感や孤立感にさいなまれている-。昨年、県が施設退所者を対象に初めて行った実態調査で、こんな傾向が明らかになった。県は調査結果を今後の支援につなげ、入所者の自立に向けた取り組みに生かしたい考えだ。(前田朋子)
県の調査は昨年四月中旬から半年かけて実施された。県所管の児童養護施設など計二十四カ所(さいたま市を除く)を過去十年間に退所し、施設が連絡先を把握している六百十二人にアンケートを行った。回答者数は百四十八人(24・2%)。回答者の年齢は十八~二十八歳の範囲内という。
県によると、児童養護施設の場合、入所できるのは三~十八歳(特例で二十歳まで延長可能)で、中学卒業時点で就職した場合は退所しなければならない。学生などを除き、現在働いている人は九十八人で、うち正規雇用(正社員)は55・1%(男性65%、女性48・3%)だった。
国の労働力調査(十五~二十四歳)では正規職員の割合が67・7%(男性72・2%、女性63・5%)であるのに比べると、低い数字が出た。働いている九十八人の収入状況(月収)を尋ねたところ「十万~十五万円未満」が46・9%と最多の割合。二十万円未満で全体の九割を占めた。退所後に就いた仕事の期間では「一~三年未満」が38・5%と最も多く、回答者の三分の一が一年未満と回答。転職回数が十回以上だった人も3・8%いた。
退所直後に困ったことについて聞いた設問では「孤独感、孤立感」と答えた人が44・1%にのぼった。「相談相手や相談窓口が身近になかった」も25・5%で、職探しや住居の確保で身元保証人が得られず、困っている様子がうかがえる。困ったときの相談相手としては施設の職員を挙げた人が最も多く、77%だった。
県の担当者は「施設で育っても両親のいる子どもたちと遜色なく、という願いがあるが、孤独感などへの精神的支援や、離職者への支援が必要だとわかった。今まで欠けていたアフターケアについて力を入れていきたい」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20130117/CK2013011702000119.html
「東京新聞」2013年1月17日